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1963-02-07 第43回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月七日(木曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 田口長治郎君 理事 丹羽 兵助君    理事 山中 貞則君 理事 足鹿  覺君    理事 片島  港君 理事 東海林 稔君       安部晋太郎君    伊藤  幟君       亀岡 高夫君    草野一郎平君       倉成  正君    小枝 一雄君       田邉 國男君    中山 榮一君       野原 正勝君    松浦 東介君       松本 一郎君    角屋堅次郎君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       野口 忠夫君    芳賀  貢君       安井 吉典君    山田 長司君       湯山  勇君    稲富 稜人君  出席政府委員         農林政務次官  津島 文治君         農林事務官         (農林経済局         長)      松岡  亮君         農林事務官         (畜産局長)  村田 豊三君  委員外出席者         議     員 角屋堅次郎君         大蔵事務官         (主計官)   相澤 英之君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 二月七日  委員栗林三郎辞任につき、その補欠として芳  賀貢君が議長指名委員に選任された。 同日  委員芳賀貢辞任につき、その補欠として栗林  三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月六日  漁業基本法案角屋堅次郎君外三十名提出、衆  法第六号)  沿岸漁業振興法案角屋堅次郎君外三十名提出、  衆法第七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三〇号)  農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三一号)  漁業基本法案角屋堅次郎君外三十名提出、衆  法第六号)  沿岸漁業振興法案角屋堅次郎君外三十名提出、  衆法第七号)  農林水産業振興に関する件(乳価問題)  乳価安定対策に関する件      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  角屋堅次郎君外三十名提出にかかる漁業基本法案及び沿岸漁業振興法案の両案を一括して議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。角屋堅次郎君。     —————————————
  3. 角屋堅次郎

    ○角屋議員 漁業基本法案提案理由並びに法案概要について御説明申し上げます。  戦後、わが国漁業は急速な発展を遂げましたが、その発展は一様でなく、遠洋沖合漁業の急速な発展に比べて沿岸漁業の停滞が目立っております。しかも、漁業における格差増大と競争の激化によって、総体的な漁業生産高の増加にもかかわらず、巨大資本漁業及び一部の上層漁業者を除き、一般漁業経営はかえって不安定の度を加え、零細漁民漁業労働者所得及び生活水準は他産業に比して著しく劣悪となっております。  これは、上述のように漁業における階層間の格差が拡大し、生産及び流通の場において中小漁業者巨大資本によって圧迫、支配または収奪されていることが重要な原因となっておりますが、同時に、歴代政府が行なって参りました大資本漁業偏重零細漁業軽視の誤った政策の結果であります。  このような漁業格差を解消し、政府の誤った政策是正するためには、すべての漁業分野を通ずる基本政策確立、それに基づく総合的な施策実施することが必要であります。  このような考え方のもとに、日本社会党はかねてから各方面の意見を求めて検討を加え、成案を得ましたので、今国会提出した次第であります。  以下、この法律案概要について御説明申し上げます。  まず、前文でありますが、ここでは日本漁業問題点とそれを打開するための方向を述べ、本法案作成基本的態度に触れております。  第二点といたしまして、総則においてこの法律目的と国の責任について規定いたしました。すなわち、イ、わが国漁業構造の改革による生産力向上格差是正、ロ、漁民所得及び生活水準向上、ハ、漁民生活文化水準都市のそれとの格差の解消をはかることを目的として明記するとともに、国は、以上の目的を実現する責任を有する旨規定しております。  第三点といたしまして、国は前項の目的を達成するために、長期漁業基本計画及びそれに基づく年度計画を作成して、国会承認を受けねばならないこと、及び毎年、前年度漁業年度計画実施の結果の報告書並びにその年度漁業年度計画実施状況報告書国会提出せねばならないことを規定いたしました。これは、水産行政における最大欠陥一つとされている計画性欠除是正長期的展望に立った総合的な行政確立するためであります。なお、基本計画に包含さるべき諸計画及びこれらの計画を樹立する場合の手続についても規定いたしております。  第四点といたしまして、漁場利用基本原則について規定するとともに、沿岸漁業者沖合い漁業者漁場利用確保に国は特段の配慮を加えねばならない旨定めております。これは、沿岸漁場沖合い漁場における漁業実態から見て、操業秩序確立関係漁業者の保護をはかろうとする意図によるも一のであります。  また、漁業権にかかる漁業の免許は原則として漁業協同組合に対して行なうこと、大資本を要する母船式漁業公社化及び国際漁場利用あり方についても基本的な方向を示しております。  第五点といたしまして、漁業生産基盤整備等について規定するとともに、中小漁業者資本装備高度化、安い漁業用資材確保についても、国は必要な措置を講ずべき旨定めております。  第六点といたしまして、漁業共同化について、国は漁業経営合理化をはかるため、漁業協同組合漁業生産組合その他漁業者協同組織を育成強化せねばならないことといたしました。  第七点といたしまして、国は、水産物価格を安定させるための措置として、生産費及び所得補償原則に基づく価格支持制度確立せねばならない旨規定するとともに、流通合理化、需要の拡大、輸出振興及び輸入制限等についても必要な措置を講ずべき旨定めております。  第八点といたしまして、国は、中小漁業に対する長期低利資金確保をはかるとともに、漁業者蓄積資金漁業への還元利用に必要な措置を講ぜねばならないことを規定いたしております。  第九点といたしまして、国は、効率的な試験研究及び調査を行なうため、施設の拡充をはかるとともに、総合的な施策を講ずること、並びに水産業または漁民生活改善に資するため、改良普及及び指導に関する必要な措置を講ぜねばならないことといたしました。また、水産教育振興についても規定しております。  第十点といたしまして、国は、漁場、漁港及び漁業用共同利用施設等災害による被害をその負担において復旧せねばならない旨規定するとともに、漁船保険漁業共済制度整備確立して、漁船漁具及び養殖にかかる水産動植物災害による損害並びに不漁による漁業者の損失が十分補償されるようにすべきことを定めております。また、漁船遭難防止のために国のとるべき措置についても規定いたしました。  第十一点といたしまして、漁業労働者所得生活水準を高めるため、国は、漁業労働者就業機会増大、賃金その他の労働条件改善漁船内の労働生活環境改善等措置を講ぜねばならないことを規定するとともに、漁業労働者社会保険を完全に適用できるようその制度を充実整備すべき旨定めております。  第十二点といたしまして、漁村の生活文化水準向上させて都市のそれとの格差を解消するための方策について規定するとともに、あわせて国は、漁民所得増大させるための一助として、その者があわせ営む副業の振興に必要な措置を講ぜねばならないことといたしております。  第十三点といたしまして、国は、この法律に基づいて講ぜらるべき諸施策の円滑な遂行を確保するため、漁業行政機構整備するとともに、その運営の改善に努めねばならないことといたしました。また、いわゆる海外漁業発展をはかるため、別に法律で定めるところにより、政府の監督のもとにこれらの漁業に関する調査、情報の提供、あっせん、連絡等の業務を行なう機関を設けることを定めております。  第十四点といたしまして、この法律規定によりその権限に属せられた事項等をつかさどるための機関として、総理府に漁政審議会を設けることとし、組織その他必要な事項規定いたしました。  以上がこの法案提案理由及びその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。  次に、ただいま議題となりました沿岸漁業振興法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  戦後のわが国漁業の著しい発展にもかかわらず、沿岸漁業の衰退と関係漁民の窮乏には目をおおわしめるものがあります。昭和三十三年の沿岸漁業臨時調査によれば、経営体総数の八六・一%を占める沿岸漁家漁獲はわずか全体の一七・九%を占めるにすぎず、漁家経営当たり平均漁獲高は十九万二千円、しかもこれはやや能率的な三トン未満動力船によるものを含んでいるので、無動力船階層では一段と低くなっております。昭和三十三年における階層別漁業生産所得調査によると、三トン未満動力船階層の一経営当たり漁業生産所得は十九万八千百六十八円、同じく就業者一人当たり生産所得十一万三千六百八十九円となっているのに、無動力階層では一経営当たり七万八千九百五十七円、就業者一人当たり五万九千五百九十円であります。このような低い所得を余儀なくされております関係で、漁家消費水準はきわめて低く、農民一〇〇に対して九四%、都市一〇〇に対して六三%を占めるにすぎません。  沿岸漁業のこのような窮状は、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へと、もっぱら外に伸びることのみに目を奪われ、沿岸漁業への施策を軽視してきた歴代政府行政上の誤りによるものと断じても決して過言ではないと存じます。  荒廃し果てた漁場を改良し、沿岸漁業振興し、関係漁民所得及び生活水準向上させるためには、あれこれの思いつきで当面を糊塗しようとする政府の無責任態度一擲しめ、確固とした法律に基づき、思い切った振興政策を、しかも総合的に実施するのでなければなりません。すなわち、漁業条件改善水産資源の増殖、漁業生産施設及び水産物流通施設整備等事業につき、総合的な計画実施をはかるとともに、これに必要な助成措置を講じ、もって沿岸漁業近代化共同化促進して、その経営の安定と沿岸漁業者所得及び生産水準向上に資する必要があります。  われわれが沿岸漁業振興法案提案するに至ったのは、このためであります。  次に、この法案概要について申し上げます。  まず、との法案でいう沿岸漁業の範囲についてでありますが、漁業権もしくは入漁権に基づく漁業当該漁業以外の漁業で、総トン数十トン以上の漁船を使用して営むもの以外のものを含む)をいい、沿岸漁業者とは沿岸漁業を営む者及びその者のために沿岸漁業に従事する者をいうことといたしました。  第二点といたしましては、この法律でいう沿岸漁業振興事業とは、国、地方公共団体漁業協同組合または漁業協同組合連合会沿岸漁業振興するために行なう事業であって、農林大臣沿岸漁業振興審議会意見を聞いて定める基準に適合するものをいうこととし、その主要なものを例示いたしました。重ねて申し上げますが、沿岸漁業振興は、一、二の施策思いつきで施すことによっては不可能であり、強力な施策を、しかも総合的に施すことが肝要であります。従って、第二条第三項に例示いたしました項目は、どれ一つとして重要でないものはありませんが、中でも一号から七号までは、漁場豊度を高めることによって漁業生産性向上するための事業であり、私どもの最も重視しているものの一つであります。すなわち、第一号から第五号(特に人工孵化放流事業)に至る事業を大がかりに推進することによって水産資源増大をはかるとともに、第五号から第七号までを推進することによって、いわゆるとる漁業から育てる漁業への発展を目ざそうというわけであります。  なお、特にこの際一言申し添えておきたい点は、養魚事業のうちきわめて大きな将来性を持つものと考えられる海面養魚事業促進のため、漁協の自営を条件として特に手厚い助成措置をとった点であります。  また、漁業生産施設及び水物産の流通施設等整備を推進するほか、特に集団操業指導のための施設の設置に関する事業及び漁業生産組合の育成に関する事業を推進することによって、漁業共同化促進することもまた私どもの重視している事業であります。  第三点といたしましては、沿岸漁業振興事業は、都道府県及び国の定める毎五カ年を各一期とする沿岸漁業振興基本計画及びそれに基づいて国及び都道府県が作成する沿岸漁業振興年度計画に基づいて行なうこととし、それぞれ計画作成方法その他について詳しく規定いたしました。これは従来の水産行政最大欠陥である場当たり行政を排し、長期的な展望計画を持った行政確立することによって、より効果的に沿岸漁業振興事業を推進しようとの念願によるものであります。  第四点といたしましては、国の沿岸漁業振興年度計画または都道府県沿岸漁業振興年度計画に基づく沿岸漁業振興事業実施する者は、漁業権に属する区域内においては、当該沿岸漁業振興事業を行なおうとする場合には、当該区域にかかる漁業権者入漁権者及び漁業法第八条の規定による漁業を営む権利を有する者の同意を得なければならないと規定することによって、これらの者の権利を保護することといたしました。  第五点といたしましては、規模が著しく大であり、かつ二以上の都道府県沿岸漁業者によって利用される施設及び高度の技術を必要とするものについては、国がみずからこれを行なうこととし、国の積極的な施策を期待することといたしました。  第六点といたしましては、都道府県に対し、都道府県農林大臣承認を受けた沿岸漁業振興年度計画に基づいてみずから行ないまたは補助を行なう事業に対する国の補助率法律で定め、かつ現行の補助率を引き上げることによって振興事業促進を期することといたしました。由来、沿岸漁業振興基本対策財政政策との対決にあるとさえ言われております。次に述べる低利長期資金貸付とともに、私どもの最も力を入れているものの一つであります。  第七点といたしましては、資金貸付についてでありますが、農林漁業金融公庫(以下単に「公庫」という)は、第三の規定により農林大臣承認を受けた沿岸漁業年度計画に基づいて沿岸漁業振興事業を行なう漁業協同組合または漁業協同組合連合会に対し、当該沿岸漁業振興事業実施に必要な資金貸付を行なうものといたしました。なお、貸付条件は、都道府県補助を行なう事業にかかる沿岸漁業振興事業実施に必要な資金として貸し付ける場合には利率は年五分以内において、その他の沿岸漁業振興事業実施に必要な資金として貸し付ける場合には利率は年三分五厘以内、償還期限据置期間を含む。)は三十年以内、据置期間は五年以内において公庫がこれを定めることといたしました。なお、沿岸漁業振興計画実施に必要な資金を貸し付けるための原資として、昭和三十八年度一般会計から新たに五十億円を公庫に繰り入れることとしております。  第八点といたしましては、この法律によってその権限に属させられた事項をつかさどるほか、農林大臣諮問に応じて沿岸漁業振興に関する重要事項調査審議し、及びこれに関し必要と認める事業農林大臣に建議するため、水産庁に付属機関として沿岸漁業振興審議会を設けることといたしました。  以上がこの法案提案理由及びその内容概要であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御採択いただきますようお願いする次第であります。      ————◇—————
  4. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に、農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  乳価問題につきまして質疑の通告がありますので、これを許します。足鹿覺君。
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 最初に、昨日要求をいたしました酪農関係資料並びに去る一日農業構造改善に関する資料要求をいたしておりますが、いまだに私どもはいただいておりません。これはどうしていただけますか。昨日も厳重にこのことは申し上げておいたはずであります。その資料要求も、口頭で言いっぱなしでなしに、わざわざメモも渡してある。また一日の構造改善に関する資料農地局関係だったと思いますが、これも相当の日数を経ている。今もって提出しないということは怠慢ではないかと思いますが、いかがなっておりますか。
  6. 村田豊三

