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1963-03-07 第43回国会 衆議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月七日(木曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 山中 貞則君    理事 足鹿  覺君 理事 片島  港君    理事 東海林 稔君       安倍晋太郎君    伊藤  幟君       大野 市郎君    亀岡 高夫君       仮谷 忠男君    草野一郎平君       倉成  正君    小枝 一雄君       坂田 英一君    田邊 國雄君       谷垣 專一君    寺島隆太郎君       内藤  隆君    中山 榮一君       野原 正勝君    松本 一郎君       米山 恒治君    石田 宥全君       角屋堅次郎君    栗林 三郎君       栗原 俊夫君    中澤 茂一君       芳賀  貢君    安井 吉典君       湯山  勇君    稲富 稜人君  出席国務大臣         農 林 大 臣 重政 誠之君  出席政府委員         総理府総務長官 徳安 實藏君         農林政務次官  津島 文治君         農林事務官         (農政局長)  齋藤  誠君         農林事務官         (園芸局長)  富谷 彰介君         食糧庁長官   大沢  融君         水産庁長官   庄野一郎君         気象庁長官   和達 清夫君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局参事         官)      玉置 康雄君         大蔵事務官         (国税庁直税部         長)      喜田村健三君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    立川  基君         農林事務官         (農政局参事         官)      小林 誠一君         農 林 技 官         (園芸局園芸課         長)      石井 一雄君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      若江 則忠君         農 林 技 官         (林野庁業務部         長)      若林 正武君         農林事務官         (水産庁参事         官)      橘  武夫君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         漁業振興課長) 森沢 基吉君         自治事務官         (税務局市町         村税課長)  佐々木喜久治君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 三月七日  委員稻村隆一君、野口忠夫君及び安井吉典君辞  任につき、その補欠として石田宥全君芳賀貢  君及び栗原俊夫君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員石田宥全君栗原俊夫君及び芳賀貢君辞任  につき、その補欠として稻村隆一君、安井吉典  君及び野口忠夫君が議長指名委員選任さ  れた。 三月六日  松くい虫防除対策に関する陳情書  (第三〇六号)  農林漁業経営構造改善資金融通制度早期実施  に関する陳情書  (第三〇七号)  農業近代化資金事業費の地方交付税算定繰入れ  に関する陳情書  (第三〇八号)  食肉流通機構整備改善に関する陳情書  (第三〇九号)  単位森林組合専従職員設置費国庫補助に関す  る陳情書  (第三一〇号)  農業構造改善事業費国庫補助増額に関する陳情  書  (第三一一号)  同  (第四一六号)  生産者乳価値下げ反対に関する陳情書  (第三一二号)  同(第三一三  号)  同(第三六七号)  果樹園芸振興に関する陳情書  (第三一四号)  畜産振興に関する陳情書  (第三六六号)  林道網整備拡充に関する陳情書  (第三六八号)  三十九トン型まぐろ漁船大型化特別措置に  関する陳情書(  第四一五号)  外国産果汁の輸入阻止に関する陳情書外一件  (第四一  七号)  砂糖の貿易自由化延期に関する陳情書  (第三七四  号)  同  (第三七五号)  同(第四二  三号)  同(第四二四  号)  用途変更農地を旧地主に返還に関する陳情書  (第四五一号)  農業構造改善事業推進に関する陳情書  (第四八二号)  農業構造改善事業補助率引上げに関する陳情書  (第四八三号)  果樹農業振興対策推進に関する陳情書  (第四八四号)  バナナ等輸入自由化延期に関する陳情書  (第四八五号)  農畜産物価格安定等に関する陳情書  (第四八六号)  農業近代化資金融資条件緩和等に関する陳情  書  (第四八七号)  沿岸漁業振興に関する陳情書  (第四八八号)  農業災害補償制度改正に関する陳情書  (第四八  九号)  市町村が行なう土地改良事業資金融資に関す  る陳情書  (第四九〇号)  豊年リーバ社設立反対に関する陳情書  (第四  九八号) は本委員会に参考送付された。     ―――――――――――――本日の会議に付した案件  漁港法の一部を改正する法律案内閣提出第三  六号)  漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整  備計画変更について承認を求めるの件(内閣  提出承認第一号)  農薬取締法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三〇号)  農林水産業振興に関する件      ――――◇―――――
  2. 長谷川四郎

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  漁港法の一部を改正する法律案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件、右両案を便宜一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。片島港君。
  3. 片島港

    片島委員 漁港法の非常に重要な点について二、三、大臣にお伺いしたいと思うのであります。  御承知のように、漁港法議員立法でできた、しかもまた日本が占領されておるときに議員立法でできたので、各条項にわたって非常に不備欠陥の多い点をわれわれは見出すのであります。ところが、今年より改修事業という新しい事業を始められておりますが、漁港法の第十九条によりますと、国以外の者が漁港修築事業を行なう場合にはこうこう計画を立てて、整備計画にのっとってやれということで、この法律ができて今日まで、この整備計画に基づいて修築事業をやっておったのであります。そのほかに、例外として非常に小規模なものに局部改良事業をやっておったのは御承知通りであります。これは非常に規模の小さいものでありますが、今年から始められる改修事業というのは、その精神において本質的に修築事業と何ら変わらないものであります。そういたしますと、修築事業整備計画の中からどんどんはずしていって改修事業をふくらましていくということになりますと、実際上漁港法は死文化いたしまして、ほんの一部分だけを漁港法規定をして、大半が漁港法によらない改修事業なり局部改良というものに落とされていく可能性が非常に多いのであります。十九条以外の局部改良事業は非常に小規模であったから、これは黙認をしておったわけでありましょうが、改修事業といいますけれども修築事業とほとんど変わらない相当大中規模事業を行なうわけでありますから、この漁港法に違反をするのではないか。こういう大きな事業をやっていくことは、予算措置だけでやることは、漁港法——これは法律でありますから、たとい不備欠陥がありましても法律は守っていかなければならぬのでありますが、第十九条によらないで、どういうところをよりどころとしてやられるのか、あるいは法は全然無視して改修事業というのをやられるのか、その点についてお伺いしたい。
  4. 重政誠之

    重政国務大臣 御承知のように、漁港法によって整備計画を立てて修築事業をやりますものは、八年間にどれだけのものをやるということを具体的にきめられておるわけであります。これはいずれの漁港も重要な漁港であり、そうしてまた大きい漁港であるわけでありますが、それ以下のそれほどまで重要ではない、そうしてまた整備計画に載っておるものより小さいものであって改修をする必要があるというようなものが出てくると私は思うのであります。つまり整備計画漁港以下の漁港で、しかも改修の必要があるといえるものも出てきはしないかと思うわけであります。そういうものを予算的措置によりまして一応救済をしていったらどうかと考えるのであります。御説を拝聴いたしまして一応ごもっともな御説であるとも思うのでありますがここしばらく一つ実施の状況をごらんいただいて、さらにその法律に明定する必要がある。整備計画と全然同一のような漁港で同じようなことをやるというようなケースが非常に多いという場合には、私は整備計画の中に入れるということも考えられるのじゃないかと思うのでありますが、現在のところでは、大体整備計画漁港より一段下漁港で、しかもほうっておけないというようなものを予算的措置によってやっていく、いわば弾力的に漁港改修をやるということが、行政上は実際に合うのではないか、私はこういうふうに考えておる次第であります。
  5. 片島港

    片島委員 従来の整備計画に載らないものということでありますが、今度の第三次整備計画によって、従来の整備計画に載っておったものを改修に回し、局部に回しておるわけであります。整備計画に載らない、そこまでいかないものと言われますが、そこまでいくかいかぬか、今までは改修事業対象となり、このたびの改良事業対象となっておるものまで整備計画に入れておる。この整備計画に入らないものを救済する。そうすれば整備計画に載せるものはこういう基準だ、それ以外のものはこうこうだという何か基準がなければ、法律関係なく大臣一存で、これは整備計画に載らないからといって改修に回し、あるいは局部に回す。そうすれば法律はあってなきがごとき、大臣一存によってどうにでもなるということになるではありませんか。そういう意味で今度の改修事業というのは、非常に多くなればということでありますが、非常に多くの改修事業を三十八年度から計画をされて、資料をいただいておるわけであります。そうすればそこの基準といいますか、あるいは改修事業というものに対して何らかの法的な裏づけを位置づけしておく必要があるのではないか。これはいろいろと私たちも相談をして、どうもおかしいんじゃないかという空気が多いわけであります。これはまだほかにも不備欠陥がありますが、もし改修事業をこれからどんどん拡充されていくとすれば、改修事業については法的な位置づけをする必要があるのではないか、こう考えるのでありますが、いかがでありますか。
  6. 重政誠之

    重政国務大臣 これは農林大臣が勝手にやるというようなつもりではないわけでありまして、改修事業を行なう漁港につきましては、一応の基準を設けて、その基準に当てはまるものについてやっていく、こういうつもりでおるわけであります。  そこで今の御意見のようにそれを法律でやったがいいか悪いか——やるべきではないかという御意見のようでありますが、先ほども申しました通りに一応この予算的措置補助要綱といいますか、基準というようなものを設けて、それによって弾力的に実施していく方が実情に合うようにいくのではないか、こういうふうな考えであります。でありますから実施経過を一応ごらんをいただいて、われわれもその実績を検討しまして、さらに整備計画に加えてこれをふくらますがいいかどうかというようなことも一つその上で考えたい、こういうつもりでおるわけであります。
  7. 片島港

    片島委員 従来整備計画に載っておったものを、このたびの第三次計画で百三十一港という多くの港を改修事業の方に回されておるわけであります。従来整備計画として工事中であったものでありますから、こういうものは法的な裏づけがない。弾力的ではありますが、それが非常に拡充されるものならばいいが、縮むおそれもあり切り捨てらるれおそれさえある。そういうところにわざわざ落とす必要はないのではないかと思うのであります。さらにそれよりもっとひどいのは、従来整備計画に載って工事中のものを、非常に補助率の低い局部改良の方に落としておる。これは御承知のように非常に補助率も悪いわけであります。そればかりでなく、現在整備計画に載って工事中のものもこれから打ち切ってしまう。何らかの方法で局部改良なり改修で救うというならいいですが、整備計画として、堂々と今まで工事をやっておったものも、ここで打ち切るというようなものまであるわけであります。そういたしますと、過渡的にはこういうものを何とか救っていくべきではないか、整備計画の中に入って工事中のものを改修に回し、さらには改良工事に落とし、さらにはまた打ち切るこういったものまであるのでありますが、この点はどう考えますか。
  8. 重政誠之

    重政国務大臣 工事中のものを改修計画の方へ入れるというのは、これは補助率も同様でありまして、これは従前と別に変わりはないわけであります。それで打ち切ると申しますが、これは工事が完了して打ち切る、それから幾らか残っておるのを局部改良の方に持っていくというケースがある、こういう御指摘でありますが、こういうものはほとんど工事ができ上がりまして、残存の部分局部改良でやっていくのが適当であるというようなものについてだけであります。でありますから、工事中のものについても、従前とは変更があるということには大体ならないようにいたしたい、こういうつもりでおります。
  9. 片島港

    片島委員 それは大臣は御存じないのです。私は資料によってずっと内訳もつくりました。それによると、完成したもの二百四十三港、未完成のものが三百六十一港、未完成の中で工事中のものと未着工とあるわけなんです。完成したもののうちの四十九港というのは、局部改良でもない、改修でもない、一応完成したもの、これは完成漁港の二百四十三港の中に入っている。三百六十一港の未完成のものをさらに内訳をとってみますと、改修に回すものと、局部に回すものと、打ち切るものとあるわけです。これは長官の方ではっきりわかっておると思いますが、こういうものまであるわけでありますから、それは誤解のないようにしていただきたいと思います。  さらに、この漁港整備についての補助率の問題でありますが、離島振興法適用地域とか、あるいは北海道といったようなところは、比較的よく見てあるわけでありますが、非常に経済力が弱い第一種漁港あるいは第二種漁港というものの補助率がそのままに放置をされております。こういうところは大したところでないからと言われるかもしれませんが、大したところでないだけに、その地元経済カというものは弱いわけであります。非常に零細な小規模漁業をやって生活を立てておるわけでありまして、経済力が弱いからこそ、むしろそういうところの補助率検討すべきではないかと考えるわけですが、いかがですか。
  10. 重政誠之

    重政国務大臣 これは私どもも、補助率はもう少し引き上げねばならぬという必要性は感じておるわけでありますが、これは公共事業としての一般補助率関係もございますので、なかなか困難な問題であるわけであります。でありますが、私どもとしましてはできるだけ努力をいたして、補助率引ぎ上げをはかりたい、こう考えておるわけであります。三十八年度におきましても、特別な第三種漁港については、御承知通り補助率を五割から六割に引き上げたわけでありますが、できるだけこれは努力をいたしたい、こう考えております。
  11. 片島港

    片島委員 特に局部改良のごときは、三分の一といったように補助率が非常に低いわけであります。局部改良といいましても、何百万円あるいは二千万円くらいまでの規模のものを考えておられるようであります。局部改良だから補助率が少なくてもいいというわけには私は参らぬと思うのです。この局部改良事業についての補助率を特に検討して上げるというお考えはないかどうか。さらに特に機能施設については、輸送施設公共施設用地漁業通信施設、こういったように限定をきれておるわけでありますが、機能施設については、その補助範囲をもっと拡大していく必要があるのではないか、この二点についてお伺いいたします。
  12. 重政誠之

    重政国務大臣 局部改良補助率が低いという御指摘でありますが、これは先ほども申しました通り、私どももできるだけ補助率は引き上げていかしたいという考えを持っておるのでありますけれども港湾施設の場合、他の公共事業との関係がありまして、それらの均衡上の問題がありますので、なかなか思うように現在のところ参っておりません。また補助対象たる施設種類についていろいろ制限があるという御指摘であります。これはその通りでありますが、その拡大につきましては、さらに検討しまして、できるだけその範囲を広げるように努めたい、こう考えております。
  13. 片島港

    片島委員 補助を受けましても、とうてい地元財政力がないために、あと地元負担部分起債に仰ぐという例が多いわけであります。そういう場合に漁港港湾についての起債に対する取り扱いが違っておる。たしか昭和三十三年以降と思いますが、漁港関係事業起債一般単独事業としておるために、起債の時期あるいは事務的に非常に煩瑣な点がある。港湾と同様に一般補助事業として取り扱って、特別のワクを設定することによって起債の額を拡大していくということにすれば、非常に事業もスムーズに進捗すると思うのでありますが、港湾と同様な一般補助事業として取り扱うことはできないものかどうか、その点についてお伺いいたします。
  14. 重政誠之

    重政国務大臣 御指摘の点は、実は努力をいたしておるのでありますが、今日までのところは遺憾ながら御趣旨のようなことになっておりません。今後におきましても港湾の場合と同様の取り扱いをしてもらうようになお努力を続けるつもりでおります。
  15. 片島港

    片島委員 あと一点。これは海上保安庁関係ですが、第一種漁港等の小規模漁港航路標識がなくて非常に不便を感じている、こういう点について関係の当局と何らか話し合いをされておりますかどうか。もう少し促進をしていただく必要があるのではないかと思うのですが、いかがなものですか。
  16. 庄野五一郎

    庄野政府委員 そういう航路標識と航行の安全を期する施設につきましては、海上保安庁ともかねがねから連絡をとり、その施設の万全を期するよう努力しておるのでありますが、何分数も多いことでもありますし、御趣旨にまだ沿っていない点もございますので、今後の問題といたしまして、十分連絡をとりまして施設拡充に努めていきたいと存じております。
  17. 長谷川四郎

    長谷川委員長 以上をもって両件に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  18. 長谷川四郎

    長谷川委員長 両件について別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず漁港法の一部を改正する法律案について採決をいたします。  本案賛成諸君起立を願います。    〔賛成者起立
  19. 長谷川四郎

    長谷川委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。(拍手)  次に漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件について採決いたします。  本件承認するに賛成諸君起立を願います。    〔賛成者起立
  20. 長谷川四郎

    長谷川委員長 起立総員。よって、本件承認することに決しました。(拍手)     —————————————
  21. 長谷川四郎

    長谷川委員長 この際、角屋堅次郎君外二名より、両件にそれぞれ附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  趣旨説明を求めます。角屋堅次郎君。
  22. 角屋堅次郎

    角屋委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党並びに民主社会党を代表いたしまして、ただいま可決されました漁港法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。   漁港法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   水産業近代化を図り、漁業者の所得を増大するうえにおいて、漁業生産基盤たる漁港の果す役割は益益加重されてきているが、漁港制度及び運営の面において改善を要すべき点が少なからず生じていると認められるので、政府は、この際左記事項に留意しつつ漁港法改正するため根本的再検討を行なうべきである。  1 昭和三十八年度から新たに実施せんとする漁港改修事業及び昭和三十年度より実施している局部改良事業については、予算措置のみにより実施することとしているが、これら漁港整備事業はすべて漁港法の裏付けにより実施するものとすること。  2 漁港整備事業の円滑なる実施を図るため、北海道及び離島振興法適用地域以外の地域における第一種漁港及び第二種漁港補助率是正を図ること。  3 漁港種類は、第一種漁港、第二種漁港、第三種漁港特定第三種漁港及び第四種漁港に区分されているが、漁港利用の実態及び漁港の果すべき使命を考慮して適切なる改善を加えること。  4 漁港施設のうち機能の充実を図るため、国の補助対象事業拡充すること。  5 漁港行政重要性にかんがみ、漁港審議会の構成及び運営について拡充強化を図ること。   右決議する。  以上でありますが、本附帯決議案文趣旨につきましては、漁港法の一部改正審議経過において、それぞれ各委員より質疑の中で明らかにされた点でありますが御承知通り現行漁港法昭和二十五年に議員立法として当時の先輩諸君の非常な努力で制定を見たわけでありまして、それ以来十数年を経過しておりますが、この間漁港整備のために本法の果たしてきた役割はきわめて大きいことを高く評価しなければならぬと思うのであります。しかしながら今後の水産業の発展の上から、漁業政策漁港整備の急務を要することは言を待たないのでありまして、そういう水産業伸展と見合う漁港整備という観点と同時に、その後において行政的に実施されて参ります各般の問題を考えて参りますと、この際漁港法については根本的な再検討を要する時期にきておることは明らかでありまして、私ども漁港法一部改正審議の際に、いろいろそれらの問題を討議して参りましたが、なお改正のためには十分慎重に検討すべき点もありますので、今後漁港法の根本的再検討の場合には、五項目にわたってその内容に触れておりますけれども、これらの点を十分考えて、すみやかな機会に根本的な再検討の結果に基づく漁港法改正の実現のために努力していただきたいと思うわけであります。  まず第一の点は、これはもう審議の中でもしばしば指摘された点でありまして、現行漁港法には、漁港修築事業のみ法的根拠を持っておるわけでありますが、昭和三十八年度から実施される漁港改修事業、あるいは昭和三十年度からすでに実施されておる局部改良事業についても、これが法的根拠を与えることは立法機関のわれわれの立場からすれば当然でございまして、これらの問題の総合調和をはかり、今後の伸展に見合う検討の上に立った法的根拠裏づけについて御努力を願いたいと思うわけであります。  第二項の問題は、すでに各委員からもしばしば指摘されました通りでありまして、今日北海道及び離島振興法適用地域以外の地域における経済的基盤の弱い第一種漁港及び第二種漁港補助率四〇%の問題については、これはやはりすみやかな機会是正を要することは言を待たないのでありまして、ことに沿岸漁業構造改善のうち漁場改良造成事業は五〇%補助であって、これと見合う観点からいたしましてもすみやかな機会補助率の引き上げという問題について格段の努力を願いたいと思うわけであります。  なおまた第三項の漁港種類の問題については、これはこの種同種類港湾法との対比の関係等から見ましても、あるいは今日五種類に分けられておる内状が必ずしも今後の漁業政策上実態に合わない点で再検討を要する面もあろうかと思うのでありまして、特に第一種漁港、第二種漁港等の同じ範疇にしてはどうかという問題等も含めて、やはり基幹漁港として考うべきもの、一般漁港として考うべきもの、これら相互の位置づけをしながら、合理的な解決をお願いいたしたい。かように考えておるわけであります。  なおまた第四項の点は、ただいま片島委員からも御指摘があったわけでありますが、特に機能施設の充実をはかることは今後の沿岸漁業等の振興上非常に重要な一部面でありまして、この部面の補助対象事業拡充を積極的に検討願いたいと思うわけであります。  第五の審議会の問題でありますが、御承知通り、今回の改正を通じて、水産庁の長官審議会のメンバーからはずす、従つて一般審議会のメンバーが一名事業上増員になるということになりますが、総数九名でありまして、今後漁業政策と見合う漁港整備という観点からいたしましたならば、この構成の問題についてもさらに増員の方向で検討すると考えるわけであります。なおまた運営の問題についても、漁港整備という観点ばかりでなしに、やはり水産政策全体と結びついた漁港整備とい”観点運営の問題についても十分今日の時代に即応するような拡充強化をお願いしたい、かように考えておるわけであります。  以上のような観点から、漁港法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案を上程しておるわけでありまして、何とぞ満場の御賛成を賜わらんことをお願いいたしたいと思います。  同時に、ただいま御承認をいただきました漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件に対する附帯決議案について、同じく自由民主党、日本社会党民主社会党の三党を代表いたしまして、動議提出いたしたいと思います。  まず、案文を朗読いたします。   漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件に対す附帯決議(案)   政府は、新たに昭和三十年度以降八ケ年を目途として漁港整備することとしているが、漁港整備水産業の発達を図るうえにおいて、極めて重要な役割を有するものであることにかんがみ、左記事項について万全の措置を講ずべきである。    記  1 漁港整備計画の目標期間内の完成を期すること。  2 漁港改修事業及び局部改良事業含めた漁港整備に関する事業全般について、情勢の変化に応じ、事業費及び予算単価の是正等国の予算の確保を図ること。  3 漁港整備に関する事業計画の策定及びこれが実施に当っては、沿岸漁業構造改善事業との調整にいかんなきを期するよう充分なる配慮を加えること。   右決議する。  この附帯決議趣旨はきわめて明瞭でありますけれども、第一項の漁港整備計画の目標期間内の完成の問題でありますが、今回の第三次整備計画を通じて、三百八十の漁港について、予算約一千億円で八カ年で達成を目途といたしておるわけでありますが、第二次整備計画の今日までの実施経過にかんがみても、約七二%の達成率ということでありまして、これらの点からいたしましても、この承認を得ました第三次整備計画については、十分予算的な裏づけをもって目標期間内に完成するように最善の努力を願いたいと思うわけであります。  第二項の漁港改修事業及び局部改良事業を含めた漁港整備に関する事業全般の問題でありますが、申し上げるまでもなく、漁港整備は単に修築事業のみならず、今日新しく昭和三十八年度から改修事業が加わることになりますし、また三十年度から局部改良実施されておるわけでありますから、漁港整備はこれらの三つのものの総合的な推進ということに相なるわけであります。従ってそういう推進の中で、今後の情勢の変化に応じまして、事業費の必要経費の確保、あるいは予算単価の是正の問題についても十分配慮して、全体として漁港整備に万遺憾なきを期してもらいたいという趣旨でございます。  第三項の、漁港整備に関する事業計画の策定及び実施の問題については、御承知通り、今日沿岸漁業構造改善事業がすでに本年度五県について実施をされ、新年度さらに八県が追加をされ、新しく七県が調査県として指定をされる運びに相なっておるわけでありますけれども、これら沿岸漁業構造改善漁港との密接不可分の関係からいたしましても、これらの総合調整、沿岸漁業構造改善の推進と見合う漁港整備の問題について、万遺憾なき配慮を加えてこれが推進をしてもらいたい、こう趣旨でございます。  何とぞ満場の御賛成を得て可決あらんことをお願いいたします。
  23. 長谷川四郎

    長谷川委員長 お諮りをいたします。  角屋君の動議通り両件それぞれ附帯決議を付するに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、動議通り両件にそれぞれ附帯決議を付けることに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。重政農林大臣
  25. 重政誠之

    重政国務大臣 ただいま御決定になりました附帯決議につきまして、第一の漁港法の一部を改正する法律案附帯決議は、いずれも重要なる事項について御指摘になっておるわけであります。私どもといたしましては、それぞれ各方面の御意見も十分に聴取をいたしまして、慎重に検討を加えて、漁港法の根本に触れる改正と相なりますので、そういう手続を経まして慎重に検討いたしていきたい、こういうふうに考えております。  それから第二の整備計画の御承認をいただきます件についての附帯決議につきましては、いずれもこれはできるだけ附帯決議の御趣旨に沿って、これが実現をはかるように努力をいたす所存であります。
  26. 長谷川四郎

    長谷川委員長 なお、両件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  28. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に農林水産業振興に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。栗原俊夫君。
  29. 栗原俊夫

    栗原委員 私は、ある意味ではきわめて地域的な生産物といえるかもしれませんが、コンニャクを生産しております農民が、貿易自由化というムードの中で、外産コンニャク輸入が行なわれるのではないかというような心配から非常に不安の立場に立っておる。こうしたコンニャク生産農民が一日も早く安心して業に努めることができるように、こういう立場に立って、コンニャクの問題について数点の御質問を申し上げ、政府の基本的な考え方を明らかにしていただきたい、かように考えます。  まず第一にお尋ねいたしたいことは、コンニャクというものが食料としては必要食料なのか、あればあった方がいいという趣味嗜好を満たす程度の食料なのか、なくてもよい食料なのか、食料としての必要度の位置づけというものを基本的に伺っておきたい、かように考えます。
  30. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 ただいまのお話でございますが、正面からのお答えにならぬかと存じますけれども、私どもこういうふうに考えております。現在精粉の価格が非常に上がっておりますことは御承知通りであります。もしほんとうになくて済むような商品でございますれば、値が上がれば製品であるコンニャクも姿を消してしまって、その製品の値上がりその他という現実が現われない。ところがそうでなしに、原料が上がりますと、続きまして製品も上がりまして、上がった製品についてもやはり需要がついてくるということでございますので、これはやはり非常に嗜好的な食料かもしれませんけれども、国民の食生活の中に占める位置というものは非常にウエートが大きいものであるというふうに考えております。
  31. 栗原俊夫

    栗原委員 食料としての位置づけ、嗜好的なものではあるけれども、ある意味においてはなくちゃならぬ食料だ、こういう位置づけをしていただきました。  そこで、そうしたものが、日本の独特の食料であるように聞いておるのですが、日本内地においてただいま精粉に換算して年々平厚作でどのくらいの生産高が上がっておるのか、これを一つ明らかにしていただきたい、かように考えます。
  32. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 この生産統計というのは必ずしも正確でございませんので、私どもも非常に困るわけでございますが、県の報告あるいは統計調査部の報告、こういうものを参照いたしますと、大体年間精粉で八万トンから九万トンの間を上下しているというふうに私ども見ております。こまかい数字もございますけれども、端数を申し上げましても、必ずしも正確を期すことができないかと思いますので、大体の概数といたしまして、八万トンないし九万トンというふうに御承知いただきたいと思います。
  33. 栗原俊夫

