○斎藤(誠)
政府委員 農薬取締法の一部を
改正する
法律案の内容につきまして補足して御説明いたします。
改正の内容の概略につきましては、すでに提案理由で御説明いたした
通りでありますが、詳細につきまして御説明を申し上げますと、その
改正の第一点は、農薬の
範囲を拡大したことでございます。
すなわち、農薬の進歩に伴いまして、近年、野菜、果樹等の成長促進剤、タマネギ等の発芽抑制剤等、農作物等の生理
機能の増進または抑制に用いられる薬剤が相当普及して参りましたが、これらの薬剤につきましても、従来から本法の
対象となっていた防除薬剤と同様に、不良品の出回りを防止し、その品質を維持しまして、農業者が安心して購入できるようにするため、これらの薬剤も農薬として本取締法の
対象とすることにいたしました。
また、近年普及し始めました果樹等の生産に用いられる農薬を塗りまたは含ませた防虫袋につきましても、政令で定めるものにつきましては、同様に農薬として本取締法の
対象とすることにいたしますほか、農作物等を害するウイルスを新たに防除薬剤の使用
対象となる病害虫に加えることといたしました。
改正点の第二といたしましては、水産動植物に有毒な農薬についての登録要件を
整備したことであります。すなわち、従来農業の登録にあたっては、その農薬の水産動植物に対する毒性の程度等は、特別の考慮を必要としないこととなっていたのでありますが、今後は、第二条第二項にございますように、登録申請書に水産動植物に有毒な農薬については、その旨を記載せしめることといたしますとともに、第三条第一項第四号及び第三条第二項にありますように、登録申請があった農薬について、
農林大臣が農業資材審
会議の
意見を聞いて定める
基準に照らし、その
種類の農薬が、相当の普及状態のもとに
一般的に使用されるとした場合に、水産動植物に対する毒性の強さ及びその毒性の持続性から見て、多くの場合、水産動植物の被害が発生し、かつ、その被害が著しいものとなるおそれがあるときは、その農薬の品質を改良すべきことを指示し、一カ月以内に品質の改良をしないときは登録申請を却下し得ることとしたのであります。
改正点の第三といたしましては、登録票の記載事項及び農薬の表示事項を
整備いたし、特に適用病害虫及び使用方法については登録票の記載事項を表示せしめるようにいたしたことであります。
すなわち、農薬に表示される適用病害虫及び使用方法は、その農薬の適正な使用を確保し、使用に伴う被害等を防止する上に重要な
役割を果たすものでありますが、従来その
変更は届出をすれば足りることになっておりましたのを、第二条第三項第三号の
改正によりまして、申請にかかる適用病害虫及び使用方法を登録票の記載事項とし、第七条で表示もこれと一致したものでなければならないことといたすとともに、水産動植物に有毒な農薬についてはその旨を表示せしめることといたしました。
改正点の第四は、指定農薬につき都道府県知事が使用規制の措置をとり得ることといたした点であります。
すなわち、さきに申し上げた第三条第一項第四号によって水産動植物に対して毒性が非常に強い農薬については、登録が受けられないことになったのでありますが、一定の気象条件地理的条件その他の自然的条件のもとで相当広範な
地域にわたる水田においてまとまって使用されることにより、水産動植物に著しい被害を生ずるおそれのある
種類の農薬、たとえばPCPのごとき農薬については、これを登録するも、その使用の区域なり時期について適切な規制を加える必要があると
考えますので、
政府は第十二条の二第一項によりこのような
種類の農薬を指定農薬として政令で指定することとし、この指定農薬につきまして、その使用に伴って水産動植物に著しい被害が生じまたは生ずるおそれのあるときは、第二項にありますように都道府県知事はその指定農薬の使用にかかる利害の調整その他その使用の規制に関し必要とする方策について、農業及び
漁業に関する団体並びに学識経験者の
意見を徴しなければならないものとしました。
この結果、農業者の自主的措置が期待できる場合は、第三項にありますようにその
実施等について必要な指導その他の援助を行ない、その自主的措置が期待できない等の場合には農業及び
漁業に関する団体並びに学識経験者の
意見を聞き、都道府県知事の定める規則をもって、区域及び期間を限り、その指定農薬の使用について農林省令で定める許可
基準に基づいた知事の許可を受けるべき旨を命ずることができるものといたしました。
以上のほか、
農林大臣及び都道府県知事の農薬の使用に伴う被害の防止に関する指導等を第十二条の三に
規定し、農薬販売業者等に対する報告徴取、立ち入り検査等に関する
農林大臣の権限を都道府県知事へ委任する
規定を第十三条第三項として、また指定農薬を定める政令の制定改廃の立案等について農業資材
審議会の
意見を聞くべきことを第十六条としてそれぞれ付加または
改正し、以上の
改正に伴う罰則その他所要の
規定を
整備いたしました
最後に、本法の
改正及び第一条第一項の政令の制定またはその
改正により新たに
農薬取締法の
対象となる農薬につき所要の
経過措置等を講ずることといたしております。
以上、
農薬取締法の一部を
改正する
法律案の補足説明といたします。