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1963-03-26 第43回国会 衆議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月二十六日(火曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 山中 貞則君    理事 足鹿  覺君 理事 片島  港君    理事 東海林 稔君       安倍晋太郎君    亀岡 高夫君       仮谷 忠男君    草野一郎平君       小枝 一雄君    田邉 國男君       高橋  等君    内藤  隆君       中山 榮一君    野原 正勝君       松本 一郎君    米山 恒治君       川俣 清音君    玉置 一徳君  出席政府委員         農林政務次官  津島 文治君         林野庁長官   吉村 清英君  委員外出席者         農林事務官         (林野庁林政部         長)      厚味荘之助君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月二十日  委員伊藤幟辞任につき、その補欠として高橋  等君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員稻村隆一君辞任につき、その補欠として川  俣清音君が議長指名委員に選任された。 同日  委員川俣清音辞任につき、その補欠として稻  村隆一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  森林組合合併助成法案内閣提出第七三号)(  参議院送付)  林業信用基金法案内閣提出第八一号)(参議  院送付)      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先だちまして、一言御報告を申し上げます。  長らく本委員会委員でありました伊藤幟君が、去る二十二日、不幸にして、病のため逝去されました。本委員会に席を同じくするわれわれにとりまして、まことに痛恨にたえないところであります。ここに、つつしんで哀悼の意を表したいと存じます。      ————◇—————
  3. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 森林組合合併助成法案及び林業信用基金法案の両案を一括議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。川俣清音君。
  4. 川俣清音

    川俣委員 先般森林法案について総括的な質問をいたしたのでございますが、きょうは、各論と申しますか、法案それ自体について内容を明らかにいたしまして、今後の運営にあたりまして広く関係者理解をさせる必要があると存じますので、質問をいたしたいと存じます。  そこで、第一は、提案理由及び重要な内容についてお尋ねをし、次に法律案についてお尋ねをしたいと思います。  森林組合合併法でございますが、政府提案理由によりますと、「経済的、社会的に後進性の強い山村地域におきましては、林業発展をはかることなくしては、地域格差是正は期しがたいと考えられるのであります。」という説明をいたして本法案を提出いたしております。そこで、林業発展とはどんな内容のものであるか、発展方向とはどんな構想を描いておるのか、明らかにしてほしいと思うのであります。
  5. 吉村清英

    吉村政府委員 この提案理由説明で御説明を申し上げました先ほどのお尋ねの件でございますが、山村地域後進性、この解消と申しますか、また地域格差是正のためには、やはり林業依存度の非常に高い地域でもございますので、私ども林業担当者といたしましては、まずもって林業発展をはからなければならないというように考えておるわけでございます。林業発展のために私どもいろいろと施策を講じて参っておるわけでございますが、山林地域全体といたしまして観察をいたしますときには、このいろいろな個々の政策を進めるのみでは十分でないのではないか。そこで私ども山村地域を総合的に振興をして参る施策を進めなければならない、かような考え方を持っておるのでございます。私ども実はこの問題に取り組みまして検討して参ったのでございますが、まず、この山村地域におきます林業の基盤の整備をいたしまして、その上で林業高度化をはかる。さらにはこの山村地域全体の生活条件その他の向上ができるような方向林業発展を考えて参らなければならないというように考えまして、林業地域の総合的な振興対策というものを考えておるわけでございます。これは一面言いかえますと、山村地域総合構造改善対策と申し上げられるかと存ずるのでございます。そういう事業計画をいたしておるのでございますが、いろいろと検討をいたしました結果、さらにこの具体的なと申しますか、その総合対策を進めて参ります上の要素を含めました処方せんをつくって参りますために、三十八年度におきまして全国でおおむね十八カ地域のそれぞれの特色のある地域を選びまして、そこで具体的な検討をいたしまして、林業の総合的な振興、ひいては山村地域振興のために、林業として果たさなければならない役割というものはどうあるべきかということを具体的にきめて参りたいということで準備をいたしまして、予算も要求をいたしておる次第でございます。
  6. 川俣清音

    川俣委員 提案説明によりますと非常に抽象的でありましたので今の質問を申し上げたのでございますが、やはり森林組合合併という問題につきましては、何ゆえ合併しなければならぬのであるのかという問題よりも、必要性を強調した問題を具体的に解決するということが必要であるのでありまして、今述べられたようなことも一つの方法であろうと存じますが、さらにこの合併を効果あらしめるためには、もう少し具体的な施策がなければ合併の効果が現われてこないと思う。形式的合併でなくして、本来の発展方向が明確になることが必要であると思うのであります。そうでなければ合併の意欲が生まれてこないのではないかと憂うるのであります。  そこでさらにお尋ねしますが、「いわば前向きの合併促進により、民有林発展山村振興の強力なにない手たり得る、より大型森林組合を広範に育成」する、こう説明されておりますが、大型森林組合がはたして体質改善役割を果たせるのかどうか。大型とは大規模と異なるのかどうか。大型というのは大規模観念上違うのではないかと思うのです。おそらく大規模表現する方が正しいのではないか、こうも思うのでございますが、その点についての御説明を伺いたいことと、さらにどのように体質改善をするのか。林業は将来企業経営として成立するのかどうか。私ども一定条件のもとでは成立すると思うけれども、その一定条件を満たす条件を整えなければならないのではないか。これが先決問題ではないかと思うのですが、第一点の大型と大規模とは違うのではないかという点についての御説明と、どのような体質改善を考えておるのか、この二点をお尋ねいたしたいと思います。
  7. 吉村清英

    吉村政府委員 まず第一番に大型と大規模区別でございますが、私ども通常規模と申しております場合には、森林経営面積というようなものを主体にして考えることが多いのでございます。そこでここで大型という言葉をあげたわけでございますが、私ども大型森林組合というようなことをここへあげましたのは、私どもの考えております組合合併に伴いましてどのような形になってくるかということをまず申し上げなければならないかと思うのでございます。まず先ほど大規模で申し上げました森林面積はもちろんでございますが、そのほか財務の規模でございますとか、あるいは執行体制規模でございますとか、そういうようなものを含めまして改善をして参りたいというような考え方を持っておるわけでございます。先ほど仰せのように、ただ大型組合をつくって参りますことのみでは、この森林組合の十分な整備強化と、体質改善をはかることができるというようには私どもも考えておらないのでございます。すでに御承知のようにわが国の森林所有規模は非常に零細性が強いと申しますか、非常に零細なものが多いのでございます。そういうものをそれ自体を拡大をしていけるような措置を講じまして、それがある程度の規模になって参りますと、それを協業化と申しますか、この森林組合を中心にして事業協同化あるいは協業化というような方向に進みまして、それによって事業近代化、たとえて申し上げますと、機械化等を入れて参りまして、生産性向上をし、また林業関係者自体の所得の向上もひいては上がって参れるように措置を講じて参らなければならないというように考えておる次第でございます。
  8. 川俣清音

    川俣委員 とらわれるわけではございませんが、通常大型といえば組合員数の大きいことが大型といわれるだろうと思います。大規模という場合は経営規模が大きくなるということに通常考えられると思うのでございます。そこで知事が適否をきめる場合におきましても、大型という観念できめるのか、規模の大きいという観念できめるのか、という問題が出てくるのでありまして、ただ言葉大型という中には規模も入るのだ。あとで補足説明はされておりまするけれども言葉使いようとして、大型というのは組合員数の多いことを期待をする。大規模というと、数よりも経営規模が大きくなるということが予想せられるのでありまして、そういう点で非常に不明確だと思いますために、今のようなお尋ねをしたわけですが、さらに具体的に質問を進めますが、「組合員の経営する森林合計面積がおおむね五千ヘクタール」こうなっておりますが、合計山林面積森林面積とは異なるのではないかと思うのです。別な言葉でいえば、森林山林とは内容的にも異なるのではないか。そこで森林合計面積、こういうことになりますと、内容山林面積がおおむね五千ヘクタールというように理解されるのでありますが、わざわざ森林合計面積表現されております理由を明らかにしてほしいと思うのであります。
  9. 吉村清英

