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1963-03-29 第43回国会 衆議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月二十九日(金曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 伊能繁次郎君 理事 岡崎 英城君    理事 内藤  隆君 理事 藤原 節夫君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君       内海 安吉君    草野一郎平君       纐纈 彌三君    笹木 一雄君       辻  寛一君    船田  中君       保科善四郎君    前田 正男君       田口 誠治君    堂森 芳夫君       受田 新吉君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 西村 英一君         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         内閣法制次長  高辻 正巳君         総理府総務長官 徳安 實藏君         宮内庁次長   瓜生 順良君         総理府事務官         (宮内庁皇室経         済主管)    小畑  忠君         法務事務官         (人権擁護局         長)      稻川 龍雄君         大蔵政務次官  原田  憲君         厚生事務官         (大臣官房長) 熊崎 正夫君         厚 生 技 官         (医務局長)  尾崎 嘉篤君         厚生事務官         (社会局長)  大山  正君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      岡本  悟君         運輸事務官         (自動車局長) 木村 睦男君         運輸事務官         (航空局長)  今井 榮文君         海上保安庁長官 和田  勇君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局次長) 亀山 信郎君         日本国有鉄道常         務理事     滝山  養君     ————————————— 三月二十八日  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一五六号) 同日  国立大学教官待遇改善に関する請願(大久保  武雄君紹介)(第二六七九号)  同外百十九件(白浜仁吉紹介)(第二六八〇  号)  同外一件(高田富與紹介)(第二六八一号)  同外二十七件(米山恒治紹介)(第二六八二  号)  同外五十六件(園田直紹介)(第二六八八  号)  同(田中彰治紹介)(第二六八九号)  同(野原正勝紹介)(第二六九〇号)  同外七十六件(藤田義光紹介)(第二六九一  号)  同外二十八件(坂田道太紹介)(第二七〇七  号)  同外四件(上林榮吉紹介)(第二七〇八  号)  同(丹羽兵助紹介)(第二七〇九号)  同(川村継義紹介)(第二七一一号)  同(坂本泰良紹介)(第二七一二号)  同(島本虎三紹介)(第二七一三号)  同外二件(高橋等紹介)(第二七一四号)  同外百六十九件(河野正紹介)(第二八二二  号)  同外二件(砂原格紹介)(第二八二三号)  同(野原覺紹介)(第二八二四号)  同(松前重義紹介)(第二八二五号)  同(森本靖紹介)(第二八二六号)  同(山崎始男紹介)(第二八二七号)  同(鈴木正吾紹介)(第二九二七号)  同(福家俊一紹介)(第二九二八号)  同(田中正巳紹介)(第二九四二号)  同外二百二十九件(河野正紹介)(第二九六  二号)  同(成田知巳紹介)(第二九六三号)  旧軍人等恩給に関する請願外一件(大沢雄一  君紹介)(第二六八三号)  刑部日羅公の贈位に関する請願大野伴睦君紹  介)(第二六八四号)  建国記念日制定に関する請願高田富與君紹  介)(第二六八五号)  元南満州鉄道株式会社職員期間恩給法等の特  例制定に関する請願宇田國榮紹介)(第二  七〇六号)  国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び  薪炭手当の支給に関する法律の一部改正に関す  る請願安宅常彦紹介)(第二七一〇号)  同(佐々木義武紹介)(第二八一七号)  同外十件(椎名悦三郎紹介)(第二八一八  号)  同外一件(鈴木善幸紹介)(第二八一九号)  同外十三件(野原正勝紹介)(第二八二〇  号)  同外十四件(山本猛夫紹介)(第二八二一  号)  同(淡谷悠藏紹介)(第二九五〇号)  同(猪俣浩三紹介)(第二九五一号)  同(岡良一紹介)(第二九五二号)  同(稻村隆一君紹介)(第二九五三号)  同(小林ちづ君紹介)(第二九五四号)  同(佐野憲治紹介)(第二九五五号)  同外五件(下平正一紹介)(第二九五六号)  同(中澤茂一紹介)(第二九五七号)  同(野口忠夫紹介)(第二九五八号)  同(原茂紹介)(第二九五九号)  同(三木喜夫紹介)(第二九六〇号)  同(吉村吉雄紹介)(第二九六一号)  平和の日制定に関する請願菅野和太郎君紹  介)(第二八一三号)  同(永田亮一紹介)(第二八一四号)  同(濱地文平紹介)(第二八一五号)  同外一件(星島二郎紹介)(第二八一六号)  同(今松治郎紹介)(第二九二一号)  同(上村千一郎紹介)(第二九二二号)  同(岡本茂紹介)(第二九二三号)  同(上林榮吉紹介)(第二九二四号)  同(高橋清一郎紹介)(第二九二五号)  同(中村三之丞紹介)(第二九二六号)  同(坂田英一紹介)(第二九三八号)  同(辻寛一紹介)(第二九三九号)  同(山崎巖紹介)(第二九四〇号)  元満州国等政府職員恩給に関する請願坂田  道太紹介)(第二九四一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一五六号)  厚生省設置法及び国立光明寮設置法の一部を改  正する法律案内閣提出第一六号)  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一九号)  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五五号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を求めます。原田大蔵政務次官
  3. 原田憲

    原田政府委員 ただいま議題となりました特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  公正取引委員会委員長の職務と責任重要性等にかんがみ、その給与を改定する必要がありますので、現行の俸給月額十四万円を十八万円に引き上げることとし、昭和三十八年四月一日から実施することとしようとするものであります。  以上がこの法律案提案理由及びその内容であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
  4. 永山忠則

    永山委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後に譲ります。      ————◇—————
  5. 永山忠則

    永山委員長 厚生省設置法及び国立光明寮設置法の一部を改正する法律案議題として、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。
  6. 受田新吉

    受田委員 厚生省設置法改正案のおもな項目に関連したことを簡単にお尋ねしたいのでございます。大臣の御答弁をいただくものと、事務当局で御答弁いただいていくものと、はっきり区別してお尋ねいたします。  まず最初に、厚生大臣は、厚生省が非常に大きな責任を持っている、すでにおととしの国会で通過して、その委員任命を早急に解決しなければならない問題の、中央社会保険医療協議会委員任命が、どうして今日までこうしておくれているのか、これはもうまる二年越しにこの国会成立した法律が実施されていないということになるのでございますので、政府の重大な責任問題でもあります関係上、大臣の御所見を承りたいと思います。
  7. 西村英一

    西村国務大臣 ただいまのお話でございますが、私、昨年厚生大臣に就任いたしまして以来、本問題のためには私なりに努力をして参ったのでございます。御指摘のように、中央医療協議会法律制定以来今日まで満足な発足ができないことは、まことに遺憾に存じ、皆様方に対しても申しわけない次第でございます。しかし、この問題につきましては、医療担当者支払者側が円満な了解のもとにこの了承をしていただかなければ、やはりどうしても構成ができない次第でございまして、私はただいまも鋭意この問題に取り組みまして、何とか円満なる成立をみたい、かように考えまして、努力いたしておる次第でございます。今までの私のとりました経過等につきまして、一々御説明を申し上げてもいいと思われますが、時間も長くかかり、相当にまたいろいろな問題もございますので、省略したいと思いますが、今でも私は、中央医療協議会のすみやかなる開催につきまして、私のできるだけの努力をいたしておるし、また、いよいよ、もうしばらく時日をかしていただくならば、何とか明るい見通しになるのではなかろうか、かように考えて、せっかく努力いたしておる次第でございまして、皆様方に対してはまことに申しわけなく思っておりますが、現状はかくのごとき状態でございます。
  8. 受田新吉

    受田委員 その任命できない一番ガンはどういうところにあるか、そしてそのガンの発生している原因がどこにあるかということは、十分検討されていると思います。その点だけをお答え願います。
  9. 西村英一

    西村国務大臣 医療問題を円滑にやるために、古井厚生大臣のときに、社会保障制度審議会に対しまして諮問をいたしました。その諮問答申に基づきまして、当時の厚生大臣は医療問題の解決の機構を考えたのでございます。その一つは、中央医療協議会を開く、その二つは、臨時医療報酬調査会を開く法案を通す、この二本建で医療問題のいろいろな研究をしていこう、こう発足いたしましたところが、国会におきまして中央社会保険医療協議会法成立いたしましたけれども、もう一方の法律であります臨時医療報酬調査会設置法案は、二回の提出にかかわらず成立を見なかったのでございます。その見なかったことにもいろいろの理由がありますけれども、現実の問題で、一方の法案は通り、一方の法案は通らなかったのでございます。支払者側の申しますのは、やはりこの医療費値上げにつきましても、ただ単に思いつきで値上げをされたのでは困る、何か医療報酬に対する算定基礎というものをつくるために調査会法案を出す、ところが、その調査会法案成立を見なくて、中央医療協議会を開くということに、支払者側は難点を示しておるのでございます。しかし、私も、その調査会がそういう意味においてできまして、医療問題を研究し、医療報酬算定基礎をつくることは、それは十分必要ではございましょうが、この法律が、過去二回の経験にかんがみまして、通過をしなかったということでありますから、今日の政治情勢を見ましても、直ちにこの法律を前のような状態で出しましても、国会で通過せしむるには至らないだろう、しかし、医療問題を研究することは必要であるから、審議会答申を尊重いたしまして、これにかわるべき方法を私は厚生大臣責任において考えてやるから、一つ現在法律が通っておる中央医療協議会だけは開いてもらいたい、かように呼びかけておるのでございます。しかしながら、医療問題は、医療担当者支払者側におきまして長らくの間もういろいろないきさつがございまして、そしてそれが互いにからみ合っておりまして、ほんとうに混乱の状況にあるのでございます。従いまして、私といたしましては、これは協議会を開くにいたしましても、支払い担当者あるいは医療担当者が、ほんとうにそれ以上の次元に立ってわが国の国民の医療問題を解決しよう、うまくやっていこうという、ほんとう理解の上に立ってもらうということが、やはり主眼でなくてはならないのでございます。調査会法案にかわる代案もさることながら、やはり相互の理解に立って一つまとめてもらいたいということで、いろいろだだいま手を尽しておる次第でございまして、いましばらく御猶予を願いたい、かように考えておる次第でございます。
  10. 受田新吉

    受田委員 ただいまの大臣の御答弁で、もう一つ調査会法案国会で通過せしめてくれないために、厄介な事情になっておるのだという、国会責任転嫁のような格好の印象さえ受ける御発言があったわけです。厚生省の側から見たら、あなた方が片方の法案をお認めにならぬことがガン原因であるということにもなる印象を受けたのですが、こういうことになるのですね。
  11. 西村英一

    西村国務大臣 国会責任を持ってきたわけではございません。そうであろうと私が判断したのでございます。また、この国会は会期も短いし、非常に時日もとりますので、私はこの国会には提案をしないと言っただけでございます。提案をしないその理由は、私が判断しただけで、国会に絶対に責任を持ってきたわけではございません。
  12. 受田新吉

    受田委員 国会を通った法律を忠実に執行するのが政府責任じゃございませんか。
  13. 西村英一

    西村国務大臣 まさにその通りでございます。今日まで施行できないのははなはだ残念でございます。
  14. 受田新吉

    受田委員 にもかかわらず、国会が二回も出したのに法案を通してくれないという、国会責任を転嫁するような御発言があったことを、私は納得しかねるのであります。
  15. 西村英一

    西村国務大臣 調査会法案提出しないということは、私は、まあ、あれはあれでもって法案は意義があるのですけれども、それが唯一無二方法ではない。やはり医療算定の基準にはいろいろな方法があるから、他の方法をとって私はまとめたい、かように思っておるわけでございます。過去において二回通過しなかったからということを申し上げたので、国会が云々ということを私は別に申し上げたつもりはございませんし、また、そういうつもりもございませんです。通過しなかったという現実を申し上げただけでございます。
  16. 受田新吉

    受田委員 すべて法律執行者としての政府は、その法律に忠実でなくてはならぬわけです。従って、現在通過している法律に、忠実にその執行責任を負っていただく立場から、委員任命ガンになるところがどこにあるか、これに伴う別の法律を出して解決しなくても済む方法は、ほかにあるわけですね。その他の方法を十分検討して、支払者側にも納得してもらう、また、国会承認を得て任命される委員側にも納得してもらう、いろいろな手があるわけです。これは国会承認事項に三つの委員一つがなっておるわけですからね。そういう形の法案でございますから、政府としては、この法律に基づいてどのようにすみやかに手を打つか、これが法律ができて、二年間その法律が施行されないという法律であるならば、これはもう政府がお手上げということになれば、法律廃止すればいいのです。法律廃止の手続を国会へ御要求になればいいわけなんですがね。つまり、法律ができて、二カ年間それが執行できないというような先例があるかないか、御答弁を願いたいのです。
  17. 西村英一

