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1963-02-20 第43回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十日(水曜日)     午前十時十二分開議  出席分科員    主査 櫻内 義雄君       青木  正君    井出一太郎君       植木庚子郎君    正示啓次郎君       船田  中君    岡田 利春君       川村 継義君    久保 三郎君       東海林 稔君    田口 誠治君       野原  覺君    山花 秀雄君    兼務 加藤 清二君 兼務 島本 虎三君    兼務 田中織之進君 兼務 受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 志賀健次郎君  出席政府委員         防衛庁参事官  志賀 清二君         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         防衛庁参事官         (経理局長)  上田 克郎君         防衛庁参事官         (装備局長)  伊藤 三郎君         防衛施設庁長官 林  一夫君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部会計課長) 大濱 用正君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    鈴木  昇君         科学技術政務次         官       内田 常雄君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   森崎 久壽君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房会計課         長)      松田 壽郎君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  芥川 輝孝君         総理府事務官         (科学技術庁振         興局長)    杠  文吉君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   島村 武久君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    井上啓次郎君         文部事務官         (管理局長)  杉江  清君         運輸事務官         (航空局長)  今井 榮文君         郵政事務官         (電波監理局         長)      西崎 太郎君  委員外出席者         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部連絡調整         官)      高野藤吉郎君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  村田  浩君         大蔵事務官         (主計官)   渡部  信君         厚生事務官         (大臣官房国立         公園部管理課         長)      松下 廉蔵君     ————————————— 二月二十日  分科員川村継義君及び横路節雄委員辞任につ  き、その補欠として田口誠治君及び東海林稔君  が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員東海林稔君及び田口誠治委員辞任につ  き、その補欠として久保三郎君及び川村継義君  が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員久保三郎委員辞任につき、その補欠と  して岡田利春君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員岡田利春委員辞任につき、その補欠と  して横路節雄君が委員長指名分科員選任  された。 同日  第三分科員加藤清二君、田中織之進君、受田新  吉君及び第四分科員島本虎三君が本分科兼務と  なった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十八年度一般会計予算総理府防衛庁  及び科学技術庁関係所管      ————◇—————
  2. 櫻内義雄

    櫻内主査 ただいまより予算委員会第一分科会を開会いたします。  本日は、昭和三十八年度一般会計予算中、総理府所管防衛庁及び科学技術庁関係について質疑を行ないます。  東海林稔君。
  3. 東海林稔

    東海林分科員 昨日私は太田大泉飛行場早期返還問題を中心にお尋ねしたのですが、その中で、きのう施設庁答弁にもありましたように、約二十万坪という広い面積が、現に米軍使用せずに、群馬県観光公社がこれを借り受けてそうしてゴルフ場に使っておる、こういう点は、米軍の必要欠くべからざる基地ということで提供しておるのが、米軍が使わずに日本側ゴルフ場に使っておるというようなことは、まことに不可解千万じゃないかということで大臣の見解をただしたのに対しまして、実情がはっきりしておらぬからということで御答弁が保留になったような関係で本日に引き続いたわけでございます。そこで大臣の御答弁をいただくのでありますが、その前に一、二点事務的なことでお伺いをした上で御答弁をお願いしたいと思います。  と申しますのは、まず第一点に伺いたいのは、きのうの御答弁のように、現在群馬県の観光公社があのゴルフ場を管理経営しておる、こういうことなんでありますが、手続的に米軍との間に一体どういう手続で現在そういうことになっておるのか、施設庁からその点を明らかにしていただきたいと思います。その手続を進める関係において施設庁はそこに一体どういう関与をいたしておるのか、その点も明らかにしていただきたいと思います。
  4. 林一夫

    ○林(一)政府委員 御指摘のように、太田大泉施設の中にゴルフ場があるのでございます。このゴルフ場は現在その運営県観光公社によって行なわれておる、このいきさつをちょっと申し上げます。  太田大泉施設でございますか、この施設は、昭和二十一年の五月以来、飛行場及び住宅地区として米軍使用して参ったのでございます。その当時からこのゴルフ場米軍がこれを使用しておったわけであります。その後、日米親善というような観点から、米軍好意によりまして地元方々がちょいちょいこれを利用しておった。これはどこまでも米軍好意によりまして地元方々がちょいちょい利用しておったということでございます。ところが、御承知のように、昭和三十二年に岸・アイク声明によりまして米軍が大量に日本から撤退いたしました。その当時群馬県にもたくさんの施設がございまして、その施設相当閉鎖されまして、それに伴いまして駐留軍労務者が大量に整理されたのであります。私ども大体群馬県において三千名ぐらい整理されたと承知しておりますが、そういうようなこともございまして、これらの離職者対策と申しましょうか、離職対策一環としまして、県と米側が協議しまして、このゴルフ場運営を県が行なうことになり、さらに県はこの運営県観光公社に委託いたしまして、県観光公社がこの運営を行なってきておるのであります。でございますので、当時離職者関係者が百数十名ここに従業しておったというような事情でございます。この県観光公社は、毎年米軍契約を更新しまして、米軍の許可を受けてこのゴルフ場運営に当たってきておるわけでございます。そういうような事情でございます。毎年の契約によりまして米軍使用承認を得ておるわけでございます。
  5. 東海林稔

    東海林分科員 今の御答弁ですと、ゴルフ場群馬県観光公社が使うということについては、県当局米軍との間の話し合いでそれがきまっておるというようなことで、施設庁はそのらち外にあって、何ら責任なり、それに関係していないようなお話のようでありますが、日本米軍基地として提供してある飛行場の一部のそういう使用方について、県と米軍だけで話がすべて解決して、施設庁が関与していない、こういうことですか、そういう筋があっていいのですか。
  6. 林一夫

    ○林(一)政府委員 御承知のように、この施設管理権米側が持っておるわけであります。管理権に基づきまして県の公社にこのゴルフ場運営を認めたということでございます。調達庁とはそういう点においては関係はないわけでございます。
  7. 東海林稔

    東海林分科員 それから今の御答弁で、駐留軍労務者労務対策一環として発足したというような説明があったわけですが、それでは現在あそこに勤務しておる労務者のうち、元駐留軍におった労務者が何人現在働いておるのですか。
  8. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現在このゴルフ場従業員は約二百数十名おると聞いております。そのうち、はっきりわかっておりますのが、キャディが六十名ぐらいおりますが、これは駐留軍関係者方々である、こういうふうに私ども承知しております。そのほかにもまだおるのではないか、正確なる数字ははっきりつかんでおりません。
  9. 東海林稔

    東海林分科員 なおその点を伺いたいのですが、それでは今の利用状況については、当初は百何名の離職者がそこに就職した、しかし今はだいぶ減っておるというお話のようでありますが、現在でもあれを群馬県の観光公社利用しておるのは、駐留軍労務者離職者対策というふうに防衛庁では理解されておるわけですか。
  10. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私が先ほど申しましたのは、当時県なりあるいは県観光公社運営するに至った経過を申し上げたので、そのそもそもの始まりは、駐留軍労務者離職対策一環として行なわれたということでございました。その後離職者関係者もここに従業しておるわけでございます。おそらくその数はだんだん減りつつあるのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、百名近くおるのではないかと私は考えております。そういうふうな経過でございます。
  11. 東海林稔

    東海林分科員 当初百何十名の離職者対策としてこれを観光公社が使ったということ、経過はそうであったにしても、そのこと自体も理解しにくいのでありますが、先ほどの御答弁のように、この使用については、米軍と県が中に入って、観光公社みたいに、年々その契約を更新しておるというような話でございます。従って、毎年これを更新するということについては、そういうことがいいのか悪いのかということを防衛庁としても当然吟味さるべきだと思うのです。先ほどは、防衛庁ではあまり関係なくて、県にまかしてあるというようなことを言っていますが、いやしくも、日本のようなこんな狭いところで、しかも二十万坪というような土地を米軍基地として提供するということについては、常に重大な関心を持たなければいけないはずです。きのうの林長官の御答弁によれば、日米合同委員会においても、この太田大泉飛行場の問題はきわめて重大な問題なので、常に早期返還について折衝しておる、こういうお話であったでしょう。にもかかわらず、二十万坪という広大な面積——あそこは約五十万坪ですから、約四割です。そういう広大な面積が現に米軍基地としては必要ない状態になっているにもかかわらず、県と米軍の間で毎年更新しておるんだから、わしの方は知らぬ、こういうようなことを言って防衛庁責任が果たせるかどうか、その点をまず伺いたい。
  12. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先ほど申し上げましたように、このようなそもそもの発端によりまして、米側と県が毎年の契約によりまして経営をしてきたということでございます。そういうような点から申しますと、調達庁はこの話し合いについては全然関係をしていなかったということでございます。ただ、こういうゴルフ場離職対策一環として県なりあるいは県観光公社において運営されてきたという事実は存じておりました。
  13. 東海林稔

    東海林分科員 それはわかります。  今度は大臣にお伺いします。今のような答弁なんですが、そういうことでは、基地に対して真剣に、基地をなるだけ減らすとか、あるいは太田大泉飛行場早期返還ということを熱意を持ってやっているというふうにわれわれはとうてい理解できないのですが、そういう点、大臣は一体どうお考えになりますか。
  14. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま林長官からお答えいたした通りでございますが、なるほど離職者対策一環として軍と県との間に話し合いが生まれ、またそれが県観光公社によって運営せられておるのでございまするが、今日になってみますと事情もだいぶ違っておるのでございまして、また仰せの通り基地一隅をあのような状態にしておきますことは、好ましくない姿であると私は思うのでございまして、今後軍、並びに軍と話し合いをいたしておりまする県当局ともとっくりと話し合いまして、善処して参りたいと考えておる次第でございます。
  15. 東海林稔

    東海林分科員 大臣の御答弁でやや了解できるのですが、かりにあそこをゴルフ場として使うことがいいか悪いかという問題を別にしましても、かりに使うといたしましても、何もそう米軍に提供しておかなくて、ゴルフ場として使うのが妥当だということであれば、これは返してもらって、その上に群馬県の観光公社に使わせればいいと思うのです。何も米軍に必要のないものを基地として提供しておくということは、まことに変な話だと思うのです。第一、日米安保条約に基礎を置いて米軍基地を提供するという考え方の中でそういう状態のものが存続されるということは、私はあり得ないと思うのですが、その点はどうですか。
  16. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この太田大泉飛行場施設でございまするが、この目的パラシュート投下訓練場でございます。パラシュートで物資とか人員を投下する訓練をいたしておるわけであります。そのような目的から申しますと、相当の広い地域安全地域として必要なんでございます。このゴルフ場に充てられておる地域も、結局この安全地域として必要な地域でございまして、この飛行場施設としては不要な施設ではないと私ども考えておるし、これだけの安全地域は当然必要なものであると考えておるわけであります。
  17. 東海林稔

    東海林分科員 私も多分そういう答弁が出るだろうと思っていましたよ。あなた、それは非常に怠慢ですよ。あそこへ行ってごらんなさい。投下訓練場は、なるべく障害物がないように、かりに木があっても、切ってしまって障害物がないようにするのが建前ですよ。ところが、今ゴルフ場として使っているところを見てごらんなさい。木を植えて木を育てていますよ。そういうような責任のがれの、無責任答弁というものは、絶対に私は承服できないのです。そういう態度で基地問題を処理しておるとすれば、これは重大なことだと思うのですが、大臣どうですか、その点は。
  18. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま申し上げたように、経過はなるほど離職者対策でございましたけれども、今日では事情も違っておりますし、また基地問題が真剣に論議せられておる際でもございまするから、さいぜん申し上げたように、まあとりあえず、軍と群馬県当局との約束の事柄でございまするから、軍と県当局とよくお話を願うと同時に、私も軍とよく話し合いをいたしまして、国民感情に合致するような方向にこれを持って参りたいと考えておる次第でございます。
  19. 東海林稔

    東海林分科員 軍と県との契約ということは確かにお話通りですけれども、それは一年ごとに更新することになっているでしょう。従って、これはいつまでも存続することではないというようになっておるのですよ。従って、県の立場というようなことは、私はこの問題の解決にそんなに重大な問題じゃないと思うのです。問題は、やはり大臣決意いかんだと思うのです。従って、私がお願いしたいことは、飛行場全体につきましても、昨日の質疑で明らかになったようにあまり利用してない、そういう状態で、全体の早期返還ということはもちろんですが、少なくともこの二十万坪については、これは理屈が、大臣の御答弁のように、おかしいのです。おかしいというより、けしからぬのです。従って、この分についてだけは早急に大臣として米軍側と折衝して、返す努力をするという、この点だけははっきりおっしゃっていただきたい。そうでないと、なかなか私はこの問題は理解できないのですが、いかがでしょう。
  20. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 私は、太田小泉基地の問題は、全体を返還するという問題が当面の問題でございまするから、これを返還してもらうための対策としてまた新たな問題に私が直面しておるのでありまするから、やはり全体をひっくるめて返還してもらうということに最善を尽くすことにいたしておるのであります。従って、そのうちの切り売りと申しましょうか、一部を最初にまず取って、あと残りをどうするということは私はまだ考えておりません。しかしながら、先ほども申し上げましたように、なるほど離職者の子弟が数十名今日働いておるそうでございまするけれども、あのような姿のままで基地一隅に現存するということは好ましくない、その問題も考え合わせながら、大目的でありまするところの太田小泉の全面的な返還を実現せしめるように私は努力する考えでございます。
  21. 東海林稔

    東海林分科員 全体の早期返還ということはぜひ御努力願いたいのですが、しかし、きのうの御答弁の中に明らかなように、代地を要求しておる。代地の渡良瀬川のあの遊水池の問題については、きのう、大臣自身、どの部分利用するのか、まだきまっていない——あの遊水池代替地利用するという問題が始まってからもう一年以上たっているのに、まだ日本側においても、どこを利用するか、防衛庁と建設省との間に話もついていない、こういうような状態で、いつ一体これが見通しがあるか、われわれは疑わざるを得ないのです。代替地の問題が始まったのは、これは赤城防衛庁長官の時代からです。何年たっているのですか。われわれは代替地なんということでは絶対解決しないということで、しばしば、大局的見地から、代替地というようなことは言わずに返せということを言っておるわけです。従って、大臣がともかく全体を近いうちに返せるという確固たる見通しを持って今の御答弁をされたとすれば、私は満足なんですが、われわれとしては、そういう点は非常に大臣考えが甘いので、過去の経験から見て、そんなことにはならない、こう思うから、少なくとも理屈に合わない二十万坪はすぐ返せ——部分とおっしゃいますけれども、五十万坪のうちの二十万坪です。狭い日本であの平坦地の二十万坪は、大した面績です。そういう点もぜひお考えを願いたい、こう思うのです。これは答弁は要りません。  それから、私ゆうべ偶然夕刊を見ますと、これは天の配剤——と言うと少し言い過ぎかもしれませんが、米軍飛行場焼くと書いてあるのです。太田飛行場の今米軍利用している建物はみな焼けたと書いてあります。これは天の配剤で、もうあの飛行場米軍は使わなくてもいいんだから、建物を焼いて、返せということじゃないか、天の啓示じゃないかと私は読むわけです。これは少し言い過ぎかもしれませんが、いずれにいたしましても、レーダー塔なり事務所がみんな焼けた。そこにおったのは、米軍の兵隊が五人と日本の人夫が三人、利用もあまりしてないところと、新聞にはちゃんと出ているわけです。いずれこれは日米合同委員会施設分科会で何か向こう側からも話があると思うのです。いい機会ですから——きのう林長官は、施設分科会のつど話しているという答弁があった。ところが、それじゃ最近いつ話しておるかと言うと、ちょっともはっきりしない。そういうことじゃだめなんですがね。今度おそらく話が出ると思いますから、その際に一つぎっちり、ただいま大臣のおっしゃったような趣旨で話し合ってもらって、全体の早期返還のために努力してもらいたい、こう思うのです。これを希望として最後に申し上げまして、以上で私の質疑を終わります。
  22. 櫻内義雄

  23. 田口誠治

    田口(誠)分科員 具体的な質問内容に入ります前に、長官にお伺いをいたしたいと思いますことは、大臣に就任されまして、さっそくアメリカの方へ旅行されて、日本の第二次防衛計画推進状況話し合いをされ、アメリカからも相当強い拡充強化の要望がされたというようなことが報道されておったわけなんですが、それで昨年末からことしの初めにかけての新聞を見ますると、第二次防衛計画がようやく二年目に入ったにもかかわらず、早くも第三次の防衛計画指示しておるということが、長官の談話として報道されておるわけなんですが、そういうようなお考えがあるのかどうか、この点をこの際確認しておきたいと思います。
  24. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 お話通り、第二次防衛力整備五カ年計画は、その初年度でございまして、その初年度が終わろうといたしておるところでございます。三十八年度は、ただいまお話通り第二年度でございます。従って、一年度が終わろうとしておる今日、私ども第三次防衛計画は現在考えておりません。いずれはだんだんと考える時期も参ろうかと思いまするが、ただいま申し上げたように、第一年度の終わり、ようやく第二年度を迎えんとしておるのでありまして、むしろわれわれの全力を傾ける点は三年度以降の計画の完遂にあると思うのでありまして、現在のところ、第三次防衛力整備計画について申し上げる段階でも、また根拠もないということを御了承願いたいと思うのであります。
  25. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは確認をしておきまするが、新聞等で報道されておるところの御三次防衛計画の方針を指示した云々のこの記事は、これは全然ないというように了解をしておいてよろしいですか。
  26. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま申し上げたように、私は全然頭にもなければ、また所管の局から三次防についての意見を求められたこともございませんから、そのように御了承願って差しつかえないのでございます。
  27. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうしますると、昭和三十八年度が第二次防衛計画の二年目に入るわけでございまするが、そこで第三次防衛計画ということについての考えは持っておらない、指示もしておらないということになりますると、第二次防衛計画の中で防衛力拡充強化ということをはかり得ると思うのですが、これは、第二次防衛計画を審議するときに、いろいろ私ども質問確認をいたしました範囲内においてその第二次防衛計画を推進されるのか、それをはみ出るような場合もあり得るかどうかということも、これもちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  28. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 冒頭に田口先生お話しになられました、私が渡米いたして、あちらさんから防衛力増強について何か注文を受けたのではなかろうかというような印象を与える御指摘があったのでございますが、そういう注文には一向接しておりません。むしろ米側といたしましては、日本の二次防の順調な進行に対しまして非常に賛意を表しておるぐらいでございまして、これ以上計画をはみ出るような増強をやれとか、あるいはやったらどうですかというような希望も要請もないのでございます。従って私は、二次防で決定せられておりまする範囲内において、要すれば二次防の線をそのまま忠実に、また着実に実施して参るという考えでございます。
  29. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは、新聞等で報道されておりまするように、ボマーク導入、これは御承知通り核弾頭をつけるわけなんですが、これは第二次防衛計画間にはこの導入はやらないということをここで明確に確認してよろしいですか。その点明確にしておいていただきたい。
  30. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 これはしばしば申し上げておる通りでございますが、二次防については考えておりません。
  31. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうしますると、昭和三十八年の一月五日の東京タイムズに、志賀長官第三次防衛計画検討指示ボマーク導入長距離地対空ミサイル核弾頭使用できるという見出しで、ただいま私が心配しておるような内容のことが記載されておるのですが、この記事は否定されますか。
  32. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 私は新聞を拝見しませんからわかりませんが、私の全然承知しておらないところでございます。
  33. 田口誠治

    田口(誠)分科員 しつこく質問申し上げるわけですが、長官としては、第三次の計画検討指示ということは全然なされておらないということなんですね。もしそうであれば、この新聞記事内容は一つの想像の上に立って書かれたというようにわれわれは判断をするわけなんですが、そういうように確認してよろしいですか。
  34. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 私、冒頭に申し上げましたように、三次防というものを現在考えておりません。従って、考えておらないことを私は指示するはずがないのでございますから、さように御了承願います。
  35. 田口誠治

    田口(誠)分科員 あわせて、国防費というのは国民総所得の二%は当然であるというような、こういう談話等もなされておるようでございますが、これも新聞で報道しておるわけなんですが、そういうお考えはどうなんですか。
  36. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 これはどこの国でもそうであろうと思うのでありますが、特に、御承知通り、わが国の二次防の根本精神は、漸増でありまして、やはり国民経済の発展に見合って漸増するという建前をとっておるのでございまして、従って私は、防衛費の占める割合が国民所得の二%でよろしいなどとは考えておりません。そのときの経済の発展に見合った上での防衛費でなければならぬのでございます。御承知通り昭和三十八年度の目下御審議を願っておりまする防衛予算は、たしか国民所得に対する割合が一・四五%であると私は承知しておるのでありまして、前年度に比較しましてわずかに数パーセントの増でございまして、これが経済の発展に見合った漸増であると心得ておるのでありまして、私は最初から、二%以上であることは好ましいとか、あるいは妥当であるなどということは考えておりません。そのときの経済の発展に見合った上での漸増を私は考えておるのでございます。
  37. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そのときの発展に応じて予算の数字というものが出されるということなんですが、考えられますことは、第二次防衛計画の初年が終わるわけで、これから四カ年あるわけですが、これが第二次防衛計画の末期になりますると、現在使用しておる兵器、特に飛行機にしても、戦艦にしても、これは相当老朽化してくると思うのです。それで更新するというような必要が出てくると思うのですが、そういうような時期には防衛庁の予算というものが必然的にふくらんでくるのじゃないかというような予想がされるわけなんです。それで、そういうような場合に、他の方の予算を削ってそういう方へ充てるということになれば、これはやはり現在のパーセンテージでいけると思いますけれども、そうでなしに、年々防衛庁の予算というものはふくらんできておりますので、この経過から見ますると、第二次防衛計画の末期にいきますと、ただいま申しましたようなことを考え合わして見ましたときに、やはり相当予算がふくらむのでないか、そのことが、新聞等に載せられておるところの即防衛庁長官が言われておる——これはその他の内局の局長さんあたりが言われておるのか知りませんけれども、二%ぐらいにはしなくてはならない、こういうことを言っておると思うのですが、そういう末期になりましたときには、ただいま申し上げましたような事態になると思うのですが、それでもやはり大体現状の防衛費を上下するというような程度で予算が組まれていけるものかどうか、こういう点についても一つ長官の御意見を明確にしておいていただきたいと思うのです。
  38. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 わが国の国防に関する基本方針はすでにきまっておるのでありまして、やはり日本の経済に見合った自衛力、これが建前になっておるのでありますから、国民生活を圧迫するような、他の予算を削って防衛費だけふえればよろしいのだというような、そういう身勝手なことはいやしくも考えておらないのでございまして、従って、私の考えておりまする自主的防衛という言葉は、今後日本の経済力並びに日本の技術能力に即応した自衛隊の装備というものと、その国産化の推進に当たりたい、そうしてだんだんに更新して参りたい、あくまでも経済の許す範囲内において、日本の技術能力の範囲内におきまして日本の装備というものを国産化さして、そうして自主的にまた充足の態勢を逐次盛り上げて参りたいというのが私の考えでございまして、頭から防衛費は国民所得の何%でもよろしいのだということをきめてかからずに、やはり民生というものを安定させることが防衛の基礎になることでございますから、あくまでもその点に重点を入れまして漸増の方針をとって参るのでございます。
  39. 田口誠治

    田口(誠)分科員 言葉の表現はいろいろ使い方はございまするが、経済発展のいかんによっては日本の防衛費も相当膨張するというように把握しておいてよろしいですか。
  40. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 日本の経済が飛躍的に毎年々々発展するとも私は考えておりません。そのように発展することは好ましいけれども、経済力が発展したから、いきなり防衛費も増大させなければならぬというふうには私は考えておりません。あくまでも漸増の方針をとって参りたいと思うのでございます。
  41. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは防衛庁長官としては、新聞等で報道されておるように、国民総所得の二%という防衛力の予算を組むというような考え方は今持っておらないのだし、それから経済発展に伴いまして——やはり経済が発展をそんなに多くするということも考えられぬので。大体今の予算を上下するというような範囲内で日本の防衛予算を組んでいきたい、こういうように端的に確認をしておいて、これで間違いございませんですか。
  42. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ちょっと私、私語をやっておりまして、恐縮ですが、お尋ねの結論だけをもう一度お願いします。
  43. 田口誠治

    田口(誠)分科員 ただいままでのお答えからいきますると、二%にするというようなことは別に考えてもおらぬし、指示もしておらない、それから日本経済の発展度合いによってはどれだけでも日本の防衛費が膨張していくということになりはしないかという質問に対しましては、まあそういうことはあり得ないというお答えでしたので、そのように今日確認をしておいてもよろしいですか。大体このことは第二次防衛計画期間というように私は限定をして答弁を承るわけです。そうでないと、十年も二十年も先のことを承るわけにはいきませんので、大体第二次防衛計画期間中というように承っておきたいと思うのです。
  44. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 私も、お話通り十年、二十年先のことは不敏にしてわかりませんから、二次防がちょうど二年目に入るまぎわでございまして、二次防の基本的方針に示されました日本の国力、国情に沿うような漸増方針をとって日本の自衛力の整備に当たって参りたいと思うのでございます。
  45. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは具体的にお伺いいたしたいと思いますが、これは局長さんにお答えをいただきたいと思います。現在装備してある飛行機のうちのF86ジェット戦闘機、それからP2V7、それから、86F、こういうような飛行機は、第二次防衛計画の末期になりますと、相当老朽化して更新しなければならない時期になるのじゃないかというような予想がされるわけなんですが、こういう場合に、相当この方面に予算を取るわけです。こういう場合には、ただいま長官の御答弁範囲内において予算を組まれるという考え方であるのか、それとも、第二次防衛計画中はそういう心配がないというのか、その辺のところを一つ御答弁をいただきたいと思います。
  46. 海原治

    ○海原政府委員 先ほど長官から明確に御方針の御披瀝がございまして、私ども大臣の下で仕事をしておりますものでございますから、これと興ることを考えておるわけではございません。ただ、86FとかDとか、具体的に飛行機の名称をお示しでございましたが、これらの飛行機は一応一定の割合で損粍していくということを事務的には計算いたしております。しかし、四十一年度、すなわち二次防末期にましおきて、それまでに損耗いたします飛行機をほかのもので更新するという計画はございません。もう一度申しますと、現在でございます86F、DあるいはP2V7、これはそのままの形でずっと参る、このように二次計画では想定いたしております。
  47. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは、ちょうど科学技術庁の方からも局長さんにおいでをいただいておりますので、ここでちょっと確認をして、あと防衛庁の方に質問をいたしたいと思います。  昭和二十九年の九月に発注計画を立てられたところの科学関係の十六種の発注は、これは全部調達済みになっていますか、その点一つお伺いしておきたいと思います。——昭和二十九年の九月ですね。これは防衛調達弘報にも載せられておりますが、十六種の科学関係の発注がきめられて、これを調達することになっておるわけなんです。それで、それから九年たっておりますので、私はこの十六種のものは全部調達されておるというように解釈はしておるのですけれども、いまだかってこういうことについてお伺いいたしたこともございませんし、発表された文書も見ておりませんので、この際承っておきたいと思うのです。
  48. 内田常雄

    ○内田政府委員 御承知のように、科学技術庁が設置されましたのは昭和三十一年でございまして、お尋ねは昭和二十九年の発注ということでございますから、その当時の案件につきましては科学技術庁としては関知をいたしておりませんのでございます。何かのお間違いではないか、かように考えます。
  49. 田口誠治

    田口(誠)分科員 間違いではありませんけれども、ただ年限がずれておりますので、そういう点については把握されておらないと思うのです。  それではこれは防衛庁の方へお伺いした方がよろしいですか。装備局長、お答え願えませんですか。
  50. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 二十九年度の発注につきましては、ただいま手元に資料はございませんが、調達弘報等の記事でありますれば、おそらくそういうものを発注したであろうということは考えられるのでございますが、確実なところは、調べてお答えをいたしたいと思います。
  51. 田口誠治

    田口(誠)分科員 防衛調達弘報で見まするに、見出しの方では発注ということになっておるけれども、最後にこれだけ調達済みというのをまだ見たことがございませんので、その点を伺っておるのですが、これ以上御質問申しげ上ても即お答えということはむずかしいですか。十六種、これはCBR部隊の備品等がおもになっておるわけです。
  52. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 CBR関係につきましては、その防護に関する研究を、小規模でございますが、実施いたしております。従いまして、CBR兵器自体についての研究はいたしておりません。三十八年度におきまして、約百万程度の、研究をいたすための予算を出してございます。従いまして、二十九年当時の数字は、先ほど申しましたように、ただいま手元にはございません。
  53. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それではここで内容的なものをお伺いしても即答弁はむずかしいということなんですか。
  54. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 ただいまのところは即座にはお答えいたしかねます。
  55. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは、あとからお答えをいただくようにお願いをしておきたいと思いますことは、これは防衛調達弘報の昭和二十九年九月の幾日かのもの、それから昭和二十九年の九月十三日のものに載っておるわけです。これを見ていただけばわかります。内容はたくさんありますから、今ちょっとお聞きしてもむずかしいかもわかりませんけれども、せっかく科学技術庁からもおいでをいただいておりますので、お聞きをしておきたいと思いますのは、訓練用の放射能源が一個調達されておるわけです。これは何年からですか。何年ということがわかりませんでしたら、大体いつごろ調達したのだというようなことがわかりませんか。
  56. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 化学学校におきまして、放射能による被害とその防護対策の研究をいたしておりますが、それに必要なものといたしましてコバルト六〇を持っております。従いまして、その以前に購入したわけでございますが、その年月はただいまのところはっきりはいたしておりません。
  57. 田口誠治

    田口(誠)分科員 何個ですか。
  58. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 コバルト六〇を持っておるというふうに承知いたしております。
  59. 田口誠治

    田口(誠)分科員 訓練用の放射能源のことをお尋ねしておるのですが、それに間違いありませんね。
  60. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 化学学校で訓練に使っておるのでございますが、これは防護のための訓練でございます。
  61. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは、放射能遮蔽板十二枚という調達がされておるのですが、これもやはりそれと同時に調達してあるのかどうか。
  62. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 二十九年当時のことは、先ほど申しましたようにただいま資料がございませんので、この場ではちょっとお答えいたしかねます。
  63. 田口誠治

    田口(誠)分科員 今あるかないかということと、それから今の訓練用放射能源と放射能遮蔽板は、今訓練用としてどこでどういうようなことに使っておるかというようなこと、これをお答え願えばいいです。抽象的でもよろしいです。何回どこでやったとか、あるいは何月に調達したとかというような、そんなこまかいところまではよろしいです。これは装備局長ちょっとむずかしければ、三十一年からは科学技術庁が発足しておるのだから、これは科学研究所から科学技術庁が結局調達をしておるのだから、装備局長に聞くのは、関連はありますけれども、科学技術庁の方へ伺った方がスムーズに御答弁いただけるのじゃないかと思うのです。その点どうですか。
  64. 村田浩

    ○村田説明員 科学技術庁が発足しましたのは、先ほど政務次官のお答えにございましたように昭和三十一年でございますが、防衛庁の放射能関係施設調達につきまして予算の見積もり調整を行ないましたのは、昭和三十三年ごろからだと記憶しております。それも予算の見積もり調整だけでございまして、放射能に関連しまして防衛庁の技術研究本部がおやりになる場合の予算そのものの内容の調整をいたします。その調達の方は直接防衛庁の方でやっておられるわけであります。大蔵省へ提出します予算の研究題目につきましての費用の見積もり調整だけを行なっております。
  65. 田口誠治

    田口(誠)分科員 ちょっと待って下さい。今あなたに御答弁いただいたのは——、科学研究所の方から科学技術庁の方へ調達されたいというように私は把握しておる。今の答弁でいきますと、ほかの方へいくような気がするのですが、ただいまの答弁通りだとすれば、今度は防衛庁の方へお伺いいたしますので、もう一度明確にしていただきたいと思います。
  66. 内田常雄

    ○内田政府委員 私からお答え申し上げますが、科学技術庁と防衛庁の行なう技術研究関係の仕事につきましてもちろん関連はございます。どういう関連があるかと申しますと、現在の仕組みのものにおいては、たとえば防衛庁の技術研究本部が、研究試験のためにいろいろな調達をするなど予算の編成をいたします際に、科学技術庁が、たとえば通産省、農林省、厚生省、建設省などいろいろな科学技術研究関係の予算と総合的に合わせまして、これは大蔵省の下仕事のような立場に立ちまして予算の見積もり調整をいたすわけであります。たとえばそういう予算を防衛庁の技術研究本部で組むことは適当でないとか、あるいは、これはほかの研究所ではできないことだから、防衛技術研究本部で大いにおやりなさいというような、総合的な予算の編成方針につきまして見積もりを立てまして、大蔵省に出すわけであります。しかし、それはそれまででありまして、あと予算が成立いたしましても、調達そのものは科学技術庁は一切関係がありませんで、防衛庁なり建設省なり通産省——通産省といいますと、工業技術院なりがそれぞれ独自の組織を持って調達いたすわけでありまして、調達関係につきましては科学技術庁は関与いたしておりません。しかも、このような仕事を始めましたのは——科学技術庁が発足いたしましたのは昭和三十一年で、その当時は科学技術庁の機能もまだ充実しておりませんので、そういう予算の見積もり方針の総合調整さえもいたしませんで、その仕事が始まりましたのは、昭和三十三年くらいから、科学技術庁の機能がやや整備いたしましてからでございますから、さように御了承をいただきたい。
  67. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは防衛庁の方へお伺いしなければならぬのですが、その前に科学技術庁の方へもう一度伺っておきたいと思いますことは、技術研究本部で研究をしておるものは、具体的に申し上げますならば、文献だけのものか、それとも、いろいろなものが調達されておりますが、実際訓練というものもなされておるのかどうかということです。
  68. 村田浩

    ○村田説明員 防衛庁関係で科学技術庁の方で見積もり調整いたします対象としましては、もちろん文献も入りますが、いわゆる調査研究関係のものでございまして、たとえば調査研究に必要な研究施設、研究の機械でございますとか、あるいはメーター、そういうものも予算の項目には含まれて参ります。
  69. 田口誠治

    田口(誠)分科員 家際訓練はないね。
  70. 村田浩

    ○村田説明員 訓練はございません。
  71. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは防衛庁の方へお伺いいたしますが、装備局長教育局長がだいぶ御相談になっておるので、明確にお答えいただけると思いますが、先ほど来私が御質問申し上げましたところの放射能遮蔽板の調達、それから訓練用の放射能源の調達、それはなされておるということは事実でございますから、大体それをどういうようなところで、どういうような使用をしておられるのか、一つお答えを願いたいと思います。
  72. 小幡久男

    ○小幡政府委員 先ほど装備局長からもお答え申しましたように、コバルト六〇につきましては、主として現在化学学校の中でそういった放射能の防護の研究をやっております。その際に、放射線の計測器、ガイガー・カウンターでございますが、そういったものを持っておるわけでございます。そういった計測器材にコバルト六〇から放射される放射能がどういうふうな反応を示すかというふうなことを研究さしておるわけでございます。実際そういうことはないと思いますが、そういう汚染地帯が現実に起こりました際には、そういうガイガーを持ってきまして、ここに放射能地帯が相当濃いとか薄いとかいう判断を部隊がなし得るという装備を研究さしておる、そういうものでございます。
  73. 田口誠治

    田口(誠)分科員 もう一度御答弁をいただきたいと思いますが、それはどういう目的でなされておって、そしてそういうような訓練は、今いわゆる空気中に放射能がどれだけあるとかどうとかいろいろ騒いでおりますが、そういうものには関係が絶対にないものか、やはり若干はあるものかどうかということを一つ明確にしてもらいたいと思います。
  74. 小幡久男

    ○小幡政府委員 今の、核兵器は保有しないという前提でございますので、そういった意味の研究ではございませんことを最初に申し上げたのでございますが、防護という見地から、汚染されたような場合に、その汚染地帯で放射能がどういうふうな濃密度を持って人体に影響があるかというふうなことを測定するためのかまえというものがなくてはいかぬ、そのためには、自衛隊は放射線の計測器材を持っております、そういう計測器材をいろいろあやつりまして、この放射能からはこれくらいの強度の反応があるというふうなことを検討していきまして、いろいろ基本的な研究をやっておる、こういうことに利用しておるわけでございます。
  75. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その研究か訓練か、その辺のところを、言葉の表現はいろいろございますが、もう一度一つ……。
  76. 小幡久男

    ○小幡政府委員 お答えいたします。  学校で特に化学職種という職種が陸上自衛隊にございますけれども、その部隊の人間にとっては、いわば一つの研究とも言えますし、身についた訓練とも言えます。ただし、部隊で全体的にそういう訓練を組織的にやっておるかというと、そこまでは現在のところはやっておりません。研究的に化学職種に属する隊員が、そういう素養を身につけておる、こういうところであります。
  77. 田口誠治

    田口(誠)分科員 科学研究所なり科学技術庁では研究はいろいろなされておりますが、自衛隊でやられる場合には、これはやはり訓練なんですよ。それは違いますか。
  78. 小幡久男

    ○小幡政府委員 御説のように、訓練か研究かという点は、形式論になると思いますが、正式な部隊訓練として全部隊にどうこうしているわけではございません。化学学校でその職種に属する隊員にそういった素養を身につけさせておるということでありまして、これはどこまでも、計測器材を用いて放射能をはかるということは、常識的に、普通一般でやってもいいようなところまで最近はいわれている国もございますので、いわんや、自衛隊がそういうことを知らぬということはいかがなものかということで、その職種の者はそういう素養を身につけておるということでございます。
  79. 田口誠治