    吉村政府委員 私どもここで考えておりますのは、森林面積でございます。先生お尋ね山林森林区別でございますが、森林の方は森林法にございますように天然林とそれから造林の人工林もすべてを含んだものというようにあるいはお考えかと存じますけれども、私どもはその森林を対象にいたしまして、その森林面積合計というものを考えておるのでございます。
  10. 川俣清音

    川俣委員 日本の法則上、森林面積という前例はないのですよ。面積の場合は、これは山林表現されている法令はありますけれども森林面積という法令はないのです。それでこの面積に関する法規調べてみますと、旧土地台帳法がございますが、それが三十五年に不動産登記法に改正になりまして、現在は不動産登記法が適用されておるわけですけれども、そこに地目という区分がございます。面積の場合では、地目区分になるわけでございますが、旧土地台帳法によりますと、第一種地目は「田、畑、宅地塩田鉱泉地池沼山林、牧町、原町及び雑草地」に区分しておりますが、新しい不動産登記法施行令昭和三十五年八月政令二百二十八号によりますれば、第三条「地目は、土地の主たる用途により、田、畑、宅地塩田鉱泉地池沼山林、牧場、原野、墓地、境内地運河用地水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝保安林公衆用道路、公園及び雑種地区分して定める。」こういうことで、登記法によりますと、これらの地目以外のものは雑種地になるわけでございますが、森林雑種地として考えておるのではなくて、当然山林という考え方であろうと思います。これに基づいて土地台帳ができることはもちろんでございますが、売買、抵当権設定等もこの地目区分によって登記をされるわけでありまして、林野におきましては、おそらく山林または原野という形で国有林が保有されておるだろうと思いますし、民間におきましても、山林原野という表現地目が明らかになっておると思います。国有林におきましては、国有資産等所在市町村国有林におきましても、これらの地目に従って固定資産税がかけられますので、これに従って交付金も算出されておると思う。森林ということの所在市町村交付金というものはないと思うのです。そういう意味からも、あらためてここで森林合計面積ということが表現されたわけでございますが、この根拠はどうなんですか。
  11. 厚味荘之助

    厚味説明員 御質問の点でありますが、いわゆる先生の言われる森林と、それから山林のおのおの意味するところの差異は、これは的確には表現し得ませんが、通例常識的にいいますれば、森林林木が集団してはえておる、山林はそれに対して相当植栽をして、保育管理の手を加えていくというような解釈の仕方もあろうかと思いますが、今先生の御指摘になりました森林組合合併助成につきましての森林面積五千ヘクタール以上というような観点を出しました理由は、森林法におきましては、森林はこうこうこういうものであるという定義もしておりますし、それから森林法の中に規定いたしております森林組合関係法規、これも大体森林という表現になっております。特にこまかくなって恐縮でございますが、七十七条におきましても、「森林面積が三千町歩をこえる」云々というような規定もございますので、そういう観点に立ちまして、面積何千町歩以上、森林面積はどうだというような考え方でこの法案については立案したわけでございます。
  12. 川俣清音

    川俣委員 面積の場合は、やはり地目による面積ということが明確になると思うのです。森林法でいう森林は、面積意味しないわけでありまして、従って合計面積という場合には、森林でなくて山林でなければならないのではないか。今後国有林民有林を取得する場合におきましても、移植所をつくる場合にも、地口を表現しなければなりません。この場合にはおそらく森林とは表現しないで山林表現するであろうと思うのです。地方の台帳を見ましても、五千ヘクタールとか三千ヘクタールという場合に森林などという合計が出てくるわけがないじゃないですか、森林なんということは。ただ五千ヘクタールということになると、おそらく山林面積五千ヘクタールですよ、森林面積五千ヘクタールというものはどこで算出するのですか、地目にないものを合計できるのですか。おそらくあなた方の頭の中では、これは面積を出すからには、山林という頭であろうと思うのです。しかし、これは法律ですから、やはり五千ヘクタールというからには山林面積五千ヘクタール、こうならないと、どこで合計するのです、何で合計するのです、合計基礎がないじゃないですか。甲が何ヘクタール持っておる、乙が何ヘクタール持っておるというのは、これは山林面積表現しておるのでありまして、所有は、山林面積所有になっておるわけです。森林は必ずしも面積だけを表現しておるわけではないわけですから、森林面積というものはないはずです。どこにもないはずです。林野庁の頭の中にはあるかもしれないけれども森林面積というものは一般には通用しない。山林面積は通用しますよ。第三者にも対抗できる。しかし森林面積というものはだれに対抗する根拠があるのですか、ないじゃないですか。
  13. 吉村清英

    吉村政府委員 この森林でございますが、森林につきましては森林法の第二条で「「森林」とは、左に掲げるものをいう。」ということになっております。この森林面積を、先ほど林政部長が御説明を申し上げましたが、七十七条で「その経営する森林面積が三千町歩をこえるもの」というように表現をいたしておるのでございまして、私どもといたしましてはこの第二条に掲げる森林面積をその規模というように考えておるわけでございます。
  14. 川俣清音

    川俣委員 もしも森林面積という表現でありますならば、森林法にいう森林でございましょうから、従ってこれは必ずしも面積が正確ではないわけです。正確というのは測量の意味の正確ではなくして、範囲の正確が期しがたいのであります。一項、二項及び附則を入れまして、所有するばかりではなくして森林を生育させなければならない義務を負っておるわけでございまして、それでなければ森林という表現をしないのでありますから、山林面積全体が森林面積とはいいがたいわけです。山林面積全体が森林面積とはいいがたいというのが森林規定であろうと思うのです。だから、森林合計面積ということになると、あらためて山林面積から森林面積を抽出していかなければならないと思うのです。それらの調査ができるまで合併は待たねばならないという欠陥が生じてくるのではないか、おそらく実際は森林面積ではなくて、台帳合併であります山林面積をもって五千ヘクタールというのであろうと思いますけれども、実際にそうならば、あえて第三者に対抗できないような森林面積という表現を使わずに、山林面積という表現の方が、一般社会通念に合致してくるのです。また調査台帳合計をもって明らかになることができると思いますが、森林面積ということになると、みずからが制約を受けて、五千ヘクタールとか一万ヘクタールという表現は、調査をしなければならない義務知事に負わせることになるのではないか。合併の基準一これは山林面積ならすぐわかります。合同したものの山林面積ならすぐ出て参りますけれども森林面積ということになると、その中のどれだけが森林面積であるのか——または山林面積のほかに森林面積というものは存在するわけですね。他人の土地抵当権を設定したりして、撫育しているものも森林面積の中に入るわけですから、これらを入れますと、台帳上の、いわゆる地目上の五千ヘクタールではなくして、別な角度からの五千ヘクタールだということに実際問題としてなると思います。そういうことを意図してわざわざ森林面積という表現を使われたのか。これはやはり従来の経済活動の単位でありまする地目、いわゆる登記をしなければならぬ義務を負っております山林面積理解をするのが普通ではないかと思うのです。くどく言う必要はないと思うのですが、あえてわざわざ対外的に理解のできないような、森林面積合計がどれだけでなければならないというようなことは、法律の適用上非常に困難性を生ずるのではないかと思いますが、この点についてもう一度御答弁を願わなければならぬと思います。
  15. 吉村清英

    吉村政府委員 この森林面積につきましては、先生の御指摘のようなこともあるかと存ずるのでございますが、森林組合模範定款その他を見て参りますとすでにこの森林所有面積という言葉も出ております。先生の御指摘山林面積と申しますか、になりますと、この台帳面積というものは非常に過小なものが多いかと思います。中には過大なものもぼつぼつあるようでございます。そういうようなことでございまして、それぞれの森林所有者というものは、逐次森林実測もいたして参っておりますし、その実測と申しますか、山林台帳面積、その数字を使いますと、非常に規模等に不正確なものが出て参るわけでございまして、私どもといたしましては、やはりそういった実態に即しました——と申しましても再々御指摘をいただきますように、完全にこれができているということは、私どもも確信がないのでございますが、やはりそういった実態に近い森林面積を使って参りたいというように考えておるのでございます。
  16. 川俣清音

