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1963-05-16 第43回国会 衆議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月十六日(木曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 伊能繁次郎君 理事 内藤  隆君    理事 藤原 節夫君 理事 宮澤 胤勇君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君    理事 山内  広君       内海 安吉君    笹本 一雄君       辻  寛一君    緒方 孝男君       久保田鶴松君    田口 誠治君       受田 新吉君  出席政府委員         内閣法制次長  高辻 正巳君         内閣法制局参事         官         (第一部長)  山内 一夫君         総理府総務長官 徳安 實藏君         総理府総務副長         官       古屋  亨君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長) 松永  勇君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  芥川 輝孝君  委員外出席者         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 五月十五日  委員西村関一辞任につき、その補欠として勝  間田清一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員勝間田溝一君辞任につき、その補欠として  西村関一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月十四日  平和の日制定に関する請願受田新吉紹介)  (第三七一三号)  同(松浦周太郎紹介)(第三七六六号)  国立大学教官待遇改善に関する請願受田新  吉君紹介)(第三七一四号)  同(坂田道太紹介)(第三七一五号)  同(周東英雄紹介)(第三七一六号)  同(小坂善太郎紹介)(第三七三九号)  同(田中龍夫紹介)(第三七四〇号)  同(西村榮一紹介)(第三七四一号)  同(古井喜實紹介)(第三七五四号)  同(藤本捨助君紹介)(第三七六五号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第三七七一号)  同(原茂紹介)(第三七七二号)  同(鈴木義男紹介)(第三八四九号)  同(唐澤俊樹紹介)(第三九〇五号)  同(濱田正信紹介)(第三九〇六号)  同(中澤茂一紹介)(第三九二八号)  同(松平忠久紹介)(第三九二九号)  同(臼井莊一君紹介)(第三九六八号)  同(船田中君紹介)(第三九六九号)  飯田市、下伊那郡及び西筑摩郡の寒冷地手当増  額に関する請願倉石忠雄紹介)(第三七三  二号)  同(唐澤俊樹紹介)(第三七五八号)  同(原茂紹介)(第三七九九号)  同(中島巖紹介)(第三九五四号)  同(松平忠久紹介)(第三九五五号)  国旗法制化に関する請願植木庚子郎君紹  介)(第三七四二号)  同(田中伊三次君紹介)(第三八〇六号)  同(逢澤寛君紹介)(第三九〇三号)  同(南條徳男紹介)(第三九〇四号)  同(田澤吉郎紹介)(第三九三一号)  旧軍人等恩給に関する請願外一件(小澤太郎  君紹介)(第三七五五号)  元満州国等政府職員恩給に関する請願外三件  (濱田正信紹介)(第三七六四号)  元南満州鉄道株式会社職員期間恩給法等の特  例制定に関する請願外一件(床次徳二紹介)  (第三八〇七号)  同(渡海元三郎紹介)(第三九〇七号)  元外務省警察官普通恩給権に関する請願(永  山忠則紹介)(第三八〇八号)  国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律  案反対に関する請願石橋政嗣君紹介)(第三  九三〇号)  同外七十四件(杉山元治郎紹介)(第三九七  〇号)  憲法改正反対に関する請願外十四件(杉山元治  郎君紹介)(第三九七一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 五月十四日  建国記念日制定に関する陳情書(第五一七号)  同(第七五八号)  在外資産補償に関する陳情書(第五三五号)  同(第五三六号)  同(第五三七号)  同(第五三八号)  同(第五三九号)  同(第五四〇号)  同(第五四一号)  同(第五四二号)  同(第五四三号)  同(第六一七号)  同(第六一八号)  同(第六八三号)  同(第六八四号)  同(第六八五号)  同(第七五九号)  在外財産問題審議会設置促進に関する陳情書(  第五四四号)  旧地主補償に関する陳情書(第五四五号)  国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び  薪炭手当の支給に関する法律の一部改正に関す  る陳情書(第六〇二号)  同(第六六八号)  公務員暫定手当を本俸繰入れに関する陳情書  (第六〇三号)  国旗法制化に関する陳情書(第六六六号)  同(第七五六号)  同外二件(第七五七号)  国家公務員法改悪反対等に関する陳情書外一  件(第六六七号)  十勝太ロランC局平和目的利用に関する陳情  書(第六六九号)  社会保険失業保険国民年金及び職業安定等  の事務職員の身分切替えに関する陳情書(第七  〇四号)  恩給年金等受給者処遇改善に関する陳情書  (第七六〇号)  貿易記念日制定に関する陳情書(第七六一号)  駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す  る法律案成立促進に関する陳情書(第七六九  号)  同(第七七〇号) は本委員会に参考送付された。     ————————————— 本日の会一議に付した案件  総理府設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第九六号)      ————◇—————
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  総理府設置法等の一部を改正する法律案を議題として、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石橋政嗣君
  3. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私は、さき日本学術会議原子力潜水艦の寄港問題に関しまして声明を出したことについて、政府側としてとった措置について、非常に不満を持っておりますので、その点を解明するために、若干お尋ねをしてみたいと思うわけです。  あの声明が出ましたときに、総務長官政府を代表いたしまして談話を発表しておりましたし、またきょうの新聞報道によりますと、政府統一見解を決定したというふうにも報道されておるわけでございますが、学術会議声明に対して、なぜ政府はあのような一種圧力を加えておるのか、その立場からまずお伺いをしておきたいと思うわけです。
  4. 徳安實藏

    徳安政府委員 今回学術会議の出しました声明に対しまして、事の経過を前から申し上げなければわからぬと思いますが、私ども学術会議の性格から考えまして、あれは国家行政組織一つでございますから、法に定められた範囲において政府諮問に応じたり、あるいは政府勧告しましたり、あるいは政府資料を求めたり、答弁を求めるというような立場において行動されること、あるいは言論の自由、学問の自由がございますから、学者的な立場からここにいかなる発言をせられても、これは一向差しつかえないと思いますけれども国家行政機関である学術会議名前において、勧告も何も用いられることなくして、直ちに国民にアピールされるような行き方は、少し穏当を欠くのではなかろうかという考え方をずっと前から持っておりまして、この点につきまして、前会長にも、またその後就任された会長にも、私どもの気持が間違っているのか、あるいはまた学界考え方が、これまでやっておられることが正しいのか、お互いにひとつ研究し合おうじゃないか、私どもそういう考え方を持っておるのだ、だから、こういう点につきましてはできるだけ政府機関との間に食い違いのないように話し合いをしたいものだ、してほしいという話をし、また、そういう点につきましてもし政府見解等にも同調できるならば、十二分にそういう点についてお考えの上でやってほしいという話を、機会に触れていたしておりました。ですから、決して今回の原子力問題に限ってこういう問題が起きたのではないのであります。前からそういう話をしておりました。  ところが、その後、御承知のように、勧告が一応この原子力問題に対して出されまして、私どもの事務的な取り扱いでは、総理府がじかに扱っていないのでありますけれども科学技術庁のほうに番数が参りまして、そこで科学技術庁が――その経過等はもし必要でございましたら、あとから御報告いたしますが、それぞれの機関を通じて調査もし、研究もしておる最中であります。  そのときにあたって、旬日を出ずしてまた声明を出されるというような話を漏れ聞いたものでありますから、そこで私のほうでは、できるだけこうした問題について疑義のないような行き方をしてほしいということで、ひとつよくお考えの上でやっていただきたい――これは独立した機関でありますから、私ども指揮命令をして、ああしろこうしろということではございません。ただ、総理大臣所轄する機関の一環でありますから、私どものほうとその機関とに食い違い等があって、お互いにいやな思いをすることはよくないから、私ども考え方はこうなんだが、あなたのほうでもひとつよく研究してほしいということを考えて、私ども気持ちを申し上げておいたのであります。その後に至って、委員会等でこの問題を取り上げて、総会にかけるというような話も出ましたので、そういう点につきましては、いま申し上げましたように、私ども気持ちを申し上げたのであります。  しかし、とうとう出ましたものでありますから、そこで私どもは、決して圧迫とかあるいはまた指揮監督とか、そういう考え方でなしに、すでにこういう問題が政治的に取り上げられておるようなときに、政府のほうに勧告をされるということであれば、さき勧告もございますので、ただいまそれを検討もし、調査中でありますし、そういう点については、つぶさに事務当局を通じて正副会長にも通じてあり、お話もしてあるわけでありますので、なるべくならば穏当な形で――そのほかにも、御承知のように、大学学長認証官問題等も取り上げて声明しておられますが、これらもあわせ考えまして、国家行政機関であるという点もよく御検討の上で、十分に間違いのないようにしていただきたいという考え方を持っておったのでありますが、あれが出たものでありますから、しかも、政府のほうには別に勧告あるいはその他の方法でそういうものを示されるわけではありませんで、決議をされまして、すぐ新聞発表をなさいまして、要するに、国民に告げるというような形の処置をとられたものでありますから、そのやり方は少し穏当を欠くのではなかろうかという考え方をもって、話し合いをしておるわけであります。そのほかに決してえらい他意があってやっておるわけではありません。運営の面においてお互いに行き違いのないようにしたいという考え方からやっておるわけであります。
  5. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 原子力潜水艦の寄港の問題は、国民最大関心事になっておるわけであります。それだけに政府のろうばいする気持ちもわからぬことはございませんけれども、そのろうばいのあまりに、私は、圧力がかけられておることは事実だと思うのです。現に圧力ではないとおっしゃっておられますけれども長官が再三出しております談話の中にも、学術会議機構はとりあえずはいじらないが、運営検討する段階機構にまで手を触れる必要が出てくるかもしれない――これは一種の脅迫的な言辞ではございませんか。これは圧力ととるのが私はすなおだと思うのですよ。こんなことを言っておりながら、それは圧力でないと言ったって、私は通らないと思う。  ところで、一番最初に出されました総務長官談話というものを見ていきますと、二つに分けておるようなんです。一つ手続の問題、一つ内容の問題、したがって、私も、この手続の問題と内容の問題に分けて質問をしてみたいと思うのです。  まず最初に、この手続の問題でございますが、総務長官としてはどうも不穏当だといまおっしゃいましたが、不穏当だということばを通り越して、違法のそしりを免れないというようなことがきょう発表されておりますけれども、そういう解釈を政府としてはとったわけでありますか。学術会議がこういう声明を出したことは違法のそしりを免れない、そういうふうに見解を統一したということは事実なんですか。
  6. 徳安實藏

    徳安政府委員 この問題につきましては、学者によっていろいろな見解の相違もあるようでありますし、また政府でも、なるべく学界の権威のためにも慎重な態度をとりたいと思いまして、あらゆる関係方面にも見解等を求めておる段階でございまして、新聞に出ておりますように、政府見解を一本にいたしまして、総理の了解を求め答弁をするという段階には、ただいまのところでは達しておりません。
  7. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃまだ違法だというようなきめつけ方はもちろんのこと、違法のそしりを免れないといった程度結論も出していないというふうに了解してよろしいわけですか。
  8. 徳安實藏

    徳安政府委員 私が出しました談話趣旨は、先ほど申し上げたとおりでございますが、しからば、これがはたして法的にどの程度のものであるか、あるいは法的に違法であるか違法でないかというような問題は、きわめて重要な問題でもありますし、これは学術会議の当事者ともよくひざを突き合わせて相談をし、研究すべき問題でありますから、にわかに一方的にこれをどうこう言って論議すべきではないという考え方から、慎重にただいま研究をしておる最中でございます。
  9. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではいまの段階ではけっこうです。私は早々に違法というようなきめつけをやっておるのかと思ったわけですが、それでは違法かどうかという問題について、私なりの意見を交えながらお尋ねをしてまいりたいと思う。  まずそのために、最初にお伺いしておきたいのですが、日本学術会議国家行政組織法の八条に基づいてつくられた行政機関である、したがって、もう何もかも政府一体でなければならないようなことをおっしゃっておりますが、そういう議論を進めていきますと、科学技術というものが、政治にあるいは行政に隷属するという結果が出てくるのではないですか。その点も疑問に思うわけです。そういう意味で学術会議というものはできていないと思うのですけれども、あくまで政治行政に隷属した科学技術というものの存在としての日本学術会議、そういうような考え方が根本的にあるのですか。
  10. 徳安實藏

