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松浦(周)
委員 ちょっと関連して申し上げます。これは先ほど角屋さんも同様な御
質問をされ、いま川村さんも同様でありますけれども、この
沿振法が六項目ばかり、われわれのどうも
意見の合わない点があるのですが、その中で三点くらい、いま川村さんの御
質問になりました
構造改善の問題もそうでございますけれども、あるいは
沿岸漁業振興
審議会、あるいは
貿易振興の
貿易自由化の問題に対する
対策、その他の
構造改善の
対策というような問題については、
農業基本法と比べてみると非常に片手落ちですね。軽く扱われているのですよ。なぜ
農業基本法と同じようにお扱いにならなかったかという点が私はちょっと不満なのです。これはまだ
審議中でございますから、各
委員の方々の御
意見もあろうかと思いますが、
沿岸漁民の衰退いたしております現状をお
考えになりまして、少なくても
農業基本法に与えたと同じような権限を、全体の
法案を貫くようにひとつお
考え直しをできないものかどうか、この点を前提に置いて
お尋ねいたします。それが第一点であります。
それから
構造改善について、いま申しましたような
考えを
大臣が持っておられます。重政
農林大臣の記念塔ともいうべきものは、つまり大型漁礁の公共
事業費創設、これはわれわれは非常な感激をいたしております。あなたのお力によりまして、いわゆる大型魚礁が公共
事業費に取り上げられました。これは
沿岸漁業を振興さす一番大きな問題であると思います。これは今後大いに積極的にやってもらいたい。しかしながら、
考えてみると、これだけでは片手落ちなんです。確かにその周辺にあるいは二千、あるいは三千、一カ所に投げ込めば、その付近に底びき網は寄りつけませんから、どうしても魚族がふえるのです。魚族がその付近にふえ、海藻がふえる。ふえれば、したがってその付近にえが、つまり漁の食糧が不足になりますから、その漁礁を離れて沖のほうにえをとりに出かける。そうすると、沖で底びき網にひっかかるわけです。だから結論は、やはり底びき網を現在よりもだんだんと縮小して——底びき網というものは、
沿岸漁民と両立しないものなんです。これを遠洋
漁業なりその他の方面に
転換さして、そうして公共
事業費としておやりになるところの大型漁礁を
日本の海岸全体に入れるということが、
構造改善の第一でなければならないと思うのです。ところが、この底びき網の
転換についてはあまり積極性がないような——この間もマスの流し網の問題についてずいぶんやりましたけれども、わずかな割り当てしかいただけなかった。もう少し、百尺竿頭一歩を進めて——公海自由の原則に従って日米
漁業交渉をやるという先ほどの答弁がありましたから、もっと沖のほうへ、遠洋
漁業に出かけて、
沿岸の零細漁民をいじめないように農林省はやる、そこに
構造改善の基礎がある、こういうふうに思います。
それからもう
一つ、消極的にそこまでやるまでの間、現在の底びき網の禁止区域をもう少し拡大する
考えはないか。これは私の
委員長のときに少し拡大しました。けれども、底びき網の連中と争ってようやくそこにまとめたものですから、たいしたことはないのです。それでもまあ助かったのですが、この時代においてはもう少し禁止区域を拡大する
考えはないか。これも
構造改善の
一つであります。
もう一点申し上げたい。これは速記録には何べんも載っているのですが、その
方向にまだ動いておらないのですけれども、幸い草地改良が公共
事業費になりまして、だんだんと積極的に取り上げられてまいりました。北海道周辺の
沿岸はたしか五千キロくらいあるかと思います。その五千キロの
沿岸に草地でないというところは三分の一もありません。一割くらいしか開拓されておりません。なぜかというと、冷風と潮風のために受粉作用ができませんから、穀菽
農業が行なわれないのです。畜産
農業というものは、改良をやらなかったものですから草がどこでもできるのです。それを改良して
漁家に五町歩なり七町歩与えるのです。そうすると、牛も三頭や五頭飼えるのです。奥さんがやれるのです。そうすると、沖からとってきたものだけが余分の収入のようなことになって、五、六頭の牛を飼えばそれで十分に生活ができる。それが全部雑草になっている。これは青森県においても、岩手県においても、秋田県においても同様です。だから、
沿岸漁民に半畜半漁的な面をお開きになるということも
構造改善の
一つではないか。現に私、増毛という町に二百町歩ばかりの高台の平地がありまして、七十町歩ばかり山奥から溝路を掘って水田をつくってやった。そうして、一軒の
漁家に三反歩づつ米をつくらした。三反歩つくると一年じゅう食うだけの米があるのです。あとかんがい溝を掘りまして、また今年百二十町歩ばかりやることになっております。もうだんだんもとのように魚の大漁ができませんから、イモでも米でも食うだけのものがとれれば漁村は非常に助かるのです。そういう
意味において、海のことも十分やらなければならぬが、丘のほうにあき地があれだけあるのですから、
水産庁長官は、農地局及び畜産局と相談して、そのことも兼ねてお
考えになったらどうか。この四点、特に
大臣から御答弁をお願いしたいと思います。