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1963-05-14 第43回国会 衆議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月十四日(火曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 小澤 太郎君 理事 大上  司君    理事 纐纈 彌三君 理事 高田 富與君    理事 太田 一夫君       宇野 宗佑君    大沢 雄一君       大竹 作摩君    久保田円次君       田川 誠一君    前田 義雄君       山崎  巖君    山口 鶴男君       門司  亮君  出席政府委員         文部政務次官  田中 啓一君         文部事務官         (管理局長)  杉江  清君         自治政務次官  藤田 義光君         自治事務官         (財政局長)  奧野 誠亮君  委員外出席者         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出  第一五五号)      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  地方財政法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑に入ります。  発言の通告がありますので、順次これを許します。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 まず総括的に伺います。大臣おいでなら大臣に聞きたいが、次官にお聞きしておきたいと思います。こういう法律を出された経緯を、ひとつ言ってもらいたいと思います。私がこういう質問をしますのは、こういう個々の問題をとらえて法律に書くということになると、際限のない問題ができはしないかということが考えられるわけです。現在、何も学校だけの問題ではなくて、警察の問題などについても、国が負担すべきものを県がやったり、県のものを市町村がやったりしているところがかなりたくさんある。だから私は、こういう法律取り扱い自身に、多少実は疑問を持っておる。どういう考え方でこういうものを出されたのか、現行の法律を厳重に守っていけば、それで事は足りると思っているのだが、その辺のいきさつを、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  4. 藤田義光

    藤田政府委員 御指摘のような意見もあろうかとわれわれ考えておりますが、高校急増対策が、建築費その他からいいまして相当膨大にのぼりますし、また非常に差し迫った問題でもあるし、ほかに類似の問題がたくさんあることはよく承知いたしておりますが、これを契機に順次ひとつ全面的に検討したい、とりあえずこの問題から手をつけていきたいということで、立法化したわけであります。
  5. 門司亮

    門司委員 私は、いまのような機械的というか、ごくおざなりな答弁でこの問題を見のがすというか、考えるわけにはいかないと思います。さらに私が聞かなければならないもう一つの問題は、こういう法律をこしらえていきますと、他のものはいいというような、裏づけをするような形になりはしないかと私は思います。それは、地方財政法なら地方財政法にはっきり、おのおの負担区分がきまっているのであるから、もし強化するなら、そういう条文の弱いところを強めるということは必要だと思うけれども、そうでなくて、個々に問題を取り上げていくと、裏から考えると、それなら警察の問題はよろしいのだ、法律に書いてはないじゃないかと、私は悪い印象を与えるのじゃないかという心配がやはり出てくる。いまのように、順次法律に書くというようなことになると、一切がっさいみな法律を変えなければならぬ、どぶの掃除まで法律を変えなければならぬようなことになるかもしれない。私は、そういう政府考え方は、あまりよくない考え方じゃないかと思うのですが、もう少し突っ込んだ、どうしてこういうものが出されなければならない背景があるかということ、これをもう少し詳しく話をしてもらいたいと思います。
  6. 奧野誠亮

    奥野政府委員 お話のように、財政運営を一々法律でしばっていこうということは、穏当ではないと思います。しかしながら他面、早急に財政運営の姿勢を直していこうとしますと、顕著なものにつきましては、あえて立法措置をとる必要が起こってくる、こう考えておるわけであります。そういう意味で、府県市町村負担を転嫁していく中で一番大きなものは、高等学校関係経費であります。そこで、高等学校経費につきましてもこういうように引き出して禁止規定を置いたわけでございます。なお、門司さんのような御懸念もございますので、先般の改正におきまして特に二十八条の二の規定を追加いたしまして、「地方公共団体は、法令の規定に基づき経費負担区分が定められている事務について、他の地方公共団体に対し、当該事務の処理に要する経費負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費負担区分をみだすようなことをしてはならない。」という規定を設けたわけでございます。この負担区分につきましては、それぞれの法律に明確に定めるように、政府といたしましても全体的に努力を続けてまいっておるわけでございます。
  7. 門司亮

    門司委員 私がもう一つこの法律で解せないのは、いまお話のありましたような政府考え方はかりにあるとしても、この高等学校自体の問題は永久にはないのであります。いまは足りないですが、これで五、六年か十年たつと余ります。人間の数もだんだん減ってくると思います。そういう時限的な要素を多分に含んでいる。警察なんというのは、これは永久のものであって時限的なものでないと私は思う。ことに時限的なものについて特に法律をこしらえるなら、この財政法改正でなくして特別法をこしらえたほうがまだいいと思う。そのほうがものがすっきりすると思う。こういう形で法律が直されたのでは、次々どこまで直していかなければならないかわからないようなものが冒頭に申しましたように出てくる。だから、いま申し上げましたように、三つの形からいって最後に申し上げましたようなことで、事業の性質あるいはその事柄によって法律改正する必要があるなら改正すべきであり、また単独法が必要なら単独法を制定すべきであるというように考えます。ただ、この中の炭鉱離職者問題等については、そう簡単にいかないかもしれない。これはいつごろになったらこういう状態がなくなるかということについては見通しがかなり困難であろうと思う。駐留軍離職者についても、最初は五年でこしらえたものを、この間衆議院を通してさらに五年を延長するということになっておる。だから、私はどう考えても、ここでこういう問題を出さなければならないようなことが考えられない、というより、むしろ法律にこういう問題を書かれた真意がいまのようなおざなりな答弁だけじゃわからないから、何かもう少し深い話がありはしないかということ。それで、きょういただいたものをちょっと一枚だけ見ても、今までのことがかなりずっと書いてあります。だから、これは問題として取り上げようとするなら、さっき言いましたようなことでそう長い間の問題でもないのであって、特別に財政法に織り込むだけのものはなかったのじゃないかという気がするのです。  それで、ここでもう一つ聞いておきたいと思いますことは、元来こういうものについて、各市町村でどのくらいの財源を大体県に負担しておったかということ。  それからもう一つ文部省の諸君がおいでになるならば聞きたいと思うのですが、地元の要求と、県の考え方とが食い違ったような場合がかなりありはしないかと思う。従来のいき方からいけば、とにかく地元要望があるなら、敷地を見つけてこい、そうすれば県の方は建てる。それから実際の県会状態を見てまいりますと、総括的に五校なら五校、あるいは十校なら十校不足だから、それだけは建てる予算はとる。しかしそれをどの地域に建てるかということは後日の問題に残されておる。こういう法律をこしらえようとすれば、その点は一体どう考えておるかということ。どの県でも見てごらんなさい、当初予算には、ただ四校あるいは五校必要だから、それについては幾らの費用が要るということだけはわかる。しかし、それから先の問題は地元との関係が出てきて、設置場所が明らかになっておらない。これは地方自治体の紛争を巻き起こす一つ原因にもなっておる。こういうことを考えると、むしろこういう問題を法律できめる以上は、県会議決の場合に、はっきりした県会の態度をとらないと、より以上紛糾を求めることになりはしないか、地元要望に沿わない形が出てきはしないかというようなことが現実問題として考えられる。そういう点について当局はどうお考えになっておるか。そういう心配は要らないんだということになると、地元の意向が入れられないで、県が独自の立場でかってなところに建てるということになりはしないかという気が、現実の姿を見ていたします。どこの県を見てもそうなっておると思う。当初予算で、五校を建てるなら五校の予算はとるが、それをどことどこに建てるか明示してないと思う。その後の問題にゆだねられておる。あるいはそれ以前にそういう契約が行なわれ、ここへ高等学校を建ててくれるならば敷地寄付しましょうというようなことで県の予算の上にあらわれておる。そのどっちかだと思う。その辺、自治体相互の間の協調といいますか、実態に沿うようにしていこうとすれば、この一片法律だけではあまり芳しくないものが出てきはしないかというように考えるのですが、その点はどうですか。話し合って寄付をするというようなことは悪いことではあるけれども、やはり現実問題としてある程度話し合う必要が生まれるということは考えられるのですが、その辺の問題をどう解決されようとするか、この機会に一応聞いておきたいと思います。奥野政府委員 第一点は、高等学校負担転嫁の問題はさしあたっての問題であって、将来においてはウエートの低い問題ではないかというようなお話でございます。こういう負担転嫁の問題を起こします根本は、地方財政法においても原因があるわけでございます。府県施設を設ける場合には、利益のある市町村にその経費の一部を負担させることができる、こう書いてあるわけでございます。そのような関係からこういうような負担転嫁が起こってまいるわけでございますので、先年来若干のものについて、禁止規定を設けてまいったわけでございます。そういうような点からいいますと、高等学校は、府県の設けております施設として非常に数が多い。数が多うございますので、自然老朽改築というような問題も、恒久的にかなり大きなウエートを占めてくるわけでございます。現在御指摘のように、非常に大きな市町村の悩みになっておる問題でもございますので、将来についてそういう考え方も持ちまして、地方財政法に今回の規定を設けたわけでございます。  第二番目は金額の問題でございますが、提出しております参考資料に記載いたしておりますように、昭和三十六年度におきまして市町村に転嫁いたしましたのが二十七億七千万円、住民に転嫁いたしましたのが四十七億八千万円、合わせまして七十五億五千万円ということになっておるわけでございます。  第三の問題は、一片法律で禁止するだけで問題は解決しないんじゃないかということでございます。これもごもっともな点だと思います。ただ、市町村府県協力をする場合に、すぐ金銭による協力という形がとられているのが一般のようでございます。元来高等学校設置します場合には、府県全体を見通しまして、どこに高等学校設置することが最も適当であるかということよりも、地元のほうからたくさん寄付を出してくれれば、寄付をたくさん出したところへ設置するというような形において行なわれているのが通例のようでございます。このことはやはり教育上問題があるのではなかろうかと考えます。同時にまた、協力ということは金銭提供だけのことではないのであって、用地の購入あっせん、その他いろいろな協力の余地があるわけでございますので、そういう形において熱意のある協力府県は求めていくべきである。財政の乏しい貧困な市町村に対しまして、金銭的な負担を第一義的に考えていくようなやり方には、確かに今日問題があるじゃなかろうか、こう考えているわけでございます。市町村協力ということは、もちろん将来とも府県として大きく期待して差しつかえないことだと思います。しかし、その協力金銭の形であってはならないというような考え方を持っているわけであります。
  8. 門司亮

