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1963-03-19 第43回国会 衆議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月十九日(火曜日)     午前十一時二十分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 小澤 太郎君 理事 高田 富與君    理事 丹羽喬四郎君 理事 阪上安太郎君       宇野 宗佑君    大竹 作摩君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       久保田円次君    田川 誠一君       富田 健治君    山崎  巖君       川村 継義君    山口 鶴男君       門司  亮君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁交通局         長)      冨永 誠美君         運輸事務官         (自動車局長) 木村 睦男君         建設事務官         (道路局長)  平井  學君  委員外出席者         通商産業事務官         (重工業局自動         車課長)    佐々木 学君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     宮田 康久君         専  門  員 曾根  隆君     ————————————— 三月十九日  委員川村継義君辞任につき、その補欠として中  嶋英夫君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月十八日  人車左側統一通行に関する請願(小川半次君紹  介)(第二三七四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一八号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。小澤太郎君。
  3. 小澤太郎

    小澤(太)委員 ただいま提案されております道交法の改正につきまして、二、三説明していただきたいと思うのでございます。  と申しますのは、日本としては最初高速専用自動車道路であろうかと思いますので、この道路が十分な効用を発揮いたしますと同時に、道路交通の安全ということを確保しなければならないかと思います。従いまして、慎重を期して交通法規につきましてもこれを制定しなければならぬということは、当然のことでございますので、多少こまかいことで恐縮でございますが、常識的に考えまして気になることを二、三お伺いしておきたいと思います。  まず第一に、近く、これは七月ですか、供用開始になるといわれております名神国道につきまして、その道路交通安全という建前からどのような考慮を払っておりますか、構造上どういうふうになっておりますか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  4. 平井學

    平井(學)政府委員 お答えします。  まず道路構造の上から申しますと、この道路路幅は全部全長二十四メートル、これはドイツの戦前のアウトバーンと大体同じ規格でございまして、二十四メートルの中で中央分離帯あるいは路肩、そういったものは十分に余裕を見てありますほか、ガードレールの設備あるいは警戒、案内標識インターチェンジの工合、すべて道路法道路管理者として当然払うべき交通の安全と交通の円滑なる処理、この観点からいたしまして、現在のわが国の実情から申しまして許され得る最大限度の注意を払ってやっております。  それから次に、これは警察にも運輸省にも関係する問題でございますけれども、ここを走らせる、あるいは走ってもらう自動車につきましては、まだ結論を出しておりませんが、はたして現在高速自動車国道法にいう自動車全部がそのまま走っても大丈夫であるかどうかという点につきまして、速度の問題あるいは各車輛の構造上の特徴に基づくところの安全、不安全の問題、こういった問題につきまして実は運輸省警察当局、この辺と技術的な観点からする検討を現在進めております。
  5. 小澤太郎

    小澤(太)委員 ただいまの御説明は、名神高速自動車道路についてのように伺いましたが、今後建設される各高速自動者道あるいは中央道その他、これはみな同じような構造ですか。それとも道路によっては、たとえば車線が今二車線ずつだと思いますが、一車線にするようなことがあるのかどうか、そういう点も一つお知らせ願いたい。
  6. 平井學

    平井(學)政府委員 さしあたりお答えできますことは、現在着工中の東京−名古屋間の、いわゆる東海道幹線自動車道、これにつきましては現在の名神と少なくとも同等ないしこれ以上の規格施行命令を出してもらっております。富士吉田までに至る中央自動車道につきましても同じ基準でやっております。ただ、現在調査段階でございます。あるいは東北縦貫自動車道あるいは九州、中国、いろいろ全国的な縦貫道調査をやっておりますが、こういった路線につきましては、区間によりましては、経済調査その他の調査からいいまして、交通量が今後五年、十年間何台以上伸びないということが明らかなようなところは、現在の名神高速道路並み基準から若干落として構造考えるということも十分ございます。たとい同じ二車線にいたしましても、二十四メートルとらずに、たとえば二十メートルくらいで車線が十分とれるのでありますが、そういうふうな、路幅を狭くする、あるいはその他の路肩を狭くするといったようなことは将来はあり得ると考えております。
  7. 小澤太郎

    小澤(太)委員 将来は場所によっては今よりも程度を低くするというお話でございますが、一車線高速自動車道を建設するというようなお考えはないわけですか。
  8. 平井學

    平井(學)政府委員 現在のところ、今後の自動車状態その他を考えまして、高速自動車道と名のつく以上、一車線というものは私ども考えておりません。
  9. 小澤太郎

    小澤(太)委員 それで安心いたしました。何か中央道については、ひょっとすると一車線になるかもしれぬというようなことも聞いて心配しておったわけでございますが、交通安全という建前からいたしますならば、できるだけ構造をよくしていくという配慮をしていただきたいと思います。  そこで、なおこまかいことを向いたいと思いますが、この道路全体としての設計速度はどれくらいになっておりますか。
  10. 平井學

    平井(學)政府委員 現在工事中の名神あるいは中央道、いずれも設計速度最高が百二十キロ、それから次の段階で百キロ、最低で八十キロ、この三つの段階設計基準でやっております。これはむろん御承知と思いますが、地形、主としてカーブあるいは勾配、こういったものを考慮して、最適の条件のところは百二十キロまで設計速度考えております。カーブ勾配その他の関係からいってやや危険なところは八十キロの設計速度にしております。
  11. 小澤太郎

    小澤(太)委員 それからインターチェンジのところは、どのくらい速度を落として出入りするようになっておりますか。
  12. 平井學

    平井(學)政府委員 現在のところ名神高速道路は三十五キロで出入りすることになっております。
  13. 小澤太郎

    小澤(太)委員 交通局長に伺いますが、キープレフト高速自動車を走らせる、その際に二車線の今の構造インターチェンジに出入りする場合に速度が落とされますが、こういう場合にどういう交通の仕方をするわけですか、具体的に伺いたいと思います。
  14. 冨永誠美

    冨永政府委員 今度の高速自動車国道で、大体二車線でございますので、二車線の場合の原則は、いろいろ検討しました結果、諸外国で実施しております経験も取り入れまして、左側車線を守ってもらって、右側車線追い越しをしていく。右側車線を、追い越しする場合の余地を置いておく。いわゆるキープレフト原則の方が車も安全でございましょうし、また円滑にもなるのではなかろうかということで、いわゆるキープレフト原則を立てておるわけでございますが、今のインター・チェンジから入ってくる場合との関係におきましては、大体本線車道を、本線のいわゆる高速通行路といいますか、この方を優先にいたしまして、インターチェンジから入ってくる車はその車の間を見て入っていくというふうなことにいたしております。救急自動車は例外でございますが。その場合におきまして、場合によりましては、インターチェンジから今の高速通行路に接触した部面におきましては、あるいは高速通行路を走っておる車の方が右側に若干行くようなことも考えられるのではなかろうかというわけで、これはやむを得ない場合は右側を通ってもかまわないということで処理をいたしたいというふうに考えております。
  15. 小澤太郎

    小澤(太)委員 最低速度をきめるようになっておりますが、最低はどのくらいになっておりますか。
  16. 冨永誠美

    冨永政府委員 これは当然最低速度を設けなければ車の円滑ということはうまくいかないと思いますので、最低速度の制度を設けなければならないと思いますが、しからばその速度をいかにすべきかということは、これはいろいろの関係影響もあるわけでございますが、大よそのめどとしましては、五十ないし六十くらいになるかと思いますが、実際問題としまして、今、名神国道が実際にできておりますのは八キロないしは十キロでございますので、これだけではまだはっきりどのくらいがいいかというわけにいきませんので、もう少し距離ができました場合におきまして実際にテストをやりまして、検討していきたいと思います。もちろん、最低速度をきめます場合におきましては、政令で定めることになりますので、いろいろな関係機関とも打ち合わせしまして、最低速度というものをきめたいと思いますが、大よそのめどとしましては五十ないし六十くらいじゃなかろうかというふうに考えております。
  17. 小澤太郎

    小澤(太)委員 非常に輻湊しておらない場合は問題ないと思いますが、だんだん自動車がふえて編湊して参った場合に、インターチェンジからの出入りとその沿道を走っておる自動車速度関係で、そこに混雑を起こすようなことがないかどうか、それがちょっと心配なのですが、その点はどういうふうに考えておりますか。
  18. 冨永誠美

    冨永政府委員 インターチェンジと申しましても、高速通行路といいますか、それにある距離が並行いたしておりますので、インターチェンジから入ってくる車は、その高速道を走っておる車の状態を見ながらその間を入っていくということになると思います。実際に、ちょうど東京首都高速みたいに、ああいう場所に上がってきますところでは、かなり込んでおりますが、名神高速なりますと、どのくらいの車がはたして入ってくるかということになりますと、最初からいきなり込むというようなことは設計その他で直ちには考えられないのじゃなかろうかと思います。しかし車が非常に多くなってくれば、そういうことも考えなければならないと思います。
  19. 小澤太郎

    小澤(太)委員 中間分離帯はどういうことになっておりますか。
  20. 平井學

    平井(學)政府委員 現在の名神について申しますと、幅三メートル、それに盛り土をしまして、なおかつ行き違う車との関係運転者の目の感覚の、コースに適当な高さの街路樹を現在植えております。
  21. 小澤太郎

    小澤(太)委員 街路樹は全部ずっと植えてあるのですか。ところどころ、場所によって植えたり植えなかったりするのですか。
  22. 平井學

    平井(學)政府委員 全部ではございません。やはりその地形場所考えて、必要と思われます個所については、その間についてはやるということでございます。
  23. 小澤太郎

    小澤(太)委員 大体運転者自分の車から前方どれくらいのところまで、はっきり自分の目で確認できるようなことになっておりますか。そのカーブの点など……
  24. 平井學

    平井(學)政府委員 実はそこまでは本日、研究しておりませんので資料を持ち合わせておりませんが、大体そういった見通し得る距離は十分考慮して設計なり街路樹の植え方をやっておるのでございます。
  25. 小澤太郎

    小澤(太)委員 これはやはり相当見通しがきくことを設計で工夫されていると思いますが、さらに通路に沿うて建造物をつくることを禁止するとか、あるいは広告の施設をすることを禁止するとか、こういうふうなことは行なわれておるのですか、それともその点は考えておらないのですか。
  26. 平井學

    平井(學)政府委員 御案内のように自動車専用道、従ってむろん高遠自動車道は含まれますが、これはその沿道に家をつくることは一定制限がございまして、危険を防止する。あるいは高速自動車道の機能を阻害しないというふうになっております。  なお、ただいまお尋ねの、運転者が見通し得る最小限度可視距離といいますか、これは平地では約二百十メートル、丘陵部で百六十メートル、山地部で百十メートル、これは品小限度見通し得るように考えてやっております。
  27. 小澤太郎

    小澤(太)委員 山麓部で百六十メートルですか。
  28. 平井學

    平井(學)政府委員 丘陵部で百六十メートルでございます。
  29. 小澤太郎

    小澤(太)委員 大丈夫なんですかね。百キロ、百二十キロのスピードで走って、可視距離最小限度百六十メートルというと、私はしろうとですけれども、そういうところが実際ありますでしょうか。
  30. 平井學

