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川俣委員 将来は行政区の変更を住民が求めることになるのか、あるいは行政区の
合併は非常に困難であるから、むしろ
森林組合の経営上、運営上、町村の区域を突破して協同
組合の実績を上げていかなければならないところにいかせるのかどうかという問題が依然として残ると思います。住民の意思を正確に反映さすというならば、
経済活動の上からいって行政区の
合併ということが
——部
合併あるいは全部
合併という問題が起こってくるが、封建的な生活の惰性からいって行政区の
合併はなかなか困難だといたしまするならば、
森林組合が独自の経営方針に基づいて町村境界を突破しなければならないということになるであろうと思いまするので、これは住民の意思と
森林所有者の意思とが合致しなければなかなか容易なわざじゃございませんけれ
ども、期待を大きくかけるならばこの点についても問題が起きるということを十分考えて指導して参らなければならないのではないか。また
法律もそういうことを予想して改正を要するのではないかという点を
指摘したのでございます。
もう一つ
森林組合について基本的な問題がございますのは、
一般に協同
組合の中心的な目的は、
組合員の経済的社会的地位の
向上をはかる点が中心課題になっておるのであります。
森林組合もまた同様でなければならないと思うのでありまするけれ
ども、旧来の
森林組合の
発展過程、すなわち財産的保持、または沿革から、現行
森林法の制定の一契機でありました荒廃林野の復旧の影響もあって、
森林経営の合理化と
森林生産力の増進、いわば公益を増進するということが
森林組合の主たる目的に注目しなければならない点があると思うのであります。本来でありますならば、
組合員の経済的地位の
向上、社会的地位の
向上をはかることが目的でありますけれ
ども、
森林組合は当時荒廃林野の復旧という公益性をになわなければなりませんでしたために、また従来の浴革から言いまして、単に財産的保持または浴革が従来ありましたために、
森林法の制定の契機を受けまして、従って公益性の強い
森林組合になっておるのでございます。ところが、今度の
合併の目標は公益性を閑却するわけではありませんけれ
ども、むしろ従来の協同
組合の本体に立ち返らせようとする意図であることはうかがわれます。決してそれは悪いとは言い得ないのでありますが、しかし、従来の
森林の公益性というものからいって、ある程度の公益性を主眼としなければならない点をになっておるという点があるのであります。そこで、
森林組合が今日のような
発展ができておりませんのは、
森林組合の組織が悪いのでもなくて、運営が悪いのでもなくして、公益性を強調されますことによって、
森林組合の本来の協同
組合的な機能というものが
発展できなかった点もあったのじゃないか。両方合わせているわけです。公益性の強い目的を強調されましたり、あるいは
森林組合としての、協同
組合としての達成を目的とされましたり、常に動揺してウエートが違ってきているわけです。これが今日まで
森林組合の
基礎が固まらなかった大きな原因ではないかと思うわけです。では、どっちかに割り切ることができるかというと、
森林の本質上割り切れないというところに、指導の悩みもまたここにあると私は
理解します。どっちにも割り切れない。純然たる
経済活動の単位としての、あるいは地位の
向上の単位としての協同組織を持つというところには割り切れない。一方においては公益性を強調されまして制約を受ける。また本人自身も、
森林所有者自身もそういう経営を考えることよりも、財産保持的に運営をするのであるから、そう
経済活動をしないでもいいのだという
観念もあって、そういうものと相待って
森林組合が今日まで
発展しがたい状態を生んでおったのであろうと思います。それだけに、やはりこの点を
理解をしなければ、今後の
森林組合を単なる
合併だけによって
発展ができるのだと期待することは、あるいは
提案説明のように非常に期待をかけて
説明をされておりますけれ
ども、みずからこの問題をどう解決するのかという目標なしに、従来の通りやって、ただ
合併できればいいのだ、あるいは
大型にすればいいのだ
——大型にしてもこれらの矛盾を含んでいて
大型になるのか。むしろ拡大されてはくるでありましょうけれ
ども、縮小する
方向ではないわけです。一方生産力の増大ということで経営的な運営もしなければならないことが強調され、一方においては公益性を強調されるというジレンマに
森林組合があるのであります。これらについての指導よろしきを得なければ、単なる
合併やなんかで逃げるわけには
林野庁としてはいかないのではないか。農林省としては、そう逃げてばかりいて、責任は君らにあるのだということでは逃げ切れない問題を含んでいることを十分
理解しなければ
合併の魅力は生まれてこない、こう思うのですが、この点についてのお考えを承りたい。