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1963-03-07 第43回国会 衆議院 逓信委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月七日(木曜日)    午前十一時開議  出席委員    委員長 本名  武君    理事 大高  康君 理事 岡田 修一君    理事 栗原 俊夫君 理事 森本  靖君       上林山榮吉君    小泉 純也君       椎熊 三郎君    鈴木 善幸君       中山 栄一君   橋本登美三郎君       保利  茂君    安宅 常彦君       畑   和君    谷口善太郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小沢久太郎君  出席政府委員         郵政政務次官  保岡 武久君         郵政事務官         (大臣官房長) 武田  功君         郵政事務官         (電波監理局         長)      西崎 太郎君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     阿部真之助君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    溝上  銈君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   田辺 義敏君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     赤城 正武君         参  考  人         (日本放送協会         経営第一部長) 野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         主計部長)   志賀 正信君     ――――――――――――― 三月六日  加入電話施設整備に関する陳情書  (第四三〇号)  区域内と区域外加入電話使用料格差是正に  関する陳情書  (第四三一号)  電信電話通信網整備拡充等に関する陳情書  (第四三二号)  電話加入権質に関する臨時特例法の一部を改正  する法律案成立促進に関する陳情書  (第五〇〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基  づき、国会承認を求めるの件(内閣提出、承  認第二号)      ――――◇―――――
  2. 本名武

    本名委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件を議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。谷口善太郎君。
  3. 谷口善太郎

    谷口委員 大臣がお見えになっておりませんのでなんですけれどもNHKにの阿部会長がお見えになっておりますから質問に入りまして、あとで大臣見えてからその点の問題をまたもとへ帰ってやりたいと思います。  阿部先生、また反対者質問で申しわけないのですが、私この逓信委員会で二回ばかり、NHK番組の中で、当然共産党参加すべき番組にはやはり参加させていただきたいこと、あるいは参加させるべきだという問題を申し上げて参りました。しかし、相変わらず、選挙におきましての公職選挙法に基づく場合は別といたしまして、その他の、たとえば国会討論会とか、あるいは当然各党派意見がそこに反映されるような番組には、共産党が排除されておるのが実情であります。共産党員の私が、共産党NHK放送に他の諸党派と同様に参加させろという話をしますと、自分の功利的な要求のように聞き取られるおそれがあると思いますけれども、そうではないのでありまして、政治問題について意見を持っている一つ党派参加は、これは放送法建前から申しましても当然でありまして、NHKとしての本来の任務の上から、共産党という特定政党という意味ではなくて、各党派を網羅するという建前を貫く上で当然のことだと思うのであります。しかし、依然として共産党が排除されているという状況がありますが、これは一体どういうわけでしょうか。その点をここでもう一度先生にお尋ねしておきたいと思います。
  4. 阿部真之助

    阿部参考人 NHKといたしましては、特定の党を排除するというようなことはしておりません。共産党の方が放送討論会などに参加していなかったということは、放送討論会に出ていただく方は、大体国会交渉団体である、もしくは、ある場合にはそれに近いというふうな数を基準にしていることだろうと思うのでありまして、共産党がもっと多数の方を国会に送られることになれば、当然共産党の方もこの放送討論会参加していただくことになるのだろうと私は理解しております。   〔委員長退席大高委員長代理着   席〕
  5. 谷口善太郎

    谷口委員 そういたしますと、たとえば放送討論会などに共産党が出されないということの理由として、国会の中で少数党であるからということが基準になっているというふうに考えていいわけですか。
  6. 阿部真之助

    阿部参考人 さように御了解下さってもよろしゅうございます。
  7. 谷口善太郎

    谷口委員 国会の中で少数党であるということのために、各党派意見を反映させぬ、特に放送法の中に書いてあります通りに、意見の一致しないもの、あるいはいろいろな意見があるものは、それぞれの意見を反映させるようにすべきだと規定されておりますが、国会の中で少数党であって交渉団体ではない、あるいは交渉団体に近い数を持っていないということで放送討論会などに共産党を呼ばないというふうに基準を立てられておるとしますと、やはり放送法建前からいって私は違反だと思うのですが、先生、そう思いませんか。共産党国会の中で少数党だ。しかし、選挙にあたりましては、これはもう国会の中の勢力のどの党もありません。共産党といえども、その場合は、立候補者数あるいは党員数あるいは共産党が幾つかの政党の中で特異な、それぞれ独特の意見を持っているという党派として、社会的に決してそう小さいものじゃないと思うのであります。従って、国会の中で少数党だからという点も法律違反だと思いますが、同時に、選挙に際しましては、当然立候補者数なんかを考えますと、決して少数党とか小さい政党とは言えないという実情を持っております。それでもなお共産党参加させぬということの基準といいますか、原則的なお考えがあるんだろうと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  8. 阿部真之助

    阿部参考人 私は法律のことは全くしろうとでわかりませんが、この番組は、NHKの独自の立場番組を組むものであります。これはどういう番組を組もうが、それは法律違反になろうとは考えておりません。ただいまの問題は国会討論会でありますが、国会討論会でございますから、国会に送っておる数、大体交渉団体くらいのものをわれわれは基準――と言ったら少し窮屈過ぎますが、そこらあたりをめどにしてわれわれは番組を組んでおるのでありまして、国会外の問題になれば、たとえば選挙の場合には各派各党公平に私どもは扱うようにいたしたいというふうに考えております。
  9. 谷口善太郎

    谷口委員 放送討論会だけではなくて、たとえば選挙に臨んで特に重大な政治問題があるというような場合、こういう場合には、今、先生のおっしゃったように、国会討論会だから国会の中だというようにおっしゃるならば、国会討論会名前でもって重大な時の政治の問題を論ずる、あるいは国会討論会という名前でなくて、別の政治問題を論ずるというような場合には、当然そういう一つ立場として共産党を出すべきだと思うのです。それにもかかわらず、やっぱり共産党参加番組は皆無といってもいいくらいな状況にあります。これは私が冒頭に申しましたように、共産党の幹部でありますからこういうことを言うのではなくて、NHKの本来の任務からいいまして、こういうやり方は、やはり放送中立性あるいは公平性という立場からいいまして、大へん間違いだと私は思うのです。そういう点、やはり今後もこういうふうなやり方で、共産党国会の中で少数であるから、そういう番組にも参加させないというふうにおっしゃるのですか。それとも、今後NHK任務の本来の建前からいって、共産党をできるだけ出していく、あるいは各党派を出していくという方向をおとりになるのか、その点もう一ぺん確かめてみたいと思います。
  10. 阿部真之助

    阿部参考人 ただいま申し上げたことで尽きていることだろうと思うのでありますが、共産党なるがゆえに排除するというようなことは私は断じていたしておりません。もしも共産党意見を聞くことが、国民多数のために非常によかろうとわれわれが独自の見解考えた場合においては、進んで共産党の方に番組に入っていただいて話を聞くということは当然のことなのでありまして、将来をどうするとか、現在はどうだというようなことではなしに、私どもは私どもの独自の立場において判断して番組を組んでおるのでありまして、ただいま問題になった国会討論会の場合においては、繰り返して申し上げますが、共産党がもっと国民多数の輿望を得て国会に多数の議員を送られた場合においては、これは当然われわれは無視することはできない。そのことのゆえに、国会討論会には共産党の方も参加していただくということは当然のことだろうと私は考えております。
  11. 谷口善太郎

    谷口委員 共産党が将来もっと多数になった場合というようなことを言っていらっしゃいますが、今は少数党だからやらない、一体法律のどこにそういうことが書いてありますか。少数党意見を発表すること、番組に入れないということがどこに書いてありますか。  それからもう一つ、独自の見解でわれわれはやるのだとおっしゃいますけれどもNHKは独自の見解というものを無限の権力として持っておるのではないのです。放送法にちゃんとNHK番組編成についての基準が書いてある。それを守らなければならぬという義務がある。その場合、独自の見解だから、編集上の権限としては自由だからということで、勝手にやられて、法律規定されたものを無視されるということになってくると、これはとんでもないことになると思う。そういうことをなさっていて、それでもいいとおっしゃるのですか。私はそうじゃないと思う。その点は、NHK放送番組を編成する場合の内容がはっきりと書いてある。独自の見解ということで、あなた方が何でも勝手にできるということではないのであって、その内容がはっきり書いてあります。これはやはり先生おっしゃるのはちょっと言い過ぎじゃないですか。
  12. 阿部真之助

    阿部参考人 お答えいたします。われわれの独自の見解ということは、むろんNHKの中にも放送に関する番組基準があります。この基準にのっとっていることでありまして、自分の勝手ほうだいなことをやるという意味ではむろんないのであります。しかしながら、今やっていることが放送法違反しているとは私は考えておりません。
  13. 谷口善太郎

    谷口委員 放送法のことは、あなたはわれわれよりももっと詳しく御承知のわけでありますから、そんなことで押し合っていても仕方がないのでありますが、しかし「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」というのは、これは放送法四十四条の第三項第四号にちゃんと書いてあります。その他この放送法全体を見ますと、いろいろ意見を持っておるものは、それをまんべんなく反映させるということが、放送法中立性公平性ということから規定づけられている。共産党は一番鋭い反政府的な政党であります。一番批判的な政党でありますから、こういう意見を反映させないで――あなたは独自な考えからということについても、放送法にのっとってとおっしゃいますけれども放送法にはっきり書いてある。そういう対立した意見を持っているものを入れなければならぬということが書いてあるのであって、それが皆さんに与えられた任務なんです。だから独自な考えということについては、ただ無制限的に、何でもかんでもやるということではないとおっしゃいましたけれども、そういう立場でやっていられるとしか見られません。また事実そうなっております。これはやはり共産党少数党だとか、あるいは独自の解釈だとかいうことが排除するというような意見は、私は正しくないと思う。特に共産党の場合は、今申しましたように、今の政府あるいは今の社会に対して、最も鋭い批判的な勢力として存在しております。こういう意見を反映させなければ事の真相がわからないのであって、そういう意見も反映させるべきだということが放送法に書いてあります。これはあなた方に与えられた義務なんです。これを実行するのが皆さん責任だと思のです。自分たち独自性とか自由というようなことから、独自な判断でやっているというような言い方は、むしろ放送法に反すると私は思うのですが、どうでしょう。
  14. 阿部真之助

    阿部参考人 私どもは、放送法の命ずるところ及びNHKの中にある放送に対する基準にのっとって、その範囲内における独自の判断番組を編成しているのでありまして、これが放送法違反しているということは考えておりません。
  15. 谷口善太郎

    谷口委員 それならお伺いいたしますけれども、今申しましたように、共産党は今日の社会及び今日の政府に対し最も鋭い対立的勢力です。最も鋭い批判勢力です。これをその他の考えを持っている党派などと一緒にNHKに招いて、そこで討論をさせるということが、NHK中立性公平性というものを守る原則的な任務だと私は思うのですが、そういう点について先生はどうお考えになりますか。
  16. 阿部真之助

    阿部参考人 私は、政党に関する限りは、やはり国会の中における数というものを一応考えに置いてやらなければならぬものだろうと考えております。ならぬものじゃなしに、そうならざるを得なくなるような立場にあるのでありまして、現在やっていることは必ずしも不適当だとは私は考えておりません。
  17. 谷口善太郎

    谷口委員 国会の中の少数党であっても、今の政府や今の社会秩序に対して最も鋭い対立的な意見を持っているものをぜひ参加させる必要があるということを私は言っているのでありますが、それなら先生、現在の社会において最も鋭い対立的な意見を持っている、そういう意味では、一方の重大な見解を持っているものに対して、国会の中で少数党である、わずかしか議員が出ていないからという意味で、そういうものを参加させないという規定がありますか。
  18. 阿部真之助

    阿部参考人 特定の党を排除すべしという法律はないだろうと思うのです。しかしながら、私どもは私どもの方で許された範囲内において番組を組む、そういう自由は十分持っているだろうと思います。その許された範囲内において、われわれは自由に独自な番組を組むことは当然だろうと思います。だからその番組を組んだことのよしあしについての御批判はあることはあるだろうと思いますが、それをやらなかったから法律違反だとは私ども考えておりません。
  19. 谷口善太郎

    谷口委員 少数党だから、そういう番組にある政党参加させないという判断が、あなた方の自由な判断だとおっしゃるのですが、少数党であるから非常に重大なな意見を持っているものを排除していいということは法律にも書いてない。むしろ非常に重大な意見を持っている、そういう意見は、他の意見とともに反映させるようにやらなければならぬと書いてある。たとい重大な意見を持っておっても、少数党だから排除してもいいのだ、そういう判断番組編集責任者としてやってもいいのだということは書いてない。そうしますと、今、先生のおっしゃるような、少数党であるから、意見を持っておっても入れないのだという考え方自分たちの独自な判断でやるのだという考え方は、法律からはみ出していますよ。そういう点はどうでしょう。特に今日の政府に対する最も鋭い反政府的な意見を持っているというものについては、当然入れなければならぬ。少数党だから入れないのだ、法律に基づいてそういう判断をやっているとおっしゃいますけれども法律にはそういうことは書いてない。むしろ、少数党であろうとなかろうと、そういうことは問題外にして、いろいろな意見を持っているものをそこへ反映させなければならぬと書いてある。それがNHK任務だと書いてあります。どうでしょう。
  20. 阿部真之助

    阿部参考人 NHKといたしましては、かなりいろいろな意見はあらゆる番組において紹介しております。そしてその重大だと思われる意見については、かなりわれわれは網羅して一般民衆に知らしておるつもりであります。ただ、それが共産党であるかどうかということのレッテルを張るか張らぬかということだけでありまして、ただいま申しました国会討論会の場合におきましては、あくまでも私たちは、まず交渉団体ということをめどに置いてやっている事柄でありまして、事が重大であるかどうかということの判断は私どもがやることなんで、その判断が間違っておるかどうかということは、これは世間の御批判に待つよりほか仕方がございませんが、私どもは今やっていることが間違っているとは思っておらないのであります。
  21. 谷口善太郎

    谷口委員 放送中立性とか放送の公平という問題ですね、この問題につきましては、私どもは、少なくとも政治の問題に関する限り――その他の経済にしましても、社会にしましても、そういういろいろな問題がありますし、また同様だとも言えますが、少なくとも政治的な諸問題につきましては、今日の政府に対する最も鋭い批判的な意見を持っており、しかも一人や二人の者ではなくて、全国的な組織を持ち、数十万の機関紙を持ち、あるいは十万以上の党員を持って活動しており、しかも国際政局の上におきましても、日本政局の上におきましても、共産主義とか共産党だとかいうものは、これは今日の政治の重大な中心課題の問題になっております。そういう立場に立っておる共産党をこそむしろ皆さん番組に入れて、そうしてその意見を反映させるというやり方をやることが、放送中立性あるいは公平性という放送法規定してある精神だと私どもは思うのです。つまり今日の政府あるいは今日の社会、そういうものに対して、根本的な批判を持っておるものの意見放送に反映させるということが、放送中立性公平性という内容だと私どもは思っておる。また放送法を読めばその点は非常にはっきりする。そういう点についての先生のお考えはいかがでしょう。
  22. 阿部真之助

    阿部参考人 私は、今まで申し上げたことでもう私の考えは尽きていると思うのでありますが、私どものやっていることは、あくまでも放送公平性というものを欠いているものとは考えていないのであります。もし欠いていたならば、世論がこれを許さぬだろうと思うのです。私ども世論批判に待つということなんで、もしも世論が許さないならば、私どものやっていることは間違っているのだから、その際はわれわれは当然その責任は負うべきものだと考えております。
  23. 谷口善太郎

    谷口委員 二十五年二月七日のここの電気通信委員会で、先生が今度の放送法のできますときに、参考人として御出席になって発言されております。その中に、これは先生自身のお言葉でありますが、こういうことを言っていらっしゃいます。「従来の経験によると、ある公共団体もしくは政府によって経営されるものが、かえって非公共的であるという場合がはなはだ多い。公共の名によって民間を圧迫し、大衆を圧迫したという例は、この戦争以来われわれは耐えきれないほど味わって来たところであります。」「従来放送協会というもののあり方を見ていますと、あそこがいわゆる逓信官僚巣窟になっておる。この巣窟を温存するために、ああいうふうなものをでっち上げたのじゃないかとさえ思われるのです。」ああいうふうなものというのは、この新しく制定されました放送法のことです。「一体それ以外に公共放送として、政府放送会社に要求するものは何がある。言論の抑圧とか、言論一つに統制するために、一つの大きな統制組織を、政府もしくは権力者が持ちたいという意図がなくて、何があるというのです。」「これはちょうど戦争中、軍閥人たちがまず放送局自分の傘下に置いて、あらゆる軍閥に都合のいい宣伝をしたと同じ意味合いのことを、ある政府によってなされないとだれが言うことができるかということです。」「そういうふうな言論を一本的に統一される、抑圧されるという憂いを、今日において取除く必要が十分にあるように私は感ずるのです。」こう言っていらっしゃいます。これは新しい放送法ができるときに先生がおっしゃったことです。新しい放送法が、公共性とかあるいは公共的事業とかいろいろ言っているけれども、しかし、そういうことによっては、国家統制とかあるいはかつて戦争中に行なわれたような軍閥による支配ということはなかなか除かれぬ、そういうことを公共性名前でやろうとしておるのが政府意図だろうということを先生は言っていらっしゃる。つまり放送中立性を守るという、この新しい放送法によって規定されましたものを実際に守るためには、何らかの手段を講じなければならないのだということを先生はおっしゃっていると私は理解している。それほど中立性とか公共性とかいうものを守るためには重大なものだ。ただ単に放送法という美しいものをつくっただけではだめなんだということを、先生はおっしゃっていらっしゃると思う。現に放送法名前でもって、放送法任務をやっているのだという名目でもって、先生が憂えていられることを、先生自身がやっていられる。最も政府に対して反対を唱えあるいは批判的な意見を持っておる政治勢力を、放送番組から排除するというやり方先生はやっていらっしゃる。この点先生は今も前と同じお考えを持っておられますか。もう持っていらっしゃらないように思うのですが、その点どうでしょう。
  24. 阿部真之助

    阿部参考人 そういうことを言ったかどうか、もう記憶ははなはだおぼろげでわかりませんが、速記録に載っていればまさに私はそう申したと思います。そういう考えは今日でも変わりはないのです。放送というものが政府機関になって、政府代弁者となったならば、放送、特にNHKの存在の意味はないものと思います。私が会長になったということは、少なくともそういう干渉を排除して、ほんとうの意味公共放送を打ち立てようというのが私の念願なんであります。だから私は、会長になって以来、かつて政府からそういう注文を受けたことも、圧迫を受けたこともなし、日本放送協会でやっている番組は、日本放送協会の独自の立場において編成されているということなんでありまして、私の申し上げたことと現在とは何ら変わりがないことであって、むしろ私の考えを実現するために私は今会長になっている、そう申し上げてもよろしいかと思います。
  25. 谷口善太郎

    谷口委員 政府から直接何か圧迫を受けたとか、あるいは支配を受けたとかいうことはない、自分の独自の考えでやっているのだ、放送法規定によってやっているつもりだ、こうおっしゃるわけであります。なるほど郵政大臣先生のところに行って、君のやっていることはけしからぬ、こういうふうにやれというような露骨なことを言ったことはないかもしれません。しかし、先生が独自でやっていらっしゃるという内容そのものが問題だと私どもは思っておる。先生はわれわれ独自の判断で、政府圧迫を受けないで、われわれ自身考えでやっているのだという、その独自の考えでやっていらっしゃるそのこと自体が、先生が憂えていました内容になっている。つまり一党一派に偏するという言い方では少し言い過ぎかもしれませんが、少なくとも共産党という一つ政党、あるいは今日の政府に対する反対的な意見を持ち、批判的な意見を持っておるものを放送から排除していく、番組から排除していく、それは自分たちの独自の考え方でやっているというやり方をやっていらっしゃるのですが、そのこと自体先生自分責任でやっていられるというところに問題がある。政府圧迫がなければ、あなた方自身の独自の考えでやっているということは、先生言葉で言えば、政府の要求することを皆さん自分の独自のことでやっているという内容でもって実際にやっていられるということになります。  それじゃ伺いますが、今地方選挙を前にしまして、NHKの方では選挙についての特別のキャペインンをやっていらっしゃるように思います。私も一回か二回テレビ放送を見ました。あれはどういう立場からやっていらっしゃいますが、昨年の参議院選挙でのNHKの方針は、ここに私持っております。参議院選挙のときにはこういうふうにやっていらっしゃるようであります。「選挙放送及び総合キャンペイン「公明選挙」について」という題目で出されておりますが、その中でこう言っています。「公共放送としての使命を全うするため聴取好適時間に立候補者の政見放送、経歴放送を編成、その実施運営について万全を期する」これは選挙法に基づきまして当然だと思います。続いて「また六月一日から七月一日までは総合キャンペイン「公明選挙」を総合的に編成、様々の角度から参議院に対する国民の関心と理解を深め、公明選挙運動推進のための番組をラジオ、テレビを通じて放送する。」これは去年の参議院選挙におけるNHKの方針です。ことしやっていらっしゃいます地方選挙に対するあのキャンペインもやはり同じ方針ですか。
  26. 前田義徳

