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1963-02-22 第43回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十二日(金曜日)    午前十時十五分開議  出席分科員    主査 羽田武嗣郎君       赤澤 正道君    尾関 義一君       田澤 吉郎君    古川 丈吉君       山本 猛夫君    太田 一夫君       楯 兼次郎君    中村 重光君       松井  誠君    山口丈太郎君       山口 鶴男君    兼務 赤松  勇君 兼務 田口 誠治君    兼務 島本 虎三君  出席国務大臣         自 治 大 臣 篠田 弘作君  出席政府委員         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君         自治政務次官  藤田 義光君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (選挙局長)  松村 清之君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君         自治事務官         (税務局長)  柴田  護君  分科員外出席者         自治事務官         (大臣官房参事         官)      松島 五郎君         自治事務官         (財政局理財課         長)      立田 清士君     ————————————— 二月二十二日  分科員稻葉修君、小松幹君及び渡辺惣蔵委員  辞任につき、その補欠として古川丈吉君、山口  鶴男君及び中村重光君が委員長指名分科員  に選任された。 同日  分科員古川丈吉君、中村重光君及び山口鶴男君  委員辞任につき、その補欠として稻葉修君、太  田一夫君及び小松幹君が委員長指名分科員  に選任された。 同日  分科員太田一夫委員辞任につき、その補欠と  して松井誠君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員松井誠委員辞任につき、その補欠とし  て渡辺惣蔵君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  第一分科員赤松勇君、田口誠治君及び第二分科  員島本虎三君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十八年度一般会計予算自治省所管  昭和三十八年度特別会計予算自治省所管      ————◇—————
  2. 羽田武嗣郎

    羽田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和三十八年度一般会計予算及び昭和三十八年度特別会計予算中、自治省所管を議題といたします。  まず、自治省所管について説明を求めます。篠田自治大臣
  3. 篠田弘作

    篠田国務大臣 昭和三十八年度自治省関係予算の概略を御説明申し上げます。  自治省関係昭和三十八年歳入歳出予算につきましては、一般会計歳入二千四百余万円、歳出五千四百七十億三千六百余万円であります。  歳出予算では、前年度の当初予算額四千五百六十七億二千七百余万円に対し、九百三億八百余万円の増額となっており、前年度の第一次補正後の予算額四千七百二十三億八千三百余万円に対し七百四十六億五千三百余万円の増額になっております。  自治省所管歳出予算に計上いたしましたものは、自治本省及び消防庁所管事務の執行に必要な経費でありますが、以下そのおもなものにつきまして、大要を御説明申し上げます。  まず第一は、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れに必要な経費であります。その総額は五千四百二億六千余万円でありまして、前年度当初予算額四千四百八十二億二千百余万円に対して九百二十億三千九百余万円の増額となっており、前年度の第一次補正後の予算額四千六百三十八億七千二百余万円に対し七百六十三億八千八百余万円の増額となっております。この経費は、昭和三十八年度における所得税法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の二十八・九に相当する額の合算額に、昭和三十六年度における地方交付税及び臨時地方特別交付金で、まだ交付していない額を加算した額を計上いたしたものでありまして、すべて交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れられるものであります。  第二は、選挙啓発関係経費であります。その総額は五億円でありまして、前年度の三億五千万円に比べて一億五千万円の増額となっております。この経費は、公明選挙運動を強力に推進し、国民の政治常識及び選挙道義の向上をはかるため必要な経費であります。  第三は、国有提供施設等所在市町村助成交付金でありますが、総額十二億円であります。この経費国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律に基づいて、国有提供施設等の所在する市町村交付するため必要な経費であります。  第四は、奄美群島復興事業関係経費であります。  まず、奄美群島復興事業費でありますが、総額十四億六千四百余万円でありまして、前年度の十四億五千三百余万円に比べて一千百余万円の増額となっております。この経費は、を美群島復興計画に基づく昭和三十八年度分の事業を実施するため必要な経費及びその運営に必要な人件費等であります。奄美群島復興計画は、昭和二十九年度から昭和三十八年度までの十ヵ年計画で、国費百二十一億一千八百余万円をもって、同群島復興をはかるため、公共土木施設整備産業振興等総額二百十四億一千九百余万円の事業を行なおうとするものであります。本事業は順調な進捗を見せ、逐次その成果を上げて参りましたが、昭和三十八年度をもって復興計画に基づく事業を終わる見込みであります。  次に、奄美群島復興信用基金出資金に必要な経費でありますが、その総額は五千万円であります。この経費は、奄美群島における産業振興に必要な金融の円滑化をはかるため、奄美群島復興信用基金に対する追加出資に必要な経費であります。これにより同基金に対する昭和三十八年度末における政府出資総額は三億七千万円となります。  第五は、公共土木施設及び農地等の小災害地方債元利補給に必要な経費でありますが、総額十三億五千八百余万円で、前年度の八億九千六百余万円に比べ四億六千二百余万円の増額となっております。この経費は、昭和三十三年、昭和三十四年、昭和三十六年及び昭和三十七年の各年における公共土木施設及び農地等の小災害にかかる地方債について昭和三十八年度分の元利償還金または利子相当額関係地方公共団体交付するために要するものであります。  第六は、固定資産税特例債元利補給に必要な経費であります。その総額は五億二百余万円で、前年度の三億九千四百余万円に比べて一億八百余万円の増額となっております。この経費は、地方財政法規定に基づいて、固定資産税制限税率の引き下げに伴う減収補てんのための地方債について、昭和三十八年度分の元利償還金相当額関係市町村交付するために要するものであります。  以上のほか、地方財政再建促進に必要な経費として一億二千九百余万円、新市町村建設促進指導するための経費として一千九百余万円、住居表示制度整備に必要な経費として五千余万円、新産業都市建設地方開発促進するための経費として一千余万円等を計上しております。また、地方公務員の給与その他制度の運用に関する事務及び固定資産評価制度の改正に伴う新しい評価基準作成実施に関する事務の処理に必要な職員を十三名増加いたしております。  以上が自治本省関係一般会計予算概要であります。  次に、消防庁予算概要を御説明申し上げます。  まず第一は、消防施設整備費補助に必要な経費でありますが、総額七億一千六百万円で、前年度の七億円に比べて一千六百万円の増額になっております。この経費は、消防施設強化促進法に基づき市町村消防ポンプ等消防施設費及び都道府県の消防学校設置費に対して補助するために要するものであります。  第二に、消防技術総合研究施設建設に必要な経費でありますが、総額一億円であります。この経費は、消火技術の総合的な実験研究を行ない、火災関係現象を究明して、火災予防施策の決定その他消火技術近代化に資するための施設建設に要するものであります。  第三に、退職消防団員報償に必要な経費でありますが、総額六千六百余万円であります。この経費は、消防団員が多年勤続して退職する際に、国としてその労苦を謝するための報償を行なうものであります。  第四に、消防吏員及び消防団員に授与する賞恤金に必要な経費でありますが、総額一千万円であります。この経費は、消防吏員及び消防団員が、身の危険を顧みずその職務を遂行したことにより、死亡しまたは不具廃疾となり特別の功労があった場合に、賞止金を授与し、その功績を賞揚しようとするものであります。  第五に、日本消防検定協会仮称出資に必要な経費で、総額三千万円であります。この経費は、現行の消防用機械器具等検定制度義務制に切りかえるとともに、受検数量の激増に対処して業務の迅速化をはかるため、検定実施機関として特殊法人日本消防検定協会仮称)を設立し、これに対し出資を行なうために要するものであります。  以上のほか、消防団員等公務災害補償責任共済基金補助に必要な経費二千百余万円、災害予防宣伝事業日本消防協会に委託するための経費一千四百余万円等を計上しております。  次に、特別会計予算概要を御説明申し上げます。  自治省関係特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計だけでありますが、本会計歳入は五千七百六十八億一千八百余万円、歳出は五千七百六十億八千八百余万円でありまして、歳入一般会計から地方交付税交付金及び臨時地方特別交付金の財源として受け入れられる収入地方道路税法及び特別とん税法規定に基づき徴収する租税収入交付税及び譲与税配付金特別会計法規定に基づき前年度の決算上の剰余金見込額を本年度において受け入れる収入その他であります。歳出は、地方交付税交付金臨時地方特別交付金地方道路譲与税譲与金、特別とん譲与税譲与金として、各法律規定に基づいておのおの定められた地方公共団体に対して交付または譲与するために必要な経費その他となっております。  以上、昭和三十八年度の自治省関係一般会計予算及び特別会計予算につきまして御説明いたしました。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 羽田武嗣郎

    羽田主査 以上をもちまして自治大臣説明を終わりました。     ————————————
  5. 羽田武嗣郎

    羽田主査 これより質疑に入りますが、今日も質疑通告者が多数ありますし、また、午後は本会議もありますので、お一人当たりの持ち時間につきましては、先般山口丈太郎分科員と協議いたしました通り、三十分以内といたしますので、あらかじめお含みの上御質疑を行なわれますよう、各位の御協力を特にお願いいたします。なお、この際政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔に要領よく行なわれますよう、特に御注意を申し上げておきます。  それでは田口誠治君。
  6. 田口誠治

    田口(誠)分科員 時間の関係から、簡単なものを二、三点御質問を申し上げたいと思います。  第一に御質問を申し上げたいと思いますることは、国の交付税やら補助金基準単価が非常に低いがために、税外負担が各市町村民にかかってきておる実態であるわけであります。従って、私は、もう少しこの基準単価引き上げる必要があるという考え方からの質問でございますので、そういう考え方の上に立っての御回答をお願いいたしたいと思います。  そこで、まず、年々基準単価というのは引き上げていただいてはおりまするが、一つの例だけの数字を発表していただきたいと思います。学校建築等の場合に、木造鉄筋コンクリートとございますが、昭和三十八年度の場合は、単価がどれだけになっておるか、この数字をお示しいただきたいと思います。
  7. 篠田弘作

    篠田国務大臣 鉄筋の場合は、昭和三十八年度におきまして、坪当たり七万一千四百円になっております。これは、前年までは六万五千三百円でありまして、差引坪当たり六千百円の引き上げを行なっております。木造は、三十七年度までは三万七千円でございましたが、三十八年度は四万三千円と、これまた六千円引き上げております。
  8. 田口誠治

    田口(誠)分科員 六千円の引き上げはいただいておりますが、今実際に鉄筋コンクリートにいたしましても、木造建にいたしましても、学校のような簡単にできる建築でありましても、この単価ではなかなかできないというのが実情であるわけなんです。従って、これ以外の掛り費につきましては、それぞれ地元負担ということに相なるわけでありまして、どこの市町村に行きましても、限られた財政から、やむを得ずいろいろな形において——学校の場合でございますれば、父兄の負担というようなことに、強制というまではいきませんけれども、半強制というか、自主的と言おうか、いずれにいたしましても、結論的には強制的のような負担に相なっておるわけなんです。従って、この単価をきめられる場合に、どうして実情に即した単価にできないものかということ、これは私は年年そういう点を不満にも思い、また不思議に思っておるわけなんです。いずれにいたしましても、国が補助単価をきめる場合には、当然掛り費にマッチするところの単価を出して補助金を出してもらうのが、これは当然であろうと思うのですが、それをしてもらえないということは、単価の出し方が何か規制されておるのか、大蔵省との予算要求関係から、そういうようなテクニックを使っておるのか、その点について一つ伺いたいと思います。
  9. 篠田弘作

    篠田国務大臣 これは、お説の通り、大体相場というものがありまして、鉄筋コンクリートならば何ぼかかる、木造ならば何ぼかかるという普通の価格があるわけです。私らといたしましては、なるべく地元負担というものをかけないように適正な単価を見積もって、おっしゃるような方法を講ずることのために今日まで努力しておるわけです。ところが、これはやっぱり予算獲得といいますか、編成上の、大蔵省との主として交渉の過程と申しますか、そこにおきまして、大蔵省見積もりとわれわれの考えておるものとの間にやっぱり相当の開きがありまして、これを詰めるために非常に苦労しておるわけなんです。大蔵省としましては、単価を上げれば請負価格も上がって、勢い自然にそういう建築物等も騰貴するのではないかというような考え方もありますし、また地域によりまして、東京の坪当たり単価といなかの坪当たり単価が必ずしも一致していないというような事柄から、こういう一つのギャップができておるということが真相であります。従いまして、われわれとしましては、できるだけ予算を編成する際に、十分に大蔵省相談をいたしまして、また文部省関係もございます。自治省だけできめるものじゃございませんから、三省で集まってきめますから、結局その相談のまとまったところというところできまるわけでございまして、それにはいろいろな原因をたくさん総合してきめておるわけなんです。しかし、実際問題として単価実情よりも低いということは、お説の通りでありますから、今後少しでも実情に近づくように大いに努力したい、こう考えております。
  10. 田口誠治

    田口(誠)分科員 大臣答弁は、私の申し上げた実情を認めていただいて努力していただくということでございまするが、そこでもう一つ、この点について突っ込んでお聞きをしたいと思うのです。そういうお考え方で今日まで自治省の方では努力をされてきておると思うのですが、今年の六千円単価を上げたということは、これは実際に見積もりをしてみて——まあ学校を例に引いておりますから、学校を申し上げまするが、鉄筋木造の場合に、見積もりをしてみて、でき得る金額はどのぐらいに見積もられたのかということ、それからそれをそのまま予算要求として出されたのか、そしてその結果としてただいまの六千円という引き上げになったのか、そういう経緯をちょっと承らないと、ただいま大臣が、抽象的ではあるけれども、誠意ある御答弁をいただいたことの裏づけにならないと思いまするので、一つ明確にその点を答えていただきたいと思います。
  11. 篠田弘作

    篠田国務大臣 何ぼに見積もっておったかということになりますと、これは自治省関係ではなくて、文部省建設省関係になります。われわれは、最終的に七万一千円でできる、こういうことで予算ができまして、それに対する自治省としての地方団体に対するいろいろな措置を講じておるわけであります。何ぼに最初に見積もったかということは、われわれの方は、今のところ、ちょっと調べないとわからないのです。
  12. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私は、自治省地方自治体財政面にも非常に気を使っていただいておるということは知ってはおりますが、ただいまの御答弁関係からいきますると、まだ不満があるわけなんです。それで、先ほど御答弁のありましたように、学校の場合でありますれば文部省、それから建設省、いろいろと関連がありますので、そういうところと談合いたしまして、そうして予算要求をいたしたということであれば、少なくともその単価引き上げる場合には、突っ込んで、実際はこれでできるのかどうなのか、あなたの方の見積もりはどういうような見積もりでこういう金額になったのかということを、やはり十分に突っ込んで聞いていただかなければならないと思うわけなんです。ただ、文部省建設省関連があるので、私の方では予算要求をしただけであって、その内容がどうなっておるかわからぬというようなことでは、これからも一歩進んだ私どもの要求しておることを満たしていただくことができないと思いますので、おそらく答弁の違いだと思いますが、もう一度答弁をいただきたいと思います。
  13. 篠田弘作

    篠田国務大臣 私は、もう初めから、単価の問題は実情に即すようにという主張でやって参りました。自治省としましては、大体単価を二割くらい引き上げるのが妥当じゃないかという、そういう意見でございました。しかし、予算要求自治省がいたしておるのではなくて、これは建設省あるいは文部省がいたしておる。そこで、大蔵省との関係で、構造の比率も一方において引き上げておりますし、単価引き上げておりますし、単価引き上げておりますので、全体としての予算相当引き上げを見ておる。しかし、おっしゃる通り、また私の考える通り、それでは将来とも実情に沿わない点があるのではないか、そこで今後努力する、こう申し上げておるわけであります。
  14. 田口誠治

    田口(誠)分科員 予算を要求する担当省、あるいは直接に見積もり等を検討する担当省、それぞれあろうと互いますが、結論といたしましては、田できめられるところの基準単価が実際より低過ぎるということ、低過ぎるから地方自治体財政の中ではこなすことができないから、税外負担相当住民にかけておるということが、これは全国的に見られるケースでございますから、私は、その基準単価をきめるまでの経緯は、どういう経緯をたどっていただいてもよろしゅうございますけれども、やはり実際にマッチしたところの基準単価を今後はきめてもらいたい、このことを強く要望を申し上げておきます。  時間がございませんので次に移りますが、ただいま申しましたことは学校を例に申しましたが、これは学校ばかりでなし、その他の補助金も同じことでございますから、一つ自治省関係のあるものにつきましては、同様に御努力お願いいたしたいと思います。  それから次には、義務外負担が非常に多いので、これをまず全廃するようにいたしたいということなんです。それはどういうことかと申しますれば、私は直接県とかどこでということを申し上げませんが、たとえば土木出張所乗用車を買うような場合に、県はこれだけ出すから、その土木出張所の区域の町村はどれだけ負担をせよ、これも強制的というか、半強制的といいますか、やはりこういうような方法をとって現在なされておるわけなんです。このことは、今乗用車を例にとりましたが、その他の公務員の公舎の新改築とかあるいは物件の買い入れ、こういうようなものに対しましても、県は一部出すけれども、その他は関係市町村で出してもらいたい、こういうようなことで、やむなく地方振興費という名目をもって負担をいたしておるわけなんです。私が考えてみまするに、県の土木出張所乗用車を買うに、その周囲市町村が義務的に金を出さなければならないということはあり得ないと思うのですが、こういうことは全国的にあるのかどうかということと、そういうことは許されるのかどうかということをまず承りたいと思います。
  15. 篠田弘作

    篠田国務大臣 実際問題として、ただいまおっしゃったようなことはあると思います。そこで、そういうことがいかに不合理であるかということは、申すまでもなくわかっておるのでありまして、自治省といたしましては、税外負担というものをしないように、またさせないように、それぞれの関係方面に向かって何回となく注意を喚起しております。その結果といたしまして、昭和三十六年度について税外負担の調査を行ないましたところ、昭和三十五年度におきましての税外負担は、全国で三百五十四億円でありましたが、昭和三十六年度では、三百六億円に、約五十億円一年間に税外負担は減っているわけであります。そこで、そういう不合理なものがあったという事実も確かでありますが、そういうよくないことはやめていこうというわれわれの指導方針、あるいはまたそういう気風が関係者の間にみなぎってきまして、今申し上げたように、一年間に五十億税外負担が減っているという状態でございます。
  16. 田口誠治

    田口(誠)分科員 これは大臣よくお考えをいただきたいと思いますが、県の財政が非常に赤字で、どうしても学校をつくらなければならないというような場合には、市町村に対して一つ協力を求めていくということも、これは同じ教育施設をつくるのだからあり得るといたしましても、県が黒字をたくさん残しておきながら、学校を建てる場合でも——はなはだしいものは、土木出張所の所長の乗用車を買うような場合に、県が金を出し渋って、そうして関係周囲市町村負担強制しておる、こういうことはもってのほかだと思うわけなんです。そこで参考に申し上げますが、県立学校増改策なんかの場合には、これは国の方の助成その他は別といたしまして、県が出して足りない分は、その県立学校所在地付近町村に、生徒数に割り当てて負担強制してきておるわけなんです。一つ学校がありますれば、甲の学校は百人おれば百人に対して、乙の学校で五十人おれば五十人に対してというこの比例で、その市町村負担強制してきておる、こういう実例がございますし、そうしてなお私がどうしても腹へ入らぬのは、乗用車を買うような場合にまでこれに便乗して、地方振興費というような名目負担をかけさせるということは、これはもってのほかであろうと思う。この点は、自治省の方で強く規制していただきたいと思うのです。その点は強くお願いをしておきます。  それから、これに関連もいたしておりますが、これは法的な関係になりますので、どなたにお答えいただいてもけっこうでございますが、地方財政法の「割当的寄附金等の禁止」という項の第四条の五項をごらん下さい。これをごらんいただけば、私は全部は読み上げませんけれども、「直接であると間接であるとを問わず、寄附金を割り当てて強制的に徴収するようなことをしてはならない。」ということが明確にうたわれておるわけなんです。この項からいきましても、現在やっておること、先ほど私が質問申しましたことは、法違反をしておるのだと思うわけなんですが、この点についての解釈を承りたいと思います。
  17. 篠田弘作

    篠田国務大臣 文字通り違反だと思います。
  18. 田口誠治

    田口(誠)分科員 法には完全に違反をしておるのでございますから、一つ自治省の方では、堂々とこの点を規制していただくようにお願いをいたしたいと思います。なかんずく地方へ行きますと、まあ市町村の場合でもそうですが、県まで行きますと、なかなか自治省の言うことも聞かないというがんこな知事のおるところも相当ありますし、これは相当強い文章で規制をしていただかなければならないと思います。それで私は、今年この点をお願い申し上げておきまするので、この成果がどういうようになっておるかということは、来年になってもう一度ここで御質問申し上げる機会があるかもわかりませんので、一つその点を強く、要望申し上げておきます。  それでは次に移ります。次には、最近民主団体でも、また日本の主婦連なんかが大きく取り上げておりますのは、都市の清掃の問題でございます。これは東京都をごらんになっても、どこの都市へ行っていただいても、清掃という面については、非常に大きな隘路が残されておるわけでございます。従って、私は時間がございませんので、ちり、ごみとりだけにしぼって伺いたいと思いますが、現在ごみ取りはどういうようなところがやっておるかといえば、地方自治体の直営とそれから地方自治体から請け負ってやっておるのと、それから民営とあるわけなんです。従って、これらのものが、十分に予算がかけられておらないので、またこの下請の場合には安い請負をしておりますので、地方自治体の方からはやはり請負の金はもらっておって、そうしてなおごみを集めにきたときに、それぞれ金を、これも半強制的にいただいていっておるというのが、実情であるわけなんです。この点を主婦連なんかでは大きく取り上げて、今運動を展開いたしておるわけなんですが、私は、あくまでもこの問題につきましては、これは国の責任において、また、地方自治体の責任において、完全清掃のできるような方途を講じるようにしていただきたいと思うのであります。時間がございませんので、答弁によってまた御質問申し上げますが、この問題に対する考え方をまず承りたいと思います。
  19. 篠田弘作

    篠田国務大臣 この清掃の問題は、もう言うまでもなく、文化生活というような問題でなくても、われわれが生活する上におきまして最小限度に必要な問題でありまして、これを地方自治団体の責任においてやるということが、本筋だと思います。国はそれに対して助成をするということをやるわけでありますが、現在、まだ日本では八割ぐらい請負でやっております。そういうような関係はできるだけ減らしまして、地方自治団体の直轄でこれをやっていくように今後やっていきたい、こういうふうに思っております。
  20. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私の申し上げたいことは、これはなまぬるい手を打っておってはなかなか解決しませんので、まず第一に、地方自治体の直営にすべきものであるということです。それから次には、国庫補助金増額してもらいたいということなんです。それで、現行の場合には、補助率はどんなものでございましたか。
  21. 篠田弘作

    篠田国務大臣 その前にちょっと申し上げますが、先ほど八割と言っておりましたのは屎尿処理の問題でありまして、ごみの方は九割以上直営だそうでございます。それで補助率は三分の一だったと思います。
  22. 田口誠治

    田口(誠)分科員 三分の一または四分の一です。だから、これは完全に地方自治体の直営にしてもらうということと、それから国の助成を、当面これは二分の一助成してもらいたいということなんです。これをやらなければ、直営にいたしましても、やはり同じようなことが繰り返されることになりまして、今国民が要求しておることを満たすことはできないと思われますので、私は、この点につきましては、まず第一には直営にすること、直轄事業にすること、それと現行の補助率の三分の一または四分の一というのを、これを当面二分の一にしてもらいたい。これは全額と言いたいけれども、当面二分の一には絶対にしてもらいたい、こういうことを申し上げて、時間厳守をいたしまして質問を終わりますが、何かこれに対して一言御答弁があれば、承っておきたいと思います。
  23. 篠田弘作

    篠田国務大臣 この補助率の引きしげにつきましては、所管官庁である厚生省によく相談をいたしまして、できるだけ努力したいと思いますが、私の方ですぐ引き上げると言うわけには参りません。
  24. 羽田武嗣郎

    羽田主査 田口君の御協力、感謝いたします。  山口君。——午後も質問者が多いから、三十分にして下さい。
  25. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 時間厳守のお話もございましたし、予算関係以外の問題につきましては地方行政委員会でいろいろお尋ねする機会がありますので、予算関連する問題だけお尋ねしたいと思います。  まず第一は、義務制学校の教職員の定数の問題について大臣にお尋ねしたいと思うのでありますが、地方財政計画の策定をいたします場合に、国庫補助金との関連事業がたくさんございます。文部省との関連、あるいは先ほどお話のございました清掃の場合におきましては厚生省との関連、あるいは公共事業につきましては建設省あるいは農林省等との関連、いろいろあろうかと思いますが、このように他の省が補助金をつけております費目につきましての基準財政需要額の算定にあたりましては、それらの当該官省と十分な打ち合わせをいたしておられるかどうか、この点をまず大臣からお聞かせいただきたいと思うのであります。
  26. 篠田弘作

    篠田国務大臣 各省の意見を十分聞いております。
  27. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大へんけっこうな答弁であります。そうしますと、義務制学校の定数の問題につきましても、文部省とは十分打ち合わせをしておる、こう理解してよろしゅうございますか。
  28. 篠田弘作

