運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1963-02-23 第43回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十三日(土曜日)    午前十時二十分開議  出席分科員    主査 中村三之丞君       相川 勝六君    仮谷 忠男君       藤井 勝志君    石田 宥全君       加藤 清二君    川俣 清音君       広瀬 秀吉君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    山本 重信君         農林政務次官  津島 文治君         農林事務官         (大臣官房長) 林田悠紀夫君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)     太田 康二君         農林事務官         (農林経済局         長)      松岡  亮君         農林事務官         (農政局長)  齋藤  誠君         農 林 技 官         (農地局長)  任田 新治君         農林事務官         (蚕糸局長)  昌谷  孝君         農林事務官         (園芸局長)  富谷 彰介君         食糧庁長官   大澤  融君         水産庁長官   庄野五一郎君         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川出 千速君         通商産業事務官         (中小企業庁指         導部長)    影山 衛司君  分科員外出席者         外務事務官         (経済協力局外         務参事官)   種谷 清三君         大蔵事務官         (主計官)   相沢 英之君         大蔵事務官         (主計官)   田代 一正君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  久我 通武君         農林事務官         (畜産局参事         官)      丹羽雅次郎君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   松元 威雄君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    田中  勉君         通商産業事務官         (通商局次長) 宮本  惇君         通商産業事務官         (工業技術院総         務部長)    小林 貞雄君     ————————————— 二月二十三日  分科員亀岡高夫君及び高田富之委員辞任につ  き、その補欠として藤井勝志君及び広瀬秀吉君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員広瀬秀吉委員辞任につき、その補欠と  して高田富之君が委員長指名分科員に選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十八年度一般会計予算経済企画庁、農  林省及び通商産業省所管昭和三十八年度特別会  計予算農林省及び通商産業省所管      ————◇—————
  2. 中村三之丞

    ○中村主査 これより会議を開きます。  本日は、昭和三十八年度一般会計予算中、経済企画庁農林省及び通商産業省所管昭和三十八年度特別会計予算中、農林省及び通商産業省所管を議題といたします。  経済企画庁及び農林省所管についての質疑の申し出があります。これを許します。  藤井勝志
  3. 藤井勝志

    藤井分科員 私は、本日農林大臣の御出席を求め、特に第一番目の問題である農業災害補償制度につきまして、質問をいたしたいと思っておったわけでありますが、大臣御欠席でありますので、一応本日は政務次官より御答弁を願いまして、後刻また大臣にはあらためて機会を得たいと思っておる次第であります。  申し上げるまでもなく、農業災害補償制度は、農民を不時の災害から守るただ一つのいわば社会保障制度として、その制度重要性については万人の認めるところでございます。このたびの三十八年度の予算措置におきましても、このような農業共済保険制度拡充措置として、特に共済団体職員の給与の改善と申しますか、こういった措置がとられますし、同時にまた、家畜加入推進奨励金拡充、こういった面で、ある程度改善予算的にも行なわれておることは、まことにけっこうな措置だと思うのでございます。ただ、私は、ここに特に質問をいたしたいと思いますことは、なるほどそのような、ある程度内部的な改善はされておりますけれども、一番大事な農災制度そのもの根本的な改正——特に終戦以来、いわゆる農業災害の様相が一変して参りまして、これは農薬発達並びに農業技術進歩、こういったものと相呼応して、全く現在の農業生産実態に即応していない。従って、その改正の急務の確認を当局でもされまして、ちょうど第三十八国会で、何でも一つ改正をやるのだということで、この問題が取り上げられたことは、皆様方承知通りであります。特に昨今は、農業基本法のあの成立を見て、農業生産選択的拡大、こういうことで、新しい農作物拡大生産に向かって現在進んでおるわけでございます。こういう時代の移り変わりを考えますときに、ここに一刻も早く、これが根本的改正措置をしなければならない。ちょうど四十国会においては一部修正されましたが、衆議院では可決を見たわけでございますけれども、不平にして参議院において時間切れに相なっておる。しかし、この問題の中身を詳しく申し上げるまでもなく、すでにそれぞれの委員会において議は尽くされておると思うのありますが、結局は、農業関係団体間の意見調整ができておらない。もう一つ具体的に申しますと、いわゆる建物共済中心として、意見調整がつかないままに今日にきておるという状態であること、これまた御承知通りであります。しかし、考えてみますと、結局それぞれの農業関係団体をささえておる根元農民であります。従って、同じ根元農民利益を守るためには、どうしたらいいかという共通の上台があるわけでございますから、そのようなことに思いをいたしまして、真剣にこれが解決に取り組むならば、必ず私は結論は直ちに出るものであるというふうに思うのであります。三十八国会以来、じんぜんとこの国会にいまだにこの問題が表に頭を出しておらないことは、まことに遺憾きわまりない点でありまして、この優柔不断な現在の取り運び方に対しては、農民はいわば怨嗟の声をあげておる。国会の始まるたびごとに、農業共済制度改革を訴える農民の陳情は、そのつど、われわれが予想する以上の声をわれわれに応えて参っておるわけでございますので、これに対しては、農林大臣がもう一ぺん再確認し、英断をもって事に処してもらいたい、このように考えるわけでございますが、本日は政務次官に今の事情を訴えまして、一応の御答弁を願い、農林大臣にも御相談願いまして、早期これが解決に当たってもらいたい、この国会には必ず結論が出るように一つ運んでいただきたいというふうに考えるわけでございますが、この問題に対して、一つ答弁を賜わりたい。
  4. 津島文治

    津島政府委員 ただいまの問題は、政治的に見ましてもまことに重要なことでございます。各方面からこの法案に対する提出の要望が強いことも承知いたしております。そこで、現在においてはどうなっておるかと申しますと、ただいまお話しのうちで最も重点である建物共済につきましては、せっかく両団体において話し合いを進めておるのであります。また自民党においても、この問題を非常に重要に取り上げておりまして、小委員会をつくりまして結論を急いでおるような次第でございます。いずれにいたしましても、近いうちに必ずその結論が出るものと私どもは信じておるのであります。従いまして、その結論が出ましたならば、それに応じて早速農林省としては提案を申し上げ、御審議を願いたい、そういう順序で進めておるような次第でございます。
  5. 藤井勝志

    藤井分科員 今の問題に関連して、もう一つ、これは局長お答えを願いたいと思うのでありますが、今政務次官からお話を聞きますと、目下話し合いが相当進んで煮詰まってきている、早急に結論を出してこの国会にも間に合わせたい、こういうふうな御熱意を伺いまして、ぜひ一つそのようにお運びを願いたいと思うのでありますが、それにつきまして、いろいろ改正をされるにあたりまして、私は、農作物共済に対して、これはもうすでに十分御理解はあると思うのでございますが、非常に災害が減少して参っております。従って、従来の提案された内容を一々言及いたしませんが、やはり災害が減少し、また災害が地域的に非常に片寄る、こういう事情に相なっておりますので、一つ農家掛金負担の軽減については、もう一ぺん再考慮されまして、実情に合うように検討すべきではないか。同時にまた、未然災害防除する、こういう措置について前向きの対策も、これまた当然考えられておると思いますが、現実に改正にあたって、そういう問題についてどのような構想を持っておられるか、また、農業共済団体専業分量というものをできるだけ現場に近い方に引き寄せて、そして掛け捨てというような感じを農民に与えない、こういう配慮をしてもらいまして、事業責任をできるだけそういった身近な団体に結びつけて、いわゆる掛金調整と申しますか、そういった配慮をすべきである。これは、われわれが地元に帰りますと、必ず農民側から訴えられる一つの問題でありますが、こういったことに対してどのような配慮がされておりますか。  それから、特に農業経営近代化として、畜産というものが急激に伸びております。この家畜共済に対して、いわゆる家畜農業経堂近代化に即応した農業災害補償制度というものが、当然考えられておると思うのでありますが、その具体的な内容についてお聞かせを願いたい。  同時にまた、果樹であるとかあるいはまた畑作物、こういったものが、生産選択的拡大によって現在大いに伸びている、またこれからどんどん伸ばさなければならぬ、こういう問題に対して、新たな種目の農業災害補償というものをどういうふうに考えておられるか、この数点について、関係局長から御答弁を願いたいと思います。
  6. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 先ほど政務次官から御答弁がありましたように、農業災害補償制度の本来の内容になっております作物家畜等制度につきましては——家畜は別でございますが、作物共済につきましては、今国会の劈頭に提案いたすべく、内容について検討を進めて参ったのでございます。その内容は、各方面の御意見等も伺って、結局さきの衆議院修正案の線に沿って出すのが適当ではないかということになりまして、その提案の事務的な準備はすでに完了いたしておるのでございます。先ほどお話がありましたように、建物共済の方の話し合いが早急に結論が出ることを期待しておりますので、その結論を待って提案いたしたい、かように考えております。  作物共済改正内容につきましては、今種々御指摘がありましたが、大体におきまして御指摘のあったような線に沿うかと思うのでありますが、まず第一に、できるだけ農家に密着した制度にしたいということで、末端単位組合責任拡充いたしまして、通常災害に相当する部分は、できるだけ末端で処理するということにいたしたいと考えておるのであります。これによりまして、農家が従来この制度に持っておりました不満の最も重要な点であります。掛け捨てになって、自分たちの拠出した掛金がその他の地方災害にばかり振り向けられる、特に低被害地におきまして感ぜられた不満に対してこたえたということ。それから、無事戻しをやりやすくというようなねらいによりまして、末端責任拡充するということを一つ考えておるのでございます。  それから第二といたしましては、作付の規模が小さくてそう重要性のない作物につきましては、従来ある程度強制加入を緩和いたしておりましたが、それをさらに緩和したいということでございます。  それから掛金負担合理化という点でございますが、これにつきましても、国庫負担の仕方を従来とは変えまして、災害の深さの程度に応じてきめこまかい負担率をきめて参りたい、それが一つ改正点でございます。  それから、御指摘になりました災害の予防という点でございますが、これはお話がありましたように、最近におきまして病害虫による事故が非常に減少して参っております。これは農薬発達なり防除技術進歩によるわけでございますが、それらに対応いたしまして、組合によって、病虫害事故からはずして、防除事業でこれを未然に防ぐようにしたいというような組合がありましたならば、そこでは病虫害事故からはずす、そのかわり、国庫から防除のための補助金を交付するというような改正をいたしたいということでございます。  そのほか、家畜共済につきましてのお話がございました。これについては、新しい金融制度の方で多頭飼養奨励ということを考えておるわけでございますが、それに対応いたしまして、従来の家畜加入奨励金とか、そういった奨励金を一本にまとめ、さらに予算も大幅に増額いたしまして、多頭加入奨励という方向奨励金を交付するようにいたしたい。これは法律制度の方ではございませんが、予算面における措置としまして来年度からやりたいと考えておるのでございます。  そのほか、畑作物その他果樹共済でございますが、特に果樹につきましては、申し上げるまでもなく、共済制度をつくり上げることが技術的に、また経済の面からも、保険理論の面からいいましても非常にむずかしいことが多いわけでございますが、それ以前に、まず過去の被害の態様あるいは被害の統計の整備ということが伴わなければ保険に乗れないので、数年間被害実態調査をいたして参っておるわけでございます。来年度からは、それにさらに、実際の金の授受は行なわれませんが、専門家に委嘱いたしまして、果樹共済試験設計をいたしまして、帳簿の上だけでございますが、それを試験的に実施してみたい。全国数十カ所におきまして、村ごと果樹共済試験共済といいますか、をやってみたいということで予算を計上いたしておるのでございます。なお数年間これによりまして、実際に果樹共済の実験をやってみまして、その成果を待ちまして果樹共済制度をつくるかどうかということの結論を得たい、かように考えているのであります。
  7. 藤井勝志

    藤井分科員 第二の質問を申し上げたいと思います。  農業構造改善根本をなす問題は、申し上げるまでもなく、農業基盤整備事業根本的な改正でなければならぬと思うのであります。このたびの予算のこれに関する数字を見ますと、政府の方でも非常に配慮されておりまして、整備費用において六百五十五億五千五百五十五万円、去年からふえること九十七億という、非常に画期的な増加を見ておりますし、また農業構造改善対策事業費が七十九億七千九百五十三万円、去年から比較すると三十五億九千数百万円の増と、これまた画期的な増加を示しておりまして、まことに施策の重要性を認識された適切な措置であろうかと思うのでございます。ただ、私は、かねてから、日本の農地行政というものは、水利灌漑用施設を設備すること、この整備拡充中心として、土地改良事業というものが遂行されてきておるように考えるのであります。やはり全国五百万ヘクタールの既墾地農地をある程度の規模にまとめて、いわゆる集団化をして、ここに農業構造改善の根底を確立しなければならない、このようにかねて考えておったのでありますが、先般の新聞を拝見いたしまして、政府としてもそのような方向に向かって法律改正をされようとしておる。すなわち、農業構造改善ないしは農業生産選択的拡大のための農地集団化を促進しよう、そして、これまでの土地改良事業根本的に再編成して、農業近代化のための土地改革の新しい方向をここに打ち出されて、土地改良法改正、こういったことが大きく新聞に報道されておることは、まことに前向きの措置だと思うのでございますが、ここに私は、いろいろこれにつきまとう予算措置、また、この土地改良法改正案なるものの内容が大体どのようなものであるか、関係局長からお聞かせを願いたいと思います。
  8. 任田新治

    任田政府委員 集団化の問題は、特に農業基本法ができましてから、われわれといたしましても点を払っていかなければならない問題といたしまして、大きく取り上げておるわけでありますが、御承知通り、非常に零細化されておる現在のわが国の農地の状況では、それぞれの所有権によりまして、この移動というものを考えた場合になかなかむずかしい点がございます。この集団化に対しまして特に重点を置いておりますのは、何と申しましても、区画整理をやりまして、これに伴うところの集団化でございますが、単に区画整理のみならず、工事を伴わないところの集団化についても前々から意を払っておるわけでございます。   まず、集団化の問題はそのようなことでやっておりますが、根本的には、何と申しましても土地改良関係法律土地改良法というものを何とか農業基本法にのっとりまして、いわゆる農業構造改善、また生産力の機業総生産としての選択的拡大というような、この大きな柱に対しましてどのような基盤整備方法をとるかという問題でございまして、この点につきまして改正をはかりたいと思っておるわけでございます。  この改正のごく大ざっぱな点を申し上げますと、まずこの時代でございますので、特に経営拡大選択的拡大という点の面からいきまして、特に畜産関係の問題が大きく出て参るわけであります。現在の土地改良法におきましては、農地というものを対象にした土地改良法でございますので、新たに草地というものを対象にいたしまして、広く草地を含めました農用地改良事業というふうに持っていきたい、かように考えておる次第でございます。  また、この草地を含めました農用地集団化するということにつきましても、いろいろ意を用いなければならないわけでございまして、この点につきましては、従来の集団化、特にその主眼となっておりますところの区画整理事業、こういうものにおきましても、従来はこの事業が済みましてから本格的に換地処分をするというような方法におきまして、終了しましたあとではとりあえず仮換地というような形でやっておったわけでありますが、このようなことでは所有権の移転が迅述に行われないというような弊害もございますので、この点についての改正をいたしまして、できるだけ早く工事と並行いたしまして、事業計画と並行いたしまして換地計画を立てて、そうして事業が終わればすみやかに換地ができるような、そういうようなふうに改正をいたしたいというふうに思っておるわけであります。  それから、御承知通り全国土地改良区というものには弱小土地改良区がいろいろ多いわけでありますので、この点につきましても、弱小土地改良区が発生しないように考えまして、二種以上の事業対象とした土地改良区ができ上がるような措置も考えたいというふうに思っておるわけでございます。  それからまた一方、この集団化の問題につきましても、市町村自体交換分合をやるというような制度も考えてみたい、このように思っておるわけでございます。  それから次は、広く土地改良事業として、いわゆる基盤整備事業といたしまして、従来はいわゆる土地改良区の土地から出てきますところの申請主義でもって事業が進められる形でございましたが、今回からは、その面と並行いたしまして、国あるいは県自体が新しく計画を樹立することができる。ただし、この場合でも、もちろん地元の同意を得なければならないわけでございますので、このような二本立の姿にいたしていってはどうかというふうに考えておるわけでございます。その次に、大きな問題といたしましては、これはいろいろまだ検討段階でもございますが、公共性の強い土地改良事業につきましては、地元地方公共団体に何らかの負担協力を得るような処置が必要ではないかと思うわけ  でございます。このような配慮もいたしたいと考えておる次第でございます。  また、この具体的な中身といたしまして、いわゆる農用地以外の土地がこの土地改良事業によって利益を得れば、この点につきましては、またその以外の土地所有者に対して、土地改良事業による利益の範囲におきまして、費用を分担してもらうというようなことも考えられるわけであります。  このような配慮をいたしておるわけであります。  なお、基本的な問題といたしましては、全国的にこの基本法にのっとったところの新しい計画を樹立していく必要があります。効率的な、しかも総合的な判断でもって、全国土地改良計画を立てていかなければならないというふうに考えられますので、長期計画というものをあわせて考えてみたいというふうに思っておるわけであります。  また、さらに大きな問題といたしましては、維持管理の問題でございます。これは、従来大体原則として、土地改良区が維持管理責任に当たってもらうようになっておるわけであります。この点はさらに一そう明確なやり方に変えていきたいというふうに思っておる次第であります。  大体以上のようなわけで、全体としての土地改良法改正は、まだ部内でも検討いたしておる段階でございますが、このように方針を打ち立てておる次第であります。特に集団化の問題については、さらに一般と工夫をこらして考えていってみたい、かように思っておる次第であります。
  9. 藤井勝志

