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1963-02-20 第43回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十日(水曜日)     午前十時二十九分開議  出席分科員    主査 羽田武嗣郎君       赤澤 正道君    尾関 義一君       田澤 吉郎君    塚原 俊郎君       栗原 俊夫君    小松  幹君       佐藤觀次郎君    坂本 泰良君       島本 虎三君    楯 兼次郎君       中村 重光君    山口丈太郎君    兼務 川俣 清音君 兼務 田中織之進君    兼務 玉置 一徳君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         総理府総務長官 徳安 實藏君         建設政務次官  松澤 雄藏君         建 設 技 官         (都市局長)  谷藤 正三君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建設事務官         (道路局長)  平井  學君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   高柳 忠夫君     ————————————— 二月二十日  分科員小松幹君及び渡辺惣蔵委員辞任につき、  その補欠として島本虎三君及び坂本泰良君が委  員長指名分科員に選任された。 同日  分科員坂本泰良君及び島本虎三辞任につき、  その補欠として栗原俊夫君及び小松幹君が委員  長の指名分科員に選任された。 同日  分科員栗原俊夫委員辞任につき、その補欠と  して佐藤觀次郎君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員佐藤觀次郎委員辞任につき、その補欠  として中村重光君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員中村重光委員辞任につき、その補欠と  して渡辺惣蔵君が委員長指名分科員に選任  された。 同日  第二分科員玉置一徳君、第三分科員川俣清音君  及び田中織之進君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十八年度一般会計予算建設省所管  昭和三十八年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 羽田武嗣郎

    羽田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和三十八年度一般会計予算及び昭和三十八年度特別会計予算中、建設省所管を議題といたします。  まず、建設省所管につきまして大臣説明を求めます。河野建設大臣
  3. 河野一郎

    河野国務大臣 建設省所管昭和三十八年度予算につきましては、お手許に配付してあります昭和三十八年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。
  4. 羽田武嗣郎

    羽田主査 お手元に配付してあります昭和三十八年度建設省関係予算概要説明は、便宜これを会議録に掲載することにいたしますので、御了承をお願いいたします。     —————————————  〔参照〕    昭和三十八年度建設省関係予算概要説明   建設省関係昭和三十八年度歳入歳出予算につきまして、その概略を御説明いたします。   まず、総額について申しますと、建設省所管一般会計歳入歳出予算といたしましては、歳入は十三億四千五百余万円、歳出は三千三百六十一億三千四百余万円であります。歳出おきましては、このほかに、総理府及び労働省の所管予算として計上されますが、実質上建設省所管事業として実施される予定経費等がありますので、これらをあわせますと、昭和三十八年度の建設省関係予算は、三千八百七十一億九千五百余万円となり、前年度の当初予算にくらべ四百三十六億九千四百余万円、また、前年度の補正後の予算にくらべ三百二十二億五千余万円の増加となっております。なお、このほかに国庫債務負担行為として国立国際会館建設に八億五千万円を予定いたしております。   次に特別会計予算概要を御説明いたします。   治水特別会計昭和三十八年度の予算総額は、歳入歳出とも八百七十六億七千百余万円で、前年度の当初予算にくらべ百八億七百余万円、また、前年度の補正後の予算にくらべ百五億六千八百余万円の増となっております。   これを勘定別にいたしますと、まず、治水勘定につきましては、総額六百九十億八千二百余万円で、前年度の当初予算にくらべ八十一億五千八百余万円の増でありまして、うち一般会計より受入として五百三十八億千五百余万円、地方公共団体工事費負担金収入として百億六千百万円を予定いたしております。   また、特定多目的ダム建設工事勘定につきましては、総額百八十五億八千九百余万円で、前年度の当初予算にくらべ二十六億四千八百余万円の増でありまして、うち一般会計より受入として、九十七億八千六百余万円、地方公共団体工事費負担金収入として三十億四千五百万円、電気事業者等工事費負担金収入として三十九億千四百余万円を予定しております。   なお、このほかに国庫債務負担行為として直轄河川改修事業に二十三億円、直轄砂防事業に一億八千万円、多目的ダム建設事業に四十九億五千万円を予定いたしております。   次に、道路整備特別会計でありますが、本特別会計昭和三十八年度予算総額は、歳入歳出とも二千五百五億七千二百余万円で、前年度の当初予算にくらべ四百三十四億三千二百余万円、また、前年度の補正後の予算にくらべ四百三十一億四千五百余万円の増でありまして、うち、一般会計より受入として二千二百四十四億七千百万円、地方公共団体工事費負担金収入として百八十九億七百万円、前年度剰余金受入として十億四千万円を予定いたしております。   なお、このほかに、国庫債務負担行為として、直轄道路改築事業に百七十億円、首都圏街路事業費補助に四十五億円を予定いたしております。   次に個々の事業予算重点について御説明いたします。   第一に、治水事業につきましては、国土保全と民生の安定を期する見地から、事業の格段の促進につとめて来たところでありますが、近年の災害発生状況及び水資源開発の急務にかんがみ、昭和三十八年度におきましては、治水事業前期五ヵ年計画の第四年度として、緊急を要する事業重点を置いて、大幅繰上げ実施を図ることとしております。   昭和三十八年度の治水事業関係予算の主なものとしては、治水特別会計において、河川事業に四百四十七億円、多目的ダム建設事業に二百三億三千五百余万円、砂防事業に百四十五億五千九百万円、水資源開発公団交付金に十八億四千百万円、一般会計において、海岸事業に二十二億六千余万円、チリ地震津波災害地域津波対策事業に二億七千六百万円、伊勢湾高潮対策専業補助事業分に四十四億七千二百万円を予定しております。   次に、その主な内容について申し上げます。   まず、河川事業につきましては、経済効果の大きい重要な河川、最近水害の著しい河川放水路捷水路工事及び大規模な引堤工事を施行している河川大阪湾及び東京湾地域における高潮対策並びに低地地域における排水ポンプ整備等重点を置いて、事業促進を図る方針であります。   すなわち、直轄河川については、継続施行中の利根川等河川及び北海道特殊河川として十六河川事業実施する予定であります。   補助事業におきましては、中小河川改修事業として継続施行中の三百七十四河川のほか、緊急に改修を要する三十河川新規に採択するとともに、小規模河川改修事業として継続施行中の二百四十九河川のほか、新規に七十二河川の着工を予定し、事業促進を図ることとしております。   高潮対策事業につきましては、その緊要性にかんがみ、東京地区について既定計画を再検討の上、昭和三十八年度以降緊急三箇年計画を策定し、事業推進を図ることとし、大阪地区についても前年度に引き続き、緊急三箇年計画に基づき事業促進を図ることといたしております。   多目的ダム建設事業につきましては、治水効果及び用水需要増大を考慮して、事業促進を図ることといたしております。   すなわち、直轄事業では十一ダムを継続して施行するほか、新規に天竜川の小渋ダムに着工することとし、また、実施計画調査としては、三ダム調査を継続するほか、新規に吉野川の早明浦ダム及び天塩川の岩尾ダム調査に着手することといたしております。   補助事業としては、二十のダムを継続して施行するほか、新規に沼田川の椋梨ダム等ダムを着手することとし、また、実施計画調査としては、三つのダム調査を継続するほか、新規に養老川の養老ダム等ダム調査実施する予定にいたしております。   また、水資源開発公団において行なう利根川矢木沢ダム等ダム建設事業に対し、建設費治水負担分として交付金を交付し、その促進を図ることといたしております。   次に砂防事業につきましては、直轄事業として継続施行中の二十六水系について実施するとともに、地すべり対策事業として継続施行中の四水系について実施することとしております。   補助事業としては、近年災害発生の著しい河川及び土砂による被害の著しい河川重点をおいて施行するとともに、都市周辺及び重要地域における予防砂防実施することとしております。   次に、海岸事業につきましては、近年頻発する海岸災害被害状況及び海岸事業進捗状況にかんがみ、重要な地域における海岸保全施設整備重点を置き、直轄事業としては、継続施行中の八海岸のほか、新規岡山海洋に着手し、事業促進を図ることとしております。   補助事業についても、同様の方針に基づいて実施することとし、高潮対策事業海岸浸食対策事業として継続施行中の七十七海岸のほか、新規に三十三海岸予定し、重点的に事業促進する方針であります。   また、チリ地震津波災害地域津波対策事業につきましては、昭和三十八年度以降おおむね四箇年で完成することを目途に、事業促進を図ることとしております。   伊勢湾高潮対策事業につきましては、直轄事業昭和三十七年度に完了しましたが、補助事業についても昭和三十八年度中に完了する予定であります。   第二に災害復旧対策関係予算について御説明いたします。   災害復旧対策関係予算総額は、一般会計よりの歳出として四百億六千百余万円でありまして、その内訳は、災害復旧事業費三百五十七億一千百余万円、災害関連事業費四十二億百余万円、鉱害復旧事業費一億四千八百余万円であります。   その主な内容を申し上げますと、まず、災害復旧事業費につきましては、直轄災害は、内地二箇年北海道三箇年復旧方針に基づき、三十六年災は完了し、三十七年災は内地分は完了し、北海道分は八十パーセントの進捗を図ることといたしております。   補助災害につきましては、緊要事業は三箇年、全体として四箇年で復旧する方針のもとに、事業進捗を図ることとしております。   また、災害関連事業につきましては、災害復旧卒業にあわせて、適切な実施を図り、再度の災害を防止するため効果をあげることといたしております。   第三に、道路整備事業について御説明いたします。   政府におきましては、経済高度成長に伴う自動車輸送需要増大のすう勢に即応して、道路整備五箇年計画に基づく道路整備を積極的に促進することといたしておりますが、昭和三十八年度におきましては、一級国道の一次改築大都市及びその周辺地域道路の再改築並びにオリンピック関連道路大都市地域道路産業開発及び観光上重要な地方道路整備重点を置いて、積極的に事業推進を図ることとしております。   昭和三十八年度における一般道路事業予算の主なものといたしましては、一級国道に一千六十二億八百余万円、二級国道に三百六十一億三千二百余万円、主要地方道に三百六十九億九千八百余万円、一般地方道に二百七十七億五千八百余万円、市町村道に二百十二億三千七百余万円を予定し、これにより国道及び地方道を含めて約二千七百三十キロメートルの改良及び橋梁工事と約二千三百キロメートルの舗装工事実施し、五箇年計画に対して改良及び橋梁工事については、事業員でおおむね五十三パーセント、舗装工事についてはおおむね四十五パーセントを達成することといたしております。   また、特に踏切道の立体交さ化、待避所及び共同溝設置等につきましても、積極的に推進を図る考えであります。   なお、従来に引き続き、内地一級国道のうち、交通量の特に多い区間を、国が直轄維持修繕を行なうこととし、昭和三十八年度におきましては、更にこの区間を約七百キロメートル追加して、合計約五千キロメートルとする予定であります。   なお、このほか国土開発縦貫自動車道路線について調査促進するための調査費として一億六千万円を計上しておりますが、これにより東北・中国・九州・北陸・四国中央の各自動車道について調査促進するとともに、新たに、北海道自動車道調査に着手することとし、また、本州四国連絡架橋調査費については三億一五千万円を計上し、本格的調査を進めることにいたしております。   なお、積雪寒冷特別地域における道路交通を確保するため、これに必要な道路事業費及び機械費として四十三億二千七百万円を計上しております。   また、街路事業予算につきましては、前述道路関係予算に五百二十二億三千六百万円が含まれておりますが、これによりまして、立体交差を含む道路改良橋梁整備及び舗装新設等街路事業実施して、都市内交通円滑化を図るほか、人家の密集した地区で、幹線街路整備とともに市街地合理的利用をも必要とする地区において、都市改造土地区画整理事業及び市街地改造事業実施推進いたしたいと考えております。   次に、有料道路について御説明いたします。   まず、日本道路公団につきましては、道路整備特別会計からの出資金九十五億円のほか、借入金等をあわせて八百七億六千四百万円の資金により、事業を行なうこととしておりまして、高速道路については、名神高速道路(小牧・西宮間)のうち京都・栗東間を六月に、これを含む尼崎・栗東間約七十二キロメートルを本年度中に完成するとともに、その他の区間についても工事促進を図り、また、東京・富士吉田間の国土開発縦貫自動車道中央自動車道及び東海道幹線自動車国道建設促進を図り、一般有料道路については、第三京浜道路等工事を、前年度に引き続き促進するとともに、若干の新規事業にも着手する予定であります。   次に、首都高速道路公団事業につきましては、道路整備特別会計からの出資金十五億円、東京出資金十五億円のほか、借入金等をあわせて三百七十六億七千六百万円の資金により、事業を行なうこととしておりまして、首都高速道路については、昭和三十七年度において実施している七路線のうち、六号線を除く、六路線を継続実施することとし、このうち、一号線について日本橋本町三丁目、鈴ヶ森間約十二・五粁を昭和三十八年度中に供用開始することとしており、また、駐車場については、江戸橋ほか二箇所を継続実施し、その全部を完成する予定であります。   次に、阪神高速道路公団事業につきましては、道路整備特別会計からの出資金二億円、地方公共団体からの出資金二億円のほか、借入金等をあわせて六十六億二千二百万円の資金により、事業を行なうこととしておりまして、昭和三十七年度に引き続き、大阪一号線を継続実施し、このうち難波・土佐堀間約二・八粁を年度内にほぼ完成するほか、新規に神戸一号線に着手する予定であります。   第四に、都市計画事業について御説明いたします。   昭和三十八年度における都市計画事業関係予算は、六百七億二千五百万円であります。   このうち、まず、街路関係事業予算額は、首都高速道路公団及び阪神岡速道路公団に対する出資金を含め、五百三十九億三千六百万円でありまして、これにつきましては、既に申し述べました道路整備特別会計に計上されております。   次に、一般会計に計上されております都市計画事業予算額は、六十七億八千九百万円でありまして、これにより下水道公園等整備を図ることとしております。   下水道関係予算額は、六十四億七千万円で、前年度に比し十七億六千六百万円の増でありますが、事業緊要性にかんがみ、昭和三十八年度から下水道整備五箇年計画を策定し、都市施設中最も遅れている下水道整備促進に努める所存であります。   公園関係予算額は、三億一千九百万円でありまして、国営公園都市公園及び墓園等整備を図ることとしております。   第五に、住宅及び宅地対策について御説明いたします。   政府は、国民生活向上安定と社会福祉充実を期するため、十箇年に約一千万戸の住宅建設する目標のもとに、昭和三十六年度以降五箇年間に約四百万戸の住宅建設を見込み、特に低家賃住宅大量供給と、不良、老朽、過密層住住宅の一掃を図るため、政府施策住宅として百六十万戸の建設予定しておりますが、昭和三十八年度におきましては、二十八万七千戸の建設計画しております。   この戸数は、前年度に比較いたしますと、二万二千戸の増となっておりますが、特に昭和三十八年度におきましては、住宅の質の向上を図るため、不燃堅ろう構造の住宅増加重点を置くとともに、建設単価の是正を図ることとしております。   また、民間自力によって建設される住宅は、最近の実績より見て約五十万戸程度と推定されますので、これをあわせて昭和三十八年度におきましては、約七十八万七千戸の住宅建設を見込んでおります。   なお、最近における宅地入手難及び地価の高騰に対処するため、宅地供給量の大巾な増加を図ることとし、このため日本住宅公団における宅地開発事業及び住宅金融公庫における宅地取得造成に対する融資について、その資金量増大を図るとともに、地方公共団体及び土地区画整理組合において土地区画整理事業方式による宅地造成推進してまいる考えであります。   政府施策住宅に対する予算措置としては、公営住宅に対しましては一般会計予算において二百二十一億百余万円を予定し、第一種住宅二万二千三百戸、第三種住宅三万三千七百戸、計五万六千戸及び災害復旧のための第二種住宅三十二月の建設に対し補助することとしております。   住宅地区改良事業といたしましては、一般会計予算において二十五億三千余万円を予定し、劣悪な居住環境を改善し、あわせて市街地合理的利用を図るため、不良住宅除却及び改良住宅四千五百戸の建設に対し補助することとしております。   次に、住宅金融公庫におきましては、産業投資特別会計よりの出資金九十五億円のほか、借入金等あわせて七百九億六千三百万円の資金により、十二万八千戸の住宅建設、三百万坪の宅地取得、二百三十五万坪の宅地造成及び被災住宅の復興に要する資金の貸付けを行なうこととし、このほか農山漁村住宅等の改善を促進するため、新たに住宅改修資金貸付制度を設け、約八千件の改修融資を行なうこととしております。   なお、分譲宅地供給増大を図るため、宅地需要者に対して計画的な資金積立を奨励することとし、このため新たに宅地債券九億円を発行することとしております。   また、日本住宅公団におきましては、産業投資特別会計からの出資金八十億円のほか、借入金等をあわせて七百五十四億円の資金により、賃貸住宅二万三千戸、分譲住宅一万一千戸の建設市街地施設建設を行なうとともに、宅地については、一千三百二十五万坪の住宅用地及び四百四十万坪の工業用地取得造成事業を行なうこととしております。なお、住宅金融公庫におけると同様に、新たに宅地債券十億円を発行することとしております。   以上のほか、都市における火災その他の災害を防止し、あわせて土地合理的利用促進及び環境整備を図るため、防災街造成に対する補助金として、一般会計予算において二億八千万円を予定しております。   第六に、官庁営繕について御説明いたします。   建設省実施いたします官庁営繕のうち、建設省所管予算として計上されておりますのは、六十八億七千七百余万円でありまして、前年度予算に比し十一億四千六百余万円の増額となっております。   実施にあたりましては、特に中央官庁地域早期整備と、中央地方の合同庁舎の建設、その他一般官署の建替、国立国際会館建設促進等重点を置くことといたしております。   このほかに、オリンピック東京大会実施準備費として二十五億七千三百余万円を計上し、前年度に引き続き、事業実施することといたしております。   以上のほか、昭和三十八年度予算中の主なものについて申し上げますと、産業開発青年隊につきましては、五千七百余万円を計上し、幹部及び中央隊訓練を行なうとともに、道府県の青年隊運営費等を補助することとし、また、中央訓練所を拡充して、技能訓練の徹底を期することとしております。   水防対策につきましては、八千五百余万円を計上し、無線局の増設並びに水防施設整備に対する補助等を行ない、水防態勢強化充実を図ることといたしております。   次に、土地区画整理組合貸付金について御説明いたします。   この経費は、前述宅地対策の一環として、民間自力による宅地造成促進を図るため、土地区画整理組合に対し宅地造成土地区画整理事業に必要な資金の貸付けを行なう都道府県を対象として、国がその所要資金の一部に相当する資金を無利子で貸し付ける新たな制度でありまして、昭和三十八年度は、三億円を計上しております。   以上が昭和三十八年度の予算概要でありますが、なお、組織関係の主なものといたしましては、附属機関においては、建設研修所を改組して建設大学校を設置し、地方建設局においては、昭和三十八年七月一日から実施する本省からの事務の大巾な委譲に伴い、計画管理部を新設する等所要整備を行なうことといたしております。   定員につきましては、昭和三十八年度においては、前述本省から地方建設局への事務委譲に伴う本省から地方建設局への定員振替、また、地方建設局においては治水道路特別会計から一般会計への定員振替等がありますが、全体としては増減はなく、したがって、昭和三十八年度における建設省定員は三万五千七百二十人となります。   以上をもちまして、昭和三十八年度の建設省関係一般会計予算及び特別会計予算説明を終わります。   よろしく御審議の程をお願いいたします     —————————————
  5. 羽田武嗣郎

    羽田主査 これより質疑に入りますが、質疑の持ら時間については、先般山口丈太郎分科員と協議決定いたしました通り、お一人三十分以内にお願いいたします。ことに本日は九人の多数の質問通告者がありますので、持ち時間は厳守をお願いいたしたく、各位の特段の御協力をお願いいたします。  なお、政府当局に要望いたしますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔に行なわれますよう、あらかじめお願いしておきます。  川俣清音君。
  6. 川俣清音

    川俣分科員 私は本日建設大臣に主としてお尋ねいたしたいと思いますが、その中で、あるいは数字にわたるとか技術にわたる点につきましては、おのおの局長から御答弁願うことにいたしたいと思います。  そこで、私は、第一に、きょうは日本水資源について建設大臣にお尋ねしたいと思うのです。結論から先に申しますと、河野建設大臣は最近非常に道路整備やあるいは交通対策に異常な関心を持たれまして、国民期待に沿いつつあられますことについては敬意を表するのであります。この道路につきましては、まだまだ不十分なところはあるとはいいながら、大体の構想ができ上がり、近く何年かの後には整備されるであろうということが期待でできると思うのです。これは、そう国民が理解しても、大した間違いではないところまできたと思うのです。ところが、経済成長国民生活向上によって、今後一番大きな問題として残されておるのは、水の問題であろうと思うのです。これはまだ方角もきまらなければ、研究も十分でないし、どこにいつ解決を見出すであろうかということについて皆目わからないという状態だと思うのです。交通ほど眼前に横たわっておる問題でないだけに、国民自体も無関心である点もあるだろうと思いますが、最近のように都市の異常な膨張によりまして、生活必需品であります上水道あるいは異常な膨張に伴う下水道整備等が十分でないばかりでなくして、さらに発展するであろう産業を、水の制約のために操業度を落としたり、あるいはエネルギー源であるところの水力源あるいは火力源を制約するような事態が起きて、産業の発展にそういうところから大きな制約を加えるような事態が非常に濃厚になって参りました。特に東京におきましては、冬季でありながら水不足を来たすというような事態が起きまして、これが火災の頻発に備える態勢がとれていないのは、都会の異常なる膨張という欠陥からでありましょうが、水に対する対策が十分でなかったということになろうと思います。そこで、建設省は直接の所管ではないようでありますけれども、やはり住宅——住宅といいましても、建物だけではなくして、生活の根拠を与えるということになりますから、当然生活の環境に伴うところの上水道、下水道の設備というものが完璧にならなければ、完全な住宅とは言えない。形式的にはいかにりっぱな住宅でありましても、下水道が完備しなければ、あるいは上水道が完備しなければ、これは住宅とは言えないのです。小屋のようなものです。建物はりっぱでありましても、水の利用のない住宅というものは意味をなさないと思うので、水に対して建設大臣が異常な注目をしてほしいと思いますが、これに対する見解を一つ伺いたい。
  7. 河野一郎

    河野国務大臣 一々御説はごもっともであります。ごもっともなんですが、何分これに伴う法律がおくれておりまして、御承知の通り河川法の改正をやりまして、水資源を十分に総合的に活用できるようにするということは、喫緊事であると考えております。従って、今せっかく事務当局をして改正点の検討中でございまして、おそらく今秋末までには私たちの原案が作成されますが、その上で政府部内の調整をいたしまして、なるべく早目に国会に提案をいたしたいと考えております。それを十分御審議いただくと申しますが、御協力いただきたい。先般来社会党の議員さんにお願いしてありますが、何分地方中央との摩擦ということがありますから、党派を越えて御協力いただきたい。われわれといたしましても、別に政策的変革はないと思いますから、どういう点に注意して法案を立案したらよろしいかということを事前に十分御注意いただきまして、それらをくんだものを国会に提出したいと考えておりますから、川俣さんも、なるべくむずかしい発言でなしに、何分の御指導をちょうだいいたしたいとお願いするものであります。
  8. 川俣清音

    川俣分科員 河川法を改正しようとする御意思が明らかになったことは、非常に喜ばしいと思うのです。私は、この数年来、河川法の改正について分科会等において強く要望しておったのです。それは、大臣御承知の通り、明治二十九年にできた河川法でありまして、当時はいかに治水をするかということが目的で河川法ができ、かなり旧式な法律であって、一方道路と比較いたしますと、非常におくれた形のものでありました。従って、これを利水的な河川に変えていこうとする意図でおそらく改正をされると思いますが、特に河野大臣にお願いをしたいのは、従来、河川の利用につきましては、古くから慣習権を持っております農業利水との衝突がありますので、調整が必要であります。従って、河川法の改正は、かつて農林大臣をやられた河野建設大臣の手で調整をさるることが一番望ましいと私は思うのです。もう一つは、この河川法の改正にあたりまして、問題となるというよりも改正を必要といたしますのは、河川という天然流水は人がつくった行政区域だけを流れるわけではないわけです。従って、河川を県境としておる場合は非常に多いのでございますけれども、なお上流に参りますと、各県、各行政区を回ってくる。こういうところから、知事の権限等によって、従来とかく全体の産業の開発あるいは国民の福祉のために利用されないで、その県だけの利用度ということに偏しまして、大きな問題を起こしておるわけであります。これを今度おそらく改正しなければならぬだろうと思う。統括をしていかなければならぬ。これらの二題目を解決するには、事務当局ではなかなか容易に解決できない問題であります。そこで、道路行政に手腕を振われた——おだてるわけじゃないのですけれども、よほどの勇気と決意を持たなければ、この河川法というものは改正すること自体がなかなか困難な問題であって、困難なゆえに、あふないがゆえに、やけどをするおそれがあるために、今まで河川法というものは改正されないで、放任されてきたわけでありますから、そこで決意を新たにいたしまして、河川法を提出されるというのでありますから、これはお説の通り、野党与党を問わず、自分の住いをいたしておりまする日本の国の水資源であります河川についての画期的な基本方針が立てられますことは、まことにけっこうでございます。おやりになるというのですから期待しているのですが、これはなかなか障害があると思います。けれども、その障害を突破される決意であると思いますが、もう一度その点お伺いいたします。
  9. 河野一郎

    河野国務大臣 お説の通り各方面になかなか摩擦が多いことは承知いたしております。従って、せめて議会関係におきましては絶大な御協力をちょうだいいたしまして、決して私はとらわれて、こうしなければならぬ、ああしなければならぬということは考えておりません。各方面の御意見を十分総合して立案をする。立案ができましたならば、国会でぜひ一つ御決定をいただきたい、こう考えておりますから、その意味で一つ早手回しに、御要望がございましたならば御意見を拝聴いたしたい、こう先ほど申し上げたのであります。事務当局もせっかく努力いたしておりますが、国会に出て審議でいろいろありますと、そのことがもとになりまして、これを希望いたしません向きの助けになるというようなことになりますから、なるべく一つ事前に各方面の御意見を十分承った上で立案いたしたいと考えております。どうぞ一つよろしくお願いいたします。
  10. 川俣清音

