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千葉参考人 ただいま
紹介いただきました
千葉謙介でございます。私は
全国銃砲火薬商工連合会の
理事長をやっております。と同時に、
空気銃あるいはそういうものを使いますところの
射撃、
日本ライフル射撃協会の
常任理事もいたしておりまして、
空気銃の
資料、あるいは
空気銃の使い方ということについては相当
自分でも知っておるつもりでおります。また過去これに対して四十年ぐらい携わっておりますので、
自分の幼少のときからこれをやっておる
関係で、これについてはよく知っていると思います。そういう点から見まして、今度の
狩猟法の
改正は、基本的な考え方に対しては、われわれ
業者もユーザーも、あげてこれに
賛成いたしております。なお、これについ
目的税というものを創設されて、
狩猟行政にその
費用を多く持っていくということについても、これは大
賛成であります。お手元に農林省の
資料がございますけれ
ども、
外国では
狩猟者が納める
税金の七七%から一〇〇%をその
行政に使っておるというのでありますが、
日本では今まで大体一五%くらいしか
狩猟者の納める
税金が
狩猟行政に還元されてなかったという実情でございまして、
狩猟行政の貧困というのはそこから生まれてきているのではないかということが考えられるのであります。
なお、鳥をとるということは魚をつるということと同じでありまして、これをとって売るよりも、これを楽しみにしているということは、
人類の長い歴史でこれを示しております。ですから、
狩猟も魚つりもこれは健全なるレクリエーションと言うことができるわけであります。そして、
日本の
鳥獣が減ったということは確かにそうでありますし、
世界全般にわたるところの
鳥獣の
減少ということも、今
田村さんがおっしゃった通りであります。
人間の文化が進むに従って
野生鳥獣その他が
減少するということは、やむを得ない
現象だと思います。たとえば
マンモスを今まで温存しておったところでも、
世界じゅうで
マンモスを養うだけの食料を与えることができない、そういうような状況で、
人類の発達に伴う自然の
野生物の
減少ということは、どうしてもやむを得ないことじゃないかということが
一つに考えられるのであります。また、この
法律を施行するにあたって、今、案のありますところによりますと、この
野生鳥獣の
保護その他については、
狩猟家の相当な
犠牲というものが払われている。あるいは
税金の面において、あるいは
手続の面において、非常な
犠牲を要求されているのであるます。こうして見ましても、一応とにかく
保護して
狩猟というものを長く楽しもうということについては、その
狩猟用具をつくる
業者としてもこれは大
賛成であります。
しかしながら、これを逐条見ていきますと、多少そこに問題があるのではないかということを考えざるを得ないのであります。
まず第六条の項でございますけれ
ども、
狩猟を
許可される者の年令が、
未成年者とされて二十才の線で切られております。かつては
銃器の
所持は十四才であります。それ以前はこれについては全然規制がなかったのでありますけれ
ども、
昭和三十三年に
銃砲刀剣類の
取り締まり法ができまして、
所持が十四才ということになりまして、使うのは、
空気銃は十八才で使え、
火薬銃は二十才以上ということになっておりましたので、この間のギャップがあったことにいろいろ問題が起こっているのであります。現在
空気銃が非常に悪くいわれている
原因というものは、今までは、持つことは十四才で、使っていいというのが
昭和三十三年から無理やりにこれを二十才に引き上げられてしまったために、その間の者がどこで使うのか。
射撃をしろといいましても、
全国に公認されている
射撃場が、現在三十カ所ぐらいございますけれ
ども、その当時は三カ所か四カ所しかなかった。これでは、持ってよくて使ってはいかぬということになるので、勢い
違法行為になりがちであったわけであります。現在
鳥類に対しては、いわゆる
鳥獣の
保護関係の方は、これは
国民全般の
所有物であるというようなこともいわれておりますが、
法律の中を見ましても、大体
無主物であるというように扱っているように考えられるのであります。たとえば第三条にありますように欄、柵、囲障の中にある鳥に対しては、
銃器を使わなければとってもいいということは、すなわちこれは
無主物であるということを証明しているのではなかろうかと思われるのであります。こうして参りますと持てて使えないということにやはり一番
原因がございますので、今回、
先国会で
銃砲刀剣類等所持取締法で十八才に引き上げられましたので、少なくとも
空気銃だけは、
丙種だけは二十才を十八才にして、
関連法との
統一をはかっていただきたいということをぜひ
お願いしたいと思います。
その次にわれわれ
業者といたしましては、
日本の
空気銃というものはだんだんよくなりまして、
世界に向かって今
輸出の方に向かっているのでありますけれ
ども、これに対して
内需の
確保がないと、どうしても
輸出ということに回りますん。
通産当局の指示を受けておるのでありますけれ
ども、それで
中小企業業種別振興臨時措置法の中の
指定業種になっておりますが、幾らつくってもただ
輸出だけにこれを依存することはできません。
内需の
確保ということは、使う
お客様方によってできるのでございますが、これは
狩猟法で縛られてしまう。しかも今度は、今までもそうでありますが、二十才で
火薬銃と
空気銃が
一つの線に並んでおる。今度は
所持が十八才に上がった。そうすると一体
空気銃はどこに
需要層を見出さなければならないかということになるのであります。
空気銃を使って
狩猟もし、あるいは
射撃もするということも、先ほど申し上げましたように健全なるレクリェーションである。私も長い間これをやっておりまして、また