    藤井分科員 ちょっとお願いしておきますが、時間が制約を受けておりますので、私もできるだけ簡単に要点を指摘したいと思うのですが、答弁の側に立たれる方も一つ簡単に短時間にお答えを願いたいと思います。  そこで、新しくこれから生産選択的拡大をやるためには、大いに家畜をやる、酪農をやる、こういうことも当然考えられておるわけでございましょうが、そういった場合、いわゆる山林原野を開発する、草地による畜産の振興をやろう、こういった場合、必ず所有権利用権にぶつかる、このような権利関係調整ということが、今度やろうとするならば、基本でなければならぬというふうにさえ私は考えるのであります。私はこの狭い四つの島の中に九千万が生きていくということになれば、土地は個人々々勝手ばらばらに使うという考え方は、これは修正されなければならない、いわゆる国土という名前は、そういう意味で新しくもう一ぺん考え直すべきだということを常日ごろから考えている一人であります。いわゆる国土というものは、国民全体の経済発展のために使い、国民全体の福祉の増強のためにこれが使われていくという方向に向かって、一つ配慮しなければならぬ。よく言われます土地潜在生産力を生かす、ただ所有権万能で遊ばしておるというようなことではまことに遺憾なことでございますので、私は、現在持っておる所有者利用者利益をそこなわない前提において、いやむしろ、その利益を伸ばす方向に向かって、土地私有権所有権に対して制約を加えるというような考え方がなされなければならない、まさに革命的な農業構造改善をやろうという場合の農政転換の中核は、そこになければならない、このように考えるわけであります。聞くところによりますと、イギリスでは、一九四七年でございますか、都市農村計画法といった法律によって、土地利用についてはかなり強い計画的統制の規制をやっておるというふうに聞き及んでおるわけでございますが、そういった国の例がどのような状態になっておるか、これは局長から御答弁を願いたいし私は、今申しましたような考え方を時って土地改良法改正に取り組まなければ、微温的な措置に終わってしまう、このように考えておるわけでございますしこれは大きな政治問題であろうと思いますので、この基本的な考え方に対して、政務次官としてどのようにお考えになるか、この点を一応御答弁願って、局長からまた御答弁を願いたいと思うわけであります。
  10. 津島文治

    津島政府委員 ただいま、これからの日本農業のあり方について、根本的であり、また非常に重大な御意見がございました。全く私どもも、土地というものは、ただ単にその所有者法律の上で所有しておるから、どうでも自分の勝手なものであるというふうには考えられぬのであります。やはりどこまでも土地というものは非常に国家的なものでございます。従いまして、その土地をいかに利用するのが一番効果的であるかということについては、絶えず、考えて参らなければならないと思うのであります。そこから参りますと、ただいまの御議論はまことに当然のことでございますが、よくあります草刈場だとか、そういうもので特に入会権を持っておって、それをただ死守しておる者がたくさんあるのでありますが、ああいうふうではいかぬのでありまして、やはりあれを高度に利用していくというような方向に向いて、しかも、その行き方は、たやすく、あまり困難でなくいくことが非常に必要であります。  なおまた、これに関連いたしまして思い切って考えなければならぬのは国有林の問題だと思います。どうしても私どもは、今後は思い切った国有林の利用、開放と申しましょうか、これを考えずには日本の農政というものが大きな進展を見られない、こういうふうに考えるのであります。各県におきましても、国有林に対しましては非常に関心が強くなっております。これは必ず近き将来において一つ計画を定めまして、それを開放して土地の利用を高度に高める方針に国としても進まなければならない、かように考える次第であります。
  11. 任田新治

    任田政府委員 ただいま次官が申し上げました通りでございまして、土地改良法には、この点につきまして、将来広く農用地にした方が適当であろうというものにつきましては、何とか関係者の間に協議を進め、また場合によっては知事がその調停に入りまして、そうして農用地として将来利用する方が適当であるというものにつきまして考えてみたいというふうなことを織り込んできたいと考えておるわけでありますが、ただいま先生の御指摘の問題は、農業のみならず、広く全般的に土地の利用の問題でもございますので、そのような処置を現在なかなかとっていくことができないという問題につきましては、一つ大きく考慮を払わなければならない問題でございまして、ただいまは、とにかくそのような段階では私の方では扱っておらないわけでございます。
  12. 藤井勝志

    藤井分科員 イギリスの都市農村計画法については、この湯でなくてよろしいですから、いずれ適当な機会に一つ関係資料をお調べ願いたいと思います。今政務次官からお話がございまして、私も非常に同慶にたえないわけでございますが、そういう考え方で、この際早急に一つ手配をしていただきまして、これは新しい土地政策の理念と申しますか、そういったことの前提の上にこれを進めていかなければ、農業基本法が期待しておる農業構造改善事業の実現はできない、このように思いますから、特にこれは一つの今後の重大な研究課趣であり、これが措置をしなければならぬ問題として、一つお取り上げを順うことを、重ねてお願いを申し上げておく次第であります。  ところで、従来の農業水利業ないし土地改良事業、こういったものが、御承知のごとく、国営、県営、団体営、三段がまえに相なっております。それが非常にばらばらで不合理だというようなことがしょっちゅう言われてきておりますが、いろいろ工夫されて、相当総合的計画性を持った措置に進んでおることも、私は認めておるわけでございます。ただ、私は、先般予算委員会の公聴会で、ある公述人の方のお話を聞いて、なるほどこれはいい参考意見だというふうに考えたわけでございますが、国営、府県営、団体営、この三段がまえになっている、これをむしろ国一本でかかえて、国が一応全部末端まで引き受けてやって、収益が上がり始めたら、いわゆる受益者分担金あるいは目的税、こういったもので吸い上げる、こういうことが、やはり思い切った土地改良事業ができるゆえんではないか。農家はやはり実際やったらいいという青写真はわかっておっても、現実に利益が出なければなかなか踏み切れない。従って、ほんとうに親切な、行き届いた、しかも抜本的な農業改良をやらんとすれば、今のような、政府末端まで一応引き受けて、利益を上げ出し、目鼻がついたときに、関係受益行から分担金をとる、税金をとる、こういう手配が必要ではないか、こういう考え方に立った農業改良卒業の推進ということが必要ではないかというふうに考えるわけでございますが、この点について局長の御答弁をお順いいたしたいと思います。
  13. 任田新治

    任田政府委員 ただいま御指摘通り土地改良事業、特に灌漑排水事業におきましては、国営、県営、団体営という三段階によってなされておるわけでございます。従来ややもすると、その事業の進度において相互のバランスがとれないということがございましたが、特にこの点は注意をいたしまして、一貫した施行の方式をとる必要があるというふうに考えまして、国営、県営、団体営の仕事が終了する時期というものは、それぞれできるだけ同じくするように取り計らいたいと思ってやっておるわけであります。いろいろ仕事の進め方もありまして、必ずしもわれわれの思う通りにはなっていかないわけでありますけれども、さしあたり三十八年度におきましては、いわゆる国営に付帯しますところの県営事業は、その国営の進度に応じまして、自動的と申しますか、とにかく特別の地区の制約を設けずに、新規に採択し、また設計にも入っていきたいというふうな処置をすることにいたしておるわけであります。全体といたしましては、まだまだ全国の県営、国営あるいは団体営の残事業が多いわけでありますが、何と申しましても、そのあたりに重点を置きまして、極力残事業の消化に努めたいというふうに思っておるわけでありまして、事業効果が、それぞれ各ランクの事業が進むと同時に上がっていくようなのが、われわれの理想とするところであり、そのようにぜひとも今後考えていきたいと思う次第でございます。先ほど申し上げましたように、土地改良法改正に関連いたしまして、長期計画も考えておるわけであります。この点について、その際十分注意を払って行なっていくように考えたいと思います。
  14. 藤井勝志

    藤井分科員 第三の問題として質問いたしたいと思いますことは、農業改良普及の体制の問題でございます。この問題は、私は、農業構造改善のにない手としての農民の技術的な向上、同時に、広くいわゆる人づくりの問題に関連する大切な農政の一つだと思うのでございます。今度の予算を見まして、非常にこれが適切な配慮をされまして、農業改良普及職員等に対する待遇改善としての特例手当の支給であるとか、あるいは生活改善普及員の増員による農村婦人対策、ないしは研修活動強化のために相当予算に増額を見ておりますことは、まことに適切な措置だと思うのでございます。ただ、私は、農業改良普及員の現在の技術的な水準というものが、大いに今後質的な向上をしなければならない。昨今の農村におけるテレビ、ラジオの普及というものによって、専業農家というものは質的水準が相当上がっております。従って、改良普及員の資質の向上というものは急務中の急務でなければならぬ、このように思うわけでございますが、これを具体的にやる方途として、大学の専門学部あるいはまた国立、県立の試験研究機関との有機的結合体制、こういったものをもう一歩一つ深く進めていって、大いに人づくりの推進、農業構造改善のにない手の養成に大いに努めてもらいたい、このように考えます。特に畜産関係の普及職員の増員体制ということは、これまた急務中の急務ではなかろうかと田ふうのでありまして、昨今は、この畜産物加工業者、メーカーあたりが、相当高給でそういう者をどんどんとりますから、薄給の改良普及員になろうという奇特な人はなかなかおらない。ところが、普通農事関係ならば、まあ講習その他である程度の研修は積むわけでございますけれども、畜産関係の専門技術員は養成になかなか時間がかかるわけでございますが、現在は求人難で困っておるような状態で、幾ら畜産を伸ばそうとしても、その推進をやり、現場に密着して指導する技術指導員がなければ、この体制の強化がなければ、これまた言うてみるばかりだというふうになるわけでございますので、こういう点について特に十分手配をしなければならぬと私は考えておりますが、関係局長の御見解を承りたいと思うのであります。
  15. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ただいま先生の御指摘になりましたように、今後の農業の指導にあたりまして、普及員の活動強化をはかることは一そう必要になって参ることと考える次第であります。それについて今御指摘になりました、何よりも普及員の資質の向上をはかって、普及の活動の強化をはかっていくことが必要である。お説の通り考えておるのでございまして、その点には特に来年度におきましても意を払いまして、法案も提出いたす予定にいたしておりますが、その主要な内容につきまして、今御指摘になりました点について触れてみますと、第一には、研修の強化をはかっていくということは御指摘通りであります。従いまして、この強化の方法といたしましては、一つには、今お話しになりましたように、来年度から新しく、地方農業大学の農学部がございますので、これに普及員の中から選考しまして、約三百名程度の人に一年間の、長期留学をするという道を開きまして、それに必要な予算を計上いたしておるわけでございます。また特技、特に畜産果樹等の成長農産物に対する指導につきましては、特技普及員を養成する必要があろうということで、特技普及員については特に意を用いまして、従来六カ月の研修でありましたものを、十カ月にさらに期間を延長しましてその面における需要に応じていこう、こういうことにいたしております。なおそのほかの一般的な研修の強化をはかることにいたしまして、来年度の研修関係予算といたしましては、前年度の三千五百万円余に対しまして、来年度は六千八百五十六万五千円、約倍に近い研修の費用を計上いたしておるわけでございます。  なお、これと関連いたしまして、従来専門技術員というのが普及目の指導に当たることになっておりましたが、この専門技術員につきましては、一そう験研究の成果を取り入れて、普及指事と直結していく必要があろう、こういう考え方に立ちまして、専門技術員は従来本庁におりまして、専門事項について普及員を指導する、こういうことになっておりましたが、この点につきまして、専門技術員が試験腸に常駐するとか駐在するとかというようなことによりまして、試験場の試験研究に参加して、そして共同普及指導に必要な試験研究の成果を専門技術員のチャンネルを通じて普及員に流していく。こういうことの措置がとれますような権限を地方長官に与えるという意味におきまして、今回の改良助長法の中には、その点にも触れて改正をいたしたわけでございます。  以上でございます。
  16. 藤井勝志

    藤井分科員 農村から若い衆が地すべり的な離脱をしておる。以前は約四十万人くらいが補給人口として残っておったものが、昨今は七万ないし近ごろはおそらく五万台になっておるのではないかというふうに思われるわけでございますが、その農村人口の減少自体は、これは考えてみれば祝福さるべき農業改革の一里塚であるとも考えられるわけであります。ただ私は、現状をそのままにやっておくことによって農村に失望してしまって、そうして優秀な農村の子弟がどんどん村から離れていったならば、一体どうなるか。あまりにも現在の農業の暗い面、生産性の低い面を強調されておる。このこと自体は事実でありますから、いたし方がないけれども、やはり将来の豊かな農村の青写真をはっきりここに示して、そして優秀な農村の子弟の中には、家庭の事情で当然残らなければならぬ人がおる。こういう人が農村に居つくような施策が今日からなされてしかるべきではないか、このように考えるわけでございますが、これに対しては政務次官から御答弁を願いたい。
  17. 津島文治

    津島政府委員 農村の青年、ことに跡をとるような青年が部会の方に行っているということは、農村の精神的な基盤を弱めるものと思いまして非常に関心を払うのであります。これがどうしてこうであるかといいますと、それは、もちろん今日の農業というものは、その経済的な地位において他の職業よりは弱いのであります。これが青年に対する一つの魅力を欠いておるというふうに考えるのでありますが、私はそればかりではないと思うのであります。どうしても農村の環境というものが、はたして若い人方に対して魅力を感じ、そこにまたいろいろ希望がつながれる環境にあるかということもまた考えなければならない、かように考えるのであります。御承知通り農村には、いろいろ非文化的な因習にとらわれた、あるいはまた非常に封建的なそういう面も残っておるのであります。これらに対して、やはり青年はそこにあきたらざるものがある。それがために遂に外に出るというようなことが決してなきにしもあらずだと思うのであります。従いまして、農村青年に対する対策は、経済の面と、そういう精神面と申しましょうか、そういう両面から参りまして、農業それ自体もよし、農村それ自体もまた住みよいものであるというふうにしていかなければ、なかなかこの問題が解決できないのではないかと日ごろ考えておるような次第でございます。
  18. 藤井勝志

    藤井分科員 このたびの予算を拝見いたしますと、畜産物の流通改善対策として相当画期的な施策がなされておるのでございます。流通対策の貧困なことについて、特に畜産関係が大きく絶えず世論の的になるわけでありまして、畜産奨励ということで大いにやる、ところが供給が増せば結局価格が下がって、畜産奨励農民を嘆かしめるという結果にしばしば相なったことは、われわれよく承知しておる通りであります。  そこで私は、このたびの食肉流通施設の設置一億五千万円、その内訳を見ますと、食肉センター十五カ所、あるいはまた食肉共同処理施設四カ所、こういったことが説明書に載っております。あるいはまた牛乳流通対策として共同保管施設が五カ所、こういった手配がなされておるようでございますが、これは具体的にすでにどの県にどうということがきまっておるのでございましょうか。目を辿って、年を追ってこういったものは拡充強化しなければならない。岡山県の例をとって申し上げますが、岡山県は、県営の屠殺場というものを去年ようやく予算措置をいたしまして、私はずっと県会をやっておりました当時、一頭の牛の相場は暴落しても、肉屋から買って農民が食べる肉の相場というものは何ら下がらない、こういった矛盾と不平はどこにあるか、こういったことをよく議会でも話したわけでございますけれども、こういった流通対策に対して抜本的な手配が必要である。このたびの予算を見ますと、一歩前進されておるようでございますけれども、こういったことは、一つ思い切った対策が必要ではなかろうかというふうに思うわけでございまして、今後のあり方と、具体的にきまっておりますこの問題の内容について、関係局長から御答弁をいただきたいと思うのであります。
  19. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 畜産局長が参っておりませんので、私から御答弁申し上げさせていただきます。今回の三十八年度予算におきまして、家畜畜産関係の流通対策といたしましては、昨年度一億七千万円ぐらいの予算でございましたが、二億五千万円予算を計上いたしておるのであります。それで、今先生おっしゃいましたように、生乳の取引改善とか、牛乳の共同保管、食肉共同処理施設、食肉センターというものを設けるようにいたしておりますが、そのほかに家畜市場の再編整備を進めて参る、それから鶏の出荷の合理化とか、あるいはハチみつの共同出荷というようなことをいたしますほかに、中小都市の枝肉の冷蔵施設とか、あるいは畜産振興事業団に交付金を出しまして、流通改善をやっていくということにいたしております。  食肉センターの十五カ所につきましては、生産県を中心にして設置をするということにいたしております。それから食肉の処理保管施設、これは小売業者のつくるものでございますが、そういうものとか、あるいは牛乳の共同保管施設、こういうものは消費都市を中心にして設置いたしというこにいたしております。具体的には、まだどこに設置するということにつきましては決定をいたしていない次第であります。
  20. 藤井勝志

    藤井分科員 相当時間を経過してまことに恐縮でございますが、最後に、これは農林省もそうでありますが、特に関係の外務省ないしは企画庁からも御答弁願いたい。私は、一昨々年東南アジアをずっと回り、昨年は松村訪中使節団の一員に加わって中共に参ったわけでございます。そういう問題については、この場所でいろいろ申し上げることは差し控えなければならぬと思うのでありますが、一口に申しまして、アジアの経済分業の問題について、一つ当局の見解を承りたいと思うのであります。中共を除きまして東南アジア約七億の国民大衆がおるわけでございますが、その八割ないし八割五分は難民であります。しかも、きわめて低い生活程度でありまして、カンボジアあたりの話を聞きますと、日本の鎌倉時代農民の生活状態と大体似ておるであろうと、いろいろな資料をもっての話でございましたが、そのような状態であるわけでございます。現在日本は東南アジアに対していろいろ取引をやっおる。しかし、向こうが買ってくれる力というものは、大かたの場合、日本が賠償金の支払をしている、その日本が支払った賠償金を元手に日本の物資を買い付けるという状態に相なっておるわけでがざいますが、これらの低い大衆の生活の向上をやって、この広いアジアの購買力を育成して、そして日本の品物をそこに売りつける、かってもらう。こういう手配がなされなければならぬと私は思う。多くの場合、向こうは農産物を中心にした国柄であるわけでございますが、その中にも日本が買える食用油とか、あるいは飼料、あるいは砂糖、こういったものは向こうからある程度輸入し、日本の農業の今後のあり方と結びつけて考えてしかるべきじゃないかというふうに思うわけでございます。こういう方向に対して、やはり日本農業というものが、長期の見通しの上に立った施策を進める必要があるのではないかというふうに考える点が第一点。  それから、今申しましたこの低い生活状態にある大多数の東南アジアの農民生産力の向上、生産性の向上、こういうことによって生活を向上させ、購買力をつける。この協力をやるために日本の内地で現在農業構造改善のにない手をしていろいろ働いておられます農業改善普及員を、現地に計画的に三年か五年派遣する、そしてこちらへ帰る。これが将来のアジア経済協力の具体的な構想を練るのに必要ではないか。人のつながりが問題の前進をなすわけでございますので、一石二鳥ともうしますか、そういう考え方に立って、経済分業という視野からいろいろ農業政策を進めなければならぬ。東南アジアの大多数は農作物中心にした国柄である、こういった点がまず第一点。そういったことを今後緻密に運ぶためには日本の農業改良普及員をやっていく、それによってまた向こうの農業生産の向上をはかって、それらの大衆の生活の向上によって購買力をつける、このような施策がなされてしかるべきではないか。ローマは一日にしてならずでありますので、今からそういう段取り、構想を持った施策が必要ではなかろうかと思うわけでございますが、これに関して関係当局の御答弁を願いたいと思います。
  21. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 ただいまのお尋ねの第一点は、アジアにおける経済分業、特にその中で農業価における経済協力と申しますか、そういうものをどういうふうに考えるべきかということであると思います。これにつきましては、最近の世界的な大勢であります地域統合という問題、たとえばアジア経済協力機構、これは垂直的統合と申しますか、それとは別に水平的統合としまして太平洋共同市場とか、いろいろな形の地域統合が提唱されておりますが、それらのいずれを選ぶかという問題もあろうかと存ずるのでありますけれども、何といいましても、低開発地域である東南アジアに対しましては、日本が最も密接な関係にあることは、いずれにしましても同じであるということでございます。そういたしますと、何といっても第一次産品を日本が買い付けていくということになるのでございますが、これについては農林省といたしましても、常にそういった考え方で施策を行なっておるのでございます。たとえば最近におきまして、米の買い付けがアジア地域から必ずしも十分に行なわれておりませんが、それにかわりましては、たとえばタイにおきましてトウモロコシの増産をやつて、トウモロコシの買い付けを大幅にふやしていこうというような形で協力をいたしておるのでございます。そのほか砂糖とか、その地熱帯産品あるいは木材等についても、相当量の輸入の増加を見ておるわけでございますが、日本の国内の農業の、将来の選択的拡大とアジアの農業の発展、これをいかに調整していくかということはなかなかむずかしい問題ではございますが、現在日本農業について、果樹部門とか、畜産部門を伸ばす、いわゆる成長部門を育成していくというのは、これは温帯農業の発展の形として通常の最も望ましい型でございますし、アジア農業とは必ずしも重複しないという形で、現在の選択的拡大はどうやら経済分業の線に沿っておるのではないか、これは大ざっぱな考え方でございますけれども、そう考えられるのでございます。  それから第二点の改良普及員を東南アジアに派遣して一石二鳥の効果を上げてはどうかということでございます。これはごもっともでございますが、現在技術協力の面におきまして、アジアヘの農業協力は相当広い範囲に行なっておるのでございます。その派遣される人々につきましては、現在までのところは相当な学識と経験を待つ人々であり、語学力等も参酌いたしますが、そういう人々を派遣いたしまして、現地の技術指導に遺憾のないようにしておるのでございます。最近におきましては、そういった専門技術の面だけではなくて、実際的な技術の指導ということの要請も強く出て参っております。そういった町から、改良普及員の中に適格の人がおりますならば、そういう人々を派遣することも今後においては考えられるではないか、これは具体的にどの国においてそういう要請が出るかということが今後問題でございますけれども、漸次そういった問題も考慮していかなければならぬのではないか、かように考えます。
  22. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ただいまの農業改良普及員の東南アジア派遣でありますが、ただいまのところ、そのような計画は考えておりません。
  23. 種谷清三

