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1963-02-18 第43回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月十八日(月曜日)    午前十時二十六分開議  出席分科員    主査代理 正示啓次郎君       青木  正君    井出一太郎君       山口 好一君    山本 猛夫君       川村 継義君    田原 春次君       野原  覺君    山花 秀雄君    兼務 川俣 清音君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中垣 國男君  出席政府委員         宮内庁次長   瓜生 順良君         総理府事務官         (宮内庁皇室経         済主管)    小畑  忠君  分科員外出席者         衆議院事務総長 山崎  高君         衆議院参事         (庶務部長)  藤野 重信君         衆議院参事         (庶務部副部         長)      舟崎 正信君         衆議院参事         (庶務部人事課         長)      武井 次男君         衆議院参事         (庶務部会計課         長)      大内  宏君         衆議院参事         (管理部長)  大久保 孟君         参議院参事         (管理部長)  佐藤 吉弘君         国立国会図書館         副館長     岡部 史郎君         国立国会図書館         参事         (総務部長)  原田三千夫君         会計検査院事務         総長      上村 照昌君         最高裁判所事務         総長      下村 三郎君         最高裁判所判事         (経理局長)  岩野  徹君         大蔵事務官         (主計官)   赤羽  桂君     ————————————— 二月十八日  分科員植木庚子郎君及び横路節雄委員辞任に  つき、その補欠として山本猛夫君及び田原春次  君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員山本猛夫君及び田原春次委員辞任につ  き、その補欠として植木庚子郎君及び横路節雄  君が委員長指名分科員に選任された。第三  分科員川俣清音君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十八年度一般会計予算中、皇室費国会、  裁判所会計検査院所管      ————◇—————
  2. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  主査が本日所用のため出席できませんので、主査指名によりまして、私がかわって第一分科会主査職務を行なうこととなりましたからよろしくお願いいたします。  本日は、昭和三十八年一般会計予算中、皇室費国会裁判所会計検査院関係を議題とし、質疑に入ります。質疑の通告があります。順次これを許します。川村継義君。
  3. 川村継義

    川村(継)分科員 私はきょうは会計検査院の方に少しお尋ねをいたしておきたいと思います。  会計検査院の非常なる御努力、御苦心はかねて敬意を表しておるものでございますが、おそらく私らが考えましても、まだまだやはり十分なる職責の遂行には何か問題があるのではないかと考えておるものでございます。三十五年度の会計検査報告等を見てみますと、会計検査院が不適当あるいは不正だと指摘されました金額が、たしか八億余りあったのじゃないかと記憶いたします。三十六年度の場合でも、十数億の金額が不正、不当な使用である、こういう指摘があったかと記憶いたしておるのでありますけれども、これらの職務執行に非常な御苦心、御努力をなさっていることについては敬意を表しておるものでございます。これらの状態考えてみますと、数年前の状態から国費使用状況も相当に改善をされておると見ていいのではないかと思うのでごさいますが、しかし先ほど申し上げますように、やはりまだまだ不十分なところもずいぶんあるだろうと考えておるわけであります。昨年の会計検査院の「国の決算検査」というこの報告されましたのを見てみますと、実地検査において非常にたくさんの個所検査する必要がある、こう認められておりますけれども、実際には検査されたその個所というものは七・八%にとどまっておるというようなことが述べられておるようでございますが、会計検査院法に基づくところの書面検査あるいは実地検査がどういう考え方で行なわれておるか、まず初めにその点をお聞かせ願いたいと思います。特に昭和三十六年度は、実地検査において検査を要するとお考えなさいましたその個所について、どれくらいの検査をなさったか、その点もお示しいただきたいと存ずるのでございます。
  4. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいま御理解のある御発言をいただきまして、われわれ非常に感激しておるわけでございます。私の方で、書面検査の方は、大体検査しておるところから一応とるという形をとって、これによって大体検査を遂行していく、もちろんこの中でも多少簡略にしておるものもございますが、一応それで見ていく、なお書面検査だけでは十分わかりませんので、実地検査もやっていくという形をとっておるわけでございます。先ほどお話のございました全体で申し上げますと、三十五年度は七・八%ということでございますが、三十六年度はその数字に匹敵いたしますのは、八%やや少し上がっておりますが、そういうふうな状況でございます。
  5. 川村継義

    川村(継)分科員 おそらく会計検査院のお仕事立場からしますと、書面検査というのが主たるものであって、それに並行して、それを裏づけするという意味で、従的な立場実地検査というものはおやりになっているのじゃないかと思うのでありますが、やはり国費の正しい使用ということについて十分なる目的を果たされるためには、どうしても実地検査というものが必要ではないか、特にそれがやはり重用される部面が多いのじゃないかと考えております。今お話のように、三十六年度八%程度実地検査をなされたということでありますが、やはり不正なる使用、不当なる使用というものは、私は実地検査によってこそほんとう指摘ができ得るものだ、このように考えております。そうなりますと、八%程度実地検査ではなかなか十分なものではないのじゃないか、こう考えざるを得ないのであります。今会計検査院には職員の方は千何百人でございましたか、ことしは調査官を六人増員すると予算には計上してございますが、職員数等をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  6. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 三十八年度の定員で申し上げますと、全部含めまして千百九十二人ということになっております。現実には多少の欠員がございます。千百九十二人のうち六名が、三十八年度の七月からの増員でございます。
  7. 川村継義

    川村(継)分科員 お仕事をなさっていく場合に、その職員であなたの方では十分であると考えておられますか、あるいは実際会計検査院仕事を進めていく場合にはどうも手不足だ、こういうお考えがございましょうか。その点ちょっとお聞かせいただきたい。
  8. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 先ほどお話のございましたように、全体で申し上げますと、検査しておるのは大体八%でございますが、その中身を割って申し上げますと、比較的重要なところとそうでないところと分けて考えて、その平均が八%になるわけでございますが、比較的重要なところは三十数パーセント、そのほかのところは三%、それを平均しまして八%でございます。ただいまお話のございましたように、実地検査が相当重要な意味を持つことは申すまでもございませんが、全体検査をいたしていきます上にどれほどやったらよろしいかという点については、相当議論があろうかと思いますが、少なくとも現在の人員、経費では少し足りないのじゃないかということで、年々予算要求しておるわけでございますが、ことしは幸いに人員が六名、検査旅費も二百万円余り前年度よりは増額していただきましたので、できるだけその範囲において全力を集中して検査を施行したい、こういうふうに考えております。
  9. 川村継義

    川村(継)分科員 本年度のあなたの方の予算を拝見いたしますと、職員旅費について、特に実地検査のために必要な旅費として八千百四十万一千円計上してございますが、この中には南米あるいは沖方面実地検査をするための費用も含めてございまして、実際の実地検査旅費は、昨年に比べて二百七万円の増加になっておる。そうすると、国内の実地検査ということになりますと、これは七千九百二十万円程度費用ではないかと思うのでございますが、これは昨年に比べてどうでございます。減少になっておるのではございませんか。いかがでございましょうか。
  10. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまのお話のように、総額はお話通りでございますが、内地の方の関係は本年は七千九百二十七万二千円でございまして、昨年が七千七百二十七万二千円でございますので、内地の方の検査の方の関係から申し上げますと、二百万円ほど増額になっておるわけでございます。
  11. 川村継義

    川村(継)分科員 二百万円の旅費増加では、言葉は足らないようでありますけれども、われわれが念願するような実地検査をして、そうして国費の正しい使用を目ざす、そういうような考え方から私は非常に不足ではないか、このように考えるわけでございますが、あなたとしてはどうお考えになっておるか、そのお考えをお聞かせいただきたい。
  12. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 先ほども申し上げましたように、幾らあったらよろしいかという点はなかなかむずかしいのでございますが、三十八年度の要求といたしましては、二百万円ではなくて、全体で九千万円程度要求をいたしたわけでございますが、国家財政関係上二百万円しか増額できないということで、これを了承して、この範囲検査能率を上げていきたい、かように考えておるのでございます。
  13. 川村継義

    川村(継)分科員 今のお話でございますが、われわれしろうとから見ても、二百万円程度増加では、取り上げ方によればいろいろございましょうけれども、ほんとう皆さん方職責を全うするための旅費増加にはならぬのじゃないか。そうなると、実地検査というものがややともするとなおざりになる、おろそかになるということが言えるのではないかと心配するのであります。人員においてやはりどうも十分でない、しかも検査していく場合の、特に実地検査をする場合の旅費が非常に不足するということになりますと、これは会計検査院職責を全うする上から考えても、大きな問題があるだろうと考えざるを得ないのでありまして、その点は予算の少ないのを私は非常に遺憾に考えているわけであります。  きょうの新聞を見ると、会計検査決算事項については国会議決事項にすべきであるなどというような点などが大きく指摘されて、論議の対象になっておるということを報じております。そういう点から考えて、やはり私はこの点はいま少し配慮する必要があるんじゃないか、このように考えているものであります。そこで、何といいましても、国費の正しい使用ということは国民にとって最も重大な問題でございますから、皆さん方の御苦心もわかるわけでありますけれども、そういう点でいま一段の御努力を願わねばなりません。  そこで私は今申し上げましたような点からいたしまして、一つここに例をとりましてお尋ねをいたしておきたいと思います。御承知通り奄美群島復興特別措置法という法律がございまして、そして復興計画を立てて、国からお金を出して奄美群島復興努力しておる。さらには奄美群島復興信用基金というものがございまして、国からお金を出して、あるいは保証事業あるいは融資事業等を行なっておるわけでございます。この奄美復興信用基金は当然、国が資金の二分の一以上を出資している法人として、皆さんの方の検査対象になっておる、検査に付すべき法人であると考えるのでございますけれども、これは十分に検査をしておられますかどうか、その点お聞かせいただきたい。
  14. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまの基金関係は、お話し通り、私の方の検査権限になっておりますので、検査をいたしております。検査をいたしておる状況を申し上げますと、書面の方の関係では毎月計算書付属書類をとって見ておるわけでございます。ただ実地の方の関係は、三十五年に一回現地の方に検査に参ったことがありますが、その後参っておりません。さような状況でございます。
  15. 川村継義

    川村(継)分科員 三十五年に実地検査をなさったそのときに、この基金の運用あるいはその他については何か別にお気づきの点はございませんでしたか。
  16. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 そのときの検査の結果につきましては、格別どうという点は報告を受けておりません。
  17. 川村継義

    川村(継)分科員 毎年の決算報告、大蔵省から出してくるもの、あるいはあなたの方の検査なさったときの報告、こういうものを見ても、奄美復興基金報告がほとんどなされていない。一体文字がどこにあるかという、文字さえ載ってないということについて、私は非常にけげんに思っておるわけでございます。おそらく今お話し通りに、書面検査はやっておるけれども、実地検査昭和三十五年度に一回やっただけだ。そこで別にこれは文句を言う、あるいはもう少し慎重にやらねばならぬというような点は見受けていないということではなかろうかと思うのでございますが、私はその点についてもう少しお尋ねをしておきたいと思うのであります。  奄美基金については、もう私がくどくどしく申し上げるまでもなく、御存じ通りでございますが、今奄美群島復興基金の中に、保証業務をやっているところの資本金が幾らあるか、あるいは融資業務をやっている基金が幾らあるか、御存じだと思いますけれども、私の数字とあなたの方の数字が一致するかどうか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  18. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 奄美群島基金の方の関係は、業務内容といたしましては、アメリカから引き継ぎました債権が五億一千六百万円、これは当初でございますが、その後減額になっております。それから保証業務の方の関係基金としましては、二千五百万円ほどございます。それから融資業務の方の関係では、政府から三億二千万円出資いたしておりまして、鹿児島県からさらに二千万円を出資しておるという状況でございます。
  19. 川村継義

    川村(継)分科員 今お話しのように、昭和二十八年に奄美群島がわが国に復帰いたしまして、昭和二十九年六月、奄美群島復興特別措置法という法律ができまして、それから今日まで復興計画に基づいて奄美群島復興仕事をやっておる。その措置法に基づいて、今お話し信用保証業務融資業務をやっているわけであります。ところがその信用保証業務にかかわるところの資本金は、アメリカから引き継いだところの五億一千六百万円ばかりの債権が、その資本金となっておる。ところがこれが債権回収がどうしても悪いので、とりあえず昭和三十一年に政府は二千五百万円の出資をして、回収されるものと合わせて保証業務を行なうことになっております。ところが私が非常に残念に思うのは、そのアメリカから引き継いだところの債権回収が非常に悪い、こういうことであります。債権回収が悪うございますから、せっかく国から二千五百万円の金を出してやったけれども、保証業務をやるところの資本金が非常に少ない。そして十分にその業務目的を達していない。これはわれわれ前から、一体債権回収はどうしたことだろう、こう指摘して参ったところでありますけれども、なかなかうまくいっておりません。もしもこの債権回収がうまくいったらば、大きな資本金がそこに出まして、奄美復興のための事業保証ということが大へん能率が上がったのではないか、こう考えておりますけれども、この回収が悪い。今あなたは、今日まで大体五億一千六百万円のうちどれくらい回収されたとつかんでおられますか。
  20. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 三十七年三月末の数字しか持っておりませんので、そのときの数字で申し上げますと、回収されましたのが一億五千三百余万円、残高が三億六千三百万円ということになっております。
  21. 川村継義

    川村(継)分科員 大体今お話しのように、昭和三十六年、三十七年にかけて回収されたのが、わずかに一億五千万円余りである。こういうような状況を、あなたの方では全然タッチなさっていないと私は思うのであります。ということは、どうしたわけでこれが回収されないのか、あるいはどこに理由があるのか、その回収金が一体どれくらいになっているのか、そういうのはやはり当然会計検査院としては十分調査をしていかれる必要があるのではないか、これが私の考えている一点でございます。そういうところを十分やっていただきませんから、せっかくの保証業務というものが十分なる機能を発揮できないでおるのじゃないか、ひいては奄美復興のために大きな障害になっておる、こう考えるわけであります。そういうところはやはり会計検査院としての十分なる職責が果たせていないのではないか、こう実は考えざるを得ないのでございます。だから私は先ほどから、実地検査必要性と、奄美群島復興基金に対してあなたの方で実地検査を一体どれくらいおやりになったのか、そういう点をお聞きしたわけであります。この点いかがでございましょう。
  22. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 三十五年にやりましたときは、三日間ほど向こうで見ておるわけであります。それから実地検査の方の関係でございますが、実は奄美群島は二年に一回行きたいという考え方でおったわけでございますが、昨年は行っておりません。ことしはほかの方の関連も持ちまして、参りたい、かように考えておるわけであります。
  23. 川村継義

    川村(継)分科員 この五億一千六百万円というアメリカから継承いたしました債権を、一体だれが返さないでまだうろうろしているのかということが、一つの問題になると私は思うのです。ところがそういうように、一方では当然返すべき債務を返さないで、しかも今度は、もう一つ業務でありますところの融資業務の方からは金を借りて、盛んに仕事をする。これは悪いとかいいとかいう意味ではなくて、そういうことがあるわけであります。ところが一方では、金を借りたい人が借れないでおる、こういう状態がございます。このことはあなたの方の権限であるかどうかは別といたしまして、要するにこの五億一千六百万円の債権回収について、やはり十分調査をしていただくということが必要じゃないかと私は思っておるわけなんです。これは復興基金自体がやはり、回収には努力をすべきでありましょう。ところがこの基金回収は、あるいは鹿児島県とか、あるいは金融機関に委託をして回収に手をつけておる面があるわけであります。ところが銀行やなんかにこういう回収を委託しても、実効が上がるとは私には思われません。そういう点を十分一つ調査をなさって、そうして債権回収を促進し、それらの問題を指摘していただいて、なるたけこの復興基金信用保証業務が円滑に十分に行なわれるように措置する根本をつくっていただくことは、会計検査院としての当然の責務じゃないかと私は考えるのでありますが、その辺の内情、お考えがございましたら聞かしておいていただけませんか。
  24. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 債権回収関係は、個人々々の関係になりますので、個人々々に当たって十分調べていくということは非常にむずかしいのじゃないかと思いますが、ただいまお話のように、債権回収基金業務に相当貢献する面がございますので、御趣旨の点を十分考えに入れて検査をやって参りたい、かように考えているわけであります。
  25. 川村継義

    川村(継)分科員 今あなたは事もなげに個人関係だとおっしゃいますけれども、もちろん個人関係の分もそれはございます。しかし、この債権内容はどうなっているか十分御存じではないかと思うのでございますけれども、もう少しあなたの御存じ通り債権内容を聞かせていただけませんか。
  26. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 私自身今債権内容承知いたしておりませんので、個人関係と申し上げたわけでございますが、債権内容は一応書面で出てきておるので、大体の様子はわかるはずになっておるというふうに考えております。
  27. 川村継義

    川村(継)分科員 これは、あなたとしてはもう少し十分御承知おき願いたいと思う。債権内容の一番大きなのは、ガリオア物資であります。これは大島食糧株式会社、こういうような配給団体が大きな債務者であります。もちろんそのほか、大島農協連合会というようなものもタッチをいたしているわけでありますけれども、こういうものが一つある。これからいま一つは、アメリカ出資をしてつくりましたところの協同組合中央金庫、これの貸付金があるはずです。これはやはり農協や漁協や、こういうものが債務者になっている。それから第三には、復興金融基金貸付金があります。これも金額出資したものでありまして、これが今あなたのおっしゃるところの個人対象になっている。ところがそのうちで一番大きなのは、大島食糧株式会社等ガリオア物資代の、この債務者が持っているところのものであるはずであります。こういうものがこの債権債務者の大体大まかな姿でございます。  私いま一つここで申し上げて御意見を聞きたいと思いますことは、これはなかなかむずかしいものだと私よく承知いたしております。この債務を返済するについては、それぞれの債務者状態によって非常にむずかしいものだとは承知いたしておりますけれども、国がアメリカから受け継いだ債権、それを、出資をして移譲をしているそのままをネコババをきめさせるということは許されないと思う。もし許されるとなると、これはやはり国の債権管理等に関する法律もあることでございますから、それらに基づいて何とか処置をしていく必要がある、このまま見のがしておくことは許されない、こういう考え方を私は持っているわけです。徹底的にこれらを調査をして、たとえば農協連合会等は返済する能力が全くないということになれば、農協連合会等については、あるいは履行延期処置をするとか、あるいは抹殺するとかいうことも、私はことによっては考えられることがあると思う。ところが、いついつまでも回収を引き延ばして、そのままにしておくということは許されない、こういうようなことを考えているわけです。そこで一つ十分債権内容等をお調べいただきまして、そうしてやはり適切なる処置をとっていただきませんと、このまま返さないやつが勝ちだというようなことは、許されない問題ではないかと思いますので、十分なる手だてをお願いすると同時に、この点についてあなたのお考えを聞かしていただきたいと思う。
  28. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 この基金は、御承知のように、東京に出張所もなにもございませんので、なかなか連絡がむずかしい関係もございますので、ことしは検査に参りましてお話の点を十分検討して参りたい、かように考えております。
  29. 川村継義

    川村(継)分科員 ぜひ一つ実地検査をして、そうして適切なる処置をしていただくようにお願いしたいと思います。私は今ほんの一つの例として申し上げて御意見を聞いたわけでございますから、当初申し上げましたように、こういうものを十分にやはり国のために、あるいは奄美群島復興特別措置法目的を達するためにやろうと思えば、実地検証旅費等はあまりにも少額に過ぎるのではないか、こういうことを実は申し上げたわけであります。  いま一つお伺いしておきたいと思いますことは、同じく奄美群島復興信用基金融資対象となっている資金でありますが、これは申し上げるまでもなく、今日まで、先ほどあなたがおっしゃったように、三億二千万円を国から昭和三十七年度までの間に出されております。ところが、今回、昭和三十八年度さらに五千万円の追加出資が法案として提出されておる。そうすると、合計三億七千万円が国から出るわけであります。そのほか県から幾分か出ておりますから、合計約四億の資金融資業務が行なわれることになるわけであります。ところが、この融資のことについてこれを手放しにわれわれは喜ぶわけにいかぬ問題がございます。せっかく国から金を出して奄美群島復興したい、非常に低所得な奄美群島を少しよくしたいという場合に、この融資の内容について問題があるわけであります。こういう点をあなたの方では十分お調べになっていない。これはもちろん、監督しております自治省の指導にも問題があると思いますけれども、この点が一つ問題になるわけであります。今まで三十五年に一回調査なさったとおっしゃるのだけれども、そのときにはこの融資業務について別に何らやはり問題を発見なされなかったのかどうか、重ねて一つお聞かせいただきたい。
  30. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 三十五年に行きましたときに問題をわれわれの方で見つけておりませんということであります。
  31. 川村継義

    川村(継)分科員 それでは、私の方から一、二点御指摘を申し上げておきたいと思う。それは、この奄美群島復興の十カ年計画によりまして、水産業の振興をはかるために、漁船建造という費目について融資が行なわれておるわけであります。ところが、この漁船建造の場合に、昭和三十三年までに、昭和三十年、三十一年、三十二年、三十三年、この四カ年間の漁船建造に対して融資をなされたのが一億九千万円余りであります。その間において三十五隻の船が建造されておる。ところが、この三十五隻の船が、ほとんど船籍を奄美に持たない。焼津であるとか、大阪であるとか、鹿児島であるとか、こういうところにみな船籍を持っておる。そうして船主もほとんど奄美には住んでいない。名目だけ置いておる者もおる。この船が操業いたしまして魚をとってくる。とった魚は、奄美にはほとんど揚がらない。それを——数量を申し上げてもいいです。みな本土の方に運び去られる。それは確かに、奄美に水揚げをしても、魚の冷凍設備がないとか、あるいは需要の関係で持っていけないとか、その理由は確かにございますから、それはやむを得ないといたしましても、奄美にほとんど水揚げが行なわれていない。わずかの部分であります。ところが、この船の建造は、みな奄美復興の融資によってつくられた船であります。一体これで奄美復興のために何の役に立っておるのか、こう言わざるを得ない問題がございます。しかも率直に申しますと、当時、奄美復興のこの仕事が始まるときに、鹿児島県の水産課長をしておった人物が、直ちにやめて漁船建造に手をつけて、名目を変えながらみずから八隻も融資を受けて船をつくっておる。今申し上げましたように、船籍もない、水揚げも全部外にやる、こういうことで、船の乗組員に若干大島の諸君が雇われておるということになっておるのでございます。それはいろいろむずかしい問題もありましょうけれども、せっかく国がたくさんの金を復興のために出して、水産業の振興のために金を使っておるのに、一体これでは奄美群島復興のために何の役に立っているか、こう言わざるを得ないような実は事実があるわけであります。これが一つ。こういう点は、私は法に違反するとかどうということはよく存じません。しかし、これは確かに、金の使い方からいったら、私は、不正不当なものである、こう考えているわけであります。これが一つございます。あとで、私が申し上げましたことについてあなたのお考えをお聞きしたいと思います。  たくさんありますけれども、いま一つぜひあなたのお耳に入れておきたいと思います。これも過ぎ去ったことで実はとやかく言うわけではございませんけれども、一昨年ですか、こういうことを私は関係の当局に指摘して、是正するように指導を十分にするように言ったのであります。ところが、十分なされていないようであります。しかも今申し上げました漁船建造につきましても、実はその後今日まで、いよいよ昭和三十八年度で一応復興十カ年計画が完了するわけでありますけれども、この中には、三十四年、五年、六年、七年、八年と、残余の年数について漁船建造の事業費が五億二千万円予定をされている、そして四億六千万円の融資が予定をされておる。その後の漁船建造について、私は今三十三年までの分を申し上げましたが、三十四年、三十五年、三十六年と、一体どういう状態でこの漁船建造がなされたか。私が申し上げましたような、まことに残念な姿で漁船建造がなされておったとしたならば、大へんな問題ではないかと私は考えているわけであります。ここにもぜひあなたの方で十分一つ調査をしてもらいたい問題があるわけであります。  それからいま一つ問題として、これも先ほどちょっと申しましたように、過ぎ去ったことで実はいろいろ言うことはかえってどうかと思うのでございますけれども、たくさんございますから、一つの例を申し上げているわけであります。それは奄美大島にいわゆる電力会社をつくった。その名前は大島電力会社であります。この電力会社がこれも昭和三十三年度までに三億六千六百万円を開発銀行から融資を受けてやっている。ところが、このときの電力会社の約束をしたところの出力は、二千五百キロワットを出す、こういうことでこの金が実は出ているわけであります。ところが、実際に送電を始めた力というものは、三百七十キロワットである。相当大きな差がある。なぜそういうことになったか。この電力会社は、この発電をするのに、長崎から中古の発電機を持っていって据えておるわけです。だから出力が十分出なかったという結果になっておるようであります。しかも、このようなやり方を通産省が認めておる事実がある。こういうようなことで一体奄美復興のために大きな役割を果たし得るかどうか、こういう問題が実は考えられるわけであります。奄美復興の融資、その資金を、率直に申すならば、食いものにしてもうけていこうという考え方を持っておる者がすぐ手を伸ばしてくる、こういうことが指摘できるのじゃないかと思うのであります。多くの問題をくどくどしく指摘いたしませんけれども、こういうようなことを考えると、あなたの方のお力添えを十分いただかなければ、国政というものあるいは国費使用というものが正しくならぬのではないかと私は考えておるわけでございます。お考え一つお聞かせいただきたい。
  32. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまお話しの三十三年度前の基金の融資と申しますと、この関係の機関なのか、あるいはほかの方の機関なのじゃないかとちょっと考えるわけでございますが、実は詳細は承知しておりませんけれども、ほかの関係もあわせまして御指摘の点は十分調査して参りたいと思います。詳細は私の方でちょっとよくわかっておらぬ点がございますので……
  33. 川村継義

    川村(継)分科員 私は、奄美復興のために国がたくさんの資金を出して努力をしてくれておることについては、非常にいいことだと考えております。ことしで復興計画は終わるわけでありますけれども、私は、やはり三十八年度で復興計画を打ち切ってはいかぬ、もっともっとやはり財政的に力をかしてやって、いま一段と奄美復興考えてやらなければ、せっかくここまで伸びてきたところの奄美が、また落ち込む危険性があるのではないかとさえ思っております。そこで、本年も出資額として五千万円、あるいは三十八年の復興事業費として約十三億五千万円程度の用意をしておるわけでありますけれども、この使い方について、私が、二、三年古いことでございましたけれども、指摘いたしましたような点が介在するということになると、大へんなことになる、国の大きな損失であるばかりでなく、これは奄美群島復興を大きく阻害しておる問題だと考えておるわけでございますから、一つこういう点は、あなたの権限の及ぶ範囲十分調査をして、正しくしてもらうということが願わしいことだと考えておるわけでございます。  そこで、私はほんの一つの例を取り上げて申し上げて参ったのでございますけれども、考えてみると、やはりこういう事例が全国には幾多あるのではないか、こう思われてなりません。そこで、あなたの方の職務として、書面検査というものがおそらく中心でございましょうけれども、実地検査というものの重要性を私は非常に高く指摘したいのでございます。そうなると、実地検査のために要するところの旅費も、そういう意味から、やはり相当額確保していただかなければならぬ、私はこのように考えておるわけでございます。さらには、あなたの方の職員皆さん方、これはもう高潔なりっぱな皆さん方でございましょうけれども、給与が少ない、あるいは出張の旅費が不十分ということになると、そこにどのようなあやまちが起こるかもしれないということも、やはり一応あなたとしては考えていただかなければならぬ、このように思うわけでございます。そういう点から本、こういう重要な実地検査業務に携わる皆さんに対しては、やはり十分なる旅費考えてやるということが、一面から必要だと私は考えておるのであります。今民間のある会社が、学校の理科教育振興のために相当額の金額をもって表彰の事業を行なっておる。その民間会社が学校に実際の理科教育の実態等を調べに来るときに、その態度たるや、まことにりっぱであります。お昼の弁当さえもごちそうにならぬ。夜おつき合いにというので、学校側やあるいは村の諸君、村長、町長たちが一ぱい差し上げるといっても、そんなのは絶対に受け付けないという、まことにすぐれた態度で終始をし、学校の理科教育の実態を調査に参っております。私は、表彰等をする場合のその態度というものはそうなければならぬと思うのであります。あれとこれとを比較しては失礼でございますけれども、会計検査院職員の方が実施検査に行かれるときには、やはりそういう点を考えておる必要がある。どうも釈迦に説法みたいなことになって恐縮でございますけれども、そういう面から、どうも旅費の増額はまことにもって少ない、こう私は考えておるわけであります。実際の仕事としては、奄美の問題を申し上げて、一つ今後の努力をお願いしたい、このように考えて実はお尋ねをいたしたわけでございますけれども、奄美復興基金、あるいは融資業務内容復興事業資金の使途、これについて十分なる調査検査がなされていないようでございますから、この点特に配慮をお願いしておきたいと思います。
  34. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 それでは、続いて野原覺君。
  35. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 私は国会関係で若干お尋ねをいたしたいと思いますが、まず第一にお伺いしたいことは、深夜の国会対策の問題であります。私も新聞で拝見いたしましたが、昨年の十二月十七日に、いわゆる徹夜国会なるものが遺憾ながらあったのでございます。このときに泊まり込みの職員九百人に虫の入った乾パンを食わした、こういうのであります。虫の入った乾パンを食わしたという記事を見て驚いたのでございますが、これは一体どういうことになってそのようなことになったのか、これは事実なのかどうか承りたい。
  36. 藤野重信