    村田政府委員 畜産関係につきまして昨日資料の御要望がございました。昨夜来調製に当たっている最中でございますが、できるだけ早く畜産関係のものは取りそろえて、できたものから、提出いたすようにいたします。
  7. 津島文治

    津島政府委員 農地局長に対して資料提出するように昨日話したのであります。局長承知をいたして、必ず差し上げるということになっているのでありますが、まだお手元に届かないようでありまして遺憾に存じますが、さっそく手配をいたすことにいたします。
  8. 足鹿覺

    足鹿委員 委員長において、特に農地局関係のものについては、日時もたっているわけでありますので、すみやかに事務当局を通じて提出方の御手配をお願いいたします。
  9. 長谷川四郎

    長谷川委員長 承知いたしました。
  10. 足鹿覺

    足鹿委員 そこで、先日来審議を続けて参りました乳価問題について、本日は政府当局に締めくくり的な意味をも含めましてお尋ねをいたします。  昨日の参考人の熱心な=述、またこれをめぐる質疑を通じて明らかになった問題は、メーカー酪農民との間において結ばれておる契約内容が、次官なり局長もお聞きの通り非常にずさんである。しかも、それの内容が、お互い誠意をもって履行するに足るようなものが結ばれておらない。これは酪農がかつて副業的なスタートをし、最近本格的に軌道に乗り、成長畜産物としての将来を持つに至ってから、急速に専業化してきておる実情に沿わないのではないかと思うのであります。従いまして、昨日も明らかになったごとく、基本乳価はなるべく低く押え、各奨励金を付しておるようであります。特に私が遺憾に思いますことは、その奨励金も、十数円の奨励金を三つにも四つにも分けて、名目もない、何らの条件もなしに出しておるというに至っては、一体農林省は今日まで生乳取引契約についてどのような指導を行なったのか。伝え聞くところによりますと、生乳取引契約模範例といったようなものも出して一応はやっておるようでありますが、ほとんどこれが実施されておらない。また、局長は先般の酪農会議に、時期別、用途別取引についても諮問を発しておるようでありますが、それらの意図も当然この契約内容に折り込まれ、そして近代的な取引がなされるような契約が双方の合意によって締結される、それをお互いが誠心誠意履行していく以外に、この問題の紛争を未然に防止し、将来にわたっても円満にこの酪農問題を進行していくことはできないと思うのであります。従来どのように指導をし、また、契約は各地域別メーカー別にどういうふうな実態になっており、どこに問題点があると考え、これをどのように整備充実していく方針であるか、詳細に誠意をもって一つ答弁を願いたい、これが一番問題の多いところだろうと思いますので、そのつもりで御答弁願いたい。
  11. 村田豊三

    村田政府委員 御指摘のございました生乳取引契約実態でございますが、この生乳取引実態は地区によりまして、あるいは業者によりまして非常にまちまちであることは、足鹿先生の御指摘の通りでございます。農林省といたしましては、生乳取引につきましては生乳取引契約例のようなものをすでに示しまして、一つよりどころのようなものは示しておるのでございまするが、ただ、御承知のように、生乳取引がまだ十分に近代化されていない、取引実態そのものが十分に成熟をしていない点が多々あると思います。また、そのことがおりに触れていろいろと生産者メーカーとの間に紛争を起こしておる原因にもなっておろうかと存じます。そのような意味からも、どうしてもこの生乳取引形態をより近代化合理化していかなければならないということは私どもも痛感しております。  そういう趣旨もありまして、先般も酪農会議に対しまして、今後の生乳取引あり方はいかにあるべきかという諮問と申しますか、意見を求めておりまするし、かたがた、ただいま農林省の中でもそういう取引につきましてのヨーロッパ、アメリカ等外国事例等につきましてももう少し勉強する必要もあると感じまして、そういうことについての検討も進めて参っておるような状況であります。  いずれにいたしましても非常に重要な問題であり、今後改善をして参らなければならない幾多の問題を含んでおると存じますので、これらの点につきましては、さらに一段と私ども検討を進めて参りたい、かように考えております。
  12. 足鹿覺

    足鹿委員 近く中央酪農会議の主催によって都道府県酪農会議が持たれるということも仄聞をいたしておるのであります。すでに用途別価格制度、その他契約正常化について諮問をしておられるわけでありますから、おそらく九日の会議にはこの問題の答申があろうかと思います。諸外国事例等についても調べたいということでありまして、それはけっこうでありますが、問題は、いつまでもこれを便々として放置するわけには参りません、いつごろからそのような近代的な正常な取引実施していく方針、決意で対処をしておるのでありますか。この次の機会には答申が出てくるので、答申が出たならば急速に実施に移していなければ、今回の紛争のごとき事態がまた近き将来において起きないとはだれも保証できないのであります。その点について、次官もおいでになりますが、でき得ればこういうことは、もう政治問題化しておりますので、大臣の御出席を求めて、御言明を願いたいと思います。この点については、過般農林大臣も終日当委員会出席をされて所信のほども述べておられますので、いろいろと首脳部では御検討になっておられると思います。でき得べくんば、大臣にかわって次官においても政府政治的断をどういう形でどういう時期に下すかといったようなことについては、責任のある御答弁をわずらわしておきたいと思います。
  13. 津島文治

    津島政府委員 昨日私も参考人意見、またそれに関する議員各位の御質問等を拝聴いたしたのであります。なかなか重大な問題をはらんでおることをよく承知いたしております。ほんとうに今にして一大決心をもってこの問題に当たらなければ、せっかくここまで参りました酪農に対しまして非常に残念なことが起きて参るということが明らかでございます。従いまして私どもにおきましても、この重大なことをよく認識いたしまして、困難はもちろんあると思いますが、その困難にいじけることなく、なるべく早期に解決をして参りたい、かように考える次第であります。
  14. 足鹿覺

    足鹿委員 要するに、近代的な生乳取引契約条件としては、ただいまも申し上げましたように時期別、用途別に格をきめる。それは相互の合意に基づいてきめるということが絶対の条件だろうと思うのです。現在のものは力関係もありまして、合意に基づいた契約とは考えられない節がたくさんあります。そういった方針に基づいて、今政務次官が述べられたようになるべく早くやるという趣旨に理解してよろしゅうございますか。
  15. 津島文治

    津島政府委員 さようでございます。
  16. 足鹿覺

    足鹿委員 局長、これに対する主管局長として、具体化はどういう段階になっておるか。先ほどの外国事例も調べましてとか——この前のてん菜糖の視察団が三回か四回イタリアに行った。戻ってきて報告を聞いたって、今だに何ら具体化しない。後退の一途をたどっておる。こういうことでは困るのでありまして、見るのもけっこうだけれども、見たものをわが国の実情に照らしてどのように政治的裁断を下して実施するかということの伴わない限り、何ぼ勉強してもつまらぬと思うのです。この点について少し具体的な御答弁が聞けますか、聞けませんか。
  17. 村田豊三

    村田政府委員 現在農林省生乳取引契約例として示しておりますものに、代金の支払いにつきましては、甲乙両者が協議して定めるという方法を一応の建前としてとっておるわけであります。取引実態につきましては、昨日の参考人の供述にもありますようにいろいろな形があるようであります。この点は末端での生乳取引形態が非常に複雑になっておるということを私どもは痛感をいたしておりまして、そういう問題がございますだけに、この問題は放置できない。ただいま足鹿先生指摘の通りでございます。これには私ども前向きの姿勢で検討をして参らなければならぬ。従って、中央酪農会議の結論も間近く出ると思いますので、さような意味で前向きの姿勢でこの問題の解決を急いで参りたい、かように考えております。
  18. 足鹿覺

    足鹿委員 しつこいようでありますけれども、私の手元にあります生乳取引契約例というものを見ますと、割合に整ったことをやろうとしておる意図はわかるわけです。ところが酪農が今日のような異常な発展を遂げ、このような紛争が起きても、これに対する打開策というものが手おくれておる、これは非常に遺憾であります。たとえば私の手元にあるものによりますと、私がただいま述べたような形のものを農林省は指示しておるようでありますが、これに基づいて契約実施しておる実例はどことどこですか、実情を明らかにしてもらいたい。
  19. 村田豊三

    村田政府委員 この点について畜産局の方で調査した結果によりますると、大体六割程度はこの生乳取引契約例に準拠して取引をやっている模様でございます。
  20. 足鹿覺

    足鹿委員 双方の合意に基づくということが一番私は問題だろうと思うのです。ところが実際においては必ずしも双方の合意が末端の酪農民の理解の上に立った合意と解しがたい面があるのであります。そこに問題が一つあると思うのでありますが、無協約状態のところが四割、あなた方が欲目に見て六割、その六割の内容も、実際面に至っては、ほとんど整備されないままに契約が行なわれておる。ですから一方的に四大メーカーが去年の十月からトップを切って一斉値下げ通告を出しておるというような事態が起きるのです。もともと合意であったならばそういうことはできないはずなんですね。そうでしょう。一方的にそういうことはできないはずなんですがね。そういうことを一方的になし得るようなことをあなた方は黙認しているのですか。これでは指導しておるといっても意味をなさぬと思うのでありますが、その点いかがですか。
  21. 村田豊三

    村田政府委員 取引が当事者の合意によって成立するというこの大原則は当然に守られるべき筋合いのものである。そもそも取引原則はそういう性質のものであると私どもは理解をいたしております。ただいま申しましたように、必ずしも末端の取引がそういう実情になっていない点もあるようでありますが、その点ははなはだ遺憾に存じます。今後こういう点について私どもも一そう実態をきわめまして、その是正をするように努力して参りたい、かように存じます。
  22. 東海林稔

    ○東海林委員 私、関連で一、二お伺いしたいのですが、酪振法の中でも生乳取引については文書契約をやって、これを知事に届け出ることになっている。その契約内容がきわめて不適正な場合には、知事は適正な契約をするように勧告とか指導をする、こういうような精神がはっきり出ているわけですから、ただいま農林省で一応契約例というようなものをつくってはあるというようなことは、その趣旨から出たのだと思うのであります。しかしそれが実際にはほとんどそういう公正な契約になっておらぬというところに、今度の争議が起こる問題があったと思うのです。  そこで私がお伺いしたいのは、昨日の公述人の発言でも明らかなように、群馬その他においては昔の、たとえば大地主が小作人に対するような、あの小作契約というと同じような形で大メーカー生産酪農家に一方的にしいておった契約について、これでは納得できないということで調印することを拒絶して、現在契約がそのままできていないというような形のところが相当ある。それに対して農林省法律的に契約はどういうふうになっているとこれを解釈されておるのか、その点をお聞きしたいと思います。と申しますのは、これまで農林大臣なり畜産局長は、メーカー酪農家との契約は憲法で保障された契約の自由に基づく契約だから、それに対して官庁としてとやかく言うことは非常にむずかしいのだ、こういうようなことを言っておるわけですが、そういう点からして、今お互いの間に話し合いができずに契約が取りかわされておらないということについて、法律的にどういうふうにこれを解釈されておるか、その点を一つ伺いたいと思うわけです。
  23. 村田豊三

    村田政府委員 両当事者間で協議が整わない場合には、酪農振興法の建前からも、乳価についての一つ紛争状態が発生したとみなされるべき筋合いのものかと存じます。これにつきましては、酪農振興法にも所定の手続がございまして、紛争のあっせんなり調停なりの規定もございますので、法律的にいいますればそういう法律の所要手続を踏む道があり、またそれによって解決をすることを期待してよいというふうに私ども考えております。
  24. 東海林稔

    ○東海林委員 いや、そういう手続のあることは私も承知していますが、私が伺っているのは、契約自体は現在法律的に存続しておるというふうに解釈するのか、それが存続しているとすればどういう形の契約というふうに法律的に解釈しておるか、その点を伺いたいと思います。
  25. 村田豊三

    村田政府委員 契約は、もちろん私の方でも生乳取引について契約例のごときものを示しておりますし、またその契約例のような形で実際の契約が取りかわされているところも相当ございますけれども、先ほども申しましたようにそうでないところもありますし、契約実態そのものがいろんな形で非常に複雑をきわめておるようでございますが、御指摘のようにすでに契約というものがあれば、その契約に従った取引が行なわれておるものと私どもは理解せざるを得ないのであります。
  26. 東海林稔