    徳安政府委員 法の第四条、第五条にございますように、また第三条にもはっきりと書いてございますように、決して政府政府の思うような見解を出していただきたいというような考え方は持っておりません。学者としての独自の立場から御研究くださることは自由であり、最もそれが望ましいことだと思います。でありますが、ただ、それはあくまでもやはり学者という立場からしていただくことと、それから個人の名前あるいはまた研究された方の御意思を自由に御発表くださることは一向差しつかえございませんが、会議という一つ名前で、そうして行政機関であるその名前を使ってそういう問題を決議されますことには、どうも少し行き過ぎがあるのではなかろうかというようにただいま考えておるわけでありまして、その点についてはたしてそれがないものかあるものかという問題をいま検討中だということであります。
  11. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 行政機関と一口にいいましても、いろいろな種類のものがあると思うのですよ。特にこの科学技術の問題などというものは、いわば独立した形のもの、そういう独立性というものに非常にウエートがかかった行政機関であるというふうに理解するほうがすなおじゃないかと私たちは思うのですが、その考え方に賛成できませんか。
  12. 徳安實藏

    徳安政府委員 独立してその職務を行なうということになっておりますから、いまお話しのようなことについては私どもも同感であります。ただ、この際、私どもは決して独善におちいってはならぬと思いますので、各方面意見も聴取し、また法制局見解もただしておるわけでありますが、御参考までに申し上げますが、かつて、人事院に対しまして、日本学術会議会員の職についての照会をして、正しい見解を求めたことがございます。これは昭和二十四年のことで、ずいぶん古いことであります。この学術会議ができまして間もなくだと思いますが、疑義があったために照会したのでありますが、これに対しまして人事院の総裁から内閣官房長官あて回答によりますと、「日本学術会議会員の職は国家公務員法第二条第三項第九号に規定する特別職に価するものと解する。日本学術会議会員の職は左の理由により国家公務員の職に属する。一、日本学術会議内閣総理大臣所轄に属し、かつ事務局が置かれる国の機関である。二、会議の行う職務及び権限は国の業務である。」こういう回答ができておるのであります。しかし、これとて、私どもは絶対のものであるとも考えておりませんので、信頼はいたしておりますが、こうしたようなものを研究しながら、この機関あり方というものを不明瞭に置かないようにひとつ研究していこうということで、いま作業しているわけであります。
  13. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私は、法律的に検討していけば、そういう結論が出てくるということはわかるわけですよ。しかし、行政機関であるからといって、常に完全に何でも内閣のいうままにならなくちゃならぬ、そういう立場にあるものばかりじゃございませんぞということを申し上げているわけですよ。非常に独立性というものにウエートをかけて見ていかなければならぬ部面もあるし、あるいは国家公安委員会のように中立性――これも独立性一体ですが、そういうものに非常にウエートをかけてできている行政機関もある。だから、何でもかんでも国家行政機関なんだから一体でなくちゃならぬ、政府のいうことと少しでも違うような考え方を持つべきではないという考え方は違うのじゃないですか。同じ行政機関の中でも、独立性なり、中立性なり、自主性なりを持たせて存在しておる機関があるはずだ。その一つ日本学術会議というものもあるのではないか、そういう考え方をお持ちになれませんか。持てないとすれば、科学技術の隷属を要求しているということになるのじゃないかということを言っているわけですよ。
  14. 徳安實藏

    徳安政府委員 そういう点について私どもも同じ意見でございまして、決して政府に隷属させるとか、政府の御用にさせるという考えでないことは、しばしば申し上げておるとおりでございます。でありますから、第五条にございますように、政府に対しても、たとえ政府考えの違ったことでありましょうとも、もちろんどんどん勧告もできますし、また政府諮問に対しては、政府がどうあろうとも、その見解に基づいて独自の立場において諮問に応ずることもできます。意見を述べることもできます。あるいはまた第六条によりまして、政府から資料を求めましたり、政府から当該係員を呼びまして意見を聞くこともできますし、そういう点においては自由でございまして、決して、そういう研究をされたり振興をはかられる目的につきまして、制約を加えようという趣旨はさらにございません。しかし、だからといって、学術会議政府と離れてどんな声明でもどんどん出してもいいのだという、自由という考え方では、ちょっとそこに何か割り切れぬものがございますので、そういう点を法的にも疑義のないように、ひとつよく解明しておきたい、それには向こうと話し合いをしたい、法的にも研究したい、こういう段階であります。
  15. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 学術会議がどうしてできたかということを考えていけばわかると思うのです。学術会議会員皆さん方にしても、発足の当初から非常な決意を持っているわけですね。いわゆる戦前と戦時中の反省の上から出てきているわけですよ。ここにちょうど幸い日本学術会議の第一回の総会声明がありますから、これを読んだほうがはっきりするわけですが、「これまでわが国科学者がとりきたった態度について強く反省し、今後は、科学文化国家ないし平和国家の基礎であるという確信の下に、わが国平和的復興と人類の福祉増進のために貢献せんことを誓うものである。」すなわち、戦争中あるいは戦前科学者あり方というものについての反省の上に立ってスタートを切っているわけですよ。どのような反省をしたかというと、自分たち科学者がもう少ししっかりしておれば、日本の進路もこうまで誤らなかったのじゃないか、その誤らしめた責任の一半はわれわれにもある。われわれが政治なり行政なりの言いなりになったというところに、彼らの反省があるわけですね。だから、二度とそういうあやまちはしたくないという大前提に立って発足しているわけです。私は、この考え方が脈々としていまだに日本学術会議の伝統の中に生きているということは、非常に喜ばしいと思うのです。あなた方も、ほんとうに民主国家としてこの際脱皮しようという決意を持つならば、こういった考え方を是認した上に立っての言動が出てこなければならぬのじゃないか、このように思うわけなんです。それをいまになって、どうもこういった考え方がおかしいというふうに言い出したのではないかと事実私たちはとっているわけなんです。自由に発表できる、勧告もできるとおっしゃいますが、それではその勧告をあなた方は尊重されておりますか。学術会議だって、最初からこういう声明を出しているわけじゃございません。最初は、やはり十分に考慮の上だろうと思いますが、所轄大臣である総理大臣に対して勧告を出しているのです。これはあなたも御承知だと思いますが、三月十一日に「原子力潜水艦日本港湾寄港問題について」という勧告をなさっているわけですね。結論からいえば、「科学的見地に立って、公式に安全性検討と確認を行ない、かつその結果を国民に明らかにするよう措置されたい。」こういう勧告が出されたのに対して、何らかの措置をとられましたか、あるいは返事をなさいましたか。
  16. 徳安實藏

    徳安政府委員 この学術会議国家行政組織の一部であるということは、先ほど申し上げた通りでございまして、この会議の行ないました勧告等につきましては、政府のほうで決しておろそかにしていない、窓口もちゃんときめまして、そうしてそれぞれの処置をとっておることは、過去においてもやっていると思います。  今回の問題につきましても、いまお話がございましたから、経過を少し申し上げますが、三月十一日に勧告が出されました。そして十二日に科学技術庁勧告書の送付を受けました。そこで十九日に、科学技術庁主催で、勧告に関する関係省庁連絡会議を開きまして、この勧告趣旨等につきまして説明を聴取しております。今度は二十九日に、科学技術会議第二十五回の日本学術会議連絡部会を開催いたしまして、この勧告に対しまして慎重に審議を行なっております。その日に、さらに上記会議に引き続いて、科学技術庁主催日本学術会議勧告に関する関係省庁連絡打ち合わせ会を開催いたしまして、本件の処理について審議をいたしたのであります。四月八日に、科学技術庁長官から日本学術会議会長にあてまして、この処理につきましては外務省及び科学技術庁におきまして担当しておりますという通知を差し上げてございます。  かようなぐあいで、三月十一日付で勧告されて、順次政府のほうでもそうした問題につきまして研究いたしておる最中に、すでに三月二十六日には日本学術会議原子力特別委員会が開催されまして、潜水艦日本港湾に対する寄港問題に対してさらに総会声明を行なう、こういう提案を可決されておるのであります。二十七日にはまた原子核特別委員会が開かれまして、二十六日のこの特別委員会同様に、共同でこれを支持して出すというようなことがきめられております。十三日に、運営審議会におきましてもこれを取り扱うことにされております。  かようなわけで、まだこちらのほうで十二分に審議をし、それぞれの役所、それぞれの関係調査研究しておる最中に、もう一方のほうでは、四月二十六日にいま申し上げましたとおり総会に出すのだ、声明を出すのだというようなことを決議されまして、どんどん取り運びしておられるという状態でございましたので、私のほうでは事務局長等に話をいたしまして、よく政府筋と話し合いをして、そうしてそういう勧告に対する経過もしさいに調べて、それを正副会長なり運営審議会等に御報告をして、なお満足がいかない、もう待つべき時期でないというならば、これはまた別な考えがありましょうけれども、いまの段階ではそこまでいくのはどうかと思うが、よく実情を各機関と連絡しながらお伝えするようにということを申し伝えてございます。勧告を受ける、旬日を出ずして総会声明を出すのだということで進行されて、並行みたいになっている。こういうことは非常に遺憾なことだと思いますので、なるべく――私は、過去のことは、当時おりませんでしたから知りませんけれども、最近のことを申し上げますと、学術会議学術会議としての使命もございますし、また独立した立場においての見解を発表され、あるいはまたこれを適法な処置によって政府勧告されましたり、あるいは呼ばれて意見を聞かれましたり、いろいろなことのできるような組織になっておるわけでございますから、十二分に議を尽くしながら、その間にお互いに行き違いのないようにという考え方で、老婆心ながら、その職責上話をしたわけでございますけれども、とうとうそれが並行線をたどりまして、こういう結果になったわけでございます。  再々申し上げますように、政府といたしましては、決して圧迫をしますとか、あるいはまた御用機関にしようとか、そういう考え方でこの問題を取り扱っているわけではございませんので、こういう点については誤解のないようにしていただきたい。そうしてともども話し合いもしまして、この機関がほんとうに国の最高権威のある科学者の集まりの機関であるということで、国民全部が信頼を置くようなりっぱな機関にするようにしていただきたい。私ども、決して、それを去勢しようとしたり、その力を弱めたり、そういうような考え方でただいま研究しているわけではございませんので、そういう点につきましてぜひひとつ御了解の上で、御協力をいただきたいと思います。
  17. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 るる述べられましたが、まず第一に、その安全性の問題ですが、現在においてすら、国民に対しても、あるいは科学者に対しても、その安全性の確認をする道を講じてないじゃありませんか。何やった、かにやったとおっしゃいますけれども、現在、一度だって科学的に安全性を確認するような道を講じましたか、政府として。いまだにやっておりませんよ。ほんとうに科学的に安全であるという立証が政府でできますか。やっておらないじゃありませんか。そうしますと、その途中に会議をやったとか、通告をやったとかいうことも、ほんとうに勧告にこたえよう、そういう姿勢でやったかどうか、疑問を持つのは当然ですよ。そうして、一方的にいろいろおっしゃいましたけれども、私どももいろいろ聞いてみましたが、そういうふうには言っておりません。当該の学者の諸先生も、やはり安全性を何とかして確認させたい、国民に確認してもらうまではこういうことを政府が決定してもらっては困るという、思い詰めた気持があるわけです。ところが、スレッシャー号の沈没というのがたまたまあったから、回答がおくれているのでしょうけれども、あのときの、国会で盛んに討議されておった当時の情勢というものは、いまにでもOKというものを――どうぞ日本に寄港してくださいと言わんばかりの政府態度じゃなかったのですか。そういうものから科学者の諸君が若干あせりを覚えてきたということは、当然私は理解できるのじゃないかと思う。それから話し合いをしたとおっしゃっていますが、その点についても、学術会議のほうとしてはやはり圧力と感じ取っておる向きがあるのですよ。たとえば、この声明が出されるということをいち早くキャッチしまして、総務長官日本学術会議事務局長を招致してよせということを言ったそうですね。そういう声明を出すのはおもしろくないからよせと。あなたは運営について相談をしたと上品なおことばをお使いになっていらっしゃるけれども、相談をされた側では、そういう声明は不穏当だからよせ、違法だからよせと圧力をかけられたというような印象を受けておられるのですよ。現に署名入りで書いておられる学者もおるのです。その点でもはっきり食い違いがあるじゃありませんか。事実この総会の前に事務局長も呼んだといまおっしゃいましたが、学術会議側でそれを圧力と感ずるような話し方をされたのじゃないですか、そういう声明はよせと。その点いかがですか。
  18. 徳安實藏

