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1963-02-22 第43回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十二日(金曜日)     午前十時十三分開議  出席分科員    主査 中村三之丞君       亀岡 高夫君    仮谷 忠男君       周東 英雄君    藤井 勝志君       松野 頼三君    有馬 輝武君       岡田 利春君    加藤 清二君       川俣 清音君    兒玉 末男君       田原 春次君    稲富 稜人君  出席国務大臣         農 林 大 臣 重政 誠之君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  小沼  亨君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  山口  酉君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      五十嵐義明君         農林政務次官  津島 文治君         農林事務官         (大臣官房長) 林田悠紀夫君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)     太田 康二君         農林事務官         (農林経済局         長)      松岡  亮君         農林事務官         (農政局長)  齋藤  誠君         農 林 技 官         (農地局長)  任田 新治君         農林事務官         (畜産局長)  村田 豐三君         農林事務官         (蚕糸局長)  昌谷  孝君         農林事務官         (園芸局長)  富谷 彰介君         食糧庁長官   大澤  融君         林野庁長官   吉村 清英君         水産庁長官   庄野五一郎君         通商産業事務官         (石炭局長)  中野 正一君  分科員外出席者         海上保安官         (警備救難部         長)      樋野 忠樹君     ————————————— 二月二十二日  分科員伊藤幟君、松浦周太郎君、石田宥全君、  高田富之君及び田中幾三郎委員辞任につき、  その補欠として藤井勝志君、亀岡高夫君有馬  輝武君、兒玉末男君及び稲富稜人君が委員長の  指名分科員選任された。 同日  分科員藤井勝志君、有馬輝武君、兒玉末男君及  び稲富稜人君委員辞任につき、その補欠として  周東英雄君、石田宥全君田原春次君及び田中  幾三郎君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員田原春次委員辞任につき、その補欠と  して岡田利春君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員岡田利春委員辞任につき、その補欠と  して高田富之君が委員長指名分科員選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十八年度一般会計予算農林省所管  昭和三十八年度特別会計予算農林省所管      ————◇—————
  2. 中村三之丞

    ○中村主査 これより会議を開きます。  本日は、昭和三十八年度一般会計予算及び同特別会計予算中、農林省所管を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。  なお、質疑者の持ち時間が限られておりますので、政府側答弁はなるべく簡明に願います。  それでは、有馬輝武君。
  3. 有馬輝武

    有馬(輝)分科員 農林大臣に、最初開拓の問題についてお伺いいたしたいと存じます。この問題につきましては、先日大蔵・農林水産合同委員会において、現状について、また現在までの経過についてある程度伺いいたしましたので、委員長から御注意がありましたように、私の方も簡単にお尋ねをいたしたいと思いますので、大臣の方も簡単でけっこうでございますからお答えをいただきたいと思います。  一つは、この前お伺いをいたしましたところによりますと、戦後入植者が二十一万戸ありまして、そのうち離農したものが六万戸ある。しかも、残っておりますものにつきましても、これは、私が、狭い範囲でありますけれども、実態に触れ、またじかに話し合い、日常見ておりましても、離農寸前にあるものがほとんど大部分というようなところが多いのでございます。この点につきまして、津島政務次官も、当初出発点において、借入金の問題、あるいは計画のずさんさ、そういった欠陥について率直に認められておったところであります。やはり、基本的には、戦後、開拓出発点において、政府農地造成なり何なりやるべきことも開拓者自身に背負わせた、また、生活資金の二年なり三年なりの余裕を見てやらなかったという、いろんな欠陥が蓄積しまして今みたいな状態になったことは、農林大臣は十分御承知のところだろうと思います。問題は、その段階から落ちそうなところにある現在の諸君を、どういった形で救っていくかという問題であります。この点について、政務次官から鋭意努力するというお答えをいただいたわけでありますけれども、これは政府答弁で、現在までに、検討ということ、努力ということは、ノーということと同じなんです。ですから、ここではっきり大臣の方から、こういった状態にある開拓行政を建て直す具体的な方途についてお伺いをいたしたいと思います。
  4. 重政誠之

    重政国務大臣 御承知通り、これは振興計画にのっとって今のところはやるつもりでおるのであります。お話通りに、第一類に属する開拓者、これは一般農家と同様に構造改善なら構造改善体質改善の方向でやる、第二類のものを第一類に押し上げるために振興計画資金上のめんどうも見る、いろいろの施策をそこに集中して参る。それから、一番の問題は、第三類に属するという、とうてい農家として将来立ち行く見込みがないというものが若干は出てくるのではないかと思うのでありますが、これをどうするかということが一番の問題であろうと思うのであります。これに対しましては、離農勧奨をして、そうして他の職業に進ませる、あるいは技術の教育をするというような方法でいきたいというのが現在の振興計画になっておりますが、これを私どもは推進して参りたい、こういうことに考えております。
  5. 有馬輝武

    有馬(輝)分科員 何だかほんわかとして現実離れのした答弁で、私、いま少し開拓者現状について実態に即した手だてというものを大臣考えていただきたいと思うのです。  私はこの前も農林漁業金融公庫の総裁にお伺いしたのでありますが、償還期限が参っておりましても、借入金償還できないものが一億二千万円くらいあるという御答弁でありましたが、しかし、この内容について非常に疑問を残しておるわけなんです。といいますのは、実態は、利子の返還に追われまして、その利子を返すために新たに借り入れをやる、それから、償還期限が割と長期でありまするから、借り入れたものを償還に充てるということで、ほんとうの意味での営農に使われてない、こういう実態が非常に多いのであります。ですから、もうぎりぎりのところまで追い詰められておる。にもかかわらず何とかやり繰りをして参っておるというのが現状でありまして、それは前向きの姿勢でやり繰りをしておるのではなくて、とにかくもう落ちるところまでじんぜんと日を待っておるというような状態の中で資金の運用をしておる。こういう実態にあることは、これはもう大臣も御承知だろうと思うのです。その層に対してどのような措置をされるのか。私はこの前一つの具体的な問題としまして政務次官にお願いをいたしたのでありますが、今度海運利子のたな上げが行なわれました。やはりそういった措置で、前向きにさせるためには、現在までのその負債について、借り入れについて、一つの区切りをつけてやらないと、決してもう前向きにはなれない状態にまで落ち込んでいる向きがあるわけです。大蔵省銀行局長にお伺いしましたところ、海運利子のたな上げ開拓者に対するたな上げとはその性格が若干違うというような御説明がございました。これは大蔵省説明でありまして、政府説明としては私は受け取りがたい。そういう意味で、私が今具体的に出しましたこの資金のたな上げ等について考慮される余地があるかどうか、この点について大臣の御見解伺いたいと思います。
  6. 重政誠之

    重政国務大臣 第二類に属する農家、すなわち、農業団体その他町村等の協力を得て、そうしてこれを独立した完全な農家に仕立て上げることができるというような開拓農家、大部分はこれで、開拓農家のうち、第一類を除いた残りのものはこれに属する農家が多いと思うのでありますが、それらの負債の問題につきましては、振興計画を推進をいたします上において、端的に言えば、計画を樹立して資金融通をする際には、その負債の問題も考慮に入れて進めていく、資金融通もし計画も立てていく、こういう考えでありますので、負債問題は、第二類に属する開拓農家につきましては、そういう方法によって解決をいたしていきたい、こういう考えであります。問題は、その第三類に属する開拓農家諸君の問題が一番の問題になると思うのでありますが、これは、ただいまも御指摘通りに、他の農業以外のことに借金をした金を使ったというようなものもあるでありましょうし、いろいろの理由があると思うのであります。これを一律一体負債整理という形で取り扱うということは、これはよほどむずかしい問題があると私は思うのであります。そこで、これはその原因等を十分に究明をいたしまして具体的に処置をしていかなければならぬ問題である、こういうふうに私は考えておるのであります。
  7. 有馬輝武

    有馬(輝)分科員 その第一段の考慮に入れてということは、具体的にどういうことなのか、これが一つと、それから、今大臣のお言葉で、その資金がどのように使用されたかということも検討しなければならないというお言葉でありますが、その資金使途というのは、これはもうきわめて限られております。生計費なり、とにかく資金余裕がないのだから、たとえば、営農資金に振り向けられるものが、さっき申し上げましたように、返済の利子になったり、あるいは教育費になったりというぎりぎりのところでやっておるわけなんですから、その資金使途は明瞭なんで、問題は、それをどうやって前向きに解決するかということだろうと思うのです。この二点について、簡単でけっこうでございますから、お答えいただきたいと思います。
  8. 重政誠之

    重政国務大臣 第一の、第二類農家負債の問題でありますが、これは、振興計画を立てます際に、それだけの負債があることを前提にして、そうして、それを返済することを前提として計画を立てて、また資金融通もする、こういう意味であります。  それから、第三類農家については、いろいろその原因があろうと私は思うのです。金の使い方だけではなしに、事情がおのおの異なっておるだろうと思うのであります。そこで、これを一律一体負債整理というような形で取り扱うということは困難であろうと思うのであります。負債整理するならばそれによってりっぱに独立の農家になれるめどが立たなければ、これはそう簡単には参らない。いろいろの方法考えてやらなければならぬと考えるのであります。
  9. 有馬輝武

    有馬(輝)分科員 答弁としては一応形になっておるのですが、何と言いますか、私は口が下手ですから表現しにくいのですけれども、問題はそのボーダーラインにある。今、大臣は、負債整理して一応営農見込みのあるものについて考慮しようというようなお話でしたけれども、私がさっきあげたのは、とにかく負債で将来の計画なんかもう全然立たない状態にある。私がさっき申し上げましたように、政府でやるべき耕地の造成なり何なりというものをみずからやって、それが負債という形に変形してきたのだから、そのめんどう負債整理というような形でここできちっと整理することが、自立農家として立ち得る基盤をつくるのではないか、こういう意味お尋ねをしておるわけなんですが、その点についてどうなんでしょうか。
  10. 重政誠之

    重政国務大臣 御指摘のような農家は、場合によれば第二類農家として取り扱うこともできる場合もあるでありましょうし、あるいは、もう農業を経営するについて適当でないと判断をせられるものは、それらの土地等についての処分を考え、他の職業に転職を勧めるということもあるであろうと思うのであります。でありますから、これは一律一体にどういう方式によってどうするというわけにはなかなかいきがたい問題があると私は思うのであります。そこで、これは十分実態を究明いたしまして、それぞれ具体的に適当な方法を講じてやるよりほかはないのではないかというふうに考えておるのであります。
  11. 有馬輝武

    有馬(輝)分科員 その実態を究明し、適当な措置をいつごろまでにとられようとするか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  12. 任田新治

    任田政府委員 政府として第二次振興計画の構想を持っておるわけでありまして、初年度昭和三十八年度といたしまして、開拓地の二千四百の市町村のうち、初年度六百市町村を取り上げまして、その市町村内の開拓地実態を調査いたしまして、その地区々々について地区計画を樹立し、その地区計画の基準によって個々の開拓農家個別設計をいたしまして、そこで、すでに近傍の中庸専業農家水準まで達しておられる方々に対しては第一類という扱いにいたしました。また、あと相当債務があっても、個別の設計によって、従来の債務も含めて新たに融資考えまして、そこに農家としての自立経営ができる可能性が十分見られる方々に対しては第二類という扱いにいたしまして、第二次振興計画ではその方々を大いにプッシュしていく。それから、先ほども大臣がお述べになりましたように、それ以下の方々、家庭の構成員関係あるいは周囲の事情で、このままでは開拓農家としていってもこれは決して完全な自立にはならぬ、付近の中庸農家水準までにはほど遠いと思われる方に対しては別途措置をしなければならない。これをわれわれとしては第三類と申しておるわけであります。これは一昨年開拓営農振興審議会の御答申がございまして、その御答申にのっとりましてこういう計画を立てておるわけであります。ただいまの御指摘の問題でございますが、このような作業を第一年度といたしまして、三十八年度に約六百市町村開拓地について実施いたすわけでありまして、この実施の段階におきましていろいろ具体的に第三類の方々処置の問題が出てくるわけであります。この問題についてさらに一歩進めた対策を早急に樹立をいたしたいというふうに考えておるわけでありまして、まず初年度といたしましてこのような実態で共通の場が三類において見つかりまして、この程度のことは処置しなければならぬという問題が具体的に出てきた場合に、あらためて部内で十分検討して対策を立てたいというふうに考えておるわけであります。
  13. 有馬輝武

    有馬(輝)分科員 時間がきわめて区切られておりまして、四十二分までということでございますので、主査のあれは守らなければいけませんから、残念ですが、次に移ります。  次にお伺いいたしますのは、今度の開拓者資金融通特別会計の中で振興対策資金三十億を組まれておりますが、これの具体的な使途と、それから、営農促進資金が削られておりますが、これはどういう理由か、この二点について局長にお伺いをいたしたいと思います。
  14. 任田新治

    任田政府委員 ただいま申し上げました第二次の振興計画に関連があるわけでございまして、この三十億につきましては、従来のいわゆる振興臨時措置法に基づいておりますところの不振農家も含めまして、将来第二類の所属になります方々に対して融資をしようというふうに考えておるわけであります。この対象の事業といたしましては、基本営農資金と同様でございまして、農機具の購入あるいは家畜の購入その他農業施設の新設あるいは補修というような面に充てたい、かように考えておるわけであります。しかも、今回は、従来の五分五厘を五分にいたしたいというふうに考えております。また、償還期限につきましても、据え置き期間を含めまして二十一年に改めたいということにしておるわけであります。  それから、先ほどの促進資金の問題でございますが、これはもちろん包含されて扱われるということにいたしておるわけでございます。   〔主査退席仮谷主査代理着席
  15. 有馬輝武

    有馬(輝)分科員 あと七分しか残されておりませんので、きわめて残念でありますが、具体的な問題についてはまた機会をあらためて農林水産委員会その他でお伺いしたいと思います。  次に、貿易自由化の問題に関連いたしまして、これはその他の農産物についてもその節伺いたいと思いますが、本日は、砂糖自由化につきまして、国内産砂糖保護の問題と関連してお伺いいたしたいと思います。三省間で話が一致したとかしないとかと新聞で目まぐるしいばかりに報道されておりますので、この点について農林大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  16. 重政誠之

    重政国務大臣 政府といたしましては、経済閣僚会議におきましてその方針を決定いたしております。その方針に従って私といたしましては法律案を立案いたしておる、こういう段階でございます。与党の方との関係がございまして、今急いで打ち合わせをいたしておる段階でございます。
  17. 有馬輝武

    有馬(輝)分科員 農林大臣としてはできるだけこれを延ばすのだという御意向のようですが、そういう工合に受け取ってよろしいですか。
  18. 重政誠之

    重政国務大臣 ちょっと御質問の趣旨が十分受け取りかねますが、のばすという意味は、法律案の提案を延ばすという意味じゃないのでしょう。実質的に国内産甘味資源の開発を伸ばす、こういう……。
  19. 有馬輝武

    有馬(輝)分科員 いや、そうじゃなくて、私が質問いたしましたのは、言葉が要領を得なくてあれでしたけれども、砂糖自由化の中では慎重に国内産砂糖保護の点を考慮しなければいかぬ。また、その体制を整備しなければいかぬ。そのために時間をかけたいという御意向であるかどうかということです。
  20. 重政誠之

    重政国務大臣 私といたしましては、国内産カンシャでありますとか、あるいはビートでありますとかいうようなもの、あるいはブドウ糖原料カンショバレイショというようなものについての保護の政策は、もちろん今回政府の決定をいたしました方針の中に十分に取り入れてございます。そして、財政的な措置も、生産体制としては三十八年度に二十億を計上いたしており、さらに財政措置によって保護をする、こういう方針を立てております。従って、法律案を提案いたしまして、これを御協賛を得るということになりますと、急速にその法律案による制度等を整備いたしまして、できるだけすみやかに自由化をいたしたい、こういうつもりでおります。
  21. 有馬輝武

    有馬(輝)分科員 私たちは、この問題については絶対反対立場でありますし、また、今度政府が決定されました法案要綱に対しても多くの疑問点を持っておりますが、これはいずれまた日をあらためて御意見をお聞かせ願いたいと思います。  ただ、具体的な方途としまして、国内産砂糖保護する点等において、特に私はこれはもう五、六年前から大蔵省の人々にも訴え続けて参ったのでありますが、第一種甲類等に対する砂糖消費税撤廃、これは、大蔵省諸君は、ほかのものよりはずいぶん割安にしてあるのだという均衡論一点張りなんです。ですから、実際に生産に従事しておる諸君実態、また、特にカンシャ糖等について、農家の有力な換金作物である建前からいたしまして、政治的に考慮しなければいかぬということを率直に私は訴え続けて参ったのでありますが、この点について、消費税の問題について大臣の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  22. 重政誠之

