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1963-03-26 第43回国会 衆議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月二十六日(火曜日)    午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 小澤 太郎君 理事 大上  司君    理事 纐纈 彌三君 理事 高田 富與君    理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君       宇野 宗佑君    大沢 雄一君       亀岡 高夫君    久保田円次君       田川 誠一君    前田 義雄君       三池  信君    山崎  巖君       門司 亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 篠田 弘作君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁交通局         長)      冨永 誠美君         消防庁長官   藤井 貞夫君  委員外出席者         通商産業技官         (軽工業局有機         化学第二課長) 代永 久寿君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     宮田 康久君         自治事務官         (消防庁総務課         長)      山本  弘君         専  門  員 曽根  隆君     ————————————— 三月二十二日  委員伊藤幟君が死去された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共  済基金法の一部を改正する法律案内閣提出第  一三五号)(参議院送付)  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一八号)(参議院送付派遣委員からの報  告聴取      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  去る二十二日、当委員会委員として、長年御活躍になっておられました伊藤幟君が御逝去せられました。まことに哀惜の念にたえません。ここにつつしんで哀悼の意を表し黙祷をささげたいと存じます。御起立を願います。   〔総員起立黙祷
  3. 永田亮一

    永田委員長 御者席を願います。      ————◇—————
  4. 永田亮一

    永田委員長 消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。発言の通告がありますのでこれを許します。太田一夫君。
  5. 太田一夫

    太田委員 消防組織法の一部改正案について二、三点お尋ねしておきたいと思います。  まず最初は、御提案趣旨説明によりますと、災害防除消防任務として明確にこれを規定することにしたのを第一の理由とされておるのであります。災害防除消防任務として明確に規定することは、非常にけっこうなことでありまして、私ども心から賛成をいたすのでありますが、在来被害軽減という意味において、やはり防災活動の一部を持っていた消防に、新たに災害防除という規定を加えることは、在来被害軽減という意味から、活躍をしていた消防活動にどの程度のエネルギーが加わるものであるか、どの程度活動強化されるのであるか、どの程度その任務が広範囲にわたるのであるか、それが市町村民の生活にどのような好影響を及ぼすであろうかという点について、御所見を一つ明確にいただいておきたいと思うのです。
  6. 藤井貞夫

    藤井政府委員 従来、消防組織法におきましては、消防任務といたしまして対火災機能のほかに、その他の災害によりまする被害軽減ということを規定いたしておったことは御承知通りでございます。しかしながら、この被害軽減ということだけになりますと、どうしても言葉内容からいたしまして、現実被害が目前に出てきた、たとえば水害の場合でいえば、堤防現実決壊をしたという事態に対応して、その場合における被害軽減のために活動するというようなことが主たる内容となってくるわけであります。しかしながら、現実消防活動の面を見ますると、これは決してそういうことではありませんで、堤防決壊のおそれがあるというような場合においては、出動いたしまして消防活動を行なっておるのが現実であります。すなわち堤防がこわれないように未然にこれを防止するということも、現実の問題といたしましては今までも行なっておったわけであります。しかもその活動ということが、むしろ実際に合った妥当な範囲であるということも認められますので、この際やはりはっきりと、ただ単に被害軽減ということよりも一歩これを明確にいたしまして、被害防除災害防除ということもその消防任務としてはっきりと規定をいたすことが適当であるというふうに考えた次第でございます。しかしながら、この防除というものは、一般にいわれまする災害予防というほど広いものではございません。予防ということになりますると、各省各庁がそれぞれ持っておりまする行政の任務、受け持っておりまする担任事務範囲において、予防ということは広範囲にやっていかなければならぬのでありまして、おのずからそれとの調和、また能力の点から申しましても、消防自体が当面いたしあるいは担任をいたしまする防除という範囲は、やはりあくまで現場的な、応急措置的なものを対象としてこれを行なっていくということにいたさなければならぬことは、もちろんであるというふうに考えられるのであります。  こういうことにいたしましたことによって、今後はどういう影響が出てくるかということでございますが、私は率直に言いまして、この防除ということを明確に規定したことによって、直ちに消防活動の面で現実の姿として大きく変わってくるというふうには思っておりません。むしろ、今までは実際活動として、法律上の行為というよりも現実活動として行なっておりましたものを、明確にこれを規定づける、根拠づける、それによって消防任務を法的にも確立をするということに大きな意義が出てくるのではないかと思います。その点はやはり消防活動においても、士気の面からいっても、あるいは活動の自信ある限界設定という意味からも、消防活動限界というものが非常に明確化され、そのことがやはり全体としての災害防除ということにつきまして、大きな貢献を将来にわたって招来することに相なるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  7. 太田一夫

    太田委員 今のお話でいいますと、いわゆる災害防除というのは応急処置的なものにほかならない、こういうお答えと聞きましたが、応急措置であるという点と、それから基本的な災害を防ぐ、いわゆる防災上の基本計画を樹立し、それを遂行するという面とは、どうも合わないような気がしますが、そういう災害予防基本計画を、もしそれが来たならば、もしそれがあったならば、もしそれが起きたならばというふうな想定のもとにあらかじめ対策を講ずるということは、今の応急措置の中には入るのでしょうか。私は入らないような気がするのです。応急措置だけでは何か物足りない気がしますが、いかがですか。
  8. 藤井貞夫

    藤井政府委員 対火災機能というものから見ますると、消防活動というものは、広範に、火災予防ということから始まりまして、火災が起きた場合のこれの鎮圧、被害軽減ということを全般的に役割として背負ってやって参っておるわけであります。その意味では、対火災機能においては、建設省のいわゆる治山治水といったような事柄もあわせ行なうというのが消防任務でございますが、その他の被害ということになりますと、あるいはその他の災害ということになりますと、消防活動というものはやはりそこにおのずから限界がなければならない。治山治水というようなところまでいくのは、これは明らかに行き過ぎであり、また能力の外であろうと思われるのであります。ただ、災害現実に起ころうとしておるというような場合においては、これに対して、堤防が切れないように措置を講じていく、応急措置をやっていくということは、それは別に行き過ぎでも何でもない、当然の任務であろう。またむしろそれをはっきりさせることが、防災活動としても適当ではないであろうかということで、防除ということをここに明確化しようとしたのにほかならないのであります。従いまして、その限界というものは、事柄によっては非常に明確でない場合も出て参ると思います。どこまでが防除であって、どこまでがいわゆる予防に入るかということの限界は、それぞれの事柄に従って具体的に判断を下して参らなければならぬわけでありまして、その点非常に微妙な点が出て参ると思います。ただ、災害対策基本法におきまする各種災害防除のための計画、あるいは防災業務計画、あるいは地域防災計画といったものは、すべてこれを消防任務として書くというのではなくて、やはりおのずからそのうちの現場的な、応急措置的な防除というのが、火災以外の災害の場合においては消防任務として規定されて参るということに相なろうかと思います。
  9. 太田一夫

    太田委員 少々不明確な字句だと思うのです、防除というのは。防除という字を最もよく解釈いたしますと、どういうことになるのですか。防除というのは、熟語としてはあまりそう使いなれた言葉じゃないと思うのです。防除とは何ですか。消極面だけであって、積極面というのは非常に欠いておるのですが、字句の解釈をちょっと教えて下さい。
  10. 藤井貞夫

    藤井政府委員 防除というのは、防止除去災害を現場的に防止しあるいは災害原因除去する、そういうふうに考えております。従って、予防というよりもある程度現場応急的なにおいというものが非常に強く出るということは当然のことではないかと思っております。この点は、実は消防庁自治省の外局となって入りました際に、自治省設置法規定改正になったわけであります。この自治省設置法の中で、自治省任務といたしまして、全般的な自治本省任務のほかに、「消防に関する事務を処理し、もって、水火災等による災害防除に資することを任務とする。」という言葉自治省設置法自体も使っております。従って、これを受けた意味もありまして、これを明確にすることが現実防災活動あるいは消防任務規定する上においても適宜な表現方法ではないかと思いまして、これを使ったわけでございます。
  11. 太田一夫

    太田委員 先回、東京都江東地区において、いわゆる樋門——水門ですね。樋門がこわれたために海水が逆流して、ゼロメートル地帯に時ならぬ洪水が起こったという問題があった。こういう場合に、その樋門そのもの堅牢度合い、ないしはその樋門そのもの機能というものを点検をいたしますると、いざといった場合にこれはあぶないことがあり得る。あり得るから、そうなったときには、この低地帯に非常な水害が起きるであろう。従って、今の消防任務としては、災害除去という点に力点を置いても、そのものを考えれば除去ですね。その場合の除去というのは入る水をなくすればいいわけですから、海というものがそこまでつながらないように、どこかに堤防をつくってしまえばいいわけです。しかしそれは消防任務ではない。その除去というのは何だというと、そういう原因除去することである。だから、あそこの樋門は、非常に弱く、場合によってはこれはこわれる可能性もある、危険もあると思うから、一つこれは早急に改良工事を行なって、絶対こわれないものに改めてもらわなければならないということを建言され、それを主管省管理者に行なわしめるということは、除去になるのではなかろうかと思います。ああいう樋門水害の例を一つとってみて、今後積極面としてどういうふうになさるおつもりですか。
  12. 藤井貞夫