    川俣分科員 非常に意を強うしたのですが、今度は事務当局にお伺いいたします。  従来の河川というと、これは登録河川でありまして、天然の河川を必ずしも河川と言わないで、従来登録されたものを河川と言うわけですが、今日では、かなり上流と申しますか、水の発生する地域まで管理しないというと、下流の管理だけでは不十分だということが言えると思います。これは、治水河川である場合には、流れて参りましたものをどう処理するかという河川であった場合は、流水量の非常に多いところから指定河川にするわけですけれども、もっと上流にまで及ばなければならない事態になってきたと思いますが、この点についての検討はどの程度まで行なわれておりますか、御答弁願いたいのであります。
  11. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 今河川法の改正で勉強している最中でありますが、従来の河川法は、ただいま先生の言われましたように、公共の利害に重大な関係のあるところだけ河川法で取り上げたのであります。それでは、現在の水の需要といいますか、そういう面からも、その範囲では少ないということは確かでございます。今度改正する場合には、そういう利害関係のある上流のところまで河川法を及ぼしたい、こういうような気持で検討している最中であります。
  12. 川俣清音

    川俣分科員 従来、公共性の高いところから河川に指定してきたというのではなくて、公共というその場合は、むしろ災害予防のためのものだったと思う。今日の公共性というものは、もちろん災害を防止することも一つでありましょうが、利水と申しますか、水の利用ということに重点を置かなければならなくなってきたと思うので、従ってかなりの上流にまで及ばなければならないと思うのです。今上流に及んでいるのは、あなたの方で砂防をやっておるだけです。その砂防をやられることは決して私は反対ではない。ところが、災害等の補助が行なわれる場合に、従来は上流は私の川として補助の対象にならなかった。これは私の川だ、公共性が薄いということですが、この私川を流れてきて公川になるわけです。準用河川はもちろんのこと、さらに上流にいきまして県河川、町村河川、もっと上流にいくと私川になるわけですが、この私川に対する災害等は個人の被害ではないのです。それはただ自分の地域内を流れておるというだけであって、利用者であり活用者というものは下流にあるわけです。それにかかわらず、その堤防とかあるいは破壊の防備というものはみな個人まかせ、これでは河川の管理というものは十分じゃないと思う。ただ個人の敷地内を流れたから私川だというだけであって、将来利用されるべき上流なんです。それらがたまってきて初めて一つの大量な流水となるわけです。一番被害の大きい上流地帯の河川の破壊については、これは補助の対象にしなかったわけですが、将来河川法を改正されるときには、こういう点についての考慮は払われるのですか、払われないのですか。もちろん今検討中でこざいましょうが、そういうものは検討の中に入っておりますか、それだけ伺いたい。
  13. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 河川の上流の方の、河川法の及んでいないところの災害のお話かと思いますが、その点は、現在、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法におきまして、河川法の河川でなくても、市町村長が地方自治法によって管理しておる場合には災害復旧費が取れる、こういうことでございますので、災害復旧の面だけについて言えば、国庫負担法で十分かと思います。
  14. 川俣清音

    川俣分科員 私のお尋ねしたのは、今度の河川法の中にそういうことが検討されておるかどうか。従来の例を見ますと、非常に災害が大きかったような場合、下流の災害が大きかった場合に、上流が被害を受けたような場合は、これは一挙に解決する例はありますよ。しかし、上流だけ荒らされて下流にはそれほど被害がなかった場合においては、なかなか災害復旧の対象になっていないのです。私はだいぶ例を持ってきておりますが、時間がないからあげませんけれども、大きな災害で下流に災害があった場合には、一挙にその災害復旧の対象に運動の結果入れておる。ところが、下流に災害がなかった場合は問題にならない例がある。そういうのが幾つもあることによって、将来の洪水のときに大きな災害を下流に起こすという結果が出てくる。われわれが調査に行ってみると、何年前の洪水のときの破壊である。その前のときの破壊である。それがだんだん積もって大きな災害を起こす原因になっている場合がたくさんある。あなたの言われるのはそうじゃない。大きな災害があったときに、一緒に災害復旧の対象になっておる、こういうことだったのです。従って、河川法の基本にこれらのものを検討に入れられるかどうか、検討されておるかどうか、こういうわけです。
  15. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 災害の面だけでいいますと、たとい上流に小災害がありましても、国庫負担法で取れるようになっております。ただ一ヵ所十万円というような金額の制限がございますが、取れるようになっております。なお、それで不十分な場合は、緊急砂防という措置もできております。従ってそういう面で処理はできておりますが、今度の河川法の改正におきましても、そういう面も考慮して検討はしつつあるところでございます。
  16. 川俣清音

    川俣分科員 災害になったので、大臣に一つお聞きしたいのですが、今度の豪雪対策を非常にスピードを上げてやっておられる点については、敬意を表するのです。これはおせじではないです。ところが、それに便乗して、水増しの要求がだいぶん出ているような傾向が強い。特に地方選挙を前にして、やはり選挙にからんで非常に弊害が出てくるような様相があるわけです。大臣等が回られて勢いづけられたことは非常にけっこうだったと思うのです、精神的に。しかし、それをいいことにして水増しの要求が出てくるような事態については、これは河野建設大臣の責任ではないにしろ、大いにハッパをかけられた結果、便乗できるのではないかという余分な気持が起こってくるとしたならば、将来の災害対策の上に非常な悪影響を与えると思いますので、この辺で一つ締めるという声明をする必要があるのじゃないかと思うのです。やられてから手を打つのじゃおそいと思うので、お得意の声明を出されてはいかがですか。
  17. 河野一郎

    河野国務大臣 実は、御承知の通り、雪害は、雪の中に埋もれておりますので、順次雪解けを待って災害が現われてくるのが大部分でございます。ことに農林関係、建設関係等は、雪解け後にその被害が正確に把握されるのでございます。また、一部通産関係等につきましては、現に工場が休んでおる、もしくは製品の搬出ができないということで、計算ができつつあるわけであります。むろん、今お話しのように、地方から水増し的な数字が出たとか出ないとかといううわさがありましたことは、はなはだ遺憾でございます。しかし、何につきましても、におきまして正確な数字が把握できるものでございますから、県からどういう数字が参っておりましても、これはいずれあらためて正確に調査をいたしました上で、それぞれ施策をするということに指示はいたしておりますので、今取りまとめて、雪の中に理もれているものの被害を大よそ想像して水増し的なものが出て参りましても、それはそれといたしまして、決して政府におきましてはこれだけを根拠にして行政をするという意思はございません。いずれ正確な数字を把握いたしました上で、従いまして一応二月の二十日現在の被害状況を報告せいというものと、越えて三月になりましてから、あらためて詳細なものを調査して報告せいという二段階の報告をとることにいたしておりますから、今お話しの点につきまして今後十分注意しまして、あやまちのないようにいたしたいと考えております。
  18. 羽田武嗣郎

    羽田主査 川俣君に申し上げますが、もう持ち時間あと五分ですから、取りまとめを願います。
  19. 川俣清音

    川俣分科員 今大臣から御説明があったのですが、私はやはりこういう災害のときに非常な同情心がわいてくるということは当然だと思いますし、また何にも期待しがたいときに、これらの刺激によって人心が安定するということは、確かに好ましいことだと思います。しかし、それと水増し要求では、これは同情を裏切るものだと思いますが、この点について特に関心を持たれるということでありますから、了承いたします。  次に、時間もありませんので、道路宅地の問題に移りたいと思いますが、その前に一つ大臣にぜひお願いをしておこうと思うのです。今まで河川の流域の降水量の調査建設省におありになる。かなりの資料があるのです。ところが、建設省というのは、どういうわけか知らぬが、これらの資料をなかなか公表されようとはされない。かなり公表を迫られておるのに、ことさら秘しておる必要はないと思うのです。おそらくこれは一般国費で調査されておるのですから、それを公表されることを、従来はやっておりませんでしたけれども、河野建設大臣のときに公表されるような方針をおとりになってほしいと思うのですが、これに対する見解はどうです。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 何か川俣さんのお間違いじゃないかということでございます。流量年表というものによって各河川の流量は発表しておるそうでございますから、それをお調べいただくなり、もしくは必要な河川について資料として御要求になりますれば提供いたします。
  21. 川俣清音

    川俣分科員 全くの秘密だということではないのですが、やはりこれは刊行物等にするように——聞きにいって知らないということはない。電力会社等あるいは水の利用者等が聞きにいかれれば、知らせないという秘密主義ではないのです。しかし、公表するということになりますと、やはり刊行物にする。謄写版刷りにしても刊行物でしょう。そういう親切さがあっていいのじゃないかと思うのです。これはお互いに検討する材料を提供されることが、将来の河川の価値を高める上からも、あるいは地方の水防団等の活動の上からも必要なことだと思うのです。聞きにくれば知らせる。別に秘密じゃないということじゃなしに、積極的な刊行をされる、公に発表される刊行物とすることが必要なのではないか、有料無料は別にいたしまして。せっかくの国費でこれだけの調査をしておるわけです。ほかにはないのです。まるまる建設省が持っておられるのですから、それを一つまとめて公表するような経費くらいは出されたっていいじゃないか。大臣どうです。
  22. 河野一郎

    河野国務大臣 御趣旨通りにいたします。
  23. 川俣清音

    川俣分科員 次、道路の方に移ります。住宅にいたしましても、道路にいたしましても、一番の問題はやはり土地を確保することが基本なんです。道路拡張にいたしましても、あるいは整備にいたしましても、住宅にいたしましても、土地の確保が非常に必要なんですが、最近土地価格が幾らか上昇率が低下しておるとはいいながら、まだまだ土地が投機の対象になっている。特に公共用に使われる道路であるとか、あるいは宅地のようなもの、公共用に供する公営物の土地などが、投機の対象になっておる中で競争して、道路を拡充していかなければならない、あるいは宅地を確保しなければならないというようなことは、これは経済全体の発展のネックになることだと思うのです。宅地対策について大臣の見解がありまするならば、この際御発表願いたい、こう思います。土地の価格の抑制策もあわせて……。
  24. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知の通り、土地といえども物でございますから、需要供給の関係で、むろんそれが今お話しの通り投資の対象とか思惑の対象になりまして、異常な高騰を見ておりますことも事実でございます。これが対策として抜本的なものは何かといえば、宅地造成をいたしまして、そうして宅地供給増大する以外に私はなかろうと思います。強権をもってやる場合もあるかもしれませんが、これは私はとりません。そこで、できるだけ未利用地を活用するとか休閑地を利用するとかいうような方向に一つ目を向けたい。また都市における住宅もしくは利用の高度化ということもございますけれども、これは今の道路の状態におきまして都心の利用の高度化ということは、必ずしもとるべき方策ではないのではなかろうかというようにも考えられます。従って、国土全体を勘案いたしまして、そして人口の分布の状態を適正にするということにまず大きくは政府として考えなければならぬ。つまり東京大阪のようなところは、この過度に集中しておる人口をどういうふうに分散するかということで、従来は政府の所在地をかえたらどうかとか、いろいろ意見がございましたけれども、それも大きくは考えなければならぬかもしれませんけれども、まずさしあたり、私は、欧米に見られるように、東京もしくは大阪都市内の中小工場の転出もしくは住宅地の造成というような意味合いにおいて、これらの大都市の周辺に新たなニュー・タウンの建設ということを目途としてやって参りたいということで、大きく動くということよりも、きめをこまかくものを考えてやってみたいということで、もっぱらこれら都市の周辺の道路網、都心周辺の道路網の完備、と同時に今申し上げたような新しい町というような方向でいったらどうだろうかというふうに考えて、今せっかく調査検討いたしておる次第でございます。
  25. 川俣清音

    川俣分科員 道路についてはもう一点ですが、及び宅地も含むんですけれども、特に宅地のような場合には、どうして一体土地の高騰を押えるかというと、なかなか手がないともいわれるのです。ところが、土地の値の上がるのは、過剰人口の結果、過剰人口の恩恵で土地の価格が上がるのであって、土地所有者の努力によって、あるいは期待によって値の上がるものではない。従って国民生活全体の恩恵をたまたま受けるということでありまするので、私は、相当の抑制策をとっても、それほど所有権の侵害にはならないと思う。本質的な所有権の侵害にはならないと思う。むしろよその方から受ける利益が多過ぎるのであって、多過ぎることが権利だという権利は発生しないはずだと思う。そこで宅地についての抑制策がとられなければならぬと思いますが、おもにこれは土地会社等が投機の対象になるような宣伝をすることによって宅地の値は上がるようなことになりまするので、きめこまかく手を打とうということになりますと、こういう投機の対象になるような風潮を押えていかなければならぬのじゃないかと思うのです。こういう場合はなかなか政治家というものはやりにくいのです。こういう一番利益の多いような会社を押えるということは、なかなか政治的にはやりにくいものだとは思います。野党から見ると、こんなことは大したことなく簡単にできそうに見えまするけれども、なかなかできかねるようなものではありまするが、この際きめのこまかい解決として、これらの土地会社等のばっこを押えると同時に、単に押えるだけでは効果がありませんから、住宅公団等が、さらに宅地造成という使命をも、土地会社のやっておるような使命をもやれるような道を開くことが必要なのではないかと思います。これに対する御意見を伺いたい。
  26. 河野一郎

    河野国務大臣 私も同感でございます。主要の法律を整備いたしまして、できることがあるならばあらゆる角度から今お話しのような目的達成のために努力いたしたい。決して私はそういうことのためにちゅうちょ逡巡いたしません。もし適切な法案があり適切な処置がありましたならば、直ちに実行するにやぶさかでないのであります。ところが、いろいろな角度から検討はいたしておりますけれども、なかなか現行憲法のもとにおいて調整がつきにくいというような点がございます。休閑地等の利用につきましても住宅公団をもって積極的に活用せしめる、そういうような点についても気のつく限りやっておりますけれども、何分皆さんの御満足のいくようなことにいきにくいのが現状でございます。どうか一つ、お気づきの点がありましたならば、具体的に御指摘になりますれば、決して与野党の感覚でなしに、ぜひ実行して市民諸君の便宜に供したいと思います。御協力いただきたいと思います。
  27. 川俣清音

    川俣分科員 さてもう一点、道路の問題に移りますが、従来土地については、土地の所有権、管理権、利用権というものは、所有権に付帯しまして土地の上下に無限に及ぶという制度になっておりますが、道路もまたそうであろうと思います。しかし、これは近代的な問題でもなしに、近代感覚からでなくて、かなり旧時代の旧観念、科学知識のなかった時代の所有権の表現だと思うのです。そこで、今後道路をつくられる場合に、一級国道、二級国道高速道路有料道路等ももちろんのことでありますが、地下に及ぶこれらの権限を活用されまして、道路の二重構造と申しますか、表面は交通道路にし、その下の道路は通信機関その他、あるいは上下水道、あるいは公衆電信電話、あるいはその他の渠溝をつくりまして、これを貸与するという方式をとることが、道路の使命を——道路というのは、人間が通る、車が通るというだけではなくして、これらの下水道が通る、上水道が通る、あるいは電話線が通る、電信線が通る、あるいはガス線が通る、電力線が通るという、これもやはり道路の中に今では入れていかなければならぬじゃないか。従って道路法も今度改正されるとするならば、これらのものを利用させるという形で、勝手に道路を侵害するような、道路の機能を制限するような、電柱や、あるいはたびたび掘り起こしてお互いに何回も道路の機能を 麻させるようなことを阻止していかなければならないのじゃないかと思うのです。道路というのは表面だけが道路だという観念がまだ抜け切れないのではないかと思うので、こういうことは事務当局に要望しても無理なことですから、大臣どうですか。
  28. 河野一郎

    河野国務大臣 お説すこぶるごもっともでございまして、実は政府におきましても、明年度予算におきまして、ただいま御指摘になりましたような共同溝予算を一部要求いたしております。しかし何分にも非常に多額の金がかかります。そこでなかなかこれを広域に拡張して参るということは困難でございます。御承知の通り下水道さえまだ十分に徹底していない日本の現状でございますから、それを共同溝をつくりまして全部のものをこれに入れるということになりますと、今申し上げたように非常に金がかかります。しかし、さればといってこれを放擲するわけにも参りませんから、さしあたり交通の非常にひんぱんなところ、これを、今お話しの通りに、何をいけるんだからもう一ぺん掘り直し、何を埋設するんだからもう一ぺん穴をあけるというようなことが非常に適当でないというような個所につきましては、ぜひこの共同溝によって解決をするというような感覚で、大都市における過度の交通量の所在地においては、この共同溝をもってこれに充てるという法案も実は先般提案いたしまして、御審議を願うことにいたしておりまするし、予算もごくわずかなものでございますけれども、さしあたり東京だけ数ヵ所ということにいたしておりますが、逐次全国に及んでその処置をとりたい、こう考えております。
  29. 川俣清音

    川俣分科員 これは今後一級国道、二級国道にもこのやり方を及ぼしていくことが必要なのではないか、政府考え、あるいは国民考える以上に、国民生活向上し、予測できないような都市の膨張が起こってきている。従って、今から先行してこれらの施策を講ずることが必要なのではないか、こう思いまして意見をただしたわけでございまして、もちろん最近阪神道路等の視察に行かれた結果、ここへ着目されたことについては意を強うするのでありますけれども、もう一歩先行することが必要なのではないか、こう考えてお尋ねをしたのでございます。  時間ですから……。
  30. 羽田武嗣郎

    羽田主査 楯兼次郎君。
  31. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私は、道路の問題について、与えられました時間、なるべく協力を申し上げて御質問をいたしたいと思います。  日本道路は、非常に悪い。ただ悪いだけでは判定がしにくいので、日本の舗装率は、諸外国と比べてどのくらいか、まず一つお聞きしたいと思います。まあ三本の柱で、EECが一番いいと思いますので、ヨーロッパ等の道路と比較して、舗装率はどのくらいですか。事務局でけっこうです。
  32. 平井學

    ○平井(學)政府委員 お答え申し上げます。  舗装率につきまして申し上げますと、日本の場合、市町村道まで含めますと、とても問題になりませんので、全国で約十四万キロの府県道以上の道路について申しますと、舗装率一一・九%でございます。もし市町村道全部を含めて言いますと、わずか三・一%であります。ところが、ただいまお話しの西ドイツでは四六・七%、フランスで三二%、イタリアで四四%、EECではございませんが、イギリスは実に一〇〇%ということになっております。これはいずれも一九六〇年の統計でございます。非常におくれております。
  33. 楯兼次郎

    ○楯分科員 都市道路率から建設省の仕事を判定したいのでありますが、これは六大都市を聞いている時間がありませんので、東京都の現在の道路率と、さしあたってはオリンピックまで道路率がどのくらい向上するのか。あるいは五カ年計画ではどのくらいになるのか。
  34. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 お答えいたします。  現在の東京都の道路率は、既成市街地の面積に対する道路の面積ございますが、大体一〇・三%というふうになっております。ただし、都心における銀座から丸ノ内、あの辺にかけましての道路率は、約四〇%になっております。全体を含めまして——二十三区部から三多摩を含めまして、一〇・三%という状態になっております。それに対しましてワシントンが四三%、ニューヨークが三五%、パリが二五%、ロンドンが二三%という状態になっておりまして、現在のところ、大体六大都市は二五%前後に持っていきたいというふうな計画を立てておりますが、オリンピックまでの状態になりますと、そう大きな伸びはありませんので、大体一二、三%までいけるかどうかという程度だと思います。
  35. 楯兼次郎

    ○楯分科員 この東京都の人口の疎開といいますか、入ってくる方も防がなくちゃなりませんが、疎開の必要があるということを数年来私ども主張して参りました。ところが、昨年の暮れであったか、河野建設大臣が、官庁の疎開をやる。候補地は赤城、筑波、富士山ろく、那須、こういうことを新聞紙上で拝見をいたしたわけでありますが、建設大臣予算委員会を留守にして——留守にしてと言うと語弊がありますが、繰り合わして四地区を視察されたようでありますが、どの点が一番適当な個所であるか。それから官庁移転によって、疎開人口は大体どのくらいを見積っておられるか。お伺いをしたいと思います。
  36. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知の通り、首都圏整備委員会において、目下検討中でございます。明年度予算にも、これら調査費をお願いいたしておる現状でございまして、今お尋ねになりました点までは、まだ進んでおりません。ただし、内閣におきましては、今年当初におきまして、新たに官庁の営造物は、これを特別の事情のない限り、都並びにこの周辺には建造しないという閣議決定をいたしておるのでございまして、従いまして、明年度等におきまして、すみやかにこれが所要の準備をいたしまして、順次その方面に新たなものは建造して参るということにいたしたい、こう考えております。
  37. 楯兼次郎

    ○楯分科員 河野建設大臣が、昨年就任直後に、これは人のまた聞きでありますからその真偽のほどはわかりませんが、全国の土木部長会議の席上、道路建設は、地域格差是正よりも、都市内の交通緩和に重点を置く、こういう訓示をなさいましたので、都市以外の地方では当時非常に落胆をされておったのです。それから私どもは考えましても、それでは後進地域の開発、あるいは地域格差の是正はできぬじゃないか、こういう感を当時深めたのでありますが、六日の日の建設委員会で行なわれました基本政策に関する所信表明では、都市を中心にするという意味と違った表明の仕方をされておられます。ところが、私どもが心配いたしますのは、建設委員会で表明をされましたこの文章というのは、これはどうも河野建設大臣のほんとうの腹じゃなくて、作文のような気がするわけです。そういたしますと、建設大臣のほんとうの腹は、まず都市だ、こういうように受けとれるわけでありますが、この点どうでしょう。
  38. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、一つの方針とか理想とかいうものもなければならぬことは認めます。しかし、その方針とか理想とかいうものの前に、現実にどこがどうなっておるかということを処理しなければならぬことも、またこれは認めないわけにいかぬと思います。ただし、今お話がございましたが、都市という意味は、私は現に考えていないのでございます。と申しますのは、たとえば一番混雑いたしております東京大阪というものにつきましては、この都心等については、従来の都市計画をさらに変更して、そうしてこれ以上あまり変更を加えるようなことはいたしたくない。むしろそれより、ただいま申し上げましたようなニュー・タウンの形式をとっていきたいということを考えております。従って、道路の関係におきましては、現に非常に混雑をいたしております、現に産業開発上非常に輻湊いたしておりますものをまず取り上げなければならぬと同時に、以下方針の決定されます地域格差の是正の意味におきまして、新産業都市等が決定になりますれば、その決定になりましたものについては、別途これを考慮していくべきことは当然でございまして、また新たに今回の雪害等によって、従来の道路計画改良を加えなければならぬ点があるといたしますならば、これについても緊急の措置として改良を加えていかなければならぬということだと思うのでございまして、これは要するに、一つの方針都市重点を置くというようなことで考えるということは適当ではないかということが、私の真意でございます。ついでにと申しては恐縮ですが、三十九年度より道路新五ヵ年計画を策定いたして、全面的に道路について考えていきたいと思っておるのでございまして、その五ヵ年計画の策定にあたりましては、ただいま申し上げましたように、あらためて全国的視野に立って全面的に一つ改定をしていきたい。その場合には、今申し上げましたように、現にどこに一番交通上の、物資輸送上のネックがあるか、温路があるか、これをまず打開することに考えをおかなければいかぬだろう。次には、将来を勘案して、国土建設上どういうふうな点を考慮しなければならぬだろうかという点を考慮に入れ、そうして既存の一級、二級国道を中心に、将来のわが国の道路網について策定して参るということだろうと思っております。そういう考えで全面的に道路計画を立てて、これを五ヵ年計画の基盤にしてやって参りたいと考えております。
  39. 楯兼次郎

    ○楯分科員 われわれは数年来、東京都市交通の緩和を強力な力で施行されるということにも、もちろん賛成はいたしておりますが、ちょうどこれは何と言いますか、東京は雨の降ったくぼ地のようなところで、容器が一ばいだ。容器を広げれば、それ以上に水が殺到する、簡単に言うとこういう形にあると思う。だから、道路が倍になれば、車、人口はさらに倍よりプラス何%か東京都に入ってくる、こう思うので、中を整備しつつ、やはり並行をして疎開的な諸施策が行なわれなければ、東京の状態はよくならぬ、こういうふうに私どもしょっちゅう考えておりましたので、今の御答弁でよくわかったのですが、都市中心であるという就任当時の——これはまた聞きでわかりませんが、そういうことを言われたということを聞いて失望をしておったので、こういう御質問を申し上げたのであります。  次に、高速道路のことについてお聞きしたいと思いますが、自動車の激増によって、今後の道路政策の中心というものは、高速道路に変わらなくちゃならぬ、こう思います。なるほど、今の国道あるいは県道のように、混淆交通のところも必要だと思いますが、もう、一キロ距離があったら、歩いていく人は私はないと思う。そういうことで、将来高速道路中心の道路政策に変えなければならぬじゃないだろうかと思います。諸外国の例を見ましても、各国は何千キロというような高速道路もすでに建設しておりますし、ものすごいカを入れて建設をいたしておるのを見ましても、道路政策の中心は、将来高速道路だ、こういうふうに私どもは考えるのでありますが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  40. 河野一郎

    河野国務大臣 近時とみに、道路建設の進行に伴いまして、産業もしくは経済の取引の変革も順次起こりつつあると思います。これは自動車業の発達も、その因をなしておると考えます。因果いずれかは別にいたしまして、いずれにいたしましても、道路を利用する交通もしくは貨物運送というものが、鉄道に、近距離の場合には極端に置きかわってきておることは事実でございます。従って、これらの点等を勘案いたしますと、従来の道路考え方に相当大きく考えを変えたものをもって合わせるようにしなければならぬということは間違いない事実と考えまして、私といたしましても、今直ちに置きかえるとか、比重をつけるということまでいきますことは、多少疑問がありますけれども、いずれにいたしましても、高速道路に非常に大きなウエートをかけて、そうしてこれが建設に相当の力を注いで参らなければならぬのじゃなかろうか。金さえあれば、両方すれば一番いいのですが、何分にも限られた予算でございますので、それをどの程度にして参るかということには、やはり相当研究の余地もあるだろうと思います。ことに地方の財政等も勘案しなければなりませんし、地方経済発達等も考慮いたさなければなりませんので、必ずしも大都市大都市とを結ぶだけということにも参りかねる点もございます。そこらの点は、一つの方針で割り切ることはなかなか困難じゃなかろうかと思いますが、いずれにしても、お説の点は十分考慮しなければならぬ、重点を置いていかなければならぬということは間違いないと考えております。
  41. 楯兼次郎

