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1963-03-19 第43回国会 衆議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月十九日(火曜日)    午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 内藤  隆君 理事 藤原 節夫君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君    理事 山内  広君       内海 安吉君    小笠 公韶君       笹本 一雄君    高橋  等君       船田  中君    保科善四郎君       前田 正男君    田口 誠治君       中村 高一君    西村 関一君       受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君  出席政府委員         外務政務次官  飯塚 定輔君         外務事務官         (大臣官房長) 湯川 盛夫君         外務事務官         (大臣官房会計         課長)     佐藤 正二君         外務事務官         (国際連合局         長)      高橋  覺君         文部事務官         (大臣官房長) 蒲生 芳郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君         文部事務官         (大学学術局         長)      小林 行雄君         文部事務官         (社会教育局         長)      齋藤  正君  委員外出席者         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  村田  浩君         外務事務官         (大臣官房外務         参事官)    安川  壯君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 三月十八日  国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び  薪炭手当の支給に関する法律の一部改正に関す  る請願小林信一紹介)(第二三七一号)  同外三件(日野吉夫紹介)(第二三七二号)  同外二十件(西村力弥紹介)(第二三七三  号)  同外三十四件(佐々木更三君紹介)(第二四八  〇号)  同外二十六件(有田喜一紹介)(第二五一六  号)  旧金鵄勲章年金及び賜金復活に関する請願(加  藤鐐五郎紹介)(第二四七五号)  恩給年金等受給者処遇改善に関する請願(  大久保武雄紹介)(第二四七六号)  同(西村直己紹介)(第二五七四号)  国立大学教官待遇改善に関する請願外十五件  (有馬輝武紹介)(第二五一七号)  同外十七件(池田清志紹介)(第二五一八  号)  同外十五件(河野正紹介)(第二五一九号)  同外十五件(村山喜一紹介)(第二五二〇  号)  同外三十八件(保岡武久紹介)(第二五二一  号)  同外四十五件(池田清志紹介)(第二五七二  号)  同外七十三件(床次徳二紹介)(第二五七三  号)  同外四十五件(有馬輝武紹介)(第二六二五  号)  同外七十四件(河野正紹介)(第二六二六  号)  同外十六件(村山喜一紹介)(第二六二七  号)  同外百十八件(河野正紹介)(第二六五九  号)  同(田口長治郎紹介)(第二六六〇号)  同外二十三件(村山喜一紹介)(第二六六一  号)  建国記念日制定に関する請願加藤高藏君紹  介)(第二五二二号)  同(綱島正興紹介)(第二六五八号)  元満州国等政府職員恩給に関する請願(中曽  根康弘紹介)(第二五二三号)  同(柳谷清三郎紹介)(第二五七五号)  元南満州鉄道株式会社職員期間恩給法等の特  例制定に関する請願山手滿男紹介)(第二  五二四号)  憲法第九条の改正に関する請願富田健治君紹  介)(第二六五四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  文部省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第四四号)  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第四一号)  在外公館名称及び位置を定める法律及び在外  公館に勤務する外務公務員給与に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第四二号)      ————◇—————
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  文部省設置法の一部を改正する法律案を議題として・質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)委員 提案されておりまする文部省設置法の一部を改正する法律案内容につきましては、あまり反対をする面はございませんし、そんなに多く質問を申し上げる内容もないわけでございますが、幸い大臣もお見えになりまするので、最近民主教育を進めていく上において非常に支障を来たしておる面があちらこちらで出ておりますので、そういう点を憂慮しております関係から、一応大臣に御質問を申し上げておきます。  大臣は、党内では非常に御人望も厚く、大臣も継続されておられるのでありますから、私は、個人的なその人格に対しては敬意を表しておりますけれど、文部行政に対してどうも私ども納得のいかない面をあちらこちらで耳にするわけなのでございますので、その点について、私は地元岐阜県で起こった一端の実例を申し上げて、大臣の御意見を承りたいと思うわけであります。  そこで、大臣人づくりという面から教育行政に奮闘されておるということはわかっておりますけれども、やはり人づくりを含めて、教職員待遇改善を行なおうとしておる団体教職員組合に対しましては、全く毒虫のようにいやがらせを言われておるように聞いておるわけなんです。それで私は、ここでまず確認をしておきたいと思いますことは、民間の労働組合にいたしましても、公務員職員組合にいたしましても、組合を民主的に運営するということは、これは外からの圧力とか、あるいは幹部の一方的なワンマン運営とか、そういうものを排して、ほんとうに自主的に、組合員みずからが総意によってものをきめて実行するという組合が、これは民主的な労働組合であり、民主的な職員組合であろうと思うのですが、この点については、何か変わった御意見はございますか。
  4. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 今おっしゃったことに、私もことごとく、同感でございます。
  5. 田口誠治

    田口(誠)委員 それ以外に民主的労働組合というものはないと思います。  そこで、私は非常に遺憾に思い、また納得のいかないと思いますことは、大臣が各地に旅行をされて、講演あるいは演説等をなさる場合に、教職員組合に対して、言葉の表現で申しますと、ばかろう呼ばわりを堂々とされておるということが、どうも人格者である文部大臣としては私はふに落ちないわけなんです。従って、大臣がそういうような態度をとっておられために、日教組という教職員組合というものがほんとうばかろうの集まりであるような錯覚を地域住民なりその他地方自治体の衝に当たる者が考え出しているということは、これはもう事実として現われておるわけなんです。  そこで、その一つの例を申し上げますと、これは岐阜県教組美濃加茂支部でございますが、昨年の八月に入りますと、この美濃加茂支部組織を混乱に陥れて、そして第二組合をつくらせるという考え方の上に立って、その中心的な役割を果たしたのが、私は、特にこういう国会の場でございますので、名は申しませんけれども、某校長が、ひそかに可児町の今渡地区の某小料理屋可児教頭二人を招きましてごちそうをしてやり、そしてその中で話を出されましたことは、少なくとも加茂地区においては、県教組に刃向かう者あるいは第二組合、すなわち、新組合を結成することに成功をおさめた者はすべて人事の面に優遇されておるのだ、従って、あなた方も可児において一つがんばってもらいたいという激励を行なわれて、それで、可児ではとにかくこういう考え方に同調する人も十二、三人あるのだがと言って、その氏名まであげられまして、そしてちょうど十月に行なう学力テストにいろいろ県教組が問題を出してくるのであろうと思うので、このときを動機に一つ県教組加茂支部を全滅さしてもらいたいということを校長激励訓辞を行なったわけなんです。こういう事実については、今日までお聞きになっておられるかどうか、まず、この点を伺っておきたいと思います。
  6. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 今お示しの事例は私存じておりません。
  7. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、これはこういう国会の場でございますから、山をかけて申し上げるとか、大臣を追い込とかというような考え方でなしに、ほんとう民主教育を伸ばしていくためには、やはり地方自治体教職員組合も正常な形で民主教育を伸ばしていかなければならない、こういう考え方の上に立って私はお聞きをしておるわけなんですから、その点をまず頭において、私の申し上げることを聞いてもらいたいと思うわけです。  結局、そういうような経過をたどりまして分裂工作が始まったのでございまするが、ちょうどことしの一月の九日に教頭会を招集しまして、そして日教組県教組脱退するように、こういうことを加茂支部執行部に申し入れてはどうかという話が出されたわけでございます。そこで良心的な教頭先生たちは、そういうようなことはやるべきでないんだと言って、相当反対をされましたけれども、これは、そこの人数が多数決、少数というようなことでなしに、周囲がそういうような空気に持ってきておる段階において、教頭校長という地位にある者からそういう話が出ておるものをまっこうから反対をするということは、やはり自分身分にも関係してくるんだということで良心的な先生たちは一応発言、主張はされましたけれども、長いものには巻かれろ式で、その場は執行部に申し入れるということを決定をいたしたわけでございます。  ちょうど一月の十日になりまして、緊急校長会が持たれまして、教頭から決定を支持することをきめたという報告をしたわけでございます。それで校長会も、形式的ではございましたけれども、やはり教頭がそういうような話し合いをしたことに対して、これを支持し推進をする、こういうことをそこできめまして、結局このことが発端となりまして、加茂支部組合員相当数脱退者を出したわけなんです。一時は全員県教組脱退をして、そして第二組合をつくるというような空気になっておりましたけれども、やはり県教組の方からオルグを入れて、そしてその実情をよく聞き、こういうようになった経緯をつぶさに説明をいたしましたら、良心あるりっぱな先生方でございまするから、その大半は居残りをいたしましたけれども、一部の先生は、これは私は、思想的に、また感覚的にそんなに悪い先生というようには考えておりません。まじめな先生でございまするけれども、やはりこういうことに応じていかなければ、自分たちはずっと山間僻地人事異動で追いやられるのではないか、こういうようなことを心配をされ、子供を持っている人、また年寄りをかかえておる先生たちは、そういうことから、やむを得ない理由により脱退をするという理由書をつけて、若干の人が脱退をいたしたようなわけです。  従って、文部省といたしましては、教育の面ばかりでなく、日教組との折衝対策も行なっておられるのであるから、現地の校長なり教頭なりがこのようなことを行なったということについてはどういうようにお考えになっておるか。悪いというように考えておられるのか、やむを得ないというようにお考えになっておられるのか、この点を一つ明確にしてもらいたい。
  8. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 先刻お答え申し上げましたように、おっしゃる事実そのものを存じませんので、その事実について意見を申し上げるということはお許しをいただきたいと思いますが、一般的に考えまして、おっしゃるようなことがかりに行なわれたとして、いいと思うか悪いと思うかというお尋ねでございますが、悪いと思います。
  9. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこでなお、こういう悪いこと、校長が一人々々先生を呼びつけて、今進められておるような方向が実現できなければ、あなた方の身分というものを校長としても保障できないのだ、すなわち、次の人事異動のときにはあなた方はどこへ追いやられるか保障できないのだというようなことを言って、勧誘されたわけなんです。従って、こういうことが加茂地区にありまして、そこで、岐阜県は、御承知通り、あまり民主的な運営をされておる自治体ではないわけでございまして、この点については陰に陽に大臣も耳に入っておると思いまするが、そういうところでございまするから、県教組脱退させるという実績をつくるには、自分の町がいの一番で一つ実績をつくろうとして考えておられた。これも、自治体責任者相当関係のある町長でございまするから、私は名前は申しません。そうして、これは所を申しても名前がわかるから、私は人格を尊重して所も申しませんけれども、いの乗りをしようと思ったのが一番乗りができなかったというので、くやしがってすぐ校長を呼びつけて、とにかく即座に脱退届を出せ、こう校長に言われたわけなんです。ところが校長は、私ども県教組にも日教組にも入っておりません、こういうことを言ったわけなんです。従ってその町長は、校長教頭も一般の先生方も全部が県教組に加入しており、そうして日教組とつながっているものだというような程度の認識しかなかったわけなんですが、そこで校長は、ずばりと、私ども組合に入っておりません、こういうように答えました。そうしたら町長は、それでは一つあなたの方の教頭なりその他にいろいろな方法はあろうけれども、この村では小学校も中学校組合員全員脱退させるようにというような圧力がかかったようです。かかったようですということは、そのときの言葉内容がそのまま記録されておりませんので、ようですと申し上げるのですけれども、結局圧力がかかったということなんです。それで、早速校長は帰ってから夜電報で先生方を呼びつけて、とにかく美濃加茂では先生方教職員組合脱退をいたしたのだ、その他のところでも脱退をする機運があるのだと言って、そうしてあるないにかかわらず地名名称をあげて、先生方にそう言ったわけなんです。とこが、これは僕らが考えましても、この町で圧力がかかってきたら、とても先生方はよう持ちこたえぬというところなんです。従って、その町の四校の先生方は、全員がやむを得ない理由により脱退しますという理由をもって脱退届けを出して、今日に至っておるということなんです。それで、先生方一人々々に聞いてみると、全くむちゃくちゃだ、こういうようなむちゃくちゃなところでは困るけれども、私どもはそれに応じなければ、地元学校自分の実庭に近い学校に勤めさせてもらうことができないのだから、何にも理由はございません、県教組が気に入らぬとか、日教組がどうとかいうような批判もございませんけれども、文句に書くなら、ただやむを得ない理由により脱退をする、こういうことより書けないのだから、それでやむを得ない理由により脱退をさせてもらうというので、脱退をいたしておるようなわけです。従って、こういうことが岐阜県下においては伝染をしていく要素が非常に多いわけなんです。だから私は、こういう校長に対しては、また教頭に対しては、文部省といたしましてはどういうような処置をとられるのか、どういうような指導をされるのかということをお伺いをいたしたいのです。それで、私は断わっておきますが、先ほど申しましたように、少なくとも国会でこういうようなことを申し上げるのだから、事実を曲げたり、また文部省なり文部大臣を窮地に追い込むというような考え方で申し上げておるのでは絶対にございませんので、これは事実なんですから、事実という上に立って、一つ今後の指導なり処置をどうするかということを、賢明な文部大臣として明確にお答えをいただきたいと思います。
  10. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 さっきも申し上げました通りでございますが、おっしゃることを疑うとか疑わないとか、そういうことを離れまして、この事実そのものを存じませんので、そのことについて申し上げるということは困難でございます。ただ、さっきも申し上げましたように、一般的に教職員職員団体に加入しようと加入しまいと自由である、組合をつくることもつくらざることも自由であるという建前のものでございまして、おっしゃるようなことがかりにあるとすると、脱退したということがあるとすれば、組合員たる一人々々の先生が自主的に判断して加入し、脱退するということであるべきものと思うのであります。もし仰せのごとく何らかの圧力を加えるということありせば、さっき申したように、それは悪いことだと思います。また圧力が加えられましても、そのために脱退するあるいは加入するということは、これまたほめたことではないことは言わずもがなと思います。そのことは直接のお尋ねではございませんが、おっしゃるようなことが一般的にあることは、むろん好ましくないことでございますから、組合の加入、脱退に対して、管理者立場にある者が、特に都道府県市町村教育委員会等立場においてさようなことをすることは、取りやめるように指導助言をすることは文部省として当然だと思います。
  11. 田口誠治

