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1963-06-13 第43回国会 衆議院 地方行政委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月十三日(木曜日)    午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 小澤 太郎君 理事 大上  司君    理事 纐纈 彌三君 理事 高田 富與君    理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君    理事 阪上安太郎君 理事 二宮 武夫君       宇野 宗佑君    大沢 雄一君       金子 岩三君    久保田円次君       前田 義雄君    山崎  巖君       松井  誠君    山口 鶴男君       門司  亮君  出席政府委員         農林政務次官  津島 文治君         建設政務次官  松澤 雄藏君         自治政務次官  藤田 義光君         自治事務官         (大臣官房長) 大村 襄治君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         自治事務官         (大臣官房参事         官)      長野 士郎君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方行政連絡会議法案内閣提出第一六四号)      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  地方行政連絡会議法案議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。通告がありますので、これを許します。二宮武夫君。
  3. 二宮武夫

    二宮委員 自治省関係の方にお尋ねいたします。  これもあるいはすでに質問があったかと思うのでございますけれども、連絡協議会を行なうところのメンバーというものが、一応第四条で指定をされております。この前私は、ここに列挙されたメンバーが全部集まりましても、それらにほとんど関係のない人もあるいはあるのではないか、こういうように考え質問をいたしたわけでございますけれども、総合的に、できるだけそれら全部の人に関係のあるような問題を議題として開きたい、こういう趣旨のようでございます。しかし実際問題の運営にあたっては、一番終わりのほうに出てまいりました「連絡会議の庶務その他連絡会議運営に関し必要な事項は、連絡会議が定める。」こういうようにして、実は非常に大まかなものにしておいて、実際の運営は、その実地に開くところの九ブロック協議会にその地域責任を転嫁をしている、このような感じがするわけでございます。  そこでお尋ねいたしたいことは、実際の運営協議会にまかせるという、その協議会にまかされたとこの内容でございますけれども、これらは一応自治省から、あるサンプルを各九ブロック関係出先あるいは特定指定都市あるいは都道府県に対して示されるであろうというように私は考えるわけなんです。そうしなければ非常に問題があろうかと思うわけでありますけれども、示されるであろうと私どもが期待をしておる連絡運営実態について、どのようなものをお考えになっておるのか、そこら辺をひとつお示しをいただかないと、これは地方の自治体がまかされました後たいそう困る問題ではないかというようにも考えます。あるいは前にも質問があったかと思うのでありますけれども、これは政務次官ではなくて、大村さんのほらからひとつお答えいただきたいと思うのです。
  4. 大村襄治

    大村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のありましたとおり、会議運営に関する事項は自主的に連絡会議が定めるというふうに規定いたしてございます。そこでお尋ね運営の準則と申しますか、方針のようなものについて、私どもまだ検討中でございまして、必ずしも固まったものを用意しているわけではございません。国会審議の御意見等に基づきまして最終的にはきめたいと考えておるわけでございますが、ただお尋ねの点に関連しまして現在検討しております問題といたしましては、会議運営のしかたにつきまして、特別の問題につきましてまず下調べと申しますか、特に関係のある機関のほうで特別会議と申しますか、小委員会と申しますか、そういったもので具体的にできるだけ詰めていただきまして、それがある程度まとまったところで会議に付議する、こういったような運営のしかたも考えたほうがいいのではないかというようなことで、そういった点も現在検討しているわけでございます。  なお、この会議は、組織としての意思をまとめるものでございますので、本会議性格からしますと、できるだけ回数を多く、常時協議が行なわれるようにいたさねばならないと考えるわけでございますが、いま申し上げましたような特別の問題を、関係者事前の打ち合わせによりましてできるだけ検討をした上で会議に諮るというふうな運営方法もあわせて考えるといたしますれば、少なくとも四半期に一回緯度はこの会議を開く、そういうふうなこととあわせて考え運営をいたしていったらどうか、そういうふうな点も現在考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、当初申し上げましたように、諸般の点を勘案しまして、法律ができました暁におきましては、関係地方団体にそういった運営上参考となることをお知らせいたしまして、それによって会議自身がこの第十条によってきめていただく、そういうふうに指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  5. 二宮武夫

    二宮委員 私この前の解釈では、第四条に列挙されましたそれぞれの国の出先機関、あるいは公共企業体、三公社五現業、あるいはそのブロックでもって必要と認めたものについて出席を求めて構成をする、こういうふうに考えておったのですが、必ずしも全部が出るという問題ではなくて、あるいは問題ごとにその中からピックアップをして出てもらう、こういうような運営についての構成もお考えになっておるのですか。どうなんですか。
  6. 大村襄治

    大村政府委員 会議は、第四条に規定されております構成員全部が出席して開かれるのが、会議自身でございますが、ただ、その運営あり方といたしましては、事前関係者をもって構成する小委員会と申しますか、特別委員会でもって荒ごしらえをしたものをこの会議に付議して、正式に意思をまとめるようにしていく、そういうふうな運営考えるということを申し上げたわけでございます。
  7. 二宮武夫

    二宮委員 これは地域開発、あるいは低開発地域工業開発促進法というような問題等考え合わせまして、それらの総合的な開発計画の下ごしらえをやるということになりますと、定時のものは、いま大村さんの言ったように、一・四半期に一回ということになると、年に三、四回という程度のものしか考えられないようでございますが、ある時期においては、たとえばこの法が効力を発する時期におきましては、相当回数のものが必要になってくるのではないか、臨時会合というものが、当然必要になってくるであろうというように私は考えます。そういうことになりますと、一・四半期に一回ということであれば、その費用は、それぞれ出先なり、あるいは都道府県なり、あるいは地方自治法に認められたところの指定都市が全部負担をするのであるというように、負担区分が明瞭になっておりますけれども、臨時に、そのほかの会合をしばしば開かねばならぬ、そういうこともあろうかとも考えられる時期があると思うのです。それまでは必要ではないけれども、いろいろな問題についてひんぱんに開かなければならぬというようなことも、ある時期においてはあるいはあるのじゃないかと想像されます。したがって、これらは当然それぞれの地方開発の問題であるし、自分の県のことであるし、指定都市のことなのだから、おまえのところがかってに費用を見たらいいじゃないかというのでは済まされない場合も、あるいは出てくるのではないかというように考えられるわけであります。したがって、いま任意にある会議というものと一この前藤田政務次官答弁では、任意にやるところの協議会と、この法で示されたところの行政連絡会議というものは併存をしてもよろしいのだ。こういうことをおっしゃったが、法的に規制を受けて会議を持つという段階になると、やはり財政的な裏づけというものをやってやらなければならぬというように考えられるわけでありますが、これについてはどのような方法財政措置、あるいはこれに必要な経費について考慮を払われておるかということを、ひとつお答えを願いたい。
  8. 大村襄治

    大村政府委員 経費負担につきましては、この法律案の第八条におきまして、「連絡会議運営に、要する経費は、連絡会議組織する都道府県及び指定都市負担とする。」というふうに規定いたしておりまして、組織中心になる都道府県及び指定都市負担とするようにいたしておるわけであります。実際やってみましてどのくらいの経費がかさむか、御指摘のように、臨時会議をひんぱんに開かなければならない時期も起こり得ると十分予想しておるわけでございますが、そういった経費の実際の支出状況にかんがみましては、それに要する財源措置等検討してみたいと考えております。いずれにいたしましても、さしあたってそれほど大きな負担が、この会議の設置に伴って直ちに生ずるものとも予想されませんので、もう少し運営実態を見まして、負掛者である関係団体財政負担等については検討させていただきたいと思います。
  9. 二宮武夫

    二宮委員 政務次官お尋ねをしますが、従来任意行政連絡会議というものがあって、必要に応じて持ち回り式にやっておったというのが実情のように私は承知いたしております。今回は、いま大村さんのお答えになったように、一・四半期に大体定例に一回くらい開く、あるいは臨時に開くこともしばしばあるかもしれない、そういうような法的に義務づけた会合をやるということになりますと、これは非常に少ない金額であろうとも、それだけ余分にお金がかかる。国が責任を持って会合を持つという法律をつくる以上、やはり実態に基づいて——大したものじゃないから、お前たちはかってに見ておけというような考え方では、私は不親切だと思うのです。たとえば知事が、指定都市の市長やあるいは出先のそれぞれの局長クラスと会うといっても、その以前には、やはりそれぞれの都道府県事務を担当する人たちが、前もって準備をしなければならぬ会合等もやはりあるだろうと思います。会合だけ持つことを義務づけておって、財政的にはたいしたことはないのだから、かってにそれはおまえのほうでまかなうべきだ、こういうことでは、私は法的に義務づけた会議としては、不親切きわまるものだというように思うのです。それらの問題については、いま少し検討してみるというのでなくして、この法案を提出するときに、すでにそういうものについては検討済みでなければならぬ。これは政務次官、どうですか。
  10. 藤田義光

