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坂本委員 この問題は、今度の
暴力法の改悪なんというのは、もし不良少年があったならば現行刑法の運用によってできるものである、この
暴力法なんかは必要でない、いたずらに少年の
犯罪をふやすだけである。また池田首相が人づくりと非常に言って
新聞その他のマスコミも人づくりと言われておるけれども、現在のような独占資本の行き方で行ったならば、どんなに口で人づくりと言っても、特権的な一部の者はいいでしょうけれども、大多数の労働者や農民やその他の者については、現在のような経済機構、政治機構を改めない限り、人づくりをやると言っても焼け石に水ではないか、ただ人づくりということで人心をごまかしおくにすぎないのじゃないか。われわれはこういうことを
考えておりまして、こういう点からも、この
法律なんかの厳罰にしてというのは、特に一番対象となるような不良少年に対する
問題等も
考えると、必要じゃないのじゃないか、こういう
考えを持つわけであります。
なおたくさんありますからあれですが、五時までやることにして、もう一つだけ次にお聞きしたいのは、
先ほども申しましたとおりに、
政府の治安
当局と
暴力団との結びつきは、これは花輪その他の問題を例示したのでありますけれども、遺憾ながら結びつきがあると思えるわけです。最近の
労働争議には必ず
暴力団が登場してきます。いわゆるストライキをやれば、
会社の守衛として
暴力団を多数雇って、そうして純真な
労働争議に対しての対立を示しておりますが、こういうので一番顕著なものは、
昭和三十五年のあの三井三池の争議であったわけです。
会社側は金を出して
暴力団に守られる、警察は遺憾ながら
暴力団と協力
関係にあるわけです。こういうような状態にあって、さらに今度は、この間池田総理が見えましたとき、いわゆる小
暴力団が
選挙にまで出てきた、こういうような
関係で、
選挙にはまた
暴力がつきものになっている。こういう状態になっておるわけでありますが、その事例として、私の経験としましては、いま申し上げた
昭和三十五年三月の三井三池四山鉱業所正門前で、
暴力団によって第一組合員の久保清さんが殺害をされたのであります。これは私、その日そこに行っておりました。それから
昭和三十四年の主婦と生活社、あの争議があったわけでありますが、この際は
暴力団を
会社のほうで雇って積極的に労働組合と対立をして、そうして
暴力をふるって、組合のほうは犠牲者が出て裁判になったけれども、
暴力団は一つ毛処分も何もされておりません。次は新宿自動車教習所の争議というのがあった。これも
暴力団を雇って、そして、そこにおる労働組合員を
暴力団によって排除した。組合員に相当被害者が出た、一一〇番に電話をかける、電話をかけても、もう
暴力団にさんざんやられた
あと警察がやってきて、そうしてこの際も
暴力団に対する法の
適用というのは、処罰された者はなかったと思うのです。組合のほうでは処罰をされました。次は三光自動車興業、これもタクシー
会社ですが、これは丸山
委員長が殺害されたのです。三池の久保清さんの場合の暴団は、時期はおそかったですけれども、
あとで検挙されて、熊本の地方裁判所で十何年かの刑に処せられた。ところが、この三光自動車興業の丸山
委員長の殺害
事件についてはまだ犯人があがっていないわけです。次に安保闘争のときの
事件、あるいは浅沼
委員長の暗殺
事件等々を
考えますときに、この
政府治安
当局と
暴力団との結びつきがあるということは遺憾ながら否定することはできないと思うのであります。次に
選挙違反の
暴力でありますが、また交通違反の問題につきましても、これはある社長とかあるいは
暴力団のボスというのがかかったらかえ玉をやる。これについては、やはり警察あるいは
検察庁で暴露したものもございまして、二重
捜査ということでやられておるのもたくさんありますけれども、私は、これをし
さいに
調べますと、交通違反についても相当かえ玉を使って、やはり金で雇われ、懲役一年に対して幾ら月給をやる、あるいは家族のめんどうを見るというようなことでやっておるのも、これは警察、
検察庁は相当やっておられますが、まだそういうのがありはしないか、こういうふうに
考えられるわけです。いろいろ私の弁護し、あるいはその争議に参りましてやった経験はその他たくさんありますが、時間がないから二つだけこの際
暴力団問題で聞いておきたい。
三井三池鉱業所というのは、三十五年三月の
事件は、あの正門前に第一組合がピケを張っていたわけです。そうすると
暴力団が大挙してやってきまして、そうしてそれには、そのさくの中から
会社のいわゆる職制にある者から棒やその他を与えておるのです。みじめなものです。そうしてそこでなぐられて、そうして久保さんはなぐり殺された。殺害された。こういうような
事件なんです。三池の問題では、三池海戦
事件と申しまして、組合のほうでも船を借って、そうして人工島からの問題について合法的なピケでやった際に、この組合の諸君は、いま
暴力、傷害その他で起訴されて、福岡の地方裁判所で裁判になっておるわけです。しかし、
暴力団というのは何ら検挙もされないし、あの当時の警察はこの
暴力団と協力
関係にあったわけです。社宅
事件なんかと申しますと、家庭の主婦が第二組合を反省させるために行った行為でも、やはり現行法一条のあの多衆の威力ということで裁判を請求されておる。三池争議の最初の段階では、警察、
検察庁の
理解があって、検挙したのでもすぐ釈放するとか、あるいは略式で罰金にするとか、傷害等というのがありましたけれども、あの三十五年三月の大争議以後は、その起訴した