    重政国務大臣 国内甘味資源保護するという建前から申しますと、にわかに消費税撤廃ということは私は賛成いたしかねます。国内甘味資源カンシャでありますとか、あるいはカンショバレイショ、あるいはビートというようなものを保護するためには、どうしても関税及び消費税の一定の税金を課さなければ十分でない、こういうふうに私は考えておりますから、消費税撤廃するならば、これを関税に振りかえるとかなんとかというような措置を講じなければならぬ、こう私は考えております。
  23. 有馬輝武

    有馬(輝)分科員 時間がありませんから論議しませんけれども、大臣、それは反対ですよ。関税消費税反対です。消費税生産者にふっかぶってきているのです。だから、消費税撤廃してほしいというのが生産者意向なんです。それと同時に、関税でもって輸入糖への対抗措置考えてくれというのが農民の率直な気持です。そういった立場から御質問申し上げておるのです。どうなんです。
  24. 重政誠之

    重政国務大臣 消費税関税に振りかえるという御意見であります。それは私も賛成であります。
  25. 有馬輝武

    有馬(輝)分科員 約束の時間になりましたから、甘味資源の問題、それからまたきょうの開拓問題で意を尽くさなかった点については、大臣ももどかしい思いだろうと思いますし、私ももどかしい思いですから、いずれ農林水産委員会でじっくりお伺いしたいと思います。
  26. 仮谷忠男

  27. 兒玉末男

    兒玉分科員 きわめて時間が限定されておりますので、要点だけを御質問申し上げたいと思います。  最初行政管理庁の方にお伺いをしたいのでございますが、一昨年の群れ九州監察局から行政管理庁に対しまして食肉行政に関するところの監査結果報告書が出されておりますが、私の調査したところによりますと、九州管区監察局の分は昭和三十六年の十月十六日、長崎地方局は同じく三十六年の十月四日、鹿児島地方局は同じく三十六年の十月九日に、行政監理庁の本庁において受理していることになっておりますが、この点は相違ないかどうか、まずお伺いしたいと存じます。
  28. 山口酉

    山口(酉)政府委員 ただいま、の日付につきましては、実は資料を持っておりませんので、はっきり申し上げられませんけれども、大体最終的の勧告を四月にしておりますので、従来の例から見ますと、問題によりましては三ヵ月から六ヵ月くらい勧告までにかかるものが間々ございますので、大体早いものはその程度の時分に地方報告書が来ておるものがあるかと思います。
  29. 兒玉末男

    兒玉分科員 監察局長が途中で交代されておりますが、特に食肉行政に関する勧告というものは非常に重大な問題でありまして、特に関係の深い農林省としては、当然三十八年度の予算編成についても十分に考慮すべき立場にあるわけでありまして、この点について、私は、昨年の四月四日の内閣委員会の際、当時の監察局長に対しまして、この勧告書内容がどういうようなものになっておるか、このことを内閣委員会の正式の機関において要求したにもかかわらず、今日まで全然その書類が届けられなかったということは、きわめて遺憾であります。同時にまた、監察局としてはこういうふうな出先機関からの報告書に対するところの取りまとめというものが非常におそい。そこで、私は、当時川島長官に対しまして、大体行政管理庁としては出先からの報告に基づいて勧告を出す場合に、関係各省意見を聞いた上でなければ勧告書は出せないのかどうかをお尋ねした。この質問に対しまして、川島長官は、そういうことは毛頭ございませんということを明確に答弁されておる。しかも、私が国会内閣委員会で取り上げてから初めてこれから勧告を出されるというような状況では、一体行政管理庁の任務と権限はどこにあるか、このことを私は強く指摘をしたいのであります。なお、特に私が申し上げたいのは、昨年の四月四日に内閣委員会において申し上げたこの勧告書が四月二十二日にそれぞれ各省に出されておりますけれども、私が要求しました勧告書について、なぜ国会議員に対してそれが配付できないのか、この点について局長見解をお聞きしたいということが第一点。第二点としては、先ほど触れましたように、出先機関からの報告に対してなぜ長期にわたり勧告書を出すのがおくれたのか。この二点について御答弁願いたいと思います。
  30. 山口酉

    山口(酉)政府委員 監察の結果を出しますのには、できるだけ早くするように努力いたしておりますけれども、地方で調べました結果というものがそのまま取り上げられるかどうかというのは、地方の狭い範囲の調査でございますので、確信を持てないものが間々ございます。特に、地方では地方機関のみについて調べておりますので、それが中央との関係でどういうふうになっておるのか明瞭でございませんので、地方の監察結果が出ました後にさらに中央で調べるわけであります。その際に、やはり中央でどういう方針をとっておられるのか、中央の事務はどういうふうに進められておるのかという点を各省本省について明瞭にしなければなりませんので、その間いろいろ打ち合わせをすることはやむを得ないかと思います。長官がおっしゃられましたのは、最終の意見を立てる場合は独自に公正と判断したものを出すので、各省意見で左右されるのではないということをおっしゃられたかと思いますが、それをつくるまでには、やはり、間違いない結論を出すために、各方面の方針なり考えなりというものを十分ただす必要は将来ともあると思っております。  それから、委員会に勧告書を配付するということにつきましては、実は私宅聞いておりませんでしたし、また、いろいろ記録を調べてみましても、そういうことにはなっておりませんが、従来、勧告をいたしましたものについて国会に配付しないというようなことはございませんので、委員長からの御要求によりまして配付したような例もございます。それは別に配付しないという方針は持っておりません。  できるだけ早く取りまとめろという御要求につきましては、今後とも十分そういう御意見を尊重いたしまして努力いたしたいと存じております。
  31. 兒玉末男

    兒玉分科員 過去のことをとやかく言うのではなくて、この問題は、勧告書の中身がきわめて貴重なものであり、しかも、食肉行政上重要な意義を含むものであるから申し上げている。私はそのことがいいか悪いかということをとやかく言おうとは思っておりません。  そこで、この勧告書に基づく中で、農林省関係が特に大きいのでございますが、ここで大臣にお伺いしたいのですが、農業基本法に示されておるところのいわゆる選択的拡大というのは、その中において特に畜産振興ということが大きな柱になっていようかと思うわけでございます。それで、勧告に対する全体的な項目についてあとで担当局長からお伺いしたいと存じますが、今年度の総体的な農林予算から判断いたしますと、この農業基本法の中における選択的拡大の中核をなす畜産面に対しまして、私は必ずしも積極的な施策が盛られてないように考えるわけでありますが、大臣としては一体どういうふうな構想で、この勧告書に基づくところの具体的な内容は別として、総体的な立場から三十八年度予算編成にあたって努力をされたのか、この点について、まずその大綱についてお伺いをしたいと存じます。
  32. 重政誠之

    重政国務大臣 御指摘通りに、畜産経営の拡大ということは、農業体質改善の上から考えまして最も重要な一つの部門と考えて、三十八年度予算の編成にあたりましても、流通機構の改善の面及び価格安定の面に対して所要の予算を計上いたしておる次第であります。
  33. 兒玉末男

    兒玉分科員 そこで、私は大臣に二、三お伺いしたいのは、特に流通機構の面で大きなウエートを占めております芝浦屠場のことでございますが、これは現在まだ中央卸売市場法の適用を受けていないと私は聞いておるわけでございます。今日一千万のマンモス都市である東京都の都民をまかなうこの大きなマンモス屠場が、農林省の重要な問題である流通機構改革のポイントでなければいけないのに、いまだにこれがそういうふうな中央卸売市場法の適用をなされていないのは、どういうふうな背景のもとにそうなっておるのか、この点について大臣の責任ある答弁を求めたいと存じます。
  34. 重政誠之

    重政国務大臣 これはもう御指摘通りであります。芝浦屠場の改善につきましては、若干の予算を計上いたして、都の方とも十分協議を遂げまして改善に着手をするつもりでおります。
  35. 兒玉末男

    兒玉分科員 私の言っておることは、中央卸売市場法の適用を受ける段取りをどうしているのか、なぜこれができないのか、その背景はどうなっているかということをお聞きしているので、その核心をそらされないようにお願いいたします。
  36. 村田豐三

    ○村田政府委員 便宜私からお答えをさしていただきたいと思います。  中央卸売市場の農林省におきまする行政は、農林経済局で担当いたしておりますが、畜肉に関する問題でございますので私からお答えをさしていただきますけれども、御指摘のように、芝浦の屠場は、確かにマンモス都市として、年間豚を初めとして非常に驚異的と申していいほど大量の屠殺が現在行なわれておりまして、しかも、その屠場で屠殺されましたものがその場所で相対で取引が行なわれておる。いわゆる中央卸売市場的なせりでありますとか、一般に言われます公開的な取引でなくて、相対的な取引が、しかも多数の売手と多数の買手との間で行なわれておる。取引形態はまことに非近代的でございます。兒玉先生の御指摘もその点にあるかと存ずるのでありますが、これにつきましては、われわれといたしましても、取引の近代化が非常に重要な問題でございますので、かねて、東京都庁に向かいましても、これを中央卸売市場化するように、施設の面、運営の面、これらにつきまして指導をいたしておるのでございまして、いろいろな事情がおくれて参っておりますけれども、都の方でも至急にこれを整備すべくただいま鋭意準備中でございまして、農林省の中でも、畜産局と農林経済局とでいろいろ相談をいたしながらこの面の促進をはかっておるような状況でございます。
  37. 兒玉末男

    兒玉分科員 特に、この点につきましては、昨年の五月であったかと記憶しますが、屠場の実態を視察しまして実に驚いたわけであります。実力大臣と言われる河野さんなりまた重政さんをもってしてもこの改革ができないことは、私はまことに遺憾だと思うわけでございますが、やはり、それは、生産農民の立場から考えますならば、このような取引が絶えず生産面へのしわ寄せということで、生産者がきわめて大きな犠牲になっている事実をわれわれは決して見のがしてはいけないし、また、ひいては、この流通機構の中における最大の欠陥であるこの屠場の改革なくして、いかに大臣が畜産振興を言われましても、その実効をあげることは絶対に不可能だと、私はこのように断言してもはばからないと思うわけでございます。でありますので、この点については、農林省当局としても、抜本的な改革をはかるために、勇気と確信を持ってこの改革のために乗り出していただきたいということを、特に屠場の関係については御要望を申し上げたいと思うわけであります。  次に申し上げたいのは、私は九州の宮崎でございますけれども、集約酪農等で今非常に酪農振興ということをやっておるわけでございますけれども、この前一斉に乳価の引き下げが一方的に生産農民の立場ということを無視して行なわれておるわけです。ところが、導入資金なり、いわゆる乳業の改善の貸付資金なり、また飼料等の面においては一銭も値下がりしないのに、自分たちが鋭意苦労をして出している乳価については、雪印なり森永等の大資本の資本力を背景として零細な農民の膏血をしぼっておる。このことは断じて許すことのできない問題だと私は思うわけでありますが、大臣としてこの乳価の一方的な引き下げに対しましてどういうふうな行政上の指導をして生産農民の立場を擁護するような指示をしたのか、また、今後の問題としてどういうような対策をとろうとしておるのか、この点についての御見解を賜わりたいと思います。
  38. 重政誠之

    重政国務大臣 御承知通りに、畜安法によりまして、審議会で決定をせられ、答申を待って農林省においてきめておりますのが、一升五十二円であります。この乳価五十二円は、法律上からも政府は絶対に支持をしなければならぬ義務があると心得ておるのであります。現在の乳価が下げられたというのは、実はこの五十二円ではない。その五十二円の上に、七円なり八円なり各乳業会社で奨励金を出しておる。この奨励金が、ところによって二円あるいは一円というふうに減額をされておるというのが実態であります。しかし、私といたしましては、支持価格の五十二円のみに重点を置くのではなくて、総体として農家の生乳の手取りが減らないようにやりたいという考えであります。そこで、先般乳製品の買い上げを約二十億円をめどに実行いたしたわけであります。これは今月の終わりまでにできるだけその買い上げを終わりたいというので、今鋭意その手続を進めておる最中でありますが、最近までのところで十八億数千万円の買い上げを終わったと思うのであります。そういたしますと、私は、乳製品の価格が持ち直してくるだろうと思うのであります。私は、この乳製品の買い上げが完了いたしましたら、三月の上旬には乳業会社とさらに協議をして、奨励金を減額した前の状態に復元するように乳業会社に対して要求をするつもりでおるのであります。乳製品買い上げの際には、もうこれ以上は減額しない、減額をした部分についてはできるだけすみやかにこれを復元をするようにということを要求いたして乳製品の買い上げに着手いたした次第もあるわけでありますから、その買い上げが完了いたしましたら、おそらく来月の上旬あたりには、私は、乳業会社に対して再度復元を要求をいたすつもりでおるわけであります。
  39. 兒玉末男

    兒玉分科員 私は若干具体的に申し上げたいのでありますけれども、今の大臣の御答弁では、現在一・八リットル、一升五十二円の価格を前の値段に復活するような指導をする御意思はないのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  40. 重政誠之

    重政国務大臣 ちょっと御質問の趣旨を取り違えておるかもわかりませんが、五十二円というのは、御承知のように、審議会で審議をせられました標準価格でありまして、これを復元するということは、ちょっと御質問の御趣旨がわからないのですが……。
  41. 兒玉末男

    兒玉分科員 全国の平均を私調べておりませんけれども、南九州地区においては今まで大体五十五円しておったわけです。これが三円ほど下がったので、率直に申し上げて、乳業資本の前に農民があえなくついえ去った。そろばんをはじいて、どんなに酪農をやれと言っても、採算がとれないでは、やる人がいないわけです。しかも、これから貿易の自由化ということを目前に控えております。この点はあとで少し触れたいと思うのでありますけれども、特に牛乳の導入資金の金利が大体一割から一割二分、しかも飼料は非常に高い。こういうふうな、たとえて言うならば、首をくくっている者の足を下から引っぱるようなやり方をやっておるのが今日の政府のやり方ではないか。でありますから、そういう価格の問題についても、五十二円ではとてもやっていけないので、さらに一升当たりの価格をもう少し引き上げるよう指導をすべきではないかということであります。  第二は、先ほど申し上げましたような、導入資金に対する金利の引き下げ、これの助成、さらにまた、飼料等の問題を含めて——一つ一つ申し上げないと答弁がしにくいようでありますが、あまり時間もないので、まず乳価問題について見解を承ります。
  42. 重政誠之

    重政国務大臣 第一点の御質問は、おそらく標準価格五十二円を引き上げろという御主張じゃないかと思います。これは、私、今何と毛申し上げかねるわけであります。これは改定の際価格審議会で十分御検討を願うことになると思うのであります。  それから、第二点の金融の問題につきましては、先般農林水産委員会において御賛成を得ました例の低利・長期融資制度を創設いたしまして、あれによりまして、その金利も六分程度になり、償還期間も非常に長いことになっております。据え置き期間中はさらに六分より安い五分五厘というようなことになっておりますから、あの制度を運用いたしますと、御趣旨に沿うようなことができる、こう考えます。
  43. 兒玉末男

    兒玉分科員 これに関連いたしまして、生産農民が一番困っているのは、金利の問題と、それから、何といっても飼料が非常に高いということであります。大臣は畜産関係には特に力を入れていると再三言われておりますが、今年度の農林省計画によりますと、たとえば・国内の自給飼料の関係におきまして、粗飼料なり濃厚飼料等の増産政策というのは、わずか五%そこそこしか見ておらない。実際の畜産に対する飼料の自給度というものは、三十七年度の一千二百七十七万トンから、本年度の予想としては千四百万トン、約一二%も需要がふえているわけです。ところが、農民にとって最も大事な濃厚飼料なり粗飼料に対しては、五%程度増産できるような措置しかしていない。この点はどういうことですか。
  44. 村田豐三