    ○種谷説明員 第二点の農業改良普及員の派遣の問題についてお答えいたしたいと思います。  先ほど農林省局長から御説明がありましたように、従来は主として、農業技術の学識のある専門家を主体にいたしまして、派遣されておったわけでございまして、農業改良普及を直接の目的として、現地におきまして引地人の農業改良普及員を教育するという目的で派遣せられました例は、実は非常にわずかでございます。たまたまそういうはっきりした農業改良普及員という目的でもなしに、現実に稲作の栽倍の指導に当たるということで、五、六年前から派遣せられておりました若い日本農村の青年たちが、たまたま現地におきまして考えられ、実行に移されました協同組合運動一環として、その中でたんぼの指導であるとか、実際農家に行って指導をやる、農家の青年を集めて改良普及的な仕事に携わったというような例もございます。それがまた現地で非常に好成績を上げ、賞賛を博しておるというようなことも最近二、三あちこちで出てきておるわけでございまして、今後ますます農業の専門科目につきまして、学識のすぐれた専門家を派遣する必要は大いにございますし、われわれはできるだけ農林省の御協力、御指導をいただきながら、この点を進めて、いきたいと考えておるのでありますが、同時に、ただいま先生の御指摘のありましたように、実際たんぼの中に入って現地の農民とともに手を相携えてやっていくという方式につきましては、外務省としても非常な関心を持ち、今後この施策を進めていきたい、こういうように考えております。
  24. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 東南アジア等の経済協力につきましての一般的な考え方は、ただいま農林省、外務省から申し上げた通りでありまして、企画庁としても全く同じ考え方でおります。具体的には、経済企画庁は海外経済協力基金を所管いたしておりますが、この基金の運用にあたりましては、今お話がございました国際分業の原則にのっとって、各国が調和のある経済政策を実行するということに寄与する方向で、従来も運用をいたしておりますし、今後もそういう方向で推進をいたしたいと思います。
  25. 藤井勝志

    藤井分科員 もうこれで終わります。今外務省から御答弁をいただいたので、まことに私同感に思うわけでありますが、中心農林省が先ほどの御答弁ではいささかか不満でございまして、高度な学識経験というようなものでなくて、先ほど外務省からのお話は、ニューデリーの郊外サラワンプールの具体的な例だと思いますけれども、そのように現地へ行って農民生産の現実の指導をするといったことが必要である。日本の農業技術というものは、世界最高の水準であるということは自他ともに認めるところであります。今のような具体的な例がインドあたりでもあり、カルカッタでは、日本の農機具の展示会をして、日本の農機具が一番よろしいということを言っておる事実もございますので、そういうふうに一つ踏み込んで今後施策を御検討願いたい。これは特に政務次官にお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  26. 中村三之丞

    ○中村主査 次に経済企画庁、通商産業省及び農林省所管についての質疑を許します。  広瀬秀吉
  27. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 農林省がおられるうちに二、三質問を申し上げたいと思います。  農業基本法ができて、選択的拡大ということで、畜産三倍、果樹二倍といううたい文句で農民がだいぶ酪農に精を出して参りました。ようやく市乳が県内で一升六十五円くらいのところまでいったとたんに、二円から七円幅の乳価の大幅な値下げがあった、こういう状態ができたわけでありますが、昨日の農林大臣国会における答弁で、三月には業者側に値下げ通告を撤回するように命令する、こういうことになりましたので、われわれも胸をなでおろしたようなわけでありますが、この三月にやるというのは、三月のいつごろやるということですか、はっきりしておったら教えていただきたいと思います。
  28. 津島文治

    津島政府委員 これは費昨日農林大臣が御答弁申し上げたのでありますが、大体乳製品の買い上げは二月中に終わるつもりでやっておるのであります。十八億くらいはもうまとめたのであります。それで、それが済みましてから復元のできる期間ということでございすから、三月の一体いつになるのであるかということは、はっきり申し上げかねますが、大体三月の上中旬になるのではないか、こういうふうに考えております。
  29. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 十二月十四日と記憶いたしますが、このときに一斉に四人メーカーが通告をした。これは独禁法違反の疑いもあるということで公収の問題にもなった、農民の異常な反対ということもあったし、農林省の御努力もあったと思いますけれども、三月上中旬ごろになるだろうと予想される位下げ傾向というものは、値下げを通告したときの値段に戻す、こういう内容でございますか、もう一つ質問は、この間にわける補償はどうするのか、これは十二月の値下げ通告をした時期にさかのぼって、値下げ通告がなかったものとして処置されるのか、この点についてのはっきりした態度をお示しいただきたいと思います——わからなければ畜産局長を呼んで、それから答弁していただいてもけっこうです。
  30. 津島文治

    津島政府委員 今局長に参りますから。
  31. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 畜産局長を呼んでおりますが、先生のおっしいました値下げのときの値段に返すかどうかとい問題でございますが、御承知のように一升五十二円というのは人体基準価格になっておりまして、それに奨励金というものがついておったわけでございます。それで、大体奨励金を引き下げたというのが今までの状況でございまして、三月に入りましたならばもとの価格へ返すように農林大臣からお話ししようということにしておるわけでございます。
  32. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 その見通しはいかがですか。
  33. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 その見通しにつきましては、まだ現在乳製品をこの二月一ぱいで買い上げようということで、買い上げをやっておる最中でございまして、それが終わりまして三月に入りましてから、農林大臣が初めていろいろやりたいということを意っておる次第でございまして、その見通しについて今ここではっきり申し上げるということはできないことを御了承願います。
  34. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 畜産局長が来てからそれらの点についてより一そう明確なお答えをいただきたいと思います。  質問を次に移しますが、酪農を振興させて、高度経済成長政策十カ年計画の中で、畜産はおおむね三倍くらい需要が伸びるだろうということは、常識的に言われていることでありますが、この酪農振興を初め畜産全体体の振興のために、政策面において一番弱いのは飼料対策だと私は思うのですこの飼料対策が、まず価格の問題でもほとんど野放しになっている。これが問題です。どんどん上がっておる。協定価格というものがあっても、それは、ほとんど守られていない。家畜の数、家禽の数が伸びるに従って、野放しにどんどん上がっていくという問題が一つ、それからそれに対する需給安定の施策が非常に弱いというようなことがあるわけであります。この畜産振興のための飼料対策というものについて、今どういうような具体的な施策というものを持っておるか、この点を一つ聞いておきたい。
  35. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 畜産を進めていく上につきまして、飼料が最も重要な問題であることは先生御指摘通りでございます。それで流通飼料につきましては、飼料の需要安定法がございまして、食管の会計で輸入をいたしまして、需給の安定をはかっておるというのが、一つやっておる施策でございます。それで、今後はできるだけ自給飼料を増産していかなければならぬということを心がけておりまして、そのために、三十八年度の予算といたしましては十八億三千万円を計上しておる次第でございまして、これは昨年度が十三億程度の予算でございますから、相当伸ばしておるわけでございます。これによりまして草地改良事業を大規模に進めて参りますほか、自給飼料を、既存の耕地でもってできるだけ飼料作物をつくって、飼料の自給度が現在四六、七%でございますが、それをここ三年間くらいで乳牛につきましては七〇%なり、あるいはできれば八〇%くらいまで持っていきたいということで、飼料の自給度の向上をはかっておる次第でございます。
  36. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 三十七年度では十三億の予算に対して、三十八年度では十八億円計上しているという話でありますが、農林省予算を見ましても、飼料対策に必要な経費ということで六千七百三十万、去年の二千四百九十七万九千円に対してこういう状態だし、飼料のうちで特にこれから自給飼料という形で進めていく上に一番ウエートを打たなければならぬと思われる草地改良促進というようなものに対しても八千六百万程度だ。こういうような実に貧弱な、これは各都道府県等に割ったら、ほんとうに幾らでもない微々たるものであります。こういうような予算の計上の仕方というものは、これはまことに情けない限りであって、これも含まれて十八億だと思いますが、こういうような十八億くらいで、かりに総体でそうだとしても、一体今官房長が答えたように、自給飼料の比率を四六%の段階から七、八%まで三カ年計画で進めたいというようなことが実現可能でありますか、大体、具体策というものが予算の裏づけをもってどういうように進められているのか、この三カ年計画内容について一つ説明をしてもらいたい。
  37. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 先ほど先生から八千六百万円というお話がございましたが、それは草地造成の機械の導入の予算ではないかと思っております。それで、三十八年度の草地改良事業予算といたしましては、十二億を予定をいたしておる次第でございます。そういうことで大規模草地開発専業、それから小規模草地開発事業を急送に進めて参りたいと考えておる次第であります。
  38. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 昨年、私この委員会でやはり農林政務次官の中馬さんにお伺いをしたのですが、十年先に大体十万町歩ぐらいの草地をつくるという程度しかないというような非常に情けない答えをいただいて、激励をしておいたわけなのですが、そういうようなことではいかぬと言っておるわけでありますけれども、一体、畜産の伸展に従って草地を毎年どのくらいずつつくっていくのか、そしてもうあと九年しか十カ年計画はありませんけれども、この十年先の昭和四十五年にはどのくらいの草地を造成するのか、そういう年次計画はありますか。   〔主査退席、仮谷主査代理着席〕
  39. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 来年度の草地改良事業といたしましては、大規模事業につきましては八百七十一ヘクタールを考えておりまして、小規模事業につきましては一万七千四百六十五ヘクタールという数字を考えております。それで、今後どういうふうに草地改良事業を面積の上で進めて参るかということにつきましては、畜産局の方で計画を持っておりますので、あとで御報告申し上げます。
  40. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 この草地造成、草地改良、こういうようなものは思い切ってやってもらわなければならぬと思います。この価格の問題が、いつも野放しに上がってくるということも、この自給度が非常に低いというところからきていると思います。このことが非常に酪農経営を圧迫する要因になっているというようなことからも、この計画は大きく、一つ思い切ってやってもらうように要望しておきたいと思います。  それからもう一つ、飼料の問題でお聞きいたしますが、輸入小麦から発生するふすまを、今どのくらいの比率で業者と実需者団体に配分しておりますか。
  41. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 畜産局長が参りましてからその御説明を申し上げることにいたします。
  42. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 それでは農業関係はそれくらいにいたしまして、畜産局長がきてからまた答えをいただきたいと思います。  そこで通産省と企画庁にお伺いしたいと思いますが、ことしの経済見通しで実は相当無理な見通しが立てられておるわけでありますが、この貿易関係、輸出輸入の関係について、昭和三十七年の四十八億五千万ドルから輸出を五十二億ドル、四十五億五千万ドルから輸入を五十億ドル、こういうようにふやしておるわけであります。特にこの経済見通しがされた時期は昨年の十二月だと思いますが、このころに一体予想されなかった大きな事態としてその後の推移で発生して参りましたものは、御承知のようにイギリスがEECに加盟できなくなった。ドゴールの大陸主義と言いますか、がんこなああいう態度によって加盟できなかった。イギリスがモードリング蔵相の思い切った減税を初めとする経済政策の転換等をやって輸出をふやしていこうというような政策、経済成長を高めようという政策のために、非常な熱意をもってEEC加盟、そして経済交流の拡大ということをはかったわけでありますが、これが失敗をした。日本の場合におきましても、池田さんが昨年向こうを回られて、おそらくこれはもう加盟間違いなしというようなことの上に立って、そして池田さんの国会等における演説の中でも、おそらくそういうようなことが実現するだろうということを基礎にして一般施政方針等もやっておられると思うのです。この企画庁の出した経済見通しの中にも、これはそこまではっきり、EEC加盟は実現するのだということは言っていないけれども、そのことを織り込んであの見通しというものを立てたのじゃないかということが一つ考えられるわけであります。それが失敗したという段階においてどうかという問題が一つであります。  もう一つは、アメリカがやはり赤字財政に思い切って転じた。百億ドルの赤字を出してもいいというような思い切った赤字財政をやりながら、しかも一方においては膨大な減税をやる、こういうような体制に踏み切った。それは赤字財政覚悟で経済成長を高めよう、国民の消費を高めよう、あるいは投資を高めよう、こういうような政策に踏み切ったわけであります。従って、これに対する問題も、年頭教書来の発表でありますので、おそらくこれも織り込んでないのじゃないかというようなことが考えられるわけです。そうしますと、この見通しが狂いを生じないものかどうか、それらは全部見通してあったのかどうか、まずこの点を企画庁と通産省にお伺いしたいと思います。
  43. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 お答えいたします。経済見通しを作成いたしましたのは昨年の十二月でございました。ただいま御指摘の第一点の英国のEEC加盟につきましては、当時の一般的な常識的な判断といたしまして、遠からず英国のEEC加盟は実現するのではないだろうかという期待が待たれておったわけでございます。その点につきましては確かに新しい事態が生じたわけでございまして、今回の事件が、これは経済的だけでなく、政治的にも非常に大きな意味を持っておりますので、われわれとしましても、今後の推移については十分に注意を怠ってはならないというふうに考えております。  ごく経済的な分野に限定して考えてみますと、英国のEEC加盟挫折はいろいろな意味で新しい事態を生じておると思います。一つは、英国自体の景気の問題でありまして、英国はEECに加盟をすることによって、従来よりも広いマーケットを基礎にした産業活動を実現しようという期待があったのでありまして、それが今回の挫折によって、直ちにそうした方向への実現ができなくなった点があろうかと思います。しかし、その点につきましては、英国政府は、国内の最近の景気の沈滞を何とかして回復に持っていこうというので、税制面、金融面等においてかなり大胆な景気刺激策をとっておりますので、英国国内の景気動向そのものは、当面特に非常に変わった様相を呈するというふうには考えられないと思います。  それから、もう一つはアメリカでございますが、英国がEECに加盟をすることを期待をいたしまして、通商拡大法を国会を通しまして、英国をてこにいたしましてEECと関税の一括引き下げ、その他の交渉を展開する予定であったのでありますが、少なくとも英国を含むEECと、いわゆる八〇%条項を適用して関税を無税にするということは、当面実現がむずかしくなったように思います。しかし、それ以外の関税一括引き下げにつきましては、ある意味から言いますと、今度の事件によりまして、そうした方向への動きが従来よりもっと活発になるのではないかという見方も行なわれておるわけでございます。  それから面接日本との関係におきましては、日本は従来からヨーロッパ各国に対してガット三十五条の援用撤回、日本に対する差別待遇の解消を交渉して参っておったわけでありまして、幸いにして英国がまっ先にそうした日本の呼びかけに応じて参ってきておるわけでございます。おそらくただいま国会に提出しております日英通商航海条約が五月ごろには締結の運びになるかと思うのでございます。そうした英国の対日認識の改善、それをてこにしてEEC諸国への働きかけを行なうという線が一つあったわけでございますが、その点は、実は日本としましては、英国を通し、あるいは英国を契機にしてという動きだけでなく、面接ベネルックス各国とも交渉を続けて参っておりますので、その点については、特に今回の英国のEEC加盟が実現を見なかったことによる影響はないと思うわけでございます。その他豪州その他のいわゆる英連邦諸国と日本との関係においても若干の問題があろうかと思うわけでございます。非常にこまかく分析いたしますと、今申し上げたようないろいろなあやがあると思うのでありますが、ただ、私たちが経済見通しをつくります場合には、必ずしもそこまで非常にこまかい分析をいたしておりません。たとえば、ヨーロッパにつきましては、一括いたしまして三十七年度の西欧に対する輸出の見込みを約七億ドル見当と見ておりまして、来年度は約一割程度増加をするであろうというふうに達観しております。従いまして、今度の事件によりまして特にこの見通しを改定しなければいけないというふうには考えておらない次第であります。  それから、第二の御質問の、米国の新しい財政政策、減税政策との関係でございます。実は、米国のそうした動向につきましては、昨年経済見通しをつくりますときに、たまたま日米合同委員会がございまして、日本からも関係閣僚がたくさん行かれ、私も実はお供して参ったのでありますが、その機会にかなり十分に先方の今後の経済政策の進め方については話は聞いて参っておりますので、その当時と特に変わった状態にあるというふうには考えておりません。
  44. 廣瀬正雄

