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1963-02-21 第43回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十一日(木曜日)     午前十時二十分開議  出席分科員    主査 羽田武嗣郎君       赤澤 正道君    尾関 義一君       田澤 吉郎君    山本 猛夫君       赤松  勇君    勝澤 芳雄君       田口 誠治君    楯 兼次郎君       肥田 次郎君    山口丈太郎君    兼務 川俣 清音君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         建設政務次官  松澤 雄藏君         建 設 技 官         (都市局長)  谷藤 正三君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建設事務官         (道路局長)  平井  學君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   高柳 忠夫君     ――――――――――――― 二月二十一日  分科員菅野和太郎君、小松幹君及び渡辺惣蔵君  委員辞任につき、その補欠として山本猛夫君、  肥田次郎君及び田口誠治君が委員長指名で分  科員に選任された。 同日  分科員田口誠治君及び肥田次郎委員辞任につ  き、その補欠として渡辺惣蔵君及び勝澤芳雄君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員勝澤芳雄委員辞任につき、その補欠と  して赤松勇君が委員長指名分科員に選任さ  れた。 同日  分科員赤松勇委員辞任につき、その補欠とし  て小松幹君が委員長指名分科員に選任され  た。 同日  第三分科員川俣清音君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十八年度一般会計予算建設省所管  昭和三十八年度特別会計予算建設省所管      ――――◇―――――
  2. 羽田武嗣郎

    羽田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和三十八年度一般会計予算及び昭 和三十八年度特別会計予算中、建設省所管を議題といたします。  これより前会に引き続き質疑を行ないますが、本日も質疑者が相当多数になる見込みでありますので、先般山口丈太郎分科員と協議決定いたしましたお一人持ち時間三十分以内を厳守されますよう、分科員各位の特段の御協力をあらかじめお願い申し上げる次第であります。  それでは山口丈太郎君。
  3. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 政務次官一つお伺いをいたしますが、ことしの道路関係経費につきましては、例年にない予算を組まれておると思います。その努力に対しましては非常に感謝いたすのでありますが、私は根本的な考え方について一つただしておきたいのです。  御承知通り、本年度の道路経費に充てられるべき揮発油税は千九百二億五千九百万円の税収、こういうようになっておるわけであります。道路費総額、これは失対は別にいたしまして、純建設省に計上されておる経費は二千二百五十億九千四百万円、こういうのであります。こういたしますと、揮発油税目的税として創設されましたときに、私どもはもしそれを目的税にすると、大蔵省は得たり賢しと揮発油税のみにたよって、一般会計からの道路費支出経費はきわめて削減されて、道路行政が困難になる、かえって逆効果になるのではないか、従って、これは目的税にすべきではないという議論をいたしておったのであります。年々見てみますと、一般会計からの支出は減って参りまして、今年はだいぶ復活されたようでありますのでその努力は私多とするのですけれども、基本的な考えとして、あのときの約束では、揮発油税にほぼ相当する額のものを一般財源から支出をして、それと合わせ道路経費に充てるのだ、こういうことが約束されていたと思うのです。しかるにそれが実行されない。ここに建設省が非常に苦労しながら、たびたび道路の五カ年計画もしくは新五カ年計画を立てられましても、今までその道路行政が進捗しない大きな理由がひそんでおると思うのです。私は建設省のことしの努力は大いに認めるわけでありますが、道路経費のあり方として、今後この揮発油税が創設された当時の状態に戻すのが私は正しいのではないかと思うのですが、非常に基本的な考え方について一つ御説明願いたいと思います。
  4. 松澤雄藏

    松澤政府委員 お尋ねの点は、私たちも従来とも同じような気持で実は考えて参っております。御承知のように、国の財源並びに予算範囲というものはある一定限度に限られております。従ってまた御承知のように、二兆一千億のワクというものの見当も考えて、昨年は今のお話のように百五十数億という程度にすぎなかったのですが、ことしは一般財源からは三百六十億、それに剰余金等を入れまして約三百八十億に近い三百七十数億という部面まで至っております。  しかし、将来ともこれで間に合うかというふうな点になりますと、大臣もすでにお話し申し上げておりますように、二兆一千億のワクでは将来の道路計画それ自体がいろいろな点で間に合わないだろう、よって三十九年度からは、ある程度変更をしなければならぬじゃないかというふうなことも言われております。従って、そういうふうな段階に至ると、またおのずから考え方を別にしていかなくちゃならぬじゃないか。しかし、現段階における二兆一千億のワクであるとすれば、今申し上げたところの予算範囲内でもって遂行していける、こういうわけで話し合って、今日の予算の審議を願っているという現況でございます。
  5. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 主計官が見えましたから大蔵省の見解についてお聞かせ願いたいのですが、今建設省から御答弁があったわけでありますけれども揮発油税の問題であります。これは大蔵省は、当初これを道路のための目的税に使うということに対してはあまり乗り気でなかった。従って、これは議員立法によってなされたものですから、議会にも責任があるのです。けれども、そのときの約束として、私どもの了解しているのは、決して揮発油税のみに道路改修費はたよりません、必ずそれに見合う財源一般会計からも補てんいたしまして、道路重要性を認めてこの計画を促進するようにする、こういう約束だった。ところが年々見てみると、だんだん一般会計の比重は減ってきておる。ことしはだいぶ復活されたようでありますけれども、しかし、道路といえば揮発油税におんぶしている形になっている。これはだんだんと道路経費がかさむに従って、揮発油税増徴を行なわざるを得なくなる。累次にわたって揮発油税増徴されておることは御承知通りです。そうなると、これは一方においては運賃にはね返ることはもちろんであります。もし運賃にこれをしわ寄せしなかったならば――これは今日国鉄を初めみんな全部がやはり私企業と同一の形態をとっている。公益公共企業としての形態はなしていない。大蔵省は強硬に国鉄に対してもあるいはまた都市交通公共企業に対しても、その産業の部門々々に応じて独立採算制を強要しておる。そうすると、勢いこれはだれがその補てんをやるかといえば、みんな運賃など大衆の方に転嫁せざるを得なくなる。大蔵省は一体道路経費についてどういう考えで臨んでおられるのか、一つ将来の展望についても明らかにしておいてもらいたい。
  6. 高柳忠夫

    高柳説明員 最初におわび申し上げますが、ちょっと他の分科会に呼ばれておりましておくれて参りました。失礼いたしました。  局長答弁すべきような大きな問題でございますが、ちょっと所用のため、私たちが所管しておる分野でお答え申し上げなければならないかと思います。御了承願いたいと思います。  道路の五カ年計画の問題につきましては、昨日来建設大臣並びに建設省の当局から、三十九年度以降現行道路計画に再検討を加えたいというふうなお話がございました。まだ正式にどういう具体的な案でどういうふうにするかということは、大蔵省としても承知しておらないわけでございますが、現在の交通事情その他から、いろいろの面で再検討を加える必要があるという点においては、私たちもそういう認識にそう大きな隔たりはないと思います。その際に、その事業規模に対処するための財源措置がどうあるべきかという点が最も問題として論議されるようなことになろうかと思います。現行五カ年計画は、御承知のように、一般公共につきましてはガソリン税一般財源有料道路につきましては道路債券並びに政府資金及び税金の出資でまかなっておるわけであります。従いまして将来の道路計画の中に公共道路をどういうふうに伸ばすか、有料道路をどういうふうに伸ばしていくか、または地方道路地方財源でどういうふうにまかなっていくかというその展望いかんによっては、財源措置についてもいろいろの姿が予想されるのではないかと思うのでございます。御質問一般公共につきまして、ガソリン税にたより過ぎて一般財源投入が少ないのではないかというふうな御批判でございますが、一応現行の五カ年計画では、ガソリン税の引き上げに伴う五カ年間の収入見込みを立てまして、それに見合うところの一般財源約八百七十億というものを五カ年間で投入することに一応計画としてはなっておるわけでございますが、三カ年間やってみまして、ガソリン税伸び等もからみ合いまして、ここ三年間に一般財源投入が百五十、三百六十と、税金分野における公共道路に対する財源投入は非常なウエ-トと申しますか、増額をしておる次第でございます。御審議願っております三十八年度予算は、いろいろと緊急な措置もございますので、昨年度一般財源百五十に対しまして三百六十と、二百十億の画期的な増額をいたした次第でございます。  また有料道路につきましては、やはり同じ道路体系一環でございますが、道路債券発行額増加並びに世銀、産投、外債からの借り入れ等も考慮いたしまして、その伸展に財源的な面からも配慮している次第でございます。
  7. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 私が納得できない点は、二兆一千億に対して八百七十億の一般財源投入するのだとおっしゃる。ことしは三百六十億、画期的だとおっしゃるが、どこが画期的なものか私にはわからないのです。千九百億――約二千億にも及ぶ揮発油税を取っておいて、それらのせめて半分の一千億くらいのものは出すのが当然じゃありませんか。それを出しぶるから、今道路公団とかなんとか、建設省が工面をして、そうして有料道路をつくって通行税を取っておる。ガソリン税の上にまだ通行税まで取られて、これじゃ交通機関はたまったものじゃないですよ。この道路公団にしても住宅公団にしても、すべてこういうような公共性のある公団をつくってまでやらなければならぬというので、建設省はのたうっておるわけです。大蔵省足かせ手かせに身をのたうっておる姿だ、私はこう見ている。この公団道路資金が回収されたら無償で国に渡すのだということになっておるが、こういうことでは公団の職員になる者は将来どうなるか。将来首切り反対解雇反対事業縮小反対だという声が起こるに違いない。まるきり平地に波乱を起こすような計画ばかりになる。これは何かというと、今申したようにとにかく今日重点的に何が必要かということについて、はっきりした目標が立っていない、そして総花的にすべてのものをやろうとする、こういうことであっては、こういうものが続々と生まれてくるのは当然だと私は思う。これは建設省だけ責めてもしようがない話ですが、政治の姿として将来これはどういうように整理をするつもりなのか。これは首班である首相に聞くほかはない。部分的にこんなものを責めてもしようがない。しかし大蔵省としては、そういうようなものにまた便乗して、そしてわれ楽せりというような甘い考え方を持ってもらっちゃ困る。大蔵省はまた揮発油税のみならず、軽油に対してもあるいは重油消費に対しても、さらに税金を賦課しようとするような傾向かあるやに私は聞いておる。大蔵大臣に来てもらったら、大臣をとっちめてやろうと思ったが、大蔵省はどういう考えなのか、事務的にその考えだけ明らかにしてもらいたい。私はそれをもとにして、そういうようなわからぬことをやるなら、これは与野党ともに一致して、わからぬ点はたださなければならぬ。一つその内容をつまびらかにしていただきたい。
  8. 高柳忠夫

    高柳説明員 道路を今後も拡張充実していかなければならないということについては、大蔵省も当然そのように考えております。その伸ばしていく行き方について、もちろんお話のように特定目的税金でなしに、一般法人税なり勤労所得税なり物品税なりという、税金で十分まかなっていけるものならばそれに越したことはないと思いますが、現在のわが国の税収入並びにその税収入予算配分におきましては、いろいろな需要があるわけであります。その需要をまかなって、そのうちで道路の方面に配分をし得る一般税金財源というものにおのずから限度があるわけでございます。道路だけつくるわけにも参りませんし、その他教育費等にも相当多額の金がかかるわけであります。そういたしますと、道路を充実していくために、その財源をどのように調達すべきかということが、現五カ年計画においてもいろいろ議論されまして、ガソリン税増徴、並びに道路債券等発行、そして一般財源で出せる範囲はどこまでか、それが多いか少ないかという議論は、また新しい計画の際にはあらためて御検討願わなければならないと思いますが、大蔵省といたしまして道路を拡充、充実していくのに、すべて税金一般財源でのみまかなうのが妥当だとは考えておりませんし、それはまた無理だと思っております。
  9. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 それではもう一ぺんお尋ねしますけれども軽油税あるいは重油消費などについてはどういうお考えですか。
  10. 高柳忠夫

    高柳説明員 重油につきましては私担当外でございますが、今回の石炭対策一環としてそういう議論があったように承知いたしますが、これは今のところ道路財源として重油消費税というふうな議論は寡聞にして聞いておりません。軽油取引税については、これは御承知のような地方道路負担に対する財源措置地方財源でございます。一定道路計画に従って国が負担する分と地方負担する分に対しまして、ガソリン譲与税軽油引取税、それから一般交付税、こういうふうな財源措置地方にも分与しているわけでございます。今の軽油引取税がどうかという御質問の趣旨が、若干わかりにくいのでございますが、今のところ軽油引取税現行五カ年計画地方道路負担分の一部に充てられておると思います。
  11. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 建設省に聞いたらいいかどうかわからぬが、ことしの道路譲与税総額はどのくらいになるのですか。
  12. 平井學

    平井(學)政府委員 お答えいたします。地方道路譲与税総額は、三十七年度が二百九十九億、三十八年度の見込みが三百四十四億、それぞれ計上してございます。これはガソリン税地方分でございます。
  13. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 この三百四十四億というのは、ガソリン税からの譲与分ですか。そうすると、今大蔵省からいわれた軽油引取税ですか、これは何ぼになるんですか。
  14. 高柳忠夫

    高柳説明員 軽油引取税地方税でございまして、地方団体がそれぞれその団体の地域において徴収しておる税金でございます。その額は三十七年度で三百十億、三十八年度で三百五十八億を見ております。
  15. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 そうすると、これは建設省としては、地方自治団体に対してあまり指示もできぬだろうと思うのですが、しかし今日地方道は、富裕都道府県貧弱県とでは非常に差があるわけです。それは主として道路財源に充てるべき税金対象が非常に片寄っておる結果だと思うのです。地方ではこれを何とか均等化してほしい。たとえば東京都とか横浜とかいうところではどんどん売れている。ところがその中間は荒らされるだけで、通過するだけで、税収対象の販売にならぬ、こういうことです。こわされるところは通過するところであって、こわされないところのいわゆる入県地税収が偏在する、これを何とか是正する方法はないかということでございますけれども、これはどうなんですか、考えはありませんか。
  16. 高柳忠夫