    栗原委員 年間精紛にして八万ないし九万トン、こういうものが生産されておる。  これに関連して、生産に従事しておる生産農民の数、それからこれを製粉するいわゆる粉屋の数、また粉を食べる段階に持っていく練り屋の数、こういうものが一応おわかりになっておりましたら、一つお示しを願いたいと思います。
  34. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 これは三十六年の農林センサスによりますと、生産農家の数は全国で約十六万戸でございます。このうちで一番多いのが群馬県で二万一千戸、続きまして福岡県で一万戸かような数字になっております。それから加工業者の数は全国で約百八十人、それから製造業者の数が約四千六百人というふうに私ども承知いたしております。
  35. 栗原俊夫

    栗原委員 こういう業態の中で、コンニャクが国民の嗜好食料として、ややなくてはならない必要食料という務めを果たしておるわけですが、先ほどお話もありました通り、昨今粉がかなり高値を呼んでおる、こういうようなことの中で、一方貿易の自由化という姿の中で、これはことによると外産コンニャクが輸入されるのではないか、こういうような心配が多分にあるわけでございますが、外産コンニャクに対する当局の考え方をまず伺いたいと思います。
  36. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 先ほど先生おっしゃいましたように、私ども承知しております限りでは、このコンニャクを食べますのは世界で日本だけのようでございます。従って貿易自由化というお話がございましたけれども、これが商品として生産されるということは外国においてはあり得ないのじゃなかろうか。現在ございますのは、中共あるいはインドネシアにおきまして野生のコンニャクイモを、日本の需要がございますとそれを採集して日本に送ってくるということになっているようでございます。一番近い例では、昭和三十二年に約三百トン足らずのものを輸入いたしました。これはインドネシアから入っておるような次第でございます。
  37. 栗原俊夫

    栗原委員 昨今の相場が高いということで、外産のコンニャクが輸入されるのではないかというような生産農民の心配なのですが、かつて三十二年に三百トン輸入した当時は、内地の相場と、商品でない外国産のものとの値段の格差があまりにあるというようなことで、特殊物資の指定ということで、たまたま輸入をする人たちが莫大な利権的な値ざやを取らないような措置が講ぜられたと記憶しております。先ほど嗜好物ではあるけれどもなくてはならぬというような品物で、そして今日この値が上がったのは品物が足らないからだというような立場に立つと、何とかそれは入れてやらなければならないのではないかというような事情が起こる。こういうことから生産者は生産者として、そういうことになりはせぬかと非常に心配しておるのですが、ただいまの時点において、このコンニャクの粉の高値に対して、外国の品物を入れて高値を何とか押えていくというか緩和するというか、こういうような考え方があるのかないのか。この点を明らかにしていただきたい。
  38. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 御答弁が長くなりますが、御了解いただきます。このコンニャクの粉の輸入の問題は、従来生産者の方からもいろいろやかましい御意見もございます。従って農林省でも、すでにもう数年以前から何とか三者、つまりコンニャクイモの生産者、それから加工業者、製造業者の三者の間が円滑にいくような方法はないものかということであっせんをいたしておったわけでございます。たまたま昨年の七月以来、この三者の協議会というのが非常に話し合いが円滑に進みまして、現在では、ごく最近に三者で財団法人をつくろうではないかという動きまで進みました。この財団法人でどういうことをいたすかと申しますと、コンニャクの安定帯価格式なるものを考えてみたらどうか、つまり値が非常に暴騰暴落いたしますので、下がった場合には、何か最低価格で売買のあっせんをするといったような、保障的な行為ができないものか。それから最高価格をきめておきまして、その最高価格を突破した、あるいは突破するようなおそれがある場合には、外産を入れて国内の需給緩和をする、そして、結局一定の供給量というものを常時確保いたしまして、コンニャクの需要消費というものが、将来だんだん伸びていくということを期待しようじゃないか、こういう動きがございます。従って、私どもは現在の価格というものはちょっと高過ぎるということを、率直に申し上げまして考えております。この協議会ができますれば、さっそく守定帯価格はどの辺がいいかということをお諮りいたしまして、その御答申によっては、御答申と申しますか、協議会の方の結論によりまして、必要があれば輸入するというふうな考え方で参りたいと思っております。
  39. 栗原俊夫

    栗原委員 ただいまお話の中に触れられた、生産者、粉屋、練り屋、三者の協議会というものができる、こういうお話でございましたが、実は、新聞の報ずるところによると、コンニャク事業団が設立されるんだというようなことが報道されておるわけです。これは、今首を曲げておって知らぬのかもしれませんが、新聞では、農林省が企画しているコンニャクの事業団の設立についてさきに同省から設置案の賛否を諮問されていたが、群馬県のコンニャク専門委員会では、条件を付して賛成という答申をして、昨日ある代議士を通じて回答を出したのだと、こう報道されておるわけです。そこで、このコンニャク事業団の設立、農林省が企画してそして諮問をしておる、こういうのですが、この事実はどうなんですか。
  40. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 事業団という格好のものでは考えておりません。それから、農林省がイニシアチブをとってやったかということでございますが、むろんその三者間の連絡協調をうまくやりたいということで、いろいろのあっせんは申し上げましたけれども、農林省がしゃにむに三者をこっちへひっぱっていったというような事実ではなしに、三者の間で円満に話し合いが進んで、こういうふうな格好になって参ったということでございます。
  41. 栗原俊夫

    栗原委員 そうすると、この新聞に報道されておることは間違いである、農林省がイニシアチブをとって、そして諮問したことはない、このようにここで明確にすることができるわけですか。これは一つ御答弁を願いたいと思います。
  42. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 農林省から諮問その他の事実はござまいせん。
  43. 栗原俊夫

    栗原委員 この報道によりますと、法律裏づけもなく、ただこういう報道ですから、ただいまの、農林省がここで答弁されることが間違いない事実だと思いますが、農林省がもしこういうことをやってくれるとすれば、当然事業団法とか、そういう裏づけ法ができて、法律裏づけによって、しっかりした行動の方向をとるべきだ、こう思うわけです。そうすると、この事業団というようなものは、かりにできたとしても、それはどこまでも任意的な民間の団体である、こういう工合に考えていいわけでございますね。
  44. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 最終的には、それは法律によります特別の事業団方式などをとる必要があるかもしれませんけれども、今のところ、私ども考えておりますのは、三者の出資によります財団法人、純然たる民間機関であるというふうに持っていって、それで目的が達し得るのではなかろうかというふうに考えております。
  45. 栗原俊夫

    栗原委員 かりに、この事業団が任意の財団としてでき上がる、しかし先ほど説明のあったように、その仕事の主たるものは価格安定をねらって、下限、上限をきめて、そして買い入れあるいは売り放ち、さらに国内産のもので事足らなければ、ことによると、外産も入れて需給を円滑にする、こういうことまでも指向しておるのだ、こういうふうなお話でございましたが、そういうふうに理解してよろしいんですか。
  46. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 この財団法人が、直接自分で買いに出動する、あるいは自分が直接輸入するというような行為は、独禁法との関係もございまして非常にむずかしい点がございます。従って、私どもでは、要するに安定帯価格のめどをつくるために、三者で協議していただくということ、それから輸入の方は、先生御承知通り、現在外貨割出制になっておりますので、この輸入の決定をいたしますのは農林省でございます。従って、輸入方針その他は農林省がきめるわけでございますが、そういう際に、この三者が、コンニャクに関連する御意見を伺う最も公的な機関であるというふうには考えております。
  47. 栗原俊夫

    栗原委員 私、毎年こういうコンニャク論議をやっておるわけですが、今度も、農林大臣がかわられたので、農林大臣に最後にお聞きしようと思っておったのですけれども、参議院の予算委員会の都合で退席されたので、一つ係から、責任を持って答えられるかどうか。今までの大臣の答えと同じ答えをしていただけるならば間違いないと思うのですが、それはどういうことかと申しますと、コンニャク対策の基本はどこにあるのだ。それは、先ほども言ったように、コンニャクは嗜好を中心とするけれども必要食料である。こういうものの考え方だから、どこまでも消費者中心に対策を持っていかなければならぬのかということと、いま一つは、そうではなくて、コンニャク生産農民の生活を守る方が中心なんだという考え方、この二つが対立すると思うのです。そこで、今までは、コンニャクが高くなれば、嗜好品であるから、あまり高いものは食べなくてもいいじゃないかということで、これは社会問題にまではならない食料である。しかし、一方コンニャク生産農民は、生産物のなまコンニャクの値が下がってくるというと、これは食えなくなる。食えなければほかのものをつくればいいじゃないか、こういう議論も、議論としては成り立つのだけれども、実際にコンニャクづくりの土地というものは、急傾斜、砂礫土、こういうことで、コンニャクが引き合わなければほかのものをつくれといわれても、コンニャク以外はつくれないという立地条件で営農をやっている。こうなると、コンニャクで食えないという条件は、これはコンニャクづくりの農民がえらいことになる。社会問題に発展する条件を持っている。従って、日本のコンニャク対策の基本は、それは十分消費者のことも心配しながらではあるが、基本的には、コンニャクづくりの農民が生きていけるということが大前提にならなければなるまい、こういう議論は全くその通りだ、このように大けです。そうして輸入については先ほども申しました通り、どうも練り屋とか粉屋とか、こういうことの立場でなくて、むろん消費者という立場に立って輸入という問題が起こるのだけれども、しかしそのことが生産者に打撃を与えないように、生産者もよく、そうして消費者もよいという方向をとろうとするならば、やはり輸入の主体というものは、生産減を引き起こしたときに輸入という問題が起こってくるのだから、生産減によって大打撃を受けた生産者を中心に、輸入によって得られるであろう利益も得さしめるというような方向を配慮しながら輸入を考えていく、こういう方向に持っていっていただきたいと思うのですが、こういう基本的な考えに対する当局の御所見を承りたいと思う。
  48. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 最終的には先生も三者で協議していくのがいいのじゃないかというようなお考えのようでございます。私も生産者のみでこういうものをつくりましても必ずしも加工産業あるいは製造業者の方の同意が得られるかどうか、輸入その他の場合に、その時期、方法等につきまして非常に問題が起きる可能性がございますので、三者の協議会という格好で持って参りたいと考えておるわけでございます。その構成の中におきまして、生産者の意向が十分反映いたしますような機構、たとえば執行機関の構成等につきましても、そういう生産者の代表の比率を十分尊重して動かすようにいたしたいと考えているわけでございます。従って輸入によりましてどの程度の利益が出ますか、それも今後の問題になるわけでございますが、三者間で十分話し合いまして、もし三者の協議がととのわない場合にはそういう調整につきましては、農林省といたしまして、ただいま先生の御意見のございました点を十分尊重して対処いたすつもりでございます。  それから先ほど八万トンないし九万トンと生産量を申しまして失礼いたしました。あれはなまイモでございます。粉に換算いたしますと、約一一・二五%ですから九千トンないし一万トンでございます。訂正させていただきます。
  49. 栗原俊夫

    栗原委員 今の答弁の中で、私が三者構成の事業団に賛成というような受け取り方をしておりますが、私はまだ賛成という意向を示しておらぬのです。昨日は中央会から条件賛成というような形で報告があったように新聞報道はされておりますけれども、おそらく続いて生産者はまっこうから反対だといって押しかけてくる危険性が多分にあるのです。私はまだ帰ってみておりませんけれども……。しかも群馬県が、先ほど言う通り十三万のうち二万人、生産はおそらく三割から三割五分くらい群馬がやっておるのだろうと思うのですが、こういう人たちがまっこうから反対の立場をとってくると、実際事業団ができてもこれの運営はなかなか困難じゃないかと思うのです。そうして群馬で三割ないし三割五分のなまイモの生産があり、下仁田で全生産の七割くらい粉にしていると思うのですが、こういうような地帯で、ほんとうに腹の底からそういう事業団をつくることに賛成だという形になってこぬと、これはせっかくできても運営はなかなかうまくいかない。運営がうまくいかないうちに、形式論からいうと、三者協議でできたこういうもので、しかも輸入が必要なんだからといって輸入なんかきせるということになると、ハチの巣をつついたようなとんでもない混乱が起こると思うので、事業団の設立も、もちろん自由意思でやることでありますから、これはつくってはいないとはいえませけんけれども、できてくるその事業団なるものが、ほんとうに三者、特に一番数の多い生産者の側がまとまって事業団をつくるということにまだいっておらぬということを、私はここで十分警告しておきたい、こう思うのです。従って、つくることは、財団法人をつくってやることなんですから、それをやってはいかぬという法律もないのですから、できることはしようがありませんけれども、これの取り扱い方等につきましては、それらの背後にある実態というものを十分把握した上でやっていかぬと間違いが起こる、こういうことを考えて、さらに生産者の実態というものを把握することに万全の策を講じていただきたい、このように考えます。特に外産の問題につきましては、生産を中心に、生産者の生活を守るということに主力を置いて、軽々に輸入問題に踏み切るべきではないということを最後に特に要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  50. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 石田宥全君
  51. 石田宥全

    石田(宥)委員 国税庁の部長さんにお伺いしたいのでありますが、昨年度の農業所得について、特に関東信越国税局では、従来税務署ごとに所得標準を作成しておりましたものを全面的に廃止するという決定のもとに、ずっと準備を怠って参ったのでありますが、昨年本委員会で私が指摘いたしまして、一部は標準をつくっておりますが、一部は、新潟のごときは県内四カ所しかつくっておらないわけです。それがためにいろいろなトラブルを今起こしつつあるわけでありすまが、なるほど農家の中で所得税の対象農家となるべきものはきわめて少なくなったことは事実でございます。しかし税務署の所得標準というものが、国税の徴収のみでなくて、取り入れ方はいろいろございましょうけれども、大体住民税の所得標準に援用される面がきわめて大きいものでありまして、そういう面で影響がきわめて大きいわけでございます。  そこで三十七年度の農家の所得標準をつくるにあたって、全国的に見てはどんな取り扱いをなさっておるか、関東信越国税局のような取り扱いをしておるのは何局くらいあるのか、まずそれを承りたいと思います。
  52. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 お答え申し上げます。  関東信越国税局のように、国において農業標準をつくらずに市町村の方でつくられた標準なんかを参考に国税の課税事務を行なうことにいたしましたのは、関東信越国税局のほかに仙台国税局——全部ではございませんが、仙台国税局だけでございます。
  53. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこでお伺いしたいのでありますが、新潟のように広い県の中で新潟、長岡、高田、それから佐渡の相川の四カ所だけになったわけでありますが、従来税務署ごとに標準が作成される場合には、農業団体、農民団体の意見が相当尊重されまして、地域性、地帯性というものもかなり数字の中に入ってくるわけです。ところが県内で四カ所くらいになりますと、農民の意思、農家の経済の実態というものが、なかなか数字の中に入ってこないおそれがある。こういう点について私どもは、やはり従来のような取り扱いでないと問題があるのではないかということを指摘して参ったのでありますが、そこで標準をおつくりになった税務署では、もちろんある程度の調査をなさったと思います。しかしそれが実は手おくれだったわけです。当初から取りやめる方針であったのだから…。私がこの委員会指摘して、それから準備を始められたわけですから、実は手おくれなんです。ところがそうでないところの地域では、これは全く資料はお持ちにならなかったのか、あるいはおくればせながらでも税務署独自の調査資料があったのかどうか、おつくりになったとすれば、どういう資料をおつくりになったのか、伺ってきたい。
  54. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 税務署において農業標準をつくりません場合には、税務署においていろいろな農家を調査いたしましたその調査事績とか、あるいはそれの作況指数、物価指数なんかを参考にいたしまして、また市町村でおつくりになります農業標準を参考にして個々の納税相談に応じましたり、あるいは申告の審査をするということになります。そのために税務署におきましては、農業標準の作成をいたさないという場合におきましても、幾つかの課税農家につい調査をいたしまして、その調査事績を持っております。それを参考にもいたしておる次第であります。
  55. 石田宥全

    石田(宥)委員 私の知る範囲では、これは税務署では独自の資料をおつくりにならなかったようです。それで住民税の所得標準を、市町村がつくるものを税務署が指導されて、資料は市町村の税務課の資料に基づいて計算をされたと考えるのでありますが、いかがですか。
  56. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 税務署が市町村の農業標準の作成——指導と申されましたが、まあ協力して、お手伝いして、それで市町村の農業標準がつくられたわけでございますが、そのほかに税務署も、先ほど申し上げましたように個々の農家につきましての調査はいたしております。それの資料は持っております。
  57. 石田宥全

    石田(宥)委員 ほんとに持っておるのですか。実は私どもも相当調べておるのですよ。ところが、いいかげんの資料で、たとえば坪刈り調査であるとかあるいは在庫調査であるとかいうことは、私の知る範囲においては一県もやっておらない。どうしてもやったと言い切れるのですか、どうですか。
  58. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 私の承知しております範囲内におきましては、税務署におきまして幾つか調査をやったというふうに聞いております。
  59. 石田宥全

    石田(宥)委員 ですから、さっき私が申しましたように、たとえば新潟県ならば、高田、長岡、新潟、相川は、これはおくればせながら資料をつくった。けれどもその他の税務署ではそれすらもつくらなかったというのが実態なんですから、それはやっぱりお認めになったらどうですか。
  60. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 今御指摘になりました税務署以外におきましては、農業標準といった形の資料はつくっておりませんが、個々の課税農家の幾つかの事績について調査をいたして、その資料だけは持っておるわけであります。
  61. 石田宥全

    石田(宥)委員 それでは課税標準作成の資料とは言えないのです。米価だとか反収だとか物価の趨勢だとか、そういうようなものは、これは机の上でできることです。ある程度それも信憑性はありましょう。しかし農業課税の場合にはやはり個々の農家についての坪刈りなり在庫調査なりというもの、あるいは農協について飼料や肥料の需給の状態というような、具体的な事実の上に立ったものでなければ、これは程度の問題でしょうけれども、さっき申し上げたように趨勢値というような見方とは別なものがしばしば出ておるわけです。ですからそういう厳密な意味における資料はお持ちにならなかったのではないかということを私は指摘しておるので、その点はお認めになったらどうですか。私はそれをどうこうと言うわけじゃないんですから。
  62. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 ただいまの農家の課税事績、あるいは農協の出荷の状況とか、そういったものは、その標準をつくらなかった税務署におきましては標準を作成するために調べたというものではございませんで、もちろん個々の納税者の申告を審理いたします。あるいは相談いたしますその場合にそういった課税資料は参考にはなりますが、それをもととして標準というものは作成いたしておりません。
  63. 石田宥全

    石田(宥)委員 その通りなんですよ。そこでさっき部長は、市町村に対して指導をしていない、協力をしたが指導はしないとおっしゃっておるのですけれども、これは指導と協力とを何もそう区別される必要はないんじゃないかと私は考えておるのです。実はこれはあとで自治省の市町村税課長さんといろいろ議論をしてみたいと思うのでありますが、市町村が所得標準をつくる能力に欠けておるのです。ですから本来ならば市町村がずっと独自に標準もつくり、また農家の指導に当たらなければならぬのだけれども、実は指導能力がないものですから、地方では全部税務署に寄りかかってきた。それで自治省も自信を持たないから、税務署の指導のもとにおやりなさいということをやって、税務署ごとに市町村長の協議会をつくり、県ごとにまた協議会をつくって、資料は市町村の資料に基づいたけれども、その作業については完全に税務署の指導のもとにやったんですよ。私は税務署が一々調査資料がなかったから不届き千万だということを言おうとしてはいないのです。そこでそういう実態をやはりお認めにならなければならないと思うんです、事実はそうなんですから。そこで私は、今度の新潟の場合でも長野の場合でも、とにかく関東信越国税局管内が全部非常に問題なのは、前毎度よりもかなり所得額が上がっておるじゃないか、なるほど米価の上昇分もあるし、また反収も若干上がっておりますから多少の増高をとやかく言うものではございませんが、ちょっとその所得が上がり過ぎておるのではないか、税務署の把握した所得というものが上がり過ぎておるのではないか、こう思うのです。これは新潟だけではございません、関東信越国税局管内全体についてすでに所得が示されておりますから、対前年度でどの程度所得が伸びておることになるかをここで一つお示しを願いたいのです。
  64. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 ただいまお話のありましたように、三十七年産の水稲につきましては、米価は前年に比し相当上がっておりますし、また反収も相当伸びておる。数字で申し上げますと、三十七年の水稲の推定実収高前年対比が——全国の数字を申しておりますが、農林省の資料によりますと約一〇五%になっております。生産者米価は農林省の告示に基づきまして約一一〇%でございますし、また品質の上界、これは三十七年産の政府買い入れ米の検査等級別の比率から推定いたしました品質の上界を加味いたしますと、先ほどの一一〇%とあわせまして米価は前年に対し一一二%ということになっております。従いまして反収の伸びと米価の上昇とあわせまして前年に対しまして収人面で約一七・八%増加する、全国的な計数ではそういった数字になっております。一方経費が若干伸びております。経費の増加を考慮いたしましても、大体所得金額におきまして一反当たり、前年に対しまして、全国いろいろ場所によって差はありますが、大体ならべて見ますと約二〇%程度増加するものと見込まれております。
  65. 石田宥全

    石田(宥)委員 恐縮ですけれども、関信局の各県別に、今度所得標準がどれくらい伸びたかということを一つお示しを願いたいのです。
  66. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 ただいま手元に資料を持って参りませんでしたので、もし御必要ならばあとからお届けいたしたいと思います。
  67. 石田宥全

    石田(宥)委員 じゃあとから一つお示しを願いたいと思います。  今部長さんがお話しになりましたように、実収反収が五%程度伸びて、米価が一〇%伸び、品質の上昇分を合わせて一二%程度で、生産の方は一七、八%の増、こういうこと、ところが必要経費は二〇%も伸びておるわけですね。そうして所得率は政府の統計だとだんだん下がっているんですよ。そうするとこの必要経費が二〇%上がっておる、生産の方は一七・八%しか上がらないとすれば、どうも所得の把握がずっと大幅に伸びるということは考えられない。ところが新潟県の場合は、平均して一五%ほど所得が伸びておるんですね。そうするとどうもそのつじつまが合わなくなるんじゃないですか。
  68. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 先ほど二〇%伸びたと申し上げましたのは、所得が全国平均で大体二〇%伸びたと申し上げたのでございまして、収入が先ほど申しましたように一七、八%程度伸びたのであるが、経費は大体五%程度伸びている。そうすると所得率の関係で、所得にいたしますと二〇%伸びる。所得は収入と経費の差引で出ておりますが、収入が二割伸びて、経費がたとえば五%伸びたという場合には、二十数%伸びるという計数になります。
  69. 石田宥全

    石田(宥)委員 そうするとこれは私は聞き違いじゃないはずです。メモしておるんですが、さっきおっしゃった必要経費が二〇%伸びたということは、言い間違いだったわけですか。
  70. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 私は経費は計数では申しませんで、五%程度なものですから、若干伸びたと申し上げまして、その一結果所得が二〇%伸びたんだ、こう申し上げたつもりでございます。
  71. 石田宥全

    石田(宥)委員 それではあとでまたこれは資料もいただいたり、また関信局にも伺って、どうも納得のいかない点が多いので、別な機会によくお話を申し上げたいと思います。  次に自治省の市町村税課長に伺いたいのであります。先ほどお聞きになっておると思うのでありますが、国税庁の直税部長さんのお話にありましたように、今度の農家の所得標準をつくるにあたっては税務署の指導で市町村が作業をやった、こう私どもは理解をしておるのでありますが自治省の方では住民税、もちろんこれは市町村民税、県民税と、それから国民健康保険税のこれは基礎となるものでありますが、具体的にはどういう御指示と指導をなさったのか、承りたいと思います。
  72. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 農業所得の捕捉の問題につきましては、私どもの方で昨年の夏ごろから、農業所得者で国税の対象になるものが次第に減少する、そういう意味で所得標準の作成を省略するということを特に関宿局方面において検討しておるということもお聞きいたしておりましたので、各国税局の方にもお願いをいたしまして、市町村が今までの国税でやりましたような方式で所得標準を自分でつくれるように指導をしていただきたい、こういうことをお願いいたしまして、特に関信局には非常に協力をいただきまして、各市町村でその標準作成のいろいろな実務についての指導を受けたわけです。それから一方におきまして、市町村が独自で作成をするということになりましても、やはり国税の関係もありますし、それからまた市町村の税務担当者の能力自体が、必ずしもどこの町村でも同じような力があるとも限りませんので、国税との調整も容易なように各税務署単位ぐらいに市町村の税務協議会——これは従来からもいろいろな税の面においてつくられておるわけでありますが、その税務協議会を中心にしてお互いの力を補い合いながら、あるいは資料を交換し合いながら所得標準が作成できますように、こういうことで地区の税務協議会を中心にして作成をしてもらう、こういう方向で指導して参ったわけであります。
  73. 石田宥全