    田口(誠)分科員 ここで今長官質疑応答をお聞きになっておられたので、明快な御答弁をいただけると思いますが、今自衛隊で訓練をやっておるところの放射能源というものを調達すること自体が、私は現憲法の九条の内容にやはり抵触するものであるというように考えるのですが、その点はどういうようにお考えですか。
  80. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 教育局長並びに装備局長からのお答えで十分に御理解がいただけたと思うのでありますが、これはあくまでも防護のための研究——これは訓練と研究はやはりうらはらでございますから、研究に重点を入れてやっておるのでございまするし、しかも日本の核に対する不動の方針がきまっておるのでございますから、仰せのような疑点は生まれてこないと私は承知をいたしておるのであります。
  81. 田口誠治

    田口(誠)分科員 長官も御存じのように、七万五千名で警察予備隊ができ、保安隊になり、自衛隊になって、現在では、軍隊という名前をつければ、東洋では優秀な軍隊に——憲法の九条のいかんにかかわらず、なしくずし的に軍隊というものができ上がっておるわけでございますが、そこでいつも国会等で問題になりますことは、核弾頭を持つか持たないか、核は兵器かどうか、憲法では軍隊は持たないんだ、それから兵器は持たないんだ、こういうような質疑のやりとりがあり、明確な答弁がなされておりまするけれども訓練用の放射能源というものは、これは明らかに核の一種であって、やはり憲法の九条に違反するものであり、これを調達したこと自体が大きな誤りを来たしておるのではないかと考えておるのですが、その点に対する御見解を承りたいと思います。
  82. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま申し上げた通りで御理解をいただいたと思うのでありますが、あくまでも防護のためのものでございまして、私は少なくとも核の一種とは考えておりません。さように理解はいたしておりません。
  83. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうしますると、自衛隊の活動範囲は、内乱に備える場合、それから外の場合は局地戦まではやむを得ない、こういうことになっておるのですが、それでも、核というものに対してはこれは絶対に持たないんだという明確な答弁がどこでもなされておるわけなんです。きのうも科学技術庁の分科会の中で大臣が明確にそういう点について御答弁なさっておるのですが、その答弁からいきますと、私は放射能源を持っておること自体、またこれを持って訓練をしておること自体が、完全に兵器を備えて、そうして軍隊というものを構成しておるものである、自衛隊はもう自衛隊ではないのだ、もう軍隊なのだ、この辺で憲法の九条を改正しなければやむを得ないのだというように事態は進んできておると思うのですが、その点、どうお考えになるのですか。
  84. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 何度もお答えするようで、はなはだ恐縮でございますが、これは万が一放射能を受けた場合に対処するための研究ございまして、しかも部隊全体にかようなことを教えたり、あるいは訓練いたしておるわけではないのであります。科学学校の一つの課程において、学校だけで、一課程において、放射能を受けた場合について、万が一そういう場合があった場合、これはあり得ないことをわれわれは希望してやまぬのでありますが、そういうことに備えて一これは核兵器でも何でもないのでありまして、ただ放射能を受けた場合に対処するための研究、また学校における一部の学生にそういうことを訓練、研究——研究がなければ訓練はできませんから……。一切これは部隊においてはやっておらないのでございまして、その点を特に御了承願いたいと思います。
  85. 田口誠治

    田口(誠)分科員 繰り返し質問になるわけですが、ただいまの長官答弁からいきますと、放射能源を調達して、そうして訓練をさしておるということは、もし核戦争になった場合に、日本の国の犠牲を少なくするのだというようなことが目的でなされておるのだということでございます。それではお伺いをいたしますが、これはどこで、何人ぐらいの人がこの方面の訓練に携わっておるのか、これを一つ明確にしていただきたいと思います。
  86. 小幡久男

    ○小幡政府委員 お答えいたします。科学学校で大体毎年約二百名の学生を教育しております。それが主力でございます。
  87. 田口誠治

    田口(誠)分科員 これは防衛庁にお聞きした方がいいか、科学技術庁にお聞きした方がいいか、どちらの方が明快に答弁いただけるかわかりませんが、アメリカ等で核実験を行ないましたときに、近くへ行った船が、マグロを四匹試験をしたことがございますが、これは放射能の影響は全然なかった、こういう実例がございます。ちょうどそのときに、日本の国内には相当量の放射能の影響が空中にあったのが検出されておるわけなのです。それで、私はこういうことを考えてみますと、核実験を行なって、近いところは影響はなくて、遠い日本の国に大きな影響があるということになりますと、やはり日本において訓練をされておるそのことが、ふだんにおいて放射能を出しておるのではないか。知らないうちに国民はそういうものの悪毒の影響を受けておるのではないか。照洋丸の例をお考えいただきたいと思います。そういう想像ができるわけなのです。従って、あの照洋丸の問題のときにはどうしてそういうような結果が出たのか。これは科学技術庁でも防衛庁でもいいですけれども、私は明快な答弁をいただきたいと思うのです。
  88. 内田常雄

    ○内田政府委員 ただいまの田口委員の御質問にお答えをいたしますが、ちょうど私の方で、田口さんの御質問を予想して調べて参りましたから申し上げます。  昨年の夏、クリスマス島あるいはジョンストン島周辺でアメリカの核実験が行なわれましたときに、わが方からは照洋丸というものを二カ月間にわたりまして出しまして詳細な調査をいたしたのでありますが、そのときの調査の結果によりますと、まことに田口委員が言われますように、一部の地方においてはクリスマスないしジョンストン島周辺よりも日本の国の近くの方が放射能の反応が多く現われた、そういうファクターもございましたが……。
  89. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そういうデータになっておるから、そのデータの内容も……。
  90. 内田常雄

    ○内田政府委員 あとからそれば申し上げますが、しかし全部ではございません。どうしてそういうことが現われるかといいますと、それはその当時における核爆発の規模であるとか、あるいは高度であるとか、あるいは核分裂エネルギーと核融合エネルギーとのその比率、さらにまたその当時の気象、海洋の条件などの組み合わせによりましてきまるものでありまして、始終変動して、一定はしないのであります。そのときの照洋丸の調査によりましても、たとえば海水とか雨水の中における放射能の値というものは、これはやはり国内の方が現地近くよりもはるかに少ないが、しかしちりの中における放射能というものは、これはたまたま国内において、より多くの放射能の反応が現われておる。しかしまたプランクトンというようなものの中におきましては、やはり現地の方が放射能の影響が大きいというようなことで、放射能調査におけるいろいろなファクターの中で、たまたま一、二のファクターにつきましては国内の方が多かったということが、照洋丸の調査によっても現われておるのであります。これは今私が申し述べましたように、いろいろの条件の組み合わせによってこういうことが行なわれるのでありまして、たとえばちりの中の放射能が日本の周辺の方が多かったといたしましても、その当時国内で隠れた何か核兵器の使用が行なわれておったということでは全くないということを、科学技術庁あるいは内閣の放射能対策本部でも確認をいたしておるのであります。  なお必要があれば、詳細のデータにつきまして技術者からお答えを申し上げてもよろしゅうございます。
  91. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私は、ただいまの答弁の数字の面につきましては、それでよろしいと思いますが、どうしてそういう不思議な現象が現われるのか、この研究はどういうようになっておりますか、この結論を一つ……。
  92. 内田常雄

    ○内田政府委員 それは、ただいまちょっと触れましたけれども、その核爆発の規模、大きさあるいはその高さ、それから核エネルギーには申すまでもなく核分裂エネルギーと核融合エネルギーとがあるのでありますが、この分裂エネルギーによるか融合エネルギーによるかということの比率、それからその当時の気象、海洋の条件などによってその放射能の現われる状況が、対象により、また地域により一定はしない、こういうことでございます。
  93. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私は、それではクリスマス島の実験、照洋丸の検出の状況にしぼって——他にも私は資料を持っておりますが、時間がございませんので、それにしぼって申し上げます。ただいまの答弁では、抽象的な答弁でありますから、ちょっとそれは学者が僕らにこまかい説明をしてもわからぬ点があるかもわかりませんけれども、あとで研究いたしますから、具体的にこうこうこういう理由で、あの場合はこうだったからこうなったんだということを一つ明確に、学者の研究の上に立っての発表をお願いをいたしたいと思うんです。
  94. 村田浩

    ○村田説明員 まず、先ほど政務次官の方からお答えしました海水、雨水、ちり、プランクトン、空間の線量あるいはマグロの持っております放射能、そういったものの照洋丸で現地で調べました数字と、同時に国内及びその周辺において調べました数字とがどういうふうになっておるかということを、数字的に申し上げてお答えしたいと思います。  まず海水につきましては、照洋丸が現地で調べました放射能の強さは四・二、単位は一リットルにつきマイクロマイクロキュリーでございます。マイクロキュリーと申しますのは百万分の一キュリーでございまして、マイクロマイクロキュリーは従って百万分のもう一つ百万分の一キュリーという単位でございます。それに対しまして国内及びその周辺では、その四・二に対応します数字は一・八でございました。それから次に雨水に含まれました放射能につきましては、現地の数字が一・八、単位はマイクロマイクロキュリー・パーcc、一立方センチでございますが、単位を少し省きまして申しますと、一・八、これに対して国内及びその周辺では一・五、まあほぼ似たような数字かと思います。それから先ほど政務次官から御指摘ございましたように、ちりの中の放射能が、現地では一・四、単位は一立方メートル当たりマイクロマイクロキュリーでございます。国内及びその周辺では四・〇でございました。(田口(誠)分科員「数字より理由を」と呼ぶ)このように、ものによって現地の方が高かったりあるいは国内の方がやや高かったりそういったことがあるわけでございますが、どうしてそういうふうになったかということにつきましては、結局核実験を現地でどういうふうにやったか、その機構が詳細にわかりませんと、ちょっと学術的にこれを究明いたすことができませんわけでございまして、その点、核実験が軍事の行動でもございますために、詳細な情報は発表されておりません。ただ、日本内地で計器等でとらえました震動の大きさ、伝わり方、そういったことから類推する以外方法はないわけでございますが、たとえばその一例としまして、そういう推定にすぎないのでございますが、アメリカが中部太平洋で行ないました核実験は、合わせまして約三十数回だったと思いますけれども、その合計の爆発力がいわゆるメガトン、このごろよく出ております百万トンという単位で、メガトンで申しますと、多く見まして二十メガトンくらいであった。この数字は、一方昨年じゅうにソ連が北極洋で行ないました、これも推定でございますが、核爆発の強さが約二百三十メガトンとか、二百八十メガトンとか想像されておりますが、その数字に比べますと、約十分の一以下くらいの爆発力ではなかろうかというふうに想像されます。そういうふうに爆発力が小さいものでございますと、回数は多くても、小さいほど、出てくる放射能が少ないということが一つあるわけでございます。それからもう一つは、高いところで、つまり高空で核爆発を行ないますと、爆発物によって生じました放射能の大部分が成層圏の方に入ってしまいます。従いまして成層圏に入りますと、成層圏の中では大気が常に西から東の方へ向いてぐるぐる回っておりますために、すぐ地表に落ちて参りません。長い間高いところにとどまっておりまして、世界じゅうの空の上にばらまかれて、ぼちぼちと落ちてくるわけでございます。で、爆発のすぐ直後には、必ずしもそのそばに落ちてこないということが考えられるわけでございます。非常に地表に近いところで爆発が行なわれますと、そこで出ました放射能は対流圏、つまり普通の風やら雲やらで近くに運ばれるわけでございますが、非常に高いところで実験が行なわれますと、そういうことで成層圏の方に大部分の放射能が入ってしまうために、急には落ちてこないということがあろうかと思われます。ただし米国の実験が、具体的にどのくらいの高さで一個々々行なわれたかということは、私どもよくわかっておりませんが、微気圧計等で日本においてとらえた実験の規模あるいは場所等から見て、そういうようなことで現地で少なかったんじゃなかろうかと想像される。これは決して学術的研究の成果ではございませんが、乏しい推定資料から想像しますと、大体そういうことじゃなかろうかと思います。
  95. 田口誠治

    田口(誠)分科員 想像ですか。
  96. 村田浩

    ○村田説明員 想像でございます。
  97. 田口誠治

    田口(誠)分科員 専門家の答弁でございますので、答弁答弁として聞いておきますけれども、私の寄せてあります文献、資料と相違がございます。従ってこの点につきましては、分科会でございまして時間に制限がございますから、これ以上追及してお聞きすることはできませんので、分科会の科学技術庁のときにお聞きをいたしたいと思います。この点については保留をいたします。  それから防衛庁に対しましては、放射能源を訓練として使用しておるというこのことは、私は自衛隊というものの性格がやはり変わってきておるのではないかということと、それから、これは憲法第九条との関連を完全に持っておるということでございますが、この点につきましてもやはりこれを深くここで質疑をすることは時間的に許されませんので、これはあらためて内閣委員会なりまた予算委員会に時間をお借りして、私の集めております資料に基づいて十分に質疑応答をいたしたいと思いますので、この点も保留をいたしておきます。  それから最後にお伺いいたしたいことは、これは長官を初め経理局長も昨年末から非常にそういう方面に意を使っていただいておりますし、また長官大臣に就任早々から心を使っていただいておりますところの自衛隊の民生安定の関係でございますが、その中で特に私は強調申し上げたいことは、飛行場付近の学校、病院その他の防音装置の関係であるわけなんです。今日までできておるところの防音装置の基準の内容を見ますと、たとえて申しますなれば、岐阜県の各務原の訓練飛行場の場合には、今の基準からいきますと、鉄筋コンクリートで学校を建て直して、そうして永久の防音装置をする基準があるわけなんですが、その基準よりは今測定されておるところのフォンが少ないわけなんです。従って該当しないということなんです。それで端的に申しますなれば、F104Jの飛行場はこれは文句はございませんが、その他のジェット機の場合には該当しないということになっておりますので、私はやはりあの基準を再検討していただいて、その基準を下げていただいて、そうして周囲の学校の騒音を防止する装置を早急にやっていただきたいと思うわけなんです。それで岐阜県の場合に、おそらく三十八年度にやっていただけるのは、今度稲羽町で学校が二つ統合をいたしまして、鉄筋で建てる場合には、統合ということで半額助成を文部省の方からしてもらいますし、あとは建てるときに防音装置の費用だけ防衛庁の方から出していただくのだから、これは文句なしにやっていただけるけれども、その地利が二、三年前からやかましくお願いしておるところの那加町の中学とか、それから東海病院、これは共済組合の東海病院ですが、これは長官がおかわりになったり閣僚の方がおかわりになって、引き継ぎがされておるのかおらないのか、その点わかりませんけれども、三年前に、ことしはできぬけれども来年はやるんだということを病院の事務局長が確認をしておるわけなんですが、今年の予算には直接入っておりません。こういうことから、私は、もう一度経理局長の手元でこういう点を再検討していただいて、あの病院の防音装置を、一気にできなければ二年計画、三年計画でもいいから一つ手をつけてもらいたいと思うのです。おそらくどこの飛行場へ行きましても、那加町の東海病院くらい飛行場に近いところはないわけです。ほんとうに目と鼻の状態にあるわけなんです。しかもF104Jの飛行機は確かに騒音が高いわけでございますが、しかし、性能一ぱい出しますとガラスが割れたり家がこわれたりしまして、離陸いたすときには性能一ぱいは出しません。大体三百メートルか四百メートルのところで半分くらいの性能しか出さないわけです。私横田の基地へ見に行きましたが、自分の目の前へ来るまでは全然音はしません。目の前へ来ますと、きんきんの声で、きんきんと、それは強い音がしますが、音がしたと思うと、もうそれは消えてしまうわけなんです、早いんだから。ところが、あのジェット機というのは、ぎゅうっ、ぎゅうっ、ぎゅうっ、ぎゅうっと、はらわたをえぐるような音がするのです。だから私は、ただそのとき出た騒音のフォンの程度で基準をきめてもらうということは実情に合わないと思うのです。これは、私はやってもらいたいから言っておるのではなくて——私は横田の基地も那加の訓練隊も行っていろいろ見てきましたが、地上で試験をする場合には、長いことぶるぶるぶるぶるやっておるうちに、全くはらわたがどうかなってしまうような気がするのです。こういうふうなところはやらないでもいいということになっている。これは非常に矛盾であろうと思うのです。だから私は、今きまっておる基準というものをもっと低めてもらって、そうしてジェット機の飛行場にも今年度防音装置を新しくしてもらうように——稲羽町の場合は、あとで答弁をいただきたいと思いますが、よろしいと思いますけれども、那加町の場合でも東海病院の場合でもそういうようにしていただきたいと思います。私は岐阜県のことがよくわかっておるから岐阜県のことを申し上げるので、全国的にそういうところがあろうと思うので全国的のことを申し上げておるのでありますから、一つ基準の再検討をしていただいて、住民の要望にこたえるように、御尽力というか、協力というか、強い要望というか、とにかくやってもらいたいということなんです。それで、その点について、長官は民生安定の方にはなかなか力を入れて、今年も予算をよけいとって張り切ってみえるけれども内容的にそういう悪い内容があるんだから、長官経理局長も御答弁をいただきたいと思うのです。
  98. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 私が防衛庁に参りましてまっ先に取り組んだのは、基地の防音対策でございます。御案内の通りまことに微力、また十分ではございませんけれども、三十八年度の予算では、とにかく防音対策の予算を計上いたしたわけでございます。予算が十分ありますれば基準など何も設ける必要はないのでございます。むしろ三十九年度の予算ではさらに飛躍的な増額をはかりまして、仰せの通り、基準というものを全然やめるわけには参りませんが、再検討いたしまして、病院にしましても、私は各務原の状況は現地を見ておりませんけれども、那加町の学校の問題にしましても、東海病院の問題にしましても、事務当局から十分に聞いて承知いたしておるのでありまして、三十九年度の予算におきましてはさらに防音対策費を増額いたしまして、基準というものを再検討いたす所存でございます。
  99. 上田克郎

    ○上田政府委員 ただいま長官からかなり詳細にお話しいただきましたが、御承知のように、私たちも防音工事につきましては全力をあげて——民生安定でまずやれるのは防音工事ではなかろうかという気持で、防音工事に全力を注いでいるわけであります。御承知のように、昨年度防衛庁の自衛隊関係だけで十四億だった予算を、本年度の予算といたしましては二十億余の要求をいたしておる、そういうような次第でございまして、施設庁も合わせますと、三十八年度では四十億以上の防音工事費を実はお願いしているのであります。これでいきましても、現在のところでは、現在の基準でなお必要な防音工事のまだ半分もできないというのが実情でございます。これは現在程度の基準でも、一日も早くまず防音工事をしなければならぬということになると思います。従いまして、仰せのように、現在の基準ではまだがまんしていただいておるという部分がかなりあるわけであります。予算さえ許しますれば、われわれといたしましても基準の程度を下げるということに何ら異存がございませんし、また、そういう方向に持っていかなければならぬと考えておりますが、現在のところは、そういう関係で、岐阜に限らず、あっちこっちのジェット基地そのもので、現在の基準でもまだやり残しがあるという事情は一つ御賢察いただきたい。われわれとしてはできるだけ努力いたしたいと思いますけれども、御期待のような形でありません。現在の基準にはまらない学校などにつきましては、いましばらくのところがまんしていただくというような気持でおるわけであります。病院につきましても、なるべくならば公立の病院というものを主にいたしまして、私立の病院は、順位といたしましてはその次にお願いしたいというような感じを持っております。御指摘の共済組合の病院は、公立と私立との中間くらいではなかろうか、そう考えているわけであります。従いまして、われわれとしては私立よりも上の順位で考えたいと思っておりますけれども、公立、いわゆる町立あるいは県立というようなものを、病院として考える場合には先にいきたい。しかも、病院でございましても、なお中小学校の教育施設をまず優先したいというのが私たちの考えでございますので、この間の事情をぜひ御賢察いただきたい。われわれとしてもせっかく努力いたしたいと思いますが、岐阜の問題につきましても、そのようなことで、いましばらくがまんをお願いいたしたい、こう考えております。  もう一つつけ加えておきます。われわれといたしましては、防音工事をいたします以上は、できるだけ鉄筋化して防音工事をした方が能率がいいわけでございます。従いまして、できるだけ木造のものは鉄筋化していただくということになっておりますが、先生が御指摘のように、木造のものを鉄筋化したいと思っても、その基準に達しませんと——その鉄筋化の全体の予算について、その九割くらいは補助しているのが普通の基準に合致したところの鉄筋化の場合の補助率でございますけれども、あの基準に達しません木造のものの鉄筋化につきましてはそれほど補助ができない。それが現在の予算の実情でございます。御了承願いたいと思います。   〔「もういいよ」と呼ぶ者あり〕
  100. 田口誠治

    田口(誠)分科員 もういいと言われるのでやめますが、今の答弁では不満ですが、いずれにしても防音装置をやるのなら、稲羽町の場合は今度統合して鉄筋で建てるのだからこれはよろしいですね。
  101. 上田克郎

    ○上田政府委員 二つ統合されまして、いわゆる基準の鉄筋化に該当しない木造の小学校二つが合併されましてコンクリートの小学校にお直しになるというふうに私承知いたしておりますが、その際のいわゆる防音工事部分でございますが、その点はわれわれの方で御援助申し上げる、補助申し上げる、そういうことになっております。
  102. 田口誠治

    田口(誠)分科員 まことに食いさしになりましたけれども、時間の関係を考慮いたしまして、これで終わらせていただきます。
  103. 櫻内義雄

    櫻内主査 山花秀雄君。
  104. 山花秀雄

    ○山花分科員 防衛庁関係の特に施設庁関係の予算に関連いたしまして若干お尋ねしたいと思います。  多分御承知と思いますが、駐留軍のもとに働いております、一般的には全駐労という労働組合に組織されておる労働者関係の問題でございますが、特に防衛庁、また施設庁と関連したしておりますので、お伺いしたいと思います。これらの労働者に対しまして臨時措置法という法律があることは御承知だろうと思います。駐留軍関係離職者等臨時措置法、法律第百五十八号、これは昭和三十三年五月十七日公布、五年間の時限立法になっております。そういたしますと、本年五月十七日をもって失効となりますが、この法律に基づいて予算措置がとられておりますところの特別給付金、基地訓練費は一体どうなるのでしょうか。それともこの時限立法の法律をさらに継続せしめるために、継続というような形のことが政府部内に考えられておるかどうか。もしこの法律がなくなった場合に、ただいま申し上げました予算措置がどうなるかという点についてお答えを願いたいと思います。
  105. 林一夫

    ○林(一)政府委員 御質問の第一の点の離職者等臨時措置法は、御承知のように時限立法でございまして、本年の中ごろ失効ということになるわけでございます。この期限の延長の問題でございますが、この期限の延長の問題については、現在総理府が中心となって検討をいたしております。その中にお尋ねの給付金の問題がございます。この給付金の問題も、結局この法律の中にあることでございますので、この臨時措置法が延長にならなければ、給付金というものは時限立法の失効とともになくなるというようなことになると考えております。
  106. 山花秀雄

    ○山花分科員 ちょっと答弁を聞さ漏らしたのですが、今総理府の中で云々というようなことを言われましたが、延長する話し合いがあるのかどうか。延長したというふうにも聞えたのですが、これは一つはっきり御答弁願いたいと思います。
  107. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま申し上げましたのは、期限の延長ということが一つの問題になっておるのでございまして、延長するかどうかということにつきまして、現在総理府を中心としまして、政府部内において関係各省と協議しつつ検討いたしておるということでございます。
  108. 山花秀雄

    ○山花分科員 そういたしますと、これはまだ検討中で、延長するか、時限立法で切れるかという点についてはまだ確定的でない、こういうことでしょうか。
  109. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現在検討いたしておりまするのは、延長したという含みのもとに検討いたしておるのであります。
  110. 山花秀雄

    ○山花分科員 国会も通常国会で、会期が長うございますが、これは法律案でございますから、延長したいといっても、政令なんかでやるわけには参りませんので、国会にかけなければならないと思います。そこで、今延長する心がまえで検討中だというお話でございましたが、大体のめどはどうでしょうか。これはいつごろ国会に提案するというような準備が、どの程度進んでおるか、めどとしてはどういうことになるでしょうか。これは一般働いておる労働者も非常に関心を持っておる問題でございますので、この際一つ、もうほぼ固まっておると思いますのでお聞かせ願いたいと思います。
  111. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この問題は総理府が中心となって検討いたしております。と申しますのは、総理府所管庁でございまして、従いまして現在どのような見通しのもとにやっておるかということは、私からはちょっと申し上げかねると思いますが、いずれにしましても、この期限を延長するということで検討をいたしておるわけでございます。
  112. 山花秀雄

    ○山花分科員 何か総理府だけが責任があるようなお答えでしたが、これは労働者一般に対する大きな責任で、労働者をたばねておるのはあなたの役所の管轄になっておるのですから、横の連絡を密にして、やはりもう少し明快な答弁のできるように一つ御尽力願いたいと思います。  なお、総理府の方はきょうはいらっしゃっておるでしょうか、おいでになっていないでしょうか。
  113. 櫻内義雄

    櫻内主査 総理府は来ておりません。
  114. 山花秀雄

    ○山花分科員 来ていなければ、後日また総理府の方にも、今度は労働問題の関係でお伺いしたいと思いますが、一つ長官の方でも、めどを早めるように、総理府の方に御尽力を願いたいと思います。  そこで問題になりますのは、この特別給付金といたしまして、現在五年以上は五千円、十年以上は一万円、十五年以上は一万五千円、こういうように決定をされておりますが、今度期限を延長いたしますときに、金の価値、経済変動等々を通じて、これは五年前にできた制度でございますので、当然金額の変更があろうと私どもは思惟しておりますが、長官の方ではどうお考えになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
  115. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この給付金の金額につきましては、本年度から増額をいたしまして実施しておるのでございます。この金額の増額については、大蔵省との関係もございますので、さらに次の予算審議のときに増額については協議いたしたい、こういうように考えております。
  116. 山花秀雄

    ○山花分科員 次の予算審議といいますと、補正予算ででもやるというのですか、それとも今審議している予算関係に入っておるのですか、どうなんですか。
  117. 林一夫

    ○林(一)政府委員 これは三十九年度の予算審議のときに、増額については大蔵省と協議をいたしたいと思います。
  118. 山花秀雄

    ○山花分科員 ずいぶん思いやりのない話ですね。法律の規限が切れることはわかっておる、これは延長する意思がある、そのときには当然論議の対象になるべき性格のものですよ。五年前の金額じゃないですか。物価もどんどん上がっておる。これは池田政府のおかげですよ。五千円は三千円くらいしか値打ちがありません。一万五千円は九千円くらいしか値打ちがないのですよ。当然この問題は本年度の予算で審議さるべき対象になる。もし労働者の立場をお考えになれば、これは当然な話です。三十九年度からこれを予算で審議するというようなことは、実に思いやりがない。池田総理大臣も、愛情ある政治としょっちゅう言っているのです。補正予算でも一つ要求する気概はお持ちですか、どうですか。これは一つ防衛庁長官の方からお伺いしたいと思います。
  119. 林一夫

    ○林(一)政府委員 従来の経過がございますので、私から御説明申し上げますが、この給付金の増額につきましては、当方もぜひ増額したいという強い希望を持っておりまして、三十七年度の予算において増額をいたしたのであります。三十七年度の増額を要求する場合は、各般の事情を考慮しまして、この辺が適当であろうということで増額が認められたのでございますが、さらにその後の経過等も十分勘案しまして、三十九年度の予算において増額要請をいたしたい、こういうふうに考えております。
  120. 山花秀雄

    ○山花分科員 そうしますと、この五千円、一万円、一万五千円というのは、三十七年度に改定をされた、こうおっしゃるのですか。
  121. 林一夫

    ○林(一)政府委員 三十七年度の予算において増額が認められたのでございます。
  122. 山花秀雄

    ○山花分科員 法律ができましたときには、一体幾らできまっていたのですか。
  123. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この給付金の金額につきましては、法律においてきめてあるのではないのでございまして、給付金の金額は政令においてきめておるのでございます。従いましてこの金額の改正、増額については、政令の改正によって増額をするということになると思います。
  124. 山花秀雄

    ○山花分科員 法律だろうが政令だろうが、私の今聞いておるのは、三十七年度においては幾らであって、幾ら増額をしたかということを聞いているのです。
  125. 林一夫

    ○林(一)政府委員 御承知のように三十七年度に増額するまでは、それぞれ三千円、六千円、一万円、こういう金額でございました。それが三十七年度におきまして、それぞれこれらの対象者について五千円、一万円、一万五千円ということで、相当の増額をいたしたいのでございます。さらにこの増額については三十九年度において協議いたしたい、こういうふうに考えております。
  126. 山花秀雄

    ○山花分科員 これは三十二年六月二十二日現在労働者に適用するというふうに承っておりますが、駐留軍が早くお帰りになれば、こんな問題は別に何でもなくなるのですが、まだずいぶん長くおりそうな気配が見えますので、そういたしますと、それから後にいわゆる駐留軍労務者になった者は適用されていないと聞いておるのですが、いかがでしょうか。これを適用する意思があるかどうか、われわれは適用してもらいたいと思いますが、一つ政府のお考えをお聞かせ願いたい。
  127. 林一夫

    ○林(一)政府委員 御承知のように、この給付金の受給対象者は岸・アイク声明当時在職した者で、それぞれ一定の年限を経過した者が退職する場合に支給するということでございます。どこまでも岸・アイク声明当時の在職者ということが基準になっております。この給付金のできた趣旨も、やはり岸・アイク声明による、いわば国の大きな政策の転換によって急激に離職しなければならない、退職しなければならないという方々に対して、このような給付金を支給するということでできた制度でございます。従いまして、このような趣旨は今後とも継続される、こういうように私ども考えております。
  128. 山花秀雄

    ○山花分科員 私の質問にもっと卒直にお答え願いたいと思うのです。これは昭和三十二年六月二十二日現在の労働者に適用されておる。それから後に入った者、それでももう五年以上になるのです。言いかえますと、昭和三十二年七月にかりに入ったといたしましたならば、もう六年ということに相なるのであります。そういたしますと、すでに適用される期限はきているわけですが、そういう労働者に適用されるかどうかということを聞いているのです。
  129. 林一夫

    ○林(一)政府委員 お説のように、この給付金は岸・アイク共同声明の日の当時在職した者で、その後退職した者に対して給付されるのでございます。従いまして、この声明の日の翌日以後、駐留軍従業員に就職した者については、年数のいかんにかかわらず、この特別給付金の対象にはならないということでございます。
  130. 山花秀雄

    ○山花分科員 先ほど答弁によりますと、国策によって犠牲にされるというようなことで退職金を出すのだ、特別給付金を出すのだ、こういう御答弁でありましたが、岸・アイク声明以後に入った場合でも、駐留軍従業員が首を切られる場合には、大てい国策の犠牲になっていると思うのです。ちょっと前後矛盾する答弁と思いますが、長官いかがでしょうか。防衛庁長官から一つこの問題についてお聞かせ願いたいと思います。
  131. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 この問題につきましては、いろいろ議論のあるところでございまして、私としましては、十分に検討をいたしてみたいと思っております。仰せの通り、たった一日違いで特別給付金を受けないというような気の毒な人も出てくるわけでございまするから、この問題については関係各省においていろいろ議論のあることを私は承知しておるのでありますが、十分に研究したいと思っております。
  132. 山花秀雄

    ○山花分科員 長官が今仰せになった通りじゃないかと思うのです。わずか一日違いで、五年勤めても、十年勤めても、一日早くいたというだけで、一方では特別給付金がつく、一方では全然つかないということになりますと、これは労働政策の方からいっても非常に不均衡になって、あまりいい行政面じゃないと思いますので、一段と横の関係閣僚間との連絡をとっていただいて、同一の労働政策で不均衡のないようにしていただきたいと思います。  それから、先ほど林さんの答弁によりますと、国策の犠牲というようなことが加味していると言われましたが、駐留軍の離職は、おおむね国策の変更によって離職されるのであります。その点は、一つ一段の御尽力を願いたいと思います。  それからもう一つは、基地訓練費に計上しておるこの訓練と、労働省の所管する公共職業訓練との差異はどういうようになっておるか。また訓練課程を終了した者にはどういう資格が与えられておるかということをお聞かせ願いたい。
  133. 林一夫

    ○林(一)政府委員 防衛施設庁所管で行なっております訓練でございますが、これは基地訓練と申しまして、在籍者に対して基地内で訓練をするという制度でございます。離職してから訓練をするということでなくて、在職中に各種の職種について訓練をいたします。離職してからすぐ他に転勤できるというような趣旨で行なっておる訓練でございます。
  134. 山花秀雄

    ○山花分科員 何か一定の、たとえば建築なら一級建築士とか二級建築士とかいうような、そういう資格が与えられておるかどうかということを聞いておるのです。
  135. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この訓練所で訓練を受けたために、特別の、国で定める資格を得るということはございません。
  136. 山花秀雄

    ○山花分科員 どうせ基地内で訓練をやるのだったら、たとえば、これは一例でありますが、自動車運転の訓練をやるというのだったら、やはり運転免許という一つの資格問題が私は出てくると思うんです。あるいは、まさかそろばんなんかやらないと思いますが、そろばんならそろばんをやるというような訓練がかりにあるとすれば、やはり一級とか二級とか、あるいは旋盤士、あるいはその他金属器具の仕事をやるというのだったら、それぞれ定めた標準の資格があると思うんですが、その資格をやらない、ただ訓練をやるというだけじゃ、再就職の役に立たないと思いますが、いかがなものでしょうか。
  137. 林一夫

    ○林(一)政府委員 お話基地訓練の問題でございますが、現在訓練をやっておりまする職種は、自動車の運転とか、あるいは英文の速記だとか、あるいは特殊自動車の運転、電気工事士とか、危険物取り扱い、そ他各種の職種について基地訓練をやっておるのでございます。けれども、これらの訓練を受けた者が、たとえば自動車の運転免許をとるといった場合においては非常にとりやすいという、相当訓練を受けるわけでございます。そういう有利な条件はあるのでございます。従いまして、このような訓練を受けた者は、比較的容易に他に職を得るというふにに承知いたしております。
  138. 山花秀雄

    ○山花分科員 資格は別に与えないけれども、かりに一例をとれば、自動車ならば、外部にある試験場へ行けばすぐに受かるくらいの実力を与えておる、英文タイピストなら、英文タイピストのどこかへ行けばある程度の資格を与えられる実力だけは養成するのだ、こういうふうに理解していいですね。——それでは一つお聞きしたいと思いますが、そういう優秀な技能を基地訓練でやるということは、これは必然的に再就職と関連して行なっておると思いますが、そのためには設備をある程度拡充しなくてはならぬと思いますが、予算措置は昨年度と本年度、どういうようになっておるでしょうか。
  139. 林一夫

    ○林(一)政府委員 施設内職業訓練の予算関係でございまするが、三十六年度は、千九百二十二万四千円、約二千万円でございました。実施人員が三千八百名ということになっております。三十七年度が、約一千四百万円、訓練計画人員が、約三千九百名ということになっております。三十八年度は、千六百万円ということになっております。
  140. 山花秀雄

    ○山花分科員 ただいま承っておりますと、三十六年度は約二千万円、対象人員が三千八百人、三十七年度は約千四百万円、対象人員が三千九百人、三十八年度が約千六百万円、この対象人員はお聞かせ願わなかったのですが、どのくらいになっておるのでしょうか。
  141. 林一夫

    ○林(一)政府委員 約三千三百名でございます。
  142. 山花秀雄

    ○山花分科員 だんだん予算が減ってきておるのですが、三十六年度は二千万円でありましたが、三十七年度は千四百万円。対象人員は三十六年度より、説明によると、三十七年度は少しふえておるのですが、本年度は少し減っております。結局、三十六年度に比べますと、なお相当減額になっておると思うのです。本腰を入れてやっておるのかどうか私どもは疑いたくなるのです。再就職については、どの委員会の御答弁を承っても、防衛庁関係施設庁長官答弁では、力こぶを入れてやっておりますと言っておる。口ではそう言っおりますが、具体的な予算関係、数字関係になると、今言ったように、三十六年度に比べますと非常に減っておる。これでは、ほんとうの身の入った訓練ができるかどうかという一点であります。特に、駐留軍労務者というものは、年配者が多いのです。技術を持っていないと再就職できないのです、若い層じゃありませんから。もうちょっと力こぶを入れるべきじゃないかと思います。これは一つえらい長官の方からお答え願いたいと思います。
  143. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 お尋ねのことにつきましては、私も人後に落ちないほど熱心なつもりでございます。よけいなことでございまするが、自衛隊の隊員もやがては社会に復帰する者でありまして、やはり腕に技術をつけて社会に送り出そうということで、三十八年度におきましても、その具体化に移す方針でございます。これと並行的に、駐留軍施設に働いておる、仰せの通り相当年令のいっておる方々でございますから、特に愛情を持ってめんどうを見なければ再就職が非常に困難なのでございまして、多少予算の減少はありましょうけれども、私の方針にのっとりまして、施設庁におきましても十分に御期待に沿うように努力させておるはずであります。
  144. 山花秀雄

    ○山花分科員 長官も、先ほど施設庁長官お話をかたわらで十分お聞きになったと思いますが、予算関係からながめますと、三十六年度あたりに比べますと、非常に熱意が薄れておると思うのです。しかし、今一番熱を入れなければならぬ重要問題だと思いますので、一つ長官の力量をこの際発揮して、いい方向へ進めるように御尽力を願いたいと思います。  次に、関連した問題でありますが、駐留軍労働者の離職対策の面につきましてお尋ねしたいと思います。  御承知のように、駐留軍離職者の自営業者が事業協同組合を結成して、経済活動を通じて離職した仲間の吸収をはかろうと努めておりますが、これらの団体に政府は助成金を交付して育成援助に努めるべきであると思います。これはやっておるのか、やってないのか。もしやっておれば、どういう予算対策を立てておるか。これは駐留軍関係離職対策として、自民党内においても、政府部内においても、石炭対策同様の対策を持っておると思うのでありますが、具体的な方策が現われない限り、持っておるだけで、看板だけ掲げておるということになりますが、実質問題はどうなっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  145. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現在のところ、企業組合に対しては助成金を出しておりません。ただし、この企業組合の育成ということについては、当方においてもいろいろの点から努力はいたしておるのであります。そういうような点から考えまして、今後助成金等も一応検討して参りたい、こういうふうに考えております。
  146. 山花秀雄

