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1963-02-19 第43回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月十九日(火曜日)     午前十時二十六分開議  出席分科員    主査 中村三之丞君       仮谷 忠男君    松浦周太郎君       松野 頼三君    加藤 清二君       角屋堅次郎君    川俣 清音君  出席国務大臣         農 林 大 臣 重政 誠之君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局長)  向坂 正男君         大蔵事務官         (主計局次長) 村上孝太郎君         農林事務官         (大臣官房長) 林田悠紀夫君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)     太田 康二君         農林事務官         (農政局長)  齋藤  誠君         農林技官         (農地局長)  任田 新治君         農林事務官         (畜産局長)  村田 豊三君         農林事務官         (蚕糸局長)  昌谷  孝君         農林事務官         (園芸局長)  富谷 彰介君         農林事務官         (農林水産技術         会議事務局長) 坂村 吉正君         食糧庁長官   大澤  融君         林野庁長官   吉村 清英君         水産庁長官   庄野五一郎君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計局主佐) 吉岡 孝行君         農林事務官         (農地局管理部         長)      桧垣徳太郎君     ————————————— 二月十九日  分科員高田富之委員辞任につき、その補欠と  して角屋堅次郎君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員角屋堅次郎委員辞任につき、その補欠  として高田富之君が委員長指名分科員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十八年度一般会計予算農林省所管  昭和三十八年度特別会計予算農林省所管      ————◇—————
  2. 中村三之丞

    ○中村主査 これより会議を開きます。  昭和三十八年度一般会計予算及び同特別会計予算中、農林省所管を議題といたし、質疑を行ないます。  松浦周太郎
  3. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 大臣にお尋ねいたします。農林漁業政策のあり方について、保護助長政策をとっていくのか、自由経済原理に基づいて自由経済的にやっていくのかという、ことの本質についてお尋ねしたいのであります。  まず、その内容を少し申し上げてみますと、農産物原料とする工業がたくさんあります。それは一つ工業だとみなすべきだと思いますが、これらのものが四月からもしくはその後において為替の自由化をやるということになると、そのしわ寄せは結局原料生産の方に行かざるを得ない。工業経営者の常としてはそうならざるを得ないのであります。また、パルプであるとか、製紙であるとか、その他林産物の工業の面をながめてみましても同様であります。奥山に住んで造林事業を営んでおる勤労者あるいは小山林所有者というものの方面にこれらの工業自由化に対するしわ寄せが行かざるを得ない。また、水産加工業、これは非常に幅が広いのでありますが、これらの国際競争場裏におけるしわ寄せというものは、荒波をくぐり抜けて危険を冒して漁撈に従事する第一線の人々に行かざるを得ない。ここにおいて、これらの第一線に働く原料をつくる農民、あるいは山をつくり上げるところの小山林業者、あるいは漁民というようなものに大きなしわを寄せないで世界の自由化に即応していくという場合には、一体どういう方法をおとりになるか。それが、すなわち、保護助長政策をとるか、自由経済原理に従っていくかということになると思いますが、これに対する御答弁をお願いします。
  4. 重政誠之

    重政国務大臣 これは、一言にして申し上げますれば、保護政策をとらざるを得ぬ、将来ともそういう方針でやっていかざるを得ぬ、こう考えるのであります。ただ、ここで私ども考えなければならないことは、現在の時点においていろいろの経済政策あるいは関税政策その他の措置をとるといたしまして、言葉は悪いのでありますが、その上に眠るという行き方であっては、いつまでたってもいかない。でありますから、大きなしわ寄せを寄せないようにあらゆる措置を講ずると同時に、そのものの経営合理化というようなものを真剣に進めていって、少しでも国際競争のできるようなところに近づけていく、こういう政策をとらなければならぬと考えておるわけであります。
  5. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 お話のように、この点はなかなか一律一体にはいかないのでありまして、行政の面における硬軟両面の手を使っていかなければなりませんから、大臣の意思を農林行政に携わられる各局長諸君は十分体されて、万遺憾なきを期されんことを、この経済の転換期において非常な問題だと思いますから、警告をいたしておきます。  その次の問題は、常にわれわれが長く叫んで参りました構造改善近代化の構想であります。これはあまりに考え方が小さ過ぎはしないかということです。というのは、三十七年は、パイロット九十一町村、あるいは構造改善が二百、あるいは三十八年は三百ということに計画されておりますが、かりにパイロットにいたしましてもあるいは構造改善の二百にいたしましても、村全体はやらないのです。もちろん、それは、一つの規格といいますか、見本的なモデルをつくるのでありますから、全体にやる必要はありませんけれども、その村その村に、すでに先に行なわれたところと今後行なうところとにおいて非常な格差が生ずる。後年度に回されたところと先に行なわれたところとの格差農村の中に起こってくるというようなことで、悪口を言う人は、格差を高めるために構造改善近代化をやっているんじゃないか、こういうことを言われるのです。これは、もっと早くやりたいと思うでありましょうけれども大蔵省の方の予算関係その他でなかなかうまく進まないということでありましょう。しかし、今の速度でやっていったならば、何年たったならば全農村三千三百ですかの町村に行なわれて、どれだけの資金を使う考えでございましょうか。
  6. 重政誠之

    重政国務大臣 この農業構造改善事業というのは、御承知通り、相当困難な事業であると思っておるのであります。そこで、どうしても、真に構造改善をやる、土地基盤整備をやり、近代的な農業経営をやるという熱意に燃えた地区を先にやる、それでないとなかなか成功しない、こういうふうに考えまして、その方針で、御承知通りに次々にやっておるわけであります。こういう事業はやはりある程度時日を要するのでありまして、当初から熱意に燃えて、日本農業の将来のためにこれはやらなければならぬというふうな趣旨が徹底をいたしますためには、どうしても時間がかかるわけであります。そこで、現在のところでは、三十八年度は実際上三百くらいの実施をするということになれはそれで足りるたろう、こういうふうに私ども考えております。しからば、年々三百なり四百なりで将来いくのかといえば、そうではない。初めは少ないけれどもあとになると、つまり年を経るに従って相当に理解が深まって、そうして、どうしてもやらなければならぬ、自分たちのためにこれはやるべきであるということに目ざめる農民諸君が非常に多かろうと私は思うのであります。従って、将来は年々相当な多数の構造改善事業実施町村というものが出て参ると私は思うのであります。そういう意味におきまして、これがどんどん成功をして参りますと、何も十年もかかる必要はないと思うのであります。もっと一年に数百のものが将来はこの事業に着手する、こういうことになるだろうと思うのであります。現在のところはその数は少ないのでありますが、これは、私どもが非常に堅実に考えて、いやしくも一つ町村でも失敗をすることがないようにということを非常に慎重に考えまして、三十八年度は三百ぐらいの実施予算があればそれで足りる、こういうふうに考えておるわけであります。将来は年々年を経るに従って実施町村は急速に増加していくものである、こういうふうに私は考えておる次第であります。
  7. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 年限のことはほぼわかりましたが、それを達成する金額はまだお話がございませんけれども、その前に、経済企画庁向坂総合計画局長がおいでになっているという連絡がただいまありましたから、お尋ねいたしたいと思います。  今回の農業構造改善及び農家の所得倍増十ヵ年計画というものは、先般これに着手する際に考えられたのは、十年間に約一兆円使うというようにわれわれは聞いておりますが、われわれの党内におきましても、これでは非常に少ない、こういうふうに考えておりますが、これは最近において訂正する考えがあるか、あるいは、この十年以内に一兆円でどこまでも押していって、この所得倍増の目的を達成することができるというお考えであるかどうかという点を、まず先に経済企画庁からお伺いいたしたいと思います。
  8. 向坂正男