    ○廣瀬(正)政府委員 全般の問題につきましては、ただいま企画庁から御説明の通りでございますが、通産省の担当いたしております輸出、輸入の面から申しましても、国際的には御指摘のようにきわめて大きな変動がございましたけれども、ここ一年の見通しに大きな変動があろうとは考えてないのでございまして、そういうような考えで対処していきたいと思います。
  45. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 非常に楽観的でありますけれども、たとえば、今山木さんがおっしゃったように、西欧向けは大体七億ドルを予想しておる、一億ドルぐらい伸びるだろうと言われる。そうすると、それは大体大ざっぱに言って一五%の増である。そういうようなものがおそらく相当減るのじゃないかということは常識的に考えられることであります。これを減らないようにするためにはどうするか。英国が加盟しなかったことによって、経済交流の西欧における拡大、それに従って日本の輸出も伸びるという目算に立っておったものがくずれたということ。しかも、総体的には七・二%ぐらいの増しか見込んでいなかったわけです。輸出額総額の問題としては七・二%ぐらい。そのうち西欧向けのものは一五%もよけいに見込んでおったというところに狂いはないかということが問題であります。  それから、アメリカとの問題は、経済閣僚会議があって、大体アメリカの財政政策の動向というものはおおむね織り込み済みだ、こういう御答弁だと思うのですけれども、それじゃ、現にアメリカが綿製品の規制などをやってきて、これが非常に今大問題になっておるが、なぜこういう事態が出るのか。これはおそらく経済閣僚会議でも当然問題になったはずだ。あるいは故意に触れられなかったかどうかわかりませんけれども、アメリカがそういうような政策をやる。赤字財政でやっていくのだという中で、これは国内均衡ということを非常に重視した立場だと思うのでありますけれども、しかしながら、国際収支の、面では非常に過敏になり、神経質になり、何とかして国際収支の均衡を早く回復したい。これはやはり、赤字財政をとりながら、国際収支もまた大きく赤字だというようなことではこれはとうていケネディ政権だって待ちっこない。だから、そういう点をどう考えておられるか。現実にそういう問題が出ておるのじゃないか。この問題が一つあるわけです。  それから、最近の新聞で、経常収支が七カ月ぶりで八千六百万ドルからの赤字が出た、こういうような問題等もにらみ合わせますと、これは時期的な問題もあるかもしれませんが、六月ごろにはまた黒字に転ずるというような見通しもあるようですけれども、そういったところをもう少し具体的に、いろいろごたごたと説明される必要はありませんから、ポイントをつかんで簡略に一つ答えていただきたいと思います。
  46. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ヨーロッパ向けの輸出の点でございますが、三十七年度は約七億ドルと見込んでおりまして、三十八年度は約一割増、七億七千万ドル見当と見ております。ヨーロッパ向けの輸出は、どっちかと言いますと、従来対日差別という人為的な障害によって伸び悩んでおった面がかなり大きかったと思いますので、ことしその差別待遇の撤廃、特に日本が八条国移行の段階に参っておりますので、それをてこにした差別待遇撤廃の交渉によりまして、ほかの地域に比べましてヨーロッパ向けの輸出はより高いという期待を持つことが可能ではないかというふうに考える次第でございます。  それから、アメリカの問題でありますが、綿製品の問題は、国際収支との関係よりは、アメリカの国内の綿業界の保護ということに立脚した問題であろうかと思います。繊維製品の長期協定の運用をめぐりまして、特に外務省、通産省を中心にしてただいま対策検討されておりますので、その問題自体につきましては、そちらの方からお答えいただく方が適当であろうかと存じます。
  47. 宮本惇

    ○宮本説明員 御質問の第二点でございますが、一月に急に大幅な赤字を出したじゃないかということは、御指摘通りであります。ことしの一月は一億五千八百万ドルの支払い超過でございます。ただ、今御指摘のございましたように、これは多分に季節的なものがございますし、昨年の一月に比べますと、昨年の一月が二億二千百万ドルの支払い超過でございまして、これに比べればだいぶことしはよいわけであります。今度の輸出が少し少ないように思われますが、これは、御承知のように、雪でたとえば絹とか人絹の船積みがおくれたという影響もあると思いますし、輸入の方は、御承知のように、大体季節的に機械とか石油というようなもの、あるいは、繊維原料、食糧、さらに、ただいまでは重油の緊急輸入というものがございまして、確かに御指摘のように赤字が出ておりますが、われわれといたしましては、季節的な輸入が多いし、まだ今ここで将来どうなるということを非観的に申す必要もないと思いまして、慎重に推移を見守っておるというような現状でございます。
  48. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 国際収支の問題は、国内の物価との問題、消費の問題、国民生活の問題、金利の問題等と総合的に関連するわけでありますが、今東南アジア諸国における第一次産品が、これは世界的ですけれども、砂糖がこのところ三倍にもはね上がっておるというようなことを初め、トウモロコシにしても、小麦等の問題にしても、あるいはその他の第一次産品が非常に値上がりしてきている。こういうような面からも、輸入の見通しというものが、その価格の値上がりによるはね返りが一億ドルくらいには上るだろうというようなことがもうすでに報道されておるわけであります。そういうような輸入の見通しにもこれははね返ってくると思います。それと同時に、その問題は東南アジアのいわゆる後進地域、いわば農業国というようなところが外貨の手持ちが今までよりはふえるということも同時に意味していると思います。従って、日本もそういうように非常にきびしいEECやあるいはアメリカというようなところにばかり目を向けないで、東南アジア貿易というような、外貨事情の好転も見込まれるというようなところに目をつけて輸出を伸ばすというような対策が当然あってしかるべきだと思うんですが、そういう点についての、貿易政策の転換とまでいかなくても、やはり見通しの狂った部分はそういうところで回復するというようなお考えであるかどうか。東南アジア等に対する日本の貿易をふやしていく、こういうような方向についての御所見というものを伺いたいと思います。
  49. 宮本惇

    ○宮本説明員 御指摘のように、最近砂糖その他の一次産品の値上がりということがございまして、これが輸入に響くということはございますが、逆に申し上げますと、そういうものが値が上がったということは、多少は東南アジアの経済にもプラスになるというようなことも考えられるわけでございます。しかし、まあそれは別といたしまして、確かに、御指摘のように、大体巣南アジアに対しましては片貿易の輸出超過であるというようなことで、われわれといたしましては、相当に延べ払いとか、そういうようなことを活用いたしまして、そうしてそういう国への輸出を伸ばしていきたい、御承知のように、今EECだ、対米だということが問題になっておりますが、現実には東南アジアに対する輸出はかなり伸びておりますし、そういうことで、今後さらに、金のない場合には延べ払いの活用とか、そういうようなことで、決して軽視をいたしておるつもりはございません。
  50. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 経済企画庁の見通しも、当たる場合もあるけれども、なかなか当たらぬ方が多い、こういうことでありますから、あまりに当初見通しというものに固執して、その中で、経済成長率の伸び等にいたしましても五%からいつの間にか六・一%、——五%も経済企画庁がその見通しを立てる過程においてはだいぶ固執しておったのだけれども、これは税の自然増収を大きく見込むためにむしろ成長率を上げざるを得ないということに大蔵省の強気から追い込まれたというようなこともうわさされておるわけです。そういうようなこともありますので、この見通しの問題は、やはり諸般の情勢というものを敏感に検討して、変えるべきときは大胆に見通しを変えて、これはちっとも恥ずかしいことでもなんでもない。やはり、日本の経済政策あるいは貿易その他の問題について正しく見通しを立てて、その方に政策を誘導する、この基本になるものでありますから、そういう点については機動的に変更しなければならぬ。こだわってやらぬというようなことでなしに、やはり、正しく事態を見詰めて、見通しというものは弾力的に変えていってもらわなければならぬと思います。そういうような方向でいくように、一応警告をしておく次第であります。  その次に、日本の貿易で特に輸出の場合、——輸入の場合ももちろん関連がありますけれども、輸出秩序の問題、また輸入秩序の問題もありますけれども、主として輸出秩序の問題についてお聞きしたいのです。  この輸出秩序というものが今日非常に不統一であり、ばらばらであるというようなことが嘆かれておるわけであります。日本の製品のコストが高いために売れないという面以上に、この輸出市場が混乱をしているというようなところに、商社等の乱立、過当競争、こういうようなものなんかが日本の輸出品を安売りするという結果に結びついてくる。そのことが輸出を増大させるということに完全に結びつくならいいのだけれども、競争の中でどんどん輸出がふえるという形にすべてがうまくいくならばある程度許されるかもしれないけれども、逆に、そういうものが、たとえば、イタリアに注射針を持っていったら、値段がイタリアの四分の一だったというようなことで、逆にボイコットを食うというような問題、それから、西ドイツに対するフェロマンガン、最近の新聞に出ておりましたが、これがまたドイツの反ダンピング法にかかるというようなこともある。そういうような面で、貿易商社が今大体三十六年の三月で五千七百三十六社ということがいわれておる。非常に多いのであります。実質的にはおそらく戦前をも上回っている、——中国等にはほとんどありませんから。そういうようなことがいわれておるわけでありまして、しかもまた、百億以上の取り扱いをしている商社というのは三十社くらいしかない。しかもそれが輸出総量の六一・八%だ。そうしますと、五千七百三十六社のうち五千七百社というものは非常に小さな業者で、これがひしめいているというような状態にあるということも聞いているわけであります。こういうような輸出秩序の問題、こういうような商社等に対して、これからどういうふうに指等をし、どういうふうな方向に誘導して、輸出秩序というものを確立していくか。この商社の過当競争によって日本の輸出品を安売りしていくというような面、それが逆にまたボイコットというような形ではねかえる、対日差別のいい口実にされる、こういうような面等についてどう対処されていくか。この輸出秩序の問題についての御所見を承りたい。
  51. 廣瀬正雄

    ○廣瀬(正)政府委員 輸出の方向につきまして、輸出秩序の確立ということがきわめて重要な要素でありますことは、御指摘通りであります。最近急にそういうことが叫ばれておるのであります。これにつきましては、私どもの考えといたしましては、輸出入取引法の弾力的な運営というようなことに期待をいたしておるわけでございますけれども、さらに、御承知の最高輸出会議が近く四月に開かれることになっております。今度の最高会議の場合におきましては、この輸出秩序の確立ということを最大の課題といたしまして、ただいま検討を進めてもらっておるようなわけでございます。  先刻東南アジアの貿易につきましての御意見がございましたが、ただいま日本の貿易は、御承知のように、アメリカ三分の一、東南アジア三分の一、ヨーロッパ三分の一というような実情であるわけでありますが、アメリカのみに依存するというようなことになりますと、アメリカの景況をそのままそっくり日本に深刻に受けなくちゃならないというようなことを考えますときに、私どもといたしましては、東南アジアとのいわゆる水平貿易と申しますか、先進地域と後進地域とのその水平貿易を進めますとともに、さらに、水平貿易の上におきましては、ヨーロッパを将来十分考えていかなくちゃならぬじゃないかというふうに思っておるのであります。そうしたことを考えますときに、ヨーロッパは非常に輸出秩序を重んずる国でございますので、ヨーロッパとの貿易につきましては、特に秩序の確立ということを私ども真剣に考えて取り組んでいかなくちゃならぬことじゃないかというようなことも考えまして、ただいま輸出秩序の確立につきましては鋭意検討を進めておるような状態でございます。
  52. 宮本惇

    ○宮本説明員 政務次官のおっしゃいましたことに多少補足して申し上げます。御承知のように、八条国移行勧告が出まして、輸入は自由化をする、従って輸出をますますふやしていかなければならないわけでございますが、特にヨーロッパ諸国におきまして、三十五条援用の撤回を機械に、相当向こうの政府はいわゆるセンシティブ・アイテムというものを持ち出しかかっております。ここでもしかってのような乱戦をやりますと非常に工合が悪いということで、今政務次官の言われましたようなことをやっておる次第でございます。ただ、輸出秩序の確立と申しましても、抽象論ではだめなんで、どこの国にどういう品物についてどういう売り方をするかという、その実態がそれぞれ迷うはずでございます。先ほどお話のありましたように、最高輸出会議の下に産業別輸出会議がございます。そこで、問題になりそうな品物について、たとえば売るにいたしましても、向こうの流通機構の中に実際こっちがうまくとけ込むやり方もありますし、そうでないもの、いろいろありますので、その辺の業種あるいは相手国別にきめのこまかいことをやりまして、現在の輸出入取引法を弾力的に運用いたしましてはめていきたい。大体今三月末を目途として、具体的に商品別・市場別に洗っておるところでございます。では今ここでどういうものをどういうふうにやるかということはちょっと申し上げかねますが、現実に一番やっておりますのは、繊維とか陶磁器であります。それから、今度EEC向けに洋がさの協定をやらせる、そういうふうにきめこまかくやっていきたいと考えますので、ちょっと補足さしていただきます。
  53. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 輸出秩序の確立は、今申し上げた問題点だけではなしに、相当広範な問題もありますが、時間が急がれておりますので、それ以上深めるわけにいきませんが、この輸出秩序確立の問題とからんで、ジェトロは一体何をやっているのかという問題があります。私ども、これはあんまり働いてないのじゃないかという気がするわけであります。日本で輸出秩序が非常に困乱しておるということが特に西欧諸国から指摘をされて、この問題が輸出の増大に対する阻害要因になっているというような面が非常に強く叫ばれておるときに、一体ジェトロというのはどういう機能を今果たしているのだ。最近の新聞に、カンコ鳥鳴く展示場、ニューヨーク五番街のトレード・センターの問題が出ておったのですが、月に数千ドルというのですから、十万や十五万の家賃を払っているはずであります。それが、テンポラリー・クローズドということで、ほとんど展示場が開かれてないというようなことなどがあるそうであります。もうアメリカ市場なんかでは何も展示をして宣伝をする必要がないところまでいっているのかどうか知りませんけれども、もしそうだとするならば、ジェトロあたりはそういうものをもっと有望な市場にどんどん移すとか、機動的な、非常に活発な動きをすべきである。日本の今の最大の目標が、やはり輸出を拡大する、国際収支の均衡をよくしていくということにあるとするならば、こんなべらぼうな、開店休業のようなことばかりしているようなものは、これは権威を問われなければならないと思うのです。その活動状況と、このニューヨークのトレード・センターの問題についてこういうような記事が新聞に見えるということは非常に残念に思うわけですが、こういうことについて通産省はどう考えておりますか。
  54. 宮本惇

    ○宮本説明員 ニューヨークの同順につきましては、さっそく今ジェトロを、呼びまして、そういうことのないように注意いたしておるところでございます。  全体といたしまして、ジェトロがどういうことをやっておるかということでございますが、やはり第一番目は海外の宣伝事業、これは、御承知のように、特にサンフランシスコあたりではかなり活発に活動しております。そのほか、この間もアメリカの有力なる新聞記者あるいは評論家などを呼びまして、日本の事情を十分に紹介いたしておるわけでございます。それから、二番目が国際見本市事業でございまして、これは毎年かなりやっておりますが、特に三十八年度におきましては、御承知のように、ニューヨークで世界博覧会がございますので、そのための予算を計上いたしましたほか、大規模の見ホン市が三カ所、中規模の見ホン市が四カ所というようなことで、これが具体的に日本の経済の実情を、示すという意味で一番成果がありますので、これに全力をあげたい。それから、ジェトロが現在世界各国三十の地点に長期の調査員を派遣しておりますが、これだけでは足らないので、今度も四カ所ばかりふやすというようなこと。それから、貿易あっせん業でございまして、現在ニューヨーク以下十二カ所にトレード・センターがございますが、今度、EECの問題含めまして、パリに新しくトレード・センターを置くというようなことで、今御指摘のニューヨークの場合はいろいろ下違いもあったと思います。で、そういうことのないように今厳重に申し渡しておる次第でございます。  確かにジェトロというのはいつも問題になりますが、かなりいい血が割合に出ないのでございまして、現実には、われわれといたしましては相当効果はあげておると思いますし、また、上げなければ、国費を二十億も使ってやる意味もございませんので、今後ますます御指摘の点その他を通じまして、活躍するように指導して参ります所存でございます。
  55. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 その問題についても、積極的にジェトロの機能等を発揮させるように要望をしておきたいと思います。  時間がありませんから次に移りますが、貿易自由化が、八条国移行ということ、いよいよ現実ののっぴきならない事態に来ているわけです。この際における輸入の場合に、やはりこれは輸入秩序の問題と考えられますけれども、商社がもうかりさえすれば何ぼでも輸入するというようなことが考えられるわけであります。たとえば、すでに三十六年の十一月に干しブドウが自由化されたということになりますと、とたんに七千五百トンからのものが二、三カ月の間にずっと押し寄せてきた。しかも輸入価格が一ポンド六十四円のものを五十二円で国内で売ったというようなこともあるようであります。そういうようなことが出てき・ますと、たとえばインスタント・コーヒー旋風なんというものもあっただろうし、さらにまた、メキシコ・エビ、ボーリング旋風なんということもあった。そのほかに、今度はバナナの自由化というような問題が現実の日程に上ってきている。こういうことになったら、そのときに非常に商社が殺到してこれを輸入するというのを、どうやって規制をし、そういうような間に輸入の秩序というものをいかにして確立していくのか。要りもしないものをたくさん入れてきて、結局は元値を切ってさばかなければとてもさばききれぬというようなことになる。そういう事態がまた国内の産品に対する異常な圧迫を加重する。こういうような問題などが目に見えておるわけであります。こういうようなものについて、一体どういう対策を用意されておるのか、その点伺っておきたい。
  56. 宮本惇