    ○東海林委員 どうも私の資問が理解されていないようですが、私の言うのは、メーカーが一方的にこういう契約をしたいということで酪農家に申し入れをした、酪農家はそれでは納得できないということで話し合いがつかぬ、そこで契約書はもちろん取りかわされておらない、しかし実際牛乳はメーカーに納めておる、こういう状態について、それは法律的に契約が存在するというふうに解釈するのか、またしていないというふうに解釈するのか、存続しておると解釈するならば、それはどういう法律的な形の契約かということについての農林当局の見解を聞きたい、こういうことを言っているわけです。
  27. 村田豊三

    村田政府委員 契約酪農振興法では文書化するような規定を設けております。従って私は、原則的には契約というものは文書によって行なわれ、またそれが酪農振興法の規定に基づいて公表されておるものだ、かように理解しておるのでありますが、ただいま文書による契約書というものがなくて、ただ事実上正常なる取引が行なわれておるという場合に、それをいかに解釈するかという御指摘でございます。その場合、一応継続的に取引が行なわれておるといたしますならば、何と申しますか、慣習的な一つ取引がそこに確立されておるというふうに理解することもできるのではないか、かように考えております。
  28. 東海林稔

    ○東海林委員 はっきりしませんが、これは法律問題ですから、なお一つ検討願います。  それと関連して、実は紛争の状態にあるために知事に紛争の調停を申し入れた場合に、今その契約がそういう状況にあるということと関連して知事が酪振法に基づいての調停をすることができるかどうかという点について若干地方庁では疑念を持っておって、非常に消極的な態度があるように見受けられるのです。従ってその点についてどういうふうに考え、どういうふうに指導されようとしているのか、その点をはっきりしていただきたいと思います。
  29. 村田豊三

    村田政府委員 酪振法の所要の手続に従いまして当事者の一方が紛争のあっせんなりあるいは調停を申し込みますと、知事といたしましてはそのあっせんなり調停を行なう建前になっておるわけであります。その際に、ただいま御指摘のようにいろいろ契約の実体などが不分明なために、知事がそのあっせんなりあるいは調停を行なう場合に判断に苦しむ場合があるという御指摘でございますが、さような場合には、知事といたしましては当事者から意見を聞いて、必要な調停案をつくるという建前になっておるわけでございますが、その際に特に必要があるときには農林大臣に助言を求めるとか、あるいは資料の提示その他必要な協力を求めるという建前にもなっておりますので、さようなことがございますればわれわれといたしましても、必要なそういう助言なりを行なうつもりでおります。
  30. 足鹿覺

    足鹿委員 いま一応、取引正常化問題で私の手元にある資料でお尋ねをいたしますが、その契約例によりますと、価格というところで、第四条「生乳取引価格は、別表で定めるところによる。」こういう条項がありまして、契約の期間は第六条に、有効期間は何年何月から何年何月までとする、こういうふうになっておる。そこで別表を見ますと、この取引の数量、価格等としてあるのです。その場合に昨日も根岸参考人が言われましたように群馬においては基本乳価が五十円だ、そして十円ないし十三円が奨励金だということです。その十三円の奨励金が三つくらいに分かれておって、そのうちの一つが名前がついておってあとはついておらぬ、こういうことなんです。そうするとあなた方が指導しておられる価格とは一体何をさすのですか。基本価格を価格というのですか。価格といえば奨励金だろうが基本乳価だろうがそんなことは、農家は知ったことではない、総合されたものを農家は価格として受け取るわけです。そこがきのうの参考人意見聴取でも生産者メーカーが完全に食い違っておる。この場合に価格とは一体何で指導しているか、期限を付してちゃんとやっておるものを——それが期限切れの場合ならば、これはまた再契約ということになりましょうが、去年の十月以降の場合はわれわれは期限内にああいう事態が起きたと考えておるわけです。そうしますと、あなた方の契約例というものは実施されておっても中身が非常に不十分な点があるのじゃないか。価格とは一体この場合何を指導しておるか。奨励金は、何と何はどういう趣旨のものを規定しておるのか。いわゆる総合されたものを価格と称するのか。一体その辺はどう考えられるか。現にきのう歴然と群馬の酪農会議の会長が責任を持ってここで述べておられるのですから、これなんかについては少なくとも直ちに措置が講じられなければ、法があっても役に立たないのじゃないですか。その点どうですか。
  31. 村田豊三

    村田政府委員 生乳取引の場合の価格というものは一体どういうものかという点でございますが、もちろん基本乳価のほかに契約面でいろいろな形があるようでございまするけれども基本乳価のほかに奨励金でございますとか、あるいはその他の名目で金銭が支払われておる場合がいろいろあるようでありますが、その際に名目のいかんにかかわらず供給されます原料乳の量、あるいは脂肪分に応じまして、生産者が取得する対価、私どもはこれがいわゆる価格であると、かように解しております。
  32. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、価格とは、基本乳価奨励金とを総合したものが支払われるべき対価である。ここの価格という場合には脂肪率は三・二%のものにしてこうだ、脂肪率の増減によってはこうだということを双方の合意によって契約する。それを奨励金だからこれは削ってもいいのだ、去年不景気だったから削ったのだ、こういうことをぬけぬけと昨日大野さんは言っておるのですね。何も不信行為をしたという感じがないのですね。だれの質問に対しても終始一貫あたりまえなことなんだという態度ですね。その信念のかたさというか、頑迷固陋というか、私どもはあきれかえっておったわけなんですが、そこらにはあなた方の指導と何かメーカー側との間に相通じておるようなものがあって、不文律のうちに基本乳価さえ割らなければいいんだ、これは最初農林大臣もそういう態度をこの委員会でやって、そうして後になって態度を変えましたが、あなた方の頭の中には基本乳価の五十二円というものがいつもある。そうして奨励金で操作をするんだという考え方に立っておられるから、昨日も大野さんあたりがぬけぬけとああいうことをおっしゃるのじゃないかと思う。いわんや私が今事情を示したように、基本乳価も五十二円の最低を割っておる。奨励金の名前もない、名目もない、名なしの権兵衛のもので勝手にやる。そういうことが目と鼻の群馬において行なわれておっても、それの指導監督ができないようなことでは、少し言い過ぎかもしれませんが、一体畜産局は何をしていらっしゃるのですか。どれくらいの陣容か知りませんが、これからの畜産局というものは、いわゆる食糧庁と匹敵すべき非常な重大な使命を私は持っておると思うのですね。そういう点においてもいささか遺憾な意を表せざるを得ないのでありますが、いわんやあなた方の目を離れた遠くにおいてはどのような事態が起きておるのか。その実態すらもつかみ得ないのじゃないかと私は心配するのです。私が今言った群馬の実情、東海林さんからも先ほど質問があった実態に対してはどういう指導を具体的に加えましたか。やはりちゃんちゃんと物事にはケリをつけてやったがこうだ、こういうふうに結末をつけないと信を疑われることになると思うのであります。この問題はこれ以上申し上げませんが、努力するということでありますが、いま一応政務次官からこの事態に対処する決意を承っておきたい。あなたにできなければ農林大臣の御出席を求めます。
  33. 津島文治

    津島政府委員 昨日もよく伺っておったのでありますが、いろいろ乳価の問題には混迷な、わからないところがあるのでありますが、そのうちでただいま先生のお話しになりました乳価とは何であるか、基本乳価奨励金、この辺が非常にはっきりしていないようであります。お話のごとく、大野さんのお話は、奨励金というものは会社の方の考えによって左右できるのであるというふうに受け取られる節がたくさんあるのであります。ちょうど私はそのとき考えておりましたが、われわれの月給の本俸と手当との関係のような工合でございまして、本俸さえ動かさなければ手当は減じてもいいのだということは、なかなかどうも今の時代では納得ができぬのであります。それと同じことでないかということを考えまして、なるべくこれは、私はしろうとなりに奨励金の方を本俸の方に繰り入れるということは非常に安定した形ではないだろうか、こういうことを昨日深く考えたのでございます。やはり手当の方を付属いたしまして本俸の方へだんだん繰り入れていくのが安定への道であろう、私はかように考える次第であります。
  34. 足鹿覺

    足鹿委員 契約問題はあまり時間を費やしてもあれですからこの程度にして、ただいまの次官の発言を誠意のある御答弁と承りまして御善処をお願いして次の問題に移りますが、昨日私が要求いたしました資料の中に、指定乳製品買い上げ要領とその買い入れに対する乳業者の申し入れ内容ということを資料として提示を求めておるのですが、資料がいただけませんので、これに関連をいたしまして今回の買い上げについて伺いたい。  事業団買い上げに際しまして、生産者乳価についていろいろ局長なり事業団なりメーカーなりの間においては話があったと思うのでありますが、指定乳製品の買い上げ要領はどういうものであり、乳業者から申し入れされた内容はどういうものであるか。そうして政府はこの買い上げについて一方的に滞貨融資のようなことになり、そうして今まで下げられたものは、さきに次官もおっしゃるように手当の方を一方的に削りっぱなし、こういうことでは指定乳製品の買い入れの目的一つは達しられる。滞貨乳製品の一掃という一つ目的は達成され、会社に対する金融への道を開くということについては意味がある。ところが、一方における乳価の一方的な値下げについては、これは野放しということでは、頭から指定乳製品の買い入れ要領の中にそういうものが入っておらないとすれば、これは私は手抜かりもはなはだしいと思うのでありますが、指定乳製品の今回の買い入れ要領、買い入れに対して乳業者とその間どういう話をされましたか、その点について事態を明らかにしていただきたい。
  35. 村田豊三

    村田政府委員 指定乳製品の買い入れ要領はまだお手元に届きませんで恐縮でございますが、ただいま印刷しておりますので、間もなく来るものと思います。御了承願います。  買い入れ要領で定めておりますことは、乳製品のどういう種類のものを、どういう相手から、どういう価格で、またどういう場所で買い入れるかという、買い入れの主として手続に関することが中心になって、買い入れ要領というものがきめられておるのであります。なお買い入れ要領をきめます際に、その買い入れに伴って乳業者に対する条件と申しますか、行政指導と申しますか、そういうことについての私どものとりました措置につきましてはいろいろあるのでございますけれども、結論的に申し上げますならば、今回の買い入れというものが、法律第三十九条によりまして乳業者の申し込みによって安定価格で買い入れることができるという建前になっております建前上からも、すなわち何も国が一定数量というものをあらかじめ予定をいたしまして、これだけのものを持ってこいということを指示いたしておるわけではないのでございまして、申し込みに応じて安定帯価格で事業団が買い入れるという建前になっておることは、御承知の通りであります。従ってその買い入れにつきましていろんな事情を勘案いたしまして、私の方ではおおむね二十億という見当をつけたわけでございますが、その措置を行ないますにあたりましては、現在引き下げの通告が行なわれておりますものも、できるだけこれが撤回できることを期待をいたしまして、そういう措置をとるような勧奨と申しますか、私どもの申し入れも行なったのであります。その間の経緯については、昨日業界の参考人の代表一人から陳述があった通りであります。しかしながら当時の判断からいたしまして、私どもが一番心配をいたしましたのは、そうであるがゆえに買い入れというものを決定しない、あるいは方針を遅延するということに相なりますと、当時の生乳生産量は非常に伸びておりましたが、必ずしも市乳の消費が伸びていない。従って乳製品加工向けの数量がますますふえていくという傾向もございましたので、今後これ以上の値下げの起こらないことにつきましては、はっきりとした誓約書を私どもがとりまして、確約をさせておる次第であります。なお先般来、農林大臣等に対しても御質問がございまして、農林大臣からもお答えをいたしておると存じますけれども、ただそれだけではなくて、事業団買い上げが一種の条件付と申しまするか、そういう誓約をとって実施をいたすことに相なりましたその反射的な効果と申しますか、将来にわたっては安定帯価格を割るというような事態はまず起こらないであろう、むしろ市況が堅調になるならば、一刻も早く昨年の暮れに行ないました引き下げ等も正常に復するようにという、これも私どもが書面をもって申し入れをいたしました。それに対する業界の回答といたしましても、できるだけその趣旨に沿って、一日も早く事態が正常に復するように努力をいたしますということを申し入れておるような次第であります。
  36. 足鹿覺