    徳安政府委員 原子力潜水艦の寄港問題につきましては、私が御答弁することはいかがかと思いますから、その寄港問題につきましては、他の責任者から適当なときに御答弁申し上げると思います。私はきょうはその点は避けますが、ただいまのお話の点につきまして、私が圧迫をしたとか、干渉したとか、もしそういう強い意思でやっておりますならば、もっと総会前にこじれたかもしれません。私は、あくまでも学術会議の良識と高い視野に立たれたあの方々の人格に信頼をして、私の意見だけはいま申し上げましたような意味を申し上げてございます。また、事務当局にもそうした意見も話をしてございます。それ以上にはわたっていないことは事実でございます。でありますから、ああいう声明が出たわけであります。また、その後におきましても、先方からも、そのいきさつ等についてもお話をしたいというお話もございましたし、私どものほうも、私ども総理府機関でございますから、決して人ごとではございませんので、やはり自分の一環の一機関でございますから、この間に行き違いがないように十分話し合いをしておくべきだと思いまして、私のほうもお目にかかろうということになりまして、二日においでを願いまして、正副会長並びに私と私どもの副総務長官と一緒になりまして、話し合いをいたしました。その経過も聞きました。きわめて円満のうちに話し合いをいたしまして、私の考え方はこういう考え方を持っているが、それはある程度常識的な考え方であるかもしれない、したがって、これは法律的に解釈する場合には違った解釈があるかもしれないが、こういうことについては、お互いに謙虚な気分で、やはり専門家にも研究してもらおうじゃないか、私のほうも研究しますから、あなたのほうも研究しなさい、そこで政府のほうに悪いことがあるなら、政府も決してこれを改めるにやぶさかでない、またあなたのほうも、やはり行き違いがあったり、行き過ぎがあったということなら、これはあなたのほうもお互いに改めようじゃないか、そういう謙虚な気分で話をしようということを冒頭から言いまして、それはけっこうだということで、きわめて友好のうちに話し合いをしておりますので、決しておこるとかどうとかいうような形でやっておるわけではありません。したがって、先方でもいろいろ研究されておるようでありますから、適当な機会にはお互い研究したことを持ち寄りまして、両方で隔意のない意見を交換しながら善処したい、かように考えておるわけであります。
  19. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 長官声明が出たあとの話をされておりますが、私がいま申し上げているのは前の話なんです。結局日本学術会議総会は、四月二十六日に熱心な討論を行ない、満場一致で、原子力潜水艦日本寄港は望ましくないと考えるという声明を出し、自民党政府はこの動きを事前に食いとめようとした。そこで、総務長官学術会議事務局長を呼んで、学術会議の発言を封じようとしたが、成功しなかったのである。こういう文章が出ているわけです。これを事前に食いとめようとした。言うことを聞かないで声明を出してしまった。それでよけい総務長官が憤慨しているというふうにとられているわけですよ。
  20. 徳安實藏

    徳安政府委員 世間では、経過と結果を結びつけてそういうぐあいにお考えになっておるかもしれません。しかし、私がいま申し上げた通り、話をしなかったということは申しません。先ほど申し上げた通り、こういう経過政府のほうで勧告をいま検討中であるから、そういう点をよく総会事務当局研究もし一また調査をして、それでこれをよく正副会長初め関係者に伝えるようにということ、さらに私ども考え方は、勧告も出ておる際でありますから、この勧告に対する結論も見ずに、直接国民にアピールされるようなことはどうも望ましいことでないように思うが、こういう点については学術会議の良識に待つより以外にないのだということを申しておりますし、また過去においても、会長が原子力問題の起こらぬ前においでくださいましたときにも、こういう問題がすでに長い間のどにつかえておるようですから、ひとつこういう点についてもお互いに謙虚な気分で話し合いをしましょうよということを話しておりますので、決して原子力潜水艦の問題が出たから急にこの問題が起きたわけではございません。過去においてもしばしば声明が出ておりますが、それにもちょいちょい各方面から議論も出ておりまして、こういう点については、いやこのままで何でもかんでもどんどん勧告をしてもいい、またそうすべきだということなら、そのようなことに政府考え方をしていって、そうしてそういうことに制約を加えるとかどうとかいうことのないようにもちろんしなければなりません。また、かりそめにも向こうに多少でも不安を与えるような言動もしてはいけない。しかし、現在の制度の上におきましては、やはり学術会議の名をもって自由な声明等を出されるということは、何によらずやはりどうも割り切れない気持がするという点は、私ども露骨に申し上げておるわけであります。現在もそういう考え方を持っておるわけであります。こういう点につきましては、今後の問題として十分研究しよう、あなたのほうもしなさい、私どものほうもしましょうという矢先に、またこういう問題が起きてきた、こういうことであります。
  21. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 学術会議のほうも、先ほど申し上げたように、もう最初から声明を出すというようなことをきめてやっておるというふうに私どもは理解しておりません。やはり政府に対して三月十一日に勧告を出した。その勧告に対する支持声明を湯川秀樹博士をはじめ国内の原子力関係学者が連名で発表しているわけですね。それから三月二十八日には、名古屋大学の坂田昌一博士はじめ百五十人の原子科学者が署名して、やはり寄港反対の声明を出されている。この署名がだんだんふくらんでいって、千名をこえるというようなことになって、その気持の高まりがあの声明ということになってきているわけですよ。何も無理してだれかが引き回したというような、そういうことは全然ありませんよ。やはり思い詰めた科学者皆さん方の気持というものが、ぐっと一カ月か二カ月の間に盛り上がってきて、あの声明という形になってきているわけです。それを一方的に一部の者がリードして、そしてあやつっているんだというふうな宣伝のしかたをされるというのは、私はおもしろくないと思う。その点では、外務大臣のほうが、口だけかどうかしりませんけれども、少なくとも国会の発言の中では、もっと理解ある態度をとっておりますよ。五月七日、参議院の外務委員会において、大平さんは何と言っているかというと、「科学者の団体の方々が御意見を出されておりますが、これは私ども承知いたしておるところでは、自主的に安全性を検証しなければ安心ができないという御意見でございまして、科学者科学的な良心から出た御意見として当然だと思うのでございます。」外務大臣はこういう前提に立った答弁をしておられますよ。所管大臣総理大臣ですが、直接仕事をされている総務長官が大平外務大臣程度のいわゆる科学者に対する理解も持たないというのじゃ、これは問題じゃありませんか。とにかくけしからぬだ、けしからぬだというような考え方じゃなしに、せめて閣僚としてこの大平外務大臣が述べている程度の気持というものはやはり大前提になければ、日本学術会議運営をどうしようとうしようというようなことを発言される場合に、すなおに入っていきませんよ。気持としては十分にわかるという、そういう大前提がほしいと私は思うのですが、この外務大臣程度のお気持にもなれませんか。
  22. 徳安實藏

    徳安政府委員 先ほどから私が再々申し上げておりますように、学術会議あるいはこの会議の諸君が、自分の学者としての立場からいろいろ御研究なさいましたり、また、この問題等について突き詰めた御意見等もお持ちになることは、そういう方々の立場から考えますれば、これはまた当然だと思います。ですから、私どもはそれが悪いというのではないのであります。また同時に、そういう事柄を学術の研究立場においてお話しくださることも、決して私どもはどうこうというわけではないのであります。ただ、その取り扱い方が、政府のほうにこういうことは悪いのじゃないかといって勧告をされましたり、諮問に応じられたりするような、国家行政組織一つでありますから、その範囲において、できるだけワクの中で政府のほうにも勧告をし、意見を述べていただくことはけっこうでありますが、それが政府にそういう手段をとらずに、国民に普通にPRするような決議をされるということは、どうもやはり逸脱しておるのではなかろうか、こういう考え方でありまして、原子力潜水艦の問題がいいとか悪いとかいうわけではありません。今後における国の政府の施策におきましても、今後またたくさんできると思いますが、そういう問題について、政府のほうで考えておることと、学術会議のお考えになっていることが、いわゆる学問的に相反祝する場合もあると思います。そういう場合におきましても、やはりその第四条、第五条の法によりまして政府のほうに十二分の勧告をされたり、意見を求められたり、意見を述べられたり、そういうことはけっこうで、これは決してけしからぬというようなことを考えておるのではないのであります。ただ、それを学術会議の名において決議をされて、そうして政府に出さずに、国民に直接PRされるような行き方、その行き方それ自体が少し度を越しているのではないか、こういう考え方でただいま研究しているということでございますから、私ども考えているのは、原子力潜水艦の寄港がいいとか悪いとか、そういう問題以前の問題なんであります。
  23. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではお伺いいたしますけれども政府考え方と同じ考え方に基づいて出される声明ならかまわぬ、こういうことですか。
  24. 徳安實藏

    徳安政府委員 私どもは必ずしもそうとは考えておりません。やはり声明そのものは、この会議の法の精神から考えまして、この第四条、第五条、第六条等にやはり準拠してやっていただくべきだ、もし不都合な点がございましたら、あるいは意見の相違等がございますれば、やはり勧告等手続をとる。その勧告政府で十分受け取らなければいかぬような規則もちゃんとできておるのであります。そういう手続を十分おとりになるべきだ、こういうことでありまして、もしこれをやらなければ日本がつぶれてしまうとかなんとかいうような危急存亡のときに際して声明されたとか、これがいいとか悪いとか、けんかしてみても、これはやっては悪いと法律に書いてあるわけじゃありませんし、やらなければならぬと法律に書いてあるわけでもないので、そこは常識上の範囲で考えるべきだと考えております。決して、政府のほうのちょうちん持ちをしてもらうとか、そういう決議をしてもらうとか、そういう声明を出してもらうとか、そういう考え方ではないのであります。
  25. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ちょうちんを持った声明を出してもらおうという考えはないにしても、政府の意図と一致した声明ならば直接国民に対してやってもかまわぬということですかとお聞きしているのです。
  26. 徳安實藏

    徳安政府委員 私どもは、内容もさることながら、声明手続等におきましてはあまり望ましいことではないと考えております。
  27. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 望ましくないとおっしゃいますけれども学術会議声明を出したということは、きのう、きょう初めてのことではないのです。いままで何回出しておりますか、総務長官は知っておられますか。日本学術会議がスタートしてから、声明集というものができるくらい出ているのですよ。その間に、一回だってこんなに大きな問題にしたことはありますか。事は、内容原子力潜水艦というものが出てきたから、問題にしているのではないですか。いままでだって、政府の意図と反したような声明は出ております。破防法なんか絶対反対だという声明が出ているじゃありませんか。それを何か手続の問題だけのように問題の焦点をそらそうとするのは、私はおかしいと思う。明らかに内容に文句をつけているのですよ。  それから、もう一つお伺いしたいのですけれども日本学術会議には、結局行政科学を反映浸透させるという一番大きな目的があるわけですよ。そのために勧告というものも出てきていると思うのです。ところが、勧告をやってもナシのつぶて、黙殺、言うことは聞いてくれない、そういう場合に、世論を味方にして、そうして行政科学を浸透させようという努力をすることまでいけないというのですか。民主国家において、その程度独立性自主性日本学術会議にはないとおっしゃるのですか。それじゃ日本学術会議なんて麗々しくつくっても、もう意味はないじゃないですか。
  28. 徳安實藏