    向坂政府委員 お答えいたします。  所得倍増計画で、農業、林業、漁業を含めまして、行政投資を、計画期間中十年間に国と地方合わせたもので一兆円と見込みました。それで、一兆円と予定しましたのは、十年間複利で計算しますと、三十五年度を基準にして、年々三・五%ずつくらいふやしていくということになります。これは全く機械的な計算でございますが、それと比べますと、三十六年度の行政投資は三十五年度に比べて約三・六%の増加でございます。三十七年度及び三十八年度はそれぞれ約二割ずつくらい増加しております。もっとも三十八年度はまた概算でございまして、こまかくは計算しておりませんが、約二割の増加が見込まれます。その意味では、倍増計画で予定していたよりは上回って行政投資が行なわれたということを言ってよろしいかと思います。  御質問にありました、一兆円で少な過ぎるかどうかという点につきましては、現在のところこれを改定するということをきめてはおりません。  なお、経済審議会総合部会というものを設けまして そこの総合部会で、農業近代化農業の問題につきましても、計画実績をいろいろ対比いたしまして、その検討の結果を見てからでなければどうするということはきめられない、まずその検討をいたしたいというふうに考えております。
  9. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 中央地方を通じての一兆ということになれば、さらに私ども考えることとは小さ過ぎると思うのです。従って、今までは、今も御報告になった点から言うならば、相当使っておることになる。三十五年からは三年も使ったことになる。その実績はいかにということになれば、まあ初めの場合ですから、根回しの場合、基礎工事の場合は、上の方に建築物は現われませんから、それはやむを得ませんけれども、私は十年間に一兆では農村所得倍増はできないと思う。だから、この分科会にそういう議論があったことだけでも総合部会に伝えてもらいたい。これはどうしても一兆というものを直さなければ、あなた方の方でそういうものさしを出しているものですから、それに従って農林省大蔵省もいかなければならぬということになりますので、これは一つ、十年間に所得を倍増するという見地から再検討願いたい。総理大臣は口を開くごとにまず国民所得の不均衡を是正するのは農村からということをしばしば演説している。それを、今のような地方まで入れて十年間に一兆なんということでは、今農林大臣のおっしゃったようなことは行なわれないのです。機械化農業をやるということだけでも、それはあんな小さなあぜの面積で機械化農業なんか行なえないのです。どうしても交換分合もやらなければならぬだろうし、耕地整理もやらなければならぬだろう。そうして機械が十分に運用できるようにしなければならないのに、また、そこに土地の買収もおのおの自分適正規模になるまでの土地の開発もしなければならないというような場合に、補助金や金利の補給もしてやらなければならぬ。あらゆる面を考えて、この一兆円ぐらいのもので中央地方を通じてなんて、とってもできないですよ。どうかこの点は一つ経済企画庁の方でもう少し基礎考え方を但してもらいたいということを要望いたしておきます。  それから、今度は村上さんの方にお尋ねしますが、公共投資が片寄り過ぎていやしないかという点であります。つまり、道路港湾治山治水または社会保障とか文教——社会保障文教一般国費で、公共事業とは言わないでありましょうけれども、以上申しました五つの問題、社会資本が少ないから日本経済は困るということは言うまでもありませんから、そちらの方に投資をどんどんとふやしていくことは、けだし当然であります。ところが、農業基本法をつくって農村経済を立て直していくということの方が、この声が政治的に起こったよりも先なんですよ。たしか、私が農林委員長をやっているときに、農林漁業基本問題調査会設置法というものをつくりました。もうすでに六年くらい前であります。ところが、今年度の予算において、この道路港湾治山治水あるいは海岸、そういうものの面に公共事業費のふえた増加率と、農業構造改善その他農業方面にふえた増加率とを比較しますとそれは農業の力にふえたものがはるかに低いのです。これは、ここに局長さんたらがたくさん並んでおられますが、要求も少ないから少ない。要求が少ないのに、さらにその要求を削ったということになるが、これは、他の方面のこれらの公共事業費の多くふえた方面から見るならば、全要求をそのままおのみになっても、まだ増加率は少ないのです。それは、あなたの方がいつでも強く締めるものたから、みな顔色を見て予算要求の場合に少なく出しておる。それをよそ並みに削るものだから、よけい少なくなってしまうというようなことで、こんなことでは、今農林大臣は十年以内に全部構造改善ができると非常な期待を持っておられますけれども大蔵省の方のあなた方がこういう残酷な公共事業費の割当をするのでは、農林大臣希望も淡い希望なりはしないか。そこらは、村上さん、ただ予算を刷るたけが能じゃないのですよ。政府の国策というものが総合的に、また総理大臣の演説というものが政策の上に生きてこなければいけないのです。所得格差の是正は農村からということを何回演説しておられますか。それが、他の公共事業費増加率農業増加率と非常に違うようなことで、どうして一体総理の演説するようにできますか。これらの予算編成に対する大蔵省を代表しての御意見をお伺いしたい。
  10. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 お答え申し上げます。  予算査定がきわめて農業に残酷であるというお話でございましたが、われわれといたしましては非常に奮発をいたしておるつもりでございます。ちょっと数字でお答え申し上げますと、先ほど経済企画庁の方から、農業基盤整備関係投資は大体一兆円といたしますると、三・五%の平均伸び率になると御説明申し上げました。一般行政投資伸び率は、所得倍増計画によりますと、たしか九%弱であったかと思うのであります。それが最近毎年二0%伸びておるということは、所得倍増計画計画平均伸び率から申しますと、二倍の力の入れ方をしておるということでございますが、御存じのように、三十八年度の農業基盤整備費は一七・六%ばかり伸びておりますので、三・五%という倍増計画の、平均伸び率から申しますと約五倍の力の入れ方になっておるわけでございます。ただ、おっしゃるように、一兆円の総額が御不満であるということであろうかと思うのであります。そうしますと、三十八年度の公共事業伸び率二%に比べて一七・六%が非常に低いというお話であろうかと思うのでございますが、実は、農業基盤関係公共投資といたしましては、公共事業費のところに計上いたしてある経費のほかに、農業構造改善の方に約三十億ばかりの団体営その他の農業基盤整備費が計上されておりますので、それを入れますと、三十七年度に比べまして約一九・八%の伸び率なりまして、これは、治山治水関係の約一八%の伸び率に比べましても、決してまさるとも劣らぬものでございます。大体、われわれといたしましては、今後、農業基本法精神にのっとりまして、その選択的拡大の方途に沿う土地基盤土地生産力増加ということについては力を入れたいと思っておるのでありまして、財政力の許す範囲において三十八年度もそういうふうに考慮いたしました、こう私は申し上げたわけであります。
  11. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 答えは大へんいいのですけれども、実際は、今私の申し上げましたようなことです。それならは、今お話しのようなことでなく、建設省の全体のものについて、今言っているような答え方をして下さい。建設省公共事業費増加率、それから農林省増加率、その率はどっちが多いのですか。
  12. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 建設省関係で申しますと、治水道路になろうかと思うのでございますが、治水治山関係が一八・七%の伸び率でございます。それから、道路伸び率が二一%でございます。それから、農業基盤整備関係は、公共事業に計上いたしてございますものは一七・六%でございますが、先ほど申し上げましたように、農業構造改善の中に入っておりますものを加えますと一九・八%になるのでございます。約二〇%程度の線に公共投資をそろえたいというわれわれの意向から申しますと、治山治水道路を加えました建設省伸びと、農業基盤整備関係とはほぼ同じと見てよろしいのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  13. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 造林費伸びについては、どれだけの増加率を見ておりますか。   〔主査退席仮谷主査代理着席
  14. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 造林につきましては九%の伸びになっております。
  15. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 そこで、私は一口申し上げておきます。民族は土から出るのです。民族の血は土であります。その土を擁護するものは森林であります。従って、森林民族の母であります。その森林の荒廃することは、戦前戦後の過伐、乱伐。現在の木材の需給関係状況等から、日本森林負荷は非常に重くて、あと専門家川俣さんが控えておりますからもっと深刻に言われるでしょうけれども、与党の私から見ても、日本森林は現在のままでは非常な悲惨な状況に陥ると思うのです。まん中脊梁山脈が走って馬の背中みたいな国土なんです。それで、これだけの大きな負荷森林は背食いまして、それの造林費一般公共事業費よりも少ない。九%であります。すなわち、私は、この間、北海道の中で一番森林に囲まれている小さな村、占冠という村に、八月に大水害がありましたから行ってみました。国有林の中にある小さな村で、小沢が五十三ある。それから土砂が全部流れ出まして、まん中原始河川が流れているのですが、それがあふれた。残っている畑は、沢と沢との間の丘が残っているだけなんです。こういうような豪雨が降るようになると、なるほど森林耕地を擁護する力というものは偉大なものであるということを痛感しました。それは、次々に砂防工事をやらなければならないということと、造林を徹底しなければならないということであります。その点を忘れたならば、なんぼ耕地の方の土地改良その他に金をかけても、肝心の母の方の、つまり母体の力を失わせたならば、耕地は荒廃して民族が滅亡してしまいますよ。そこら大蔵省式考えがあるのではないか。  もう一つ言いましょう。大蔵省では、資金効率寸の低い日本農村に金を出してやるよりも、農産物が余って困っているところをたたきつけて安く買った方がいいのたという純資本主義的な考えがひそんでいるのではないか。というよりも、むしろそういう文献を私は持っております。あなたの書いたものではありません。しかし、大蔵省の人の書いたものである。そういう思想が大蔵省にあって、農林大臣がいかにがんばっても、それは淡い考えになるのです。だから、きょうは、農林大臣にいろいろ質問するよりも、農林大臣希望をあなた方が理解して取り上げてくれるということの方が大事じゃないかと思ったものだから、来ていただいた。この点、御答弁をいただきます。
  16. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 われわれ、決して農産物をたたいて買うことによって資本主義の発展をはかるというふうなことを考えているわけではございません。福祉国家の理念というものが、予算査定いたします際のすべての根本原理でございます。そういう意味におきまして、われわれとしましては、いわゆる格差問題につきましても十分意を払っておるつもりでございます。農産物価格が安定して、それによって農村所得が他の二次産業あるいは三次産業均衡を持って伸びていくことによって国民最大福祉増加があるというふうにわれわれは平素考えておるわけでございます。たまたま治山伸び率に言及いたされましたけれども治山公共事業費につきましては、これは斫伐との関係におきまして毎年の造林計画というものがきまっておるわけでございまして、これは、一定の伸びをどうするということよりはそうした斫伐及び造材計画に基づいてやっているわけでございますので、それに従って査定をいたしておるわけでございます。おっしゃるような御趣旨のことは、今後もわれわれもよく検討いたしまして、今後の予算編成に生かしていきたいと思っておりますけれども、決して、おっしゃるように、そうした片寄った予算査定方針は持っておりませんということを御承知おき願います。
  17. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 それでは、今の話をお忘れにならないうちに一つ約束しましょう。農業基本法の中の一番大きな柱は価格の安定であります。この農業基本法の中に書き込まれているごとき価格安定が行なわれているものは、日本農産物の間ではただ二つです。米と麦だけ。あとは澱粉とか大豆とかビートとかありますけれども、これは農安法によっておるが、これはあの精神からはずれたものであります。私は、毎年々々あんな古い農安法価格協定をしなければいかぬようなことではいかぬと思う。それは、農産物価格安定は農業基本法の中にはっきり書き込んであるのですから、あれに基づいた単行法律をつくって、それぞれ各品目ごと価格安定の制度をつくり上げなければいかぬと思う。それはできておらぬです。しかし、農林省がつくりたいのたけれども、あなたの方がきっとやかましいことを言うものだから、それで遠慮しているのです。農林省がつくって出したらすぐのんで下さい。これを一つ約束しようではありませんか。どうですか。
  18. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 これは、限りある財源の中に限りある……
  19. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 すぐそういうことが出るから……。
  20. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 いろいろそういう問題があるわけでございますから、これは、事農林省と申し上げるまでもなく、他のいかなる省につきましても、結局、財源の足らずまいにつきましては、内閣においてそれぞれの均衡を見ながら予算を調整するわけでございますので、農林省予算をそのままうのみにしろと申されますと、われわれの職がなくなるわけでございますので、その点はちょっとお約束いたしかねます。
  21. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 それはこういうことなのです。今あなたは価格の安定が第一だとおっしゃった。価格の安定をするということは農業基本法の一本の柱なのです。だから、それは無理なことを言うのではない。今後のやり方によっては、そうたくさんの国費を使わなくてもできる方法がある。需給関係によって価格の安定ができる方法がある。しかし、多少の区切りは必要なのです。でありますから、価格安定を農林大蔵両省が協力し合ってやるということにならなければ、豊作貧乏になったり、あるいは、せっかくつくったものを全然金にかえることができなくなるというようなことになったのでは、ますます所得格差がふえるばかりで、何にもならぬじゃありませんか。だから、今話しているうちからすぐそういうことを言われるものたから、これは問題なのですよ。でございますから、どうか、私は、農業基本法の中の一番大きな問題としては価格安定ということが一つの問題だから、農林大臣の方としては、現在の米麦だけは安定しておるが、その他の重要産物については、米麦同様な支持価格制度によって価格安定法をつくり上げるということが一番大事だと思うのです。  それについて私は一つの構想がある。流通経済の悪いということについては今さら口にするまでもございませんが、よその国よりもよっぽど日本は悪いのですよ。生産者の手元へ入る金は消費価格の大体三分の一です。よその方は、デンマークなんかは特にいいのですが、大七割五分くらい生産者の手元へ入っておる。ドイツが六割五分くらいないし七割入っておる。日本はたった三割なのですよ。蔬菜、果実、鮮魚は三割。あとは流通過程の中へ失われてしまっておる。これは、価格安定とともに、この流通経済の改善ということについては、いつの国会でも問題になる問題ですが、善処する、努力すると言われるだけで、これはだめなのです。何とかこれは、自由経済の中ではあるが、調整的な、——私は統制とは言いません。調整的な強い厳重な手段によって、消費者の出す金がせめて半分ぐらい生産者の手に渡るような流通機構をつくる必要はないか。そうしなければ生産者が生きられないのじゃないかということを農林大臣にお尋ねいたしたいと思います。
  22. 重政誠之

    重政国務大臣 御指摘の点はもう全くその通りでありまして、流通機構改善が非常に重大な問題であると私も考えておるわけであります。三十八年度の予算におきましても、この流通機構改善に若干の手をつけておるわけでありますが、市場の取引の内容の改善にさらに進まなければならぬ、こう考えておるのであります。市場の機構、それから施設というようなものより進んで取引の内容に入る、ここまで行かなければならぬと思っておるのであります。  それからまた、卸もそうでありますが、卸、小売というようなものが現在のままの数で一体いいのかどうかというようなことも重大な検討の事項であると思うのであります。まず三十八年度に手をつけたという程度でありますが、さらに進んでその内容の改善をこれからはかりたい、こういうふうに考えております。
  23. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 これは例になるかどうかわかりませんし、また、お調べになってもいることと思いますが、オランダの蔬菜、果実についての例を一つ申し上げます。これは市場を知事の監督下に置いております。そして、支持価格をきめております。出回り時期にはいつでも支持価格より下がります。それから、端境期には支持価格を上回ります。支持価格を上回った場合にはこれは損をしますから、下がったときのものを積んでおいて、その上がった時分に使います。また、どんと下がったときにはそれを全部買ってしまうのです。買っちゃって、買う金は上がったときのもうかった積み金で買ってしまうのです。鮮度の下がったものは肥料に落としてしまう。鮮度の下がらないものは冷蔵庫及びカン詰にします。そして、常に蔬菜及び果実の値段を一定標準の中に生産者も消費者も置かれておる。これは実におもしろい。私はこの現実を見てきました。これなんかも研究材料の一つにしていただきたいと思います。  それから、穀類の問題と日本の砂糖の価格の問題について、これはドイツの穀類制度のことも日本の砂糖でやればおもしろいと思う。ドイツは穀類は多く輸入いたしておりますから、一定の支持価格をきめておきまして、そして輸入貯蔵公庫というものがありまして、値の安いときにそこへ入れるのです。そして、値が高くなると締めてしまう。常にそこでもうかったものは積んでおきます。支持価格より安く入ったものは積んでおきます。積み金がずいぶんできます。そうして、国内において国民に売る場合に、価格が高くなった時分にその積み金をもって標準価格に、つまり支持価格にして売り払いをしてやるということですから、常に価格は、輸入の値の上げ下げを上手にとって、それを積んで調整をしております。日本の砂糖もこれをやれば、その間の差額をもって砂糖の振興、いわゆる甘味資源の振興の資金に使うことができるのではないかということ、私はこの点一つ御考慮を願うとともに、大臣の御感想を伺いたいと思います。
  24. 重政誠之

    重政国務大臣 砂糖の場合にそういう方法を講ずるということになりますと、政府原料糖を一手に輸入する、現在小麦でやっていることを政府がやるということになるわけであります。その問題について、一応そういうこともかつては考えたこともあるわけでありますが、なかなか実行上の問題といたしますと簡単でないというように考えまして、現在では、やはり従来から輸入が行なわれておりますものを前提として考えておるわけであります。原糖の輸入を近き将来において自由化をしなければならぬという状態に直面しております現在といたしましては、今おっしゃるような方法でやるということは、ちょっとどうかという感じが今はしておるわけであります。
  25. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 甘味資源の問題については、いずれ法律案をお出しになるでありましょうから、そのときに十分に議論になると思いますが、私は、甘味資源のうちのビートの問題については、砂糖の自給対策を講ずるのみならず、これは亜寒帯農業振興のための、つまり畜産と一貫した、いわゆる構造改善の上に必要なる事業であるということの方が、甘味資源自給よりもウエートが重いのじゃないかというふうに考えている一人であります。農業経営の改善、畜産の合理化ということについての方が大事であるというように考えます。でありますから、それを安定させるということが何よりでありますから、今度法律案をおつくりになるようでございますが、一定の支持価格のもとに、それが下がったときには全部政府が買ってやるということをはっきり示した方が私はいいと思うのです。そして、これは工業原料なんですから、工業の過程においての創意工夫もあることでありまして、ただ単に農村のビート原料を高く買うというわけのものでもない。そこのところは、農村の再生産を確保するとともに、砂糖生産がよくいくような考え方をする必要があるので、非常にデリケートな問題だと思うのです。この点を抜かさないように、一つ今度お出しになる法律もお考え願いたい。これに対する御感想を伺っておきたいと思います。
  26. 重政誠之

    重政国務大臣 てん菜が畜産と結びつきまして農家の経営上重大な要素をなしておる、であるから、砂糖の自給という問題よりか、農業としてはその以前の問題である、こういうお説でありますが、私も全く同感であります。そういう方針で私もこの問題は考えておるわけであります。  それから、一定の支持価格を置いて、支持価格より下がったら政府が買ってやる制度を考えろということでありますが、考え方といたしましては、私も同様の考え方をいたしております。ただ、実際の問題として、てん菜を政府が賢い入れるということは、なかなか困難なことでありますので、そこで、ビート糖をやっておる企業体に一定の政府考えておる価格で買わしめて、それがためにビート糖企業が損をするという場合には、これは一定の基準によって政府がこれを全部ビート糖で買い上げる、こういうふうな考え方を今現在いたしておるわけであります。思想的には全く松浦先生のお考えと同様に考えております。
  27. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 農家がビート再生産に意欲を持つような方法であればよろしいと思います。  そこで、今後の問題について、五セント以上にもニューヨークの値段が上がって、今までみたいな差益が取れなくなった。今まではああいうように砂糖でどんどん差益が取れるもの、だから、北海道に製糖工場の競争が始まったということになったのですが、これからはもう差益もとれない。それで、自由化になると甘味資源振興資金管理会の方の資金の枯渇も生じてきた。トン当たりここからは大体千円くらいずつ奨励金を出しておったが、これももう出せなくなるだろう。それはこっちの方から差益金が入ってこないから。そうすると、三十八年度の農村のビート価格はどうするかという問題が一つの大きな問題なんです。これは、北海道の農家とすれば、少なくとも一月中にきめてくれと言ったが、もう一月は過ぎて二月も過ぎんとしておる。これは、値を高くしてくれればよけい植え付けたいけれども、安ければほかのものを植えるという考えがあるからなんです。早くきめてやらぬというといけない。ところが、こういうような問題がある。ビート価格一体いつどうきめるかということが一つ。それから、会社自身が土地改良や品種改良やその他ビート工業に対する振興工作をいろいろやっておった。これも、今言ったように、砂糖の利益がなくなってしまったものだからやれないというので、ここにもう一つの難点が生じてきた。これもやはり農村のビート価格に影響する。ビート価格は、いつごろ、どのくらいの値段におきめになるかということをお漏らし願いたいと思います。
  28. 重政誠之