    石田(宥)委員 ただいま課長さんの御説明ですと、三十七年度から関信局が税務署ごとの所得標準をつくらないことになったので、税務署の指導のもとにつくるような態勢を指導し指示した、こうおっしゃるのでありますが、実はこれはあなた当時在任してなかったかもしれませんけれども昭和三十三年か四年か、私ちょっと記憶ありませんけれども、税務署の定めた所得標準をもって市町村民税の所得の標準とすることは妥当でない、適切でない、よって国税庁長官から自治省に対して、税務署の定めた標準をもって直ちに住民税の所得標準とすることは妥当でないという文書が出ておるはずです。ですから、これは当然市町村長の責任において定めらるべきものであって、自治省がこれを指導してこなければならなかったのでありますが、いまだに独自に所得の標準をつくることができないということは、これは自治省の重大な怠慣であり、責任を追及しなければならないと思うのです。関信局は今度は廃止したから、関信局管内は税務署の指導のもとにつくるようになったというが、全国的にはどうなんですか。全国的にはやはり税務署に寄りかかっておるのですか、実態は。どうですか。
  74. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 市町村における住民税の納税義務者の範囲というものが国税に比べますと非常に広いわけであります。そしてまた全国的に見ましても、あるいは時期によりましては廃止する局も出てくるのではないだろうか、こういうことから市町村が自分の力で所得標準を作成し得るような態勢にできるだけ早く持っていきたい、こういうことから関信局のみならず、他の国税局管内におきましても、国税局の方にお願いをいたしまして、手のすいている時期にそうした講習を随時実施をしていただいておる次第でございます。
  75. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは自治省の怠慢もはなはだしいもので、実は税務署の定めた標準を援用することは適切でないという文書を国税庁長官から出してもらったのは、税務署のつくる標準というものは、いわゆる所得税というものの有資格者標準になるのですよ。多少すれすれのところはあるでしょうけれども、所得の高い者であって、所得税の対象になるような階層が対象になるわけですよ。ところが住民税というものはほとんど全体に及ぼすものだから、要するに所得税からいえば失格農家、こういっているわけですが、非常に零細な農家までが対象になるから、おのずから別なものがつくられなければならないのです。ところがいまだにそれをおやりになっておるということは、これは私は実際は了解できないのです。これはこれから御勉強になるということだが、時たま講習会を開くぐらいなことでは片づかない問題ですけれども、とにかくやはり市町村が独自に市町村民の所得というものは一これは昨年度から申告納税にはなっておりますけれども、その申告を指導することができるような資格を持たせなければこの問題は片づかないと思うので、そういう面で一年に一度や二度、ひまなときに講習会をやるぐらいなことで片づく問題でないと思いますが、どうですか。
  76. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 市町村が国税局の指導によって所得標準の作成方法等の講習を受けておるといいますのは、別に国税の使っております数字をそのまま使えということではないのでございます。その市町村の実態に即したように作成するにいたしましても、そうした作成の方法等についていろいろ研究しなければならない、そういう意味におきまして国税のやり方等を講習を受けておるわけでありまして、必ずしも国税の数字そのままを使うのだという意味ではないわけであります。
  77. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは実際はほとんど一致しているのですよ。それをつくる能力のないものが人のまねしてつくって、多少のことを違わせてみたって本筋は変わるものではないのですよ。その点だけをそういつまでも追及しておっても仕方がないが、とにかく独自でやれるようにこれから相当思い切った配慮をしていただきたいと思います。  そこで少し具体的な問題をお尋ねしなければならぬのですが、今度は地方の具体的な実情を申し上げてお尋ねいたしますけれども、今申し上げたように、大体税務署の所得水準と一致するところが多いのです。また一致しなくともほとんど差がない。わずかの差しかない。こういう実情です。そこで私のうちもそうなんですが、私どもの周囲では農家の水稲反当たり所得が大体四千円から四千五百円くらい対前年度比で上がっております。上がった標準を示されたわけです。そこで農民諸君が驚いて市町村に交渉に参りました。ところが市町村の税務当局は、いやそれは自治省から適用米価それからわらの単価、用人費、農薬費というようなものを指示されたので、市町村では動かすことができないのです、こういう返答なんです。同時にまた郡で、税務署管内で協議会があって、そこで隣接町村のバランスの関係で税務署管内の協議会できまっているので、一、二の市町村が動かすことはできませんと、こう言う。そこで今度は税務署ごとの協議会の会長のところに行くと、いやそれは全県的にきまっているので、県の協議会できまったのでここだけでは動かせませんという。一体責任はどこにあるかと言うていくと、それは自治省の指示に待たなければ動かすことはできませんと、こう言う。  そこで私はあなたにお伺いするのでありますが、たとえば適用米価というものは何を基準にして、どういう資料に基づいておきめになったのか、保有米の等級と数量というものはどの程度のパーセンテージをごらんになっておるのか、予約減税というものはどういう、ふうに扱われたのか、その算定の基礎を一つ自治省から承りたいと思うのです。
  78. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 関係当局管内の各市町村の農業所得標準につきまして、私どもの方が参考資料として流しましたものにつきまして、市町村がどういうように受け取られたか、それは市町村で実際やっておられますところを見なければわからないわけでありますが、一応昨年来税務協議会によりましてつくられました資料を私どもが各県を通じましてとりましたもの、それの大体平均的な数値を出しまして、各市町村間あるいは県間の所得の均衡というものを保つ意味におきまして、参考資料として流したものでございまして、特段私どもの方で特定の項目ごとにそれぞれこの値段でなければならぬのだというような数字で出したものではございません。
  79. 石田宥全

    石田(宥)委員 一々その数字についてというお話ですけれども、適用米価というものはどういう基礎に基づいておきめになったのかわからないことないでしょう。裸三等でそうして保有米の比率は幾らで、だから石当たり幾らになる、そして予約減税というものはその中にどう扱ったかという、そういう基本的なことがわからないで、あなたそんなことを指示されたのでは大へんですよ。これはやはり明らかにして下さい。それはあなたの責任です。
  80. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 そうした米価の取り扱いその他につきましては、県の協議会の連合会で、その県における最も平均的なところでとられたもの、さように考えております。
  81. 石田宥全

    石田(宥)委員 どうもあなたは不勉強で困るですね。同じ新潟県で、これは税務署の関係ですけれども、新潟と高田だけでも違うのですよ。相川はまた違うのです。長岡はまた違うのです。どの税務署だって適用米価というものは違うのです。それをそんな県平均などできめられたのではたまったものではないのです。それを今度は、市町村の税金の標準だから、市町村ごとに違わなければならぬのです。だから、あなたが自信を持って市町村に流された数字というものについては、あなたが理解していないでどうするんです。あなたがわからないでおいて地方にまかせたのなら、われわれ地方と交渉しますよ。だから、税務署管内では管内の協議会ができておるから、市町村では動かせないと言うし、税務署管内の協議会の会長のところへ行くと、それは県の協議会できめたんだからここでは動かせないと言うし、そしてその数字は自治省から示された数字だからここで動かせない、こう言うのです。あなたがそういう指示をしないのであって、それぞれこれは市町村の市町村長の権限なんだから市町村長の権限だとはっきりおっしゃれば、われわれ市町村長とはっきり話をつける。あるいは税務署ごとの協議会の責任だというのならそこで話をつける。県の協議会の責任だというのならそこで話をつける。一体どこと話をすればいいのですか。今までのわれわれの交渉経過から見れば、これは自治省の方針を変えない限り、下の方では動かないのです。動かない実情なんです。あなたはどうお考えになっているのです。
  82. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 先ほど申し上げましたのは、県の連合会での平均的なところをとらえてきめていくということは、要するに県全体一本できめるというような意味ではございませんで、やはり県としましては、県の実態から見て、それぞれの協議会ごとのバランスをとりながら、大体連合会の方でこの辺の数字でよろしかろうということで、各税務署協議会の方できめたものを一応妥当なものとして承認をしておるというふうに考えておるわけでございます。ただ、今申されておりますように、この農業所得標準の最終の責任はだれにあるかということになりますと、これは市町村民税の問題でありますので、市町村長が最終的にその責任をとるということになるわけでありますが、ただ現実の問題といたしまして、それぞれの市町村が作成するにあたりましても、隣接市町村との均衡をとり、あるいは県全体としての均衡をとるというような意味におきまして、そうしてまた、お互いの検討の材料も持ち合いながらより適正な標準をつくっていくという意味において、地区の協議会、あるいは県の連合会を結成しているわけであります。ただ、そういう意味におきまして、お互いとの関係、あるいは他の市町村との関係において、その市町村が単独にいろいろな改定ができないということも実情としてはやむを得ないと考えるわけでありますけれども、その責任は最終的には市町村長にとってもらうことになるわけであります。石田(宥)委員 それは法律上市町村長の責任であることは明瞭であります。また、隣接町村あるいは県内の各市町村のバランスをとるようにしなければならぬことも言うまでもございません。ですから、その点は法律で明らかなことでありますから、ここで私はそれを云々するわけではございませんが、たとえば適用米価についての基本をあなたが理解されておらないというようなことは、これは驚くべき無責任な態度と言わなければならない。たとえば、これも自治省から流したと市町村では言っておりますが、わらの値段ですけれども、私どもの地方では一貫目六円が相場なんですね。ところが、自治省が指示したと称せられる数字は一貫目九円七十五銭なんです。ですから、私どもの地方の農民は市町村当局に、ほかへ売れば六円にしか売れないのだが、九円七十五銭に評価するというならば、九円七十五銭でわらをとれ、こういう要求を突きつけているわけです。そういうあなたの話を聞いているというと、全く無責任きわまる話だ。そういうことは指示しないとおっしゃるのですか。そういうことは市町村長の権限だから市町村長が最終的にはきめることだと思うのですが、それはどうなんです。その点、二点、あなたは指示したのか、しないのか。それから市町村長が裁量していいか悪いか。きまり切った話だけれども、明らかにして下さい。
  83. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 各県からとりました資料について平均的な数値を参考資料として流したということは事実でございます。ただこの数字は、それぞれの県下の市町村における数値のいわば平均的なものになりますので、その内容が実態と非常にかけ離れているというようなことになりました場合におきましては、これは市町村長の段階におきまして修正することも必要であろうか、かように考えております。
  84. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは用人費も農薬費もみな指示しているのですね。その平均的なもの、平均的なものと言われるのですけれども、その考えが混乱させていると私は思うのです。農業くらい地域性と地帯性の濃厚なものはないのです。それから、これくらい階層別に非常な相違があるものもございません。ところが、それを平均的にとおっしゃるが、たとえばわらなどは、新潟県あたりでは平均したって九円以上には絶対になりません。これは県内じゃなくて、どうも聞くところによると、埼玉かどこかで畳の裏へ張るむしろの材料ぐらいがそれくらいするのではないか。わら工品というものはもうこのごろはだいぶ値段もよくないし、もなくなっているのですよ。そういう実態に合わないようなことを、平均値をとって指示したなどということは、私はどうしてもこれは納得できない。これは一つ、今申し上げたような地域性、地帯性というものをもっと考慮して再検討されなければならないと思いますが、どうですか。
  85. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 私どもの方で出しておりますものは、これが絶対的な基準として指示したのではございません。従いまして、その資料に基づきまして、市町村が実態に即しておらないというような面がありました場合に、これはその協議会で協議するなりあるいは市町村長の独自の判断でやるなりして、修正することもこれはやむを得ない、かように考えております。
  86. 石田宥全

    石田(宥)委員 やや責任が明確になったようでありますが、これは地方では市町村も実は困り抜いておるわけです。そこで今の御答弁の通りに、標準として一応一つの参考資料として流したものであって、地方の実情に即するように修正してもよろしいということを市町村なりあるいは県段階の協議会なり税務署単位の協議会なりに自治会として何らかの方法でこれを示達するということが、私は緊急を要する必要事だと思いますが、どうでしょう。
  87. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 実は私どもの万も、特に新潟県の市町村における農業関係の団体の方々から、先月の末ごろだったと思いますが、その数字につきましていろいろ疑問を寄せられましたことがございまして、私どもも県の協議会を通じましてこの実情に合うような措置をとるようにということは連絡をいたしております。
  88. 石田宥全

    石田(宥)委員 県の協議会にお示しになっても、県の協議会は実は御承知のように市町村が財源難でありますから、高く見たいのですね。ですから、なかなそかれは末端に下げてこないですよ。先月の末にそういう達しをされてもいまだに市町村は届いていないのです。ですから県の協議会と同時に、やはりその責任者である市町村長に通じないと、あなたの考えておられることが通じないのです。途中で押えられてしまうのですね。ですから、それは県の協議会にお出しになると同時に市町村長に対しても、あなたの先ほど御答弁になったような趣旨をすみやかに周知するように一つ御配慮願いたいと思うのですが、どうですか。
  89. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 私どもの税務に限らないわけでございますが、いろいろな意思の伝達方法は従来からも県を通じまして市町村に流しておるわけでございまして、これが通じないということは考えられません。
  90. 石田宥全

    石田(宥)委員 市町村に対する通知は県庁を通じてということでありますけれども、私は、これは今緊急を要する問題だから直接にもお出しなさいと言っておるわけです。県の当局が握りつぶしてしまえばそれきりになってしまうのです。一体それは確認されましたかどうですか。
  91. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 まだ確認はいたしておりません。
  92. 石田宥全

    石田(宥)委員 確認されなければ、出したも出さないも同じことなんです。末端は混乱しておるのですよ。ことに今の雪でしょう。だから市町村当局が関係農・家を指導するにも指導のしてみようがないのですね。そこへ持ってきて農民は騒いでおる。ところがあなたの方からは県段階までは何か言ってやったけれども、下へは届いていない。だから私はやはり自治省の考え方というものは、市町村長に対してもすみやかに達しを出すべきだと考える。あなたは何もそんなことにこだわらないで、県に出すのは市町村に出して悪いということはないのだから、県に出すこことと同じことを市町村にも出すべきだと思うんです。出して悪いということはないですよ。出して何か悪いということはありますか。
  93. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 私どもの出しました参考資料につきましては、これは当然実態に即した取り扱いがなされるべきものと考えております。そういう意味におきまして県の連合会なりあるいは地区の協議が必要と認める場合において、それぞれの適正なる補正を行なうということは当然考えられるわけでございます。私どもの方で特段に個別に市町村まで通知をしなくともは県の連合会を通じまして、それぞれの地区協議会等に連絡していただければよろしいわけでございまして、すでに県の協議会等におきましていろいろな話し合いも終わっておることでありますし、現在地区協議会あるいは市町村の段階で話し合いが続けられているというふうに私ども理解しております。石田(宥)委員 だから私が繰り返して申し上げるように、県が握りつぶせば困るのではないか。県が握りつぶす可能性もあるのです。市町村長だって握りつぶす可能性がある。所得を高く見ておけば財源が豊富になるからそれは握りつぶしたいでしょう。それをやると、ことに豪雪の中で市町村が指導し切れないといっておるのです。ですからそれは率直に末端まで伝達すべきではないか、どうしあなたはそんなことにこだわるのです。
  94. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 別に私どもの方で市町村の末端まで連絡しないということを申し上げているのではないのでございますが、さらにこれから県の方に連絡をとりまして市町村の方にどういうような伝わり方をしておるかということは確かめてみたい、かように考えております。ただ市町村長が握りつぶすというようなお話でございますが、市町村長が今まで出ました所得標準がこれでいいということになれば、別にこれは補正する必要はないと考えるわけでございますので、これは市町村長の段階は別に問題はないものと考えております。
  95. 石田宥全

    石田(宥)委員 その点は市町村長まで伝わればあとは農民と市町村長の間の話ですから、これは私はそれ以上はこだわらないが、市町村長までは自治省の意思が伝わらなければならないと思う。そこであなたの方で標準米価とか、わらとか用人費とか農薬費というような標準をお示しになっておるわけですが、今はどうもよくおわかりにならぬようですけれども、ここでおわかりになったら一つ説明をしてもらいたいし、もしおわかりにならなければ、これは私どもも十分検討しなければならない問題ですから、あと資料として出して下さい。
  96. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 どの程度の資料の御要求かはっきりいたしませんが、またあとで別に御相談申し上げまして準備いたします。
  97. 石田宥全

    石田(宥)委員 これはことしだけの問題でもございませんし、新潟県だけの問題でもございません。全国的な問題です。どうも最近自治省は農民にまことに意地の悪いことをおやりになっておる。去年は住民税を大幅に引き上げられて、もちろん高額所得者は減税されたのだけれども、低額所得者の住民税は大幅に引き上げられて、人によっては倍以上になっておる。それから今度は、固定資産の評価が之をして、固定資産の評価を三倍くらいにしようということ、その上に農家の反当たりの所得標準というようなものをどんどん上げていかれたならば、日本の農業は立っていかないじゃないですか、税金の面からだけ考えても。自治省というものがもっと農業と農民というものを理解しなければいけない。このような所得標準をつくる場合の適用米価や適用反収やわらの値段や用人費や農薬費などが責任者であるあなたにわからないなどということは、いかに農業と農民に無理解であるかということを暴露するものだと思うのです。これはちゃんとした文書で、どういう指導をしたかというものは、文書をそろえて出して下さい。今だけの問題じゃない。これは全国的な農業と農民に対する政府の基本的な方針との関連もございますから、私はこれを要求しておきます。委員長からも一つ資料提出方をお取り計らいを願います。  そこで、なぜ一体こういう問題が税務署の関係でもあるいは市町村の関係でも問題が起こるかと申しますと、従来のような取り扱い等であれば、税務署ごとに農業団体、農民団体と話し合いがついて、そうしてもうわずかな修正のこともあり、修正しないでもそれで納得できて、申告納税ができるんです。ところが一方的にこうきめられるものだから、農民の意思が反映する機会がないんですね。これは税務署の方は新潟県で四カ所であろうとも、一応それをつくるにあたっては農業団体と農民団体の意思表示の機会が与えられたわけです。ところが市町村の場合は全然無視されておる。そうなるとこれはやはりあとで問題の尾を引くことになります。ですからやはり協議会なり税務署ごとの協議会程度で、農業団体と農民団体と一応話し合いををして、その要望なり基礎的は数字なりを出させて、その上で検討をされるという手続を踏まれなければ、いつまでたっても片づかない問題です。所得税と違って住民税の対象農家は非常に多いのですから、これはもし農業団体や農民団体が納得をいたしませんと、それは非常な混乱を生ずることになりかねないと私は思うのです。ですからこの点についてもやはり自治省として、従来税務署がやってこられたような手続というものを踏むべきではないか、その方が納得をして申告をするということになって、むしろ事務がスムーズにかけるのじゃないかと考えておるわけでございますが、そういうような指導方針をおとりになってはいかがですか。
  98. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 本年の場合には、一応地区の税務化会議において、必要に応じて農民団体との協議を行なうようにということを示達しておるわけでございます。ただ本年の場合には、所得標準を作成いたしました初年度でもございますので、一応そういう方法をとったわけでございますが、将来どういう姿にしていくかということは、さらにここ一、二年の経験を見まして、市町村単位ごとにやらせるのかあるいは地区協議会ごとにやらせるのか、そのいずれが適当であるかということについては、またさらに検討して参りたいと思います。
  99. 石田宥全

    石田(宥)委員 最後に、これは国税庁の方にもお伺いしたいのでありますが、特にことしは裏日本が非常な豪雪でございまして、なかなか三月十五日の所得税の申告が間に合いかねるという実情の地域が非常に多いのです。さきに一月十五日の納期のものを二月二十八日まで延長されて、さらに二十八日に延長をしたものを実情に応じて若干の延長もやむを得ないというふうに、何か提示されたように承っておりますが、同時に三月十五日の申告期限についても、私は裏日本全体とかあるいは豪雪地域の県全体などとは申しませんが、いろいろ実情があると思います。特に長岡地方などはいろいろな面で非常にまだ標準の発表もできないような状態でありますから、問題があろうかと思いますので、やはり三月十五日については相当大幅に延長されなければならないと考えておりますが、国税庁ではどういう方針でお臨みになるおつもりであるか、承りたいと思います。
  100. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 豪雪にりよますところの申告期限なり納期限の延長につきましては、国税庁長官の指定によります一括した延長は、今お話のございましたように二月末ということにいたしまして、それ以後は税務署長の個別の承認による期限の延長を認める、ただしその場合に、税務署長の判断によってそれがまちまちになっては困るということがございますので、地域的に一定の地域につきましては個別申請が出てきた場合には調査も簡単にして、期限の延長を認めるように、そういう指示をいたしまして、それに基づきまして、関東信越の国税局で申しますと、関東信越国税局で幾つかの税務署の管内につきましては、そういった指定をいたしまして、その地域の中におきまては、納税者から個別の申請が出てきた場合には一括して認める、こういう措置をとっております。その期限なんかも署長に、個々の実情によって、それぞれ雪の状況も違いますので、そこの判断は、時期なんかは署長にまかしておりますが、ただいまお話のありました長岡なんかは、たしかそういった地域に入っておると聞いております。
  101. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういたしますと、三月十五日の申告納税の期限は実情に応じて無理のないように税務署長の権限で延期することができるというふうに理解をしてよろしいわけですね。
  102. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 国税通則法の規定によりますと、災害その他やむを得ない事情による場合には、一括の地域指定の期限の延長ないし個別の期限の延長ができる、こういうことになっております。従いまして、今の災害、たとえば雪のために交通が杜絶して申告が非常にむずかしい、そういったような場合には、ただいまお話のありましたように、署長の判断によって申告期限を延ばしてもいい。それでそれをかなり地域的に一括して認めてもいい、こういうことになります。
  103. 石田宥全

    石田(宥)委員 自治省の方にお伺いしますが、先刻来私が申し上げておりますように、ことしの住民税に対する所得申告、三月二十日が法律上の期限になっておるわけでありますが、いろいろお伺いをいたしましたように、本年の実情というものはなかなか容易からぬものがございまして、個々の農家が納得をいたしまして申告をするということについては、所定の期日では相当無理があることは明らかであります。相当の市町村がこの点を強く主張いたしておるのでありますが、こういうものについては、今国税庁の方は、お伺いしたところによると、お聞きの通り若干延長されるということでありますが、自治省の方はいかように御指導になりますか。
  104. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 市町村の実情については市町村長の判断が一番よろしいかと思います。私どもの方におきましても、本年はいろいろな事情がございます。そういう意味で市町村長がその期限を延長しても申告書の受理を行なうということになります場合には、その判断によってよろしいのではないかと考えております。実情から申し上げますならば、おそらく国税の扱いと同様になるのではないかと考えております。
  105. 石田宥全

    石田(宥)委員 国税庁、自治省に対する質問を終わりまして、最後に政務次官にお伺いしますが、ただいまお聞きの通りでございます。そこで国税庁の方は所得税の対象農家の数が激減をいたしておるのでありますが、しかし、やはり先刻お話申し上げたように反当たりの所得が四千円も四千五百円も上がってくることになると、かなり対象農家がふえる。また予約減税がなるようなことがあれば、さらに対象農家もふえるわけでありますから、国税の取り扱いについても問題があります。さらに自治省の関係は、先刻私が申し上げたように住民税の取り扱いの問題、それから固定資産の評価の問題など、農林省関係のものが非常に多いのでありますが、どうもとかく農林省の発言がそういうところに影響を持っていないのではないか。農林省が自治省のきめた通りに、国税庁のきめた通りに、どうも黙認しておるのではないかとすら疑われるような節があるわけであります。この点については、もっと君農業と農民の立場からの主張を自治省に対し、あるいは国税庁に対して積極的にお示しを願いたいのでありますが、一つ所見を承っておきたいと思います。
  106. 津島文治

    ○津島政府委員 先刻からだんだんお話を承っておったのでございますが、農民の経済にとりましては、非常に重大な問題であると思うのであります。しこうして、ただいまも御指摘通り、従来農林省においては国税庁あるいは自治省に対していろいろな点で申し入れることは消極的であったのではないかというようなお話でございますが、その点につきましては、今後さような御心配をかけないように、やはり農民の経済と生活を守るというような立場から積極的に話し合いを持ち出さなければならない、かように考える次第であります。
  107. 石田宥全

    石田(宥)委員 もう一点だけ政務次官にお伺いしますが、固定資産の評価がえについては目下作業中であります。法律については四月に入ってから御検討になるそうでありますが、評価については地方からいろいろ今資料が取りまとめられつつある段階であり、同時に売買実例価格に対して限界収益による修正というようなことが、かなり大きな問題になるわけでありますが、これについては農林省の意見が相当取り入れられなければならないと伺っております。これについては当然農林省の方でも相当積極的な意思表示が行なわれると思いますが、今作業中のことであり、それから法律が四月に入ってから検討をきれるということであるから、物事が定まってしまってからではなかなかこれは変更しにくいのでありまして、作業の半ばにただいま御答弁になりましたような積極的な態度をお示し願いたい。この点を一つ承って、私の質問を終わりたいと思います。
  108. 津島文治

    ○津島政府委員 ただいまのお話は、今回の豪雪等につきましても非常に考えなければならない大きな問題でございます。そういう点からいたしましても、ただいまのお話のありました通り、やはり農林省といたしましては積極的に話し合いをするという態度に出なければならない、かように考えます。    〔委員長退席、足鹿委員長代理着    席〕 問題の点は後ほどまた大臣にも十分にお伝えをいたしたい、かように考える次第であります。
  109. 足鹿覺

    足鹿委員長代理 湯山勇君。
  110. 湯山勇

    ○湯山委員 時間の関係もございますから簡単にお尋ねいたしたいと思います。  それは、農林省の方で奨励して二十カ年計画で一万ヘクタールという計画のもとに紅茶の栽培を進めてこられたと思います。ところがその紅茶の市況が最近非常に悪くなって、生産も低下してきている。そういうことから紅茶生産農民の間に非常な不安が起こっておるし、その指導をどうしたらいいかというようなことで迷っておるようでございます。これについて、紅茶を政府として奨励しておられる県は同県くらいで、どういう県が該当しておるか、まずお知らせ願いたいと思います。
  111. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 ただいまのお話の生産奨励県でございますが、現在の面積が全国で約二千町歩でございます。そのうちで千八百町歩が鹿児島県でございまして、残余の県は今ちょっと手元に資料がございませんのであれでございますが、面積的には大半を鹿児島県が占めておるような状況でございます。
  112. 湯山勇

    ○湯山委員 鹿児島、それから四国の南部も非常に力を入れまして、現在製品も相当いいものができております。私もこれを製造しておるところを視察もしたことがございますが、当初は非常に有望だというのでやっておりましたのが、今の買いたたきと申しますか、そういう状態で、現在では生産を減そうというようなことをやっておるようでございますが、現在、生産はどうなんでしょうか、全体としては上昇しておるのでしょうか、低下しておりますか。
  113. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 三十七年、昨年までは確かに生産は多少ずつ上がって参りました。ところが先行きの見通しがどうも必ずしも芳しくございませんので、生産者の方でいろいろ不安を持っておられるわけでありますし、指導しておられました県当局の方でも、これでいいのかといったような再検討の機運が現在出ているわけでございます。ただ先生おっしゃいました買いたたきの事実は、これは仕上げ茶を幾らで買うかという値段の点は、県当局も中に入りまして、生産者団体それから紅茶の加工業者、これは日東ですとかいったような大手筋のメーカーでございますが、この三者でよく相談いたしておりますので、そういう事実は現在まで出ておらぬというふうに私ども承知いたしております。
  114. 湯山勇

    ○湯山委員 買いたたきというのは、そういう懸念があるということだったかもしれません。そこで私ちょっと紅茶とかコーヒーとかの輸入状況を調べてみたのでございますけれども、コーヒーは三十四年が八百十二万キロ、三十五年が一千七十万キロ、三十六年が一千五百七万キロと、最近五割以上の輸入増加を示しておるようでございます。紅茶は一時低下しておりましたけれども、昨年あたりからまた輸入がふえつつあるような情勢に見られます。数量的には国内産とは問題になりませんけれども、しかしこういう傾向の中で、せっかく奨励してこられた紅茶の先行きがそういう不安になるということはいかにも残念なことで、特に紅茶をやっておる地帯というのは実は他の作物はあまり希望の持てない地域で、たとえばパッション・フルーツとか、あるいは南方ですからパイナップルをやってみたらどうだろうというようなことで、いろいろオランダエンドウなんかもやっておるようでございますが、結局どれも思わしくない。それで結局紅茶に活路を求めてやっておったところが、こういう状態で、先般も若い連中と話しましたところが、結局われわれの地帯は麦とイモをつくるのが一番確かだというようなことで非常に悲観的な話になっておったわけです。これは永年作物であるという関係もありまして、相当政府として見てやらないと、せっかくやり始めた紅茶がひょっとすると全域に近い状態になるのじゃないかということを心配しておりますが、その点についてどのような施策を今後お講じになるか、あるいはもうそれはやむを得ないのだということでお投げになるか、そういう点についてのお考えを伺いたいと思います。
  115. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 紅茶の優良品種に逐次変えていくということは、政府といたしましても従来奨励してやって参っておるわけででございます。ただ増殖の目標面積でございますが、当初立てました一万町歩の増殖目標というのが必ずしもその通り遂行するのが適当ではないんじゃなかろうかといった懸念がございますので、現在再検討に入っているような次第でございます。ただ現在まですでに改植を終えました二千町歩の面積、これにつきましては将来ともこの価格の維持——現在の価格は仕上げ茶で大体一キロ当たりが四百円、昨年、その前までは一キロ当たり五百円でございまたが、これは百円の奨励金がついておったわけでございまして、四百円ということは生産者も納得の上でこういう価格にしているわけでございますが、この価格の維持ということは、私ども今後とも極力努めて参りたいと考えている次第でございます。
  116. 湯山勇