    篠田国務大臣 その通りであります。
  29. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 一昨日、私は、予算委員会分科員におきまして、文部省関係の審査に出席をいたしまして、荒木文部大臣並びに福田初中局長に対しまして、教職員定数の問題に関して、二分の一国庫負担金ではなくて、自治省が算定する教育費の基準財政需要額の問題についてお尋ねをいたしました。特に今問題になっておりますのは、小中学校におきまして生徒、児童数が九十三万人程度減少をいたすのであります。そういたしますと、各都道府県におきましては、これに伴って相当の教職員の首切りをしなければいかぬということが、現在都道府県会を控えまして各都道府県で問題になっておるわけであります。ところが、その場合におきまして、地方財政計画説明を拝見いたしますと、標準法の実施によるところの増、あるいは特殊学級の増設に伴う増、充て指導主事の増、こういうものを見込んでおるわけであります。この場合これらの充て指導主事の増、特殊学級増設に伴う増等は、二分の一国庫負担金ではなくて、基準財政需要額においては一体具体的にどう算定されるのか、こう御質問いたしましたら、これは昭和三十八年九月一日現在における実学級ですべて計算するから、基準財政需要額には十分算定されるのだ、こういう御答弁でありましたが、その通りでよろしいですね。
  30. 篠田弘作

    篠田国務大臣 その問題は技術的でございますから、事務当局に答弁させます。
  31. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 山口さんがお話しになりましたようなことが一昨日の予算分科会であったことを私も聞いております。従いまして、また文部省との連絡がどうなっておったかということを、あらためて私の方の交付税課のものに確かめたわけであります。そういたしましたら、やはり地方交付税法の改正について文部省に十分連絡をしてあったということでございますので、たまたま答弁された方が地方交付税法の改正について十分な御理解がなかったために、そういう答弁になったのではないか、こう思います。地方交付税法の中にその点が明記されておるわけでございます。要するに、従来は実学級ではあるけれども……。
  32. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 これは重大だと私は思うのです。少なくともその九十三万人の生徒数の減がある。各都道府県でこの教職員定数は一体どうするかということが問題になっておるときに、二分の一の国庫負担金はそのままくるからいい。ところが、基準財政需要額の算定において一体どうなるかということが、都道府県の注目の的なんです。これに対して、文部省では、その一学級当たり四十五で組もうと、四十八で組もうと、あるいは特殊学級であろうと何であろうと、実学級で組む、はっきり答弁をしたのですよ。われわれはそういうふうに了解をした。ところが、自治省が違うと言えば、こんな予算はだめですよ。審議になりませんよ。委員長、私は文部大臣と初中局長を呼んでいただきたいと思うのです。そうでなければ……。
  33. 羽田武嗣郎

    羽田主査 文部大臣分科会に出ていると思いますが……。
  34. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 しかし、委員長自治省関係交付税総額五千億にも上るうちの、相当の部分を占める義務制の教職員に対する交付税の配分の仕方が、文部省自治省と全然意見が食い違っておるのでは審議になりませんよ。
  35. 羽田武嗣郎

    羽田主査 予算総会の一般質問の時間にありますから、そのときにやっていただいて、ここは分科会ですから、自治省でやっているのですから……。
  36. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 分科会で聞いたら、そういうこまかい問題の点について問題が出たのです。自治省文部省の言うことが全然違っておって、予算の審議はできないじゃないですか。
  37. 羽田武嗣郎

    羽田主査 きょうは自治省分科会なんで、文部省分科会は別のところでやっているのですから……。
  38. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 文部省分科会は終わったのですよ。そこで聞いた答弁と全然違うのですからね。——それでは時間があれですから、ほかのことを聞きます。  それでは、清掃問題についてお尋ねをしたいと思いますが、大臣が、予算委員会におきまして、加藤委員質問に答えまして、清掃問題に対しましてお答えをいただいているわけでありますが、清掃車業は当然各自治体の基本的なやるべき仕事であるという意見が非常に高まっておる。従って、研究中であるけれども、できるだけ手数料を取らないようにしていきたい、こういうふうに言っておられるのであります。私どもは、市町村がこの清掃事業については基本的な任務を持っておる、従って一切直営にしてこの清掃事業を進めていくべきだ、かように考えているわけでありますが、現在私ども、各地方自治団体において、現在の清掃法のもとにおいてもこの手数料を取らぬ、こういう条例を市町村がつくるように、こういう運動を進めております。こういう連動に対して自治大臣のお考えはどうですか。
  39. 篠田弘作

    篠田国務大臣 私は手数料は取らないという答弁はいたしておりません。私は、手数料の問題についてはいろいろ議論がもる、こういうふうに申して、できれば取らぬ方がいいと思うという答弁をいたしております。そこで、手数料の問題は今いろいろ申し上げたように議論があるわけで、できれば取らない方がいいわけでありますけれども、各自治団体におけるいわゆる溝掃の施設、そういうものは今まだ非常に不十分でございます。そこで、自治団体としては、その施設を急ぐの余り、そういう理屈はわかっておっても取っておるものと私は考えておるわけでございます。今の手数料の問題は清掃法の中にも手数料を取ることができるということになっておりますので、理想といいますか、希望といいますか、としては、私はあなたと全く同じ考えです。しかし、令すぐ手数料を取らないということは、私は、その団体によってはできないのじゃないか、こう考えておるわけであります。
  40. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大臣はこう言っておられるのですね。「できるだけ屎尿処理の手数料はとらなくてもできるようにしたいと、こう考えておる」「直営の方向に持っていくために、金国市長会が中心になりまして屎尿処理研究委員会というものをつくって、近くその結論を吊すはずでございます。」こう述べておられるわけでございます。現在の清掃法がああいう建前をとっておるので、大臣がこう言っておられることはわからぬではないわけでありますが、しかし、自治体本来の姿とすれば、取らぬような方向に持っていきたいという大臣の気持は非常にけっこうであると思うのです。ただ、そこで問題は、この市長会か中心になっております研究会でありますが、この研究会には、厚生省はもちろん、自治省当局も御出席になっておられるわけですが、といたしますと、やはり自治省当局が、大臣の意を体して、大臣が言明しておられるような、できるだけ手数料を取らないようにしたいという方向で指導性を発揮するおつもりがございますが。この点を一つお聞かせをいただきたいと思います。
  41. 篠田弘作

    篠田国務大臣 この研究会は一つ委員会でございまして、研究団体でございます。学識経験者も大ぜい集まっておられますので、そういうわれわれの考え方をその委員会に押しつけるというようなことはいたしませんけれども、しかし理論上でき得るならば手数料も取らないし、請負もしない、直轄で、しかも自治団体の責任においてやるということがこれは一番いいことだ、そういう方針で、そういう地方団体に対する——委員会に直接指導するとかなんとかいうことはありませんけれども、地方自治団体に対してはそういう指導を行なっていきたい、こう考えております。
  42. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 一つこれは、自治省から研究会にも御出席をしていろいろ説明をなされているわけでありますから、そういう過程で大臣が望んでいる方向の結論が出るように、これは一つ大臣の任期中に重要な仕事の一つとして御努力をいただきたい、このことをお願いしたいと思います。  それでは、次に、事務的な問題について若干お尋ねをしたいと思うのですが、清掃関係の基準財政需要額ですね。厚生省では、この塵埃処理、屎尿処理、両方にわたりまして百三十三人程度の人口が必要ではないか、こういう試算を一応なされたと聞いておるわけであります。ところが、自治省の方で御努力はされたのでありましょうが、四十八人から十三人ふえて六十一人になった。ふえたことはけっこうでありますが、まだまだ不足ではないかと思います。具体的に例をあげてみますと、たとえばごみ処理でありますが、単価を拝見いたしますと、1日のごみ量が昭和三十八年においては五百グラム、どういうふうに計算をいたしまして、そうして機械あるいは人員等の算定をせられておるようでありますが、現在文化生活が高まって、これはそういうことでは済またくなっていると思うのです。それから、人口十万に対してごみ、塵芥の収集対象は六万七千七百人、屎尿につきましては五万七十七百人、こういたしております。これも数年間この数字は変わらぬそうですね。ところが、自治大臣御存じのように、この数年間の都市化の現象というものははなはだしいものであります。とすれば、人口十万に対してごみ処理の対象人員、屎尿収集の対象人員が数年間動かぬということは矛盾してないですか。局長さんでもけっこうでありますが、御答弁を願いたいと思います。
  43. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 今お話しになりました特別清掃地区の人口を六万七千七百人と押えましたのは、三年ほど前だそうでございます。御承知のように年々かなり変わってきております。今回は、人員でありますとか、あるいは機械化でありますとか、そういう点に重点を附いて基準財政需要額の増網をはかったわけであります。私たちこれで決して十分とは思っておりません。ただ財源もありませんので、漸次この関係の財源を充実していきたい、こう思っております。
  44. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 三年の間にはもうずいぶん都市の様相は変貌しているのですが、大臣、これはやはり常識で考えてどうですか。三年間もこの対象人員が変わらぬということは少しおかしいと思いませんか。これを改善をしていくというお気持はどうですか。
  45. 篠田弘作

    篠田国務大臣 実情はやはり相当変わっていると思います。その実情に沿って改善をしていかなければ、塵芥の処理も屎尿の処理もできないわけです。ただ、変わっていると思いますが、どういうふうに変わっているかということは、資料が今私のところにないわけです。よく研究しまして、実情に即するようにできるだけの改善をしていきたい、こう思います。
  46. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 単位費用を定めます場合の標準団体のとり方、これは先ほど申しましたように三年間据え置いております。問題は、こういう事業分量の多い団体の基準財政需要額を増額していくということでありまして、そういう意味において、種地が高るにつれまして態容補正を行っているわけであります。これは御承知の通りであります。態容補正によりまして種地の高い団体の割増率を一そう多くするということをいたしているわけでございますが、財源の必要な団体に十分見ていきたい、全体的に潤うことは、御指摘のように単位費用の某礎を直しませんと十分でございませんけれども、都市化の度合いが激しいところに重点的に基準財政需要額を増額するという場合は、態容補正でその率を引き上げていくという方法が、一番効率的に財源を振り向けていくことになるんじゃないか、こう思います。こういう点につきましては、この数年におきましても、毎年かなり引き上げを行なっているわけであります。
  47. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それから、ごみの量ですが、こまかいことを言って恐縮ですけれども、一日五百グラムと見ておる。しかし、実際はだんだん文化が進みますと、ごみがふえる。これは世界の定説であります。今平均しまして大体六百グラムが普通だそうであります。そういたしますと、施設についても、五百グラムで計算して三十トンということで、機材の単位費用が出ておりますね。六百グラムでもって計算をいたしますと、四十トンなければ人口十万出たりの施設は消化できぬということになると思うのです。そうしますと、機材の関係の単位費用も実情に即していない。従って、これを運搬する、収集する人員の計算も、これは十人くらい当然狂ってくるんじゃないかと思う。こういう点はどうですか。
  48. 篠田弘作

    篠田国務大臣 事務当局から答弁させます。
  49. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 これも先ほど態容補正ので申し上げたことでございますが、全般的に基準財政需要額を増額するということは、御指摘のような方法をとることが一番いいと思います。ただ、こういうような事業量のふえておるところに重点的に財源をふやしていくということになりますと、態容補正にたよらざるを得ないわけであります。そういう点では態容補正の率をかなり引き上げて参ったのであります。人口十万の団体につきましては五百グラムでありますが、種地の高い段階におきましてもっと排泄量が高いという基礎で、補正率を高めておるわけであります。
  50. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 その点はわかるのです。しかし、基礎が平均六百グラムになっておれば、基礎を六五グラムに上げなければ、幾ら態容補正で大都市をかさ上げしていっても、不足のものは不足だということになりますね。東京あたりはごみの一日の量が八百グラムから九百グラムになっておるようです。ですから、これではやはりだめなんです。やはりそういう基礎を、人口十万当たりのごみ量の算定の仕方自体にも十分な検討を加えていただきたいと思うのです。  それから、屎尿ですけれども、一人一日一リットルというのが定説だそうであります。ところが、いろいろな関係で、収集する場合にはどうしたってゆとりを見なければならぬわけですね。バキューム車で取る場合でも、どうしても処理量としては一リットルではなくて一・ニリットルとしなければ、実情に即さぬといわれておる。そうしますと、屎尿の関係の基準財政需要額におきましても、一リットルでやっておりますから、二割だけやはり狂ってくるということになるのではないですか。やはりそういうところに現在都会における清掃問題が大きな問題となって出てくる根拠があると思うのです。もっと親切にこの基準財政需要額を上げ、そして都会の奥さん方の要望に沿うというあたたかいお気持は大臣ないですか。
  51. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 塵芥の処理量五百グラムの問題は、今までは四百五十グラムだったのを五百グラムに上げておるわけであります。  なお、屎尿の問題につきましては、たとえば一月の稼働日数を一何日と見るかというようなこと、あるいは一日の運搬時間を何時間と見るかというようなこともからまって参るわけでありまして、総体的にかなり引き上げを行なったわけでありますが、今後といえども、なおこの面につきましては、非常に重要な問題でございますので、研究を怠らないようにしながら、漸次高めていく努力をしたいと思います。
  52. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 経済企画庁が発表いたしました国民生活白書というものがございます。あれを見ますと、日本はいろいろ消費的な生活においては相当研まってきた、一流田に近い水準になったものもある、しかし、この生活環境の問題、清掃の問題に関する限りはまさに等外国である、こう政府の機関がはっきり白書の中で育っておる。特にオリンピックを控えまして、、都会の清掃問題というものはほんとうに大きな問題だと思うのです。私も昨年東欧の国に行く機会がありましたけれども、たとえばユーゴスラビアの首府のベオグラードのごときは人口六十万でありまして、清掃労働者が幾人おるかと聞きましたら、二千人働いておる。人口十万当たり三百人ですよ。これだけの労働者が働いて、都市をされいにするということに非常に力を入れておるのです。しかもそれを自治体の基本的な任務としてやっておるのであります。しかるに、日本は、オリンピックを控えまして、ブルノ・タウトの「日本美の再発見」ではありませんけれども、どこへ行ってもにおいがする。また町を歩けばごみだらけ。これでは日本の文化水準のギャップというものがはなはだし過ぎるのではないかということを、特に痛感するわけであります。単位費用の問題も基体的たその現われだと思います。もちん厚生省関係において補助金をもっと取ることも必要でありましょうが、同呼に、これは自治体の基本的な仕事なんですから、この基本的な自治体の仕事が十分機能を発揮できるだけの財源を自治省が特に措置をして、オリンピック等を控える日本の、そういった等外国云々というような政府の白書もあるといった段階においては、自治体対策の重点として、この清掃の問題に抜本的な改正をはかるという御熱意が篠田大臣にございますか。一つ御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  53. 篠田弘作

    篠田国務大臣 私は、屎尿処理は全部水槽便所でやるのが理想だ、こう思っております。それには下水道の完備ということが非常に必要でありまして、現在日本のどの都市を見ましても、道路は割合に進んでいますが、下水道は非常におくれております。私は下水道の完備ということを年来主張しておりますから、下水道を完備してすぐ水槽便所というようなことには、現在の日本の経済上いかないかもしれませんが、オリンピックを控えて、少なくも東京都だけは水槽の便所にしたいものだ、そういう熱意を持っております。
  54. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 まさに日本の水道の普及率は、全く後進国並みもはなはだしいのでありまして、イギリス、フランス等におきましては下水道が一〇〇%近く完備をされておる。アメリカにおいても七〇%くらいの下水道が完備しておる。日本では、東京都自体一〇%程度ではないですか。やはりそういうところに問題があるかと思います。国民生活白書ではそう出ております。ですから、私どもは、下水道を完備する必要がある。同時に全国のトイレを水洗化していく、それから特にごみの収集にあたりましては、手数料は取らずに、自治体の基本的な任務としてきちっとやっていく、こういう形で近く国会に清掃法の改正を提案いたしたいと思っておるわけであります。一つ大臣におかれましても、われわれがその趣旨で出しておる法律案でありますから、十分御検討いただくと同時に、私は、大臣の任期中の大きな仕事として、繰り返して申し上げますが、全国の水洗化けっこうであります。それから大都会のトイレの水洗化を完全にしていく。それもけっこうであります。そして、ごみの収集についても、少なくとも等外国というようなそしりを受けることのないように、一日も早く生活環境を完備していく。この点に一つ大臣の自治体対策の施策の重点を匿いてやっていただくことをお願いしたいと思うのです。どうです。
  55. 篠田弘作

    篠田国務大臣 よくおかりました。
  56. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それでは、清掃につきましては終わりにしたいと思います。  先ほどの義務制学校の定数の問題でありますが、文部大臣が文教委員会等でこららへ出席する時間がないそうでありますけれども、少なくとも政府が国会に予算案を提案され、しかも予算案の中でも交付税交付金というのが非常に膨大な領を占める予算であります。しかもそのうちの相当額が義務制関係の給与費になっているわけであります。地方財政計画を拝見いたしますと、三千六百六十四億円であります。この三千六百六十四億円という膨大な予算の配分の仕方が、関係の省ということは自治省文部省しかないでしょう。この二つの省が配分の仕方について見解が全く違うというようなことは、これは私はおかしいと思うのです。奥野さん首をかしげておりますけれども、これは奥野さんの考えと荒木文部大臣、福田初中局長の考え、答弁が全然違うのですから、幾ら奥野さん一人が首をかしげてもだめですよ。少なくとも一体どちらが正しいのかということが明確でなくては、予算の審議は私はできぬと思うのです。この問題につきましては、しかるべき機会に明確にしていただくように私どもからも要求をいたします。  以上をもって質問を終わります。
  57. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 地方交付税制度の運用の問題でございますので、これは自治省の方で責任を持っておる問題であります。地方交付税法の改正案も、もより閣議の決定を経まして、現在国会に提出しているわけでございます。文部省がどうお答えになったか知りませんが、文部大臣もこれに賛成をしておられますので、言葉の行き違いがあったかどうか私は承知しませんけれども、その間に考え方の相違があるとは私どもには考えられないわけであります。
  58. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それはあるのだからだめですよ。これはまたあらためて質問します。それから、主管省はきまっていますけれども、これは文部大臣、初中局長に対して、明確にしたいと思っております。
  59. 羽田武嗣郎

    羽田主査 次に、島本虎三君。
  60. 島本虎三

    島本分科員 私は自治省関係は初めてでございまして、よろしくお願いします。  まず、いろいろな観点から聞いておきたいことがございますので、丁寧にお願いしたいと思います。やはり清掃関係でございますが、以前この清掃整備十ヵ年計画というものが、三十四年か五年に立てられたということを聞いていたのですが、こういうような経過について一つ御発表願いたいと思います。
  61. 篠田弘作

    篠田国務大臣 清掃十ヵ年計画という閣議決定をしたような、そういうものはないそうでありますが、厚生省でそういうものをお立てになったかどうかは、ちょっと私は今わかりません。
  62. 島本虎三

    島本分科員 閣議決定されていない、厚生省の立案によるものであるかもしれない、するとこれは所管外ですから厚生省の方だということになります。そうすると、今度はまた緊急整備五ヵ年計画というようなものも、これは考慮中であるということを聞いておりますが、これは実施段階になるとみな地方自治団体になりますの、で、これはもし厚生省でやるにしても、重大な問題になるのです。これをもしやっているとするならば、その概要一つお知らせ願いたい。
  63. 篠田弘作

    篠田国務大臣 その五ヵ年計画は、ただいま厚生省と建設省で立案中だそうでございまして、今厚生省と建設省の協議の段階でございまして、私の方にはまだよくわかっておりません。
  64. 島本虎三

    島本分科員 この問題は、やはり清掃の問題になると思うのです。特にいろいろな関係地方自治団体の方、これはもう実施機関であって、やらざるを得ない重大な問題で、厚生省、建設省でそれぞれやっておるのはけっこうですが、なぜ重大な関係のある自治省の方で、これに対していろいろ意見を述べ、必要なアドバイスをするような機会をつくらぬのですか。
  65. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 自治省といたしましても、重大な関心を抱いている問題でございます。厚生省からもお話は伺っておるわけでございまして、まだそういう協議の段階でございまして、こうするのだというふうなことまできまっていないという状態であります。
  66. 島本虎三

    島本分科員 そういうことを言ってもだめですよ。きょうの公報をごらんなさい。公報の一番最後の方に、自民党の政調会の方でこの案を一つやっているのですよ。まだ検討中の段階ではない、案として自民党の政調会に持っていって、きょうできまるのですよ。そんなこと言ったってだめですよ。
  67. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 今おっしゃっていますのは、おそらく法案のことをおっしゃっているのだろうと思います。それは別に数字も何も入っていないことでございまして、今島本さんがお考えになっているようなものではございません。国会に提出しようとする法案でございまして、それには数字的なものは何も入っておりません。
  68. 島本虎三

    島本分科員 数字的なものが入っていなくても、それを実施するような拘束が必ずあるわけです。緊急ですから。そうなると、その概要たり、総額なり、その年度の計画なりというものをはっきりさせなければならないでしょう。だって実施するのが自治省たんだから、これは全然知らないということなら——まさかあなたは、幾ら知らないと言ってもいいけれども、国会の答弁だけはそれじゃ困るのです。従って、その概要なりその必要なことを、ここではっきり発表してもらいたい。もし必要なければ、厚生省の方でやりますから何ですけれども、そういうような態度では、私若干心配です。
  69. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 先ほど大臣がお話しになりましたように。厚生省が所管しているわけでございますし、下水道関係建設省が所管しているわけでございます。まだその内容もきまっておりませんものを、厚生省なり建設省なりの立場で逆にこちらが引き取ってお答えをすることは、少し問題をこんがらがらせるように思いますので、建設省なり厚生省なりにお尋ねいただきますことが至当ではなかろうか、こう思っておるわけでございます。
  70. 島本虎三

    島本分科員 なるほど。ごもっともな御答弁だと思います。しかし、そういうふうな考え方が、かつて、自治省では最も重大な、こういう事務としてやらなければならない十ヵ年計画を厚生省が立てた、立てたんだけれども、三十五年も三十六年も三十七年にも予算がつかないままに、これがパーになってしまった。これが重大な影響があるのに、あなたはほかのところでやっているので知りません、こういうような官僚的な態度だからこういう計画が流れる。少なくとも重大なものであるならば、これはあなたの方を素通りするわけじゃないのです。ことに賢明なる大臣もいるのだから、あなたのような答弁で無関心でいるようなことだったら地方自治体は泣きますよ。これはあなたに言ったってしょうがないから、こういう自治体に関係するようなことは、自治体の方の関係意見を十分申し述べて、実施上遺憾ないようにしてやるべきだと思ってこれは聞いているのです。清掃整備十ヵ年計画をせっかく厚生省が立て、自治体がこれを実施するようになるわけですけれども、それを厚生省だけの問題にして、あと関係しないでおいて、三十六年、三十七年、これがついに予算がつかなくなってパーになって、また五ヵ年計画を緊急に立てる、こういう事態になって、もしこれが概要もわからない、実施についてもはっきり握っておらないということになったならば、これまた再びパーになる可能性がないということは断言できないのじゃないかということをおそれるから、今老婆心をもって聞いている。これは皆さんを制限するために聞いているのじゃないのですよ。
  71. 篠田弘作

    篠田国務大臣 私、不敏にしてと申しますか、厚生省が十ヵ年の案を立ててせっかくやろうとしたけれども、予算がつかなくてだめになった、そういういきさつを、正直に申しまして本日まで知らなかったわけであります。かつてそういう案を厚生省でつくっておるということは今聞いたわけでありますけれども、今後そういう問題は、もちろん厚生省だけの問題でもありませんし、建設省だけの問題でもなくて、自治省に重大な関係というか、むしろ自治省自体が本来やるべきものであると考えますので、そういう問題には積極的に参加をいたしまして、自治省の意見も述べ、また予算がつかないような場合は、予算獲得のために協力する、こういうふうに考えております。
  72. 島本虎三

    島本分科員 かねがね篠田大臣は積極性のあるりっぱな大臣だと思っていましたが、今の答弁を聞いて、今後やはり事務段階の方においては、他の省がやったならば、自分の方の関係があっても、他の省でやっているのは関係しないで、そっとしておいて、大過なきを期した方が成功の近道と考えるような、そういうような考え方じゃもうだめですからね。その点大臣でなければできないようなだんびらをふるって、十分監督、監視して、これからの行政の全きを期してもらいたい、こういうふうに思うわけでありますが、これは私の要望でございます。  次に、いろいろ聞いておきたいことがございますけれども、先ほどのいろいろな論議の中から出て参りました、この清掃興業の直営化という問題なんです。これはどこでも大きい声でございまして、方々へ行ってわれわれはこの問題は聞かされます。大臣の御意見も私は伺いまして、それに信頼いたしますが、この直営化の決意をもう一回私のためにお述べ願いたいと思います。
  73. 篠田弘作

