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石橋(政)
委員 非常に抽象的な
お答えなんですが、一たび事故が起こったときの損害は非常に大きいんですよ。ちょっとやそっとの損害とは考えられないと思う。だからこそ、この条約がつくられたときも、十五億ポンドですかフランですか、約一億ドルというワクの中で考慮されておった。一たび事故が起こったときの損害の大きさは想像できるんです。それを、
地位協定か公船法とかいうことじゃ、全然救済されないじゃありませんか。しかも、過失相殺主義がとられている。
地位協定では二千五百ドルまでしか見てもらえない。公船法になりますと、これも額としては知れておりますし、手続がまた非常にめんどうだ。損害は受けっばなしという事態すら想像される。しかも、責任があるとかないとかいうことは、こんなものを持ってきたところに責任があるんです。どっちの船がぶつけたかということなんか問題じゃない。こんなへんてこな迷惑なものを
日本に持ってきたから、事故が起きるので、持ってきたことに私は責任を
感じてもらいたい。
日本としても非常に犠牲を払って認めるのだから、これくらいの主張は最後まで貫いてやれると思う。何か糊塗的な手段で埋め合わせがつくというような問題ではないと思う。あくまでもこの思想は最後まで貫いていただきたい。それで、来なければ来ないで幸いじゃありませんか。
アメリカ側が言っておるように、単に兵員の休養あるいは水の補給くらいが目的だなんという、これはうそっぱちですが、その程度のものならば、こういう大きな犠牲を払ってまで
寄港を認める必要はありません。慰安設備がどんなに
日本がいいのか知りませんが、そういうところでほめてもらいたくありませんよ。
お約束の時間ですから、
外務大臣はどうぞ。
先ほどの話に戻って結論をつけたいと思いますが、外国にも何回も
寄港した、多数の国にひんぱんに
入港したが、
寄港地で海水が汚染した例はないということを
アメリカはぬけぬけと言っておるわけですが、海水が汚染されないという自信がおありなのかどうか、この点について
お尋ねしておきたいと思う。これに関連してもいろいろな説明が科学者から発表されております。私たちしろうとがそういう説明を聞くと、非常に大きな不安を感ずるわけです。たとえば、先ほど引用しました服部助教授の説明によると、
原子力潜水艦にたくわえられる死の灰は五キロから十キロこえると思われる、広島の
原爆によってまき散らされた死の灰の量は一キロ前後であり、もし大きな事故が起こり、艦内の死の灰が漏れた場合、被害はかなり大きなものになろう、
米国では潜水艦の
寄港地を指定し、事故の際、艦を外洋に引航する舟の準備などを整えている、
原子力潜水艦が
入港することは、出力五ないし十キロワットの
日本最大の原子炉が国内にできることを
意味するから、
政府は安全保障を講じてほしい、こういうことを言っておられる。また、東大の檜山教授は、
原子力潜水艦の死の灰は艦内にためられるが、原子炉の冷却水は放射能を帯びたままたれ流しにされると推定される、この放射能が魚の体内に濃縮されてたまっている、冷却水をまとめて捨てたと思われる海域では、海水中の放射能が異常に高く、その周辺の魚の中には人体許容量の数百倍という放射能を持っているものが発見されている、こういうようにも述べられておる。現に、檜山教授は、東京湾の近くで異常に放射能を帯びたプランクトンですか、魚介類を発見されたと前に報道されたのを私記憶いたしております。ところが、
アメリカ側の説明によると、こういったプランクトンあるいは魚介類による、体内に入って濃縮されるというような計算は、全然無視されているように伝えられておるわけです。このようないろいろなことが説明されるにつけても、ただ事故を起こさないで入ってきただけでも海水は汚染されるのではないだろうかという不安を持つのは、これは当然です。これについても、絶対そういう心配はないという自信を
科学技術庁としてお持ちになっておられますか。