    高柳説明員 その問題は確かに御指摘のような面がございます。ただ、それは道路財源配分の仕方が、一応道路面積、延長というふうな基準譲与税配分される。それから軽油引取税は、今お話ししたように、その引き取り個所の多寡によって税収が左右される。こういうふうな面もありますが、そのでこぼこをある意味で調整するという意味合いにおきまして、地方交付税交付金制度がございます。その中にいろいろの財政需要を見積もっておる。その財政需要を見積もる場合に、今のような特定財源がある団体には交付金を少く減らし、需要が大きくて、今のような特定財源の少ないところには交付金を多めに渡す、こういう調整作用は一応営んでいるわけであります。営んでいるわけでありますが、それで完全にいっているかと申しますと、御承知通り交付税交付金というものは、いろいろな財政需要を一括して、計算はいろいろ需要についても計算いたしますので、最後には全体を一括して渡されるものでありますから、特定道路財源にのみその金が使われるというわけには必ずしもなっていないというのが現状でございます。従いまして、私、前に地方財政仕事をいたしておりましたが、府県道路費を見ますと、これは府県によってかなり違います。違うのは、そういう財源があるないという問題も一つございますが、同時に、その団体道路に対する熱意と申しますか、政策と申しますか、そういった面もだいぶ作用しているように見受けられるわけであります。
  17. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 この特別交付税交付金は前の平衡交付金ですか。ところが主として災害時などの緊急支出の用にも供するんだという答弁予算委員会で私の質問に対してあったわけであります。そういたしますと、わずかな金を平衡交付金にも使う、あるいは災害にも使うということでは、さっぱり使途が一定しない、安定した計画地方で立てられないのじゃないですか。
  18. 高柳忠夫

    高柳説明員 交付金は年々ふえて参りまして、国税の主税の二九・四%、約三割が地方交付金にいくわけです。三十七年度で大体四千七百億くらいの金が地方交付金として入っているわけであります。決して少ない金ではございません。  それから今お話のありました災害交付金が使われるのは、これは特別交付税交付金と申しまして、その中り約六%でございます。六%の中で災害の臨時的な支出に充てる金が回せる。これが約三億。従いまして、災害の方に回すから、道路の方に回らないというようなことは一応ない。災害は非常に高率な国庫補助でございます。災害がありましても、多くは九割まで国が負担しております。従って地方負担は比較的少ないのであります。従って、四千七百億のうち道路費へ相当の部分が回るということが一応考えられるわけであります。
  19. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 わかりました。  そこで大臣が見えましたから、お伺いします。大臣のツルの一声で第二阪神国道ができまして、大臣と一緒に私もその祝賀会に出たのでありますが、大臣の思い切った祝辞の中の言葉に非常に敬服いたしました。あのときの言葉のしりをとらえるのでなく言うのですけれども大臣は、協力をされるところについては進んで工事を促進してやるが、非協力なところはあと回しだ。仰せの通りだと思うのです。けれども協力はするにしても、実は道路用地補償費とかなんとかで、道路は広げてもらいたい、その基本的なものには協力するけれども土地買収価格地方道は非常に低いんです。低いために、時価で買えなんて、そんなこともいかぬと思うのです。もう少し、国道にいたしましても、実情に即した協力ができ得るような買収価格を設定する必要があるのじゃないか、そうなると、経費が膨大化してくるので、無制限にはいきません。私もそう思うのです。ある人には無料で寄附してもらったりしてでも、道路拡幅には協力しようと私も言っておるわけですけれども、そういう人もありますけれども、かえってそういう人がつるし上げにあう。こういったような状態なんです。この買収費あるいは補償費については、何らかの基準といいますか、地区別基準でも設けるとか、そういうようなことをすべきじゃないかと思いますけれども、これはいかかでしょう。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 実は私は自分で実際にあたってみて、自分郷里等買収予定価格を見まして、安いと思っておりません。ただ道路ができるから上がってしまうのであって、現在予定しておるときには、その程度予定価格で間違いない。ところがいよいよできるということになって測量を始めた、いよいよ買収にかかったというと、上がってしまうんです。そこで買収価格は安いじゃないか、こういうことになるわけでございます。従ってどこに標準を置いていいかということになりますと、今お話しの通り時価で買うというようになっておりますが、その時価を今のように、今日の時価、あしたの時価ということになりますものですから、ごてる人が得になって、初めに売った人がいつでも損するというようなことになると、実際の行政をやるものとしては非常に難渋をきわめるところであります。そこで私は、できるならば地元の市町村の町長なり村長さんの御協力を得て、協力会というようなものをつくっていただきたい。そうしないと敷地に該当する人は実際に非常に御迷惑と思います。道路ができれば現実地所価格が上がるのですから、買収に当たらなかった人は非常に得をするし、当たった人は損をする。強制的ではありませんけれども買収されてしまうということになって、敷地該当者犠牲において周囲の人が非常に利便を受けるということになることは間違いないのですから、諸般の点を考えまして、かつては受益者負担ということをやった時代もあると私は心得ますが、今そういうところまでやっておらぬのですから、それと遠からざる組合とか協力会とかいうようなものを地元でつくっていただいて、そしてこのバランスをとっていただくようになりますと、非常にその辺都合がいいんじゃないか、こう思うのです。そういう意味で私は地元自治体指導者の格別な御協力をお願いする、こういうことを申しておるのであって、そこまでしてバランスのとれるようなことにして協力していただきますと、私どもも非常に仕事がしやすい。現に予算として組んでおるものは、全国各地にあたってごらんになればおわかりの通り、決して安い予算を組んでいないわけであります。
  21. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 そこで私は一つ大臣に提案をして検討願いたいと思うのです。たとえばこの道路にかかると、それで土地を失なう、しかし全然かからぬところの人は、その道路ができるために地価がたちまち上がる。そうするとこれはかかるものはまるっきり犠牲になる。こういうことになりますから、従って道路に該当する土地だけを買収するのじゃなくて、少しかえ地の部分買収しておいて、そうしてそのあまり大きな、所有面積の何割かが道路に当たる、そうすればそのうちの何割かを買収しておった土地と交換してあげて、そしてその土地の値段が上がる、ともに受益できる、こういうような方法でもとって、なるたけ犠牲を少なくしてあげることにすれば、私はもう少し土地買収をスムーズにできるのじゃないかと思うのです。こういう点について一つ御一考を願いたい、こう思うのです。  それからもう一つ恐縮ですが、車両制限令が警視庁から出されまして、狭隘な、いわゆる五メートル五十以下の市街地の道路については、バスなどの運行をやめて、路線変更もしくは休止をさせる、こういう制限令が出ているわけですけれども、この中には一つののがれ道があります。ありますけれども、しかし実際にはひんぱんな道路でも拡幅ができない。その基準に合わない。そのために地方長官が交通ひんぱんでないというような答申をすれば、のがれることになっていますけれども、実質的にはそれは実情に沿わないことなんです。といって、これを厳密にやられますと、バス路線休止変更を余儀なくされる。休止したところではたちまち足を奪われることになりますし、変更して広い道路へ出るということになりますと、ますます交通の混雑を助長することになる、こういう矛盾があるわけですけれども、これは一体どう処理されるつもりですか、お聞かせ願いたいのです。
  22. 河野一郎

    河野国務大臣 三十八年度におきまして約二十一億円予算を計上いたしまして、拡幅、カーブの切り取り等を極力実施いたしまして、これとあわせて明年七月までを暫定猶予期間としておりますから、七月になりましたならば、バス、トラックなどの通行路線変更等を実行して、そうして妥当な処置をとれるようにいたしたい、こう考えて鋭意努力をいたしたい、こう考えております。
  23. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 あとの人もあるようですから、私はこれでおきますが、一つこの制限令の実施については、十分にその実情を考慮してもらいたいと思うのです。ただ道路基準だけだったら、これは小型にせよといいましても、現在大型ですら超満員のものを小型にしてはとてもますますもって事両数が今度はどんどんふえてきます。そうなると、交通緩和または事故防止にならぬ。むしろ回数を少なくして、大きい方が交通の緩和ということになるわけですね。ですから、これは非常に困るということです。それから地方道につきましては一つ格段の努力をしてもらいたいと思うのです。明治何年ですか、県道なとを公共道路の一これは政府からの命令ですかなんかできて、そのときに、大体馬力を通すような道路は三メートル五十ないし四メートル二、三十というところですが、そういうところを大型バスが通っているのですけれども、これはだんだん御承知通り農村から都市へ都市へと移っていく。農村に住まっていて――私の方の村でも青年はほとんどおりません。また青年が村で農業をやっていても、貨幣経済下における今日の社会にはとうてい立ち打ちできないものですから、どんどんと他へ就職せんとして経済地へ行く。勢い通勤は増しております。ですから、そんな道路へ三台、四台のバスがじゅずつなぎになって出なければ、これは通勤時間に間に合わないという実情です。ですから、大臣も非常に力を入れられておるようでありますが、一つ思い切ってこの際地方道拡幅等に対しては強力な措置一つとっていただきたい。これは実際に建設省が指令とかなんとかできぬだろうと思いますけれども、まあ指導ぐらいはできるのではないかと思うのですが、大臣の勇断を一つ望みたいと思うのですが、いかがでしょう。
  24. 河野一郎

    河野国務大臣 かねて申し上げております通り、私は三十九年度に発足する道路五カ年計画というものにおきまして、道路政策を思い切って拡充いたしたい。国道と府県道との間の、従来府県に実施主体のありました二級国道についても全額国庫支弁で国でやる。地方道の問題は、むろん補助率は多少低下いたしますけれども府県道は府県でやるということにいたしまして、そして全国にわたって道路行政を刷新いたしたいと考えております。その際に、今お話しの、ただ従来府県道であるとかいうようなことでありましても、名前だけで非常に不完全なものが多うございましたので、これらについて一つ十分検討を加えまして、そして各地の主要な道路につきましては、特に地方との間に緊密な連絡をとりまして、むろんこれは半額の補助はするつもりでございます。そして府県との間に緊密な連絡をとって一つ拡充して参りたい、こう考えております。
  25. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 関連質問があるようですから、川俣分科員に譲ります。
  26. 羽田武嗣郎

    羽田主査 山口丈太郎君の質疑に関連して質疑を許します。川俣清音君。
  27. 川俣清音

    川俣分科員 時間をこの前省略したためにぜひ必要な問題を取り残しておりますので、短時間伺って、河野建設大臣に決意をお願いいたしたいと思います。  それは、豪雪地帯対策本部長になられておるのですから、雪の被害についてはあらためて認識されたと思うのです。そこで常に降雪のある、積雪量の常時ある地帯は、豪雪に至らないにいたしましても、いわゆる雪の被害というものは常に受けているということをかなり認識されたと思うのであります。そこで常時季節によって積雪を受ける地帯について、同じ国土の中でありますから、何らかの配慮をしなければならないということも痛感されたと思います。そこで町村にブルドーザーのようなものを貸し付けるとか、あるいは町村に常に待機させるために買い入れに対する補助をするということによって、排雪の能率を高める、常に積雪量が増さないうちに排雪をすることが豪雪の被害を防ぐゆえんでありまするし、また積雪地帯は融雪のときに道路をいためやすいのでありまするから、それらの道路修理をも兼ねて、ブルドーザー等の機械化について補助なりあるいは貸し付けるという方策がとらるべきだという認識をおそらく建設大臣はお持ちになったと思うのです。一段とこの問題について、三十八年度予算では無理でしょうが、三十九年度の予算にこれを繰り込むという決意がおありになりますかどうか。そうありたいものだと期待をするわけですが……。
  28. 河野一郎

    河野国務大臣 私は今回の豪雪の経緯にかんがみまして、まず第一に国家として雪に対する総合研究所を持ちまして、基本的な研究をするということはぜひ三十九年度において考えなければならぬだろうと思っております。あえてただいまの御意見のように、各市町村が除雪に適切な機械を持つということは、その結果を待つ必要もないことでございますが、むろんまた根本的にはそういう検討を待ちつつ、たとえて申しますならば、新潟の県にありますように、水で流すというようなことも考えられるわけでございますが、舗装した道路があるならば、それを水で流す方が機械でのけるよりもかえって要領よくいくというようなこともあるわけでございますから、従って、基本的な研究の結果を待つ必要も基本的にはあるだろうと思いますが、しかし、いずれにしても、今お話のような機械の補助等は当然いたさなければならぬということで、すでに建設省内で検討中でございます。大体三分の二の補助金、まず百万円で七十万円くらいの補助金を出すようにしたらどうだろうかということで、今お話通り三十九年度から一つ考えなければならぬだろうということで検討しております。ただしかし、それはそれにして、積雪地帯から御当選になっておられる川俣さん、私のところの政務次官、こういう諸先生方にはその積雪地帯の方々の心がまえを私は一ぺん承りたいと思うのです。今お話のように、雨が降ればどんなに水が出てもその水は田や畑に流れ込みます。それによって被害も多少は起こりますが、ひどいものはむろん国家の資金でこれを手当をいたします。悪水の防止をいたします。ところが雪が降ったらその道路の雪を近接の田や畑に捨ててはいかぬというような厳重な今のような考え方は、少し私は酷過ぎやせぬかと思う。それでその雪は全部川まで持っていって流さなければならぬ。これはみなお互いに災害ですから、災害である以上はもう一切最小限度に食いとめるのだという考え方で、それは全部政府なり公共団体の力によって除去すべきものであって、自分たちのところにはいやしくもそういうものを廃棄しては困るというあまりにも利己的な考え方は、これは地元の人もお考え願いたい。われわれもできるだけ全国民の負担においてこれらの積雪地帯について御協力申し上げるのですから、同様に地元の人も全国の人の立場も考えられて、これは、われわれが雪をのけるのは川へ持っていき、海へ持っていって捨てるのがあたりまえだというような主張は、これは一つ御共鳴になりませんように願いたいと思うのです。そういうことになりますと、今度は私らのような雪の降らぬところは、そんなばかなことであんなところまで行って手伝えるかという気持になります。これは個人の意見で、従って指導的立場に立たれる諸先生方におきましても、豪雪だった、これでお前わかったろうというので、何を買え、それは金をよこせとおっしゃる点はごもっともな点もありますけれども、今申し上げるように、それを近所の畑へ捨てる、近所のたんぼへわずかばかりずつのけて捨てるなり、そうあとに、苗代をつくるとか何をつくるとか、特別の地帯はございましょうけれども、そうでなければ、それほどにやかましくおっしゃらないでもいいじゃないかという点がないことはないだろうと私は思う。本部長として一番感じましたことはこの点です。この点について地元の人のよほどの御理解、御自覚が生まれてきませんと、今度は逆に、きのうもどこかでお話がありましたが、水増しの要求はあれは何だ、ああいう要求はあれは何だというような声が逆に出て参りますから、こういう点はせっかく今親友の川俣君からの補助金の御発言でございますから、この機会に私も速記録を通じて雪害地帯の皆さんに御自覚が願いたいということを申し上げたいのであります。
  29. 川俣清音