    門司委員 いまの最後の御答弁ですが、そういうお考えはお持ちになっておっても、現実はそうなっておるのですね。だから、私の聞いていますのは、その辺の、たとえばこういう法律ができてくると、地元のそうした話というもの、いままでの慣習がいい悪いは別として、そういうことで大体事件が片づけられておる。そうなりますと、これは県のほうによほどはっきりした強固な考え方がないと、この話はくずれる危険性が非常に多いのじゃないかというようなことが考えられるわけです。したがって、さっき申し上げましたように、県が予算を組むときに、すでに建築をする場所を提示することができるかどうかということですね。これができていないと、どうしても最後には、協力しようといったって、どういう形で協力するかというと、敷地だけを見つけるということに協力をするのか、あるいはいまのように敷地だけは地元が持つとかというようなこと、あるいは敷地の幾ぶんは地元が持つというようなことにするのか、問題が出てくると思う、反面から考えると。したがって、事なかれ主義ということになると、県有地がどこそこにあるから、あるいは国有地があるから、そこに建てたらいいじゃないかということで、実情に即せざる点が勢い出てくる。その場合に、市町村にやかましいことを言ったって、おまえのほうに負担は、迷惑はかけない、おれのほうはおれのほうの負担で建てるから、こういう極端なことがかりにできるとすれば、教育行政の上にもかなり影響があるかと思う。その辺のことをもう少し文部省との間に、こういう問題をお出しになるなら、どういう話し合いができているか、県がそれだけの強固なはっきりした立場で、この法律を完全に守っていくかということと、教育施設実態についての差というものをどういうふうに縮めていくか、というとことばはどうかと思いますが、マッチさせていくかということが私は問題になろうかと思う。その辺のことがいまの御答弁だけではちょっとわかりにくいのですがね。これは文部省や県のほうは了解済みですか。地元の世話は一切要らないんだということで、ただ、もし地元協力するとするなら、敷地あっせん程度であって、それ以上には絶対出ないのだということは、県の知事会や何かには十分了解済みですか。
  9. 奧野誠亮

    奥野政府委員 法律をつくって、はたしてどの程度に励行されるかという点が、第一の点だと思います。先年、道路河川につきまして、府県負担に属するものを市町村に転嫁してはならないという規定を設けたわけでございます。それまではやはり負担能力のある市町村の区域にあります道路河川から改修されるというような傾向多分に持っておったわけでございます。幸いにして、地方財政法に先ほど申し上げました規定を設けましてからは、市町村負担はなくなりましたし、同時に、府県全体を考えて、必要な地域から、道路河川の改修を行なっていくというような姿に運営されてまいってきている、こう私は考えているわけでございます。したがいまして、高等学校の問題につきましても、市町村への負担転嫁を禁止した結果は、将来市町村負担がなくなるだけではなしに、全県的な立場から必要なところに学校建築する。必要な校舎から改築に手をつけていくというような方向に運営されてまいっていくべきものだ、こういう期待を持っておるわけでございます。  なお、この立法にあたりましては、知事会及び文部省両方意見も徴しているわけでございまして、どちらにおきましても、現在この立法に賛成をしてもらっているわけでございます。また、高等学校設置します場合には、それぞれ設置場所につきまして議会議決を求めるわけでございますので、いままででありますと、寄付があるからそこに設けるのだというような形で提案される場合が多かったのじゃなかろうかと思うのでございます。そういう問題がございませんので、議会議決をいたします場合にも、どの土地に設けることが教育上最も適当であるかという見地から議論がなされるのじゃなかろうか、こう考えられるわけでございまして、そういう面からも私たちとしては効果があがってくるのじゃなかろうかという期待を持っているわけでございます。
  10. 門司亮

    門司委員 考え方としてはそういう理屈も一面あろうかと思うのであります。県の自主性ということと、教育行政自主性といいますか、そういうものを考えれば、いままでの形がゆがめられている。だから今度はまっすぐにするのだ、まっすぐにするのだとすれば、こういうことが必要だという考え方もあろうと思う。われわれもそういうことを考えないわけではない。しかしながら実態はなかなかそうはいかない。  そこでもう一つ突っ込んで聞いておきたいと思いますことは、したがってこれから先の県の負担というものは、そういう一切の負担を控除して、ここに書いてある、いまあなたのほうで説明された、これにあるものが結局なくなるわけなんですね。形からいいますと一応そういうことになる。これは高等学校だけでどのくらいあるかわからない。そうすると、その財源補てんはどういう形で行なわれるのですか。
  11. 奧野誠亮

    奥野政府委員 お話のように、必要な財源を排除するだけではいけないわけでございまして、それにかわる正規の財源を充当していかなければならないのであります。御承知のように高等学校施設対策につきましては、必要な計画を閣議に出しましてきめてまいっているわけでございます。もちろんその運営の過程におきましていろいろ議論もございました。修正も加えてまいったわけでございますけれども、高等学校施設費用につきましては、今後とも十分な財源を見込んでいかなければならない。十分であるか十分でないかということは、結局、地方財政計画の立て方なり、あるいはまた地方交付税法におきまして単位費用をどうきめていくかというようなことにかかってまいると考えるわけでございます。こういうような立法をしますかわりには、当然それに対応する財政措置をとっていくべきものだ、こう考えるわけでございます。従来の点につきましては、いま申し上げましたような全体計画というものを立ててやってまいっているわけでございます。
  12. 門司亮

    門司委員 財政計画だけのお話、あるいは交付税の比率を変えていくということも当然出て参ります。しかし、これはこれだけではありません。やはり全体的なものにそういう考え方が基本的な考え方として必要になってこようと思います。それで、ここまで聞きますと、あるいは少し行き過ぎかもしれませんが、問題はやはり財源措置起債になろうかと私は思います。それ以外の措置はないと思います。財源措置起債に変わってくるということになりますと、問題はもう一つ、これから出てくる起債の問題が出てこなければならない。そこで問題になってまいりますのは、これは自治省にこんなことを聞くのはお門違いで困ろうかと思いますけれども、起債に対する国の利息の問題ですが、公定歩合がずっと下がってきます。そういう時期に起債に対する利息について何か考え方がございますか。もう少し利息を下げたらどうかということです。これは大蔵省はどう考えているかわかりませんが、今度かりに九月にもう一厘下げて一銭六厘くらいになるということになりますと、勢い経済状態からみれば預金利子に手をつけなければならないような状態になってくる。そうなってくると、起債利息などもいままでのようなことではいけないのではないかという考え方が当然出てくると思うのであります。そういう点について何かお考えはございますか。自治省としてのお考えはございますか。もしあるならばこの際聞かしておいていただきたい。
  13. 奧野誠亮

    奥野政府委員 おっしゃっているように、だんだんと金利低下傾向を見てまいります場合には、地方債金利を下げるように努力していかなければならないと思います。三十八年度から金利について手を入れておりますのは、公営企業金融公庫貸し出し金利がいままで七分四厘でありましたものを七分三厘にすることにいたしました。それ以外につきましては、金利についていままで引き下げるという段階にまで立ち至っていないのであります。全体の金利情勢と見合いながら、そういうことの可能な場合には、十分努力を続けていきたい、こう考えております。
  14. 門司亮

    門司委員 そういうことはいつごろできますか。私はこの問題だけでなくて、公営企業の問題のところでそういうことについてはかなり突っ込んだ論議が行なわれなければ、これから先の公営企業運営が非常にむずかしくなってくると考えて、その場合にかなり聞くつもりでおりますが、しかしこういう問題が出てきましたから、一応財源の処置として聞かなければならないので聞いておきますが、何とか考えておるというだけではなくて、私は当面差し迫った問題だと思うのです。どうしても利率の問題に触れなければ、一般市中銀行のほうが、あるいは市中金利がずっと下がってきているときに、依然として地力の公債だけが利息をそのままに置いておくということは、私はどうかと思う。しかし、これも見通しの問題であって、大蔵省公定歩合は始終上がったり下がったりしているので、見通しがつかないと言えばつかないと考えられますが、われわれの立場から考えてみると、公定歩合は安くなって、ずっと下がってくる。さっき言いましたように、ことしの九月ごろもう一厘下げるかもしれない。そうなってくれば、必然的に預金利子にも影響が出てこないわけにはいかない。そうなってくると、どうしてもこれにも手をつけざるを得ない形が出てくると私は思う。そのときの自治省心がまえとしては、一体大蔵省との間にどういう形で行なわれるか。いまの利子一銭七厘及び一銭六厘の場合には、七・八あるいは七・七くらいになろうかと私は思いますが、六分五厘でも安いとは言わないけれども、考えられる問題が出てくるかもしれない。それでよろしいかもしれない。しかしこれが下がってくるということになると、こっちも下げてもらわなければ、ちょっと理屈が合わなくなってくる。その辺の心がまえを、これはひとつ次官のほうからもはっきりこの際聞かしておいていただきたいと思います。
  15. 藤田義光

    藤田政府委員 ただいまのお尋ねの問題は、これは非常に関連する方面が広くなりますので、私からの答弁も適当でないと思いますが、先般成立しました農業基本法、また今国会で成立を予想されています中小企業基本法等の低金利政策が、順次具体化せざるを得ない段階にきているときでありますし、非常に財政的に弱小自治体地方債金利政策というものも、もちろん中小企業農業に関連して、やはり順次考え段階にきておると思います。まだいまのところ自治省としましては、そういう具体的な方途を立てまして、検討の段階に入るところまではいっておりませんが、この問題は政府資金全体として考えざるを得ない、こういうふうに私は申し上げておきたいと思います。
  16. 門司亮

    門司委員 私がこの問題を聞いておりますのは、さっきから二度申し上げましたように、もし預金利子が下がってくるということになりますと、住民自治体との経済関係がそこに生まれてくる。これに多く充てられているのが郵便貯金であり、あるいは労災保険であり、簡易保険という資金がここに充てられておる。これはほとんど住民預金である。預金利子は下がってくる、住民税金で支払わなければならない公債利子が下がらないということになると、この住民負担というものは、そこから過重なものが私は出てくると思う。いま五分の預金利子で六分五厘の利息住民は払わなければならぬ。一分五厘だけ住民自治体の方に税金を通じてよけいな利息を納めておる、こういう形が出てくると思う。これは五分の預金利子が下がっても、依然として六分五厘が据え置かれておる、あるいは六分七厘が据え置かれておるということになると、その差がますます開いていく。そして住民負担自治体との経費関係の間に、だんだん開きが大きくなるということになってくる。そうすると、住民は、何のことはない、使っておる金は、言いかえれば自分たちの金である、政府の金でなくて、自分たちの郵便貯金であり、自分たちの簡易保険で、自分たちの金である。自分たちの金を使っておって、もらうほうの利息は安いが、払うほうの利息は、税金を通じて高く払わなければならぬということになる。あまり理屈に合わないようなものが出てきやしないか。だから、もし預金金利を下げるというような場合には、少なくとも公債利子も下げてもらわぬと形の上で非常にまずいものが出てくる。自分たちの金でなければいいのですが、ちょうどいまの——これは公取関係からいえば明らかな独禁法違反でありますけれども、銀行が歩積み、両建てで中小企業をいじめておるのと同じような結果になるのじゃないか。一定のものを預かって、それに安い五分の利息を払っておって、貸しておるところには高い利息をとっておる。利息の幅だけよけい負担していくということになる。自分の金に自分で利息をつけて銀行に払っておるということになる。これと同じような事態が起こってくる。当然これは自治省としてお考えをいただきたい。そういう経済界の動向は目の前にきておる。それに対してやはり公債利息を下げるべきだという主張を自治省はしなければならない。これから先考えるということは、おそ過ぎやしないかと思うのですが、もう少し住民のことを考えてもらい、地方自治体財政のことを考えていただいて、当然この公債利子をこの際下げるという方向に踏み切ってもらいたい。このことについてもう一応次官からはっきりした答弁を聞いておきたいと思います。
  17. 藤田義光