    西村国務大臣 そういった先例は私は知りませんが、あの中にも、構成のメンバーとして、厚生大臣だけが公益委員を選ぶことができることになっておるのであります。その公益委員を選びまして、国会皆様方承認を得てきめることになるわけですが、しかし、これは厚生大臣がみずから発動ができるわけであります。ただ、公益委員を選ぶ場合、支払者団体あるいは医療団体が満足な形におきまして、了解のもとに構成ができるというようなことでないと、公益委員といえども、やはりなかなか選ぶのに困難ではなかろうかと思うのでございます。法律制定以来構成ができないということにつきましては、遺憾の意を表する以外にいたし方はないのでございまするが、今直ちに——私はそれに向かって努力をしておるところでございます。いましばらく御猶予を願いたい、かように思うのでございます。
  18. 受田新吉

    受田委員 御猶予願いたいのは、古井さんから灘尾さんと歴代大臣が御猶予願いたいと言ってこられたのです。それで、今度西村先生が御猶予願いたいと、また前者の御意思を踏襲しておられるわけでございますが、御猶予を願うのが法律制定後二年にもなり、なおまだ御猶予願いたいというのもどうもおかしいですね。そこで、厚生省は、常にお医者さんの側と保険団体の側との間に板ばさみになって、厚生行政には非常に大きなガンがある。歴代厚生大臣は、そのどちらかで命をとられておる。人命を大事にし、人を喜ばせるお役所であるけれども、そうした政治問題の渦中で、歴代厚生大臣の偉大な政治力というものがなかなか実を結んでいないのです。西村厚生大臣は、この点について、あなたの御在任中にこれを解決できるという自信があるかないか。あなたの御在任中に、厚生省の持っているこういう政治的ないろいろな団体間の調整大臣としての、執行部長官としての立場からの英断、政治力、これを私は期待しておるのですが、私の期待を裏切ることのないように結論が出るかどうか、自信を持っておられるかどうかを伺いたい。
  19. 西村英一

    西村国務大臣 ここで自信があると申しましても、実行問題が伴わなければ何にもなりませんが、やはり私のやるべき努力を傾けるところはまだ残っておると思うのであります。しこうして、今言いましたように、中央医療協議会はあくまでも諮問機関でございます。従いまして、こういうような制度のために、この厚生行政行政としては曲げられないのであります。一時もこれはゆるがせにすることはできないのであります。もしとうてい中央医療協議会開催の見込みがないと私が判断するに至れば、他の方法を私は考えざるを得ない、かように思っております。従いまして、私に残されたもう少しの努力はあるわけで、それを傾けて、なおかつこの協議会が、せっかくの法律はございまするができないということになれば、私としては他の方法を考えざるを得ないという結論になるのでございます。さように御了承を賜わりたいと思います。
  20. 受田新吉

    受田委員 法律をやめるという手もあるわけですね。できない法律をいつまでもほうっておいてはしょうがないわけです、国民の不信も買うわけです。できない法律ならばやめてしまえばいい。だから、今大臣は、他の方法といえば、その法律をやめることも含まれておると思うのですが、そういうことも考えられますか。
  21. 西村英一

    西村国務大臣 そのときに臨んで方法を考えたいと思います。それは今おっしゃいましたような方法一つ方法ではある、かように思います。廃止するというのも一つ方法であろうかと思うわけであります。
  22. 受田新吉

    受田委員 廃止する方法も一方法として考えて、十分検討して、あなたの御在任中に重責を果たしたい、この御決意を伺ったので、この問題はずいぶん大きな大事な問題でございますが、大臣もあちらへおいでになるそうですから、これ以上追及することを差し控えさせていただきます。  それからもう一つ、今度の法案で、地方医務出張所医務局名称を改める問題は、これは単なる名称変更であるということでございまするから、それで私お尋ねいたしませんが、従来各省にまたがる共通の問題として、地方出先の局を拡大強化する、中央集権をだんだんと地方分権に移行させるという努力をしておられるようでございますが、厚生省もそういう考え方、単なる名称変更だけでなくて、地方出先機関にある程度重みをつけたいというお気持が、別の意味であったかどうか。
  23. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 医務出張所は、全国にございます八十五の国立病院と百八十に近い国立療養所の業務の指導監督と、また国立病院特別会計の経理に関する事務をやっておる地方部局でございますが、これは全国を八ブロックに分けて、現在各ブロックごとにその病院療養所を統括しておるのでございまして、事務量とか内部組織もかなり大きいもので、ほかの現在の地方ブロックを所管しておりますところの部局の例にならいますと、局の名前をつけるのが普通でございますし、どうも出張所といいますと、より狭い地域を管轄しておるところと間違えられるというようなことが、この名称変更の一番大きな理由でございます。しかし、この機会に、医務出張所、今度はこの医務局に対しまして、権限をより多く、たとえば人事権だとか、財政の調整権、そういうものをできるだけ落としていく、さらにもう少し事務局全体の仕事も落としていこう、こういうふうに考えている次第でございます。
  24. 受田新吉

    受田委員 私のお尋ねしているところをずばりとお答えを願いたかったわけでありますが、大体要約するとそういうことになると思います。  いま一つ、自民党の議員さんたちもこうして定足数のそろっておられる際に、まだお帰りにならない間に一つお伺いしておきたいのでありますが、現在のお医者さんの充足状況はどうなっているか。日本国民に対してどれだけのお医者さんがおって、それは適正医師の配置になっているかどうか、これに伴う医師養成計画国公私立大学医師養成計画を、文部省とどのような形で今後ある程度の長期計画で打ち立てようとするか、この二つを関連しながら御答弁を願います。
  25. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 日本におきまして、医者の数は人口千人につきまして昨年が一・一ちょっとでございます。人口千人につきまして一人余り、これはこの二、三年少しずつ伸びていって率がふえております。しかし、医学の進歩によりましての医学の分化、専門化、また国民が診療を受けます度合いの増加、それから医者の働いております時間数と勉強する時間との関係、こういう点からいきまして、今の数でいいかどうか、これはかなり検討を要する問題だと思いますし、今度三月二十三日に答申を得ました医療制度調査会におきましても、この点は検討しろというような答申を得ておる状態でございます。現実公衆衛生関係だとか、また結核、らい病関係、眼科、耳鼻科方面医者が足りないということが起こっています。地域的に、無医地区なんかでだいぶ医者が足りない地区がある。都市においては相当集中し過ぎるという意見もございますが、そういうような全体のバランスを適正に変えるということはなかなかむずかしいので、いろいろ努力をしておるのでございます。  それで、将来この数をもう少しふやさなければいかぬじゃないか。どれくらいまでふやしたらいいかという問題につきましては、いろいろむずかしい問題がございますが、三十八年度におきましては、大学医学部の入学者の定員が、三十七年度は二千八百四十名だったのを、三千二百五十か三千三百程度に文部省は引き上げられたはずでございます。この関係は、文部省厚生省、お互いが連絡をとって数を将来きめていこうということになっております。
  26. 受田新吉

    受田委員 中央医療制度調査会のこの間の答申を見ると、インターン制廃止ということもうたってあるようですね。これは医師充足を早めたいという気持もよくわかるわけですが、国公私立の学生の養成計画というようなものがある程度長期的に考えられて、無医村解消というところまでいかなければいかぬ。今の御答弁では都市医師が集中して、いなかではなかなか医師充足しがたいんだということですが、この無医村解消にも関係するわけで、医師全国分散、こういう計画は一体どういうふうにされているのか。それと、厚生省長期計画というものを持たなければいかぬと私は思うのです。それは中央医療制度調査会答申を待つまでもなく、厚生省自身も確たる信念でやっておらなければいかぬと思うのです。どうも非常に法案審議を急ぐ傾向があって、大事な問題がおろそかにされる危険があると思うのですが、このことはあまり時間をかけないで納得がいくように、ずばりとお答え願いたい。
  27. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 インターンの問題につきましては、医療制度調査会におきまして、これを検討しよう、暫定的には今の制度を改善するというような御答申をいただいておりますので、これも昨年の秋から厚生省内部でも検討を始めておったところでございます。  また、医者の適正配置は、これはなかなかお医者さんにいなかへ行けと命令するわけにもいきませんし、むずかしい問題でございますが、経済的な問題等と関連して考えなければいかぬと思います。  それから養成計画に関しましては、長期計画を立てる必要、それはお話しの通りだと思いますので、これも昨年の暮れあたりから作業を始めかけておるのであります。なかなかこの点はむずかしい問題でありますが、できるだけ努力して急速に計画を立てていきたいと思います。
  28. 受田新吉

    受田委員 今の医師養成計画の中で、これは文部省と共管事項ですから、常に文部省と——医学関係の学生の募集、これは医学部、歯科医学部とがあるわけですが、そういうものの今検討中の一応の見通し、現在の定数、これから長期計画でおよそどのくらいの割合にふやしていったらいいか、大体の骨子くらいはおわかりだろうと思います。  それともう一つ、お医者さんはメスをふるって人命を預かる大事なお仕事をする人ですから、特別の素養が要るわけです。しかし、今私立大学医学部などでは、実に莫大な寄付金を負担しなければ入学ができない事情になっているわけですね。これは、寄付金を負担する人は人数がそう多くはないかもしれませんけれども、その額は一体どのくらいのものが一番高いのであるか。二百万、三百万という金額を出さなければ入れないとなれば、優秀な者は入れないわけです。金が負担できる者だけ入ってくるということになる。こういう問題を厚生省はどうお考えになっておるか。人命を預かる医師の養成施設における問題点をずばりとお答え願って、お答えがずばりといけば質問を終わります。
  29. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 なかなかずばりといきにくい問題でございますが、養成計画につきましては、昨年末から検討を始めておるところでございまして、まだ毎年どれくらいずつふやしていったらいいという結論は出ておりませんので、ある程度ふやさなければいかぬという立場におきまして、三十七年度におきましての入学生の定員は二千八百四十くらいなのに、三千二百くらいの入学が実際にはあったので、それを公に認める、その上にプラス・アルファがまたついておるわけでございますが、そういうふうな形で一応三十八年は文部省と話をして処置をしておる状態でございます。  それから、私大の医学部の寄付金の関係は、これはいろいろ話は聞きますが、文部省の方があるいは御存じかと思いますが、厚生省ではちょっとはっきりつかんでおりません。
  30. 受田新吉

    受田委員 厚生省でつかんでいない問題として片づけられない問題なんです。一応の寄付金を納めなければ入れないということになれば、そういう形で医師の養成がされるということは、厚生省は十分心得ておられなければいかぬ。文部省にまかせられる問題ではないのです。これは厚生省が養成された医師を引き受けるわけです。その引き受ける医師を莫大な寄付金がなければ養成できない、力があっても寄付金の負担ができない者は入れないのですから、そんな簡単な問題ではないのです。これは文部省の問題だとして処理されることははなはだ不満足なので、この答弁が正式にあるまで法案の審査を保留するということは申し上げませんが、厚生省が良識を持って私のところまでそのお答えを、個人的にでも、そっとでも言ってきて下されば、一応了解しますから、その点で質問を終わります。
  31. 永山忠則

    永山委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  32. 永山忠則

    永山委員長 これより討論に入るのでございますが、別に申し出もございませんので、直ちに採決に入ります。  厚生省設置法及び国立光明寮設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  33. 永山忠則

    永山委員長 起立総員。よって、本案は可決すべきものと決しました。      ————◇—————
  34. 永山忠則

    永山委員長 運輸省設置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がございますので、これを許します。石山權作君。
  35. 石山權作

    ○石山委員 運輸大臣にお聞きするというよりも、かなりわれわれ東北の人たちのお願いのこもった質問というふうに解釈していただきたいと思うのでございます。  運輸大臣は国鉄を監督指導なさっておるわけですが、国鉄についてあるいは東北地方の産業開発について格差があるといわれるが、それはやはり交通量、運輸関係が一番おくれているために、せっかく開発される産業も開発されないでいるというのが現状です。それから、今度の新産業都市指定の条件としまして、港湾の設備云々という条項が非常に重要に取り扱われているわけですね。その意味でも、東北地方は新産業都市指定に漏れそうなんです。たとえば東北地方といわれると、新潟と仙台は、まあ新産業都市の指定の条項に当てはまっている都市とされている。地図で見てもおわかりでしょう。仙台と新潟、あとの以北、以東は全部どこも拠点がないとなれば、経済はますますおくれてしまうわけですね。そういう意味で、なるほど国鉄は営業をなさって、独立採算制で赤字を出してはいかぬでしょうけれども、だからといって、公共性を持っておる国鉄でございます。どうも新東海道線だけにお金をつぎ込むのでは困るわけです。なぜこういうことを私が申し上げるかというと、たとえば秋田地方の操車場あるいは複線をつくる、これは非常に混雑するある個所だけ複線化することになっておるわけなんですが、こういうのが中止あるいは半端になっておるわけです。なぜそうかと聞いてみたら、国鉄当局では、新東海道線と災害を理由にして、今回は着工を見合わせなければならぬ、工事を中途半端にしなければならぬという意見なんです。で、お聞きしたいのは、皆さんの方では、東北とか北海道はどうでもいいから、もうけるために新東海道線を集中的にやれというふうな御指導をなさっているのかどうか、その点をまず第一にお聞きしておきたい。
  36. 岡本悟