    川俣分科員 なかなか河野建設大臣は感覚がいいです。私もその通りだと思う。ただ問題は、あなたが「ただし」をつけたので私も「ただし」をつけるのだけれども、私は早くから除雪と言わないで、特に排雪と言ったのです。相当な雪がたまって固まって参りますと、そのよけられた雪というものの被害が生ずるのです。ですから早く排雪してしまいますと、私は被害が比較的少なくて済むと思うのです。そこで機械化ということが必要なんです。人間ですとそう遠くへは運べないということになります。あるいはこれを一定の場所に堆積させるということもできません。必ずしも川に水を流すことがいいのかどうかということになると、最近のように水不足をいたしておりますところもありまするから、適当でないこともないとも考えられますけれども、そのことは別にいたしましても、早くから手当をしておくことが雪の被害を免れまするし、また融雪の被害も免れるゆえんだ、こういうふうに考える。何にしても人力によることよりも機械力によって早く手当をしておくことが、被害を縮小せざるゆえんだと考えて、特段の御配慮を賜わりたい、こう思っております。  続いて、別に私の選挙区が東北だからということではなしに、東北におる者が学校教育は地元で受けて、地元の恩恵が少ないということ、卒業してしまうとみんな出かけられてしまって恩恵が少ないという点もありますが、そのことよりもやはり東北の産業的に恵まれないところは、従ってその公道でありまする道路の手当等が非常におくれておるわけでございまして、一級国道の舗装等におきましてもかなりおくれております。しかし、一級国道は大体見通しがついておりますが、一級国道の能率が上がって参りますと、二級国道から一級国道に繰り上げてほしいという要望が、これは東北ばかりでなく各地から起こってきております。一級国道の進捗率がいいというと、二級国道が一級国道になって、進捗率を一級国道並みにしようという運動だと思います。しかし、二級国道も取り上げていくということになると、あえて一級国道に繰り上げしなければならぬという問題も起こらないで済むだろうと思います。そういう意味で、東北のおくれた一級国道並びに二級国道は、今幅員を広げるにいたしましても、今の程度でまだ産業がおくれておる段階におきましては、幅員を広めるということは必ずしも困難ではない。これがだんだん地域格差が解消されて、産業能率において、産業の開発において相当スピ-ドが上がって参りますと、御承知のように、幅員を広げるということが非常に困難になると思いますので、今のうちに一つ計画を早く立てられて、道路幅員の拡幅に将来障害が起きないような設計並びに指示を早く与えておくことが必要なんじゃないか、こう思うのですが、大臣いかがですか。
  30. 河野一郎

    河野国務大臣 私全く同感です。今回五カ年計画を新たに設定いたします際に、所定の道路網等を勘案いたしまして、そうして新しくバイパスを通すとか、さらに拡幅するとかいうようなところについては、できれば一ぺんに予定線も早めてやれればこんないいことはないんじゃないかと思うぐらいで、今お話しの線はとくと検討いたしてみたいと思います。
  31. 羽田武嗣郎

  32. 肥田次郎

    肥田分科員 私は昨年の予算委員会の第四分科会質問をして要望をつけ加えておいた件がありますので、それに対してその後どういう措置考えていただいておるか、この点について質問をいたしたいと思います。  当時の大臣は中村大臣でしたが、私が申し上げておいた要点というのは、最近特に活発に開発されるところの臨海工業地域の埋め立て、それから至るところで巨大なマンモス住宅団地ができておりますが、それに対する土砂運搬あるいは建築用材の運搬、こういう運搬に従事しておるトラック、ダンプカ-というものが至るところで交通事故を起こしておる、これを何か規制する方法、そういうことの対策について何らかまとまった考え方を持っていただいておるかどうか、この点をまず質問いたしたいと思います。
  33. 平井學

    平井(學)政府委員 お答えします。臨海工業用地の造成にあたりまして、ここへ出入りするダンプカ-その他の重車両がひんぱんに通るために、道路が痛む、あるいは交通事故を起こす、そういう問題に対する対策でございますが、確かに御指摘のような不便な点があることは事実でございます。たとえて申しますと、大阪湾の堺の臨海工業用地の問題を例にとりましても、一時、昭和三十六年度におきましては山の土を運んだこともありましたが、三十七年からはもっぱら埋め立ては港湾を浚渫した土をそのまま埋め立てに使うという方法でやっておるのでありまして、埋め立て自体のためにほかの地域から山土を運ぶということはやっておらぬようでございます。ただ埋め立て地内にそれぞれ製鉄会社その他の工場ができますために、その埋め立て地内に道路をつくったり、道路を補修したりする仕事がございますが、そのためにダンプカ-等でほかの山の地帯から砂利や山上を運んでいるということは、部分的に避け得られないような状況でございます。従いまして、御指摘のようにそういった特殊な工業地帯造成地域に対しまして、市民の方に御迷惑をかけない、あるいは道路を痛めないようにするために、私どもも実は頭を悩ましておるのでございまして、そういった技術的な問題について、地元道路管理者の皆さんとも現在検討を加えておるところでございます。おかげさまで道路予算が年々上向きにふえてきますればきますほど、こういった公共事業が広がっていくのでありまして、御指摘のような問題につきましては、今後ふえることはありましても、減ることはないと思われますので、早急に道路管理者その他関係者等と対策を考えております。また建設にあたる建設会社等の幹部に対しましても、河野大臣就任以来の御趣旨を体して、工事中に市民に迷惑をかけない、交通混雑を極力起こさないようにするという現場管理、こういった体制も強化して、これらを並行させていきたい、かように考えております。
  34. 肥田次郎

    肥田分科員 持ち時間がありますからあまり私もこまかい質問はできないと思いますが、私が考えておることは、実は今、道路局長が言われたようなことは少し方向が違うのです。たとえば埋立地にしても、とにかく表土は山上を運んでいます。それから巨大な住宅団地をつくる場合には、その地域から今度は山土を運び出しておる。そういうことは避けられないと思います。それから鉄筋コンクリ-トの工事がひんぱんになるにつれて、いわゆるバラスの運搬もますます多くなってきます。要するにそういう土砂運搬ということに関する限りは、特定の地域に大体集結されがちな問題が多い。ですから、これを防ぐことはなかなかむずかしいと思っておる。私が具体的に一つの例を申し上げたのは、たとえば堺の臨海工業地帯はことしで六年になっておる。まだあと三年や四年は埋め立てのための土砂の運搬が必要です。それからさらに府あたりで計画しておるところの、岸和田から忠岡にかけての木材コンビナ-ト、それから佐野付近の水産コンビナ-ト、これは港をつくるのだから、貯木場をつくるんだからということであっても、やはり相当量の土砂の運搬ということがこの地域に起きることは間違いない。要するにあの地域に関する限りは、十年あるいはもっと以上の、いわゆる土砂運搬のダンプカーというものがひんぱんに山から浜に往復しておる実情があるわけです。ですから、こういう問題を解決するには、どこか一定路線を指定をして、ここだけ通りなさいということはむずかしい。だからそういうことは実際に不可能なことなんだから、それだけ長期にかかるものなら、第一の段階としてはいわゆる土砂運搬の専用軌道を敷設する考えがまず浮かんでくるわけです。それも不可能だというような場合には、それだけ長期を要する大建設事業ですから、これらを関連さしたところの計画を統一さして、そして専用の土砂運搬道路というものを、とにかく間に合わせでもいいから、これをつくる。そしてそれ以外の地域に対してはダンプカーは通さない。こういうことがやられると、いわゆる事故の減少その他の問題に対しては大いに役立つのじゃないかという一案を昨年提起したわけです。こういう交通戦争時代ですから、交通戦争時代に起こるところの交通事故についてのいわゆる許容量といいますか、これくらいならいいというものはないと思うのです。ないとするならば、やはりそれらに対する積極的な対策が立てられなければ、これはどうにもならないのじゃないか、こういうことを前提にして私は先ほど言ったようなことを昨年申し上げたわけなんです。ですからもう少しそういうことに対して具体的に何か考え方をまとめていただいておるのじゃないかという期待を私はかけておったわけなんです。
  35. 平井學

    平井(學)政府委員 どうも昨年そういう御指摘と申しましょうか、いいお考えを承っておったそうですが、私自身は残念ながら承っておらなかったのでありますが、係の方ではいろいろ研究して参ったのでありますが、実は御指摘の特殊な、あの堺の地域だけに限定して申し上げますと、実はあの地域は御承知のように現在の一般道路きえ非常に混雑しておるのでございまして、今お話のような特殊工場に車両がひんぱんに出入りするのを避けるために、別の専用道路をつくるということは、確かにこれはよろしいことであることは、もうよく私ども承知しておるのでございますけれども、本来は予算の問題もさることながら、あの密集した地域にどういうふうにそういう暫定的な工場専用道路をつけるかという問題でございまして、何しろ重車両でございますので、間に合わせのような簡単な道路で済むわけもございませんし、実はさようなわけで、残念ながら今日まで御報告できるような案が定まっておりません。なお今後とも十分一つ研究をさせていただきたいと思っております。
  36. 肥田次郎

    肥田分科員 これはそれくらいにしまして、もう一つ今度は、これは直接建設省だけの問題ではなしに、関係する警察庁その他と連携された結論というものが必要になってくると思うのですが、ダンプカーの運行規制というものを新しい課題として考えていただく必要があるだろうと思うのです。御承知のようにダンプカーの所有者というものは、これは非常にごくわずかな一台か二台あるいは三台くらいを持って、そうして土砂運搬を業としておる。これがそれぞれ元請と契約を結んで、いわゆる零細企業のような形をとっている。こういう業者ですから、ダンプカーの運転者そのものにいろいろ注文をつけてみても、これはなかなかむずかしいことだと思うのです。年令的にも大体ダンプカーの運転手というのは非常に若い年令層を使っておる。これは労働条件が悪くても採用できまずから使っておる。中にはずいぶんあぶなっかしい、実際調べれば免許証を持っておるのか持っていないのかわからないような者が、これの運転に従事しておる。あなた、経験がおありでしょうが、まるで戦車みたようなものに乗っておるのですから、年令的に見てもずいぶんいい気持で飛ばしておると思うのです。警察でとめようと思っても、ふつ飛ばして来るものだから、ついあぶなくて逃がしてしまうというようなことがあるだろうと思うのです。こういう条件が一つ片方にあるわけです。年令的な面、それから待遇が非常に悪いからいい者がそこに集まってこないという条件、それから車体が何が当たったってこわくないですから、これはいよいよ強くなる。こういうような条件があるわけですから、ダンプカーの運転者そのものに幾ら注文をつけても、ダンプカーの運転手そのものが事故を防止するという心境、性格、質を持つということはなかなかむずかしい。しからば業者についてそういう指導ができるかといっても、先ほど言ったように零細業者ですから、業者の中には土方の親分程度のものもあって、これもなかなかむずかしいだろうと思うのです。  先般もこういうことがございました。観光バスがダンプカーにぶつけられて、死者が四、五名出た、重軽傷者が三十何名も出た、このダンプカーのいわゆる所有者というのが、名目は元請の会社をたどっていったら一応あるのだけれども、二台か三台しか持っていないで、いわゆる賠償の金などとんでもないことだということで、バスは弥栄観光バスだったと思いますが、当たられた観光バスの方はあとの経営が成り立たなくなるというような状態も起こっておる。まことにダンプカーというものは非常に危険な企業形態をとっておるということがわかるわけです。ですから、こういうものに常識的な運営の指導を考えても、これは非常にむずかしいことなんで、思い切ったダンプカーの運行時間を規制するような考え方というものは、あまりとっぴ過ぎますか、一つ聞いておきたいと思うのです。たとえば深夜の十一時から朝方の四時くらいまで、こういう時間以外は、ダンプカーの質がもっとよくならない限り、残念ながらこれは通はさせられない。こういうことになっても、今の状態ではやむを得ないのじゃないか。ただそれがために深夜非常な騒音で町じゅう走り回られたら、これはたまらないということがありますけれども、それでも至るところで事故を起こされるよりはまだいいのじゃないかという、要するに道路をつくってもらうか、つくらなければそういう方法一つ考えるべきじゃないかと思う。ただ私が最初言いましたように、道路の問題については地域的にいろいろ問題もありましょう。けれども、私が今取り上げておる地域に関する限りは、いわゆる東西についても道路というものが非常に貧弱です。現在あるのはいわゆる東西については府道あるいは市道がわずかに通っておる程度ですから、その地域を選定をして、そしてとりあえず間に合わせでもいいから土砂の運搬の専用道路をつくって、それを将来国道なりあるいは府道なりにする、あるいは格上げして国道にして、東西線を一つつくるという、そういう地理的条件というものも私は多分にあると思っています。ですからこういう点についてなお検討していただけるかどうか、考え方を承っておきたいと思います。
  37. 平井學

    平井(學)政府委員 御指摘の点は、もう一々ごもっともでございます。私ども道路管理側の立場から、お話のような不都合な事態は極力これを防止し、抑制しなければならない義務を強く感じておるものでございますけれども、冒頭にお話がありましたように、建設省ないし道路管理者だけでは処置し切れない問題でございまして、私どもといたしましては、道路管理者の立場から、あるいはまたこういう建設業を指導する立場から、そういった業界に対する行政指導というような面を通じて、今のような不祥な事態、不心得な運転手を防止するという努力をいたすのが限度でございますけれども、一面公安委員会すなわち警察の方でも、たとえば警視庁が東京都内で昨年以来今御趣旨に近いような各種車両に対する運行時間の規制を路線指定とともにあわせてやって、相当程度の成績を上げておるようでございます。大阪方面については、まだやっておるというお話は聞きませんが、砂利業者というような特定の業種を指定して、車種別規制をすることについては、憲法上問題があるかも存じませんが、一定の何トン以上の車両という点につきましては、現に東京都下でやっておるところでございますので、御趣旨の点はさっそく警察当局にもお伝えし、また私ども自身といたしましても、道路管理の立場から、警察当局にそういった方法を早急に要所々々特殊の地域について実施願えるかどうか、できればさようにしてもらいたいというふうに申し込みをいたすつもりでおります。
  38. 肥田次郎