    ○前田参考人 全くその通りでございます。
  27. 谷口善太郎

    谷口委員 そこで私は伺いますが、私はテレビで拝見しましたのは、日は忘れましたが、宮城県知事の現地報道というもの、これは一晩見ました。その次に、新潟県知事、これは自民党の知事であります。それから蜷川京都府知事、これは無所属の方でありますが、共産党社会党、民社、その他労働組合、すべて京都の民主勢力で推した人でありますから、反自民党だと思います。共産党員ではありません、残念ながら。この人たち社会党の阪上さん、それから政府からだれか出ていらっしゃったと思いますが、この四人でやった座談会があります。この二心は私は見たのであります。あの場合に、公明選挙でありますか何でありますか私は知りませんが、NHK考えはどこにあるかわかりませんが、とにかくあの場合は、NHKとしてテーマとして取り上げられておった内容が、私の見た限り、少なくとも今度の選挙が、自民党のいう、政府に直結するそういう自民党の主張と、それから社会党のいう、政府に直結するのじゃなくて住民に直結するという、そういう二つのテーマを明らかにするために、私の見たこの二つの番組は、そこにねらいを囲いておられたようであります。ところが、今度の地方選挙で、一番中心課題になっている、非常に重大な問題とされておりますのは、今日の政府のいわゆる所得倍増計画によって地域開発などをやり、経済の自由化あるいは貿易為替の自由化という問題からどんどん地域開発をやって、地方住民の実際の基幹であったところの地方自治体を、その自主性を剥奪し、アメリカ帝国主義と日本の独占の経済政策に従属させて、地方自治体を食いものにして、そういうふうに従属させてしまうという問題について、たとえば大阪を中心にして言いますと、関西全体の経済の総合開発という問題、そのことが、地方住民の基幹であるところの地方自治体を、全く政府の抑圧と、あるいは日本の独占の利益のために奉仕させるという、そういう問題になっている点、そういうことについての討議、論議というのが今度の地方選挙中心課題だというふうに、非常に多くの人たちが思い、また、そういう問題として戦われておる。こういう問題が全く一方的にオミットされてしまって、あるいは抜き取られてしまって、そして中央に直結するとか、あるいは地方住民に直結するとかいう問題で地方選挙があるかのごとき方向を、あの二つの中でやっておられる。つまりほんとうに重大な政治問題を、社会党もしくは自民党の政策だけにしぼってしまって、ほんとうに政治問題としてある今度の選挙の問題点を、皆さんの方では意識して除外するというやり方をやっておられる、こういうやり方は、これは何ですか、やはり皆さん判断ですか。どうです、その点は。
  28. 前田義徳

    ○前田参考人 私ども判断の上に立って、実際の選挙に関する問題を取り扱った番組でございます。
  29. 谷口善太郎

    谷口委員 そういう判断に立ってやられるということ自体皆さんが、われわれはそんな問題があるとは知らぬと言われるならこれはうそだと思う。今度の地方選挙中心課題がそういう問題だということをわれわれは知らぬ、われわれは、中央に直結するか、あるいは地方住民に結びつくかという問題が今度の地方選挙のテーマだ、それしか知らぬと言われるならばそうだ。あらゆるところで今の問題が問題になっている。大衆闘争の中で、あるいは労働組合の運動の中で、特に共産党の運動の中で、この問題が重大な問題として今度の地方選挙で争われる中心課題になっている。それを知らぬと言って、そしてわれわれの判断でああいう方向へ今度の地方選挙を持っていこうというふうにやっていらっしゃるとすると、これはNHKとしては全く重大な誤りだと思う。そういう一方的な考えを持って、相変わらず共産党あるいは民主的な立場に立つ者、ほんとうに革命的な立場に立つ者の意見を排除して、そうでないものだけで選挙が争われているというような、そういう方向でNHK自分番組を通じて選挙活動をやっている、これははっきり自民党と社会党との選挙活動をやっているのと同じであります。どうですか。
  30. 前田義徳

    ○前田参考人 先生の御意見は御意見として伺っておりましたが、私どもの行き方は、今度の地方選挙政府に直結するかそうでないかということをテーマとして組んだものではございませんで、客観的に、地方選挙における一般大衆の中で最大多数が考えておる考え方を基盤として、番組として適当な出演者に出ていただいて、特に選挙は公明でなければならないという点をおもに取り上げた番組でございます。
  31. 谷口善太郎

    谷口委員 公明ではないのです。公明ではないのです。最大多数を基盤にするという場合は、全国民を基盤にするということが最大多数でしょう。全国の中において、今度の地方選挙では何が政治的な争点になっているかといえば、今申しました通り。ところが、公明選挙の名によって、中央と直結するとか、あるいは地方住民に直結するとかというような問題にすりかえている、そのこと自体一つの大きな問題だと思う。しかし、もっと根本的に重大な政治問題がある。それは今の政府の軍国主義の復活、大資本を擁護するということ、これによって地方自治体が犠牲にされているという問題、これは社会党さんだって重大視している。社会党さんはただ地方住民に直結するということだけ言っているのではない。地方住民に直結するという内容はそういう意味で、今の自民党政府やり方が独占的な大資本に地方自治体を奉仕させ、犠牲にするという、それに対する反対闘争、こういう問題が当面の地方選挙の重大な課題だ。こんなことを皆さん知らぬわけでない。その全体を入れてこそ初めて最大多数の者を基盤にする放送になると私は思います。また、そうすべきだということが放送法規定されている規定だと思います。ところが、何か客観性を持っているように見えやり方でもって、一方的な放送――私どもはこの前から使いますが、非常に偏向的な放送番組をつくっている、あるいは方向を打ち出しているというふうに見ざるを得ない。こういう点、私どもは今の御答弁では承服できないのでありますが、この一方的な、あるいは偏向的な放送をやっているというやり方につきましては、まだいろいろあります。たとえば、私はここに持ってきましたのは、昨年の私鉄ストの現地録音は、あれはどうです。現地録音されたときには、あのストライキに賛成という人々の録音も公平にとったようです。ところが、実際に放送されたときには、このストライキを支持するという現地での発言はほとんど削除されたじゃありませんか。これは偏向ではありませんか。一方的ではありませんか。どうです。
  32. 前田義徳

    ○前田参考人 番組内容についての御批判は、各人各様で、一定の批判を――一つ批判にまとめることは困難だと思います。先ほどから阿部会長がお答え申し上げておりますように、私どもといたしましては、NHKは、お言葉を返すようでございますが、定義の意味がどうかという問題もございますが、NHKは中立だという考え方はございません。私どもは不偏不党を目標としておりまして、これが同時に放送法の命ずるところでございます。従って、意見の対立する問題につきましては、「できるだけ多く」と放送法規定しておりますし、また編集権の問題については放送法の三条で、法律に基づく権限を持たないものがNHK及び民放の編集権に対して口を差しはさんではいけないという条項が明らかにございます。こういう条項に従って、私ども公共放送責任者として良識をもって番組を編成しているわけでございまして、その番組について国民各自がそれぞれの解釈と御批判をしていただくことは当然でございますが、その個々の御批判に対して、その通りしなければならないという条項はどこにもございません。ただ、私どもは、良心的に皆さんの御批判に虚心たんかいに耳を傾けて、よりよい放送をして参りたい、こう考えている次第でございます。  同時に、今度の地方選挙につきましては、先生の御議論のようなことをお考えになる国民もおることは当然だろうと思いますが、その結果はどのように反映されるかは、選挙権を持っているすべての人がその選挙権を行使するときに現われるのでございまして、私どもは、政府側と申しますけれども政府自体もそういう基盤の上に立って成立していくと考えているわけでございまして、従って、その意味で私どもといたしましては、やはり不偏不党の原則は守っていくという確信を持っている次第でございます。
  33. 谷口善太郎

    谷口委員 前田専務、あなたは今とんでもないことをおっしゃった。選挙をやったら、たとえば自民党が多数になる。その多数を基礎にして政府はできる。従って、その多数によってできておる政府を中心にものを考えて、少数意見については不偏不党という名でもって、自分たち放送番組の中に、あるいは放送に反映させなくてもいいんだという考えをおれは持っていると今あなたはおっしゃった。こんなことがどこに書いてありますか。そうじゃなくて、少数であろうと多数であろうと、一つの問題についていろいろな意見を持っているものについては、それはまんべんに放送には反映させなきゃならぬということが義務づけられておる。同時に、そういう放送法規定されております範囲NHKがやらなければならぬというのであって、その法律の外でNHKが勝手に考えるというやり方はいかぬ。そんなら私鉄の問題、ストライキを支持するという人の意見を削ったのは何です。ストライキに反対というものを中心に編集して、ストライキを支持するという意見を現地ではたくさんとってきながら、それを削ったのはどういうわけですか。それはあなた方の勝手な判断でやったといって済まされる問題じゃないでしょう。あらゆる意見を反映させなきゃならぬという法律規定があり、ストライキを支持するという人の声がたくさんあった。しかし、それを削ったということになると、これは重大な問題です。そういうことを皆さんがやる権限は持ってないと思うのです。どうです。
  34. 前田義徳

    ○前田参考人 私が先ほどお答え申し上げました言葉の表現は、ただいま先生が反復して下さいました表現とは違っていると私は考えております。ただ、私ども責任は、法律的な議論に関連して御質問をいただいておりますので、放送法に関する限りは、放送法の総則の第二条、第三条、それと第四十四条の先生御指摘の条項から見まして、私どものやっておりますことは、決して放送法違反していないということと、放送法違反しないという建前で、私どもはより完全な良識の集積の上に立って番組を編成して参りたいということを強く考えているわけでございます。  私鉄の録音の問題については、反対だという説が全くその番組の中で消えてしまったとは考えておりません。しかし、この素材の収集はできるだけたくさんいたしますけれども、それを全部のせなければならないという理由もございません。それは番組放送時間にも限りがございますし、そういう意味で調和ある番組の編成を私どもは念願いたしております。
  35. 谷口善太郎

    谷口委員 ここに私はたくさんの事例を持ってきております。たとえば安保闘争の座談会の中で、福井さんとおっしゃる方の意見が削除されたとか、その他たくさんここに持ってきておりますが、私鉄の問題が一番わかりやすいから申し上げたのであります。もちろん現地録音だからといって、その全部を出せるものではないのであって、そういうことを私どもは言っているのではない。ストライキを反対する人の意見が出て、支持する人の意見は出してない。大体現地において録音されたときには、支持派とか反対派とかわからぬでそれぞれ自由におやりになったのだろう。その場合の扱い方が、支持する者と反対する者と両方ある、その割合はこうこうだという、少なくとも割合がわかるような編集をすべきだ。しかし、昨年の私鉄ストの場合、ストライキを支持するという人々の意見が相当あったにかかわらず――全然とは言いませんが、ほとんど反映されないように支持派の人々の録音を削ったという事実がある。そういうやり方はよろしくない。(「計画して動員しているんだろう」と呼ぶ者あり)計画的に動員しようとしまいと、そこに集まってくる人々はNHKが公正な大衆だと見て録音したのです。そういう点で私は今、前田さんのおっしゃるような言い方では、ほんとうに実体は改善されないのではないかと私は思う。NHKを攻撃しているように考えてもらうと困る。NHKのあり方というものは、たとえばNHKの中の前田さんなら前田さんが気に食わぬ意見であっても、そういう意見があるという事態が現実にあるならば、そのことを反映していくのが編集方針としてNHK任務であると思うということです。反対に、むしろNHKの気に食わないもの、あるいは政府の気に食わないもの、そういうものの意見を反映させるなというやり方になってきているというふうに、私どもは現実の中から見ているわけです。また事実共産党は一度も国会討論会に出ないという問題を私は言っているのであって、これはよろしくないということを言っている。ですから、これはすなおにそういう点は削られたら削られたと言ったらいいと思う。幾つもあります。劇の問題もあります。いろいろあります。そういうことは私はよろしくないと思うのです。そういう点を直していって、ほんとうに公正に――中立性でないとあなたはおっしゃったけれども、不偏不党ということは中立ということなんです、政治的に。あらゆる意見を反映させるということは中立なんです。あるいは公平な立場です。これを貫くのはNHK任務であって、そうでなければ――NHKというものは株式会社でも何でもないのであって、われわれの料金でできている公共放送だ。その公共放送にはっきり法律でそういう任務任務づけられている。これを自分判断編集権の自由だということから、勝手なことをやられたのでは、これはNHK任務皆さん放棄したと同じことになる。そういうやり方はいかぬと言っている。そういう点ではやはりあなたのお答えでは、私どもは納得できません。そこで、この点につきましては、実は大臣いらっしゃらないので残念でありますが、政務次官に伺います。  昨年の一月じゃないかと思うのです。政務次官、あなたの任期の前の話でまことに申しわけないのですが、政府代表で来ていらっしゃるのですから伺いますが、参議院選挙の前に、何か理由をつけて共産党を締め出さなければならないが、その共産党締め出し対策を政府機関の諸君と――これはNHKは出てなかったのでありますが、民放とが集まって、その研究会を、あるいは対策会議をやっている。ここへ集まったメンバーは、内閣法制局第一部長の山内一夫、郵政省電波監理局放送業務課長の高田静雄、同法規課長の田所文雄、自治省選挙課長の中村啓一、それから同選挙課第二係長の中上政雄といった政府の高級官吏、官僚、この人たち、それに対して民放連から、放送倫理委員である本荘貫一、石橋清、富田幸男、同じく民放の放送基準専門委員である岩井隆一、平松竜英、大野利明、鳥沢庄台、それから山口直、森脇国幸、高野孝一、伊藤某、木田某等々という人たちが集まって、そして共産党をどうして放送からはみ出すかということについて研究会、対策委員会をやった。私ども全部資料を持っておりますが、ここで公表されたものだけを読んでみます。これは民放のどこの人が言ったか知りませんが、とにかく共産党を扱わないとは、見識上コードにできない、どう上手に盛り込むかだ。放送局にすれば公の席上では言わないが、根底にはやりたくない気持がある。これが憲法の言論の自由とぶつかるので困る。そこで法制局から出ているのが言っています。共産党が百五十万とれないと思えば、その線を百五十万とすればいい。これは内容をちょっと説明しますと、共産党が今度の選挙では百五十万とれないと思ったら、百五十万以上とる政党でなければ放送をやれぬという基準をつくればいいのであって、そうすれば百五十万以下だからという理由で共産党を入れる必要はなくなる。だから、たとえば百五十万以上共産党がとれぬというふうに考えたら、そこに基準をつくってやれば、うまく言論の自由の圧迫ということにはならぬので、締め出すことができる、こう法制局は教えている。それから民放がそう言っても、取材しろといってこられたらどうしましょう。郵政省がこう言っている。編集の自由で、自由権はこっちにあるから、取材しようとしまいと勝手だと言え。今、阿部先生おっしゃった通り、阿部先生、郵政省の言っている通りのことを言っている。それから法制局がまたこう言っている。ニュース・バリューの問題だ、これにはニュース・バリューがある、自主権を行使する基準があるだろう、つまりニュース・バリューがないとか何とかいうことを言うとか、ニュース・バリューのあるものから先にとるんだ、そういう順番があるという言い方をすれば、つまり自分編集自主権の見地から、これを拒むことができるだろう、こう言っている。自治省もまた言っている。政党法が制定されても共産党は入ってくる。政党法が制定されても入るだろう。放送に限り立候補者の数を上げて民放の基準にすればどうだ、こう言って自治省も教えている。そこで民放はこう言っている。かりに総得票数の一割を限度にしても、共産党が入ってくるおそれがある、そう言ったら、自治省はこう言っている。そうだ、そういう点では、大阪だけが問題だ、一割以上とれますからな。他はかりに民社が少なくてもキー局の方針とか、あるいは土地の条件などを考慮するということで逃げることができるだろう。まあ読み出すと、たくさんありますからなんですが、とにかくこれは政府の役人と民放の職員が集まって共産党をはみ出すことについて現行の法律をどう解釈し、どう運用してうまくはみ出すかについての対策委員会、研究会をやっている。こういうやり方をやってまで、反対意見を反映させるというこの放送法の原則を、政府自身がくずそうとしていることについて、この事実について、政務次官、どうお考えになりますか。
  36. 保岡武久

    ○保岡政府委員 そういう打ち合わせの会合があったかどうか私全然存じませんが、穏当じゃないことだと考えます。
  37. 谷口善太郎

    谷口委員 まことに政務次官のおっしゃる通りで、穏当でないどころか、これはとんでもないことだと思うのです。そういうことを政府の連中が出てきて、あの手この手を使うことを教えているから、非常に自由主義的で民主的な、われわれが全く尊敬しておりますNHK会長阿部先生まで、きょうみたいにああいうことを言い出す。放送法ができるときには、たといこういう民主的な放送法ができても、これは実際はやっぱり政府支配下に入る、そういうものになるおそれがあるから、それに対してわれわれとしては特別に考えなければならぬということを言われた人が、郵政省や自治省やあるいはその他の政府当局から役人が出てこういうことを言っているから、先生までとんでもないことを言い出している。これはあなた、穏当でないどころの騒ぎではない。こういう連中は首にすべきだと私は思う。それほど重大なことだと私は思う。この点ははっきり調査されて、そうしてこういう会合に出た連中に対して何らかの政府としては戒告なり何なりされる必要があると考えます。そういうものを調査される必要があると思う。やってくれますか。
  38. 保岡武久

    ○保岡政府委員 調査いたさせます。
  39. 谷口善太郎

    谷口委員 それから、これは民放のことが出たついでに申しますが、昨年の芸術祭の参加作品で有名な「ひとりっ子」という、これはRKBが実際に制作をいたしまして、これが右翼及び防衛庁の圧力でスポンサーであった東芝がこれを引き下げるということで、とうとう日の目を見ずに終った劇映画があります。こういう不実がございましたか。
  40. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 あったように承知いたしております。
  41. 谷口善太郎

    谷口委員 そうしますと、今申しましたように、防衛庁の横やりでこれが日の目を見なかったというふうに理解すればいいのですね。
  42. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 われわれの方で調べました結果は、今、先生がおっしゃいましたように、直接的にはスポンサーがおりたということ、それからそのほかに、会社としましては、この番組を芸術祭参加作品として放送すべきかどうかについて番組審議会に同社が――同社と申しますとこれはRKB毎日放送でございます。この番組審議会に諮問しました結果、この審議会の答申として、この作品は芸術祭参加作品として放送するのには不適当であるということで、去年の十一月二十二日、この番組放送中止を決定した、こういうふうに承知いたしております。
  43. 谷口善太郎

    谷口委員 そのRKBの番組審議会にかけられたということは私どもも伺っております。この審議会及びその他の会合の場所ですね。――表面上の理由は、今監理局長の言われた通りの理由ではあるが、事実はこれを引き下げるということをきめました十一月幾日かのその翌日のアカハタに出た記事と同じだと思う。アカハタはその点は全く正確にしかも敏速に真相を報道しているという発言が、この関係している人たちの中の最も責任ある立場の人が言っている。また、実際調べてみますと、防衛庁から横やりが入り、それから右翼型が動くというようなことで、スポンサーの東芝がおろすということにしたようであります。こういうことについて、政府は、実際上、表面のことだけでなく、事実を御存じなのかどうか伺いたい。
  44. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 その間の事情につきましては承知いたしておりませんので、なおよく調べてみたいと思います。
  45. 谷口善太郎

    谷口委員 調べるとおっしゃいますからそうしてもらいたいと思いますが、単にいいかげんなことじゃないのでありまして、これは非常に大事なことであります。さっき前田さんがおっしゃったように、それこそ法律に基づかないで、そういう権限を持たない者が外部から圧力を加えてやっている。NHKのことだけじゃなくて、民放全体がそういう考えを原則的に持って、そういうものを貫いているように思うのですが、そういうふうにやられている。「ひとりっ子」の問題だけじゃないのです。「ひとりっ子」の内容は、御承知の通り防衛大学に入学するかしないかという問題ですね。試験を受けたら入学試験を通ったけれども、しかし、戦争反対する立場から、ついにそこに入学しなかったという反戦的な立場、平和を守る立場でこれが表現されているので、非常に激賞されて賞を受けたほどの内容を持っているりっぱなものだそうでありますが、実は私見ておりません。しかし、この「ひとりっ子」だけの問題じゃないのでありまして、ここにも私材料をたくさん持ってきております。たとえば山本宣治君を扱ったものが朝日放送でつぶされている、あるいは「原爆の被害」という題名のTBSのもの、これが社会主義的だというのでつぶされている。あるいは「青空大将」というもの、これもつぶされている。それから「紙の裏」という新聞拡張員の少年の生活を描いたもの、これもやはりスポンサーからの圧迫でつぶされている。その他いろいろたくさんここにございます。ですから、二月八日ですか、漫才師までこういう問題を取り上げてやっておりますね。たとえば自民党の政府与党連絡委員会が、漫才師が政府批判の漫才をやったら、それに対して、けしからぬ、ああいう漫才を何とかしろというような意見が出たことがありましたが、それをまた翌日漫才師にやられているというようなばかげたことが起こってくるほど、圧迫によって、今の政府の施策に反対する、あるいはアメリカの戦争目的に反するというような内容を持ったものは、どんどんつぶされてきているという事実があります。こういうことは、全く日本の文化をすぐれたものとして発展させる、そういう任務を持っております放送事業におきまして、NHKの場合は、はっきりとそれを法律規定しているほど、NHK任務になっております。そういう放送事業において、りっぱなものが、現在の政府の施策に反するからというので、外部の圧力でつぶされておるということは、放送自由の原則からいいましても、一般民主主義の見地からいいましても、非常に重大であります。単に調査するだけでなくして、こういう監督官庁としては厳重に注視される必要があると思います。  もう一つNHKに伺いますが、NHKの方は割合少ないのですが、アメリカのテレビ・フィルムがよけい入っておる。民放に至っては全く大へんな状況でありますが、NHKだって決して少なくないと私は思うのでありますが、ああいったものについてはどういうお考えを持っておられますか。私どもは非常によろしくないと考えておりますが、いかがでありますか。
  46. 前田義徳