    足鹿委員 私が聞かんとしておるのは、そういう指定乳製品の買い入れ要領というような事務的な手続関係を聞いておるのじゃないのですよ。今あなたが後段に言われたお話を聞いておりますと、乳業者からの申し入れというものが、指定乳製品の買い上げをやらないとまだやるぞ、こういうどうかつ的なにおいを伴った何かがあった。あるいは農林省みずから影におびえて第二次、第三次の値下げでもあるやのような、みずからが動揺した。そこでその買い上げについては乳業者からだけの申し入れに応じて、もうこれからするなよ。——ところが一方生産者側もあなた方にはくどいくらい申し入れをしておるはずです。いわゆる一斉値下げは独禁法に抵触するおそれもあるし、また先ほど以来ずっと申し上げたような幾多の矛盾を持っておる。だからこれは買い上げをするならば、二十億からの買い上げをやられるからにはこれも勘案してやられることが、私は、行政庁としては一番公平な態度ではないかと思う。全国の酪農民の期待はそこにかかっておったのです。それがなされない。一方的なものに何か屈従した。第二次値下げの影におびえて、そうしてその買い上げに踏み切った。ようやくこの審議なり世論に耳を傾けてあなた方が考え直すような段階が今きつつあるようにわれわれは考えておるわけでありますが、どうもその辺のいきさつが非常に信念に欠けておる。畜産局は、私は酪農民のみとは言いませんが、やはり畜産局でありますから、酪農民がその生産に精を出すことのできるような、期待にこたえていくということがまず畜産局の基本的な態度でなければならぬ。それは今私が指摘したような、群馬のような目と鼻のような間にこういう事態が起きておっても行政介入もしない、そういうことでは困るのです。ですから乳業者からどういう申し入れをしましたか。生産者の申し入れについてはしばしばあなた方にも、私ども側面的に何回も農林大臣に申し上げた。去年末からのことですからね。私ども社会党としても独自の立場から何回も申し入れをしておる。ですから生産者側の声が聞こえないはずがないでしょう。昨日の大野さんの話を聞いておりますと、何か生産者側よりも、乳業者側との間に、今度の買い入れをめぐっての黙契というか、話し合いというか、そういうものがあったのではなかろうか。だからもう第二次はやらない、これが条件ですか。そういう政治的な判断は、私は、現下酪農事情から考えてみて非常に不当である。片方は一割二分の配当を約束しておる。もうけが去年の営業不振で若干少なくなるかという懸念程度です。この間も申しましたように、酪農民は牛を売っていますよ。そうして人夫に出て、借金を返しているのですよ。そういうのと事態を比べてみたら、これはくどいようですが申し上げるまでもないじゃありませんか。大蔵省もおいでになっておるようでありますが、乳製品の買い上げの問題にどういう条件をあなた方はおつけになりましたか。乳価を一方的にメーカーが引き下げておるからわれわれは乳製品の買い上げを通じて、メーカーが苦しいというならばそのメーカーの立場も考える。生産者も生きるか死ぬかという立場であるからこれも救う。そのために政府行政介入をできないような、二十億からの買い上げをやって一体目的が達成できますか。だれが救われて、だれがばかを見るのでありますか。その点について、相澤さんもおいでになっておるようでありますが、この指定乳製品の買い入れ量というようなものは、そのような事務や手続などをきめるだけではなくして、その背後には、この措置を通じて生産者も守る。(「最初の話がそうだったんだよ」と呼ぶ者あり)そうですよ。それを会社側の滞貨融資だけで終わるようなことで、一体納得しますか。しかも一方的な値下げ通告をしておきながら、市販の乳製品や生乳価格とは別に、きのうもメーカー側の参考人が言われたように、えさを多くやったり少なくやったりして調整すればいいんだ、要するに納屋のすみでメーカー酪農家が話し合いをすればいいんだというような信念を持った人たちが中心に立っておる。そういう中にあって、圧力というものは非常に強いのです。酪農家の方が、力関係としては弱い。その弱い者の立場を代弁あるいは協力してこれを正常化していく努力なしに、日本の酪農振興ということは言うべくして困難だと思うのです。それはなかなかむずかしいことであります。私は昨日も申しましたが、去年の二月二十七日には相当強い畜産局長の通牒が出ておる。行政介入の実績はある。ところがその後、後退に後退を続けてきておる。この実情は何かメーカー側と第二次値下げはしないということで買い上げに踏み切ったのですが、これは相澤さんと畜産局長と理解の点を、この買い上げの意味をどういうふうに解釈しておられるか、はっきりしていただきたい。
  37. 村田豊三

    村田政府委員 昨年の秋に、昨日も公述がございましたように、ぼつぼつあちこちで値下げが始まってきたという事態が動き出しました際に、私どもは基本的な考え方といたしまして、乳価が下がるということそれ自体好ましいことでないのだという基本的な考え方を持っておりました。それは今日も変わりません。従って、業界に対しまして直接あるいは間接に、われわれといたしましては極力この問題について慎重を期するようにということは再三申して参っておったのであります。またそのために大蔵省の御協力を得まして、十一月から生乳の学校給食用の第二学期分も実施をして参ったのであります。そういう情勢の中でございましたけれども、御承知のように十月、十一月当時の生乳生産事情も非常に順調過ぎるくらい順調に伸びて、逆に市乳の消費が伸びない。乳製品向けの量がますます多くなるという情勢がございました。ちょうど昭和三十二年の後半から三十三年にかけまして、御承知のような毎月々々連続的に乳価が下がっていくというふうな事態も予測されて参ったわけでございます。従って私ども基本的な態度といたしましては、乳価の引き下げが行なわれることは好ましくないということだけははっきりしております。できるだけの協力を求めたつもりでございますが、昨年暮れのああいう状況におきまして、むしろ今後に引き続いて連鎖的に乳価の引き下げが起こることをまず食いとめまして、その上で市況の立ち直りが一日も早くできることを期待いたしますならば、おのずから昨年暮れのああいう事態は解消して参るわけでございます。またそういうめどがつけば、私ども行政介入と申しまするか、行政指導と申しましょうか、そういう点につきましてもやりよくなって参るということで、買い上げの措置をいたしたような次第でございます。
  38. 相澤英之

    ○相澤説明員 乳製品の買い上げにつきまして農林省から協議がございました際に、私どもは、一つは乳製品の買い上げをすることによって乳価の安定をはかるということがこの価格安定法の基本的な考え方である、そういう観点から見ると、まだ、実際の牛乳の取引価格が値下げの動きがありましても、この法律にいう生乳の基準価格を地域によっては相当上回っておる、割っておるところは一つもない。そういう状態で乳製品の買い上げをはたしてする必要があるかどうかといった点を問題にしたわけです。従いまして、私どもはその点では農林省よりもかなり渋いことを言っておったわけであります。しかしながら基準価格を割らない状況にあっても、すでに需給の見通しなり何なりからしますと、さらに乳製品の価格が下がる、それを通じまして、業界がまたより以上の値下げを生産者団体に要求する、そういったような事態になることが予想されまして、その判断によりましては、私ども農林省に同調いたしまして、乳製品の買い上げを事業団を通じて行なうことに踏み切ったわけでありまして、基本的な考え方におきましては、私ども農林省と同じでございます。
  39. 中澤茂一

    ○中澤委員 関連だから一問だけ言うが、それは経過が違うのですよ。事務当局の考えと、政治的な話というのは、それはさっき足鹿さんが言ったように、この問題は数回にわたって重政氏と十月の末から十一月にわたってわれわれが会っている。そして、とにかくこの事態を阻止しなければいかぬから、至急事業団買い上げをやりなさい、こう言ったところが、重政氏が、それなら大蔵大臣に話してくれ、そう言うのです。そこでわれわれが大蔵大臣に会いまして、この値下げを阻止するために買い上げをやりましょう、これは政治的な手段である、こういう話で田中さんが、それならば、そういうことで値下げ阻止ができるならば、買い上げをおれの方で考えよう、これが話し合いの経過です。だからあなた方の言うのと全然話が食い違っておる。そういう経過で、最後に農政研究会の幹事諸君が、超党派の会合ですが、大蔵大臣に会って、金額のことはわれわれ言わない、しかし、とにかく至急買い上げを決定して、値下げ阻止をやりましょうということで、了解を得ているのです。そこで買い上げがきまったのですよ。ところが暮れの予算関係のとき、二十八日か九日か、日はちょっと忘れましたが、予算問題で三番町で重政氏と会ったときは、買い上げだけはあなた方は大蔵大臣と会ってきめてくれたが、値下げの方は、私の方はどうも行政介入できないからというので、私はひとげんかしたのです。冗談言うな、それなら二十億買い上げした意味がない。その間に畜産局長と大野氏との取引があったと思う。大野氏にハッパをかけられて、そしてあなたがぐにゃぐゃになって、そしてあなたがこの行政介入はまずい、こう言ったのでしょう。その前には重政氏もこの買い上げ問題のときは、それなら買い上げをしましょう、することに努力しましょう、こういう約束なんですよ。それを今度は畜産局長が変な入れ知恵をしたから農林大臣がぐらぐらしちゃったというのが私は事の真相だと思うんです。大蔵大臣だってそういう話で了承しているんですよ。金額はそのときはきめませんでしたけれども。金額は皆さんの方でよく検討しておきめ願いたい、ただしその際値下げだけは阻止するので買い上げ措置をとる、これが政治的な話し合いだった。それを畜産局長が間に入ってごろごろ変なふうにしちゃったというのが真相なんです。だから、きのう大野氏はああいうしらっぱくれたことを言っているけれども畜産局長がいま少しがっちり信念を持ったら、二十億のところが三十億でも、大蔵大臣がそれじゃ事務当局検討さして買い上げましょうという政治的な話し合いがついている以上、買い上げの額だけは多くしても、値下げだけは撤回しろといって畜産局長が突っぱねるのが当然じゃないですか。そしてこういう事態に追い込んできて、今になれば畜産局長一人で困っているという状態です。そんなばかな話がありますか。現に行政指導を何もやってないじゃないですか。五十二円の基本価格契約をやっているところが日本に何カ所ありますか。ほとんど四十七円か五十円以下じゃないですか、価格契約は。当然あの安定法ができた以上、五十円以上で基本価格契約をやり直せというところまで指導をやるのがあなた方の役割じゃないですか。それを一つもやってないじゃないですか。一体何をやっているんですか。そんなばかな話はないと思うんですよ。結局この問題をこじらかしたのは畜産局長責任じゃないですか。われわれは十月からこの問題で重政氏と数回会っているんですよ。しかしなかなか大蔵省が渋いから、田中さんと話してくれと言うから田中さんとわれわれが二回会っているんじゃないですか。そして、値下げを防げるんなら、じゃ買い上げを考えましょう。そのあとまた念押しのためにわれわれは、農政研究会幹事会で井出君初め五、六人の委員が行って大蔵大臣と話して、値下げをさせないために買い上げの腹をきめてくれ、農林大臣もあなたに話してくれと言うから来たんだと、最後のだめ押しまでしているんじゃありませんか。そして、じゃ買い上げましょうということにきめたのが、事務当局は——相澤氏には私は文句は言わぬけれども畜産局長がみんなごてごてしてしまった。あのとき断固として、じゃ買い上げは、量はあなた方がもっと要求するなら買い上げてやろう、そのかわり値下げはいかぬと、なぜそれができなかったんですか。需給の見通しとかいろんなことを言っても、周期不況説とかいろいろなことを彼らは口実に言っていますよ。それほど多いんだとか、周期不況があるとか。周期不況なんかあるはずがないじゃありませんか。酪農の伸びを見てごらんなさい。伸び一辺倒できているじゃありませんか。生産も伸びれば消費も伸びているじゃありませんか、年間に。周期不況なんてありますか。周期不況説を彼らはこの前のときも盛んに言ったものです。周期的に不況がくるから、だから下げるんだ。あのときも買い上げさしたんでしょう。買い上げさして阻止した過去の歴史をあなたは御存じでしょう。だから当然、二十億の買い上げをやったときは、買い上げをこれだけやってあるから値下げを撤回しなさいという強硬態度をあなたはとるべきだったのですよ。問題は、畜産局長が業界の圧力に押されたと私は判断するんだ。あなたは一体どう大野氏と話をしたんですか、明らかにしてもらいたい。
  40. 村田豊三

    村田政府委員 おしかりを受けましたけれども、私ども先ほど申し上げますように、この問題の解決にあたりましては極力こういう事態を回避できますように、私も新米で未熟であったと存じますけれども、努力をいたした点は自分としても恥じないつもりでおります。しかしながら御承知のように、あの当時のあの事態におきまして私どもいろんな業界との接触も持ち、かつ大蔵省の御協力によりまして二十億を限度として買い入れという措置も目鼻がつきました際に、自分といたしましてはできるだけの努力もしたつもりでございますけれども、積極的な行政介入、これ以上の介入の成果が上がらなかったことは遺憾に存じます。ただ、先ほども申しましたように、できるだけ早くこの買い入れの効果が出まして事態が正常に復することにつきましてさらに努力をして参りたい、かように考えております。
  41. 中澤茂一

    ○中澤委員 事態がここまできた以上、私は、あなたは業界とのやみ取引があると思うのです。第二次値下げだけはやめてくれ、そのかわり買い上げしよう、明らかにあなたが問題をこじらしたんですよ。当初は重政氏も、じゃ買い上げをすればこれは阻止できるだろうかと言い、それはできますよ、前にもそういう実例があるんです。前のときも買い上げで値下げ阻止をやったことがあるんですから。そこで、じゃ買い上げをやることにしましょう。それは値下げを撤回させるという条件付買い上げ措置だったはずなんです、話し合いでは。それがあなたのそれで変なものになってしまったということの事実は、今さらあなたに責任追及しても仕方がないけれども、あまりにもわれわれが政治的話し合いできめたことと、あなた方事務当局でやっていることとは食い違っている。十一月には、重政氏の二十億買い上げをやるということは、値下げをさせないということが条件だったはずなのです。それを今度は暮れの予算のいろいろな問題で話し合ったときは、重政氏は、どうも行政介入はまずい、いろいろ言われておるものでどうもうまくないと言うんでしょう。それはあなたの入れ知恵です。最初の話とは全然違うんですよ。そういうばかなことが一体ありますかというんです。そんな買い上げならしないでいいです。われわれが買い上げをあそこまで努力して、非公式な話し合いを政治的に進めてきたというのは、値下げ撤回をさせるためであって、値下げをするなら買い上げなんかしないでいいですよ。やめましょうよ、ばかくさい。そういう点において大臣とあなた方との間の呼吸というものは一つも合っていないじゃないですか。そういう業界の圧力だけに押されてあなたが適当にあれして、しかも重政氏は当初は値下げを撤回させるという意思で買い上げという問題を考えたものを、今度買い上げしたって行政介入はできない、そういうふうに彼の心境が変化してきたということは何ですか。私に言わせればあなたが悪いということですよ。それで今後どうするつもりですか。ただ回復を待つだけですか。回復を待つだけで問題は済むと思いますか。どうしたってわれわれは値下げ撤回を最後まで要求します。さもなければ事業団買い上げなんかやめましょう。そんなことは当然です。二十億も買い上げてやって、そして値下げをさせる、そんなことなら農林省なんて役所は要らぬ。どう思います、今後の処置を。
  42. 村田豊三

