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芳賀分科員 この問題については、いずれ三月に畜産物安定
審議会等がありますから、その際また十分
大臣の意のあるところをただしたいと思います。
それで、甘味資源の問題ですが、時間があまりないようですので、重点的な問題だけお尋ねしますが、第一に、
昭和三十四年に
政府は甘味資源十ヵ年対策を立てたことは、
大臣も御
承知の
通りです。それが現在において非常に計画が伸びておらない
ということも、これは
大臣御
承知と思います。この十ヵ年計画によりますと、
昭和四十三年がちょうど十ヵ年の終期になっておるわけでございますが、この四十三年の砂糖類の需給度合い
というものは、これは国内における需要総量が百五十二万トン、これに対しまして国内の出産計画は、てん菜糖については四十万トンで、そのうち北海道が三十万トン、内地
府県のいわゆる暖地ビートが十万トン、カンシャ糖については、奄美大島並びに沖繩を合わせてこれが二十万トン、ブドウ糖については十五万トンで、合わせて七十五万トンを国内で生産して、あと不足の七十七万トンは輸入に依存する、こういう計画の内容ですが、最近の砂糖類の需要
関係を見ますと、すでに
昭和三十六年におきまして五十六万トン消費されておるわけです。結局現実には、三十六年度の消費数量が、いわゆる当時立てた四十三年の到達目標である百五十二万トンと大体合致するわけでして、最近砂糖類の消費が非常に増大しておるわけですですから、そういうことになると、当然国の甘味資源十カ年計画を
実情に合うようにこの際改定して、そして、特に国内における甘味資源の増産対策等については、でき得る限り国の
責任でこれを進めていく
ということは当然だと思いますけれ
ども、まず国全体の需給計画を
実情に合うように改定する必要があるかどうか、あるいはまたこの十カ年計画
というものは、もう用をなさぬものであるから、ここらで打ち切って、新たに三十八年度なら三十八年度から新発足の長期計画を立てていく
考えであるかどうか、まず、この点を明らかにしてもらいたいわけです。
それから次に、お尋ねしたい点は、てん菜糖
関係の問題でございますが、問題になるのは、内地
府県における緩地ビートの生産奨励については、
政府としても数年間努力されておるわけでございますが、たとえば青森県におけるフジ製糖が工場を建てて、青森を中心にしたてん菜の生産については、これは大体成功した
ということが言えると思いますが、九州の大分の新光製糖の場合には、せっかく一日六百トン処理の工場が建ったにもかかわらず、昨年の秋には原料がない
ということを理由にして、操業を中止したわけです。大分の新光製糖は、せっかくの新工場が操業も中止している。そして九州で生産されたてんについては、それを岡山の横浜精糖に原料を輸送して、そして処理する
というような
現状になったわけです。こういうことを
考えると、一体てん菜糖の将来を
考えた場合に、せっかく
政府が奨励して工場の建設の認可まで与えて、建設を行なったにもかかわらず、それが操業ができない
というような
事態になったことに対する
政府の
責任というものは、やはり明らかにする必要があると思うわけです。最近また、聞くところによると、岡山県の横浜精糖を今度は九州の鹿児島の方にまた移転する
というような話も聞くわけでございますが、そういう国内における甘味資源の振興対策
というものは、
政府の無計画な態度によって、各方面に非常な迷惑や犠牲を与える
というようなやり方が、今後もとらるべきものであるかどうか、そういう点について、この際明らかにしておいてもらいたいわけです。
その次は、北海道におけるてん菜糖の
現状にいたしましても、これは
昭和三十五年から四十二年までの八ヵ年計画
というものが立てられておるわけでございますが、この計画は北海道庁が立てた計画だけ
というのではなくて、もちろんこれは当時自民党の町村
知事が立てた案でございますが、これは全面的に
農林省が承認して、国の北海道における甘味資源の長期計画
ということで進められておるわけです。ところが、この計画についても、たとえば
昭和三十五年度の計画は、作付面積については四万三千二百ヘクタール、ヘクタール当たりの収穫が二六・七トン、総収量が百十五万、五千トンで、砂糖の生産量が十五万八千トン
ということになっておって、これは三十五年から発足したわけですからして、実績も大体これと同様でございますが、それが三十七年度にはどういうことになつているか
というと、計画によると、作付の面積は五万三千ヘクタール、これに対して実績は四万四千二百ヘクタールでありまして、初年度と何ら数字が変わっていないのですね。計画は伸びておるけれ
ども、実際は依然として伸びておらない。ヘクタール当たりの収量についても、計画は三一七年度には二七・五トン
ということになっているが、これも三十七年度の実績
というものは二四・五トンで、初年度と幾らも変わっていない。総収量については三十七年度の計画は百四一十五万八千トン
ということになっておるけれ