    藤田政府委員 年間一兆をこす政府資金の運用に直ちに影響する非常に重大な問題でありますので、即答でないことは非常に残念に思いますが、ただ政府の今後の財政の長期見通しの問題にも関連しておりますし、非常にむずかしい問題かと思いますが、政策の方向としては、ただいま門司委員の御指摘のとおり、私たちは地方自治体財政あるいは税制、あるいは事務配分の現状等からすれば、当然政府資金の中では優先的に取り上げて公債金利引下げということは検討すべき最初の問題である、こういう点は全く同感でございまして、今後そういうふうに考えをだんだん具体化していきたいと考えております。
  18. 門司亮

    門司委員 それでは公債のことについては、いずれ公営企業法の点で少しお話をお聞きすることがよろしいかと思いますが、公営企業にしても、日本の利息というとのは、いまのお話のように七分三厘というのは、非常に高いので、——ここに諸外国のものを一応私の手元で調査したものがございますが、これを見てみますと、日本のやつはばかばかしく高い、大体こういう結論になるのです。アメリカにしても、カナダにしても、フランスにしても、ドイツにしても、かなり公債利息は安いようになっております。私はそういう点でいまの答弁だけで満足するわけには参りませんが、いずれ次の公営企業の問題のときに、住民負担公営企業のあり方等についてこの問題をもう少し確かめておきたい。その場合には、やはり大蔵省の当局もぜひ来てもらいたい、こういう感じがするわけです。きょうはまだ文部省から見えておりませんから、さっきのいきさつで申し上げますと、文部省が必ず自治体にそういう迷惑をかけないで、この法律のとおりに行なうのだということをこの際私はぜひ確言を得ておきたい。そうしないと、地方自治体は弱いのですから……。さっき申しましたように、従来の慣習というものは、そういう慣習がついております。この慣習はなかなか抜け切れないのじゃないか。警察などの問題では、明らかに寄付をしてはならない。違法だというふうに書いてあってもやるのだ。いろいろな名目をくっつけてけっこうやるのですから、この場合もできるだけやはり脱法の行為が行なわれないように、ぜひひとつ文部当局に念を押しておきたいと思いますが、文部省おいでになっておりませんから、いずれ……。  委員長、どうなんですか、文部省はだれか来ますか。——それでは、文部省おいでになってから、その辺もう一ぺん確かめたいと思います。  そうすると、こう解釈すればいいですか。この種の法律改正はもう大体今回限りだ、次々にこういう問題が起こったからといって、こういう法律は出さないのだということ。私は、これは何も法律で禁じなくても、地方財政法の二十八条の二の観点からいけば、何も法律でなくてもよろしいのではないかという気がどうしてもするのですよ。そうしておかぬと、ややこしいものができて、あと困りやしないかということで、この法律には実際は賛成しがたいのですけれども、ただ炭鉱離職者の問題が含まれているのですね。産炭地鉱害復旧事業が含まれているから、全体としてこれは反対するわけにいかぬと思うのだけれども、こういう規制をつける、二十八条の二をせっかく入れたのだから、それだけでよろしいのではないか。あとは政令でもよろしいのではないか。こう考えているのですが、これはどうしても法律に入れなければまずいですか。あと、こういうものを出すか出さぬかということですが、あとお出しになる気がありますか。その辺をもう一応私は確かめておきたいと思います。
  19. 奧野誠亮

    奥野政府委員 財政運営につきまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、一々法律で禁止したり許可したりするというようなことでなしに、良識のある運営財政的な秩序を積み上げていってもらいたい、これが基本的な考えであります。ただ、そういうことは百年河清を待つような面がございますので、極端なものについてだけあえて立法的な禁止を行なってまいっておるわけございます。いままで一番顕著だと考えられておりましたこと二回にわたってこういうような規定を置いたわけでございます。いますぐさらに何かをこれに追加していこうという考え方は、現在のところ持っておりません。あくまでもこういうような禁止規定の追加を基礎といたしまして、さらに民主的な財政秩序を打ち立てていくように努力をしてもらいたい。住民にもそういうような理解を持ってもらいたいという考え方を強く抱いているだけでございます。
  20. 門司亮

    門司委員 あとは文部省おいでになってから聞きます。
  21. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員 ただいまの御質問に関連して、ちょっとお伺いしたいと思います。  財政局長は、今後こういう問題については考えておらないという話ですが、実は市町村立小中学校に対する市町村民への負担の転嫁の問題、それが残っておると思います。御承知のように、いままでは政令によって人件費を保守修繕の費用のみを禁止しておりますけれども、将来地方自治体市町村財政の充実とあわせて、やはり小中学校の建設に対する住民負担をやめさせていくということは、これは何も法律をつくれという意味ではございまんけれども、そういうふうな行政指導をするなりあるいは政令で明記するなりというようなことが必要かと思いますが、どのように考えていらっしゃいますか。
  22. 奧野誠亮

    奥野政府委員 お話の点全く同感でございまして、こういう問題の改善に努力をしていくべきだ、こう存じております。ただ、今回、府県高等学校経費につきましての市町村への転嫁を禁止する規定を設けましたので、ある程度市町村の悩みは解消されるのではないかと考えられます。このことは、単に府県高等学校経費の転嫁が排除されるだけでなしに、従来とかく何か府県施設を設けると、市町村に一部負担させるという傾向があったわけでございまして、そういう傾向も漸次是正されていくのではないだろうかというふうに思っておるわけでございます。そうなってまいりますと、市町村といたしましても、自分の施設は自分の財源でつくっていくというような方向に努力していくのではないだろうか。転嫁が行なわれるから、市町村財政的に困り果ててやむを得ず住民に転嫁させていく、あるいは府県市町村に転嫁させていくということがあったのではないかと思うのであります。そういう意味で、できるだけ今回の法律改正を契機として、御指摘のような方向への注意をさらに喚起していきたいと思っております。そういうことによって、漸次是正されていくことを期待したいというわけでございまして、さしあたっては、さらにこれに禁止規定を追加するということは考えていないということでございます。しかしそういう努力を払っても百年河清を待つようだから、何か立法措置をとらなければならないのではないかというような問題が、一切起こってこないとは考えていないわけでございます。しかし現在のところは、御指摘のような方向で努力していくべきで、さしあたっては、法律的に禁止条項を追加するということは考えていないわけでございます。
  23. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員 ただいまの御答弁でよくわかりましたが、府県なり市町村なりの財政負担がしにくい、財政が弱いという事柄から、やむを得ず転嫁なり負担を押しつけるというようなことが行なわれると同時に、いま局長のおっしゃったように、いままでの悪い慣例として、当然受益者が負担すべきものだというような事柄から、財政のいかんにかかわらず、もうのっけから、これだけの土地を提供するならば高等学校の建設を考えてやろうというような出方に出ておるのが旧来の陋習だろうと思います。この二点であろうかと思いますが、あとの一点は、今回の法律改正によるところのいわゆる道徳的な要請によって逐次改善されると思いますし、またそのようになることを行政指導上ぜひやっていただきたいと思いますが、財政上の問題は、やはり何らかの措置を十分にしてやらなければ、いかんともできがたい問題でございまして、今回高等学校について法律改正を行なうということになりますが、現在府県は、御承知のように高校急増対策——三十七年、三十八年は非常に苦しいときであります。三十六年の統計を見ましても、先ほどお話しのように、市町村並びに住民に対する負担が七十五億というふうに飛躍いたしております。三十七年、三十八年には高校急増対策で急速に建設をやっておりますから、もっともっとふえると思いますが、そのような大きな負担をかけておるのが、ただ慣習上でなしに財政上の理由があるとするならば、これに対する財政上の不足をカバーしてやる措置をどういうふうにおとりになっておるのか、また確信があるのかどうか。三十九年からこれを廃止する、やらせないということについて、それを十分カバーし得るだけの措置政府としておとりになっておられるかどうか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  24. 奧野誠亮

    奥野政府委員 前段の問題は全く同感でございます。  後段の問題につきましては、一つは土地の隣人をもっぱら市町村に転嫁するということの金額が一番多いようでございます。これにつきましては、さしあたりは、やはり地方債のワクを広げていくということだろうと思うのでございます。この点については、一応予定したからそれ以上に許可はしないという考えは持っておらないのでありまして、必要なだけの地方債は十分許可をしていきたいという考えを持っておるわけであります。将来地方債の元利償還額が、地方財政のかなりの圧迫になってくるだろうと思いますが、これにつきましては、地方財政計画を策定します際に、すでに累積しております地方債の元利償還額を、地方財政計画上の歳出に計上することにしておりますので、それと見合った財源措置をくふうしていけると考えておるわけであります。なお、全体の計画をつくって応急対策をとっておるわけでありますが、高等学校の点につきましては、特に従来の基準財政需要額を減額しないでそのまま据え置いておるわけであります。急増対策の問題が済みました場合には、さらに実態を見直しまして、抜かりのないような措置をくふうしていくべきであろう、こう考えておるわけであります。
  25. 永田亮一