    村田政府委員 重ねて申し上げるようでありますが、買い上げに伴いまして、われわれといたしましてはさらにこれ以上に事態を悪化させないことはもちろんでありますけれども、買い上げの実施に伴いまして、市況の回復その他われわれといたしましてもできるだけの行政指導措置をとりまして、事態の正常化が一日も早くできるように措置をとっていきたい、かように考えております。
  43. 中澤茂一

    ○中澤委員 だめですよ、そんなこと。私はあなたがその値下げ撤回に努力するということでないとそんなことは意味ないと思うんだ。この前の値下げのときだって問題が山のようにあったでしょう。私はきのういいかげん暴露してやろうと思ったけれども言わなかったが、この前の値下げのときだって、あなたは当時当事者でなかったけれども、公正取引委員会調査しろといって千葉に調査に行ったら、森永の自動車が駅に待っていて、ばあっと木更津に行って、芸者を二人あげて酒を飲んでいたという事実をつかんで、この前の値下げのときにここでさんざん問題にして、とうとう公正取引委員会の職員が二人首になっているんです。そういうことまで乳業界はやるんですよ。公正取引委員会まで調査に行ったのを買収供応してそういうことをやるという悪らつきわまる乳業界なんです。森永の大野氏のところの車に乗せてやったということは全部確認している。あげた芸者の名前までこっちはわかっている。そういうインチキなことまでやったのだ。全く言語道断だ。そういう乳業界の本質というものをいま少し知っていなければだめですよ。私はきのうしゃくにさわったから言ってやろうと思ったのだけれども、そういうことまでやって、この前の値下げのとき、あれだって協定値下げをやっているのだ。協定値下げをやっていながら、公正取引委員会がついに最後まで結論が出なかったというのは、そういうことまでやっているからなんです。そういう人たちを相手にして畜産局長が、やあ次の値下げはやめましょう、買い上げましょう一そんなばかな話がありますか。断じて生産者側の要求を守ってやることが公正であると私は判断するから、どこまでも買い上げをやるなら値下げはまかりならぬ、これで突っぱっていくべきじゃないですか。前回の値下げのとき、当委員会がいかに努力をしてあの阻止をしたかという記録でも少し読んで、勉強しておいてもらいたい。撤回についてどうしますか。でもあなたは大野さんとの約束だから、撤回要求は絶対できないですか。できなければできないで、われわれは別の方法を考えますよ。
  44. 村田豊三

    村田政府委員 御指摘のお気持もよくわかるのでありまして、私どもも値下げの実態が、地方によって、県によりましてもいろいろ違っておりますし、昨日の参考人の、業界の代表者の一人のおっしゃる言葉によりますと、すでに解決したということをおっしゃる方もあります。しかしそれらにつきまして、さらによく実態をきわめまして、できるだけの努力をして参りたい、かように考えております。
  45. 足鹿覺

    足鹿委員 最後にもう一つこの買い上げ問題について政務次官にお尋ねをいたして次へ移りますが、そもそもこの事態が起きたということは、原因があるのです。それは、昨年の春予察をやった。ところが乳製品の不足が起きるであろう、こういうメーカーその他の判断に立って、農林省もそれに同調をして、そして四百トンのバターと三千トンの脱脂粉乳というものを入れた。そうですね。それがたまたま涼しい夏のために売れ行き不振になって、メーカーは乳製品に原乳を回せられなくなった。滞貨が出たから買ってくれ、こういうことなんですね。一方値下げをやるということなんです。そうすると予察の誤りですね、神様でない限りこれはいたし方ないと、きのう言いました。私はあのときに一矢報いたかったのでありますが、参考人を呼んで、ここでけんかを吹きかけるとか議論をするというようなことはどうかと思いましたので、これはどうせ政府に言うべきことだと思いましてこらえておりました。実際、予察を誤った責任はだれがとるのでありますか。そのとり方は、やはり当然業界が、いろいろな理由はあったにしましても、滞貨で困ってこれを二十億買う、これはもうきまった。いま一つ生産者の価格の、一方的しかも協定値下げ通告の撤回について行政介入ができないとおっしゃるのですか。それができないということでは、これはとても問題になりません。大蔵省も二十億の国費を使って——国が当初予察を誤った、それが一つの何としても大きな原因であることは間違いないです。その面からいっても、当然これは行政介入をして責任をとるべきなんです。それをメーカーだけがその滞貨融資を受けるというのは、結果としてそういうことができる。ほっておけばこれ以上下がるのじゃないかということは、これは及び腰の、信念に欠けた対策だと先ほどから各委員も御指摘になった通りであります。もう少し国家は公正な立場に立って判断をされることを私は強く要請したい。重政さんも、一日の委員会において、正常化の問題については今後善処すると従来の態度をお変えになった。私はあなたがもう少しこの問題に対しては、昼夜を分かたず捨て身の必死の決意をもってこの事態を収拾する、職を賭してもこれと取っ組んで解決をつける、こういうことの決意を示し、それを受けて首脳部も判断を誤らないで、一方的な立場に立ったというようなそしりを世間から受けないような公正な措置をとられることが私は最も正しい態度だと思います。もともとは予察に誤りがあったんです。そして一方においては成長産業だからというので政府責任において酪農を奨励しておいでになるから、その出鼻からこういうことでは酪農民は浮かぶ瀬がないと思います。とにかくこの問題については御検討になっておると思いますし、政務次官から一つ確たる、行政介入を通じてこの予察の誤った責任をとっていきたいという、要するにその御決意をこの際承ってこの問題は一応なにします。時間もだいぶ迫ってきましたから先に進みたいと思います。いかがでありますか。
  46. 津島文治

    津島政府委員 この問題はきのう、きょうに始まった問題ではございませんが、昨日から特に各方面の参考人も呼びまして協議をいたし、それに対しまして真剣な御議論があったのでございます。そのきのうときょうと二日間を通じまして私どもが考えなければならないことは、非常に事態が重大であるということでございます。ひとりこれは一地方の問題ではございません。全国の問題であり、また日本の今後の農政のあり方につきまして非常に関係の大きなことでございます。それで私からこの席でただいまのお話、値下げを撤回させるということをはっきり申し上げるのはいかがかと思いますが、私はこの問題につきましては、どうしても大臣ともとくと御相談をいたしまして、繰り返すようでございますが、きのうからきょうのこの空気をよくお伝えして、大臣の御判断によりまして何とか打開の道を講じなければならぬのではないだろうかというふうに強く感ずる次第であります。今朝もこちらに参ります前に、首脳部にもそういう空気を伝えて、考慮しなければならぬのではないだろうかということを申してきているような次第でございます。大臣はどう考えるか、これは大臣の御判断でございますからこの席では申し上げられませんが、十分にお伝えを申し上げまして、お考えを願いたいと存じておるのであります。
  47. 足鹿覺

    足鹿委員 次官誠意のある御答弁でありますから、一応私はこの問題については、ここ数日間に早急に措置をされることを期待いたします。なお、先ほどの理事会で私ども委員会としてとるべき措置等についても御協議をいたしておりますその結果等もあろうかと思いますので、まだ申し上げたいことはありますが、この問題はこの程度にして打ち切ります。  次に、大蔵省もおいでになっておりますので、関係の深い重大な問題が一つありますので、これを一つお聞きいたします。  それは牛乳調製工場の問題であります。牛乳調製工場の設置につきましては、先年畜産物価格安定法の審査をいたしました際に、当衆議院農林水産委員会及び参議院の農林水産委員会において、全会一致の附帯決議が付されておるのであります。政府はこの決議をどのように尊重し、実行していかれる御所存でありますか、これを伺いたいのであります。  先日の当委員会における重政農林大臣の御答弁においては、これをやるんだと明確な御答弁がございましたが、そのときの村田畜産局長の御答弁は、検討してみたいというような、きわめてあいまいな御態度であったために、大臣の決意を促したわけであります。明年度の予算要求事業団交付金として十五億円が計上されておりますが、相澤さん、その内容は何と何であり、その金額は幾らであり、これをどのような趣旨で計上されて今日に至って国会に御提案になったか。おそらくこの予算が通過後には、具体的にこれが実施に移していく方針もなしにあなた方は査定されるはずはなかろうと思いますが、いかがでありますか。
  48. 相澤英之

    ○相澤説明員 畜産振興事業団交付金の十五億円の内容につきましては、一応当時における農林省要求内容もあり、学校給食、食肉あるいは生乳措置、そういったような畜産物の価格安定、流通改善、それに資するいろいろな事業に出資または補助する、そういうことで考えております。ただし、これは三十七年度初めて事業団に組みましたときもそうでございますが、交付金は一応その額で組みまして、その内容については農林省要求農林省と協議してきめていく、こういうことでやっております。と申しますのは、学校給食のためにどの程度の金を必要とするか、これはやはり年度のかなりの推移を見ませんときめられない問題でもございますし、従いまして実行上相談をして実施を取りきめていく、こういう形で考えております。
  49. 足鹿覺

    足鹿委員 畜産局長に伺いますが、明年度の予算要求の内訳は、私ども予算書を拝見いたしますと、生乳学校給食補助八億円、牛乳調整工場出資金四億円、食肉共同処理会社出資金三億ということになっておるようでございますが、これに間違いありませんか。
  50. 村田豊三

    村田政府委員 事業団の交付金の要求をいたします際、私ども十五億ということを大蔵省に要求をいたしましたのでございますが、その要求の根拠といたしまして農林省がどういうことを考えているかということで大蔵省に説明した内容は、ただいま足鹿先生の御指摘の通りでございます。
  51. 足鹿覺

    足鹿委員 そこで、ほかの問題はまた別な機会に譲るといたしまして、この乳価紛争に至大な関係を持っております対策の一環でありますところの牛乳調整工場を出資金四億円、つまり半額出資ということになって八億でできることになると思うのですが、その設置場所はどことどことどこでありますか、そしてその経営主体は場所別にだれが当たるようになっておりますか、それらを明らかにしていただきたい。  畜安法第六条によりますと、酪農家の生乳を委託加工した場合には優先買い上げの規定があることは申し上げるまでもないのでありますが、メーカー側はあまりこれに対しては協力の態度ではない、むしろそういうものは拒否するような態度が従来の実績から見てうかがえる。それはまことに困るのでありますが、とにかくそういう態度である。これに関連して生乳の調整工場についても、メーカー筋は歓迎しない。これは自分たちの支配権あるいはその工場の操業内容従って利益の程度等が明確になって参りますことは、彼らにとっては相当痛い。しかし先日来申し上げておりますように、また先ほど各委員も仰せられましたように、適正な契約合意に基づいて成立し、これを誠実に実行し、そうして消費の拡大が一方において進み、そしてこのメーカー生産者と消費者が三本の柱となってこの問題を進めていくという対策に欠けましたならば、これは日本の酪農というものは成長産業どころか壊滅すると思います。そういう意味から、メーカーがどういう企業内容であるか、どういう採算になっておるかということは、農業団体が立ちおくれておるのでありますから調整工場というものをつくって、そうしてガラス張りにしていくということが、正常な取引契約の樹立及びその実行ということにとってきわめて重大な意義を持つことは申し上げるまでもありません。これについて、どのような実行計画を現在お持ちになっておりますか、お伺いをいたしたい。
  52. 村田豊三

    村田政府委員 予算が通りました後におきましては、具体的にこれらにつきましては大蔵省と相談をしてきめていく問題でございまするが、ただいま御指摘のございました調整工場の設置を予定として考えております場所なり主体なりにつきましては、そもそも調整工場ということについての構想を私どもが着想いたしました趣旨からいたしましても、季節的に余剰乳が相当まとまった量で出てくるところにつきまして、余剰乳の処理の合理化をはかって参るという、そういう地帯を中心に考えて参りたいと思いますし、また事業実施の主体でございますけれども生産者団体等がやはり事業の主体になっていくことが好ましい姿であろうと私どもは考えております。いずれにいたしましてもこの問題につきましては、地方から具体的な計画なり希望なりがいずれ予算案等通過の暁には出て参るだろうと思いますから、その計画をよく私ども検討さしていただきまして、その上で大蔵省とも折衝を開始いたしたい、かように考えております。
  53. 足鹿覺