    田口(誠)委員 組合運営は、今大臣のお話のように、加盟しようが脱退しょうが、それは組合員の自主的な判断においてもう自由でございまするけれども、私が今申し上げておるのは、やはりその圧力をけり飛ばしてまでどうしても自分教職員組合におるということができ得ない。すなわち、人事異動のときにすぐそれに対する返しがくるというようなことをおそれて、結局自分の心にもないことをやったわけでございます。私は、校長にしても、教頭にしても、最初は不本意なことであったと思います。これはその他の方からの圧力があって、不本意ながらもそうした行動をしたと思いまするけれども、しかし、少なくとも校長教頭というような管理監督地位にある人たちが、教職員組合組合員に対して、そういう利益誘導式なことで脱退を追い迫っていくというようなことは、今後あってはならないと思うのです。従って、私は、県の教育委員会の方へはそういうようなことのないように指示指導をするということを御答弁いただいたのだから、この点は大臣としての言明でございまするから間違いないと思いまするけれども、やはり校長教頭がそういう行為をやったそのことに対しても、これは妥当ではないことをやったのだから、何らか処置の仕方があろうと思います。これを放任しておきますると、県教委の方へ指導指示をやっていただきましても、その地方自治体の長という線からきた場合には、これまた校長教頭が動かなければならないということになりますので、やはり校長教頭はそういうことに動くべきものではないのだという点を明確にして指導をしていただかなくては、ただ単なる県教委の方へ指導指示をしていただいても、これは実際に断ち切ることができ得ないと思うのですが、そういう場合のいい方法はどういうようにしたらいいか、おそらくお考えになっておると思いますので、それを承りたいと思います。
  12. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 教職員のことに教職員組合組合員たる主として小中学校先生方は、地方公務員として、都道府県ないしは市町村教育委員会任命権者であり、あるいは人事権者であり、給与関係権限を持った組織になっておることは、申すまでもなく御承知通りであります。従って、繰り返し申すようですが、事実そのものを知りませんから、知る努力をいたします。そうして、そういうことがあったとするならば、将来に向かってそういうことのないように指導助言をいたしたいと思います。その指導助言をします相手方はやはり教育委員会たらざるを得ないので、直接人事権を持ちません文部省立場におきまして、ある何の何がしという人に対して直接の指示などということはあり得ないと思います。あらしめてはいけない。教育委員会を通じまして警告をし、指導助言を通じて将来そんなことをなからしめるという心がまえで善処したいと思います。
  13. 田口誠治

    田口(誠)委員 大臣、こういうことはお考えになりませんですか。今教育委員任命制でございまするから、やはり地方自治体の長、県の場合は県知事がきわめて反動的な人であるとするなれば、やはり県の教職員組合にメスを入れようとする場合には、そういうような仕事のできる教育長任命したり、そうして教育委員任命するということは、これは常識から考えてもあり得るのですが、ただいまのようなことがあるということになりますれば、私は、やはり従来通り住民選挙によって教育委員をを選出するという方法でなければ、ただいまのように誠意をもって、県教委を通じて指導助言をするということでございまするけれども、そのされる県教委そのもの任命制でございまするから、文部省の方から一つ指示がありましても、なかなかもってそのまま動けないというのがやはり地方自治体の今の実態であるわけなんです。これはどの県とも私は言いませんけれども相当の県にそういうところがあると思うのです。そういうところから、この任命制選挙ということを私はこの段階でやはり考え直す必要があると思うのですが、この点につきましては、ただいまの事件にからませて考えてどういうようにお考えになりますか。
  14. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 結論から先にお答え申し上げれば、現行制度で十分であううと思います。おっしゃる通り、理解を難れて、事実問題として、いろいろな相互関係の上に立った影響が起こるであろうことは、これは想像にかたくないのでございますが、任命制でありましょうとも、選挙によりましょうとも、公務員としての心がまえは同じであるはずでございまして、先ほど来おっしゃっておるようなことは、教職員も、職員団体教員組合がつくれる、つくるつくらないは自由だということででき上がっておる。そういう制度のもとの問題であり、人事権給与権等を持っております、監督管理責任権限を持っておる立場のものといえども地方公務員法の五十五条以下の趣旨を無視して圧力をかけたりなんかということは、法律趣旨を守るか守らないかの問題でございますから、任命制選挙制のいずれによって変わるべきものではない、かように私は理解するわけでございます。また、半ば選挙的な要素現行制度でもあろうかと思うのでございます。すなわち、当該議会の承認がなれば任命という行為ができない建前であると承知いたしております。そういうことからいたしまして、おっしゃるように、現在の制度を変えて直接選挙制度に返さねばならないとは考えない次第でございます。
  15. 田口誠治

    田口(誠)委員 大臣文部大臣として中央におられて、そうして地方自治体は、それぞれ法治国家であるから、法に基づいて具体的な処理がなされていくというようにお考えになってただいまの御答弁があったと思うのですが、それはそうでなければならないわけなんです。ところが、事実はそうでないから、私はただいまのような御質問を申し上げたのであって、この点につきましては、これ以上私が例をあげて申し上げましても、大臣お答えはもうわかっておりますから、私はこの問題についてはこれ以上追及した質問はいたしません。  そこで、特に大臣に関心を寄せていただきたいと思いますることは、現在、教育に対する国の予算にしても地方自治体予算にしても十分でないがために税外補助外負担をこの住民がやるわけなんです。プールをつくる場合とか、運動場を拡張する場合とか、これはまた学校をつくる場合でもそうなんですが、相当税外負担というものをやっておるわけなんです。そこで、これは特に良心的なPTA会長ですけれども、こういうビラが出ております。やはりPTA会長さんだから、教育の問題についてはずいぶん御熱心でしょうけれども、現在の時代において労働組合なり教職員組合のあるということに対する認識というものは、やはり昔ながらの考え方で、十分御認識を得てない方だと思いまするが、この内容を見ますと、一口に申し上げますれば、とにかく日教組という団体から脱退をして教育に専念しなければ、プールをつくってやらぬ、運動場も広げてやらぬ、運動の道具に金を出すこともやらぬのだということを常々とビラをまいて圧力をかけてくる。そうすると、先生方は、各学校とも運動でもしかり、教育の程度でもそうですが、あらゆる面において、他の学校より優秀な生徒を多くつくり、それから運動の競技でも優秀な成績をおさめるというようなことで、プールの問題でも、あらゆる面でも、もう先生方PTAの方に懇願をしてつくってもらっておるというのが実態であるわけなんです。そうして先生方の熱心から、プールができたり、運動場が広がったり、スポーツの道具が完備されたりしておるのが事実であるわけです。こういうような面からいきますと、やはりPTAの方からそういうような圧力がかかってくるから、先生方もどうしてもPTAの言われるようなことに沿わなければ、自分学校の生徒が運動競技でも優位なところで成績をおさめていくこともできないということで、あれやこれやの問題を考えあわせて、ほんとうに不本意であるけれども組合脱退するというようなことが岐阜県には出てきておるわけです。これは私は文書を持っておりますが、そういうこともあり得るわけでございまして、直接PTA関係のことに対して、文部大臣にどうこうということをお聞きして、いろいろお願いしても無理だと思いまするけれども、これはやはり、全国各地に行かれた場合に、PTAを前にしてのいろいろな講演なんかをされる場合に、ただいま申し上げましたことを一つの基礎知識として持っておっていただければ、私はりっぱな講演内容にもなろうと思いますので、そういう点につきましては別に答弁は求めませんけれども、そういうことがあり得るということを一つ認識をいただきたいと思います。   〔委員長退席、内藤委員長代理着席〕  そこで、これはあとで問題にいたしますが、ただいま申しましたのは、加茂地区ということだけは名前をあげましたけれども、その他のところは名前もあげておりませんし、校長教頭その他いろいろな名前もあげておりません。これは私はあげたくはない。先生方の迷惑になろうと思いまするので、また、先生方でなくとも、地方自治体の長という格におられる方の名前をあげたくないので申し上げませんが、この加茂地区の場合には、とにかく、先ほど申しましたようなことで、一部の者は脱退をして第二組合をつくったわけです。そうしたら、これは不本意で脱退をした組合員が大多数であるので、その組合員にはかったというわけではありませんが、その第二組合の幹部が、知事、教育長の立ち合いの中で、私どもは第二組合をつくったんだから、何かここでほめてもらうことがなければならない、褒賞がもらいたいんだ、こういうことで、二百万円をもらうということを取りつけたわけです。それで、こういう取りつけたことを何月の何日に協議会にはかったかとどうとかいうのはこのプリントに載っておりますが、私、そういうこまかいことを申し上げなくても、そのことだけわかっていただけばわかりますので、そのこまかい面については申し上げませんけれども、そういうことをはかったわけです。それで、結局、その地域に対しましては、二百万円という金が他の学校へいろいろ研修、見学に行きます場合の旅費という名目で渡されたということなんです。それで、これを按分する協議をしたときに、先生の中では、そんなものをもらうべきじゃないのだと言って、ずいぶん主張をした第二組合の良心的な先生方はたくさんありましたけれども、やはり一部の人の発言が非常に強力で、一人に対して二千五百円ずつ、それから、学校に対しては、——学校というと、学校の代表一人ということですね、学校の代表に対しては五千円、それから、あと十万円ほど金が残っておりますが、これは校長会の方で適当に有効に使ってもらいたいというような配分を行なったわけです。そうして、二十校の代表は、とにかく自分たち教職員組合脱退をして第二組合をつくり、言葉をかえて言えば身売りをして、身売り代としてもらうようなそんな金は絶対にいやだと言って、ずいぶん強い意見を出しておったけれども、やはりこの点も押し切られておる。これは、組合は、ただ多数決々々々といってみても、事と問題によってはそういう圧力に屈しなればならない公務員組合員の弱さがあるわけです。非常に同情すべき点があるわけですが、そういうことがあったわけなんです。そうしますと、大体、旅費というものは、県で、一人に対して幾らというものは予算に組まれまして、毎年どれだけかは研修、見学というようなことを行なっておるわけなんです。ところが、今度は特殊なところへこうした金が出された。このことは、初めのうちは、岐阜の県議会の中でも、こういう項目、旅費ということになっておるから、内容はこのようなものだということを知らなかったわけなんです。従って、そういうようなことから、研修旅費というような項目で出ておりますので、これはこれだけ要るんだというように考えて、いろいろ書類なんかも県議会なんかでも見たようですが、実際にそういうことを知らなかったということです。それで、今度は、熱心な人が、いつどこへ行ったかということも調べてみたわけなんです。そうしましたら、十二月十二日、十三日、一泊二日で行ってきた。行ったところは、大阪、長野、静岡、愛知、幾つかありますが、行っております。行った先を調べてみましたら、行って、二時間くらい学校先生とお話をしただけで、もう夜は旅館へ帰ってお夕食を食べた。夕食の内容も、金額から割り出していただけばわかりますが、一泊二日で、普通の研修旅費と合わして三千三百円くらいになると思いますが、やはりお酒もつけて、悪口を言う人は、全く物見遊山でこういうことを行なったんだと言っておりますそうしてごちそうを食べてきたんだと言っておりますが、でも学校へ行って二時間くらいはやはりいろいろ話をしてきておる事実があるわけでございます。今、労働教育と学術研究とかいうことで、研修費というようなものが、それぞれ県では予算に盛られておりますけれども、ただいま申しましたような内容は、県の教育委員会指導課長あたりでも全然知っておらなかったということです。全く一部の者しか知っておらなかった。こういう事件があったわけでございます。全くの慰安旅行。ただいま申しましたように、第二組合をつくった者だけにそういう恩典を与えておるというようなことが、岐阜県に遺憾ながらできておるわけですが、この点につきましては、地方行政の場でやる面もございますけれども、事学校先生に関連をしたことでございますので、ただいま私の申しましたことから判断をして御感想をいただきたいと思います。
  16. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 先ほど来お答え申し上げておりますように、事実を知った上でないと意見などを申し上ぐべき筋合いじゃないと思いますので、その意味では御遠慮をさしていただきたいと思います。  これまた、一般的に申し上げれば、すでにお話も出ましたように、県議会の議決を経て研修費等が各都道府県とも盛られておると思います。交付の積算基礎におきましても国の立場において考えられておることも御案内のごとくでありまして、職員、ことに教職員は研修に努力しなければならないという趣旨責任規定も法律上あるようでございますし、また、教育委員会自体の側におきましてもこれを妨げてはならない、協力し、推進しなければならない趣旨のことも定められておるようなことで、そのこと自体大いに奨励さるべきことだと思うのであります。ただ、問題は、お話しのごときことがかりにあったといたしますならば、組合に入っておる入っていない、あるいは入った脱退したなどということを判断の基準に置いてお話しのようなことがもしありとするならば、根本的にものの考え方が間違っておると言わざるを得ない事柄だとは思います。あくまでも、都道府県市町村等の教育委員会、地方行政機関、それ自身の心がまえの問題だと思います。また、先生方一人々々が旅費をもらって研修旅行をして、旅館に着いてどうしたああしたということも、これまた先生の一人々々の心がまえの問題だというのであります。根本は、法律趣旨に従ってみんなが良心的な判断をし、行動をする、そういうことを一般的に不徹底な部分があれば徹底するように指導助言をするという事柄かと思います。具体的な御指摘の事柄それ自体についての意見を申し上げることは差し控えさしていただきます。
  17. 田口誠治

