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松井政吉君 私は、
日本社会党を代表して、ただいま
議題になっております石炭
関係諸
法案について、総理並びに
関係大臣にその所見をお伺いいたしたいと存ずるのであります。
まず第一に、石炭全体の対策について、
政府の基本的姿勢をお伺いいたしたいのであります。
日本における石炭
関係法案は、その数世界一といわれるほど数があるのでありますが、その裏づけとなるべき政策が伴わないのもまた世界一だと思います。(
拍手)そこで、
池田さんは、第三十九回臨時国会の予算
委員会において、私の
質問に対して、「石炭は
日本の最も重要な産業の一つであります。地下資源としてこれが第一だと考えておるのであります。」とお答えになっておりますが、その後部分的な解決の方向が見られるのでありますが、根本的な解決策の熱意を認めることができないのであります。総理が地下資源として最も重要だと考えながら、いまだに国民全体の納得いくような根本策の樹立ができない
理由を、まず最初にお伺いいたしたいのであります。
さらに、
政府のエネルギー政策について、その取り組み方に私は非常に不満を感ずるのであります。三十九回国会以来、石炭危機とともに、
日本におけるエネルギーに対する総合基本政策の樹立が各界から要望され、一昨年秋の臨時国会における決議で明確に方向づけをしたにもかかわらず、その後
政府は総合的エネルギー政策を忘れて、石炭についても狭い視野からの無理な合理化を進め、労働者にその犠牲を押しつけるのみであります。したがって、総合エネルギーから見た石炭の地位の安定度合いも明らかにされず、五千五百万トンという数字を繰り返し、重油の輸入についての根本的な手も打たず、エネルギー産業の構造改編も行なわず、何を考えているのか理解に苦しむところであります。総理
大臣並びに科学技術庁長官に、エネルギーに対する基本策を明らかにしていただきたいと思います。(
拍手)
次に、重油使用の規制についてお伺いいたします。
重油ボイラー規制に関する
法律は、本年の十月に切れることになっていると思われます。したがって、期限延長の
法案の内容がただいま議案になっているものでありますが、最近における重油の輸入はものすごい勢いで伸びてきています。すなわち、重油専焼火力発電所が関西を中心にどんどん設立され、石炭を圧迫する度合いはさらに強まりつつある現状であります。いまヨーロッパでは、重油専焼により発散する亜硫酸ガスが空気をよごし、人体にまで害を及ぼすという学者の
意見があると聞いておりますが、もしそうだとするならば、外国資本による謀略的重油の輸入は、
日本における唯一のエネルギー資源である石炭産業を麻痺させるのみならず、人体にまでその害を及ぼすことになるが、重油規制に対する総理の見解と、人体に及ぼす影響があるかないか、明確にお答えを願いたいと存じます。(
拍手)
堺、淀川、姫路、尾鷲等をはじめ、重油専焼は著しい勢いで進んでおりますが、現在石炭という国内資源との競争意識で重油の価格が安くとも、競争相手である国内石炭産業が壊滅の状態になったときには、国際石油資本は必ず重油の値上げを迫ることは火を見るより明らかであります。(
拍手)すでに外国ではこの対策を樹立して、自国の石炭を守り、強固なる民族的産業基盤と、エネルギー資源
確保のために、重油に対し思い切った規制を行なっているといわれるが、外国で行なっている政策がなぜ
日本の
池田内閣でやれないのか、その基本対策について、総理
大臣並びに
関係大臣の考え方をお伺いしたいのであります。
次に、
電力用炭代金精算株式会社法案でありますが、石炭の需要は今後電力に重点を置くべきととは当然であります。価格の問題を考えても、
地域経済等を考慮しても、電力用炭のワクは政策的に考えるべきものであり、したがって、本
法案の業務設定の基本に規定すべきだと思いますが、本
法案にはその基本となるべき電力用炭
確保の方法がないのはどういうわけか、通産
大臣にお伺いいたしたいのであります。
さらにまた、ややもすれば電力用炭をめぐって、大企業と中小企業との間におけるカロリー当たり炭価の高低と価格政策の矛盾等の状態が必ずあらわれると思われるが、これについての見解を明らかにしていただきたいと存じます。
さらに、代金の精算会社をつくり、弱肉強食的なこそくな
措置よりも一歩進めて、電力用炭の販売会社を一本化すべきだと思うが、その見解を総理
大臣並びに通産
大臣に明らかにしていただきたいと思います。西ドイツ等の現在行なっておる状況等も参考にすべきだと思いますが、あわせてお聞かせ願いたいと思います。(
拍手)
さらに、貯炭の操作、供給の安定、輸入炭の管理等、電力用炭のみならず、需給
調整の基本的
機関たらしめる必要があると思うが、その見解をお伺いいたしたいのであります。
次に、
石炭鉱業経理規制臨時措置法案についてでありますが、経理規制は当然でありまして、むしろおそきに失した感があります。従来の
日本の石炭資本家は、石炭の利益で観光
事業に投資したり、いわゆる社外投資を行ない、
資金的にもみずからの石炭そのものを危機に導いたり、そのしわ寄せを今日労働者に転嫁した等の例は幾らもありますが、本
法案で十分に所期の
目的を達成し得るかどうか、通産、大蔵両
大臣から母体的な規制の方法についてお聞かせ願いたいと存じます。(
拍手)
次に、
産炭地域における
中小企業者についての
中小企業信用保険に関する
特別措置等に関する
法律案についてお伺いをいたします。石炭山が廃山続出の
地域は、山に働いている労働者が失業するのみではなく、その
地域の商工業者をはじめ、住民全体の生活の問題であります。特に商業者が売り掛け代金不払いのために店じまいのやむなきに至っている例は数えるにいとまがありません。通産
大臣にお伺いいたしますが、全国で売り掛け代金の不払い等の状態になっておる額はどの程度か、また店じまい、転居、移転のやむなきになっておる件数はどのくらいか、この
法律程度の
措置では足らざるものがあると思うが、さらに処置を考えているかどうか。本
法案によると、
産炭地域内の業者の事務所の移転、
事業の転換が対象になっておるが、さらに近い将来、適用拡大する意思はあるかどうか。これは保険
関係、金融
関係の問題でありますから、通産、大蔵両
大臣からお答え願いたいと存じます。
最後に、私は石炭産業の構造そのものについて、総理
大臣並びに
関係大臣にお伺いいたしたいのであります。
昭和三十年八月に石炭鉱業合理化法が成立して以来八年、その間三十万人をこえていた炭鉱労働者は、石炭資本の無能と
政府の無為無策によって、その半数が山を追われ、具体的な雇用対策のないままにその日の生活に苦しんでいる者すら
存在している現状であります。各国のエネルギー政策の基本を見ても、石炭にその重点を置いているにもかかわらず……