    平井(學)政府委員 これはいろいろな実験の結果最小限度ということで、私どもは決して最小限度さえ守ればいいというふうには考えておりません。最小限度でございますので、これの上限のところで二百なり三百なりというものを、今後走る車の速度あるいは交通量等考えて安全のところをとるようになっております。決して最小限度でぎりぎり一ぱいにやっておるわけではございません。
  31. 小澤太郎

    小澤(太)委員 外国高速自動車道路はだいぶたくさんありますが、そういうところもあんなふうになっておるのでしょうか。私も数年前、実はアメリカ道路を見に行ったのですが、どうもそういうような話は聞かなかったので、何かちょっと心配になるのですけれども、これは実際安全であるかどうか、交通局長に御答弁願いたいと思います。百六十メートルの最小限度可視距離で百キロないし百二十キロの運転をしておって安全が保てるかどうかということです。
  32. 冨永誠美

    冨永政府委員 十分検討させていただきたいと思います。
  33. 小澤太郎

    小澤(太)委員 法案には最低速度制限をするということになっておりますが、最高速度についてはやはり制限するつもりですか、どうですか。
  34. 冨永誠美

    冨永政府委員 ほかの国ではハイウエーの場合におきまして、速度制限をしていないところもございます。大体アウトバーンを中心としましてヨーロッパ系統が多いと思いますが……。アメリカは大体ロード最高速度制限をいたしております。そのアウトバーンにおきましても、最近非常に事故が多いというわけで、部分的に百キロないし八十キロに制限いたしておるような傾向でございます。  翻って日本の場合におきましては、何しろ初めてのハイウエーでございますし、車両の問題あるいは運転者の素質の問題という面から見ますならば、これは最高速度制限を設けざるを得ないのじゃないかと思うわけでございます。ただ具体的に幾らくらいにしたらいいかという点は、とにかく道路設計速度の方はおわかりの通りでございますが、車と人の問題がありますので、これを考慮しながらやらなければならぬ。それで大よそのめどとしましては、アメリカあたりもせいぜい百あるいは百十くらいでございますので、百キロくらいをめどにして検討いたしておるわけでございますが、これも先ほどの最低速度制限と同じように、実際に相当距離を常時そのキロ数でいけるかどうかというテストをやってみなければなりません。今のところ相当な長距離を実際にテストができるのは、おそらく五月ごろになるのじゃなかろうかと思いますので、一応議論として、あるいは机上の問題として、あるいは外国資料は取り寄せております。大体のところおそらく百をめどに、あるいはそれ以下になるかもわかりません。それ以上はちょっと無理じゃなかろうかというふうに考えております。
  35. 小澤太郎

    小澤(太)委員 最高速度をかりにきめるとして、それは区間によって増減をするという気持ですか。
  36. 冨永誠美

    冨永政府委員 最間速度制限の方も政令で定めたいと思っております。ただ区間によりまして、それではあぶないというようなところは、公安委員会でそれ以下の制限という形になると思います。
  37. 小澤太郎

    小澤(太)委員 高速道路をつくる場合におきまして、あなたの方で交通安全という建前から、その設計構造等について所管省にいろいろな要望をせられたと思うのですが、どういうふうな要望をされておりますか、伺いたいと思います。
  38. 冨永誠美

    冨永政府委員 わが国初めてのハイウエーでございますから、私ども非常に関心を持っております。設計のときにこっちからいろいろな問題をどれだけ要請したかという点は、だいぶ古い話でございますので、もう一回調べたいと思いますが、要するに実際走る場合におきまして、一応運転の問題なりあるいはまた道路で駐駐車すること自体が非常に危険でございますので、路ばたの問題なり、そういう問題については、会議の際にいろいろ申し上げてはございます。
  39. 小澤太郎

    小澤(太)委員 この交通安全につきましては、警察庁で責任を持っておられると思います。従ってただいま伺いますと、建設省の方もまた警察庁の方も、最短可視距離合理性についてはあまりはっきりした御答弁がないようでございます。これは一例でございます。またたとえばインターチェンジがどこにあるとか、あるいはトールゲートがどこにあるとか、あるいは交通標示と申しますか、とこへ行くという道案内、こういうものを立てる場合、どの距離にどのような構造で立てるか、こういうふうなことについてもいろいろお考えになっておらなければならぬと思います。あるいはまた中間分離帯構造につきましても、これは運転者のいろいろな心理からして相当実は注文があるはずだと思います。また、たとえばトンネルの中の照明度がどれくらいあるか。今いろいろ国道を走ってみましても、トンネルの中は非常に暗い。そのために入った瞬間に運転手十分先方を確認できないという状態もあるようでございます。これも相当高い度合いの照明度を持たなければならぬ。とういうふうなことについてどういうふうな考慮を払われておるか。これは建設省からも特にそういう点について御説明いただきたいと思いますが、警察庁としてもそういう点についての御要望もなされておると思います。この点も伺いたいと思います。
  40. 平井學

    平井(學)政府委員 一例を今度の名神で一番長いトンネルである天王山トンネル、これは千三百メートルの長大トンネルでありますが、これの照明につきましては、ただいま御指摘通り、従来のいろいろな先例にとらわれることなく、目に及ぼす影響その他を考慮して、全然そういう影響のないように最大限の照明設備を現在進めております。また千三百メートルの長いトンネルでございますので、中でいろいろ排気ガスその他による事故が起こる可能性もありますので、わが国でも最新式電気自動式換気装置、これはもう自動的に調節ができるようになっておりますが、これをわが国でも最大南水準のメーカーにつくらせて取りつけることになっております。トンネル内での事故は十分防ぎ得るという確信のもとにやっております。
  41. 冨永誠美

    冨永政府委員 道路設計そのものにおきましても、やはりあまり直線コースが長いと、運転手はどうしてもなれてしまってうとうととしますので、できるだけ傾斜、カーブといいますか、そういうものがところどころほしいとか、あるいはトンネルで、先ほど照明の問題が出ましたが、いきなり外から中に入った場合におきまして、目がだんだんなれるように、最初は明るく、それからだんだん照明が暗くなって、出る場合はその逆になるような方法にやっていただきたいとか、こういったことをお願いいたしております。  それから標識につきましては、私の方は規制標識を一応立てざるを得ませんが、それもハイスピード自動車からよくわかるようなものにしていきたい。現在一般的に道路標識そのものを改正いたしたいと思っておりますが、今度は大体サイズが普通の場合は直径六十センチのまる型になりますが、このハイウエーにはその倍くらいのサイズで大きくしていきたいというふうに考えております。
  42. 小澤太郎

    小澤(太)委員 それは何メートルくらい前の方に設置するのですか。
  43. 冨永誠美

    冨永政府委員 それを実際走りまして、その速度でどのくらいから見えるか、今検討いたしておる状況でございます。
  44. 小澤太郎

    小澤(太)委員 話はちょっともとへ戻りますが、先ほどハイウェーの周辺に構造物をつくることを禁止するというお話でございましたが、それはハイウエーから何メートルですか。そしてどういう構造のものをつくるというようなことはきまっておりませんか。
  45. 平井學

    平井(學)政府委員 もちろん御指摘通りきまっておりまして、距離は今調べておりますが、沿道において、このハイウエーの方に向いて一定距離建築物をつくることが禁止されております。高速自動車国道法特別沿道区域という指定が行なわれます。これは政令基準が定まっておるのでございますけれども、幅二十メートルというような限度指定ができますが、これはいわゆる普通の建築物でございまして、住宅であろうと、その他のものであろうと制限する、こういうことになっております。
  46. 小澤太郎

    小澤(太)委員 そういう制限をする場合、これは法律で禁止してあるからできないはずですが、何かそれを撤去させるとか、そういうふうなことはできないのでしょうか。たとえば私、心配するのは、建物もそうですけれども、いろいろな工作施設をつくることによって運転手に非常な錯覚を起こさせるということがあり得るのですが……。
  47. 平井學

    平井(學)政府委員 不勉強でどうも……。それは普通の建築物のほかに工作物または物件で、これを政令できめてもらいますならば、運転手の目ざわりになるような事態は防げるのではないかと思います。
  48. 小澤太郎

    小澤(太)委員 交通局長に伺いたいのですが、自動車を一つの自動車が追い越すのですね。キープレフトという場合に、追い越すのは右側を通って右側車線でいけということになっておりますが、その速度関係ですが、かりに最高で百キロで走っておるのを百キロで追い越すわけにいかない。たとえば九十キロで走っている。それを追い越すのに、その間はどのくらいの速度を出さなければ追い越せないのか。つまりそれは長い時間をかかって追い越してもいいのですが、交通安全の立場から、できるだけ早く追い越してもらいたい。その追い越すスピードが速過ぎても困る。いろいろあると思うのでありますが、それはどういうふうに考えておりますか。
  49. 冨永誠美

    冨永政府委員 前の車を追い越す場合は、スピードと申されるよりむしろ追い越しに必要な距離、私ども距離がこれだけ要るというふうなことでいっております。たとえば前の単が八十キロのスピードで行っておって、自分の車が百キロで走っておる場合におきまして、それを追い越すのに必要な距離追い越し必要距離といいますか、それは大体におきまして三百五十メートルという一応の数字があるわけでございます。常識的にいいますと、こういう方式式も成り立つかと思います。自分の車が百で前の車が九十とすると百を自乗しますと、これは一万になります。それを自分スピードと前車のスピードとの差で割りますと、一万を十で割って約千メートル、実際には八百七十メートルになりますが、大体そんな方程式ぐらいの距離が必要であるということであります。
  50. 小澤太郎

    小澤(太)委員 相当距離が必要で、八百何十メートルになる、そうしますと、私心配になるのは、キープレフトでやっているのだけれども、やはり高速自動車道路でありますから、これは早くやりたい。そのためにキープ・ライトの方になるおそれがありはしないか。追い越すと称してどんどん入っていくということになりはしないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
  51. 冨永誠美

    冨永政府委員 キープレフトでございますから、前の車を追い越しまして、それからもとの線に戻る場合ですが、実は戻る場合の距離も、これは経験則でございますが、アメリカあたりのマナーでは、自分のバックミラーにうしろの車が映るまでは入ってはいかぬというふうなことをいっておりますが、ハイウエーではたしてそれだけの距離でよいかどうか、私ども今検討いたしておりますが、今お話しの、今度速い自動車右側追い越し追い越しでいきますが、今度は左の方の車が、込んだ場合におきましては事実上左のもとに戻れませんから、込んでいる場合におきましては、あるいは左も右もというふうな実情にはなるかと思います。しかし左側が込んでいないときは、これはやはり左に入ってもらいたいということでございます。ですから、右へずっといってもらっては困るということです。
  52. 小澤太郎

