○松井(誠)委員 そこのところが私はちょっとわからないというわけなんです。
公営企業だから
独立採算制が必要だということ自体も私はよく理由がのみ込めませんけれ
ども、準
公営企業であっても、
独立採算的なたてまえで
考えるべきだという意味がよくわからないわけです。というのは
公営企業というのは公共の
企業ですから、いわばむだを省くという意味で、国民的な
立場から見て浪費をするなという意味で効率的でなければならぬ、能率的でなければならぬという意味はわかる。そして、それはまさにそれでなければなりませんから、そういうことを明らかにするために
企業会計というものが大いに役に立つということも、それはわかります。そこまでは私は問題ないと思う。そのこと自体は言ってみれば中立的なのであって、さてそこから出てくるそのあとの問題、つまりその結果、いまずっと言われましたように財政状態ということのほかに
経営成績を明らかにする——財政状態を明らかにするということは必要だ。しかし
経営成績を明らかにして、さて成績がいいというのは一体どういう意味か、成績が悪いというのはどういう意味かということを、私
企業の場合と同じように判断するわけにはいかないのじゃないか。ですからここで
企業会計で経理を明らかにするということ自体は必要ですけれ
ども、さてその結果、
赤字を一体どうして埋めるかという問題が出てくるわけですけれ
ども、そのときにたとえはこの間——きょうも言われましたけれ
ども、病院の財政についての調査会の
意見が何かがありまして、それを私もちょっと読んでみましたが、たとえばその中に病院の会計の
赤字は一体どこからきておるのか、そのことについて国や地方はどういうところから出てくる
赤字については、これは責任を持つべきであるというような、言ってみれば負担の区分を一応やっておるわけです。そういう問題について、たとえば病院会計というものが
企業会計に変わった場合に、いま言ったような形で国や地方
団体が負担をすべき
赤字の分、そういうものについておよそのめどがついておって、この
企業会計に立てるというなら話はわかるのですけれ
ども、そういう問題についてのめどがはっきりしないときにその経理を明らかにする、財政状態を明らかにするということ自体は抽象的には必要なんですけれ
ども、さて明らかにしたそのあとで、その
赤字を埋める問題として一体何が出てくるかということが一番問題だと思う。そのときにやはり権力を持っておるたとえば国や地方公共
団体というところへその
赤字の補てんがいかなくて、先ほど来から問題になっておるように
料金を上げるか、あるいは労働者の賃金を抑えるかという形で、いわば権力を持ってない国民や労働者の側にしわ寄せがくるということになっては困ると思う。ですから
企業会計という形で財政状態を明らかにすることは必要ですけれ
ども、それは
独立採算という形を前提にしての話ではなくて、むしろ一体何がそこから引き出されてくるかということは、いわば別の問題だ。つまり
独立採算という問題を前提にしての
企業会計の採用ということではないのだということを、ひとつはっきりさせていただきたいと思うのですが。