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重田参考人 私、
全国有線放送電話協会の
理事の
重田でございます。本日
参考人として、この
機会に、
有線放送に関する所見を申し上げる
機会を得ましたことを非常に光栄に存じておる次第でございます。
今
国会において審議を進められておりますところの
公衆電気通信法及び
有線電気通信法の一部
改正の
法律案の
内容は、われわれが多年
要望しておりました
有線放送電話に関するわれわれの
要望をひとつ認めてやろうというような御
趣旨で
改正が進められておる、この問題に対しましては、衷心から
感謝を申し上げておる次第でございます。
法案の
内容につきましてもいろいろ拝見いたしましたところ、われわれが多年繰り返し
お願いしておりましたことを取り上げていただいておる点に対しまして、非常に
感謝を申し上げておりますが、まだ一、二われわれの
満足のできない点もあるのであります。まずこの
機会に、
有線放送電話の
特徴と申しますか、特別なものであることにつきましては、すでに
皆様方におかれても十分御
認識のことと思いますが、
放送と
電話の両方の機能を持っているということは、これは周知のことですが、いま
一つは、これを設置し
運営をしておりますところのそれぞれの機関が、その
構成員である
電話加入者の
経済力による
負担にたえて
運営ができるという、ことばをかえるならば、非常に安い経費で合理的に
運営せられるというところに
一つの妙味があるのであります。しかも、いままで
電話なんというものは、高ねの花で、とても身近に引くことのできない
地帯、しかも
人口疎にしてこちらに一軒、あちらに一軒というところにくまなく
電話が引ける。したがいまして、
有線放送はどこまでもその
地域における大
部分の
——あるいは一〇〇%のところもあるでしょうが、大
部分の
住民が加入しなければ、いわゆる
設備のコストにおいても、日ごろの
運営においても、合理化されないのでありまして、いま
全国に二千六百できておりますが、非常に喜ばれてたくさんできているというふうに簡単にお
考えになりまするが、実は私も、
神奈川県の
成瀬農協の
組合長として、この
有線放送電話法の
施行前に、千葉県で盛んに
電話が
農村に引いてあるのだから、
組合長、おれのほうにも引けということからこういたしまして、当時手をつけて引いたのでありますが、そのときの行き方につきまして、これはいまでも同じであると思いますが、全員のほとんど大
部分が
賛成をして、しかも
自己負担をするということがきまらなければ実施ができないのであります。でき上がったものを見てごらんなさい、非常にスムーズにいっておりますが、現在
有線放送を引きたくても引けないという
地帯が、その
内容を検討いたしますと、それは
経済力がないわけではなく、
負担も納められるけれ
ども、どうも二派に分かれてけんかしておる。半分
賛成できないでは、半分では、一軒おきに引いたのではむだだということで、議がまとまらないで引けないというのがずいぶん各所にあるわけでありまして、言いかえれば、
有線放送電話が引いてある
地帯というのは、とりもなおさず非常にその
地域が事が一致して、
共同一致の精神に燃えて平和である、
派閥争いをしていないのだという証拠にもなりまして、
政治の上から見ましても、きわめてこれは、
有線放送のあるということは、すでに一歩
住民の意識が進んでおるんだというふうにうぬぼれた解釈をしても差しつかえないわけであります。したがって、大ていのところが、その
地域に八割以上の
加入者の同意を得て実施していられるのが
現状でありますし、しかも、一たんできた以上は、その
中心であるところの
放送並びに
交換の
施設は、
人間でいうと、ちょうど
心臓部と同じでありまして、それから全部血液が末端の
個々の
加入者まで伝わっておる。したがって、
個々の
加入者が
電話を持っているということは、
一般電話を引いているということの感じとは全然別でございまして、
自分たちが金を出して、
自分たちがつくったものだ、
自分たちのものだというその自覚に、非常にふだんにおけるところの
運営、たとえばちょっと風が吹いて電柱が曲がっても、この
部落の者だけが寄って直していこう、あるいは木の枝がはびこってきて電線に触れているという場合には、その
部落で出ていつの間にかそれを取り払って
電話の
保守をしておる。こういうような目に見えない、
自分たちの路線を守るのであり、
自分たちの
電話を保護するのだというこの
考え方は非常なものでございまして、これがいろいろの仕事をする上において、また、大きなプラスになっておるのであります。そのことを、実施している
責任者として特に痛感しておりますので、
有線放送の
特徴としてちょっと申し上げさせていただきます。
今回の
法律案の
内容を拝見しまして、大体において
賛成でございます。ことに
有線放送の
施設は、一日に言うならば、ピンからキリまであるのでありまして、非常にデラックスなりっぱなものもあります。
秘話装置がついて、話をしても隣にも一切聞こえないというりっぱな
秘話装置のものもありますれば、非常に簡単なもので、
裸線で、粗悪なものもあります。したがいまして、一がいには言えませんが、とにかく
規格のいいものに対しては、
公社電話につないでその便に供する。その
規格があまり劣るものに対しましては、その
区域内の
電話局の管内の
一般電話につなげる、こういうふうに
一種、二種に分けて
考えられておりますことについては、非常に