    ○楯分科員 先ほど建設大臣は、これは所信表明にも出ておるわけですが、本年度長期計画を検討して、三十九年度から新たな構想に立った計画をつくる、こうおっしゃったわけです。このことは、簡単に言いますると、現在の五ヵ年計画を修正する、こういうことだろうと思うのですが、この新たに三十九年度から修正をされるであろう、まあ何カ年計画か知りませんが、計画の中には、当然今私が質問をし、お答えになった高速道路網というものが織り込まれていかなくちゃならぬと私は考えるわけです。現在高速道路網の、これはペ−パー・プランになると思いますが、机上プランはあるのかどうか。全国の高速道路網の整備計画があったら、一つ内容を簡単に御説明願いたいと思います。
  42. 河野一郎

    河野国務大臣 御質問の点につきましては、御承知の通り、中央道以外のものにつきましては、いずれも明年度予算調査費を計上しておりますような次第でございまして、目下それぞれ検討中でございます。これらの調査の結果、なるべく結論を出しまして、そして財政処置等を勘案して、これを計画の中に織り込んでいきたい、こう考えておるのが、現在の段階でございます。
  43. 楯兼次郎

    ○楯分科員 これは、大臣では私は無理だと思うのですが、高速道路の全国の整備計画というのはありますか。事務当局でけっこうです。
  44. 平井學

    ○平井(學)政府委員 お答えします。  とりあえず、高速道路につきましては、国土開発縦貫自動車道がそれぞれ調査を続けられておりますが、御案内のように、去る昭和三十五年度から国会で予算が認められまして、三十五、六、七と三か年間で一億六千九百万円の調査費を使わしてもらってきたのですが、昭和三十八年度は、これを大幅にふやしまして、過去三ヵ年間の調査費に匹敵する一億六千万円がほぼ現在提案になっておりますが、実は、私どもは、要求といたしましては、この調査を早く終わるために多額の調査費を要求したのでございますけれども、諸般の事情で一億六千万になったのでございますが、おそらくとも昭和四十年度、できれば三十九年度ぐらいでこの調査を終わりたいものと努力をいたしております。従って、そういう北は北海道から南は九州まででございますので、いろいろ水とか、交通事情、経済事情、諸般の調査を含めてその結果を検討し、財政措置等も大蔵当局と協議を進めていきたい、かように考えております。
  45. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私どもは、過去十年間、この高速道路について議論をしてきました。従って、昭和三十九年度に改定をされるであろう道路計画には、少なくとも中央道——東海道は、東京−小牧間は完成されると思うのですが、少なくとも中央道の富士吉田−小牧間ですね、つまり中央道の東京大阪間、それから東北自動車道、中国自動車道くらいの着工は織り込まれてしかるべきだ、こういうふうに考えるのですが、建設当局の見通しはどうですか。
  46. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘でございますが、中央道につきましては、富士吉田——小牧間、これは予定いたしておりました路線が非常に山岳地帯に入りますので、いろいろ難点が調査の結果出て参りました。従って、これらの難点をどういうふうに解決するかということをあらためて調査いたさなければならぬという事情にありますし、さらにまた地元の皆さんの御要請も、場合によったら路線を変えたらどうだという御要望も一、二ございますのも、御承知の通りでございます。諸般の点をさらに検討いたす必要があるのじゃなかろうか、こう思います。それから東北自動車道につきましては、私はなるべく早くこれは発足いたしたい。少なくとも東京−仙台間くらいのものは出発しなければいかぬのじゃなかろうかと考えまして、鋭意事務当局を督励いたして、そして調査の結果ができますれば、御要望の通りいたしたい。それから中国につきましても、大阪、神戸を中心にして、姫路もしくは岡山辺まではなるべく早くいたしたいということで、これらについても調査を急がせるということが、私の考えであります。
  47. 楯兼次郎

    ○楯分科員 今、中央道で多少の難点、あるいは路線変更、こういう問題が出てきたとおっしゃいますが、私は、路線変更は別として、難点というものはないと思うのですが、その中央建設についての難点とおっしゃいますのは、何ですか。
  48. 河野一郎

    河野国務大臣 まだ現在の段階で、絶対的に不可能とは申し上げませんけれども、少なくとも六、七キロのトンネルは、二ヵ所ぐらいどうしても必要でございます。この隧道を避けますれば、さらに高いところに上がらなければならぬ。高いところに上がれば、それだけ冬の間凍結する問題が起こって参ります。今の六、七キロの隧道を自動車道にあてるということは、世界的にもおそらくその例を見ない。今後の燃料等の関係から、ガスの排気、空気の換気等から考えまして適当でないというのが、現在の常識でございます。
  49. 楯兼次郎

    ○楯分科員 その今おっしゃいました六、七キロの燧道二個、あるいは換気装置のこと等を難点としてあげられましたが、これはもう過去十年間の論争で解消済みだと私は思うのです。大臣はごらんになったかどうか知りませんが、建設省昭和三十二年の十二月に中央道を詳細に調査をして、建設したら三千二百億円かかるという調査資料も——何億かけて調査されたか知りませんが、部厚いやつを二冊いただいて、われわれはその説明を受けておるのです。ごらんになったことがあるかどうか知りませんが、これはすでに解消済みなんです。それから昨年、建設大臣もヨーロッパに行かれましたときに、あのモンブランの隧道を掘っておったと思うのです。私どもが行ったときには開通いたしておりましたが、標高十三キロで、延長が十一キロ以上です。ここで換気装置は十分やれる。日本建設省の見積もりよりうんと安い工事費で、すでに十一キロ以上のところが開通しておるのです。私は資料をも高度であるという点と換気装置云々ということを言ったら、イタリア理路公団で笑われたことがあるのですが、これは私はすでに解消済みだ上思うのです。だから工事の難点ということは、私はないと思います。ほかの理由があれば別だと思うので。しかも、十年前にこれが議員立法で上程をされ、通過をし、そうしてまだかまだかというので、毎年建設委員会はもちろんでありますが、各委員会でこの法律施行について要請をしておるのです。だから、他の理由があれば別ですが、どうもその工事に難がある。路線変更は別です。工事が云々ということを言われるのでは、多少の時間の延長をしていたたいても、私は質疑をしたければならぬと思うのです。これは建設大臣、何か考え違いをされておるんじゃありませんか。建設省は、昭和三十二年の十二月に、すでに調査資料を発表しておられます。
  50. 河野一郎

    河野国務大臣 現在の段階で私の聞き及ぶところによりますと、道路公団がペイしない。経常費が非常に高くつく。ここを交通する軍等に負担をしてもらうものではペイしていかぬだろうということが、今の常識と私は聞いております。たとえば金が幾ら高くても、自動車一台あたり高くてもよろしいということなら別でございますけれども、ここを交通する車、それからこれの管理に対する手当が非常に高くつきますし、寒さの対策とか、排気ガス排除の電力料その他からいたしまして、道路公団で取り扱うのは適当でないという数字的結論が出ておるというのが、私どもの考えでございます。
  51. 楯兼次郎

    ○楯分科員 これは赤石と恵那山だと思うのですが、七、八キロの隧道は、一キロ当たりどのくらい建設費がかかりますか。これは私、資料を持ってきておるのですが、めんどうくさいから、あなたの方でお答え願いたい。それから開通したモンブランの一キロ当たりの工事費を、わかっておったら、説明してもらいたい。
  52. 河野一郎

    河野国務大臣 たとえば今逢坂山のトンネルを掘っています。これは一キロ三ですが、これが排気に必要な電力の設備には非常に金がかかる。そういうことから参りまして、今の日本でやっておりますような重油を燃料としております貨物自動車、こういうものが中に入りましたときに、この換気をするに必要な装置——隧道は、御承知の通り、どこの隧道を掘ってもきまっておりますから、これは長くなりますと、それの換気に要する設備というものが非常に高額になる。そうでなかったならば危険であるというのが、今の日本における科学研究者のわれわれに対する意見であります。
  53. 楯兼次郎

    ○楯分科員 今掘っておるのは四車線だと思うのですが、たしか建設省調査資料で出されたのは、中央道は二車線であったろうと、私は記憶しておるわけです。そういう違いもあるし、一キロでそんな膨大な換気装置が要るかどうかということも、ちょっと疑問なんですが、とにかくイタリアの去年八月に開通したものを研究しておいていただきたいと思うのです。日本建設省でお出しになった工事費よりも、非常に安い。地質も違うかもしれませんけれども、安いと記憶しておる。だから、技術的には難点はないと思うのですが、もしあるとするならば、有料道路なるがために、今建設大臣のおっしゃったペイできるかどうかという点が問題だろうと思うのです。しかし、これは後進地域といいますか、未開発地域の開発という使命を持っておるのですから、ただ経済効果のみにとらわれて云々するということ、ペイするかしないかということのみにとらわれてやるということもどうかと思うのですが、話のついででありますから一つお伺いしたいと思いますが、有料道路についてペイするかしないかということのみからいきますと、これはベルト地帯に集中してしまうと思うのです。だから、多少の金は国費をもってこれを補っていくという方向も、また必要じゃないかと思うのですが、どうですか。
  54. 河野一郎

    河野国務大臣 今申し上げますように、有料、無料にかかわらず、経常費はかかる。この経常費が、一自動車当たり非常に高くつく。現にごくわずかですが、鈴鹿にいたしましても、薬品散布等によって冬季は特にやっておる。たとえば私の郷里の箱根のごときは、雪が降ったら、交通を遮断して、通しておりません。こういうことが、わが国のおくれておる道路行政の全国的な実情でございます。これは一ぺんごらんになるとすぐおわかりになると思いますが、私はつい数日前に行ったのですが、逢坂山の燧道にいたしましても、これは無理に不必要な換気装置をするはずはない。ところが、膨大な換気装置の施設をいたしましてやっております。それは常時これによって電力を使って換気をしていなければ、中から爆発の化学作用を起こす危険があるということでございます。従って、今申し上げる通り、七キロからの隧道を自動車道についてやるということは、日本の現在の燃料においてやっておるところは困難だということのようでございます。従って、経費として非常に膨大なものがかかる。一体、そこを通る自動車量から考えてどうだろうかということを検討をしておるのが、現状でございます。
  55. 楯兼次郎

    ○楯分科員 有料道路でありますから、採算上の問題がいろいろ議論されるのですが、たとえば東海道の東京大阪高速道路が完成した場合、それから東京大阪中央道が完成した場合は、たしか五十キロ以上中央道の方が短いわけです。そうすると、同じ条件で同じ料金を払うなら、五十キロ少ない方へ車が集中をするのが常識だと思うのです。そういう点を考えますと、今の採算上の議論はあまり当たらない、こういうような気もするわけです。しかし、これは建設省の意向もありますし、これを議論しておりますと相当時間がかかりますから、一つ研究をしていただいて、建設省の方でも、すでに、建設をしたら三千二百億円かかるのだ、こういう稠密な資料もあることですから、やがて改定されるであろう修正計画の中には、中央道の東京大阪間はぜひ一つ入れていただくようにお願いをいたしておきたいと思います。  それからけさの新聞では、建設大臣が非常に道路公団の仕事がおそいと言って叱咤激励をされておるのを拝見したのですが、全くわれわれもそうだと思います。今の名神は、私どもも、基本計画、設備計画審議した一員でありますが、最初は三年間で完成をする計画だったと記憶いたしておる。死なれました岸さんは、いや三年もかからぬ、二年あれば大丈夫だ。こう言っておったのですが、三十九年度に完成するやらしないやら、ちょっと危ぶまれておるような状態です。三十九年度に完成をしたといたしましても、七年間かかっておるわけですね。当初三年間の、それが倍以上かかっておる。これは担当者に言わせれば、お前たちは国会で好きなことを言っておるんだと言われるかもしれませんが、あまり計画がずさんだと思います。こういう点からいって、督励をされるのもけっこうですが、まだ何かちょっと足らぬところがあるというような気がするのです。たとえば今やっております中央道の東京−富士吉田間の政府計画では、五ヵ年、四十二年度に完成、資金量をみますと、本年度三十五億でしょう。これじゃとても完成できませんよ。だから、道路公団は、悪口のようでありますが、昔は繰り越し公団というあだ名がついておったわけですね、消化できぬから。ところが、五ヵ年でやろうとする中央東京−富士吉田間は、初年度十八億、本年度三十五億でしょう。地元の連中は、六、七十億円は消化できるのに、なぜ三十五億かと言って、非常に不満の意を述べておるわけです。だから、何か建設省の行政能力といいますか、道路公団の建設能力に欠陥があると私は感じておるのですが、こういう点どうですか。
  56. 河野一郎

    河野国務大臣 お話の点につきまして、確かに資金の裏づけ等について欠けている面もあって、建設が延びたということもあるんじゃないかとも思います。しかし、一方におきましては、世銀借款等の関係から延びた点もあるだろうと思います。また、かたがた用地の買収等に非常に苦難をいたしまして、そして計画がなかなか所定の通り進まない点もございます。しかし、これを要するに、それらの点は、道路公団の一そうの活発な活動によりまして、むしろ他の公団のように、問題は資金面にかかっておるという点にしぼられて参りますことを私は期待するのでございまして、今言う通り、繰り越し公団だとか何公団とか言われる点があることは、非常に遺憾でございまして、その点十分に督励すると同時に、現に公団の組織、機構、運営等につきましても——今もお話しの中に道路局が少し怠慢じゃないかというような点がございますが、従来道路局と公団との関係についても欠ける点があったと、私は思うのでございます。諸般の点を十分この際調整、改良いたしまして、そして建設省道路公団が一体になりまして、所期の目的を達成するように進めて参ることにいたすために、せっかく今検討しておるということでございまして、その事業がおくれておりますことは、まことに相済まぬと考えておりますが、最善を尽くす所存でございますから、御了承いただきたいと存じます。
  57. 楯兼次郎

    ○楯分科員 モンブランの十一・八キロメートルだと記憶しておりますが、そこへ換気装置をつけて、すでにもうことしやっておるのですから、その難点もないと思いますが、研究願って、後期五ヵ年計画には一つ入れていただくように申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  58. 羽田武嗣郎

  59. 坂本泰良

    坂本分科員 私は、時間がありませんから、公共投資の面と機構改革の面にしぼりまして、大臣の所見を伺いたいと思います。  公共投資の点も、時間がありませんから、道路の点はまた建設委員会に譲りまして、河川の点についてしぼって質問したいと思います。  具体的質問に入ります前に、大臣と申しますか、池田内閣の公共投資、機構改革等の面についてはいささか所見を異にいたしておりますので、平行線にならぬように、一言私の考え方を申し上げておいて、そして具体的質問に入りたいと思います。  私の見るところによりますと、池田内閣の政策の中心として公共投資もふえた。ところが、昨年の七月に内閣改造が行なわれまして、大物の河野建設大臣が就任されたわけであります。そこで、河野建設大臣就任以来、幾つかのいわゆる河野構想といいますか、これは御本人はそうでないかもしれませんが、新聞などでいわれております。この河野構想といわれるものを発表せられまして、一時はマスコミにも取り上げられまして、国民の間に話題をもたらしたことは御承知の通りであります。そしてその中で大臣はりっぱなことを言われて、国民のための、国民の立場に立った行政を行なう、これを基本理念とする、こういうことをいろいろの場で発表しておられるわけであります。ところが、この大臣の言葉通りに、真に国民のための建設行政が行なわれているかどうか。おっしゃるようなことは、われわれも以前から念願としたものでありますが、現実に見る河野大臣建設行政は、言葉と逆の結果を生んでおるのではないか、建設行政について疑問を抱かざるを得ない状態であるわけであります。そういう観点から若干質問を申し上げたいと思います。  そこで、第一に、大臣は、重要河川重点を置く、こう言っておられますが、最近の特徴として中小河川災害が多いこと、これをどう判断をされておりますか、昨年——のこれは北海道もどこも同じでありますが、特に九州の豪雨の災害の状態は、中小河川災害がはなはだ甚大であった。この点は淀川水系の桂川、天竜川水系の野底川、佐賀県の塩田川、鶴見川、北海道の空知川などの例をあげればきりがありませんが、重要河川改修しても、それに流れ込む中小河川をほうっておいたのでは頭隠してしり隠さずと申しますか、治水事業であるといえない、こういうふうに思うわけであります。それで昭和三十六年の建設白書によりますと、全国に千八百の中小河川があり、小規模河川のうち昭和三十九年度、いわゆる前期五ヵ年計画までに竣工するのは千八百河川のうちわずか百四十河川である。過半数の河川には手もつけない。これで中小河川災害が起きなければ——これは失礼ですが、起きない方が不思議ではないか。そこで、昭和三十八年度予算政府原案の建設省関係費は、道路は三千二百五十一億ですか、これは財政投融資も含めてだと思います。これに対して河川改修は約三百六十五億、砂防は約百三十六億、これだけしか組まれていないと思うのです。河川改修や砂防を重視して日本全土から災害を一掃するような政策をなぜ立てないかというのが私の質問の重点です。ですから、直轄河川も必要ですが、むしろこれらの中小河川予算を大幅にふやして、住民や地方自治団体の負担なしに全額国庫支出で万全の治水事業を行なうべきではないか、こういうふうに考えるのでありますが、大臣の御所見を承りたい。
  60. 河野一郎

    河野国務大臣 河川改修水防対策等を国土計画の上に非常に重要に考えなければならぬことはお説の通りに考えます。が、道路の方が非常に金がたくさんあって、河川の方は少ないじゃないかというお話でございますが、これにはいろいろ御議論もあるわけでございまして、これをどちらが正しい、どちらが正しくないと言うわけには参らぬのじゃなかろうかと思うのです。相対的な問題だと私は思うのでございます。  そこで、一つ御参考までに、今お話の、重要河川重点を置いて、中小河川とか小規模河川には重点を置いていないじゃないかというお話でございますが、試みに今年度の予算と明年度の今御審議願っておりまする予算とを対比いたしてみますと、重要河川は前年度に比べて一八%増というふうにいたしております。中小河川並びに小規模河川におきましては、二二%増の予算づけをいたしておるという数字を一つ御了承いただきまして、今のお話についてのお答えに願いたい。決してお話のようなふうにいたしておりませんので、もとの数字が少ないから結果において非常に大きくなっておらぬかもしれませんが、大体明年度の予算の伸び率等に比べてみましても、申し上げますように、中小河川については二二%増の予算を計上いたしておるということを一つ御了承いただきたいと思います。
  61. 坂本泰良

    坂本分科員 。パーセンテージのことはよくわかりました。  そこで、重要河川重点を置くといいますが、これは利水に重点を置いているのじゃないか、こういうふうに考えられます。ですから、私は利根川と筑後川の点について——そのほかたくさんありますが、時間がありませんから、二つにしぼって簡単に一、二お聞きしたいのは、利根川におきましては、昭和二十二年のキャスリン台風級の災害を防ぐために必要とされる現在の計画、すなわち、上流は多目的ダムで三千トンのカットをする、中流の渡良瀬調整池計画では九千四百トンの調整をする、下流の利根放水路、これは昭和放水路とも申しますが、この計画では三千トンのカットをするというこの三つのうちに、中下流の計画はさっぱり進められずに、治水を主目的にすると言いながら、利水を主目的とした上流のいわゆる発電その他の多目的ダムだけをどんどん進める。そして昨年は水資源開発公団が発足し、その上渡良瀬調整池計画は、これは実現不可能の状態に陥っておる。というのは、同地点に米軍の基地化が今実施されつつあるわけです。こういう点から見ますと、実際上、一例でありますが、中下流の点は、いわゆる治水の点はそのままにして、上流のやはり発電の多目的ダムの点についてどんどん進める、こういう点を考えますと、利水に重点を置いているんじゃないか、こういうふうに考えられますが、その点いかがですか。
  62. 河野一郎

    河野国務大臣 ダム工事は非常に手間取ります関係から、ダムをすでに着工いたしておりますことは事実でございます。しかし渡良瀬の遊水池にいたしましても、決してこれを放擲いたしておるつもりはございませんで、申し上げるまでもなく、利水か治水ということになりますれば、まず治水が先でございまして、次に利水というふうに考えることが正しいという考えのもとに私はやるべきものと考えております。
  63. 坂本泰良

    坂本分科員 昨年の災害で私北海道調査に行きましたのですが、石狩川の例をとりましても、一昨年と昨年と二年続いて非常な災害を受けて、日本の三大河川といわれる石狩川が、堤防のない川、こういわれて非常な大災害を受けたわけでありますが、この点についても、やはり利水という面を考えるから治水の面についてはもうほったらかしておく、こういう結果、石狩川の大災害が起きたのではないか、こういうふうにも考えられますが、御所見はいかがでございますか。
  64. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、石狩川に水害があったということは、過去においてその例が非常に少ないのでございます。従いまして、水害の比較的少ないところに二年続けて前例を見ないような集中豪雨があった、その結果、予想せざる災害が起こったということでございます。これが従来からそういう災害が常時あるような川でありますれば、当然あれだけの大きな川でございますから、こま切れになっておる堤防があるとか、堤防が不完全なままで置いてあるというようなことがあるべきものではないと心得ますが、たまたまそういうふうに石狩の流域に水害というものが従来なかった。なかったために、比較的これがあと回しになっておったということは間違いない事実と考えます。われわれといたしましては、全国の川を対象にいたしまして、予算の許す範囲内におきまして、財政の許す範囲内におきまして、緊急度を見つつ所要計画をやっておるのでございまして、たまたまそれが、今回の豪雪等についてもわかりますように、予期せざるところに非常な災害が起こってくるということがありますために、今のお話のような点がたまたま石狩川に起こった。そこであわてて石狩川の治水工事に努力いたしておるというようなことは、はなはだ手違いで相済まぬことでございますが、統計が、比較的石狩については、川は大きいが洪水ということが従来あまり例がなかったために、そういうふうに相なっておるというようなことだと考えておるのでございまして、今後注意をしてやりたいと思っております。
  65. 坂本泰良

    坂本分科員 利根川の問題についてまだありますが、次は筑後川の問題ですこれは有名な下筌、松原のダム反対のところですが、これは下流七十万あるいは八十万の農民の水害を防ぐためにダムをつくるのだ、こういうスローガンのもとにいわゆる多目的ダム建設する、こういうことになっておるわけですが、この点について非常な疑問がありますし、反対する方々は、筑後川の上流が日田を頂点として二つに分かれて、そうして大山川の一方だけにダムをつくる、最初は十一ヵ所の予定地で、砂防ダムあるいは治水ダムにいたしましても、いわゆる洪水調節ダムにいたしましても、もっと小さいダムを数ヵ所、両二大支流につくってやればいいのを、下筌、松原に持っていった。持っていったというのは、やはり多目的、ダムとして九州電力の発電の計画があり、最初のこの久世畑では水力の利用ができないから、下筌、松原の上の方へ持っていって、そうして電力会社に利益のあるところにダムをつくり、従って下流の洪水調節には——全然ならぬとは申しませんが、この二ヵ所だけつくっても、これは調節はできないじゃないか。さらにまた、訴訟問題になりまして、両方から数名の鑑定人が出まして、鑑定も裁判所に出ておるわけでありまして、ますます松原、下筌ダムだけでは下流の洪水調節はできないのだ、もっとこの筑後川につながる中小河川改修を先にやるべきである、さらにまた、砂防ダムその他のダムを検討して、大きい高堰堤の下筌、松原ダムをつくる必要はないということが、もちろん反対の意見は——建設省の鑑定人の反対ですが、ありますけれども、今私が要約したような結論が出ておるわけであります。  そこで、行政処置としての問題についてお聞きしたいのは、この特定多目的ダム法によるダムの場合は、その発電に関する基本計画ができなければならぬ。その基本計画がまだ現在までできていない。さらにまた、調査をしますと、昭和三十五年二月四日に九電の社長佐藤篤二郎から建設大臣村上勇あてに「下筌ダム使用権設定許可申請書」、こういうのが出ております。それから、やはり同日、同人から同大臣に対しまして、「下筌ダム河川敷地占用ならびに工作物新築許可申請書」、これが出ております。さらにまた同日付で、同九州電力から村上大臣あてに「下筌ダム流水占用許可申請書」、こういうのが出ております。この申請書によりますと、「下筌ダムに就いて別紙計画書の通り発電用に利用いたしたいと思いますので特定多目的ダム法施行規則第七条により関係図書類を添え申請いたします」——三通とも多少文章は違っておる点がありますけれども、別紙計画書の通り関係図書類を添付して申請する、この申請書が出ております。これに対して別紙計画書がついていない。さらにまた関係図書類が添付されていない。こういう書面を建設省は受け付けておりまして、昨年まではこの添付書類も別紙計画書もついていなかった。現在もついていないのじゃないかと思うのですが、昭和三十五年二月と申しますと、今ひで満三ヵ年になるわけです。建設省は、こういう不備な書面を、表面の申請書だけで、その中心である計画書、これは関係図面と書類だと思うのですが、図書類をつけない書類を受け付けて、三ヵ年間も放郷しておる。さらにまた、これに対する基本計画がまだできていない。この書類を受け付けるものも受け付けるものですが、まだ何ら処置もせずに放御しておきながら、さらにまたこの下筌、松原ダムについては、昭和三十五年ごろから数億の金が出まして、道路改修とかあるいはつけかえ、道路計画とか、こういうことをどんどん進めて、本年度の予算では十億円ばかりついておるのではないかと思うのです。大体こういう基本計画もできておらず、さらにまた、三年前に九州電力株式会社からダムの使用権設定許可申請書、河川敷地の占用並びに工作物新築許可申請書、流水占用許可申請書、こういうただ申請書だけを受け付けておる。そういう建設行政というものがいいものかどうか、大臣の所見を承りたいと思います。
  66. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 松原、下筌ダムの基本計画につきましては、非常にむずかしい点がございましたので、延び延びになっているような状況でございますが、最近に至りまして、電力の需給の点、あるいはどういう発電の計画であるかということが固まりつつありまして、近く基本計画はできる予定になったわけでございます。先ほど御指摘のございましダム使用権設定申請書の書類は不備ではないか、こういう点についても、基本計画ができるにつれましてそういう不備な点は是正をさせまして、正式な書類として受け付けるようにしたい、こういうふうに考えております。従って、もう少しでいろいろな書類の整備、それから基本計画も十分なものをつくって参りたい、こういうふうに考えております。
  67. 坂本泰良