    ○山花分科員 育成はしておるけれども現なまは与えないということでは、これはどうもほんとうにやっておるかどうか、われわれもちょっと疑問なんです。しかし長官は、本年度はこの問題については真剣に検討したい、こういうお話でございますので、私はそれを信用いたします。また組合の諸君も、離職対策協議会というものを持って、防衛庁関係あるいは施設庁関係にいろいろ要望書を持っていくと思いますが、ただいま長官が真剣に考えるというこの言葉が裏返しにならないように、私は一段の御尽力をこの際お願いしたいと思います。  次に施設庁の行政財産であります例の宿舎に居住しておる駐留軍労働者が、離職すれば居住の無資格者になるというようなことで取り扱われまして、追い出されるか、まあ家賃を三倍出せば当分置いてやろう、こういう制度になっておるそうでありますが、これははなはだ私は適当でないと思うのであります。離職後も住宅を確保してやる親切があっていいと思うのです。少なくとも有資格者と同一条件である程度は居住させるべきであると思うのであります。たとえば、再就職してから半年とか一年というような期間を切るというようなことが望ましいと思うのでありますが、この問題についてどうお考えになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  147. 林一夫

    ○林(一)政府委員 駐留軍従業員の方方には国設の宿舎を提供しておるのであります。これはやはり国有の宿舎でございまして、国の宿舎に入っておる者は、やはりその入るときの資格がなくなればこの宿舎から出るという一般原則があるのでございます。この一般原則によって、やはり駐留軍従業員が離職された場合は、その国設宿舎から出てもらうということになるわけであります。大体その離職後宿舎に居住できる期限というようなものは、一般原則に従いまして、六カ月ということになっております。この宿舎に離職後長く宿泊せしめるということは、好ましいことではあるのでございまするが、宿舎にも数の限度がございまして、やはり宿舎に入る希望者も非常に多いのでございます。そういうようなわけでございますので、宿舎の合理的な運営と申しましょうか、有効的な運用のためにも、やはり大体ある期限を限って離職後住んでいただくということになっておるわけであります。
  148. 山花秀雄

    ○山花分科員 家賃三倍さえ出せばある程度おれるというように承っておりますが、ここのところが問題だと思うのです。だから、そう宿舎を無理に追い出さなくても、三倍出せば置いてやるというのだったら、三倍出さなくてもある程度置いてやればいいと思うのです。再就職してからある一定の年限をきめて出てもらうということが合理的ではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  149. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私最も合理的方法と考えまするのは、やはりその入居資格を失ってからある一定の期間は、これはやむを得ない事情がございまするので、住んでいただく、その一定の期間経過したならば出ていただくということが、一番合理的な方法であろうと思うのです。先ほども申しましたように、この宿舎に入居する希望者は多いのでございます。これをやはり有効に使用するには、ただいまのような一定の期限を限って交代するという方法がいいというように考えております。現在のところ、その一定の期限と申しますのは、資格を失ってから六カ月、これは一般原則ということになっておるのであります。
  150. 山花秀雄

    ○山花分科員 私が尋ねておるのはそれではなくて、三倍取ったらおれるということ——三倍取っておらすのだったら、今言ったように、再就職してから半年なら半年という期限を切った方が、きわめて思いやりのある合理的な方法ではないか、こう言っているのです。あとがつかえておるから、とにかく半年で出てもらうといって、じゃ三倍出せばまだおれるのですから、そこのところはちょっと今の長官のお答えと矛盾しておるのではないかと思うのです。
  151. 林一夫

    ○林(一)政府委員 今お説のように、家賃三倍を取っておるというようなお話でございまするが、国設の宿舎につきましてはそのような一般原則があるようでございまして、長く居住する場合においては三倍の家賃を取っておるようでございます。ただし、先ほども申しましたように、またお説のように、いささかそのような点について不合理な点がございますので、もう少し合理的な方法を検討いたしたい、かように考えております。
  152. 山花秀雄

    ○山花分科員 首を切られて失業して三倍取られたのでは、これはもうやり切れた話じゃありませんが、一つ防衛庁長官の方から、今一問一答しておる問題について御意見があると思いますから、一つ……。
  153. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま山花先生との問答で初めて私承知したことでございまして、おそらく私の想像では古いバラック同様の建物に入っているのだろうと思いますが、一体何世帯くらい入っておるか、そうしてどういう家族の構成であるか——私は一年や二年ただ置いてもいいと思っている。どうも役所というものはいろいろな振り合いもあるようでございますから、半年置いて、あとは三倍取るというような、ちょっと私も理解しにくいのでございますが、この点は私は施設庁長官からも詳細に聞きまして、   〔主査退席、正示主査代理着席〕 一体何世帯くらいそういうバラック同様なところに入っているかどうかを調べまして、十分に研究してみたい。これはもうお話通りです。首を切られて三倍の家賃を取られたのでは大へんなことでございましょう。ただ問題は、現に働いておる従事員の諸君が、あけばすぐ入りたいという希望者もたくさんあるということでございますから、これは全駐労の諸君とも話し合う余地もあると思う。そういうことで、一つこれは研究の課題にさせていただきたいと思います。
  154. 山花秀雄

    ○山花分科員 全駐労の代表者とも話し合う余地がある、こう長官は御答弁をされましたが、おそらく全駐労の代表者は、この問題について長官のところに相談に行くと思うのです。行きました場合には、一つあたたかい配慮で相談に乗っていただきたいと思います。  もう一つお尋ねしたいのは、駐留軍労働者が天災地変等で災害を受けた場合、契約によって所定の見舞金が出されますが、米兵の不当な行為によって災害を受ける場合、たとえば最近ございました、これは政府部内でもよく御承知と思いますが、長崎県佐世保の事件、あるいは十二月十五日の三沢における基地内の事件等々については、何の慰謝料もないのです。これにつきまして、一応、米軍基地内に働いておりましても、雇用主は日本政府でございますので、何らか特別の慰謝措置が必要ではないかと思うのであります。佐世保事件なり三沢事件について詳しく言えと言われれば、私は詳しく説明いたしますが、これは報告がいって御存じと思いますので、取り扱い上特別の措置を講ずる意思を持っておられるかどうか、この際一つ承りたいと思います。
  155. 林一夫

    ○林(一)政府委員 佐世保事件は、具体的に申しますと、拳銃の暴発によって日本労務者の運転手がけがをした事件だと思います。この運転手に対する補償金は、規則によりまして、公務執行中米軍の行為によりて傷害を受けたものである、それが駐留軍労務者であるということで、労災補償の保険金を出したのでございます。もちろん、その傷害を受けた方に対しては、米軍からも、また当庁からも、わずかながら見舞金は出しておるのでございますが、何しろ補償の建前がそういうことになっておるので、十分な見舞金を出すことができなかった、その点はまことにお気の毒に思っておるのでございます。
  156. 山花秀雄

    ○山花分科員 今、佐世保事件では労災法の適用をやったということを承ったのでありますが、私が聞く範囲では少し違っているように考えます。これは後ほどよく調べてからにしたいと思います。  三沢事件もやはり同様な扱いをなさったかどうか、御答弁願いたい。これは十二月十五日の事件です。
  157. 林一夫

    ○林(一)政府委員 はなはだ失礼でございますが、三沢事件と申しますのはどういう事件か、ちょっと記憶いたしておりませんが、やはり同じような事件でございますか。その内容について……
  158. 山花秀雄

    ○山花分科員 基地内の運転手が米兵を乗っけて基地内を巡回しておるときに、米兵に石でうしろからぶんなぐられて大けがをした事件です。まだ報告は入っておりませんか。十二月十五日の事件です。
  159. 林一夫

    ○林(一)政府委員 まだ報告を受けておりませんが、至急調べまして、後ほど回答いたしたいと思います。
  160. 山花秀雄

    ○山花分科員 なお労働基本契約その他いろいろございますが、これは労働問題として労働大臣の方にお伺いしたいと思います。  ただいま田口分科員質問の際にも、長官は、おれは就任したときに即刻考えたのは、防音装置に大いに力こぶを入れたい、こういうお話でございましたので、一応、全国的にこれが基地周辺の住民の問題として大きくなっておることは御承知通りと思いますが、この件につきまして二、三お尋ねをしたいと思います。  明年度の予算でも特別配慮を払った、こう言われておりますが、今年度予算と明年度予算で基地周辺の騒音防止対策としてどの程度の開きがあるか、一つお聞かせを願いたいと思います。
  161. 上田克郎

    ○上田政府委員 本年度と明年度の防音対策のふえ方を申し上げますと、自衛隊関係では本年度は十四億余でございました。三十八年度は二十億と若干でございます。こまかい計数は申し上げません。
  162. 山花秀雄

    ○山花分科員 二年前の内閣委員会で、当時次長をやっておりました真子さんの説明では、二十二億一千万円を計上した、これは昭和三十六年度の予算だと思うのですが、今聞きますと、二十億程度の予算になっております。これは、だいぶ防音装置も進んだので、予算を減らしてもよかろうというふうにも聞こえますが、いかがでしょうか。
  163. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいまの御質問は、米軍施設関係の予算のことであると伺いました。米軍基地関係の防音工事の予算でございまするが、これは三十七年度が約十三億、三十八年度の予算においては約二十億の予算がついておるのであります。
  164. 山花秀雄

    ○山花分科員 真子さんがおられませんので、これは水かけ論になると思いますが、ここに議事録にもちゃんと筆記しております。その当時は、二十二億一千万円を実施しておるという御答弁をなさった。そういたしますと、今長官の話を聞きますと、本年度は十三億円で、明年度は二十億円、本年度よりふえておるわけです。しかし、その前の年は二十二億ということになっておりますので、これはどういう行き違いか、本人がおりませんから何ですが……  そこで一つお尋ねしたいのは、例の調布の水耕農場の払い下げ問題がございましたときに、やはりその内閣委員会で私の質問に対して、民有地、すなわち従来民間から強制収用的に取り上げられた民有地は本人に返還をされる、公有地は別問題、大蔵省の管財かどこかに入るが、民有地は本人に返還される、こういう答弁がございましたが、オリンピックの関係でワシントン、ハイツの移転問題が起きまして、そのまま返還されずに当該場所はございますが、今中央道路が通るということで住民の立ちのき問題がだいぶ騒がしくなりまして、せめてあの基地内の一部を通ってくれれば住民は立ちのかなくてもいいという問題が一つ。それから、中央道路の建設に関連いたしまして、あそこに代々木のワシントン・ハイツが移りましたので、米人専用の総合運動場をつくる計画があるということを承っておりますが、これは調布市民感情としては耐えがたいことであります。民有地は払い下げはしない、もとへは返さない、そして中央道路にもあそこを利用しない、全部専有し切って、すっかりワシントン・ハイツが移ったからといって、あそこに米人専用の総合グランドをつくるというようなことはけしからぬ、できれば市民中心に体育グランドでも幾らか払い下げしてもらいたいという要望がございますけれども、一体あそこは将来どういうようになるか、これは防衛庁も関連性がございますのでよくおわかりになっておると思いますが、幾らか返還するような様子があるのか、絶対返還しないものかどうか、また、従来強制的に取り上げた民有地だけでももとの所有主に返すのかどうかというような点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  165. 林一夫

    ○林(一)政府委員 水耕農園の土地の問題でございまするが、これは御承知のように、オリンピック施設に備えまして、ワシントン・ハイツ、リンカーン・センターに居住しておった米人があの地域に移住をするということになっておるのでございます。このワシントン・ハイツとリンカーン・センター居住区域は、私の記憶では約二十八万坪あるのでございますが、この移住区域を水耕農園において二十五万坪に圧縮したように聞いております。そのほかに少しのヘルス・センターを設けたいという計画を持っておるようでございます。従いまして、あの地域についての払い下げあるいは共同使用を各方面から要望されたのでございまするが、米側としては、現在のところ、強く他の施設使用あるいは払い下げあるいは共同使用というものについて受け入れていないのでございます。かねがね地元の三市からも、あの一部を運動場にしたいから開放してもらいたいという強い要望があったのでございまするが、やはり米側としてはできないという強い態度をとっております。また、あの中に航空技術研究所の飛行場、共同使用しておる飛行場があるのでありますが、その滑走路のコースを延ばしてもらいたいという強い要望がありましたのですが、これについてもノーという回答でございます。以上のようなわけで、現在のところ、米側としてはあの地域の一部を開放するというような考えは持っておりません。
  166. 山花秀雄

    ○山花分科員 今米軍使用の総坪数は何坪ぐらいですか。
  167. 林一夫

    ○林(一)政府委員 正確な数字ではないと思いますが、約五十万坪と記憶いたしております。そのうち、米軍の居住地域が約二十五万坪ぐらいである、こういうふうに記憶いたしております。
  168. 山花秀雄

    ○山花分科員 あとの土地はどこが利用しておるのですか。ちょっと五十万坪というのは私は少ないと思いますが、六十何万坪あると私は調査しておるのですが……。
  169. 林一夫

    ○林(一)政府委員 そのほかの大部分地域は、航空技術研究所の所管飛行場がございます。この飛行場を、航空技術研究所の試験飛行とか、マッグのヘリコプター基地使用しております。
  170. 山花秀雄

    ○山花分科員 今、五十万坪程度、正確な資料はないが、こういう答弁でございましたが、大体あれは六十万坪ぐらいあると思うのです。米軍使用は大体二十五万坪で事足りるというお話でございまして、それからあと一つは民間飛行場がございますが、これが何万坪使っておるかということになりますと、算術計算からいっても、ある程度、当然開放されるべき土地が残ると思うのです。そこで私が今お尋ねしたのは、民間航空で一体どのくらい土地を使用しておるかということをお尋ねしたのです。
  171. 林一夫

    ○林(一)政府委員 正確なる資料をただいま持ち合わせておりませんので、概数を申し上げますが、全体の坪数が約五十万坪、そのうち、米軍の居住地域が二十五万坪、その残りの大部分を、先ほど申しました飛行場使用しておるのでございます。
  172. 山花秀雄

    ○山花分科員 そういたしますと、米軍使用が二十五万坪で、残余の総坪数は民間航空会社がこれを所有しておる、こういうことに理解して間違いございませんか。
  173. 林一夫

    ○林(一)政府委員 使用状況はただいま申しました通りでございますが、もちろん、あの全地域米軍施設でございまして、米軍管理権を持っておるのでございます。航空技術研究所は、その管理権によって共同使用をしておるということでございます。
  174. 山花秀雄

    ○山花分科員 私は、ただいま米軍のワシントン・ハイツ移転が大体二十五万坪ほどあれば事足りるというように言われておるのですから、当然開放されるべき余地があると思うのです。将来の米軍のあるいは軍略上、戦略上、必要上確保するというのだったら別問題でございますけれども、ワシントン・ハイツだけで足りるというのだったら、私は相当開放される余地があると思うんです。先ほど申し上げましたように、この前あそこは全面返還になろうとしたのです。ただオリンピックの関係で、ワシントン・ハイツ移転という問題で、府中、三鷹、調布、これに関連するせめて総合運動場の一カ所くらいは何とかしてもらいたい——今承っておりますと、ヘルス・センター的なものをつくるというようなお話がございましたが、それで日米の感情がうまくいくかどうかという点であります。アメリカ人も、あそこで住んでおる以上は、付近の町村の住民からもやはり親善の眼をもって見られるような、環境のいい土地にやはりアメリカ人を住まわせるべきであると思うのですが、この点長官はどうお考えになりますか。
  175. 林一夫

    ○林(一)政府委員 米側としましても、現在居住しておりまするところのワシントン・ハイツ、リンカーン・ハイツ、ここに居住したいという強い希望を持っておったのでございますが、オリンピック関係によりまして水耕農園に移住するということになったのでございます。その居住地域も、従来の居住地域よりも圧縮されるということになったのでございます。そのかわりに、健康保持のために、わずかの坪数ヘルス・センターをつくるという計画を持っておるように聞いております。その他のほとんど大部分は、先ほども申しましたように、飛行場があるということでございます。米軍としましても、もちろん環境をよくして、日米親善のために気持よい生活をしたいという希望は持っておるのでありますが、現在のところそれが限度というような状態でございまして、なかなかそれ以上の土地の開放ということは考えておりませんようでございます。
  176. 山花秀雄

    ○山花分科員 長官もかたわらでただいまのお話を聞いて、一体当該土地がどういう状況にあるかということはおわかりになったと思いますが、特に米軍基地で立川飛行場、横田飛行場に関連いたしまして、付近町村は絶大なる迷惑をこうむっておるのであります。土地の収用から申し上げますと、これは西多摩郡の福生町、瑞穂町、羽村町、秋多町、南多摩郡の多摩村、稲城町、北多摩郡の砂川町、村山町、大和町、合計二百八十七万七千百八十五坪を提供しておるという状態です。ただし、これは昭和三十一年十二月十三日現在の調査でありますので、それから幾らか土地返還が行なわれたかどうか、もし御存じならばお聞かせを願いたいと思います。
  177. 林一夫

    ○林(一)政府委員 正確な資料をただいま持っておりませんので、はなはだ恐縮でございまするが、横田基地周辺にありました高射砲陣地が返還になったということは記憶いたしております。
  178. 山花秀雄

    ○山花分科員 今私が申し上げましたのは、二百八十七万七千百八十五坪です。高射砲陣地が返還になったというのは、多分秋多町だと思うのでありまするが、秋多町では七千三百十五坪でありますから、二百八十七万坪は微動だにしないということでありまして、町村は固定資産税その他で非常に大きな損害をこうむっておる、騒音のためにたとえば工場誘致もうまくいかない、それで基地交付金のことが問題になりますが、据え置きのような交付金で、当該町村から、基地交付金の増額、これに見合うところの補償を一つやってもらいたいということをたびたび陳情しておられますが、きょうは自治省の関係は来ておりませんか。
  179. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 山花さんに申し上げます。自治省はきょうは参っておりません。
  180. 山花秀雄

    ○山花分科員 この間ちょっと話をして、来てくれと私は要求しておいたのですが、参っていなければいいです。  それでは、この問題につきまして防衛庁の方ではどういうあっせんをなさっておられるか、一つお聞かせ願いたいと思います。
  181. 林一夫

    ○林(一)政府委員 お尋ねは、交付金の各町村への配分の問題だと思います。この配分については自治省から協議を受けております。具体的に申し上げますと、この交付金のうち、二割につきましては、政令によりまして、その施設の種類とか、用途とか、あるいはその市町村の財政状況等を考慮しまして、特に必要と認める市町村に配分することになっておるのであります。従いまして、このような交付金を配分する場合においては、当庁といたしましては自治省に対してこのような観点から意見を述べ、自治省はその意見を参考にして配分をしておるということでございます。
  182. 山花秀雄

    ○山花分科員 施設庁並びに防衛庁関係の意見を参考にして自治省が交付金の配分をきめる、そうなりますと、あまりいい数字を出していないという点が私は問題になるのじゃないかと思います。実情とうんとかけ離れた少額な交付金で、地方財政はにっちもさっちもいかないという状態です。これはもう少し検討をして、正確に実情を把握して一つ自治省の方へ御説明を願いたいと思います。ここに各町村関係から被害状況という数字が参っておる。これは公文書できておるので、新聞雑誌その他からとったものではございませんから、私は間違いはないと思うのでありますが、これによってみんな大きな損をしておる。たとえば一例を申し上げますと、これも昭和三十一年十二月一日までの懸案でありますが、二十五年八月から三十一年十月二日までに十四件、飛行機の墜落事故その他で大きな被害がございます。それから後にどの程度あったかということは、防衛庁関係よくおわかりになっておると思いますが、これらの被害に対しての補償というものがまるっきり官僚的で、微々たるもので、言っていくところがないという一つの訴えであります。たとえば西多摩郡の羽村町の関係から申し上げますと、年間の児童措置費だとかあるいは庁費その他で、結局損害その他いろいろ整理をいたしましても、三分の一は当たらないというような状態であります。あるいは北多摩郡の砂川町の関係から申しましても、予算額と俗にいう見舞金、補償その他等々を勘案いたしましても、これは暦年別に昭和二十二年あるいは昭和二十八年、昭和三十一年と書いてありますが、これは一例でございますけれども昭和三十一年度は五十三万一千五百万円に対して七万八千円しか補償されていない。あるいは水がにごりまして付近の井戸水が飲めなくなった、あるいは農作物や家財、家畜その他いろいろなものが損害を受けましても、補償金が幾らももらえない。また中里部落というところでありますが、飛行機が落ちて二千百五万四千五百四十円の損害に対して、九百二十四万円しかもらえない。もう各町村が今申し上げましたような実態であります。北多摩郡の大和町におきましては、固定資産税その他の点で五百万円くらい毎年減収になる。こういう点につきましては、一つ正確な資料を自治省にお示し願って、納得できるというところまで私はいかないだろうと思いますが、やはり適切な基地交付金を回すような——その根源があなたの庁の説明からきているのですから、もう少し配慮をしていただきたいと思います。  次に、防音装置についてでありますが、横田基地の騒音で付近町村がどんなに被害をこうむっておるかということは、今さら説明の要がないと思うのです。二年前にやはり内閣委員会で私が質問しましたときに、たとえば防音装置の費用はこれくらいだ、学校はどことどこということになっておりますが、とてもあの予算では足りないという点であります。あれからたとえばあの周辺の拝島第二とか砂川とかいう学校関係は全部完了したかどうか、おわかりになっておると思いますが、横田基地騒音対策による学校関係の防音措置についての成果、成り行き、でき工合というような点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  183. 林一夫

    ○林(一)政府委員 横田基地について申し上げますと、昭島、瑞穂、福生、金子の一市三町にわたりまして、三十六年度までの実績を申し上げますと、教育施設につきましては二十七件、十七校、金額は一億五千百万円、医療施設につきましては二施設、一千七百三十四万円ということになっております。本年度実施中のものは教育施設三十件でございまして、約一億二千四百万円でございます。三十八年度以降の計画でございますが、教育施設四十件、二十四校、金額にいたしまして約十六億六千万円、こういうふうに考えております。三十八年度におきましては四件を予定いたしております。
  184. 山花秀雄

    ○山花分科員 そうすると、もうちょっと具体的にお尋ねしたいと思いますが、ちょうど二年前の内閣委員会で真子さんの説明によりますと、防音装置のためにあの周辺の拝島第二小学校、瑞穂第一小学校、拝島第一小学校、西砂川分校の四校で約三億八千八百万円を支出しておるという御答弁でありました。ところがこの予算では、建築材料の値上がりその他もございまして、実質的に防音装置ができないという悩みを持っておりましたが、ただいま申し上げました四校は完了したのでございましょうかどうか。
  185. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいまお尋ねの学校につきましては、現在実施中でございます。
  186. 山花秀雄

    ○山花分科員 そうするとずっと継続中で、その間の建築材料費の値上がり等々で、予算のいわゆる補正増加というようなことをやられたか、それとも当時の予算のやりっぱなしでやっておられるのかどうか。
  187. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この防音工事をやる場合においては実行計画を立てるのでございまして、お説のようにいろいろの事情を考慮しまして、増額等の措置は講じております。
  188. 山花秀雄

    ○山花分科員 増額を考慮しておるということは、いわゆる考慮しておるというだけなのか、それとも幾らか増額したのかどうか。
  189. 林一夫

    ○林(一)政府委員 増額を実施いたしております。
  190. 山花秀雄

    ○山花分科員 最後に一点だけ防音装置についてお尋ねしたいと思いますが、例の横田基地の誘導灯ですか、あれをつくるために付近の土地買収をやられましたときに、これは防衛庁長官から土地の所有者に対して、アメリカ当局に尋ねたときにこういう回答があったということで、土地所有者の石川慶一郎氏が土地を売り渡すことに踏み切った。その文書が公文書として出ておりますが、この石川慶一郎という方は、この土地を手放すには防音の対策がきちっと完了するめどをつけてからだ、そうでなければ付近住民に申しわけないから土地を手放せないということで、防衛庁を通してアメリカに一つ聞いてくれということで、それでアメリカ側に聞いて石川さんに回答して、これだったら付近住民のために消音装置ができるからというので、防衛庁を信用して土地を手放した。その回答の要旨として、昭島市役所の方へ次のような要旨が手紙として出されております。「政府においても、米駐留軍飛行場周辺の騒音防止対策基地問題等閣僚懇談会において重要事案の一つとして検討している。当局としても横田エンジン・テストの騒音について、米軍に対し防止措置を早急に行なうよう申し入れている。こに対しては(A)米軍としては消音機設置に先立ち、エンジン・テスト場周辺にコンクリートべいを設置するよう定めた。(B)消音機設置の結果、万一所期の騒音低下の効果が得られぬ場合はテスト場の移転または他の適当な方法等、騒音防止について誠意を持って検討善処するということであります。」こう市役所の方に回答をしております。ところが防音装置問題は一つも解決されていない。そこで、もしこれが解決できない場合は他の場所に移すというようなアメリカ側の回答がございますが、これについて政府当局、特に防衛庁関係はどうお考えなのか、一つお聞かせ願いたいと思います。
  191. 鈴木昇

    ○鈴木政府委員 お答え申し上げます。横田飛行場の進入灯の設置の際に、土地の所有者の石川さんからお尋ねがありまして、騒音の防止措置を厳重にとってくれということを申し入れられたことは、ただいまお話しの通りでございまして、その際、東京調達局からお答えいたしましたへいの設置につきましては、すでに防音壁等が完成いたしておるわけでございます。また消音機につきましても、一昨年これは米軍が米国において開発いたしました消音機でございますが、キテル・レーシーという会社の製造の可搬式消音機を横田に持って参りまして、それを使用いたしておるわけでございます。その結果、日米共同で、どのくらい騒音が下がるかということにつきましても、音響の測定等をいたしたわけでございますが、もちろん相当量の音響の低下を見ておるわけでございますが、なかなかこれで上等だというふうな状況にまだ達しておらないのでございます。その際に米軍基地司令官等に対しまして、もし消音の効果があまり上がらない場合におきましては、現在のエンジン・テスト場が昭島の市に非常に近接したところにございますので、これを基地内のもっと影響度合いの少ないところへ移すべきだという提案につきまして、米側もそのようなことを考慮するということになっておることもまた事実でございます。
  192. 山花秀雄

    ○山花分科員 あなたが鈴木昇さんですね。
  193. 鈴木昇

    ○鈴木政府委員 そうです。
  194. 山花秀雄

    ○山花分科員 そうすると、あなたが中村市長に出したただいまのような手紙の文面は、これはあなたが出した公文書ですから、読むことをやめます。これによりますと、場所を変えるということになっておりますが、いまだに付近住民は約九百戸ほど非常に困っておるのですが、場所を変えられたかどうか。
  195. 鈴木昇

    ○鈴木政府委員 現在、場所は変わっておりません。
  196. 山花秀雄

    ○山花分科員 そこで問題は、防音装置ができない場合には、アメリカ当局とも、場所を変えるというような話し合いをして、これを地主の石川さんにも話をして、市長あてにも一応回答として出されておりますが、それが実行されてないということだったら、これから交渉して、防衛庁として実行する決意があるかどうか、これは一つ長官の方からお伺いしたいと思います。
  197. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま申し上げたような点につきましては、なるべく早く実行するように米側と折衝いたしたいと思います。
  198. 山花秀雄

    ○山花分科員 時間もなくなりましたので、私はこの程度で終わりたいと思いますが、昭島市長からも、長官林一夫殿あて、あるいは今名前が変わりましたからどういうことになっておるか、当時は東京調達局長鈴木昇あてに、いろいろ要望書が出ておると思うのです。この要望書にもその点が明らかになっておる。あなたの方でやられた米軍との折衝も明らかになっておるはずです。また地主にもその旨を伝えておる。よって地主は、徳川時代からの先祖代々の土地を国に売る、こういう結果になって現われましたのに、騒音は相変わらず消えないという点、付近九百戸ほどの住民がそれに悩んで、損害賠償というような意味で、昭島市役所を通して、おそらくあなたの方に見舞金というような形で要求書が出ておると思うのです。家屋に関しましては、五カ年二月当たり約十万円という形で出ておると思うのです。それから、その他精神的な慰謝料というような形で、金額にいたしまして総額五億円程度の要求書が出ておると思いますが、あなたの方では、それをどう検討されておられるか、一つ承りたいと思います。
  199. 林一夫

    ○林(一)政府委員 地元方々からそういうような要望書が出ておることは、承知いたしております。そのような御要望の内容については検討いたしておるのでございまするが、なかなか御要望の点が現在直ちに実施するという点が、むずかしいものをたくさん含んでおるのであります。今後十分検討しまして、実施できるものから実施して参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  200. 山花秀雄

    ○山花分科員 要望は出ておるが、なかなか複雑多岐にわたってむずかしい。実施できるようなものからというようなお答えがございましたが、おそらくそのお答えは、握りつぶしのお答えではないかと私は思うのです。たとえば金額的に折り合わなければ、この金額でどうかというような、これは片方ではくれというのだし、片方はやらないところをやろうという、一つの商談になると思うのです。それを誠意を持って解決するのが、あなた方の役割りじゃないかと思うのです。  これは最後に一つ防衛庁長官にお尋ねしたいと思いますが、先ほど申し上げた点は、単に立川、横田基地だけの問題ではないと思うのです。あるいは板付にあり、あるいは三沢にあり、千歳にあるというふうに各所にございますが、とにかく横田と立川は東京のどまん中ですから、非常に問題が大きくなっておるのであります。これを他の場所に移すというようなお気持を政府関係においてお持ちになっておられるかおられないか、これを一つ最後にお聞かせ願いたいと思います。——施設庁長官でそういう大きな政治的な答弁ができますか。
  201. 林一夫

    ○林(一)政府委員 一応私の考えを申し上げたいと思いまするが、御要望の点については、先ほど申しましたように検討はいたしておるのでございますが、なかなか現在の制度下においては、できないような問題もたくさん含んでおるのでございます。こういうような問題は、今後の問題として十分考えていかなくちゃならぬ、こういうふうに私どもは思っております。もちろん先ほどから御要望がありましたような防音工事だとか、あるいは事故被害による補償だとか、あるいはその他の被害の補償につきましては、これは現在の体制においても補償ができるのでございます。そういう点はなるべく早く補償を実施して参りたい、こういうふうに考えております。基地の全般の問題としまして、なかなかこの対策はむずかしい点も含んでおるのでございまして、一度には、すべての問題を解決するということは非常にむずかしいのでありまして、だんだんと軌道に乗せて御要望の点を実現するように努力して参りたいと思います。  なお、先ほど基地返還というような御質問があったかに聞いておりますが、この基地返還は、やはり地位協定上、米軍として必要を認めなくなった場合においては返還をするということになっておりまして、この点は日米合同委員会を通じて、なるべく必要のない施設は早く返還させるように努力して参りたい、こういうふうに考えております。
  202. 山花秀雄

    ○山花分科員 基地の必要がなくなれば返還するというようなことだと、これは百年待っていても川の水は清くならないということわざもございますが、今の情勢はそういう情勢じゃないかと私は思うのです。そこで問題は、こういう大きな基地がまん中の東京にあるという点に、いろいろ政治問題もはらんでくると思うのです。だからこれはどこへ持っていっても、持ってこられた方は困りますが、やはり人口の稀薄な場所に一つ持っていくような、そういう腹がまえが承るかどうか。雪のうんと降るところに持っていってごらんなさい、向こうで全部雪を片づけてくれますよ。便利ですよ。(「北海道反対」と呼ぶ者あり)防衛庁長官、どこでも反対するのだったら、いっそのことやめればいいと思いますがね。
  203. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいまのお話はなかなか名案でありますが、御案内の通り、内閣に基地問題等閣僚懇談会というのもございますので、この複雑多岐な基地問題の解決に向かって本腰を入れて前進してみたいと私は日ごろ感じておるわけでありまして、本日の質疑応答の中からも非常にとうとい示唆を受けまして、今後一段と勉強して参りたいと思うのでございます。
  204. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 島本虎三君。
  205. 島本虎三

    島本分科員 私は基地問題について三点にしぼって、長官並びに皆さんにお尋ねしたいと思います。  まずその第一点の、北海道の支笏湖畔の米軍訓練場、これは千歳市のモラップの支笏湖の一部を在日米軍基地に提供することが三十七年十二月二十一日の閣議できまった、こういうような報道がございました。そして北海道方面では、全く地元としてこの問題に対しては知らなかった。そしてその場所も、国立公園であり、また現に道内の有数のキャンプ場であって、レクリエーションの場所として道民に親しまれておる。この場所にどういう施設ができるのか。立ち入り禁止区域の設定なんか行なわれると、これは大へんなことになるのじゃないか、こういうようなことで関係者相当心配しておりますが、このいきさつについて、どういうような根拠によってこういうことを急にきめて、地元の承認も得ないままにこれを行なったのか、経過をはっきりさせていただきたいと思います。
  206. 鈴木昇

    ○鈴木政府委員 ただいまの支笏湖の米軍施設についてのお答えを申し上げます。  ただいまお話しのように、三十七年十二月閣議決定をいたしたわけでございますが、それ以前におきまして、この施設は、米軍がその場所の所有者であります王子製紙と民法上の契約によりまして引き続いて使っておったものを、正式の施設区域ということにして使わせてくれということでございまして、これを従前から引き続き使っておるものでもございますので、正式な施設区域として決定するということに取り運んだものでございます。
  207. 島本虎三

    島本分科員 もしそうだとすると、こういうような疑問が一つ当然残ると思います。以前北海道としても、千歳市としても、この場所の提供について条件があったはずです。国立公園内の風致をそこなうような施設を設けないこと、それからあくまでもリクリエーションのためのもので、演習場や訓練場に使っては困る、こういうようなはっきりした条件をつけて、異存がないように答申されておるはずです。従って、それをそのまま実施するとすると、前の約束は守らなければならないのに、そこに施設をするということを前の約束だから当然だということは、あくまでも行き過ぎではないかと思うのです。前の約束と違う点に対してはどこが許可し、承認を与えたのですか。
  208. 高野藤吉郎

    ○高野説明員 お答え申し上げます。  はなはだ失礼でありますが、前の方をちょっと聞き漏らしたのでありますが、この支笏湖の水泳訓練場の提供につきましては、先ほど鈴木施設部長からお答え申し上げた通りでございまして、この提供の前には、国有地並びに浸水面積を王子製紙が持っておりますので、そういう関係方面と軍が話し合いの上で使用しておったのでございます。ところが米軍といたしましては、水泳訓練場としてこれを使用いたしたいという要求がございまして、その点について施設庁といたしましては、北海道庁あるいは地元の千歳市の市長あるいは関係方面といたしましては、国立公園でございますので、厚生省、それから国有地の関係もございますので財務局と、各方面にいろいろ意見を開示いたしまして、その結果、水泳訓練場としてやむを得ないということで提供いたしたといういきさつでございます。
  209. 島本虎三

    島本分科員 重ねてお伺いいたしますが、防衛庁長官の方へは、三十五年六月十三日に米軍から日本政府に対する基地提供の要求書簡が届いておるはずです。その要求書簡によると、この支笏湖岸の一部の目的は、水泳訓練場としてこれを使用するということですが、水泳所だけではなしに、陸上面積相当数あるはずです。この陸上それから使用しようとする水上面積、要求書簡に基づいた総面積は幾らになっておりますか。
  210. 高野藤吉郎

    ○高野説明員 お答え申し上げます。  ただいまちょっと資料を持ち合わせませんので、面積の数字を調べまして、後ほどお答え申し上げたいと思うのでございますが、ちょっとただいまの御質問の中で、水泳訓練場、これの使用目的は、あくまでも水泳の訓練ということで、それ以外の何らかの水上の訓練をすることは目的ではございませんので、その点誤解のないよう御説明申し上げておきたいと思います。
  211. 島本虎三

    島本分科員 誤解のないようにといっても、私どもの方で調査した結果によると、湖の方が五千七百五十平米で、陸上の方がそれよりよけいの面積で七千五百三十三平米です。水上訓練所でやる湖面の面積よりも陸上面積の方が多いのです。  もう一つ念のために言っておきますが、支笏湖は水泳に適する場所ではないのです。あそこは陥没湖で、一たん水死の事故が起こると死骸は永久に浮かび上がらないという神秘性を兼ね備えたところの水泳不適湖です。そういうようなところに水泳訓練場だとか、そういったものを許可してやる、また、そのための訓練に使うとすると、これは多大の危険が予想されるし、今までの例によっても、そこで死んだ人の死骸は一人だに上がっていないのです。こういうようなところで何のために水上訓練をやる必要があるのですか。これは死ぬための訓練ですか。
  212. 高野藤吉郎

    ○高野説明員 ただいまお話しのように、支笏湖は水温の非常に低いところでありますが、提供しております地域は、湖岸に沿って細長い地域で、また浅瀬になっておりまして、そこは一応水泳のできるところでございます。なお陸上の方は、水泳の訓練のための使用は夏季だけでございますが、宿泊のための架設物を設けております。
  213. 島本虎三

    島本分科員 ことにその場所は国立公園になっている。国立公園になっているとすれば、これは当然国立公園の審議会があるはずです。その方面に対してこれは当然承認を受けておらなければならないはずですが、そういうような承認その他の手続というものは全部済んでおりますか。厚生省関係から来ていると思いますが、この点はっきりしてもらいたいと思います。
  214. 松下廉蔵

