○田中国務
大臣 この問題につきましては長いこと議論をせられておる問題でありますし、しかも制度の上からも、また理論的な問題もみなからんでおりますので、十七万何千人と、何人の非常に大きな売りさばき人との問題だけを論じて結論が出るものではないと思っております。戦前はどうだったかというと、一律一割であったわけです。ところが、
卸売というようなものはなかったわけです。なかったといっても、会社に対して特約があって、月間幾らというような相当まとまったものを出したものはありますが、今のように景品というようなもので定期的に大量なものが事実上特約によって出ていくとか、
値引きをするとかいうようなおそれのあるものは、現在と比べては非常に少なかったわけであります。でありますが、戦後はだんだんと
販売量もふえて参りましたし、一店の取り扱い量もふえて参りましたし、インフレ・マネー的な、いわゆる金額が非常に大きくなるというようなこともありましたので、順次是正をしながら今日までになってきたわけであります。最終的に今度また九%を九・二%に、
店頭売り六%以上のものを八%に上げよう、こういうことになっておるわけでありますが、将来これを戦前の一律一割というところに直すのか、非常に
販売状況も違って参りましたから、
段階をつけるのか、この問題は広く衆知を集めて検討しなければならない問題でございます。そうして
先ほども
公社の
総裁が述べましたように、これは
専売法に
違反して
値引きをした者に対しては
処分が行なわれるわけでございますが、これは事実認識からいいますと、パチンコ店に常時おろしておるから、
卸売業と同じことじゃないか、
専売法を改正して制度の上で認めてはどうか、こういう
お話もございましたが、これは
専売法そのものも、各種にわたる
専売物品に対して
一体こういう
卸売業的なものを認められるのかどうか、これもなかなかむずかしい問題が起こって参ります。末端の大衆
消費者との間に二重価格というものをつくるわけでありまして、その
卸売業の名において入手をするということになると、これも制度上非常にむずかしい問題でございます。でありますから、今の制度は、議論はありますが、一応筋は通っておるわけでございます。でありますから、今度の八%に値上げしようというものが、少数の
人たちによりよけい恩典がいくという問題――戦前の一律一割であったときとはほんとうに
情勢が違っておるのだから、八%に上げることによって少数の
人たちが過当な利益を得るという問題に対してどう
考えるかという一点にだけに問題をしぼるといたしますと――
あとの問題は
法律でもって全部救済しておりますし、処罰も受けますし、いろいろな問題がありますから、その一点だけに要約すればなるわけであります。これは
公社の
総裁も申し述べたように、昨年から
たばこの売れ行きが非常に悪かった、
納付金の見通しも、そういう面もあって悪いじゃないかというようなこともありまして、今度少し
販売に力を入れるということで一応引き上げを
考えておるというような
情勢だと思うのであります。で、議論をするわけじゃございませんから、ちょっとだけ申し上げますが、業態の内容をよく調べてみますと、戦後、売る人は専業であるかというと、案外いろいろなものがあって、塩とか、切手の売りさばき、
収入印紙の売りさばき、雑貨店を営んでおるとか、いろいろな面で兼業的な売りさばき所が多いわけです。でありますから、実際に一日十個ずつ売るもの、百個ずつ売るもの、千個ずつ売るもの、一万個売るものを
計算してみて、実際労力的に、また支出の面で必ずしも同じ原価ではないわけであります。でありますから、
大口に売りさばいておるものは、名義人は一人でございますが、相当の人間を使っておるということがございますので、今の状態では、
手数料というものは、
収入が非常にはっきりしておりますから、だからそういう意味で税の面からは、やったものでも、取り上げるものはみな国家がまた歳入として税で吸い上げておるわけでありますので、制度上、法制上すっかり割り切ってしまうといことにはなかなかならないのです。だから私はこの問題に対しても、省内でも監理官の意見を聞いてみたりいろいろやってみたのですが、感じの上では、そうでなくてもたくさん売れるもの、しかも事実上はパチンコにおろしておるのではないか、捕捉しがたいというだけでありまして、実際はひっかかったものは
値引きをしておるし、ひっかからないというだけであって、こんな大量に売れるものは大体
値引きしておるのだ、こういうことをみずから認めることになるのじゃないかという議論も十分わかりますが、
専売法を改正して二重価格制度をとるということも法制上非常にむずかしい。それから今のままで据え置いて、小規模な売りさばき人だけに相当大きな幅を持たしておくということも、なかなか理論上むずかしいということで、戦前の一割、あるいは一割でなくとも一律に九・二%にしてしまうか、戦前よりも一%低く九%ということで一律にしてしまうかという議論もあるわけでありますが、いずれにしても
段階を追ってずっときたのでありますから、小額のものは九・二%、
大口のものは延べて八%にということを
公社で
考えておるわけでありまして、最良の案であるかどうかはわかりませんが、今の
段階においては妥当だと思わざるを得ない、こういうふうに
考えておるわけであります。