    藤田政府委員 ただいまの点に関しましては、大村官房長答弁しましたとおり、特に発足早々相当膨大経費がかかるとも思いませんので、実際の運営を見た上で考慮したいということでございますが、自治省としましては、ことしの予算にも多少の経費を計上する予定でありましたが、種々の都合で取りやめになっております。それで、今後の運営を見ました上で、経費相当膨大になれば考えざるを得ない。普通の会議程度でございましたならば、一般行政運営費でまかなえるのじゃないか。しかしその際におきましても、年度末の特別交付税配分等にあたりましては考慮する対象になり得るということは十分考えております。
  11. 二宮武夫

    二宮委員 これはやはり会議運営実態が方向づける問題であろうかと思うのですけれども、先般の新聞に出ておりました東海地方における市議会の議長会において、あるいは相当きれいどころを並べてみたり、あるいは中学生を、ゆかたで壇上で踊らせてみたり、非常に地方で問題を起こしており、その経費というのは相当の金額になっておるという新聞報道も出ておるわけなんです。したがって、これらの会議の持ち方というものは、非常に今後の経費出費をかさませるかどうかということの具体的実績をあげながら——経費は少なくて済む、こういうことになるのかどうかということは、やはり会議実態そのものが規制づけてくるだろうとは考えます。しかし、これは野ばなしにいたしますと、やはりどうもしばらくであったというので、少し放漫になるのじゃないかという心配も実態としては考えられると思うのです。これらはやはりそういうような法律会合を規制して、そしてその連絡をやらせるということでやるならば、それに対する財政的な裏づけというのは、金額の多少にかかわらずやはり当然見るべきである。これを見るということがはっきりしないでおいて、その会合を規制づける、こういうところに、——地方自治体財政が放漫であるという中央官庁考え方、それから逆に地方から言うと、中央は非常に地方に対して冷淡である、こういう二つの相背反したところの意見、いつも法律の制定や、あるいは交付税やそのほかの補助金国庫支出金、すべての問題についていつも意見が相対立している、相互信頼ということを政府はよく言いますけれども、地方自治体中央政府との間の相互信頼というのは、比較的少ないように私は考えるわけでございます。したがって、こういうものを法律として出す以上は、たとえばいま政務次官の言ったように特別交付税で見るならば見る、あるいは基準財政需要額の中に算定をしてその中で見ていくんだ、こういうようなことでやるならやるように明確にしておかないと、これはやはり法律としてていさいをなさないと思うのです。法律だけかってにつくっておいて地方に押しつけて、その出費は見てやらぬというような不親切な法律はないと私は思うのです。従来持っておるところの地方中央とのものの考え方が、やはり端的に出ておる法律じゃないかというふうにも考えます。私この前から論じてまいりましたように、あまりこの会議に多くのものを期待はいたしませんけれども、会合を規制づける以上、やはり明確な財政的な裏づけというものは示しておく必要があるというように私は考えますので、特別交付税対象になるかもしれないというようなあやふやな態度でなくて、もう少しはっきりした財政的な裏づけというものをお答えを願いたいと思います。
  12. 藤田義光

    藤田政府委員 まことにごもっともな質問でございまして、実は予算折衝段階におきましては、いま御発言のようなことを相当強力に政府部内で発言をいたしましたが、昭和三十八年度では予算上にあらわれておりません。したがいまして、官房長が申し上げましたように、運営実態を見ながら、三十九年度予算ではどうしてもはっきりした線を出し、自治省としましても、また自治省から出す経費にしましても、はっきり財政措置をとる必要があるというふうに考えておりますが、とりあえず、昭和三十八年度のこの会議法実施に伴う諸経費に関しましては、やはり特別交付税で見た方がいいのじゃないか、追加予算ということはなかなか困難ではないかと思いますので、三十九年度から予算上すっきりしたらどうか、こういうふうに考えております。
  13. 二宮武夫

    二宮委員 特別交付税で見るということがはっきりしていればすっきりしているのです。それはそれでいいのです。そういうことであれば、二月ならば二月末に交付されるものの中で、実績を見合いながら項目の中に入れていくということになれば、これは地方でもやはりすっきりした法律として受け取ることができるだろうと思う。そうでなくても、私が先般来論じましたように、この会議そのものがどうも灰色的な性格を持っているような感じもいたしますし、しかも非常に大きく期待しているという政務次官の御答弁もございましたけれども、その実績そのものについてはどうもやはりあやふやな問題があるわけなんでございまして、こういうものを規制づけして、法律で必ず持たなければならぬということにすれば、やはりそれにはそれのように明確に財政的な措置をしてやる、こういうようにして法律を実際に施行できるような体制をとらしてやる、これがやはり必要であろうかという考えを持っているわけであります。その点、三十八年度においては政府部内でいろいろ話したけれどもとれなかったというような情けない状態ではなくて、ひとつもう少し元気を出して、予算折衝はかぶとをあまり脱がぬようにして、十分に法の裏づけとしての財政を確保するような方向にひとつお進め願いたいと思います。
  14. 永田亮一

  15. 松井誠

    松井(誠)委員 この法律案は、府県同士の横の関係といいますか、そういうものと、府県と国の地方行政機関、縦と言うと語弊があるかもしれませんけれども、そういう関係と、二つの要素を含んでいるわけですが、最初府県同士広域行政あり方といいますか、そういうことについてお尋ねをいたしたいと思うのです。  この法律案は、府県をこえて広域行政の必要というものを前提にしながら、府県同士のその処理のしかたというものを、ゆるやかな協議という方式に求めているわけですが、御承知のように、二以上の府県にまたがる行政の機構としては、いろいろ自治法にも規定があるわけですし、それよりも何よりも、府県合併という形は一つ方法に違いないと思うのです。先般来宇野委員から、府県合併についていろいろ御質問がありましたけれども、この府県合併というものに住民投票という壁があるというのは、言ってみれば、住民の側からしてみれば、やはり自分らを守る壁だというように考えていいと私は思うのです。大臣が御答弁になったように、地方住民意思というものがやはり最優先をしなければならぬ。そういう立場ですから、府県合併というものは、最優先をすべき住民意思というものを通すということはどうしても必要だと思います。ただ最近、これは臨時行政調査会ですか、あそこあたりで、この広域行政の必要が非常に高まったというようなことを言っておりますけれども、一体だれのために広域行政の必要が高まったのか。だれにとってそれが必要なのかという、その区分けをする必要があるのではないかと私は思うのです。ですから、住民広域行政の必要をほんとうに身をもって感じてくるというときになれば、住民投票というものは、合併をさせようという側から見れば壁ではなくなる。ですからお伺いをしたいのですけれども、この府県合併という、いわば広域行政を解決する一つ方法としての考え方について、住民意思を尊重するという基本線はわかりましたけれども、しかし、いまたとえばそういう広域行政需要というものが、この臨時行政調査会ですか、そこで議論になっておるように、主として地域開発というものから広域行政の必要、需要というものが出てきたということになりますと、この地域開発というのは、たとえばそれによって直接に恩恵を受ける大資本、大企業にとっては、まさに広域行政の必要というものは身をもって感ずるだろうけれども、しかしそこに住んでおる住民が、必ずしもそれと軌を一にして広域行政の必要を感ずるとは限らないと思うのです。ですから、私は大臣の御答弁というものを補足する意味でお伺いをしたいのですけれども、その場合住民意思住民広域行政に対する需要というものは、やはり人によって違う、立場によって違うんだということを一度やはり頭に入れて、それから何が住民意思かということを考えるべきだと思うのです。念のためかもしれませんけれども、その点について次官から最初に御意見伺いたいと思います。
  16. 藤田義光

    藤田政府委員 松井委員の御質問中心点に関しましては、先般宇野委員質問に対する篠田大臣答弁で大体尽きておると思いますが、現在進行中の臨時行政調査会のいろいろな論議に関しましては、そのつどわれわれも一応関心は持っておりますが、まだこれが確定案でございませんので、これを根拠にして自治省考え方を述べるのはどうかと思います。ただ、われわれとしましては、地域開発だけではなくして、今日行政が非常に複雑化し、経済が伸長するとともに、その地域内の住民生活圏あるいは経済圏というものも、非常に広域化してきている。しかし御指摘のように、一部の産業あるいはそれによる恩典に浴する人と一般住民の間に、まだ多少の隔たりがある、こういう体制ではなかなか府県合併というようなことは実現しない。やはり全住民広域行政の必要が痛感されるような行政実態が相当出てきたところで、住民意思行政の必要と両方相まって広域行政と申しますか、都道府県合併という事態を考えることが必要ではないか。あくまで、地方自治という本旨からしまして、住民意思が盛り上がることを自治省としては特に注意してこの問題を処理してまいりたい、かように考えておるわけであります。
  17. 松井誠