    ○湯山委員 貿易自由化の問題もございますし、それから紅茶というのは、相当品質はいいと思いますけれども、なかなかこれはできにくいというような関係もあると思います。そこで四百円を維持するというお話ですけれども、何かたとえば四百円を切れた場合の価格保障をするとか、裏づけがなければそういう努力をしていただいても、だんだん輸入品に押されるとかいったような関係で、実はいろいろ言い方はあると思いますが、茶をつくっておって、今買わないからやめろと言われたってどうにも仕方がない。五百円が四百円になっても、四百円が三百円になっても急にどうもならないのだということを言っておるのですよ。今の四百円なら四百円というものを維持していくためにはそういう努力を続ける、という言葉は具体的にはどういうことになるわけですか。   〔足鹿委員長代理退席、委員長着   席〕
  117. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 日本でできます紅茶が、輸入いたします一三三八番という紅茶と大体同程度ということになっております。この輸入されました一三三八番の紅茶の価格が今キロ当たりに換算いたしますと四千円でございますので、この価格というのは将来とも変わって参らないのではなかろうかというふうに考えております。  それからなお国内の生産力を上げますためには、たとえばこれはいろいろ問題がございますけれども、従来の手づみを機械づみに変えますとかいったような方法、あるいは肥料の施用方法、これもなかなかむずかしくて、現在はっきりした結論は出ておりませんが、こういったような方法によって生産力を逐次上げていくという方向で考えている次第でございます。  なお御指摘の貿易自由化の問題でございます。これは将来の方向としてはそういうところに進まざるを得ませんけれども、私ども事務当局といたしましては、現在の日本の紅茶がまだ幼木ばかりでございまして競争力がございません。従って競争力がつきますまで何とかその期限を延ばすような方向で努力いたしたいところでございます。
  118. 湯山勇

    ○湯山委員 今紅茶の取引をしておる大きい会社では、森永とかあるいは日東、極東、そういったところかと思います。こういうところに対して農林省の方から積極的に働きかけられて、現在価格は維持するという約束を何らかの形でしてやる必要があるのではないかと思いますが、そういうことを政府がするのがいいのかどうか、これは問題があるかもしれませんけれども、今の状態ではそういうことがなければ来年はさらに生産が低下するという懸念がありますので、どうですか、そういうことはできないものでしょうか。
  119. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 先ほど申し上げました一万町歩の計画の再検討、それから三十八年産の茶の取引の方法等につきまして、実は二月の半ばから数次にわたりましてこれら生産者、生産県、それから加工業者と会合を進めております。従って、先ほど申し上げましたように、四百円の維持ということは農林省といたしましても積極的にこれを説得いたしておるような次第でございます。
  120. 湯山勇

    ○湯山委員 以上で終わります。
  121. 長谷川四郎

    長谷川委員長 午後一時三十分より再開することといたしまして、この際休憩をいたします。   午後零時四十八分休憩      ————◇—————   午後一時四十一分開議
  122. 長谷川四郎

    長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件につい質疑を続行いたします。足鹿覺君。
  123. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、農林年金法の改正の問題につきまして、若干農林当局にお尋ねをいたしたいと思います。  最初に伺いますが、農林年金法が制定されましてからすでに四年になるわけであります。この間、国家公務員共済組合法が農林年金法の制定のすぐあと改正されまして、この法に基づきまして、私立学校教職員共済組合法も改正をされ、また市町村の職員共済組合あるいは公立学校共済組合、警察共済組合等が統合されまして、去年の九月に制定されました地方公務員共済組合法も、全面的に国家公務員共済組合法に準じたものになってきております。他の共済組合が給付水準の一元化の方向に向かって改正されました中で、ひとり農林年金のみが給付水準の面で非常に立ちおくれて不利な状況に置かれておる。従って、これを早急に改正をしてもらいたいという声は、一万四千の団体、三十一万のこの年金加盟の役職員の悲願ともいうべき切実な声でございます。しかるに政府は、今国会においても何ら改正の措置を考えておらないようでありますが、一体どういう方針でおられるのか。この切実な要望を無視しておいでになるのか。その御所見があるならば承りたいし、具体的な対策があるならばこの際明らかにしていただきたいと思います。
  124. 小林誠一

    ○小林説明員 お答えいたします。  先ほどお話がございましたように、各種の公的年金制度改正されたのでございますが、農林年金は御存じのように昭和三十四年から発足いたしまして、現在四年目に入っておるわけでございますけれども、その給付の内容を改善しろという要望がございますことも事実でございます。私どもといたしましては、農林年金が発足しまして以来の昭和三十四年、三十五年、三十六年度の資料を分析いたしまして、給付を改定すればどのくらいの掛金率が上がるかというようなことを検討いたしておるのでございますが、何分、先ほどお話がございましたように、約三十万人以上の雇用からいろいろ計算をするのでございますので、その計算ができましたのは、実は昨年の十一月ごろでございました。その結果に基づきまして、私たちといたしましては、その内容を検討し、どのように改正すればいいかということを鋭意検討いたしておりました。三十九年度の実施を目途といたしまして目下検討している段階でございます。
  125. 足鹿覺

    足鹿委員 これは意外千万な御答弁でございますが、この国会において法案だけでも改正してもらいたいというのが最低限度の関係者の声であることは御存じの通りでございます。金額にいたしましても、現在の状況からいたしますと、政府負担は一億ないし一億五千万程度にすぎないわけでありまして、ほとんどこれは問題になるようなそういう大きな金ではない。他のこの種の組合と比べて著しく給付内容が低いということをお気づきになっておる以上は、これは設立当時の記録をごらんになってもわかるでしょうが、当時私は大蔵委員長をいたしておりまして、この法案の審議に当たり、会期ぎりぎりに成立せしめた経験を持っておるものであります。そのときの衆参両院附帯決議をごらんになれば、何も三年の統計資料を待つまでもなく、給付内容の改善をはかれという附帯決議がつけられておるのであります。従って、三年間の資料が云々というような小林参事官の御答弁でありますが、そんなことは別に問題でございません。事実において、他のこの種のものと比べて給付内容が著しく悪いのでありますから、これを附帯決議趣旨からいいましてもすみやかに検討されて、今国会を待つまでもなく、当然早く御提出になり、それに基づいて所要の予算を確保して、本年度あたりすでに実施を見ておらなければならぬものだと私は考えます。どのような給付内容をお考えになっておるのでありますか。来年度を目途として検討しておるということでありますが、その検討内容というのは一体どういうものでありますか。なぜ三カ年間の資料がなければできないのでありますか。すでに発足のときから給付内容の改善をはかれということは両院の意思であります。行政当局としては、それを具体的に誠意をもって実行なさるのが当然ではございませんか。
  126. 小林誠一

    ○小林説明員 改正の方向といたしましては、私学、国家公務員の改正を参考といたしまして、不利な取り扱いをしないという線で検討をいたしているわけでございます。実は内容といたしまして、いろいろの公的年金があるわけでございますが、その内容を、たとえば年金からどの程度の人が脱退するかという脱退率の問題、あるいは俸給がどのくらいの。パーセント年々上がっていくかといういわゆる俸給指数等につきましては、それぞれの年金によりまして制度の加入者の実態をとらえませんと掛金率等がはじけませんので、従いまして三カ年の実績をとりまして農林年金の実態に合わせた改正をいたしたいということで、三カ年の実績を検討いたしておるわけでございます。
  127. 足鹿覺

    足鹿委員 三カ年の実績云々と言われますけれども、当初からこれは他のこの種のものと比べて条件が悪い、だからすみやかにその給付内容の引き上げを、大蔵委員会においても附帯決議をつけておるのですから、何も三カ年にこだわられることはない。しかも政府は、農業基本法を制定して農林漁業団体に大きな責任を負わせておる。農林漁業が国民経済全体の中で大きな役割を果たしておることは申し上げるまでもありません。またこういう人々をかかえた農林漁業団体でありますから、そこに働いておる役職員というものは、他の国家公務員とか地方公務員に比べますと待遇は必ずしもよくない。従って最近、これは農林漁業団体だけではございませんが、農民も農業から離れていく。また農林漁業団体の役職員も将来の生活に対する不安もありまして転職する者が続出する傾向すら生んでおる。こういう状態にあって、これは三カ年間の資料によらなければならないなどということは、法律にきめたことでも何でもありませんし、何もそういうことにこだわる必要はない。当然政府としては国家公務員並みの給与水準に引き上げることについて具体的な検討をおやりになる責任があると私は思うのであります。そういう意味で申し上げておるのであります。来年度々々々とおっしゃいますが、来年度は厚生年金の改正も行なわれると聞いております。そういたしますならば、厚生年金と同じような給付内容になりますならば、農林年金制度を発足せしめた意義がどこにございましょうか。何も意味ないじゃないですか。そういうことになると私は思うのであります。これから分離して農林年金制度というものを発足さした意味は消えてしまうじゃありませんか。そういう疑念も出てくるわけなんです。三カ年間のデータと言われますが、なぜそれにこだわらなければならないか。もし必要があるならば、やはり過去二カ年なら二カ年の実績をもって改正を行ない、そしてさらに足らざるところは順次直していっても間に合うと思うのであります。本来のこの制度を発足した意義が失われるようなことで検討をなさいましても、それは意味をなさぬのではないかと私は思うのであります。いかがでありますか。
  128. 小林誠一

    ○小林説明員 先ほど足鹿委員からおっしゃいましたように、農協の職員の給与が低くて転職する人がたくさん出ておるということにつきましては、私たちもゆゆしい問題だと考えております。その中で年金制度の給付改善ということがそれを引きとめる一つの方法であるということも同感でございます。私たち実はその資料につきましては、昨年、年金のいわゆる実務担当者等ともいろいろ相談をいたしまして、大数的に考える場合に大体三年くらいの資料が必要じゃなかろうかということで話をいたしまして、昨年の六月ごろからその資料について鋭意まとめておったのでございますけれども、非常に膨大な資料でございまして、まとまりましたのが、先ほど申し上げましたように昨年の暮れ近くなのでございます。従いまして三十八年から実施いたしますにはすでに予算の提出時期も過ぎておりまして、とうてい間に合わないということで、三十九年度から実施するということを目途に検討をいたしていたわけでございます。
  129. 足鹿覺

    足鹿委員 法律改正をなされば、それに所要の国の負担すべき掛金の一部というものは、先ほど私が指摘いたしましたように、現況をもってすれば一億五千万程度のもので足りるわけでありますから、ほんとうに三十万の多数の加入者の意思に沿おうとなさいますならば、方法はありますよ。予算の補正の機会もたびたび出てくるでありましょうし、何もそんな大したことではございますまい。ほんとうにあなた方がこの人々の切なる要望にこたえるお気持がありますならば、これは当然なされなければならぬ。法案だけでもせめてこの国会に出されるのが至当なことではないかと私はさっきから繰り返し申し上げておるのであります。地方の人々は最近特に私どもに電報を盛んに打って、陳情者も続々と上京いたしてきまして、私どもに切なる声をもって立法の要請をいたしております。私はこれらの要請は妥当なる要請だと思います。決して間違った行為ではないと思います。伝え聞くところによりますと、この間ある新聞によりますと、政府は年金法を改正して昭和三十九年度から実施するということについて、全中のこの運動の推進協議会の会長とかをしておられる荷見会長と話し合い、了解を得たと伝えております。荷見会長は本年度提出にこだわらない、三十九年度実施でもいたし方ないというようなことをおっしゃったように新聞紙は報道しておりますが、全中会長とそういう話をなすって了解ずくでこれは延期になったのでありますか、その点を明らかにしていただきたい。
  130. 小林誠一

    ○小林説明員 昭和三十九年度から実施ということにつきましては、当初から了解済みでございます。
  131. 足鹿覺

    足鹿委員 これは意外なお話を私は聞くわけですが、私どもへこの加盟団体の人々が要請しておりますことは、昭和三十八年度から、つまり本年度から出発してもらいたい、改正して不均衝の是正をはかってもらいたいという声なんです。ところがその統率をしておる人と当初から、三十九年度実施だと意見が一致しておるということは、私ども何か割り切れないものを感ずるわけでありますが、それはそれとして、当局としては、あなた方はそういう意見かもしれませんけれども、加盟しておる二万四千の団体と三十一万の役職員は、先ほど申し上げたように切実な声をあげてきておるのでありますから、どうもその辺に意思の統一がはかられておらない点はあるといたしましても、その声にはこたえられる必要があるのではないかと思うのであります。今からでもおそくないと思うんですが、これ以上は事務当局としては御答弁はおそらくできないと思います。従って、これは責任ある政府を代表する人に責任ある御言明をこの際私は承りたいと思いますので、委員長においてしかるべくお取り計らいを願いたい。この状態では質問を進めるわけには参りません。
  132. 齋藤誠

    ○斎藤(誠)政府委員 お答えいたします。  先生の御質問の要旨、あるいは取り違えておるかもしれませんが、御了承願いたいと思います。  農林団体の職員年令法の改正案につきましてどのように政府考えておるか、こういうことでございますが、私の方といたしましては、現在これらにつきまして検討すべき事項をいろいろ検討をいたしておる階段でございまして、大体の考え方といたしましては、三十九年度から実施を目標に次の国会までには提案できるよう準備を取り進めて参りたいということで現在までに至っておるわけでございます。
  133. 足鹿覺

    足鹿委員 斎藤さん、あなたはおくれて来られたので、そういう御答弁なら小林参事官からしばしば聞いておるのです。そうではない。この法案が通過をした三十四年当時、私は法案審議に当たった、その衝に当たった者の一人です。そのときに附帯決議がちゃんとついておる。参議院の農林水産委員会もやっておりますし、衆議院の農林水産委員会におきましても給付内容の改善をはかれ等の附帯決議をちゃんとつけておるのです。ですから、先ほどから申し上げておるように、三カ年間の実績をふまえてその分析をしなければ改正ができないなどという筋合いのものではございません。当初から不十分なことはわかっておる。その間にこの種の組合が次々と改正統合されて、給付内容が著しく向上しておる。いわんや、農業基本法をあなた方は推進する役割を与えておる農林団体に奉職しておる人々の低い給与水準、それに基づくまた他の組合よりも低いこの年金法の矛盾をお考えになるならば、何も法律に三カ年間の統計を基礎にして改正案を検討せよということはいっていないわけでありますし、矛盾したことは頭からわかっておるのでありますから、当然すみやかにおやりになるべき筋合いのものであります。ですから、小林参事官は三カ年間の資料検討しなければいけなかったということを盛んに言われますが、これは根拠になりません。理由になりません。あなた方がやる意思を持っておるならば、少なくとも法案をここでまず通過せしめておいて、予算措置は補正その他の機会で何ぼでもあるわけでありますし、たった一億や一億五千万の国の負担でありますから、やる気ならばやれると思うのです。だから、それをやるということを御言明になってもらいたい。
  134. 齋藤誠

    ○斎藤(誠)政府委員 ただいま御質問になりました年金法におきまする給与の改善の問題につきましては、他のこれに類似する年金の給付内容につきましてもその後において改正されておりますので、農林省としましてもこの面からも十分改善をする必要があろうというふうな考え方に立っておるわけでございますが、三十五年以来実施いたしましてその後における施行の状況、さらにまたこの給付内容を改正いたしますとすれば、年金でありますので、やはり共済理論、保険理論というような見地から、掛金率がどのようになるかとか、あるいはそれに基づく給付率がどうなるかとかいうようなことについても十分検討する必要があるわけでございます。そこでこれらに関する研究、検討資料を農林年金の方におきましてもだんだんと準備を進めて参られたわけでございますが、この法案につきましては、今御指摘もありましたように、予算関係法案でもございまして、予算当時におきまするどのような予算額になるかというようなことの検討をするまでには、その間十分な内容の結論を得ておらなかったわけでございます。そこで三十九年から実施するといたしますれば、次の予算時期に問に合わせるように、またそれまでに十分法案を提案できるようなことになれば、三十九年度を目途としてやることに何らの支障はなかろうということで、団体からもいろいろの要望もありましたけれども、大体そういうような方向でやろうというふうに、現在では至っておるわけでございます。
  135. 足鹿覺

    足鹿委員 押し問答みたいなことになってしまうわけでありますが、あなた方がやらねばならないことを、この農林漁業団体三十一万人に背負わせておるのですよ。たとえば農業協同組合法に基づくものはもちろん、農事組合法人も最近は含むことになっておる。森林法に基づく団体、水産業協同組合法に基づく団体、農業災害補償法に基づくもの、漁船損害補償法に基づくもの、土地改良法、農業委員会法、農業信用基金協会法、開拓融資保証法、中小漁業融資保証法、たばこ耕作組合法、漁業生産調整組合法等、二万四千の、実際農林省の末端における一番あなた方が大事にしていかなければならない人々だけですよ。それを、来年は厚生年金だって給付率を引き上げるべく検討しておるじゃないですか。これと別にこの制度を発足せしめた意義が一体どこにありますか。頭からわかったことであります。ですから、三カ年間の内容を数字的に検討しなければ法案の改正ができないなどということは逃げ口上であります。そういうことは通りません。なるほど現在は、掛金の年間告知額だとか、あるいは年間給付総額だとか、退職年金者の発生の状況だとかいうことは、それは発足当時ですから、わからないことは当然ですよ。だけれども制度自体が著しく他と均衡を失しておるということは間違いないのであります。そんな逃げ口上で、あなた方が末端においては手足のごとく一番大事にしていかなければならない農林省所管のこういう人々を、この不均衡のまままた一年も引きずっていくというようなことは、誠意を疑わざるを得ない。またそういうことを推進運動に当たった全中と話し合いをしておるのだと言うに至っては、言語道断であります。これはあえて、あなた方のことではございませんから、どういう趣旨で、来年でよろしいということを、あなた方の方針を、全中会長が御了承になったかは、別の機会、別の方法で私どもは承ればいいことでありますけれども、どなたがどういう角度から見ても、少なくとも法案だけはこの国会に出す、十分検討すると、大臣とさらに打ち合わせをして、もう一ぺん腹をきめた御答弁を願いたいと思いますが、全く検討の余地はありませんか。
  136. 齋藤誠

    ○斎藤(誠)政府委員 ただいま先生のお話しになりました改正必要性につきましては、私どもの方もそれと何ら異なっている意見を持っているわけではないわけでございまして、いずれにいたしましても、三十九年度に実施するということについては同じ御結論であろうと思いますので、そうであれば今国会に出さなくてもよろしいし、今国会に出す場合におきましては、三十八年度から実施するということであればまた意味もありますけれども、これには当然予算措置を伴いますので、そのような予算を今国会に出すという用意をいたすまでには至らなかった、こういう経緯であるわけでございます。従いまして、今お話しになりましたようなところは、今鋭意検討を進めておるわけでございますけれども、いずれにしても、法案をすぐ出すということにしなくても、三十九年度に間に合うような措置をとりたい、こういう考え方でございます。
  137. 足鹿覺

    足鹿委員 昭和三十八年度から実施をこいねがって、少なくともこの加盟者たちは最小限度の期待をそこにつないでおるわけなんです。その要望にこたえることがどうしてできないのですか。だから、三十九年でいいと私ども考えていないですよ。それはあなた方がそういうふうに考えておられるのであって、また全中の会長がそういうふうに御了承になったことは別個な問題であります。ですから、私は全中のお考えがどうであろうと、少なくともこの団体に加盟しておる人々は、三十八年度にせめて実施する法律案なりと出してもらう、そして自分たちに安心をさしてくれ、こういう最小限度の切なる声であります。先ほど申し上げますように、予算は、法が通るならば、補正その他の機会はまたあるでしょう。ほんとうに与野党が、気の毒な立場にある人だという認識があって、これを救おうとするならば、数十億、数百億の金の問題ではありません。ですから、方法をもってすれば解決がつくではないか、そういう前提に立って御判断になる必要が私はあろうかと申し上げておるのであります。  委員長農政局長の御答弁も、これ以上は政治判断になると思うので、農林大臣またはかわって政務次官から、いわゆる政治的な判断に立った国務大臣としての判断に立った御答弁を願いたいと思いますので、この問題については、質問はこの程度で大臣出席まで留保いたしておきます。
  138. 長谷川四郎

    長谷川委員長 承知いたしました。
  139. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの足鹿委員からの質問に関連して、二、三お尋ねします。  この農林年金法の改正について、たとえば全中の会長と話し合いをして三十九年度でいいと言ったというのは、これは法律の提案を三十九年度でよろしいと言ったのか、制度改正についてはこの国会において改正をして、その改正実施については三十九年度において予算を確保して実行するように、そういう二段階でやることについては同意する、そういうことであったのか。この点を明らかにしてもらいたい。
  140. 齋藤誠

    ○斎藤(誠)政府委員 農林年金の方からは、実施を三十九年度にぜひしてもらいたい、なお、これに関連して、法案は早くから出してもらいたいという御要望のあったことは事実でございます。ただ農林省としては、三十九年度からで間に合うと思うので、また予算を伴う法案でもあるから、今国会に出すことはむずかしい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  141. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、先ほど小林さんの言われたのは、これはもう全中の荷見会長と事前に完全に了解ができて、明年度の国会において法案の提案をされることでよろしい、こういう了解があったということを小林参事官は先ほど言われたわけで、その点は斎藤さんの答弁と少し違うんじゃないですか。
  142. 齋藤誠

    ○斎藤(誠)政府委員 今私が申し上げた通りでございます。
  143. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたが言った通りだと言ったって、小林さんの答弁をあなた聞いてないでしょう。小林参事官から答弁して下さい。
  144. 小林誠一

    ○小林説明員 ただいま局長がおっしゃる通りでございまして、私は三十九年度から実施するということについてと申し上げたはずでございます。
  145. 芳賀貢

    芳賀委員 そうであれば足鹿委員指摘した通り、たとえば予算確保の事情等もあって、三十八年度で予算の確保が行なわれておらないという場合であっても、法律改正は、これはできるんですね。法律が通れば予算というものはそれについてくることは言うまでもないことだが、また改正のその実施の時期等についても、法律改正は今国会で行なって、実施については三十九年四月からなら四月からだ、そういう改正の方法もあるわけですね。そうじゃないですか。だからそうであれば、一体荷見老人は法律を来年でいいと言ったのか。法律については今国会で改正してもらいたい、実施については予算措置が間に合わないとすれば、これは三十九年四月からの実施でもやむを得ない、そういうことであったのか。その辺を明確にする必要があるんじゃないですか。その点がわかれば、それじゃ法律をすぐ改正しますよという作業に入れるんですよ。そこを明確にして下さい。
  146. 齋藤誠

    ○斎藤(誠)政府委員 先ほど申し上げましたように、農林年金の方からは早く法案の改正の準備をしてもらうし、早く提案するような方法をとってもらいたいという御希望のあったことは、申し上げた通りであります。しかし、繰り返して申し上げますように、来年度にわたる予算につきましては、次年度以降においても財政負担を伴うものでございますので、農林省としましては予算を伴う法案としてはもうすでに打ち切っております。打ち切っておると言うと語弊がありますが、当初から予定いたしておりませんものですから、とうてい困難である、こういうことを終始申し上げておるわけであります。
  147. 芳賀貢

    芳賀委員 これは年金に加盟しておる農林漁業団体が非常に弱腰だから、最初から法律だけ通して、実施は来年でもいい、そういう態度で出発しておるから、農林省もいいことにして、それじゃ実施が来年であれば来年法律を出してもいいじゃないかということで説得したわけですか。
  148. 齋藤誠

    ○斎藤(誠)政府委員 いずれにいたしましても改正するという意図におきましては、農林省といたしましてもそのように考えておりますので、今回に出すことは諸般の事情からむずかしいということだけを申し上げておるわけであります。
  149. 芳賀貢

    芳賀委員 これは関連ですからあまり長く質問しませんが、それではこの改正についての作業というものは、農林省においてどの程度具体的に進んでおるか。たとえば基本的には公的年金のその内容に準じた改正を進めるという原則は、すでにきまっておるかどうか、あるいはその実際の具体的な給与の改定とか退職給付であるとか、あるいは死亡による給付であるとか、一時年金であるとか、こういうようなそれぞれの給付内容等の改正についても、現在どの程度まで具体的な作業が進んでおるか。これは大筋だけでいいですから、特にその原則規定というものをどういうように改めるかですね。
  150. 齋藤誠

    ○斎藤(誠)政府委員 年金の主要な改正は給付内容になろうかと思いますが、国家公務員の共済組合、あるいは地方公務員の共済組合、あるいは私学の共済組合、その後におきまして年金法が制定されまして以来、今申し上げたような年金も改正されておるわけでございます。  そこで、それらの年金の改正の主要な点につきまして、今回の農林年金につきましても検討を進めるということにいたしておりまして、今申し上げましたように給付内容であるとか、あるいは最高給付率の問題であるとか、あるいは算定する場合の期間の問題であるとか、またその期間についての具体的な数字もある程度今取りまとめ中でありますので、そういったもので一体掛金率がどのように変わってくるかということにつきまして検討を進めておるわけでございます。
  151. 芳賀貢

    芳賀委員 それで改正の基本は公的年金に準じた改正をやるということ、これを原則にして具体的な給付とか年限、これらのすべての個々にわたる内容の改正については、やはり基本線に沿ってそれに準じたあくまで改正を貫く、この点が明らかになればきょうここで質問をやめておきたいと思いますが、この点だけ明らかにしてもらわぬと、どういう改正をやるんだか、何を考えて作業しておるか、これはわからぬということになりますから、この点だけ確認の意味で斎藤さんからはっきり一つ…。
  152. 齋藤誠

    ○斎藤(誠)政府委員 ただいま申し上げましたように、国家公務員とかあるいは地方公務員とかあるいは私学共済とか、これらの年金の改正点につきまして、同時に現行の年金法の内容を改正する必要があろうかどうかということにつきまして検討いたしておる次第でございます。
  153. 長谷川四郎