    肥田分科員 私は、大臣がおられたら大臣にも聞いてもらっておかなければいかぬと思いますが、次官がおられますから、次官。昔――今でもありますが、お嫁入りの際に角隠しというものをやりますね。電車が角隠しをしておるというのを御存じですか。それはこういうことなんです。御承知のように、どこの会社ということは言いませんが、これは窮余の一策です。ダンプカーと電車と衝突すると、御承知のように電車が必ず負けるのです。これはダンプカーのいわゆる積載をするバケツの部分ですね、強い、丈夫な、これが電車のトラックの上になるわけですね。そうすると電車のトラックは相当鉄材でがんじょうですけれども、それから上のボディというものが最近は軽金属を使っているから非常に弱い。当たられたら瞬間上が全部なぎ払われてしまうという、こういう現象が起こるのです。バスとダンプカーが衝突して、側面を全部削りとられたということも、そういうところに原因があるものでしょう。ダンプカーの高さと電車のトラックの高さというものが違うために、こういう状態が起きるのです。そこで電車としては当たられるたびに運転手が死ぬか乗客が死ぬかという問題が至るところに起きてきたわけです。ですからこれを何とかして防がなければいかぬというので、角隠しをつくったのです。緩衝武装をしたわけですね。ダンプカーがぶち当たっても、何とかして最小限にその被害をとどめようとしたわけです。それはよく見たら気がつかれると思いますが、昔は連結用のバッファーというものがありましたね。あれをもう少し高くして、そして要するに角が出ているわけなんです。ダンプカーがぶち当たってくると、何とかそれを緩衝装置にして、ダンプカーを仕方がないからはね飛ばすということになりますが、ところがそういう角を表向きに出しておったのじゃ、どうも体裁が悪い。見たところやはり電車ですから、体裁をつくろわなければいけませんから、それをヘッドでかぶせたり、あるいはボディをまるくしてかぶせて隠したり、そういうことをして電車は最近いわゆる自己防衛手段をとっているのです。これは至るところで相当な経費をかけてやっています。これは一にかかって、どうしても防ぎようがないから、こういうことをやり出したのです。これは私はまことに弱肉強食の時代であるとはいいながら、電車が走るために、専用軌道を走るのになおそれだけの防備をしなければ運行の安全が守れない。走っておりながらも、当たられたときの危険を感じて、そういう武装をしなければならぬということは、これはどうも政治の貧困といわざるを得ないと思うのです。ですから、私が特にダンプカーの運行の時間というものを何とかそういう繁雑時を避けた時間にするということが考えられないかということの提案と、それから少なくともそういう土砂運搬だとかいわゆる鉄材の運搬だとか、こういうものについて、運転者の質などを考え合わせながら、これについては、路線をできるだけどこでも走れるということではなしに、ある程度路線指定をする、こういうことを考えなければ、こういう事故の防止というものは不可能だろうと思うのです。そういうことを特につけ加えておきたいと思います。  それからもう一つ、これは可能性があるということで、なお御意見を聞きたいのですが、先ほど私が言っておりましたところのいわゆる泉州の沿岸といいますのは、これは南北線は現在の二十六号線と、それから新しく計画されておるところの第二阪和国道というのが具体化しておるようです。ところが東西線というのは、この地域に関する限り一本もないのです。東西線が一本もないのですから、東西線の一路線くらいはあってもいいだろう。その東西線の一路線をつくる前提として、特別な地域を指定するということも可能じゃないかと思うのです。この点についてはぜひ一つ真剣に検討していただきたいと思います。価値のある道路として将来生れ変わるだろうと思うのです。今土砂運搬の代用道路であったとしても、決して捨て金にはならない、こういうふうに考えます。特にこの点について何か次官から一言いただきたいと思います。
  39. 平井學

    平井(學)政府委員 次官にかわりましてお答えいたします。確かに現在あの地域には東西の大きな本格的な横断道路はございません。また明三十八年度におきましても、現実にそういう計画は残念ながらまだございませんが、御案内のように、大阪府自体が中環状、外郭環状という堺を包含した大きな長期計画を持っております。また第二阪和もこれは来年度の問題として取り上げられております。そうした機会にそういった大きな大道路計画一環として、御指摘のような点につきましてもその必要があると思いますが、技術その他の面で十分検討して参りたいと考えております。
  40. 肥田次郎

    肥田分科員 それではもう少し時間をいただきまして、住宅の問題で質問をいたしたいと思いますが、これは長くなりますから、私の方から概略のことについて申し上げたいのですけれども、防災建築街区の造成指導についてお聞きしたいと思います。  場所は大阪府の堺市御幸通りというところです。堺の市役所の開発課の指導でこれが行なわれておりますが、名称は堺東防災建築街区造成組合、こういう名称で進められておるようであります。それで、これは三十六年度に助成金の交付が認められておって、すでに三年たっておるのに、具体的にまだなかなか進まない、こういう情勢にあるようでございます。そこで先般もいろいろと陳情にも来たようですが、いろいろな問題が起きているということについてはあとから申し上げますが、どういうふうに本省ではこれを把握されておるかということを簡単に一つお聞きしたいと思います。
  41. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 ただいまお話しの堺東駅前の防災街区の造成事業につきましては、地元においていろいろ話が出ておりまして、進捗がなかなかむずかしいという事情は承知しております。
  42. 肥田次郎

    肥田分科員 そこで、実はこれは指導上の問題ですが、本省としての指導と、それから当該自治団体としての指導との間に食い違いがあってはいけないということで私はお聞きをする次第ですが、今日までこういうことが起こっておるのです。もともと防災建築をこの地域につくろうというこの問題は、実は私が見るところでは第二義的なものじゃなかったかと思うのです。その前に言っておきますが、ちょうど私のところから十メ-トルほど前の問題ですから、これはもうはしがころんだことまで耳に入るわけなんです。第一の目的というのは、都市計画の一部分、それから道路計画の一部分で、この商店街の一角をL型に削らなければならぬという問題が起きました。そこで考えられたのが、それと一緒に防災建築として商店街をつくり直そうじゃないかということで、これは当然な考え方だと思うのです。直接具体的にその指導に当たるときに、立ちのきに該当する部分の中に、いわゆる有力者といいますが、ボスといいますか、そういう人がおった。またその中には市の指導の責任に当たった人の親類もおった、こういうところに問題も起きてくると思うのです。それからその地域でのいわゆる有力者、ボス、そういう者が大体外郭におる人のみを相手に立ちのき問題と防災建築の促進、こういう問題の話し合いを始めておったようであります。ですから、その間にいろいろなやりとりがありまして、そうして曲がりなりにもそういう準備だけは体裁上できた。けれども、その中に含まれておるところのいわゆる中央商店街の百三十七、八軒か、その外側のL型の協和会ですか、外郭のL型になっておるいわゆる表向きの商店街のグル-プと利害関係が相反するわけです。それを、その表向きのいわゆるし型の部分の連中だけでその理事やその他の世話人の役員をほとんど占めて、そこでいろいろとこれの進捗をはかっていった。ところがその推進をはかるにつれて、河盛市長さんあたりも呼んできたけれども、準備が不十分ですから、あんたは何しに来たんですかというんで、一喝のもとに追い返されたというような問題もありました。そしてその後いろいろな経過はありましたが、そういう経過の中から最近やっておるのは、それは面子もあるのですが、もうこれ以上待てないから、どうしても防災建築は強行いたします。これを強行しなければ今助成金をもらうことになっておるのももらえなくなる、だからこれ以上待つことはできない、こういう態度を市側がとり出した。そうしていよいよ混乱を深めてきたというのが、はたから静かにながめておる私らの最近の見方です。そういう問題についての御指導については、実際むずかしい問題ですから、住宅局の方ではどういうふうに指導されるのか、一つ聞いておきたいと思います。
  43. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 ただいまお話しの通り、防災街区組合員の中に、話し合いがまとまらず、利害が対立した方々がおられますので、なかなか進捗しなかったことは、先生のお話しの通りでございます。  この事業は、御案内の通り昭和三十六年度事業で始めましたので、予算の執行の点から見ましても、あるいはその必要性から見ましても、早くこれを完成したいということは、あなたもよく御存じだと思いますが、市の方におきましても、この事業の予算の点、あるいはその辺の駅前の広場を早く整備したいという見地から急いでをると思いますけれども、私の方では、市の側が強い意向を持っていることは承知しておりますけれども、やはりできれば話し合いがまとまるのがよろしいと思っております。市の側がどういう手段でやるかということにつきまして、最終的にきめて、私の方の了承を受けておるというわけではございません。ただなるべくは話し合いでやってもらいたい。しかしやるという方向において処置していただくということも大事でありますので、できれば市の側と地元の方々と円満に話のつくことを期待しておるわけであります。
  44. 肥田次郎

    肥田分科員 その点の考え方は、当然そうあるべきだろうし、われわれも変わらないわけです。円満に話し合いを進める、いわゆる市側の指導がもっと親切な指導をしておれば、こういう問題は起きなかったと思うのです。御承知のように、あの商店街の中には、その日その日で暮らしておる人もおります。それから実際には借金で首が回らなくなっておるような人がおります。そういうものがたくさん含まれておる。合計百七、八十軒もおるわけですから、利害関係の衝突というものもありますし、今度防災建築をやるという場合に、立ちのいた際の直接生活の保障の問題だとかこういう問題も必ずつきまとってくる問題でありますから、一部ではこういうことを言っておる、じっと様子を見ておって、いよいよ市が強行するというようなときにはたたきつぶしてやろう、どういう不穏なグループもあります。これはまことに重大な問題だと思います。  それからここの防災建築造成組合というのは、まだ正規に組合として登録をされていないのです。まだほんとうの組合としての登録ができていないのです。これは記録の中にも認めております。三十八年二月五日の理事会の記録にこういうふうに認めております。補助金の打ち切りと街区認可との関係はどうだという質問に対して、本組合は正規の手続、登記を終了した正規のものではないので、一つその点をよく考えておいてもらいたい要するにまだ架空の組合なんですから、これが市側の言うように、もう時期が来たら強行をしてかかりますというような性質の問題ではないと思います。ことにこの地域にはパチンコ屋も入っておる。相当大きな面積と有しておる。パチンコ屋が防災街区の建築の中にでんと居をかまえるというような姿というものは、常識的にはこれは想像できないことなんです。ところが、そうしたら、そのパチンコ屋は防災街区から追い出してどこかへ行きなさいということもこれはむずかしい。なかなかむずかしいことなんです。そういう問題がまずあります。  それから私が考えておるのは、本来の目的というのはこれは道路拡張の計画からきたことなんです。あの地域を緑地帯あるいは防災街区にしなければならぬということなら、これは線路と道路とにはさまれたところですから、ほんとうの防災街区としての建築の必要は、あるとしても、これは周囲の条件から考えれば防災的な条件というものは他よりはずいぶん薄い。その他の周囲には幾らでもそういうことに手をつけなければならぬ問題がたくさんあるのです。そういうものをほっておいて、線路と大きな道路にはさまれておるその一郭だけを特に市側が強行してやらなければならぬというような条件というものは、私はないと思っておる。ですから、こういうものの指導については、特に慎重を期してもらいたい。  それから、市側がそんな強行しようというようなことは、必ずこれは失敗をします。必ず失敗をするから、その点については、いわゆる指導について住宅局としてもそういう無謀なことをやらないように、もっと能率的な指導をするように、これは特に強力な建設省としての指導方針というものを示してやることが事後の混乱を防ぐことの一番いいことだろうと私は考えるのです。この点について再度私は局長考え方を承っておきたいと思います。
  45. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 ごもっともな点もございますが、今せっかくできた、やろうと思った事業が、予算範囲内で早くできますことを願っておりますので、よく先生の御趣旨を体しまして、市の方の側に指導を加えて、円満に仕事ができますように一そうの指導をしようと思っております。
  46. 肥田次郎

    肥田分科員 私の質問はこれで終わります。
  47. 羽田武嗣郎

    羽田主査 田口誠治君。  〔主査退席、田澤主査代理着席〕
  48. 田口誠治

    田口(誠)分科員 実は昼から新産業都心の問題について建設省の方からもおいでをいただいていろいろと御質問を申し上げたいと思っておりましたが、こららに委員会が開かれておって不可能であるということでございましたので、まあその他のあれもありますけれども、そういう面も含めて御質問を申し上げますので、一つ御回答をお願いいたしたいと思います。  御承知通り新産業都市の指定をするまでの準備調査というようなことについては、もちろん経済企画庁が窓口になって七省に関係をしており、それぞれの省でそれぞれの担務の調査をお願いをして、それを集約して指定されるというような経緯をたどることになっておりまするが、私はやはり何といっても経済の発展と国民の福利を増進するには、道路網の整備が必要である、こういうように考えられまするので、それで新産業都市の建設とか、それを取り巻く低開発地域の指定についての建設省の企画庁に対する発言権というものは、どの程度あるかということをまずお伺いいたしたいと思います。
  49. 松澤雄藏

    松澤政府委員 仕事の内容から言いますと、御承知通りに相当建設省としての部門が多かろうと存じます。そういう点から、御質問は、建設省としての企画庁に対する発言権がどうかというふうなことだろうと思いますが、発言権の面に対しては、多い少ないというようなことはなかなか表現が困難だと思いますが、十分に各省とも連絡をとり、また、窓口になってまとめ役をしておる企画庁とは、十分以上の調整等をはかって持っていかなければならないものだ、こういうふうに考えておりまするし、従来ともそのような気持のもとにおいてお互いに協議し合って参っているような現況であります。
  50. 田口誠治