    ○藤野参事 お答え申し上げます。  ただいまの御質問でございますが、その当時の事情を申し上げますと、実はあの日、国会はおそくなるだろうという予想はございましたが、予想以上に長く延びまして、職員もまだだいぶ残っているからということで何か出したらどうかということでございますけれども、もう十一時を過ぎておりまして、さしあたり手持ちの何かを出す以外に方法がないということで、とりあえず私どもの会計課の倉庫にありました非常用の乾パンを分けたらどうかということで、一応員数を当たりまして各部課に取りにきてもらうということになりました。ところが、御承知のように非常に暗いところでございますし、それから時間的にも、会計課の職員もちょうど給与改定のいろいろの仕事に携わっておりまして、立ち会った職員が一人か二人であったという関係もありまして、一々点検しないで渡したのでございます。その途中に、やや不良なものがあるということを発見しましたので、もう渡した分もございますが、とりあえずすぐ電話で撤回を命じまして、今回は配ったけれども使用してくれるなということを申しまして、すぐ回収いたしました。これにかわりまして急遽、もう帰ってしまった者もあるのですが、食堂の従業員で近くにいる人には来てもらって、おなかがすいたが、あてにしていたものはこういう状態なので、ぜひやってくれということで、その晩はとりあえず食堂に頼みまして握り飯とみそ汁ということにきりかえまして、その当日の深夜の食事、夜食といいますかに充てたのでございます。さような事情でございまして、手違いが起きたことはまことに申しわけないと思っておりますが、急遽そういう措置をしたということを御報告いたします。
  37. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 倉庫にあった乾パンだというお話で、これは非常用に備蓄しておった、こういうのですけれども、一体非常用にそういった乾パンを備蓄しておるのですか。しかもそういう乾パンというものは、幾ら非常用でも、虫の入った乾パンは私は食わせるべきじゃないと思うのです。いつつくった乾パンなのかということです。
  38. 藤野重信

    ○藤野参事 ただいまの御質問でございますが、これは大体半年ということで考えております。たまたま補充いたしましたのが三月でございますので、その点では、そういう虫の入ったものをお渡しするというようなことは毛頭考えておりませんでした。
  39. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 それは考えたら大へんです。笑いごとじゃない。考えたら大へんです。私も、まさか虫の入った乾パンを食わそうという意図でやったとは思いません。しかし半年くらいで虫が入るかということです。いいですか。一体物を購入するのに、どういうようなことで購入しておるかということも問題があります。これが一つ。  第二の問題は、国会正常化ということで私ども努力いたしておりますが、やはり国会というところは審議の場でございますから、議論が白熱してくると、残念ですけれども、深夜国会ということもあり得るわけです。そういった非常時に備えるために、深夜国会になれば、全職員がそれぞれの部署についておらなければなりません。この対策というものはやはり日ごろから立てておくべきじゃないか。今のお話を聞くと、対策がないです。どうなっていますか。深夜国会などに対する対処の仕方というものを一体事務当局は考えておいででございますか、承りたい。
  40. 藤野重信

    ○藤野参事 お答え申し上げます。  従来の例ですと、おっしゃる通り、虫のつくようなものじゃないと私たちも思ったので、そういう結果になりましたのですが、そういう事実がありまして、これも、その当時の事情を聞いてみますと、全部が全部ということではなくて、ある部分についてついていたそうでございますが、こういうことが一度でもあった以上は、私は、こういう方法は今後とるべきではない、こう考えております。ところで、従来の例によりますと、だいぶ前にはよく深夜国会がありまして、そういうときは、持っているだけのものでは間に合わないので、あるいは食堂と契約して食券を出すとか、いろいろなことをやりました。それからまた、深夜国会で、食べものだけではありません、深夜泊まる施設について、ふとんをよく整備するとか、あるいは各職場に回しておるような毛布を整えるとか、あるいは議員さんの利用されるバスを使いまして近くの駅まで送るとか、いろいろな方法を講じておりまして、今後につきましては、食事につきましては、今申し上げましたように、深夜に及んだ場合には、できるだけ食堂を利用するような方法にする、そしてその食べものについては特に衛生の面につきまして今後十分注意をしたい、こう考えております。それから、その他の申し上げた点につきましても今後ますます留意して、できるだけのことをしていきたい、こう考えております。
  41. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 そういたしますと、これからは乾パンは食わさない、握り飯であるとか、うどんであるとか、そういったあたたかいものを与えるようにしたい、これはお約束できますね。
  42. 藤野重信

    ○藤野参事 おっしゃる通り、出す必要のある場合に——今申し上げなかったのですが、私はおよそ食べものについては日ごろから十分注意はしておったのでございますが、そういう手違いがあった以上は、危険が多少でもあるようなものは避けなければいかぬ、直ちにそのものは廃棄いたしまして、今後はそういう方法をとらない、この点につきましては私は確約いたします。それからその他の面につきまして、食堂を使ってどうこうするという問題はございますが、これもその方が衛生的にも監督しやすいし、また、それだけの注意を日ごろからしでいる人たちが扱うことでございますから、間違いも極度に少なくなるということが考えられますので、そういう方法をできるだけとっていきたい、かように考えております。
  43. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 深夜の食事費というのは、こういう場合のまかない費というんですか、一人何円予算を組んでいますか。
  44. 藤野重信

    ○藤野参事 深夜の食事費というものを予算でどう組んでいるかという問題は、これは若干問題がございます。といいますのは、私どもの方では年々一定額の賄雑費というものを出しておりまして、本来的に申しますと——これは平均化しておりますが、予算上は、そういうもので総括的に年間を見込みまして賄雑費というもので支給する、これが建前でございます。で、実は今の食事はどういう性格のものかと仰せられますと、問題は多少違うのでございまして、これは夜おそくなったから食事を出すということではございません。実際職員が非常におそくなって、しかも予想外におそくなったという場合には、普通の食事をとってない場合がございますので、特におそくなって帰れそうもないという時期になりますと、言うなれば職員の厚生上の目的から、疲労が極度になってはあした続かないということで、特に考えまして、一年に何回もございませんことですから、予算状況を見まして支出する、こういうことにしております。
  45. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 そうしたら、それはどこからか金が出ておるのでしょう。乾パンにしたって、うどんにしたって、どこからか金が出ている。予算を組まないで金が出せますか。一体どこの金を流用しているのですか。
  46. 藤野重信

    ○藤野参事 従来は庁費の中から流用しております。
  47. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 庁費というのは、庁費の使用目的があるのですね。これは私は会計上おかしいと思いますよ。国会には、図書館を初め衆参両院とも非常に悪い習慣があるのです。その使用目的があるにかかわらず、簡単にあちこちに流用しておる傾向があります。私の質問したこの夜食費にしたってそうなのです。庁費を流用している。庁費というのはそんなものではない。庁費というのは、ガス代、水道代、施設設備の金です。それを使っておる。これは私はいかがなものかと思うのです。それから乾パン一袋四人に食わしておったので、握り飯にすると一つか二つになろうかと思いますが、これは十円そこそこの夜食費ということになります。賄雑費というものは確かに出ておりますけれども、これは深夜国会を予想して賄雑費を計上したのではないのです。私もかつて議運におったのです。そうじゃない。賄雑費というものは、国会職員の勤務が他の行政庁の職員とは違うというので、これは私どもが考えたのです。だから賄雑費があるのだから、こういうものを食わさぬでもいいのだという考え方はおやめになられて、深夜国会というような非常事態の場合には、やはりあなたは責任者ですから、適当な予算を組んで人間並みのあたたかいものを与えてやる、そういう配慮がほしいと思います。これはぜひ考えてもらいたい。いいですね。  それからその他のこと、たとえば仮眠をとる場合、あるいはうちに帰る場合にバスを考える、これから検討してみようということのようでございますけれども、机の上にごろごろ寝ておりますね。私、職員の部屋を深夜国会のときに行ってみますと、どこも寝るところがないので、何百名という職員が机の上にごろごろ寝ております。これもこれから考えるといえば考えてもらいたいということになろうかと思いますけれども、これは私は、事務局としては今までに考えなければならぬ点ではなかったかと思うのです。国会はほかの役所とは違いますから、宿泊施設をつくる必要がありはしないかと思うのですが、これはいかがなものですか。そういう方向で努力をする御用意がございますかどうか。宿泊施設を完備する必要があると私は思う。何百人という人をごろ寝させるということはよくないと思う。これはどうですかね。
  48. 藤野重信

    ○藤野参事 何百人という人をごろ寝させるということは、確かにおっしゃる通りでございます。実は私どもの方でも、若干、従来厚生的な用途に使っておるような場所もございますし、それからそういうような、要するに畳を敷いた部屋があるというようなところはできるだけ動員しまして、何人入れるかということも検討し、その面は従来とも使用しておりましたが、今後そういう面を考えて、あるいはそれを拡充するかという問題は、私どもは考えていかなければならない問題だと思います。とかく年に回数が非常に少ないので、通常から完全な宿泊設備を全部つくっていくということは、今の状態では直ちには間に合いませんが、しかし、おっしゃる通り、何らかの方法で宿泊者に対する便宜をはかるということは考えていかなければならない問題だと思います。
  49. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 これはぜひ一つ恒久的な宿泊施設を計画された方がよかろうと思う。議院運営委員会でも、あなたの方から案を出して、これはすみやかに十分検討してもらった方がよかろうと思うのです。  同時に、レクリエーションというと遊びみたように聞こえますけれども、お昼の休みにはキャッチボールもしたいのです、若い職員の諸君ですからね。国会の周辺にはグランド・レクリエーションというものはない。これも私は考えてやらねばならぬと思うのです。やはり心機転換にボールの一つも投げる、そういったことも配慮してやるのが、あなたのお仕事であり、事務局の幹部の責任であろうと思う。これが全くなされていない。  もう一点お伺いしておきたいのは、婦人職員が三百人ばかりおるようですが、これは休養室というものはありませんか、これはございますか。
  50. 藤野重信

    ○藤野参事 特に休養室として設備されておりますのは、電話の交換手の休憩室がございます。それからそのほかの職員につきましては、そのために特につくったという施設は現在のところございません。
  51. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 その問題も一つ考え願いたいと思います。これは要望しておきます。とにかく人間並みに扱うような努力をされた方がいいですね。  次に国会の問題でお伺いをいたしますが、私はきょうは衆議院の事務総長に出てもらいたいと思っておったのですが、これは昨年も横路委員と私、一昨年は横路委員、こういうように、国会の問題を予算委員会で取り上げていろいろお伺いしてきたのであります。ところが、私どもが予算委員会分科会で、国会の問題は重要だというのでいろいろ質疑をして御答弁をいただくのでございますけれども、どうもその後の事務局の動きを見ておりますと、誠意がありません。いいかげんに聞いておられる。まあ予算分科会なんというのは勝手なことを言う会だぐらいにしか思っていないのではなかろうか、こう思うのです。私は去年も実は図書館の問題を取り上げてここで注意をし、そして、善処します、努力しますというような答弁ももらったのでございますけれども、とにかく、図書館の問題は、議院運営委員会の中に図書館小委員会というのがある、藤野さんのところですと、庶務関係庶務小委員会というものがある、そこが重要なんだから、予算分科会では勝手なことを言わして、右から入ったら左から通しておったらよいのだ、こういうお考えではございませんか。これは、総長は来ていないから、私は藤野さんに承っておきますが、その辺はどうですか。これは真剣にこの予算委員会分科会の私どもの意見というものをお取り上げになって、そして事務当局の幹部会でも開いて御検討になっておりますか。いいかげんに聞いておりませんか。まずその辺から承っていかねば、私は質問するのがいやになってくる。いかがですか。
  52. 藤野重信

    ○藤野参事 お答え申し上げます。  私どもは、ここでお伺いしたことを決してそういうふうに軽視している事実はございません。おっしゃる通り、昨年、先生からも、あるいは横路先生からも御質問を受けたことを私は記憶しております。直ちにおっしゃった幹部会に相当するような会合も開いております。そしてあのときに、私の記憶では、何といいますか、お話を承っているうちに、これはとにかく早急にとおっしゃられた分につきまして、できるだけその解決の方法をとっておりますが、たとえば、昨年のときに、何か衛視についての宿舎の問題がございまして、これは二年越しだったというようなお話で、私は二年のうちの最初の年はおりませんでしたが、そのあとに参りましたので昨年初めて聞いたのですが、衛視の宿舎の独身寮みたいなものを早くつくってくれとおっしゃって、私もその点については同感いたしまして、昨年度中に私どもの力でできる限りのことはいたしまして完成しております。そのほかの点につきましても、決しておっしゃられたことを聞き流しているとか、その場の答弁で濁しているというようなことはございませんから、その点は一つどんどん御指摘願いまして、私も至らないところは誠心誠意努力いたしたいと思います。
  53. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 それでは、あなたの方は若干あと回しにして、誠意があるかないかということを私は実証しなければならぬですね。  そこで、図書館の方にお伺いいたします。  私は去年こうお尋ねしたのです。ちょうど私が去年この分科会で図書館の問題を取り上げたころ、図書館の開館間もないときでございましたが、投書がひんぴんとしてあったのです。それは新聞社にもございまして、新聞社がその投書を大きく三面記事に掲げたのであります。国立国会図書館は、デラックスな建物を建てたけれども、日本で一番能率の上がらない図書館だという投書なんです。これは大へんなことだ、私も、国会議員がおってそういう状態に置いておったのでは相済まぬというので、いろいろお伺いをしたのです。私が尋ねた第一は、まだ書物の出し入れ、書庫の出納員が足らぬのじゃないか、こう聞きました。そうしたら、七名から十一名、少ないときに七名、それから多いときには十一名ぐらいで普段書庫の出納をいたしておりますと、戸引参事が答弁しております。今度私は、その後どうなったかと思って調べるついでに答弁の速記を読みますと、こう言っておるのですね。多ければ多いほどよいのです。しかし、これも限度がありますので、再来年度の予算——再来年度といえば三十八年度です。去年の国会からいった再来年は、去年の今ごろですから、三十八年度の予算では、もう少し合理的な計算において人を要求したい、こう約束をしたわけです。これは書庫の出納を七名から十一名という、その人員をふやす要求を大蔵省に出しておりますが、まずこの点を承りたい。
  54. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 お答え申し上げます。  書庫の出納につきましては、これは図書館業務の大事なものと考えておりますが、私どもの考えといたしましては、書庫の出納に当たっておりますのは保管貸出課でございまして、ここでは三十九名の職員がおりまして、これが全力ををあげて当たっているわけでございます。それから書庫の出納を円滑にするためには、資料の整備その他、ほかのいろいろの作業もございます。これは閲覧部がただいま二百二十六名の職員がおりますが、三十八年度におきましてはさらに十名の職員をこれに増員することにいたしております。
  55. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 去年答弁したのはあなたじゃなかったですね。
  56. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 昨年の予算分科会の当時は私は流感で倒れておりましたので、総務部長がかわってお答え申し上げました。
  57. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 これは戸引さんが答弁したのは、やはり書庫の出納が七名から十一名、少ないということだった。お認めになった。保管貸出課は三十何名おるということ、これは私宅承知いたしております。ところが、それならば、これは多いほどよいのだから、人員要求すると約束するかと言ったら、約束する、こう言っております。あなたの方は三十八年度は百七十一名の人員増の要求をされているようですね。これは調べてみると、されている。ところが、認められたのは十五名ですね。この百七十一名の人員増の中に書庫の出納が入っておりましたか。ほんとうを言って下さいよ。書庫の出納として入っておりましたか。
  58. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 人員増加要求につきましては、書庫の出納——私どもは、書庫の出納のみならず、書庫の運営、閲覧の能率化全体について考えなければなりませんので、そういう意味におきまして、閲覧部におきましても数十名の要求を出しております。しかし、要求の面のみならず、また内部の仕事のやり方の改善も考えなければなりませんので、あわせてそちらの方も今検討中でございまして、出納をどうするか、そのためには資料の整備をどうするか、本の出し入れをどう改善するかということもあわせて検討しております。そういう意味におきまして相当数の要求をお願いしたのでありますが、諸般の事情によりまして、閲覧部におきまして十名の増員の要求が認められたということでございます。
  59. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 これは閲覧部とか、それから保管貸出課とかの問題だけじゃないのです。去年ここで問題になったのは、出納を問題にした。そのうちの一分掌事務の出納、いいですか、これは今何名でやっておりますかね。
  60. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 出納と申しますことは、保管貸出課三十九名が、ぐるぐるぐるぐる交代してやっているわけでございまして、私どもはあくまで三十九名がやっていると考えております。ただ、一時点におきましては十一名になることもあり、十三名になることもある。そのローテーションの問題でございます。
  61. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 そのローテーションが問題でしょう。出納の仕事は三十九名割り当てておるけれども、、三十九名がいつも活動していないですよ。それは去年認めておる。七名から十一名だ。そうでしょう。それはもう保管貸し出しの全部で三十九名が書庫から出し入れする、ある時点において働く人員というのは十一名とか十三名とか、こうあなたは言いますけれども、七名という時点もあるのでしょう。それはどうなっていますか。
  62. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 たびたび申し上げます通り、出納ということは、ただ出し入れするということだけではございませんので、それに付随するいろいろな仕事がございますので、私どもはあくまで三十九名でやっておるわけでございます。ことに出納が激しくなりますれば、それに随時ふやすこともございますが、原則といたしましては十一名を中心としてローテーションを組んでおります。
  63. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 そういたしますと、去年の答弁とずいぶん違いますね。これはなお私、調査をしてみたいと思う。図書館の小委員会等もございますから、そちらの方に意見を出しておきたいと思います。  図書館の問題で第二点は夜間開館なんですが、これはどういうことになっておりますか。
  64. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 夜間開館につきましては、昨年実は野原先生から非常に御好意のある御助言、御注意をいただきましたので、特に慎重に考慮いたしました。もともと夜間開館というのは内外の図書館においてもやっておりますし、それから新館におきましては上野の図書館を引き継ぐことになるわけでありますが、上野の図書館におきましても夜間九時までやっておりました。それから土曜日もやはり九時までやっておりました。それから日曜開館もやっておりました。従いまして、新館に移りましてからも、国民に対するサービスを低下しないためには、夜間開館を実施する必要があるわけでございます。新館に移転早々でございますから、いろいろ準備が不行き届きのために実施がおくれて参りました。しかし、まだ準備が完了しないうちにやりますことは、職員の勤務のために、あるいは国民へのサービスのためにもよくないと考えまして、館内におきましていろいろ準備に準備を重ねまして、六月十八日から夜間開館を実施することにいたしました。その趣旨といたしますところは、国立の中央図書館として、国会議員の国政審議に奉仕するためのほかに、少なくとも勤務時間中に図書館を利用できない人のために図書館利用の時間を与えなければならないということが基本的な方針でございます。しかし同時に、図書館サービスが多々ますます弁ずるのはけっこうでございますけれども、職員の勤務条件があまりに過重になってもいかぬというところを考慮いたしまして、サービスの低下は免れませんけれども、第一には日曜開館はやめる、それから夜間もなるべくがまんできる範囲においてはがまんしようというので、上野時代に比較いたしまして一時間短縮いたしまして、午後八時までに切り上げる、それによって職員の勤務態勢がどの程度まで過重になるかということも考えましたが、結局閲覧部の職員が一週間に一回、三時間の超過勤務をやればやれるということの計算が出たわけであります。そして一週間に一回、五時半から八時半までの三時間の超過勤務程度ならば、これは決して職員の勤務に過労ではないという結論に達しました。それともう一つは、新館移転早々で資料の整備が不十分でございますので、これも国民の皆様に御不自由を忍んでいただきまして、四月の中旬から五月の中旬まで一カ月間休館いたしまして、極力資料の整備もはかりました。その上で、夜間開館を六月十八日から実施いたしました。その趣旨は、昼間に利用できなくて、しかも国立国会図書館の蔵書を利用しなければ困るというような人々を中心といたしまして、約六十人の座席を設けてやっております。その後、絶えず夜間開館の実績の結果を検討して参りましたが、私どもといたしましては、ほぼ所期の目的を達しているのではないか。また職員の勤務条件につきまして、ここ半年以上の経過を調べましたが、これに割り当てられた職員で一週間に一回、一日三時間以上の超過勤務をやった者もない。従って、大体計画通りに参っているつもりでございます。
  65. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 そういたしますと、夜間開館をした場合の勤務は、超過勤務だけでやっておるわけですか。
  66. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 八時半までの夜間開館でありますから、全部超過勤務でやっております。  なお申し上げますが、この夜間開館に振り向けている職員は、なるべく簡素にやりたいと思っておりますので、大体二十五名を充てております。そのほかに補助といたしまして、パート・タイマーを十四人雇ってやっております。
  67. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 そういたしますと、二十五名の超過勤務とパート・タイマーの十四名、これでやっておるということですね。
  68. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 さようでございます。
  69. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 勤労者もおることですから、夜間図書館に行かねばならぬという必要も出て参りますから、夜間開館については一がいに反対いたしませんが、しかしそれだけに、夜間の開館というものが必要であればあるほど、超過勤務とかパート・タイムでやらないで、正規の職員を置いて本格的になさったらどうか、こう思うのです。六月から十一月にかけて、私の調査したところによると、平均三十名ぐらいの入館者しかいない、閲覧室には一晩に一人しかいないぐらいのこともあったやに聞くのであります。これはやはり図書館自体が本格的に取り組まないからなんです。あなたは、超過勤務というのは一週三時間、一回のことだから大したことはない、こう言われますけれども、この二十五名の中で、超過勤務手当の単価は百円未満の者が十四、五人もおるということを聞くのですが、これはほんとうでございますか。
  70. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 夜間開館は、これを全面的に開放いたしますれば、ますます数が非常に多くなるのでございますけれども、これは職員の勤務態勢その他を考えまして、国会図書館を利用するに必要な最小限度の人に夜間開館を利用していただこうということで、もともと座席の計画が六十席でございますので、今までの平均では毎日大体四十人が平均の数、それから図書の貸し出しも大体毎日七、八十冊ということでございますから、なるべくこれを少ない職員でやろうと思っております。しかし大事な職務でありますから、二十五人の中には課長が一人陣頭に立って全部指揮してやっているという形になっております。そういうことですが、しかし外部からは、夜間開館をもっと時間を延長してくれないかということになっております。アメリカあたりの代表的な図書館は十時までやっております。ソ連のレーニン図書館は十一時までやっているというような状態で、私どもも、国際的なレベルまでこれを上げなければならぬと考えておりますが、それをどういうような職員をもってやるかということは、これは先生のお説の通り考えなければならぬことだと思います。将来十時、十一時までやるというようなことになりますれば、二部交代制でやらなければならぬかとも考えておりますが、現在のところは、まあ八時半までですと、普通の事務等は、まあ八時半までですと、普通の事務等はそれくらいの超過勤務をやることは多いことでございますので、今のところは超過勤務でやっていく。しかも二部制、時差出勤でやりますと、たとえば十二時から出勤してくるような職員が出てくるというようなことは、職員自体十二時から出てきて八時半に帰って、そして超過勤務をもらえないというような職員構成になりますと、職員にとっても、勤務として非常に困る状態ではないか。それからまた図書館としましても、時差出勤の二部制度になりますと、人事管理上非常に困難な面も生ずるということも、十分考えなければならぬと思っておりまして、これは今後の宿題にしておきたいと思っております。全面的にやります場合におきましては、私は考え直さなければならぬと思っております。また超過勤務の金額につきましては、これは御承知通り超過勤務は給与の一時間当たりの百分の百二十五、あるいは深夜になれば百分の百五十ということになります。それぞれの職員の一時間当たりの給与がどれくらいになるかということでございますが、それはいろいろとございますが、大体今、超過勤務の平均一時間の給与は、百二、三十円と私は承知しております。
  71. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 私がここで問題にしておるのは、夜間開館の必要性は認めるといたしましても、これをあなたの方は超過勤務と不安定なパート・タイムだけでやっておる。安上がりの夜間運営になっておるわけなんです。これは百二、三十円が平均だというのですから、十四、五名は百円未満です、一時間当たりの賃金は。これは計算されたら必ずそう出るだろうと思いますが、パート・タイムはほとんどが学生アルバイトでしょう。学生アルバイトというものは不安定で、図書館の仕事というものは、私は整然と仕事をしていかないと、書物のいたみ、幽霊本、なくなる、それから書架と目録とが食い違ってくる、昼間に勤務する場合でも、非常に支障を来たすのではないか。それはなるほど課長が陣頭指揮をしておるのだから、そういうことがないようにいたしますと言えばそれまでですけれども、超過勤務でございますから、課長だってあるいはその他の正規の職員にしても、非常な疲労感を覚えております。一週一回三時間、こんなことは何でもなかろう、こう言いますけれども、一週一回三時間の超勤を毎週繰り返されたのでは、職員もいや気がさすと思うのです。これはぜひ、こういう職員の疲労と不安定なパート・タイムに依存することをやめた夜間の運営というものを考えてもらわなければなりません。去年も実はこの点を問題にしたのです。そうしたら図書館の方は、答弁に来る人によって、言うことが違うのですね。同じことを聞いておるのです。去年あなたの方から来た人は、こう答えておるのですよ。これは責任ある処理はできぬではないかと私は去年も聞いたんです。同じことを聞いておるのです。パート・タイマーではだめだと言ったのです。そうしたら、去年はこう答えておる。パート・タイマーを正規の職員といたしまして、それだけの増員を考え、かつ時差出勤でやらしていただければ、われわれもうまくいくのじゃないか、こういう方向で来年度は努力しますと約束して帰ったのです。これは違いますね。図書館なんというものは、答弁に来る人によっていいかげんなことを言って帰ってもらうのでは、国会ははなはだ迷惑千万だ。私どもは国会の速記というものを重要に考えておりますから、あなた方の言ったことで、それでは三十八年度にはこの質問をする必要はなかろう、質問をしても、これは一つ何らかの正規の職員で、パート・タイマーに依存しない運営をしているだろうと思ってお尋ねしたら、依然として一歩の前進もない。むしろあなたの答弁の方が去年より悪い。去年はこういう方向でやろうという前向きの答弁をしたけれども、あなたの方はパート・タイマーでけっこうだと言わんばかりの御答弁です。そういう心がけでは図書館の経営は、失礼ですが、できぬと思いますが、いかがですか、まずその点を承っておきましょう。
  72. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 昨年御答弁申し上げたことと、ただいま私が申し上げたことと、食い違いがあっては申しわけないのでありますが、実は夜間開館を実施する計画、いろいろ実施するについてはどうしたらいいかということを十分検討いたしまして、その間にいろいろ今まで申し上げたような意見も出たのでありますが、私も、本来ならパート・タイマーというものは望ましいことではないのではないかと考えております。しかし、従来上野の夜間開館におきましても、パート・タイマーを補助的に使っておる、そういう習慣で、そのやり方をずっと繰り返して参ったわけでありまして、先ほど来申し上げます通り、決してパート・タイマーが主力になっておるわけではございません。私どもは二十五人の正規の職員でこれを充てております。そしてそれの補助として十四人のパート・タイマーを使っておる。パート・タイマーというものはひんぱんに交代いたしますし、責任もおのずからないので、決して私はいい制度だとは考えておりません。将来に向かっては、やはり全部の職員でこれをやるべきではなかろうかと考えておりますけれども、今のところは正規の職員を補充する意味において使っているということで、補助的に使っているのだということを御了承いただきたいと思います。ただ勤務時間が五時半までのものでありますから、これを八時までやるとしますれば、どうしても超勤以外にはない、超勤を使わなければ時差出勤、二部制でやったらどうかという意見があるのでありますが、私は、今のままでは二部制ということはマイナスの問題がありますので、今の夜間開館の規模では、そこに踏み切る気持になっていないということを申し上げた次第であります。
  73. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 私は、こういうこまかいことは、私自身もあまりこまごまと尋ねるのは実はいやなんです。ところが先ほど事務局を代表して庶務部長が、予算委員会で質問されたことは真剣に考えております、こういう御答弁でございましたから聞かなければならぬのですが、去年も、図書館の給料は衆参両院と比較して違うじゃないか、これを問題にしました。同じ国会職員であるにかかわらず、衆参両院では、大学卒が、これは昨年でございますが、一万三千二百円で採用される、ところが図書館は一万七百円、短大は一万七百円で衆参両院が採用されるのに、図書館の場合は九千九百円、高校卒は衆参では九千五百円であるのに、図書館が九千百円、図書館の方は安く初任給を押えてきておる、これはいかぬじゃないかと言ったら、いやお説ごもっともでございますから、このことはすみやかに是正をいたします、こういう御答弁が去年横路委員にあったのです。これは初任給の格付是正というのは完了したかどうか。これをやりますということであったのですよ。
  74. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 ただいまのお尋ねにつきまして、はっきり申し上げておきますけれども、国立国会図書館職員は、政府各省の職員及び事務局の職員と同じように、初任給及びその他の給与につきましては全然格差はつけておりません。はっきり申し上げますが、大学出の初任給は七の一の一万三千二百円、それから短大卒は八の五で一万七百円、高校卒は八の二で九千五百円でとっております。ただ、お尋ねの点で問題になりますのは、数年前に、試験制度によらないでいわゆる常勤労務者制度というものがございました場合に、常勤労務者として採用いたします場合の初任給におきまして、各省及び国会図書館、事務局間にアンバランスがあったことは事実でございます。これらのものは三十六年度から全員定員化いたしまして、すべて均等な試験制度による同じ率でやっております。ただ昔、常勤労務者の採用の基準は八の五でございましたけれども、それを予算と実人員との関係で八の三でとっていた時代がございますので、それを逐次八の四にし、八の五にして是正していく、またこれらの過去の職員につきまして、その結果出て参りましたアンバランスを三年計画で是正するということを立てておりまして、三十六年度から三十七年度にかけましてはすでに百十九名の是正をやっておりますので、あと三十八年度におきましても、ほぼ大体過去にありましたアンバランスの是正はやれるつもりでございます。
  75. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 まあこのアンバランスの是正はまだ完了していないようですから、すみやかに完了してもらいたい。衆参と初任給が違わなくなったのはつい最近のことなんですね。それまでは違っておった。そこで、初任給の是正をいたしますと、やはりその上も是正をしていかなければならない問題が起こって、それが完了していないのでしょう。だから、これは一つすみやかに完了してもらいたい。  で、私どもの見解は、衆議院も参議院も国会図書館も、待遇の上で差別をしてはいかぬという見解です。これは国会手当とか賄雑費とか超勤手当とか、そういう面で差別はございませんか。なければけっこうですが。
  76. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 給与につきましては、ただいま申しました通り差別はございません。ただ前のアンバランス是正が若干残っている。これはすみやかに是正したいと考えておりますから、一つ御了承いただきたいと思います。  それからそのほかの手当の問題、すなわち超過勤務でありますとか国会手当とか賄雑費とかいうものは、これは勤務の実態に応じまして支給されるものでございますから、事務局と図書館と勤務の実態が違うに応じて従来も差がございました。しかし国会図書館といたしましても、特に国会議員の国政審議に奉仕するための勤務態勢の改善に努めております。それに伴いまして、これらの手当の充実もしていきたいと考えております。特に賄雑費のごときは三十四年まで、十数年間認められなかったのでございますが、三十五年度からようやく認めていただくことになりまして、逐年これが是正に努めて参っております。三十八年度におきましては初めて予算上の措置も認められるということになりまして、従来よりも改善できるものと考えております。それから国会特別手当につきましても、初めて三十八年度におきましては若干従来に比しまして改善されることに相なりました。それから超過勤務手当につきましては、この三十七年度におきまして年間一人当たり二百十六時間平均ついておりますので、大体実働をカバーするのにこれで足りると考えております。さらにその勤務の改善に応じまして今後も増加していきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  77. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 よろしくお願いということですが、よろしくないんですよ、私にとっては。これは庶務部長、あなたの方は、国会手当を大蔵省に昭和三十八年度の要求ではどれだけ出しましたか。
  78. 藤野重信

