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1963-05-09 第43回国会 衆議院 本会議 第21号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十八年五月九日(木曜日)
—————————————
議事日程
第十九号
昭和
三十八年五月九日 午後二時
開議
第一
駐留軍関係離職者等臨時措
置法の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
)
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
議員石村英雄
君
逝去
につき
院議
をもって
弔詞
を 贈呈することとし、その
文案
は
議長
に一任す るの件(
議長発議
)
佐藤榮作
君の故
議員石村英雄
君に対する
追悼演
説
裁判官訴追委員
の
選挙
裁判官訴追委員
の
予備員
の
選挙
篠田国務大臣
の
都内
における
幼児
営利誘かい事 件及び
埼玉
県下における
女子高校生殺害事件
についての
発言
及び
質疑
日程
第一
駐留軍関係離職者等臨時措置法
の一 部を改正する
法律案
(
内閣提出
) 午後二時二十四分
開議
清瀬一郎
1
○
議長
(
清瀬一郎
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
議員石村英雄
君
逝去
につき
院議
をもって
弔詞
を贈呈することとし、その
文案
は
議長
に一任するの件(
議長発議
)
清瀬一郎
2
○
議長
(
清瀬一郎
君) 御
報告
いたすことがございます。
議員石村英雄
君は、去る四月二十四日
逝去
せられました。まことに
哀悼痛惜
の至りにたえません。 つきましては、同君に対し、
院議
をもって
弔詞
を贈呈いたしたいと存じます。なお、この
文案
は
議長
に一任せられたいと存じます。これに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
清瀬一郎
3
○
議長
(
清瀬一郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 つきましては、
議長
の手元において起草いたしました
文案
を朗読いたします。 〔
総員起立
〕
衆議院
は多年憲政のため尽力された
議員従四位勲
二等
石村英雄
君の長逝を
哀悼
しつつしんで
弔詞
をささげます この
弔詞
の
贈呈方
は
議長
において取り計らいます。
————◇—————
佐藤榮作
君の故
議員石村英雄
君に対する
追悼演説
清瀬一郎
4
○
議長
(
清瀬一郎
君) この際、弔意を表するために、
佐藤榮作
君から
発言
を求められております。すなわち、これを許します。
佐藤榮作
君。 〔
佐藤榮作
君
登壇
〕
佐藤榮作
5
○
佐藤榮作
君 ただいま
議長
から御
報告
のありましたとおり、本
院議員石村英雄
君は、かねて九段
坂病院
において
病気
御加療中のところ、去る四月二十四日夕刻
逝去
せられました。まことに
痛惜
の念にたえません。 ここに、諸君の御同意を得て、
議員一同
を代表し、つつしんで
哀悼
の
ことば
を申し述べたいと存じます。(
拍手
)
石村
君は、
明治
三十六年九月、
山口
市大歳に生まれました。大正十五年、
東京帝国大学経済学部
を卒業後、直ちに
中外商業新報社
に入社し、
経済部
の
記者
として勤務するかたわら、内外の
経済情勢
、
財政金融
の
調査研究
につとめられました。
石村
君が後年
財政金融
の
権威者
としてすぐれた識見を示されたその素地は当時つちかわれたものと存じます。
石村
君は、激しい
新聞記者生活
の中にあって、純真な
青年
の
情熱
を傾けて
社会労働運動
に参加し、特に、
日本俸給生活者組合評議会執行委員
として、サラリーマンの
生活向上
のために挺身努力されました。
昭和
三年、
中外商業新報社
を退かれた後も、当時の困難な事情のもとで、ときには法に触れながらも幾多の苦難を乗り越えて
労働運動
に献身されたのであります。君の
信念
に対するひたむきな
情熱
と忠実な行動は、まことに胸迫るものがあります。(
拍手
)しかし、その間は、おそらく君の最も苦しい時代だったろうと推察するものであります。 その後は、
山口
市に帰り、木炭、
燃料関係
の
同業組合等
に勤務しておられましたが、君の素志はいささかもゆらぐことなく、郷党の
青年
と談じ、後輩の
指導育成
につとめつつ他日を期しておられました。
昭和
二十年、君は、郷里の人々の厚い信望を得て、
山口
市
会議員
に選ばれ、
市民生活
の
向上
に貢献し、また、
山口
県
地方労働委員会委員
として活躍されました。 かくて、
昭和
二十八年には、
日本社会党
に属して、第二十六回
衆議院議員
総
選挙
に
山口
県第二区から立候補し、よく当選の栄冠を得られました。自来、第二十九回総
選挙
まで連続して四回当選し、十年一カ月にわたって本
院議員
に在職されました。 本院における
石村
君の
活動
は多方面にわたっておりますが、特に
大蔵委員会
の
委員
及び
理事
として果たされた君の功績は、われわれの忘れ得ないところであります。(
拍手
)いささか私事にわたりますが、私の
大蔵大臣在任
中、
塩業整理
についての君の該博な
知識
と理解ある
発言