    藤井政府委員 私はこのように理解をいたしております。水門の場合でございますが、この水門について危険のないように施設管理維持をやりますること自体は、これはやはり水門管理者責任である、水門管理責任を持っておる者の当然の責務であるというふうに考えるのであります。その場合に、しかしながら、立ち入りの検査あるいは巡視というようなことを通じまして、そういう危険な状況にあるといった場合に、それについて補修措置や何かを行なわなければ、いざという場合に取り返しのつかぬことが起るというふうに認められます場合において、消防機関から管理者に対して注意をするということは、私はこれは当然あり得ていいと思います。ただ、法律上の問題といたしましては、この除去という場合は、水門管理が悪いために何か溢水等が始まる危険性があるといった場合に、溢水しない前にそこに参りまして、くい打ちその他の適切な処置を講ずるということは当然防除の中に入ってくるべき、これは法律上の権限として入ってきていいのではないかと考えるのであります。しかしながら、この規定ができますることによって、今のような管理者に対する勧告、改善についての、一種の措置についての意見を述べるというようなことは、私は事実上の問題として当然やってしかるべき事柄であるというふうに考えるわけであります。
  13. 太田一夫

    太田委員 その点については、極力積極的活動という面にも大いに力点を置いていただきたいということをお願いするわけです。受ける側でも大へんでしょう。さらに積極的に一歩前進して、防除という、そのものを本格的に具現するということは、並み大ていのことではない。これは一つ消防庁におきまして十分御検討いただいて、これが生きて実施されますように期待をいたしたいと思います。  その次は、提案理由の第三の「一定の規模の市町村には、消防本部及び消防署の設置を義務づける」というこの政令内容について、だれかお尋ねをなすったような気もするのですが、私もさだかに記憶にございませんので、政令内容について何か具体的なものがございましたら、この際御発表しておいていただきたい。
  14. 藤井貞夫

    藤井政府委員 政令内容として今事務的に検討いたしておりまするのは、いわゆる市街地人口が一万以上の市町村ということにいたしたい、かように考えておるのであります。その場合に、市街地と申しまするのは、連檐した市街の建物建蔽率が平均一〇%以上の地域ということに考えておりまして、それらのいわゆる市街地についての居住人口が一万以上というところの市町村については、消防本部・署というものを必ず置かなければならぬというふうに義務づけようと考えておる次第であります。
  15. 太田一夫

    太田委員 いわゆる市街地人口一万人以上——一万人を出す場合の市街地のとり方にも御基準を御設定に相なろうと思いますが、そうしますと、今のところ、あなたの方の御想像では、日本全国でどれくらい設置を義務づけられる市町村ができるだろうか、この数を何か御計算になったものがありましたら、概数でいいですから御発表を願いたいと思います。
  16. 藤井貞夫

    藤井政府委員 今申し上げました政令基準でもって市町村を調べてみますと、該当市町村の数は五百八に相なります。市が四百三十八、町が六十八、村が二ということになるわけでありまして、そのうちまだ消防本部・署を設置いたしておりません市町村の数は百二十六、市が七十三、町が五十一、村が二、このように相なる次第でございます。
  17. 太田一夫

    太田委員 その七十三市五十一町二村が、今度のこういう消防本部並びに消防暦設置が義務づけられる。そうしますと、第二のところで、これは災害対策基本法のところから説き起こしておりますけれども、「市町村消防に対する技術的な指導助言を積極的に行なう」ということがありますが、このところにも、第三にもないのが、財政的な指導とか——指導といってはおかしいが、財政的な援助という言葉が全部抜けておる。財政的なものが抜けますと、義務づけられた市町村として、少々痛いことが出てくるのであります。もちろんこれは必要なことでありますから、そうとやかく言うことはありませんけれども、すべて技術的だとかなんとか、精神的な指導助言が積極的に行なわれても、財政的な裏づけがない場合においては市町村はつらいと思いますが、それは自治省財政当局との間に十分な意思の疎通はあるでしょうか。
  18. 藤井貞夫

    藤井政府委員 御指摘の通り、単に法律上義務づけあるいは精神的技術的に指導をやったといたしましても、財政的な裏づけを同時に考えていきませんければ十分な効果が発揮できないし、また法律上一方的に義務づけたからといって非常に酷になるということは、十分われわれも承知いたしておるところでございます。御承知のように、現在消防維持管理の費用というものは、自治体消防という見地からいたしまして、市町村の本来的な責務になっておる。財政負担も、市町村財政負担ということになっておるわけでありますが、それだけに交付税上もこれに相当する措置を講じておるわけであります。それと並行いたしまして、国の立場といたしましても、一つ市町村に対する国庫補助というものと、もう一つ損保債を原資といたしますところの起債の二本立をもって施策を推進するうしろだてにいたしておるような次第でございます。従いまして、今後の措置といたしましては、これらの助成措置を重点的に講じていく。なかんずく今の百二十六の市町村に対しましては、施設整備あるいは維持管理のための財政措置、なかんずく国庫補助なり起債重点配分を通じてやって参りますと同時に、今後においては、一般財源としての交付税措置につきましても、今の措置が十分であるとはわれわれも考えておりません。これらの点につきましては、この規定が動き出しますのに若干の期限もありますので、その猶予期限内に財政当局とも十分に話し合いをつけまして、その裏づけを十分に講じて参って、法律上義務づけることによって、無理がないように十全の紀念を加えて参りたい、かように考えます。
  19. 太田一夫

    太田委員 その心がまえでさらに積極的に働きかけて、内部意見を統一して、それを具体的な予算措置に盛り込まれるように期待をしておきたい。特に今度の消防施設補助金というのは、七億の予算でございまして、昨年度に比べて二千万円の増なんということは、消防というものを軽視する観念ではなかろうかと私は内心危惧をしておるのです。二千万円ほど国家予算の中でふやして消防の設備が強化された、消防の体制が磐石になったなんていえるものじゃない。だから、そういう点では大いに補助金措置等につきましても、補助率引き上げ、その財源を従って確保するというような点に向かっても消防庁努力をされる必要があると思う。同時に起債の点については、なるほど起債縁故債その他相当拡張されておるようでありますけれども、起債だけにたよらないで、もっと基本的には各種助成補助等について、深く調査検討される必要があろうと思います。これはぜひやっていただかないと、せっかくこういうものをつくりましても魂が入らないような気がするのです。ぜひ一つ努力をいただきたい。  それから、その次は県の任務でありますが、今度消防に関する都道府県所管事務というのが改正されまして、関係区域内、いわゆる都道府県内の市町村消防の円滑な活動ができるように、県と市町村との連絡、それから市町村相互間の連絡協調をはかることを明らかにする。市町村にまかせっ切りにできないから、都道府県が何か非常におせっかいに乗り出すというような感じを受けるのでありますが、これは何かお互いの権限と申しますか、責務と申しますか、そういう線を乗り越えて、少々不明朗な県単位消防をつくるという素地になることはないでしょうか。市町村消防でなく府県消防になってくる、そういう危険はこの中には全然ないのですか。
  20. 藤井貞夫

    藤井政府委員 現在、都道府県消防に関する任務の中にも「消防に関する市町村相互連絡に関する事項」というのがございますが、そのほかに今度新しく規定をいたそうといたしまするのは、都道府県市町村との間の連絡をはかっていくということを一項目加えようとするのでございますが、この点は災害対策基本法の制定、その他郷道府県自体任務からいたしまして、都道府県市町村連絡をはかり、あるいは相互間の連絡協調をはかるということは、やはり県の任務といたしまして当然にやっていく。またそのことを明確にいたしますることが、防災対策といたしましても適切ではないかというふうに考えたのでございます。しかしながら、消防建前というものは、あくまでも市町村自治体消防建前でございますので、これに対する根本的な立て方というものを改めることは全然考えておりません。また私自身といたしまして、やはりこの建前は、いろいろな困難な障害があったといたしましても、自治体消防の基本的な考え方というものを貫いていくことが防災あるいは消防の運営ということから申しまして当然のことである。住民の身近な郷土というものをみずからの手で守っていくというのが、最も基本的な建前として私は正しいと思っております。県の建前は、上級団体のあるいは中間団体建前から、それらが円滑にいけるように相互連絡協調をはかっていくというようならち内にとどまるべきであるというふうに思っております。いわんや、今後これを契機といたしまして、府県消防というようなことは、私たちとしては今の時点においては絶対に考えておりません。
  21. 太田一夫

    太田委員 いわゆる第十八条の二のことでありますが、「都道府県は、消防に関し、左に掲げる事務を掌る。」というような本文第一項の表現に基づいて一、二、三、四号とずっとあるわけですが、その中にある連絡に関する事項というのと——今度、十八条の二の本文に、都道府県は県と市町村との連絡市町村相互間の連絡協調をはかるというふうに特に御規定なさった趣旨というのは、何か干渉、圧迫というような悪い面のにおいがあるのじゃないか、これを考えるのは邪道と思いますけれども、そういうにおいを感ぜざるを得ない節もある。だから「連絡協調を図る」、協調という二字が入りましたから、連絡というよりは協調という二字が入った方がこれは大きいのでしょうね、列車も長い方が大きいのだから……。だから連絡というのに協調が入ったというところに、何かあなたの方の手品の種があるのではないだろうかと心配したのですが、今日の時点においてないとおっしゃるが、今日の時点というより、消防本来の性格並びに立場から申しましても、今までの建前から変わっていって、市町村消防でなくて府県消防というような工合に持っていこうとするようなことがかりにあるとするなら、これは私は相当危険だと思いますから、この際ぜひ、もしその危険があるなら承っておきたいと思ったのですが、ないとおっしゃるならそれを信じておきます。ぜひそのことは市町村を中心として、大いに常設消防強化並びに防災活動強化という方向に指導していただきたい。  そこで、ついでに気になることですから聞いておきますが、第何番目かの御提案になりましたね。やはり第四の目標の中に、都道府県市町村相互間の消防職員人事交流のあっせんをするという。これも私は、人事をかえて消防というものを何か不明朗化す素因をつくるのではないかと思うのですよ。消防庁長官としては、そんな心配は今日の時点においてはないと御信じになっていらっしゃるのですか。何か人間的に人事の面で各市町村消防を押えていくという感じが出てきているような気がしてしようがないのですが、どうでしょうか。
  22. 藤井貞夫