    田口(誠)分科員 副大臣の場合は、事務をする担当局長さんとは違いまして、大きく政治的な面を含めて、また百年の大計のしに立って、それぞれ構想をされるわけなんですが、そこで私は、四十国会に成立をいたしました新産業都市の指定にいたしましても、低開発地域の指定にいたしましても、建設省の役割というものは非常に大きいと思うわけなんです。従って、この点につきましては日本の将来の経済の発展と、それから国民の福利増進ということに大きく意を置いて計画を立ててもらわなければ、その場その場の陳情によって事を進めるということになりますると、これは大へんなことになろうと思います。従って、特に道路の関係につきましては、現在ある国道ではもう何とも収拾のつかぬような飽和状態になっておる国道もございまするし、一方通行にしたければならぬようなところもあるわけなんですが、さてもう一本国道を新設して一方通行を行なうといたしますると、日本のような領土の狭いところでは、道路と鉄道とで相当用地がとられるわけなんです。欧州なんかの広い大陸におきましては、三五%も四〇%にも近いところの公共用地をとっておりまするけれども、日本の場合には、そういうような状態になりますると、これは国民としては全く困るわけでございます。そうかといって、 無理をして、全くその場限り、また、手放しな行政を行なっていきますると、東京都の交通地獄のような、こういう状態を将来かもし出していくということは明らかなのでございまして、数字は若干違ってはおるとも思いまするけれども、私の調査いたしました範囲内におきましては、公共用地は、パ-セントでいきますると、東京都は四%になっておりまするが、東京都の場合を考えてみますると、道路も狭いし、公園も少ないし、こういう公共用地が四%というような数字は好ましくないと思います。しかし、日本の国全体からいきましても、領土の狭い国内においては、二五%くらいなところで公共用地をとめるような計画を、将来とっていかなくてはならないと思います。従って、そういうことを考えますると、相当金はかかりまするけれども、現在持っておる国道が、交通難になり飽和状態になっておって、もう一本新設して一方通行を行なわなければならないというようなところがあるとするたれば――あるとするなればじゃない、ありまするが、そういうときには、やはり先進国でやっておりますように、三階建とか三階建の道路の建設ということが考えられるおけですが、将来のことを考えて、建設省としては、国民に貢献する大きな業務を持っておられるのであるから、私は将来の計画も含めて一つ次官なり道路局長にお伺いをいたしたいと思います。
  51. 松澤雄藏

    松澤政府委員 御指摘の点はごもっとだと思います。まだ事務当局に対して指示をする段階ではありませんけれども、特に今お話しのような部面は、都市を中心にしてよくありがちなことであり、また、都市外のところは、狭いとはいいながら、ある程度道路用地的な面は確保できる、かように私は見ておりますが、都市内においてはなかなか思うようにならない。従って、現在の道路のしに高架通路をもう一本つけるというような点は考えられぬものか、こういうわけで就任以来よく大臣とも話し合って参ったのでありますが、やはりなかなか一長一短ありまして、いまだに結論がでないような格好に相なっております。というのは、現在の高速道路にいたしましても、現在ある道路の上に高架をかけていく方法はないかというようなことを、常識的な部面から判断いたしまして、そういうことを検討してみたらどうかということを話し合ってみたことがございましたが、今度は高架にいたしますと、都市内においては、その周辺に家屋のある連中、商店を所有しておる連中は、自分たちのところは、もう商店街としての発達を失ってしまう、よって、そういうようなことはまことに困るというふうなことになって参ったりして、現在のところは踏み切るような段階までなかなか至っておりませんが、今の田口さんのお話等は、何らかの考え方を研究して、そうしてそういうふうなことでもしなければいけないような段階になりつつあるのではないかというふうなことから-事務当局に指示する段階にはまだ至っておりませんが、そういうふうな考え方を持っておることだけ事実でございます。
  52. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 新産業都市の新しい建設につきましては、現在積極的な立場からいろいろ交通関係の面で指導いたしておりますが、先生の今おっしゃっておりますような問題につきましては、一応現在のところ、将来計画といたしまして、生活環境の整備上から見まして、公園につきましては、人口一人当たりにつきまして六平米、それから街路につきましては、既成市街地に対しまして道路率を二五%にするということを目標にいたしまして、私たちは都市計画の指導をいたしております問題点のこういう土地の狭いところに対して、有効な交通体系を立てるということにつきましては、現在の平面交差の道路を立体交差にすることによって、交通量を培増するというふうな問題、あるいはまた、広い道路につきましては、二階建の道路をつくるという問題も、現に東京都内で行なっておるわけでございますが、主として問題は、拡幅の問題で、非常な困難を来たしておりますので、できるだけ河川敷を利用いたしまして、そういう面で高架道路をつくっていくというふうなことで保留をいたしておる状態でございます。
  53. 田口誠治

    田口(誠)分科員 今の次官の御答弁も私はまんざら否定するものではございませんけれども、立体道路をつくった場合の商店街の発展云々これに反対するところがある云々ということでございましたが、町の中へ入りましたときには、これは将来そういう習慣になりますれば、そんなに支障はないと思いますけれども、少なくとも政府は、中部経済圏とか北陸経済圏、東北経済圏というようなことで、新産業都市の指定をして、その周囲に低開発地域を指定をして、そうして日本の経済の発展に寄与しようといたしておりますから、一例を申し上げますなれば、中部経済圏から北陸経済圏へ通ずるところの道路というようなものを――現在のところでは、国道を新設いたしましても、そんなに交通量というものは多くないところもあるわけでございますけれども、やはり政府の計画しておるところの新産業都市の計画なり、あるいは低開発地域の指定の計画なりをレールの上に乗せた場合には、相当の交通量というものを見なければならないと思うので、そういう経済圏から経済圏へ行く基幹道路というものは、おそらく一本の道路だけでは絶対にいけない。これはやはり立体道路にしなければならないと私は思うわけなんです。それで、ただここ当面をしのぐというような計画、または十年間ぐらいの計画では私はいけないと思うのです。やはり百年の大計の上に立って、大きな計画を立てなければならないと思うのです。そういうことから、当面、今度四月の地方選挙が終わりますと、おそらく新産業都市の指定が発表されると思うわけなんですが、そうなりますと、当面作業に取りかかっていただく建設省に大きな仕事が出てくると思うので、こういうときの構想というものは今お持ちになっておらなければならないと思うのです。従って、どれだけかの調査はなされておると思うのですが、計画局の方でそういうような一つ計画があり構想があるとするなれば、一つここで御答弁の中で御披露をいただいて、将来そうした方向に向かっていただくようにお願いをいたしたい、こう思うので御答弁をいただきたいと思います。
  54. 平井學

    平井(學)政府委員 大都市内の場合に、お説のような高架道路を適用するという問題につきましては、ただいま答弁がございましたが、大都市間遠距離の大動脈幹線高速道路にして高架式の道路を研究してみてはどうかという御質問に対しましては、私どもこういう考えを持っております。確かに御指摘のように、将来の経済発展の意想外な伸びによりましては、当面十分と思われる道路も、たちまちにして飽和点に達してしまうということ予想されないことではないのでございます。そこで私どもは、用地の高い大都市内市街地は別といたしまして、幸いにして用地のまだ安い農村部、山間部というところにおきましては、お話のような高架式道路と逆に、今度は平面的に横へ延ばす道路を、当面は四車線でもいいが、十年、三十年先の需要を見越して、四車線プラス二車線で六車線の道路、片側三車線の道路をつくっておくということ、それから四車線の道路の上に二車線の高架の二階建道路をつくる、両方合わせて六単線でございますが、そういうような二つの方式の経済的見地から見た利害得失、また道路交通の安全円滑という点から見たる利害得失、これを実は現在内々研究いたしております。たとえば現在進行中の東京-古屋間の東海道幹線道路、さらにまた将来東北方面へ延びていく二級国道、日光線でございますが、こういったものにつきまして、まあこれは試算の程度でございますが、幸いにして山間部で用地の安いところにおきましては、どちらかと申しますとメ-トル当たり百万円以上もかかるような高架道路をつくるよりも、それだけ横に延ばして四車線を六車線にし、六車線を八車線にするというふうにした方が、経費も割安で、安全な交通が確保できるという計算の出る区域もございますし、また場合によっては、お説のように、あるいは高架式にして二階式にした方が安全という点から申しますと若干問題はございますが、経費の面から言いますととんとんないしは有利と思われるような点もないではございませんので、現在そういった面について実は研究はいたしております。
  55. 田口誠治

    田口(誠)分科員 予算の面でいろいろ頭を使っておられるようでありますが、私は予算の面もさることながら、農民が農地を取られるということになりますと、工場を誘致するような場合でも、取られる農民は反対をしておるわけです。そういうようなことも考え合わせまして、今一気に二車線なり四車線をつくれというのではなくして、やはり将来の計画を立てておけば、用地を買収する場合に、一車線が二車線にでもできるような、少し幅を持った用地の買収をしておく必要があるのではないか、こういうように考えるわけなんです。きょうも雪害対策の特別委員会を開いておりますが、どうかといえば、積雪があった場合にブルドーザーを持っていって除雪しようといたしましても、除雪する場がないということなんです。そうすればやはり道路の両側には国有の土地を余裕に買収をしておいて、そうしてできればそれが簡単に用水のようなものに利用するというようなことをすれば、私は将来そういう交通難になった場合に、農民の用地を取られるという反対もないし、スムーズに事業が遂行できるのではないか、こういうように考えての質問であったわけなんです。それで中国が、私が行って見た範囲では、基幹道路と思われるところをつくっておりますが、やはり道路をつくるときには、平面のところで両側の土を盛り立てて道路をそくるのだから、両側には用水とまでにはなっておりませんけれども、用水に利用できるようなものが両側にあるわけです。こういうことになりますれば、次にそれを二車線にする場合でも、四車線にする場合でも、用地買収ということをあらためてやらなくてもよろしいし、今年のような雪害のような場合に除雪をするときにでも、雪をよける場があるということで、私は一石二鳥の効果を得られると思うので、そういう意味で申し上げたのです。あなたの言われるような予算の面ばかりにこだわって事を進めておってはいけないと思うのですが、そういう点ではどいうふうにお考えになるか、これは次官でもどの局長さんでもよろしいですけれども一つお答えをいただきたいと思います。
  56. 松澤雄藏

    松澤政府委員 ただいまの御質問、ごもっともだと私も思います。ただ私たちから言わせますと、いろいろな構想やものの考え方は持っておりますけれども、どうしても現実をまるきり離れまして仕事の執行に当たるということもできないものですから、事務当局から言わせますと、つい今のような答弁にならざるを得ないと思います。また、できるならば現実の問題として、われわれもお互いに自分たちの郷里へ行ってみましても、せっかくやるならば、わずかに、四メ-トル五十の幅の道路、六メ-トルの道路をつくるなんて言わないで、どうせ将来やらなければならぬのだから、九メ-トルあるいは十二メ-トルくらいに広げたらどうか、こういうふうな気持すら持っておりますし、また持つような場面にぶつかることもお互いに同様であります。しかしながら、現実的な部面からいたしますと、わが日本の道路の現況というものは御承知通りであって、現在の道路それ自体すらも、一級国道ですらもようやく三十八年度の予算を推定して考えてみても、わずかに六〇何%しかできないというふうな現況でもありますから、どうしてもその現実というものに立って、一日もすみやかにまず通り得るような道路にしたいというふうな気持にならざるを得ないわけであります。しかしながら、半面、ものの考え方からすると、今のお話のように、できるならば余裕のある用地を買収しておいて、そうして将来今の除雪の問題にいたしましても、あるいは将来の拡幅の問題にしても、あるいはまた路線の問題にしても、あらかじめそういうふうな準備をしておけばいいということは、われわれも十分にわかっております。しかしながら、路線的な面においては、ある程度こういうふうにすべきだというふうなことは、建設省としても十分に考えておるし、常に大臣も、そういうふうな部面から、せっかく投資した金額が有効適切な結果が生まれるようにというふうな意味からも、工期の短縮等もはかって、少しでも余分に延ばしていけるように、こういうふうなことをやっているのも、そういうふうな点からの考え方の一部分の現われでございます。いずれにいたしましても、今後何十年か後に来るところの交通難、あるいはまた経済に伴うところの基本的な道路網というふうな部面から考えますと、今田口さんのおっしゃられる通りであって、できるだけそういうような方向にわれわれも現在努力しておりますし、一つの法制的な部面も考えておるわけであって、国会自体としても、御承知のように、昭和三十二年に国土開発縦貫自動車道建設法をつくったのも、目的はそういうところにある。われわれがお互いに提案者としてやったのも、御承知通りだと思います。しかしながら、しからば現実にこれにすぐに取りかかるかといいますと、どうしてもやはり今日直接にその執行に当たっている分野から見ていきますと、まず重点的なところから開始せざるを得ない、こういうことになってしまうというのが現況でございますが、われわれとしても、将来の見通しに立って計画を立てて、そうしてまた、今道路局長からお話がありましたように、一部分できるかできないか、あるいはやる場合においては、値段がどのように違うものであるかというような具体的な部面等をも一つの例として  まだ発表するような段階ではもちろんありませんけれども検討的な立場をとっておることだけは間違いないところであります。
  57. 田口誠治