    ○藤野参事 御質問の御趣旨は、概算要求国会特別手当を幾ら出したかということだと思うのでございますが、これにつきましては、概算要求といたしましては一カ月分ということでお願いいたしました。
  79. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 図書館の方は、国会特別手当は幾ら要求しておりますか。
  80. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 国会特別手当を予算で当初に要求いたしましたのは〇・五でございます。
  81. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 衆参の方は一カ月要求するのに、あなたの方は〇・五というのは、図書館はどう考えて、やはり半分の値打しかないというお考えで〇・五の要求でございますか。
  82. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 やはり国会特別手当も充実して参りたいと思いますけれども、漸を追うて改善して参りたいと思います。現状が〇・二でございますので、それを数倍にやるということもいかがかと思いますので、それを要求といたしましては〇・五まで高めたい、こういう考えであります。
  83. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 だから大蔵省の査定は〇・二五にされたわけです。結果からいえば、去年は〇・二で、〇・〇五だけ上がったんだから、若干の改善といえば改善ですが、しかし私は要求の基本的態度が間違いだと思うんです。国会図書館の職員は遊んでおるのですか。衆参の方は一カ月の値打があるけれども、あなたの方は半分だとあなた御自身がお認めになられるということは、それは国会勤務の上で不十分だ、遊んでおる、それだけの値打しかないという判断を、総長にしても館長にしても副館長にしても、されておるのです。そうですがね。
  84. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 決してお尋ねのような事柄を考えておるわけではございませんので、図書館職員全員が最大限度に努力しなければなりませんし、また遊んでおる者は一人もないと考えております。ただ実際問題といたしまして、予算を改善していきます場合においては従来の実績もございますので、一挙に飛び上がるということはむずかしいことだ、今まで長い間〇・二で参りましたものですから、要求もその二倍半の〇・五にするということは、これは少な過ぎるとも私はいえないと思いますので、せめてことしは〇・五を要求する。しかし実現はそこまで参りませんけれども、幾らかでも年を追うて実現して参りたいというのが私どもの念願でございます。
  85. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 そうしますと、あなたの所信を聞きたいんだが、これは同額であたりまえだ、同額であるべきだ、こういう御所信を持っていますか。現実には従来のいきさつもあるからだろうけれども……。
  86. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 国会図書館員は八百人でございますが、そのうち特に国会勤務に重点を置いてやっております職員と、比較的一般的な図書館事務に従事している職員と、二色ございますけれども、主として国会に奉仕するための図書館員につきましては、事務局職員と同等あるいはそれ以上に勤務しておりますので、その点におきましては、国会特別手当においては事務局職員と同額を受けるのが当然だと私は確信をいたしております。よろしくお願いいたします。
  87. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 それなら、これは来年度から要求を変えなさい。遠慮要りません。あなた、それは遠慮しちゃいけません。そういう所信を持っておりながら、衆議院の方の顔色をうかがって、一カ月、ああこっちは半分でよろしいというばかなことないですよ。そして夜間は超勤、それから学生アルバイトの安いのを探してきて間に合わせる。世間の人は何と言っていますか。デラックスな建物だけ建てて、中身はからっぽじゃないか、学者、文化人がこう言っている。これは私は図書館の館長なり副館長の責任だと思うのです。国会サービス部門は、なるほど資料を見てみますと、百六十三名、〇・五カ月要求している。国会の関連部門に働く職員は四百六名で〇・二五カ月要求ということになっておりますが、これは衆議院のそれ以上でなければならないのだという所信を持ちながら、現状はやむを得ないのだ、そういうなまぬるい態度でございますから、いつまでたっても国会図書館の運営が世人から非難をされるのが絶えないのですよ。きょうは私からそういう話があったということで鈴木館長と相談をして、やはり同じ国会職員でございますから、来年度からこういう差別があるということがないようにしてもらいたい。賄雑費でもそうです。時間がないから一々聞きません。資料によりますと、賄雑費は衆参は一人三千円、ところがあなたの方は、二百九十三名の予算人員で千二百五十円、総額は三十六万七千円、これは国会手当以上に率が悪いですよ。こんな差別をされて国会職員が——今度の試験で、なるほど初任給は一緒になって参りましたけれども、これでほんとに仕事する気がいたしますか。こういう状態に置かないのが図書館の理事者の任務です。これは一つ考えてもらわなければならぬと思う。超過勤務手当もそうなんです。超過勤務手当も月平均十八時間とっていらっしゃるようですが、衆参の方は月に平均いたしますと二十七、八時間になります。これは間違いであれば庶務部長から是正してもらいたい。しかもこの十八時間は予算の表面上の時間であって、実際は十四時間くらいしか超勤は支給されていない。超勤においてその半分、以下、それから賄雑費は三分の一、そして国会手当が半分だ。そういうことを、大蔵省から査定されたらこれは仕方がないといたしましても、予算要求の最初から理事者であるあなた方が臨まれるということは、私は、国会職員に対してあなた方がこれからいろいろ注意をして仕事をしてもらうだけの資格がないと思います。ほんとう国会図書館というものを充実させようと思うならば、こういうことは大した金額じゃないのですから、差別をしないということで臨んでいただかなければなりません。  行政職二の問題その他たくさんあるわけでございますが、国会図書館のことだけが私の質問でもございませんから、次に本格的な国会の問題でお尋ねをしたいと思います。  まず庶務部長にお聞きしたいことは、給与の問題です。これは行政職一と行政職二とありまして、何も国会職員だけの問題ではございません。国家公務員全体の、あるいは地方公務員をも含めての公務員給与の問題で、これは人事院の担当部門の責任ではありますけれども、庶務部長は給与の当面の窓口の責任者として、行政職一、これは一般事務職員、行政職二の方が自動車の運転手、それから電話の交換手、用務員、こういうふうに給与表を分けて実施をしていく。特に国会には速記の諸君の速記職の給料表というものもある。それから警務部は議院警察の給与表というものも国会では特別につくっておるわけですね。これを実施されて矛盾をお感じになりませんか。何かいやな感じといいますか、何だかしらぬ、割り切れない感じをかつて庶務部長は感じたことがございませんか、お伺いします。
  88. 藤野重信

    ○藤野参事 感じの問題を申し上げるのは、ちょっとむずかしい点もございますが、御承知のように、行政職一、二の問題につきましては、三十二年でしたか、そういう表が分かれた当時からいろいろ議論のあるところでありまして、人事院一般の政府職員の例にならって、国会においてもそういう表の適用を受けて今日まできたわけでございますが、そこにはやはりいろいろの問題がございまして、私どもはこれについても、表は分かれても、できるだけ均等の待遇を受けられるように日ごろから気をつけておるわけでございます。でございまするから、そういう意味で、先生のおっしゃるような、何か矛盾を感じないかとおっしゃられれば、そういう面も確かにございます。
  89. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 今、自動車の運転手は、定員を充足しておるかどうか、それから電話の交換手は欠員になっていないかどうか、お伺いします。
  90. 藤野重信

    ○藤野参事 自動車の運転手につきましては、一、二名欠員がございまして、これは急速に、試験をして充足をしたいと思っております。これは一種の定例的なあれでございますが、特に補充をしなかったということではございませんので、恒例に従って、欠員ができたときには、適当な人を探して、試験をして入れるということでやっております。  電話の交換手につきましても、現在の座席数に比較して、欠員ということはございませんが、ある程度の交代も考えられますので、この点についても一、二名は補充したい、かように考えております。
  91. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 私がこういうことを聞くのは、電話交換手というものは重要なんです。自動車もきわめて重要なものです。国会議員の足です。交換手がいなかったら私どもは工合が悪い。ところが非常に無理な仕事をしておるように私は聞くのです。これは正規の定員から見れば二名欠員のはずです。そうしますと、その他の諸君でこれをカバーしておる。交換手の諸君がだんだんやめていく理由を調べてみると、行政職の二を適用されて、労働密度が非常に高くて給与が低いということです。私はけさ高輪の議員宿舎から社会党の車でこちらに来ました。きょうは国会の質問をするからと思って、私は試みに運転手に尋ねたのです。あなたは何年いますかと言ったら、衆議院に八年います。相当の御年配の方です、自助車の運転手は五年以上の経験者でないと採用しないのですから。そうして八年勤務しておる。幾らもらっていますかと言ったら、一万九千二百円です。これは間違いないですね。そうです。家族は四人います。今日、自助車の運転手で家族四人。一体五年以上の経験者という条件で国会の自動車の運転手を募集するのに、初任給幾ら与えておるのですか、庶務部長にお伺いします。
  92. 藤野重信

    ○藤野参事 初任給は、行政二でございますと、三等一号でありまして、一万三千三百円でございます。
  93. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 五年間の自動車運転の経験を積んだ者を雇うのに一万三千三百円、これで来ますか。お聞きいたしますと、窓口までやってくるそうですね。国会の衆議院の自動車だからと思ってやってくるが、待遇はと聞いたら、びっくりして帰ってしまう。私は、これは議院運営委員会にやはり事務局の責任者は原案を出して、修正せねばいかぬと思います。今日タクシーの運転手は、もちろん非常な激働ではありますけれども、四、五万円の収入を持っておる。二十何才の諸君がそれです。自動車運転手をしておる諸君が不満を訴えるのはあたりまえですね。そしてあとは何に生活のかてを求めるかといえば、超過勤務なんです。年の暮れの十二月は一万三千円でございました、けさ乗った運転手が私に言った。そうしたら、この一月は超過勤務は三千円しかありません。給料を安くして、超過勤務におんぶして、議員のチップにすがらなければならぬというような状態に置くのは、これは間違いです。  だから今、自動車運転手から、これは庶務部長もお読みになったと思うが、ここにガリ刷りの「自動車課職員の給料表についておねがい」、これは私にだけじゃなく、各方面にばらまいておる。これを読んでみたら、実に気の毒にたえない。彼らはやはり一ぺん勤めた限りは、なかなかやめることもできなくておるわけですね。こういうふうに書いてあります。このお願いに対しての庶務部長の所信を承ります。  「私たちは、同じ公務員でありながら、どうしてこのような差別を受けなければならないのか理解できません。」これは行一と行二の差別を書いてありますが、「人事院は行日表適用者は現場の仕事であること、責任の度合が薄いからという理由で」交換手とか運転手とかいうものは行二にしておる。「差をつけるのは当然ではないかと申します。なるほど人事院の言うとおり、単純労務であり責任の少ない人もおりますが、私たち自動車課職員(運転手)について申しますならば、五年以上の経験を有して衆議院職員として採用され、国権の最高機関たる国会の議員さんの足となり、貴い生命をお預りしてその職責の重大なることを自覚し、職務の完遂に努めております。御承知通り、現下の交通事情は「交通戦争」の名で表わされておりますように、道路の許容量をはるかにこえた車輌の輻輳によって全くの戦争状態にあり、その中で私たちはその職務を遂行しなければならないのであります。昭和三十六年十月、現道路交通法の施行以来、その取締り及び罰則の強化によって受ける私たちの神経の消耗は激しく、一たび接触事故ともなれば、たとえ貰い事故であっても又円満な示談解決をいたしましても、それに対して受ける行政罰(就業停止)刑事罰(科料、罰金)等の併科は免れ得ない現実でありまして、このような職種がはたして人事院の言うところ単純労務であり、責任の軽い者でありましょうか。」  行政職二というのは単純労務、責任の軽いものと人事院は定義をしておる。国会の自動車運転手は責任の軽いものであり、単純労務であると庶務部長考えますか。
  94. 藤野重信

    ○藤野参事 自動車の運転手が責任が軽いとは考えておりません。問題は要するに、給料表の現行の区分の建前の上からいって、いわゆる事務職と分ける場合に、単純労務というカテゴリーに入るかどうかということでございますが、これは衆議院だけで独自のそういう表をつくるわけにいかない現在の建前でございますので、行政職二の適用を受けているわけでございます。
  95. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 そうじゃないですよ。これは単純労務、責任の軽いものが行政職二ですよ。運転手は全部行政職の二にしなければならぬという規則はどこにもないですよ。それはあなたの方が判断したらいいのです。だから、単純労務じゃない、責任が軽いとは言えない、そういう判断があれば行政職の一に直して、これは是正をしてやるべきですね。  今度はこう書いている。「聞くところによりますと、本院のある職種、たとえば設備課の電球の取替や、配線の敷設、修理に携わる人でも行(一)表の適用を受け」ている。一般事務職員と採用されたら、女の方でも行一なんですね。これはこれでいいでしょう。何も私はこれを行二に下げなさいとは決して言いません。大体私は行一と行二の給料表に不満なんです。松浦さんが給与担当大臣のときに私は社会党を代表してこの問題を取り上げて二、三時間質問したのです。こんなものはなくしてしまえと言ったのです。だから、これはこれでいいとしても、国会議員を乗せて、交通戦争のちまたの中でほんとうに責任のある仕事を遂行している運転手、こっちは会館で電話のメモだけとっている事務職員、こっちは行一、こっちは行二です。しかも、給与は初めはそう違わぬけれども、行二で五年たてば五千円開いていくのです。私はこれは間違いだと思う。どうですか、庶務部長、この問題は、一つ優秀な運転手を国会で採用するためにも、あるいはこの運転手に対する正当な給与を払わなければならぬという建前からいっても、すみやかに検討すべき問題だと私は思うのです。いかがでございますか。
  96. 藤野重信

    ○藤野参事 御趣旨ごもっともと存じております。私どももその検討は今後とも続けていきたいと考えております。
  97. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 自動車運転手だけで終わりますとはなはだ公平を欠きますから、私は警務部の給料についてもお伺いいたします。  まず、警務部の給料表をこの資料で見てみますと、これも職階制がきびしくとられている。衛視長、衛視副長、班長、衛視、こう分けている。そして初任給のところを見てみますと、大学卒、短大卒でも衛視として入った場合には学歴を見ないことになっている。これは私の表が古いのかもしれませんが、今でもそうなっていますか。
  98. 藤野重信

    ○藤野参事 お答え申し上げます。その点につきましては、昭和三十二年以来学歴差を設けてありますが、さらに三十七年度の当初と思いますが、制度を若干修正いたしまして、その不合理は一応解決いたしました。と言いますのは、学歴別に、大学出、短大出、高等学校出と修業期間による段階を明確につけることにいたしました。
  99. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 大学卒、短大卒はそれとして採用しておるということですね。間違いありません。十年以上たってもなお班長になれないというのは、その人の能力がないといえばそれまでですが、これはどんなものでしょうかね。十年以上たっても班長としての給与を受けられない、いつまでも衛視でおる、衛視の給与表しか適用されないということは、いかがなものかと思うのですが、これはどうなっていますか。
  100. 藤野重信

    ○藤野参事 十年以上たっても班長の給与を受けられないとおっしゃられる御趣旨が、衛視の給料表が一、二、三、四等級まであって、衛視が四等級、班長が三等級ということで、三等級になれないのかという意味でございますれば、最近の調査では、大体衛視は四等級の十号までいっているのが最高でございますので、大体十年なら三等にいっていると考えていいと思います。これは最近の調査でございます。それから、しからば班長に十年たってもどうしてなれないのかとおっしゃられますと、今三等級は当然は班長でございますが、その定員の関係もありますし、すべての人が班長になるというわけにいきませんので、給与面では暫定定数ということで、そういう取り扱いをいたしております。
  101. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 とにかく職階制が非常にきびし過ぎます。これは聞くところによれば、衆議院の庶務小委員会でも問題が出ておるらしいです。これは一つ、あまりきびしい職階制はおとりにならぬ方がよかろうと思う。その次は速記者の給与です。  速記監督というのは、これは課長待遇ですか、お尋ねします。
  102. 藤野重信

    ○藤野参事 お答え申し上げます。速記監督は課長待遇かとおっしゃられる御趣旨でございますが、給与表の方から言うと、速記職のトップのクラスでございますので、行一に比較していえば、課長の下にあるのは課長補佐でございますから、従いまして、速記監督も課長の補佐をするという意であると考えますれば当然課長補佐に相当するわけでございますが、給与表の上ではかなり行政職一でいいます課長、三等級に匹敵するような金額に相当するところまでいけるように速記職給料表ができている、こういうことでございます。
  103. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 一等級が速記監督、二等級が速記副監督、速記の場合は一般事務職員と違いまして、人事の交流もできない特殊な仕事です。ところが、課長というのは限定されておるわけですからね。  ところが、ここに衆議院速記者特別級職区分表、こういうものが私の手元にある。これは昭和二十四年のガリ刷りです。これを見ましたら、昭和二十四年には速記監督というのは、つまり一般事務職員とは違うのでございますから、課長と同格と扱うと書いてある。これはあとで一つ庶務部長、見て下さい。昭和二十四年のこれでいくと、「課長及び一課に三名程度課長と同格とみなされるものは」云々と、こう書いておる。ところが、最近の給与に対する考え方というのは、これも職階制をきびしくとりまして、課長とはきわめてえらいものだという考えを持ったのかどうか知りませんが、その課長に近づけない。せめて課長補佐ですな。こういう考え方は私は間違いだと思うのです。やはり速記という一つの技術を通して優秀な諸君が速記監督にまできたならば、これは課長同様の格づけをすべきです。あまりに職務、職階のきびしさにこだわっておりますと、これは勤労意欲をそぎます。こういうことは、いや気がさします。昭和二十四年から見ておりますと、逆行しておる。このことは私はどうかと思うのであります。  それから、藤野さんは去年、これは横路君にでしたか、自動車運転手の宿日直について、あなたお約束したのですが、約束を守っておらないですね。記憶にございますか。自動車運転手の宿日直は単なる留守居的業務と違いますよと、こう横路君は指摘した。単なる留守番と違いますよ。真夜中でも車を走らさねばならぬのだから、宿日直手当でいかないで超過勤務手当を考えたらどうだと建設的意見を出したのです。すると、あなたはこう言っておる。一律に二百四十円宿日直手当にプラスいたします、けれども二百四十円がよいかどうかはなお慎重に考えて、悪いところがあれば是正しなければならぬと考えます、とこう言っておる。これは考えましたか、それで是正しましたか、いかがですか。
  104. 藤野重信

    ○藤野参事 お答え申し上げます。いろいろ事情がございまするので、完全な意味で御趣旨に沿うたかどうかはまだ問題が残っておりますが、私どもといたしましては、そのうちのいわゆる土曜日についての半日直制ということを考えまして、いわゆる二百四十円の上に半日直の手当をつけるということで、百八十円のせておるということが一つの結果として現われております。もちろんこれだけで十分と思いませんが、全般の予算の見合いの上でございますので、現状ではその程度でございます。
  105. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 そういたしますと、宿日直手当プラス二百四十円プラスの百八十円、これはいつから実施なさったのですか。
  106. 藤野重信

    ○藤野参事 これは本年度、つまり三十七年の四月以降、土曜日について実施したわけでございます。
  107. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 この問題は、超勤手当ということが非常にむずかしいようにお考えのようですが、私は、運転手は超勤手当でいいんじゃないか。これは勤務ですよ。だから、アルファをつけて処理されるということよりも、むしろずばりと超過勤務手当にして、真夜中でももちろん出動してもらう、こうするのが正しい賃金の支払い方式ではなかろうかと思うのです。  次にお伺いしたいことは、勧奨退職の問題です。これは、衆議院は六十三才、参議院は一般職員は六十三だけれども用務員は六十七才。衆議院は一般も用務員も六十三で年令を引く、参議院は六十七で年令を引く、図書館の方は六十五才、こう私どもしろうとが考えてみても何か違いますね。この表は間違いですか。勧奨退職の年令はどうなっていますか。
  108. 藤野重信

    ○藤野参事 衆議院が六十三を勧奨退職の年令にしておりますことは、事実おっしゃる通りでございます。
  109. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 参議院はどうなっているのですか。
  110. 佐藤吉弘

    ○佐藤参議院参事 参議院は、ただいまお説の通り、事務職員につきましては六十三才、用務員につきましては六十七才にいたしております。
  111. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 図書館はどうしておりますか。
  112. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 国立国会図書館では、六十五才を勧奨退職の年令として今やっております。
  113. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 これは庶務部長、どうして国会職員として足並みをそろえないのです。おかしいですよ。何かわけがあるのですか。
  114. 藤野重信

    ○藤野参事 勧奨退職の年令につきましては、別に参議院、衆議院、国会図書館ということで相談して実施したわけではございませんので、私どもの方で当初適正な年令ということを検討した結果六十三才ということにきめたわけでございます。
  115. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 何かしらぬ、それぞれなわ張りで勝手にやっておるような印象を与えますね。国会職員ですから、私は待遇についても労働条件についても、あまりばらばらしたことはおもしろくないと思います。たとえば超勤手当が参議院より衆議院が多かったり、まかない雑費その他の待遇が参議院がよかったり、こういうことは国会としてはいかぬと思うのです。国会職員だから、国会職員としての均等性というものを考えた方針をとるべきです。  あまりこまかいから、どうしようかと思いますが、六十三才という場合には、満六十三才になった日をもっていうのですか、それともその年度の末日をいうのですか、満六十四才になる前の日をいうのですか。
  116. 藤野重信

    ○藤野参事 満六十三才に達した日の属する年度の終わりでございます。つまり、たとえば五月の一日に満六十三才に達すれば、その翌年の三月三十一日ということでございます。
  117. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 実際は、聞くところによりますと、用務員に対して酷らしいですね。この勧奨の年令がきますと、お前やめないと退職金は考えないぞとか、そういうことを言うが、管理職に対してはすこぶる緩慢ですね。七十才になっても勧奨しない。六十八才の人もおるでしょう。六十五才の人もあるでしょう。ところが、安い賃金で長い間ほんとうに下積みになって国会で働いてきた人には、六十三才になったら呼びつけて強制、脅迫する。きょうは人事院は来ていませんか。——強制、脅迫というのは公平審査委員会の対象になることになっているのです。勧奨というのは勧めるということです。勧奨退職というものは決して強制してはいかぬのです。だから、お前やめないと退職金は損するぞとか、もう退職金はやらぬぞというようなことがかりそめにもあったら、庶務部長、これは職権乱用罪になりますよ。これはあなたにあったとは今ここでは申し上げませんが、そういう傾向にあるのじゃないか。たとえば六十八で国会図書館で本人がやめたいというのに、もう二、三年おってくれというので、六十八も六十九もの人がおります。衆議院にも相当高年令の人がいる。私は何も高年令の人を置いて悪いとは言いません。能力があったら置いていいのです。勧奨退職というのはきびしい意味の定年制ではないのでありますから、本人が使ってもらいたい、そして本人に働くだけの意欲があって能力があれば、強制退職、そういった強制、脅迫の挙を通じて退職させることがあってはいかぬと思います。これは要望しておきます。  それから、私も高輪の議員宿舎におりますが、宿舎の勤務者の問題があります。庶務部長、宿舎の勤務者は宿直は何日に一回しておるのですか。何かとてもひんぱんに行なわれておるようですが。
  118. 藤野重信

    ○藤野参事 高輪におきましては三日に一回でございます。
  119. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 これは新婚の人が困るとだけは申しません。年寄りは年寄りで困ります。宿直が三日に一回、これはちょっと多過ぎますよ。これは人員が不足というところか何か知りませんが、何か運営の方法を考えるべきじゃないか。三日に一晩は宿直に行かねばならぬというのは、これは多過ぎますよ。  同時に、宿舎の勤務者が今困っておるのは、本院と同じ待遇を受けていないということです。違うのです。本院には共済組合の売店があって三割引、それから床屋さんがあり、クリーニングも第一議員会館に来ると安いが、宿舎におる者はそういう恩典には浴さない。そうして何か下宿屋の番頭さんのような仕事をさせられておる。君はどこだと言ったら、私は日本大学です、私は明治大学を卒業して五年になります。——私は、衆議院に勤める人は一つの意欲を持ってきたと思うのです。国権の最高機関におれは勤めたんだ、何かしたいと思うのに、下足番をさせられて、それが五年も十年も一ところにおるということは、若い人の意欲をかき立てる道じゃない。去年は人事課長の武井さんに私は個人的にも、またこの予算委員会でも言ったことがある。人事交流というのはむずかしゅうございます、それはこの本院から出さねばならぬけれども、ここら辺のことをよく考えてやらないといかぬと私は思うのです。大学を出た人が七年も八年も宿舎におりますよ。そうして、ほんとうにくさって、じっとしておりますよ。いじけた顔をしております。人事交流の面ではどういう方法を今日検討されておりますか、これを承っておきたいと思うのです。
  120. 藤野重信

