○松岡(亮)
政府委員 それでは、昨日、本委員会に御提出いたしました足鹿委員の御要求にかかわります資料につきまして、概略を御説明申し上げます。非常に資料が大部にわたりますので、主要な問題点については若干ふえんして申し上げますが、その他の点につきましては、できるだけ要点だけにさせていただきたいと思います。
まず最初に、資料が三部に分かれておるわけでありますが、一般的な事項といたしまして、そのうちの最初のものが、
アメリカその他主要国における
共済保険制度の
実施状況でございます。これは保険課におきまして、調査してわかっている範囲内で調製いたしたものでございますが、
農業保険につきましては、ここにも書いてございますように、
作物保険、
家畜保険、そのほかに農場の建物とか
農業機械等に関する
農場不動産、動産の保険がございます。これらの農場の資産にかかわる保険は、普通の
保険会社等によって行なわれる保険が多いわけでございますが、そのうち
作物保険につきましては、民営の保険としてまして、古くから行なわれましたものにつきましては、大体ひょう害というような特定事故を対象にいたしました
特定危険作物保険でございます。これは十八世紀の後半から、ドイツ、
フランス等を中心に
ヨーロッパ諸国で相当行なわれてまいっておりますが、そのほかにイギリス、
アメリカ、
カナダ等で行なわれております。
それからこれは
特定危険保険でございますが、
総合危険作物保険、つまり
ひょう害等に限らず、
作物保険として総合的に保険されるものにつきましては、これはわかっておりますのは、ここに列挙されておりますソ連、
アメリカ、日本、メキシコ、ブラジル、その他若干の国でございます。これらは普通の私企業的な保険としてではなく、何らかの形で国の財政的な援助を伴った保険として行なわれておるのでございます。
その次のページに、それぞれ
アメリカ、ソ連、
カナダ等につきまして、どういうやり方をしているかということが、事項別に分けまして、掲げてございます。なお、
アメリカにおきまする果樹の保険は、まだ試験的な段階を出ていないようでございます。それからカナダにおきまする保険も、全体として試験的なものである、こういうように了解しておるのでございます。
二ページ以下の詳細は表になっておりますので、一々御説明申し上げません。大体実施の主体と対象となります事故、それから対象になる作物、それから加入の方式――加入の方式につきましては、
アメリカは、原則として任意ということになっておりますが、その任意は、ここにも書いてありまするように、加入後に解約の申し出があるまでは自動的に継続される、それから逆選択を防止するために、若干の制限がある、こういう状況でございます。
それから保険金額でございますが、これについて特に申し上げることはありませんが、今度の
改正法律案におきましては、これは米価の九〇%までという方式に改めるわけであります。従来は七〇%でありますが、ここにもございますように、
アメリカは平年収量の七五%を限度とし、カナダにおいては平年収量の六〇%、ソ連は若干ここで違っておりまして、強制と任意の部分に分かれてきめられておるわけであります。
あとは省略いたしまして、次は五ページに移りまして、
農業共済団体等の職員の待遇の実情でございます。これは資料が、同じベースでの比較がなかなかむずかしいわけであります。給与体系が異なっておりますとか、あるいは平均年齢が違いますとか、比較のベースがなかなか一致しませんので、一致させるように分析できるような資料がございませんので、その点残念でございますが、非常に大ざっぱな比較になっておるわけであります。
一応内容について申し上げますと、
市町村段階と
都道府県段階のそれぞれの団体の待遇の比較でございます。
まず
市町村段階におきましては、
農業共済組合等、それから
農業協同組合単協、それから
農業委員会、これだけを比較してございますが、その実績額としてあげられておりますのは、職員に給与されておりまする年額で
期末手当を含む額でございます。これは三十六年度だけはわかっておるわけでありますが、三十六年度につきまして、
農業共済組合の場合は予算の額であげております。それから
協同組合は、
文字どおり実績、
農業委員会も実績でございます。左のほうにこれに対する
国庫負担の状況が出ておるわけでありますが、これで見ますと、年額としまして一応
共済団体は他の団体に比べまして低い、こういうことが出ております。それから
国庫負担につきましても、実際に給与されておるよりは低くなっておる。これは
共済組合の場合、
農業委員会の場合を通じまして同様でございます。
それから
都道府県段階で申しましてもそうでありますが、この場合はむしろあまり差がないと申し上げていいかと思います。若干わずかに低目に出ております。
農業協同組合連合会の場合は信連と経済連と共済連、これは連合会のうちで最も
給与ベースの高いところでございますが、それが出ておりまして、これに比較しましてそう見劣りする状態ではない、こう申し上げていいかと思います。
それと
期末手当の問題でございますが、従来
共済団体につきましては、実際は
期末手当が出ておったわけでありますが、国の補助の面では
期末手当を計上していなかったのであります。
農業委員会については本年度は三・七カ月分ついておりますが、
共済団体は全然ついていなかったのでありますけれども、本年度の予算から初めて
期末手当を予算に計上することにいたしました。本年度は一・二カ月分、補助金の中に算定されておるのであります。したがいまして、三十八年度の状況は、これとまた若干違って出てくると想定されるのであります。
その次に移りまして、
農業共済団体役職員の
専兼状況及び事務所の概況でございます。これはちょっと資料が古くて恐縮でございますが、
農業共済組合長の専兼状況は三十五年三月の状況でございます。一番下の欄をごらんいただきまして、専任の組合長は、実数で四千二百二十四人のうち千八百七十四人で、四四・四%で、あとの五五・六%はほかの仕事と兼務しておる。その兼務の対象になりますのは農協の組合長、これが非常に多いわけであります。それから市町村長その他となっております。この資料が古いわけでありますが、その後どうなっているかという資料が実はございませんけれども、大体の感触といたしましては、その後
市町村合併が進んでおりまして、
共済組合も合併して大きくなっております。そういった関係で農協などは最近合併を始めておりますけれども、まだ小規模のものが多いために、どちらかというと専任の
共済組合の組合長がふえているであろう、こういうように推定いたしております。
その次は、
農業共済組合事務所の概況でございますが、
農業共済組合は独立の事務所を持っておるか、あるいは役場や農協の事務所を借りたりして併置の状態になっておるかどうかの調査でございます。これも資料が古いのでまことに恐縮でございますが、三十四年四月の状態でございます。これでみますと、一番下の欄で四千二百四十七組合のうち――これは前の表とはちょっと年が違いますので、数が違っておりますが、独立しているのは二四%でございます。それで独立してない事務所が七〇%となっております。その内訳としましては、農協の事務所に間借りの状態等であるのが一番多い、こういう状況でございます。
大体第一部の資料は以上のとおりでございます。
第二部は、審議の基礎及び審議に関連ある事項としての資料の御要求でございますが、そのうちの最初は麦作の最近における推移でございます。御要求の趣旨が、麦作は最近減少してまいっておりまして、麦について強制加入の方式が必要かあるいは麦に関する保険が必要かどうかというような点に関しての検討の資料として御要求かと存じまするが、その状況を
統計調査部の最近における統計から摘出したものでございます。
それで、そのうちまず麦につきましては三麦に分けてございますが、さらに裏作麦とそうでない麦という関係がありますので、統計の関係からこれを田畑に分けましてつくったものでございます。一番下の全国計をごらんいただきたいのでありますが、もちろん県によりまして事情はかなり差がございますが、大体三麦を通じまして相当減ってまいっております。田麦もかなり顕著に減っております。田麦で申しますと、三十三年に六十九万四千町歩の作付面積があったわけでありますが、約七十万町歩から三十七年には五十六万八千町歩、約五十七万町歩に減少いたしております。