    重政国務大臣 私も、実は、てん菜の値段は植付前にきめるのがよろしい、こう思っておるのでありますが、しかし、今予定をいたしております甘味資源開発に関する法律案が成立をいたさないと、つまり、先ほど申しましたように政府が買い上げの措置をとるというようなことがはっきりきまってこないと、どうも値段をきめるということにちゅうちょをいたすわけであります。従って、私どもといたしましてはできるだけこの法律案の成立が早くできることを念願いたしておるわけでありますが、帆布のところではそういう事情でありますので、どうしても、早くても四月ごろになるのではないかと思っておるのであります。いろいろお話なりましたように、余剰利潤がもうなくなって金が入らぬ等、いろいろ事情はあるだろうと思うのであります。けれども、あの買い上げの制度ができますれば、これは結局のところは財政資金で負担をするということになるのでありますから、かえってはっきりいたしましていいのじゃないか、こう私は思っておるのであります。いずれにいたしましても、ただいま申し上げますような事情でありますから、どうしても四月ということにならざるを得ぬ、こういうふうに考えております。
  29. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 大臣の方もそういうふうに御研究でございますが、われわれ部会の方といたしましてもいろいろ研究いたしております。今申しましたように、そういう国際価格の変動によって起こった各種の問題によって、日本の甘味資源振興事業に幾多の障害が起こって参りました。ここで直ちに財政資金に直接に依存する方がいいか、別にこの財源を求めるがいいかということが考えどころだと思うのです。われわれ農林部会の方では、二十一円の消費税中十円を日本てん菜振興会に使わして、従来のものと合わせて、つまり試験研究、価格支持、生産奨励等一元的に行なわしめたらどうだということを考えているのです。というのは、大蔵省の方は、価格の問題やその他のことをきめるのは食糧庁長官。ビートの振興対策に対する予算の獲得は振興局長が取りに行く。だから血が通っていない。いないというのはおかしいのでありますけれども、そこのところがうまくいかないのです。初めはうまくいくけれども、だんだんとやっているうちに先細りになってしまって、二、三年うまくやっていって少しよくなると、もう大蔵省予算を削りにかかる。村上君にもう少しおってくれと言ったが、もうこれ以上いじめないで下さいと言ってしまった。実際そうなんですよ。ちょっと仕事がうまくなりかけると主計局は先細りにするという幾多の例をここに書いてきた。それを一つ一つ言おうと思ったけれども、あれで十分わかりましたからあとは帰して下さいと言って、帰ってしまった。だから、今みたいに二十一円の消費税をそのままにされるのなら、十円を別に日本てん菜振興会にやる。これが信用できなければ別のそういうものをつくってもいい。そうして、その金を皆さんの創意工夫によってお使いなさい。そうすれば、ちゃんとそれだけの金があるものだから、一々大蔵省に行ってあそこが悪いここが悪いと言わせない。そうしなければいつでも先細りになる。それならば、これをやらなくてもこのくらいの金は毎年々々取ってみせると、ここでお約束が振興局長できますか。できれば私はこんなことは言わない。それをお聞きします。
  30. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 一月二十日の機構改革で園芸局ができまして、ビートの関係は園芸局がつかさどることになりました。  ただいまの先生のお話、まことにごもっともな点があるのでございますが、私どもといたしましては、食糧庁と十分連絡をとって計画を進めておりますので、将来ともそういう事態が起こらぬように十分注意するつもりでございます。
  31. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 大臣、十円の積み金についてはどうお考えなりますか。
  32. 重政誠之

    重政国務大臣 私は、確かにそれは一つ方法であると考えております。ただ目的税を設定することは、これはなかなか困難なことではないか、こう考えておるわけであります。  それから、財政上の措置をやると先へ行ってだんだん細る、それはそういうものもあるたろうと思うのです。しかし、こういうふうに非常にたくさんの農家に関係いたしておりまして、これはビートだけではありません。離島といいますか、西南諸島のつくっておるカンシャというようなもの、非常にたくさんの農家の生産しておるこういう産物について、理由なく先細るとかなんとかいうことは、私は絶対にあり得ないと思っておるのです。そしてまた、私は、そういうような理由なく財政の負担を減じるようなことについては許さないつもりでおるのです。
  33. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 私ども部会の考え方は、今私が申し上げた考え方でありまして、ここで大臣と妥協することはできません。党の考えがありますから。また、大臣は内閣の考えがありますので、大臣の主張がありますから、この二つの離れた考えはいずれ相談する機会があると思いますけれども、一応主張点だけは主張いたしておきます。  その次は草地改良の問題でありますが、草地という言葉はとったらどうか、農用地とか農地にしてしまったらどうでしょう。草地と言うものだから、特殊な部落みたいな考え方になるのです。飼料作物をつくるんだから、農地なんですよ。一つ条例を改めて、草地というものを農地にしたらどうなんです。そうでなければ農用地にしたらどうなんですということを申し上げたい。ということは、ずらりと局長さんが並んでおられる前で申し上げて失礼でありますが、私は日本のために申し上げたいことは、農地局と畜産局というのは決してうまくいっておりません。セクトがその中に起こっております。たとえば、一つの集団的な大きな草地改良をしようとする。そこには国有林もあるし民有林もある、あるいは公有林もある、あるいは大学林もあるというような場合に、畜産局はどの人の土地も調査する権能を持っていないのです。農地局だけが戦後の食糧難の場合に農地造成の関係からその権利を持っておるということで、何か計画をするならば、調査たけの問題について農地局に頼みに行かなければならぬという問題がある。今後日本の食生活は、脂肪、蛋白の方が順次多くなることは当然なことでありまして、相当畜産資源を培養していかなければならぬことは政策の中に現われております。でございますから、これは、セクト主義を改めるために、二局を一局にしたらどうだ。それができなければ、もう少し畜産局の方に権限を持たしたらどうだ。それは畜産というものがこれから大きなウエートを一持つからであります。これについて大臣の御意見を承りたい。
  34. 重政誠之

    重政国務大臣 ただいま御指摘になりました草地の改良事業の問題は、お話のことも私は承知しております。そこで、改良事業そのものの施行は農地局でやらす、その改良は土地改良一本に、これはもう畜産局でなしに農地局でやらす、その利用については畜産局で考える、こういうことに一応きめたわけであります。
  35. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 いつきめたのですか。
  36. 重政誠之

    重政国務大臣 これは省内でそういうふうにやることにいたしたわけであります。これはまたはっきり事務の方ではそういうことになっておらぬ。今検討中でありますが、私はそうやれということを言っておるのであります。それで、そういうふうにいけば片がつくのではないかと思います。
  37. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 それも一つ方法ですが、その点よく御検討の上で、今のような点を直してもらいたいというわけです。  これについて私の一つの構想があるのです。これは去年河野さんのときも言った。今まで速記録に四へんくらい載っけておるのですが、もう一ぺん申し上げます。それは、草地改良というものは小規模のものは成功しないということなんです。それで、この間も、予算の総合のときに芳賀委員と大臣が相半やり合っておられましたのは、アメリカの粉乳を入れるのをやめろというのと、あんな高いものでは困るから、もっとコストが下がらなければ入れざるを得ないという大臣答弁とで、ずいふん押し問答をしておられました。しかし、大臣のおっしゃることがほんとうだと思う。というのは、コストを下げるということが現在の畜産の問題なんです。そうなると、外国から飼料を輸入して、その飼料によって乳をしぼるというようなものでは安くできませんよ。それから、もう一つは、従来の穀寂農業をやりながら、牛の二頭や三頭飼ったくらいでは、決して安くは上がりません。少なくとも十頭、十五頭あるいは三十頭ぐらい飼って、夏じゅうは放牧して、冬の飼料ぐらいは自分の畑でとって貯蔵する、ほとんど自作飼料で、飼料は買わずにいくということであれば安くなるのです。そうするためには広い土地が要る。その広い土地は個人の力ではできないのです。そこで、私は、今度の北海道の開発案の中に、今年は二ヵ所試験させることにいたしましたが、少なくとも五千町歩、一万町歩、いい続き地があるならば二万町歩でもいいのです。オランダが海を締め切ったように一つの集団をやってしまうのです。この場合には大体三十町歩ないし四十町歩面積がなければいかぬ。そのうちの三分の一は放牧地なんです。あとの三分の二は濃厚飼料とその他その家族の食糧というものであります。それを二万町歩なら二万町歩を政府が買ってしまうのです。農地改良公団とかあるいは畜産振興公団とかいう公団を二百億とか三百億の資金でつくって、それらの放牧地を買ってしまうのです。それで、四十町歩の中に家も建てて、牛舎もつくって、牛も入れてやる。そして、四十年の年賦償還で、三分なり三分五厘で貸して償還させる。そうすると、政府は四十ヵ年の金を立てかえるたけなんです。あとは生産して払っていくのです。そういう構想でないと、コストの安いものはできませんよ。よその国から飼料を入れて安い牛乳をつくるなんというのは無理です。そういうことを一つ考えになったらどうか。北海道だけでこの間の第二期計画には三十五万町歩で六十一万頭の牛をつくることにいたしましたが、これとても、公団をつくらなければ、個人の手ではできません。しかし、青森、岩手、福島あるいは九州の熊本の阿蘇山というようなところへ行けば、大規模な一万町歩、二万町歩の継続したところがあるのです。さらに、国有林でも民有林でも、スイスぐらいの傾斜度までやるとするならば、どこだってあるのです。スイスぐらいの傾斜度まで牧草を植えるということになるならば、日本の六万町歩の既墾地ぐらいのものはあるのです。しかし、そんなに一ぺんにつくったって、需給の関係がありますから、需給の関係と見合ってやるのならば、まず平坦部の雑草地帯からやっていったらいいたろうと思う。そういうものを大規模にやる公団を一つおつくりになる考えはないか。今年私は鉄道の公団をつくることに努力いたしました。それは、選挙ごとに十線ぐらいずつ新線をつくる指定をした。五十線新線建設をやったけれども、七十五億しか政府予算をつけない。そして、四国に橋をかける、北海道にトンネルを掘る、五千億の金が要るのです。それで、七十五億で一体何年かかったらできるかということです。そういうことを言って国民を瞞着してはいかぬというので、田中大蔵大臣とずいぶんやり合いまして、ついに公団に成功しまして、この十年間に五千億の金を使うことになりました。そこで、青函の試験掘りをやることになって、この間十一日に起工式をやってきたのですか、向こうの方でそうやるのですもの、肝心の食料の乳や乳製品や肉を安くつくるという公団をつくる決意を大臣にしてもらいたい。これを一つ答弁願いたい。
  38. 重政誠之

    重政国務大臣 外国の飼料を買って牛乳を生産するのでは安く上がらぬということは、全く私は松浦先生の御意見に同感でありまして、どうしても飼料は、七割以上は草を提供しなければいけない、こう私は思っておるのです。そのために草地の改良事業はほんとうに強力にやらなければならぬ。そのためには、必要があれば国有林も開放すべきである、こう私は考えておる。  そこで、ただいま公団の新設についての御意見でありましたが、それも私は一つの案だと思います。ことに、北海道であるとか、あるいはお示しになりました阿蘇山のふもととかいうところには、なるほどおっしゃる通りの広い土地があろうと思うのであります。そこで、その場合に私考えなければならぬと思っておりますことは、現在やっておる酪農経営、これはおっしゃる通りに二頭や三頭のものではいけないのである。少なくとも十頭以上のもので経営しなければうまくいかないことはもう断然なことでありますから、その方向に進むことを今考えておるわけであります。その際に、それらの現に酪農経営をいたしております者に草地を何とか付与しなければならぬ、これを私は今焦眉の急として考えておるわけであります。牛乳全体の供給をふやすために、公団を新設して大きな酪農経営の農場をつくるということは、これはもうよくわかることであります。これは両々相待って考えなければいかぬのじゃないかと私は思っておるわけで拠りますので、十分御指摘の点は検討いたします。
  39. 松浦周太郎

    松浦(周)分科員 大臣のおっしゃることもごもっともです。私はこの間から林野庁長官にも申し上げておりますが、特に、東北に起こっておる国有林の開放問題等はなぜ起こっておるかというと、政治的な意味もありますけれども、たんぼのふちまで国有林で、草刈り場もないというようなところがありますから、そういうところには一戸当たり二町なり三町なり放牧地を与える、そういう酪農業者に安く国有林を売り払いするということも、重ねて一つ考慮してもらいたいと思います。  それから、もう一点、私は去年イモの値段をきめるときにずいふん苦労したものです。その苦労の中心はどこにあったかというと、作報の報告が実際を把握してなかったというところに、私の苦労があった。それで、これが、道の方は一つ行政庁であって、なるたけ政府の方から多くの同情を得たいといって、まあ被害に水増しをするという気ではやっておらぬだろうが、そうい見方もあるというふうに見られるのもやむを得ません。しかし、地方庁の意見を幾らか作報の中に入れる制度にしたならばどうか。作報というものは全然独立の機関ということでありますが、作報が去年報告した北海道のバレイショの収穫高というものは間違っております。はっきりと、あれは五分減なんというものじゃありません。従って、現在のバレイショ澱粉の価格も、ああいう減産のために相当価格が維持されておるという点も見のがせないことでありますが、この作報というものを、作報だけにまかせずに、もう少し地方の生産団体とか地方行政団体とかの意見を徴するとか、ともに調査するとか、何か一つ特殊なことを考えていただきたい。これを一つ大臣に約束してもらいたい。
  40. 重政誠之

    重政国務大臣 これはもう昨年からの問題でありまして、私どもも、ああいうお話がございまして、さらに再調査をさせたり、いろいろやったわけであります。なお十分でない、こういう御意見でありますが、さらに十分検討いたします。
  41. 仮谷忠男

    仮谷主査代理 川俣清音君。
  42. 川俣清音

    川俣分科員 農林大臣に主として予算面からお聞きいたしたいと思うのでありますが、私の方から大庫の答弁を求めるのと事務当局へ求めるのを区別してお尋ねしますから、できるだけ大臣の分は大臣なりに御答弁を願いたい。  そこで、順序は、三十八年度農林関係予算農林大臣説明の順に従ってお尋ねする方が便宜であろうと存じます。この三ページに、「農業構造の改善を推進することが喫緊の要務であると考えられるのであります。」、こういう点に立って本年度の予算が組まれた、こういう概要であろうと思います。そこで、そのためには、「生産の選択的拡大、年産基盤の整備、技術の高度化、経営近代化価格の安定、流通の合理化農林漁業構造改善をはかる上において重要と考えられる諸施策を相互に連繋をとりつつ推進し、農林漁業者が安心してその体質改善に邁進できるよう基本的諸条件を着々整備いたして参りたいと考えております。」ということで、このためにこれを重点にして予算を組まれた、こういう説明でございますが、その通り理解してよろしゅうございますか。
  43. 重政誠之