    川俣委員 私の質問をよく理解されないようでありますので、くどくなりますが、もう一度申し上げます。  確かに土地台帳による面積は、税法上の建前から過小になっておることはいなめない現実であることは認めます。しかしながら地目としては山林という地目はありますけれども第三者に対抗できるような地目として森林というものが存在をしない。従って五千ヘクタールというような表現は、これは五千なくても五千、あるいは七千、八千ということを表現いたしましても、これが不可だという認定はできないと思う。山林面積でありまするなら、地目として存在をするのですから、従って法的な価値ある地目でありますだけに、それが実測上足りなければ実測に従う、あるいは想定される面積五千ヘクタールということの基礎はできると思いますけれども森林ということになると、森林法森林でありまするから、森林法に基づいてあらためて調査をしなければ、各森林組合——現在の森林組合は御承知のように森林面積ではない、山林面積です。私ども二、三の森林組合にこれは当たってみましたけれども森林面積ではございません、山林面積です。台帳面積幾ら実測面積大よそ幾ら、こういうことで森林組合範囲を定めてそれによって森林組合賦課金等もいたしておりますが、現在のところ森林面積による賦課金というものはないです。どこの組合をお調べになりましても、森林面積による賦課金というものはないようです。山林面積により賦課いたしておる。ただ実測をするか、あるいは面積範囲台帳面積ではないようですけれども地目としては山林面積でございます。これが森林組合実態なんです。ただ法規森林とありますから森林という表現は使っておるかもしれませんが、実態山林面積です。どこの組合にでも行ってお調べになってごらんなさい、森森面積なんというものは使っておりません。組合経営面積山林面積表現される。土地台帳幾ら実測大よそこれこれで、それによる負担金というものが出てきておる。森林面積なんという表現は実際においては使われておらない。抽象的には森林面積という表現森林組合等においてもうかつにといいますか、実態を見ないで山林面積イコール森林面積であるということでお使いにはなってはいますが、この場合イコールなんです。しかし本質的にはあなたの説明されるように森林山林とは別なんです。山林という場合には旧土地台帳法あるいは今の不動産登記法による地目としての山林ないし原野なんです。これは明らかになっております。森林というものはいまだに明らかになっておらない。森林というものは面積でない。面積関係のない森林は明らかですけれども面積関係のある森林というものは明らかでないのです。この点はお認めでしょう。面積関係のない森林法でいう森林定義があって明らかです。面積に関すると森林ではなくして山林なんです。これはどうですか、林政部長に伺います。
  17. 厚味荘之助

    厚味説明員 御指摘の点がわかるのでございますが、さっき申し上げましたように森林法用語建前からいきましても、また森林組合の従来の用語例からいきましても、またいろいろの設立の手続等規定いたしております模範定款等からいきましても、すべて森林所有者とか、森林面積が何反歩以上の者が正組合員になれるとか、そういうような用語例を使っているわけでございますが、さっき長官からも御答弁いたしましたようにいろいろそういう組合員資格規定する場合の、一体何反歩以上であるかということは、各人がおおむねは実測した面積によっているだろうと思います。ただし場合によっては台帳面積でいっておる。しかもまた他面におきまして台帳面積実測面積と相当食い違っている場合が多い。その大部分の場合は実測面積の方が大きいというような実情ではございますが、組合員資格は何反歩以上といいますのは森林計画等に基きまして実測した結果に基づいてそれで申告をし、組合員資格の有無を規定されて、それによってこの組合は大体組合員合計森林面積は何町歩であるかということを算定していることだと思っております。それで、言われましたように、厳密にいいますと差異があろうかと思いますが、用語取り扱いといたしましてさような森林ということで組合関係については行なっておるわけでございます。
  18. 川俣清音

    川俣委員 これは組合登記をするわけでございまするから、従って経営面積幾ら、こういう場合には実測によるか台帳によるかは別にいたしまして、あくまでも地目山林合計だと理解いたします。地目森林というものはないのです。日本法制上地目に山森というものはありましても森林というものはない。森林法にいう森林は、大きさを示す森林ではないわけです。面積を示す森林ではない。従って森林合計というものは出てこないのですよ。地目であれば何番地と何番地を合併すれば合計面積幾らというものは出てきますけれども合併いたしましても森林面積が大きくなるということは出てこないはずなんです。今の組合森林面積じゃないのです、言葉は、森林面積という表現はいたしますけれども実態山林面積表現しておるのでありまして、合併によって山林面積合計は出て参りますけれども森林面積合計は出てこないのですよ。これは面積じゃない。森林というものは横ばかりでなく縦もあるのですからね。縦と横との合計というものは出てくるわけはないじゃないですか。面積というと平面でしょう。これは何とか表現がありますね。「地積は、水平投影面積により、平方メートルを単位」とするとなっている。森林法にいう森林は必ずしも地積じゃないのです。地積プラス林相が加わるわけですから。あるいは材積も森林の中には加わる。その合計というものは五千ヘクタールという面積には出てこないわけですよ。蓄積が平方メートルで出てきますか。蓄積が面積になって出てきますか。合計は出ないはずです。そこで面積と言うからにはやはり地目山林でなければならないと思う、こう言うのです。これでおわかりでしょう。地積、面積というのは一つの法律があるのです。「地積は、水平投影面積により、平方メートルを単位」とするとある。これは広さですよ。地積は縦がないのです。森林は縦があるのです。蓄積があるのです。森林面積とは何です、縦もある横もあるという面積はどこから出てくるか。これは横の意味ですよ。この場合の森林面積というのは横の場合、縦は入っていない。説明は、森林法による森林ということになると、上が入ってなきゃならない、そういうことでしょう。そうすると合計面積にいうものは出てこないわけです。面積というものは、山がありましても水平投影しますから平らなものと見ての区域をさす。森林法森林は区域ばかりささないのです、区域も入るけれども区域以外のものも入って森林になっている。その合計というのは何です。森林というのは森林法森林だとすれば、その森林面積というものは出てこないはずだ。山林面積は出てきましょう。
  19. 吉村清英

    吉村政府委員 先生の御指摘でございますが、私どもの使っております森林法森林でございますが、これは第二条で「木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹」、それから「前号の土地の外、木竹の集団的な生育に供される土地」……
  20. 川俣清音

    川俣委員 もう一項あるでしょう。
  21. 吉村清英

    吉村政府委員 そのほかに二項、三項とございますが、そういうことでございまして、土地とその上の立木を合わせたものでございまして、立木の占領している面積なり範囲、それから集団的な生育の用に供する土地範囲というものを私ども面積というように考えておるのでございます。御指摘のように上への伸び、蓄積につきましては立木の蓄積として区別をして考えなければならないというように考えております。
  22. 川俣清音

    川俣委員 従って不動産登記法の制約を受けまして、面積の場合は山林という表現をしなければならないのではないか。今、長官の読まれたのは森林定義ですよ。森林定義はそれは間違いありません。森林がかく理解されておることも間違いありません。しかしその面積ということになると、やはり日本法規に従いまして、不動産登記法地目表現していかなければ法律的に効果がないのではないか、第三者に対抗できないのではないか、不動産登記法にはそう説明してある。そこで、山林面積でなければならぬのではないか。みんなわかったと言っておるが……。
  23. 厚味荘之助

    厚味説明員 先生のおっしゃられることはごもっともなんでございますが、私たち、この森林組合合併助成法におきましては、森林組合森林法規定に基づいて規定されております団体でもございますし、また従来の組合行政の関連もございまして、この法規の慣例として使っておる用語森林面積という言葉を使っておるわけでございます。念のために申し上げますと、今の森林法はいわゆる土地台帳地目主義といいますかそういう建前によらず、むしろ現況的なそういう建前によって森林定義を下しておるような状況でございます。従来の行政上の取り扱いの例によりまして森林面積、この森林の中には厳密に森林法定義からいいますと土地及びその上にはえている立木ということになっておりますが、そこであえて森林とだけ言わずに、森林面積合計幾ら幾らということで面積という言葉をつけてございます。それで先生のおっしゃられるような面積という意味もはっきり出てくるであろう、かように考えているわけでございます。
  24. 川俣清音