ども、実績は百八万三千トンで、初年度の実績である百万五千トンと全然変わりがない。砂糖の生産量についても、三十七度の計画は二十万トンでございますが、実績は十四万二一十トン程度である。こういうことで終了わっておるわけです。ですから、三十、五年、三十六年、三十七年間は計画はどんどん急速度に進むことになっているが、実績は初年度を全然上回っていない。毎年毎年足踏みしている
ということで、計画と実績が非常な大きな懸隔が出てしまったわけです。このまま放置して、たとえば終期の四十二年までいった場合においては、計画は約倍になって、作付は七万一千九ヘクタールにたって、原料は二百十四万七千トン、砂糖の出産量が三十万トン
ということになるが、今のような状態でいくと、この計画
というものは、全く絵にかいたもちで終わってしまうわけです。ですから、この辺で国の計画の
現状に合わした改訂ももちろんでございますが、北海道におけるこのような実績を伴わない八カ年計画
というものは、
農林省の
責任において直ちに改訂する必要があるのではないか。この点を私は
大臣に
指摘しておきたいと思うわけです。なぜこの際こういうことを言うか
というと、たとえば、昨年度は北海道においては九工場が操業しておるわけです。昨年二工場ふえまして、大
日本製糖が本別、それからホクレンが第二工場を清水に建てたわけです。ですから九工場ですね。百八万トンの原料を九工場で分けると、一工場当たり平均すると大体十二万トンしか処理できない
ということになるのです。
農林省の北海道における工場建設の適正基準
というものは、少なくとも一工場当たり十四万七千トンの最低原料を確保させて、そうして国内における標準糖価であるところのキロ当たり百二十一円七十銭を維持する
という、そういう計画で進んでおるが、実績が上がらないのに、
政府や自民党の方のいろいろな理由で、工場だけどんどん建てさせて、工場がふえれば原料もふえる
というようなでたらめな
考え方の上に立ってやった結果が、一工場十二万トン、これでは非常に生産コスト
というものが高まって、おそらく十四万七千トン処理した場合と十二万トンしか処理しない場合においては、キロ当たり五円程度コストが違うと思うのです。こういう状態を放置して、われわれは反対でございますが、もしも砂糖の自由化を進める
というようなことになれば、国内においては、国際競争力を高める
というような方向と逆に、非常にコスト高のてん菜糖あるいはカンシャ糖だけが生産されて、ますます国際価格との間における差がついてくる、こういう結果になるわけです。ですから、こういう無計画な工場乱立を取りやめることにすれば、やはりこの際、計画を早急に改訂して、現実に即した計画の上に立って、今後北海道におけるてん菜工場の建設をどうしたらいいか、あるいは原料に比較して工場の数が多い傾向があるとすれば、これをどういうふうにして
合理的な操業をやるか
ということについては、やはり北海道庁だけにまかしておかないで、
農林省の
責任においてこの際長期計画の改訂の上に立って、北海道におけるビート工業の今後の問題を
大臣の
責任で明らかにしてもらわなければならないと思うわけです。こういうことを整理していかなければ、
昭和三十八年度のてん菜のいわゆる原料価格等の
決定についてもまだ
方針が立ってないでしょう。
政府としては、年度内に新しい
法律を
提案して、その成立を期して、それを根拠にして国内の甘味資源の生産態勢を進める
ということを言っておられるようでありますが、まだその
法律についても、いつごろ
提案されるか
というめどが全然ついてないじゃあないですか。われわれ社会党としては、近日中に、相当内容の雄渾な計画を盛り込んだ、いわゆる砂糖類の価格安定と甘味資源の生産振興法案を出しますが、どうも政策面を比較すると、社会党の政策よりも
政府や自民党の政策が立ちおくれて、何か社会党に政策的に引きずられて、しょうがなしに歩いているようにしか
考えられないわけですが、そういうことではいけないと思うのですよ。単に頭数だけを持っておる与党を基盤にして、
政府が全く無為無策で日を送る
ということは、これはわれわれが見ても残念しごくな点ですからして、国内における甘味資源対策についても、もう少し今私が
指摘したような点についてははっきりした態度をこの際示してもらいたいわけです。
特にもう一点、これに付随して問題になるは、昨年二工場の操業が行なわれたわけでございますが、あと四工場については
昭和三十九年までに建設を認める
という条件がついておるわけです。そうしてこの四工場については、増産担当区域と称する一定の区域を三十九年度建設
予定の会社については与えて、これをなわ張りにして増産担当区域として生産に励んでもらいたい
というような約束をしておるわけでございますが、今日においても原料に比較して工場が多過ぎる
という状態の中で、三十九年にまた四工場建てるとか、その前提に増産担当区域
というようなものをいたずらに与えて、将来各生産者も会社側も迷惑をするようなことがあってはいかないと思う。だから、今後の北海道における計画の改訂の問題、工場の
合理的な経営の問題、増産担当区域の取りやめの問題とか、こういう問題が処理されなければ、本年度作付するビートの作付に対しても、
農民は全然意欲を燃やすことができないのじゃないかとわれわれは
心配しておるわけです。
時間がないので、数項目もずっと並べて
質問しましたが、大事な点を落とさないようにして、明らかにお答え願いたいと思います。忘れた点はまたお尋ねします。