    岡本政府委員 新五カ年計画の最重点は、主要幹線の複線化でございます。この主要幹線の複線化は、東海道線、東北線、常磐線、北陸線、信越線、上越線、鹿児島本線、日豊本線の各方面にわたっておりますが、そのうちで一番詰まっておりますのが東海道本線でございます。東海道本線は、全国の貨物輸送数量の四〇%がこれを通過しておりますので、この最大のメイン・パイプの詰まっておるところを切開いたしませんと、ほかの幹線の輸送力を増強いたしましても効果が出ないのでございます。そこで、主要幹線の複線化の最重点を東海道本線の複々線化に置きまして、五カ年計画の前三カ年にはこれに重点を置き、あとの二カ年で、他の主要枠線の複線化につきまして全力をあげてやる、こういう建前になっております。確かに先生御指摘のように、ほかの幹線の複線化の工事が、実際はおくれてきておるというのは事実でございます。大へん遺憾に存じておりますが、しかし、三十九年度、四十年度ではこれをリカバーしまして、十分御期待に沿いたい、かように考えております。世間でいろいろ言われておりますが、一番もうかる東海道線に主力を置いているというのではなくて、やはりこのメイン・パイプが一番詰まっておる、こういうことに御了解いただきたいと思います。
  37. 石山權作

    ○石山委員 五カ年計画のあとの二カ年で他の主要幹線を複線になさるという御計画、そうですか。
  38. 岡本悟

    岡本政府委員 言葉が足りませんでしたが、もちろん、主要幹線の複線化が新五カ年計画の主要眼目でございまして、東海道幹線を含めますと、その六割はあげて主要幹線の複線化でございますので、昭和三十六年度から始まりました新五カ年計画で、もちろん三十七年度、三十八年度もやっていくわけでございますが、先ほど申し上げました理由によりまして、比較的重点を東海道幹線に置いて工事を進めておるということでございまして、ほかの幹線の工事を三十八年度までは全然やらないというのではないわけでございます。
  39. 石山權作

    ○石山委員 東北地方は、年々人口が減ってきているのです。それほど残された地域になりつつあるわけです。地域格差をなくするというのは、今の政府の、あらゆる経済、政治の中心なんです。せんだって秋田地方の統計を見てみたら、ここ二、三年の産業の伸びというのは、先進地の約三〇%程度しか伸びておらない。それは突き詰めていきますと、やっぱりさっき申したように、国鉄の設備と運輸が限定されているためです。ですから、東海道線はもちろん詰まっているということもわかりますけれども、こういうふうな構想はないのですか。今の私鉄を見ていますと、私鉄はお客さんばかり運ぶわけですが、貨物の採算がとれるような仕組みというものはできないのですか。
  40. 岡本悟

    岡本政府委員 私鉄は、健際の営業キロ程と申しますか、それは普通は実際のキロと同一であるべきであります。たとえばA点からB点へ参ります距離が二十キロあるといったような場合は、その二十キロを営業キロそのものといたしまして貨物運賃の計算の基礎にすべきでございますけれども、私鉄は御承知のように、採算の非常にとられにくい中小都市が多うございますので、特別の措置によりまして、貨物営業キロ程を二倍あるいは三倍、ものによっては五倍というふうにいたしまして、採算のとれるような方法を講じておりますけれども、それでもなおかつ対抗機関のトラックにだんだん蚕食されまして、年々貨物数量が落ちておるのが実情であります。
  41. 石山權作

    ○石山委員 大臣に先ほど私の質問は東北後進地域の願いを含めた質問になっているということを申し上げ、それは御理解いただいていると思いますが、新しい地域の開発等を含めて新線等も見ていただいて、継続される事業というものを——今年度は予算は終わっちゃっているわけですから、私そういうことは一々申しませんが、この次の予算には、新東海道線もやや進行するわけですから、十分おくれている地域——しかもこの地域は、私どもはいつも自慢して申し上げているわけなんですが、東北は埋もれている宝がたくさんある。ないところに私はお金を出せとは申しません。それから新東海道線をうらやんで申し上げているわけではない。いけないと言っているわけではない。こっちの方にも投資をするような仕組みを政府責任者はやっぱり考えていただかないと、そっちばかり向いて、やりやすいところだけやるというのなら、どなたでもできるということを私ならば言いたい。そうでない方へやるというのが、個人の才能であるし、政治の妙味でしょう。そこを一つお考えを願いまして、施設等を国鉄の場合は指導してもらいたい。そうでないと、国鉄は営業だけ考えるとすれば——やっぱり公共性を云々するというのは運輸省でなければならぬわけですから、国鉄はそういうふうにして指導していただきたいということ。それから港湾の問題。新産業都市指定には、港湾が採点する場合の一つの対象になっている。港湾施設のないところ、貧弱なところはだめだ、こういうふうにいっておるものですから、来年度からますます大型の船、たとえば秋田の場合はやっと一万トンの岸壁を二つくらい、今度は二万トンになるわけでしょう、二万トン、三万トン、四万トン級ぐらいの船が入らぬところはうまくないというふうな意見も、通産省あたりは出している。こういう点も考えていただきまして、予算の配分等をしていただかないと、東北地方はますます人口が不足になる。開発すれば産業の発展の可能性のあるところが、政府の施策が不十分なために人口が減っていくということは、喜ぶべき現象じゃない。十分その点を勘案していただきたいと思いますが、それについて大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  42. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 御承知のように、低開発地域の開発、同時に格差の是正ということは、池田内閣の主要政策の一つになっておりまして、今日考えてみますと、日本で残されておる未利用資源の多いのは、何と申しましても北海道と東北と考えます。先ほど石山先生の御指摘になったように、この新産業都市を指定するにいたしましても、その点を非常に考慮して私はやるべきものであると思っております。十分御趣旨のあるところを体しまして、運輸省に関する限りにおいては、最善の努力をいたしたいということを申し上げておきます。
  43. 石山權作

    ○石山委員 それから、国鉄に対しまして、もう一つ指導していただきたい点がございます。どうも営業を主体にすると、ともすれば保安設備が十分でないようでございます。私の県のことだけを申し上げて非常に恐縮でございますが、私調べてみましたら、戦前は一日約八十本だった。戦争中で百本、それが最近百二十本通しているわけなんです。これは大へんな努力です。だから、一秒一分争ってやっているだけ熱心にやって効果を上げておるようですが、百二十本というと大へんなことだと思う。それについて保安設備が少しく——と言うより、うんとという言葉を使いたいと思うのですが、欠けているのではないか。それは単線ですから、追突などあったり、いろいろな面があります。それから羽越線を通りますと、毎年豪雨のあるたびに土砂くずれがあって、例年これはとまるわけなんです。ほとんど土砂くずれのある個所というのはきまっているんです。なだれのある個所も大体きまっているわけなんです。突拍子になだれがくるわけではない。突拍子に土砂くずれがあるわけじゃないのですよ。長年見ておれば、そういう個所というのはわかっているわけなんです。それをほったらかしているということを見るわけなんです。そして、土砂くずれがあって初めて汽車をとめて、土砂を取る、半日かかる、こういうやり方は能率のいいやり方でないし、ほめたやり方でないと思う。お金がないとかいうことをすぐ言っちゃ、これは話にならぬ。こういうわかり切った個所、これもやはり保安の一つとして早急に直して、一日百二十本も通る個所に対して、不自由を与えるようなことのないようにしなければならぬと思いますが、今年度はそれは十分やれるわけですか。
  44. 滝山養

    ○滝山説明員 お答え申し上げます。  最初に、保安設備につきましては、列車回数がふえて参りましたので、それに対する保安設備の強化を進めております。例を羽越線について申し上げますと、従来羽越線につきましては、いわゆるタブレットで扱っておりましたものを、今トークンレスという電気的な信号機を装置いたしまして整備いたしておりますし、なお、参宮線以来、いわゆる車内警報といっておりますが、乗務員が信号を見間違えましても、警報が鳴るような設備でございますが、これを裏縦貫線については優先的に整備を進めておりまして、今着々とそれが働くようになってきております。  それからなお、その次の御指摘のなだれ、地すべりの点につきまして申し上げますと、なだれは、危険な場所につきましては、いろいろと施策がございますが、なだれの防備林であるとか、あるいはなだれのおおいというものをつくるわけでございますが、年によって雪の降り方も違うために、設備でカバーできない点につきましては、ことしのごときはヘリコプターをチャーターいたしまして、空中からなだれの状態を査察しながら、地上において警戒あるいは雪を排除するということをやりまして、列車の安全を期しているわけでございます。それから地すべりにつきましては、実は私ども非常に悩みでございますが、日本の至るところに地すべり個所というのがございます。現に北陸線が今とまっておりますが、北陸線、羽越線あるいは土讃線のごとく、その地帯全体が非常に地質的にすべりやすい地質でございまして、ある周期でもって地すべりを繰り返しているという地帯でございます。これにつきましては、その危険な場所について、専門家を動員いたしましていろいろな研究を進め、また羽越線のごときは、いろいろと計器を備えまして測定を進め、この対策についてはいろいろと措置をしております。しかし、この措置につきましても、いろいろと技術的な問題がございまして、たとえば水を抜くとか、あるいは地質がどういう工合なすべり方をするかというようなことを綿密に検査することが先でございまして、それによって対策が生まれるものでございますから、今羽越線につきましては、四国の土讃線あるいは北陸線も含めまして、むしろ対策の調査検討を進める段階でございまして、まだ具体的にどうするというところまではいっておらぬわけでございます。なお、最近の地すべりにつきましては、国鉄のみの問題じゃなくて、やはり山が切られるとか、あるいは田畑が開墾されるというようなこともございますので、その原因が究明されましたら、地元の御協力もお願いしたい、こう思っておる次第でございます。
  45. 石山權作

    ○石山委員 それで、地すべりについては、同じような個所が毎年やられるけれども、これはなかなか困難だというお説だと思います。注意しているけれども、そういうようなことになるということでしょう。  それでは、簡単なことでやれそうな、あまり金もかからないようなことがございますけれども、それは列車のホームでございます。これは秋田だけでなく、大体八両編成で、あとの二両くらいはホームにつけないという駅がたくさんあるのです。私は若いので飛びおりられるからいいけれども、運輸大臣なんかじゃ大へんだと思うので、駅へおりるときは、ホームのない駅におりなければならぬですよ。これはあまり金がかからない。地すべりはしませんよ。そんなところから片づけるという工夫も、この際私は考えていただきたいと思うのです。これは金がかからない。地すべりじゃありませんよ。これは今年度おおむね整備できますか。
  46. 滝山養

    ○滝山説明員 実は国鉄の設備が、全般として非常に立ちおくれをしておりますために、御迷惑をおかけするというところがたくさんあると思います。今御指摘のホームにつきましても、実はホームの長さが短いとか、あるいはホームの高さが昔の規定でできておりまして、規定通りになっておらぬようなものも相当全国にございますので、その中から、毎年与えられた予算の中で、地方の管理局長の権限といたしまして、重点的に、特にお困りのひどいところからやっておりますけれども、何分にもお客のふえ方がひどく、そのために車の増結というような措置に追われまして、設備の方がついていっておらないというような点がまだ残っております。この点につきましては、五カ年計画がだんだん進むにつれまして、今申しましたような地方の権限において処理できるのじゃないか、こう考えておりますけれども、今年度一挙にと言われましても、やはり個々の具体的な内容地方検討いたしませんと、今ここでどうということは申し上げられないのであります。
  47. 石山權作

