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小林(信)
委員 山中さんに答えただけでなく、私の
質問に対しても、私は読んでない、読んでないから川崎市の問題は調べてまた御
質問に応ずるというふうなことを言われておるわけなんですよ。だから私たちは、あなたの方はこういうことに対しては非常に誠意がないと思う。
学校がつぶれたといっても、すぐ
文部大臣の頭には、あるいは当局の頭の中には、人命には影響なかったかというふうに、一人でも二人でも命の問題をすぐ
考えるくらいに、これは
教育行政の中では重大視しなければならない問題だと思う。それがどういうところから端を発し、何が起因してそういう問題が起きるのだというところに
文教行政の大事なところがあると思うのです。この週刊雑誌を見ても、受験地獄の問題を取り上げるとともに、劈頭にはこれに対する親たち、あるいは教師の問題、これが
ほんとうに印象づけられるように、たとえば一番最初に——これはごらんになっていただかなくてもわかることだと思うのですが、深夜十時ごろおかあさんが
学校の先生を訪問しているわけなんです。どういうわけで訪問しているかといったら、入学試験問題で家じゅうで話しても
結論がつかない。やはり
結論をつけてもらうのは
学校の先生だろうというふうなところから夜中におかあさんが訪問しているわけなんです。
学校の先生も訪問を受けて、うちの子供は大丈夫でしょうかと言われれば、何とか答えなければならぬけれども、先生も神ならぬ身であるから、何とも答えようがない。こういうふうに、もう世間は入学問題でもって
ほんとうにノイローゼになっているわけなんです。そういう中からこういう問題が出てくる。一体どこに持っていったら解決できるかということになってきているわけなんです。高校全入運動というようなことが言われれば、文部省は簡単に、あれは日教組が他の目的からああいう運動を起こしているのだ、これにごまかされてはならないということを宣伝して平気でいる。今のような御
答弁の
態度から、私はそういう問題が出てきて、そうしてこういうふうな悲劇が起こってくるんじゃないかと思うのですよ。そこで今都会地にこういう状態が起きておるのですが、これからいなかの方にもこういう現象が起きてくると思うのです。こんなに一生懸命勉強しなければ
高等学校にもはいれない、そういう競争をした者が今度は
大学にはいるというようなことになってくれば、これは将来の
大学入学の問題が大きな問題になってきますが、そのときに一番困るのはいなかの
学校だと思うのですよ。だから私たちがこの際定員の問題を重視しているのは、社会問題から
考えてみてもこうした現象は非常に重大であるから、この際定数問題ももっと真剣に取り上げてもらいたいといっているわけなんです。先日も私は局長にその点を
質問をいたしましたが、今度も一学級を五十名にするというような制度でもって臨んでおるけれども、その五十人というのは、
一般父兄は、五十人になるだろうと
考えておりますが、政令が出ておって、五十五人まではがまんしなければならない
学校もあるわけです。そういう
学校はどこかといえば、これは山間僻地なんです。山間僻地の
学校では、制度が五十人になりましても、五十五人でがまんしなければならぬ。さもなくても、小規模
学校の先生というものは、仕事の面ではいろいろな負担をしておる。さらに五十五人というようなたんさんな生徒を収容して授業をやっておる場合には、
ほんとうに個別指導というものは十分にできない。あなた方が学力テストをやっておわかりになっておるように、どこが一体学力が低下しておりますか。これは山間僻地の
学校なんです。さらに、ほかのところは五十人に下げられても、五十五人でもってやっていかなければならぬ。勢いいなかの生徒の学力は低下してくるわけです。それが今度いよいよ
大学の入学試験というようなことになったときに、ますます格差は大きくなって、今度は悲劇は都会からいなかに移っていくわけです。そういう点を
考えれば、
ほんとうに五十人にしようとするならば、政令なんかにこだわらずに——今先生方が県側と、
教育委員会ばかりじゃないか、知事も相手にして盛んに折衝しておるのは、こういう問題を
考えるからなんです。人の命がただ
一つ失われただけではない。その背後には、今のような親の心情もある、教師の悩みもある、社会的に全体が悩んでおる。私はさっきの局長の
答弁を聞いて、これではもう問題にならないのだ、いずれ調べますとか、あるいは
山中さんの
質問が、そういうふうに過去何年にさかのぼってというようなことであれば答えられないようなことかもしれませんが、
一つ一つのこういう問題にもう少し真剣な
態度を持っておれば、今のような
答弁は出てこないと思うのです。ああいう
答弁を出すということは、非常に誠意のない、今の
一般国民全体が問題にしていることをきわめて軽視しておる
態度と言わなければならぬと思うのです。幾ら試験制度あるいは方法を変えたからといって、やはり入ろうという子供は入りたいわけなんです。そうすれば、やはり成績優秀な者が入学を許可されるということになれば、依然として試験地獄を続けていくわけなんです。
学校をふやし先生を確保する、むずかしいことをたくさん並べるよりもこれが最も簡便な、
行政の
責任が果たされることだと思うのです。
先日、局長は私の
質問に対しまして、多少あいまいなところがありましたので、この際もう一ぺんお伺いしておきますが、政令をことしは各府県の交渉によって云々というようなことを言われた。来年度はこういう点から
考えて必ず文部省の
責任によって直すというのか、直すくらいの
考えでいるのか、もう一ぺんそこのところをこういう問題と
関連して私は聞いておきたいと思うのです。