    川俣委員 これはほかの方が理解しておるのに林野庁だけが理解しないということになると、現に使用されておる林分、地目については山林面積森林組合では経営内容にしておるごとは明らかです。森林面積では実態ではないのです。実態はそうではないのです。今後合併を促進するからにはこれこれの規模でなければならないという面積が基準になる場合には——森林の経営という場合は、森林法に基づく森林の経営でけっこうですが、面積表現する場合には、これは立木をさすのでなくして地目をさすのでありましょうから、法令に従って山林表現しなければならないのではないか。あなた方だって、国有林を処分する場合に森林という表現ではしておらない、山林ということで表現しておられる。売り払うときでも買い取るときでも森林面積ではありません。山林面積です。これでいいというわけにはいかない。これはどうしても私は法律の改正の要があると思う一これは国民生活、特に山林所有者山林所有者の場合は森林所有者であっても山林所有者であってもどちらでもいいと思います。森林法に基づいて森林所有者ということでよろしいと思います。面積の場合は森林面積というものは妥当ではない。  次に、森林組合の直接合併の問題についてお尋ねしたいと思いますが、森林組合法ができますときにいろいろな説があったことは明らかであります。すなわち、従来の森林組合の改正にあたりまして旧組合の制度をそのまま維持、存続すべしという意見、旧組合事業中経済事業を排して、純粋な土地組合的なものとして、経済事業については別途に協同組合制度を設けるようにすべしとする司令部からの声明がございまして、これによるべきだという説と、第三に、森林所有者の協同組織として森林組合制度一本立にすることが適当であるという説に傾きまして現行法が生まれたのでございますが、さらに有力な意見といたしまして森林所有者のみならず、広義のいわゆる林業一般を通ずる林業協同組合にすべきであるという意見もあったのであります。また農業協同組合合併し得る道を開いて農林業協同組合または森林組合のいずれかの協同組合を、任意選択制をとるという説等がございました。今でもなおこの四と五の森林所有者のみならず、広義のいわゆる林業一般を通ずる林業協同組合発展すべきではないか、林業の持っておる本質からいたしまして、さらに一貫性を貫くために林業協同組合としてはどうかという意見はいまだに有力に底に流れておるわけでございまして、これがさらに刺激をいたしまして、今度出されました林業信用基金法の精神を貫きまして、林業協同組合にすべきではないかという意見が再び台頭してくるであろうと思われます。また農協の総合農協といたしまして、今後農業構造改善を進めていく上から農林業協同組合方向へ移行しようとする動きも出てくると思います。これはおそらく近く出て非常な勢いで盛り上がってくるのではないかと想定されます。しかしその場合でも森林組合と任意に選択できるという方向はとれるでありましょうけれども、一方におきまして山林面積の小さい地域におきましては、むしろ農業協同組合と一体としての経営を進めることが妥当ではないかという意見が実際において起こっておるわけでございます。そういたしますと、この森林法合併というものは、そういうものをあらかじめ押える方策としてあえて合併をするのではないかという邪推も生まれてくるわけでございます。そういうそんたくも生じてくるわけです。林野庁は、自分の領域を確保するためにわざわざ合併によって規模を大きくして、それで農業協同組合方向に移行することを防ごうとするのではないかという非難が農業協同組合の方面から起こってきている。これは農業協同組合から起こったのではなくて、農林省の指導している農業構造改善の遂行の必要上から起こってきておる問題でございます。将来これが起きないということは言い切れないと思うのですが、そういうことを予想いたしますと、森林組合合併につきましては幾多の問題を残しておるということだけはお考えになっていいのではないかと思いますけれども長官のこれに対する見解を明らかにしていただきたい。
  25. 吉村清英

    吉村政府委員 ただいまの御指摘でございますが、かねてからこの農林協同組合と申しますか、農、林を合わせた協同組合にした方がいいのではないかというような御意見のあることも私ども承知いたしておるところでございます。しかしながらこの問題につきましては、やはりその地域、地方によりまして、農業協同組合なり森林組合なりにいろいろと特色もあるところでございまして、にわかにその結論を得るということはなかなか困難な問題であろうかと考えております。もちろん私どももさような問題につきましては十分検討に値することであるということも考えておるわけでございますが、私どもがこの森林組合合併の促進をいたそうということを考えております段階におきましては、さような問題に関連をいたしまして、この際大型組合をつくってその対策といたしたいというような考えではないのでございます。先ほども申し上げましたように、林業振興をはかって参りますためには、やはりそのにない手と申しますか、中心になって参ります森林組合を強化発展させて参らなければならない。そのためには十分に森林組合、ひいては林業振興をはかって参りますに必要な人材を得ることも必要でございます。そういうような観点からいたしましても、ある程度の大きな森林を持たなければならない、同時に経済事業振興をして参らなければならないというような考え方から、この際森林組合合併につきまして考えておるわけでございます。
  26. 川俣清音

    川俣委員 非常に苦しい御答弁でございまして、農業構造改善事業が進んで参りますと必然に農林業協同組合という方向にかなり進むのではないかということが想定されるわけでございます。森林所有者が持っております地目牧野が、造林の計画を意図しておれば森林法森林地域に入るわけでございます。ところが一方農業構造改善からはそれらの牧野は、むしろ牧野でなくて原野は当然畜産の対象として開放すべきだという意見が出てくるだろうと思います。そういたしますとその問題の解決のために、農業構造改善振興していく上においての必要性からして農林業協同組合というものが発生をしてくる林野庁からいえば危険性といいますか、あるいは森林組合からもそういう危険性が出てくるであろうと憂慮されておる、森林組合自体において目下一番憂慮しておるというのはこの問題であろうと思うのです。持っておる自分の勢力範囲といいますか経営範囲、いい言葉で言えば経営範囲、悪い表現をすれば勢力範囲でありましょうけれども、これらが畜産のために侵略されないかということをおそれておる、そういう意味合併が促進されるという度合いもあるいは出てくるとは思われますけれども、予防措置として、将来起きてくるであろうところの侵略を予防するために合併するのだということになりますと、これは大きな問題を農業構造改善の上に与えるであろうと思います。そういうのではないということをこれは林野庁として表現しておく必要があるのではないか、こういう意味お尋ねをしておいたのです。林野庁が、そういう偏した考え方合併を促進するのではない、全く森林の経営を安定せしめるための必要限度における合併であるというふうに声明をしておく必要があるのではないか、こういう意味お尋ねをしたのでございます。そういう意味ですから、一つ御答弁願えれば御答弁いただきたいと思います。
  27. 吉村清英

    吉村政府委員 先生のお考えの通りでございまして、私どもはこの森林組合合併をいたしまして森林組合の強化、その勢力範囲を守るというような構想ではないのでございまして、どこまでも目的は林業振興をはかる、それから山村地域振興をはかって参るために林業振興をはからなければならないというように考えておる次第でございます。
  28. 川俣清音

    川俣委員 今の答弁を了とします。そういうかたい決意で山村振興にも寄与するという建前で前進されまするならば、そういう不安や偏見は生まれてこないと思います。ただ山村振興ということを一つうたっておることによって、そういう領域の狭まることを防ぐのだという偏見であってはならないのでありまして、真に山村振興のために一林業発展のために寄与するのだという熱意が出てこなければならないと思うのです。ただ領域だけ確保すればいいということでありますならば、合併の効果というものも現われてこないと憂慮いたすのでございます。これは特に強調しておきたい点でございます。  さらにお尋ねをいたしますが、この合併の区域が地方行政区内の組織の合併のようでございますが、森林法及び森林法に基づく森林計画並びに森林区という計画から見まするというと、必ずしもこれは行政区にとらわれていない計画でございます。森林計画あるいは森林区分というものを基礎にして経営をさしていくということになりまするというと、行政区にこだわることがむしろ障害となるものでありますだけに、なぜ行政区内にとどまらなければならないのか、これが特に森林の場合は問題があろうと思います。従来の森林の経営は、流域的な経営が一番の主眼とされて運営がなされてきたのでございまして、流域必ずしも行政区とは違うのでございます。今後河川法の改正等によりまして、かなりこの行政区の境界というものを突破しなければならない方向で河川法なども適用されるような方向をたどっております。また農業構造改善も、農業構造改善の進展に伴いまして、行政区の境界を突破しなければならない事態が実際生じてきております。そういう意味から、経済的な意味から、産業的な意味から、行政区の境界に対する批判がだんだん熾烈になってくるであろう。現在の行政区というものは、封建的な感情的な行政区でありまして、必ずしも地勢上、産業上の行政区でないことが明らかでございますだけに、森林経営というものが、流域によって、あるいは森林区分によって、森林計画によって、実行されるということになりまするというと、行政区にこだわるということは一つの障害となって発展を阻害する要因となるのではないか。それを十分承知しながら行政区内にとどまるということは、大型、大規模ということを掲げておりながら、それと相反する結果になるのではないか、こう思うのでございます。ことに山頂というもの、あるいは山間地の平坦地などというものは、両行政地域に分かれておる場合が非常に多いのであります。従って、旧来の平坦地でありますれば、ある程度産業地理的に部落が形成され、その部落の集合体としての町村というものが従来成り立っておりまするけれども、山村あるいは森林地域は、山林地域は、そういう行政区の区分から離れて存在しておるのでありまして、むしろ今までは経済活動の単位としての森林ではなくして、財産保持的な山林面積というものを持っておりましたために、必ずしも産業的な保持の仕方でなかったところに、行政区と経営区とを今後区分して経営の実績を上げていくということになりまするならば、将来の森林経営をさらに拡大していくということになりますならば、現状の行政区にとらわれることは合併の目的を達成するゆえんではないと思うのですが、この点に関して長官の見解を明らかにしてほしいと思います。
  29. 吉村清英