    ○石山委員 きのうも、私の方の田口委員から指摘されておるのですが、非常に国鉄のお仕事が多い、多いにかかわらず、人員が足りないというふうなこと、これは保安設備とともに検討されていいことだと思います。あまり労働が過重であれば、やはり見るべきところも見ない、見誤りもあるようでございますから、新しい機械を入れていただくと同時に、人的配置も、この際考慮する必要性がやはり迫っているのじゃないか。それぞれ工機部等を縮小して、そしてそこから配置転換をして駅などへ回しているようですが、それでもお客さんに対するサービス等も、忙しいために少しおくれているのじゃないか。それから保安に対する態度も、結局そこつというふうな面で事故を起こしている点も見受けられる。これはそこつというのではない。忙しいということをこの際忘れてはいかぬと思うのです。ただ、その人の個人の責任だけではなくして、やはり国鉄という機構の中における欠点が生まれて事故が起こるという解釈が、この際正しいように思う。人員の点をもう少し考えられる必要があるのではないかというのが私どもの意見でございます。  大臣にもう一ぺんお願いしておきますが、いずれにしても不備な点が多々あります。これは当事者の努力によっては、あまり金がかからないでやれるという個所もあるのでございますけれども、あまり金のかかるところにばかり注意が向いているものですから、わずかの金で、お客さんの不満を——たとえばさっきの短いホームなどは、わずかのお金でやれるのでございます。政治のあたたかみを示すのは、そういうことこそ格好な仕事だろうと思うので、今年中に各小さいホームくらいは長くしてあげるという努力をこの際大臣にお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  48. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 よく了承しました。
  49. 永山忠則

    永山委員長 田口誠治君。
  50. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 きのうに引き続いて、若干の時間をお借りしてただしておきたいと思います。  きのう資料をお願いしておいたわけなんですが、全国的にとれなければ、東京都だけでもよろしいのですが、自家用車、営業車、それから大型トラックと仕分けて、何台運行されておるか、東京都内でけっこうです。なるべく近い資料を出していただきたいと思います。
  51. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 概数で申し上げます。東京都内で登録をいたしておる車、東京都内に使用の本拠を持っておる車、合計いたしまして現在八十三万両ほどでございます。その中で、営業用の車は約七万両でございます。それから昨日御質問がありましたが、東京都内外へ出入りする車、これが一日平均で、これは推定でございますが、約三十三万両くらいを推定いたしております。その中で、トラックの出入りしますのが約十万両程度の推定でございます。
  52. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 いわゆる規制をされている路面トラック、大型トラックですね、これは何台くらいあるのですか。
  53. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 ただいま道路交通法によって規制を受けております大型トラックというのは、七トン半以上の車でございますが、七トン半以上のトラックで都内にありますものは、概数で約三千両でございます。
  54. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 三千両という数は、どこの調査ですか。それはだいぶ違いますよ。
  55. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 これは私の方の調査でございまして、東京都内でただいま申し上げました登録をしておる車、七トン半以上のトラックです。
  56. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますと、都外から昼間出入りを禁止されておるトラックは、どの程度の台数があるか。
  57. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 出入りを禁止されておる車、つまり、今の約三千両の車が交通規制の対象になっておりまして、いわゆる指定された道路において、指定された時間に通行できないという車の数がそれだけでございます。
  58. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これは東京都内に籍を持っておる、登録されておるという車ではないですね、三千両というのは。東京都内に登録されておる分も、それから部外から入ってくる車も、合わせて三千両ということなのですか。
  59. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 三千両は、東京都内で登録されておる車でございまして、規制にひっかかります車は、近県あるいは遠隔の地から入ってくる車もありますので、規制を受ける車は、結局東京都内に登録されておる車、それから近県から入ってくる車、両方になりますので、この台数というものはなかなかつかみにくいのですが、先ほど申し上げました出入りするトラック約十万両の中にも、これらの車が含まれておる、こういうふうに考えます。
  60. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 あなたの方から答弁がないから、私の方から申し上げますけれども、外から入ってくる車は千五百両。だから、大臣、よく聞いておいて下さい。八十三万から車がありまして、そして営業車はその中で七万台ということです。それから今、事業場から事業場、あるいは事業場から直接家庭へ運行されておるところのいわゆる路線便、規制にかかっておる分は、これは外から入ってくるのはわずか千五百両です。八十三万も八十五万もあるところで、重要な公共性を帯びておるその車を、台数にすれば千五百台くらいなものを規制をして、これで都内の交通緩和成れりというような考え方は出ないわけなんです。これは昨年、交通緩和の閣僚懇談会においてもいろいろと審議検討されたわけでございますが、これは、直接交通整理の衝に当たっておるところの警察庁がイニシアをとっておるのです。警察庁は政治のことなんかあまり考えておらないわけなんです。政治の全体的なことを考えて、公共的な事業をどうしたらいいかというようなことをやられるのは、やはり運輸省の仕事であるから、大臣、こういう点を今の数字から判断をして、昨日来私が質問を申しましたような内容についても、今後十分に検討をいただきたい。御答弁をいただきたいと思います。
  61. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 交通閣僚懇談会でもしばしば論議されておることでございまして、御趣旨をよく体しまして今後とも努力いたします。
  62. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ちょっとここでもう一つお聞きしたいと思いますのは、鉄道の輸送で、小口貨物とか手荷物とか、いろいろございますが、この小口貨物の場合は、料金が非常に安くて、国鉄で作業をおやりになってはなかなか採算が合わないというので、地方の業者に下請をさせておるわけなんですね。そういう現状でございますが、私はどう考えてみましても、今駅へ着いて、赤帽さんに荷物を持ってもらっても、一個に対して二十円か三十円、二個持っていってもらっても百円出し、三個持ってもらっても百円出すというのが常識なんです。ところが、配達区域内というのは、大体従来は四キロぐらいでしたけれども、今合理化によって各駅で荷物を取り扱わないということから、配達区域というのは、いなかの方へ行きますと相当広くなっておりまして、六キロくらいの配達区域になっております。六キロくらい遠いところへ一個三十円や三十五円で荷物が持っていけるかといえば、これは常識で考えてもできない仕事なんです。私は今度お出しになった臨時鉄道法の制度調査会で、明治大正年間につくった鉄道営業法を検討されるような場合には、やはり小荷物あるいは小口の集配料金というようなものも検討してもらわなければ、なかなか大衆に満足していただくようなサービスを民間の運送業者がようやらないと思うのです。こういう点を十分に大臣の方では頭に置いていただきたいと思うのです。  昨日来私の申しました四月五日号の週刊朝日に載っておりまする「T君の不愉快な思い出」として、引っ越し荷物を送った場合に、北九州から東京へ、小口混載で送ったのか、貸し切りで送ったのか、その点がちょっとわかりませんが、料金の点からいきますると、小口混載あたりで送ったのだろうと思います。ところが、日にち的に八日かかっておりまするから、ちょっとかかり過ぎなんです。従って、国鉄に貨車の不足ということも緩和をしていただかなくてはならない問題であろうと思いまするが、一般大衆がとにかく運送屋に荷物を託した場合には、鉄道を通じてやるのですけれども、全部運送屋がやっておるような感じを抱いて、そうして、その日にちの延びた場合、料金が自分の考えておったよりも高いような場合には、全部運送屋の責任のように考えるわけでございまするけれども、緻密に計算をしてみますると、ただいま申しましたように、たとえば小荷物の配達にいたしましても、手荷物の配達にいたしましても、小口の配達にいたしましても、四キロから六キロというようなところを、三十円や四十円で配達のできるものではないわけなのです。従って、こういうものは当然国鉄の仕事として、付随業務としてなされておるのですけれども、やはりいろいろな採算の面も考えられたり、あるいは地方の運送業者が、その他の仕事や荷主さんと接触するというようなことも考慮されて、業務を請け負わされておるわけなんです。従って、国鉄の方は腹は痛まぬだろうと思いまするけれども、民間業者は腹が痛む。このことは、大衆に対するサービスに影響してくるのでありまするから、荷物をすみやかに送って、そうして大衆の満足のいくようなサービスをいたそうとすれば、こういう点の研究もしていただかなくてはならないじゃないか、かように私は考えておりますので、そういう点につきましても、大いに今後検討をしていただきたい。この点を特にお願いを申し上げておきたいと思います。  関連質問でございますし、あと受田さんの方から皇室経済の問題で質問もあるようでございますので、私はこれで質問を終わらせていただきます。
  63. 永山忠則

    永山委員長 これにて本案の質疑は終了いたしました。     —————————————
  64. 永山忠則

    永山委員長 これより討論に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  運輸省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  65. 永山忠則

    永山委員長 起立総員。よって、本案は可決すべきものと決しました。      ————◇—————
  66. 永山忠則

    永山委員長 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案議題として、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。
  67. 受田新吉

    受田委員 昨日御質問申し上げましたいろいろな問題点の解決を本日はかりたいと思います。  第一に、宮内庁長官に御足労願うということだったのですが、それでは、次長さんに一つ十分責任のある御答弁を願いたい点は、皇室と国民とを直結させる基本方針に基づいて日本の皇室の皆さんが国民の中へ直接お出かけになる際に、国民の側がこれをどう受け入れるかということについて、従来の古いしきたりを漸次改めておられることを私も確認をしております。しかし、なお今日自由に天皇、皇后その他の皇族の方の外出が許されていないのではないか。そこにどういう制限があるかを御答弁願いたいと思います。
  68. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 法的な特別な制限はございませんが、天皇・皇后両陛下、あるいは皇太子殿下がお出かけの場合には、やはり最近非常に交通難のことでございまするので、警視庁側の交通の規制の関係もございまして、その方と打ち合わせをしながら、場合によりますと、そういう交通事情によって、特に混雑するようなときを避けるとかいうふうなことはいたしております。しかし、義宮さんとか、それから高松さん、秩父さん、三笠さんあたりにつきましては、普通の方が出られるのとあまり違いませんから、交通の規制の関係なんかもそう複雑でございませんから、そうむずかしくは考えておりません。
  69. 受田新吉

    受田委員 皇太子、皇太子妃その他の皇族の方などが自由に外出され、自由に買いものをされて、国民とともにある姿を現実に示していただく方がいいのじゃないか。そのためには、ことさらな警戒なり、あまり大げさな方式はおとりにならない方がいいじゃないか。デパートで皇太子・皇太子妃のお二人などが大衆の中で買いものをされているような姿というものは、ほほえましいことであって、そういうように民間の中に溶け込む。同じ主権者であるわけですから、そういう形のものをむしろ宮内庁でお進めになっていく方がいいのじゃないでしょうか。
  70. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 現在の段階では、皇太子殿下が妃殿下と一緒にどこかデパートへ自由にお買いものにおいでになるというようなことは、そう簡単にいかない点がございます。これも、先ほど申し上げましたように、交通上の問題もございまするが、また、そういうところにおいでになる場合に、多数の方が集まられて混雑をする。混雑をする面は、しょっちゅうおいでになればだんだんに少なくなるという御意見もあろうかと思いますが、何か機会のあるときにはだんだんお出かけになっていくというふうには常に考えまするが、まだ自由にお出かけになるという段階にはきておらない。将来にはそういうこともあっていいと思います。われわれはそういうことに反対しておるということでもないのであります。
  71. 受田新吉

    受田委員 そういう機会をたびたびおつくりになれば、自然に国民自身の方も親しみがわいて、そう騒ぎ立てることはありません。もう騒ぎ立てるほどのことはないのですから、軽く、両殿下がおられるなという親近感を感ずるような形に持っていく。それに危害を加えるというようなことはまた別の問題として、そういう努力を宮内庁御自身で進めるべきではないか。  ここでちょっと問題にしたいのですが、皇室の一般民に対するいろいろな会合等で、たとえば皇居にお客さんをお呼びになるという際に、ごちそうの段階が、つまり、特別のグループとしからざるグループでごちそうの区別などということがございますか。皇居にお呼びになるお客さんには公平な処遇でやっておられるのかどうか。
  72. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 皇居では晩餐会あるいは午餐会をいたしますが、晩餐会がありますのは、大体外国の元首級の方が見えたときのことであります。その場合と、午餐会は、いわば昼と晩の関係がありますから、ごちそうの内容は違っております。それから午餐会の関係の場合ですと、予算の単価も大体同じです。ただ、相手方が外国人がおもな場合は洋食、それから日本人の場合は日本人の口に合うようなものを考えるというようなことはございます。なお、午餐会でも、天皇誕生日の際にお客さんがお集まりになります。その際は、タイをつけましたり、あるいはそこで召し上がる以外にお持ち願うというものがありますから、単価は違いますが、大体において標準の方の単価はあまり大きくは違いません。
  73. 受田新吉