    篠田国務大臣 屎尿処理といったような、国民のいわゆる文化生活の最低の問題について、自治体が責任を持つということは当然だと思うわけであります。ただ、現在の状態におきましては、先ほど申し上げましたように、八割が請負である。それは一つは、私らの子供のときには、実は屎尿というものは、農村から金を持って買いにきたものであります。そして終戦まではこれはみな肥料として使っておった。終戦後金肥というものが使われ始めて、この屎尿が不要になったということによって、全国に屎尿がはんらんしてきたというのが実情だと思います。従って、この対策は熱心にやりましても、なかなかできない、そういう関係上、請負というものにやらしておる。しかし、請負はそれによって何らかの利潤を得るのでありますから、こういう本質的な、人間の衛生あるいは文化生活に関する問題で利潤をとらせるということは、根本的に間違っておる。これはもちろん利潤というものなしに、直接の責任において完全にやるべきものである。だから、いろいろないきさつはあるでしょうが、指導といたしましては、できる限り可能な範囲——と申すと少しなまぬるいわけでありますが、できるだけ可及的にこれを切りかえていく、そういう方針で参らなければばならない、私はそういうように考えます。
  74. 島本虎三

    島本分科員 その通りであってよろしいと思います。私もそういうようにしたいと思っております。大臣もそこまで決意をされた以上、一刻も早くこれを実施させるように事務当局を督励して大いにがんばってもらいたいと思います。ところが大臣、私ども聞いたところによると、せっかく大臣がそういうような考えを持って、これを可及的すみやかに直営に移すというようにして、その考えを進めておられるにかかわらず、ある地方、直江津初め洲本、行田、そういうところでは、そういう言葉の下から直営をまた委託に移しておる、こういうことを聞いておるのです。大臣のお考え、これからやることと、地方自治体がやることとが逆になるようなことがあってはとんでもないことになる。これがもしほんとうだとすると、大臣の考えをそのまま実施しないのは監督の衝にある事務当局に責任があるのではないか。これは居ね眠りしておる段階でないと思いますが、篠田さんあたりこれはどうなんですか。
  75. 篠田弘作

    篠田国務大臣 そういう逆コースはたまにあるかもしれません。それは私は聞いておりませんが、どっちかと言いますと、そういうのはパーセンテージからいっておそらくないに近いんじゃないか。もしそういうことがありましたら、さっそく、今までやってきたことを、なぜそういうようにするかということを尋ねてみまして、従来も直営でやったんだから直営でやれない理由を尋ねまして、できるだけ直営でやらせるようにしたいと思います。
  76. 島本虎三

    島本分科員 それもまたごもっともな話です。こういうような点が逆行して起こっておるというような事態は、ゆゆしい問題だと思います。これは大臣も雪の多い北海道でございますから、雪の下での清掃関係、屎尿関係の処理というのは、なかなかむずかしいことは身をもって知っておられる。自治体自身が行政の実を上げた、そして黒字になった、これによって市政が膨脹してきた、こういうようにいっても、最後はどこへいっても、この屎尿の問題、ごみの問題の解決が不完全な場合には、行政の実が上がった事であるとはいえない。往々にして現在そういうような市が多いのです。私も長い間地方自治の経験があるので、この点でははっきりしているのですが、これを請負にされておる。その間に必ずマージンが入るということは常識です。自分の利益を無視してまで挺身するということは、今の資本主義の経済機構の中では、よほどの人でないとあり得ないのでありますから、そういうことは早く直営に直した方がいいということで方々で進んでおります。しかし、黙っておくとまだまだとんでもないことが方々で行なわれておるので、もう少し監督を厳にしてもらいたいと思うのです。というのは、私の知っておるところで、これを持っていって捨てるところがないといって川に捨ててしまう。川に捨ててしまいますと、そのまま沿岸漁民の方へ全部影響がくる。そういうような状態で、三十四年には漁民から四百万円の補償を取られた市があるのです。そこでこれを直営でやったのではだめだといって、大臣のお考えと反対に委託にしてしまった。委託にしてやったが、それも直営でやっておったと同じように川に捨てた。それでまた二百五十万円も補償を取られた、こういうような例もあるのです。これはやはり直営にしておかないと、これは切りかえてしまって民営にしてしまうと、どういうようなことをやって行政の質を下げるか、どんなに目をさらのようにして見ても、これはわからない。やはり今のような点はほんとうに大事ですから、今行き過ぎたようなことを二、三あげましたが、なおこういうようなことを調べて、これは直営に戻すように、これは重大な決意を持ってすぐやってもらいたいのです。この点だけは、私も経験者の一人として、大臣と同じ北海道であるからあげて言うわけじゃありませんが、これはやはり大臣もこういうように積極的な意思を出しているのですから、事務当局の方も、こういうような点をよく調べて、今のような点、もとに戻して直営にさせるようにしてもらいたいのです。この点、よろしゅうございましょうか。
  77. 篠田弘作

    篠田国務大臣 直接の監督庁である厚生省とよく相談しまして、われわれの方としても、今申し上げた方針通りやっていきたい、こう考えております。
  78. 島本虎三

    島本分科員 手数料の問題になりますが、現在の自治体が地方自治法によりまして、第二条第三項筋七号に規定されている固有の事務というものの中に、清掃事務は入るのですか、入らないのですか、この見解を一つお述べ願いたいと思います。
  79. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 清掃の事務は、地方公共団体の公共の事務と解釈しております。
  80. 島本虎三

    島本分科員 固有の事務であった場合、それをやる義務が地方自治体にあり、それを援助し指導することが自治省として当然だと思うのです。そういうような場合には、それを手数料を取ることは、これは逆に地方自治法違反になるおそれがあるのじゃないか。それと憲法第二十五条による健康にして文化的な生活を営む権利、こういうようなことを、金をもってこれをやるということになると、これも若干違反のおそれもあるのじゃないかということをおそれるおけですが、法的な見解として、今のようなことは行き過ぎでしょうかどうか、一つはっきり願いたい。
  81. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 地方公共団体の公共事務、まあ先生のおっしゃいます固有事務でございましても、これを地方公共団体がやる義務があるかどうかは、それだけでは言い切れないものがあります。これはまた、清掃法がございまして、地方公共団体の義務にいたしておりますので、地方公共団体は責任を持ってこの事業を遂行しなくちゃならないということになるわけでございます。手数料の関係は、地方自治法の規定で手数料をとれる根拠もございますし、清掃法にも、清掃事業について手数料を取っていいということになっておりますので、これは別に違法ということにはならないわけでございます。
  82. 島本虎三

    島本分科員 これは大臣もなるべく取らないようにする方が望ましいという態度をはっきりしているのですが、取らなければならないという義務規定がございますか。
  83. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 取ることができるという規定でございまして、義務規定ではございません。
  84. 島本虎三

    島本分科員 質の高度な行政を実施するためには、取ることができるけれども、取らないで清掃を完全にした方が、より一そうよろしいということになるのじゃないかと思うのです。それはその通りですね。もしそうだといたしますと、今後どういうような点に手数料を取ってもいいというようなことになるのか、市民全体から清掃のために手数料を取ることができるのか、それとも何か特定のことに対してのみ手数料を取ることができるのですか。手数料の性質としてはどういうものでございますか。
  85. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 手数料は、特定のものに対する市のサービスの対価といたしまして取るわけでございます。現在多くの地方公共団体で清掃について手数料を取っておりますのを、その地域の一部につきまして特定のサービスをしておるということによりまして手数料を取っておるものと考えるわけでございます。先生のおっしゃいましたように、これが施設が普及いたしました状態になりましたならば、手数料を取らなくて済む、と取らないようにするということは、方向といたしましては望ましいことと考えます。
  86. 島本虎三

    島本分科員 私が言うのは、これは大臣、あえて言うと、激励です。はっきり言うと、もうそういうようにしたいというのだから。自治法上の手数料徴収が許される場合というのは当然あり得ると思うのです。これはあるはずです。あってもいいと思います。しかし一個人、または特定の人の要求に基づいて、主としてその人の利益のためにこれを役所なりが行なってやる、こういうような事務、こういうようなものに対しては、手数料なりは当然取ってもいいのじゃないかと思うのです。そういうようなことはたくさんあると思います。たとえば身分証明をしてくれ、これから選挙に出るのだから印鑑証明をしてくれとか、いろいろあるだろうと思う。それからいろいろ々関係で調べるものもあるだろうと思いますが、こういうふうに人のためにするならば、個人のためですから、当然手数料を取ってもよろしいのではないかと思うのです。ところが、清掃の場合のように、これは清掃法により、また自治法により、固有の事務としてまでやっているものに、それを実施するに手数料を大多数の者から取るというのは、これは二重徴収になるおそれもあり、憲法違反または諸法令の違反になるおそれがある。私どもはそういう見解をとっているのです。だから、こういうものはなるべく取らないようにする方が——大臣もやると言っているし私も賛成なんだから、なるべくならばこれは取らないという方に皆さん傾いていって、法的に取らないという方が憲法違反にもならないし、清掃法にも自治法にも違反にならない。従ってこれは、取るべきじゃない。この辺までこの際はっきり決意してもらいたいと思うのです。手数料を取ってもよろしい。しかしながら、今のような一個人の利益にかかる場合にのみ限る、こういうようなことでいいんじゃないですか。これ以外に拡大解釈することは、現在のところあえてない、こういうふうに思っているのですが、どうでございましょうか。
  87. 篠田弘作

    篠田国務大臣 お話の通りでありまして、たとえば役場へ私が戸籍謄本を送ってくれというような場合は、個人の問題でありますから、当然手数料を取ってもよろしい。公共の問題について手数料を取るということはよくない。しかし、私も先ほど申しましたように、手数料を取ってはいけない。なるべくとらないような方向にいきたい。これがわれわれの理想でありますが、たとえば下水ができまして、水槽便所で、あるいは工場が廃液を流すとかなんとかいうことでも、下水道の使用料というのですか、そういうようなものはやはり取っておるのですね。だからそういう関係上、個人々々から手数料を取るというふうなことはできるだけやめたいけれども、今直ちに手数料を廃止するということはなかなか困難であろうし、またそれ自体が法律違反するというわけではないのでありまして、私たちとしては、今申しましたように、下水の完備、施設の完備ということを急速にやりますれば、同じ手数料であっても、一軒々々くんで歩く手数料と下水の使用料とはそこに大へんな違いが出てくるのではないか。そういう意味におきまして、これは事務当局を責めましても、事務当局じゃなかなか簡単に、そういうふうにやりますということは、言えないと思いますが大臣の責任におきまして、できるだけそういう方向に指導していきたいということで御了承願いたいと思います。
  88. 島本虎三

    島本分科員 なるほどその通り、よくわかりました。  なお、それと同時に、直接地方自治体の清掃事務を扱う用人なり雇員なり、またそれぞれの吏員がおるはずでございますが、その労働時間は平均してどれほどになっていますか、このデーターをお示し願いたいと思います。
  89. 松島五郎

    ○松島説明員 実態につきましては、私ども直接主管省であります厚生省と異なりますので、調査はいたしてございませんが、交付税の計算をいたします場合の勤務時間について申し上げますと、たとえば塵芥処理の場合は、出勤時の準備に十五分、稼働時間を、大型の場合は六時間、運搬時間を何回往復で何時間というふうに見まして、八時間というふうに算定をいたしております。
  90. 島本虎三

    島本分科員 そうすると現在の人員は、それぞれ清掃関係の人がおられると思いますが、現在の保有の人員だけで八時間労働でこの作業が完全にいっておりますか、まだ人員が不足なような訴えがございますか、超過勤務はどれほどやっていますかどうか、この点、調べがありましたら、この際念のために発表願います。
  91. 松島五郎

    ○松島説明員 ただいま申し上げましたように、私どもの方は、どちらかと申しますと、清掃事業に伴います地方団体の財源措置を中心に考えて、実態については厚生省で御指導になっておられる関係もございまして、直接そういう資料をとってございません。
  92. 島本虎三

    島本分科員 しかし市の吏員、町村の吏員がこれをやっておる。請負にしているところは別ですけれども、直営の傾向で、直営が二割、三割が現在のところでまだまだある。ほとんど市では直営でございましょう。そういうような点を見ましても、その清掃に携わっている人たちの勤務時間、それと超過勤務、どういうようなのは、市の中で完全に知っていなければならないし、把握していなければならない問題だろうと思うのです。こういうような点まで、何時間働けということは、厚生省では当然言ってはこないんじゃないかと思うのです。私、ここで聞きたいのは、そういうような点まで十分考えておいて、これは一つの危険というか、とにかく人が好まないような作業になりますから、そういうようなのを、直接その時間だけやって、からだに与える影響、こういうようなものがあるとすれば、厚生省の方が一番これをやらなければならない官庁ですから、だからそういうようなところに皆さんの方から要請していかぬとだめです。厚生省の方がこれをやるからというて皆さん受けてきて——厚生省の方は健康を管理する省なんです。そういうようなところに対して超過勤務も不完全な状態で、こういうようなことを作業する人が長時間の労働をするような計画で、それもまた賃金も下のような状態でもしやってきたとすれば、そのまま受けてやる皆さんはだらしないと思う。こういうような点は、皆さん自身の吏員なんだから、これはこうしなければならない、これを管理するのが厚生省ですから、これはすぐ言ってやらぬとだめだと思う。幸いにしてまだ法案が出ていないとするならば、こういうようなものを完全にして、予算措置ができてから皆さんはお受け取りになったらいいんじゃないかと思うのです。この清掃の従事員がいろいろな点で重労働に陥っていないかどうか、それから危険作業をしておるかどうか、これに対して特別な考慮を払う必要があるのじゃないかと思いますが、考えなくてもいいのかどうか、この際自治省としてはっきりした見解をお述べ願いたいと思います。
  93. 篠田弘作

    篠田国務大臣 勤務時間そのものは、自治省交付税をやる場合等の勤務時間八時間ということは、それ自体は違法ではないと私は思います。ただ実態が非常にオーバー・ワークになっているのじゃないか、大体普通の仕事をしても八時間ということになる。そこへもってきて、きたないものを処理する、くさいものを処理する、不潔なものを処理する、その苦労というものは大へんなものだと私は考えます。本来ならばそういう条件の悪い仕事に従事する人々はむしろ割増しをしてもいいのじゃないか、われわれの個人的な考えからいえば……。ところが、こういう人たちの実態——私の想像ではございますが、就職されるときの条件というものが非常に悪かったのじゃないかということが一つと、いま一つ、どこの国でもそうでありますが、単純労働というものに対する、何といいますか、給与のきめ方というものは、特に複雑な技術を持ったり、あるいは知能を働かせるという、そういう人々に比べて、どこの国でもこれは低いわけです。だから、ほんとうの仕事の実態というものと待遇というものとは、私はそこに相当のギャップがあるだろう、しかしこれは当然将来に向かって埋めていくべきものである、こう思います。なれてくればどうか知りませんけれども、私たちだったらどうも屎尿のトラックのそばで飯なんか食えない。そういうような悪い条件、同じ飯を食ってもうまくない条件にあると思うのです。だからそういう面につきましては、私はこれは事務的な面からだけでなく、人聞的な面からやはり大いに考慮していかなければならぬ問題だ、そういうふうに考えております。
  94. 島本虎三

    島本分科員 委員長の方からもう時間だから一、二問でやめれというのが来ていますから、これはなかなかデリケートになって参りました。ほんとうは今からが大事なんですが、ごみを扱う、こういうような不愉快な作業をしている人たちに対して特別手当、こういうようなものはいつも考えてやらないといけない問題じゃないかと思うのです。それと同時に、大事なのは、こういうものから発生するガス、そのほか危険な状態にあるということは、私ども身をもって十分知っておりますから、場合によっては、不愉快だけではなくて、これは危険にもなるおそれさえあるのですから、こういうような点は、もっともっと優遇してやるように、皆さん方から十分措置してやらなければいけないのじゃないかと思います。昨年中にこういうようなごみを扱って死んでしまったような危険な状態に落ちた人が何人ございましたか、データがございましたらこの際御発表願います。
  95. 篠田弘作

    篠田国務大臣 ただいまお話のいわゆる不快手当、特殊勤務手当と申しますか、それを条例できめておる市は、まあ数はわかりませんが、相当あるようであります。しかし、こういう手当というものは、当然私は将来に向かって増額されていくべきものであると考えております。従いまして、そういう方向に向かって地方自治団体を指導して参りたいと考えております。  先ほどおっしゃいました統計の問題は、今ここにないそうであります。
  96. 島本虎三

    島本分科員 じゃ、もう時間だそうでして残念ですが、私どもの知っているだけでも、東京の夢の鳥、そのほか秋田、方々で作業員がごみのために死んでいる。それは一人や二人や三人や四人じゃないはずです。まさに危険なんです。そのほか屎尿を扱っている人たちが死んでいる例が、これは黙っていますが、あるのです。現に私も知っているのです。これは大事な問題ですから、これを直接扱う地方自治体の方々も、こういうような点を加味して、直接自治体自身が責任を持って、人の命の方が大事ですから、そしてそれを扱う人は、人のいやがる仕事をしていかなければならないし、また、して喜ばれなければならないのですから、その手当だけは十分してやるように今後指導してもらいたいと思います。大体自治省考え方はわかりました。今まだ不足な点は、今後厚生省を督励して——私も幸いにして社会労働委員ですから、今のいろいろな発言を根拠にして大いにやりますから、大臣一つ今までの約束を実現するまでは、大臣はやめないようにがんばってもらいたい。それから事務当局の方でも、今までのような優柔不断なやり方でなくて、将将たらずんば何とかという言葉がありますが、りっぱに将たるのですから、あとは皆さんがちょっとくらい行き過ぎても、大臣はしからないと思いますから、遠慮しないでこの方面の優遇策、この方面の措置を完全にするように努力してもらいたいと思います。今後何かの機会に、今までやったことができているかどうか、再びこの席から一つお伺いしたいことを条件にいたしまして、これでやめます。
  97. 羽田武嗣郎

  98. 中村重光

    中村(重)分科員 時間がきびしく制限されておりますから、それでは端的に一つ問題点をお尋ねします。  水道その他に関連をして上水道の問題をお尋ねしますが、御承知の通り東京都水飢饉、また全国各都市に飲む水がなくてどうにもならぬという状態に追い込まれておるわけであります。ところが、この上水道の何と申しますか給水料というのが、非常に価格にアンバランスがある。完全統一とは私は申しませんけれども、非常に差があるわけであります。もし自治省において、東京都が幾ら、その他いわゆる六大都市が幾ら、その他の中小都市が大体幾らだということを——全部でなくてけっこうであります。時間がありませんから、大体においておわかりでしたらお答えを願います。
  99. 立田清士

    ○立田説明員 かわりまして私からお答えさしていただきます。  今御質問の点は、水道に対しましてどういうような財源措置がなされておるか、こういうことに関してだと考えます。水道につきましては、御承知の通りその建設財源の大部分を地方債によっておりますが、昭和三十七年度においては、地方債計画上の額は四百二十五億でございます。昭和三十八年度、来年度におきましては六百億ということで百七十五億の増額をはかっております。比率にいたしますと、四一・四%かと思います。そこで、ただいま御指摘の通り、水道につきましては、需要は非常に多うございまして、現に東京都を初めといたしまして相当の需要がございます。そこで、そういうふうな大規模の水道について需要がございますとともに、中小規模におきましても相当の需要がございますので、来年度において百七十五億の増額をして対処していく、こういうふうにいたしておるわけでございます。  ただいま御質問の中の、具体的に東京都は幾らというような数字については、ただいまここに持ち合わせておりませんので、以上で御了承願いたいと思います。
  100. 中村重光

    中村(重)分科員 直接的にはこうした問題は厚生省の所管ということになりましょうから、自治省ではそこまでおわかりになっていらっしゃらないと思います。しかし、地方財政という問題からいたしますと、自治省としては、この点に対しては十二分の関心を持っていただかなければならぬのじゃないか、こう思います。ということは、起債の配分は当然自治省の所管であるからであります。どうして水道料金がそういうアンバランスになっているのか、率直に申し上げまして、水道料のいわゆる基準料金というものは最低存円から五百円ということになっている。東京都その他大都市が百円から百二十円、私の地元であります長崎、ここでは二百五十円、どうしてそのようにアンバランスになっているかというと、あなたの方で配分される起債に私は重要な関係があると思うのでございます。大都市は比較的財政は豊かでないにいたしましても、中小都市よりもまあ楽であるということがいえるでありましょう。ところが、自治省の配分される起債は、大体、東京都を中心として、いわゆる大規模なところに多く配分されておるという実績になっておるようであります。施設はしなくちゃならぬ、起債は少ない、そういうことになって参りますと、当然料金を需要者に高く賦課しなくちゃならぬ、こういうことになる。そのために弱少の中小都市の水道料金が高くなって、大都市の料金が低くなる、こういう現象が現われてきておると私は思います。これらの点に対し、起債を配分される担当省としての立場に立って、自治省としてどのようにお考えになられるか、その点を一つ伺わせていただきたいと思います。
  101. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 水道の充実をはかるということは、非常に重要な問題だと考えておりますので、いろいろな仕事の上で最優先の順位を自治省としては与えるように努力して参っているつもりであります。そのことは、地方債計画の上で上水道の地方債が年々大幅にふえてきているということでもおわかりいただけると存じます。ただ、地方団体の方で上水道を布設したい、あるいは拡張したいという場合には、厚生大臣なり府県知事なりの事業認可を得なければならないわけでございますけれども、事業認可を受けました団体に対しましては、必ず起債をつける方針をこの数年来とり始めております。同時に、新規に着工いたしました水道事業につきまして、地方債を毎年々々幾ら完成までの間つけていくということを初年度において明らかにしておる、こういう方針をとっております。従いまして、事業の進行速度からいえば、二年でできるものが三年間で地方債をつけられるという問題がなお残っているかと思うのでございますけれども、大体において、地方団体計画すれぱ、その計画に従って地方債の資金が配分されるというような状態に今日は参ったんじゃなかろうか、こう思っているわけでございます。  料金問題は、地方債と必ずしも一緒ではないと思うのであります。大都市の方は、昔から水道事業を行なって参ってきておりますので、大きな施設につきまして相当償却の済んだ部分があるわけでございます。それから、これから施設していきますものについては償却費がかなり大きな部分を占めて参りますので、必然、料金を高く徴収しなければならぬ、そういう点で大きな開きが出て参ると思います。同時に、取水の容易なところ、容易でないところ、そういうようなところでも料金が食い違ってくると思いますけれども、基本的に償却が非常に済んでいる、非常に進行しているというようなところが、料金差が大きく出てきている原因じゃなかろうか、こう思うのでございます。しかし、御心配になっていますような点が将来ともなおなくなっていきますように、自治省としては努力をして参りたいと存じております。
  102. 中村重光

    中村(重)分科員 私は、あなたの答弁のようになっておるならば、大した問題じゃないと思いますが、必ずしもそうなっていないのですよ。それは地域の状況によっても異なって参りましょうが、水道を布設するにはなかなか金がかかります。ところが、水源の開発等に関しましては問題がないといたしましても、しかし起債は、思うようにつかないと申しましても、年次別に起債がついていく、こういう形にはなっています。その起債の配分も、どうしても自治省の限られた年度の予算の中からは、大都市偏重という傾向が実績としては出ておると思うのであります。その点も一つの問題であります。  それと上水道管の布設、すべてのそれらの経費というものが全面的に認められておると私は考えない。どうしても起債では間に合わない。間に合わないから水道料金にどうしてもたよる以外にはない。従って料金が上がってくる。料金を上げないならば、結局は布設がおくれるから、水を飲みたくても飲ませない、制限給水をやらなければならぬといったような状態が現実問題として起こってきておる。これは私がこう申し上げておるのは、ないことを言っておるのではありません。憶測や推定で言っておるのではない。事実の上に立って、事実問題として申し上げておるのであります。これはただいま御答弁通りでないのじゃないかと思いますが、将来の問題ではなくて現実の問題であると私は思いますが、その点もう一度伺いたいと思います。
  103. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 現在は、先ほど申し上げましたような起債の許可方針をとって参っておるわけでございまして、毎年大体二百本内外の新規の事業を認めて地方債を許可いたしておるわけでございます。ただ、管でいいますと、何ミリ以下の小さい管は起債の対象にしないというような方針をとりまして、家庭に引き込むような部分は各戸で分担してもらった方がよろしいのではないか、こういうようなことで起債の許可をいたします範囲を示しておるわけでございます。その点があるいは各戸の分担に財源を求めないで、事後の料金の方に加算をしていっておるというような点が、御質問のようなお話からあるのではなかろうかという推測を私はいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、水道事業につきまして、新規声工なり、あるいは拡張なりについて事業認可を得ました団体については、特別な例外がございません限りは、必ず起債をその翌年度からつけて参ります。同時に、その起債につきましては、年次計画も示して参るわけでございます。ただ、人口の非常に粗なところでは、水道を計画しても、あるいは案外水道が行き渡らない。その結果、非常に料金が高くなって困っておるという団体も事実あるようでございまして、こういう点についても自治省として相談にあずかっておる団体が若干ございます。水道が低料金で全体になるべく早く普及するという方向につきましては、自治省としても努力していきたいと思っております。
  104. 中村重光