は、いまだ記憶に新しいものがございます。(
拍手
)
石村
君は、頭の中もかばんの中も
数字
で埋まっているといわれるほど計数に明るい、非常な
勉強家
であり、しかも、すぐれた実際的手腕の
持ち主
として、党派を越えて、
同僚議員
の深い
信頼
を集めておられました。(
拍手
)
日本社会党
においても、君の
専門的知識
と才幹は高く評価され、
政策審議会
の
財政金融部門
の主軸となって
政策
の立案に携わり、
政策審議会財政金融委員長
、
政策審議会
副
会長等
の要職を歴任されました。君は寡黙の人でありましたが、重要なポイントをとらえての
発言
は、問題の核心をついて、まことに傾聴すべきものがあり、
石村
君の
ことば
には
ウエート
があると評判されるほどであり、党の
中堅幹部
として、大いに将来を嘱望されていたのであります。(
拍手
) さらに、
日中文化研究所理事
、
日本国民救援会常任理事等
として活躍され、君の
存在
は、どの分野においてもかけがえのないものでありました。(
拍手
)
石村
君は、生来、はでなことを好まず、飾りけのない、素朴な人柄で、かつ、
私利私欲
のない清廉無比な方でありました。また、かたい
信念
の士であるとともに、
責任感
がきわめて強く、一たんみずからに引き受けたことは、
文字どおり粉骨砕身
、必ずこれをやり遂げるという強固な
意思
の
持ち主
でありました。(
拍手
)一たび君と交わるや、何人も君に対して離れがたい愛着を覚え、
信頼
を寄せ、終生の交わりを願わずにはおられなかったのであります。これは、君の清潔な
生活態度
と、一見冷静な容貌のもとに隠された他人のためを思う厚い情義に打たれたからにほかならないと存じます。(
拍手
)
石村
君は、去る三十六年二月
悪性腫瘍
の手術を受けられましたが、そのときは
経過
も良好で、しばらくの休養の後、元気を回復し、周囲をほっと安心せしめたのであります。しかるに、君の多忙な
議員活動
により、昨年暮れ、にわかに
病気
が再発し、再び入院のやむなきに至りました。その後御家族の手厚い看護と祈りもむなしく、ついに不帰の客となられたのであります。
痛恨哀悼
にたえない次第であります。 多年にわたる努力によって積み重ねられた豊富な
知識
と経験を有しながら、常に表面に立つことを避けつつ、ひたすら世のため人のために働いてこられた君を思うとき、ほんとうに惜しい人をなくしたという感じがひしひしと胸に迫ってまいります。(
拍手
)
明治
三十六年の生まれといえば
政治家
としてなお春秋に富む君が、有為の材を抱いてなくなられたことは、御本人にとってもさぞかしお心残りであったろうと存じます。今
国会
の
審議
も再び活発になろうとするとき、この人材を失ったことは、わが
国会
にとって大きな損失であり、ひいては
国家
のためにまことに
痛惜
にたえない次第であります。(
拍手
) ここに、
石村
君生前の業績をたたえ、人となりをしのび、つつしんで御冥福をお祈りいたしまして、
追悼
の
ことば
といたします。(
拍手
)
————◇—————
裁判官訴追委員
の
選挙
清瀬一郎
6
○
議長
(
清瀬一郎
君)
裁判官訴追委員
が一名
欠員
となっております。この際、その
選挙
を行ないます。
草野一郎平
7
○
草野一郎平
君
裁判官訴追委員
の
選挙
は、その
手続
を省略して、
議長
において指名されんことを望みます。
清瀬一郎
8
○
議長
(
清瀬一郎
君)
草野一郎平
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
清瀬一郎
9
○
議長
(
清瀬一郎
君) 御
異議
なしと認めます。
議長
は、
裁判官訴追委員
に
小松幹
君を指名いたします。
————◇—————
裁判官訴追委員
の
予備員
の
選挙
清瀬一郎
10
○
議長
(
清瀬一郎
君) 次に、ただいまの
選挙
の結果、
裁判官訴追委員
の
予備員
が一名
欠員
となりました。この際、同
予備員
の
選挙
を行ないます。
草野一郎平
11
○
草野一郎平
君
裁判官訴追委員
の
予備員
の
選挙
は、その
手続
を省略して、
議長
において指名せられ、その
職務
を行なう
順序
は
議長
において定められんことを望みます。
清瀬一郎
12
○
議長
(
清瀬一郎
君)
草野一郎平
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
清瀬一郎
13
○
議長
(
清瀬一郎
君) 御
異議
なしと認めます。
議長
は、
裁判官訴追委員
の
予備員
に
河野密
君を指名いたします。 なお、その
職務
を行なう
順序
は第三順位といたします。
————◇—————
篠田国務大臣
の
都内
における
幼児
営利誘かい
事件
及び
埼玉
県下に おける
女子高校生殺害事件
につ いての
発言
清瀬一郎
14
○
議長
(
清瀬一郎
君)
篠田国務大臣
から、
都内
における
幼児
営利誘かい
事件
及び
埼玉
県下における
女子高校生殺害事件
について
発言
を求められております。これを許します。
国務大臣篠田弘作
君。 〔
国務大臣篠田弘作
君
登壇
〕
篠田弘作
15
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) 最近、相次いで
発生
し、世間の注目を浴びております
二つ
の
事件
につきまして、特に、この
機会
に事案の
内容