    坂本分科員 大臣の答弁の前にちょっと一言。この下筌ダム使用権設定許可申請書、こういうのは、ただこの申請書一枚であって、別紙計画書がついていない。関係図面、書類もついていない。あとで完成したとき出させればいい。それをこの書面だけ受け付けておる。それじゃ建設省が加勢して、申請者に対してその書面を補充する、こういうふうにも考えられる。われわれの官庁に対する書面は、大体全部そろっていなければ受け付けないはずです。私は弁護士でありますが、訴訟書類などは、もしも印紙なんかを張っていなければ、補充命令というのがくるわけです。大体二週間くらいで来ます。その間に補充命令に応じなければその申し立てば却下します。これはもちろん民事訴訟法の規定もございますが……。しかるに地元住民の財産権を剥奪され、先祖代々の住宅その他が水没をするという大きいダム建設に対して、その発電をやるであろうと予想される会社の申請書に、単なる一片の文句だけで申請書ができている。そうしてその別紙がなかったらこの書類なんか価値がないと思うのです。これは大事な類なんです。このような計画書がなく、さらに図面や書類が出ていないのを受け付けて、三年間もほったらかして、そうして基本計画は徐々に三年間でつくって、そうして最後に補充すればそれでいい、河野大臣はそれでいいと思われますかどうか、所見を承りたい。
  68. 河野一郎

    河野国務大臣 何分非常に問題の多いダムでございますから、その間にいろいろのことがあったでございましょうし、また現在もあるようでございますが、いずれにいたしましても、国土開発の上から参りまして、全体の利水、農民の治水の上から参りまして、必要なものは何とか御協力を願ってでかし上げなければならぬということは、お互いに民族将来のために絶対に必要だと考えます。私は誤解の上に立ってものを積み上げていくという気持はございません。どこまでも御理解と御協力の上に、ものの積み上げをいたしたいというふうに考えまして、書類が落ちておるのを受け付けたのは悪い、直すべき点は直し、そうしてお互いに地方比のために、地方公共のために、なすべき点は御協力を願ってやっていくようにいたしたい所存でございます。
  69. 坂本泰良

    坂本分科員 何も国民は協力しないというわけではないのです。しかしながら、すでに下筌、松原ダムはその必要はないんじゃないか。最初下流の杉木久留米市長などは、何も考えずにダム反対、けしからぬなど言っておられるが、そんなばかなことはないのです。いろいろと専門家の鑑定もして、そうしてそれは間違いじゃないかということがわかる。ですから建設省も、計画を立てても、やはり三ヵ村、数百名も水没をするダムをつくるのであるから、そのほかのことがあれば、その計画変更等々についてやぶさかであってはならないと私は思うのです。ただ建設省がきめたから、九州地方建設局がきめたから、その面子によってこれをやらなければならぬ、昔はお役人の言うことなら何でも言うことを聞かなければならぬ、そうして相当無理な点があったのです。戦後においても、ダム計画によって水没した犠牲者は相当出ておると思うのです。これは室原知幸氏などもそういう点をよく調査しておりますが、そういうような点で、ただ建設省がこれをきめたから、これに協力しろ、大体こういう書類を受け付けるんだから、最初からダムが必要なんだなんということは、この一例をもってしても、脆弱であり、その調査が足らない。九電のためにはここが一番いいんだから、ここにダムをつくろう、そうして洪水調節ダムと言っておる。満水させて三百名余りの国民を犠牲にして、そうしてつくるのはやはり百数十億の国家の金です。国家の金とは国民の税金でありましょう。その金をここに投資して、そうして利益をこうむるのは電力会社でありましょう。私はこういう言葉を使いたくありませんが、独占資本であるわけです。一部のものなんです。ですから、ほんとうにこれは国策のために、また、ここをこうしなければならないということにきまりましたら、これは国民は協力します。それはだれでも同じことです。しかし、そうでない、疑問の点がたくさんあるし、いろいろ不満な点があるし、決してこれは洪水調節、ダムじゃない。一万五千キロワットの下筌発電、五万六百キロワットの松原発電、このために国家が投資をして安くあげていく。そうしてこの基本計画をつくらないというのは——これはつくっておるかもわかりませんが、これを出せばますます電力会社のための発電ダムであって、そして洪水調節ダムじゃないんだ、それがはっきりすると反対はますます正しくなる。だからそれを出さない、こういうようにこれはずいぶん疑われておる。土地の一般住民の方々も、現在はその点を了解しております。法律的にも、特定多目的ダム法によって基本計画ができて、それで国家がこういうような計画でやるんだという基本計画を決定して、そして国民に、あなたたちは先祖代々の土地が水没するから、まことに残念でありますが、国家でかえ地をやる、あるいは補償しますからということにならなければ、これは大臣の言われる協力と蓄えないと思うのです。そういうような点からして、三年もたっておりますから、九州電力会社にはそういう計画君とか図面とか書類を出させるべきであるし、建設省としても某本計画をつくるべきであると思う。そうして初めて国民に対して、こうだ、立ちのいてくれということで、その補償をしなければならぬ。それが逆になっておるじゃないかと思う。だから、この点についてもっと善処される御意思はないかどうか、大臣にお聞きしたい。
  70. 河野一郎

    河野国務大臣 御趣旨はよくわかりました。私もよく勉強いたしまして、私の意見は別の機会に正式に答弁いたします。
  71. 坂本泰良

    坂本分科員 それで私が非常に疑問に思いますのは、これは新聞発表ですけれども、「九州電力の長期開発計画」というのが新聞に発表されまして、水力の点で「下筌(筑後川)ダム式一万五千KW四二年三月着工、四五年六月運開一四億円」こういう金まで出ておる。それから「松原(筑後川)ダム水路式五万六百KW四五年一月着工、四七年六月運開四七億三千万円」こういうふうに電力会社も金額まで発表する以上は、これは計画があるはずです。それを建設省に出さないというのは不都合であると思う。そういう点を大田はよく調査していただいて、はたしてここに設置しなければならぬかどうか。そうでなかったら、ほかの方法もあるわけで、砂防ダムあるいは小堰堤のダムで下流の調節もできるわけです。洪水の面、水力の問題等々についても非常な疑点がありますから、これは一つの御検討を願いたいと思います。  まことに恐縮ですが、もう一点だけお聞きしたいのは、地方建設局の機構改革の点でありますが、大臣は本年七月から八地方建設局の機構改革を行なおうとしておられると思うのです。そうしてこれは建設省設置法の一部改正ですか、その法案は内閣委員会に出されておる、そういうふうに承っております。それからこれは、機構改革とやはり関連すると思いますが、河川法を改正して河川管理権、利水許可権——これは各都道府県知事にある、これを建設省に持ってくるのじゃないか、こういうことを聞いておるのでありますが、そういうような御計画がありますかどうか、機構改革に関連して聞きたいと思います。
  72. 河野一郎

    河野国務大臣 機構改革に関連してというわけではございませんが、一定の水利権等につきましては、河川法の改正によりまして、現在各地方長官に移譲いたしておりますものを、今後の河川行政の一元化の意味において考慮いたしたいということで、各方面と意見を調整しつつ、せっかく今立案中であります。できましたらこの議会に提案いたしたいと考えております。
  73. 坂本泰良

    坂本分科員 その問題は、新産業都市建設法とのかね合いになりますから、また別の機会にお聞きしたいと思います。  そこで、地方建設局の機構改革が行なわれますと七百名の職員が必要である、こういうふうに考えられますが、大臣はその七百名の機構改革になれば職員の増員をされますかどうか。この点は、聞くところによりますと、この機構改革によって、一例を申し上げますと、直轄事業を請負に振りかえる、そういうようないろいろの方法で、この七百名の職員は、当然機構改革によってふえるべきであるのを、そういうような方法をもってふやさずにこれを実行するのじゃないか、こういう点がいわれておりますから、その点についての所見を承りたいと思います。
  74. 河野一郎

    河野国務大臣 お話の点は、逆にとっておられると思うのです。私は、元来建設行政というものは、終戦後民間の機構いまだ整わず、大規模の機械を購入することも困難であるという時代に、直営事業をもっぱら盛んにして、所要の処置をいたしたということに始まっておると思うのでございますが、今すでに民間の設備機構が十分に完備いたしまして、むしろ役所よりも民間の機械力もしくは建設力の方が充実しておる段階になっております。従って、もう今日以後におきましては、直営事業の必要性は非常に薄らいできておるというような意味合いから、建設省自身としては、直営よりも監督、指導の方向に向かうべきであるということを私は考えまして、そしてまた、同時に一級国道等、その他大きな事業で相当に事業が進んでおります。従いまして、各地方建設局におきまして、二級国道以下の道路改修その他にいたしましても、中小河川というようにこまかな面にきめこまかく事業を指導し監督して参る点が多くなってくると思いますので、これらの点は十分勘案いたしまして、従来のように大きな重点的な工事は、今までの仕組みでけっこうであったと思いますが、これからは今申し上げたような方向になりますので、主として建設省は指導監督、そうして今のこまかな建設行政を運営するというような意味合いからいたしまして、地方に分権して監督等をまかしていくということにいたしたいということが今回の地方建設局の強化でございます。これによって必要な人間が起こるということでありますが、それは置きかえその他によって、定員増加をいたさないということであります。
  75. 坂本泰良

    坂本分科員 職員の問題に関連しまして、建設省では昨年の十二月、庁内の取締りに関する訓令というのを出されておる。昨年の何月ですか、日を忘れましたが、二名の首切り、それから十一月に入って北陸と東北に処分を出しておられる。こういうような点と、さらに大臣に就任されてもう相当になりますが、建設省内の職員組合との交渉、法律的には労働組合法による団体交渉ですが、これは公務員にしても、公務員法によってある程度は制限されておりますが、やはり憲法に基づく二十七条、二十八条の団体交渉権はあるはずであります。そのような組合に対して、いろいろの口実を設けて団体交渉をされない、そういう点はどこにあるのか、どういう考えでやられないのか、この点を承りたいと思います。
  76. 河野一郎

    河野国務大臣 それぞれ担当いたすべき者がおりまして、それぞれの御要望につきましては十分承って、それを私は報告を受けて善処いたしておりますから、まだその必要な段階ではございません。
  77. 羽田武嗣郎

    羽田主査 坂本君、四十七分になりました。
  78. 坂本泰良

    坂本分科員 それでは河川局長に、ちょっとさっき落としましたから一点だけ。従来、五億ないし六億の下筌、松原についての予算が消化されており、本年度の予算では十億の予算が組まれておるわけですが、これによっていろいろの工事をしておる。従来行なわれておるのは、日田郡大山村の汗入場トンネルから松原ダム・サイトまでのつけかえ道路工事、それから第二は、中津江村の野田小学校の新築、これは補償でやっておられる。この学校へ行く道、これも補償でやっておる。それからごく少数の人であるけれども補償金を払っておる。今後もこの十億円というのは、そういうふうないろいろな問題があると思うのですが、これはいわゆる多目的ダム法その他河川法等々にいう、特に多目的ダム法による準備行為か、新築であるか、その点はどういうふうに考えておられるのですか。
  79. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 まだ十億の使い道につきまして、はっきりいたしておりませんが、今後、今計画を立てておる段階でございますが、基本計画は近くできますので、基本計画に基づいた事業をやって参りたい、こういうふうに考えております。
  80. 坂本泰良

    坂本分科員 それで現在までやられた。今、私があげた四つ、これはどちらですか、準備行為ですか、新築行為ですか。
  81. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 従来やっておりましたことは準備行為でございます。来年度は基本計画をつくりまして、多目的ダムの手続によってやりたい、こういうふに考えております。
  82. 坂本泰良

    坂本分科員 終わります。
  83. 羽田武嗣郎

    羽田主査 午前はあと栗原俊夫君お一人までやりたいと存じますが、栗原君は大臣に対する質問がございませんので、大臣は御退場になってもけっこうでございます。  なお、大臣は午後は経済閣僚会議がありますので、四時半から五時半まで、あとの島本君、玉置君、田中君、岡本君の大臣に対する質問は、集中して一時間の質問を願うようにいたしたいと存じます。  栗原君。
  84. 栗原俊夫

    栗原分科員 私は、同僚委員から大局的な質疑がされておりますので、具体的に群馬県下の下久保ダムと外一点についてお尋ねをいたしたいと存じます。  大臣、お帰りになって、政務次官の松澤さんがおられますので、政務次官にお尋ねしますが、下久保ダムは、水資源公団ができまして、その前から建設省直轄でやっておったものが引き継がれたわけでありますが、その際に水資源公団に引き継がれる前に、建設省と地元の人々との問でいろいろと話し合いが進められてきておるわけでありますが、少なくとも建設省が地元の人たちに与えた地元の人たちにとって有利な約束は、そのまま水資源公団に当然引き継がれてあるものだ、こう信じておりますけれども、この辺についての引き継ぎをめぐっての建設省の立場を御説明をいただきたい、このように考えます。
  85. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 従来の経過の説明の要望でありますから、詳細のところは河川局長がおりますから説明をさせていきたい、かように思います。  同時にまた、ただいま最後的な御質問であります従来の地元との話し合いなりあるいはまた書面での取りきめなり等がございますれば、当然にこれを守っていくことはいわれるまでもないことであります。
  86. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 水公団に引き継ぐ前に、建設省でいろいろ地元と補償交渉をやってきましたが、ほとんど進展を見なかった状況でございます。ただし、その間いろいろ話し合いをしましたことは水公団に引き継いでやらせる、こういうことでございます。
  87. 栗原俊夫

    栗原分科員 いろいろこまかい問題もあるわけでありますが、その中で一番重大な問題は水没者——ここの人たちは、一人残らず今回のこの事業を理解して協力的なのであります。絶対反対という人は一人もおりません。同じ利根水系でも薗原タムあたりは、今日でも絶対反対というのがおって、水公団でも手を焼いておるらしいのですが、下久保ダムに関する限りは一人も絶対反対という人はおりません。しかし、こういう人たちが全員できめておることは、補償問題が片づくまではダム本体の工事には着工してもらっては困る、こういうことであり、そのことは、こうした地元民の意を体して、前建設大臣である中村大臣にも特に強く要望して、その通りするということを当国会においても明確に答弁されておるのであるが、この点は水公団にはっきりと引き継がれてあるかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  88. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 仰せの通り、話し合いが完全につくまでは着工しないという既定の方針通りに、今日も建設省では考えております。
  89. 栗原俊夫

    栗原分科員 水公団の方は見えておりますか。——それでは水公団が見えておらぬということになると、ちょっと私の質問の構想も変わってくるわけなんですが、それでは建設省の責任において、一つ水公団の立場も御答弁が願えるかどうか、まあ監督の立場にあるのですから、おそらく答弁できるのではないかと思いますけれども、その点を一つ確かめておきたいと思います。
  90. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 水公団みずからがやるところの技術的な部面とか、あるいは総裁を中心として決定権を持っておる面等を除きましては、監督指導的な立場は建設省にございますから、従いまして、国会において答弁いたしました範囲においては、建設省において責任をとっていきたい、かように思います。
  91. 栗原俊夫

    栗原分科員 昨年の暮れに水公団に引き継ぎがれましたあと、先ほど河川局長からもあるいは政務次官からもお話がありましたが、なかなか具体的な補償等については進展は見ていなかったということでありますが、去る一月十九日に水公団から第一回目の補償についての基準提示があったやに聞いております。その最も標準的な地価、そしてこれに対する地元の反応、その後の様子等がわかっておりましたら、概略でよろしゅうございますから御説明を願いたいと思います。
  92. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 基準提示の内容の詳細は存じておりませんが、近ごろ非常に折衝がうまくいっている、あるいは非常にいい場合には、基準の点につきまして近く妥結を見るんじゃなかろうか、こういう報告を受けております。
  93. 栗原俊夫

    栗原分科員 そうしますと、かなくとも話し合いで結論を出す、こういうことで話し合いがつかない場合には、従来ならば土地収用法あるいは土地収用法でもなかなか事が簡単に運びそうもない、こういう見通しがあれば、先般三十六年にできました公共用地の取得に関する特別措置法、こういう発動も法的にはあり得るわけだと思うのですが、そういうことは一切考えずにこの問題を解決していく、そしてまた解決しきれる見通し、自信をお持ちなのかどうか。
  94. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 現在のところは、先ほど申し上げましたように、話し合いで十分いくという見通しでございます。ただしそのうちのある特定といいますか、話からはずれるような方がおられるような場合、これは仮定でございますので、そういうことはないと信じておりますが、十分話し合いできるという見通し並びに確信を持っておる、こういう状況でございます。
  95. 栗原俊夫

    栗原分科員 そうすると水公団が、この公共用地の取得に関する特別措置法によるところの事業認定というものは、まだ出してはおらぬわけでございますか。
  96. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 全然出ておりません。
  97. 栗原俊夫

    栗原分科員 監督の立場にある建設省として、少なくとも先ほども出たダムの問題でいろいろ問題がどこにも起こっておるわけでございますが、今東京では水と火事で両攻めにあっておる。その水を一日も早く持ってこなければならない一つの立場にある下久保ダムでありますから、一日も早く着工し完成して、その水の供給が始まることを望むわけであります。しかし、だからといって、地元の人が、おれたちがここをどきたいから一つダムをつくってくれ、こういうことを頼んだわけではありません。従って、いうならば、水没する人たちは犠牲の立場に立つわけでありますから、われわれも心ならずもその仕事の趣旨に賛成して協力して立ちのくのであるから、これを使う人たちもむろんよくなるんだけれども、われわれも、どいた結果プラスだったんだ、こういう立場に立って補償をしてもらわないと、これはなかなか容易ではないと思うのです。大の虫を生かすために小の虫が犠牲になるのはやむを得ないというのは昔の倫理であって、今日ではそうではない。大の虫を生かすために小の虫も生かしながら、一応そういう事業の中でその事業に協力する、こういうことでございますから、一つこの点はしっかりと——今までは折衝の直接の当事者であった建設省であり、水資源公団に移した以上、今度は監督の立場にある建設省でありますから、この点は間違いのないように、しっかりやっていただきたいと思うのであります。  そこで具体的な問題に入るわけですが、あの地帯は砂れき土が非常に多い、急坂な地帯が多いのですが、ここではコンニャクという特殊な栽培をやっているわけです。ただ常識的にこの地味を見ると、何だこんな土地、二束三文ではないかというような土地なのでありますが、これがコンニャクの特産地ということで、そうした他の土地とは単純に比較できないような条件にあるわけなんです。これらの問題を——今日では水公団に移っておるわけですから、直接皆さんの方で今日ただいまの時点でどうだということではありませんが、皆さんが具体的に相手方となって折衝しておったころ、どんな心がまえでこれを評価しょうとしておったか、一つ明らかにしてもらいたい。
  98. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 ただいまのお話はその土地個有の特別な状況でございますが、そういう点を十分考慮して建設省としてもやって参りましたが、今後水公団に十分伝えまして、その点をよく考慮するようにしたいと思います。
  99. 栗原俊夫

    栗原分科員 水公団がおらぬのでなかなか質問しにくい立場に追い込まれておるわけですが、なおこれは前建設大臣中村さんが現地においでになったころ、ここにダムができるということになったために、いつ水没するかわからないということで、そうしたことによる減収が非常に起こった。これについて一億五千万円の減収補償というものをぜひ出してもらいたい。ほかの地域では精神補償とかいろいろな形で要求されておるけれども、ここではそうした無形なものではなくて、有形な減収補償という形で概算一億五千万円、これは何とか考えようと現地で大臣は答弁をしたというようなことで、これがおそらく水公団に引き継がれるまで具体化することについていろいろとやりとりがあったと思うのですが、これらについて水公団にはどのような形で引き継がれておるか、この点を一つお伺いしたい。
  100. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 非常にむずかしい問題でございますので、水公団にも地元からお話のあったことは十分伝えてございます。ただ今までのところ、なお水公団と私の方との意見もまだ完全に統一しておりませんし、今後十分その点も検討して参りたいと思っております。
  101. 栗原俊夫

    栗原分科員 いずれにいたしましてもダム建設が一日も早く必要になってきておるときでありますから、地元の要望等もでき得る限りいれて、強権的な行為によってこれを遂行するのでなくて、話し合いの中に円満に一日も早く着工、完成ができるように推進されることを特に要望いたしまして、下久保ダムについての質問を終わります。  次に、これも非常に具体的な問題でありますが、今群馬県の国道十八号線、通称中仙道高崎市内の少林山というところの地すべり地先の道路のつけかえ工事が始められようとしております。これは地すべりに関連しての問題でありますが、いろいろないきさつがありますので、道路局長にお尋ねしたいのですが、つけかえる理由を御説明願いたい。これは次の質問に発展する重大な問題でありますので、なぜ道路をつけかえなければならぬか。
  102. 平井學

    ○平井(學)政府委員 御指摘の十八号線の少林山付近の道路ですが、御案内のような災害がありまして、地すべりが起こったために、現道の土地が持ち上がりまして、御承知の通り河川工事を並行してやっておるのでございますが、道路局といたしましては、将来にわたって再び地すべりの影響を受けないようなという意味で、この地すべりの危険のある区域外の地点を選びまして、現道沿いに約四百メートルつけかえ工事をやっております。これはただいま申しましたように、今後ともそういう山の側から地すべりが起こってきて、そのために現道に吹き、出して再び道路に支障を及ぼすというおそれがありますので、地すべりのおそれのない区域まで道をつけかえる、こういう趣旨で現道の工事をやっておる次第であります。
  103. 栗原俊夫

    栗原分科員 これは前々から地元の人たちの要望があり、要望にこたえて実行に移してもらって、まことにありがたく感謝するわけであります。  そこで今度は河川局の方へ話は移っていくわけでありますが、道路のつけかえをやるときに、一方ではその道路とすぐ接近しておる堤防の問題なんですが、堤防は災害復旧という名目でかさ上げの工事をやっておるわけなんです。なるほどかさ上げをすれば河床も上がってきて、上がった河床に対して上がっただけ堤防をかさ上げをすれば、格好の上からいえばそれで事は足りるように見えるわけなんですけれども、道路でさえ、地殻といいますか、その辺が動くということをおそれて後退をして、土地の動かないところへつけかえをする、こういうときに動く危険のある堤防に形の上だけかさ上げする、こういうことではたして水が完全に防げるだろうか。これはまことにしろうと考えでございますけれども、その付近の者を初めとして、そこが決壊したならば水禍をこうむる立場の万に及ぶ人たちが非常に心配をしておるのですが、この辺の技術的な御感想を述べていただきたい、こう思います。
  104. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 三十五年に地すべりが発生し始めたわけでございますが、その後山のすべりどめの方の手当をだいぶふやしまして、今のところは大体落ちついている、こういう状況でございます。それにつれまして川床が隆起をしたわけでございます。ほんとうは、隆起した部分を削れば洪水は流れるということでございますが、これはかえって地すべりを助成するおそれがあるという点から、災害復旧事業として堤防のかさ上げをやっている、こういう状況でございます。従って、今後はどういうふうにするかという問題がございますが、これではたして十分であるかどうか、その点は山の状況をにらみ合わせながら、洪水の害がないように、あるいはもっとすべるような状態であれば徹底的に河川の堤防も引く、こういうことも考えられますが、現状ではこの程度で防げる。従って十分地すべりの状況を警戒いたしまして、今後の万全の策を講じて参りたい、こういうように考えております。
  105. 栗原俊夫

    栗原分科員 一応お話はわかるのでございますが、水が出てそれきりだ、だから今度はやるんだというんじゃどうも困るのです。とにかく道路の方も、もうこれで完全にとまったというならば、今までの隆起した部分を排除して、今までのところでいいと思うのですよ。この点については建設省の内輪話をこんなところで表へ出すのはなんですけれども、なかなか大へんなんだということをそれぞれの立場から聞きました。片一方ではとめるのだ、片一方ではとまらないのだということで、道路を動かしたり、提防を動かしたり、これは確かにそういう議論がありましょうけれども、いずれにいたしましても、全然地すべりによって影響を受けない地帯に道路が後退する、こういうことがきまった以上は、この際面子にこだわることなしに、新しい国道の敷のところまで堤防を後退してもらう、堤防を後退するというのが格好が悪いならば、新しい堤防の高さの道路建設してもらう、こういう形でぜひともこの点を解決してもらいたい。これが地元民の心からの念願なんです。そうすることによって堤防がうしろへ下がるというのではなくて、道路のつけかえは堤防と同じ高さによってつけかえをする、こういうような形でぜひやってもらいたいと思うのですが、いかがなものでございましょうか。これは政務次官から一つ……。
  106. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 河川の技術的な部面から言うと、ただいま河川局長からお答え申し上げたような状態のようでありますが、災害の場合、土地所有者は、河川敷は広げてくれるな、こういうふうなのが普通であります。ところがこの地帯だけは今のお話のような点に非常に重点を置かれて、河川敷は広げてもらってもけっこうだから、従って道路の安全度をとって、つけかえられた道路の辺まで堤防を一つ後退させてくれたらどうかというような御意見のようであります。従いまして、河川河川といたしましても、また地すべりをとめるというような方面は、地方自治体としてなさなければならない工事である、技術的に見てもそうしていかなければならないし、将来もそれ以上になってはいけない地域であると思いますので、それはそれといたしましても、ただいまの御意見は十分に検討する必要があるのではないかと存じますので、建設省で私責任を持って調整をとるようにいたしたい、そうして道路部面まで河川敷を伸ばすか、堤防を引っ込めるか、道路それ自体を堤防の上に持っていくかというようなことをもう少し検討させていただきたいと思います。
  107. 栗原俊夫

    栗原分科員 道路国道であり、たまたま堤防は直轄でなくて県の方でやっておる堤防なので、今日までいろいろ苦労してきたのでありますが、意見一致というところまでいっておらなかったわけですが、本日特に政務次官からも、地元の実情の要求等を十分くみ入れてなるべく実情に即した、そうして地元民の要望に沿うたような処置を一つとりたい、こういうような御答弁をいただきましたので、全幅的な信頼を一つ投げかけて、以上をもって私の質問を終わらせていただきます。
  108. 羽田武嗣郎

    羽田主査 午前中の会議はこの程度にとどめます。  午後二時より再開して、建設省所管に対する質疑を続行することとして、これにて休憩いたします。    午後一時四分休憩      ————◇—————    午後二時十二分開議
  109. 羽田武嗣郎

    羽田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十八年度一般会計予算及び昭和三十八年度特別会計予算中、建設省所管に対する質疑を続行いたします。  なお、河野建設大臣は、経済閣僚懇談会に出席のため、午後四時半より当分科会に出席することになっております。河野大臣に対する質疑は、この間に集中して行ないたいと存じますので、さよう御了承を願います。島本虎三君。
  110. 島本虎三