    田口(誠)分科員 御答弁の内容はわからぬことはございませんし、まだ政治家としては年の若い方ですから、相当進歩的な考え方も御答弁にならぬ分で持っておいでになると思いまするので、そういう点で期待をいたしておりますが、いずれにいたしましても、日本のような領土の狭いところは、大陸のような公用用地の占める。パーセンテ-ジではこれはだめですから、こいつはやはり頭に置いていただいて、特にこれは建設省に関係のあることでございますから申し上げておきたいと思うのですが、こういうような方面に対しては、旧来の陋習は破ってもらわなくてはならないと思うのです。予算その他の面もあろうと思いますけれども一つの大きな計画の上に立って、道路網の拡充強化、そうしてせっかく法案が成立して、今努力されつつある、地方自治体としても躍起になって申請を出しておるところの新産業都市の建設、あるいは低開発地域の開発、こういうものに建設省の部門が十分に寄与できるように、一つ御配慮いただくようにお願いをして、時間を約束いたしておりますので、この点については強い要望として申し上げて、これ以上突っ込んだ質問はいたしません。  そこで、河川局長さんがお見えになりますが、これは私はこの前も、第四十国会の災害対策特別委員会だったと思いますが、申し上げたのですが、御存じの岐阜県簸川の砂利採取が、あまりにも深掘りし過ぎておって、温井村の井水が、数字で申しますれば十石入っても出るのは三石しか出ないというので、非常に早魃地帯で農民が困っているのです。それでいろいろと建設省河川局長さんの方でもお骨折りをいただいて、知事の権限であるところの許可権あるいは禁止権というようなものも発動してもらいまして、昨年砂利採取の禁止区域をつくってもらったわけなんです。ところが、他の業者は良心的にどこかへまた場所を見出してかわりましたけれども、一番――何と申しますか、あまり名前を申し上げては悪うございますけれども地方自治体の権限を持っておる人と関連を持つ業者、その会社は、まだまだ居すわりをしておるということなんです。居すわりをしておるということは、まだまだ深掘りをしておるということなんです。それで今温井の農民の人たちは、このような状態であるならば、もうこれ以上がまんができぬから、政田井水を建設省の方で、国でヒューム管で水を通してもらうようにしてもらえぬかという強い要求がきておるわけであります。県の方から禁止区域を指定しておるにかかわらず、一年たってもまだそこをのかない。のかないということは、おそらく二年たってものかぬと思うのであります。これは内容を申し上げますときたない話になりますので申し上げませんが、良心的な業者は全部他へ移りましたけれども一つの、権力者と直接に関係を持っておる業者だけが残っておるような状態でありますので、こういうものを監督される建設省の河川局としてどうされるのかということ、それからもう一つは、温井村の農民が要求しておるところの、これまでなされておっては、私どもは再びこの井水を復興させるということも大声な金がかかるし、相当の予算でも出れば別だけれども、今までの経験からいって、これは砂利の深掘りからきておるということは明らかなんだから、これはやはり県なり国なりに責任があるのだから、ここは国の費用でつくってもらいたいという強い要望があるのですが、こういうものの処理、また農民の要求をどう処理されようとしておるのか、明快に答えていただきたいと思います。
  58. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 ずっと前から御指摘がございました簸川の砂利の採掘の問題でございますが、非常にたくさん掘り過ぎたといいますか、河床低下をして参りまして、河川として非常に危険な状態になりましたので、昭和三十六年から海老橋から下流、揖斐川の合流点まで規制区域にしたわけであります。その場合、そこで従来とっておられました採取業者の方々の御協力を得まして、他に転向願ったわけでありますが、その場合に、全部禁止をするかという点についていろいろ検討いたしました結果、一年間に二万立米くらいなら、今の良好な状態を保つことができるのじゃなかろうか、そういう見解から、組合の方々から一つの業者だけ、一年間に大体二万立米、こういうことで現在やっておる状況でございます。ただ、今後の状況によりまして、これが一そうひどくなった場合には、当然これを規制というより禁止すべきであるというふうに建設省としても思っておりますが、ただいまのところでは、二万立米で一応様子を見よう、ただ、ひどくなった場合には禁止をする、こういう考え方で県と協議しておるわけでございます。  なおもう一点、御指摘のございました政田井水の導水点でございますが、砂利をとり過ぎたというような点と、ちょうど災害がございまして井水のすぐ下流に河川工事をやりまして底固め工事がありますが、それも災害を受けましたので、これは建設省の手で災害復旧をいたしまして、導水路が吹っ飛ぶというようなことはない。これは確信を持って災害復旧をやりましたので、そういう点は大丈夫かと思います。ただ、導水の点がどうなったかと申しますと、これもやはり同じ三十年の災害を受けまして、農林災害として補強されたようでございます。従って、今後のそういう導水の点も農林省としていろいろ手当をするのが適切ではなかろうかと考えております。ただ建設省としてやるべき分がございますれば、今後もやって参りたいと思っておりますが、以上のような事情で、今後とも十分に川の方の管理については配意して参りたいと思います。
  59. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私は専門家でありませんので、あまり突っ込んだ質問は申し上げられないのですが、地元の人たちの話を聞きますと、他の河川よりも深掘りし過ぎておるということであります。堤防まで危険になるのではないかということを言っておるわけでございます。そこで、禁止はされたけれども、二万立米くらいならまだまだよろしいだろうというこの調査は、建設省が直接行っておやりになったのか、出張所にやらせたのか、いつごろそういうような調査をされたのですか。
  60. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 三十六年度に規制区域をきめます場合に、これはもちろん地方建設局の木曾川の事務所と県と協力してやったわけでございますが、一応一年間二万立米くらいで様子を見よう、こういう計画で現在一社だけやらしているという状況でございます。ただ、これでずっと永久的にいいかどうかという点は、絶えず監視をいたしまして、二万立米でも取り過ぎであるという場合には、禁止の方向に持っていきたい、こういうふうに考えております。
  61. 田口誠治

    田口(誠)分科員 これも残念ですが、時間に制約されておって、これ以上突っ込んで質問できませんが、回答はなかなか上手に回答して参りますので、相当に誠意を持ってこの問題に取り組んでいただいておるように考えられるわけなのです。しかし、実態からいきまして、そう余裕のあるものではないと思うのです。従って、私はここで要望申し上げておきますが、これは出先機関での調査は、岐阜県の今の自治体の実態からいって、これは想像ですけれども、十分に調査したものを報告するということのむずかしさがある点も考えられまするので、これはやはり建設省で直接調査をしていただいて、そして私は、大丈夫ということなら何もこだわりませんけれども、この点に対する調査を一つお願いを申し上げたいと思います。  それから最後に、もう一つだけ伺っておきたいと思いまするが、岐阜―高岡線の関係ですが、これは常々地元の方から相当強い要望も出され、また直接建設省の方へ上がって、地元の関係町村長が強い要望を申し上げておるわけです。私は時間の関係上こまかいことについて指摘をしての御回答は受けませんけれども昭和三十八年度は関係市町村の要望にこたえ、どういうようになっておるかということ、そして現在どの程度までの進捗をいたしておるのかという、これだけ一つ詳しく説明をしていただけば、ここで質問は終われるわけなのです。
  62. 平井學

    平井(學)政府委員 岐阜―高岡の二級国道でございますが、これにつきましては、東海と北陸を結ぶ重要な国道であるということは、関係者一同認めているところでございます。五ヵ年計画におきましても、極力これを早期に整備するという大方針でおりますが、御案内のように、継続事業でやっておりまして、路線も非常に長いために、時間を食っているのでございますが、五ヵ年計画の中では、ほかの路線に比へて決しておそいスピードでないと信じております。  明年度につきましてお尋ねがございましたけれども、実は明年度のいろいろそういった問題につきましては、まだ上司の方針のもとに現在いろいろ検討を加えているところでございまして、日ならずして決定あるいは皆様方にも発表できる段階かと思いますが、本日は具体的に申し上げられませんが、重要二級国道であり、しかも北陸と東海をつなぐ重要路線であるという認識のもとに、極力これを三十八年度においても整備を進めるように検討を加えておりますので、その点御了承を願います。
  63. 田口誠治

    田口(誠)分科員 三十八年度の分はまだ検討段階にあるのか、大体の青写真はできているのかということが一つと、関市から美濃市へ行く中間に、岐阜からずっと舗装されておりまするけれども、、どういう理由かわかりませんけれども、手をつけずにあるところがございます。関市から美濃市までは車は相当走っておりまするので、あの少しの区間だけ舗装されておらないというのは、非常に支障を来たしまするし、また計画的に走ろうとしたときには、雨の降るときなんかは、短いキロ数ですけれども、時間を要しまするので、なぜあそこだけ残しているのか、どうして手を入れてもらえないのか。何か理由がございましたら、一つ御回答を願いたいし、理由がなかったならば、これは順にやっていただかなければならない。途中でやらないところをつくっておくということは、せっかくの道路も効果が半減いたしますから、そういう意味で御質問いたします。
  64. 平井學

    平井(學)政府委員 青写真は、全線とは申しませんが、少なくとも岐阜県内のコースについてはできておりますけれども、残るところは、限られた予算範囲内で、三十八年度に他の重要路線とにらみ合わせながらどういうふうに予算的裏づけをすべきかという点で、現在上司の方針のもとに進めている段階でございます。  それから、御指摘の関―濃間の問題でございます。従来からもそうでございますが、特に最近道路利用者の多い点等を十分に検討して、いやしくも改良ができたならば、続いてこれに付接して直ちに舗装していくというのが最近の新しい道路の大原則でございます。従来はいろいろ予算が少なかったというような関係で、拡幅のカットもできているにかかわらず、舗装が何年もおくれているというところがあったようでございますけれども、私どもは、できる限りこの原則通り、改良が終わったならば舗装する。毎年春秋の交通情勢調査の資料に基づいて、交通量の多いところにつきましては、特にそういった最優先的な取り扱いをして舗装をしていく、こういう原則でおりますが、この間につきましては、まだ不勉強で、現地踏査をしておりませんけれども地元の特殊な障害事由があるということは聞いておりません。そういうようなわけでございますので、原則通り交通事情の悪いところにはできるだけ優先的に措置していきたい、かように考えます。
  65. 田口誠治

    田口(誠)分科員 時間がありませんから、これで終わりますが、私は具体的にここをこうという質問をやらなかったので、回答も非常に抽象的であったのですが、今申しましたように、関係市町村長の方から要望のあった線に沿って、一つ四十年を待たずして検討のできるような計画のもとに三十八年度の青写真もつくってもらいたいということと、それから関―美濃間のまだ舗装されておらない分は、これは三十八年度には一つ完全にやってもらうように、青写真の中にはきらんと含めてもらうように、この点を強く要望申し上げまして、ちょっと時間を超過いたしましたけれども、これで質問を終わります。
  66. 田澤吉郎

    ○田澤主査代理 午前中はこの程度でとどめます。  午後二時半より再開し、建設省所管に対する質疑を続行いたします。  これにて休憩いたします。    午後零時四十一分休憩    午後二時五十五分開議      ――――◇―――――
  67. 羽田武嗣郎

    羽田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十八年度一般会計予算及び昭和三十八年度特別会計予算中、建設省所管に対する質疑を続行いたします。勝澤芳雄君。
  68. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 まだたくさん質問者があるようでございますので、私は特に東海道の高速自動車国道の建設について簡単に御質問いたしたいと存じます。  最初に、東海道高速自動車国道の建設の計画なりあるいは完成の予定、これらについての大体の御計画と見通し等について御質問いたします。
  69. 平井學

    平井(學)政府委員 東京―名古屋間のいわゆる東海道幹線でありますが、これは全長およそ三百六十キロメートルでございまして、とりあえず現在やっておりますのは、東京―静岡間、それから逆に反対側の小牧―豊川間、それぞれ両間について昨年大臣から施行命令が日本道路公団に示達されました。本年度から用地買収にかかっております。その全線三百六十キロメートルの完成は、一応昭和四十三年度末までに完成、こういう予定になっております。また、資金の裏づけにつきましては、御案内のように、三十八年度予算におきまして、世界銀行から七千五百万ドルをこの東海道幹線道路の建設に貸してもらうという内話がまとまりまして、順調に参りますれば、本年の七、八月ごろ貸借の契約を締結、従ってその以前に現地調査団が参りまして、建設計画を詳細に調べて契約締結ということになる見込みでございます。目下のところ重大な支障等はございませんので、順調に参りますれば、昭和四十三年末でこれができる、こういうような見込みになっております。
  70. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そこで、私は、現在の交通事情といいますか、交通量の最近のものがありましたら、一つ御報告願いたいと思います。
  71. 平井學

    平井(學)政府委員 一級国道一号線は、全国道中最も交通量の多い路線でございます。一番新しい統計によりますと、これは昭和三十七年度の春秋二回にわたって建設省の行なう全国的な道路交通情勢調査でございますが、これによりますと、一級国道一号線、すなわち東京―大阪について調べたものによりますと、全線平均で一日の交通量が一万三千六十五台となっております。むろんこれは午前七時から午後七時までの十二時間の交通量調査でございます。その中でも特に込むところを申し上げますと、同じ一号線の中でも、東京都の地域内が一日十二時間交通で四万三百十三台、それから次は神奈川県下全区域の平均したものが一万三千八百二十二台、次に静岡県全体にわたる区域の平均が九千五百四台、それから愛知県下における全平均が一万三千六百八台、こういうような状況になっております。なお、私どもでしばしば用います統計、すなわち昭和三十三年度と三十七年度とを比較してみますと、この一号線は二・三倍の伸びを示しております。一級国道全部の平均の同期間の伸び率が二倍ちょうどであるのに対して、この一号線の二・三倍というのは、相当この路線交通事情が集中しておることを示しておるものと考えております。
  72. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そこで、現在全国平均からいって三倍以上の交通量だと言われておるわけでありますが、昭和四十三年ですか、完成後の推定交通量というのはどういう形になっておりますか。
  73. 平井學

    平井(學)政府委員 全線平均、一号線が、先ほど申しましたように、一万三千六士五台でございますが、昭和四十三年度末、すなわち昭和四十四年春におきましては、これがさらに平均二万台前後にまで達するものとわれわれは見込んでおりますが、そのうちこの新しい東海道幹線に移る分、旧一号線からこの高速道路の方に移る分が、やはり半分以上は移るものと見ております。そうすると大体二万台近いものがこれに乗る、またそれに乗ってもいいというような設計で現在進めておる次第であります。
  74. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 現在の交通事情のこれからの伸びを考え、また今日の状態から考えると、一日も早くこれは完成させなければならぬと思うのですが、その設計を見てみますと、四車線の計画をされているようでありますが、今どき四車線のような計画をしているのは手おくれじゃないだろうか。東海道のような幹線は六車線でやるべきだ、こういうふうに思うのですが、その点は大臣いかがでしょうか。
  75. 河野一郎

