○八木(徹)
委員 私は自由民主党を
代表しまして、
政府原案に賛成、社会党の修正案に反対の討論をなさんとするものであります。
ただいま社会党を
代表して村山君から
政府原案反対の七つの条項を述べられましたが、それについて論駁いたしたいと思うのであります。
最初に、本法は完全実施の保障がない、こういう言われ方であります。御案内のとおり、本
法案は措置
法案でございまして、母法は先四十
国会において
無償をするという旨の大原則がすでに確立をいたしておるわけでございます。また先ほど来
大臣の
答弁にもありましたように、一年から中学三年まで同時に
無償にできるということが最も望ましいことは言うまでもないことでありますけれ
ども、現実の財政事情からしてそれが不可能である、その
意味において附則第四項において「当分の間」という規定を設けております。しかしこの「当分の間」という規定が永久に当分であるかのごとく言われることは疑心暗鬼であり、猜疑心が深過ぎると思うのであります。総理
大臣が本
会議の席上においてるる述べておりますように、最大五年を目途にして
無償の完全終了をはかりたいということを言っております。すでに二年を終了いたしておるわけでありますから、
あと三年でわれわれの待望する
無償というものが実施できるということは確約されておるわけであります。その
意味において第一点は疑心暗鬼以外の何ものでもない、このように申し上げざるを得ないのであります。
第二点といたしまして
採択の問題でございます。
採択につきましては
現行採択方法を今回の法律によって変えておるということではない。ただ変わっておるのは、都道府県に
選定審議会を設けて、その
選定審議会においていわゆる数種のものをきめるという、そのことが現在の
採択制度と変わっておるというだけであって、
地方教育委員会のこれに対する措置というものは現在の法律と何ら変わりはない。その
意味において今回の
採択権という問題が特に問題になるという課題はないと私は思うのであります。
次に、県
教育委員会に
選定審議会を設けるということはどうであるか、こういうことでございます。この
選定審議会につきましては、本
法案審議の
過程において明らかになりましたように、決して
教師の
発言権を封ずるというのではない。少なくとも三分の一の校長、
教師という
教育担当者の連中をこの
選定審議会の中に入れて、十分にそれらの方々の
意見を徴するような形になっておるわけでございますので、このことが
現行制度に対して大きく後退するということには絶対にならない。より現実的な改正案であると言わなければならぬと思うのであります。
次に第四点、特別都市の問題でございますが、この問題につきましては一応
検討する課題であろうかと思うのでありますけれ
ども、しかし都道府県というものと特別市というものの関係を敵対感情にあるかのごとく言うことは適当でないと思うのであります。現実に本法に指定いたしておりますように、都道府県の中に特別都市の
発言権を十分に留保するということになっておるわけでございますから、それがために特別なる障害が起こるということは
考えられないのでありますけれ
ども、この点につきましては幾らか調整の余地があろうかと思うのであります。
次に
行政区画に
採択権というものが並行しておるということは適当ではないじゃないか、もっと独自の
教育的な
立場に立って区画というものがきめらるべきじゃないか、こういうようなお話でございます。議論としてそういう議論があろうかと思うのでございますけれ
ども、現在の
採択の実態というものをながめてまいりますと、実はそれらの
行政区画ごとに中幅な
採択というものがなされておるということは現実の姿であります。またこの程度の市あるいは郡というものを
単位にして
採択をはかるということは、
教師の共同
研究等の実情に照合いたしましても適当な分野のほうが多いと思うし、現実的に申してもそれが大多数のところに行なわれておる実態であるという
意味において、このことは問題にならないかのように感ずるのであります。
第六点、出版業者の指定の問題でございますが、少しく誤解をいたしておるのではないかと思うのであります。指定ということは、いわゆる欠格条項というものを本法において規定をい失しておるわけであります。その欠格条項というものは、いわゆる最も常識的な、通俗的な規定でございまして、これによって、
心配されるような、
現行出版業者が脱落するとか、あるいは指定を取り消されるとかいったようなことは
考え得られないと思うのでございます。立ち入り検査の問題を問題にされておりますが、このことは先
国会において社会党が出されました
法案よりもよりこちらのほうが微温的であり、良識的である。社会党の
提案のほうがよりひどいものであるというような
意味からいたしましても、現実を無視したことにはならぬのじゃないか、このように感ずるのであります。
第七点といたしまして、本法がいわゆる
無償措置を財政的にしたもの以上に、たとえば小
学校については四年生以上のものを巻き添えにするということは違法ではないか、行き過ぎではないか、こういうようなお話でございます。この点につきましては一応もっともなところがあろうかと思うのでございますけれ
ども、しかし、しさいに
検討いたしてみますと、先ほど第一点で申し上げましたように、
無償措置が完了するのは五年を目途にして、もう
あと三年だということであります。しかも附則第一項にうたっておりますように、この措置が行なわれるのは小
学校については
昭和三十九年、それから中
学校においては
昭和四十年ということになっております。さように
考えてまいりますと、五年計画というものがこの附則によって早められるということになれば、問題は一ぺんに解決する。一年の違いでございます。そういう
意味において現実と遊離したことにはならないのであって、この程度のことであるならば同時にこの際この措置をしておくということのほうがかえって親切な
やり方ではないか、こういうふうに
考えるのでありまして、特に問題にするに足らないと思うのであります。
以上七点につきまして申し上げたわけでありますが、社会党の修正案につきましては、いま申し上げましたように、いわゆる猜疑心と偏見、その上に立っての措置であって、必ずしも取り上げる必要はない。われわれは
政府原案というものを押し通すことによって国民の期待に十分にこたえ得るものだ、かような
意味において、私は
政府原案に賛成、社会党の修正案に対しては反対の討論を終わるものであります。(拍手)