    吉村政府委員 この面積と行政区画の問題でございますが、私どもこの面積規模につきましては、御指摘のように、まず林業の経営というものを主体にして検討いたしたわけでございます。で、それがおおむね五千町歩程度になるといろいろな面で林業近代化等も行ない得るようになるというような結論を得まして、これを行政区画に当てはめてみますと、大体私どもが予想をしております合併、これは資料でも差し上げてあったかと思いますが、五年間で五百七十余合併を予想いたしておりますが、これの大体八割程度が新市町村の区域内に入るということに相なっておるのでございます。で、先生の御指摘のように林業の経営はむしろ流域を主体にして考えるべきではないか、これも私どもさように考えますが、従来の搬出設備等を考えて参りますとそのままでございますが、将来、現状等を考えてみますと、それが若干修正されてもいいのではないかというように考えられるわけでございます。で、私どもも、そういうような検討の経過から、また合併の難易、それから合併をいたしましたあとの事業の推進というようなことを考えてみますと、やはり行政区画の中に入ることがまず最も容易な道ではないかというようにも考えておるわけでございます。たまたま八割程度は新市町村の区域に入るわけでございますので、そういう点では、私ども合併につきましても、かなり推進をできる自信もできるというようにも考えておるのでございます。
  30. 川俣清音

    川俣委員 将来は行政区の変更を住民が求めることになるのか、あるいは行政区の合併は非常に困難であるから、むしろ森林組合の経営上、運営上、町村の区域を突破して協同組合の実績を上げていかなければならないところにいかせるのかどうかという問題が依然として残ると思います。住民の意思を正確に反映さすというならば、経済活動の上からいって行政区の合併ということが——合併あるいは全部合併という問題が起こってくるが、封建的な生活の惰性からいって行政区の合併はなかなか困難だといたしまするならば、森林組合が独自の経営方針に基づいて町村境界を突破しなければならないということになるであろうと思いまするので、これは住民の意思と森林所有者の意思とが合致しなければなかなか容易なわざじゃございませんけれども、期待を大きくかけるならばこの点についても問題が起きるということを十分考えて指導して参らなければならないのではないか。また法律もそういうことを予想して改正を要するのではないかという点を指摘したのでございます。  もう一つ森林組合について基本的な問題がございますのは、一般に協同組合の中心的な目的は、組合員の経済的社会的地位の向上をはかる点が中心課題になっておるのであります。森林組合もまた同様でなければならないと思うのでありまするけれども、旧来の森林組合発展過程、すなわち財産的保持、または沿革から、現行森林法の制定の一契機でありました荒廃林野の復旧の影響もあって、森林経営の合理化と森林生産力の増進、いわば公益を増進するということが森林組合の主たる目的に注目しなければならない点があると思うのであります。本来でありますならば、組合員の経済的地位の向上、社会的地位の向上をはかることが目的でありますけれども森林組合は当時荒廃林野の復旧という公益性をになわなければなりませんでしたために、また従来の浴革から言いまして、単に財産的保持または浴革が従来ありましたために、森林法の制定の契機を受けまして、従って公益性の強い森林組合になっておるのでございます。ところが、今度の合併の目標は公益性を閑却するわけではありませんけれども、むしろ従来の協同組合の本体に立ち返らせようとする意図であることはうかがわれます。決してそれは悪いとは言い得ないのでありますが、しかし、従来の森林の公益性というものからいって、ある程度の公益性を主眼としなければならない点をになっておるという点があるのであります。そこで、森林組合が今日のような発展ができておりませんのは、森林組合の組織が悪いのでもなくて、運営が悪いのでもなくして、公益性を強調されますことによって、森林組合の本来の協同組合的な機能というものが発展できなかった点もあったのじゃないか。両方合わせているわけです。公益性の強い目的を強調されましたり、あるいは森林組合としての、協同組合としての達成を目的とされましたり、常に動揺してウエートが違ってきているわけです。これが今日まで森林組合基礎が固まらなかった大きな原因ではないかと思うわけです。では、どっちかに割り切ることができるかというと、森林の本質上割り切れないというところに、指導の悩みもまたここにあると私は理解します。どっちにも割り切れない。純然たる経済活動の単位としての、あるいは地位の向上の単位としての協同組織を持つというところには割り切れない。一方においては公益性を強調されまして制約を受ける。また本人自身も、森林所有者自身もそういう経営を考えることよりも、財産保持的に運営をするのであるから、そう経済活動をしないでもいいのだという観念もあって、そういうものと相待って森林組合が今日まで発展しがたい状態を生んでおったのであろうと思います。それだけに、やはりこの点を理解をしなければ、今後の森林組合を単なる合併だけによって発展ができるのだと期待することは、あるいは提案説明のように非常に期待をかけて説明をされておりますけれども、みずからこの問題をどう解決するのかという目標なしに、従来の通りやって、ただ合併できればいいのだ、あるいは大型にすればいいのだ——大型にしてもこれらの矛盾を含んでいて大型になるのか。むしろ拡大されてはくるでありましょうけれども、縮小する方向ではないわけです。一方生産力の増大ということで経営的な運営もしなければならないことが強調され、一方においては公益性を強調されるというジレンマに森林組合があるのであります。これらについての指導よろしきを得なければ、単なる合併やなんかで逃げるわけには林野庁としてはいかないのではないか。農林省としては、そう逃げてばかりいて、責任は君らにあるのだということでは逃げ切れない問題を含んでいることを十分理解しなければ合併の魅力は生まれてこない、こう思うのですが、この点についてのお考えを承りたい。
  31. 吉村清英

    吉村政府委員 さきの御質問にちょっと補足さしていただきます。行政区画にとらわれ過ぎているという御指摘でございますが、行政区画を越えて合併するということも大いにけっこうだと私ども思っているわけでございまして、それでまた、そういう計画もございますし、すでにそういうことも実行もされております。従いまして、その点では先ほどの私の御説明が若干とらわれ過ぎていたかと思いますので補足をいたします。  それから次の、森林の持つ公益的な使命の面から、森林組合発展についての関連の問題でございますが、確かに先生の仰せのように、林業も、経営をして参ります以上は必ず公益的な使命と申しますか、国土保全なりあるいはその他の問題もかなりあるわけでございますが、そういうものを負わされるわけでございます。そういうものをやはり十分に計算に入れた計画をして参らなければならない。私どもこの合併を考えて参ります過程におきましては、この提案理由説明で特に強調をいたしておることはもちろんでございますが、同時に、そういった森林に負わされております公益的な使命も十分に達成できるような方向で進まなければならない。それは規模の面へもかかって参りますし、また森林組合と申しますか、林業の経営者個人々々が発展をいたして参りますためにはやはりそういった面での配慮を入れて計画をして参らなければならないというように考えております。そういう点からは、私ども合併することのみをもって足れりとするわけではございません。従いまして、林道の事業、あるいは造林の事業、あるいは治山の事業、これはそれぞれ並行して進めて参りまして、それで目的を達し得るというように考えております。その目的を達し得る手段にも、やはり最初に御説明をいたしました構造改善事業でございますとか、林業地域の総合的な振興計画事業でございますとか、そういうものを立案いたしまして進めなければならないというように考えておる次第でございます。
  32. 川俣清音