射撃の面でも指導して参りました。これを正しく持って、正しく使うという、
国民の
順法観念の上からいきましても、どうしてもこの十八才の線は、
所持と使用の線を
統一していただきたいということを特に
お願いいたしたいと思います。なお鳥をとってはいけないという思想になるならば、これはもちろん
かすみ綱であろうと、
火薬銃であろうと、
空気銃であろうと一切のものを禁じるべきであって、許されるならばやはりそこは科学的に裏づけた
性能によって階段をつけるべきではないかと存じます。この点特に十八才の
軍令統一ということを
お願いいたします。
それから次に第四条で、各
府県別に今度は
免許をとることになりましたけれ
ども、これは確かに
県境というものの確認がなかなかできかねるということもございますし、海に向かえば東京湾でも三県にわたるということもございますし、それから
鳥獣、特にイノシシなんかは、
県境で山の方で撃ちますとすぐ他県に移ってしいますし、追って移る場合も、自然に移る場合もあります。これを追っていくということは、とかく
法律を犯しがちになるということもございますので、この点も少し考えていただきたいと存じます。なお、こういうことによって各
県別に
免許をとるために
手続が非常に煩瑣になります。これによって事実上のある種の
狩猟の制限というものがここに行なわれてくるということになるのであります。これはひいては
銃器を製造販売しておりますわれわれ
全国の
業者のいわゆる
生活の問題にまで
影響して参りますので、
幾ら輸出その他のことを考えましても、やはり
内需の
確保という点から、こういうわれわれのつくっておる
最後を取り締まるところの
狩猟法というものに対しては、われわれの
業者という点、
中小企業者の
生活というようなものも考えていただきたいと存じます。
なお、その次の条項に、
狩猟講習会のことが
法律で示されておりますけれ
ども、今まで各県の例を見ますと、
狩猟講習会が三回しか開かれてないというところもたくさんございます。こういう点で、
狩猟講習会というものもできれば、
勤労者が特に
空気銃などは安いので、要するに
費用がかからないという点で
大衆性があり、これをやる
一般大衆に対して
狩猟講習会が受けられるように、なるべくこれを日曜日あるいは休日等の開催とその頻度を増していただきたいと存じます。
なお、今度の各
県別の
狩猟免許については、もし出かけていった本人がとるならば、でき得れば
市町村役場程度で即決して
許可をもらえるか、あるいは
自分の住んでいる
都道府県において他の
都道府県の
免許が下付されるような御
配慮をしていただきたいと存じます。これがスムーズにいきませんと、先ほど申し上げました通り、順番に回って参りまして、われわれ
業者の
生活の問題にまで入ってくるわけでございます。
それから第七条の項の
法律面でございますけれ
ども、われわれは
法律というものはこういうものだということを教わりました。
法律というものは、その
法律の効果の範囲を明確にすることによって、法の及ぶ範囲を限定することにあるというのでありますけれ
ども、この七条を見ますと、非常に広い範囲にわたってこれが運用されるということが考えられます。特にその中に、「
都道府県知事
狩猟免許ヲ為スニ当リテハ、当該
都道府県ノ
区域内ニ於ケル
鳥獣ノ棲息状況」その次に「其ノ他ノ事情ヲ勘案スル」という、「其ノ他」という非常にばく然とした言葉で表現されていることが何であるかということは、われわれ
法律を見てもちょっとわからないのであります。なるべくこれを明確にしていただきまして、なおその次に出てくる「適性」ということも、一体何の適性なのか、
狩猟をなすに肉体的な適性であるのか、精神的な適性であるのか、あるいは
鳥獣に対るす適性なのか、一向これがわからないので、この法文の運用範囲のあまりに広いことについては、はっきりした点を明示していただきたいということでございます。
それからなお、今回の
法律も、審議会を通りましてこの法案となったのでありますけれ
ども、審議会の委員の構成ということについても、われわれ少し異存があるのでございます。私は
空気銃を使って
射撃をする方の
団体の
常任理事もしておりますし、
業者の方の
理事長もいたしておりますけれ
ども、一向審議会の中には
空気銃に明るい方は一人も入っておりません。これを青少年が健全に正しく使って、そうして正しいレクリエーションとスポーツをやるに対して指導したり、あるいはこれに対して思いやりを持つ方が、失礼ですがあまりに少ないのではないかと思われるのであります。この点においても審議会の構成ということを、特に今回の
法律の
改正で第二十条の六、七で、委員の構成は主体が
行政官庁と職員ということになっておりますので、その点をお考え下さいまして、なるべくそういうふうなよくもののわかった者を入れて、そうして子供——子供というよりは青少年の健全な育成の大網の道をあけていただくように、子供の楽しみを奪うことばかり考えないで、楽しみを正しくやれるような道をあけていただくような
方向に導いていただきたいと思います。ついては その審議会のあり方ということについても、われわれはちょっと異存を感じるのであります。
以上が 私が申し上げたいところでありますが、まとめますと、六条の年令の
統一、四条の
免許に対するところの、
免許の性質とこの下付についての
手続の簡素化 それから七条の法文の明確化 それから審議会の構成のあり方ということについて、議員諸先生の慎重なお考えを入れていただきまして、われわれ
業者も立ち、これを正しく使って、そうしてそれらの人が正しい道を歩んでいける、あくまで
法律を守ってこれを持ち、
法律を守ってこれを使うように正しい道をあけていただくことを重ねて
お願いいたしまして私の
意見といたします。