    ○前田参考人 民放の事情につきましては、私ども詳しく存じておりませんが、私ども編集方針といたしましては、劇映画についての聴視者の要望がかなり強いわけでございますから、その意味で年間何本かの各国の最もすぐれた劇映画を輸入して、これを聴視者の供覧に供したいという考え方を持っております。しかしながら、放送はスタジオ文化がやはり基礎になっておりますので、そのバランスを破らない限度で聴視者の要望にこたえ、調和のある番組の編成をして参りたい、このように考えております。
  47. 谷口善太郎

    谷口委員 これは民放の場合特に問題にしなければならぬと思うのでありますが、NHKだってかなりアメリカのフィルムを入れておりまして、こういう点、日本の自主性からいいましても、今、前田専務もおっしゃったように、日本放送文化といいますか、これを発展させる上におきましても、ただ単に安くこれが利用できるという見地からこんなやり方をやっておられることは非常によろしくない。特にゴールデンタイムといいましょうか、一番聴視者の多い時間に――毎日のテレビの番組の新聞広告を見てみますと、NHKから民放に至るまでずっとアメリカのものが並ぶ。しかもアメリカのものは、全くひどいものが多くて、人命軽視あるいは暴力肯定、あるいはアメリカのくだらぬアメリカニズムといいますか、ああいう生活態度を日本国民に移し植えていって、知らず知らずアメリカ流の実にぐうたらな、資本主義の最も頽廃し切った、ああいう生活態度になり、あるいは人間を形成する上の大きな悪い影響を与えていると思うのであります。こういうことは、やはりわれわれ国内の放送文化を発展させるために、たといお金の問題で若干の経費がかかったといたしましても、NHKが率先して日本文化を発展させるという見地を――バランスをとるとかなんとかいうのではなくして、そういう見地を基本にしてやっていっていただきたいと思いますが、今後の対策はどうでしょうか。
  48. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもは、先ほどお答え申し上げましたように、番組全体の中、あるいは放送時間全体の中では、最小限度の聴視者の要望にこたえる準備をいたしおるわけでありますが、その輸入先はソビエトも含めて全世界の一番優秀な映画を提供するという建前をとっており、この建前は将来も堅持して参りたい、こう考えております。同時に、私どもは、御記憶かと思いますが、三年前に非常に若い青少年に興味は持たれますが、暴力を中心とするいわゆる西部物の大部分を、NHK番組としてこれを放送しないという自主的な建前をとっております。そういう意味での私どものこれまでとってきておる方針は、将来も変わることはないということを申し上げたいと思います。
  49. 谷口善太郎

    谷口委員 時間が切迫しましたので、まだたくさんありますが、端折って先に進みたいと思いますが、まだちょっとこの際申し上げておきたいことがございます。NHKの独自の番組としてやっていられる幾つかの番組の中でも、私どもとしては大いに批判的な番組があります。しかし、そういうことは申し上げる時間がありませんから、一つだけそれに関連して申しておきたいと思いますが、たとえばのど自慢なんかの大会とか、ああいう番組がありますが、あの中で、おとなげないことを国会で申し上げて済まぬわけでありますが、しかし、NHKは、自分のものだと思っておりますから、国民のものだと思うから言うのでありますが、ああいうような番組だけではありませんけれども、アナウンサーが出てきて国民を愚弄するような態度をとっていられる点をよく見受けます。この間の例でいいますと、関東甲信越の大会のときに、民謡に出た方々は全部紋付羽織を着ておった。これに対して担当のアナウンサーが、この人々は紋付羽織を新調して大いに張り切ってやってきたというような言い方をした。あれは非常によろしくない。私はあのアナウンサーは非常に尊敬もしているし、大いにひいきにしているが、ああいうのはよろしくない。まあNHKは、大局ですからああいうのが自然に出てくるのだと思うが、聴取者を不愉快にするような発言はよろしくないと思うし、そういう意味番組自体にも今後だいぶいろいろの点を改善されなければならぬ問題があるように思いますが、一応これはそのままにして先に進みます。  この間、私アジア地域放送会議ですか、アジア地域放送連盟というような問題について資料の提出を願っておいたのですが、いただいた資料というのは、今まで何回あったかという回数と、そこへどの国が出たというようなことだけでありまして、内応はほとんどわかっておりません。あれはもう少し詳しい実情を私どもは知りたい。今度ソウルで予定されております第五回かの会議では、すでにアジア・オセアニア放送連盟結成の規約草案までできて用意されているようでありますが、こういう資料を御提出願えますか。
  50. 前田義徳

    ○前田参考人 ソウルに予定されている第五回のアジア放送連合の総会は、その放送連合を法律的な形で結成することを目的としているわけでございますが、その中心になっているのは先回の開催国であるマラヤでございます。従ってマラヤに事務局があり、事務総長はマラヤから出ておりますので、これから連絡を受けている資料はお出しすることができると思います。
  51. 谷口善太郎

    谷口委員 これにNHK参加されるわけですが、今度の事業報告の中にはこの問題が入っておりませんね。また金もかかるのだろうと思うのですが、どうですか。これについては、NHKは相当金を出しておられるというふうに私どもは情報をつかんでおりますが、いかがでしょうか。
  52. 前田義徳

    ○前田参考人 もしその点で資料が漏れているとしましたら、その資料は御要望の線に完全に沿っていない部分があるかと考えます。放送会議出席する費用につきましては、毎年度御審議をいただいておりますNHK予算の中に盛っております。
  53. 谷口善太郎

    谷口委員 何回か今日まで会議が開かれたわけですが、その中でどういうことが論議されたか、その論議の内容、問題点、それらの記録なんかも御提出願えますか。
  54. 前田義徳

    ○前田参考人 お出しいたします。
  55. 谷口善太郎

    谷口委員 きのういただきました資料によりますと、この会議に十数カ国参加しておりますが、社会主義諸国が一国も出ていないようであります。これは社会主義諸国をなぜ排除したのか、なぜこれを入れないかというそこに理由があると思うのですが、どういうわけでそうなっているのですか。
  56. 前田義徳

    ○前田参考人 この会議は主催国に選ばれた国、主催国を申し出て前回の全体会議でそれが認められた国が招請状を発することになっておりまして、従って、これらの国々は、原則的には現在国交を開いている国との間に招請状を送り出すという慣習になっているようであります。
  57. 谷口善太郎

    谷口委員 主催国が大体そういうことを考え、もしくはそこに集まった国国がきめた場合、またそれをきめるについて、国交の回復のある国々というようなことが基準に相なっているというお答えであります。NHKとしてはどうですか、当然、たとえば近くで言えば中共あるいはその他朝鮮民主主義人民共和国、あるいはソ連なんかも、これはシベリアが直接関係があるところであります。こういう国々も含めることなしには、この放送連盟あるいは放送会議というところでいろいろな問題を論議する上に、あるいは問題を解決していく上に十分じゃないという考えを持っていられるかどうか、当然参加させるべきだという考えを持っていられると思うのでありますが、そういうことについてのお考えや、またこういう社会主義諸国を、理由はどうにしろ、排除しておるという会議は、国際会議としてはまことにいびつでありまして、こういう会議に対してほんとうにはっきり全世界的に、西も東も参加する会議であるべきだという立場から、そういう努力をなさるべきだと思うのですが、そういうことについてのお考えはどうでしょうか。
  58. 前田義徳

    ○前田参考人 現在までのところ幾つかの地域的に放送連合がございます。たとえば共産圏ですと、ソビエトその他を含んで共産圏全体の放送連合の組織がございます。これに対してヨーロッパでも共産圏を除いた放送連合の組織体がございますし、アフリカにはアフリカの、中近東には中近東の、アメリカにはアメリカの、それぞれの地域的組織体がございまして、必要に応じてこの地域的組織体が世界全体の、あるいはヨーロッパの、あるいはアジア全体の放送会議を開くという方向に向かっているようでございます。私ども考え方といたしましては、将来一切の社会的環境が相互の信頼の上に立って、放送の世界的国際社会における責任を、同一の立場において考え得る状況をつくり出すことが必要であり、また、そのような世界放送連合会議ができることを、私どもといたしましては強く期待いたしております。
  59. 谷口善太郎

    谷口委員 韓国から今NHKの使っていらっしゃる中波について二十六波ほど要求されたという事実がありますか。
  60. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 一九五九年にジュネーブで通常無線主管庁会議というITUの会議が開かれたときに、そういう要望のあったことは承知いたしております。
  61. 谷口善太郎

    谷口委員 それはどういう意味ですか。二十六波を要求するというのには、これは相当やはり理由がなければならぬと思うのです。
  62. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 これは日本に対して要求があったというわけではございません。要は韓国は日本あるいは北鮮とか中共とかいうところから混信、妨害が多くて、しかもこれから国内の放送を建設していこうというような状態にありますために、何とかしてそれに必要な周波数を確保しなければならぬという意味で、それだけの波を何とかして生み出すように協力してもらいたい、こういう意味でございます。
  63. 谷口善太郎

    谷口委員 私はあと十分ほどしか時間がありませんから、大急ぎになりますが、この問題は重大な問題でありまして、韓国が――特に日本だけでなくというように電波監理局長はおっしゃるが、私どもの聞いておる範囲では、日本の中波の持ち方が――日本の中波は今百幾つかあるようでありますが、そのうち五、六十混信状況にあるというその実情の中に、日本の持っております波が、これが国際会議できめられたものではなくて、アメリカが日本を占領中にGHQが独断で、国際会議を無視して勝手に占領したものだという問題がそこにあるようであります。そういう点については、実情はどうなっておりますか。
  64. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 日本としましては、放送用の電波につきましては、国際的なルールに従って電波の登録をやっておるわけでございます。
  65. 谷口善太郎

    谷口委員 私は、おととしとその前の年、数回にわたって中国及びソ連へ旅行しました。混信の問題は向こうでも大へん問題になっております。お互いに妨害するということはないにしても、日本の波の持ち方に非合法的なものがあって、それが中国その他の社会主義諸国の、日本に非常に近いところの放送局で、波の選定に非常に困難しているという問題があるやに伺ってきているわけですが、この点につきましては、もっとあとによくお尋ねしたいと思います。時間がありませんから、非常に重大な問題がここにあるということだけをちょっと言っておきまして先へ進みますが、しかし、いずれにしましても、社会主義諸国を加えないで、たとい地域的であるにしましても、あるいは世界に幾つかの地域的な放送連盟のようなものがあるにしましても、やはり日本の今置かれておる実情から申しまして、つまりアメリカに占領されてアメリカの支配を受けておるという実情からしまして、社会主義諸国を客観的には排除してやっていくという、こういう会議は、明らかにアジア反共連盟の放送版とでも言いましょうか、そういう一つ意味を――皆さんのお考えはどこにあろうとも、そういう性格を持たざるを得ないという問題が起きます。これは非常に重要なことでありまして、この問題についてはさらにあらためてお尋ねして追及してみたいと思います。  たくさんございますが、最後に一つだけお尋ねします。  通信高等学校の問題をちょっとお聞きします。これは将来FMなんかの問題もございまして、放送網が新しく拡大されるということも予想されるわけですが、この通信高等学校制度をNHKとしてはさらに拡大される、そういう御予定を持っておられますか。
  66. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもといたしましては、現在は御承知のように、中波とテレビジョンを通じて全国を一つ区域とする広域通信高等学校講座を開いて参るわけでございますが、これはその需要に応じまして計画的に増強して参りたいという考え方を持っております。
  67. 谷口善太郎

    谷口委員 同時に今度の通信高等学校では、一般高等学校であって、その他のたとえば工業高校というような問題には触れていらっしゃらないようですが、そういう面ではどういう予定なりあるいは計画を持っていられますか。
  68. 前田義徳

    ○前田参考人 この四月から始めます通信高等学校は、普通教科課程でございまして、職業教科課程その他専門教科課程は、この普通教科課程の実績を見まして、将来拡充することになるかもしれないと私ども考えおります。
  69. 谷口善太郎

    谷口委員 中学卒業生が、ことしから激増いたしまして、高等学校へ進学する問題として、高校全入問題とかあるいは急増対策の問題が大問題になっております。ところが、政府はこれに対しまして、ことしはむしろ進学率から言いますと、昨年よりもパーセンテージを低めるというやり方をやっておるのでございまして、二百五十万余り卒業することしの中学生のうち、絶対量としまして相当部分が、いわゆる中学浪人というような状態になる状況でありますが、これに対しまして、特にNHKがことし急いでこういう通信高校をつくられるということにつきましては、特別な意味があるように、私どももまた一般父兄も考えております。それは、正規の高等学校へ入る対策を政府が立てない。そこで残るところ夜間の定時制かあるいは通信教育ということになりますが、そういう方向で何とか糊塗しようという考え政府は持っているわけです。NHKは、まさにその政府の高校全入要求すら出ているほどの重大な問題になっております高等学校新入生の急増という問題に対して、全く用をなさない施策に対して、むしろNHKとしては協力をするという立場から、この高校を開いたものだというふうに理解しております。皆さんは、この通信教育で高等教育が実際上大量に、ことしは五千人のようでありますが、そういう人々が正規に教育を受けた人々と同じような教育が受けられると思っていられますか。私は実はこの定時制高校でも、現在では労働をしながら勉強するということはいかに苦しいことであるかという実情と、これに対する雇い主もしくは政府の特別の援助のないままでやっておることが、定時制高校ですら、それぞれの学校に子供が減っていく、生徒が減っていく、ある地域では、定時制高校は成り立たないという状況になっている。まして通信教育によって高校を卒業するというようなことは、非常に困難でありまして、それはもう何百人の中に一人特別な人がそれに成功するのであって、多くはそれはもう実際はできるもんじゃない。ところが、あたかもできるかのごとくに、通信教育でもって普通の学校を出たと同じような、そういう勉強ができるというような幻想を与えて政府がはばんでおる――高校全入の要求の前に高校増設ということをやらないという施策に対して、NHKとして協力しておるというこの世間の批判は、これは重大だと思う。そういう意味を持っているように思うのですが、いかがです。そういう点ではどう考えていられますか。
  70. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもの計画いたしております、そしてまた御審議をいただいております計画の通信両等学校は、ただいま御指摘の問題とは何らの関係がございません。これは御承知かと思いますが、おととしの国会で、広域通信制の高等学校をつくり得るという教育基本法の改正がございまして、これにのっとりまして、私どもはこの高等学校を開きたい、こう決定したわけでございます。その理由は、高校進学の可能な方々は別として、従来の統計に基づきましても、中学卒業だけで、義務教育を終えただけで、いろいろな事情から働かなければならないという方方が、私どもが計画を立てましたときには、最小限度全国で六十万あるという資料が出ておりますので、勉強したいという考え方を持ちながら、しかも社会的にそのチャンスをつかめない人たちのために、この広域通信筒等学校を開こうという建前で御審議をいただいて、御承認を得たわけでございます。従って私どもは、現在高校の数が、全入学の希望者と合わないという問題とは、全く何らの関係なく、要するに経済的に、社会的に、勉強したいという考え方を持ちながら、しかもできないという方々のために、この高等学校を開こうという考え方を持っているわけであります。従って、御指摘のような見解の方々がおられるとすれば、それは非常な誤りであるということを申し上げたいと思います。
  71. 谷口善太郎

    谷口委員 少なくとも今の高校入学希望者の非常な急増の事態を迎えて、政府のやっております施策は、実際は各地の自治体に責任があるといって、援助をするという点では非常に少なくて、むしろ皆無といってもいいような状況でありまして、しかもことしの進学率は、この間文教委員会でも問題になりましたが、昨年よりも減るという対策しか政府は持っておりません。ところが、こういう通信制の高校をつくって、いかにもそれによって、高等学校へ施設がなくて行けない――経済的能力の問題でなくて、今はすべての者が高校へ行くだけの能力を持っている。しかし、施設がない、あるいはそういう教育条件をつくっていないために行けないということで、今問題になっておるのでありますが、そういう人々に一つの幻想を与えて、そうして政府の政策を支持するという態度を持っているという批判は、私は正当だと思うのです。そういう役割をNHKが果たしておると思うのでありますが、その点はそういう批判を今の御答弁から私どもは変えるわけにはいかないわけであります。ところが、これの校長先生に森戸辰男氏を呼んでくるようでありますが、ほんとうですか。
  72. 前田義徳

    ○前田参考人 この高等学校は、学校法人NHK学園が経営するものでありまして、この学校法人の理事会で理事の一人である森戸辰男先生が校長先生に選ばれた。そうして森戸先生がこれをお受けになるということは事実でございます。
  73. 谷口善太郎

    谷口委員 学校法人の理事会がそうきめたからとおっしゃいまして、NHK責任がないような言い方ですが、NHKが金を出してつくられる学校ではないですか。そこの学校へ森戸さんが校長先生にくるということは、私は特別な意味を持っていると思うのです。NHKの目的がどこにあるかはここに非常にはっきりする。森戸さんは大学管理の問題でこういうことを言っている人です。憲法問題でこういうことを言っている人です。政府支配とか外部の不当な権力支配というものは、昔は政府であったかもしれぬけれども、今は政府でなくなった。今、大学の自治とか学問の自由という問題について、圧力を加えている権力支配というものは、政府そのものではなくて、その他の民主的団体、たとえば日教組とか、あるいは労働組合とか、あるいは父兄会だとかいう、そういう団体がむしろ圧力を加えておる。これと戦わなければならぬのであって、政府と戦う必要はないんだという言い方をしている。これは森戸さんの主張です。森戸さんは大正のおしまいのころに、皆さん御承知のようにクロポトキンの研究で東大を追われ、問題になったのです。あのときに、私なんかもちょうど労働運動に入っておった時期でありますが、彼は学問の自由を守り、研究の自由を守るために、この問題は森戸個人の問題ではなく、学者だけで戦ってはだめだから、教授も助教授も、あるいは学生も労働組合も一緒になって政府の弾圧と戦わなければならぬ。学問の自由を守り、教育研究の自由を守るためには、権力とそういう意味で戦わなければならぬということを主張されて、私も旗を持って出た方です。ところが、何十年か後になったら、彼は政府の圧力というものはもうないのだ、圧力というのは日教組なんかの団体だ、こう言っているのです。まことにこれは、憲法からいいましても、あるいは教育基本法からいいましても、NHKの問題である放送法の上からいいましても、とんでもない考え方を持っている人です。この人が、若い高等学校の教育のために通信学校の校長になる。NHKがどういう意図を持っているかはこれによって非常にはっきりします。こういう校長先生を持ってきて――皆さんは一体どうう考えているか、これは阿部会長からも聞きたい。こういう人を持ってきて、そうして等学校の教育をやろうというのですか。
  74. 阿部真之助

    阿部参考人 森戸さんは、私は実にりっぱな人格者だと思うので、教育者としては最適の人だと考えておるのであります。
  75. 谷口善太郎

    谷口委員 もうこれでやめます。私はそういうふうなお答えをなさるだろうと思ってそういうふうに予定してあります。しかし、 ここで討論を続けていくわけにいきませんので、時間がありませんからここで打ち切ります。いずれにしましても、さっきから聞いておりますと、公共放送中立性、公益性の問題でも、あるいは放送番組を編成する上にも、いろいろな外部の圧力――あるいは皆さん自身判断と称して、ちょうど私ども昔検閲があまりひどいので、みずからの原稿にペケペケをやりました。阿部先生もやられたでしょう。政府の圧力が強いから、自分の書いた原稿をみずからペケペケするというやり方をあの戦争中にやらざるを得なかった。同じことを今NHKはやっておる。政府権力、圧力がないから自分たち判断でやるんだといって、すべて放送を破壊するような片寄ったことをやっておる。学校をつくりましても、問題になっておりますどえらい反共、反動、反民主主義的な、しかも人民を裏切った男を校長にするという態度でもって、これはまことにりっぱだといってやっておる。こういうNHKやり方はとんでもないことだと思うのです。ことしの国会の最初に池田総理大臣が施政方針の中でこう言っておる。「新聞、ラジオ、テレビ等は、家庭、学校、社会の三つを通じ、人つくりの環境を整える最も強力な手段となりつつあります。最近におけるテレどの普及は、このことを決定的にしたものといっても過言ではありません。私は、これら言論機関責任者が社会教育の先達者であるとの誇りと責任を持って、人つくりに一そうの力を尽くされるよう期待するものであります。」皆さんはきっと池田さんから勲章をもらえる。全く放送法の公益性を打ち破り、一方的に政府に協力する立場から、政府批判する最も鋭い勢力を排除し、あるいは教育放送でもって、あるいは一般の放送でもって一方的なことをやる。ほんとうに下積みで今日の政治に対する大きな批判を持っておる人たちを排除するという立場でやっておられる。この大きなマス・メディアをもって、皆さんが、池田さんの言っておられる、反共で軍国主義で、そしてだれの言うことにも唯唯諾々としているような、そういう奴隷的な人間をつくる人つくりに協力するという立場を明らかにされておると思うのです。私どもは、そういう点から、皆さんのお出しになった予算その他につきましては、これはもちろん賛成するわけにはいきませんが、この点をはっきりして私質問を終わります。
  76. 大高康

    大高委員長代理 午後は一時三十分より再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後零時三十九分休憩      ――――◇―――――    午後二時三分開議
  77. 岡田修一

    ○岡田(修)委員長代理 これより再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を続行いたします。森本靖君。
  78. 森本靖