    足鹿委員 相澤さん、お聞きの通りなんです。これは予算に計上され、いずれこれを含めた予算が成立をし、実施のときには、政府責任が出てくると思うのでありますが、この調整工場をめぐる背景というものは、局長もきょうはまことにすなおに決意のほどを具体的にお示しになりましたから、それをわれわれは信用いたしますが、この間の御答弁検討するというようなことで、ああいうこの委員会の雰囲気になったわけです。大臣も設置に踏み切るということを言明されておりますし、この問題は非常に大事な問題であります。特に、酪農生産者組織する生産者団体を重点にした調整工場を設置するということが、主たる目的でなければならないと思います。それでないと、いたずらに四大メーカーやその他の大メーカーに、これらのものが片寄るということでありますならば、これは調整工場を八億もかけて施設の拡大、あるいは新設をしていく意義が失われてくるのであります。そういう点をとくと御認識になりまして、いろいろな力関係でそういった趣旨が曲げられないように、大蔵省としても虚心たんかいに、今述べた本来の目的を達成するように、農林当局とも今後の実施については十分な熱意のもとに具体的な対策を誤らないようにしてもらいたいと思いますが、いかがでありますか。
  54. 相澤英之

    ○相澤説明員 事業団交付金の具体的な使途に関しましては、まだ私ども農林省の方から協議を受けておりません。今後お話がございましたら、十分慎重に、ただいま先生のおっしゃったことも十分勘案いたしまして検討したい、かように存じております。
  55. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に、この問題について政務次官一つ念を押しておきたいと思いますが、この間大臣言明によってこれはもうはっきりしておるし、ただいまの畜産局長なり相澤さんのお話でよく私もわかりました。問題は、あなた方が酪農民の期待に即応するような具体案を責任を持っておやりになる。本来の趣旨を曲げてはだめですよ。調整工場といっても、その主体によって意味が違うわけでありますから、この点について、確たる御言明を一つ伺っておきたいと思います。
  56. 津島文治

    津島政府委員 ただいまの足鹿先生の御趣旨に、あくまでも沿うようにいたしたいと思います。
  57. 足鹿覺

    足鹿委員 時間もなくなりましたので、最後に消費拡大の問題についてお尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。  そこで、昨日の当委員会においての参考人意見の中でも、生産者側とメーカー側のすれ違いは著しい。特に色ものの問題をめぐって、全くすれ違いなんです。これはどうも私ども納得がいかない。不可解に思って、水かけ論みたいなことになりますから、今後は政府に、この問題についての所見をただし、今後の対策を促進していく以外にないと思いまして、昨日はあれ以上申し上げませんでした。色ものについては、店頭の抜き取り調査をやった場合に、明らかにその生乳の含有率というものは、半分または三分の一だ。ですから、これがどのように売れても、結局消費拡大ということにはなりません。メーカーの利益率というものは増加するでありましょう。ですから佐々木参考人は、この色ものを伸ばしていくことによって乳価の安定をはかっていくのたという態度をとっておるし、森永の社長であり、乳製品協会長の大野さんは、いやこれは店頭販売といっても、大したものではありません、そうこれはびくびするような額ではありません、こう逃げています。両者の意見が、これも全く違っておる。どちらがほんとうかということを、私もあとでよく考えてみましたが、やはり飲用牛乳協会の参与である佐々木さんの言っておることと、生産者側の見ておることとは、だいぶ似ておる。要するに利益率が多い。これは統計数字の上によっても明らかになっておる。それから飲み心地がいい。私もこの問題があってから、知人やその他のところに電話をかけたりして聞いてみました。冬の今でも、湯上がりになまの牛乳を冷蔵庫に置いて飲むのでなしに、色ものを飲んでおる家庭が相当あることを見まして、びっくりました。これは店頭だけではなくして、家庭にまで色ものが入ってきている。いわんや盛夏のころ、のどもかわき、口当たりのいい——栄養分よりも、口当たりがよくて凉味を満足させれば、一般の消費者はわかりませんから、やはりそれに手が出る。これは消費拡大とは相反することにもなりますし、私は非常に遺憾なことだと思うのです。そこで、成分の問題とかその他規制の基準を定めていかなければならぬと同時に、あまりにもそういうものにメーカーが走って、生乳の消費が思うように伸びないというようなことのないようにしていかなければならぬと思うのです。  消費拡大の面については問題はたくさんありますが、輸入差益金を使って消費拡大をやるということはけっこうであります。問題は、その消費拡大運動を起こしていく団体の構成に、メーカーだけを加えて、生産者も消費者の代表も入れないというような現実の構想を是正されるかどうか。これも必要でありますし、それから消費拡大の運動内容について、学童に絵をかかせるというようなことが今取り上げられておるという話もきのうありました。それだけではないでしょう。学校給食その他の大きな政策の柱は論じ尽くしておりますから、きょうはあえて申しません。農林省も午後一時から全国の畜産課長を招集していろいろ協議をするそうで、当面のこの問題についても、この委員会の空気等を伝えて対処されなければならぬと思いますから、あまり広げません。広げませんが、少なくとも消費拡大運動を、輸入差益金を中心に展開する以上、その団体の構成については消費者を入れて、消費者のなまの声を聞かずして一体何ができますか。生産者の声もこれに投ずべきである。メーカーだけで組織するなどということは、これは世間のそしりを受けるもとであります。そもそも畜産局の姿勢がどっちを向いておるかというようなことについて、疑いを持たれる原因一つだろうと私は思う。これは姿勢を正していただかなければなりませんが、その一つの証拠として、今言った色ものの対策というものに対してどう踏み切るかということ。それから、昨日大野参考人に私が、酒は一升びんで飲ませるが、なぜ牛乳は一合びんで飲ませるのかと言ったら、いや私の会社では、一リットル、またその半分くらいのものをつくっておりますけれども、どうも子供に飲ませるときなどに、一合びんの方がきまっておっていいなどというようなことを言っておりました。しかし私どもが見たところ、食品衛生法、環境衛生法等が相当消費拡大を妨げておるということは、全く争えません。これはどうしても改めなければならぬと思います。今のようなことをしておれば、これはメーカーだってそのはねっ返りを受ける。一番はねっ返りを受けるのは農民であり、消費者であります。なぜ家庭で大びんものが飲めないかというと、一合十六円も十八円もするものを、あるいはホモジナイズした牛乳だとか、デラックスの牛乳だとか、あるいは何々入りの牛乳だとかいうようなものを色もののほかに、いいかげんな何だかわからぬようなことをしてまぜくって、それを詰めて、そして二十円だ、二十何円だという高い値段で売っておる。そうすると、少し余裕のある者は、それを飲めばからだにいいかもしれぬと思ってつい飲んでしまう。そういういろんなものが累積しからみ合って、本来の乳そのものを安く飲ませる態度を怠っておると思うのです。そこで、これは別な機会に申し上げますが、やはり本来の乳を安く飲ませるためには、最近労力不足の点もありますので、どこの店頭でも大びんを買わせるようにしたらいい。冷蔵庫のない家庭はないくらい普及しておるのですから。消費拡大については、この際他の省の関係法令との調整をはかっていかなければならぬと思いますが、食品衛生法、環境衛生法の関係等もありますが、今言ったように、消費拡大運動の推進機関の構成と運営、色ものあるいは加工牛乳等の規制の対策、それから食品衛生法及び環境衛生法等消費拡大を妨げておると認められる問題についていかに調整をされるか、この程度を承っておきたいと思います。まだたくさんございますが、それは他日に譲ることといたしまして、この点をしかと確かめておきたい。
  58. 村田豊三

    村田政府委員 色ものに対します規制の問題でございますが、昨日も私ども実は意外な意見を聞かされておりました。今後これに対します対策としていかなる対策を講ずるべきか、実は判断にも迷ったくらいでございますが、いずれにいたしましても、色ものが一種の嗜好飲料として最近かなり消費をされておることは事実でございます。これがはたして牛乳の消費についてどういう影響を及ぼしておるか、これは、私どもも十分調査なり検討なりをいたして参らなければならないと思います。見方によりましては、逆に色ものが牛乳の消費を促進しておるのだというような御意見も耳にいたしますけれども、はたしてそうなのかどうか、これについて私どもは、もう少し関係者あるいは専門家の御意見等をも聴取いたしまして具体的な検討を進めて参りたい、かように考えております。  環境衛生法等の関係につきましては、当委員会でも前々から非常に関心を持たれまして、農村地帯の簡易処理の問題でありますとか、集団飲用の場合の処理の問題でありますとか、容器その他についてもある程度の緩和措置がとられて参っておりますけれども、昨日もこれらの問題につきましてるる陳述がございましたように、さらに牛乳の消費拡大という見地から、私どもも、具体的に厚生省等と積極的な検討をいたさなければならぬ問題が多々あるということを十分意識いたしております。今後この問題も十分研究を進めて参りたい、かように考えております。  なお、消費促進運動につきまして具体的な御指摘がございましたけれども、昨日もお話がございましたように、現在は主としてメーカー関係が中心になって——もちろん事業団が中心になっておるのでございますが、事業団を中心にして関係者が相集まって協議会をつくって具体策を進めておるわけでございますが、この協議会に牛乳の生産者団体をことさら意識して排除しておる意図は毛頭ございません。建前といたしましても、生産者団体が加入する道も開かれております。従って、まだ具体的にどういう計画がよろしいという生産者団体の計画は伺っておりませんけれども、これらについての要望があり具体的な計画がございますならば、その内容検討いたしまして協議会の問題として取り上げるようにわれわれも努力して参りたい、かように考えております。
  59. 足鹿覺

    足鹿委員 それは違うのです。そういうことがあなたの煮え切らないというか——そういうことくらいはあなたも明確にしたらよい。生産者団体に言い分があれば聞いてやるという態度は、あなたの立場としておかしいと思うのです。そうでしょう。次官、どうですか。消費者の代表も生産者の代表もその構成に入れてその場でみなが衆知をしぼる、別に無理なことを求めているのではないのです。なぜそんなことが言えないのですか。そういうところにあなた方の姿勢の疑われる点があるのです。こんなことくらいで私に大きな声をさすというのは一体何ですか。消費者を抜きにし、生産者を抜きにして、どこに消費推進運動がありますか。事業団やメーカーだけでなく、官製のものならもののようにもっと公正な組織メンバーにしなさい。当然じゃないですか。政務次官、どうですか。はっきりあなたの断を下して下さい、あなたの責任において。
  60. 津島文治

    津島政府委員 それはただいまお話の通り、当然消費者及び生産者、そういう方々の代表を入れまして構成をして、それらの方々のほんとうの声を聞いて進むのはまことにけっこうなことである、かように考えます。
  61. 中澤茂一

    ○中澤委員 一つ局長にだめ押しをしておくが、前回の買い上げを決定したとき十月末日と納期を切ったのです。滞貨があって値下げする、それでは買い上げしろということで買い上げしたときに、十月末日と滞貨製品買い上げ期日を切ったのです。そうしたら十月末までに一つも入ってこないで、メーカーがどう農林省をごまくらかしたか期日を十一月末日まで延ばさしたが、このときも入ってこない。そうして、どうごまくらかしたか十二月末日まで買い上げ期日を三回延ばした。そうして十二月末日にできたてのほやほやをかつぎ込んだという事実がある。今度期限を切ってもしそれまでに入ってこなければ買い上げをぴしゃっと打ち切るかどうか、これをはっきりしておいてもらいたい。
  62. 村田豊三

    村田政府委員 昨日、事業団の理事長からは、まだ買い上げの周期というものを考えてないというふうなお話がございましたけれども、私どもは、買い上げの効果というものは、ある時期までに買い上げを完了して、その効果が的確に現われるようにいたさないと、いつまでもだらだらと買い上げが行なわれているというのでは、制度意味がないと存じます。この点、理事長といたしましては、当初予定の買い上げが、十分に行なわれることを意味するつもりで、むしろ善意でそういう御発言があったのかと存じますけれども農林省といたしましては、この点は追って事業団とも打ち合わせをいたしますが、買い上げの時期を早くする、そうして効果を早目に発揮するという趣旨で、買い上げの周期を早急にきめてもらいたい、かように考えております。
  63. 足鹿覺

    足鹿委員 ちょっと一点だけ、今の推進協議会について。  私の資料によりますと、この推進協議会は牛乳、乳製品の消費拡大についての初会合を十二月二十一日にやっておるようであります。十二月の二十五日には発起人会を開き、総会を開いておる。総会及び第一回の委員会をやって規約を決定し、委員もきめ、事業計画は四千四百万円ですか、相当な金額ですね。ということになっておりますが、ただいまの次官の御発言は、このきまったことに対して、それぞれ御発言の趣旨に沿うように善処をされる、こういうことが伴わない限りこれは架空なことになります。どれをどう何人というようなことは言いませんが、これを今御答弁になった趣旨に沿うように改められるということに間違いありませんか。念を押しておきます。
  64. 津島文治

    津島政府委員 メンバーを新たに加えることができるのでありますから、善処いたしたいと思います。
  65. 長谷川四郎

    長谷川委員長 稻富君。
  66. 稲富稜人

    ○稲富委員 時間が制約されておりますし、大体ほかの同僚からいろいろ御質問になっておりますので、二、三点だけ集約いたしまして、結論的にお尋ねしたいと思うのでございます。  まずお伺いいたしたいと思いますことは、今回の乳価値下げに対しまする政府のとられた処置に対しましては、われわれ非常に遺憾な点が多いのでございます。そういう意味からお尋ねしたいと思いますことは、今回の乳価値下げが酪農振興にどれほど悪影響を及ぼすかということに対して、政府はどのくらいの御認識を持っておられるかということが一つ。さらにまた、これに対してわれわれは、実に政府のとられた態度というものが微温的であり、遺憾に思うのでございまするが、政府はこれに対してどういう処置をおとりになったか。われわれが遺憾に思っておるように、措置を十分におとりになっていないということを御認識であるならば、何がゆえにそういう積極的な措置がとられなかったか、こういう点を一つ冒頭に承っておきたいと思うのであります。
  67. 村田豊三