    藤井政府委員 これは警察その他と違いまして、自治体消防ということであり、市町村消防消防職員ということでございますので、県は人事権というようなものを全然持っておるわけではありません。そういう点で本質的に迷うと思うのであります。ただ現実消防界というものをながめておりますと、自治体消防に移行いたしましてから本年で十五年を迎えるわけであります。その間やはり小さい自治体消防のところでは、非常に人事渋滞が見られる。これは事実であろうと思います。二十人や三十人の消防職員しか持っておらぬというような市町村消防では、どうしてもやはりそういう人事渋滞というものが起こりがちでございます。そういうような面からいたしまして消防界自体からも、ある程度交流ということが行なわれてしかるべきではないかというような声も実はあるわけであります。  それが一つと、そのほかに先刻来話題になっておりまする一定規模の市町村について消防本部・署というものの設置を義務づけるということに相なって参りますと、今まで常設消防の全然ないところにそういう消防署、消防本部ができていくわけでありますから、当然専門の消防職員あるいは消防職員を指揮監督してその統御に当たっていくという、指導者というものが必要になって参ります。そういった場合には、どうしてもやはり県の方に適当な人がいないかというようなことで、相談に参るというような事態も、従来もございましたし、今後こういうふうに組織的に義務づけるということになって参りますと、当然そういうような要請も出て参ることが考えられるのであります。今のような点を考慮いたしまして、人事交流のあっせんに関する事項を県の一つ権限として、所掌事務として一号加えるということにいたしたのでございます。人事交流のあっせんということでございますので、このこと自体、県の方からあまり積極的に差し出がましくやれるものでもございませんですし、市町村の方でいやだと言えばそれまでのことでございます。しかしながら、こういう権限といいますか、所掌事務を土台として非常にこれを悪用をして、実質上の人事の干渉にまで至るというようなことになりましては、これはお話しのように私は好ましくない方法であると思います。絶対そういうことはさせないように、運営面からしましても、十分の監督指導を徹底して参りたいと思っております。
  23. 太田一夫

    太田委員 わかりました。そういう気持で、裏も表もないすなおな表現と私も理解しておきたい。消防こそ政治の圏外に立つ、消防の地位利用によるところの地方選挙への介入というようなことが将来起きないように、これは十分一つお願いいたします。消防個人である場合には差しつかえないというような通達を出されぬように、ぜひやっていただきたい。そうして地方選挙並びに中央選挙などにおけるところの消防団の活動いかんによっては、君のやり方はだめだ、与党の選挙に対して協力しないようなことは、もって任務を全うすることではないから、山間僻地の市町村消防の方に転職を命ずるなんていうことにならないように、ぜひこの際あなたの御言明を心にとめて理解しておきたいと思います。
  24. 永田亮一

    永田委員長 他に質疑はありませんか。——なければ本案についての質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  25. 永田亮一

    永田委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じます。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  これより採決いたします。  消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  27. 永田亮一

    永田委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  29. 永田亮一

    永田委員長 次に道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑応答を行います。門司亮君
  30. 門司亮

    ○門司委員 私はこの法案を通す前に、要望というか、当局の意見一つだけ聞いておきたいと思います。  それは、道路交通の取り締まりをする警察官自身が、できるだけ運転のできる人を——全部といっていいが、交通の取り締まりに当てていただきたいと思います。私がそのことを要望するのは、やはり取り締まる方も取り締まられる方も運転技術を心得ておって、同じ心理に立った取り締まりの方が運転手にぴんと来る。全然しろうとで、それじゃお前運転してみろといわれたって——その場合こうなっているから無理じゃないかということが、かりに取り締まりを受ける運転手の心の中にあったとすれば、いつまでたってもうまくいかないと私は思うのです。やはり取り締まりの警察官は全部運転のい得があって、自分が運転すればこういうふうになる、また事故についてもそういう心理の理解の度が高まってきはしないか。ただ無鉄砲に、外から見ただけの形で取り調べをするのでなく、自分がやればこうなるのだというような、運転者の心理になって取り締まりのできるような方法がうまい方法だと考えられるのですが、そういう点について全部の警察官が運転技術を修得するというような方法が今講ぜられているかどうか。今講ぜられていないなら、将来ぜひそういうことにしていただきたい。そうすれば、やはり交通事故をなくするというか、あるいは運転者の方から見ましてもあまり無理のない公平な取り締まりができるのではないかというように考えるのですが、そういうことだけ一つ問いておきたいと思います。
  31. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまの門司委員のお話は、まことにごもっともでございまして、私どももぜひそういうふうに持っていきたいと考えておるわけでございます。遺憾ながら、現在警察官たる者すべて運転の技術を修得しておる段階でございませんけれども、できるだけ早い機会に、そういうふうな技術を身につけるように、教養面においても計画的にやっていきたい。現在は、警察官に採用しまして一年間、警察官たるべき基礎を学ばせて第一線に出すわけでございますが、この警察官につきましてさらに四カ月の補習教育というのを実施いたしております。この補修教育の課程におきましては、総花的に警察の技術学科というようなものを学ばせるのではなくて、基礎的なもの、特にその基礎的なものについて成績の上がっておる者については、自動車の運転の教養を特にやるということをいたしておるわけでございまして、これは全員について教育するわけでございますので、管区学校における補修教育の課程におきましては、警察官の中でも、その自動車を学ばせるワクの中に入った者はもちろんでございますが、入らない者も余暇を利用いたしまして、自動車の運転の技術を身につけるように、いろいろ勉強をいたしておるような状況でございまして、ただいまお話しのような方向に警察官自身も非常に意欲が向いておるという事情でございます。さらにこれを拡充いたしまして、ただいまお話しのような御趣旨に沿うように今後とも努力して参りたいと考えておる次第であります。
  32. 門司亮

    ○門司委員 私は今のような御答弁でよろしいかと思いますが、せっかく大臣が見えたから重ねて聞いておきますけれども、これには予算が必要になってくるのです。従って予算がなければ、やはりどんなに気持はあってもなかなか困難であろうと思う。それらの予算について、今度の三十八年度の予算の中にどれだけ見てあるかということはわからぬのですけれども、国の警察予算で見られなければ、都道府県の警察予算の中に見込むのが私はよろしいかと思う。こういうことはほんとうに真剣にやってもらいたい。いろいろな犯罪があり、いろいろな問題があるが、警察だけが依然として自転車で犯罪捜査をやっているようなことでは、とても今日の時代に追いつかない。警察官はいずれの警察官も、原動機のついたものをいつでも自分で使えるだけの技術を修得していただくことが必要だと思う。ただ交通違反に対して、運転手と同じような気持で取り締まられるというようなことだけでなくて、すべての犯罪の取り締まりにも時代おくれにならないように一つぜひしておいてもらいたい。このことは、大臣、予算がどうなっておるかわかりませんが、各府県でやられるとすれば相当なる予算が要ろうと思いますし、ぜひ一つやってもらいたい。ことに私遺憾に考えておるのは、ここまで言うと少し言い過ぎかもしれませんが、今までの措置はやむを得なかったと思いますが、たとえば警察に電話をかけても、署長さんが出かけようとしても、署長さん自身が運転ができないから、運転手の来るまで待っていなければならない。あるいは急にどこかに突発事件が起こって警察に電話をかけても、運転手がいないから車で出かけられなかったというような不都合なことがないように、警察官はいつも運転ができるように、時代に即応した警察行政を立ててもらうことが必要ではないか。これは最近の交通事故と犯罪の実態から考えてみると非常に痛切に考えられる。従って、予算措置をどういうふうになされておるのか。またなされていないなら、これをどう措置されるのか、一つ公安委員長の方から御答弁を伺っておきたいと思います。
  33. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 ただいまの警官に対する運転の問題につきまして、学校にいる者については、これは先ほど長官から申し上げましたように、一般教養の費用から出しておるわけです。そのほか最近モーターバイクその他の機動性を持たせるために非常にこの数をふやしまして、警察の機動化ということをやっておるわけでございます。しかしながら、時代の進展に即応するためには、まだまだ予算が少ないわけであります。犯罪も複雑化してきておるわけでありますので、今後の問題につきましては、私は一生懸命努力いたしまして、今門司さんのおっしゃるような方向に一日も早く完全に持っていくようにしたい、こう考えております。      ————◇—————
  34. 永田亮一

