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1963-05-16 第43回国会 衆議院 農林水産委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月十六日(木曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君    理事 田口長治郎君 理事 丹羽 兵助君    理事 足鹿  覺君 理事 東海林 稔君       大野 市郎君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    仮谷 忠男君       草野一郎平君    小枝 一雄君       谷垣 專一君    綱島 正興君       内藤  隆君    松浦 東介君       栗林 三郎君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    芳賀  貢君       安井 吉典君    山田 長司君       湯山  勇君    玉置 一徳君  出席国務大臣         農 林 大 臣 重政 誠之君  出席政府委員         農林政務次官  津島 文治君         農林事務官         (農林経済局         長)      松岡  亮君     ————————————— 五月十六日  委員栗林三郎辞任につき、その補欠として芳  賀貢君が議長指名委員に選任された。 同日  委員芳賀貢辞任につき、その補欠として栗林  三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一三七号)      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 これより会議を開きます。  農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を行ないます。足鹿覺君。
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 五月十四日に質問をいたしました残余の質疑を本日はいたしたいと思います。  十四日の質疑の際に、農林大臣の御答弁にわれわれはきわめて不満でありまして、審議が停とんをいたしたことを残念に思いますが、本日はもっとよく御検討になった結果をまず御答弁願いたいのであります。  それは、改正案による組合別基準掛け金率の算定の問題をめぐる点でありますが、昨日の農経局長説明を聞きますと、四百六十組合を抽出いたしまして、これによって組合別増減を考えると大体半々という御説明でありました。三十七年を新しく計算に入れればなお下がるであろうということでありますから、われわれはそれを期待しておるのでありますが、しかし増減半々ということになるということはきわめて重大なことでありまして、今度の措置農家負担掛け金率増加部分に対する補助金交付の規定があるだけで、そこで、この間も要求いたしました基準なり具体的な組合名額等はまだ知るわけにはまいりませんが、大体どの程度組合にどの程度の額をたとえば一組合にどの程度の額を出すのか、またそれがいま予定されておる二億円程度のものを大きく上回った場合でも、大臣責任を持ってこれを農民負担増高にならないように処理をする決意があるかどうか。また、料率改定が三カ年間を予定されておるようでありますが、三カ年間は野放しということでは困るのであります。われわれが審議の前提にしておりますのは、少なくとも現在の掛け金以上に上げないで内容を充実していく、こういう考え方に立って本案を取り扱っておるのでありまして、これは制度改正協議会以来の一貫された方針でありまして、この方針にもとるような御答弁大臣が先日なさいますから、私どもとしては審議を進めるわけにはならぬということになったわけでございますが、この点について、農林大臣は、農民負担を増加せしめないための責任ある明確な方針をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  4. 重政誠之

    重政国務大臣 今回の制度改正によりまして、それがために農家負担が増加するということは極力避けるようにいたします。その方法はいろいろあるだろうと思いますが、結論におきまして、現在の掛け金よりもふえるところがありますれば、責任を持って、これは財政措置によりまして現在の掛け金以上にならないようにいたします。   〔「明確だ」と呼ぶ者あり〕
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 まだ明確とはどうも受け取りがたい点があるのでありますが、一応この間の御答弁を大きく修正をされましたから、一応この点はさらに各個質問の際に詰めたいと思います。  これは農林大臣でなくともけっこうですが、関連をいたしまして、基準共済掛け金率細分化方針がきのう資料説明の際に述べられましたが、これはあとで伺うこともありますから、そのときでもけっこうですが、組合別にやった場合、中央への吸い上げがあまり大きくなりはしないかという疑問を若干持つものでありますが、その点はいかがでありますか。
  6. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 その点はむしろ逆でございまして、現状におきましては、組合から連合会へ九割を保険しておるわけでございますが、そういった関係で、ほとんどが組合から連合会に集められた掛け金が納付されてまいったのであります。しかし今回の改正によりまして、末端の組合責任がほとんど留保されるという結果となりますので、逆に、むしろ組合に徴収された掛け金が留保されまして、上のほうから組合へ、連合会から組合へ交付されるほうが多くなりまして、大体半々ぐらいになってまいると思います。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 この点についてはあとで触れますから、こまかくは申し上げません。  そこで、次に伺っておきたいことは、改正後の掛け金反当平均予想を昨日承りました。それによりますと、三百八十七キログラム、キロ当たり二十七円を選択した場合、国の補助が二百六十一円、農家負担が百五十八円、合わせて掛け金四百十九円ということに説明を受けました。しからばその場合に手取り共済保険金は具体的に幾らになってくるのでありますか。また、かりにそういうものを選択した農家があった場合、三カ年間連続して無事故の場合には、無事戻しは幾ら農家がもらえるのか、この点は今後の改正中心一つにもなりますので、予想がありましたならば、抽象的ではなしに、具体的に事例でもってひとつ答えていただきたい。
  8. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 昨日説明いたしました資料にもございますように、いまあげられた設例におきまする反当の平均共済金額は、平均基準反収を三百八十七キロ、単位当たり平均共済金額を二十七円といたしまして、いまお話しになりました掛け金になるわけでありますが、この場合の共済金額は、ここにも書いてございますが、反当七千三百十四円でございます。それを今回は二十七円——この平均でございますが、最高の九割の場合をとりますと、七千三百十四円の六三%の反当の共済金がおりるわけでございます。したがいまして、目の子算でございますが、四千五百円ぐらいになるわけでございます。そういった金額が交付されるわけであります。  それから第二点の無事戻しでございますが、無事戻しは、三カ年間無事故が続いた場合には、従来は一年間の共済掛け金の半分でございました。したがって、百五十八円の半分、七十九円でありますが、今度は一年分に相当するもの、百五十八円が無事戻しされる、こういう予定にいたしております。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 次に農林大臣にお伺いをいたしますが、昨日説明を受けました資料にも明らかなごとく、麦作の減少は顕著なるものがあります。ただし小麦の場合は若干例外のようでございますが、これは政府の施策がそういうことを推進しておるとも言えるのであります。この場合、小麦は主として販売目的のものが多いと思われます。大裸については自家用を中心としたものが多い。こういうような区分から見ましても、麦を強制にする理由は、少なくとも現段階においてはもう解消したと私は思う。しかし麦の主産地、畑作地帯における麦作というものは、あながちこれは軽視できません。したがってこれについては任意として再保険措置を国が残しておけば足りるのではないか。むしろそのような金は他の新しい農業経営実態に即応する体制につぎ込んでいくことが、本制度の効果を発揮するゆえんではないかと思うのでありますが、麦については少なくとも情勢が著しく変化してきたことを認め、これに対する任意として再保険措置を国に残すべく検討する意思があるかないかを伺っておきたい。
  10. 重政誠之

    重政国務大臣 御意見一応ごもっともな点もあるかと思いますが、それらの点にはなお十分に検討する必要が私はあると思う。しかし根本の問題といたしまして、農業経営実態が新しい方向に向かって変貌を現在遂げつつあるわけでございますから、先般も申しましたように、あるいは果樹でありますとか、あるいは畜産あるいは養蚕の問題というようなものについて、従来と頭を変えてこれをどうするかということを検討しなければならぬ、こう思っております。私はそれと同様の意味であろうと思うのであります。それらの点につきましては、十分にひとつすみやかに検討をいたして結論を得たいと考えております。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 本日直ちにその可否を御答弁願うことは無理かと思いますが、十分これは御検討なさる必要があろうかと思います。  これに関連をいたしまして畜産物果樹等共済制度の問題でありますが、たとえば果樹共済和歌山ミカンについてやった。ところが一ぺんで成り立たなくなってやめてしまったというお話であります。これは私が前々から指摘しておりますように、地方的重要農産物任意共済でやることは法によって認められておる。やったものに対して国が再保険をするかしないかが結局問題になるということは、従来指摘してきておる。ところが幾らこれを指摘しても、たとえば北海道大豆あるいは九州地方におけるなたねあるいは果樹地帯におけるこのような和歌山ミカン事例のように、やってもあなた方が任意だということによって再保険措置を講じないことが、結局県単独では維持し切れなくて新しく思いついてはつぶし、また計画を立ててはつぶれ、そして残ったものは赤字ということでお互いに苦しんでおる、こういう実情であろうと思うのであります。したがってこの際果樹等任意で思いついてこれを実施をした場合、あるいは新しく地方的重要農産物任意において行なった場合に、国が再保険措置を講じて危険分散をはかることが必要であることは、従来しばしば指摘しておりますが、この点についてはその後いかような検討を加えられましたか。これは大臣の決断ある御答弁をこの際願っておきたい。つくってはつぶれ、つくってはつぶれでは意味をなさぬのであります。この点いかがでありますか。
  12. 重政誠之

    重政国務大臣 地方的の特産物についてもやはりこういう共済制度の恩典といいますか、対象にこれをしたらどうかという御意見でありますが、これは私もできるだけ取り入れていくのがよろしいと思うのであります。しかしこれはもう足鹿さん御承知のとおり、国が再保険をするということは、一定の損害があった場合に全部国がしりをぬぐうということがあります。もちろん詳細な十分な統計資料はなくても、ある程度損害がわからないと、国の負担がどうなるということが予想ができませんので、ある程度資料を得るということはどうしても必要なことであります。したがってそれらの資料を十分に調査いたし、それらの資料をも収集をして、そこでこれが一体その対象になり得るものかどうかということを判断いたさなければならぬと思うのであります。これらの点につきましては、農林省としてもやはり検討いたしておるだろうと思うのでありますが、いずれにいたしましても農政の方向農業経営方向がだいぶ違ってまいっておりますから、それらとも十分に見合いまして、資料収集も一方においてははかり、調査もやって考えたい、こういうふうに考えます。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 原則的に大臣は、そういう地方的重要農産物都道府県任意共済実施した場合において、数府県できなければこれはもちろん実施困難でありますが、そうした場合においては、あるいは北海道大豆というような、一道において実現をしてすでにやっておる、しかし国がめんどうを見なければやれないという結論は出ておるのですから、そういう場合に対してはその再保険措置を講じていくということを、まず方針を明らかにして、そうして対策事務当局に命じられていくならば、問題は早く解決がついていくし、具体的に軌道に乗ってくると思うのであります。それをなさらねば、いつまでたってもこういう問題は政治的判断でいかなければやれないことでありまして、事務当局としてはそう簡単には踏み切れない。こうやれ、これがよろしかろう、これでやれ、こういう命令をなされる必要があると私は思うのでありますが、従来このことはしばしば論じられておるけれどもなかなか軌道に乗らない。いかがでありますか、押して一つ答弁願いたい。
  14. 重政誠之

    重政国務大臣 できるだけ共済制度対象をふやしていくということが必要でありますが、ただいま申し上げましたように、災害共済原因の発生の態様でありますとか、あるいは現実の被害頻度というようなことも、これはある程度統計資料を得ないと、そう政治的にこれをただ判断してやるというわけにもまいらないのであります。なお多くの、多年いっておられる果樹の問題、これらは非常に重要な問題であると思うのでありますが、その問題もこれは手をつけなければならぬということは、もう近々迫っておる問題であり、さらに蚕繭の問題とか、あるいは家畜共済の問題であるとか、いろいろ問題がたくさんありますので、御趣意のように、大豆とかミカンとか——ミカン果樹の問題に入りますが、あるいはなたねとかいうようなものまで早急に及んでいくということは、一体できるかどうかは、ちょっと私もいまお答えをいたしかねますが、とにかくそれらをひっくるめまして、少なくともこの次の機会には検討段階に入るということはいたしたい、こう私は考えます。
  15. 足鹿覺

    足鹿委員 どうも不満でありますが、もう一つ実例を申し上げて——この間資料要求をいたしましたが、保険課関係だけで出てきておるので、園芸局にお打ち合わせになったと思いますが、本年の豪雪による果樹被害資料はどうなっておりますか。雪が解けなければ被害実態がわからないということで逃げておられ、またその対策融資一点ばりであって、何ら改補植についての補助あるいは樹勢回復等についての肥料、農薬等補助等は一顧もしておられません。これは災害対策委員会与野党一致の要望であるにもかかわらず善処しておられない。そういうような事例がもうすでに出ております。したがって昨日の農経局長果樹共済試験調査実施要領説明の中に、四方式とかいっておりました。私はあの際のB方式説明の中にあったと思うのですが、農家単位品質収量中心とし、改補植を含めた事故満期方式という表現を局長は使われたと思うのでありますが、これをやれば、たとえば本年のこの豪雪被害等にどのように適用できて、成果があがるか。雪の被害というようなものについて、全くことしの広範囲にわたる豪雪または寒気等に基づく暖地における果樹被害等には救済の手がない。これは明らかになっておるにもかかわらず、遅々として対策が進まないということは、これは怠慢のそしりを免れません。私は大豆、なたねのことをいますぐやれと言ったのではない。大豆にしましても、なたねにしましても、なたねは九州でやってつぶれた、ミカン和歌山でやってつぶれた、大豆北海道実験をして、そのまま遅々として進まない。こういうことはなぜかというと、国の方針がやはり一つ方向を与えて、そしてこれをカバーしてやるような裁断に欠けるからやれないということの一例を申し上げたのであって、当面なさねばならないのは、今次豪雪被害にかんがみましても、果樹対策であります。この点は、B方式という方式は、私は聞いておって、またあと資料を見まして、いま私が述べたような内容運営がなされるならば、豪雪等の場合にも成果があがってくるのではないか、かように思うのでありますが、果樹共済は、いずれにいたしましても、価格と豪雪とを新しい被害態様から考えてみましても、早急に改補植を含む対策として取り上げていかなければならぬと思いますが、その構想には間違いありませんか。
  16. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 ただいまお話がございましたように、B方式改補植を含めた事故に対する共済を行ないます一と、これは先般の豪雪被害に対する対策としては、ほぼ全般にわたってとれることになると思うのであります。しかしきのうも申し上げましたように、本年度におきましては、A、B、C、Dの四つ方式を実際に村の段階でやってみまして、はたして実行できるかどうかということを試験的に行なってみようというところまでまいったわけでありまして、その制度としてはたして円滑に実施できるかということの実験をいたしたいと考えておりますので、その結論が出ますまで、農林省としてはどの方式をとったらいいかということについてまだ申し上げる段階にはないのであります。
  17. 足鹿覺