    小澤(太)委員 このハイウエー事故が起こる一番多いのは追い越しの場合だろうと思うのです。その場合にどういうふうな形で追い越すべきであるかというような指導なり基準なりというものをある程度つくっておかないと、今のようなお話ではおそらくキープレフトというけれども、やはり飛ばしてみたい、急ぐというようなことで右へ右へと行くというようなことからかなり混乱が起こって、交通事故はいろいろあると思いますが、おそらく追い越しの場合にその秩序が乱れるということが大部分の原因になるのではないかと思いますが、その点をもう少し御検討いただきたいと思います。  それがら追い越しの時間なり距離というものをやはりある程度のことを考えてもらわないと、短時間に追い越してしまう場合と、ゆっくり追い越す場合と、やはり秩序にも影響しますから、そういう点をもう少し御検討いただきたい。そうでないと、ただ法規面に現われたような行き方だけが整然と守られておるということならばいいですけれども、なかなかまだそれだけの訓練ができていない。ハイウエーを通る日本運転者でございますから、その点特に注意を願いたいと思います。  それから最高速度を百キロなり百二十キロ、——百キロにしたいというお話でございますが、日本の現在ある自動車で、大体長時間長距離を百キロ、百二十キロで飛ばせる車があるでしょうか、そういう点はどなたか、運輸省の方から御回答いただきたいと思います。
  53. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 わが国では御承知のように今まで道路状況が非常に悪うございまして、実際上百キロあるいはそれ以上のスピードを出して長時間走れる道路もなく、場所もなかったわけです。しかし、ここ数年来高速自動車道路等の建設計画ができ、また一部着工近く開始するというような情勢になって参りました。この情勢を見ましても、ここ数年来というものは、自動車の性能といたしましてはある程度の高速あるいは加速のつく車を、新型設計の際にそういった能力のある性能のある車をうくるように指導して参っております。従いまして、現在の新しい車は性能としては十分それだけの性能を持っております。
  54. 小澤太郎

    小澤(太)委員 それで高速自動車道路に入ってくる単を制限する。この車はよろしい、この車はよくないということを制限することができるんでしょうか。それはどこでやるのか、管理者がやるのですか、どこでやるのですか。
  55. 平井學

    平井(學)政府委員 これにつきましては現在高速自動車国道法で、これを通る車は道路運送車両法にいう自動車とするというようにはっきり明示しております。ところが車両法によりますと、およそ自動車と名のつくものは全部入ります。自転車は、これは自転車でありますからだめですけれども、いわゆるスクーターでありましても、自動車の概念に入るものは三輪車でも全部入ります。従って私どもといたしましては現在いろいろテストをいたしつつありますが、その結果どうもあぶない、高速自動車国道を走らせるにはいろいろな点からいって工合が悪いというふうに結論が出ました場合に、それを制限するにはやはりこの高速自動車国道法を改正してこれを明示する、こういう手続が必要になるかと思いますけれども、現在実ははなはだ残念ですが、相当区間にわたって高速で走らせてテストするような場所わが国にございませんで、専門家の意見によりますと、少なくとも三十七、八キロの自由に走れる区間が必要でございまして、そこでスクーターあるいは三輪車、普通の四輪車、こういったものをいろいろな角度から走らせてみる、こういう実験が必要でございます。従来までは道路公団を中心にいたしまして、高速道路研究会、これはむろん運輸省あるいは警察等の方々も入ってもらっている共同の機構でございますが、そこで短かい距離について不完全な検査を実施しております。しかしながら、今までのそういう短かい距離における検査だけでは、法律を改正してある特定の車種を排除するということは、法律の精神からいってもにわかにできませんので、近く栗東−尼崎間七十キロメートルの供用開始が予定されておりますが、その前に、ただいま申しましたように、三十数キロ間の区間を利用して関係省庁の間で共同の最終的テストを行ない、それによって、交通の安全と高速道路の機能を十分に発揮させるための制限をすべきかどうか、どういう方法でやるべきかということを検討いたします。
  56. 小澤太郎

    小澤(太)委員 それで法律の改正は間に合わないのですか。最低速度をたとえば六十キロなら六十キロにされた場合には、とうてい六十キロ出せない車種については当然入ることを拒否することができるかもしれませんけれども最低速度を四十キロぐらいにする場合には、大ていのものは四十キロで走れるから、どの車でも入ってくるのを断わるわけにはいかない。こういうことになって非常な混乱が起こると思います。これは法律できめなければならぬわけですけれども、借用開始までにその法律が間に合いますか、どうですか。
  57. 平井學

    平井(學)政府委員 私どもはこれは法律によって規制するのが最上と考えておりますが、万一法律手続が間に合いません場合には、公安委員会方面等ともいろいろ共同的だ措置を考えるとか、とにかくそういう交通事故を防ぐための方法を検討してみたいと思います。
  58. 小澤太郎

    小澤(太)委員 最低速度をきめた場合に、これに違反する場合の罰則はあるのですか、ないのですか。
  59. 冨永誠美

    冨永政府委員 ございます。
  60. 小澤太郎

    小澤(太)委員 どうも心配になってきたのですが、高速自動車道路を通行するに適当でないという車種を早くきめてもらいたい。あるいは同じ車であってもこれだけの性能のないものもありましょうし、運転者が自覚してやるような状態になればいいですけれども、なかなかまだそこまでいっておらないと思いますので、罰則のあることでもありますし、入ってくる場合にそれをある程度整理をするというようなことをもっと親切に考えていってもらいたいと思うのです。今から研究して、場合によっては公安委員会と相談して、何らかの処置をとるということでは少し誠意が足りない。つまり運転者に対する、交通安全に対する行き届いた親切な措置というものが、欠けているように考えるのであります。こういう点も一つ関係各省の間でさらに十分検討していただきまして、せっかく新しくできた高速自動車道路は、今後日本で大いに活用してもらわなければならないが、そのために安全が阻害されるということがあってはならぬ、このように思いますので、くれぐれもそういう点については細心の注意を持って一つお打ち合わせ願いたい。運転者の立場に立って、国民の立場に立って、また人命を尊重するという立場に立って至急お願いいたしたいと思います。   これで私は終わります。
  61. 永田亮一

  62. 川村継義

    川村(継)委員 時間がおそくなっておりますが、道路交通法の一部改正に伴って二、三お聞きしておきたいと思います。  まず第一に交通事故の現況でございますが、いただいた資料事故発生の状況調べによりますと、昭和三十七年は昭和三十六年に比べて発生件数は相も変らず相当な数でありますけれども、前年度に比べての増加率は割合低くなっているようであります。前年度に比較して発生率が低くなったからといってそのまま喜ぶわけには参らないのじゃないかと思いますが、とにかく年々事故が減るということは非常にうれしいと思いますけれども、一体当局は、どのような原因で前年に比べて低下が生まれてきておると判断しておられるか、お聞きしておきたいと思います。私なり考えますと、あるいは法規を守るという順守の精神が運転者に徹底をしてきた、あるいは技術に非常に習熟してきた、あるいは逆にまた別の問題から考えると、取り締まりが非常にきびしくなった、特に道路交通法の改正によって、罰則の威圧というようなものが加わってこのような低下を示しつつあるのか、いろいろ原因があると思いますが、当局のお考えをちょっと初めに聞かせていただきたい。
  63. 冨永誠美

    冨永政府委員 昨年の交通事故は、特に重大事故であります死亡者が昭和二十四年以来十三年ぶりに初めて前年よりも減ったわけでございます。それから昨年は、前年ばかりでなしに、その前の年の昭和三十五年よりも減ったわけでございます。昭和三十五年と申しますと、これは道交法が十二月二十日から実施されましたから、道交法の実施された年、厳格にいえば実施前という年になりますが、それよりも減ったということは、これは私は一つの記録ではないかと思うのでございます。なかんずく毎年自動車が平均二四%、原動機付自転車に至りましては三六、七%も増加しておる。この増加状況とにらみ合わすならば、これはかなり死亡者が減ったということが言えるのじゃなかろうかと思うわけでございます。この原因といたしましては、何と申しましても交通問題に対して世論というものが非常に高まった。特に昭和三十六年暮れごろから、いわゆる交通戦争と申しますか、こういったキャンペーンも盛んになりましたし、一般の世論が高まりましたので、自然歩行者あるいはドライバーの気持というものが変わってきたということと同時に、徐々ではございますが、いろいろな施策が講ぜられてきたというふうなことなり、あるいは全体的な大勢というものが、交通問題に取っ組むというふうな形に動きかけてきた。いろいろなものが重なりましてこういうことになってきたと思うのでございますが、ただ残念ながら自動車の台数との比較とかあるいは人口との比較におきましては、日本はまだ高いのでありますが、一応やればできるということだけは言えるのではなかろうかと思うのでございます。
  64. 川村継義

    川村(継)委員 今お話しの点は、大まかに考えるとそういうことだろうと思いますけれども、やはりそれらについては、むずかしいことではございましょうが、できるだけ科学的にそういう点を分析をしていただきたいものだと考えます。それがつまり今後施策を施す場合についても、あるいは世論の動きを見ながらこのような事故を少なくしていく対策を立てる場合にも、ポイントになろうかと思うわけであります。  今、局長のお話でございますけれども、ちょうど道路交通法が施行されてから二年を経過しておるわけであります。道路交通法が施行されてちょうど一年目のころ、つまり昭和三十六年の十二月二十日のあなたの方の発表によりますと、道路交通法施行一周年にあたって死者の数が一万二千三百三十で、これは前年同期に比べて五・九%も増加した、こういうような憂慮すべき発表をなされたことがあります。これであなたの方では道路交通法施行後一年間における死者の激増を発表しておられます。ことしは道路交通法施行後二年を経過しておるわけでありますが、昭和三十七年度は三十六年度に比べて大へんうれしいことには死者の率が低下をしておる。そこで道路交通法施行の二年間を考えると、前の一年間には前年に増して驚くべき死者の数が出た、あとの一年ではこれが落ちてきた、こういう数字が現われてきたのは何であるかということを相当吟味する必要があろうと私は思うのです。大まかには今局長のお話のようなところであろうかと思いますけれども、そういう点を考えますと、もう少しこまかに検討をしていただく必要があるのではないか、このように考えるわけでございます。  時間がございますといろいろお聞きしたいことがございますが、さらに私は事故件数についてお聞きをしてみたいと思います。あなたの方からいただいた昭和三十五年度の交通事故の原因調べによりますと、そこにも書いてございますが、総計四十四万九千九百十七になっておる。その中で操縦者による原因が四十二万四千三百九十七、車両の状態が一万二千七百二十三、道路施設道路環境等あるいは歩行者等こういうような数字を合計いたしまして四十四万九千九百十七であります。昭和三十六年度は事故件数が四十九万三千六百九十三になっておる。昭和三十七年度は四十七万九千八百二十丘になっておる。前年に比べて事故件数は少なくなっております。この昭和三十六年度及び昭和三十七年度の事故原因として、操縦者によるものが一体幾らなのか、車両の状態によるものが幾らなのか、道路施設道路環境等によるものが幾らなのか、歩行者に原因するものが幾らなのか、そのトータルだけでよろしゅうございますが、わかっておりましたら、ちょっと発表していただきたい。
  65. 冨永誠美

    冨永政府委員 先ほどの説明にちょっと不足があったと思いますが、新道交法なりましての一年間は上昇カーブにブレーキがかかったということが一口で言えるのじゃないかと思うわけでございます。と申しますのは、死亡者のところをごらんになりますと、昭和三十三年に八千名、三十四年に一万名、三十五年に二万二千名と確実に毎年二千名ずつふえておったわけでございます。つまり車の増加率に正比例して約二〇%死亡者がふえておりましたのが、新道交法が実施されました一年間に、死亡者で六・七%と上昇カーブにブレーキがかかって、増加率が低かったというのが新道交法実施の一年間であろうと思います。二年目は先ほど言ったように死亡者が今度下回って減ったということであろうと思うのであります。今お話しの昭和三十五年と三十六年とを比較いたしますと、これは第二表にありますのは全部の交通事故でございます。そのうち車両による交通事故——主して自動車が多いのでございますが、車両による交通事故の原因としまして、操縦者の所為によるものが昭和三十五年度は三十七万九千三百八件でございます。これが三十六年に四十一万八千三百九十一件と約四万件ふえております。操縦者の状態交通事故になったものが昭和三十五年度は四万五千八十九件でございますが、三十六年度は四万六、千百五件で、これもふえております。車上両の状態によるものが昭和三十五年が一万二千七百二十三、これが昭和三十六年度は一万五千本百二十六でございます。それから三十七年度はまだ全体のこまかい集計ができておりませんが、昨年の九月までの九カ月間の状況を見ますならば、件数にして三十四万件。以上でございます。
  66. 川村継義