    ○村田政府委員 従来わが国の飼料の自給率というものが非常に低い点は、今兒玉先生が御指摘になった通りであります。私ども飼料行政に携わる者といたしましては、畜産の振興という見地からも、どうしても飼料の自給度を向上いたさなければならないという立場に立ちまして、私どもは非常に困難な仕事だと存じますけれども、来年度の予算におきましても、草地改良の予算が公共事業費で十二億余り取れております。これは本三十七年度の九億に比べればやはり相当な伸び率になっております。そのほかに、麦作の飼料作物への転換の予算でありますとか、いろいろな自給飼料の予算措置を講じて参っておるのでありますが、何分にも、従来のそういう自給飼料の拡大のための基盤が非常に弱いために、また、御承知のように、草地改良にいたしましても、ようやく三十七年度から公共事業化したというふうな次第でありまして、いきなり一挙に何割というふうに自給度が向上することは、これは困難かもしれませんけれども、今後、御指摘のような御趣旨に沿って、この点はさらに強化をして参る必要があろうかと思います。また、当面は、それを補いますために、輸入飼料の増強をはからざるを得ないのでありますが、濃厚飼料の面でこの点をカバーいたさなければならない。その点で、御承知のように、飼料需給安定法におきまして、食糧管理特別会計を通じまして、政府がふすまあるいはふすまの原料であります飼料用の小麦等の輸入をいたしまして、それを国内で売り渡すという操作をしておりますけれども、この方の食管会計の赤字負担も、今年度の二十七億円が、三十八年度におきましては一挙に六億近くふえまして、三十五億円近い額に相なっておるのであります。そういうふうに、当面確かに御指摘の点は、私どもにはわかるのでございますが、これらは、やはり今後長期にわたりまして自給度を向上いたす措置を講じて参りまして、当面は不足分を輸入飼料によって操作をしていくというような考え方をとっておる次第であります。
  45. 兒玉末男

    兒玉分科員 時間があまりありませんので、そのほか流通機構の問題についてまだ四、五点残っておりますが、これはいずれ農林委員会を通じてお聞きしたいと存じますが、特に厚生省関係とそれから公取委の問題で一点ずつお伺いしたいと存じます。  これもやはり行政管理庁からの勧告によって明らかにされておるところでございますけれども、厚生省の屠畜場の整備については、その地域における人口を基準にして行なわれておるわけでありますけれども、今日の全国的な情勢から判断いたしますと、肉畜生産というのが相当な成長を見ておるわけでありますが、こういう一つの画一的な基準によって規制をすることは、今後の畜産振興という立場からもきわめて問題があるのではなかろうか。もちろん、環境整備という立場から、特に環境衛生という立場からその点が強調される必要はあるわけでございますが、この辺の関連について一点だけお伺いをしたいと存じます。  それから、公取委関係につきましては、特に小売価格の申し合わせということによって消費者に対しましてはかなり重大な影響を与えておるわけでございますが、管理庁からの勧告の中において、特にこの点は廃止すべきではないかというふうな見解が述べられておるわけでございますけれども、公取委の方ではどういうふうな御見解をお持ちか。  厚生省、公取委、それぞれ御答弁を願いたいと思います。
  46. 五十嵐義明

    ○五十嵐政府委員 お尋ねの屠畜場の整備の問題でございますが、その点につきましては、御指摘のように、環境衛生の面から私どもの方が所管いたしまして、昭和三十二年以来十ヵ年計画をもちまして、起債によりましてその整備をはかって参っておるわけであります。これの整備の立地条件等につきましては、ただいま人口基準でやっているのではないかというようなお尋ねのように伺いましたが、これは、私どもの方では、むしろ食肉の生産量あるいは流通等の関係から最も便宜であり、かつ衛生的な観点が守られるというような面からこの整備をはかっているわけでございます。必ずしも人口基準ではやっていないというふうに御了解を願いたいと思います。
  47. 小沼亨

    ○小沼政府委員 先ほどのお話にございました行政管理庁の監察の結果、食肉の価格協定があるのじゃないかというふうなことで、公正取引委員会の方にもこの旨御通知がございましたので、私の方では、違反事件があるかということで審査をいたしました。結局、審査いたしました範囲で、長崎市の食肉同業組合と広島県食肉商業環境衛生同業組合の呉支部、この二地区におきまして小売価格の協定があったということを突きとめましたので、これを取りやめるように排除命令を出しております。審決を出してやめてもらうということにいたしました。その他の地区につきましては、その旨を何らかの方法で周知徹底させまして、こういう違反事件の起こらないように、趣旨を通じたいと思っております。
  48. 兒玉末男

    兒玉分科員 終わります。
  49. 仮谷忠男

  50. 稲富稜人

    稲富分科員 私は最初に産炭地域の農業政策につきましてお尋ねをしたいと思うのでございますけれども、通産大臣の出席を実はこの間お願いしておったのですが、通産関係から石炭局長かだれかおいでになっておりますか。  それでは、おいでになっていないので、まず農林大臣お尋ねいたしたいと思うのでございます。これは、私通産大臣にお聞きしたいことなんでございますが、この産炭地に対する農業対策というものが非常にうとんぜられておるという感が深いのでございます。ことに、現在大きな問題になっております炭鉱地に対する農業対策ということも、相当にこれは重要な問題であるとわれわれは考えるのでありますけれども、これがうとんぜられておるということは、非常に遺憾であると思うのであります。  そこで、これは、実は通産大臣に聞く問題でございますが、冒頭お願いしたいと思いますことは、産炭地域振興事業団法というものがございますが、この目的の中に、「産炭地域振興事業団は、石炭鉱業の不況により特に疲弊の著しい産炭地域における鉱工業等の計画的な発展を図るため」、とこう書いてある。この「鉱工業等の」ということに対しては、これは農業というものが入っていないかどうかということなんです。しかも、産炭地域振興事業団が行ないます業務の中にも、農業という問題が一つも含まれていない。そうすると、疲弊した産炭地域に対しては農業というものを全然伏せておるのであるか、こういうにとに対してこの事業団等は手をこまねいて何もなさないのであるか、この点を一つ承りたいと思う。
  51. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 今の「等」の中に農業が入っておるかということでございますが、この前「等」が入りましたいろいろの審議経過を私直接聞いておりませんけれども、これは通産省の法的解釈になるわけでございますが、「等」の中には農業を含めるようにという要望があって、それに対して通産省が、そういうものを考えたいというふうな答弁をされておるのを聞いておる程度であります。私から今法的公権的解釈を申し上げる用意をいたしておりません。
  52. 稲富稜人

    稲富分科員 それだから通産省に聞きたかったのですけれども、通産省関係がおいでになっておらない。これで農林省としていいのですか。やはり農業というものが一つの重大なる使命を持つものであるならば、鉱工業等の中に農業が入るというような問題ではなくして、鉱工業等と対等に農業というものを、疲弊地の産炭地対策として取り扱うということをうたう必要がなかったかということなんです。ここにやはり産炭地地区における農業軽視の一つの現われがあるのではないかと思うのでございますが、農林大臣、これをどうお考えになりますか。
  53. 重政誠之

    重政国務大臣 私といたしましては、ただいま御指摘になっております産炭地の振興をいたしますために、むろんその地域々々によりましょうが、農業について重要に考えなければならぬ地域については、農林省として現在やっております施策、たとえば土地改良の問題でありますとか、あるいは農業構造改善の事業でありますとか、いろいろ農林省でやっております事業は、優先的に、これはその地方事情に応じて取り上げて参りたい、こういう考えを持っておるのでありまして、それをこの振興事業団というものでやるかやらぬかということは、これは通産省関係のことであります。それは取り扱わぬにしても、私どもの方は今申し上げたような考えで、できるだけ農業振興の必要のある地区においては、大いにその援助をしていくつもりでおります。
  54. 稲富稜人

    稲富分科員 ここで考えなくてはいけないことは、産炭地域にいろいろな工業誘致とかそういう問題が非常に計画されるのでございますが、事実上の問題としては、やはり重工業の導入なんというととは、非常に地盤がゆるんでいるとか、そういうようないろいろな土地条件の規制を受けまして、できない。そうなりますと、おのずから軽工業であるとか農業経営であるとかいうことに私はなっていくのだと思う。さらにまた、炭鉱離職者なんかの問題におきましても、なかなか自分の進む——若い人は転業いたしまして地方に出ますけれども、すでに年老いたる炭鉱離職者というのは、従来住みなれたところで何か一つ自分の経営によって生計を営んでいこうという希望の多いことも、これは否定することができない。そういう点から申し上げますると、やはりこの炭鉱荒廃地においては、炭鉱荒廃地としての特殊の農業経営というものが取り上げられて、その人たちが自分の住みなれたところで安住しながら生計を営めるような方途を講ずることが、最も必要であると私は思う。  そういう点から、私は具体的な問題を二、三お尋ねしたいと思うのでございますが、まず、この炭鉱地の復旧あるいはそういう問題を興すといたしましても、一番問題になるのは水の問題であります。炭鉱地というのは、御承知のように、荒廃いたしておりますので、なかなか水等も十分にございません。多目的ダム等を建設することによってまず水の問題を解決するということは、その地方農業を営もうといたしましても、あるいは軽工業等を営もうといたしましても、これは必要だと思うのでございますが、この産炭地域に対する多目的ダム建設等の計画等はどういうお考えを持っておられるのか。当然これは必要でございますが、農林省自体がこれをおやりになるという計画がおありになるのか、この点を承りたい。
  55. 任田新治

    任田政府委員 産炭地に対する振興計画といたしましては、今、具体的に多目的ダムという問題については、農林省独自には特に考えておるわけではございません。ただ、政府全体といたしまして、ただいまの御指摘のように、軽工業の振興をはかるとか、あるいは農業自体の農業水利の問題があったり、いろいろな問題が出てきまして、そこに相応した水の需要が生まれて参り、そこにどうしてもダム建設という問題が出て参る。また、その振興を要する地域に関連いたしまして、適当なダムサイドがあれば、これは積極的に考えていかなければならないことではないかというふうに思うわけであります。もっとも、農業農業の分野といたしまして、それぞれの規模によりまして県営あるいは団体営のダムをつくる、これにあわせまして多目的のダムがあれば、経費の分担をいたしまして建設をはからなければならぬ、かように思う次第であります。
  56. 稲富稜人

    稲富分科員 局長は今必要であるということは認めておるとおっしゃるが、問題は、やるかやらぬかということですよ。農林省自体としてはお考えになっていない。そうしますと、結局、事業団等の事業の一端としてそういうことを考えられるかどうかという問題も考えられてくるわけなんで、この点は、事業団等と農林省との間に、今まで具体的な話を進められたのであるか、あるいは将来そういうものを進めて、ただいま局長の言ったような趣旨に沿ったダム建設等に対しては、積極的な方途をやろうという熱意があるかどうかということを伺って、あるとするならば、どういうような具体的な方法をとられるか、一つ承りたい。
  57. 重政誠之

    重政国務大臣 今までそういう話は具体的に私ども聞いておりません。これは稲富さんよく知っておられます通りに、今回の石炭問題の解決でその跡始末ということは、主としてこれは通産大臣の所管でございますから、私の方はそれに協力をするという立場であります。従って、そういう必要があるかないかというようなことは、これは通産大臣においてまずよく考えてもらわなければならぬと思うのです。通産大臣の方でそういう計画をしなければならぬということでありますれば、大いに私は協力をいたして実現をはかりたいと考えます。
  58. 稲富稜人

    稲富分科員 通産省関係はまだ見えておりませんか。——それではまたいずれ通産省関係が出られてから、具体的にその問題は触れたいと思います。  次に、私は、何といいましても、この炭鉱地域等の農業政策として、一番安易にして急に取り扱えるものは畜産ではないかと思います。ことに畜産の中におきましても、最も気やすくといいますか、手っ取り早く取り上げができる養豚事業等が、最もいいのではないかと私は思う。しかも御承知通り、これは釈迦に説法で、大臣よく知っていらっしゃるけれども、技術的にも一番安易にやれる畜産事業、しかもこの畜産の中でも養豚業、しかも養豚の中におきましても、当然、飼育管理が割に簡単なランドレスなんかの導入による産炭地の養豚事業等は、やはり離職者の共同経営等が最も私は成り立つのではないかと思うのですが、そういうことに対しては、積極的な一つ指導といいますか、こういうものが必要ではないかと私は思う。これも全農林大臣の言われたように、振興事業団等を通じて通産大臣がそういう計画をすれば、農林省はやろうというようなことかわかりませんけれども、こういう問題は、やはり農林省が積極的に立案をして、そうして通産省がこれの線に沿って協力する、できるならば、この産炭地域事業団等も相当な入費等も必要でございますので、農林関係の予算等でも困難な場合は、さらに事業団の融資等によっても、両方提携し合っていくというような具体策をやるべき必要があるんじゃないか。これは非常に緊急を要しますので、そういう点が非常に必要じゃないかと思うのでございますが、これに対しては農林省としてどういうお考えを持っておられるか、承りたい。
  59. 重政誠之

    重政国務大臣 そういう問題につきましては、おっしゃる通りであります。私の方でも積極的に検討、協議を進めております。むろん、地元の方でそういうやろうという考えが起きてこないと困りますけれども、ある程度は勧奨をいたしまして、御趣旨のような方向に進んでこの産炭地救済の一助にいたしたい、こういう考えでやっております。
  60. 稲富稜人

    稲富分科員 地元の方でやろうという気持がわいてこなければ困る——それでは、わいてさましたら、農林省は全面的にこれを支持して立つという心がまえ、これに対する資金等の融資に対する問題、これだけの用意がおありになりますか、この点承りたいと思います。
  61. 重政誠之

    重政国務大臣 これは御承知通りに、農林省といたしましての資金の用意は、全国を対象にしてとっておるわけでありますから、特に、ほかの方はどうでも産炭地だけを救済するために、そっちにみな金を使うというわけには参らぬことは御承知通り。でありますから、全面的にそれは協力をいたします。いたしますが、しかし、おのずから資金等については限度のあることを御承知を願わないと、先ほどもお述べになりましたように、産炭地救済のために事業団をつくったり、あるいはどういう予算があるか知りませんが、通産省においていろいろあることと思いますので、その方面がこれに腰を入れてこなければ、私一人ではできない、こういうことをはっきり申し上げておきます。
  62. 稲富稜人

    稲富分科員 農林大臣答弁によりますと、全般的な問題があるから、全般的な振興対策の一環として、一部分的な扱いとして、産炭地のそういう問題はやらなければいけない、こういうことになるだろうと私は思う。私の言っておるのは、そういう産炭地に対しては、特殊のケースとして扱うべきじゃないか、こういう考えを持っているので、その場合、農林省としての予算が足らない場合は、あるいは事業団等とともに話し合って、もっと積極的な産炭地特有のこれに対する方途を講ずる必要はないか、またそういう意思はないかと聞いておるわけです。局長はさっきからむずむずして答弁したがっているのですが、局長から何か……。
  63. 村田豐三

    ○村田政府委員 概括的には農林大臣からお答えになった通りでございまして、特に補足することはございませんけれども、実は、この問題はかねて稲富先生からも私ども承っておりまして、先ほど農林大臣お答え申しましたように、私の方も県庁に対しまして、そういう全国的規模において、一般的なケースとして私どもが処理いたします事項といたしましては、稲富先生よく御承知のように、近代化資金制度による融資の制度でございますとか、あるいは農協が主体になってやっております肉用素畜の導入事業、これは国が補助いたしておりますから、そういう制度が全国的な規模においてすでにあるわけでございます。農林大臣もその点を申されたと存じますが、そういう一般的、全国的規模において、私どもが処置をいたすべき問題は、当然県庁とも相談をいたしまして、特にこういう問題についての配慮を加えて参りたい。それ以外に、産炭地振興対策として、特別にまた通産省なりと連携をとりましてやるべき事項があるかないか、これはまた別途の問題として私どもよく検討いたして参りたい、かように考えております。
  64. 稲富稜人

    稲富分科員 この問題は、通産省に対して質問したいのですが、通産省が来ておりませんから、特にその点は一つ要望されて、ただ一般的な農林予算関係で、農林省の所管だけでやられるということでは、緊急を要する場合には非常に薄くなりますので、特殊のケースとして考える、こういうことを事業団等にも促して、産炭地特有の計画を樹立していく、こういうことに大臣から通産省の方に積極的に働きかけていただきたい、こういう考えを持っております。  さらに、産炭地対策としていま一つ問題になりますのは、ボタ山の問題でございます。これに対しましては、数年来委員会等でも質問してきたのでありますが、清悪地に対する対策等が計画されておりますけれども、これも全般的な問題でありますので、特にボタ山に対しては非常に不十分な状態に置かれておるのであります。それで、やはりボタ山に対する単なる婿悪地対策の一環としてやるのではなくて、瘠悪地対策プラス炭鉱対策の一助としてボタ山対策をやる、こういうような積極性が非常に必要ではないかと思うのであります。これに対して農林省はどういうお考えを持っておるか、大臣から伺いたい。
  65. 重政誠之