    足鹿委員 豪雪被害資料はどうしますか。
  18. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 豪雪被害のほうは、園芸局で調製いたしまして、早急に提出されるはずでございます。
  19. 足鹿覺

    足鹿委員 いずれそれを見た上で、各個質問の際にさらにお尋ねをいたしたいと思います。  次に、共済保険金基準反収改定及び損害補償制度との関連においてお尋ねをいたしますが、制度改正協議会答申は、申し上げるまでもなく、基準反収自主選択ということを中心答申がされておるのであります。昨日の説明によりますと、従来基準反収が低かった。大体先ほどお述べになりましたような反収三百八十キログラム、キロ当たり二十七円で四千五百円程度というお話でありましたが、大体これが一つの目安になろうかと思います。農家負担の点といい、また受け取り共済金の額といい、一つ農家が選ぶとすれば、これは一つ基準になろうかと思いますが、しかしいずれにいたしましても、資料に基づくと、基準反収実収量は接近しつつあると述べておられますけれども、実際の現地の運用は必ずしもそうではない。特に低被害地においては、実反収に比べて基準反収が著しく低い。北海道事例がこれを実証しておる。いわゆる被害頻発地帯が比較的接近しておりますが、低被害地はこの開きが大きいということは、否定できないと思います。したがってこのことは、共済金額選択にも関係が出ておりますし、手取り共済保険金との問題がまた出てまいります。いざというときに、あまり低いものを選んでおいて、今度被害のときにもらってみたら少なかった。こういうことは従来しばしば言われておる。それは基準反収の問題が相当響いておるのであります。これは統計資料によってあなた方が言われることと現地とはなかなかそう一致しておりません。これは個別化徹底化ということがやはり原則であり、これは早急に実施し得ることを目途としで指導していかなければならぬという当局考え方につきましては賛意を表しますし、従来私どもが主張してきたところである。そこで模範定款例による積極的指導をやると言っておりますが、やはりこれをやってみたい、やってみたいというふうに三つ四つ方式を示していきますと、先日も申しましたように、どちらかというと現状維持的なものの考え方をしておる地方幹部が多い。なるべく手数のかかるようなことはやりたくない。とにかくじっとしておって、ボス支配をやっていくほうがいいというような考え方を持っておる人もある。ですから、やはり個別化方向模範定款推進をして、そして基準反収の問題についても、またこれに基づく掛け金の問題にいたしましても、農家自主性というものが貫かれていかなければならないと思いますが、この三つ個別化対策方向として一番私が問題にしておりますのは、三つ組合等が定めた二以上の単位当たり共済金額のうちで組合員等自主選択を認める方法という、これを重視しておるのであります。これをどうしてあなた方は推進をしようとしておられるのでありますか。保険の趣旨からいきますならば、この点は大事でありますし、また将来——従来は一組合単位であった。それが今度は、二以上の区域に分けることを認めた。さらにこれを部落にいき、個別化していくという、方向としては正しい方向が打ち出されたことはけっこうでありますが、やはり個別化が先決であろうと思うのであります。これに対して、どのように強力にこれを実施して成果をあげようとしておられますか。この点を、特に方針があるならば、この際明らかにしていただきたい。
  20. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 ただいま御指摘になりましたこと、私どもも全く同感でございまして、その方向に対しまして、今回の改正におきましては相当進んだつもりでございますが、なお一そうこの方向で進めるために、昨日申し上げました三つ方式のうち、できるだけ三の方式を優先的に考えてもらうように通達等方法で指導してまいりたいと考えます。できるだけ個別化してまいりたいわけでありますが、一挙になかなかできないという面もございますので、ただいま直ちに全国をおしなべてその方式が徹底し得るというととは申し上げにくいのでありますけれども、できるだけその方向で進みたいと考えております。
  21. 足鹿覺

    足鹿委員 この基準反収との関係で、この評価の問題でありますが、昨日の資料説明とこれの実情は著しく違っておると思います。要するに支払い遅延の問題は、ある程度解消しておりますが、なぜ支払いが遅延するか、またこれが制度不信につながるかといいますと、問題は農民から市町村査定都道府県査定中央査定、そして中央査定一つ基準農林統計、つまり実収高最終公表を十二月二十五日ごろでありますか、統計のあれがやはり基準になる。そうするとそれが出るまではなかなか判断が下せない、そして連合会政府考え方というものはなかなか突き合わない。したがって現地では一日も早くもらいたいと思うのに、意見調整がつかなければなかなかこれがぐずぐずとして進まぬ。このことはやはり重大な問題でありまして、制度不信についての大きな原因一つだろうと思います。私どもは、制度改正協議会は、市町村段階でやったものに対しては、県段階をカットして、国の出先が、事業団という方式をとっておりましたけれども、あれはつぶれましたが、いずれにしましてもこれをでき得る限り圧縮し、そして下から来たものが上で大きくカットされる、査定を受けるということの、たとえこれが局部的でも、ないようにしていかなければならぬ。そのためには、損害評価会という制度を以前の改正に取り上げましたけれども、それは全く制度だけであって、昨日も経済局長説明しておられましたが、なかなかうまくいっておらぬ。ですからこの評価会というものをもっと活用して、そして農民から異議のあった場合にはそこで再審査をして、そしてそこで厳正に審査されましたものは、一審で中央へ出ていく、そういうふうにいたしますならば、ある程度この問題は解決がつくのではないか。ところが実質的には損害評価会というものは形式化し、能力を発揮しておらない、これも私は大きな問題だろうと思うのであります。今度の改正において、具体的な措置に欠けておる点はこの点ではないか、かように思うのでありますが、大臣保険の権威をもって任ずる人でありますから、私が申し上げておることは間違いだとお考えになりますか。そういう方向で対処すべきではないかという私意見ですが、事務的判断ではなしに、大臣の御判断をひとつ求めたいと思います。
  22. 重政誠之

    重政国務大臣 損害評価の問題は、これは各国ともなかなかむずかしいのです。私も若いときに歩いてみて、ドイツの損害評価のところにも立ち寄ったことがございますが、なかなかそれはむずかしいのです。何かいい方法があれば、これはもう実行するのにやぶさかではないのですが、いまのお話損害評価会というものを大いに活用して敏速にきめるようにしたらどうかという御意見は、私も賛成であります。十分この運営についてひとつ考えてみます。  それからなお最後の決定が非常におくれるのではないかというお話でありますが、これはある程度この実収がきまった後にその損害額が決定するということはやむを得ぬと思うのであります。ただ、それがために災害を受けた農家がもらうべき共済金をそれまで待つということは、これは非常に困ることでありますから、現在でもやっておりますように、確定損害額あとになりましても、大体の予想のできる損害額の七割とか八割とかいうようなものを、これを仮払いにして、農家に渡して、最後に損害額が決定したところで精算をする、こういう方法をもっと広く実行をいたして、そういう不便を払拭すべきではないか、こういうふうに私は考えております。
  23. 足鹿覺

    足鹿委員 さすがに権威者だけあって、なかなかいい意見を持っておられるようですので、大いにひとつ具体的に検討して、いまおっしゃったことを具体的にやっていただきたいと思います。  次に病虫害事故に対応する共済掛け金の割引を行なう組合に交付する補助金の額について、改正案においては、農家負担掛け金の減額分に相当する額を補助するということにした、きのうの御説明によりますと、反当四十五円程度ですかに聞きましたが、その程度のものであります。せっかく病虫害事故を特定のものを除いてはずすという大英断をやるわけでありますから、この機会に農民に喜ばれるように改正をする問題が二つあると思う。  それは農家負担掛け金の減額をもっと徹底していくということと、いま一つは、防除体制を強化をして、災害をなるべく低下せしめていく、結果としては国庫の負担も軽減をするし、手間も省ける。要するに任意共済などで農民の関心を求めていく。安い掛け金で見舞い金を上げますというようなことで関心を求めていくということも必要でありましょうが、しかし問題はむしろ防除体制の強化、実施、これに重点を置いていくということのほうがこの共済制度としては、本来の筋だと私は思うのであります。たとえば任意共済の問題についても、長期と短期との話し合いが今度ついたようでありますが、短期で安いのはあたりまえなんで、労働者のやっておる共済組合をごらんなさい。月三十円で二十万円保険責任を持つのですからね。月三十円ですよ。ですからこれに比べれば、国の補助を、職員その他すべてたくさんの補助金をもらっておる共済組合のやる短期共済が、農協の組合と比べて若干安いというようなことは、性格上からいって当然なことですよ。そんなことを農民にあげつらってお互いがかみ合うというようなことは、私はナンセンスだと思う。労働者共済なんかは三十円で二十万円。皆さんも入っておられる、われわれも入っております。そのほうがいい。そういうことでありますから、やはり防除体制というものに力を入れていく、こういうかまえがこの際必要であろうと思うのであります。もっと大蔵省あたりと腰を据えて交渉をされて、この際にそういう方向に、もっとこの制度を進めていく、対策を進めていくということは、非常に農民から喜ばれることである。現在でもこれをやっておるところは問題はありません。比較的農協ともうまくいっておる。町村が中心となって、しかも技術の先頭には共済組合が立っておる。資材の供給は農協がやっておる。非常に円満に喜ばれておる地域を私どももずいぶん知っております。そういう方向にもっていくべきじゃないですか、いかがでありますか。
  24. 重政誠之

    重政国務大臣 これはもう御説のとおりです。この共済制度を二十数年前にやりました当時に、いま足鹿さんのお話しになりましたようなことを頭に入れて実はやったわけです。いまお話を聞けば、農協とタイアップしてそういう方向に進んで農民諸君に喜ばれておるというお話でありますが、それも非常にけっこうなことでありまして、病虫害の駆除、予防というのは、私はむしろこの共済団体でみずから実行してもいいくらいに実は当初は考えておったのであります。これはどうしてもその方向に私は進めたい、こう考えております。
  25. 足鹿覺

    足鹿委員 この問題に関連をいたしまして、特別会計の現況をひとつ発表していただきたいと思います。  昭和三十年以降黒字続きだといわれております。つまり、国の特別会計はもうかっておるわけですね。その財務関係内容をこの際説明を願いたい。聞くところによりますと黒字が百六十億くらいあるという話でありますが、農民感情からいってこのような黒字をもっと積極的に、いま私が言ったような病虫害防除体制の強化等にもっと出していったらどうですか。もとに赤字があったんだからとおっしゃいますけれども、ああいう昭和二十八、二十九程度の冷害、被害というようなものは、めったにあるものではない。ことしはまたちょっとその傾向もないではありませんが、自来ずっと国庫で特別会計が百六十八億円も黒字を持っておるということは、これは農民感情としては納得できない点があると思いますが、大臣、この点いかがでありますか。
  26. 重政誠之

    重政国務大臣 御承知のとおりに、この共済掛け金率というものは、十年なり十五年の統計資料をもとにしてやっておるわけでありますから、いま幾ら黒字があるか知りませんが、かりに現在そうあっても、百億の黒字があったと仮定をいたしましても、来年はそれが赤字になるかもわからぬということでありまして、やはり統計資料が十年を基礎にし、あるいは十五年を基礎にしておるならば、その十年、十五年の間において考えなければならぬというのが、大体の筋道であると私は考えるのでありますが、お話のとおりに、そういうふうな考えからいたしましても、なお黒字があるというようなことでありますならば、それは共済掛け金率の算定が実際に合わないということでありますから、共済掛け金率を低下せしめるとか、将来に向かっては、あるいは現在そういう基礎において計算してもなお黒字、余りがあるという場合には、お話のとおりにそういうものは病虫害の駆除、予防とかなんとかいうような災害を防除する方面に使うべきである、こう私は考えます。
  27. 足鹿覺