    長谷川委員長 稲富君。
  154. 稲富稜人

    ○稲富委員 お尋ねしたいと思いますことは、実は先般予算委員会の分科会におきまして、甘味資源対策としての暖地ビート対策について農林大臣に質問いたしておったのでありますけれども、答弁が不十分であるし、非常に時期が迫まりますので、具体的な問題について二、三お尋ねしたいと思うのであります。  それで最初にお尋ねしたいと思いますことは、てん菜生産振興臨時措置法の問題でございますが、これは昨年の国会におきまして、昨年の三月三十一日までがその施行期日であったのを、一年間延長の改正をなされました。その当時、この臨時措置法の改正の内容に対しましてはもっと検討する必要があるんじゃないかということを、われわれは強く希望として言ったのでございますが、それに対して政府検討するんだ、こういうことだった。ところが現在の措置法は、御承知通り三月三十一日で期限が切れるわけなんです。政府はまだこれに対して法案を提出になっていないが、どういうような考えであるのか、今から出して三月三十一日の実施までの期限をどうするつもりであるのか、この点を冒頭に聞いておきたいと思います。
  155. 大沢融

    ○大沢(融)政府委員 今おっしゃられたように、昨年今の法律の単純延長を一年いたしました。いろいろ問題がございますが、ことに暖地ビートはどういうふうに農業経営の中に取り入れて育成をはかるかということについては非常に問題がございます。イタリアに調査団が派遣されるというようなこともあったわけであります。そういうようなことをやりながら、私どもビート——ビートに限らず、さらに奄美大島のカンシャですとか、あるいはイモ澱粉からとれるブドウ糖、こういうようないわゆる甘味資源につきまして総合的に施策はいかにあるべきかということを検討して参っておりまして、せっかくただいま法案を準備しております。なおしばらく政府部内あるいは与党方面との意見調整ということもございますので、間もなく法案の形で御審議をお願いできるのじゃないかというふうに思っております。
  156. 稲富稜人

    ○稲富委員 長官御存じの通り、この法案の効力は三月三十一日でございますよ。今与党との間に意見の調整をやっているという御答弁でございますが、三月三十一日までにすでにこれを国会に提出してあなたの方はこれは通さなくちゃいけない。通るものだと見くびっておるかもしれぬけれども、あまりにもこれに対する考え方が怠慢ではないかと思う。そこで、この振興法を改正する機会に内容等の改正までも具体的にやろうというお考えであるかどうか、こういう点がありましたらこ  の点もあわせてお尋ねしたいと思うのです。
  157. 大沢融

    ○大沢(融)政府委員 私どもが今検討しております法案の内容につきましては、ただいま申し上げましたように、各政府部内あるいは与党との間でいろいろ意見調整がございますので、内容をまだここで申し上げることは無意味じゃないかと思いますが、今までありました振興法を全面的に検討をいたしまして、先ほど申し上げましたように単に寒地のてん菜というようなことじゃなく、暖地の問題も、あるいは奄美大島のカンシャの問題も、あるいはブドウ糖の問題も含めて新しい制度考えていきたいというふうに検討を続けておるわけでございます。
  158. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、この臨時措置法が三月三十一日で期限が切れた場合は、その後の空間はどうするつもりなのですか。これに対する処置を伺いたい。
  159. 大沢融

    ○大沢(融)政府委員 御承知のように、今の法律は三月三十一日に期限がきて切れるわけでございますから、それは期限が切れるすき間のないように次の制度に移るということが最も望ましいと思いますので、そういうふうになるべくいたしたいということでせっかく努力中でございます。国会の御審議というようなことの期間もございますので、あるいは多少法律が切れて穴があくということがあるかもしれませんけれども、ことしとれたてん菜からの砂糖というものは、三月三十一日に切れる法律で処置のつく問題でありますし、これから植えるてん菜は新しい制度ができれば多小間があいてもそれで処置ができるということになろうかと思います。しかし間があかないように一生懸命努力をしたい、こういうふうに思っております。
  160. 稲富稜人

    ○稲富委員 これはあなた方が法の取り扱いというものを非常に軽視しているというそしりを免れないと私は思うのです。現に私はこの間暖地ビートに対する政府のもっとも積極的な指導対策というものを要望いたしましたけれども、それに対する農林大臣の答弁は非常にあいまいであって、暖地ビートに対する方針さえも具体的にきまっていないというような答弁だったのです。現に、すでに暖地ビートを栽培している地方におきましては、今日その去就に迷っておるというような状態なんです。こういうような状態に置くということは、決してビート栽培の農民に対して親切なゆえんじゃないわけなんです。しかも、すでに三月三十一日にこの法が切れるということをあなたはわかっておるはずなんです。しかも昨年これを一年間延期する場合にも、中には二年間延期したらどうかという意見もあった。ところが政府は、これに対しては十分検討して来年度には間に合うようにするからというので一年延期にとった。すでにこの三月三十一日というのはその当時からの約束なんですよ。しかも今日まで、この三月三十一日までで期限が切れるこの法案を国会に提出されていない。出したならば簡単に片づくのだということを考えていらっしゃるかもしれませんけれども、これは法の取り扱い方を非常に軽視しているのじゃないかと私は思うのです。さらに基本的な問題は、暖地ビートに対する政府の方針がきまっていないということも大きな原因じゃないかと思うのですが、こういうことは、すでに時期がきておる各地方の奨励地域におきましては、農民から県当局に対して、今年度暖地ビートに対してはどういう対策をやるべきであるか、ビートの栽培にはどういうふうに指導するかということを言われて、非常に地方は困っているというような実情にあるわけです。そういうような実情があるにかかわらず政府の方針はきまらず、しかも期限がきたこの法律改正にも政府は今日も取り組んでいないということは非常に怠慢である。話を聞くと、与党との間に話を進めておると言われるけれども、前からこういうことはやっておかなければいけないわけです。ことにここに来て、あと二十日間しかありません。この空間ができるかもわからない。こういうようなあいまいな法の処置をやられるということは非常に怠慢であると思うのですが、これはどういうようなお考えを持っておられるか、念を押して聞いておきたいと思うのです。
  161. 大沢融

    ○大沢(融)政府委員 今までの法律制度から新しい制度に切りかえていく点について、スムーズにすき間なくつながっていくということが一番望ましいと思います。この点については先ほど申し上げた通りでございますが、確かに今まだ法案が国会に提案されていないという点については、先生おっしゃるようにお前怠慢じゃないかという御批判を受ければ、私、法案を提案してないのですから何とも申し上げようございませんけれども、私自身、あるいは私どもと申しますか、そういう不工合なことがないように全力をあげて今やっておるということだけは申し上げて御了解を願いたい、こう思います。
  162. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは、いつごろ提出される予定でございますか、見通しを承りたい。
  163. 大沢融

    ○大沢(融)政府委員 実は、ただいまも与党の方の政調でこの問題の審議をしていただいているわけであります。そういうことで、早く意見調整をしてできるだけ早く提案したい。あすになるかあさってになるか、あるいは十日後になるかというようなことは、今ちょっとここでは申しかねると思いますが、できるだけ早く提案いたしたい、こういうふうに思っております。
  164. 稲富稜人

    ○稲富委員 そういうような考え方は非常に間違っているんじゃないですか。与党の政調会にお話しになっておる。内容いかんによっては委員会で相当審議しなければいかない。われわれもこれに対しては意見があります。しかもあと三月三十一日までには二十日間しかないのですよ。その与党との話しさえできたら、こちらの方で論議しなくてもスムーズに両院を通そうというような考えであるとするならば、これは明らかに国会軽視であると言わなければならないと思う。失効期日がはっきり指定されておるのでありまして、こういう問題につきましてはもっと真剣に取り扱い方を考えなければいかぬじゃないか。ただ法案を出してこの会期中に通りさえすればいいというものじゃない。継続審議に持っていかなければならない案件もありますから、そういうような答弁では私たちは納得いかないのです。どういうような進行状態にあるか、いつごろこの法案を提出されるのか、いつまでにはこの法案を審議するのか、もしも三十一日までにできなかった場合には、その空間はどういう処置をとるのであるか、こういう点もあらかじめ計画の中に入れておかなければ、これからそごを来たす問題が出てくると思うのですが、そういうことに対する考え方は、当事者である長官としてどうお考えになっておるか承りたい。
  165. 大沢融

    ○大沢(融)政府委員 私ども法案を出します場合には、政府部内あるいは与党の間でいろいろ検討を重ねて、これでいいのだというところで初めて提案をいたすのでありまして、提案をいたしましたら、国会で慎重に、しかしすみやかに御審議をいただくということは、先生おっしゃる通りでございまして、先ほど申し上げましたように、提案の時期がいつになるかということは、もうしばらく待ちませんと、いついつということをちょっと申し上げかねると思います。間に空間ができたということを予想いたしましても先ほど申し上げたようなことでございますので、しかしそういうことがないように最善の努力を私いたしておるつもりでございますので、御了解願いたいと思います。
  166. 稲富稜人

    ○稲富委員 さらに、そういうような政府の法改正に対する対策等がおくれておるということが大きな原因である一つは、暖地ビートの生産地において、御承知通り従来の工場の閉鎖という問題が起こってくる、こういうような問題から、せっかく生産意欲に燃えておったこの生産農民の中に不安を生じている。その結果は、先刻私が申し上げましたように、ビート栽培に対してはどういうような方策をとるべきかということが、指定地域の県当局に問い合せがあった。にもかかわらず、県としてもこれに対する方針がきまっていない。どうも政府もきまっていないから県もきまっていない、農民は路頭に迷っているという状態なんだ。それだから、これに対してはつまびらかに政府としての方針を樹立する必要があると私は思う。このことを委員会におきまして農林大臣に質問いたしましたところが、農林大臣もこれは積極的に進めるわけにいかないので、どうやっていいかわからないというような一これは速記録もあるのでございますが、はっきり答弁がないのですよ。こういうことでは、ますます農民の生産意欲を鈍らし、大きな問題が起こってくるのではないか。ことに、一方では砂糖の自由化なんかの問題も起こってきておりますので、なおさら不安を来たす。こういうような状態に置いておっていいのか。いかにも、政府はこのビート栽培に対しては手をこまぬいて成り行きほうだいであって、そのうち、農民がやめたらそれでいいんだ、やる者はやっても仕方がないのだ、こういうようなあいまいな態度をとっているのじゃないかとさえ考えられるわけでありますが、これに対して、この衝に当たっているあなたとしてどういうお考えを持っておるか、承りたいと思う。
  167. 大沢融

    ○大沢(融)政府委員 生産の問題ですから園芸局長からお答え願った方がいいと思いますけれども、御承知のように、暖地のビート、ことに大分あたりは工場を閉鎮しなければならぬという事態にも至っていることは、今御指摘通りでございますけれども、私どもといたしましては、農民のつくったビートが立ちぐされになるというようなことはいたしたくないということで、ことしはいろいろな手を尽くしまして、岡山に集中してここで処理をするということをやっております。今後も適地において暖地ビートの生産を大いにやっていくという方針は、これはもう変わりのないことでございますが、そうしてつくられましたものは、ことしもやりましたようなことで積極的に処理をしていくということで、農民が適地につくられるということはもう当然のことですし、政府としても大いに奨励をしていく、奨励してきたものは処理に困るようなことのないように手当をしていきたいということで私ども対処して参りたい、こう思っております。
  168. 稲富稜人

    ○稲富委員 問題は、生産されたビートをどう吸収するかということが大きな問題なんです。その点から、先刻申し上げましたように工場閉鎖等の問題が農民に大きなショックを与えておるわけです。  そこでこの際、私は特に長官に伺いたいと思いますのは、今後この工場に対しても、やはりビートの振興対策、ビートの奨励をやると同時に、工場設置に対しても政府はもっと積極的な考えを持って臨むべきではないか。単に民間だけにまかしておくのではなくして、やはり政府がみずから積極的な工場対策、こういうことをやるべきではないか、あるいはてん菜振興会等にさらにこの事業を広め、あるいはこれが工場事業までも、製造事業までも行ない得るような、こういうふうな積極性を持たした、生産者と工場とがもっと安心してその経営を営めるような、こういう状態に持っていくことが非常に必要ではないか。私は、今度の工場閉鎖等の問題から農民のショックが大きいからそういうことを考えたのですが、こういうことに対して、法の改正等もありますならば、政府はどういうようなお考えを持たれるか、この機会に承っておきたい。
  169. 大沢融

    ○大沢(融)政府委員 ビートを処理する工場ができますのは、やはりある一つの工場がうまく動くためには、それだけの生産がまとまって上がってこないとなかなかむずかしい、そういう意味で適地に生産を振興して、たとえば一工場十五万トンとか二十万トン集まり得るというような場合に工場が設立されてしかるべきだ、こういうふうに思います。そういう意味で、そういう工場を建てるかどうかというようなことは、国が承認するというような制度が必要になってくるんじゃないかと思います。そういうことの検討をいたしております。  さらに、今、暖地の問題ですが、大分あるいは岡山に工場があるわけですが、今後暖地ビートの適地は南九州じゃなかろうかというようなお話でございますけれども、そういうところに振興するというときには、今まであった施設も有効適切に利用をしてそこのビートの処理をするということを研究していかなければならない、こういうふうに思っております。
  170. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいま長官から、新しい工場設置が南九州等に必要である、こういうようなお言葉でございます。私たちもそれは必要じゃないかと思うのでございますが、その工場設置に対してまたいろいろ意見が分かれて調整がつかないでおる実情であるということも聞いておるのでございますが、工場設置に対しては、ほんとうに生産地と直結した適地を選んで、かりそめにも工場誘致等に対していろいろな政党的な利権が動いたりするような、そういうことに対しては、十分なる態度をとらなくちゃいけないと思うのであります。私は南九州に工場設置の計画があるということもうすうす聞いております。ところがこの工場設置の問題に対してまたいろいろ意見がまちまちになっておるということを聞くのでございますが、これは遺憾なことだと思うのでございます。これに対して政府はどういうような処置をとろうと思われておりますか。
  171. 大沢融

    ○大沢(融)政府委員 南九州で工場を設置するというような場合は、一つの工場を建ててそれがうまく操業ができるという量のビートの生産が行なわれるという確実な見通しがついたときだと思うのでございますけれども、そこにどういうふうにというようなことで何かいろいろうわさがあるというお話でありますが、私どもそういうものを考える場合には、筋を通して物事は処理していかなければならない。どういううわさか、あれですが、筋を通した形で処置をして参りたい、こう思っております。
  172. 稲富稜人

    ○稲富委員 それから、一番重大なことは、ビートの生産ができて工場ができるのだ、こういうようなお考えのようでありますが、これは生産と工場設置というものは相対的なものであって、工場がないのにビートの奨励だけやったところで、なかなか植付はできるものではない。やはり工場があってこそ、あの工場に持っていけるのだということで農民は安心して生産に熱情を持つわけなんです。この点は双方相待ってやるべきなんで、その地方に生産が非常に上がってきたから工場を設置しようとかそういうようなことでは、私は工場設置が後手になるのではないかと思う。ほんとうに政府が生産に対する意欲を持つとするならば、このビートの生産に対して積極的な指導をやると同時に、やはり安心して持ち運びのできるような工場設置に対しても、政府が十分なる援助処置をやって、しかる後に工場と生産とが両々相待って健全なるビート生産ができるということでなければならないと私は思う。ただ工場の設置が受け身であって、生産を上げて、その生産地となってから工場をつくるのだということでは私はいけないと思う。現に北海道のビートを最初に奨励する場合には、やはり政府が積極的な工場設置をやって、しかる後にこれを民間に移したというような事例もある。この点政府としても、工場設置に対してのもっと積極的な熱意といいますか、そういうような方策をとろうという意思はこの際ないのであるか、この点を一つ政府にとくと承りたいと思います。
  173. 大沢融

    ○大沢(融)政府委員 工場が先か農民のビート生産が先か、ちょっと鶏と卵みたいな話になるのですけれども、やはりすっかり十分なビート生産が上がったということ、そういうときでなければ、工場は建てるべきでないというような考え方じゃないわけです。確実にそういう生産が上がるだろうというような見通しを立てて工場も建て、工場を建てることによって生産も興るというようなことでやっていかなければならない、こう思います。建てた初めはなかなかうまくいかないというようなことで、従来も北海道では創業一、二年の間は特別な値段で生産したビートを買っているというようなことをやっておりますが、そういうようなことを研究して参らなければいけない、こういうふうに思っております。
  174. 稲富稜人

    ○稲富委員 その考え方はだれも一緒なんですが、両々相待っていかなければならない。ところが、現在九州においてはそういう工場が閉鎖したというような具体的な問題がある。それが非常にビート生産に対する農民の不安となってきておるわけです。それでやはりそういう点を勘案して工場設置に対しても政府は積極的にやるべきじゃないか。そうして両々相待ってビートの生産に当たらなければならない。このビートの問題はすでに、私が申すまでもなく、酪農その他と関連した今日の農業としては大きな、農業経済をよくする問題として取り扱われておるわけなんです。それでどうかそういう点に対して十分考えてもらいたい。さらにまたこの問題についてはいろいろ聞きたいこともありますけれども、私が足鹿委員からもらいました時間が制限されておりますので、いずれ他の機会にこの問題は具体的にお尋ねしたいと思うのでございますが、要は今ちょうどビート栽培をどうするか農家が計画をしなければいけない時期に迫っておりますので、この機会一つ農林省として政府としてのビート対策というものをはっきりきめて、そしてこれが栽培地域に対する指導あるいは振興対策というものを具体的に今日につくる必要に迫られているのではないか。この期間に政府が放任しておるということはいけないのだ、しかも法の改正等もやらないで、これをながめているということは、非常に農民に不安を与えておるから、これに対する政府の措置をどうするかどいうことを、結論として、私はビート栽培農民が安心するようなこういう方策に対する政府考え方を最後に承りまして、私の質問を終わりたいと思うのです。
  175. 大沢融

    ○大沢(融)政府委員 適地でビート生産をいたします農民に御迷惑がかからないように、十分一つ注意をして一生懸命やりたい、こう思っております。
  176. 稲富稜人

    ○稲富委員 今かからないように十分措置をとっておると言うが、現在もうかがっておるのですよ。ほうっておるから、それで農民が非常に迷っておる。迷惑のかからないような方針をとっておるとおっしゃるが、すでにかかっているから私は聞いておるのです。そういうことでは農民は納得しないですよ。あなたはかからないように思っているかもしれませんが、ほうっておるから、かかっているのです。あなた方はあまりこれに対する積極性がないわけです。十分一つこの態勢は考えて、そういうような農民にはひしひしと迫った今日の問題でございますから、ただ国会でその場のがれの答弁じゃなくして、農民が納得し得るような、生産意欲が阻害されないような、こういうような方策を具体的に立てていただきたいということを、私は重ねて申し上げておきたいと思います。
  177. 足鹿覺

    足鹿委員 徳安総務長官がおいでになっておるようでありますので、私は過般の豪雪被害対策について長官御所管の問題に質問を限定いたしましてお尋ねをいたします。  第一に、政府は去る四日豪雪非常災害対策本部の会議を開いて、被害の総括と、これが対策を協議したと伝えられておりますが、豪雪による被害の総括はどの程度の数字が出ましたか。また特に農林水産関係の被害についてはどのような数字が出ておりますかをあわせてお聞かせ願いたいと思います。     〔委員長退席、丹羽(兵)委員長    代理着席〕
  178. 徳安實藏

    徳安政府委員 御説の通り、四日の日に対策本部の会議を開きまして、各省から各省関係の被害状況の総締めを承ったのでございますが、できることならば先月の末ぐらいを一つの切りといたしまして、各省で取り調べられた金額等を承りたいと思いまして、用意をお願いしたわけでございましたけれども、まだ各府県ともに十分の調査が進んでいないそうでありまして、やや見当のついたものもございますが、まだ大部分ははっきりいたしておりません、それでなるべくすみやかに調査をして御報告を願うようにお願いはいたしてございますが、当日は全部の被害に対する総くるめができませんでした。まことに残念だったと思いますが、事態やむを得なかったと思います。  今農林関係ということでございますが、農林関係は、農林省の方から係官も見えておるようでございますから、そちらの方から御説明をいただくことの方が正確であろうかと思いますので、数字的なことは、そちらの方から御説明をいただくようにいたしたいと思います。ただこれが激甚災害とどういう関係があるかという問題につきまして、これが一番大きな関心事になっておるわけでございますが、当日の報告によりますれば、天災融資関係は、これは今度の豪雪を激甚災害に指定いたしました場合には、当然これはかかるということは、常識上今出ております金額ではっきりしておるようでございますが、その他の被害につきましては、今申しましたように、まだ中途でありますし、また雪も消えていないので、雪が消えるに従って被害も相当出てくるのじゃないかという関係もございまして、はっきり激甚災害の方の適用を受けるに至るやいなやについてはまだ見通しがつかない状況でございます。その個々の情勢につきましては、農林関係の方は農林省の方から答弁いたしていただくことにいたします。
  179. 津島文治

    ○津島政府委員 農林省関係の被害でございますが、施設関係におきましては、三十五億八千五百四十二万八千円、それから農林水産物関係におきましては二百五十三億四千五百万円という数字になっておりますが、これはまだふえて参るというふうにも考えられるのでございます。
  180. 足鹿覺

    足鹿委員 政府がお調べになった詳細を承りたいのでありますが、残念ながらまだ正確なものが出ておらないのです。ただいま総務長官のお話によりますと、全国の報告がまとまらないということでございますが、しかしこれはある程度、長官が今御答弁になったように、二月末なら二月末あるいは三月の何日なら何日を期して、大体一区切りをつけて、そうしてそこで激甚法の指定をするかしないか、その基準を緩和すべきがすべからざるかというような判断をつけるべき段階がきておると思うのであります。いたずらに威勢のいい現地調査のみをやって、一番肝心な最後の締めくくりが、時日の遷延するにつれまして雪は消え、人間は忘れっぽいものでありますから、だんだんとその被害のことも薄らいでいく、そういう時期になって対策を打ち出されましても、世論にはあまりぴんとこないようになる。やはり鉄は熱しておるうちに鍛えなければならぬのでありまして、そういう点についてはすみやかに期日を切って、長官みずからも今申されましたように、今後敏速な対策を、数字を根拠とした一つの推定を加味してもけっこうですから、おやりになる必要があるのではないかと思います。  そこで、今農林省のおっしゃいました数字によりますと、大体三百億ですね。ところが、これは私ども今朝手に入れたのでありますが、積寒地帯対策協議会が三月一日現在における全国二十府県の農林水産被害についての調査——次官も総務長官も一緒に朝の会合においでになった、あの資料によりますと、四百九十四億二千八百万円となっておるのであります。あまりにも著しい差ではないかと思う。これはけさの資料にちゃんとあります。これは三月一日付の調べ書となっておりますけれども、各県の調査の日はまちまちでありますが、大体二月の中旬ごろでつらを合わしているようであります。四百九十四億、つまり五百億になんなんとしておる。今の次官の御答弁によりますと三百億、約二百億の開きがあります。これは迅速をたっとぶ災害対策としては一この間の災害対策特別委員会においても、私は農林省に対して不満の意を表明し、迅速、的確な対策の樹立を要請いたしました。長い御質問を申し上げましたが、いまだにこういう体たらくでは困るのであります。このように、ある一つ資料とこんなに開くものかどうか、ここら辺に非常に対策に対する基本的な数字の開きがあることが、農林省をして遅疑逡巡せしめておるのではないか、そういうふうにも思われるのであります。こういう点について今後被害は増大する見込みだという次官の御答弁であり、総務長官の御答弁でもありましたが、今私どもが手にしておりますこの積寒地帯対策協議会が出しておる農林水産物被害というもの、これには施設が幾ら、農林水産物が幾らということは記載してありませんが、二百億からの開きが出るということは、いやしくもこれは地方公共団体が報告した数字である、農林省といえども地方公共団体の数字を基礎としておやりになっておると思うのでありますが、なぜこういう大きい開きが出るのでありますか、その点が私にはわかりませんので、御説明を願いたいと思います。
  181. 津島文治

    ○津島政府委員 ただいま御指摘になりました農林省の調査と、きょう都道府県の議長会議において出されましたその調べとは非常に違うというのでございますが、そのうちの一番の違いは農作物に対する被害の問題だろうと思うのであります。農林省においてはこの農作物の被害を、当面の被害というふうに見ておるのでありますが、議長会議のお調べは今後何年間にわたるその被害というものも見ておるのではないか、かように考えまして、そこで著しく開いておるのではないかと考える次第であります。
  182. 足鹿覺

    足鹿委員 それは次官、あなたの御答弁は独断過ぎやしませんか。これは土木関係から始まって八つの各所管事項にわたって二十府県内外のもののトータルなんですよ。各府県別の内訳も全部出ておるのです。長きにわたる被害を入れておるのだという御答弁、われわれのは当面のだ、こういうことじゃなくして一ではあなた方が今出された三百億と、この二十府県にわたる四百九十四億、約五百億ですね、これとはそう大した違ったものではないという御判断に立たれますか、それとも相当開きがあるという御判断でありますか。私が聞かんとするのは——都道府県知事が責任を持って上げてきたものは、あなた方にもやはり重大な資料だろうと思うのです。資料の出どころに二つはないと私は思うのであります。とするならば、こういう資料を使って次の的確な対策を講じていくことが問題を処理していく根本の立場ではないか、それが狂っておったら、天災法の発動も激甚地の基準緩和の問題も問題になりません。雪のさなかに河野大臣が長ぐつをはいてジャンパーを着て現地に乗り込んで、不安な人心をおさめられたということは認めますが、あとで一番肝心な、激甚地指定を受けて九割の補助をもらって、公共用施設から農地、農業用施設、共同施設に至るまで、これを雪害から復旧してやるというしりが結べない限り、この災害対策は肝心なところでしりが抜けてしまう、こういうふうに私ども考える。基準の緩和といい、天災法の発動といい、また基準の適用の緩和といい、この被害の総括に大きな食い違いがあったならば、正しい結論は出ない、対策も出てこない、こういうふうに私は思いますので、著しくこれは間違ったものだ、農林省はとうていそういう数字は考え及ばぬとお考えになるのでありますか。そういたしますと、いつごろになったら農林省としては重大な激甚地の問題等を発動していくか——現在の法律で定められた昭和三十七年十月十日の激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律施行令、この政令四百三号の基準を緩和し、またこれに新しい基準を加えるとか、そういう問題も出てこぬのであります。この間の災害対策委員会でも河野大臣は、法律は直せなくてもやることはやったじゃないか、これからもそれでいいじゃないか、こういう軽いお気持で与党の代表質問に対処しておられる。そういうことでは災害対策のしりを結んだということになりません。聞くところによると、非常災害対策本部も解体またはほとんど解体にひとしい状態になっているということも聞いておるのであります。なるほど非常対策としては緊急対策本部の縮小なり解散ということはやむを得ぬにいたしましても、災害対策というものはこれからもっと実のある災害対策を広げていくのがほんとうの趣旨ではないかと思うのであります。どうも災害対策特別委員会ができましてから、事農林の問題につきましても深く突っ込んでいこうと思いましても、担当範囲が広範でありますために堀り下げることができません。どうしても不徹底な対策に終わらざるを得ないことになりはしないかということをわれわれは心配しておるのであります。そういう点で、本日もこの問題を専門に取り上げる機会をわれわれは持ったわけでありますので、重要な点でありますから、押してこの点をお尋ねいたします。
  183. 津島文治