    川村(継)委員 あとで三十六年度のそういう事故原因についてのトータル資料をいただきたい。ここではその数字を一々伺っておる時間もないと思います。三十七年度はまだ完全にまとまっていないということでありますから、ちょっと比較がむずかしいと思う  そこでその中で、昭和三十五年及び三十六年を考える場合に、いわゆる操縦者の所為によるもの、操縦者の状態によるもの、車両の状態によるもの、あるいは歩行者等はやはり前年に比べて増加をしているわけでございますが、それらの内訳をちょっと昭和三十五年と三十六年を比べていただきたいと思う。たとえば操縦者の所為によるものでは、徐行違反、追い越し不適当、わき見操縦、こういうようなものの違反が非常に大きく出てきておる。それから操縦者の状態によるものは、めいてい運転、操縦未熟練——おそらくこれは無免許運転だと思いますが、こういうものが非常に大きく、車両の状態によるものが制動装置不完全あるいは走行装置不完全、滑走、こういうものが非常に大きく違反事実として現われておる。三十五年、三十六年は、こういうようなものの変動と申しますか、そういうものは一体どういう状況にあるのか、やはり大体同じようなものが大きなレートを占めておるのか、そこに変化があったのか、それをちょっとお聞かせいただきたい。
  67. 冨永誠美

    冨永政府委員 こまかい数字は後刻資料で差し上げたいと思いますが、三十五年と三十六年並びに三十七年の交通事故の原因のおもなものにつきまして申し上げますと、三十五年はやはり徐行違反がトップでございまして、その次が追い越し不適当、それから右折左折の不適当というふうな状況が多いわけでございます。それから操縦者の状態も、操縦未熟練とめいていとがほとんど同じくらいの状況になっております。それから歩行者につきましても、やはり車の直前直後の横断の事故が一等多くを占めておるわけでございます。三十六年度も大勢にはあまり変動がございません。徐行違反が九万二千四百九十一件でやや減っておりますが、その他におきましては依然として同じでございます。それから操縦者の状態も、操縦未熟練が少しふえまして、めいていは操縦未熟練よりも少し減っておりますが、三十五年よりもふえておる。それから人につきましても、やはり車の直前直後の横断が一等多いわけであります。三十七年、これは九カ月分でございますが、連続進行が三十七年度になって多くなっております。連続進行による交通事故が多いということは、相当交通が混雑してきたということの現われではなかろうかと思いますが、連続進行が非常にふえてきたことが特徴でございます。なお、操縦者の状態で申し上げますと、車のうちでも原動機付自転車といいますか、バタバタでございます。これはハンドル操作の不確実が約半分でございまして、五二%でございますが、その次はめいていが一〇・六%で非常に高い数字を占めております。  大体年によりますおもな変化は以上でございます。
  68. 川村継義

    川村(継)委員 昭和三十六年の愛知県警管轄のそのような調査によりますと、三十五年と三十六年には相当大きな差が現われてきていると思います。これは私は全国的に言えるのじゃないかという判断をしているわけですが、たとえば昭和三十五年でございましたら、徐行違反、追い越し不適当、優先通行違反、左折右折不適当、わき見操縦というような順序に並んでおりますけれども、三十六年になりますと、わき見操縦、左折右折不適当、追い越し不適当というような順序に実は大きな違反が動いておる。もちろん三十六年も徐行違反が一番多いのでございますけれども、そういうふうに動いている。ことに右折左折不適当、あるいは追い越し不適当という違反が三十六年度ぐっと出てきたということは、三十六年度道交法の施行に伴って、運転者がやはりそれらの規制に十分習熟しなかったからこういう結果が出てきているのではないか。そこで問題となるのは、そういう違反の事実が三十七年度はどう変化したか、これを見ることが私は非常に大事ではないかと思う。それが相変わらず左折右折の違反が非常に多かったということになりますと、交通取り締まり等に当たるものは一体何をしておったかということにもなりますし、どういうような指導をしたかという非難を受けなければならぬ結果になります。そこでそういう点につきましての検討を一つ十分していただくと同時に、私たちにも一つ勉強の参考のために、三十六年度の全国的なそのような資料、三十七年度の資料、そういうものをぜひいただきたい。またいずれ機会がございましたら、ぜひあらためてお聞きをしたいと思うわけであります。  そこで先ほど小澤委員から、高速道路追い越し等についての速度の問題、距離の問題、あるいは通行させる車両をどうするかというような問題、あるいは車の設計構造について何か考えていかねばならないことがないかという問題等について御質疑があったようでありますが、今これらの三十五年、三十六年の交通違反のうち、車両の状態を見て参りますと、相も変わらず制動装置不完全、あるいは走行装置不完全、こういうようなものが非常に車両の状態では大きな違反を占めている。一体このような状態は車両検査の不完全によるのか、あるいは車そのものがこういう事故を起こすようにどうも技術的にまずいのか、これはいろいろ考えられる問題ではないかと思うのです。こういう状態で車が高速自動車道路の中に入っていったら、これは先ほどから質問のあった考え方とはまた別途の問題として、おそらくは事故を引き起こす可能性が出てくるのではないかということが憂慮されるわけです。そこでこの点について通産省の自動車課長さんに一つお話をいただきたいと思うのですけれども日本の車というのは技術的に見て何かそういうような違反を起こしやすいような欠点があるのかどうか。それから運輸省自動車局長にお尋ねいたしますことは、自動車の車体検査というか、そういう検査が十分行なわれているのかどうか。これは下部に参りますと、いろいろな詰まらぬことを耳にするわけですが、そういう点についてちょっとお聞かせいただきたい。
  69. 冨永誠美

    冨永政府委員 私の方の資料は、先ほど申し上げましたように後に詳しいものを提出いたしますが、先ほどちょっと私の方の数字の活字に間違いがございまして、大きな違いをやっておりましたので、訂正させていただきたいと思います。原動機付自転車の第一の原因は先ほどハンドル操作不確実が一等多いと申し上げましたが、これは九番目でございまして、やはりめいていが第一番目でございます。そのめいていの一〇・六%というのが事故の原因の一等多い数字だということに訂正させていただきたいと思います。  それから車両の状態で統計を申し上げますと、制動装置不完全が一等多いのでございます。よけいなことでございますが、タイヤの破損というものが少ないようでございますが、高速自動車道路ではタイヤの問題が大きな問題になってくるだろうということが想像されるのではないか、事故の状況がだいぶ変わってくるのではないかということだけを申し上げておきます。
  70. 佐々木学

    ○佐々木説明員 通産省の自動車課長でございます。  自動車の製造過程におきまして、故障の起こるような状態になっているのではないかという御質問でございますが、私は現在の段階におきまして、そのようなたとえばブレーキなりあるいは操縦装置、そういう問題が世界的に日本の国産車が特に劣っている、——特にと申し上げましたが、劣っているということはないと存じます。ということは、現在日本自動車は二、三年前からどんどん輸出が進められておりまして、ことに二輪車、四輪車とも、世界で最もシビアな走行条件を要求されます特定地区に特に多く輸出されておるということは、日本の制動装置なりあるいはそれ以外の機能が、製造過程において諸外国の商品に比べて劣っているということはないと存じております。もちろん欠点もございます。はっきり申し上げますと、高速性において日本の乗用車は確かに外国より劣っておるのは、残念でございますけれども現状でございます。しかしいかなる車におきましても、テストいたしました場合に、少なくとも六十キロくらいのスピードは出せる状態になっておるわけでございます。なお技術的にもますます研さんを積む必要がございますので、通産省におきましては、自動車の高速性能に関する各種の補助金とか、あるいは外国の有名な車を直接輸入いたしまして共同研究をやりましたり、あるいはブレーキその他の装置につきましても、外国の最優秀の部品メーカーと技術提携をいたしまして、技術の研さんに努力しておるわけでございます。
  71. 宮田康久

    ○宮田説明員 今のお話でございますが、今つくっております新しい車につきましては、将来の高速性ということを十分考えまして、車両法に基づきまして保安基準というのがございますが、これは欧米の国際的な水準を参考にいたしまして、ほぼそれにならった基準にしております。従って今新しく生産されております車は、保安上は欧米の車と同様の安全度を保っておると私は確信しております。  なお今お話がございましたように、新しい車はいいが、使用過程でいずれにしても性能が低下していく面がもちろんございます。従ってそれにつきましては、日常の点検でございますとか、あるいは定期点検をいたしまして調整をする、あるいは整備をするということが必要でございますし、また私どもが末端でやっております自動車の検査にいたしましても、これは一年に一度、あるいは二年に二度という健康診断でございます。その際に車の使用者が気がつかずに整備を怠っているという点についての御注意を申し上げて、完璧な車に直していただいているわけでありますが、いずれにしましても日常の点検あるいは定期点検というものは必要でございます。  それで現状を申し上げますと、警察庁のお調べによりましても、車両欠陥事故は、かつては全体の事故件数の中の一〇%、あるいはそれ以上の大きな段階のことがございましたが、だんだんと低下して参りまして、現在ではほぼ二%程度に落ちついております。これはヨーロッパあるいはアメリカあたりの例から見ましてもむしろ低い方でありますが、ただ先ほど御心配がありましたように、今後高速ということになりますと、また新しい市政の形態が出て参りますので、その点につきましては私どもといたしましても日常の点検につきましては、あるいは定期点検につきましてさらに車の持ち主の方に十分と励行していただかなくてはなりませんので、実は国会で御審議いただいております道路運送車両法の一部改正におきましても、定期点検整備の義務づけというような制度も取り上げております。事故の一番問題になりますのは、先ほどお話がありましたように、アメリカあたりの例から申しましても、タイヤのパンクによる事故件数がハイウエーにおきましては三、四〇%というオーダーがございまして、その点につきましてもハイウエーに入ります前に十分点検をして、タイヤが坊主になっていないかどうか、あるいはきずその他がないかどうか、空気圧十分適正に保たれているかどうかということを、車の持ち主は十分点検をして入っていただくというような指導でありますとか、そういう点につきましても、私ども大いにこれから進めて参りたいと思っております。
  72. 川村継義