    ○森本委員 まず最初に大臣にお聞きしたいと思います。  今回のこの放送法毎三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件でありますが、その中の意見書に、「日本放送協会の昭和三十八年度」云々とあって、最後に「周波数の割当方針との関連において、変更の必要が生ずる場合があると考える。」こういうことがあるわけであります。今までの意見書にはこういうふうな表現はなかったわけでありまして、ほとんど、おおむね適当と慰めるという意見書であったわけであります。今回の意見書で初めてこういうものが出ておるわけでありますが、これはどういう意味であるかということを大臣質問するわけです。
  79. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 FMとか、そういうものに対しますチャンネルプランというものが、まだ未決定でございますので、そういう字句を入れたということでございまして、詳細は政府委員から説明させます。
  80. 森本靖

    ○森本委員 詳細は政府委員と言いますけれども、これは非常に重要なことでありますから、大臣が知っておらなければならぬことであります。私は周波数のこまかい問題を聞いているわけではありません。要するに大きく言って、「ラジオおよびテレビジョン両放送網の建設計画については、周波数の割当方針との関連において、変更の必要が生ずる場合があると考える。」ということでありますから、これはラジオ及びテレビジョン両放送網の周波数云云ということであるわけであります。第二次チャンネルプランの発表も、支障があるからといって差しとめて、そうして勉強しておるということもこの間大臣が言っておるわけであります。だから、こまかい周波数の問題になればそれは西崎君に聞きますけれども、これはどういう点が違うのかということを聞いておるわけでありますから、大臣お答え願いたい。こまかい問題は政府委員に聞きます。
  81. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 ラジオにおきましては、FM放送の問題、それからテレビにおきましては、実は二次プランの修正ということがまだ未決定でございますので、変更があり得るということを申しただけでございます。
  82. 森本靖

    ○森本委員 ラジオについてはFMである、こういうことでありますが、そうすると、FM十七局というものの予算については、変更を来たすということになるわけですか。
  83. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 まだ実はきまっておりませんので、そういうこともあり得るということでございまして、まだ決定事項にはなっていないということを申しただけでございます。
  84. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、FM放送のチャンネルプランについては、本年度中に結論がつけられる、こういうことですか。
  85. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 なるべく早くつけたい、そういうふうなつもりで今やっておるわけでございます。
  86. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、FM放送についての結論は、一体いつごろつけられるわけですか。
  87. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 この前から森本さんからしばしばそういう御質問を受けておりまして、われわれといたしましても、なるべく早くしたいという心組みには変わりございませんけれども、いつごろということはちょっとここで申し上げかねる次第であります。この前も申し上げましたが、今もそういう心境でございます。
  88. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、このFM放送の新しい十七局の予算については、一年じゅうの予算を組んでおるわけですか。これは郵政省に聞きます。
  89. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 一応安全を見まして年間で組んであると考えております。
  90. 森本靖

    ○森本委員 その年間全部組んでおるものがおおむね妥当と認めておるわけですか。
  91. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 今回は「おおむねは」という表現を使っております。
  92. 森本靖

    ○森本委員 おおむねは十七局を妥当と認めて、年度当初の四月から来年の三月までの予算を組んでおる、こういうことですか。
  93. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 ちょっと言葉が足りなくて失礼しましたが、これは予算全体を通しまして「おおむねは」ということで、個々にはある程度の変更が起こり得る、こういうことでございます。
  94. 森本靖

    ○森本委員 ある程度の変更があっても、十七局全部が変更になることはないのでしょう。十七局の全部を変更するような予算だったら、承認する必要はない。十七局のうちである程度ということは、二局ないし三局程度変更することがあっても、大体十七局の大筋というものは、おおむね妥当であると認めておるから、こういう意見書がついておるわけでしょう。
  95. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 「おおむねは」というのは、今回のNHKの予算全体について一般的に申し上げているわけで、その中の個々の計画、すなわち、FM放送ならFM放送全体について変更があることはあり得る、こういう考え方でございます。
  96. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、FM放送十七局について全部変更があり得るということですか。予算について意見書をつけるときに、郵政省はそういうふうな検討をしておるわけですか。少なくともFM放送の十七局というものの予算がここにある以上は、それが変更せられるということであっても、そのうちの三局や四局は変更せられることがあるにいたしましても、大半はおおむね了承したという形の意見書でなければならぬと思うが、どうですか。
  97. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 われわれの方といたしましては、このFM放送十七局分の予算という面から見ますと、全体のNHKの予算から見ますと、ごく一部である、こういう意味考えておるわけであります。
  98. 森本靖

    ○森本委員 それはごく一部分であっても、そのごく一部分の放送については、おおむね妥当である、こう認めておるわけですから、少なくともそれが変わるということは、三局ないし四局程度変更があることがあっても、その大綱は変わらない、こういうことになるのでしょう。
  99. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 こういうことは、今、大臣がおっしゃったように、できるだけ年内に実施できるようにしたいということでございますが、場合によると、最悪のことも予想されないわけではないと思います。
  100. 森本靖

    ○森本委員 その最悪の場合というのはどういうことですか。
  101. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 後年度に繰り越し、こういうことでございます。
  102. 森本靖

    ○森本委員 そうすると全部繰り越しですか。
  103. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 最悪の場合はそういうことがあり得るということで、われわれとしましては、年内に実施できるようにしたい、こういうことであります。
  104. 森本靖

    ○森本委員 だから、このFM放送の十七局の予算というものについては、おおむね妥当である、こういう考え方で、個々に目を通したわけでしょう。そうでなかったら、いかぬということを意見書の中につけなければいかぬじゃないか。それはあなた、予算としては、この項目は小さい予算だけれどもNHKの三十八年度の事業計画としては、大きな影響力を持つ計画ですよ。予算としては七百何ぼのうちの、項目は少ないかもわからぬけれども日本放送協会の事業全体のウエートからいったら、NHKが新しく十七局というFM放送の局を持つという予算を組むということは、きわめて大きな意味を持っておる。それの一応の見通しがないような形において、郵政省が意見書を出すという形はあり得ない。それだったら、もう来年から意見書なんかつける必要はない。いいかげんな答弁をしてもらったら困る。どうですか、大臣
  105. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 先ほど申し上げましたように、全体の予算としては、おおむねは妥当である、しかし変更もあり得るということでございまして、おおむねは妥当ということは、全体の予算のことでございまして、個々の予算につきましては、たとえば先ほど申し上げましたように、FMの方針の問題等等もありまして、あるいは変更の余地があるということを言っているわけでございます。
  106. 森本靖

    ○森本委員 このおおむね妥当ということは、七百二十何億の予算がおおむね妥当であるということであると同じに、その事業計画その他についておおむね妥当であるということをちゃんと書いてあるのじゃないか、この意見書の中には。電波監理局長が言ったからといって、そんないいかげんな答弁をするもんじゃないですよ、大臣。これには「日本放送協会の昭和三十八年度収支予算、事業計画および資金計画は、おおむねは適当」と書いてあるじゃないですか、この意見書は、専業計画も予算のことだけを言っておるわけではないのですよ、FM放送の十七局というものは、NHKの三十八年度予算の中では最も重要な事業計画なんです。しかしそれが「周波数の割当方針との関連において、変更の必要が生ずる場合がある」ということを全部認めないということではない。十七局というものの三局か四局か五局が減る場合もあり得る、こういうことを言っておるわけなんだ。だから、予算全体を見まして、個々の問題については検討しておりません、おおむね妥当と認めましたから、個々の問題についてはわかりませんということでは答弁にならぬですよ。私は、故意にあなたを追及しようとか、つるし上げをしようということで言っておるわけではないのですよ、さっきから言っておるように。この事業計画、資金計画も、おおむね妥当と認めておるのでしょう。そうすると、専業計画の中で、FM放送は一番重要な事業計画でしょう。それも、おおむね妥当であるけれども、周波数の割当において変更の生ずる場合があるわけでしょう。
  107. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 全体の計画、全体の予算といたしまして「おおむねは」という言葉が書いてあるわけでございまして、おおむねは妥当である、しかし個々の問題については問題があるから、ここに書きましたように「周波数の割当方針との関連において、変更の必要」があるかもわからぬというようなことでございまして、個々の問題につきましては、やはりこのいろいろの問題が残っておるところは残っておるというふうな書き方でございます。
  108. 森本靖

    ○森本委員 だから、そのおおむね妥当であるということは、卒業計画についてもおおむね妥当と認めておるわけでしょう。大臣、そうじゃないですか。
  109. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 意見書の最初に「日本放送協会の昭和三十八年度収支予算、事業計画および資金計画は、おおむね適当と認めるが、」ということでございまして、計画全体としては、おおむね適当だ、つまりその中には適当でない場所もあるというようなことでございまして、おおむねは適当だということでございます。
  110. 森本靖

    ○森本委員 その中で、適当でない項目というのは、初めからそれは適当でないと言うてのけるのがほんとうなんです。意見書の中でも、FM放送の十七局の計画についても、おおむね適当であるけれども、変更が生ずる場合がある、こういうことでしょう、大臣
  111. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 FMにつきましては、ただいま実験中でありまして、その方針がまだきまっておりません。そういうわけ合いでございまして、どうということがまあありませんので、こういう書き方をしたわけでございまして、変更もあり得るということであります。
  112. 森本靖

    ○森本委員 それならそのFM放送のやつは、実験中でまだわからぬ、なぜそう書かぬのですか。おおむね妥当なんという意見書をなぜつけるのですか。そんなつじつまの合わない答弁をしてもらっては困る。これは政治的な問題でも何でもないのだから、筋を正すという意味で聞いておるのです。郵政省が考えておることも、大体このFM放送その他の一業計画を含めて、おおむね妥当であるけれども、現実には、周波数の割当との関連において変更を生ずる場合があり得る、こういうことでしょう、大臣。チャンネルプランをいざ組んでみて、それを東京、大阪どう割り当てて、全国的にどう割当てて、民放にどう割り当てる、NHKに幾ら割り当てるということをやってみて、それでNHKにやるところの波が少なくなった場合には当たらぬ場合がある。しかし、あくまでも根本的にはNHKには一応割り当てていくという方針を持っておるわけでしょう。その辺はっきりしないと、大臣、だめですよ。いいかげんな答弁で切り抜けようとしても……。
  113. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 ただいま森本さんがおっしゃいましたように、チャンネルプランもきまっておりませんし、今ここでどうというようなことがわかりませんので、われわれといたしましては「おおむねは適当」であるというようなことを言ったわけでございます。
  114. 森本靖

    ○森本委員 「おおむねは」ということは、それではFM放送の十七局についてはどういうことですか。
  115. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 結局時期とか幾つするというようなことは、これはまあチャンネルプランの設定はまだしてございませんから、申し上げられないから、変更することがある。たとえば今の十七局、局の申請がございますけれども、予算としては、ほかの予算との見合いにおきまして、全体としてはいいけれども、そういういろいろな点がありますので、変更があるかもしれないという意味でございます。
  116. 森本靖

    ○森本委員 いや、私が聞いておるのは、FM放送についても、現在の実験放送局以上に日本放送協会がこういうようなFMの十七局というものを予算において出しておることについても、おおむね妥当であると認めておるけれども、これがチャンネルプランその他の波の割当等において変更の必要が生ずる場合があるので、その場合には、これがその通りいくかいかぬかわからぬ、こういうことではないか、こう聞いておるわけです。それをあなたの方では、ああでもない、こうでもないと言うから、ちっとも先に進まない。
  117. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 われわれの気持としては、今森本さんのおっしゃった通りにやりたい、そういうふうに思っておる次第でございます。
  118. 森本靖

    ○森本委員 初めからそういう答弁をすれば、私はこの問題はスムーズに進んでいくと思うのです。大臣としては、あれこれ考えて答弁をせられるということもわかりますけれども、私の方としては別にあなたをつるし上げしたり、どうこうという気はないのです。意見書と予算書をありのままに審議をしていっているわけでありまして、審議をするとするならば、今年度の日本放送界のあり方、特にNHKのあり方はどういうものであるか、こういう形を聞いておるわけでありますから、大臣も、思っておることは遠慮なく言ってもらいたい、こういうふうに考えるわけであります。  そこで、そういう点で一応現在のNHKの十七局のFM放送については、おおむね妥当であると認められるけれども、場合によっては、これがチャンネルプランその他について変更が生ずる場合があり得る、こういうふうに考えておる、こう大臣が言われましたので、その次の問題に進みたいと思います。   〔岡田(修)委員長代理退席、大高委員長代理着席〕  もしそういうことであるとするならば、NHKにちょっと聞いておきたいと思いますことは、この十七局というのは、現在の実験放送局と同じように、実験放送局として開局をするつもりであるか、あるいはそれとも普通の放送局という形において開始をするつもりであるか。特にそういうことを質問するということは、昨年の予算のときには、実験放送局という名が入っておったわけでありますが、本年は予算の中に実験放送という名前が入っておりません。そういう点でこれが普通の放送局の開設というふうに考えておられるのか、これはNHKにお聞きをするわけであります。
  119. 田辺義敏

    ○田辺参考人 お答え申し上げます。現在の段階におきましては、まだチャンネルプランがきまっておりませんので、あるいは実験局という形をとらざるを得ない場合もございますが、年度間の経過におきましていろいろチャンネルプランその他FM方式がきまりますれば、本放送になることも十分考えての案でございます。
  120. 森本靖

    ○森本委員 NHKの答弁ははっきりいたしております。要するに、現在の段階においてチャンネルプランがきまらない場合においては、これは実験放送として開局をすることになる、しかしチャンネルプランができ上がった場合には、当然本放送局になる、これはその通りであります。その通りでけっこうでありますが、そうなって参りますと、こういう予算を提案する以上は、大臣は、このFM放送の開始の時期というものを一応この程度で明示をすべきではないか。これは大体十月なら十月――もう十月なんという、はっきり言いますとおくれます。これはすぐ若手をしてもいいのではないかというふうに考えるわけでありますが、大体このFM放送のチャンネルプランを組む時期はいつごろでありますか。大体のめどでいいんです。めどは変わる場合もあり得るわけですから……。
  121. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 先ほどから申し上げましたように、なるべく早くやりたいわけでございまして、年内にはぜひやりたい、そういうふうには実は考えておるわけでございます。
  122. 森本靖

    ○森本委員 年内にはぜひやりたいという考え方である、こういうことでありますけれども大臣、これは受信機の開発その他についてもかなりの準備が要るわけであります。四月になってから直ちにやるということでなしに、やはり今年度中に、こういうふうな放送局の予算が出てくるとするならば、大体六月にやるなら六月にやる、八月なら八月にやるというめどをつけて、そうして内外にこれを誇示してやっていかなければならぬわけであります。そういうことをしないと、これは業界に対しても不親切であり、国民に対しても不親切であると私は思う。だからそういう点について、大臣は一応本年度内と言ったところで、まだ三十八年度になっておりませんから、一年あるわけであります。そういうことでなしに、大体今年のいつごろになるかというめどはどの程度か、めどでありますから、そのめどがはずれても、別に大臣を責めるわけじゃございません。その程度のめどというものを持たない大臣はないはずであります。めどですから、そのめどがずれたからといって、別にけしからぬと言ってしかるわけじゃございません。これだけ言ったら、大臣といえども、大体どの程度を思っておるということを言うのは普通であります。
  123. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 先ほども申し上げましたように、年度内におきましてなるべく早くやりたい、そういうふうに思っております。
  124. 森本靖

    ○森本委員 オウムみたいに同じことを繰り返しておったらいかぬ。官房長も要らぬことを言うな。大臣大臣考え方で答えたらいい。それは常識問題であって、何も事務的な問題じゃないのだから。要するに、年度内というのはどの程度か、年度内になるべく早くというのは、それはそれでいいけれども、仕事をするについては、一応めどというものをつけなければならぬだろう。そういうことでしょう。大臣、仕事をするについては、何の仕事でも一つめどというものをつけなければならぬでしょう。朝飯を一日じゅう適当なときに食うということはないでしょう。どうですか、大臣。常識で答えなさい。
  125. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 そのめどをわれわれは早くつけたいと思いまして、今実はやっておるわけでございますが、なかなかそのめどがつきませんので、早くやりたいというふうに考えておる次第でございます。
  126. 森本靖

    ○森本委員 これ以上は私はやめます。あなたの心臓の強い答弁に押されまして、これ以上やったら、長くなるだけですからやめますが、そうすると、これはそういうめどがつかないという欠陥はどこにありますか。
  127. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 これは実は調査会におきましてもいろいろ検討してもらっておりますが、その調査会の結論も見ないといけませんし、これはなかなか複雑な問題もございます。そういうものを早く解決いたしまして、なるべく早くやりたいと思っておりますけれども、いろいろ、森本さん御承知のように、なかなか複雑な問題もございますので、早く私どもめどをつけたいと思っておる次第でございます。
  128. 森本靖

    ○森本委員 そうしますと、いろいろ問題があるというのは、技術的な問題ですか、それとも政治的な問題ですか。あなたの判断で答えなさい。事務当局は要らぬことを言うな。
  129. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 これは技術的にもいろいろ問題がありますので、そういう点も研究するし、それから調査会の答申もありますので、そういう点を考えて早くきめたいと思います。
  130. 森本靖

    ○森本委員 調査会の方は、これは技術問題も政治問題も両方を検討しておるわけであります。そこで、私が聞いておりますのは、今度CCIRのいわゆるFMの技術水準の問題についても、この国際会議で結論を得ておりません。だからこの結論を得るということになりますならば、少なくとも三年待たなければならぬ、こういう結果になります。そうなりますと、技術問題についての一応の結論を得ておるというふうに私は解釈しておるわけであります。  そこで、そうなりますと、この結論が得られないということは、技術問題になっておるのか。それとも、免許の方針によってこれが非常に混乱をする、たとえばNHK、あるいは新聞、あるいは現在の民放、あるいはFMの単営局、こういうようなものに対するところの免許の基本方針がなかなかきまらない、だからチャンネルプランをきめるのはなかなかむずかしいのだ、こういうことであるのか、あるいはこの技術水準がきまらないとか、あるいはステレオ放送とか、そういうことの技術水準の問題で行き当たっておるのか、どちらで行き当たっておるのか、こういうことであります。
  131. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 これは技術の問題もございますけれども、やはり主といたしましては、ただいま森本さんがおっしゃいましたように、いろいろの免許方針の問題につきまして、検討しなければならぬ問題もあるわけでございます。両者合わせまして、一日も早く検討して解決したい、そういうふうに思っておる次第であります。
  132. 森本靖

    ○森本委員 技術的な問題については、若干の残りがあるけれども、ほとんど対案としてやろうと思えばやれる段階にきておる、こういうことが言えるのじゃないですか。
  133. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 モノフォニックの技術基準につきましてはさまっております。ただ、先生、今御指摘のように、ステレオにつきましては、今技術審議会において、さらにこの前のCCIRの結果を検討いたしておりますので、その結果を待ってきめたい、こういうふうに考えております。
  134. 森本靖

    ○森本委員 CCIRの討議の内容を検討するということは、これはすぐできるわけであります。そこで実験放送も一応済んでおるわけでありますから、そういう面の技術問題についての結論は早急に得られる、こういうことは言えるわけですね。
  135. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 早い機会に得られると思います。
  136. 森本靖

    ○森本委員 この技術水準の問題については、早い機会というのは一、二カ月の間に結論が得られる、こう私は解釈をしておるわけであります。そうなって参りますと、残るところはやはり政治的な問題になるわけであります。この政治的な問題は何といっても大臣責任であります。これが一番むずかしい問題であると同時に、ここにおいてこそ大臣が、行政的手腕を発揮するところの場面が出てくるわけであります。技術水準の問題等は、あなたに手腕を発揮しろと言っても、これは無理でありますが、免許の基本方針については、あなたが政治的な手腕を発揮するとするならば、少なくともここ二、三カ月の間にこの結論が得られる。そうすればチャネルプランの作成は可能になってくるはずであります。そうでしょう。
  137. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 その免許方針、そういうものの決定でございますけれども、それにつきましてもやはり慎重にしなければならぬし、それから技術の問題は、先ほど申し上げましたように、ある程度やればできるかもわかりません。そういうわけで、両者相待ちまして、なるべく早くやりたいという考えでございます。
  138. 森本靖

    ○森本委員 私が聞いておるのは、技術水準については二、三カ月の間に結論が得られるという答弁をしておるわけであります。電波監理局長もまた事実その通りであります。だから、それと並行して、いわゆる免許の基本方針についての結論が得られるならば、直ちにチャンネルプランの作成に取りかかることができるであろう、どうだ、こう聞いておるわけであります。その通りならその通り、こういうことでけっこうであります。
  139. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 免許の方針、それがなかなかむずかしい問題でありますけれども、それができればチャンネルプランの作成にかかる段取りでございます。
  140. 森本靖

    ○森本委員 ここにおいて大臣政治的な手腕を発揮するならば、二、三カ月後には、要するにチャンネルプランの作成ができる。その作成ができないということになると、郵政大臣が能力がなくて、その免許基本方針をようきめない、いつまでも右顧左眄をして、あっちを見たりこっちを見たりして、ちっともきまらぬ、こういうことに結論づけられるわけであります。  そこで、この免許の基本方針というものをわれわれとしては早く結論を得てもらいたい、こう思います。また、さらに当委員会として、大もまかな結論でありますけれども、出しておるわけであります。  そこで、そういうふうな方向において早急にFM放送政治的な結論を大臣政治的な手腕においてつけてもらいたい。そういうことこそ大臣がやるべき問題であって、あとのいろいろな小さな問題は、事務当局にまかしておけばよろしいわけでありまして、そういう点について、大臣としても早急に結論をつける、こういう自信はおありですか。
  141. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 なるべく早く結論を出したい、そういうふうに考えております。
  142. 森本靖