    島本分科員 大体事務的な方面だけ、先に河川関係の方を伺いたいと思います。  ことに本年の豪雪の場合には、雪解け災害が見込まれ、警告されておるような状態であります。そのほかに、御存じのように、融雪洪水の恐怖におののく川が十三河川ある、こういうような報道もあるのであります。この中に去年、おととしと連年災害を受けている北海道の石狩川、こういうようなところは、また融雪災害のおそれがあるという危険信号が発せられておるわけです。いつもこういうような状態で、冬は豪雪に悩み、雪が解ければ融雪災害に悩み、夏になれば集中豪雨に悩み、秋になればまた集中豪雨に横びんたを張られる、こういうような状態では、おそらく立つ瀬がないんじゃないかと思うのです。それについても、やはり災害復旧予算は、昨年度はだいぶつけて、それを実施中であるようですけれども、その進捗率はどういうようになっておりますか。  それから、融雪の際の危険な状態に対しての気象台の発表に対して、どういうような対策を構じておりますか、一つその点をお知らせ願いたいと思います。全円の河川についてというわけに参りますまいから、まず石狩川の方から……。
  111. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 石狩川は、昨年、一昨年、引き続いて大災害を受けたのでございますが、そのうちの災害復旧の面につきましては、ほとんど直轄災害が多うございますので、昨年の分につきましては、大体四割程度進捗しております。来年度で大部分完了いたしまして、残部は三十九年度に完成をするという予定で、進捗いたしております。
  112. 島本虎三

    島本分科員 そうすると、融雪災害についてのおそれというやつは、現在のところはないということで了解していいのですか。
  113. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 融雪災害のおそれという点につきましては、やはり治水施設が万全でないと、また起こり得る可能性がございます。従って、現在のところ、ごく最近に北海道の方にも通知をいたしたわけでございますが、いろいろ融雪災害を防止するようなことに注意を喚起するようにいたしておるわけでございます。基本的には、治水施設で万全を期したい、こういうことで、来年の北海道治水費は、内地よりも重点的に考えておる、こういうわけでございます。
  114. 島本虎三

    島本分科員 それで融雪災害の場合に、場所をあげて何ですけれども、石狩川については、御指摘の通りに、これは無堤防地帯が多い。この場所で、その支流である千歳川水系、この築堤についても、予定されたところまでまだ十分いっていない、こういうようにいわれているわけですね。そういたしますと、北海道の場合も、他の河川と——これはうらやましいと思うのは、本州方面の河川の場合には、多ければ多いなりに、少なければ少ないなりに、上から下に水がまともに流れるようにできているが、北海道の場合は、原始河川の特徴として、多ければ多いように、少なければ少ないように、洪水かまたはその他の災害を生むようにできているわけです。これは私はまことに残念なんですが、そういうような点から見て、石狩川の場合は、たとえば江別を中心にして、あの付近から上は流れる水は奔流で、堤防が欠ける、あの辺から下の方の日本海に注ぐ場合には、のらりくらりと流れて、いつも洪水発生の原動力をなしている。その点で、石狩川は百メートルの川幅しかないところが二キロも三キロもある、こういうような状態では、やはり雪解けの際の洪水のおそれというものはその辺にある。これは来年も当然そういうおそれがあるとすれば、ことしはどのようなことがあっても手をつけておかないと、将来にまた災いを残すのではないか。江別は少なくとも市でございまして、そういうような堤防決壊のおそれさえもある個所でございますから、川幅を十分確保することとあわせて、雪解け災害が起こらぬように、十分善処して、そういうおそれがないようにしておかなければならないのではないかと思うのです。  この石狩川の無堤防地帯の対策、それから千歳川水系の築堤、こういうようなものはいつ完全にでき上がるのか。融雪の場合に心配がありますので、一応事務的にそういうような点をはっきり局長の方からお知らせ願いたいと思います。
  115. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 先ほども申し上げましたように、根本的には、治水対策をやらなければ、融雪災害はなくならない、こういうことでございます。従って、現在も治水十ヵ年計画でやっておりますが、来年度の予算におきましては、北海道のただいま御指摘になりました個所を重点的にやって参りたい、かように考えております。なお、さらに促進をいたすためには、新しい五ヵ年計画もつくらざるを得ない、こういうことで、三十九年度からとして現在も準備し、検討している最中でございます。
  116. 島本虎三

    島本分科員 これは河野大臣のもとに最も優秀であるという定評のある政務次官が参りましたから、この際、ことに災害復旧に関して聞いておきたいのであります。  この三十六年度の決算報告ですが、これは災害復旧事業に伴ういろいろな事業場の不正行為のあるということが指摘されているようでありますが、これはやはり融雪災害や集中豪雨や、今後予想されるいろいろな状態を考える場合には、何としても災害復旧事業には、重点的にこういうようなことがないように指導しなければならないと思うのです。かような点は十分考えておられると思いますが、次官は、昨年度の集中豪雨の際に、あなたが各地へ行って、金に糸目をつけないでもいいから早くやりなさい、あとは責任を持ちますよと、あれは非常に力強い言葉として住民から受けました。それによって、建設省には人があるということを認めました。ところがあとが、これが不正事件として浮び上がってくるようでは、これはやはりとんでもないことになるのじゃないかと思うのですが、こういうような点は、重々戒心の上で工事を監督しなければならないと思います。御所見を承りたいと思います。
  117. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 ただいまの御質問に対して、建設省といたしましては、会計検査院あるいはまたその他において災害復旧等においても相当数の不正的な立場のものがあると、こういうようなことを指摘されました。まことに遺憾にたえない次第で、事務局においても真剣にこれを検討して、再びそういうふうなことのないようにすべきであると、こういうふうに大臣からも強くいわれ、現在一そう注意することにおいては変わりないのですが、機構的においても、また、どういう点でそういうふうな問題が起きているか、こういうふうなことで今真剣に検討しております。と同時に、そういうようなことのないように今後とも注意していきたい、かように存じます。
  118. 島本虎三

    島本分科員 強くその点を要請しておきます。  それと、松澤政務次官にもう一つ。今、北陸を中心にして、いわゆる裏日本一帯が豪雪災害に見舞われれております。もう自衛隊も引き揚げられた個所もあるようでございます。しかしながら、やはり豪雪がくる場合には、これがおそらくは雨になってきた場合には、集中豪雨になるのです。この豪雪、集中豪雨の場合には——冬だったから豪雪だったけれども、夏だったら集中豪雨である。これを考えた場合には、りつ然たらざるを得ないわけです。おそらくは、冬きたから、夏はくるかもしれないし、こないかもしれないわけです。それに対する対策は、十分に練っておかなければならないと思います。集中豪雨の場合には、公共土木に対する被害というものは意外に目立って大きく映ります。豪雪の場合には、そういうふうな点は案外目立たないようではあるが、それに付随する被害というものが、意外に大きく浮かび上がってくるわけです。この両方は、やはり離すことのできない関連性があると思うのです。この災害復旧について、おそらく豪雪の場合もあわせて次官は十分激励し、考えてきておられると思います。この点は十分手落ちなく進めておると思います。あの激甚災の指定の問題、こういうふうな問題は、現在どういうように進捗しておりますか、この点を一つ明らかにしていただきたいと思います。
  119. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 豪雪に対しましては、すでに政府においては豪雪の対策本部を設置しまして、御承知のように、河野建設大臣が対策本部長であります。従って、それの本部の協議会においても、数回豪雪対策の問題で検討し合って参りましたが、特に今の御質問の激甚災については、現在盛んに各省を動員して調査をいたしております。従って、その調査がまとまり次第、建設省としても、それらの調査に基づいて指定地域を決定する。と同時に、また、激甚災の場合は、御承知のように、それに伴う会議等がありますから、それらの会議の経過を経てそうして決定する、そういうように政府としては持っていかなくちゃいけない、かように考えております。
  120. 島本虎三

    島本分科員 豪雪に対しては、ほんとうに無理な基準ではあろうと思います。今までないのですからね。しかし、やはりそういうふうな点も十分考えて措置してもらいたい、こういうふうに思いまするが、法的な点でまだ未整備な点、こういうような点等に対しましても、幸いにして現地へ直接行って指導されてこられた松澤政務次官の場合には、今まで集中豪雨の場合には、あなたには実績があって、河野さん以上にあなたが評判がいい例もありましたから、そういうような点をからみ合わせて十分対処してもらいたいと思う。個人災害に対するいろいろな手当の問題、あれは法の改正が必要です。また、新しい立法が必要です。こういうようなものをやっていかないと、これは集中豪雨の場合と豪雪の場合、ことに農業災害の場合には、両方似たようなデータが出てきております。こういうようなものは、あなたの所管外ですけれども、やはり原因は集中豪雨と集中豪雪ですから、これは似たような対策をとらなければならぬと思います。この激甚災の指定とともに、現在デッド・ロックになっておる農家、そのほかの個人被害の補償の問題、法の改正の問題等についても、格段の御配慮を得たいと思うのです。この点をあわせて御所感をこの際承りたいと思います。
  121. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 確かに現地を回って見まして、特に日ころ雪の降らないところに一メートル以上の雪が降ったために、農家のみならず、市街地においても非常に困っておる現況であります。特に一戸々々の家屋がつぶれてしまったとか、あるいは激甚災の場合は、御承知のように三百戸以上とか、団地的にまとまった場合においては直ちに指定するというような法的な根拠がありますが、一戸々々の場合には、これを救うというような立場においては、融資以外に現在の段階ではないのです。そういうふうな部面、あるいはまた屎尿処理的な環境衛生的な部面においても、これらに対する対策等は、現在法的な問題としてはあまり出ていない。それで現地では非常に困っています。従って、先ほど申し上げたように、豪雪対策本部の方といたしまして、政府全体において、各省が全部責任を持って、これらに対する救済策的な方途を講じなければならない。こういうようなわけで、対策本部長のもとに総務長官を副本部長といたしまして、現在鋭意検討いたしておるようなわけであります。しかしながら、政府としては、現段階においてなし得るものはほとんどなしておるというふうな現況でございますが、何せ集中豪雪といったような状態の地域が非常に多いので、とりあえずなし得る部面としては、自治省関係になりますが、普通交付税の繰り上げ支給とか、あるいは特別交付税を交付するというふうなこと、あるいはまた災害救助法を適用して措置をするというような部面等はやっております。が、しかし、今申し上げたような個々のこまかい部面には、かゆいところに手の届くようなところには至らない点が非常に多いので、これらに対しても目下検討いたしておるような次第であります。
  122. 島本虎三

    島本分科員 十分検討の上で、ほんとうに国民期待に沿えるようにこれは善処してもらいたいことを強く要請しておきたいと思います。  次に、道路関係、これはここに大臣がいたならばいいと思いますが昨日も、本会議において、冬季オリンピックの札幌誘致の問題が決定されました。このために、今後各般の準備を進めなければならぬ状態になるだろうと思います。それにしても、このオリンピック道路というか、東京都の単独事業もあるし、またいろいろ直接やっておられる道路に対する事業もあるようです。このオリンピック関係の道路整備ということは、やはり目下の急務ですから、この点は十分間に合って、われわれが安心してもいいだけに工事が進んでおりますかどうか。その点を明確に、この進捗状態を発表願いたいと思います。
  123. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 オリンピック関係の道路進捗状態につきましては、現在、三十七年度末におきまして、都施工の大部分につきまして七五%、事業費につきまして首都高速道路公団に委託しております分で五一%でございますが、三十八年度の末におきましては、都の施工する大部分が事業費で九一%それから公団の委託につきましては七九%、平均いたしまして八八%の進捗率になる予定でございます。その中で三十八年度末における用地関係は、現在三十七年度末におきまして大体七五%以上の進捗をしていますので、三十八年度には用地関係は完全に完了する予定でございます。工事関係につきましては、やはり七〇%で、合わせまして八八%、こういう状態になっております。それから首都高速道路公団事業につきましては、オリンピック関係として入っておりますのは、一号線と四号線それと関連しました二号線の一部分でございまして、一号線につきましては、三十七年度末に五七%、それから四号線につきましては、三十七年度末に四九%、三十八年度末におきましては、一号線は九二%、それから四号線につきましては八三%という見込みでございまして、この半端の数字には、大体舗装部分、それから勾欄、照明その他の付属施設の方の金を今年度は十分に取りませんで、そうしたものを残しまして、主体工事は全部三十八年度に完了するという予定になっております。
  124. 島本虎三

    島本分科員 ことに大臣が一生懸命やっていた甲州街道のバイパス工事、こういうようなものに対してはどういうふうになっておりますか。
  125. 平井學

    ○平井(學)政府委員 道路局長からお答えいたします。  これは明年のオリンピックまでには十分間に合う予定で、現在も進んでおります。
  126. 島本虎三

    島本分科員 それを聞いて一応安心いたしましたが、事業の執行態勢の中で、土木技術者が少なくて、工事を進めるためには相当の困難性があるということを聞いておるのですが、それが大丈夫ということになれば、これ以上質問は要らないわけですが、その点等を加味して、ほんとうに大丈夫ですか。
  127. 平井學

    ○平井(學)政府委員 最近、技術者の問題もございますが、甲州街道のバイパスは、主として今まで用地問題、すなわち関係住民の立ちのき問題が主たるネックでございまして、技術者の方は、関東地建におきまして、集中的、重点的にあの部面に振り向けておりますので、技術者の点は御心配ございません。
  128. 島本虎三

    島本分科員 それと同時に、道路の点、これは間に合うということを聞いて安心しました。技術者の点も、これは心配ないということを聞いて安心しました。実は、いろいろの方面からの指摘で、これは間に合わないのじゃないかということと、そのための原因が、技術者の不足である。用地の問題は、金を出したりいろいろなことをやることによってこれは可能だという報告だった。ところが、現在そういうようなことが大丈夫というので、これは全部おまかせして、円満にやってもらう以外にない。一つこの点も、国をあげてやる行事ですから、皆さんも十分その点を考えて万遺憾なきを期してもらいたいと思います。  次に、冬季オリンピックが札幌に招致するように決定し、これに対しても、今東京があわを食ってるようなあんばいに、これもその年になってあわを食ってもしようがないと思いますので、今からその道路の問題、その場所に通ずる用地の問題、こういうようなものは、それぞれ準備しておいてもしかるべきじゃないかと思うのです。おそらくは、この問題は、実現が決定的なものだと私ども考えておりますが、この冬季オリンピックに対するところの道路関係、ことに舗装の関係を含めて、今から準備されておりますかどうか。今後これに対するお考えはいかようなものですか。この際あわせて御答弁願いたいと思います。
  129. 平井學

    ○平井(學)政府委員 お答えします。  お尋ねの点は、主として冬季オリンピック関係の道路整備も大丈夫かという御質問と承りましたが、その点は、オリンピック関係につきましては、決して東京だけではございませんので、道路局の方も、その点は十分に考慮して整備計画を立てておりますので、十分とはいきませんでも、最小限度オリンピックの運行に支障のないような計画で進んでおります。
  130. 島本虎三

    島本分科員 それも将来のことですから、十分考えてやってもらいたいと思います。  さて、今度は現実の問題の方に入って参りまして、これは前から河野構想として出されておる問題で、国道道路管理の建設省の構想の一端として、一級国道、二級国道、これを全部国の財源でやる、そしてこれが道路の責任態勢の確立の一端である、こういうふうにしてやるということになっておったわけです。おそらくはこれに対していろいろな方面から、ある場合には推進、ある場合にはそれでは困る、こういうようなことがこもごもに陳情並びに要請としてきているだろうと思います。この河野構想実現の段階は、現在どういうふうになっておりますか。一つこの点について御発表願いたいと思います。
  131. 平井學

    ○平井(學)政府委員 お管えします。  ただいまの御指摘の問題につきましては、ちょうど昨年末、三十八年度予算編成の途上におきまして、建設大臣が特に一、二級国道を全額国で改良整備をし、かつ維持関係も全部国でめんどうを見るべきである、こういうお考えを持つで、これが検討を私ども事務当局に対して指示されたのであります。私どもの解釈では、直ちにそういうふうにせよというふうには解釈しておりません。これは一つの問題であるが、至急これを、できるならば三十九年度予算編成のころまでに問題点を洗いざらい研究し、また大蔵、自治省等、関係省の立場も十分検討してやることが、自分はいいと感じておるが、これを一つ十分検討して、三十九年度予算編成に間に合うように、その結果を報告せよ、こういうことで、私ども目下検討いたしておる途中でございます。それで、現在一、二級国道の全面的な国の直轄という問題が起こったその主たる理由は、一つには国道と名のつく以上、やはり国が全面的に責任を持って整備し、かつ維持に当たるべきであるという点と、いま一つは、特に二級国道につきましては、建前が国の補助事業である、こういう関係で、一級国道のように、国だけの立場から全国的にこれを有機的に、総合的に整備計画を立てるということと違いまして、二級国道の場合は、数県にまたがっている場合に、隣りの県へ入るととたんに道路が細くなる、あるいは未整備区間が非常にあるというわけで、二級国道全体としての一貫した整備計画が必ずしもできておらない。県自体の道路政策によって、二級国道が県境で様相を異にしておる。そのために、全国にまたがります道路交通輸送の上に障害があるような向きが間々見られる、こういった点も、やはり一つには国が全面的に責任を持って整備し、維持すれば、そういう不便もなくなるはずである、こういった点が主たる動機だと思いまして、私ども、現在、そういった技術的な道路整備という観点からする検討と、それからそうした責任の転換に伴う財源措置、国の財源並びにこれによって影響を受ける都道府県の財源上のいろいろな問題点、こういった点につきましては、県の立場等からいたしまして、必ずしも簡単に割り切れない問題がございますので、目下、私ども関係省と検討しながら、早急に結論を出せるように努力をしておる最中でございます。
  132. 島本虎三

    島本分科員 それで、この二級国道の場合に、特にこの工事進捗の工合、こういうようなものを具体的に見る場合に、われわれとしては何かこれに手を加えなければならない状態にあるのじゃないかということを、やはり私ども、同様に感じているわけです。私は北海道です。北海道の中では、これは建設省そのものが直接やるわけではございますまいから、当てはまりませんが、道路に関連してはやはり同じですから、この際参考に申し上げておきたいと思います。  二級国道で小樽——江差線というのがあって、積丹半島をずっと通っているのです。これを設定したのは十数年前でございましょう。ところが、現在工事はやっていないかというと、ほんの少しずつやっているのです。はたしてできるのか。私が生きている間にできるのか。私が死んで生まれ変わってきても、もう一回国会へ出てきたらできるのか、わからないほどです。これはほんとうにマンマンデーです。これはやっているそのものを見れば、予算がどのようにつくのかわかりませんが、難工事のところ、そこだけは残しておるのです。そうして簡単な方だけやってしまう。そういうふうにするものだから、できているところはいいけれども、そこは通れないということになっている。その道路は、集中豪雨やそのほかの災害によって、それもこわされる、こういうような状態であった場合には——積丹半島の先の方に参りますと西の河原というところがありますが、まさにさいの川原と同じような状態で二級国道が現在やられておるような個所がある。こういうようなものはもっともっと熱を入れ、力を入れて進捗をはかってやらなければ、北海道と本州の格差の是正ということから見ても、一つの大きな眼目になっているということです。これがとうてい考えられない状態にあるような無灯火部落があるのです。無灯火部落に通ずる道路が、今まで何年間やってもまだ通じないのです。これにやる予算というのは百万もつけるのでしょうか。それが全体の要求としてやるものだから、ほとんどつかない。神恵内から先はずっと回るようになっているのです。郵便局とかいろいろな施設もあるのですが、電灯がない。こういうような個所さえあるのですから。それからもう一つ先に行くと、それも予定地になっているが、まだできない川白部落がある。そこには御存じのように五十六戸の家があって、いろいろな施設がありますが、電灯がない。もう少し先の方に参りますと、ノットという部落があって十一戸ある。ここも電灯がない。またずっと突端の方に近くなると、オブガル石というような部落があって十二戸ある。これも依然として道路がない。海岸の方を子供が走って学校に行っているような状態です。ここも小樽——江差線が通る予定なんですが、依然として通らない。こういうようなところは、地域格差の是正でテレビもラジオも聞けますが、依然として八十六戸も教育的な格差さえつけられているのです。全部合計したならば一つの村の中に百五十戸ほどある。無灯火などということはとうていあり得ないわけですが、現に道路がつかないためにそういうふうになっている。小樽−江差線のこういう進捗状態を見ると、全く情けないと思うのです。今の構想をもってでも早くこういう点を進めて、予算は何ぽになっているか、現にあったならばお示しを願いたい。百年河清を待つようなあんばいで、二級国道をやろうとしても、永久に日の目を見ないかもしれないような状態なんです。この点は一段と奮発を願いたいと思うのです。小樽−江差線の現在の状態はどうなっておりましょうか。
  133. 平井學

    ○平井(學)政府委員 いろいろ御指摘を受けましたが、その中で代表的な小樽−江差線でございますが、これは特に本省でもこの間は不通地が多いため、地元に不便をかけておるという事実は承知しておりまして、開発局の方とも十分連絡をとりまして、昭和四十年で終わる第三次五ヵ年計画で一応これは開通させる計画になっております。五ヵ年計画改良し、かつ舗装するのが完全な整備でございますから、舗装までは間に合いませんが、とりあえず未舗装のままでも不通個所をなくそう、車を通すための最小限度の開通をする計画で、現在努力いたしております。  なお、二級国道につきましては、道路整備五ヵ年計画でも、四十五年までの十ヵ年で概成するということには、皆さん御承知の通りきまっております。一級国道だけは四十年までで九0%以上完成という閣議決定になっておりますが、二級国道は、順序からいいまして、四十五年まで十ヵ年で概成という目標でございます。そういうわけで舗装までは間に合いませんけれども、四十年までに小樽−江差線は、とりあえず、舗装は別として開通させる、こういうことで現在もその目標を達成できる見込みで努力いたしております。  なおそれ以外の地方の線につきましては、ただいま手元に資料がございませんので、さっそく実情を調査いたしまして、地元の実態等もにらみ合わせて進めたい、かように考えております。
  134. 島本虎三

    島本分科員 その無灯火部落の解消のためにも——積丹半島は風光明媚で、あのままにしておいた方が楽しめていいという考えの人もいますけれども、しかし中に住んでいる人にしてみれば、陸の弧島ですから、早く道路だけは通じてやってほしい。美園から積丹半島をずっと通って神恵内まで通ずるあの道路はほとんど工事が何メートル、何メートルというようなものでしかやっておりません。こういうような点は少し早目にやる必要がございます。こういうような点は十分知っておいてもらいたいわけですから、長官も聞いておいてもらいたいと思うのです。これは無灯火部落であるという点、いわゆる地域格差の是正というような点が眼目でありながら、依然として北海道はそういうような点がほったらかしたままであるというようなことはゆゆしい問題です。その問題は道路の開通によって解決できまずから、やはり急いでやるようにすべきじゃなかろうか、こういうように思うわけなんです。ことにこれは建設省の方でも北海道開発局の問題になりますが、でさえもまだ除雪の点が十分いってない個所が方々にあるわけです。一級国道でもこういうような点になってきますと、もう少し除雪だけは完全にしておくように配慮してもらいたい。その予算は十分組んであるということなんですが、依然として北海道の方だけは除雪が不十分であるということは、聞こえないと思うのです。予算がないのか計画がないのか、この点除雪は全部やって、そういう個所がないということになれば一番いいわけですが、方が直接やっている道路で除雪しないがために開通できない点が相当あります。小樽−倶知安間はようやくことし通るようになりましたが、その先は全然通っておらない。こういうような点を見ますと、まことに残念です。十分この点も考えておいてもらいたいと思います。それに対してやってくれるかやってくれないか、これは松澤さん言ってみて下さい。
  135. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 雪に対するものの考え方は、全国民もまた政府も、率直に言って私は国会もと言いたいくらいの気持で実はおるのですが、従来ともに関心が非常に少なかったように思います。従って冬季間における交通の確保は雪国ではほとんどできないという現況であったので、三十八年度の予算におきましてはそれらを少しでも除去するような方に持っていきたい。御承知のように、今回北陸方面における豪雪に対する除雪も建設機械をもって除雪をしておるというのがほとんどの現況でございます。これはわが国全体における今までのものの見方といいますか、あるいはまた考え方といいましょうか、そういうようなことできておったのでありますが、雪の降らない国と比較いたしまして、さっき御質問にあった格差の点から考えても、きわめて不合理な点がある、こういうふうに見まして、三十八年度の予算においては、三十七度の本年度に比較いたしまして、全体的にわたって道路予算関係は約二一、二%増になっておりますが、除雪の部面だけに関しましては、七八%の増まで持っていっておるのであります。できるだけすみやかに除雪の専門の機械によって除雪をするようにしていきたい。同時にまた降る雪の量というものと機械量というものがバランスがとれなければ、何日間も根雪になったものをかきにかいて捨てなきゃならぬというようなことにもなりますので、政府としては、これからことしのこの豪雪の状態を見ましても、逐年増額をいたしまして、そうして除雪に力を入れて、冬季間の交通の確保に全力を尽くしたい。なおかつまた現在除雪の費用に対しましては、御承知のように、一口に雪寒道路法といっておりますが、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法に基づいて、除雪の費用をやっておりますが、これまた県までの補助金になっております。これを町村単位くらいまでに落とすような方向に持っていきたい、こういうので現在検討を加えておる現況であります。
  136. 島本虎三

    島本分科員 やっぱり冬季の除雪の点を考えて、国道の点等におきましては、とれなければ国道の権威にかかわりますから、その点等は、雪の多い方面、こういうような方面には特段の配慮を願いたい。それとあわせて、二級国道並びに国が補助してやっているようなところで、重要な道路に対しては、格差の是正の意味を含めても、これはもう十分考えておいてもらいたい、こういうように思います。それと同時に、今度は北海道の場合に、小樽、札幌、苫小牧、室蘭、これをつなぐいわゆるバイパス道路、高速度自動車専用道路というのですか、これが着工されるのはいつなのかといわれながら、まだほったらかされている。よく聞いてみましたところが、小樽と札幌の間の道路路線の問題で、まだきまらないんだということを聞いておるわけです。しかし、いろいろその内容等も聞いてみますと、現在ある国道は、汽車で行くのと車で行くのとほとんど同じに走っているわけですけれども、カーブが多い、それに橋梁が多い、こういうようなことで、どうしてもバイパスが必要だ。これを山の中をずっと走らせておる。しかし、その経費の二分の一ほどで海岸道路の方へ今度埋め立てすることによってできるということを、札幌、小樽の方からそれぞれ商工会議所や経済関係の人たちが陳情し、それの実施を要請しているんだそうです。ところが以前のバイパスの計画と、山を走らせる計画と違うので、これはどうも経済効率の点から考えて、有利なのはわかるけれども、しかしながら、まだ着工できないんだということを聞いておるわけなんです。何としても金の点では安くできる、時間の点では二分の一ほどでいける。すぐ埋め立ててやる。こういうようなことを考えたならば、そういうような陳情は陳情として受け入れた上で、必要だったら計画を変更してでも、早く着工すべきじゃないかと思うのです。現在室蘭、苫小牧、札幌、小樽のこの高速度自動車道路、こういうような問題についてはどういうようになっておりましょうか、この詳細をつまびらかに報告願いたいと思います。
  137. 平井學