    河野国務大臣 お説のように四車線より六車線がけっこうでございますが、何分資金の関係等もございますし――日本のように大都市と大都市、名古屋と東京、この中間に全部都市がございます。従って、たとえば東京から流れる荷物にしても、名古屋までそのまま届くものは一体何%あるかということになりますと、途中でおりて途中で出ますというようなことから、幹線は四車線、それで込み合うところを部分的に動かしていくということの方が、全体のことから考えれば便利なこともあるだろうというような意味合い等も勘案いたしまして、むろん全部が四車線ではございません。六車線のものもあるわけでございます。またそれに補強する部分もあるということで、実態に即して計画を立てる方が適切じゃないかというふうに考えております。
  76. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そこで、大臣が御存じのように、この中間になっております焼津-浜松間の路線がまだきまっていないわけであります。最近大臣各地に行かれてお話ししている中身を見ますと、常識的なことが行なわれておるわけでありまして、そういう点からいきますと、道路の問題につきましては、やはり道路をつくらなければならぬ、しかし、地元が反対しておったら、幾らたっても道路ができないじゃないか、道路をつくるのだったら地元協力せよということを盛んに言われておるわけでございます。確かに地元協力――道路をつくるのには何といっても用地が一番大事でありまして、用地確保ができればもう道路は終わったということまでいわれておるくらいでございます。そういたしますと、この焼津―浜松間の路線の決定で、県下の中でも、海岸線がいいとか山がいいとかあるいはまん中がいいとか言われておるようであります。しかし、今私たちにいろいろ出されている陳情あるいは議会の決議などを見てみますと、この海岸線を中心とした焼津あるいは大井川あるいは榛原、相良、御前崎、大浜、大須賀、浅羽、福田、龍洋、浜松、この海岸線につきましては、相当地元が強力に推進をいたしておりますし、また各議会でも決議をいたし、また協力の誓約書までこちらに出しておるというような話を聞いておるわけでありまして、こういう点からいくならば、やはり今日の東海道の高速自動車国道を早くやらねばならぬという建前からいくならば、協力体制が整った、そして国から見た場合、あるいはまた静岡県の総合開発から見た場合、最もいいところにきめるべきだ、こういうふうに私は考えるわけでありまして、これらの点につきましてもいろいろ検討されていると思うのでありますが、あまりこういう問題が長くなることは、陳情がますます両方からふえて余分な経費がお互いにかかるわけでありまして、もう時期的にはこの辺できめるところにきているのではないだろうか。これらについての大臣の御所感を伺いたいと思います。
  77. 河野一郎

    河野国務大臣 御説ごもっともでございますが、何と申しましても地点と地点を結ぶというところにも相当の意義がございます。従って、相なるべくは短距離を希望いたしますが、さればと申して地質の点等も考えなければならない。また同時に、ただいまお示しになりましたような点も相当に考慮する必要があろうと思います。従って、それらの点につきましていろいろ御意見がございますから、決定がなかなか困難であるということなのだと私は思うのでございまして、従ってあまり遅延することは適当でないことももちろんでございますが、私、国会終了前に現地に行ってよく調査をしまして、決定いたしたいと思います。
  78. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 大へん実力のある河野大臣でありますから、また今日の国民世論の動向あるいは地元状態というものをよく御存じになっているわけでありますから、ぜひ一つこの問題につきましても、地元の意見も十分聞きながら、常識的な形の解決をしていただき、そしてなお先ほどの交通量の説明から参りましても、もう完成したときにはまた道路をつくらねばならぬというようなことにもなるわけでありまして、もう大臣自体が神奈川の御出身で、その実情を私以上によく存じておると思いますので、一つできるだけ完成を早く、そしてまた部分的にできたところについてはやはり開通をしてやっていただきたい、こういうことをお願いいたしたいと思います。
  79. 羽田武嗣郎

  80. 赤松勇

    赤松分科員 この際建設大臣にお伺いしておきたいのでありますが、私の認識では、日本海は日本の内海であり地中海である。たとえばソ連におけるシベリア開発などを含む将来の展望から考えまして、好むといなとにかかわらず、そういう方向にいくと思うのです。そういう重要な北陸三県と東海道は、これは、密接不可分な経済圏にあるのがありまして、この経済圏の核をなしておるのは御存じのように名古屋です。先般来大臣が名古屋にいらっしゃいましていろいろな声明をされておりますけれども、ここで私は、基本的な国づくりの一環をなす、しかも日本の非常に重要な東海、北陸を含む経済圏の構想、その動脈をなす道路政策につきまして聞いておきたいと思います。  その前に、所得倍増計画といわゆる東海経済とがどういう関係に置かれておるか。これは全国総合開発計画の工業生産地区別負担表でありますけれども、これによりますと、所得倍増計画は、十年後の姿を想定いたしまして、大体基準となる昭和三十三年は、工業生産物の出荷額は全国合計九兆三千七百億、そのうち東海四県は一兆四千八百億円で一五・八%を占めておる。北陸三県は二千百余億円で二・三%を占めておる。現在京浜地区を持つ関東、これは長野県を含んでおりますけれども、ここでは二兆九千八百億円で全体の三一・八%、近畿地方、これは滋賀県を含んでおりますが、二兆三千億円で全体の二五%、ところが十年後になるとどういうように変わっていくかということを想定して、まず全国合計は四十兆五千八百億円、四・三二倍になる、こういう想定のもとに、北陸地区ではその三%を占めて一兆二千百億円、これは大体五・六七倍の成長率です。文字通り北陸は、十年後にはこの計画でいきますと全国一の成長率を示す。それから東海は、一九%に成長して、七兆七千百億円、大体五・二倍になり、全国平均成長率をはるかに上回るのでありまして、これは十年たてば近畿をはるかに抜いて、東海が日本における最も重要な拠点になってくる。こういうように総合開発計画では想定しておるわけであります。こういうように非常に重要な地位を占めている東海・北陸地区における総合開発の中で、道路行政の占める比重というものは非常に重いと思うのであります。  そこで、私は、大臣の談話などと関連をいたしまして、この際お尋ねしておきたいのは、まず問題になりますことは、いわゆる東名高速道路といわれるものであります。この東名高速道路というのは、御承知のように東京と名古屋間を結ぶ高速道路でありまして、大体東京、静岡それから小牧、豊川というように、すでに建設大臣の施工命令が下っておるというように私どもは聞いておるのであります。ところが、これについては、地元静岡県の沿岸線案と、それから建設省の山の手線案が対立をしておる。これが工事の一つの障害になっておるということを、われわれは聞いておるわけであります。これは、御承知のように、東海地区における経済界も非常にこのことを熱望しておりますし、私は、この計画それ自身にも実は批判的な――この計画そのものには反対するわけではないけれども、もう三十年、五十年後には、こういうちゃちな計画は私は限界点に達するという見通しに立っておりますが、それはともかくとして、一体この点ではどうなっておるのかということを最初にお尋ねしておきたいと思います。
  81. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまお話しの点につきましては、東名間におきまして、静岡県内におきまして地元の要望等もございまして、なお未決定のところもありますし、計画上さらに検討を要するところもありますので、今研究中でございますが、なるべく結論を急ぎまして、できれば夏ごろまでには一切の計画を確定いたしたいと考えております。  お尋ねの点にいろいろ御意見もあるようでございましたが、これもついでに申し上げますと、私は、東名が現在の計画しておりますので、今お示しのような今後五年、十年先にどうなるかということにつきましては、いろいろわが国の、時代の変貌もあろうと思います。さらに私御勘考をいただきたいと思いますことは、すでにその計画をつくりました当時に比べまして、国際情勢にも相当の変化がございます。従いまして、今後の五年、十年先の国際情勢の推移とわが国の国内の経済のあり方というもの等を勘案いたしまして、一体日ソ間がどうなるか、日ソ貿易がどうなるかということも変化するでございましょう。さらにまた、自由国家群との間の貿易、東南アジアとの貿易、これらは時々刻々変貌して参るのでありますから、従って、われわれといたしましては、諸般の点を勘案しつつ、時代の変化に即応して計画を立てる必要があるだろうというふうに考えております。
  82. 赤松勇

    赤松分科員 当初計画では昭和四十四年を完成の目標にしておったわけでありますけれども、たとえば名四国道でございますけれども、あなたの命令一下非常に早まったわけですね。この間開通式にいらしたわけですが、今の政治の盲点をまさにあそこで如実に現わしておると思うのでありまして、やろうと思えばやれるということがあそこで示されております。もっとも、その工事が百パーセント完全に行なわれておるかということは、これは今後の事態を見なければわかりませんけれども、少なくとも河野建設大臣の一声であの工事が促進されたことは事実です。そうしますと、名四国道でできたものが今のこの東名高速道路でできないわけはない、こう思います。当初の計画では昭和四十四年度を完成の目標しておりますが、これには変わりございませんか。
  83. 河野一郎

    河野国務大臣 今のところは変わりはございませんが、問題はこれから計画設計等を急ぐと同時に、私はちょっと今の御発言で誤解があるといけませんからつけ加えて申し上げておきますが、名四国道にいたしましても、急いだから悪いものでよろしいというようなこと、もしくは監督上に手落ちがあるというようなことは絶対いたしておりません。また、土砂等の積み上げにつきまして、ある程度の沈下率等が未決定のうちにこれを舗装する等のことはいたしておりません。ただ橋梁等におきまして、予算の関係で、当然複線にすべきものが単線のまま開通したというところはございます。その他において、なすべき点において怠っておる、悪くてもいいからやれというような命令は決していたしておりませんから、その点は一つ御心配のないように願います。
  84. 赤松勇

    赤松分科員 もちろん悪くてもいいから早くやれという命令をお出しになるわけはございません。そんなことは私はみじんも考えておりませんが、たまたま工事が急がれたということのために、私は直接あの建設工事を請け負った技術屋の一人に聞いた話でありますけれども、かなりそのために無理をしている。そうしてその無理が必ず近い将来に露呈するだろうということを聞いたわけであります。そういうことはこれは事実が証明するでしょう。しかし、そういうことのないように私は希望しておきますが、私は、そういうことを言おうとしているのではなしに、あなたがそういう指示をなさったら予定よりも早くでき上がったというところに、今日道路行政について問題があるのではないかということを指摘しておるのであります。  続いてお尋ねしたいのは、中央道の問題です。これはずいぶん中央道とそれから東名高速道路とは醜い競争をやりまして、当時私どもも非常に苦々しく思ったわけでありますけれども、とにかくこのことは、一応二つの道路が同時に建設へ出発する、そのスタートを切るということは大へんけっこうでありますが、ただここでお尋ねしておきたいのは、これは言うまでもなく産業開発も含まれておるわけであります。そうして、これができ上がりました後の東海地区における経済の様相というものは、かなり変わってくるのじゃないか。それで、その点につきましては、たしかこれは今参議院議員になっておる田中とかいう人が、何か工場をやっておりますけれども、この人が当初この案を盛んにわれわれのところへ送って参りました。私はこの際特に大臣に――大臣もおそらく私と同じ気持だと思うのでありますけれども、愛知用水をだれが考えたかというと、役人が考えたわけではございません。あの愛知用水の構想は、知多半島に住んでおられます久野庄太郎という一人の篤農家――彼は、その計画を立てるために私財をなげうって、非常な苦労をされておる。私は彼の労苦に対して報いるべきだということを絶えず主張して参りましたが、幸い今日世間もこれを認めるようになった。こういうような大構想は役人の頭の中からは生まれてこないわけです。今度の中央道の構想も、やはりそういうことであると思うので、一つそういう立場から十分各方面の意見を聞いていただきたいと思うのでありますけれども、とにかくここで中央道の縦貫道路建設のめどがついた。そこでこれは大体いつごろ完成をする予定でございますか。また、今計画をされておると思うのでありますけれども、その計画が順調に進んでおるのかどうか。こういう点を聞いておきたいと思います。
  85. 河野一郎

    河野国務大臣 中央道につきましては、一応富士吉田までを四十二年度、暦年で四十三年三月までにやることにいたしておりまして、順調に進んでおります。ただ、今御発言があると思いますが、富士吉田と小牧を結ぶ、いわゆる山岳地帯につきましては、冬季氷結の問題、隧道の問題等がございまして、なお検討中でございます。
  86. 赤松勇

    赤松分科員 その次にお尋ねしたいのは、東海、北陸を結ぶ場合に、一番大きな障害、壁になるのは、やはり今おっしゃった山岳地帯だと思うのです。このことが一番大きな障害になる。ところが、障害があっても、これは今度の雪害でわかるように、どうしても北陸と東海を結ぶ山岳地帯をくり抜いた高速道路が必要であるということは、大臣自身もお認めになっておると思うのであります。もし今日、あの貧弱な道路に依存しないで、相当りっぱな道路ができておったならば、あの災害に対する救援も、おのずからもっとスピード化されたのではないかというように考えるわけであります。そこで、この東海と北陸を直結する道路として、一級国道四十一号線、名古屋から富山ですね。それから二級国道百五十六号線、これは岐阜―高岡、これと途中で分かれて福井へ出る百五十七号線というものが現在あるわけですけれども、これは非常にお粗末で、現在米原回りの路線が利用されておるというような状態であります。将来の東海、北陸を合わせた中部経済圏という未来像を考えてみますと、もちろんこの道路ではだめだ、どうしてもりっぱな横断道路が必要であるということになるわけであります。今たしか四十一号線の改修が行なわれておるのでありますが、この四十一号線の改修は一体いつごろでき上がるのであるか。また、もう一つの案としまして、名古屋を起点に一宮―岐阜を経て百五十六号線と並行して関―白鳥―白川―堀端と、中部山岳地帯を切り開いて富山県の高岡へ通ずる百七十キロの山岳ハイウェー、石川県でも、金沢を起点に白山山ろくへこの横断道路で結ぶ通路を、今道路公団に申請をしておるやに聞いておるのでありますが、この道路公団に申請をしておるのは一体どうなっておるのかということをお聞きしたいと思うのであります。
  87. 平井學

    平井(學)政府委員 金沢と富山、金沢から発するこの有料道路計画は、現在調査中でございます。いずれ本年度末までに調査の結果が出まして、その上でこれらの採否を決定するように考えております。
  88. 河野一郎