それで、その次の九ページから今度は麦の種類別にこれを見たわけでありますが、小麦は必ずしもこの三麦を通じた傾向とは違っておりまして、小麦はやや増加の情勢にございます。田畑の計で申しますと、三十三年に六十万三千町歩、約六十万町歩でありましたものが、三十七年には六十四万六千町歩、約六十五万町歩、やや増加しておる、こういうことでございます。田麦につきましてもやや増加しておる、こういうことでございます。
その次は大麦でございます。一〇ページ。大麦は小麦と違いまして減少の傾向をたどっておりまして、田麦について言いますと、三十四年には十三万七千九百町歩でございましたが、三十七年には十一万七千町歩、若干の減少を示しております。それから田畑合わせまして、三十三年には四十二万三千町歩でありましたのが、三十七年には三十四万町歩と相当に減少いたしております。
その次が裸麦でございます。裸麦は一そう大幅に減少いたしております。これはまず田畑合計で言いますと、三十三年、五十万町歩から、三十七年の二十七万七千町歩、半減に近い大幅な減少でございます。田麦は三十三年が二十九万九千町歩、約三十万町歩でありますが、三十七年には十五万二千九百町歩、ほぼ半分近く減少しておる、こういう状況でございます。
麦に関する資料は以上のとおりでございます。
次は、畜産における多
頭羽飼育化の進展と
現行家畜共済制度の問題について。ここに若干の私どもの見たところを書いておるわけでありますが、これらにつきましては、さらに制度の基本的な改正と関連いたしまして今後十分検討を要するかと思っております。ここに書いてあります内容を申し上げますが、むしろ朗読いたしたほうが早いかと思います。「最近において酪農の経営規模が急速に拡大しつつあることは別表のとおりであるが、現行の制度の下においては、
経営規模拡大が進行するに従って
家畜共済に加入する率が低下する傾向にある。これは
家畜共済が牛・馬一-二頭飼育が常態であった当時において法制化されたため、二頭ごとの引受けをたて前としていることによるものと考えられるが、次の諸点が加入困難の理由としてあげられる。(1)多
頭飼育者の場合、その金頭について
家畜共済に加入することは、一時に多額の
共済掛金を負担しなければならないこととなること。」これにつきましては別に御説明いたしましたが、
家畜加入推進奨励金を本年度の予算に計上いたしておりまして、こういう場合に多
頭飼育者の加入促進をはかるという趣旨で二億二千万円を計上いたしております。「(2)多
頭飼育者は、日常頻発する軽微な損害については、これを経営の内部に吸収することが容易である。従って、死亡・廃用・疾病・傷害のすべてを総合的に共済しようとする現行制度に対しては、必ずしも
少数飼育者なみの必要性を感じていないものと考えられること。(3)多
頭飼育者については、一般的に管理設備、
飼養管理技術、飼料構造、
経営技術等飼育条件の良好なものが多く、また、
被害発生態様も異るので
掛金負担額について不満が生じ易いこと。」
以上のとおりでございますが、次のページに
飼育頭数別の加入状況を掲げてございます。これは事例調査に当たるものでございまして、下のほうに調査戸数と
調査頭数がございますが、これで見てまいりますと、一番下の一頭ないし五頭、それから六頭ないし十頭と刻んでおりますが、下のほうが加入率が高い。上の二十一頭以上というのはかなり加入率がいいわけでありますが、これは北海道等、特定の九県だけの調査でございますのでこういう結果が出ているかと思います。しかしこの刻み方にも問題がございます。これは、いままでのところは一、二頭飼育が大多数でございますから、こういう刻み方が適当であるかどうか、そこに相当問題がございます。
その次の表でございますが、一四ページの表は
年次別飼養農家一月当たりの
飼養頭数でございます。これは家畜の種類別に最近の
飼養頭数の一戸当たりの
平均飼養頭数の増減の状態を出したわけでございますが、まず乳用牛については漸次多頭飼養へ向かう傾向が明らかに出ております。三十四年においては一・九頭でありましたのが、三十七年には二・四と、特に三十六年から三十七年への増加、二戸
当たり平均頭数の増加が目立っております。ところが役肉用牛、馬、綿羊、ヤギ等につきましては横ばいないしやや減、こういう状態でございますが、豚と鶏に至りましてまた一月当たりの平均頭数の増加が顕著にあらわれております。豚はやはり三十六年から三十七年にかけまして平均二月
当たり頭数が飛躍的に増加しております、鶴につきましてもそうでございます。こういう状況でございます。
その次は、一五ページの別表2の
飼養頭数規模別飼養農家数及びその百分率でございます。これは一九六〇年の
世界農林業センサスの結果に基づくものでありまして、資料としては若干古いわけでありますが、一頭飼養から数頭飼養に至る段階、刻み方によってどのくらいの農家があるかということを調べたものでありますが、このときにおきましてはまだ乳用牛につきましては一頭飼養が六割ある、こういう状況でございます。豚につきましても一頭飼養が約七〇%、六九・七%ある。鶏につきましては十九羽以下の飼養が八五%ある、こういう結果が出ております。多頭羽飼育と
家畜共済の関係に関する資料は大体以上のとおりでございます。
次に、
肉豚共済事業の
実施状況でございます。これは
共済制度としましては
任意共済として行なわれておるのでありまして、
共済事故としては死亡のほかに疾病、傷害を取り上げておりますが、疾病、傷害についても事故として扱っているのは鹿児島県だけでございます。その肉豚の
任意共済事業をやっております県の連合会は、一番下のところに表として出ておりますが、鹿児島以下栃木、宮崎、鳥取、青森、愛媛、長野の七県でございますが、しかし実態から申しますとほとんど鹿児島県が全部に近いという状況でございます。
その次のページでごらんをいただきたいのでございますが、一七ページに、
肉豚共済の
事業実績というものがございます。まず
加入頭数では、全部で四万五千頭が加入しておりますが、そのうち鹿児島県は四万頭でありまして、大部分が鹿児島において行なわれている。それから
共済金額で見ましても、全体が一億七千四百万円でございますが、そのうちの一億五千六百万円が鹿児島県になっておる。こういう状況でございます。なおこの
肉豚共済事業につきましては、利用団体の話し合いによりまして将来は農協系統へ移譲する、こういうことになっております。
その次は、
果樹共済についてでございます。これは最初のほうは少し朗読いたしまして、さらに補足して御説明申し上げます。
(1)経緯 (ア)旧
農業保険法第三十六条に基き第二
類共済事業として
農業保険組合が実施することができることとなっていた。この規定により実施していたものは青森(りんご)、福島(りんご、なし、桜桃)、長野(りんご)、滋賀(りんご)であった。(イ)
農業災害補償法施行に当り
任意共済事業の事業能力の規定が設けられず、旧
農業保険法により実施していた果実に関する共済は中止された。昭和二十四年
農業災害補償法の一部改正により
任意共済事業の規定が設けられた。この規定により
果実共済を実施したのは和歌山県の「みかん」で昭和二十五、二十六年度の両年度において実施したが台風被害により不足金が生じ中止してしまった。(ウ)昭和三十四年の
伊勢湾台風により長野県のりんご、山梨県のぶどうが大被害を受け
果樹共済の制度化の要望が強く、要請され、農林省において、
果樹共済に関する調査検討を行なうこととなった。(2)
果樹共済に関する調査、研究概要 (ア)
果樹災害等の調査
果樹共済の制度化について必要な基礎資料の整備を行なうため、昭和三十五、三十六年の二カ年にわたり、
主要果実生産県に委託して生産関係、
被害関係等基礎的調査を行なった。