    ○森本委員 その場合の結論として聞いておきたいと思います。これは後ほどのわれわれの附帯決議にも影響して参りますが、そういう場合に、FM放送というものについては、少なくとも現在のNHKに対しては、一通り全国あまねくNHKがFM放送国民に対して提供する、サービスをでき得るようなプランの編成というものは基本的に考えていかなければならぬ、こう思うのですが、これについては異議がございませんか。
  143. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 趣旨としてはその通りで私はいいと思います。
  144. 森本靖

    ○森本委員 NHKの問題はそれで一応片づくわけでありますけれども、次にこのFMのいわゆる単営の局あるいは民放、新聞、こういう問題が出ておりまして、この問題については、いずれ私の方から日をあらためて別のときに質問をしたい、こう思うわけであります。一応、大臣に今聞いたところで、私はまだ白紙でございまして検討中でございますということになろうと思いますから、聞きませんが、しかし、もし意見があるならば、一つ先に言っておいてもらいたいと思うわけです。現在のFM単営局に対する意見、あるいは民放の希望しておる問題、あるいは新聞社が希望しておる問題、あるいは教育FM放送というような問題、あるいは地域的な問題、こういうような問題が今出てきておるわけでありますが、これについておそらく意見が言えぬと思いますけれども、言えるならば一応言っておいてもらいたい。
  145. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 私もここで意見を申し上げられればいいのですが、そこまでまだいっておりませんので、まことに遺憾に存じます。
  146. 森本靖

    ○森本委員 そこまでいっておらぬということは、あなたが勉強しておらぬということなのか、それとも勉強しておるが、内外に影響が大きいから言えぬということでありますか。
  147. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 いろいろむずかしい問題でございますので、ここでは申し上げられません。御了承願いたいと思います。
  148. 森本靖

    ○森本委員 それではこの際、今度のFM放送について一つだけ特殊な例を聞いておきたいと思います。たとえば今の県庁所在地程度の大きな局において、現実の問題としては民放は一局しかない。独占的な傾向になっておる。そういう場合に、FM放送の別個の形の免許の申請が民放としてあった、そういう場合に、このFM放送に対して許可を与えて、さらにテレビとしてはUの波を与えるならば、おそらくUの波が出てくるわけです。その場合に、今の県庁所在地においてもう一つ別個の形の民放をこしらえて、よき意味の競合をさせる、こういうことは放送業界の進歩発展にもなると思うし、また一つの独占的なものが支配するという形も排除せられる、こう思うわけですが、そういう点はどうですか。
  149. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 御意見としてはまことにごもっともな御意見だと思います。しかし、波の関係でどういうふうになるかといういろいろな問題がございますから、それはここでどうということは申し上げられません。
  150. 森本靖

    ○森本委員 御意見はけっこうであるけれども、波の関係でどうなるかわからぬということでありますが、波は出そうと思えばあるわけであります。そこで将来このUHFのテレビというものも相当開発していかなければならぬと考えるわけでありますが、そうなって参りますと、アメリカで昨年から実施をされておりますオール・チャンネル法の問題についても、日本でも当然考えていかなければならぬ時期がやがてくるであろうということは、おそらく私は考えられると思うのです。今直ちにどうこうということはないけれども、あと三年後くらいにおいては当然この問題が出てくるのではないか、こういうふうに考えるし、実際にこのオール・チャンネル法というものを施行した場合には――施行した方がその受信機の開発についてもいいではないかということも考えられると思うのです。こういうオール・チャンネル法の実施の問題について大臣としてはどうお考えですか。
  151. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 これも研究しなければならぬ大事な問題だと私は思っております。
  152. 森本靖

    ○森本委員 そりゃ研究しなければならぬ大事な問題であるということはよくわかりますが、大臣としては、こういうオール・チャンネル法の問題についてはどう考えておるか、こういうことであります。世界の一つの趨勢というものが、そういう方向に向くということになるとすれば、どう考えるか、こういうことです。
  153. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 世界の方向が大体そういうふうになっておりますから、われわれの国といたしましてもそういうふうにすべきじゃないか、そういうふうに考えております。
  154. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、日本としては将来オール・チャンネル法を実施すべきである。しかしその時期については、慎重に時期を選ばなければならぬ、こういうことは言えると思いますが、さらにまた、オール・チャンネル法を実施することになりましても、予備期間というものが二年ないし三年程度はどうしても要る。そういたしますと、現実には四、五年かかるということになるとすれば、少なくとも、ただいまから立法的な問題等についても検討していかなければならぬ。郵政省当局としてもそういう点についてはどうお考えですか。
  155. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 その点につきましても検討しなければならぬというふうに考えております。
  156. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、さっそく検討を始めていくわけですか、郵政省は。
  157. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 なるべく早く一つ検討を始めたい、そういうふうに思っております。
  158. 森本靖

    ○森本委員 それから現在問題になっておりますところの、先ほどの意見書の周波数の変更の件でありますが、ラジオについてはFM放送と言われましたが、これは中波についてはないのですか。
  159. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 中波の問題も当然あると思います。
  160. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、ちょっとお聞きいたしますが、現在第二次チャンネルプランが発表になる前に、今問願になっておりますのは、近畿地方が若干問題になっているわけでありますが、この近畿地方のチャンネルプランの問題になっておる焦点はどこですか。
  161. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 御承知のように、近畿にはテレビ会社として大阪に四社、民放がございます。それからラジオ単独社ということで三社ございます。そういった間のいろいろ調整問題があるわけでございます。
  162. 森本靖

    ○森本委員 そういう答弁では一つもわからぬですよ。具体的にどこがどうなっておるということを説明して下さい。あなたにさっきも私が非公式のときに注意したはずだ。これは私だけが聞いているのじゃないのだから、もっと親切に答弁すべきである。近畿の第二次チャンネルプランについては、一体どこをどう調整しているのか、そういうことを聞いているわけであります。
  163. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 今度の二次プラン修正のいわゆる追加地区、ここの中継局をどういう格好で運営したらいいか、すなわち、端的に申しますと、大阪テレビ四社の中継局にするか、あるいはまた、先ほど申し上げました、ラジオ単独社としてはこの機会にみずからのテレビ局を持ちたい、こういう要望があるわけでございます。そういった間の調整問題があるという意味でございます。
  164. 森本靖

    ○森本委員 そのラジオ単独社はどこどこですか。
  165. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 神戸のラジオ関西、それから京都の京都放送、和歌山の和歌山放送、この三社でございます。
  166. 森本靖

    ○森本委員 現在京都、神戸、和歌山にはNHKはどうですか。
  167. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 ラジオとしましては京都にあるだけでございます。
  168. 森本靖

    ○森本委員 テレビは……。
  169. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 テレビは現在大阪だけでございます。生駒山の局だけでございます。
  170. 森本靖

    ○森本委員 これはどういうわけでこの調整にひまどるわけでありますか。大阪の四社と、かりに京都、和歌山、神戸というふうに単独のラジオ局があってやるとするならば、これは現在までの郵政省の方針からするならば、たとえば和歌山であるとするならば、私はひいきするわけじゃありませんが、和歌山のラジオへ当然テレビの中継を許可して、そしてその中に和歌山のローカルを若干入れさすというのが、今までの郵政省の基本的な方針であるはずです。それをなぜ大阪に本社があるところの四社との間の調整をしなければならぬのですか。なぜそれは郵政省が押し切ってやっていかぬのですか。
  171. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 御承知のように二次プランということになりますと、これは現在ある親の子だ、こういう考え方に立っておるプランでございますので、そういった点にも問題点があるのであります。
  172. 森本靖

    ○森本委員 親の子であっても、子の場合はまた別でしょう、県が違ってくるわけですから。たとえば高知県内における高知のその付属物として建てられている無人局であるとするならば、それはわかりますよ。しかし、そうでないところの和歌山に一般の波を出すという、一つの別な波があるわけでありますから、そうなってきた場合に、その地元に放送局があるとするならば、その地元の放送局にこれを許可して、その地元の放送局が四社のうちのどのルートをとろうとも勝手なはずであります。そしてまた、その和歌山の放送局と大阪の四社とがどういう契約を結ぼうとも、これはわれわれの関知せざるところであります。それは地元の放送局に許可して、地元の放送局にローカルをやらすというのが最も妥当なやり方じゃないですか。
  173. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 結局その中継、たとえば和歌山県なら和歌山県にテレビ局をつくり、それをたとえば和歌山放送のテレビ局にするということになりますと、これはわれわれの方で考えております親局ということになるわけでありまして、Uの電波を使って親をつくるという一つの先例になるわけであります。そういう意味でこれが近畿だけにとどまらない、やはり全国的な問題に発展し得るということをおそれておるわけであります。
  174. 森本靖

    ○森本委員 いや、その問題は全然関係ないじゃないですか。はっきり言って大阪の四社の力に押されてしまって、その調整をとりにくいというのが現在の段階じゃないですか。私はこういうことで行政の筋を曲げてはならぬと思うのです。そして和歌山なら和歌山放送にそうした形において許可すると同時に、NHKにも和歌山放送の開設をやらすべきだ。そうして初めて和歌山県としては全国の放送水準、基準に達するわけです。それが筋の通ったほんとうのやり方でしょう。ところが、大きな放送会社の力が強いので、圧力がぐんぐん加わるので、何とか一つ妥協せんかというようなことをやるものだから、ますますこんがらかってしまう。郵政省は郵政省としての筋を通した行政をやっていったらどうですか。
  175. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 われわれ決して大きなテレビ局の圧力に屈しておるという意味じゃございません。要は、いわゆるテレビにつきまして近畿が一つの広域圏であるか、あるいはまたテレビについて県域的に考えていった方がいいのか、そういう根本的な問題でありまして、今までのわれわれの考え方としましては、今回は見づらいところを解消するという意味において親はつくらない、子供だけをつくるんだ、既存の親の子をつくるんだ、こういう考えでありまして、当然将来の問題としてラジオと同じように県域的なテレビという問題も、当然Uの問題とも関連して起こって参ると思います。それと先ほど申し上げましたように、この際小さい局にしても、Uの親ができるということは、いわゆる近畿地区への波及ということが起こるということをおそれておるのです。
  176. 森本靖

    ○森本委員 あなたの御意見を聞いておりますと、意見が支離滅裂で一つもわからぬですよ。それはそういうUの親であるとかなんとかいって、そういうふうなことであるとするならば、現地まで行って調整をしなければならぬということはないはずです。郵政省として独自のそういう方針を立てて、そうして第二次チャンネルプランを発表すればよろしい。何も郵政省が向こうに出向いていって、現地のそれぞれの放送会社を呼んで、それぞれ意見を聞かなければならぬということはないはずでしょう。どうですその点は。
  177. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 われわれは、要するにできるだけ円満に事態を解決をしたいということで、いろいろ調整をやっておるわけであります。結局今の県域的なラジオ会社、これがやはりテレビの進出によりまして、経営上の問題も起こってくると思います。そういった意味でできるだけ協力的な道がないかということで苦心しておるわけであります。
  178. 森本靖

    ○森本委員 かりに大阪の四社にこれを許可するということであるならば、どういう協力的な道がありますか。地元の和歌山としては、京都としては、それではそのテレビにそのラジオ会社がどういう協力をする方法がありますか。ありませんよ、協力する方法は。ますますスポンサーが減ってしまって損をする一方ですよ。そういうことをやって、一体あなたの方は、その大きなものを助けて小さいものはどうなってもいい、こういう方針をとるということになるのじゃないですか。少なくとも一度郵政省が許可したものについては、これをやはり盛り育てていかなければならぬという考え方をとらなければならぬはずです。たとえば京都、神戸はこれは一応大きいところですから別としても、和歌山みたいなところにおいて、一方のラジオの中波はそのままにしておいて、収支はとんとんか赤字の状況である。あそこは全国の放送会社として配当が一音少ないところです。そういうところへ持ってきて、大阪の四社がもう一つ別のテレビをここで流すということになったら、一体立っていくかどうか。それでさらに、大阪の四社に協力をせよと言ったって、協力のしようがない。そういう筋を曲げたような行政のやり方をやるべきではない。やはり郵政行が当初から考えておるような方針において私はやるべきであると思う。そんな曲がったことをやったら承知しませんよ。問題ですよ、これは。一方の会社はつぶれますよ。つぶれなくてもへとへとになりますよ。その点はどうですか。大きな会社が栄えて、小さい会社はつぶれてもかまわぬ、こういうわけですか。
  179. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 そういうことは考えておりません。われわれはやはり近畿地区なら近畿地区における放送事業者の共存共栄ということを念頭において考えております。
  180. 森本靖

    ○森本委員 だから共存共栄ということを念頭に置いて考えるならば、大阪の四社にやらすということは間違いでしょうが。共存共栄にならぬじゃないですか、そういうことになれば。大阪の四社については、現在すでに立っていっておるでしょうが。両方の社会の配当率を比べてごらんなさい。一方はラジオ単営できゅうきゅうとしてやっておる。そこへもってきて別の社会が大阪から大きな波でテレビを流すということになったら一体どうなるか。それではたしてほんとうの共存共栄になるのかどうか。共存共栄ということをやるならば、少なくとも大阪の四社はく、の圏内を守り、それ以外の和歌山、京都、あるいは神戸というようなところについては、それぞれの県域域でラジオ放送をやらすのが最も妥当なやり方です。これはやはりそういう行政の筋を曲げてはならぬと思うのです。あなたは共存共栄と言うけれども、共存共栄にはならぬ、そういうことをやった場合には。大臣この点はどうですか。
  181. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 われわれといたしましては、筋を通すということでやっておるわけでございまして、大きいものをどう、小さいものをどうということはございません。
  182. 森本靖

    ○森本委員 大きいものをどう、小さいものをどうということはございませんと、あなたは怒ったような顔をしても、現実に四社にそういうことをやらすとするならば、片一方の会社はつぶれるということになるのじゃないですか、現実に今の経営状況から見たならば、今の営業状態から見たならば。しかも、一方の配当率とラジオの配当率と比べてごらんなさい。一方はほとんど赤字にひとしいような経営状態をやっているでしょう。それにもっていって、大阪の大きい会社がぽんと大きい波を流すということになったら、さらにスポンサーが減ってきますよ。そういう考え方でなくても、結果的にはそういうことになってくるのじゃないかということを言っておるのです、私の言っておるのは。だから郵政省としては、一度これをそれぞれの広域的な発展をすべきであるということを免許条件として許可した以上は、それもやはり発展をしていくように見てやらなければならぬでしょう。同時に、その地方のローカル放送というものを、これもあなた方が言っておりますように、ローカル放送というものを重点的に今後考えていかなければならぬ。免許の方針にもそれが入っておる。こういう場合には、大阪の四社がやるよりも、和歌山の地元にありますところの放送局に、ローカル放送をやらせるのが最も妥当でしょうが、大臣、その点はどうですか。
  183. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 われわれの方の基本的な考え方としましては、大都市周辺、すなわち近畿におきましても、大阪周辺の都市は、これはVの波では難視地域の救済はできない。結局Uを導入する以外にない。そうしますと、これは受信者にもだいぶ負担をかけますし、それからまたUであれば比較的波は潤沢にとれる。それであるならば、そういう聴視者の便をはかるために、大阪と同数の番組を見させるようにした方がいいのじゃないか、こういうところが基本的なポイントになっておるわけであります。まあ、そういうことでいきますれば、近畿は一つだという考え方からしますれば、これは大阪の各社が中継局をつくる、こういった中継局は、結局これから負担になってもなかなか利益を生むというような場所は非常に少ないわけでありまして、難視地域の救済ということは、むしろ持ち出しのところが非常に多いのではないか。そういう意味で大阪のテレビ四社にやらせる行き方が一つあるわけでございます。しかし、それでは今、先生がおっしゃったように、各県域のラジオ会社というものが経営上困ってくるではないかいうことがありますので、何かそこいらをうまく提携していける方法がないかということで、現在閲歴をやっておるわけであります。
  184. 森本靖

    ○森本委員 それでは提携していく方法は、どういう方法がありますか。
  185. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 はなはだ申しわけないのですが、現在非常に調整工作として微妙な段階にありますので、もしお許しを願えれば多少時日をかしていただきたい、こう思います。
  186. 森本靖

    ○森本委員 提携していく方法がないものに対して、提携していく方法があるかのごとく相談を持ちかけたところが、結局泣く子と地頭には勝てぬということになって、弱いものが負けるという形にこれはなると思う。あなたが言ったように、近畿を広域圏としてやるということですが、それなら和歌山のラジオ局をどうして許可したのですか。そんなちぐはぐなことばかり言うもんじゃないよ。それなら初めからラジオを許可しなければいい。ラジオは県域放送を認めておいて、テレビだけは県域放送でやらぬということは一体どういうことですか、答弁して下さい。
  187. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 まあラジオにおきましても、大体広域的な考え方から県域の方向に向かっておるわけでございます。従いまして、テレビにつきましても、将来このUの問題を活用しまして、同じような方向に向いていくし、またそうすべきじゃないかと思っております。
  188. 森本靖

    ○森本委員 今私が聞いておるのは、近畿地方については、テレビとしては広域圏でやりたいと、こういうことでありますから、それならそれで一つ理屈があるわけであります。それならラジオも広域圏でやるべきじゃないか。テレビが広域圏をやっておるのだから、技術的にラジオが広域圏でやれぬはずがない。それが、一方のラジオは県別放送を許可しておいて、ラジオよりもっと電波が悪い、エリアの悪いテレビだけ広域圏でやるという理由は、どういう理由ですか、技術的に逆なんですよ。
  189. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 近畿の問題につきましては、現在、先ほど申し上げましたように、テレビにつきましても、ひとまず広域圏的な行き方でいきまして、将来適当な時期にそういう県域的な置局もしていく、こういう考え方が適当じゃないかと思っております。
  190. 森本靖

    ○森本委員 将来県域放送を認めるのなら、この際県域放送をやるべきじゃないですか、現在なぜやらせたらいかぬかということです。将来県域放送を認めるなら、現在県域放送を認めるべきだ。だから、そのテレビの――おそらく局長は政治的な圧力があって非常に答弁しにくいと僕は思うのだ。自分の思っていることとは反対の答弁をしている。どだいこれは間違った答弁ばかりですよ。広域圏放送としてやろうとするならば、少なくとも筋を通して、ラジオもテレビも全部広域圏でやるということなら話はわかりますよ。少なくとも県域放送については、和歌山については、ラジオはラジオとして許可をしているのですよ。許可をして相当の時日がたっておる。いまだにこれがほかの県のラジオ、テレビ会社と違いまして、その収益はそれほどよくない、こういう現状だ。そのときにはたして広域の放送を大阪のテレビをやってこれが立っていくかどうであるか。それなら初めから和歌山のラジオなんというものは許可しなければいい。これは聴聞会にまで出されてもめたところの許可なんです。それを郵政省は押し切って許可をしておる。一方ではそういうことをやっておいて、今さらになって広域圏放送でなければならぬということはまことに筋が通らぬ。大臣、どうですか。その点は、ラジオは、はっきり言うと、和歌山へおろすことは大もめにもめた。もめたけれども、郵政省は押し切って、ラジオについては県域放送を認めた。提訴せられて、聴聞会なんだ。それでも押し切ってこのまま出てきておるわけです。それで県域放送を、ラジオの中波放送をやっておるわけです。今度テレビの段階になると、県域放送はいかぬ、広域圏放送でやる、広い地域の放送でやる、そんな筋の通らぬ、一貫をせぬところの郵政省の行政方針はないでしょう、大臣
  191. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 私は、どうもこまかいことは存じませんで、恐縮でございますけれども、われわれの方としては、筋を通した行政をやっていきたい、そういうふうに思っております。
  192. 森本靖

    ○森本委員 だから僕が聞いておるのは、ラジオというものの中波のサービス・エリアというものは――大臣よく聞いて下さい。常識でわかりますから……。ラジオの中波放送は、テレビのエリアよりも、はっきり言うと大きいのですよ。広域圏放送をやろうとするならば、少なくとも中波放送の場合には、広域圏放送をやるにはテレビよりももっとやりよい。ところが、その広域圏放送についての中波の放送については、相当もめたにもかかわらず、あそこには中波のラジオ放送局を、今から五年ぐらい前に県域放送として認めたわけだ。それで争いになって聴聞会まで出されたけれども、郵政省はあそこへ県域放送の中波放送をおろすことは正しいということで押し切ってしまった。それで今日まで和歌山放送という会社ができてきておるわけだ。ところが今度は、テレビの許可をするということになった場合には、県域放送はまずい、大阪からの広域圏の放送でやった方がよろしいという理屈は、ラジオとテレビでどういうところから出てくるかということです。
  193. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 今度の二次プランの修正は、親局の問題ではございませんので、親局をつくらずに中継所でやる、そういうプランの修正でございますので、そういうふうにしたわけでございます。
  194. 森本靖

    ○森本委員 節二次の親局の中継放送であっても、それを親局にするということは可能でしょう。親局にしてローカルをその番組の中につけ加えるということは大臣可能でしょうが……。
  195. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 現在二次プランの性格は、これは中継局オンリーだ、親局はすべて一次プランだ、こういう建前になっておるわけでございます。
  196. 森本靖