    村田政府委員 乳価の値下げが酪農振興に影響がありますことは、私どもも重々承知いたしております。従って、この問題が酪農振興に大きな影響を与える問題でありまするので、農林省といたしましても、関係者に対しまして慎重に行動するように行政的な指導と申しまするか、協力要請をしばしばして参ったのでありますが、その間におきまして、値下げが実施される以前におきまして、できるだけそういう客観的な情勢を好転せしめる必要があると存じまして、昨年の十一月から牛乳の学校給食を実施したい。われわれといたしましても、そういう行政上でき得る限りの努力をして参った次第でございます。なお、さらに事態が昨年の暮れにはますます深刻になりましたために、事業団によりまする乳製品の買い上げを実施し、それに伴いまして事態の正常化を一刻も早くはかって参るというふうな措置を講じた次第であります。
  68. 稲富稜人

    ○稲富委員 これが対策に対しましては、ただいまも局長から御答弁があったのでございまするが、この対策といたしまして、私たちが非常に弱いと思うのは、もちろん乳製品の事業団の買い上げ等に対していろいろと努力をなされたのだ、こういうような御答弁でございますが、それが十分成果を上げていないのです。ここに事実上私たちは、なぜ政府がもっと積極的にやらなかったかということを考えるわけでありますが、さらにさかのぼって、御承知のごとく酪農振興法によりましても、酪農振興法は、これが酪農振興にかえって悪影響を及ぼすというような場合においては、これによってももっと政府は積極的な方法をとるべきだと思うのです。先刻局長の、この酪農振興法に対するとられた処置を承っておりますと、酪農振興法の二十条の規定によりまして、各都道府県におきまして調停の申し出がないから、これに対しては積極的な処置をとっていなかったのだというような、こういう御答弁が同僚にされておったように聞くのでございますが、今回のこの乳価の値下げという問題は、これは当然一点じゃなくして、全国的な問題であることは当然でございます。明らかになっているわけでございます。酪農振興法の二十条というものが、どちらからかこれに対する調停の申し出がなかった場合は、ただ手をこまねいてながめて時期を待っているのだ、こういうような消極的な取り扱いをしなければできないのであるか。当然これは全国の酪農振興上大きな問題があるとするならば、この酪農振興法の適用においても、もっと積極的な処置を、指導的な行政的な処置をなぜとられなかったか、こういう点に対する考え方を一つ承りたい。
  69. 村田豊三

    村田政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、酪農振興法の規定法律の建前を申し上げただけでございまして、従って、事実各地方におきましてその必要が発生いたしまする場合、やはり当該知事が前向きでそのあっせんなり調停に乗り出すような指導をいたすべきことは当然のことだと私ども考えております。
  70. 稲富稜人

    ○稲富委員 しからば、各県の知事等がこれに対して積極的な処置をとるような行政的な指導農林大臣はやられたのであるかどうか、この点承りたい。
  71. 村田豊三

    村田政府委員 この問題につきましては、おりに触れまして、府県の方から相談を受けております場合には、これについての私どもの助言なり意見を述べて参っておりまするけれども、実は本日も全国の畜産課長会議を招集しておりまして、こういう問題についてもよく趣旨の徹底をはかって参りたい、かように考えております。
  72. 稲富稜人

    ○稲富委員 あまり質問しておっても長くなりますので、この問題で結論でございますが、しからば将来酪農振興法というものに対しても、現法律のままでこういう問題の生じた場合は、もっと積極的にこの適用において処理するというような方法がとられるのであるかどうかということ。もしも現行法においてとられないとするならば、酪農振興法というものをもっと改正でもして、こういう問題に対する、酪農振興法のほんとうの趣旨を十分生かすような改正でもやらなければならぬ問題も生じてくると思うのでありますが、現行法でこういう処置に対しては十分やられるという確信があるのであるか、将来やられようという考えがあるのであるかどうか、この点を承りたい。
  73. 村田豊三

    村田政府委員 法律の建前は確かに自動的に知事のあっせんなりが発動するようになっておりますけれども法律全体の運用といたしましては、やはり県が積極的なあっせんなり調停に乗り出すことは可能であろうと思います。そういう点は事態に即して積極的な措置がとり得るものだ、私どもはかように考えております。
  74. 稲富稜人

    ○稲富委員 さらに、どうも局長は県に責任を転嫁されておるようでございますが、これが数県にわたった場合は、県知事から農林大臣諮問ですか、何か聞いてきた場合に、農林大臣はこれに対する処置をするようになっておりますが、この法の精神から申しましても、当然数県にわたるというような問題があるならば、これは単に県にだけ責任を負わせるのではなくて、農林大臣みずからこれに対して積極的な運用をやられるということが考えられると思うのだが、これはどうですか。
  75. 村田豊三

    村田政府委員 そういう事態については、私どももそのような運用を考慮してよいと思っております。
  76. 稲富稜人

    ○稲富委員 では結論において、将来農林大臣はこの問題に対しては、ただいま申されたような積極的な方途を現行法においてとるという心がまえであるかどうかということを承っておけばいいのです。
  77. 村田豊三

    村田政府委員 その事態に即しまして、酪農振興法の所要の手続もあることでございまするし、そういう処置を農林省としてとるべきであると私ども考えております。
  78. 稲富稜人

    ○稲富委員 その次にお尋ねしたいと思いますのは、畜産物価格安定法の附帯決議の中の七項に、生乳の買い入れについても検討することということをうたってあるわけでありますが、今回のような場合におきましては、当然これは事業団の買い上げ対象に、生乳等の直接買い上げ等も考慮されていいのじゃないかと思うのございますが、この附帯決議にあります生乳の買い入れ等に対しては検討されたのであるか、どういうお考えを持っておられるのであるか、お考えを承りたいと思うのです。
  79. 村田豊三

    村田政府委員 生乳事業団買い上げが乳価安定の一つの処置であるということも、十分考えられることであると存じます。しかし御承知のように、ただいまやっておりますのは、生乳を極力学校給食に回しまして、余剰乳の調整措置生乳の消費拡大、両方あわせて効果をねらってただいま実施をいたしております。実は、率直に申し上げまして、学校給食に生乳を向けますこと自身にも、いろんな地方々々の実情で困難な点もあるようでございます。当面は、この学校給食に対して事業団が助成するということを強力に進めて参っておるような状況でございまして、さらにこの問題は引き続いて検討して参りたいと考えております。
  80. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは生乳の買い上げは不可能であるというような立場からの検討でございますか。非常に困難性があるから、困難性に対してはこれを何とか考えなくちゃいけない、こういう前提のもとに検討するというような御意思であるか、この点承っておきたいと思うのでございます。
  81. 村田豊三

    村田政府委員 ああいうなまものでございますので、そのなまものの買い上げをいたしましてそれを事業団が処理するということは、事業団の事業能力の問題もございまするし、また買い上げという場合に、その用途別の問題も検討いたして参らなければならぬ問題がございます。いずれにいたしましても非常に問題がございます。ただ、問題があるから逃げておってよろしいということを申しておるのじゃございませんので、前向きの姿勢でこれも検討して参る必要がある、こういうことを申し上げたわけであります。
  82. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは、時間がありませんから、もう一点だけお尋ねしたいと思います。  先刻来、足鹿委員から消費拡大の問題についていろいろ御質問があったのでございますが、これは農林省と厚生省で食品衛生法の改正の問題に対して十分検討せられていい問題であると思うのでございます。農林次官もおいでになっておりますが、これは単に牛乳の問題のみならず、将来ジュースその他の問題につきましても、大いにこれは考慮しなくちゃいけない問題があると思うのでございますが、この食品衛生法の改正問題に対して、農林省といたしましては、先刻来足鹿君の質問にもあったのでありますが、積極的に改正に進んでいこう、こういうような気がまえが今日おありになるのであるか、この点腹案がありましたら承りたいと思うのでございます。
  83. 村田豊三

    村田政府委員 かねがね食品衛生法と牛乳の消費拡大の問題は非常な関心の持たれておる問題でございますし、かねて現行法のもとにおきましても、運用の面で特殊な地帯なりあるいは特殊の集団用途に対しまして便法を講ずる措置もとられて参っておりますので、実は私どももこの問題が食品衛生という、衛生的な問題を含んでおりますだけに、専門的な立場に立たれます厚生省の意見も十分尊重して参らなければなりませんし、一方、先刻来いろいろ問題になっておりますように、積極的にある程度のこの問題の推進をはかっていく必要もあるという感じもいたしております。これらにつきまして絶えず私どもも厚生省と連絡をとっておりまして、厚生省にいろいろ積極的に消費を拡大をして参るという立場からの検討をお願いしておるような次第であります。
  84. 稲富稜人

    ○稲富委員 この食品衛生法の積極的な改正等に対して農林省が取り組まれる場合の具体的な問題でございますが、先刻色もの牛乳等に対する問題あるいは容器の問題等に対しましては足鹿委員よりも御質問いたしまして一応述べておったのでありますが、さらに農村等の、地方における集団営業等のための高温殺菌方式等に対する考え方は農林省はどうお考えになっておるか、こういう点も、高温殺菌方式等は十分考えなくちゃならぬ問題ではないかと思うが、この機会に承っておきたい。
  85. 村田豊三

    村田政府委員 御指摘の点全く私どもも同感でございまして、昭和二十九年でございましたか、厚生次官と農林次官の共同通牒によりまして、農山村地帯あるいは集団給食施設等におきます牛乳の消費促進をはかるということから、なかんずく農村におきます高温殺菌簡易処理につきましては特別の扱いをするようにという道も開かれて今日に参っておりますし、また、ひところこれにつきましては農林省から、こういう簡易施設の設置につきまして補助等をいたした経緯もございまして、こういう問題についてさらに私どもも推進して参りたいと考えております。
  86. 稲富稜人

    ○稲富委員 私、質問はいろいろありますけれども、時間がありませんので、結論といたしまして、ただ今回の乳価の値下げが日本の酪農振興に非常に大きな影響を及ぼすものであるという見地から、先刻からあるいは今一数次にわたりまして、これに対する生産者の立場から非常なる憂慮をされているのであります。少なくとも農林省におきましては、生産者の立場において今後乳価対策等を考えられるということが当然であると思います。先刻から次官なり局長等も、何とかこれに対しては酪農民の期待にはずれないような処置をとらなくちゃいけないというようなことは言われておるのでありますが、単なるこれが委員会答弁にあらずして、結論として、酪農民が将来安心して酪農経営ができますような、乳価においても酪農民生産を十分保障し得るような、こういうような処置を将来とるという決意を持って、今後の乳価対策に対しましても処置をとられんことを十分一つ希望を申し述べまして、今回の私の質問は打ち切ります。      ————◇—————
  87. 長谷川四郎

    長谷川委員長 この際農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案に対しましては、提案理由の説明について去る五日聴取いたしましたが、この際両案に対する補足説明を聴取いたします。松岡農林経済局長。
  88. 松岡亮