その次のページに調査をいたしました県とその予算をあげてあります。カッコ内は調査しました対象の町村の数であります。左のほうの欄が三十五、三十六年度、右が三十六年度となっております。左は両年度にわたって二カ年継続して調査したという県でございます。相当数の県につきまして調査をいたしたわけであります。種類もミカン、リンゴ、ブドウ、ナシ、桃でございます。調査項目としましては、その下のほうに書いてあります果樹の収量や災害に関しまして、収量の変動調査、それから災害に関しまして、その種類別面積あるいは被害程度別の面積、それから果樹の価格変動の調査、果樹の栽培事情に関する調査、こういった事項につき調査しました。
その次に、農林漁業試験研究補助事業の一環としまして、果樹生産における果樹保険成立の条件に関する研究というのをいたしたのであります。これは実際に理論の上で保険というものが成立の可能性がございましても、実際に農家が保険というものに対する需要を持っているかどうか、あるいは保険に対する意識を持っておるかどうかということを調査したわけでありまして、それは二〇ページの上のほうに書いてありますように、昭和三十六年度と三十七年度にわたりまして、和歌山、愛媛県のミカンとそれから青森、長野のリンゴ、鳥取、埼玉のナシにつきまして実態調査をいたしたわけであります。その結果をごく簡単に申しますと、ミカンについては保険需要が少ない。と申しますのは、一面において農家は自家保険という形でかなりの積み立てをやっておるというようなこともございまして、保険需要が非常に少ない。ところがナツミカンは相当に保険需要がある。それからリンゴ、ナシにつきましては若干の需要が認められるが、リンゴについては例のモリニア病等をどうするかというような実際問題があるという調査結果が出ておるのであります。それからさらにそういった調査を検討いたしますために、二〇ページの下のほうに書いてございますが、
果樹共済制度化準備検討会委員名簿というのが出ておりますけれども、こういう人たちに依頼いたしまして
果樹共済制度化の準備検討会を開いておるわけでありますので、ここを読んでみます。「
果樹災害等の調査および試験研究補助事業たる「果樹保険成立の条件に関する研究」結果を基礎とし更に昭和三十八年度から行なう予定の「
果樹共済試験調査」の方式等を検討するため三十七年十月下記委員による「
果樹共済制度化準備検討会」を設置し、同年十一月五日から九回にわたり制度化についての果実の生産、流通の実態等の技術的検討が行なわれ三十八年三月十一日検討結果を取りまとめ報告した。」その結果に基づきまして三十八年度から
果樹共済の試験調査をいたすことにいたしたわけであります。予算額といたしましては四百六十三万円でございますが、これは実際に保険設計をしてみまして、その保険設計によって村にそれをやってみてもらう。金の受け払いはやりませんが、記帳その他の方法で実際にやってみまして、そういうことで制度化できるのかどうかということを実際に試験するのでございます。
二二ページに参考資料といたしまして、
果樹共済試験調査実施要領要旨というのがございます。この要領によりまして相当数の県におきまして実際に試験をやってみようということでございます。そのやり方は目的のところに書いてございますが、四つの方式を試みにやってみるというので、Aとしまして団体単位品質収量制方式、これは収量の保険と品質の低下も事故として保険してみるという方式でございます。Bは農家単位品質収量制長期方式、これは前のものが団体単位でございますけれども、今度のは農家を単位にしまして品質の事故を見、収量の事故、そのほかに長期の果樹の改植、補植につきましてこれを事故と見る、満期保険みたいな形をとってみるという方式でやってみるのであります。それからCは農家単位収量制長期方式、これはいま申し上げましたものの別な組み合わせ、Dもさらにもっと単純化された農家単位収量制だけの方式でございます。この四つの方式によりまして果樹農家の保険需要、掛け金負担の限度、基準収穫量の設定、損害評価の方式というようなものを実際にやってみる、こういうのであります。
それ以下に種類ごとに実施する県をあげておりますが、さらに次のページのほうにいま申し上げました四つの方式についてそれぞれ説明をいたしております。
大体
果樹共済につきましてはこのくらいにいたしまして、その次、
果樹共済に関連しまして二七ページに、果樹についての価格差補てん等の事業を実施しつつある県の状況とその実績というものを出しております。これは園芸局で調べたところでございますが、わかっておりますのは島根県と鹿児島県の事例だけでございます。島根県におきましてはブドウ、ナシ、カキ、ナツミカンにつきまして島根県青果物販売
共済組合、これは任意組合でございますが、鹿児島県におきましてはミカンとポンカンにつきまして鹿児島県青果物価格安定資金協会というものがありまして、これが事業をやっておるのでありますが、いわゆる売買の価格差を補てんする方式の一種の価格補償制のような、あるいは共済制のような事業でございますが、その価格の差を補てんするのはここに三つの場合があげられております。販売価格が一定の価格を下回ったとき、それから輸送事故による損害があったとき、出荷調整により運賃の加算等があったとき、ということで、交付額はいずれの場合も査定委員会できめておるようであります。その下に実際の交付実績等も交付実績等も書いてございます。
その次は、共済事業を市町村が実施しているところの最近の状況の資料でございます。二八ページの冒頭に市町村条例制定の基準というのがございますが、市町村条例によりまして市町村が共済事業をやります場合におきましても、内容としては
共済組合がやる場合と変わりがないわけであります。ただ主体及び組織が異なりますために、その点だけ若干の相違が出る、こういうことでございますが、特に農家の意思をどう反映するかという点について、市町村の場合は、特に最近のように都市化されたような市町村の場合にどうやってその点を反映するかという問題がございますので、これは通達によりまして
農業委員会の意見を徴するようにという指示が出ております。
その次に、農業共済事業を実施しております市町村の数の調べでございます。三十八年五月一日現在でありますが、これは昨日も足鹿委員から御指摘がありましたように、五月一日現在で実施しております市町村の数は六百八あります。これは年々顕著に増加いたしております。本年もさらに増加の見込みでございます。
それから「左に対する移譲申出組合数」というのがその次の欄に出ておりますが、この移譲申し出というのは市町村に移譲を申し出た組合でありますが、要するに関係組合でありまして、実施している市町村の数より多いのは同じ市あるいは同じ町の中で二つの組合が移譲するというようなことがあるために、数は市町村の数よりも大きくここに出ておるのであります。該当しております都道府県の数が四十二ございます。
その次に、二九ページにはこれを都道府県別に市町村の数をあげたものがございます。その中でごらんいただきましてもすぐ目立ちますのは、長野県が非常に多いわけであります。それから愛知県、これも相当多いわけであります。これは全体の市町村の数にもよりますが、これらは特に目立っておる、こう申し上げていいかと思います。
その次は、さらにこれをこまかく表にいたしまして、年度別に、県別に市町村の数を出したものでございます。ここで特に申し上げることはございません。
三一ページに移りまして、その次の資料は、共済事業の市町村移譲事由別該当組合数。いま法律では一定の事由がある場合に
共済組合は市町村へ共済事業を移譲することができることになっておるわけでありますが、その事由の別にこの数を調べたものであります。申し出組合数七百五十のうち最も多いのは四百八十八で政令第二条の二第二号の事由によるものであります。政令第二条の二の第二号の事由と申しますのは、一番下に書いてありますが、「
農業共済組合が共済事業を行なう場合より市町村が共済事業を行った方が事業運営の効率化が十分見込まれる場合」こういう場合が圧倒的に多い、こういうことでございます。六五%を占めておるわけであります。