    永田委員長 山口鶴男君。
  26. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 今回、地方財政法の一部を改正する法律案を提案せられまして、特に、財政秩序を乱す、または住民負担を転嫁する、こういう問題につきまして、一番非難の多かった県立高等学校の問題について、一応禁止規定を提案せられましたことにつきましては、時期的におそかったというきらいはありますけれども、まあ、けっこうなことだと思います。私ども社会党としましても、税外負担解消の問題、住民負担の軽減の問題は、かねがね主張いたしておったところでございまして、この観点からいたしますと、一歩前進であることはけっこうであると思います。ただ問題は、いまお二人の方から質疑等もございましたが、本来であれば当然地方財政法によって財政秩序が守られているべきであるのに、それが守られていない、こういう形で具体的にこのような立法をしなければならぬというところにやはり問題があることは事実であると思います。  そこでお尋ねをいたしますが、地方制度調査会が特に、財政秩序を非常に乱しておる、これを是正することが必要である、こういう答申をなされたわけであります。これには、単に県立高校の問題に限らず、他の問題についても触れておったと記憶をいたすのでありますが、これ以外の答申に盛られた事項につきましては、今後自治省としてどう対処していくのか、その点をまずもってお伺いをいたしたいと存じます。
  27. 奧野誠亮

    奥野政府委員 地方財政上の問題につきましては、高等学校の問題だけではなしに、答申には巡査駐在所というのも例にあげておるわけでございます。税外負担ウエートの高いものにつきまして、特に取り上げて立法措置をしたわけでございます。自余のものにつきましては、機会あるごとにこの線に沿って指導を強化してまいりたい、こういう考え方をとっておるわけでございます。同時にまた、地方財政計画なり地方交付税なりの算定につきましても、そういう方向に沿ってくふうを尽くしていきたい、こう考えておるわけでございます。  もう一つは、国の財政との関連で、国立工業高等専門学校の問題がございます。この点につきましては再三文部省と話し合いをしてまいっておるわけでございます。ことしの模様を見ておりますと、かなり国有地との交換を考えられておるようでございます。相当努力のあとは見られるようであります。努力のあとは見られるわけでございますけれども、私たち、なおこれでは一〇〇%解決したという気持は持っていないわけでございます。今後も個々の事案につきまして、私たちも十分注意してまいりたいと思いますし、できる限り法律の趣旨に沿うような運用をしてもらうように注意を喚起していきたい、こう考えておるわけであります。
  28. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ちょうど文部省管理局長さんがおいでになったようですから、さっそくお尋ねいたしましょう。  地方制度調査会の財政秩序を守るべきだという答申に関して、国立高専の問題が一番強く指摘されていることは、局長さん御存じのとおりでしょう。文部省としてはどうするのですか。
  29. 杉江清

    ○杉江政府委員 この点については、大臣がしばしば申されておりますように、実際問題として、土地の問題については、地元でそれを寄付したいという強い要望もあるわけでございますので、その要望を受けて、できるだけ数多くつくりたいということで措置する、こういう考え方を持っているわけでございます。
  30. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 寄付したいという強い要望がおありだ、こういうお話でございますが、そこが私は一番問題だと思うわけでございます。文部省のお役人は、寄付をたいへんしたいのだというふうに受け取っておられるようでありますが、政務次官は少なくとも政治家でありますから、そういう点はよく知っていると思うのです。国がいろいろな施設をいたします敷地について、ぜひうちへ持ってきていただきたい、こちらへ持ってきていただきたいという運動があることは事実でございます。そういうときに、これは寄付をしたくてしかたがないから寄付をするのか、そうではなくて、やむを得ず寄付をするのかということは、一般の国民たるわれわれはよく承知しているところだと思うのですが、その点、管理局長の御答弁に対して政務次官の政治家としてのお考えはありませんか。そのようにほんとうに寄付をしたがって寄付をしているのが国立高専の敷地の実情だ、こういうふうにお考えでございますか、お聞かせをいただきたいと思います。
  31. 田中啓一

    ○田中(啓)政府委員 実はなかなか内心の心情というものは、軽々には判断できないと思います。学校づくりは、いまひとり高専の問題だけではなくて、実はあらゆる段階の国立の大学あるいは県立、市町村立のもの、ずっと明治以来の歴史を見ましても、相当地元と申しますか、あるいは民間の寄付というものが加わっているということは、たくさんあるのでございます。さりとて、一般税金というのも今日は相当に重いわけで、その税金が現在国、都道府県市町村という段階に、非常に複雑な制度で配分がされており、それぞれの国立、府県立、市町村立というものは、その税金で設立者としてはまかなっていくべきものだ、こういうことであり、足らない場合で、しかも急増を要するような場合は、むしろ上級の段階のものが補助をする、こういうことが今日の財政上のたてまえであろう、こう存じますので、非常にむずかしいところでありますが、文部省としては何よりも学校の充実がしたいのだ、こういうところから、そういうものにも依存していくというようなことに今日なっている。それがまた財政制度の上からはよろしくないという批判も受けることになっているということで、実は非常に苦慮している点でございます。あまりはっきりと理論的にどうすべきだということを、実はこの際申し上げかねる実情にある点お察しを願いたいと思うのでございます。
  32. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 どうも次官は、国立高専の敷地の問題が、地方財政法違反だということについての認識が足らぬようですね。財政局長、この問題については、地方財政法からいくと一体どういうことになるのですか、国立高専の問題を、私にも次官にもよくお教えをいただきたいと思うのですがね。
  33. 奧野誠亮

    奥野政府委員 文部省との間におきましては、文書の往復もあるわけでございまして、文部省の大学学術局長からはこういう返事をもらっているわけでございます。「高等専門学校設置のために必要な敷地等の全部または一部につき、地元有志の申し出にかかる物件等の寄付を受けることはあっても、地方公共団体から寄付させ、あるいは不当な財政負担地方公共団体に及ぼすことはしない。なお、地元において具体的な案により関係行政庁の了解が得られる場合は、地方公共団体所有地と国有地との交換をはかるようにする。」ということでございまして、あとのほうの点につきましてかなり努力をしていただいているようでございますが、私のほうにおきましても、地方団体を督励いたしまして、そういう方向においてさしあたりは解決に努力を払いたい、こう考えておるのでございます。
  34. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 お答えにもあるように、地方自治団体にもたせることは違法なんです。そこで有志の寄付とか交換とかいっておられるわけでしょうが、問題はそれ以外に、率直に言いますとトンネル会社みたいなものをつくりまして、どこどこの国立高専誘致期成同盟というようなものをつくって、そこに都道府県市町村寄付をする、それで、その寄付を受けた期成同盟が、今度は国に対して寄付をする、こういう三段階措置をやってごまかしておるのが実情です。これでは結局問題は、都道府県市町村というような地方自治団体が、国に寄付したと同じじゃないですか。そういうトンネル会社というか、トンネル団体をつくる問題について、自治政務次官はどうお考えでありますか。
  35. 藤田義光

    藤田政府委員 私寡聞にして、いまお示しのような事例をまだ聞いておりませんが、山口さんが仰せの通り、国家の事務執行にあたりまして、特定の地域に恩恵を与えるという旧来の観念が、まだ政府機関に非常に残っておる。それで、国民から負託された国の事務を執行するにあたりましては、すべからく国家的視野に立って、やはり財政的にも全責任を負うという新しい感覚が非常に欠除しておる、こういうことは率直に認めたいと思っております。
  36. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 文部省管理局長にお尋ねしますが、現在まで設置せられました国立高専のうち、私が指摘したようなトンネル団体で措置をしているのが、ほぼ半数くらいはあると思うのですが、実情はどうですか、御存じでしょう。
  37. 杉江清

    ○杉江政府委員 土地の問題について、具体的な事務をいたしておりますのは大学局でございますから、トンネル会社の言い分もありましょうけれども、通俗的に考えて、おっしゃるような団体によっているものが相当あると考えます。
  38. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 実はそういう実情ですから、次官、よく実情を調べて対処をしていただきたいと思うのです。繰り返しになりますからこれでやめますが、そこでお尋ねしたいのですけれども、国立高専の敷地については、文部省自治省の間でいろいろやりとりがされて、大きな問題になっております。そのことは、やはり土地の問題を忘れては住民負担の軽減なり財政秩序の確立はなし得ないのだということの端的なあらわれだと私は思うのです。そこで振り返りまして地方財政法の一部を改正する法律案を拝見をいたしますと、施設の建設事業についての住民負担を禁止いたしているわけでありますが、土地については触れておりませんですね。これは一体いかがな理由でございましょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  39. 奧野誠亮

    奥野政府委員 施設という表現には土地も含まれている、こう考えています。
  40. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それではこれは土地、建物を含むということになりましょうが、具体的には従来の例からいって政令でもって範囲をきめるわけでございますか。とすると具体的に列挙すればどのようなものについて禁止をしようというお考えですか、それをちょっとお聞かせ願いたい。
  41. 奧野誠亮

    奥野政府委員 別に制令で、さらにこれをかみ砕いて規定をするというようなことは考えていないわけでございます。従来の用例から言いまして、当然そう解釈される、こう考えております。地方財政法の第五条に地方債の対象になる事業を列挙しておりますけれども、その中でも施設という言葉を使っているわけでございまして、土地についての起債も認めているわけでございます。
  42. 大沢雄一

    ○大沢委員 関連して。私、あとから出て参りましたので、すでに質問があったかと思いますが、地方財政の秩序を適正化するために、今回こういう地方財政法改正が出たということは非常にけっこうでありますが、いまも問題になっているようでございますが、市町村敷地、建設費あるいは設備費というようなものを進んで寄付してくるという場合には、それはどういうことになりますか。  それから高等学校の建設費とか敷地とかいうことでなく、経常的な、たとえば旅費とかあるいは教材費とか、そういうものについて、PTAその他から相当学校の先生に出しているわけでございまして、遠足のための経費であるとかそういうものはどういうことに考えておられるのか、ちょっとお聞きしておきます。
  43. 奧野誠亮

    奥野政府委員 現在府県経費を町村に転嫁させております法律的な根拠は、府県が建設的な仕事をやって地元に利益がある場合に、利益のある市町村負担を求めることができるという規定かございます。これが高等学校の問題についてもその根拠になっておるだろうと思います。そこでこの部分から高等学校の建設事業を除いたわけでございます。したがいまして、法律規定の上におきましては自発的な市町村寄付というものは禁止はいたしておりません。しかしながら別途地方財政法の二十八条でありましたかで負担区分に定められているものについては、地方公共団体は相互に負担区分を乱すようなことをしてはならないという規定を置いておるわけでございます。そういう意味からいたしまして、市町村からの施設費用について自発的な寄付を受けることは、原則的には考えられないのではなかろうか、こう思います。ただ法律的には、それは禁止はいたしておりません。なお、施設費用について規定をいたしておるわけでございまして、一般の物件費などについてはことさら法律的な禁止規定は置いていないわけでございます。府県市町村との関係府県住民との関係、両方あるわけでございますけれども、自発的な寄付については、これを禁止するというような規定は置いていない、同時にまた施設費についてだけ書いているのだということでございます。しかし一般の物件費でございましても地方財政法の何条でありましたか割り当て的な寄付住民にしいてはならないという規定を設けておりますので、そういう性格のものは当然排除されなければならない根拠規定を置いているということになろうかと思います。
  44. 大沢雄一