    永田委員長 この際、派遣委員よりの報告を聴取いたします。纐纈彌三君。
  35. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 ただいま求められました道路交通法の一部を改正する法律案審査のための派遣委員の報告を申し上げます。  調査班といたしましては、永田亮一委員長、小澤太郎、太田一夫、二宮武夫の三理事と私が、崎川主任調査畳を伴いまして、三月二十四日東京をたち、同二十五日大阪府及び京都府下の現地を調査いたしたのであります。  このたびの調査は、現在当委員会で審査を重ねております道路交通法の一部を改正する法律案の審査の一環として、近く供用を開始される名神高速自動車国道の実情の調査を主眼とし、あわせて大阪市及び府下の交通規制の実情を調査いたしたのであります。非常に限られた時間でありますために、十分意を尽くして調査するというわけには参りませんでしたが、現地関係者各位の熱心な御協力により、ほぼ所期の調査目的を達成することができました。  また、現地では阪上安太郎理事並びに原田憲大蔵政務次官及び大倉三郎議員がそれぞれ参加せられ、調査の上に少なからぬ便宜を与えて下さいました。この際、あわせて厚く御礼を申し上げます。  次に、簡単に日程を申し上げますと、私どもは三月二十四日東京をたち、三月二十五日午前九時、大阪府警察本部に集合し、湯浅大阪府警本部長より、大阪市内の交通規制について、第一次交通規制の行なわれました昭和三十五年七月以来の交通事情、交通規制の実情を詳しく聴取し、午後は市内の交通事情を見るため、長柄橋を経由して日本道路公団京都南インターチェンジに到着し、高橋日本道路交団大阪建設局長より名神高速自助車国道の概況について説明を聞き、次いで名神自動車国道の京都南インターチェンジから栗東インターチェンジに至る区間を、最高時速百三十キロメートルのスピードで往復し、道路構造の調査はもとより、これから定めようといたしております高速自動車国道における自動車の交通方法の特例につきましても、不十分ではありましたけれども、実地に調査を行なったのであります。  調査はさきに述べましたごとく、名神高速自動車国道の実情調査並びに大阪市内におきまする交通事情、交通規制の状況はどうかという二つでございますので、便宜上、名神高速自動車国道の調査から申し上げます。  この路線は小牧市から西宮市に至る延長百九十一キロメートルの区間でありまして、設計速度は時速平坦部百二十キロメートル、丘陵部百キロメートル、山岳部八十キロメートルとなっております。また総幅口は二十四・四メートル、一車線の幅員は三・六メートルであり、路面はアスファルト舖装、車線数は四車線、インターチェンジは十四カ所、バスストップ三十カ所、設計荷重は自動車荷重二十トン、重要構造物としては、トンネル六カ所、長大橋二十一カ所、高架橋七十九カ所となっております。そのほか休憩施設といたしまして、サービスエリア四カ所、パーキングエリア九カ所が設けられる予定であります。建設費は千百六十四億円、完成予定は昭和三十九年度となっております。なお、高速自動車国道におきまする自動車の交通方法の特例につきましては、すでに政府の提案理由の説明にもありましたように、高速自動車国道におきましては、自動車以外の車両及び人の通行は禁止され、構造面におきましても他の道路等との交差はすべて立体交差方式をとること、一般の道路との連絡はインターチェンジによること、並びに中央分離帯を設けて往復の交通を完全に分離するなど、一般の道路の場合とはかなり異なった交通方法をとることになっております。  さて、私どもが実地に調査いたしましたのは、名神高速自動車国道のうち、本年七月十五日から供用を開始される予定となっておりまする尼崎−栗東間七十一・六キロメートルの一部であります。すなわち京都南インターチェンジから滋賀県栗東インターチェンジに至る二十九・六キロメートルの区間でありまして、工事は一部を除いてすでに相当進捗しておりました。私どものように東京や大阪の麻痺寸前の道路交通事情、ないしわが国の劣悪なる主要幹線道路を見なれている者にとりましては、平地や山間を貫いて走る四車線二十四・四メートルの名神高速自動車国道は非常に快適な印象を与えられ、りっぱなできばえであり、実際に百十キロないし百三十キロメートルのスピードで走らせてみました結果も、その安定感は一般の道路で四、五十キロ出している場合と大差なく、聞きしにまさる上々の安定感でございました。またわずか四十分間程度の試験的な運転時間ではありましたが、運転者の言によりますれば、ほとんど疲れないということでありました。  次に、このたびの調査を通じて若干の所見を申し述べたいと思います。  第一点は、最高及び最低速度の問題であります。もちろん短時間のきわめて不十分な調査でありまするので、断定的な所見は避けるべきでありまするが、まず最高速度について申しますると、私どもの印象といたしましては、国産車の最高速度は、走行の安全性なども考え大体百十キロメートルが許容の限度ではないかと考えられました。  次に、高速自動車国道の設けられました趣旨並びに安全性の見地から考えまして、多種多様な車種の存在するわが国の場合、高速自動車国道におきまする最低スピードを幾らにするかということは、なかなか技術的にもむずかしい問題であろうと思いまするが、最低速度を決定する以前の重要問題として指摘せざるを得ませんのは、前述のように多種多様な車種のあるわが国におきまして、高速自動車国道に乗り入れを許される車種をどのようにしてきめるかということであります。  次に、車種をきめたあと、自動車を安全にかつ円滑に走らせていく上での対策の問題といたしましては、第一に高速自動車国道における円滑な走行を阻害するおそれのある性能不良の自動車を、どのようにして発見するかということでございます。  第二には、自動車の積荷の重量が許された積載重量をオーバーしておりますと、当然スピードは落ちることになり、ひいては他の自動車の円滑かつ能率的な運行をはばむことになりますが、積載重量の適否をどこでどのようにして認定するかということであります。  第三に、高速度自動車国道におきましては、一般の道路の場合と異なり、道路上の小さな落下物といえども大惨事の原因となりかねない危険な要素をはらんでおります。従って、積荷の方法が、最高のスピードにたえ得る間違いのない、確かなやり方であるかどうかも、高速自動車国道における危険防止上決してゆるがせにはできない問題でありますが、これまたどのような方法でこれを確認するか大きな問題だと思われます。  次に、今回実地調査を行ないました上でも依然として、はたしてうまくいくだろうかと疑念を抱かれましたのは、高速自動車国道と一般の道路との連絡、すなわち自動車がインターチェンジからハイウエーに入る場合の運転技術上の問題であります。少なくとも相当に高度の運転技術、経験を持つ者でなければ、最高速度で走っているハイウエーの自動車の流れの中に入っていくことはきわめて困難だろうと思われるからであります。  次に、高速自動車国道における安全性の見地から重要な問題として、設置される道路標識の大きさ、あるいは文字ないし記号をどのようにするかということがあげられると思いますが、残念ながら今回の調査では、現地でその準備がなされなかったために、その適否を調査することができませんでした。  以上、不十分ながら所見を申し述べましたが、実際に現地の道路構造を見、直接最高スピードで自助車を走らせてみまして痛感いたしましたことは、このような高速自動車国道において多くの自動車が安全かつ円滑に走行するためには、何よりも運転者がその義務として、完全に交通法規を順守することはもとより、高度の技術と経験、並びに高い交通道徳を身につけなければならないということであります。警察当局におかれましても、この点に今後格段の留意と御努力をお願いしてやみません。  次に、大阪市内の交通規制の状況について申し上げます。  大阪市内の交通規制につきましては、第一次交通規制が昭和三十五年七月に、第二次交通規制が同三十六年四月十日、第三次交通規制が本年三月一日から実施されております。現在問題になっておりますのは第三次交通規制でありますが、簡単に申し上げますと、交通停滞の面からする大阪の交通事情は、昭和三十五年以来逐年深刻の様相を加えて参りまして、そのつど随時に交通規制を行ない、局面の打開に努めてきたとのことでありまして、三十五年の第一次規制におきましては、車両の増加と道路率のアンバランスの表面化によりまして、都心部及び南、北の繁華街において小道路を含め二百十五路線の一方通行並びに幹線道路二十九路線の駐車禁止を主とした交通規制を行ないましたが、十分な成果をおさめるに至らず、次いで三十六年に入り交通事情の一そうの激化に対処するため、船場地域内各道路における大型車両の運行禁止、北及び南繁華街におけるタクシーの流し禁止、主要幹線及び主要交差点における右折禁止を主とする第二次交通規制を同年四月十日から行ないました。この規制により一時は良好な結果を見ましたが、同年十月以降は再び規制前を上回る交通の停滞状態を現出するに至り、しかも三十七年度に入ってから、交通事情は日を追い、月を追ってますます激化し、この間交通状況の推移に応じ、ほとんど毎月駐車禁止路線及び右折禁止路線の拡大などを実施することによりまして、当面の交通緩和に努めたとのことであります。ところが本年に入りましては、一月中旬における交通停滞は、すでに前年同期の三ないし四倍となっておりまして、過去の趨勢から見ますと、本年三月には七百回程度に及ぶ交通停滞の発生が予想されるに至り、ついに本年三月一日から第三次交通規制が実施されたのであります。この規制は三十七年十二月下旬に臨時的に八日間午前八時から午後八時まで実施された規制、すなわち大型車両については長柄橋、十三橋、淀川大橋の三つの橋によって大阪市内に入る場合の禁止及び国道一、二号線、扇町線及び都島守口線の一部区間の通行禁止を主要内容とするものでありますが、第三次規制は、この臨時的規制に加えて、本町左専道線を追加し、大型車両を対象とする恒久的な規制として実施されたものであります。  なお、この規制の実施にあたりましては、府知事、大阪市長、大阪陸運局長、近畿地方建設局長、府警察本部長をもって構成する大阪府交通対策協議会五者会議ほか各方面の意見や要望を聞いて、慎重に検討した結果、市内中心部に影響する停滞防止を第一義とし、このことによって生ずる迂回路の停滞増加はやむを得ないものとの判断のもとに実施に踏み切ったとのことであります。  しこうしてその結果は、予想通り第二阪神国道外六路線の迂回路に停滞が相当に増加いたしましたけれども、警察当局の見解としては、これによってともかく市内中心部においては一応の混雑緩和をはかり得たとのことであります。  しかしながら、第一次及び第二次の交通規制はともかく、この第三次交通規制につきましては、ひとり商都大阪の府下のみならず、隣県はもとより遠く全国にそれぞれ大なり小なり影響を有しておりますことから、警察当局の規制にももちろん理由はございますが、民間の業者各位からも少なからぬ批判や要望が述べられております。  私どもはこのたび現地におきまして、業界の代表者から第三次規制についての要望を聴取いたしましたが、何分この規制は三月一日に実施されて日なお浅く、このため、これを検討するに足る統計資料にも事欠き、従ってこの規制の是非についてここに軽々に論ずることは適当でないと存じます。  しかしながら、ここ二、三年における東京の道路交通事情と、それに対してとられた規制措置及び民間の自主的協力の経緯を大阪の場合に対比してみますと、大阪の場合、第三次交通規制をも含め、今回の規制の効果と、今後の道路交通事情の推移を、慎重に見守った上で検討する必要があると痛感せられるのであります。この意味におきまして産業界、市民、交通取り締まり当局の三者の相互協力によって、総合的に再検討し、急迫した事態が少しでも効率的に、かつ円満に解決されることを望んでやみません。  以上をもちまして簡単でございますが、派遣委員の報告といたします。
  36. 永田亮一