    田口(誠)委員 大臣としては実態調査をしてからの上でなければこの地区のこの件についてはこうだという答弁はできないということでありますが、それはまあそれでよろしいです。ただ、ただいまのような経過をたどって研修費というようなことで旅費を別個に特別に使ったということになりますと、これは、地公法の十三条には公平の原則がございまして、やはり同じようなことをやらなければならないという原則が書いてありますが、私はもちろん地公法十三条の違反行為だと思いますし、こういうことをしたこのこと自体が、六十条の罰則規定を準用すべき内容であろうと思います。しかし、この点につきましては、地方行政の場でやるべきものであって、私は、完全に地公法の十三条に公平の原則というものが明確化されておる以上、ただいまのようなことは公平の原則には沿っておらぬのだとはっきり考えられますし、そうしてこの内容がおそらく六十条の罰則規定に触れるものであるということも考えられるわけですが、この点は大臣どうお考えですか。
  18. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 それも相当具体的な事実そのものに立脚してでなければ申し上げられない課題かと思います。先ほど申しましたように、申すまでもないことですが法治主義をとっておる日本におきまして、ことに行政機関が、中央であろうと地方でありましょうとも、特に法律制度を順守して行政に当たらねばならない責任は重要だと思います。そういう立場からする適正な判断のもとに善処さるべき課題、そういうことに受け取るのでございます公平の原則に反する反しないということは、事実そのものの確認の上に立ちませんと、断定的には申し上げかねると思います。これまた、一般論としては、法律趣旨に反しておる現実の行動があったとすれば、それは当然批判さるべき課題ではございます。それ以上にちょっとお答えすることは困難かと思います。
  19. 田口誠治

    田口(誠)委員 国会の場ですから、慎重な答弁をされておりますし、私も最初から窮地に追い込むとかいじめるとかいう考え方質問をしておるのでないから私は、ただいまの答弁より何回言うても大臣はされないというように受け取りますので、この点についてはこれ以上申し上げませんけれども、明らかにこれは地公法の十三条の公平の原則、六十条の罰則にも触れる内容のものであろうというように考えるわけでございます。いずれにいたしましても、こうした問題がおそらく他の県にも大なり小なりあろうと思いますけれども岐阜県には、残念ながら、ああいうあまり民主的と言われない県でございますか、こうした事態が起こって自分ながらも恥ずかしく思っておるわけなんですが、こういうことでございますから、教育委員会を通じて云々ではございますけれども、ただいま申しましたように、地方自治体の長の感覚によっていろいろとこういう問題は圧力的に実現してくるものでございますから、そういう面も十分に御認識をいただいて、ただいま御答弁のありました指導、監督、また助言という面については、効果のあるように一つお願いいたしたいと思います。その点につきましては私は大きく期待をしております。   〔内藤委員長代理退席、委員長着席〕  それから、これはよその県にもありますし、相当聞いてもおりますが、国の方からいろいろ助成が出されております。出されておりますが、私抽象的にだけ申しておきますから、今後の文部行政一つの参考にしていただきたいと思います。  いなかに行きますと、小学校と中学校と併設学校というのがあって、そこに校長がいるわけです。そうしますと、たとえて言うならば、中学と小学校と併設してある場合には、その学校に宿直をする場合、学校一つだから一人でいいけれども、書類を出そうと思えば、中学の方でも一人、小学校の方でも一人という工合に書類を出して、これは堂々と通るわけなんです。それで、この宿直料にいたしましても、これは地方自治体だけでなしに国の方からもどれだけか出ておるはずですね。これはちょっと私はっきり知りませんので、どなたか、局長さんでもお答えいただければいいと思いますが、出ておりますね。
  20. 福田繁

    ○福田政府委員 日直、宿直等につきましては、国の負担金の中に半額盛っております。そのあとの半分につきましては、交付税等において財源措置をいたしております。
  21. 田口誠治