    ○大沢委員 一応お答えはわかりました。それから現在、三十九年度あるいは四十年度という後年度にわたる負担の年次計画を立てて、学校建築費継続事業負担の願いを出してきまっているものか、相当あるのじゃないかと思う。そういうのはどうされる考えでありますか。たとえ現在年次計画を立てて寄付の願いを提示されておりましても、三十九年四月以降はそういうものは府県では受けることができないということになるのですか。
  45. 奧野誠亮

    奥野政府委員 従来の話し合いをひっくり返してしまうという考え方は持っておりませんので、すでに約束のできているものにつきましては、この禁止規定は適用しないということにいたしております。したがいまして、府県市町村との間で、すでに高等学校の建設費について、市町村負担をするという約束をしていたものにつきましては、その履行を法律的に無効にするというような措置とっていないわけでございます。あくまでも府県市町村との話し合いで、従来どおり履行するか、こういうような法律ができた機会に、約束はもらったけれども、市町村も気の毒だからそういう負担は免除するか、あくまでも府県市町村との間で話し合いをつけてもらう、こういうことでございます。
  46. 大沢雄一

    ○大沢委員 どこでもほんとに金を出したくて出すところはないことは申すまでもないのですが、やはり早く建築をしてもらいたいとか、あるいはまた誘致運動で、その市あるいはその地方学校を建ててもらいだいとかいうような、やむにやまれぬ要求があってそういうふうになってくるわけです。そこで、いまのようなお答えでありますと、三十八年度中に、あらかじめ後年度にわたるいろいろなそういう計画を立てて約束してしまうというようなところが、相当出てくるのじゃないかと思うのです。そういうことで、校地の寄付、その他をやるということが、高校の急増対策、その他とからんで出てくると思うのです。それではせっかく法律をつくってもしり抜けになるのです。何かそれを規制をしなければならぬのじゃないかという気もするのですが、それほどきびしくやらぬでもよかろうというようなお話ですか。
  47. 奧野誠亮

    奥野政府委員 この法律が成立いたしまして公布いたしました暁は、公布以後の約束の履行ということは考えられないということでございます。附則の二項にその旨を規定しているわけでありまして、三十八年度中に約束すればよろしいということじゃございません。この法律が成立いたしまして公布いたしますと、その以後に約束したってそれは無効だ、それは排除するということでございます。ただ法律の公布以前に契約ができておりますものにつきましては、この法律は適用しないという建前をとっております。  なお御参考に申し上げますと、三十七年度においてかなりな額の土地購入費についての起債を許可いたしました。その場合に、私の方としては、市町村負担させることにしているそういうものについての起債を認めるのじゃないのだ、府県現実に土地を購入するのだ、その部分について起債を認めるのだから、その旨をはっきりさしてもらいたい。したがって元利償還額も府県が払っていくのだ、それなら起債は許可しましょうということで、わざわざ理財課長あてに府県から一札を出してもらいまして起債を許可したのであります。いろいろ調べておりますと、その大部分は市町村が土地を提供するのだという裏約束があるようであります。裏約束があるのですが、自治省との関係においては、府県が元利を払っていきます。こういうことになっているわけで、土地の購入費について、府県について起債が認められて、府県が買った形になっている。裏約束を履行する場合に、起債の許可を受ける際にはこういうことになっていたのじゃないかというような話になるのじゃなかろうかと考えられますが、私たちといたしましては、すでに約束のあったものにつきましても、市町村財政状況から見ますと、できるだけ府県でその負担はしてもらいたいという希望は持っているわけであります。しかし法律的にはその排除はしていないということでございます。
  48. 大沢雄一

    ○大沢委員 それでは、もしこういう財政法改正が出ても、違反するということは私ないとは限らぬと思うのです。ことに寄付を禁止しないということになると、これは何も負担するのじゃない、われわれは進んで寄付をしたいのだということで、表面だけはそういうことになって、そういう脱法といいますか、法律違反、そういうことがどうもなきを保しがたいのじゃないかという気がする。もし違反したら、その違反した府県なり市町村なり——違反となりますと、その両者が違反するということになりますが、どういう制裁があるか。  それからもう一つ文部省管理局長おいでになっておるので、先ほど高専の問題が出ましたが、付属の小中学校、これは地元府県市町村あるいは地元においていろいろなPTAの団体、そういうものからずいぶん出されておるのですが、それについては規制なさるお考えがありますかどうですか。
  49. 奧野誠亮

    奥野政府委員 いま制裁の問題がありましたけれども、公共団体のことでありますので、特に府県高等学校の建設事業について、町村に転嫁してはならないということが法律的に明確になったわけでございますので、私たちとしてはまずそれをくぐってどうこうということは、ないのじゃないか、こう考えられるわけであります。同時に、府県を縛るだけではなしに、町村に十分自覚を持ってもらわなければならないと思いまして、抜けがけ的に、自分のところだけ有利に運ぼうというような気持があってはならないし、そういうような傾向はこういうことを機会にだんだんなくなっていくのじゃないか、こう期待をいたしておるわけであります。われわれはこれで十分だと考えておるわけでございますけれども、経過を見まして、なお必要な問題が起こりますならば、その場合において措置をとればよろしいだろうと考えております。現在のところはそういう必要は全然ないだろう、こう考えておるわけであります。
  50. 杉江清

    ○杉江政府委員 付属の土地、建物についても、やはりこの法律の趣旨の徹底を期して参りたいと考えております。
  51. 永田亮一

    永田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  52. 永田亮一

    永田委員長 速記を始めて。
  53. 大沢雄一

    ○大沢委員 最後に一言。今回のこの財政法改正、私ちょっと市町村の当局者その他に聞いてみましたのですが、ありがたいような、実は痛しかゆしの思いでございます。といいますのは、寄付をしまして、高校急増対策地元学校を増築をしてもらうとか、あるいは学級を増してもらうとか、そういうことで各地方で競争が起きてきているわけです。ところがこういうことになって、三十八年度からは寄付する必要がない。財源をくめんする必要がない。市町村としては、自分が責任を持っておる小中学校なり、あるいは市であれば市の高等学校なり、そっちの方に金が回せるわけですから、そうなれば非常にいいわけでありますが、そのために府県にこの負担金、寄付金にかわる財源をずっととってもらいまして、そしてあなたの方の地方財政計画にこれを組み入れておいていただかぬと、結局困るのは学級の増加も急にはできなくなってしまうというようなことで、やはり住民が非常に困るというようなことで、どこまで本気でやるのだろうかという考えを卒直に言いますと持っておるのと、それからありがたいことではあるけれども、どうもそのために、いままでの高等学校地元の志願者の増に対する対策はおくれるのじゃなかろうかというような心配を非常に持っておるわけです。ですから私としては、府県に対しましてこれにかわる財源措置を十分されまして、そして財政計画にそれをはっきりさせておいていただかぬと、どうも角をためて牛を殺すとまではいかぬでも、規制して筋を立てるということはいいのですけれど、実際上どっちが住民の福利になるかというようなことになってくるのじゃないかと思うのですが、その点どう思いますか。これだけ最後に……。
  54. 奧野誠亮

    奥野政府委員 ごもっともなことでございまして、先ほどもるるそういう意味のお話がございました。政府といたしましては、こういう立法をする以上は、そういう点に十分な配慮をしていかなければならないことは十分考えている旨をお答えいたしております。高等学校急増対策も立てていますし、また従来からの地方債につきましては、元利償還については当然地方財政計画に計上していくわけでございますので、これが地方財政の圧迫になりませんように、それに見合って財政計画を立てていかなければならぬという気持はありますけれども、交付税上の措置につきましても、急増対策が終わりました暁には、もう一ぺん見直して必要な対策を考えていくべきだろうと思っております。
  55. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そういたしますと、とにかく三十九年の四月一日からこれが施行になるということになりますと、当然現在の急増対策三カ年計画、これは大きくやはり変わってこなければならぬと私は思うのです。当然変わってくると申しますか、考慮していかなければならぬ面があると思うのです。そこで文部省関係のかたに最初お尋ねしたいと思うのでありますが、ことしの高等学校の入学難で騒がれました高等学校の入学率ですね。調べましたところが、たしか進学率が六四%くらいになっておるという資料が文部省の方から出ておるのですが、この点は次官か、管理局長御存じありませんか。ことしの進学率です。
  56. 杉江清

    ○杉江政府委員 実際に入りました数は六六・四%と、私はただいま記憶いたしております。
  57. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 三カ年計画は、入学率はたしか六一・八%でございましたね。そうすると、大きく政府見通しが狂ったことになるかと思うのですが、この点の改定をどう考えられますか、次官からお伺いいたしたいと思います。
  58. 田中啓一

    ○田中(啓)政府委員 おくれたのではないのでありまして、いろいろくめんをして入れものの方を大きくした。ことに私立の方は非常によけい収容した。私立の高等学校というものは、今までなかったような県でもずいぶんできたというようなことでありまして、対策の計画としてはおっしゃるようなものであったわけでありますが、むしろその計画以上に、実行者の側では上回った入れものをつくった、実はこういうことでございます。したがって、希望者はほとんど入ったというのが三十七年の実情でございます。
  59. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大へんけっこうだと思うのです。文部省努力をされましたが、収容者側の自治体努力をしたというわけでしょう。非常にけっこうだと思うのでありますが、しかし、文部省計画いたしました六一・八の財源措置では足らなたかったことは事実であって、結局政府文部省努力をいたしました財政計画以上に、自治体その他が努力をしてこういう結果を出したということですね。とすれば、われわれ喜んでもいいと思うのでありますが、文部省としては努力の足らざることを反省すべきではないですか、この数字は。そうではないですか。
  60. 田中啓一

    ○田中(啓)政府委員 努力の足りないということはおっしゃるとおりでございます。どれだけやっても足るというような実情ではございません。でありますから、今後も続けるつもりでございますが、私は相当無理をして入れておるように思う。つまり教室など、だいぶすし詰めになっておるのも多かろうと思います。したがって、あと始末というものを相当して、やはり急増対策的なそれが、実情から申すとあと始末のようなことになるわけですが、そういう点に今後一段の努力をしなければなるまいと考える次第でございます。
  61. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 すし詰めをやったりいろいろ無理をしてこういう結果になったということは、私もよくわかります。とすれば、昭和三十七年において六六・四%の進学率が現にあった。といたしますと、昭和三十八年の入学試験におきましても、文部省考えておる三カ年計画の基礎にある六一・八ではおさまり切らぬことは、これは自明の理ではないかと思うのですね。といたしますならば、この際、自治体にばかり無理を押しつけて、あるいは学校の現場にすし詰めばかりを押しつけて、そうして六一・八の方はほおかぶりをしておってさしつかえない、こういうすげない態度は、私は常識的に見ても文部省はおとりにならぬだろうと思う。そうなれば、当然六一・八の基礎がくずれたということになるならば、この三カ年計画も、その増改築計画自体を変更していくことは当然じゃないかと私は思うのですが、その点はいかがですか。
  62. 田中啓一