    ○津島政府委員 お答え申し上げます。  先刻私が申し上げたことは、少しく言葉足らずのようでございます。農林省と都道府県との調査の違いは、おそらく施設関係においてはそんなに違いがないと私は考えます。しかしその開きが非常に多くなったのは、農作物の被害の関係でございまして、何も私ども農林省の方は正しくて、そちらの方は信憑性に欠けている、こういう意味では決してないのであります。その都道府県議長会議の方のお調べもやはり十分尊重して、これを突き合わせて参らなければならないというふうに考えておるのであります。
  184. 足鹿覺

    足鹿委員 徳安総務長官にお伺いいたしますが、今朝の積寒地帯対策協議会のこの資料によりますと、二十府県の総トータルで千三百八十七億二千五百万円の被害総額を示しております。これは非常に大きな被害であろうと思います。特に農作物被害等については、今後まだまだ被害はふえていくことは確実であります。といたしますと、この際、先ほど私がちょっと触れましたが、去る四日に第六回の非常対策本部の会議で総括を行ない、対策を協議したといわれますが、農林関係は天災融資法の適用を決定し、同法の適用を受ける被害物には激甚災害援助法の適用を行なう旨を決定したと新聞は伝えておりますが、さようでございますか。まだほかにおもなる対策をおきめになったことは、どういうことをおきめになりましたか、それを明らかにしていただきたい。
  185. 徳安實藏

    徳安政府委員 災害に対しまして、いろいろと御意見を承り、また早く根本策を示せという御要望もごもっともだと思います。私もほんとうにあせっているのでありますが、役所の仕事はやはり正確をたっとばれます関係上、日にちを切りましても、その期間に出てこないような状態もございまして、これはその数字によりまして非常に大きな影響が生ずるものでございますから、慎重の上にも慎重という役所の従来の行き方そのものもまた私どもはたっとばなければならぬと考えております。しかしできるだけすみやかにということで、始終お願いをしておるわけでございます。  それで今朝いただきました都道府県議長さんの御調製によります書類も私は拝見いたしまして、即刻事務局の方に回しまして、何ゆえにこういう点について大きな隔たりがあるのか、またすでに府県では、ずっと前から自分の県はこれだけの被害があるということを示しておるわけでございますが、中央調査ではまだそうしたものも示すことのできない状態でございますので、その間のいきさつ等について至急取り調べてもらうように指示はいたしておきました。損害の点を要約して考えてみますと、政府筋で調査いたしました金額と市町村あるいは県等で調査されました金額の大きな差異の生じております理由は、農業関係は農林省が出ておられますから、そちらから御説明いただきますが、かりに一例を中小企業の問題にいたしましても、政府の方では直接損害のみを拾い上げまして、それが現在法の適用を受けるものとして被害額を出しておるのでありますが、府県や市町村にいきますと間接被害等もその中に入れられて、そうして、商売を休んだから、あるいは会社が休業したから、あるいは滞貨を生じたからこの被害はこうだという間接被害が非常に大きな金額のウエートを占めておるのであります。こういう点が総締めいたしましたときに、どの県の損害は幾らという総締めの金額に大きな相遠がある原因ではなかろうかと考えております。しかしそういう点についても納得のいくように、つまびらかにしていただくように各省にお願いしてございます。  なお四日の会議でございますが、先ほど申しましたように、各省から金額まで示していただくことを望みましたが、それはわずかな役所からの数字は拝見しましたけれども、これとて最後の案ではございませんでした。同時に今日までとりました方針、やり方、施設のとりました処置等の説明を聞きまして、さらに今後に残された問題はこれこれであるというような問題点を聞いたわけでございます。これには御承知のように今度の雪害では激甚法等にも予想しなかったものもございまして、法の解釈等にも異論のあるものもございますし、あるいは別途考慮すべきであるというものもございます。そういうものを取り上げて最後の決定をせねばならぬと考えておりますので、そういうものを私の方で取り上げて、今選択しているわけであります。同時に本部長があの災害の当時出張しまして、目のあたりその実情を見て参りました。その後自衛隊の出動なりあらゆる手を打ちまして、相当に施策したわけでございますから、その結果をぜひ見たい、そうして少なくとも第一回に指定しました主要な県の代表の方々にお集まり、願いまして、そうしてやり方がよかったか悪かったか、そういう点についてもお聞きをしたい、また残っている問題はどういう問題かということも聞いていきたい、そうして持って帰られましたら、もうすでに事務的な段階を過ぎているものもございますので、政治的に解決すべきものもあろうかと思いますので、これらは関係の閣僚諸君とも御相談をし、あるいはまた防災会議にかけます前の各関係の閣僚の御相談にもかけまして、なるべくすみやかに実態に即するように処置をしまして、この非常対策本部としては一応のけりをつけて、次に今度は激甚災害の適用を受ける準備、つまり防災会議に移して、そこで処置をはかっていこうという考え方でございまして、そういう点を申し合わせて散会したわけであります。
  186. 足鹿覺

    足鹿委員 その経緯はわかりましたが、先ほど私がお尋ねしました農林関係には天災融資法の適用を決定し、同法の適用を受ける被害物には激甚災害援助法の適用を行なう旨決定したと伝えておりますが、それは事実かどうか、この点御答弁願いたい。
  187. 徳安實藏

    徳安政府委員 激甚災害に指定しますためには、一応総理大臣から防災会議にかけて政令で指定することになります。でありますから、手続としましては、これ一つだけをやるということもいかがかと考えますので、まだその手続はとっておりませんが、現在出ております数字、つまり第八条の適用については、全国被害が七十億以上過ぎますれば、現在内規にしている激甚災害の基準額以上に達しますので、現在もうすでにずっとこえているようでありますので、もうこれは問題なかろうということで、これは既定の事実、間違いないのだということを話し合っておるという行き方でございまして、他のものもできるだけすみやかにこうした数字を出しまして、そうして大よそ基準を超過するようなものがございましたら、それも一緒に加えまして、そうして総理に報告しまして、防災会議に諮問をしてもらうというような順序にいたしたいと考えております。
  188. 足鹿覺

    足鹿委員 どうもちょっとまだはっきりいたしませんが、もう少し具体的にお尋ねをいたします。  この間の会議においては、三十七年十月十日の政令第四百三号の問題についてこれを緩和するというようなお話し合いは出ませんでしたか。たとえば昨年の十二月七日の第二回中央防災会議決定のこの政令に基づく指定基準規模が明らかにされております。つまり二つの基本的な考え方がありまして、激甚災害を全国的な規模の大災害、A基準と、比較的規模が小さく、地的なものではあるが、きわめて深度の大きい災害、B基準との二局面でとらえるとともに、従来の災害特例法による実績を下回ることのないよう考慮しようというのが、この第二回防災会議の激甚災害指定基準の全文の中のおもなる条項と承知いたしておりますが、あなた方はこのたびの災害はA基準でいかれようとするのか、B基準で事足りると御判断になったのでありますか、どちらを適用なさろうという御相談でございましたか。
  189. 徳安實藏

    徳安政府委員 いずれによりましても、とにかく指定できるならば局地的でも指定したい。しかし、今度の雪害は全国的な雪害でございますから、大きな網を全国的にかけることが適用を受けられる数を多くすることにもなろう、こう考えておりますから、一応今の方針はそうでございますが、しかしそれでははずれる、しかし局部的にやれば入るのだというものがございましたら、それは拾って参りたいと思います。
  190. 足鹿覺

    足鹿委員 いや、このたびの災害を、一つの縦分けはA基準に該当する災害と認めれば、従ってそれに必要な措置が出てくるでしょう。B基準の災害と認定をされるならば、それに必要な対策が出てくるのは当然でありましょう。長官のおっしゃるのは、はっきりいたさないのです。当然A基準に当たる全国的な規模の大災害だと私どもは判定せざるを得ない。二十府県以上にもまたがって千数百億の莫大な被害を与え、また今後も被害総額は拡大する一方であります。おそらく二千億にも達するでありましょう。大災害ではございませんか。従ってそういうA基準の災害といたしました場合にも、この第二回防災会議の決定によりますと、従来の災害特例法による実績を下回ることのないように考慮する、こういうことが掲げらておる。つまり、従来の実績と申しますものは、今さら申し上げるまでもないでありましょうが、三十四年の災害特例措置による国庫負担率と、三十六年の際の特例措置による国庫負担率と、それから激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律による国庫負担率と、大体三つあるわけです。その他の場合は通常の場合の国庫負担率でありますから、通常の場合ならわれわれは論議する必要はないのであります。そのいずれかを従来の災害特例法による実績を下回ることのないように考慮するというこの条項をA基準と認め、あるいはB基準と、いずれをとられるにいたしましても、少なくともこの解釈からいくならば激甚地指定の基本的な考え方は明らかになっておらなければならぬはずだと思うのであります。その点いかがでありますか。
  191. 徳安實藏

    徳安政府委員 今回の雪害の広さといい、全国的な問題でございますので、これはもちろんAの方法で、全国的な災害を取り上げまして、その総金額に照らして激甚災害に適用したい、こういう方針でございます。
  192. 足鹿覺

    足鹿委員 その点は明らかになりました。しからば、従来の災害特例法による実績を下回ることのないように考慮したい、こういう方針で今回も対処されていきますならば、当然これは豪雪被害というものが入ってこなければならぬはずである。その入ってくるものを取り上げていく程度なり、つまり対象となる規模なり態様というものは、どの程度のものを豪雪被害として取り扱っていく方針でございますか。その点はいかように御検討になったのでありますか。
  193. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまお話がありましたように、激甚災害法は、過去の災害に照らしまして下回らない、つまり特別法を設けて救済いたしました災害と同じような程度の災害は今度の激甚法の適用を受けるのでありますという説明をして参っておるわけでありますし、また現在もその方針には違いはないのであります。  そこで、少し詳しく申し上げますれば、この激甚災害法を適用いたしまする基準、つまり過去の実績等からずっと積み上げて研究して参りますと、公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助、これは法の第二章でございますが、全国被害が大体百二十億くらいなければ該当しない内規になっておるのであります。  第五条にございます農地等の災害復旧事業等に係る補助特別措置、これは農林省関係でございますが、全国被害が七十億以上でありませんと、指定することのできない今の建前になっております。  第六条でございますが、これは農林水産業共同利用施設災害復旧事業費の補助の特例でございますが、これは第五条が適用されましたならば、自動的にこの第六条が適用されることに相なります。  第八条の天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置の特例、これは全国の被害が七十億以上になりますれば、激甚災害法は適用されるという内規であります。  法の十二条並びに十三条及び十五条、これは中小企業信用保険法による災害関係保証の特例等でございます。これは全国被害が約百五十億、こういう基準になっております。  第十六条でございますが、これは公立社会教育施設災害復旧事業に対する補助でございますが、これは第二章が適用されました場合には自動的に動いて参ることになります。  第二十二条の罹災者公営住宅建設事業に対する補助の特例でございますが、これは全国的に四千戸という被害を受けました場合に発動するという基準になっております。  第二十四条の公共土木施設、農地及び農業用施設等の小災害に係る地方債の元利補給等でありますが、これは法第二章及び第五条が適用された場合には自動的に発動する、こういうことでございます。  こういうような大体の基準で、過去におきます特別立法によって救済いたしましたような災害は、大体救えるという考え方でこの基準ができておるのでございますが、もしこの基準が非常に過酷に過ぎまして、実際の適用にあたって過去の実績よりか非常に下回るというような事態が生じましたときには、いつでもその実態に即するように直していこうという考え方でございまして、一応のめどはここに置いてただいま作業しているわけであります。  なお、以上のような条文以外の事柄が生じまして、そうして新しい事態ができましたときには、その実情に応じて別個に防災会議で考慮する。こういう申し合わせになっているわけでございす。  この金額は、今度の豪雪によりまする被害が各条ごとにどの程度に適用ができるかということで数字を詰めておるわけでありますが、水害等によりますれば公共施設だとか農業施設等の被害が非常に多くありまして、金額が上がるのですけれども、今回の場合はそれが非常に少のうございまして、公共土木等につきましても十億足らずだというような報告のようでございます。かようなことではとてもこの激甚災害に公共土木等をかけるわけに参りません。こういう点を考慮いたしまして、この豪雪というものはかつての激甚災害法の決定のときにもあまり論議されませんでして、火災とか豪雪というようなものが案外考慮されずにできた法律のように思うのであります。実際こういう豪雪がありますと、そこに法の盲点と申しますか、行き届かなかった点があるように思います。これは今後に残された問題として与野党ともに御研究願いまして、今後改正なりその他の方法をとらなくちゃならぬと思いますが、さしあたりの問題としましては、そうした考えおかなかったような事態に対しましては、先ほど緩和というお話がございましたが、総理とも御相談をし、各閣僚会議等も開きまして、そうして実態に即するように処置をいたしたいものだという考え方でただいま作業しているわけでございます。
  194. 足鹿覺

    足鹿委員 政府考え方が私もややわかってきたように思いますが、要は、長官考え方によりますと、政令そのものはなかなか動かしにくい、従って基準を緩和していく、激甚災害の指定基準で問題を処理していくという考え方のようにただいまの御答弁では聞こえたのでございます。そういうことになりますと、激甚災害の指定及びその災害に適用すべき措置の政令の基準につきましては、なかなかむずかしいから、要するに政府は中央防災会議に諮って、そこできめたものをもって政令を変えるかわりに行なっていくということになるわけでありますか。そうすると、政令のほかに防災会議に諮って、そこで特別立法の対象となったような規模及び態様があれば、これを適用していくということになりますと、私どもそれではっきりやれ、政令は変更しなくても、それでやるんだ。河野さんがばく然と言っておられたことを、今長官のお話ではやや具体的に詰まった御答弁をいただいたわけでありますが、そういう態度でこの問題を処理していく。つまりいわゆる高額補助の問題も、たとえて言いますと、先ほど長官が御指摘になりました第六条の農林関係の共同利用施設の災害復旧事業、これらのものについても適用ができる。あるいは事業協同組合等の施設、これは十四条関係でありますが、アーケード等が破損をした、大破をした、これらのものに対しても九割の補助が出る、こういうふうに解釈をして、たとえば共同利用施設だといたしますならば、共同作業場あるいは選果場というようなものも対象に入っていくのでありますか。これは農林省ともそこでよく話し合いをされて、はっきりと御答弁を願いたい。そういうふうにならないと、問題は具体的な処理ということになりません。私の解釈によりますと、それはある一定の限界であって、たとえば除雪費を堆積土砂並みに取り扱うということになりますと、これはやはり一つの限界があって、いかに河野さんの政治力をもってしましても、この四百三号の政令そのものを考えていかなければとてもおぼつかないということをこの間も言っておる。だから法律はあっても、政令はあっても、自分はやれる範囲内においてやるのだという答弁しかできない、物事はそうですね、法治国家でありますから。ですから、おのずからこれとこれは政令を改正する、これとこれは激甚指定の基準運営を変えて、実際に即した方法にやるというふうに明らかにしていただけば、私はあえてこれ以上申し上げませんが、どうも今の御答弁では釈然としないものがある。何か政令や法令そのものは政府はそっとしておいて、そうしてこの防災会議の今後の弾力的な運営によって問題を処理していこうというお考えのようであります。それでは私は問題の本質については解釈していくことはできないのではないか、そういう点を案ずるのでありますが、これは長官なり農林当局から、私が今指摘したような具体的な事例に高額補助が適用できるかどうか明らかにしていただきたい。
  195. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまお話しのように、先ほど私も申し上げましたが、かつての御決定を願いましたこの激甚法は、風水害等が主たるものに取り入れられておりまして、火災でありますとか豪雪等にぴったり合うような文字を書いてはおりませんし、またそういうときを想定しての法律でもないようでありまして、こういう問題に対しましては非常に欠けておるように思うのであります。そういう点を指摘されておるわけであります。また政令につきましてもその通りでございます。やはり本法を基準にして政令ができておりますからその通りでございます。  そこで、先般も大きな火災もございましてその適用等についていろいろ御議論がございましたが、火災でございますとか、あるいは今度の豪雪でございますとか、こういうようないまだかつてあまり経験のない事柄、しかも激甚災害に対する特別財政援助の方法に取り残されたといいますか、思い及ばずして取り残されたような問題、こういう問題は今後に残された問題としまして、そうして与野党ともに御協議を願いまして、法に欠けるところのあるものは拾い出して直さなければならぬと思います。本法も直さなければならぬし、政令もこれに従って直さなければならぬと思います。ただ激甚災害にかけるかかけないかという問題につきましては、もう根本的に全然だめだというものにつきましては、これは法改正する以外にございませんが、昨年の十二月七日に激甚災害指定基準というものを閣議で決定しまして、そうして防災会議で諮問を受けた場合には、こういう基準で激甚災害として指定するんだという申し合わせができておるわけでございます。その申し合わせが先ほど申し上げましたような金額——この金額は過去の災害に、特別立法によって救済いたしましたようなものは、今の申し上げた数字くらいの程度でみんな入るという大蔵省の説明、また過去の実績を積み上げた数字的な解釈によって私どもも同意するわけであります。これに達するものを指定いたしますれば、過去の特別立法を受けたものはみんな入るのだという考え方でおったのでありますが、ただいま申し上げましたように、豪雪等は予期しなかった問題でもございますので、この個条々々に適用するようなことは一体妥当であるかどうかというような問題も、委員会等でも豪雪がすでにこの法律制定のときに忘れられておった、ですからさっきのお話のように、除雪等の問題も「等」と書いてあるのだから、これはもう除雪も災害復旧に当然加えるべきではないかというような御議論等もございますが、それを加えることにおいて非常災害に入るだけの金額に達するということがめどがつきまして、そしてまたおよその数字がはっきりして参りますならば、これも考え方の一つだと思いますが、今のところではそう大きな数字にもならないような報告も受けておりますし、かたがたできることならば、ものによりましては防災会議で決定しました基準、さっき申し上げました七十億円とかあるいは百二十億円に達せねばいけないというようなことは、大きな風水害を基礎にして大体考えたことでございますから、今度のような豪雪には、そういう大きな金額ではなくて、もっと特別な処置でこの基準というものを下げて考えるべきではないかという意見も相当閣僚の中にもあります。それを一つ皆さんの御意見を伺った上で関係閣僚会議にかけまして、そして特に今回の豪雪に関してだけは数字を落とそうとかなんとかいう処置も考え得るのではなかろうか、こう思うのでございます。二つの方法でやっていきたいと考えておるわけであります。
  196. 足鹿覺

    足鹿委員 お考えも一応わかりました。いましばらく政府の御措置を見まして、また別な災害対策の場もございますし、私どももさらに今後万全の対策を相協力して樹立していきたいと思いますが、特にこの際天災法の適用についてすでに政府は方針をきめた。その政令についての考え方なんですが、第八条関係、経営資金二十万円、北海道二十五万、政令で定めるもの五十万ということになっておるのですが、この間も、三月にならなければこれは発動ができないのだ、こういうことだったですね。発動は三月の末でもいたし方ないといたしまして、経営資金の二十万、北海道の二十五万、政令で定める五十万というもの、これでよろしいかどうか。この点については、この間災害対策特別委員会でるる申し上げましたから、私はあまり多くは申し上げませんが、少なくともワクの拡大——政令で定めるものの五十万というものは何と何であるか、特に今度は果樹園の災害という特殊なケースが出てきておりますし、そういったものを農林省としては内容はどういうふうに検討しておられますか、その点をこの際明らかにしていただきたい。  それから、この際私は経済企画庁にお尋ねをしておきますが、豪雪地帯対策特別措置法をこのたびの豪雪被害にどう活用をはかられようとしておるか。伝え聞くところによりますと、指定方針を現在検討中だと聞いておりますが、指定基準を定めて地域を指定するということだけでは問題は解決しない。その指定ができるならば、たとえば先ほど徳安長官から話されたような基準で指定を受けたところで、今度災害を受けたものにはその激甚基準が自動的にそこに動いていくとかいうような、関連した積極的、総合的活用がなされない限り、地域指定はこのたびの豪雪対策には生きた働きをしないことになると思うのでありますが、そういう点はどのようにお考えになっておりますか、この際明らかにしていただきたい。伝え聞くところによりますと、地域指定は県単位で行なって、その中で町村単位等で区分をして段階をつけていくという運営方針をとろうとしておるということが伝えられておる。これはほんとうでありますかどうか。要するに、このたび指定基準というものをつくって、そうして豪雪地帯で指定をする、指定をして、それから後に何らかの対策の対象になるというようなまどろいことでは、この豪雪特別措置法というものは意味をなきぬ。今述べたような激甚指定や天災融資法の指定その他に自動的に積極的にこれがからみ合って運営されていく、こういう考え方でなければこの問題は解消しない。いわんや、あとで湯山委員からもお尋ねがあろうと思いますが、積雪のみならず、寒冷に基づくところの被害というものにはおよそ緑の遠い存在になってしまう。こういう点は一つ今後の問題として、これから積寒法と豪雪特別措置法の積極的、総合的な運営をはかり、そうして災害基本法に基づくところの激甚法や天災融資法等と一体的な運営をしていくということが必要になろうかと思いますが、この点について、徳安長官、農林省、経済企画庁の御答弁をわずらわしたいと思います。
  197. 徳安實藏

    徳安政府委員 まず、私どもが取り扱っております対策本部の所管地域の問題でございます。これは災害対策基本法にもございますように、災害が起きまして、県自体だけでは処置ができないというような緊急な事柄、応急処置をとってもらいたい、つまり自衛隊を出動させますとか、あるいは孤立した町村がございまして、どうしてもこれは県自体では処置ができぬ。政府の力も貸してほしいというものは、刻々政府、総理大臣に報告をせねばならぬ義務があるわけでございます。その義務に基づきまして緊急対策を行ないまして、県の関係でありますとか、政府の出先機関でありますとか、あるいは国鉄でありますとか、そういうような公共機関を調整をし、総合的な防災計画実施する、そういうためにこの対策本部ができるわけでありまして、この対策本部は、ほんとうの緊急な、応急措置をするための本部でございます、従って被害をどうするとか、あるいはそのものが激甚災害になるかならぬかということは、今度はあげて防災会議の事務になるわけでございまして、現在できております対策本部は、今申し上げましたように自衛隊の出動をきせますとか、あるいはまた災害救助法を発動しますとか、あるいはヘリコプターで薬品を送りますとか、そういう応急措置をせねばならぬ必要なところだけ、やはり知事の要請あるいは地方のそうした機関からの報告によりまして、政府がこれは適切だ、そうせねばいかぬと考えましたときにそうした対策本部を置くことができるという条項に基づきましてこしらえたわけであります。従って、この応急処置を必要としない場所、非常に雪はたくさん降っております、被害もありますが、しかし政府が出かけていって応急処置をしなくてもいいという場所につきましては、今度は地域に入れておりません。しかし、災害といたしましてはもう平等に扱うのでございますから、たとい応急処置が必要でありまして指定いたしました場所以外——今度の自治省におきます除雪等の特別交付金等につきましても、政府の方でそこに応急対策を必要としない場所でありましても、雪害のありますところは全部勘案をいたしまして、そうして自治省をして、おのおの相当な特別交付税のワクの中にそういうものも入れて交付するという処置は全部とったわけでございます。今後に残された問題といたしましては、今まだ指定の追加がございますが、これは政府限りできめるのもいかがと考えますので、本日自民党にも社会党にも一応それとなくお話をいたしまして、きょうじゅうには大体両方の一致した御意見によって決定したい、こう考えて今朝からもお話ししているわけでございます。大体この対策本部としましては、応急処置をしなけねばならぬところはもう目的を達しまして、それで感謝状をあげるところが出ましたり、あるいはまたその他の方法をとりまして、早いこと防災会議に移して、そして今度は各省から、先ほど申し上げましたような数字を早く煮詰めて出してもらって、防災会議でどんどん事務の進捗をはかっていこうという関係になっておるわけでございますが、その農林関係等につきます一貫性のある問題等は、これは農林省の方からお話をいただいた方がいいと思いますから、そちらから説明を受けることにしていただきたいと思います。
  198. 立川基

    ○立川説明員 事務的な取り扱いの点もございますので、かわりまして、私からちょっと答弁させていただきたいと思います。  最初に天災融資法関係の発動の時期でございますが、先ほどお話がございましたように、二月末日現在の数字が、三月中旬の初めごろには大体まとまって参ると思いますので、若干推定の部分も含まれると思いますが、天災融資法の対象は御存じのように経営資金でございますので、春耕資金に間に合いますという趣旨におきまして、おそくとも三月一ぱいには正式に発動を、政府にお願いしたらどうかというふうな心づもりでおります。  それから、そのときに、先ほどのお話の限度の問題でございますけれども、限度が、今激甚法に規定してありますような限度で十分であるかどうかについては、目下検討中でございますが、さしあたり五十万円で、政令で指定のできるものの種目でございますが、一応考えておりますのは、現在の被害の程度から見まして、果樹と畜産はこの中に入れる必要があるのではなかろうかというふうに考えております。  それから天災融資法の発動の範囲と、激甚法の発動の地域的な範囲の問題でございますが、これは、最終的には防災会議で御決定願うわけでございますが、従来の取り扱いなり何なりから考えてみまして、天災融資法の場合には、天災融資法の発動をする地域を全国ベースで、先ほど言われましたA基準で発動いたしました場合においては、両方の地域は一致するような取り扱いにお願いしたいというふうに考えております。  それからもう一つ、雪だけでなしに寒冷低温でございますけれども、これは天災融資法の場合には、法律上低温という規定がございますので、当然対象になるというふうに考えております。
  199. 玉置康雄

    ○玉置説明員 豪雪地帯対策特別措置法の関係についてお答えいたします。  最初に、豪雪地帯の指定のお話でございますが、この法律に基づきまして、総理府に審議会が置かれまして、その審議会の中に、また地帯指定のための小委員会が置かれまして、現在その小委員会でいろいろ御審議願っている最中でございます。先ほど先生からお話がございましたその指定は、原則として県単位にやって、市町村単位にやれるところはまた市町村単位にやるのだというお話につきましては、小委員会の中でも、そういう御意見の方が大ぜいおられるのは確かでございますが、まだ正式に議決があったわけではございません。  それから、ことしの豪雪を積極的に活用するかというお話でございますが、地帯の指定の問題につきましては、ことしの豪雪の記録が、気象庁の本庁の方にまとまりますのは、相当おくれる見込みでございますので、とりあえず第一回の指定は、昨年までの記録によりまして、現在気象庁の方で作業をお願いしておるわけでございます。そういたしまして、これはあとのことでございまして、私一存でなすことはできませんけれども、おそらくことしの豪雪は、記録が集まりましたところで、またあとで計算をやり直して、もしも指定の追加が必要になってくれば、追加になるということだと思っております。  なお、ことしの豪雪の積極的な活用面におきまして、この地帯指定と同時に、豪雪地帯対策基本計画というものを総理大臣がつくるわけでございますが、その計画をつくります際には、これも今各省集まりまして、いろいろ打ち合わせをやっておるのでございますけれども、ことしの豪雪につきまして行なわれました対策を、十分参考にしたいと思っております。  なお、最後にお話のございました寒冷地との関係でございますが、ただ寒冷のみのところ、つまり、雪がなくて寒冷のみのところというのは、いかに考えましても、豪雪地帯対策特別措置法の対象になり得ないわけでございます。しかし、ただ豪雪というだけで、寒冷を全然無視しても、この趣旨に沿い得まいというわけで、現在私どもの方で、この審議会の方に御審議願っておる中には、根雪の期間を入れまして、それによって、ある程度実質的には寒冷の度合い等も考慮できるのじゃないかと考えておる次第でございます。
  200. 足鹿覺