    ○松下説明員 ただいまの御質問につきましては、自然公園法上の規定としましては、これは工作物の設置でございまして、公園計画自体ではございませんので、他の行政機関が行ないます場合には、厚生大臣に協議をいただくことになっておりますが、それと別に、この国立公園内の広大な土地使用でございますので、事実上の行為としまして、この土地使用につきましての協議と、それから法に基づきます工作物の設置の協議と、両方の協議をいただいておりまして、これにつきましては、すでに三十六年の四月に協議が成立いたしまして、それで三十七年の九月二十日に調達庁長官から決定した旨の通知をいただいております。内容といたしましては、これは国有林で、造林等も行なっております。またヒメマスの養殖等もございますし、国立公園の中でもございますので、御指摘のように、そういった造林、ヒメマスの養殖事業、それから国立公園の風致等について支障を来たさないということ、それから米軍使用は水泳のみであるということ、それから下水を湖に流入したり、あるいは廃物をこの付近に捨てないということ、それから新たな工作物をつくる場合には札幌調達局と協議しなければならないというようなことを条件といたしまして、厚生省の方でも協議に応じておる次第でございます。
  215. 島本虎三

    島本分科員 そういたしますと、厚生省の方では、当然陸上施設の方には施設をつくらないという頭なのですか。そういたしますと、この陸上部門に七千五百三十三平米は、施設のためにとってあるというのです。施設をつくらないのに、施設のためにとっておくという理由はどういうようなことですか。
  216. 松下廉蔵

    ○松下説明員 ちょっと御説明を漏らしまして恐縮でございますが、工作物で、兵舎の設置につきましてはすでに協議を受けまして、了解をいたしております。
  217. 島本虎三

    島本分科員 そういうふうにして、もし兵舎をつくるようなことになると、完全にそこは立ち入り禁止になるおそれがある。そして当然その方面は一部国立公園として使用できなくなるはずです。そういうようなのを、十分市にも道にもはっきり諮問しないままで、あなたは許可したのですか。はっきりその辺、答弁願います。
  218. 松下廉蔵

    ○松下説明員 ただいま協議を受けまして了解いたしております兵舎は、夏季の水泳訓練に使います場合の仮設の、いわゆるかまぼこ兵舎でございまして、こういったところを水泳に用いるということは、国立公園の一つの利用の方法でもあり、対象がだれでありましても、国立公園といたしましては適当な利用でもあり、また風致が損せられない限り支障のないものというふうに考えて了解いたしております。
  219. 島本虎三

    島本分科員 これは当然土地の正式提供で、永久的施設ともなれば、立ち入り禁止区域の設定ということも当然予想されるのじゃないですか。そういうふうになった場合、国立公園として国民のためにやっておるのに、その辺は公園の一部だが全然入れないということは、それをまだ市民も道民も知らないままに許可してあるということは、これはあまり行き過ぎじゃないか。そういうおそれがなければいいのです。おそれがないという確認がありますか。
  220. 松下廉蔵

    ○松下説明員 先ほど御説明申し上げましたように、現在の自然公園法で正式に協議を必要といたします事項は、工作物の設置でございます。あとは政府内部の行政機関同士の問題といたしまして、事実上の行為といたしまして相談があるという格好でございますので、これは内部的な問題でございますので、防衛庁の方とも、あるいは道庁の方ともよく相談いたしまして、ただいま御指摘のありましたような事態がなるべく起こりませんように——ただ国立公園は、自然公園法の明文にも掲げられておりますように、世界に誇るに足る風景地という性格を持っておりまして、もちろん国民のための利用が第一であろうとは思いますが、必ずしも国民だけのためのものでもないというような考え方もございますので、国際的にこういったものが大いに利用されるということも一つの目的になっておるというようなことも加味いたしまして、処置いたしております。
  221. 島本虎三

    島本分科員 国際的に利用されるということは、一部米軍並びに軍のために使用されて、国立公園でありながら特定区域が設けられて、そこへ国民なり全世界の人の一部なりが、当然入っていく権利があるのに、いけないというような、そういう状態を来たしていいのかということなのです。これはもしそういうようなことがないのならば、ないとはっきり言ってもらえば、この際なおいいのです。私の方で今心配していることは、土地の正式提供で永久的な施設ともなれば、立ち入り禁止区域の設定なんかが当然行なわれれば、そういうような利用に供されない、あなたが今言ったような自然公園の目的に相反するような特別地帯ができるから、そういうようなことを承知の上でやったのかということです。それを承知しているのか承知していないのか。そういうようなおそれが全然ないなら、ないとはっきり言ってもらえばいいのです。あるのですか、ないのですか。
  222. 松下廉蔵

    ○松下説明員 ちょっと御質問を取り違えておりましたようで失礼いたしましたが、私ども伺いました限りでは、ここの利用は夏季の水泳訓練に限られておる。従って協議を受けました工作物も仮設的な、いわゆるかまぼこ兵舎、キャンプ的なものであるというふうに伺っておりますので、今御指摘のようなおそれは現在のところないものと了解いたしております。
  223. 島本虎三

    島本分科員 そういうようなおそれがないということで、厚生省では、国立公園の中で一部の遊泳訓練をすることを認めたという。これはおそらくは今度は防衛庁の方の問題になると思うのです。今のような許可範囲でこれはずっと将来ともにここを運用するつもりですかどうか、この点について防衛長官の御意見を伺いたいと思います。
  224. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 地位協定で提供した以上は、いろいろな新しい事態が起こらない限り、約束通りこれが続くものと理解いたしております。
  225. 島本虎三

    島本分科員 そうすると、結局は提供の基礎は日米安保条約に基づく行政協定によるところの措置である。そうした場合には、これは治外法権にその辺はなってしまって、おそらくわれわれとしては、そこへ日本人なり普通の公園を楽しむ人が勝手に入っていけないというおそれがあると思っているわけですが、長官の方としては、そういうようなことは全然あり得ないということですか。そこをもう一回はっきりお願いしたい。
  226. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 先刻から関係者がいろいろ説明をいたしている通り、これは夏場の、特に北海道でございますから非常に短い期間だと私は思うのでございますが、その期間中だけ、かりに設けた宿舎を中心に水泳訓練をやるというのでございますから、なるほど短い夏の期間、水泳訓練をやっている問はあるいは立ち入りを遠慮しなければならぬかもしれませんが、私の理解では、鉄条網などを張って永久に立ち入り禁止なんということはあり得ないような感じがいたすのでございます。そこの技術的な問題まで私は承知いたしませんが、きわめて短い期間だけ米軍が水泳演習をやるということであり、また地元の北海道も、関係各省と慎重協議の結果よろしいということになったので、私は閣議にこれを提出いたした次第でございます。
  227. 島本虎三

    島本分科員 これは地元の方としては、道としても千歳市としても、以前にこの問題について旧調達庁から道知事や道事務局、札幌営林局、千歳市に対して提供の意見が求められたときの条件では、その通り簡単に解釈しておった。今度の場合は、行政協定に基づくところのいわゆる治外法権であると思われるおそれさえもある基地としての提供になりますから、昨年十二月二十一日閣議決定以降、これは性格は変わってしまったわけです。変わってしまったということを道も千歳市も全然知らなかったわけです。従って今後市としても、このために千歳市議会におきまして、場合によっては使用中止を要望するかもしれないという決定をしておるわけです。これは使用できないということになりますと、とんでもないことになるおそれがあるので、これを言っているわけです。おそらく国立公園を管理している厚生省の方でも、そういうふうなことが全然ないということを条件にして今までやってきたと思う。しかしながらこれも今の長官答弁のように、提供の基礎が日米安保条約に基づく行政協定によるところの措置である、こういうふうになって、そうして今度通常治外法権を伴うような、いわゆる通常基地と唱えられるような場所にこれがなってしまうおそれがあるとした場合には、性格が変わるから、そういうようなおそれがないように十分配慮した上で、北海道なり千歳市なり、関係方面にちゃんと連絡をとった上で事を運ばせるのが妥当だと思う。何もしないで、もうほんとうに晴天のへきれきのように地元を驚かせるようなこのやり方は、厚生省としても国立公園を扱う立場としては少し怠慢じゃないかと思うのです。今後、今防衛庁長官が言ったようなおそれがないということを前提にして、あなたの方では可許してやったものと思います。この点は十分この趣旨に沿うようにして、少なくとも途中から変更して立ち入り禁止、またはそのために公園を利用しようとする日本国民並びにそのほかの国民に対しても、あまり国立公園としての品位を傷つけないような運営の方法は十分とってもらいたい、こう思うわけですが、そういうようなことに対して厚生省側ではいかがでございましょうか。
  228. 松下廉蔵

    ○松下説明員 ただいまの御指摘の点は、国立公園の運営につきましてごもっともなことであると思いますので、防衛庁の方と十分連絡をいたしまして、御趣旨に沿うように運営いたしたいと思います。
  229. 島本虎三

    島本分科員 厚生省の方で国立公園の運営についてそのような考えでおりますから、防衛庁長官の方でも、少なくともあなたは全日本国民にその方面では信頼を一身に集めておる人ですから、国民の信頼を裏切ることのないような運営をするように十分監視し、話し合いをして、少なくともその中に立ち入らせないとか、特定の施設をすることのないように監視をしてもらいたい、こういうふうに思います。それを厚生省の方でも十分知った上で協議しておいてもらいたいと思います。  では、この問題はそれくらいにして、次に移ります。  次に、防衛庁長官伺います。これは昭和三十八年一月十四日に、これもまた航空自衛隊ですが、千歳の飛行場の進入区域で発生したF86ジェット戦闘機の市内墜落事故があったわけです。そして市内に墜落して、市民はそうでなくても、あの場所は民間機といろいろ同じ場所を使ってやっております関係上、トラブルの発生するおそれのある場所である。そして、予想されないわけではなかったこの戦闘機の墜落が市内にあったものですから、当然戦々きょうきょうとして恐怖と不安におおわれておった。このためにまた臨時市議会まで開いたりして、対策を協議したかのように私も承っておったのです。こういうような事故に対しては万全の対策を講じて、そういうような場合がもしあっても、市内に落ちないような設定を初めからしておかなければいけないのではないかと思うのです。ことに、戦闘機である場合なんかにはどういうことにならぬとも限りません。これに対しての対策は今後十分立っておりますかどうか、大臣に今までの経過とあわせて対策の点を伺いたいと思います。
  230. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 千歳飛行場の周辺に対しましては、日ごろ騒音その他数々の迷惑をかけております。特にただいま御指摘になりましたF86ジェット戦闘機の事故についても私はすでに承知いたしておるのであります。航空機の事故防止の問題は、その場限りではできないのでございまして、平素航空幕僚長をして事故の、絶滅を期せばこれはけっこうなのでございますが、絶滅を期しながら最善の努力をいたしておるのでございます。  なおまた、ただいま仰せの戦闘機の事故に対するいろいろな当時の措置につきましては、関係政府委員から詳細に説明いたさせます。
  231. 小幡久男

    ○小幡政府委員 当時のF86Dの事故につきましての状況、対策を御説明申し上げます。  御承知かもしれませんが、このF86Dは夕方に着陸することになっておりまして、当時南から入ってくる予定のところ、南の方向に濃霧が発生いたしまして、進入管制に当たっておりましたタワーの方で急いで北に切りかえたのでありますが、不幸にも、北から入ろうとしました際に、今度はその濃霧が北の方に移動しまして、飛行場の北口まで飛行機が参りました際に、目測が十分きかずに、高圧線に接触いたしまして、申しわけない事故を起こしたのであります。その後、第二航空団で事故調査委員会を開きまして、つぶさに事故を調べました結果、原因につきましていろいろの点がわかって参りました。応急対策としましては、気象の諸元というものをよく地上で把握して飛行機にすみやかに伝達するという方法と準備が足りなかった。それから、GCAでそこまで誘導してくる際に、その濃霧の移動の方向というものを十分に見きわめなかった地上の指揮官にも責任がある。また操縦士も、その際にはもう一度飛び上がって再び着陸するという余裕を持ってほしかったというふうな諸点も出ました。いろいろの緊急対策とあわせて、恒久施策としましては、着陸灯の設置とか、あるいは視界をはかる機械の設置とかいうふうなものを、いろいろと項目を出しまして、対策を講じつつありますので、同じような種類の事故は二度と起こすことのないように気をつけて参りたいと思っております。
  232. 島本虎三

    島本分科員 それについて、事故防止のための対策、要請として、滑走路を南方へ千メーターほど延長するような方法を講じてもらえないか、それから誘導レーダーをやはり今言ったように完備しておいてもらえないか、それからその進入地区にあると思われる区域にある民家について、住民は将来のことも思って心配でしようがないから、移転したいから、移転するための十分なる補償もしてもらえないか、いろいろ要請があるようです。しかし、これはいろいろな関係で聞いてやった方がいい要求じゃないか、むしろ進んでこれをやらした方が将来のためにいいのじゃないかと思われるのです。今言ったようなことに対してはどういうような措置を講じてございますか、一つその点をお聞かせ願いたいと思います。
  233. 上田克郎

    ○上田政府委員 まず第一の、滑走路を南の方に千メートル延長する案というものは、千歳の市から参っております。ただいま検討中でございます。現在までの段階で、初めのところ滑走路だけで済むかというような気持でおりました。そのときの予定では約二、三億で工事はできるかと思っておったのでございますが、その後の検討によりますと、滑走路をただ延長するだけではだめで、現在の施設を同時に移転しないと、滑走路を延長するだけでは技術的にむずかしい、そういうような現在の段階にあるようでございます。なお検討中でありますが、そのようにいたしますと、さらに二、三十億、これは大ざっぱな数字でございますが、二、三億の十倍程度のけた違いのお金がかかるようなことを言っておりまして、なかなかむずかしいような印象でございます。  なお、現在の滑走路に近接いたしました住宅の方々から、移転補償をしてほしいという要望がございます。この点につきましては、特に騒音のひどいと思われる七戸の方からの要望が最も熾烈でございます。その方々のためには、現在のところ本年度末、この三月末までに具体的な調査をいたしまして、積極的にいわゆる移転の方向で問題を解決していきたい、そのように考えております。予算といたしましては三十九年度で実施をはかるというようなタイミングで考えております。  なお、その他の周辺の家屋などにつきまして、どの程度の方を移転補償いたしますかという問題につきましては、全国の基地につきまして現在その基準を調査いたしている最中でございます。
  234. 島本虎三

    島本分科員 いろいろと問題がありますが、墜落しないにこしたことはないのであって、しないような対策防衛庁としては今後十分に考えてやってほしいし、再びああいうようなことを起こさないようにしてもらいたいほかに、もしものことがあっても、少なくとも今のような状態は十分考えてやってくれて、そうして、そういうような被害を受けるおそれがないように、これは金が若干かかっても、優秀なる志賀防衛庁長官のことですから、大蔵省その他総理を通じても必ずやれる人ですから、そういうように完全に措置だけはしておいてもらいたいと思う。私はこれは時間の問題であるというふうに解釈しておきますが、それでよろしゅうございますか。
  235. 上田克郎

    ○上田政府委員 直下の七戸の問題につきましては、時間の問題であるとお考えいただいてけっこうだと思います。
  236. 島本虎三

    島本分科員 そのほかに何戸ございますか。
  237. 上田克郎

    ○上田政府委員 そのほかのところは現在まだ調査いたしておりませんので、はっきりいたしません。
  238. 島本虎三

    島本分科員 そういうような事態のあった付近の場所ですから、従って、そういうようなおそれがあり、もし移転したいというところがあったら、最大限度認めてやった方が将来のためにいいのじゃないかと思うのです。おってトラブルを起こすよりも、もうほかの方へ行ってもらって、安心してやった方があなたの方も楽になると思うのです。そこを考えて、何戸になるかわからないというけれども、要望があるその付近の方は、最大限度拡大解釈してもこれはやらせてしかるべきだと思いますが、この点、長官の御意見を伺いたいと思います。
  239. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ありがたい御意見でございまして、今後さように実行して参りたいと思っております。
  240. 島本虎三

    島本分科員 それと同時に、今度は千歳の飛行場の場合には、F104Jがもうすでに配置されてある。それに対しての騒音の被害というものが、まだはっきりしないということであったようです。現にその場所へ皆さんの方から調査に行ったはずなんですが、そのデータ等についても私どもはまだ全然伺っておりません。このF104Jの衝撃波によるところの被害、またはこの騒音による被害、こういうようなものに対して、新たに今までの防音装置以外に考えないと、これは千歳の飛行場、ことにF104Jを配置するその場所では今後その煩にたえない。生活さえ不可能じゃないか、こういうように思いますが、そういうような点は十分調べて対処しておりますかどうか、この点伺いたいと思います。
  241. 小幡久男

    ○小幡政府委員 先国会で御質問がありまして、その後いろいろ精査いたしましたところ、衝撃波は、通常の概念では、地上三フィート以上ございますと通常は障害がないのでございますが、時の気象状況とか地形によりますと窓ガラスが割れるというようなことがあり得る。現に最近二月十三日の報告によりますと、帯広でガラスが二枚割れたという情報を受けておりまして、さっそく部隊からおわびに上がったということも聞いております。従いまして、当分陸上で訓練するのを取りやめまして、現在は海上でやっておりますが、なおそういった特殊な気象あるいは地形によって衝撃波がどのくらいの被害を及ぼすかということを、もう少し慎重にさらに検討した上、陸上飛行の問題は検討したいというふうに考えております。
  242. 島本虎三

    島本分科員 今までのF86ジェット戦闘機も含めて、今度新たに配置されるF104ジェット機ですが、こういうものの騒音による被害の問題は基地の一つの悩みなんです。おそらくは基地に対していろいろ悩みがあると思います。たとえば浜松では、低空していった飛行機によって、子供がもうすでに病気になった例がある。医学的にそれを見たならば、そういうこともあり得るし、これは当然そうだということが新聞に報ぜられておる。これは朝日だと思います。ところがまた千歳の方に参りますと、その付近の農家で、やはりそういうような同じ被害を受けて、牛や鶏や、そのほかのものを飼っているところでは、この場所ではだめだというので他に移った人もあるというふうに聞いておる。そのほかにまた子供がひきつけたり、病気になったりして、そのために入院したという例も聞いておるわけです。おそらくこういうような点は枚挙にいとまがないと思います。将来の対策は、これから徐々にやっていくのはいいと思いますが、こういうような人に与えているいろいろな被害に対しまして、防衛庁ではいかなる手段を講じましたか、その点に対してお伺いしたいと思います。
  243. 林一夫

    ○林(一)政府委員 お尋ねの人畜に与える騒音の影響については、現在調査をいたしております。ことに人身に与える影響につきましては、三十六年度から調査を始めております。お説のように、血圧に与える影響とか、あるいは難聴者に与える影響、あるいは乳幼児、母乳に与える影響というような、いろいろ調査項目を選び出しまして、そのような項目について現在調査をいたしております。
  244. 島本虎三

    島本分科員 少なくとも私が当選してきてこの問題を手がけてここに三年、三年の間調査ばかりされている。こういう報告が今、林長官からなされ、また再び同じく調査しているということなんです。調査したならば結論が出るはずなんです。結論の出ない調査なんというものはあり得ないと思うのです。いつからいつまで調査しているのですか。どういう結論が今までに出たのですか。その点、少しつまびらかにしてもらいたいと思います。
  245. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現在まで調査したところで、結果のはっきりしたところについて申し上げますと、乳牛につきましては、板付の基地の周辺におきましては約一〇%未満、芦屋地区で約五%未満の産乳量の減少というような結果が出ております。鶏卵についての調査でございますが、これは調査の結果ほとんど影響がないということになっております。先ほど申しました騒音の人身等に与える影響につきましては現在調査中でございまして、調査の結果がまだ出ておりません。母乳とか、乳幼児の発育、難聴者に与える影響というような調査項目でございまして、なかなか急には出ないのでございまして、いましばらく調査を継続して、なるべく早くその結果を出したい、こういうふうに考えております。
  246. 島本虎三

    島本分科員 そうすると、今まで被害がはっきり出たものに対しての補償は考えましたか。  それからもう一つ、板付の飛行場の周辺の子供たちの中学校から高等学校への進学率が、基地周辺とそうでない方と約一〇%近く違ったという報告を私ども承りましたが、これは重大じゃないかと思います。それに対する対策はどういうように講じましたか。
  247. 林一夫

    ○林(一)政府委員 板付周辺の児童に与える影響につきましては、福岡市当局が調査したということを聞いております。その調査の結果の大体のところを聞きましたのでございますが、学童に与える影響は相当あるものと考えております。従いまして、現在の防音対策としましては教育施設を優先的に扱う、防音工事はまず教育施設から始めて、なるべく早くこれを完成したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  248. 島本虎三

    島本分科員 F104Jの場合には、その防音装置さえも全然だめになるおそれがあるのですが、千歳並びに板付なんかの場合は、今調査しておる今までの概念ではだめだ。新しいF104Jを持っていく場合には、これまた別な考え方で対処しなければならないと思うのですが、それも一緒にやっておられますか。
  249. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 実は御指摘の問題につきまして、ここ二、三日来真剣になって目下研究をいたしておるのでございます。従来から、林長官からお答え申し上げました通り、ここ二、三年前から個々の問題については調査研究をいたしておるのでございますが、私の考えておりますのは、総合的に科学的に、これを相当な期間をかけると申しますとまたいろいろ御意見もありましょうが、やはり権威のあるものをつくらぬと今後補償するにしましても、あるいはまたいろいろな対策を立てるにしましても、従来の調査だけでは総合的な対策がどうも立ちにくい。従って、ここ二、三日来秋が研究をいたしておりますのは、従来の調査をも十分参考に取り入れまして、新しい構想のもとに騒音の与える影響についてきわめて早急に調査をいたしたいと考えております。その権威のある調査結果に基づいて今後の施策を強力に推進して参りたいと考えております。
  250. 島本虎三

    島本分科員 これは長官在任中にぜひその成果をここに発表して、それによって対策を完全に講じて、それによる補償によって民生の安定のために寄与してもらいたい、努めてもらいたい、これを強く要請しておきたいと思います。もっとこの問題につきましては日をあらためてもう一回長官の御高見を拝聴して、討論したいと思いますので、これで私は納得したのではございませんが、一応この程度でとめさしてもらいたいと思います。  次に、もう一つ伺います。これはまた同じ北海道ばかりで恐縮ですが、北海道の余市町に海上自衛隊関係のヘリコプター基地ができるような印象を住民が現在持っておるわけであります。しかしながら、こういうような状態が、もしそうだとすると何ですけれども、予算にもこれは見当たらないようなところを見ると、これは風評であってはいけない。こういうことによって防衛庁が権威を疑われたら、おそらく困ると思うのです。こういうようなことが風評として立っておりますが、どういうことになっておりますか。これをつまびらかにしていただきたいと思います。
  251. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 北海道の余市町から、ここ二、三年来自衛隊の誘致の陳情のございますことは事実でございます。これは各地から陳情がであるのでございまして、われわれは今後自衛隊の増設をはかるような場合には、その陳情などを参考にいたすのでございますが、今日早急に余市町に海上自衛隊を設置するということは現在考えておりません。将来の将来はどうなるか知りませんが、今日の段階では日程には上っておらないのでございます。御了承願います。
  252. 島本虎三

    島本分科員 そうすると、第二次防衛計画に入っておらない、こういうように了解しておきたいと思いますが、その通りですか。
  253. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 その通りでございます。
  254. 島本虎三

    島本分科員 それから、ともすれば、最近住民の中に、こういうような基地が一つできると二千人ほどの人がそこを利用し、そういうような人たちが来てくれるので、町の繁栄のためにもよろしいというような幻想を持っておられる向きもあると思うのです。この二千人もふえるということになると、おそらくこれは相当なものじゃないかと思いますが、二千人もふえるというようなこの風評に対して、長官、どういうようにお考えでございましょうか。これはそういうことがあり得るものでしょうか。
  255. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 どうも風評にまで私はお答えするわけには参りませんけれども、自衛隊が新たに設置されますれば、隊員なりあるいはその家族なりがふえますから、もしも自衛隊が設置せられることになればという前提の上に立てば、それは千人であるか二千人であるか知らぬが、そのような風評の立つことは私はいなめないと思います。
  256. 島本虎三

    島本分科員 しかし、現にそういうような計画にもない、ないのに——二千人、三千人といえば、町としては大きいかもしれません。そういうようなことを言って惑わしてはいけない。ヘリコプターの基地とかそういうことで、二千人なんというのはどういう場所であるか、想像できないようなことだと思います。おそらくそういうことはないと思います。ヘリコプター基地ならば何人か何十人ぐらいじゃないでしょうか。こういうようなことで討論してもしようがないし、計画にはっきり載ってないとすると、二千人でそういうようなことはとうていあり得ないということで了解しておきたいと思います。ただ、長官にお願いしておきたいと思います。こういうようにして一つのことをやると、こういう問題に限って、やはり相当中で反対する人、賛成する人が分かれて争うようなことになる。こういうような場合には、少なくとも選挙やそういうことにあまり利用することがないように、こういうような点は大きい観点から十分にお考えおき願いたい、こういうように思うわけでございます。もっともっと私はやりたいのですけれども、きょうは時間がないのがほんとうに残念ですが、もう一回目をあらためて、今までの問題についての経過並びに今後の発展について質問をしてみたいと思います。今答弁なされましたことについて十分に御検討願って、そして一つ一つわれわれの納得のいくように御準備願っておきたい、こういうように要望いたしまして、私の質問はこれで終わります。
  257. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 午後二時四十分より再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後二時八分休憩      ————◇—————    午後二時四十四分開議
  258. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。  主査が所用のため暫時出席がおくれますので、主査が出席されますまで、主査指名によりまして私が第一分科会主査の職務を行ないます。  防衛庁及び科学技術庁の予算について質疑を続行いたします。  加藤清二君。
  259. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私は、この際防衛庁に、基地周辺の騒音による民生の不安定、これについて二、三お尋ねしたいと存じます。  すでに本件は、去年の委員会におきましてもお尋ねをした点でございます。聞くところによりますと、本件に関しては特別立法の用意があるとか聞いておりまするが、長官、いかがでございます。
  260. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま御指摘の基本法の問題でありますが、これは御承知通り、自民党の特別委員会で立案いたして、すでにその成案を得ておるのであります。この成案を中心に、内閣に設けられております基地対策協議会が各省と連絡をいたしまして、検討を重ねたのでございますが、現段階におきましては立法化するに至らない状況にあります。防衛庁といたしましては、三十九年度にはぜひともこの基本法の具体化をはかりたいと考えておる次第でございます。
  261. 加藤清二

    加藤(清)分科員 これは基地周辺に対する対策の特別措置法だと思いますが、基本法でございますか。
  262. 上田克郎

    ○上田政府委員 ただいま大臣が申されました自民党の対策委員会での試案がございますが、それはいわゆる基本法ともいうべきものでございまして、実際に実施いたします場合には、またそれぞれの実施法が必要だと考えております。
  263. 加藤清二

    加藤(清)分科員 実施されるところの法律案、これはいつできるのですか。その用意はございますか、ございませんか。措置をするところの案……。
  264. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいまお答え申し上げましたように、まず基本法をつくりまして、この基本法に基づいて実施の立法化が必要だと考えておるのでありまして、その基礎になるべき基本法がただいま申し上げたような段階でございまするから、防衛庁といたしましては、三十九年度以降に実施の立法化を考えて参りたいと思うのでございます。
  265. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そうすると、三十八年度は何ら立法措置は行なわれずに、今まで通りの措置でする、こういうことでございますか。
  266. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 三十八年度は、仰せの通り、従来の方針に基づいて推進して参る考えでございます。
  267. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは、その基本法でなくして、実施措置、ほんとうに措置をするという具体的な法律は、一体いつできるのですか。
  268. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 先ほどから申し上げておる通り、おそらく基本法は三十九年度以降にならなければ具体化しないと思うのでございまして、現在防衛庁といたしましては、実施の立法化は考えておりません。
  269. 加藤清二

    加藤(清)分科員 基本法だけで特別な措置を行なうとあなたはおっしゃるのですか。基本法となると、たとえば農業基本法のようなものでしょう。それで実施に移されますか。そういう法律でございますか、あなたのおっしゃる基本法というのは。そこのところをはっきりしてもらわぬと、それによって実施の時期が変わるからでございます。基本法で実施ができればけっこうでございますけれども……。
  270. 上田克郎

    ○上田政府委員 基本法だけでは、御承知のように、実施がなかなかできないわけでございまして、従いまして、基本法をつくります際は、同時に実施法も考えていくのが順序かと思っておりますが、基本法そのものにつきましては、先般の閣僚懇談会におきまして、なお研究をするということになっております。
  271. 加藤清二

    加藤(清)分科員 研究を何年続けられるかは、それはあなたの方の御自由かもしれませんけれども、被害を受けておるのは毎日ですからね。特に本件に関しては、去年この委員会で、さきの長官の藤枝君がはっきりと早急に対策を立てますという答弁をしておる。あれからすでに一年たっている。にもかかわらず、基本法を三十九年になってつくりますの、それから先の実施の法律はまだ先でございますのというと、一体あなたの方は、何年かかるとこの毎日の被害を除去するための具体策が立てられるのですか。
  272. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 御承知通り防衛庁は特別立法がなくとも、現実の深刻なこの事態に対処しまして、前向きの行政の運用によりましてその効果を上げるようにせっかく努力中でございます。
  273. 加藤清二

    加藤(清)分科員 言葉では今日は承知しませんよ。あなたのそんなこの場限りの言いのがれの言葉だけでは。前向きの姿勢と、言葉で前向きになっておると言ったって、たとえば去年ここで約束したところの、騒音によりラジオが聞けない、電話が聞けない、テレビがきらきらで見えない。それがどれだけ前向きで是正されておるのですか。
  274. 上田克郎

    ○上田政府委員 ただいま御指摘のラジオ、テレビの騒音の問題につきましては、郵政省が中心になりまして調査研究をいたしてもらっておりまして、現在もわれわれの立場といたしましては、早急に何らかの方法でこの救済策を考えなければならぬという立場で、防衛庁といたしましては関係庁と協議いたしております。
  275. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そんな、しなければならぬことは初めからわかっているということ、去年の委員会でちゃんとそう答弁しているのだから、何年たったらやれるかということです。  特に私は、事務当局には言いたいのだ。志賀さんは、なって日が浅いから、これはやむを得ぬとしても、それにしてからが、事務引き継ぎというものがあるはずだ。一体事務当局は、何年たつとやるのです。あなたの方の大臣は、地方へ演説に出られますと、今日ほどスピード感の必要なことはない、こういうことを言っておる。三年たつとできるのがスピード感ですか。今のお話によれば、去年早急にやると言っておいて、基本法はというたら、三十九年にしかできません、実施法はそれからでございます。前向きの姿勢とか言って、何年かかったら実施に移されるということですか。期限を聞きましょう。
  276. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 前向きの運営ということを私が申し上げたのは、一例をあげれば騒音対策の問題でございます。騒音対策をやるやると言うのは単なるラッパでございますが、私はラッパを吹くことはきらいでございます。  そこで、私は、騒音対策費を三十八年度予算に、これは私としてはかなり努力をいたしまして、増額をいたしました。予算が増額になればなるほど、それによって防音対策が実施に移されるのでございますから、私は、前向きの行政の運営によって着々と実効を上げる、そのことを申し上げるのでありまして、昨年と今年の予算が同じで、そうして前向きの運営と申すのでは、私の話に誤りがあるのでございますが、十分だとは思わないけれども、かなり私としては努力をいたしまして、前向きの予算を計上したつもりでございます。
  277. 加藤清二

    加藤(清)分科員 大臣はラッパは吹かれぬでしょうけれども、しかし、スピード感が大事だというあなた方の大幹部のあれとはおよそ見当違いであって、これは牛車の歩みにひとしいのですよ。  それじゃ、あなたのペースによって質問を続けますけれども、このケリをつけるために、一体いつになったらやりますかということをはっきり聞いておきます。
  278. 上田克郎

    ○上田政府委員 ラジオ、テレビの騒音の問題の解決につきましては、基本法以前に、私たちの希望としては、三十八年度中にできればやってもらいたい、そういうような考え方を持っております。
  279. 加藤清二

    加藤(清)分科員 つまり、すでに学校に対してはその防音装置が順次できつつあるけれども、民間に対しては何らそれが行なわれていない。その民間に対する措置を基本法のできる前に実施に移す、こういうことでございますか。   〔正示主査代理退席、主査着席〕
  280. 上田克郎

    ○上田政府委員 民間に対する措置と申しましても、今のラジオ、テレビの聴視料の問題という意味で、あるいはよく見えるようにする問題という意味では、先ほど申しましたように、できるだけ基本法以前に解決できたらというのが私ども希望でございます。
  281. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは、順次質問を進めていきたいと存じますが、去年の予算委員会、ことしの総括質問等でも触れました。総理も常に、このことは早期解決をしなければならぬと、同様な趣旨を答えておられるわけでございます。ところで、それが今のお話で、基本法はおくれるけれども、その対策がそれ以前に行なわれるということであれば、これは法律をつくったと同等の効果があれば何をかいわんやでございます。  そこで、あなたの法律以前に立てられる対策というものは、基本法ができた以後における対策と同等なものでございましょうか。それとも、言葉だけのこの場の言いのがれでございましょうか。去年のこともありますから、念を押してお尋ねするわけでございます。
  282. 上田克郎

    ○上田政府委員 基本法に盛られております内容は、きわめて広範にわたっております。従いまして、基本法以前に現在の法令のもとで行政的に措置し得る問題と、それから、基本法がなければ措置できない問題とあると思います。ただいまお話しのラジオ、テレビの問題につきましては、いろいろな立法技術もあろうかと思いますが、われわれといたしましては、基本法ができなくても、現在の行政措置でできるような方法がなかろうかということで考えております。  なお、現在基本法ができなくてもわれわれが精一ぱいやっておりますことは、午前中も申し上げたのでございますが、防音工事、特に教育関係施設、小学校、中学校の施設をできるだけ早く完成したいというのが、現在の騒音対策の最重点事項と考えております。ところが、その防音工事自身もなかなか早急に完了しないような現状でございますので、基本法でその他いろいろなことを一時的に措置するようなことはなかなかできかねるのじゃなかろうか、今の法令のもとでできる限りのことをしたい、そうして予算もできるだけ多くしてもらいたい、それが私たちの現在の立場でございます。
  283. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは、立法以前にあなたの手元ででき得ることは、何と何と何でございますか。
  284. 上田克郎

    ○上田政府委員 第一番に重点に考えておりますのは、防音工事をできるだけすみやかに完了する。それも、教育施設の防音工事をまず第一義にいたしまして、それから公共施設と申しますか、医療施設、病院をその次に考えております。病院も公立の、市町村あるいは府県の建てております病院を第一義にいたしまして、それから、けさほども質問がありましたが、その他共済組合であるとかそういった公的なもの、そして最後には私的なものというふうになろうかと思います。その段階までいくまでには、まだ学校の防音工事すらなかなか終わらない、そういうことじゃなかろうかと思います。  それから、基地周辺でいわゆる騒音の問題として考えておりますのは、その教育施設が第一でございまして、先ほどちょっとお触れになりました一般私人の民家で勉強部屋の防音工事をしてほしいというような要望もございますけれども、そこまではとても及びがつかないというのが現状でございます。
  285. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そうしますと、法律のできる以前に、あなたのお手元で、教育施設の防音装置、設備、あるいは病院等の公共団体が使用するところの設備、これはする。民家であったとしても、テレビ、ラジオ、電話等々の障害は除去する。こういうことでございますか。
  286. 上田克郎

    ○上田政府委員 テレビ、ラジオ等の技術的な障害除去の方法というものは、郵政省で今研究してもらっておりますが、問題は、そういった障害の起こる場所での聴視料の問題というものも一つの解決の方法かと思います。その解決の方法につきましては、先ほど来申し上げましたように、技術的にどんな方法でこれを減免する方法があるかということを、私たちの気持としては、三十八年度中には何らか解決したいというのが私たちの希望でございます。  それから、先ほど申しおくれましたけれども、そのほかにどんな措置があるかという問題といたしましては、たとえば離着陸の正面にあります民家等の方で、ある程度以上の騒音で、どうしても自分としては引っ越したいという家庭に対する移転の補償の問題は、これも午前中にお答え申し上げましたが、どの程度までの騒音の方が移転を希望なさいました場合に移転補償をいたすかという点の基準は、現在調査と相待って研究いたしておりますが、だれが見てもひどいというものについては、すでに実施した例もございますし、先ほどお話の今後早急に実施したいと思っておりますものもあるわけでございますので、移転補償も考えている、そういうふうに御了承願いたいと思います。
  287. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それは、三十九年度に立法措置が行なわれる、それ以前に行なうということは、三十八年度中に以上のことを実施に移す、こういうふうに解釈せなければならぬが、それでよろしゅうございますか。
  288. 上田克郎

    ○上田政府委員 移転補償につきましては、すでに実施したものもございますし、それから予算がまだ組んでない、先ほど千歳の問題がございましたが、予算が組んでないものにつきましては、実態を調査いたしました上で三十九年度の予算に組むように努力いたしたい、そういうことでございます。  それから、その移転補償の問題は、基本法ができませんでも、現在の法令でできると考えております。
  289. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私の聞いているのは、三十九年に基本法ができる。あなたに対する私のその前の質問は、それ以前に何をするかと言うたら、今のことをおっしゃったわけだ。つまり、法律以前にそれができますかと念を押している。  なぜこんな念を押さなければならないかというと、去年この場でかたく約束されたことがほとんど実施されていないからなんだ。つまり、なかなか信用が置けかいからなんだ。そこで念を押しておきます。どうなんです。
  290. 上田克郎