事件についても求刑が非常に重くなった。われわれは、全治三日間くらいのこの程度のものならば、あるいは罰金で済むだろうと思っていたのも、いまは懲役六ヵ月、八ヵ月、あるいは一年と求刑されている。そうして熊本の裁判所のごときは、困った裁判官がいて、弁護の際に、こういう人はふだんけんかをしたり傷害をしたりするものじゃない、
労働争議というのが前提になって、三井三池の争議というのが前提になってこの
事件が起きたのであるから、この争議さえなければこういう
事件は起きるものじゃない。したがって、この争議がどういうふうに行なわれたか、第一次あっせん案、第二次あっせん案、それから第三次あっせん案でどうして行なわれたかという前提としての労働問題についての弁護人の
意見、被告人の
意見を聞いてもらいたいと言うけれども、いや、これは
傷害事件だ、
暴力行為事件だから、その
構成要件があるかないかを
調べればそれでよいんだということで、耳もかさない。しいてそれを冒頭陳述をしようというと、発言を中止する。やろうとすれば、法廷警察権で外に追い出す。こういうような
情勢の中で
労働運動の犠牲者は裁判を受けておるわけです。また、そういうのでない者も警察によってどんどん検挙されていく。そうしてその争議が価値のないようなものになっている。私、熊本だから熊本の例をとりますと、大体四千名ばかりが、あの一万数千名の三池の炭鉱の、いわゆる下に下がると申しますが、炭鉱の労働者として働いておるのです。この三井三池の争議に動員された熊本県の警官は約四千名です。それでここに資料もありますけれども、当時は九州全体は強盗、窃盗はやりほうだい、売春も出ほうだい。無警察状態で、全部三池に労働者が三万人集まっておる。熊本では百姓をし、商売ができずに、三池の炭鉱で働いておる人が約四千名あります。私の親戚なんかもたくさんあります。じいさんの
時代から行って、いま孫の者もおる。だから私はあの大牟田の警察の前で、警察官一万名ばかりと労働者の一万名があそこで対立しましたときに、ほんとうに働いてここで生活する熊本県の労働者が四千名おる。また警察官も、わずか二万円そこそこの月給によって巡査としてここにかり出された熊本県の次三男が四千名おる。これがここに警察と労働者とけんかして、双方犠牲者が出て、そうしてもうけるのはだれか、三井資本家ではないか、これはよほど
考えてやらなければ貧乏人同士が争いをし、けがをし、そうして
犯罪者となる。金力と権力を持っておる三井は、
日本政府と結託をして合法的
弾圧をやってきておる。私は、この警官四千名、労働者四千名をニュースカーの上から見て、この貧乏人同士がここに相対立して犠牲者を出すかというと、涙が流れる。警察官諸君も少しは
考えができるだろうと言ったら、多数の警察官の中ではうなずく者がおりましたよ。そうして灯をともす会とか、いろいろの
暴力団の団体が、名前だけはいいのをつくって、そうして商工
会議所は後援をするとか、本部は大牟田の商工
会議所の中に置いておる。そうしてその金が資本家のほうからたくさん出まして、彼らが組織的に対立をしてきておるわけです。そうしてこの純真な久保氏も殺害をされる。これが三池のあの争議の実情であったわけなんです。そうしていまになって第三次あっせん案で処置をされる。第二組合はふえていく。しかしながら、あの三池の本部のりっぱな教養のあるお嬢さんの事務員が第一組合におるからといって、廊下のふき掃除をやらせる。本部の前の草取りをやらせる。しかしながら、お互い働く仲間であるから、組合員であるからやむを得ないというので、あの三井の本社に働くほんとうのお嬢さんがそれまでも働いてやるわけなんです。とうとう三ヵ月、四ヵ月後には
会社側が音を上げてもとの職に戻した。争議の
あとに働く組合員が、労働者がどういう苦痛の目にあったかということは、いまでもひしひしとわかるわけなんです。そうしてこの三井三池の争議で勝利を占めたあの円仏君が今度は大牟田の市長になったでしょう。そうしてどんどん理屈をつけてやっておる。こういうような殺害
事件で、ここにもありますが、
暴力、傷害で起訴されているのが大部分です。その数は、私、表を整理するのをあれしましたから、
あとで申しますが、約三百名余りの刑事被告人が、
先ほど申しましたように、福岡地裁、熊本地裁、荒尾簡裁、大牟田簡裁等で裁判が、一審が終わって、いま控訴に入っているのもたくさんある。普通ならば罰金で済むようなのが、六ヵ月、七ヵ月の求刑を受けて、そうして四山の支部長であるがゆえに
暴力行為処罰法で八ヵ月の体刑を受けて、執行猶予がついていない。情宣部長であったがゆえに六ヵ月の判決を受けて、執行猶予がつかない。そういうように求刑も非常に重くなっておりますが、判決も重くなってきています。あまりに重いから、福岡の高裁で多少修正されておる点もあるわけです。執行猶予がつかないものについては、執行猶予がついた
事件も相当あるわけです。そういうふうで、いわゆるかかれと言って、大ぜいの労働者の中になぐり込んだ警察官は一人も処罰されずに、三百数十名のものが処罰されておる。
こういうような現状を見ますときに、やはり争議の中には——これは
あとで一条ノ三のところで
常習でただしたいのですが、現行法の一条の一項を基盤にして、この
常習の一条ノ三を持ってくれば、さらに輪をかけて
弾圧にこれが利用されるというふうにわれわれは
考えるわけです。
労働運動、
社会運動にはこれは
適用しないと言われても、やはりこれは実績からして
適用される。こういうふうに思うわけですが、
大臣の所見はいかがでしょうか。