と
捜査
の概要について
報告
いたします。 まず第一は、
都内台東
区において
発生
いたしました
幼児営利誘拐事件
であります。これは、去る三月三十一日午後六時ごろ、
台東区立入谷南公園
内で遊んでおりました四歳になる
村越吉展
ちゃんが行くえ不明になった
事件
であります。 同日午後八時十分ごろ家人から
下谷北警察署
に対し、迷子としての
届け出
がありましたので、同署におきましては直ちに
都内
各
警察署
に手配し、同人の発見につとめましたが、発見することができなかったのであります。 翌四月一日に至りまして、四囲の
状況
を判断いたし、
誘拐
の
疑い
があると認め、
警視庁本庁
から
捜査員
を応援派遣し、
幼児誘拐事件
として
捜査
を開始したのであります。 その後四月二日から
被害者宅
に
恐喝的内容
を含む
電話
が連日十数回かかってきたのでありますが、同月七日に至る間、同一人と思われる男が九回にわたり身のしろ金五十万円を要求してまいりましたので、この
電話
の男を
容疑者
と判断し、これに
捜査
を集中したのであります。その間
犯人
は三回にわたり、
現金引き渡し場所
を指定してきたのでありますが、これらの場合にはいずれも
犯人
を特定し得るような
状況
にはなかったのであります。 その後四月七日午前一時二十五分ごろ、九回目の
電話
で「
被害者宅
から約三百メートル離れた
昭和通り
の
品川自動車株式会社
の横に駐車している
小型貨物自動車
の荷台に
子供
のくつを置くから、
母親
が一人で来て、そこに金を置いて帰れ。
子供
は金を受け取ってから一時間以内に返す
場所
を指定する。これが最後だ。」という旨を述べたのであります。 当時
被害者宅
には、
捜査員
六名が待機しておりましたので、
母親
が
自動車
で出発すると同時に裏手から
現場
に急行したのでありますが、
母親
の到着がわずかに早く、
捜査員
の到着する直前に、置いていった
現金
五十万円を
犯人
に持ち去られてしまったのであります。 その後
犯人
から
被害者方
に対する
電話
はありません。 そこで、去る四月十九日、それまでの
捜査経過
とともに
吉展
ちゃんの
特徴等
を詳細に発表し、さらに同月二十五日、
犯人
の
恐喝電話
の録音を
報道機関
の
協力
を得て放送いたしまして、広く
一般
の御
協力
を期待いたしたのであります。 これに対しましては、特に全国的に多大の御支援をいただいているところでありまして、この
機会
に
国民
の
皆さま方
に心から感謝の意を表する次第であります。 今後
警視庁
をはじめ
関係警察
が一体となりまして本
事件
の
解決
に努力いたす
所存
でございます。 次は、
狭山
市における
女子高校生殺害事件
についてでありますが、これは本年五月一日午後八時ごろ、
埼玉
県
狭山
市
大字赤坂中田栄作
氏から、四女の
川越女子高校入間川分校
一年生
中田善枝
さんが、夕方になっても
学校
から帰らない上、自宅に
恐喝内容
の手紙が届けられた
旨狭山警察署
に
届け出
があったのであります。その
状況
から悪質な
営利誘拐
の
疑い
が認められましたので、直ちに
極秘裏
に
捜査
を開始したのであります。 文面には、二十万円を五月二日夜十二時に
指定場所
に持参すれば
子供
を返すと記載されていましたので、その時間に
被害者
の
姉登美恵
さんが
指定場所
である
同市堀兼
、
雑貨商佐野屋
前に行くとともに、
捜査員
四十名をその付近に張り込ませ、
犯人
の
逮捕
をはかったのであります。 同夜午前零時十五分ごろ
登美恵
さんの立っている
場所
より三十メートルぐらい離れた茶畑の中から
犯人
が戸をかけ、その後十分ぐらいにわたって姿を見せないまま「こっちへ持って来い」と再三再四要求したのでありますが、これに応じなかったところ、「もう帰るぞ」と言って
犯人
の声が絶えたので、
現場
に張り込み中の
捜査員
は警笛を鳴らして追跡したのでありますが、ついに
犯人
を
逮捕
できなかったのであります。 その後、
狭山市内一帯
を広範囲に捜索中、五月四日午前十時三十分ごろ、
同市入間川
の
麦畑農道
に埋められていた
被害者
の
死体
を発見したのでありますが、
死体
を解剖した結果、死因は扼殺であり、さらに暴行されている事実及び
死亡時刻
は食後三時間ぐらいであることが判明したのであります。したがって、
犯行時刻
は五月一日午後四時前後と推定されるに至ったのであります。 以上のような
状況
から、
犯人
は、
学校
より帰宅途中の
被害者
を暴行殺害したものと認められるのでありまして、
埼玉
県
警察
といたしましては、目下
全力
をあげて
捜査
中であります。 以上
二つ
の
事件
を通じまして、
犯人逮捕
の絶好の
機会
に
捜査
の不
手ぎわ
から
犯人
を逃走させましたことはまことに遺憾に存じておる次第であります。第一の
事件
の
発生
後、
警察庁
におきましては、この
種事犯
の防止と
早期事件
の
解決
のため、
全国警察
に対し所要の指示をいたしたところでありますが、さらに今回の
事件
の
発生
をみましたので、
事態
の
重要性
にかんがみ、五月六日
緊急国家公安委員会
を開催いたしまして、両
事犯
を具体的に検討し、
捜査
の不
手ぎわ
について反省を行なったのであります。
国家公安委員会
といたしましては、さしあたり、両
事件
につきまして
関係警察
を督励いたしまして
事件
の
早期解決
に
全力