    重政国務大臣 そういうつもりでやったわけであります。
  44. 川俣清音

    川俣分科員 ところが、農業経営計画において効果的な選択をはばむいろいろな障害があると思います。それは何かというと、未来像の危険と不確実性がこの選択をはばむ大きな原因だというふうに見られております。これは政府の施策ではないのですよ。個人農業者自身がそれだけ確実に農業をやっていけるかどうかというところに不安定な要素がある。それから、予想せざる事態というものが常に農業においては起こってくる。これは天然的にばかりではなくして、社会構造の上から一つの危険が生まれてくる。こういうことが構造改善の上に大きな障害になるのではないかといわれておるわけです。もちろん、農業ばかりでなく、他の企業も同様でありますけれども計画の選択ないし決定は、経営の基本的課題であることは申すまでもありません。経営計画の決定にあたっては多少とも将来を予測する必要があることももちろんであります。その予想収益、将来における収穫量や価格について、一定の期待を持つということであろうと思う。収穫量及び価格については一定の期待を持って経営をやるということである。ところが、日本農業は、旧来はこういう計画、収入の計画あるいは収益の計画または収量等の計画というものがなかった。去年はどのくらいとれたからことしもとれるであろう、こういう予想であり、しかも、売れないときには自己消費をしようというような、もちろん全部が自己消費じゃないにいたしましても、消費をしようということでありまするから、価格もあまり問題でなかった時代もあったと思います。それが行き詰まったからここで打開しようということになったのだろうと思います。従って、農林省が宣伝したり自民党の諸君が宣伝するほど農業構造改善というものは魅力のあるものではないと私は思う。これ以上悪くさせないためのまず第一段としての施策であるであろうということは言えるであろうと思います。それを、さも利潤が非常に生まれるように、あるいは収益が非常に上がるように錯覚を起こさせておるところに、魅力もあるでしょうけれども、錯覚に陥らしめる原因もあるのではないか、こう想像するわけです。  それは、私は、今度は資料で一つあれしたいと思います。予算委員会で農林大臣は、構造改善事業は七〇%程度進捗しておるという御答弁だった。これは大臣必ずしもそう思ったのではなくて、事務当局がそう言ったからそう思ったのだろうと思いますから、あなたを責める意味はございませんよ。責める意味はないのですけれども、資料をお出し願っても、なかなか出て参りません。そこで、他の方面から資料を求めました。たとえば、農林漁業金融公庫で、三十七年度でどのくらい貸し出しの約束ができ、三月までにどれだけの見通しがあるかということをただしてみた。ところが、予定は十億ですね。三十七年度の目標は十億。農林漁業金融公庫の分ですよ。これに対しまして、十億のうちで七億二千万円が一般土地改良と申します貸付ですね。それから、二億八千万円が開拓関係になっておるようです。この計画が、一月三十一日までに貸付決定済みのものが、——まだ貸し出したのじゃない、決定済みのものがどれくらいあるかというと、わずかに四千万円ですよ。書類審査をいたしまして三月までに大体承認できると思われるものは、もちろんこれは想定でありますか、おそらく同額程度以上の五、六千万円程度ではなかろうか。これは想定ですからわかりませんけれども、やはり合わせて一億程度じゃないか。そうすると、一〇%ですね。十億に対して一億ですから、一割なんです。七〇%まで進捗していますなんていうことは、これは、大臣、乗せられることになる。乗せられているのですね。そのくらいな決意でやっている努力は私は認めますよ。努力は否定しないけれども、現実は、農林省がお出しになった資料から見ましても、ようやく十一月、十二月、一月になってから申し込みが出てきておるような状態で、しかもまだそれが審査中というような状態で、七〇%を進捗いたしますなんというようなことは、大臣、これは答弁するときにはよほど検討されなければならぬのじゃないかという一例なんです。これはどうですか。
  45. 重政誠之

    重政国務大臣 まず第一の御質問でありますか御意見でありますか、構造改善事業は大いに所得をふやすためにやるのだと言うけれども、それはただ今より悪くならぬためにやるのだ、こういう御説でありますが、これはお言葉を返すようでありますか、私はそうは考えてないのです。先ほども御意見のありましたように、これは申すまでもないことでありますが、従来は自給経済農村で行なわれた。それが、交換経済が漸次進捗をいたして、最近の基本法で定められた新農政の向かう方向というものは、市場生産とも言ってよかろうし、交換経済農村もやる、こういう方向に向かっておる。これはもう現実の事実なんです。自給経済でやっておりました当時というのは、それは、御意見がありまする通りに、価格も大して問題にせずに済んだかもしれぬ。売れなければ自分で食うのであります。であるからこそ、農村の生活というものは向上をしなかったのです。農村経済というものは一般経済を離れて孤立した経済ではない。日本全体の経済の一環として農村経済というものがある以上、自給経済を脱却して交換経済に進むということは当然の筋道であろうと思うのです。そういう意味でありますから、そこで、農家の生活も年々向上をいたして参っておるのであります。所得がふえなければ、これは向上するわけがない。そこで、そういう市場を目的としての生産に漸次移り変わらなければならぬという段階に来ておりますから、そこでを改善し、体質を改善して、新しい一般経済の動きに順応した農業経営をしなければならぬ、さらに大きく言えば、世界の経済の動きに順応した農村経営というものを考えていかなければならぬということから、この農業構造改善事業はどうしてもやらなければ、やはり農村だけが自給経済の占める部分が大きい農業経済として取り残される。であるから、どうしてもこの構造改善をして、進んでは国際競争にも耐え得るような経営をやらなければならぬ。こういうふうに私は考えておるわけであります。  それから、進捗の状態についてお調べになってのお言葉でございます。これは事務当局からあと答えていただきますが、私は実は三十七年度の構造改善事業実施するのをすでに認可しておるのです。でありますから、まんざら事務当局が持ってきたのをうのみにして私がお答えしておるわけではない。そこで、今お調べになりました金融の問題は、これでこの事業の認可がありまして、それからいろいろ金を借りる部分なり補助金をもらう部分なり、それぞれの手続があろうと私は思うのです。でありますから、これが一ヵ月や二ヵ月おくれることは、これはやむを得ぬと思うのです。おそらく本年度の二月末までには相当の金が出るのではないかと思うのでありますが、さらに新年度の四月、五月になりましても、私は金融公庫の金は出ていくと思うのです。でありますから、私が常に申し上げておりまする通りに、初めはその速度はどうしてもおそくなるが、これが軌道に乗って参りますれば、私は、急速にはかどっていくのではないか、こういうふうに感じておるのでありまして、進捗率わずか一〇%という程度ではないのではないかと思うのですが、これは、一つ局長からその進捗の状態を御説明していただきます。
  46. 川俣清音

    川俣分科員 これは実際の動いた形が資金面から出てくるだろうと思うのです。農林省は何でも認可・許可すればひとりで動いているような考え方をするから、そこに問題があるのだという指摘なんです。認可すればできるだろう、それが誤りなんです。ちゃんと資金の裏づけがなければならぬわけでしょう。それがどう動いたかということにならなければ、現実に動いていないじゃないですか。判を押せばもう構造改善事業は達成したというなら、いつでも幾らでも判を押しなさい。そうすれば百パーセントこえる。そんなのじゃないですよ。これが現実でしょう。あなたが今説明される通り、従来のような農業では農家が破綻をし農業自体が壊滅をするから、そのために構造改善を進めていかなければならないとおっしゃるのだから、私はそのことは必ずしも否定しません。そうでなければ大へんなことになるであろうから、ならないうちに方向を見定めるために一つアドバイスをしようということだと思うのです。これは政府のアドバイスなんですね。単なるアドバイスだけでは足りないから、資金面の手当をしよう、あるいは行政的な指導をしよう、こういうことになっておる。構造改善をやるのは政府じゃないのですね。農民個々なんです。あるいは農民の団体なんです。従って、判をついたならば、判をついたのが七〇%あるから構造改善ができますなんということは、乗せられたことだと私は思う。判をついたって、なかなか末端に行くまでにはいろいろと過程がある。在野時代の経験があるでしょう。これは農林省から来たからやるといっても、まだできていないというのはたくさんあったでしょう。判をついたのと実行との間には開きがあるのです。そこで政治家の大臣としての見通しを立てなければならぬところです。その誤りを是正するために重政さんが出ているはずだと、私はそこで高く評価しておる。そうでなければ、そんなものに同僚議員が大臣になったからといって、取り柄がないことになる。私はそう思うのです。その意味で、資金面が問題になる。これが全部だとは言いません。そこで、現実的にこの資料をいただいておるのです。答弁した人がかえって困るのです。ボロが出るからやめておきますが、この資料が誤りないとすれば、大体三十七年の十一月から始まっている。パイロットでは承認年月日三十七年の十一月の十日ぐらいが一番早い方ですか。それからここにずっと資料をいただいておるわけですが、私がこの状態から見ても、承認の月が十一月あるいは十二月あるいは一月ですよ。この承認ができるところから資金繰りを始めるのですから、資金繰りを始めまして、それから今度は実地に移すわけですから、構造改善事業はどのくらい進捗していますかと言った場合は、実行に移ったものでなければならぬ。役所のように何か構造改善事業の地図を書くことだけなら別ですけれども、実態が動いていかなければならない。ですから、抗弁したってだめなんです。  そこで、もう一つお尋ねしなければならぬ。ここで一つ問題になりますのは、農業上で大きく問題になってくるのは、早く言えば地価です。わかりやすく言えば地価です。工業と違って、農業の場合は、収益をあげる、あるいは利潤が生まれたという場合には、地代として見るのか、いわゆる企業利潤として見るのかという大きな問題がございます。それは別にしまして、どういう結果があるかというと、利潤が上がり、収益が上がって参りますると、地価を高めていく傾向がある。土地価格ではないのです。土地の上に労働が加わる、資本が加わり、種子が加わり、肥料が加わりして、そうして、利潤というか、収益というものが生まれるわけです。収益が生まれますると、その収益は地代とみなされて、地価が上がっていく傾向が出てくるわけです。そこで、一番の基盤は、構造改善事業の一番の基本になりまするのは、土地改良でもありまするけれども、もちろんそうでありまするけれども、地価をどうして抑制する方策をとるかということがやはりもっと基本にならなければならぬのじゃないかと思う。もう一段と説明のほしいのは、この農地の地価に対する考え方が入っておれば、これは百点と言うことができるのですけれども、画竜点睛を欠くのであって、これでは及第点はあげられないという感じを私は持つのです。地価についての大臣の御見解を伺いたい。
  47. 重政誠之

    重政国務大臣 地価が高過ぎるということは私も同感であるわけでありまして、宅地でもそうでありますが、農地でも、日本のように地価が高く、資本の投入をしなければならぬ、土地の代金というのが非常に大きい部分を占めるということは、これは非常に困ったことだと私は思うのであります。そこで、問題は、いかにして地価を抑制するかということでありますが、私もときどき考えるのでありますけれども、なかなか名案が出てこないのであります。これは、川俣さんのようにベテランが非常に御関心を持っておられて、いい御提案があれば教わりたいのでありますが、私は、農地法というのが地価が上がる一つの原因になっておりはしないかという感じを持っておるのであります。だからといって、今どうすべきだという結論を持っておりませんが、そういうような気がするのです。なかなかこれはむずかしい問題でありまして、何とか考えなければならぬ間脳であるのでありますが、何か一つよい御提案があればお聞かせを願いたいと思います。
  48. 川俣清音

    川俣分科員 逆に質問を受けたことになりますが、私は、逆に、移動がある程度制限され、あるいは地代部分であります小作料が制限をされたりいたしますと、その元本であるものが上がることが停止をする、または引き下げられることになると思います。あるいは構造改善でどんどん移動が激しくなるということになって参りますると、限られたものですから、たとえば畜産にしましても同様です。大いに畜産を奨励しますると、子豚や子牛の値段が上がってくるわけです。手当をして融資をすれば、あるいは補助を出せば出すほど子豚の値が上がってくる、あるいは子牛の値が上がってくるということになる。また、そうやらなければ奨励にならないということになりましょう。そのことが子豚や子牛の値段を上げておる原因でありましょうけれども土地におきましても同様であります。従って、ある程度制限を加えてきて、よほど地価の値上がりというものを押えてきた役目を農地法は持っていた、私はそう思う。小作料の統制、これは収益の統制ですから、それで耕作する者が地代としてでなく利潤を生んで生活費にする、こういうやり方をしたわけです。前の小作人の場合は、小作料と自己投資を合わせたものが収益にならなければならなかったけれども、今はそれだけ小作料を納めないでいいというたけに収益率が上がってきたわけですから、収益率があまり上がると地代が上がってくるということになるので、そこが問題だ。ですから、収益が上がると土地の値を上げていく。次にやる人は、高い土地を買って収益を上げようとしても限度にくる。こういうところから、農業というもの自体はなかなか収益を上げるわけにはいかない制約が社会的にあるのだ、こう私は思っておるわけです。そこで、どうして押えるかということになりますが、構造改善事業を進める上に今の世の中の空気で一番障害になっておりますのは旧地主に対する補償の問題で、これは構造改善事業と逆行したものだ。構造改善事業を進めていくのに、土地そのものに価値があるのだという考え方では構造改善はできません。選択的拡大もできない。そうではなくて、土地を利用して構造改善をしていこう、こういうことなんでしょう。活用してということだ。持っていてということになれば、みんな不在地主という傾向になって、農業生産には役に立たない。不在でも補償するのだという考え方になると、農業の生産性は高まってきませんよ。これは生産性を否定し、不労所得を奨励するような形ですからね。その方に報償をやる、ほうびをやるというのですから、不労所得にほうびをやるというような考え方をしたら、日本のような勤勉な農民に対して不勤勉を奨励するような結果になる。そうではなくして、やはり政府農業生産には力を入れるけれども農民自体も大いに力を入れなければならないというところに持っていかなければならぬ。そうではないですか。私はそう理解する。政府がどんなにしゃっちょこばっても構造改善はできない。農民の自主的な考えに、これをアドバイスしてやることによって成績が上がるのだと私は理解する。従って、旧地主の補償などというような考え方はおやめにならないと構造改善事業等がうまく進まぬであろうということを、苦言を呈する程度にいたしておきます。なぜ一体旧地主問題が出るかというと、かつて土地を持っておった時代は、財産的に持っておった。これで収益を生むということも一つでしょうけれども、財産的に持っておった。自分の財産を土地にして保存をしておくという考え方、ただ、保存をしておくには収益があった方がいいということであって、売りたくないのに売らされたというところに問題はありましょうけれども、持っている土地というものは近代化考え方ではないのです。定期預金のつもりなんですね。むすこやあるいは孫が、現金だと、預金だと分散してしまってなくなるであろうが、土地ならばいつまでも不動であろうという財産的な所有から、今日の構造改善というものは土地を利用して収益を上げるというふうに変わってきた。その変わったやり方が構造改善だ、こういうわけでしょう。従って、もとのように財産として持っていればいいんだという考え方があると、構造改善というものはできなくなってしまう。荒らしておいたっていつかは売れるだろうということになると、構造改善などはくそ食らえということになる。そんなものは何も金をかけないでも、黙っておっても、収益が上がらぬでも、十年たったら幾らになる、だろうと考える。そうならば何も手をつける必要はない。それで五倍あるいは十倍に売れるとしますれば、構造改善なんてやらないで寝ておった方がよほどいいということになる。これでは構造改善というのはすっかり停頓してくるだろうと私は思うのですが、大臣も大体私と同じ考えだろうと思うのです。
  49. 重政誠之