    田口(誠)委員 これは、大臣、私は特定の県を指してはこういうことは申しません。申しませんが、全般的なこととして一つ聞いておいていただきたいと思いますが、ただいま申しましたように、小中併設学校の場合には、中学で一人、小学校で一人宿直をするということが建前になっておって、一人しかしておらない。一人しかしておらないけれども、原則にのっとって、小中とも宿直をしたという書類を出す。そうすると、これはやはり県からも国からも助成がいただける、こういうことです。それではその金はどこへ行くかといえば、県でも、神奈川県というような、こういう大都市の近くの県は別といたしまして、日本でも、広い山間僻地を持った県の県事務所なんかというものは、非常に予算面にも追われておるので、やはりただいまのような処理を行なったものが県事務所の方へ流れるというようなこともあり得るので、そういう考え方の上に立っていろいろと指導監督をしてもらわなければならないと思う。これは、どこかの県の、どこかの地区の、どこかの県事務所がこういうような方法で何十万どうしておるということは、これは私調べたものも持っておりますが、これは中央から会計監査が行ってこういうことを全国的に調べ出したら、どこでも大へんなことだと思うので、私はそこまでの追及もしませんが、ただ、文部行政をやられる文部大臣に対して、やはり認識一つとしてこういうことも知っておいていただきたいと思うのです。これも、私は、全然うわさとかどうとかで申しておるわけではございません。こういうことは一つの県ばかりじゃありません。このことも申し上げておきます。これは私はちゃんと確証を持って申し上げておることでございますから、一つそういう御認識を持っていただいて、そうして何かと文部行政の上に参考にしていただきたいと思います。この点は御答弁は要りません。当然参考にしていただけるだろうと思います。  ただいま私の申し上げましたようなことは、もう報道機関が堂々と新聞なんかでも報道もしておりますし、これは公になったことでございますけれども、ただ、私は、学校名とか、あるいは町長名前とか、校長教頭名前とか、こういうようなものはお気の毒ですから伏せておきますけれども、こういう行動をやった校長なり教頭が反動的な人かといえば必ずしもそうでもなし、また、第二組合へ走った人が日教組を批判をしておる人かといえばそうではないわけなんです。ほんとうにあの脱退届の文句通り、何も理由はございませんで、やむを得ない理由によると、これより書きようがないわけです。こういうような気の毒な立場に立たれて、なお民主教育を守り、そして子供たちが伸び仲びと勉強して成長していくように努力しておる学校先生方の努力も、やはり大臣は買っていただきたいと思います。  そこで、私はもう一問で終わりますが、これは大臣にちょっと小言がましいことにもなりますが、大臣が、北海道でしたか、講演をされたときに、教職員組合の専従者は給料の二重取りをしておるという表現が講演の文句に入っておったようです。この点については、参議院でも質問をやっておりますし、大臣大臣なりに回答をされております。私それをずっと読ませていただきましたが、ただ、大臣のあの答弁の中で、私どもとちょっと認識の違うと思いますことは、質疑応答をしているうちになるほどというようにお思いになったと思いますが、これは、岐阜県なんかでも、よく地方の住民人たちは、ああいう講演をされたあとに、なるほど県教組の専従者は、県からも給料をもらって、また組合からも給料をもらって、二重にもらってるのだというような錯覚を事実起こしているわけなんです。それで、これは、労働組合法ができて、労働組合が結成された当時は、民間にいたしましても、官公労の組合にいたしましても、専従者のワクはお互いに話し合いできめて、そして給料も払っておりましたけれども、これはマッカーサーの方からの助言もあって、民主的な労働組合というのは経営者から援助を受けてはいけないのだ、こういうことで、実施は昭和三十四年でしたか五年でしたか、そのころから、もう専従者の給与組合負担、こういうことになっておりまするし、なお、今公務員の場合は共済年金になりました。共済年金の掛金は、本人のかける分と、事業主というか当局のかける分とありますが、当局のかける分も、これは組合でかけておるわけなんです。本人がかけ、組合でかけているわけです。こういう点については、二重という面は絶対にございません。ただ、大臣の言われようとすることは、籍を置いて専従をやっておると、退職金のときに勤続加算になるから、それでちょっと二重取りになるのじゃないか、こういうようなことからああいうお説が出ておると思いますが、日本の退職金制度というものは賃金の一部ということに定義づけられておるものじゃありません。将来はこの退職年金というようなものはどういう形になって消えるかどうかということは、今学者間でもいろいろ問題になっておるところでございまするし、そうして、特に民間の労働者なんかの厚生年金の場合には、この退職年金と厚生年金と併用するというような案を日経連の方からも出しておるくらいでございまするから、賃金の一部というような定義が今までつけられておらないわけなんです。従って、こういうことから言えば、大臣のお話しになったところの二重取りということにはどこの項をたどってみてもそうはならないと思いますので、ただいま私の申しましたことから判断をして、あのお話がいまだに妥当とお思いになっておられるのかどうかということをちょっと確認したいと思います。
  22. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 二重取りという表現は適切でなかったと思っております。ただ、幾らか時間をちょうだいしてちょっと心境を申し上げさしていただければ、私があのことに触れますのは、日教組がILOに提訴しました中に、日本政府がILO八十七号条約批准と同時に在籍専従者の制度を廃止しようとしておること、そのことが不当である、廃止すべきじゃない、だから廃止しないように日本政府に勧告してくれという趣旨の訴えが一項目あるわけでございますが、その政府側のものの考え方について注釈を加えないとわからないものですから、将来の問題として注釈を加えた事柄でございます。まさに、御指摘のように、月給の二重取りなんということは絶対ありっこない。これは私もむろん承知しておるところであります。ただ、在籍という制度法律で認められておりますから、現在それは不当だ何だという要素一つも話の中身にはないつもりでおります。しかしながら、廃止しようとする政府側の考え方の背後には、およそ、民主的な組合ならば、田口さんも今触れられましたように、月給はもちろん、すべての給与組合でまかなう、これが本式だろう。しかし、現状は在籍専従制度がありますから、今もお話が出ましたように、退職金ないしは年金恩給というものは国なり公共団体がまかなっておる。それを組合でまかなうということにすべきだということで名実ともにほんとうの民主的な組合になるであろう。そう割り切った上で、日経連等からの意見が出たとかおっしゃいますような事柄は、制度としてはきちんとした上に考えらるべきだ。課題はむろん残ろうかと思いますけれども、そういうことであるべきだ。いわば給与について二元的になっておることが本来の望ましい民主的組合の姿ではないであろう。そのことを説明し注釈を加える段階におきまして、月給とはむろん申しませんが、給与の二重取りみたようなことになっておるという表現はぴたりと一〇〇%正確ではなかったと思います。そのことは参議院でも釈明いたしましたが、適当と思っておるかどうかとおっしゃれば、あの表現は適切を欠いておった、かように思っております。
  23. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、大臣、こういうことを考えていただかなくちゃいかぬと思う。先進国の六十年も七十年も労働組合の歴史を持った国の場合と、日本の労働組合のごとく、どうかと言えば終戦の遺物というような形で生まれて、それから十七、八年しかたっておらない場合とは相違があるということなのです。それはなぜかと申しますれば、やはり、民主的な労働組合ということになりますると、労働組合が完全に先進国のような労働組合になりますれば、自分たち待遇改善ということと、待遇改善をするために・これは民間の場合でないと当てはまりませんけれども自分の会社の業績を自分たちの労働条件を守りつつどういう形で上げていくかということを率直に検討をして、専従者等もきめていく。ストライキを打つような場合でも、炭労の場合は別といたしまして、日本の民間のその他の労働組合が二十日も一月も一月半もストライキを打っておるのは全くまれです。ところが、先進国の場合にはそういうことはざらにあるわけなんです。それで、ほんとうに民主的な労働組合ということになりますると、労働組合組合員個々の総意によって役員をきめて、そうして、総意によってこの組合員が、強弱はありまするけれども自分たちの力でどの程度の専従者を置いて運営することが、労働条件を守って生活を向上すると同時に会社の業績に寄与し、日本経済の発展にも寄与できるかということを真剣に検討するわけなんです。総意によって、どれだけの財政能力があるからどれだけの専従者しかかかえられぬのだといって専従者をきめる。これが民主的労働組合です。数年前に岐阜県において行なわれた専従制限条例のように、県教組は専従者は何名でなければならぬというようなことを議会できめて押しつけるとか、県教委できめて押しつけるというようなことでは、民主的な労働組合運営はできないわけです。たとえて言うならば、足らぬ場合にはまだまだ不服くらいで済むだろうけれども、五人でいいと思ったのを十人専従者を置けというようなことで一方的に専従制限条例できめられてくると、これはもう財政能力で何ともならないわけなんです。能力で何ともならないようなことを外部から押しつけてくるというようなことになりますると、これは民間で言うと明らかに不当労働行為にかかることであって、それは民主的な労働組合を破壊するものである。それで、ILOの八十七号条約の批准に伴って日教組が専従者の問題について意見を出しておるのも、日本の歴史の短い労働組合の現段階においてはこの姿が最も好ましい姿であり、この姿において自分たちの労働条件を改善し、そうしてまた、教職員組合であれば、日本の民主教育を発展させ、教育行政にも陰に陽に協力をしていくことができるのだという考え方の上に立って出したものであるから、必ずしも現段階において一から十まで割り切ることはちょっと困難だと思いまするが、これはおそらく大臣とは意見が違っておると思いますので、答弁は求めません。  以上申し上げまして、私は質問を終わらしていただきます。
  24. 永山忠則

    永山委員長 山内君。
  25. 山内広

    ○山内委員 教育の問題は高校全入を初めとしてたくさんの問題をかかえているわけでございまして、実は私もそういう当面の問題に触れたいとは思いますけれども、常設の文教委員会もあっていろいろ議論されておると思いますので、御提案になっております設置法を中心として、事務的なこと、あるいは大臣教育行政についてのお考えなりを若干ただしてみたいと思います。  今度の御提案の中で一番大きいと思われる問題は、青年の家の建設の問題であります。これは設置法の二十五条の三に目的がうたわれておるわけでありますけれども、この目的も非常にばくとした抽象的な書き方でありまして、団体宿泊訓練を通じて健全なる青年の育成をはかる目的でつくっておるこういうことなんであります。これだけを読みますと、青年の家に別に反対する理由はないと私は思います。大いに意欲を燃やしてこういうものをおつくりになるという考え方を尊重いたしますけれども、財政的に非常に困難な場合に、はたしてこれが教育上当面差しおきがたい緊急度を持つかどうか、このことについて私若干の疑義を持っておるわけです。  そこで、大臣にお伺いしておきたいのでありますが、この青年の家の目的はどうなのか。今回は、富士山ろくの中央青年の家のほかに、もう一つ阿蘇山ろくにも置く、こういうことで、二つの国立青年の家ができるわけでありますが、将来どういう計画をお持ちになって全国的にこういう計画をなされておるのか、そういう考え方などを一つ大臣の方から御答弁願いたいと思います。
  26. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 先ほど御指摘なさいましたように、国立青年の家は、青年に対して団体生活による共同宿泊訓練の機会を与えるというのが主眼でございまして、原則として、それぞれの青年の団体みずからの自主的な判断に基づいたスケジュールに従って宿泊訓練が行なわれる。それに際しまして、青年の家の責任者はもちろん、折りにふれては文部省立場におきましても、今申したような目的を有効に果たさしめるための指導助言あるいは講師のあっせん等のことをいたしておるわけでございます。設置以来、富士山ろくの中央青年の家の利用率は目ざましいものがございまするし、その成果も予期以上にあがっておると承知をいたしております。そこで、今度九州熊本の阿蘇山ろくに同様のものを増設しようということにもなったわけでございますが、これは、文部省側でいきなり考えたことというよりも、むしろ青年団体の全国的な要望がこって一丸となって、もう一つつくることになったと申し上げた方が適切かと思います。  さらに今申し上げたことを具体的に補足する意味で、政府委員からお答えを申し上げさせていただきます。
  27. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 ただいま大臣から御説明いたしましたように、青年の教育の場として、青年がグループによりましてお互いに切磋琢磨をするということは、日本のみならず各国を通じまして非常に重要な教育の形態でございます。従いまして、青年の家におきましては、団体宿泊訓練という機会を通じまして、お互いに各種の研究研修をする、あるいは体育にいそしむ、あるいは野外活動をするというようなことにいたしておるわけであります。既設の富士山ろくにあります現在の国立青年の家は、昭和三十四年九月開所以来、大体延べ三十五万人の青年及び青年指導者に利用せられました。国内はもとより、国外の青年指導者も来ているわけでございまして、利用する団体は、各地の地域青年団体、あるいはボーイスカウトその他の団体、あるいは企業に従事いたしますところの青少年というものが団体を組んで参りまして、一定の規律に従いまして研修を行なう、それによりまして青年の規律あるいは共同奉仕というような精神的な徳性を涵養するということに役立っておるわけでございます。  なお、今回の計画につきましては、九州地区は、単に青年団体のみならず、婦人団体その他からも、設置につきまして、格好の場所であるということでかなり長い間御要望があったところでございます。今後につきましては、九州地区におきます青年の家の成果を見まして、さらにどういうふうにやるかということを今後検討いたしたいと思いますが、現在のところ、今後につきましてはまだ具体的な計画はございません。
  28. 山内広

    ○山内委員 目的について御説明があったわけでありますが、その限りにおいては、私も別にとやこう申し上げる気はないわけです。ただ、教育の機会均等という考え方からいたしますと、特に、私北海道ですけれども、僻地の教育を見て回ると、あるいは半年雪にとざされる北海道に屋内体操場のない小中学校もたくさんあるわけです。こういう団体訓練ということで環境のいい富士山ろくや阿蘇に——またあとで予算もお聞きしたいと思いますが、相当予算をかけて、そうして運営費を使ってやることが当面大事なのか、もっと、私どもの目から見れば、こういう予算はそういう日の当たらないような、環境に恵まれない子供たちにあたたかい手を伸べるのが先ではないかと思う気がするわけです。そこで、不要とは申しませんけれども、緊急度においては、少し急ぎ過ぎておるのではないか、そういう考え方から以下若干予算内容についてもお尋ねしておきたい。私、実は、三十四年に中央青年の家ができて、今度はまた地方につくるので、何か年次計画でも持って毎年一カ所くらいずつつくる御計画があるのかと思ったら、それは他日だ、こういうことでのがれておりますけれども、何かそういうことは伏せておられるのではないか。ということは、この提案の中にも、国立青年の家について、今まで中央と言ったのを消して、今度は、青年の家の名称とか位置、そういうものは、文部省令でもって、今度は国会にかけないで文部大臣が自身でおやりになるということが提案されておるわけです。そういうところから見ますと、個所でもって争われて、国会であっちがいいこっちがいいと言われるよりも、今度文部大臣が独自でおやりになる、そういう決意がこの中に出ておるわけです。きっとこれは年次計画をお持ちだろう、また、そうでなければ、九州とそれから静岡だけにつくって、あとつくらぬということは、これはどうも解せない。その点どうですか。
  29. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 現在具体的に何年計画で何カ所つくるということまで考えていないという意味でございまして、国立青年の家が二カ所で将来とも足りるというふうには考えておりません。おそらく地域的に適当なときに適当なところに今後も増設されるという機運になるだろうと思います。従って、設置法におきましては、国立病院等の例にならいまして、名称、位置等は予算措置等でできますものは文部省限りでやっていったらどうかということで、設置法を改めたわけでございます。  なお、一言つけ加えますと、国立青年の家のほかに、従来とも文部省は地方青年の家につきましての補助金を出しておりまして、かなりの数が出ておりますし、北海道その他各府県におきましても、それぞれの地域の青年のための宿泊訓練施設は設けておるのが実情でございます。
  30. 山内広