    ○田中(啓)政府委員 とにかく六六・四%入ったということはもう事実で、それをまたあと戻りして、中学卒業者の六一%にするんだ、そういうことは私はもうできないと思います。そこで、どうしても六六・四%というものを前提にして、それをやるにはいろいろ無理をしております。財政的にも無理がかかっておると思います。それからまた入れた結果も、いまのすし詰めその他でいろいろ無理があると思う。でありますから、そういうものはひとつ無理をとるように、財政面においても、三十八年度予算を立てる際に努力をすべきものだというように考えておる次第でございます。
  63. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうしますと、今の御答弁では、当然、ことしの計画昭和三十八年度予算では補助金が三十一億、起債が九十億、交付税が九十一億ばかりでございましたか、そういう計画になっておりますね。しかも三十八年度予算というのは三十七年に六一%入る想定のもとにできた予算でしょう。それが六六・四%に上回ったのですから、すでに三十八年度予算の補助金三十一億、起債九十億、それから交付税九十一億、計二百十二億円では窮屈になったということは、はっきりお認めになることでしょう。とすれば当然昭和三十八年度の追加予算をお考えになって、そして二百十二億円を補正し、これを増額しなければいかぬ、こういう御決意と私は受け取るのであまりすが、この点はどうなんでございますか。
  64. 田中啓一

    ○田中(啓)政府委員 その点は、つまり追加予算等で、あるいは補正等でやるべきか、あるいは三十九年度予算というものでやるか、目下十分検討をしなければならぬというように考えておる次第でございまして、まだそこまで具体的には私どもの方であと始末の方針は立っておらない状態でございますが、立てなければならぬというように考えております。
  65. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 昭和三十七年度中に、当時の計画はたしか進学率が六〇%だったと思います。それが知事会の方では六三%というようなことで、足して二で割ったようなかっこうになりまして、六一・八というような基礎数字を押えた。そして起債の方もたしかに約六十億でございましたが、途中で計画変更で上積みをされましたね。といたしますと、昭和三十八年度においてもとにかく同様な措置をしなければならぬことは、これは私は常識的に考えられると思うのです。この点は自治省の方は、こういう基礎数字の上に立ってどういうふうに対処しようとしておられますか。お聞かせ願いたい。
  66. 奧野誠亮

    奥野政府委員 高校生急増対策は、いまもお話になっておりますように全国平均でございます。個々の団体では事情はいろいろに変わっていると思います。また個々の団体は自治団体でございますので、国の見込みと若干の近いが出てきておる、これは当然あり得ることだろう、こう考えます。したがいまして、全体の計画が非常に少なすぎて、そのために地方財政を極端に圧迫しておるという場合には、当然計画の改定を行いまして、地方財政の円滑な運営が確保されるように努力しなければならないと思うのです。いまのパーセンテージが違ってきたから、直ちに全体計画を直さなければならないという性格のものではないと私は考えておるわけであります。それよりも、将来私たちとしては、建築費の単価につきまして、国の予算単価を基礎にしていろいろな計画をつくっているわけでございますけれども、実施単価を見ていると若干問題があるようでありまして、これは高校に限りませず、全体につきまして自治省としてはぜひ努力を払っていきたい問題だ、こう考えておるわけであります。しかし高校生急増対策の問題につきましても、文部省にいろいろ御意見がございますならば、十分相談にはあずかってまいりたい、こう存じております。
  67. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 文部大臣予算を審議いたしますときの分科会等におきまして、基礎数字が大きく変わるようなことがあったならば、当然計画変更するのにやぶさかでない、こういう答弁をされておると私は記憶いたしておるのでありますが、自治省の方は各都道府県あるいは自治体財政状況を見て対処していきたい、それはそれでけっこうだと思いますが、特にこの問題について一番責任のある文部省としては、とにかく六一・八という基礎数字が大きく変わったということがあります以上、しかも次官も君われたように来年六一にするということはできないというお話もあるわけでありますから、といたしますと、当然三カ年計画はここで改定をすべきではないのですか。そして三十八年度予算において、不足をいたしました自治体が、次官も言われたように、文部省の思惑をこえて非常に努力をされたのですね。努力をしたのはしっぱなし、それは大いにけっこうでございますという無責任な態度はとれないでしょう。とするならば、当然三十八年度において今後一体どう対処するか、それから三十九年度の残されました一年の計画については一体どうするか。これは文部省考えにやはり問題があるのではないかと思うのでありますが、この点はどうなんでしょう。
  68. 田中啓一

    ○田中(啓)政府委員 程度のことを先ほど申し上げたのでありますが、実数を申しますと、入学者が減るとははっきり申しませんが、減る傾向になる要素もあるわけです。中学の卒業生が減っていくわけであります。三十八年度末は、三十七年度末よりも減るわけであります。続いてぐんぐん減ってまいりまして、およそ三、四割卒業生が減っていくわけであります。したがって、高校へ入る者も実数がどのように今後変化するか、卒業生の減るのに対して、著しく入学のパーセンテージが上がっていくかどうか、こういうようないろいろな不安定の要素があるわけであります。それからまた計画のほうは、主として公立学校を対象にして組んでおる補助金と起債計画なんでありますが、実は非常にふえたのは私立学校であります。そういう次第でありまして、まだ十分検討の上方針を立てねばなるまいということは、先ほど申したとおりであり、また文部大臣もそういう線に沿うて、これまで御説明を申し上げておると思っておりますが、まだデータが実はそろわないわけであります。そこで今後できる限りデータを一つ把握いたしまして、そして善処をいたしたいというように思っておるわけであります。したがって、大体自治省のほうからお答えになったところとあまり変らないことになると思います。したがって、両省協力をして善処をしていくことになる、かように考えておるわけであります。
  69. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 三十八年の、ことしの中学の三年生は、数は多いですよ。三十九年三月に卒業する中学の生徒がうんと減る、そういう御認識は私は間違いだと思います。それから次官も言っておられるように、生徒数が将来減っていくといたしましても、進学率自体はいまや高校全入ということまで言われるくらい、義務教育に準ずるものとして、みなが入っていきたい、また出さしてやりたいという親の願いである以上、進学率が非常に高まってきておることも自明の事柄じゃないかと思うのです。そういう点も十分踏まえた上で、実情をよくお調べいただきたいと思います。とにかく基礎数字が大きく変ってきた。この事実だけはお認めになっておるわけでありますから、その上に立って、早急に三カ年計画を改定する必要がある、このことだけははっきり言えると思いますので、この点を強く申し上げておきたいと思います。  そこで地方財政法の関連になるわけでありますが、財政局長も言われましたが、単価についてまだまだ不備である、こういう状況であります。そして今まで単価の不備その他が住民負担なり市町村負担ということになっておったわけですね。そういたしますと、昭和三十九年四月一日から、この法律が実施されるということになりますならば、単価が不備だということになれば、都道府県にその重みがかかるでありましょうし、今まで市町村住民等に転嫁いたしておった責任も、今度は都道府県が——今までやらなかったのが遺憾であったといえばそうでありますが、今回は当然に都道府県がかぶらなければならないことになってまいるわけであります。そうなってまいりますと、現在の三カ年計画のワクにおきましても、この法律が動き出したということになれば、急増対策について差しつかえが出てくるということは当然ではないかと思う。といたしますと、これに対する明年の財源措置、基礎数字の移動を考えなかった場合の現在の計画における財源措置については、どういうお考えでございますか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  70. 奧野誠亮

    奥野政府委員 先ほども申し上げましたように、三十九年度予算を国が編成いたします際には、無理のないような工事単価を基礎にして編成してもらいたいという意見を強く持っておるわけであります。三十八年度につきましてもそういう要望をしてまいったわけでありまして、不十分ながらも若干の改正が行なわれたわけであります。今後、建設費の推移もございますけれども、やはり私どもといたしましては、もう一段引き上げてもらわないと、実施単価の間とのずれが生ずると考えております。したがいまして、そういう努力を三十九年度においても講じてまいりたいと思います。それを基礎にして地方財政計画等の数字を固めてまいる覚悟をいたしておるわけであります。
  71. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 文部省自治省にお伺いをいたしておきたいと思うのですが、先ほどのやりとりでもおわかりのように、現在の高等学校は非常なすし詰めをやっているわけです。五十人定員のところを五十五にして、しかも五十五を上回って六十人、あるいは私立学校に至っては八十人一クラスというような、常識では考えられぬような学級が現に存在しておるそうであります。しかも一方では、高等学校の入学試験に落ちた子供たちが、義務制の中学にいま一年籍を置いてくれというようなことで、中学四年生というようなものも現に生まれつつあるという話も聞いております。その中学四年生の問題は別といたしますが、現に公立学校においてもすし詰めがたくさんあるわけです。これをこのままほっておいてずっとすし詰めでおくのか。そういうことは私はできぬと思うのです。といたしますならば、当然すし詰めを解消する。そのためには入れものをさらにふやしていく、このことを考えなければならぬと思うのです。そういうことについて文部省はどうお考えでありますか。  それからまたそういたしますと、すし詰めを解消して入れものを大きくしていくということになれば、当然自治団体の負担ということが考えられるわけでありますが、これに対する自治省のお考えは一体どうなのか、この点をあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  72. 杉江清

    ○杉江政府委員 すし詰めについてでございますが、公立学校についてはそれほどひどいすし詰めはないと考えております。ただ私立学校に、いまの御指摘に近いような状態があるということを聞いております。一学級六十人以上であれば、教育上相当支障を生ずるものと考えておりますが、ただ私立学校に対する監督ということについては、具体的に文部省の権限にはございませんので、そのような点につきましての監督権等はございませんが、これらについては私学の自粛自戒に待つべきものであり、またそのような指導をしてまいりたいと考えております。
  73. 奧野誠亮