    徳安政府委員 過去において二十五回ありますことも、調査をして承知をいたしております。したがって、過去のことは私は存じませんが、最近こうした声明に対しまして、声明そのものに少し行き過ぎがあるのじゃないかというような意見学者間にも相当ございますし、政府部内にもそういう意見はあります。また、それは当然だという意見をございます。これは両方の御意見等がございますが、政府といたしましては、やはりこういう機会にそういう問題はお互い話し合いをして、そうして将来間違いのないような一つの基本線を確立しておくべきではないかという考え方でございますし、学界のほうでも、いい機会でございますから、これからも――そういうこともしばしば耳にいたしておりますし、承知をいたしておりますが、ついそういうことになっておりますから、この機会に、今度の問題を兼ねてお互い研究もし、相談しましょうという考え方でございまして、過去にも出ておるからどうというわけじゃないのであります。過去にもそういうことが出ておりまして、もうすでに数回、最近も方々からそのやり方についての意見もあり、やはり学者によって相当意見が相違するようであります。でありますから、この学者意見をどの程度に反対、賛成を取り入れるかということは、政府のほうの考え方でございましょうけれども、少なくもやはり世間が納得するような形においてこの問題を片づけたほうがいい、私はこう考えるに至った結果、この処置をとっておるわけでございます。また、いま申し上げましたように、学術会議としての使命遂行に対することは、この法律に示してあるとおりでございまして、決してこれに矛盾するようなことは私は一つ考えておりません。でありますから、それはひとつぜひ誤解のないようにお願いしておきたいと思います。学問の自由ということで、学術会議も、その構成員である学者の学問の自由があるから何でもかんでも自由だというようなぐあいには、やはり国家行政機関であるという法律のたてまえからいいまして、必ずしもそういうように断定はできないのではないかと思うのであります。
  29. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私はそんなことは言っておりません。最初に、まだ違法だというようなきめつけ方をしておらぬとおっしゃっているから、今後いろいろと話し合いをする場合に、総務長官がこの程度考え方は持ってもらいたい、そういう気持でいまお尋ねをしているわけなんです。先ほどから申し上げているように、学術会議というものがなぜできたかということをもう一度考えてもらいたい。法制局あたりの法律的な解釈ばかりにへばりついて、違法だとか、行政一体の原則なんか振り回すような姿勢は、政治家としてとるべきじゃないと言いたいのです。そんな法律解釈なんか聞かぬでいいのですよ。それはぎりぎり法律一辺倒で煮詰めていけば、そういう解釈も出てくるでしょう。しかし、学術会議というものが何のためにできているのか、どういう反省の上に立ってできたのか、そういうことを考えていくのが政治家の立場じゃないか、そういう気持に立って、私は、せめてこの程度のお考えは、今後話をされる場合にも、総務長官として、折衝の責任者として持っていただきたい、こう思ってお尋ねをしていろわけなんです。先ほど申し上げたように、とにかく戦争中、戦前科学者政治とか行政に対してあまりにも弱過ぎた、そういう反省の上に立ってできてきておる。そうしてこの主たる目的は、いま申し上げているように、結局、科学の向上発達をはかり、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることが目的なんです。そのために勧告も出ている。いろいろな法が出ているわけですよ。目的を見ずして、そんなことはどうだこうだというのじゃなしに、根本の目的をまず頭に置いていただきたいと私は思うのです。学術会議としてはこの目的に沿うように勧告をするでしょう。今度の場合も三月十一日にしておるわけです。いまのように安全性というものが確認されない段階において寄港を認めるということは、どうも日本国民生活を脅かすことになるし、いろいろな点でよろしくないという勧告をしたわけですね。だから、安全性について国民が納得するような方法を講じてくださいと勧告した。ところが、それがどうもなかなか自分たちの思うように政府が動いてくれないというあせりが、それじゃひとつ世論を味方にして、もう一押し政府反省してもらおう、考え直してもらおう、こういう気持になったことは理解できるのじゃないか。学術会議目的からいっても、それくらいのことは許されていいのじゃないか。現に過去二十五回も声明をやった例もあるのですよ。いま取り立てて大騒ぎするようなことではないのではないか。いま取り立てて大騒ぎをするものだから、手続の問題よりも、ほんとうのねらいは内容にあるのだが、内容についてはあまり圧力をかけられないので、手続で因縁をつけている、こういうような印象を持っておるのですよ。それは総務長官が何と弁解しようと、事実そういうふうな誤解が――誤解かほんとうか知りませんが、侵透しているわけだ。だから、そういう誤解を招くようなことはおよしになって、この学術会議の設立の目的に沿って、総務長官は十分な理解を示していただきたい。そうしなければ、どんな話し合いをしてもスムーズな解決の道はありませんということを申し上げているわけなんです。単なる法律的な解釈だけにとらわれておるというような態度は、政治家としてあまりかんばしくない、私はこういうような気持でいま申し上げているわけです。その点はおわかり願えるのじゃないかと思うのです。
  30. 徳安實藏

    徳安政府委員 もちろん、総理府総務長官としましては、この学術会議の設置されました主たる目的並びにその趣旨等につきましては、法文に書かれておりますとおりに解釈もし、また、それもできるだけ広義に解釈して推進することには、決して人後に落ちるものではございません。
  31. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 過去においても、この学術会議というものが十分に活用されていない。長官は四条、五条、六条とおっしゃいましたけれども、四条の場合などは、政府諮問をする立場にあるわけです。今度の原子力潜水艦の寄港の問題、なかんずく原子力潜水艦安全性の問題は、国民の重大なる関心事です。みんなひとしく心配しているのです。政府立場だって心配しているのでしょう。寄港を前提にしておろうとどうであろうと、その立場を異にしても、みんな心配しているのです。それほど重大な問題について、学術会議側から何らかの勧告が出てくる前に、なぜ積極的に諮問するぐらいのかまえがないのですか。これが学術会議軽視のあらわれじゃありませんか。それこそ、優秀な科学者をもって結成されたこの機関を活用する意思が全然ないということを示しておりますよ。諮問する意思がないということは、これは学術会議そのものに対して諮問してないというだけではない。日本の優秀な頭脳が全然無視されておるじゃありませんか。この原子力潜水艦の寄港の問題について、安全性の問題について、日本の優秀なこの頭脳を活用したことがございますか。科学技術庁あたりでこそこそ安全性検討したって、結論出ませんですよ。だから、いまになっても、政府国民に向かって納得のできるような説明もできない。こういう優秀な学者を――湯川博士以上、国民のだれでも知っている、子供でも知っている、こういう優秀な科学者を活用する道を考えたことがございますか。学術会議に対して諮問一つもしないということは、そのことをあらわしておるじゃありませんか。そのことはどうお考えになりますか。
  32. 徳安實藏

    徳安政府委員 原子力潜水艦の問題につきましては、私どもの当該の関係でございませんので、その諮問の方式なり、あるいは過去におきましてどういう学者研究をさせ、どういう機関諮問いたしておるかということは、やはり当該関係の主管大臣でなければ御報告、御説明できないと思いますから、これは別な機会か、あるいは今日でもけっこうでございますが、そのほうの担当の大臣に出席をしていただきまして、御答弁をさせていただきたいと思います。
  33. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それはおかしいですよ。所管大臣総理大臣ですよ。あなたが答弁できないということであれば、総理大臣にきてもらいますよ。勧告を受けるのも諮問をするのも総理大臣じゃありませんか。ほかの大臣とはだれですか。本委員会は、所管大臣総理大臣という場合には総務長官は認めませんよ。
  34. 徳安實藏

    徳安政府委員 学術会議に関する限りにおきましては、いま申し上げましたように、総理大臣が、その長であり、また私が総理府長官でございますから、もちろん、これに対して携わっておることは承知いたしております。考えております。したがって、学術会議に対する諮問等につきましては補助答弁できるわけでございますが、そのほかのことにつきましては御答弁できないわけであります。つまり、学術会議には、政府として、この問題に対して、内容について諮問しなかったかということになりますと、その点はやはり科学技術庁の設置法によりまして、日本学術会議への諮問及び日本学術会議の答申または勧告に関することは、このほうの計画局の所管事項に法律上なっておるそうでございます。でありますから、総括的な意味におきましては、総理府機関であることは間違いございませんが、先ほど申し上げましたように、ほとんど独立した形においての機関でございますので、一々その内容等について私の方で監督をし、指揮をするというわけではございません。こういう事務的なことにつきましては、他の法律によってこういう工合にきめられておりまして、そちらのほうと連絡をとりながら仕事をされておるようでございますから、そちらのほうで御答弁をするようにしていただきたいと思います。
  35. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 諮問する場合は、政府はだれの名前でするのですか。
  36. 徳安實藏

    徳安政府委員 もちろん内閣総理大臣だと思います。
  37. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 だと思いますじゃないですよ。どなたの名前でするのですかと聞いているのです。
  38. 徳安實藏

    徳安政府委員 内閣総理大臣であります。
  39. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 事務的にどうやっているか、私は知りません。いま内閣日本学術会議の間で問題になっている。所轄大臣総理大臣だ。その総理大臣にかわってあなたがいろいろやっているのじゃありませんか。談話もあなたが発表されている。向こうとの話し合いもあなたがされている。その話し合い内容に触れる問題を私はお聞きしているのですよ。科学技術庁でなければ答えられないような質問はしていないつもりです。それこそあなたの言う行政一体じゃありませんか。内閣一体じゃありませんか。少なくともきょうはあなたは総理大臣の代理で来ているのですよ。参議院では総務長官を認めぬというような非礼なことも再三言いますが、本委員会ではそんなことを言っている覚えはありませんが、あなたのおっしゃるようなことを言うなら、言わざるを得ませんよ。これから、所轄大臣総理大臣の場合には総理大臣に出てもらいます、こう言わざるを得なくなってまいりますよ。なぜ諮問をなさらないのか。あなたは声明についてとやかく言うほどの批判力も持っておられるじゃありませんか。立場も権限もあるじゃありませんか。なぜ諮問できないかというぐらいの答えができないとは思いません。できなければ総理大臣に来てもらいます。
  40. 徳安實藏

    徳安政府委員 諮問する場合には、各省大臣諮問できることになっておるそうでございますが、その取り扱い手続機関といたしましては、科学技術庁が担当しておるということでございます。したがって、国務でございますから総理大臣が全部のことについての責任はございましょうが、個々に各省大臣が責任を持ってやるように法律ができておるわけでありますから、大筋は別問題といたしまして、そうした諮問したとか勧告したとかいう問題に対する取り扱いにつきましては、これを行ないます各省大臣のほうが答弁にふさわしいかと思います。また、私ども総理府といたしましてただいま取り扱っております関係につきましては、私の責任において御答弁ができると思いますから、いままで申し上げたとおりに答弁しておるわけであります。
  41. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ私は、法制の問題としてお聞きします。日本学術会議法の第四条には「政府は、左の事項について、日本学術会議諮問することができる。」となっております。そして第二号に「特に専門科学者検討を要する重要施策」第四号に「その他日本学術会議諮問することを適当と認める事項」こういうのがあるわけです。この原子力潜水艦安全性という問題については、学術会議はあれほど関心を持っているわけです。また、それにふさわしいだけの頭脳もそろえているわけです。なぜこれを活用することをお考えにならなかったか。それじゃ政府を代表してお答えになってください。科学技術庁が必要ないと認めたから私も必要ないと思いますという程度ですか。総理大臣のかわりに来ておられるのですから、その立場でお答えになっていただいてけっこうだと思うのです。必要ないというならない、なぜないか、お聞きするだけです。あると思えば、これからでもやっていただきたい。
  42. 徳安實藏

