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庄野政府委員 政府提案の
沿岸漁業等振興法案につきまして三点御質問があったわけでございます。
水質保全の点につきましてお答え申し上げます。
政府提案の
沿岸漁業等
振興法によりましては、第三条一号に「水産
資源の適正な利用、水産同植物の増殖等によって、水産
資源の維持増大を図ること。」こういうふうにうたってございます。端的に水質保全ということばを使ってございませんが、この条項によりまして水質保全の要は結局水産
資源の維持増大にあろうかと存ずるわけでございまして、水産
資源の維持増大をはかる国の基本方針にのっとりまして、
政府といたしましては水質の保全等も十分汚濁を防止していきたい、こういうように考えております。その実質的な
方法といたしましては、御承知のように水質汚濁防止に関する
法律と工場排水等の規制に関する
法律の二法によりまして、水質の保全を河川ごとにあるいは沿岸の水域、海域を
指定いたしまして、河川または沿岸海域の水質保全を現在におきまして
調査し、江戸川あるいは石狩川等水質基準がすでにつくられて、その基準によりまして、水質の汚濁を食いとめる、こういうふうな
措置をやっておるわけでございまして、
政府といたしましては、いま申しました水質二法の運営によりまして、第三条の一号によります水質保全を実施いたしてまいりまして、よく水産
資源の維持増大をはかってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
それから第二点の
水産物の輸出の
促進及び輸入の抑制等に関します諸点につきましては、輸出につきましては、御
指摘のように
水産物は日本の全輸出額の六%を占めるわけでございまして、そのうちでも真珠等はほとんどが海外輸出に依存しておる、それからマグロの冷凍あるいはマグロのかん詰め、サケかんあるいはカニかんといったようなものの相当部分が海外に輸出されておるわけでございます。こういう点につきましては、第四号の
水産物の流通の合理化、
価格の安定といったようなことをうたってございますが、それによりまして輸出
促進をはかるということを考えております。要は、やはり
生産性を高めて
生産価格の安定をはかり、したがってそれによりまして加工
施設あるいは流通機構の整備をやって製品の適正な
価格形成をいたしまして、それによりまして輸出
水産物の輸出振興に関します
法律等によって輸出協同組合、輸出組合あるいは輸出を扱います共販会社を通じて無用な国内競争を排除して海外の輸出の伸長をはかるということを考えております。なおその先決の問題といたしましては、海外の市場の
調査といったような点を実施する、そういう面において輸出の振興を今後とも
促進してまいりたい、こういうふうに考えております。なお輸入の点につきましても、御
指摘のように輸入の抑制ということばは入れてございません。第四号の運営によりまして、水産の輸入等については適正な
措置を講じていきたい。これは御承知のように
自由化の
関係で、まだ
自由化していないものが、御
指摘のようにノリとか、あるいは
沿岸漁業の競合のブリ、アジといったようなものがございます。こういうものについては国内
沿岸漁業等の影響が非常にあるわけでございまして、こういう面においては
自由化に際してよく慎重な態度をとらなくちゃならぬと考えておりますが、また将来におきまして、関税の問題あるいはそれを受け入れます場合のいろいろな受け入れの
方法等があるわけでございまして、適正な
措置によってそういう問題を解決していきたい、こういうふうに考えております。これは輸出入を総観いたしまして、日本の水産業が輸出に依存する面が非常に多い。こういう面を考え、相手国に対する問題等もありまして、輸入を制限するあるいは抑制するというような刺激的なことばを用いまして輸出の伸長がはばまれるというようなことのないように、
水産物の流通の合理化ということと、そういった輸出の
促進と、輸入に対する慎重な態度をとる、こういった方途をわれわれとしては
措置したい、こういうふうに考えております。
なお「
災害による損失の合理的な補てん等によって、経営の安定を図ること。」
災害対策としては、第五号にうたってございますが、これによりまして、いま実施しておりますのは漁船の保険を
中心といたします漁船
損害補償法でありますが、これはさらに
制度の拡充なり運用の改善をはかっていく、こういう態度でございます。なお漁獲物の共済、あるいは漁具、漁網の共済につきましては、ただいま、三十二年と思いますが、三十二年から試験的に実施いたしております。それでこの実施の
状況をただいま十分検討いたしまして、三十八年で一応試験実施の段階が終わるわけでございますので、三十九年度からこれを
制度化して
法律にしていきたい、こういうことで研究会を設けて鋭意研究いたしております。大体七月末を目途に成案を得るように努力をしている段階でございまして、
漁業共済の
制度化ということも十分考えておるわけでございます。なおその他
災害によりまして経営の不安定を来たすことのないように、
災害融資あるいは激甚災に対しまする
補助といったような点もさらに拡充してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。