    ○松岡政府委員 過日提案理由の説明のありました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明いたします。  まず第一に、公庫資本金に関する第四条の規定の改正でございます。公庫の三十八年度における貸付契約計画額は、新制度分三百億円を含め総額八百七十億円で、前年度に比べて百六十億円の増加でございます。この貸付金の原資といたしましては、まず政府からの出資金でございますが、一般会計からの出資十四億円、産業投資特別会計からの出資二百六億円、合計二百二十億円がございますほか、借入金といたしまして、資金運用部資金等の借り入れが合計三百六十六億円、貸付回収金等が二百二十億円でございます。以上の通り、一般会計及び産業投資特別会計からの出資が二百二十億円ございますので、公庫法第四条第一項の公庫資本金をそれだけ増額しようとするのが改正の第一点でございます。  次に、今回の改正の眼目である農林漁業経営構造改善資金融通制度の創設に関連する改正でございます。この新制度の創設の目的趣旨につきましては、過日御説明のありました通りでございます。法律の上では、新しく第十八条に追加いたしました第三項に「農業若しくは沿岸漁業構造改善計画的推進を図り、又は農業経営の規模の拡大、農業生産の選択的拡大若しくは林業経営改善促進するため」に必要な一定の資金につきましては、別表第二に定める特別に有利な利率その他の貸付条件で貸し付ける旨を規定して、新制度趣旨を表明しているのでございます。これに関連して若干御説明申し上げますと、まず、新制度の大きなねらいは、構造改善事業計画的推進をはかるため、これに必要な長期低利の資金公庫から円滑に融通することにあるのであります。御承知の通り、農業構造改善事業は、全国約三千百市町村を対象とし、一定の年次計画により、本年度から具体的な事業実施段階に入ったのでございます。この事業の円滑な実施確保いたしますため、その中核をなします補助事業につきましては、特に高率の補助率を適用しているのでございますが、融資の面におきましても、必要な原資を確保いたしますとともに、関係農民の負担軽減のため、特に長期低利の条件をもって融通することとする必要があるのであります。しかしながら、農業構造改善事業のうちの融資単独事業等について貸付を予定されている農業近代化資金は、農協系統に保有されている農家資金をその原資とする関係からいたしまして、地域によりましては、単協等の資金事情から、短期間に多額の投資を要するこれらの資金の融通が円滑に行なわれがたい場合も予想されるのであります。このような事情を考慮いたしました結果、従来農業近代化資金の融資対象とされておりました個人的施設と、共同施設である経営近代化施設のうち農業者の協業組織の設置するものについて、これを公庫からの融資に振りかえることとし、その貸付条件を個人的施設の分を中心に大幅に緩和することとしたのであります。  沿岸漁業構造改善事業は、全国おおむね四十二区域を対象として農業の場合と同様、一定の年次計画に基づいて実施しているのでございますが、別途今国会提案されております沿岸漁業振興法案に基づく国の施策といたしまして、この事業の円滑な実施確保いたしますため、従来から公庫が融通をしておりました漁船、海面養殖施設等の沿岸漁業近代化資金の金利を大幅に引き下げて、沿岸漁民の負担の軽減をはかったのであります。   〔委員長退席、足鹿委員長代理着   席〕 このほか、沿岸漁業につきましては、構造改善事業の先行的な実施という意味合いで実施しております沿岸漁船整備促進事業がございますが、この事業における漁船の建造等の資金、並びに沿岸漁業振興法案にも規定しております生産行程の協業化の促進のために必要な漁船の建造等の資金、海面養殖施設の造成資金等は、いずれも従来から公庫が融通をして参ったのでありますが、これらの事業も広い意味において沿岸漁業構造改善のための事業でありますから、構造改善事業推進資金とともに、新制度資金といたしまして、金利の引き下げを行なっているのであります。  次に、新制度の重要なねらいといたしまして、農業経営の規模の拡大をうたっているのであります。これは、農業基本法において国は自立経営の育成のために必要な施策を講ずべきことを規定されておりますが、今日、この方向に沿って農業経営改善をはかって参りますには、何と申しましても、経営の基幹的施設である経営耕地の拡大が必要であると存じます。これにつきましては、御承知の通り、かねて自作農維持創設資金融通法に基づきまして、公庫より農地及び採草放牧地の取得資金を年五分、償還期間二十年以内の貸付条件で融通して参っておるのであります。この資金の融通は、もともと農地改革によって創設されました自作農の経営の維持安定が主眼となっていたものでありますが、最近におきましては、その運用面におきまして、積極的に経営の拡大改善をはかるための前向きの金融という性格を強めて参りました。今後の農業の動向を考えますとき、このような方向における農地等の取得金融を一層円滑にする必要があり、またこのことは、農業構造の改善をはかるためにも肝要なことと存じまして、今回の新制度に農地及び採草放牧地の取得資金を加え、金利の引き下げと償還期限の延長を行なおうとしているのであります。なお、従来農地等の取得資金には、いわゆる未墾地の取得資金が含まれておらず、公庫資金としては、開拓パイロット事業の場合に、農地の造成資金に含めて融資が行なわれる場合があったのであります。ところが、最近におきましては、農業構造改善事業等におきまして未墾地を取得して樹園地を造成するとか、家畜飼養のための草地として利用するというような事例が増加して参っておりますし、また果樹園経営の拡大のため、未墾地を購入して自力開墾によりこれを果樹園とするというような農家もかなり見受けられるのでありまして、これらの場合の取得資金が相当の額に達するということを聞いているのでございます。このような事情がございますので、新制度におきましては、農地、採草放牧地の取得金融に、未墾地の取得関係をもあわせまして、農業経営改善のための土地取得資金の融通を行なうことといたしたのでございます。  次に、農業生産の選択的拡大を促進することが、新制度趣旨一つに掲げてあるのでございますが、畜産及び果樹農業に関する施策の強化が要請されていることについては異論のないところかと存じます。果樹につきましては、すでに果樹農業振興特別措置法が制定されまして、将来における需要の伸長が見込まれる主要果樹について、果樹園経営計画を作成し、都道府県知事がこの計画を適当であると認定いたしました場合には、計画達成のために必要な果樹の植栽資金公庫から年七分以内の条件で貸し付ける旨を規定していることは御承知の通りであります。しかしながら、果樹は、植栽後成木になって収益が得られるようになるまでに相当の年月を要するのでありまして、その間の肥培管理等の育成に要する費用につきましても長期低利の資金の融通を要望する声がかねて強かったのであります。また、畜産につきましては、今後の畜産物需要の動向に照らして、特に酪農及び肉用牛経営の育成強化が緊急に要請されているのでありますが、これらの経営改善合理化をはかり、生産性の高い経営確立するためには、現状の平均一、二頭程度の零細な飼養規模ではなかなか困難なものがあります。これをある程度の多頭飼育にまで持って参りまして、同時に飼料の自給率を高め、畜舎、サイロ等の施設整備をはかる等の総合的な施策計画的に行なわれる必要があるのでありますが、これには相当多額の資本投下を要しますし、また、飼養規模拡大のための乳牛あるいは肉用牛の購入資金施設整備に要する資金とをセットにして貸し付け、これらを一括して長期低利の条件とする必要があるのであります。  以上申し述べました諸点にかんがみまして、果樹農業振興特別措置法に基づく果樹園経営計画の達成に必要な資金のうち、果樹の植栽資金と育成資金並びに乳牛または肉用牛の飼養規模を拡大しつつ、生産性の高い合理的な経営確立するのに必要なこれらの家畜の購入資金及び畜舎等の施設整備に要する資金を新制度資金として公庫から融通することにいたしたのであります。  最後に、林業の経営改善に必要な資金につきましては、従来から公庫が森林の取得に必要な資金及び森林の管理に要する資金を貸し付けて参ったのでございますが、今回、農業及び沿岸漁業経営の拡大改善をはかるのと同趣旨におきまして、これを新制度資金とし、金利、償還期限等の貸付条件を緩和することとしたのでございます。  以上、今回の新制度創設の趣旨をそれぞれの資金に即して御説明申し上げたのでございます。  次に、本法律案におきましては、新制度によって新たに貸し付けることとなる資金につきまして、公庫貸付の業務能力を与えるため、公庫の業務の範囲を拡大することといたしております。第十八条第一項の改正がそれでありまして、第一に、新しい第一号の二として農地または採草放牧地、これには農地または採草放牧地とするための土地、いわゆる未墾地を含むのでありますが、この取得に必要な資金を加えております。このように、農地または採草放牧地の取得資金貸付を、公庫が本来の業務として行なうことと改めたことに関連いたしまして、現行の公庫法第一条第二項に、これらの資金を自作農維持創設資金融通法に基づいて貸し付けることを公庫目的とする旨を規定しているのでございますが、この取得資金の部分を削除するとともに、法案の附則第三項におきまして、自作農維持創設資金融通法の一部改正を行ないまして、法律の題名を自作農維持資金融通法に改め、同法第一条の目的及び第二条第一項の資金貸付規定しております条文から、農地及び採草放牧地の取得にかかる部分を削ることとしております。なお、改正後の第一号の二の資金には、取得しようとする土地の農業上の利用を増進するために利用する必要がある土地、いわゆる付帯地をあわせて取得する場合の付帯地の取得資金を含むこととされております。  第二、改正後の第一号の三の果樹関係資金として、果樹の育成に必要な資金を加えることとしております。この資金は果樹農業振興特別措置法に基づく果樹園経営計画に記載されたものに限って貸し付けることとなります。  第三に、果樹以外の永年性植物の植栽に必要な資金を第一号の四として加えることにしております。これは農業構造改善事業実施のために必要なものに限ることとしておりまして、その範囲については今後の構造改善事業状況等を勘案して、主務大臣が具体的に指定することになるのであります。  第四に、家畜の購入に必要な資金を第一号の五として加えることにいたしております。この資金は、乳牛または肉用牛につき飼養規模を拡大して合理的な生産性の高い多頭飼育経営確立するために、乳牛または肉用牛の購入資金を畜舎その他の施設の設置等に要する資金とセットにして貸し付ける場合と、農業構造改善事業実施のために必要な家畜の購入の場合とに限られるのであります。  なお、新たに第四号の三として「林業経営改善のためにする森林の取得又は森林の保育その他の育林に要する資金であって主務大臣の指定するもの」を規定しております。これは、現在の第四号の二に規定しております林業経営改善に必要な資金であって主務大臣の指定するものと内容といたしましては変わらないこととする予定でありまして、この資金を新制度資金として取り扱う関係から、やや内容を具体的にいたしまして特掲したものであります。  次に、新制度資金貸付条件でございますが、これは別表第二に掲げる通りでありまして、お手元にお配りしてある資料によって後ほど御説明いたします。  本新制度は、昭和三十八年度から発足させることといたしております。  また、果樹園経営改善資金利率を法定いたしましたことに伴い、果樹農業振興特別措置法中の果樹の植栽資金利率規定いたしました同法第五条第二項の規定が不要となりますので、これを附則第四項において削除いたしておるのでございます。  次に、本制度の創設の目的を達成いたしますためには、新制度資金貸付によって真に経営構造が改善され、生産性向上所得増大確保されるよう、政府はもちろんのこと、都道府県、市町村による適切な行政指導、なかんずく農業改良普及員等による濃密な経営指導が必要でございまして、別にお配りしております制度要綱の第三には、特にこの行政庁による指導によって制度の効率的な運営をはかるべきことを定めているのであります。  これに関連いたしまして、従来自作農維持創設資金融通法におきましては、農業者が農地または採草放牧地の取得資金を借り受ける場合には、農業経営安定計画を作成し、都道府県知事が適当と認定した場合に限り貸し付けるものとされておりますが、今回の新制度の創設に伴い、今後は行政措置によりまして、従前とほぼ同様の制度を設けて運営したい所存でございます。  最後に、制度要綱の第四に定めております農地担保の活用の点でございます。今回の新制度におきましては、一農業者当たり貸付金額が従来よりも相当引き上げられ、また償還期限も一そう長期となっておりますので、これに関連をいたしまして、資金融通の円滑化をはかるためには、農業者の有する最大の資産である農地等の担保力を活用することが適当であると思うのであります。そのためには、公庫が担保に徴しました農地等の評価額を現在よりも引き上げるとともに、その農地等が万一競落されるような事態に立ち至りました場合に、不当に低い価格で競落されることを避けるため、公庫が競落人となって農地等を取得し得る道を農地法に基づく省令の改正によって開く必要があるのであります。もちろん公庫は、従来から貸付債権の保全のために物的担保のほか、人的保証でも差しつかえないこととしており、今回の措置によって全面的に人的保証を農地等の物的担保に切りかえるわけではございません。人的保証と並んで農地等の担保力が十分に活用されるならば、一そう資金融通が円滑になるわけでありまして、この措置によりまして、公庫資金貸付を受ける農業者の利益が増進されることになると思うのであります。  以上、本法律案及びこれに関連する主要な問題についての補足説明を終わります。  次に、引続きまして農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案につきまして、補足説明をいたします。  今回の改正の趣旨は、法律案提出理由の説明に尽きておりますので、繰り返し申し上げませんが、今回新たに追加いたします融資機関として政令で定めるものとしては、目下検討中でございますが、地方銀行等、農家の預貯金が相当な額に達し、農業向け設備資金の貸し出しもかなり見られる金融機関を定める所存でございます。  以上、簡単でございますが、補足説明を終わります。      ————◇—————
  89. 足鹿覺

    足鹿委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕   〔足鹿委員長代理退席、委員長着   席〕
  90. 長谷川四郎

    長谷川委員長 速記を始めて。  この際、お諮りいたします。  乳価問題は現在緊急な重要問題になっておりますので、以下委員長が朗読いたします案文の通り決議をいたしたいと存じます。  まず、案文を朗読いたします。   乳価安定対策に関する件  政府は、現下の乳価紛争を早急に収拾し、酪農長期安定的な発展を図るため、すみやかに左記各項の実現を期すべきである。  一、乳製品の畜産振興事業団による買入れをすみやかに完了し、乳価値下げを中止する等事態の正常化を図るよう指導すること。  なお右の方針に協力しない乳業者に対しては農林漁業金融公庫からの融資を停止する等行政上の措置をも検討すること。  二、原料乳安定基準価格を法律の主旨に則り適正な水準とするよう検討すること。  三、事業団が輸入した乳製品が市価の圧迫材料にならないよう適切な処分を行なうこと。  四、生乳生産者団体の自主調整機能を確立するため農協を主体とする牛乳調整工場を設置すること。  五、政府手持の麦類及びふすまをすみやかに放出して飼料の値上りを防止するとともに、飼料価格の全般的な安定乃至は引下げを図るための恒久対策として、所要の法的措置を講ずること。  六、国内産牛乳乳製品による恒久的な学校給食制度確立するよう所要の措置を講ずること。右決議する。  以上の案文の通り決議するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、本決議の関係当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次にただいまの決議に対する政府当局の所信を求めます。津島農林政務次官
  93. 津島文治

    津島政府委員 現下の酪農の重大性にかんがみまして、ただいま御決議になりましたことは、まことに当を得たものと私は思うのでございます。  いずれも第一項から第六項まで、ほんとうに政府といたしましては十分この御趣旨に沿うように今後はからなければならないものと思うものでございます。(拍手)
  94. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次会は来たる十二日火曜日開会することといたし、これにて散会をいたします。    午後一時五十一分散会