    重政国務大臣 産炭地対策として、特別のケースとして取り扱うべきであるということをるるお述べになっておりますが、それはもちろん私もそういうつもりであります。しかし、私どもの方は、特別に産炭地対策としての国の予算を計上をしておりませんから、おのずから限度がありますということを申し上げておるのであります。私から通産大臣にもちろん話はいたしますが、せっかく稲富さんのそういう強い適切な御要望があるのでありますから、稲富さんから直接一つそういうことは通産省に強く御要望あってしかるべきものであろう、こう考えますから、それをお願いしておきます。  なお、ボタ山の問題でありますが、これはただいまお述べになりましたように、これもやはり特殊のケースとして、あるいは何か造林をやるとか、その他私どもの方でやり得ることは積極的にやることにいたしますが、これも同様でありまして、私の方で特別にそのために予算の計上等をいたしておりませんので、おのずから限度のあることは御承知おき願いたい、こう考えます。
  66. 稲富稜人

    稲富分科員 石炭局長来られたのですね。——それでは、来られてさっそくでありますけれども、石炭局長お尋ねしたいことがあります。実は、私、本日の委員会へ通産大臣の出席を求めておったのですが、通産大臣がお見えにならないので、ついあなたに対する質問になったのですが、私の言わんとするところは、従来ありまする、農林省が行なう一般的な事業にプラス産炭地対策として考えなければいけないのではないか。そのプラス部面が農林省で補えないとすれば、これは当然通産省の所管である事業団の仕事として行なうべきじゃないか、こういうのが私の考え方であります。それで、幸いに石炭局長お見えになりましたので、石炭局長お尋ねしたいと思いますのは、先刻から——実は通産大臣がお見えになりませんので、どうも的はずれのようなことになっておるのでありますが、産炭地域振興夢業団法の目的の中に、「産炭地域における鉱工業等の計画的な発展を図る」とあります。また事業団法の業務の中にも、「鉱工業等」ということになっておる。私の言っておるのは、産炭地域における対策としては、農業の受け持つ部面が非常に大きいのに、農業という文句を入れないで、「鉱工業等」ということにして濁してあるということは、非常に農業を軽んじておる結果になるのではないか。こういうことに対して通産省はどう考えておるかということを聞いたのですけれども、あなたの方がいらっしゃらないものですから、農林省答弁があったのですが、通産省は産炭地域においての農業部門の重要性をどのくらい認識されておるのであるか、念のために、一つあなたから承りたいと思うのです。
  67. 中野正一

    ○中野政府委員 お答えいたします。  今先生から御指摘のように、産炭地域における石炭産業の衰退に伴いまして、地元産業に非常な影響を与えて参りますので、産炭地振興については、先般次官会議の連絡会議でも取り上げ、またきょう新聞発表になっていると思いますが、閣議でも官房長官からお話が出まして、早急に産炭地振興計画の全体の計画を進めなければいかぬじゃないか、こういうことになっております。これは御承知のように、産炭地域振興臨時措置法というものがありまして、これによりまして、ことしの十月一ぱいに全体の計画をつくらなければならぬことになっておるわけであります。その際に、今御指摘のありました「鉱工業等」の「等」の中には農業は入る、こういう解釈になっておるわけであります。ただ、産炭地域における農業の振興の問題については、かねがね通産省としては、これは非常に重大な問題であるので、ぜひ農林省において、農業改良事業でありますとか、それ以外いろいろあると思いますが、そういうふうな面について特別な配慮をしていただくようにお願いして、農林省において検討していただいておると思いますが、振興計画をつくる際には、やはりそういう面も十分考え合わせて計画をやっていきたい。ただ、やはりこれは農林省固有の仕事でございますので、産炭地振興という見地を農林省におかれても十分取り入れられて、計画の推進に当たっていただきたいというふうにわれわれは考えておりまして、通産省において全体の産炭地振興計画をつくります際には、当然関係省と協議をして、十分連絡をとって計画をつくっていく。通産省プロパーの問題になりますと、工業の誘致であるとか、あるいは工業用水の問題ということがあるわけでありますが、それだけでは足りないのでありまして、やはり道路の問題あるいは農業用水の問題、飲み水の問題等も整備をしなければいけませんので、関係省と十分御相談をしてその計画を推し進めていきたいというふうに考えております。
  68. 稲富稜人

    稲富分科員 局長は、農業は特殊な部面だから、農林省でそういうものに対しては考えてもらいたいという御意向のようでございますが、農林省一般予算がありまして、いろいろな振興対策とかありますけれども、農林省の予算というものはやっぱり全体的なものであるがために、炭鉱に対して特殊ないろいろな経費をもってこれに対処するということは困難だと思う。そういうものがあるために、いろいろな対策に対しては事業団法というものができて、事業団の事業の一つとしてそういうことをやるのだ、こういうことをうたわれた事業団法ができたのもそこにあると思うのです。それだから、おそらく農業も鉱工業等に含まれているというようなことではなくして、やはり農業も産炭地を振興せしめる大きな部面として取り上げるということが必要であると私は思う。これがないから、農林省としてやってくれろ、これじゃ農林省はできません。今私質問しているのですが、たとえば多年問題になっておりますのは、炭鉱地域におきますボタ山の問題です。ボタ山の整理等に対しましても、何とかボタ山を緑化することを考えなければいけないということをしばしば農林省としてもやってきた。ところが、瘠悪地帯の対策というものはありますけれども、これは全体的な問題でわずかな予算でありますから、ボタ山に対する手というものは非常に薄いのです。一日も早くボタ山なんかの問題に対しては対策はやらなければいけない。とするならば、農林省の瘠悪地対策としての一部のボタ山対策でなくて、瘠悪地対策は瘠悪地対策として農林省に置きながら、特にボタ山対策というものは、事業団等によって十分これに対する対策をやるということでなければできない。たとえばあなたのおっしゃったようなダムの問題につきましても、これはなかなか農林省だけの段階ではできないということになってくる。あなた方は、炭鉱地に対して重工業の誘致とかいろいろな工業誘致を言われるけれども、あの基盤のゆるんだところで重工業等の誘致はできませんよ。そうしますと、私先刻も話したのですけれども、炭鉱離職者は自分の住みなれたところで仕事をやりたい、あるいは養豚をやる、こういう楽な気やすい農業部面がたくさんある。これをただ農林省予算から何とかやろうということになりますと、十分なことができないということになってくる。それで、事業団の方がこれに対しても手を伸ばしてやっていく、こういうような方法をやらなければできないと私は思う。農業部門は農林省にまかしておるのだ、ただ通産省は通産部門だけで石炭地域対策はやっていくのだ、こういうような考えでは、私は完全な炭鉱地域の振興はできないと思う。ここに通産省あたりが産炭地域に対する農業を非常に軽んじておる結果があると私は思う。そういう点から申し上げまして、質問の時間がないので非常に遺憾でございますが、清悪地帯に対する対策として、ボタ山整理等に対しては、特殊の樹木を植える必要がある。たとえば瘠悪地帯に対して、これは林野庁において十分検討されておると思いますけれども、一番必要なのはモリシマアカシヤのごときものの種苗をやる、モリシマアカシヤでしたらボタ山に生育します。しかも、生育は非常に早い。しかも、これはパルプ材としては優良であり、三年もすれば花が咲く。また一方では、養蜂の材料になってくる。非常にいい蜜ができる。こういうような具体的な策を立てて、早くモリシマアカシや等の種苗をやって、この種苗をボタ山等に植林する、そしてボタ山の積極的な造林を計画する、こういうものをやらなければいけないと思いますが、こういうことに対しましても、農林省の瘠悪地帯の補助では不十分なんです。こういう問題に対しては、事業団等が特殊のボタ山対策としてやって、事業団の事業の一環にこういうものを入れていくのだ、ここまで積極性がなければできないわけなんです。農林省と通産省が十分検討してやらなければいけないという問題があるわけです。そういう点に対して農林省並びに通産省当局の考え方を承りたいと思います。
  69. 吉村清英

    ○吉村政府委員 ボタ山対策の問題でございますが、ただいま私どもの方で、先生先ほど来お話しのように、全体の一環として必要なボタ山対策をやっておるわけでございます。ただいまお話しの情感林地の復旧事業、これとあわせまして、治山事業として山腹崩壊防止事業、この両方の事業で進めておるわけであります。そのほか、地すべり防止事業というようなものもございますが、ただいまのところといたしましては、地すべり防止地区の指定はまだしておりませんが、必要に応じてそういう方法考えまして、私どもといたしましては、こういったできますあらゆる方法を通じまして、あの辺の緑化をはかりたい、さらにこれが緑化ができました暁には、先生のおっしゃるような肥料木の用途、確かにモリシマアカシヤでありますとか、一般のアカシヤでありますとか、非常に適当な樹種だと存じますので、そういうような造林によって産業的にも貢献をして参りたいというふうに考えて努力しておる状況でございます。
  70. 稲富稜人

    稲富分科員 そういう適切な問題が、農林省だけでは、今申し上げたように、一般的な予算の範囲内でございますので、急にはできないので、こういうことに対しては事業団等が積極的な対策をとられる意思があるかどうか。
  71. 中野正一

    ○中野政府委員 御指摘の産炭地域振興事業団の機能の拡充なり、あるいは事業団の弾力的な運用等によりまして、産炭地振興、単なる工業だけでなくて、それ以外の分野にもいろいろ考えていくべきだという点は、かねがねこれはいろいろの御要望があるわけであります。来年度につきましては、御承知のように、ボタ山処理事業を事業団の業務範囲の中に入れまして、これは今先生が言われたのと少し違うかと思いますが、いわゆるボタ山を切りくずして、土地造成とか鉱害の復旧に充てるという事業は、三十七年度から予算がつきまして、実はこれはまだ衆議院の石炭対策特別委員会にかかっておりまして、昨年の臨時国会で出しました法律がまだ通っておりませんので、着工はできませんが、早急にこの法律を上げていただきまして、着手したいと考えております。それから融資の問題につきましては、鉱工業等の範囲でやりたい。ただ、この事業団が出す金は設備資金ということになっておりますので、そういう点についてはできるだけ御要望に沿うように、弾力的に考えていきたいと思います。ただ、それ以上に、たとえば今地元の方でいろいろ要望のありますいわゆる小規模ダムの建設の問題、これらは受益者がさしあたりいないというようなことから、むしろ事業団あたりが肩がわりをして、そういうものの建設についてもう少し力を入れるべきじゃないか。いろいろ問題がございますので、そういうような問題につきましては、今後農林省とも十分相談をいたしまして、研究して参りたいと思います。
  72. 稲富稜人

    稲富分科員 その際、お願いしておきますことは、この産炭地域の農業政策というものは、相当に重要な問題がありますので、この点は農林省からいろいろな具体的な政策ができまして、いろいろな要望が出た場合は、積極的に一つ通産省も、役所のセクト主義でなくして、産炭地振興のために御協力を願いたいということを私は特に要望をいたしておきまして、こういう問題は、いずれ日をあらためて、問題になりましたら、一つあなたの方にお尋ねをいたしたいと思います。  時間がありませんので、実は炭鉱問題に対して、産炭地問題、いろいろ聞きたいことがありますけれども、いずれまた次の機会に譲ることにいたしまして、さらに農林大臣お尋ねしたいと思いますことは、本年度の予算編成にあたりまして、農林省農業基本法を機軸として、この農業基本法の定める施策の具体化ということを非常に考えて、強力に推進されたと思うのです。この点は、私はそういうことをやられたということはわかるのでございますが、そこで、私は、特にこれは前からしばしば委員会等で質問した問題でございますが、農業基本法の第十六条に「自立経営たる又はこれになろうとする家族農業経営等が細分化することを防止するため、」と、いわゆる分散相続の問題がうたってあります。これに対しましても、私は、何とか方法をやらなくてはいけないのじゃないかということで、しばしば委員会で質問しますが、農林省は検討中だということであったのであります。本年度の予算措置等を見ましても、これに対する具体的な予算措置等も考えておられないようでございます。これは、すでに農業基本法の条項の中にこれが対策をはっきりうたってあるのでございますから、この十六条の実施にあたってはすでに検討されて、農業基本法実施後も三年を経過いたしますので、具体化されていなくてはならぬ問題であると思うのでありますが、これに対してどういう結論をお持ちでございますか。
  73. 重政誠之

    重政国務大臣 これは稲富さん御承知通り、なかなかむずかしい問題でありまして、相続財産の農地の細分化を防止するための法律制度を設けようとすると、どうも憲法に抵触するというような疑いがあって、なかなか踏み切れないわけであります。そこで現在は、御承知のように、自作農維持資金の運用によりまして、相続財産の分割は大体金で片をつけてもらうということにいたして、その細分化を事実上防いで参っておるというのが現状であります。それよりさらに進んで何か制度的にやるということは、現在のところではなかなかいい分別がないのです。でありますから、何とかいたさなければならぬというので、細分化を防ぐためにどうやったらいいかという点の調査委託費をとって、今調査しておるところであります。
  74. 稲富稜人

    稲富分科員 これは大臣農業基本法を実施してすでに三年目になりまして、今時分に、困った問題で、困難な問題だということを聞くことは、実に心外なのであって、本来からいうならば、農業基本法を制定されて、しかも、その条文にはっきりこれを明示されるときには、憲法の問題、民法の問題というものは十分検討されて、法制化されたものでなくてはならないと私は考える。ところが、この法律が通ったあとで、やれ、憲法の問題がある、民法の問題があるから、これは非常に重大で、検討しなくちゃいけないということは、私は、農業基本法の制定にあたっての無責任なる処置だと思う。農業基本法を制定する場合には、これを明文にはっきりした以上は、直ちにこれが実施に当たり、それを予算化することが政府の責任じゃないかと私は思う。この方法としては、実際上、法律上、取り扱い困難なところがありましょう。それであるならば、やはり話し合いによって、金によってやらなくちゃいけない。ところが、金によってやるとしましても、自作農資金等の金利ではやっていけないと思う。やはり金によってやるとすれば、何人かの兄弟のほかに、納得する人に対しては金でやらなければいけない。話し合いで片をつけなければならない。農業を経営する者が負担をしなければいけない。こうなりますと、普通の金利の金では、将来非常に負担が困難だと思うから、こういう問題では特殊のケースを考えて、金利等はあるいは長期の無利子とするとか、何か極端な特別な方法考えてやらぬことにおいては、私はこれはできないと思う。ただ、今まで三年にもなって、これはまだ検討しておりますでは、農民は納得しないと思う。これを一つどういうふうな——ただ、今言われる自作農維持資金の一部をこれに振りかえて、何とか話し合いでやっているというようなことでは、私は解決できないと思う。それよりももっと低利な——そうせぬと、これは農業経営をする人だけに負担がかかってくるわけですから、あと農業経営者が利子の負担にたえ切れないという問題が起こってくるから、私は特殊ケースを考えなくちゃいかぬじゃないかと言ったけれども、本年度の予算を見ましても、具体的にまだ出てこない。調査する時期じゃございませんよ。すでに分散相続が次々に起こってきております。どらかこれに対してはすみやかに方法を講じていただきたいと思うのですが、農林大臣の決意を承りたいと思います。
  75. 重政誠之

    重政国務大臣 御承知通り、維持資金は金利は五分になっております。それで、実際そういうあれで片をつけてもらうという指導方針でやってきておるのでありますが、今御指摘になりますように、いろいろ具体的に片のつかぬものも出てきておるのではないかと思うのであります、そういうような実態を今後十分調査しよう、そうしてその上で、この問題をさらに何とか片をつけようという方針をとりまして、本年度予算に、わずかでありますけれども、各府県にその調査委託費を交付するための予算を計上いたしたわけでありますから、できるだけ近い機会に、その実態に即してさらにその方法考えたい、こういうふうに考えております。
  76. 稲富稜人

    稲富分科員 この問題は、もっと詳しくお尋ねしたいのですけれども、いずれまた委員会に譲ることにいたしまして、いま一つお尋ねしたいと思いますことは、最近、日本の農業農地に大資本の大企業家が非常に入ってきておるのですが、この問題はちょっと小康を得ておるようであります。ところが、最近顕著に現われたのは、外国資本が農業企業と大企業との間に手を伸ばしてきて、提携あるいは合弁会社をつくるとか、こういうことで非常に進出してきているというような顕著な例があるようでございますが、こういう問題に対しては農林省としてはどういうお考えを持っておられるのか、御意見を承っておきたいと思います。
  77. 重政誠之

    重政国務大臣 御指摘のような問題は今後ますます起きてくると私は思うのであります。ことに、御承知のような第八条国に移行を近き将来にはしなければならぬというようなことになりますと、資本の交流ということが一体どうなるかという問題が起こって参るわけでございます。それらの点につきましては、単に農業だけの問題でなしに、国全体として産業に及ぼす影響を十分に考えまして、その方針を立てなければならぬ段階に参っております。今まで私どもの取り扱って参りましたのは若干ございますが、方針といたしましては、外国資本が入って参ります場合にも、原料はあくまでも国内の原料を使うということを条件にいたしております。決して外国からそのために原料を輸入して加工するということは許さない。こういう建前でやっており、さらに資本といたしましても、少なくとも半分以上の資本は国内において保有する、こういう条件でやっておるわけであります。ものによりましては、加工技術の優秀な新しい技術を国内に導入するということは、加工工業のためには非常にいいと考えられる場合もありますので、そういうものはそういう方針において許しておるわけであります。
  78. 稲富稜人