    受田委員 皇室経済法の第二条に、その度ごとの国会の議決を必要としない財産の授受の規定があるわけですね。この中に、皇室が財産を譲り受けたりあるいは賜与する規定が掲げられて、幾号かここに列記してあるわけです。天皇が人に贈りものをなさるという場合に、天皇からお贈りをいただいたということを非常にありがたく思う気風も国民の中に流れているわけですが、新憲法第一条を承認している国民の空気としては、そういうことになるわけです。天皇のいろいろな贈りもの、こういうものについて、できるだけ末端にまで陛下の御意思が徹底するように配慮してあげる、金額は少なくても、そうした喜びを分かち、悲しみをともにするという——これはちょっと賜与という言葉が少しかた苦しい言葉でもあるわけなんです。賜わり与えるということですが、その言葉づかいは別として、そうした広く吉凶をともにするという方式をおとりになる御方針はないか、御答弁願います。
  74. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この皇室経済法第二条に言われておりますのは、国会の議決を経なくてもできることが書いてあります。皇室経済法で現在いわゆる賜与といいますか、お贈りものをされる場合、年額三百七十万の範囲であれば国会の議決は要らない、これをこした場合は国会の議決が要るということでございます。国内のいろいろな災害なんかがありまして、地震ですとか水害、そういうような場合のお見舞なんかはこの範囲でなさる、学士院とか芸術院に対する予算もこの範囲内で使っておるわけでございます。一応の制限がございますので、そうなかなか広くにまでなさるということは現在できない。これは憲法の第八条からきておって、第八条がきめられた際に、いろいろ皇室で賜与なんかされて、それに基づいて、皇室が何かまた憲法をきめたときと違ったような国民との結びつき方をされるのもどうかというようなことで、また当時占領下でしたから、占領下の事情もあって、そういう条文が入ったのだと思います。そういう条文からくる制限がございますので、やはりそこには限度があると思います。
  75. 受田新吉

    受田委員 その限度を認定されるのは、宮内庁でなさるわけですか。
  76. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 結局陛下をお助けしているわれわれの方で御相談を受けてきめる、ほんとうにおきめになるのは陛下ですが、われわれの方がその事務のお手伝いをさしていただくということでございます。
  77. 受田新吉

    受田委員 災害の場合、その他民間の功労者、あるいは功労者が官民を問わず死亡した場合、こういうような場合の贈与というようなものを含めてちょっとお答え願いたいのですが、大体金額に制限はありましても、できるだけ均霑の方式をとるという方針と、重点的に選んでいくという方式と、二つあるわけです。これを、私としてはできるだけ均霑させる方式をおとりになる必要はないかと思う。今御採用になっているこれは別の方でございますが、なくなった人にお贈りする金額の最低はどのくらいであり、最高はどのくらいであるか、別にこれは金額をお示しいただいても失礼にはならぬと思うのでございますが、それを参考に伺ってから次の問題に入りたいと思います。
  78. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 人がなくなられた場合のいわゆる祭祀料のことだと思います。現在では一応最低は二千円程度ということでございます。去年までは千円くらいだったわけでございますが、大体一般の標準も高まっているので、少なくてはどうかということで倍に考えております。最高になりますと、これはその方にもよりますし、ここでは一がいにちょっと言いかねると思いますけれども、やはり最高ですと大体万をこすわけであります。これは相手にもよりますけれども、祭祀料の問題につきましては、将来なおいろいろ検討する問題だとは思っております。
  79. 受田新吉

    受田委員 議員の中にも花輪議員というのもおりますし、いろいろ派手な贈与をされる方もおられるやに漏れ承っておるのでございますけれども、今、陛下の祭祀料を伺って、最低二千円という。天皇陛下の祭祀料と書いてあるから、中に相当あるだろうと思ったら、二千円だった。こういうことは金額にかかわらない、陛下の祭祀料ということになれば、金の問題じゃないのですから、そのことによって受ける受け側の喜びというもの、これはやはり非常に大事なことだと思うのです。その意味で、できるだけ範囲を広げて、ただ位がどうとかいうような旧式の位でなくて、民間の非常にすぐれた人たちにもこれが広く及ぶような方針を宮内庁としては御採用になることを要望申し上げておきます。そのために必要な経費を増額してほしいということであれば、別にそのことを遠慮する必要はないと思います。  次に、きのうお尋ねした問題の個所に触れるのですけれども、実は英国のエリザベス女王がきのうハワイへ寄っておられる。これは夫妻で寄っておられるわけですが、外国の君主が自由に海外の旅行をしている姿を見て、これはオーストラリア、ニュージーランドを訪問した帰りに寄ったということでございますが、ちょっとほほえましい感じがしたわけです。一体諸外国の例で、皇族、天皇、国王の地位にある方、これは王制をしいているところのことですが、王室の地位にある者が外国旅行のできないような事情にある国がどこかにございますかしら。これは法制局でけっこうですから、御答弁をいただきたい。
  80. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 お答え申し上げます。  外国の王室の方が海外旅行のできないようなものとして何かあげられるものがあるかという御質問でございます。実は、各王族がおられますところの国の法制というものを十分に熟知しているわけでございませんので、的確なことを申し上げることはできませんが、外国におきましては、海外に出ておられる例もかなりあるように承知しております。従って、それは憲法上どうというような問題よりも、やはりその王室の方が外国に出られます際に、お留守になった際の国政の処理がはたしてうまくいくように法制上なっておるかどうかという点に尽きると思いますが、その点の研究は十分に遂げておりません。
  81. 受田新吉

    受田委員 英女王の外遊については、おそらく法律的に自由な立場に立たれるような委任事項がどこかに出ていると思うのです。やはり諸外国の王制も、この際、法制局としても宮内庁としても御検討しておいていただかないと、日本の天皇だけが非常に窮屈な思いをされるようなことになる危険がありますから、これは早急に御調査を願いたいのです。  そこで、法律論にちょっと入っていきますが、主権者の一人である天皇、主権者の他の一人である国民、この間に人権的な差別があってはならないと思うのです。基本観念として、このことについての法制解釈をお聞きします。
  82. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 お答え申し上げます。一般的に申しまして、皇室に所属される方々が、日本国憲法の基本的人権の享受をされることになるのかならないのかと申しますれば、むろん憲法上の基本的人権の保障は受けておられるというふうに考えるのが正しいと思います。ただし、御承知の通りに、天皇は日本国の象徴であられる地位にありますので、その点でやはり実定法上も、そのゆえにいろいろ一般の国民と違ったある種の地位におられます。やはり憲法が天皇を国の象徴としていることからいって、その法理的な範囲における制限を受けられるのは、これは憲法上からも認められることがあると思いますが、一般的にいえば、基本的人権の享有を受けられるということは当然であろうと思います。
  83. 受田新吉

    受田委員 従って、その基本的人権の享有を制限するような規定は、できるだけ削除しなければいかぬわけですね。そういうことになりますね。そうしますと、憲法四条の後段の規定というものも、これは、天皇に、その国事行為を執行されるにあたって、自由な立場から委任権というものも認めてあるのですから、それをすなおに受けて、この憲法四条の後段の規定の法律をここに政府みずからの手でお出しになって、陛下にその基本的人権の享有をしっかりと確保してあげる必要があるのじゃないか。もう国外には一切旅行できないという、はなはだ不幸なお立場に立たれておるのは天皇お一人ですからね。刑務所に入っている人は別です。そのほかの者は自由に旅行できるわけです。そうしたことについて、私しばしば高辻次長には要望してあるわけですけれども、一向お答えがない。この機会にはっきり御答弁願います。
  84. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 今御指摘がありました通りに、この四条の二項の「法律の定めるところにより、」というこの法律が、なぜいまだに整備されておらないのか、これを早く準備して制定すべきであるという御意見は、実は御指摘の通りに、私何べんか受田委員から拝承いたしております。それで、実はこの四条の二項の「法律の定めるところにより、」という、この法律を出さないでいいという理由は、むろんないわけでございます。それで、前にも申し上げたことでございますが、この法律を定めますにつきましては、やはりいろいろ考えるべきことがありますので、前にもお話ししたと思いますが、公式制度調査会というものを設けまして、他の一般の公式制度に関することとあわせてそこで検討いたしまして、成案を得て、この法律制定についてお願いしようということであったわけでございます。その後、私が申し上げていいかどうか存じませんが、公式制度調査会というものはいまだに設けられておりませんけれども、公式制度連絡調査会議というような政府部内の組織がございまして、そこで総理府を中心といたしまして、関係の方々に集まっていただいて鋭意検討中でございます。
  85. 受田新吉

    受田委員 それが高辻さん、いけないと思うのです。公式制度連絡調査会議にそれを持ち込む筋合いじゃないのですよ。こんなところに持ち込むと、いたずらに月日がたって仕方がないのです。それとは別個に扱う。藤枝前総務長官が私に御答弁していただいたのは、ずいぶん前の話であります。そのようなものを設けたいというけれども、そのようなところでやるとすれば、国旗の問題も出てくるし、国名の問題も出てきて、ややっこしくなるのです。一括して解決できるような問題が総合的にまとめられているのじゃないですからね。解決できるやつもあるし、解決できぬやつもあるのです。そういう厄介なことではなくして、少なくとも憲法第四条の後段の規定の法律は、単独にお出しになるべきです。公式制度連絡調査会議などの問題とは別に、すっきりした形でお出しになることを要望したいのです。これはそんなところでひっくるめて待ちよると、ひっかかった分のために、すでに解決しなければならないような問題までも引っぱられますから、これはずばりと先にやるべきです。この国会で、各党を通じて、この憲法四条後段の規定を法制化するのについて異議がある立場の人は、私はおそらくないと判断する。天皇の国事事項を委任するという受権者になる人が、皇太子になるか、内閣総理大臣になるか、あるいは宮内庁長官になるか、宮内庁次長になるか、それはわからないけれども、そういう問題があって法律が出せないというなら、これは大へんけしからぬことなんです。その委任を受ける人をだれにするかという問題で行き詰まっておるのですか。
  86. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 今御指摘の点で停滞をしているということではございません。どうも私が御答弁の衝に立つようなことになっておるわけでございますが、法制局であるものでございますから、大体審査の方が主体でございますために、そのもとをつくるということに関連しまして、むろん私ども大いに関係をいたしておりますけれども、そういうような関係から言いますと、やはり関係の筋々において立案をして、法制局が審査するという格好になります。もとより私ども政府の一員でございますので、御趣旨の点は、私どもは実は前から伺っておりますこともございますので、今後もただ遷延するということではなしに、まじめにこの問題を考えていき、私自身としてはさらに推進の面もできればやれるようにしたいというふうに考えております。
  87. 受田新吉

    受田委員 あとからまた総務長官に御答弁を伺いますが、天皇もずいぶん長いお疲れの人生を送っておられるわけです。このあたりで皇后さんと御一緒に、国際親善を兼ねて、外国に日本の平和的な息吹きを与えていただくという、そういう自由な旅行のできるお立場に早く立たしてあげたいと思います。いつまでも皇居の中で窮屈な思いだけされておられるべきじゃないですよ。それが、この憲法の四条後段の規定があるばかりに、いつどういう事態が起こるかもしれぬというので、一歩も国外へ旅行できないというこの苦境は、人間として考えたときに、お互い御同情申し上げなければならぬと思うのです。これは、宮内庁次長さん、おそばにおられてどう思われますか。
  88. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この憲法の国事行為委任の問題につきましては、そういうことがきまっておりましても、やはりある程度長期の海外旅行も可能でございましょう。現在のところでも、今は飛行機も進歩しておりますし、通信機関も発達しておりますから、絶対に海外にお出かけができないことはありません。しかし、いろいろそこに困難な面があります。この問題は、やはり早急に解決すべきものだと思いまして、公式制度連絡調査会議には、一応宮内庁はこういうふうな考えだという試みの案を出したりいたしたことはあります。
  89. 受田新吉

    受田委員 今の制度でも、外国へ行ってはならぬという規定はない、それはわかっておるのです。しかし、この国事事項を見たときに、外国の大公使の接見、その他衆議院の解散の場合、そういうようなことを考えたときに、陛下が外国に旅行されておれば、解散はできないわけですね。陛下の御承認を得なければ解散できないのです。そうすると、議院は陛下に御旅行をなるべく待っていただくということになってしまうのです。飛行機があるからといったって、アメリカへ行ってすぐ戻ってくる、こんなばかげた旅行はないのですから、これはもうはっきりと割り切って、天皇の国事事項を安心してその旅行中にまかせられるように、総理大臣も外国に行くときにちゃんと指名して代理を置いておるのですから、陛下の場合にもそういうことがされなければならぬ。これは、そういうことを宮内庁次長言われては困る。そういうことは事実問題としてできないでしょう。次長さん、そういうことですね。事実問題としては、現在の段階では、こういう国事事項についていつどういうことが起こるかもわからぬ段階で、陛下が飛行機で外遊をされるということはできないのですね。そこをはっきりしていただきたい。
  90. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 これは絶対できないというふうに言い切るのもやはり間違いだと思うので、今非常に飛行機が発達しているものですから、外国といっても、遠いところも近いところもございまするし、国内で北海道へ行かれるのとあまり変わらないような考えで、可能な部分もないとは言えない。しかし、今受田先生がお考えになっておられるような、そういう遠いところへおいでになるというようなことは、非常に困難だと思います。従って、御意見と違うわけではありませんけれども、非常に近い外国のような場合も全然考えないわけにもいかぬものですから、そういうふうに御答弁申し上げたわけであります。
  91. 受田新吉