    中村(重)分科員 実際問題としては、継続事業、年次別に許可を受けて認められた、そういう場合は、年次別に完全じゃなくたって、そうおくれないで起債がつくと思うのです。これは事実だと思うのです。ところが、新規の場合におきましては、かりに一億年次別に計画を立てて必要であるという場合におきましては、これは初年度はその一割か二割しか認められていないというのが実際だろうと思う。そのこと自体にも問題があります。配分の方法にも問題があります。結局は、住民は水を飲ませろ水を飲ませろ、水がなければ人間は生きていくことができない、従って、いろいろ財源というものを無理してでもやらなければならぬ。特別会計という形になっておりますと、なかなかそういうことには参りませんから、どうしても水道料金を上げていく。水道料金に賦課する自治体があろうし、また一般会計から投じていくという自治体も実際問題としてあるわけです。ところが、今答弁されたように、あなたがそうお考えになっておられるならば——お考えになっておられるようにばかりは私は進んでいないと思う。その点は十分実情を調査されて対処される必要があるのではないか、こう思うのです。その点いかがですか。
  105. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 先ほどもちょっと触れましたように、事業の効率的な執行ということから考えれば、もっと短年度の間に事業を完成してしまうようにすべきだ。しかし、地方債の資金の分量は限られているから、どうしてもその団体にばかり地方債の資金を持っていけないものだから、長期的に地方債の資金を割り当てざるを得ない。そこにギャップがあって事業の効率をおくらせているというような面もあるわけであります。そういう点につきまして、今後なお地方債の資金の分量を多くすることによって、経済速度にマッチした地方債の資金の配分をやるようにしたいと思うのです。なおわれわれの努力の余地を残されていると思います。しかし、先ほど申しましたように、事業計画すれば必ず地方債をつけるんだ、その団体としての希望にはあるいは合わないかもしれないけれども、年次別に示して何年間かの間には幾らの地方債をもらえるのだということを、初年度において明らかにしておく、これは現に実行されておるところでございます。
  106. 中村重光

    中村(重)分科員 そこで、それではお尋ねしますが、水道料金は、私が先ほど申し上げましたように、百円から五百円まで、同じだけの量の給水に対して値段がそれだけ違うのですよ。どういうわけでそうなっておるのですか。あなたの方では調査しておられるのですか。
  107. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 百円から五百円よりももっと大きな差があります。それは、一つは物価がかなり戦後動いたものでございますから、いつから水道事業を始めているかということによって基本的に大きな違いがあるわけでございます。それからもう一つは、やはり人口稠密なところに水道を普及するのと、非常に人口が嫌なところに水道を普及するのでは、施設費がうんと違って参りますので、自然、料金にも相当な差が出て参るわけでございます。この二点が一番大きな違いだろうと思います。同時に、取水の非常に便利なところもございましょうし、非常に不便なところもあるわけでございます。あるいはまた、水をとるために補償費が幾らつくか、補償費が非常に安いところもございましょうし、なかなかこれが難問題でありまして、そのときに莫大な補償を払った、それがかなり料金にはね返ってくるわけでございまして、そういう点においても違いが出て参るのじゃなかろうか、こう思うわけでございます。
  108. 中村重光

    中村(重)分科員 今あなたがおっしゃられたような点も確かにあります。これは何といいますか、高い地域に水を配水するという場合に、水量の確保その他のいろいろの問題があると思います。それから老朽化の問題もあります。しかし実際には、地方自治体が言っているのは、大都市には起債を多く配分し、中小都市には起債の配分が少ない、そういうことを指摘しておることは事実であります。そこで、より根本的な問題は、私は国務大臣としての篠田さんにお尋ねをいたしますが、問題は、上下水道の社会性、これは下水道はそういう方向に順次進んで参りました。簡易水道もしかりであります。しかし、上水道に対しては、公営企業ということによって特別会計を自治体がつくっておる。それで事業をやる。適正料金という言葉をこれは使っておりますが、これだけの料金を取ったならばペイ・ラインにある、そういうところでやっているところに私は根本的な問題があるのではないかと思う。これは公営企業という形で起債一本という形でなしに、現在港湾、道路、これは大企業が主として利用度が高い、そういう面に対しましても社会性ありとして一般会計からどんとんと支出している。しかし、そのようにより重要な社会性を持つ水道事業に対しては、いわゆる公営企業という形で起債一本でやっているところに問題があるのではないか。現在の時点におきましては、この点は改めなければならぬときにあるのではないか、こう思いますが、その点は大臣いかがでございましょう。
  109. 篠田弘作

    篠田国務大臣 本質的にはこれは厚生省の問題になると思いますが、一般の港湾というようなものと水道というものと根本的に違うということは、一般港湾のような場合には、これを使用する者が不特定多数と申しますか、限っておらないわけですね。ところが水道の場合は、飲む人がきまっておるわけです。そこで、やはり飲む人の、はっきり申しますと、これは生活の一部であるから、そこでやはりたくさん水を使う人もあるでありましょうし、少なく水を使う人もあるでありましょうし、その個人の使う水の量によって料金を定めていく、また使わない人からも水道料金を取るということはないのであって、自然使う人から取るからそういうふうになってくる。今の段階では私は水道を全部国でやるというようなことはできないだろう、こう思います。
  110. 中村重光

    中村(重)分科員 考え方としてはわかったのですが、内容がはっきりしない点があります。なるほど大臣がおっしゃるように、不特定多数の使用者が水道の場合はあります。ところが、港湾、道路はそうじゃない。しかし、大臣もどちらが社会性が高いかということに対しての考え方は、水道の社会性が高いということに対しましては、まず私は異論はないのじゃなかろうかと思います。私は厚生大臣考え方を聞いたことがあるのでありますが、厚生大臣もやはり上水道が起債一本であり、公営企業という形のあり方自体には、十分に考えなければならぬ段階にあるのではないかというような御意見であったことも、実は伺っておるのであります。ところが、水道そのものは厚生省の所管であるが、地方財政地方住民の立場からは、自治省といたしましては、より重要な関心を持って対処される必要があるのではないか、そういう観点から私は、国務大臣としての大臣にお尋ねをしたわけであります。この点に対して、やはり公営企業として適正な料金を取るのだ。その適正ということは見方であります。先ほど私が申し上げた通り百円から五百円、局長はもっと差があるということでありました。今日水がなければ生きていけない。それほど貴重な水、きわめて重要度の高い生活必需品を、そうまで差がついた価格でもって給水をするというあり方自体には、この社会性、公共性から考えて私は問題があると思う。この点に対してもう一度大臣考え方を聞かしていただきたい。
  111. 篠田弘作

    篠田国務大臣 港湾と水道がどっちが社会性が高いというような問題は、これはちょっとどっちが高いときめることはできないだろうと私は思います。しかし、水道というものが人間の文化生活の上に欠くべからざるものである、絶対に必要なものであるということは、これははっきり言えると思います。しかし、そうだからといって、個人の使用するものに対して、個人にその負担をさせないで国が見るというようなことは、これは日本だけを考えるわけにいかないのでありまして、世界中の文化国家において、水道料金というものはだれが払っているかという問題もあるだろうと思います。私は浅学であまり詳しいことは知りませんが、やはり欧米文化国家においても、水道料金は個人が払っておるようであります。そういう意味において、その建設のために起債をする、あるいはまた将来その補助を高めていくとか、そういう問題について研究はいたしていくべきでありますが、その運営について個人から料金を取る、独立採算制にしておくという建前は、私はそうにわかにはくずせないのじゃないか、こう考えます。
  112. 中村重光

    中村(重)分科員 私の言葉が足りなかったかもしれませんが、私は水道をただで飲ませろと言っているのではない。現在起債一本で、公営企業として適正料金だ、いわゆるペイ・ラインだということで、やっているが、もはや現在のようなことでやってはならないのではないか。水ぐらいはそう差をつけないで飲ましてやるべきではないか、生活必需品である、こういったように、水がなくては生きていけないのだという点から、私はその点を指摘しておるわけです。いろいろと先ほど来御答弁はございましたけれども、現実問題として百円から五百円あるいはもっと広い差がある。しかも大都市ほど安いという現実は、私は否定できないと思う。そういうことに対して、公営企業であるから、これは起債をその事業によって配分をしておるのであるからという機械的な考え方で対処すること自体に問題があるのではないか、このことを言っておるわけであります。全額ただで飲ませろ、こういう意味で言っておるのではない。現在のアンバランスを直す必要があるのではないか、こういうことで申し上げておるわけであります。もう一度お答えを願いたい。
  113. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 御心配になっている点もよくわかりますが、大都市だけを優遇して、そうして大都市だけの料金が低くて済んでいるというような事態は、これはやはりわれわれとしても研究問題だと思います。従いまして、また地方債の資金配分にあたりましては、自治省といたしましても、中小の都市にできる限り低利長期の資金を持っていく。どちらかというと、大都市には質の悪い資金を多くかみ合わせていくというような配分の仕方をしているわけであります。率直に申し上げますと、政府資金が一番低利でございます。その次が公営企業金融公庫の資金でございます。その次には公募の資金でございます。中小都市にはほとんど政府資金、その次に公営企業金融公庫の資金、そういう資金の配分によって、ある程度今おっしゃいましたような問題の是正に努力しておる点を御了解願っておきたいと思います。
  114. 中村重光

    中村(重)分科員 それではもう大臣の時間が二、三分しかないということでございますので、この問題に対しましては、いずれまた適当な機会にお尋ねいたしたいと思います。  石炭の問題に対しまして一点だけ大臣考え方を聞かせていただきたい。御承知の通りに有津答申によって石炭大綱が政府において実施されておるわけであります。ところが、その計画によりますと、この内容を私が短い時間に申し上げる必要はございませんが、スクラップがどんどん進められて参ることになって参りまして、自治体が非常に困ってきておる。町村合併等によって膨張した、ところが石炭山がつぶれると、当然端的に地方自治体財政的に収入が減り、支出はふえてくる。こういうことで、生活保護費の問題あるいは失対費の問題等々、非常に地方自治体は困っておるわけでありますが、なかんずく町村合併によって大規模な学校をつくった、あるいは水道の施設をした、そのためには起債の償還をしてかなければならぬ。ところが、そういうことで住民が炭鉱がつぶれたためにぐっと減ってきた、償還能力が非常になくなってきている、こういうことでありますが、そういったような事態に対して、自治省としてはどういう救済の方法を考えられておるのか、まず第一点にそれを伺ってみたいと思います。
  115. 篠田弘作

    篠田国務大臣 実は産炭地振興に関する臨時措置法をつくりまして、振興対策をやったわけでありますが、きょうの閣議でその要綱が決定をいたしました。時間がありませんから、概要だけを申し上げますと、いろいろな面に分けて振興対策をやっておるわけです。中小企業対策、売掛債権を有する者に対する措置、終閉山炭鉱に対し売掛金を有している中小企業に対してどういうふうにやっていくかという問題を初めとしまして、大体七項目にわたってきょう閣議決定を見ております。詳しくはあとでお知らせいたします。  次に、鉱害対策につきまして、無資力鉱害に対する国庫補助の強化についてということから始まりまして、これは約五項目にわたりまして対策をきめております。  そのほか保健福祉対策といたしまして、生活保護費の国庫補助率の引き上げについて、あるいは特別交付税により財政措置をするといったような生活保護の水準の引き上げ、そういう問題につきましては、約七項目にわたってその対策をきめております。  文教対策といたしましては、貧困児童生徒に対する学校給食を中心とする就学奨励の強化についてということに始まりまして、これは約二項目についてきめております。もっともその二項目の中にいろいろな小さな項目がありますけれども、大ざっぱに申しましてそういうふうにしております。  市町村財政対策は、炭鉱離職者緊急就労対策事業に要する経費といったようなこと、あるいは鉱害復旧事業に要する経費産業の立地条件整備に関する経費について、その他いろいろな問題について規定しております。  産炭地域の振興対策といたしましては、道路の建設であるとか、土地の造成であるとか、河川の開発、企業の導入、産炭地事業団の融資のワクの拡大といったような面で、これも約五項目について閣議決定を見ております。  農林関係対策については、土地改良事業の推進であるとか、構造改善事業の積極的な推進であるとか、あるいはまたその他の問題につきまして約五項目について、石炭対策といたしまして本日の午前の閣議において、全部で三十七項目について決定を見ております。従いまして、これを決定だけではいけないのでありまして、どういうふうに今後実行していくかという問題でありますが、具体的に産炭地振興対策の問題についてそういう決定を見たということをお知らせしておきます。
  116. 中村重光

    中村(重)分科員 そのことについてお尋ねしたいのですが、ちょうど制約されました時間になりましたので、いずれあらためてこの点に対しましてはお伺いいたします。
  117. 羽田武嗣郎

  118. 太田一夫

    太田分科員 私は大体二点をお尋ねしたいのですが、最初に住民税の軽減問題であります。特にこれは大臣に総括的に方針を承りたいのです。  本年度の地方税法の改正並びに財政計画を拝見いたしましても、どういうかげんか、あまり住民税の軽減ということについては配慮されておりません。ただ、配慮されておりますのは法人関係でありまして、法人の場合は事業税も軽減される、県民税も軽減される、市町村民税も軽減される、こういうことになっておりますが、個人の地方税、特に住民税というのは軽減をされておりません。従って、現在天下に大きな世論となっておりますのは、いかにしてこの高い住民税をわれわれは理解することができるか、理解すべきかということについて、理解しようがない、こういうことで悪税としての非難が高いのでありますが、自治省としては将来住民税を軽減する意思はおありなのかどうか、その点を概括的にお答えをいただきたいと思うのです。
  119. 篠田弘作

    篠田国務大臣 どうも住民税が非常に高いという声があるわけでございます。これは、この前所得税の減税を行なったときに、住民税を一方において上げた。所得税の減税の方はあまり響かないと申してはおかしいのですが、額は多いのでありますけれども、あまり響かないし、上がった方は非常に響いておるということはいなめないわけです。そこでそういう関係から、住民税も上がったし、また高いという感じを持っておるということも事実であります。われわれとしては、負担の合理化問題あるいは軽減の問題ということは年じゅう考えておるのでございます。住民税もできるだけ公平に、またでき得れば軽減をしていきたいという、その考えには太田さんと変わりはないだろう、こういうふうに考えております。
  120. 太田一夫

    太田分科員 住民税を軽減することについては、大よそ同意見だということでありますが、三十八年度の税制では、それがついに盛られなかった。従って、われわれは三十九年度に減税を期待することができるかどうか、その点はいかがですか。
  121. 篠田弘作

    篠田国務大臣 三十八年度におきまして、市町村民税所得割につきまして、所得七十万円以下のものには税率を引き下げるということで、三十七年度におきまして百三十億を減税して、それを三十八年度から実施する、こういうことになっております。
  122. 太田一夫

    太田分科員 それはすでにきまっていたことが今度実施されるわけですね。法の実施が今年度に入っておるわけですけれども、そうだからといって、住民税が高いという非難が帳消しにはされないのです。これは柴田税務局長がいらっしゃるから、具体的に答弁されてもいいと思うのだが、住民税というものは負担分任という精神でやられておる。そのために低所舟君層に非常に過酷になっておるということは御承知の通りです。しかし、住民税ということになれば、法人も個人もこれは一つであるはずだ。ところが、法人の方は、ことしは県民税も市町村民税も事業税も軽減をするというのに、個人の方にこれを及ぼさないというのはいけない。これは技術的に個人の方はやれないのですか。局長でよろしいから答えて下さい。
  123. 柴田護

    ○柴田政府委員 御指摘のように、昭和三十八年度の法人税割につきましては、若干減収がございます。これは法人税割の仕組みから来るものでございまして、地方財政の立場からいいますならば、地方財政自身の立場における減税ではございません。場合によっては法人税制の税率調整ということも起こり得るわけでありますが、額が非常に小そうございます。従いまして、その問題は手を触れなかったわけであります。また一方、個人におきましては、昨年度の改正が三十八年度から実施になりますし、それが群三十億、相当の額になりますから、地方財政の現状からいいますれば、三十八年度はそれ以上のことをやり得る道はないと判断したわけでございます。いま一つ、住民税の問題につきまして基本的な問題がありますのは、太田先生御承知の通り、本文ただし書き方式の問題あるいは地方課税の問題等あるわけでございますが、この問題につきましては、やや問題が広うございます。従いまして、今急にこれに手をつける段階には実は来ていないのであります。従って、三十八年度におきましては、百三十億円の個人住民税の所得割の軽減だけにとどまる、こういうことでございます。
  124. 太田一夫

    太田分科員 本年度の税制改正によって減税になるのじゃないのだから、それはあなたの方の手柄だ、——手柄だと言うと誤解が起きます。三十七年度に大幅の県民税の引き上げをやったことは御承知の通りです。比例税率に手をつけないで、そしてまた地方課税、本文方式、ただし書き方式のアンバランスの問題に手をつけないで、今減税した、減税したということは、聞こえない話ですよ。だから私は、今大臣がおっしゃった通り、将来これは軽減をしなければならないんだ、やりたいものだという精神で皆さんがいなければならないと思うのです。  大臣にお尋ねしますが、今税務局長は法人に対する住民税の軽減はわずかなものだとおっしゃいました。県民税に関して二億六千百万円、市町村民税に三億九千万円、事業税に対して九億一千万円、こういう減税が法人税だけになされるということは、これはわずかなものだ、二億や三億や四億はわずかなものだと言うことは、私はちょっと軽率な表現だと思いますが、大臣、どうですか。それはわずかなものだ、そんなものは取るに足らないんだ、こういう思想が出てきますか。
  125. 篠田弘作

    篠田国務大臣 わずかであるか多いとかいうことは、これはやはり数学の問題でありまして、これはやはり相対的な問題であろうと考えます。三億円が非常に高い場合もあります。しかし、一方において百三十億の減税をかりにやった、片方において九億の減税をやっておるということになれば、九億の方が百三十億より高いというわけにいかないじゃないか。だから、これは今申しましたように、比較の問題もあり、感じの問題もあるのじゃないか。太田さんが非常に高いじゃないか、こういう御質問をなさいましたから、そんなに高くはないんだ、そんなに大したことじゃないという比較論を持ち出したのじゃないかと思います。この問題につきましては、高いか安いか、もう一ぺん税務局長をして答弁いたさせますから、御了承願います。
  126. 柴田護

    ○柴田政府委員 私が金額的に小さな額だと申し上げたのは、税率調整を行なうには金額的に小さいのだという意味でございます。従いまして、現在の税制の仕組みでは、法人税につきまして軽減あるいは増税を行なった場合におきましては、自動的に住民税の法人税割に響く仕組みになっております。従って、地方財政の立場からいいますならば、必要のある場合には税率調整をすべき必要があるわけでございますが、その必要性まで至らなかった、こういうことを申し上げたのであります。
  127. 太田一夫

    太田分科員 柴田さん、あなたと少しやりましょう。法人と個人とはあなたは区別して考えていらっしゃる。なぜ法人と個人とを区別したのですか。法人に軽く寛大であって、個人に厳というのはいかなる理由であるか、地方税の税制の上においてどうですか。
  128. 柴田護

    ○柴田政府委員 御質問の趣旨がよくわかりませんが、私が申し上げておりますのは、法人税割につきましての減収額というものは国税改正に伴って自動的に減になる額であるということでございます。
  129. 太田一夫

    太田分科員 だからこの前の時には現行県民税の比例税率方式、並びに市町村民税の本文ただし書き方式の二方式に統一した。この地方税の住民税は特に中央との影響を遮断する、国税との関係を遮断するという大前提があった。その大前提は法人に対しては適用されておらない。お目こぼしになっておる。もしも前と同じような住民税であるなら、少なくともことしの基礎控除二万円の引き上げ、扶養控除五千円の引き上げの影響を受けるわけです。それがなされないのは、国税の影響を遮断するという前提があったわけです。私は、国税の影響を遮断するのがいいか悪いかということは、これは相関関係があるから別のものに見るべきじゃないかと思いますけれども、現在は遮断するという方式になっておる。そのことを認めるならば、法人も同じように中央の影響を遮断して、地方住民たるにふさわしい負担分任の精神から、一般個人が減税がなかったらこっちも減税にならぬ。中央が下がったから地方を下げるというのはいささか税の仕組みの上からも、あるいはまた地方住民税の上からいっても聞違いじゃないかと思うのです。  そこで大臣に基本的なことをもう少しお導ねいたしたいのでありますが、この住民税の割合、地方税の税の総体に対する県民税の割合がだんだんとふえてきた。大体五%くらいであったのが、今では三〇%に近くなってきている。市町村民税というのは三二・三%くらいで、比率構成が大体一緒でしょう。県民税だけ何でこんなに高くなってしまったか。猛烈に高いですね。今までは五・六%くらいであったのが、二六・七%になっている。どうですか、やはり県民税というのはどこか手直ししなければならぬというのはこの辺にもあるのだろうと思いますが、その点いかがですか。
  130. 篠田弘作

    篠田国務大臣 この問題は税務局長から竺口弁いたさせまムす。
  131. 柴田護

    ○柴田政府委員 県民税につきまして、県民税が最近、税制改正後ふえてきたということでございますが、これは地方財政の充実と申しますか、自主財源の増強という立場から県民税について先般改正が行なわれた、その結果のことでありまして、県民税の−県民税と申しますか、所得に対する課税によっての分量がふえて参ったということは、むしろ県財政の運営の立場から言いますならば望ましいとわれわれは考えておる次第であります。
  132. 太田一夫

    太田分科員 県民税のウエートを高めるということは、県民税として所得の低い人がたくさん出して県財政の運営に寄与するということなんですから、県民税というものがそれだけウェートが高くなればなるほど、一般の低所得階層にとっては過重なものだということになるわけです。だから私は、どの程度の割合のものでよかろうかという点について、さらにあなたの方の具体的な将来の構想を示していただきたいと思うのですが、私は今の比例税率というのは、亘五十万円を境にして四%、二%という比例税率というのは根本的に変えなければならないと思いますけれども、こういう高まった割合、三〇%に近づいた割合というのは、県民税という立場からいいましたなら、ば、少々取り過ぎじゃありませんか。地方の県では、あの方式をとってみたら意外にたくさん集まったぞ、こんなにたくさんふえるとけ思わなかったと、実はびっくりしておるという状態です。これは少たくとも取り過ぎじゃありませんか。
  133. 柴田護

    ○柴田政府委員 別にわれわれいたしましては、そうは考えておりません。いろいろ御指摘がございましたが、低所得者に対する負担をどうするかという問題は、御指摘のように別途ございます。この点否定するものじゃございませんが、県民税がふえたとおっしゃいますが、その県民税がふえましても、税収入の割合が総体の一割ちょっとしかないということもあるわけでございます。その辺を考えてみますと、御指摘のありましたような、これによって非常にたくさんの増収があったというふうにはわれわれは考えておらない次符であります。
  134. 太田一夫

    太田分科員 市町村民税の問題の重大なる一つの問題は、やはりただし書き方式をどうするかということですが、現在全市町村の八二%程度がただし書き方式をとっておる。二千八百二十八町村くらいだといわれておりますが、そのうちの千四百九十六市町村が準拠税率を上回ったただし書き方式をとって−おる。ただし書き方式というのは元来市町村民税の本文の大体三倍、一対三くらいですから三培に近い高い税金を取りながら、しかも、その準拠税率、基準になる税率を上回っているというのが半分以上ある。これはおそるべきことだと思う。これではただし書きでなくて、ただし爵きの方が本文方式であって、本文方式の方がただし書きだ、例外だというような気がする。従って、政府の方針と現実とはマッチしておらないから、ただし書き方式というのはすみやかに撤廃し、地方税の市町村民税というのは一本の方式でやるということが、この際必要じゃないかと思うのですが、大臣としてはその点についての御見解はいかがですか。
  135. 篠田弘作

    篠田国務大臣 これは個々の町村の事情によって、ただし書き方式を使っておるところと本文方式を使っておるところがありますけれども、現在においてただし書き方式を使っておるところが多い。しかし、はたしてそれはただし誓芦方式を使わなければならないかどうか、その村なら村、町なら町の財政というものが現在そういう状態にあるか、本文方式に切り変えることができるかどうか、健康診断を一応する必要があるじゃないか。そして十分に本文方式に耐え得る村とか自治体につきましては、これはある程度個別的に健康診断をして、本文方式に移行さしていく。将来はもちろん全部これは一本化するというあなたの御意見に賛成であります。ただ、今漫然としてただし書き方式が慢性化しつつあるという状態に対しては、これは応やはりメスを入れる必要がある、こういうように考えます。
  136. 太田一夫

    太田分科員 それは大臣、こういうことですか、現在のところとしては、ただし書き方式をとっておる市町村については、よく財政状態を検討し調べて、本文方式に移行させられ得るところは本文方式に移行するように指導する。将来一本化するというのは、本文が元来原則であるから本文方式を中心として一本化の方向を考えたいと思う、こういうお考えでございますか。
  137. 篠田弘作