    徳安政府委員 内容につきましては、私も今日つまびらかにしておりませんので、他の適当なときにもっと詳しく答弁させていただきたいと思いますが、ただいまの時点におきましては、先ほども申し上げましたように、三月十一日に勧告が出まして、すでにこの問題は勧告の問題になっております。したがって、三月十二日以来引き続いて、科学技術庁が主宰になりまして研究をし、調査をしているという段階でございまして、あるいはそうした関係から諮問もせずに、この問題に限ってはその勧告処置しようという考え方でやっておったのではないかと思いますが、これは当該責任者でございませんから、一応私のほうでよくただしまして、あとから御報告、御答弁するようにいたしたいと思います。
  43. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私が先ほどから申し上げているのはここなんですよ。法律的な解釈、片言隻句にとらわれて、さあ行政一体だ何だといって、学術会議に対して圧力をかけるような印象を与えているのは、こういうところにある。ほんとうに学術会議を活用しよう、連絡を密にしようというお考えがあるならば、この基本的な問題について考えるべきじゃないですか。われわれに手落ちはなかったか、学術会議がそんなに熱心ならば、われわれは積極的に諮問するくらいのかまえがあってよかったのではないか、そういう根本を全然はずれて、法律的に違法ではないかとか、そういう態度は、政治家としてとるべきではないと何度も申し上げているわけです。この国家行政組織法にしたって、その点は明確になっておるはずです。私がわざわざ読み上げるまでもないと思いますけれども国家行政組織法の八条に基づいてできたんだ、できたんだとおっしゃっているが二条を読んでください。二条の二項ですが、「国の行政機関は、内閣の統轄のもとに、行政機関相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない。」下の方の一体だけあなたとっているじゃありませんか。緊密な連絡の方は抜きにしているじゃありませんか。これほどの重要な問題について、どうしたら緊密な連絡をとれるかという考え方を働かさずに、法文の末梢だけをあげつろうやり方というのは、法律をもてあそぶもののすることで、政治家のやることじゃありませんよ。ほんとうに密接な連絡をしようと思えば、あるいは日本学術会議というものにそれ相応の待遇を与えようと思えば、活用しようと思えば、根本はここにあるじゃありませんか。ところが、諮問を必要とする程度の問題かどうか、そういうことすらお答えできない。そういう程度の認識で学術会議にとやかく言うというところに問題があるのですよ。私たちはどう考えたって、これほどの問題は、勧告をまつまでもなく、政府の方から諮問をすべき事項だと思うのです。安全性の問題はそんな簡単な問題じゃありませんでしょう。また、しろうとの私たちが安全だ安全でないと論議したって、結論の出る問題じゃないのです。あなたがさっきから煙幕を張っておらられるのですけれども安全性の問題についてはわからぬわからぬ。わからぬなりに、あなたは、声明について、内容にも問題があるなどというかってなことをいろいろ言っていますよ。もちはもち屋というならば、一番適当なもち屋はここにおるじゃありませんか。日本の肝心の科学者に全部この問題については何の相談も受けていない。そうしておって、安全性の確認がどこでできますか。できるという自信がございますか。いままでの総理大臣なり外務大臣なり科学技術庁長官なりの答弁を一貫して聞いたって、日本安全性を確認する努力はしていないじゃないですか。アメリカの言いなりじゃないですか。アメリカが安全だというから安全だ、これから一歩も出ていないじゃないですか。日本科学者の頭脳を動員していないから、出るはずがありません。そうい根本の問題を考えないで、末梢的な議論をしているところに、この複雑さが出てくる。不当な干渉だという批判も出てくるのです。もしあなたが安全性の確認がこういう科学者の手をわずらわさずできるというならば、できる方法を教えてください。アメリカが安全だというから安全ですという以外に、何か一歩でも出るものがありますか。今後でもあったら教えていただきたい。しかも、そのアメリカだって、安全だということを国内では言っていないじゃないですか。参考までに申し上げておきますけれども、再三アメリカ側からも引用されております、原子力潜水艦についての最大の権威者といわれるリコーバー中将、この人がアメリカの上下両院の合同委員会でどういう証言をしておられるか、知っておられますか。昭和三十七年の四月、米上下両院合同原子力委員会における証言ですが、原子力潜水艦の原子炉は実際は安全な装置でなく、軍事上必要ある場合を除いては、人口密度の高い港に立ち寄るべきでない、こういう証言までしているのですよ。アメリカの国内において最高の権威を持った議会においてこのような証言をしている人が、日本政府日本国民に向かっては安全だ、これはどういうことです。そのなぞを解くかぎを持っているのは日本科学者以外にないじゃないですか。私はそういうふうに頭を切りかえていただきたいと思う。これについての御説明ができるならまだいいですよ。できないと言うならば、そういう科学者の不安というものを解消することは、あなたが談話を出してとやかく言うことではない。もっと根本的に解決しなくてはならぬ問題があるのだということを頭に置いて、今後学術会議話し合いをされるというならば、私はきょうの質問はそれでとどめます。
  44. 徳安實藏

    徳安政府委員 なぜ学術会議政府諮問しなかったかといえ問題でございます。この点につきましては、先ほど申し上げましたように、私がここでお答えすることはいかがかと思いますから、よく事情を関係方面から聴取いたしまして、お答えをするのが適当だと思います。この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、こちらのほうからまだ諮問せぬ先に勧告が参りました。三月の十二日に参りまして、四月の八日には、その決定に基づきまして、学術会議会長あてに、科学技術庁長官と外務大臣がこの問題の取り扱いに当たりますという御通知を申し上げてあるわけでございます。したがって、この安全性等の問題につきましても慎重に検討しておりますということは、学術会議の方にも連絡済みでございます。政府の方でまだこの会議諮問をするに至らなかったとか、あるいはする必要がなかったとか、あるいはせねばならぬのをおくらしておったというような問題は、いま私は答弁できませんが、その第四条にありますとおり、また第六条には、学術会議でも政府のほうに資料の提出を求めましたり、意見の開陳とか説明を十分求められるという条項もあるわけでありますから、これは政府のほうの責任もあるかと思いますが、学術会議のほうでも進んで、こうした問題については、第六条によりまして十二分に資料の提出を求められるし、また政府筋の意見の開陳等も求められるわけでありますから、そういう手段にも出ていただいてよかったのではないかというようにも考えるわけでございまして、そうしたような前後のいきさつ等につきましては、適当な機会に御満足のいくような御答弁をいたしたいと思います。
  45. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではその答弁を待つことにいたします。  ところで、いま第六条を引用されましたが、それではこの原子力潜水艦安全性の問題について、日本学術会議の求めに応じて、資料の提出、意見の開陳または説明をする用意はございますね。
  46. 徳安實藏

    徳安政府委員 求められますれば、適当な方法によって各関係の主管大臣がその御希望に沿うようになると思います。
  47. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは本委員会のこの質疑を通じて、学術会議のほうでもこの分については了解すると思いますから、もし資料なり何なり求めてまいりましたときには、率直に出していただきたいと思います。  それから先ほど基本的な問題として申し上げましたように、アメリカの国内においては決した安全なものだと言ってないのです。それを日本に対しては安全だと言って、私たちからいえばごまかしを言っているのです。現にそのことは、日本の原子力関係法律が全部非常に厳密に規定されていることを考えれば、私は理解できると思うのですよ。今度原子力潜水艦がアメリカの言いなりに日本に入ってくるということになったら、日本の原子力関係法律は全部宙に浮いてしまうのですよ。陸上に小さな研究用の、学術用の原子炉一つつくるのでも、やかましいことを言って、これを認可しなかった場合まである。ところが、五一万キロワット、十万キロワットというようなないへんな出力を持った原子炉を積んだ潜水艦が、とことこ日本に入ってくるということになりますと、国内だけ規制するというのはナンセンスではありませんか。廃棄物の投棄の基準にしたってそうですよ。日本の国内とアメリカとは雲泥の差がありましょう。日本科学者というものは必要以上に神経質になっている、こういうことばで片づけるつもりですか。それだけ神経質になるには、それだけの科学的根拠があると私は思うのです。そういう科学者意見というものはこの際たっぷり言わせる、そういうチャンスを与えないところに、こんないろいろなトラブルが出てくるのです。これは派生的な問題ですけれども、原子力関係では優秀な頭脳があるのですから、手が及ばぬのではないのです。その優秀な頭脳を活用することを基本的に考え、そのために、学術会議を生かすということも考えて解決してください。そうしないで末梢的な法律論をやっておっても、これは決してほんとうの解決にならないし、結果的には政府圧力をかけた、こういう印象を与えるのみだということを申し上げておきたいと思います。  それではお答えは、きょうなかった分については後日お伺いすることにして、私のきょうの質問はこれで終わりたいと思います。
  48. 永山忠則

    永山委員長 田口誠治君。
  49. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでは一昨日長官がおいでにならなかったので、お聞きのできなかった点について伺いたいと思います。  今度出されております総理府設置法等の一部を改正する法律案内容について、時間的な面とにらみ合わせて御質問を申し上げたいと思います。  この三条の点ですが、「内閣官房長官及び総理府総務長官の地位と職責の重要性にかんがみ、これらの者をいわゆる認証官とするため、内閣法及び総理府設置法に所要の改正を行なうものであります。」云々と書いてあります。そこで、私は、この認証ということについてあとから詳しくお聞きをいたしたいと思いますが、その前にお聞きをいたしたいと思いますことは、この提案理由にも書いてあります、認証官とするというこのことばですが、認証官というこのことばは、戦後どこの法律を見ても、このことばに該当したものはないわけなんです。あれば、どこにあるということをお示しを願いたいし、なければ、何ゆえにこの認証官ということばをこの提案理由の内容に明記されてあるのか、まず、この点を伺いたい。
  50. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 法制上の問題でございますので、私から一応お答え申し上げます。  ただいまお尋ねにありましたように、認証官ということばが法制上どこかにあるかということでございますが、認証官という文字を実定法上にそのまま使った例はないと思います。思いますというのは、私、ただいまそういう規定があることを承知しておりません。私が承知しておりませんので、これはまず間違いなしにないと思っていただいていいと思いますが、その認証官ということばをなぜ使うのかということにつきましては、憲法第七条の第五号でございますが、国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免を認証することという規定がございまして、その認証される官吏を通称認証官と称しているわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘のような御疑問があるようでございますが、それは通俗的に申しますことばを使いまして簡単に御説明申し上げる――簡単にというと語弊がございますが、要するに、通常使われている意味合いにおいて、それを使っているということであろうと思います。
  51. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 こまかいところからお聞きをいたしますが、官吏ということばがございましたが、現在官吏ということばはあまり使わないと思うのですが、これは国家公務員、こういうように解釈をしてよろしいのですか。
  52. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 憲法の中でも、実は公務員ということばと官吏ということばと両方ございます。御指摘のように、官吏ということばは、大体において公務員と一致すると見てよろしいのでございますが、ただ、官吏と申します場合には、行政部内の職員及び政府あるいは内閣部内のそれぞれの機関が任命するような、そういうものを中心とした概念だ、簡単にいえばそういってよろしいと思います。公務員というのは、御承知の通りに、非常に広く国務の掌理に当たっているすべての公職にあるものをひっくるめて公務員と申しておりますが、ここにいいます官吏というのは、そのように広い概念でなくて、その一部を示しておるというふうに申してよろしいと思います。簡単に申せば、官吏と公務員は必ずしも一致しないということでございます。
  53. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 憲法の中にはやはり官吏という表現がなされておりますけれども、実際的にはいま通常そういうようなことばは引用されておりません。したがって、こういう点についてのお考え方については、ただいま答弁がありましたが、このことと、先ほどの認証官について、通称という表現で御回答があったのですが、私は、通称ということがこれまたおかしいと思うのです。あえていえば、俗称といえばまだまだと思うのですけれども、通称となりますと、これは相当一般的に通ったことばであるということにたりますので、やはりこういう審議をする場でありますから、私は、こまかいことでございますけれども、確認をいたしておきたいと思います。
  54. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 認証官というものの本質は、先ほど申し上げたとおりでございまして、実は実定法上認証官がなまに働いてくることはないと思います。要するに、任免について、憲法の第七条の規定によって認証される官吏、これをば認証官と申すということを申し上げましたが、それを通称ということがよろしくなければ、むろん俗称ということもけっこうでございます。要するに、同じような意味で私は申し上げたつもりでございますが、俗称というふうにおとりいただいてけっこうでございます。
  55. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そういたしますと、いわゆる認証される者を俗称認証官と称しておるわけですが、現在認証される方々をずっとながめてみますと、司法関係、それから外交関係に職を持っておられる方に多いようでございます。一般の行政の衝に当たっておられる方には少ないわけですが、そこで、私は、ここではっきりお聞きをいたしておきたいと思いますことは、今度内閣官房長官と、それから総務長官のみこれを認証するというふうに提案なされたのは、これはどこで発案されたかということです。いままでの懸案であったものをこのたび国会に提案されたのか、それともだれかのお考え方をこのたび出されたのか、それからずっと以前からこれが懸案として内閣の中で審議されておったものか、その点をやはり明確にしてもらいたいと思うのです。
  56. 徳安實藏