    重政国務大臣 旧地主の報償の問題は農林大臣が所管するところではないわけでありますから、私からその問題についていろいろお答えするのは適当でないと思うのでありますが、私はこういうふうに理解をしておる。補償ということがあり得ぬことはもう言を待たない。適法に農地改革のときに売買ができたのでありますから、それが今になって金の価値が変わって、今は非常に高くなっておるのだからとかなんとかいうのは、これは問題にならないと私は思う。だから、補償ということはあり得ない。しかし、あの早急の際にいろいろやられた中には、私もいろいろ聞いておるのですが、これは農地委員会でやったのか何でやったのか知りませんが、あの当時耕地として扱うべきものでないものを耕地として扱って売買の対象にしてみたり、あるいはまだ戦争に行っておって帰らない、もうじき帰るのだからと言っても、それは耕地だというので強制的に収買せられた。いろいろなことがあると思うのです。私はあの当時から耳にしております。それからまた、あのときは一つの革命であると思うのでありますが、それによりまして家計も非常に急激に転落してしまって、いろいろの事情で今日も困っておるというようなものもあろうし、実態を調べてみればいろいろのものがあろうと思う。でありますから、これはよく調べてみて、そういうものについては何とか国としては考えてやらなければならぬ問題ではなかろうか、こういう考えを持つのは当然じゃないかと思うのであります。土地を持って不労所得をやっておったのだから、それを取り上げたって何も同情する必要はないとばかりは言えないと私は思うのです。それからまた、いろいろのあれはありましょうけれども、一応あの当時の革命的な一つ政府の施策に協力をしてやったというのでありますから、これも過去を責めるばかりが能じゃないのでありますから、そういうものに対しては、金に限ったことはありますまい、それはいろいろ方法はあるでありましょうが、やはりそれらに対してほめてやるということも考えていいことじゃないか、こういうふうに私は理解しておるのです。私がそういうことを言っても、何もオーソリティのある問題じゃない、私が主管をいたしておる問題じゃないのでありますが、今までいろいろお話を聞いておって、私はそういうふうに理解しております。
  50. 川俣清音

    川俣分科員 今あなたの主管でないということはよくわかります。しかしながら、農業構造改善を進める上において障害になるおそれがあるのではないかと指摘をしたわけです。だから、そういうところに関心を持たなければならない。おれの所管でないから何をやられてもいいのだというわけにはいかない。障害にならなければいい。しかも、これは農林省が戦後農林行政をやってきた大きなポイントだったわけです。大臣の言うことだと、前の先輩や過去の同僚が立てた政策が疎漏であったという非難も今甘んじて受けなければならないということになると思う。もしもあのときに政府がやらなかった場合はどうなったかというと、今よりももっと激しい地主と小作人の闘争が行なわれて、それが革命にも前進したかもしれぬと思うのです。農林省の援護を強圧と受けとった感じがするかもしれないけれども、地主総体としては、大いに救済をされたものだろうと思うのです。御承知通り昭和十一年ごろまでは、戦争が起こるまでは小作争議がひんばんとして起こっておる。それで、小作料が相当軽減されてくる、あるいは自分土地でありながら自分の権限というものをたんだん失われてきておった。そういう実績の上に立って農地解放が行なわれたということが、あなた方の出された農地白書の中にちゃんと述べられておる。こういうことを言っておりながら、いや、それはどうも手落ちがあったのだということを今の大臣が認めるなんということは、過去の大臣がみな失敗をしたことを言う形になる。それは疎漏であったなどと前大臣のことを言うようになったら、官僚機構というものは全く破綻をしてしまうおそれがあると思うのです。私は、そういう意味で、所管ではないけれどもかっての農林行政——この構造改善も、五年くらいたったら、あんなのは実に疎漏であって、何のためにやったのかわからないと批判をされたら、私もそう思いますなんというようなことになったら、大へんなことだと思うのです。それだけに、やはり無関心であってはならないということを指摘したいのです。旧地主の補償の問題は、今ここで議論するつもりじゃないのですが、農業構造改善を進める上からこの点を取り上げて言った、だけです。
  51. 重政誠之

    重政国務大臣 誤解があってはいけませんから私申し上げておきますが、あの土地改革というものは、お話しの通りに占領行政の功績であったと私は思っております。これはくどくど申し上げるまでもないことでありまして、これは、マッカーサー司令部がやったうちで一番の功績であった、こういうふうに私は思うのでありします。今ちょっとお触れになりましたが、当時の地主のためによかったとは必ずしも言い切れない、日本のために非常な功績であったと私は考える。ところが、御承知通りに、非常にたくさんのものを一どきに、しかもたくさんの人をやったのでありますから、おのずからその中には適当でないようなものがあることは事実であろうと思います。この事実を、先輩がやったのたから、そういう事実があってもそんなことはないということを言い切るわけにもいかない。国民のために正直に認めるものは認めなければいかぬ、こういうふうに私は考えておるのであります。私は、先ほど、私なりに理解をいたしておるところを述べたのでありますが、構造改善事業を推進するために、私が湾えておるようなことで何らかの措置を講ずるということがあっても構造改善事業の進歩には何ら影響するところはない、こういうふうに私は思っております。
  52. 川俣清音

    川俣分科員 構造改善事業の大きな柱の一つ経営規模の拡大ということがあります。また選択的拡大ということで、酪農や果樹に移行していこうという考え方がある。このことは、土地を有効に、高度に利用しようという考え方である。旧来のような利用率の少ないのを生産性を高めていこうというところにある。ところが何らかの補償をするというような考え方は、失敗したならば全部政府に責任があるのだというふうな印象を与えることで、これはできるだけ避けていかなければならぬじゃないかと私は思うのです。それだから農林省が無関心であっていいという意味じゃございませんよ。構造改善を進めるというのですから、そういう意味でないことは明らかですけれども。これはたよらせるべきでなくて、やはり自主的な意欲がなければためなんです。そのときに行政上の、確かに一部欠陥もないとは言いません、現在だってこういう落度が今の行政の中にもあるのですから。ごらんになれば落度というものはあります。これは言いたくないのですけれども、たとえばプリントなんかでも、誤まりがあって、ようやくきょう訂正されたようなこともあるのです。だから、たくさんの中ですから落度があったってそれは責めるに当たらないものたと思うのです。あなたの方に八万人もおる職員の中には、間違ったことをやる人もあるのです。たまたま重政大臣のときに出てくるかもしれぬ。それだから重政行政が悪いのだということにはならぬ。監督不行き届きだといってしかられるかもしれませんけれども、これは全体が悪いということにはならぬ。一部を推して全体が悪いというようなことは、とるべきでないと思います。農地改革もあれだけやったのでありますから、確かにどこかにそれは十分でなかった点があったかもしれぬと思います。日本全部の農地の解放ですから、確かにそれはなかったなんということは言えぬ、あったであろうといえばそうかもしれぬ。ただ、それに全部をひっかけて報償というものを高く掲げさせるところに問題があるというだけです。訴願をされたものもあるでしょう。訴願が容認されたものもあるでしょう。あるいは裁判を起こしまして、勝訴になったものも敗訴になったものもある。おのおの理由があったに違いない。訴願の件数なども四万件くらいあるでしょう。何らかの故障で申請された件数でも相当多い。そのうちで認められたもの、却下されたもの、取り下げたものというふうになっておる。だから、ある程度は理由があったということでこれが容認され、承認されたものもあるわけですから、あとのものは泣き寝入りだったかもしれぬけれども、権利の上に眠ったということになりますか、要求しなかったということになりますか、みんながやっているときにやらなかった人もある。それは家庭の事情でやらなかった人もあるでしょう。そういう特殊な例外をもって全体であるがごとき印象で報償されるということに問題がある、こういうことなんです。特に強調されて、わずか何万件に一件あったものを全体であるがごとく印象を与えることに問題がある、こう指摘しているのです。みんな各大臣が、そういうこともあったであろうと全部言ってごらんなさい。五割も六割もあったのじゃないかというような印象になりますよ。わずか一つをもって全体がそうだというふうになったら、これは大へんなことです。農林省の中のたった一人のために、農林省の役人が全部そうだなんて言われたら、これはおそらく困るでしょう。それは例外や特殊なものはあり得る。それはないのだなんということは言えません。けれども、たまたまあるものをもって全体がそうだという認定は誤りであるし、あまり強調し過ぎない方がよろしい、こういうことなんです。あまり答弁をされますと強調されたような印象になる。どうですか、その点、もうあまり強調しないようにして下さい。  それで次に移ります。十五ページをごらんになっていただきたいのですが、畜産経営拡大資金について二百五十万円、土地取得資金について八十万円とする、これは貸付ですが、この八十万円というのは、土地価格をどの程度に見通して策定された金額か、これは事務当局でよろしゅうございますから御答弁いただきたい。
  53. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 八十万円の貸付限度をきめます際に、必ずしも土地価格幾らということで厳密な計算をしたわけではございませんが、大体八十万円で五反歩程度の農地の拡大ができる。この場合の価格は、田畑加重平均いたしまして十七万円程度ということを予算編成考え方としては持って編成しておるわけであります。
  54. 重政誠之

    重政国務大臣 これは今管理部長が申し上げましたが、私はそういうようなことは一つ考えない。今まで四十万円であったのを倍にしたわけなのです。そういうわけでありまして、これは算定の基礎も何もないのです。私自身はそう考えております。
  55. 川俣清音

    川俣分科員 大臣はおそらくそう答弁するだろうと思ったのです。前は四十万円、なにおれの時代になったから倍にしてやろう、こういうことで単純に倍にしたのだろうと思っているのです。そこで、大臣に聞かないで事務当局に聞いた。事務当局は、何か積算の基礎がなければならぬだろう、計画がなければならぬだろう、金がこれくらい来そうだから、これを当てはめて、土地の計算の方はあとだ、こういうことでは構造改善が進まない。大体の計画があって、計画に見合う予算というものがつけられなければならぬ。これは政治折衝の場合はいいですよ。四十万円は倍にして八十万円にしてくれ——ここは大蔵省よりもっときびしいのですから、そのつもりで……。積算の基礎がなければならぬ。今の答弁大臣とだいぶ違うのですけれども、これは違うのがあたりまえなのです。大臣の方は政治的感覚で倍にしよう。あなたの方は、ただ倍にしようという意味じゃないですね、これは。反別の倍ですか、単価の倍ですか、倍といったっていろいろあるのです。もう一度答弁して下さい。
  56. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 ただいま事務当局側としては、八十万円ということが決定いたして参ります過程において、普通田畑の価格、これは不動産研究所調査の最近の平均的な数字をとりまして、田について十九万四千円程度、畑については十一万五千円程度、これを田畑の比率による加重の平均をとりますと、大体十七万円程度になる。従いまして八十万円ということは、やや計算上誤差はございますが、五反程度の買い増しができるというようなことは、現在の段階では、ほぼ農地の流動の実態に即しましても穏当であろうというふうに考えたのでございます。
  57. 川俣清音

    川俣分科員 そうじゃないでしょう。大臣が倍にしたのだから、それに何とか理由をつけなければならないということで、五反歩を十七万円見当にしたわけですが、そういうことならば、八十万円というのではなくて、半端がつかなければならないでしょう。計算はそうですよ。大蔵省からだれか来ておりますか——大蔵省は今まではなかなか渋くて、積算の基礎がどうのこうのというのですね。大臣査定をするときにどういう査定をしたか。農林省のものはすべてお認めになる、こういういい前例をしいたのか。わからずに承認されたのか。これを聞かなければ予算折衝はできないでしょう。足りないのか、むしろ半端でもつけなければならないのか、もう少しへずれるのか、これは聞かなければなりませんから、主査、ちょっとその間待ってもいいし、続けてもよろしいし……。
  58. 仮谷忠男

    仮谷主査代理 続けてくれませんか、主計官を今呼ばせますから。
  59. 川俣清音

    川俣分科員 さらに十六ページを一つ。「昭和三十八年度の融資総額は八百七十億」とありますが、予算書は八百六億になっております。この点の説明を願いたい。
  60. 太田康二

    ○太田政府委員 先生も御承知のように、八百七十億は貸付の決定額でございまして、資金の手出は八百六億。その積算を申し上げますと、前年度七百十億の四割を翌年度で資金交付をする。それから当年度の分につきましては、その六割の資金を交付する。従いまして、それで計算いたしますと八百六億、こういうことになるわけでございます。しかし現実に非常に貸し出しが進むような場合には、御承知のように予算書も弾力条項をつけておりまして、借り入れができるということに相なっております。
  61. 川俣清音

    川俣分科員 これはいつでも問題なのですね。説明するときは資金手当八百七十億、実際の運転できる資金手当は八百六億。申し込みは八百七十億は受けるけれども、実際は貸さないんだということなんです、資金手当がないんだから。そうでしょう。
  62. 重政誠之

    重政国務大臣 それは貸さないというより、つまり年度がありますから、三月三十一日と四月へまたがるときがあるから、金の払いは来年度になる。しかし、これだけ貸すということの決定は三十八年度である。その貸付金の決定額の限度が八百七十億、こういうのだろうと思うのです、今の説明を聞くと。ところが実際上それの六割ぐらいか八割か、そこは、実際上この金を年度内に出すのは、八百七十億よりは少ないわけです。それで一番はっきりするのは、三月三十一日に貸付の決定をしたものは、その日に金の出されぬことはよくおわかりのことだと思うのです、これは手続があるんだから。そういうことじゃないかと思うのですがね。
  63. 川俣清音