    足鹿委員 これは財務当局との関係がありまして、大臣がそうおっしゃったからといって直ちにできるとは思いませんが、災害の防除対策に使うのが本筋だという御言明でありますので、けっこうだと思いますが、とにかくこれはいま黒字であるけれども、過去において赤字があった、それを埋めるのだからいたし方がないという考え方一つ。いま一つは、将来また不測の災害が出たときに備えなければならぬのだから、これは手をつけるべきではないという考え方を、もう少し弾力を持たせて、積極的に御解釈になったようでありますから、この点は事務当局大臣の意を体して、もっといま私が述べたような点について——これは農民感情の上からいって、どうも納得がい一きがたい。ずっと黒字続きですからね。都道府県別に見れば黒字の県もあるし、赤字の県もある。しかし国は一本で二百億近い黒字を持っておるということは、どうもおかしい。ですから、そういう点は本気でひとつ対策を考えていただきたいと思います。  そこで、今度の制度改正協議会との意見の相違点の一番中心点となりまする共済事業の一部廃止についての問題であります。これはおととい私が、今回の改正制度改正協議会答申と相当距離のある理由を述べました。したがって四十六条の解散条項というものの運用はどうなるのかということをお尋ねいたしました。ところが、制度改正協議会答申を尊重したと言っておりますけれども、これはそうではない。昨日の資料説明に毛ありましたように、共済事業の一部廃止についての政令で定める相当の事由とは一体何かということについてでありますが、それについて読んでみますと、それは農経局長通達を延長したものにすぎない。たとえば昭和三十六年十一月十五日付の農経局通達ですね、事務次官通達でありますが、それの1、2、3、4、5、これを適当に勘案をして、ここで二つの事例に要約をしたものにすぎない。つまり、「その組合等被害率が極めて低く、その組合等の区域内の農家のその共済目的の種類に対する経済上の依存度が低いこと。」つまり、あってもなくてもいいというような地域。その二が、「その組合等の区域内のその共済目的の種類についての耕作又は養蚕の業務の総体としての規模が極めて小さいため、その共済目的の種類について共済事業を行なうことが共済事業の運営上効率的でないこと。」こういうことを例示しておる。私ども制度改正協議会が衆知をしぼって答申いたしましたことは、要するに四十六条の解散権というものを政府がある程度固執していく趣旨もわからぬではない。であるならば、制度改正協議会答申は、大臣もごらんください。「共済事業の実施共済関係の成立」というところで、これに四つの項目を示し、特に2の「農業共済組合または市町村(以下「組合等」という)は、共済目的ごとに、その共済目的について現に共済関係が成立している組合員の3分の2以上の同意がある場合には、その共済事業を廃止することができるものとする。」ということをうたい、3において「組合等は、共済事業が廃止される場合において、その共済目的である農作物を一の一定規模以上耕作している農業者の2分の1以上の同意により、その共済目的について、あらたに共済事業を実施することができるものとする。」こういう条項を起こして、三分の二で水稲なら水稲をやめる、麦なら麦をやめる。しかし専業の人々や、いやそれでは困るという人々が相はかって二分の一以上の同意を得て議決した場合には、これをまた復活せしめるという条項を起こして解散問題との調整をはかった。これはまことに苦心をして、これにはだれも異論はなかった。満場一致、この点についてはわれわれは苦心をしてこの答申をしたのであります。ところがいまいったように、あってもなくてもいいというようなところのものは解散を認めるという農経局の昭和三十六年十一月十五日付の通達と中身は変わっておりません。少なくとも答申の線とは遠く離れたものである。答申の線は、要するに組合員感情からいってどうも現状においてはこの事業はやめよう、こういうことがその総会において成規の方法によって採択された場合には、これをやめることを認める。そのかわり、やめてみたけれども、これはまことに困るという場合もやはり出てまいりましょうし、今度は二分の一以上の人々が賛成をした場合にはまた復活することもできるということによって、いわゆるやめっきりということではなしに、そこに農民の自主的判断というものを尊重し、そういう農民判断を通じて訓練をし、そしてこの制度をほんとうに農民のものに密着せしめようという建設的配慮のもとにわれわれはこのような条項を答申しておるのであります。しかるに三十六年十一月十五日通達と中身はほとんど変わりない。あってもなくてもいいところがやめる。あるいは水稲で三反歩、麦では何反歩、養蚕では何グラム程度の掃き立て数量のものはやめてもいいということでは、われわれは解散権を行政措置によって制限しておるといういまの行き方にはどうしても納得するわけにはまいりません。これをどのように調整をされる御所存でありますか。この相当の事由というこの二つの政令内容については私どもは納得するわけにはまいりません。制度改正協議会答申でこの点については特に異論はなかったのです。一番苦心をした段階であります。四十六条との関係において今後どのように対処されますか。
  28. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 昨日の私の説明が足りなかったかと思うのであります。補足して申し上げますが、この政令に定める基準は、この基準に該当する場合は一部事業を廃止することができる、こういう規定でございまして、解散認可に関する一昨年の通達とはだいぶ隔たりがあるのでございます。解散認可に関する一昨年の通達は、御指摘がありましたように若干あいまいなところももりまして、どういう場合に解散できるかということについては非常に明確なきめ方をしていないのであります。この政令によりまして定める一部事業廃止の基準は、一定の規模以下の場合は常に事業の廃止が、特別議決がある場合はできる、こういうことにいたしております。また政令で定める基準も、ここにあげております基準は、一般的にあまり重要性がないところではできる、こういうきめ方でございまして、その点は先般の解散認可の通達の定めているところとはだいぶ隔たりがあると思っておるのであります。協議会案ではどういう場合というような多少限定された書き方はされておりませんが、その点は違っておりますけれども、相当に広い範囲で一部事業廃止が認められる、こういうことになるのでございます。
  29. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、この三十六年十一月十五日通達というものは、もしこの政令が出れば当然廃止になりますね。
  30. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 その通達は今の一部事業廃止の方針と並行いたしまして再検討いたしまして、あらためて出します。
  31. 足鹿覺

    足鹿委員 まだこの解散条項というのは再検討するのですか。だからおかしいというのですよ。制度改正協議会答申は、共済目的ごとに、その共済目的について現に共済関係が成立している組合員の三分の二以上の同意があったときにはやめていいというのですから、あなた方は一定の条件を持ったものはやめさせる、そこが違うのですよ。それであなたのきのうの説明なりおとといの答弁では、制度改正協議会答申はよく入れた入れたというけれども、入れ方が根本的に違う、そのことだけは私ははっきりしておきたい。したがって四十六条の解散権の問題は、このような条項によって、これを行政措置によって認可権を振り回して抑制すべきではない、この点について大臣も御同感だろうと思う。法律によって合法的に成立した解散、事業休止、これをむやみやたらに一方的に次官通達や農林経済局長通達で押えるという通達を知事に出して知らぬ顔をしておるということは、私は不当だと思うのですよ。こういう傾向はこの問題のみに限りません。他にもたくさんあります。私はすべてやってはいかぬとは言いませんが、農民にしましても自分の判断でやるわけです。ですから、やめてから災害がきた、しまったというときには、直ちにやっぱり復活しておりますよ。そういう訓練を経てこの制度というものは農民に密着してくると思うのです。何でも上から解散は合法的議決が成立しておっても押える、やらさぬ、こういう行き方では、いわゆるほんとうの農民の気持ちに密着した制度運営にならないと私は思う。やはり農民が怒りを感じたとき、運営上に大きな不利、不満を認めたときには、解散権を振り回し休止権を主張して、総会において論議をする過程においてこの運営が正常化され、またその意見中央にも反映をし、ほんとうのものになっていくのではないか。それを法律に認められた条項を不当に抑圧をするような運用を一次官通達でもって流すということについては、私は納得いきません。制度改正協議会の際に、これは審議の冒頭にあなた方から出ておられるところの小枝委員その他からも青森県の事例等について御発言があった。私からも申し上げて、そのときに善処を約束されておる。ところがその後出たものはこういうものでございまして、まことに私どもは遺憾に思います。この政令の内容について、私は制度改正協議会の意図するものと違っておることを指摘し、もしこれをこのままでいかれるとするならば、この四十六条の通達等については重大決意をもって対処されるかどうか。不当な行政権によってこの認可を押えてしまう、こういう行き方ではなしに、法本来のあり方において十分農民に論議をさせていく、何もそうおそれることは一つもないのです。それを押えるところに私は変な感じをむしろ農民側からあるいはその他の立場から見れば持つわけでありまして、そういうときには堂々と認めさす、そうして判断を待つ、こういう行き方が私は正しいと思うのでありますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  32. 重政誠之

    重政国務大臣 御趣旨の点はよく了承いたしました。したがってこの改正案が成立をいたしましたならば、十分に検討いたして、できるだけ御趣旨に沿うような措置を講じたいと思います。  ただ、ここで私一言申し上げて御了解を得ておきたいと思いますことは、法律に定められておる条件を満たせば直ちに解散になるのであれば、何も行政官庁が関与する必要はないのであります。民法の法人が解散をすると同じようなことで、何も認可を行政官庁がせぬでもいい、こういうことになろうかと思うのであります。それではどうも、三分の二の同意を得て解散ができると法律にあって、その条件は満たしたとしても、その三分の二の同意を得るその内容も私は問題であろうと思う。それからさらにいま足鹿さんのおっしゃったいけなかったらまたつくればいいではないかということ、これは、解散ということは自殺でありますから、よほど重大なことであります。でありますから、一応そういう決議ができても、またつくらなければならぬような事情であるならば、十分に反省を行政官庁は組合員諸君に求めるということも親切なやり方だろうと私は思うのであります。相なるべくは、解散をして、自殺をして、また子供を産むというようなことでなしに、そういう場合には、反省をしてもらって、今度の改正案においては一部の事業の廃止もできるようになっておることでありますから、十分にひとつ反省、検討して、続けることのできるものは続けたほうがいいのじゃないか、こういうような弾力を持って考えるべきではないか。要は運用の問題でありますから、御趣旨のように不当に認可権を乱用して組合員諸君の意に反して解散を抑制するというようなことは厳に慎むべきであろう、こう考える次第であります。
  33. 足鹿覺

    足鹿委員 そういうお考えでぜひ御善処を願いたいと思うのです。私は何でもかんでもやめてしまえなどということを言っておるのではない。自殺を奨励するような量見は毛頭持っておりませんから、その点はひとつ誤解のないようにしていただきたい。いわゆるこれは制度でありますから、農民制度の運用に不満があって、その不満のあらわれとしてそういう意思表示をするということは、制度運営を正常化していくという最後の切り札ですから、それを行政官が法律に認められた認可権を不当に乱用して抑圧するような通達は、一定の条件を出してこれを押えていくというようなことは、おやめになってしかるべきだということを私は言っておるのでありまして、自殺を奨励するなどということは毛頭考えておりません。御了解を願っておきたいと思います。  次に不足金の融資機関についてでありますが、今回の改正によって末端の組合に大きな責任を持たせる方向に進むことになると思います。これに関連して政府は不足の金に対する融資機関についてどのような措置を考えておりますか。現在の県連合会が融資を受けることになっておる農業共済基金でありますが、これは県連合会しか受けられない。しかも県連合会は事業資金についてのみ借りられることになっておる。金利は一銭一厘でありますから非常に安い。これを、今度は通常災害部分を末端組合に与えるわけでありますから、当然末端組合も基金から融資が受けられるようにすべきであると私は思うのであります。これは当然だと思うのです。高い金をよそから借りたのでは、不足金を処理することが直ちにまた組合員の負担に変わってくる、こういうことになろうかと思います。したがって現在の三十億という基金量をもってしてはたして満足いくかどうか、やってみなければわかりませんが、これは昭和三十九年から実施するわけでありますから、こういう構想についても一連の大臣構想をお示しを願っておきたいと思います。
  34. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 ただいま御指摘のありました点は、今後の運営上かなり重要な問題でございますので、私どもも十分検討をしたのでございます。しかしながら、今回の改正によりまして組合責任を拡充されるわけでありますが、従来と違いますのは、従来は一割を留保いたしまして九割を連合会に付保したのでございます。そのために手元に残る留保される資金はきわめて少なくて、逆に、従来は通常、異常、超異常の一割について、通常だけでなく、異常、超異常を含めました全体の災害に対する一割は責任を持たなければならぬというような形になっておったのでございます。それを今回の改正では、責任は通常については相当に持つ、しかしながら異常、超異常の部分については責任を持たない、こういう体制に切りかえますので、一面において手元に留保される資金が豊富になり、逆に責任はその面では小さくなる、こういうことになるのでございます。したがって御心配のような事態は従来に比べましてずっと少なくなる、実態的にそういう事態が少なくなるというのが第一でございます。  第二には、今回の改正で通常に関する責任が末端の組合におりますが、その二割から五割の範囲内で連合会に付保する、こういうことになります。歩合保険でございますが、その際には二割ないし五割の範囲ということでございますが、災害の発生の態様から見まして、一時相当大きな災害が出る可能性のあるような組合につきましては五割の付保をしてもらう、大きな災害が出る可能性が少ないところは二割ぐらいにとどめてもらう、こういうふうにきめてもらいたいと思うのであります。そういった二点によりまして、そういったような心配はあまりないと考えるのでありますが、それでもなお最初のうちなどにそういう事態が出ました場合は現行制度と同じように削減もできる、こういう制度にいたしたいと考えておるわけであります。
  35. 足鹿覺