その次に、三二ページに移りまして、市町村がそれならば共済事業に市町村費を支出しておる実情はどうであるかという資料でございます。
まず最初は、
農業共済組合に対して市町村が補助をやっている事例がかなりございます。その状況でありますが、三千七百八十二組合について調べたところが、昭和三十五年度におきましては二億八千八百万円の補助が行なわれ、一組合平均につきまして七万三千円となっております。三十六年度におきましては二億九千五百万円、一組合平均七万八千円でございます。
それから今度は市町村みずからが共済事業をやっておる場合、その特別会計に対して一般会計からどのくらい繰り入れているかという調査でございますが、三百五十一市町村につきまして調べたところでは、昭和三十六年度において六千八百万円の繰り入れをやっており、一市町村におきまして十九万六千円の繰り入れをやっておるという状況でございます。
それから今度は市町村に移譲される前と移譲後の市町村費の補助と一般会計からの特別会計への繰り入れの比較でございます。これは調査市町村の数が少ないのでありますが、十一市町村につきまして比較したものでありますけれども、十一市町村のうち移譲前に補助があったもの、移譲後に繰り入れがあったものがいずれも八であります。そのうちのまず移譲前の補助は百六十八万四千七百二十五円、それから移譲後の繰り入れが二百三十四万三千百円、一市町村の平均でいいますと二十一万円から二十九万円に増加しておるということでございます。
その次の三三ページは、共済事業を行なう市町村の職員の給与水準と、市町村移譲前と移譲後の職員給与の比較であります。
その最初が、
農業共済組合職員と共済事業を行なう市町村職員の一人当たり平均給与水準の比較でありますが、これは都道府県から報告を受けたものを農林省で集計したものでありまして、三十七年一月一日現在の数字でございます。これは一番下の全国平均で申しますと、組合のほうが月額一万五千七百四十四円、市町村が一万七千七百九円で、市町村のほうが二千円ほど高くなっておりますが、県別には若干出入りがございます。組合のほうが高いのも若干ございます。しかし全国の平均としましては市町村のほうが職員の給与は高い、こういう状況でございます。
さらに三四ページに簡単に出ておりますのは、市町村移譲前と移譲後の職員給与の比較でございます。いま申しましたのは横に比較したのでありますが、これは時間的に移譲前と移譲後を比較したものであります。一人当たりの平均職員給与は、月額で移譲前が一万八千三百二十九円でありましたものが二万百十一円、ベースアップもあったかと思いますがやはり若干上がっておるということでございます。ただしこれは十二組合の事例でございます。
その次が、問題が変わりまして、
共済金額の選択状況に関する資料でございます。これは現在
共済金額は、農作物の場合最高から最低まで数段階になっておりまして、一キログラム当たり最高五十五円から最低十五円まで何段階か選択できることになっております。
共済金額、保険金をどれだけかけるかという金額は、農家が選択できるたてまえになっているのであります。しかし実際には商いのを選択するのと低いのを選択する人がありまして、平均でどうなっているのかというのがこの最初の資料でございまして、水稲単位当たり平均
共済金額の昭和三十七年産と昭和三十六年産の比較であります。左のほうが昭和三十七年、まん中が三十六年でありますが、一キログラム当たり全国平均で三十七年が二十七円、三十六年が二十四円で、かなり上がる傾向になっております。これは都道府県別に違っておりますが、たとえば北海道は非常に高いのであります。これは高被害地であるから高い金額を選択するだろうということもいえると思いますが、逆に大阪のようなところは、これは必ずしも高被害地ではありませんけれども平均四十円を選択いたしております。これは一がいに高被害地が高く低被害地が低く選択するとも言い切れない。足鹿委員の御要求の趣旨は逆選択が出るのではないかという御趣旨であったかと思いますが、必ずしもそうもいえない。また専門家に聞きますと、そういうところを逆選択というのはちょっと問題であるそうでありますが、どうもその関係は私どもにもはっきりした断定はいたしかねるのでございます。
そこで、これは現状でございますが、三六ページの(2)に、改正後の
共済金額の選択に対する指導方針。これはいま申し上げましたように五十五円を最高にして最低十五円まで数段階の選択が許されておりまするが、まず問題としましては、現状においてその選択ができるといいましても、実は個人の選択が必ずしも実際問題として認められない、組合ごとに全部一本の選択になるということ。それからもう一つは、災害が起きた場合には損害を補てんされる割合が高くなるから高い金額を選択しておったほうがいいわけでありますが、その際にもっと高い金額が設定されないかという二つの問題があるわけであります。その二つに対しまして今度の改正案はどう答えているかということは、次に掲げてあるわけであります。ここは朗読いたします。
「改正案では木制度に対する「被害があっても共済金の支払額が少なく制度が役立たない」という批判に応えるため、農作物共済の補填内容の充実をはかることとし、このため筆ごとの三割以上の減収量に応じて支払うという方式は現行の通りとするが、単位当り
共済金額の最高限度を水陸稲又は麦の価格の百分の九十に引き上げることとし、」これは現行は百分の七〇までであります。「一キログラム当りの
共済金額を七十円、六十円、五十円、四十円、三十円、二十円、十五円と定める予定である。(現行では五十五円、五十円、四十五円、三十五円、二十五円、二十円、十五円。)これにより実損に対する填補率は例を水陸稲にとれば、全損の場合に従来最高の単位当り
共済金額(五十五円)を選択しているときであっても約四割九分に過ぎなかったものが、改正案による最高の単位当り
共済金額(七十円)を選択した場合には、その填補率は約六割三分となり、従来に比し相当程度補填内容を充実しうるものと考える。更に、この単位当り
共済金額の選択は、現行制度では組合等が定款等で組合等ごと又は危険階級別の地域(おおむね旧市町村単位)ごとに一律に定めることとなっているため、農家負担の問題もあり、どうしても組合等の区域内の低被害地の農民の意向に引きずられて低い
共済金額の選択に傾きやすいとの不満もあるので、今回の改正においては、組合等が実情に応じその定款等で定めれば、組合等一本(又は組合等内の地域ごとに一本)で一律に定められる単位当り
共済金額以外の
共済金額を農家が個人別に選択しうる途をひらくため、次のような
共済金額の選択方法を採用したいと考えている。即ち(1)組合等ごとに一律に一つの
共済金額を選択する方法 (2)地域基準
共済掛金率を定めた地域ごとにそれぞれ一つの
共済金額を選択する方法 (3)組合等が定めた二以上の単位当り
共済金額のうちで組合員等に個人選択をみとめる方法。以上の三つの方法のうちいずれか一つの方法を単位当り
共済金額の選択方法として定款等で定めさせることとしたいと考えている。」
ただいま三つの方法をあげたわけであります。これでも個別化という点は完ぺきとはまだ申し上げにくいとは思いますが、個人までの選択ができるという道を何とかして開きたいと考えておるわけでございます。
その次が、三七ページ、8 最近の基準反収の推移。これは水陸稲、麦につきまして、最近指示されております県ごとの基準反収を表としたものでございますが、この表の集約したものを四〇ページにあげておりますので、ちょっと四〇ページをごらんいただきたいと思います。御要求の御趣旨は、基準反収と実収高とがかけ離れているということは過去において相当あったわけでありまして、その結果として、いろいろな制度上の不満や欠陥が出るということがあったわけでございます。もちろん実収反収と基準反収は、これは制度的にきめるものと実際に出てくるものとございますから、誤差の出るのはやむを得ないわけですが、できるだけ近い状態にあることが望ましいわけでありまして、その状況をここで表にしたわけであります。最近におきましてはその開きが相当狭まっておりまして、三十年ごろは