    川俣分科員 常にそこであいまいさが出てくる。三十七年度のぎりぎりでも、承認した場合には三十七年度の予算になるわけです。繰り越して四月になれば、三十八年度の予算にならざるを得ないわけです、財政法上。そうでしょう。従って決定するには、やはり八百六億より決定できないのです。何のかんのといって延ばされていって、四月一日とかという決定にならざるを得ないわけです。翌年度になってしまう。それだから繰り越しでちゃんと見ていく。また翌年繰り越して見ていく。この文を読むと、ことしの資金は八百七十億であって、しかも手当はこれこれだ、こういうのでしょう。ところが大蔵省資金計画を見ますと、産投会計から二百六億、一般会計からの出資金十四億を入れて、それで二百二十億、こういうことでしょう。それに資金運用部資金から三百三十八億、簡保資金が二十八億、そうでしょう。内訳は、資金運用部資金が三百六十六億じゃなくて、三百三十八億です。それに簡保資金が入りますから三百六十六億と言われても、これは数字上の誤りじゃないのですけれども、「等」ということで簡保を省略したのだと思います。結局小計が五百七十二億で、自己資金が二百三十四億、この自己資金の二百三十四億というのには十四億が入っておるだろうと思うのです。二百二十億と書いてありますが、これは一般会計から十四億入ったので、大蔵省の計算では二百三十四億が自己資金と、こういうことだと思うのです。今の大臣の説明とは少しニュアンスが違うのです。政府出資十四億、自己資金二百二十億、合わせて二百三十四億、この数字は違わないのだけれども、説明からいうと自己資金が二百二十億。ところが大蔵省資金計画では、自己資金二百三十四億、こうなっている。こんなのは見ないと思ったってちゃんと見ているのです。ですから、大臣は、ほかのしろうとのところへいって資金繰りは八百七十億などと説明しておるのです。三十八年の融資総額はと書いてある。これは融資総額でないのです。むしろ融資承認額というのです。資金繰りは八百六億、ところが、国会に出した予算書には八百六億の資金繰りはないのです。ですから、これは融資承認額八百七十億、実際貸出八百六億、こうなればわかりますが、さも八百七十億貸すような格好で大いにやるといっても、それはうそなのだということなんです。受ける方から言えばうそなんです。説明する方から言えば、いやそういうふうに説明するのだというけれども、これは説明にすぎないのです。
  64. 重政誠之

    重政国務大臣 国の財政、国の予算ではまさに川俣先生のおっしゃる通りだと思うのですが、これは金融公庫のあれで、今までこういう慣行でやってきておりますから、私はもうそれで別段深く考えずにこういうことを言ったわけなんです。それで、しいて強弁いたしますと、八百六億と今の八百七十億との差と言えば、六十三億が国の財政なり予算外国庫負担となるべき契約で承認を受けねばならぬという理屈になるのかしらぬが、これは公庫だから、その六十三億というものについては、これの貸付承認をしても資金がないじゃないか、とこう言われても、来年度においては自己資金が二百数十億も年々あるのだから、それでつじつまは合います。強弁をすればそういうことになるのじゃないかと思いますが、これは決して悪意があって、おっしゃるように大きく言うためにやったのでも何でもないのです。その点は一つ御了承を願いたいと思います。
  65. 太田康二

    ○太田政府委員 くどいようでございますかもう一度申し上けますと貸付の資金の手当は、前年度の七百十億につきましては、その年度で六割、次年度に四割を貸す。その金が二百八十四億、それから後年度の分は六割というルールでやっておりますから五百二十二億、合わせて八百六億、しかし八百七十億と決定したものが八百六億しか資金の手当がないから、その分たけ減るではないかという御懸念だろうと思いますが、実は、それはそういうことではない、毎年そういうルールでやっております。結局、八百七十億は三十九年度で全部貸し出されることになるわけでございます。
  66. 川俣清音

    川俣分科員 それは十分知っていて言っているのです。毎年私これを問題にしておるのです。なぜそれじゃ三十八年度の融資総額と書くかというのです。財政法では、暦年じゃなくて四月から三月三十一日までで、三十八年度の融資総額となると、三十八年度に消化さるべきものです。そうでしょう、公庫だってそうです。公庫の規定を見てごらんなさい。私は問題にしようと思って公庫の規定を見てきた。従来年度内は六割、次年度に四割持ち越すということでやってきたことは認めます。農民近代化をやれといっておるが、自分でもう少し近代化をやってみたらどうですか。そんなこと言わないで、会計法でいう近代化でも一つやってみたらどうです。人の近代化なんか言わないで……。ほかには合理的にやらなければならぬと言って合理化政策なんてやっていながら、ちっとも合理化されていない。文書でこういう印刷にして回すときには、地方へもこういう説明が回っていきますからね。三十八年、度に津消化さるべき融資総額だとこのまま読んでいく。学校の先生なり文省家に読ましてごらんなさい。ことしは六割で来年は四割というふうに読めませんよ。日本語であればそうは読めない。これは農林省特有の言精米だということになれば別ですけれども、ほんとうに読んでごらんなさい。三十八年度の融資総額ですよ。実際は三十八年度は六割、次年度に四割、だということは、慣例的にやっておる、現にそうだということは認めないわけではない。これは三十九年度にいくというならば別です。三十八年度並びに三十九年度の融資総額、こうやれば——まだこれでも合わなくなってきますね。どこかでこの点をはっきりしていかなければ誤解を生むし、自民党の諸君なんかの演説を問いていると、ことしの融資総額八百七十億と平気でやっております。たびたびそういうことにふつかる。うそ言うつもりでない、書いた通りやるからそういうことになる。実際は六割も融資されない、こういうことになるでしょう。大臣、これは今後わかりやすく改めた方がいいと思う。この占について……。
  67. 重政誠之

    重政国務大臣 よく一つ将来のために検討いたします。
  68. 川俣清音

    川俣分科員 主計官の主査の吉岡さんが見えたようですから、吉岡さんにお尋ねいたしますが、農林省一般の会計にいたしましても、融資の面にいたしましても、やはり査定の基準というものがあるでしょう。そのものさしなしで査定されるわけはないと思う。その査定の基準になりますのは、おそらく積算の基礎たと思うのです。大蔵省が渋いというのはなかなかわからぬ。積算の基礎を出すとボロが出るものですから、なかなか出したがらないのですが、積算の基礎に基づいてあなた方はなたを振り回しておるわけですれ。そうたと思うのです。そうじゃないですか。
  69. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 そうです。
  70. 川俣清音

    川俣分科員 それではお尋ねいたしますが、農地取得資金として八十万円、こうなっておるのです。これは去年まで四十万円だったのが、政治的にされたのかどうかわかりませんが、倍になった。これはいい悪いは別問題にして、国会の審議からいうと、その八十万というものが土地取得資金だということはわかるが、一体何反歩買うための資金だということの目安がなければ、審議の対象にならない。あなた方も渋いかもしれぬが、私はもっと渋くお寝ねするわけです。この積算の基礎一つ。あなたが査定されたときの基礎を……。
  71. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 農地の最近の取引価格実績から申しまして、一反歩十七万円を基礎にしまして、五反歩を限度として取得できるように積算したわけでございます。
  72. 川俣清音

    川俣分科員 一反歩十七万円で五反歩、そうすると八十万円ですか、そういうそろばんになる。
  73. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 従来の限度の概念を約五反歩という概念で、まるい額で従来の慣例から限度を設けたわけでございます。
  74. 川俣清音

    川俣分科員 そういう計算は、これからもすべてそういうふうにおやりになるというなら、これは別です、大蔵省が渋いなんということは言われないで済むでしょうから。十七万円で買って、五反歩で八十万円だという計算ができるというのであれば、理解がある主計官というか、そろばんの知らない主計官と言われるかは別として、八十万円の積算の基礎はどうですか。約五反歩なんということはないでしょう。借り受けられる人は、借りるにはいろいろな書類を出さなければならぬ。大体の目安はどこにあるのかということを、目安をつけてやらなければ動かないでしょう、八十万円だから。ものができるのじゃないですよ。こういう内容で貸し付けるのだから、こういう計画を出さなければならぬということになる。この積算の基礎が明らかになっていなければいけない。約八十万円だ、約一反歩十七万円だ、じゃ二十万円のところはどうするのだ、こういうことになる。二十万円じゃ四反歩より買えないということになってしまう。御承知通り、不動産研究所の調べでも、地域的に値段が非常に違うのですよ。  それではさらにお伺いしますが、そうすると、十七万円に見合うところでなければ構造改善は進まないということになるのですか。あるところでは三反歩でも改善ができる。あるところは五反歩、六反歩たということになる。それじゃ計画にならないでしょう。この八十万円というのは、上下に相当な伸びがあると理解してよろしいのかどうか。これは限度であって伸びがある、こう理解していいかどうか。主計官、どうなんです。あなたが査定したときに、どういう考え方査定したかということです。
  75. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 現実には二十万の農地もあると思います。一応制度の問題ですから、制度として限度を設ける際にはそういう統計でできました一反歩十七万円という数字を基礎にしてやっていくわけでございますけれども、現実に二十万円の場合は五反歩買えないということはやむを得ないことたと思います。
  76. 川俣清音

    川俣分科員 そうすると、あなたがつくったのは構造改善のもとになろ土地取得の融資資金ですね。そうでしょう。ただ金を貸してやるのではないでしょう。一定の目的達成のための資金繰りでしょう。そうすると、一定の目的を達成しない資金繰りなんというものは意味をなさないじゃないですか。ただ金を貸すのじゃないでしょう。一定の計画に基づいて資金繰りをしてやろう、こういうことなんでしょう。ところによっては三反歩じゃ構造改善はできない。あるいは四反歩じゃできない。六反歩、七反歩でなければ、だめだという場合に、手当ては八十万よりしない。あとは自己資金でやれ、そういう意味なんですか。いや、それは平均か一反歩十七万円だから、その範囲内で買わないと融資しない。こういうのと意味が違うでしょう。そういう高い土地を買うならば資金繰りに応じないという意味なのか。問題はそこへ行くのです。そういうところを詰めたのですか。何にも検討しなかったのですか。どうです。
  77. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 十分そういう点も考慮しております。
  78. 川俣清音

    川俣分科員 どういうふうに考慮したのですか。
  79. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 今先生のおっしゃるようなことですと、そもそも限度を設けるのがおかしいという議論になってくるのではないかと思いますが、個々の事例につきまして単価、取得面積が違う場合に、それをすべて公庫資金でまかなえというような制度を設けるということになりますと、一定の限度は設けられなくなるのではないかと思います。そこで、制度として限度を設けるという点においては、現在の統計によりまして、平均的な取得価格を基準にして、それから平均的といいますか、大体従来でいいますと五反歩程度がその取得する農地の最高限度になっておりますので、約五反歩ということをめどとして積算いたしたわけでございます。
  80. 仮谷忠男

    仮谷主査代理 川俣委員に申し上げておきますが、速記の関係かございますから、発言席へお戻り願います。
  81. 川俣清音

    川俣分科員 大蔵省はおそらくこういう考え方なんでしょう。資金ワクはこれだけだ。限度は十七万円ぐらいだ。そこでこの範囲でやれ、わかりやすく言えばこういうことなんでしょう。あなたの答弁されていることからいえば、それ以上の検討はされていないように思う。検討されておれば、もっと答弁ができなければならぬはずです。農業構造改善というものは、必ずしも画一的にやる計画にはなっていない。申請を見てごらんなさい。構造改善事業の申請をごらんになりましたか。地域により、村により、県によりいろいろな計画ができておる。従って土地取得の用途もおのおの違っておるわけです。また現有所有面積も、地域的に大小非常に違いがあります。東京の平均反別、神奈川の平均反別、静岡の平均反別、みな違います。それを画一的に、全国的に五反歩が適当だなんということは何のことですか。木に竹を継いたよりもっとひどいじゃないですか。基礎の上にプラスするわけでしょう。たとえば、北海道のように経営面積が十町歩なければならぬところに三反歩や五反歩足したって構造改善にはなりませんよ。単価が安いから八十万円でやれると一応説明はできましょう。大臣の言うのはよくわかる。去年より倍にしてやれば何とかものが進むであろうというのですから、それはそれでいい。大蔵省もまたそういう意味でされたのなら、それでいいのです。あたかも査定官のようにやかましい積算の基礎をやったというならば、その説明を聞かなければなりませんし、私ども、政治的な八十万円はわかるけれども、内容を知らなければたやすく承認を与えるわけにはいかない。大蔵省は、何でも予算をきめれば自然に承認されると思ったら大間違いです。国会には審議権があるのです。あなたの査定が悪ければ修正しなければならぬ。だから、一つ答弁願いたい。答弁ができないで、農林省通りだということなら、農林省からお聞きしてもよろしゅうございます。
  82. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 川俣先生の御質問の意味もよくわかるのでございますが、土地取得資金につきましては、農地の実際の流動の動向、それから、これは必ずしも客観的なものとは言えませんか、おおむねこういうような流動から、あるいはこういう程度の取得というものを頭に置いた予算を組みたいということが真意なのでございます。従前の、といいますか、三十六年の自作地移動統計によりますと、大体平均の移動面積は一反五畝程度、小作地の移動統計によります平均面積は反二畝程度、全体の流動の数字の傾向は、農業就業人口の減少に伴う傾向にパラレルに移動数字が上かっておるのでございます。また従前の自作農資金の貸付実績を見ますと、取得につきまして、北海道でたしか平均貸し付けの二戸当たりの金額が二十二万円程度、内地につきましてはたしか十七万円程度ということに相なっておりまして、これらのことを総合勘案いたしますと、おおむね先ほど申し上げました現在の価格水準のもとにおける平均的な位置で五反の取得を容易にするということは、現在の政策的な要請に対しては、これでほぼ満足し得るものではないかというふうに考えたのでございます。ただ、かように相なりましたのは、その程度のことはぜひ事務当局としても考えて参りたいということを大臣にも訴えまして、予算の実現につきましては、最終的に御承知のような結果になったわけでございます。
  83. 川俣清音