    永田委員長 以上で派遣委員よりの報告は終わりました。      ————◇—————
  37. 永田亮一

    永田委員長 次に、引き続き質疑を行ないます。太田一夫君。
  38. 太田一夫

    太田委員 最初に、今報告にありました高速自動車道路の通行に関する今後の新しい規制、これに関連をする改正案についてお尋ねをしたいと思うのであります。これは冨永局長からお答えをいただいてもけっこうでありますが、最高速度の政令、最低速度の政令については、今日そろそろ結論が出て腹案が固まりつつあるのかどうか。もしあるとするなら、明らかになっている点だけでもけっこうですから、概略のお話をいただきたいと思います。
  39. 冨永誠美

    ○冨永政府委員 高速道路の最高速度の制限及び最低速度の制限につきましては、政令で定められるものでございますが、いろいろ各関係機関と寄り集まって何回か検討は続けております。理論的にも、あるいはまた外国の資料などももちろん取り寄せましてやっておりますが、何しろ現在の名神高速道路は、ごらんになったように、まだ全部は舗装いたしておりません。従って、実地にテストするためには、どうしても三十八キロから四十キロくらいの距離の道路が完全に舗装された上で、常時一体どのくらい出るのだろうかということをやってみなければわからないと思うのでございます。目下のところ、一応めどとしましては——ただいま御報告では、最高速度百十キロとございましたが、百ないし百十キロ見当、あるいは最低速度の制限につきましては、五十ないし六十キロのめどで検討はいたしておりますが、日本の車両の性能の問題なりあるいは運転者の素質の問題、こういったものも加味しなければなりません。大体五月ごろに実際の道路が相当長距離でき上がりますので、その上でいろんなテストをしまして、データを集めて、政令で定めたいというふうに考えております。
  40. 太田一夫

    太田委員 国家公安委員長にお尋ねをいたします。交通関係閣僚懇談会などにおいて、将来の交通のあり方についていろいろと御意見の御交換があっただろうと思いますが、それに関連しまして、これは必ずしも公安委員長の管轄下じゃありませんけれども、将来日本の国の自動車はいかなる性能のものをもって標準とするか、こういうことについて意見の交換がなされたことがあるとするならば、この際御発表いただきたいと思うのです。
  41. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 きょうも交通閣僚懇談会を開きまして、原警視総監から東京都内における交通事情の説明を聞きまして、それから、川島国務大臣から冨永交通局長に対して、大阪における交通規制の問題について質問がありました。交通閣僚懇談会といたしましては、取り締まり当局と関係各省との間に立って事務的な協力をする、その事務的協力が十分に行なわれなかった場合においては、閣僚からさらに事務当局に対して鞭撻するという申し合わせをきょういたしました。しかしながら、自動車の性能についてどういうものが望ましいというような専門的なことにつきましては、いろいろな閣僚がおりまして、私あるいは法務大臣、大蔵大臣、行政管理庁長官、建設大臣といったような、自動車というものに全然関係のない、関係がないと言ってはおかしいですが、専門家でない閣僚がたくさんおるために、そういう専門的な話はまだ出ておらないわけであります。
  42. 太田一夫

    太田委員 これはだれか専門家がいらっしゃったらお答えをいただきたいのですが、たとえば乗用車だって、車幅三メートル以上のもの、これを日本の国において今後スタンダードとしてつくる必要があるとお考えになっていらっしゃるか、それは困るというふうにお考えになっていらっしゃるか、その見解を一つ
  43. 冨永誠美

    ○冨永政府委員 自動車の車幅につきましては、当然一定の制限があるわけでございますし、それから日本の道路から見ましても、これは制限を課すべきであるわけでございます。現在二メートル五十になっておると思いますが、それが広がるということはちょっと考えられないではなかろうか。と申しますのは、今度日産のセドリック二九〇〇CCですかが出ましたが、車幅はやはり今までと変わりなく、長さが変わっておる程度でございまして、おそらくそれ以上に車幅が広がることは考えられないではなかろうかというように考えております。
  44. 太田一夫

    太田委員 それでは、外国の今日本へ入ってきておる大型車というようなものは、日本ではつくられない、そういうものを今後国産するという計画はないとわれわれ理解してよろしいでしょうか。
  45. 冨永誠美

    ○冨永政府委員 現在外国車につきましても、たとえば二メートル未満の車、あるいは二メートル、二・一メートル、二・二メートル以上というのになると非常に少ないわけでございます。世界の大勢から見ましても、乗用車の車幅がうんと広がるということはないじゃないかと思いますし、それから、日本の自動車につきましては、これは通産省の所管でございますが、もちろん世界に輸出するものと思いますが、そういった外国車よりも広がったものを輸出するというふうなこともないじゃなかろうかというふうに考えます。
  46. 太田一夫

    太田委員 輸出の車のことを問いたり、特別大きな大物車、重量運搬車の規格がどうなるかということを聞いておるわけではありません。国内の道路を通行する日本の国の乗用車、特に乗用車はいかなる規格をもってスタンダードとするお考えであるか。このお考えがないとするならばまたそれでよいのです。自由放任であるというならば自由放任でもよい。しかし、それがだんだん大型化に向かっていくという趨勢にあるならば、それに対して野放しにするということはないでしょう。セドリックスペシャルはわずかしか出ておりませんし、われわれその性能について知るよしもない。しかし、現在出ておりますトヨペットクラウンなどについて、私どもは高速自動車道路などにおいてテストを行なった。あれをもって日本における大型車のスタンダードとするならばあれでいいのですけれども、あれじゃない、あれはこれからの第一歩だ、これからだんだん大きくなってキャデラックのようになっていくのだということになれば、話は違うのです。そのことをお尋ねしたのです。
  47. 冨永誠美

    ○冨永政府委員 所管は通産省の方でございますが、私の方の聞いておりますのは、たとえば、今までですと、乗用車でいいますと排気量は一九〇〇CC程度でございましたが、ことしになりまして、それよりふえた新車が出てきたわけでございます。ですから、日本の乗用車も、今後高速自動車道路ができますので、それに耐え得るように技術、性能というのは向上されるのではなかろうかというふうに考えられます。国内的にもそうでございますし、また世界的にもハイスピードに伴って、それに対して安全な車、それからうんと性能が高まっていくという方向の線はたどるというふうに聞いておるわけでございます。
  48. 太田一夫

    太田委員 冨永さん、まさかしろうとじゃないでしょう。さっき門司先生がお尋ねになったのは、これからは自動車のことを取り締まりする人は、自動車のことを知らなければならないということをおっしゃった。自動車を知らずして自助車を語るということは、どうなんでしょうか。日本の国の特徴かもしれませんけれどもね。冨永さん、あなたのようなことをおっしゃって——あなたが一番中心だ。あなたは免許証を持っていらっしゃるから、免許証に関することについては、あなたは交通局長としてりっぱな輝ける存在である。けれども、こういうハイウエーにおけるところの交通取り締まり規則をつくろうというときになって、日本の国の自動車工業界の今後の趨勢というものを全然予測せずにつくっていらっしゃるとするならば、大きなあやまちを犯すじゃありませんか。とにかくセドリックスペシャルは三〇〇〇CCでしょう。二九〇〇か三〇〇〇。私は三〇〇〇CCと聞いているが、この三〇〇〇CCなら三〇〇〇CCという大型の、非常に高馬力のエンジンを装備した車ができてきた。これがハイウエー用になってくる。これが一般道路も通行するのだということになると、そうすると今の一九〇〇というのはそろそろいなか用になるかもしれません。そういう傾向にあるのかどうかということを聞いている。一九〇〇はこれからどんどん日本の国でたくさん生産されて、それが日本の国のハイウエー用として、花形として走る、日本の国産車、国民用の車のモデルになるのだとおっしゃるなら、私どもはそのつもりで考える。それが一九〇〇か三〇〇〇かわからぬじゃ、議論のしようがないじゃありませんか。ここは通産省の、業界の関係であって、通産省が来ていらっしゃらないから、通産省の方に来てもらってお尋ねしようと思っているわけではないから呼んでもないが、もし必要があれば、あなたの方でお答えできなければ呼んで下さい。これは長官でも国家公安委員長でも、何か大ざっぱに、日本の国の自動車というものの将来のあり方、これを一つお答えできたならば、この際お答えしておいてもらいたい。よくなっていくだろうなんておっしゃっては困ります。
  49. 冨永誠美

    ○冨永政府委員 車の大きい小さいにつきましては、大体の大勢を申し上げますと、アメリカの車は非常に大きいわけでございます。欧州の車は大体小型が多いわけでございます。中にはもちろん大きい車もございますが、そういう状況から見ますならば、日本の場合は、日本の道路事情全般から見まして、そう大きなものがふえていくということはおそらくないのじゃないかというふうに考えますし、それから、最初の御質問の、車軸につきましても、今のところ、現在保安基準で二・五メートル以下になっております。ですから、乗用車でこれをこえるということは、これはないというふうに考えます。
  50. 太田一夫

    太田委員 しからば、長さについてはいかがですか。
  51. 冨永誠美

    ○冨永政府委員 自動車全体の長さは十二メートル以下でこれも押えられておりますが、乗用車につきましては、またそれぞれ規格があるわけでございます。
  52. 太田一夫

    太田委員 乗用車というものを今私はお尋ねしておるわけですが、十二メートルなら十二メートルというトラックなりバスなりというものを引き合いに出してこれをおっしゃるなら、十二メートルまで乗用車が伸びる可能性というのをわれわれは考えなければなりません。バスのような大きな車に一人だけ乗るのですか。気分はいいでしょうけれども、この規制された生活の中ではたまったものじゃありませんよ。
  53. 冨永誠美