統計調査部の反当実収量が非常に高かったのに基準反収は低いところにあった、こういうのでありますが、その後だんだん趨勢的にも、実際の幅におきましても近似値が出てくるという状態でございます。これは三十年ころは、急に――急にと言うと語弊がありますが、従来の状態を脱して生産力の高まった段階に入ったために、基準反収は、過去数カ年の統計に基づきましてきめてまいりますので、過去の生産力の低い時分の影響が出たというわけであります。三十年以降は高い水準で横ばいして安定してきておりますので、その差が非常に縮まったということがいえると思うのであります。
次が、四一ページで、最近の年次別被害率の推移及び基準
共済掛金率の細分化方針でございます。
年次別被害率の推移は、まず四一ページの表に作物別に出しておりますが、漸次低下しつつあります。最近の状態は、二%から四%以内くらいのところで安定しつつあり、低下しつつあるわけですが、陸稲等は必ずしもそういう状況ではないのであります。
そこで、その次は、これを都道府県別にブレーク・ダウンいたしまして、二十二年から三十七年までを掲げたものであります。
その次が、陸稲、麦と、こう分けてございますが、そこで問題になりますのは、掛け金率をどうきめるかというきめ方でございまして、昨日もこの点について御論議があったわけでありますが、これについて重要な改正を行なうわけであります。まず最初に四五ページの、基準
共済掛金率の細分化方針、これを朗読いたします。
「改正案による
共済掛金の算定は、昭和二十二年の農業災害補償制度開始後の組合等の若年の被害率を基礎とし、組合等が保留する通常災害の責任の限度となる一定方式により算定される通常標準被害率以下の率を平均して得た数に一定の安全割増率を加え通常
共済掛金基準率を算定し、通常標準被害率をこえる部分の率を平均して得た数を異常
共済掛金基準率とし、この通常および異常
共済掛金基準率を合計した率を組合等の基準
共済掛金率とし、組合等はこれを下らない範囲内で定款等で
共済掛金率を定めることとしている。また、組合等の区域内において地域ごとにその過去における被害の程度が著しく異なる場合は、都道府県知事の認可を受けて、その地域ごとの過去の平均の被害率を基礎としてその地域の
共済金額の見込額をウエートする加重平均値が組合等の基準
共済掛金率に一致するようにその地域ごとの地域基準
共済掛金率を定め、これを下らない範囲内で地域ごとの
共済掛金率を定めることができることとしている。従って組合等の
共済掛金率の細分化の方針については、被害の程度の類似する地域ごとに区分することと致したい考えである。」非常にむずかしいことが書いてございますが、要は、従来は、まず標準の被害率を県で一木で出しまして、それを県内の十八の危険階級に分けて、それに対して町村を割り当てていったわけです。最高十八の階級に市町村の掛け金率を割り振っていったわけであります。それで県一円の標準共済掛け金率のワク内にきめたわけでありますが、今度はまず村ごと、組合ごとに被害率を出しまして、それから、ここに書いてありますように、通常標準被害率以下の部分を平均しました通常被害率に安全割り増しを加えたものを通常基準共済掛け金率として組合ごとに定めます。まずここで個別化されるわけであります。実態に近づくように割っていくわけであります。さらにこの組合の地域内で被害率が幾つかに顕著に分かれる場合があるわけであります。それをさらに個別化するために組合の地域内で組合の標準掛け金率を下らない範囲で地域別にきめることができるようにいたしたい、こういうのが改正案でありまして、また御要求の細分化の方針に当たるわけでございます。
四六ページに入りまして、農作物共済の損害評価関係資料でございます。これは当初の政府原案と今度の改正案の場合と内容的に異なります。最初の政府原案の場合におきましては、農家単位でのやり方がありまして、また事業団がその関係で出てくるわけでありますが、それが修正後におきましてなくなったためにまた一筆収量建てに戻りまして、損害評価の制度上のあり方は変わっておらないわけでありますが、運営につきまして、これが一番保険の運営上むずかしい問題でもありますので、さらに改善を逐次加えていく必要は今後も変わらないのであります。
ここで、どういうやり方で損害評価をやるかということについて、その機構につきまして資料として御提出したわけであります。機構としましては、組合で損害評価をやります場合には損害評価会という制度と損害評価員という制度との二つがございます。損害評価会の方は諮問機関のようなものでございまして、これには委員がおり、村の技術貝であるとかあるいは精農家等がおりまして損害評価のやり方等について組合長が意見を聞くということであります。全国を平均しまして、大体十五人くらいの委員が評価会を構成しておるのであります。それから損害評価員の方は、これは実際に部落におきまして損害の評価に当たるわけでありますが、なかなか組合が直接やれない――損害が実際に起きたところでは悉皆調査をやる必要がございますが、それは現在の組合の能力で全部やるわけにはなかなかいきませんので、部落に損害評価員を置きまして、それで実際に悉皆調査をやってもらうということでございます。似たようなことばで少し混淆いたしましたが、損害評価会のほうは委員でありまして、あとのほうは損害評価員であります。損害評価に実際に当たってもらう、部落段階で悉皆調査をしてもらうのが損害評価員でございます。大体そういう構成を持った損害評価の組織がございますが、実際の損害評価は明地の悉皆調査、それからいろんな部落の間のバランスをとるための抜き取りの検見調査、さらに連合会の段階になりますと組合間の公平をはかるための実測調査を加味しました抜き取り調査等を加えて評価をしていくわけであります。
そこで、四九ページに損害評価会委員と損害評価員の数を府県別に表として出しております。損害評価会委員のほうは全国で六万三千ばかりおります。損害評価員のほうは、部落にまでわたりますので全国で二十二万七千人でございます。
そういったやり方で損害評価をいたしました結果が、今度は組合から連合会へ、連合会から農林省へ上がってくるわけでありますが、その否定の状況が五〇ページの上の表でございます。これは査定率が左の欄に出ておりますが、組合から連合会に上がります場合に、大体どのくらいの査定を受けた組合がどのくらいあるかということを表にしたものであります。組合と連合会の関係では一〇〇%認められているのは三十六年では一つしかない、それから三十七年では四つ、九〇%から一〇〇%まで認められたのが十、この数は県の数でございます。それから八〇から九〇が十八、こういうように見る表でございます。それから連合会から農林省までの段階では、またその中の欄にございますが、一〇〇%以上認められたのが三十六年では七、三十七年では二十七、わりあいに八〇%以上のほうに数が多い状況でございます。
それから今度は問題が変わってまいりますが、五〇ページの下のほうの11は、改正後の反当平均予想
共済掛金でございます。これは改正後の予想をしたわけでありますが、平均基準反収は三十七年産について指示したものを使っております。平均
共済金額も三十七年の実績、それから反当の平均
共済金額が出てまいりますが、これに平均しました予想共済掛け金率をかけまして、
国庫負担と農家負担に分けますと、この表にありますような率になり、それを実際の掛け金に換算いたしますと、水稲については平均しまして農家負担が反当たり百五十八円、
国庫負担は二百六十一円、陸稲は百七十八円と三百二十一円、大体農家負担と
国庫負担は従来と変わらない率で出てまいるのであります。
今度はまた問題が変わりまして、
農業共済組合連合会の事業過不足金に関する資料でございます。これはいわゆる赤字問題についての資料でございまして、各必須事業についての勘定別に出しておりますが、全体として計の欄でごらんをいただきますと、まず黒字が全部を合わせまして、三十六億五千八百万円、赤字が四十六億円、黒字のみの県の数が二十一県、赤字のみの県の数が二十五県、こういうことになっておりまして、差し引き赤字が九億四千九百万円ございます。今のが必須事業でございます。