    稲富分科員 いろいろ聞きたいことがありますけれども、時間がありませんので、さらに詳しいことは委員会に譲りまして、いま一点だけお尋ねいたします。  実はいま一点お尋ねしたいのは暖地ビートに対する問題でございます。御承知のごとく、最近畑作改善事業対策とか、水稲の早期栽培とか、飼料の自給対策、こういうものとあわせまして、暖地ビートの振興に対しては、今日まで農林省も相当に力コブを入れてこられたし、昨年は、これに従って甘味資源の自給力強化総合対策というようなことも、農林省自体が意思表示をして、そうして積極的に指導をして参られた。これがために、地方におきましても暖地ビートに対する熱意というものが非常に高まりまして、暖地におきましてもビート栽培等非常に熱心にやっておられます。ところが、最近の傾向といたしまして、これに対する工場閉鎖だとか、そういう不況な事態を惹起していることは、すでに大胆御承知通りであります。御承知のごとく、ビート栽培につきましても、加工工場がなくては十分にできないわけでありますから、こういう事態に対して、暖地ビートについて従来やられたよりももっと積極的な方途によってこれを指導し、これが対策を樹立することが最も必要であると思うのでございますが、これに対して農林省は現在どういうようなお考えを持っておられるのであるか、この点だけ承りたいと思います。
  79. 重政誠之

    重政国務大臣 暖地ビートを全面的に奨励してやるということについては、根本的に実は問題があるのであります。技術的にこれが栽培を奨励いたしましても、それが成り立つものであるかどうかということについて、なお若干の疑点があるわけであります。そこで農林省といたしましては、研究所を設けまして、それを研究いたしておるわけであります。どういう品種のものがどの地方には適するか、そうしてまた糖の含有率というようなもの、栽培の時期などについて十分に研究をいたさなければ、せっかくこれを奨励いたしましても、企業採算がどうも成り立たないということであってはおもしろくないというので、そういう方面に進んでおるわけでありますが、大体可能であろうと思われるところは、御承知の青森の辺、それからやや有望であろうと考えられますのは九州の南部方面であります。そこで全国的にこれを奨励するということは、私といたしましては、現在のところ少し慎重にいった方がよろしい、こういうふうに考えておるのであります。それで、工場閉鎖というのも九州で起こりましたが、これも初めから大きな工場をつくりますと、生産がどの程度にいくかということとの間に食い違いができますので、その経営がなかなか困難であろうということは当然のことであります。それをしも私どもといたしまして、何でもかんでもこれはおやりなさいと言うわけにも参りません。私といたしましては、慎重に検討を加えて、そうして真に農業経営の中にこれを取り入れていくことができるように念願をいたして、せっかく検討を続けておる次第であります。
  80. 稲富稜人

    稲富分科員 この問題につきましては、すでに御承知通り農林省は三十一年度より九州各地にも試験場をつくっておりますし、先刻申し上げましたように、三十四年度には自給強化総合対策等を樹立してやられたし、飼料の自給対策であるとか、そういう先刻申し上げましたような理由で相当に生産意欲というものが盛りしがっているわけです。それで今大臣言われたように、農林省自体が、これはじっとまかしておいて、あまり積極的でもいけない、ほうっておいてもいけないという状態では、実際生産に当たっている農民をまどわすことになる。一日も早くこれに対しては国としての暖地ビート対策というものを樹立して、そうして樹立した以上は、これに対する積極的な援助措置をやって、これが事業としても成り立ち得るような、あるいはこれによって農民の経済が安定し向上するように対策を講ずることが最も親切なことではないかと思う。今大臣も、これに対してはどうしようか迷っていらっしゃるような口吻でございますけれども、一日も早くこれが対策を樹立する。そうして今申し上げたように、いろいろ検討された結果においても、暖地ビートというものは決して成り立たないものじゃないと言われている。ただ、これをどう積極的に指導し、あるいはどう工場等の受け入れ態勢をつくっていくかというところに大きな問題がある。農民がこれを生産して、その経済を向上するしに非常に役立つということになれば、やはり積極的な方途を講ずるということが必要じゃないかと思うのでございまして、これに対して一日も早く暖地ビート対策というものを政府が樹立して、これに対して農民の処すべき方途を示していただくように対策をとっていただきたいということを特に希望申し上げまして、これに対する大臣の決意を承れば、私はそれでいいわけでございますから、その点をはっきりしていただきたいと思うのであります。
  81. 重政誠之

    重政国務大臣 国内甘味資源の開発ということは、申すまでもなく、これは農民諸君の利益になるように考えて私はやっておるわけでございます。暖地ビートにつきましては、先ほど来申しました通り、幾多の研究を要する点がございますので、それらの点をすみやかにめどをつけました上で、一つはっきりした対策考えたい、こういうふうに考えております。
  82. 稲富稜人

    稲富分科員 いろいろ質問したいことはありますけれども、与えられた時間が超過しておりますので、あとは委員会に譲ることにいたしまして、私の質問はこれで打ち切ります。
  83. 仮谷忠男

  84. 田原春次

    田原分科員 主として農林省の海外移住方針をお伺いしたいと思います。  まず、昭和三十八年度の農林省予算で海外移住に対する予算の額、それからその内容等についてお知らせ願いたいと思います。
  85. 齋藤誠

    ○斎藤(誠)政府委員 三十八年度におきます農林省で計上いたしておりまする移住の予算は、総額が一億四千万円でございまして、前年度の一億三千五万円対にしまして約五百万円の増額を計上いたしております。その事業の予算の主要なものは、一つには各府県を中心として農業移民を進めております関係で、都道府県に対する補助金と、それから農業関係の団体で移住を促進しております農協組織がございますが、それらに対する補助金、それから移住者が海外に出ます際におきまして財産の整理をし、あるいは債務整理をするといった際におきまして、これの資金融通措置を講ずる場合に、それの債務保証をやっております保証基金という制度がございす。これに対する補助金等が主要な内容になっております。
  86. 田原春次

    田原分科員 今の説明を聞きますと、外国に将来新しく日本から農業者が移住する場合、その土地における地味とか作物とか、進んではマーケッティングというものの調査費用というものはないのですね。
  87. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 そういう直接の調査費はございません。ただ農林省といたしまして、移住地における営農状態一般的にどうなっておるか、あるいは今後の予定地の状況がどうなっておるか、あるいは現地におきまする移住担当者の連絡会議等がございますので、それに対しまして出席するといったような意見で、調査費として二百万円を計上いたしております。
  88. 田原春次

    田原分科員 東南アジアにおける農業移民の移住の問題については、たしか数年前にカンボジア、ビルマ、ラオス等の、ある国からは日本農民の導入方の交渉があり、たしかカンボジアに対しては大使館に農林省から技官なんかが相当長期駐在しておったようですが、これらの東南アジアにおける施策等はどういうようになっておりますか。打ち切りになっておるのですか、移住者を出すということになっておるのですか、その点伺っておきたいと思います。
  89. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 カンボジアには、農林省からも大使館に一人派遣されておりますが、これは他の大使館に農林省の職員が外務省の職員の身分を持ちまして駐在しておるのと同じ形式をとっておるおるわけでございます。東南アジアに対しまする移住につきましては、従来も、大体におきまして短期の、または一年の技術協力という形で農民が派遣され、あるいは農業技術者が派遣されて、現地における指導を行なうとかいうような形式が大部分でございまして、移住という形態をとったものは今のところないと私は記憶しております。先生のお話しになりましたのは、たしかラオスの何とかいう高原地に日本の移民を入れたらどうかということで、その計画の調査に行ったことはございますが、実行にはまだ至っていないというように承知いたしております。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕
  90. 田原春次

    田原分科員 次はラテンアメリカ、特に南米のブラジル、アルゼンチン、パラグァイ等に対する質問をいたします。農林省で直接の予算が伴っておるかどうか知しませんが、ブラジルのサンパウロ州にグァタパラというおよそ七千町歩ほどの古い耕地があります。この耕地に現在約五十家族ぐらい入っております。これに対する将来の見通し、現状のままで、現状の募集方法、入植方法並びに耕地の分配等でいいと思われておるかどうか。これを明らかにしてもらいたい。
  91. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 御承知のようにグァタパラの農業経営につきましては、約七千町歩の農場をもちまして、内地から二百六十二戸、現地から百十三戸、合計三百七十五戸の入植をいたすという計画で当初計画を立てておったわけでございます。この事業につきましては、先生御承知のように、そこに水田を造成する。そのための堰堤のかさ上げ、あるいは用排水路をつくるといったような工事を行なって水田の造成をはかる、こういう計画内容になっておるわけでございます。現在までのところ、工事の進捗は大体昨年末で七割、本年の三月におきましてほぼ主要な工事を完了しまして、三十八年度に若干残ることに相なっておるわけでございます。現在までに入植した戸数は約五十戸、本年度末までに六十戸ないし七十戸入るであろう、こういう見通しをつけておるわけでございます。ただ、当初の計画より入植のおくれがあることは事実でございます。これは、一般に入植移住が三十七年度におきましては非常に少なかったという一般的な影響もあると思います。そこで、現在入っておりまする五十戸につきましては、まだ完全な工事が終わっておりませんので、水田経営に至るところまではいっておらないという状況でございます。従って、当面野菜つくりを主としておりますが、いずれ工事の完了を待ちまして、本格的な水田経営に至るということになろうかと考えております。現地からの営農状況等の報告によりますると、おおむね順調に定着しておるという状況でございまして、ただ営農融資等の資金獲得につきまして、なお必要があるというふうな要望も出ております。農林省といたしましては、当初の計画通りの順調な入植——満植は若干困難かと存じますけれども、従来通り考え方で進めて参りたい、かように思っております。
  92. 田原春次

    田原分科員 今お話のグァタパラ耕地の灌漑排水あるいは道路等の工事に要する費用は、農林省で負担をしておるのですか、あるいは土地を購入する農民が、それらの費用をかけて土地を得ることになるのですか。現在どのくらいまでかけておるか。それから満植、予定通りの数字が入った場合、どのくらいの費用をかけるつもりでございますか。そういうことを一つお聞かせをいただきたい。
  93. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 工事費につきましては、これは国と県が一億五千万円の補助金を計上しておるわけでございますが、それ以外の工事費あるいは土地の購入費等につきましては、各入植者の負担になるわけでございまして、大体今までの工事の見通しから見まして、当初の一戸当たり土地購入代を含めまして百五十万円ぐらいの価格でいけるのではないか、こう考えております。
  94. 田原春次

    田原分科員 百五十万円というのは、入植する農家一戸当たりの土地の分売価格ですね。その中に基礎的な施設、農道なりその他の費用は、割合でどのくらいかかっておるか。
  95. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 約百五十万円といたしまして、そのうち土地代が六十八万円ということになっております。
  96. 田原春次

    田原分科員 今の齋藤局長の御答弁によりますと、当初予定された三百数十家族は入植困難である。現在すでに数年かかって五十家族しか行ってないとすれば、予定通り入植者が完全に入ってくれる場合は一戸当たり百五十万円としても、売れない場合は、売れ残りの土地にかけた政府地方、県の補助費を引いた実費を、またこれから入る農民に課することになるのじゃないのですか。百五十万じゃ済まずに、二百万円もしなければならぬようになるのですか。かりに三百数十家族の予定のところ、百戸入った、二百数十戸は入らずじまいという場合の入植農民の負担の問題はどうなりますか。
  97. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 建設工事が当初の発足にあたりまして非常におくれたという関係もございまして、従って入植の時期が当然それに伴っておくれたわけでございます。三十八年度、三十九年度におきましては、この工事の完成と、すでに入っておる者の営農がだんだんよくなってくるという状況と見合わせて、今後は相当出ていくのではないだろうかと考えておるわけでございます。ただ満植に至るにはなかなかむずかしいのではなかろうかと申し上げましたのは、現地に百十三戸予定いたしておるわけでございますが、現地入植の形においてなかなか困難な問題がこれから出てくるのではないであろうか、また工事完了後に現地入植は行なわせることにいたしておりますが、まだその時期に至っておらないわけでございます。そこで、今残った土地についてはどうであるかということでございますが、結局、これはその土地代についてはもうすでに買っておるわけでございますので、結局金利負担になるということになろうかと考えますが、この入植者自身につきましては、二年据え置き二十年償還ということになっておりますので、大体その間の長期償還考え合わすならば、金利負担程度についてはできるのではなかろうか、こう考えております。
  98. 田原春次

    田原分科員 農林省にもすでにわかっておることと思いますが、ブラジル在留の日本人間では非常に評判が悪くて、ああいう古い土地で、しかも割高につくところをどうして買ったかということから、現地在留民のそういう声、従って現地の外務省から行っておる人々と、それからこの土地を有望なりとして買う者との間に非常な争いがありまして、議論が二分されておるような形だと思うのです。にもかかわらず、あくまでグァタパラ耕地だけに固執するのは一体どういうことであろうかと思うのですね。  今度は飛躍して自分の意見になりますけれども、天下の農林省が南米移住、特に農民の南米移住を志すことはよろしい。しかし、南米といっても広いのであって、アマゾンもあれば、パラグァイにも今八万町歩からのイグアス村の建設がある。どうして一体サンパウロ州の古い土地で、あそこを買ってはいかぬという議論もあったところをしゃにむに——いろいろな経過は多少は知っておりますけれども、買った。そしてやってみたが、今日まで予定の数に達せずに、わずか五十戸しか入らぬ。なおまた今のお話によると、百十数戸の現地の日本人一世または二世、それらが入らぬのも、何かやはり採算がとれぬとか、作物の市場が遠いとか、ほかに安い土地があってそこに行った方が都合がいいとか、やはり入植する人にとっては、自分の生活のことでありますから、そういうことがあって、今日まで予定の数に達しないのじゃないかと思うのです。これは私はそう考えるわけですね。  そこでグァタパラ耕地をこの際、今のお話からいっても多少残るようですから、せっかく農林省が力を入れるならば、全国都道府県の農事試験場の共同実習場のようなものに切りかえて、そうして全国各府県から、あるいは果樹、あるいは水田、あるいはその他、熱心な研究員を交代で派遣する。そういうことが予算の上で可能であるか、ちょっとわかりませんが、そして農夫として必要なものは、全国の農業高等学校あたりから一高等学校一名ぐらいずつ卒業生を交代で三、四年ずつ実習に使う。中には半分くらいそのまま居残ってブラジルの他の方面に永住する者もできるのではないか。残り半分ぐらい日本に帰りましても、ブラジルの啓蒙宣伝にも使えるのではないか。続いては、すでにブラジルでも二世が相当大きくなっておる。これらの二世も農夫として入れる。そして一種の農学校方式か、農事試験場としての実習か、ともかくグァタパラに今のような形の、割高につく、しかもあれほど宣伝しても五十家族しか入らぬというならば、自余の土地を、農林省の積極的な予算上の措置をつけて、私の覆うような農事試験場に変えたらどうかと思うのですね。そして新たにこれから農民を入れるところは、新しい土地がたくさんありますね。中部ブラジルにもあります。北部ブラジルのアマゾンのごときは、御承知のように日本の十四倍もあって、アマゾン川の周辺では、すでに数年前にアマゾン入植三十周年祝賀式典を日本人がやっております。あの十四、五倍あるアマゾナス州、パラ州その他の直轄州に、約七千人くらいの日本人が現在入っておるわけです。それは各地にぱらっと入っておりまして、作物の研究、害虫の研究とか、あるいは協同組合組織もしくは作物を運ぶ川船の経営とかいうものについては、非常に力が足らない。あの中でわずかにトメヤス村だけが黒コショウをつくって比較的裕福に生活しておりますが、ロンドリーナとか、奥地に行ってみますと、全くまだそれだけの力に達してない。しかしながら、さすがに日本人でありますので、少ない資料、少ない資力、少ない人数の中でいろいろ工夫してがんばっておるのですね。従って、優秀な後続部隊を送っていくことが必要ではないか。特に戦後においては、ブラジル政府はもとより、憲法においても、その全予算の二%をアマゾン開発に使うべしというくらいになっておるし、それからパラ州やアマゾナス州、奥地に行けば行くほど、直轄州等では、双手を上げて日本農民の入植を歓迎しておる。にもかかわらず、最近とだえてしまって、農林省はグァタパラだけに固執しておるように思います。ですから、グァタパラ村の土地の経営を放棄する必要はありませんから、今私の言いましたように、全ブラジルの日本人二世の教育機関に切りかえていく。そのかわり年間に何一億かの資金を入れなければなりませんから、これはやはり農林省の予算でやってもらわなければいかぬと思いますが、新たに入るところは、北ならばアマゾン川の周辺、南ならばパラナ州その他たくさんあります。さらに南米全体といたしますと、ボリビァ、パラグアイ、ボリビアには今三千名しか入っておりません。パラグアイにも三、四千名くらいであります。こういう有望な土地もあるのでありますから、小さな行きがかりにとらわれずに、もっと広く、農林省は全力を上げて、移住地の開拓並びに経済上の指導、技術上の指導、必要な経費の計上ということに積極的に進むべきではないか。実はグァタパラの方、またアマゾンの方を見ましてしみじみ感ずるわけであります。わが国農民の海外移住、特に南米移住に対して熱意を持たれるならば、もう少し大上段に振りかぶった方針がとらるべきではないか。農林大臣は居眠りばかりせぬで、(笑声)私の意見を真剣に聞いて返事をしてもらいたい。打ち切るのですか、やるのですか。やるならば、ことし農林省は全体で三千何百億かの国内における予算を計上しておるようであります。これはそれぞれ理由はありましょう。しかしながら、日本の二十何倍もあるブラジル、アマゾンだけでも十四倍以上もある。そして南米全体を見ますと、至るところで日本農民を歓迎しておるのでありますから、三千何百億というような金を、この小さな島で、ときどき豪雪や地震があるところに使わぬで、日本人が平和的に進出できる、先方が歓迎しておるところに、もう少し力を入れるべきじゃないかと思うのです。あなたの海外移住政策を一つ聞かせてもらいたい。もしそれで不満足なら、私どもの方から指示を与えますから、それに協力してもらいたい。
  99. 重政誠之

