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石山委員 総評の欧州並みの
賃金という言葉をどういうふうに見ているか、評価しているかということを聞いているのですが、言いにくければ言わぬでもよろしい。けれ
ども、そういうことも、皆さんの方では答弁する用意があってしかるべきだと思う。そのくらいの権威を持たなければいかぬと思っているわけです。
それから、私
どもは、
労働省で出しているいろいろな統計等の中で、こういう言葉が気になるのですよ。
賃金が安定してきたとか、急上昇を来たしているとか、日本の
賃金というものはここのところぐんぐん上がっている、しかも安定している、それから中小企業と大企業の
賃金の格差が狭まっている、こういう言葉をやたらに使うのだ。それはその
通りなんですよ。その
通りだけれ
ども、その言葉は、現実を肯定した上に立った言葉なんです。世界中で一番低い
賃金を肯定した中から、上昇したのだね。極端に安くないという言葉を使っている。極端に低くはない日本の
賃金事情とか、それこそ――それは一般の人をばかすという言葉じゃないのだろうけれ
ども、やはりよくないと思うのです。
労働省でなく、よその省でとって、そういうことが――この前、経済企画庁が例の生産性と
賃金の問題を論じたときは、私はしろうとだからと思っておったのだけれ
ども、
労働省が、いやしくも
労働者にサービスをするというような新しい意欲のもとにできた
労働省が、こういう言葉をやたらに使ってよいかどうかという疑問を私は持っている。これはあなた方の白書を見れば、ちゃんとそういう言葉が書いてあるのだから、用語についてはやはりもう少し注意していただきたいと思うのだ。これは比較論でございますけれ
ども、いかにも一般の中小企業の方々からいえば、こんなにたくさんやらぬでもいいのじゃないかというような印象を経営者に与えるような個々の文章が見える。これはやはり
実態は進行しつつあるけれ
ども、それは国内における比較でございまして、国外と比較をすれば、日本の場合は何と申しましても東南アジア並みですからね。そういう言葉の使い方についてはかなり慎重に使っていただきたいということを、私は最近の
労働省発表の文章を見て感じました。
これからの問題について心配になっている点は、これは労働
委員会でもかなりに論じられている問題だと思うのですが、盛んにいわゆる合理化が行なわれている。合理化によるところの第一次の場合は配置転換でございますね。企業内における配置転換くらいならいいけれ
ども、全然業種の違った配置転換を行なわれるので、職業訓練その他は非常に活発にやっておると思うけれ
ども、これはなかなかその
通りにいっていないのではないか。特に、私はこの前にもお聞きしておったのですが、農村から出てくる中年者の再教育については、この前見るべき説明がなかったのでございます。その対策はかなりに進んできていると私は思うので、この際、その対策について一つ説明をしていただきたいと思います。
それから、これは
賃金部直接になるかとうかわかりませんけれ
ども、
公務員の給与を私
ども取り扱って直接感ずるのは、初任給をば高くしなければならぬということを言っているのです。初任給を高くしなければならぬということと、普通一般にいっている職能給、職階給、あるいは技能給と申してもよいのですが、これはそれぞれの言葉があるように思います。それぞれ特質があって、一概には言えないようですが、初任給を上げろ、これは学校を出た人たちのために尊重されなければいけない。これを上げていくと、今の民間で考えている技能給、職階給、職能給と言っておるようですが、これもぐんぐん上がっていかなければならぬわけなんだね。これは見てみると、そうではないようです。初任給を上げても、上は上がっていくけれ
ども、中はなかなか上がらない、三日月型が極端に最近出てきているのではないか。ここに中年層の悩みがあると思います。特に子供の学校に経費のかかるような年配になった場合に、どうも昇進、昇号がおくれている。ですから、
賃金形態を考えてみる場合に、実質
賃金という言葉があるわけなんですが、最も生活に困っている人にその
賃金を与える工夫、そううい体系こそ必要なんでしょう。初任給はもちろん上げなければならぬけれ
ども、これは一人身だと言ってもよろしい。それで、子供が二、三人いて学校に経費がかかる人たち、こういう人はむしろ押えられているのではないか。これは
公務員給与のベースを見ると、そういう現象が出てきておりますが、
公務員の場合は、民間の給与のそれをふんまえて体系をつくっているわけですが、民間の大ざっぱな傾向はそういう傾向にあるのかどうか、人事院の説明を聞くと、そういうようになっているようですが、それでいいのかどうか、お尋ねしたい。