    足鹿委員 あとにまだ湯山委員がお待ちになっておりますので、そちらにお譲りすることにいたしまして、この問題は気象庁にお尋ねを申し上げて、私の質疑を終わりたいと思いますが、先般の災害対策特別委員会の懇談会におきまして、私は長期の見通しについてお伺いをいたしました。時間がなかったために、気象庁の正確なお話を十分承ることができませんでした。要するに暖冬は終わった、寒冬がこれから継続して、相当期間来るのではないかという意味の御発言だったと思うのであります。その根拠なりについても、この際うんちくを一つ御披瀝を願いたいと思います。  今度の災害は、私この間も災害対策特別委員会で申し上げたのですが、常襲的な豪雪地帯と、それから山陰その他のような、相当雪は降るけれども、今回のような豪雪は初めてだという地帯、それから四国、九州等の、雪は大したことはないが、寒冬によって園芸、特に夏柑類が全滅をする、柑橘類が落葉して、来年結果がほとんどむずかしいというような事態が現出しようとしている。これは、将来における日本の果樹栽培上から見ましても、非常に大きな問題を示唆しておると思う。この対策は、やはり長期の気象に対する見通しが根拠となって、それぞれ今後あらゆる角度から検討されなければならぬと思う。いま一つは、積雪と同時に風浪によって出漁その他が困難になる地帯が、相当出てきております。たとえば、日本海沿岸においては、四十日も出漁不能のために、直接的、間接的に大きな被害を生じておっても、これを救う余地がないというような、三つないし四つの類型で、今度の豪雪に関連する被害が、その地その地において発生しておるのであります。これらの形態に対する気象庁としての御意見はいかがなものでありましょうか。私は全くその方面の知識がないのでありまして、この機会に、一つ今後の日本の農業経営の見地から見ましても、長期の見通しというものがきわめて大事になりますし、また、広い国家の防災対策という面から見ましても、気象の見通しということが根幹になるかと存ずるのでありまして、その点一ついろいろと御意見をお聞かせ願いたいと思います。    〔丹羽(兵)委員長代理退席、委    員長着席〕
  201. 和達清夫

    和達政府委員 今回の豪雪は、北陸地方を中心としまして、その広さ、また雪の量におきましても、まれに見るものでございました。日本は、昭和二十四年ごろから十数年間、いわゆる暖冬といわれる、冬に気温が高く、従って、多雪地帯においても、雪はあまりたくさん降りませんでございましたが、この暖冬は一両年前から解消する傾向にあって、今回の寒さと大雪を見た次第であります。  さて、長期予報でございますが、現在長期予報はまだ進歩の段階に立っておりまして、十分なるお答えができないのは非常に残念であります。今回の大雪につきましても、十二月初めに雪は多いということは推定いたしましたのですが、かほどの大雪になるということは十分わかりかねた次第であります。  さて問題は、今後冬の寒さがどういうようになるかということでありますが、こういう長い年月の将来の見通しというものは、正直に申しますと、学説がまだ十分固まっていないのであります。研究者がそれぞれの見地から発表したものはございます。それらは過去の観測から統計的に見たもの、またそれから太陽活動等と関連をつけたものでありますが、現在の研究者は、寒さは、この暖冬の解消に従って暖冬以前の状態になるのであろうと考えております。暖冬以前の状態と申しますと、終戦前、昭和の年間でありますが、かなりの大雪もひんぱんに降っております。しかし今後こういうような、つまり今回のよなう大雪がはたしていつまた来るか、また大雪がどのくらいの頻度で来るかということは、現在の長期予報の技術ではまだ申し上げられないのではないかと考えております。今年の冬は、気温にいたしますと、東北地方の南部からずっと西日本にかけて温度が低かったのであります。これは冬の季節風が西に片寄ったためでありまして、しかも今年の季節風はかなりの寒さを伴ってきましたので、西日本、ことに今までにそれほどの雪を見なかった山陰地方も、また九州にもかなりの雪を降らせましたし、温度も低くなった次第であります。一方風も強かったために、日本海沿岸では風浪が強かったことも御指摘通りであります。これらに対しまして、先ほども申し上げましたように、私どもの長期予報は、ある徴候が見えますれば、そのときの技術の及ぶ限り予報に織り込むわけでございますが、その徴候が出ませんでも、実際にこういうような異常な寒さ、あるいは夏の気温の低いことというような異常が起こることがございます。もちろんこれは学問が発達しますれば、その徴候を見つけることができると思いますけれども、現在におきましては、なかなか将来の見通しというものはむずかしいのでございますが、やはり将来の見通しは近くなるほどその精度を増すものでありまして、私どもの出します長期予報は一カ月、三カ月あるいは次の季節というようになっておりますが、それらを見ていただくのが現在利用していただくことになろうかと思う次第であります。
  202. 足鹿覺

    足鹿委員 まだたくさんありますが、湯山委員もお待ちのようでありますし、私はこの程度で終わります。
  203. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 湯山勇君。
  204. 湯山勇

    ○湯山委員 ただいままでに、足鹿委員のご質問によってずいぶん明らかになったところが多うございますから、できるだけ重複を避けてお伺いいたしたいと思います。  それから御都合がおありのようですから、質問の順位を、今あとからお答えになった方からというような格好になると思いますが、気象庁の方へまずお尋ねいたします。  今の足鹿委員の質問に対しまして、大体周期的に暖冬というものは終わったのだというように見られている、こういうことでございました。そうすると、これからは暖冬というような現象はまず考えられない、ところが端的に申しまして、果樹の中の暖地性の果樹でございますね、ミカンとかいうようなものは、実は暖冬の時期に新植が非常に多かったわけです。今度はそういう暖冬の時期に、そういう気象条件に合わして植えたものが一体今後どうなるか、現在のような土地の選定の仕方でやっていったのでは、それは被害を繰り返すばかりになるのじゃないかというような懸念も、今度は実際に農業の立場からいえば考えられるわけです。その判断は当然農林省なりあるいはそれの指導に当たっているものがすべきことだと思いますけれども、そういうような観点からもしお答えいただける点があれば、お答えいただきたいと思います。今御説明の中にも、太陽の関係その他あって暖冬が終わったんじゃないかというようなお話がございましたが、ヨーロッパの方でも何かそういうような現象が現われているというようなことを聞いておりますけれども、これは地球全体がそういう状態になっているのか、日本だけの特殊な現象なのか、そういう点がお尋ねいたしたい一点でございます。  それから第二点は、これは全く夢のような妙な話ですけれども、台風常襲地帯というのがきめられまして、それ以後ほとんど常襲地帯では台風は来ないで、ほかの地域にいっている。今度の雪の場合もそうなので、実は当然雪が多かるべきところ——にもありましたけれども、そうでなくて、全く予想のつかなかったようなところに豪雪被害が発生しているというようなことを考えてみますと、どうも気象の状態というものは非常に変化していくというか、とにかく異常な状態が何かあるんじゃないかというような感じを持つわけで、そういう点は気象庁等では御論議の対象にはならないかどうか。  それから農業というものは、今申しましたように、それによっていろいろ作物等を考えていかなくちゃならないというようなこと、そのときそのときで被害対策もやらなければならない、両面あると思います。今度の災害の状態から考えまして、気象庁として、もう少しあのときにこうすればよかった、あのときにこういう注意を与えておけばよかったというようなことをお感じになる点はおありにならないかどうか。この三点お伺いいたしたいと思います。
  205. 和達清夫

    和達政府委員 お答えいたします。  地球全体が暖かくなったりあるいは冷えているのではないかということでありますが、この点に関しましては、気象観測を開始して以来だけの材料でははっきりと申し上げることはできません。と申しますのは、太陽の活動というものが普通の太陽光線だけですとその変化は非常に少ないのでありまして、これから太陽の光線の中の波長の短い部分とかいうようなものをもっと研究していきまして、太陽活動がはたして地球にどういう影響を及ぼすかということがわかりますと、もう少しその間の関係がわかるかと思います。しかし、今のところ地球全体が暖まるとか冷えるとかというよりも、何らかのきっかけで地球の上の大気の動き方が変わる、そのために地球のある地域では寒くなりある地域では暖かくなる、その傾向がおよそ何年くらい続くというようなことから、十年とか二十年あるいは四、五十年の気候の変化が起こると考えるのが第一であると思います。従って、日本の暖冬というものを見ましても、決して地球の他の地域に同じような暖冬が起こっておるわけではございません。御承知のように、ヨーロッパの北では、一九〇〇年代ごろから非常に暖かくなって参っております。この傾向も五、六十年続きましたが、近ごろではまた寒くなりつつあるようになっております。  さて、今回の大雪は確かに非常に寒い気流が北から来たのでありますが、これと同じような寒い気流はヨーロッパの中部、またアメリカの中部また東部にも北極の方から下がって参りました。そういう場所は気温も非常に低く、また、ところによって雪も深かったわけでございますが、それの中間に当たる区域には非常に暖かいところもあるのでございます。こういうことでございますから、これから長い間同じ傾向になっていくということは、今のところちょっと考えにくいのであります。  次に、雪がふだん多く降るところに今回は降らず、あまり降らないところに降ったように思います。しかし、そういうこともございますけれども、やはり雪が多く降るところは大体きまっておるのであります。多少気流の工合、そのときの雪の降る気候において違いはございます。特に今回は降る場所が西の方に片寄ったということは確かでございますけれども、大きな目で見れば変わるわけではございません。もちろん、日本は地形が複雑でございますし、気象はそのときいろいろ違いますので、こまかく見ますれば、一回一回雪というものは降る場所が同じではないと思います。  その次には、農業等は、ある気候を想定して、その気候がある年数続くということによって行なうものでございましょうが、私が先ほど暖冬は解消した申としましたのは、大体暖かい冬が十何年も一この中には多少寒い冬があろうとも、暖かい傾向が続くということを申したのでありまして、そういう暖冬期間というものは解消した。しかし、今後も、寒い冬もあれば暖かい冬もありましょう。しかし、今後は暖かい冬ばかりでなく、寒い冬の方が多くまざるであろうということを申しているわけでございます。この寒い冬がどのくらいまざるか、どのくらい寒くなるかということは、先ほども申し上げましたが、はっきり申し上げかねますけれども、太陽の活動の方から考えますと、今は異常な気候が起こり得るようなときであるから、それで寒い冬も年によっては来得るし、また、暖冬の気象が解消すれば暖かい冬の来ることは少ないであろうというようなことになります。
  206. 湯山勇

    ○湯山委員 最後にお尋ねした件ですね。今度の予報なり何なりで、ああいうふうにしておけばよかったとお思いになるよう点がおありになるかどうか。
  207. 和達清夫

    和達政府委員 私どもはもっと勉強してよい予報を出せばよかったと思いますが、今のところ研究する方が先でございまして、長期予報というものは、あの程度よりまだなかなかむずかしい段階であることは申しわけないと思います。
  208. 湯山勇

    ○湯山委員 最初に申し上げましたように、従来の暖冬の時代にそういう概念でもってやったところが、今度暖地ではかなり困っているということも、これは事実においてあると思います。  そこで企画庁の方は、先ほど足鹿委員から御質問なされましたので、これは恒久的な指定でございますから今回の問題とはあまり関係ないようでございますし、今の質問で私ももうお聞きすることございませんから、けっこうでございます。  それから、徳安長官にお尋ねいたしますが、本日の御答弁で非常にお考えが明確になりました。ただ、百尺竿頭一歩を進めて、長官に御言明願いたい点が一つございます。それは、長官先ほど足鹿委員の質問に答えまして、あるいはこういうふうになるのじゃないかと思うというような御発言がかなりあったと思います。それは指定の問題あるいは激甚災の適用の問題あるいは条件の緩和についてもこういうふうな意見が多いからというふうな御意見でございましたが、長官は責任者でございますから、一つ、自分としてはこう思っている、ただこれは会議にかけなければならないことだから、その結果によってどうなるかわからないけれども、自分の考えはこうだという、そういうところをもう一つ明確にしていただけると大へん力強いと思います。  もう一点長官にお尋ねいたしたい点は、対策本部の指定の問題でありますが、これは県の方から申請があったところは、おそらく長官の言われたような応急対策をとったところだと思いますし、対策を要請したところだと思います。そこで、県の方から申請のあったところに対しては、全部これは指定されたかどうか。その二点をまず長官にお伺いしたいと思います。
  209. 徳安實藏

    徳安政府委員 お答えいたします。  先ほど私の申し上げましたことでございますが、私も一国会議員という立場もございますし、皆さんのお話になることはごもっともな点が非常に多いのでございますから、個人の考え方といたしましては、お話の通りに最大の努力を払いたいという気持で、機会があればそういうことも言いたいと思いますけれども、多少は立場が立場でありますために、そう簡単に将来に責任を負うようなことは言えぬと思います。しかし本部長と話し合いをいたしまして、委員会その他の同僚、先輩等の御意見等もしばしば伺っておりますから、最大の努力を払うことを一つお誓いをいたしたいと思います。  それから指定の問題でございますが、これは先ほどもちょっと触れたのでございますけれども、まことに申しわけない場所も少しばかりあるわけでございますけれども、大体御承知のように、一月の二十九日に対策本部ができまして、これは災害対策基本法によりまして、災害が起きましたときには、市町村長は知事に報告をしなければならない、知事は総理大臣並びに防災会議に報告をせよということになっておるわけでございます。そこで報告のありましたもの、それから各省もやはりその義務はつけられておりますので、各省からも総理大臣並びに防災会議にそのつど報告があるわけであります。その報告に基づきまして、そして非常対策本部ができたわけでございますが、この非常対策本部の目的は、先ほども御説明いたしましたように、政府の地方機関、地方公共団体、公共機関等の防災計画に基づいて実施する災害応急対策の総合調整に関すること、非常災害に際し作成される緊急処置に関する計画実施、こういうようなことにその職務があるわけでありますので、雪は降っておりますけれども、そうした応急の総合調整を必要としない場所は、県からも要請はございませんでしたし、各庁からも各省からも要請がなかったわけでございます。しかし、たとい県からありませんでも、各党なり、あるいは国会議員の諸君から大へんだぞとおっしゃられて、すぐ行ってみろとお話がありましたところは行ってみましたところもあります。しかし行ってみましたところでも、そういう総合調整の必要もない、自衛隊を出す必要もこの際はなかろう、あるいはヘリコプター等で物を運ぶとか、あるいは薬品等を運ぶように応急処置もあの場所については必要がない、県側の方で処置ができるというようなものだけは見送ったわけでございます。愛媛県なりあるいは高知県等からもお話があったのでありますが、一応岡山、広島等も第一次に追加いたしまして、それからしばらくいたしましてから、また少しばかり追加してくれぬかというお話がございました。今もそれが出ておるわけです。同時に今お話しいたしました愛媛、高知からもそういう要請が参りました。九州からもございました。これらの県とも連絡をとりましていろいろ話し合いをしておるのでございますけれども、かりに九州のごときも災害はございますから、激甚災害の地方に適用することが必要になることと思いますが、県それ自体こちらの方にお申し出下きったときには、自分の県の対策本部は解散しておられるということになったのでありますから、しかもそうした県に総合調整が必要だというわけにも参りませんで、激甚災害の方は、これは全国を指定いたしますから、もちろんこれには甲乙のあるはずはございません。ただ応急措置といたしましては、一応この際控えたというだけでございます。しかし先ほどちょっとお答えいたしましたが、各国会議員の方々のいろいろな関係もございますから、ただいま自民党、社会党にも一応お話しいたしまして、そして御了解の上で措置をいたしたい、こう考えておるわけでございます。
  210. 湯山勇

    ○湯山委員 長官の御説明で大へんよくわかりました。県からなお強い要請があった場合には一つぜひ御配慮願いたいと思います。  なお、ことしの雪は西日本の方からいえば、北海道で九月に大雪が降ったようなもので、普通ならば北海道でそれだけ降ったからといってどうこうないでしょうが、とにかく異常なことは間違いないことだし、そのために相当問題の起こっておることも事実でございますから、ぜひ今おっしゃったような線での御配慮をお願いいたしたいと思います。  それから次は農林省の方へお尋ねをいたします。なるべく簡単なところから先にお伺いいたしまして、全体的な被害についてはまた別なところで承ることにいたします。  まず林野関係で当面しておることについてお尋ねいたしたいと思いますことは、林野庁の作業場がところどころにあると思います。その作業場は、中には全く国有林の仕事だけで部落ができていて、全部の人が国有林に関係しておる、そういうところも相当あると思いますが、そういうところは今度の雪のために、たとえば四国でも一カ月近くほんとうに仕事ができなかったというようなところもございます。そういうような職員の人は月給ですからいいようなものですけれども、日給で働いている作業員、こういう人たちはその間全く仕事ができなかったということによって、給料がもらえない、そういう事態が起こるのじゃないかということを心配しておるわけですけれども、それらについては何らかの措置をおとりになっておられるかどうか、承りたいと思います。
  211. 若林正武

    ○若林説明員 お答え申し上げます。  作業員につきましては、災害救助法の適用地域等に住居を持っておりまして、その住居が雪のために破壊あるいは滅失のおそれのあります場合、除雪作業に従事する期間、これは原則といたしまして七日の範囲内ということにいたしたのでありますが、所属の長の承認によりまして、特別休暇または欠勤として取り扱うことにいたしたのでございます。その期間内には一定の区分に従いまして、賃金相当額またはその六割相当額を支給いたすことにいたしたのでございます。さらにまた、御指摘のように、雪のために就業ができないというふうな場合もあるわけでございますが、そういった場合におきましても、その就業いたさなかった日数の一定の区分に従いまして、やはり賃金相当額またはその六割というものを支給いたしたのでございます。
  212. 湯山勇

    ○湯山委員 賃金相当額というのと六割の区別は、どういうところでされておるのですか。
  213. 若林正武

    ○若林説明員 ただいま申し上げました一定の区分と申しますのは、五日をこえまして十一日までとか、十一日をこえまして十七日までというふうな一つの段階を設けまして、その段階ごとに二日から五日というふうな特別の取り扱いをいたします日にちをきめておるのでございます。その日にちにつきましては全額支給する、それ以外の日にちにつきましては六割保障する、こういうふうな建前でございます。
  214. 湯山勇

    ○湯山委員 そうすると一カ月も全く仕事ができなかったという場合に、もちろん国有林の作業場で除雪作業に十日間なら十日間出た、片方は出なかったという場合は、出た日はもちろん給与は支給されるわけですね。そのあとで、今の長い場合は十七日、こういうことでございますね。一カ月間くらい仕事ができなくても大体賃金は支払われる、こういうことでございますか。
  215. 若林正武

    ○若林説明員 そうでございます。
  216. 湯山勇

    ○湯山委員 あらためて林野関係でもう一つお尋ねいたします。それは、国有林に雇用関係を持っておる者は今ちょっとわかりましたが、今度は国有林と雇用関係を持たない者がそういう作業場には相当ございます。たとえば季節労務者の人とかいろいろあるわけで、そうかといってその国有林の部落を離れては生活できない。そこでやむを得ずそういう人たちは企業組合と申しますか組合をつくりまして、国有林の裏木というようなものでチップをつくったり、その他いろんなことを小額の資本を出し合ってやっております。それには国有林の従業員の奥さんも入っているし、定年で退職して勤められない者も入って、ともかくも国有林の中の作業場の一つの集落を形づくって生活をしている。ところがそういう人たちもまた同じように作業ができなくて収入の道が閉ざされていたわけですが、これは賃金として払うことはできませんけれども、こういう人についても何らかの配慮をしてあげなければならぬ状態じゃないかと思いますが、それらの人については何らかの御配慮がおありになるかどうか、承りたいと思います。
  217. 若林正武

    ○若林説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘になりましたのは小田深山の生産企業組合のことだろうと思うのでございますが、この生産企業組合員に対しましては、私どもといたしましては国有林の従業員と同様に生活必需物資の緊急輸送を行なっております。また際雪作業を実施いたしまして直接労働の機会を提供も申し上げておりますし、さらにまた企業組合の事業実施等につきましても側面的に御援助を申し上げておるのでございますが、今後も企業組合の組合員の皆さんが操業その他につきまして不安のないように対処して参りたい、かように考えております。
  218. 湯山勇

    ○湯山委員 それからもう一つ、これは林野庁にお尋ねするのが適当かどうか問題でございますけれども、実は国有林で働いておる林業労務者については今のような行き届いた対策がなされていて大変けっこうだと思っておりますが、一般の民有林で働いておる人で、実はこの雪のために全く仕事ができなく困ったという人も相当あるわけでございまして、これは九州にも相当ございますし、四国にも相当ございますし弁あるいは中国方面にも相当ございますこういう人については生活保護でやるというようなことを言っておる方もあるのですけれども、そうばかりもいかぬ問題で、こういういわゆる一般の林業労働者について、林野庁として何かお考えになったことがございますか。
  219. 若江則忠

    ○若江説明員 一般民有林関係の労務者が雪のために就業できない。これの救済策という点でございますが、この点につきましては、過般来の雪害対策特別委員会でも論議が出まして、労働省方面で、そういうふうに雪のために働けない人のための特別な就労対策的な事業考えたいというふうなことを承っておるわけでございますが、私ども特別に林野で事業をするという手はずもないわけでございますが、地域によりましては、今国有林でもありましたように、付近の除雪作業を行なうとかあるいはその他雪を取り除いて造林の手当をするとかいうふうな、地域に即応した事業を行なってもらうように、県の方にも依頼しておるわけでございますが、一般的な就労対策事業は労働省の方の一般的な対策の中でおとり願うというように考えているわけでございます。
  220. 湯山勇

    ○湯山委員 労働省としてはそれについては相当的確な対策を立てておるかどうか、これは御検討になられておりますでしょうか。——労働省とどういうふうにお話になって、実際にそれをやっておるかどうか、お確かめになっておられるかどうか。
  221. 若江則忠

    ○若江説明員 具体的に豪雪地域で林業関係の労務者が職場がないためにどれだけ労働省関係の手当によりまして働いたかということにつきましては確認はいたしておりませんけれども、過般の委員会でそういうふうに承っておりましたので、さしあたりはそういう措置でおとり願いまして、私どもの方で、融雪と同時に仕事が始まる場合は、積極的にその仕事の場面に吸収していくというふうには手配いたしておるわけでございます。
  222. 湯山勇

    ○湯山委員 これはどなたにお尋ねしていいか、やはり林野関係でございますが、さっき御指摘になりました小田深山もそうでございますけれども、国有林の作業場で医療施設がないために、今度の雪などの場合非常に不安であった。現に病人の出たところもございますし、それから全くそういう状態でしたから、生まれて十三日目か十四日目に赤ん坊がなくなって、これもどうすることもできなかったというような事実もあるわけでございます。これは働く人自体もその点は非常に不安で、平素においてもそうなんですけれども、今度のようなときにはよけい心細いという、事実そういう問題もある。そういう作業場等の医療施設について何かこの際お考えになられたかどうか。ヘリコプターなんかを営林局管内に一つくらい設置して、それで緊急な場合にはすぐやっていくというようなことも考えてもいいのじゃないかというようなことも考えるわけですけれども、これについて何か対策がおありになるかどうか、伺いたいと思います。
  223. 若林正武

    ○若林説明員 今回の小田深山の場合でございますが、御指摘のように医薬品等につきましては、林野庁はヘリコプターを持っておりませんので、自衛隊に応援をしていただきまして、食糧、医薬品といったようなものを緊急に輸送いたしたのでございますが、今後林野庁自体がそういったヘリコプターなどを持つかどうかというふうなことにつきましては、なかなか誰時費その他の問題もございますし、相当慎重に検討させていただかなければなぬじゃなかろうか、かように考えております。
  224. 湯山勇

    ○湯山委員 林野庁は大へん財産もたくさんあるし、それから不便なところで働く人が多いわけですから、一つぜひそれくらい持って、まずそういうところから近代化をはかっていただきたいと思います。林野庁の方の質問は終わります。  それから水産庁関係でお尋ねいたしたい点は、温度の関係の非常に大きい真珠貝の問題でございます。これにつきましては、どういう指導をなさいましたでしょうか。実は被害も相当ございますし、それからそれに対していろいろ指導もしておるようでございますけれども、必ずしもそういう指導が徹底しているというふうには思えませんので、お伺いしておるわけでございます。
  225. 橘武夫

    ○橘説明員 お尋ねの通り、真珠母貝は非常に水温の影響を受けやすい貝でございますが、これにつきましては、従来から冬季、非常にそういう低温の予想される時期には、できるだけ水温の低くないところに、たとえば避寒しますとか、あるいは異常低温の予想される場合には、その水域を避けて避難をいたすというふうな指導をして参っているわけでございます。ただ今回は異常な低温が水温につきましても発生いたしましたために、何カ所かにおきまして、そういう被害が相当程度出るに至りましたことは、非常に遺憾に思っております。
  226. 湯山勇

    ○湯山委員 被害額はどのくらいございましたでしょうか。
  227. 橘武夫

    ○橘説明員 ただいまのところまでで真珠母貝につきまして報告を受けております額は、これは長崎それから愛媛が一番多うございますが、その他を合わせまして、ほぼ六億円余りだったと思います。
  228. 湯山勇

    ○湯山委員 現在どういうことを指導しておられるか、指導の内容は…。
  229. 橘武夫

    ○橘説明員 すでに被害の発生いたしましたものにつきましては、これはなかなか回復しがたいので、その事後にどうということはなかなかむずかしい面がございますが、今後のそういう真珠母貝の養殖をいたします水域の選定等につきましては、できるだけ今回の経験を取り入れまして、十分に慎重にいたすように指導していきたいと思っている次第でございます。
  230. 湯山勇

    ○湯山委員 今こういう指導が行なわれているようです。水温が変化すると、必ずしも温度が下がるというだけではなくて、温度が上昇することによって貝が死ぬことがあるということから、なるべく三メートルないし四メートルの深いところにかごをおろすとか、あるいは貝の掃除をなるべくしないようにしておけとか、ぜひやらなければならないときには、短時間お天気のいいときにやれとか、いろいろな指導をしておられるようでございますけれども、これは貝そのものの発育、これをそういうふうにしてとめるのがいいのか、そうじゃなくて、多少死んでもいいからどんどん太っていくものを太らした方がいいというようなことを言っている人もあるようです。その辺は指導が二途になっておるのか、一本で指導しておられるのか、これはどうなんでしょうか。
  231. 橘武夫