    ○宮本説明員 確かに、御指摘のように、今まで押えておりましたものを自由化いたしますと、急にふえるという例は多々ございます。実は、昨年の十月に万年筆を自由化いたしましたところが、パーカーが非常にはんらんしたということがございますが、そういう状態が長く続くかどうかといいますと、特に消費物資等は、むしろインスタントも入れ過ぎて困ったというようなことで、その時期はあれでございますが、いずれおさまるというのが通常でございます。しかしながら、過渡的にと申し上げましても、これが重要なる原材料、特に国産と競合するようなものが入ってきたときにどういう手を打ってこれを食いとめるかということになりますと、そこに緊急関税とか、あるいは場合によりましてはタリフ・クォータ制度というようなものがございまして、今までのところ、たとえば昨年の十月に自由化いたしましてから、われわれといたしましては心配でございますので、そういうものをいつでも発動できる態勢で待っておりましたけれども、これは国内の景気の問題もございましょうが、いまだにそういうものは発効した例はございません。まあバナナあたりが自由化されてどういうことになるかと申しますと、御承知のように、今度は関税は七〇%に上げますので、そう急にどっと入ってきてショックを受けるということはないだろうと考えます。(広瀬(秀)分科員「高級リンゴと同じくらいの値段になるのですよ」と呼ぶ)——ちょっと下がると思います。  それから、輸入商社の問題でございます。実はわれわれも現在割当物資をいろいろ扱っておりますが、むしろ、割当をしておるがためにそれが非常に広く売れて、商社がふえる、自由化をすればむしろほんとうに専門しかやらないというメリットもございますので、自由化いたしましてもしそういう事態が起きる場合には、緊急関税その他の制度で十分防遏できると思います。
  57. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 この問題も時間がありませんからそのくらいにしておきますが、きのう大蔵大臣が閣議後新聞記者その他に語ったところによると、中小企業投資育成会社というものと中小企業の近代化資金とを一本化する、これを来年度はやりたい、こういうように言って、首相の了解を得たというようなことがいわれておるわけでありますが、これは通産省としてはどういうようにお考えでしょうか。
  58. 廣瀬正雄

    ○廣瀬(正)政府委員 ただいま御指摘のようなことは、通産省といたしましてはまだ正式に承っておりません。
  59. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 この点についても、もしこういうことがあるとすると、投資育成会社そのものの性格が非常に変わってこざるを得ないし、近代化資金の運用というものは、投資育成会社とおそらく同じ機関で両方扱わせるというようなことになるのじゃないかと思われるわけです。これは、いわば農林漁業金融公庫と同じように、中小企業金融公庫、今までのものと迷ったものを新しくまたつくるようなことにもなりかねない。そうなってきますと、中小企業の近代化資金の運用というものは非常に変わってくると思われますので、これらの問題については一つ慎重に通産省としては対処していただいて、近代化資金を中小企業のどこの層に時っていくかというのが非常にぼけてくるわけでありますから、この点は一つ十分慎重にかまえて検討していただきたいということだけ要望しておきます。  次に、国内の問題でありますが、今何と言いましても、全国の小売商店、しかも小規模の小売商に最大の脅威を与えている問題はスーパーマーケットの進出であります。私この間中小企業の集まりで山形の衛星都市である人口四万くらいの都市に行ったわけですが、ここでも小党商の人たちが四、五十人集まりまして、まさにわれわれの死活問題だ、一体どうしてくれるのだという切実な訴えを私直接伺ってきたわけです。われわれ社会党の中小企業基本法案には、政府責任において明確に規制をやるということをはっきりしておるわけです。ところが、政府案によりますと、規制ということはうたっておりません。ただ共同化を助成するという立場だけであります。しかしながら、現実の勢いはすでに何百社というものが国内にもできている。しかも、セーフウェーですか、アメリカの大スーパーマーケット資本が住友の巨大資本と組んで進出するとか、あるいは、今までに進出してきたものにも、かなり大規模な私鉄資本というようなものがスーパーマーケットに進出出する、百貨店資本がまた進出する、こういうような大規模資本が進出してきている。そういうところに持ってきて、新聞の報ずるところによると、スーパーマーケットが非常に有望だというので銀行が積極的に貸し出しをやるかまえを見せてきた、こういうことが伝えられてきておるわけであります。これに対して、政府は、このスーパーマーケットを今のままで放置しておくのか。これはもちろん共同化等を通じて対抗させていくというようなことをお答えかもしれませんけれども、そういう政府の施策というのがいつでも後手々々になっております。その間にどんどん大資本が資本力にものを言わせて進出するだけ進出したあとでそういうことをやっても、とても太刀打ちはできない。これに対しては規制を加えなければいかぬのではないかと考えますが、規制する考えがあるのかないのかということをまずお聞きしたいと思う。
  60. 廣瀬正雄

    ○廣瀬(正)政府委員 スーパーマーケットの特殊性は、御承知のように、二、三あるかと思っております。第一は、対人販売じゃない、直接売る人と買う人が品物をやりとりして売買するのじゃないということが一つ。それから、二番日には、集中計算と申しますか、一つ一つ金を払わなくて、出がけに払っていくということ。さらに、もう一つ、属性としてつけ加えていいと思いますが、スーパーマーケットで販売しております品物は、食料品でありますとかあるいは衣料品とかいう規格品でありまして、一々はかって売るという品物ではないということがあるのでありまして、これは、だんだん生産技術が遊んで参りまして大量生産になって、しかも国民の所得がふえて参って消費生活が高くなってくるということになりますれば、!さらにもう一つ、中小企業で非常に便利のいいことは労力の節約ができるということで、スーパーマーケットの形式は中小企業には便利がいいわけなんでございます。そういうわけでございますから、中小企業の弱さを補強すると申しますか、強くして参りたいというわけで、政府といたしましては、中小企業の開業化ということで、昭和三十八年度の予算におきましては一億四千万でございましたかの予算を取りまして、中小企業のスーパーマーケット化を奨励することになっておるわけです。なっておるわけでございますけれども、御指摘のように、大資本が入って参りましたり、また、先般うわさに上りましたように外国資本が入ってくるということになりましては大へんでございますから、ただいまの法制では平前にこれを抑制することはできないわけでありますけれども、そうしたうわさを聞きましたから、そういうことをやってその土地の中小企業者に迷惑を与えるということでございましたならば、ケース・バイ・ケースで、御承知の小売商業調整法によりまして調整して参りたい。先般うわさに上りましたアメリカのセーフウエーの資本が入ってくるという問題は、行政指導によりまして解決いたしまして、さようなことにはしないということになったわけでございます。ただいまそういうような方針をとっておるわけでございます。
  61. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 政府の中小企業施策全般にわたる予算の裏づけを見ましても、〇・三%というような非常にみじめな状態にあるということがはっきりしているわけでございますが、今非常に切実な問題になっている小売商業対策、スーパーマーケットの脅威を前にして、あるいは百貨店の進出ということも、百貨店法はありますけれども、これがあまり効果を発揮してない。売り場面積はいつの間にかどんどん拡大してしまう。こういう中で、小売商業の人たちはほとんど国の保護なりあるいは政策の恩恵に浴さないでいっているわけであります。そういう中で、これからの商品流通というものが非常に困難な形にあることは事実でございますが、その中で、小売商というものを商品流通の中でどういう地位に考え、そしてそれをどういう方向に持っていくのか。その面では、今次官がお答えになったように、協業化を促進するというのですが、しかもこの協業化を促進ずる費用全国で一億四千万軽度。ということは、これではもうどうにもならぬじゃないですか。スーパーマーケットは、ちょっと大きいやつが出てくれば一億くらいの資本をぽんと一社でもって用意をしている、そして数カ所にそれを分散するということは幾らでもやるわけであります。そういうものに対してあまりにもこの協業化の施策は貧弱である。私どもは、やはり、小売商業そのものを協業化さして、小売店の力によって、その人たちの集団の力、団結の力を発揮して協業の方向に向かっていって、スーパーマーケットをその人たち自身が協業の中でやっていく、こういう形でいくならばけっこうだと思うのです。それを、そういう方向を助成するためにはあまりにもこれでは少ないのじゃないか。はたしてどこまでの熱意があるのかということになるわけであります。そうしますと、外国のやつは何とか防いだというわけでございますが、国内の、巨大資本によるスーパーへの進出というものは、もう相当大幅に急テンポに進んでしまって、政策を何とかしなければならぬというような状態がもうすぐにでも来てしまって、これは相当倒産する小売業者が出てくるのじゃないかというように考えられるのですが、この予算の裏づけ、それから、積極的な指導の方策をもっと具体的に、こうするから大丈夫なんだという、全国の小売商業の人たちが心配している心配がなくなるような構想というものを、あれば聞かしてもらいたい。
  62. 影山衛司

    ○影山政府委員 三十八年度の予算に計上しておりますところの一億四千万円の小売商の協業化によるスーパー助成対策でございますが、これは、御承知のように、設備資金をこれで助成するわけでございまして、貝の方が一位四千万円に対しまして同額を出しまして、必要資金の二分の一を無利子で貸し付けるということになるわけでございまして、大体設備資金といたしまして、それが企業面では四倍に働くわけでございます。大体それによりましてさそい水をかけまして、一般の金融機関あるいは中小企業金融公庫、あるいは商工中金というところからも誘導していこうというふうに考えておりまして、全国で四十から五十というようなところを初年度として考えておるわけでございまして、これは初年度予算でございますので、この程度できれば私は非常に成功であろうというふうに考えておりまして、次年度以降はその実績を見まして拡充していきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、そのほかに、乱立いたします傾向がこれから出てくるかどうかということでございますけれども、これはなかなかはやりでございますので、さしあたりとしましては相当出てくる傾向にもございますが、御承知のように、スーパーマーケットの経営というものは非常にむずかしいわけでございます。でありますので、私どもとしましては、小売両の方が自分たちで一緒になって協業でやっていこうというところに対しましては、診断といいますか、経営の診断をいたしまして、そういう点で経営がうまくやっていけるようにと考えて折灘もいたしていきます反面、先ほど廣瀬政務次官から申しましたように、小売商業調整法によりまして、小売商との間に問題が起こりましたときは紛争の調停を県知事にやっていただくという格好で、問題を具体的にケース・バイ・ケースに解決していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  63. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 広瀬君に申し上げます。時間に御協力を願います。
  64. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 わかりました。あと二問ぐらいで終わります。  紛争が起きた易合には、小売商業調整法がありますから、それをやる。しかしながら、小売商業の人たちは、現在の状態では団結してものを言うというようなことにもなれておりませんし、困った困った、これは大へんだと頭を抱えているけれども、なかなか小売同業調整法の手続段階まで移行しようという気持がない。その間には、もう自分の方でお手あげになってしまって、そのうちには何とか日雇いにでもなろうかということにいってしまうケースというものは非常に多いわけです。だから、そういう消極的な立場ではなしに、やはり積極的に、大資本がどんどんスーパーに進出して小売商を脅かすという傾向に対して手を打たなければならぬ。これを、憲法論から言ってもそういうものをやってはいかぬのだという規制を今の建前でやれないということを言いますけれども、私はそんなことはないと思う。それならば小売商業調整法でも違憲の疑い、が出てくるわけですから、そういうようなことでなしに、それを事後の処理としてではなくて、事前に小売商業調整法の精神というものを生かして、大企業の圧迫から小規模小売商を守っていくという、そういう積極的な行政指導でも何でもいい、どんな形でもいいから、そういう積極的な外、外でこの問題に対処をしていただきたいということをお願いするわけです。これはあとでちょっと答えていただきます。  それから、質問を最後の点に移しますが、前の臨時国会におきまして栃木県の大谷石の問題を取り上げました。これは全国でも有数なところで、有数というよりもおそらく一つくらいしかないのじゃないかと思うのですが、採石を地下産業としてやっておるというようなことから、災がここ十年間連年続いて、人命も奪われ、数十名の人たちが死傷しておるというような事態に対して、採石法の相当な大幅な改正を私要求いたしました。商工委員会からも委員の方々に現池を見ていただきまして、これはどうしても採石法の改正を待たなければ根本的には解決のつかない問題であるということになっておりました。大体採石法の改正の準備も進められておるようでありますが、どういう内容で、これは大づかみでけっこうですから、いつごろ提出をされるか、それから、それに見合った予算措置というものはどういうようにお考えであるか、この点について伺いたいと思います。
  65. 廣瀬正雄

    ○廣瀬(正)政府委員 昨年の七月に大谷石の採石業で大へんな不祥事が起こりまして、たくさんの犠牲者を出しましたことについては、心から御同情を申し上げておる次第でございます。当時委員会広瀬委員から強い御指摘、御要望がございまして、採石法を改正すべきだということにつきまして、私どもからそういう方向に向かって検査申し上げるということをお答えいたしたわけでありますが、その後いろいろ検討いたしまして、今度の国会には御期待に沿って改正法律案を提出しようということで、ただいま作業を進めております。実は一、二円政調に諮りましたけれども、まだどうも思わしい案がきまりませんので、そこで、ただいま私どもで考えております。案といたしましては、第一に、事前届出方針をとることにいたしまして、採石業に着手しようといたしますときには事前に再出をしなければならぬというようなことに改めたいと思います。在来は、採石業に着手した後に届け出ればよかったわけでありますけれども、それを事前式に改めたいと思っております。それから、第二に、公共の福祉に反すると認めますときは、その採石業者に対しまして、採石計画を定めてその認可を受けなければならないということを命ずることができるというようなことにいたしたいと思うのであります。どうも危険だというような場合には、認可を取って着手しなさいというようなことにいたしたいと思っておる次第でございます。第三には、危険防止の措置をやるべきことを命ずることができる措置の中にハッパも加えたい、ハッパもそのようなことに加えたいと考えております。そうして、ハッパを加えました防止措置を命令するだけでは、その目的を達することが非常に困難であると認めます場合は、事前の停止を命ずることができるというようにいたしたいと思っております。  大体ただいま申しました四つの骨組みを今後の改正法律案に盛りたいというところで、ただいまいろいろと作業を進め、党とも折衝を続けております。
  66. 川出千速

    ○川出政府委員 採石法の改正の問題につきまして、ただいま次官から御説明した案で検討を続けておるわけであります。採石法の改正によりまして監督関係が強化されますと、現在、採石法の予算が、ごくわずか、十数万ついておるわけでございますが、これを倍にするように三十八年度の予算では話がついておるわけでございます。  なお、大谷地区の鉱害の問題につきまして基礎的な調査をすることが必要であることは、この前の国会でも御指摘になられたところでございます。これにつきましては、現在必要としている場所の七分の一ぐらいの調査を過去においてやったことがございますが、今後さらに残った地域を二年か三年かけまして基本的に調査をするということで、地元側の行政機関あるいは採石業界からなっている連絡協議会とも御相談をして、今全体計画を立てておる最中でございます。その際に、国といたしましても、技術的な能力を持った人を派遣をして調査をしないと、なかなか生命の危険を伴う調査でございますから、その点の予算等についても今研究をしている段階でございます。
  67. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 大体内容もお聞きいたしたわけでありますが、私どもこれは賛成でございます。できるだけ早くこれを出していただくようお願いをいたしたいと思います。採石法の改正をやられるという御努力に対しましては心から感謝をしているわけでありますが、ただ、予算があまりにも少な過ぎるわけであります。石炭等の鉱害復旧なんかは、やはり通産省の予算に相当、巨額のものが盛られておるわけでありますが、採石現場も、あれと同じような地下産業ですから、どうしても鉱害が起るわけです。陥没事故が起きる。その中で、やはり立ちのきもしなければならぬというような状態も起きる。これらに対しては補償も何もないわけです。こういうようなものに対しても、やはりこれから予算検討をしていただかなければならない面も起きてくると思いますので、この点の御見解と、それから、今申し上げた基礎調査の問題でありますが、これも、災害協議会、現地に県、市それから業者等でつくりました協議会、こういうようなところで、どうしてもこれだけは必要だということで、今たしか五百万ぐらいの調査班は最低限度かかると言っておる。もっとふえると思いますが、このくらいかかる。これの捻出方法等につきましても、洞においてもやはり何らかの補助をしていただかないと、これが可能にならないのじゃないかというようなことも懸念されているわけでありまして、それらについて予算でめんどうを見ていただくというような、もちろん現地も負担する気持でおりまするけれども、国においてもそういう問題について御配慮願えないものかどうか、この点を最後にお伺いしたい。
  68. 川出千速

    ○川出政府委員 石炭の問題もございますが、採石の災害は現在のところ大谷という地区の問題でもございますし、先ほど私が申し上げましたのは基礎的な調査でございまして、鉱害防止の一般的な問題につきましては、まだ今後の問題ではないかと考えておる次第でございます。基礎的な調査費用につきましても、実は大谷地区の予算ということで三十八年度きまっておるわけではございません。基礎的な調査をする費用が全体でどのくらいになりますか、現在東京通産局及び連絡協議会が中心になって計画を策定しておるように聞いております。これは五百万でございますか、そのうちに最終的にきまるだろうと思います。これは一年間ではないわけでございます。そうなりました際に、現地調査専門家を派遣したり、いろいろしなければ、先ほども申し上げましたように、非常に危険な調査でございますので、困難だと思います。その際は、国も予算を取りまして、現地に人を派遣いたしまして、派遣する場合の経費等は負担をするということを考えておる次第でございます。
  69. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 平面図だけではだめで、立体図というようなこともありますので、これは専門的に十分におやりになっていただきたいと思うわけであります。  最後に政務次官に、鉱害問題伺いますが、これもやはりこれから大谷と同じような場面も出てくるだろうし、石炭における鉱害はちゃんと巨額なものが組んである。性格としては同じなんですね。こういう点で将来の問題として検討される御用意がありますか。
  70. 廣瀬正雄

    ○廣瀬(正)政府委員 法律改正の問題につきましては、あなたから御質問がございまして、私から答えましたのは、改正方向に向かって松対するということで、これはぜひ果したいと思って努力をいたしておりますが、今の鉱害の問題につきましては、どうもなかなか簡単にそのようにというような返事はできませんけれども、検討はいたしてみたいと思っております。
  71. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 その問題は保留いたしまして、いずれまた商工委員会等でやらしていただきたいと思います。  では、どうもありがとうございました。
  72. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 続いて農林省所管についての質疑を許します。川俣清音君。
  73. 川俣清音

    ○川俣分科員 きょうは主として食管会計中米の問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。  そこで、まず第一に、これは政務次官も聞いてほしいのですが、三十八年度農林関係予算農林大臣の説明がございます。「第一に、食糧管理特別会計について申し上げます。まず、国内産米の管理につきましては、現行方式を継続することとして、昭和三十八年度における米の集荷目標は六百九十万トン、売却数量は現行の配給限度数量を維持することとして六百七十九万九千トンとし、昭和三十八年産米の政府買い入れ価格(予算単価)は、」一応、——一応というのは私が入れたのです。「三十七年産米についての買い入れ決定価格と同額の百九十キログラム当たり一万二千一百七十七円、」、すなわち慣例によって前年度産米の決定価格と同額にしたのであって、「消費者価格は現行通りといたしております。」、ちょっとよけいなことをつけ加えましたが、これで間違いないと事務当局はお考えになっておりますか。これを根拠にして質疑をしていってよろしいかどうか。誤りあるならば、今のうち訂正願いたい。
  74. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 「一応」を除いて、その通りでございます。
  75. 川俣清音

