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川村(継)
分科員 それでは、私の方から一、二点御
指摘を申し上げておきたいと思う。それは、この
奄美群島復興の十カ年計画によりまして、水産業の振興をはかるために、漁船建造という費目について融資が行なわれておるわけであります。ところが、この漁船建造の場合に、
昭和三十三年までに、
昭和三十年、三十一年、三十二年、三十三年、この四カ年間の漁船建造に対して融資をなされたのが一億九千万円
余りであります。その間において三十五隻の船が建造されておる。ところが、この三十五隻の船が、ほとんど船籍を
奄美に持たない。焼津であるとか、大阪であるとか、
鹿児島であるとか、こういうところにみな船籍を持っておる。そうして船主もほとんど
奄美には住んでいない。名目だけ置いておる者もおる。この船が操業いたしまして魚をとってくる。とった魚は、
奄美にはほとんど揚がらない。それを——数量を申し上げてもいいです。みな本土の方に運び去られる。それは確かに、
奄美に水揚げをしても、魚の冷凍設備がないとか、あるいは需要の
関係で持っていけないとか、その理由は確かにございますから、それはやむを得ないといたしましても、
奄美にほとんど水揚げが行なわれていない。わずかの部分であります。ところが、この船の建造は、みな
奄美復興の融資によってつくられた船であります。一体これで
奄美復興のために何の役に立っておるのか、こう言わざるを得ない問題がございます。しかも率直に申しますと、当時、
奄美復興のこの
仕事が始まるときに、
鹿児島県の水産課長をしておった人物が、直ちにやめて漁船建造に手をつけて、名目を変えながらみずから八隻も融資を受けて船をつくっておる。今申し上げましたように、船籍もない、水揚げも全部外にやる、こういうことで、船の乗組員に若干
大島の諸君が雇われておるということになっておるのでございます。それはいろいろむずかしい問題もありましょうけれども、せっかく国がたくさんの金を
復興のために出して、水産業の振興のために金を使っておるのに、一体これでは
奄美群島復興のために何の役に立っているか、こう言わざるを得ないような実は事実があるわけであります。これが
一つ。こういう点は、私は法に違反するとかどうということはよく存じません。しかし、これは確かに、金の使い方からいったら、私は、不正不当なものである、こう
考えているわけであります。これが
一つございます。あとで、私が申し上げましたことについてあなたのお
考えをお聞きしたいと思います。
たくさんありますけれども、いま
一つぜひあなたのお耳に入れておきたいと思います。これも過ぎ去ったことで実はとやかく言うわけではございませんけれども、一昨年ですか、こういうことを私は
関係の当局に
指摘して、是正するように指導を十分にするように言ったのであります。ところが、十分なされていないようであります。しかも今申し上げました漁船建造につきましても、実はその後今日まで、いよいよ
昭和三十八年度で一応
復興十カ年計画が完了するわけでありますけれども、この中には、三十四年、五年、六年、七年、八年と、残余の年数について漁船建造の
事業費が五億二千万円予定をされている、そして四億六千万円の融資が予定をされておる。その後の漁船建造について、私は今三十三年までの分を申し上げましたが、三十四年、三十五年、三十六年と、一体どういう
状態でこの漁船建造がなされたか。私が申し上げましたような、まことに残念な姿で漁船建造がなされておったとしたならば、大へんな問題ではないかと私は
考えているわけであります。ここにもぜひあなたの方で
十分一つ調査をしてもらいたい問題があるわけであります。
それからいま
一つ問題として、これも
先ほどちょっと申しましたように、過ぎ去ったことで実はいろいろ言うことはかえってどうかと思うのでございますけれども、たくさんございますから、
一つの例を申し上げているわけであります。それは
奄美大島にいわゆる電力会社をつくった。その名前は
大島電力会社であります。この電力会社がこれも
昭和三十三年度までに三億六千六百万円を開発銀行から融資を受けてやっている。ところが、このときの電力会社の約束をしたところの出力は、二千五百キロワットを出す、こういうことでこの金が実は出ているわけであります。ところが、実際に送電を始めた力というものは、三百七十キロワットである。相当大きな差がある。なぜそういうことになったか。この電力会社は、この発電をするのに、長崎から中古の発電機を持っていって据えておるわけです。だから出力が十分出なかったという結果になっておるようであります。しかも、このようなやり方を通産省が認めておる事実がある。こういうようなことで一体
奄美の
復興のために大きな役割を果たし得るかどうか、こういう問題が実は
考えられるわけであります。
奄美復興の融資、その
資金を、率直に申すならば、食いものにしてもうけていこうという
考え方を持っておる者がすぐ手を伸ばしてくる、こういうことが
指摘できるのじゃないかと思うのであります。多くの問題をくどくどしく
指摘いたしませんけれども、こういうようなことを
考えると、あなたの方のお力添えを十分いただかなければ、国政というものあるいは
国費の
使用というものが正しくならぬのではないかと私は
考えておるわけでございます。お
考えを
一つお聞かせいただきたい。