    川俣委員 森林組合についてはその程度にいたしたいと思いますが、昔の森林法は、立木が密集して存在している状態、林が群がると申しますか、林叢状態を基本にしておったわけでございますが、これは中国からきた用語でございまして、深林、林が密叢していることを深林と言う。それから竹が群がっているのを叢竹と言う。その深林叢竹から林叢という言葉が生まれてきたようでございます。これは旧森林法でございますが、これらの意味から言いましても、単に山林地を所有しているだけが森林業者ではなくして、林を育て竹を育てていくことが、畜産物を生産することが森林業者の使命であるという理解に立たなければならないと思うのでございまして、現在の森林所有者がはたして一体この森林の国民経済的な使命というものを十分理解しておるのかどうかということになると、非常に疑問だと思います。しかしながら財産的保持をしたということによって、日本森林がある程度守られておったということもまた事実でございまして、それを全部あながち私は否定をしたしませんけれども、今後日本の国民経済の伸展に伴いまして、森林の持つ使命をあらためて理解させていかなければならない指導が必要であろう。単に合併だけではなくして、指導がもっと強烈でなければならない、そういう公益性があるために、補助助成の措置が講ぜられておる、森林もまた補助助成がほしいばかりに、ときには公益性をあえて強調いたしまして、補助助成を得ることには努めますけれども、運営は自主的な運営であらねばならないという考えと、森林組合の中にも矛盾があるのであります。これらについてはより高い立場に立って、民有林の指導に当たらなければならないと思うのですが、従来民有林の指導につきましては放任されておるとは言いがたいでありましょうけれども、指導に欠けるところを大きく反省をいたしまして、この法律の通過と同時に、さらに重大な覚悟を持って指導に当たらなければならぬであろうということだけ強調したしまして、森林法の問題はそれで終わりたいと思います。  林業信用基金法案について二、三お尋ねをいたしたいと思います。  林業生産の増大、生産性向上ということを強調されて、信用基金法の提出の重要な要素とされておりますが、これがどんな内容を持つのか、林業の生産の拡大、この場合の林業というのは、いわゆる植林から造林あるいは保育等も含めたものでありましょう。いわゆる森林を含めておることはもちろんでありますが、さらにその利用の度合い、加工のところまで林業と言われるのではないかと思いますので、林業の生産の増大というのはその内容はどんなものであるか明らかにしておいてほしいし、また生産性向上も単なる森林生産性向上ばかりではなくして、林業生産性向上でございますから、この生産性向上はどんな内容を持っておるものであるか、その点を明らかにしてほしいと思うのであります。
  33. 吉村清英

    吉村政府委員 この林業をどのように考えておるかという最初の御質問でございますが、この法案におきましては、木材の加工まで——主として一次加工までを考えております。林業生産性向上の問題でございますが、御承知のように、木材の需要の非常な向上に比較いたしまして供給がなかなか追いついて参らない、同時にまた林業の従事者の地位、あるいは所得の面につきましても、他の産業に比較をいたしまして、十分につり合いがとれておるとも考えられないというような指摘も、調査会の答申その他に出ておるわけでございます。そういったような問題を解決いたして参りますためには、私どもといたしましては、まず林業の基盤——まだまだ林業高度化していくためのもとになる基盤を整備して参らなければならぬのではないかということでございます。その基盤の整備をいたしました上で、林業高度化をはかって参りたいという考えを持っておるのでございます。ここで生産性向上の問題でございますが、これは御指摘のように林業生産性向上全体を考えておるのでございまして、もちろん造林の面の技術的な改善による生産性向上、それからまた林道その他の完備によりまして機械化、あるいは労働面での生産性向上、そういうようなものも具体的に進めて参らなければならないというように考えておるのでございます。
  34. 川俣清音

    川俣委員 ここでこの制度を設置されまする考え方はおそきに失したというきらいはあるとの世評が行なわれております。木材の需給と価格の安定に資する施策として金融の円滑化をはからなければならないとされておる点は、ともに期待に沿う表現であることはその通りであろうと思われます。そこで木材の需給と価格の安定をはかるために金融の円滑化が必要だといたしまするならば、単にいわゆる木材業者ばかりではなくして、当然伐出、運材等はもちろんのこと、価格に将来影響するであろう、需給に影響するであろう製品事業等も当然入らなければ、需給の安定、価格の安定というものは期し得られないであろうと思うのですが、第一次加工だけにとどめた理由というものはこの法案の提出の理由とは合致しないのではないか。単に気休め的に一歩踏み出したという弁解にはなるでありましょうけれども、大綱でありまする木材の需給と価格の安定に寄与するために、新しく金融の円滑化をはかる信用保証制度をつくったのだ、こう言われるからには、やはり需給、特に価格の安定あるいは需給のアンバランス等、木材製品の比重がだんだん異なってくるときに、木材にだけ、製材にだけ力を入れておりますることは、片手落ちではないか。むしろ今後用材の高度利用という面から合板等が当然入ってくるだろうと思われる。あるいはフローリングにいたしましても、これが第二次加工であるかどうかというのは問題であります。従来問題になっておりましたのは電柱の上の腕木、あれは第一次加工だということで、旧商工省、農林省以来争ってきた問題でございます。従ってどこが第二次加工であるか、どこが第一次加工であるかということは、木材の需給の変遷に伴いまして異なってくるものでございます。電柱はコンクリートになり、鉄柱になって参りますると、特に今度は腕木が問題になる。あれは製材過程から出てくる第一次加工だ、あるいは、いやそうではない二次加工だという問題も出てきて、所管争いもかつて出てきた問題でございます。それだけにやはり需給の全体から見てあるいは価格の安定という点から見て、この制度が必要だとしまするならば、製品事業、合板事業についてもやはりその合理化を進めていかなければならない。木材の高度利用という面から見て、従来ただ木材を切断をすればいいんだという観念から、需給はもはや国民活動、経済活動にとってきわめて重要な面にきておると思う。それらの問題を解決しなければならぬのは、もう当面問題になっておると思う。それにもかかわらずいわゆる従来の製材業だけにとどまっておるということは、生産の増大であるとかあるいは生産性向上という問題から見て、みずから主張しておりながら、みずからこれを否定する制度であってはならないと思うのですが、どういうわけでこれは拡大ができないのか、この点を明らかにしてほしいと思います。
  35. 吉村清英

    吉村政府委員 この保証制度の対象の業種の問題でございますが、御指摘にありました伐木、造材、この面は入っております。それから木材製造業と掲げておりますのは、主として製材でございますが、御指摘のフローリング、それから腕木、こういうものは入れております。そのほか合板でございますが、合板はいろいろ議論がございまして、ロータリーの合板でございますと、一たんはぎましてそれを合わせるというような工程が入りますために、二次加工だという議論もあるわけでございます。そういうことと同時に、このロータリー合板の業者というのは比較的規模が大きいのでございます。一般の木材業と比較しますと、中小といいますか、中としても非常に上の方、大規模のものもあるわけでございまして、そういう面では、これは必ずしもこれにぴったり合うというようなことも言えないのではないかというような議論もあるわけでございます。その他の家具等の二次、三次の加工になりますと、現在の信用保証協会といった問題もございまして、御指摘のようにそういう面までもやはり林業全体の振興を考える以上は入れるべきではないかというようなことが出てくるわけでございますが、私ども、まず一次加工面に手をかけまして、さらに将来こういう面をも対象として入れられるように検討もいたし、努力もいたして参りたいというように考えておる次第でございます。
  36. 川俣清音