    ○平井(學)政府委員 お答えします。札幌、小樽間のバイパス問題につきましては、確かに御指摘のように海岸回りと、山の方を回るのと二つの構想があります。しかし、現在のところ、どちらというふうに決定したわけじゃございません。まだ調査の段階でございまして、今月末にも地元の責任者である北海道開発局の方から資料を持参して、私どもと相談を願う段取りになっておりまして、十分その辺の事情をよくきわめた上で、合理的な方へ決定をいたしたいと考えております。  なお、札幌から苫小牧に至る高速自動両道につきましては、そういう構想もあるようでございますけれども、まだ私どもの知っておる範囲で、そこまで起工、着工云々というところまで調査が進んでおるようには存じておりませんので、これは追って調査をいたします。
  138. 島本虎三

    島本分科員 その問題は早く優秀な結論を出して、促進方について配慮願いたいと思います。こういうような問題については、黙っておくことによっていろいろと憶測が出てきます。憶測が出てくることによって運動が起きます。運動が起きることによって、逆に今度は着工促進が困難を感ずるようなことになるおそれが十分にありますから、今のうちに早く結論を出すべきだと思います。そうして海岸の方へ回ったならば現在の実施の工程よりも二分の一ほどの時間で行けるということと、工費が安くつくということだったら、あえてあまり遠慮しなくてもいいのじゃないかと思われますので、そういうような点にあまりにこだわらないで、皆さん、札樽両経済方面の人からも、またそれぞれ学者方面からも要請されているようですが、あまりにもそれにこだわらないで、いいものには計画変更に応じてやって、早目に着工してやるべきであろう、こういうふうに思います。こういうような点を強く要望して、簡単でございますけれども、私の質問はこれで終わります。
  139. 羽田武嗣郎

  140. 玉置一徳

    玉置分科員 総務長官にお伺いを申し上げたいと思うのですが、御多用のところお手数をわずらわしてありがとうございました。まずお礼を申し上げます。  そこでお伺いを申し上げますのは、近畿整備法案につきましてでありますが、近畿圏の整備に関する決議案が前の国会で上程されました。すみやかに近畿圏の整備開発をはからなければならないというのは国会全般の要望であり、地元の熾烈なお願いであるわけでありますが、目下どのような作業をなされておりまして、どのような過程を経て、いつごろ成案として国会にお出しになる見込みであるか、そのお見通しにつきましてお答えをいただきたい、かように思います。
  141. 徳安實藏

    徳安政府委員 近畿圏の整備に関する法案につきましては、超党派的に熱心な御要望がございますので、政府でも二月八日の閣議によりまして大よその輪郭を決定いたしまして、この輪郭の線に沿いましてただいま法案を作成中でございます。大体来月の十日前後までには法案が提出されまして御審議を願えるようになろうかと思います。
  142. 玉置一徳

    玉置分科員 そこでこれに関連をいたしましてお伺いを申し上げたいのでありまするが、最初地元の要望といたしましては、近畿開発促進協議会というものを三年ほど前に編成されまして、非常に開発という積極的な意味も盛り込んだ要望であったのでありまするが、近畿圏整備法案というような、どららかといいますと消極的な感じのする名称になったのでありますが、これについて十分地元の開発の促進をしていただきたいという意欲を盛り込んだものにしていただけるかどうか、御所見をいただきたいと思います。
  143. 徳安實藏

    徳安政府委員 最初の御要望は、東京の首都圏整備委員会同様な組織にしてくれという強い要請がございました。政府でもこの点をよく考えまして、過去における首都圏整備委員会の業績等についていろいろと調べたのでございますが、ただいま臨時行政調査会におきましてもこの問題を取り上げまして、もう少し機能の発揮できるはっきりした姿にでき得ないものかということで論議中でございます。その答申もそう長くないうちに結論が出るであろうということでございますので、できることでありますれば、そういう結論を見た上でこの近畿圏整備法案も起草の任にあたったらどうかという考えもあったのでございますけれども、何しろ超党派的に各党からの強い要請もございますので、その結論を待ってから予算化しましたり、法案を通しましたのでは少しおくれるおそれもございますから、一応この際は批判の多い国家行政組織法第三条に基づく委員会よりか、もっとすなおにいける、それも批判があると思いますが、第八条に基づく附属機関的なものにいたしまして、そうしてやがて日ならずして臨時行政調査会の方で結論が出ますから、出ましたならば、その出ました線に沿うて東京の首都圏整備委員会も改組になると思います。そのときには大阪のこの近畿圏も一緒にその線に沿うていきたいという考え方で大体党の方にもそういう話をいたしまして御了解を得、また各党の方にもそちらの方からそれとなくそういった点を申し上げておるかと思いますが、そういうような意味合いでただいま案を練りつつある最中でございます。
  144. 玉置一徳

    玉置分科員 当初委員会方式か本部方式かどちらにするかということにつきまして、いろいろ論議をかわされておったわけでありますが、ただいまとりあえず本部方式にする、首都圏整備法の改組に関する答申待って首都圏整備と同じような方向に持っていきたいという御意向が表明されましたので、この問題には長く触れないことにいたします。  そこで本部方式でやるといたしましても、地元の各府県あるいはその他の地方自治体の意見をどういうように参酌し、あるいはどういう方式で協力をさせながらやっておいきになるか。御承知の通り必ずしも全部が一致したような考え方じゃないようにも承っておりますので、府県によっては若干意見を異にするように承ってもおりますので、そういう点今後地元各府県の協力と申しますか、積極的な協力を得る方法として、どういうような方策をおとりになるお見通しであるかをお伺いいたしたい。
  145. 徳安實藏

    徳安政府委員 いずれ法案が出ましたならば御説明をして御審議を願うことになると思いますが、ただいまのところでは近畿圏整備審議会というものをこしらえまして、そこにあらゆる知識を吸収し得るような組織にしたらどうかということで案を練っておるわけでございます。
  146. 玉置一徳

    玉置分科員 長官もお答えのように、この問題が起こりますにつきましては、地元の各府県あるいは地元の代議士、党派を越えまして一致してお願いをいたしておったのは、お答えの通りでありますが、従って、この法案が提案される前に、固まるまでにそういった府県の意見の調整を、もう一つやるような機会をお与えになるか、どうか、これにつきましてお伺いを申し上げたいと思います。
  147. 徳安實藏

    徳安政府委員 法案が提出されましたら、できるだけすみやかにスムーズに可決していただくことが非常に必要なわけでございますから、今作業中でございますが、別に四角ばることはございませんので、党の方ともしばしば折衝しておりまするし、また向こうの申し入れ等も、了解事項として書面に近いようなものも交換してあるわけでございますから、従って、各党にもそれぞれの機関を通じまして御意見を伺うことはけっこうだろうと思います。
  148. 玉置一徳

    玉置分科員 どちらにいたしましても、この法案がすみやかに成案を得まして、党派を越えまして、国会全部の一致した御要望に沿うていただき、地元の熾烈な要望におこたえをいただきますようにお願いをいたしたいと思うのです。  せっかく総務長官がお見えいただきましたので、もったいないと思いますので、ついでに、先ほど島本さんから御質問がございましたのですが、当の一番の責任者でございますので、今次の災害に関して二、三簡単にお答えをいただきたいと思います。  いろいろ万般の応急対策をおとりいただきまして非常にその労を多としておるものでございますけれども、いよいよ今度は激甚災害被害の救済に乗り出すべき段階になってくると思います。従って、いろいろなことがございますし、今被害の集計をされておることもよく存じておりますけれども、完全に雪が解けてしまうまで待つというのでは若干おそいのではないか。すみやかに激甚災害の指定をされることが地元の要望にこたえるゆえんであると思いますが、これに対する御所見をいただきたいと思います。
  149. 徳安實藏

    徳安政府委員 まことにごもっともなことでございます。明日災害特別委員会をお開きになるそうでありますが、ただいまの法律だけから考えますと、この雪の災害に対しては、どうも至れり尽くせりというものではございませんので、何かそこに奥歯にもののはさまったようなものもございますけれども、法的の解釈をもう少し拡大すれば、そういう点は救われるのじゃないかという点もあるのでございます。先般来そうした問題を摘出いたしまして、本部長を中心に相談しておるわけでございますが、対策委員会の方でも、そうした問題を一応抜き出していただきまして、そうした問題に対する委員会の御意見等も承り、私どもも法の許す限り、あるいはまた運営の許す限り、この際はそうした問題に対して理屈を言わずに対処すべきであるという考えを持ちまして、一昨日も本部員の会議を開いたのでありますが、あるいは激甚災害にこの問題を適用する場合にはどう解釈すべきかというような議論も起こったように拝見いたしましたが、もう今日ではすでにそういう議論の時代ではなくて、もっと早くあたたかい手を差し伸べて、そうして罹災地に安心を与え、協力をしていただくような時代。だと思いますので、そういう理屈はきょうはやめて、そういう問題に対しては高度の政治的見解によって解決すべきであるから、本部長に一切の処置を一任するというようなことにしてほしいという話をいたしまして、各省ともそれを了承しております。いろいろ法律的には解釈の困難なものもあろうと思いますが、できることならば、やはり皆さんの御要望にこたえて、あまりしゃくし定規のことは言わないように処置いたすべきである、それには本部長みずからその解決の任に当たっていただきまして、各関係大臣とも折衝していただいて、なるべく短期間のうちに、今どうしたものか思案に募れておるような問題は早く解決して、地元にも流し、国会にも御報告いたしたい、かように考えて今一生懸命やっておる最中でございます。
  150. 玉置一徳

    玉置分科員 時間の関係がありますから三つ一緒にお伺いいたしまして、一緒にお答えいただければけっこうだと思うのです。  ただいまのあれでよくわかりましたが、いち早く災害対策本部を設けまして、災害対策本部長の河野さんがみずから現地に乗り込んでいろいろと督励せられましたことは、人心の安定に非常に効果があったと思うのですが、その後の作業がおそくなりますと、雪とともに消えるというような感じがせぬでもありませんので、特段の馬力をおかけいただきたいと思います。今も長官からお話のように、そもそも現行の災害救助の法律は、従来の経験によりまして、風水害、ことに水害をおもに念頭に置きました形で作業がされておるわけであります。従って、今次の雪のような災害の場合には、土砂堆積を雪の除雪に用いるのか、いろいろな点で今おっしゃったような疑義のある点が多いと思いますが、できればこういう豪雪の場合も特別立法としてわざわざ長いこと書かなくても、どこどこの項にどういうものを加えるというような特別立法が要るのじゃないか。でないと、しゃくし定木に集計しますと、激甚地災害にも何にもかからないというようなことになりまして、十分な救済ができ得ないのじゃないかということを心配するのであります。こういう豪雪の特別立法措置あるいはそれに準ずるような措置というものをお考えになっておるかどうかということが第一点であります。  第二点は、除雪をもって交通その他の治安のための対策は一応打てましたものといたしまして、今度は融雪に伴うなだれ、洪水あるいは衛生被害というようなものが予想されるわけであります。将来目の前に予想されるような問題に対して万般の措置を講じなければいけないわけでありますが、これにも一つ格段の努力をいただきたいということ、最後に、雪の被害というものに対する研究機関を設けるとか、あるいは先般国会を通過いたしまして成立いたしましたあの豪雪地帯の特別な臨時措置法ですか、あれに基づきましていろいろな計画の樹立なり対策をすみやかにお立てになる御用意があるかどうか、この三つにつきまして長官から一つお答えをいただきたいと思います。
  151. 徳安實藏

    徳安政府委員 激甚災害の特別な法律でございますが、御承知のように、昨年の臨時国会でようやく通ったわけでございますけれども、これがいろいろ論議がございまして、御決定を願うまでに相当の日にちを要したわけでございます。あれをほっておきますと、せっかく災害基本法ができておりましても、その法の発動ができぬものでありますから、そこで、政府の方でも一一これをしさいに点検いたしますと、多少のまだ不備があったのではないかと私ども思うのであります。しかし、その不備を補っておるだけの余裕があの当時なかったものですから、そこで私の方でも委員会にお願いいたしまして、いずれ将来実施にあたって不都合な点等がございましたら、こういう災害に対しては、もう自民党たると社会党たるとを問わずみんな同じ気持でございますから、やってみて不都合な点がございましたら、研究してそこで改めるようにいたしましょう、決してそれにやぶさかでございませんという御答弁を申し上げたわけであります。今お話しのように、あの法律では風水害が大体主でございまして、大火災でありますとか雪の災害等に適用するにはちょっと知恵が回らなかったのじゃないかと思われる点もございまして、あそこに一時預入れておけばよかったなという声もあるようでございます。これは一つ適当な機会に御研究いただきまして、私どもも研究いたします。今すぐといいましても、それを直してどうということじゃ時間が間に合いませんから、それはそれとして、できるだけ法の運営によってその足らざるところを補えるだけは補うようにいたしまして、なおこの法の足りないところは今後研究をし改めるようにいたしたい、かように考えるのであります。  豪雪地帯の問題でございますが、あの特別立法ができまして、あれは経済企画庁のものだそうでございまして、私どもはあまり詳しく存じなかったのでございますが、今度の積雪に対しましてあの法律が非常に重要な法律になって参っております。話を聞きますと、この実施にあたりましていろいろと困難な問題等もあって延びておったようでありますが、昨年末ごろからだいぶ活発に活動されているようでありまして、私どもの方も話し合いをいたしまして、早く機能が十分に発揮できるように協力いたしたいと思っております。
  152. 玉置一徳

    玉置分科員 長官に対する質問はこれで終わります。  道路局長にお伺いいたしたいのですが、新聞を見ておりますと、将来国道は、初めは一国だと思いますが、次に二級国道をあわせまして、国道は国で管理も全部やる、従って、地方道地方でやっていただくのだというようなことが新聞に載ったのでございますが、これは、考え方としては一つの考え方だと思います。ただ地方にしてみれば、どちらが有利になるか不利になるかその計算をされまして、それを見なければ安心ができないというのが実情だと思いますが、ただいまのところ建設省がお考えになっておる程度はどの程度にお考えになっておるか。
  153. 平井學

    ○平井(學)政府委員 ただいままでの事務的な経過を報告いたしますが、この問題は、実は昨年の暮れに建設大臣からただいまお申し述べのような趣旨の宿題が下がって参りまして、やはり一、二級国道は全面的に国が整備改良の責任を負い、維持、修繕も全部国がやるべきものと思うが、一つ至急これの利害得失その他の問題を研究して、できるならば三十九年度の予算編成までに間に合うようにできるかできないか、あるいはやるべきかあるいはやらぬ方がいいかという点から忌憚のない徹底的に検討した答申を出せ、こういうので研究をただいま命ぜられましてやっておるところでございます。特に今言及されました地方の負担移管の問題でございますが、県道、地方道についての補助率々減らす減らさぬの問題が新聞等でいろいろ伝えられておりますが、これは何も決定した問題ではございませんで、ただ現在の道路整備五ヵ年計画のあの特別会計制度あるいは地方財源の問題から考えて、もし国が大体三万キロに近い一、二級国道を全部全額国庫負担で改良整備するとなれば、それだけ地方の負担がうんと減るわけです。それぞれ道路特会で四分の一を従来地方が負担しておったのですが、これは何百億という金になります。これをかりに国が一〇〇%負担するとなれば、それだけ県の負担が減るわけだから、それだけ地方道改良整備の補助を下げてもいいわけではないか、下げなければつじつまが合わない下ばないかという一応の算術計算が成り立つわけでございます。しかしながら、これが地方自治の上にどういう影響を及ぼすかということは、なかなかこれはデリケートな問題でございますので、地方道の補助を減らすか減らさぬかという問題は、まだまだ自治省、大蔵省とも事務的にいろいろとうちうちの研究を進めておる段階でございまして、まだこうだというところまでお話しできるような段階ではございません。慎重に検討いたしたいと思います。   〔主査退席、田澤主査代理着席〕
  154. 玉置一徳

    玉置分科員 次に、河川局長にお伺いいたしたいのでありますが、昨年まで災害が起こりますたびに一般に要望されましたのは、治水十ヵ年計画では間に合わぬ、一つ思い切ってやってもらいたい。道路に関しては非常にやかましくいう要望は多いのでありますが、川というのは災害が起こったたびにしか言い出さないというのが現状でございまして、御承知の通り前期五ヵ年計画というのはもうわずかしか残っておらぬ、先繰り先繰りでやっていたわけでございますが、いよいよ新しく計画を来年度あたりからお立て直しになる御用意があるやに承っておりまして喜んでおりますが、そこで、現在やらねばならないと思う河川改修費用は一体総額どのくらいであって、それをどのくらいの程度で予算化を計画をしていきたいのかどうかということと、次の国会までにどうしても間に合うようにそれはできるお見通しであるかどうかということをお伺いしたいと思います。
  155. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 御承知のように、治水専業でやる部分がまだたくさんございますが、今後どの程度やれば十分であるかという点もいろいろ調査をやっておりますが、既算いたしまして七兆とか八兆とか、そういうオーダーになるのではないか、こういうふうに現在の調査の結果わかっておるような次第でございます。従って、現在十ヵ年計画の前期五ヵ年でやっておりまして、来年度は四年目でございますが、御承知のように五年の最後の年の全額はごくわずかでございまして、そういう面からいきましてもぜひ三十九年度からは改定せざるを得ない、こういうことで来年度の予算に間に合うように、現在検討している最中でございます。
  156. 玉置一徳

    玉置分科員 そこで、次に内水の排除についてお伺いしたいのでありますが、一昨年来やかましくお願いを申し上げまして、公共事業として内水の排除のためのポンプ施設その他を新しく計上していただきましたことにつきましては、非常に感謝をいたしておるわけでありますが、将来内水排除の問題は、ポンプだけではなくて、内水排除の経費そのものも、ある程度公共事業的にお取り上げいただくのが、理屈としては筋が通っているのじゃないか、お百姓だけが、山から川から、あるいは市街地の水を、農家だけの費用でもってかい出しておるというのは、私は理屈に合わないということで前からお願いしておったのでありますが、一挙にそこまで行くことは無理だということもよく存じております。けれども、あるいは自治省の特別交付税の問題とか、いろいろな操作のしょうがあると思いますので、将来ぜひともこれは御研究をいただきたいと思うのですが、これについての御所見をいただきたい。  もう一つ、非常に地方的な問題に立ち至りまして恐縮ですが、御承知の通り京都の八幡の用排水の問題につきましては、御配慮いただきましてまことにありがたく存じておるわけでありますが、その隣に御承知の宇治川あるいは淀川、木津川にはさまれまして巨椋ヶ池がございまして、巨椋ヶ池干拓地をつくりましたゆえんもよく存じておりますので、まことに口幅つたい言い方でございますが、これもかえって先ほど申します八幡の内水の集水面積より広大であるということは事実でありますが、その中にある古川、これの準用河川編入の願いが十数年続いておったわけであります。当時こういう内水排除という考え方がございませんでしたので、ほとんど意味がないということで遺憾ながら府で取り上げなかったわけであります。御承知の通り、洗堰の関係でポンプ・アップが非常に長く水面から没しておりまして、ポンプがなかなか効用を発揮しないというのが現実でございます。それで、私がぜひともお願い申し上げたいのは、これは農林省でも調査をしかけておるのでありますが、公共事業で御採択を願いたい性質のものであるから、あなたの方は少し待っていただきたいということで待っていただいておるわけであります。というて、古川の準用河川編入が思うにまかせない現状でございまして、建設省に申し上げることは非常に苦しいのでありますけれども、あそこの現状をお考えいただきまして、淀川の調査費その他をお使いいただいてでも、若干調査をお願いすることができないかどうかということも、あわせて一つお答えをいただきたい、こう思います。
  157. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 三十六年の災害のとき、内水対策の問題が非常にクローズ・アップされまして、河川事業におきましても三十七年度から内水対策に排水ポンプをやる、こういうことで来年度も引き続いて促進をして参りたいというふうに考えております。その場合に排水ポンプの管理費用の問題でございますが、河川事業でやりましたときには、できるだけ地方公共団体の管理にしたい。従って、直接一般の農民の負担にはしないように、こういうようなつもりでやっておりますが、そういう方向で検討して参りたいと思います。  なお、巨椋ヶ池の排水の問題でございますが、現在河川事業で取り上げておりますのは、やはり河川の排水でございますので、準用河川にさえできればこれはできるのでございますが、その点は府とよく連絡をいたしまして、なお農林省ともよく協議をいたしまして、十分な対策を講じて参りたい、こういうふうに考えております。
  158. 玉置一徳

    玉置分科員 府と十分に御連絡をいただきまして、よく御指導をいただきたい、かように思います。  住宅の問題につきまして質問をしたいのでありますが、大臣がお見えになりましてからしたいと思いますので、終わります。
  159. 田澤吉郎

    ○田澤主査代理 佐藤觀次郎君。
  160. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(観)分科員 先日、名四国道ができまして、河野大臣もこられました。これは公団の仕事でありますけれども、非常に手ぎわのよかったことは事実でありまして、建設大臣を初め建設当局が非常に努力されていることは十分認められます。  そこで、いつでも問題になるのですが、非常にしろうとのような質問をするのでありますけれども、今日本国道はどのくらいの程度の舗装をされておるのか、そのことをまず最初にお伺いしたいと思います。
  161. 平井學

    ○平井(學)政府委員 お答え申し上げます。一番新しい統計で、昭和三十七年、昨年の三月末における全国統計が手元にございますが、それによりますと、一級国道は舗装の終わった率が約四八%。一級国道と申しますのは、この四月一日から昇格路線が十六本ございますが、それを含めて約一万二千キロになります。一万二千キロの約四八%が一応舗装ができております。  それから二級国道は、やはり本年四月一日から三十三路線が二級国道地方道から上がっておりますが、それを加えますと大体一万五千キロございます。そのうらの約二二%が三十七年三月末で舗装されておるにすぎないような状況でございます。
  162. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(観)分科員 それでは、日本国道一級国道及び二級国道が全部舗装を完了する時期はいつごろの計画でありますか、それを伺います。
  163. 平井學

    ○平井(學)政府委員 一級国道につきましては、現在進行中、第三年目を迎えんとしておる道路整備五ヵ年計画で、昭和四十年度をもってほぼ一〇〇%近く改良及び舗装を終わる予定になっております。一〇〇%といいますのは、いろいろの都合で九〇%から九五、六%くらいを目標にしておるのでございますけれども、ただその後の労務費の値上がりあるいは資材の値上がり等が若干ございますので、一級国道といえども、昭和四十年度末、第三次五ヵ年計画の終わるときまでに一〇〇%が舗装を終わるのはむずかしかろうと思います。やはり一年くらい見込まなければ——四十一年ごろまでくらい見込まなければ一〇〇%舗装完了とはいかぬだろうと思います。  二級国道につきましては、これまた昭和三十六年度から発足した道路整備五ヵ年計画の際に、十ヵ年、昭和四十五年度末で二級国道は概成する。概成すると申しますのは、大体約九〇%前後を見込んでおるのでございますけれども、いずれにせよ、二級国道昭和三十六年から十ヵ年間で舗装を概成するという当時の見通しでございます。ところが、これまた現在の二兆一千億のワクをもっていたしましては、労務賃の値上がりその他の関係からいって若干ずれるのではないか。従って、大臣から午前に説明がありましたように、できるならば三十九年度において五ヵ年計画の改訂をして、このズレを取り戻したい。場合によればさらに経済効率を一そう早く上げるために、スピードを早めたい、こういう念願をわれわれとしては持っておるようなわけでございます。
  164. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(観)分科員 外国へ行った人はみんな御存じだと思うのですが、どうも日本の舗装道路は非常にやっつけ仕事のような、土台などが非常に脆弱で、絶えず掘り返すような傾向のあることも、われわれは実際見ておるわけです。たとえばベルリンあたりに行きますと、三メートルくらいの盤のあるような鉄筋コンクリートでやっておるにかかわらず、一本では舗装が薄いのじゃないかというふうに感ぜられますが、そういう点について専門家の立場として、ベルリンは寒い関係もありますからやむを得ませんけれども、そういうような点については、日本の舗装の完成は計画されておりますけれども、十分な舗装のできるような道路が非常に少ないように思います。その点はどういうふうにお考えになっておられますか、伺っておきたいと思います。
  165. 平井學

    ○平井(學)政府委員 お答えします。  終戦直後の資材の乏しい時代に応急的につくられました道路につきましては、御指摘のようなお粗末な舗装道路が多かったのでございますが、数年前より資材が十分に入手できますので、今や国際的な規格の道路が現在できております。五ヵ年計画でやっております高速道路一級国道、二級国道、これにつきましては規格通りの舗装をやっております。今後われわれが常識的に見通し得る範囲での重車両を十分支障なく通し得る程度の構想を持ってやっております。
  166. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(観)分科員 そのほかに、幅員の問題も日本では狭隘に過ぎはしないか。私たちの名古屋付近にも一級の二十七号国道が通っておりますが、狭過ぎて困るような形と考えられますし、東京から横浜に行く第一国道、第二国道も、広さにおいて、今日のような交通のときに、幅員が狭過ぎるような感じがするのですが、これは日本の場合はどういうようなところを目標にしてやっておられるのか、また今のようなままで今後も続けていかれるのかどうか、これも伺っておきたいと思うのです。
  167. 平井學