    足鹿委員 私はそれは少し甘いと思います。これは大臣裁定をしていただきたいと思いますが、いま局長が御答弁になったような方向でいきますと、それこそ問題が起きてくると私は思うのです。それは要するに、基金などの融資を受けなくともいいような行政指導をもとにして考えておるということは、市町村の通常責任に対する責任額に制限を加えて自主性を喪失せしめるか、あるいは県段階に再歩合を行なって実質は現状と変わらないような運営になるおそれが多分にあります。そういうことをやりますと同じことになりますよ。これではわれわれが非常に長い間検討をした価値が疑わしくなります。私どもはこの点については相当長い間検討を加えてきておるのでありまして、今度も、末端の自主性といっても、いわゆる歩合を認めておる限りは、要するに、たとえば高被害地区の市町村はやり切れませんから県に歩合共済を申し込むでしょう。今度は低被害地域はその必要がないから自分たちのところで自主性を発揮して運営をいたします。そういたしますと県連はやり切れませんね。そういう危険なものだけかかえておったのでは運営ができませんから、勢いだんだん実質的に、組合会議の決議だ、それ何だというふうにしてじりじり締めつけてきて、結局は全部再歩合、こういうことになります。そういうことにならなければ連合会はやれませんからね。再歩合は成り立ちませんからね。だからいまの再歩合制度というものは、いわゆる考え方自体としては一応筋を立てたつもりであるけれども運営の実際を通じて矛盾が激発してくる。名目だけの自主性に終わる。ですから私は、ほんとうに市町村自主性を認めていくということであれば、高被害地であろうが、低被害地であろうが——いまあなたが言われたような方針を妥当とするかどうかについては、私どもまだよく検討してみないとわかりませんが、少なくとも法律の改正の建前からいくならば、いわゆる再歩合はできるだけこれをやめさして、市町村自主性でやらしていく、こういう基本方針に立っていった場合には、やはり市町村が基金を利用する道をあわせ考えるべきではないか、当然こうなってくると思うのですよ。そうしなければ私はおかしいと思うのです。まあこれは議論になりますが、大臣、そういう問題があるということについて、これは事務当局判断だけではなくして、制度の基本に通ずる問題でありますが、いかようにお考えになりますか、大臣の所信をひとつ伺っておきたい。
  36. 重政誠之

    重政国務大臣 いまの高被害地と低被害地組合とで、通常災害組合と県連との分担率を違えるということは、これは一がいに理由のないことではないと思うのです。組合の区域というものと県連の区域というものは非常な広狭があるのでありますから、危険分散の趣旨からいけば、この間の責任の分担の歩合を低被害地と高被害地とで異にするということは合理的である、こう私は思うのです。ただ末端において、通常災害責任がこの場合問題になりますが、それについての責任を完全に果たすことができるようにするためには、いまの、基金から借り入れ金を認めるようにすべきではないかという、こういう御意見は一応私はうなずけるのでありますが、しかしこれは、被害率の妥当性と申しますか、非常に正確のものであるかということが問題になると思うのであります。と申しますのは、十年なり十五年なりの統計を基礎にして共済掛け金率というものがきめられて一おるわけであります。それを極端に言えば、そのとおりに被害が起こってくれば、年々共済金支払い、あるいは支払わないといっても十年、十五年を通計をすればとんとんにいく、こういう筋合いになるわけでありますから、これは借り入れ金を認めて毛、それで組合支払いができぬということにはならぬ、こういうことも言えるわけなんです。これは理屈でありますが……。しかしそこら辺は、実際問題として十分にひとつ運営検討してみる必要が私はあると思うのです。事務当局としては、ただいま申し上げたような考え方をいたしております。これも無理のない話だと思いますが、私いまここで申し上げられることは、ひとつこれでしばらく運用をしてみて、足鹿さんのおっしゃるような不合理が随所に起こりそうだということであれば、これは現実に即して方法を講ずる、こういうことで私はいってみたらどうか、こう考えます。
  37. 足鹿覺

    足鹿委員 これは昭和三十九年から実施した暁のことでありますから、いまこれをとやかくあげつらうわけではありません。しかし、考え方として、原因と結果、結果と原因で、運用のいかんによっては必要がなくなりますし、運用のいかんによっては必要があるようになるのです。ですから、これはよく御検討になって、あまりこだわらないで、やはり市町村の通常災害に対する責任部分についての運用に本来の精神を逸脱することのないような考え方運営をすれば赤字が出る。不足金が出る。その不足金はこの基金から借り得るような道を考えるべきであるということは、私は別に間違った主張ではないと思う。当然お考えになってしかるべきだ。そういう趣旨に御了解を願い、御検討を願うという御答弁と理解をいたしまして先に進みますが、時間がありませんし、他の同僚議員からも御質疑の通告がありますから、もうあと二点だけ——事務的な条項がありますが、それは全部割愛いたしまして、大きな問題だけ二点をお尋ねをして、私の質疑を終わりたいと思います。  次の問題は、市町村公営地区における任意共済事業の問題であります。本来、任意共済事業は、単位共済組合がその組合員を対象として行なうべきものでありましょう。市町村公営地区が飛躍的に増加し、いよいよ増大しつつある今日の情勢におきましては、いままでのように、なおこれを機械的に、市町村をして取り扱わしめることはいけないんだという考え方なり取り扱いというものは間違いではないか。それは、この市町村公営の制度を始めた当初においてはなかったのです。現在では六百以上になっておる。こういう状態で、本年は千にも達しようという段階であります。したがって、市町村にはかたく任意共済の取り扱いを厳禁しておりますから、法にはないにもかかわらず、連合会と、何か中間機関は、法的にも存在せず、また法的裏づけもない協議会のようなものができて、そこで掛け金を集め、そうして無事戻し金やあるいは手数料の還付があっても、そこで持っておる。そうすると市町村の特別会計にも入らない、こういう矛盾があるのですね。これから特に大事なことは、単位組合責任が増大してきます。そうすると、財務管理というものは、任意共済とあわせて厳重にしないと間違いを起こしやすい。現にこのような矛盾した、もう六百をこすような市町村公営の場合に、もやもやとした、法的な機関でもなければ何でもない推進員というものを置いて、そうして協議会というものをつくって掛け金を集めておる。これは特別会計にもどこにも入らぬ。銀行に預託しておるのかもわからぬ。農協に預けておる場合もあるでしょう。自分であっためておる場合もあるでしょう。また県連からきた無事戻し金ま手数料等も——これは当然必須事業に関連をして行なわれる任意事業ですよ。それが市町村に移っておるのであります。それを、収入のあった場合あるいは支出のあった場合、市町村の特別会計でやらせて悪いという理由はどこにもないと私は思う。当初においては、なるほどそういう点があったかもしらぬ。しかし、この点について、大分県の大南町が大分県知事に申請をしておる。前の方を略しまして、「申し述べるまでもなく建物更生共済、建物共済はその事業内容においてこそ相違があるにしても、災害による農家の貧窮と困難に備えての共済制度という点については軌を一にし毫末も遜色なきものと理解しており、之が必要性については不断ご当局のご指導を戴いて事業の拡充発展を期しておる処であります。にも不拘、町内において二つの団体が事業対象を一にして別個に事業を行うことは町行政の立場からも無為に看過し得ないものとの配慮から、農協一元化を企図したことに外なりません。」要するにこういう場合は農協の創意によって——農協の創意ということはその地区の農民の創意によってやらせてくれということを知事に申請をしておる。ところがこれが一向に何ららちがあかない、このときの措置は一体どういう措置をしておられますか。今後こういう事例が私は出てくると思う。これは話し合いで片づけるのだということになっております。こういう事例が出てくると思いますが、一体どういうふうに措置をされるか。大分県知事は農林省の見解をただしてきましたか、大南町長と大南町の組合長からの知事あての要請について。その場合に、農林省はどういう指示を与えましたか。もしあればこれを伺っておきたい。要するに市町村公営の場合における空隙というか間隙というか、この問題を合理的に、財務的にも事務的にも処理していくということは喫緊の問題だと私は思うのであります。その点を伺いたいのでありますし、改正法の第八十五条の十二に、農済組合は農協に業務を委託できるということになっておりますが、こういう場合に該当するのじゃないですか。とにかくこの点はもう少しはっきりしていただきたい。それから、ついででありますから財務管理の問題でメモをしておいて御答弁願いたいのでありますが、先ほどの大南町の事例に対する取り扱い、それからいま申し上げました八十五条の農協業務への委託とはどういうことをいうのか。私がいま大南町の事例を言ったようなことをもっと延長していけば何も問題はないと思う。それと市町村段階の手持ち金の増加等に伴う参事制あるいは会計主任制等を置いて財務管理の万全を期する必要がありはしないか。現在のようなことではとてもうまくいきません。間違いがあったときにはほぞをかまなければならぬ点がありますので、この点を、市町村公営の現実に進行しつつある情勢にかんがみまして御意見を承っておきたいと思います。それからきのうの資料説明の際に市町村条例の制定基準いかんということを私が伺いました際に資料を示されました。これは組合の定款をそのまま写しただけのものでありまして、私が言っておるのは、運営委員会のようなものをやはり指示をして、そうして市町村公営になると官僚化するという批判が一部にあるのです。これはもっともな批判でありますので、それらにこたえるためには専門家や、あるいは農民代表や、あるいは市会の代表や、あるいは評価委員の権威者というようなものを入れまして、そうして市議会の専門機関のような共済制度運営委員会のようなものをつくって、そこに農民意思の反映をはかっていけば、この官僚化の問題等についてはある程度緩和できる、こういうふうに私は申し上げておるのであります。やはり定款をそのまま条例に入れてみたところでこれは意味ないことでありまして、私はそういうことを聞いておるのではなかった。以上の点を伺いまして、あともう一点最後の締めくくりを大臣に申し上げますので、よろしくお願いをいたします。
  38. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 まず第一点の大分県の事例でございますが、これは調べましたところ農林省に私のほうにも農政局のほうにも連絡がございません。それでどういう事態でありますか具体的なことはまだわかっておりませんが、ただ申し上げられますことは、大分県におきましては、昨日も申し上げました建物共済に関する分野協定ができていないのでございます。全国二、三の県の例に該当するのでございます。そういった関係でどちらがやるということが不明確なために、知事が処理をややおくらせておるのではないか、これはこちらの推定でございますが、そういうように思うのでございます。第二点の農協への事務の委託でありますが、これは昨日資料にも入れてお配りしてありますが、掛け金の徴収あるいは共済金支払い等を農協に委託することができるようになっております。これは任意共済についてもできることになるのでございます。第三点の参事制でございますが、これは現在におきましてもほとんど全国の連合会に参事が置かれておるのでございますが、法律上の制度として参事制というものはまだできておりません。御指摘のような財務管理の責任の明確化とか、あるいは制度運営の実質上の責任者として参事制を法律上の制度としてつくることが適当であるとか、また法律上どういう責任を参事に持たせるのが適当であるかということは、農協の場合にもいろいろ検討したことがございまするが、いまのところいずれが是であるかということをまだ結論としては持っていないのでございます。今後十分検討させていただきたいと思います。それから、市町村の公営の場合におきまする基準につきまして、きのう申し上げた資料説明でやや足りないようでございましたが、御指摘のように、市町村に移譲された場合に農家の意図あるいは専門家の専門的な意見というものが十分に反映されない心配がございます。特に最近のように都市化された市町村におきましてこの制度が移譲された場合に、従来のように組合でありますと組合員全部が経営に参加するわけでございますけれども市町村の場合は市町村議会でいろいろなことが決定されてまいるわけであります。したがってそういった意見が反映されないおそれがありまするので、先般の通牒では農業委員会の意見を聞くようにしてもらいたいということを通達しておるのでございますが、いまお話のありました専門家等を加えた運営委員会というものをこの制度運営について設けるということは、なかなか私どもも示唆に富む御意見だと存じますので十分研究いたしまして、あるいはこういうものも加えるという方向検討させていただきたいと思います。
  39. 足鹿覺

