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谷口委員 ここに私はたくさんの事例を持ってきております。たとえば安保闘争の座談会の中で、福井さんとおっしゃる方の
意見が削除されたとか、その他たくさんここに持ってきておりますが、私鉄の問題が一番わかりやすいから申し上げたのであります。もちろん現地録音だからといって、その全部を出せるものではないのであって、そういうことを私
どもは言っているのではない。ストライキを
反対する人の
意見が出て、支持する人の
意見は出してない。大体現地において録音されたときには、支持派とか
反対派とかわからぬでそれぞれ自由におやりになったのだろう。その場合の扱い方が、支持する者と
反対する者と両方ある、その割合はこうこうだという、少なくとも割合がわかるような
編集をすべきだ。しかし、昨年の私鉄ストの場合、ストライキを支持するという人々の
意見が相当あったにかかわらず――全然とは言いませんが、ほとんど反映されないように支持派の人々の録音を削ったという事実がある。そういう
やり方はよろしくない。(「計画して動員しているんだろう」と呼ぶ者あり)計画的に動員しようとしまいと、そこに集まってくる人々は
NHKが公正な大衆だと見て録音したのです。そういう点で私は今、前田さんのおっしゃるような
言い方では、ほんとうに実体は改善されないのではないかと私は思う。
NHKを攻撃しているように
考えてもらうと困る。
NHKのあり方というものは、たとえば
NHKの中の前田さんなら前田さんが気に食わぬ
意見であっても、そういう
意見があるという事態が現実にあるならば、そのことを反映していくのが
編集方針として
NHKの
任務であると思うということです。
反対に、むしろ
NHKの気に食わないもの、あるいは
政府の気に食わないもの、そういうものの
意見を反映させるなという
やり方になってきているというふうに、私
どもは現実の中から見ているわけです。また事実
共産党は一度も
国会討論会に出ないという問題を私は言っているのであって、これはよろしくないということを言っている。ですから、これはすなおにそういう点は削られたら削られたと言ったらいいと思う。幾つもあります。劇の問題もあります。いろいろあります。そういうことは私はよろしくないと思うのです。そういう点を直していって、ほんとうに公正に――
中立性でないとあなたはおっしゃったけれ
ども、不偏不党ということは中立ということなんです、
政治的に。あらゆる
意見を反映させるということは中立なんです。あるいは公平な
立場です。これを貫くのは
NHKの
任務であって、そうでなければ――
NHKというものは株式会社でも何でもないのであって、われわれの料金でできている
公共放送だ。その
公共放送にはっきり
法律でそういう
任務が
任務づけられている。これを
自分の
判断で
編集権の自由だということから、勝手なことをやられたのでは、これは
NHKの
任務を
皆さん放棄したと同じことになる。そういう
やり方はいかぬと言っている。そういう点ではやはりあなたのお答えでは、私
どもは納得できません。そこで、この点につきましては、実は
大臣いらっしゃらないので残念でありますが、政務次官に伺います。
昨年の一月じゃないかと思うのです。政務次官、あなたの任期の前の話でまことに申しわけないのですが、
政府代表で来ていらっしゃるのですから伺いますが、参議院
選挙の前に、何か理由をつけて
共産党を締め出さなければならないが、その
共産党締め出し対策を
政府機関の諸君と――これは
NHKは出てなかったのでありますが、民放とが集まって、その研究会を、あるいは対策
会議をやっている。ここへ集まったメンバーは、内閣法制局第一
部長の山内一夫、郵政省
電波監理局放送業務課長の高田静雄、同法規課長の田所文雄、自治省
選挙課長の中村啓一、それから同
選挙課第二係長の中上政雄といった
政府の高級官吏、官僚、この
人たち、それに対して民放連から、
放送倫理委員である本荘貫一、石橋清、富田幸男、同じく民放の
放送基準専門委員である岩井隆一、平松竜英、大野利明、鳥沢庄台、それから山口直、森脇国幸、高野孝一、伊藤某、木田某等々という
人たちが集まって、そして
共産党をどうして
放送からはみ出すかということについて研究会、対策
委員会をやった。私
ども全部資料を持っておりますが、ここで公表されたものだけを読んでみます。これは民放のどこの人が言ったか知りませんが、とにかく
共産党を扱わないとは、見識上コードにできない、どう上手に盛り込むかだ。
放送局にすれば公の席上では言わないが、根底にはやりたくない気持がある。これが憲法の
言論の自由とぶつかるので困る。そこで法制局から出ているのが言っています。
共産党が百五十万とれないと思えば、その線を百五十万とすればいい。これは
内容をちょっと説明しますと、
共産党が今度の
選挙では百五十万とれないと思ったら、百五十万以上とる
政党でなければ
放送をやれぬという
基準をつくればいいのであって、そうすれば百五十万以下だからという理由で
共産党を入れる必要はなくなる。だから、たとえば百五十万以上
共産党がとれぬというふうに
考えたら、そこに
基準をつくってやれば、うまく
言論の自由の
圧迫ということにはならぬので、締め出すことができる、こう法制局は教えている。それから民放がそう言っても、取材しろといってこられたらどうしましょう。郵政省がこう言っている。
編集の自由で、自由権はこっちにあるから、取材しようとしまいと勝手だと言え。今、
阿部先生おっしゃった通り、
阿部先生、郵政省の言っている通りのことを言っている。それから法制局がまたこう言っている。ニュース・バリューの問題だ、これにはニュース・バリューがある、自主権を行使する
基準があるだろう、つまりニュース・バリューがないとか何とかいうことを言うとか、ニュース・バリューのあるものから先にとるんだ、そういう順番があるという
言い方をすれば、つまり
自分の
編集自主権の見地から、これを拒むことができるだろう、こう言っている。自治省もまた言っている。
政党法が制定されても
共産党は入ってくる。
政党法が制定されても入るだろう。
放送に限り立候補者の数を上げて民放の
基準にすればどうだ、こう言って自治省も教えている。そこで民放はこう言っている。かりに総得票数の一割を限度にしても、
共産党が入ってくるおそれがある、そう言ったら、自治省はこう言っている。そうだ、そういう点では、大阪だけが問題だ、一割以上とれますからな。他はかりに民社が少なくてもキー局の方針とか、あるいは土地の条件などを考慮するということで逃げることができるだろう。まあ読み出すと、たくさんありますからなんですが、とにかくこれは
政府の役人と民放の職員が集まって
共産党をはみ出すことについて現行の
法律をどう解釈し、どう運用してうまくはみ出すかについての対策
委員会、研究会をやっている。こういう
やり方をやってまで、
反対意見を反映させるというこの
放送法の原則を、
政府自身がくずそうとしていることについて、この事実について、政務次官、どうお
考えになりますか。