    篠田国務大臣 方針としまして、そういう方針でいきたいと思っております。しかし、一方におきまして、この問題は今申し上げましたように、各自治団体の個別的な事情によるものでありますから、健康診断をよくしないというと、いきなり本文方式に移しましても、納税義務者という毛のが非常に少ないという場合には、いわゆる住民税という、住民負担するという趣旨にマッチしないようなところもまた出てくるのじゃないか。だから私は、これは先ほど申しましたように個別的に健康診断をして、耐え得るものはできるだけ本文方式に移っていく、こういう方針でいきたい、こう考えております。
  138. 太田一夫

    太田分科員 大いにその健康診断たるものを、色めがねややぶにらみでやらないで、まっすぐに見て、ほんとうに名医として御診断をいただいて、極力ただし書き方式を絶滅するように指導あるいは立案がありますようにお願いをいたします。  次の問題に簡単に入ります。選挙関係でありますが、きょうの新聞にも、宮城県の県知嘉戦におきまして、宮城県自由民主党県連の代表者が、わが党の八百板選対委員長を論告罪か何かで、証拠十分ならざることを虚偽の訴えをしたということで告訴をしたというのが出ておるのですが、その原因は御承知のように、宮城県知事の名前入りのふろしきゃらタオルやら何やらが、全部で七万二百七十件、金額にして四百六十五万六千九百円も、昨年の募れからことしの正月にかけてばらまかれた、それを選挙違反、事前週動として告発をしたら、そういう事実のないことを告発したのはけしからぬというので逆告発をしたというニュースがあるのであります。これに関連して、選挙前でも警察庁は、事前運動の取り締まりは、形式犯だろうとびしびしやるというのが、二月十三日の全国捜査二課長会議においての取り締まりの方針と承る。そこで私は耀挙局長にお諦ねをしますが、あなたの方の今度の予算書を見ますると、五億円の感発費、いわゆる公明選挙推進運動費として五億円、昨年に比べて一億五千万円増加したということになっておりますが、宮城県の知事の名前入りのタオルが七万幾らか出ておるのを見のがしておいたり、そういうのを照会をしても証拠不十分であるとか、あるいは通常の知事の事務なんだというようなことで、いささかもいいの悪いのということが選挙管理委員では明らかにされない。そうして最後に警察の方に行きまして、どうもそれは通常の知事の事務らしいというようなことに落ちついたと聞いておりますけれども、選挙啓蒙というのは何をやるつもりですか。私は選挙啓蒙というのは、もっとこういうことはいけないのだ、具体的な問題について買収、供応、利害誘導、そういうことに対してこういうことはいけないのだ、いけないのだということを直接に打てば響くように指導するのが、選挙管理委員会の任務でなくちゃならないと思いますが、ポスター費やヘリコプターを雇って空から何かまく五億円という費用は、大事な国費の浪費だと思いますが、どうですか。
  139. 松村清之

    ○松村(清)政府委員 来年度の予算書に計上いたしております五億円の金は、これは常時啓発費と称しているものでございまして、特定の選挙を目的として使用されるものではございませんで、選挙を公明にするためには結局国民の政治常識の向上をはかることが重要である、このことは法律にも書いてございますが、それに基づきまして選挙民の政治常識の向上をはかりますために、年間を通じましていろいろな啓発を行なうための経費でございます。従いまして、特定の選挙のためのものではございません。今お話のことは特定の選挙に際して直接関連のものもございますが、これは選挙のありますごとに選挙管理委員会といたしましては、選挙民に対し、あるいは政党、候補者に対して選挙法の周知徹底をはかって、この選挙法を守って選挙が行なわれるように常にやっておるのでございます。ただ選挙管理委員会といたしましては、取り締まり機関ではございませんから、違法であるかどうかということもさることながら、法律の趣旨に合わないものにつきましては、真正面から法律に抵触しないものでも、公明選挙の立場からやってもらわないように呼びかけをいたしております。
  140. 太田一夫

    太田分科員 大臣、今の局長の話から、そういう啓発費五億円というのは少々よけいな気がしてしようがない。どうももったいない。減税々々といって減税が看板でありますにかかわらず、早く言うと具体的に実効のない選挙啓蒙費である、公明選挙運動費であると思います。宮城県のそういうようなことに対して、あなたの方はけしからぬくらいのことを何で言えないのか。あるいはまた全国の選挙管理委員会というのは、具体的にどこどこでこういう折箱を出しておるがどうだといったら、それはいけないのだ、いいのだということをいえるくらいに御指導相なるべきだと思うが、その点大臣はどうですか。
  141. 篠田弘作

    篠田国務大臣 選挙の啓蒙費五億円が、あなたのお話だともったいないというような感じで言っておられると思いますが、実は参衆両院の公職選挙委員会では、速記をごらんになるとわかるように、一体こればかりの啓蒙費で啓蒙ができるのかどうかということで、ある委員のお話では百億円くらいなければだめだろう、こういうような議論もあるのです。しかし、そんなに啓蒙費だけ積んでも、みんなの気持がほんとうに改まるのでなければ啓蒙はできない。物を買うのと違うから金だけではできない。そこでいろいろ考えた結果ここに落ちついたわけでありまして、私たちは非常に少ないといっておしかりを受けると思っておったら、多いという話を初めて聞いて、かえって私どもは心強く感じておる次第であります。  それからもう一つは、宮城県の選挙のことでございますが、実はこの間も公職選挙法の委員会におきましてこの問題が出ました。そこで私の方といたしましては、これを調査いたしました。そうしますと、宮城県におきましては、従来とも橋、学校その他落成式等につきましては、知事の名を入れた手ぬぐいを配ることが県の習慣になっておる。それからまた先般の遺族会創立十五周年記念の大会等がありまして、その際もやはりこれを配ったそうであります。それから最後に生活保護世帯に対しまして、毎年従来はカン詰めを二個ずつ知事の名前を刷った袋に入れまして、これを配っておったそうであります。ところが、どうも終戦直後ならともかくとして、もうカン詰めをもらわなくてもいい、それよりは何か少しでも長く使えたり、あるいはまた記念に残せるようなものの方がほしいというようなことがありまして、宮城県の県会におきまして、報償費の科目の中から、これは社会党も含めまして満場一致で単価も個数も全部県会の議決を経て出しておる。こういうような状態でありまして、少なくも私どもの調べました限りにおきましてはこれが選挙違反になる、そういうふうには考えておらない。知事の行政事務一つとして県会の承認を得てやったものだ、今までの調査ではそういうことでございます。
  142. 太田一夫

    太田分科員 これで終わりますが、だから、ならないならならないと、問い合わせたときに、すぐに選管が答えられるような機能でなければならないと言うのです。選管というものは何を聞いたってわからない。選挙ポスターを張ったりするくらいしかしない。そんなところに五億という金は多過ぎる。これを私は言っておるのです。ぜひ選挙管理委員会が、啓発費であるならば啓発費というものがいいとか悪いとかいうことをはっきり基準を出して選挙民に示すだけの積極性を持ってほしい、こういうことを私は申し上げておるのであります。ちょっと関連質問があるそうですから……。
  143. 羽田武嗣郎

    羽田主査 太田君の質問関連して、田澤吉郎君から発言を求められております。田澤君。
  144. 田澤吉郎

    ○田澤分科員 太田委員質問関連いたしまして、自治大臣質問をいたします。  最近知事並びに市長選挙が非常に熾烈になって参りました結果、現職の知事もしくは市長の行為というものが、しばしば事前運動との関係で、非常に大きく取り上げられてきておるわけであまして、それがただいま太田委員からも例として仙台の知事選挙の例が出たわけですが、私も一、二こういう点はうわさとして聞いた例があるわけですが、これを一体自治大臣は知っておるかどうか、お答えを願いたいのであります。  それは福岡県の知事をやっておる鵜崎県知事でありますが、昨年の十二月に社会保険病院に入院しておる患者にタオルと石けんを配付しておる。それから一昨年の一月に行なわれました仙台の市長選挙で、現在当選しておりますところの島野さんが、事前に名入りの手ぬぐいを、これは数万本配付したというようなことを私たちは聞いておるわけでございますが、こういう点を自治省で知っておりますかどうか。
  145. 篠田弘作

    篠田国務大臣 福岡県知事が名前入りタオルとシャボンを贈ったということを聞いておりますが、まだ本数は私ははっきり知りません。しかし、仙台の市長さんが選挙の前にこの名前入りのタオルを贈ったということは、はっきりしておりまして、これは本数もわかっておりますが、これも必ずしも選挙のために贈ったか、あるいは今申しますように、市長さんとしての従来の行政事務の慣例によって贈ったかという問題になりますと、今の知事候補と市長候補のタオルの本数の違いはありまするが、大体同じような手続で行なわれている。一々これを何千本々々々というえげつないことをここで言うのはどうかと思いますが、これは両方ともやっております。市長は市長として、知事は知事としてやっておる。福岡の問題はまだ、私報告をちょっと受けましたが、詳しい数字は記憶しておりません。
  146. 田澤吉郎

    ○田澤分科員 在職中にこういうことをすることがかりに事前運動だとしますと、自民党にも社会党にもいろいろあるわけでございまして、これは私、県政の、先ほど自治大臣から御答弁がありましたように、その県なりその市なりに一つの慣例があろうと思うのでございます。それでその県の、その市の一つの功労者なりあるいはまた団体なりに、士気を鼓舞するというような意味においては、地方においてはとかく知事の名の入ったタオルなりあるいはまた手ぬぐいなりというものを与えることによって、その県政がよりよい励みになるということで、慣例として行なわれている場合が非常に多いわけでございます。そういうような点からいいますと、これは非常にむずかしいところだろうと思いますが、事前運動であるかどうかということが非常にめんどうなところだろうと思います。で、これはほんとうに事前運動であろうかどうか、そういう関連と、事前運動という一つ規定とどういうように判断するものか。もしかりに事前運動だということで選挙のまっ最中にこれを摘発するということは、むしろ選挙妨害になりやしないかというようなことが、いろいろ取りざたされているわけでございますが、そういう点に対して自治大臣のお考えをお聞かせ願いたいのでございます。
  147. 篠田弘作

    篠田国務大臣 先ほど申し上げましたように、県会の議決を経て、あるいは市会の議決を経まして、従来の慣例に従って合法的にやっておる。結果としてそれが事前連動になるかならぬか。事前運動というのは、はっきり申しますと、選挙法違反です。そういうことから言うならば、これは選挙違反にはなりません。取り締まりの対象になりません。従いまして、これを事前運動とは見なさない。事前運動と見なせば、これはもう市長さんも知事さんも両方とも捜査の対象になるわけであります。従いまして、そういうことを今警察といたしましては、事前運動とは見なしておらないということでございます。
  148. 羽田武嗣郎

  149. 松井誠

    松井(誠)分科員 私は、主として清掃問題について自治省にお伺いをするつもりでございましたが、今問題になっております選挙違反の問題について最初に実はお伺いをしたいと思うのです。  これは最近どうも選挙違反の犯罪の罪質について、文書違反その他の形式犯と買収、供応などの実質犯との取り扱いにおける区別というものが、だんだんなくなりつつあるのではないかという気がするわけです。文書違反といえども何か組織的な、計画的な違反の場合には、買収、供応と同じように同列祝すべき悪質のものというような考え方が、警察庁あたりにだんだん台頭をしておると思うのです。しかし、申すまでもございませんけれども、選挙法の建前で、買収、供応といういわゆる実質犯と文書違反という形式犯とは、その罪質というものは違う。つまり買収、供応でひっかかった場合には、当選者の欠格という問題にもなる。ただ法定刑が高いとか低いとかという問題でなしに、そういう問題がある。なぜ一体そうなっているかというと、買収、供応というものは、どだい初めから正しい選挙運動というものではない、つまり選挙民の正しい判断というものを鈍らすという意味で、まさに公明選挙の敵である。しかし、文書違反というものは、元来無制限に、自由に許さるべきものである、つまり有権者のだれに投票すべきかという判断の材料というものは、元来ふんだんに無制限に与えらるべきものである。選挙公営というものがもっと徹底しておれば、今行なわれておるような文書違反というものはおそらく影をひそめるに違いない。しかし、いろいろな問題があって、やむを得ずそういう言論活動を制限せざるを得ないという、いわば技術的な問題であって、本来ならば、文書活動というものはまさに公明選挙のためには本質的に必要なのである。そういう意味で申しますと、文書違反と買収、供応などの実質犯とは本質的に違うと思う。ですから、いくら文書違反というものが組織的、計画的になろうと、それが買収、供応と同列祝すべき悪質犯になるような仕方は、理論的にも考えられませんし、選挙運動の実態からいっても私は実際的ではないと思う。その点大臣の率直な御意見をお伺いしたいと思う。
  150. 篠田弘作

    篠田国務大臣 おっしゃる通り、単純なる文書の形式犯であれば、もちろん供応、買収といったような、初めから悪質的なものとは意味が違う、私もそう思います。しかし、同じ文書違反でありましても、たとえば。ポスターが、かりに千枚、千二百枚という規定があります。それを自分だけが別にポスターを刷って、検印のないものを張るとか、中には検印を偽造して張るとか、そういうような問題になってくると、これは単純なる文書違反というわけにはいかないのでありまして、そういう悪質なる文書違反については、やはりこれは厳重に取り締まっていかなければならないこう考えるわけであります。従いまして、単純なる文書違反を買収、供応と同列に扱うというようなことはありません。
  151. 松井誠

    松井(誠)分科員 この問題は、時間がございませんので、簡単にいたしたいと思いますけれども、私が今申し上げましたのは、文書違反はあくまでも文書違反だ。いかに組織的、計画的になろうと文書違反は文書違反だということ。それは偶発的な文書違反よりも計画的な文書違反というものは悪質かもしれぬ。しかし、犯罪はほとんどすべてが故意犯——過失犯ではない限りは故意犯だから、故意犯ということは、犯罪の場合は悪質だと言わなければならぬ。その意味において文書違反が組織的になれば、偶発的なものよりも悪質だということは言える。しかし買収、供応と同じように考えることは、公明選挙という建前、公明選挙の筋というものを混乱さしてしまうのではないか。そのけじめが必要ではないかということを申しているわけであります。
  152. 篠田弘作

    篠田国務大臣 それは今申し上げました通り、単純文書違反であれば、買収、供応と同列に扱いません。しかし、それが計画的なものであり、知能的なものであるというようなものについては、結局これは買収、供応も選挙の票を集めるためにおそらく本人はやっておるのでありましょう、効果は別として。そうすれば、その文書にしても、今言ったようた効果をねらってやっているという点においては同じであるし、法律違反をしているという点においても同じでありますから、そういう文書だから軽くする、買収、供応は、二十人かかって一升くらいの酒を飲んでいる場合でもあげられている場合がある。だから、そういうものもありますから、それじゃ一体そういうものと一万枚もよけい。ポスターを張ったものとどっちが重いかということになれば、これは裁判所の問題でありますけれども、しかしそういう悪質なものは、やはり文書違反だから形式的に軽く見るというわけには私はいかぬと思います。
  153. 羽田武嗣郎

    羽田主査 大臣は、参議院の本会議に呼ばれておりますから……。
  154. 松井誠

    松井(誠)分科員 時間がありませんので、この問題はもう打ち切りますけれども、しかし今の御答弁では、私は非常に不満です。なぜかというと、文書違反というものは、元来ならば選挙活動の中で許されるべきもの、むしろ奨励をされるべきものです。それをいろいろな形で、技術的な理由で制限をしている。それに違反をしたという場合と、それから選挙運動の中で元来許すべからざるものである買収、供応というものとを、犯罪の性質としては同じものに見るという考え方がどだい間違いではないか。その筋をきちんとしないと、公明選挙という旗を掲げても、一体何が公明選挙なのかはっきりしないのじゃないか、そういうことを申し上げたいのでありますけれども、しかしこれは、別に機会をあらためてお伺いをいたすことにいたします。  きょうは、主として清掃の問題についてお尋ねをする予定でありますので、この問題はここで打ち切りたいと思いますけれども、清掃の問題ということになりますと、きょうは先ほど来から山口鶴男委員あるいは島本委員と司じような問題が出て参りまして、なぜかきょうは清掃デーみたいな感じがいたしますけれども、しかし考えてみますと、これは実は当然なことだと思う。今の日本は、多少大げさな言い方をすれば、大都市といわず小都市といわず、ほんとうにふん詰まりになっており、ごみにまみれておる、そういう状況です。これは、やはり何といっても基本的な理由は、池田内閣の高度成長政策の中で、産業基盤の整備という形で、実は資本の利潤というものが優先をする政治の中で、本来政治の中心であるべきこういう生活環境の整備というものにしわ寄せが来ておる。そしてそういう問題に対して、今までは国民の中でそれに対する抗議をするという声があまり組織をされなかった。しかし最近は、もういよいよここまで追い詰められて参りますと、がまんができないということで、都市の清掃の問題というのは、いわば国民的なそういう世論の声が今組織化されつつあるわけです。そういう意味で、きょうは一つ清掃デーのつもりで私もお伺いをいたしたいと思うのですが、清掃問題の中でも、特に清掃の手数料の問題にだけ、時間の関係もございますので、限定をしてお尋ねをいたしたいと思います。この手数料の問題についても、先ほど来いろいろお触れになっておりますので、私はむしろ、重複を避けまして、今までのいわば政治的な論議、政策的な論議というものとは違って、少し法律的な点からいろいろお伺いをいたしたいと思うのです。  そこで一体なぜわれわれがこのように手数料の問題を手をかえ品をかえ追及をするかといいますと、これは何としても——もう大臣が今お見えになりませんので残念ですけれども、国民のほんとうにどうしても必要な、欠くべからざるそういう施設、そういうものが金を取られるということになると、一体地方政治というものの根本はどこにあるのかという、そういう基本的な問題に触れてくるわけです。当然地方公共団体がやらなければならぬ仕事を、住民から手数料を取ってやるということになると、一体地方政治の中心はどこにあるのだという、いわば地方政治の中心がぐらついてくる、そういう意味で何といっても基本的に一番大きい。しかし手数料の問題は実はそれだけではなくて、自治省も御存じでありましょうけれども、清掃法の中で、業者の手数料というものは、そういう地方公共団体が取り得る手数料を上回ってはならぬという規定もありまして、均方自治体が手数料を取るという、いわばそれに見合って業者が手数料を取る。業者が手数料を取るということは、大臣がこれは好ましからぬ傾向だということをはっきり言われましたので、私もくどくは申し上げませんけれども、まさにそういう最低の行政水準というものが企業化をされるということになると、これは大へんだ。それからもう一つ、そればかりではなくて、手数料を取るということで地方財政の抜け道を残しておく。たとえば厚生省にしても自治省にしても、大蔵省にもっと清掃の予算を出せという要求をし、抵抗をしようというときに、足りたければ手数料でまかなえばいいじゃないかという逃げ道をちゃんと自分でつくってしまう。それだけでは何にもならぬと思う。やはり自治省自体では、手数料といういわば逃げ道というものを自分でふさぎ、背水の陣をしく。そこから一つ大蔵省に要求をするというかまえが出てこなければ、いつまでたっても悪循環が続くわけです。つまり足りないから手数料で取る。手数料を取ると、大蔵省の方では、それではそんなに要らぬじゃないかということになる。そうすると予算の獲得と手数料の問題とが悪循環のイタチごっこになっておるが、それをこの際基準をちゃんとして正さなければいかぬではないか。そういう問題もありますので、手数料の問題をくどいようですけれども一つお伺いいたしたいと思うのです。主として法律的な問題ですから、佐久間さんからお答えをいただいて、けじめけじめで、大臣がおられませんので、次官からお答えを願いたいと思うのです。  最後に、この清掃手数料の具体的な問題に入る前に、手数料一般の問題からお伺いをしたいと思うのです。時間がございませんので、かけ足でお尋ねをいたしますけれども、自治体が徴収する手数料の一般については、地方自治法の二百二十二条に基本的な原則がうたわれておると思いますけれども、これはその通りでございますか。
  155. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 その通りでございます。◇松井(誠)分科員 その二百二十二条によりますと、手数料を徴収し得る条件を書いてあるわけです。特定の個人のためにする事務というものに限り、手数料を徴収し得るという規定になっておりますが、これは一体どういう理由でこのような限定がなされておるのか。あれこれの不特定の人のために手数料を取るということはどうしていけないのかという立法上の理由をお聞かせいただきたいと思うのです。
  156. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 地方公共団体が住民に対して行ないます事務のうちで、不特定多数の住民に対しまして普遍的に行なわれますものにつきましては、これは通常の財源でまかなうのが建前であろうと思うのであります。ただ住民のうちの特定の個人に対してだけ特定の事務をいたします場合には、それにつきまして地方公共団体として一般の財源と区別いたしまして、そのためのいおば対価ともいうべき意味におきまして、負担の公平をはかるという意味におきまして、手数料を徴収することができる、こういうのがこの規定の趣旨であろうかと思います。
  157. 松井誠

    松井(誠)分科員 自治法には、自治団体の収入として税金のほかに手数料、使用料あるいは分担金というような規定がございますけれども、税金を除いて、分担金にしろ手数料にしろ使用料にしろ、いわば特定の人から徴収をするというのが基本的な原則になっておるわけです。今局長が言われましたように、不特定の者から徴収をするということは、元来ならば一般財源でまかなうべきものなんです。いわば税金で処理すべきものなんです。という建前から、特定の個人のためにする事務という限定がされておる。これは確かにその通りであろうと思うのです。一応自治法のそういう原則がございますけれども、現実にこれと矛盾をするような手数料についての根拠規定、あるいは分掛金についての根拠規定というよこなものがほかの法令に規定をされておるとすると、一体その両方の間の調和といいますか、というものはどのように理解をすべきものか、一般的に一つ最初にお伺いをしたいと思います。
  158. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 地方公共団体が徴収をいたします手数料につきましては、地方自治法の二百二十二条が一般的な原則をうたっておるものと解釈をいたしております。そのほかの個々の法律におきまして、手数料を徴収することができるという規定をいたしておりますものにつきましても、やはり原則的な考え方地方自治法の考え方で手数料というものの性質を理解すべきものであるというふうに考えております。しかし、お互いに法律同士でございますから、一般的に申しますと、地方自治法の定めておる手数料から若干はみ出たようなものも、その法律がその法律として特別な規定をするということも法律論としてはあり縛ることだと思うのであります。
  159. 松井誠

    松井(誠)分科員 たとえば、局長御存じだろうと思いますけれども、土地改良法に、市町村への土地改良事業というものをやる場合に分担金を取る。しかしその場合には公聴会を開けというその自治法の規定は適用しないという除外規定が明らかにあるわけです。このような場合には、土地改良区の成立の経過の中では、住民の感恩をいろいろ聞くという機会がある。ですから、わざわざ公聴会というものは要らないのだという趣旨で、私はこの分担金の場合に公聴会を開けという原剛をはずしてもよろしいという立法の理由はわかるわけです。そのように除外規定がわざわざ設けてあれば、その自治法の原則とその特例法との関係というものははっきりする。しかし、そうではなくて、そのようにはっきりした除外規定を設けてなくて、実際に自治法の手数料の原則とぶつかるような規定が他の法令にある場合に、一体自治省としてばそれを統一的にどう解釈をするのか、初めから自治法の原則というものを放棄してしまって、ばらばらに解釈をしようという建前なのかどうなのか。
  160. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 その法律に特別な規定の趣旨がうかがえません限りにおきましては、やはり地方自治法でうたっております手数料と同じ性質のものと理解すべきものと考えております。
  161. 松井誠

    松井(誠)分科員 私もそうだと思うのです。御存じのように、地方自治法の第二条の十一項ですか、他の法令に地方公共団体に関する規定が定められておる場合に、地方自治の本旨に従って解釈をし、運用をしろということを書いてあるわけです。従って、この規定に従えば、地方自治法に書いてある手数料徴収の原則というものを基本にしてほかの法令も解釈をする、統一的に解釈をするという立場が当然賞かなければならぬはずだと思うのです。今の局長の御答弁は、そういう趣旨を含めての御答弁だと思いますけれども、そのように理解をしてよろしゅうございますか。
  162. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 その通りでござい
  163. 松井誠

    松井(誠)分科員 そこで具体的に清掃手数料の問題についてお伺いをいたしたいと思いますけれども、もう時間がありませんので、時間を短縮する意味で簡単に申しますが、清掃法の二十条に、御承知のように清掃手数料を取り得る根拠規定かのごとき条文があるわけであります。清掃手数料の徴収の根拠というのは、自治省としてはこの清掃法二十条に直接基づくというお考えなのかどうか、あるいは清掃法二十条の規定地方自流法二百二十二条との関係はどのように理解をされておるのか、お伺いをいたしたい。
  164. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 清掃法二十条の手数料も、地方自治法二百二十二条に規定してございます手数料と同じ性質のものであるというふうに理解しております。
  165. 松井誠

    松井(誠)分科員 同じ性賢といいますと、二百二十二条の特定の個人のためにする事務という範囲内で清掃手数料は取り得る、つまりこの自治法に規定してある原則の一つの適用だということであって、その例外だという意味ではないわけですね。
  166. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 そのように理解しております。
  167. 松井誠