    重政国務大臣 日本人の移住が世界各国の国民に比して非常に少ないということは周知の事実であります。これは何とか御指摘通りに、日本人の移住を大いに振興しなければならぬということは私も御同様に考えておるわけでありますが、どうも国内における移住政策が二元的に行なわれるということでいろいろ御意見があるわけであります。そこで、今回移住振興事業団というものをつくって、これに一手にやらすという話が出まして、私どもの方の取り扱い国内において送出をする、そこまでの取り扱いをいたすということに一応線を引いたわけであります。しかし、これは今お述べになりましたように、国策としてやらなければならぬ問題でありますから、十分外務省とも連絡をとり、海外移住振興事業団とも十分なる連絡協議をして、その移住国策を遂行いたして参りたい、こういうふうに考えております。
  100. 田原春次

    田原分科員 農林大臣は海外移住問題にあまり熱心ではない、勉強不足だと思います。名前からして海外移住振興事業団なんという法案は出ておりません。海外移住事業団法案です。それからしきりに国策々々と言いますが、国策というのは、聞く相手の国によっては非常に神経をとがらす。現に今度の海外移住基本法の原案なるものを見ましても、移住者本人の自由意思で行くべきであって、政府はサービスする程度になっておるようでありますから、私はそうなれば移住事業団法案に関して質問を進めてみましょう。  第一は、農林省と外務省の移住問題に対する対立は、百年戦争と普通にいわれておるくらいに非常に深刻なものがあるらしい。主として所管問題であるかというと、所管問題もあるが、またそれ以上いろいろな政策上の違いがあるのじゃないか。今度移住事業団法が国会に出されて、まだ審議に入っておりませんが、いずれ審議に入ったならば、詳しく聞かしてもらいたいと思っておることがたくさんあります。特にブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ボリビア等のおよそ六十万ばかりの日本人は非常に注目をしておりまして、私どもにも陳情書だけでも二百通くらい来ております。従って、せっかくつくるならばりっぱなものをつくってもらわなければならぬと思う。内地の役所間では所管の争いの方が非常に興味があるようでありますが、現地においては、一日も早く多くの人が来、機材が来、それから農業移住に対しては、それだけの資本も来てもらいたいと思っておりますが、ちっともはかどっていない。御承知だと思いますが、大蔵省は毎年一万名までの海外渡航費を予算に計上しているが、近年一万名をこしたことはない。七、八千名どまりです。特に昭和三十七年は、事業団ができるのではないかという空気におびえて、現在ある海外協会連合会及び海外移住振興会社では、一体わしの首はどうなるであろうかということの方が先になってしまって、ほとんど移住者の募集、必要な啓蒙、訓練等はやっておらない。ですから、昭和三十七年の一月現在で千七、八百名しか行っておりません。私の福岡県のごときは、いつも海外移住のトップをいっておった。数年前には年間に一千名をこえたのですが、ことしは一月末の計算で三十二名です。行く人がない。一体それは何に原因があるかというと、私の見ているところでは、数年前のドミニカ移住の失敗、これによって、これから移住を志す人が非常に神経をとがらせている。あれもやはり外務省と農林省の責任であって、調査の粗漏、責任のなすりつけから、せっかくの先祖代々の家を売って、非常な希望を持って千数百名の者がドミニカに行ったにもかかわらず、途中で引き返した者が半数以上もあった。ところが、引き返した者の国内における再出発に対して少しも親切味がない。昨年の春の決算委員会でやりましたが、それっきりになっている。今なおドミニカの移住者は東京で路頭に迷っておりますよ。それらがこれから行こうとする人々に及ぼす心理的な影響は非常なものです。私どもが海外移住をやってほしいと勧めても、ドミニカはどうですか、とみな言います。そういうわけですから、もし国策でという言葉をお使いになるならば、不幸にして引き揚げたドミニカの引揚者を再び南米に行かせるなり、あるいは国内で他の農業、北海道かどこかに定着させるなり、あるいは農業がだめなら、都市において仕事につかせるなりの努力が必要だと思うのです。これは全然やっておりません。そこへ加えて、先ほど申しましたように、移住関係の二つの団体がもう手を上げている。そういうときに海外移住事業団というものをつくってみても、いわば農林大臣が今まで白いオーバーコートを着ておったが、これがみなから攻撃されて、今度は黒いものを着た、しかし中身は同じです。そういう不信がありますよ。政府の移住問題に対する取り扱いを私どもは非常に心配している。基本的には、憲法で海外移住が認められているし、また確かに海外にたくさんの先輩が行っておりますから、後続部隊を出す必要があると思っておりますが、扱い方において非常にまずさがあるために熱がさめております。こういうときに海外移住事業団というものを出してみても、だれが一体行くかということになる。そういう心配をしておりますので、多少とも海外移住の問題を扱っている私どもとしては、急いでそんなオーバーコートを着かえるみたいなことをやるな、悪いときは悪かったと反省して、いかにしたらよくなるかということを考えろ、こう言っているのですが、ついに外務大臣農林大臣ですか、新聞によると話し合いで移住事業団法を出すに至ったらしい。出てみると、やはり通すということになってくる。私はやはり通す前に、行く人の子々孫々にわたる問題でありますから、よほど慎重にやるということが一つ、こう思うのですが、あなたと大平外務大臣との間にもめたというのは何であるか、どの辺で妥結したのか、これもやはり明らかにする必要があると思う。
  101. 重政誠之

    重政国務大臣 特にもめたということはないのでありますが、やはり責任の所在を明らかにする必要があるということも考えられますし、海外移住事業団をつくって、そうして外務大臣がその全責任を持って移住政策を遂行しよう、こういう提案でありますから、私はそれに賛成をしたわけであります。われわれとしては、農林大臣としてできるだけの協力をこれにいたしたい、こういう建前をとったわけであります。
  102. 田原春次

    田原分科員 それではさきの質問に戻りますが、サンパウロ、グァタパラ農地をそういうふうに切りかえたらどうかと思うのですが、どうでしょう。あそこを一農事試験場にして、現在並びに将来の移住者のための調査、研究試験をやってやるというものに切りかえたらどうかと思うのですが、いかがでしょう。
  103. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 この事業の発足につきましては、先生も大体御承知のことだと思いますが、関係の七県がそれぞれ約四千五百万円ずつ持ち出して計二億八千八百万円の資金を供出しまして、それに基づいて全拓連と現地のコチア産業組合との提携、その後におきましては海外移住振興会社がこれを引き継ぐことになっておりますが、そういう経緯で関係県のいわば共同事業のような形で行なったものでございますから、にわかにこれを切りかえて事業団の施設とする、あるいは移住振興会社の施設にするということになることについては、十分経緯を検討しなければ、そう切りかえるということは私は困難ではないかと考えております。ただ、この事業自身につきましては、当初事業の計画化がおくれたために、グァタパラに行こうとする連中が待ち切れずに相当数他に移転した。それから事業の着工がおくれたために、現在までの入植は、今先生のお話しになりましたように昨年度は六千三百戸だったのが、ことし三十七年度は千六百戸しか一月現在出ていないというようなこともありまして、グァタパラの入植も伸展しておりませんけれども、しかし、他の地区よりは私は伸展しているのじゃないかというふうにも思われます。  それから、この地域自身につきましては、御承知のようにいろいろ選定についても経緯があったことは承知いたしておりますけれども、サンパウロとブラジリアとのメーン道路の交通きわめて便利な地域に位しておりますので、そういうことから、あの農場自身について、そういうふうな切りかえ措置をとらなくても、従来の農場計画で進むことによってまだまだ十分期待できるものがあるので、今ここで早急に結論するのは尚早であろう、こういうふうに私自身は感じております。
  104. 田原春次

    田原分科員 それでは、いろいろないきさつもありましょうから、グァタパラはさしあたり新しい農業移住者を入れるということは、もうちょっとやってみることも一つ方法です。しかし最終的には、やはり日本の農民をほしいというのは、その勤勉性のほかに、工夫あるいは農業技術の優秀性を買っておるのですから、やがてこれは農事試験場、進んでは農業高等学校のようなものを経営する時期がくるのじゃないかと思うのです。そういう意味においてグァタパラは在留日本人の注視の的でありますから、こまかい勘定ばかりにとらわれずに考えてもらいたいということを希望しておきます。  なお、アマゾンですが、御承知思いますが、モンテアレグレに種苗園ということで約四百町歩のものを、たしか外務省が持っておるでしょう。行ってみますと、京都大学出の農学士が一人ぽつんとおるだけで、あき家になって、ただ寝ているだけなんです。当初つくったときは、アマゾン全体の日本人の種苗その他に対する技術指導のつもりであったでしょうが、予算がないということで打ち切られたわけです。閉鎖もできず、何も仕事ができぬ。反面アマゾンの沿岸には、古くは高等拓殖学校、俗に高拓生といわれる人々が各地に広く行っておって指導しております。近来は東京農業大学、拓殖大学、それから明治大学の農学部、日本大学の農獣医学部等からもそれぞれ若手が毎年三十名平均は呼ばれて行っております。農大のごときは五十人以上行っているでしょう。なかなか優秀であるために、向こうで生まれた日本人の家庭の二世の娘さん等から求婚されて、やむなく結婚した者もあるくらいでありまして、日本人の血液、特に知識的な血液を大へん求めているわけです。従いまして、グァタパラがあと回しとするならば、このモンテアレグレの種苗園ぐらいを農林省の援助か直営に移して、そして広く日本の各大学の農学部出身の者を何名かずつ入れる。そこで指導し、また永住もさせるというふうにすべきだと思うのです。これに対して農林大臣はどうです、賛成ですか反対ですか。
  105. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 同じように、何も農林省といたしましてはグァタパラだけが農業移住先というふうには考えておりませんので、農業内部におきましても、特に中年層の、農業を今後とも続けたい、しかも他に転職する道がないということで海外に移住したいという希望者が相当潜在的にはあると考えておりますので、われわれとしてはそういう者に対する援助をしたい。ただ、それがうまくいくかどうかは、今お話しになりましたように現地におきまする営農なりがうまくいくかどうか、またそれによって国内に対する反響が好結果をもたらすかどうかということが、非常な振不振の材料になるわけでございますが、そういう面から、私の方も現地の営農指導や何かについては、よく外務省にもそういう注文をいたしておるわけでございます。ただ先生御承知のように、現在の行政はなぎさの内と外で分けておりまして、なぎさの外につきましては外務省が担当するということになっておりますので、われわれの方からもそういうことをよく外務省に申し上げておりますけれども、先生の方からも外務省に、現地営農指導についてもっと熱を入れるべきであるということを一つ言っていただきたいと思います。
  106. 田原春次

    田原分科員 次は、国内でやれる問題を農林大臣一つ進言しておきたい。それは戦前は宇都宮高等農林、三重高等農林、岐阜商等農林、宮崎高等農林、鹿児島高等農林等に農業拓殖科というものがあったわけです。そして三年なり四年なり日本で勉強をさして、そして現地に行っております。やはり、それはそれだけの準備をしたために、各地において中心人物になっておりますよ。南米のコロンビアにおいても、あるいはペルーにおきましても、メキシコにおきましても、その土地において日本人社会における代表的な人物になっておる。しかるに終戦後マッカーサーが来まして、海外移住はいかぬというので、まず文部省をおどかし、これら歴史ある高等農林学校における拓殖科を廃止してしまった。それですっかり文部省は腰を抜かして、いまだに教育面からする海外移住というものは怠っております。しかし、農林省は、たとえば水産講習所を経営しているごとく、もしその気になれば、各大学の農学部に農業拓殖科をつくるようなことはできやすまいか。なおまた、全国にあります農業高等学校にも課外読本か選科ぐらいで中南米事情ぐらい、その気になれば、農林省が文部省に勧めて今齋藤局長の話では、なぎさよりこっちはいいというなら、国内のことはやれそうなものだ。重政さんの出身地である広島県は特に海外移住に熱心でありまして、ハワイ、北米、カナダ、中南米、至るところに行っております。行かぬのはあなたぐらいじゃないかと思う。大臣、一ぺん行って県人を慰問し、海外で活動している人々を慰問し、そして何が足らぬか、農林省で何をなし得るかということを見てくれば、私が言うように教育が根本だと思うのです。従って、荒木文部大臣は日教組攻撃ばかりやっておるようだけれども、海外移民のこともやれといって、少なくともあなたの力でできる農業高等教育の中に拓殖科を入れる。中南米だけでなく、東南アジア、おそらく近く問題になりますのはインドネシアに引き継がれた後におけるイリアン、すなわちニューギニアの開墾開拓投資ということは日本民族が行く以外にないのですから、こういう場合に備えて学校教育に力を入れるかどうか、それだけの馬力があなたにあるかどうか、一つ最後に聞いておきたい。
  107. 重政誠之

    重政国務大臣 十分に文部大臣と連絡いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたい、こう考えます。
  108. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 今の大臣の御答弁につけ加えて申し上げますと、農林省の予算といたしまして、各府県を通じての補助金の中に包含されておるわけでございます。農業高校は全国で約五、六百かと思いますが、拓殖知識について大いに青年に啓蒙宣伝してもらうという意味で予算を計上して、農業高校に対する講座あるいは資料の収集等について経費を助成いたしております。
  109. 田原春次

    田原分科員 この問答におけるいろいろな約束、所見等を聞きましたので、しばらく時間をかしてやり方を見ました上で、熱意が足りなければまた大いに督励しなければならないし、どうしてもやらなければ、農林大臣不信任案を出さなければならぬと思いますので、私は一応この程度質問を終わっておきます。
  110. 中村三之丞