をあげる
所存
であります。 また、今後は今回の
事件
を教訓といたしまして、あらゆる
事態
に対処する
捜査能力
の
向上
をはかり、もって
国民
の各位の御期待におこたえいたしたいと考えている次第であります(
拍手
)。
————◇—————
篠田国務大臣
の
都内
における
幼児
営利誘かい
事件
及び
埼玉
県下に おける
女子高校生殺害事件
につ いての
発言
に対する
質疑
清瀬一郎
16
○
議長
(
清瀬一郎
君) ただいまの
国務大臣
の
発言
に対しまして、
質疑
の通告があります。これを許します。
猪俣浩三
君。 〔
猪俣浩三
君
登壇
〕
猪俣浩三
17
○
猪俣浩三
君 ただいま
篠田国家公安委員長
から両
事件
につきましての御
報告
を伺いました。
警察
に
ミス
のあったことを率直にお認めになったことは了解のできるところであります。ただ、本件は、
第一線
の
警察官
の
ミス
だというだけでは
解決
できない
警察行政
に関する根本問題があると思いまするので、これに関連いたしまして、二、三お尋ねいたしたいと存じます。(
拍手
) まず、
総理大臣
にお尋ねいたします。 第一点は、
警察責任
についてであります。これは、
淺沼事件
のときにも質問いたしましたが、
日本国憲法
並びに
警察法
、
国家行政組織法
、
総理府設置法等
によって、
警察行政
の元締めである
国家公安委員会
の
主任大臣
は
総理大臣
であり、
国家公安委員長
並びに
委員
の
任命
は
総理大臣
の
権限
であり、
警察庁長官
並びに
警視総監
の
任命
も、
総理大臣
の承認を必要とすることになっていますから、
警察行政
の
最終的責任
が、
制度
上
総理大臣
にあることは自明と思いまするが、この点についてどうお考えなされるか、御
答弁
願いたいのであります。(
拍手
)
警察行政
は、
行政権
の最強のものであります。この
最終責任
が
総理大臣
にないということは、
警察活動
にも影響があることと思われまするので、しっかりした御
答弁
をいただきたい。単に
政治
上の
責任
にあらずして、
法制
上の
責任
があるということに対して、
総理大臣
の
真意
を伺っておるのであります。
法律
的にも
総理
に
責任
のあることを明らかにすることは
警察官
の士気に
関係
してまいります。ただ
内閣
の都合のよいように
法律解釈
をすることを仕事としているような
法制局長官
などの
解釈
に満足せず、真にわが国の
警察行政
のため、今回の
事件
について、及び
一般
的な
警察行政
についての意味におきまして、その
真意
を伺いたいのであります。 第二点といたしましては、
警察行政
について
総理大臣
の
責任
を
戦前
よりは軽減しているものは、
国家公安委員会
があるからであります。そこで、この
国家公安委員会
の
組織
並びに運営は、
警察行政
上重大な意義があります。しかるに、今日実際の
国家公安委員会
は
警察官僚
のロボット化し、
警察民主化
の
擬装制度
にすぎないことになっておるのであります。それは、その選任の方法に重大な
関係
がある。元来が多数
党政治
の弊害をコントロールするためにできた
制度
でありますのに、
委員
の
任命
が、多数党の
総裁
を兼ねておるところの
内閣総理大臣
の職権にまかせられておるということに矛盾があるわけであります。これを公の
選挙制度
に改めるべきであると私は考えまするが、
総理
の御
意見
を伺いたいと存じます。 なお、参考までに言いますが、現在五名の
委員
中一名は十五年二カ月、一名は十二年一カ月その任務についておる。しかも、この両名が最も保守的で、そのうちの一人は、テロが起こるのは日教組が悪いからだなんてことを公言する
委員
さえある。これでは
警察
の
民主化
も何もあったものじゃないじゃないか。
国家公安委員会
の根本的な改革を断行する
意思
が
総理
にあるかないか、お聞かせ願いたいと存じます。(
拍手
) 第三点、
警察
の本来的任務は、その
地域住民
の
生命
、
身体
、
財産等
の安全をはかることが第一義的であるべきであります。
英国
の
警察
では、交通の
整理
とか
刑事犯罪
の検挙が第一義になっていて、
日本
のように
公安警備
のような
警察
は第二義的な
存在
になっておる。これは
英国
の
警察制度
を研究した人の一致した
意見
であります。しかるに、
日本
の
警察制度
は、
公安警備
の
活動
に主力を置き、これに予算を多くとり、
人員
多数を配置している。しかも、最優秀の警官は
公安
の方に配備し、
待遇
も
一般刑事警察官
よりもよく、出世も早い。
警察内部
においても、
刑事担当
の
警察官
の間に不平の声があることは事実であります。
公安警備
に重点を置き、
特高的活動
の必要から
自治体警察
を廃止してしまって、中央集権的な
戦前
の
警察
に近づいたのでありますが、その結果は、地域的な
市民
の平穏な
生活
を乱すような
犯罪
の
捜査
が弛緩する結果を来たしているのであります。(
拍手
)この
自治体警察
の復活の是非について、
総理大臣
の御
意見
を聞かしていただきたい。 第四点、
誘拐犯人
、
非行少年
の
激増等
の
社会的原因
について、
総理大臣
はどう見ておるのであるか。
選挙
や
政治
に対する
不信感
は、
民衆
の道義の退廃を招き、
犯罪
の温床をつくっておる。
東京都知事選挙
においてポスターの証紙を偽造し、