    ○上田政府委員 特に念を押された部分が、ラジオとテレビの騒音の問題、その聴視料の減免の問題でございますと、先ほどから申し上げておりますように、これを法律で書かなければいけないかどうかという点を現在研究いたしていることでございまして、私たちの希望といたしましては、いわゆる基本法という法律ができなくても、ラジオ、テレビの減免は何か実行ができるのではなかろうか、そういうつもりでおるということでございます。
  291. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それで、以前にやられますね。
  292. 上田克郎

    ○上田政府委員 以前にやりたいと思っております。
  293. 加藤清二

    加藤(清)分科員 だんだんと、こういう調子なんですから、よく聞いておいて下さいよ。法律以前に前向きの姿勢でやる、こう言ったのだから、何と何と何をやりますかと言ったら、今述べておいて、今度ほんとうに念を押したら、やろうと思っています。これじゃ困るんですよ。
  294. 上田克郎

    ○上田政府委員 私の方だけではできないことがございますので、防衛庁としては、基本法ができる前にでも、ラジオ、テレビの問題は解決したいということで、関係の郵政省などに、内閣審議室を通じてお願いをしておるところでございます。私のところでやれるとまでは、今のところ研究はいっておりませんので、やりたいと思いますという意欲を申し上げたわけであります。
  295. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そうすると、あなたのところが今言うた通りそれを実行に移そうとすると、内閣の審議室の協議なり、許可なりを得なければならぬということですね。その点が心配だ、こうおっしゃるのですね。
  296. 上田克郎

    ○上田政府委員 この減免の方法を法律でやらない場合には、現在その所管であります郵政省にお願いをするわけであります。お願いをして、郵政省の方で措置をとっていただくことを期待しておるわけであります。
  297. 櫻内義雄

    櫻内主査 加藤君に申し上げます。電波監理局長が見えました。
  298. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは、電波監理局にお尋ねします。  あなたは、去年この席において、私と時の長官藤枝氏と、それから電波監理局と来ていただきまして、お約束したことを、電波監理局は約束通り実行に移しておられますか、おられませんか。第一番に……。
  299. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 おくれて参りまして恐縮でございます。  実は前国会におきましてお約束いたしました点につきましては、当時私、直接出席いたしておりませんが、聞いてはおります。それで、この小牧の基地の周辺におきまするラジオ、テレビの受信障害の問題につきましては、われわれとしても非常に頭を痛めておりまして、いろいろ実地調査もいたしましたし、またこれの対策につきましては、現在われわれの方も研究いたしております。それから、何と申しましても、御承知のように、減免の問題ということになりますと、これはNHK、ここがまずそういうふうに踏み切ると申しますか、そういうことが必要でありますので、今NHK当局に対しまして、その点につきまして検討を命じておりますので、おそらく近いうちに結論が出るのではないか、こういうふうに考えております。
  300. 加藤清二

    加藤(清)分科員 頭を痛めたり、その調査をなさることは、これはもうとっくの昔にやってもらわなければならぬことです。今や調査ぐらいなことは、民間の方でたまりかねて、自分らが金を出し合って大学教授に頼んだり、県会においてそういう特別な委員会をつくって、おのれみずからの手で調査を進めておるのです。去年の約束では、今のお話のNHKに対するサゼスチョンもあわせてやりますと答えた。それは、なるほどあなたは去年の人と違うでしょう。おそらく来年尋ねてみれば、長官も局長もまたかわっておるでしょう。そうして、前の人から聞いたけれども、できませなんだと——ラジオやテレビ、電話は、来年できるのじゃございませんよ。困っておるのは毎日なんです。約束したことがなぜできないんだ。   〔主査退席、正示主査代理着席〕
  301. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 時間をとっております点、まことに申しわけないと思いますが、もうしばらくの御猶予をお願いしたいと思います。
  302. 加藤清二

    加藤(清)分科員 あなたはすでに、目下NHKに対してサゼスチョンしていると御答弁になりました。NHKのだれにサゼスチョンして、何という答弁がありましたか。
  303. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 NHKの副会長に要請してあります。それで今、鋭意研究いたしておりますので、もうしばらくの御猶予をお願いしたい、こういうことでございます。
  304. 加藤清二

    加藤(清)分科員 もうしばらくというのは、何年先のことか、何カ月先のことでございますか。
  305. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 もちろん何年ということはありませんで、もうごく近々のうち、こういうふうに確信いたしております。
  306. 加藤清二

    加藤(清)分科員 近々とは、何カ月です。
  307. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 ちょっとその具体的な期間につきましては、御即答申しかねるわけでございます。
  308. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私がこのことをきょう初めて言うのじゃないのです。去年初めて言うのじゃないのです。終戦直後、米軍のジェット機が飛ぶようになってから、それ以来、来る年も来る年も言うておる。毎年言うとるのです。毎年同じ答弁が繰り返されておる。共通する点は何かというと、やらぬとは言わないけれども、必ずやりますと言うのだ。ところが、それが軌を一にしていることは何かというたら、毎年実行に移されていないということなんだ。ということは、あなたたちはこの場だけで、言いのがれで、あとは知らぬ顔をしているということなんだと言われてもやむを得ないでしょう。  努力はしたけれども効果がなかったということならば、その内訳を聞いてみましょうか。どんなに努力なさったか、そこをはっきり言ってみて下さい。どんなに努力なさったか。まず、防衛庁から聞きましょう。
  309. 上田克郎

    ○上田政府委員 防衛庁といたしましては、直接の関係者でありますこともありまして、特に基地周辺の問題の協議会というのが内閣審議室を中心にございますところで、私が着任いたしまして以来でもすでに十数回開いたと私は記憶しておりますが、関係省と集まりまして、何とかしてほしいという検討をいたしました。
  310. 加藤清二

    加藤(清)分科員 郵政省の担当の人来られましたか。  十数回とおっしゃいましたね。
  311. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 加藤さんに申し上げますが、西崎電波監理局長がお見えになって、先ほど来御答弁に当たっております。
  312. 上田克郎

    ○上田政府委員 ただいま十数回と申しましたのは今確かめましたら、現実に内閣審議室で主宰をいたしましてやりましたのは六回か七回ということでございます。ただ、私の記憶では何回も行ったような記憶がございましたもので、失礼いたしました。
  313. 加藤清二

    加藤(清)分科員 数回行なわれたのを十数回とおっしゃったからといったって、そんなことをけしからぬとか、どうとかいうのではございませんから、その点はどうぞ御心配なく。ただ、あなたの方はやるかやらないかということが問題なんだ。答弁はもう私は聞き飽きた。来る年も来る年も、やるやると言うけれども、やったためしがないのです。だから、いつ何をどうするか、これだけでいいです。  そこで、電波監理局、あなたの方は十数回——ではなかった、数回でしたね。この数回相談を受けた。防衛庁は、それに対して頼み奉っているという話だ。あなたの方はどういう態度をとっておられます。
  314. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 先生も御承知のように、この受信障害というものはいろいろなケースがございます。もちろん基地の問題は一番大きな問題の一つだと思いますが、たとえばガード下でもやはりラジオが聞きにくいとか、あるいはテレビが見にくいとかいった問題がございます。あるいはまた、いろいろ近くの工場その他からの電気的な障害によりまして聞きづらかったり、見づらかったりする場合がございます。そういった面にこの減免という問題が波及して参りますと、これはNHKの財政的な基礎の問題にも影響してきますので、われわれといたしましては、なるべくそういった影響と波及ということを最小限にとどめる必要があるということで、いろいろ頭を痛めて参ってきたわけであります。  それからまた、これも議論になって、はなはだ恐縮でございますが、一応NHKといたしましては電波は正常の状態で出しておるわけであります。それが見えなかったり聞けなかったりするのは、やはりジェット機が飛んだり、その他結局NHKの手の及ばないそういう原因によってそれ自体が起こるわけでございますので、われわれの方といたしまして、これはむしろそういう加害者——という表現を使いますと非常に差しさわるかと思いますが、そういう方面から補償していただいた方が、むしろ先低どのほかへの波及とか、それから筋の問題からいって適当なんじゃないか、こういう基本的な考え方を持っておりましたけれども、やはりいろいろこういった問題は、もう少し現実的にも考えなければならないのではないかということで、何か一つNHKで減免の線に沿ったような考え方、こういうことを考えてみろということで、先ほど申し上げましたように現在鋭意NHKで検討しておるわけでございますので、今度はその責任のがれの——今までももちろん責任のがれの答弁をしておるわけじゃございませんけれども、さっき申しましたような事情で延び延びになっておりますが、おそらく今度こそはごく近いうちに結論が出るのではないか、こういうふうにわれわれとしては期待いたしておるわけでございます。   〔正示主査代理退席、主査着席〕
  315. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ごていねいな御答弁で、ありがたいですけれども、時間が限られていますから、私の質問に答えて下さい。  何を、いつ、やるかやらないか、こういうことです。やるかやらないかと聞くと、やるやると言っておいて、やらないのだから、私は何を、いつするか、こういうふうに聞いていますから、よろしゅうございますね。御丁寧な御答弁、あるいは電波の内訳のいろいろな状況などは、私どもも、もうようよう耳にタコができるほど聞いてもおるし、調べてもおるわけです。要は、だれが責任を負って、いつやるかという問題なんですからね。  その意味において、ことしの予算を大臣に聞きます。大臣、あなたの監督下では、学校の防音装置、病院の防音装置、民家の移転の補償、電波関係の減免、これを法律の基本法のできる以前、すなわちこれがあなたのおっしゃる通りだとすれば三十九年にできますと、それ以前というのは三十八年度でございまするが、はたしてそれをほんとうにあなたはやれますか、やれませんか。
  316. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 三十八年度の防衛予算は、目下御審議を願っておるのでございますが、この予算の範囲内におきまして実行すべきものはどしどし実行して参ります。
  317. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そんなことはあたりまえの話で、予算の範囲内でどしどし実行するにきまっておる。問題は、それではことしの予算は幾らですか。大田に聞いておる。予算を知らぬということはない。大臣が自分がやるという仕事の予算を知らぬなんという、そんなばかなことがありますか。それはやらぬという証拠でしょう。熱がないという証拠でしょう。そんなことで予算審議ができますか。
  318. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 三十七年度の予算のうち、目下実行しておりまする防音工事は十四億三千一百万円でございまして、三十八年度は約二十一億円でございます。
  319. 加藤清二

    加藤(清)分科員 食い違っております。防衛関係の防音対策、これを大蔵大臣に聞きましたところ、九十七億あると予算委員会において答えております。それであと、それの訂正方を私のところへ依頼してこられましたけれども、それはいろいろ内訳を入れるとそれだけになるということであるので、よろしいということで、だから予算委員会のこの記録には九十七億と出ている。
  320. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま私説明いたしましたのは、自衛隊の施設に関する防音関係の予算でございまして、このほかに米軍使用さしておるところの基地周辺の防音工事費がそれに加わりまして、ただいまお示しになった金額になるわけでございます。
  321. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ならぬのですよ。あなたのそれはならぬのですよ。アメリカに使わしている基地周辺の防音工事だとおっしゃいましたね。それでそんなになりますか、九十七億に。なりませんよ。調べてごらんなさい。
  322. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 詳細な数字は、経理局長から説明いたさせます。
  323. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そういうふうだから——私はなぜあなたに聞くかというと、陳情の方々が行かれますると、みんなかずけ合いになっている。私の方はこう思っておりますけれども、あそこがやってくれぬ。あそこへ行くと、わしの方はこう思っておるけれども、予算が足らぬと言う。あなた、一番責任者でしょう。しかも長官でしょう。私は野党の一議員ですよ。議員でさえ購読しておることを、あなた、どうしてそんなことわからぬの。自分にやることですよ、自分に。答えて下さい。
  324. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 先ほど大蔵大臣の説明を大蔵大臣自身が訂正せられたそうですが、私も訂正いたしまして、自衛隊関係、それから米軍使用施設関係、合わせまして四十億円でございます。
  325. 加藤清二

    加藤(清)分科員 四十億円ですか。
  326. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 その通りでございます。
  327. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは、四十億の内訳を述べて下さい。
  328. 上田克郎

    ○上田政府委員 施設庁関係と自衛隊関係合わせまして四十億一千八百六十一万一千円でございます。その内訳を申し上げますと、施設庁関係米軍関係が二十億でございまして、日本が二十億千八百六十一万一千円になっております。
  329. 加藤清二

    加藤(清)分科員 米軍使用する二十億は、何に使われますか。
  330. 林一夫

    ○林(一)政府委員 二十億と申しますのは、米軍使用いたしておりまする米軍施設でございます。この周辺にありまする教育施設と医療施設、これに対する防音工事に要する補助金でございます。教育施設につきましては、三十七校、医療施設は一施設を予定しております。
  331. 加藤清二

    加藤(清)分科員 あとの二十億何がしは何に使われます。
  332. 上田克郎

    ○上田政府委員 自衛隊関係の二十億一千八百万円の内訳は、学校を三十七、病院を一、計三十八やることになっております。
  333. 加藤清二

    加藤(清)分科員 重複して行なわれているのですか。両方から予算が出るのですか。
  334. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま私が米軍関係の防音工事について間違った説明をいたしまして、訂正いたします。三十八年度の予算は約二十億という点は間違いございませんが、その内訳でございます。教育施設は約五十四校、医療施設は二施設でございます。
  335. 加藤清二

    加藤(清)分科員 先のあなたのおっしゃった三十七校と、今の五十四校は重複しているのか、全然別個であるのか。
  336. 上田克郎

    ○上田政府委員 全然別個でございます。
  337. 加藤清二

    加藤(清)分科員 志賀長官にお尋ねする。あなたは、前向きの姿勢でやっておるとおっしゃいましたね。防音装置の予算は去年も二十億ですよ。どれだけ前進したのですか。
  338. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま防衛施設庁と自衛隊関係につきまして経理局長からそれぞれ説明いたしたのでありますが、防衛施設庁関係では約七億増でございます。それから、自衛隊関係——どうも私は数字に弱いものでございますから——約六億増額いたしておるのでございます。この数字を見ただけでも、まあ私は前向きとはいばりませんけれども、前向きの態勢で運営しておることだけは、一つ加藤さん御了承願いたいと思います。どうも加藤さんは、あんまりわれわれの政府委員をしかり飛ばすように質問なさるものですから、われわれもちょっと数字が間違うのでございまして、どうか一つ穏やかにお願いいたします。
  339. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それじゃ、おとなしくやりましょう。長官、あなたの方がうそをつかなければ、何もおこる必要はないのです。私ほど気が小さくて、私ほどやさしい男は少ないと思っているのだ。ところが、来る年も来る年もうそをつかれてごらんなさい、幾らあなたがえびす顔をしておったって、ついつい、おこりますよ。そこで数字に弱いとおっしゃる長官の気持も受け取って、私はほんとは数字が好きなんですけれども、その好きなところを捨てて、まずあなたの腹を聞きましょう。  この二十億で三十七校、こういうことなんですね。小学校一つつくるのに、一体幾らかかると思いなさる。こんな予算でできますか。あなたは数字が弱いとおっしゃるから、それはあちらに聞きますけれども、これができるかできぬか、どうです。
  340. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 三十七校に対する私の方の予算は防音装置についての補助でございまして、これは当然三十七校できることで予算を計上いたしておるのであります。なお、私の方では、周辺の義務教育施設を三カ年計画で完遂したい。それから、米軍使用基地周辺は五カ年計画でこれを完了したいという目途で、目下前向きの態勢をとっておる次第であります。
  341. 加藤清二

    加藤(清)分科員 その数字で答えて下さい。一体それでは二十億でもって三十七校、またの二十億でもって五十四校、その何をやるのですか。それでもって鉄筋コンクリートの永久校舎、完全防音装置ができますか。
  342. 上田克郎

    ○上田政府委員 自衛隊の方の関係から申し上げますと、三十七校のうちで木造を鉄筋に改築するのは二十校の予定でございます。あとは木造のものに防音工事を施すものと、それからすでに鉄筋にできておりますものに防音工事部分だけをやるもの、そういうものになっております。
  343. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでできると思っていらしたら、とんでもない大間違いなんだ。特に木造ないしは鉄筋に防音装置をするといったら、窓を二重窓にするのですよ。天井を穴のあいたあれで張るのですよ。ところが、二重窓は冬はけっこうでございますけれども、夏の暑いときに窓を締め切って、冷房装置もなければ、結局は窓をあけなければならぬ、こういうことになる。窓をあけてしまうのですから、防音装置が何の役にも立たぬ。こういうことがあちらにもこちらにも起きている事実を、あなたは御存じですか。
  344. 上田克郎

    ○上田政府委員 そういう事実があることは聞いております。
  345. 加藤清二

    加藤(清)分科員 その予算でできますか。
  346. 上田克郎

    ○上田政府委員 理想的なことを申し上げますと、完全な換気装置と申しますか、冷暖房のベンチレーションを考えるのが理想的だと思いますが、この予算ではそこまで見ておりません。
  347. 加藤清二

    加藤(清)分科員 予算を見ていないとはしなくもおっしゃった。その通りです。あなたは正直でけっこうです、できないのだから。  それから、あなたは病院の防音装置をするとおっしゃいました。そこで、病院は幾つ、どのような措置をとられますか。
  348. 上田克郎

    ○上田政府委員 現在三十八年度予算で予定しておりますのは、小牧に病院を一つ予定しておりますが、これにつきましては鉄筋コンクリートに建てるわけでございますので、こまかい設計のことは私よく今存じませんが、相当の金をつぎ込むことになっております。
  349. 加藤清二

    加藤(清)分科員 結局一つですか。
  350. 上田克郎

    ○上田政府委員 病院につきましては、三十八年度一つでございます。
  351. 加藤清二

    加藤(清)分科員 病院で被害を受けているという数は一つや二つですか。
  352. 上田克郎

    ○上田政府委員 現在、病院で今後やっていかなければならないと考えておりますのは百十数ございます。
  353. 加藤清二

    加藤(清)分科員 先ほどあなたはこうおっしゃいました。三十九年に基本法ができる、それ以前に行なうことは何かと聞いたら、学校、病院、民家、電波関係の減免、こうおっしゃった。ところが、それは、三十九年以前というと、ことしの予算しかありませんよ。そうすると、あなたの言葉は、これ全部をするのでなくして、学校、病院、民家の移転等四つおっしゃったうちの、そのまた一部だけを行なう、こういうことですか。
  354. 上田克郎

    ○上田政府委員 私は、三十九年度に基本法ができるということを申し上げたのではございませんで、基本法がなくても現在の法律のもとでできることは何であろうかということで申し上げたわけでございます。その中で防音工事のことを第一義に考えている。しかし、予算の制約があってその防音工事自体もなかなか思うにまかせないということでございます。
  355. 加藤清二

    加藤(清)分科員 話の順序を間違えてはいかぬですよ。基本法はいつできるか、三十九年以降。では、三十九年以降は何をするか、前向きでする。前向きでする内訳はと聞いたら、私は数字はわからぬからあなたにまかせる。あなたにまかせたら、四つのことをおっしゃったわけだ。そうすると、これは完了するということなのだ。  そこで、そんなところであなたを困らしても始まらぬから聞き直しておきますが、この一部だけを行なう、こういうことですか、全部をやるということですか。
  356. 上田克郎

    ○上田政府委員 この、とおっしゃいました数字が、もし学校三十七、病院一ということでございましたら、それは全部いたします。そのほか防音工事としてはもっとやらなければならぬことがまだ残ります。
  357. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私の話のレールに乗っけて話して下さい。学校は三十七、病院は一つ、あなたはこうおっしゃった。それをやるとおっしゃった、そんなことを念を押しているんじゃないのだ。次に、被害を受けておる病院は一つですかと言ったら、そうじゃない、たくさんあるとおっしゃった。そうなると、ことしは一つしかできないということなのです。残りの方が多いということなのです。従って、あなたのおっしゃった四項目は、これはことし一部をやる、こういうことですねと聞いているのだ。
  358. 上田克郎

    ○上田政府委員 その通りでございます。
  359. 加藤清二

    加藤(清)分科員 わかりました。そうなりますと、前向きの姿勢で進軍なさる長官、ことしの予算はほんの一部しかできない予算、こういうことですな。そうでしょう。あなたは二十億で、予算はいただいただけしっかりやるとおっしゃるが、そんなことはあたりまえの話で、二十億ばかりで基地周辺の百にも余る学校ができっこないのです。これはどうします。
  360. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 先ほどから何度も申し上げておる通り、一どきに全部の防音工事を学校に施すことはできないのであります。これは加藤さんといえども御了承願えると思う。そこで、従来のままの防音工事に関する予算であれば、おそらく義務教育関係施設だけを取り上げてみましても、六年くらいかかる。それを私は前向きの態勢でいこうということを決意して、私も及ばずながら努力をいたして、さいぜん申し上げたように、予算の増額をはかって、義務教育の学校の防音工事については三カ年計画を目途にやる。その一年度目の学校の数、それがただいま経理局長から申し上げた数字でございます。従って、私は三年計画にこれを切り詰めたのであります。同時にまた、米軍使用基地についても数年以上かかるものを五カ年の間で一つ格好をつけてみようじゃないかということで、これも施設庁長官から説明のありましたような五十七校でございますか、そういうものをとりあえず本年度完成をさせようということでやっておるのでございまして、仰せのように全部が全部をやり、また病院も全部やればよろしいのでありますが、私の方針は第一番目のランクとして、義務教育関係の学校の防音工事をとにかくやる。その次には病院の問題をやる。さらにその次にはいろいろな公民館の問題なり、社会福祉の施設の問題まで発展させ、さらにあわせて個人の民生安定の面までも考えるのが当然であろうと思っておるのでありまして、今年は防衛庁といたしましては、非常に努力を払って実施をいたさんとするのが経理局長から説明した数字でございます。
  361. 加藤清二

    加藤(清)分科員 時間を急ぎますから、簡単に答えていただきたい、やるかやらぬかという工合に。  しからば一度にはできない。一度にできないなら三年計画、五年計画で完成する。こういうことが言い切れますか。三年たったら学校は全部よくなる、こういうことですか。なぜこんなことを聞かなければならないか、再び申し上げます。何べんもうそをつかれる。しかも轟音が起きるのはあらしと違うのです。あらしの対策なら突発的に出たからやむを得ぬのですけれども、この問題はもう長年きている。高校の増設、急増はできないというけれども、何が急増であるか、高等学校に入る子供がふえたことは十数年前からちゃんとわかっておるはずなんだ。それが急に入るようになってからやりかけるから急増なんだ。それと同じで何もおたくが大臣になってから始まったことじゃない。アメリカ軍が来るようになってからもくる年もくる年もこのことが問題になっている。  さて次にお尋ねしたいことは、この被害のおかげで高等学校、中学校に入学したいという子供の成績が下がっております。ここにデータを持っておりますけれども、私は次の質問者が参りましたので簡単に端折りますが、あと五年もかかるそうだ。ときに三年もかかるとおっしゃっておる。いずれにしても一番高等学校の生徒がふえて、一番入学難の時代にはまだ救われないということなんだ。これに対して文部省、調査、研究、対策、簡単に答えて下さい。調査研究はどんなになっておるか、それからどのような対策を講じておるか。
  362. 杉江清

    ○杉江政府委員 騒音が児童生徒の学力にどのような影響を及ぼすかにつきまして、これは学問的にはなかなかむずかしい問題ではもりますが、三十一年度に行ないました全国学力調査の結果を詳細に分析したものが最も信憑すべき資料と考えております。これは国語、算数について行なったのでありますが、その結果、騒音の被害をこうむっている学校は、全国平均よりもその得点が劣っておる。こういう結果が出ております。ただ、その結果が音響の被害のみに基因するかどうかについては、まだ問題が残っておりますが、それによって騒音が学習上にも影響を及ぼしておるということは言えるかと存じております。
  363. 加藤清二

    加藤(清)分科員 きまっているじゃないか。先生の講義が途中で聞こえなくなる。そこでこの対策は。
  364. 杉江清

    ○杉江政府委員 対策としましては、やはり当該学校の先生がそういう事実を十分指導上に生かして、それを補うような工夫をこらしていく、そういう点に帰着すると思うわけであります。この学力調査の結果もそういう意味で活用するように指導しておるわけでございます。
  365. 加藤清二

    加藤(清)分科員 だれに指導されておりますか。
  366. 杉江清

    ○杉江政府委員 教育委員会に対してそういうふうな指導をいたしております。また、全国学力調査の結果の利用については、そういう点を特に報告書の中でも取り上げておりますし、また、その後もそれを資料にいたしまして指導上注意すべきことを申し添えております。
  367. 加藤清二

    加藤(清)分科員 教育委員会に防音装置のことを言うてどういう効果があります。教育委員会は難聴児のことは過去において研究しておったかもしれぬけれども、一斉に難聴が起こる、こういう問題についてあなたの方で何か研究したことがありますか。研究せずに、指示もせずに、ただそれを除去せいと口で言ったって何にもならぬじゃないですか、あなたの方はそれについて何か予算でも組んでおりますか。
  368. 杉江清

    ○杉江政府委員 私の申し上げましたのは、学習上また指導上どういう配慮をすべきかという点についてお答え申し上げたわけでございますが、この障害の排除は、やはり防音工事その他によって音響の被害を根本的に除去するということが根本的な対策であります。
  369. 加藤清二

    加藤(清)分科員 あなたは教育方法や教育管理をどれだけ言うても直らぬということをそれだけよく御存じならば、あなたは防衛庁とどの程度折衝をし、その障害除去に努めておられますか。文部省はそういうことをやったことはありますか、ちょっと聞きます。防衛庁長官、そういう相談なり、協議なりを文部省から受けたことはありますか。
  370. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 私は、閣議におきまして荒木文部大臣とは常に連絡協議をいたしております。
  371. 加藤清二

    加藤(清)分科員 荒木さんがどんな献策をされました。予算はこれでいいとおっしゃいましたか。
  372. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 やはり学校の防音対策は万全を期してもらわなければならぬということは当然のことでございまして、特に私が今回大蔵省と折衝をするにあたりましても、陰に陽に協力を願った次第でございます。
  373. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは防衛庁当局に聞きますが、あなたたちは、文部省の直接この担当であるところの担当官と話し合われたことはありますか。なぜ私がこういうことを聞かなければならぬかというと、末端の方では全部かずけ合いをしておる。もともと特別調達庁であった時代からみなかずけ合いをしておる。それで念を押しておかなければならぬ。もしあなたたちが、今大臣のおっしゃるごとく、それほど緊密な連絡をとってやっておるとするならば、親心子知らずだ。ところが事実末端が言うことが正しいとするならば、長官の言うことはきょうに始まったことで以前からはやってないということだ。そこで、もしやったとするなら、何回どこでやりましたか。
  374. 上田克郎

    ○上田政府委員 防音工事の問題について、直接文部省の方からどういうふうにやってくれということを私は聞いたことはございませんが、私たちとしては、多ければ多いほどよいということで予算獲得に努力しております。
  375. 加藤清二

    加藤(清)分科員 最後に、NHKの副会長と電波監理局との関係、これについて防衛庁はどのような交渉を進めておられますか、全然ノー・タッチですか。
  376. 上田克郎

    ○上田政府委員 電波監理局の方、あるいは郵政省代表の方と内閣審議室にいつもお集まり願って相談しているわけであります。
  377. 加藤清二

    加藤(清)分科員 NHKとの関係です。
  378. 上田克郎

    ○上田政府委員 NHKに対しては、私の方からは直接はお願いしておりません。
  379. 加藤清二

    加藤(清)分科員 NHKとの交渉は去年この場で約束されていることでございます。それが一年間放置されておったわけでございます。当然聴取料の減免ということに相なりますれば、これはNHKの関係でございますと去年お答えになりました。そこで私は、しからば参考人として呼んでもらいたいと言ったところ、いいえそんなことせぬでもやりまするということだった。記録を読んでごらんなさいよ。古証文持ってきましょうか。ところがNHKとの交渉は行なわれていないようでございます。そこで、古証文を云々したって始まりませんから、将来に向かって電波監理局とNHKとあなたの方とが協議される意思があるかないか、あるならいつ行なわれるか、それを聞いておきたい。
  380. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 私から特にお答え申し上げます。  これは私の方の事務当局だけが集まってもなかなか問題でございまして、内閣審議室において全員が集まったところで協議をしないというと、なかなか話が着実に進まぬと思うのでございまして、特にこの問題は、先刻来加藤さんからだいぶおこられおこられ御質疑願っておるところでございまして、私も特に内閣審議室の方に申し出まして、電波監理局がNHKの電波関係の監督官庁でございましょうから、どうも私どもがNHKを呼ぶというわけには参りませんから、あくまでも監督官庁である郵政省を通じまして適切な協議を進めて参りたいと思っております。
  381. 加藤清二

    加藤(清)分科員 長時間にわたりましてありがとうございました。ぜひ一つ民生の安定、教育の前進のために、長官の勇気あるもう一歩の前進を要請するわけでございます。ゆめ今までのように、から証文にならないように、から手形にならないように、あなたの良心を私は切に期待するものでございます。歴代の長官が手がけたけれどもなかなかできなかったことを、もしあなたが行なわれたとするならば、これは志賀長官の名前が歴史に残るのみならず、やがて民間にありがたい長官であったという感謝の念がほうはいとしてわくと存じます。これは何もあなただけでなしに、担当の方々には大へん迷惑をかけることでございまするけれども、文部省、郵政省みな同じでございますが、日々のがれることのできない被害、それを受けつつ耐え忍んでいかなければならない地方の人のために、全国十数カ所にわたって行なわれておるこのことのために、ぜひあなたの勇気を期待いたします。
  382. 櫻内義雄

    櫻内主査 受田新吉君。
  383. 受田新吉

    ○受田分科員 時間を短くして要点をお尋ねしますから端的にお答えを願います。  このたびの豪雪対策に、志賀長官の輩下にある各自衛隊の部隊が全面的な協力をされて、その成果を上げて下さったことに対して、私は深甚な謝意を表したいと思います。これは、自衛隊が国民と直結する大事な仕事をするという一面が遺憾なく発揮できたものとして、私自身も大いに謝意を表したいと思うのでございます。  ただここで問題は、自衛隊がそういった災害対策に出動した際における経費はいかなる形で支出されるのか。自衛隊の出動に対して要した費用は、自衛隊の訓練費をそれに充てておるのか、あるいはこうした特殊の災害に対する特別の予算の流用、予備費の支出等によって特別のワクを出されておるのかどうかをお答え願います。
  384. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま受田先生から、わが自衛隊が当然の任務として出動いたしましたことについて、深甚なお言葉をいただきまして、自衛隊員一同非常に感激にたえないところであると思うのでありまして、かわりまして私からお礼を申し上げる次第でございます。  なお出動に際しての予算の関係でありまするが、私の承知いたしておる限りでは、予備費の流用などをせずに、自衛隊に与えられました予算の活用によって出動をいたしておるものと承知いたしておるのでありますが、詳細は経理局長から説明いたさせます。
  385. 上田克郎

    ○上田政府委員 ただいま大臣が御答弁なさいましたように、現在のところ、三月十日前後までの出動といたしまして、所要経費約二億程度というふうに見込んでおりますが、経費は、従来の訓練費や輸送費、器材費その他を使いまして何とかまかなっていける、従って予備費を要求しないで間に合う、そういうふうに考えております。
  386. 受田新吉

    ○受田分科員 自衛隊が全部自己の負担において、災害対策に協力するという建前をとっておられることを今伺ったわけですが、そのために一般の訓練に要する費用などが削減されて、自衛隊の他の目的を果たすことができないという事情があるとするならば、災害対策に対する出動経費を別の方から、一般会計から何らかの形で支出するということは当然ではないかと思うのですが、あなたのお答えを願います。
  387. 上田克郎

    ○上田政府委員 ただいま申し落としましたが、輸送費のうち、自衛隊員を運んでもらう経費あるいは雪上車その他を鉄道で運んでもらう経費、この経費につきましては、国有鉄道の方で自衛隊の方に請求はしない、そういうふうなことに御好意をいただいておりますので、その分は浮くわけでございます。約七千万円から八千万円程度であろうというふうに考えております。
  388. 受田新吉

    ○受田分科員 今回の豪雪対策に要したそうした出動経費は総額幾らになっておりますか。
  389. 上田克郎

    ○上田政府委員 先ほど申し上げましたように、今後どれくらい滞在しなければならないか、あるいは救援しなければならないかということはございますが、今までの実績での推計では約二億ないし二億二、三千万円という一応の推定でございます。
  390. 受田新吉

    ○受田分科員 その金額の部分が一般訓練に要する経費から削減されたとしたときに、自衛隊の他の目的を果たすための仕事ができるかどうか、これも一つお答え願いたいと思います。
  391. 上田克郎

    ○上田政府委員 民生協力も一つの訓練だと考えておりますので、現在のところ、そのために訓練計画がひどくそごを来たすというようなことはないと考えております。
  392. 受田新吉

    ○受田分科員 きわめてはっきりした御答弁で、自衛隊がそういう民生安定に協力するために犠牲を払うという態度は、まことにりっぱであると思っております。今後国民的感謝の中に自衛隊が一そう奮励努力されんことを希望しております。  それで長官、あなたは就任以来、部下の不幸な事態などを聞いたら、常にそれに対して強い関心を持ってその補いをつけられるように努力しておられ、もし部下が報告でもしなかったら、それに対して部下をしかってでもそれを知ろうと努力をされておるということを伺っておるわけです。その態度は非常にごりっぱであるわけですけれども、ここに先ほどから加藤君がお尋ねになられた防音装置という問題について、自衛隊はジェット戦闘機を持っておるがゆえに、あるいは米軍がそれを持っておるがゆえに、直接国民に大きな被害を与えている。これに対する先ほど来の御答弁も伺ったのですが、運輸省の航空局長も来ておられるので、ここで一緒に御答弁を願いたい。  今やジェット機時代であって、自衛隊のみでなくして一般民間航空の騒音という問題も起こってくる。現に飛行場は、大蔵省の管理する飛行場、運輸省が管理する飛行場防衛庁が管理する飛行場米軍管理のもとにある飛行場と、民間の分もありますが、各種の形態を有する飛行場があるわけです。ヘリコプターは別としまして、ジェット機の騒音ということは、自衛隊機、米軍機のみならず、民間機にまで共通する問題で、大型ジェット機を用いるに至れば一そうそれが激化すると思うのでございますが、運輸省におかれましては、騒音対策を民間航空の場合はどう考えるかということをお答え願いたい。
  393. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 民間航空の防音対策につきましては、特に先生も御承知のように、ジェット機が離発着する空港は現在主として羽田空港でございます。羽田空港につきましては、従来も音響学会その他の権威ある機関を活用いたしまして、騒音につきましての調査も十分いたしております。それからまた、最近特にジェット機の増加の趨勢に対応いたしまして、深夜におけるジェット機の離発着についての制限を設けたことも御承知通りでございます。なお、ジェット機の騒音につきましては、深夜のみならず、日中におきましても、あるいはまた夜間におきましても、十分注意すべき問題でございますので、現在、外国のエア・ラインをも含めまして、羽田における滑走路の離着陸についての騒音をでき得る限り少なくするための飛び方等についての研究を、私ども中心になりましてやっておる状況でございます。
  394. 受田新吉

    ○受田分科員 志賀長官は同時に国務大臣であるわけですが、この騒音というものは、今航空局長の御答弁によっても、民間航空はますます激化するとはっきり言っておられるのです。運輸省は特殊の配慮をされていることを伺ったわけでございますが、軍用機の場合は夜間航空をやらなければならぬという事情もあるけれども、民間機、軍用機にかかわらず、ここに全面的な問題として騒音防止、つまり民間機を含め、自衛隊機を含め、米軍機を含めて、全体の問題として考える段階にきておるのじゃないか。もう自衛隊機の騒音対策ではなくして、民間航空のやつも米軍のやつも含めた騒音対策というものを国家として考える段階にきておるのではないかと思うのです。国務大臣としての立場から総合的な、たとえば私がここで例を申し上げるならば、具体的に騒音防止法というような形の法律にするか、別の行政措置にしてもけっこうでございますが、何かの総合対策が要るのじゃないでしょうか。
  395. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 実は受田先生からの質問でおそらく初めて国会でこの問題が論議されることになったものと私は承知いたすのであります。私といたしましてはまことにありがたい御質問でございます。防衛庁の私から民間のジェット機の騒音の問題まで持ち出すのは、私どうも勇気がなかった。しかるところ、いみじくも本日受田先生からそういう御指摘がありまして、非常に私は希望を持ちました。  実は昨年の秋渡米いたしました際に、サンフランシスコまたロスアンゼルスの飛行場において日本航空の支店長からいろいろ話を聞いたのでありますが、この二カ所の飛行場は純粋の民間の飛行場でございますけれどもアメリカでは軍民一体と申しますか、そうした総合的な騒音対策を立てる委員会みたいなものがそれぞれの基地にできておる由を聞きまして、やがては日本でもそうした問題が政治問題として取り上げられるであろうということを私は期待して今日に至っておったのであります。今後運輸省と緊密な連絡をとりながら、ただいまの御質疑というよりもむしろ御提案にかかります民間、自衛隊あわせての総合的なジェット飛行機の騒音対策、この問題について運輸大臣とともども相談をしまして、政府部内でも真剣に検討し、またその前進をはかりたいと考えておる次第であります。
  396. 受田新吉