    ○山内委員 これも見解の相違ですから、これ以上申し上げませんが、この予算が全体で二億五千一百六十万五千円ですか、これは運営費と設置費ということになっておるのですが、今度九州に設けられるというものの建設費は幾らで、それから既設の運営費というのはどの辺になるのか、予算を分けて御説明いただきたい。
  31. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 二億の内訳は、施設費が大半でございまして、一億六千五百万。それから、設備費が二千六百万。それから、運営費と申しますのは、これは大体三カ月程度見ておりまして、四百四十七万。それから、人に伴う経費が四百二十五万。一応そういうことにいたしておりまして、十二月までに物的な建設を終わりまして、年度の終わりの三カ月は、開設というか、店開きをしたい、こういう考えをいたしております。
  32. 山内広

    ○山内委員 答弁漏れがありますが、今でき上がっておるものは一カ年にどれだけかかるのか、収入がどれだけあるのか。
  33. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 現在の国立青年の家は、三十八年度の予算といたしましては五千百万円でございます。収入はございません。これは勤労青年が主でございますので、食事等の実費は支払うようになっておりますけれども、利用のための対価は徴収しておりません。
  34. 山内広

    ○山内委員 考え方として、収入がないということは、ただ利用させておるということで、これは私もいいと思うのですけれども、そのために一カ所に五千百万円。今度阿蘇にできると、ほぼ同じものがかかる。将来かりに十カ所できたとすれば、年間五億以上の運営費を組まなければならぬわけです。これは大へんな額と見なければならない。そうなりますと、教育の機会均等というさきの話に戻りますけれども、はたして、これだけのものをつくっていって、そういう団体訓練をすることが先なのか、まだまだ学校施設としては考えられないようなところがたくさんあって、これは私よりもあなた方の方が御存じだと思うのですが、そういうものを重点的に取り上げることが当面急務なのか、この点の考え方一つ大臣も御検討いただきたいと思います。  そのほかに、ちょっとお話にも出ましたが、地方青年の家の補助費として五千三百六十万ほど組んでおります。これはお話の地方に助成するものだというのですが、この助成の割合は幾らで、そして何カ所くらい都道府県ですでにできているのか、この辺をちょっと聞いておきたいと思います。
  35. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 いわゆる地方青年の家と申しますものは、現在六十八館ございまして、内訳は、都道府県立四十一館、市立が十九館、それから市町村組合でつくっておりますものが八館ございます。これは大体一年に十三館ということで年々予算を組んでおりまして、補助率は二分の一という建前になっております。
  36. 山内広

    ○山内委員 文部省が太鼓をたたくものですから、地方でも、二分の一の補助を目当てにしてこれをつくっております。これも非常にPTAの実は負担になっている。こういう点も十分御存じだと思うのですが、これについてPTA負担をかけてはならぬとか、そういう指導方針でおやりになっておるのか、その点もちょっと聞いておきます。
  37. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 この点は、PTAというよりも、非常にりっぱなものをつくります場合に、国の補助金に比して地方の団体負担が多くなるということはあろうかと思います。あるいはまた、青年の家ができました機会に、青年団体等がいろいろ勤労奉仕をしたり、あるいは基本的なもの以外にいろいろな記念の物を贈るということはあろうかと思いますが、PTA負担ということにはならないのではないかと私どもは思っております。
  38. 山内広

    ○山内委員 直接にはPTA負担にならないといったって、都道府県負担は、これは住民税から出ることでもあるし、また、いろいろな点で教育予算を地方公共団体で使わないわけにはいかぬ。一方、先ほど申しましたように、雪の中に半年も埋もれていて、屋体も持てないというようなところもある現状である。そういう意味では考え方として同じだと思います。まあ、それは議論になりますから、それくらいにして、関連質問があるそうですから。
  39. 永山忠則

    永山委員長 石橋君。
  40. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 関連して大臣一つお尋ねしたいのですが、実は、この間沖繩の青年諸君がたくさん参りまして、関係当局あるいは政党関係に陳情をしておったわけでございますが、私どもの方にも参りまして、一番今当面の問題として要請しておるのが、沖繩にこの国立青年の家をつくってくれないか、こういうことなんです。これは文部省にも陳情があったかと思いますが、特殊な環境に置かれておる沖繩の青年諸君が、祖国のあたたい手が差し伸べられることを非常に待ち望んでおる。それにこたえる一つ方法として、そういったものをつくってやることができるならば、期待にこたえてやるべきじゃないかと実は思うわけですが、この点、いろいろな条件もあるかと思いますけれども、御研究願って、要望に応ぜられるものかどうか、その辺一つ所信をお伺いしたい。
  41. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 おっしゃることには私も賛成でございます。できることならば三十八度にも実現したい気持だけはございましたが、実現いたしませんのには、いろいろと御推察願えるむずかしい条件もございますので、なるべくすみやかな機会に、沖繩の青年諸君の希望にこたえる努力をしなければなるまい。相当以前からあらゆる下地をつくりながらやりますれば不可能ではなかろうという気持もいたしますので、そういう努力はしてみたいと思っております。
  42. 永山忠則

    永山委員長 山内君。
  43. 山内広

    ○山内委員 劈頭に申し上げた通り、いろいろ困難な財政の中から教育予算として組まなければならぬたくさんのものがあるわけで、そういう立場から今の青年の家というものをながめておるわけですが、その中で一つだけ、これは設置法とは直接の関係がありませんけれども、これは大臣などの御見解も聞いておくチャンスだと思いますので、お聞きしたいと思います。  それは、私も地方議会に席を持ちまして、その機会に学校施設なども職務上回って見ております。学校にも、新しい学校、古い学校の差はかなり目立っておりますけれども、行政として置き忘れられているのに図書館がある。子供の図書館です。申し上げるまでもなく、学校図書館法の三条では、図書館を置かなければならぬことになっておるわけです。それから、第五条にも明記されておることは、皆さんの方が私よりも承知しておると思う。ただ、附則の第二項でもって、当分の間置かなくともいいとありますが、これは、急に学校図書館を設けるといっても、いろいろな財政から困難であろうということで、設立当時はこういったこともやむを得なかったと思いますけれども、この当分のうちというのは、いつまでを当分のうちと考えておられるのか。この学校図書館法は二十八年に制定されておりますから、もうほぼ十年になるわけですが、十年も当分の間では、ちょっと親の法律が泣くと思うのですが、この点については、どういう計画をお持ちになって、あるいはどういう考え方でおられるのか、お聞きしたいと思います。
  44. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 「当分の間」をいつ削るかという御質問だと思いますが、何年度を期して「当分の間」を削るという、これこそ、また、気持はございましても、年次計画に従って何年になれば削れるというものは持ち合わせておりません。さりとて、どうでもいいと思っているわけでもむろんございませんが限られた毎年々々の財源規模の中におきまして、図書館について全国的に相当膨大なことが予定されるであろうものを、きちんと年次計画を定めての財政当局との相談が現実にでき上がりませんものでございますから、いわば毎年々々及ばすながらの努力を積み重ねつつ、ゴールに近づく時分からテンポをより早めて必ず削るという気持ではございますが、率直に申して以上のような現状にございます。
  45. 山内広

    ○山内委員 現状はわからぬわけではありませんけれども、やはり、一つの目標というものを置いて、たしか、最初に制定されたときは、当分というこの文字を削るまでには十年ぐらいかかるであろう、そういう国会答弁もなされておったと私聞いておったのです。その十年がもう来ても、財政の困難から見通しもこれから立たないんだでは、義務づけておいたこの図書館法の第五条、三条というものがいつ生きてくるかわからぬじゃありませんか。これは大臣も見通しとしては困難かもわからぬけれども、私はこれくらいの目途でもってやりたいのだ、それくらいの御答弁はいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  46. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 即席で申し上げるほかにございませんが、せめて今後十年はかからざるを得ないであろうというふうに思います。同時に、図書館には司書を置くというのが常識的にも必要なわけでございますが、学校におきましてはその司書教諭の制度も立てられておりますものの、これまた「当分の間」でつないでおります。そういう人的、物的設備を一応整えた姿を念頭に置きながら、何年までにどうするという意味で、なかなか具体的な御説明のできるような案画ができかねておるのが率直な実情でございます。今何とか言えとおっしゃれば、私はさらに十年の御猶予を願いたいというふうに思います。
  47. 山内広

    ○山内委員 私、しろうとですけれども、やはりこれくらいの具体性は文部大臣に持ってもらいたい。それは、年次計画で一ぺんにということになれば何十億かかるかわかりませんけれども、手のつけやすい青年の家のような、教育の機会均等の立場から見ればむしろ恵まれた人がますます恵まれるような形をつくる、そういう行政にはどんどん金を入れていく、これは年次計画で一年に一カ所か二カ所やっていく、地方には一年に十五カ所も奨励してやらせる、こういう熱意を青年の家に示されながら、図書館の充実という問題にはこれからまた十年では、もちろん文部大臣はもうおられないからそういうことを言われると思うのですが、私、これは熱意が足りないと思う。特に、今大臣の口から出た司書教諭、これは、予算書をくってみると、内訳はわかりませんけれども予算の中にも載っておる。そして、毎年何人かの有資格者を教育しておるじゃありませんか。現在までに何人くらいの有資格者がおるのか、そして、現在本来の司書教諭の仕事をやっておる人が何名おるのか、その点を一つお聞きしたい。
  48. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 学校図書の専門職員であります司書教諭の件につきましては、私、所管外でございますので、また後ほど申し上げたいと思います。
  49. 山内広

    ○山内委員 図書館関係の説明員がお見えにならぬそうですからそれじゃまたあしたでも……。  くどいようですけれども大臣にもう一つ申し上げたいのは、団体訓練も私は必要だと思いますけれども団体訓練をいかにやっても、個人々々の判断力、思考力、思索という、個人のりっぱな者がいないで団体だけを強くしても、これはグレン隊をつくるばかりですよ。やはり、個人を優秀にし、りっぱな個人をつくり上げる、これが人つくりだと思うのです。教育理論を申し上げようとは思いませんけれども、それにはやはり図書館の充実ということが必要なんです。現在実は図書館を多少なりとも持っていない学校一つもないわけです。寄付もあったり、いろいろなことから、中途半端に行なわれておる。親切にめんどうを見てくれる司書教諭もおらない。学校司書も、女の子供でその学校を出た者をすぐアルバイトに使っておる。そういうことで、子供が自分はこういうような内容のことで勉強したい、本を読みたいといっても、現にそこのたなにあっても、それを親切にその子供に渡して読ませるという指導がなされない。本がみんな死んでいる。庫にしまっておくだけです。私はしろうとですけれども、もう少し、教育というものは、その衝に当たるあなた方が熱心に考えて、充実をはかっていただきたいと思います。  外務大臣もお見えになりましたので、これで私の質問を終わります。
  50. 永山忠則

    永山委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  51. 永山忠則

    永山委員長 次に、外務省設置法の一部を改正する法律案在外公館名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題として、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山内宏君。
  52. 山内広

    ○山内委員 外務大臣も参議院の方に呼ばれておるそうでありますから、重点的に簡潔にお尋ねしたいと思います。  その一点は、黒い箱と呼ばれる、核実験の探知所が北海道に設けられるということですが、これは去年の暮れにフルシチョフとケネディとの間に交換された文書の中から出てきたわけで、私もそのとき初めて知ったわけでありますが、これについて若干お尋ねしたいと思います。  そこで、外務大臣お尋ねする前に、技術的な問題として科学技術庁の方から御答弁をいただきたいのですが、これは赤いか黒いかわかりませんけれども、また、黒いというのは必要があって黒くなければならぬのか、私は科学にも弱いし、ことにこのことについては何にも知識はないわけでありますが、黒い箱の設置というのは、一体性能がどういうことで、それを置く場合の条件と申しますか、どれだけの土地を必要とし、どういう環境に置かなければならないのか、いろいろ御研究もあろうかと思いますので、その点を一つろうとにもわかるように御説明いただきたい。
  53. 村田浩