    松井(誠)分科員 そうしますと、清掃手数料というのは、特定の個人のためにする事務というように自治省としてはお考えになっておる、論理的に当然そういうことになるわけですけれども、そのように理解されておるわけでしょうか。
  168. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 その通りでございます。
  169. 松井誠

    松井(誠)分科員 それはしかし非常におかしいのじゃありませんか。どなたが出したのか知りませんけれども、去年の六月ですか、石川県からの問い合わせに対して、自治省でこの清掃法の二十条と自治法の二百二十二条の関係について回答が出されておりますね。それによりますと、清掃法二十条というのは自治法の二百二十二条とは関係がないんだ、むしろ二百二十二条に基づくということになれば、特定の個人のためにする事務かどうかということを大いに議論をしなければならぬけれども、しかし清掃手数料というものは二百二十二条とは関係がなくて、直接清掃法二十条の条又自体から出ておる、従ってそれが特定の個人のためにする事務かどうかということは、議論をしても意味がないんだという御回答をなさっておるじゃありませんか。
  170. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 性質といたしましては、地方自治法の二百二十二条に書いてございます手数料と同じである、従って地方自治法の二百二十二条の趣旨を、清掃法にさらに明確に清掃に関する事務について規定をいたしたものである、そのように解釈をいたしております。
  171. 松井誠

    松井(誠)分科員 去年の六月九日に自治省から出した回答に、「清掃法第二〇条の手数料は町法同条に基づく手数料であって、法第二二二条を根拠とする手数料ではなく、云々、それから「ここで当該事務が「特定の個人のためにする事務」であるか否かを論議することは、さして意義がないものというべきであろう。」これはこの結論からいえば当然のことになるわけですけれども、そのように回答されておるわけでしょう。従ってこれは特定の個人のためにする事務であろうとなかろうと、清掃法二十条によって手数料を徴収し得るのだというように、この回答は解釈をせざるを得ないじゃないですか。
  172. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 清掃に関する手数料の徴収の直接の根拠は清掃法第二十条でございます。しかしこの清掃法の二十条で市町村が徴収いたします手数料も、その性賢といたしましては、地方自治法の二百二十二条に規定をいたしております手数料と同じものであるというふうに解釈をいたしておるわけでございます。
  173. 松井誠

    松井(誠)分科員 同じだというのは、どういう意味か私はよくわかりませんけれども、ですから最初に、特定の個人のためにする事務というその原則の一つの適用か、それの例外かということをお聞きしたのですけれども、今のお話だと、その適用だというお話なんでしょう。ところがこの回答は、いわばそれの特別法であって、特定の個人のためにする事務という、そういう限定というものには縛られないんだという、そういう回答の趣旨じゃありませんか。ですから、前の回答というのは今は問題っておったから訂正をするというのなら話はわかります。しかし今のような御答弁では、同じ趣旨だといいますけれども、何が同じなのか。手数料という字は同じでしょう。そしてそれを自治体が取るという、そういう意味では同じでしょう。しかし根拠規定というものをどう考えるかという意味では、ただ同じだというだけではわからない。私は今のあなたの言われた解釈がほんとうに正しいのか、この回答に書いてある解釈が正しいのか、これは議論があります。議論がありますけれども、どっちかに一つきちんとしていただきたいですね。そうしないとこのあとの質問が出てこないのですよ。◇佐久間政府委興 その昨年出しました回答が、あるいは多少今申し上げておる趣旨と違う点があろうかと思いますが、もしありますれば、それは今申し上げておることが、ただいまの自治膚の解釈でございます。清掃法第二十条は、地方自治法の二百二十二条の原則の適用であるというふうに、先生のお言葉をお借りいたしますれば、私どもも解釈をいたしております。ただ清掃法でわざわざこの規定をいたしましたのは、清掃、汚物の収集処分ということが、一体地方自治法でいうておる特定の個人のためにする事務になるのかならないのかということについて、それをそうなるのかならないのかということについて、若干明確を欠く点が解釈上生まれるおそれもあろうかと思いますので、これはその趣旨を明確に規定をいたしたものだと、さような解釈をいたしておるわけでございます。
  174. 松井誠

    松井(誠)分科員 そうしますと、今の御答弁では、この清掃法二十条というのは、自治法の原則をいわば、再確認をしただけなんだ、ここから格別の新しいものは何も出てこないんだというような御答弁でありますけれども、これはあとでお伺いをいたすといたしまして、一体この清掃法の二十条の規定というものは、規定をする際に自治省というものは関与されたんですか。
  175. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 立法当時のことにつきましては、私存じておりません。
  176. 松井誠

    松井(誠)分科員 地方自治法で、これは分担金の問題にも実は公聴会を省略をする、非常に行き過ぎた規定がほかの法令にあると思いますけれども、この問題もやはり特定の個人のためにする事務ということで自治法がわざわざ限定をしたのを、それを無限定に広げられるような徴収の原則というものをほかの法律につくってしまう。そういうことを許しますと、これはもう自治法という法律はあるけれども、しかし実際は自治法の原則はもう片っ端から破れていく。ちょうど今の日本の憲法のように、憲法の条文がちゃんと残っているけれども、実際にその憲法の条文というものは外へ出ればなくなっているという形と同じ形が出てこざるを得ない、ですから解釈の基本的な態度としては、やはり先ほどあなたが言われた通り地方自治法の原則にのっとって、ほかの法令も解釈ずる、これは当然ですけれども、そうでなくちゃだめだと思うのです。そうしますと、従ってこの前の回答の趣旨というものは、私は根本的に間違いだと思います。自治省の基本的な態度としては間違いだと思います。だから厚生省の役人あたりが考えるのなら別ですけれども、しかし地方自治法を守ろうという自治省の解釈としては、やはりこの地方自治法の例外ではあり得ないんだという立場から、この清掃法二十条を考えなければならない。そうしますと、実はこの清掃法二十条が自治法二百二十二条と矛盾をしないかするかということになると、私は非常に問題だ、なぜ問題だかといいますと、なぜ問題だかということ自体を自治省のこの回答はいろいろ述べておるわけです。もう局長も御存じでしょう。つまり清掃法の六条によれば、特別清掃地域というのは市町村の義務とされておる。そしてそのような地方公共団体の義務とされておるような公共事務、そういうものが特定の個人のためにする事務というように解釈することにはいろいろ問題がある、疑問があるという婉曲な言い回しで、実はそいつは無理だぞと言わんばかりの回答をされておるじゃありませんか、この回答の前段の方はそうじゃありませんか。
  177. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 解釈上、お話のように特定の個人のためにする事務になるかどうかということで、若干疑問の出てくる余地があるいはあろうかと思いますが、先ほども申しましたように、清掃法の第二十条は、清掃に関する事務については地方自治法のいうておるような手数料が徴収できるのだ、いわばこれは特定の個人のためにする事務なんだ、こういうような前提でその趣旨をはっきりさせるということで規定されたものと理解をいたしておるわけであります。
  178. 松井誠

    松井(誠)分科員 いや、私が今お伺いをしましたのは、この回答自体が、この清掃法二十条というのはどうも自治法二百二十二条と矛盾をする、そういういわば前提があるもんですから、清掃法の二十条と自治法の二百二十二条とは直接の関係はないんだぞ、そういうことでこの矛盾を乗り切ろうとしたわけです。しかし、それで考えてみれば、地方自治法の原則を自分で踏みにじることになる。従って、やはりこの清掃法の二十条は地方自治法の原則の適用だという基本的な態度に戻る、それはそれでいいです。そうすると、その特定の個人のためにする事務というように今の清掃事務は一体考えられるかという、一番根本の問題に返ってくるわけです。先ほどから何度も言っておりますけれども、この清掃事務というのは、市町村のあるいは県の固有の事務だということで、清掃法ではわざわざ義務づけをしておる。そうして、このごみとか屎尿とかいうものは、ある人は出しある人は出さないなどという個人差のあるものではないのです。国民は全部出すわけですね。従って、そのものについてそういう清掃をするということは、これはまさに公衆衛生の見地からいって、いわば自治体のために必要なのであって、個人のために必要なものではないのです。清掃することは、個人にとっても清潔にはなるでしょう。しかしそれは公共団体の公衆衛生という立場からやるべき、義務の履行から来るいわば一種の反射みたいなものです。個人の利益のために清掃をやるのではないだろうと思うのです。で、公共事務のための場合には、手数料を取ってはいけないのだということは、これはもう自治省自体も言っておるし、前からの行政実例にもあるわけです。ですから、少なくとも良心的に、常識的に考える限り、この清掃法二十条というのを自治法の原則と矛盾をしないように解釈をするということになると、単なるこれは原則を確認したにすぎないんだという意味で、無意味な規定とするというのも一つ考え方でございましょう。しかしその場合には普通の清掃事業というのは、特定の個人のためにする事務ではないんだという前提がなければ、私は意味をなさないと思う。つまりたとえば特別大口の排出者、そういうものが特にお願いをする、そういう場合にはなるほど特定の個人のためにする事務という清掃事務であっても、特定の個人のためにする事務という、そういう限定にあてはまるだろう、そういうときにだけこの法律は適用されるんだというように解釈をするならば、これは清掃法と自治法との関係は矛盾なく解釈できると思う。しかし清掃法の実態を考えて、これがいわゆる特定の人に対するサービスだというような考え方を清掃法の二十条にあてはめようとするということになると、一体地方自治法の本質というものは何か、一体清掃法というものと地方公共団体の仕事、責務との関係はどうなるのかという、非常に根本的な、そしておそらくはもう自治省としてはがまんのできないような結論を前提にしなければならないということになりやしませんか。
  179. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 清掃が地方公共団体の公共事務であることは御指摘の通りでありますが、公共事務であるからというて、手数料を取ってはいかぬということはないわけであります。やはり公共事務であろうが、特定の個人のためにする事務であれば手数料を徴収することができるというのが地方自治法の趣旨であろうと解釈いたしております。
  180. 松井誠

    松井(誠)分科員 自治省は、先ほどの回答で、この清掃手数料というものが自治法の原則とどういう関係にあるかということについて、わざわざ前の府県制時代の実例を引いて、たとえば「法令ノ規定ニ依リ府県カ為ササル可カラサル事務ハ公益的事務ニシテ一個人ノ為メニスル事務ニアラサルヲ以テ之ヲ為スニハ本条ニ依リ手数料ヲ徴収スルコトヲ得ス」というような規定をわざわざ参考のためにあげておるでしょう。今言いましたように、清掃事務というのはまさに清掃法によって市町村の義務になっておるわけです。市町村の義務に属する公共事務なわけです。固有の事務なわけです。従ってそれは個人がなるほど結果としてきれいになるけれども、しかし子れはまさに公共団体が自分の責務を履行するという、そういう過程での反射にしかすぎない。ですからこれを個人のためにするサービスだということになると、一体自治省の考えている地方自治、地方政治、地方行政というものの中心はどこに置いておるのか、先ほどから大臣も言っておりましたけれども、いわばその最低限度のこれだけやらなければならぬという地方行政を個人のためにやるんだということでは、全く観念が転倒してしまうじゃありませんか。つまり当然まさに自治体が先にやらなければならぬその仕事を、これはそうじゃなくて、お前のサービスのためにやるんだぞということでは、一体地方行政の本来の目的というのはどこにあるのかということにならざるを得ないと思うのです。ですから私はもう時間がありませんのでこれ以上追及をいたしませんけれども、しかし基本的な考え方としては、私は地方自治法の原則の適用だという形で清掃手数料というものは考えるということが正しいと思う。しかし、そうするとどうしてもこの清掃法二十条の規定というものは非常に無理がある。初めから無理があると思うのですね。私は明らかに違法だと思う。今のような局長のような解釈をされれば、これはもう明らかに違法だと思う。清掃事務というものはまさに公共事務であって、個人のための事務ではないのですから、これは違法だと思うのです。しかしそこまで私は今自治省に言明を迫ろうとは思いませんけれども、しかし先ほど来から、これは政治的には、政策的には非常に不当だということは大臣が言っておりました。さらに加えて法律的にも少なくとも重大な疑点があるということを自治省は何かの形で一つこの際はっきりさすべきではないか、そういうこともあるから、手数料というものはなるべくこれから廃止をするように持っていけよという、行政指導の中でそういう見解というものをもう少しはっきりさすべきであると思う。前の回答というものは、今の局長考え方というものとは、これはもうはっきりいって、全く考え方の基本が違っております。ですから、そのことを兼ねてどうでしょう。もう少しこの手数料の問題について、法律的な見解から再検討をして指導をするというお考えがあるかないか、お伺いしたいと思います。
  181. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 御指摘になりましたこちらの回答につきましては、なおもう一度検討をしてみたいと思います。  それから後段にお述べになりました清掃法等の関係の点につきましては、先ほど申し上げたような解釈をいたしておりますが、先生のおっしゃっておりますように、公共事務であるから手数料を徴収できないのだということはないというふうに考えております。なお立法論としてどういうふうにしたらいいかということにつきましては、これは今後の問題としてよく検討はいたしたいと思います。
  182. 松井誠

    松井(誠)分科員 時間を超過しましたので、最後に一つ次官に今の点についてお尋ねをいたしたいと思うのですが、先ほど来お聞きになっておられたように、この清掃手数料という問題は、政治的にも清掃問題全体の中で非常に重要な位置を占めるというだけでなしに、法律的にも非常に疑点の多い制度だ。繰り返しますけれども、地方自治法では、特定の個人のためにする事務に限り手数料というものは徴収し得るという大原則を出しておる。ところが清掃法はそういう原則というものははずしてしまって、清掃手数料というものはもう無原則に取れるのだという規定をうくってしまった。しかしそれを地方自治のそういう原則とは全く別な無縁な形で清掃法は清掃法で一人で動いていくのだという考え方は、基本的には間違いだ。やはり手数料を取り縛る原則というものの範山内でしか清掃手数料というものも取り得ないのだ、そういう基本的な立場に立つと、現在清掃手数料を取っておるということ自体が、この清掃法二十条に基づくだけに非常に無理なんだ。これは個人のために何も屎尿のくみ取りやごみの整理をやっておるわけではなしに、まさに憲法に書いてあるように、公衆衛生というものを国やあるいは地方団体というものは増進しなければならぬという根本的な義務がある。その義務の履行としてやっておるわけですから——しかし今までは自治省の指導としては、法律的にはこれはしようがないのだという建前であったわけです。しかし今の問答をお聞きになって、法律的にも疑念があるということを私はおわかりいただけたかと思うのです。ですから、そういう意味で法律的な点からも再検討をされて、この手数料の問題についてあらためて指導をしていただきたいと思うのです。その点についての一つ御意見をお伺いして私の質問を終わりにしたいと思います。
  183. 藤田義光

    ○藤田政府委員 松井委員からいろいろお聞きいたしまして、私同感の点もございます。ただ自治法二百二十二条と清掃法の関連に関しては、これは佐久間行政局長答弁を私は受け入れたい。ただ国の機関委任事務は、法律、政令でやっておりますし、それからそのほかのものは自治体の条例で手数料を取っております。非常に範囲が複雑で、雑多で、御指摘の通り二百二十二条の手数料の本賢からすればやや疑わしいものもあるかもしれません。ただ私は戸籍手数料とか、あるいは印鑑証明手数料、こういうものに対比いたしまして、なるほど清掃法に基づく清掃手数料というものは、これは相当ニュアンスが違う、十分検討する材料ではあるということが今御質問でさらに強く感じましたので、今後十分一つ大臣が午前中答弁しましたように、道路等の公共事業に比べて清掃事業等が非常に立ちおくれている、今後予算面でもこれは増額していかざるを得ない、そういう段階において十分一つ検討したい、こういうふうに考えております。
  184. 羽田武嗣郎

    羽田主査 午後は本会議散会直後に再会し、自治省所管に対する質疑を続行することとし、これにて休憩いたします。    午後一時四十九分休憩      ————————−    午後四時三十九分開議
  185. 羽田武嗣郎

    羽田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十八年度一般会計予算及び昭和三十八年度特別会計予算中、自治省所管に対する質疑を続行いたします。赤松勇君。
  186. 赤松勇

    赤松分科員 仙台の選挙違反の問題を質問する前に、これは非常に事務的な問題ですけれども、しかし、地方住民にとりましては非常に重要な問題でありますので、地方公共団体手数料令に基づく手数料の問題につきまして興問したいと思います。  その前にちょっと聞いておきたいのですが、御承知のように、名古屋の方では地下鉄がすでに東西線が大体でき上がりまして、いよいよ南北線に移るというので起債を申請しまして、二十億の見通しがついたわけでありますが、これを二十四億にふやしてもらいたいというところの強い要求があるのでありますが、その後これはどうなっておるか、伺いたい。
  187. 篠田弘作

    篠田国務大臣 名古屋の地下鉄、工事の事業費の要求は二十五億円であります。そのうち二億円は地元でもって負担準備をして、二十三億円の起債をほしい。それで、第一回といたしまして、そのうち二十億円の起債を許可して、残りがあと三億円残っておるわけであります。これにつきましては、自治省としてあとは追加するように考えております。
  188. 赤松勇

    赤松分科員 地方公共団体手数料令によりますと、その第一条に、「都道府県知事は、次の各号に掲げる事務につき、それぞれ当該各号に掲げる名称の手数料を徴収することができる。この場合において、当該手数料の金額は、当該各号に特別の計算単位の定のあるものについてはその計算単位につき、その他のものについては一件につきそれぞれ当該各号に定める額をこえることができない。」というように厳格に規定してありますが、私の聞いている範囲におきましては、これが非常にルーズになりまして、各地方団体におきましてはこの法律の定めを越えて徴収をしておる。あるいは中には三ヵ月更新のものを一年分一括納入をしておるというようなことを聞いておりますが、そういう点について、各府県にわたってそういうところがあれば、府県の名前をあげて具体的に説明してもらいたいと思うのであります。
  189. 篠田弘作

    篠田国務大臣 あればもちろん注意を促して、そういうことのないようにいたしますが、大体手数料というのはその一つの仕事によって取るのでありますから、将来予想される仕事に対して手数料を取るということは、常識上あり得ないというふうに私は考えております。
  190. 赤松勇

    赤松分科員 あり得ないことが現に行なわれておりまして、たとえばパチンコ屋の例をとりますと、これなどは一年固めて納入をしておるというような事実もあるわけなんです。どうしてもないとおっしゃるならば、その事実を明らかにしたいと思うのでありますが、それはいかがでありますか。
  191. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 自治省として、法律違反したような手数料の徴収の仕方をしているところがあるということは、夢にも考えておりませんでした。今そういうお話がございましたので、そういう団体につきましては、そういう法に違反するような運営を是正するように努めていきたいと思います。またお教えをいただきましたならば、それに基づきまして調査をいたし、また是正方の努力もいたしたいと思います。
  192. 赤松勇

    赤松分科員 それでは、時間がございませんから、この際自治大臣お願いしておきますが、一応各地方自治団体に対しましてこれを全国的に調査をいたしまして、ややもすれば監督がルーズになる、それにつれて全体の行政も乱れてくるということがございますので、この手数料を、法の定める部分を超過する点がございましたら、住民の利益を守るという意味から、厳重に規正していだきたい。その調査の結果を必ず私どもの方へ回答していただきたいということをお願いしておきます。  それから、この地方公共団体の手数料の中で——特に自治大臣はこういう庶民生活について深い御理解があると私は思いますので、この際改正すべき点は一つ勇敢に改正をしていただきたい、こう思います。たとえば、第一条の二十九にございます「理容師又は美容師の免許手数料」、これは免許を受ける際には手数料が四百円ということになっておるわけであります。それから同じく環境衛生関係では、クリーニング師の免許を受ける際には四百円、それから美容の場合も同じでありますが、こういう点は免許の有効期間の定めがないわけなんです。私はこれは定めがないのがほんとうであると思うのでございますけれども、ただし学科試験及び実地試験などいろいろわずらわしい幾つかの段階を経まして、ようやく理容師、美容師、クリーニング師になるということでございますから、この点につきましては何かもっと簡素化していただきたい。  それから、特に「あん摩師、はり師、きゆう師」、これははりときゅうとあんまと三つ分けてありますけれども、この諸君の中で身体障害者に対しましては、ぜひ一つ特別な措置を講じていただきたい。これはおそらく終身になっておると思うのです。一度免許を受けますと、終身になっているのではないかと思います。しかしながら、免許証の記載事項に変更を生じた場合、あるいは免許証を失った場合、また棄損した場合には、新しくそれを申請して手数料を払わなければならぬわけであります。金額としてはきわめてわずかでありますけれども、特にこの中で身体障害者に対しましては特別な措置を講じていただきたい。この点はいかがでございますか。
  193. 篠田弘作

    篠田国務大臣 おっしゃる通り、身体障害者というものは、あらゆる生活におきましてハンディキャップを持っておるわけでありますから、できる限りその生活を擁護するということが建前であると思います。従いまして、今すごできるかどうかわかりませんが、研究させていただきたいと思います。
  194. 赤松勇

    赤松分科員 ぜひそうお願いしたいと思います。  それから、百三十一に保母試験というのがあるのだけれども、これは試験受験のつど五百円の手数料を払わなければならない。しかも保母試験は毎年一回知事が行なうことになっておるわけであります。御案内のように保母応募者はだんだん減っているわけです。薄給でございまして、他に職場を求めて、保母になるというのが、雇用の場面におきましては、非常に狭められております。従いまして、こういう薄給な保母に対しまして、毎年一回試験を行なう、そういう場合に五百円を払わなければならぬということも、ぜひこれは軽減する必要があるというふうに私は考えておりますが、この点についてはいかがでございますか。
  195. 篠田弘作

    篠田国務大臣 そういうことが現に行なわれておるといたしますれば、それが実費であればやむを得ませんけれども、そうでなくて実費以上のものであったり、あるいはまた制度の上で毎年それをやらなければならないかどうかという問題についても、一ぺん手数料を保母なら保母というもので取れば、その次のときには取らないようにできないかどうか。あるいはどうしてもそういう手数とか実費というものがかかり、あるいはその目的が本人の一つの個人の資格というものを決定するというような問題であれば、個人に対して手数料を取るという建前は私は悪くはないと思いますが、はたして四百円が妥当であるか、三百円が妥当であるか、実費であるか、また保母というものも、先ほど申しましたように、婦人として非常に弱い立場でございますから、研究してみたいと思います。
  196. 赤松勇

    赤松分科員 百四十八、百四十九、主要食糧小売販売業者登録手数料並びに登録票書換交付手数料、これはどういう意味ですか。この登録票書きかえの手数料というのは住居の変更のあった場合だと思いますが、一体この場合にどうして百円の手数料を払わなければならぬのか。あるいは主要食糧小売販売業者の登録手数料を年一回四月一日に九百円ずつ払おなければならないということになっておりますが、これは小売業者は登録を受ける場合ということになっておりまして、年に一回ずつ九百円をなぜ納めなければならぬのか、その根拠を明らかにしていただきたいと思います。
  197. 篠田弘作

    篠田国務大臣 主要食糧小売販売業者登録手数料、なるほど百四十八で手数料が九百円になっております。これは食糧関係でございますから、農林省とよく打ち合わせまして、あとで御答弁といいますか。御報告をいたしたいと思います。
  198. 赤松勇

    赤松分科員 それでは後ほど御回答をいただきたい。断わっておきますが、委員会におきましてそうしばしば質問できるかどうかわかりませんから、これは一つ会議赤松勇あてに御回答をお願いいたしたいと思います。  それから、家畜死亡届出証明書交付、そのつど三十円ということになっておるわけです。牛や馬が病気で死んだときには、市町村長に証明を求める場合の手数料というのがあるのでございますが、一体三十円なんというものは必要なのかどうか。これは保健衛生の立場から申しましても、かようなものは廃止なすった方がいいように思うのでございますが、これはいかがですか。
  199. 篠田弘作

    篠田国務大臣 三十円という手数料は、今の貨幣価値からいえば取っても取らなくてもいい手数料だと思います。家畜の死亡に対して必ず自治体に届けるというような、何かそこにほかの目的で手数料というものを慣習的に取っておるんではないか。今の貨幣価値からいえば、三十円の手数料は取っても取らなくてもいいんじゃないか、私はこう思います。
  200. 赤松勇

    赤松分科員 この点も農林省とぜひ打ち合わせていただきたいと思うのでありますが、御承知のように、食糧管理制度の上に若干の変更がございまして、戦後の食糧配給制度と現行のそれとはやや変わってきていると思うのです。たとえば自由米、特選米なんか出て参っております。ところが、現行法によりますと、たとえば第三条の三に旅行証明書交付というのがございます。旅行する場合にリュックサックに米を入れて旅行するわけでありますが、それを証明してもらう場合には二十円払わなければならぬ、こういうことになっておりますが、実際には二十円払って米をリュックサックに入れて、あるいはカバンに入れて旅行するというようなことは現在ないのであります。だから、この問題だけでなしに、第四の転出証明書交付の問題にいたしましても、住居変更する場合米屋などが変わるので、その転出に必要な証明書に五十円払わなければならない。こんなものは払っている者はおりませんよ。いないのに法律の上では払わなければならないことになっておる。実際には払う者はいないというような矛盾があるわけであります。それから、二の主要食糧小売販売業者に対する購入最の割当月一回が原則であるが、追加されれば月二、三回になる。これもそのつど百円を払って、事務費としての手数料を取られる。私は、先ほど申し上げました地方公共団体手数料令というものを全面的に再検討していただきまして、実際に実情に適応するように改正をしていただきたいというように考えるわけであります。この点についてはどうですか。
  201. 篠田弘作

