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猪俣委員 それからなお
大臣にあれですが、やっぱり
安倍検事の御
意見を聞くことはいいでありましょうけれ
ども、それは
安倍検事自身の
個人の
意見を尊重するような処置をとっていただきたい。せっかく
委員会で呼び出したものを
——僕は小
委員長の態度も軽率だと思う。そういうことをなあなあでやられたのではいかぬ。私もまたそれをよく確かめてから質問する時間がなかったことははなはだ遺憾でありますが、いずれにいたしましても、ちょっと不明朗だと思うわけです。
安倍検事が心穏やかならざるものがあるように聞いておりますから、その点も御配慮あってしかるべきものだと思うのです。
そこで今
再審問題として
法務委員会でも検討いたしておりますが、最近になりまして、先般私
お尋ねをいたしました帝銀
事件の平沢貞通、これは最高裁判所の判決が確定いたしておりまして、いつでも死刑執行ができる状態になっておりますが、
法務大臣は、
再審の道もあるし十分考慮するような御
答弁がありまして、直ちに死刑が執行されるのじゃないかというようなことが、宮城の刑務所へ送られて以来一時出ておりましたのが、そうじゃないのだということが世の中に明らかになりまして、平沢を守る
人たちを安堵さしたのでありますが、そこで今
再審の申し立てもしてあるようでありますが、私は、これに対しまして、結局、
検察庁側から無理に反対をしないようにして、そして
再審は何べんでもやっていただきたいというふうに思うのです。今の
再審制度にもいろいろな壁がありますために、当
委員会で今研究を始めているのですが、そこでその資料といたしまして、なお、これは検察行政のあり方といたしまして
お尋ねいたしたいことは、この平沢貞通に対しましての聞き取り書き、これをたんねんに
調べますと、どうも奇怪なる事実が出てくる。これは記録そのものの
調査から出てくるわけあります。これも十分お含みの上
再審に対する検察官の態度をきめていただきたい。
それを申しますならば、昭和二十三年八月の二十八日行なわれましたる高木
検事、佐々木事務官の第四回聞き取り書き、これは八月二十八日から八月二十九日、二日間にわたりまして十二枚の聞き取り書きができておる。それから昭和二十三年八月三十一日及び翌日の九月一日、二日間にわたりまして五枚の調書ができておる。なおまた三十五回の聞き取り書き、これは九月二十三日と二十四日にまたがって十枚できておる。三十六回の聞き取り書き、これは九月二十三日と九月二十四日に三十四枚できておる。それから四十三回の聞き取り書き、これは九月二十六日と九月二十七日でやはり二日。四十四回の聞き取り書きは九月二十六日から九月二十八日にまたがっておる。それから四十四回の追記というのがありまして、これが九月二十六日から九月二十八日にまたがっておる。四十五回がやはり九月二十七日から九月二十八日。その他五十二回、五十三回、五十四回、五十六回の聞き取り書き、いずれも警視庁におきまする高木主任
検事の取り
調べ調書でありますが、長らく裁判官をやられまして現在退職せられておる人の
意見を聞きますと、二日にわたった調書というものは異例である、これは徹夜で
調べたという推測がされる、こういう御
意見であらます。ことに第七回は、昭和二十三年八月三十一日から九月一日の二日間にわたりまして五枚しか書いてないのです。五枚の聞き取り書きをつくるために二日間にわたっておる。これは何を
意味しているか。調書はたった五枚しかないのですよ。しかもそれは二日間にわたって取り
調べておるわけです。これは何としても徹夜で拷問して
調べたと思うより仕方がないということが、長い間裁判長の職責にあった人の感想であります。これが調書の上に実に明らかに出ている。常識上、五枚の聞き取り書きを書くのに二日かかるということは異常であります。
本人がどんなに拒んでも拒んでも追及々々、深夜から暁に及んだことが想像される。これが調書の上に出ておりまして、非常に取り
調べに無理がある。しかも、こういう自白が唯一の
証拠として今日死刑の判決が出ているわけであります。ことに四十四回の追記と称する調書ははなはた奇怪なる
——推定でありますから、真実のところはわかりませんが、署名は
本人の署名でないことは明らかであるが、拇印までがどうも違うのではないかというので今
調査をしている。かような異常なる取り
調べの姿、何かそこに無理があると存ずるのであります。これは二日にわたった。きょう
調べたならきょうとにかく署名捺印というのが普通の例であります。ところが、きょうから
調べながら、きょう署名捺印せずに、あすの日付の署名捺印というような調書というのは、私
どももあまり見かけないのです。一体かようなことは、普通検察官はやっていることであるかどうか、
竹内さんに
お尋ねいたします。