○板川
正吾君 私は、ただいま議題となりました
下請代金支払遅延等防止法の一部を
改正する
法律案、
中小企業等協同組合法等の一部を
改正する
法律案、以上三
法案に対する
修正案を
提出いたしましたので、その提案理由を御
説明いたしたいと存じます。
まず、
下請代金支払遅延等防止法の一部を
改正する
法律案の
修正について申し上げます。
案文を朗読いたします。
下請代金支払遅延等防止法の一部を
改正する
法律案に対する
修正
下請代金支払遅延等防止法の一部を
改正する
法律案の一部を次のように
修正する。
第二条第三項及び第四項の
改正規定中「五千万円」を「三千万円」に改める。
次いで、提案理由を申し上げます。
戦後、健全な社会
経済体制を確立するために、
経済民主化
政策が策定され、その重要な一環として独占禁止法が制定せられたとき、
中小企業の存在とその意義とについては十分な認識が払われていたのであります。すなわち、健全な
資本主義の基盤を確立するためには、少数の巨大
企業の支配体制を保護することではなく、堅実な
中小企業の広範かつ自由な活動を
確保する必要があり、そして、
中小企業の健全な発展こそが
経済民主化を促進し、一般消費者の利益にも合致するものとの認識の上に立って、
中小企業に対しては、財政、金融、組織面からこれを保護助成し、少数の巨大
企業の支配体制を打破すると同時に、独占禁止法により大
企業に対する圧迫を排除することが重要な施策として採用されてきたのであります。
下請代金支払遅延等防止法及び
中小企業等協同組合法等、その他
中小企業に関する
法律は、こうした
経済民主化の趣旨に基づいて制定されてまいったのであります。
政府の
中小企業基本法案では、
中小企業の成長発展をはかるために、
中小企業の
経済的、社会的制約による不利を補正することを第一条の
政策目標に掲げており、そして第三章の
事業活動の不利の補正において、第十八条に下請取引の適正化について次のように
規定しておるのであります。「国は、下請取引の適正化を図るため、下請代金の支払遅延の
防止等必要な施策を講ずるとともに、下請関係を近代化して、下請関係にある
中小企業者が自主的にその
事業を運営し、かつ、その能力を最も有効に発揮することができるようにするため必要な施策を講ずるものとする。」というのであります。この
政府原案において、下請取引の適正化をはかる方策として、下請代金支払い遅延の
防止と下請関係の近代化をあげており、近代化については、下請
中小企業の自主性の保持と、有効な能力の発揮が目標とされているのであります。
しかし、この条項の実施を具体的に推進するための関連
法案は
政府からいまだ何
一つ提案されておらず、下請代金支払い遅延
防止については、内容不十分なこの現行法があるのみで、これもまた
基本法に基づく本質的な
改正が行なわれず、下請関係の近代化といっても、その内容となる具体的な施策も、
政府は何ら明確にしておらないのであります。下請関係は、技術的、
経済的必要による社会的分業にその基礎があるのでありまして、この分業の関係を合理的かつ公正なものとすることが
基本的な方向でなければなりません。社会的分業は、経営の適正規模と相応じ、
中小企業の存立の基盤であり、これを正常なものとすることは、
中小企業振興のためにきわめて重要であります。現在、下請代金の支払い条件や価格決定等に見られる前近代的な
状態や、大
企業の系列化による収奪を是正し、自主対等の原則に基づく
団体交渉権、協約
締結権を下請
企業に与えることによって、
計画的、効率的に
経済活動を行ない得るようにすれば、下請関係は安定化、近代化の方向に向かうと同時に、大
企業生産も近代化され、均衡ある国民
経済の発展となって、国際競争力もおのずから強化されることとなるのであります。
下請
企業等の
中小企業政策を遂行するにあたり、特に重要なことは、
中小企業の範囲をどこで区分するかということであります。
政府案は、下請
企業の範囲を
資本の額五千万円といたしておりますので、区分の限界が高くなり、対象が拡大され、焦点がぼけて、真に
中小企業のための対策とならないうらみがあるのであります。また、
政府は、
中小企業基本法の前文の中で、特に小規模
企業の従事者に対し適切な配慮を加えつつ、
中小企業の
経済的、社会的不利を是正するとうたっているのでありますが、
中小企業の範囲を五千万円に引き上げることは、特に小規模
事業者の従事者に配慮を加えるという趣旨に全く反するものと思うのであります。国の
中小企業対策は、あくまでも圧倒的多数を占めておる小規模
事業にその重点が置かれるべきであります。
以上の趣旨により、
修正案は、
下請代金支払遅延等防止法の下請
企業の範囲を、現行の一千万円とする
資本の額を三千万円に
修正しようとするものであります。
何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