    川俣委員 もう二点だけで終わりたいと思いますが、今の問題について、この制度をあえてここで踏み切られましたのは、説明によりますと、木材の需給と価格の安定のために金融の円滑化をはかりたいということでありますだけに、やはり木材の逼迫した需給状態を木材の高度利用というところに置きかえていかなければならないのじゃないか。従来の第一次産業であります製材というものはすでに限度にきておりまして、ここで転換をしなければならぬ、あるいは整備しなければならない状態のところへきておる、そういうのが大勢だろうと思うのです。一方において整備しなければならないということを進めながら、一方において助けなければならぬという考えが出てきても、これは決して間違いでない、そうあってもいいと思いますが、さらに伸展するであろう合板等の方へ、木材の利用度を高める上からいって、単に製材という従来の非近代的なままで置くということは、盛んに近代化を進められたりしております手前上からいいましても、製材から第二次加工に当然入っていかなければならない、製材業等が第二次加工に入らざるを得ない状態にきておるのではないか、そういう整備の必要を強調されておるのではないかと思うのであります。それにもかかわらず、第二次だからこれを除くということは、今後の指導の面からいっても片手落ちじゃないかと思うのです。林野庁は別にいたしまして、各局などを見てごらんなさい。従来の製材業などは整備しなければならぬという方向にきておるということで、整備を強調しておる。そこで単なる製材業だけでは経営が困難だということもありましょうし、利用度が少ないということもありまして、半分合板に持っていく、あるいは三分の一合板に持っていくということによって、製材業だけでは成立しないのを第二次加工をやることによって維持しようという方向が顕著に出てきておることはいなめない事実だと思う。そういう点はすでに把握しておられると思う。しておりながら、これは第二次製品だからということで除外することは、本来の目的をみずから縮小することではないかと思うのです。これはそこまで踏み切られても——保証の限度額についてもう少しワクを広げなければならぬという問題が出てくるかもしれませんけれども、そこまで踏み切ってもいいのじゃないか、資金ワクの需要が高いということが必要でありますならば、そのことの方が必要であるということも言えるであろうと思われます。この点はどうですか。
  37. 吉村清英

    吉村政府委員 先生のお考えはその通りだと私どもも考えるのでございますが、何分にも今回林業関係では初めての制度でもございます。規模から申しましても、御案内の通りでございます。従いまして、最も零細な面につきましてこの資金の流通を円滑化いたしたいというのが第一にねらわなければならないことではないかというように考えておる次第でございます。御指摘のように、製材事業は確かにもう少し整備をしなければならない時期であるかと思いますが、そういう方向につきましては、私ども先生のお考えの通りでございまして、そういう方向へやはり進めて参らなければならないと思いますが、木材の加工、木材の製材にかかる段階におきましては、非常に大量な重量物でもございますので、大規模なものを一カ所に置きまして、資材を集中して経営を合理化していくということもなかなかむずかしいことでございます。従いまして現状のような状況が現われてきておるのだと思うのでございます。統計等で見ますと、最も普及された工場の一つは製材工場だということに現われておるようでございますが、そんなことで稼動率も非常に低いことも御指摘の通りでございます。これをいかにして経営を高度化していくかということにつきましては、いろいろむずかしい問題も出てくるかと思いますが、そういう点につきましては、この資金の面とあわせて、やはり共同化と申しますか、そういう面で検討を進めて参らなければならないというように考えておる次第でございます。
  38. 川俣清音

    川俣委員 製材業が今日不振にあることはあまりにも明らかでございます。しかしながら、日本森林資源の活用の部面として、また住宅難緩和の有力なるにない手として、製材業が発展してきたこともまた事実でございますが、今日におきましては、単に製材をすることによって利潤を上げるということが困難な状態になっておるわけでございます。それだけに整備が必要なんではなくて整備方向へ追いやられておる、必要なんじゃなくてそちらへいかざるを得ない方向になってきておるということなんでありまして、そういう面で、それらの転換策として第二次加工というものが必然に打開策として、近代化としてあるいは合理化として、雇用度を高めていかなければ、従来のような製材だけでは雇用が不安定になるばかりでなく、労働条件を整えることができないで崩壊する方向にあるのであります。従ってその生産性を高める上からいっても、これに加工を加えることによってかなり労働者の賃金の向上もはかり得られる方向であろう、製材だけではとうてい一般並みの労働賃金を払える状態にはいかないのが本質だと思います。それをまだ助成をするのだ、それは大へんけっこうです。けれども、助成し切れないであろうと思うのです。むしろそれだけでは、今後の雇用状態から見まして、労働力を確保するなんということは、幾ら資金を円滑に保証してやりましても倒れるだけでありまして、ただ倒れることを一年、二年延ばすということには確かに役立つのでありますから、これもむだだとは必ずしも申し上げません、そのことも必要であろうと思いますけれども、むしろ転換策を講じてやるということがさらに重大ではないか、その転換策を持たない保証というものは現実的には効果のないものではないか、わざわざこの制度をつくったからには、やはり転換をさせるという資金も出すことによって初めてほんとうの救済が成り立つし、あるいは木材の需給の安定ということにもなり、価格の安定にも役立つであろうと思うのですが、ああいう中間経費的な存在をなお存続させるということは、今の時代からいってなかなか困難ではないか。しかしながら現に運搬上からいいまして、山元において製材をするということも地域によりまして必要なことは認めざるを得ないし、また大いにこれを活用することも必要だとは存じます。しかしながら立木伐採業者あり、搬出業者あり、製材業者あり、加工業者ありという、こういう分類で、中間の流通経費がかさむことは木材の価格の安定の上からいって避けていかなければならぬ、むしろ近代化の一貫性を持つべき方向ではなかろうか、これは価格の安定、需給の安定からいってそういう方向であろうと思うのですが、現実は多くの製材業者がありますこと事実であります。それらの転換を考えていかなければならぬことも事実であります。これをみずから狭めて、一歩踏み出したのだから、あとでまた解決するんだというだけではテンポがおくれ過ぎるのではないか、テンポの問題であろうと思います。そこで見通しをつけられまして、そこまで踏み切る必要があるのではないか、この制度は悪いとは言わない。せっかく生まれるからには、そういった近代化、転換策まで保証してやることの方が、より木材の利用度を高めていくことになるのではないか。それが林野庁の方針でなければならないと思うわけです。み、ずから自分の方針を放擲することは残念だと思うので、この点を特に強調したいのですが、この点いかがですか。
  39. 吉村清英

    吉村政府委員 全く御指摘の通りでございまして、私どもも第一次加工ということを特に強調申し上げておりますが、これは御案内の通りの原木高の製品安、あの製材過程において流通面のアンバランスが非常に強いというところから私どもも考えておるのでございますが、一面また木材の利用の高度化でありますとか、加工の経営の高度化でありますとか、そういうことを考えますと、ただいまの考え方のみでは十分ではないということはその通りだと存じます。従いまして私どもといたしましては、製材から一貫して二次、三次の加工にまで及んでいるというような多角経営と申しますか、そういうものにつきましては十分配慮いたしまして、この制度を活用いたして参りたいと考えておる次第でございます。また同時に、木材業界の整備につきましては、この制度を中心にいたしまして、共同化でありますとかあるいはひいては整備方向へも進めて参りたい、その一助ともいたしたいと考えておる次第でございます。
  40. 川俣清音

    川俣委員 もっともだと言われながら踏み切れないところに問題がある、私は、そう思うのです。しつこいようでありますけれども、何か第一次加工というものにとらわれており過ぎるのではないか。二次加工ということになりますと、やや林野庁の指導の領域から離れるところまでいくことをちゅうちょしておられるのではないかと思いますが、木材協会あるいは木産協会というように業界が分かれておりますことも現実でございますけれども、やはりこの際踏み切りまして、木材の利用度を高める、近代化する、高度化するという基本方針を貫かれる必要があるのではないか。その意味からいいまして、合板等製品事業につきましても、何といいましても加工業者でありまして、これらの加工業者の林業に及ぼす影響は非常に大きいのでありまして、これらを無視することは林政の上からいっても妥当じゃないと思うのです。これは返事があるまで私は何回も強調していかなければならないとさえ思うのでございますが、この際合板等の製品事業についても拡大していくということがどうして困難なのか、その点わからない。従来の方針からいってちゅうちょしなければならないという理由がどうしてもわからない。もう一度この点を……。
  41. 吉村清英