    ○冨永政府委員 ただいま十二メートルと申しましたのは、自動車全般についてでございます。もちろん、それをこえる場合においては陸運局長が特別認可する、特認の車両というものがあるわけでございますが、乗用車につきましては、小型自動車は長さ四メートル七十以下になっております。
  54. 太田一夫

    太田委員 あなたの考え方として、現行法制上のお答えをなさったことについて別にとやかく言うわけではありませんけれども、私は特に乗用車を中心にお聞きしておる。トラックの規制はずいぶんあった。トラックの規制については、六トン半以上を大型とし、六トンまでは大型としないという点から、免許証についても、年令制限、経験年数制限というこの条件というものは緩和されておるわけです。これは日本の国の現状というものからそこに出ておるわけです。そうしてみるならば、乗用車というものを何らか——現在どんどん交通が稠密化して参りました、混乱して参りました原因には、大型乗用車というものが相当原因をしておるわけです。これは大量輸送機関じゃありませんからね。一人か二人しか乗らない。もちろん一人は運転手が乗り、運転手のほかに一人乗るというのが大体平均ですから、こういう大きな車に一人だけ乗せて混雑する中を自由に走る、それに対して何ら規制は加えられない。そうして五トン、六トンのトラックに載せた日常貨物などの運送については、こっちはいいの悪いのというような妙な問題に今交通取り締まりが来ておりますから、そんなことは、大阪の都市の問題にも関連しておりますが、それは私はこの際ここで尋ねておるのではない。乗用車というものは将来とも野放しであるのかどうか。一九〇〇CCという今までのトヨペットクラウンとかセドリック、あるいはまたヒルマンならヒルマンというような車もありますけれども、その国産中型車というものが今後ハイウエーを走るのか、三〇〇〇CCをうたったスペシャル・カスタム、それに今後さや寄せされていくのか、これはどちらでしょうかということです。さっき五十キロか六十キロが最低であって最高が百キロから百十キロだとおっしゃったけれども、これはあなたは何を想定していらっしゃるのですか。そのことの想定がなかったら、百キロだ百十キロだということもいささか問題がある。われわれが見たのは、日本の一九〇〇CCのトヨペットクラウンを中心として、これを日本の今のハイウエーにおけるスピード・テストをしたのですから、だから将来はどうだということを聞いている。日本の国の自動車生産に対する方針はどうだということを聞いている。あなたは交通関係だから交通の法規だけだというようなことではなくて、もう一歩大きくいって、将来というものをちょっと考えていただきたい。
  55. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 この問題は、御指摘の通りの重要な問題でありまして、私たちとしては、今回大阪でも幅二メートル以上の大型車の規制もしたわけでありますから、できる限り交通の混雑に、支障にならない程度の車をもって理想と考えております。しかしまた通産省方面その他において、高速道路に対する大型車という考えを持っておるかもしれませんが、これは至急次の交通閣僚懇談会にこの問題を提出いたしまして、関係各省において、乗用車は、ことに国内用乗用車については、できるだけ大型化しないという一つの方向にまとめていきたい、こう考えます。
  56. 太田一夫

    太田委員 むやみに野放図に大きくならないことをお考えになるのは、現在の道路事情から考えて当然の帰結だろうと思いますし、ぜひそういう方向で考えていただく必要が非常にあろうと思います。特別な車の場合はよろしいですが、ぜひ日本の国情に合う車というものを編み出す必要がありますね。どうですか。フォルクスワーゲンをもって経済車、国民車としておるのも、ドイツの国民の気持と、それからまたドイツの産業とドイツの経済事情とドイツの道路と、幾つかの問題から割り出して、そこにおのずから帰結が来た。日本は初めのうちは小さかった。小さな小さなダットサンみたいなものが出て、それが今日三〇〇〇CCの容量を誇るようなスペシャルまで——同じように製造会社でも飛躍をしていったわけです。そこにどんどん無制限に大きくなっていきますと、どうも日本の国の道路事情というものを複雑化してくるだけである、混乱を増大するだけのような気がする。そして通産省に対してももう少し国策としての——国策というよりは日本の国の方針として、何か道路交通事情に合致するように、そうして経済の発展にも資するように、そういう点で指導的な何かをお持ちになる必要があるような気がする。これは交通関係の皆さんがそれに対して定見をお持ちにならなければいけないと思うのです。受け身の立場ではいけない、積極的にやらなければいけない。もっと打って出て下さい。そして日本の国の将来の産業経済は交通から始まるのだ、ここまで行って下さい。車両のことは運輸省、それからつくる方のことは通産省だなんておっしゃらないで、それを総合して、一つ自治省において、国家公安委員長は特にその点の総本山となられるように御期待したいと思います。
  57. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 ちょっと関連。ただいま乗用車の幅員の問題あるいは長さの問題が問題になっているのですが、私はきのうも太田先生たちと一緒に見てきたわけです。なるほど四車線でございますから、道路自身としてはりっぱな道路ですし、一車線の幅員というものも一応日本の状態にマッチしたものだと思うのです。全体としては広いのだけれども、市の幅員とか長さというものは、あのりっぱな道路ができても、当然私は日本的に規制されなければならぬ問題じゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。従いまして、セドリックの新しいのができたのですが、国内で使う問題としては、特殊の自動車は別でしょうけれども、一応は今の程度で、とにかく今の最大限度以上に幅を広げたり長さを増すべきではない、こういうことを考えるのです。むしろ長い間スピードをあれしていますが、走ることに耐え得るだけの性能のいい自動車をつくるということがすべてではなく、高速自動車道路が全国に全部できるわけでもないのです。結局そのインターチェンジから国道なり府県道なり市町村道に入ってくる、こういうことになりますと、高速自動車道路だけの専用の車としては、一車線といたしましても今より少しはゆとりのある幅でありますからいいかもしれませんけれども、しかしそれが高速自動車道路ばかり走るわけではありませんし、今の程度の制限で、それ以上長くするとか広くするということは絶対にやらないようにするのが、道路がよくなりましても今後の日本の交通状態を安全にするゆえんであろうというふうに私としては考えるのです。そこで今大臣も申されましたが、一つ交通閣僚の懇談会等におきましても——実は今までも道路が少しよくなってくると、車というものが先に大きくなってしまうというのが実情なんです。すでに高速自動車道路が開通すれば、十五トンくらいの貨物自動車も計画されておるようなことを相当前に新聞等で見たわけですが、そういうことで道路がいつも車に先を越されてしまう、そのために非常な交通の混乱を来たすという結果を来たしておると思うのです。高速自動車道路が一つ日本にできたわけですが、それだからといって今太田先生が御質問になったように、むやみに幅員を広げたり長さを延ばすべきではないという考えを私は持っておりますが、これに対して一つ大臣のお考えを承りたいと思います。
  58. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 全く同感でございます。現在におきましても、各官庁あるいは衆議院等におきましても、いわゆる大型の外車というものがだんだんなくなりまして、トヨペットとかプリンスとかいったような、いわゆる中型と申しますか小型自動車と申しますか、そういうものに全部乗りかえておる状態であります。われわれも国産奨励という意味もあるし、交通緩和という意味もありまして、みんな大体トヨペット級に乗っておるということであります。それ以上の大きなものを、さっき太田さんのおっしゃったように、大きな車の中に一人どっかりすわっていくというような必要は、われわれ日本人にはないわけであります。外国使臣等が、本国から車を持ってきまして乗っている分には、これまでとめるわけにはいきませんけれども、われわれ日本人といたしましてはそういう必要は全然ない、こう思っております。従いまして交通閣僚懇談会あるいはその他の場面におきまして、私はただいまおっしゃったような主張をお取り次ぎするとともに、私自身の主張としてもそういう考えを持っておりますので、今後そういう方向に意見をまとめていきたい、こう考えております。
  59. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 発言を許されたので、関連になるかならぬかわかりませんが、今度道交法で高速自動車道路の取り締まり法ができるわけでございますが、私どもきのう走りましたのはきわめて一部分でございますが、今度七月か九月でございますか、完成するのも、これまた高速自動車道路のほんの一部分でございます。ことに大阪、京都から神戸の方も関係があると思うのですが、あの高速自動車道をとにかく走ってみたい、いわゆるカミカゼといいますか、スリルを味わうというような者が相当出てきて、いいかげんなボロ車がしばらくの間出るのじゃないかという感じがするのです。そこで私は、今の法案では、そこを通ります自動車は、どんな車でもこばむわけにいかぬということに一応なっておるようでございますけれども、むしろしばらく、この期間だけは試験的に走らせる、そういう考え方のもとに、相当性能のいい、あるいはある程度車種も制限をするというようなことで、一年間くらいは——ヤジウマが入ってくるおそれもありますし、一つ初めての高速自動車道路が利用されるようになりました際は、むしろそういう形で持っていって、そうしてその経験によって全体の取り締まり法を考えられるということが、あの高スピードで走る場合における事故を減少する一つ原因でないかというふうに私は考えておりますので、これに対しまして一つ御答弁をお願いします。
  60. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 私もそういうことを考えております。高速道路で一番こわいのは、百キロなり百十キロなりで走っているときに前の車が急にパンクするということです。そうしますとうしろからついていく車は、どんどん連続的にそれにぶつかります。私も台湾でそれをやられまして、もうちょっとで死ぬ思いをしたことがあるのですが、そういうことで非常に危険でございますから、性能の悪い車を入れておくということは、今おっしゃったように非常に危険でありまして、どういうところまで制限するかということは別といたしまして、一つ研究をして、そういう危険のないような方法をとりたい、こう考えております。
  61. 太田一夫