    足鹿委員 十分な御答弁とは思いませんが、先を急ぎますのでこれ以上申し上げません。とにかく農業委員会の意見を徴するなどというようなことではこれは問題になりません。現在農業委員会の運営というものにつきましてはなかなか問題がありまして、そういった程度では市町村に移譲した場合に農民の意思の反映の措置として妥当とは考えられません。検討するということでありますから十分御検討願いたいし、また大分県知事からは何らの連絡がなかったということでありますのでいたし方がありませんが、しかしこういった事例がどんどん出てくる。これに対する考え方なり取り扱い措置というものについては、十分御検討になってしかるべきだということを御指摘申し上げて、最後の点を大臣お尋ねいたします。先日も申し上げましたが、農政補助機関的な農業団体、たとえば国の補助、助成を基本として成立する農済組合といったような農政補助機関的な性格を多分に持っておるものに対し、特別職公務員がいわゆる長となるという場合が相当ございます。私は特定の事例をさして言ったり、あるいは同僚議員にそういう方があって、だからといってこれをとやかく言っているわけではありません。制度自体として申し上げておるのであります。自主的機関はおのずから別でありますが、そういうことの妥当性について、大臣はいかように考えておられますか。むしろ専念をしていかなければならぬという立場からは、そういう兼職の問題等は、でき得る限り避けられれば避けるべきではないか、こういう考え方も成り立つと思います。しかし組合員の総意によって選ばれることを何ら妨げるものではないという立場からも、また何ら拒否すべきものではない。しかし非常にもつれたような場合には、やはり問題があるように私は思うのであります。これはしつこくは申し上げませんが、問題点として御指摘を申し上げ、大臣に御所見があれば承っておきたいと思います。これは制度改正協議会の際にも、兼職禁止問題については非常に論議のあった点でありますので、一応申し上げて、御所見があれば承っておきたい。しいてとは申しません。最後に、川島行政管理庁長官は、去る四月二十三日の朝日新聞によりますと、行政管理庁長官として、千葉県千葉市の市庁舎において記者会見をいたされ、それは四月二十二日のことのようでありますが、その際にこういうことを言っておる。「農業共済制度は集金が強制的な性格を持っているうえ、加入者の数がふえているので未納金がどんどんふえている。これを解決するには現行制度を再検討する必要がある。すでに政治問題にもなりかけている。」と語っています。この談話の趣旨は、これは行政管理庁長官の御出席を求めて、必要があれば真意を伺いたいと思いますが、昭和三十六年でありますか、行政管理庁は勧告を発しておる。この前の審議のときにも、勧告は慎重に検討して実施するということを言っておられるけれども、あまり具体的な進行がありませんが、すでに政府提案としてこの本案が提出されておるさなか、四月二十二日ですよ、国会の審議は始まっておりませんが、とにかく審議を急いでくれ急いでくれというさなかに、行政管理庁長官がこのような見解を発表しておられる。そうすると、私どもが不審に思うことは、この案が提案をされる場合には、閣議の決定によって提案をされたものだと思います。その閣議には川島さんも参加しておられるはずである。従来管理庁長官としてしばしば勧告も発しておられる。にもかかわらず、現在国会において審議されんとしておるさなかにあって、現行制度を再検討する必要がある、すでに政治問題にもなりかけておると発言をされるということは、これは閣内不統一ではありませんか。私はこれを読んで実は驚いておるのです。一体農林大臣はこのような重大発言について、川島行政管理庁長官の協議を受けられて、その協議の結果がこの発言となったのでありますか、これをひとつ明らかにしていただきたい。事ほどさように、川島発言は行政管理庁の監察結果に基づくものと私は考えます。こういうことを断言されるのは、ほかの閣僚は言えません。要するに監察結果からこういうことを言っておられると思います。したがって、一ぺん管理庁長官に御出席を願いまして、本日でなくてもけっこうでありますから、御所信のほどを承るように、委員長のほうにおいてお含みを願い、お取り計らいを願いたいと思いますが、要するに、行政管理庁の勧告は、制度市町村移譲の方向であります。農林省も公営化の方向に進むことに賛成しておると伝えられておる。しかるに与党の一部に——一部と私はあえて言いたい。既存の組織を、これをなるべく現状にしておきたいという意図がありまして、そして制度改正協議会が苦心惨たんをしてまとめ上げたものが、一番冒頭に述べましたような経過をもってむざんに切り刻まれて今日の結果になった。要するにその裏話をここで申し上げるようなことは、私は慎みたいと思いますが、これは理外の理によって判断されておる点があるのです。現在の市町村の場合、県連の場合は、これは労働者としての組織もできますまいし、ほとんどあっても職員会程度である。これが市町村に移譲されたりあるいは事業団になった場合には、いわゆる労働者としての自覚がこわい、こういった制度とは全く関係のないことからゆがめられたと世間では伝えられておる、そういうことも私どもは聞いておるのであります。この委員会に席を連ねておられる同僚の与党の諸君には、そのような人はおられないと私はここで明言をしておきますが、少なくともそういうととが審議内容として伝えられておる。要するに市町村公営化が進んだり、事業団化が進んでいくと、労働組合の組織ができる、これは自分たちの組織基盤に一つの大きな変動を起こすというような——これは表向きには理由にはなりませんから、これはどこにも文章はございませんが、そういうことが伝えられておるのであります。これは理由外の理由として本制度がいろいろもつれた一つの理由、経緯の一端を示しておりますが、私は勤務年数の通算制等の実施によって職員は熱烈に市町村公営を望んでおると思います。この事実は、すみやかに自治省あるいは財政当局と本協議をされて、公営化に対するところの具体的に解決すべき諸問題、たとえば市町村が財政支出をしております金額が、きのうの資料によれば、三億円弱ということであります。まだまだこれはふえていくでありましょう。市町村固有の事務ではありませんが、少なくともこれは農民にとっては重大なことであり、市町村の産業経済活動の災害対策の分野においては大きな比重を占めるものでありますから、これはまじめな市町村長であれば、進んでこれを市町村公営に求めたい。がしかし求められない原因は、金がかかってしょうがない、しかし交付金の基準算定、財政需要額の基準算定に入っておらない、そういうような点が出てくると思います。これは特別会計主義でありますから、その利害得失というものは、交付金の場合より特別会計主義の方がいい、補助金で特別会計あるいは国から受けていく農林系統からくるものとしては、その行き方が一応考えられる。しかし市町村のいわゆる固有の事務とは言いがたいけれども、固有に準ずる大きな性格を持つ意義ある仕事でありますから、当然これは基準財政需要額は算定をせしめて、さらに市町村が固有の財源をこれに投じた場合にはその裏づけをしてやる、こういうことにしていきますならば、公営化も進み、また職員も喜んでこの仕事に専念をし、そして人材がどんどん農業団体から去っていくような悲しむべき現実もこれを未然に防止し、進んで人材を求めていくということも可能でありましょう。要するに、こういう対策を自治省なり財政当局とも協議をされ、そして今後大きな制度の抜本改正に備えられるべきであると私は思うのであります。今次改正は抜本改正に値しないということを私は冒頭に申し上げましたが、大臣は、重要な点に一応触れたという御答弁でありました。あながち全面的にこれを否定するものではありませんが、重要な点に触れた程度でありまして、農民が期待しておる抜本改正とはわれわれは判断しがたい、きわめて今回の改正については不満であります。農相の再考を求め、さらに質問を終わるにあたって御決意を御表明願いたい。前述いたしました、川島行政管理庁長官が四月二十二日、千葉市役所において、現行制度の再検討をする必要があるということについて協議を受けて、このような発案となったのか、あるいは協議は受けないけれども、この行政管理庁長官の発言を妥当と認め、あるいは私どもの指摘を妥当と認めて、将来の抜本的改正にいかに対処されるか、この問題を最後にお尋ねをいたしまして私の質疑を、一応大臣に対する質疑は終わりたいと思います。この点誠意ある御答弁を要望いたします。
  40. 重政誠之

    重政国務大臣 川島管理庁長官が千葉で何か新聞記者に話されたというのが新聞へ小さく載っておったのは私も見ました。見て、何かこれは間違いじゃないかと思ったのですが、聞いてみますと、やはりそういうことを言ったのではないというお話であったのでありますが、しかしいずれにいたしましても、私は管理庁長官がこの問題を抜本改正の必要があるとかないとかいうようなことまで外に言われるということは少し行き過ぎじゃないか——かりにそういうことがあったとしてもです。ではないかと私は思っておったのでありますが、これはよく、あれでありますれば長官からひとつお聞き取りをとるのも一つ方法であるかと思うのでございますが、掛け金の徴収が滞納が多いというようなことにつきましては、これはところによればそういうこともあろうかと思いますが、これはやはり制度全体として考えなければならない問題で、それが協議会でもいろいろ考えられ、今回の改正案にもこれがみんなつながっておるわけでありますから、私はそういうふうに御了承を願いたいと思うのであります。もちろん閣議においてはこれを提案することをみんなサインをしなければこれは国会に出てくるわけにいかぬのでありますから、これは御了承になっておることは間違いございません。  それから第二に重要な問題にお触れになりましたが、足鹿さんの御意見は、私はおそらくこれは公営にやるのがよろしいのだという御意見であろうと思うのです。私は、この点は一得一失と申しますか、現在のような農民自主性を保った組合運営するのが農民のためにいいのか、あるいはそれを市町村その他のもので公営でやるのが農民のためにいいかということは、非常な問題があると思うのです、実際の問題といたしまして。先ほども話が出ましたように、ことに今日のような非常に市町村の区域が大きくなっている、ところによりましてはずいぶんいろいろのことがありますので、農民諸君の考えというものがそのまま一体反映し、運営にあらわれていくかどうかということは、非常に私は問題だと思うのでありまして、これは各国の例に見ましても同様のことが私は言えると思うのであります。そしてこれはあくまでも農民諸君自身の利益の問題でありまして、いまのお話のようにそれに勤務する職員のためにこれをどうするということを考えるわけにはいかない私は思うのであります。その裏話のあるようなお話がありましたけれども、その裏話は私は全然承知しておりません。私はまあ額面どおりでこれは今日までやってきておりますから、そういう点は、もしそういう裏話もあったりいろいろしますれば、なおよくひとつ調べてもみますし、それから公営がいいかあるいは自主的組合の経営がいいかということは、これは将来にわたっても十分検討すべき問題で、非常に大きな問題でありますから、私はや、はり現行制度でいくのがいいのではないか、こういうふうに考えておりますが、なおよく検討いたします。
  41. 足鹿覺

    足鹿委員 先ほど申し上げましたように、川島管理庁長官を適当な機会に出席を求めましてこの問題は究明をいたしたいと思う。閣内不統一であります。ただ普通の大臣があやまって発言をされたということであるならば——いやしくも閣内きっての実力者といわれる川島師団長閣下が言われたことに対しては、その一言は金鉄の重みを持たねばならぬ。いわんや行政管理庁長官としての記者会見の席上において述べておるのであります。しかも、まことにおもしろいことを言っておる。農業災害補償制度の集金が強制的な性格を持っている上云々というような、まことに新しい感覚を持ってやっておられますので、この点については行政管理庁長官の御出席をわずらわして検討したい。  なお私が職員のために公営制度を望んだかのごとき御発言がありましたが、私は決してそういうことを申しておりません。要するに職員の身分の不安定がひいては運営の不健全化を来たす、したがってこれは職員というものは大事にしなければならぬということを一例として申し上げ、また公営化を必要と認め、また農民が歓迎しておればこそ、六百をこすような実績があらわれ、将来もこれが進行しつつあるのでありますから、この現実をあなたがどのような解釈をもって阻止されようとしても、これは見当違いであります。私どもはそういう現実の上に立って、これが農民のために有利であり、農民のためであるという考え方に立って所論を進めておるということもよく御理解願って、私の発言の一部分をつかまえて反論を加えるような御答弁は慎みおきを願いたい。そうしないと何ぼたっても質問が終わりません。
  42. 重政誠之

    重政国務大臣 川島長官の問題でありますが、これは御承知のとおり実力者であっても保険のことについてはやはり農林大臣が所管をいたしております。そうしていまだかつて保険のことについて川島長官が大いに御研究になったということは寡聞にして私は聞いておらないのであります。でありますからこれはまあ、あまり正面から足鹿さんのような専門家がこれでやられるのはいかがかと思いますが……。  それから第二の職員問題は、私の言い方が少し悪かったかもわかりませんが、もちろん職員の身分の安定についてはおっしゃるとおりであります。十分に私ども弔意を用いなければならない、こう考えております。  それから公営問題につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。この点は重大な問題でありますから将来にわたっても十分に検討はいたしてみたい、こういうように考えます。
  43. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 安井吉典君。
  44. 安井吉典

    ○安井委員 閣内不統一の問題が出まして大臣答弁が長くなったものですから、あと三十分くらいの間に質問者二人おりまして十分時間を持てないのが残念でございます。したがいましてたくさんある問題のうち一、二点だけ大臣にきょうのところは御質問を申し上げ、残余の質問は次の機会に事務当局お尋ねをいたしたいと思います。  先ほど足鹿委員質問に対しまして、掛け金の国庫負担割合の変更に関しては、掛け金が増加する分については、大臣責任を持って補てん措置を講ずるということを言明されたわけであります。私もそのお考えに対して、責任を持ってというところに特に力を入れた御発言でございましたので、それをぜひ期待をいたしたいと思うのでありますが、ただ、もっとその問題をさかのぼって考えますと、今度の法改正にあたって、掛け金の問題を政府がお考えになります場合のその考え方の基礎において、私は誤りがあったのではないか、こういうふうな感じを受けるわけです。今度の改正によって掛け金の国庫負担割合は、従来よりも現段階においてふえるのですか、現状維持なんですか。
  45. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 ほぼ同じでございます。
  46. 安井吉典

    ○安井委員 私はそこに問題があると思うわけです。現行の負担を基礎として、現行の負担をふやさないように、あくまでそういうふうな基礎をもってこの掛け金の問題を考えたというところに、私は一番大きな間違いがあるのではないかと思うわけです。つまり、今度の改正が抜本的なものであって、真に農民的なものになっていないという点は、足鹿委員も先ほど指摘されたわけですが、それにいたしましても、最近にない大改正として農民も大きく期待をしているわけです。だからこういうような場合に、国が一銭もお金をよけい出さないで、いまの負担をそのままに据え置いて、そういう形で改正をしなくてはいけない、そういうかまえが私は問題があると思うのです。やはり改正方向が大きければ大きいだけ、国のほうも大きく自腹を切るというふうなかまえがあって、初めて農民の納得が得られるような改正ができるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。ですから、今度の農民負担掛け金が変わったというふうなその基礎となりますファクターは、きのうからの質問に対するお答えあるいはまた経済局長資料説明によりますと、基準年次のとり方が違ったということ、第二番目には、基準共済掛け金率を直接組合段階で算定する方式に変えたということ、それから三番目には、国庫負担共済掛け金率を組合ごとに超過累進方法で算定したということ、この三つのファクターが、従来の掛け金と今度の掛け金との変更の要素になっているということ、こういうふうな説明でありました。ですから、このファクターが三つあるとすれば、このとり方のいかんによって、従来よりも農民掛け金を上げないで済むような法律改正もできたはずです。それをなぜしなかったか、その点いかがですか、大臣
  47. 重政誠之