    川俣分科員 それでは非常に不十分なんですけれども、時間がかかりますから次に進みます。  一九ページ「青果物については、青果物生産安定事業を引き続き促進するほか、野菜の大都市への供給確保、果実の安定的供給のための措置等を整備する」こういうことですが、大臣、御存じだと存じますか、青果物につきましては、生産者の手取価格と小売価格の間に流通経費があまりにかかり過ぎる。生鮮食料全体について申し上げますると、この農林省の統計調査部の資料は産地資料になっておりまするし、それから農林省が今お出しになりました資料は中央市場資料——市場年報がまだ出ないから、三十七年度の見通しがつかないということで、お載せになっておりませんか——大臣、聞いて下さい、生鮮食料ですね、青果物であります。鮮魚あるいは乾魚でも、三十七年度の市場の年報が出ないから価格はつかみかねた、こういうのですね。もう三十七年度も一月、二月です。おそらく毎月上旬なり下旬なり価格をとっていなければ、大臣の言うように供給を確保する、あるいは青果物の生産の安定をはかる、とこういうのですが、毎月の状態がわかっていないで、三十七年度がいまだにわからない、市場から情報が入らなければわかりませんというようなことで、安定政策がとれますか。大臣、どうです。
  84. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 今の川俣先生のお話でございますが、市場からの価格のほかに、現在小売価格指数を総理府の統計局調査でとっておりまして、それの推移によって現在の状態を把握しております。
  85. 川俣清音

    川俣分科員 官房は何か年報でも出なければ資料はつかめないのでしょう。水産庁というものは、物価が消費者にどういう影響を与えておるか、あるいは生産者にどういう影響を与えているかということを、月のうち二、三回は資料をとってみて対策を講じなければならぬ。去年食った魚の資料かまだ立たないで、やあ安定政策を講じますなんて言ったって、とんでもない話だ。そうでしょう。一体今の市場価格が生産者価格から見て高過ぎるのか安過ぎるのかということを見ていなければ、生産者対策はできないでしょう。去年のやつをやったってどうなる、去年の二月の分をやったって三月の分をやったってどうなる。現に今の青果物につきましても、鮮魚につきましても乾魚にしましても、生産地が安いのになぜ卸価格が高いかということを調査をし、指示を与えなければ何にもならないじゃないですか。大臣、そうじゃないですか。今の事態に、去年食ったようなものが高いの安いのと議論したってしょうがないでしょう。現時点において対策を講じていくことが、生産者に対する一つ方針であると同時に、消費者、国民経済に与える対策でもあるわけです。それをやれないような水産庁だったらやめたらどうです。中央市場から聞かなければわかりませんなんというのは、対策にならないじゃないですか。大臣、どう思いますか、多分私と同じでしょう。資料が出てこない。出てこないということは、対策がないから出てこない。あれば出てこなければならないはずだ。
  86. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 資料の点でございますから私から申し上げます。  お手元に差し上げました資料は、年別総平均の卸売価格でございます。従って、三十七年度の分はまだ完了いたしませんものですから差し上げてないわけでございます。むろんその月別の、たとえば大根なら大根、白菜なら白菜、これは青果物でございますけれども、そういったものの総卸売価格を総入荷量で割りましたその、平均価格というものは、ごく最近までわかっております。ただお求めの資料が年度別のあれでございましたものですから、三十七年度は完了いたしておりませんので出さなかったわけでございます。
  87. 川俣清音

    川俣分科員 月別が十二月まで出ておれば、それを平均すれば、そろばんをやったらすぐできるじゃないですか。総平均が出てくる。市場から聞かなければ、市場のものの相場でなければ合わない、農林省の計算によれば、とこういうただし書きをつけたらいい。毎月やっているのですか。月々にとっておれば、十二月に加重平均すれば出てくるでしょう。
  88. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 一ヵ月おくれよりちょっともう少しおくれますが、毎月とっております。
  89. 川俣清音

    川俣分科員 それはその程度にいたしておきましょう。  それで、魚の例をもって申しますると、産地市場でイワシの場合一キロ二十五円が、都市の購入価格になって参りますると九十五円というような価格になるのですね。みんな産地の三倍四倍という価格が消費者価格になっている。これは、単に言葉で言えば流通機構が悪いのだ、こういうことになる。これに対して指導監督するということになると、今のところでは卸売市場に対する監督より以外にはないわけです。卸売市場に対して監督をするということになると、今言っているように去年の資料を集計しなければわかりませんということであるならば、対策が立てられないのじゃないかという心配なんです。資料が不備だと質問しているのじゃないのです。毎月一体生産地と消費地とどれだけの開きがあるのか、これに手を加えていかなければ流通機構の改善というものはできないでしょう。そういう意味で、青果物につきましても、消費者価格があまりにも高過ぎる、逆に生産者価格が安過ぎる。これはやはり行政に待つよりほかない。この行政農林省がやっておられるわけですが、大臣、将来どういうふうにお考えですか。
  90. 重政誠之

    重政国務大臣 これは魚について申しますれば、やはりイワシが一ぺんにとれ過ぎたり、サンマがとれ過ぎた、あるいはサバがとれ過ぎたというような場合に、それをそのまま一ぺんに市場に持ち込むから非常に値が下がるというわけでありますから、これは、やはり産地においても一応この処理をする設備をするなり、あるいは冷蔵庫を設けて出荷の抑制をするなり、消費地においても同様で、非常に入荷の多いときには、消費地に冷蔵庫を置いて出荷の抑制をする。これは昭和三十八年度にも冷蔵庫の設置、あるいは魚油を搾油する設備を設けるとかいうようなことは、予算に計上いたしておるわけであります。  それから青果物等について、生産者の手取りが少なくて、消費者にいくのがその二倍以上三倍にも近くなるというのは、これは一つは腐るものでありますから、若干のアローアンスを見ておるというのは当然のことでありますが、それ以上に考えなければならぬのは、何といってもこれは出荷の調整問題が第一、それからさらに卸売市場における手数料の問題、それからせりの問題、あるいは物的設備とか運搬の問題、さらには産地から出てくる包装の問題、それから今度は小売の問題というふうに、それぞれの段階においていろいろ私は改善すべき点が非常に多いと思うのでありまして、これらの点につきましては順次改善を加えていく所存でやっておるわけであります。
  91. 川俣清音

    川俣分科員 価格をずっとグラフで見ますと、産地価格が下がっているにもかかわらず、卸価格が上がっておる。もちろん総体的には産地価格が上がれば卸価格が上がるが、これは必ずしも並行していない。産地が割合上がったのにかかわらず、卸価格がそう上がらない。産地が非常に安くなったのにかかわらず、卸価格が下がらないというようないわゆる流通機構の一つの欠陥があるわけです。このことが生産者の生産意欲を低下せしめたり、あるいは漁業者が不当な値下げを受けたりするような結果になる、委託販売ですからね。産地が安ければ安いで、卸価格も安くていいはずです。それが下がっておるにかかわらず下がらないというようなものを資料にして持っておりますが、今時間がありませんから申しませんが、これは対策を講じてほしいと思います。  それから食管会計並びに米価の問題についてお尋ねしようと思ったが、一区切りするようにということですからここで区切りをつけまして、食糧問題並びに林業問題についてはあとにすることにいたしまして、一応質問を保留いたしておきます。
  92. 仮谷忠男

    仮谷主査代理 角屋堅次郎君。
  93. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 私は農林水産政策全般について重点的にお伺いするつもりでございましたが、大体二時間くらいはもらえると思っていましたけれども、本会議まで大臣もお食事抜きで引き続きということでありますので、予定をした質問のうち、農林水産委員会に席も占めておりますから、そちらの方にある程度譲ります。なお本会議終了後は、農林水産委員会の方に大臣出席の要求があるというふうな話も聞いておりますので、それやこれやでできないかもしれませんから、重点的にしぼってお尋ねをいたしたいと思います。
  94. 仮谷忠男

    仮谷主査代理 角屋分科員に申し上げますが、大臣は本会議にも出なければなりませんから、大臣に対する質問をできるだけ先にしていただきたいと思います。
  95. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 過般、二月の五日に、私は本会議昭和三十七年度の農業の動向に関する年次報告と、昭和三十八年度において講じようとする農業政策に関連をいたしまして、農政の基本問題についてお尋ねをしたわけですが、そのお尋ねの中で、私は大臣農業の基本方針の質問に加えて、貿易自由化の具体的プログラムと、これが日本農業に及ぼす影響、特に近く実施を伝えられる砂糖の自由化問題と国内の甘味資源保護対策というものについて明確な方針を承りたい、こういうことを申し上げたのですが、当日の質問は多岐にわたっておりましたので、その他の問題については、大臣いろいろお触れになりましたけれども、この問題については答弁漏れになったわけです。本会議の形式でございまするし、今回までにいろいろ議論されておることですけれども、しかし、やはりこれらの日本農業考える場合に、農畜産物の自由化問題をどう対処するかということは、大へん重要な問題であります。この機会にまず大臣からお考えを承って、それに基づいて質問をいたしたいと思います。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕
  96. 重政誠之

    重政国務大臣 農産物自由化は、御承知通り、現在まであるいは関税の措置をとるとか、その他行政上の措置をとりまして、大なる影響を与えないという大体見当のつきましたものを段階的に今日まで自由化して参っておるわけであります。今日残されておるものは、いずれもこれはそう簡単なものではない、いわば自由化するについては相当難点のあるようなものが残っておるわけであります。しかし、貿易自由化の国際的の要請、また日本にとっても、日本のためにやらなければならぬ問題でありますので、農産物につきましては、全部を例外に取り扱うというわけには参らないと思うのであります。  そこで、しからば大体今残されておる農産物について、どういうふうなスケジュールで自由化を進めていくかということが問題になるわけでありますが、実は、これはまだそのスケジュールをつくるべく検討をいたしておりません。おりませんが、できるだけ早い機会に一応のめどをつけなければならぬという状態になっておるわけであります。ただ、しかし、ここで申し上げられますことは、現在の時点におきましては、どうしても自由化は困難である、自由化はできない、こういうものは大体予想ができるのであります。少なくとも米、麦でありますとか、あるいは乳製品というようなものは、現在の時点においてこれを自由化することはできない、こう私は考えておるのであります。IMFの勧告があって八条国に移行し、移行する前にガットにそれが通告になりまして、ガットの会議であるいは例外を求める、何らかの方法によって自由化しない一つの例外的の取り扱いをするものとしてどうしても要請しなければならぬと考えておりますものは、少なくとも米、麦でありますとか、あるいは乳製品というもので、これらはどうしても例外しなければならぬもので、自由化できない、こういうふうに考えておるわけであります。そうして、そのボーダーラインにくるものが、品目別に検討すればあるだろう。それからまた何らかの方法を講じて自由化できるもの、大体この三段階に分かれるのじゃないかと私は思うのでありますが、これは一々の品目について検討いたしまして、そのスケジュールをきめたい、こう考えておるわけであります。  それから砂糖につきましては、できるだけ早い機会に準備を整えて、自由化をいたしたいというふうに考えておるのであります。大体今考えておりますのは、第一は内地資源の生産の増強であります。これは二十億前後のものを三十八年度の予算にも計上し、今御審議願っておる。生産対策をやる。それから第二は、内地産の砂糖でありますとか、あるいはビートでありますとか、あるいはブドウ糖というようなものを、砂糖の値段が下がった場合におきましてはこれを政府が買い取る、こういう制度を確立したい。第三は、原糖の輸入値段が暴落をするというような場合に遭遇するならば、緊急関税の制度を運用し、さらには消費税を関税に振りかえる、こういうことも考えられる。第四には、輸入原糖についてのタリフクオータシステム、関税割当制度を採用しよう。大体この四つの考え方で法案を作成いたし、準備を整えて、しかる後に砂糖の自由化はいたしたい、こういうふうに考えておるのであります。
  97. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 私ども承知しておるところでは、農林省でも、先ほど来大臣お話のように、つい最近IMFの八条国移行に関する勧告等もありましたし、また今後におけるガットの舞台での政府としての主張という問題もありまして、農畜産物の自由化の問題については三段がまえの態勢といいますか、一つは今大臣お話しになりましたように、残存輸入制限方式によって、自由化せずに今後ガットの場などで外交交渉にゆだねたい。これは米麦あるいは乳製品等を中心にしたものだと思います。それから、新しくことしから一年ないし三年間で順次自由化するということで、当面試験輸入というふうな形で、自由化の影響も考えてみて、それらの影響を勘案して今後一年ないし三年間に順次自由化しようという段階のもの、もう一つは、本年四月から十月までの間に自由化を予定するものとして、バナナとか綿実油であるとか、いりコーヒーであるとか、あるいは砂糖の問題も当然ここに入ってこようかと思いますが、そういうような三つの段階で今検討を進め、関係各省との間でも協議をして、二月末から三月上旬までの間にいまだ自由化されていない八十四品目の自由化、全体的な計画のプログラムをつくる、こういう御方針のように承っておるわけでありますが、そう考えてよろしゅうございますか。
  98. 重政誠之

    重政国務大臣 今お話しになりました通りにはまだきめておりません。今月の十九日に残存品目のリストをジュネ−ブへ出すということは、大体その方針をきめましたが、その他のものにつきましてのスケジュールはまだ立っておりません。
  99. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 この残存品目に入るものは、米麦、それから酪農製品、雑豆類、果実。そこで肉類、紅茶、落花生等の問題については、さらに検討をしてどうするかということを考えるという内容だと思うのです。が、今、十九日に大体残存輸入制限方式によるところの自由化しないものとして考えておるものの具体的な内容を一つ……。
  100. 重政誠之

    重政国務大臣 残存品目というのはそういうのじゃないんです。現在自由化していない八十四ですか、それなんですよ。だから、その中を、できないものといろいろ仕分けしていかなければならぬので、今日本ではどれだけ自由化していないかというリストを出そうということだけで、これはどうといことはないものなんです。問題は、これをあとどうするかということが重大なのであって、その問題についてのスケジュールはまだきめておりません。
  101. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 具体的な自由化できないというものの内容ですよ。
  102. 重政誠之

    重政国務大臣 だから、そんなことはまだきめてないのです。検討してないのですが、私が目の子で考えても、米や麦や酪農製品はできませんということを私は言っておるのであって、その程度であって、どういう品目はどうするこうするということは、これはそう簡単なものではない、十分に検討をしてきめなければならぬ、こういうふうに考えておるのです。
  103. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 それでは、半面本年度四月ないし十月というところに予定をしておるものについては、当然もう速急に、大体こういうものについてはできるだろうという見当を示していると思うのですが、そこの点を明らかにしていただ一きたい。
  104. 重政誠之