    ○藤野参事 おっしゃいましたような宿舎の職員、それから会館におります若い監視の諸君の問題につきましては、私ども実は交流の問題を日ごろから考えておりまして、逐年従来よりはかなりの数の交流をやっているわけでございますが、まだ十分なる段階とは私どもも考えておりません。御趣旨に従いまして、今後ともできるだけこの面を考えて打開していきたいと考えております。
  121. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 時間も相当経過しましたから、もうこの一問だけでやめたいと思いますが、次は住宅の問題です。これは単に国会だけじゃございません。すべてのお役所でそうですが、高い月給をとっておる人が公務員住宅に入って、ほんとうに食っていけないような給料しかもらっていない者が公務員住宅の恩典に浴さないという矛盾があるのです。これは私は大へんなことだと考えておるのです。国が住宅を建てる場合に、一万五千円か二万円しかもらってないのがアパートを探して住まなければならぬ、一万円の下宿にいかなければならぬという住宅政策は、日本の住宅政策がいかに貧困かということを雄弁に物語っておると思う。だから、これは何も国会の事務局の問題じゃありません。政府の問題です。  そこで、昭和三十六、三十七年度に衆議院に公務員住宅の割当があったと思うのですが、これは何戸ございましたか。
  122. 藤野重信

    ○藤野参事 お答え申し上げます。三十六年度で割り当てられましたのは六戸ございました。三十七年度は二十七戸でございます。
  123. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 その六戸と二十七戸には、どういう人が入られたのですか。
  124. 藤野重信

    ○藤野参事 宿舎の関係管理部長の方でやっておりますので、恐縮でございますが、管理部長に御説明願いたいと思います。
  125. 大久保孟

    ○大久保参事 お答え申し上げます。先ほど申しました三十六年度の六戸につきましては、すでに三戸は——全体で九戸ございますが——三戸はもう割当が終わっております。六戸につきましては、まだ現実に手に入っておりませんので、決定しておりません。二十七戸につきましても、それぞれ四等級、五等級等の割当がきておりますが、まだ現物を見ておりませんので、その上で割当したいと思っております。
  126. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 それは建物にもよると思いますけれども、給料が低くて住宅に困っておるという職員、これにやはり優先するような配慮が望ましい。七万円も十万円も取っておられる方がただのおうちに入って、一万五千円か二万円の安月給の者が一万円近いアパートを探さなければならぬという、こういうさか立ちした住宅政策はありません。これはどうか管理部長の方では、この種の問題は総長やらあなた方だけできめて、上の方から分け取りするというのじゃなしに、やはり下級職員のことも配慮した、そういう思いやりのある考え方でいくという方針で、そのためには職員組合というものもあるわけでございますから、そういうところと話し合いをされる心がまえが必要であろうと思うのです。その点どうですか。
  127. 藤野重信

    ○藤野参事 お答え申し上げます。ただいま申し上げました宿舎の割当は年々ございますが、これはすべて国設宿舎法に基づいて割り当てられる分でございますので、この法律の規定に従いまして、職務上に必要な宿舎が建設されて、これを各省に割り当てるという現況でございますので、この分につきましては、今直ちに一般的に、そういう決定の手続上、組合を参加させるというようなことは、私どもは考えておりません。
  128. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 国設宿舎法のワク内でやられることは、私も知っております。だから、それはやむを得ないとしても、上の者だけで勝手にどんどんぶんどったという印象を与えることはおもしろくありません。それと、これは国会だけじゃございませんが、こういう宿舎法のワクがあることをいい幸いに、住宅をやるからということで、一つの労務管理にこれを利用している傾向が官庁によってあるのです。きょうは一々指摘しませんが、これはILOの住宅に関する勧告違反です。使用者が住宅をそういう労務管理に利用することはいけないという、これは世界の労働憲章の違反なんです。ですから、組合と協議決定とまで強いことでなくても、上の方で分け取りをしない、そんな勝手なことはしない、それは一般の職員を念頭に入れてやるのだ、そう受け取ってよろしゅうございますか。そして、このことについては、協議決定とまでいかぬけれども、組合にも了解をさせる。これは職員組合ですから当然です。そうすることが、私はお互い仕事をしていく上にも気持よくいけるのじゃなかろうかという気がいたしますが、その点いかがですか。
  129. 藤野重信

    ○藤野参事 一般的な宿舎問題については、職員組合の諸君が関心を持っていることは私もよく存じておりますし、そういう諸君の要求について、私どももできるだけ話し合っていこうということにつきましては、私も同感でございます。
  130. 野原覺

    ○野原(覺)分科員 それでは、これで終わります。
  131. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 午後は一時三十五分より再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後一時六分休憩      ————◇—————    午後一時四十一分開議
  132. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  皇室費国会裁判所会計検査院関係予算質疑を続行いたします。井出一太郎君。
  133. 井出一太郎

    ○井出分科員 私は、裁判所関係予算につきまして、若干の質疑を試みたいと考えます。実は先般当委員会の総括質問の際に、時間の余裕があれば質問いたしたかったわけであります。ことに裁判の遅延という問題が、場合によりましては市中の暴力の横行を助長するというようなこともございますので、人つくりを強調されます総理大臣以下閣僚諸公にも実は聞いてもらいたかったのでありますが、その際、時間がありませんものでしたから、この分科会で少しくそういう問題を取り扱ってみたいと思うのであります。  そこで、主査にお願いを申し上げたいことは、法務大臣あるいは官房長官その他の列席要求も願いたいのでありますが、その辺は事務局の方と打ち合わせて御都合の許す方にお出ましをいただきたいと考えます。  土曜日でありましたか、裁判所所管予算につきまして一応の御説明を伺いました。そこでとりあえずこれから入って参りたいのでありますが、私が法曹関係には全くしろうとでありますのにかかわらず、あえてこういう質問を試みたいということになりました動機は、先般名古屋の人でありますが、全く私の未知の人から、国会へ請願書を取り次いでもらいたい、という要請を受けました。この内容は、「裁判制度の改善と裁判力の強化を要望するの件」、この請願を衆議院に取り次いでほしいということでございまして、私は、この質問が済みました後に、これを衆議院議長の手元へ届けるつもりでございます。それが一つの動機であり、なおかつ、私、この正月に「ジュリスト」という雑誌の一月一日号を手にいたしまして、その中に「司法制度の当面する問題」という特集が出されておるのであります。在朝在野の法曹人の執筆、あるいは大学教授の方などが書いておられますが、その中で弁護士をしておられる小川保男さん、この方が「裁判所予算問題」という表題で執筆をされておりますので、たまたまこれが目につきまして、さきの私に請願書を寄せた方の提起された問題もあり、やはりこういう事柄が目下きわめて重要である、こう考えまして質問に立ったわけであります。  そこで、先般伺いました三十八年度の裁判所所管の予算でございますが、大体二百十一億余りという総額でございまして、前年度に比べますと、大体一〇%の増加ということになっております。しかし、いわゆる大型予算といわれます三十八年度の総体の数字は、二兆八千五百億というようなことでありまして、これを前年度予算に比べますと、当初予算に比較いたしまして一七%、第一次補正を含んだものに比べても一五%増大をしておる。それに比べまして、裁判所予算は一〇%、どうも均衡を失しておるやにも見られるわけであります。もちろんわれわれはそういった名目数字だけにこだわるものではありませんが、この辺当局とされましては、どんな見解を持っていらっしゃるか。この程度の増額で事足りると思われるのか、あるいはまあまあどうやらその辺までいけば、所期の目標に追っつくのであるか、この辺の感触をまずお伺いをいたします。
  134. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 最高裁判所予算につきましては、本年度予算の査定額が、前年度に比べまして約一〇%の増ということは御指摘通りでございます。私たちといたしましては、できる限り多額の予算を獲得いたしまして、裁判所内容の充実に資したいと考えておるわけでございますが、いろいろ財政全体の関係から思った通りには参りませんが、本年度におきましても、いろいろ大蔵当局と折衝いたしました結果、この程度の増額でもってまずまず裁判所の、主として裁判運営のために必要な満足すべきものと考えまして、この通りになったわけでございます。
  135. 井出一太郎

    ○井出分科員 下村さんの御答弁によると、まずまず満足すべきものではないかと言われますけれども、おそらくあなたの本音は、さような額ではなかなか納得しがたいというもののように私はお察しをするのであります。ことに私のところへ寄せられました請願書であるとか、あるいは手紙のようなものを見ますと、今の裁判の遅滞というものから見ると、判事なりあるいは書記官なり非常に定員がこれでは不足なんだ、おそらく二倍くらいの人員を要することにならなければ、裁判を正常化することは困難だ、こういうふうな指摘をしてきておるのであります。そこで、おそらくあなた方とされましては裁判所職員の増員の要求をされたと思うのでありますが、私の方へ示されたこの説明書の二ページに、経費要求額について裁判官十五名、裁判所書記官二十五名の増員ということが記載をされております。これは大蔵折衝をしたあげく、とどのつまりそういうところに落ちついたのだと思いますが、あなた方が当初出された原案といいましょうか、大蔵当局へどれくらいなものを最初に御要求になったのか、これを一つこの機会に伺っておきたいと思います。十五名あるいは二十五名に見合うところの、あなた方の第一次の要求人員はいかほどでございましたか。
  136. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 昭和三十八年度予算要求の重要項目といたしまして、訴訟の適正及び迅速化を第一に掲げまして、特に事件の多い八大都市の地方裁判所における事件の審理期間を従来の二分の一にするために判事二十四名、判事補三十一名、書記官百十五名、合計百七十名の増員を要求いたしました。また、このほか交通事件処理のための簡易裁判所判事三十五名、書記官五十名、事務官七十八名、少年交通事件の処理といたしまして判事補二十名、家庭裁判所調査官百九十二名、書記官五十二名、事務官六十六名、家庭事件の適正円滑化のための家庭裁判所調査官の増員五十名、用人の増員四百十五名等、合計千二百八十二名の増員を要求いたしまして折衝を重ねた次第でございます。その結果、判事十名、判事補十名、簡易裁判所判事十名、書記官五十五名、高等裁判所調査官二名、家庭裁判所調査官六十五名、事務官、庁舎管理要員等九十名、合計二百四十二名の定員の増加が認められた次第であります。このほかに、裁判所書記官補から裁判所書記官へ千六十六名、家庭裁判所調査官補から家庭裁判所調査官へ三十四名、裁判所事務官から書記官へ六十九名、それぞれ組みかえが認められております。
  137. 井出一太郎

    ○井出分科員 私はしぼったところだけでお伺いをしますが、判事なりいろいろ合算して千二百八十二名という要求をされた、それに対して二百四十二名というものが達成された。上も下も込みにして論じてまことに相済みませんが、これは言うならば要求額の五分の一です。俗に、棒ほど願って針ほどかなうという言葉がありますが、どうもそんなようなものじゃないか。いやしくも法秩序を守り、正義の象徴であるべき裁判当局が、まさか予算要求にえらい水増しをされようということは毛頭考えません。ほんとうに切実な御要求をあなた方はなさっておるだろうとお察しをするのであります。この場合、大蔵当局はどうなんでしょう。あなた方の事情というか、そういった痛切な現在の裁判遅滞をしておる現象というものに対する理解の程度、こういうものはどうなんですか。これはあるいはお答えにくいかもしれませんが、もっと理解してもらいたいとか、全然無理解で困るとか、どういう表現でもいいのです。あなたの方の一つ御感想を伺いたいのです。
  138. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 裁判所の機能は私から特に申し上げるまでもございませんが、裁判が中心でございまして、しかも裁判と申しますれば、裁判官が一番中心になりまして、書記官、調査官というものはその補助機関として活動するわけでございますので、裁判の遅延を解消いたしますには、何としても裁判官の増員が必要なわけでございます。また、この事情は、お尋ねによりましてお答え申し上げたいと存じますが、裁判官になります希望者が最近は非常に少なくなりまして、この充員ということが非常に困難を来たしておるわけでございます。この点につきましては、御承知通りに、昨年九月から内閣に設けられました臨時司法制度調査会において十分検討をただいままで加えられております。結局訴訟遅延の原因というのは裁判官が不足しておるのではなかろうか。裁判官が不足するについては、その任用制度あるいはその給与制度に改正検討すべき点があるのではないかというようなことで検討をされておるわけでございます。それは将来の問題といたしまして、私たちといたしましては、できるだけ裁判官の志望をふやしますように、いろいろ努力をいたしておるわけでございます。それに従いまして正規の司法修習生から裁判官を希望いたします者をできるだけ多く獲得するというような努力もいたしておりますし、すでに退官されてなお停年前の裁判官も、希望のある方には入っていただくというようなことも考えておりますし、弁護士さんもできるだけ裁判官になっていただくように機会を見て勧誘をしておるわけであります。しかし、なかなか思った通りにできませんので、この増員というものはなかなか困難なわけでございます。それで、そういうような方法によりまして増員をできるだけはかりたいと思いまして、その予定としてのいろいろな根拠資料等を大蔵省あてに提出するわけでありますが、しかし、これは見込みでございますので、その点に多少意見の相違ができまして、必ずしもこちらの思った通りには理解してもらえない点もあるのでございます。ただしかし、大蔵省としては、この増員をはかるについて十分な人が得られるというような情勢にあるならば、この増員を認めるということについては、そう難色を示しておられるわけではございません。
  139. 井出一太郎

    ○井出分科員 大蔵省側はきょうはだれか見えていましょうか。
  140. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 赤羽主計官です。
  141. 井出一太郎

    ○井出分科員 これは大臣と言わざるまでも、政務次官か主計局長にほんとうは聞いてもらいたいのです。しかし、分科会は幾つもありますから、あるいは私の要求通りお見えがないかもしらぬ。これはやむを得ませんが、主計官がお見えだからよく一つあなたはお聞き取りいただいて、また答弁願うこともありますので、その辺においでになっていただきたい。  今、総長の御答弁を伺いまして、ふと思い浮かんだことは、ニワトリが先か卵が先かという問題なんです。つまりあなたの方がこれだけ絶対量が必要である、こういうワクの設定が先なのか、それとも今なかなか裁判官になり手が少ない、これは私も承知しています。従って、そういういろいろな困難な条件があると思いますが、なり手が少ないのだからやむを得ないのだ、このどっちが先かというような問題になると思うのですが、少なくとも裁判当局の立場としては、必要欠くべからざるところの人員の確保、これをまず先にきめて、そして困難な条件はあろうとも、それを解きほぐして任用をするのだという姿勢で臨むことの方が理の当然ではないか、私はそう思うのです。これは御参考までに申し上げる。  そこで、裁判官に人を求めるということが非常に困難のようでありますが、現在裁判官の定員は何名あるのですか、そしてその欠員は何名ぐらいございましょうか、現時点において一つ数字を伺わせていただきたい。
  142. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 現在の裁判官の定員と申しますのは、最高裁判所で申しますと、長官とそのほか最高裁判所判事十四人、つまり最高裁判所におきましては十五名でございます。それから下級裁判所にいきますと、高等裁判所長官、これが八人でございます。それから判事、これは千百九十五人、判事補が五百十二人、簡易裁判所判事が七百人、合計いたしまして二千四百三十人、すなわち二千五百人足らずでございます。欠員は時々よりまして違うのでありますが、大体昨年の十二月末くらいにおきまして、七十人程度であったと記憶しております。
  143. 井出一太郎

    ○井出分科員 二千四百三十名の中の七十名というものは、これは私はそう軽々に看過してはならない数字だろうと思うのです。これがなかなか補充がつかぬということは、先ほども言われましたようないろんな困難な条件がそこにあるのだ、このように理解をするわけであります。  そこで私は先ほど申しました、私に寄せられた請願書の内容に触れながら、なお若干の点を申し上げてみたいわけであります。  現在の裁判官が非常に負担が過重になっておる、こういうことをしばしば聞くわけでございます。それと申しますのは、事件の数が戦前と比べまして非常にふえておる。たとえば刑事事件につきましては、昭和九年から十五年における平均が一万二千六百件、民事の事件においては約四万件、それを昭和三十六年のそれと比較をいたしまするときに、刑事においては九万二千七百件、民事で七万六千件、倍率をとってみますと、刑事で約七倍、民事で約二倍、こういう数字承知をいたしておるのでありますが、非常に詳しい数字は別といたしまして、ほぼ今の刑事七倍、民事二倍、この見当はさほど狂っておりませんか、まずそれを伺いたい。
  144. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 大体御指摘通りと思います。ただ戦前と戦後では、非常に裁判所の機構が違っておりますので、なかなか件数だけでは比較できませんけれども、相当、数が増しておることは事実でございます。
  145. 井出一太郎

    ○井出分科員 まあ大体件数は、ほぼ私の述べた通りである、こうお認めになりました。  そこで人員から申しますと、昭和三十年ごろは千五百名ぐらいの人員でやっておった。これが三十六年は二千三百五十名ぐらい、こう聞くわけでございます。そうすると、この人員の数から申しまして一・六倍ということに相なる。しかも裁判の制度というものが戦前とはかなり異なって参りまして、戦前の裁判所構成法に比しまして、内容、手続等がかなり複雑のようでございます。たとえば証人の尋問なんかも相互にやるとか、あるいは判決文を書くにしたって、昔よりはずっと長文のものを書いておるように見られます。とすると、これはなかなか判事の仕事たるやまことに激職である。大ざっぱに言うならば、二倍ぐらいの負担過重なんだ、こういうふうにわれわれの耳には伝わってくるのでございます。これも大体の感触でいいのですが、まずそんな見当といいましょうか、非常に過重な負担に現在甘んじて判事諸公はやっておるのだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  146. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 いろいろ裁判所によって事件の負担の率は違っておりますが、裁判官が戦前に比べまして非常に負担が過重になっておるということは事実でございます。事件数につきましては、総件数となりますと、きわめて簡単な事件も一件として数えられますので、事件数だけではなかなかその負担が出て参りませんが、ことにいわゆる合議事件におきましては、非常に事件の内容が複雑になりまして、非常にこれの処理に困難をいたしておるわけでございます。それでいろいろ訴訟の遅延というふうにいわれておりますのも、主としてこの合議事件の処理に見られておるわけでございます。  どうしてそういうふうに処理が困難になったかと申しますと、事件の内容そのものが複雑になってきておるというふうに私たちは考えるのでございます。  第一に憲法で違憲審査権を与えられておりますものですから、これは最終決定はもちろん最高裁判所においてなすべきことでございますが、すでに第一審から、そういう問題が提起されまして、何かにつけ憲法違反という主張が非常になされます。これは最近は、いろいろ判例等も出まして、落ちつくべきところに落ちついておりますが、それでもなおいろいろ新しい問題ができまして、これがまた訴訟の運命を左右する非常に重要な問題でありますので、これの検討に相当力を使わざるを得ないわけでございます。  それから、戦争前はいわゆる行政事件といわれるものはほとんど裁判所で取り扱っておらなかったわけでございますが、終戦後になりましてから行政事件全般を取り扱うようになりましたので、これまた内容において非常に複雑でございますので、これの処理にも相当苦心をいたすわけでございます。  それからただいま御指摘のように訴訟のやり方におきましても、民刑を問わず当事者主義というようなことが順次徹底して参りましたために、訴訟がどうしても長くかかるということはいなめないと思うのでございます。  そういうようなことで、戦前から比べますれば非常な負担過重に悩んでおるということは言い得ると思います。
  147. 井出一太郎

    ○井出分科員 単純に戦前戦後を比較いたしまして、機械的にこれが過重かどうかというような議論だけでは不完全だと私は思います。おっしゃるように、違憲審査権の問題であるとかあるいは戦前のような行政裁判というものがなくなったとか、そういう質的な負担も確かに多くなっておるだろうと思うのです。それは私も大体内容がわかりましたが、さて、裁判の質という問題になりますと、一審と二審と相反する判決がなされるというケースがどうも昔より多いのじゃないか、こういう感じがいたすわけでございます。これは当事者といたしましては、神聖なる裁判がともかく百八十度まるで変わってしまうなんということは大へんなことでございます。だからこういうことはできるだけない方がいい。しかし人間がやることですから、これを絶無にするというわけにはいきますまいけれども、一審と二審の判決が違うというようなケースが昔よりは多いとお感じになっておりましょうか。また、これが多いということは、言いかえれば第一審の審査がずさんであり疎漏である、こういうことにもなりかねないわけでございまして、やはりさっきの議論に戻りますが、どうも判事が不足である、非常な負担過重である、証拠調べも十分にはできておらぬというような弊害がそこから生まれてくるわけでございます。そういう点について一つお答えを願います。
  148. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 第一審と第二審とにつきまして、結論が全く違うような裁判が戦前と戦後と比較してどちらが多いかというお尋ねに対しましては、計数上は正確なお答えを申しかねるのでございますが、私も裁判所に長くおりますが、感じといたしましてはどうも多いようにもちろん思います。この点につきましては、御承知通りにいろいろ法律問題で相反するような見解が出たために、刑事で申しますれば、第一審が有罪であったものが第二審で無罪になる、あるいは上告審で無罪になるというような例も相当ございます。また事実問題につきましてもそういう例が相当ございます。事実問題について申し上げますと、実際そういうふうに変更になったのがどういう点にあるかということは、それぞれ担当した者が詳細に検討いたしませんとわかりませんが、民事等におきましては、多少第一審の取り調べが疎漏であったというようなことを申す者もあるように私は聞いておるわけでございます。しかしこの事実の認定にいたしましても、やはりそれぞれ裁判官が力を置くところが多少人々によって違いますので、必ずしも不注意であるとかあるいは能力不足ということにはすぐは結論を持っていくことはできないと思います。そういうような実情で御了承願います。
  149. 井出一太郎

    ○井出分科員 私は裁判官の良心を信ずるものでございますから、そうあながち世俗で言うようなものをそのまま取り上げるつもりはございませんが、しかし、何とはなしにそういう傾向が感じられる。この辺を十分に一つ心して臨んでいただきたいと思うのでございます。  誤審の問題はそれくらいにいたしますが、ともかく裁判が長期化しておるということ、とても訴訟費用にも事欠いてたまらない、もういいかげんで事件を投げ出す、そういう人も間々あるようであります。これは場合によっては正義が泣き寝入りをすることもあるわけであります。従って一体その禍根はどこにあるのか、裁判の長期化あるいは遅滞しておる理由はどこにあるのか、こういうところにやはりメスを入れていかなければならぬ時期にきておると私は思うのであります。今松川事件が——何回目の公判か忘れましたが、ともかく十五年にわたるえんえんたるこの事件の跡をたどってみるときに、実際当事者になったらやり切れぬと思うのです。これはまたこれを受けとめる裁判当局におかれても同じ悩みがあるだろうと思うのです。たとえば政界に例をとりましても、かつて昭電事件なんというものが非常に長引きました。それがために、われわれの先輩である、たとえば芦田均先生などは、ほんとうに政治家として最も充実した時期をいたずらに無為に過ごさなければならなかった。どんな思いでなくなられたかと私はお察しをする。民社党の西尾委員長などにされても私は同様だと思うのです。従いまして、こういう特に超大事件であるからそうだということになるかもしれぬが、一般論としてもっともっと裁判を迅速に、的確にしなければならぬということを非常に強く感ずるものであります。  そこでその次に伺いたいことは、裁判が遅滞をするということから、そのこと自体がかえって暴力を発生させる原因になる。あるいはそれが民主主義を崩壊させる原因にもなる。少し議論が飛躍するようにあるいはお聞き取りかもしれませんが、風が吹けばおけ屋がもうかるというほど私は飛躍はしておらぬと思う。つまり日常茶飯の、たとえば債権の取り立てだとか、あるいは家屋の明け渡しだとか、こういうものを、正当に法の保護を受けておるのですから、法的手続によってこれを訴えて解決ができれば一番望ましい。しかし何としても、費用のかかるということもありましょうが、手間がとれてどうにもならぬ。そこで町の顔役みたいなやつがそこに介在して、おれが一つ解決してやるというようなことになりまして、ついついそういうものにまかせることになる。その結果はどうかといえば、成功報酬とでもいいますか、おそらくとった額の五割から八割くらいまでそういう暴力団のふところに入るのが現状だということを聞くのです。こういったことを聞くにつけても、これじゃみすみす裁判の遅滞ということが町の暴力を横行させておるという一つの原因でございます。日本人の一つの弱点としまして、何か反社会的なそういう力というものを賛美するような傾向があるのですね。国定忠治だとか清水次郎長だとかいう手合いが浪花節の花形であり、映画の飯の種であるというような国柄では、少し工合が悪いのです。そういう温床がもともとある。そういうところに、今言うような、裁判によって法的手続に訴えるよりも、すぐ手近であって簡単だから、一つ町の顔役に頼むというようなことが大へん横行しておる。まことにこれは遺憾です。こういう点を、きょうは司法関係の皆様方以外に、むしろ内閣の官房長官などにそういう意味で私は出てもらいたかった。それで官房長官の口を通してそういうところを、人つくりを強調される総理の耳に入れておいてもらいたいと思っておったのです。まあおいでにならなかったから、この点は一つ下村さんから、どんな感想で私の今申し上げたことを受け取られるか、あなたの感想を伺いたいのです。
  150. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 裁判が一般的に遅延の傾向にありますために、いろいろ国民の間で、紛争が起こりましたたびに、これを裁判にかけてはとうてい短期間に解決できないから、一つ法律外の手段で解決をしようということで、いろいろ町の暴力が発達してくるというような御指摘の点、確かにあると思います。ただ、それがはたして初めからそういうことを頭に考えてやっておる、そういう暴力的な解決か、あるいはまた裁判とは無関係にそういうことをやっておるのかということは、これは私たちには一々具体的な資料がございませんのでわかりませんが、そういう傾向は確かにあるかと思います。ただ、国民の間の法律的の紛争につきましても、必ずしも裁判でなければ解決できないものではないわけでありまして、弁護士が間に立って和解をさせるというような方法もありますし、あるいは裁判所の裁判というような手段でなくて、調停というような方法によりましてこれを解決する手段もあるわけでございまして、国民がもう少しそういうことを十分に考えてもらえば、あるいはもう少しそういう点は少なくなるのではなかろうかというふうに考えております。ただ裁判の遅延とそういう暴力のばっこというものが無関係でないということは、私たちも十分承知しておりまして、裁判はできるだけ早くしたいということは常に心がけておるところでございます。
  151. 井出一太郎

    ○井出分科員 私も決して裁判の遅延が暴力のはびこる唯一の理由だとは思っておりません。むしろ基本的にもっと本質的な国民のモラルの問題ということでもございましょうが、しかし裁判の側にも、今申し上げるような点に御留意をいただく必要はあろうかと思うのでございます。  そこで、どうも裁判官になりてがまことに少ない、よくこう言われますが、昭和三十七年において司法修習生から巣立った人は、一体何名くらいございましょうか。それが裁判官、検察官あるいは弁護士、それぞれの向きに何名くらいが就任されておりましょうか。そういう数字がわかったら、お漏らしを願いたいと思います。
  152. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 三十五年に入所いたしました者が三百十九名ございますが、三十五年の入所生と申しますと、昨年つまり昭和三十七年に修習を終了した者でございます。これが判事補に参りました者が七十五人、検事が四十二人、それから弁護士二百二人という数になっております。
  153. 井出一太郎

    ○井出分科員 この数字からもうかがわれますが、これは判事の定員をワクの面において増額をしなければ、それに見合う数字ということになりませんから、それだけでもって律するわけには参りますまい。しかし何と申しましても、判事という商売が魅力がない。むしろ民間に転じて弁護士を開業した方が、すぐにでも収入がまるで違うというような事態でございます。しからば、給与の面において判事諸君がそこに身をゆだねて、生活が十分に果たし得るということでなければなりますまいが、といって、これは給与体系全体の問題がございますので、そうそう簡単なわけには参りかねると思うのです。しかし、やはりその基礎条件を整えなければどうにもならぬというあたりから考えましたならば、判事の待遇というふうなものに対してどういう御見解を持っていらっしゃいますか、これを伺います。
  154. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 判事の待遇につきましては、申し上げるまでもなく、一般行政官よりやや高い地位、俸給を給せられております。しかしながら私どもといたしましては、この上とも高い給与を給してもらうように努力をいたすつもりでおります。公務員の給与体系一般に判事は入っておりますので、やはりずっと上の方の俸給に押えられておるような関係で、下級の方の裁判官はなかなか思う通りには上がっておらないわけでございます。それでありますから、裁判官はその職務と責任の関係において、あるいは別の給与体系で非常に高い給与を給するのが相当ではないか、こういうような問題を、先ほど申し上げました臨時司法制度調査会において十分検討せられることと思うのであります。現在はまだ審議の状況はそこまで入っておらないようでございますが、近いうちにそういう問題も取り上げられることと存じます。
  155. 井出一太郎