    ○森本委員 建前であっても、その和歌山のような状況状況が違うでしょう。そんなことをしたら一方のラジオ会社はつぶれるような結果になるでしょう。つぶれやしなくても、赤字赤字で、最終的につぶれる結果に現実問題としてはなるでしょう。NHKの予算から、妙なへんてこりんな論理にいったけれども、あなた方の答弁が全く筋が通らぬと思うから、私は怒っておるのだ。ちゃんとした説明を、筋が通った答弁をしてくれるならば、それは打ち切りますけれども、もうすでにあなた方の頭の中には、大阪の四社に許可するものなりと考えて、そういう答弁をしておるから私は怒っておるのだ。僕は別にこの和歌山放送にも大阪の四社にも知り合いは一人もない、ないが、そんな筋が通らぬようなやり方をしてもらっては困る。今から七年ぐらい前に、藤木さんと一緒に大阪へ視察に行ったときに、あの付近の状況は、陳情を受けてよく知っておると思うのだ。だから聞いておる。これはもう一ぺん、私は、この問題については郵政省としては慎重に再検討してもらいたい、こう思うのですがどうですか。
  197. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 先ほど申し上げましたように、われわれの方としましては、近畿における放送界の共存共栄ということを念頭におきまして、この問題を解決していきたいということで、現在いろいろ調整をやっておるわけでございます。
  198. 森本靖

    ○森本委員 その調整のやり方が、一方に許可するものなりとして調整したのでは、これは絶対調整がつきませんよ。それから一方が共存共栄がいくといって、大阪の四社に許可をして共存共栄がいくはずがないんだ、常識的に考えて。だから一切を白紙に返して、もう一ぺん再検討願いたい、こういうことです。一つ今の意見もあるので、十分に検討してもらいたい、郵政省としては。もっと筋の通った答弁のできるようにちゃんと考えてもらいたい、検討願いたい、こういうことです。再検討願いたい。
  199. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 郵政省としましては、まだその案を確定したわけでございませんので、先生の御意見一つ十分配慮さしていただきたいと思います。
  200. 森本靖

    ○森本委員 そこで、これはNHKに関係があるわけでありますが、そうなって参りますと、たとえばNHKの和歌山についても、県域放送を許可するかどうかという問題にもなってくるわけであります。だから、こういうときには、私は民放の問題だけでなくして、NHKも含めて、一つ検討してもらいたい。今あなた方が一生懸命になってやっておるのは、その大阪の四社とそのラジオ単独局との間をどう調節をするかということに一生懸命になっておる。しかし、本来ならば、和歌山にはNHKの局はあるけれども波が出てない。営業だけをやっている。しかし、本来県域放送をやるということであるとすれば、NHKとしては、和歌山の県民にサービスのできるところのローカルの放送はやるということは当然考えるべきだ、そういうこともあわせてこれは再検討を願いたい、こういう意味でありますが、よろしゅうございますか。
  201. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 NHKの問題につきましても、よく考えたいと思います。
  202. 森本靖

    ○森本委員 それから放送法の第三十四条の問題でありますが、これは私が前からやかましく言っておることでありますが、私もこれで放送協会の予算を九回熱心に審議をいたしておりますけれども、そのたびに私が放送法三十四条の問題を出します。ところが、歴代の郵政大臣は、そのたびに、十分尊重いたします、来年度には考慮いたしますということを言いますけれども、いまだに実現せられたことがない。しかし、今日ほどこの技術研究というものが重要な時期はないわけでありまして、私は、それがとてつもない、数十億円ということを言うわけじゃありません。しかし、少なくとも四、五千万円でも一億円でもけっこうだから、放送法の第三十四条によるところの、いわゆる技術研究の交付金というものを郵政省は一度組んでみたらどうか、毎年それは考慮いたしますと、こういう回答ですが、今度の大臣はどうですか。
  203. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 われわれの方といたしましては、やりたいつもりでおります。
  204. 森本靖

    ○森本委員 大臣が今度やりたいということになって、来年の予算が出てきたときに、またなかったということになると、何にもならぬので、ほんとうにやりたいということであるとするならば、ほんとうにこれは大蔵大臣とも一度真剣に渡り合うということもやってもらいたいと思うのです。ちょうど今の大蔵大臣の田中大臣は、このこともよく知っておる人物でありますから、一つこの次の予算編成期には十分考えてもらいたい、こう思うわけであります。  そこでNHKに聞きますが、NHKは、そういうことを命ぜられなくても、NHK自体において独自の研究をやるということは当然でありまして、技術研究所がかなりな金額で落成もいたしております。そこでわれわれが注目をいたしておりますことは、NHKが何かメーザーの研究についてかなり進んでおるというようなことをいろいろ雑誌で見るわけでありますか、どの程度までいっておるわけすか。
  205. 田辺義敏

    ○田辺参考人 メーザーにつきましては、あまりこまかく専門的なことを御説明申し上げても非常に複雑だと思いますし、私もまた十分おわかりいただける説明はできないと思いますが、簡単に御説明申し上げてみたいと思います。  今、研究所でやっておりますのは、このもとはやはりアメリカの研究並びに実験の結果をあとを追っておる研究でございますが、日本におきましては、現在各所で研究をやっておるようでありますが、NHKの技術研究所と東大との協力の研究が一番先行いたしておるような気がいたします。と申しましても、まだこれは全く始めたばかりでございまして、将来これがどう発展していくかは今後の問題かと思います。御承知のように宝石、たとえばルビーのようなものに光を当てますとそれから電波に似た性質の光がまた出ます。それは普通の光と違いまして、電波と同じように単一方向に向かって集中して出るような、そういう性質を持った光が出ることがわかりまして、それが将来――波長が非常に短かい光でございますので、いろいろな通信にも、あるいは放送の各面にも将来のそういうふうな基礎的な放送技術の発展の基礎としてそれが利用できるのではないかというので、今研究をやっておる段階でございます。従いまして、これが今のマイクロウェーブその他のように、十分実用になる時期としましては、ただいまそれがいつできるかということは、まだ見通しがない段階でございます。これにつきまして、現在研究所が――本年度の御審議いただきます予算に一応考えております経費といたしましては、約五百万円程度の予算を見ております。
  206. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、各国のメーザーの研究については、どの程度日本としては資料を収集しておりますか。
  207. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 先ほど話がありましたように、メーザーというものは非常に多い分野でありまして、電波の領域もふえていくというような非常に重要なものでありますので、われわれの方でも非常に関心を払っておりまして、この問題につきましては、欧米の資料を十分集めつつあります。
  208. 森本靖

    ○森本委員 質問の要点をぽんと答えて下さい、時間がなくなりますから。各国のメーザーの研究については、どの程度の資料を集めておるか、こういうことでありますから、資料を集めておりますということでは答弁にならぬ。どことどこの国がどういう研究をしておるということ、どう集めておると、こういう回答をしてくれればいい。
  209. 田辺義敏

    ○田辺参考人 私の知っております限りにおきましては、私どもは主としてアメリカの資料だけしか持っておりません。
  210. 森本靖

    ○森本委員 アメリカでは、かなりこれが日本の開発よりも進んでおりますか。
  211. 田辺義敏

    ○田辺参考人 向こうで始めたものでございますから、若干進んでおると思いますが、それにおくれないように今一生懸命追っかけている段階でございます。
  212. 森本靖

    ○森本委員 これは、その内容が雲をつかむような内容だから、答弁も雲をつかむような内容でも仕方がありませんけれども、しかし実際は、これは将来の逓信網としては、われわれが常識で考えても、もしこれが成功するとするならば、革命的な問題であろうという考え方がするわけでありますので、そういう点で当然日本は今NHKと東大がいわゆる提携をしながら研究をしておるということでございましたが、それ以外に研究しておるところはどこですか。
  213. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 電電公社、それから主要メーカー、ほとんど全部やっております。
  214. 森本靖

    ○森本委員 これは一つ大臣、科学技術庁長官あたりと協議をして、前から私が言っておることでありますが、たとえば電電公社の通研というところは二千人からの研究員を持って、膨大な機構を持っておるわけであります。それからNHKは、NHKとしての一つの技術研究所を持っておるわけであります。それから東芝、日立というふうな大きなメーカーにおいては、それぞれまた研究所を持っておる。東大、NHK、それぞれまた別々の研究所を持っておる、こういうものを総合的な立案計画をして、一つの、たとえば放送通信技術研究所というようなもので総合的に検討し研究をしていくということをするならば、今のものよりも集中的にずっと能率が上がるだろうということを前々から考えておるわけでありますが、大臣、同じことをあっちこっちで研究をやっておるわけですけれども、これに対する見解はどうですか。
  215. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 その点は一つよく科学技術庁の長官と相談をいたしまして、能率の上がるようにやっていきたいと思います。
  216. 森本靖

    ○森本委員 これはここで答弁をしただけでなくして、このことは私は一カ月後に科学技術庁長官をここへ呼んで、あなたと二人並べて、必ず聞きます。これはほんとうに、日本の電波技術と科学技術の振興にしとっては、きわめて重要な事項なんです。これは一つおざなりの答弁でなくして――もっともあの科学技術庁長官は、潜水艦は戦争に利用されなければ兵器でない、船であるというようなことを言う人だから、科学知識がどの程度であるか知りませんけれども、それにしても、これは非常に重要な問題でありますので、一つ真剣にお取り上げを願ってやっていただきたい。いずれ当委員会に科学技術庁長官も来ていただいて私は質問をしたい、こう思いますが、メーザーの開発にからんで私が言いたいのは、そういう研究の総合的なものを一つ政府がどっかで指導、計画をしてもらいたい、こういうことでありますから、一つこれはよく念頭に刻んでおいていただきたい、こう思うわけであります。  それでは、具体的にNHKの予算に移りたいと思いますが、郵政省としては、NHKを監督する場面ではありませんけれども、一応予算その他に目を通さなければならぬということになりますが、NHKの監事というものは今何人おりますか、電波監理局長。
  217. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 三人だと思います。
  218. 森本靖

    ○森本委員 それで給料をもらっておるのは何人ですか。
  219. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 三人とも給料をもらっております。
  220. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、三人とも常勤ですか。
  221. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 さようでございます。
  222. 森本靖

    ○森本委員 その監事の俸給は理事の俸給と同程度ですか。
  223. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 ちょっとそこまで今記帳にございません。
  224. 森本靖

    ○森本委員 あとでNHKに聞きますので……。この今の監事という制度が郵政省としては有効に生かされておるというふうにお考えですか。
  225. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 もちろん、有能な方が当たられるので、十分働いておられると思いますが、まだ改善を要する点があるんじゃないか、こう思います。
  226. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、この監事というのはどういう仕事をしておるわけですか、一体、三人もおられて……。私は年に一回くらいしか判をつくことがないということを仄聞をしておるわけでありますが、郵政省としてはどうつかんでおるわけですか。まああなたの方は、つかんでおらなければつかんでない、こう言って下さい。あとはNHKに聞きますから……。
  227. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 十分把握いたしておりません。
  228. 森本靖

    ○森本委員 そこで、監事をつくるときには――われわれはこれを賛成をしてつくったわけでありますが、その間――今なぜこの問題を言うかというと、この間も行政管理庁その他において各種公団、公社の監事のあり方が問題だというわけです。各種公社、公団等における監事をもっと活用するならば、各公団、公社の経理その他についてもっと円満にいくのではないか、こういう意見が出ておるわけでありまして、これを活用しなければならぬ、こういうことになっておるわけでありますが、現在NHKの監事というような人は、日常どういう仕事をしておられますか。
  229. 溝上銈

    ○溝上参考人 お答え申し上げます。NHKの監事は、放送法によりますと、会長、副会長理事の業務を監査する、なお、私どもの方の定款によりまして、業務を監査した結果、改善すべき点があれば経営委員長並びに会長意見を述べるというふうな建前になっております。そして経営委員会の決定した方針に執行機関の業務執行が沿っておるかどうかを、大局的見地から監査して経常委員会に報告し、また意見を述べる、こういうふうに考えておりますが、この目的を達するために、どういうふうな業務をするかという点につきましては、監事を任命いたします経常委員会と監事自身とがいろいろ検討いたしまして――常に検討を続けておりますが、現在のところ次のような方法で協会の執行機関の業務を監査いたしております。たとえば経営委員会あるいは在京経営委員会の打合会等には、常時出席いたしまして、執行機関の説明を聞き、また会議に提出されました執行機関側の資料、それはたとえば主要業務報告あるいは財政の現況、建設工事の進捗状況、あるいはそのつどの議題の資料といったものを検討をいたします。特に毎事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書及び業務報告書につきまして、これを詳細に検討いたします。また会長、副会長と部内の機関でありますが、考査機関あるいは広報室長、こういう会合にも出席いたしまして、部内の監事、番組の考査担当者からの説明を聴取いたしまして、また監査、考査機関からの膨大な報告書を詳細に検討いたしております。それから会長、副会長と監事の会合を定例的に月二回会合いたしておりますが、ここで執行機関側からの説明を――これは理事会の審議の内容等を主にいたしまして説明を聞き、またそれに対して会長あてに意見を述べるということもやっております。これは局長の会議でございますが、全局長会議というものがございます。これは会長、副会長専務理事理事、監事、本部部局長、中央局長で構成いたしておりますが、これにも出席いたしておりまして、幹部職員の説明を直接聞いて職務の執行の参考にいたしております。まだほかにもございますが……。
  230. 森本靖

    ○森本委員 わかりました。  そこで聞きたいのは、監事の部下は何人おるのですか。
  231. 溝上銈

    ○溝上参考人 監事はただいまのように会議を主にして、また資料の検討を主にしてやっておりますので、常時監事に付属した機関はございませんが、年に何回か監事の仕事を助けますために、必要に応じて職員をつけ得るように、特命して部下をつけるという形式をとっております。
  232. 森本靖

    ○森本委員 今、副会長がずらずら述べられましたけれども、これはそれぞれの内規だとかそういうものにはみな書くものなんです。実際にそれを実行するということになると、三人の監事では実行できない。やはり常設機関というものを持たなければ当然できない。常設機関というものを、少なくとも二十人程度の配下というか部下がいなければ、全然仕事にならぬと思う。これは前にも私が言ったけれども、あなたの方は、監事というものは、中央放送局長でもやって、あと老後二期でも監事をやったらそれでいいわということで監事になるのが普通ですけれども、せっかく国民の受信料で支払う監事でありますから、監事を有効に使わなければならぬと思うのですが、何か監事が監査局長を兼任するというようなことは、現在の放送法上できないのですか。
  233. 溝上銈

    ○溝上参考人 最初に申し上げましたように、監事は会長、副会長及び理事の行なう業務を監査するということになっておりまして、実際NHKの業務全体の監査は、理事会の下部機構である部内の、あるいは業務監査は監査室、番組監査は考査室、これは非常に多くの人数でもってやっておりますので、監査報告あるいは考査報告をまとめたものを監事に提出いたしておりますから、監事自身自分で手を下して各方面の資料を収集してこれを整理するという、要はないと思います。
  234. 森本靖

    ○森本委員 それはあなたの理屈であって、そんなことをしたら監事というものは、行政管理庁でも言っておりますように、有効日常監査を行なわしめるということはできぬと思うのです。たった三人程度、机を並べてすわっておって、持ってきた書類をちょっと見ておったんでは、ちっとも監事としての監査任務にならぬと思う。やはりこの監事に二十名なら二十名の部下をつけて、そうして随時資料を収集するというようなことをやらないと、監事があなた、理事に言ったところで、理事の方が監事よりえらいんだから、お前、何言っておるか、はい、こういうことになったら、何も監事の任務にならぬ。現実問題です。これはもう少し、一つこの監事というもののあり方を一ぺん検討してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  235. 溝上銈

    ○溝上参考人 今後十分検討いたしたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、監事は経営委員会の任命でありまして、理事よりも下ということはないので、われわれ十分これを研究して、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  236. 森本靖

    ○森本委員 それは下ということはないですけれども、今の監事になっている人を見たらわかる。現実にあなた方よりみな下の人なんだから、おい君と言ったら、はいと言って副会長の前に来る監事なんだから、そういうものを監事にしておいて、そして監事には部下が一人もおらぬ、それで監事が自主的に会長、副会長理事がやったことを監査するといったところで、できっこないのですよ、現実の問題としては。そんな理屈を言うつもりはありませんが、次の決算委員会のときに、いわゆる決算を審議するときに、一つ今度は三人の監事に出てきてもらって、直接私は監事の人々にその意見を聞いてみよう――遠慮なしにものを言え、遠慮なしにものを言わぬような監事は要らぬからという趣旨で一つ質問してみよう、こう思っておりますから、NHK当局としても、この監事のあり方については、一つ十分に御検討願いたい、こら思うわけであります。  それから、いよいよ具体的にNHKの問題に入っていきたいと思いますが、この資料の十二ページでありますが、受信料収入が、要するにこの当初計画と修正計画に見合っての計画が出ておるわけであります。この計画を見ますと、三十八年度から四十二年度の間に二百六十九億六千七百万円という数字が、前よりも増収になる見込みをしておるわけでありますが、この増収になるという一つの原因は――これだけの見込み違いというものがあったことは、まあ私にも責任があると思います。これは去年その方向が妥当であるということをわれわれも審議をして決定したわけでありますから、われわれにもこれは一応責任はあると思いますけれども、少なくとももとの基本を提示したところのNHKには、もっと責任がある、さらに西崎君のごときにおいては、もっと責任がある、これだけの増収の見込み違いということは。だからこれは、私はNHK当局、郵政省だけに責任があるとは言わぬ。昨年われわれが予算を審議したときの議員も、これは審議が足らぬ――足らなかったのか、あるいはあなた方の方が資料を提供しなかったのか、それはわかりませんけれども、いずれにしてもこれだけの、たったの五年間において二百六十九億という見込み違いというものは、これは相当の数字だ、こう思うわけでありますが、これだけ違ってきたというその具体的な内容はどういうことですか。
  237. 小野吉郎

    ○小野参考人 ただいま御指摘のような相違を来たしました主たる原因は、契約の将来の増加の見込みにつきまして、当初の見込みよりも現実にはかなりオーバーをしたということが原因でございまして、主としてこの収入の大宗をなしますものは、テレビをつけております契約甲の方でありますが、この契約甲におきまして、新しい受信料体系、あの二本建でスタートをいたしました初年度の末におきまして、当初の計画よりも百十五万件の増を来たしたということが主たる原因になっております。そういうような情勢からいたしまして、三十八年度以降の関係につきましても、そういった現実の事実をもとにいたしまして算定をし直したわけでございます。そういうことで、当初の各年度別の甲の伸びの工合よりも多少変わっておりまして、昭和三十八年度におきましては、当初百九十万件の増を見込んでおりましたが、今回出しております予算の中には、この増加の期待数は二百万になっている。しかしこれは、いろいろな事情から申しまして、こういう調子がずっと並行して参りまして、六カ年の終了時までこのような伸びを続けるとは思いません。オリンピックを控えまして、われわれは六カ年間に将来ふえるであろうと見込みました総体の中では、できるだけ初年度の方に増加傾向が見込みよりも多く加わっておるというようなことで、後年度につきましては、むしろ当初の計画よりも多少減少を見込んでおるわけでございますが、それでも総体といたしまして、当初六カ年計画終了時において、契約甲の総数におきましては千七百九十五万件の増を見込んでおりましたが、これが千八百八十万で、昨年策定の計画よりも、最終年度において八十五万さらにふえるであろうというような計算をやり直しました結果出た数字でございます。   〔大高委員長代理退席、岡田(修)委   員長代理着席〕
  238. 森本靖

    ○森本委員 ちょっとお聞きしますが、今三月でありますから、三十七年度はまだわかりにくいと思いますが、わかると思えば、三十七年度の予算額に比して実収入がどの程度ふえる見込みであるかということをちょっと……。
  239. 小野吉郎

    ○小野参考人 三十七年度予算におきましては、御承認をいただきました受信料の収入額は約四百七十億でございます。これが、ただいま約二十六億見当の増収がある予定でございます。
  240. 森本靖

    ○森本委員 そうしますと、予算額に比して大体二十六億程度の増収になる、こういうことですね。そういたしますと、二十六億ということになりますと、予算に比して何%程度になりますか。
  241. 小野吉郎

    ○小野参考人 約四%でございます。
  242. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、十二ページの受信料収入は、三十八年から四十二年に至りましてこれ以上に実収入は四%程度あると見ておりますか。予算審議のときにそういうことを言うのはあれですが、しかし実際はそうなるわけでありますから、予算以上にどの程度のオーバーになると見ておるわけですか。
  243. 小野吉郎

    ○小野参考人 三十八年度の予算につきましては、これは今年度の三月末までの多少の推定の計数が基礎になっておりますが、この予算の三十八年度当初における契約の伸びは、三十七年度中におそらく三百万と見ております。これはおおよそ現在の趨勢から申しまして、二月十日現在までの確定数から申しまして、大体その見当に落ちつくことと思います。従って、この面からは大した増収は出ないと考えられます。来年度中にふえます件数を二百万件と見ておりますので、この二百万件が、はたしてそこまでいき得ないか、さらにそれをこえるかということでございますが、現在の普及の状況から申しますと、二百万はかなりの数でございますので、これをオーバーするような数字は、ただいまのところ見込めません。従いまして、予算面のそれとしては、三十八年度については、およそ過去にありましたような大幅な増収は期待できないのではないか、かように考えております。
  244. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、三十八年度以降につきましては、かなり筒一ぱいに組んでおるということがいえるわけですか。
  245. 小野吉郎