    川村(継)委員 自動車課長のお話でございますが、私、時間もありませんからいろいろお聞きいたしませんけれども、われわれは全くしろうとでございまして、自動車は実は運転したことはない。ところが国会の運転手さんあたりに聞きますと、国産車はガソリンを食わぬのが一番いい点でしょうというくらいで、どうも整備そのほかから考えても、あるいは車の寿命から考えても、外国に劣るということをよく耳にするわけです。課長はせっかく国産車をおほめでございましたけれども、これはやはり技術的にもさらに精進をしていただきませんと、ものすごいスピードで走る高速自動車道路のまん中で、何重衝突ということを起こしたら大へんな事態になりゃせぬかと思うわけです。  それから運輸省の部長さんの、いろいろ法律改正で手を打っていこうというお立場はよくわかりますけれども、一つぜひお耳に入れておきたいと思いますことは、末端で検査をされたときに、今車体検査をしてきたけれども、もう帰りがけにはやられた、こういうことがよくあるわけです。これは、十分なる検査がなされていないということのやはり一つの証左じゃないか。これはおそらく何%というごく数少ないことではありましょうけれども、そういうことがあるわけです。これは実際地方ではそういうことを耳にします。そこで車体検査等をやる場合でも、定期的にぐんぐん進めていかれることはいいことでございますけれども、やはり人の顔によって検査の緩急があってはならない。これはぜひ一つ十分注意をして御指導願わなければならぬのじゃないかと思います。こういうことがあった、ああいうことがあったというケースは申しませんけれども、この点はよく御配慮を願っておきたいと思います。  そこで時間がございませんから先に進みますけれども自動車の車種別の交通事故について、実は三十六年度の資料を私いただいておりますが、三十七年度のものはまだよくわかりません。これもぜひ資料としていずれかの機会につくっていただきたいと思う。なぜこういうお尋ねをして、このことを知りたいかと申しますと、軽自動車とか、こういうものの事故件数が非常に多くなっておるというようなことについてであります。これはあとでちょっとお聞きしたいと思いますが、その点資料を一つお願いをしておきたいと思います。  それからここにちょっとあわせて聞いておきたいことは、数字はよろしゅうございますが、三十六年度の検挙件数の資料を大体私いただいておりますけれども、おそらく検挙件数は年々多くなっていると私は思います。その中で自動車事故を起こして納めた罰金は、一体総額どれくらいあるのでありますか。
  73. 冨永誠美

    冨永政府委員 罰金は御存じの通り国庫に入りますので、私どもとしましてはちょっと正確にわかりかねますが、推定では、三十六年度、全国では少なくとも五十億以上あるのじゃないかというような見込みを立てておるわけであります。
  74. 川村継義

    川村(継)委員 あとでいろいろ調べるとわかると思いますけれども、私たちはいつかの委員会でも、交通事故によってとられた罰金、この金を何か国の支出の方法を変えて、交通施設のために使うというようなことがいいのではないかということを申し上げたことがございますけれども、その点は長官いかがでございますか。お考えになったことございませんか。
  75. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 国会においても、交通委員会等で取り上げられた問題でございまして、私どももそういう考え方というものには非常に共鳴する点もあるわけでございます。ただ国の財政の建前として、大蔵省当局としては各種罰金等についてこれを一々——もちろん罰金全部ではございませんでしょうが、国庫に雑収入として入るものを、それぞれの機能に応じて還元するということは、今の財政上の建前からは好ましくない。従って、交通の安全施設その他に必要な金額というものは、十分要求してもらって、それに応じて査定をしていこうという態度でございます。諸外国の中でもも例外的には罰金を交通安全施設等に還元するという制度をとっておるところもあるようでございますけれども日本の現在の財政制度上の建前からはも直ちには実現しがたい。しかし御趣旨は、交通安全という見地から、あるいは交通施設の点から、非常に大事な意味を含んでおると思いましても、私どももそういう御趣旨が生きるような方向で予算の編成等に努力をして参りたいと考えておる次第であります。
  76. 川村継義

    川村(継)委員 長官にお尋ねいたしますが、来年度の警察の費用の中に、道路安全事業委託費というのが一千万組んでございます。これは何にお使いなさる費用でありますか。
  77. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 この一千万円は、交通安全運動、各種の宣伝でありますとか、あるいは児童についての交通知識の涵養であるとか、そういうものを日本交通安全協会に委託して安全運動に資するようにいたしておる費用でございます。本年度はたしか五百万円でございまして、それが倍額に増額されたわけでございます。
  78. 川村継義

    川村(継)委員 それは交通安全協会等に委託をなさって、いわゆる啓蒙運動的に使う費用、そういう意味合いでありますか。
  79. 冨永誠美

    冨永政府委員 そうでございます。大体教育とか、啓発運動、こういった方面に使っております。
  80. 川村継義

    川村(継)委員 今、各地に街灯設置の運動が非常に盛んになってきております。私、ごく最近汽車で往復するときに、汽車の中で読んだ新聞を一、二見てみましても、各町村あげて街灯設置推進委員会というものをつくって、あちこちで盛んにやっておるようであります。これは考え方によっては非常にけっこうなことだと思います。ところが、こういうことをやっておる各市町村のやり方を見ておりますと、これはみな寄付でやっておるわけですね。町あげて暗やみ追放、街灯設置の一番乗りなんて、盛んに書いております。いいことでございますが、婦人会、青年団、そういうものが中心になって寄付でこのことを進めておる。浄財をもって充てるということは必ずしも批判すべき問題ではないとは思いますけれども、こういった運動が進んで参ると、ややともすると、寄付というものが強制的に流れがちなんです。そうすると、事は簡単ではない、そのように実は考えているわけです。このような街灯の設置運動あるいはその推進協議会というものの設置、これについては警察庁の方はその推進の役割をになっておられるわけですが、皆さん方の指導によってこういう国民的な運動が盛り上がっておるのか、その辺のところを長官の方からちょっとお聞かせいただきたい。
  81. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 街灯設置運動が各地に行なわれておるわけでございますし、この街灯につきましては、交通安全という見地からの照明と、また暗い道について防犯的な効果をねらった街灯設置と両方あるというふうに考えるわけでございますが、私ども交通安全の見地からも、また防犯的措置としての考え方からも、常にそういうことを期持し、また慫慂しておるわけでございます。現に東京電力その他電力会社等においては、その趣旨に沿った相当の寄付がなされておるように聞いておるわけでございますし、この運動はできるだけ進めて、明るい町づくりというものをやっていきたいと思っておるわけでございます。ただいまお話のようにもこういうことが民間の自発的な協力とか、あるいは特に必要とされることは自治体の公費においてまかなわれるということが筋だろうと思うのでありますが、そういうことにいかないで、これが強制寄付というような形で割当を受けるというようなことについては、私どもとしては好ましくないと思いますし、また自治省等においてもそういうことについては必ずしも賛成されない、むしろ成規の財政措置というものを基本として考えていかれておることと考えておる次第でございます。
  82. 川村継義

    川村(継)委員 街路灯についてちょっとお聞かせをいただきたいと思いますが、信号機の設置は、これはもちろん道交法によりまして公安委員会の権限で設置されることになっていると思いますが、街路灯等の設置については、やはり道路管理者の許可といいましょうか、そういうものがなければならぬというように考えておるわけであります。信号灯を設置なさる場合には、公安委員会だけが——警察の方でここに必要だ、こうおきめになったら、道路管理君には別に御相談なくて設置しておられますか。
  83. 冨永誠美

    冨永政府委員 私どもの方の安全施設であります交通信号機の設置につきましては、いろいろなデータをとりまして、交通量なり、あるいは過去の事故なりあるいは危険の頻度なり、こういったものをとりまして、かつ、つければどうなるという科学的測定もできるだけやりました上で設置をいたしておるわけでございまして、つける場合におきましては、地元ではそういった意見は十分承っておりますし、むしろ実情から申し上げますと、つけてもらいたいという申請なり、そういった方の声が非常に強くて、それを全部つけ切れないというのが現状じゃなかろうかと思うわけであります。意見はよく聞いております。
  84. 川村継義

    川村(継)委員 道路法道路交通法によりまして、建設省あるいは公安委員会等の権限の区分がいろいろあるようでございますが、ほかのものについては大体道路法に基づいてそれらの管理者が一つの設置等の権限を持っておるようでありますけれども、信号機は、これは道路管理者に、ここに設置するぞというような、そういう法的な協議と申しますが、そういうものがなくておやりになっていい、やっておる、そういうことでございますか。
  85. 冨永誠美

    冨永政府委員 交通信号機は、公安委員会が委託もできますが、大体公安委員会で立てるのが非常に多いおけでございまして、公安委員会が設置しなければならぬことになっております。それで、道路管理者との関係は事実上の連絡ということで実際はやっております。法的には公安委員会の権限であります。
  86. 川村継義

    川村(継)委員 そこで長官にお尋ねいたしたいと思いますことは、道路交通の上から考えて、また防犯の立場から考えて必要な街路灯、町の装飾なんかの街路灯は別にして、防犯の立場から、あるいは道路交通の円滑をはかるという立場から必要とする街路灯、これは信号機等の設置と同様に公安委員会が必要と認めたらここに設置をする、そういうように公安委員会の設置の権限にするということはできませんか。そういう考え方はお持ちでないか、これをお聞きしたいと思うのです。今は街路灯の設置については国道あるいは県道、あるいは市町村道、それぞれ管理者の許可等が必要でありますけれども、これを公安委員会の方でそういう防犯灯と申しますか、そういう街灯については設置をする、こういうふうに権限を移す、こういうことはお考えになったことはないでしょうか。
  87. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 警察は、権限としてはやはり法に書かれてあるものをできるだけ厳格に守っていくという態度でいくべきではないか。従いまして、街路灯等は道路管理者あるいはその自治体というようなものがやはり積極的に市民のために推進していくべきものであって、それを側面的に、こういうところにはこの程度のものをつけることが適当でありましょうというように、できるだけこれを勧奨していくというような態度が警察には必要で、無関心であってはならないと思いますけれども、権限として警察がここにどれだけのものをつけるというようなことをあれし、そういう権限として予算をとり、警察の見解で行なっていくということは必ずしも適当でないというふうに私は思いますし、たまたま最近は一般にも跡犯思想あるいは交通安全思想というものが普及して参っておるときでありますので、ことさらにこれを警察の権限として付与していただいて、警察の力によってこれをやっていくということは、今の時期としては適当でないというふうに私は考えておる次第でございます。
  88. 川村継義