    ○中村主査 岡田利春君。
  111. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私は、主として北方漁業の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、同僚委員から日ソ漁業条約交渉についての質問もありますので、重複を避けて御質問いたしたいと思います。  御存じのように昭和三十四年の日ソ漁業交渉によってオホーツク海におけるサケ、マスの全面禁漁が実は決定されたわけです。それ以来すでに三ヵ年を経過しておるわけでありますが、昨昭和三十七年、政府は、オホーツク海のサケ、マス資源の調査のために政府の調査船三隻で試験操業をしておるという実績を聞いておるわけでありますが、この政府調査船の試験操業の結果、その結論というものは一体どういうことなのか、資源の状態は他に比べて一体オホーツク海の場合はどういう状態なのか、この結果についてまずお聞きいたしたいわけです。
  112. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 オホーツク海の禁漁区の問題でございますが、三十七年度におきまして、御質問のように用船契約をもちまして三隻で資源状態の調査を開始しております。この調査は一年だけではなかなか十分な結果が出ないかと存じまして、三十八年度もやはり継続して調査をやりたい、こういうふうに考えております。なお、三十七年度におきましては、緊急に用意いたしまして操業をやるというような面の関係もございまして、油代等を交付してやる、そうしてこういったような調査になっておりますが、三十八年度はさらにこれを強化して、国の調査としてもっと完備したものをやりたい、こういうふうに考えております。なお、三十七年度の結果につきましては、今、日ソ漁業条約準備のためにその結果等を取りまとめ、分析、解析中でございまして、まだここで申し上げ段階まで至っておりませんので、この点御承知願いたいと思います。
  113. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私の聞くところによりますと、政府の調査船の試験操業の結果は、大体反当たり四十尾、最低三十尾、多い場合には百尾のサケ、マスの漁獲ができた、これは独航船に比べるときわめて高い率なわけです。大体母船式独航船の場合には四ないし五尾でありますから、実はこの問題については多くの人が非常に注目しておるわけです。そこで、特にこの問題を扱う場合には、もちろん一年だけで資源の状態に対する断定を下すということは非常に困難だと思うわけです。しかしながら、わが国としては特に昭和三十八年度については、より一そう系統的な調査をする必要があるのではないか。今長官は、この調査を継続する、こう言われましたけれども、昭和三十八年度の計画は、どういう方法でどういう規模でさらにこの調査を行なおうと考えておるのか、承りたいと思うわけです。
  114. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 三十八年度計画につきましては、サケ、マスの生物学的調査費といたしまして、ベーリング海その他オホーツク海も含めまして四千七百七十三万円を計上いたしております。これはベーリング海及び日本海、それから御承知のように四十八度以南の問題、それからオホーツク海、こういったところを含む計画でございます。現在の計画といたしましては、オホーツク海につきましては三ヵ月間の予定で二はいを用船契約いたしまして、これに生物学者を乗せまして、前年の三十七年度の実績等もよく検討しまして実施していきたい、こういうふうに考えております。
  115. 岡田利春

    岡田(利)分科員 農林大臣にお伺いしますが、今聞きました通り、オホーツク海域のサケ、マスの資源の状態がその後好転しておるのではないか、こういう実はきざしがあるわけです。私は、やはりオホーツク海域の問題は、日本だけではなくて、日ソの間でこれは本格的に調査をすべきではないか、そういう方向を日ソ漁業交渉の中で明らかにすべきではないか、そして両国が系統的にこの調査を行なうことによって、その結果、資源が回復しておるということであるならば、当然オホーツク海の全面禁漁区域を解除すべきではないか、その方向に持っていくべきではないか。私は、少なくとも今年行なわれる日ソ漁業交渉の中でも、この方向というものはわが国の意向として反映をすべきではないか、持ち出すべきではないか、こう考えるのでありますが、大臣見解を承りたいと思います。
  116. 重政誠之

    重政国務大臣 筋道としては御説のように参らなければならぬと考えますが、目下調査をいたしておるわけであります。ただ、昨年だけの調査結果によって直ちにこれを判断するのも早計かと考えますので、調査をなお重ねまして、大体のこちらにおいて判断がつきましたところで持ち出す。そしてさらに進んでは共同調査をやるなり何なりしていかなければならぬ、こう考えておるのでございます。直ちに本年の日ソ交渉でそれを持ち出すという考えは現在のところ持っておりません。
  117. 岡田利春

    岡田(利)分科員 今、水産庁長官昭和三十七年度の調査船の調査結果というものは日ソ漁業交渉があるので、そういう点で精細に資料を準備しておる、こう言われておるわけです。大臣答弁ですと、さらにこれは継続的に調査をする、少なくとも今年これを持ち出す考えはない、こう言われておるのですが、どうもその点答弁に食い違いがあるのではないか。もちろん持ち出して、これが今年すぐ解決できる問題だとは私は考えていないわけです。さらに継続的に調査を必要とすると思うわけです。しかしながら継続的に調査をする場合においても、日ソ間においてそういう意見の交換をしておく、そういう調査を共同でするという方向をわが国の方が主張していくということは、私は当然のことではないかと思うのであります。ですから今回の交渉でこの問題が解決されるものだとは私は考えていないわけです。少なくとも調査については、日ソ両国が理解の上に立って調査を継続していく、こういう方向を反映することは当然国民の信託にこたえ得る道だ、こう私は理解するのですが、大臣いかがでしょう。
  118. 重政誠之

    重政国務大臣 持ち出すという意味はなかなか幅の広い問題で、私は正式の議題としてこれを持ち出すというふうなお話に受け取ったわけであります。交渉のことでありますから、もちろん現在の諸般の事情は当然話し合いをする機会もあり、またすることもあろうかと思うのでありますが、そういう意味におきましては、十分御趣旨の点は理解をいたしております。
  119. 岡田利春

    岡田(利)分科員 農林大臣は、予算委員会で永井議員の質問に対して、B区域はいわゆる漁獲量の制限が加えられておる、そこでこの中には領海内における漁獲の量も含まれておる、これはちょっと問題ではないか、むしろ領海内におけるサケ・マスの漁獲については、B区域の規制からはずすべきではないか、こういう質問に対して、どうも不鮮明な答弁で、はっきりしていないわけです。いわゆる勝負を預るという形にあるわけですが、その後大臣は、この問題について検討されておると思うのですが、見解はいかがでしょう。
  120. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 これは条約の解釈にも相なるわけでございまして、私から御答弁申し上げたいと存じます。  B区域におきます漁獲量の問題に、領海の問題が含むかどうかという御質問だと思います。これは昨年の日ソ漁業委員会の第六回会議におきまして条約付属書の改定が行なわれましたことは御承知通りでございますが、新たにB区域が設定されまして、この区域における一九六二年の年間総漁獲量は、日本が自発的に宣言した通り大体六万トン、一〇%の範囲内の増減が認められる、こういうことに定められたわけでございます。それで、付属書によりますと、B区域はA区域を除く条約区域ということになっておりますが、この日ソの漁業条約の第一条第一項によりますと、条約区域は領海を除く北西太平洋の全水域ということになっておりますので、B区域には領海は含まれないものと私は了解いたしております。従って、B区域の年間総漁獲量につきましては、領海の漁獲量が含まれないものというふうに解される、こう考えております。
  121. 岡田利春

    岡田(利)分科員 今の長官の御解釈で私もけっこうだと思います。しかし、本件については、特に日ソ間で十分理解をしておく必要があるのじゃないか。もちろん日本側の解釈は、理解はそういう理解であっても、これ以外の問題でもずいぶん問題が出ておるわけですから、そういう点についてあとから問題のないように、今度の交渉でも明確にしてほしいということを強く要望をしておきたいと思うのです。  それから昨年、交渉を前にして、私は河野農林大臣質問をいたしたのでありますが、とにかく資源保持の立場から漁獲の規制をするということは避けられない、このことは日本側としても十分考えなければならない。そこで漁獲の量を全面的に規制するということになるならば、それ以外の規制措置は無意味になるのじゃないか。ところが日本側としてもむしろ初めから持ち出した条件として漁期の短縮、あるいは隻数の減船、加えて網の長さの規制、あるいは網目の規制、こういう規制を次々とソビエト側に提示をしていったわけです。しかも最終的にはB区域全体の規制が行なわれた。これは昨年の第六回の交渉経過だったと私は思うわけです。今日この漁獲量の規制が行なわれたならば、私はそう二重、三重の屋上屋を重ねるような規制措置についてはむしろこれは撤廃をすべきではないのか、隻数については減船をしておるのです。しかも漁期を短縮する、あるいは網目、網の長さ、こういう二重三重の規制措置というものはむしろ単純化すべきではないのか、こういう見解を持っているわけです。しかしこのB区域の漁獲の規制というものは撤廃できるものではないと私は思います。そうするとそういう前提を立ってこの規制の改善を当然交渉の議題とすべきである、こういう見解を持っておるのでありますが、この点についての見解を承りたいと思います。
  122. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 ただいまは、御質問のように、漁獲数量の規制はA地域については五万五千トン、B区域については六万トン、こういった規制があるわけでございます。それに加えまして、漁期あるいは網目の制限あるいは網の長さといったような制限が加えられております。御指摘の漁獲量の制限があれば、そういった網目なり網の長さの制限といったような必要はないじゃないか、こういうような御指摘でございます。そういう面も考えられるわけでございますが、やはり資源保護という観点から申しますと、ただ漁獲量だけを制限してよいかどうか、やはり若年のもの、小さいものをとるとか、そういった点もありまして、そういった網目の制限等がつけられておろうかと存じます。こういう点につきましては、われわれとしても、網目自体においても問題があるわけでございますし、そういう点は十分折衝段階においてもまた考えていきたいと思いますが、そういう事情がありますので、クオータだけでいいじゃないかという議論だけでもなかなかむずかしいのじゃないかと思います。
  123. 岡田利春

    岡田(利)分科員 今の答弁で私は了解しますが、もちろん網目の問題は、技術的に話をすれば私は解決ができるものだと思うのです。それ以外の問題については相当弾力性を持ってこれらについては少なくとも改善をしていく、こういう姿勢が今度の交渉の場合とられるべき姿勢じゃないか、こう私は考えるわけです。従って、特にこの点の努力を私は要望しておきたいと思います。  次に昨年の交渉の結果、A区域の操業の許可証がおりてからB区域の操業ができる、こういう解釈を実は日本側はとったわけです。付属書を見ますとB区域の操業期間は六月三十日までだ、しかしながら日本側としては交渉の経過からいって六月三十日を過ぎてもB区域の操業はできるのだ、こういう見解で実は指導したわけです。その結果ソビエトの監視船から注意を受ける、あるいはまた、日本側でもその点政治的に問題になってきた、こういう事実が実はあるわけでございますが、この点は交渉の経過で日本側が解釈をするということ自体に問題があるのじゃないか、こういう気がするわけです。従ってA区域、B区域も、四十八度のぎわの操業が規制をされておるのでありますから、少なくともA区域の許可証が出ても、B区域で操業しても、私はこれは差しつかえのない問題だと思うのです。従って、この点は付属文書が六回交渉であるわけですが、この面を明らかにすべき非常に大切な問題点ではないか、こう考えるわけですが、見解はいかがでしょう。
  124. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 B区域で操業いたしております流し網の漁船が六月三十日までA区域、それからその後においてA区域に入って操業する、このA区域に入ります場合は、一船ごとの許可がつくわけでございます。このB区域からA区域に入りますについては、その許可証を、昨年のことを申しますと六月二十一日から六月三十日の間に交付を受ける、交付を受けて七月一日からA区域に入る、こういうことになっておりますが、その六月二十一日に許可証をもらって出港をして、B区域において操業する場合もあろうかと存じます。しかし、その許可証を受けたあとにおきますB区域における漁獲量は、A区域において許可したものになる。こういうふうにしてA区域のクオータとB区域のクオータが混淆してあいまいにならないような措置を講じておるわけでございます。条約付属書は、B区域の終期が六月三十日、こういうふうになっておりますが、こちらの自主規制において二十一日以降に許可証を出したものは三十日から入るわけでございますが、A区域、B区域に連合しておりまして、漁況の状態によっては区域だけで操業できないで、七月以降においてもまたB区域に入ってくる、こういうような操業の実情もあろうかと思うわけでございますが、そういう場合に、B区域でとったものはやはりA区域で漁獲したものとみなすという、A区域の五千五百万のクオータの中に入れるように、これは取り扱いをしておりますが、そういう関係で、自発的、自主的な規制措置と付属書の分が多少矛盾する面があって、昨年、御指摘のような七月一日以降においてB区域で漁獲をしていたものが、たまたまソ連の監督官が乗り合わしている船が来ておりまして、それともんちゃくがあって、わが方が自主規制でやっているのだ、こういう解釈だということで、まだその問題が未解決のまま残っておりますが、そういう点につきましては、今度の会議等においても明確にして参りたい、こういうふうに考えております。
  125. 岡田利春

    岡田(利)分科員 この問題は、A区域とB区域というのは、これは明らかに四十八度を境にしてきまっておるわけなのですから、従って、そういう問題が起きないように明確に日ソ間ではっきり交渉の中で解決をしておくべきではないか、こう思うわけです。従ってB区域の操業が終わって、A区域に対する流し綱業者に対する操業許可証を出した、これは私は、ずれてもA、Bの操業許可の問題についてはもう少し弾力的に運用すべきではないか、実はこういう感じがするわけです。現行の指導では、A区域に対する操業許可証を出したならば、時期がずれるともう許可証を出さないわけですね。若干日にちがおくれてB区域からA区域の許可証をとるという場合には許可証を出さないという、こういう態度を水産庁はとっておるわけです。従ってこの点も特に日ソ交渉の中で、これらの問題も昨年問題になったわけですから、当然問題になるわけです。この解決と同時に、そういう問題についても特に解決をはかって、解釈上問題のないように、特に私はこの点も要望いたしておきます。  大臣が本会議に行かれるそうですから、大臣一つ質問いたしますが、実は昨年の六月一日の農林水産委員会で、日ソ漁業交渉から帰られた河野農林大臣に対して、特に不法操業の問題について、その対策を実はただしてあるわけです。これに対して河野農林大臣は、不法操業絶滅の対策一つ抜本的に検討して、できれば立法措置をとる、こういう態度が六月一日の農林水産委員会で言明されておるわけです。その後この不法操業絶滅対策というのは、昨年水産庁は海上保安庁と連絡をとり、あるいは関係各省と連絡をとって取り締まり方針というものは一応基準を出しましたけれども、どうもこれは河野農林大臣の言明しているものとはちょっと及びのつかないものではないか、こう私は理解をいたしておるわけです。もちろんこれはサケ・マスの問題だけではなくして、不法操業の問題については、水産行政全般について検討せなければならない問題でありますから、そういう点では水産秩序の確立という基本的な問題までさかのぼらなければならぬ問題ではないか、こう実は考えるわけです。この点について農林大臣はどういう見解を持っておるか、特にこれから一体どういう方針でこれに対処する考え方があるのか、見解を承りたい。
  126. 重政誠之

    重政国務大臣 国際漁業につきましては、特にそれが非常に必要であることを私は痛感いたしております。痛感をいたしておりますが、これは、御承知通りに、なかなか困難な問題であると思うのであります。ただ法令だけでそれが片のつかない問題でありますので、常に気にはいたしておるのであります。そしてまた、検討も進めておるのでありますけれども、現在までのところ自信のある成案を得ておりません。
  127. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 大臣から御答弁がございましたが、多少つけ加えさしていただきたい、こう思います。根本的には、国際漁業の問題ということにつきましては、やはり条約なりあるいは取りきめなりを順守して操業するという基本的な考え方を、漁業者あるいは船主その他の会社等が持つということが第一だろうと思います。これは、いずれの会議におきましても、やはり国際協定のあります海域において操業する日本漁船が、資源保護ということと、やはりきめられた約束は忠実に守る、これが根本だろうと思います。そういう態勢にこれは持っていかなくちゃならぬとわれわれは考えて、そういう点の指導はいたしておりますが、これをまた取り締まりの面からも、やはりそういうことのないように、今後北洋あるいは日米加の関係におきます東ベーリング海への出漁とか、こういった意味におきまして、そういった面の指導なり取り締まりの強化ということも十分考えていきたい。そういう点におきましては、一昨年のサケ・マスの問題がありまして、日ソ交渉等でも問題が指摘されておるわけであります。昨年は非常に注意いたしまして、漁業者もその気になって非常によくやってきてくれた、こういう感じを持っておりますが、取り締まりの面におきましても、違反があれば必罰主義でいく、こういうふうに考えております。単船の取り締まり等も強化いたしております。なお新漁業法の実施を機会にいたしまして、この取り締まり省令を一部改定いたしまして、無許可船につきましてはサケ・マスの漁具の所持を禁止するとか、あるいはサケ・マス自体の保持を禁止する、こういった省令で措置を講じまして、無許可船がサケ・マスを勝手にとりにいくというような事態を防ぐような道も講じて、そういう面の補強もはかっていきたいと思います。
  128. 岡田利春

    岡田(利)分科員 昭和三十六年度の無許可違反船は、ソ連に傘捕されただけで八十隻だったのです。昨年は相当きびしくこの取り締まりをしたわけですが、やはり問題が出てきたわけです。昨年は、ソ連に拿捕された無許可違反船は何隻ありますか。
  129. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 ただいま正確な資料を持ち合わせておりませんが、一昨年のようなことはございません。多少あるように聞いておりますが、一昨年のようなひどいことはございません。この点はそう問題ないかと思います。
  130. 岡田利春