    ○小野参考人 ただいまのところではそのように見当をつけております。
  246. 森本靖

    ○森本委員 そこで、このワシントンハイツにこしらえるところのテレビセンターの総金額は幾らですか。それと終わる年度……。
  247. 小野吉郎

    ○小野参考人 総金額は、土地代、建物代及びこの建物に付属いたしました室内における各種の設備類を合計いたしまして三百三十億でございます。完了の年次は四十二年度でございます。
  248. 森本靖

    ○森本委員 この三百三十億円という数字は、四十二年度までの総予算に比して大体何%程度になりますか。
  249. 小野吉郎

    ○小野参考人 五カ年総体で申しますと、建設関係の経費総額は千二百二十億と見ております。この中にはただいまの三百三十億も入っておるわけでございます。約三分の一は放送センター関係の経費に使用される見込みでございます。
  250. 森本靖

    ○森本委員 今の数字は非常に重大な数字であります。世界に比しても遜色のない日本の最も代表的なテレビセンターを、日本の中心につくるということについては――これは基本的には私は反対でありません。ただ、しかし、今申しましたように、五年間の総予算のうちの三分の一の比重を占めるということは、NHKの予算の中においては、いまだかつてこういう事業計画のやり方というものはなかったと思う。これは重要なことでありますが、そうなって参りますと、ややもいたしますと、NHKがあまねく国民にラジオ、テレビのサービスを国内平均をして展開していかなければならぬという点が、やはりそれにひっかかって落ちていくのではないかという――これは根拠も具体的な数字もないわけでありますけれども、数字を見ますとそういう懸念がするわけであります。そういう懸念に対して心配がないということがNHK当局としてここで保証ができるかどうか。
  251. 小野吉郎

    ○小野参考人 先ほど申し上げました三分の一と申しますのは、将来五カ年間における建設関係の経費の総額に対する比率でございまして、森木先生のただいまおっしゃっておりますのは、予算全体について、しかも三分の一が放送センターに食われるように御印象になったと思いますが、この点は訂正をいたします。予算総額からいたしますと十分の一に満たない経費に落ちつくと思います。
  252. 森本靖

    ○森本委員 いや、それはわかっておるのですよ。これは一年に七百億ですから、それが五年ですから大体そういう数字になるわけでありますが、私の言っておるのは、いずれにしても、短い期間にこれだけの大きな投資を一カ所にするということは、NHKとしてはいまだかつてない情勢である。そうなってきますと、今言いましたように、全国あまねくサービスをしなければならぬという点が、やはり集中的にこれに重点が注がれて落ちるのではないかということをばく然と考えるのは、これは常識であります。そういう点の心配がないということが言えるかどうか。この場合それがいえるということであればそれでけっこうですが……。
  253. 小野吉郎

    ○小野参考人 この点につきましては、私ども先生の御心配になりますような事態はない、このように確信をいたしております。
  254. 森本靖

    ○森本委員 それでけっこうであります。具体的にこの内容が明かになっていかなければわからぬわけでありますが、実際問題としては、またあとで附帯決議の問題も出て参りますが、かなり経費が要るけれども、私の心配になっておるのはそういう点であります。まあ小野専務が責任を持って心配はないという答弁でありますので、その答弁を信用いたしまして先へ急ぎます。  それから、特にこの場合私は申し上げておきたいと思いますが、この三百三十億円というものを一カ所に集中をする――これは建築物でありますが、前にも国際電電の建物を建てたときでさえ、これは二十億ぐらいの建物でありましたが、若干問題になりまして、当委員会でも問題になったことがあります。そういうことがくれぐれもないように、日本の代表的なものをつくるわけでありますから、そういう点が若干でもあるということは、将来の放送界にとって汚点を残すことになりますので、建築その他には十分関心を払って万遺憾のないようにやってもらいたいと私は考えておるわけでございますが、これに対する回答を願っておきたい、こう思うわけであります。
  255. 阿部真之助

    阿部参考人 御忠告、御注意を受けまして大へんありがとうございますが、手前どももそういうふうに心得て、万全を期してりっぱなものをつくり上げるつもりであります。
  256. 森本靖

    ○森本委員 もう一つは国際放送の点でありますが、本年のNHKの自前の国際放送の費用は幾らですか。
  257. 小野吉郎

    ○小野参考人 約四億五千万円でございます。
  258. 森本靖

    ○森本委員 昨年とその前の年は幾らでしたか。
  259. 小野吉郎

    ○小野参考人 数字をまるくして申しますと、三十六年度が二億九千四百万円、三十七年度が三億四千八百万円でございます。
  260. 森本靖

    ○森本委員 予算規模全体が膨張してきておりますから、それに応じてこれも膨張してきたと言えばそれまででありますけれども、元来この国際放送というものは、放送法においても明確にありますように、政府が命令して交付金をもらって国際放送を行なうべきであります。自前で行なうのもけっこうでありますけれども、国際放送を行なう義務国民にはないわけであります。これはやはり政府の持つべきものであって、毎年々々NHKの自前の国際放送の費用というものが上がっていくことは私は、かんばしくないと思う。そういう経費があるとするならば、国内の国民に向かって放送する方をふやすべきである、こういう考え方を持っておるわけでありますが、この点郵政省としてはどういうお考えですか。
  261. 保岡武久

    ○保岡政府委員 お説の通りと心得ます。
  262. 森本靖

    ○森本委員 NHKはどう考えておりますか。
  263. 阿部真之助

    阿部参考人 お説の通りと心得ていますが、やはりNHKも多少は自前でやることも仕方がないと思っております。
  264. 森本靖

    ○森本委員 だから、私の言うのは、多少自前でやるということはある程度やむを得ない。しかしそれが、毎年毎年ふえていくということはどうかと思う。これが物価の上昇に応じてふえていくということなら了承できるけれども、新規事業を毎年々々行なうことによって自前がふえていくということは、これは考えるべき問題である、そう思うのですが、この点は会長どうですか。
  265. 阿部真之助

    阿部参考人 その点も十分注意してやっていくつもりでございますが、何分NHKの仕事というものは、現在は国内的ばかりでなしに、国際的にも重要な意味を持つようになっておるのでありまして、この点は、もしそういう経費が必要な場合には、私は強く政府にも要望したいと思います。しかしながら、国際的要望にもこたえなければならぬという立場にあるものですから、その点は御了承願いたいと思います。
  266. 森本靖

    ○森本委員 これ以上はやはり政府が交付金を出すべきであると私は思うのです。やむを得ないからNHKがやらなければならぬと言っておったら、今の政府ははっきり言って出しませんよ。こういうものははっきりと政府の交付金で行なう。今の自前程度でやる金額はNHKは筒一ぱいである、大体これが均衡がとれた現状である、これ以上自前の金額をふやすということは望ましくない、それくらいの会長の答弁が私はほしいわけでありますが、どうですか。
  267. 阿部真之助

    阿部参考人 できればそういたしたいと思いますが、なかなかこれはそうできるかどうか、しっかり今、これ以上伸ばさぬということをお約束するということは、ちょっといたしかねるわけであります。
  268. 森本靖

    ○森本委員 今ここでどうこうということではありませんが、当委員会として、一つそういう強い要望があるということは一これはおそらくだれしも反対ができぬと思うわけであります、だから、来年度の予算編成にあたっては、十分そのことを念頭に置いて検討していただきたいということであります。  それから、先ほどNHK学園問題が問題になっておったわけでありますが、このNHK学園は放送法の第何条の第何項においてやっておりますか。
  269. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 放送法の第九条第二項十号によって助成金を認めておるわけであります。
  270. 森本靖

    ○森本委員 これはあなたの方は一号でやっておるのじゃないですか。
  271. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 先ほど申し上げました通り、第二項十号によってやっております。
  272. 森本靖

    ○森本委員 助成を行なうことは十号に書いてありませんが、どういうことですか。
  273. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 教育番組の資料を得るための補助と申しますか、そういう意味で、放送及び受信の発達に関し必要と認められる業務、こういうふうに判断しております。
  274. 森本靖

    ○森本委員 ちょっと法律の解釈を聞きますが、これはこういうことじゃないですか。この第二項は放送協会がこういうことを行なう、こういうことでしょう。そうじゃないですか。
  275. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 そうでございます。
  276. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、「前各号に掲げるもののほか、放送及びその受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務で郵政大臣の認可を受けたものを行う」ということは、NHKが行なうことでありまして、NHKが助成をするということではないでしょう。
  277. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 NHKが助成するのを郵政大臣が認可する……。
  278. 森本靖

    ○森本委員 一号のように「又は助成すること。」というふうに書けばいいじゃないですか。「助成すること。」ということは書いてないですよ。この十号の読み方は、NHKがやることを郵政大臣が許可をするということを書いてあるわけです。局長、この十号の読み方は、日本文の通り読めばそうじゃないですか。その解釈はおかしいですよ。
  279. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 今、先生の言われた通りであります。
  280. 森本靖

    ○森本委員 それなら、これは十号でなしに、一号でないとおかしいじゃないですか。去年は、私の質問に、あなたは一号だと言いましたよ。どっちですか。これは法律的な問題ですから、突っ込もうとは思いません。一つはっきりしておきたい、こういうことです。
  281. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 現在のところは、この第十号による、こういうふうに考えておるわけであります。
  282. 森本靖

    ○森本委員 ちょっと政務次官、その放送法を見て下さい。「助成すること。」ということはこの九条の二項には第一号だけしかないですよ。そして第十号は「前各号に掲げるもののほか、放送及びその受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務で郵政大臣の認可を受けたものを行うこと。」こういうことでありますから、この十号というものは、NHK自体が行なうものであるということ、ところが、一号については、NHKがこれを援助し、助成をするということであります。だから、今度の学園については、学園自体の収入はあるけれども、それじゃ足らぬからNHKが助成をするということで助成金を組んでおるわけです。そうなってくると、この十号の適用ということはおかしいではないか。一号ではないか。これは法律問題だから明らかにしておこう、こういうことです。それならNHKはどっちの号を適用してNHK学園はやったわけですか。
  283. 前田義徳

    ○前田参考人 私ども当初の考え方では、第九条二項の一で十分であるという考え方を持っておりました。
  284. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 そういうふうに訂正させていただきます。
  285. 森本靖

    ○森本委員 それでわかりました。それではそういうことにいたしまして、次に、この放送法の今の二項の一号で、傍系機関がかなりあると思いますが、この傍系機関はどのくらいありますか。これはNHKに対する質問です。
  286. 小野吉郎

    ○小野参考人 はなはだ失礼でございますが、ただいまの御質問の要旨がちょっと聞き取りにくかったのですが……。
  287. 森本靖

    ○森本委員 第九条の二項の一号と二号において、今のNHKがかなり助成をしておる傍系機関があるであろう、たとえばサービスセンターとかN響とかいうものがあるであろう。それは何々でその金額は本年度の予算においてどの程度であるか。
  288. 小野吉郎

    ○小野参考人 お答え申し上げます。NHK交響楽団が一つございます。これに対しましては、昭和三十八年度本予算の中に助成を予定しております額は一億六千百万円でございます。そのほかに共済会がございます。共済会に対しましては、三十八年度におきまして約三億円あります。内容は、一般的な住宅関係の政策をいろいろ遂行させておりますが、それに対する交付金、退職年金の分担金に対する交付金、こういうような内訳になっております。それからNHKの厚生文化事業団、これがいろいろ厚生福祉に沿います事業をやっておるわけでございますが、この団体に対しまして三十八年度千三百八十万円を予定いたしております。助成の団体及び金額は以上の三つでございます。
  289. 森本靖

    ○森本委員 サービスセンターというやつはないのですか。
  290. 小野吉郎

    ○小野参考人 サービスセンターにつきましては、助成金と称すべきものはございません。仕事を委託いたしまして、その対価として一定の金額を支払っております。
  291. 森本靖

    ○森本委員 共済会はわかりますが、N響あたりの会計の監査はどういうふうにやっておりますか。
  292. 小野吉郎

    ○小野参考人 N響は財団法人組織になっております。従いまして、これに対しましては、法人の中に監事がおりまして、その監事が会計一般の監査をいたしております。
  293. 森本靖

    ○森本委員 法人でありまして監事がやるということでありますが、少なくとも予算、決算というようなものについては、NHKのだれか担当の理事でもがちゃんと目を通しておりますか。
  294. 小野吉郎

    ○小野参考人 この面におきましては、そういった団体自体についての監査の窓口といたしまして、第一部がございます。第一部におきまして、そういった今のような助成団体に対する運営その他の面についての審査、監査をいたしております。
  295. 森本靖

    ○森本委員 第一部の担当理事はだれですか。
  296. 赤城正武

    ○赤城参考人 私です。
  297. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、これはそういう面においては担当理事内容についてはよく知っておる、こう解釈していいわけですか。
  298. 赤城正武

    ○赤城参考人 さよう解釈してけっこうでございます。
  299. 森本靖

    ○森本委員 これは一つ私は要望しておきたい。今そういう事項があるというわけじゃございませんが、こういうふうな傍系機関の監査については、ややもいたしますとルーズになりがちであるというふうな感じがするのでありまして、こういう点の監査は、せっかく受信料において助成金を交付するということでありますならば、一つ十分にこれは掌握をしておいてもらいたい、こう思います。それから、そうなりますと、NHK学園の問題についてもやはり赤城理事の方ですか。
  300. 赤城正武

    ○赤城参考人 担当としては私の方であります。
  301. 森本靖

    ○森本委員 学園の問題については、非常に各方面から注目をされておりますので、特に政治的な論議もそうでありますけれども、ややもいたしますと、こういう会計方面がルーズになりがちという点が懸念をされるわけでありまして、そういう点についても十分監査あるいは掌握をするという点については、単に政治的に掌握をするということでなしに、数字をもって掌握をするということが一番大半でありますので、そういう点は赤城理事がおるとすれば心配は万々ないと思いますけれども、もしあったらこれは大へんでありますから、信用にかかわる問題でありますので、今までのような、たとえばN響とか、あるいはそういうところの問題であれば、比較的内部の事情としておさめられるかもわかりませんが、少なくともNHK学園の問題については、これは教育界からも相当の注目もありますし、また通信学校その他の方面からは別の異論も出ておる。こういう非常に注目をせられておる学園でありますので、その辺の問題については、万遺憾のないように今後やっていただきたいということを、私は特にこの際要望しておきたい、こう思うわけであります。  それから次に、具体的に予算総則に入っていきたいと思いますが、この予算総則の第六条にありますところの、昨年の予算総則と一つも変わらぬわけでありますが、三十七年度のこの第六条が適用せられまして、予備金として充当せられました具体的な大きな項目をちょっとあげてもらいたい、こう思うわけであります。
  302. 小野吉郎

    ○小野参考人 お答え申し上げます。予備金は四億をとっておったわけでございますが、この中で二億八千三百万円は次のような事項に振り当てております。  まず、年度中途におきまして、郵政省の周波数割当計画が変更になりまして、これによりまして増力を必要とする工事ができて参りましたものが十二でございます。周波数の変更の関係で九十三局に及んでおりまして、その金額がただいま申しました二億八千三百万円でございます。  それから郵政省に集金事務をお願いしております、この委託事務の運営関係の経費といたしましては、毎年四月一日現在におきまして、在来の単価関係についてベースアップその他の事情によってこれを改訂する必要が生じた場合には契約を更新することになっておりますが、この年度におきましてもそのような事態がございまして、この関係の経費増が三千五百四十六万円でございます。  さらに、集中豪雨等の災害復旧等の関係及び受信者に対しましては、こういった災害期間のある一定の期間は、受信料の免除を取り計らうわけでありますが、それに所要な経費が二百六十六万円でございます。  それから自動車の関係の事故を生じましたものの修理費三千百万円で、以上はいずれも当初予算に見込んでおりませんでした不測の事態に沿うものでございますので、予備金をもって充当いたしました。そして残額一億一千六百万円につきましては、これは後期に繰り越しになっております。
  303. 森本靖

    ○森本委員 次に第七条の問題でありますが、この第七条は、結局決算が全部終わってからでなければこの条項は発動できないわけですね。
  304. 小野吉郎

    ○小野参考人 必ずしもこれは決算が終了を見ませんでも、増収の見通しが明確になり、あるいは経費の節減が明確になりました際におきましては、第七条を適用することが可能だと解釈いたしております。
  305. 森本靖

    ○森本委員 そうしますと、三十七年度において、職員の能率向上と企業経世の改善によって収入がふえて、これを職員の給与に特別に支給したという金額はどの程度ですか。
  306. 小野吉郎

    ○小野参考人 四億二千七百万円でございます。
  307. 森本靖

    ○森本委員 四億二千七百万円ということになりますと、一人当たり幾らになりますか。
  308. 小野吉郎

    ○小野参考人 約三千円余でございます。
  309. 森本靖

    ○森本委員 そうしますと、本年の場合には、これが非常に見込みが薄いという形になると思います。そこで昨年のベースアップについては、一応ベース改定については、この第七条の適用以外にどのパーセンテージを組んでおったわけですか。
  310. 小野吉郎

    ○小野参考人 前年度の三十七年度のベースアップは七%であります。
  311. 森本靖

    ○森本委員 本年度は幾ら組んでおるわけですか。
  312. 小野吉郎

    ○小野参考人 同じく七%でございます。
  313. 森本靖

    ○森本委員 そこに私はやはり問題があると思います。今の物価の情勢からいって、昨年度七%組んで、今年も七%しか昇給を組んでいない。こういうことになって参りますと、先ほどの私の質問でも明らかなように、第七条を発動する事項というものの総金額は、かなり少なくなってくるのではないか。そうなって参りますと、いわゆる昇給がかなり昨年の三十七年度よりもむずかしいという結論になる。そういうことでは、事業を合理化し、能率を改善をしていくということにあたって、昨年よりも率が悪いということでは、これは従業員の能率向上に役立たぬことは当然であります。だからそこに何らかの考え方を持たなければならぬと思いますが、何かいい考え方がありますか、これは副会長一つ答弁を願います。
  314. 溝上銈

    ○溝上参考人 年々増収の程度が低下していくことはある程度やむを得ないと思いますが、われわれといたしましては、できるだけ業務の改善をして、経費の節減をはかって、従業員の待遇改善を十分考えていきたい、かように考えております。
  315. 小野吉郎

    ○小野参考人 先ほどの金額をちょっと訂正させていただきます。増収の中から職員の待遇に回しましたものは一人当たり三千円と申しましたが、三万円でございます。
  316. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、三万円というのはどういう金額ですか、年間ですか。
  317. 小野吉郎

    ○小野参考人 年間です。
  318. 森本靖

    ○森本委員 年間なら年間というふうに言うてもらわぬと、月に三万円も上がるということになったら、そんなベースはないわけであって、これは一つ答弁をしてはっきりしてもらいます。  そうすると、三千円を下回る、こういうことになるわけでありますが、そういたしますと、結論的に言うと、相当これは節約をしないと昨年と同じように上がらぬ、こういう結論になると思いますが、少なくとも私は、昨年度より以上に物価騰貴の情勢になっておりまするから、それに見合った一つの昇給というものは考えていかなければならぬ、こう思うわけでありますが、これはそういう方向で努力しようというようにお考えですか。これは後ほど附帯決議においても満場一致で一つ待遇改善には努力せよ、こういうことをつけるつもりでありますが、どうですか。
  319. 小野吉郎

    ○小野参考人 来年度の待遇改善につきましては、先ほど七%のベースアップと申し上げましたが、そのほかに、いわゆる期末手当につきまして、在来の四一八カ月分を〇・ニカ月分ふやしまして、五カ月分にいたしております。これはおそらく後年度に続くと思いますが、三十九年度以降につきましては、御指摘の通り件数の見込みにさしたる差を生じないような情勢になるであろうということになって参りますと、しかも、その増は対前年度に対しましてだんだん漸減をして参りますので、増収の幅が非常に少なくなって参ります。そういうような関係で、従業員の待遇は非常に重要な問題として考えておりますが、その点につきましては、そういう趨勢に即応して、企業の合理化その他いろいろな面について最大の努力をいたさなければならぬと思いますが、できるだけそのような努力を重ねまして、せっかくあります予算総則のこういう条項を適用し狩る幅を、できるだけ持ちたいというように考え、努力をして参りたいと思います。
  320. 森本靖

    ○森本委員 私が特に申し上げたいのは、事業支出の各項目のうち、ずっと見てみますと、給与以外の総支出に対する比率は、毎年ほぼ一定をしてきておるわけです。ところが、給与だけが、全体的の比率から見ますと、だんだん落ちてきておる、こういう形になってきておるわけでありまして、はっきり言いますと、これはやはり人件費を相当軽視をしておるのではないかということがいえるわけでありまして、一つこの点については、十分に御努力を願いたい、こう思うわけであります。  それからもう一つ、昇給制度の問題でありますが、何かNHKの方では、昔郵政省で私なんかが昭和十二年ころ勤めておった時分に、たとえば五十銭上がるという場合に、そのうちの二十銭はみんな同じように上がり、三十銭は課長の裁量によって上がるということで、課長の鼻息をうんとうかがったことがありますが、今幸い郵政省や公社というところは、一律に昇給がその人の勤務日数において比較せられておるわけでありますが、ただ早びけとか、あるいはまた病気によって休むとかいうことは、これは当然引かれますが、そうでなしに、NHKとしては、昔逓信省がやっておったような、あいつはどうも成績が悪い、あいつはいいということで、つかみ取りに昇給をさすというふうなのが、パーセンテージで半分ぐらいあるということを聞いております。その辺はどうですか。
  321. 前田義徳