    重政国務大臣 これは安井さんも御承知のとおりに、農家に、被害のないところに、つまり被害に相応した掛け金率に現状はなっておらない。被害の少ないところに掛け金をよけいさす。その反面には、被害の非常に大きいところに掛け金率が比較的にいえば少ない。こういうような不満があったわけです。これは掛け金率を決定する際の仕組みが親切にできていなかったと私は思うのです。県単位に被害率を算定して、それを十七なら十七のブロックに分けていくのでありますから、現実の被害率というものは現実の災害の率と異なっておる。そこに不平があった。でありますから、これを実態に合うように被害率を直すというのが、今度の改正になっておると私は思うのです。そういたしますと、現状の負担額が減るところはいいのでありますが、総計においては同じことであっても、具体的にいえばふえるところが出てくる。そこでこの制度改正によって掛け金率がふえたというのではいかぬじゃないか、こういう御主張がある、これはごもっともです。しかし、理論どおりにいえば、それがほんとうなんです。でありますが、実際はそうはいかない。そこで、ふえることは政府責任を持ってふやさないようにいたします、こういうことを私は申し上げて御了承を得たわけなんです。そういうことであります。
  48. 安井吉典

    ○安井委員 大臣のおっしゃるのは、旧来の掛け金率のあり方が全くでたらめな、間違っていたものだというような御趣旨でいま言われたような気がするのですが、そういうようなものではなかったと私は思います。そうしてまた、今度の改正に従来のそのままを持ってこなければいけないということを私は申し上げておるわけじゃないのです。私が申し上げておるのは、今度の改正の場合に、このファクターのとり方を大臣は固定したものだとして言われておりますが、これは法律の条文ですから動かすことができるわけです。これを動かすような形において、農家負担がふえないような形でこのファクターを動かした、そういうふうな改正案をお出しになったらどうだったのか。つまり掛け金率の問題について、若干の変更を加えるのはやむを得ないとして毛、いままでの負担がふえないように、つまり国の予算をよけいつぎ込む形でやれば、そんな矛盾が起きないで済んだと思う。つまり国の予算を一銭でもふやさないで、従来の方式を動かそうとするから、こういうような無理が起きておるわけです。全体的に国がよけい金を出すというふうなかまえでこの掛け金率を変えるという問題に取っ組めば、今日のような混乱は起きなかったのではないか、私はそういう意味で申し上げておるわけです。どうですか。
  49. 重政誠之

    重政国務大臣 御承知のように、現状では国は掛け金の六割を負担をしておる現状である。そのほかに事務費も国はずいぶん負担をしておる現状であります。それだから、理屈になりますけれども、国が全部を負担しなければ、やはり同様な不均衡ということはあるわけなんであります。そういうことは当然望めないことでありますから、現状の国の負担を前提として、公平にいくように今度のこの改正はできておる。ところが、そうなれば、いまよりふえるところが出てくるから、それは国が負担をしよう、こういうのでありますから、国の負担は、いずれにしてもそれだけの分はふえる。現状より上がらないようにするというのでありますから、その分は、国は助成金なり何なりで出すことになりますから、それはふえる、こういうことになるわけであります。
  50. 安井吉典

    ○安井委員 局長、そうですか。ふえないのでしょう。  それからもう一つ、ついでにお尋ねしたいのですが、水稲だけについては、きのう御説明の中では、上がるのと下がるのと、大体半々だとおっしゃったのですが、麦や陸稲についてはどうですか。
  51. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 大臣が話されましたように、国の負担は増加するのでございます。この間から、足鹿委員が二億程度ではないかとおっしゃっておりましたが、これはまだ三十七年産の被害率を算定の要素に加えておりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、私どもの試算といいますか大ざっぱな推定では、二億円では間に合わないのじゃないかというぐらいに考えております。国庫負担は増加するわけでございます。それから水稲以外の陸稲、麦等につきましては、これはいま具体的に申し上げられませんが、大体は同じような傾向になるではないかと思っております。
  52. 安井吉典

    ○安井委員 いまの、ふえるとおっしゃるのは補助金としてふえるわけでしょう。
  53. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 そうでございます。
  54. 安井吉典

    ○安井委員 ですから、私が一番初めに申し上げておるのは、法律をおつくりになるところの根本的のかまえとして、国庫負担を全くふやさないようなかまえでいまの法律をおつくりになっておるわけです。そしてもとで補助金の形で二億なり何なりをお出しになろうとしておる。私が申し上げておるのは、補助金とかなんとかこそくな手段でなしに、最初から二億をその中に突っ込んで、全体的に三つのファクターをアレンジすることによって負担の重くなるような組合ができないような、そういうかまえでなぜ最初から法律をおつくりにならなかったか。別に二億というものをお出しにならないで、そういうものを込めて最初から率そのものをお考えになったほうがよかったのじゃないかということを申し上げておるわけです。  それからもう一つ、陸稲だとか麦については、これは大ざっぱな見方によりますとずいぶん上がるものが多いように思うのですが、その点はいかがですか。
  55. 重政誠之

    重政国務大臣 第二点については経済局長から御答弁をさせますが、第一点の問題については先ほども申し上げましたとおりに、そういうことは実際できないのです。これは国がいま六割の負担をいたしておりますが、かりにこれを七割負担をいたしてみましても、やはりそれはそれなりにいまのような被害率の決定の仕方でいけば、実際の被害の状態にマッチした公平な被害率というものは決定ができないことになっておる。そこで今度のような改正をいたさなければならぬ、そうすればいまのようにふえるところができてくる、ふえるところができてきたのでは実際問題として農家負担がふえるから、政府は特別に助成金なり何なりをもってこれをふえないようにしなければならぬ、こういうことになるわけであります。でありますから、いまの安井さんのお話のようなあれでいけば、全部これを負担するということにならざる限り、現在の不公平というものは直らない、であるから、今度のようにこれをやるのだ、こういうふうに私は理解をいたしておるわけであります。
  56. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 陸稲、麦につきましては、母集団が小さいために非常にフレは大きいのでございますが、陸稲の場合は水稲と大体同じようなことになると思います。麦のほうはふえる組合が若干多い、こう考えております。
  57. 安井吉典

    ○安井委員 ここにいただいた資料がありますが、これを私ずっと見ますと、西日本のほうを見ても全面的にみんな上がっておるような気がするのです。水稲を麦については、麦はほとんど上がっているのじゃないですか、いままで私ども水稲だけを問題にしていたわけですが。  それからもう一つ、私の質問に対する大臣の御理解の仕方に誤りがあるように思うのです。どうもその点根本的に食い違った御答弁になっているように私は思うのです。私が申し上げておるのは、国が全額負担しろというふうに言っておるわけではありません。今度出された法律の基礎に事務当局がいろいろ計算をされているわけです。計算をされている場合にはいままで掛け金に対して国庫負担をしておりましたね。それを一銭も上げないでコンスタントなものに押えて、それで新しい掛け金率をはじいておるのです。だから、いままであった傾斜を直していけばどこかで上がり下がりがあるわけです。そうでなしに、その上がり下がりのうちの上がる部分についてそれが埋没するような形に国庫負担の総額を引き上げていく、こういうふうな形で別表をおつくりになったりその他のいろいろな計算をなされば、いま補助金を出すとかいうふうなこそくなことなしに農民もみんな納得した形でいけたのではないか、そういうふうな意味で私は申し上げておるわけなんです。
  58. 重政誠之

    重政国務大臣 私はそういうような御意見をよく検討してみますが、国の負担をふやすにいたしましても、これは公平に負担をしなければいかぬのだろうと思いますが、二、三に国が負担するというわけにはいかないということになりますと、なかなかそう簡単には、おっしゃるようなぐあいには私はいかぬのじゃないかと思います。なお、結論においては結局同じことでありますから、全体として国の負担を、いまの掛け金率を補てんするという形でいくかあるいは助成金の形でいくかということの違いだけでありますから、結論においてはそう御異存のあろうはずはないのじゃないかと私は思うのであります。そういうふうにひとつ御了承願いたいと思います。
  59. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 いま御質問の第一点について、少し計算方式にわたりますので私から申し上げますが、現状と改正とが変わる要素が三つあるわけでございます。つまり、まず基礎年次が変わるということ、第二は被害率の算定を組合ごとにするということ、第三は国庫負担方式のことで変わる、これはすべて一律にやらなければならないわけでございます。上がる要因は組合によってそれぞれ違うわけです。また上がり方の割合毛違うわけでありますから、これを一定の方式でもってその結果が上がらないようにするということは計算方式としてはできにくいことでございます。掛け金率は上がるが農家負担率は下がる、被害率は上がるが農家負担掛け金率は下がる、いろいろな事例があるわけでありますから、それを全部カバーするような計算方式というものはできないわけでございます。それにかわって結局具体的に上がるものをピックアップして上がらないように補助金の形で交付する、こういう方式をとらざるを得ないわけでございます。  それから第二点につきましては、御指摘のように麦については増加する場合が多いであろうと推定をいたしております。
  60. 安井吉典

    ○安井委員 陸稲は……。
  61. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 陸稲につきましてはほぼ水稲と同じではないか、これも推定でございます。
  62. 安井吉典

    ○安井委員 これは麦がこのいただいた資料では、私はざっと見ただけですが——これはサンプリングしたわけですね。そうだとすればもっと御調査願いたいと思いますが、麦なんかも全面的に上がればやはり問題が出てくるのじゃないかと思います。そういうような点も問題になりますし、それからいま大臣局長も言われましたが、この掛け金算定のファクターのとり方にいたしましても、たとえば昭和二十二年から三十二年のウエートを一とし、三十三年から三十六年のウエートを二とすると言うが、この一対二を一対二・五にしてもいいし、あるいはまた超過累進率のとり方にいたしましても、その数字の置き方は法律をおつくりになるときにどうでもできるわけです。ただ政府当局が考えられたことは、いままで国が出していたその金を、それ以上は一銭も増してはいけないのだ、これは大蔵省の圧力か何か知りませんが、それだけが頭にあって計算をされるから、いまのような形であと補助金というような形になると思うのです。だから、これはこの法律の改正だけではなしに、今後の全体的な問題にもわたると思いますが、安上がり農政でいまよりも幾らかでも金を出さないというような仕組みを頭に置いての農政の進め方というものは、私は根本的に改めてもらわなければいけないのじゃないか、そういう点で私は申し上げているわけです。  もう時間がなくなりましたので、この点だけにいたしまして、次の段階にまたあらためて御質問をしたいと思いますが、ただ大臣に一言。先ほど足鹿委員お尋ねに対して、責任を持ってというふうに言われたわけでありますが、その後の質問内容ではまだ十分に御理解をなさっていないような趣旨のお話も、間にあったように思うのです。そこで私も最後にもう一度念を押してお尋ねしたいわけですが、いまのこの法律のままでいくという場合に、農家負担が増すというときには今後ずっと責任を持って補てんをするということを確言されるわけですか。
  63. 重政誠之

    重政国務大臣 制度改正によりまして農家掛け金が多くなるようにはいたしません。これは責任を持ってそういう場合には助成金なり何なりの財政措置を講じて、制度改正によって現状より負担を増すようなことにはいたしません。これは足鹿さんにお答えしたこととちっとも変わりはないのです。ただ安井さんの御質問によりますと、どうも計算に関係するようでありますから、私も古いことで最近のことはよくわかりませんが、大かた保険共済の原理は今も昔も変わったことはないのでありまして、そういうことで御答弁をしたわけであります。局長も大体私と同じような、現実に取り扱っておる者もそういうふうに答弁をしたようでありますから、大体間違いないのであります。
  64. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 芳賀君。
  65. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣に大事な点だけお尋ねしますが、今度の改正で一番問題になるのは、改正制度を前面に押し出すという意味がなくて後退さしておるというところにあるわけです。それは足鹿委員あるいは安井委員も指摘したとおり、農家負担率の問題だけを取り上げてみても、制度改正の本質の中では負担が重くなるということをやっておるわけです。それを附則で増加した分については当分の間予算の範囲内で国が補てんする。ですから制度の本質はやはり高被害地域については負担を重くさせるという、いわゆる保険方式に逆戻りさせるというところに問題がもると思いますが、その点は間違いないでしょうか。
  66. 重政誠之

    重政国務大臣 それは先ほど来私が申し上げたとおりでございまして、総計としては政府負担がふえるわけであります。現状では具体的の被害の多いところにそれにマッチした共済掛け金率になっておらぬところがある。だからこれを一応公平にする。しかしそれによって掛け金率が多くなるところは多くならぬようにいたします、こういうことであります。
  67. 芳賀貢