    ○川俣分科員 私が「一応」と言ったのは、私の理解ではそうだ、こういうことで申し上げたのでございますが、そういたしますと、それに基づいて質疑を進めて参りたいと思いますが、水稲玄米の全国収穫高は、品質基準はどのように見積ってって収穫高を出しておるか。
  76. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 三十八年の収穫晦は三十七年と同じものを、見ております。これは、経済企画庁経済基本的大綱ですか、あれでも、三十八年産米は三十七年産米と同じ土産という、予想を立てておりますので、それを使っております。
  77. 川俣清音

    ○川俣分科員 それはおかしい。農林省が収穫高を審議にかけて閣議決定を待って発表しておるわけですね。その収穫高の中には、どんな種類の米がこれだけの収穫になっておると発表されたのか、その内容をお聞きしておるわけです。
  78. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 私の記憶では、三十七年度産米の一、二等あるいは三、四等の等級別の買い入れのものは検査をいたしますからわかりますが、生産尚全部について、それがどういう等級のものかということは、自家用もございますし、検査をしないものもございますから、全体としてどういうことになっているかということはわからないのじゃないかと思います。
  79. 久我通武

    ○久我説明員 ただいまの先生の御質問は、米の生産高統計はどのように出すかということについての御質問でございましたが、統計を出します場合には、一応たしか一・七ミリの縦目ふるいを使いまして、それから落ちましたものは一応くずである、それ以上のものは全部玄米とする。従って、検査規格の四等基準以上のものに大体該当する、こういうことで毎年統計をとっております。ただし、ただいま申し上げたように機械的にやっております意味は、毎年の米の生産量を比較して参りますときに、基準が同一でございませんと困りますからそのようにしておりますが、実際、たとえば政府に販売される米はそのふるいで落ちたものをくず米とし、その他を米生産量とするという、この基準ばかりではいけないことがございます。たとえば、被害が相当ありました場合には、その段から落ちましたものでも米にしなければ、実際、これは政府も買い入れられるわけでありますから、そういう場合には落ちましたものの中から、さらにこれは検査の規格と合わせまして、米になるものは米に入れるという形で、とってやっておりますから、一応四等以上の米全部を産炭高にしておる、こうお考えいただいてけっこうかと存じます。
  80. 川俣清音

    ○川俣分科員 大体、その通りなんですね。そこで、いわゆる調査過程において、網の目をくぐったものは米とみなさないということなんですね。すなわち米の生殖高には、米以外のものが入っていないということが一つと、この米でも実際上食糧に向くもの、向かないもの等もあるけれども、一五の納米からいえば一応の米であると認定された生産高だ、 こう理解をして話を進めます。  実際は、これはくず米等が出た場合には、米でありますから、三等基準に換算をし直して収量を決定するということをやっておるわけであります。そのことはあえて追及するわけじゃない。生産量についてはこういう問題が中にあるということだけは確認しておいて前に進めたいと思います。  従いまして、良質であるとか味覚の優秀なる米がこの中に存在することも事実だけれども、必ずしも全部そうではないということが一つ。もう一つは、優良米といわれるような米はいわゆる良質ではないけれども、多収穫の品種と比較した場合には、当然収穫量が総体的に低いということはお慰めでしょうね。
  81. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 個々の品種についていろいろ差はありましょうけれども、一般的にはそういうことがいわれております。
  82. 川俣清音

    ○川俣分科員 次に、政府の買い入れ米はどんな品種が人っておりますか。名前はあげなくてもいいが、何種類くらい政府は買っておりますか。これは検査のときには品種名がついている。従って、大体おわかりになっていると思うが、正確でなくてもいいが、何種類くらい政府買い入れ米の中にありますか。
  83. 田中勉

    ○田中説明員 現在生産されておる品種は、全国的にいえば二千種類といわれておりますが、おもだったものはせいぜい二、三百くらいのものだと思います。だから政府の買い入れも、大体そういう生産の分布に似て政府の買い入れが行なわれておるということでございます。大体申し上げますと、たとえばコシヒカリ、ホーネンワセあるいはササシグレ、いろいろなものが具体的にはありますが、大体生産されておるものが政府の買い入れが行なわれておる、こう見てよろしいと思います。
  84. 川俣清音

    ○川俣分科員 今の御説明の通りですこれは正確にわからぬということはないのです。何種類買っておるかということは、 政府管理米の規定の中に——自分が管理しておる米はどういう種類のものがあるかということは、概要くらいは御存じでなければならぬはずだと思うそうでなければ十分なる管理はできない。およそ三百種類くらいではないかと言われたようですが、その通りでよろしいと思いますが、そういういろいろな種類の米をお買いになっておるということだけここで確認をして、次に進みたい。  ちょっと問題がそれますけれども、小産費調査中に種もみの価格の算定がございます。これは本来からいくならば、調査後の米を資料にしておるのですから、そのものの品評の収穫高でなければならぬはずですね。調査対象はその米を対象にして調査をするのであるから、その種もみの価格でなければならぬはずです。その種もみを買って収量を出したのですから、その収量は種もみと密接不可分のはずです。ところが調査の約束であるかどうか存じませんが、できるだけ種もみの価格を普遍的にとりたいというところから、概してその調査地方の付近における比較的普及しておるものの価格をとる、あるいは将来、これからでも普及するであろう普及率の高いと認められるような種類の種もみの価格を基準にとって算定しておるということを、調査部長お認めでしょう。
  85. 久我通武

    ○久我説明員 その点はただいまおっしゃった通りでございます。ただ御承知のように種もみは、現実に全部売買されておるものでにない自家で生産したものが非常に多いということもございますので、そこで、出産費計算をいたします場合には、個々の農家の品種も、これも個々の農家によりますと四、五種類くらいはあるわけでございますが、それも明瞭にわかりませんし、圃場の、たとえば生産費は、その農家が全部でいたしますから、結局明瞭になりませんということもございますし、圃場ごとの品種というものでございますがきめて参るということは、調査上非常にむずかしいものでございます。そこで、ただいま先生のおっしゃいましたように、ごく一般的なその地方の品種の価格を使うということにいたしております。
  86. 川俣清音

    ○川俣分科員 今私は、その調査の仕方が悪いとかいいとかいうことでなくて、そういう事情のもとに小産費調査も行なわれているという前提が必要だったので、この質問をしておるわけです。さらにそれでは、今度はもっと詳しくお聞きいたします。  政府の需要計画の中に、うまい米だとか、あるいは良質米と名づけられておりますが、言葉はどうでもいいのですが、すなわちまずい米あるいは良質米等区別して需給計面が立てられておりますか、従来は立てていなかったのでありますけれども、特選米制度をしくと同時に、この需給計画が立てられていなければならないと思うし、立てられておらなければ、将来立てる計画でありますかどうか、その点を、承りたいと思います。
  87. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 うまい米、まずい米というようなことで需給計画を立てておりません。
  88. 川俣清音

    ○川俣分科員 そうすると、需給計画がない。その前にうまい米あるいはまずい米という言葉の問題がありましょうが、それはあと回しにしまして、需給計画がなければならぬはずだと思うのです。そこで、一番先に私が読み上げた大臣の説明、売却数量は現行の配給限度数量を維持して四千五百三十三万トンとする、これはみんなまぜてあるわけです。ところが実際は特選米制度をあらためて施行されたわけです。施行に伴って当然需給一価が立っていなければならぬはずだと思うのです。それなら特選米制度は無じゃないですか。あるいは配給米にも事欠くという結果になる。配給に回す米はこの程度、特選米に回わす米はこの程度、松元君の説明によりますと、二割程度の一等米、二等米が出てくる。その以外のものは普通米の配給に回すのだ、一応こういう御説明になっている。これは松元君勝手にやったのじゃないと思う。おそらく食糧庁の一つ計画をこれは発表したものだと私は理解している。松元君個人の意思じゃないと思う。従って、需給計画がありますか、こう聞いたのです。ありませんというのはおかしいじゃないですか。
  89. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 私の申し上げ方が悪かったかもしれませんが、特選米の原料となりますのは一、二等の玄米でございます。それから普通米になりますのは三、四等、こういうことでございます。特選米の原料としての一、二等をどういうふうに配給するか、それ以外のものをどういうふうに配給するか、それはもちろん計画を立ててやっておるわけでございます。
  90. 川俣清音

    ○川俣分科員 需給計画というのはそれじゃないです。一応の目安なんです。目安を聞かなければ前へ進めない。二割ということになりますと、四千六百万、石の二割というと九百二十万石くらいが特選米へ回っていく。これはおよそですよ。これはこういうものに書かれたのだからそんなにこまかいことまで言うのではない。これもおよそですが、二割言われる。二割かどうかこれは問題なんですけれども、一応二割と見てよいでしょう。その年になってみて二割近くになることもあるし、二割を欠けることもあるのだけれども、そういうことでおよそ二割という説明は必ずしも不当な説明であるとは思わない。しかしながら、一応の計画がなければならぬ。一般の人々は特選米というものはどの程度あるのか、あるいは配給米というものはどの程度あるのかという数量をつかんでいないのですよ。そこで、需給計画があるでしょう。今の計画のままでいけば、何月ごろまでにはもう特選米というものはなくなる、こういうことも予想されてくるわけです。そうするならば、特選米も自由に売るのではなくして、何月はどのくらい、何月はどのくらいという計画がなければならぬ。早く売ってしまったらなくなるじゃありませんか。限度があるのですからね。それで、計画がありますか。ないとすればすみやかに立てなければならぬと思いますが、その点について一つ長官の意見を聞き、この点は、大臣がいないのですから、政務次官にも聞かなければならぬ。内容じゃないのです。計画を立てるべきじゃないかというのですから、これは政務次官、答えられますよ。
  91. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 ですから、先ほど申し上げましたように、一、二等をどういうふうに光るか、三、四等をどういうふうに光っていくかという計画はあるのでございます。お話のように、一、二等を原料とする特選米が今一応二割くらい消費されるだろうということで見当をつけております。もっと需要が強いということになれば、特選米の原料としての一、二等は大体二割くらいしかございませんから、普通米だけになってしまうということはあり得るわけであります。特選米は必ず需要に応じて配給するという保証はしてないわけです。ただしかし、普通米と一緒にして、ここに書いてございますように、配給限度までは配給し得るのであります。そこまでは必ず差し上げますということになっております。
  92. 川俣清音

    ○川俣分科員 そこで、私の質問に対してはごまかしがある。これは新聞発表ですから、私がきょう大臣を呼ばないのは、そういう新聞に出たようなことでもってここで突き詰めたくないから、非常に遠慮したのですよ。大かた政府及び自民党の人の了解するところでは、一般大衆、消費者の理解するところでは、特選米というものは自由米だから——自由米じゃないにいたしましても、自由に買えるものであるから、従って、これはうまい米を確保できるのであるということで、何用でなくなるのだというような印象は時っていない、政府も、また自民党でも、非常に無責任な宣伝をする人もあるのかもしれませんけれども、あるいは無限にあるような印象を与えている。計算をするあなたの方はそうじゃないかもしれませんけれども、需要計画というものがはっきりして、いないものだから、いつでも買い得るものだという印象を与えていることだけは事実ですね。計算してみると二割程度だというと、今の状態でいくともう底をつくことは計算上は明らかである。だから、毎月幾らか光り惜しみして長引かせていくという方法もあるでしょう。いや、特選米については、需要に応じてどんどん売り出していくのだということになると、ある期間になると、それ以後はないという結果になる。毎月これだけより特選米は出さないのだということになると、これは引き延ばすこと一もできるでしょう。そこで、計画があるのですか、どうですかということを聞いている。その前に、政務次官どうですか。みなの印象はどうでしょう。希望があるならば、ほとんどそれに応じられるのだという印象を与えている。
  93. 津島文治

    津島政府委員 ただいまも長官から申し上げました通り、大体二割、こういうのでありますから、二割よりないのでありますから、それ以上特選米に対する需要がふえると、やはりいつかはストップという形になると思うのであります。
  94. 川俣清音

    ○川俣分科員 政務次官、今初めて気がついたでしょう。今までそうは理解していなかったでしょう。特選米制度と普通米制度があるのだが、どっちも政府の米なんだから、相当期間これを実行できるものとおそらく期待しておったと思うのですよ。首をかしげても、そうでしょう。今初めて、二割だから、早く食えば、需要が旺盛になれば、早い機会に打ち切らなければならない。打ち切ることがいやだとすれば、食い延ばすように、毎月適当な特選米を配給していくということになる。どっちかにならざるを行ないですね。そこで計画がなければ不親切だ、こう質問をしているのであって、どうですか、政略次官、不親切じゃないですか。みんなが早く食えば限度になる。そうなっちゃいかぬから、特選米であっても、毎月この程度よりも光り出さないのだ、食い延ばすためには配給できないのだ、こう教えてやらなければならない。そうでなかったら、なくなったときに明らかに問題が起きますよ。問題を起こさないとすれば、毎月幾らか制限していくか、食うままにまかせておいてお手あげだ、こういうことにするのか、どっちなんですか。
  95. 津島文治

    津島政府委員 特選米というのは、何しろ今年初めての問題でございます。ですから、今まで例がないことでありますから、先生が今おっしゃる通り、どれくらいの需要がその月にあってどうなるか、そういうところまでの計画というものは非常に立てにくかったのではないかと思ております。
  96. 川俣清音

    ○川俣分科員 二割よりない、早くいうと、この大臣の説明によると、集荷目標は四千六百万石、この四千六百万石に対して二割というから、九行一十万石が大体一等米、二等米だ。九五二十万石だと何カ月食えるか、こう見なければならぬでしょう。需要はどうであろうとも、毎月ならばどの程度の売り出しがで、きるかという考え方——需要にまかせてやるというなら非常に無責任じゃないか。それならば、ある程度になるとストップしなければならぬ。一般の人間はだれもそう思っていないですよ。従って、もう七月、八一になったならば特選米というのはないの、だ、こう言わなければならぬのに、そうは——これは値上げをしたものだから、一四%——この一四%も怪しいのですけれどもね。値上げの口実のために特選米というようなものを使って、幾らでもうまい米を食わせるのだから、値上げに応じろ、こういうことなんです。だから、だましたというのです。ないものをあるように言って値上げをしておいて、しかも値上げをした理由であるところの特選米の制度も行き詰まる、こういうことなんです。買い手がなければなお行き詰まるのです。そういう見込みで歳入を考えておる。売れなければなお困る。売れ過ぎたならば、うそを言ったということになる。これは王手飛車なんです。どっちかなんです。そうでしょう。残ったならばどうするのです。それだけ見込んでおったものがまた赤字になる。赤字になった責任は、消費者の責任でもなければ生産者の責任でもない、計画を立てた食料庁の責任です。売れなかったなら、特選米制度について全部消化できなかったならば、これは食糧庁、農林省責任ですよ。もしも売れ過ぎた場合に、需要が旺盛だった場合に、それに追いつけないといったならば、これも食料庁の責任です。そういう説明はしてない。してないでしょう。今までも、私が聞いてすら、需要計画がはっきりしていない、こう言うのですから、そうしたら無責任のそしりを免れないじゃないですか。それがあなた方は、ただ値上げするに何か口実がないといけない、これを使えばみんなが飛びついてくるだろう、こういうことで特選米制度をしいた。こういううまい米を売るのだから少しくらい高くなってもいいだろう、今までのまずい米よりもうまい米を食わせるのだからいいだろう、——わざわざうまい米なんという言葉を使ってごまかしている。ほかの人が言うならいいですよ。米屋さんがうまい米なんて言うならいい。農林省がうまい米なんというのは、何にも、規格の中にも、農林省の規程の中にも、うまい米なんてない。松元君に言わせると、一等米、二等米がうまい米だ、こう認めてもらうよりほかない、こういう言い方です。認めてもらいたい、こういうわけでしょう。どういうのかというと、説明によりますと——これは私が言うのではない。食料庁で最も熱心に食管制度を検訂しておられる松元君、——これは尊敬しているのですよ、尊敬しない人のは引例しないですから。特選米は、精白度が高く、ぬか切れがよく、胚芽の残存度がよい。精米の検査規程によりますと、精米の一等規程はこの通りですね。玄米でなく、精米の一等規格に当てはまるような精白度にいたします。こういうことなんですね。従って、それは粒ぞろいなど形質が良好で——粒がふぞろいでなく、形質がよくて、光がよくて、つやがあって、早く言えばこういう意味だね。これは私がつけ加えたのです。従って、粒ぞろい等形質が良好、これは検査規程にあるですね。形質良好とは何か、こういう定義が検査規程にある。それに基づいた規格に当てはまるようなものを配給する、こういうことなんです。そういう説明です。そういたしますると、これらの米というものは、現在集荷されておる米集荷対象になっておりまする、いわゆる集荷目標でありまする四千六百万石からすると、こういうものを取り出すということになると、二割といいましても、実際精白すると二割を切れるのですね。二割ということになりますと、もう少し出さねばならないということにもなってくる。二割の数字がいい悪いは別にして、かりに二割とした場合には、玄米から九百二十万石出しましても、八百十万石より特選米にはならないという結果になります。二割が妥当として、九百二十万石玄米としてはあるけれども、それを配給するときには九百二十万石でなくて、八百七十万石というふうに精米としては減るわけです。玄米として二割であっても、精米にすると、こういう規格でいうと減ることになる。食糧庁長官、これはお慰めでしょう。
  97. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 玄米で二割なら、精米にして歩どまりといいますか、より以上白くするわけですから、精米にした割合は、二割だったらもう少し落ちるのは当然だと思います。
  98. 川俣清音

    ○川俣分科員 そういうことなんです。だから二割を特選米に回すのだということは、精米で二割ではなくして玄米で二樹だ、こうつけ加えなければならなかった。これはちょっと松元さんのミスなんですね。説明不足なんです。  もう一つは、自分が言う通り、普通の精白よりもさらに精白度を高く、ぬか切れがよい、こう言う。そういう米は確かにうまい米になる。ぬかくさくなく、特に夏などは腐敗が少なく、栄養は別としまして、舌ざわりがよくなることは間違いないと思います。しかし、そのように精白度を高めていき、ぬか切れを防ぎ、しかも胚芽の残存皮などというものを除き、粒ぞろいを選出して形質良好ということになると、つやの悪いものは回さないということになって、単なる玄米の精白よりも、もっと数量が減るということになるのです。ところが、私はきょう持って今るのを忘れてきたのですけれども、米屋の特選米の精白度を見ても、ぬか切れがしていないなんというものはないのです。ぬか切れが相当強いのです。首を振るけれども、月曜日に時ってきましょうか。説明の通りじゃないのです。しかも、どこでわかるかというと、一升にして重量をはかってごらんなさい。ついて一升重量ではかれば、ぬかがあるかないかすぐわかります。ぬかがあれば重量が少ない。一升重量が四百匁あれば、それは形質もよろしいし、ぬか切れもいい、こういうことにかなります。それによってしろうとでもだれでもわかるのです。ぬかがついていると太くなってきて、一升重量が軽くなるのです。先ほど首を振っていたが、今度はわかったでしょう。
  99. 田中勉