    ○平井(學)政府委員 幅員の狭かったことは事実でございまして、実はそれがために今回の第三次五ヵ年計画におきましても、一、二級国道につきましては、改良の眼目をまず第一に道路幅を少なくとも二車線は十分通れるように五・五メートルから七メートルの車道を基準にしてまず改築をやる、それを終わってからその上を本格的に舗装するというのが、現在進行中の五ヵ年計画の作業基準でございます。従って、昭和四十年度末に完成する五ヵ年計画では、一級国道は既成で行ないますけれども、全国曲がりくねったところは、これをカットしてまっすぐにし、幅の狭いところは少なくとも最低六・五メートルから七メートルという基準に合わせるように現在進めております。二級国道につきましても同様ですが、これは第三次五ヵ年計画の場合のことでございます。同じように、さらに高速道路につきましては、これを一段と広くいたしまして、現在進行中の名神国道ですが、昭和四十年早々に開通のはずですが、それは四車線、従って、合計十五メートル前後の車道を持つ道路になる予定でございます。
  168. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(観)分科員 そこで建設省では、日本道路というものは世界の文明国の中で何位くらいの位置にあるのか、大まかでけっこうでございますから、あなた方はどういうようなあれを持っておられますか、承っておきたいと思います。
  169. 平井學

    ○平井(學)政府委員 これは道路の舗装率からいった順位とか道路の普及率という点からいうと、またいろいろ違いがございまして、普及率から申しますと、市町村道を入れるかどうかによって違ってくるのでございます。私ヨーロッパへ行ったことがありませんけれども、フランスやドイツの道路は、大体日本市町村道のようなものは計算に入れてない数字のように私考えます。従って、日本一般地方道以上がおそらく国際統計における西欧諸国の数字だと思います。それに比べますと実は非常に低いのでして、道路延長から申しましても、日本の場合は市町村道を入れてやっと九十七万キロでございまして、府県道以上は先ほど申し上げましたように十五万キロで、たとえば西ドイツの三十五万キロにはるかに及ばない。フランスの百二十三万キロにはとうてい及ばないというようなわけで、はなはだ貧弱でございます。舗装率に至りましては、午前中にもお答えいたしましたが、府県道以上でさえ舗装率は十二%弱、イギリスは一〇〇%舗装ができておるように国際統計ではなっておるし、西ドイツは四六%の舗装、日本は今言ったようにわずか十五万キロの府県道以上でさえ一二%である。市町村道を入れると、舗装率はわずか三・一%というそれこそアフリカ新興諸国並みの舗装率だろうと思います。
  170. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(観)分科員 今道路局長が言われましたように、日本道路は非常におくれておるということは事実でありますが、しかし、今の産業の発達とかそういう問題からいって、何といってもやはり道路は優先的にやらなければならぬということは、最近の自動車の発達を見てわかると思うのでありますが、これはいろいろ予算の問題もありますし、大体大蔵省の理解のない点も、私は大蔵委員ですからよく知っておりますが、この低位な日本の道等が、どうしたならばもっと優位な立場になるかということをお考えになったことがありますか。また何らかの方法でこの隘路を切り開く考えがあるか、それはいろいろな予算の面もありますけれども、そういうことを抜きにして建設省道路局はどんなようなお考えを持っておられるか、これも伺っておきたいと思います。
  171. 平井學

    ○平井(學)政府委員 このおくれておる道路を急速に先進国並みに早く追いつかせるためにはどうしたらいいかという問題でございますが、これはただ金さえあればいいというような簡単な問題でもなかろうと思います。やはり国には均衡のとれた公共投資、均衡のとれた経済成長ということが基準になるように承っております。そこで私どもは、主として第三次五ヵ年計画をつくる際に、経済企画庁のつくられた国民所得の倍増計画による各種資料が基準になっておるのでございますが、今後に対しましても、経済企画庁の日本の今後のあるべき経済成長の姿、公共投資のあるべき尺度、並びに大蔵当局で絶えず計算しておるところの各種財源問題、こういったものを勘案いたしまして、その上に立って、一時的には、ほかの方の不急不要とは申しませんが——がまんしてもらえそうな部面はがまんしていただいて、すべての産業の発展の基礎であると私どもの信ずるこの道路投資を短い期間内に大きくしてもらおう、われわれはそれに対して道路築造の技術あるいは道路網を整備するための各種精密な調査道路の維持、こういった点をも十分に検討いたしまして、それと相待って進めていきたい、かように考えております。試みに日本道路を欧米諸国並みに改良し、舗装するとすれば、どの程度の金が要るかということをきわめて大ざっぱに、試みに試算をしてみたのでございますけれども、大よそ昭和五十五年までに十六兆ないし十七、八兆の投資が必要であるということを一応推計してみたのでございますが、決して並み大ていな財源措置ではないということが痛感されますので、なお今後とも大蔵、経済企画庁、そういった方面と十分に連係を密にしていきたいと思います。
  172. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(観)分科員 平井局長かあるいは道路局からイタリアへ最近行った人がありますかどうか、それが一点と、それから私、おととしも行き、八年の間に三度ローマに行ったのですが、非常に道路がよくなりまして、経済力も非常によくなったと思うのであります。ちょうど日本と同じように海岸線も長いし、九年くらい前にはローマの近くには孤児院が非常に多かった非常に経済的にも悪いと思われましたが、おととし十一月に行って驚いたことは、新しい飛行場ができましたし、その飛行場からローマの町に入る自動車道路がものすごくいいのができました。そのほかに何か北イタリアの方では第一級国道建設中だということで、私は時間がなくて行けなかったのでございますが、非常にりっぱな道路があるということを聞いております。こういう点について道路局で御調査になったことがあるかどうか。これはアメリカとかドイツに比較にならないような、日本と同じような経済力の非常に低いイタリアでもそれができておる。これはEECなんかがイタリアに一番幸いしておりますけれども、そういうような現実に貧乏なイタリアですら、あのようなりっぱな道路ができたということを私は見たり聞いたりしておりました関係上、あなた方はこういうものについてどう考えておられるのか、この点を伺っておきたいと思います。
  173. 平井學

    ○平井(學)政府委員 残念ながら道路局としましては最近幹部で特にこういったヨーロッパの道路を視察に行った者はございませんが、ただ国会関係の皆さん方でごく最近イタリアの太陽道路その他を視察してこられた方々から、私ども直接お話を承りまして大体は承知しております。また国際的な資料等について大よそ先進諸国の道路改築の要領あるいはその整備状況等も調べてはおりますが、ただ日本の場合には、やはり用地の取得にほかの欧米先進諸国に比較にならないような困難があるように聞いております。道路築造のための用地取得、用地を割合にスピーディに、しかも法外でない値段で入手できるかいなかということが大きなポイントになっているように感じております。
  174. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(観)分科員 これは道路局長大臣がおれば言うのですが、ぜひ一つ早く専門的な人にイタリアのような経済力の弱かった国の現実を見てもらいたいということをお勧めしたいと思うのです。  それから、実は私はベルリンとそれからローマしか競技場を見ておりませんが、ローマのオリンピック競技場は構造が大きくて、そして道路が十三の方面から入れるようになっております。これは日本の場合と多少事情は違うのでございますが、私はおととし——その前も行ったのですが、非常に想像以上のいろいろないい構造でできておったのです。一体そういうようなものも、これは東京都の関係もありますから、私は全部建設省の所管だとは思いませんけれども、そういうような点についても何か具体的な参考にされなかったのかどうか。私はオリンピックを現実に控えて、非常にそういうようなことで日本道路行政がおくれておるという事実と同時に、今のような状態になったら大へんなことが起きやしないかと考えておりますが、そういう点についてはどういうように考えておられますか。これはオリンピックと関連してお話いただきたいと思います。
  175. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 オリンピックに関連しまして、街路事業首都高速道路公団でやっております高速道路につきましては、予定通りに大体三十八年度末までにはほぼ完成する予定で進めておりますので、現在の競技場とそれから宿舎との間、あるいは一般の交通対策につきましては、大体支障ない状態に完成する予定でおります。
  176. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(観)分科員 それはどうも義務的な、ただ通り一ぺんの答弁であって、私はそんなことは聞いていないのです。一体日本で初めてのオリンピックをやる場合に、あなた方は、その時期になればできるのだと言うことは、日本人はやっつけ仕事がうまいからできるかもしれませんが、何か無計画のような、今、盛んにあそこらをこわしておりますけれども、これはあなたの責任ではありませんけれども、こういうような大きなことをやる場合には、大きな構想を持って事を処理しないと、事務当局にそんなことを聞いてもしようがありませんけれど、私は非常に危険性がある。たとえば羽田空港へ行く途中の海岸の埋め立てをやるとか、その他いろいろな問題が出ておりますけれども、私は今の日本のオリンピックの競技場におけるところの道路のいろいろな問題は、何かちょっとしたことが起きれば、大へんなことになるのではないか、そういうことを憂えておる一人であります。そこであなた方が現実に——一得最近やられたローマの大会のあの道路のいわゆる四通発達のやり方を見ると、日本がどういう結果になるかしりませんけれども、非常に手おくれもしておるし、同時に非常な危険な分子も含んでおるように感じますが、そういうような杞憂は全然ないものか、これをあらためて伺っておきたいと思います。
  177. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 競技場の決定時期その他につきまして、いろいろおくれました関係もございますけれども、予定計画のオリンピック関連街路事業といたしまして計画いたしました分、もしくは首都高速道路公団でやっておりますオリンピック関連としての一号線、四号線につきまして、羽田に参ります一号線につきましては、現在すでに一部開通しておりますし、三十八年十二月末までには大体大森までほぼ開通できる。   〔田澤主査代理退席、主査着席〕 それから羽田までには来年のオリンピック前に完全に終わる自信を持っております。それから四号線につきましても同様に、オリンピックまでには、御承知のように、現在あの通り工事をしておりますので、ほとんど補償問題は片づいております。従いまして、工事事業だけでありますので、これも完全に終わる予定であります。それからオリンピックの街路につきましては、七号線は現在の状態でほぼ七五%近くの工事進捗しておりまして、ただ、現在外側から見ますると、ちょうど環状七号線は人家のあるところは現在の道路が非常に曲がっておりまして、普通通りますときには裏側の道路になっておりますので、実際には立ちのきの家がほとんど見えません。見えませんが、実際の立ちのきの関係につきましても、補償用地物件につきましては、三十八年度に一〇〇%終わります。従いまして、残りの若干の工事が三十九年度に入る程度でございます。そのほかの競技場に至る放射線につきましても、予定通り進んでおります。ただ問題になるのは、ワシントン・ハイツから環状六号線に参りますところの都の単独事業実施しておりますところの街路関係、これが現在のところ都の予算の執行状態が若干弱体でございまして、そのために予定よりも若干おくれております。ただし都の方からいわせますると、絶対に完成する、こういうふうに言っておりますので、単独事業費分についてのことはまだはっきりしないところがございまするけれども、国の補助によりましてやりますところの大きな計画は、絶対間違いなく執行できる予定でございます。
  178. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(観)分科員 あなたはローマの競技場をごらんになりましたか。
  179. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 残念ながら、行ったことがございません。
  180. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(観)分科員 僕は、そういう事務的なことをあまり責める意思はありませんけれども、一つぜひこれは——私が行けと言ったって、これは系統が違うからしょうがないようなものの、現実に行って見てきていただきたい。ローマへ行くのはわけないですからね。ぜひ一週間くらい行って、それを参考にして後世に悔いを残さぬようにしていただきたいと思います。これはあなたの責任ではありませんけれども、私たちは非常にそういう点では神宮の競技場が都市のまん中にあるために、いろいろな障害のあることもわかりますけれども、そういう点について心配しなければならぬ点もあるということで、ぜひ一つローマの競技場だけでも見ていただきたいと思います。  それから、河野大臣がおられませんからこれは松澤さんにお伺いしますが、オリンピックで一番問題になるのは道路で、その次には隅田川の汚染の問題であります。これは河野建設大臣からもそういう問題を提示されまして、おくればせながら非常にけっこうだと思うのです。そこで、私はこの間ロンドンへ行きましたが、テームズ川も昔と違って相当に濁っております。しかし東京の隅田川のようなことはないと思うのです。都市の美観上、これはオリンピックがあるから、ないからではなくて、現実に少なくとも東京湾の河口からずっと魚も住めぬような非常にひどい水になっておりますが、一体このまま捨てておくのか、全くどぶのような隅田川をこのまま捨てておかれるのかどうか。私たちは早くから東京におりまして、大正六年ころから東京におりますから、両国の橋の近くで魚がつれたことを思い出すと、全く今昔の感にたえません。その点について、これは河野さんに伺うといいのですが、一体そういうことをどういうようなことで浄化するのか、その点一つ関連してお伺いしたいと思います。
  181. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 隅田川の汚濁対策につきましては、すでに河川関係の方で、浚渫によりまして、若干の清掃をずっとやって参っております。下水関係につきましては、御承知のようにあそこの工場地帯の排水が直接川に放流されている。ということと、感潮河川であるということと相待ちまして、あのような汚濁と同時に非常ににおいを出しておるわけであります。それで現在大臣から命令をいただきまして、下水の方の工事にもかかっておりますけれども、従来の下水道事業が非常におくれておりますために、ほとんど下水道本来の芝浦の汚水所分場へは入らないで、直接河川に入っておる状況であります。特に新河岸川周辺につきましては、直接放流という形をとっておりますので、主力をここに置きまして、三十八年度と三十九年度の二年間に新河岸川の周辺を中心にいたしまして、下水の処理に対する方策を立てていくということに計画を立てております。ところが実際にはあそこまで汚濁されますと正常な姿に持っていくには、大体におきまして約三百億近くの金を投入しないとできない形になっております。従いまして、とりあえずできるだけにおいを取りたい、こういう方針で三十九年度までに着工するという予定で、今都の方と打ち合わせをいたしておりまして、今年度も予算がついておりますので、極力進めたいと考えております。
  182. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(観)分科員 下水などというものは、パリあたりでは百年ぐらい前からうまく完備しておったのです。まず今の東京のような状態の、飲み水がないということは、世界の大都市で飲み水がない都政をやっておるのは、世界に例がないのではないか。これは安井都政、東都政の失敗で、火事になっても水が出ないような、まことに醜態をきわめておりますが、私たちは少なくとも明年に迫ったオリンピック、今五百九十八日よりないそうですが、そういうやさきに、ひまがあればできる面もありますけれども、やはり建設省の立場としては、そういう下水の問題ということだけでなく、もっと将来性のあることを考えていただきたい、こういうことを考えております。道路公団の問題などについても、いろいろな話を伺いたいと思いますが、田中委員が来られましたので、私の質疑はこれくらいにして帰りますから、どうぞ関連のあるようにお願いいたします。
  183. 羽田武嗣郎

    羽田主査 田中織之進君。
  184. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 河野大臣がおられたら、大臣から直接実は伺いたい点があったわけですけれども、おいでにならないので、総括的な点については大のおいでのときにまた建設委員会に出て伺うことにいたしまして、事務当局からお答えをいただきたいと思います。  しかし第二にお伺いいたします住宅問題のことにつきましては、特に同和地区住宅問題のことにつきましては、先般松澤次官に陳情申し上げたいきさつもございますので、次官からお答えをいただければ幸いだと思います。  まず第一に伺いたい問題は、道路整備計画の問題でございますが、全般的な道路整備計画に基づくことについては、私も大体状況を存じておるわけでございますが、現在一級国道で舗装のできていないのは大体どのくらいございますか。それを三十八年度でどの程度改修というか舗装を完了し、三十八年度以降にどの程度持ち越されるか、まずこの点を伺いたいと思います。
  185. 平井學

    ○平井(學)政府委員 お答え申し上げます。一級国道につきまして、道路の舗装状況を申し上げますと、一番新しい統計では、昭和三十七年三月末現在でございます。これによりますと、延長一万二千九百四十キロの延長のうち舗装済みが四八%でございます。それが昭和三十八年度、すなわち三十九年三月末でこの舗装率が五九・一%にまで引き上げられる見込みでございます。本年度、現在御審議願っておる予算のあれによれば、大体五九・一%舗装できる見込みでございます。それで現在進行中の道路整備五ヵ年計画の終わる年、すなわち昭和四十一年三月末におきましては、これが約八五%前後達成したい、こういう見込みでやっております。
  186. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 今三十七年三月現在が一番新しい数字だということでございましたが、それで四八%程度、それでいて昭和三十九年三月末で五九・一%ということになりますと、三十七年の三月以降三十九年の三月末までにわずかに一一%余りしか舗装整備されないことになるのですが、三十七年の三月で四八%に達しておるとすれば、三十七年度で舗装の進んだ部分があるのではないでしょうか。今お答えになりました点は、三十七年三月末の一級国道の総延長一万二千九百四十キロのうち、三十七年度までに四八%舗装が完了する、そういうお答えなんですが、その点を明確にしていただきたいと思います。
  187. 平井學

    ○平井(學)政府委員 どうも舌足らずで失礼いたしました。中間の、要するに現在進行中の昭和三十七年度、すなわち三十八年三月末現在が、これは見込みでございますが、五三・四%、こういう推計になっております。
  188. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 そういたしますと、三十七年三月から三十八年の現在までの間の進行率は約五%程度、三十九年の三月末で、三十八年度予算の関係から見ましても、これまた五九%でありますから、約五%だということになりますが、これはその程度しか実際問題として進捗しないものでしょうか。これは金をかければもっと進められるものではないだろうかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。何か五%程度の年間進捗率しか見ないというような困難な条件があるのでしょうか。
  189. 平井學

    ○平井(學)政府委員 お答えします。現在一級国道改良整備の実情を申しますと、舗装以前の問題、すなわち道路改良、すなわち曲がりくねったところをまっすぐに直す、あるいは自動車がお互いに行き違いができないような狭いところを、標準の五メートルから七メートル半なりの幅に広げる、こういう舗装以前の道路改良作業が当面の大問題でございまして、現在これに力を入れておりますために、舗装の方に予算が回りません。それで、私どもでは五ヵ年計画のあと半分、すなわち三十九年度、四十年度では逐次改良から舗装の方にウエートが移せるようにというふうに考えておりますけれども、結論は予算が必ずしも思うように取れない、こういう点が大きな原因だと考えております。
  190. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 改良ということに重点を置いておるので、一級国道としての仕上げをする意味の舗装の方に予算が思うように取れないという事情は理解できると思うのでありますが、ことしの一月七日でございましたか、河野建設大臣が和歌山県へおいでになったときに——これも一昨々年であったと思うのですが、和歌山−松阪の国道四十二号線でありますが、和歌山県の関係からいうと、現在有田市から新宮までの間、それから三重県道でば、新宮から先、熊野市までの間が若干舗装されて、一級国道としての改良も加えられておるわけです。別に田辺を基点といたしまして、白浜の方向に向いて、現在改良と同時に舗装が進捗をいたしておるわけであります。実は一級国道に昇格してもらったのはいいのであり嫁すけれども、田辺市内、御坊市内、湯浅町内という、この有田市から田辺市に参ります。中間の三つの重点的な都市におきましては、一級国道といいながら自動車の一方交通をやらなければならないというようなさびしい状態にあるわけであります。建設大臣もこの道路を自動車で通過されておるのですが、こんなことではいけないということで、特にこの点につきましては、来年の六月までにぜひとも完成しようということで、道路局長はそのとき随行されたかどうか存じませんけれども、少なくとも近畿の局長までにはそのようにおっしゃっていただいたように私は聞いておるのです。地元のことでありますけれども、ちょうど所用のために四国に参っておりまして、和歌山市に到着されたときでないと大臣にお目にかかることができなかったのであります。最近大臣の視察談話をめぐりまして、和歌山県知事あるいは県会議長と建設大臣との間に一つの問題が起こっておるようなことで、地元の人たちとしては、どうも知事及び県会議長などは建設大臣を怒らしたので、その約束が実行してもらえないのではないかという心配をする向きもありますが、私ども選挙区の関係から申しますと、私の部分は国道は全部整備を終わっておるわけでございますけれども、要請がございますので、特に大臣が現地で言明されたことでもございますし、三十八年度の予算の中でその点を遂行してもらえるだろうと期待をしておるのでございます。特に一級国道の中で、今申し上げましたように、その中心地点にある都市において、一方交通をしなければ自動車が通行できないというようなところを何で一級国道にしたのかという問題も起こるかもしれませんけれども、とにかく一級国道に指定した以上は、こういうところは一番重点的に急いでもらわなければならぬと私は考える。この点はあながち我田引水で陳情する意味でなしに、当然のことだと思うのでありますが、この点についての当局のお考えを伺いたいと思うのであります。
  191. 平井學

    ○平井(學)政府委員 お答えします。一級国道でございますので、当然四十年までの五ヵ年計画で概成する方針に変わりはございませんし、特に四十二号のうらで、とりあえず緊要度の荷いと思われる田辺——大阪に至る路線につきましては、大臣が一月にそういう現明をされたのでありますが、その後何ら方針変更の指示がございませんので、軽々にそういうような方針が変えられるようなことはないと思います。
  192. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 そこで、その点は、大臣も現地で責任のある——特に現内閣の閣僚の中でもいわゆる実力者中の、実力者として自他ともに許される人でありますから、ぜひ言明通り実行されることを期待いたします。  そこで、大臣の和歌山県の道路事情視察のときに問題になったことだが、これは和歌山県のみならず、和歌山県は大阪経済的な関係から見まして通じなければなりませんので、その点から見て、現在の阪和国道というものはもちろん一級でございますけれども、一本なので、従いまして建設省も特に配慮願っていろいろ進めていただいておりまする和歌山県の臨海工業地帯計画等の関係から、阪和国道をどうしてももう一本並行的につけていただきたいということについては、かねがね要請をして、その必要は建設省においても認めていただいておると思うのでございますが、特に和歌山へ入りまする紀ノ川にかけられておる北島橋の付近では、大臣自身も車をとめられて、特に貨物運送用のトラックの非常に輻湊しておる状況を見られまして、ぜひとももう一本、しかも現在の阪和国道にできるだけ近く並行して走らせる方がいいだろうという御意見まで述べられたやに伺っておるのであります。この点については別に近畿圏整備計画というようなものも進んでおるわけでございますけれども、直接道路行政に関連して、第二阪和国道建設の具体化について三十八年度から実施にかかっていたたけるものかどうか、この点について当局の見解を承っておきたいと思います。
  193. 平井學

    ○平井(學)政府委員 御承知の通り、現在の阪和道路は、交通混雑の度合いといい、将来予想される交通需要、その他の点から考えまして、バイパスと申しましょうか、第二ルートの設定の必要度のきわめて高い線だと考えております。大臣の指示もありますし、早急に調査をし、進めたい、こういうふうに考えております。
  194. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 この点もぜひ三十八年度でまず調査をしていただかなければなりませんが、調査の上具体的に方針を確定していただくように要望しておきたいと思います。  次に、今朝の新聞によりますと、これも大臣がおられないとお答えをいただけないかとも思うのでありますけれども、道路整備計画推進の観点から、道路公団に対する監督強化といいますか、指導強化といいますか、そのことを大臣が指示せられたやに、手元には朝日新聞しかないわけでありますが、各紙ともこのことを報道しております。道路公団に対する建設省の監督強化と申しますか、指導強化と申しますか、その点については何か具体的なものをお持ちなのか。大臣の指示に従って今後具体的にどうするかということをこれから策定する段階なのか。たとえば策定するといたしましても、道路公団の現在のどの部分に対して建設省として特に指導監督を強化されようとされておるのか。その点についてお答えをいただければ、お答えをしていただきたいと思います。
  195. 平井學