選挙用はがき
を売買した等の不正、不法な
選挙違反
をやった人物が、
自民党本部
の
選挙事務
の
主任
であったに至っては、さたの限りと申さなければなりません。(
拍手
)
自民党総裁
である
総理
の、こうした
政治
、
選挙
の不正が
民衆
の心にどれほど大きな悪影響を与えているか、覚悟のほどを聞かしていただきたい。(
拍手
) 次に、
篠田国家公安委員長
にお尋ねいたします。 第一点は、参議院の
委員会
において、今回の
事件
についての
責任
は自分が負うと言明されたそうである。その
責任感
の強いことには同感でありますが、ただ
感情論
ではいけないと考えるのであります。
公安委員長
が
警察行政
について全
責任
を負う
根拠
を明らかにしていただきたい。
吉展
ちゃん
事件
について言うならば、
事件
の
責任
の第一は
東京
都
警察
であります。この
東京
都
警察
の中には、
警視総監
と
東京
都
公安委員会
が含まれております。これが第一の
責任者
であります。第二次の
責任者
は
警察庁長官
であります。第三次の
責任者
は
国家公安委員会
であります。第四番目が
内閣総理大臣
であります。これが現行の
日本
の
憲法
並びに
警察法
、
行政組織法
その他の
法律
全部から生まれてくるところの
責任
の順番であります。
国家公安委員長
なんかこの中に含まれておらぬ。(
拍手
)
国家公安委員長
は、
警察法
によると
国家公安委員会
において
議決権
がありません。御承知のとおり、
国家公安委員会
は五人の
合議制
である。ところが、
委員長
は
議決権
がない。ただ、五人の
公安委員
のうち一人が欠席されて、二対二になったときに、裁決する権能があるだけである。
公安委員
を選任する
権限
も、やめさせる
権限
もない。
警視庁
その他
警察権行使機関
に対して、指揮、命令する
権限
もない。結局
内閣
と
国家公安委員会
との
連絡係
にすぎない。(
拍手
)こういう人が、
警察行政
の全
責任
を負うというような
制度
上の
根拠
というものはないのであります。ありとすれば、それを明示していただきたい。ほとんど無過失
責任
に近いものであっても、
内閣総理大臣
は
警察行政
の第四次目の
責任
があることは
制度
上明らかである。その人が
責任
がない、こう言う。ところが、
責任
がどうも
制度
上から出てこない
公安委員長
が
責任
を負う、こう言う。まるでこれは逆な話ではないかと思うのであります。ちょうど
淺沼事件
のときに、
山崎国家公安委員長
をやめさせたが、これは
内閣
に対する
責任
の追及の防波堤にしたのだといわれたゆえんもここから出てくるのであります。 第二点は、先ほども
総理
に対する質問で出たのであるが、
人員配置
の問題であります。
警視庁
の
人員配置
を例にとってみれば、
本庁
において、
刑事部
、つまり
一般犯罪担当
は六百五十八名、しかるに
公安部
と
外事課
と称するものは寄せると七百七十一名、その他に
民主運動
、
デモ弾圧
のための
機動隊
は千八百三十三名。イギリスの例によれば、こんな
公安部
だの
機動隊
というものはない。こんな
公安
や
機動隊
を
刑事部
に回したならば、
捜査部
に回したならば、
警視庁
の
本庁
だけでも二千数百人の増員になるじゃないか。(
拍手
)
東京
の二、三の
警察署
を例にとってみても、麹町
警察
では
公安係
が二十一名、
捜査
がたった八名だ。
原宿警察
では
公安
が二十三名、
捜査
が十三名となっておる。もちろんこの
数字
はわれわれの
調査
でありますから、
責任
ある
数字
につきましては、後日
委員会
でしかるべき当局から説明を求めますけれども、大体間違いのない
数字
であって、私は
数字
にこだわるのではない、
ウエート
をどこに置いておるかということで、その例としてこの
数字
を出した。これらの状態を改めて、
公安
の大部分を
刑事担当
に切りかえるべきだと考えるが、
公安委員長
の考えを聞きたいのであります。 また、
捜査
の
ミス
をしきりにわびておりますけれども、それだけでは済まされない。結局科学的に訓練された優秀な
警察官
、熟練工である
刑事
、充実した
設備等
を
刑事担当
に当てて、そのためには
犯罪捜査
に携わる
刑事
の
待遇
を改善しなければならぬと考えるのであります。今回
刑事
の
待遇
はまことに私は貧弱だと考える。そして
責任
だけは彼らに負わせることは相ならぬと思う。これは
国民
の
生命
、
身体
、
財産
が大事であればあるほど、
第一線
に
活動
しておりますこういう
犯罪捜査
の重責に当たっておる
人たち
には、特別なる
待遇
をやってしかるべきである。これに対しますところの
国家公安委員長
の御
答弁
を伺います。なお、この点については
総理大臣
の御
意思
も承りたいと思います。 次に、
法務大臣
に対し質問いたします。 第一点は、
法務大臣
は、
新聞
によると、昔の
戸口調査制度
を考慮しておるというふうに見える
新聞記事
がありました。そんなことがないならないでよろしゅうございますが、
新聞
に出ておるからお尋ねするのであります。
戸口調査
のごときは
警察
非
民主化
の一つでありまして、
人権問題等
もからむ問題のある点であります。だから、戦後これは廃止された。そういうことのそしりを免れる手段として、何か
住民
の
協力