    徳安政府委員 この問題は、閣議決定を経ておりますから、結局閣議で話が出たことになるわけでありますが、従来認証官の問題、認証官といえば語弊があるかと思いますが、認証される官につきましては、いろいろ考えてみますと、検討しなくちゃならぬものがあるのではないかという議論が、内外ともにございます。そのたびごとに研究はされておったようではありますけれども、他に影響するところが非常に多いものでありますから、適当な機会にということで、そのままになっておったという状態であるようであります。今回他にもそうした認証官にすべき筋合いのものがあるのではないかという御意見が、閣内にも、また政府以外にもあるようでありますけれども、いろいろな他の職務との関係、地位の関係等から考えまして、にわかに全部の解決が困難でございますために、大臣をもって任じ得る、充て得ることの法律の建前になっておりまする官房長官総務長官だけを一応お願いしょうということにきめたわけでございまして、これは長い間こうした問題が論議されつつあったということでございまして、だれが主になって論議したかということは別でございますが、閣内でもしばしばそういう問題は論議されておった。しかし、適当な機会がなくて、そのうちいずれきめなくちゃならないという話し合いはありましたけれども、踏み切って出すという段階にいかなかった。今回それを踏み切ることになった、こういうことでございます。
  57. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ただいまの御答弁では、官房長官と総称長官の二人にしぼったというのは、国務大臣をもって充てることができるという、こういう条項の人にしぼったということなんですが、そういう点もありましょう。ありましょうが、先般国会に提案された大学総長の認証の関係が、やはり今度官房長官総務長官を認証するというように、時期を早めたというか、その度を濃くしたというか、そういう点からきておるというように一般的にはいわれておるわけでありますが、それとの関係は全然ございませんか。
  58. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいま申し上げましたように、この二人の問題は、前から問題になっておりましたし、さらにまた、いまお話になりました大学総長、大学総長というよりか、むしろ学校の教職員、その方面の待遇がよろしくない、これを改善しなくちゃいけないという強い意見も各方面に起きておりました。こういう観点から、文教を重視するという意味におきまして、七大学の総長を認証するという措置をとりたいという意見は、文部大臣からも発議がございまして、もっともだということで、これを決定したわけでございますが、その事柄と、これとは、認証するという立場におきましては関連性があるようにも見えますけれども、法のたてまえから申しますと、文教政策上重要視して、文教の方面には七大学総長を認証官にするというたてまえから、文教方面には措置をしておるわけでありまして、この総理府設置法の問題とは一応からみ合わせはないわけであります。
  59. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それから、全然関係ないということになりますと、私は、やはり国務大臣をもって充てるというその二人にしぼられておるということになれば、これは拡大されていかないと思うのですが、将来これを拡大していくというお考え方が、総務長官のお考えだけでなしに、閣内にあるかどうかということです。それによってこれが拡大していく場合には相当のところまで拡大していくような気がいたしますので、この法案を決定いたします前提といたしまして、やはりその点を明確にしておいていただきたいと思う。
  60. 徳安實藏

    徳安政府委員 この認証問題につきましては、新聞にも伝えられておりますように、まだ一、二論議の中心になった方がございます。ことばをかえて申しますれば、法制局長官はどうかという話も出ておったようであります。あるいはまた防衛庁関係において一部どうかというお話も出ておったようでございますが、しかし、こうした問題につきましては、他に影響するところ非常に甚大なものがございますので、一応はそういう問題はこの際切り離しまして、そうして二名に限って今回お願いしようということでございます。ただ、非常にでこぼこがございまして、一例を申し上げますと、公正取引委員会委員長はいま認証でございますが、給料はうんと下げてある。しかも、私の方の付属機関になっておるという形でございまして、私どもよりか給料が下だというような、非常にその場その場限りできめたようなものが残っておるものでありますから、そういうようなものもこの際適当な機会によく調整したいのだというような考え方もございまして、官房長官のもとで今後そういう問題は研究しようということにはなっております。
  61. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 待遇の面のでこぼこの点もお話しされましたので、関連してお聞きをいたしたいと思いますが、やはりただいま御答弁のありましたように、公正取引委員会委員長の場合は十四万だと思いますし、それから総務長官は十六万だと思います。ところが、今度国会議員が十八万になったので、どちらをもらっておられるかわかりませんけれども、そうかといって、この間国会に提案されております、先ほど申し上げました大学総長の俸給は、十六万と十八万と差をつけておりますし、でこぼこがあるわけなんです。これをある時期に統一しなければならないというお考え方があるとするなれば、いま提案されておるものくらいはこれは同額でなければならないと思うのですが、そういう点どうも御回答に矛盾があるわけなんです。その点を承りたいと思います。
  62. 徳安實藏

    徳安政府委員 私どももなりたてで、詳しいことはわからないのですけれども、役人になったのですから、役所から給料をもらっておるのかと思っておりましたら、そうでございませんで、国会の方から給料をもらっておるわけであります。それで差し引きまして、何か少しばかり残額と申しますか、足らない分をもらう。国会のほうでもらうのが原則ですから、今度は私どものいまの給料よりか高くなってしまいましたから、もうおそらく返すことはないと思いますけれども、議員ですから、そのままでちょうだいできるのじゃないか。ちょっと私もこの点についてはおかしいと思うのですが、そういうならわしで出すというのですから、やはり給料はこの国会のほうに毎月十日にもらいに来るわけであります。
  63. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますと、認証ということは、資格を与えることか、それとも待遇をよくしていくことか、その点が明確でないわけなんです。それと申しますのは、現在の憲法下においては、国務大臣の場合には、憲法七条に明確に認証するということが書いてありますけれども、任命権者は、国務大臣の場合には内閣総理大臣であるから、これは総務長官の場合でも官房長官の場合でも同じことでございますが、任命権者が任命をすれば、認証をしなくともこれは国務大臣である、また総務長官であるということは、明確であるわけです。そして権限には何ら変わりはないと思うのです。そうすると、何がゆえに認証をしなければならないかということなのです。これは全般を含めての概念を私は申し上げておるわけです。なぜ認証をしなければならないか。
  64. 徳安實藏

    徳安政府委員 この問題は法制上の問題でもございますから、法制局の方から御答弁をしたいと思います。
  65. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 ただいまお尋ねの認証ということでございますけれども、これは御承知のとおり、新憲法になりましてからは、天皇の国事行為の一つに加えられたわけでございまして、認証ということばそれ自身の意味は何、であるかということから始めなければならぬと思いますが、これは御承知のとおりに、一定の行為が正当な手続によってなされましたことを公に確認し、証明する行為であるというふうに一般に説明をされております。  そこで、それだけではお答えにならぬと思いますが、それではなぜ認証制度というものを設けたかといいますと、これはやはり当該行為について、そのことに荘重性を加える、あるいは権威を添えるというようなことが、この制度的な意味だろうと思います。そしてそれがさらに及んでまいりまして、当該官職の評価が、国家的に見て高いということと結びついてまいるものだと思います。いずれにいたしましても、認証そのものは、一定の行為が公の手続によってなされたことを公に確認し、証明する行為であるということになるわけでございます。
  66. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 聞けば聞くほど、認証ということは、あまり意味がないわけですが、結局認証される場合には、国務大臣の場合は宮中で認証式というものをやって、何かおことばがあると思うのですけれども、形の上においては、これは国務大臣内閣総理大臣が任命をした場合には、任命をしたという証書がいくわけなのでしょうね。これは内閣総理大臣が署名捺印をしたものがいくわけですね。すると、認証されれば、おそらくそのあとに陛下の親書、玉璽というようなものがつかれていっておるだけで、それをもらって、もらった人が自己満足するだけであって、それをすることにおいて権限がどうなる、待遇がどうなるということは、現在のところではあり得ないわけです。待遇にも関係があるということになりますれば、これはまた別な角度から検討する必要も出てくると思うけれども、いまの状態では、これは国務大臣を含めて私は言うておるのですが、認証ということは、昔の親任官とか勅任官と違いまして、あまり意味がないように思うのです。ただいまの答弁からいきましても、どうもばく然としておって、やはり認証の必要があるのじゃないかというように私らにぴんとくるものはないわけです。先ほど総務長官答弁なさったように、二人にしぼったということは、いわゆる憲法には国務大臣の場合には認証するということが明確に記載されておるから、それで国務大臣をもって充てるという、その衝に当たる職務の人に対しては認証するのだという、これだけのことであって、認証そのものに対しては、認証したからどうの、しなかったからどうのということはないと私は思うのです。もう少しその必要性をひとつお答え願いたい、もう少しぴんとくるところを言っていただきたいと思うのです。
  67. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 お尋ねにありましたように、認証したからその権限がふえるとかいうような効果が、認証ということから出てこないことは、仰せのとおりでございます。しかし、結局憲法の規定の意味合いの問題になりますが、いまの憲法で申しますと、仰せのとおりに、国務大臣は任命で認証するということがきまっております。批准書などについては認証するというこでありますが、憲法でいえば、これはごらんになればわかりますが、「法律の定めるその他の官吏」ということになっておりまして、憲法ではそういう官吏の存在を予想しておるわけでございます。むろん、法律で定めなければそういうものは生まれてまいりませんが、法律で定めます場合に、一定の官吏について認証するという道を開いておりますゆえんのものを考えてみますと、やはり認証ということの制度的意味としましては、当該行為に荘重性を加える、あるいは権威を添えるというようなことであろうということから、そういうものについての官職は一体いかなるものであるかということを考えてまいりますと、やはり当該官識あるいはその職務につく者の地位といいますか、一般的な評価といたしまして、それにふさわしいもの、そういうものを選び出して、任命について認証するということになるわけでございます。どうもぴんとくるものがないとおっしゃられるかもしれませんが、実は憲法自身がそういう道を開いておりまして、さらに申せば、いまもお話にありますように、給与の問題など、認証ということによって直ちに給与がどうでなければならぬというような直接的な関係はございません。ございませんが、認証の制度的意味からいいますと、当該官職がやはり相当重要である、あるいは職務内容と責任が相当高度のものであるというものにつきまして、認証制度というものが設けられますから、そういう意味で、やはり任免権者が一体だれであるかとか、それからその任免にかかる給与が一体どういうものであるかとか、そういうような問題に及んでこざるを得ないというふうな考え方でございます。
  68. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 何べん聞いても、このことはすっきりとした、なるほどという答弁はないと思いますが、提案されたのは、国務大臣をもって充てるというのが結局二人こぼれておるから、これを認証するということであろうと思うので、感情的な面からその辺はいいだろうということになると思いますけれども、格別に理論的に必要だどうこうということはあまり考えられないわけです。ただ、ここでいま感情的にいいでしょうということになりましたときに、私が心配するのは、これがだんだん拡大されていった場合に、そしてまたこれを尺度ではかる場合には、これはも尺度はありはしない。どこまではいいということはちょっと言えないわけなんですから、こういうことから、相当いま問題になっておるところの統合幕僚会議議長などの場合、いまの軍に対する権限などは、ずいぶん大きな権限がこの前付与されたことになっておりまするが、そういうものまで認証をするということになりますと、これは大へんやかましいことになろうと思います。ぼくらもそういう場合には絶対反対でやらなければならないと思いまするが、当面問題になっておるものが、私は心配になるものの一つであろうと思うので、問題になっておるものは、常識的に考えてみれば、内閣総理大臣が組閣をするときに任命をするものの中で、一人こぼれておるものは法制局長官ですけれども、これは国務大臣をもって充てるということになっておらぬから、これは入れておらぬと思いまするが、いろいろ尺度ではかった場合には、やはり一つの基準というものはなければならぬと思うのです。その基準をはずせば、そのものさしはどこまでいってもはかれないと思うのです。そういうような面から、私は、総長の場合に認証するというような案が出ておる以上、この心配は去らないので、もう一度この二名に限るのだとか、それから基準はせいぜいやってもこれまでなんだというような点を、やはりここで内閣として明確にしていただきたいと思うのです。
  69. 徳安實藏