    太田委員 運輸省の整備部長がおいでになったそうですから関連をして一つこの際お尋ねをしておきたいのです。それは道路運送車両法の規定によりまして、自動車の構造、装置につきましては、一応技術基準というものに適合しなければ運行の用に供してはならないということになっておるわけでありますが、高速自動車道路というものの走行に関連をしてお尋ねをするわけです。  今ちょうど大臣がおっしゃいましたけれども、パンクをするというような場合に、百十キロから百二十キロのスピードというもので走っております場合に、急にパンクをした、そのためにハンドルをとられたりなどして、どのような事故が起こるかわからない。そういうテストを一ぺん冨永さんやって下さいと言ったのですが、どうも自分の命があぶないということでおやりにならない。それで実は無事故運転のテストだけやりまして、最優秀車で走るテストだけしかやられなかった。これでは将来ボロ車も出ると思いますので、テストにならない。従って運輸省においては、タイヤ、チューブのたぐいは、技術上の合格の認定がなければ使えないということになっておるのでしょうか、どうでしょうか、これをお尋ねをしたい。
  62. 宮田康久

    ○宮田説明員 今お話のように、アメリカあたりの例で見ましても、ハイウエーでの故障は、タイヤ、チューブのパンクの故障が三、四〇%で一番多い、そういうことになっております。わが国におきましては御承知通り非常に現在は低速で走っておりますので、タイヤ、チューブのパンクによる事故というものはただいまのところはございませんが、今後高速道路ができまして走ることになりますと、私どもも一番この点については関心を払っている点であります。現在保安基準でも簡単に、抽象的にきめておりますけれども、今後高速道路を走行することになりますと、さらに具体的に、たとえばタイヤの表面にトレッドというぎざぎざの部分がございますけれども、そういうものがまる坊主になってはいけないとか、あるいはタイヤの表面にいろいろ傷がございますと、それが発熱の結果、そこがきっかけになりましてパンクをいたしますので、そういうようなことにつきまして、今後基準的にもはっきりして参りたいと思っておりますし、一方やはり何と申しましても、車をお使いになる方々の点検を十分やっていただかなければならない。もう一つは空気圧を適正に入れていただかなければならない。そういうような取り扱いを気をつけていただかないと、そういうような事故になりますので、今度道路運送車両法の一部改正を国会にお願いしておりますけれども、日常の点検の義務づけのほかに、さらに定期点検の義務づけもいたしまして、そういう点について走行上、保安上大切な装置につきましては、十分定期的にも点検をしていただく、そういうような手段を今後いたしまして、極力そういうような事故のないように努めて参りたいと思っております。
  63. 太田一夫

    太田委員 宮田部長さん、それは点検とかどうとかというところに中心を置くということは、使用者側、ドライバーに一切責任が転嫁されていくわけです。ところが私のお尋ねするのは、技術基準とかなんとかという言葉を使ってありますね。技術基準に適合したものでなくちゃならないというので、車輪というものは、車体そのものに固定した部分についてはそれが言われておるが、付随したものの中に、一番大事なタイヤ、チューブの問題について除外されておるのはいかにも不可解千万だと思うのです。ですからそのためには、技術基準に適合したものでないと使っちゃならないという原則から出るべきではないか。そしてその点検を十分にしなさい。百十キロ走ったら——普通徐々に空気が抜ければ心配要りませんけれども、一挙に破裂するものがありますね。これなんかこわいと思うのです。隣の車がたまったものじゃない。そういうことになりますと、タイヤ、チューブの研究をもう少しおやりにならなければいけないと思うのですが、そこで代永通産省有機化学第二課長が来ておいでになりますが、あなたにお尋ねしますが、自動車用のタイヤについては、今度日本にも高速道路ができますが、そういうスピードにたえ得るものでなければ、これをあなたの方としてJISマークの適用になるのかどうかわかりませんけれども、はめさせちゃならない。つくってはならない。つくったものについては何らめんどうを見ないとか、つくるものについて指導するとか、そういう方針について確立しておるのでしょうか。
  64. 代永久寿

    ○代永説明員 御質問の趣旨は、今われわれといたしましてはタイヤ・メーカー六社ございまして、日本としてはほかの企業に比べますと、寡占状態にあるのです。六社とも外国の技術を導入しておりまして、向こうの技術でやっておりますので、タイヤ自体の性能というか、品質においてはそう外国に比べて遜色はない。ただ日本は外国と違いまして、悪路が非常に多いということで、今のスタンダードは、普通乗用車は五万、トラック、バスが六万から七万キロメートル走る耐久力でやっているわけですが、悪路になりますと、その七掛くらいが大体日本のタイヤのいわゆる固有の経時年数になってくる。今お話の規格その他の問題につきましては、タイヤにつきましては規格はJIS規格があります。ただし、その規格をさらに上回ってというと、ロードがもっとかかるようなタイヤを今盛んにつくって、若干過当競争ぎみな状態に陥っているわけです。これにつきましては自動車の方の完成車側の方の技術もさることながら、われわれの技術としましても、外国のタイヤに劣らない域に達しているというようなものの、もう少し日本の道路並みのタイヤに規格を統一した方がいいんじゃないか。あまりロードのかかるものだけをよけいつくって、そして価格が高くなるにかかわらず、値段はそのままだんだん下がっていくということは、企業の経常基盤の上からいってもゆゆしき問題であるということで、アメリカあるいは英国並みの規格に直して、今JIS規格がより以上、二割くらいオーバーの規格に実際はなっておりますが、これをアメリカあるいは英国並みの規格に直して、高速道路にたえ得るようなタイヤに持っていこう。幸い今度特定産業の指定に自動車と一緒にタイヤがなりましたので、いろいろの点において企業の改善、品質の改善その他について規格の統一、そういうものについて大いに指導していきたいと思っております。
  65. 太田一夫

    太田委員 代永さんのお話は、若干改善の意図があるようですからいいです。五、六万キロまではいいというのですが、はたして、今の日本の国のタイヤが外国の技術を導入しておるから、六メーカーのものならば絶対に事故を起こさない、そういう高速道路を自動車が走っても事故が起きない保証があるかどうかということにつきまして問題があろうかと思います。現在の状態では、それではタイヤ行政というものに対しては画期的なものがありませんよ。今までうば車にタイヤをつけているようなものだから、だからないのですよ。先ほど篠田自治相、国家公安委員長は、今後日本の自動車というものは日本の国情に合ったような自動車に育てていくということをおっしゃっていらっしゃる。あまり大きなものをつくる必要はありませんけれども、とにかくタイヤにしても、始終日本のこんな悪い道路を走っていて、たまにわずかばかりの高速道路を自動車が走ると、一ぺんにパンクするということのないように、技術統一の問題についてはレベル・アップをたのみたい。ダンロップならダンロップ、ブリヂストンならブリヂストン、そういう有力メーカーのものが日本の自動車に使われておると思いますけれども、これは品質の改善について極力指導していただきたいと思う。特に日本の道路においてはくぎが多いので、くぎを踏んでも急にはパンクしないとかなんとかいう技術的な考察を加える必要がさらにあろうと思いますね。ぜひそれを一つ考えてもらいたい。  それで、整備部長さんの宮田さんの方にお尋ねしますが、道路運送車両法は、従って今の通産省の御意見から考えても、あなたの方は、通産省がレベルが低いからあまり私の方もそのことをとやかく言えぬということで、低い方に統一していたように考えるわけでありますが、あなたの方が自動車のタイヤ、チューブにおいても、これを見て、そんなものがあったらこれはだめだ、変えなさいという場合に、車検などの際において十分検討されて、特に最初の場合においては、どこのどういうタイヤを使うのがこういう性能の車に適している、適していないということについて、今までの車の一般的な諸機能と同じように見てもらう必要があると思います。今度の道路運送車両法の改正にそのことを期待してもようございますか。
  66. 宮田康久

    ○宮田説明員 今の先生のお話でございますが、私、タイヤの問題は、道路の整備とともに最近だんだん高速にもなって参りますし、従って新しい車が出ました際に、その車両の重量、それからそれに人間の重量、積載荷物の重量を足しまして総重量、それに合いますように、タイヤに無理のないように、それぞれのタイヤのサイズあるいはプライス数によりまして、適正な荷重がきまっておりますが、その荷重に合いますように、年々荷重を下げて参りまして、より安全のタイヤを使いますように今まで行政指導もして参りましたし、基準をいろいろきめて参りました。そして今後ますます高速を出しますものにつきましては、その規制値を下げていこうと、今検討しております。  それから先ほどの検査の際もっと厳重にやったらというお話でありますが、その点私どもといたしましては、今後さらに厳重にやっていく所存でございます。
  67. 太田一夫