その次の表は任意事業でございます。きのうも御指摘があったのでありますが、赤字の大きなのは青森、それから山梨、それから岐阜、愛知、三重等であります。それから下のほうにいきまして福岡が若干ございます。主要の赤字はそういうところであります。
五三ページは、今度は共済事業関係の事務費の賦課金と農家負担の関係を調べたものでありますが、これは組合等と連合会に分けまして、さらに組合、連合会を合わせまして全体の農家負担、
国庫負担を表にしたものであります。事務費の額は人件費等の増加によりまして、組合におきましても連合会におきましても年々増加の傾向にございます。これを指数で見ますと、三十年を一〇〇としまして、組合等におきましては一五二、連合会では一四二、合わせまして大体一五〇、五割増、事務費は五割ふえておるのであります。これに対して
国庫負担をやっておるわけでありますが、
国庫負担はこの事務費の増加する以上の割合で増加いたしております。三十年を一〇〇といたしまして、組合の場合は一七八、それから連合会の場合は一二〇、合わせまして一七〇、事務費の増加を上回る率で
国庫負担は増加いたしております。農家への賦課金でございますが、これは三十年を一〇〇といたしまして、組合等の場合は三十七年が一一〇でありますが、途中の一二〇等から漸減しておるわけであります、それから連合会の場合はさらに顕著に減少してまいりまして、三十年を一〇〇としまして八三、こうなっております。それから組合と連合会を合計しまして、三十年を一〇〇としまして三十七年が一○三・六、ほぼ横ばいでございます。途中は一一二とか一一三という年がございましたが、漸減してまいりまして、賦課金は三十年とほぼ横ばいの状況にある。そのほか、右のほうに県補助金とか市町村の補助金とかその他のものがございますが、
国庫負担、それから賦課金の状態は以上のとおりでございます。
その次に、五四ページに移りまして、今度は農業
共済団体の事務費の賦課総額とその一農家当たりの賦課金額でございますが、連合会と組合の賦課総額はさっきの表にもございましたが、上のほうの柵でございます。一農家当たりにいたしますと、三十年が七百五十九円でございますが、その後三十二年には八百三十九円、三十三年には八百八十四円、三十四年八百八十円と上がったのでありますが、だんだんまた減ってまいりまして、三十七年には八百三十七円となってきたわけであります。さっきの表とも大体表裏の関係にあるわけであります。
今度は単位たり農業
共済団体の共済目的別にどのくらい賦課されているかというのを次の表にしたわけであります。水稲の場合は反当たり全国で平均しまして、組合の場合が七十一円、連合会が十五円、合わせて八十六円、陸稲が五十八円、十一円、六十九円、麦が四十四円、十三円、五十七円、蚕繭が箱当たり六十二円、二十二円、八十四円、
家畜共済が一頭当たり百六十六円、百二十五円、二百九十一円、こういう状況であります。
いままで申し上げたところで第二部関係の資料を終わるわけでありますが、第三部としまして、改正法案に直接関連する事項でございます。
そのうち最初の問題は、
農業共済組合連合会への付保割合の定め方であります。これはどういう問題かといいますと、今度の改正法案におきましては、末端の組合の責任を拡充いたしまして、通常災害に相当する部分は末端に責任をできるだけ移すということにいたしたわけでありますが、やはりそれでは組合だけが全責任を負うということでは、非常な大災害があった場合ということも考えられますので、一部を連合会に一定の割合の範囲内で付保できるようにしたい、こうなっておるわけであります。現行の制度では、組合は通常部分につきましても九割を全部連合会に保険しておったわけでありますが、それでは全く末端の責任というものはなく、また末端に共済としてかけられたものが保留されることがなくて、したがって積立金もできず、無事戻しもできないということであったわけでありますが、それでも困るということから、できるだけ末端に責任をおろすということでおろしておりますが、一方において連合会にも一定の割合で、これは二割ないし五割くらいで定めることにいたしておりますが、その範囲内で組合ごとに定めた割合で連合会に付保する、こういう方式に変えるのが今回の改正案でございます。
では、ここは重要でございますので、朗読いたします。
「(1)改正法案の規定
農業共済組合および共済事業を行なう市町村とその組合員等(
農業共済組合の組合員又は共済事業を行なう市町村との間に共済関係の存する者をいう)との間に農作物共済の共済関係が存するときは、それらの組合等とその属する
農業共済組合連合会との間に、それらの共済関係を一体として、これにつき保険関係が存するが、その保険金額は、改正後の法第百二十三条第一項の規定により、次のものの合計とされている。」
これは非常にむずかしいので、かいつまんで申し上げすと、その保険金額といいますのは、異常につきましては全部、それから通常部分につきましては、主務大臣が定める割合を乗じて得た金額、先ほど申し上げました付保割合をかけたものが連合会にかかる、こういうことになっておるわけです。
「(2)改正後の法第百二十三条第一項第一号ロの政令(案) 組合等が
農業共済組合連合会の保険に付する割合があまり僅少であっては、
農業共済組合連合会に必ず付保することとした趣旨が失なわれ、逆にあまり大きいと「組合等の手持責任がそれだけ少くなるから、今次制度改正の主要な内容の一つである組合等の農作物共済に係る共済責任の拡充」の趣旨に反することとなる。また、この付保割合を定めるに当っては、組合等の
被害発生態様等を考慮する必要があるから、すべての組合等を通じて一律に定めるべきものではなく、組合等ごとに或る程度弾力的に定めるべきものである。従って、改正後の法第百二十三条第一項第一号ロの政令では、同号の主務大臣の定める割合が二割から五割の範囲内になるように定めなければならないと規定する考えである。(3)改正法の法第百二十三条第一項第一号口の主務大臣の定める割合の定め方(案) この主務大臣の定める割合は、上記の政令の定めるところにより、具体的な割合を定めて告示することとなるが、割合を定めるに当っては、
被害発生態様その他を勘案して一定の基準を定め、この基準に従って付保割合を定めることとするか、あるいは、都道府県知事に対して、都道府県知事の裁量が入り得る余地を残して一定の基準を示し、それによる都道府県知事の意見を勘案して農林大臣が定める考えである。」
付保割合の定め方は以上のとおりでございますが、その次の御要求の資料は、無事戻し及び損害防止事業の拡充のための具体的措置でございます。その案が次にあるわけでありますが、これはまず、現在行なわれております無事戻しは、農家からいえばもっと拡充してもらいたいという要望があるわけでありますが、それを拡充することが第一点でございます。これは法律の改正を必要といたしませんで、政、省令の改正で行なわれるわけでございます。それからもう一つは、無事戻積立金等の積み立てをやってなお剰余が出て、積み立て金が増加した場合には、それを還元する意味で損害防止事業等に金を支出するわけでありますが、そのやり方でございます。それを朗読いたします。
「(1)無事戻の拡充のための措置(案)今回の改正法案では、無事戻の根拠規定である法第百二条には何ら改正を加えなかったが、この改正法により組合等の農作物共済に係る共済責任を拡充する結果、その手持掛金が増加し無事戻積立金の積立も大幅に増加しうると考えられるので、無事戻の方法についてもこれを拡充強化することとし、改正法の施行と同時に関係省令の改正を行なう考えである。その方法については目下検討中であるが、一案としては次のような方法が考えられる。すなわち、現行制度では、三年ごとに、過去三カ年間無事故か又は受取った共済金の額が少額の場合に、その三カ年間の農家負担掛金総額の六分の一(農家負担
共済掛金の半年分)の限度内で無事戻しを行ないうることとなっているが、これを過去三カ年連続無事故か又は受け取った