    ○田中説明員 それはわかります。
  100. 川俣清音

    ○川俣分科員 従って、市場の特選米というものをはかってごらんなさい。四百匁ないですよ。それは、この通りすればりっぱな特選米になることには間違いない。特選米の定義としてはりっぱであるけれども、現実はそうじゃないということを、この際長官、よく覚えておく必要があるのです。さらにまた、食料庁の不正というわけじゃないけれども、ごまかしがあるわけです。  そこで、話がそれていくと、時間がないから前に進みます。一体うまい米、うまくない米というのは、農林省だって規格がない、法規もないということを言いましたけれども、農林省予算を取っておる資料の中に、昭和三十五年度作物統計、この中の二百七十六ページ「米生産篇」これによりますと、「昭和三十四年産水稲うるち県別主要品評普及率」というものを調べております。農政局で品種奨励をしておる米ばかりではありません。優良品種の奨励をし、予算要求もすでに行なわれておるわけですね。今始まったことではない。そこで、府県に委託をいたしまして、これは食糧庁の予算であるか、前の振興月の予算であるかはつまびらかではありませんけれども、府県に委託をいたしまして、品種の普及率並びに品種等の試験をしておられる。これは農林省がいい米あるいはうまい米というものに対して無関心でもないわけです。検査法川からいうと、うまい米というものはないけれども、奨励品種の中には、うまい米をつくろうという努力を払っておることだけは明らかだと思うのです。そうでしょう。
  101. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 先生御指摘のように、農林省といたしましては農政局、旧振興局といたしまして、良質多収の優良品質のものを奨励しようということで、一種の奨励事業をやっておることは間違いございません。ただ、御指摘になりましたうまい米という直接的な観点に立つ指導方針としては、これは先生の先ほど来のお話をいろいろ傾聴しておりましたが、はなはだむずかしい問題であります。従って、直接的にうまい米というものを端的に拾い上げて指導するという段階までには至っておりません。
  102. 川俣清音

    ○川俣分科員 そんなことではだめです。あなたの方の試験の目標に、品質、食味ということを指定して試験場に試験をやらしておるじゃないですか。食味が加わっておる。そんなことやっていませんと言うなら、それじゃこれは勝手に食味をやったのですか。そうではない。県に委託する場合には、あわせて食味も試験してもらっておる耐病性はもちろんのことです。答弁と違うじゃないですかこれは勝手にやったことになりますか。そうじゃないでしょう品質の上等が食味の上等だということには、試験の結果によると必ずしもなっておりません。従って、最近の動向を見ますと、これは水稲主要品種特性調べですが、極増したもの、増加したもの、やや減、減少、極減というふうに分けて、今後の品種の動向というものを示しておる。これによりますと、先ほど第一部長からお話のように、食味のいいものがだんだん植え付けられてきておる。食味がよくなって参りますと、収獲をある程度犠牲にしてみても食味に、重点が入る。かつて、戦争直後は、食味よりも、品質よりも増産をしなければならぬというときになりますと、多収穫品・種というものが非常に横行した。現在のようになってくると、今度はあなた方の奨励方法は、多収穫よりも品質並びに食味、並びにいわゆる生産性の高いものということになる。多収穫が生産性が高いということにはならない。わずかな投資で収入の上がるものということになってくる。そこで、一体ほんとうにうまい米を食わせるということでああいう宣伝をしたのか、うまい米じゃないけれども、上等米ならばまずしろうとにはわからぬから、上等米を食わせればうまい米だと思うだろう。うまい米かどうか、この点は食料庁交官、何とお考えになって宣伝していらっしゃいますか。
  103. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 先ほどお話がありました二割くらいということですが、私ども大体二割程度のものが持逃米として消費されるのじゃないだろうかということで計画をしております。おそらく最初のことでありますから、これに多少の効きが将来あるということはあるかもしれませんけれども、今の段階では二割くらいのものが年間に消費されるのじゃないか、こういうふうに思っております。今の特選米は始まったばかりですからなんですが、大体そんなふうにいくのじゃないかと見当をつけております。  もう一つ、ぬか切れが悪いのが横行しておるじゃないかというお話、これもまだ出だしで、米屋さんがそう不正をしておるとは思いませんけれども、技術的な問題などがあって、多少そういうものが出回っておるということもあろうかと思いますけれども、そういうものがないのが先ほど川俣先生のお読みいただいたような規格のもので特選米、うまいまずいということは、この間予算委員会農林大臣が、調理方法にもよるし、すしに使う、お茶づけに使う、人によって違う、関西と東京では迷うという話がありましたが、あの通りだと思います客観的な基準というのは、これはございませんので、先ほど、品種の試験の中にうまいまずいというのがあるということでございますけれども、これもその土地土地の、あるいは食べた人の主観なり考え方が入っているのだ、そういうふうにうまいまずいというのはやはり自山取引の中で、個々の買う消費者がうまいまずいというような主観的な判断をして買い取るというようなことで確定されてくるものだと思います。そういう意味で、今の統制のワクの中でうまいとかまずいとかいうようなことは、今言ったようなことは論じられないと思いますけれども、しかし先ほど言われたようなああいう特選米ですと、見ばえもいい、舌ざわりもいいという意味で、一般的にうまいということ言えると思います。そういう意味でうまい米の制度をつくったということは私は言っていいのじゃないかと思います。
  104. 川俣清音

    ○川俣分科員 これをやっていると時間を食うのですよ、ほんとうは。将来はうまい米をつくるということは、一等米、二等米をつくるということになるのか。これは農政局としても食糧庁としても将来の計画に属することですが、どういう計画を立てるだろうかという見通しをつけたいのですが、それじゃ答弁にならないのです。時間を食うからやめておきますが、農林大臣があんなことを言ったのは誤りです。食味ということは、やはり客観的な食味でなければならぬ、それでなければ奨励品種は出てこないじゃないですか。人によって違うのだということになったら奨励品評が生まれてこないじゃないですか。奨励するからにはやはり客観的な食味のいいものということになる。あるいは中には分析までされて、脂肪が高いとか、あるいは蛋白質が多いとか少ないとかという検査までされておるわけです。そういう客観性を持ってうまい米というようにだんだんなりつつあるわけです。それを一体奨励するのか。いや依然として米の需給計画が、国内米によっては足りないから、外国米を輸入しなければならぬような状態であるからして、まだうまい米にいくのは早いのだ、こういうのかということが明らかにならなければならぬのです。ほんとうはこれは大臣でなければならぬのですけれども、ここまでいくと大臣はまた失言をすると困るだろうと思って、いない留守によく案を練っていただきたいということであなたにお尋ねしているのですが、これ以上はもう聞きません。  そこでさらに中間経費、この政府経費というものが中間経費として消費者に付加される可能性、強い影響を与えるものでありますがために、なかなか慎重でなければならないと思うのですが、毎年度、特に最近は予算と、決算と申しますか、実績とは大きなへだたりがございます。おおよそ三十六年度はこのへだたりが百二十億で、三十七年度は六十億です。これを入れて赤字だ、こう称しておる。実際はそれだけの赤字にならないのに、見積もりを過大にいたしまして百二十億。赤字を出す場合にはこれを入れる、決算の場合はこれは入れない。食糧庁というのはなかなかずるいやり方をするところだ、こう言わざるを得ないのです。  そこで主計官にお尋ねします。三十六年度の赤字見積もり百二十億は、実際は決算ではこれは自然に消えているのです。三十七年度は見積もりが、中間経費、政府経費の千二百四十円が千九十五円でとどまって百四十五円下がっているが、赤字を計算するときには千二百四十円で計算されております。これは松元君の説明には千二百円となっていますが、これはミス・プリントでございまして、千二百四十円で計算をしている。それで赤字というものが出てきた。赤字総額には千二百四十円という見積もりで赤字を計算されておる。国民に宣伝するときの赤字の中には、実際は赤字でないものを赤字だと称して、この解消を迫っておるというのが大蔵省の大体の考え方だと思うのですそんなことを平気で言えるのですか。毎年、予算と決算の間にわずか五円や十円なら見積もりの違いということもございます。百円とか二百円という違いがありますと、見積もり違いだというようなことはいえない。赤字を宣伝する上に必要なものとしてあえてこれを使っておられるのじゃないかと思いますが、この点についてはどうですか。それとも農林省予算をぶんどりする上に必要だからやっておられるのか。あなたはお認めになっておると思う。内容を知らずに査定されたわけでもないと思うが、主計官は一体どういう気持でこれを査定されたのか。前年の例をごらんになって予算と決算の間に開きがあることは明らかです。初めて出てきたことじゃないのです。当然査定の基準にならなければならぬはずです。いかがですか。
  105. 相沢英之

    ○相沢説明員 初めに食管の赤字をわざと多く見積もっておるというような意味のお尋ねでございましたが、それは誤解もはなはだしいものでございます。私どもはそういう考え方は毛頭ございません。ただ御案内の通り、この石当たりの中間経費は、それぞれ売却数社を分母にいたしまして、それの行当たりの単価を出す。従いまして分子になる各種の経費、集荷経費、班費、保管料、事務費、金利、そういうものの異動と、分母になります売却数量の異動とが影響するわけでありまして、当初見積もっておりました単価が実績において相当下がりましたことの一つの大きな原因は、たとえば三十七年度で申しますと、当初予算におきましては売却数品川千百六十万四千石見込みましたのが、実績では四千五百二万九千石というように一割近くふえております。この売却数量の影響だけでも、かりに分子となります政府経費の全体が変わりませんでも約一割下がる、つまり千二百四十円につきましては百二十円程度は下がるわけです。そういうことと、もう一つは金利につきましては、これは申し上げるまでもなく先生御案内の通り国庫余裕金の利用がどの程度できるかということによるわけでありまして、当初見積もりました際の国庫余裕金の利用率よりも、現実には歳入の贈与によりまして、また血管の赤字をできるだけ減らしたいという政府当局の考え方もありまして、余裕金をできるだけ食管に使う、こういったようなやり方も響きまして、相当食管の金利負担は減っておるわけであります。そういったような事情が結果的に政府の中間経費を単位当たり下げるというふうに働くわけでございまして、これは結果として非常に好ましいことになっておると思います。当初の見積もりが過大であった、国民を欺くものだ、そういうような考え方は毛頭ございません。
  106. 川俣清音

    ○川俣分科員 主計官、それはしろうとに説明するならそれでいいですよ。この計算というものは需給計画に基づいた予算なんです。需給計画のときには売却数量というものが見込まれていなければならぬ。売却数量についても幾らかの狂いがあることは明らかです。予算を決定するときには、主計官御存じでしょう。どれだけ買ってどれだけ売るかという需給計面が立てられておる。いつも買い入れの数量と売却数量と同じではないのです。需給計画に従って、売却数量というものは決定してくるわけですから、今年度の予算決定にあたりましても、どれだけ売るかということが当然計画があるはずなんです。よくあなた方はそういう説明をするのです。最初予算にはこのくらい売却数量はあったといいまするけれども、予算をきめるときには確かにまだ新米穀年度が始まる前後にやりまするから、見積もりが迷うことがあるだろうと思いまするけれども、あとの補正の機会というのは与えられておるのです。常に食管では、ときどき補正予算というものが組まれるわけです。従って、その訂正すべきにかかわらず訂正をしないで、米の値上げがきまってから訂正をするというやり方をするところに私はごまかしという言葉を使ったのです。しろうとにはわからぬからそういう説明をされるでしょう。現にもう十二月から一月になりますと、需給計画がどのくらいズレてきたか、あるいは十月で需給計画がどの程度変更になるかということがわかるのです。それでなければ来年度の予算は細めない。当然これは訂正すべきもの、補正すべきものなんです。減額補正をすべきなんですしに米減額補正というものは、やらなかった。そういう点がありまするけれども、それは説明にならないのです。農林大臣農林省も赤字をつくって、大蔵省から、一般会計からいろいろ引き出してきたい、または消費者に負担させたいというときには赤字をことさら好んで、誇大に宣伝をするきらいがある。そういうことは不親切なわけで、毎日の食料に関することでありまするから、国民に耐乏を要求するなら要求されてもいい、事情を正確に訴えて消費者を上げなければならぬとしても、そういう錯誤に落として承諾をさせるというようなことは、農林省将来の政策の上に大きな欠陥を上ずるゆえんだと思うのです。  そこで、さらに全需給計画の上で六百九十万トンで四千百六十万石ですから、このうち上質米を二割除くというと三等、四等米になる政府買い入れの価格は、これは四等以上の平均手取り価格でいくのです。それを基礎にして消費米価はいかにあるべきかということを検討しておるわけです。従来は一等から四等まで、あるいは等外米まで入れて配給しておる。今度はいい米を除くわけです。そうすると、安い米が少なくとも二百円の等級間差がありますから、すなわち上質の高い米は配給の方へ回さない、安い米を配給米にする。それを一等から四等までの配給であった価格について一二%上げたというのですね。そうでしょう。一二%上けたのは、従来ごっちやにして、いい米も食わしておった米を、基準にして二%上げた、こういうのでしょう、ところが、悪い米から見ますると、安い米から見ますると、一二%以上上がったという、ことになる。あるいは一二%上げた価格は、従来と比較してみて、最も悪い米は一二%以上上げた値段で売られる、こういうことになる。または別の言葉でいうと、悪い米をより高く売られるということになる、あるいは悪い米を食わされた犠牲を入れると一二%以上だ、こういうことに計算上なりまするが、食糧長官はどうお考えですか。
  107. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 従来の配給の米は、先生よく御存じだと思いますが、二等精米の規格以上のものということでございます。その今まで配給されておりました価格に今おっしゃつた一二%アップが行なわれた。今、配給されております普通米は、今まで配給を受けておりました二等精米規格以上のもの、規格は同じなんですから、普通米については、今までの消費者米価から一二%アップになったということにこれは間違いはないのです。
  108. 川俣清音

    ○川俣分科員 よく食糧長官、そんなことがぬけぬけと言えますね。従来は混合配給をしておるのですよ一等、四等というものを配合して配給しておる、それでは、今長官の言う通り説明すると、今後は混合配給しない、こう理解していいのですか。
  109. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 従来は、一、二等玄米からも二等精米以上のものができて、それが配給されておった。今回は一、二等玄米のいいところを生かして特選米ということにして、それ以下のものについては、今までと同じような配給規格のものができて、二等精米規格以しのものができて配給されておるのですから、今の普通米と今までの配給米との値段を比べれば、さっき申し上げたようになるので、あります。
  110. 川俣清音

    ○川俣分科員 そうすると、松元君の説明はおかしくなってくる。うまい米というのは一等米、二等米だ、こう言うけれども、長官の説明によると、三等米でも四等米でも、従来の一等米、工作米、それから三等米四等米をごっちゃにしたと同じような粘度に上げることができるから、従来と同じく配給することができる、こういう説明なんでしょう、そうすると、あなたの説明は、等米、二等米でこういう精製をしなければいけないのだ、それでなければ特選米にならないのだ。私は前から、三等米、四等米でも、歩減りを考えないで、精度を高めた精白をすれば、常に一等米なり得ると言っておるのです。これは計算上は別ですよ。米の数量が減りますから、、そういうことは言えませんが、本質からいうと、三等米、四等米、でも、精白度を高めて参りますと、確かにあなたの言われるような特選米に変えることができるわけです。しかし、それは非常に歩減りを高めなければならないから損だということはありますけれども、できないことはない。今の長官の、従来の配給と変わりないものを配給するのだということになりますと、三等米、四等米の精白皮を高めて配給するのだから二%以上の値上げにはならないのだ、量で減らしていくのだ、そうして質を高めていくのだから一二%以上の値上がりにはならないのだ、こういう説明なんです。私はおそらく従来通りの精白皮で配給されるだろう、従来通りの規格で配給されるであろうからして、それは三等米、四等米であるからして仕上がりになる、一、二等、三、四作を通年したものではなくして、それは三等米、四等米の安い価格のものであるし従来のような精白をすれば、それは一二%以上の値上がりになるんだ、こう言うんです。どっらでもいいです。どっちかです。
  111. 松元威雄

    ○松元説明員 先はどからどうも私の古きましたのがしばしば引用されておりますので、大体そこに書いてあることは正確でございますが、念のために補足説明をさしていただきます。なお、ただいまの長官の答弁とあわせまして、統一して申し上げますと、先生の御指摘は、従来は特選米、普通米という区分はなかったから、一等から四等の玄米を込みで光って、それから配給米をつくる。しかるに今度は、一、二等は特選米の原料に充て、三、四等は普通米の原料に充てている原料米、のうちいい部分が特選米に持っていかれたら、品質は落ちるはずである。従って、品質が落ちるから一二%以上値が上がる。もしかりに三、四等の精白皮を高めて特選米の分をつくるとしますと、その価格は特選米価格になっておるから、これも一二%以上である、こういう論点かと存じますが、長官の申しましたのは、従来はなるほど原料米は一等から四等までを混合で売っておりますが、配給米の規格は、二等精米以上というふうにいたしておるわけであります。もちろん以上でございますから、二等精米よりよい分も若干はありますけれども、しかし込みで売っておりますから、業者は採算からしてそういいものをつくるわけじゃございません。だから大部分は二等米相当分と見ざるを行ないわけです。つまり一等、二等という玄米は、材質からは非常にいい素質を持っておりますが、従来生かして使っていなかったので、それを今度の特選米制度は、その素質を生かすようにしたわけですから、いわゆる価値をフルに発揮させるようにした。そのために品質をよくして値段を高くいたしておるわけであります。そこで一、二等は、今まで質を殺しておって、いわば今の普通米相当のものしかつくっておりませんでしたから、そういう意味で、別段品質はそう落ちるものではない。従って、普通米の価格を基準にして、それで値上がり率を見てよろしいということを答弁したわけです。  もう一つの先生御指摘の問題は、三、四等から特選米はできないことはないという問題につきましては、おっしゃる通りで、これは物理的にはできないことはございません。特に三等となりますと、いわば規格の幅が広うございますから、その上位のものは、精白度を高めますれば、特選米になり得るものでございます。しかしながら、それを無限に認めますれば、非常に混同が行なわれやすい。もちろん若干歩どまりを落とせば採算上は悪くなりますが、その採算、歩どまりの点と、特選米と普通米の値段の差というものを彼此勘案いたしまして、業者が自分のそろばん勘定で三、四等から特選米をつくるということを無制限に放任をいたしますと、非常にこれは乱れるもとでございますから、そこで原則的には、一、二等は特選米の原料である、三、四等は普通米であるという指導をいたしておるわけでございます。
  112. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 川俣委員に申し上げます。時間も相当過ぎましたから、御協力を願います。
  113. 川俣清音