    奥野政府委員 いま文部省からのお話もございましたように、公立につきましては将来中学校の卒業者が減ってまいる関係にございまして、施設は十分ございますので、そういう懸念はないと考えておるわけでございます。
  74. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 またあらためてこの問題の数字をさらに明らかにした上でお尋ねをいたしたいと思いますので、本日はこれでやめておきます。
  75. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員 ちょっと関連して。先ほど田中政務次官は苦しい答弁をされておられました。私も事情はよくわかるわけでございますが、やはり財政秩序を確立するということで、今回地方財政法改正によって、府県と町村並びに住民との関係の問題で、特に秩序が乱れております高等学校の問題について、ある程度の解決をはかろうとしておるわけでございますが、もう一つ上の段階の、国と地方との問題でございます。先ほどの国立工業専門学校の問題でございますが、たいへん苦しい御答弁で御事情もよくわかります。いずれも積極的に、ぜひ土地を寄付したいからやってくれというものばかりだから、それに従っておるので、財政法関係もないというお話でございますが、そう言わざるを得ないお立場でありましょう。ところがこれはなかなかそうとまでも割り切れないと思う事情がございます。地方財政法の十二条には、地方負担させるような措置をしてはならない、こう書いてあるわけです。しからばその措置とはどういうことを言うのかということでござていますが、国立工業専門学校の建設費につきましては、その土地の取得あるいは借り入れ等の用地費については、全然国家予算に計上してない。したがって、その土地については何らかの方法でひねりだせということであるかと思います。勢い国有地との交換の問題とか、あるいは地方の任意的寄付によるというようなこと以外には道はないのでございまして、そういうところに追い込んだという政府措置そのものが、地方自治体負担をさせるということとなるわけでございます。法律論としてはいろいろむずかしい問題があるかと思いますが、それを言いのがれるために、やむにやまれぬ自発的な寄付であるということになっております。こういうことに対してどういうふうにお考えになっておられますか。私はまず自治省御当局に対して、この第十二条の規定は、一体いまのような場合に働かないのかどうなのか。それからかりに働くとすれば、働くにもかかわらず目をつぶっておられるのかどうか。目をつぶっておられるとすれば、自治法の第二百四十六条の二でしたか、総理大臣は、地方自治体の不当なる措置についてはこれを是正するような措置をとらなければならぬという規定があります。こういうことについてどう考えておられるのか。これは何かごまかしでもってその場を糊塗していこうということでなしに、いまや日本では、地力と中央との問題というのは非常に大きな問題になっております。ことに財政秩序の確立ということは、世論になっておるわけでございまして、各種の委員会においてもそのことを主張いたしております。政府御当局もそのことを深刻に考えておられると思いますから、この問題をただ言いのがれの問題とせずに、はっきりした態度で臨んでもらいたい、こう思いまするがゆえに、このようないやな質問をするわけでございますが、どういう御見解であるか、それをまず伺ってあと二、三、たいへん時間がなくて失礼でございますが、お伺いしたいと思います。
  76. 奧野誠亮

    奥野政府委員 国立高専の問題につきましては、一昨年から起こってまいっているわけでございます。一昨年の春でございましたでしょうか、地元のほうでいくらか土地を提供するようなところでないと国立高専は設置されないというような話が、文部省の相当責任のある人たちから地方団体に訴えられているという話を仄聞したわけでございます。そこでまず大蔵省に確かめたわけでございます。大蔵省としては、土地を寄付させなければ国立高専の設置を認めないという考え方を持っておるのかということに対しまして、そういうことは全然ないというようなお話でございます。そこでそれなら文部省だけの問題であろうかと考えまして、文部省についてもその点について問いただたしをいたしたわけでございます。同時に文書によって文部省大蔵省にその点について注意を喚起するというような態度をとったわけでございます。いま私が申し上げましたようなことが事実であるといたしますならば、私は地方財政法に違反している、こう考えておるわけでございます。したがいまして自来関係当局に対しましては、自治省としての考え方を強く訴えてまいったわけでございまして、また国会における論議におきましても、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の規定を引用いたしまして、自治省考え方を述べてまいったわけでございます。
  77. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員 ただいまの御答弁は、仮定に基づいて、最初のような文部省のお考えならば自治法、財政法違反であるということでございますが、その後大蔵省はそうは考えていないのだという一片の弁解だけでもって、実際上予算には土地取得あるいは借り入れ等の用地費を一切計上してないという事実を考えずに、ただそういうたてまえであるということだけでもって、地方財政法十二条違反ではないという判断をされておるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  78. 奧野誠亮

    奥野政府委員 当初の出発と現在とでは関係方面の考え方がかなり変わってきているだろうと私は判断をいたしておるわけでございます。したがいまして、現在では、究極的には地方団体の負担になるようなものは寄付の形式をとっても差し控えるべきであるという考え方を全体的に持たれてきていると思うのでございまして、当初におきましては、おそらくたくさんなものを設置したいという希望もあり、その方便としては土地の寄付に求めたほうが、その目的を達成しやすいというようなこともあったのではなかろうかと私は思っております。なぜ私がそういうことを申し上げるかと申しますと、大蔵省におきましても——ここで名前をあげることは差し控えたほうがいいかと思いますが、文部省から土地の要求が出ていないのは、それは予算の要求額を前年度の予算額の二倍以内にとどめなければならないという制約があるものだから、わざと要求からはずしたのではないかと思う、国立高専を設置するということがきまった暁には、土地の額があるのだということで、要求を掲げて出してくるのじゃないだろうかと思うというようなことを、大蔵省予算担当責任者が私に言ったことがございました。しかし、現実問題としては予算の要求が結局なされなかったわけでございます。その後は、私は文部省だけで予算要求をされていないとも思わないわけでございまして、予算要求を予算当局がいやがってやせぬだろうかというふうにいろいろ勘ぐっておるわけでございます。そういうようないろいろな事情もございますので、今日におきましては法律解釈ははっきりしてきておる、しかし経過的には必ずしもはっきりしていなかっただろうと思っておるわけでございます。
  79. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員 それでは文部当局に御質問しますが、文部省としては、いまの財政局長お話では、用地費の要求をすらしていないということでございますが、それは不実でこざいましょうか。
  80. 田中啓一

    ○田中(啓)政府委員 そのとおりでございます。
  81. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員 それはどういうお考えでございましょうか。用地費は別に国において措置しなくとも地方負担でいけるということで、そのたてまえでやっておられるのでしょうか。
  82. 田中啓一

    ○田中(啓)政府委員 そうではございませんで、これらは国有地を転用しよう、これが根本になっておるわけです。御承知のように戦後幾多の国立大学ができたのでありますが、これはほとんどは国有地並びに国有設備の転用でやっておるわけであります。それが実は根本になりまして、というて便利なところには国有地がないというようなことで、交換をやろうというようなこと、中にはそれには及びませんというので、寄付をしていただいたままになっておるというようなことに結果から見るとなっておるわけでありますが、方針は国有地でいきたいということでございます。
  83. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員 たいへん苦しい御答弁だと思いますが、現実に私が調べたところによりましても、国有地との転換でないものが相当あります。三十六年度におきましても金銭による土地の提供ということがたくさんあります。したがって、どの県にも適当な国有地があって、国有地のあるところへ高専を持っていこうということはおかしい。高専を持っていくのに適当なところにつくるべきであって、まるで国有地があいているからそこへ高専を持っていこう、そんな考え方ではおそらく文部省はないと思います。ただ、いま御弁解のために苦しんで言っておられると思いますが、どうかそういうような御弁解をせずに、やはり国の施設ですから、財政法十二条によってそういう措置をしてはならないとある。しかも国が責任を持っておる施設ですから、用地費の要求は必ずやるということをしていただきたい。現実に私の調べたところによりますと、最高裁判所あるいは法務省等において地方にその出先の役所をつくる場合に、確かに建設費の中に用地費の額が非常に少ない。そのために地方負担になっておるものがたくさんあります。やはり、ぜひ誘致しようとするために土地を出すという話がたくさんあって、負担になっておるわけでありますが、これもやはり私どもは予算の編成の際にはそういう点も是正していきたいと思います。しかし、それは多かれ少なかれ用地費を組んでおるのであります。ところが、この高専については全然組んでおらない。しかもその要求もしておらないということは、地方が希望するから、地方にまかせて地方に出させればいいじゃないかという、いままでの府県市町村に対して高等学校の用地を押しつけたと同じような考え方、その考え方が改まっておらないのじゃないか、私は実に遺憾に思います。ですから、いまこれをやかましく言ってもしようがありませんが、これは明らかに地方財政法十二条の違反であり、これに対して自治省地方自治法二百四十六条の二でもって適当な指導なりあるいは監督を地方自治体に加えるべきである、こういう決心を自治省はやるべきである。また文部省は少なくとも用地費の予算は強く要求して、十分でないにしてもこれを計上するということによって、この財政秩序の乱れておるものを直していただきたい、これをぜひお願いしたいと思います。いままでの経過、いきさつ等からなかなか脱しにくいという事情もわかりますけれども、それでもって将来全国各府県につくっていかれるという御計画のようでございますから、将来のことも考えて、ぜひともそういうふうに処置をしていただきたい。そのことを強く要望いたしまして、御答弁はちょっとむずかしかろうから、あるいはしていただけるなら、いい返事ならしていただきますが、悪い返事ならしていただかぬほうがかえっていいと思いますが、それだけ御要望申し上げて私の質問を終わります。
  84. 太田一夫

    ○太田委員 ちょっと関連して二点ほどお尋ねいたしたいのです。それは、最初は自治省の奥野局長にお尋ねをいたしますが、今度の財政法改正は、主として同校施設市町村負担二十七億と住民負担四十七億の解消を目ざす改正だと私は思う。ところがもっとその倍以上ある教育、社会、警察、土木、産業経済費四十五億を市町村負担をし、住民が百八億負担しておるというのが三十六年度の実績でありますが、この解消については今度は何ら効用がないということでしょうか。
  85. 奧野誠亮

    奥野政府委員 先ほどもちょっと申し上げたわけでありますけれども、一番顕著なものについてあえて立法措置をとりたい。基本的には民主的な自覚に基づいて財政運営の姿勢を正すという努力をしていくべき性格のものではなかろうか、こう考えておるわけであります。一番顕著なものとして、百年河清を待つような自覚を待っておるわけにいかないので、立法措置をとりたいということでございます。
  86. 太田一夫

    ○太田委員 そうですか、なるほどね。まあいわば高等学校教育費というのが、税外負担といいますか、財政法違反の疑いのある負担として顕著なものであることはわかるのですが、教育費にしましてもその他のものが非常にあるのです。高校はこれで大体完了したのではないでしょうかね、三十六、七年度で終わってしまって、これからは小中学校の整備ということになりますと、今度逆にこのほうの教育費というもののしわ寄せが住民並びに市町村にくる。住民のことを私は考えておりますが、住民にくるような気がするのです。そこでちょうど文部省管理局長さんがいらっしゃいますからお尋ねをいたしますが、小中学校の講堂ですが、講堂建築に対する負担が当該自治団体だということに対しましては、少々納得できない節があるのですが、これに対する何か改善案というか進歩案というものの御用意はあるのですか。
  87. 杉江清