    松井(誠)委員 私は、別に臨時行政調査会考え方についていま御意見を伺ったわけではございません。むしろ私は、昭和三十二年の地方制度調査会で多数案としては地方制案、つまり府県をなくして官選の長官を置こうという地方制案、これは私は問題にならぬと思いますけれども、少数意見として府県合併という方式をとるという考え方があるわけです。むしろ私がお伺いしたいのは、そういう考えについてどういう御意見かということをお伺いをいたしたかったわけでありますけれども、いまの次官のお話のように、最近経済圏拡大をし、生活圏拡大をした。だから行政単位拡大をすべきだという議論が非常に多いわけです。しかし私は、それほど機械的に単純に考えるわけにはいかないのじゃないかと思うのです。住民生活圏ほんとうに広がれば、私は住民から当然行政単位を広げるという要求となってあらわれてくるだろうと思う。経済圏が広がった、しかしそれは必ずしも住民生活圏が広まったことにはならないのじゃないか。つまりだれのために経済圏が広まったかということが、まず第一じゃないかと思うのです。何としても、この行政単位というのは、住民自治立場から言えば、抽象的に考えれば狭いほど越したことはない。広いほど住民自治の度合いは薄くなるわけですからね。ですから行政単位をきめるときには、住民ほんとう生活圏拡大をしたのかどうか、そうしてそこから行政単位の狭さがほんとうに深刻になってきたのかどうかということを基本考えるべきじゃないか。たとえば、いま地域開発ということを盛んにいっておりますけれども、住民が一番困っておるのは、地域開発をしてもらいたいというより、自分の身の回りをされいにしてもらいたい、し尿の処理を何とかしてもらいたい、上下水道を何とかしてもらいたい、そういう要求だと思う。そういう要求が現在の行政単位ではまかない切れないということになったら、これは国の財政的な裏づけの問題とからみますけれども、しかし、ほんとう住民生活というものが、そういう行政単位が狭いということから不便を感ずるようになれば、ひとりでに合併するだろうと思う。ですから経済圏拡大行政単位拡大というふうに単純にお考えにならないで、住民の直接の生活要求に根ざすという、その本来の根拠まで待つのがほんとうじゃないかと思うのです。  そこで、府県合併のことにつきましてはそれくらいにいたしまして、私先ほど言いましたけれども、府県同士広域行政処理方法として、地方自治法ではいろいろな共同処理方式、組合だとか協議会だとか事務委託だとか、あるいは先般通った地域開発事業団とか、いろいろな共同処理方式があるわけですけれども、こういうものがあるのに、なぜそれを活用しようとしないで、非常にゆるやかな協議という形にされようとするのかということについてお伺いをいたしたい。
  18. 藤田義光

    藤田政府委員 昭和三十二年に答申されました地方制度調査会の道州制の問題に関しましては、私も松井委員と同感であります。また現在臨時行政調査会検討しておるという風評を聞いております地方庁というような構想に対しましても、私たちは消極的な態度をとりたいと考えております。いま申されました行政区域は小さいほどよろしいというような御意見、一応私もごもっともであると思いますが、ただ昭和二十八年に町村合併促進法が実施されましてから一万近い町村が三千弱に減っております。町村区域拡大されたわけでございますが、こういう点に関しましては、いまお示しのような気持で行政水準の引き上げ、こういうことに自治省は非常に努力をしてきておるつもりでございます。したがいまして、地域拡大されたことによって親切な地方自治というものが、身近な行政というものが粗雑になることのないように、今後も行政水準の引き上げには十分ひとつ努力をしてまいりたいと考えております。  それから現行自治法が規定しております一部事務組合その他のいろいろな規定があるのに、こういう制度をつくったのはどういう理由かという御質問もございましたが、この点に関しましては、提案理由の説明で大臣も申し上げましたとおり、またいま御質問の中にもありましたとおり、現実の行政の複雑、広域化あるいは経済の伸展、こういうものに即応するためには、どうしても制度として権威のある国の出先機関と知事あるいは指定都市の市長、こういうものとの強力な連絡協調機関が必要である。これは任意団体ではどうしても権威がないし、また拘束力もない。いろいろないきさつがありまして、今度は意見の具申もできるし、報告もさせるという規定も持ちまして、従来の現存する組合その他の制度よりも数歩前述した、現在の行政実態に少しでも近づこうという制度として、この会議をつくったわけでございます。
  19. 松井誠

    松井(誠)委員 お話が町村合併のことにもちょっと触れましたので、私は申し上げておきたいのですが、町村合併の場合に、都市とその周辺との合併というような場合には、言ってみれば生活圏がそれだけ拡大をしておるということで、あまり問題はなかったと思うのです。問題なのはやはり農村同士の合併、これはほんとうにまだ生活圏がそこまでいっていないというのに、いわば行政規模を大きくしなければ住民に大きなサービスができないのだぞという考え方で、言ってみれば無理やりに町村合併をさしておるということが、いろいろな混乱を起こしておる一つの原因じゃないか。ですからそういう場合に、やはり行政規模が小さ過ぎるか大き過ぎるかということは、国の財政的な裏づけ、その締めつけというものの結果もあるわけですから、そういうものとの相関関係考えていかなければならぬ。いまの町村の規模ではひとり立ちができないのだということを、財政的に締めつけておいてきめてかかること自体が私は本末転倒であると思うのです。  しかし、それはそれとしまして、いまの共同処理方式というものについて、私は、さっきから府県同士の問題と、府県と国の地方行政機関との問題を分けて実はお尋ねしておるわけです。なるほど最近非常に複雑になり、あるいはまた総合的になり、一方では専門化してきた。そういうことで、特に国の地方行政機関との間にいろいろ問題があるということはわかる。しかしそれはあとでまた別にお伺いするつもりですが、府県同士共同処理方式としてならば、協議会方式あるいは一部事務組合、あるいは例の地域開発事業団方式というもので間に合うのじゃないか。もっとも、あとで九つのブロックに分けるというような非常に大きい分け方をしたから、そういう協議方式というものはいままでなかったということになりますけれども、それは今度の分け方そのものが非常に大きいということが一つの原因であって、ほんとう府県共同処理というものを望んで、その必要があれば、いままでもやはり府県共同処理方式というものを利用してきたと思うのです。ですから、そういうものを飛び越えて、大きな九つのブロックに分けてしまって、いままでの共同処理方式じゃだめだろうといってかかるのは、私はつじつまが合わないのではないか。そういう質問なんですがね。
  20. 藤田義光

    藤田政府委員 その点に関しましては、二宮委員質問にもお答えいたしましたが、現存の任意の審議会、協議会というものの中で、なかなか地方自治伸長のために妙味を発揮しているものもございます。したがいまして、これを行政的に直ちに統合する、あるいは統合の指導をするというようなことは考えておりませんし、むしろ併存してよろしい協議会、審議会というものもあろうかと存じます。たとえば各ブロックの知事会というものも、知事会としての妙味を発揮しておるのじゃないかと思います。しかしながら大体こういう制度ができました以上は、なるべくそれに似たような性格のものは、これに統合されるような行政指導はいたしたいと考えておりまして、ただいま松井委員が御心配になりました、従来でも十分機能を発揮しておるようなものを、こういうものに切りかえる必要もないじゃないかというような御意見でございますが、任意団体必ずしもこれに一本化するわけではございませんので、その点は実際の運営で十分ひとつ注意してまいりたいと考えております。
  21. 松井誠

    松井(誠)委員 私が共同処理方式として申し上げておるのは、任意的な組織のことでなくて、地方自治法できちんと書いてある組織のことをお尋ねしておるわけです。  官房長お尋ねしたいのですけれども、そういう府県共同処理方式というものが、市町村閥の共同処理方式と違ってあまり利用されないというように聞いておるのですけれども、それはほんとうであるかどうか、もしほんとうとすれば、どういう原因に基づくのか、ひとつお教えを願いたい。
  22. 大村襄治

    大村政府委員 地方自治法に基づきます協議方式が、府県段階でどのくらい用いられているかという現状につきましては、宝くじの共同発行に関するものが、全国と、地域的なものに若干できております。そのほかはマスの共同ふ化に関するものが東北のほうに一件ございます。大体そういうふうな事情でございまして、特定の目的のためにする協議方式というものは、一部において実行されている現状でございます。広範な問題を包括的な対象にするというふうな方向では現在用いられておらないということは言えると思います。  その理由と申しましては、ただいま例示的に申し上げましたような特定目的につきましては、比較的まとまりやすいと思うわけでございますが、広域行政に関するような問題でありますとか、広い範囲の問題につきましては、現実の問題として、なかなか法律制度として組織するというところまで至らなかったのが実情ではなかったかというふうに考える次第であります。
  23. 松井誠

