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川俣委員 大臣の答弁、その通りでいいのです。ここは人工造林に編成がえをすることができないとか、ここは保安林ではないけれども保安林に当たるような場所であるからこの資源は保存するとかいうような調査ができておれば、それでよろしいのです。できておる、できておると言うから、それじゃその
計画に基づいてやっておられるかと聞いたのです。調査ができておれば大臣の今の答弁はおかしいと思う。まだできていなければ大臣の答弁は正確だ、こう私は思う。それでよろしいと思う。調査ができているかと聞けばできている、こちらに聞けばいやそいつはまだ十分にできていないために手はつけられない、こういうことになりますと、どうも大臣の答弁自身に矛盾があると思う。私は矛盾をあえてこの際つこうとは思いませんけれども、これは久しい前からの問題でございまして、要は
予算に制約を受けておるということなんです。特にこの
予算の問題につきまして、私がたびたび強調することでございますが、公共
予算は、直接税であろうと
間接税であろうと、国民の税負担という形による歳入をもって歳出をはかりまするから、できるだけ苛斂誅求のないように歳出が制約を受けることはやむを得ないと思うのですが、企業財産であるからには、あるいは林野の持っておる使命として一つは保安
施設を講じなければならぬのと、もう一つはやはり企業性を高めるために
生産性の
向上に努めていかなければならぬということが企業
運営の基本でなければならないと思うのです。ところが従来は、歳入にこだわっておって、拡大すべき歳出、すなわち追加投資を行なうような歳出の制約を受けておる。奥地を開発するならば追加投資をしなければならない。その追加投資の制約を受けておるために、奥地林が開発されていないという欠陥を生じておる。たばこ専売ですら広告費を多大にかけておるのですよ。たばこ専売なんて広告費をかける必要はないのじゃないかと思うのですけれども、その
必要性があるという。たばこ専売の収益が
増大するための投資だそうです。大蔵省だってたばこの広告費まで収益
増大の投資と見るからには、造林についてこれが投資であるという考え方になってもよろしいのじゃないか。ならせないとするならば、
説明が悪いか熱意が足りないか、そういう
農林省
の態度でないかと思う。大体木を切れば収益だ——財産を減らせば収益で造林は支出だなんという考え方で
運営されておるのじゃないかと思うのです。植林をすることは長期投資であっ
て、財産をふやすことですよ。どらむすこがいておやじの木を切ることは
生産でも何でもないですよ。財産を減らすだげです。売り食いするだけです。タケノコ生活ですよ。今の林野庁はタケノコ生活でしょう。前から持っていたものを売り払って食っていこうとするのはタケノコ生活だ。タケノコを植えることをやらないで、できたものから皮をむいてだんだん食っていこうということなんです。どうもそういう方法になっておるのではないかと思う。これは林野庁の特別会計の
制度が悪いのでありまして、たびたび指摘していることでありますけれども、国有林野の
経営規程を私はもう一度ここで読んでおきますが、「国有林野は、国土の保全その他国民の福祉の
増進を図ることを旨とし、森林資源の培養、
森林生産力の
向上及び
経営の
合理化に努めて、
経営しなければならない。」という国有林野
経営規程がございます。この方針通り行なえないように
予算の制約を受けておる。さらに第三条は「国有林野の
経営については、森林基本
計画(森林法(
昭和二十六年
法律第二百四十九号)第四条第一項の森林基本
計画をいう。)に従い、特に次の各号に掲げる
事項を推進することに努めなければならない。(一)林産物の供給、搬出
施設その他の
事項に関し、国有林野以外の森林の
経営との調整々図ること。(二)伐採跡地及び未立木地に対する植栽、林相の
改良」——これは大臣御
承知の通り、
生産性の低い林相を
生産性の高い林相に変えるということです。「林相の
改良、林分の保育その他により、森林資源の培養及び
森林生産力の
向上を図ること。(三)林地の開発及び林産物の集約利用のために必要な林道その他の
生産施設を拡充すること。」これは三項までで、四項、五項は除きますが、こういうように林野
経営の憲法ともいわるべき
経営案を持っている。林野庁の職員になるには大たいこの
試験をパスしなければならない。これを順奉することを誓約しなければ職員になれない。それでこれを基本にして
経営をされておる。この
経営方針と特別会計とは衝突するわけです。そこで林野の
内部におきましては、これが林野の憲法として尊重されておる。訓令ではありますけれども、この林野の憲法として尊重されておるものと会計の
運営とは衝突を来たす。むしろこの
運営を制約する形になっておるわけでありますから、特別会計について一段と改正をする必要があるのじゃないか。これが基本になって
民有林についてもこれと同様な森林
計画を
樹立させることを
目的にいたしております。こういう森林
計画に基づいて
森林組合が
運営されなければならない、
森林所有者はこれに基づいて
運営しなければならないと
規定されておるのでございますから、
民有林は別に特別会計法の制約を受けませんけれども、その
指導の立場にある国有林が特別会計の制約のもとにおいて拡大していかなければならない、雇用の安定をはかっていかなければならない、あるいは
山村の経済に寄与していかなければならないという使命、またはさらに国土の保全その他国民の福祉の
増進をはかることを旨として
経営していかなければならないというこの
規定は、非常に尊重されていいものだと思うのです。これを制約をするような特別会計法についてはこれを改正する必要があると思いますが、この点についてのお考えを伺っておきたい。