    川村(継)委員 これはいろいろ論議の分かれるところ、考え方の分かれるところであろうかと思いますけれども、一般の街路灯については別として、やはりそれぞれの地域において必要と考えられる防犯灯あるいは交通の円滑安全のための街灯、こういうのは私は信号機等と同じような位置に置いて物事を考えて、皆さん方の方で推進をしていくということもあり得るのじゃないか、こういう考え方を持っているわけです。実はもう国会で何回かたなざらしになったのでありますが、社会党の方で建設委員会にこの街路灯の設置の法案を出しております。しかし一回も審議されないままに実はたなざらしになっている。これがついに先国会には未了になったわけですが、これは聞くならば建設省当局等の賛成がなかなか得られぬで、自民党の方でもどうもこの審議に促進が願えなかったというような原因等があるようであります。そこで私どもといたしましては、でき得べくんば今国会に同じような趣旨を盛って、この委員会で審議ができるような法案を提出いたしたいと実は考えておるわけであります。市町村の街路照明整備に関する法律案、こういう格好でこの委員会に出したいと思います。その出す場合に、今私が申し上げたような形で管理権を公安委員会に委譲する、そういう考え方でこの法案は出そうとは考えておりませんが、そういう気持でわれわれは一日でも早くこの防犯灯あるいは交通のための街路灯というものの設置を促進したいと考えております。従って十分当局においても御検討願いたいと考えるわけであります。  大へん時間が少なくて、上すべりのお尋ねになってしまいまして恐縮でありますが、私はあと大急ぎで二点ばかりお聞きしておきます。  私の方から初めに申し上げますが、自動車事故を見てみると、非常に軽自動車あるいは原動機付等の事故が多くなってきている。これは私が考えるのに、一つは軽自動車等を使用する農村関係の諸君が結局免許をとることがおくれる、あるいはまだ未熟なために、おまわりさんがいるような本街道を走らないで、裏道ばかり通っておって事故を起こすというようなことも多くなっている原因ではないか、私はこういうように判断をしているわけです。  そこでお尋ねしたいことは、今日の農村の諸君が、ミカンを山から近くの町まで運んだり、あるいは野菜を運搬したりするような、農耕の用に供している軽自動車が非常に多うございます。このような軽自動車については、やはり免許の上においてもある点考慮をしてやる。ところが、これを通しますとまた大へんなことになりますから、そこで一応こういう軽自動車の免許をしたならば、あと野放しにしないで、一年間に一回なり三回なりは実地の検査をする。これは法律に基づいてやれるわけでございましょうから、そういう点を配慮して、農村の諸君の軽自動車使用についてはある点考慮々する、そういうような措置は一体考えられないものかどうか、この点一つお聞きしたいと思います。と申し上げますのは、今日御承知の通り農村は非常に労働力不足でございまして、ほとんど仕事をやっていけない。そこでどうしてもこの軽自動車を無理をしてでも手に入れて、農作物の運搬に使用したいというのが今日の実情のようでございます。このまま今のきびしい免許規定で参りますと、農村の諸君はなかなか勉強するひまもございませんから、学科なんか、法律なんかの試験になりますとなかなか合格しないのです。そういう点を考えて、なるたけ免許を持たせて明かるく運転させる。裏道ばかり走らないで、そういうやみをやらせないようにするということと、運転免許を与えたあとで、これはほかの運転者と違って、農村のひまを見て年に二回なら二回これを検査をして習熟させ、あるいは法規に精通させていくという特別の措置が考えられないか、法律改正が必要であればそういうようなことも考えてしかるべきではないか、あるいは法改正によらなくても、それぞれ九十七条、九十九条あるいはそれに基づく政令、こういうもので何か配慮はできないものかどうか、その辺のところをちょっと聞かしておいていただきたいと思います。
  89. 冨永誠美

    冨永政府委員 御指摘の点は、多分農耕川作業車というか、その話だろうと思いますが、確かに免許は軽免許という形になっているわけでございます。それで実際問題としまして、軽免許の試験を受けるには非常にむずかしいという実情もございましたので、実は一昨年の十一月から運用によりまして、軽免許であるけれどもいわゆる限定免許ということにしまして、農耕用作業車だけ運転ができる、そのかわりほかのものはいけないというふうな形をとりまして便宜をはかったわけでございます。それから、当然実際問題としましては、たとえば法令をお教えして、それから講習をやるとかいうふうなやり方も必要だろうというふうに考えております。今後農耕用作業車というものをどういう形に持っていくか、あるいは免許の中でも別なカテゴリーの中に入れるかどうかにつきましては、これは免許全般の問題に関連しまして検討させていただきたいと思っておりますが、現実にはそういった運用で不便をおかけしないような形でやっておるのでございます。
  90. 川村継義

    川村(継)委員 農耕用のものはよくわかりましたが、同じようにトラクター的なものでなくて、今ミゼットと申しますか、軽四輪、ああいうようなものがやはり私が申し上げたような問題に実は考えられるわけです。これは大へんむずかしい問題でございましょうけれども、一つ、一応御検討願っておきたいと思います。  実はいろいろお聞きしたいことがあるのでございますが、最後にいま一つ伺っておきたいと思います。  俗に言う白タク、これの今日の現状は一体どういうふうになっておりますか。どちらの方がおわかりでしょうか。警察でおわかりでしょうか、運輸省でおわかりでしょうか。
  91. 冨永誠美

    冨永政府委員 白タクと申しましてもいろいろあるわけでございますが、例の組織を持った白タクといいますか、共済組合の形でやりました白タクは、大体全国的に姿を消しておるわけでございます。あとは個々的な白タクというものがやはり散見いたしておりますが、一時騒がれたほどの状況ではございません。しかし私どもとしましては、これが暴力団あたりとつながりを持っちゃいけないというふうな見地もございますので、十分関心は持っておるわけでございますが、ただ一面、なぜ白タクが起こるかという根本原因までやっぱりついていかなければならないのじゃなかろうかというふうに思っております。一時ほどのことは全国的に見ればないのじゃないかというふうに見ております。
  92. 川村継義

    川村(継)委員 これはなかなか捕捉のしにくいものでございましょうし、また地域ごとによってだいぶ違うのじゃないかと考えます。そこで運輸省自動車局長さん、あなたの方の管轄かどうか私知りませんがお聞きしたい。タクシー業の免許について陸運局でやっておるようでありますけれども、一体どういう基準で免許を出したりあるいは出さなかったりしておるのでございますか。
  93. 宮田康久

    ○宮田説明員 私整備部長でございまして、担当所掌ではございませんが、タクシーの免許を出しますときには、その地域におきます需要をよくにらみまして、それに十分な供給を与えるという原則で審査をいたしまして、両数をきめ、新しい免許を出す、あるいは増車をするというような措置をしておるわけでございます。
  94. 川村継義

    川村(継)委員 実は、これもまた少し聞きたいのでございますけれども、タクシー業を始めたい、こういう申請が陸運局あたりにたくさん出ておる。これも汽車の中で、新聞なんかでよく見るわけでありますが、免許してくれ、こういう申請が出て盛んに陳情をやっておる。また一方既存の業者は、絶対許可するなと反対陳情をやっておる。陸運局はその反対、賛成の陳情合戦の場と化しておる。こういうことを汽車の中で新聞なんかでよく見るわけなんです。私、おそらくこれは既存の業者の力がやはり相当加わって、免許してもよろしいという申請者についても免許がおりないことがあるのじゃないか、こういうことも疑ってみたわけです。それにはいろいろ原因がありましょうけれども、そこで私は、免許申請について、許すということは一体どういう基準をもって算定しておられるのだろうかということを実はお聞きをしておるわけであります。たとえば、その地域の人口あるいは需要者の状態、あるいは既存の業者の台数、そういうようなものに何か基準があるのだろうか、こういうことをお聞きしておるわけであります。そういう一定基準がありますと、やはり適当なところには業者の開業を許してやる、そうされることが、非常に憂慮されておった俗に言う白タクの状態を解消する唯一の道ではないかと思うのです。私が知っている町でも、実はその地域に十台あまり白タクが働いております。ところがタクシーの業者はありません。地元の諸君からタクシーを始めてくれないかという声はあるわけです。そうすると安心してタクシーを使える。ところがそれがないために白タクを利用する。不安ですね。なぜ一体これが許可されないか、こうなりますと、どうも三十台も四十台ももとから持っておる業者の諸君が、許可ならないように運動しておるという形跡もうわさに聞く、こういうような事例があるわけです。そこで私が先ほどお尋ねいたしましたタクシー業、つまり一般乗合自動車の営業についての申請を許可するかしないかについて、どのような基準をお持ちであろうかということを聞いておるわけです。直接の管轄でございませんで恐縮ですが、おわかりでしたらお聞かせおき願いたい。
  95. 宮田康久

    ○宮田説明員 今先生がおっしゃいましたような基準の内容がございますが、道路運送法に基づきまして、今お話しのようなその地域の人口の増加の傾向でございますとか、あるいは外から参ります旅客の数の増加でありますとか、あるいはその地域で現在タクシーの営業をしておるといたしますれば、それの利用がどの程度ふえていっておりますか、そういう状況でございますとか、その地域々々でそれぞれ違いますが、そういう一般的な条件を十分調査をいたしまして、考慮いたしまして、さらにそこに新しい免許を与え、るか、あるいは既存業者への増車をするかということをきめるわけでありますけれども、今お話しの新しい免許を与えます場合には、その新しい免許いたします者が、資力、信用なり、あるいは実際にその事業が運営できるかどうかというような能力を十分審査をいたしましてやっております。現在相当各地におきまして新しい免許をどんどん出しております。今先生がお話しになりましたような、白タクがはびこっております地域に新しい事業をなさりたいというお話しがございますれば、原則としては、それだけの需要がありますので、新しい免許、あるいは既存の事業者がそこに新しい営業所をつくるというようなことは、当然なさるべきでありますけれども、新しい免許の申請者がありました場合に、先ほど申しましたような資力、信用でございますとか、実際に事業の運用の能力がありますとか等につきまして欠ける面がございますと、新しい免許が与えられないという事例はございます。
  96. 川村継義

    川村(継)委員 どうぞそういう点につきましては公平に十分審査なさって、許可すべきは許可されるように御配慮願いたいと思います。  お聞きしたい問題は非常に多いのでございますけれども、時間が少し過ぎておりまして雑駁なお尋ねになってしまいましたが、またいずれ機会を見ていろいろお聞きしたいと思います。
  97. 永田亮一

  98. 阪上安太郎

    ○阪上委員 だいぶ時間がたってきましたので、この機会に二つばかり質問しておきたいと思います。  警察の方にお伺いいたしますが、大都市の交通規制につきまして、一つ伺っておきたいと思います。  かつて大都市における規制問題が起こった当時に、大体規制の方向としては、第一次規制がきわめて強く、そして安全交通施設等が完備し、道路が逐次完備されて参りますに伴って、逐次規制は第二次規制、第三次規制と緩和の方に持っていく、こういうことを申し上げておったのでありますが、最近の大都市の規制の状態を見ると、第一次から第二次、第三次から第三次へと逐次規制が強まっておるように見える。これは高度経済成長政策から見ても、決していい方向じゃないとわれわれは考えるのであります。そこで、東京ないし大阪における規制の状態は、概略どうなっておるかということを、時間がありませんから簡単に一つ。
  99. 冨永誠美

    冨永政府委員 交通規制は、結局は受け入れる道路状況が車に比しまして足らないので、実はやむを得ずやっておる形でございます。もちろんやり方につきましては、今お話のようなやり方もございますが、何と申しましても交通というものは生きておりますので、できるだけ現実の状況に即応して、規制でやれるだけ何とかさばこうという形になっておるわけでございます。  東京都につきましては、御存じの通り最初おもなる三十八路線の総合規制に乗り出しましたが、それだけではうまくいかぬというわけで、去年の四月から例の車種別規制を実施いたして参っております。それから去年の十月に都心部におきます全面駐車禁止を中心としましたイエロー・ゾーンの規制を実施いたしておるわけでございます。  それから大阪につきましては、第一次規制を昭和三十五年の七月に実施したわけでございますが、第二次を昭和三十六年の四月に実施しております。このときは、路線と区域を定めまして、大型の車両の通行禁止、あるいは長大物件の規制、それにタクシーの禁止をやりました。それから昨年の三月から自主規制というものを施しまして、業者あたりに協力をお願いしましたが、どうも交通事情は大阪はなかなか見通しが悪いということから、第三次の交通規制をこの三月一日から実施いたしておるわけでございます。その内容は大体去年の暮れに臨時にやりましたようなものにほとんど近いものを実施しておるような状況でございます。
  100. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そういたしますと、大阪の場合には、三十五年の七月の第一次規制、それから三十六年四月の第二次規制、その間に自主的な規制をやった、その結果あまりよろしくないので、第三次規制としてこの三月から実施しておる。この方向は規制の強化の方向ですね。どうでしょうか。
  101. 冨永誠美