    松井(誠)委員 この連絡会議というのは、あとでお伺いしようと思ったのですが、特定の個別的な目的のためではなくて、総合的な目的のためにしかつくれない。つまり逆に言えば、個別的な目的のためには自治法上の共同処理方式があり、総合的な共同処理方式としては、この連絡会議というものしか法律的につくれないんだというように考えるべきなんでしょうが、この自治法に書いてある共同処理方式というのは、必ずしも個別的な目的だけではなくて、総合的な広域行政のためにもできるのじゃないですか。
  24. 大村襄治

    大村政府委員 お答えいたします。  自治法のこの協議方式を、広域的な目的に用いることは可能であると思います。こちらの連絡会議法に基づく協議方式につきましては、目的に明記してありますとおり、「地方における広域にわたる行政の総合的な実施及び円滑な処理を促進し、もって地方自治の広域的運営の確保に資する」ということが目的として明らかになっておりますので、それに関係のない問題は、この会議では行なわれない、こういうふうに考えるわけであります。  なお先生のお尋ねは、地方団体相互間と国の地方行政機関との関係を一応分けてお尋ねのようでございますが、広域行政の観点からしますと、その間に密接不可分の関係があるということもあわせて申し上げておきたいと思います。
  25. 松井誠

    松井(誠)委員 もちろん、実際の行政の組み立てとしては、中央地方が複雑にからまっておる。それはわかりますけれども、その問題を少しく分解をしてお尋ねをしないと、全部をひっくるめてお尋ねをしますると、対象点がぼけるものですから、私はただ便宜上分けてお尋ねをしておるわけなんです。  そこでいまのお話で、この法律案連絡会議というのは、広域的な総合的な行政についての連絡、いわばそれに限られる。しかし自治法上の共同処理方式というのは、何も個別的な目的のためだけでなくてもいいわけです。そしてもう一つ、広域というと、何かいきなりいわゆる九ブロックのように飛躍しておっしゃいますが、広域ということばがこの法律には出てまいりますけれども、おそらく府県を越えるというだけの意味であって、何もブロック単位にまで広がるということを前提にしての話じゃないと思う。そうしますと、二つか三つの県で、総合的な行政のために共同処理方式をとるのは自治法上可能だ。私は九ブロックに分けたということが実はわからない。ですから、ほんとうに必要のある数府県が、自治法上の共同処理方式をとって、それと国の行政機関とが何がしかの形で連絡協調をするという方式をなぜとらなかったのだろうかという、疑問を持つわけです。ですから、いきなり九ブロックに分けたということからくる問題ですけれども、それはあとでもう少しお伺いをいたしますが、いま言った、何もブロック単位の広大な広域じゃなくて、府県を越えるという広域行政で、個別的な目的ではなくて、総合的な行政目的のためにこの自治法上の共同処理方式を利用しようと思えばできるわけでしょう。
  26. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 お尋ねの点につきましてお答え申し上げたいと思います。  御指摘のように、地方自治法におきましては、府県が利用できる共同処理方式といたしまして、協議会、一部事務組合あるいはまた先般御審議をいただきました地方開発事業団というような方式がございます。協議会方式につきましては、先生の御指摘のように、数府県あるいはこの地方行政連絡会議法で掲げております区域につきまして、共同で連絡協議をする、あるいは計画立案をするというようなことは、法律上は可能でございます。しかし、先ほどほかの政府委員からお答えもございましたように、国の関係行政機関が当然それに構成員となって参加をするということは、地方自治法協議会は予想いたしておりませんので、その間の行政につきましては活用しにくい点があるわけでございます。  それから一部事務組合につきましては、先ほど例をあげられておりましたかと思いますが、現在都道府県がつくっております組合も若干ございます。あるいはフェリーボートを二つの県で共同でやりますとか、あるいは港湾の管理を二つの県でやりますとか、あるいは県と関係の市町村で一部事務組合をつくってやりますとかいうものがございますが、これはいずれも特定の事業で、しかも双方であまりそれの運営上問題も起こらない、大体きまった方法で管理執行すればいいような事業が選ばれておるわけでございます。この連絡会議法で予想いたしておりますような、もっと広い区域にわたりまして共同で事業を執行するということにつきましては、現在の一部事務組合の方式は適当ではないのじゃないかと考えておるわけでございます。  それから、地方開発事業団でございますが、これも先般御審議いただきましたように、特定の二府県以上にまたがる事業で、ある程度まとまったものを総合的にやります場合には、これも活用できる余地はあろうと思っておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、事業が特定されまして、その事業の管理執行につきましても、関係団体で十分方針がきめられたものについて適用が考えられるわけでございまして、常時、いろいろな意味で関係のあります問題を連絡をし、話し合いをしていくというような意味からいたしますと、一部事務組合なり地方開発事業団は適当ではない、かように考えておるわけでございます。
  27. 松井誠

    松井(誠)委員 そうしますと、総合的な広域行政という、つまり目的が総合的である場合には、なかなか地方自治法上の共同処理方式ではうまくいかないんだ、ですから、府県同士といいますか、横の関係広域行政についてのこの法律案考え方というものは、地方自治法共同処理方式との関係では、もっとゆるい協議という形式にしたのだ、そのように考えてよろしいのですか。
  28. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 一部事務組合なり、地方開発事業団につきましては、仰せのとおり連絡会議と全然ねらいが違っておりますので、その方式連絡会議におきまして達成しようと思います目的には適用しにくいと思います。それから協議会につきましては、ある程度連絡会議によりまして達成しようとする目的が達成できるかと思いますが、数府県にわたって総合的な、いろいろな起こってまいります問題を、随時連絡協議をしていくという点になりますと、現在の実情にかんがみますと、やはり関係の国の機関構成メンバーとして入って、一緒にそうした連絡協議をしていくということがより適切でございますので、協議会等の関係におきましては、連絡会議法のほうがよりベターであるというように考えられるわけでございます。
  29. 松井誠

    松井(誠)委員 それでは、この法律案のもう一つ関係である国の地方行政機関との協力の方式についてお尋ねをいたしたいのでありますけれども、最近、数府県を越える広域行政の必要が出てきたということは常識的にもわかるのですが、国の地方行政機関との関係を、特にいま何かの形で法文化をして明確化しなければならないという理由は、必ずしも明らかではないと思います。ですから、その点を率直にお伺いをいたしたいと思います。と申しますのは、国の地方行政機関の存在は何もいまに始まったことではない、そうしてそれが地方公共団体に何がしかの関係でからまっておることもいまに始まったことではないわけです。それがなぜ最近国と地方とのそういう協力組織が特に必要なものになってきたのか、切実な要求として受け取られるようになってきたのか、その事情について、できれば具体的にお伺いをしたいのです。
  30. 大村襄治

    大村政府委員 御指摘のとおり、国の行政機関地方にも設けられておることは、今日に始まった問題ではないわけでございます。お尋ね広域行政あるいは地方開発、そういった時代の要請にしたがいまして、国の行政地方団体の行政との相交流するものが最近非常にふえてきております。それを地方レベルで連絡調整を加えることが、国、地方の全体を通じて国民のため、住民のために必要ではないか、そういう見地からこの法律案を提案いたした次第であります。
  31. 松井誠

    松井(誠)委員 やはり地域開発ということが、国と地方との関係で、特に協力を必要とするような事態を招来したというようにお伺いしたわけですが、いままでの国の出先機関が、最近、たとえば農林省でいえば、地方農政局という形で拡大強化される、あるいは地方建設局の権限が拡大強化をされる、そういうことで中火の各省の、言ってみれば縦割り行政というものが非常に強くなった。そしてそのために地方自治体の総合的な行政というものが困難になったということも、大きな原因じゃないんですか。
  32. 大村襄治

    大村政府委員 確かに御指摘のとおり、縦割り行政の問題につきましては問題があるわけでございます。自治省としましては、かねてから国と地方との間の事務配分につきまして、住民に、行政はできるだけ地方のレベルにおろすことを機会あるごとに主張しているわけでありますが、遺憾ながら必ずしもそれが実行されませんで、国に留保されている事務の範囲が相当あるわけであります。それをまた国の行政機関の内部関係におきまして、中央地方の間にどう配分するかの問題につきましては、自治省としましては、これをできるだけ総合行政の担当機関であります府県なり市町村にゆだねることを要望してまいったわけでありますが、必ずしもそのとおりには行なわれませんで、各省のいわゆる出先機関というものが相当設置された、こういう状況であります。その現状にかんがみまして、先ほど御指摘のように九つがいいかあるいはもっと多いほうがいいか、そういった区分けの問題はございますが、それぞれの地域における、横断面における協議方式ということは、現状においてはぜひとも必要ではないか、さように考えた次第であります。
  33. 松井誠