    ○村田説明員 技術的な内容につきまして黒い箱の概要を話してほしいということでございますが、私どもの方も特に今黒い箱専門に勉強しておるわけではございません。従いまして、いろいろな文献等で見ました範囲での情報にすぎませんけれども、大体、黒い箱、ブラック・ボックスというような名前をどうして使うかという点でございますけれども、これも必ずしもきまった学術用語があるわけではございません。ただ、一般に研究者などの間で、ある一つの装置の一方の方からある力が及びましたときに、他方の端で、その及んできました力の伝わり方を測定いたしまして、その間に入っておるものが何かわからぬ、そのわからぬものを出てきましたデータを解析して推定していくというよう装置、一種の解析装置でございますが、中に何が入っておるかわからぬというような意味で、そういったものを一般に黒い箱と呼ぶ例はあるように聞いております。今般、地下核爆発実験の有無を判定する上に使われるとか様せられております黒い箱というのが、はたしてそういう理由からつけられたかどうか、つまびらかにはいたしておりませんが、研究者の間でそういうようなことも一応黒い箱というものについて言われておるということを申し上げておきたいと思います。  なお、どんな装置かということでございますが、概略申し上げますと、一種の地震計、非常に精巧な地震計というふうに私どもは了解しております。地下で核実験を行ないますと、御承知のように、それによって生じました衝撃力が地殻の間を伝わりまして表面に出て参ります。その出て参ります振動をこの黒い箱と称せられます一種の地震計でとらえるわけでございますが、一般に地中で起こります振動、普通地震などは、大きいものでもございますが、小さいものでもいろいろな振動がございます。そういった振動は大きく分けまして四種類の伝わり方をいたして参ります。そのうちの二つは、振動の発生地点から測定地点へ、つまり地中からまっすぐ伝わってきます振動でございまして、その二つは縦の波と横の波とからできております。あとの二つは、一ぺん地中の振動源から発生いたしました振動が、測定機のありますところでない、それから一番近い地表に達しまして、それから今度は地表を横に伝わってやってくる振動であります。この横に伝わってくる振動は、一つは回転する形の振動、もう一つ上下にゆれる振動とがございます。こういう四つの振動を精密な地震計でとらえまして、そして、それぞれの伝わり方、振動の大きさ等を総合的に解析しまして、一体どこでどのような振動が起きたかということを調べるのが黒い箱であるというふうに私ども了解しております。  それでは、なぜこういう装置が核実験の際に普通の地震計と違って使われるのかということでございますが、一般に、地震などの場合には、広い面積にわたっての地殻の断層、こういったものがずれまして、そして振動が発生しますので、振動の発生源が比較的広い範囲にわたって起こってきます。そのために、先ほど申しました地殻を伝わってまっすぐやってきます二つの波、縦及び横の波、その二つの波が、方向によりましては押す力のものと引く力のものと両方が伝わって参ります。ところが、核実験でございますと、どこか地中深いところに穴を掘りまして、そこで核爆発をいたしますので、一般には押す力の波だけが伝わって参ります。普通の地震の場合ですと、押す力の波と引く力の波が伝わって参る。ところが、核実験の場合には押す力の波だけがやってくるというようなところで、ある程度区別がつくのだというふうにも聞いております。それから、もう一つは、普通核実験でありますと穴を掘ってその中でやります。あるいは自然にできました洞窟を利用いたすようであります。従って、地表から数百メートル、深くてもせいぜい数千メートルのところで行なわれるようでございます。ところが、の場合には、御承知通り、一般には十数キロあるいは数十キロメートルという非常に深いところで起こります。従って、そこから伝わってくる震動は、先ほど申しました四種類の波を解析いたしますと大体その深さなども見当つくわけでございますので、非常に浅いところで起こった震動は比較的核実験による震動であるのではないかというふうな推測がつくように聞いております。  詳しいことは私どもの所管でございませんので存じませんが、大体黒い箱といわれております装置の原理とでもいうものはこういうことであるというふうに私ども承知しております。
  54. 山内広

    ○山内委員 今いろいろ御説明があったわけですが、そういうことも常識として私ども知っておく必要はもちろんありますけれども、この国会で取り上げられる段階になりますと、そういうことよりも、一体、封印地震計といわれるこのブラック・ボックスを置く場合に、どういう環境が必要なのか、どれくらいの広い面積を必要とするのか、もっと具体的に言えば、そこを人が通れるのか、自動車も乗り込めるのか、そういうことの判断は、これから私外務大臣お尋ねする場合にも、そういう点が科学的にはっきりしておりませんと、これは問題を残すわけであります。そういう意味で、一つ承知の点をもう少しその点に触れて御説明いただきたい。
  55. 村田浩

    ○村田説明員 どういう場所に設置したらよいかということは、私ども専門でございませんから確実に申し上げられませんが、しかし、やはり相対的なものでございまして、一般的に覆えますことは、なるべくその付近に震動の少ないこと、——核実験を探知します場合に、ほかの大きな震動が近辺にございますと、それとまぎれてしまいますので、そういう近辺に他の震動の少ないところということが一つの条件のように承知をしております。というのは、これを置く場所が、地盤の面から見て、あるいはその他の人類の経済活動等の面から見て比較的安静なところ、つまり、静かなところといいますか、そういうところに置くのがよいというふうに聞いております。また、それにどのくらいの面積が要るかということは、私どもそこまで詳しく内容を存じておりませんので申し上げられませんが、その点は地盤の安定の状況とかなり相関関係があって、安定しておればおるほど少ない数の計器を置けばよろしい、ある程度雑音があると計器の数を多くする、計器の数を多くしますとそれだけ置く場所が広くなると聞いております。
  56. 山内広

    ○山内委員 安静なところ、これはしろうとの常識程度でもそうだろうとわかるわけですが、どれだけ広い面積が必要なのかそれはわからないと、非常に心もとない御回答ですが、今御答弁になられた力は、地震の関係は別の担当者がおって、きょう出席されないので、答弁できないということなんですか。
  57. 村田浩

    ○村田説明員 私ども、科学技術庁の原子力局の方でございまして、原子力が専門でございますので、ただいまの地震のそういう振動の方面でございますと、気象庁あたりの方に専門の方がおられると思います。
  58. 山内広

    ○山内委員 今三十八年度には防災については精力的に取り組みたいということでいろいろ予算も組まれておりますし、防災センターなども設けられて、研究もそれぞれやっておられると思うが、地震国と言われる始終地震のあるところですから、今の程度の御回答では私も不思議だと思ったのですが、担当しておられなければやむを得ません。またその担当の方がお見えになったらそれに触れて聞いてみたいと思います。  そこで、外務大臣お尋ねいたします。ああいう百回に近い地下の爆発禁止協定の交渉がソ連とアメリカの間でなされて、最終的には、こういうブラック・ボックスなどの設置によって一応妥結するであろうということは、私ども平和のために非常に喜んでおったわけですが、その後また停頓状態になりまして、現在この黒い箱の設置問題は少したな上げになった形であります。けれども、いずれまた会議が再開され、話し合いが進められれば、今度は日本としてもこの問題を具体的に取り上げなければならぬ必要に迫られると思うのです。そこで、政府では新聞に出るまで御存じなかったということは私も新聞で承知しました。その通りだったと思います。その後、アメリカあるいはソ連から、この黒い箱の設置についてどういう交渉がなされたか、また、どういう内容の照会があったか、そういう点を一つお漏らしいただきたいと思います。
  59. 高橋覺

    高橋政府委員 お答え申し上げます。  先日フルシチョフ首相、ケネディ大統領の間の書簡が発表されまして、両者において北海道に言及しておりましたことは御承知通りでございますが、その前にわが方としては何ら連絡を受けておりませんことは仰せの通りであります。わが方としては早速在米大使館を通じてアメリカ側にその事情を照会いたしました。先方からは、これは例示的な意味合いで出したということで、結局、米ソ間に話し合いがついたときには両者の関係国からわが国の了解を求めてくるものと思われますが、こちらから照会いたしました以外に、アメリカもしくはソ連から何ら申し入れというものには接しておりません。
  60. 山内広

    ○山内委員 回答はどういう回答が来ておるのですか。
  61. 高橋覺

    高橋政府委員 例示的にあげたものだということでございます。
  62. 山内広

    ○山内委員 例示的といっても、パキスタン・アフガニスタンと一緒に北海道という三カ所を指定しております。そうしますと、東京のどまん中を要求してくることはないと思いますけれども、一応これは日本のどこかに置かれると考えてよろしいものなのですか。
  63. 高橋覺

    高橋政府委員 今お答え申しましたように、例示的に北海道をあげたということで、おそらく、北海道という名前が出たのは、カムチャッカに近いというところから北海道ということが言われたんじゃないかと思います。従いまして、協定ができまして具体的に設置する申し入れが来るときに、北海道でありますか、あるいは日本列島の中の適当な地点ということになりますかは、わかりません。
  64. 山内広

    ○山内委員 これが今度具体的になって、北海道に置きたいとか、あるいはどこそこに置きたい、そういう交渉が具体的になされた場合、これを引き受けるお考え大臣はお持ちになっておるのか、また断わるのか、どういう点が明らかになれば引き受けるのか、その点の考え方をちょっとお聞きしたい。
  65. 大平正芳

    ○大平国務大臣 まだその基礎になる核停交渉が停頓状態にございますので、具体的に今考え段階ではないと思います。われわれの基本的な立場は、御案内のように、有効な核停協定なるものが成立するということを希望いたして、おりまするし、同時に、そういう雰囲気をつくるべく政府としてもこれに協力姿勢をとっておるわけでございますから、日本に考えてくれないかという御要請があるような状態は非常に世界平和のために望ましいことだと思うのでございます。そういう前提に立って考えた場合に、あなたが今御指摘のように、いろいろ設置の環境条件、管理、いろいろ問題があると思いますけれども、そういう点は私もはっきりいたしませんが、核停協定の成立、そしてその有効な連帯というものが世界平和にとって非常に決定的に大事なことであり、日本政府もそれに応分の協力をする立場をとっている以上、やはり御相談があれば前向きの姿勢で考えるべき問題だと思います。
  66. 山内広

    ○山内委員 アメリカが、例示的だとはいいながら北海道というものを断りなしにやったというその態度にも私は不満がある。また大臣も今核停協定ができれば平和のためにもなることだから、前向きの姿勢で応じたい、こういうお話も出ておるわけですけれども、私は非常に心配をしておるわけです。と申しますのは、先ほどの科学技術庁からのお話の通り、面積もわからない、ただ静かなところだ、そういうことで何にもわからぬ段階で具体的な話し合いを引き受けると、あとで問題を起こす。これはかなり常識判断ですよ。常識的な考え方として、非常に広大な土地を要求されるのではないか。しかも、これは日本人の立ち入り禁止、自動車も通れないという時代が来はせぬか。ということは、北海道大学にも御承知通り地震研究所があります。あそこは非常に景色のいいところで、観光客も多いのですけれども、この地震研究所に影響があるということで、バスの乗り入れば禁止されている、それほど微妙な震動すらも忌みきらっておる。これは地震計ですから、あるいは黒い箱はそれほどではないのか、その点は明らかでないのですけれども相当に大きな土地を要求される。しかもそれは外人が来て管理する、日本人は踏み込めない、一種の治外法権地帯がそこにできる。そういうことを、初めからアメリカの要求ならば応じなければならぬという大臣のお考えは、私全面的に賛成するわけにいかない。何しろこういう独立の気分の激しい時代で、領海一つ越えてコンブをとりに行っても拿捕されるほど、領海はお互いに厳重に守っている。空を飛んでいっても、お互いに外国のものであれば撃ち落としてしまうというほど領土に対する考え方というものは国民は非常にきびしいわけです。それを、一方的にすぐそういう治外法権的な土地を提供する、こういうことは十分に一つ研究の上で、それこれ国民の納得のいくような形をとることを、これはぜひお願いしたいと思います。もうすでに現地の知事は土地を提供すると言っておるのです。今ここで議論する余裕もありませんから、詳しくは申し上げませんけれども、私も平和のためならば協力することは人後に落ちないつもりです。けれども、はたしてこういう探知所を設けることだけが平和に寄与することか。まず私どもは独立をはっきりさして、その上で応ぜられるものは応じないと、一方的に使ってしまう。例示だからといって、もう自分の領土のようにアメリカは考えて、日本に申し込めばすぐそういうものはできるのだと信じて疑わない、そういう態度を日ごろとらしておるということにも問題があろうかと思います。  大臣は、定刻ですから参議院へおいでになってけっこうです。
  67. 大平正芳