    ○受田分科員 ジェット機の騒音対策について総合的な国策を検討したいという国務大臣たる志賀長官の御答弁をいただきましたので、私これ以上はお尋ねをよしますが、これは非常に重大な問題です。自衛隊のみが非常な非難を受けるということでなくして、ジェット機時代がきた今日、外国の飛行機も乗り込んでくるという今日、ジェット機の着陸のできる飛行場がどんどんふえるということになると、これは民間機も外国機も含めたジェット機網ができると思う。今、大臣は運輸省と相談して総合施策をきめたいという御答弁でありますから、一つ早急に政府部内でこの見解を推進していただくように要望を申し上げておきまして、これから防衛庁の御計画に対する専門的なお尋ねに入ります。  第二次長期防衛計画昭和三十六年度から四十年度までに推進されるわけでございますが、三十二年から始まった第一次長期防衛計画の残りが三十六年に及んでおる。特に第二次と関係する問題は、いわゆるジェット戦闘機の新型であるF104Jという全天候戦闘機の推進でございますが、これは今防衛庁におきましても大いに生産を推進しておられると思います。特に三十九年の一月までにはこれを完成するという御計画であることを従来われわれは伺っておったのでございますが、このF104Jという戦闘機は、グラマンかロッキードかでずいぶん論議をし、国防会議も二回にわたって論議を繰り返して、前者を変更して後者に及んだというようないきさつもあるわけなんですが、非常に時間がかかって、結論が出たのがこのF104J戦闘機の決定であります。  まずお尋ねしたいのは、F104J戦闘機の生産は順調に進み、三十九年一月には二百機完成するという、これは間違いないかどうか、これは事務当局でもけっこうです。
  397. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 F1O4Jの生産状況でございますが、現在のところ二、三カ月のおくれになっておりますが、このおくれにつきましては、三十八年度中には回復いたしまして、三十九年度一ぱいに予定通り二百機を完成いたす、こういうつもりで進めております。
  398. 受田新吉

    ○受田分科員 ではこのF104J戦闘機の現時点における生産完了機数は幾らになっていますか。
  399. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 二月十五日現在におきまして、F104Jが九機、DJが十機でございます。
  400. 受田新吉

    ○受田分科員 その十九機は現に実験飛行に供せられておりますか、いかがですか。
  401. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 それぞれ各部隊に配属いたしておりますが、Jは千歳に六機、浜松に三機、DJは全部千歳であったと承知いたしております。
  402. 受田新吉

    ○受田分科員 実験飛行に供せられておるかどうかをお尋ねしておるわけです。
  403. 海原治

    ○海原政府委員 お尋ねの実験飛行という意味でございますが、現在装備局長が申しました総計十九機のうち、千歳の第二航空団に置かれますところのJの六機とDJの九機、この十五機は実際にパイロットが乗りまして、いろいろと各種の試験をやっております。浜松にございますところの第一術科学校、ここにありますJの三機とDJの一機、この四機は教材を兼ねて配置しておりますので、実験飛行を兼ねつつ整備等の教材用に供しておる、こういうことでございます。
  404. 受田新吉

    ○受田分科員 新戦闘機の実験飛行の結果、当初予定されたような全天候戦闘機としての性能、任務を完全に果たす飛行機であるということが確認されておるか、あるいは思うようにいかぬ部分があるというふうな判定がされておるか、報告が出されておると思いますので、お答えを願います。
  405. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 新三菱から受領いたします場合に、両種の飛行試験をやっておりますので、その点につきましては、所要の性能を確認して受領いたしております。
  406. 受田新吉

    ○受田分科員 所要の性能を確認をして引き受けた、そしてこれを実験飛行に供した。実験飛行に供した場合に、たとえばサイドワインダーをつけることになっているわけでございますから、サイドワインダーの発射の性能も完璧であるかどうか、おそらくサイドワインダーを発射させるときには、赤外線を用いるとか、いろいろな科学的な装置がされると思うのでございますが、そういうことを全部含めて、現に引き渡しを受けた飛行機の性能は完璧であると判断されているか、また多少問題のところもあるというふうに判断されているか、これは別にどっちをお答えになったとしても、それがどうというわけじゃないのでございますが、御報告を受けておる状況を伺いたいのであります。
  407. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 先ほど私がお答えいたしました、いろいろ性能を確認してと言いましたのは、飛行性能の点でございます。ただいまのサイドワインダーにつきまして、主として関係するのはナサールの部分と思いますが、ナサールにつきましては、現在まだ所要の試験器具がございませんので、そういう試験はいたしておりません。ただアメリカにおきまして、飛行審査の際にいろいろ試験をいたしまして、わが方の要求性能を満足するというタイプになっておりますので、そういうことから現在の生産方式、品質管理のやり方からいきまして、要求性能通りのものが納入になっておると考えるのでありますけれども先ほど申しましたように、試験器具がまだそろっておりませんので、日本では試験をいたしておりませんが、なるべく早い時期にそういう試験をいたしたいということで準備を進めております。
  408. 受田新吉

    ○受田分科員 すでに生産が完了された十九機をもって、実験の結果の性能の確認ということは急がなければならぬと思う。あとから生産するものに影響もあることでございますから、悪い部分があれば早く直しておかなければならぬ。なるべく早い機会に、三十八年度に実験しようということでは、二百機のできたころには悪い部分があって、また新三菱でやり直すといったって大へんなことです。現に飛行機ができたのですから、サイドワインダーの発射装置等についても、すぐ実験をやって、新しい生産に対してはっきりした示唆を与えるということがいいんじゃないですか。実験を先に延ばすというようなことは怠慢じゃないですか。
  409. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 サイドワインダーを発射するにつきましては、その前にナサールの地上試験のテスター類、さらにサイドワインダーを発射する場合のターゲット、高速目標機が必要でございますが、実はそういうものが先ほど申しましたようにまだそろっておりませんので、残念ながらその準備のできるのを待っておるということでございまして、われわれとしても一刻も早く実際にナサールの試験をいたしたいと考えておるわけでございます。なお、現在受け取っておりますナサールは、そういう点で不工合があった場合にどうなるかという点でございますが、これにつきましては新三菱側の費用で不工合の個所を直し、あるいは初期のものについては、取りかえをするということに契約いたしておる次第でございます。
  410. 受田新吉

    ○受田分科員 先ほど申し上げたように、長官、F104Jを決定する経緯というものには容易ならぬものがあって、国民が非常に関心を持って、国をあげて騒ぎ立てて、現在の決定を見たわけなんです。これは政治的な問題としても大へん騒がれた問題です。性能の点において新三菱がつくった飛行機には欠陥がある、また実験の結果は全天候戦闘機として適格部分を欠いておるというようなことがもしあったとしたならば、これはゆゆしい問題が起こると思う。この点は今のようなナサールの試験につきましても早く実行に移す、すでに第二次長期防衛計画は三十八年度、三年目に入ろうとしておる。そういうときに間もなく全機数がそろうかという段階で、あとから問題が起こったら新三菱が悪い部分を直す費用は負担するなどという問題とは別に、大きな責任問題が起こってくると思うんです。これは非常に重大な問題で、このF104戦闘機なるものの将来に対しては防衛庁の死命を制する重大な責任があると思うんです。長官、この戦闘機の実験飛行、実際の飛行機性能の確認、こういう問題について責任をもってこれを処理する御決意があるかどうか伺います。
  411. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 仰せの通り、104の今後の整備いかんは、第二次防の最重点の問題でございまして、私も同様重大な関心を持っておるのでございまして、部内を督励いたしまして万遺憾なきを期しておるような次第でございます。
  412. 受田新吉

    ○受田分科員 二百機が完成した暁に、これに要した国家予算は二千三百億でしたか、幾らになるのですか。二百機完成の際の国民に与える負担額、国家予算に要する経費は……。
  413. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 二百機の本体並びに初度部品を含めまして六百九十八億円余でございます。
  414. 受田新吉

    ○受田分科員 六百余億ですね。これはこの二百機ができ上がってそれだけで置く問題か、次にどうするかという問題が一つあるわけなんです。もう来年一月には完成するのですから。そうしますと、今からこれを引き続き生産するのか、また新型を時代の趨勢に沿うてやろうとするのか。これは来年一月には完成するのですから、第二次長期防衛計画の中で当然準備しなければならぬ。最初の機種決定をするまでにもあの長い年月を要しただけに、もう今から次の問題を考えておかなければいかぬ問題だと思うんです。完成したころにまた考えようというのじゃ、またそれから何カ年もかかるのです。パイロットの養成は簡単にはできないこともわれわれはよく承知しております。今私が申し上げた点についてお答えを願います。
  415. 海原治

    ○海原政府委員 先生もよく御存じのように、第二次防衛力整備計画におきましてはF104戦闘機は二百機の生産ということでございます。これが来年一月に生産が終わりましたあとにどういうことになるかということにつきましては、二次計画自体におきましては何らこれ以外のことは考えておりません。しかし今後のことにつきましていろいろと事務的には検討を進めなければならないかという機運はございます。しかし現在ただいまにおきまして、二百機のあとでさらに百機をつくるとか、あるいはほかの機種を持つとかいうことは、何ら具体的にまだ検討が進んでおりません。そういうことについての検討をせねばならない、このように考えておることは事実でございます。
  416. 受田新吉

    ○受田分科員 次の計画検討しなければならないという考えを持っていることは事実だ、こういうことでございます。私は、この問題は、防衛庁として事務当局において今御答弁通りの何らかの要請があると思うんです。非常な長年月を要して機種が決定される。また生産をしてもでき上がるのは時間がかかるということで、次の問題を何かそこで具体的に考えていかなければならぬという段階に私は来ておると思うのです。事務当局はそういうことを考えておることは間違いないのだ、こういうことでしたが、長官としてこの点について御確認をされますか。またあなたに御相談がないと見えますが、長官としてはどういうお考えですか。
  417. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま海原防衛局長が申し上げました程度の私の腹づもりでございます。
  418. 受田新吉

    ○受田分科員 腹づもりですね。そうしますと、あなたも何か措置をとらなければならぬという腹を持っておられる。私は私自身で非常な懸念をしていることは、このF104J戦闘機の性能について、防衛庁が当初考えたようなところにいかぬおそれがあるという懸念があるわけです。何となれば、あちらではよかったけれどもこちらの会社でつくらしたのではやはりどこかに欠点が起こるものです。部品はどうですか、いつでも補充できる部品がこっちの会社でできるのですか。
  419. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 当初の組み立て機三機、Jの方が三機、あとのノック・ダウン機が十七機、DJの二十機、これは御承知のように向こうで所要の部品を取りそろえて、それを日本に送ってきて、日本で組み立てをするわけでございます。あとの百六十機につきましては、器材、部品関係、大体四〇%程度を国産いたしまして組み立てをするわけでございます。従いまして二十機つくりましたあとの補用部品等につきまして、やはりその後も輸入を必要とするものがあると存じますが、極力国産化の率を上げていきたい。当初本体に取りつけましたいろいろな装置につきましても、二百機については輸入しておるのはございますけれども、そのあとの補用品については全部国産化する。そのための技術提携等も必要でございますが、そういう措置も講じまして、極力国産化を進めていきたいと考えておる次第でございます。
  420. 受田新吉

    ○受田分科員 国産化が完成していない、部品で買わなければならぬのがあるのだ、こうなると問題なんです。日本で部品ができないのですからね。そうするとちぐはぐな形で、向こうの会社でつくったのと、こっちの会社でつくったのとがちぐはぐなことになる危険もあるわけです。二百機の分は向こうで部品を買うが、それから先の分は国産化をはかりたい、こういうことでございましたけれども、そのおしまいの方のことをまず伺いますが、二百機の後に国産化というのは、これから次の生産のことを言うのですか。
  421. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 たとえば二百機につけておりますFCS等につきましては、二百機の分は輸入でございますが、その後104を使用しておるうちにそのFCSを取りかえたりあるいは一部修理をしたりというような事態が起きるわけでございますが、そういうものについては国産化をするということで準備を進めておるわけでございます。ただFCSなどはそういう形で済むわけでございますが、そのほかの部品、実に数が多いわけでございまして、そういうものの中にはやはりどうしても国産できないというようなものが、そう大きな数量ではないと思いますが、やはり残るのではないかと考えておりますが、そういうものについても、極力日本で経済的に、技術的にできる限りのものをつくっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  422. 受田新吉

    ○受田分科員 長官、これはやはり心配が私一つあるのです。防衛庁内部におきましても、これを実際に実験をしたときに性能が完璧を期することができないのではないか、おそらくこういうものができたときにはそういう懸念があるのです。もう大丈夫だという自信を持ちながらも、実際にやってみると問題が出ると私は思うのです。いわんや部品をよそから買い込まなければならぬというような現段階では、必ずそれが起こってくると思うのです。防衛庁当局として、このF104J戦闘機の性能は全天候性戦闘機として、当初比較検討した結論の通りにこれが持ち運ぶという確固たる自信があるか、あるいは多少の不安があるか、お答え願います。
  423. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 御承知のように、日本の航空機工業の技術水準は、まだアメリカに比べて低いということはやむを得ないところでございます。そういう意味におきまして、F86、104と、いろいろアメリカの生産技術を勉強しまして、今日までの技術レベルに上げてきたわけでございます。現在におきましても、まだ格差はあると存ずるのでございますが、F104の性能につきましては、当初防衛庁で要求しました要求性能を満足するものができるというふうに確信いたしております。
  424. 受田新吉

    ○受田分科員 あちらとこちらの生産技術の点において差があるということで、今最後の確信があるとおっしゃったけれども、結果的には日本の飛行機会社でつくったものがどこかでまずいことが起こる、これは懸念が確かにあると思うのです。私は決して局長さんがおっしゃるような安易なことでこれが完成するとは思わないのです。従って、この飛行機がどこかでその全天候性を発揮し得ないで、訓練の上で間違いが起こって犠牲者がたくさん出るようなことになったら、大へんなことだと思うのです。現にジェット戦闘機でたくさんの犠牲者が出ておる。ジェット戦闘機による、F86、T33というような練習機まで含めて、まだできて間もないジェット戦闘機による犠牲者がどのくらいおるか、数字をお持ちじゃございませんか。
  425. 小幡久男

    ○小幡政府委員 お答えいたします。創業以来T33、F86F、F86Dを含めまして死亡者は五十三名であります。
  426. 受田新吉

    ○受田分科員 五十三名の犠牲者が出ておるのですね。この点、今できつつある戦闘機の性能の上にどこか欠陥があって犠牲者を多く出すということは、大へんです。これに乗るパイロットの訓練ができて養成の準備が完了しておるのかどうか。パイロットの訓練に要する期間と一人当たりの訓練に要する教育費、経費は幾ら要るかということも、ちょっと数字をお示し願いたい。
  427. 小幡久男

    ○小幡政府委員 最初は、訓練の期間から申し上げます。F86Fの訓練期間は、T34から始めまして約二カ年でございます。Dは若干でありますが、大むね一、二カ月の差しかございません。それからF104、これに至る期間は、三年六カ月であります。それからパイロット一人当たりの養成経費でございますが、86Fは約三千四百万円、Dは四千九百万円、それから104の方は86Fからいきました教育コースを通ったものにつきましては、約七千四百万円、それから86Dのコースからいきましたものが約八千九百万円でございます。
  428. 受田新吉

    ○受田分科員 これは一人のパイロットをつくるのは大へんな金です。一億に近い金、この多額の金と三年六カ月もかかる訓練を経てでき上がったパイロットを、性能の不備のためにどんどん殉職させるというようなことがあったらこれはゆゆしい問題ですよ。これは長官がそのころまで在任されたとしても、悲しみの報道を受けるということになったら、五体さくるという気持になると思うのです。今から莫大な金と莫大な訓練期間を経たパイロットを犠牲にすることのないような措置を、万全を期する必要があると思うのです。よろしゅうございますか、長官、決意のほどを表明してもらいたい。
  429. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 受田先生の御指摘の点は、私防衛庁に参りまして、非常に心を痛めておる問題でございます。パイロットの犠牲というものをどうして少なくするかということは私の大きな痛心事でございます。従ってF104の性能を今後いかにして完璧を期するか、これはもとよりわれわれは確信を持っておるのでございますが、その確信を一そう強固なものにするためには、今後実験飛行に基づいて出て参りました性能に対しましていろいろ再吟味もし、また、足りない点はこれを補って、これは面目問題ではないのでございまして、今後次から次と生産せられます104の生産のタイミングに合わせて、その性能につきまして検討すべき点は勇敢にこれを検討して、実行する点は実行いたしまして、われわれの確信を一そう強固なものにしたいと心がけておる次第でございます。
  430. 受田新吉

    ○受田分科員 これは決意を実行に移す、十分性能のテストをやって間違いのないようにする、おかしかったらこれはやめてしまったらいいですよ。104Fはだめだとなったらもうとらわれないで、この際国産機はだめだとはっきり割り切ってやめてしまう、途中で一機でも二機でも実験してだめだと思ったらとらわれないようにしてもらうということを考えてもらいたい。われわれは人命を尊重し、国費を大事にするという立場から、自衛隊が無理押しをせぬようにしてもらいたいということをまず希望しておきます。  おしまいにお尋ねしたいことは、防衛庁長官はいろいろ新しいセンスを持って自衛隊に示唆をお与えになっておられる。その一つとして剣をつる職種をふやすことを御計画されておると承っております。短剣か長剣か知りませんが、これは現に防衛庁の中に剣をつっている職種及び剣の中身はどのようなものであるか、お答え願います。
  431. 小幡久男

    ○小幡政府委員 剣をつっている職種と申しますと、現在下げておりますのは、指揮刀のことが問題になっているのでございまして、その部隊として組織的に剣をつるということは、現在のところ新しくは考えていないわけでございます。現在、一般の普通科の隊員、これは銃剣の剣を持っておりますが、それ以外には指揮刀とか儀礼刀はございますが、特にそれ以外の異なった剣をつるという職種はございません。
  432. 受田新吉

    ○受田分科員 指揮刀をつる職種は指揮者であるということですね。これは剣をつっているわけですね。その剣の中身はなまくらか、切れる剣かどちらですか。
  433. 小野裕

    ○小野政府委員 御承知のように自衛隊は常時剣をつるということはございません。ただ儀礼刀や指揮刀を儀式行事などの場合につれる用意はしてございます。つれる場合といたしましては、現在のところでは儀仗隊の隊長でございます。それから外国に防衛駐在官として兼任で出ておりますアタッシェが、儀礼の場合に剣をつっております。それから今回お尋ねのございました刀をつるという問題は、防衛大学校の学生隊の指揮官に儀式行事などのある場合に指揮刀としてつらせる。まとまった行事等でございますが、そういう部隊として全学生隊の行動をとりますときに指揮官に刀をつらせる、こういう場合でございまして、常時つるというわけでもございませんし、また普通の演習等の際につる、ということもございません。中身は、従来の、旧海軍時代の海軍の将校が用いておりましたあの種の刀剣でございまして、これは全く儀礼刀でございまして、武器として使うことはまず考えられない品物でございます。
  434. 受田新吉

    ○受田分科員 なまくらのしろものをつるということになっておるということですが、今度つるのは防衛大学の指揮刀ということを伺ったわけです。それは長官の御発案ですか。
  435. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 仰せの通り、私の発案でございます。
  436. 受田新吉

    ○受田分科員 長官の御発意は具体的に一つ一つ実現をしておる。これはやはり実力を持っておられる方であることを私認めるわけです。  この問題とあわせていま一つおしまいにお尋ねしておきたいことは、アメリカの軍隊のことだけを学んで、他の国の軍隊のことはあまり学んでおられないように思うし、視察もアメリカだけをおもにされて、他の国の方はほとんど見ていない。防衛駐在官も、アメリカに人数が多くて、ほかの国には一人しかおらぬとか二人しかおらぬとかいう程度です。これは安保条約の関係もあるにしても、日本の自主的な自衛隊という立場では、これはどうもアメリカのものまねのおそれがあると思うのですが、長官、そういう印象はないですか。
  437. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 防衛大学の学生に指揮刀を与えまする私の構想は、これは渡米後ではないのでございまして、渡米前から私が構想いたしておったことをただ実現いたしたのでございます。実現された時期がたまたま私がアメリカから帰った後であったからそういう印象を受けましょうが、決して私はアメリカの士官学校あるいはその他を見た上でヒントを得たわけではないのであります。私は、もともと、防衛庁に参りまして、私の在任中にやってみたいと思いますることは、この防衛大学だけではなしに、自衛隊の人をつくりまする教育の内容、これは自衛隊の隊員の教育訓練、さらにまた防衛庁の内局におりまする若い部員諸君の教育全般を検討し、さらに今日まで積み重ねられましたよき伝統はこれを伸ばし、また至らぬものは大いに補って、そうしてりっぱな教育の体制をつくり上げたいというのが私の考えでありまして、そうした私の気持なり構想から発露しましたのは、防衛大学の学生に指揮刀を持たせるということでございます。従って、今からこういうところで申し上げるのもどうかと思いまするが、私は近々に防衛庁にこうした問題を研究する機関をつくりまして、大体一年間くらいの期間であらゆる角度から教育の問題を大いに勉強研究をいたしまして、最後の締めくくりとしましては、調査団などと申しまするとちょっと大げさでございまするが、ヨーロッパの——アメリカはもう今日の防衛庁なり自衛隊ではしょっちゅう参っておりますし、アメリカのことはよく知っておるのでございますから、特にヨーロッパの自由主義国家群の教育訓練の様子などをつぶさに調査研究せしめたいと思っておるのでございまして、現にヨーロッパ方面にも留学生は出しておるのであります。ただ安保条約の関係はもとよりでございまするが、ナイキ・アジャックスの試射訓練というようなことが特にございまして、集団的に留学させる生徒が多いだけでございまして、アメリカを重点に留学生を出したり、あるいはまたアメリカのみを勉強の対象にするような考え方はございません。むしろ今後ヨーロッパの方に相当に力を入れて、よき点は十分に見て参りたいと私は考えておるのでございます。
  438. 受田新吉

    ○受田分科員 おしまいにしますが、長官アメリカのまねばかりをするのではないということでございます。かつて日本陸軍はドイツの軍隊をまねて編成された。現在の自衛隊はアメリカの模型であるというような印象を国民に与えておるわけだ。やむを得ない事情はあるとしても、これは一国に偏して日本の自主性が失われるということになる問題がある。今のあなたのヨーロッパに目を向けるということでございますから、私は、一応あなた側から見た考え方を伺ったわけですが、研究のため、その他防衛外交の必要性からくる防衛駐在官——昔のいわゆる駐在武官ですね。この駐在官というのは、今現にどこどこに何人置いてあり、これからどういうふうにしようというこれからの計画等も伺って、質問を終わります。
  439. 海原治

    ○海原政府委員 現在各国に出しております防衛駐在官は、アメリカのワシントンに五名行っております。モスクワに二名、あとはロンドン、ドイツのボン、フランスのパリ、トルコ、タイ、それぞれに一名ずつ出しております。今後、来年度一名増員を予定しておりますが、これは現在のところでは一応インドを予定いたしております。
  440. 受田新吉

    ○受田分科員 質問を終わります。
  441. 櫻内義雄

    櫻内主査 田中織之進君。
  442. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 防衛庁関係に若干質問いたしたいと思うのでありますが、特に航空機の騒音防止対策、この問題についても、私もお伺いしたいと思っていたのですが、先ほど加藤委員及び午前中の田口委員等の質問がありましたので、この分は割愛をいたします。なお私のあとに質問者が控えておりまするので、できるだけ簡潔に質問をいたします。従いまして、答弁もそのものずばりで一つお答えをいただきたいと思います。  まず第一にお伺いをいたしたいのは、今月の初めに来日をされましたギルパトリック・アメリカ国防次官の来日のことであります。ギ次官は、日本へ来られてからアメリカへ帰る途中で弁護士に戻るということだそうでありますけれども、退官が報道されるようなことで、今度の日本訪問が一体どういう目的であったのか、本国へ帰るまでの間に退官が新聞に報道せられるような人が、きわめて重要な問題を持ってきたのだろうと思うのでありますけれども、何のために日本に来たのかということを国民一般も実はけげんに思っておるわけであります。ところが、日本を離れるときの新聞記者会見等では、きわめて重要な発言もしておるようでありますが、一体防衛庁当局は、ギルパトリック次官と、特に防衛上の問題について話をされたと思うのですが、一体同次官の来日の目的はどこにあったのですか。これは本人に聞いてもらわなければわからぬということでありますけれども、あなたたちの話し合いの過程から、来日の意義というものはどこにあったかという点はお答えいただけると思うのです。御答弁を願いたいと思います。
  443. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ギルパトリック米国防次官が防衛庁に私を来訪せられまして、冒頭にこういうことを話されている。私が今度日本に参ったのは、アメリカ政府の首脳が友好国を訪問して各国のそれぞれの首脳と意思の疎通をはかるために参ったのだということでございまして、訪日の目的を冒頭に明確にせられたのでございます。会談の内容につきましても、当時新聞紙上で明らかになっておる通りでございますが、日本防衛力増強したらどうかとかあるいは防衛努力が足りないのじゃないかというようないろいろな憶測が新聞にもございましたが、そういう話は私には一向になかった。むしろギルパトリック国防次官は、目下防衛庁が全力をあげて実行をいたしておりまする第二次防衛力整備計画が順調に進行しておることに対して同慶の意を表明せられたのでございまして、私からは、昭和三十八年度の防衛予算は少なくとも日本の経済の発展に見合ったきわめて適当な予算であるということを強調しておいたくらいでございます。その他若干の雑談がございました。特に私が昨年の十一月渡米いたしまして、アメリカ国防省の御招待で参ったのでございまするから、それらに関する話題が非常に多いのでございましたが、中身は三十分間の会見でございまして、全くギルパトリック次官が私を訪問せられて冒頭にお話しになった通り目的で私を訪問したものと理解をいたしておるのであります。  なお、新聞紙上でギルパトリック国防次官が退官せられるであろうというような記事が出ましたが、もう国防次官が日本に参ります一カ月前から私ども承知いたしております。なぜ承知したかと申しますると、ニューヨーク・タイムズにも、ちょうど来訪せられる一カ月前に、ギルパトリック次官がマクナマラ国防長官と約束通り、二年ということで次官になったので、本来の弁護士事務所に帰るらしいという報道が出ておりましたし、また、その前にはニューズ・ウィークもに出ておりまして、私ども承知の上で来訪を受けておるのでございます。ただ、私はお目にかかりました場合に、こういううわさがあるがどうかということは失礼に当たることでございますからお聞きしませんでしたが、そういう次第であることを御了承願いたいと思います。
  444. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 近く退官を予定されている人にお仕着せ旅行でもさせたというならわからぬこともありませんけれども、どうもそういうことではなさそうで、端的に言えば、日本側注文をつけるのに言いにくいことも彼に言わしたのではないか、これは大分勘ぐり過ぎると言われるかもしれませんけれども、そういう見方も実はあるのであります。その意味で、志賀長官のせっかくの答弁でありますけれども、そのまま受け取れないのは残念でございます。  防衛庁へ行かれる前であったかあとであったかはわかりませんけれども、池田総理とギルパトリック次官との会見のときには、防衛の面での協力強化というか、もちろんアメリカに対する協力強化を要請したということが当時の新聞に報道をされておるのでありますが、今の志賀長官のお答えでは、むしろ現在の、特に三十八年度の防衛予算については満足をしていかれたということで、いささか食い違うのであります。具体的にどうこうという注文はあるいはなかったかもしれませんけれども、伝えられるところによれば、中共の情勢についてもあるいは韓国の情勢についてもアメリカ側の持っておるものを話をされた。その点においては日本側の特に池田総理、防衛庁長官などの見方との間に隔たりはなかったというようなことも、総理の談話でありますか、出ておるという関係でありますから、特にアジアにおけるアメリカの片腕ともアメリカが頼みにしている日本であります、特に経済成長をほめたたえたということでありますが、そういう点から、ごく一般的にしろ、ばく然としたにしろ、私は、日本防衛力強化についての向こう側希望が端的に表明されたのではないかと思うのでありますが、その点はいかがですか。
  445. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ギルパトリック国防次官と私の会談の内容は、全くただいま申し上げた通りが全部でございます。私と同次官との間には、極東の軍事情勢についても片りんだに話題にならないし——池田総理との会談は私は立ち会いませんから承知しませんけれども、少なくとも防衛庁をあずかる私との会談においては、軍事情勢の問題、極東の問題は出ませんから、中共の問題も何にも出ません。ただそうした簡単な儀礼的な意思の疎通をはかるという彼の来訪の目的そのままの会談であったことを重ねて申し上げる次第でございます。
  446. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 ここに二月八日の朝日新聞がございますが、日本の果たすべき役割をどう見たかという点について、ことにこの点についての日本側の答えに満足したかという質問に対して「日本政府に何か要求したり、日本防衛計画を批判するつもりはなかった。米国はもちろん日本に対する軍事援助を継続していくが、米国はもっと広い地域での防衛の責任を持っており、日本への援助はそのワク内でのことになる。米国は日本がこの地域(極東を指すとみられる)での自由諸国の重要な柱であることを知っている。日本の経済の成長は目ざましいし、政治的にも有能であるから、経済発展に応じて国の防衛力増強することを期待している。」こういうように述べておるのであります。この期待をそのままあなたとの間の話で出さないはずはないと思うのですが、いかがですか。
  447. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 先ほどから申し上げておりまする通り防衛力増強に関しては何にも話がなかった。現に私は、国防次官にお目にかかるまでもなく、昨年の十一月に渡米をいたしまして、アメリカの国防長官マクナマラ氏と二日間にわたって会談をいたしておるのであります。その際において、マクナマラ国防長官から、今後アメリカとしては、日本政府との間に約束をした、つまり防衛については——これは主として装備の問題でございますが、装備については約束通り実行するけれども、今日まだ約束をいたしておらない新規の問題については、あまり期待されては困るという話し合いがありまして、それは私も承知で参っておる、いつまでもアメリカに依存して日本防衛力を整備する考え方はないのでございまして、やはり日本としては、日本の経済の力、また技術能力に基づいて、でき得るだけ装備の国産化を推進して、自主的な防衛の態勢をつくり、整備することが日本の防衛の基本的な方針でございますから、その旨を私は話し合っておるのでございます。それ以外のことはマクナマラ国防長官とも話さないのでありますが、それらと関連しておる御発言だろうと私は想像いたすのでございます。
  448. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 長官はなかなか口がかたいのでありますが、その次に、やはりこれはギルパトリック次官が記者会見で離日のときに述べておるのでありますが、日本防衛力だけで日本を完全に防衛することはできない、日本を完全に防衛するためには、核兵器による防衛力を備えていなければならない。こういう強いことまで言っているのです。そのあとで、この点は新聞記事ではちょっとよくわからないのでありますが、米国の核兵器は相手の攻撃を押える能力を持っているが、日本にはその能力を期待しないという点は、日本の核装備ができると期待していないという意味なのか、相手の攻撃力を押える、その意味で、アメリカの防衛はできるけれども日本の防衛まではアメリカは手が及ばないと言ったのか、このところの意味は不明確でありますけれども、ギ次官がその立場において、日本の現在の防衛力ではだめなんで、核装備をしなければ完全に日本の防衛はできないではないかということを言っている。新聞記者団にすらこれだけはしゃべるのでありますから、私は当然自衛隊の核武装というようなことについても話が出たのではないかと思うのですが、これも勘ぐった質問ということになるわけですか。
  449. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 先ほどから申し上げておる通りでありまして、アメリカ日本に核装備をしなければならぬとか、そういうことはあり得ないことでございまして、これは憶測しますれば、勘ぐれば勘ぐるほどきりがないのでございまして、核装備しないということは日本のきぜんたる態度でございまして、国の内外に宣明いたしていることでございますから、どうか田中先生におかれましても、これ以上私に勘ぐりの御質問は一つ御遠慮を願うように、私から特にお願い申し上げます。
  450. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 長官は、勘ぐり質問だととうとうきめつけてしまったようでありますが、私は防衛関係の技術的な点はよくわからぬのですが、バッジ、半自動防空警戒管制組織という注釈がついておりますが、バッジ導入をめぐる機種選定について日本側と話し合ったかという問いに対して、志賀防衛庁長官と話し合ったが、これは近い将来日本がきめるだろう、こう言って逃げておるわけです。バッジの導入による機種選定問題についてまで話し合ったということをギ次官が認めておるのですが、あなたは、そういう装備の点については、何か、アメリカに招待されたとき、向こうの陸軍長官と話したので、それと勘ぐって結びつけての質問じゃないかと言われたのですけれども、今度来たときに、バッジ導入をめぐる機種選定の問題については、志賀防衛庁長官と話し合ったということを離日に際して、ギルパトリック次官が記者団に話をしておるが、いかがですか。
  451. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 このバッジの問題は、ここ二、三年来の問題で、私ども耳にたこが寄るほど、毎日のように聞いておることでございます。なるほど、あとになって思い出したのでありますが、ギルパトリック国防次官が私のところを辞去するとき、いすから腰を上げながら、志賀さん、あのバッジはもうおきまりですかというようなお話が雑談的にございまして、やがて近々に一応の結論を出すつもりでございますという答えを出した程度であります。そのバッジ・システムの機種の問題についてどうのこうのという意見の交換、話し合いはないのでありまして、ほんの立ちぎわに雑談の間にあったことであることをお答え申し上げる次第であります。
  452. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 韓国や中共の情勢の問題についても全然触れなかったように長官先ほど述べられましたが、同じ八日の朝日新聞によりますと、もちろん中共情勢についての情報交換は、先月開かれた日米安保協議委員会で十分行なっており、今回はこまかい点に触れた話し合いはしなかった、ということは、大まかな点については話があったということになるわけです。これは何も私のこじつけの解釈でなく、従って、その点についての話し合いがなかったという点は信じられないのでありますが、この点は、先月の日米安保協議委員会の直後に志賀長官が発表した、中共の核装備についての談話の根拠になる資料は、近く予算委員会に提出されるとか、されたとかいうことでありますから、これ以上追及をいたしませんが、ギルパトリック次官との話し合いではなかったとは先ほどからの長官答弁でうかがえるのでありますけれども、一昨年安保条約を改定したときから懸案になっておりました日米軍事委員会は、すでに発足したのですか、どうですか。一月の安保協議委員会で具体的にきまったともいうし、すでに実質的には発足しておるのではないか、こういうことがいわれるのですが、この軍事委員会は、長官が昨年はアメリカに行かれ、今度はギ次官が来られ、これも後ほどお伺いしたいと思っていたのですが、十七日には、スティブン・エールズ米陸軍次官が沖から東京に到着するだろうということがいわれておった。これも来たのかどうかわかりませんが、最近、特に韓国の政情不安の中にアメリカの国防関係の人たちの来日がひんぱんになったことから見ても、何かこれは、韓国の問題についてということであれば、実に不幸なことだと思いますけれども、その問題は直ちに日本の防衛に関係するという点で、何かあるのではないか、国民はこういうようにすなおな受け方をしておる。その点から見て軍事委員会というものができたということを政府が発表しないのは、この軍事委員会ができたら、社会党から安保条約は軍事同盟だという実態を暴露したじゃないかと攻撃されることをおそれて、あなたたちは発表しないのだという見方もあるわけですが、実際は、この軍事委員会はどうなっておるのですか。
  453. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 これは日米安保協議委員会の中に軍事専門委員会をつくろうという話がもともとあったそうでございますが、いまだに軍事専門委員会は設けられておりません。ただ常に外務省、防衛庁それぞれのクラスにおきまして緊密な連絡を遂げておるのでございまして、とりたてて軍事専門委員会というようなぎょうぎょうしいものを設けなくても済むということもございまして、今日軍事専門委員会は設置されておらないのでございます。  それから、今お尋ねではないのでございますが、エールズ陸軍次官の来訪でございますが、この人には昨年の十一月私はアメリカの国防省でお目にかかったのでございますが、もうかれこれ半年も前から、ずっと各地を歴訪して、その機会に日本にも立ち寄るということを申しておるのでございまして、昨今の韓国の政情その他に基づいて来訪せられたものじゃないと私は了承いたすのであります。  さらにまた、これも後の御参考までに申し添えるのでございますが、ギルパトリック国防次官が私のところに来られてのあいさつは、先ほど申し上げた通りでありますが、アメリカ政府の方針は、今後世界各地の友好国に対してアメリカ政府の首脳を数カ月ごとに歴訪せしめて、それぞれの国の関係首脳者とも意思の疎通をはかりたいということで、そうした目的から自分が各国歴訪の機会に日本に参ったのだということを申しておるのでございます。従って、今後しばしばアメリカから、日本のみならず、西欧にも訪問する人が多くなるであろうと私は想像いたしておるのであります。
  454. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 長官はなかなか答弁技術がうまいので、先を越されるので継ぎ穂がなくなった感じであります。  それでは少し角度を変えて質問をいたしますが、防衛庁は韓国の国防状況をどういうように見ておられますか。実は韓国の政情不安と相待って、きょうの産経新聞によりますと、韓国の政情不安を機に強力な軍隊をもって北鮮が一挙に韓国を武力併合するということを、日韓会談に反対する者は歓迎しているのだという、実に矛盾撞着した——筆のすさびかなにか知りませんけれども、誓いているのを見たのでありますが、確かに韓国の政情不安から韓国がどうなるのかということについては、韓国民のみならず、日本国民も深い関心を払わなければならぬ。ことに、日韓会談が進行中であります。それと同時に、もし産経新聞の一番下の欄に記者が書きなぐっておるような事態が起こるということになれば、これはアメリカだって無関心ではおれないだろうと思う。ひいては、日本にも影響を持ってくると思う。その意味で、韓国の政情についての自衛隊の見方を聞く考えはありませんけれども、韓国の軍隊の状況というものが一体どうあるか、その点について自衛隊は絶えず日本の防衛の見地から深い関心を持って見ておられると思うのでありますが、その点はいかがですか。
  455. 海原治