    ○平井(學)政府委員 新聞報道の通り大臣指示があったことは事実でございます。最近道路予算道路投資が急激にふえて参りましたし、今後もさらに急カーブでふえることが予想されて参りましたので、日本道路公団事業の成績が上がるか上がらないかは、建設省道路行政の上に非常に大きな影響を及ぼすことがますますはっきりして参りました。そういうわけで、従来公団がどうだったということと別に、公団の存在の重要性が一段と大きくなったし、今後もなるという点から、従来より以上に建設省道路公団との指導監督関係、連絡関係等について、一そうあらためてこれを再検討して強化し合理化していきたい、こういう建設大臣の指示でございました。われわれとしては、早急にそういう指導監督、連絡に関する具体的な要領を事実に基づいて策定いたしまして、それを大臣に答申して、大臣からこれを公にする、こういうふうなことになっておりますので、そういう案ができましたならば、広くこれを公にされるはずと存じております。
  196. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 道路整備特別会計状況を見ましても、本年度の予算が前年度の補正後の予算に比べて四百三十一億という多額の増額を見ておりますので、この予算を着実に実行されて道路整備を急いでいただきたいと思います。この点は、最近の交通難の問題に関連いたしまして、いろいろな車両についての規制措置が行なわれておりますけれども、そういう消極的のものではなくて、やはり道路整備するということがむしろ前提にならなければならぬと思うのであります。その点で、道路の交通難緩和の関係から見、たとえば鉄道、私鉄その他自動車道路にいたしましても、立体交差の問題等のことについても私も意見があるのでありますが、これは別に私は運輸の常任委員でもありますので、その方で運輸行政に関連してまた建設省に伺うことにいたします。  そこで、第二の問題として、これは明日社会労働で、部落対策に関する政府の施策の問題について、各省ぜひ出ていただいて、お伺いをする予定にしておるのでありますが、幸いこの分科会に、先般部落解放同盟から特に建設省に要請をいたしました住宅問題のことについて、要請をお聞きいただいた松澤次官が御出席のことでございますので、この機会にお伺いをしておきたいと思うのであります。  建設省には、いわゆる未解放部落の環境改善の問題の中心としての不良住宅の解消の問題について、もちろん上下水道その他道路の関係あるいは河川改修に関連する問題等、部落の持つ具体的ないろいろな要求で建設省に関係のある分野は広いのでありますが、特に不良住宅の密集しておる地帯の別名が未解放部落だと言ってもいいような状況にありますので、この点について、本年度の予算には、公営住宅の関係とそれから不良住宅改良という点で、改良住宅四千五百戸の建設に対する補助と、部落解放同盟の要請をしました点で、住宅問題でこの二つで予算が盛られておるのであります。もちろんこの第二種住宅三万三千七百戸のうち、この不良住宅地区に建てられる部分が、どれだけ予定されているか、さらに、不良住宅としましても、都市のスラム街と、私どもが言う未解放部落とは、これまたおのずから別問題なので、特に政府関係では、非常に古くさい表現でありますが、同和地区と言っておる未解放部落関係に対して、この公営住宅の特に第二種住宅三万三千七百戸というものはどの程度予定されておりまするのか、この点をまず伺いたいと思います。
  197. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 過般田中委員から、同和地区の方々も同伴されましておいでいただきまして、よくその事情等を聞かせていただきましたので、専務当局ともいろいろ検討いたしたのでありますが、できるだけその要望にこたえるような方策をしていきたい、こういうわけで、予算関係において強く大蔵当局にも折衝して参ったわけですが、その結果、ただいまお話にありましたように、ある程度の要望はおこたえできるのじゃなかろうか、かように存じます。数字的な点等については、ちょうど住宅局長が見えておりますから、そちらから説明させていただきたいと思います。
  198. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 ただいま政務次官からお話のございました同和地区対策といたしましての公営住宅を同和地区に建てる問題でございますが、御要望も参酌いたしまして、目下のところ約七百戸程度の建築をいたしたいと思っております。
  199. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 それは第二種住宅三万三千七百戸のうちの七百戸という意味ですか。私、あわせてお答えいただきたいと思うのですが、不良住宅の除却に伴って、その地区に建てる改良住宅四千五百戸のうちでは、大体同和地区にどの程度振り向けられる数字になっておりますか。
  200. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 公営住宅の約七百戸は、今お話しの三万四千戸のうちの、第二種住宅のうちの分でございます。それからもう一つの、現在の不良住宅を除却いたしまして改良住宅をつくる分につきましては、御案内の通り全体計画といたしまして四千五百戸ございますが、そのうち特に同和地区に振り向けたいと思っておりますのが約千戸を予定しております。
  201. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 第二種住宅の関係の基準になりまする住宅の規模と部落の人たちの要求とがなかなかマッチをいたしませんので、いたずらに戸数の多いことを要求してもどうかと思う問題が率直に申し上げてあるわけです。しかし、三万三千七百戸のうちで、端数の七百戸だけしか予定されていないということでは、これは少な過ぎるのではないか。私ども三十二年から特にこの問題について建設省との間に折衝を続けて参りました。年度を明確には覚えておらないのでありますが、三十三年度か、四年度であったと思うのでありますけれども、もっと多くの戸数を予定していただいたことが過去においてあるように思うのであります。これは三十五年くらいだったかと思うのでありますが、大阪市を含む大阪府の関係だけでも、かれこれ五百戸近いものが大阪府下の各部落に持っていかれたような記憶があるのであります。まあこういうことについて特別同和地区というようなひもをつけることがどうかという議論もございますけれども、日本国民の最底辺におる人たち、過去の政治の結果今日社会的経済的に不遇な生活をせざるを得ない状態に置かれておる人たちのためには、やはり政治の上で優先的な取り扱いをすべきが民民主義と公平の原則だと思います。そういう観点から、この第二種住宅三万四千戸の中で千戸に満たない数字では、私どもが要請しておることとうんとかけ離れるので、御再考を願わなければならぬのではないか。さらに、不良住宅の除却、そのあとに建てる改良住宅の関係の四千五百戸の中では、三分の一に近いものを予定せられておるようでありますが、これにいたしましても、同和地区不良住宅というものは、もうほとんど、第二種住宅よりも、公営住宅建設を希望するというよりも、むしろ現在ある不良住宅を除却して、そこに新しいものを建てるということの要求の方が切実なので、むしろこういうような問題を建設省に取り上げてもらう推進力になったのは、部落解放同盟を中心とする未解放部落の切実なる要求であったと私は思うのです。その点から、これはきょう直ちにお答えをいただけないとしましても、予算の実行の過程で特にお考えをいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  202. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 先ほど申しましたように、過般来の要望等について十分に理解しておりましたので、その地元の町村にも、また県を通じましていろいろとお話し合いを申し上げたのですが、地元町村関係においての説明等によりますと、いわば国からの補助的な立場に立つものですから、受け入れ態勢的な立場において一般の方面との関係等をにらみ合わせ、かつまた町村財政の立場からいたしまして、本年としてはこの程度というふうな要請等がございましたので、今住宅局長から申し上げましたように、一応めどととして七百戸ぐらいでどうだろうか、こういうふうな気持で現在予算審議を願っておるというのが現況でございます。
  203. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 その点は私も了解はできないことはないわけでありますが、しかし、何しろ私ども部落解放同盟というこの問題に取り組んでいる団体の背後にも、全国に三百万の大衆が控えているわけなんです。それを納得してもらうことのために——もちろんこれは国の補助でありますから、自治体が主になって進めなければならぬわけでございますが、別途われわれ自治省の方へ、自治体でこれに取り組む場合の起債のワクというものについても、特別に考慮することを要求をいたしました。また、金額がかりに五十万円未満の場合におきましても、まあ端的にいえば非常に零細な予算で、うんと環境がよくなるというような点につきましては、五十万円未満の計画でありましても起債を認めてもらうような了解を今日取り付けておるような状況でございますから、この点は予算執行上各自治体には私どもの方からまた推進をいたしますけれども、上がって参りますものに従って執行上優先的な取り扱いをしていただきたいという点を要望を申し上げておきます。  それから、住宅問題に関連いたしまして、今回新たに住宅改良資金貸付制度を始められましたが、実はこの面に対する要求も非常に熾烈なものがあるわけなんです。第一種住宅等の関係で、勢い宅地等の関係から立体的になります。そういうことについては、貧しい不良住宅に住みながらも、小さい荒物店をやっておるとか駄菓子屋をやっておるとかいうようなことで、若干の生業を立てているものですから、従いまして、鉄筋のアパートができたからそこへ入ったらどうかということを勧めても、やはりそのアパートにしても月々家賃を払わなければならぬ。不良住宅では、自分のものですから、別に家賃を払う必要なしで生計を立てていかれるというような関係から、できれば現在の家を補修したい、そうして環境改善の趣旨に沿うていこう、自分たちの地区を明るくしていこう、こういう努力の結晶が住宅改修資金の貸し出し要望ということになって出て参る。たとえば新宮市等には、大臣も近く行かれるようでありますけれども、市の方で、そういう資金の貸し出しなり、あるいはそれに対する利子の補給というような処置までやっておりますものですから、新宮の駅の近くが関係地区でありますけれども、なかなか見やすくなってきた。そういう点からも、この点についての要求も非常に熾烈なものがありますので、これは当然住宅金融公庫を通じて貸付を受けるわけでありますから、その手続の点についても私どもも指導をいたさなければならぬと考えております。できればこれは厚生省の方とも話し合っていただくというつもりで、昨年末実は要請をいたしたわけなんですが、なかなか住宅金融公庫の窓口を通じてということではいけないので、特に同和地区に対する関係の住宅改修資金というものについては、一定のワクをきめて実施をしていただきたいということを、厚生省にもお願いをしておいたわけです。厚生省からは明日その点が明確になろうかと思うのでありますけれども、大蔵省の査定で、厚生省が考えておった貸し出しの問題は、これは特に同和地区に限定しての問題でございますが、その問題はついに実現をしなかったわけでございますけれども、建設省の関係でこの資金ワクが設定されましたので、その点を活用して参りたいと思います。この点は住宅金融公庫の方へ私どもも特に話をいたしたいと思うのでありますが、そういう方面からの要望についても、はっきりと優先取り扱いというわけには参らないかもしれませんが、重点的な取り扱いをするように、この点も本来は建設省計画でこういう資金が設定されたのでありますから、御指示なり御指導をいただきたいと思うのですが、その点はいかがですか。
  204. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 ただいまの農漁村の改修に対しましては、従来御承知のように国民年金方面から年利六分五厘という利子で貸し出しをやって参ったのでありますが、今回厚生省と話し合いまして、かつ大蔵省の了承のもとに、御承知のように三十八年度に関しましては十億円を限度として貸し出しをして住宅改良に当たっていこう、こういうわけで参ったのであります。しかしながら、私の方といたしましては、三十八年度がいわば初年度ということになりまして、幸いにして六分五厘が六分という利子にもなりましたので、十分に現況を見ていった上に立って、今後とも農漁村方面の実際の生活環境から見まして、まだまだ要望が強くなってくるだろう、かように考えて検討していきたい、かように考えております。同時にまた、ただいまの御要累の点に対しましては十分に考慮いたしまして、公庫の方ともよく連絡をとってやっていきたい、かように思います。
  205. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 そのほかに、先ほども申しましたように、河川改修に関連して、あるいは道路整備に関連して問題がございますが、それは別に建設委員会等で御質問申し上げることにいたしまして、この分科会での私の質問はこれで打ち切っておきます。
  206. 羽田武嗣郎

    羽田主査 中村重光君。関連ですから一問だけに願います。
  207. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣が見えておられますから、一点だけ火災地区都市計画の問題についてお尋ねいたします。  具体的な事例として申し上げなければ御理解が十分いただけないかと思いますが、長崎県の福江市に火災があったのであります。そしてこの地区が激甚地帯としての指定を受けたわけです。ところが非常に狭い地区に人家が密集しております。そういった関係で、実は火災を繰り返している状況であるわけです。今から十年前でございましたが、火災がございましたが、そのときに都市計画を行なわないまま、住宅が従前通りまた建設された。また道路が非常に狭隘であるために、消防車が入れない、消防の破壊作業というものもなかなかむずかしい、こういうことで、あたら貴重な財物を失ってしまう、こういう結果を生みまして、市民といたしましても非常にこれは問題があると考えて、今度は都市計画をしなくちゃならぬ、こういうことになっておりますが、何としても貧弱な市町村である、こういうことから激甚災害としての災害復旧、こういう考え方からこの点を取り上げられないものかということで、委員会におきましてもこれを数回にわたってお尋ねしたことがあるわけです。ところが、御承知の通り、激甚災害は、これは公共災害という中の道路の損壊がないと、これが指定ということは非常にむずかしい。それでは都市計画という形でやったらいいじゃないか、こういうことになりますが、二分の一の補助金という形におきましては、貧弱な市町村においてはこれもなかなか困難であります。では、離島であるから離島振興法という形でやったらどうか。これもまた、離島振興法の中におきましては、都市計画というものが考えられていない、これまた困難であるというので、実は行き悩んでおるという実情にあるわけなんです。ところが、狭い地域でありますので、都市計画をやりますのに商店等が非常に反対をするという行き悩みの特別な事情があるわけなんです。まあそのことは時間の関係もありますので省略をいたしますが、こうした地域に対して、激甚災害の形において、いわゆる災害復旧前のままの形でこれが復旧されたのでは、また災害が起こるおそれがありますので、何かこのような場合に特別の方策が考えられないものであろうかという感じがいたしております。この問題に対しましてはいろいろお聞き及びでございましょうし、政務次官は特に数回にわたってこの事情をお聞きになって御理解になっていらっしゃると思いますが、せっかく大臣がお見えでありますので、この点に対する大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  208. 河野一郎

    河野国務大臣 私も、火災が発生いたしましてから、その直後に係官を派遣いたしまして、その報告を聞きました。何らか都市計画の処置に出る必要があるということを、当時報告を受けたのを記憶いたしております。今お話しの通りに、地元の財政の関係等から非常に困難をきわめておるということでございますから、さっそく調査をいたしまして、そして何らか御期待に沿うことのできるように、一つどういう方法でやるかよく研究いたしまして、今すぐここでどういう処置でというお答えはできかねますけれども、さっそく一つ後処置を講ずることにいたします。
  209. 中村重光

    中村(重)分科員 それでは、この問題に対しましては、大臣おっしゃることはよくわかります。私どもといたしましても、そのような火災が再び発生をする、三たび発生する、こういったようなことになりましては、これは大へんなことになります。与野党一緒になりまして、一つ特別の議員立法という形はどうだろうか、いろいろ検討もいたしておるわけであります。せっかく大度も御配慮願っておるようでありますから、このことに対しましては、一つ特別の御配慮の上におきまして、そうした問題が繰り返されていかないように、格段の一つ御留意をお願いいたしたいと思います。
  210. 羽田武嗣郎

  211. 玉置一徳

    玉置分科員 大臣がお見えになりましたので、住宅の問題につきまして三、三点お伺いをいたしたい、かように考えます。  御承知の通り、ヨーロッパその他の先進国におきましては、道路その他の公共投資が非常に進んでおりまして、うらやましい限りでありますけれども、これは、私は、資本主義国におきましては、せっかく大臣がお気ばりいただいておりますので、やがて追いつく時期があるのではないか、こういうふうに喜んでおるわけであります。そこで、問題は、もう一つ非常におくれておる日本住宅をこのままにしておいていいのかどうかということで、河野建設大臣がおいでになる間に一つお考えをいただきたい、こう思いまして、きょうは問題を提起した次第でございます。御承知の通り、それがいかに低開発国でございましょうとも、社会主義国あるいは共産主義国といいましょうか、そこにおきましては、住宅の施設が非常に進んでおることは、これは事実として認めざるを得ないと思います。そこで、問題は、資本主義国におきましては、住宅が個人の施設であるがゆえに、これに思い切った財政投資ができ得ないという問題でございまして、なかなかこれをりっぱにするのはむずかしい問題があると思いますけれども、住宅建設の十ヵ年計画におきましても、非常に膨大な投資をここにするわけでありますが、在来のようなままの投資を続けていって、はたしていいのかどうかということは、もう私は考えなければならない時期に立ち至っておるのではないか、かように思うわけであります。ことに、都市の再開発につきましては、自動刑交通の激増に伴いまして、今のままではもうだめなんだということはみんなが百も承知しながら、しかも都市計画にも非常な難航を来たしながら御努力をいただいておるのでありますが、その都市計画と並んで住宅政策のはっきりした描かれ方がなく、道路だけを広めようというところに無理があるのじゃないか、こういう観点から二つ三つお伺いを申し上げたいと思います。  そこで、第一問といたしまして、最近の地価の高騰は住宅建設を著しく阻害している要因だと思えるわけでありますが、これに対する対策をお伺いいたしたいのであります。最近における地価の高騰は著しいものがございまして、昭和三十年から三十七年までに約五倍に上がっておるというのが通説でございます。このため公共事業の円滑な実施がいろいろな面で阻害されておる、あるいは一部悪質な業者もその間には発生を見るというような、多くの問題を生じておるのでありますが、特に住宅建設促進するために必要な住宅用地の確保についてでありますけれども、一般庶民が適正な価格で環境のよい土地を入手したいというのでありますが、なかなかこれはむずかしい問題であります。といって、このまま放置することはできません。何とかしてこの対策を立てなければいけないわけでありますが、この住宅適地を入手するについて、適地が都市市内もしくは周辺地区において入手困難なほど高騰してくる。これに対していろいろ対策を御研究いただいておるやに承っておりますが、大臣から大体どういう構想を持っておるかお聞かせいただければ、非常に幸いだ、こう存じます。
  212. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま御発言の中に、共産主義国、社会主義国においては住宅問題は非常によくいっておるが、資本主義国では個人が住宅考えなければならぬからうまくいかないし、やりにくいという御発言でございましたが、決して私は御意見に対してとやかく申すつもりはありませんが、速記録に載りますと、何かそのまま私が了承したようになりますのは工合が悪いものですから、一言言わしていただきたいと思います。確かに私も共産主義国を多少見聞いたしております。たとえば東ベルリンの一部、モスクワその他主要都市の一部というところではりっぱなアパートがどんどん造営されておることは、事実私もその通り見聞いたします。しかしそれは全体から見ればやはり一部でございまして、少し裏の方に入って参りますと、もしくは少しいなかに参りますと、必ずしも私はそう住宅問題が解決されておるようには見受けておりません。従って、これらの国家におきましても、住宅問題については相当の悩みを持っておられると思いまするし、かてて加えて、私自身、これは聞いたことでございますが、モスクワにおきましても、モスクワ市長の申しますには、いかにしてモスクワの市民、市の人口をふやさぬようにするか、七百万がモスクワ人口の理想だと言います。これを七百万以上にふやすことによって、モスクワの市の計画はすべてくずれる、従ってこれをいかにふやさぬように努力するかということが私の一番大きな任務でございますと、彼は言っておりました。そのくらいに明確に割り切るところは割り切っておりますことは、私もこれは見習わなければならぬことだと思いますが、しかし、その反面において、その理想に達するために、りっぱな市民として、りっぱな生活をさすために努力しておる姿は、今私が申し上げた通りでございます。必ずしもまだでき上がっておるわけでもありません。建設の途上であるということが当たっておるのだと思います。これがモスクワにおける現状であると私は見聞いたしております。従いまして、わが国における立場を今御指摘でございますが、これは私も同様に考えないことはございません。  そこで、資本主義国家でございます日本の場合には一体どうか。ところが、今日住宅に対する国民各位の御要望は、一体住宅は、国、公共団体がやるものか、自分で自分の住宅は責任を持つものかということの認識——これは国家で必ずしも一定でないと私は思うのでございます。そこは一つの割り切りをする必要があるのじゃなかろうか。これは戦災によりまして、しかも物資が非常に少ない、住宅建設が思うにまかせないときに、だれのもの、かれのものということなしに、できるだけ政府もしくは自治体がいたさなければならなかった時代に、そういう一つの考えを一般の市民諸君に与えたと思うのでございますが、私は、わが国の場合におきましては、低所得者の方々の住宅は、これは国もしくは公共団体においてお世話を申し上げることが適当である。どこまでもお世話すべきである。しかし、ある程度の所得のある人、自分で住宅を建てれば建てられる人が、なおかつ拙せんに当たったから入ってやろうということでなしに、なるべく自分で自分の住宅は責任をお持ちいただくということでいってほしい。ただし、その場合に一番問題は宅地の問題でございます。宅地は金だけで済まない問題がございますので、ちょうどかつて住宅資材が不足しておりますために、これをどうしても国がお世話しなければならなかった時代と逆に、今度は宅地の方が思うにまかせぬような点が多い。しかも、これが今のお話でいきますれば幾らでも暴騰いたしまして、そうしてこの土地の高騰のために住宅がなかなか得にくいという事情に今日なっておりまするし、ますますこの傾向が強い。そこに問題があるというふうに考えるのでございます。従って、まず政府としては、低所得者の諸君のために住宅を設計する、計画するということが、これからの住宅政策の基本的あり方ではないか。つまり低所得者諸君に住宅を、それから自己の資金において住宅建設ができる人には宅地をということに考えて参ることが適切ではないかという考えのもとに、実は指導をいたしておるのでございます。  そこで、問題は、住宅の方は公営住宅もしくは公庫住宅につきましては別にいたしまして、宅地の問題につきましては、御承知の通り、土地の高騰、需給の関係その他におきまして、なかなかこれの解決が困難でございます。しかも、これを解決するために、法的な処置において解決を考えまする場合、これまたいろいろな点においてなかなか困難が伴います。が、しかし、そのままにいたすわけには参りませんから、今せっかく調査会等の御研究をいただきまして、そういうものの御答申をちょうだいした上で、何とか法的処置を講ずることができるか、また講ずることが適当であるということであるならば、遅滞なくそれをやりたい。さらにまた、住宅公団その他をして未開発地の開発もしくは市内のその他の遊閑地の利用というようなことに積極的に乗り出させなければいかぬのじゃなかろうか。今のように未利用の土地が相当市内もしくは住宅適地として都市の近郊に見受けられる。全部が全部とは申しませんけれども、土地の思惑、空地について利殖をするというような傾向のものもありますことははなはだ遺憾でございます。これらを公団、公社等において利用することができるように、どういうふうに法的処置を講ずるか、先買権であるとかもしくは土地収用であるとかいうような処置ができるようにするにはどうしたらよいかということを考えて、せっかく今検討しておりまして、ぜひその方向に行きたいと考えておるわけであります。
  213. 玉置一徳

    玉置分科員 ただいまお答えいただきましたうちで、建てられる方は自分の家を建てろ、そうして宅地をなるべくお世話をする。私はごもっともだと思うのですが、このころの若い青年諸君の考え方が、私たち年輩の者とはだんだん変わってきたのではないか。あるいは会社におりまして東京に就職する、あるいは大阪へ移転するということもございまして、ある年輩になるまでの間は、自分の家でどうするという観念が私たちよりは薄くなってきておるのではないかというような点も考えられますが、私は一番最後の問題に早く行きたいと思いますので、この問題はあとにいたします。  大臣の御答弁にありましたように、今まで日本住宅のあり方がいたずらに広がりを持つ方向になりまして、従って、見境なしに大都市の膨張を続けてきておるというのは、今のお話の通りであると思います。そこで、住宅公団その他地方公共団体あるいは住宅金融公庫等の手を通じまして、新しい住宅地の開発とか、ニュー・タウンの建設とか、いろいろ手を打っていただきまして、少しでも優良な住宅地が開発されるように御努力いただいておりますのは、非常にありがたいことでありますが、この問題につきまして一点お願いをしておきたいのは、地方の小さい市町村の公共団体も、起債その他の長期資金を借りるようにできておるわけでありますから、もう少しこれを周知徹底してお勧めいただきたい。たんぽの中に、あるいはごみだめを整理してぼつんぽつんと家が建っておりますが、このごろは簡易水道その他すべて整備していかなければならぬ時代でありますから、ほぼ十年たったら百戸はまとまるだろうというような土地造成を、一万くらいの人口の市町村でもやはり考えていかなければならぬ時代じゃないか、あとの公共事業を市町村がふうふう言ってついて歩いているというのでは、あまりにもむだが多いのじゃないか、こう思いますので、もう少し周知徹底をしていただければ、非常にしあわせだと思います。  二番を飛ばしまして、第三番の問題にそのまま入りたいと思います。  ここに日本住宅公団のアパートピルの広告があります。その一節に、「私たちの住む街は木造の低い建物が密集しているため、たえず火災の危険におびやかされ、その上、高価な土地の利用度も低いものです。そのため住宅は通勤に不便な郊外へ無計画にのびています。日本住宅公団では、交通などの便利な都心にありながら、利用度の低い土地を高度に利用し、同時に、都市の不燃化、再開発に寄与するために、自分の土地に、あるいは自分の借りている土地に、商店・事務務所等を建てたい方に、」こういうふうに響いてありますが、そのままのあれでございまして、日本住宅東京におきましてもわずかに一・三階だけというふうに、統計が示しおります。二階が平均だと思ったら一・三階が平均だ。こういうようにありますし、都市公園のあれを見ましても、外国の先進国の例に比べたら、非常に面積は少ない。ましていわんや、道路密度に至りましては、東京が一0%、大阪九・四、名古屋九・六、ワシントンは実に四三、パリ、二五、ロンドンで二三という数字が示しておるように、都市計画的な考え方を思い切ってやっていただくには、先ほど冒頭に申し上げました通り、住宅の将来の設計図をどこへ持っていくかということをやらなければ、市内の再開発ということはおぼつかないのじゃないか。一・三階にしかならない。大体の市内の住宅は、このままではいずれも三十年、四十年すれば改築を要するような年数にないてくると思うのですが、あらかじめこれを、たとえば外国のごとく一階を店舗にし、二階から五階までの間は住宅にするのだというような再開発の方式でも考えられなければ、今のままの空閑地、道路その他の公共敷地の占める度合いでは、自動車交通その他につきましてもとうていこれはやっていけない。都市計画そのものもこのままではいけませんし、今の住宅公団の広告にある通り、通勤通学その他にも解決のめどのつかない形で伸びていっておるのじゃないか。こういう都市の再開発を推進する必要は大臣も御痛感いただけると思いますが、将来これについてどういう研究機関を設けられまして、どういうような構想でこれを推進していくかということにつきまして、御所見をお伺いいたしたい、こう思います。
  214. 河野一郎

    河野国務大臣 前段でお述べになりました点はまことに適切な御意見でございます。私も全面的に賛成でございます。全国の自治体におかれて、それぞれ計画的に村づくり、町づくりを御企画いただくように、それに御協力申し上げるような考え建設省として必要だろうということを、ただいまの御発言で私もよくわかりました。できるだけ研究して、その方向にいきたいと思うのであります。そうして、村づくり、町づくりができるところに、大都市の問題もおのずから解決して参ると思うのでございますが、ただ一点、後段の御発言の中で私が強く考えさせられますことは、何と申しましても市民諸君の御協力、御理解がどうあるかということが先決問題でございます。御理解、御協力のないのに、しかも今の場合で申しますと、大多数の人が御協力いただくような態勢になりましても、ごく一部の人がそれについて不同意であるという場合に、非常に困窮いたしておりますことは、各地の計画道路等でごらんの通りであります。そのために非常に一般が迷惑をいたしております。また同時に、われわれといたしましても、すべていいことはわかっておる、やることはわかっておりますけれどもさてとなりますと、手をつける勇気がない、やりかけて一体結論になるだろうかどうかということで、非常に悩まされるのでございます。従って、ここに何らかもう一段研究いたしまして、強力な法律的措置をとることがいいか悪いかという問題がただ一つ残っておると思います。そういう最後のきめ手を持ちません以上は、なかなか出発ができない。お話の通りやらなければならぬこと、やっていいことはみなわかっておりますが、何かしら一つ割り切れぬものがある。それは、最後のきめ手がないというために、われわれとしても出発しにくうございますし、それぞれの町内々々でお話し合いがありましても、それがまとまってこないということで、私は三田の通りその他の通りに呼びかける点は呼びかけてみておりますが、何としても最後の踏み切るという段階になりますとこわれます。これらについて何かいいお知恵でもあれば拝借いたしたいと思いますし、またわれわれといたしましてもできるだけ検討いたしまして、結論になるようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  215. 玉置一徳

    玉置分科員 これで私の質問は終わりたいと思うのですが、非常に困難な問題でございます。しかし、困難だからといって、捨てておけない問題であることも事実だと思います。おっしゃる通り、一般の御協力がなければなかなかむずかしいでありましょうが、一般の関心を強める意味でも、われわれがこうして国会の委員会におきまして御質疑を申し上げ、要請をすることが一つの波になっていくのじゃないか。私たちも、いろいろな場合をとらえまして、こういった問題を取り上げて参りたいと思うのであります。幸い河野建設大臣の御就任の間に、こういった方向づけを、きちっとできぬでもけっこうでありますが、卵だけは一つ産んでおいていただきたい。御承知の通り、農林大臣をしておいでになりましたときに、土地区画整理あるいは耕地整理が、一団地の三分の二の方々が賛成とした場合は一緒にやらなければいけないという法律があったと思いますが、それと同じようなわけには参らぬかと思いますけれども、民主的でありながら、しかも全般の利益のために協力してやっていくという法律はほかにもあるわけでございます。われわれもせっかく勉強いたしますので、一つ当局におかれましては十分な御検討と御推進をお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  216. 羽田武嗣郎

    羽田主査 本日の議事はこの程度にとどめます。次会は明二十一日午前十時より開会し、建設省所管に対する質疑を続行することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五分散会