次に、
中小企業等協同組合法等の一部を
改正する
法律案について提案申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
中小企業等協同組合法等の一部を
改正する
法律案に対する
修正中小企業等協同組合法等の一部を
改正する
法律案の一部を次のように
修正する。
第一条中第七条第一項第一号の
改正規定を次のように改める。
第七条第一項第一号を次のように改める。
一
事業協同組合、火災共済協同組合又は信用協同組合であって、その組合員たる
事業者が次のいずれかに掲げる者であるもの
イ 常時使用する
従業員の数が三百人以下の
事業者であり、かつ、
会社にあ
つては、
資本の額又は
出資の
総額が三千万円以下の
事業者であ
つて、工業、
鉱業、
運送業その他の
業種(ロに掲げる
業種及びハの
政令で定める
業種を除く。)に属する
事業を主たる
事業として営むもの
ロ 常時使用する
従業員の数が三十人以下の
事業者であって、商業又は
サービス業(ハの
政令で定める
業種を除く。)に属する
事業を主たる
事業として営むもの
ハ 常時使用する
従業員の数が
政令で
業種ごとに定める数以下の
事業者であり、かつ、
会社(ロに掲げる
業種に属する
事業を主たる
事業として営む
会社を除く。)にあ
つては、
資本の額又は
出資の総領が
政令で
業種ごとに定める額以下の
事業者であ
つて、その
政令で定める
業種に属する
事業を主たる
事業として営むもの
第一条のうち、第七条第二項及び第三項の
改正に関する部分中「イ又はロ」を「イからハまで」に改める。
第二条中第五条の
改正に関する部分を次のように改める。
第五条を次のように改める。
一 常時使用する
従業員の数が三百人以下の者であり、かつ、
会社にあ
つては、
資本の額又は
出資の
総額が三千万円以下のものであ
つて、工業、
鉱業、
運送業その他の
業種(
次号に掲げる
業種及び第三号の
政令で定める
業種を除く。)に属する
事業を主たる
事業として営むもの
二 常時使用する
従業員の数が三十人以下の者であ
つて、商業又は
サービス業(
次号の
政令で定める
業種を除く。)に属する
事業を主たる
事業として営むもの
三 常時使用する
従業員の数が
政令で
業種ごとに定める数以下の者であり、かつ、
会社(前号に掲げる
業種に属する
事業を主たる
事業として営む
会社を除く。)にあ
つては、
資本の額又は
出資の
総額が
政令で
業種ごとに定める額以下のものであって、その
政令で定める
業種に属する
事業を主たる
事業として営むもの
第三条中第七条第一項の
改正に関する部分を次のように改める。
第七条第一項第三号、第四号及び第六号中「常時三百人以下ノ
従業員ヲ使用スル者ナルモノ」を「常時使用スル
従業員ノ数が三百人以下ノ者ニシテ且
会社二付テハ
資本ノ額又ハ
出資ノ
総額が三千万円以下ナルモノ」に改め、同項第七号中「三十人以下ノ
従業員ヲ使用スル者ナルモノ」の下に「(商業又ハ
サービス業以外ノ
事業ヲ主タル
事業トスル者二付テハ常時使用スル
従業員ノ数ガ三百人以下ノ者ニシテ且
会社二付テハ
資本ノ額又ハ
出資ノ
総額ガ三千万円以下ナルモノ)」を加える。
第四条中第二条の
改正に関する部分を次のように改める。
第二条第一号を次のように改める。
一 常時使用する
従業員の数が三百人以下の者であり、かつ、
会社にあ
つては、
資本の額又は
出資の総領が三千万円以下のものであ
つて、工業、
鉱業、
運送業その他の
業種(
次号に掲げる
業種及び第三号の
政令で定める
業種を除く。)に属する
事業を主たる
事業として営むものであ
つて、
政令で定める
業種に属する
事業(以下「特定
事業」という。)を行なうもの
一の二 常時使用する
従業員の数が三十人以下の者であ
つて、商業又は
サービス業(
次号の
政令で定める
業種を除く。)に属する
事業を主たる
事業として営むものであ
つて、特定
事業を行なうもの
一の三 常時使用する
従業員の数が
政令で
業種ごとに定める数以下の者であり、かつ、
会社(前号に掲げる
業種に属する
事業を主たる
事業として営む者を除く。)にあ
つては、
資本の額又は
出資の
総額が
政令で
業種ごとに定める額以下のものであ
つて、その
政令で定める
業種に属する
事業を主たる
事業として営むもの
第二条第二号中「
事業者の常時使用する
従業員の数が三百人をこえないもの」を「
事業者の常時使用する
従業員の数が三百人以下の者であり、かつ、
会社にあ
つては、
資本の額又は
出資の
総額が三千万円以下のもの」に改め、同条第五号及び第六号中「常時三百人以下の
従業員を使用する者であるもの」を「常時使用する
従業員の数が三百人以下の者であり、かつ、
会社にあっては、
資本の額又は
出資の
総額が三千万円以下のものであるもの」に改める。