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足鹿委員 これは助長法の審議の際に、専門的にわたりますからさらに掘り下げて申し上げます。
そこで、時間もだいぶなくなって参りましたので、先ほど留保しておりました酪農についての対策でありますが、これは恒久的な対策は短時間では論じられません。従って当面する問題について当
委員会は近く
参考人等を招致して検討することになっておりますが、その際
大臣の御都合等もあろうかと思いますので、一応先ほど述べた点について、安定した
生産と公正な
取引制度を確定することについては
責任を持ってやる、こういう御確言でありましたが、その御確言をもう一ぺん再確認すると同時に、その構想はどうあるべきかという点についてお
考えがあれば、この際承っておきたいと思うのであります。と申しますのは、今度の乳価紛争は非常に長期的な様相を示しておると思う。われわれも牛乳
生産というものが非常に他の
農産物と異なった性格を持つものであり、その季節性が著しいということは認めるものであります。しかもなまものであります。でありますから、これは業者もほんとうに公正な
取引制度を確立していかなければ、巨費を投じて施設を興しても、
農民が納得しなくて牛乳を売らなければ、これはもう問題になりません。いわんや貿易自由化によってあるいは外貨の割当
制度は事実上において解消し、肉類あるいは乳製品あるいは半製品等は続々入ってくる趨勢にある。でありますから共倒れであります。過般の本
会議の席上において池田総理は、大企業は困っておるが、労働者や
農民はさほど困っておらぬというような意味の答弁をなさいましたが、私は現在の企業家、乳製品メーカーの困り方と酪農
農民の困り方というものについては、おのずから限界があると思うのです。これは昨日のある新聞の投資相談室というところに書いてある記事でありますが、有名なメーカーに対する投資をどうかということを聞いておるのであります。公開の
新聞紙上においてこういっております。「前期より二割程度の減益はさけられまい。」これは去年の事例からいっておる。しかし、「一割二分配当は維持しよう。なお飲用牛乳の積極的な増強をはかっており、育児用ドライミルクも増産を
計画している。三十七年度は二十七億円の
設備投資をなしたが、ことしもこの程度投資は続け、
事業としては三割前後の成長はみられる。」いいですか、成長株だと言っておるのですよ。ところが事態を見ますと、その牛乳の持つ季節性に便乗すると言うと語弊がありますが、これを逆用いたしまして、冬は消費が伸びないのに、しかも乳量がふえる、夏は消費がふえるのに乳量は比較的ふえない、この逆な関係を利用して、一斉に乳価の植下げを行なわんとした。私
どもは非常に遺憾に思っている。そしてこれは
農業・
農民団体が業界にかつて見ざる反古を求め、今後の日本酪農の方向について案ずるのあまり、みずからの力によって交渉を開始したことは御存じの
通りであります。整然たる行動をやった。その結果、さきの臨時国会においては、残念ながら石炭中心でありましたので、われわれは審議する機会を失った。
大臣にもしばしば御臨席を願い、
参考人の招致もきめ、そしてこの問題と取り組もうというときに、国会がああいう不正常化になったために、残念ながら見送った。しかし事態はその後一向解決しておらない。おらないままに、一月から三月にわたっては二十億の滞貨乳製品の
買い上げが発表され、しかも各社別にその
内容を私
どもは仄聞いたしております。だとするならば私はこの際、
大臣にもしばしば申し入れを行ないましたが、お互い同士でやることをどうにもしようがないじゃないかとおっしゃいますが、しかしそれは私は違うと思う。滞貨乳製品の
買い上げという行政介入がすでに行なわれておる。なぜ乳価については行政介入して悪いのでありますか。それは私は
大臣のお言葉とも思えないのであります。局長や事務官僚の言を信じて、この問題に対してあなたが政治的判断を誤られるならば、容易ならぬ事態を招来すると思います。私
どもは、この問題については決して紛争の激化することを好みません。事態を円満に収拾し、そして将来において
生産と
取引の正常な姿というものをこの際確立していくことを、われわれは期待しておる。従って今までのような御答弁ではなしに、今申しましたような正常な
取引制度とは一体どういうものであるか。五十二円は基準
価格であって
あとは奨励金だ、奨励金を削ったら
政府は何とも言いようがないじゃないかというようなことは、これは
大臣、その場限りの御答弁としては通るかもしれませんが、少なくとも日本の農政を担当せられる
最高責任者の言としては、酪
農民はこれを聞いて何と言っておりますか。
農民は総合乳価と受け取っておるのであります。別にこれは奨励金だ、これは基本乳価だという観念ではやっておりません。でありますから、この季節的な特殊な性格を持つものに対して、滞貨乳製品の
買い上げが行なわれた以上は、乳価の一斉値下げについても、独禁法に抵触する疑いもあると思います。しかしそれは別の問題といたしましても、この際、先ほどあなたが私に確約されました安定した乳製品、そして公正な
取引制度というものを打ち立てられる
一つの試金石として、この事態を円満に収拾妥結をせしめられる熱意と御所信を明らかにしていただきたい。あなた方の態度によっては、私
どもは今後この問題については断じて引きません。日本における新しい
農民の一番期待したこの問題に対しては、現在
畜産局が示しておるような、どちらを向いてものを言っておるのか、
農民の方を向いてものを言っておるのか、メーカーに気がねしておるような中途半端な態度は絶対に許しません。この問題はわれわれは全力をあげて、いかような困難があってもやりますよ。しかしことさらにわれわれは紛争を好むものではない。そういう良識の上に立って、先般来の臨時国会でしばしばこれを国会で取り上げることを期待した。
大臣の善処もしばしば公式、非公式に要望いたした。でありますからこの点についてはしっかりとした態度をこの際明らかにしていただきたい。前向きのあなたの誠意のある態度を、
全国の酪
農民にこの
委員会を通じて明らかにしていただきたいと思います。