    ○前田参考人 そういう事実はございません。ただ、おととし、三十六年度予算で御審議を願った際御説明申し上げておりますが、職員給与制度を三十六年以降変えております。三十六年度には、当時の物価値上がり、それから根本的なNHKの職員の待遇改善のために、一二%のベースアップをいたしております。平均一二%でございます。そして三十七年度、本年度は、先ほど小野さんから御説明申し上げましたように、七%のベースアップをいたしております。この職員給与制度は、生活給と職能給という考え方に立ちまして、そのパーセンテージは生活給が六、職能給が四を大体の標準といたしまして、これは組合とも長期の折衝の結果、大体組合にも賛成をしていただいてきめた給与制度でございます。この職能給の内容につきましては、当時やはり御審議をいただきましたが、新たに研修制度を一つの正式の職務内容の資格指数の基礎といたしまして、従って、その査定及び決定にあたりましては、資格研修を大体の大もとといたしまして、それによって公平な考課のもとに職能給の限度をきめるという方針になっておりまして、この点については、組合も積極的に協力をして今日に至っている制度でございます。
  322. 森本靖

    ○森本委員 なかなかスムーズにいっておるようでまことにけっこうでありますが、私が聞いておるところによると、そうスムーズにいってないというふうに聞いておりますが、どうも聞いたところと答弁と違いますので、ここで違う、違わぬと言っても話になりませんので、これはいずれまた私は具体的に資料を集めまして、他日日をあらためて場合によってはお聞きしたい、こう思いますので、これはまた預かっておきたいというふうに考えます。  それから、今度のこの内容の中に、もう一つ労働条件について申し上げておきたいと思いますことは、何かあなたの方の三十六条協定によるところの時間外労働というものが非常に多いということをよく聞くわけでありますが、平均どの程度従業員についてはこの時間外労働をやっておりますか。
  323. 小野吉郎

    ○小野参考人 この予算の中に組んでおります時間外労働は、一人当たり三十時間でございます。
  324. 森本靖

    ○森本委員 年間ですか。月か日か年か何か言わぬとわからぬ。
  325. 小野吉郎

    ○小野参考人 基準賃金の三〇%が超過勤務の原資になっております。
  326. 森本靖

    ○森本委員 だからその三十時間というのは、年間を通じて一人当たり三十時間というふうに組んでおるのか、あるいは月三十時間と組んでおるのか、これが明らかでないとわからぬですよ。
  327. 小野吉郎

    ○小野参考人 一月でございます。
  328. 森本靖

    ○森本委員 一月三十時間ということになりますと、これはかなりの時間になるわけでありますが、これは労働基準法に基づくところの制限時間というものは幾らですか。小野さん知っておるでしょう。あなたは郵政省の次官をやっていたのだから……。
  329. 小野吉郎

    ○小野参考人 七十時間になっております。
  330. 森本靖

    ○森本委員 その七十時間をオーバーするものは現実に出ておりませんか。
  331. 小野吉郎

    ○小野参考人 大体において組合との協約が守られまして、七十時間以内にとどまっておりますが、ときにいろんな関係でそれをこえるようなこともなきにしもあらずでございます。この辺は組合等からもいろいろ抗議もございますので、順次協約の線を完全に履行するように努力いたしつつございます。
  332. 森本靖

    ○森本委員 その問題は、私は組合との問題でないと思うのですが、どうお考えですか。
  333. 前田義徳

    ○前田参考人 原則的には組合との問題ではございませんが、組合の協力を得て解決すべき問題だと考えておるのでございます。ただいま小野専務から申し上げました最近の基準超過の件数は、およそ一万四千の組合員のうち、八月上旬現在では約五百件未満ございましたが、それが逐次改善されまして、この二月上旬の実績では、基準を超過しているものは百件未満となっております。これは私どもも大いに努力いたしまして、できるだけ絶無にいたしたいと考えております。
  334. 森本靖

    ○森本委員 これはしかし法律違反ではないですか。
  335. 前田義徳

    ○前田参考人 原則的には法律違反でございますが、そういう事実は、また同時に、法律を離れて、人間の能力の限界をこえるもので、そのような時間外労働があったという事実そのものをも検討しなければならない問題だと考えております。
  336. 森本靖

    ○森本委員 能力の問題は、それは当然でありますけれども、私は労働関係は昔から専門でありますが、やはり能力のいかんにかかわらず、この基準法で労働時間の制限というものをきめておるわけであります。だから、端的に言うと、具体的な理屈を言うと、能率の上がらぬ者が時間もかかれば、能率給ということでいくとするならば、それだけ賃金が下がるということです、しかし、労働時間というものは、それをオーバーしてはならぬ。これは人間の保健上、健康上というところから法律できめておるわけであります。だから、それ以上オーバーするということは、あなたの今の答弁では納得しがたいわけでございます。法律違反ということはやってはならぬ、NHKともあろうものが。たとい件数は少なくても、こういうことは絶対に排除しますということを言わなければならぬ――郵政省あたりの答弁は、あなたみたいな答弁はしません。そんな答弁をしたらしかられますよ。基準法は絶対に順守をいたします、たとえ違反をしておっても違反はいたしません、これがほんとうですよ。
  337. 前田義徳

    ○前田参考人 お説の通りでありまして、私はただ現在の実情を御説明申し上げて、それを絶無にする努力をしておる、もしそのような事態が残るならば、これは違反であるということを申し上げまして、違反のないようにいたしたい、こういうことでございます。
  338. 森本靖

    ○森本委員 違反のないようにいたしたいということであります。きょう私がここで申し上げましたことは――近くオリンピックが開催になります。    〔岡田(修)委員長代理退席、大高委員長代理着席〕 そうなりますと、私は相当集中的に労働時間をオーバーしてやらなければならぬ、これはNHKのためにということで、従業員が一生懸命努力することは当然だろうと思いますが、しかし、そうかといって、法律というものは一つの限度をきめておるわけでありますから、法律の限度はやはり順守をしなければならぬことを一つ念頭に置いてもらいたい。この点は、郵政省あたりはほんとうにはっきりしている。そういう点は、あなたの方は案外頭の中がルーズだと私は思う。やはり労働時間というものについては、基準法できめられた範囲内おいてはやってもいいけれども基準違反の点については、厳にこれを慎しむということを理事者側の人も頭の中にたたき込んでおいてもらいたい。そうしないと、オリンピックを控えてこういう問題がまた起きてくるのではないかという気がしてくるわけです。特にオリンピックが集中的に行なわれる場合には、非常に苦しい立場になると思いますので、その点を私は特に申し上げまして、これ以上は申し上げませんが、ややもいたしますと、こういう労働関係の法規が案外おろそかになりがちでありますが、労働基準法というものは、やはり労働者の健康を維持するためにあるわけでありますので、これは順守をしてもらいたい。その範囲内において労働組合と協約を結んでやることはけっこうであります、こういう趣旨でありますが、一つその趣旨を十分に体していただきたい。  それから、次に番組内容の充実ということが書いてあります。それ以外にいろいろ書いてありますけれども、それじゃ具体的に各組内容をどういうふうに充実をさすかということについては、この説明を聞いたのではさっぱりわからぬわけでありますが、番組内応の充実ということは、今年度はどういうことをお考えになっておるか、ちょっと御説明を願いたい、こう思うわけであります。
  339. 前田義徳

    ○前田参考人 番組内容の充実のうちには二種類ございます。第一の番組内容の充実と申しますのは、放送時間の延長に伴うもの、それからまた、すでに実施している各種放送時間の中で、番組内容を改善充実するもの、この二種類ございます。御審議いただいております明年度予算の中では、時間延長に伴うものは、主として教育テレビジョンの一時間半増に基づくものでございます。その次には総合テレビジョンのローカル時間の増でございます。第三番目には、FM実験放送放送時間の延長に伴うFMに適した新しい番組の制作並びに放送でございます。これが大体放送時間の延長に伴う放送番組内容の拡充強化でございますが、現行時間内で、放送番組種目の中で、これを拡充充実させるという番組がございます。例をあげて申し上げますと、たとえば芸能番組の中で従来の劇番組を三十分のものを四十五分にしてコクのある番組にするとか、あるいは報道番組内容を充実するために、全国的な取材体制を強化することによって、報道取材を豊富にするというような方法もございます。これをひっくるめて私ども番組内容の充実刷新並びに改善という言葉を使っているわけでございます。
  340. 森本靖

    ○森本委員 時間の延長と新しいFM放送の時間の延長ということは一応わかりましたが、具体的に現在の番組内容を向上させるということは、三十分を四十五分にするということであります。その程度がわかったわけでありまして、あと具体的な番組の充実ということについてはわかりません。何か新しい番組の編成というようなことを考えておりますか。
  341. 前田義徳

    ○前田参考人 幾つかございますが、たとえばテレビドラマの海外ロケを外国の放送局と共同してやるというような番組もございます。従来は、これもたとえばイタリア放送協会、あるいはアメリカの放送局、あるいはオースラリアの放送協会などの御援助を得て同じような番組を年間約四種類放送して参りましたが、明年度の海外ロケの番組は、フランス放送協会と経費を大体折半いたしまして、従って、その内容も従来以上に充実できるという意味での新しい制作に取りかかりたい、このように考えております。特に三十八年度におきましては、三十九年度のオリンピック放送と関連いたしまして、オリンピックそのものを世界的な視野から国内にキャンペーンするための世界各国を回ってのオリンピック関係の取材番組ども出て参ります。また劇映画の制作につきましても、明年度以降御審議をいただきます予算の中では、三十分番組を定期の番組といたしまして、少なくとも一週一回は放送していくというような建前もとっております。以上申し上げましたように、ごく簡単な二、三の例でございますが、すでに現在放送している番組内容についても、できるだけ充実して参りたい、このように考えております。
  342. 森本靖

    ○森本委員 ちょっとこまかいことですけれども、あのテレビドラマとか、それから劇映画なんかの制作をして一度放送する、そして放送したあとで、これは放送法に基づくところの期間を経過したものについては、これをどういうふうに処理しておるのですか。たとえばもう焼却をしておりますか。それとも何かこれは使い道がありますか。
  343. 前田義徳

    ○前田参考人 御承知の通り、番組にはなま番組とVTRによる録画番組とフィルムによる映画番組がございますが、なま番組については、大体将来それが保存する可能性がございません。しかしVTR番組とフィルム番組につきましては、相当期間これを保存しておきまして、ことにここ二年来、海外からの要求がかなりふえて参りまして、これを番組交換の貴重な資材として海外諸国の放送局にも送り出すという積極的な方針を考えております。
  344. 森本靖

    ○森本委員 今の海外との積極的な交換ということは、私はこれは非常にいいことであるし、大いに進めてもらいたい。それから、交換でなくても、向こうからほしいといえば、積極的に実費で売ればいいと思う。やはりそういうところにも一つの増収の道があると思いますので、この点は一つ十分に考えていただきたい、こう思うわけであります。それから、先ほど谷口委員が問題にしておりました「ひとりっ子」の問題でありますが、これもNHKには直接関係はありません。ありませんが、NHKの中においても、ここ数年来にこういうふうな事態があったことがありますか。なければけっこうです。
  345. 前田義徳

    ○前田参考人 私の記憶では、NHKではここ数年来「ひとりっ子」に似たよらなケースはございません。
  346. 森本靖

    ○森本委員 これは一つNHKに私はこの点は厳重に忠告をしておきたいと思いますが、たとえば民放の場合は、言論放送の自由ということが、「ひとりっ子」の場合には問題になります。これは当然問題になりますけれども、かりにNHKがああいう場面に立ち至った場合には、言論放送の自由という問題と同時に、それを放送しないということについては、それならなぜそんなむだな金を使ったかという、こういう論点が民放とは別個の問題に論ぜられることになりますので、こういう点は万々ないと思いますが、そういうことが絶対にないように、一つNHKとしては十分に考えてもらいたい、こう思うわけでありまして、この点に関する決意を一つ前田専務から聞いておきたい、こう思うわけです。
  347. 前田義徳

    ○前田参考人 全く先生のおっしゃる通りでございまして、私もNHKの幹部の一人として、そのようなことの起こらないように、決意を新たにして前進いたしたいと思います。
  348. 森本靖

    ○森本委員 それからこの番組の問題でありますが、私はこのごろのNHKのテレビその他を見ておりまして、初めのうちは非常にNHKとしては清新はつらつなNHK公共的なあり方のテレビドラマというもの、あるいは劇映画というものが、だんだんいいものができておりましたが、やはり他の民放あるいは映画会社、そういうものと競争という意識があるかどうか知りませんけれども、やはり民間の映画会社にならって、何かアナウンサーにしても、あるいは俳優にしても、スターシステムをつくっていかなければならぬというふうな気風が、私は見えるのじゃないかということが心配になるわけであります。少なくとも私は、NHKというところは、他の民放、映画会社と違って、公共放送でありまするから、一人や二人のスターをつくって、スターシステムの、スターのネームバリューによってこれを持たすというふうな方向は、私は断じてとるべきではない、少なくとも、いわゆる大衆的な方向における新しいドラマなり、あるいは映画のつくり方というものを考えていかなければならぬ、そういう方向において、私は初めからNHKを見ておりますと、初めのうちは確かにそうでありましたが、このごろになると、何だかそういう点が、民間の映画会社とあまり変わらないような方針に、だんだん競争の点からいってなりつつあるのではないか。それから、たとえばアナウンサーの養成にしても、一人か二人のアナウンサーを有名人に育てるという形のやり方は、私はまずいではないか。大体NHKのアナウンサーであるとするならば、だれでも一つやれるという形のシステムをつくっていくべきではないかというふうに考えるわけでありますが、この点の前田さんの御意見一つ聞いておきたい、こう思うわけであります。
  349. 前田義徳

    ○前田参考人 ただいま御発言の御趣旨についても、私どもといたしましては全く同感でございます。NHKの最近の映画番組あるいはドラマ番組が、商業放送と非常に似通っているではないか、また競争しているではないかということにつきましては、私自身は必ずしもそうだとは考えておりません。ただ劇映画にいたしましても、ドラマにいたしましても、単なるフィクションではなくて、一つ社会環境の中から、生活を基礎として、生活の実験を基礎としていろいろな番組が生まれてきているという実情にかんがみまして、似通ったようなテーマ、演出が行なわれることはあり得ると考えております。ただし、私どもはそのテーマなりあるいは劇映画、ドラマのテーマなりをより強く聴視者の皆さんにアッピールするために、その中にスター的な、あるいは英雄的なタレントをつくるという考え方は毛頭持っておりません。逆に、私どもが養成したタレントが、商業放送界ではNHKにおけるよりもはるかにりっぱな活躍をしているという事実の方が多いのではないかと私ども考えております。しかし、この問題は、やはり私どもが常に同じような決意を持ってこの番組の制作の前途を見守っていく必要は十分にあることを戒心して参りたいと思います。またアナウンサーの問題につきましては、NHKは今日に至るまでアナウンサーを一人のスターに仕上げる、アナウンサーとタレントの混同をそのまま許すという考え方は持っておりません。ただ、人間の個人的な才能の結果として、そういう事実がときどき現われておりますが、これは個人の才能がわれわれの方針にのっとって非常にはっきりと出てくるという結果かと考えておりますが、そのような場合においても、その結果に対する悪い影響は努めてこれをなくするように努力して参りたいと考えておりますし、特にテレビ時代のアナウンサーのあり方については、今後十分検討して、誤解をいただかないようなはっきりした筋を出して参りたいということで、ただいま検討中でございます。
  350. 森本靖

    ○森本委員 大体今の答弁で私もけっこうである、こういうふうに考えますが、ただ、そういう決意を持っておりましても、他の映画会社あるいは民放との競争意識というものが自然に生まれて参りまして、ややもいたしますと、流れがちになる傾向がありますので、これは一つ今の前田専務の決意を十分に今後も実行の上において生かしていただきたいということを要望いたします。  次に、ちょっと聞いておきたいと思いますが、電波監理局長に聞きますが、今NHKが共同聴視の補助金を出しておるわけであります。これもはっきりしておきたいと思いますが、第九条の二項のどの項でこれをやっておるか。
  351. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 九条第二項の三号の「放送の受信に関し公衆の相談に応ずること。」こういうふうに規定しております。
  352. 森本靖

    ○森本委員 局長、にこっと笑っておるけれども、相談をするということと、金を出すということと、どう解釈するかね。もうちょっと適切な条項はないのですかね。相談に応ずるということは、金を出すということじゃないと思うのですよ。
  353. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 こういうところはみんな難信地区が多いわけでございます。そういう意味でこの難信地区についての技術的対策の相談に応じる、その結果補助する、そういうふうに考えております。
  354. 森本靖

    ○森本委員 法律には相談に応ずるとしかないわけであって、相談に応じて金を出してよろしいということはないわけですよ。どうですか、その辺は。僕はそのこじつけはおかしいと思う。相談に応ずることはけっこうですよ。その結果金を出すということが、相談に応ずるという条項に当てはまるかどうか。これも私きのう放送法を見ておって非常に疑問に思った。
  355. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 確かにそういう疑念もあるわけでありますが、われわれとしては、今そういうふうに考えておるわけでございます。
  356. 森本靖

    ○森本委員 共同聴視の補助金を出しておることが悪いということじゃないのです。これは大いにやってけっこうだ。大いにやりなさい。ただ、やるについては、何らかの法律的根拠がなければならぬ。その法律根拠というものがこれに見合うようにできてなければならぬ。できてなければ、やりたいけれどもやれない、こういう結論になる。ところが、この法律条項においてやれるかということを考えてみると、これは首をかしげたくなるわけなんです。これは法律専門家に聞いてみたらおかしいということになった。弁護士に聞いてみたところが、それはやはりどうもおかしいということで結論がつかなかったわけです。これは政務次官どうですか。私は常識で考えておかしいと思うが……。
  357. 保岡武久

    ○保岡政府委員 法の不備でないかと思います。
  358. 森本靖

    ○森本委員 法の不備ということになると、それはそれしかないわけであって、名答になるわけでありますが、ちょっとNHKに聞いておきたいと思いますが、NHKもやはりこの三項でやっておるわけですか。
  359. 小野吉郎

    ○小野参考人 NHKといたしましても同様に考えております。
  360. 森本靖

    ○森本委員 ちょっとこれは無理な解釈であって、今、政務次官の言ったように、確かに法の不備な点があると思うのですが、これは一つ郵政省としても十分にあとで検討しておいてもらいたいと思います。  それから、だんだん時間も迫って参りましたので、あと一つだけこまかいことを聞いておきます。  海外総局と支局の現状が私の資料によって出てきておりますが、これを世界的にずっと見てみますと、豪州とニュージーランド方面には一つもないわけでありますが、これは将来置くつもりはないのですか。世界的な俯瞰で見ると、要するに平和な地域でありますから、確かにニュース価値はあまりないんじゃないか、こう考えますけれども、しかし、やはり豪州、ニュージーランド、あの付近の事情を取材して報道するということは必要であるというように考えますが、これはどうお考えですか。
  361. 前田義徳

    ○前田参考人 私ども基本的には同感でございます。ただ、明年度の計画としては、大洋州にはオーストラリアにもニュージーランドにも支局を設置する計画は立てておりません。ただ、三十八年度の予算の中で御審議いただけると思いますが、必要な個所には適時に特派員を出すという方針で特別の班を組む予定でおります。将来のことにつきましては、年次計画に従いまして、オーストラリアなどにも当然支局ができるものと確信いたしております。
  362. 森本靖

    ○森本委員 それから、北京は向こうが許可しないのですか。それともこっちが置くつもりがないのですか。
  363. 前田義徳

    ○前田参考人 現在までのところ、北京政府に対しては再三要請をいたしましたけれども、許可の通知はございません。
  364. 森本靖

    ○森本委員 こちらは置くつもりでも、向こうが許可しない、こういうことですね。わかりました。  それから、ソ連のモスクワでありますが、モスクワについては、確かにこれは共産圏の一番重要な町でありますが、ロンドン、ニューヨーク、パリ、こういうところには二、三人が一応許可されておる。ところが、肝心のモスクワには特派員がたった一人しかいないという現状なんですが、これはNHKとしては、増員を希望しておるけれども、ソ連側が許可しないわけですか、それとも日本政府が許可しないということですか。
  365. 前田義徳

    ○前田参考人 ソビエトの場合は、全体の数が相互主義に立っておりますので、一社が増員するということは不可能でございます。ただ、相互主義の割当数が外交上ふやされていくような場合には、各社がそれぞれ要求するだろうとは思いますが、NHKとしても増員を要求いたしたい、このように考えております。
  366. 森本靖

    ○森本委員 私がただいま申し上げましたモスクワ、さらに北京、それから豪州、ニュージーランド、こういう方面は、確かに私は必要な地域だというふうに考えますので、一つ十分将来努力をしていただきたい、こう思うわけであります。  これ以外に私はまだ大電力の問題や聴視者の問題、本年の予備金の問題、あるいは具体的の管理費の増高の問題など、たくさん残っておりますが、時間もだんだん迫って参りましたし、一応NHK当局から、ちょっと不明確なところも一部ありましたが、大体明確な答弁がありましたので、この程度で終わりたいと思います。  ただ、私は、電波監理局長にちょっと要望しておきますが、先ほどのように、法的の解釈を答弁で変えたり、政務次官でさえ、これは法の不備だというような答弁をしなければならぬというような点については、もう少し平生から十分に研究討議をしておいてもらいたい。決してあなたが悪いというわけではない、忙しいのでなかなか研究するひまがないのだと思いますが、あなたも優秀な賢明な官僚でありますので、せっかくこういう点については、今後御努力を願いたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  367. 大高康

    大高委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明八日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時四十九分散会