    篠田国務大臣 御指摘のように、家畜の伝染病の場合は三十円、食糧管理法の場合百円、旅行証明書の場合は二十円、転出の場合は五十円、こういう手数料が取られておりますが、私はこれは全く実情に合わないと思います。そこで、今おっしゃったように、もっと合理的に、ほんとうに取るならば手数料に値するものを取るべきであり、形式的に取っておるならやめた方がいい、そういう方向に向かって研究をしてみたい、こう思います。
  202. 赤松勇

    赤松分科員 私は、清掃の問題を含めて、この手数料の問題——これは税外負担だと思うのです。この点について、実は自治大臣の御意見をぜひお聞きすると同時に、自治大臣に諸般の改正をしていただきたい、こう思って意気込んで参りましたら、お聞きをすれば、午前中に相当みっちり手数料の問題について私の方の同僚議員からお話があったようでございますから、私はこれについて長くお話をすることはやめますけれども、私はこういう考え方であります。言うまでもなく、地方自治体地方団体というものは、これは御承知のように憲法の中では、今日の自治体の本体というものは市町村であるという認識の上に私ども立っておるのであります。従いまして、自治体には自治体固有の義務がある。それは自治体が自治体として民主的に運営される場合は、あくまでも住民の福祉、利益を考える。つまり住民の利益に奉仕していく。サービスをしていく。地方団体というものは、権力機関であってはならないし、それからいわゆる支配機関であってもならない。ちょうど今日消防や警察が地方住民の福祉、利益を守るための自主的な組織でなければならぬという意味から、私ども国家警察などに反対して参ったわけでありますが、とにかくわれわれの自治体に対する基本的な考え方、精神というものは、あくまでも住民の自治組織である、従ってその住民が代表として議員を選び、また知事も厳密な意味における自治体であるかどうかは疑問の余地がございますけれども、とにかく知事を選び、市町村長を選ぶわけであります。そういう場合の首長というものは、これは、今申し上げましたように、性格はサービス機関でありまして、住民に奉仕をするということが精神でなければならぬ。従って、米をかついでよそへ旅行するというような場合、牛や馬が死んだからこれを届けるというような場合、これは自治体の固有の義務でありますから、当然私はサービスの部分として自治体は負担すべきものであると思う。それを、こういうことで手数料を取っていくということは、まさに自治体の本来の精神に反するのではないだろうか。やはり清掃の手数料も、そういう立場から私どもは税外負担であるという考え方を持っておるわけであります。私は、篠田自治大臣が自治体の本質をよく理解して下さいまして、常に財政の立場から、つまり予算の立場から、地方自治体に対しまして、ややもすれば財政予算を通しまして支配的な考え方を持とうとするような大蔵省とかその他に対しまして、強い抵抗を示されておるということにつきましては、敬意を表します。今申し上げましたような趣旨にのっとって、やはり自治省はこの地方住民の自治体を守る政府の機関である、そういう考え方の上に立って、抜本的な、こういう問題についての税外負担をなくするような考え方一つ貫いていただきたい、こういうふうに考えるわけでございますが、この点につきましては、大臣はどのようにお考えになっておりますか。
  203. 篠田弘作

    篠田国務大臣 自治体が当然住民の福祉をはかるべき固有の義務を持っておるということは、これは間違いありません。しかし、ものによりまして、特定の個人のために自治体がサービスをするというようなものまでも、全体の住民の奉仕において、言いかえれば税金においてそれを免除するということがはたしていいか悪いかということは、私は問題だと思います。たとえば、かりに私が自分の生まれた役場に向かって、手数料を払わないで戸籍謄本を要求したとします。金額はわずかであるかもしれませんが、数が非常に多いという場合に、やはり他の人に迷惑をかけることになるわけでありますから、そういうような特定の個人のためのサービスの場合には、やはりこれは法律にも認められておる手数料を取るということは差しつかえない、こう考えます。そこで、問題は、清掃の手数料の問題でございますが、住民税の中に清掃の手数料まで含まれておるかどうかということが、やはり一つの問題ではないか。私は、できれば、清掃というような人間の最低の生活、あるいはまた文化生活といいますか、健康のために必要なものについては、自治体が直轄で、できる限り自治体の責任においてやるべきである、こういうふうに考えておりますが、人によって非常にたくさんごみを出す人もありますし、非常に少なくごみを出す人もある。屎尿にいたしましても、非常にたくさんのものを処理する場合もありますし、少ない場合もある。個人によって差があって、そうしてそれを特定の個人のためにサービスするというような場合に、全般的な人々にそれをすぐかぶせていくことがいいか悪いかということは、私は相当議論のあるところである、こういうふうに思うのであります。しかし、もっともっと自治体というものが財政的にも健全になり、また本来の姿に成育していった場合においては、当然手数料というようなものは取らなくてもいいだろう、こういうふうに考えております。
  204. 赤松勇

    赤松分科員 それでは、自治大臣に以上申し上げました点について十分御検討をいただきたいというようにお願いいたしまして、私の質疑を終わることにいたします。  続いて、今度は宮城の選挙違反の事実でございますが、私は、きょうは、自治大臣というよりも、篠田国家公安委員長にお尋ねをする。これは実は、午前中第一分科会におきまして、法務大臣それから警察庁、法務省など、それぞれ関係者に御出席を願いまして、そこで十分注文をつけて参りましたから、きわめて簡単に申し上げておきたいと思います。要するに、私の言いたいことは、国家公安委員長である篠田さんに、かような事実がある、これについて厳重に警察において調査をしてもらいたいということをしばしば申し上げましたが、その調査がきわめて不十分である。そこで、すでに検察庁に告発をしまして、検察庁は昨日これを仙台地検に送付しまして、厳重捜査するよう指示を命じたということを、本日法務省の刑事局長から答弁がございましたので、すでに検察庁の問題に移っておりまする以上は、ここで国家公安委員長にお尋ねをすることは、少し、何といいますか、三権分立の意味からいえば間違いではないと思いますけれども、少し質問の筋としてはおかしいと思うのであります。しかしながら、かような事実があったということだけは、一つぜひ耳に入れておきたいと思います。  まず、今まで出されました選挙違反と思われるいわゆる買収行為並びに文書、図画違反と思われるものは、ここへ列挙してございますが、宮城県庁の社会課から青山染工場に名前入りのタオルで千六百本、単価三十円、四万八千円の納入金額で十二月の十二日に発注されております。同じく社会課から藤崎工場に対して名前入りのタオルが六千箱、これは単価百円、納入金額は六十万円、十一月の二十四日に発注され、十二月十日に納入されております。それから、同じく社会課から藤崎工場に名前入りのふろしき三万枚、単価が九十四円二十銭、二百八十二万六千円、十月二十四日に発注されまして十一月五日に納入されておる。それから、同じく社会課が藤崎工場を通じまして名前入りのふろしき二千枚、単価は百二十円、二十四万円の納入金額で、十二月二十二日に発注されております。それから、農地開拓課が同じく藤崎工場を通じまして名前入りのふろしき三百三十枚、単価二百円、六万六千円で発注されておる。同じく農地開拓課が同藤崎工場を通じまして名前入りのタオル七百五十本、単価六十円、四万五千円で発注しておる。消防防災課が同じく藤崎工場を通じまして名前入りふろしき百六十枚、単価百五十円、二万四千円。税務課が同じく藤崎工場を通じまして名前入り手ぬぐい一万五千本、単価二十八円、納入金額は四十二万円。調査課が藤崎工場を通じまして名前入りタオル一千本、単価三十円、納入金額三万円。それから、道路課が同じく藤崎工場を通じまして名前入り手ぬぐい三百五十本、単価百円、これが納入金額三万五千円。母子課が青山工場を通じまして名前入りのれんが千七百枚、単価六十五円、納入金額が十一万円。同じく母子課が仙台染工場を通じまして名前入り手ぬぐいが二千本、単価三十二円、六万四千円で納入されておる。同じく母子課が仙台染工場を通じまして名前入り手ぬぐいが七百本、単価三十二円、納入金額二万二千四百円。同じく母子課が藤崎工場を通じまして名前入りふろしき八十枚、単価三百五十円、これが二万八千円。以上県庁各課が、知事の名前人りの手ぬぐいあるいはのれん、ふろしきなどを出しました点数は、七万二百七十点という莫大な数に上っておるのであります。これを金額にいたしますと四百六十五万六千九百円、こういう額に上っておるわけであります。  一体この費用がどこから出ておるかということであります。これは県の予算の中から出ております。この県の予算は、社会党もこれに加わりまして、県会において議決をされております。ただ問題は、議決をされた予算書の中には、手ぬぐい何本あるいはふろしき何本、のれん何本というようには書いてございません。どういう項目で出されておるかといえば、二月の定例県会における予算説明書の中に、遺家族援護費として四百四十四万六千円というものが計上されまして、その四百四十四万六千円というものの内訳がすっとここに載っておりますが、この中がら出ておる。もう一つは、九月県会で追加予算の中に、遺家族援護費——その遺家族援護費の中には、児童就学資金貸付金が十五万六千円、それから遺家族援護激励費というものがある。その激励費が手ぬぐい、ふろしきになって出ておるわけでありますけれども、これが三百万円。そこで、この三百万円の中から、十月二十四日、二百八十二万六千円が発注されております。同じく十二月二十二日、二十四万円のものが発注されておるわけであります。どういう毛のを発注したか、これをぜひ大臣に見せておきたいと思うのでありますが、まず第一号は「国民年金法施行三周年記念」としまして「宮城県知事三浦義男」というネクタイピンを出しております。それからこれがふろしきです。これは「宮城県遺族会樹立十五周年記念 宮城県知事三浦義男」これが出ておる。それから「漁業指導練習船新宮城丸竣工記念 宮城県知事三浦義男」、それから「剣心一如 東北関東柔剣道大会会長三浦義男」。けさ刑事局長答弁されて、だいぶ弱っておられたようですが、無理もないと思うのです。現地からの事情が非常にに詳しく報告されていないようでありますが、これについて、けさの答弁では、これは関東地方の代表も含めた剣道の大会でありまして、この剣道の大会に配布したのであるから、従って違反であるかどうかということを判定することはどうも疑わしい、こういうメイ答弁があった。そのメイは名の方か迷の方かわかりませんが、メイ答弁だ。そこで、私はその際にこう申し上げた。この剣道大会というものはアマチュアの団体です。いわばクラブ活動です。これは県知事とは関係ありません。従いまして、そういうクラブ活動に県費を使っていいのかどうかということが第一に問題になる。第二には、かりに私がアマチュアの野球大会の会長をやっておる。そこへ、私は名古屋が選挙区ですから、岐阜の人を若干加えて、そうして選挙中に物を配る、あるいは選挙前に物を配る、それが選挙違反もしくは事前運動にならないという警察庁の解釈ならば、私は大いにやろうと思うのです。皆さんもどんどんおやりなさい。こんなばかげた解釈はございません。それから「納税協力感謝 宮城県知事三浦義男」、それから「清和 知事三浦義男」、これはのれんです。そこで、これがどういう効果を持つか。これはあなたたちの同僚が同じ選挙区でこういうことをやったら大へんだ。従って人ごとではございません。きょうは三浦でもあすは自分の身になるかもしれませんから、よく考えて下さい。のれんに腕押しでは困る。これはどういう効果があるかというと、常時のれんをかける。そうすると選挙になればポスターと同じ効果がある。幾ら文書図画取り締まりの法律があっても、これは文書図画の法律違反にならぬのです。そうじゃないですか。これをかけておいてごらんなさい。これはポスターと同じ効果があるのです。ポスターには制限があるけれども、これには制限がないというような解釈なら、われわれも大いにのれんを使っていきますよ。それからまだあります。「道路愛護 宮城道路愛護会長宮城県知事三浦義男」、「祈全快 宮城県知事三浦義男」、たくさんありますけれども、もうやめましょう。とにかくこういう事実があるのです。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、最高検の方は厳重にこれを調査するということで、すでに調査を開始しておるのでありますが、先ほどから大臣に申し上げましたように、すでに午前中、私は第一分科会質問いたしましたし、すでに検察庁が事件の発生いたしました仙台地検にこの告発状を送付いたし、そうして厳重調査を命じておりますから、これ以上私はあなたに申し上げませんが、どうぞ、こういう選挙違反については、私は与野党を問わず、公明選挙を推進するという意味におきまして、ことに篠田さんでも、われわれでも、古川君でもそうですが、みんな選挙違反はやらない、公明選挙をやらなければならぬから、これは与野党を通じて金の要らない選挙を推進していくという心がまえでなくてはならぬ。こう思うのであります。従いまして、今警察に調査をしろということは、すでに検察庁の手に移っておりますから、私はもう要求しません。これから地方議会の選挙もある、あるいはそのほかにもずっと選挙が続いてくるでありましょうが、どうぞこういう点については——私は一方的な立場に立ってはいらっしゃらないということはよく知っておりますけれども、一つ勇気を持って、こういう犯罪についてはびしっと取り締まっていくというところの態度を明らかにしていただくと同時に、こういうことの発生しないようにやっていただきたい。たまたま今選挙のまつ最中でありますから、きょうあなたが答弁したように、選挙のまつ最中だから、いろいろデリケートな問題がありましてという答弁で、その気持はよくわかります。選挙中でありますから、いろいろやりにくい点はあると思うのでありますけれども、すでに事件の発生いたしましたのは選挙以前の事前運動の部類に撤する問題でありますから、こういう点は、けさあなたが答弁なさいましたと同じような精神をもって、推進をしていただきたいということを希望しておきます。自治大臣の御答弁を願います。
  205. 篠田弘作

    篠田国務大臣 ただいまの赤松さんのお話は、われわれもすでに承知いたしております。そこで、私の方といたしましては、その真相はどうであるかということをすでに調査しておるわけであります。そうしますと、結局、宮城県というところは、従来とも学校の落成式であるとか橋の落成式等につきましては、知事あるいは市長、そういう立場を問わず、知事の名前あるいは市長の名前を入れた手ぬぐいを配ったり、ふろしきを配ったり、そういう習慣がわれわれが考える以上にあるようであります。そこで、今度の問題につきましても、いろいろ聞いてみたところによりますと、報償費の中から手ぬぐいやふろしきを出したのはいかぬじゃないか、そういうお話でありますが、これは終戦以来ずっとこの報償費をもちましてカン詰二個を配っておった。ところが、配られる方の側から、どうもいつまでもカン詰くらいもらってもしようがないから、もう少しあとに残るもの、あるいは長く使えるものがほしいということで、これは県会の議決を経てやった。それから、その他そこにお出しになりましたが、一ぺんにつくって配ったものじゃなくて、一定の時間的間隔があって、そのつどつど配られて、それが総書今おっしゃいましたような七万本になる、こういうことでありまして、選挙を前にして時あたかもそういうことが行なわれたということについては、これはやはり公明選挙という立場からいうと、そういう疑問があると思いますけれども、しかし、国家公安委員長としての立場をお尋ねになるならば、これは県知事としての行政事務一つであって、これをもって事前運動である、あるいはまた選挙違反であると直ちに断ずるわけには参らないと思う。しかし、検察庁に対しましても告発がありましたので、その点は現地にすでに移してあります。
  206. 赤松勇

    赤松分科員 検察庁にも告発状が行っておりますし、検察庁は取り調べを開始しておりますし、当然これが起訴されれば裁判になるので、国家公安委員長としては、現地の事情を部下の手を通してのみ聞いておられるのであって、そこであまり断定されるのは、あなた自身の将来のためにあまりよくないと思うのであります。ただお互いここで確認し合うことは、いわゆる選挙違反と思われるような行為、あるいは選挙違反になる犯罪については、そういうことの発生を防いで、お互いに公明選挙を推進していこうではないかという御答弁だけでいいのではないだろうか、こういうように思うわけであります。  ついでに申し上げておきますが、今のカン詰の問題も確かにその通りです。ところが、これは去年配給をいたしましたら非常な不評でした。ことしは今度手ぬぐいを配っておるわけですが、どちらにしましても、この予算の中にはカン詰とか手ぬぐいということは書いてないし、そういう説明が行なわれていないのです。しかも援護費の中からこれが出ているとすれば重大でありますから、やはり自治省としても行政監督の立場にあるのでありますから、そうであったかなかったかということを、警察の立場でなしに、財政局長もそういう立場から一度お調べになる必要があるのじゃないか、こういうように思います。
  207. 篠田弘作

    篠田国務大臣 今、赤松先生のおっしゃることはわれわれも賛成なんです。ところが、先ほどの午前中の委員会でも関連質問で申し上げましたように、仙台の市長さんが、これは御承知の通り社会党でございます。昭和三十七年一月二十八日の選挙でありますが、三十六年十一月から選挙にかけまして、やはりこれと同じような形で、一万四千九百五十本の名前の入った手ぬぐいを配っておる。そういうことから言いますと、どうもこのときもいろいろ調べたのでありますけれども、これもやはり市長としてのいろいろな催しものに配っておられます。剣道大会にも配っておられます。そのほか、「愛市納税」であるとか、あるいは「博愛」であるとか、あるいはまた「伸びゆく仙台」であるとか、その他いろいろな名目がついて、「市民の皆様へ」ということで、「愛市環境衛生会」、そういうようなことでやっておりますから、そのときもこれはどうであるかということでありましたが、結局似たようなことでありまして、今度の問題は社会党が告発されましたが、われわれの方としてはやはりこれは同じように公平に扱ったらいいのじゃないか、こういう観点に立って扱っているのでありまして、決してそういうものがもし犯罪であるならぼ見のがすとか、そういうような考えはないのであります。ただ、こういうことをお互いに、一方だけ検挙して、一方は見のがしておるという、そういう不公平なことは当然できませんので、もしこれを御指摘のようにやるとすれば、今度の知事の問題と市長の問題をあわせて超党派的にやりたい、こう考えております。
  208. 赤松勇

    赤松分科員 目くそ鼻くその議論はやめていただきたいと思います。実は私、先ほど本会議におりまして、控え室に来て、ちょっと私国会対策で川があったものですから、国会対策の部屋におりましたら、ある大新聞の記者が来まして、そして自治大臣篠田さんが、何か、三浦を問題にするならば、仙台市長のそれもあるのだから、そんなことは五十歩百歩だというような答命を——いや今の答弁も、三浦のことをあれするのなら、島野だってあれじゃないかというようなことですよ。そういう答弁があったということを聞いたが、どうだと言って私のところに聞きに参りましたが、実は私もきのう大臣に廊下でお会いした。そのときに、すでに告発をしてしまったし、きょうは実はあなたへの質問はやめようと思っている、そして第一分科会の方で法務省に対する質問にとどめておこう思っておる、こういうことを私は大臣に申し上げた。良識ある大臣がまさか目くそ鼻くそのそんな愚劣な議論をおやりになるわけは絶対にない。現にきょうは第一分科会においてば自治大臣は御出席になっていないし、そのときは警察庁の刑事局長が出ておられて、その答弁の中にも、そういうことはなかった、絶対にそんなことはないということを先ほど否定してきたばかりであります。私はそういう答弁は聞こうと思いませんし、また聞く必要はないのであります。一万何千本という数字があげられましたけれども、それならばこれは一体どこでいつどのように印刷をされてどうしたか、そして、だれにそれが渡っていったかということを、詳しくそこであげてもらいたい。私も具体的に事実をあげて、言ったのでありますから、そららも、そういう議論をなさるなら、明らかにしていただきたいと思うのであります。
  209. 篠田弘作

    篠田国務大臣 私は、党は違っておりますけれども、あなたは八年間も同じ宿舎に住んで仲よくくらしたわけでありますから、別にここで目くそ鼻くそを笑う式の議論をしようとか、あるいはあなたにけんかのようなものを吹っかけよう、そういう考えは毛頭ありません。ただ、この問題が午前中に論議をされました場合、関連質問として他に例があるかどうか、自分の聞くところによると同じ宮城県においてそういうことが行なわれておるという話だが知っておるかどうか、こういうわけでありますから、それはわかっておる、しかし私はそのときはこの数字も何も読み上げませんでした。わかっておるけれども、そういうがめついあばき合いのようなことになるということは、選挙の公明化と申しますか、そういう上においてもあまり好ましいことじゃもちろんありません。悪いものについては捜査しておる。これはもうすでにあなたの方も検察庁に告発されたのでありますから、検察庁の捜査に持つべきであるし、検察庁としてもすでに告発を受け取っておりまして、仙台の県警に移しておりますから、結局において犯罪になるかならないかということは、すでに検察庁でやるべきことだと思います。私といたしましては、そういうような宮城県の知事がやっておることをけしからぬと言うならば、市長だってやっておるじゃないか、そういう愚劣な問題でありません。ただ、事案関係といたしまして、そういう関連質問がありましたから、そういう実例はあります。しかしそれを今ここで一々言うということはあまりにうめり過ぎてるから、それは遠慮申し上げたい——これは速記録をごらん願えれば、よく趣旨はわかると思います。そこで、今あげろとおっしゃいますけれども、そういうことは今捜査の段階ですから、私の口から申し上げるこいうことは遠慮さしていただきたい、こういうように考えます。もし赤松さん御自身がお前ほんとうにあるなら見せてくれということならば、あとで差し上げたい。
  210. 赤松勇

    赤松分科員 私もおそらくそうだと思います。あなたがわざわざ発言を求められて、そういう発言をなざったのではないと思います。それは関連質問であなたの意見をお述べになった。私はそれすら実は信じないので、今朝日新聞の記舌が来られましたけれども、私はそんなことは耳にしていないということを申し上げた。実はきのうもあなたに廊下でお会いしたときに、私はこの質問はきょうやらないつもりだということを申し上げた。きょう中央執行委員会で、きょう午前中の質問の結果、あるいは告発の結果をずっと報告した。その際に、やはり国家公安委員長にはこの事実を伝えておく方がいいじゃないかという執行委員会での発言などもございまして、そこで私は、冒頭に申し上げたように、あなたに調査を依頼するとか、あなたを責めるとかいうのでなしに、こういう事実がある、お互いに公明巌、挙を推進するについて、こういうことのないように心がまえをつくっていきましょうということを申し上げておるのであります。大臣の非常な直情径行、あなたの非常な潔癖さについては私も十分承知しておりますから、これ以上申し上げません。どうぞ一つ、これからお互いにこういうことのないように自粛しながら、議会政治の信頼を高め、いくためにお互いに努力したい、こういうように考えるわけであります。
  211. 篠田弘作

    篠田国務大臣 赤松議長と全く同感でございます。
  212. 羽田武嗣郎

    羽田主査 赤松君の質疑関連して山川丈吉君より発言を求められております。古川君。
  213. 古川丈吉

    古川分科員 選挙のときはお互い気が立っておりまして、いろいろな選挙の作戦があるわけでありますが、一番困るのは、選挙の最中に相手方に選挙違反があるとか、あるいは潰職があるとか、これが従来われわれが選挙の経験者として一番いやな問題でございます。告発したりする人も、選挙違反になるとは思ってない。また汚職があるとは思っていないけれども、そういうことをやりますと、選挙に非常に影響する。その選挙中には解決がつかない、こういうねらいでやられる場合が非常に多いのであります。私たちも自分の経験でそういう経験をいたしまして、まことに苦々しく思っておったことがたびたびあります。今回宮城県の問題で新聞に出ておりまして、私も新聞を見たときにはどんなことがあるかと実は思っておりました。赤松君に今見せられてみると、これくらいのことかという感じが私はいたしました。それは私は篠田大臣答弁についても不服なんです。といいますのは、何だか宮城県だけが特別な手ぬぐいを配るというので、宮城県をえらい特殊なところのように思っておるけれども、これは宮城県だけじゃない、全国的なんです。今、赤松君の質問の中に、予算の項目も説明されましたが、遺族とか何とか言われましたけれども、たくさんおる。そのほかのものにやるのには数が多いからやるわけにはいかぬ、やむなく手ぬぐいにしよう、手ぬぐいにしようと言ったら、知事さんの名前を入れてくれ、こういう要求なんです。時によっては間に合わぬから印刷でがまんしてくれと言っても、もらう方は何とか知事さんの名前を入れてくれという、これが従来のしさたりであります。それで最近は報償とかなんとか、そういう考え方が非常に多くなりました。憲法紀念日であるとかそういう場合、あるいは納税功労者であるとか、あるいは教育功労者だとか、しかも初めは数は少なかった。だんだんもっと幅を広げてくれというような、これは全国的な傾向だ思います。今、赤松君の出された材料くらいは、これは全国的なのです。これもおそらく社会党の知事や市長が少ないから社会党の諸君はそう見るかもしれぬけれども、社会党の知事や市長さんがやっぱり同じことをやっているので、社会党の知事や市長だけがやっておらぬで、自民党の側だけやっておるというのはおかしい。また他府県がやっていないのに宮城県だけがやっておるというのもおかしい。しかし現職の知事におったり市長におったり村長になっておりますと、これはやむを得ない。それをどうするかという問題はあるかもしれませんけれども、現状としてこんなものは選挙違反なんという問題にすべきではない。おそらく私は赤松君はきょうそういう意思ではなかったけれども、選挙を有利に導く一つの手段にすぎないと思うのです。新聞に大きく出たからどんな宮城県は特殊なことをやっているいと思って、——今あのくらいのことを見ますとちゃんちゃんらおかしい。これくらいのことでなんで国会で問題になるんだ、こういう感じがします。だから自治大臣は、今宮城県は特殊なことをやっている、これは自治大臣の認識を改めてもらいたい。それからふろしきであるとか、ふろしき三百何枚、ふろしきは数が少なかったからふろしきになったんだが、これが数が多かったら手ぬぐいになったと思います。そういう問題を今、赤松君自身も言っておると同時に、県会でも議決をしておる これはことし始まったことではない。こんなこまかいものは予算の項目には書いていない。けれども決算のときは何々に使ったということははっきりしておる。これは従来全部通ってきておる。おそらく今度の選挙でやはり問題を起こしたのだと思う。それですから、議決をして、現在の社会通念からいって手ぬぐいくらいは知事が名前入りで、特殊な何らかのチャンスのないときに出すのはおかしいけれども、ある特殊なチャンスのある場合に、みんなほしがるときに知事が名前入りの手ぬぐいを出すくらいのことは、当然私は検察庁でも自治大臣でも、これは法律の解釈の問題だから、自治大臣の所管と思いますが、私は選挙違反にならないと思う。そこらの観念を今度少し自治大臣、もう少ししっかりした答弁をしてもらわないと、それは選挙民は誤解をする。何だか自治大臣赤松君の言うことをさも理屈のあるように思っておられる答弁をされたということになると、これは選挙民に非常に影響する。それですから、こういう場合にはいいんだという一定の限度というか、一つ考え方をこの際自治大臣からはっきりとこの委員会を通じで一つお知らせを願いたい。
  214. 篠田弘作