    ○井出分科員 これはあるいは人事院の問題、大蔵省の問題、いろいろございましょうし、また臨時司法制度調査会においてその問題をかなり重点的にお扱いになっておるようでありますから、それを期待することにいたしましょう。しかし何といいましても、判事というものは経験年数も非常に必要でしょうし、あるいは社会万般の裏表にも通じていてもらわなければ相なりもせん。一つの見識も持っていなければならない。そういう意味においては、私はやはり別個の給与体系をつくることによって十分な待遇と保障を与えてやらなければならぬ、こういうことを一つこの際は申し上げるだけにとどめておきたいのであります。  中垣法務大臣、お忙しいところお見えいただきましたが、もう少々お待ちいただいて、一番最後の締めくくりにあなたに伺いたいと思っております。  大蔵当局に伺うのですが、裁判官の定員を増加しても、なかなかその定員を満たすだけの人間が集まらない。これは今私がずっと問答をいたしましてお聞きになったところであります。そこで、同じ大学を出て任官した公務員がアンバランスであっても困る、こういうことを大蔵省は言われるようにも聞くのでございます。まあそれもわからぬではないけれども、やはり判事というものの特殊な職分からいたしまして、今言いましたような見解だけでは律し切れない。もう少し大蔵省側もこういう点に思いをいたしてお考えになっていただく必要がありはしないか。一つ大蔵大臣にかわって御答弁をいただきましょう。
  156. 赤羽桂

    ○赤羽説明員 ただいま御質問いただきました点でございますが、同じ大学で同じような教育を受けた者が同じでないと困るというようなことを申し上げておるわけではございませんので、先ほど事務総長から御答弁がございました通り、裁判官関係は差をつけておるわけでございます。ただ給源の問題や何かで、どういう工合に裁判官を確保するかというような問題が出て参りますと、第一にはその給与の問題が出てくるのは自然であると存ずるわけでございますが、ある程度やはりこれは、全く同じにするという意味ではございませんが、程度、権衡の問題があると存じますし、さらに給源確保の問題で、給与ももちろん非常に大事な点であると考えておりますが、それ以外に、裁判官という職務に対する一般の尊敬の念と申しますか、そういった重要であるということの認識を一般の大学卒業者に植え付けることが先決問題ではないかという工合に考えておるわけでございます。そういった点を考えて参りますと、さらには、先生先ほどちょっと言及されたわけでございますけれども、一般国民の間に法意識と申しますか、法の尊重、法によってトラブルを解決するという意識が、ほかの国に比べまして低い点があるのではないかというような話も、裁判所当局から聞いておるわけでございます。そういった点いろいろと問題があるかと存じて一おるわけでございます。
  157. 井出一太郎

    ○井出分科員 従来国会において、本委員会などの審議にも、裁判所予算というような問題は、非常にじみでもございますから、あまり取り扱われなかったかもしれません。そこで、裁判所予算というものをもう少し強化しなければならぬ。大蔵省もぜひそういう認識をされて、ただ受け身でなくて、あなたの方で積極的に、裁判の現状はかくのごときものである——私のきょうの質問などはその口火の役を勤められればしあわせと考えて立ったのですが、そういう点も十分一つ窓口を広げて御研究をいただきたいと思うのであります。この裁判関係予算はほかの各省の予算と違いまして、主として人件費でございますね。そういう点で、要求しても人員でもって頭を押えられてしまいますから、なかなか大幅な拡大ということは望めない。これも私は無理からぬことだと思うのです。  それから中垣大臣お見えですが、閣議において裁判所予算というものをだれが主張するか、建前は実は閣議で主張のし手はないわけですね。あなたはむしろ行政の方なんだから、あなたがそれを代弁してやるということは、これは混淆になりますからおそらくできますまい。しかしやはり予算閣議というものは最終決定をする場でございますから、そこへ何かパイプが通じなければ工合が悪いわけですね。それは、財政法を調べてみますと、第十七条から十九条あたりまでに裁判所国会会計検査院予算の手続がずっと記載をされております。従って、三十八年度の場合どういうことに相なったのでございますか。つまりまず当初要求というものを、最高裁が代弁をされまして、事務総長が中心になって大蔵省へ要求される。大蔵省は待ってましたと、例によってこれをずたずたに切るわけですね。カットしたものをまたあなたの方へ押し返すわけです。あなたの方はそれに対して何か異議を差しはさんで、これはどうしても必要欠くべからざる予算である、これを切られては困るのだ、この折衝をおそらくされるのでございましょうが、そういう交渉過程を少し教えてくれませんか。
  158. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 あまり法律的にわたらず、ただ事実の経過を申し上げてお許しを願いたいと思います。  予算の概算の請求は裁判所が直接内閣に提出することになっておりますので、書類等は内閣にまず提出をいたします。内閣は、内部的のことはよくわかりませんが、法律によって推測いたしますと、それを閣議決定と申しますか、そこのところはよくわかりませんが、ともかく方針によられまして大蔵省の方へその審議、査定をゆだねられるのだろうと思うのであります。それで今度は私たち裁判所の方と大蔵省との間の折衝になるわけでございまして、大蔵省の折衝におきましては非常にこまかい計数の問題、さらにその根拠、資料等ございますので、事務官、課長、局長というように順次こちらの主張をいたしまして、理解していただくように努めるわけでございます。それで大体局長以上になりますと、私の方には事務次長というのもございますので、次長もその事務折衝には参っておることもございます。最終的に残りました問題につきましては、いわゆる大臣折衝というふうにいわれているものは私の方にはございませんので、事務総長が最高裁判所のいわば代表というようなことで大蔵大臣に面会いたしまして、最終的な折衝をいたしました。それで予算を妥結いたした次第でございます。事務総長が大蔵大臣に面会して主張するというようなことは、法律的にはそういう条文はございませんけれども、二年ほど前からの慣例でそういうようなことを実行しておるわけでございます。
  159. 井出一太郎

    ○井出分科員 最初は内閣へパイプがつながると、こう言われるのですが、中垣さん、どうなんですか、そういうものは閣議で話題になるのですか。さらに、あなたも全然最高裁と赤の他人じゃないようですが、そういう立場で何か助太刀をなさるというようなことはあるのですか。
  160. 中垣國男

    ○中垣国務大臣 お答えいたします。  制度の上からいいますと、ただいま最高裁の事務総長が言われた通りであります。実際問題におきましては、別に法務大臣が最高裁判所の側に立ちまして何か公式な場で発言をしなくてはならないといったようなことにはなっておりませんので、そういうことはいたしませんけれども、一つの実例を申し上げますと、最初の最高裁判所側と大蔵省側との折衝で、書記官補から書記官へするのが六百五十名程度認められた。なお引き続き、どうもそれではいけないので、もう少しふやしてもらいたいという御要望が最高裁の長官から私にございまして、そこで私は大蔵大臣に会いまして、最高裁の長官からかような申し入れがありました、これはこういう、こういう、こういう理由によって、どうしてもふやしてもらいたいというようなことを申し上げるわけです。それで、ちょうど最終的に予算を決定いたします予算の折衝の場——最高裁の折衝の前に私が参りますので、あとから事務総長が参りますけれども、どうしてもあの問題はふやしていただきたいというようなことを申し上げ、これは制度の上でも何でもございませんけれども、先ほど井出先生が御指摘なさいましたように、赤の他人じゃないので、どうせ法曹一元化とかなんとかと言われているときでもありますし、幸いに閣議には私が出ておりますから、できるだけ好意的に裁判所の代弁をしようということで、裁判所のことについて閣議の席でも二、三回発言したことがございますが、これはどこまでも、何と申しますか、最高裁判所と法務省の、そういう事情をお互いによく知り合った仲でございますから、この際との問題は閣議でも知っておってもらわなければ困るというふうに私が判断をいたしまして、別に文書その他で正式に依頼は受けておりませんけれども、私の方が便宜にそういうお取り次ぎをいたします。こういうことでございます。
  161. 井出一太郎

    ○井出分科員 私は司法と行政が混淆するなどというやぼなことは申しません。近所づき合いということがあるのですから、それはそれでけっこうだと思いますが、どうですか、事務総長、やはり閣議に発言権を持たないということは非常に不便だ、こういうふうにお考えですか。さらに、こういう場合に最高裁の長官は、今中垣さんには御接触があったようですけれども、これは一番の責任者ですから、ずいぶん御心配になっていると思うのです。さりとて最高裁の長官は、いやしくも三権の一方の府の最高の責任者でございますから、そうこの人が大蔵省へ飛んで行ったりしては工合が悪い。見識を持ってもらわなければなりませんが、そういうことで非常に御不便を感ぜられるかどうかということが一つ。それから財政法の十八条でございますか、大蔵省が決定するというようなときに、減額をした、そのときには、最高裁の長官の意見を求めるというようなことが書いてあるやに思うのですが、その辺をちょっと解明をしていただきたいと思います。
  162. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 前段のお尋ねでございますが、最高裁判所の長官は、裁判におきましても裁判所の最高の責任者でございますし、司法行政事務につきましてももちろん最高の責任者でございます。ただ、三権分立の関係から、現在のような制度になっておりますので、閣議に列席して意見を述べるというようなふうにはなっておらないわけでございます。それで最高裁の長官といたしましては、重要な事項につきまして、必要がありますれば、総理大臣あるいは大蔵大臣に話をされて要請をされるということもあるわけでございます。しかし、これもあまりひんぱんに行なわれるということになりますと、最高裁の長官が政治的に動くというようなことにもなりますので、それは重要な事項に限り適宜そういうことをやるというふうになっておりまして、実際の例も幾つもあるわけでございます。  それから、財政法の十七条から十九条あたりの御指摘がございましたが、これはいわゆる裁判所の二重予算権という問題であろうかと存じますが、裁判所が内閣の決定にどうしても不服ならば、その不服の限度を別に請求として出しまして、これを国会の審議に移してもらう、こういうことでございます。
  163. 井出一太郎

    ○井出分科員 今の二重予算権も、事実行使したという例はないと思うのですが、あるいはそれに至る前段階ですね、あなた方が予算獲得上どうしても腹に据えかねて、一つそれをやってみようというくらいの突き詰めた気持になったというような事例はございますか。
  164. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 だいぶ古いことになりますので、あるいは聞き伝えの程度になる分もあるかと存じますが、聞いておりますところによりますと、過去におきまして二回あるというふうに聞いております。一度は、昭和二十五年度の補正予算の際でございましたが、その際に、裁判官の報酬問題に関しまして大蔵省事務当局と意見が合いませんので、もう二重予算を提出するのもやむを得ないということで、結局その手続をとりまして、内閣へ参ったのでございますが、大蔵省側でそれは予備金で何とか処置をしようというような意見でありましたために撤回したということを聞いております。  なお、昭和二十七年度の通常予算の際に、営繕問題の関係につきまして大蔵省側と非常に意見が違いまして、裁判所側が二重予算の手続をとりまして、内閣を経て国会に出たというふうに記憶しております。そのときも大蔵省側とその当時の裁判所側の事務総局と、将来のことにつきまして話し合いがついて、これも撤回いたしたというふうに聞いております。
  165. 井出一太郎

    ○井出分科員 過去における二つの例をお示しになりましたが、私は何もあなた方にそこまでやって大いに戦いなさいとは申しません。それは、いうならば伝家の宝刀ですからね。伝家の宝刀は、抜かずしてその効果をおさめるのが最良の策でございます。しかし裁判所予算が少ない、判事の増員問題が、私がきょうるる述べましたように、これが非常に切実な問題であるとするならば、門外漢の私があえてここに立ってこういうことを言うくらいの非常に切迫した問題であるとするならば、一番当事者のあなた方は、それ以上に深刻にそれを考えていただかなければならぬわけですね。だからそういう伝家の宝刀があるぞというくらいの気魄を持ちながら、一つ今後に当たっていただきたいと思うのであります。  それからちなみに伺いますが、きょうは事務総長のおいでをいただきましたが、最高裁の長官においでを願う——私はあえてそれを求めませんけれども、国会へおいでを願うということは可能なんでしょう。どうですか。
  166. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 私も古いことはよく存じませんし、また国会法の解釈も正確には覚えておりませんが、国会法では、最高裁判所の長官は国会に出て意見を述べるということになっておりまして、それでなお、長官はその代理者をして意見を述べさせるということになっております。従って私たちも出て、ここでいろいろ申し述べますことも、あるいはそれに根拠があるのではなかろうかと存じます。従って、三権分立の形から、最高裁判所の長官を国会に呼び出していろいろお尋ねになるということは、法律的には無理ではないかと思うのでありますが、ただ実際の運用といたしまして、最高裁の長官が自分から進んで意見を述べるというような形で出られるということは可能ではなかろうかと思います。前に私の聞いております例では、一回だけ、最高裁判所の機構改革の問題であったかと思うのでありますが、一度田中前最高裁長官が国会に出られまして意見を述べられた、そういう事実があったように記憶しております。
  167. 井出一太郎

    ○井出分科員 その点は、少し事務総長と見解を異にするかしれませんが、国会法第七十二条の二項「最高裁判所長官又はその指定する代理者は、その要求により、委員会の承認を得て委員会に出席説明することができる。」これはどうなんでしょうかね。今おっしゃるのとは違うのじゃないですか。
  168. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 そういうふうに解釈いたしておりますが、「要求により」というのは、裁判所の方の要求というふうに私は読んでおるわけでございます。
  169. 井出一太郎

    ○井出分科員 何もきょう出席を求めようというのじゃありませんから、その辺は解釈を明快にしておいていただきたいと思います。  そこで、まだあとの質問者も控えていらっしゃいますから、私はこの程度にいたしますが、きょうはこれは法務大臣にもお聞きを願いたいのです。  私がこの質問を試みましたゆえんのものは、裁判が非常に遅延をしておる。これはやはり判事その他の裁判所機構が、もう少し充実をしなければならぬのである。ことしの予算を見れば、一五、六%も総ワクがふえておるにもかかわらず、裁判所予算というものは一〇%か一一%である。これを何も機械的に申すのじゃありませんけれども、しからばその内容にわたって、裁判所要求したものがどれだけかなえられたか、こう伺いますと、どうも五分の一くらいしか定員が——要求額の中に占める歩合がそんなものなんですね。裁判所のことでございますから、そう私は水増しをして要求されたとは思わないのです。従って、これは大蔵省がもう少し理解をしてやらなくちゃいかぬのじゃないかというようなことをずっと論じて参りました。そうして、あえてそれを申したゆえんのものは、裁判が遅延をしておるということが国民の上にどういう影響を与えておるかというと、ともかく法によって守られた日本国民が、法的手続に訴えても手間がとれてどうもこれはとてもかなわぬ、むしろ簡単に町の顔役やなんぞにたのんで調停でもしてもらって、そうして解決をしていく、この心理状態というものを見ると——それはほとんど成功報酬の大部分をそのダニみたいなやつにとられちまうのですよ。とられても、なおかつその相手に対して、そういう手段に訴えても目にもの見せてやるという、その感情が満たされればそれでいいというような気持じゃないかと思う。これじゃ私はいけないと思う。そうじゃなくて、やっぱり法治国家の国民である以上は正々堂々と法に訴えて、しかもその法はきわめて親切に、的確に、しかも迅速に国民の要求にこたえてやらなければならぬ。さもないと、この暴力がかえって横行する。裁判の遅延ということがそういう問題に波及をし、暴力というものが横行して、法律というものに信頼が失われた結果はどうなるか、これは国家存立の基本にもかかわるのではないか。ということは、国づくり人つくりを言われる現内閣としては、この辺に十分思いをいたさなければならぬのじゃないかというような趣旨で、きょうはものを申したわけでございます。最後にあなたにそういう点をお聞き取りをいただいて、どうか総理その他にもお取り次ぎを願えればしあわせでございます。これをもちまして質問を終わります。
  170. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 本日は冒頭、御質問の動機につきましていろいろ御説明いただきまして、引き続いていろいろ御理解あり、また御鞭撻によります種々の御意見を拝聴いたしまして、私たちも裁判所内容につきまして予算的にも、またその審理、裁判の内容につきましても充実強化をはかるようによく反省もし、努力もいたしたいと思います。
  171. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 田原春次君、  田原委員に申し上げますが、裁判所関係につきまして川俣清音委員からも御質疑がありますので、まず裁判所関係を先におやりいただきまして、その次に川俣清音委員の裁判所関係質疑が終わりましてから、皇室の関係にお入りいただきたいと思います。御了解いただきます。
  172. 田原春次

    田原分科員 ちょうど関連して井出さんから御質問があったので、最高裁判所関連のことを最初に御質問申し上げたいと思うのです。  ただいま井出委員から裁判官の待遇問題を主としてお話があった。われわれ社会党としても、これは賛成であります。なお、裁判官のみならず、職員——労働組合みたいなものをつくっておりますけれども、国家公務員である関係で、いろいろな制約がある。しかしながら物価と待遇を見れば、ものを言わざる司法下級職員の気持を考えて気をつけなければならぬ。あなたは法務大臣になった。いろいろあなたもりっぱな人であるに違いないけれども、やっぱり一番お仕事として重要なことは、閣議において、閣議に参加できない最高裁判所、すなわち司法関係の代弁をする気持でなくちゃいかぬと思う。先ほど来答弁を聞いておりますと、ややそれに似たような態度を持っておられるようでありますから、これは大いに期待しなければならぬと思いますが、従来、閣議において、最高裁判所の裁判官及び職員等に対する待遇に関して議論が出たかどうか、どういう結論になっておるか、こういう点について今までの経過をちょっとまとめて御報告願いたいと思います。
  173. 中垣國男

    ○中垣国務大臣 お答えいたします。  裁判所の裁判官を初め職員の待遇等につきまして、たとえばこのたび提案をいたします裁判官の給与等の改正に対する法律案、これは法務大臣が委員会に出まして提案の趣旨説明等もいたしますし、その後の御質疑にもお答えするわけでございます。でありますから、そういう法案を提案いたします以上は、今国会に提案する政府提案の諸法律案につきましては一応閣議でも私から説明をいたすわけでございますから、閣議ではやはりそういうことを話をするわけでございます。一般論といたしましては、裁判官の給与を引き上げたいということは、もうほとんど常識的に私どももそうでなくてはならないと考えております。ただ、この問題につきましては、そういう問題を含めまして臨時司法制度調査会で実は検討する、しかも単行法であの法律が出まして、ちょうど今始まって約一年ばかり済んだわけでありますが、あれは二年間で結論を出しまして、これが内閣に勧告されるはずでございます。こういう制度になっておるのでございますので、そういうこと等もよくにらみ合わせまして私の考え方を固めていきたい、かように考えておるところでございます。
  174. 田原春次

    田原分科員 さしあたり法務大臣の御答弁を信頼する以外に方法はないのでありますが、先ほども申し上げましたように、団体で要求をする立場にあるものと、そうでないものとによって——しかしながら、一面物価等が上がってくるわけでありますし、子弟の教育等に対しても、月謝も上がってきておるわけでありますから、特に最優先して最高裁判所の待遇に関しては代弁者のつもりで強力にやってもらいたいと思います。今の裁判の公正の最後のよりどころは、やはり私どもとしては、安心して冷静公平に判断できるということでなければならぬと思うのであります。これは希望でございますが、申し上げておきます。  次に、法務省にも関係があり、最高裁判所の方にも関係がありますが、いろいろな取り調べ等で従来とあまり改良されておらない点は、筆記主義、被告なり関係者の調査をとるのに依然として筆記主義でやっておる。これは前の裁判所構成法では、そうすべきものであるとなっておったけれども、今度はそうなっていないと思うのです。少し幅が広いと思うのです。時勢に応じて、タイプライターでコピーぐらいとるようにしたらどうか。そうすると被告や弁護士にもすぐそれが間に合うと思うのです。それをどうして今までやらないのか。実際事件があって初めてわかることだけれども、非常に時間がかかるわけであります。しかも時間がかかるというのは、一つは今は、問いに対して答えではなくて、陳述だけを筆記するような格好になっておる。これが問いと答えとありますと、どういう問いに対してどういう答えをした、しなかったということがわかるわけであります。そこで、これは裁判所の書記に和文タイプを覚えさせるということもむずかしいかもしれぬけれども、純然たるタイピストを入れて、取り調べに際して——これは法務省、裁判所両方ですが、ひっくるめて希望を申し上げますが、予算的な措置をして、事務能率の増進、それから写しそこない等のないようにするには、どうしてもコピーでやった方がいいと思いますので、そういう改善工夫について、法務大臣はそういう考え方がないのか、何か予算的な折衝をしたのか、そういうことをこの際公にしてもらった方がいいと思います。
  175. 中垣國男

    ○中垣国務大臣 お答えいたします。  ただいまのお尋ねは、主としまして裁判の事務並びに検察事務についての御指摘だと思うのでありますが、あなたはなかなか御専門家であられて、私などよくわからぬのですが、能率を上げるということは、先ほど来井出先生も御指摘をなさいましたような、裁判を促進する意味からも非常に必要なことだと思います。私はよく技術的にわかりませんが、当然のこととして、そういうことはおそらく裁判所におきましても検察庁におきましても研究しておるだろうと思います。少し御指摘のあれとは違いますけれども、そういう問題につきましては私は非常に関心を持っておりまして、たとえば登記事務のようなもの、戸籍事務のようなもの、そういうものにつきましては、ことしは少し思い切って予算を計上いたしまして、御審議を願うように提案をいたしてありますが、できるだけ機械化と申しますか、そういう能率化をしていきたい、こういうふうな考え方でやっております。裁判所の方のことはあまりよく知りませんので、十分満足していただけるようなお答えはちょっといたしかねますけれども、私はそういう方針でおります。
  176. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 裁判所の方の関係でお答え申し上げます。  訴訟の記録、裁判所で申しますと、主として公判調書でございますが、御承知通り、民事の方は、大体問答の形でございませんで、要領筆記になっておるのは事実でございますが、刑事の方は、またこれに反しまして、問答体になっておりますのが原則であります。ただ、刑事訴訟規則であったと思いますが、その規則によりまして、当事者が異議のないような場合におきましては、民事同様、要領を筆記することが許されておるように記憶しております。裁判所といたしましては、調書もできるだけ迅速に完成いたしますように努力をいたしておりまして、最近は速記等も相当量使っております。録音機等も使っております。お尋ねは、主として裁判所の公判調書などの写しのできるのが非常におそいというようなお話でございます。これは公判調書の作成がおくれますれば、ひいては写しもおくれるわけでございますが、従来は、公判調書が早くできましても、写しの作成ということが相当時間がかかったように聞いております。ただ、代理人、弁護人その他訴訟の関係者が写しをとられますのは、これは費用関係でそれぞれ代理人あるいは弁護人がとられることになっておりますので、裁判所としては直接関知しておらないわけでございますが、しかし裁判所がもし写しが必要であるというような場合には、裁判所とそういう当事者の方々と費用は分け合いますが、便宜これを同時謄写してもらうというような便法も考えられるわけでございます。それから最近は、複写に非常に能率の上がる、早くできる機械がいろいろと発明されておりまして、ただ非常に代価が高いので裁判所としても容易に入手できませんけれども、そういう方向に漸次進めて参りまして、裁判所のそういう写しの必要な場合には、そういうことで早く完成をしたいと思うのでございます。この点は、先ほども申し上げましたように、裁判所が写しをこしらえます場合と、代理人、弁護人等がつくられます場合とはちょっと関係が違いますので、その点御了承をお願いいたしたいと思います。
  177. 田原春次

    田原分科員 これは議論になりますが、結局予算の問題だと思います。今の最高裁判所事務総長の御答弁ですと、弁護人との間で費用を折半か何かすればできそうでございますから、これは話し合いでやったらいいと思うのでございます。  次は、下級職員の待遇の問題です。これについて法務大臣と最高裁判所の双方に御質問申し上げたいのでありますが、お答えは別々にいただきたいと思います。  御承知のように、裁判所関係は、普通に全司法とわれわれは言っております職員の組織がございます。法務省関係は全法務という組織がございます。いずれも国家公務員であります関係で、普通の炭鉱労働者その他のようなわけにいきません。しかしながら、元来非常に貧弱な予算でやっておられますのに加えて、最近の物価高等もございますし、もしそれらの職員でなければ、たとえば公共企業体等におりますと相当な要求ができるにかかわらず、職を裁判所や法務省に置いたがゆえに貧乏に苦しまなければならぬということは、これはやっぱり国としては考えなければならぬと思うのです。あなたは、法務大臣在職中に、法務省職員との団体交渉、少なくとも待遇の改善に関していろいろ御交渉を受けられたこともあると思いますが、今度の国家予算に思うほどに結果の現われなかったのは、御熱意が足らぬとまでは言えぬけれども、もう少し馬力をかけて、せっかく二兆何千億の予算を出すのでございますから、安んじてその職につくようにしてあげなければならぬと思います。そういうことに対する決意なり、今度の国会で間に合わなければ、今後の見通しなりについて、あらためて裁判所事務局関係と法務大臣に御所見を聞いておきたいと思うのです。
  178. 中垣國男

    ○中垣国務大臣 法務職員組合との交渉のことでございますが、けさも私、ちょうど一時間、幹部の者といろいろ交渉いたして参ったわけでございますが、人事院の方の関係がございますので、独走するというわけには実は参らぬわけであります。ああいう登記事務所のように、非常にいなか等にありまして、しかも職員が一人だとか二人だとか、そういうところにもおりますし、また、他の官庁と違いまして、ほとんど人間の手で登記事務等を行なってきた、そういうことのために人員も一万人もおるといったような関係もございまして、私どもの法務省の中では人件費というものが非常に大きな比重を占めておるわけであります。他官庁と比べましてもしゆがんだようなところがありましたならば、これはもう私の責任におきまして全力をあげて解決しなければならぬわけであります。その他の点につきましては、公務員全体の問題といたしまして、国務大臣の一人としてできるだけの努力をいたすつもりでございます。
  179. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 裁判官以外の職員の給与につきましては、私どもの考えておりますところでは、その水準は他の一般公務員とまず遜色はないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。ただ、実際、民間の給与が非常に高いものですから、公務員の給与というものが非常に低いような感じを受けまして、いろいろ主張もなされるかと思うのでありますけれども、公務員の間の比較で申しますと、それほど遜色はないと考えております。ただしかし、われわれとしましては、その人たちから考えてみますれば、かゆいところに手の届かないような点もあるかと思いますので、そういう点は十分意見を聞きまして改善に努力をいたしたいと思います。
  180. 田原春次

    田原分科員 事務能率の改善というものは、必然、そこで働く人々の待遇をよくして、仕事を早く進めるようにすることだと思うのです。これは希望に終わりますが、法務大臣及び最高裁判所事務局におかれては、絶えず一般物価との比較を考慮して、要求をされない前にもまず一歩進んで待遇のことを考慮していくというようにやってもらいたいと思うのです。
  181. 正示啓次郎

  182. 川俣清音

    川俣分科員 裁判所並びに法務省に二点だけお尋ねしたいのです。  一つは、最近の国民生活の向上に伴いまして、経済生活も非常に複雑になって参りました。ところが、この国民生活の向上、生活環境の動きというものを裁判官が認識しておらないような向きが出ておるじゃないか。そういう意味で、確かに法を守る裁判官でありますので、かつて決定されました法令の趣旨を狭義に解釈するということもやむを得ないことだと思いますけれども、今日の国民全体の経済生活、生活環境というものが非常に変わってきているのでありますから、やはりそれに対応した考え方に裁判官もまた成長していかなければならぬじゃないかと思うのです。それに対して、研修と申しますか、そういう常識と申しますか——一々個々の裁判のいい悪いじゃないのですよ。概念的に国民生活というものに触れてはおられるでしょうけれども、把握が十分じゃないのじゃないかという疑問を持つ点が多々あるわけです。そこでもう少し裁判官に常識を与えるといいますか、最近の国際情勢なり国内情勢というものを、抽象的にでも教えると申しますか、教育すると申しますか、認識を与える機会を与える研修と申しますか、そういうことが必要でないかということを感ずる。私は今具体的な例を一つ申し上げたいのですけれども、まあ申し上げませんが——たとえば地主補償の問題が今起きております。これについていろいろな解釈もありましょうけれども、そのことでなくして、たとえば農地などに対する解釈の仕方といいますか、かつて小作制度がありました時代には、相当小作料の何ものかということを理解されておったのですが、最近になりますと、土地の価値というものは、収益があるところに土地の価値があるのか、あるいは財産的な土地というものに価値があるのかという判断につきまして、みな見解を異にするようなことでございます。そういう点も考えられますのは、この際、法務大臣並びに裁判所全体として、個々の判決の問題じゃないのです、こういう裁判官を成長させる、判事を少し成長させるということが必要だ、私はそう理解しておるのですが、これに対する見解をお聞きしたい、こう思うのです。
  183. 中垣國男