    ○杉江政府委員 おそらく体育館兼講堂のことと考えますが、この法律はちょっと関係ありませんけれども、考え方としては、小中の建設事業にも同様な考え方で今後処理されるべきものだと考えております。その際最も大きな問題は、私は施設基準を改めなければならないと考えております。そのほか単価、構造比率等もありますけれども、まず基本的には施設基準を改むべきである、改めなければならない。体育館についても、現在の基準には矛盾がありますので、これを改善していきたい。そういうふうなところからこの経費負担の原則が実施されやすいような努力をやはりすべきものだと考えております。
  88. 太田一夫

    ○太田委員 それは局長さんあれですか、今後はそういう講堂建築費に対しても一般校舎に準じて補助金を出す、そういうことになるのですか。
  89. 杉江清

    ○杉江政府委員 いま講堂に対しては補助金はありませんが、体育館については補助金があるわけでございます。もちろん中学校の体育館についても補助金がございますが、小学校については、いままで戦災復旧ということで一般補助の対象になっておりません。本年度は小学校の体育館についての補助金は予算化されておりませんけれども、今後はそれらを予算化していきたいと考えております。
  90. 太田一夫

    ○太田委員 そのほか、いま体育館ということばでおっしゃいますが、一般にいう講堂、これは講堂兼体育館という名前になれば、来年度くらいから補助金が計上される見通しありと考えてよろしゅうございますか。
  91. 杉江清

    ○杉江政府委員 講堂ということでは補助の対象にする段階ではないと考えます。まだ体育館の整備がきわめて不十分な状態にありますので、体育館ということで、教育上どうしても必要な体育館を整備する、こういうことでまいりたいと考えております。ただ現実には、体育館が講堂も兼ねている、そういう機能も持っておるわけでございますが、その点はそれでけっこうですが、主は体育館の整備ということでまいりたいと考えております。
  92. 門司亮

    門司委員 この機会に文部省次官に聞いておきたいのですが、さっきからいろいろ論議されておりますから重複はできるだけ避けますが、文部省は、いま自治省からの統計をずっと見ますと、高校の設備に七十五億五千万円というものを地方住民並びに自治体負担させている、こういう数字が出ていることをあなたは御存じですか。
  93. 杉江清

    ○杉江政府委員 正確な数字は存じておりませんでしたけれども、相当額の寄付金があるということは承知いたしておりました。
  94. 門司亮

    門司委員 文部省でそういうところの問題があるのじゃないですか。できたものの所管はおれのほうだ、監督はおれのほうでするから入れるものはそっちでこしらえろ、入れものの費用はそちらでいいようにしろ、そういうような考え方文部省にあるのじゃないですか。文部省は、教育の全体をお持ちになっているなら、このことがわかっていなければならぬはずだと思う。どういうわけで一体文部省はこういう調査をされないのですか。これは自分の所管でしょう。学校ができたらはいさようならといって、仕事はほかにやらせるが、監督は自分のところでやるという考え方はおかしいと思うのです。文部省にはこういうものを調査する機関はございませんか。
  95. 杉江清

    ○杉江政府委員 初中局の財務課で調査いたしておりますが、正確な調査は自治省の数字を信頼すべきものだと考えております。ただいま私自身そういう正確な数字を承知しておらなかったという意味でございます。
  96. 門司亮

    門司委員 次官にはっきりした御答弁を願っておきたいと思いますが、こういう法律ができて、いままでのことはいままでのこととして、この法律を忠実に守られるという御意思は文部省に、むろんないとは言えないと思うのですが、あるんでしょうね。
  97. 田中啓一

    ○田中(啓)政府委員 私は、今度の法律の趣旨は、何よりも、いままでのように単価、構造比率等の問題が著しく実際とは違ったものを計上して、その差額は下級団体、または住民のところへいく。それを知っておりながら、そのようなことをやっておるというのは、はなはだよろしくなかった。だから、いま文部省が最も努めるべきことは、高等学校にしろ、中小学校にしろ、単価、構造比率等を実際のとおりに改める、そうしてそれをもって補助あるいは起債等の対象にする、こういうことであろうと思っておるのであります。私は、これがまず不当に下級団体または住民負担をかけるということの解消に一番役立つことだと存じておりますので、大いに努力をいたしまして実現をはかりたいということで、実はこの法律がここまで来る前から相当やっておる次第でございます。
  98. 門司亮

    門司委員 根本的にはそういうことも一つの問題であろうかと思います。  それでもう一つ認めておいていただきたいと思いますことは、いまのお話に出てまいりました施設費用の単価の見積もりの開きですが、三十六年度の市町村から、参っております統計をずっと集めてまいりますと、新築費について大体坪当たり六万八百四十七円の全国平均が出ております。文部省の見積もりは四万八千七百二十八円です。地方が二五%相当出しております。この分だけは地方負担になっておる。よけいかかっておるのを何らかの処置で負担がされておる。おそらくこれは地方自治体がよけいな負担というか、あるいは住民負担にまかされておる。こういう問題で増築の場合も同じような数字が出ておる。念のため数字だけ申し上げますと、市町村の実質負担は五万二千二百三十六円という数字が出ておって、政府の見積もりは四万三千六百五十五円、これは二〇%の負担です。危険校舎等につきましては、実際の価格が五万九千九百十九円で、文部省のといいますか、国の見積もりは四万八千五百七十一円というので、これは二三%の負担増になっておる。これは単に建物の坪当たりだけではありません。実際の建物についてのいろいろな問題、あるいは土地の買収費というような問題をこういう規格でずっと見渡してまいりますと、数字が煩雑になりますから私申し上げませんが、非常に大きな額になると思う。これは市町村から出てまいりました小中学校の数字でありますから、市町村の小中学校の問題だと考える。高等学校においても同じようなことがもし文部省で繰り返されるとするならば、こういう法律をこしらえても、結果においては何にもならぬことになるのだ。実際は単価が食い違っているのだから、補助金がそれだけ少なくしか行かない。補助金が行かないからそれは何とかしなければならないということで、これはどうにもならないのです。したがって私は、補助金の中であるいは起債の中で問題になりまするものとして、実質の額に合うような方法をとってもらえないかということ。幸いにして文部省は、御承知のように学校の職員の給与については実支出額の半額ということになっております。多少の問題は残るにしても法律上は一応半分になっておる。そこで、こういう法律ができると同時に、学校建築その他については実支出額の半分だというわけにはまいりませんか。文部省はそういう考え方は出ませんか。これはどうなんですか。田中さん、ひとつそこまで踏み切ってもらうと、この法律がやや生きるような気がするのです。いままでのような単価計算でずっとやっておりますと、結局その不足額が出てくる。その不足額を何らかの形で埋めなければならぬ、こういうところに問題が出てくる。だから、こんな法律をこしらえても、これは裏でいろいろな取引がされて実効はあがらないのではないかと考えるのですが、田中さん、いまそういうお話をされましたから、私は実際に数字を引いてお聞きしたのですが、いま申し上げましたような、やはりこの際こういう法律ができた以上は、実支出額の半分を出すというお考えになりませんか。
  99. 田中啓一

    ○田中(啓)政府委員 ただいまもっぱら単価並びに構造比率の点を申し上げましたのですが、実はもう一つ中小学校で問題になりますのは、いま御指摘になりましたように、実は現在の統合校舎にしろ、あるいは老朽校舎にしろ、改築の場合の建物の建坪でございます。これが生徒数によって幾らとなっておるのです。ところが、建坪の必要性というものはなかなか生徒の数に正比例はいたさないわけです。ところが、御承知のように中小学校の生徒の数は急激に減っていくわけであります。おそらく現在から三、四割減ることになろうと思うのであります。しかもまた減り方も学校によって千差万別であります。そういうことでございますから、この際生徒一人当たりの建坪をはじき出すという方法によらないで、むしろ学級数に応じてどれだけというようにするほうが妥当でなかろうかということも考えまして、いずれにしろ生徒の数の急減に対してそれだけ建坪を減らしてしまわない、こういうことをやらなければ、これまた構造比率や単価と同じように実情に合わなくなるわけでありますから、そういう点もひとつ改めることに努力をいたしたい。これら諸般の点を改めるならば、今回の法律改正の御趣旨に合うような文部行政ができると、こう実は考えて目下努力中でございます。
  100. 門司亮

    門司委員 次官がそういう御答弁をなさいますからですが、これは非常に問題ですよ。たとえばさっき言いました三十六年度の建坪を見ましても、文部省考え自治省考えております建坪より、地方自治体が建てたのは三一%よけい建っている。これは生徒が何人だからといったところで、三十人おっても五十人おっても八十人おっても、教室の広さは同じわけです。だから頭から、お前のところは何人だからこの坪数でよろしいのだと言われても、建てるほうはそうはいかない。この食い違いが三一%ぐらいで、非常に大きな数字が出ております。したがって工費の食い違いというものが非常に大きなものになっている。こういう実態を改められない限りは、こんな法律を幾らこしらえても何ら実施が伴わない。だから、きょうここでこれ以上言ってもしょうがないと思いますが、ひとつ文部省は本気になってこの問題を解決してもらいたい。いろいろな住民の税外負担の中で一番大きいのは何といっても学校関係なのです。ほかに多少ありますけれども、問題は少ない。ことに敷地関係などについても、敷地なんというものはあまり見積もらないで考えられていはしないか。それからこれは建設省のところにも書いてありますが、建設省なんかは、住宅について敷地八百円くらいしか見ておらない。これは地方自治体から三千百幾らという数字があがってきている。なかなか政府のほうで考えているような運びをしない。政府考えているような運びをしないということになると、どうしてもそれを形づくるためには地方住民負担に待つということになる。その基準というものは誤りがあるのではないか、こういうことが考えられます。これ以上質問いたしませんが、ひとつ又部省でもぜひそういう基準単価その他について誤りのないようにしていただいて、そうしてこの法律が完全に実行されるように、この機会に文部省に特に——これは自治省のほうは幾らかやかましいほうですからまだいいけれども、文部省はかってなことをやって、したがって、そのしりぬぐいというものはみな地方自治体がやるというようなことになっておる従来の関係から、私は特に文部省でお考え願っておきたいということを申し上げておきます。  以上できょうの質問を終わりたいと思います。
  101. 永田亮一

    永田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会