    ○大平国務大臣 山内さん、私の答弁を正確に受け取っていただかなければ困ります。私は、アメリカの要求だから応じるのでございますなんて答弁はいたしておりませんで、その点は正確に一つお聞き取りいただきたいと思います。
  68. 受田新吉

    ○受田委員 関連して。大平大臣、あまり頭の痛むことでなくて、明るい問題を一つ取り上げてお尋ねしますが、今度外務省設置法改正並びに在外公館名称及び位置を定める法律などが改正される案が出ておるわけですが、これで新しく大使に昇格するところもあるし、その大使に昇格したところが兼務になっているところもあるのでございますが、最近、小さな国と言ってはおこるかもしれませんが、小国に大使をどんどん置いておられるわけです。しかし、まだ公使として残っている国もあるわけですね。公使館を設置している国で、今度置く大使館のある国よりは大きい国があるわけです。これは一体どういう関係になっておるのでしょうか。大使館と公使館の設置基準これは大臣、あなたの判断でやるのですか。
  69. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 戦争後、各国とも共通の現象でございますが、なるべく大使館を置くということになりまして、従来公使館だったものが非常に大使館に昇格しております。現在は、実館としての公使館はイスラエルとハンガリーの二つだけでございます。そのうちイスラエルは、明年の一月から大使館に昇格します。残るのはハンガリーだけということになります。このハンガリーは、そこに派遣しているほかの国でやはり公使館が相当ありまして、外交団関係がありますので、日本も公使館を置いております。
  70. 受田新吉

    ○受田委員 小さな国に大使館がどんどん設置されるわけですが、大臣、今の大公使の任命にあたって心すべきことは、外務省御出身のはえ抜きの外交官という形でなくて、大使、公使は一般職じゃないのですよ、特別職の立場の人でございますから、この際思い切って民間人を大使に派遣して、その国に適切な外交をやらせる、あるいは婦人の大使を採用する、もう大臣も二人目ができておるわけでございますが、大平大臣の際に、あなたは女性を重く登用される一番いい権限を持っておられるわけです。大使などに、婦人の中でこれはとあなたが目をつけられた人を登用される、これは外交技術の上からも大事なことではないかと思うのです。御婦人であれば、かえってごたごたが円満に解決する場合がありますよ。にっこり笑って解決する道もあると思う。御婦人にも道を開くことは大事なことだと思うのです。婦人の大使の任命ということも一つ配慮せられてはいかがですか。それと、外交技術だけでなくして、経済交流とか、別の角度から民間人を登用されてはどうか。最近は民間人の大使の影がほとんど消えているようですが、これを一つ復活されて、外交官出身の大公使でなくして、経済外交に重点を置く立場から適切な民間人、婦人の大公使の任命というところまで方針を少し切りかえられてはどうですか。
  71. 大平正芳

    ○大平国務大臣 問題は民間人とかキャリアの外交官、どちらでなければならぬという考え方でなくて、外交機能を充実し活発に展開するにふさわしい人物を登用するのが人事の原則だと思うのでございます。従って、私どもといたしましては、非常に有為な適材がございますれば、大公使にお願いすることにやぶさかでございませんが、任地の関係待遇関係等で、こういう方であればと考えてみる方も、現実のアポイントメントになりますと、そういう方はえてして都合が悪いということになるわけでございまして、与えられた条件のもとで最善の適材を向けるというように考えて参りたいと思いまして、官民にとらわれておるわけでは決してございません。  それから婦人の登用の問題でございますが、御承知のように、国連では、代表代理で毎年行っていただいておるわけでございます。これは婦人界の方でもぜひ続けてもらいたい。これは国連に対する国民の関心、また国連の精神の普及という意味から申しましても、御婦人層に特に関心を持っていただく上から申しましても非常にいいことなので、私どもも、この領域におきましては御婦人をわずらわして、御苦労いただくという方針を変えるつもりはありません。要は、与えられた条件のもとにおきまして適材を簡抜するということは、受田さん仰せの通り、十分考えて参らなければいかぬことだと思います。
  72. 山内広

    ○山内委員 あとちょっと事務的なことを伺いたいと思うのです。  予算書を見ますと、在外公館というのは、外国にあるために、予算書でも私どもろうとにはわからないものがたくさんあるわけです。その項目の中に渡切費というものがあります。これは五億二千四百余万円組まれておりますが、これの内容をちょっとお知らせ願います。
  73. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 渡切費と申しますのは、在外公館の非常に特殊な経費でございます。やはり国内の機関と違いまして在外公館におきましては、すべての形を国内の機関と同じように証明をしてやっていくというわけにいかない場面がございまして、こういう費用をつくっているわけでございます。これの内容といたしましては、光熱水料、それから、たとえば非常に少額な雑費と申しますか、タクシー代だとか、あと非常に小さな修繕費だとか、そういうふうなものもこの中に入っております。現地で領収書なんかあまりはっきりとれないような費用がこの中に入っておるわけであります。
  74. 山内広

    ○山内委員 そういうことも必要がわからぬわけではないのですけれども、この五億二千四百万という相当高額のものを、しかも光熱費となれば、これは庁費の中へ当然含まれてまかなうべきものだと私には常識的に判断される。特に予算の編成にあたって、これは予算委員会ではありませんから詳しく申し上げることはないと思いますけれども外国におるからといって、こういう前渡しでもない、仮払いでもない、領収書がなくとも使えるのだという形の予算が組まれておるということは、あまり好ましいことではないと思うのです、国費を正当に使うという意味からいっても。しかも、昨年の予算から見ると四千五百万も増額している。こういう点で、光熱費、タクシー代を五億何ぼも使うということはちょっと受け取れないのですが、もっとほかに必要な緊急度というものがあるではないでしょうか。もう少し御説明いただきたい。
  75. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 御説明が足りなくてまことに失礼いたしました。消耗品、たとえばガソリン代のようなものもこの中に入っております。御指摘の非常に高額だという点でございますが、四億四千五百万ばかりにここではなっておりますが、現在在外公館は百館ばかりございますので、一館当たり四百万、大体一万ドルくらいの額になります。月にいたしますと一千ドル弱になりますか、その程度のことは、こういう経費に使うということが認められればどうしても必要になってくるわけでございます。
  76. 山内広

    ○山内委員 外国の不自由なところへ行っているのですから、あまり国内のように領収書をとれとかなんとかいうやかましい整理が困難だということはよくわかります。けれども、これは意見になりますから差し控えますけれども、五億二千万で、一館五百万以上のそういういわば勝手に使えるものである。タクシー代、ガソリン代だって、これも大量に庁費で買っておいて配給するということもなされないわけではないと思うのです。途中で必要で補充することもあるでしょうけれども、そうなれば五百万の予算というものは安くない、私はこういうふうに感ずるわけですが、それは別に深くあと申し上げません。  それでは、私時間もありませんから、これで終わることにいたします。
  77. 永山忠則

    永山委員長 受田君。
  78. 受田新吉

    ○受田委員 政務次官は大臣にかわって御答弁をなさるのでありますから、大臣同格の人材という気持で御質問を申し上げます。それから事務的には官房長、局長に御質問したい点があります。  今度の改正を契機に、私ちょっと在外公館の実態を明らかにしておきたい点があります。  在外公館に、現に通産省、外務省、農林省、防衛庁、労働省、経企庁、科学技術庁、あるいは経済関係の領事というものが適当に配置されてありますね。この純粋な外交官でなくて、そういう方面のエキスパートをこれに加味している政策というものはどういうところに目標を置いておるか。また大蔵省などから出て領事を兼ねられる、あるいは書記官を兼ねられる、こういうような必要がどこどこにあると今目標を置いておられるか、これは財政関係立場から含めてお尋ねを申し上げます。
  79. 飯塚定輔

    ○飯塚政府委員 大へんおほめの言葉をいただきまして恐縮しておりますが、誠意を持ってお答え申し上げたいと思います。ただいまの御質問に対しましては、担当者より詳細にお答え申し上げることといたします。
  80. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 御存じのように、最近は外交の範囲が非常に広がりまして、政治、経済、あるいは科学とか保健、労働、運輸、そういったいろいろ専門的事項が外交の分野では相当大きな部門を占めておりますので、そういうことの専門的な面をカバーする意味で、関係省の出身者を外交部門の一員として配置するというふうになっております。しかし、外交というものはやはり総合的、一元的に運営されなければなりませんので、こういった関係省の出身者も、この外交陣の中に入ってくるときには外務省の身分ということになって外務大臣の管轄に服する、こういう制度になっております。現在は大体百四十名あまり各省から出ております。やはりなるべく関係の深いところというようになりまして、大蔵省の方から出向されている人でありますと、ワシントン、ニューヨーク、ブラジル大使館、フィリピン大使館、インドネシア大使館、香港の総領事館、タイ大使館、バンコックであります。インド大使館、シドニーの総領事館、レバノンの大使館、ドイツの大使館、ジュネーヴにあります国際機関代表部、ベルギーの大使館、フランスの大使館、イギリスの大使館、ソビエトの大使館、こういったところに出ております。
  81. 受田新吉

    ○受田委員 それでニューヨークには大蔵省から行っておるのですか。いつ行ったのですか。
  82. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 ニューヨークに行っております。ずっと前から行っております。
  83. 受田新吉

    ○受田委員 大蔵省から一人出ておりますね。
  84. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 現在三名おります。
  85. 受田新吉

    ○受田委員 そこで一つお尋ねしたいのですが、そういう身分の人は本物の外交官に切りかえはできないですね。つまり外交官試験に合格した者でないと、本物の外交官としての登用はどうですか。
  86. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、こういった関係者から外務省に出向している人たちは、全部外務省の身分ということになりまして、外務省の出身者と同じ取り扱いをいたしております。外交官として活動しております。
  87. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、外交官の正規の試験合格者の持つ特権を全部持つわけですか。
  88. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 その通りでございます。
  89. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、別に外交官試験にとらわれないで、人材は幾らでも外交官に、吸収できますね。そういうことですね。
  90. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 そういうことは可能でございます。ただ、本人の意思で、どうしてもなりたくない、また自分の出た省に帰りだいとかいうようなことがあれば、それは無理にというわけにもいきません。
  91. 受田新吉

    ○受田委員 そういう厳格な基準がなくて、各省から適材を途中から外交官に切りかえて採用できるとなれば、これは非常にいいことなんでございます。外交官というものは、一般行政職の皆さんと同じ立場で自由に異動できる、一般行政職からかわれるということになれば、外交官の新しい採用は、別に外交官試験をやらなくても、各省から行政職の適材を吸収するという芸ができるわけですね。
  92. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 少し言葉が足りませんでしたが、原則として、各省から来ておられる方は専門家として来ておられるわけで、一般の外交事務を何でもやるという立場にない方が多いわけです。まれにそういう中で、御本人も希望されて、また外交事務一般について興味を持っておられて、どういう任地でも一つ行って外交官としてやりたいという人があればやらせることは可能でありますが、全体としては専門的なことでありますから、その専門職について働いていただくというのが原則になっております。
  93. 受田新吉