    受田委員 大体毎週の陛下の行事として私たちが伺っているところを見ても、天皇陛下の国事事項がずっと続いているのですよ。そういう中で一日隣へ飛行機で旅行するということは、事実問題として考えられないことなんです。ちゃんと法律をつくって、安心して御旅行できる立場に立たせなければいかぬと思うんです。これは、ほかの案件とは別にして、これだけは分離して出すべきだと思うんですよ。一括してやるべきじゃないのです。はっきりすぐお出しになるべきだと思うが、どうですか。
  92. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまお話しの通りでございまして、現在、海外に天皇陛下が御旅行になりますとか、あるいは摂政を置くに至らない程度の長期にわたる御病気がありますとかいうような場合には、当然この国事の法律がなければ不可能なのでありまして、できるだけすみやかになすべきであったと思いますが、今日までいろいろな事情でおくれておるようでございます。先ほどいろいろ御指摘がございましたように、他にもいろいろな制度の改廃も考えておりますが、それとは別個な形において、この法律は単独で出すべきだという御意見もごもっともだと思います。昨日も総理にもお話の次第を申し上げまして、こうした問題は早く法文化いたしまして、関係の方面とも折衝いたしまして、国会に御審議願うようにいたしたい、かように考えております。
  93. 受田新吉

    受田委員 そうすると、早急にこの問題だけ分離してやるということですか。
  94. 徳安實藏

    徳安政府委員 そうでございます。
  95. 受田新吉

    受田委員 非常に進歩しました。前進です。一括して公式制度連絡調査会議での処理を待つまでもなく、分離して早急に提出したい、これは大前進です。私は、憲法の規定であり、また一方では人権に関係する規定として多年主張してきたことが、早急に出すということで一応解決することを喜ぶものです。  もう一つ、ここで今の基本的人権に関連する問題をお尋ねしますが、宮内庁瓜生次長さんの方に、きのう私がちょっと聞きたいと申し上げた、非公式論議でいただく資料があるそうですから、私は原則論の方に触れましょう。皇族といえども、憲法第三章の国民の権利は確保・享受されるべきであるということでありますが、いろいろ報道機関によって皇族のプライバシーの問題が取り上げられてくると、これが事実を曲げた宣伝報道であっても、なかなか御本人としては訴えていくところがない。皇太子妃美智子さんのことを記事に載せられても、それを、こういうことはけしからぬじゃないか、やめて下さいと美観子妃殿下が御自身で訴えることができないという現在の立場になっている以上、そういう際に、これにかわる法定の代理人を設けてやることが適当ではないか。その際には、宮内庁長官とか次長とかいうものがこれにかわってやるべきではないか。現実に美智子妃殿下が、こういう記事は間違っています、名誉棄損ですというて、告訴告発をしたという場合に、対社会的に見られるところの影響力というものは、これは皇太子妃殿下が告訴・告発された、こういうことになって、また新聞の種になる。国民に対して象徴一家の親族が告訴されたということになって、これはややこしいことですからね。法律的にはやはり御自身しか告訴・告発ができないものか、あるいはかわって告訴・告発ができるものか、この法律的解釈について、法制局の次長さん、美智子妃殿下が私生活について誤った記事を宣伝された場合の処置はどうです。
  96. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 名誉棄損を中心にしてのことでございましたので、それについて申し上げますが、刑法の規定には、第三十四章、名誉に対する罪というものがございまして、その中に、御承知の通り、名誉棄損がございますが、この刑法の規定によりますと、名誉棄損の罪は「告訴ヲ待テ之ヲ論ス」ということでありまして、いわゆる親告罪になっております。ただ、一定の場合、天皇陛下あるいはその他の方々におきましては内閣総理大臣、それから外国の君主または大統領であるときにはその国の代表者が、かわってこれを行なうということになっておりますが、美智子様の場合にはそういう範囲には入っておりませんので、一般の原則によりまして、親告を待って論ずるということになっておりますのが、法律上の制度でございます。
  97. 受田新吉

    受田委員 天皇さんとその他とおっしゃったが、その他というのは、どなたが入るのですか。皇后さんですか。
  98. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 天皇、皇后、太皇太后、皇太后または皇嗣、その方々でございます。外国につきましては、必要はないかもしれませんが、ついでに申し上げますと、外国の君主または大統領でございます。
  99. 受田新吉

    受田委員 親告罪の形式をとらなければならぬとなれば、美智子さん御自身が訴えられる。妃殿下みずからが訴えられるということになることは、事実問題として可能かどうか、御答弁願います。
  100. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 こういう問題は、親告罪でございまするから、御本人のお気持できまることでございまするが、われわれがまあ推察いたしますると、皇族という御身分の方が一般の国民を相手どって原告・被告で法廷で争われるというようなことは、これは事実問題としては考えさせられる点が非常に多いですから、まああまりないと思います。
  101. 受田新吉

    受田委員 だから、それは事実問題としてはできない。そういうときになると、事実問題として告訴のできない立場の人というのは、そうたくさんはないですね。皇族の立場にある人などというのは、そういう苦しい立場に立っておる人です。そういう立場の人々を擁護しようということになると、そこでまた不敬罪の復活の危険があるということにもなるわけです。これは、政府部内で不敬罪の動きがどういうふうに今まで変遷しておるか、どの機関かで不敬罪制定の息吹きを具体化した傾向はないか、これは総務長官から御答弁願いたい。
  102. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまお話しのように、皇太子の妃殿下、つまり、将来皇后陛下になられるような方でございますが、その方の名誉棄損につきましても、御本人が告訴をなさいませんと、現在では法的には何も処置ができぬというのが実態でございますが、しかしまた、それが告訴できるかといえば、次長がお話しになりましたように、おそらくこれは不可能でございましょう。そういうような点から、各方面でいろいろと請願もございます。また陳情もございます。すみやかに不敬罪を設置せよというような陳情なり請願等もしばしばあることは、御承知の通りでございまして、国会の中においてもそういう御意見も一部にはございますし、社会の各方面でもそういう意見もあるようでございます。しかし、政府といたしましては、こういう事態の起こらざることが望ましいことでございますので、なるべくそういうことのできないような、出ないような国家、社会にしたいという心でおるわけでありますけれども、しばしばこういう事件が起きまして、今回の美智子妃殿下に対する問題等も、こういうのがちょいちょい起きますと、どうしても一般に刺激を与えまして、せっかく静まっておる世の中がまた波風が立って、こういう問題を真剣に考えて、政府にもあるいは国会等にも陳情・請願等がふえてくると思います。まことにこうしたことは遺憾千万だと思いますが、しかし、政府では今回のような事件がありましたからといって、すぐに立法処置をやろうというような考え方は持っておりません。しかしながら、新憲法におけるいろいろな問題、外国の例等も参酌いたしまして、法制局その他で検討をしていただいておることは事実でございますけれども、立法化するというような段階にはまだ至ってはおりません。
  103. 受田新吉

    受田委員 法制局その他で不敬罪の検討をしていただいておる事項があるのですか、御答弁願いたいです。
  104. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいま申し上げましたことは、不敬罪という罪を制定するために検討しているわけではございませんので、不敬罪そのものの新憲法下における問題でありますとか、あるいは天皇の法律上の地位等にかんがみまして、いろいろ検討を加えておるということでございまして、別に不敬罪の罪をきめるための研究というわけではございません。
  105. 受田新吉

    受田委員 そうすると、不敬罪そのものの検討をしておられるわけですね。罪をきめるのではなくして、不敬罪そのものを今の御答弁によると検討しておられる。——ちょっと、どう書いておられるのか——それはやはりそのことですよ。法制局次長さん、長官の、言われたことが、やはりそのことが含まれていますよ。
  106. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 ただいま総務長官がおっしゃいましたように、不敬罪という罪を刑法上設ける、あるいは特別立法として設けるということそのことにつきまして、検討はいたしておりません。ただ、天皇の憲法上における問題につきましては、いろいろな関連で、いろいろな場面で検討することはございます。具体的な問題に関連してございますけれども、それを一般的に今総務長官が仰せになったことだと思います。
  107. 受田新吉

    受田委員 それには、やはり不敬罪のごときということが一応書いてありますね。だからあるのですよ。もう追及しませんがね。それはもうあるんです。
  108. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 これは、実は私法制局次長としております者がはっきりと申し上げますけれども、事実として、その不敬罪そのものについての立法について検討はいたしておりません。ただ、総務長官が先ほどおっしゃいましたように、一般的な問題として、天皇の法律上、憲法上の地位とか、それを中心としたいろいろな問題についての検討はございますが、それ自体についての検討は、これは明白に申し上げますが、ございません。
  109. 受田新吉

    受田委員 そこへ言葉が出ているのですから、何かあるのです。私はもう追及はやめますが、私は不敬罪が復活することは反対です。民主憲法のもとに不敬罪をここで打ち立てて、天皇御一家に対する特権的な色彩を濃厚にするということになれば、いい意味の天皇制でなくて、古い意味の天皇制に復元する危険性があると思う。その意味では、新鮮な形の天皇制を擁護する立場から、不敬罪という形のものにはわれわれは絶対に反対しているわけです。ところが、現実の問題として、こういう天皇御一家に対するいろいろな報道が興味本位に書かれてくるということになると、報道の自由と、一方では人権の擁護、そして一方では、天皇制の新鮮な感覚による確立というものとの間に、非常に大きな矛盾が起こってくるわけですね。そこで、これは、一番おそばで皇室御一家をいろいろな角度から守ってあげる立場の宮内庁が、しっかり考えていただかなければならぬと思う。事実問題としては、美智子妃殿下が告訴できない。そうすると、宮内庁がこれにかわってやるというのが、この間の小説「美智子さま」に対する申し出となったのであろうと私は思います。これは瓜生次長から、宮内庁が判断されて申し出をされたことがあることを、この前も予算委員会で申されたのでございますが、宮内庁の正式の意思として、このようなことは事実を曲げたことであるという意味で注意を喚起した、これは、公式に発表していいものがあれば発表していただきたい。発表していただけないものならば遠慮します。注意を申し上げた対象にはどのようなものがあったか、いかがでしょう。
  110. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 まあ一応例として二、三申しますと、たとえば美智子妃殿下の御服装のようなことを興味本位に書かれている雑誌がありまして、そういうのに、数量も実際より非常に多く載っております。それから、それについて価格なんかも、実際のものよりも非常に高価なもののようになっている。興味本位に書いているものによりますと、妃殿下がお出かけのときのお写真を掲げて、その御服装について、これは幾らくらいとか、値段までつけたようなことを雑誌に載せている。そういうようなことは事実とも反しておるし、非常に適当でない。こういうのは注意いたしまして、だいぶ反省したと思いますけれども、そういうようなことがございます。それから美智子妃殿下に望むというようなことで、ある海外旅行にお出かけの前なんかに、その国から渡来している留学生のような人の誌上インタビューということで、いろいろ書いてある。ところが、その留学生が、朝日新聞か何かでちょっと取り上げておりましたが、その御本人は何も知らないのに、創作して出ているので、御本人が非常にびっくりして問題になった。そういうように、これは非常に興味本位に勝手につくり上げて書いている。こういうようなものも注意をいたしました例として申し上げたのであります。なお、特にこの問題については、雑誌協会の方でも倫理綱領というものがございまして、こういう経験から見て、今後十分お互いに自粛しようというようなことを最近特に強く言っておられますから、だんだん改まっていくものと私は思います。
  111. 受田新吉

    受田委員 今具体的な例示があったわけでございますが、やはり皇室御一家のことは、国民が親近感を感じているので、紹介してもらうのは非常にけっこうなことです。これはどんどんやってもらっていい。うそを書いてくれては困るのです。このうそを書くのが問題なので、そこに興味本位が手伝い、そして妃殿下はずいぶんぜいたくな生活をしているんだというような印象を与えてもらっても困るわけなんです。そういうところをすなおな形で報道されることは、私はどんどんやってもらいたいと思う。そういうことについての宮内庁としての適切な注意喚起、協力を求める方式はどうやっているか。これは報道の自由ということがありますが、曲げて報道するということは、別の方で犯罪を構成することになるわけです。  そこで、人権擁護局長がおられますが、人権擁護局として、美智子さんのような場合に、流産をされたことも、これがある程度原因の一部になっておったという印象国民に与えておるわけです。人権擁護局立場から、皇室の皆さんに対する人権擁護というのはどういうふうに考えておられるか。
  112. 稻川龍雄