なんてことを言っておりますが、これがまたなかなか大問題で、へたをやると、これは全部
選挙
運動をやることにつながります。悪用されるおそれが十分あります。また、お互いに
住民
同士の
不信感
を高めるようなことにもなるのであります。イギリスの
警察制度
を研究しております研究書としてただ一つと思われますところの高橋雄豺氏の「
英国
警察制度
論」を読んでみますと、
英国
においては、一八八〇年までやっておった
戸口調査
を廃止してしまっておる。
英国
の
警察官
は政党
活動
と全く
関係
なくなっているが、
戸口調査
の廃止がそれに役立っていると書かれておるのであります。
住民
の
協力
を求めるというが、
戸口調査
の役割りを
住民
に肩がわりさせようとする
意思
とも思われるが、これらのことについて
法務大臣
の御
答弁
をいただきたいのであります。 第二点は、法務省には法務総合研究所というものが設置されているはずであります。こういう今回の
誘拐
事件
のようなことに対して、どういう研究をしておられるか。欧米では、
誘拐
事件
などについては詳細な研究があるわけであります。こういうことについて、法務総合研究所は何らかの成果をあげ、これを
第一線
に
活動
している
警察官
あるいは検察官に提供しておるかどうか、この研究の詳細を発表していただきたい。 第三点は、この
誘拐
等の
犯罪
に対しまして科刑を重くする
意思
があるがごとく報道せられておりますが、はたしてかような処置をおとりになるのであるかどうか。おとりになるとすれば、これは普通刑法犯の中に入れるのであるか、単独立法というお考えであるか、現在の御
意見
を承りたいと思うのであります。 最後に、
総理大臣
及び
篠田国家公安委員長
に次の点を明らかにしていただきたいと思います。 まず
吉展
ちゃん
事件
につきまして、
吉展
ちゃんはいまでも生存しておられるかどうか。これは神さまでなければわかりません。わかりませんが、
警察
の見込みとして、生存しておるものと見ておられるのかどうか。生存しておるとすれば、
犯人逮捕
も大事でありますが、この
吉展
ちゃん自身を助け出す何か具体的な方法を考えておられるのかどうか。また、
犯人
の
逮捕
の見込みは一体お立ちになっておるのであるかどうか。
国民
はまるで五里霧中になっておる。
篠田国家公安委員長
は、大いに努力すると言っておられるのであるが、それが雲をつかむような話であるのであるが、何かちゃんと
根拠
があってそういう話をされておるのであるかどうか、それを具体的にお聞きしたい。 善枝さん殺しについても、
犯人
の
逮捕
が何か目睫に迫っているような発表がありますが、そういう発表を聞いてから相当時間がたっておるが、さっぱりわからぬ。一体これもその見通しはどうであるのか。これは
国民
が聞きたがっておるところでありますから、この
機会
に真相を発表していただきたいと思うのであります。 なお、この
吉展
ちゃんは、公園で遊んでおったときに
誘拐
されたということで、遊び場の少ない
東京
都の
子供
にとって、その公園の遊びというものが非常に危険になったというようなことで、
子供
を持つ親は非常な恐慌を来たしておる。そこで一体、本
事件
発生
後、
警察
はこの種の
事件
を予防するためにいかなる具体的な措置をおとりになったのであるか、また、今後このような不幸な
事件
の
発生
を防ぐためにいかなる措置をとろうとするのであるか、
総理大臣
はまたいかなる指示を下僚にして指導されておるのであるか、その点につきましても、
国民
の安心のできるような御
答弁
をいただきたいと存じます。 以上であります。(
拍手
) 〔
国務大臣
池田勇人君
登壇
〕
池田勇人
18
○
国務大臣
(池田勇人君) お答えいたします。
警察法
上、
内閣総理大臣
の所轄のもとに
国家公安委員会
を置いておりますので、
警察行政
の
主任大臣
といたしましては、
内閣総理大臣
が
主任大臣
でございます。しかし、御承知のとおり、
警察行政
の
政治
的中立性を確保するために、
国家公安委員会
に独立した強い
権限
を与えておるのであります。したがいまして、
政治
的中立性のために、
警察行政
につきまして
内閣総理大臣
は指揮監督権がございません。したがいまして、具体的事案に対しまする
法律
上の
責任
は
内閣総理大臣
にはないのでございます。あるいは
憲法
第六十五条あるいは第七十二条の規定によって、先般猪俣氏は、引用して
内閣総理大臣
に
法律
上の
責任
があるかのごとき議論をされたことがございましたが、その当時お答えしたとおり、行政機関として独立の
権限
を
国家公安委員会
に認めております以上、
法律
上の
責任
はないと
解釈
しております。しかし、
内閣総理大臣
は、
一般
行政につきましての広い意味の
責任
はございます。
法律
上でなしに、広い意味の
責任
は、
内閣総理大臣
としてあることは、この前もお答えしたとおりでございます。 なお、
国家公安委員会
の
組織
、
活動
、
権限
につきましては、私は、ただいまの状態で、
警察
の中立性を保つ上に適当な措置と考えております。また、
公安委員
の選任につきましても、御承知のとおり、
内閣総理大臣
が発案して両院の議決、同意を求めて
任命
しておるのでございます。各方面の良識ある方々をお選びして、そうして、民主的
警察
の運用をはかる上において、いまの
制度
は適当であると私は考えております。 なお、都道府県
警察