    吉村政府委員 お答え申し上げます。  合板その他二次、三次の加工の問題でございますが、一例を合板にとってみますと、この資本金から見ましても、平均で合板が四千六百万くらいになっております。製材その他の一次加工に比べると格段の相違があるわけでございます。そういうような関係から、発足いたします資金ワクでございますね、そういった点、あるいはこういったかなり規模の大きい工場になりますと、この保証制度を使わなくても融資の道が講ぜられる度合いが非常に大きいというわけでございます。そういった緊急度合いの問題そういう事柄から、一応これをこの段階におきましては除いたわけでございます。その他の家具、建具、そういったような木工の二次、三次加工でございますが、これは信用保証協会の制度の活用も製材等に比べますとかなり進んでおります。そういうような関係からも、一応この際は除きまして、私どもの力の最も弱かった面、緊急を要する面へ私どもこの際踏み切るということといたしたのでございまして、将来の問題といたしましては、そういう面へも大いに検討をいたし、努力もいたして参りたいというように考えております。
  42. 川俣清音

    川俣委員 もう一点だけお尋ねしたいと思います。  それは言葉の上でございますが、林業機械と林業用機械とは異なると思うのです。林業機械という場合には林業プロパーの機械ということになるが、林業用機械ということになるとかなり広範になると思うのですが、どういうわけで林業という狭い考え方に立ったのかわからないのでございます。林業機械等ということで広範にしたとも思われるわけでございますが、この場合の等というのは、いろいろなことを予想されて等とした場合も想定されますが、それならば林業用機械等という方がむしろ適切ではないかと思うのでございます。この点は強くは主張しませんけれども、そういう考え方がどこから出てきたのかという点をお尋ねしたい。  本論といたしまして、最後に強調いたしておきたいのは、国有林を初めとして民有林の将来のにない手であります労務者がだんだん枯渇いたして参りまして、かなり機械化、近代化されて参りましても、やはり機械化のにない手である労務事情、雇用事情が急迫してくるならば、機械化を促進いたしましても、近代化を促進いたしましても、にない手のない機械化というものは無活動になるおそれがあると思います。機械化あるいは近代化というものは、労働価値を高めるための近代化であり、機械化である、私はそう理解をいたします。低賃金で機械化をするということは、機械能率をむしろ低下させることでありまして、その機械化の能率を可能ならしめようとすれば、やはり十分な雇用の確保ができませんと、単なる一時的の労務者であっては、機械の能率を上げることができないことは明らかであります。従いまして、林野庁などでも、新しい機械につきましては、わざわざ機械メーカーのところで機械メーカーの費用で研究をさせておるということが行なわれております。現に冬期間の雇用の確保の上からも、また技術研究の上からも、機械メーカーのところに行って修理から製造から教わるということは決して悪いことではないでありましょうけれども、メーカーがあえてそういうことをするということは、どういうことであるかといえば、林野庁とひもをつけて、将来この機械売り込みの一つの方法として手なれたものを使用させるという善意な意味と、一つは、機械を売りつける手段とが結びついた研修ということが行なわれていると思うのです。従って、これらの機械がいいか悪いかということは別個に判断すべきにかかわらず、むしろ研修を受けた機械を導入しなければならないということになりますと、機械にほんろうされる、メーカーにほんろうされるということになるのではないかと思う。そういう意味で、機械化あるいは近代化というからには、みずからの手で機械能率を上げる研修をする必要があるのではないか。そのことが能率を上げる近代化意味をなすのではないか。せっかく研修されましても、国有林にとどまらないで、あるいは民有林にとどまらないで、その研修の結果他の林業以外のところへ転出する機会を与える意味において非常にけっこうであるとはいいながら、必ずしも目的が達成できないのではないか。このように、雇用を甘く見ての考え方が、こういうところにも出てきているのではないか。みずからこれに適応する賃金を払えないために、よそのメーカーに研修費用を負担させるというようなことは、邪道だと思うのです。その必要性に応じてみずからが教養を高めていく。みずからの中で技術訓練をすることの方がより効果が上がるばかりではなく、国有林に勤める者あるいは民有林に勤める者につきましても、高率の雇用状態を確保することができると思うのですが、この点に対してどうお考えですか。
  43. 吉村清英

    吉村政府委員 機械化の問題でございますが、国有林の機械化につきましては、すでに先生御案内の通りでございます。民有林事業の機械化につきましては、私どもただいま森林組合に対しまして、機械をセットで設置する場合の助成をいたしております。それは集材機、自動のこ、あるいは刈り払い機、こういうものをセットにして導入するということを助成いたしておりますが、それにあたりましては、作業員の組織化、組合ではなくて、作業班と言った方がいいかもしれませんが、そういった組織化を指導いたしまして、雇用の安定をはかりながら機械化、高度化を進めて参る。また木炭の生産の面でも共同生産につきまして、自動のこ、切り積み機、あるいは簡易搬送機というようなものの設置を助成いたしているわけでございます。  それを助成いたしたのみでは、御指摘の通り十分にその目的を達せられないわけでございまして、国有林におきましては、各局に機械化の研修所をつくり始めております。ないところでも一般の研修所で作業員あるいは職員の養成をいたしておるところでございます。こういう中で一般の民間の人の研修も、可能な限り同時にできるものは協力をいたしておるのでございますが、最近の情勢からいたしますと、それでは十分に効果が上がって参りませんので、三十八年度におきまして予算の要求をいたしておるのでございますが、民有林関係の研修所を設置いたすことにいたしております。これを十分に活用いたしまして、その林業の経営あるいは事業近代化に貢献をいたして参りたいというように考えておる次第でございます。
  44. 川俣清音

    川俣委員 これで終わりますが、機械化、高度化のために研修機関を今度民間にも設置されましたことは、おそかれといいながらけっこうなことだと私は思うのです。ただおそきに失するということはいえると思いますが、それにも増して研修の効果を上げるということになりますならば、雇用の安定と結びついていない研修は無価値にひとしいということになると思います。国有林野を初め、民有林におきましても、従来は山村の余剰労力を吸収してやるのだ、従って救済であるというような考え方で雇用が成立しておったと思うのです。しかし、そんなことでは、一方の経済の伸展に伴う木材の需給の確保もできないことになるだろうと思いまするし、今ではややおそきに失すると思うのでありますが、今にして雇用の安定を十分考慮して参らなければ、四、五年後には枯渇をいたしまして、惨たんたる光景を呈するのではないかと非常に憂えるのです。従来国有林民有林等におきましても、雇用の問題については近代産業よりも非常に劣っておるのでございます。研究も足りないのであります。経済の事情の動きについても非常に鈍感でございます。鈍感であることが雇用を困難ならしめている原因であるし、低賃金にしておいておる原因でもあると思います。今後はやはり各産業との格差を是正するということが必要になってきたりでありまするから、雇用の問題についても、やはり長官の言われるように、言葉の雇用の安定ではなしに、実質的な安定をほんとうに今考慮していかなければ、大へんなことに陥るのではないかと非常に憂える。造林にいたしましても同様です。あるいはこれを請負に出すということも考える——請負にしたってやはり人がなければならないわけです。それを一ぺん失って別なところで教育された者を請負にする。現在のところはせり合った請負でありますから、単価も安いでありましょうが、直営造林ができないということになりますると、将来は請負の単価が高くなることになると思います。これは自由経済の中における必然性でございます。それだけに、造林というような、地ごしらえというようなもの、あるいは保育、これは全生長を責任を持ってこれに当たるものといたしましては、請負等に出すべきものではなくて、請負はその揚の状態がよければ請負の目的は達成するのでありまして、三十年後あるいは四十年後の生育を保障するものではございません。現に、永久橋といえども、直営でなく、請負でやった場合には、ときどき問題を起こしておる例から見まして、橋のような問題はまた別にいたしましても、三十年後、四十年後に取り返しのつかないような造林を請負に出すという事態は、従来雇用の安定をはからなかったところからきた欠陥でありますことを十分認識されなければならないと思いまして、これを強調いたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  45. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 次会は明二十七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会をいたします。    午後一時六分散会