    松井(誠)委員 その縦割り行政が強化されて、地方行政の総合行政が乱されるというそのことのほかに、最近たとえば農業構造改善なんかが具体的な例としてあげられておるわけですけれども、農林省の出先機関で農業の構造改善あるいは農業基本法に基づく諸施策というものは、まさに総合的に行なわなければならぬ。したがって、本来ならば地方自治体の中へすっぽり入っていかなければならぬような行政が、農林省の出先機関で強化をされるという形になる。それではますます地方行政の総合的な運営というものは困るじゃないかという理由もあるようですけれども、私、率直に言って、地方制度調査会にこの連絡会議法案の要綱を示したときに、自治省のほうではっきり言っておるわけでしょう。つまり最近はそういう縦割り行政というものの弊害がひどくなって、公社公団というものが乱設をされる。そのために地方行政の総合的運営というものが乱される。このままでいくと新しい中央集権化というものになりかねない。だからこの辺でチェックをしなければならぬということを言っておるわけです。私はそのことばを実は自治省からお聞きをしたいんです。つまりこの法律案というものが、自治権を防衛するためというはっきりした目的を持っておるならば、それをはっきりお伺いをしたい。なるほど地域開発ということを一つの機縁にして縦割り行政というものが強化をされる。その縦割り行政というものが、言ってみれば中央集権化、中央の権力が地方へ来て、地方自治というものを支配しようとする、それに対して、この辺で何とかしなければならぬじゃないかという、その現実の必要があってこういうものがでてきたんだというように私は御答弁をいただきたいんです。現に、そういう提案の理由の説明をしておるわけでしょう。次官、どうです。
  34. 藤田義光

    藤田政府委員 この法律案提案にあたりまして、いろいろなことを考えられたわけでございますが、先日来の問答の間に、大体表の理由は一応申し上げたと思うのであります。もしかりに裏表ありとすれば、いま松井委員の御指摘のような点も、提案者である自治省としては相当真剣に考えております。今日の国の縦割り行政の弊害というものは、われわれ一番深刻に考えて、その対策もほかの方面で考慮しておるところでございます。したがいまして、自治省から出しておるすべての法案に、そういう気持が多少でもにじんでおるということを、率直に認めたいと思います。
  35. 松井誠

    松井(誠)委員 きょうは農林省と建設省からおいでいただいておりますので、ちょっと私の質問としては飛びますけれども、先にお伺いをいたしておきたいと思うのです。  先ほど申し上げましたけれども、地方農政局が最近権限が強化をされる、地方建設局が権限を強化をされる、どういうわけか河野さんのおるところは、いつも出先機関というものが強化をされるわけですが、こういう中で、いまこの法律案のおそらくは最大の目的である、そうでなければならぬ地方自治を防衛するという立場からいくと、この縦割り行政というものを、つまり事務配分というものをあと回しにしておいて、いまの事務配分のままでこの連絡会議というものを運営しようとした場合に、ほんとうにこの法律案が企図しておるような目的を達し得るかどうか、農林政務次官お尋ねをいたしたいのですけれども、先ほど私一つの例として構造改善、農基法に基づくいろいろな総合的な諸施策、それは地方公共団体が協力しなければならぬという、たしか農業基本法にも書いてあった、それはまさに地方自治体としてやるべき総合的な行政であるに違いない。それを、地方農政局が強化をされたという形で入り込んでくると、一体自治防衛という立場から見てどういうことになるだろうか、あるいはこの連絡会議運営の中へ縦割り行政の弊害というものを持ち込まないで進み得るという自信がおありかどうか、この点をひとつお伺いしたい。
  36. 津島文治

    ○津島政府委員 お答え申し上げます。御承知のとおり、ただいまの御議論を拝聴しておるのでありますが、だんだん経済の進歩に伴いまして、府県を越える広域にわたる行政が行なわれてくるということは申し上げるまでもないことであります。しかし、ここで私どもが考えなければならないのは、やはりあくまでも自治体の本旨というものを尊重して、その上に国の行政を進めてまいるということは、私は動かすべからざる基本の線であろうと思うのであります。ところが、このたび農林省におきましては、地方行政機関を拡充をいたしたのであります。御承知のとおり、従来も各ブロックに農地事務局というのがございましたが、これは農地局の所掌事務の一部を分掌しておったにすぎないのでありますが、今回はその範囲を広めまして、そして地方の広域にわたるいろいろの問題に対しまして御協議にあずかろうということに相なったのでございます。そこでただいまのお話は、構造改善の問題にお触れのようでございますが、この農政局をここまで持ってまいりますその大きな任務のうちには、構造改善ということに対する農林省の熱意が非常に多く含まっておるのであります。それは従来は、この構造改善に関する事柄は本省でやったのでございますが、それでは各地方の実情に非常に遠いものがある。どうしても親切にいろいろの機関に御相談に乗っていくためには、やはりブロックに強力なものをつくりまして、そこでいろいろと御相談をしたならばよいであろうということになったのが、大きな任務の一つであるのであります。しかしながら、それかといいまして、決してこれが地方の自治の問題に触れるものではなくして、あくまでも地方のそういう問題に対しまして御協議をして、そして円滑に進めてまいるということ以外に、私は他意のないものである、かように考える次第でございます。
  37. 松井誠

    松井(誠)委員 構造改善といえば、生産から流通まで全部総合的にやらなければならないでしょうし、この地方農政局の分掌事務というのを見ますと、農山漁村の総合的な振興計画などという、全く総合的な行政というものもその範囲に入っておる。ですから、そういう事務というものを農林省の出先機関が持っているままで、地方公共団体、要するに府県の総合的な行政というものはほんとうに確保できるのかどうか、私は疑問を持つわけです。  建設省の建設政務次官お尋ねをいたしますけれども、建設省では、いま新しい河川法をつくって、これがいま事務配分というものが具体的に論議をされておるさなかに、そういう地方公共団体から管理権を取り上げるという形で河川法というものができ上がる、あるいはまた、地方建設局が強化をさされるときにも、全国の知事会や、あるいは自治省あたり、あるいは地方制度調査会あたりから、いろいろな意見なり抗議なりというものがあったと思いますけれども、それは、何か中央出先機関が強化をすることが地方分権だというような言い方がありますが、とんでもないことだと思います。これは地方分権ではなくて中央集権の強化、中央集権の末端への支配ということにほかならないわけです。ですからそういう形で、現象的には住民が一々東京まで来なくて、出先で間に合うという便宜が、その限りではあるかもしれない。しかし、もっと大きく考えれば、そういうことによって地方自治というものがむしばまれる、その根幹がゆるがされるという大きな危険を伴っておると思います。ですから、そういう配慮をした上で、この連絡会議メンバーとして、文字どおり地方行政というものの主たるにない手は地方公共団体ですから、この地方公共団体が総合的な行政をやり得るような、そういう協力体制をとるということが必要だと思うのです。そういう点について、ひとつ心がまえをお聞かせいただきたいと思います。
  38. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 端的にお答えをいたしたいと思います。原則的なお話等は事務次官並びに農林次官からもお答えがございまして、私たちも同意見であり、同様な気持ちのもとにやっていこう、こういうたてまえでございます。ただ建設省の場合は、現在行なっておる地方建設局というのは、御承知のように直轄の工事を直接に担当したり、監督をしたり、あるいはまた指導するというだけのものでございましたために、これを今日における——先ほどから広域的な面とかいろいろのお話がございましたが、それらの面に合致せしめるようなことも考えつつ、しかも建設省側といたしましては——建設行政というのは基本的には、よくいう国づくりといいますか、現場に重点を置いてすべて仕事をしていかなければならぬ、こういうふうなたてまえでやっておりますことは、御存じのとおりであります。こういうふうなたてまえでいきますと、現在の地方建設局というのは、単に直轄の工事だけをやっていくのだ、こういうふうなことになっております。ところが、御承知のように、たとえて申し上げますならば、一国道の分野におきましても、宮城県を経由して岩手県にいく、岩手県から今度は青森県にいく、あるいは山形、秋田にいくのだ、こういうふうになりましても、その県々において、御承知のような県財政とかいろいろな部面等がございまして、一つの県はある程度進歩いたしておりますが、お隣の県が、不幸にして財政的な面やらあるいはまた横の連絡不十分だというふうな点等もございまして、必ずしも同一な方向に進んでいるとは言い得ない場合が、今日まで多々見受けられてまいっております。御承知のように道路は、わずか一尺五寸であろうが、あるいは半メートルでございましても、悪いところがあれば通行ができないといったようなこともありますし、あるいはまた補助工事的な面において、従来都道府県等に補助いたしておりますが、これらも、いま申し上げたような原則に立てば、なかなか思うようにいかない。こういう点を一貫的に、実際現地におって、その現実を把握しているところの建設局方面に十分に見させて、そして都道府県としての実情に即した、都道府県の方々ともよく御協議願った上に立ってやっていったほうが現実に合うだろう。河川においてもこれまた同様であり、あるいはまたわれわれが担当する一部災害的な面においても同様でございますが、そういうような部面から、今回設置法を改正いたしました。単に従来のように、現場の監督あるいは指導、指揮をやっているというだけでなくして、建設省の本来の一任務である、いま申し上げたような問題を現地において処理せしめていくように、そうすることにおいて、現地の実情というものを把握しつつある建設局であり、また知事なりあるいは地方自治団体と、十分密接な関係を結んでやっていける、こういうたてまえで現在設置法の一部改正をしていこうという考えで、今日提案をいたしておるような現況でございます。したがいまして、これらの点から考えますと、先ほどからお話のございました連絡会議の一メンバーといたしましてその中に参画して、いろいろと御協議にあずかっていくというふうなことは、やはりその地域のためには非常に効果があるのだ、かように考えております。
  39. 太田一夫