    芳賀委員 たとえば北海道においてはどうなりますか。これはわかるでしょう。北海道の場合は現行法によると、国庫負担の割合と農家負担の割合は、国の負担割合が七八%、農家負担割合が二二%というのが従来の一つの割合であったわけです。これが変わるのですか。組合個々に掛け金率を今度は政府がきめるから、都道府県単位はわからぬとは言えぬでしょう。制度改正されても都道府県ごとの平均された被害率がどうなるかということは出てくるわけだ。被害率と掛け金率というものの相関関係は当然あるわけであるから、現行はたとえば北海道の場合は七八%対二二%であるが、これがこのまま改正された場合にはどういう割合になるか、その点を大臣から。——大臣ですよ。北海道という大きなところくらいわからなければ答弁できないじゃないですか。
  68. 重政誠之

    重政国務大臣 どうも、そういう被害率をここでどういうそろばんになるかということまでは私は覚えておりませんから、これは事務当局から答弁さしていただきます。
  69. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことがわからないから、高被害地域の農家負担がどれだけ趨勢として高まるかということは全然あなたの頭の中にないから、明確な答弁ができないのですよ。それじゃ、大臣がわからなければしょうがないから、局長からその大事な点だけを……。
  70. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 先般から私どもが申し上げるように上がる組合、下がる組合というのを組合ごとに出しておりまして、これは十分の一を抽出してやっておりますので、都道府県別に全体の組合に対する国庫負担率がどうなるかということは、今度は組合の数ではなくて全被害量を加えた加重平均した数字を出さなければならぬわけです。それがいまできておりませんので、組合の数で申し上げているわけでありますが、大体の傾向としましては北海道においては上がる組合の数が多い、こう申し上げられます。
  71. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうつまらぬことを聞いているのじゃないですよ。問題は農家負担の割合と国の負担の割合が制度改正によってどうなるかということが一番問題でしょう。農家負担割合が軽くなってその軽くなった分だけが国の負担がふえるというなら、これは制度改正意味はある。ところが、従来よりも農家負担がふえて国の負担が軽くなるという地域が出るとするならば、これは制度改正意味というものはないということに当然なるんじゃないですか。それは北海道においてたとえば二百幾つかの組合ごとに政府掛け金率をきめるということに今度の法律の内容はなっておるが、しかし北海道全体の被害率というものは、それは北海道の中における共済組合ごとの被害率を合算して平均化した場合の被害率と何も変わりはないでしょう。だから被害率の高い地域の農家負担率というものはどの程度現行よりも上がるかということが明らかにされなければ、こういう法案の審議はできないですよ。法律が通ってからやってみなければわからぬというものじゃないじゃないですか。ごまかすために、あなた方は上がる組合が幾つあるか下がる組合が幾つあるかという、そういう組合の数だけしか資料に出していないじゃないですか。たとえば北海道であるとか長野県においてその負担割合というものはどう変わるかぐらいのことは、やはりそれを把握して、いつでも答弁ができなければいけないですよ。全国平均に見ればこれは国の負担割合が大体六四%くらいでしょう。そうなれば結局農家負担の割合というものは三六%だ、全国的に負担の割合というものを見ればそういうことになっておるが、しかし被害程度の高い地域低い地域、その他結局通常とか異常とか超異常の性格というものはその地域の中において特徴があるわけでしょう。被害率の高い地域においてはやはり農家負担割合というものがふえるのは当然のことであるという冷酷な態度で改正が行なわれておるところに問題があるのじゃないですか。だからこのインチキ性をはっきり言ってもらわぬと、こういうところに仕組みがあるとかこういうところにインチキがあるとかいうことを提案者の側からはっきりしなければ、国民はわからぬですよ、農民はわからぬですよ。その点を私は聞いておるわけです。
  72. 重政誠之

    重政国務大臣 北海道とか府県のまとめてのお話でありますけれども、全体としては現状とあまり変わらないのではないかと推定をすることができるのですが、これは計算のことでありますから、多少の増減のあることはやむを得ぬが、大体としては同じことじゃないかと私は推測しておるのです。ただ、問題は、農家が、制度改正によってよけい掛け金をしなければならぬようになるかどうかということだと思うのです。それは、こういう財政措置その他を講じて、そういうことにいたしません、こう言っておるのでありますから、それでいいのじゃないでしょうか。それから非常に被害の多いところは、先ほど局長も申しましたように、従来は国の負担というものは、通常災害についてはおしなべて二分の一としてやってきておった。ところが、今度はそれを、被害の高いところは二分の一以上、累進的によけいに国が負担するようにいたします、こういうことにしておるのでありますから、そう北海道でかれこれ言わぬでもいいように思いますので……。
  73. 芳賀貢

    芳賀委員 それは全く不謹慎ですよ。かれこれの問題ではない。三年前から改正案を出す骨子というものを、われわれは——一方においては制度改正の協議会がずっと進行し、一方においては政府制度改正案というものがまた用意されたわけです。その昭和三十六年当時から、われわれは、今度の改正というものは、政府の意図するところはこういう危険があるということを察知して研究を進めておるわけです。だから、これが通れば、北海道をはじめ十四県は、農家負担が高くなるのですよ。内容は、あなたより私のほうが知っているのですよ。たとえば北海道においては、二百幾つの組合がそれぞれ現行の——たとえば三十七年度に料率改定が行なわれておるでしょう。これに対応して、今度の改正が行なわれた場合には、北海道において組合別にどの程度負担が重くなるということは、われわれのほうに全部計算ができておるのですよ。これはできておるから問題になるわけです。北海道だけでも、総計すれば約一億四千万円農家負担がふえるのです。これは過重になるのですよ。これは重大問題じゃないですか。北海道とか東北、そういう高被害地域は、負担が高くなるからかってにやめるというわけにはいかないでしょう。被害の多いところが解散決議してやめてしまうのであれば、日本においてはこういう災害補償制度は要らぬということになるわけです。やめたくてもやめられぬような条件のもとに置かれておる農民に対して、制度改正の中に、被害の多いところは掛け金の割合が重くなるのはあたりまえだというような冷淡な改正というのは、われわれ絶対賛成できないです。しかもそれを附則の第十条において、当分の間、予算の範囲内で政令の定めるところに従って措置する、これは農民を愚弄した附則じゃないですか。  それでは尋ねますが、この附則第十条の内容というものは、農林大臣と大蔵大臣の間においてどういう了解事項が成り立っているのですか。どういう内容の覚え書きが交換されておるか、それをまず聞かしてもらいたい。当分の間はいつまでをいうのであるか、予算の範囲内というのはどういうことをいうのであるか。それから現行料率との差額の計算をどうやるか。今度の改正によっても三年ごとに料率の改定をやるわけでしょう。そうすると、三十七年度に改定された料率が今後十年も二十年も基礎になるわけではないでしょう。実際問題としてそういうことはできないでしょう。それと、これが改正されて今度三年ごとに料率が改定されるという場合、被害率は同じように出てくるとしても、料率が変わってくれば一体何を基礎にしてその差額を算定するか。そうなれば、差額分を出すということになれば、現行法に基づく計算のやり方を一方においては三年目ごとに試算して、それと改正された高い料率との差額を算出して、そうして常に国が負担するということにしなければ完全補てんということにならぬと思うのです。そうじゃないですか。まず大蔵省との了解事項あるいは大蔵、農林大臣のこの附則第十条に対する覚え書きがあればその内容をここで明らかにしてもらいたい。
  74. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 大蔵省との間に当分の間とは一料率の期間とするとか、そういうような具体的な取りきめあるいは了解事項はございません。われわれの考えております補助金の交付の仕方としましては、農家負担の増加する割合に応じて差額を交付する、こういう考え方でございます。先ほど来都道府県別に見た国庫負担はどうなるかというお話でございましたが、従前は都道府県別に国庫負担率をきめておりましたためにそういうことになっておったわけでありますが、今回は実際の組合あるいは農家掛け金の料率ごとに国庫負担率をきめることになっておりますので、ちょっと実際問題として比較はできない、こういうことでございます。
  75. 芳賀貢

    芳賀委員 大蔵省と何も了解事項がないというのですか。政令できめるというのも、これはかってにやるのですか。
  76. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 一料率期間にとどめるという具体的なことは大蔵省と別にきめておりません。こういうことを申し上げたわけであります。
  77. 芳賀貢

    芳賀委員 それは聞きようによっては全部農林省だけの判断でかってにやれるようにも聞こえますが、そうではなく、逆でしょう。十分了解ができていないということは、この改正が行なわれて法律実施後において、何も話し合いのできていない問題については、ことごとに大蔵省の主計官ぐらいの指図で、あれもいかぬ、これも削れということで身動きがとれぬじゃないですか。だから、大蔵当局との了解事項というものは、従来の経緯から見て、農林省の置かれている財政執行上の力というものは微弱である。何でも大蔵官僚の、しかも下僚にあやつられておるような弊害があるから、そういう心配を除去するためには、法律なら法律の中にはっきり心配ないように書いておかなければならぬということをわれわれは危惧しておるのですが、一体従来の負担率に比べて改正によって上がった分は全部農民の納得できるような形で長期的に補てんができるというのですか。
  78. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 これは経緯から申し上げます。前の国会におきまして修正されました際に附則の規定が入ったときに、政府側としまして、財政上の見地もあるので十分検討したいということで答弁を申し上げておるわけでございますが、その際大蔵省としては、この補助金をどうするかということについても、とっさの場合でもございましたので、まだ農林省との話し合いが具体的にはできていなかったわけでございます。しかし、今度の改正については事前に大蔵省と話し合いをいたしまして、附則に定めている補助金は予算に計上するということについて了解を得ておるのでございます。
  79. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは委員長に申し上げる。この問題は非常に大事ですから大蔵大臣の出席を求めて、特にこの附則第十条に関する点については、大蔵大臣としての見解がいかなるものであるかということをあわせて明らかにしないと、農林大臣並びに経済局長だけの一方的な答弁だけでは信用できませんから、この点については審議関係上後刻ぜひ大蔵大臣の出席を委員長からおはからい願いたいと思います。  次にお尋ねしたい点は、いわゆる別表ですね、別表のつくり方に問題があるのじゃないですか。いかにも超過累進方式ということを言っておるが、この内容を見ると、基準共済掛け金率が一%以下は百分の五十が国庫負担割合ですね。それから掛け金率四%までは国庫負担割合が百分の五ずつが累進していっているわけですね。今度は四%から七%の段階までの間が百分の五、それから七%から一〇%までの間が百分の五、それから今度は一〇%ずつはね上がっているわけですね。すなわち二〇%、三〇%という段階でその一〇%の差というものは国庫負担割合が百分の十ということになっておるわけです。だから完全な段階を追った累進方式じゃないわけですね。被害率の低いほうに近い小刻みな点は百分の五ずつ上げていくが、だんだん掛け金率が高くなるに従って、三%について百分の五とか、あるいは今度は一〇%について百分の十とか、こういう刻み方をするから、高被害地掛け金料率というものは当然高くなることになるのですよ。なぜもっとまじめにやれないのですか。それをまじめにやれば掛け金率二〇%以上ぐらいはおそらく一〇〇%国庫負担という割合が当然出てくるでしょう。これはおかしいじゃないですか、超過累進方式でありますなんてことは。あなた別表を見てみなさい。全くわれわれを愚弄したような別表をつくって、こういう間違いだけが今度の改正案に直されていないのでしょう。前国会の改正案というものは引っ込まして、国会の御意思を尊重して、衆議院の修正案に基づいて政府改正案を出しましたと言っておるが、農家負担をふやしてはいけないということは、昨年の本院における修正案の内容であったでしょう。精神であったと思うのです。そういうものを尊重して今度の改正案を立場を変えて出す場合には、当然一番大事な別表の策定については、やはりやり方を改めて出てくるのが当然であるにもかかわらず、前回の改正案と今度の改正案の別表内容は全部同じじゃないですか。こういうところに問題があると思うのですよ。農林大臣としては一体どう考えるのですか。
  80. 重政誠之

    重政国務大臣 これはただいま局長が申しましたように、衆議院で御修正になった条項をそのまま今度は政府原案として入れて出しておるわけであります。前に何も今の累進負担率というものを算定したのでも何でもない。今度出すにつきまして、農林省として諸般の事情を考えて累進の率というものをきめたわけであります。現在は二分の一平均負担になっておるのでありますから、これをまた急激に変えるということも、これは考えなければならぬというので、大いに意を用いた結果ああいうふうな累進率にいたしたのでありまして、それがために、しかし、現実の問題として被害掛け金率がふえるという場合には、これはふやさないようにいたします、これは財政措置によってふやさないようにいたします、こう言っておるのでありますから、そうえらくおしかりをこうむる必要もないのではないかと思うのであります。ただ、当分の間云々ということについて大蔵大臣を呼んで、おまえだけじゃどうもだめだからということをおっしゃる。これは大蔵大臣を呼んで意見を聞いていただくのも一つ方法であろうと思いますが、しかし、閣議の了承を得て提案をいたしておる法律案でありますから、今度は法律に書いておるのでありまして、つい予算だけでかれこれやるというのではないのでありますから、それらの点は十分に御承知のことと思いますが、そういう軽いものではないことを申し上げておきます。
  81. 芳賀貢

