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堂森委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本
委員会は、
政府が、後に述べます項目につきまして、
昭和三十七年度
一般会計補正予算(第3号)、
昭和三十七年度
特別会計補正予算(特第3号)及
び昭和三十七年度
政府関係機関補正予算(機第3号)を
編成し、すみやかに
国会に
提出することを要求する動議を
提出いたすものであります。
本年一月から二月にわたります未曽有の豪雪は、交通杜絶による被災地の孤立、なだれによる家屋の倒壊、人命の損失あるいは生業停止による生活の不安など、激甚なる被害をもたらしておるのであります。
今回の豪雪は、百年ぶりのものであることは確かでありますが、はたしてこれは天災とのみ簡単に片づけることが妥当でありましょうか、断じてそうではないと思うのであります。すなわち災害
対策の基本法が成立いたしましたのは、
昭和三十六年の十一月であります。この基本法に基づきまして、直ちに中央、地方に防災
会議が設けられ、科学的に具体的に防災
計画を樹立し、国土及び国民の生命、身体及び
財産を災害から保護する使命を有し、組織及び機能のすべてをあげて、防災に関し万全の
措置を講ずる責務を持っておるのであります。従って、常に災害に備えるべき責任、義務を
政府が持っていることは、当然と申さねばなりません。なるほど
政府は激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の成立がおくれましたことなどを
理由といたしまして、その責任のがれの
理由といたしておりますが、今回の豪雪に対して防災の
計画を持たなかったことに対し、強くその責任を追及いたすものであります。
かかる意味から申しましても、当然被災地に対する
政府のあたたかい保護救援と災害復旧の
措置が講ぜられなければならないことは言うまでもございません。特に被災者に対する強力な生活援護の
措置を講ずるとともに、交通の確保は国の責任で行ない、豪雪による堆雪の排除は、堆積土砂の排除と同様に、国の高率補助の対象とするなど、今次豪雪被害の特殊性にかんがみて、適切なる
措置を講ずることが必要であり、このために必要
予算を追加計上することが必要であります。
また、中学校卒業者の急激な
増加と、高校進学率の上昇による高校施設の
不足は、深刻なる受験地獄を招き、このままでは多数の中学浪人を生ずることは必然であり、青少年の家出や不良化など、青少年問題の原因となっておるのであります。これに対し高校施設の急増をはかることは当面の急務であり、このためにも必要
予算の追加計上が必要であり、すみやかに
昭和三十七年度第三次補正
予算を
編成することが必要であると認め、本動議を
提出した次第であります。
以下、その内容について申し上げるものであります。
第一に、豪雪
対策につきましは、次の方針に基づく豪雪
対策費を直ちに
調査算定し、追加計上することといたすのであります。
一、道路除雪費は全額国庫負担とし、国費による除雪機械の設置及び鉄道、軌道の除雪に対する助成
措置を講ずることとするものであります。
第二に、豪雪やなだれに基づく死亡、負傷、家屋の倒壊や損傷、著しい収入の減少などの個人災害に対し、罹災者援護法を立法化して、見舞金、弔慰金、医療費、生活扶助料の支給、生活資金の無利子貸付等の
措置を講ずることとするものであります。
第三には、豪雪による堆雪については、堆積土砂と同様に扱い、激甚災害に対処するための特別の財政援助などに関する法律を適用するとともに、特に著しく費用を要し、生活に影響のある個人の除雪に対しても、同様の助成
措置を講ずることとするものであります。
第四に、農林漁業、中小企業者などの民間災害復旧費に対し、十分な助成
措置を講ずるとともに、救農救漁土木事業実施の
措置を講ずることとするものであります。
第五に、融雪期に予想される溢水等の災害に対する緊急予防
措置並びに融雪後の路面復旧費に対する大幅な国庫補助の
措置を講ずることとするものであります。
第六には、豪雪により
事業所が休業したため、もしくは交通不能のため就労し得なかった労務者に対しては、
失業保険金を給付するよう特例
措置を講ずることとするものであります。
次に、高校急増
対策につきましては、高校進学希望者の全員入学を確保するため、公私立高校の
建物設備費、校地費、産業教育振興などの助成費を大幅に追加計上することといたしておるのであります。
まず第一に、本年度中学を卒業する生徒は二百五十万人に達しております。これに対し、
政府の高校進学
対策は、進学率を六一・八%という低い
計画を立て、公立高校全日制九十万人、定時制十七万人、合計百七万人、私立高校四十八万人、公立、私立合わせて百五十五万人を収容する。すなわち百六十二万人の進学希望に対し、その九五・七%、百五十五万人を収容するという
計画であります。しかしながら、私どもの
調査によりますれば、進学率は六八・三%に及ぶものと見られ、全日制公立収容者を百十八万人と
計画いたしておりますので、
政府計画と二十八万人の差が生じてくるわけであります。
第二の点は、
建物、校地に関する点であります。
政府は、坪当たり単価を鉄筋、鉄骨、木造、平均して一割増で考えておられるようでありまするが、これは二割増で考えないと
実情に合わないものであります。また基準坪数につきましては、
政府は一割減で見ておるが、われわれはこれを認めることができないのであります。さらに
政府は、
増加分を学校新設一、学級増設二と見ておるようでありますが、これは新設三、増設二の割合で見るべきと考えるものであります。
次に、国庫負担につきましては、
政府は、工業高校のみを対象とし、三分の一の補助としておりますが、われわれは、すべての高校に対し、
建物の二分の一、校地買収費三分の一の補助を行なうこととしております。さらに交付税率の引き上げと起債の拡大を期すべきであると考えておるのであります。
以上が本動議を提案いたします
理由とその内容であります。私は、
政府が直ちに以上の内容を盛り込みました
昭和三十七年度第三次補正
予算を
編成し、これを本院に
提出されるよう要求するものであります。
さきに
政府は、三十七年度
予算の第二次補正を
編成し、これを成立せしめたのであります。この第二次補正での中心内容は、三百五十億の産投会計への繰り入れでありまして、しかもそのうち二百五十七億円は実に
昭和三十九年度以降の使用に充てるものであり、全く補正
予算を組むべき緊急性が認められないものであります。そのような第二次補正を組んでおきながら、今この現実に緊急
対策を必要としておる豪雪被害
対策及び高校生急増
対策に対して、もしも
政府が第三次補正を組まないというならば、これこそまさに国民生活を無視する池田内閣の本質を暴露したものであり、われわれはこれに対し重大なる決意をせざるを得ないのであります。私は、ここに池田総理に対し若干の警告をまじえながら、第三次補正
予算の
編成をすべきである、このようなわが党の動議の提案の趣旨説明を申し述べたわけであります。
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以上をもって終わります。(拍手)