    ○太田委員 関連をして少しお尋ねをしておきたいのです。  まず津島さんにお答えをいただきたいのですが、先ほどお話をいただいたことは、いま建設省の政務次官お答えいただいたそのニュアンスと同じですか、それとも農林省には別の方針があるのでしょうか、もう一度お答えをいただきたいと思います。
  40. 津島文治

    ○津島政府委員 松澤政務次官のお話の御要旨と違っていない、かように考えております。
  41. 太田一夫

    ○太田委員 農林省としても、地方農政局に大幅なる権限の委譲を行なう用意がもしあるとするならば、どういうことを地方農政局に権限の委譲をするおつもりであるか、少し具体的な方向というものを、この際明らかにしていただけませんか。
  42. 津島文治

    ○津島政府委員 地方の農政局の権限というものは、ただいま申し上げましたとおり、その範囲は以前の事務局とは全く違うものでございまして、農林省全般にわたると申してもいいのであります。しかしながら、そのうちで全国的規模の団体の指導あるいは監督助成、こういうものはその権限から除かれておるのであります。それから安定価格の決定等、価格安定のための企画事務、こういうものがまたはずされておるのであります。それから生産需要の調整に関する企画及び当該事務を行なう団体の指導監督、こういうものは除かれております。それから全国的視野において行なうべき地域指定地域計画の設定というものがまた省かれております。それから中央の審議会に付議する必要のあるもの、それから他省と協議を要するものというものが除かれておるのであります。しかし一番問題であるのは、地方農政局というものが一体実費的にどれほどの力があるものであるかということは大きな問題であろうと思うのであります。外形が大きく見えましても、その実力はどうであろうということにつきまして調べたのでありますが、本省において行なう各種の補助金に至りましては、七割以上は、地方農政局におきまして予算の配分、執行、それから事業の指導、監督に関する事務処理されることになるのであります。したがって、実質的な面から見ますというと、地方農政局は相当地域的なサービスを行なうことができる機関と申しましょうか、力を持ったものに改まったようでございます。
  43. 太田一夫

    ○太田委員 補助金は七割以上地方農政局において配分、執行ができるということになる。——地方農政局を強化しようとすれば、何らか権限を与えなければなりませんから、そういうことになるのでしょうが、これがそもそも行政連絡会議法にいうところの円滑な地方広域行政の実施になるかどうかという点は、なお疑問があるように思います。たとえば農業用水、水の問題ですね。水路の開さく、農業用水の開設と申しますか、用水路をつくる、そういう問題はほとんど地方農政局において決定することはできるようになりますか。やっぱりこれは地方ではできないのでありましょうか。
  44. 津島文治

    ○津島政府委員 それは地方農政局の意見において定めることと思っております。
  45. 太田一夫

    ○太田委員 その点について津島さんの所感をお伺いしたいのでありますが、地方に権限を与えるということは、中央集権の強化であるのか、地方自治に対して貢献せんとするのであるか、どちらの方向でありますか。
  46. 津島文治

    ○津島政府委員 私は、その後者のほうである、かように解釈をいたしております。
  47. 太田一夫

    ○太田委員 地方自治への貢献をなさんとする意図のために、地方農政局の強化を行ない、各種の権限を委譲するとおっしゃる。それなら別にとやかくのことを申すわけではありませんが、津島さん、ここではうまいことをおっしゃったが、ドアの外で消えないようにしてもらいたい。地方自治に対してあなたは理解があるから、地方自治をまさかそでにされるとは思わないけれども、とかく最近の風潮というのは、地方自治に対する認識不足ばかりで、内閣総理大臣をはじめとして、地方自治ということばはなかなか出てこない。地方自治の本旨は何だということになると、それは憲法を見てもわからぬじゃないか、地方自治を見てもわからぬじゃないか、だからわからぬわからぬということでいつまでも過ぎては困るのです。  そこで松澤さんにも重ねてお伺いをいたしたいのでありますが、あなたも、先ほど松井さんの質問に対しまして、補助金などにつきましてもめんどうを見させて実情に即した行政をさせたいと思う、いわゆる補助金というようなことなどは、地方建設局のほうに大幅に権限委譲するようにおっしゃったと思う。そういうことでございますか。
  48. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 そのとおりでございます。  一言つけ加えておきますと、これまた農林当局なり自治省のお考えと私たち一つも食い違っていないわけであって、率直に申し上げれば、あくまでも地方行政に対する相談相手になり、協議の相手になり、そうして現地において物事ができるだけすみやかに解決のできるように、こういうふうな気持ちで設置法の改正をしていきたい、こういうわけで目下御検討を願っておるわけであります。
  49. 太田一夫

    ○太田委員 そこで、そのことをもう一つ要約すれば、一つの大ざっぱな概念でいいのでありますが、いままでは陳情政治であったり、中央中央へと流れていた陳情の波が、これによって相当数地方においてとどまる。中央に来るのが減るのだ、こないでも済むんだ、そういうことになり得るのですか。
  50. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 率直に申し上げて、何とかしてそういうふうにしていきたい。そうでないと、よくありがちな、またよく言われがちな二重行政というふうなことになりがちであります。したがって、地方でなし得ないものが中央でなし得るんだとか、あるいはまた地方で補助がもらえないものは中央に来て補助をもらっていくんだというふうなことになりますと、いまお話しのような陳情等も相変わらず二派に分かれまして、そうしてかえって地方に御迷惑をかけるというふうなことになりがちでございますので、私たちといたしましては、絶対ということばを使っていいほど、そのような方向に持っていかなきゃならぬ、かように考えて極力現地でとどめて、そうして本省の本来の使命である統制、企画というふうな方面に重点を置いてやっていかなければならぬ、かように考えております。
  51. 太田一夫

    ○太田委員 御答弁としてはなかなかりっぱでありますので、私もそれで別に差しつかえないと思うのでありますが、この連絡会議法のたてまえから一言いますと、協議の結果の尊重というのが第五条にありまして、会議において協議が整った事項については、その構成員でありますから地方農政局長にいたしましても地方建設局長にいたしましても、その協議の結果を尊重して、それぞれその担任する事務処理するようにつとめるものとする。この辺のところに今後の運営は相当微妙な点があろうと思いますけれども、そういう行政連絡会議においてきまったことを、極力実現せしめる誠意と努力とをこの第五条において誓っておるわけです。これを尊重して、この趣旨が発揮できれば非常にけっこうだと思います。ただ、その中央出先機関の長は、とかく中央の威力をかりて、県知事とか、あるいは特別市の市長とかいうようなものを、眼下に見下だすがごとき態度をとられないでしょうか。これは松澤さんのほうから……。
  52. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 従来ともにそういう態度はとってておりませんし、また今後とも、質問を受けるまでもなく、当然にとるべき性質のものではない。また、そのようなことは、十分に中央において逆に地方建設局長もしくはこれに類する方々に対して、監視監督をやかましくしなきゃならぬのじゃなかろうか、かように考えております。ただ、先ほどのお話の中に、陳情云々のお話がございましたが、私は、本委員会ではございませんが、他の委員会で申し上げましたのは、陳情等になりますと、与野党を問わず盛んに陳情攻めにあう可能性が、今日逆にわれわれ非常に多くなってきております。したがいまして、この法案が通りました暁においては、一般国民も、また地方におられる方々も、あるいは選ばれてまいったわれわれもこの方式はここではとるべきではないといったような方式でお考えを願って、強い御協力のほどをあらかじめお願いをいたしておきたい、かように存じます。
  53. 太田一夫