賛意を表しておる次第でありまして、どこまでもこれを自主的の
有線放送の
施設者の
立場を考慮せられまして
考えられた案としまして、
施設者側としては非常に
賛意を表しておる次第でございます。
ただ、この
機会に、
有線放送は、私的にちょっと
農業協同組合とか
市町村が始めましても、実際の毎日の
運営は
公共性を持ったものであります。
一般の
通話以外に
放送伝達のこのことは、かかって
住民の福祉に関係したことのみでありまして、非常に
公共性の高いものであるにもかかわらず、どうも今回のこの
法案改正についても、
有線放送というものを、非常に
公共性の高いものであるというようなところがあまり認められていないように感ずるのでありまして、
有線放送を健全に育成するんだというような
趣旨で、
有線放送電話法というのがありますが、この法に対しての
改正が何ら顧慮せられないところは、われわれとして一まつのさびしさを感じておる次第であります。と同時に、国が将来
無線放送をどうお
考えになっているんだということに対しての基本的なお
考えが十分うかがえない。ことに
農山漁村において、あの広い
地域に
一般電話が十二分に
普及するという時代は、百年河清を待つのみであろうというような感を深くしておると同時に、私、
神奈川県でございますが、
神奈川県では
都市近傍は非常に発展しておりまして、
電話が何年たっても引けないという
現状においては、当然
有線放送で一時われわれの
通信の便を得たい、そういうような
考えが熾烈でありまして、いま県下の大
部分に
有線放送が引かれておりまして、あたかもその数は横浜、横須賀、
川崎というふうな
都市の
近傍の
農村にも
普及している、こういう
実情でございます。今度
接続が認められまして、
公社の
指導、
援助を受けることは、
有線放送側としては非常な期待を持っておるのです。ぜひこの
専門の
電話の
公社におきまして、
有線放送の
電話の大
部分に対して十二分の御
指導、御
援助を賜わりたいと思いますが、それがあまりにも過ぎて、あるいは検査、監督と申しますか、それが厳にして、
個々の
有線放送の
設置者が非常に苦しむようなことがないように、特段のひとつ御考慮を賜わりたいというように思っております。
あえてそういうことを申し上げるのは、現在の
試験設備におきまして、実は
加入者は非常に喜んでおりまするが、その経営に当たっておる
理事者が非常に苦心されておる
実態が生まれておるのであります。このことを見ました場合に、やはり
有線は
有線としての
一つの特色があるし、この点をいま少しく考慮せられたいということがわれわれの
考え方でございます。
なお、同一
市町村内にある二つ以上の
有線放送を
相互接続を願いたいということの希望も前々からしておりましたが、これも認められまして、
共同設置はいいということに相なるようでありますが、この場合、従来だと、従来もそうしたことを
農協の
合併等において
電話の
一つも持ちたいということを申し入れておりますと、いままであったものを廃止して、
廃止新設の
手続を取るということでありまして、これは
手続の上においても非常にめんどうでありますし、また、実際問題として新設する場合に、
農村の
実情が非常に違った
地域においては、ここには
一般の
電話が、
人口千に対して十七以上入っている、これは
除外しなければならぬ、こういう問題を非常に提起されるのでありまして、これは
有線放送をやっておるものにとりましては致命的な打撃でございまして、ことに
農協あたりにおいて全
組合員に
有線放送が入っておる場合に、ある
地域だけがその
部落の隣に
電話が入る、
集団住宅ができた、それでここは
除外だとなると、その
組合員だけ別に扱わなければならぬ、何らの
放送も
連絡もできなくなる、こういうことは
理事者として忍びないことであります。ことに
市村町でやった場合に、
町村民の、ある
部分だけを
有線放送を引くことはできない、引いてはならぬというようなことで
規制されましたのでは非常に因るのでありまして、
現状においては、そういういわゆる
認定基準によって、
除外区域というものを
行政措置としてされます。これはきわめて
有線放送としては困る問題でございまして、どうか引きたいものには引かせていただきたい。ことにいまの千分の十七というのは、統計によりますと、ちょうど百軒の
部落に七軒の
一般電話が入ると、もう
有線放送は聞いちゃいかぬ。それでは九十三軒の人は、
公社電話を引かない限りは、
電話の便には浴することはできない。隣の
部落までであって、
自分たちの構成している
市村町なり
農協が実施していながら、それにあずかることができない、こういう
実情でございますので、これはぜひともこの
行政措置の緩和を願いたい。相なるべくは、撤廃を願いたいというのがわれわれの
お願いでございます。
いろいろ申し上げましたが、なお
接続にあたりまして、
一種、二種ありまして、
一種はその局区内、二種は一
中継でその
県内に限るという条件をつけられたことは、これは非常に痛いことでありまして、ことに
神奈川県等においては、
県内に限るとしたならば、
川崎市の
農村部では、東京の市部とは全然話ができない、こういう
実情でございまして、どうぞこれも県なんという
区域ではなく、一
中継という
一つの
制限があるのですから、一
中継でいいということに二種をしていただきたいいうことが
お願いでございます。
いろいろ申し上げましたが、以上、この
法案に対しまして、われわれの
お願いを申し上げて、御
参考になるかどうか、ひとつ
施設者の
立場で申し上げさせていただきました。(
拍手)