    ○稻川政府委員 先ほど法制局から御答弁がありましたように、天皇・皇族といえども憲法第三章の基本的人権はある、これはもちろんその通りでございます。ただ、いろいろな意味において制約がある場合がある。その場合に、例にあげられましたように、直接御自身がそういう親告罪について告訴・告発をされたというような場合ですと、これは刑事事件の問題でありましょうが、主として世界人権宣言のプライバシーの問題、私生活を暴露される、あるいはのぞき見されるというような問題の場合につきまして、親告罪で御本人の自己の御意思でない場合におきましては、やはり御遠慮すべきではないか。といいますのは、そのことを調査すること自体において、私生活を再び調査の対象にしなければならないというような場合があると思うのであります。従って、これを職権で取り上げられる範囲のものであるかどうかということは、具体的の事案によりましてきめるより仕方がないのではないか、かように考えております。ことに言論・報道の自由という基本権と、憲法十三条の幸福を追求する権利、あるいは世界人権宣言の私事を侵されないというプライバシーの権利との調節の問題もありますので、そういう場合、皇室の方々については、具体的事案の場合について慎重に考慮して取り扱いをきめる、一般的にはきめられない、かように思っております。
  113. 受田新吉

    受田委員 諸外国の皇族に対するそうした人権擁護の規定例というものはどうなっておるか。美智子妃殿下の場合は、人権擁護局みずからがこの際乗り出していい対象になるのではないですか、お答え願います。
  114. 稻川龍雄

    ○稻川政府委員 諸外国の皇室の例がどうなっているかというお尋ねでございますが、私不詳にして諸外国の例は存じておりません。  それから今提起されました、美智子妃殿下の場合は対象になるんではないかというお話でありまするが、私どもとしましては、個人としては読んではおりますが、しかし、人権機関としてあれを調査の対象にしておりませんので、従って、それが調査に乗り出して適当なものであるかどうかということについては、御返事ができないと思っております。
  115. 受田新吉

    受田委員 御返事ができないと言う。しかし、人権擁護局の任務の一つとしては、やはり皇族の方々であっても、人権を侵されたということに対しては、擁護の責任と権限があるのじゃないですか。
  116. 稻川龍雄

    ○稻川政府委員 御説の通りであります。
  117. 受田新吉

    受田委員 そうすると、美智子妃殿下の場合は、宮内庁もなかなか遠慮されておる。それから、こういうときには、やはり報道の自由を侵してはならぬという立場のこともわれわれは考えねばならぬから、報道の自由はどんどんやってもらいたいが、事実を曲げて興味本位にこれが逸脱するようなことがあってはならぬということについては、人権擁護局も乗り出していい問題じゃないですか。お互いに公平な判断でやるべきだと思うのです。
  118. 稻川龍雄

    ○稻川政府委員 名誉毀損罪が親告罪であるように、ことにそれ以上に、プライバシーの問題は内輪の私事の問題であると思うのであります。従って、そういう趣旨をよく検討いたしました場合に、いたずらに職権で乗り出すことがいいかどうかということは、人の基本的人権を擁護しなければならぬ立場の擁護局としては、おのずから慎重であるべきではないかと思うのであります。従って、たとえば宮内庁からお話があってどうだろうかというような親告でもございますれば、一応われわれは当然調査の対象にしたと思っております。
  119. 受田新吉

    受田委員 瓜生次長さん、やはり人権擁護局にもこういうことを御相談されて、諸外国の実例、個人的な人権尊重の処理の具体例は擁護局長がおつかみになっておられることでございますから、人権の擁護と報道の自由というものの境の問題について、あまりむずかしく考えられないで、両方を生かしていく道をおとりになるのには、ある程度他の役所を御利用されてはいかがですか。それほどの問題じゃございませんか。
  120. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 今度の問題につきましても、私の方の担当者は人権擁護局の方に連絡をして、いろいろ今までこれに似たような例はこういうことがあるかということは、お聞きしたり、一応相談をいたしております。しかし、このことにぴったり合うような例もあまりなかったようであります。それで、雑誌社に対して過般とったような要望をしたわけであります。
  121. 受田新吉

    受田委員 瓜生次長さん、小説「美智子さま」に例をとるならば、これは二年間連載されているわけです。その過程で、最初のころから事実を曲げたということであれば、すなおに申し出をされて、今回とられたような措置をもっと早くおとりになって、雑誌協会の協力もいただくというような方法もなかったものですか。少しおそきに失したと思うのです。
  122. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この問題は、二年前に書き出される模様がありました節に、特にこういうのはやめてほしいということを、相談を受けた東宮職の侍従は強く話をしたわけです。相当強く言ったのですが、結局書き出されたので、中間においても注意しておるようです。しかし、ずっと読みますと、先方としては好意を持って書いているんだと言っておられるし、これは小説なものですから、報道と違うという点で、なかなかむずかしい点もある。しかし、一面とにかく感心しないということは、過去においてすでに話をしておったわけであります。しかし、それがなかなか思うようにいかない。そこで、特に最近になって、さらに強く要望して、その要望に完全に沿っていたかどうか疑問の点はありますけれども、先方でも反省をされたという実情にあります。
  123. 受田新吉

    受田委員 宮内庁は大へん大事な責任一つあるわけですから、国民の中で皇室御一家をわれわれの象徴として盛り上げようという空気を生かすように、特権的な形をなるべく押えて、平和のうちに溶け込めるような努力をいろいろな角度からされなければならぬし、今のような報道関係、雑誌の記事等についても、ある程度私は雑誌協会等に協力を求める方法があると思うのです。それを悩んで流産の原因になられたようなことが、直接ではなかったにしても、間接には影響があるという判断をされておるわけですが、だれにも訴えることのできない皇太子妃の立場などを考えた場合に、少なくとも周囲におられる責任者の宮内庁の方々が十分心していき、また報道関係もそこへ常に配慮して、だれにも訴えることのできない立場の人を窮地に追い込むことのないように、世論を巻き起こさなければいけないと思うのです。これは大事なことだと思うのです。これを特に提唱しておきます。  おしまいに一つお尋ねして、石山さんが関連質問があるそうですから譲りますが、元号の問題、国葬の問題等で今公式制度連絡調査会議ができているわけです。皇室典範の第二十五条に大喪の礼があるわけです。この大喪の礼というのは、国葬礼で言う場合には、ちゃんと天皇の御葬儀のことと書いてあるわけですね。これは国葬礼と関連してお答え願いたいのですが、大喪の礼というのは、国難令の大喪の礼と同じ形のものになっておるのかどうかということです。
  124. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 皇室典範の大喪の礼、これはどういうふうなやり方でなされるかということはきまっていないわけです。国葬令の大喪の礼と同じかといいますと、国葬令は現在は有効ではないと思うのであります。従って、その国葬令にありますやり方も参照して、もしそういう必要ができた場合には、十分新しく考えて、適当な方法で行なわれるということかと思います。
  125. 受田新吉

    受田委員 ここで陛下がおなくなりになった場合の議論をするのは、大へんおそれ多いことですが、これは法規的解釈として大事な問題ですから、論議しておかなければならぬ。それで、陛下がなくなられた場合の御葬儀の方式を従来の国葬令とどういうふうにつないでいくかという問題ですが、法制局次長さん、大正十五年の勅令三百二十四号、これは廃止された何かあるのですか。今次長は死んでおるという意味のお話があったと思いますが……。
  126. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 ただいま御指摘の勅令三百二十四号、いわゆる国葬令でございますが、御承知の通りに、国葬令自身を廃止した法令というものはございません。ございませんが、実はもうすでに御承知だと思いますが、昭和二十二年法律第七十二号という法律がございまして、「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定で、法律を以って規定すべき事項を規定するものは、昭和二十二年十二月三十一日まで、法律と同一の効力を有するものとする。」という立法がございます。その立法によりまして、法律事項を規定しておるものは現在効力はない。二十二年の十二月末日まではありましたけれども、その後はないということに相なっております。そこで、この国葬令が事実的に廃止されておりませんので、どうかという問題はございますが、この国葬令をながめて見ますと、「勅裁ヲ經テ之ヲ定ム」とか「特旨ニ依り国葬ヲ賜フコトアルヘシ」とかいうような規定があります関係からいたしまして、ただいま瓜生次長が御指摘になりましたように、現在は効力がないというのが相当であろうと思います。
  127. 受田新吉

    受田委員 これは相当であろうと思うと言うが、しかし、これを廃止するという規定はどこにもないわけです。これは形式的に生きているでしょう。そうすると、これは生きた法令ではないですか。
  128. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 重ねて申し上げますが、ただいま申し上げましたように、昭和二十二年法律第七十二号ができました当時は、実は明治憲法下における命令、それから明治憲法制定以前の太政官布告等の諸法規は実に多いものでございます。それを一々掲げまして整理をするということは、当座の問題としてはなかなかむずかしい問題である。そこで、万遺漏ないように、その中身をながめまして、法律の効力を有するもの、有しないものというふうに分けていったわけでございます。むろん、御指摘の通りに、当時廃止すべきものは廃止したらよかったではないか、それはまことに仰せの通りだろうと思います。その後、二十二年法律第七十二号のときにも、主として憲法上の関係で問題があります太政官布告等は廃止いたしておりますし、その後、御承知だと思いますが、第十九回国会だったと思いますが、昭和二十八、九年のころでありますが、法令整理ということをやりまして、そのころはたしか四十件くらいの太政官布告を整理いたしました。それでも人間のなすことでありますので、中には漏れたものもございます。漏れたものは、形式的に生きているからといって、形式的に廃止されていないからといって、みんなそれでは効力を有するかというと、やはりそこは新憲法下における問題として、ともかくも太政官布告は議会の関与なしにできたものでございますので、それはやたらに生きておるとはいわないで、内容によって判別していこうということに相なったわけでございます。そこで、内容を見てみますと、やはりこれは形式的には廃止はされておらないけれども、現行法規としての効力はないというのが相当だろうということになるわけでございます。
  129. 受田新吉

    受田委員 これは勅令で出ておるわけでございますが、この国葬に関するものは、法律で今やらなければならぬというような根拠はどこにもないわけですね。そうすると、法律制定の対象にすべき規定ではないということで、命令でもいいということになるならば、今あなたの言われた二十二年の例の規定の際のワク外にこれは入るのではありませんか。これは実質的にも生きておるのではないですか。
  130. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 仰せの通りに、全く現在の皇室典範における二十五条の「大喪の礼を行う。」大喪の礼の方式をいかにするかという問題は、法律事項ではないと思います。また実際上、国葬令の形式的ないろいろなやり方というものに準じてやって一向にかまわないことだと思います。ただ、今申し上げましたのは、国葬令の中で、「特旨二依リ国葬ヲ賜フ」とかあるいは「勅裁ヲ経テ之ヲ定ム」とかいうような点がありますために、これだけを取り出して、それが効力がないといえばそれまででございますけれども、やはり一連の規定としての意味を持つものでございますので、そういう意味で、これは現在一つ法律としての効力はないだろうというわけでございまして、仰せの中心である大喪の礼をどうするかというのは、事実としてきめればいいと思います。
  131. 受田新吉

    受田委員 この命令の内容の中にも触れて、今この中には生きている内容があるという御発言があったわけです。これは確かに一、二の例でございますが、生きても差しつかえないですよ。これも形式的に生きている。半殺しではないのです。これは現に生きている。この生きている国葬令というものをどう生かしていくか。もしこれが必要ならば、早く整理し、早く改正されるべきです。これをいつまでもほうっておくということは問題です。しかも一、皇室典範には「大喪の礼を行う。」と書いてある。国葬令の第一の規定がそれに生かしてあるのですから、これは当然何らかの措置をされなければならぬ問題です。これも忠実な法律の番人としては、高辻先生、お人柄は非常にいいことを信頼していますが、少し怠慢ですよ。これは確かに生きているんですよ。宮内庁次長さんの言われる死んだものということではないのです。これは厳として生きておるのです。  そうしてもう一つ、この皇室典範に関係するわけですが、従来の一世一元制がなくなっている。この問題も繰り返し申し上げている通り、陛下の御身はなま身である。いつ御不幸があったというときに、すぐその場で処置ができない。時間的余裕のないことはしばしば議論しました。なくなられて、それから閣議を開いておっては間に合わない。だから早く片づけておかなければいかね。西暦紀元にするか、一世一元にするか、結論を出しておかなければいかぬということを申し上げておる。これを抜き出して早く解決すべき問題だと思います。皇室典範にもちゃんと「天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う。」とあり、そうして、崩じたときには皇位の継承を行なうと規定もあるのですから、そういう規定に沿うて、そのときに西暦紀元を用いるか、あるいは新しいものをつくるか。しばらく西暦紀元を用いておるが、そのうちに一世一元制が復活したというのは変な話ですから、これは間髪を入れざる指貫としてきちっとしておかなければいかぬ問題です。よろしゅうございますか。  それと、おしまいに一言、いつか私が岸内閣のころに議論した問題で、この間憲法調査会が取り上げた問題でありますが、憲法調査会で取り上げるべき筋合いではないと思うのですが、現在の皇室典範の規定では、「皇位は、皇統に属する男系の男子」と書いてあるのです。男女同権の憲法を持っている日本として、この規定は適当でない。女子でも男子でも自由に皇位継承できる立場に、新時代の日本としては当然皇室典範第一条の規定を変えて、女王が生まれることが可能であるような規定にしておくべきだ。現在その必要がないという情勢であっても、新憲法の精神を生かす上においては、憲法調査会のこれは直接関連事項じゃないのです。女王の議論は、これは皇室典範の事項であって、憲法調査会は越権の議論をしておるのです。そのことについて、この新憲法の精神にのっとる男女同権を皇室典範一条にうたう、これはどうですか。宮内庁次長さん、宮内庁の立場から、女王様が生まれても差しつかえないかどうか。それから法制局次長、法理論としては、現在の憲法の立場からどういうふうにお考えになるか。結論は、政治的な判断も総理から伺わなければなりませんが、これはきょう総理の御出席を願っていくと手間取るおそれがあるので、御答弁をいただいて、不満足であれば総理にも御出席願う、こういうことにいたします。
  132. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この女帝を認めるかどうかという問題につきましては、わが国の皇位世襲のあり方として、男系の男子をもってあてることが適当であるという議論も相当ございます。それから国民感情というものも十分考慮する必要があるわけでありまして、この問題はいろいろと十分検討する必要がありますが、特に現状においては、皇太子殿下がおいでになり、なおその第一皇子の浩宮様もおいでになるので、この女帝問題をここで考えなければいけないような事情も今のところはございませんので、この問題は将来慎重に検討していくということが適当であろう、こう思います。
  133. 受田新吉