共済金額及び無事戻金の合計額が少額の場合には、毎年無事戻を行ないうることとするとともに、その限度額もその三カ年間の農家負担掛金額の三分の一(農家負担掛金の一年分、すなわち、現行の限度額の二倍)に引き上げることとする。ただし、この場合に、その三カ年間に受けた共済金および無事戻金の合計額はこれを差し引いて支払うこととする。(2)損害防止事業の拡充強化のための措置(案)(ア)今回の改正法案により組合等の農作物共済に係る共済責任を拡充することに伴い、省令の規定を改正して農作物共済について積立金の積立方法を改め、組合等の危険責任金額(総
共済金額に農作物通常標準被害率を乗じて得た金額とその総
共済金額に農作物通常
共済掛金基準率を乗じて得た金額の差額から連合会に付保される割合を差し引いた額)これは非常にむずかしく書いてありますが、要するに組合に留保されます通常標準被害率以下の部分の責任とその通常標準被害率に安全割り増しを加えた通常共済掛け金基準率以下の部分の差額のうち組合等に留保される部分の十倍の法定積立金およびその組合等の農家負担
共済掛金の額から連合会に付保される割合を差し引いた額の三倍の無事戻積立金を積み立てた後には、毎事業年度生じた剰余金のすべてを特別積立金として積み立てることとし、これを損害防止事業に充てることができることとした。(4)今回の改正法案では、その第八十五条第四項により水稲につき病虫害を
共済事故としないことにつき主務大臣の指定を受けた組合等については、
共済掛金の病虫害に対応する部分を減額することができることとし、(法第八十六条第二項)、この割引によって農家負担掛金が実質的に減額されることとなる額の範囲内で、これらの組合等に対し、補助金を交付し(法第十四条の二第一項)防除実施団体の行なう水稲の病害虫の防除事業の経費に充当することができることとし防除事業の推進を図ることとしている。」 (イ)のところは今回の改正の主要点の一つでございますが、病虫害の防除が非常に発達して、三割以上の被害が出る場合というのはきわめて限られた場合になってまいりましたので、特定の、いまの技術では防除不可能のものを除きましては、防除態勢の整った組合につきましては病虫害を事故から排除することができる。その場合には農家は共済掛け金の負担がなくなるわけでありますが、逆に国のほうとしましては、その組合に対しては補助金を交付しまして病害虫の防除事業を推進するようにいたしたい、こういたしておるのでございます。このやり方につきましてはあとのほうの資料に出てまいります。
その次に、今度また問題が変わりますが、最近における
農業共済組合等の解散及び事業休止の状況でございます。この表に出ておりまするように、三十一年から三十七年まで、解散を議決した組合のうちで解決した組合が四十八、未解決の組合が十四、そのほかに事業休止をやって解決した組合が百十二、解決していない組合が十一あるということでございます。
それから五八ページに入りまして、いま申し上げました特定の組合において病虫害を事故からはずす場合に掛け金をどういうふうに割り引くかという案と、その組合を指定する基準とが次の資料として提出してございます。これについて朗読いたします。
「(1)
共済掛金の病虫害割引割合の定め方(案) 水稲について都道府県ごとに過去一定年間の共済金支払実績資料、農林統計資料等からその被害率中に占める病虫害部分(ただし、政令の定めるところにより
共済事故から除外しない特定病虫害部分を除く)の割合を基礎として算定し、さらにこの割合を基礎として都道府県内の郡市別病虫害被害統計資料等を参酌して指定を受けた組合等に適用すべき割引割合を定め、この割合で
共済掛金を減額する考えである。」
(2)の
共済掛金の割引割合、これは、そうやるとどういうふうな割合になるかというのを全国平均として試算したものであります。「全国平均の割引割合は、上記の算定方法により、次表の資料による水稲病虫害の
共済事故に占める割合三一・七%を基礎とし、これに特定病虫害として予定される稲白葉枯病、稲黄化萎縮病等の割合(病虫害事故一〇%と推定)を除外した二八・五%程度がその割合として推定される。」つまり、二八・五%程度掛け金を軽減することができる、こういうことになるのであります。
そこで、その次に、しからば逆に今度は、農家の共済掛け金を軽減いたしますが、補助金はどのくらい出すかというのでありますが、これはいまの農家が軽減された額程度まで出したいということで、反当たりの補助金にいたしますと、反当たりの農家の負担掛け金が現在百五十八円でございますが、いまの病虫害割引の割合をかけますと、二八・五%で四十五円でございます。このくらいは反当たり補助するようにいたしたい。これが一組合当たりになってどのくらいの補助金になるかといいますと、一組合当たりの平均引き受け面積が、実績によりますと六百六十町歩程度でございますから、この額に六百六十町歩をかけますと、一組合当たり概算三十万円の補助金が支出されるということになるのでございます。
しからば、そういう組合を指定する基準はどういうものであるかというのが(4)の指定基準案でございます。読みますと、「水稲の病虫害を
共済事故から除外する組合等の農林大臣の指定の基準は、この
共済事故除外の規定を設けた趣旨から病虫害の防止が適正に行なわれるものでなければならないので、この点から次のようなものを考えている。(ア)防除事業の実施主体が市町村、
農業協同組合、
農業共済組合等で市町村防除協議会の定めたものであること。」これは植物防疫のほうで市町村における防除態勢として指導している組織でございますが、防除協議会というのがございます。「(イ)防除実施計画及びその実施方法がその地域における防除基準に適合しているものであること。(ウ)防除器具又はこれに代る防除手段が整備され予察情報に基づき防除の実施が適切に行なわれると認められること。」こういった条件を具備する場合に組合を指定してまいりたい、こういうことでございます。
次は六〇ページでありますが、共済事業の事業一部廃止の基準及び政令で定める事由。これは今回の改正のまた重要な点でございますが、任意加入の範囲を広めますと同時に、共済目的ごとに一部の事業があまり重要でない場合には、その事業を廃止することができるということで、強制加入制の無理を緩和してまいりたいという趣旨で改正法案を提出いたしておるのでございますが、その一部廃止をどういう基準でやるか、それから法律で特定の事由がある場合ということになっておりますが、その事由はいかに定めるかということを次に出したのであります。
「(1)現行制度においては、組合等はきわめて例外的な場合を除き、農作物共済、蚕繭共済、
家畜共済の全部を必須事業として必ず行なわなければならないことになっている。しかし、当然加入方式をとっている農作物共済、蚕繭共済についても、その組合等の事業量が僅少な場合や農家経済上さほど重要でない場合についてまで共済事業の実施を強制する必要はないと考えられるので、今回の改正法案ではその第八十五条第二項で、農作物共済又は蚕繭共済の一の共済目的の種類(水稲、陸稲、麦、春蚕繭、夏秋蚕繭)につき、組合の事業規模が主務大臣の定める一定基準に達しないこと予ての他政令で定める相当の事由があるときは、その組合はその事業を廃止して共済目的の種類としないことができることとした。(2)主務大臣の定める基準 この事業廃止ができる主務大臣の定める一定基準は、農林省告示として、上記の趣旨に即し、組合等が事業を行なうべき最低の事業規模という見地から定めることとなるが、事業の規模が僅少であるかどうかは地域によって変るべきもので、一律にこれを定めることは適当でないと考えられるので、この基準は、改正後の法第十六条第一項ただし書の都道府県知事が定める当然加入の基準にその共済目的の種類につき共済関係が成立している組合員等の数を乗じて得た面積又は掃立量とすることが妥当であると考えている。」これはもっと具体的に申し上げますと、当然加入の基準というのは、しばしば申し上げましたように、任意加入の範囲を広げまして、従来は水陸稲を合わせて一反歩以下は任意加入というようなことを、今度は水稲、陸稲につきまして知事が一反歩から三反歩の範囲内で定める、こういうことにいたしたわけであります。その知事が定める面積に組合員の数をかけた面積以下である場合、たとえば三反歩と定めてある場合には、組合員の数が百人ありますれば、三百反、三十町歩以下しか面積がない場合は、事業を廃止することができる、こういうことになるのであります。