    ○中垣国務大臣 お答えいたします。  判事につきましては、最高裁の事務総長からお答えがあると思いますが、検事につきましては、法務総合研究所費用を今度予算を御審議願うことで提案をしているわけでありますが、その中で、検事になりたての者の初期の研修、それから中堅どころの研修、それから、たとえば麻薬のような専門を担当しておる検事の研修、そういうふうに分けまして研修しておりまして、その研修のときに、そういうただいま御指摘下さいましたような社会常識に関するようなこと等も、講師を頼みまして話をして、努めて新しい知識等も入れる、そうして社会情勢の変化にも対処しておる、こういうことをやっておるところでございます。
  184. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 裁判の方は法律が中心でございますが、事実の認定、法律の解釈につきましても、それぞれ基本的な知識教養の必要なことは、川俣委員から御指摘通りでございます。裁判官といたしましては、法律の勉強とともに、そういうものの知識を吸収し、教養を高めることに常に努力しておるわけでございますが、最近は非常に事件の数と裁判官の数との比が不均衡になっておりますために、なかなかそういう修養をする時間が少ない。これははなはだ遺憾に存じますが、できるだけそういうことをやっております。ことに裁判官としては、特定の事件が起こりますれば、ただ事件に現われた事実のみならず、さらに法律的にも事実関係についても掘り下げて研究する態度でいくべきものと考えておるわけであります。裁判官の一般のこういうものの修養のために、司法研修所におきましてもそれぞれ研修を実施しておりまして、これはもちろん法律実務も入っておりますが、いろいろな外交の関係、あるいは経済の関係、産業の関係というようなものにつきましても、それぞれ適当な講師を招聘いたしまして講習をしてもらっております。なお、論文式に特定の事項につきまして研究をしてもらって、それを一つの冊子にまとめるというような方法もやっております。冒頭申し上げましたように、事件の多いためになかなか時間をかけられないのは遺憾でございますが、将来ともそういう方向に十分努力をいたしたいと思います。
  185. 川俣清音

    川俣分科員 その程度でいいというわけにはいかないのです。というのは、予算面から見ましても、これで十分でありますなどということを言えるような予算になっておりませんですよ。裁判所というものは非常に権威の高いものとして国民から認められておるのですから、その権威を高めるだけの勉強はやはり必要だと思うのです。国民の成長からおくれますならば、権威というものは失墜すると私は思うのです。やはり権威を高めるだけの教養といいますか、勉強が必要であろう。そのためには、何をおいても、こういう消極的な予算のように見えますけれども、これは私は積極的な予算だというふうに要求されるべきではないかということを申し上げたかったのでございます。ことに最近は、御承知のように、民事法廷におきましても、調停とか和解というようなことが非常に多いわけです。これはやはり単なる法律解釈でなくて、社会の常識といいますか、今の時勢というものを反映して和解をしなければ、これは和解にならない。調停にならないのです。単なる裁判上の手続による判決ではなくして、こういう和解、調停というものは非常に多いわけですから、そのことの方がより行政的な手腕も必要になって参りましょうし、世の中に対する認識というものも必要になってくるであろう、そういう配慮から涵養していかなければ、調停などというものは困難である、また和解というようなものも困難である、こう理解しますがゆえに、もう一段の勉強をするような体制を整えられることが必要ではないか、こういうことなんです。単に検事だけじゃないですよ。やはり調停とか和解というようなことがありますと、これは半分は行政みたいなものなんです。この領域にかなりの力を注いでおられるわけですから、これは法務省が、いや、判事は独立しておるのだというわけにはいかない点だと思う。それによって国民生活が割合に安定しており、大きな役割を果たしておるわけですから、十分御認識を願いたいと思います。  もう一点は、実は、住宅難は相当緩和されたとはいいながら、まだ地方によってはなかなか住宅難でございます。そのために、判事の異動等につきましても、なかなか住宅問題からして転任などが困難な事情もあるようでありますし、ことに個人の住宅を借りておるなどということになりますと、猜疑心でものを見られたりする場合が非常に多い。やはり身分が身分だけに、法務省が一定の住居を責任をもって与えるという姿勢をとっていかなければならぬ。そうでなければ、住所も生活も不安定の中に、司法の独立とか、あるいは独立性をいかに強調されましても、いる場所が不安定であって、借家であって、常に家主に頭を下げなければならない、修繕も事欠くというような状態の中で、公平なものをやれといっても、それはできないことはないでしょうけれども、なかなか環境が許さないという事態があると思う。そういうことがあったならば問題を出しなさいとおっしゃるかもしれぬが、問題を出すに至らない問題がたくさんあるわけです。そういう点について、との予算を見ましても、十分——十分と言わないにいたしましても、要望にこたえる何十分の一、何百分の一にも当たらないのではないか、漸次こういう方向に打開していく努力の跡がないのではないか、どうも裁判所というのは、予算要求については非常に臆病と申しますか、紳士と申しますか、卑屈と申しますか、いい言葉でいえば紳士であろうし、反面からいえば卑屈であろう。私は、この点はきぜんとして法務省全体として対策を立つべきだ、こう思うのですが、どうですか、これで十分だなんていうようなことは言えますか。言えないと思うのです。
  186. 中垣國男

    ○中垣国務大臣 御指摘通りに、住宅問題はまだほんとうに不十分だと思います。特に下級職員のための住宅が特に不足をしておると思います。法務省といたしましては、昭和三十七年度と比べますとちょうど倍くらい予算を獲得いたしまして御審議を願っておるわけでございまして、今後とも一そう努力をして参りたいと思っております。
  187. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 裁判官の知識を豊富にし、また修養に努めることにつきましては、先ほどお答え申し上げました。その他、裁判所におきましては、相当量の図書等を購入いたしておりますし、部内におきましても、実例、解説というようなものを相当たくさん印刷をして部内に配っております。それから民事、刑事それぞれ一般的に、また特殊な問題につきまして、最高裁判所におきましていわゆる会同というものを開きまして、相当回数そういうことをやっておりますし、なお、いわゆるブロック会同と申しまして、それぞれ高等裁判所の管内別のブロック会同もいたしておりますので、そういうことでいろいろ問題のあります点は十分研究をいたしておるつもりでございます。ただ、社会一般に対する広い認識というものにつきましては、これはまた多少別個の範囲になるかと思いますが、それについてもできるだけ私たちは修養に努めておるつもりでありますし、また、今後も皆様の御期待に沿うように努力をいたしたいと思います。  住宅の事情につきましては、経理局長から説明いたさせますが、よろしゅうございますか。
  188. 岩野徹

    ○岩野最高裁判所長官代理者 裁判所の住宅関係についてお答えいたします。  実は、宿舎に関しましては、戦後最初に宿舎が認められましたのは、裁判官の宿舎であったわけでございます。そのときは裁判所に直接宿舎予算が計上されたわけでございますが、間もなく、翌年、一般行政庁の方にも宿舎を建てようという議が追随して起こりまして、その関係で全公務員に宿舎を考えるという機縁を実は裁判所がつくったわけでございます。その後、大蔵省の方で統一的に宿舎関係は処理なさるということで、大蔵省の宿舎予算の中から裁判所は一定の割合を受けまして、それをみずからの手で充足して参ったわけでございます。現在のところ、十数年かかっておりますが、まだ完全というところまで参っておりません。一般裁判官以外の職員につきましての宿舎は、実は当分の問われわれの方でやっておりませんだったこともございますが、他の庁との一般的な公平がどの程度にいっているかということはつまびらかではございませんので、お答えできませんが、金額で申しますと、約三十五億から四十五億の金があれば、十年間に——三十五億の金があれば一応は必要戸数を充足できるかと思っております。これを十年計画でやるとしますと、年間四億ぐらいを宿舎予算につぎ込まなければならないというふうに一応概算されるわけでございますが、土地の獲得その他が非常に困難でありますし、通学区域等の関係で、ただいまから宿舎を建てて参りますにつきましては相当困難な状況が加わっておりますので、はたして短期間内に十分な宿舎をつくることができるかどうかは疑いないわけではございません。  以上でございます。
  189. 川俣清音

    川俣分科員 もう一点だけにとどめますが、出発は今経理局長の御説明の通りなんです。裁判所が一番早かった。出だしの早いものはもう終点に立っていなければならぬのに、まだ途中でもたもたしているので、私が問題を提起したのです。趣旨が理解されて出発が早かったわけです。説明の要はないわけです。ただ、どうして充足するか。いまさら新しい予算でもない。最初から認められておるので、早く完成されるのが当局の仕事だと思うのです。新しく大蔵省の理解を求めなければならぬ理由は一つもないのです。私どもが今ここで議論しなければならぬような理由はもうない。すでに尽きておるわけです。どうして完成するかということが問題になっているだけなんです。おくれればおくれるほど敷地というものが得られなくなって、だんだん充足率が低下する、こういう結果になってくる。むしろあとから出た方が早く進行しておる。全体から見て決して進捗率がよいわけではありません。むしろあとのものが早く進む傾向が現に予算面で出てきているわけです。今予算書は置いてありませんが、ほかの方と全体を比べてみてごらんなさい。そういう状態でよろしいのかどうか。なぜ施設をしなければならぬかという理由はもう必要ないのです。今私がここで説明する必要がないのです。出発が早いということは、早く予算ができたということは、必要性に迫られてやったからでしょう。現在その必要性がなくなったかというと、なくなっていないのです。すみやかに充足することが今問題である。ですから、あなたと私と議論の食い違いは何にもない。おくれればおくれるほどだんだん充足が困難になってくるではないか。そこで、十年計画あるいは十五年計画でもすみやかに計画を立てられて実行していくことが必要ではないか。大蔵省に聞いてみると、どうもあまり計画が出てきているように説明されておらないのです。そこで、この際計画を立てることが必要ではないか。立てましても予算化はなかなか困難でございますが、なければなお困難です。そういう意味で注意を喚起したいのです。法務大臣、一つあなたの責任で御答弁願いたい。
  190. 中垣國男

    ○中垣国務大臣 お答えいたします。  裁判所職員の住宅のことにつきまして、ここで私がとやかく申し上げますのはどうかと思うのでありますが、実は私、法務省の関係並びに裁判所関係の建物、及びそういう職員の住宅等を含めまして五カ年計画くらいを立てて遂行したらどうかというようなことを考えまして、そのことを最高裁の長官並びに事務総長にも申し入れをしておるわけでございます。裁判所と検察庁というようなところは大体同じ地区にありますから、そういうこと等も考慮に入れまして、そういう五カ年計画でも立てて進めましたならば、御指摘のような弊害もなくなりますし、また、御要望の通りに住宅の問題等も解決できていくのではないか、こういうふうに考えておりますから、なお今後一そう努力いたします。
  191. 正示啓次郎

  192. 田原春次

    田原分科員 宮内庁の昭和三十八年度予算面における各種の新築、造営計画を御発表願いたいと思います。
  193. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 お尋ねは新しい宮殿の造営計画でございますが、新しい宮殿の造営計画を申し上げる前に、昭和三十四年の六月から十月の間、皇居造営審議会というのが設けられましていろいろ御審議になりました。この皇居造営審議会は、二十五名の委員の方で、国会は各党派からお出になり、なお新聞社とか、学者、有識者の方が集まられていろいろ御相談になって、その答申が昭和三十四年の十月に出まして、その答申の線に沿って昭和三十五年の一月に閣議の決定というのがありまして、その決定に基づいてこの造営に入る。まず最初に両陛下のお住居の方をつくる。そのお住居は一昨年の十一月に完成をいたしました。もう一つは、公の行事をなさる宮殿、これも早くつくる。公の行事をする宮殿の関係は、この方が、建物としても、国家の体面ということもありまして、なおいろいろ検討を要するので、特に三十五年から専門の一流の方十名に来ていただきまして、御意見なんかも聞きまして、その結果、新しい宮殿としてはどういうふうな構想でいくか、一応皇居造営審議会に宮内庁の試みの案というのを御説明したことがあるのですが、その案は一応はいいけれども、さらにもっと検討して、専門家の意見ももう一ぺんよく聞いて万全を期せよという御意見がありましたので、その結果、先ほど申したように専門家の御意見を聞きまして、そして新しい宮殿というものの設計をいろいろ検討いたしまして、その宮殿の基本設計のあらましが昨年の十二月に一応できましたので、十二月の終わりころに新聞その他に発表いたしまして、新聞の記事にもなったのをごらんになったかと思いますが、この概要を申しますと、坪数にすると約七千坪余りになります。皇居造営審議会の際に、宮内庁の試みの案を出しましたのは、七千坪くらいにしていろいろ御審査をいただいて、やはりこれくらいの広さがないといけないというものを基礎にして、正確には七千四百坪くらいでしたか、そういう坪数でありますが、これをいつからやるかといいますと、基本設計の完成というのはこの三月までであります。あらましが十二月中で、三月までに基本設計ができて、それからあと実施設計、実際に工事に移るこまかい——ここにどういう材料を使って、ここをどうしてこうしてというこまかい意匠まで考えて、実施設計に移るわけであります。昭和三十八年度の関係では、この実施設計をまずやらなければいかぬ。それからまた同時に、この工事に入りますに必要な他のことをやる。それは皇居造営審議会の御答申によりまして、前に宮殿のあった場所がよろしいということで、これは満場一致でいろいろ御検討の上そうなりましたので、その場所につくる。今その場所に他の建物が一部ありますが、こういうものを全部撤却をする。それから正門から入っていきます鉄橋、これは二重橋とも言っておりますが、鉄橋が非常に古くなっておって、工事に移る際にトラックがどんどん材料を運んでくるにはその鉄橋があぶないから、それをまずかけかえようということ、そういったようなことを三十八年度で宮殿造営関係ではいたします。そして三十九年度から実際に工事にかかる、三十九年、四十年、四十一年と、一応この三カ年でその工事を終えるというめどで進めております。その工事費がどのくらいかかるであろうかということでありますが、現在の計算では、八十億ないし九十億円というくらいのものがかかるという予定であります。皇居造営審議会でいろいろ御審議いただきました際には、おおむね七十億円くらいの案でございました。ところがこれは昭和三十四年でありまして、その後建築費というのがどんどん上がっておるわけであります。二割五、六分、ものによっては三割も上がっておるのですから、そういうものはそれよりもふえて参りますので、そういう点で八十億ないし九十億かかるというようなことでございまして、その宮殿の考え方といたしましては、これは公の国家的な行事が行なわれるところであるから、それに必要な十分の部屋がなくてはいけないし、またいろいろ外国の客も見えますから、そこに国の体面を保つ品格も必要である。でありますから、それじゃもとのような古いものにするかというと、そうでもなくて、この日本の伝統の美しさを十分に生かしますが、新しい技術というものを十分に取り入れて、昭和の建築としてなるほどこれならばというものにしていくべきである。それからなお現在の時代にも即応して、威厳ということよりも、親しまれるというような点をよく考える。壮重ということよりも明るいという点を考えて進めていこうということで、基本設計も今申しましたようなことで出ておりますが、さらに実施設計のこまかい点を考えていく場合も、こういう点を十分含んで進めていきたい、こう思っておるわけであります。概要はそのようであります。
  194. 田原春次

    田原分科員 瓜生さんがもし御存じならば、欧州と限っていいのですが、特にイギリスその他数カ国でいいのですが、各国の王室のもろもろの造営場所、私が問題にしておるのは場所と首府との距離、たとえばロンドンとバッキンガムといったもの、その国の王室のお住いの場所と政治の中心とがどのくらい離れておるか、そういうことをもし御存じならばお尋ねしておきたい。御用意がなければあとでもいいのですが……。
  195. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 今ここでこまかい資料を持っておりませんので、正確に申し上げることは困難でありますが、公の行事をされる宮殿というものは、これはやはり首都にございます。お住いは、ととろによるとちょっと離れたととろに住んでおられまして、そこから通っておられるという方もあり、なお首都に住んでおられる方もあるわけで、英国の場合ですと、お住居は少し離れておるようです。用事をされるところはロンドンの中心街にある。ほかの北欧の方も大部分が、たしかやはり宮殿とお住いのところが同じです。一部そうでないところもあります。そうでないといいましても、そうは離れておりません。自動車でずっと三十分かそこらでこられるようなところのように聞いております。概要はそういうことでございます。
  196. 田原春次

    田原分科員 もう一つ関連したことを先にお尋ねいたしますが、東京付近で宮内庁のお持ちになっておる御用邸、今われわれが知っておりますのは那須、葉山、沼津程度ですが、それ以外にもありますか。それらの御用邸の坪数、東京からの距離、概略でいいのですが今御記憶ならばお答え願いたい。
  197. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 坪数を先に申し上げますが、御用邸としては葉山の御用邸、那須の御用邸、沼津の御用邸でございますが、そのほかに常盤松の御用邸、皇太子殿下のもとおいでになったところでありますが、これは都内。葉山の御用邸は、坪数でいきますと三万六千坪くらいの土地の広さがあります。那須の御用邸は、ずっとうしろの方の山林を含んでのことですから、普通の平地と違うわけで、三百七十万坪、坪数でいきますと広いのですが、山でございます。沼津の御用邸は四万六千坪くらいであります。葉山の御用邸は、お出かけの際には、最近は原宿から電車に乗られまして逗子までおいでになって、それから葉山においでになっておる。原宿までが十五分ぐらい、原宿から逗子までが今一時間よりこしております。ちょっと一時間あまりです。逗子に着かれてからが十分か十五分、一時間半ぐらいはかかられるわけです。以前は自動車で行かれたことがございますけれども、京浜国道のところが非常に込んでいるものですから、その交通の輻湊のところをまたおいでになるのは交通をますます輻湊させるというので、最近は原則として電車でお出かけになっておる。それから那須の方の御用邸、これもまた原宿駅から黒磯駅まで行かれるわけですが、黒磯までは汽車でたしか約三時間ですか、それから黒磯駅から御用邸まで三十分ぐらい自動車でかかられる。ですから前後合わせると四時間ぐらいかかられる。それから沼津の御用邸は、これは静岡県の沼津でございますから、これは急行なんかを利用されて、やはり前後四時間、普通のですと、もっとかかりますが、そのくらいはかかられるというくらいな距離になります。
  198. 田原春次

    田原分科員 続いて、葉山、那須、沼津の御用邸のおもなる用途ですね。年間を通じてどういう御用途にお使いになっておるかということ。  それからもう一つ、皇族の東京における御住居の戸数というと語弊がありますけれども、三笠宮とか、ああいう人の御住居所在地、東京都内でしょう。それから坪数、それもお答え願いたい。  それからもう一つあわせてこの機会にお尋ねいたしたいのは、宮内庁の御使用になっている自動車を分けまして——私が伺いたいのは乗用車です。乗用車のうち外国車が何台あるか、国産車が何台あるか、これらもちょっと明らかにしてもらいたいと思います。
  199. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 皇族さんの関係は、秩父宮様邸は青山の通りの角のところ、例の国会図書館の横のところですね。これは皇室用財産でありますけれども、以前は秩父宮邸がありましたのですけれども、焼けまして、そのあとへ、焼け残った座敷に一部応接間などをつくられた、それがあります。広さでいきますと、ちょっと私の頭でざっと見て、建物としますと数十坪でしょう。それから高松宮様は光輪閣という建物はお持ちですけれども、あれはお住みになっているのじゃありませんので、お住みになっているのは裏の方にあります。裏の方に戦後つくられた。これがお二人だけでありますので四十数坪であります。外国の人なんかに会われる場合には光輪閣の方へ出てこられてお会いになるので、ほんとうのお住居だけです。秩父さんの方は皇室用財産になっておりますけれども、高松さんの方は高松宮様個人のものであります。それから三笠宮様のは大崎の方にありまして、これは三笠宮様個人のものでありますけれども、これも広くありませんが、大崎の長者丸にあります。土地は借り地で百三十坪ございます。  それからもう一つは……。
  200. 田原春次

    田原分科員 御用邸の用途は。
  201. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 御用邸の用途は、葉山の御用邸、これはよくお使いになります。葉山の御用邸は冬が多いですが、それから春、秋とかそういうときに、ときどき御静養においでになります。おいでになるときは一週間前後です。そうして葉山の沖で陛下は生物の採集をなさって、いろいろ相模湾の生物の研究をなさる。これはそういう点に特に御趣味をお持ちですから、そういうことをなさっておられます。これが東京を離れての御気分の転換にもなり、御静養になっていると思います。それから那須の御用邸の方は、これは主として暑い夏のころで、七月、八月ごろ、ずっとじゃありませんが、八月はほとんどもうずうっとですけれども、七月一ぺんおいでになってまたお帰りになる。それから八月から引き続いて九月の初めまで、しばらくおられる。九月の半ばぐらいまでおられることもありますけれども、御用のあるときには、また早くお帰えりになる。これは夏の御用邸として、あそこは涼しいですから、あそこにお出かけのときには、那須の山、それは御用邸付属の山のみならず、付近の山もずっとお回りになって、あの付近の植物の採集をなさり研究をなさっている。それが先日「那須の植物」という御本で発表になったような、そういう御趣味の御研究をなさっておられまして、これは陛下の御健康のために非常にいいと思います。山の中をずっと歩かれながらなさいますので、これも御健康にもいいし、御趣味の点も兼ねられていくと思います。それから沼津の御用邸は、これは最近両陛下はあまりおいでになっておりません。数年前に、もう七、八年前になりますか、伊豆の方のいろいろ山の植物なんかを視察をされる。要するにまあ採集なさったりするときに、これは普通の地方の公の行幸ではなくて、そういうようなことをなさる際に沼津の御用邸においでになりまして、そこからおいでになったことがあります。その後は義宮様とかあるいは皇太子殿下がお使いになっていることがございます。皇太子殿下の関係では、昨年の夏、浩宮様を連れられまして皇太子、妃殿下それから浩宮様で、去年の夏、沼津御用邸にしばらく御滞在になったことがあります。そういうようにお使いになっております。  それから自動車は、これは皇室費関係では三十二台ありまして、そのうち外車が十五台、国産車が十七台ございます。そのほかに宮内庁費、要するに予算書でいきますと、総理府のものと一緒になっております宮内庁費で、ほんとうの事務的なものは六十台あります。そのうち外車が九台、内国車が五十一台ございます。
  202. 田原春次

    田原分科員 続いてお尋ねしますが、学習院と宮内庁との予算面における関係、あれは財団法人になっておりまするので、多くの皇族の御子弟が通学されておるようですが、補助あるいは土地の貸与とか建物の譲渡とか、何か御便宜をやっておられますか。学習院の大学の方と、女子部の方もすべて含めて伺いたい。
  203. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 学習院は今以前と違いまして、宮内庁所管というのではなくて、普通の私立学校になっておりますが、皇族方があそこへよく通学をなさるというような関係で、あそこへ通学をなさっています場合に、それに必要な授業料並びにいろいろな施設を借りられればそういう借りられる経費とか、そういうものは出しておられます。それからなおああいう学校は、拡張する際によく同窓生からいろいろ寄付金の募集なんかもされますが、両陛下も他の皇族様もあそこをお出になった方ですから、その振り合いも考えられて、そういう場合には御寄付をある程度なさっておりますが、これも御寄付ですから、皇室経済法で年額皇室の使用は三百七十万の範囲、それを越す場合には国会の議決が要るとなっておりますから、その範囲内で、そういうような場合にある程度の御寄付をなさっているということはありますが、しかしいわゆる補助というようなものはないわけであります。
  204. 田原春次