    芳賀委員 いま大臣の言われた別表は、これは今度の改正案に新たに出たものじゃないでしょう。従来数度にわたって国会に提案された、以前の改正案内容の別表とこれは同じであるところに問題があるということを私は指摘しているのです。これはあなたの勘違いであって、今度の改正案だけにこういう別表が出たと思っているが、そうじゃないのですよ。いままで数度国会に出された改正案です。その中の別表と対照してもらえば、これは全部同じなんですよ。それじゃ衆議院の改正の精神を尊重していないじゃないですか。  その次に、今度は、組合別共済掛け金の率をきめるから、その方が公平だと言うが、しかし、ここにまた問題があるわけですね。たとえば被害率にしても、全国平均被害率は大体五・五%ぐらいですが、これが中心であるわけですが、地域によってはあるいは二%から三%くらいの被害率が中心になった府県もあるわけですね。しかし、府県によっては、北海道のごときは大体一一%という被害率になるわけですからね。そういうふうに地域によって被害率に非常に幅がある。その中で、今度は組合ごとに掛け金率をきめるという場合においても、この中心の線というものはおのずから一様ではないと思うのですね。どの府県毛大体五・五%なら五・五%を中心にした被害率であれば、それを中心として、組合ごとにその被害度合いというものを把握して、そうして掛け金率をきめるという場合には、これは全国どの地域においてもそれほど差異とか不公平というものは出ないとしても、この被害中心線というものはそれぞれ違うわけだから、たとえば北海道の中においても、五%以下の被害組合、地域があるとしても、それは二百幾つの組合の中の一組合ぐらいしかないということになるわけです。大体各都道府県地域における被害率の幅というものを中心にしてこの農家負担率というものをきめなければ、これは非常に問題があるわけです。低被害のところも高被害のところも被害率が同じであれば掛け金率も同じであるほうが公平だ、こういう考えが間違っているのですよ。いままでは、高被害の地域に対しては、やはり国として特別の負担というものをやってきたわけでしょう。超異常のところは全額負担とか、通常、異常のところは二分の一とか、そういう特色というものは今度の別表等によると全く失われてしまっているわけですね。だから常襲的に被害が多いという地域に対して特別の立法上の配慮というものを講じなければ、ほんとうは農家負担の正しい意味における公平というものは期することはできないと思うのですよ。こういう点はやはり法案の審議の中で明らかになっているわけですから、政府としても無理に悪い法案を通す気持ちはないでしょうし、与党自民党としても、何でもかんでも農民を苦しめても通さなければならぬというほど、それほど無謀でもないと思うのです。だから、自発的に悪い点を認めて、これは失敗したというのであれば、われわれが審議の過程でそういう点は十分手直しをしてやることができるわけですから、詭弁を弄さないで、そういう点は欠陥があるとか、うまくないとかを質疑の中で明らかにしておいてもらいたいと思います。
  82. 重政誠之

    重政国務大臣 何も詭弁を弄して農家に悪いようにしようなどということは毛頭考えておりませんよ。いままで足鹿さんにも、安井さんその他に詳細にわたって御答弁をいたしておりますから、それで大体おわかりいただいたと思うのでありますが、いまの芳賀さんのお話を聞いておると、北海道のような被害の多いところに政府負担は少なくなるんじゃないかというようなお話でありますが、そうはなりません。高被害のところには累進的に政府負担をよけいいたすようにいたします、こう言っておるのでありますから、いまよりよくなることは間違いない。そして各組合別被害率を算定いたしますことは、それによって実際の掛け金が、掛け金率の高くなるところは、現状の程度掛け金以上には掛け金をしてもらわぬでいいようにいたします、こう言っておるのでありますから、芳賀さんの言われることが、いろいろ言っておられますけれども、私にはちょっと理解しにくいのですがね。
  83. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたとつまらぬ議論をしたくないですけれども、しかし北海道がいままでよりよくなるというのであれば、何も附則で当分の間どうするなんということを書く必要はないじゃないですか。高被害地域が従来よりも政府によって手厚い保護を受ける、農家負担が軽くなるというのであれば、何も附則にああいうものを書く必要はないのじゃないですか。それじゃ何のためにああいうものを書くのです。北海道、長野とかいう十四県は、全部これは負担がふえるのですよ。負担がふえるということはわかっておるから、政府もやむを得ず附則のほうで当分の間、ふえた分に対しては、これは国が負担しますということを書いてあるのでしょう。あなたの言うように、高被害地域の負担がふえないのでもれば、低被害地域は何もふえるわけじゃないのだから、それははずしたほうがいいのじゃないか。自信があるなら、附則の十条というのをお削りになったらどうですか。何も必要がないのでしょう。あなたの言い分から言うと、北海道なんか十分によくなるのだから、心配する必要がないとすれば、附則ははずしたほうがいいですよ。自信を持って、今度の改正案というものは、いかなる場合においても負担がふえぬ、このほうがすっきりするのではないですか。それでは何のために附則十条なんというものを、わざわざ意味のないものをくっつけるのですか。
  84. 重政誠之

    重政国務大臣 どうも幾ら言っても理解をしてもらえないのだから、これはまた別の機会にじっくりお話ししたほうがいいかと思いますが、重ねてもう一ぺん私の考えを申し上げます。  現在の被害率の算定は、各府県別に算定をいたしまして、それを各府県に十七とか十五とかいうものに割り当ててやっておりますから、現実の被害組合のこうむる被害被害率というものが合わない。そこで被害の起こらぬところから比較的高い掛け金を徴収する。それから被害の非常に重いところは比較的その掛け金の額が少ない、こういうことで公平を欠きますから、そこで組合別被害率の算定をいたすことにして、農家不満の起こらないようにするのが今度の被害率算定の改正であります。しかしそういうことをいたしますれば、最も被害の多いところからそれ相応の掛け金をもらうということになりますと、現状よりも掛け金が高くなりますから、それでは農家のほうでも困るから、その超過した分につきましては、財政措置その他を講じまして、現状以上に掛け金が多くならないようにいたします。これは今度のこの制度改正の趣旨であります。こう私は理解をいたしております。
  85. 芳賀貢

    芳賀委員 いままでは府県単位であることはわかっておるのですよ。これを府県の中で知事の責任において知事に権限をまかして、そして十八段階に当てはめたわけです。この当てはめたやり方の中に問題があったかもしれませんが、しかし府県別に見ると、何も不均衡であるとか不公平であるとかいうことにはならぬでしょう。今度は知事にもだれにもまかせないというのですね。政府が直接全国の共済組合に対し七掛け金率をきめるというわけでしょう。このやり方は往々にして間違いがあるのですよ。制度協議会の答申内容にもそういうことはないし、それから前国会でいわゆる事業団方式を採用した、この地域の組合別掛け金率の決定についても、これは公団が政府に申請して、そしてきめる権限を持ったが、今度の場合にはだれにもまかせぬ、全国四千幾つかの組合は全部政府みずからやりますなんということを法律には書いてあるが、これは非常に問題ができると思うのですよ。一体そんなことを言ってもできないでしょう。私が何を聞いたって局長は何もわからないじゃないですか。そういうわからぬ者が全国四千幾つある組合実態を把握して、公平なものができるなんということはならぬですよ。私がこれだけ言っても、あなたは政府案の非を認めないというのであれば、きょうは時間の関係があるから、これはまたゆっくり時間をとって、あなたが納得してこれはうまくないということを言うまで私は質疑を続ける考えです。  もう一つ、この機会に角度を変えて一点だけ申し上げますが、いわゆる任意共済の問題です。これは全国共済協会と全国農協共済連との間で覚え書きが締結されたが、それに関連をして、今度は農災法の改正の中で、いわゆる共済組合の行なう任意共済都道府県連合会の建物共済の手持ち責任の部分を農協法に基づく全国共済連の建物共済事業に再保険することができるということが、今度は法律の中に出てきておるのですが、そうすると、農協法に基づくいわゆる共済事業、農協法の中の共済規定、これと農業災害補償法、本法との今後の関係というものを一体どう考えておるか。この農災法の一部改正の中で打ち出しておけばそれでいいと考えておるか、それを受けて今後農協法の改正の中で、農協の共済事業として行なう建物共済等についてこの根拠の違う農業災害補償法によって運営されるこの任意共済の建物共済事業との再保険関係というものが出てくるでしょう。これはやはり危険分散とか危険負担とかいうことを意味するわけですから、そういう場合には一体農協法の中でこれらの問題をどういうふうに受けて、遺憾のないような体制にするかということは、これはやはり明らかにしておく必要があると思うのです。この点はどう考えていますか。これは大事なことですから農林大臣から……。
  86. 重政誠之

    重政国務大臣 初めの、被害率算定のことを国でやれば何かおかしい、県でやれば何かそのほうが公正だというように聞こえるようなことを言われましたけれども、これは、御承知のとおりに被害率の算定というのは、一応の方式があって、そして被害統計があってやることでありますから、国がやろうと県がやろうと、それは大差はないと私は思う。ただ、違うところは、県単位で、県単位の被害被害率を出して、それを十八段階、十七段階に割り当てるか、あるいは実際の被害に合うような被害率の算定をやるかということが問題なのであって、ちょっとどうも聞いておってもわけのわからぬような……。  第二の問題は、農協が再保険主体に、農協法による建物共済の、協同組合連合会というものが再保険の主体に今度の法律改正によってなるわけでありますが、この農災法のほうは、事業の内容についての規定を、その部分については今度はやるわけでありますが、組織その他の問題は従来と変わりはありません。やはり農協法によってやっていくわけでありまして、私は何らそこにおかしいところはないというふうに考えております。
  87. 芳賀貢

    芳賀委員 これは問題がある。いいですか大臣。それじゃ何のために——任意共済関係ですよ。何のために農災法に基づく任意共済で、都道府県共済組合連合会に対して、質的に違う農協が建物共済の再保険をしなければならぬかという根拠が不明確じゃないですか。再保険というものは何のためにするんですか。それは再保険をしなければ危険分散ができないのでしょう。ところが農災法による建物の共済事業は、これは風水害までみんな入れているじゃないですか。それを再保険措置がない。国もそれに対しては何ら危険分担をする制度がないというところに、たとえば伊勢湾台風とか大きな災害が出た場合に、都道府県単位の連合会だけではこれはどうしようもないという、そういう欠点が多く出てきておるじゃないですか。そういうものを補完するという意味で、今度は全国共済連に対して再保険の道を開いたんじゃないですか。そうでなければないということをはっきり言ってもらえばいいんですよ。そうするとその再保険を引き受けた側において、危険分担というものは当然責任の中から出てくるでしょう。それは農協の事業で、そういう新たな危険分担とか責任負担というものは事業の中で生まれてくる、制度の中で。そういう場合に、農災法の改正だけにはそういうことがうたってあるが、農協法の中では、それを引き受けた側の今後の体制というものをどうするかということに対してはまだ何も考えていないのでしょう。これはこの制度改正とあわせて今後の農協の行なう共済事業というものを強化して前向きにするにはどうすればいいかということが当然同時並行的に考えられなければいけないと思うのですよ。こういう点はおかしいと思うのですね。建物共済の問題については共済協会、全共連、全中の三団体の声明文によると、自民党の御方針を尊重しましてこういう覚え書きをつくりましたということが声明文に載っているが、これは当事者を参考人に呼んだときただしますが、一体農民の経済行為をやる団体がそういう重い責任を負うようなことになる場合に、一体何を考えておるかということにもなると思うのですよ。こういう点は事務的な問題でもあるから農林大臣はおわかりにならぬでしょうからして……。
  88. 重政誠之

    重政国務大臣 わかります。これは建物共済については農協系統の連合会でやりたい、こう言っておる、私の聞いておるところでは。そして、やりたいというのだから再保険くらいして悪いことは一つもありはしない。そのほうが楽ですよ。初めから全部の責任を持って再保険をやるほうが楽なんだから、そういうことをやりたいというような意向もあるし、また、いまお話しになりましたように伊勢湾台風とかなんとかいうときには県だけでは困る、再保険をやったほうがいいということは、これはもう当然のことなんです。でありますからこれは渡りに船でありますから、私どもの考えとしては農協系統のものに再保険をやってもらう。こういう考えになったわけであります。
  89. 芳賀貢

    芳賀委員 これで午前中はやめますが、ただ問題は、共済組合の行なう任意共済は風水害は事故に入っているのですよ。農協の行なう建物共済は、北海道は風水害は入っておるがそれ以外の都府県は風水害は事故対象になっていないのですよ。いいですか。こういうことが現実にあるから、私はこれを指摘して農林大臣にただした。何もわからぬから、局長がわかれば答弁してもらいたい。
  90. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 その点は十分両団体も承知の上で、私どもも十分検討した上で、了承したわけでございます。風水害が含まれておりまするので、農協系統としてはこれを引き受ける場合に責任がかなり重くなるということはございますので、どういう程度に付保するか、付保の方式をどうするか、これは農協の他の建物共済事業とは別な特別勘定になると思いますが、したがって区分して経理されますので、その区分された別の方式共済について、共済連合会はどれだけ付保していくか、また料率をどうするか、そういったことは専門家が十分検討して今後決定してまいる予定でございます。
  91. 安井吉典

    ○安井委員 資料要求をお願いします。いろいろ資料をいただきましたが、畑作物の共済について農林省でずいぶん今日まで御調査されているはずでございますから、今までの段階における調査内容、今後の見通し等について資料をいただきたいと思います。
  92. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 承知いたしました。
  93. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 次会は公報をもってお知らせをいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時八分散会