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芳賀委員 ただいま農林
大臣から、乳価は、基本乳価が法律に基づいて一升五十二円であるということを言われましたが、今日の
国内における地域的な乳価というものには非常に差がありまして、最高は一升七十三円、
最低が五十四円、ですから大体二十円近く同じ一升の牛乳についても
生産の地域によって格差があるわけです。それを無視して、どこでも五十二円が基本乳価だ、それを上回る分は、補助金とか奨励金でやるとかいう、そういう
考えは全く
実態を知らない論ですよ。そういうことをあなたが
考えておるから、メーカーは五十二円を上回った乳価分は、これは基本的な乳価ではない、臨時的あるいは漸定的の補助乳価であるから、いつでもこれは取りはずし自由であるというような、そういう
考えをむしろあんたが与えておるようなことになるわけです。これは全く
実態を知らない
考え方です。そういう間違った判断の上に農林
大臣も
畜産局長も立っておるから、メーカーは平気で一方的な不当な値下げを行なうということになったわけです。これを直さなければいけないじゃないですか。一体五十二円というものはどの乳を指すわけですか。法律によると、原料乳についてだけ畜安法でこれを
最低支持するということになって、今乳製品の原料に用いる乳以外の、いわゆる飲用牛乳というものは対象になっていないわけです。いいですか、ですから主として大都市周辺の供給地域の場合には、
比較的乳価が六十五円とか七十円で高値である。それから北海道、東北等の、大都市を持っておらない、いわゆる乳製品の原料乳
生産地域においては、五十円台の非常に安い乳価で取引がされておる。このように一升十五円も二十円も差のある乳価の実情の中において、いや、五十二円までは下げられてもやむを得ないというような、そういう全く
実態をわきまえない
大臣の酪農に対するあるいは畜産に対する態度というものは、歴代の
大臣でもそういう人はいないですよ。あんたは昔から何十年も農林省におって、次官までになった人じゃないですか。そして自民党の中においては、政調の重政
委員会といって、相当威力を発揮したということも私は聞いておるわけです。だからわれわれの期待は、こういう間違った状態というものを、十二月中にすみやかにこれは解決すべきであるということを、われわれとしては
指摘したわけでございますけれ
ども、畜産局は全く無為無策で今日に至っておるわけです。二十億円買い上げするといっても、まだ今日においても全然現物の買い取りは行なわれていないじゃないですか。十二月二十一日に
政府は方針を決定して、一カ月以上たって、まだ二十億円の製品買い上げというものは実際に行なわれていないじゃないですか。それでは意味をなさないでしょう。乳製品が過剰傾向で市況を圧迫しておるから、その過剰在庫分について、これを
政府が事業団を通じて買い上げて、これを凍結することによって市況を回復するというねらいの上に立っておる場合には、迅速にこの処置をやらなければならない。いつまでこれを買い上げるかわからぬというような方針では、二十億円の買い上げ措置というものは全然効果が上がらない。しかも、いつまでに買い上げを締め切るということが明らかにされていないじゃないですか。だから
考えようによっては、一年かかっても、二年かかっても、二十億の範囲内で製品を買い上げします、こういうでたらめな買い上げ措置なんというものは、何ら意味をなさないと思うわけです。この点については、昨年の方針決定の場合には、
大蔵大臣も参加されたと思いますが、一体二十億円を買い上げするという、
ほんとうの目的はどこにあったか。買い上げ発動をすることによって、乳価を回復さして、そして農民に安心感を与えるというところから買い上げが発動されたと思いますから、発動する場合にはメーカーに対して条件を付して二十億円の買い上げをやるから、そのかわり値下げは撤回しなさいと、こういう指示を与えなければ、発動の効果というものは薄いと思いますが、これに対しては
大蔵大臣の当時の
考え方を聞かしてもらいたい。