    徳安政府委員 現段階におきましては、ただいまお話しのように二名に限っておるわけでございます。文教は別でございますが、しかし、その他の問題につきましても議論がございますから、一応は検討しようという形にはなっておりますが、いまお話しのようにいろいろ困難なものがございますので、それははたしていっそういう結論が出ますことやら、そういうことにつきましては、いま何とも申し上げることはできぬと思いますが、それは相当先の問題になるのじゃないかと思います。
  70. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 先ほど来、私が、これを認めた場合にだんだん拡大されていくということを心配した一つの理由としては、法制局長官の場合なんかは、これは国務大臣をもって充てられないから今度入れてないと思うんですが、しかし、そうかといって、内閣総理大臣が任命する者を全部認証するのだということになりますると、私どもが一番心配をしておるところの続落の議長なんかの場合も、やはりいろいろ拡大されてくるおそれが、将来の法の改正によって、あなたのところで法律改正して出していけば、こういうところへ及ぼしていくということが、日本はいま軍国に復活しつつあるのじゃないかという幾つかの事例を見て、非常に心配をされる面があるので、私は、やはり二人なら二人というふうに、ここに明確に内閣のほうから明示をしてもらわないと、その心配があって非常に困るわけなんですが、すなおにそういう点ちょっと答弁できませんか。
  71. 徳安實藏

    徳安政府委員 現段階におきましてはそうだということは申し上げられるのですけれども、永久にそういうぐあいにしませんというようなことを私の口から言うわけにもまいりませんし、ただ検討は始終しておりますから、そういう問題も検討の対象になろうかと思いますが、しかし、そう簡単にこういう問題は片づくものではありません。非常にたくさんの問題が含まれておりますので、そう急に御心配になることはないというようには考えております。しかし、この内閣で永久にそういうことはやりませんとかどうとかいうことは、私のいまの立場では、責任のあることは申されぬと思います。しかし、大体は、いま申し上げたとおり、非常に問題がたくさん含まれておる事柄ですから、そう簡単に処理のできるものではない、かように考えております。
  72. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 こういうように確認しておきたいと思います。国務大臣をもって充てる職の人が認証されておらないのだから、その二人にしぼって必要性を考えて、内閣のほうでは出されたのだ、こういうように確認してよろしいですか。
  73. 徳安實藏

    徳安政府委員 そのとおりでございます。
  74. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、今度は待遇の関係なんですが、いま提案されておる大学総長も、十六万、十八万というように待遇が違っておるのですね。先ほど総務長官のほうから、いろいろ待遇の関係も問題になっておるので、これもいつかの機会に考慮しなくてはならないというようなお話もございましたが、大学総長の場合に、いま提案されておるものを見ましても、どこで開きをつくらなければならないかと思うような――私どもどうしてもその理由が見つからぬのですけれども、やはり待遇に差をつけておられるわけなんです。こういうことで、先ほど一例としてあげられました公取の委員長の問題もある。現在ですら、待遇の内容を見ましても――まあ、ことばの表現は悪いかもしれぬけれども、ピンからキリまであるわけです。こういう点は将来どうされるつもりか、今度提案されるときに検討されたのかどうか、これも明確にしていただきたいと思います。
  75. 徳安實藏

    徳安政府委員 待遇の問題については、もちろん意見も出ております。しかし、これは非常に影響するところの大きいやっかいな問題であります。特別職関係、一般職の関係等、公務員にもいろいろな種類がございますが、人事院勧告なくしてむやみに一部の者だけ上げ得るのかという議論もございまするし、それを上げますと、これに肩を並べるような公務員がたくさんあるわけでございますから、その序列をどうするかという問題がいろいろございます。やはりこれは私どものほうの場合においては、一般の人事院勧告に基づく給料値しげというようなものと見合って弄処するのが妥当ではなかろうか、今回は取り上げるべきではないというような考え方で、二人のことですから、一切不問に付していたわけであります。学校の先生のほうのことは、文教委員会で御説明があろうと思いますが、この点については人事院のほうに照会しました。向こうでいいと言ったわけではないと思いますけれども、この程度ならやむを得ぬだろうという回答をもらって、それで人事院勧告を待たずして、大学の総長の分だけは一応ケリをつけるという考えに踏み切ったようであります。そのほかのものは、一般のものと同一に取り扱いたい、その時期に調整しようという考え方でおるようでございます。
  76. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 徳安総務長官の場合、四月までは総務長官として歳費をもらわれたほうが高かったと思う。四月からは国会議員としてもらわれたほうが高いと思う。それで、総務長官は今度すぐ待遇改善をしなくてはならぬのかどうか、これはあなたのことで、あなたから答弁を受けると変なような気がするけれども、これは一般的なものとして率直な御回答をいただきたいと思います。
  77. 徳安實藏

    徳安政府委員 先ほど申し上げましたように、私ども関係は他の関係に非常に深い影響がございますために、しばらく不問に付して、そういう人事院勧告等の場合にあわせて考慮すべきであるということで、今回は処置をしなかったわけでありますが、私どもは国会議員として国会から歳費をもらっておりますから、現在の俸給が十六万円でございましても、国会議員として十八万円ちょうだいできるということであります。ことばをかえて言えば、官房長官総務長官のほうが国会議員よりもずっと給料が安いという形になっておるわけですが、しかし、これは制度の上においてそういうことになっておるわけでございます。それでいつまでもいいのかという問題でございますが、これはいま申し上げたとおりに、一般のものと並行しながら考えていくべきだ、二人ばかりいじるべきではないという考え方で、そのままにしておるわけであります。
  78. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 まあ二人のことですが、給与規定には、高きをとるというようなことは私はないと思うのです。便宜的にそれはやられているのか。私はないと思うのですが、その点をやはり明確にしておいてもらいたい。
  79. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 いま当該条文自身をいろいろ御指摘の必要があれば御指摘申し上げますけれども、国会議員とその他の政府職員、公務員との給与問題につきましては、給与を比較いたしまして、実質的に商いほうの給与を受けられる根拠は、給与法の中に規定がございます。それで執行しておるわけです。
  80. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ちょっとそこを読んでください。
  81. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 特別職の職員の給与に関する法律第十四条第二項でございます。
  82. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その点ははっきりしました。そこで、認証する場合には、特別職の場合もあれば、一般職の場合もあるのですが、一般職の場合はやはり給与法によって給与がきめられていく。あなたの言われる俗称認証官の国家公務員の場合には、一般職の場合にはどうも待遇を別扱いにするということが困難性があろうと思うのですが、そういう点もいまの給与法の中で何ら心配がない、そうした操作ができるというふうになっておるかどうか、この点も伺いたいと思います。
  83. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 いま申し上げましたのは、特定の人がある官職とある他の地位、公務員の職とを兼ねておるという場合に、二つの職に対して給与の規定がある、その場合に高いほうをとるか低いほうをとるかという問題でございます。いま御指摘のように、一般職の公務員について認証制度というのがございますが、その場合に、いまのように二つの給与体系があれば、いまと同様な問題が生じますけれども、一般には当該公務員については一つの給与がきまっておりますので、いま問題にされておるような問題は起きてまいらないと思います。したがって、一般問題といたしまして、認証官にするということについて、その認証をされることになったことに伴って給与を上げることにするかしないかという問題だけが残るのだろうと思います。
  84. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうすると、認証ということは、格づけということばに尽きるのですか。
  85. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 どうも先ほど御説明申し上げた点で、要領を得ないようにお受け取りいただいたと思うのですが、ただいまの御質問もそういうことに関係があると思いますけれども、認証というものは、先ほどもお話がありましたように、当該公務員職務権限について何ものかを加える、あるいは認証となったことによって給与を添えるというようなことでなくて、当該公務員の地位等から考えまして、認証することによって――いずれにしましても、行為の認証でございます。あるいは文書を発することの認証でございます。そこで、認証ということばがおかしいではないかというおことばはよくわかるのでありますが、その行為に荘重性を加える、あるいは権威を添えるということでございますので、結局、行為の結果任命された者に権限上あるいは給与上の影響を即座に来たすということはないわけでございます。ただ、先ほどもお話し申し上げましたように、認証する、あるいは権威を添える、あるいは荘重づけるというようなことは、当該官職の重要性ということが何としても評価されてのこととなりますから、間接的に、そういう官職であれば、やはり権限も重いし、職の内容も責任の度合いも大きい、したがってまた、給与も他の一般から比べれば高い者がなるということになるだろうということでございまして、直接の効果でどうこうということにはならないのでございます。
  86. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 関連して。認証官の問題ですが、総務長官、官房長官がなりたければ認証官になられるのはかまわないと思うのですけれども、私どものほうとしては、ふやすことだけでなしに、減らすことの検討を前々からこの委員会で申し上げておるわけです。私自身も、藤枝総務長官のときに、この点に触れてお尋ねしましたところが、検討するというお約束をいただいているわけです。言うまでもなく、現在の認証官の大半が大公使、外務省に片寄っておる。そういう点で、実質的に認証官という制度自体がおかしなものになっているじゃないか。だから、外務省関係の認証官をうんと減らすということをこの際思い切って考えることが伴わなければ、実質的に意味がないのじゃないかということを申し上げておったわけですが、この点についての御検討の結果をひとつお答え願いたいと思うのです。  その総務長官答弁の前に、事務当局のほうからでけっこうですから、現在認証官が何人おるのか、そのうち大公使が何人かということを最初にお答え願いたいと思います。
  87. 古屋亨

    ○古屋政府委員 数を申し上げますが、現在認証官が百三十五名ございます。そのうち、外務省関係が特命全権大使が七十二名、特命全権公使が六名でございます。
  88. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今の数字でもはっきりしておりますように、ほとんど大公使なんですよ。役所でいえば局長級――ほんとうの局長級かどうかわからないような人でも、外務省の場合は、全部よそに出ていけば認証官です。一体そこに何ほどの価値があるのか、権威があるのかということを私たちは指摘してきておるわけです。ほんとうに何らかの意義を認証官という制度に求めようとするならば、その辺の整理が伴わなければ意味ないじゃないか。その整理についての御検討を当時藤枝総務長官に御確約願ったわけですが、どういうような検討をなさったのか、いまの段階でどの程度結論が出ておるのか、これだけお答えを願っておきたいと思います。
  89. 徳安實藏

    徳安政府委員 前々長官の御答弁お話でございますが、いまのようなお話は、私どももこの職につきます以前にやはり同じような考え方を持っておりまして、外交官が八十名近くもいる、しかもその外交官が、外務省のことを言っては悪いですが、わずかの人口のところでもこのごろはみんな大使になってしまいましたので、人口三十万か四十万のところの大使がみんな認証官というような形になっております。こういうような点は相当世間の批判もございますから、そこで、先ほど申し上げましたように、こういうことを全部含めまして、官房長官のもとで一ぺん再検討しようということになりまして、委員ができておるわけでございますが、その後の経過等は私は聞いておりませんけれども、おそらくいま国会開会中でございますので進行はしていないかもしれませんが、二月十二日の閣議決定によりまして、そういうものの基準だとか給与だとか、そういうものを一ぺん洗いざらい再検討しようという形の決定をいたしまして、人選も終わっておるわけであります。
  90. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 関連ですから、これでやめます。そしてまた、来週再度受田委員がこの問題についてお尋ねをすると言っておりますので、これ以上申し上げませんが、ふやすことばかり考えておられるような感じがするわけです。それではますますこの認証官制度というものが――田口さんは盛んにさっきわからぬ、わからぬと言っておりますけれども、何のための認証官制度なのか、ほんとうにだれでもわからぬような形では解決しないと思うのです。ぜひ減らすほうの検討をお約束願いたいと思いますが、いまのところ、総務長官結論を聞いておらないということでございますので、火曜日にでもひとつ御説明を願いたいと思います。
  91. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 この認証の関係は、何回聞いてもぼくはすっきりしませんので、今度二人は一つの勘定というか、まあまあということになると思います。  そこで、今度提案されておる中で、宇宙開発審議会、この仕事の内容が非常に重要でもあるので、必要に応じては内閣総理大臣意見を述べることができるというようなことを加えてほしいという提案がなされておる。それで、審議会とか委員会といちのは、現在二百九十ばかりあるわけなんですが、総務長官関係審議会、委員会も、一年に一回も開かぬというところが六、七という数にのぼっておるわけなんです。したがって、この宇宙開発技術に関するところの審議会の今日までの審議経過とか、それからどうしてこれを直接に内閣総理大臣に具申をしなければならないのか、総務長官を通じてやってはいけないのか、こういうところに、あえてこの法を改正する必要が那辺にあるかという点に私は疑問がありますので、その点だけひとつ明確にお答えを願いたいと思うのです。
  92. 徳安實藏