    ○川俣分科員 従来農民から貰うときは、大体精白二等以上ということになっておるのです。ところが生産者から買うときの検査基準をもって従来の配給米を検査してごらんなさい、全部規格外なんですよ。光りものにならないのです。規格外品です。これは物理上はもちろん米でありましょうけれども、価格上は一体検査に乗せると米の取り扱いをしないものなんです。三等米、四等米から精白して二等米以上にしてやるから、決して値上がりにならないと言うことはできない、実際業者もなかなかやれないことをやるわけだ。こういうことで、値上がりは一二%以上にならないという計算をするときには、そういう考え方をするでしょうが、実態に合わない。実際は値上がりになることはお認めにならざるを得ないと思うのです。これは時間がありませんから、別の機会に詳しくやります。  今度は、等外米は、従ってできるだけ混合配給はしないというような方針のようですが、等外米、等外米は配給に回さないでしょう。五等米は徳用米として扱っております。従って徳用米は配給には回さないということがはっきり言えれば、この際言明してほしい。多分そうだと思うのですよ。
  114. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 五等、等外は徳用米として扱っております。
  115. 川俣清音

    ○川俣分科員 もう一つお尋ねしますが、大臣がいないのでゆっくり聞けるのですが、大臣は消費米価を上げるときに、逆ざやであるために、間違って農民がもう一度米屋から買って、政府へ売り渡すようなことが起こる危険性がある、そこで消費米価を上げなければならないという理由をあえて述べられた。これは米価を上げるための一つの戦術として使ったならば別ですが、学者とか評論家とか、あるいは市場の人人が逆ざやだということは、私はそういう算術勘定をすることは必ずしも間違いだとは言えないが、農林省が、あるいは農林大臣が逆ざやなんということを言えるんですか。答弁は要らないが、説明だけしておきます。言えないのをあえて言ったということを責める意味でもありませんけれども、慎むべきだということです。だから大臣のいないところでやるんです。  政府の買い入れ価格は、平均手取り価格なんです。おのおのの生産価格じゃないのです。従って時期別格差金もありまするし、等級もありましょう、あるいは申し込み加算金も加わっておりましょう、運賃も平均運賃が加わっている、実態は、農民が売る場合は、平均手取り価格では買ってもらえないんです。時期がおくれれば安くなります。時期がいく、九月中ならば八百円の加算金がつきます。一カ月おくれるというと、その加算金は現実にもらえない。平均手取り価格もらえるのではない。そうでしょう。そういうことは、農林省の人は知っているはずなんです。十分知っているはずです。平均価格だ、こう言っているんです。おのおのの価格だとは言っておりませんよ、おのおのの価格だと言ってごらんなさい。十二月ころ持っていって、時期別格差奨励金や申し込み加算金はみなもらえるか、近いところから持っていって平均運賃がもらえるかというと、もらえない。そうなっていないんですよ。告示等はそうなっていない。自分で告示をしておりながら、あたかも告示なんかは知らぬ存ぜぬというような顔をして、逆ざやでございますと言うようなことは、世を欺くものだ。いかに赤字を解消するためにあせったとは言いながら、こういうことを農林省はやるべきじゃない。しろうとがやるなら別です。計算してみて、損があるじゃないか、逆ざやじゃないか。これならわかりますが、光るものが逆ざやなんて言えるものではない。逆ざやの場合も細々にはあります。ある期間、距離が短いとか、いろいろな場合はありましょう、平均価格で見るから、平均価格で買われ、平均運賃で見るから、平均と平均で見れば逆ざやだということはあるでしょう。ここでは迷うのだ。そのことはだれが知っているかというと、農林省や大蔵省は知っているはずだ。それをわざわざ農林省が逆ざやだなんて言うものだから、大蔵省がいい気になって逆ざやだなんて言う。それは、大蔵省の主計官のようなわからぬよらな人が言うのなら、そろばんを置いて、ああそうだと言うなら別でありますけれども、平均手取り価格なんです。個々の価格じゃないのですよ。政府の買うのは個々の価格なんです。まあ私は注意を喚起しておきます。これは答弁したらかえってぼろが出ますから、答弁をもらうのは控えておきます。  そこで、もう一つ最後に、これは松元君がいる間でないと困るが、もう三十八年度産米の買入価格の予想が立てられていいのではないか、事務ベースでお答えを願えるのじゃないかと思うのです。それは、なぜそういうことを言うかという根拠を示さないと答弁しにくいだろう。農業パリティ指数を見ますると、これは時間がありませんから私の方からやりますが、十二月のパリティが出ております。私のところには十一月のものはございませんけれども、大体の趨勢を見ますると、経済の成長の足取りと大体似たような趨勢で、農業パリティが同一方向を指向しているということは言えるようです。そういたしますると、生産費計算の基礎でありまする収穫量、あるいは現実に行なわれた生産費等の計算は、もうすでに確定しておる。集計は別にして、生産費の基礎である収量あるいは実際の経費というものがもう確定しておる。不確定な部分は、物価の変動の部分によって修正しなければならない。昨年の生産費を本年の物価指数で修正をするという修正部分が残っておるわけです。従って、物価の動向がわかれば、物価の動向が推定できまするならば、三十八年度産米の買入価格というものが大よそ推定できるのではないか、こういう推定のもとにおいて三十八年度の予算を私どもは承認を与えていきたい、こういうのであえてお聞きするわけですが、できていないというふうに答弁もできるでしょうし、ある程度試算をしておるという答弁もできるでしょう、どちらの答弁をなさいますか。
  116. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 まだこれから先の物価の効き、あるいは労賃の動き、年産費調査はもちろんまだ出ておりませんし、そういう試算をしてもございませんし、また、することもこの段階では意味がないと思います。
  117. 川俣清音

    ○川俣分科員 非常にいい話をお聞きしました。今、五月末あるいは六月初めに決定する物価の動向がわからないから、従って正確な算定はできない、こういう御答弁でございました。そうもあろう、こう思います。そうするというと、六月にきめる三十八年度の米も当てずっぽうなものであって、十月、十一月にならないというと正確な生産費計算による米価ではないんだ、自分たちきめているのは、一応の気休めの米価だということを逆に証明したようなものだと思いますが、そうじゃないのですか。そうでしょう。今、二月ですよ。二月で五月のことが想定できないからきめかねるのだというならば、六月にきめるということは、十月にならなければ容認が出てこないのだ。今、わずか三カ月先のことがわからないなら、五月に、十月や何かのことが想定できるはずがない、仮の米価だということを容認された御答弁だと思って、わが意を得たりと思いますが、不服がありましたら答えて下さい。
  118. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 米価をどういう方式で、どういう時期にきめるかということは、いろいろ今まで御議論があって、生産が済んでから、あるいはもう植付が始まる前にやった方がいい、いろいろ御議論があったところです。それがいろいろな議論の結果、今のような方式で、ああいう六、七月のころにきまるのがいいのだということになったわけでして、今私が申し上げたことから、そのとききめる米価が仮のものだということにはならないのだろうと思います。
  119. 川俣清音

    ○川俣分科員 これは、長官、逃げたってだめですよ。今はすでに三十六年度の生産費を集約して、それに物価の動向を見て五月にきめる、こういうことになっておる。過去の生産費ですからよくつかめないので、わずか三月後のことだけれどもなかなか今計算はできない。もう二月の末ですよ。三月になんなんとするときに、五月の末、六月の初めの米価も、いろいろ物価の動向や労賃の動向というものがわからないからきめられないのだ、とこう言われることは、六月に十月ごろの物価の動向や労賃の動向というものを、特に一番動くところの七月の労賃の計算というものが——七月はお盆で特に一番動くときです。それを待たなければだめだという答弁は、私が言う通り、五月、六月にきめるのは無理だという答弁に聞こえます。とこういったのです。それを延ばした方がいいといったのではないのです。あなたの答弁からいうと、三カ月先のことがわからない、とこう言うから、さらに五カ月先のことはわからぬでしょう、こういうことなんです。わからなければきめられないというならば、今わからないというならば、六月でもわからないということになるじゃないか、こういうのです。ものわかりがいいでしょう。もう三十六年にかかった収量・経費というものははっきり出てきているのですから、確定したのです。不確定要素じゃない。不確定要素の物価の動向、労賃の動向がわからないからきめられない、こういうことでしょう。もう生産費は確定している。集約、集計は別にしてもう確定している。変動の余地のないものです。それが材料で、その上に物価の動向及び労賃の動向をもって修正するわけです。その修正する見通しがつかないという答弁であれば、五月、六月には十月の予想はできないということになるだろう。従来は五月、六月に決定しても、大体の経済動向というものは見通しをつけられるから、これに大した誤りがないだろうということで米価をきめておる。見通しがつかないのだということなら、決定をすることは無理だということになる。見通しがあるということでやっておられる。二月の末になって、五月の予想がつかないから計算ができないんだと言われるならば、六月に米価をきめることは無理だということをみずから証明したと思うので、それはありがたく拝聴いたしましょう、こう申し上げたのです。私の聞き迷えじゃない。だから大よそ腹工合はあるでしょう。一つそれを言ってみたらどうですか、こういうことです。あまりむずかしくわからぬことを言うと、わかるように言わなければならぬ。
  120. 松元威雄

    ○松元説明員 先ほどの長官の答弁の趣旨を若干補足説明をいたします。  長官が見通しができないと申しましたのは、現在、御承知通り、米価の算定方式はございます。それを、今後もそのままとるかどうかは別問題といたしましても、その場合でございましても、あれは過去三カ年の生産費を基準といたしまして、そうして物価につきましては、同年の一月から五月までの物価、それから賃金は前年の五月から当年の四月、こういうことになっておるわけでございます。そこで、そういうことは六月に米価をきめます場合にはわかるわけでございます。もちろん、先生おっしゃいますように、今の算定方式で、当年の年産費をとらないで、過去三カ年の生産興をベースにすることがいいかどうかという問題は一つございます。しかしながら、六月きめますときには、それはもうきまっているわけでございます。しかし、現存では、なるほど三十六年、七年産米の生産はほぼ終了はいたしておりますが、遺憾ながら集計ができておりませんから、米価算定のトウールとしては、基本的に使用できないわけでございます。それから物価につきましての今後の変動もございます。賃金の変動もございます。そこで、そういう不確定の要素を大幅に入れて予算米価を算定することは、はなはだ適当でなかろうというふうに考えているわけでございます。
  121. 川俣清音

    ○川俣分科員 過去三年を平均する、三十五年、六年というものはもう不動のものなんです。動かない。その三十七年の集計ができないからと言うが、三十五年と六年は動きますか。あと物価で修正するだけでしょう。それがまだ、三年度平均ができないからと言うけれども、どこかへ行ってくるのと違って、ここではそういうことは許されない。三十五年、六年というものはもう確定している。これから調査だの変更だのという余地がない。できた結果の集計は別だけれども、確定しておるのですよ。不確定要素じゃないのです。調査上確定しておる。その確定したものに将来五月までに影響があるのは、物価による修正と労賃の修正が残っておる。しかし、これもパリティの動向から見ると、そこに大よその推定というものがあってよろしいんじゃないか。米価をきめるのは、米価審議会の議を経なければなりませんから、確定米価のことを言っているのじゃない。大よその見通しというものがつく段階ではないか。それはつかないというならば、六、七月にきめるということはうそではないか、こういうことを言っているのです。大よその見通しですよ。
  122. 松元威雄

    ○松元説明員 確かに三十五年、六年の生産費は確定をいたしております。もちろんこれを修正するわけはございません。しかし、本年の三十八年産米価をきめます場合には、従来の方法でございますれば、三十五、六、七の平均を使うわけでございます。そのうち五、六は確定いたしておりますが、七は文字通り不確定、七年度は生産費は確定しておりますが、集計はできていません。従って、米価算定の道具には使用できないということを申し上げたわけでございます。
  123. 川俣清音

    ○川俣分科員 私の聞いているのは、それによって見通しがつくはずだということです。正式な賢い入れ米価というものは米価審議会の議を経なければならないから、確定は別にして、大よそのことは言えるはずだ。これだけの、三万人の人員をかかえておって、長官以下有能な者をそろえておって、一体見通しもつかないなんという食料行政があるかということです。もっとわかりやすく言えば。今まで何をやっておるのだということです。三十八年度は大体どの程度になるかという見通しなしにあなたはやっているのですか、これからのことをどうやるかということがあなた方の仕事の大半なんです。ほんとうは、そこで大よその見通しがあってもいいじゃないですか。パリティから推定して、去年から見ると何割くらいふえそうだ、と従来の例から計算しますとできないわけじゃないでしょう。あなたできないと言うが、できますよ。政治米価で値上げしたのは別にいたしまして、事務的に決定した米価とパリティの動きとを見ますと、必ずしも並行してはいませんけれども、大よその見通しというものはつくはずなんです。私なんかは、きのうたった一人で鉛筆をなめていたって、大体の見通しはつくのですよ。それがあなた方の陣容をもってして昼夜前行でやってできないというのは情ないじゃないですか。見通しはあってしかるべきじゃないですか。それを公表する、あるいは確定米価にするんだ、そんなことは、私は一ぺんだって言わない、しかし役人として、企画課として、大体の見通しはこの辺にいくであろうぐらいな計算はしておかないというと、これは予算を組んで、また一般会計から幾ら入れなければならぬなんという大へんな問題が起こるから、今のうちに大体想定をしておく。これは、大蔵省の方がほんとうは想定しておかなければならぬのです。三十八年度の財政をやる者からしますれば、およそどれくらいになるかという見通しを持たないで、三十八年度の予算は組めないですよ。現実はどうですか。大蔵省がどう処理するか、これは別ですよ。大よそ何%くらい上がらざるを得ないであろう。それが承認されるかされないかということはなかなか頭の痛いことだけれども、事務的ベースにおいて計算すればこの程度になるというおよその見通し、大体何%くらい上がるという大体の見通し、金額でなくていい、パーセンテージでもいい、一つ言ってみて下さい。
  124. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 先ほどから企画課長が言いますように、未確定の要素もあるし、未集計の点もあるし、米価は非常に大切なことですから、そういうもので軽々しい見通しを立ててものを言うと、かえって誤解を招くことでもありますし、現状ではそういうことをしない方がむしろいいと思います。
  125. 川俣清音

    ○川俣分科員 未確定の要素というから、それで言うのですが、農業構造改革による耕作の方法、労力のつぎ込み方、肥料の投資量、機具に対する投資量というようなものが年々上昇していることはあなた方の説明された通りです。従って三十五、六、七と農業構造生産構造はみなおのおの違うのです。構造が違うものを算術計算で平均をしておるのです。構造改革事業を進めていて、毎年構造を変えていこうと予算で努力をしていながら、それを変わらないという前提のもとに立ってやっている。生産構造というものは従来と同じだという計算だ。三十八年の算定は、構造は変わらないという前提に立った三カ年平均でなければならない、そういうことでしょう。だから、予測だというならば、そのこと自体も、一体構造改善からいうと、せっかくあなた方構造改革をしよう、生産を高めていこう大型農機具を入れていこう、投資効果の上がるようにしていこう、投薬効果の上がるようにしていこうという構造改善をやっているのでしょう。それを無視する計算なんだ。三十八年度は従来の平均と同じやり方であるということでは、全く計画と計算とは違うのです。たとえば品種の問題でもそうです。今後こういう品種にしていこう言ったって、それを否定している。この計算も、農業進歩構造の変化というものを否定した計算なんです。五月にやるということは。これは、秋にやるならば別ですよ。だから、そんなりっぱなものがありながら、不確定要素があるから計算ができない、見通しがつかないなんていうのは、全く農林省が自分でつばを吐いて、自分でかぶるようなものです。みずから進んでやっている構造改善を否定し、進歩というものを否定することになる。農林省農業進歩を否定するなんということを、平気で言えるものじゃない。これは、資料がないからやむなく過去の平均をとったんだ、進歩のない時代にやったんだから、まあこれはやむを得ないんだということなんで、進歩を否定されているんじゃないと思う。ほんとうならば、三十八年度の米価は、三十八年度に投資された生産費というものがもとにならなければならないことが原則なんです。従って、見通しがないというならば、私は幾らでも言えるのですよ。大よそ何%上がるなんということを言ったっていいじゃないですか。そうしたら質問をやめます。言わない限り、これは質問しなきゃならない。
  126. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 農業にむろん進歩があるわけですから、米の価格をきめますのに、生産費・所得補償方式、ああいう生産費の一番新しいところのものだけをベースにして判断するという考え方もあろうかと思います。生産費は年々下がっておりますし、労働時間にしても非常に下がっておる。そういうものを使ってやるという考え方もありましょうけれども、今やっております考え方では、そういう単年だけとるということであっては、平均的な姿は現わせないという意味で、三年平均をとっておったのです。確かに今おっしゃるような考え方があると思います。研究問題の一つだと思うのですが、先ほどから申し上げておるように、米価の予測というものは、言ってみても、私むしろ誤解を招くだけのことですし、これは言わなきゃいつまででもというお話ですけれども、私はどうしても申し上げられないと思います。
  127. 川俣清音

    ○川俣分科員 新しい構造改善に基づく生産費というものは、生産費が安くなる傾向があるということは明らかです。それは米価が安くなる、だからそんなことに賛成するか、こう言われると思っておったんですよ。しかし、それは計算は計算だ。しかしながら、米価に大きな変動を与えてもいけないからということで、最終段階で平均をして変動率をきめるということは、これはいいと思うのです。計算は計算として、やはり農業の動向というものを、米価はたとい安くなろうとも、反映させるべきではないかと私は思うのです。それじゃそれをその年の米価にすべきかというと、これは、米価というものは年々大きな変動を与えてはいけないのじゃないか。消費者にも年々大きな変動を与えてはいけないのじゃないかということで、最終段階で政治配慮が加えられるとか、事務的に過去の平均と平均をしてみるというようなことの修正は、これは政策的な問題だと思うし事務当局にその政策を言えといっても無理だから、事務当局のべースで計算されるものはあるのじゃないかというのです。なければ私の方から言いますよ。大体八%から九%上がらざるを得ないと思われますが、それも否定なさいますか。
  128. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 どういうことがあるかわかりませんし、目下はそういうものをやっておりませんし、やる意思もございません。
  129. 川俣清音

    ○川俣分科員 この程度にしておきます。
  130. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明後二十五日午前十時より開会し、所管全部についての残余の質疑を行なうことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十四分散会