    河野国務大臣 ちょっと私の考えを申し上げます。だんだんお話しでございますが、私は、今お話しになっておりますように、名古屋・四日市を中心にした中部経済圏と北陸経済圏とを結ぶものとして、第一は、今もお話しになりました高山を経由して参ります道路、これは現在相当のスピードでやっておりますが、高山から古川町を出て参りまして富山に至る中間に、高さは高うございませんが、谷合いの非常に悪いところがございます。そのために道路を敷設するのに非常に困難性がありますし、トンネルにしては長過ぎるというような点がございますので、ことをどこを通ってどういうふうに行くかということを、せっかく抜本的に調査を命じております。私といたしましては、先般の視察の結果、高山経由の路線が、高度を見ますと、いずれも五百メートル以下の地点を経由して裏に回れるという道路でございますから、これは最適の路線であるという意味合いにおきまして、あらためてこの路線にもう少し重点を置いて、そうして拡幅すべき点はさらに拡幅していくようにいたしたい。冬季におきましても、幅さえ広げれば相当に安全性がありますから、また除雪等の便利もございますから、ぜひさらに、一段と拡幅して、この道路を完成いたしたいと思います。  もう一つは、今お話しになりました、敦賀を経由いたしまして米原へ参りましてから、小牧へ参りますハイウェー、つまり名神国道に合体いたします。ここで名神国道を参りまして大垣の辺に参りましたところで、大垣のインターチェンジで分かれまして、小牧に行かずに、大垣から桑名へ下がってくるという新線を一つ考えたい。これは従来問題になっておりませんでしたが、これによって名四国道と直結いたしまして、桑名、四日市、いわゆる中部経済圏の一番中心地帯、名古屋市の市内を通過せずにいくことが非常に必要だろうというふうに考えまして、この路線を新たに至急調査いたしまして、緊急に何とか開発いたしたい。これによって名四の港湾、工業地帯と裏とを直結するということにすることが、当面一番適切なんじゃなかろうかと考えております。
  89. 赤松勇

    赤松分科員 実はその点をお尋ねしようと思っておったのでありますが、ここに「国道第十九号線、第二十二号線の交通量緩和に関する意見書」これは名古屋市会が満場一致決議をいたしまして、「地方自治法第九十九条第二項の規定により意見書を提出する。」こういうことで、名古屋市内を通っておりますこの国道十九号線及び二十二号線、これは実際に名古屋に住んでおる者でないとわからないわけでありますが、あの繁華街の伏見通り、つまり広小路を横断しておるわけであります。ここをすごいダンプカーやトラックが走るわけであります。全く名古屋は、あれだけ理想都市でありますけれども、この道路のために、交通量がふえるだけでなしに交通事故もふえているということで、きわめて非近代的なやり方だと思います。これは、今大臣が御指摘になりましたように、バイハスをつくっていただいて、そうして名古屋市内を、たとえば東京―大阪間を走るトラックなどは何も名古屋市内を通る必要はございませんから、今のような構想でやっていただきたいと思うのであります。それにつきまして、中京地区道路網会議というのがありまして、これは各界の人たらでつくっている会議でありますけれども、この会議におきましては、今の大臣の構想と同じような構想を実は考えておったわけであります。今のお話によりまして、桑名から大垣に出るという道路、これは名神国道に直結させられるわけですね。小牧の方は中央道その他が直結しますから、今の大臣の構想でいきますと、もう桑名からずっと大垣に出るものですから、名古屋の交通量というものは、トラックその他輸送車についてはかなり緩和されるのではないだろうか。あなたは、たしか災害防止を見越して、沿岸堤防の問題で新しい構想をお打ち出しになったが、僕は、あの構想が、ほんとうは今三重県、愛知県の間につくられようとしている防潮堤、あれに取り入れられるべきではないか、こういうふうに思います。もしあれに取り入れられるとすれば、新しい東名高速道路、これが名古屋へやって参りまして、知多郡から防潮堤の上を走って桑名へ出る。三重県と愛知県。そうして鍋田から桑名へ出て、桑名から大垣に出るというふうに利用されれ――そういう案も実はあったわけです。あったわけでありますけれども、何しろ防潮堤が二つの航路を持つという点から、かなりいろいろな問題が出て参ったわけでありますが、こういう点も大いに利用されなければならぬのじゃないだろうか。それからもう一つは、名古屋を中心とする放射状道路と環状路線バランスのとれた道路体系、これを一つ確立して、そうして名古屋を取り巻く――今の大臣の構想によりますと、今の構想を含めれば大体四本の道路ができるわけであります。この四本の道路とさらに今おっしゃった桑名、大垣、岐阜、美濃加茂、多治見、瀬戸、豊田、岡崎、蒲郡、こういうような各都市をじゅず玉につないで、延長百四十八キロに及ぶ規模の計画を、実はこの道路網会議でつくっておるわけでありますけれども、ここで問題になりましたのは、これはぜひ大臣考えていただきたいと思うのですが、僕は、この前国鉄の吾孫子副総裁を呼び出して、国鉄というものはどうしてばかばかりそろっているのだ、およそ頭が悪いんじゃないかという話をしたのです。といのうは、あの当初の計画によると、名古屋市内のある一定区間を土盛りでやろう。それは予算的に見れば土盛りの方が安くつくかもわかりませんけれども、百七十万都市で、しかも将来日本の中心の核になろうとする都市形成の中で、そんな土盛りの新幹線をつくっては、もうはなはだしく都市の交通を阻害することになるということから、やかましく言ったわけであります。あの新幹線をつくるときに、同時にやはり道路計画というものも並行して考えていかなければならぬ。用地は国鉄が十分持っておりますから、もしあの新幹線の高架式のものをつくるとすれば、それがかりに市内を走りましても、そのことが交通阻害の条件にはならない、こういうように私は思うわけであります。たまたまこの間東京証券取引所のところを通りました。そういたしますと、あすこはちょうどインターチェンジになっているのですから、二階みたいに二重になっていますね。僕はロスアンゼルスやサンフランシスコに行って、あなたもごらんになったと思うのですが、全くうらやましく思ったことがある。二階建、三階建の道路があるわけです。私がさっき東海道の新しい高速道路はちゃちだと言った意味はこれなんです。これからおつくりになるときは、どうして二階建あるいは三階建の道路というものを考えられないか。これは二階建につくれば、土地の利用度は倍になるのです。しかも一方通行にすれば、ずうっと車がはけちゃうのです。今のように道をつくる。それが一方交通にならずにやっておりますと、しばしば事故の原因になるわけであります。そういう意味で、そういう先進国のすばらしい道路計画を取り入れる。それは建設当時は高くつくかもわかりません。高くつくかもわかりませんが、私はそれだけの大きな財産を私どもの子供に残していくということが絶対に必要ではないだろうか。そういう意味で、これからはもっと発展的な構想というものをつくり出す必要があるのじゃないだろうか。たとえば新幹線をつくりますね。新幹線と同じように、別にあれに並行して二階建の道路をつくったっていいのですよ。国鉄の用地だからといって、国が使えないわけはございません。そういうふうに考えてみれば、幾らでも方法はあるわけであります。幸いにして河野さんが大臣に就任されまして、かなり私は道路行政の上には見るべきものがあると思うのであります。そういう意味におきまして、各方面から非常な期待を持たれておるのでありますが、この点はぜひ十分考えていただきまして、同じ土地を利用するのですから、二階建にすれば土地の利用度は倍加するわけです。しかもそれが一方交通ということになりますと、一番下はこれまた道路に利用すればいいのでありますから、これはぜひとも今後の道路行政の上に取り入れていただきたい。これは中京道路網会議におきましても非常な問題になっております。外国に行ったことのある人はことごとく主張している。この点について河野構造はいかがでありますか。
  90. 河野一郎

    河野国務大臣 御意見ごもっともでございまして、実は私も、建設大臣になりましてから、御意見のような点を指示いたしまして、実は東京―日光線におきまして幅広い用地を買って、ハイスピードのものはその上を通せということで、一つやってみようということで、今用地の買収それから実施設計を検討中でございます。ただ、あまり長距離になりますと、やはり専門家が苦情を言いますので、こちらは専門家でありませんから、どうもうまくいかぬ点もありますが、万事は区間的に実行してみまして、そうして適当であれば順次やっていく。何分地震国でありますために、設計等にも非常にめんどうなことがございます。いろいろ障害もあるようでございます。しかし、仰せのような点は、私は高く評価すべき問題であろうと考えております。  名古屋につきましては、先般も私大阪へ行って申したのでありますが、地元の方が非常に御熱心でありまして、常に建設省地元からしりをたたかれる、もしくは調査等について毛御協力をいただいておるというようなことで、できるだけ私たちといたしましても積極的に御協力を申し上げるつもりであります。ただ、今名古屋―大阪線、もう一本奈良の方を回るものを検討中で、明年度の予算に一部取り入れてございます。天理―関間をやりまして、関から名古屋へこれをどういうふうに入れてくるかということを検討中でございます。これらにつきましても地元の御意見を十分に承りまして、なるべく交通の緩和に資したいと考えておる次第であります。
  91. 赤松勇

    赤松分科員 もう一つだけお聞きしておきたいのですが、今ひょっと頭に浮かんだのですが、桑名から大垣、それを新しい東海道の路線につなぐということも一つ方法ですが、御承知のように鳴海なども名古屋に合併されました。むしろこの際は、名神国道を生かす意味で、また中央道との直結を生かす意味で、岡崎辺から――名古屋のずっと郊外の東郷村までも間もなく合併してしまいますが、――それからもっと向こうの豊田あたりも経て、そうして名古屋、小牧から名神国道に直結できるような、そういう案を一つ検討いただけませんでしょうか、いかがでございますか。
  92. 河野一郎

    河野国務大臣 今一応の考え方といたしましては、名四国道を延長いたしまして、鳴海辺まで延長する予定でおるわけでございます。今お話しの点につきましては、今後の交通状況等を勘案いたしまして、一ぺん東側の方につきまして再検討する必要がある。西の大阪、関西経済圏との関係につきましては、今申し上げましたように相当に配慮いたしておりますが、何分中央道と東海道との関係、この方面は、まだ私実地に行っておりませんので、方面にも一ぺん行ってみたいと考えております。いずれ研究いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと考えております。
  93. 赤松勇

    赤松分科員 この二十世紀に、摩訶不思議な構想が発表され、政府がまた調査費をそれに計上しておるわけであります。それは、四日市市長の構想によるところの、例の太平洋と日本海を結ぶ新しい運河をつくるという計画がありますね。私はあの構想が四日市市長によって発表されたときに、ちょうどテレビに出ておりまして、それに一口入れてくれというから、およそばかげた時代錯誤の考え方だということを言ったわけです。今どきに、琵琶湖を経て、そうして穴をずっと掘って運河をつくる、どれだけの予算がかかるかわかりません、ある人は二千億、ある人は三千億、そうして穴を掘って一々橋をかけていかなければならぬ、こんなばかげた時代錯誤の考え方はないと思うのです。それで、私はこの構想には反対なんですが、この点の大臣の御意見を伺っておきたいと思うのです。それを主張される根拠の一つとして、ソ連から木材が入ってくる。そうすると、御承知のように木材というものは日本海を通って入って参りまして、いかだにして赤い旗を立てて来ますね。そうして北陸の港に入る。入ると、日本の木材の価格の変動が激しいものですから、当初契約いたしました値段と非常に違った結果が出てくる。たとえば、木材の値下がりがあるという場合には、木材業者は引き取らないわけです。そういうごたごたが日ソ貿易の中で非常に大きな問題になっております。私は、ソ連商工会議所の会長のネストロフとモスクワでこういう問題について一日ゆっくりいろいろ意見の交換をしたわけです。ソ連としては、日本経済がそういう資本主義の自由競争の中にあって、価格の安定ということが非常に困難ならば、港へつけて、木材を中に入れてから取引してもいいという意向を示しておったようであります。これは高碕さんが行かれたときも、やはり同じような意向を示したということを聞いております。従って、ソ連との木材の取引などということは、そういう主張の根拠にはならないわけです。そのために琵琶湖を中心としてあそこへ大運河をつくるというようなばかげた構想は、これはやめた方がいいと私は思う。それよりもむしろ今建設省考えておる近代的な山岳道路をあそこにつければ、その方がはるかに安くできるし、橋をかける必要がない。だから、そこにむしろ重点を置くべきであるというように考えておるわけであります。実は大野さんにもこのことを話そうと思っておるうちに、四日市市長があなたの盟友大野伴睦氏にうまいこと取り入って、大野さんはどうもこの構想に賛成のようです。これは調査費を計上されたようでありますけれども、こんなばかげた計画はむしろやめて、そして北陸と東海を結ぶ近代的な道路を建設していくというところに重点を置いてもらいたい。もしあんなところに穴でも掘られたら、これは大へんなことになる。一体、今名神国道をつくっております。あれをこわしてあそこへ運河をつくるというのですから、私はこっけい千万な構想であると思いますが、どういうわけで河野さんほどの人があそこへ調査費を計上されたか、調査費でこれから調査するというのですから、必ずしもやるという意味ではないと思うのですが、この点についてどう考えになっておるのですか。
  94. 河野一郎

    河野国務大臣 だんだんお話のございました通りに、中部経済圏と北陸経済圏はいかなる形式でこれを結ぶか、どういうふうに合理的にこれを処理するかということは重大な問題でございます。これを国家として調査することは私は当然だろうと思います。たまたまそこに一案として琵琶湖を中心にする運河案というものが出て参りました。そのほかに、ただいまお話しになりましたように、道路によるべきものという案もあります。これらを総合して、この両経済圏をどういう形式でつなぐことが一番よろしいかということを十分に調査するということは、国家として当然なすべきことであろうという意味において調査費をつけたのでありまして、決していずれを排撃し、否拒るというようなことを考えておらず、謙虚な気持で皆さんのおっしゃる案は十分研究して結論を出そうというつもりで調査費を計上した次第であります。
  95. 赤松勇

    赤松分科員 謙虚な気持はけっこうですけれども、おそらくそれで喜ぶのは、魚がつれますから、魚つりの好きな人たちだけだろうと思う。けれども、新しい国づくりをやろうとしておるあなたの構想は、重点的には今道路政策に非常に重点を置かれておる。むしろその方へ――調査費といってもこれは国民の税金ですから、いろいろな案も出るから、一々調査するといって国民の税金を使われておったのでは、国民はやり切れません。それは聡明な河野さんですから、これは調査すべきものである、これは調査すべきものではない、こういうけじめをつけていただきたいというにくまれ口を一口申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  96. 羽田武嗣郎

    羽田主査 これにて昭和三十八年度一般会計予算及び三十八年度特別会計予算中、建設省所管に対する質疑は全部終了いたしました。  次会は明二十二日午前十時より開会して、自治省所管につきまして審査に入ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会