    徳安政府委員 ごもっともな御質問でございまして、冒頭にお述べになりました審議会等の関係でございますが、閣議でもしばしば問題になり、私どもも実は何とかしなければならぬという考え方を持っておるわけであります。現在法的に根拠を持ちます審議会は、総理府だけでも四十五、六ございます。しかし、これはおのおのの法律でできているものでございますから、政府限りで切ってしまうわけにいきません。これはいずれ整理統合する機運が起きましたならば、何か大きいものをこしらえてそこに全部入れてしまうか、何かの形においてこれを与野党でも相談を願い、政府でも措置をしなければならぬじゃないか。すべて法律改正をしなければならぬ問題が大部分でありますので、政府が思いつきで打ち合わせ会なり調査会を置いておくというものはわずかでございますから、こういうものは明日にでもやめようと思えばやめられるわけでありますが、法的にちゃんと審議会を置くということが書いてありますのが四十幾つあるわけであります。こういう点については、ぜひ今後も大きな課題として御研究をいただきたい、政府のほうでも研究したいと思います。  いまの宇宙開発審議会の問題でありますが、この審議会の性格が、これまでは諮問に関連する事項についてのみ意見を述べることができるというように限定してあったようでありますけれども、ますますその重要性が増加するのにかんがみまして、今後はそういう諮問に対して意見を述べるのではなくて、自発的に総理大臣意見を述べることができるのだというように変えてほしいという御要望があり、各委員からもそういう御意見があるそうでございまして、これはごもっともと考えて、さような取り扱いをしたわけでございます。この審議会の開催なりあるいはその進行状況につきましては、これを取り扱っております科学技術庁のほうがよくわかっておると思いますから、そちらのほうから御答弁をすることにいたします。
  93. 芥川輝孝

    ○芥川政府委員 宇宙開発審議会の審議の状況を申し上げます。  正確な期日は、ちょっとここに持っておりませんのでわかりませんが、昭和三十五年に発足いたしまして、諮問第一号に対しまして、昨年の五月十一日――諮問第一号は「宇宙開発推進の基本方策」という諮問でございます。それから諮問第二号は「昭和三十六年度における宇宙科学技術の推進方策について」、これに対しましては三十五年の十月三日に答申を出しております。これが二号です。ただいま三号諮問といたしまして、「宇宙開発における重点開発目標と、これを達成するための具体方策いかん」、これは三十八年一月三十日に諮問いたしまして、ただいま審議中でございます。
  94. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 重要な審議会だと私も思いまするが、諮問というこのことは、これは各審議会を通じて私どもが見ておりますることは、当局のほうが、気に入るものは取り上げるし、気に入らないものは取り上げないというのが、いまの実態であるわけなんです。したがって、私は、「内閣総理大臣意見を述べる」ことも加えるということにするくらいなら、法的に拘束を持つところの建議ができるというように変えたほうがいいのではないかと思うのですが、その点はどうお考えになりますか。いままで諮問をされたことがどのように取り扱われて、実施に移されておるかというようなことを考えていただけば、そうすれば、やはりある度度の法的な拘束を持つところの建議をすることができる、こういうような一項を入れておいたほうが、より効果があるのじゃないかというように私は考えられるわけですが、その点どんなものですかね。
  95. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 立法問題でございますので、お答え申し上げますが、政府機関がある常設機関に対して諮問をいたします場合に、これは、当該機関は概して学識経験者等で構成されておりますが、その知識を吸収して、政府の施策に反映させていくというねらいがあるということでございますが、そのねらいがあるということは、政府が一定の施策を講じます際に、諮問をして、その当該学識経験者等の知識を吸収いたしまして、それを施策に反映させようという本来の目的から見まして、通常これを尊重するのは、これはしごくあたりまえのことだと思います。ただ、そこに、御指摘のように、事柄によりましては政府の施策にそれを取り入れないということがあるわけでございますが、しかし、国会に対して責任を負うのは内閣自身でありますので、その辺は、諮問機関から直接に答申があったものを、法的に政府を拘束して、そのまま出すということになりますと、その辺の行政権の責任との関係で、やや問題が残るのではないかというふうに感じられまして、必ずしも、すべての審議会の中身につきまして、いま御指摘のような規定を働いておらないわけでございます。ただし、お気づきであるかもわかりませんが、ものによりましては特にそういう規定を置いたものもございまして、尊重するというような規定を置いたことはございますが、それはやはりそういう規定を置かないでも、実は政府当局がそういうつもりで諮問をしていることからいいまして、むしろ当然のことに属するのだろうと思います。問題の中心は、諮問になりましたことを、必ずそれが全部政府を拘束するように法的拘束をそこに設けますことにつきましては、行政権の国会に対する責任というような観点から、ややすべてにわたってそういうことを規定するのはどうかというような観点がございまして、私ども法制局といたしましては、そういうものにつきましては、もう少し検討を要する点があるのではないかというふうに考える次第でございます。
  96. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 この審議会は、三十人からの大世帯でございますし、そして審議会自体も非常に重要な役割を持っておると思います。一般の審議会のような単なる諮問機関であったり、答申をして、それが当局として自分のほうで好むものは取り上げ、好まないものは取り上げないというようなことではいけないと私は思うので、それで結局、総理大臣意見を述べることができるというように加えたら、現在とどう違いますかということなんですね。違うということにするには、やはり建議できるように内容改正することが最も望ましいと思うので、ただ総理大臣意見を述べるということをつけ加えるということは、そんなに私は進歩した処置ではないと思うのですが、私は、この件については、法制局でなしに、やはり科学技術庁としても、いままで答申されたことがどのように実行されておるので、それでこれはこうせなければならぬというようなこともお考えになっておると思うので、それぞれ御意見がございますれば、御回答をいただきたいと思います。
  97. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 いま私御回答申し上げました後に、ただいまの御質疑を伺っていて、私のほうに誤解があったようでありますので、そこを明らかにしておきたいと思いますが、先ほど私申し上げましたのは、答申があった場合に、それを尊重しなければいかぬ、そのとおりにきめなければいかぬというような場合についての条文を置いた場合にどうかということを中心に申し上げたつもりでございまして、ただいまお話のように、意見を述べることができるというようなものであれば、いま申し上げたようなことは、そこには適用にならないわけでございます。通常、諮問をして、それに答申をするという場合と、ほかに意見を述べることができるという規定が置かれている例が幾らもございます。その場合には、答申をしないでも、積極的に当該審議会が意見を述べることができるということになっておるわけでございまして、先ほど申し上げたのは、その点については適用が私の説明ではそこまでは及ばないわけでございますが、それぞれの機関についてそういう道を設けるか設けないか、これは主としては当該審議会のそれぞれ設置目的といいますか、そういう面との関連で、入れたほうがいいか入れなくてもいいかという問題になると思いますので、先ほどの御答弁申し上げた関係がありますので、その点だけお断わり申し上げておきます。
  98. 芥川輝孝

    ○芥川政府委員 私のほうも、ただいまの法制局のほうからのお話につけ加えることはございませんが、宇宙の利用と宇宙の科学技術は、御承知のとおり急送に進歩しております。したがいまして、諮問を出しまして、それに対して御答申いただく、その間慎重審議されますので、相当期間がかかります。それで、その間に、宇宙の科学技術の進展に従いまして何か重要事項が発生いたしました場合には、これを自発的に審議していただきまして、そしてその結果を総理大臣に対して意見を述べていただいております。それを当局といたしましては十分尊重して、いろいろの措置をとってまいりたい、そういう趣旨改正をお願いしておるわけであります。
  99. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうすると、改正後は、この審議会を開催されたときには、総理大臣は出席をするということが前提なんですか。
  100. 芥川輝孝

    ○芥川政府委員 それは前提かという御質問でございますが、私どもはそれほどかたくは考えておりません。御承知のとおり、審議会の会長が招集すれば、それで会は開けるわけでございます。総理大臣が出席するということは前提にいたしておりません。
  101. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それはいまの御回答のように、会長が招集して審議をするのだから、その点ははっきりしておりますが、今度内閣総理大臣意見を述べることを加えるという改正なんですから、そういうことが提案されておるのだから、そうするには、審議会の開かれたときには、総理大臣も出席してもらうということは前提になっておるのかどうかということをお聞きしておるのです。そうでなかったら、審議をした結果、この問題については、委員長ひとつ内閣総理大臣に直接に会って、あなたの口からも十分にこの答申の内郭を話してもらいたい、こういうことになろうと思うのです。こういうことは別に国会に提案されなくとも、これは当然審議会の自主的な行動としてなさるべきであって、私は、あえてここに提案をされておるのだから、やはり審議会の開かれたときには、内閣総理大臣が出席されることが前提になっておるのだ、ここまで考えておるから、こういうような提案がなされておるのだというように受け取っておるのですが、そうでなかったら、別段この提案をされなくとも、やはり必要なことは、直接会長委員長総理大臣意見を述べるというようなことは、幾らでもできるわけなんですから、これを義務づけるということについては、その反面、義務づけられた一つの方法を考えられておるのかどうか、こういうことを私はお聞きしておるのです。
  102. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 一つの問題は、今回宇宙開発審議会の職掌の中身として加わったもの、それはここにありますように、現行法のもとでは「内閣総理大臣諮問に応じて宇宙の利用及び宇宙科学技術に関する重要事項を調査審議すること。」ということだけでございましたが、今回さらにこれらの事項に加えて、「内閣総理大臣意見を述べる」というのが付加されたわけでございますが、こういうものがあるということになりますと、宇宙開発審議会がその名で内閣総理大臣に対して公に意見を述べることができるように相なるわけでございまして、これはこういう機関の職掌としては確かに適当なものだろうと思うわけでございます。  そこで、お話にもございましたように、内閣総理大臣意見を述べます際に、通常は、この審議会が議事を開きまして、意見をまとめまして、それを内閣総理大臣に文書でもって差し出すということになるのが通常の姿でございます。むろん、内閣総理大臣がそこにいなければならぬということをおっしゃっているわけではないと思いますが、それは内閣総理大臣としては、その意見を述べる対象として存在すれば足りるわけでございまして、その審議会に常に出ておらなければならぬという筋合いでないことは、当然のことと考えております。
  103. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私が特にこういうことを質問申し上げるのは、全般的に見て、審議会が有名無実のものが相当あるから、それであえてこういうような提案をされておっても、こういう意見を述べるというような行為が将来あるかどうかということ、十分にこれを活用されるかどうかしいうことが大きな疑問があるので、私はお聞きしたのであって、そういう必要があって、総理大臣に直接意見を述べるというようなことが多くあることは歓迎をいたしておるのであって、一般的な審議会のいまのやり方を見て、私はこういう提案がなされても、実際的には効果を奏せないのじゃないかという心配があるから、そういう点を考えた上の質問でありましたので、わかりました。  それではきょうは質問を終わります。
  104. 永山忠則

    永山委員長 本日はこの程度といたして、次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十五分散会