、いわゆる
自治体警察
につきましては、戦後いろいろの
状況
を勘案いたしまして、先般改正いたしましたいまの
自治体警察
、都道府県
警察
が私は適当のものと考えております。 なお、今回の問題につきましては、われわれは、
学校
、あるいは幼稚園、あるいは
関係
機関に十分連絡を密にいたしまして、今後かかる
事件
が再び起こらないよう、万般の処置をとるようにいたしておるのであります。 なお、
選挙違反
につきましてのお話は、私の関知するところではございません。いませっかく検察当局において調べ中であるのであります。(
拍手
) 〔
国務大臣篠田弘作
君
登壇
〕
篠田弘作
19
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) 猪俣さんの御質問についてお答えいたします。 現在の
警察法
の定めるところによりますと、猪俣さんがおっしゃったとおり、
警察法
第五条によりまして、特定の事案についてのみ
警察庁
を通じて指揮、監督をするということになっておりまして、言いかえれば、
内閣
と
公安委員会
との
連絡係
である。そういうことも事実であります。しかしながら、
国家公安委員会
という
警察
の最高の、いわゆる
委員会
のいわば
議長
でございますから、
警察
の問題に対する
責任
がないということは言えないと私は思うのです。ということは、地方行政
委員会
とか、法務
委員会
あるいはまたこの本
会議
等におきましても、
責任
がない者をなぜ呼び出してあなた方は質問をする。それほど
責任
のないことが明らかであるならば、わざわざ呼び出して、単なる
連絡係
に対して
捜査
の
責任
問題を追及するということ自体が間違っておるじゃありませんか。そこで、いわゆる国権の最高機関である
国会
が私を呼び出して質問されるのでありますから、
政治
的な
責任
はあると私は考えまして——
制度
上、
法律
上ないというととは速記録で申しています。速記録を見てください。
法律
上、
制度
上の
責任
はないけれども、
国家公安委員長
として、そういう
責任
があるという決定があれば、いつでも
責任
はとりますということを言っているのであって、私は、
法律
上あるいはまた
制度
上の
責任
があるなどということは申しておりませんから、速記録をよくごらん願いたいと思います。 それから第二は、
人員配置
の問題でございますが、いかにも
刑事担当
が少なくて、
公安
担当の者が多いというふうにおっしゃっておりますけれども、
警視庁本庁
では
刑事担当
者が千九十六人、
公安
担当が七百九十二人、
国会
を取り巻く麹町署におきましては、
刑事担当
者は三十人、
公安
担当者は二十四人、丸の内署におきましては
刑事担当
者五十一人、
公安
担当者二十七人、神田
警察
におきましては
刑事担当
者三十九人、
公安
十四人、愛宕におきましては
刑事担当
者四十七人、
公安
担当者十七人、赤坂
警察
におきましては
刑事担当
者二十四人、
公安
担当者十一人、淀橋では
刑事担当
者百八人、
公安
担当者十四人、浅草では
刑事担当
者百人、
公安
担当者は十一人でございます。 それから第三の御質問は、いわゆる
刑事
警察
を軽視して、試験
制度
による採用ばかりをしているんじゃないかというようなお話でございましたが、私もこれは同感でございまして、
公安委員長
就任以来、すりを追っかけ、あるいは強盗、殺人を追っかけておるいわゆる熟練
刑事
に試験をしろといっても、勉強をするひまがないのであるから、そういう経験を生かし、あるいはまた、そういう特技を生かすためには、そういう人を試験によらないで特別昇任させることが必要であるということを非常に主張してまいりました。そこで、
昭和
三十七年度だけを見ますというと、巡査から巡査部長に試験を受けて昇格した人が千二百九十八人、試験を受けないで昇格した人が四百九十六人、巡査部長から警部補に試験を受けてなった人が七百六十四人、試験を受けないでなった人が九十七人、警部補から警部に昇進した者が、試験を受けた者が四百八十九人、試験を受けない者が七人、非常にこれは少ないのでありまして、きょうは、
国家公安委員会
におきましても、特にその点を注意してくれるように、私から指示をいたした次第でございます。 それから、科学的
捜査
あるいは科学的教養の必要ということは、猪俣先生仰せのとおりでございます。 最後に、
吉展
ちゃんが生存をしておるかしていないか、
逮捕
の見込みについて述べろというお話でございますがこれは
捜査
中の
事件
でございまして、真相を話せと言われましても、その真相というものは私にはわかっておりませんが、生存をしておるものとして
捜査
をしておるということは申し上げて差しつかえないと思います。
逮捕
の見込みが立っておるくらいなら、何も
国会
においてこれほど追及される必要はないと思います。 予防の措置につきましては、でき得る限り、ほんとうに
日本
の全
警察
力をあげて予防するということは当然でございますが、
幼児誘拐事件
というようなものは、突発的な、個人的な
犯罪
でございますから、社会の連帯
責任
において
子供
を守るというこの風潮をつくり上げるために、
学校
、幼稚園、あるいはまた文部省当局、あるいはまた母の会であるとか、そういった方面と連絡を十分とりまして予防をしたいと考えております。(
拍手
) 〔
国務大臣
中垣國男君
登壇
〕
中垣國男
20
○
国務大臣
