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足鹿委員 この問題であまり時間を食い過ぎましたので先へいきますが、あとでまた大蔵
大臣に一括してお尋ねをいたします。
そこで、これとの関連で先ほども申し上げました硫安工業対策と
政策融資の問題についてでありますが、
政府は暮れに自民党の肥料対策審議会の意見を入れて、百三億の赤字処理の融資を十三カ年賦で、六分五厘で開銀融資を決定し、その利子の差益でもって実質赤字百二十五億を埋める
方針を立てて、今
国会にもその措置が講ぜられておる。また一方、合理化対策として百六億、十年賦で開銀及び北海道東北開発公庫を通じて融資をし、その金利差をもって実質上の合理化を促進援助する
方針を打ち出され、旧ろう肥料審議会懇談会にその経過の御報告がありました。私どもは審議会の正式の開催を求めましたが、今日に至るまでまだその機会を得ておりません。いずれお開きになると思いますが、いかがでありましょうや。詳しくはそれらの機会に譲りたいと思いますが、このような実質の補助金ではなくして、私企業に対して、しかも欠損ではない、利益の多少の段階である企業に対して赤字補てん、企業合理化の融資を通じて事実上の莫大な
政策融資が行なわれ出したということは、本年度の予算の特徴の
一つであろうと私は思います。そのきっかけをつくったのが、この硫安工業対策の
政策融資ではなかったかと、かように理解いたしておるのであります。そこで硫安工業の輸出赤字の原因については、今さら私はこれをさかのぼってくどくどと検討したいと思いません。しかし時点を明らかにしておきますが、第一次合理化計画について、二十八年から三十二年に、生産能力について計画では業界が
考え政府の承認を得たものは三百十一万九千トンであったものが四百三十六万二千トンとなり、その差し引きが計画より百二十万トンもオーバーし、これが赤字輸出を余儀なくする滞貨として業界を圧迫した、これは争えない事実であろうと思います。また設備資金
関係を見ましても、第一次計画で合理化資金計画が二百三億二百万円であったが、投下実績は六百三億二千八百万円の過剰設備投資となりました。これが金利負担の増大を来たし、さらに赤字の累積の第二のおもなる原因をなしたことも御承知の
通りであります。そこで、合理化の目標は、第一次計画ではどうなったかといえば、二十八年トン当たり六十五ドルを五十ドルに下げるという第一次の合理化の目標であったが、これが合理化の達成は、五十五ドル〇五という五ドル余りの未達成額を残したままに第一次計画は終わった。これを四十キロ当たりにいたしますと、二十八年度が九百三十六円だったものが七百九十二円七十銭という、相当の値下がりはあったと思いますが、事実上合理化目標を達成しなかったということがいえると思うのであります。このように
考えてみますと、硫安工業の輸出赤字の原因は、今述べたような池田
内閣の、あるいはそれ以前の景気過熱
政策、高度の経済成長
政策が刺激となり、このような一面に過剰投資となり、過剰在庫となり、それを輸出に赤字覚悟で出さざるを得なくなった、しかも硫安二法の
規定があって、そういうことになったということになろうかと思います。こういう事情でありまして、これはあとで申しますが、硫安工業の輸出赤字の原因を
政府が百二十五億も実質に補てんしなければならないということについては私ども疑念を持たざるを得ない。いわんや第二次合理化計画の三十二年からことしでその年度が終わるわけでありますが、アンモニアの生産能力と生産実績については、生産能力が最終年度において五百四十四万トンの計画に対して、六百九十七万六千トンの実績に明らかなごとく、過剰設備が過剰生産の傾向に拍車を加えております。対外競争力がないにもかかわらずしゃにむに輸出をしなければならぬ。従って赤字がそこにまた出てくる。こういう累積した結果が現われておる。この第二次の場合でも設備投資は四百八十億の計画に対して七百八十五億九千八百万円の巨額に達しておる。三百五億円の過剰投資をしておる。これは合成硫安メーカーが単肥生産にこれだけの投資をしたとは思えない。いわゆる副次生産である。あるいは高度の総合化学産業自体に投資したものだと
考えざるを得ない。肥料部門はその一部を形成しておるのにすぎないと思うのでありますが、それはともかくといたしまして、合理化の目標は、当初の合理化目標トン当たり五十四ドルを四十七ドルに第二次の場合に改定をされました。さらにこれを三十六年六月、閣僚
会議が開かれまして、四十三ドル四十七セントにされたことは
大臣も御承知の
通りであります。これが今もって達成できないままにもう最終年度を迎えたわけであります。そこで、肥料工業は斜陽産業だと宣伝されておりますが、では硫安各メーカーの経営
状態について
大臣はどう見ておられるか。専業八社の配当率は六・三五%であります。兼業八社の配当率は一一・三五%であります。これは三十六年下期の日銀統計によるものでありまして、権威あるものと言わねばなりません。だとするならば、この合理化目標は達成もできない。しかも百二十五億の赤字補てん
政策融資を行なう。それのみならず、さらに今度は百六億の合理化資金を本予算に、財政投融資計画の中に織り込んでおられるわけでありますが、一体過去においてこういう実績であり、今度の合理化の百六億の算定基礎をどう押えておられるかということを私はお聞きしたいのでありますが、赤字の問題は一応どのように
考えられるか、これも御
答弁願いたいのでありますが、中心はこの今度の百六億の、つまり二百六十六億の合理化資金の四〇%、百六億と大まかにお示しになっておりますが、合理化計画はどういうものでありますか。たとえば合理化目標は、四十三ドル四十八セントを三十六年九月の四
大臣の会談決定を継続して実施していかれるための百六億の投融資でありますか、新しく合理化計画で
政府が
政策融資をするならば、新しい合理化目標を定めてのことでありますか、合理化の推進力は何によってなさろうとしておりますか、少なくとも業界に対するお義理は私は済んだと思うのです。過去のことを私はあえてここで深く追及する時間を持たぬというのは、以上申し上げた
通りでありますが、百二十五億の実質赤字は解消しております。租税減税措置と、特別措置による減税と、今回の金利差とで埋まっております。業界は売掛金二百億だといいますけれども、これは名目であって、
政府の
御存じの
通り、実損は百二十五億といわれておる。これはこれで帳消しになれば、将来にわたってのこの業界の怠慢というか、ずさんさというか、自分たちの利益は兼業八社では一一%の配当率を確保しながら、不況といわれる会社においてすらも六%を維持しておるではありませんか。そして合理化自体は自分の会社のことではありませんか。
政府は何を目標に今回のおおばんふるまいの
政策融資をされたのでありますか。合理化目標は何ドルにして国際競争力に耐え得るような合理化を育成していかれる御所存でありますか、それをはっきりしていただきたい。