    受田委員 私は、現在の皇室典範の第一条の規定は、憲法の精神から言ったら違反であると思うのです。男女同権を叫んでいるのだから、象徴天皇の場合にもこれは及ぶべきです。象徴天皇一家には男尊女卑であり、一般国民には男女同権である、こういうことは憲法のどこにもないのです。従って、憲法の精神から言って、皇室典範は、その精神を受けて第一条が書かれてあるべきである。現在のところ浩宮様もおられるし、第二皇子もおられるから、問題にならぬということではなくして、基本的な考え方として、日本の国は男女同権で、象徴天皇の御一家のことも男女同権で考えておるのだということを私は打ち立てる必要があると思うのです。私の考えが間違っておりましょうか、総務長官、いかがですか。象徴天皇一家の場合毛、男女平等の原則から、女子の天皇様が出られても差しつかえないのだ、どの点から見ても、新しい日本の行き方として、女王の皇位継承権が認められるようにはっきりとここへうたうべきである。摂政になるときだけは女子のことがありますが、皇位継承権は女子にはないのです。これは憲法の精神に違反している。そのように憲法に違反している皇室典範第一条は、この際すみやかに改むべきであるというこの議論は、これは公式制度連絡調査会議でやりますか、どうですか。
  134. 徳安實藏

    徳安政府委員 こういう大きな問題は、全く私も初めてぶつかりまして、昨日から御質問によって研究をし、お教えを各方面からいただいておるわけでありますが、従来の長い間の日本の慣習から、男系の男子をもって皇位の世襲とするということが適当であるということで、そのままになっているそうでございます。従って、国民感情等も十分考慮もし、また今のお説のような点も十分に研究いたしまして、政府としましては、とにかくこの問題は将来の検討の課題にしようという考え方で、ただいま研究しておるわけでございまして、今どちらがいいとか悪いとかいうことを、政府立場でただいま軽率に言いかねるような状態でございます。そのほかの法的な問題につきましては、法制局次長が参っておりますから、そちらの方から御答弁いたさせたいと思います。
  135. 受田新吉

    受田委員 そうすると、女王を置くことについては、将来の問題として今検討してもらっておるのですか。非常に前進ですね。今まで私、問題にされていないのかと思ったら、もう女王の問題は将来に向かって検討しておる、こういうことになるとありがたいことだと思うのですが、法制局次長さん、いかがでしょう、法理論の立場から、女帝出現賛成か反対か。
  136. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 この女帝の問題につきましての受田さんの御説、御見解、これは全く筋が通らぬというものでないことは明白でございまして、これは理論としては一つの御見解だ、全く傾聴に値する点だと思います。これは何も今この席で申し上げるのではなくて、受田先生も御検討になったと思いますが、日本国憲法制定の際に、金森国務大臣が、この女帝論についてずいぶんいろいろなお話をされております。それを今繰り返す必要は毛頭ないと思いますが、憲法論についてのお尋ねに本関係がございますので、申し上げますが、憲法の十四条に違反するというきわめて確定的なお話をなさいましたが、この点はやはりどうも必ずしもそうは言えない。その理由といたしましては、やはり世襲制度というものは、憲法自身が規定しておることでございますし、それは皇族に限られておることでございます。そういう点から、先ほど私は、基本的人権というものが皇室にあられる方についても同じように享受されると申し上げましたが、その際にも、象徴ということに事寄せて、それに必要な限度ではやはり制約を受けることがあると申し上げましたのと同じように、やはり世襲制度が憲法で規定され、皇族に限られておるというような関係からいいまして、憲法十四条の規定といえども、これを機械的にこの場合に適用する必要はないのではないかというふうに考えております。
  137. 受田新吉

    受田委員 非常に私の説に耳を傾けられたごとく、回りくどく、でもないのでもないのだというような話になっておるが、これはずばりと言っていただきたいのですよ。これは、事実もう率直な国民感情からもそういうことが言えるわけです。これは当面する問題にぶつかってからでなくして、今からちゃんと用意しておくべき問題だと思います。そういう英断を振う政治家が政府部内で多数を占め、事務当局が多数占めることを期待しております。  最後に、これで終わりますが、一言。総務長官、あなたの方で四月一日から公式制度連絡調査会議をお開きになられるそうですが、これはおそきに失したわけですが、今言うように、すぐできるものと、それから国旗とか国歌いうものの議論はなかなかむずかしいのです。できるものとできないものと、ちょうど祝日の法案で紀元の日を入れるか入れぬかで論議されると同じようなことになるので、できる方から片づける方針を四月一日からお立てになられたらいいと思うのです。与野党とも、国民全体が歓迎するようなものを先に片づける、そして、ややこしい分はあとにする、こういう順序をおつけになることを希望しておきます。  それからいま一つ、法制局に、私は一つ懸念があるのですが、憲法第七条の天皇の国事事項の中にある栄典法を制定するのについて、栄典制度法律でなくてもいいのだ、政府行政措置でもできるのだという見解が、林法制局長官から漏らされていることを聞いているのですが、これは私はゆゆしい問題だと思うのです。もうややこしければ行政措置でやる、命令でやる、こういうような形は、国の法制体系を汚し、国民感情に非常に反撃することである、こう思いますが、いかがですか、責任ある答弁をお願いいたします。
  138. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 林長官が仰せになりました点についてのお話でございます。私は、その長官のおっしゃったことそのものをつぶさに承知しているわけではございませんが、仰せられた趣旨は、この栄典に関しては、むろん天皇の国事行為でございまして、それについて、御承知の通りに、国事行為には内閣の助言と承認が要る。内閣の助言と承認の基準としては、何も憲法上法律でなければならないということはない。その助言と承認の基準をいかようにするかは、まさに助言と承認者がきめればいいことでありますから、法律的にいって、それが法律でなければならねということはないと思います。ただ、栄典制度というものを全般的にながめました場合に、現在日本国憲法のもとで、法律がいいか何がいいかというような問題はまた別個の問題だと思いますが、うちの林長官の言われたことは、そういう趣旨であると申し上げて間違いないと思います。
  139. 受田新吉

    受田委員 次長さん、法制局はどうも法理論をもてあそぶ傾向があるのです。立法事項として当然これは採用しなければならぬ該当事項です。それを、筋としては助言と承認の中には行政措置も含まれるのだなどということで、栄典制度をごまかすというのは無理ですよ。かりそめにもこの栄典制度をそのワクの中に入れようなどという発言をすべきじゃないのです。やはり日本の政治を握っている内閣の法制局ですから、これは間違いをされぬように御注意申し上げて、私の質問を終わります。
  140. 永山忠則

    永山委員長 石山君。
  141. 石山權作

    ○石山委員 次長がおいでになっているから、特に私質問するわけですが、昨年秋田で国体がありましたときに、あなたは天皇におつきになっておいでになりましたね。だから記憶にあると思うのですが、鉱山大学の博物館をごらんになったわけなんです。私もお供をしたという格好でございました。鉱山大学まで行くには、陛下は全部舗装の道路をお通りになったわけなんです。それが一年たつ今日、ある部分は全部はげちゃった。ということは、天皇がおいでになるために、急遽仮舗装をしたということなんです。また、天皇がお通りになれば、あとはどうでもよろしいという舗装の仕方だったようです。そういうことはあまりほめたやり方ではないと思うのです。おそらく自治省あたりでも、天皇がおいでになるから特別なことをしろという達しはしてないと思うのですが、あなたの方から、このたび国体に行くが、あまり無理をしたようなことはなさらぬように、こういうふうな達しというか、あなたの指針でもよろしいが、そういうものを出した方が、地方には効果があるのではないか。陛下がお通りになるところは全部舗装しなさいなどということは、秋田県に対して言いましたか。
  142. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 陛下の地方にお出かけの際におきまして、知事とかあるいは担当の部長なりが見えます際には、陛下をお迎えしますために、特に金をかけていろいろ直すというようなことはやらないでほしい、ただ、お迎えするのですから、きれいに掃除をしておくとか、それは当然ですけれども、特に金をかけるようなことはしないようにしてほしいと言っております。地方では早く直さなければいけない、この機会に直すということで、お直しになっておるということも聞いております。われわれの方としては、今申し上げたように申しております。
  143. 石山權作

    ○石山委員 それからもう一つ伺いますが、競技場に入って前方を見る、そうしたら、秋田にたまたま屋根のみっともないのが二軒くらいあった。それで屋根を取りかえたわけです。それならば役に立つ。それは私費でやろうが個人でやろうが、きれいに直る。すぐ腐るものじゃない。今言った道路のようなむだはもったいないと思うのです。やるならほんとうの舗装をしてもらって、陛下が秋田の国体の気持をお忘れになるころまで舗装が生きていなければならぬと思うのです。ですから、これは自治省でなく、やはりあなたの方からむだはしないようにと言った方が、地方の知事さんでも市長さんでもぴんとくるのじゃないか。また逆に、ほんとうのところを見せておいた方がより以上にいいのではないか。半年くらいではげるような舗装をして、ひゅっと行って見せるよりも、中にはこういうでこぼこ道もある、あまり走られないものだ、こういうふうなことを実際に見せた方が、陛下が地方においでになる場合にはより以上に有効なような気がしておるのです。そういうことをしない方がよろしかろうとお出しになったらどんなものですか。
  144. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 陛下が地方の実情を御視察になられるわけですから、特にそのために金をかけて、平素と違った装いをすることは避けてもらうように、むだをしないようにということをわれわれの方は申しております。しかし、また地方の方の事情があって、その機会によくしようというようなこともあって、その当局に事情を聞かなければわかりませんが、あるいはそういうことをなさったかと思います。今お話がありましたので、将来さらに陛下が地方にお出かけの際には、そういう点は念を押して県当局にも言いたいと思っております。
  145. 石山權作

    ○石山委員 それは去年のことだから、去年のうちに皆さんの方に話をすればいいと思いましたが、せっかく迎えた知事初め一生懸命やった、そういうことに私が水をかけるようなことも、人情からそれはよくないと思って黙っておりましたけれども、岡山も終わりましてかなりの年月もたっておる。お金というものは、有効に使っていただかないと国民が泣きますから、そういう意味では、つくるならばきちんとしたものをつくる。天皇が来られたからというふうなやり方は、政治としてはあまりおもしろくないと思うのです。おそらく国体のあるところからは、知事さんや市長さんが来まして皆さんと打ち合わせをするわけでしょう。そういうときには、こういうことがあるようだから十分注意をしたらどうだ、こういうふうなことは言ってもいいと思うのですが、その点はいかがですか。
  146. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 それは従来も、申しておるわけでありますが、今先生からそういう話がありましたことも申して、一そう注意してもらうようにいたします。
  147. 永山忠則

    永山委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
  148. 永山忠則

    永山委員長 これより討論に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じます。  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  149. 永山忠則

    永山委員長 起立総員。よって、本案は可決すべきものと決しました。     —————————————
  150. 永山忠則

    永山委員長 なお、本日議決いたしました三案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 永山忠則

    永山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  暫時休憩いたします。    午後一時二十一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らな   かった〕      ————◇—————