    冨永政府委員 残念ながらそういうことです。
  102. 阪上安太郎

    ○阪上委員 東京都はどうなんですか。
  103. 冨永誠美

    冨永政府委員 やはり規制は、どうしても交通事情が悪化しますので、強化の方向にいっておるわけでございます。
  104. 阪上安太郎

    ○阪上委員 非常に遺憾な報告に接するわけなんですが、そういたしますと、交通規制を緩和するような方向へ安全交通その他がちっとも進んでいないということになるのじゃないかと思うのです。  そこで私が次にお伺いしておきたいのは、そういう規制によりまして、大都市である大阪あるいは東京というものはある程度救われるが、そのあおりを食ったところの近辺の県が、非常な迷惑をこうむっているということを各方面から私どもは耳にいたしております。ことに大阪の今回の第三次規制に伴って、大型車に対して特定の規制をやっておるという関係で、そのあおりを食って、兵庫県あたりではひどい目にあっているという苦情が山積しておる、こういうことですが、警察庁の方では、そういった苦情をお聞きになりませんか。
  105. 冨永誠美

    冨永政府委員 交通問題で一等深刻になっておりますのは、何と申しましても大都市が中心でございまして、従って都市交通をいかにさばくかということから、大都市の交通規制というものはどうしても非常にきびしくなっていくわけでございます。もちろんそれによりまして、近県の特に都心部に出入りする車が影響を受けておるわけでございますが、私どもはそういった影響につきましても十分関心を持っているわけであります。苦情も断片的にはいろいろ伺っております。
  106. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこで警察庁長官、そういった苦情処理といいますか、これはおそらく国家公安委員会処理していかなければならない問題であると思います。警察法の条文に従って、特にそういった交通の調整ということについて、少なくとも二府県以上にまたがる場合だと思いますが、あなたに直接聞くのはどうかと思いますけれども公安委員会あたりでそういった調整をなさったかどうか。この前のときも、この種の規制をやる場合には、もっと広い視野に立って近接府県のことも考えた立場から規制をやるべきだということを、私強調しておいたのですが、苦情が出てくるということになると、調整ができておるのかどうか、こういうことです。
  107. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 東京交通規制と今回の大阪の規制を行なうにあたりましては、近県との調整ということは、国家公安委員会としてはいたしておりません。それから苦情の点もあり得ることと私思いますけれども、私自身はまだ詳しく聞いておらぬ次第でございまして、今後よく研究してみたいと思います。
  108. 阪上安太郎

    ○阪上委員 調整はしていないということなんですが、そこで調整すべきものか、すべきでないか、これはどうでしょう。
  109. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 もちろん交通は各地に関連を持つわけでございますので、影響がはなはだしくなるということであれば必要な行政指導ということをやっていかなければならぬと思います。
  110. 阪上安太郎

    ○阪上委員 時間がありませんので、いずれ視察等も行なわれますから、その上でまた質問することにいたしますが、一つ警察当局も実態をよく握られて、やはりそういう調整を加える方向でお考えになった方がいいのじゃないかということです。この点一つだけ注文しておきますから、よく検討していただきたいと思います。  この機会に、通産省から見えておりますので、佐々木さんにお伺いしておきます。  今回道交法の改正法案が出て参りまして、このようにわれわれ審議いたしております。そこで警察の方ではいろいろあの手この手と、ハイウエー高速自動車の取り締まりをどうしていこうか、どのように安全交通を保持していこうか、円滑なハイウエー交通をどういうふうに確保しようかということで苦心しておられるが、警察がいかに苦心し、取り締まりをいかに強化いたしましても、肝心かなめの出動単というやつが、とにかく言うことを聞かぬような自動車ではどうにもならぬと思うのであります。先ほど小澤さんからも質問があったようでありますが、あるいは重複するかもしれませんけれども、人間の方はどちらにいたしましても警察の方で取り締まりができますが、車それ自体の取り締まりということはなかなか困難であると思う。そこで最近自動車の貿易自由化という問題が出ておりますけれども、この場合国産自動車がやはり一番問題になろうと思いますので、その国産自動車で二〇〇〇CC以上の乗用車を計画しておる会社がありますか。わが国において国産自動車として二〇〇〇CC以上の車を、将来に備えてつくろうとする機運がありますか。そういう点について一つ伺っておきたい。
  111. 佐々木学

    ○佐々木説明員 現在日産自動車におきましてセドリックの二八〇〇CCを生産いたしております。ことしに入りましてから生産を開始いたしております。それからほか二、三社が現在研究の段階でございます。研究し試作いたしまして、それを自分テストコース相当実験をいたしました後でないと生産には移らないと思います。従いまして、生産に移りますのは現在の日産以外はしばらく時間がかかろうかと思います。
  112. 阪上安太郎

    ○阪上委員 二〇〇〇CC以上の車は二八〇〇CCといわれておりますが、それは大体どういった性能のデータを持つのですか。たとえばスピードの問題、それから先ほどもちょっと問題になっております。これは自動車そのものじゃありませんけれども、タイヤの性能、それからひっくり返ったときにあまりへこまないという何といいますか強度、あなたの方ではどういうふうにそれを調べておられますか。
  113. 佐々木学

    ○佐々木説明員 車が売られますときには、まず型式指定申請書を運輸省に提出いたし、運輸省の方で実地検査をされてこれを確認されるわけでございますので、そういうこまかい数字については運輸省からお答え願うのが適当だと思いますが、たとえばスピードについて見ますと、大体百六十キロは最高スピードとして出ると思います。それから六気筒にしましたので、馬力とか乗りごこちとか、そういう点については相当改善されておると思います。現在二〇〇〇CC程度の車でございましたならば、やはりスピードは大体百四十キロくらいのスピードでございます。
  114. 阪上安太郎

    ○阪上委員 タイヤの方は国産タイヤですか。
  115. 佐々木学

    ○佐々木説明員 むろん国産タイヤを使用しておるのでございますが、車を出します前に、実地のテスト相当、数万キロというテストをやっておりますので、最高スピード百六十キロに十分耐え得るものと考えております。
  116. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それでは運輸省の宮田さんですか、あなたの方では性能検査はやはりおやりになるということですが、どういった方法で、どういった場所でおやりになるのですか。
  117. 宮田康久

    ○宮田説明員 新しい形の車ができますと、私たちの方でその車が保安基準に当てはまっておりますかどうかの審査その他一般的な性能審査をいたしておりますが、審査の場所原則として、村山に通産省の試験場がございます。そこでテストをいたしまして、そのほか実際に走った状態も測定いたす必要がございますので、その周辺の一般の街路を使って、実際に制限速度内で走った場合の状態等もいろいろ見ております。  先ほどお尋ねの日産の新しい車でございますけれども、今手元に資料を持っておりませんが、たしか百四十キロ以上出ることを実際に確認いたしておりますし、その場合の安全性能も全部確認いたしております。さらに一般的に申しますと、今までの車に比べますと、ホイールベース、トレッド、みな広い車でございますので、それだけ安定性はよくなっていると考えております。
  118. 阪上安太郎

    ○阪上委員 衝撃の試験はやりましたか。
  119. 宮田康久

    ○宮田説明員 強度等につきましては、その必要部分についての強度計算書——一定の方式がございまして、それに基づく強度計算書、あるいは実際に試験をいたしました社内試験のデータをそれに添えて提出してもらうことになっておりまして、それで審査をしております。
  120. 阪上安太郎

    ○阪上委員 何かよくわからないのですが、部分的に検査する、こういうことなんですね。自動車全体を検査しないんですか。
  121. 宮田康久

    ○宮田説明員 自動車全体の検査をもちろんいたしておるわけでございます。自動車の全体の安定性それから操縦性、制動能力、それから燃料消費あるいは灯火類それから騒音等あらゆる方面から検討しております。
  122. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私の伺っておるのは、衝撃検査をしてみましたか、ぶつっけてみたんですかということです。人形でも乗せて……。
  123. 宮田康久

    ○宮田説明員 衝撃の検査は私どもいたしておりません。
  124. 阪上安太郎

    ○阪上委員 会社からデータをもらって、それだけで、あなたの方でただ構造上の理論上の検査だけしておったって、これじゃ役に立たぬでしょう。会社の言いなりほうだいということですか。
  125. 宮田康久

    ○宮田説明員 今のお話でございますが、フレームの強度でございますとか、一般にそういう強度計算の資料は全部とっておりますし、それから他の、もちろん外国車その他の実例もすべてあるわけでございまして、それから板圧その他も他の欧米の市に劣るようなことのないように、十分その点はチェックしております。
  126. 阪上安太郎

    ○阪上委員 その強度とかの試験はどこでやるのですか。
  127. 宮田康久

    ○宮田説明員 強度等につきましては、それぞれその材料によりまして、ないしその設計寸法その他によりまして、一定の計算方式がございます。その計算方式をきめますには、自動車関係の学識経験者等技術者が集まっております自動車技術会というのがございまして、その技術会が強度計算方式をきめておりますが、世界の各国の車に匹敵して国産の車が劣ることのないように、この強度計算方式にのっとって私どもは審査をしております。従って実際に衝撃試験等で車をぶっつけてみるというようなことは、個々の車についてはやっておりません。ただ、今まで衝撃試験をやったことがないということではございませんで、運輸技術研究所に衝撃試験をする坂路がございまして、この運輸技術研究所でたまたま、たとえば先般セーフティベルトの試験をいたしましたが、そういう際でありますとか、その以前にも衝撃試験をたびたび繰り返して、外国車あるいは国産車についてやった例はございます。
  128. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そうしますと運輸省独自の権威ある試験の制度といいますか、基準、そういったものはお持ちじゃないのですね。
  129. 宮田康久

    ○宮田説明員 運輸省といたしましては、今やっております強度計算の方式につきまして、学識経験者等の意見を徴し、よりよいものにいたしたいと思っていろいろの実験を現在繰り返してやっております。またきまりました部分からは、次々に私どもも新しい方式を採用して、さらによいものにしていきたい、現在そういうことで実施をしております。
  130. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それでは少し観点を変えまして、某社の二八〇〇CCの車が、これは向こうのデータだと思うのですが、最高時速百六十キロ、それからあなたの方では二〇〇〇CC程度以上のものについてやってみたところが、大体その車で百四十キロは出ることは確実だ。そこはいろいろあれがありますが、それだけの違いが出てくるのじゃないかと思うのです。これは最高速度でもって突っ走らせれば持続瞬間は一体どのくらいですか。この性能を発揮し得る持続時間。
  131. 宮田康久

    ○宮田説明員 ただいま高速試験をいたしますテストコースに適当なのがございませんものですから、今村山の試験コースでやっておりますが、ぎりぎりの最高のところまで出すという試験ができませんので、はなはだ私どもとしても残念でございます。今テストコースで、非常に短い時間でございますけれども、できるだけの高速を出さして、瞬間的なものでございますが、チェックをしております。
  132. 阪上安太郎