    太田委員 通産省と運輸省の関係の方にお尋ねするのは以上でとめておきますが、タイヤ、チューブというものの問題がさほど焦点に上がってきておりませんでしたけれども、十分一つ日本の国の今後のハイウエー交通に適合して、無事故でいくように特段の御配慮と御指導を賜わりたい。そうしないと、私は道交法の審議に不安を感じてたまらない。先ほどおっしゃった、五万、六万キロは絶対責任を持つということがなければ、価格競争において不当にダンピングする、そしてそれは粗悪品もまじるということになりますと、その粗悪品そのものによって事故が起きるわけでありますから、そういう点も十分皆さんの方で、進歩発展、前向きの御指導を賜わりたいと思います。  大臣お急ぎのようですが、ついでに一つ。統計をいただきましたので、それに関連してお尋ねするのですが、この統計の中に、鉄道事故というものはこれは事故じゃないらしく、原因の調べの中に鉄道踏切のものが全然ないのですね。そういうものが載っておりませんけれども、私はずいぶん多いと思うのです。それで鉄道の問題について私がこの際お尋ねすることは、一たん停止というものをやればいいのでありますが、それができないという点についてはしょうがないと思います。ぶつかったらぶつかった方が悪いでしょうけれども、そればかり言っておるわけにはいきません。何しろ日本の国に踏切の多いのも、これはまた日本の悪路と同じように当然とする考え方がいけないのでありまして、踏切の数が多ければそれを減らすために立体交差というものが一つ考えられたわけですが、立体交差以上に金のかからぬ方法は、踏切道の整理統合ですよ。自動車が通ったら車輪を落としそうなあぶない踏切などはどんどん整理してしまって、ほかの道の方へ回し、そしてそこは踏切番がいるとか遮断機があるとかいうところに交通を導くということが必要だと思う。ある踏切を全部認めるから次から次へ、特急「こだま」に乗りましてもホイッスルを鳴らさないときはない。ホイッスルを鳴らしっぱなしで東京−大阪間を走るなんてことは、日本の踏切がどうかなっていると思うのですが、ぜひ踏切の廃止統合の必要があると思いますが、公安委員長としてどうお考えになりますか。
  68. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 確かにおっしゃる通り日本には踏切が多過ぎて、しかも無人踏切が非常に多い。特にいなかへ行きますとそういうところが非常に多い。踏切の統合あるいは無人踏切に対する、どうしても必要であるならば人員を配置するということは、絶対必要だと思います。
  69. 太田一夫

    太田委員 そうです。踏切に人間を配置することは必要だが、人間には不注意というものがありますから、機械というものの信用も大事ですね。私は人間だけというのはちょっと不安でしょうがない。人間がおる踏切は、自動車に乗っておっても、運転手に言うのだが、人間のおる踏切だけは気をつけてくれよ、警報機の鳴っておる踏切はちょっと左右を見るだけでいいが、人間がおる踏切だけは気をつけてもらいたい、こういうところは必ず見通しの悪いところだから見てくれと言っております。科学というものを取り入れてもらいたい。そういうように踏切を、近いところにたくさんあったら整理して三つのものを一つにする、こういうことを国家として何か御指導なさる必要があるということを言いたい。
  70. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 前々から私もその通り考えております。私も今人間のいないところは人間を配置すると言ったのは、決して信号機とか科学とかを無視したのではなく、もちろん信号機をつければ一番けっこう、そういうことで、全くあなたと同感です。
  71. 門司亮

    ○門司委員 ちょっと一つだけ聞いておきたいんだが、今までの質疑応答を聞いておりましてちょっとふに落ちない点があるから、どなたからでもけっこうです。タイヤの耐久力その他言われますが、問題は車検だと思う。現在の車検の期間は二年です。車の関係は十年ということになっておる。結局具体的に言うと、五三年の車も今検査を受ければ二年間はよろしい、こういう規定になっておるのですな、たしかに。そうなりますとタイヤの耐久力だけが物を言うわけではなくて、車検が非常に大事な問題になってくると思うのです。十年以上の車が今受ければ二年間検査を受けなくてもよろしいという既定になっています。これをどうされるつもりですか。私はこれはタイヤの耐久力だとか車種だとかいいますけれども、問題は車検だと思うのです。片方は車検を通っているのですから通ってもよろしいという規定があるのだから、しかも十年前の車でも二カ年は権利がある。この問題はどう処置されるつもりですか。こういう高速道路の問題についての考え方、これは私は一番おそろしいと思うのです。それに対する何か対策がございますか。
  72. 宮田康久

    ○宮田説明員 今車の定期検査のお話がございましたが、今車の定期検査は、御承知のようにバスでございますとかタクシーでございますとかトラック、これは自家用、営業用ともでございますが、一年間ということになっております。それからその他の自家用車の乗用車でございますが、そういうものにつきましては二年になっております。さらに今お話がございました点で、車齢十年以上の車につきましては、二年のものも一年ごとにやっております。定期検査は御承知通り人間で申しますと健康診断でございまして、健康診断のときに悪いところは直していただく、そういう制度でございまして、従って一年間あるいは二年間それぞれの期間を保証するというような制度ではございません。従って道路運送車両法には、日常の点検は必ず車の使用者の方がやっていただくような義務づけをしてございます。さらに先ほどちょっと申し上げましたが、今回の道路運送車両法の改正で、事業用の車でございますとかあるいは自家用のバスでございますとか、あるいは大型の自家用トラックでございますとか、そういうものにつきましては、一カ月ごとに定期点検を必ずしていただく、そういう義務づけを今回することにしております。さらに一般の自家用乗用車につきましては、日常の点検はもちろんでございますけれども、今回六カ月ごとに必ず定期点検をしていただく、そういう義務づけをいたしまして、それによりまして極力自主的な整備の面も進めて安全をはかりたい、そういう改正を今回提案をしております。
  73. 門司亮

    ○門司委員 改正の点がなされておれば、あるいはそれで多少カバーできるかと思いますが、多少不安になるのですね。義務づけておるからよろしいというお話ですが、義務づけておること自身が非常に問題がありはしないか。車齢と車検の問題、それから高速道路の問題の三つの関係は、どうか一つ注意をしてもらわぬとえらいことになりはせぬか。義務づけているからといったって、相手が義務を怠って事故を起こせば、被害者はその車だけにとどまらない、他人にひどい迷惑を与える。ただ政府といいますか役所の方では、義務づけているからそれでいいのだという安易な考え方は、私はどうかと思うのですよ。車齢十年といいますとかなり古いのです。それが二年も権利を持っている。しかもそこを通る車は、やはり乗用車その他が多かろうと思うのです。やかましい方の車は割合少ないのではないか。バスやその他でスピードのあるところを通るという車は案外少ないのじゃないですか。この関係を私はもう少し突っ込んで、そういうことでなくて、ほんとうに整備をするかどうかということを聞きたいのですが、きょうはこれ以上私は質問いたしませんが、委員長にお願いしておきますことは、いずれ速度その他の問題は政令で出されると思います。そこで今出されておる法案が全部通ったあとで政令を出されるときに、委員会に一応報告を願いたいと思うのですが、もう一ぺん政令を私ども見せてもらいたいと思うのです、このことを一つ委員長から大臣の方に要求をしていただいて、どうせ五月か六月ごろになるでしょうから、政令ができたときは委員会に一ぺん——われわれが政令に関与するわけではありませんが、一応見せていただきたい。このことをつけ加えておきます。
  74. 太田一夫

    太田委員 最後ですが、警察庁長官一つお尋ねをしておきたいのです。それは今度の場合も、歩行者の道路横断を安全ならしめる措置として、自動車の横断歩道前一たん停止厳守の改正があります。従って、もしも一たん停止を怠った場合には、三万円以下の罰金ということになりますので、先回もちょっとお尋ねをしたのでありますが、これを完全に守るということは容易ならざることでもあろうと思いますし、場合によってはその一たん停止が若干中に入ったとか入らなかったとか、どうだこうだということで、ずいぶん運転手諸君がしぼられる。しぼられるというと何ですが、きつく制裁を受けることもあろうかと思う。私どもは道交法をつくりましたときから、警察庁の方針というものは、この中にもちろん取り締まりという言葉が使われておりますけれども、取り締まりの中に指導という面が非常に多くあって、必ずしも摘発をする、そしてその罰金を課することをもって目的とするのじゃない。何か違反を待ち望むという態度ではなくて、違反が起きないように極力措置をする、極力指導をする、こういう気持が当時多分にあったと思ったのですが、その後この道交法実施以来、まことに膨大なる罰金の額になりまして、従ってそれだけ自動車の運転手の側から見ますと、怨嗟の的になっておる。常に道交法粉砕と言われる、私は残念だと思うのです。もう少し警察庁の最高の指導精神が、末端の交通警察官に及んで取り締まりに遺憾なきを期する。ということは取り締まるということでなくて、指導という面にもう少し重点を置いていただく必要があろうと思う。何も取り締まりという刑罰の対象ばかりではない。この精神というものは少し勝手がよすぎるでしょうか、長官に一つ御所見を伺っておきたい。
  75. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 道交法の精神がただいまお話のように、単に取り締まりということによって交通の危険を防止し、その円滑をはかるということではなくて、むしろ車を運転する人、歩く人、そういうものが相互に交通道徳を守り、その規則に従って行動するということを期待いたしておるわけでございます。従いまして私どもは、法律におきまして罰則規定が設けられましても、もちろん悪質なものについてこれを厳重に適用していくということは、当然必要なことでございますけれども、願わくは運転者がこれによって非常に自覚を高めてもらう。同時にまた取り締まる警察官においても、法の新精神にのっとって、ただいまお話のように、違反件数を極力あげるというようなことに努力するのでなくて、予防をし、悪質なものについては断固として取り締まるという態度をもって臨むように、これは私ども末端の警察官に対しても、できるだけ教養指導を深めて参りたいと考えておる次第であります。
  76. 太田一夫

    太田委員 そういう心がまえならば私もけっこうだと思います。ぜひそれを末端まで実践をしていただきたい。しゃくし定木にわたるところの取り締まりがしばしば行なわれ、場合によっては陰謀をもって違反を犯させ、その違反を極力あげることによって交通警察官の任務が全うされたごとき、どうも本末転倒の現象さえ見られるような気がする。ですから、場合によってはどこかに隠れていて、ちょっとしたわずかのことに大きな罰を課そうとすることもしばしばあるのでありますから、善意による過失をいささかも顧みないというような苛酷な取り締まりに堕さないように、一つ十分運用に心がけていただきたいと思います。  質問を終わります。
  77. 永田亮一

    永田委員長 他に質疑はありませんか。——なければ本案についての質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  78. 永田亮一

    永田委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じます。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  これより採決いたします。  道路交通法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  80. 永田亮一

    永田委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法毎案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十四分散会      ————◇—————