それから政令で定める相当の事由でありますが、次に、「上記の主務大臣が定める基準に該当しない場合以外に事業の一部廃止ができる政令で定める相当の事由としては、この制度が設けられている趣旨に即して、共済目的の種類ごとに次の二つの要件をともに充たしていることとして定める考えである。(ア)予ての組合等の被害率が極めて低く、その組合等の区域内の農家のその共済目的の種類に対する経済上の依存度が低いこと。(イ)その組合等の区域内のその共済目的の種類についての耕作又は養蚕の業務の総体としての規模が極めて小さいため、その共済目的の種類について共済事業を行なうことが共済事業の運営上効率的でないこと。」であります。いま申し上げましたのは、一部事業廃止の基準とその政令で定める事由でございます。
その次は、問題がまた別になりまして、今回の
改正法律案に、県の共済連合会が農協系統の全国共済
農業協同組合連合会に対しまして建物共済の再保険を行なうことができるという規定を新しく追加いたしたわけでありますが、それに伴う問題点をあげたものでございます。これは農協系統の方は建物共済の長期のものを行ない、それから
共済団体の方は短期のものを、しかも事故として
共済団体の方は火災のほかに風水害を加えたものをやっておる。農協の方も風水害に対して見舞い金程度のものをやるというたてまえになっておりますが、いろいろな点でやり方が違っておるわけであります。共済系統から農協の全国団体に再保険する場合に、それらの制度の違い、またお互いの危険なり利益の公平というような趣旨から、どういうふうにするのがいいかという問題があるわけでありますが、それは先般の両団体の覚え書きで、骨子としては両方の専門家が十分協議して、妥当な料率とか割合とか、そういうものを定めて実行するということになっておりますが、これは法案の成立後におきまして両団体から具体的に専門家が出されまして協議するということになっております。
それから六一ページの下のほうに、
農業災害補償法の一部を改正する法律案政省令規定事項というのがございますが、その中で重要な部分は、内容としてはすでにいままでの資料で申し上げておるのであります。ただ問題としましては、きのうも問題になりました補助金の関係でございます。補助金の関係は、本日資料をあらためて提出いたしておりますので、そちらに移ってから説明さしていただきたいと思います。
そのほかの点は、内容としては大体いままでの説明で申し上げております。あとは手続とか、こまかい、関連した改正とか、そういうことであります。
それでは、昨日提出しました資料に関する問題は、粗末でございますが以上で終わりまして、きょう提出いたしましたものについて説明を申し上げます。
これは、
改正法律案の附則に、今回の改正によって共済掛け金率が変更された組合等について、当分の間補助金を交付して農家負担の増高を防ぐという規定案が入っておりますが、それがどういう見当になるかという資料でございます。実際に改正後実施されますのは、三十九年産の水稲からでございますけれども、三十七年の被害率まで加えた資料に基づいて実行されるわけでありますが、現在そこまでできておりませんので、三十六年産までの被害率を基礎にして算定されたものであります。これは前の国会の際にも問題にされた点でありまして、その当時は農家単位のやり方での推計を出しておりますが、これは一筆収量建てに基づいた資料でございます。全国の四百六十数組合を抽出いたしまして、個別に具体的に計算したものでございます。
それではまず資料の説明をいたします。
「計算の前提とその方法 この組合等別の基準
共済掛金率の算定は次に
よったものである。一 この組合等別の基準
共済掛金率の算定は全国の組合等の十分の一を任意抽出して、改正案による算定方式により試算したものである。二 この試算例の基礎年次は水稲二十二-三十六年(十五年間)、陸稲二十三-三十六年(十四年間)、麦二十三-三十六年(十四年間)であるが、制度改正により算定される掛金率には基礎年次として更に昭和三十七年産の被害率が追加算定されることになる。(昭和三十七年産水稲の被害率の全国平均は著しく低率であるのでこれを加えると基準
共済掛金率は平均的には相当程度低下するものと見込まれる。) 三 各年次の基礎被害率につき平均値を算定する場合一筆面積建時代の被害率は一筆収量建の被害率に換算し、これに一のウエートを、一筆収量建時代の被害率に二のウエートを附して算定した。」その表は省略いたします。つまり、三十二年の改正以前の古い被害率は、ウエートとしては一しか持たせない、その後、最近の被害率に重きを置いて二のウエートを持たせた、そういう算定をしたわけであります。これは改正法律の施行の際にもこういう考えでやることになるのでございます。
「4(ア)基準
共済掛金率(P)1 基準
共済掛金率は、組合ごとに適用する
共済掛金の基礎となる率で、組合等はこれを基礎とし、これを下らない範囲内で定款等で
共済掛金率を定める。基準
共済掛金率(P)は、通常
共済掛金基準率(H)と異常
共済掛金基準率(ら)とを合計して得た率である。(イ)農家負担掛金率(F) 農家負担掛金率(F)は基準
共済掛金率に法第十二条第二項の規定による別表を適用して算出される
国庫負担率を基準
共済掛金率から差引いて得た率である。」この
国庫負担率は今回の法律で、別表が長期累進方式で定められるわけでございます。
「5 改正案による試算とし現行の
共済掛金率及び農家負担掛金率との差異が生ずる理由 (ア)現行の
共済掛金率の基礎年次は水稲については昭和十六年-三十五年までの二十カ年間であるが、この改正案による試算は昭和二十二-三十六年までの十五年間をとっており、その基礎年次が相異すること。(イ)現行の組合等の基準
共済掛金率は都道府県ごとの
共済掛金標準率を危険階級別に配分して組合等ごとの基準
共済掛金率を定めているが、改正案は組合等の過去の被害率を基礎として基準
共済掛金率を算定することとしている等、その基準
共済掛金率の算定方式が相異すること。」したがいまして、これは別にも申し上げましたように村の被害率が同じであれば同じ掛け金率が出てくるということになるわけであります。従来は県が違うと同じ被害率でも別な共済掛け金率になる、こういう矛盾があったのでございます。
「(ウ)現行の
国庫負担共済掛金率は都道府県ごとに定める
共済掛金標準率(通常、異常について二分の一、超異常全額)によってその負担割合が定められ、この負担割合を一律に都道府県内の各組合等の基準
共済掛金率に適用しているが、改正案では組合等ごとの基準
共済掛金率の高低に応じ最低を二分の一とする超過累進の方法により
国庫負担することとしており、その負担方式が変更されたこと。」これも申し上げましたが、繰り返しますると、同じように今度の方式では村ごとに被害率が同じであれば掛け金率が同じように出てまいるわけでありまするが、ところが今度は掛け金率の算定だけではなくて
国庫負担率につきましても、従来の方式でいきますと県ごとに
国庫負担率をきめておったわけであります。したがって掛け金率がひとしくても県が違えば
国庫負担率が違うという、ことばは適当でないかもしれませんが、おかしなことになっておったわけです。それも今回は改める、こういうことで共済掛け金率で被害率が高いほど
国庫負担を順次累進的に大きくしていくというやり方に変えておるわけであります。それらの点で現行と試算とは違ってまいります。これは調査集計いたしました全部の組合の数字をあげておりまするが、県別に試算、現行ともに基準共済掛け金率と農家負担掛け金率を出しております。掛け金率は上がっても農家負担掛け金率は下がるところもあり、その逆のところもあり、いろいろさまざまでございます。全体の傾向といたしましては農家負担掛け金率が増加するところと低下するところはほぼ半々でございます。
一応、概略でございますが、資料の説明だけはこのくらいにさせていただきます。