    岡田(利)分科員 もちろん昨年の場合には、やかましくいいましたから少なくなっておることは確かなんです。ただ、従来になかった政治的問題になるような事件が実はあるわけです。これは、霧多布に住む道南地帯の無許可船が相当にサケ・マスを陸揚げしてこれが発見をされた、こういう大々的な事件が実は昨年発生いたしておるわけです。資料がないようですから、私はこの程度にとどめておきますけれども、やはりこれらの面については、単に方針を出して取り締まるというよりも、秩序の問題としてこれから単に日ソだけでなくて日米加あるいは日韓、日中と、それぞれ国際漁業の問題はずんずん大きく政治問題になるわけですから、単なる省令ではなくて、もう少し政府の行政指導を伴った、しかもまたそういう秩序を確保する決意が行政の中にあるいは立法措置等の中に生かされてこなければいかぬではないか、こういう感じがするわけです。特にこの点は御検討を願っておきたいと思います。  次に、昨年の交渉が終わったあと、北洋の安全操業の問題について、河野・イシコフ会談の中で、若干私的に問題が提起をされて、その後イシコフと大日本水産会の高碕さんとの間にこの問題について正式に話し合いが持たれた。帰国後その談話が発表されておるわけですが、私は前の伊東水産庁長官にこの問題についてお尋ねいたしましたところ、政府の方には別に正式に話はない、河野さんに聞くと、これは高碕にまかしてあるのだということで、どこに聞いても政府の方はかいもくわからぬ。こういう話の中で終始をして、それが消えたのか残っておるのか、実は最近またサケ・マスの輸入問題で、高碕さんとソビエトの貿易関係者との話し合いも出ておるわけなんですが、私はこの問題はそう等閑視さるべき問題ではないと思うわけです。政府としてもこれらについての見解を明確にする必要があるのではないか、こういうことが特に痛感されるわけです。それと同時に、安全操業の問題について、従来話し合いされた経過を基礎にして、日ソ漁業交渉の中にある程度持ち出して、ソビエト側の意向を打診する、あるいはこの面について何らかの打開策を講じていく、こういう意欲があるのか、この点、見解とあわせてお聞きいたしておきたいと思うのです。
  131. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 北方水域におきます安全操業の問題は、御指摘通り昨年そういう経過をたどっております。これは昭和三十二年以来、日本側といたしましては、正式に外交ルートを通じ、あるいはソビエト政府代表者が見えた場合に、直接農林大臣等からも、この安全操業の問題について、暫定的でもいいから一つ何かの取りきめをしようじゃないかという話を持ちかけて、再々交渉を続けて参った経緯があります。ソ連側の態度といたしましては、平和条約を前提とするということを常に答えて、この暫定取りきめそれ自体にも応じようとしない、それが今日まで終始一貫した態度です。われわれも、そういうことは別にして、零細漁民の人道的な問題であるからというこちらの窮状等を伝えて、この問題の打開をはかって参った次第でございますが、いまだ解決に至っていない、こういうことはまことに遺憾に存じます。こういう問題につきましては、今後会議等機会のありますごとに注意を促して参りたい、こういうように思います。
  132. 岡田利春

    岡田(利)分科員 これは非常に大きな政治問題で、正式な議題になり得るかどうかは別にして、せっかく日ソ漁業交渉を持たれて、ソビエト側の担当者と日本側の担当者が十分理解を強める機会があるわけですから、そういう点においてこの問題の解決には特に積極的に努力をしてほしいと思うわけです。今日、特に歯舞の漁民の場合は、貝殻島周辺に出漁するかどうかということが盛んに議論されて、実は非常に大なる反響を呼んでいるわけです。私常に不思議に思うのは、現在危険推定ラインというものが引かれて、実は私も横路代議士と一緒に巡視船に乗って現地を視察したことがあるわけですが、海上保安庁としては指導がどうも不明確で、その場その場でできるだけ拿捕されないようにという程度しかないわけです。ですから、やはりこれらの問題が友好的に解決されていくとするならば、ある程度筋の通った方針というものが必要ではないか。あるいはそれに伴ういろいろな対策が必要ならば、そういう対策等についても考えてみる、こういう態度が必要なのではないか。そういう中から、現在抑留されている数多くの抑留者の帰還について、ソビエト側との話し合いも進展していくのではないか、私はこういう見解を持つわけです。この点の指導は保安庁あるいは水産庁として今後どうするつもりなのか。従来通りなのか、一歩進めていく考えなのか、見解を承りたいと思います。
  133. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 お答え申し上げます。先ほど先生には、巡視艇に乗りまして現地視察をしていただまして、まことにありがとうございました。御指摘通り、私どもは大体二十海里を一応の危険線と推定しているわけでありますが、ソ連は、領海十二海里を主張しておるわけであります。それに船が非常に小型でありまして、ロランでありますとか、方探でありますとか、航海計器を備えつけしていないのでございます。そういうのが風、潮等で流されるのを見込みまして二十海里を推定しているのでありまして、巡視船を派遣して、私どもが推定しました中に入らないように極力説得しておるわけであります。ある船は、その現場にかけつけて処置に当たりましたときに、ソ連の監視船の方から誤解がございまして、何か攻撃的な処置をとるようなことがあったとかなかったとかいうようなことになっておりますが、そういうふうなことまでも努力してやっておる次第でございます。今後ともできる限りの力を尽くしまして、こういう点についてはよく処置するようにしたいと思います。  また、周知宣伝につきましては、先生も御承知のように、現地の保安部長が出まして、講習会あるいは漁業協同組合の幹部の方々の会合等あらゆる機会を利用しまして、水産庁との話し合いの上の考え方をよく徹底さしていると思っているのであります。なお足らざるところは今後十分注意いたしまして、そういう線に沿って努力したいと思います。
  134. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私は、実は現地の所長さんは非常に気の毒だと思うわけです。現地がそれを判断しなければならぬ。しかも、判断を一たび間違うと大へんなことになる。今年度予算でようやく根室の場合には部に昇格するということになっているのですが、われわれが見ても必要のないようなところを先に部にして、必要のあるところを部にしていない。こういう傾向のあったことを非常に遺憾に思っておるわけです。従って、そういう点について十分一つ連絡をとって、現地の第一線におる人が苦しむようなことのないように、特にこの点の配慮を願いたい。それと同時に、水産庁としても抑留者の帰還の問題、あるいはせっかく昨年、私的であったけれども、安全操業の問題がソビエト側と話し合いがなされたわけですから、今年は特にそういう点を一歩進めて配慮をして、これらの問題の解決の方向に一つ努力してほしい、このことを強く要請をいたしておきます。  次に、実は小型サケ・マスの操業区域が今度北海道の道庁の方針で拡大されておるわけです。北緯四十三度九十五分と東経百四十七度ですか、この地域の拡大を許可するということで、すでにその方針が発表されておる。しかも操業についても、従来よりも早く操業させる、こういう点が実は明確に出されておるわけです。私は、このことは非常にけっこうなことだと思うわけです。しかし、七トン未満の小型サケ・マス漁船が、さらに区域が拡大されたことによって、波の荒い北の方に進出するということになって参りますと、この面の海難対策というものは十分留意されなければならぬ問題じゃないか、私は実はこう思うわけです。特に無線装置の問題について義務づける、無線装置ができない面については集団的に漁業をさせるというのが、当面の安全に操業でき得る指導の方針に実はなっておるわけです。そうしますと、この区域拡大に伴って無線装備をしなければ——七トン未満の小さい船ですから、無線の装備をするというような場合には、特にそういう方針に基づいて、この装置のための融資については特別な配慮が払われるべきではないのか。それでもなおかつ、これは三トンくらいあるいは五トン未満くらいになりますと、無線装置をつけることは非常に困難でしょう。そうすると、これに伴う海難対策というものは当然なければならぬではないか、こう実は考えるわけです。従って、前者の問題については水産庁から、後者の問題、特に海難対策については保安庁の方から答弁願えれば幸いだと思います。
  135. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 七トン未満のサケ・マスの知事許可の分でございますが、これは隻数が非常に多いのでございます。私の記憶で千二、三百くらいあるように聞いております。非常に小型でございまして、今度これの海域を広めるように相なったのでございますが、そういう点についての操業については、やはり漁船の能力を一番知っているのは漁業者だと思いますから、それはみずから相当の注意を払うだろうと思いますが、北海道庁をしてそういう点の指導なり、あるいはやはりB海域に出るわけでございますので、こちらの監視船なり指導船等からも、そういう点の海難あるいは危険防止ということについて十分指導して参りたいと思います。
  136. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 小型船が今までよりもよけいに沖合いの海に出るということにつきましては、確かに先生の申しますような心配があるわけでございまして、私どももそういう点は非常に苦慮しておるわけでございます。やはり集団的の保護といいますか、お互いに救難の協力体制を申し合わせて出ていく、それから救命胴衣はぜひ船主の方においても用意するように御指導を願いたい。それから通信施設は、先生も申しますように、少なくとも小型無線機ぐらいは持たして出るように御指導願いたい。私どもの方といたしましては、そういうふうないわゆる最近の北洋のサケ・マスのみならず、タラ、はえなわ、あるいはこういうふうなものに対処するために、宗谷が南極から帰って参りましたので、ことしの四月に入ればできると思うのでありますが、北海道に配属いたしまして実力を増していきたい、かように考えておるわけでございます。
  137. 岡田利春

    岡田(利)分科員 時間がありませんからあと二問でやめますけれども、無線の問題は、特に六トン、七トンの場合は道としては義務づけておるわけです。ですから、無線装置をつけるとすれば、これに対する融資とかそういうものは、海難のないように、安全操業ができるように、これはやはり水産庁としても配慮を願いたいということを特に強く要望しておきたいと思うわけです。  次には、国後、歯舞、色丹周辺、いわゆる根室海域でありますが、この地域に対して第二種共同漁業権の設定をすることについて現在問題になりつつあるわけです。根室の海区の調整委員会としては、この点を素案としてぜひ漁業権を設定したい、今までは危険推定ラインから国後の方について設定してないわけです。これを設定したい、実はこういう意向もあるわけです。これはおそらく水産庁の方に道からも意向打診が行なわれておるのではないか、指導を受けるべくそういう点についての何らかの話が持ち込まれておるのではないか、こう私は考えるわけであります。従って、この国後、歯舞、色丹周辺のいわゆる根室海域に第二種共同漁業権の設定を、これは水産庁としては設定してもよろしい、こういう見解に立っておるのかどうか。それと同時に、歯舞漁業協同組合は、第一種の共同漁業権の設定を貝殻島を含めて、これはぜひそのようにきめたい、そしてそれを許可を受けたいという態度を一応きめておるわけです。私はこれに二つの問題があると思うのです。危険推定ライン、これは日本の領土であるということで、危険推定ライン外部にはみ出して漁業権が設定された場合に、もちろんこれは漁業協同組合が主体で受けるわけですから、漁業協同組合のコントロールでこの操業の問題についてはある程度コントロールできる、こういう利点が優先し過ぎておるのではないか、実はこういう感じがするわけです。しかしながら、日ソ間の問題を考える場合に、現在一応向こうの方では国境であるといっている。日本では危険推定ラインといっている。これをはみ出して正式に第二種ないし第一種の共同漁業権の設定をするということになりますと、これは私は国際的な問題になるのではないかと思うのであります。ですから、これは当然知事許可の問題でありますけれども、水産庁としてもこれに対する態度を明らかにすべきではないかと考えるわけです。この点についてどうお考えになりますか、見解を承りたいと思います。
  138. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 歯舞、色丹、あの周辺の海域につきましての漁業権の設定の問題でございますが、ただいま御質問のようにこの問題は承知いたしております。漁業権の設定をする場合の漁業権がどこまで及ぶか、こういった問題がございます。漁業法では漁業権の及ぶ範囲というものは明定いたしておりませんけれども、大体公海上に及ぶ、こういう常識的に考えられる範囲、こういうふうに考えて、はっきりした明定はございません。ただし、この北方水域におきましては、歯舞、色丹あるいは貝殻島を含む漁業権を設定できるかどうかという問題については、これは今御指摘のように、日ソ間の領海の問題もございますし、われわれといたしましては、やはり本来の領土として潜在的な領土権があるように考えておるわけでございますけれども、貝殻島はやはりソ連の行政権下にある水域でございます。そういう水域を含む漁業権の設定が可能かどうか、こういう問題について、漁業権だけで考えられない、やはり外交関係の問題にもなろうかと存じまして、ただいま外務省の方とも打ち合わせ中でありまして、まだ結論に到達いたしておりません。
  139. 岡田利春

    岡田(利)分科員 これで終わりますけれども、特にこの問題は私は非常に重大だと思うわけです。これは単に北方海域の問題だけではなく、当面、日韓会談の予備交渉の中で、日韓の漁業交渉が行なわれておるわけです。李ライン、竹島問題に関連して、当然北方の場合と韓国との場合の取り扱いの問題、政府見解、態度というものが非常に微妙ではないか、こう実は私自身判断をいたしておるわけです。従って、この問題については、特に私は慎重に配慮してもらいたいと思うのです。むしろやはり今日大事なことは安全操業の問題を基本的に解決する、このことが優先的に努力されなければいかぬのじゃないか、こういうように私自身見解を持っておるわけです。ですから、現在国後と色丹の間、択捉と色丹との間、この島から十二海里離れれば、これは向こうでは拿捕していないわけです。堂々とこちらではカニの操業が可能であるということが、ここ二、三年明らかになってきておるわけなんですから、そういう面から考えても、これが漁業権の設定を、日本側として一方的に固有の領土であるというだけでするということになりますと、私は非常に政治的な大きな問題になると考えるわけです。  そこで最後にお聞きしたいのは、今年ももうすぐ時期がきて、貝殻島周辺におけるコンブ漁の問題が出て参るわけです。そこで従来政府の態度というものは、一向はっきりした見解というものは示されない。北海道として今度補助も受けて、第二貝殻島をつくって昨年大型魚礁を投入した、こういう経過も実はあるわけでありますけれども、当面この問題について、やはり政府は従来と同様の態度をとっていくのか、あるいはまた第二貝殻島をつくったのであるから、この場合一歩進めて、この点について政府の態度というものを明らかにしていく考えなのか、この点特に最後に見解を承っておきたいと思うわけです。
  140. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 歯舞、色丹水域等に出漁しております漁民は、御承知のようにコンブあるいは帆立貝、その他カニ、いろいろございます。問題は貝殻島周辺のコンブあるいは帆立貝等に相当問題があるわけでございますが、そういう点については、今御指摘のように、コンブ礁というものを三十八年度からは公共事業として大型化して、沿岸の構造改善対策と並行して、そういった措置をさらに強力に進めるということを考えております。コンブ礁等につきましては、試験的にやった結果においては、非常に結果がよろしいようにわれわれ道の方から聞いております。そういう施策を進めるとともに、歯舞、色丹区域についての、そういった危険水域における操業から転換できるようにということで、昨年の暮れでございますか、カツオ、マグロの新規許可を二隻許可いたしてございます。そういう面におきまする漁業転換ということも行なうことにしております。  なお、構造改善対策事業として、そういった危険水域に対しては、魚種の転換なり漁場の転換なり、あるいはそういった対策なりというものをさらに進めて参りたいと思います。
  141. 岡田利春

    岡田(利)分科員 特に私は焦点をしぼって、第二貝殻島を一応つくるということで、昨年大型魚礁をやられた。これはもちろん試験の結果は良好であるということを私は聞いておるわけです。  そこで問題になるのは、いずれにしても、そういう漁礁がつくられても、貝殻島周辺の岩礁地帯の、当面コンブの問題、これが一番大きな問題なんです。この問題は、やはり今年も問題になってくるわけです。しかし政府あるいは道として、そういう第二貝殻島をつくったのだ、しかしながらこの岩礁に出漁する問題については、従来同様の態度を政府はとる、こういうのか。そういう第二貝殻島をつくったのであるから、今年は、この面についてはある程度強く規制をする——規制をするといいますか、一歩進めたそういう拿捕事件が起きないような態度をとることを考えておるのか。いずれかということをお聞きしておるわけです。
  142. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 この安全操業の問題につきましては、先ほどから御指摘がございますように、われわれとしては、なかなかむずかしい問題でございますが、できるだけそういった措置がとれるような方針は進めて参るわけでございますが、一方において、それがなかなか簡単に解決する見通しがないということになりますれば、先ほど申しましたように、やはりそういう危険な水域に出漁しないで済むような措置を講じておるわけでございます。そういう方向に指導したい、こういうことでございます。
  143. 岡田利春

    岡田(利)分科員 時間がありませんから、終わります。
  144. 中村三之丞

    ○中村主査 本会議が午後二時から相当時間開会されますので、本日はこの程度にとどめることといたします。  次会は、明二十三日午前十時から開会し、本分科会の所管全部について残余の質疑を行なうことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十七分散会