    ○阪上委員 瞬間時速百六十キロ、こういうことでありましょうけれどもテストコースがないということになればおそらくきわめてわずかなものだと思うのであります。五、六分飛ばしておったところが案外六分目には車がこわれてしまう、そういうようなケースが出てこないとも限らない。そういうことで、いよいよこういうハイウエーと取り組む日本自動車の安全性等については、運輸省自体がテストコースを持っていない、会社も持っていない、これではしごくあぶなくて、こんな車はあまり製造許可はできないんじゃないですか。
  133. 宮田康久

    ○宮田説明員 今回できます名神道路にいたしましても、最高速度道路の方の設計上の速度も毎時百二十キロというお話でございますし、先ほど警察庁からのお話でも、最高速度制限はほぼ百キロ前後というお話でございます。その点から見まして、また国産の乗用車につきましても海外に相当輸出しております。海外で相当のハイスピードで走っておりますので、そういうような実績から徴しましても、現在日本で生産されております車についての不安はないものと考えております。
  134. 阪上安太郎

    ○阪上委員 しかし百二十キロでもまだ日本では必要なテストは十二分に行なわれていないでしょう。百二十キロの場合はどこかでおやりになりましたか。
  135. 宮田康久

    ○宮田説明員 国内では連続的に百二十キロか面三十キロ走れますコースとしましては、各社それぞれテストコースを持っておりますが、そのテストコースは、その程度の速度で連続走行できるようなものであります。そこで各社とも十分なテストをして生産に移しているわけでありますけれども、さらに先ほど申し上げましたように、外国にだいぶ輸出をしておりまして、実際のハイウエーでも相当の走行実績を持ってきておりますので、私といたしましては、今後生産される車についてのそういう点の不安はないものと考えております。
  136. 阪上安太郎

    ○阪上委員 池田さんでもみなそうなんですが、何でもかんでも日本で検査しないで、外国で検査してもらう悪い癖がある。率直に言って、運輸省がこんなものは持ったらどうなんですか。こんなことでやっておって将来どうするんですか。
  137. 佐々木学

    ○佐々木説明員 現在財団法人の自動車高速試験場というのができまして、茨城県の谷田部で大体百八十キロ、百九十キロのスピードの出るテストコースを建設する予定になっております。残念ながら土地買収にだいぶ手間がかかりましたが、やっと土地買収が一段落終わりまして、現在設計にかかっている段階でございます。来年の三月に一応完成する予定になっております。
  138. 阪上安太郎

    ○阪上委員 またいずれあとでそういう問題は聞きたいのですが、財団法人のそういうテストコースということですが、運輸省自体で、あるいは政府自体で持つという考え方はないのですか。
  139. 宮田康久

    ○宮田説明員 運輸省自体では今考えておりません。
  140. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私は考えられた方がいいと思う。そんなものを財団法人などでやれというようなたよりないことをしておってはだめですよ。テストコースですから、経費等の関係から一つあればいいじゃないかという考え方になるかもしれませんけれども、やはりあなた方も監督官庁として、自分でこのくらいのものを持ってやる熱意といいますか、そういうものがなくてはこの場合おかしいですよ。そういうことはまた一ぺん大臣においで願ってお話を承ることにいたしましょう。  それから一五〇〇CCとか二〇〇〇CCくらいの間のものでも、先ほど言われたように大体百二十キロくらいは出るだろう、こういうことですね。そこでそれ以下のもので、先ほども川村委員からお話がありました小さな何かシラミのような格好をしたやつがありますね。一体あんなものをハイウエーで走らせていいのですか。あれは構造上の見地からいって、足元が弱いので、あんなものをぶつけたらどうなってしまうかわからない、人命にも大きな影響を与えましょう。あれは一体どのくらいのスピードが…るのですか。会社の名前は言ってもらわぬ方がいいと思う。
  141. 佐々木学

    ○佐々木説明員 三六〇CCの乗用車でございますと、大体最高スピード九十キロでございます。
  142. 阪上安太郎

    ○阪上委員 警察庁の方はそんなものを走らせて差しつかえありませんか、何か小さなものから大きなものまで走り回って。
  143. 冨永誠美

    冨永政府委員 これは先ほど建設省の方からもお話があったと思いますが、ハイウエーにどういう車を通すかということを検討いたしておるわけでございます。もちろん私どももやはり交通安全の見地から一体こういうものはどうだということをやりたいと思っておりますが、何しろ先ほども話が出ましたように、まだせいぜい八キロか十キロしか距離が完成いたしておりませんので、これをやるのにはどうしても三十七、八キロ、四十キロくらいの距離を常時テストしてやってみて、この車はどうだというところまでいかないと、詰めの問題に入れないと思います。もちろん私どもとしましても重大な関心を持ちまして検討しております。
  144. 阪上安太郎

    ○阪上委員 自動車の貿易自由化で問題になっているのは、コストの点だけなんです。業界ではコストばかり頭に置いておるわけです。スタイル等によって、外車に侵食せられるおそれもあるだろうという配慮もあろうかと思うが、結局はコストの問題になる。そうしてそういった性能等につきまして、もっと真剣に外車を凌駕していくような考え方というものがそこからちっとも出てこない。そこで監督官庁の方では、先ほど承っておりますと、何かあまり自信のありそうな話も出てこないというような状態です。そこで高速道路交通安全ということを考えたときに、自動車構造がこれから非常に問題になってくると思いますが、何かもう少しはっきりした基準、データを持って、そうして業界に対しても要求すべきものは常々と要求していくという態度があってしかるベきだと私は思うのです。何か今のところは向こうから出てきたデータを調べてみて、そういう言い方は少し過酷かもしれませんけれども、何かたよりなくてしょうがない。そんなことをやりておったら、警察の方では一生懸命取り締まろう取り締まろうと思っておるのだけれども警察の方では運転者の方は取り締まれるけれども、車を取り締まるわけにいかない。そんなところからはからざる事故が続出するということになりかねないと思う。このくらいの心配は先にしておいた方がいい。安全だと思っておった北陸の方でもなだれがやはり出てくるのです。そういうことを考えると、初めての問題ですから、よほど慎重にかからなければならぬと思いますので、さらにそういった点で監督官庁の方で十分配慮していただくことを要望して、私の質問を終わります。
  145. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ちょっと、今お話を聞いておったのですが、通産省には工業技術院もございましょう。ですから何か会社からデータを出させて、それでもって学者の方々なんかを網羅した、技術団か何か知りませんが、御意見を聞いてどうこうするというのじゃなしに、車両の重要部分については、通産省でも運輸省でもいいかと思うのですけれども、やはり官庁として独自の強度試験をきちっとやるくらいの考えを持ってもいいと私は思うのですけれども、そういうことは考えていないのですか。
  146. 佐々木学

    ○佐々木説明員 これは自動車技術会という、役所も学者も入りました、おそらくトップレベルの技術者の集まったところでございますけれども、ここと、それからいろいろな工業会と共同いたしまして、そういう強度試験をやっております。なお、個々の部品、たとえばエンジンがどの程度の回転速度でどの程度に摩擦するかというような問題につきましても、これは通産省で、工業技術院の機械試験所の第三部におきまして、機械試験所の職員が指導いたしまして、そういう実験をやっておるわけでございます。
  147. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 先ほどは何かデータを出させて以ているというようなお話だったのですが、そうすると、現実に車両の主要な部分については、張力の試験もやる、あるいは強度の試験もやる、あるいはひねったり何かしまして、それぞれ主要な部分についての実際的な試験をやっているということなんですね。やっているとすれば、場所はどこでやっているのですか。
  148. 佐々木学

    ○佐々木説明員 そういうすべての試験は、残念ながら、やっていないわけであります。たとえばエンジンの最高高速回転が五千回転で何時間ぐらいもつか、たとえばカタログにそういうふうに会社から言ってきますと、その通り出るかどうかということを部分的にやっておるわけでございまして、たとえば車をぶつけてみるとか、ねじってみるとか、そういうような試験は、残念ながら、やっていないわけであります。
  149. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 車自体をぶつける試験などは、そうたくさんしなくてもいいと思うのですけれども、やはり重要部分についての試験は、現実に監督官庁が抽出をして調べてみるということをしなければ、今のような交通地獄、しかも人命尊重という建前からいっても、私は軽率過ぎるのじゃないかと思うのですね。だから何の施設もないということなら別ですけれども、工業技術院あるいは大学の施設等を使ってもよいのですから、やる気があればできると思うのです。これはやっていただくようにお願いをしたいと思います。  それからいま一つ、先ほど外国へ持っていって評判がよろしいということを非常に強調しておられるのですが、私は外国を回りましていろいろ聞きましたら、日本の国内で使っている車を、ソ連ならソ連へ持ってきて走らせますと、向こうは道が広くてハイウエーが多いですから、エンジンが焼けてすぐだめになるというのですね。外国に持っていって云々というけれども日本のメーカーはやはり輸出用の車と国内用の車を区別してつくっているのが現実ではないですか。
  150. 佐々木学

    ○佐々木説明員 一部、小さなボディに大きなエンジンを載っけて輸出をしていることもございます。しかし大部分の車は、ただボディの色を向こうの注文によって塗り分けましたり、あるいはアクセサリーなんかを取りかえておるだけでありまして、車そのものは大体において国内のものと同じものを出しておるわけでございます。
  151. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 広大な国、たとえば南米のブラジルとか、そういうところでは、国内で使っている車自体では、エンジンその他の関係からいって問題があるので、やはり高速道路の多い地域と国内用のものとは若干違うというお話を聞いたのでありますが、時間もありませんから、これ以上いたしません。ただ、いろいろ聞いてみますと、国内の狭い地域で走っている車をそのまま外国に持っていったのでは、さっきのお話では外国で非常に名声が高いようなお話でありましたが、どうも現地で聞きますと、強度が弱いという話を聞くようであります。この点は運輸省の方で何かそういうことをいろいろお話を聞いたり検討されたことはございませんか。
  152. 宮田康久

    ○宮田説明員 お話通り日本では非常に道路の悪い状態で、従って低速で走っている状態の車でございます。従って、外国へ出します車は、その点十分考慮して、極力軽量な車で、先ほど通産省の方でお話がありましたように、エンジンも一回り大きいということで高速性能が十分出るような車を持って参っておるわけでありますけれども、今お話のありましたように、こちらで高速で連続走行した経験がありませんだけに、やはり外国へいって、高速で連続で走っておりますと、ときどきいろいろトラブルが出るということは聞いております。その点各メーカーともやはり輸出に真剣に取り組んでおりますので、逐次改善をしているという実情を聞いております。  さらに先ほどお話のありました点で、重要な部分、たとえば前車軸でありますとか、そういう部分につきましては、私どもの運輸技術研究所でも抜き取り的に耐久試験等をして実際のチェックをしております。つけ加えさせていただきます。
  153. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これで終わりますけれども、結局外国で評判がいいというお話ですが、エンジン等一回り大きいものをつけて持っていってもトラブルが起こることがある。国内では、そうではなくて、小さいものをつけてやっているようでありますが、阪上委員から何回も指摘がございましたように、国内でしかるべく高速を出して十分テストをし得るような、そういう施設をつくることが重要ではないか。これまた意見として申し添えておきたいと思います。
  154. 永田亮一

    永田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十八分散会