    篠田国務大臣 私は宮城県が特別にそういうことをよけいやり過ぎる、そういうことは言っておりません。速記録を読んでいただけばおかります。宮城県には従来学校の落成式、橋の落成式その他において手ぬぐい、ふろしき等を出す習慣がある、こう言っておる。どこでもやっているかどうかということは、あなたは大阪だから大阪もそういうことをやっているんだろうと思いまするが、私は、北海道では、代議士を十五年やっておりますけれども、まだ私は知事の名前の入った手ぬぐいというのはいかなる場合においても一ぺんももらったこともないし、見たこともありません。だからその土地によってそういうことは非常に違うであろうし、また住民の考え方によって知事さんの名前の入った手ぬぐい、市長さんの名前の入った手ぬぐいがほしいというそういう地方もあるだろうし、何もそんな手ぬぐい一本ぐらいの知事の名前を入れてもらったってしょうがないという考えの地方もあるだろう。ただ私は、古川さんがそういうことをおっしゃるということで、それじゃやっぱり大阪も仙台のように——仙台と言っては悪いけれども、宮城県のように、そういうことをやっているんだなということがわかっただけです。私の答弁が何か赤松議員の言うことに賛成したなんということは、速記録を調べてもらったらそんなことは全然ありません。それはなぜか。そういうことを知事の行政事務一つとして選挙違反にならないんだ。だから前の市長さんのときにも問題にはならなかったし、今度の知事のときも問題にならない。ただしかし私は、警察あるいは検察庁として告発があった場合には、これは受けないわけにはいきません。告発を受けてそれを県警に移したからといって、われわれがそれが選挙違反だから移したという意味じゃ絶対にありません。一つの官庁の機構として、検察庁だって、告発を受理したということは、それが選挙違反であるということで受理したのではありません。結局告発があった。その告発の真偽をただすために受理している。われわれの方だって警察に対して、検察庁に対してそういう告発があれば、検察庁としてこれを受理し、それを県警本部に回すということは当然の処置であります。だからして私は先ほどから口をすっぱくして言っておりますように、これは選挙違反であるとか事前連動であるか見ておらない。しかしその判断は私がここで申し上げるより、すでに告発されているから検察庁の結論に待った方がはっきりして一番いいんじゃないか、何か私の答弁不満がありますか。それで私は赤松君の説に賛成したということは、違反になるとならないとにかかわらず、社会党であると自民党であるとにかかわらず、こういうまぎらわしいことをできるだけ公明選挙のためには減らしていった方がいいんじゃないかとおっしゃるから、それは全く同感だと言うのです。これは自治大臣として当然そうでしょう。僕はそういうふうに考えています。あなたがそういうことをおっしゃるならば、僕ははっきり答えますが、やはり人間の生活とか文化とか社会というものは進歩していかなければならない。これは私の基本的な考えだ。きのうがこういう生活をしていたから、今日も明日もまた同じ生活をしなければならぬというんならば、私は社会に進歩はないと考えます。それが何か不道徳であるとか罪であるとか、そういうことにかかわらず、やはり公明選挙費を国民の負担において五億円とってやっておるんだから、そういう場合において、何か知事さんなり市長さんが悪いということではなくて、選挙の公明化という一つの至上命令というか、理想に向かってわれわれが進むためには、やはり当然罪になるとかならぬとか、あるいは法律の一歩手前でとまるとかとまらないとか、そういう長い間の習慣であるからいいじゃないか、それじゃ社会は進歩しないから、そういうわざわざ国民の負担において五億も公明選挙の費用をことしも取っておる、だからそういう方向に行こうじゃないか、これに対してば私は賛成せざるを得ないでしょう。あなたも自治大臣なら賛成せざるを待ないでしょう。
  215. 古川丈吉

    古川分科員 私は自治大臣の今の答弁には不満なんです。というのは、大臣は、何だか手ぬぐいを出すことが好ましくないからなるべくやめた方がいいと言われるけれども、実際記念品なんかほしいという国民感情は、これはそんな逆のけしからぬということは、一がいに私は言えないと思うのですがね。大臣は、何だかそういうことは好ましくない、進歩で、減すというようなお考えのようですが、それは程度を越してやるということはよくないかもしれません。それは同感です。けれども、ある記念にとにかく予算はこれだけしかない。何か残るものがほしいというので、手ぬぐいを出す、これはほんとうですよ。知事さんの名前を入れてもらいたい。印刷も何にもない手ぬぐいの表へ、包み紙だけに知事の名前を印刷しようとしたら、それは印刷できたらして下さい。問に合わぬと言っても、して下さい、こういうのが普通なんです。ですから何も記念品に手ぬぐいを出すことが時代に逆行だということは、私はちょっとそこは大臣とニュアンスが違うんですがね、それはどうでしょうか。
  216. 篠田弘作

    篠田国務大臣 それは私は、橋の完成式、学校の落成式についてそれぞれの責任者というか、それらの知事さんでも市長さんでも名前を入れた手ぬぐいをお出しになるということについて、僕はかれこれ言っておるものじゃありません。それは長い間の慣習もあります。また国民のいろいろな希望もあるでしょう。同じやるなら、国民——国民と言っちゃ少し大き過ぎますけれども、もらう人の希望を入れてやることはいいと思います。しかしそういうことがまぎらわしい場合があるわけなんです。普通は何でもない問題でも、選挙の前になりますと、両方とも気も立つし、また実際において痛くない腹をさぐられるということもあります。これは腹をさぐられることもあるし、さぐることもあるでしょう。これは相関関係でしょうけれども、そういうことはあります。公明選挙という立場からすると、やはりそういうふだんの行為が、党派を問わず、選挙に利用されたという印象を与えない方が私はいいと考えるのです。ですから、かりに現実に習慣的にずっと行なわれていることが行なわれたからといって、どうということじゃありません。けれども、かりに仙台の市長にしましても、宮城県の知事さんにしましても、両方でもって疑う。疑うことがいいか悪いか、これは別問題です。犯罪になるか、ならないかはさっき申し上げた通り。だけれども、お互いに品物とかそういうもので疑ったり疑われたりしないようなそういう選挙をやりたい、こう言っておるだけです。
  217. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 私は、一点だけ関連して質問をしておきたいと思うのです。これは、自治大臣のさっきからの答弁、私は感激いたしました。まことにその通りだと思うのです。ここで法律違反をしておるとか、これが選挙違反とか違反でないとか、そういうことは私は、立法府であるわれわれとしては断定すべきものじゃないと考えておる。また自治大臣としてもこれが違反であるいう断定はしかねると私は思うのです。今日は人権尊重の世の中ですから、すべてが現行犯であって、今警官の目の前で人を殺した、これでもやはり殺人の疑いとして逮捕されているので、日本人の考え方でいけば、私の考えは古いのかもしれませんけれども、断定をしていないのです。断定は、すべてそれぞれ独立した機関にまかされておるのです。従って、私はそういう考え方に立って、従来から立法府に属するわれわれとしては断定すべきものじゃない。また、それぞれこの断定を下すために、あるいはそれに違反行為があるのではないかという疑いで捜査して、それを裁判所へ送られるのでありまするから、従って、ここで検察庁がどう起こしても、これが違反であるという断定はできないというふうに私は考えます。ですから、そういうものではなくて、今自治大臣のおっしゃることは正当だと私は思います。  ところで、これは自治省としてそれに至るまでの行政指導といたしましては、たまたま宮城県のことが出たのでありまするけれども、あるいは仙台市のことが出たのでありますが、選挙前になりますと、繰り上げて、たとえば庁舎の落成であるとか水道の落成式であるとか、道路はまだ完成しておらぬのに、ほぼ完成したら、あわてふためいて完成式をやるとかして、多数の人を集めて、多額の公費を支出しております。私も、選挙はたびたびやっておりまするから、選挙をやる者の心理はわかります。しかし、一片の良心があれば、その出したことが法律に反するとか反しないとか、そんなことは論ずべきでないということは、私は最初に申し上げた通り。しかし、われわれはつめに火をともしてでも納めなければならない税金の督促を受けた場合には、差し押えをされても、納めるものは納めなければならぬ。そのようなとうとい金を預かって行政をしているにもかかわらず、そういうようなむだをやるということは、これは厳重に、事のいかんを問わず行政指導をやってもらいたい。それがどの党派に属しているということのいかんを問わず、断固として私は取り締まってもらいたい。法律に瀧反しているか、選挙法に違反しているか、そんなちっぼけな問題じゃない。納税者の身になってもらいたいと私は思う。それで一言自治大臣から今後の指導方針について、非常に勇断なる大臣でありますから、一つ勇断なる御答弁を願い、今後からは勇断なる指導をしてもらいたいと私は思うのですが、いかがでありますか。
  218. 篠田弘作

    篠田国務大臣 取り締まりをするということは、これは犯罪でなければ、もちろん警察庁も検察庁としてもできないと思う。犯罪の疑いがあるということによって、初めて取り締まりをするのであります。しかし、公明選挙の指導は常時しなければいけない。  そこで今お話にありました、たとえば橋の落成式をやるとすると、かりに十日後に投票日を迎える。知事でも市長さんでもけっこうですけれども、今、橋の落成式をして人を集める、祝賀会もやるだろう、手ぬぐいも記念品に配るであろう。そういう選挙があることがわかっているときには、僕は——僕の考えが少し偏狭であるかもしれませんけれども、僕が知事か市長であれば、実際橋を落成して通行さしたとしても、祝賀会は選挙後に延ばそうじゃないか。そうしなければ、選挙に祝賀会を便乗さして、選挙の事前運動をやったというような形になっては、これはお互いに代表としてはおもしろくないじゃないか。もっときれいな選挙をやるためには、橋をかりに渡らしても、祝賀会というものは選挙後に延ばそうというくらいの配慮が、与野党を問わず、また知事、市長を問わず、なされるようになれば、私は公明選挙は非常にうまくいくのじゃないか、こういうふうに考えます。
  219. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 どうも選挙の問題から始まったのでありますが、私は、それとは離れて平常のことを言っておるんです。少なくとも最近は庁舎の落成でありますとか、水道の通水でありますとか、あるいは文化会館ができたとか、橋ができたとか、ささいなことに何千人という人を集めて、大々的な祝賀式をやっているんです。名前は申しませんけれども、私の選挙区においてたびたびあります。私はこれは憤慨しているんです。その経費はみんな、さっきから申しますように何もない、いわゆるつめに火をともす思いで納めたという税金なんですよ。その税金をそんなことに使うのならば、私はもう少し——社会党におるから社会福祉に使えとばかり言うのではございません。少なくともそれによってどぶの一つもしてやればよいと私は思うのです。私は、こういうことがありました。ある市の市会議員が請願書を持って参りました。私は、この請願書は取り次いでおりません。そのかわりに、大臣にでも請願書を持って行ってお願いをしておるものは、必ずこれは今政府がやっているんだという範囲内で実現をするもの以外は、お断わりをいたしておるのです。私は、そのくらい一種のへんくつなんです。その市から出てきた者は、私に持ってきましたから、私は、これは採択されたとしてもあまりにも実現性の乏しいものですから、従って、これはわざわざあなたの市の貴重な公費を使ってお越しにならなくとも、書面で送って下さればそれでけっこうです。以後、これは実現性が乏しいから、だからこれは与党の方に請願をされても実現は不可能ですから、そう伝えて下さいと私は言って、その請願書を持って帰ってもらった。一週間したらまた人がかわって、同じ請願書を持ってくる、その次にも同じ請願書を持ってくる。そうして何ぞや、私の前でこういうことを言っている。それじゃ請願書は先生のところに置いておきますから、そうしてそのあとで、私の目の前で、事もあろうに、やれ帰りがけはどうしようか、日光や鬼怒川じゃおもしろくないからどこぞへ行こうか、遊びのプランばかりをやっているじゃないですか。私は、政治の恥をさらすのではないけれども、今日、こういうことは、私は国民全部にかわって、もちろん同僚の諸君のみんなもそうだ、同僚の一人としても、私は残念でならぬのだ。こういうことに対しては、私はファッショになれというのではない。誤ったことをやっている者に対して、勇断をもってそれを善導するということは、当然な話だと私は思っておる。自治大臣は、今あなたは非常に勇気のある答弁をなさったと私は思っているのです。今後こういうような行き過ぎた祝賀会や行き過ぎた行事に対しては、私はもっと、それが習慣だのなんだのといったところで、そうした悪いことをやるならばそれを改めるということは、私は時勢の進歩だと思っているのです。悪いことを改めずして、これを慣習だからといってすべてを見のがしているというようなことは、政治を堕落させるもとである、政治の不信を買うもとであると私は考えておる。民主政治を守るのは、何も自民党さんが天下をとっているから民主政治ではない、社会党が天下をとっているから民主政治じゃないのです。私は、もっと責任のある態度を進めて、この立法府に携わる者、行政府に携わる者すべてが範を示せば、それで私は国というものは最も民主的になると思うのです。大臣、あなたの仕事というのは、これは大へんむずかしいことだと私は思います。むずかしいとであると思いますけれども、少なくとも政治の信を国民に得させ、民主政治を発展させるためには、勇気を持ってこういった行為に対しては指導をしてもらいたい、それが私は行政に携わる大臣の責任だと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  220. 篠田弘作

    篠田国務大臣 御説の通り、国民の血税である税金の使途について細心なる注意を払い、いやしくもむだをしない、また不必要なことをしないということは粛然であります。それから請願等につきましても、書面で送れるものは送ればいいのであって、そういう意味であなたと同じ、ような方法を私はとっております。  そこで最近の実例といたしましては、北海道から毎年々々非常に陳情者が多いわけです。そこで去年の予算編成期の前に、北海道開発長官である川島さんが、各関係の、私の方からいえば財政局長とかそういうものがついて行きまして、そうして札幌に陳情者を集めて二日間、全道の陳情を聞きました。そのかわりここで陳情を聞く以上は、君たちは何ぼ東京に押しかけてきても面会はしないぞというくぎをさしました。同時に私の方も、そういう役所の責任者が行き開発長官まで行って二日間北海道で陳情を聞いたのでありますから、君たち僕のところに来ても会わないぞということで、北海道の陳情は二日間でまとめまして、そして陳情者が来ても会わないという宣言をしております。でありますから、あなたのおっしゃるように、一つの請願について三回も四回も来るということは、これは行き過ぎであろうと思いますが、しかし、国民は請願をする権利を持っています。それで代表者であるわれわれは、もちろんこれを判断するということは委員会において必要でありますけれども、請願されたものは委員会に取り次ぐだけのまた義務があろう、こういうふうに思う。それであまりくだらない請願は注意なさることもけっこうです。しかし、私は議員として今日まで請願は受け取り、そしてもし議長に申達できないようなものは本人に返しますが、そうでないものは全部やっておる。それであまりの陳情、いわゆる国民の税を使った陳情というものは、私も歓迎しておりません。その第一歩が今申し上げた北海道の陳情を聞く会、これを各府県において、だれか代表的な立場にある人が各府県で聞いてくれば、よほど少なくなるのではないか。そのかわりそういうふうにした以上は、隠れてやってきても会わないという一つの鉄則を守らなければ、北海道へ行って、聞いてまた来たやつに会うというのは、うまくないと思います。できるだけ今後そういう方向にいくのではないか、こういうように考えております。
  221. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 意外に時間をとって恐縮でございました。私は、今大臣がおっしゃるように請願を弧からはねるわけではないのです。国民には請願権という権利を持って来ているのですから……。しかし、それが責任を持って、ほんとうにまじめにやってくるものならよろしいけれども、まるっきりそれに便乗して、物見遊山でやってくるような者に対しては、私は今申し上げたようにきびしい態度でおるのです。政治を浄化するしないということは、たとえばたくさん知っております。先ほどの問題は公費の問題でありますから、確かに私は公費のむだづかいだと思う。ああいうことは法のいかんにかかわらず、良心的にこれは自粛するように言ってもらいたい思うのです。ずいぶんいろいろなことがあります。私の子供が中学校に入りましたときも電報をいただいたり、丁重ないろいろなはがきをちょうだいいたしました。ちっとも感激はいたしておりません。こういうことはお互いにやはり自粛すべきものだと私は思うのです。そういうことをするかわりに、国会において懸命に国民の戸を聞いて、それもできぬこともあればできることもあります。だが、そのできる範囲内において国民の声を実現に移すように懸命の努力を払って、まじめにこの国会へ仕えるということが、私は政治家の政治家たるゆえんだと思っている。ですからこれは自治大臣に言うてもしようがない話でありますけれども、そういう気持で政治の姿勢を正すと同時に、政治に対する国民の信頼、信用を高めるということでなかったら、ほんとうにこの国会政治、民主政治というものは、どこの国のようなことになって滅ぼされる。戦前の議会のようになっては私は大へんだと思う。お互いにとれは一つ自粛するように、自治大臣も御指導をよろしくお願いしたいと思います。
  222. 篠田弘作

    篠田国務大臣 御趣旨まことにごもっともであります。そのために国会におきましても、虚礼廃止ということを申し合わせておるわけです。私は、当選以来十四年間ただの一度も選挙区に年賀状、暑中見舞一枚出したことがありません。私は、そういう意味において、自分でいばるわけではありませんが、身をもって実践をしております。だから、自治省大臣としてはそういう指導をする値打といいますか、資格はあると思うのです。十分やりま
  223. 羽田武嗣郎

  224. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 文部省の初中局長おられますね。——昨日予算委員会分科会におきまして、義務制の諸学校の教職員の給与費に関する基準財政需要額の算定についてお伺いをいたしたわけでございますが、その際の答弁では、標準法の規定というものはもちろんあるわけでありますが、たとえば今年度の教職員定数の算定に使っているところのたとえば特殊学級の増、これについては標準法による学級数の定め方ではなくて、いわゆる実学級数によって基準財政需要額の算定をするのだ、私が聞きましたら、かりに一学級の編成を四十五、四十八にしようと、これは実学級で処理するのだから一切問題はない。それから、さらに標準法の政令によるところの一学級が五十五名、二学級五十三名のいわゆる政令一条の問題についても、この場合については密度補正を完全にやるから、そのような僻地校をかかえておる都道府県に対して財政上影響を与えるというようなことはないのだ、こういうふうな御答弁をされたおけであります。本日自治大臣並びに自治省財政当局にお尋ねをいたしますと、それとは違うと言うのです。しかも、自治省文部省との間には、この基準財政需要額の算定については十分打ち合わせをやっておる、こういう話であります。両省が全く違った見解を持っているということは一体どういうわけですか。私は、文部省の言われるような算定をとられることが好ましいと思っております。どうか文部省は国民の代表たる国会の分科会においてそのような答弁をされたわけでありますから、その方針を自治省をして一つ実施していただくように、最大限の努力をいただきたいと思うのですが、そういう努力をしていただけますか。
  225. 福田繁

    ○福田政府委員 ただいまお述べになりましたように、一昨日の分科会におきまして、定数の問題について私お答え申し上げました中に、多少勘違いして申し上げた点もあるかと思いますが、従来この三十七年度の算定方法等につきましては、毎年五月一日現在の実学級数を基準にしてやっておったことは事実でございます。ただ国が標準としてきめております学級数を、一学級の児童生徒の定数を下回ってきめております県につきましては、これは現在の規定によりましていわゆる密度補正を加えまして、この分につきましては理論的な計算をして学級数を算定いたしまして、それらを合わせまして、この標準法の学級の算定にいたしたわけでございます。ところで、今御指摘のように三十八年度の算定の方法につきましては、私も三十七年度と同じような補正その他のやり方、あるいはまた従来の五月一日現在で実学級を押えていくかというやり方について、そういう方法を期待しておったわけでございますが、その点について多少私は勘違いいたしておりましたのをあとで聞いたのでございますが、山口委員の御発言等もございまして、自治省の方でいろいろ検討された結果、従来から密度補正については、これは適当でないという御意見もございました。従って、その密度補正等はいろいろ問題があったところでございますので、検討の結果密度補正は三十八年度においては取りやめる、そのかわり、標準法は学級編成の基準について、三十八年度は完全実施ということを目ざしておるわけでございますので、完全実施ということになりますと、このかわりに学級数は理論学級数でもって計算したもので算定をする、こういうようになったのでございます。その間の事情は私よく存じませんので、多少勘違いをいたしまして、三十八年度のことにも触れたように記憶いたしております。その分は訂正をいたしますが、三十八年度の算定の方式としては、今申し上げましたように標準法に定める基準に従いまして、それを完全実施するという建前から、理論学級数でこれを計算するという方式に、三十七年度と比較いたしますと変わっておるわけでございます。
  226. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 今のような御答弁は困りますよ。学級数の算定の仕方は実学級をとるか理論学級をとるか、この二つしかないのでしょう。勘違いをしたなんて言われますけれども、これは重大な問題ですよ。理論学級か実学級かという二つの方式しかないのですからね。実学級だと言われて、それが今度は勘違いです。理論学級です——百八十度の転換じゃないですか。一体何を答弁されたのです。それで私聞きましたけれども、あのとき大臣もあなたも実学級でいくのだから、九十三万人の生徒児童数の減によっても首切りはないんだ、こう言われたでしょう。そうすると今度は首切りがあるということなんですか。
  227. 福田繁

    ○福田政府委員 私は、その首切りの問題はまた別個の問題であろうと思います。財政計画として、今申し上げましたように、三十八年度は三十七年と若干算出の方法を変えまして——そういう点を申し上げたわけでございます。実際の首切りの問題は、私は起きないだろうと考えております。
  228. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 しかし、大臣がそう答えた、あなたもそう言った。その根拠はと言ったら、結局実学級だからこうなんだ、こう答えたでしょう。根拠がくずれたら、もとの方もくずれていくじゃないですか。
  229. 福田繁

    ○福田政府委員 私は、そう考えておりません。これは、各府県について実学級と理論学級というものを厳密に当たってみなければわかりませんけれども、私どもの従来の算定方式をとりましても、もちろんでございますが、三十八年度の算定方式を用いましても、定数としては、私は具体的にそういう首切りが起こるというような事態にはならないと考えております。
  230. 羽田武嗣郎

    羽田主査 ちょっと御注意しますが、時間がないですから、さっきも一たん切れたのですから……。
  231. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 これで終わります。文部省は、算定の根拠は言い違いで間違ったけれども、現実には都道府県でそういう首切りというような事態は起きぬと思う、こういうわけですね。一つそういう信念で、その目的が達せられるようにして下さい。  それから最後に一つだけ聞いておきますが、基準財政需要額で特殊学級は九百九十七人でしたか、増というような計画ですね。これは自治省の出しておる地方財政計画に載っている数字ですね。これは理論学級という計算の方式を使っても、その増は完全に基準財政需要額に見込まれますか。
  232. 松島五郎

    ○松島説明員 現在の標準法におきましても、特殊学級を設けました場合は、標準が十五人増としかなっていないのであります。従いまして、その範囲内において設けられた特殊学級に基づいて計算ができるようにいたしたいと考えております。
  233. 羽田武嗣郎

    羽田主査 本日の質疑はこの程度にとどめます。次会は明二十三日午前十時より開会し、自治省所管に対する質疑を続行することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十一分散会