    田原分科員 大体お伺いしたいことが相当わかって参りました。あと私は意見をまじえた御質問なんでありますが、御承知のように東京都内の交通難、また何が原因か知りませんが、スモッグ等いろいろありますね。そこでしばしば議論になっておりますのは、宮城内の横断バスの公開はどうかという問題があるわけであります。さだめし次長も御存じと思います。これはイギリスの宮殿等も、一般の便宜のために公開されていることは、これも御承知と思います。皇族の皆さんが東京に絶対に住んでいなければならぬということもないと思います。ただいま承りますと、昭和三十八年度の予算は、二重橋の改修と賢所ですか、ああいう集会、宴会場の改築だということであります。古くなっておるから、かえるということもこれは当然でありますけれども、私は、東京都の過剰人口対策としては、政府それから東京都庁とも非常に困っておるわけなんです。これは全く方法がありません。いろいろ名案は出ております。たとえば富士山ろくに遷都を行なう案もあります。それから東京湾を埋め立てて、もっと広げろという案もあります。いろいろ出ておりますが、予算関係、それらに引っ越す人口数の問題、年々世田谷区くらい、人口にしまして約四、五十万がすでに増加しておるのでありますから、何とか分散をしなければならぬということで、私も、社会党としても分散案をいろいろ検討しておりますが、東京都庁も考えておる。それから政府としても、首都圏整備委員会あるいは政府自体等からも案がちらほら出ていることは御存じと思います。これらの基本的な問題は、いずれどういう形かで現われるかと思いますが、さしあたって宮城の問題、理屈を言うわけではございませんが、御承知通り宮城というものは、太田道灌から徳川時代までは民間の将軍のあれであり、明治になって遷都されたのでありますから、絶対にここにおらなければならぬという根拠は何もないと思います。便宜上の問題だと思うのです。従って今承りますと、葉山が三万六千坪で狭いし、沼津も四方六千坪でそれほどではございませんけれども、皇族御家族皆様、それから天皇皇后両陛下、皇太子御夫妻等にしましても、那須の御用邸くらいに相当りっぱな平素の御住居を移されて、そうしますと、宮城内というものは天皇皇后両陛下が住んでおることにならぬわけですから、この東京の激増する人口対策、特に交通対策上進んで開放されて、横断バスなり横断歩道なり、あるいはバスだけでなくタクシーもそうでありますが、何かそういうことを率先して——これだけはどうしてもここに保有しなければならぬ、絶対東京に置かなければならぬものは、今お話の名所の二重橋の保有なり、あるいは賢所その他の諸外国との会合場所というものは必要だと思うのですけれども、御住居というものは絶対東京都内でなければならぬようにわれわれは考えぬわけです。私ども社会党も別段それを論議しておるわけではありませんが、いい機会であります。予算分科会でもありますので、皇居の移転というと言葉は少しおかしいけれども、東京のこの過大人口対策の一助として、現在の宮城を一定の条件のもとに開放してはどうかと思うのですね。そのためにはまず両陛下の御住居なり、皇太子御夫妻の御住居なりを、現在あります御用邸等に新しく増築されて移される。必要あらばウィークデーは通って、御文庫ですか、ここへ出勤されるわけです。どこから始めないと、この一千万になる人口の対策は全くお手上げなんですね。すべて宮城を離れてみんな考えております。宮城の下の地下鉄道というものも考えられない。案はありましても、何しろ両陛下がおられるところだということで、みんな御遠慮申し上げておるわけです。せっかく国民に親しまれるお気持があろうと私ども想像しておりますので、改築に際して、東京以外の土地に平素の御住居を置かれて、そして東京は事務機関にするというようにされてはどうかという感じがするわけですよ。これは討論でなくて希望ですが、将来そういう方向に持っていかれたらどうかと思いますが、どうでしょう。突然の思いつきだけれども、いつも聞きたいと思っていたことで、そういうことを国民も聞きたいと思っているし、特に都民が聞きたいと思っているものですから……。
  205. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 その問題は、先ほど申しました昭和三十四年に皇居造営審議会が開かれた際の委員会でも、いろいろ討議された問題でございまして、その際に、皇居を富士山ろくへ持っていったらどうかという説もあるがということもあって、あそこから高速道路をつければどうかという話もあった。それに関連して、それは皇居だけを移してもだめだ、その場合に政府機関と外国大公使機関、それを移さないと、いろいろな行事の場合に、一々そこにかけつけていかなければならない。要するに首都がそこに移る、ちょうどアメリカでは経済の中心がニューヨーク、政治の中心がワシントンになっているように、ワシントンみたいなものができればいいけれども、皇居だけを持っていったのでは、他の方が非常に不便になる。それに陛下もおいでになるのに時間も非常にかかるから、それも不便だ、どうも感心しない。やはり東京都内でなければいかぬ。東京都内どこかなかろうかというので、いろいろ空地がないか、それに向くところはないかといろいろ調べましたけれども、やはりある程度の広さがありませんといけないものですから、結局どうもない。なおその際に、それじゃ今田原先生のおっしゃったように、宮殿は今のところに、宮殿は大きなものですから、その前あったところにつくるとして、両陛下のお住居なんかはどこか郊外に持っていくということは考えられないか。それで三多摩方面とか、調査いたしましたのですが、これもなかなか適地がない。なおその際にやはり話になりましたのは、皇居の中は東京のまん中にあるから、空気がよごれているのではないか。そうすれば、お住居としても適当でないのではないかということもありました。その点はやはり科学的に調査もいたし、皇居の周辺に堀があって、ずっと木が植わっているものですから、吹上御苑の今度陛下のお住居をつくりましたあたりですと、空気の汚染度は郊外の石神井あたりと同じ、やはりずっと木が植わって、その中にありますと、空気の汚染度はそれほど悪くない。これは石神井よりもっときれいなところはあります。ずっと青梅あたりでしたらもっときれいで、そこらあたりより悪いけれども、石神井程度だ、それなら衛生上特に悪いということも言えないのではないか。それでも英国の例のように、三十分ぐらいでどこかいいところがあればと、検討しましたが、なかなかありませんものですので、結局そう離れられても、そこから何かの行事のたびに出ておいでになるということも大へんだし、それから政府関係でいろいろ書類を持っていかれるのも大へんだ、まあそう遠くてもいけない。もっと近いところで適当なところがあればいいのだが、ない。それで、吹上御苑の今まで御文庫があったその裏のところがちょうどいいのじゃないか、空気のよごれ工合もそう悪くないからということで、吹上御苑の中に御住居をつくるというので、これが一昨年の十一月にできましたが、あとの宮殿の問題は、先ほど申し上げましたようなことです。なおその際に、皇居の下に地下道を通す問題なんかも、皇居造営審議会でもやはりいろいろ研究はされました、専門家なども寄りまして。ところが、あの下を通すことには、場所によりましては宮内庁側としても反対しないわけです。しかしあそこをずっと通っていきましても、交通難の緩和というものは前後は同じだ。その下を通っている間だけはいいけれども、前後のところでは一緒になってしまうわけだから、前後は同じで、結局祝田橋あたりのあの混雑しているところとか、ああいうふうなところを緩和するためには、あの下をずっと通して築地の先まで持っていってしまえばいいですけれども、これがまた実際は非常に工事費がかかるし、長い地下道というのは空気の関係も相当よごれますので、なかなか危険もありまするし、これは感心しないというので——なお地下道の際に話が出たのは、地下道をつくった場合に、あの下に道灌堀という堀があるわけですが、お堀の水は、あの道灌堀からわき出ているわけです。地下道をつくった場合、水道を切ってしまうと水がわかなくなって、あの水がなくなるかもしれないということを専門家が言っておられました。そういう点も憂慮される。それでどうも地下道は感心しない。それから今おっしゃたように、中にバスを通す問題、これはあそこでいろいろ行事をやったりするような場合、今のところ、あそこを普通のバスがどんどん通るのは、宮殿としてのいろいろ客を迎える施設のところには適当でない。しかしながら宮殿からちょっと離れている東側地区、これは全体で三十万坪あるわけですが、そのうちの東側地区、ちょうど太田道灌が城をつくりました中心地、これを東側地区と言っているわけです。あそこは大体東側地区、それから西丸地区、それから吹上の地区、大きく分けましたら、この三つの場所になるわけですけれども、その東側地区——ちょうど大手門から入ったところが東側地区です。楽部や馬場があるところです。この東側地区約十万坪、ここの問題については、今はあの中にいろいろ建物がありまして、ほかの、たとえば内閣の文庫があります。それから最近変わりました賞勲部がおりました。そのほかには恩給局とかそれから皇宮警察の施設もこちらにあります。それから宮内庁の施設も散らばっています。それから運輸省の関係で、地震研究所があるとか、あの中にいろいろ建物があって、あのままではいけない。直接皇室に関係のないそういう建物はあそこの外に出る。それから宮内庁関係の建物とか皇宮警察関係の建物は遠くへ行っては不便ですけれども、あの一角のすみの方にまとめる。そうすればまん中の方が公園化されるというので、あそこを皇居の付属の庭園としてずっと整備して、皇室の用事で使われない場合は、原則として一般に公開するということにしたらいい、皇居造営審議会の方の御答申にもそう書いてあるわけで、その御答申の線に沿いまして、その東側地区の関係につきましては、これを公開をするという線で今着着進めておるわけでありまして、今予算書をごらんになりましても、ここに出ておりますが、この皇居東側地区施設整備費というのがそういうことで進めておるわけであります。この宮殿の完成は、先ほど申し上げましたように、一応のめどを昭和四十一年度と思っておりますけれども、東側地区はそれよりも早く四十年度ぐらいと考えております。四十年度くらいまでにあらかたできて、特別に宮中で使われないとき、たとえば園遊会とかなんとかあそこでなさるときは別ですが、そうでないときは公開をしようという方針で進んでおる。四十年度というと、もっと早くやったらどうかという御意見があるかもしれませんが、これはオリンピックとの関係もちょっとあるのでございまして、あそこに今、馬場があり、それからうまやがありますが、東京付近には馬の施設というのが少ない。オリンピックの場合に備えての馬は、馬事公苑というのがございますけれども、これを拡張しようとしております。現在は拡張の過程にあります。いよいよ外国からいろいろそうした人が来ると、練習をしたり、ちょっと馬を置いておくという場所が足らないから、それまでは、その馬場とか、うまやは、一部ですけれども、こわさないでほしいといわれておりますから、オリンピックが済むまではその部分は手をつけない。オリンピックが済んでから手をつけて、四十年度には全体が公園風——その公園の構想は大体緑地帯で、ずっと木を植えた静かな緑地帯、そうしてあそこあたりは非常にオフィスが多いですから、そういう方のみならず、地方からおいでの方でもいいですけれども、自由に入られて散歩していかれるリクリエーションの場所というふうにしようというので、今準備を進めておる次第でございます。
  206. 田原春次

    田原分科員 普通われわれが東側といいますと、馬場のあるところですから、九段下、神田橋、日比谷公園側ですね。今いろいろ議論をされ、希望されておるのは、半蔵門から日比谷公園、西になるか、何側になるか知りませんが、直通した道路でもできれば、警視庁の横から回るよりか半分でいくだろうといわれております。吹上御苑はあっちの方ではないように思いますが、あの付近に何か通路かなんかをつくるような申し出があれば、承諾をするような用意はないのですか。
  207. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 ちょうど半蔵門の側の警視庁の前から見た、皇居としては一番ながめのいい場所ですけれども、あそこの部分の、二重橋に近いところの方は宮殿の用地になるわけです。手前の方は吹上御苑で陛下の御住居になっておる。お庭があったり、それからそれに関連した建物があるところで、ながめとしてはあそこが一番いいところですけれども、あそこを通るよりも、あそこのちょうど反対側、警視庁側のところに今度高速道路をつくるような工事を盛んにやっておられるけれども、いろいろ研究されたときに、高速道路をつくっていくことによって交通難が緩和されるし、同時に、あそこの半蔵門寄りのきれいな景観も維持できる。われわれ外国から来られた方によく聞くと、東京で一番ながめのいいのは半蔵門寄りのあの皇居の外のこちら側から見たながめが一番いい、何か詩人でそういう詩をつくっている方もあるわけで、文化財保護関係の方も、あそこは現状を変えないようにしないといけないという御意見もございましたし、現状を変えないそのかわり、堀のこちら側の警視庁側のところに、一部は地下に入る道ができる。ちょうど何か英国大使館の前あたりの、以前桜の花が咲いておったあそこは、国会の方からいく高速道路があの地下に入って、それからその先の方に千鳥ガ淵の池がありますが、そこで顔を出しまして、それからぐるぐると橋を渡って代官町の方に出ていくというような道路ができるそうですけれども、そういうような周辺の高速道路が完成しますと、現在のあの皇居付近の非常に複雑な交通事情も相当緩和されるというふうに専門家からは聞いておる次第であります。
  208. 田原春次

    田原分科員 そうしますと、今のところ、半蔵門から日比谷公園もしくは丸ノ内までの直通のために開放される御予定はないわけですか。それはこれからの折衝なり状況によりますから、一応具体的に明らかになって……。  次にお尋ねしたいのは、自動車の問題、まことに小さな問題ですが、承りますと、外国車が十五台と国産車が十七台、宮内庁の方は六十台、これは外国車が九台、国産車が五十一台、これはやむを得ぬと思いますが、数年前のこの予算分科会でもやはり僕はその点を指摘したのです。そのときは英国車か何かを新規に買われるということで、僕はだいぶ議論したのです。それは日本に自動車がなければ、皇室が威厳を保つという意味で外国車を買うということもある時期にはあり得たことだけれども、国産車があるのに外国車を買われて、それが威厳のように思われるのは、少し宮内庁のお役人の頭が古いのじゃないか、これを見た外国人はどう思うかというと、日本には自動車があるのに、それを信用せずに、イギリスやフランス、イタリア等の外車を買う、かえっておかしいじゃないかと議論をしたのですが、時間がなくて、ただ議論だけに終わりました。今のところ約半分は国産車があるようでありますが、外車を払い下げて、なるべくすみやかにやはり国産車で、陛下の御乗用車も国産車にする、そのことが国産車も責任を感じて、さらに改良をするであろうし、それから東京にいる外国人が見ましても、皇室は国産車を御利用になっておる。これは市内を四十マイルも走るような機会はないのですから、そういうように一つ進行されてはどうか。ことしの予算で間に合わなければ、漸次すべて国産車に乗りかえる——との国産車ということを言うのじゃない。国産車をまた公平に便利のいいものから買えばいいですから、そういうふうに乗りかえて、なるべく日本の国産車を自慢して皇室みずからが使うようにされたらどうかと思うのです。これは一つの希望的な質問なんだけれども、あなたはそういうことについて賛成か反対か、また将来の見通しを一つ聞かせてもらいたいと思うのです。
  209. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 その御趣旨の点ではわれわれもそういうふうに考えておるわけであります。最近外国車を買いましたのは——今年度予算の車馬管理費八百五十二万というこの中にはありません。これは国産車ばかりですけれども、去年、おととし、先おととし英国製のロールス・ロイスという自動車を購入したわけであります。これは陛下が地方行幸なんかされる際に、今お乗りになっておるのは、もう二十数年前の古い、これも外国車ですけれども、ベンツの赤い古いやつ、あれではどうかというので、そういう場合にお使いになる、それからなお外国から元首級の人が見えた場合に貸される自動車というのも、これがいいのじゃないかということで、ロールス・ロイスを最近三台買いました。今年度にはありませんが……。  この問題については、私の記憶によりますと、もう今から七、八年前ですか、日本の国産自動車の協会がありますが、その協会の責任の方にも御相談をして、宮内庁の古い外国車、もう二十数年もたっておって、普通のところだったらとても使えないかもしれないが、大事に使っているから使えている。これはいつか更新していかなければならない。それで、国産車でで幸ないだろうかということを御相談したのであります。その必要な条件をいろいろと申し上げたのですが、そのときの状況では、どうも無理だ、二、三年待ってもらいたい。二、三年して、また聞きましたら、やはりまだ無理だというようなことです。絶対できないことはない。ボディなんかもいろいろな形がありますが、しかし、台のところは外国のを使って、和洋混合のようなものでできないことはないが、非常に高いものになる。今はある程度の量を売らないと価格が下がらないものですから。型をつくるのに、相当金がかかるらしいのです。そういうことで、純粋の国産車は無理で、あるいは外国のものと混用ができぬことはないが、非常に金がかかる、将来さらにまた改良する機会がくるかもしれないが、ということでした。しかし、それがまだできない段階にあるのです。  特にまた聞きますと、私なんか自動車の専門家ではないからわからないのですが、地方行幸のような場合には、スピードを出すよりもスピードを落として行かれる方がむずかしいらしいのです。国産車ではとまってしまうということがよくあるそうなんです。皆さんが並んでおられる前を徐行して行かれる。お供の車はときどきとまることもあります。かえって早く出すよりも、おそく出すのがむずかしい。そういうのが、ロールス・ロイスはその点性能がいいものですから、自信を持ってできるということで、ロールス・ロイスを買ったりしましたが、普通に使われる車は、先ほど申しましたように、皇室用の分でも最近は国産車です。皇太子殿下なんかがお出かけになられるときは、たいてい国産車でお出かけになっておられるのをごらんになったと思いますが、国産車で間に合うところは国産車、どうも間に合わないところは外国車ということでいっておりますから、外国車も買っております。そこで、なお相当外国車がたくさんあるじゃないかというふうにごらんになるかもしれませんが、その大部分は古い外国車でございます。
  210. 田原春次

    田原分科員 国産車では徐行のときに困る場合もある。というのですが、とまったときは、陛下がとめたような格好で御停車相なったことにすればいいのでありますが、それは理屈で、いずれにしましても、至急国産車、国産品、今度新築されればその設備も調度もみな国産というように進めていかれるのがいいと思います。これは希望を申し上げておきます。  それから、もう一つの希望は、通路の開放であります。直ちに今どうという御答弁もできないと思うけれども、私ども一般市内を行っている者は、いつもぐるっと回って行っているのです。今度の高速道路等も一つの案には違いありませんが、むしろそれはやはり、宮城全体を取り巻いていかにすみやかに行くかという非常な苦労の形なんです。宮城の方で、半蔵門をまっすぐ丸ノ内一丁目ですか、あの辺まで通るような時期も来るように希望いたします。ただし、これは討論ですから、私は希望を申し上げて、皇室の民主化というものが言葉の上だけでなく、そういう形で現われてくるように希望をいたしまして、きょうはこれで質問を終わっておきたいと思います。
  211. 正示啓次郎

  212. 川俣清音

    川俣分科員 今、事務総長がちょっと外出中だそうでございますが、事務総長に概括的なことをお聞きして、それから各論に入りたい、こう思っておったのですが、それは逆にならざるを得ないようです。  そこで、第一に議員会館の新営費についてお尋ねします。三十六年度四億八百万円で、三十七年度二億三千百万円で、今年度予算は六億三千九百万円ばかりになっておりますが、衆議院の会館建設につきましては国庫債務負担行為限度額総計が十七億一千二百八十七万円になっております。これが参議院より少ないのはどういうことですか。常識的にいって、参議院は二百五十名、衆議院は倍まではいきませんけれども四百六十七名の会館です。予算が少ないのは、どこか参議院よりも省略しておると、こういうことになりますか。会館ですから、一人当たりからいうと縮小しておるというのですか、規模が小さいということになるのですか。この点はどうなんですか。
  213. 藤野重信

    ○藤野参事 お答え申し上げます。御比較の点は、今建築しております第一号館と参議院の予算をお比べになってのことだと思うのでございますが、さようでございますか。——その点につきましては、第一号館が終わりますれば、すぐに第二号館を現在の第一会館の敷地に建築する予定でございます。
  214. 川俣清音

    川俣分科員 予算書には別に第一号館とか二号館とかいうふうになっていないのです、あなたの方の要求は。従って、第二号館を別に建てる、こういう計画だという説明になるわけですか。  そうすると、参議院二百五十名、衆議院四百六十七名ですが、それをちょうど半分ずつ建てると、こういうことになりますか。
  215. 藤野重信

    ○藤野参事 おっしゃる通り大体において半分ずつでございます。こちらの第一号館の分は、次期の作業との関係がございまして、員数は多少半分よりもよけい入るように一時的に施設を含めて建築するつもりにしております。
  216. 川俣清音

    川俣分科員 そうすると、今建っておるところが一号館で、二号館はどこへお建てになるのですか。
  217. 藤野重信

    ○藤野参事 現在の第一議員会館を取りこわしまして、その敷地に第二号館を建築する予定でございます。
  218. 川俣清音

    川俣分科員 そうすると、第一号館をこわして建てるということになりますと、第一号館の人々を先に動かしてと、こういうことに事務的にはならざるを得ないと思いますが、そう理解してよろしゅうございますか。
  219. 藤野重信

    ○藤野参事 その点でございますが、説明の便宜上、概略今度の工事の構想を申し上げますと、要するに第一号館といいますか、今建てております工事が非常に急がれて、本年の十月には完成予定であります。急がれた理由につきまして申し上げますと、第二議員会館、第三議員会館、あの向こう側の部分に首都高速道路が建設されます。そこで、今やっております総理官邸の下のあたりからずっと今の二つの会館をかすめて通るわけでございまして、その道路の工事の方は、オリンピックに間に合わせるために、どうしても来年の六月までに完成しなくてはいかぬということになりますと、そのために第三議員会館を一部カットし、第二議員会館を一部引っぱってこなくてはならぬ。そういうことが予定されまして、どうしてもその必要上第一号館を早急に建築いたしまして、その道路の敷地の分を早く完成させなければいけない。こういうことが、もちろん年来の議員会館を新しくするという計画もございますが、急がれた一つの理由でございました。  従いまして、これが完成いたしますと、お入りになる先生方の問題は、これは今私どもで申し上げる段階になっておりませんが、とにかく第二議員会館、第三議員会館の現在の建物の一部というのは、どうしてもお入りになっておる人を動かさなければならない、こういう必要に迫られておるわけでございます。ところで、段取りといたしますと、単に数だけの点から申し上げますと、一応第三議員会館は動いていただかなければ工事ができない。それから、第二議員会館の方も引っぱってくるのでございますから、そのうち三棟でございますけれども、この部分はどうしても動いていただかなくてはいけない、こういうことになっております。そしてそれが本年度、つまり来年の三月ごろまでの間、つまり新館がこの十月あるいは十一月に完成して移っていただく、それからその工事をする、それから移すべきところを移し、カットすべきところをカットしてしまいますと、そこにまた入っていただかなければ第一議員会館の建物を取りこわすわけにいかないということで、その関係は二段階といいますか、そういうことになりますので、その点につきましては、まだ第一号館をすぐ全部移すというふうに私どもとして言い切るわけには参らないのでございます。
  220. 川俣清音

    川俣分科員 では、続いてお尋ねしますが、三十六年度で四億八百万円ばかりお使いになっておるようです。この予算総額から見ると、三十六、三十七、三十八年で十七億ですが、四億という金を三十六年度にお使いになっておるのです。これは何にお使いになったのでしょうか。
  221. 藤野重信

    ○藤野参事 四億は繰り越しておりますが前渡金の分でございます。
  222. 川俣清音

    川俣分科員 前渡金というと、工事請負人に対する前渡金ですか。十七億のうち四億も前渡金を払わなければ、それほど国会というのは信用がなくて、工事に着工できないのですか。それは民間ベースから見ると非常に大きな前渡金だということになると思うのですがね。おそらく官庁工事でありましても、前渡金などは出す官庁もあり、出さない官庁もある。特別会計などでは二割ないし三割の前渡金を出すというのですが、これも工事の総額の三割でなくて、資材部分に対する三割というのが、建設省の営繕関係などについては大体慣例になっておるのです。その慣例を越えてあえて前渡金を払わなければならないというのは、いろいろ国会のことになりますと、単に営繕局独自でやれないで、国会の圧力で業者などの選定が行なわれたり、あるいは前渡金等につきましても、一般慣習を越えて事業者へ恩典を与えるというようなうわさを立てられたり、非難があるのですが、この点についていかようの御見解ですか。
  223. 藤野重信

    ○藤野参事 お答え申し上げます。今回のこの第一号館の建築につきましては、こちらの予算に載っておりますけれども、予算の執行を全部建設省の方に委任いたしまして、そちらでやっていただいておるのでございます。御質問の点につきましては、私どもといたしましても、特に従来の慣例を破ったとは考えておらないのでございます。以上のような理由でございます。
  224. 川俣清音

    川俣分科員 慣例を破らない——十七億に対する四億の前渡金だとしますれば、あなたの説明そのままにすると、これは異例じゃないですか。営繕局の見解によりますると、国会の要望があったので特例を開いた、こういうことです。要望なしですか。この点、はっきりして下さい。事務総長、どうですか。
  225. 山崎高

    ○山崎事務総長 今御質問の御趣旨を承ったのですが、三十六年度に四億の前渡金を払ったかどうか、御質問の内訳につきましては今至急に調べるように申しておりますので、もう少々お待ち願いたいと思います。  なお、補足して申し上げますと、四億のうち二億建設省が払って二億は繰り越しているということでございます。四億建設省に委託はいたしましたが、従来議員会館の工事等は建設省に委託しておるのでございます。それは官庁営繕に関する基本方針と、そのほかに、衆議院議長公邸のようなものは衆議院でいたしましたけれども、衆議院の職員の数が限定されておりますので、大工事の監督等はやはり不十分でございますので、建設省にやってもらっております。そこで予算を建設省に委託するわけでございますが、その委託した決算的な内訳は、二億は建設省において前渡金として払っておりますが、そのあとの二億は繰り越しの手続をとっている。今その二億を前渡金として渡した内訳を調べさしておるようなわけでございます。
  226. 川俣清音

    川俣分科員 衆議院としては四億支出しておりながら、同じ官庁でありまする建設省がその二億を繰り越しておるというのは、どうも会計上認めがたいのです。建設省の予算に移しかえになっておれば別ですよ。繰り越しするならば、建設省の予算に繰り越しになっていなければならぬはずだと思う。
  227. 山崎高

    ○山崎事務総長 繰り越しの分は、それぞれ会計法上の手続を経て繰り越しておりまして、衆議院の予算として二億の分は繰り越しになっておる、こういうことでございます。つまり、要り用な分だけ支出委任しておきまして、あと要り用でない分は全部衆議院の予算として次年度に繰り越しておる、こういうことになっております。
  228. 川俣清音

    川俣分科員 今の答弁では予算書と違いますよ。三十六年度の支出済みが四億七十九万円になっておるわけですね。三十七年度も二億三千百万円ですが、合わせまして約六億四千万円です。予算としてはそう組んでおりながら、三十七年度以降、支出額及び支出見込み額が十億七千三百万円というふうに、三十六、三十七合わして六億四千万円ばかりですが、参考の方々見ますと、三十六、三十七合わせて十億七千三百七十四万円、こういうふうになっておる。この分も三十七年度支出分が二億三千万円でないようにも見えるのです。いよいよもってこれはおかしいですよ。
  229. 舟崎正信

    ○舟崎参事 議員会館の新営費の三十六年度歳出予算額は、三億七千八百七十五万一千円、そのうち、建築工事費の十億八千万円に対する前渡金といたしまして二億六千一百十八万五千円を支出しております。繰越額は、差引一億一千七百五十六万六千円を三十七年度の方へ繰り越しております。  四億七百九十三万一千円とございますのは、これは、三十八年度歳出予算の六億三千九百十二万六千円、これが当初の国庫債務負担行為の契約した分で、これに対する三十六年度分の契約に対する分が四億七百九十三万一千円という意味合いでございまして、三十六年度の予算とは直接関係ないわけでございます。国庫債務によって十何億という契約をしておりますから、それで三十八年度で要求しております歳出予算の六億三千九百十二万六千円の内容をこの備考欄に示したわけでございます。それが三十六年度分の契約にかかる分に対しては四億七百万円、三十七年度に契約した分に対しては二億三千一百万円、こういうふうな内訳で、歳出予算を六億三千九百十二万六千円計上した、こういう意味合いでございます。
  230. 川俣清音

    川俣分科員 どうも、わかるようだけれども、わからぬですね。国庫債務負担為行というにつきましては、会計上負担行為はできるだけ避くべきであるという考え方で、財政法もまたその意図を持っておるわけです。従って、国庫債務負担行為の歳出につきましては、予算計上額がなるべく順当に支出されるようになっておると思う。そうだと思うのです。予想していないものを勝手に負担行為として予算をぶんどりするわけにはいきますまい。やはり契約に基づいて配分になっておるのだと思うのです。しかし、請負でありますから、幾分動くということは想像できます。その通りというわけにはいきませんでしょう。しかし、大よそこれは六億三千九百十二万六千円というかなりこまかい数字をもって負担行為が予算計上されておる。そのうちで、三十六年度は四億七百九十三万円というものが計上されておる。これは何にお使いになったかというと、先ほどの答弁では、前渡金として使用したのだ、こういう答弁が第一にあり、第二に、補足して、前渡金は一億であって、あとの二億は繰り越しておるのだ。債務負担行為に繰り越しというのはおかしいのじゃないですか。
  231. 舟崎正信

    ○舟崎参事 お答えいたします、三十六、七、八と三カ年にわたって歳出予算を要する契約をしたわけでございまして、設計等の検討にいろいろ期間を要した関係から、三十六年度末においては全部負担行為をすることができなかったわけでございます。それの未済の分と、それから三十六年度中におきまして多少工事費が高騰したものでございますから、その値上がり分を新たに国庫債務負担行為の承認を受けております。それで合計十七億一千二百八十七万円でございますか、それが三十六、七、八と三カ年間で支出する必要から歳出予算に入っていくわけでございます。それで、本年の六億三千九百十二万六千円の歳出予算は、いつ契約した分に対して必要が起こったのかという内訳を備考欄に出してあるわけでございます。それが三十六年度中において契約した分に対しては四億七百九十三万一千円の目安である、三十七年度において契約されるであろう工事に対する歳出予算が二億三千一百十九万五千円、これだけ要るであろうということで、六億三千九百十二万六千円というものが三十八年度の歳出予算として計上してあるわけでございます。
  232. 川俣清音

    川俣分科員 どうも私にはわかりません。この新館建設に伴って見積もり総額が十七億一千二百八十七万二千円だということはわかりますよ。しかし、三年度に歳出予算を計上する場合には、初年度は幾ら、二年度は幾ら、三年度は幾ら、こういう計上の仕方をして承認を求めておられると思うのですよ。前渡金二億よりなくして二億繰り越さなければならぬものを三十六年度に計上したということが、おかしいじゃないですか、何か必要があって計上しておるなら別ですよ。前渡金だということになると、前渡金は四億計上しておいて実際は二億より出さないのだ、二億余ったのだ、こういう組み方自体がおかしいのじゃないか。工事費ならば、資材の値上がり等によって、あるいは労賃の値上がり等によって予定額を超過することもあり得ると思いますよ。初年度はどうせ契約時でしょう。初年度は設計契約のときです。設計契約のときに、二億より必要でないものを四億見積もったというのは、ずさんじゃないですか。大蔵省も建設省も、国会だから非常に遠慮したんじゃないですか。
  233. 舟崎正信

    ○舟崎参事 今の点、ちょっと御説明が足りなかったところがあるかと思いますが、三十六年度では歳出予算は三億七千八百七十五万一千円となっておるわけでございます。
  234. 川俣清音

    川俣分科員 これでどうして四億……。
  235. 舟崎正信

    ○舟崎参事 先ほど四億と申し上げましたのは、三十六年度で契約した分に対しまして、金が幾ら要るかということが四億七百九十三万一千円ということなのでございます。三十六年度では順調に設計等を進めまして契約できれば、十七億幾らが契約できるわけでございます。それは三十八年度までずっと工事をやっていく分が全部契約できるわけでございます。そのうち三億七千八百万円余が工事の資材調達等の資金の面を便宜をはかるために前渡金として要る分と、それから三十六年度内にでき上がる分に対する出来高支払い金がございますね。その分として必要であろうということで三億七千八百幾らを歳出予算として組んであったわけでございます。それが設計等の遅延とかいろいろな関係で工事の発注が年度末近くになりましたものですから、結局前渡金だけしか払えなかったということで、そのおくれた分の金は翌年度の三十七年度へ繰り越しをしたというのが実情でございます。
  236. 川俣清音

    川俣分科員 どうですか、事務総長、それをまとめて答弁してくれませんか。さっぱりわからぬのです。
  237. 藤野重信

    ○藤野参事 どうも質問を聞き違えまして申しわけございません。実はこの関係予算書でごらんになっています議員会館新常費の六億三千九百十二万六千円とありますのは来年度に入る予算の額でございます。それから隣の方に書いてあります国庫債務負担行為の方は、この六億余が出てくる説明書でございまして、これは現実の予算ではございませんで、工事を始める当初、つまり三十六年度において国庫債務負担行為限度額として当初から予想されていた分に追加分を含め総計が十七億一千二百八十七万二千円でございまして、その下の欄の参考のところに書いてございますが、そのうち三十七年度、つまりことしの年度において現実に出した金と出す見込みが十億七千三百七十四万六千円でございます。従いまして、この差額が、上から下を引いたものでございますが、六億三千九百十二万六千円でございます。この債務負担行為をした差額というものが現実の予算額に載るわけでございますが、それを区分してみますと、三十六年度分の債務負担行為として上がっているのと、三十七年分の二億三千万という額と、その分が六億三千九百十二万六千円だ、こういう説明でございます。現実に予算として入ってきた額は、先ほど営繕課長が訂正して説明申しました通り、三十六年度では三億七千八百七十五万一千円でございまして、それから三十七年度におきましては六億九千四百九十九万五千円でございまして、それから、現実に三十八年度には六億三千九百十二万六千円入った、予算上の説明はこういうことでございます。
  238. 川俣清音