    ○太田委員 そこで、ちょっと松澤さん、これは変なことをお尋ねするかもしれませんよ。これはお互いに広域的な仕事を円滑にやるように実現に努力するというのですから、なるべく努力する。権限を移譲されたその権限の具体的なものについては、農林省は七〇%とおっしゃった。そこで私は、とかく中央機関のほうが上にあるのではないかという気がしてしようがないと思うのは、このごろ地方の首長が嘆くことは、最近建設省に陳情に行くと、河川法に賛成せぬような知事などの言うことは聞いてやらぬ、だからとっとと帰れというようなすげない態度が出てくるそうです。それでどういうことだ、——一事が万事と言ってはなんですけれども、河川法の審議が成立したわけではないのに、いまから、審議に協力しないような者には、絶対におまえらの言うことは聞いてやらぬ、こういう態度が非常に強いと言って嘆いている向きがあるのですが、これはあなたは御承知でしょうか。まさかそういうことはないだろうと思うのです……。
  54. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 不敏にしてあまりその話は聞きませんが、私は本省におりまして、各事務次官以下の方々のやっておることを常にまのあたりに見ております。しかしながら、その責任上において、あるいはまた他のところにおきましても、いまのようなお話で、河川法であろうがあるいは設置法でございましょうが、いわば地方地方実態に即し、それぞれの考え方でもってお話をしておるのでありますから、あえて、これに対しまして、なさなければ何でも言うことを聞かないのだというふうなことは絶対にあり得ないし、また今日もやっておりませんし、今後もやるべきでない、私はかように考えております。
  55. 松井誠

    松井(誠)委員 先ほどの質問に返りましてお尋ねをいたしたいのでありますが、この縦割り行政の弊害を除く、そしてそういうことを通して地方自治を守るというのが、次官のお話では裏側の秘められた目的のように言いましたけれども、むしろそれをこの提案理由の説明のようにわけのわからない書き方ではなしに、やはり正面から出すべきだと思う。そうしなければ、自治省の心のうちは知りませんでしたということで、各省がそういう形に協力しないということになってしまうのですね。私は率直に言って、この法律案の一番大きなねらいというのは、府県同士の協力方式というものじゃなくして、国と府県との協力方式というものにこそ主眼があると思う。そしてその主眼は、自治省のことばをそのまま信用をして、国の行政機関に公共団体が従属をするんだという形ではなしに、まさに地方公共団体が行なう総合的な地方行政に協力をさせるのだというかまえでいくことを期待しますし、そういうことが、だいぶ水増しになりましたけれども、当初の案にはおそらくはもう少しはっきりしておったのではないかと思うのです。  そこで、縦割り行政の弊害をなくするというために、いままでいろいろな議論がなされ、いろいろな案が出されたわけですけれども、それがなかなか日の目を見なかった。そして昭和三十二年には御承知のように、さっきも言いましたけれども、府県というものをなくして地方制にしよう、そうすることによって出先機関を統合しようという案が出たわけですが、これは府県をなくするというたてまえでありますので問題にならぬ。最近、臨時行政調査会で、地方庁というか地方行政府というのが、出先機関を統一をするという構想が出ておりますけれども、これについても、次官は先ほど、自治省としては消極的な態度であるということを言われた。私もやはりそうでなければならぬと思うのです。事務配分というものをいまのままにしておいて、出先機関が強力な権限を持ったまま、さて、府県知事と話をするということになりますと、形は協力のようでも、実は出先機関に従属するという危険性が多い。そういう意味では、先ほど来から何か出先機関を強化することが住民の利益だというようなことを盛んに言われましたけれども、ほんとう住民の利益を考えるならば、そういう権限を大幅に府県以下市町村に移譲するということこそが、縦割り行政の弊害をなくするという根本的な方法ではないか。その点についていかがお考えですか。
  56. 藤田義光

    藤田政府委員 その点につきましては、先ほど官房長からも一言触れておりましたとおり、国と地方自治体事務の配分にあたりましては、ただいまお示しのような方向でわれわれはやってまいりたいと思います。  また、この法案の裏の意味という表現を使いましたが、原案におきましては、先般も申し上げましたとおり、調整等の要請というような規定を挿入しておりまして、調整を要する場合というのは、主として知事と国の出先機関との間の調整、この点が非常に問題になりまして原案から姿を消した、こういうことも経過的にあったということも御承知願っておるとおりでありますが、ただこの法案の第四条第三項におきましても、議長は必ず知事をもって充てます。副議長は知事に指名権を与えております。いろいろな面で、法文のところどころにそういうニュアンスを盛り込みまして、やはり自治体中心連絡会議であるというような運営にしてまいりたいと考えておるところであります。
  57. 松井誠

    松井(誠)委員 そういう自治省の善意というものが、この法律案で一体達せられるかどうかということを私は懸念をするわけです。俗にミイラ取りがミイラになるといいますけれども、そういう地方行政機関を育成をしようということが、事務配分を現在のままで出発をして、さてほんとうにできるかどうか。ミイラになってしまって、この九つのブロックをそれこそ一つ行政単位にする新しい行政組織というものの足がかりをつくるという、言ってみれば意図したこととは逆な結果を招来するという危険もなくはないと私は思うのです。  そこで具体的に、この法律案が、国と府県側との協力方式というものについて、どういうように考えておるのかということをお尋ねいたしたいわけであります。この相互の関係について、いろいろな規定のしかたがあるようでございますけれども、たとえばこの六条に、連絡会議のほうで国の行政機関などに対して「必要な協力を求めることができる。」という書き方になっておりますが、このような協力を求められた場合に、国の行政機関その他はそれに応ずるという義務があるわけですか。
  58. 大村襄治

    大村政府委員 お尋ねの第六条第一項の関係でございますが、国の行政機関等が、会議のほうから必要に応じて資料の提出その他必要な協力を求められた場合に、法律上応ずる義務があるかという点のお尋ねにつきましては、これは法律上は義務までは規定してないわけなんです。
  59. 松井誠

    松井(誠)委員 ところが逆に、この六条の二項のほうでは、連絡会議のほうで国の行政機関などから求めがあった場合には、「資料を提供しなければならない。」という形で、これは義務づけられておるわけですね。そうしますと、この六条に関する限りにおいては、国の行政機関のほうが言ってみれば上だ、地方公共団体のほうが、府県のほうが協力をしなければならないのだという関係になりはしませんか。
  60. 大村襄治

    大村政府委員 第二項のほうは確かに明文の規定上「資料を提供しなければならない。」と書いてございますので、第一項と照らし合わせますと、第二項のほうがきつく規定してある、第一項のほうがゆるい、何かその間に差があるのではないかという疑いを持たれるということは、一応ごもっともであるというふうに考えるわけでありますが、第一項のほうの規定を設けました立案者のほうの趣旨といたしましては、連絡会議構成員であります国の行政機関その他の機関は、会議から資料の提出を求められたら応ずるのは当然だという頭で、それ以外の機関につきまして、何か必要なときに協力を求める権能をここに規定する、そういう趣旨で第一項を立案したわけでございます。そういった観点で、御指摘にありますような、必ずしも国のほうを優先して地方団体のほうを第二義的に考える、そういうことではないということは御了承願えるのではないかと思います。
  61. 松井誠

    松井(誠)委員 どうもいまの御説明はおかしいと思うのです。第七条のほうでは、連絡会議は、「意見を申し出ることができる。」とあって、二項では、関係大臣は、「連絡会議意見をきくことができる。」という規定のしかたですけれども、意見を聞けば、もちろん意見は言わなければならぬという義務を予定しておるわけですね。
  62. 大村襄治

    大村政府委員 第七条第二項のほうの規定につきましては、「きくことができる。」とやはり権能を規定しているわけでございまして、事実上は意見を求められれば、意見を出すのは当然だと考えられますが、法律上の規定といたしましては、やはり能動的に意見を求めるほうの権能を規定しているということであります。
  63. 松井誠

    松井(誠)委員 そうすると、この法律案は、少なくともていさいの上では、連絡会議というものを、そういう行政組織を主にして考えておって、その連絡会議機関といいますか、この法律による会議構成メンバーというものを主にして考えておるわけではないと思うのです。ですから、規定のしかたはいつも連絡会議というものが主語になって、したがって、そういう表現の差ができるというならば、私はまだ話はわかるのですけれども、そうじゃないわけですね。第七条の二項は連絡会議が主語になっておるのではなくて、大臣というのが主語になっておる。一項は連絡会議というものが主語になっておる。どうしてこういう使い分けをしておるのか。第二項で、大臣が「意見をきくことができる。」といえば、おそらくは単に事実上の問題でなしに、法律的にも意見を述べるという義務を私は予定しておるのではないか。これは言ってみれば、形式論ですから、私はたいして問題にはしませんけれども、しかしこの規定のていさいからいっても、私は府県が国の行政機関を規制をするという形じゃなしに、逆に規制をされる危険をはらんでおるのではないか。これは私は必ずしも杞憂ではないと思うのです。というのは、これは先般小澤委員もちょっと触れられましたけれども、なぜ一体九つのブロックという形の分け方をしたのか、これはどういう理由なんですか。いままで何度か御説明があったようですけれども、もう一度ひとつまとめてお伺いをいたしたい。
  64. 大村襄治