    ○橘説明員 だいぶ技術的なことになりますので、担当の振興課長から答弁させるようにいたします。
  232. 森沢基吉

    ○森沢説明員 お答えをいたします。  先ほどからお話が出ていますように、真珠貝に対する災害としましては、低水温、それから低比重あるいは赤潮、そういういろいろな生物学的あるいは海洋学的な原因がございますが、真珠の養殖業全体から見まして、やはり極力斃死を避けなければならない、こういうことがあくまで前提であろうと思います。従って私たちといたしましては、都道府県を通じまして、先ほどお話がありましたように、一元的に斃死を防除する方向で指導いたしております。
  233. 湯山勇

    ○湯山委員 水産庁の方の御方針はわかりましたが、それでは多少発育がよくなれば死ぬものは死んでもいいのじゃないかというのは、これはどこから出た指導かわかりませんけれども、出先の方でどこか、業者の方か何かそういうことを言っておるのもあるようです。そこでこういう指導については一つ適切になるべく今のような混乱の起こらないように、もう終わっておるかもしれませんけれども、お願いいたしたいと思います。  今度は、その被害に対する対策でございますが、先ほど足鹿先生の方からも指摘されておりましたが、融資についてはどういうことを考えておられるか。これは、真珠母貝などは、先ほどの激甚災の対象にするのにはどういう関係になるか私よくわかりませんけれども、六億幾らというようなものがどういう災害対策の対象になるか、これはどうなっておるのでございましょうか。
  234. 橘武夫

    ○橘説明員 とりあえずの応急対策といたしましては、いろいろ系統資金のつなぎ融資その他の指導をいたしております。ただ今後の方策といたしましては、天災融資法の発動によりますれば、当然そういう母貝の被害に対します再生産のための経営資金というようなものは、天災融資法の適用を受けることになります。  なお母貝そのものではなくて真珠いかだその他の施設の方の被害に対しましては、これは現在のところ、比較的今までのところでは施設の被害というのは、全国的に見ますとかなり少のうございますが、これに対しましては、一応天災融資法の発動に伴いまして、公庫の主務大臣指定の災害復旧資金の融資ということを考えております。
  235. 湯山勇

    ○湯山委員 今の経営資金のワクはどういうことになるでしょうか。しろうと考えですけれども先ほど議論になられた金額のような程度じゃあるいは少な過ぎるのじゃないかというようにも考えられるわけですけれども、やはりそのワクについては、一般に農林関係一律にそういう五十万とか何十万とか、そういうワクで締められるわけですか、それともこれには特例が認められるか、あるいはこういう水産関係の場合は別ワクなのか、どうなっておるのでございましょうか。
  236. 橘武夫

    ○橘説明員 これは被害漁業者に対します融資のワクといたしまして、天災融資法の一般の場合に十五万円以内、激甚災と関連をいたしまして政令で指定されました場合に五十万までワクが拡張されるということになっております。
  237. 湯山勇

    ○湯山委員 大体今回の災害は、五十万あればどれもみなそれによって経営に立ち直るという見通しが立つ状態でございますか。これは現地調査に行っていただいたかどうか存じませんけれども、五班に分けて全国を御調査になったわけですから、その被害の状況はそれで大体間に合う状態かどうか、これはどんなものでございましょうか。
  238. 橘武夫

    ○橘説明員 県によっていろいろ事情がございますので、概括いたしかねる面もあるかと思いますが、大体天災融資法の現在の法律のワクでほぼ対応できるというふうに考えております。
  239. 湯山勇

    ○湯山委員 水産庁関係、けっこうでございます。  続いて果樹被害関係について中心にお伺いいたしたいと思います。果樹被害につきましては、先ほど足鹿委員の方からもいろいろお話がございましたが、天災法の対象にはなるかならないか、これはなるような意向に今までの御答弁では判断できるのですけれども、はっきりなるということはまだ言い切れない状態でしょうか、それはなると言い切れる状態でありましょうか。
  240. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 被害額が、現在までに果樹だけで県の報告によりますと、七十五億円を突破いたしておりますので、当然天災法の発動の対象になると考えております。
  241. 湯山勇

    ○湯山委員 それから次に問題になりますのは、果樹に対する助成の問題でございます。この助成の問題は、過去において助成のあった例もあると思いますし、それから冷害で桑の場合あったような気もしますし、どうだったか、今多少その自信がないのですが、あったような気がしますが、そういう例が過去においてありましたことを考えますと、今回などのような場合には、そういう単に融資というだけではなくて、助成という措置が考えられてしかるべきではないかというように考えますが、その点はいかがなものでありましょうか。
  242. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 昭和三十三年まで確かに御説のように桑、それから果樹につきましても、被害のときに助成の道がございました。その後現在までやっておりませんのは、会計検査院からの指摘がございましたので、融資の方に切りかえまして、助成をやっておりませんが、今回の場合、従来通りの融資でいけるかどうか、その点問題がございますので、現在農林省内部の対策本部で検討中でございます。
  243. 湯山勇

    ○湯山委員 農林省の検討の方向はどういう方向でございますか。
  244. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 われわれ園芸局といたしましては、必要な費目でつきましては助成をいたしたいという態度で現在検討いたしております。
  245. 湯山勇

    ○湯山委員 先般、東北、北陸、近畿、中・四国、九州、五班にわたり調査班の方々がそれぞれ調査をされたよりでございますが、特にその中で常緑果樹、柑橘類とかビワとかそういう暖地特有の常緑か果樹についてはどういうことが特徴的なものであって、それについてはどうしなければならないというような結論に達しておられるか。技術的な問題でございますけれども一つ御調査になった方から代表して伺いたいと思います。
  246. 石井一雄

    ○石井説明員 私から御説明申し上げます。  お尋ねの常緑果樹の被害でございますけれども、この常縁果樹の被害は、  それぞれの樹木の置かれました環境条件と、そこに今回参りました低温の来方の条件、これらで非常に複雑な被害の状況が出ております。  まず概括して申し上げますと、柑橘類の種類で申し上げてみますと、レモンとかオレンジあるいはハッサク、こういったふうな晩生のものは比較的弱い、被害もそれだけ大きい、こういうことであります。夏ミカン、温州ミカン、これはほぼ同じ程度、そう大きな差は見られないであろう、こういう結果でございます。  それから木の樹齢によりまして被害の出方がかなり特徴的でございますので、これを申し上げますと、まず成木とそれからまだ結果樹齢に達しておりません幼木でこれを申し上げますと、成木の方が被害が小さい。それから植えつけましてからどのくらい日がたっているかという時間の関係でございますが、植えつけまして一年以内くらいの日の浅いもの、これが長く育成されたものに比べまして被害が大きい、こういう結果でございます。それから成木でございますと、老齢になっている木、あるいは前年に実がそれぞれなっておるわけでございますけれども、その実のなり方の大きいもの、たくさんなったものは、樹勢が衰えでいる関係であろうと思いますが、被害が大きくなっております。  それから地形との関係でございます。まず冷気の停滞しやすい平坦地なりもしくは台地の上でも、へこんでおる凹地部のところが被害が大きい、そういう結果が出ております。それから傾斜地におきましては、傾斜の中腹は最も被害が小さい。それから傾斜の向きでございますけれども、北西に向いておる斜面の木が一番被害が大きい、こういうことでございます。多少風の向き等もございますけれども、風の当たるところは当たらないところよりも当然被害が多い、こういう意味も含まれております。  それから栽培管理の面でございますけれども、こもをかけるとかあるいはわらをかけるというような、そういうことで風を防ぐ技術もあるわけでございますけれども、こういうものを十分にやっているそのものは、同じ地帯におきましてやっていないものに比べまして、当然これは被害が小さいという結果も明らかであります。  それから特に表日本におきましては、同時に水が少ない、旱害の方も多少加わってございますので、乾燥している度のひどいところは旱害がひどくなった、こういうことであります。  それにつきまして最も早く樹勢を回復させることが必要であるということでございますので、これは二月二十日でございますけれども、事務次官の名前をもちまして、さしあたりの防除技術対策、これの指導につきまして通達を行なっております。この中でそれぞれ作物別に、特に県に注意をしておるわけでありますが、この中におきまして、ただいまのものに対します技術的な注意、これを果樹についても流しておるわけでございます。
  247. 湯山勇

    ○湯山委員 これはただいま大体の状況は御説明いただいたわけですけれども、一体経験のない被害なものですから、これだけ大きい旱害、雪の害というものは受けたことがないものですから、実際はこれからあとどうするか、非常に困っていることが多いと思います。それで今どういう指導をなさったか、あるいは農業等はこういうものを使って消毒をやれとか、あるいは幹の日焼けを防ぐためには石灰乳を塗りつけろとか、いろいろとこまかい御注意があったと思います。こういうことは全くこういう災害さえなければ要らない手間であり、要らない費用なので、そういう点については、さっき局長がおっしゃったように、どうしても助成ということを考えないとやっていけない。ことに夏ミカン等は、落果した初めは当然ジュース等の原料になるだろうというので簡単に考えておりましたが、これも今の地形による御説明の中で、高いところのものはほとんど腐って役に立たない。それから下の方のものも、これは原料にはなるけれども、一貫目五十円ぐらいで、とても引き合いにかからない。それから、それの原料として消化する能力にも限度がある。こういう問題もございますし、かりにそれがジュースの、原料に使われたとしても、これに農林省の方の御指導で、落としてはいかぬ、なるべく落とさないようにしろという御指導もあるわけで、こういうことなど、夏ミカンなどは非常に大打撃だと思います。そういうことを考えていけば、どうしても激甚災を果樹にも適用する。私、知っておるから、たまたまそういうものを例にあげたので、ブドウにしても、御存じのようにブドウは回復までの年数が長い。ナシ等についても大なり小なり同じようなことがあると思います。そこで、どうしてもこれは激甚災の対象にもするし、助成をこの際はしていただくということでなければ、選択的拡大というようなことを申しましても、すでに酪農がああいう困難な状態にある。今度は果樹もまたそれに続いてむずかしくなってくる。こういうことになれば、これは日本の農業、農政の上で大問題なので、まずこの果樹を含めて激甚災の指定、それから特に今回肥料とか農薬とかその他必要なものについての助成措置をぜひお考えいただかなければならないと思いますが、政務次官から——政務次官の方もリンゴがございますからおわかりいただけると思いますので、一つ御答弁を願いたいと思います。
  248. 津島文治

    ○津島政府委員 今回豪雪によりましていろいろの災害がもたらされまして、生産者にとりましては非常にお気の毒でございますが、ことに私も豪雪の地帯数県にわたりまして実際に果樹園の中に入りまして視察をいたしたのであります。まことに惨状という文字はまさに当てはまるのであります。従いまして、先ほどからお話しの通り、いろいろの融資を最大限に講ずることはもちろんでございますが、やはり私といたしますれば、融資もさることながら、何らか、言葉は適当でございませんが、そのものずばりの助成というものをこの際に考えなければ、どうしても気が済まないように思うのでございます。御承知通り、果樹には多年の間から共済制度というものが叫ばれておりますが、それもまだないのであります。そういうことを考えますと、どうしても私どもとすれば農家の方に非常に責任を感ずるのであります。何らかそこで助成の道がないかということにつきましては、真剣に検討をいたしておるような次第でございます。
  249. 湯山勇

    ○湯山委員 今、政務次官の御答弁のような問題は、将来にわたって御研究願うものには共済制度の問題もありますけれども、当面果樹災害に対する対策については、一つぜひ強力にお進め願いたいと思います。  それからこの試験研究のあり方ですね。これもごく一部のことしか存じませんけれども、もし全体がこういう状態であれば一つ改めていただく必要があるのではないかと思いますのは、この試験研究で高冷地、寒冷地、そういうところの試験場では、そこに何が適するかという試験はずいぶんやっておると思います。四国あたりでもリンゴができるかできないかというような試験はやっておられますけれども、今のような、たとえばこれがどういう被害を受けるか、その被害に対してはどういう対策を立てたらいいか、つまりそこではつくりにくいものをいろいろつくって、それによって被害防除とか予防といったような研究はあるいは行なわれていないのではないか。と申しますのは、今回の対策等につきましても、県あたりでも、一体どれだけ被害が将来にわたるのかわからない。ビワにしても、ちょうど花季に寒波を受けたり、雪が来たものですから、一体来年どうなるか、あるいは柑橘にしても、古いのは簡単に対策は立つと思いますけれども、若い枝の枯れたものをどうしたらいいのか、あるいは同じ柑橘にしても、現在実のついている夏ミカンだとか、そういうものに対する対策と、それからもう収穫の終わった温州ミカンに対する対策、そういうことについてどうしていいかなかなかわからない。農薬等もそうだし、肥料にしても、一体どういうものをどの分量やるのが適切なのか、なかなかわからない。分けて少しずつやれという御指導はあったようですけれども、なかなかわからない。今後は試験研究も成功するばかりのものではなくて、ああいったものに対する一これは非常にじみでしょうけれども、研究をやっていただかないと、ただ、災害が起こったあとで今の融資のことだとか、そういうことだけでは解決つかないものだと私は思います。こういう点についてぜひ一つ考え願いたいと思うのですが、これはどうでしょうか。
  250. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 非常にまれに参ります気象災害でございますので、従来十分の経験がなかったことは御指摘通りでございます。しかしながらたとえば肥料の分施でありますとかあるいは樹勢回復のためのボルドー乳の塗布でありますとかいう指導は全国的に統一をとって進んでおるようなわけであります。特にその点指導の面でそごがあったというような事態は起こっておらぬというように私考えております。将来の対策といたしましては、これは技術会議の所管でございますけれども便宜上私から申し上げますと、平塚にございます園芸試験場は、三十八年度に人工気象室が設置されます。これができますれば将来、そういったような冷害、旱害の樹木に対する影響というようなことも実験場内で人為的に行なうことができるようになりますので、場長もその点非常に関心を持っておられ、当然将来はこういった対策も万全を期し得るのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  251. 湯山勇

    ○湯山委員 基本的にまだ明確にならないものがもっといろいろありますけれども、たとえば今の激甚災指定の問題だとか、いろいろの助成の問題だとか、今ここでお聞きする限度のところまではお聞きしたと思います。あとそういう事態がどのように発展していくか、実現していくか、その過程において、あるいはまた新しい災害の事態が起こったような場合、そういうときにあらためてお尋ねすることにして、きょうは、先ほどああいう努力をされるということでございますから、その御答弁を信頼し、大いに期待をいたしまして、質問を終わることにします。
  252. 長谷川四郎

    長谷川委員長 私から一言申し上げておきます。  いろいろお話もありましたが、先ほど気象庁長官の言葉には、まだことしのような豪雪の災害は今後継続されるだろう、こういう見方をしていますから、特に農林省においてもこの県については十分調査研究をやってもらいたいということを希望申し上げておきます。  次は、芳賀君。
  253. 芳賀貢

    芳賀委員 乳価と畜産物価格審議会の開催の問題について政務次官にお尋ねします。  畜産事業団の二十億買い上げは二月末までの締め切りということに方針がきまりまして、買い上げがずっと進んだわけでございますが、この結果どういうことになったか。政務次官でわからぬ点はいいです。あなたしかいないですから。
  254. 津島文治

    ○津島政府委員 買い上げは終了をいたしたのであります。従いまして、しばしば申し上げております通り、この終了した機会におきまして業者の方と強く交渉を重ねまして乳価の引き下げた分の復旧をはからなければならない、かように考えておる次第であります。
  255. 芳賀貢

    芳賀委員 今の御説明によりますと、二月一ぱいで買い上げは終了したわけですね。それで、終了したということは結局買い上げることによって乳価を値下げ以前に回復するというのが買い上げの主目的ですからして、その買い上げというものがそういう目的に沿って成果を上げるということにこれはなるわけですね。
  256. 津島文治

    ○津島政府委員 二十億という大金をもって買い上げたのでございますから、私は農林省においても相当の自信と申しましょうか、期待を持って交渉に当たり得ると思うのであります。
  257. 芳賀貢

    芳賀委員 この点については、買い上げの品目、数量の内容ですね、メーカー別に、それは後刻政府の方から資料提出してもらいたい。  それから特に政務次官、今後の政府の責任としては、それはすみやかに、たとえば十二月十一日値下げした分については、その値下げした時限にさかのぼって今後は価格を回復させるために努力する、そういうふうに今の答弁を理解していいわけですね。
  258. 津島文治

    ○津島政府委員 十一月の時限にさかのぼるというわけには参らぬかと思います。
  259. 芳賀貢

    芳賀委員 これはおかしいじゃないですか、さかのぼるわけにいかぬということは。回復させるためにこれは二十億、事業団が買い上げをやったわけですから。先般予算委員会においても田中大蔵大臣は、二十億の買い上げを了承したことは、乳価が回復するということを、それを前提にして大蔵省としても農林省に対して同意を与えたということを言っているわけですから、そうは参りませんというのはおかしいじゃないですか。
  260. 津島文治

    ○津島政府委員 芳賀委員のお説の通り十一月までさかのぼり得ればこれに越したことはないのでありますが、ただいまの私どもの見通しでは、それは非常に困難である、かように考えております。
  261. 芳賀貢

    芳賀委員 それは政府努力をしていないということなんですか。そういうことは初めから考えておらぬ、値下げ当時にさかのぼって回復させるということは政府としては考えておらないので不可能であるということですか。
  262. 津島文治

    ○津島政府委員 これから、買ったときから旧に回復をする、十一月にさかのぼって回復をするということは非常に至難である、かように考えておるわけであります。
  263. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは津島さんの答弁は、二月中に買い上げを終了したということを言われたわけですからして、そうすると三月一日からは回復するということなんですか。
  264. 津島文治

    ○津島政府委員 そういう意味でございます。
  265. 芳賀貢

    芳賀委員 この点はきょうはそれ以上議論をしませんが、その次に、三十八年度の、畜産物価格安定法に基づく価格決定のための審議会を開く必要が迫ってきておるわけです。それで、これは四月一日以前になるたけ早く審議会を開いて、審議会においても十分論議をする時間的な余裕が必要ですからして、いつごろ農林省としては畜産物価格審議会を招集する用意をしておりますか、この点について伺いたい。
  266. 津島文治

    ○津島政府委員 お話に沿うように、なるべく早く開く準備を進めております。
  267. 芳賀貢

    芳賀委員 なるべくと言ったって、きょうは三月七日でしょう。三月二十三日には全国一斉に知事選挙の告示が行なわれるわけです。国会は開会中であっても、お互い、あなたもそうですけれども、われわれ国会議員としては、地方選挙というのは重大な選挙ですから、従ってその以降なんということになりますと、まじめな審議会の審議は進まぬということにもなるわけですね。だから、そういう点を十分考慮に入れて、たとえば十五日に開くとか二十日前に終わらすとか、そういう目途で審議会を招集しなければいかぬと思うのですが、いかがですか。
  268. 津島文治

    ○津島政府委員 芳賀先生にも委員をお願いしたのでございます。従って、ただいまのお話の二十三日以後になりますと、いろいろ御不都合なことがあると思いますので、その以前に必ず開くようにいたしたいと思います。
  269. 芳賀貢

    芳賀委員 それではその点はわかりましたが、もう一つ、この審議会を招集する場合、政府として審議会に提案すべき資料ですね、たとえば法律による原料乳の価格の問題とか指定畜肉の価格の問題あるいは指定乳製品の価格の問題、これらは十分なる資料を事前に整えて審議会の審議が順調に進むように当然計らうべきだと思うのですが、昨年度の審議会等についても委員の要求があって初めて一夜づくりの資料を持ち出すものですからして、非常に審議が渋滞するわけです。ですから、今年度の審議会の場合は、昨年の例もありますから、十分政府当局としても資料を用意して、審議委員から要求されてから出しますというようなろうばいぶりを示さぬように、十分これは最初から心がけてもらいたいわけです。特に次官から明らかにしておいてもらいたいのは、政府の立場からだけの——たとえば価格算定のための案というものを用意するとしても、一案だけではいけないと思うのですよ。たとえば法律に基づく価格算定の方式にしても、解釈によっては非常に多様にわたる場合があるわけですね。ですから、たとえば生産費方式による場合とか、米価と同じように生産費所得補償方式による場合とか、あるいは需給均衡方式による場合とか、いろいろ従来政府が農産物や畜産物の価格算定をする場合に用いた方式というものが幾多あるわけですね。ですから、これは単に政府ができるだけ安い価格できめようとする算定方式だけを一案出すのではなくて、生産者の立場とかいろいろな立場から考慮した場合を予想した多様な算定方式というものをもって試算した資料というものを当然出すべきであるというふうに私たちは考えておるわけです。  もう一つは、昨年の審議会の答申とあわせて審議会としての意見農林大臣に具申してあるわけです。それは牛乳にしても生乳についてもあるいは畜肉等についても、十分な農林省としての生産費の調査というものは行なわれていないわけですね。対象農家等もごく僅少である。ですからその農家が行なった生産費上の調査資料等によっても非常に信憑性が薄いということになるわけですね。ですから、昨年はその点を指摘して、明年度の審議会までに三十七年の生産費調査等については十分積極的にこの調査を進めて、その調査に基づく資料というものを審議会に提出すべきである、こういう意見大臣に具申されておるわけであって、きだめしそれを尊重して十分な牛乳の生産費調査、あるいは畜肉関係の生産費調査等は行なわれておると思うわけです。これらは一体どういうふうになっておるか、この機会に事前に明らかにしておいてもらいたいと思う。
  270. 津島文治

    ○津島政府委員 ただいまだんだんお話でございましたが、このたびの審議というのが二十三日というようなところに押えられております。よほど手ぎわよくと申しましょうか、運ばなければならないと思うのであります。従いまして、御審議に手間をとるようでは非常に困りますので、ただいま御要請の資料等につきましては、なるべく詳細に完備したものをお出し申し上げまして、そして御審議資料にいたしたいと考える次第であります。
  271. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは政務次官の誠意ある答弁に期待して、そのように運んでもらいたいと思います。
  272. 長谷川四郎

    長谷川委員長 農薬取締法の一部を改正する法律案を議題とし、補足説明を聴取いたします。斎藤農政局長
  273. 齋藤誠

    ○斎藤(誠)政府委員 農薬取締法の一部を改正する法律案の内容につきまして補足して御説明いたします。  改正の内容の概略につきましては、すでに提案理由で御説明いたした通りでありますが、詳細につきまして御説明を申し上げますと、その改正の第一点は、農薬の範囲を拡大したことでございます。  すなわち、農薬の進歩に伴いまして、近年、野菜、果樹等の成長促進剤、タマネギ等の発芽抑制剤等、農作物等の生理機能の増進または抑制に用いられる薬剤が相当普及して参りましたが、これらの薬剤につきましても、従来から本法の対象となっていた防除薬剤と同様に、不良品の出回りを防止し、その品質を維持しまして、農業者が安心して購入できるようにするため、これらの薬剤も農薬として本取締法の対象とすることにいたしました。  また、近年普及し始めました果樹等の生産に用いられる農薬を塗りまたは含ませた防虫袋につきましても、政令で定めるものにつきましては、同様に農薬として本取締法の対象とすることにいたしますほか、農作物等を害するウイルスを新たに防除薬剤の使用対象となる病害虫に加えることといたしました。  改正点の第二といたしましては、水産動植物に有毒な農薬についての登録要件を整備したことであります。すなわち、従来農業の登録にあたっては、その農薬の水産動植物に対する毒性の程度等は、特別の考慮を必要としないこととなっていたのでありますが、今後は、第二条第二項にございますように、登録申請書に水産動植物に有毒な農薬については、その旨を記載せしめることといたしますとともに、第三条第一項第四号及び第三条第二項にありますように、登録申請があった農薬について、農林大臣が農業資材審会議意見を聞いて定める基準に照らし、その種類の農薬が、相当の普及状態のもとに一般的に使用されるとした場合に、水産動植物に対する毒性の強さ及びその毒性の持続性から見て、多くの場合、水産動植物の被害が発生し、かつ、その被害が著しいものとなるおそれがあるときは、その農薬の品質を改良すべきことを指示し、一カ月以内に品質の改良をしないときは登録申請を却下し得ることとしたのであります。  改正点の第三といたしましては、登録票の記載事項及び農薬の表示事項を整備いたし、特に適用病害虫及び使用方法については登録票の記載事項を表示せしめるようにいたしたことであります。  すなわち、農薬に表示される適用病害虫及び使用方法は、その農薬の適正な使用を確保し、使用に伴う被害等を防止する上に重要な役割を果たすものでありますが、従来その変更は届出をすれば足りることになっておりましたのを、第二条第三項第三号の改正によりまして、申請にかかる適用病害虫及び使用方法を登録票の記載事項とし、第七条で表示もこれと一致したものでなければならないことといたすとともに、水産動植物に有毒な農薬についてはその旨を表示せしめることといたしました。  改正点の第四は、指定農薬につき都道府県知事が使用規制の措置をとり得ることといたした点であります。  すなわち、さきに申し上げた第三条第一項第四号によって水産動植物に対して毒性が非常に強い農薬については、登録が受けられないことになったのでありますが、一定の気象条件地理的条件その他の自然的条件のもとで相当広範な地域にわたる水田においてまとまって使用されることにより、水産動植物に著しい被害を生ずるおそれのある種類の農薬、たとえばPCPのごとき農薬については、これを登録するも、その使用の区域なり時期について適切な規制を加える必要があると考えますので、政府は第十二条の二第一項によりこのような種類の農薬を指定農薬として政令で指定することとし、この指定農薬につきまして、その使用に伴って水産動植物に著しい被害が生じまたは生ずるおそれのあるときは、第二項にありますように都道府県知事はその指定農薬の使用にかかる利害の調整その他その使用の規制に関し必要とする方策について、農業及び漁業に関する団体並びに学識経験者の意見を徴しなければならないものとしました。  この結果、農業者の自主的措置が期待できる場合は、第三項にありますようにその実施等について必要な指導その他の援助を行ない、その自主的措置が期待できない等の場合には農業及び漁業に関する団体並びに学識経験者の意見を聞き、都道府県知事の定める規則をもって、区域及び期間を限り、その指定農薬の使用について農林省令で定める許可基準に基づいた知事の許可を受けるべき旨を命ずることができるものといたしました。  以上のほか、農林大臣及び都道府県知事の農薬の使用に伴う被害の防止に関する指導等を第十二条の三に規定し、農薬販売業者等に対する報告徴取、立ち入り検査等に関する農林大臣の権限を都道府県知事へ委任する規定を第十三条第三項として、また指定農薬を定める政令の制定改廃の立案等について農業資材審議会の意見を聞くべきことを第十六条としてそれぞれ付加または改正し、以上の改正に伴う罰則その他所要の規定整備いたしました  最後に、本法の改正及び第一条第一項の政令の制定またはその改正により新たに農薬取締法対象となる農薬につき所要の経過措置等を講ずることといたしております。  以上、農薬取締法の一部を改正する法律案の補足説明といたします。
  274. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次会は来たる十二日火曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会