    ○受田委員 総領事になる人は、別に外務省の専門職でなくても、こういう立場の各省から来る人も総領事になれますね。
  94. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 制度的になれないことはないのでございますが、ただ総領事の仕事というものは、在留邦人の保護とか、貿易の世話とか、いろいろな雑多なことがございまして、あることの専門家よりも、むしろ割合にいろいろなことをまんべんなくやるという人の方がいい、向いておると思います。
  95. 受田新吉

    ○受田委員 それは、専門家ということと同時に、一方では他の部面にも熱心な人は、そういうことにもなり得る可能性があるわけですから、どんどんこれは採用されていいわけですね。適材をどんどん総領事に採用する。それから大使、公使などに他者からどんどん採用されていいと思うのです。これは飯塚政務次官、一つそういう問題を総合的に判断されて、広く他省からも人材を吸収するという形をおとりになるべきではないか、かように思います。方針として総領事などにもどんどん採用されていいと思います。ポストは相当あるのですからね。
  96. 飯塚定輔

    ○飯塚政府委員 ただいまお答え申し上げました通り制度的には可能性があるということでございますから、御趣旨に従って、適任者があればそういうことを実現したいと考えております。
  97. 受田新吉

    ○受田委員 飯塚政務次官は近くビルマの賠償で特派大使として御赴任になるのでしたね。これはどういう身分、つまり大使、公使の身分で行かれるのですか、どういう形ですか。
  98. 飯塚定輔

    ○飯塚政府委員 それは、この二十二日の閣議で決定されることでありますから、まだ正確にお答え申し上げることはできませんが、大使ということじゃなく、全権委員という形で、その主席として私が出かけることになると思います。
  99. 受田新吉

    ○受田委員 政務次官その他特定の人が大使として赴任することの可能性はどういう場合にどういう法規に基づいてやられるのか。つまり新興国家などの祝賀会などに出られる場合、何の規定によるのですか。
  100. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 外務公務員法の第二条によって、特派大使、政府代表、全権委員、そういうものに任命をいたします。
  101. 受田新吉

    ○受田委員 その場合の給与は、一体何に基づいて出されますか。
  102. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 これは、特殊の任務で派遣する場合でございますから、給与というものはなくて、旅費、日当、そういうものが出るだけでございます。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 ほかには何ら手当がないわけですね、何日おられても。
  104. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 ありません。
  105. 受田新吉

    ○受田委員 外務公務員法の二条で言うのは、特別職の大使という形に準じた取り扱いになるわけですか。
  106. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 外国に駐在する大使の場合は、俸給、在勤俸とございますが、この特派大使の場合にはそういうものはございません。ただ、旅費・日当は大使に準じて支給することになります。
  107. 受田新吉

    ○受田委員 私がお尋ねしているのは、給与じゃなくて、特別職の大使と同じ取り扱いの身分というものが確保されるのかどうかです。
  108. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 外交特権等は、同じ特権を享受できます。
  109. 受田新吉

    ○受田委員 外交特権は普通の大使と同じ。そうすると、特別職の大使としての取り扱いだ。給与をもらわないだけで、特別職であることは間違いないのですね。
  110. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 特別職でございます。
  111. 受田新吉

    ○受田委員 この特派大使、全権、こういう人々の身分というものを規定する根拠は今伺ったわけですが、その特派大使の外交特権、全権の外交特権、そういうものは普通の大使と同様ですね。
  112. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 これは普通の国際慣例で与えられるわけでございますが、大体同様でございます。
  113. 受田新吉

    ○受田委員 何か違うようなところがあるでしょうか。
  114. 安川壯

    ○安川説明員 大体国際慣例で、たとえば出入国の場合の税関検査というようなものが免除されることは、これは特命全権大使であろうと、特派大使であろうと同じであると思います。それからたとえば刑事裁判の免除であるとか、そういう点は同じであると思いますが、特命全権大使と若干違う場合も起こるかと思います。これは相手国の取り扱いによって変わると思いますけれども、たとえば常駐しております外交代表の場合には、たとえば米国の例をとりますと、任地で自動車を買う場合には、免税のほかに特に割引というようなことを認められる場合がございますけれども、常駐しない特派大使が旅行で来たという場合に、かりにそこで自動車を買う場合、常駐しておる大使や大使館員なりと同じ取り扱いを受けるかどうかは、これは相手国の取り扱いによりますから、国際慣例上必ず全権大使と同じ取り扱いをそういう場合にまでしなければならないということはないと思います。
  115. 受田新吉

    ○受田委員 身分論議はこれでおきますが、もう一つ。外交官ではなくて、いわゆる事務的な外務職員としての理事官というのがありますね。この理事官というのは、一体どういう任務を持っておるものでありますか。
  116. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 庶務とか会計とか、主としていわゆる官房的な事務を担当しております。
  117. 受田新吉

    ○受田委員 副理事官というのがおりますね。こういう人々は、在外公館の中においてきわめて冷遇されているような印象を私は受けるのであります。長い間勤務して一向うだつが上がらぬような形になっておるし、またこの人々が日本へ帰ってくるというような際の旅費などにも何か欠陥があるのではないかと思うのです。国家公務員という立場からは同例同級と見るべきものだと私は思うのですけれども、帰ってくる場合の旅費などについても、差別をつけておるというようなことはありませんか。
  118. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 旅費などで差別をつけるということはございませんけれども、担当している仕事が比較的じみでありますし、また最近は専門家の方も大ぜいなりまして、在外公館全般に頭の方が大きくなって、いろいろな負担が下に多くかかってくるという傾向がございます。これはできるだけ是正したいと思って努力しておりますが、増員ということがなかなかむずかしく、十分には行っておりません。ただ、そういった差別的なことはしない。できるだけあたたかい気持でやっていきたい、こう思っております。
  119. 受田新吉

    ○受田委員 赴任旅費、帰国旅費その他において差別しておりませんか。これはきわめて明瞭にしていただきたい。
  120. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 理事官だからということで差別していることはございません。
  121. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、理事官や副理事官がこちらへ帰るという場合は、書記官と完全に同等の基準でやっておると了解してよろしゅうございますね。間違いないですね。
  122. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 法律で一等級とか四等級とか五等級とかいうふうに分かれておりますが、そういった意味の違いは、これは試験でもありますけれども、しかし、理事官だからとか副理事官だからということで旅費を少なくするとか、その他の差別は全然つけておりません。
  123. 受田新吉

    ○受田委員 外国民の情報をキャッチするために、外国人の現地補助員というものを採用する必要はないか。これは国によって特殊事情があろうと思いますが、日本人をわざわざ行かせなくても、外国の適格者を補助員として使う。かつては名誉領事というのは外国人を用いた時代があるわけですね。そうした外国人で適格な任務を果たす人は、外国人で十分間に合うわけですから、そういう制度をお設けになる御用意はありませんか。
  124. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 外国人は現在も使っております。一つは庶務的な面で外国人の雇人を使っております。それからもう一つは、法律顧問的な形で外国人を使っておる例もございます。それから名誉領事に外国人を御承知通り使っております。
  125. 受田新吉

    ○受田委員 外国人の補助員というのは、給与などはどうなっているのですか。現地の事情などで、ニューヨークなどはどういうことにしてありますか。
  126. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 これはそれぞれ国によって給与の水準も違いますから、一がいに言えないのでございます。予算の範囲内でなるべくたくさん出したいと思って出しておりますが、これは全世界的に給与が上がっておりますために一非常に苦慮しておりますのが実情でございます。
  127. 受田新吉

    ○受田委員 ニューヨークなどは非常に激しい経済の中心地であるから、そういう補助員の採用または給与の適正化ということを十分考えていかなければいけない。  いま一つ、ニューヨークの場合は、総領事という立場にあるがゆえに他の国とのバランスを欠いている、大使の任務を持って総領事の職務を行なうということも主要国はやっていると私は聞いているのです。あのニューヨークの特殊事情はどうですか。単なる普通の平の総領事のような形でなくて、経済の中心地として、もっと高い格式で何か地位をきめていく必要はないのですか。私はしばしばそれを体験してきたわけです。
  128. 高橋覺

    高橋政府委員 ニューヨークの場合に、ほかの国が総領事じゃなくて、大使の身分で活動しておるというお話でございますけれども、これはちょっと事実をお間違いになっているのじゃないかと思います。各国ともニューヨークに常駐いたしますのはすべて総領事でございます。それから、もちろん国連関係には、各国とも代表部に大使を置いておりますし、ワシントンにおります大使は随時ニューヨークに出向きまして、所要の金融界、経済界との接触ということは各国ともやっておりますし、わが方もやっておるわけであります。ただ、各国ともやはり総領事でございまして、総領事が同時に大使の身分を持っているというような例はないはずでございます。
  129. 受田新吉

    ○受田委員 ニューヨークに勤務するおもな国の在外公館責任者地位がどういうものになっているか、ちょっとお知らせ願いたい。
  130. 高橋覺

    高橋政府委員 各国とも、国際連合の代表部には、大部分の国はそれぞれ大使のランクを持った代表を置いております。わが国も御承知のように置いております。その他の機関としましては、各国とも総領事館ないし領事館であります。
  131. 受田新吉

    ○受田委員 ニューヨークに関する限り、あそこに派遣されている人で、国連以外に大使あるいは公使の身分を持った人が駐在しておりませんね。間違いありませんね。これはよく確認して御報告を願いたい。
  132. 高橋覺

    高橋政府委員 ないと思います。
  133. 受田新吉

    ○受田委員 あなたの方で調べられてないということであれば間違いないかもしれませんが、私、あそこにある各国の在外公館には、非常に責任のある立場から、大使もしくは公使の身分の人が駐在しておると聞いてきたわけでありますから、これはちょっとお調べ願いたいと思います。  最後に、飯塚政務次官に、あなたでけっこうなんですが、お答えを願いたいことは、認証官である大使、公使の中に九万八千円という俸給の人がおるわけです。認証官、特別職の中で、こういう低い給与をもらっている人は秘書官を除いてはないわけです。一国を代表する認証官として出られるのに、十万円に足らぬ給与で出られるというのは、実質を伴わない認証官というそしりを免れないと思う。この低額の大使や公使を置いておくそのことに問題があると思うが、いかがでしょう。大使の一号俸及び公使の一号俸はいずれも九万八千円です。これは外務省から局長クラスが大使や公使に転出する関係で、急に上げるわけにいかぬとかって答弁を聞いたことがあるのですが、少なくとも認証官の地位にある者がこういう薄給で派遣されるということは、国際権威にも関する問題だと思うのです。
  134. 飯塚定輔

    ○飯塚政府委員 資格と給与、さらにその国と国際的な立場ということから考えると、仰せの通りだと思いますが、実情については、官房長からお答えを申させたいと思います。
  135. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 もちろん待遇はいい方がいいのでありますが、ただ、最近は、生活条件の非常に悪いところもたくさんありまして、若い元気な人を抜擢してそういうことにさせたい。そうなりますと、そういうのに初めから高いものをつけるのもどうかという遠慮もありまして、御説のような程度の俸給もあります。ただ、認証官だから高くしなければならぬとは必ずしも考えておりません。国を代表していく者の場合には、その任命について認証という一つ丁寧な手続を踏むということで考えております。
  136. 受田新吉

    ○受田委員 質問を終わります。
  137. 永山忠則

    永山委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。  本日はこの程度にとどめ、次会は、明二十日十時理事会、十時半委員会を開会することとして、これにて散会いたします。    午後一時四十七分散会