    ○海原政府委員 韓国の軍につきましては、私どもは特別にその状況を知り得る機関と申しますか、方法はございません。一般に公刊されておりますところの新聞、雑誌等によって見ておるわけでございますが、具体的に申しますと、韓国軍は陸海空合わせまして約六十万ある。陸軍は二十八個師団の五十四万人程度だろう、海軍は約五万トンの艦艇を持っておる、その兵力は一万七千人。このほかに海兵隊が約二万八千人おるだろう。空軍は約一万五千人で、総機数三百機程度を持っておるのじゃないか、こういうことを承知いたしております。装備につきましては、御存じのように、米軍から供貸与を受けたものでございますので、陸軍につきましては、わが自衛隊と同じような装備を持っております。海軍はフリゲートと申しますか、海上自衛隊も供与を受けました、昔で申しますと駆逐艦程度のもの、空軍につきましては86F、86D等を主たる装備としておる、この程度のことを承知しておる次第でございます。
  456. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 そこでもう一つお伺いをいたしますが、現在韓国におるアメリカ軍はどの程度あるのですか。伝えられるところによりますと、二個師団ということもいわれておるのであります。アメリカが民政移管を非常に希望しておられる。従いまして、一昨日の朴議長声明というものに対しましても、アメリカ大使館から声明書が出されて、この朴声明が実現することを期待しているような意味のことが出ておるので、アメリカとしては韓国の政情が安定して民政移管にいくというようなことがあれば、在韓アメリカ部隊というものを引き揚げたいというような希望も持っておる。こういうふうに伝えられるのでありますが、その点は防衛庁の方ではどういうように見ておりますか。
  457. 海原治

    ○海原政府委員 現在韓国には、第八軍司令部の指揮下に、先生おっしゃいましたような、二個師団を主としました部隊が配置されておる、このように承知しております。
  458. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 アメリカ軍は引き揚げたいという希望を持っておるかどうかということについては、あるいは防衛庁からお答えを聞き出すことは無理かもしれません。そこでただいま、前段の質問にお答えになりました装備は、アメリカから借りたもの、あるいは供与されたものだということになりますと、日本の自衛隊と、韓国の特に陸軍部隊との装備は、大体共通すると見ていいわけですか。
  459. 海原治

    ○海原政府委員 先ほど私がお答えで、主として米式装備であるということを申しましたのは、韓国軍が当初編成されましたときのことでございまして、その後どのように具体的に各種の装備が更新されておりますかにつきましてはつまびらかにいたしておりません。自衛隊の方も逐次国産の新しいものをもって主要な装備は置きかえておりますので、現在時点におきまして共通のものがどの程度あるかということにつきましては、明確にお答えする資料を持ち合わせておりません点を御了承願いたいと思います。
  460. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 防衛局長は予防線を張って、情報はわからないと言うのですけれども日本の自衛隊が漸次国産の兵器あるいは装備に置きかえつつあるということは了解できますが、韓国の特に機械工業等の現状から見ますならば、日本のように兵器産業であるとか、あるいは軍の装備に関するような工業というものは、発達しているようには——私も韓国へ最近行ったことはありませんからわかりませんけれども、常識的に判断されるのですが、その意味で、アメリカの指導援助のもとに韓国軍が編成された当時そうであったというのでありますが、その後装備は変わっているかもしれないということについては、韓国内部のそういう兵器産業あるいは機械工業等の発展に伴うものではなくて、やはりアメリカが行なうか、あるいはアメリカが域外調達という形で、日本で調達したものを韓国へ貸与するとか、あるいは与えるとか、そういうような形で装備の改善が行なわれているのではないかという点が類推せられるのでありますが、その点についての防衛当局の見解はいかがですか。
  461. 海原治

    ○海原政府委員 防衛当局の見解ということになりますと、私の一存でお答えできないのでございますが、国軍の日等のパレードに出ておりますところの装備を見ますと、若干は、今先生のおっしゃいましたように、その後新しい戦車であるとか、あるいは自走砲であるとかいうものが入っておることはわかるのでございますけれども、これがどの程度に入っておるかということになりますと、十分ここでお答えするだけの資料を持ち合わせておりません。なお、関係のところにそのような資料があるかどうか、あらためて調査してお答えさせていただきたいと思います。
  462. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 そこで、先ほどから防衛庁自体として韓国に情報宮なり、あるいは代表者がおるというようなことではないので、情勢はつまびらかにすることはできないということなんですが、昨年の秋から一般に伝えられておることなんですけれども、昨年の秋に防衛庁から、これはあまり責任のある立場というか、防衛庁の首脳部だというわけには参らないそうでありますけれども、特にそういう職掌柄、韓国の防衛上の問題等について視察に行かれたということが伝えられておるのでありますが、そういうことがあったのかなかったのか、お答えをいただきたいと思います。
  463. 小野裕

    ○小野政府委員 お答えいたします。  昨年の秋ごろだれか向こうへ旅行したことがあるといううわさがあるというお話でございますが、そのようなことはございません。防衛庁関係者が韓国へ参りました例としては、昨年の春に一回だけ、一人だけでございます。これは防衛大学の経済学を担当しておる文官の教官でございますが、これが外務省の経済局の方から派遣せられました調査団の一員として、外務省の方からの希望によりまして、その視察団に加わって一週間ばかり行って参ったということが昨年の春一回ございましたが、それ以外には韓国へ参った者はございません。
  464. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 その点については、日韓会談の進行状況に伴いまして、政府関係あるいは民間人の関係で多数韓国へ渡航しておる人があるようであります。その点は別途予算委員会に資料として渡航者の名簿を出していただくように外務省へ要求しておりますから、その関係から私の方が調べてみます。しかし、私どもの聞くところによれば、昨年の秋十月ごろに、相当責任を持てる階級の立場の人が何名か行かれて、事情を調査をされたというふうに聞いておるのでありますが、人事局長責任を持ってお答えになるのでありますから、その点についてはこれ以上追及をいたしません。  私どもは、日韓会談妥結の次にくる問題は、結局極東の軍事同盟というか、いわゆるNEATOというようになるのではないかという点を心配をいたしておるのであります。これは主としてアメリカの韓国に対する方針、あるいは極東に対する方針、対日方針というようなものが一貫しているから、そういうようにわれわれは見ておるのでありますが、しかし私は直ちにNEATOというものに参るとは実は考えない。しかし具体的に日韓会談が妥結されたあとにおいて、韓国との間の国交回復が行なわれた暁におきましては、少なくともアメリカを頂点とする米日韓、この三国の間の防衛協定というようなものは現実に行なわれるのではないかと私は見ておるのでありますが、今の日韓会談の過程にはそういう防衛協定の話は出ておらないということは、外務大臣答弁を信用するのでありますが、韓国と日本の地理的な関係、あるいは日米安保条約というものが現にあるという建前、アメリカと韓国との間に米韓軍事条約というものがある建前から見て、そういうことに発展するのではないかということが国民の持っておる大きな疑念であります。防衛庁長官は、この点については、もちろん日本の防衛の観点から、韓国との間に何らかそういう防衛上の協定なり、あるいは意思の疎通をはからなければならないとお考えになっておるかどうか、この際承ってみたいと思います。
  465. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 この問題につきましては、関連をいたしまして池田総理がしばしば言明いたしておるところでございまして、韓国を中心とする軍事協力体制などということは考えたこともなければ、また、そういうことはあり得ないと私は確信をいたしておるのでございます。
  466. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 その点について、私は装備の点であまり追及しませんでしたが、やはり日本も自衛隊ができるときに、アメリカからの貸与と支給された兵器を中心にしてできた、いわば軍隊なんです。韓国の軍隊もそうなんです。しかも韓国には、日本のように兵器を整備する工場も産業も発展しておらない。こういう観点で、今度のギルパトリック次官ではないけれども、やはり極東における防衛について日本を頼みにしておるという関係から見て、装備を中心として、あるいはその装備の補修とか、そういう問題を中心にして、そういう方向へ、今の日米関係というものに変化を来たさない限りは、進んでいくであろうということは、これはただ単なる野党の憶測ではなくて、現実に日本の自衛隊の装備、韓国の軍隊の装備、特に韓国の状況の問題——アメリカはできれば極東の防衛は、もう経済力もできてきているから日本にまかしていきたいということになれば、アメリカはまさか韓国を見のがしにして日本をなにするということはないので、その点から見て、日米関係というものが変化しない限りにおいては、そういう方向へ進まざるを得ないような路線が敷かれておる。現にそういうような方向で日本の外交なり防衛なりというものが進んできているということは、これは過去十数年来の、特に朝鮮事変以来の日本の防衛当局が歩んできた道そのものから当然帰結されるので、にわかに池田総理が、その点考えたこともないと言われても、現実の事態の進行というものは、われわれ納得するわけにはいかないのであります。かりにそういう情勢ができてもやらないという防衛長官のお考えであるかどうか、重ねて御見解を伺いたい。
  467. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 田中先生の御識見として、深く拝承することにいたします。
  468. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 どうもかつての同僚である立場もあって、あまり私に無理を言わせないという予防線を張っておられるわけであります。  時間の関係もありますから、それでは次に、話が少し古くなりますけれども、キューバの事件というか、アメリカのキューバ封鎖が行なわれたときに、たしか航空自衛隊が警戒態勢に入ったという報道が出ておる。この点は事実なんでしょうね。
  469. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 仰せの通り、昨年の十月二十三日でございましたか、早期に、世界的な一大緊張事件が発生し、いろいろ協議いたしました結果、あれほどの大問題でございますから、あのような世界的規模に発展する可能性のある事件が、一体世界のどこにいつ発生、また影響するかわからないのでございまして、まず防衛庁としましては、航空自衛隊、と申しましても全部ではないのでございまして、航空自衛隊のうち戦闘機を配備いたしております数カ所の部隊に対しまして、自衛隊法第八十四条だったと思いますが、領空侵犯に対処させる規定がございます。その規定に基づきまして、現に戦闘機部隊は二十四時間ぶっ通し、自衛隊法第八十四条に基づいて、領空侵犯に対処いたしておるのでございますが、さらに厳に注意すべしという指令を、私は航空幕僚長から、二十三日の午後一時ごろであったと思うのでありますが、第一線の戦闘機部隊の航空隊司令にこれを発せしめたのでございまして、戦闘機部隊、それから各レーダー・サイトですか、レーダー部隊、それらに関連する情報連絡関係の機関がございますが、これらに厳に注意すべしと、その内容は申し上げる必要もないかもしれませんが、たとえばレーダー基地では従来、厳格にいえば二人前の仕事を一人でやっておる場所もあるのでございますが、そういうものはやはり一人充足して二人をつけて、万遺漏なきを期すべしという意味合いの警戒態勢を指令いたしたのでございまして、もとより陸上自衛隊、海上自衛隊には、何らの指令も発しなかったのでございます。以上の事柄がすべてのてんまつでございます。
  470. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 これは、防衛庁長官がそういうように情勢を判断したのですか。あるいは安保条約によって、アメリカからの情報連絡等に基づいてやられたのか、さらにこういう警戒態勢というものは、これが最初で、今までのところにはないと思うのでございますけれども、そういう特に戦闘機部隊に待機を指令するというような重大な決定事項というものは、国防会議に諮らなくても、防衛庁長官として処置できるものなのかどうか、その点はいかがですか。
  471. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 私の指令いたしました内容は、自衛隊法第八十四条に基づくものでございまして、国籍不明機が領空侵犯のおそれがある場合には、これを領空外に排除もしくはこれを誘導してやるというようなことが、八十四条に規定せられておるのでございますが、その領空侵犯のおそれのあるものに対する指令は、それぞれの航空隊司令、またその上にあります方面司令にも、これは与えておるのであります。御案内の通り、非常にスピードの速い飛行機が、領空侵犯をしたかしないかということは、非常に微妙でございまして、そういう場合に、第一、防衛庁長官の私の意見を聞いてそれに対処するいとまがないのでございます。いわんや防衛の最高責任者であります内閣総理大臣の意見を徴するいとまもなし、いわんや国防会議において論議するいとまはないのでございまして、これは瞬間的な、領空侵犯のおそれのある問題だけでございますが、これについては、私は指令を発し得る立場にあるのでございます。
  472. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 自衛隊に関する法規の点から見て、防衛庁長官に指令を発する権限はないとは私申し上げません。しかし、問題は日本から遠く離れたキューバにおける事態なんです。従って、これはアメリカから、あるいは核戦争に発展するかもしれないというような——当時なみなみならぬアメリカ側の決意があったということがいわれておりますので、あったかどうかということは、社会主義陣営ですら問題になっているくらいの問題ですから、何かそういうものがあったのだろうと思いますけれども、具体的にそういうような事前の連絡でもなければ、ただアメリカ側が封鎖をやったということから、直ちにそういう警戒態勢をとらなければならぬという情勢判断の根拠というものは、私はきわめて納得ができないと思うのです。もしかりにそういうような事態が出て、国籍不明機を戦闘機部隊が撃墜をしたというような事態に発展していったというときには、一体その後の事態というものがどう発展するかということまで、防衛庁長官考えられて処置したのかどうか。もし長官に相談する間もないから、方面軍なりあるいは現地の航空自衛隊の総指揮官なりがそういう判断をしたということになれば、事前に、もし封鎖というような事態に発展すれば、これは重大な事態になるんだということを聞いておらなければ、そのことの連絡もなしに、キューバで海上封鎖が起こったからということで、直ちにあのような処置に出るということは、私は今後もあり得るかもしれない事柄だけに、もし万一そういうことになれば、かえってそのことのために重大な、不測の事態を招く結果になると思うのでありますが、その点はいかがですか。
  473. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 そこで、私から指令を発した時間を特に申し添えたのは、そこにあるのでございます。午後一時に私は——常に二十四時間警戒態勢に入っておるのでございますが、その警戒態勢をさらに厳にすべしということをつけ加えただけでいござまして、あらためて領空侵犯に備えるという命令じゃないのであります。午後一時にその指令を出しましたのは、その未明から、ラジオ、テレビあるいは各種の情報機関で容易ならざる事態を、われわれがその推移を見守って、午後一時まであらゆる情報を検討した結果、私は御指摘のような指令を出したのでございます。指令を出しましても、自衛隊法八十四条の精神というものは、領空侵犯機を撃墜しろということは一つもないのであります。発砲しては相ならぬということになっておる。むしろ領空侵犯の疑いのあるものはこれを誘導して、そうして領空外にこれを排除するとか、あるいは、それでもなお頑強に聞かない場合においては、誘導いたして適当な飛行場にこれを着陸せしめるとか、そのような平和的な手段に訴えようとするのが八十四条の精神でございまして、撃墜しろとか、発砲しろとかいうことは一つもないのであります。従ってわれわれは、領空侵犯に備えてのわが方の戦闘機が国籍不明機を撃墜した場合に、むしろいろいろな問題が起こるじゃないかということは、心配いたしておらないのでございます。
  474. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 あなたが、防衛庁長官がそういう指令を出したのは午後一時だ。そういたしますと、それはアメリカの軍なりあるいはアメリカ大使館から防衛庁に、封鎖のことについての情報連絡なり何らかの連絡があって、そういうようなことも情勢判断の材料としてきめられたことですか、いかがですか。
  475. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 それは、一、二回連絡がございました。第一回目は、ケネディ大統領の重大声明の概要がまず連絡がございました。ところが第一報だけでは情勢の分析なり判断というものがつきませんので、引き続きケネディ大統領の重大決意を声明せられたその内容が入って参りました。それらをも検討の資料といたしたのでございます。しかしながら、ケネディ大統領の重大声明の内容は、すでにそのころにはテレビ、ラジオ、引き続き各新聞社の情報でわれわれのところにどんどん入っておりまして、むしろアメリカ側の大統領の重大声明の内容などというものは、われわれにとってはおそい方であったくらいでございまして、独自な情勢分析の判断の上に立って、私が最終的に腹をきめて、ただいまのような警戒を厳にすべしという指令を発した次第でございます。
  476. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 そういうような情報を、米軍から連絡を直接軍が受けるという状態にあるのかどうか、この点は私一つの問題だと思うのですが、当時の状況から見れば、あれは、第一回のケネディ大統領の重大声明は午前八時ごろだったと思うのです。その二十分前に、七時四十分に、ライシャワー大使が池田さんを信濃町の私邸に訪問されて、二十分前だけれども、事前通告をしたということで、アメリカ日本を大事に考えて事前通報をしてくれたといって、政府はアメリカとの緊密な連絡をあたかもたたえるような、昼の官房長官会見のときに、談話さえ出ておるような状況です。従って、それを自衛隊の方に連絡をしてきたのか、あるいは安保条約の建前から見て、アメリカ軍が直接自衛隊へ連絡する体制があるのか、その点はいかがですか。
  477. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 総理大臣なり外務大臣のルートは、御案内の通りライシャワー大使でございましょう。私の方は、日米安保条約を締結いたしておりますお互いに相手方でございまして、その日本におきます代表は在日米軍指令官でございます。その軍司令官と私の間にいろいろな情報連絡が行なわれるのでございまして、先ほど申し上げた大統領の声明の内容の第一報も、在日米軍司令部の方から私に連絡があったのでございます。
  478. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 それでは、私はこれを最後の質問にいたしますが、そういうことが安保条約でできるようになる。政府はそのことまでは、安保条約の審議のときには明らかにしなかった。ところが現実にそういうようになっているというところに一あなたはあなたの独自の判断に基づいてやったと言うて、責任を一身にかぶられている。そういうことで、このときのあなたの警戒態勢というのは、おそらくそういう事態も歴代長官のときには起こらなかったかもしれませんけれども、大いに張り切ってやられたということの意味か知りませんけれども、現職の防衛庁長官アメリカへ招待されたのは、志賀さんだけですね。そういう点から見て、やはりアメリカ軍との間の直接連絡に基づいて自衛隊が行動をとられるということになれば、それこそわれわれが安保条約の審議に際して指摘したような心配が出てくるということになる。この点は、きょうはもう時間がございませんから、私これ以上追及いたしませんけれども、たまたまここに一つの問題を投げておるということを、親友として、あなたが防衛庁長官としてその職責を全うすることを、私は野党の反対的立場に立っても願っている立場から、あなたの置かれている位置、またあなたを取り巻く情勢というものはなかなか容易ならぬということを、とくとお考えをいただきたいと私は思います。  そこで、私は幾つか予算に関連した問題で質問をしたいと思っていたのでありますが、最後の質問として、今度、自衛隊による民間パイロットの養成を行なうための予算を若干組んでおります。これは前年度から引き続いて行なわれておるのだと承知いたすのでありますが、自衛隊が民間のパイロットを養成するというのは、一体どういう観点からなのか、その点を明らかにしていただきたい。  もう一つ、同時にお答え願いたい問題は、防衛庁費のうちで弾薬費というものが四十億三千三百万、前年度より約十億増加しているのですね。これは一体どういうことなのか。もちろん、新しく艦船も出てくるし、航空自衛隊の制度も進んで参りますから、演習用のいろいろの弾薬も若干要ることはわかりますけれども、特に本年度の予算に——防衛庁全体の予算から見れば、わずか十億じゃないか、あまり気に病むなと言われるかもしれませんけれども、弾薬費の十億の増加というのは、ちょっと穏やかならぬ数字じゃないかと思うのでありますが、一体どういうところから出たか。私はもう時間がありませんから、私は私で、この弾薬費が増額になったということについて、どうも心配になる一つの問題をつかんでおるのでありますけれども、それは申しません。けれども、弾薬費が増加したという点は、ただ単に、部隊の人数がふえるとか、装備が強化されてきたからということ以外に理由があるのではないかと思うのであります。この民間パイロット養成の問題と弾薬費の増加の問題についてお答えをいただきたい。
  479. 小幡久男

    ○小幡政府委員 最初の民間パイロットの教育受託の問題につきましてお答え申し上げます。自衛隊法百条の二によりまして、自衛隊以外の民間の教育を受託し得る根拠規定がございます。ところが民間パイロットにつきましては、昨年来運輸省の方で、非常に航空界が進歩をいたしますにつれましてパイロットの養成が伴わないという事態が非常に重視されまして、運輸省、大蔵省、防衛庁三省で何とかこれが打開策はないだろうかという話し合いが行なわれまして、その結果三省の事務次官で話し合いまして、固定翼の方を三十名、それからヘリコプターで二十名程度一カ年養成してくれという話になりまして、それに基づきまして若干の予算もいただきまして、三省間の協定でやっておる次第でございます。
  480. 上田克郎

    ○上田政府委員 弾薬関係についてお答えいたします。自衛隊の弾薬は大体訓練射耗を補てんするものを主として買っておるわけでございますが、三十八年度特に大口でふえましたのは、サイドワインダーが、歳出と国庫債務負担行為を合わせてでございますが、約十億円になっております。三十七年度はサイドワインダー関係が約一千万円でございます。この分でふえたのが、三十八年度に弾薬関係がふえた主たる理由でございます。
  481. 櫻内義雄

    櫻内主査 久保三郎君。ちょっとあらかじめ申し上げますが、志賀防衛庁長官は六時に所用があって出ますのでお含みおき願います。
  482. 久保三郎

    久保分科員 それでは一つだけ御質問申し上げますが、回りくどい答弁は時間がありませんからやめていただきたい。どうも聞いておると、くつを隔てて足をかくということわざがありますが、どうもそういうふうでだいぶ時間を空費しておりますから、十分注意していただきたいと思います。  そこでお尋ねしたいのは、航空基地の建設の問題でありますが、一つの例として、茨城県下にある百里基地の建設の状況であります。これは防衛力整備計画の中で、いかなる目的を持たせようとして設置を始めたのか、設置を始めたのはいつからであって、完成目標はいつまでに置いているのか、現況はどうなっておるのか、見通しはどうなのか、そういう点をまとめて御返答いただきたい。
  483. 上田克郎

    ○上田政府委員 お答え申し上げます。百里基地は、首都周辺の飛行基地といたしまして、当初F86F、F86D、そういうF86を飛ばすための飛行場として、昭和三十一年の春から建設に着手したわけであります。そのときの大体の規模は、七十五万坪の敷地に二千四百メートルの滑走路を持った飛行場をつくる、そういう形で進んできたわけであります。ところが七十五万坪のうち六十九万坪につきましては取得がすでにできたわけでありますが、残りの所有者との間の話し合いが不調のまま現在に至っております。この飛行場を私たちは昭和四十年には使えるようにいたしたい、さように考えておりまして、まだ同意しておられない方々に一生懸命同意していただくように現在話し合い中でございます。
  484. 久保三郎

    久保分科員 四十年までに完成させたいというのは、現在までに完成された部分があるようだが、これはいかなる目的で今使われておるか、使用はされていないのか、いかがですか。
  485. 上田克郎

    ○上田政府委員 現在のところ使用されておりません。と申しますのは、隊舎、エプロン、補助滑走路、そういうものの相当部分——隊舎、エプロンはほとんど完成しておりますが、補助滑走路はまだ予定通りいっておりません。使用はいたしておりません。ただ一部分、ヘリコプターの練習には使っております。
  486. 久保三郎

    久保分科員 同意を得られない土地所有者に対して話し合いを進めておると言うが、その話し合いを今日でも進められておるのか、おるとするならば見通しがあるのか。  それから最近聞くところによれば、今まで取得した土地に対して土木の機械等を入れておるが、これは新たな何かを建設しようとしておるのか、どうなんですか。
  487. 上田克郎

    ○上田政府委員 現在、当初計画のような滑走路を完成する決心をもちまして、すでに取得いたしました六十九万坪に関する限り工事を開始いたしております。と申しますのは、四十年までにはぜひ完成したいという決意をもって臨んでおりますので、まだ同意されない方にもぜひ同意していただきたいと思って説得を続けているわけでございます。
  488. 久保三郎

    久保分科員 四十年までに完成したいという決意をもって臨んでおるそうでありますが、決意を持っておられても、土地所有者の同意を得られなければできないだろうと私は思う。そこで、なるほど一部エプロンあるいはタワー等ができておるようでありますが、それ以外に、今日工事を始めつつあるのは主要滑走路の部分の一部かと思うのでありますが、土地所有者の同意を得られる見通しもないのに中途半端な工事にかかることは、国家経済上いかがかと思うのですが、どうでしょうか。上田政府委員 私たちとしては、できるだけ同意を得られるように極力努力いたしますが、それでもなお同意を得られない場合には、今の法律で許されている限りの手段は尽くしていきたい、そういうふうに考えております。
  489. 久保三郎

    久保分科員 今の法律で許されている手段を尽くしていきたいというのは、その法律とは何ですか。
  490. 上田克郎

    ○上田政府委員 土地収用法でございます。
  491. 久保三郎

    久保分科員 土地収用法によってその土地が収用できるという見解は、どんな理由ですか。
  492. 上田克郎

    ○上田政府委員 これは、自衛隊がそういうような飛行場をつくることにつきまして、土地収用法にいう事業認定を受けなければならぬわけであります。この事業認定を受けられると私たちは信じております。そういう形で進めていきたいと思っております。
  493. 久保三郎

    久保分科員 信じておるというだけで法の解釈が成り立つのですか、いかがですか。
  494. 上田克郎

    ○上田政府委員 法律の解釈でございますから、最終的には裁判所その他で決定していただくわけでありますが、従来事務的に法制局その他に照会いたしましたところ、法制局の解釈でも、事業認定が受けられる対象になるというふうに私ども承知いたしております。
  495. 久保三郎

    久保分科員 認可を受けられる対象になると言うが、これは、よしんば万が一そういう認定を受けられるにしても、土地収用法はやはり所有者の権利を守る法律でもあるわけです。むしろ収用法というのは所有者の権利を守る建前が貫き通されておる。そうなった場合、あなたがおっしゃるような土地収用法でスムーズに今後四十年までにできると思うのでありますか、いかがです。
  496. 上田克郎

    ○上田政府委員 私は、土地収用法の適用を求めるのは最悪の場合であって、それまでにぜひ同意して円滑に、円満裏にこの売買ができ上がるようにと考えて、四十年と考えておるわけであります。
  497. 久保三郎

    久保分科員 それでは、今の段階では土地収用法をかけるという一つの武器を持ちながら話し合いを進めているということになりますか。
  498. 上田克郎

    ○上田政府委員 さようでございます。
  499. 久保三郎

    久保分科員 そういう手段方法で考えて今日まできたとするならば、何がゆえに今日までじんぜんその武器を使わぬのか。あなたはこの計画は四十年までと言うが、三十一年に手をつけたときにははたして何年までに完成しようと思ったか。
  500. 上田克郎

    ○上田政府委員 仰せの通り、三十一年に開始しておりながら現在までエプロンをつくり、タワーをつくり、隊舎をつくっておりまして、その後まだやっていないということは御指摘通りでございます。私の方では、ここまでいろいろ説得して参りましたけれども、今後とも説得は続けたいと思いますが、もうこの段階になりましたら、場合によっては法律的な最終的な方法をとらざるを得ない、さような考え方をいたしております。
  501. 久保三郎

    久保分科員 私がお尋ねしているのは、三十一年に手をつけ始めたときには何年後に完成する目標でかかったかというんですよ、いかがです。
  502. 上田克郎

    ○上田政府委員 大へん申しわけございませんが、私が引き継ぎましたときは去年の夏でございますので、おそらくは三十一年から三年くらいのうちには完成したいと思っておったのだろうと思いますが、この点大へん申しわけございませんが、私の推定でございます。
  503. 久保三郎

    久保分科員 今までの予算の使い方も必ずしも適正ではないことはあとから申し上げます。そういう難関に逢着しておりながら、しかも防衛力整備計画内容が、先ほど来いろいろ質問がありましたが変わってきたのじゃないですか。そうだとするならば、ここでそういう無理押しをしてやる必要がどこにあるかという問題も一つあります。  そこで、長官に最後にきょうはお尋ねしておきますが、しさいに検討しないで、先ほど局長か長官お話にあったように面子にかけてということでは、残念ながら問題は解決しない。なるほど七十万坪予定してその大半を取得してエプロンとタワー、あるいは隊舎ができたということでありますから、これをしもこわせと言うことはなかなかできないでしょう。しからばむしろこれを他に転換するということもこの場合は考えてしかるべきじゃないか。そこで全体的な計画の中でみても首都防衛のために云々とおっしゃるが、時代は進んでいるようです。そういうことを考えていけば、ここがいわゆる転換の時期じゃなかろうかと私は思う。それを最近に至ってまたブルドーザーその他を入れて、中身の重要な拠点であるところの土地の取得もできないので、まわりをがさがさやるがごときは、少なくとも当てのない仕事で、一つまわりから攻め落とそうという、戦争ならばこれもいいでしょう。国民対国家の間柄でそういう方法をやるべきかどうか、しかもむだな国費を使うということがはたして妥当かどうか、こう思うんです。そこで長官にお尋ねしたいのは、そういうことを含めてこの問題を処理すべきだと思うが、いかがでしょう。
  504. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 百里の基地の問題は、私が防衛庁に参りましてから一つの大きな問題といたしておるのであります。先刻来経理局長からいろいろお答えをいたしておるのでございますが、防衛庁といたしましては、最後の最後まで誠意の誠を披瀝して、現在まだ応諾せられない関係地主の諸君に御相談を申し上げて御協力を願う。なるほど法律的な建前をとりますと土地収用法というようなものもございますが、これは昔からよく申しまする伝家の宝刀とでも申すものでございまして、やたらにこういうものは振り回すべきものではないのでございます。私は、今後地元関係方面とも、事の次第では私みずから現地の水戸に出かけましても関係地主の諸君とひざをつき合わせて国家防衛の問題から一つ話し合って、胸襟を開いて話し合っても御協力を願いたいと考えておるのでありまして、現在のところは、法律上の手続その他の建前からいえば経理局長の申した通りでございます。しかしながらそれは政治ではありません。いわんや私は十六年間も代議士をやっておる防衛庁長官ですから、その辺はしっかりした気持で一つ当たってもらいたいと思うのでありまして、むしろ地元関係方面の各位の御協力を得て——私は事の次第では茨城県の知事にお目にかかって一つ大いに談じ合ってこの問題の解決の促進に当たりたいというのが今日の私の腹がまえであります。もうすべてが誠心誠意しかないのでありまして、また同じ日本人でありまして、いまだに応諾しないうちの一人のごときは、かつての日本帝国の海軍の軍人でもあったということを私はほのかに聞いておるのでありまして、私は話せばわかるとかたく信じております。そうした私の腹がまえで、今後体当たりで参りたいと思うのでありまして、むしろ先生方の格段の御協力をお願い申し上げる次第でございます。
  505. 久保三郎

    久保分科員 長官も立場上誠心誠意で一つつくりたいと言う。その願望はその通りでありまして、つくりたくないと言ったらおかしな話です。  局長に聞くが、伝家の宝刀か何か知らぬが、あなたが土地収用法の認定事項に該当するということをおっしゃったが、そういう手続なりその前提なりを関係方面に打診しておられるのですか。政府部内ではなくてたとえば茨城県、そういうところと今やっておられるのですか。
  506. 志賀清二

    志賀政府委員 お答えいたします。土地収用法を適用するかどうかということについて言えば、茨城県の方に意向を伺うということはまだはっきりいたしておりません。ただわれわれとしましては、場合によってはそういうことを考えなければいかぬということを前提にしていろいろ検討はいたしております。
  507. 久保三郎

    久保分科員 局長にお尋ねしますが、今工事にかかったのは何をおやりになるのですか。
  508. 上田克郎

    ○上田政府委員 現在第一期工事としてやっておりますのは、主滑走路の部分、全体の約三分の一くらいになっておるかと思いますが、それが第一期工事であります。そのほかにまだわれわれの取得しておる土地で草などはえるままになっておる部分がありますが、それの表土はぎというようなことも第二期工事としてそろそろスタートしておると私は思っております。
  509. 久保三郎

    久保分科員 時間もありませんから飛ばしますが、一つだけ最後に聞いておきたいのですが、三十七年度の予算でやる仕事はどの程度なんですか。来年度というか、これは繰り越しになっていると思うのでありますが、三十八年度はどういう計画か、大よそあらましを伺いたい。
  510. 上田克郎

    ○上田政府委員 三十七年度の予算では、御指摘通りに、この三月末日までには第一期工事は終わりません。大体六月ぐらいだと予定しております。それから第二期工事の分は、同時に、次の工事を三十八年度に予定しております工事がございますので、それをいたしたい。もちろん、その三十八年度の工事をやるにつきましては、まだ買収していない部分についての工事は、話がまとまらなければできません。
  511. 久保三郎

    久保分科員 そうしますと、第一期工事は本年六月ごろまでかかる。これは総体の費用は幾らですか。
  512. 上田克郎

    ○上田政府委員 第一期工事の大体の金額は、二億三千万でございます。
  513. 久保三郎

    久保分科員 時間であるようですから、以上をもって私は質問を打ち切っておきまして、次回にまたお願いしたいと思います。
  514. 櫻内義雄

  515. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私は、北海道の根釧原野の矢臼別演習場の問題でお伺いしたいわけです。  この問題は前にも質問いたしておるわけですが、昨年度三千五百万の予算がついて、本年予算を繰り越して使う、こういう状態になっていると考えるわけです。そこで私は、まず第一に、矢臼別の演習場の使用目的は、一体どういう火器を使うのか、それと、一体演習の期間は、この演習場の場合どう想定をしておるのか、この点お伺いをしたいと思うわけです。
  516. 小幡久男

    ○小幡政府委員 矢臼別につきましては現在、千歳、島松で距離を縮めてやっております大砲を主としまして、そういう射場がないものですから、今回矢臼別でやりたいというのが主でございまして、あわせて各師団の演習もやるという含みでございます。ただ矢臼別は、御承知のように、非常に雪の多いところと聞いておりますので、演習できる日数につきましては、必ずしも一年じゅうというわけにはいかぬと思っております。
  517. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私が昨年の当分科会質問いたしました場合に、防衛庁から答弁されておりますのは、目的については今述べられた通りでありますが、演習の期間については、六月から十一月の五カ月の間、しかもここで百五十ミリのカノン砲の実弾射撃の演習をするのは一週間、大体一週間の間をおいてまた一週間やる、だから五カ月間の奇数になる期間が実弾射撃の演習期間である、こう私は一応答弁を受けておるわけです。今日一年間経過しておるわけですが、この計画の変更がありますか。
  518. 小幡久男

    ○小幡政府委員 急な御質問でございましたので、詳しい資料を持っておりませんで大へん恐縮でございますが、大体大きな変更はないのではないかと考えております。
  519. 岡田利春

    岡田(利)分科員 答弁された議事録はここにあるわけですから、変更がないとすれば、五カ月間のうち奇数になる時期がいわゆる実弾射撃の演習の期間である、こう私は理解しておきたいと考えるわけです。そこで、当演習場を取得するために今まで長い問いろいろな経過が実はあるわけです。しかも地元の場合には、無条件で演習場の設置を受け入るという態勢にはないはずです。第一の条件としては、これは単なる演習場であるならば反対である、ここに自衛隊が駐屯しなければならない、そういう点で防衛庁とずいぶん長い間折衝が行なわれて、防衛庁としてはここに部隊を駐屯させる、こういう言明を地元に与えておるわけです。前回内閣委員会で私が質問したことについて、この部隊についてはまだはっきり確定はしていないが、そういう方向で駐屯させるということを言明しているわけです。すでにもう四カ月以上経ておるわけでありますから、この部隊は、どういう規模の部隊を、どこの部隊を持ってきて、いつからそれを駐屯させるのか、この点について見解を承りたいわけです。
  520. 上田克郎

    ○上田政府委員 私去年のことを思い出しますが、先生から、一個大隊ぐらい駐屯させるのかというようなお話があったように記憶いたしております。私もその当時はこまかい駐屯の計画というものを聞いておりませんので、大体それぐらいは駐屯させ得るのじゃないかというのがその当時の考え方でございました。それからいろいろ技術的に詰めましたところ、現在のところ、さしあたりは普通科の一個中隊ぐらいを釧路の方から持っていこうというのが一応の考え方でございます。これはまだ現地とは具体的に相談して、どこに駐屯させるか、いつから駐屯地の工事にかかるかということとの関連もございますので、確定したわけではございません。
  521. 岡田利春

    岡田(利)分科員 しかし、この問題は、一年前から防衛庁から正式に地元に対して、部隊は駐屯させますと明確に確答を与えているわけです。従って部隊を駐屯させるということは、少なくとも防衛計画の中にこれは組まれている問題なんです。大体どの程度の部隊を駐屯させるのかということが今はっきりしないということは、私は非常におかしいと思うわけです。これは地元に対してペテンにかけているのではないか、こういう感じすら実は私は持つわけです。今釧路の問題がありましたけれども、釧路の部隊は、これは連隊ですか大隊ですか、中隊ですか。
  522. 上田克郎

    ○上田政府委員 釧路は連隊がおります。駐屯は、そのうちのさしあたり一個中隊並びにその支援隊を持っていくというのが、現在の考えでございます。
  523. 岡田利春

    岡田(利)分科員 そうしますと、駐屯させる場合には施設が伴うわけです。昨年の三千五百万円の予算の中にはこの点は計上されていないわけです。そうすると、この予算は一体どういうように処置をされるのか。少なくとも年度内に駐屯させないということになれば、公約違反ではないか。少なくとも防衛庁が正式に地元に回答していることに対して私は違反になると思うのです。
  524. 上田克郎

    ○上田政府委員 地元としては、いつ駐屯させるかということにつきましては、北部方面の総監とよく相談して具体的な日時はきめるというような格好になっておりまして、本年度中にはとても技術的に無理でございます。
  525. 岡田利春