(中垣國男君) お答えいたします。 第一点は、
戸口調査
に関する問題でありますが、この
戸口調査
は、
戦前
、行政
警察
規則によって行なわれたものでありまして、
犯罪
の予防並びに
犯罪
の検挙に大きな効果をあげたと聞いております。先回、閣議で
吉展
ちゃん
事件
が出ましたときに、そういう家族の状態というものが
戦前
のようにはわかりがたい状態になっておるので、
犯罪捜査
もなかなかむずかしいという話題が出ましたときに、この問題について検討をしてみましょうということを私が申し上げたのでありまして、政府がこれを復活するために新しく取り上げたという性質の問題ではないのであります。その後法務省におきまして研究をいたしました結果、
警察
が一方的に各家庭についてその状態
調査
をば行なうことができるというような立法は、現行
憲法
のもとでは疑問の余地が多いと考えられますので、これを復活するということは全然考えておりません。 次に第二問の法務総合研究所の機能の問題でありますが、この法務総合研究所は、
法務大臣
所管の職員に、法務に関する専門的な研究を行なわせるということが一点、それから、
法務大臣
所管の職員に対しまして
職務
上必要な訓練を行なう、第三に、国際連合と
協力
して、
犯罪
の防止及び
犯罪
者の処遇分野並びに少年非行の防止及び
非行少年
の処遇の分野に関しまして研修、研究及び
調査
を行なうということになっておるのであります。法務に関する専門的な研究の問題でございますが、司法
制度
、民事、
刑事
、その他法務全般にわたる内外の
法制
及びその運用に関する研究を目的とするものでありまして、最近におきましては、暴力団構成並びに暴力
事犯
の悪性実証の研究、諸外国の麻薬
事犯
の処理並びに科刑の実情、再犯
事犯
による釈放、再審というような問題等が今日研究されております。お尋ねの
誘拐
事件
に対する社会的な原因、
捜査
方法等につきまして、ただいままでに総合研究所が研究をしたということは聞いておりませんけれども、非常に重要だと思いますので、さっそく検討をさしてみたいと思います。 次に、第三問の
誘拐
事件
の刑罰量刑の引き上げについて考えておるかという点でありますが、この種の悪質な
犯罪
の法定刑というものが諸外国と比較いたしまして非常に軽いと考えておりますので、刑法改正準備草案の中にはこれを盛り込んでおるのであります。しかしながら、
法制
審議
会にこれを提案いたしましても、実は相当な期間がかかると思われますので、この問題は、刑法一部改正でいくか、あるいは臨時措置法的なものとするかということを目下検討をいたしております。成案が得られましたならば、できるだけ早い
機会
に提案をして御
審議
をいただきたい、かように考えておる次第でございます。(
拍手
)
清瀬一郎
21
○
議長
(
清瀬一郎
君) これにて
質疑
並びにこれに対する
答弁
を終わりました。
————◇—————
日程
第一 駐留軍
関係
離職者等臨 時措置法の一部を改正する
法律
案(
内閣提出
)
清瀬一郎
22
○
議長
(
清瀬一郎
君)
日程
に入ります。
日程
第一、
駐留軍関係離職者等臨時措置法
の一部を改正する
法律案
を議題といたします。
—————————————
清瀬一郎
23
○
議長
(
清瀬一郎
君)
委員長
の
報告
を求めます。
内閣
委員会
理事
藤原節夫君。
—————————————
〔
報告
書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔藤原節夫君
登壇
〕
藤原節夫
24
○藤原節夫君 ただいま議題となりました
駐留軍関係離職者等臨時措置法
の一部を改正する
法律案
につきまして、
内閣
委員会
における審査の
経過
並びに結果を御
報告
申し上げます。 本案の要旨は、第一に、特別給付金を支給することのできる駐留軍
関係
離職者等の範囲を、
昭和
三十二年六月二十二日に在職していた者に限ることなく、駐留軍
関係
労務者として一定期間以上在職した者のすべてとし、その在職期間の計算については、従来政令で定められていたものを法定すること、第二に、本法の有効期間を五年間延長することなどであります。 本案は、去る三月二十
日本
委員会
に付託され、二十八日政府より提案理由の説明を聴取し、五月七日
質疑
を終了、直ちに採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決いたしました。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
)
—————————————
清瀬一郎
25
○
議長
(
清瀬一郎
君) 採決いたします。 本案の
委員長
の
報告
は可決であります。本案を
委員長
報告
のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
清瀬一郎
26
○
議長
(
清瀬一郎
君) 起立多数。よって、本案は
委員長
報告
のとおり可決いたしました。
————◇—————
清瀬一郎
27
○
議長
(
清瀬一郎
君) 本日は、これをもって散会いたします。 午後三時二十二分散会
————◇—————
出席
国務大臣
内閣総理大臣
池田 勇人君 法 務 大 臣 中垣 國男君 国 務 大 臣 篠田 弘作君 出席政府
委員
内閣
法制
局長 林 修三君
総理
府総務局長 徳安 實藏君
————◇—————