    重政国務大臣 これもまだ正式にきめておるわけではないのでありますが、バナナはやるつもりでおるのです。これは、先般関税の定率法の改正もいたしましたから、バナナはやるつもりでおりますが、その他のものについては、まだ正式にどれだけやるということはきめておりません。
  105. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 そこで、貿易自由化問題というのは、国際的な問題ももちろんありまするけれども、過般、これは全然別の問題になりますが、市政農林大臣の前任者である河野さんが、外遊の後、尾崎記念会館で講演をされたことがある。その内容をちょうど病床におるときに読んだんですけれども、これからの日本農業の問題として大へん重要なお話をされておられる。これは、欧州のEECの共同市場等を見られる、あるいはアメリカにも渡られる、そういう内容の話をされて、今後日本日本だけの問題じゃなしに、やはり欧州のEECのような考え方をどう組むかということも考えていかなければならぬだろう、その場合に、日本としてはアジアにおける鉱工業の先進国として、原料生産という面については東南アジアその他の地域にやはり相当待つといふうな、共同市場的な考え方から、日本農業についても根本的に考え直していかなければならぬのじゃないか、こういうふうな話の内容が講演の中にあったと思うのです。これは、今後の日本農業考える場合、特に貿易の自由化という問題と関連しても非常に重要な問題であります。大臣が今後の日本農業考える場合に、私はあの本会議の代表質問でもその点で触れたわけでありますけれども、やはり日本産業経済の重要な柱としての日本農業の今後の発展を考えると、これを基本に置かなければならぬということを言ったのは、そういう河野さんの話とも関連があって言ったつもりでありますけれども、こういうEECの今後の問題、あるいは日本がそういうアジア、ヨーロッパその他を含めての地域経済的な考え方というものを導入するのかどうか、あるいは導入するという場合に、日本農業の比重というものが国際的な観点から見てどうなっていくのか、あるいはどうしようというのか、こういう点について、一つ農林大臣の今田の時点での御方針を承りたい。
  106. 重政誠之

    重政国務大臣 アジアにおける諸国と申しますか、日本工業国でありますけれども、おおむね後進国といわれるものは農業国であります。この後進国とアジア地域を一つ経済としてともに繁栄しようとするならば、これは理屈ではないのであります、何といったって後進国の農業国の産品を買ってやらなければならぬ。これが日本農業に非常な関係を持つわけであります。これはどうしても買って、購買力をつけてやって、加工品を向こうに輸出するということになって初めて私は緊密なるきずな、連係、ができると思うのであります。それは、手放しにはそうはいかない。日本農業というものがあるのでありますから、第一に考えられることは、日本農業と衝突しない作物を向こうでつくってもらう。もっとも、これは一つの例でありますが、三、四年前にタイにトウモロコシをつくってもらいたいということをいって、今日ではすでに四十万トン前後のトウモロコシを日本に輸入しておるというような現状である。そういうようなものは日本農業と衝突をしないものでありますから、アメリカその他から百数十万トン、二百万トン近いものを買うよりか、その方面から買ってやった方がよろしいことは必然なことである。日本自身においても衝突しないように農業を持っていかなければならぬ。それがためには、やはり高度の農産物をつくるということ、さらには農産物の加工業の発展を進めていくとか、いろいろな考え方があるでありましょうが、そういう意味におきまして、日本農業もそういう考え方を頭に入れつつ構造改善をやっていかなければならぬ、こう私は考えておるのであります。
  107. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 日本農業と衝突しないというお話でありますが、観念的にはそういうことはわかるのですけれども、現実に東南アジアなら東南アジアの地域を考えてみると、今農業収入のほとんど半数近くを占める米の問題で、東南アジアとは従来からも輸入の関係があって、最近は食糧増産の関係でそう多く入れていない。つい最近西村さんが代表で国際的な会議を持たれていますけれども、そこでも、やはりそういう原料年産国からはもっと工業方面が買ってくれというような強い要請が出ておるようであります。問題は、そういうことと関連をして考えてみますと、本会議でも触れましたように、食管問題の調査会という問題、これは直接そういうこととは関連ないようでありますけれども、今後の動向としては無関係ではない。かりに将来米の自由化が行なわれるという時代がきたときには、私は、やはりそういうことをやるということ自身の問題は別として、米の自由化をやるという場合には、現行の食管制度との間に矛盾が起こるのか起こらないのかということが一つの問題提起だろうと思うのです。これは、御承知通り、国が中へ入って食管制度の堅持をやっておるわけです。総理も、食管制度の根本はあくまでも堅持するのだと言っておりましたけれども、今後の地域経済の発展、あるいは東南アジアその他を含めて考えてみましても、日本として非常に重要な米の問題について、そういう方面での今後の問題としては、たとえば河野さんが農林大臣出時に、米の二割減産というふうなことをお話しになって問題を提起しましたけれども大臣にお伺いしたいのは、米の自由化ということが将来行なわれる場合には、理論的に食管制度というものの間には矛盾が起こるのじゃないか、こういう点についての御見解を伺いたい。
  108. 重政誠之

    重政国務大臣 私は、米の由化といったことは考えたことがないのです。でありますから、それが自由化した場合に食管制度とどういう関連を持つかというようなことは、実はいまだかつて考えたことがございませんから、その点は、今直ちに御答弁申し上げるわけには参りませんが、これは私の感じでありますが、食生活が漸次向上をいたして参っておる現状において、南方の米を日本に入れて、安いからといってそれを食う者がはたしてどれだけたくさんおるかということを私はまず疑うわけであります。内地の米は、だんだんにその消費も減っていくであろうから、もう米づくりは減らしたらいいなどというような感触を持ち、またそういう考えを持って言われる方もあるやに聞いておりますが、私は断じてそういうことを考えていない。南方米を持ってきて日本の内地米にかえるなどということは、とうていできることじゃないと私は思っておるのです。けれども、先ほどのお話のように、今年はいいのですが、将来南方に非常に余剰米ができた場合に、やはりその米は買ってやらなければならぬではないかということは考えておかなければならぬ問題だ。そこで、私はそういうものは原料にしたらどうかということを実は考えておる。先年来、私はこの南方の米を澱粉にすることはできないかということを研究さしたのでありますが、これは必ずしもむずかしくない。ことに今のように澱粉の値段がむやみに高いということになれば、現実にこれが可能であるというふうに私は思っておるのです。今はそれほどたくさんないわけでありますから、問題がないわけでありますが、そういうふうに、あれを原料に使うということを考えるべきじゃないかと私は思っておるのです。食用として日本のうまい米にあれをかえようなどということはとうていできぬ、こう私は考えております。
  109. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 時間の関係もありますから、問題を転じまして、今日まで各委員会で議論のあります農業構造改善問題について数点お伺いしたいわけです。  これは本会議のときにも私の所見を述べたのですけれども、全国総合開発にせよ、あるいは新産業都市や低開発地域の開発にせよ、あるいはまた道路港湾、漁港、いろいろなそういうものの年次計画の推進にせよ、それらのものとの有機的な関係を結びつけて、各省の関連施策も総合集中しながら農業構造改善という形で発展をさしていかなければならぬじゃないかということを申し上げたのですが、ただこの機会にお伺いしたいのはわれわれ農業基本法の審議の際にも、西ドイツの農業基本法にはやはり西ドイツの特色がある、イタリアはイタリア、スイスはスイス、イギリスはイギリスなりの特色を持っているわけですけれども、イタリアの農業基本法を見てみますと、山間部における開発という問題については、特に条章を起こして書いております。たとえばスイスの農業基本法を見ると、農業教育あるいは農業の社会教育という面は国の責任でやるほど熱を入れた基本法の内容になっておるのです。イギリスは、御承知価格保障問題では綿密な内容になっておるわけですけれども、各国それぞれ特色があるわけです。ただ、最近は構造改善ばやりでありまして、農業構造改善事業を始めると、当然やらなければならぬことですけれども漁業でも構造改善だ、林業でも林業経営改善だ、こういうことを打ち出してきて現実にすべり出しているわけです。ただ幸いなことに、農林省というのは、農業も林業も漁業も含んで一つの省をなしておる。しかも海津地帯に行けば半農半漁地帯であり、また山間部に行けば、ある程度の里山を持ってささやかな農業をやるという姿である。そうなってくると、今農業構造改善事業として進めるものと、林業の経営改善で進めておるところの計画、あるいは沿岸漁業で進めておるところの沿岸漁業振興実施県という形で具体的にすべり出しておる計画がばらばらであってはいかぬのじゃないか。本会議の際に、私は農業と林業、農業漁業との複合的な対策をやはり考えるべきだという提示をしたのですけれども、その気持は、やはり日本農林産業の実態から見て、今のようなそれぞれの各局の担当によって各局ごとに計画を推進していくという形では片手落ちができはしないか。そういう点で、私は、やはり山間部を選んでの農業と林業との複合的な構造改善をどうやるか、問題提示の中でそういう地域を選んでいく、あるいはまた半農半漁地帯での農業漁業を含めての複合対策をどうやるかという意味での地域を選んで、そういう地域の構造改善をやっていく。やはりこういうイニシアがなければならないと思うのです。そういう点では、今日進行しておるのは、必ずしもそういう形を配慮してなされておるように思わない。そこで、これは農業構造改善にしろ、漁業構造改善にしろ、法的根拠がないじゃないかということを言っておるわけですけれども、その問題は、今日の段階の議論とはいたしませんが、将来やはり法的根拠というものを考える場合には、農業基本法に基づく農業構造改善、あるいは近く審議される沿岸漁業等振興法に基づく沿岸漁業構造改善あるいはまた後ほど聞こうと思っていましたが、林業振興法というものを考えるとするならば、それに基づく林業の経営改善、こういうことで、それぞれ法的根拠がそれぞれのものについて出てくるわけですけれども、そこで法的根拠を考える場合には、今言ったように農林産業の総合的な構造改善に対する根拠法というものを考えて、有機的な、地域に見合った施策、今まだ立法措置がきちっとできてないという段階については、いろいろわれわれとしての意見はありますけれども、もし立法措置考えるとするならば、それらのものを整備されて、農林産業全体を見合った総合的な構造改善の立法措置考えたらどうかという感じもするわけです。  この際、大臣にお伺いしたいのは、従来からすべり出しておるものを見て、私どもが端的に考えておる農業と林業との複合的な構造改善、あるいは農業漁業との複合的な構造改善という問題に対して、どうこれからやろうとするのかという見解をお伺いしたいわけです。
  110. 重政誠之

    重政国務大臣 御説まことにごもっともであります。現在まだ年限はたっておりませんが、農業構造改善を進めております。そのうちには、いわゆる山村の構造改善というものは、その数はきわめて少ないわけであります。私もただいま角屋さんのお述べになりましたような感じを実は抱いておるわけであります。一応現在では、農業を主としておる山村はこの農業構造改善事業で進めることができる。ところが、林業を主として農業を従としておるような山村については、別途考えなければいかぬ、こういう気が実はいたしておるのであります。何とかこれは考えていかなければならぬ、こう考えております。これは林業の改善とももちろん密接な関係を持つものでありますが、考え方はそういう考えをもって今研究をせしめておるわけであります。それから漁業なりますと、もっとむずかしいというか、今の農林業の関係よりもちょっと違った条件が入って参る。この沿岸漁業構造改善というのは、相当海域が広いわけであります。範囲が広い。それが陸地になってくると、これは一ヵ町村とか二ヵ町村というのでない。それに接する行政範囲が陸上においては非常に広いということになってくるのであります。そこで、これはどういうふうに組み合わせをして、有機的にそこを関連を持たすかという相当むずかしい問題が出て参ると思うのでありますが、現在のところは、沿岸漁業は沿岸漁業としての構造改善をやり、陸地におきましては農業構造改善というので、この漁業の方も計算に入れながらやっていくというやり方で現在やっておるわけであります。御説まことにごもっともでありまして、それらの点についてはさらに十分検討をいたしまして、適切な措置をとらなければならぬと考えております。
  111. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 時間の関係もありますので、あと数点でやめますが、農業関係の基本法、あるいは漁業の点では、今、沿岸漁業等振興法案が出て参っておるわけですけれども農林省の予定法案の中では検討中のものとして、林業基本法ないし林業振興法というものを提示するということで御説明をあらかじめは受けておるわけですけれども、この点は今度の国会に間に合ううように準備を進めておるわけでしょうか。
  112. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 林業基本法の御質問でございましたが、これにつきましては、今、慎重に検討をしておる次第でございます。
  113. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 まだ水産問題が残っておるわけですが、これはいずれ沿岸漁業等振興法の審議の際に、農林水産委員会で承ることにいたします。  話を端折って大へん恐縮ですが、いずれ委員会にも出て参ることでしょうし、すでに予算委員会でも問題になっておるわけですが、農業災害補償法の問題は、私ども承知しておるところでは、従来の非常にむずかしい経緯のあった点を顧みて、団体側と、そこに与党なり農林省なりが入って意見の調整をしたところで準備をして、国会に法案を出そうということで今動いておるやに聞いておるわけですけれども、これは、なかなか団体間の話というのが、私ども承知をしておりますが、非常にむずかしい点の話し合いでありまして、もしそれがうまく調整がつかない場合には、今度の国会には間に合わぬ場合があるというつもりなのか、大臣はある程度のことをめどをつけて、そういう意見調整が十分にはなされないという場合でも、一定の段階が来れば出すというお気持でおられるのか、最後にその点だけお伺いしておきたい。
  114. 重政誠之

    重政国務大臣 今お述べになりましたように、話し合いは進んでおるように私も報告を受けておりますが、私としましてはある一定の時期には提案をしたい、こう考えております。このままで提案をせずにいくということは、農林大臣としての責任上そういうわけに参らぬと思いますから、相なるべくは話をまとめてもらって、出した方がいいと思いますが、それがいつまでも延び延びになってどうしてもいかぬということであれば、審議の時間もおのずから必要であるわけでありますから、これはある時期には決意をして、提案をして御審議をわずらわす、こういうことにならざるを得ぬと考えております。
  115. 中村三之丞

    ○中村主査 午後二時から本会議が行なわれることになっておりますので、この程度でとどめます。  農林省に対する残余の質疑は二十二日に行なうことにいたします。次会は明二十日午前十時より開会し、通商産業省に対する質疑を行なうことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十三分散会