    川俣分科員 非常にわかりにくいのは、三十六年度と三十七年度の国庫債務負担行為の歳出予算計上額が三十八年度の要求額と全く同じなんですね。三十八年度の要求額が六億三千九百十二万六千円でしょう。三十六年度と三十七年度の負担行為の予算計上額が合わせてやはり六億三千九百十二万六千円、同じなのですね。そうすると、説明によると、三十八年度の改めた予算額は、三十六年度と三十七年度に使った額をあらためて三十八年度の施設費として要求をしたようにも見えるし、国庫負担行為の分の内訳はかくのごとくであったのだが、さらに三十八年度はあらためて同額の要求をするんだというふうにも読めるわけです。これは一ついずれあとで明細にお聞きすることにします。これだけをやっていると時間を食ってしようがない。  それで事務総長に基本的なお尋ねをしたいと思います。  この予算書を見ますと、一般の政府機関官庁のような予算の編成の仕方をしておられるようです。別な表現でいうと、官庁機関というものは常に平常に恒常的に行なわれる機関でありますから、そういう予算の組み方をされておるように見えるわけです。これは必ずしも悪いとは言えないと思うのです。ところが国会というのは、そういう他の官庁のような経常的に運営されるような、機構、組織にはなっていないのじゃないですか。もしもそのような恒常組織的に運営するとすればできないことはないと思います。そうあってもよろしいと思うのです。ところが事務総長あたりは、ときどき恒常的な運営でなくして、非常体制のもとに運営をするということが往々ありがちなのです。ありがちならば、ありがちなような予算を組まなければならぬと思います。国会の正常化という建前からいって、正常的な運営をするのだといえば、そのような予算が組まれておりますから、この正常な形を逸脱するようなことについては、事務総長予算編成をした手前上、そういう運営は困るということが出てこなければならぬはずだけれども、むしろ正常な運営を非常な運営にすることにときどき狂奔されるようなこともあるのじゃないですか。この点どうですか。わかりにくいですか。
  239. 山崎高

    ○山崎事務総長 御質問の御趣旨は、予算編成の途中に正常でない事態が起きることが全然予想されていないじゃないかということと了承いたしますが、それでよろしゅうございますか。
  240. 川俣清音

    川俣分科員 こういうことなんです。この予算書を見ますと、超勤手当にいたしましても、すべての運営は一定のワクで、ちょうど各官庁のように定時登庁、定時退庁というのが原則であるというような予算の組み方をしておられるわけですね。国会開会中は常に夜おそくなるのだというようなことが予想されてはいないわけです。ましてや午前零時五分開会なんということは予想されていない予算の組み方になっておるじゃないかというのです。ほかの官庁はずいぶん予算に縛られて動きがとれないんですよ。国会は独自の権能があるといいながら、予算の編成の仕方からすれば、大蔵省はやかましく恒常的な運営の仕方でしか予算を組んでいない。それをこの予算編成をあえて変更するようなことを常時行なうということは事務総長としてどうお考えになりますか。こう聞いてもいいわけです。零時五分開会なんということになると、これは議員だけの問題じゃないですね。事務職員全体の問題なんです。光熱費から諸般のものみなそうです。それならそれなりに予算を組まれたらどうですか。常に零時五分なんということがあり得るのだという予算を組んだらどうですか。あなたが先になって零時五分開会に狂奔されているようなことがあるのじゃないですか。予算を自分で編成しながら、自分で編成を破壊するようなことをあえておやりになるじゃないですか。そのことを尋ねているのです。どうですか。
  241. 山崎高

    ○山崎事務総長 職員並びにわれわれの立場に大へん御理解ある御質問でございますが、具体的に今御例示なさいました超勤予算等につきましては、終戦後新国会になりました当初から超勤制度ができまして、いろいろと長い間の経験——長い間と申しましても十五年でございますけれども、その経験からいきまして大体開会中及び閉会中の平均の数を出しまして大蔵省と話し合いましてきめております。もっとも臨時会等の場合がございますので、その場合は適宜に補正予算等をお願いしているようなわけでございます。  なお、最後にお話がありました国会正常化に関する御質問は、われわれに対しまして国会の正常化にさらに一段の努力をすべきであるというふうな御教示と拝聴いたしまして、今後ともその線に沿いましてできる限りの努力をいたしたい、かように考えております。
  242. 川俣清音

    川俣分科員 そういう答弁をされるなら追及しませんけれども、議長を初めとして予算編成をしているのです。国民の税金を使うのですから、予算に拘束されるということであろうと思う。予算に拘束されるということは、予算というのは一つ法律行為なんです。その法律行為を犯すというようなことは国会みずからやるべきでないのじゃないか。こういうことなんです。それならばそれなりのような予算の編成の仕方をするならこれは別ですよ。このような法律行為をつくっておりながら、みずから法律違反をやるようなことを——これは法律とは言わないけれども、予算総則によれば法律と同じ構成なんです。拘束力を持つものなんです。少なくとも公務員に対してはそれだけの規制をしておるはずです。別な意味法律行為なんだ。それをあえて犯すようなことは、これは正常化でないことはもちろんのことです。それを議長を初めとしてあなたが率先しておやりになるようなことは——予算編成というものは自分を縛ることです。自分で編成しておりながら、縛られておりながら、縛られたことを忘れて自分でそれを乱すということなら、みずから一番先に法律行為を犯したことになると私は思うのですよ。予算というものはそういうものじゃないのじゃないですか。私はそういうふうに理解しておる。これは私ばかりじゃないでしょう。みな一様にそう理解をしておる。国民の税金であればあるほどこれに縛られるものだという理解をしておると思います。縛られていないのは国会だけじゃないですか。どんな小さい町村といえども予算に縛られておる。ワンマンの市長であれ、町長であれ、知事であれ、すべて予算に縛られて行動しなければならない。国会だけが予算に縛られないで行動できるということが許されるのですか。私は許されないと思うのです。これは原則ですから許されない。ただ臨時国会等は、これは別な、憲法に基づいて、通常国会以外の事態ですから、災害等の場合で臨時国会を開く、あるいは非常の場合臨時国会を開くということですから、これは別個に要求されるのはまた至当だと思いますよ。しかし、臨時国会におきましても会期をべらぼうに延長するとかいうことは、やはり縛られた行為をみずから逸脱することであり、破壊することなんだ。そうでなければ、予算を審議したって無意味ですよ。こんなものは何も力がないのです。これでやってみなければわかりませんといったような格好でしょう。あなたは別にして、運転手を初めエレベーターの者でも、あるいは委員部の者であれ、速記の者であれ、いやいや予算に縛られているのだから超勤は出せない、こういうことは許されないはずなんです。自分は違反を起こすけれども、お前にはこの予算に従って超勤はやらない、がまんしろ、こんなことがあなた許されますか。私は許されないと思う。だからそういう場合なら、初めから超勤を特に大蔵省に認めさせ、認められなかった場合はその範囲内で国会を運営していくということが、議長及び事務総長の任務だと私は思う。このことをやらないで国会の正常化なんておかしいですよ。正常化に力を入れますと言って、これやれますか。予算予算で別だ、国会は特別な権威があるから別だというような考え方をしたら、国会予算なんか審議することは無意味です。もう一度答弁して下さい。
  243. 山崎高

    ○山崎事務総長 議会の職員はよその官庁の職員等と、超過勤務につきましてはやや実際の運営において違うところがございまして、きょうの仕事をあした片づけようというわけにいかないのでございます。議会の委員会でありましても本会議でありましても、国政審議の大事な場が継続する限りにおきましては、やはり超過勤務をしなければいかぬ。その場合におきまして居残り命令を必要な職員に向かって出すわけでございまして、そういう点につきましては、よその官庁と違う点は大蔵省もよく了解してくれまして、過去におきましてだんだんと超勤の統計的な年間の基準ができまして、それによって従来まかなっております。なおそれでも不足する場合におきましては、さっき申しました会期延長、臨時会等につきましては、あるいは補正予算要求するなり、これは超勤だけでございませんで、議員の滞在費その他、既定経費でまかないきれない分がございますので、大体補正予算でまかなってもらっているというのが過去の実情でございます。  なおその節、ただいまお話がありました事務総長に対するおしかり等を承りますが、今後とも議会の正常化ということにつきましては、皆様の御理解のもとに、非常に微力でございまして、もちろん取るに足らない者でございますけれども、なお努力したい、かように考えております。
  244. 川俣清音

    川俣分科員 たとえば運転手にいたしましても、速記にいたしましても、あるいは委員部の職員にいたしましても、その他衛視等につきましても、いわゆる超勤手当というものがほかの官庁と異なるというほど異なってはいないようですね。幾らかよくなっておるということは一声えるでしょうけれども、あなたが運営をしておる実態に即応するような建前にはなっていない。そこでどこかに犠牲をしいるということになるだろうと思う。予算内でやることがあなたに課せられた任務だとすれば、職員に対して本同様だし、また国会運営全体からいって、夜あまりにおそくなるようなことをやらせないということが必要になってくるだろうと思う。そうじゃないですか。それは零時五分なんということになったら、深夜手当を出さなければならぬようなことが起こってくるでしょう。それは翌日になってやって、なぜ悪いのですか。予算というものは、財政法上も法律と同じ効力を持つということが建前になっておるのです。それは臨時国会は別ですよ。そういう非常事態ならば、非常事態のような予算の組み方をしておくならば別だと思うが、そういう組み方をしておらないのです。それは他の官庁よりも、翌日に回せないという事態が起こるであろうということで、幾らかは用意されていることは認めます。その範囲内だけなんです。それを越えることは許されないわけなんです。下の職員は零時五分なんというのは迷惑しごくなんです。賛成するのは事務総長と議長だけじゃないですか。あと、ほかの職員はまっぴら困っておるのです。困っている者には犠牲をしいて、やらした者は責任を負わないというようなことは、正常化からいっても、これはあなた、国会だけじゃないです、各通信機関からすべての者がみんな犠牲を負わなければならぬ。こんな運営の仕方は私はないと思う。これはぜひ総長においで願わなければならないことだ。議長はこの際は審議を願うのですから、本来ならば議長みずから来なければならぬはずなんです。国会総体としては権威者であるかもしれぬ。議長の立場ではあるけれども、予算審議の場合には審議を願わなければならぬ立場なんです。それでぜひあなたにおいで願わなければならなかったわけです。  さらにもう少し申し上げますけれども、国会というのはできるだけ国民の中で審議をするという建前でありますために、あまりへいを大きく設けないとか、あまりに厳重に国民の出入りすることを阻止するというようなことは好ましくないということになっておると思います。しかし、ときには異常な事態が起きるから、ある程度用意されるということも、事務総長としてはまた考えざるを得ない点もあるだろうと思いますが、いわゆる審議する構内についてはそうだと思いますが、今度できる会館もそれにおびえてかどうか知らぬけれども、衛視を配属するというようなうわさがあるのです。はたしてそんなことが行なわれるのですか。確かに会館の事務というものは公の事務もありましょうし、私的な事務もありましょうし、むしろ野党よりも、現在のところは与党の人が陳情を受けて、かなり多くの人を動員してきて、食堂あたりから廊下あたりをうろつかせてはおりますが、そのことは決して私は悪いとは思いません。これは自民党だから悪いの、社会党だから悪いのということではないのです。しかし、今度衛視を配属して取り締まるということになったならば、そこまで権限を伸ばすことはいかがなものかと感じられる。今でも、浅沼、河上事件というものが起きてから厳重になり過ぎて、相当非難が起こっておる。さらに新しい会館をつくると同時に、城郭を築いて、国民と城壁を設けるようなことは避くべきじゃないかと私は思うのですが、事務総長、いかがですか。何か衛視を三十名配属するのだ。今までのいわゆる管理部でやっておられます監視制度がございますが、これでもときどき一般の国民から見ると行き過ぎじゃないかとさえ非難を受けておる。これに衛視ということになりますと、大体衛視と監視とはどういう違いがあるかというと、一方の衛視は、やはり警察権を構内においては持っておる。大体出身も警察官等で、あるいは警察官に準ずるような者がおもに選ばれておる。これ自体もおかしいと思うのです。常に乱闘があるから、その乱闘に耐え得るような素質を持った者なんというのは、一体議員を初めから乱闘だというように考えて、衛視の選定をすること自体も問題だと思いますけれども、それはわれわれもかつてときどきやったことがあるのですから、必ずしも責めるわけにはいかないと、率直にこれは認めますけれども、会館にまで衛視を派遣する、あるいは警察権を持っておる者を派遣するというようなことは行き過ぎだというふうに思います。会館ができますと、これは管理部から警務部に移すつもりですかどうですか、事務総長の見解をお聞きしたいと思うのです。
  245. 山崎高

    ○山崎事務総長 新しくできる会館につきまして、その管理をどうするかという点につきましては、いろいろと考えたのでございますが、やはり一番大事なことは、議員の身辺を守ることである。これは幸いにして今まで院内及び会館の施設等につきましてそういうことは一回も起きたことはございません。しかしながら、議員会館ができまして新しい議員の個室等も、応接間ができるとなると、人の出入りも多くなるということも一つ考えなければいかぬ。また近代の会館等、ビルディングの管理といたしまして、たとえて申しますと、一つの会社、清掃会社みたいなものに、掃除とかなんとかいうことを委託する。よそのビルディング等ではエレベーター等も全部委託しているというようなところもございますけれども、それも極端に、議員の会館についてやっていいかどうかという点は今研究中でございますが、直接ある程度区分けできる部分はそういうふうなものに頼んでもいいのではないか。そしてどの職種にどうしたらいいかということは今研究させておるところでございます。  そこで、会館の実際の管理にあたりまして、最も能率的であって、しかも最も規律正しくいくという方法はどうしたらいいかという点でございますが、現在、会館の事務の諸君は、事務と監視と両方兼職しておりますけれども、会館設立当初は大体高等学校卒業生がやってきまして喜んでやったのでございますが、そのうちに大学を出てくると、もう会館に十年もいるから何とかして本館の方に移りたいというような希望も非常に多うございまして、青年をいつまでも実際の実務から離れたところに置くということもできない、そうかといって、事務局のようなところでございますと、よそに持っていくといっても、異動がございませんので限られておるという点もございますし、実際の管理面でいつまでもそういうふうなことで能率が上がるかという点も考えなければいけないという問題もございます。  そこで、結局将来のことを考えましても、立法府センターというような非常に大きな構想も今両院の議運でもって御決定になりまして、これは終戦直後から御決定願ったのでございますけれども、最近に至りまして周辺の建物の建設計画がだいぶ変わりましたので新しいのにいたしまして、一つの立法府センターの構想というものが生まれて出ております。道路等も全然つけ変わるようになる状況でございまして、将来のことを考えますと、さしあたりできる会館の警備は、何と申しましてもこれは議員さんの執務が中心にならなければならないという見地から、しかも管理、警備というものについて普通のビルディングやホテルのように野放しにするわけに参りません、そういう点から考えて、一番能率的な方法は何かというと、これはやはり事務になれておりますところの警務部が一番いいのじゃないか、しかも最少の人間でいいのではないか、各フロアに一人の衛視が立つことによって、巡回することによって——今度は何階にもなりますので、フロアごとにレセプションを置いたりして連絡等もとらなければいかぬという点も考えまして、実は庶務小委員会のときもそのことをお話したのでございます。そうしたら警務課の方がなるほどいいかもしれないという話がございまして、予算編成で大蔵省に要求する際も特にその点をお断わり申し上げまして、各党もそれでよかろうということになりまして、衛視ということにいたしてやっております。しかし具体的に会館ができ上がりますのが本年の秋でございますので、それまでには具体的にどういう形でやるかということはなお十分に研究いたしまして、でき上がりましたならばその体制でいきたいというふうに考えております。予算要求としては大体御研究願ったところで、やはり警務部の方が一番能率的に、しかも身辺保護の見地からいいじゃないかということで要求いたしたわけでございまして、さように御了承願いたいと思います。
  246. 川俣清音

    川俣分科員 これは会館等をたずねてくる人は報道関係者もありましょうし、常時たずねてくる人もありましょうし、何年に一回たずねてくる人もありましょう。十年に一回とか一生の間に一回という訪問客もあるだろうと思います。従って、それをみんな議員の身辺が危険であるというふうに見ることはみずからを卑下したことになると思うのでありまして、結局国会の運営というものが正常に行なわれておれば、あるいは静ひつに行なわれておりますならば、そういう問題もまた起こらないで済むであろう。常に問題が国内に起こるとそういう空気をむしろ誘発するのであろう、こういうふうにも考えるわけです。だから、われわれもみずから反省もするから、いたずらに衛視をつけて守るのだというのか監督するのだというのかあるいは閉塞させるというのかわからないようなことは、むしろ国会の権威を低下させるゆえんだというふうに考えます。議運の小委員などはばかに権力者のようなつもりでお考えになるかもしれぬけれども、みんなそういうわけではないのです。これは十分こういう機会を通じて一般の議員の真情を一つ明らかにしておきたい、こう思ってあえて申し上げたわけです。  まだ予算についてお尋ねをしなければならぬのは、会館の清掃のこともそうですが、国会の中の清掃でも、清掃が始まるのは大体九時半ごろからです。十時の三階の委員会が始まるときには今清掃中だ、これでは審議を促進してくれの時間通り励行してくれのと言われましても、これは委員会に入る前に一応生理的現象を済ましてから委員会に臨むということになると思います。それなのに、委員会が始まる前後に清掃して戸を締めてしまうというようなことは、審議を進めてほしいなどということと全く逆行なんです。それから、この間事務総長にも私抗議に行きかけて途中でとまりましたが、予算委員会を時間通り励行しようということでかなり時間通り励行してきた。人員も確保しなければならぬということで、このからだで呼び出しにいく、あそこのところのエレベーターが動かないでいる、何でかというと、いや病気で休んでいるというようなこと、審議を促進する態勢を事務当局がつくるということが任務なんですね。それを履行しなかった場合に——準備万端できておりながら、これが議員の怠慢だったら議員を責めていかなければならぬ。議員の審議活動を十分能率的にしてやるということがエレベーターの存在する理由だと私は思うのです。それなのにかかわらず、要員が確保できない、一人か二人休めばエレベーターが動かない、一人か二人休んだために全機能が麻痺するようなことをやらせておってもいいのですか、ここのエレベーターが一番多く動いている。委員部なんかに一ぺん聞いてごらんなさい。どこが一番ひんぱんに動いているかというようなことは、これは警務部長であろうと管理部長であろうと全部知っていなければならぬはずです。どこが忙しいかわからない状態、そんな人員の配置をしておってよく審議を促進しようの正常化しようの、そんなことがどこから出てくるのですか。これは事務総長までいかないでもいい問題ですけれども、一例を言えばそうです。どうして正常化しようか、どうして能率を上げようかと思って一生懸命やっているときに、単なるエレベーターじゃないかと言うかもしれないが、これは一番の機関です。これには速記者も乗るのです。時間までに来なければならぬ。そういう機能を果たすべき機関が果たせないでおってどうして正常化なんです。今聞いてごらんなさい。どこが一番忙しいか、ここが一番忙しい。正面は体裁だけの話です。正面三台動かして体裁を整えているがあまり忙しくない。一番審議に重要なところ、たとえばここであろうとここであろうと、委員会が始まったならばどこが一番能率を発揮しなければならぬかということは、あなたは国会に何年もおられたのですから一番知っていなければならぬはずです。おれはそんなことまで気がつかないよと言われるかもしれぬけれども、あなたはもう国会の主でしょう。どこにすわっておってもどこが今忙しいかというようなことは常時わかっていなければならぬはずだと思うのです。私もほんとうはこんなことを言いたくないのです。こういう公の席上では言いたくないのですけれども、少しだれているのじゃないかという気もいたしますけれども、それじゃなくて、もう少し一段と、予算の審議にあたりまして、もしもこれでできないならば、能率の上がるような予算の組み方をしなければならぬ。この範囲でやるということが無理ならば、その無理を予算上解決しなければならぬ。それでお尋ねをしておるわけです。いかがですか。
  247. 山崎高

    ○山崎事務総長 前段の、参観人の扱いにつきましては、御注意がございましたので、さっそく十分注意をするようにいたしたのでございますが、エレベーターの問題につきましては、実ははなはだ恐縮いたしております。警務部長がさっそく詳細に調べまして、病人等が何か半分くらいになったということがありましたけれども、それは弁解にならないということは、警務部長もよく知っておりまして、まことに恐縮しております。なお、それにつきまして、私も、今後の対策としてこういうことのないよう養成しておけということを申したのでございますが、御指摘の点がございますし、また、もし万一それが予算の審議等に影響を及ぼしてはまことに相済まぬことと存じますので、今後は一つ十分に注意いたしたい、かように考えております。
  248. 川俣清音

    川俣分科員 だいぶやかましく言ったので、翌日からさっそく回転がよくなりまして、非常に能率が上がるようになりました。これは一つ努力のことは感謝いたしておきますけれども、これは私が感謝すべきではなくて、国会全体の問題なんですから、どうぞそのつもりで……。  さらに、ここに連絡の電話が三本あって、一本は大蔵省専用、一本は政府委員室、一本は議員用とありますけれども、何といいましても三階には電話がないわけです。三階の喫茶室がおもに官庁の連絡電話または報道関係者の連絡電話——報道関係者のような方々は、職務上、かなり原稿を送るために長く使わなければならないという事態もある。従いまして、三階にもう一つか二つボックスを持って——やはり報道関係者の協力がなければ、というものの価値が非常に弱まるわけです。決して報道関係にお世辞を言うわけじゃない。個人が好んでやっているわけじゃないのですから。二階ですと各部屋にありますが、三階ですと、委員会が始まると、各官庁の連絡または報道関係者の本社との連絡等がかなりひんぱんに行なわれるわけです。何か電話の配線も思うようにいかぬそうでありますが、こういう点についても、全体の能率を上げる上にもう一段の工夫が必要ではないか。大した経費じゃないと思います。どうぞこういう点について一つ配慮してほしい、こう思います。  もう一つ注文がある。厚生施設である医務室の整備ですね。これもたびたび私が——何といいましても、議員が無理して登院をしておるものですから、ときどき病気等に冒される寸前の場合もありまして、相当活用者が多いことは、日記によっておわかりだと思います。ところが、ときどきその薬等が切れておる。なかなかその予算措置を講じてもらえないということも時おり聞くわけです。ことにかぜがはやったりするような場合などは、かぜ薬などというものは大したことないですけれども、大したことのないものが切れたりすることが多いのです。こういう点について、議員全体の厚生施設ですから——あなた、衛視を雇って身辺を守ってあげますなんというが、生命に関する方を先に守ってもらわなければならぬと思うのですよ。これはほんとうですよ。この点についてはどうですか、もう一度総締めで一つ
  249. 山崎高

    ○山崎事務総長 電話のことにつきましては、さっそく研究さしてみたいと思います。  なお、医務室の充実につきましては、これはもうおっしゃる通りでございまして、院内の医務室はこれは応急用の施設としてあるわけでございますが、御承知通り、議員全般に関する健康保険制度等がまだできておりません。これはいろいろと御研究願ったのですが、ついにまだ実現を見ずにおる点がございます。しかしながら、そう申しましても、日常非常に多忙な、ほとんど時間がないくらいに多忙なお仕事で、われわれもよく拝見いたしておるところでございますので、一番に注意をしておるところでございます。医務室につきましても、実はおりおり各先生方からお話がございます。できるものから片っぱしからやっているつもりでございます。たとえて申しますと、心電図等につきましても、あるいはもっといいものにしてくれとか、あるいは蒸溜水をつくるものをつけてくれというお話があるたびに、可能な限り即座にやっておりまして、一つは、成人病と申しますとガンと高血圧でございますが、ガンについてもというお話がありましたが、あれは医者の手がそろわぬといかぬという点がございまして、医務室長の東京病院の方にもよく十分研究さしたのでございますが、それはやはりあそこで完全なる診断をすることは不可能だろうというので、残念ながら見送っておるような情勢でございます。なお、新会館ができまして——一号館では無理かと思うのでございますが、二号館の建設に入ります際には、一つさらに充実した医務室を置きたい。そこで、関係の部長には、各ビルディング等にも相当充実した医務室があると聞いておりますので、それぞれについて、その施設、どの程度のものをやっておるかという点を今から研究しておくようにといって、内々研究さしておりますが、今後ともさような施設につきましては十分に一つ注意して参りたい、かように考えております。
  250. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 先ほど調査を御要求になりましたお答えを庶務部長からいたすそうでございます。藤野庶務部長
  251. 藤野重信

    ○藤野参事 先ほどの御質疑に対しましてお答え申し上げます。  この予算に載っております額の説明でございますが、御承知のように、国庫債務負担行為と申しますのは、一つのワクでございまして、それの方から参りますと、経過を申し上げますと、三十六年度の当初では約十四億八千万の国庫債務が入っておったのでございます。これは、この額において契約できるという限度額でございます。三十六年度の現実の歳出予算の方に組まれておりますのは、三億七千八百七十五万一千円でございまして、そのうち二億六千百十八万を現実には支払っております。これはどういう額かと申し上げますと、三十七年度中、つまり三十六年から見れば翌年ですが、その翌年度中に支払われる支出分、つまり六億五千二百九十六万円に対する四掛、四割としまして二億六千百十八万五千円、これだけを現実に三十六年度では支出いたしました。従いまして、繰り越された額は一億一千七百五十六万六千円でございます。しかるところ、三十七年度におきましては、資材の値上がり等が見込まれますので、国庫債務負担行為の額を二億三千百十九万五千円増額していただきました。その結果、これを国庫債務の総計を合計しますと十七億一千二百八十七万二千円、これがここに書いてあるまん中辺のトータルでございます。あとはこの説明になりますが、六億三千九百万というのが出ますのは、要するに参考の下の欄にございます十七億一千二百万から昭和三十七年度以前に出した額、それからまた現実にはまだその年度は終わっておりませんから、その見込み額を合わせた額が十億七千三百余万円になるということで、国庫債務負担行為の額から現実に出した額を引きました残が、来年度の予算額ということになるのでございます。つまり国庫債務負担行為のもらっただけのトータルから現実に使ったものを引いたこれが来年の予算額になります。これをたまたま上の段で説明しますと、この六億三千九百万というものが債務負担行為の方から見ればどういう関係になるかということで、当初三十六年度分にいただきました国庫債務負担行為の中からは四億七百万で、それから三十七年度に新たにつけていただいたのが二億三千百十九万五千円、こういうことでございます。はなはだ説明が至らないために御迷惑をおかけいたしまして申しわけございませんでした。
  252. 川俣清音

    川俣分科員 大体それで了承するのですが、ただ了承できない点が一つあるのです。それは参議院は、十七億六千八百万円ばかりに対して、初年度である三十八年度は、これは契約だけだと思うのですが、三億二千三百万円なんですね。大体総経費は同じである、あるいは参議院の方がもっと上でありながら、初年度経費いわゆる契約等の経費はもっと少ないのです。同じ建設省の営繕費がやるのに、衆議院は多くて、参議院は少ない。ここに何か衆議院はいろんな政治力を使いましてどうも変だといううわさが立つことを、私はできるだけ否定したいと思って聞いているんですよ。
  253. 舟崎正信

    ○舟崎参事 参議院の方は三十七年度におきまして、整地費等で五千万円程度予算が計上されているやに聞いております。その分が繰り越しになりますので、三十八年度分ではやはりプラスされますから、衆議院の初年度で計上した歳出予算と大差がないのじゃないかと思います。
  254. 川俣清音

    川俣分科員 わかったようなわからぬようなですよ。三十八年度の予算書には三億二千三百七十万円ばかり予算を組んでおる。前年度からの繰り越しがあったといたしましても三億七千万円くらいで、衆議院は四億、しかも会館の営繕費全体からいうと参議院の方が大きくて、初年度の契約金は少ない、こういうことになるので、この予算書から見ますと、衆議院だけに特別な処置をとったようにも見えます。内訳はそうではなくして、三十七年度の繰り越しをしたということでありますから大体了承をいたしますけれども、衆議院のやることにつきましては、いろいろな政治的な圧力や運動によって、会館自体につきましても、建設自体につきましても、とかくのうわさが立ちやすいのでありますから、十分慎重に事を運ばれることを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  255. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 以上をもちまして、本分科会の本日の予定の質疑は終了いたしました。  明十九日は、午前十時より開会し、科学技術庁及び防衛庁関係について質疑を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十六分散会