    大村政府委員 ただいまのお尋ねの前段であります。条の一項、二項の法文上の規定につきましては、立案に当たりました長野参事官がかわって説明をすることについて、御了承願いたいと思います。  後段につきましては、後ほど私からお答え申し上げます。
  65. 長野士郎

    ○長野説明員 ただいまのお話の第六条の関係でございますが、第六条につきましては、先ほど官房長が申し上げましたとおり、第一項は、連絡会議構成メンバー以外の機関に対しまして、連絡会議協議を進める上で資料が必要だ、説明を求めることが必要だ、あるいは意見も聞きたいというような場合に、連絡会議の権能を規定いたしたのであります。したがいまして、多少先ほどの説明と違うかもわかりませんが、法律上の権能の規定でございまして、したがって、表現で「できる。」と書いてあるからということになりますが、何々することができる、こう書くのが普通の書き方でございます。この機能を連絡会議に与えました以上は、法律的に申しますと、やはりこれを受けるほうといたしましては、受任の義務があるわけであります。したがいまして、協力に応じなければならないという裏側の関係というものが当然に出てまいるというふうに考えております。したがいまして、第二項は、今度は求められるほうの立場を書いたわけでありますから、これは裏側から第二項を規定いたしたということになりまして、第二項は、御指摘ではございますが、私は意味が違うわけではないというふうに解釈をすることができるのだと思っております。  それから第七条の規定も同じことでございます。したがいまして、これは、第一項は連絡会議のほうに権能を与えておる、第二項はこの協議事項関係のある大臣に、そういう意見を聞くという力を認めたということに相なります。したがいまして、第七条の第二項につきましても、裏側の意味といたしましては、意見を求められれば連絡会議としては、当然に意見を述べるという義務がある。また義務とか義務でないというよりも、むしろ広域行政についての連絡協議をいたしておるわけでございますから、そういう面では国、地方を通じて、やはり総合的に調整がされ、円滑な処理が望ましいという立場に立っておりますので、その義務があるとかないとかいうことよりも、お互いにそういう面での協力をして、地方行政をそのあるべき姿にしたいということからこのような規定を設けたわけでございますので、格別、法律論というよりは、むしろ気持ちの上からも当然そうだということを先ほど官房長が申し上げたと思いますので、法律的に申し上げますればいまのように考え、またいってしかるべきものではないかと思っております。
  66. 松井誠

    松井(誠)委員 私も、そのことばづかいの枝葉末節をそれほど気にしておるわけじゃないのです。そうではなしに、この法律案ができる過程の雰囲気といいますか、その微妙なニュアンスというものを知りたい。いまのお話のように、権能というものをもし中心にして書くならば、たとえば六条の二項のほうでも国の行政機関は資料の提供を求めることができるという書き方にすればいい、あるいはその七条の二項のほうも連絡会議を主語にして、大臣から求められたならば意見を述べなければならないという六条の二項と同じような書き方もあり得る。そういうことであるのに、なぜ一体こういう規定に落ちついたのかという意味ですね、これを知りたいのです。
  67. 長野士郎

    ○長野説明員 確かに、いまの御指摘のような表現のしかたも実はあると思います。この辺の条文につきましては、これは通常こういう会議体におきまして、外部との関係を書きます場合のいろいろな立法例もございますが、そういうものを参考にいたしながら規定をいたしたわけでございまして、国との間で、ちょっとこっちが遠慮した表現にしようとか、あるいは連絡会議のほうから言うときは、弱く言おうという意味で規定したわけではないのでありまして、これは六条を書きました当時の記憶を思い出しますと、第一項につきましては、これは「求める」という、外へ強くいうようなことを書きましたので、連絡会議は常に求める主体になる表現ばかりもどうであろうかと思いまして、連絡会議が今度は協力するという——連絡会議という名前そのものも、連絡を趣旨とするようなことがたてまえにもございますから、そこで今度は出すほうのことをつれて書いたので、七条につきましては、「意見を申し出」、「意見をきく」、こういうので平仄をそろえたつもりでございます。出したり受けたりというような——先生の御指摘のような表現もこれはできると思いますが、私どもはそういう気持ちでこう書いたのでございまして、御指摘の表現ができないとは決して申しません。そういうふうにももちろんできますが、映りがどれがいいか、この辺になりますと好みがありまして……。その辺でひとつ御了承をお願いいたしたいと思います。
  68. 大村襄治

    大村政府委員 松井先生の先ほどお尋ねの後段の、なぜ九ブロックの区割りを設けたかという点について、お答え申し上げたいと思います。  先ほど来御説明申し上げておりますとおり、この連絡会議地方における広域行政——その意味は、先ほどお尋ねのありましたとおり、都道府県区域を越える行政ということを考えておるわけでございますが、それの連絡協議の場を設けるということを目的にしておるわけでございますので、それにふさわしい区域の分け方をどのように設けたらいいかという観点から、一応九つの地域を設けておるわけであります。その場合、九つの地域を設ける基礎の考え方といたしましては、いま申し上げました広域行政を局地的に処理する場の地域区分として、どの辺が一番普遍的でもあり、ある意味においては常識であるかという観点から求めたものでございまして、たとえば知事会の地方別の組織あるいは市長会、議長会等につきましても似たような区分が設けられておりますし、また広域行政の中で最も関係の深い国土総合開発法に基づく地方開発区域の設け方あたりも非常に似たような考え方をしており、そういったような観点から設けた次第でございます。  なぜ、そういうものを設けたかという点につきましては、やはり会議組織的、秩序的に運営していくというためには、何らかの基準で構成団体の地域区分を設けたほうが能率的でもあり、適確に運営される、そういう点から設けたものであります。なお、どのような方法を用いましても、いわゆる端境の問題がございまして、一定のところに固定したのではかえってまずいという点も予想されるわけでございまして、その点につきましては、別表の備考を設けまして、弾力的な運営をはかるようにするというふうに配意したことを申し添えておきたいと思うわけであります。
  69. 松井誠

    松井(誠)委員 昭和三十二年の地方制度調査会地方制というのもやはり同じようなことを基盤にしておるし、最近の臨時行政調査会地方行政府かあるいは地方庁かわかりませんけれども、その案も、やはり同じようなブロックの分け方をしておる。ちょうどそれに符節を合わせてこれも同じような分け方をしておる。ですから私は、いまの臨時行政調査会地方庁ができてしまえば、さて今度府県をなくするというところまではもうすぐだと思う。つまり道州制になる段階としては、地方庁ができれば、もう大体それで外堀どころか内堀も埋められたという形になる。ところが、この連絡会議地方庁にいく足がかりになるかならないかということを考えますと、どうしてこの九ブロックに分けて法定するか、法律上きちんときめるか、なぜその必要があるか、私にはわからない。たとえば新潟県の場合なんか、出先機関関係からいえば、関東甲信越を管轄区域にする行政機関に所属しておる。ところが、農業とか、そういう問題になりますと、東北六県、北陸四県という形で経済的なつながり、あるいはその同質性といいますか、そういうものはあるかもしれませんが、この地方行政機関に合わせるということになると、新潟県はむしろ関東甲信越のほうで、行政機関の管轄区域に合わせるとそういうのが多いわけです。ですから、九ブロックに分けた分け方自体が非常に硬直的であるために、いろいろな意味で妙な問題が起きてきはしないかと思う。それであるにかかわらず、こういう形の法定をしたというそのことがどういう意図か、必ずしもまだよくわかりませんけれども、それが換骨奪胎をして地方庁というものの一つのステップを与えるということにならないか、自治省の善意が客観的には悪意になるのではないか、そういう歴史の皮肉もありますから、そういう具体的な点に基づいて私は心配するわけです。いきなりこれが道州制に移るとは思いませんけれども、しかし出先機関事務配分しないままで統合して、非常に強力な出先機関ができるというところへのステップとしては、運用のいかんによればなり得るのではないか、その点を次官からひとつはっきりとした決意をお伺いいたしまして、きょうは終わりたいと思います。
  70. 藤田義光

    藤田政府委員 九ブロックに分けました現実的、法律的な根拠は、官房長から答弁したとおりでございまして、私たちは、この別表のただし書きを運用の面におきまして十分ひとつ妙味を発揮させたいと考えております。  それから、こういう分け方をすることによって換骨奪胎して妙なものができはしないかというお尋ねでございますが、こういうものを置くことによって、議長たる自治体の首長である都道府県知事を中心運営することによりまして、ブロック単位にも地方自治体制が相当強力になり、都道府県合併という自治体の広域化ということを将来検討する場合におきましても、むしろ地方自治伸長のために非常に有利な組織である、こういうふうに期待しておるわけでございまして、いろいろな審議会その他がいろいろなことを考えておるようでございますが、私たちは、あくまで地方自治体中心連絡会議であるというふうに運営の面を強化してまいりたいと考えておる次第であります。
  71. 永田亮一

    永田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時九分散会