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久保田(豊)
分科員 非常に議論が抽象的になりますが、私どもが心配するのは、先進国に対しましてはOECDでいろいろやりましても、現在の
日本に対する差別待遇であるとか、三十五条援用の撤回とか、自主規制の問題、そういうものをとるきっかけにはなるかもわかりませんけれども、しかし、同時に私はこういう問題が出てきやせぬかと思うのです。それは、
日本の資本主義国の中での成長率、これは御
承知の
通りちょっとほかに類のないような高い成長率を持っているわけです。これについてはいろいろの国内の矛盾が現に出ておる。
あとでまたこの点はお聞きしますけれども、これについては世界
各国必ずしも私は正常にとっておるとは考えない。
新聞で見ますと、今度の
IMF勧告の第三項ですか、あの中でも、要するに安定した
経済成長率を維持するように財政
経済政策の調整をするように望んでおるわけです。こういう点で、
日本の独自の
経済成長
計画なり何なりというものが、そういう方から抑制されやしないか。片方において
自由化というか、いろいろの
制限がとられ、片一方そういうことがありゃせぬかということ。もう
一つは、低
開発国に対する援助なり何なりも、これはやるべきでしょう。やるべきでしょうが、そのやり方なり、それのはね返る犠牲というものを相当考えぬと、具体的にはやっていけないと思う。その場合に、国内のこれによって
関係を持つ特に農業とか、あるいは中小
企業の一部のものとか、こういうものについての
対策というものを考えずに、こういう低
開発国と、単にアメリカなり何なり従来の国との肩がわりみたいな格好でだんだんと負担もしょわされてくると、特にそう言ってはあれですけれども、池田さんのように、
日本も世界の三本の柱の一本として大国意識と言いますか、こういうものを十分に売り出そうということになると、こういう危険が相当出てくるのではないか。この二点をよほど慎重に考えぬと、国内における、そう言っては失礼ですが、今の池田内閣の
一つのムードと言いますか、
一つの姿勢と言いますか、根拠不十分なものに乗っかってやるということは、政治家としてはやるべきものじゃない。もう少しじみちな、しっかり基礎をつかんだ、明確なる見通しの基礎に立った世界政策というか、対外政策というものを立てていかなければならないのじゃないか、こう思うのであります。こういう点でどう思われるかという点が一点。
もう
一つOECDに加盟することによって、これはいつになるか時期の問題もいろいろ
関係して参りましょうけれども、とにかく例の一九六一年十二月十二日の資本移動の
自由化に関するコードというもの、これが大体におきまして義務づけられてくるのではないか、こう思うのです。そうしますと、今度の
ガット十一条
国移行で、この点は直接の法律上の
日本の
責任、義務ではありませんけれども、大勢から言えば、いやおうなしに資本移動の
自由化ということはある
程度せざるを得ない。さらに日米通商航海条約の十二条二項なり七条によりまして、これまた資本移動の
自由化をしなければならない。しかも
自由化したものにつきましては、これは内国民待遇と言いますか、そういう待遇を保障していかなければならない。それにさらにOECDの
自由化コードが加わってきますと、これに対する
日本側の対処策というものは、これも
日本の国内
産業については相当大きな問題になろうと思うのであります。特にそのうちでも重要な問題は、いわゆる長期の資金、資本であります。こういうものの輸入がどんどんやってくることになりますと、今すぐは
日本では資本が不十分ですから、ある
程度乗っかっていってもいい。しかしながら、今すでに欧州等でぼつぼつ問題になっておるように、アメリカの長期資本がどんどん入ることによりまして、
産業秩序なり何なりが非常に向こうに支配されることになる。そうなってくると、今
政府がお考えになっている国内でいろいろの
経済政策をやろうとしても、そういう外国資本の障害のために政策的な自由を失わざるを得ないというような危険も相当出てくるわけであります。これは欧州の例なんかを見ますと、全体としてプラスになっているか、マイナスになっているか、だいぶんこのごろは疑問になってきているような向きも出てきているようであります。カナダのごときは、そういう
意味ではアメリカの長期資本が入り過ぎて、カナダ自体の資本と言いますか、
企業というものは伸びにくい段階がもうすでに来ているわけであります。
日本のように国際環境が非常に狭くて、ある
意味においては不利だと思うのですが、そういう中でこの長期資本のあれがこういう三重のいわゆるプロテクトを受けてどんどん入ってくるということになるということは、私は非常に考えるべきではないかと思う。もちろん、これに対して全然いけないというわけではありませんけれども、これに対してはよほど
政府側としてははっきりした見通しなり、具体的な政策を持って対決をしないことには、まあまあ今のところ資本がないから
一つ外国の資本を入れたらいいじゃないかというふうなことでは、少なくとも
日本の民族的な見地から見たいわゆる
日本の大きな
経済の発展ということにはならぬじゃないか。これがひいては
日本の貿易の収支というようなことにも、表面は
日本の貿易であっても内容はそうでないというようなものが——アラブ諸国のごときは現在そうだろうと思う。
日本に対しては石油ですから、
日本の方がはるかに入超になっております。しかし、あの内容はアラブ諸国の収入に必ずしもなっているかどうかわかりません。おそらくは米英資本の収入になっている。国としてはそれに対する税金ぐらいのものだろう。こういう問題が出てきた場合においては、
日本としては非常に重要な問題になってくる。特に米英のこういう長期の直接資本がよけい入ってきた場合においては——少なくとも私ともの見解では、
日本経済が将来対外的に伸び得る大きなシェアというものはどこかといえば共産圏地域です。これは何といっても、この地域に対するいわゆる合理的な進出というものは、非常にこの点から阻害をされる。現にそういう傾向がたくさん出ているわけであります。こういう点から見て、私はこの点は
政府としては単なる一時の資本不足の解消とかなんとかいうことではなくて、よほど考えるべきではないかと思うのですが、これらに対してはどうお考えになっているのか。また同時に、どういう政策を持ってこう問題に対処されようとしておるのか、お伺いいたしたいと思うのです。