    岡田(利)分科員 では、本年度中は無理であれば、来年度は必ずこれは駐屯させる、こういう意味ですか。
  526. 上田克郎

    ○上田政府委員 実は地元との間で、地元の大きな別海村のどこに駐屯地をつくるかということにつきましての最終的な詰めがまだできておりません。われわれの考え方としては、できればこの春の雪解けのあとでそれを具体的に詰めていきまして、調査をし設計をするということになって、予算としては来年度以降——来年度と申しますのは、三十九年度以降の予算になろうかと、さように考えております。
  527. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私は現地をよく知っているわけです。一週間前にも現地を回ってきたわけです。別に、別海というのは北海道だから、雪があって調査ができない場所でないわけです。きわめて雪の少ないところで、この別海村の立地条件というのは、これは別に調査するまでもないと私は思うのです。ですから、そういう点について、一年前にあなた方は、これは演習をやる場合には駐屯させます、こういう確約をしておるわけですが、一年間経過してもまだそれが詰めてないというのは、単なる国会上の答弁にしかすぎないのではないか、こういうような感じがするのですが、いかがですか。
  528. 上田克郎

    ○上田政府委員 実は演習場が取得できるかどうかということにつきまして、北海道庁の御意見あるいは開発庁、農林省の御意見を聞いた上で、この演習場がほんとうに獲得できるかどうかということをきめなければならないわけであります。その前に調査に行くということはいかがかというふうな考えもございましたことと、それからありていに申しますと、別海村からここに候補地はどうだと言われた部分は、実は別海村としてもそこを最適と思われたかどうかわからないと思われるくらいな湿地帯のようであります。これは一応の、別海村に建ててほしいということの御意見だと考えて、われわれは具体的な場所というものは今後とくと御相談してきめたい、さように考えておるわけでございます。
  529. 岡田利春

    岡田(利)分科員 今の答弁で、昨年はそういう道庁なりあるいは農林省がまだ結論が出ていないのに防衛庁が一方的に予算を計上した、しかもそういう点が調整がとれなかったから、今の問題についても差し控えておった、こういう答弁なわけです。ですから、昨年三千五百万のこの演習場の取得の予算の計上は軽率であったということをあなた方は認める結果になるのじゃないかと私は思うのです。軽率であった、少なくともそういう手続方法をとらないで一方的に防衛庁は三千五百万の予算を計上した、それが来年に持ち越されるということは、防衛庁としては軽率である。こういうことが演習場や軍事基地の問題においてひんぱんにとられておるとすれば、私ははなはだ遺憾だと思うのです。この点は認めますか。
  530. 上田克郎

    ○上田政府委員 私たちとしては、この三月で終わります三十七年度中に相当なものは片づくであろうという見込みをしておったことでございまして、この見込みが少し甘かったと仰せられれば、現在の進行状況から見ますと、そのようになると思います。
  531. 岡田利春

    岡田(利)分科員 あっさり認めた方がいいんじゃないですか。演習は五月から十一月でやめるけれども、それまでに施設をしなければ演習場として役に立たないわけです。冬季間については工事ができないことはあなたも御存じでしょう。ですから、当然そういう手続方法をとれば、昨年一ぱい、少なくとも十二月一ぱいかかることは、だれが見ても明らかなんです。ですから、これは当然そういう手続方法をとらないで一方的に予算を計上したということは軽率であるということを、むしろ率直に認めるべきである。自後の問題についてもこういう軽率な方法をとるべきでないということを私はむしろ言いたいわけです。いかがですか。
  532. 上田克郎

    ○上田政府委員 予算を計上いたしました部分所管が之を受ける部分でございますが、これは矢日別第三地区でございます。これは従来とも承認を得まして演習をやっております。この場合に、いわゆるテントを持っていってやっているわけでございますが、ここでほんとうに演習場として正式に取得して演習をやるためには、廠舎を建てなければなりません。それから別海村の御希望のような駐屯地をつくるということになりますと、また別個に隊舎が要るわけでございます。その廠舎と隊舎をつくって本腰を入れて演習をやる時期というものは、これから先に参るわけでございます。演習場としては、従来も何もないところでも演習をやったことが現にございますので、その意味で、従来お借りしておったものはなるべく早く所管がえを受けたいという趣旨で予算を組んだわけでございます。全体がまとまる前にそういうものを組んだこと自体について御批判はあろうかと思いますが、そのような趣旨でございます。
  533. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私はそれ以上の追及は、まだいろいろ実例をあげて追及したいのですが、時間がないから、やめます。  そこでお伺いしたいのですが、最近地元の方から、第二矢臼別地区のいわゆる入植農家、これは酪農経営をいたしておるわけですが、これに対する影響の問題が出て、特に防衛庁に対して、少なくとも第二矢臼別から八キロ離れたところに百五十ミリカノン砲の砲座を設けてほしい、これ以上近接する場合にはこの三十六戸の農家に影響があるということを初めとする折衝があったと思うのです。この点御存じでしょうか。
  534. 上田克郎

    ○上田政府委員 現在までのところ私の手元には、そういった具体的な提案は、条件としては来ておりません。
  535. 岡田利春

    岡田(利)分科員 あなたの手元に行ってないけれども、これは防衛庁には行っておるわけですよ。少なくとも最近行っておるはずです。これは先月の終わりから今月の初めにかけて防衛庁地元から行っているはすなんです。私が一番重視するのはこの影響の問題なんです。第二矢臼別に近接して第三矢臼別があるわけですから、ここへ砲座を設けて実弾射撃をすると、その農家に影響する。第二矢臼別は、御存じのように買収地域にも指定されていないわけです。ですから、地元としては、八キロ離れなければ酪農経営上非常に支障がある、こういうことが非常に強く叫ばれて、しかも別海の村長が防衛庁に正式にこの問題を持ち込んでおるはずです。ですから、私聞きたいのは、第二矢臼別から八キロ離れて砲座を設けるということについては、そういう当初の計画変更については、防衛庁の方としては受け入れる可能性があるかどうか、受け入れる気持があるかどうか、こういう点を承りたいと思います。
  536. 上田克郎

    ○上田政府委員 第三矢臼別地区と第二矢臼別地区との間に風蓮川というのがございまして、その風蓮川の北の方と申しますか、東北と申しますか、あの第三地区はたしか入っていたと私記憶いたしております。ところが、所管がえを受ける初めの気持では第三地区全部をと思っておりましたが、別海村からの御要望もありまして、風蓮地区以北と申しますか、風蓮地区から第二地区に近い方は全部私の方は御辞退申し上げるということになりましたので、実は八キロという数字を私今初めて聞きましたので、技術的に訓練計画から見て、それが第二地区から、風蓮川からどんなふうになるのか、私は今のところ見当がつきませんので、技術的に検討してみたいと考えております。
  537. 岡田利春

    岡田(利)分科員 御存じのように、この地帯は酪農地域で、前にも指摘をしましたように、最近はオーストラリアのジャージー種が導入されておるわけです。これは非常に音に敏感な牛でありまして、場合によっては乳が出なくなるのではないか、こういうことも今真剣に心配されておるわけです。それと、先ほど言われた北海道の四個師団の総合演習を実はこの地域で行なう、こうなって参りますと、その結果いろいろ障害が出てくるのではないか。たとえば演習を大々的にやることによって河川の汚染ということが行なわれれば、これは日本最大のサケの上る川があるわけですが、そういうものに対する影響は一体どうなのか、こういう問題も実は出てきておるわけです。あるいは、今申し上げました通り、酪農経営に対する影響は一体どうなのか、こういう問題が現地で具体的に心配されておるわけです。もしそういう障害が出た場合に、これに対して防衛庁としては完全な補償をするという、こういうことについてはっきりした決意があるのかどうか、承りたいと思います。
  538. 上田克郎

    ○上田政府委員 河川の汚染、あるいは砲声等による乳量の減少というものが直接に証明できるようなものがございましたら、われわれとしては当然補償すべきものだと考えております。
  539. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私は前回、矢臼別演習場の問題が、自民党の国防部会で、富士のアメリカ軍の演習をこの矢臼別に持っていってはどうか、こういうことを正式に議論されて、これまた大きな問題になったことがあるわけです。そこで、内閣委員会で防衛庁長官が、ここは絶対に米軍使用させない、こういうことを言明されたわけです。そこで私は、防衛庁では、この演習場は将来とも米軍使用させないという公文書を出されるかどうか、こう質問しましたところ、この点については研究して御返答申し上げるということで、しばらくたってから、そういう実例がないというだけの返答が私にあった。幾ら催促しても、その点出すとも出さぬともはっきりした返事がなかったわけであります。この点について、これは非常に大きな問題になっておるわけなんですが、防衛庁としては、この矢日別の演習場は自衛隊だけであって、米軍に絶対に使用させないというはっきりした態度があるならば、そういう表明されておる態度を公文書をもって地元の役場なり村なりあるいは関係者に明示することができるかどうか、一つ承りたいと思います。
  540. 志賀清二

    志賀政府委員 ただいまのところはそういう考えはございません。ただ、それを将来にわたって文書でとおっしゃいますけれども、将来ということは、いろいろ世の中も変わることでございますので、そういう文書は出せないだろうと私は考えております。
  541. 岡田利春

    岡田(利)分科員 そこで、現在の安保条約に基づいて正式にアメリカ側から日米合同委員会の中に、この矢臼別の演習場をアメリカ軍として使用したい——これだけの演習場はない、これだけの広大な演習場は、これから日本の国内につくるといっても、なかなかできないと私は思うのです。ですから、それだけに、アメリカ軍がこの演習場を使いたい、しかもそれが正式にアメリカ側から申し込まれた場合に、わが国としてこれを拒否することができるかどうか、正式に安保条約に基づいてアメリカ側からそういう申し入れがあった場合に、拒否できるものかどうか、この点、安保条約あるいはまた日米合同委員会運営からいって、防衛庁はどうお考えになっておりますか。
  542. 志賀清二

    志賀政府委員 安保条約によりまして、米側の方から申し入れがあったというふうな場合でも、わが方といたしましては、いろいろ国内の事情とかその他をよく勘案しまして、提供するかしないかを決定するわけでございますので、ただいままでのところはそういうふうな考えは持っておりません。
  543. 岡田利春

    岡田(利)分科員 政府の取得している演習場でない地域アメリカ側が使用したいという場合には、それ相応の理由が出てくると私は思うのです。現実に日本の自衛隊がその演習場を取得して演習をしている、しかも期間がきめられている、しかもアメリカ軍としてはその期間にダブらないようにここで演習をしたい、こういう申し入れがあった場合に演習場なんですから、すでに政府が取得しているのですから、今の日米安保条約からいって、これは私は拒否する理由はないのではないかと思うわけです。むしろ日本側は積極的にその場合に協力をするという態度が、安保条約の性質からいって望ましいのではないかと思うのです。防衛庁としてはそうお考えになりませんか。
  544. 志賀清二

    志賀政府委員 ただいまのお説の点は、一応常識的には私もそういうふうなこともあると思いますが、実際に提供するかしないかということは、その演習場はただ演習場に使われておるということだけでなしに、いろいろのほかの事情もよく考慮して考えるべきだと考えております。
  545. 上田克郎

    ○上田政府委員 去年岡田先生からそういう御質問を受けた当人でありますので、私からも一言申し上げておきます。そのときに大臣が、私は絶対に米軍に使わせることはいたしません、そういう御答弁をなすったと私は記憶いたしております。私もそのときに、同感でございますと申し上げました。法律論的には先生のおっしゃるような懸念もあろうかと思いますが、政治的には、こういうことを、北海道庁の長官にも、うちの長官から、ああいう新聞の報道は全然誤報であって、われわれとしては米軍に貸す気持は全然ないということを言明しておられますし、われわれとしても、取得いたしましたあとでも、米軍に貸す気持はございません。
  546. 岡田利春

    岡田(利)分科員 きょう大臣がおらぬで非常に残念なんですが、大体大臣は、この演習場がどの期間使われる計画なのか、そういうことを御存じなかったのですよ。私に言われて初めて、ああそうですか——これは一年じゅう自衛隊が使うのですから、そういう時間はありませんという答弁だった。私に指摘されて、いや、私はわかりませんから……。ですから、大臣の決意だけでは非常に問題があると私は思うのです。今説明されておるように、五月から十一月の間の——しかもこの地区はそう雪が多い地域ではないわけです。冬季間の演習その他についても当然考えられる地点なんです。ですから、単なるそういう気持がないということだけではなくして、法律論的には、今言われたように、申し込まれた場合に拒否する理由はないではないか、だからそういう場合があり得るということを当然考えておかなければならぬのではないかと私は思うわけです。それを、法律論的にはあるけれども、絶対にそういう気持がないから、させませんという防衛庁の意思はわかりますけれども、今のアメリカ日本の軍事協力体制からいって、しかも日米安全保障条約が結ばれて、普通一般の土地でさえも、相当な理由がなければ提供しなければならぬ義務があるのではありませんか。まして、演習揚々使いたいという場合に、決意だけで、それは困ります、それは絶対にアメリカ軍に使わせません、こう言い切れるものではないのではないですか。演習場の場合は、普通の場合よりも、むしろ、協力するという体制で条約を結んでおるのですから、申し込まれれば、使用させることが当然あり得る、こういう答弁があることが、きわめて筋だと私は思うのですが、いかがですか。
  547. 上田克郎

    ○上田政府委員 五月から十一月というふうに前に答弁があった由聞きましたので、私としては実はその点つまびらかにいたしませんが、御承知のように、陸上自衛隊の演習場というのは、あちらこちらで大へん手狭でございまして、演習計画としても、一つの演習場をとればフルに利用する、特に矢臼別のような絶好な演習場ができれば、フルに利用する計画を立てるのだと信じて、実は取得に努力いたしておるわけでございまして、五月から十一月までしかやらない、冬の間遊んでおるということは、駐屯地ができたり廠舎ができたりいたしますと、そういうことはないのじゃないかと私は考えております。
  548. 岡田利春

    岡田(利)分科員 この問題はこれでやめますが、特にお聞きしたいのは、御承知のように、別海の浜は、そこから指呼の間に国後島が見えるわけです。かつて満州の国があった場合にも、国境で演習をするのは避けるのが常識なわけです。国境で演習をするということになりますと、相当問題がかもし出されるわけです。しかも北海道の全四個師団が総合演習をこの地域でするということは、対ソ友好関係からいってもきわめて問題があると私は思うのです。しかもこの地区は御存じのように、根室の方に行けば、貝殻島周辺のコンブ漁船が続々拿捕される、あるいはまた、別海の浜における帆立貝の船が毎年拿捕されておる、こういう緊張がもたらされておる地域なわけです。ですから私は、こういう地域に好んで演習場を設定することについて非常に危惧を感ずるわけです。少なくとも一応国後は日本の領土だ、こうあなた方は言われるかもしれませんけれども、現実に今ソビエトに占有されておるわけです。この問題を将来解決しなければならぬわけです。わずか二十キロくらい離れたところに国後があるわけなのですから、そういうことは避けるのが国際的にも大体常識ではないか。軍事専門家から見ても、そういう地点は避けるのが、今日の国際的な常識ではないか、平和共存の方向に向かってそういう配慮が払われるのが当然ではないか、こう思うのですが、どうもわが国の防衛庁考え方は、どこでもいいから、まあめんどうだから、一番安直なところを演習場にしよう、こういう気持ちが多分にあるのではないかと思うのです。私の言うのは常識にかなっておると思いますか、かなってないと思いますか。
  549. 上田克郎

    ○上田政府委員 演習場が矢臼別にできますと、先ほど教育局長からお答えがありましたように、一万八千メートルの射程がとれるわけでございます。一万八千メートルの射程のとれる射撃場というものは、よそを探してもないわけでございます。それで矢臼別地区にお願いしているようなわけでございまして、それを先生のような御解釈でやるのは常識かどうかという問題につきましては、李下に冠を正さずと申しますが、なるべくそういう近くないところでやることが一番望ましいかもしれません。しかしわれわれとしては、あそこしか今のところ候補地がないわけでございますので、その影響というものも、先生がお考えのような形で影響するかどうか、少しそういう解釈があっても、われわれとしてはあそこをほしいというのが本音でございます。
  550. 岡田利春

    岡田(利)分科員 時間がありませんから、あと一問でやめますけれども、この地区については、御存じのように反対している農家も実は存在しているわけです。しかもこれは緊急入植で、国の食糧増産という政策に基づいて入植して、ようやく営農態勢ができたという地帯であることは御存じの通りだと思うのです。従ってそういう面から、せっかく営農態勢がとれたのであるからこの地区からは離れたくない。ところが現実の問題としては、その弾道下に置かれるという状況に実はあるわけです。従って、これらの農家についてずいぶん今まで説得しておりますけれども、これは断じて協力できない、こういう立場をとっているわけです。これらが解決しなければ、私は実弾射撃の演習はできないと思うのですが、この点はどうか。そういう農家の意思に対して、これはあくまでも現行法の範囲内であらゆる方法を使って、どうしてもこのミマッカ地区と別寒辺地区の農家についてはけりをつけるという考えなのか。この二つについて承りたいと思うのです。
  551. 上田克郎

    ○上田政府委員 現在、話はかなり友好裏に進んでいると考えております。ただ御指摘の二、三の方の御同意がまだ得られませんが、われわれとしては説得に全力を尽くしたい。大砲のたまを撃つわけでございますから、もしそれが技術的に危険であれば、それを無理をすることはいけないと思いますが、説得に努めたいと考えております。
  552. 岡田利春

    岡田(利)分科員 弾道下ですから、危険かどうかという問題は、あなたが言われたように、今度は大体十八キロの射程距離でやろう、こういう考えのようですね。弾道下だから、危険かどうかは判断の仕方でいろいろあると思うのです。ですから、今の場合には弾道下だけなんですから、この問題が解決しない場合といえども実弾射撃の演習をやるという考えですか。当初あなたの方は、ミマッカ地区と別寒辺地区については、買収する考えは積極的にありませんということを防衛庁答弁しておる。その後変わってきて、このミマッカ地区と別寒辺地区、トライベツの地区は買収しよう、こう方針があとから変わってきているのです。やろうと思えばできないことはないと思うのです。それとも、完全にこの問題を処理してから後に、この実弾射撃の演習をなさるつもりですか。
  553. 上田克郎

    ○上田政府委員 私は実弾射撃の問題についてはしろうとでございますので、現実に撃つ方に技術的に御検討願うわけでありますが、しかししろうとが考えても、なるべくならあの引っ込んでいる地域は売っていただいて、弾道下にそういう方がおられないようにというのがわれわれの建前で、それでミマッカ地区を買収する案で進んでいるわけでございますので、その精神からいきましても、危険なことは極力避けなければならないというのが本筋だろうかと思います。
  554. 岡田利春

    岡田(利)分科員 時間がありませんから私の見解だけ述べますと、再三問題にして参りましたように、今国後、択捉、歯舞、色丹のいわゆる北方領土の問題が解決しない時期に、しかも最も近接している地帯にこのような膨大な演習場を設けることは、私は少なくとも対ソ関係はよくなっていかないと思うのです。いろいろな面でむしろ硬化してくるのではないか、そのことが安全操業を願っておる漁民の生活に大きな不安と、また拿捕というような事件がむしろふえていく傾向を生み出すのではないか、こう私は実は心配をいたしておるわけです。しかも米軍の演習基地にはしない、それはあくまでも自民党の国防部会で一応議論された程度であって、政府としては関知しないというけれども、今日の日米安保条約の精神からいって、しかも今あなたが言われたように、こういう膨大な演習場が容易に得られるものではない、だから別にここと定めたわけではないけれども、ほかにないから特にこの地点を設定したのだと言われたあなたの答弁からいっても、当然アメリカ側から火砲の演習場をここでしたいという場合に、これを拒否する理由はないし、また拒否する法律的な根拠は何もない。むしろ防衛庁としては積極的にこれは協力する結果になる、こういう私は見解を持っているわけです。従って、そうなればなるほど北方領土の問題は、一応政府としては解決したいという希望を述べておるけれども、むしろそれよりも逆に国後、択捉、歯舞、色丹については、これが返還された場合には軍事基地化されるというおそれがあるということは、フルシチョフ首相からたびたび言明をされ、これは総理大臣にも書簡となって日本に来ているはずです。ですから、そういう方向については私どもは非常に大きな危険を感ずるわけです。従って、あなた方は絶対にこれは米軍には使用させない、こう言明をされておりますけれども、この点私は特に防衛庁側に、そういう国際的な関係から見ても、重大な一つ注意を喚起しておきたいと思うのです。  終わります。
  555. 櫻内義雄

  556. 田口誠治

    田口(誠)分科員 理事の方から、三十分であげろという時間制約もございますので、皆さんの、時間的におそいという御迷惑も考えまして、残った質問はまた内閣委員会の設置法の改正のときに譲らしていただく、こういうことにいたしまして、今おそろいになっておられる方々で御答弁をしていただく範囲内にとどめておきたいと思います。  実は私は、長官がきのうの山口君の質問に対して答弁されたことと、けさほど防衛庁質問をしていろいろ答弁をいただいたこととの関連から、長官確認をしたい面がございましたけれども、この点につきましては、次官はおいでになりまするけれども、保留いたしておきます。  そこで質問内容を縮めていきまするが、疑問点と思うところから私は質問申し上げたいと思うわけでございます。  けさほど照洋丸の関係の御質問を申し上げまして御答弁をいただいたときに、マグロには放射能の検出はなかったけれども、言いかえれば、小さな魚には放射能の検出はあったというような内容のことを専門語で言われたように思ったのですが、私のメモの仕方が悪かったかもわかりませんが、もう一度その点についてお答えをいただきたいと思います。
  557. 内田常雄

    ○内田政府委員 けさほど申し上げました通り、昨年の夏におけるクリスマス島あるいはジョンストン島などの周辺における照洋丸の調査の結果によりますと、幾つかのファクターのうち、大体におきましてはやはり核実験地域の方が放射能の反応が強く現われ、日本の国の周辺の方が放射能の反応は弱く現われておりましたけれども、ある種のファクターにつきましては、田口さん御指摘通り、現地付近におきましてはその反応がかえって弱く、日本の国の周辺におきましてその反応が強いものも現われておったことは、照洋丸の調査につきまして認められたところでございます。その原因につきましては、政府委員からも御説明いたしましたように、この核実験のやり方の詳細がわかっておりませんけれども、この爆発の高さでありますとか、規模でありますとか、あるいは核融合のエネルギーであるか核分裂のエネルギーであるか等の関係、あるいはまた当時の気象、海洋の条件などによりましていろいろの変化が見られるので、常に一定はしておらない。こういうことで、確たる状況ではない。しかしおおむねの調査の結果によりますと、全体を通じては、爆心地から離れれば離れるほど放射能の影響は弱く現われて、たとえばちりの中におきましては、現地よりも日本の周辺の方が放射能の反応がよけいに認められておりましたけれども、雨水とか海水とか、あるいはプランクトンなどの調査におきましては、日本周辺の方がはるかに少なくて現地の方が多かった、こういう状況でございました。
  558. 田口誠治

    田口(誠)分科員 午前中の質問では、プランクトンの汚染ということについてはお認めになったように思うわけですが、そこでマグロが小さな無を食べることにおいてマグロに放射能検出ということが出てくるのか、それとも——プランクトンの汚染ということは、これはすなわち空気中にあって、ちりやごみがみぞに流れ、川に流れ、海に流れていって、そしてそういうようなものを食べることにおいて小さな魚の方にカウント検出が現われておるというようにお聞きいたしたわけなんですが、それでよろしかったのですか。
  559. 内田常雄

    ○内田政府委員 その点につきましては、ただいまここに原子力局の担当の説明員がおりませんが、すぐ参りますから、私が間違ったことを申すよりも、こまかい点はすぐ後ほど申し上げたいと思いますので、保留していただいて、次の質問に進んでいただければありがたいと思います。
  560. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは時間の節約をいたしまして、昭和三十四年に原子力委員会の出しました白書に、海魚より川の魚の方がカウントの検出量が多いというような、どうも僕らが考えてはわからぬようなことが書いてあったと思いまするが、その点について、どういうような理由に基づいてそういう現象が現われてくるのか、この点もお聞きをしておきたいと思います。
  561. 内田常雄

    ○内田政府委員 その点につきましても、プランクトンとマグロとの関係についての第一の御質問と一緒に後ほど正確に担当の技術者から御説明をさせます。
  562. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは、午前中も次官が自信を持って堂々とお答えをいただいたので、私は専門の説明員の方がおいでになるまでに、次官に…。  説明員の方が見えたようですから、お答えをいただきたいと思います。
  563. 村田浩

    ○村田説明員 魚の放射能の御質問と承っておりますが、マグロの放射能は、普通にはかりますときには、外側に付着しておるもの、あるいはえらにくっついておるものが一番多いようでございます。そういうものは海中にございます浮遊物あるいはプランクトン、そういったものが皮膚なりあるいはえらなどへひっかかりまして、そういうものがたまりまして放射能として感ずる、これが一番大きいものでございます。もちろんそのほかにマグロが食べました小さい魚とか、その魚が食べたプランクトンとか、そういうものから順繰りに体内に入るものもあるかと思いますが、測定しました放射能で大きいのは、むしろ外側の部分あるいはえらの部分、そういった部分の放射能が大きいわけでございます。それから川の魚の方が海の魚より高かったという報告が以前出ておりますが、詳しい理由はよくわかりませんけれども、放射性降下物、いわゆるフォルアウトというものが降ってきますときには、地球の各部分に降って参るわけでございますけれども、地表あるいは川も含めまして、陸地に降ってきましたものは比較的それが表面に存しまして、そうしてだんだん雨などに洗い流されて川に流れ込んでいく、他方海の方は、核爆発のありました非常にそば、あるいはすぐ近くとかいうようなところは別としまして、一般に降りました灰でございますが、そういったものが海の中にだんだん沈んで参りまして、海によって浅い海も深い海もございますが、一般的に水量が非常に多いわけでございますので、その降った量はかりに海の方が多くても、稀釈されてしまう率がべらぼうに大きいわけでございます。そういう関係から、海中に住む魚とたまたま放射能の降った陸地の川に住む魚とで、はかった放射能が違ってきたのではなかろうかというふうに考えておりますが、詳しく科学的にこれを究明いたしたわけではございません。
  564. 田口誠治

    田口(誠)分科員 質問する方もあなたのように専門的でないので、お答えになればそうかと思うのですが、その経緯については、私が一番心配をしておる、地上においての実験の結果から出る放射能も手伝っておるのではないかという心配もあったので、ただいまのような質問になったわけです。  そこでお伺いをいたしたいと思いまするが、これは昭和三十六年の三月二十六日の毎日新聞の朝刊に載っておりましたが、「ナゾの南太平洋放射能」という見出しで、次のようなことが書いてあるのです。「太平洋のクェゼリン島沖のナゾの放射能はその後同島にある特殊な電子工学装置によるものであるらしいことが解った。放射線といえば、これまで原爆や原子炉のアイソトープ等、原子装置から出るとされていたもの」云々ということで、結局なぞの放射能というのは、電子工学装置によるものであるということが明らかになったということでございますので、それで私がけさほど来いろいろ御質問を申し上げましたことも、また照洋丸がマグロを検査いたしましたときには放射能が検出されずに、遠い日本の領土で多く検出された、こういうような事実からいきまして、日本でこの放射能に関係するところの実験研究というようなものがなされておるために、そうした現象が現われたのではないかというので、私は非常に興味を持って、この新聞記事を読んで切り取っておいたわけです。それで、これは専門家のあなたとして、この内容をどういうように解明されますか、一つ御意向を承りたいと思います。
  565. 村田浩

    ○村田説明員 ただいまのクェゼリン群島のなぞの放射線のお話でございますが、私ども電子線の方の所管をしておりませんので、詳しいことはわかりませんけれども、ただいまの田口先生の御質問から推察いたしますのに、おそらくは強力なレーダ装置か何かの関係ではないかと思います。レーダ装置は、御承知通り、強い電磁波を送るわけでございますが、ある方向をきめて送りますので、その方向に当たる部分では、かなり強い電磁波を途中で感ずるわけでございます。われわれが放射能といっております中に三つ種類がございますけれども、その中のガンマ線といいますものと、レーダーなどに使います電子線と、ほぼ似たような性質がございますので、強力な装置があれば、あるいはそういう意味での放射線の測定器にかかってくるようなことがあったのではなかろうか、これは御質問を承っての推察にすぎないのでありますが、それ以上みことは、ちょっと私としましてもわかりかねる次第でございます。
  566. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは電子装置というものは、これは放射線を出すものかどうかということをちょっとお伺いいたします。
  567. 村田浩

    ○村田説明員 電子装置と申しましても、非常にいろいろの種類がございまして、いろいろ小型のものから、たとえばこのごろの言葉で申しますエレクトロニクスなどに使っておりますような電子装置、つまり電子計算機とか、その他のものに使います電子装置もございますし、あるいはテレビその他に使います電子装置もございましょうし、さらにもっと大型の、電波を遠くまで送るという電子装置もあるかと思うのであります。それで一がいに申せないと思うのであります。非常に多量の強い電子を発生して、一定の方向に送るというような装置でございましたならば、これはその方向に当たるところでは、その電子線を感受することができるかと思います。
  568. 田口誠治

    田口(誠)分科員 まことにしろうとの質問でごめんどうでございましょうが、電子装置と一口に申しますと、これはこういうものなんだという御説明を願いたいと思います。
  569. 村田浩

    ○村田説明員 その的確な例がすぐ思いつきませんが、あるいは非常に適切ではないかもしれませんが、たとえばレントゲン装置がございます。健康診断のときにエキス線装置のところへ行きますけれども、エキス線の管からやはり目に見えない電磁波が出ておりまして、それがからだに当たりますと、それを通過して乾板に骨などの姿を写すわけでございますが、こういうものは、そういう電子装置から出ておりまする一種の放射線でございます。
  570. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこで私は、ちょっと疑問に思うことがあるのですが、まあ原爆実験なんかをされた場合の放射能の走る早さというのは、音速の二十倍とかいっておりますね。これはどうですか。
  571. 村田浩

    ○村田説明員 ちょっと御質問の意味がとりかねるのでございますが、放射能の走る早さといいましても、ただいま申し上げました電磁波などの速度は、ほぼ光の速度にひとしいということでございます。その速度は、一秒間に三十万キロ、こういうような速度でございます。しかし放射能が走るといいます言葉と必ずしも一致しないと思いますことは、普通問題になっております放射能を持った灰が降ってくるなどといいますのは、そういう放射能を持ちました粒が風に運ばれて日本なりどこなりに届いてくることを申しておりますので、そういった言い方で言いますと、たとえば南太平洋からは二週間、あるいは時候によりましては三週間近くかかります。北極の方からは、時候によりますが、早ければ一週間、おそくて二週間とか三週間とかかかっております。そういう点から申しますと、速度は非常におそいと言えるわけでございます。先ほどの電磁波の速度といいますのは、その発生したところから直進していくわけでございますから、光がちょうど直進するごとくでございます。目に見えるところには届きますけれども、地球の裏側まですぐ放射能が届くということではなかろうと思います。放射能が普通伝播する速度というのは、風に乗って放射能を持ったちりなりかけらが飛んでくるというふうに考えておるかと思います。
  572. 田口誠治

    田口(誠)分科員 ごくしろうと的な言葉で御質問申し上げますが、放射線というものは私どもは単に原爆や原子炉、アイソトープ等からだけ出てくるものだというような解釈をしておったのです。そういうように思っていたのですが、どうもけさほど来からのいろいろな質疑やら私がいろいろなもので調べてみましたところが、それもそうであるけれども、電子装置が放射能を出すということも相当にあり得るという認識を私は最近持ったわけですが、これは間違いございませんか。
  573. 村田浩

    ○村田説明員 科学的に厳密に申します場合には、電子装置の大きさによりましょうが、幾らかなり電子線が漏れておる場合は、出ておることは確かかと思います。
  574. 島村武久

    ○島村政府委員 私、ほんとうの専門家でございませんのでございますけれども、いわば翻訳的なことで恐縮でございますが、先ほど来お尋ねになっておられますことにつきまして、今のお答えで必ずしも十分でないという気もいたしますので、補足的に申し上げます。  先ほどお話しの原爆でありますとかあるいは原子力関係のいろいろな機器、原子炉でありますとか、あるいはアイソトープとか、そういうことの利用によりまして、確かに放射能というものが出てくることは事実でございますが、それ以外にというお話でございますと、天然に放射能というものは存在いたしております。そういう意味で申しますと、宇宙線そのものもある種の放射線を持ったものでございます。それから古くから言われておりますラジウムというようなもの、これもみな放射線を持っております。また、現段階におきましてそういったような新しい原子力関係施設等から出ます放射線というものに比べますと、いわゆる自然放射能と申しますか、ずっと昔からわれわれの周囲にありました放射線の量に対しまして比較いたしますと、一般のものが受ける量というのは取るに足らない程度のものでございます。もちろん原子炉が置かれて、原子炉から出る放射線は強いものでございますけれども、これは厳重に遮蔽するというようなことがございます。従って、たとえば東海村でございますとか、そういうところにおります住民は、あそこに幾つも炉がありましても、その炉から受ける放射能というものを受けておるわけでは決してございません。これは十分平素から調査をいたしておりますが、一般的に他の地点と比べまして、あの地帯の方が高いというような事実はないわけでございます。従いまして、先ほど来申し上げております電子関係の機器のうち、あるものは放射線を出すにいたしましても、その量は全体から見るときわめて少ない、ネグレジブルなものというふうにお考えになっていいのじゃないか、先ほど来の田口分科員の御質問とそれに対する専門的なお答えを聞いておりまして、ちょっと補足した方がいいかと思いますので、申し上げた次第であります。
  575. 田口誠治

    田口(誠)分科員 専門家は専門家としてお答え願ったし、やや政治性を帯びた御答弁をまたいただいたわけですが、私がちょっと神経質にお聞きをいたしましたのは、先ほど申しましたように昭和三十六年の三月二十六日付の毎日新聞の朝刊で「ナゾの南太平洋放射能」という見出しの中の内容に、特殊な電子工学装置から出るものであるというようなことが書かれておったので、それで私は、放射能というものはやはり電子装置からも相当量出るものである、こういうようにこの新聞を見て受け取ったわけです。ただいまの幾分政治性のある御回答の中では、あることはあるけれども大したことはないという御答弁でしたが、これは比較をして数字でお示しをいただくわけにはいかないものでしょうか。
  576. 村田浩

    ○村田説明員 手元に資料を持っておりませんので、やや正確でございませんが、大体のオーダーをおわかりいただけるかと思いまして申し上げますと、ただいま原子力局長から御説明のございましたような天然自然にわれわれの身のまわりにあります放射線は、地殻を構成しております岩石とかあるいは宇宙線とかそういうものからくるわけでございまして、いつでもそういうものがあって、われわれその中におるわけでございますが、そういった放射能が一年間の量にしまして大体百十くらいのオーダーでございます。それに対しまして、ただいまお話のございましたような原子力の平和利用とか、あるいはただいまの電子装置とか、そういったものなどを足しまして一年間集積してみますと、オーダーとしまして二十とか三十とかいう状態になっておるのが現状でございます。
  577. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私は時間を守ります。そこでこの問題について、なお新聞に書いてあったことをずっと読み上げてそれぞれ御回答をいただくということになりますと、相当これで時間をとりますので、図書館にはこの新聞の切り抜きなり、その方面の担当の方は切り抜いてとっておられると思いますので、昭和三十六年の三月二十六日付毎日新聞の朝刊「ナゾの南太平洋放射能」というところを読んでおいていただいて、これは次の内閣委員会で、設置法の改正のときにこの続きを質問を申し上げたいと思いますので、これは一つ能率的に御勉強をしておいていただきたいと思います。  なお、これは委員長の方からもお願いをしておいていただきたいと思いますが、けさの防衛庁に対する質問と、それに関連をして科学技術庁からいろいろ御答弁をいただいた内容、ただいま私が質問申しました内容は、次のときに大臣にお答えを願わなくてはならない重要な内容があります。そういう材料がありますし、そういう要素を持ったものでございますから、一つその点を、きょう昼も晩も大臣がお見えになりませんので、大臣によくその速記録だけは読んでおいていただいて、そうして次の私の質問のときに明確に答えていただくように御手配を願いたいと思います。  そこで、まだ三分ほど残っておりますので、もったいないから三分だけやりまするが、新島の併用ですね、これはあれだけ問題になったところを、どうして新島を軍と併用することになったのか、そうしてあそこで今後どのような研究をしようとするのか、そうしてあそこにはどういうような機械を備えてあるのか、これから置こうとするのか、こういう点にしぼって一つの御回答をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  578. 芥川輝孝

    ○芥川政府委員 新島の問題につきまして簡単に御説明申し上げます。  科学技術庁で宇宙開発を総合的に推進いたします場合に、宇宙の平和利用の見地からも、ロケットを相当重要な項目として取り上げる必要がございます。そのロケットと申しますのは、気象関係の観測ロケットを初めといたしまして、通信関係その他いろいろ用途がございます。また世界的にも、国連の宇宙平和利用委員会におきましても、このロケットの平和利用によります気象観測などが、だんだんと各国の協力によりまして具体化しつつある現状でございます。そこで科学技術庁でこのロケットを開発いたします場合に、一番経費を安くするために試算をいたしまして、そこで鹿児島あるいは新島という二つを比較いたしましたところ、新島の方が経費がずっと安く出るという経緯がございますが、ただいま御指摘のようないろいろむずかしい問題もございまして、まだ最終的に新島ときめたわけではございません。
  579. 櫻内義雄

    櫻内主査 以上をもって、防衛庁及び科学技術庁関係予算に対する質疑は、一応終了いたしました。  明二十一日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時十八分散会