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1963-03-12 第43回国会 衆議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月十二日(火曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 小澤 太郎君 理事 大上  司君    理事 纐纈 彌三君 理事 高田 富與君    理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君    理事 阪上安太郎君       宇野 宗佑君    大沢 雄一君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       久保田円次君    田川 誠一君       前田 義雄君    山崎  巖君       松井  誠君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 篠田 弘作君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  督         (警察庁長官官         房長)     後藤田正晴君         警  視  監         (警察庁交通局         長)      富永 誠美君         自治事務官         (財政局長)  奧野 誠亮君         自治事務官         (税務局長)  柴田  護君  委員外出席者         文部事務官         (初等中等教育         局財務課長)  岩間英太郎君         自治事務官         (財政局交付税         課長)     山本  悟君         自治事務官         (税務局府県税         課長)     降矢 敬義君         自治事務官         (税務局市町村         税課長)   佐々木喜久治君         自治事務官         (税務局固定資         産税課長)   石川 一郎君         専  門  員 曽根  隆君     ————————————— 三月十一日  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一八号)(参議院送付) は本委員会に付託された。      ————◇————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇二号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇一号)  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一八号)(参議院送付)  小委員長からの報告聴取      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法難の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。太田一夫君。
  3. 太田一夫

    太田委員 交付税について引き続きお尋ねをいたしますが、基準財政需要額に対する財源不足額数字普通交付税金額とが、三十四年以来ぴったり合っているという資料をいただきましたが、奥町局長さん、これはぴったり合っているのですか。
  4. 奧野誠亮

    奧野政府委員 八月算定のときには完全に充足できなかった年がかなりあるわけでございますけれども、その後の補正予算で一応地方交付税増額になりまして、完全にそれを埋めているというのが現状でございます。
  5. 太田一夫

    太田委員 それでは不足額に対する交付税のいわゆる不足というのはないものとしてお尋ねしますけれども、今二八・九%でございますが、二八・九%というパーセントによる交付税が、現実の地方におけるところの要望にこたえ得ている、こういう確証と言っちゃなんですが、そういうような見解が財政当局におありでしょうか。これはどうですか。
  6. 奧野誠亮

    奧野政府委員 毎年度基準財政需要額増額を、どの程度やってきているかということで御判断いただくのが穏当ではなかろうかと思うのであります。地方団体といたしましては、産業も発展して参っておりますし、国民生活も上がって参ってきておりますので、公共施設を整備したりするための莫大なる財政需要を抱えていると思います。ただ、しかし国民負担をあわせて考えていかなければならない問題でございますので、基準財政需要額がどの程度伸びてきておるかということで、どの程度地方団体の希望を満たしているという御判断をいただくのが穏当ではないかと思うわけでございます。昨年たしか基準財政需要が、二〇%前後伸びたと思うのであります。今回もこの算定におきまして、一五%前後はやはり来年度伸びる。従って、どの団体におきましても、その程度までは財政需要伸びても、所要財源が完全に補てんされるという仕組みになっておりますので、私たちといたしましては、この数年は地方財政は一応円滑な推移をたどることができる、こう思っておるわけでございます。
  7. 太田一夫

    太田委員 しかし、たとえば税法の審議をしますると、地方税法において、市町村民税本文方式ただし書き方式の二方式があり、しかも原則である本文方式をとる町村が少なくて、八割強がただし書き方式という、三倍以上高い地方税税率によらざるを得ない実情にある。これが地方財政一つ見方でありますが、そういう点からいうても、地方財政に公平の原則を認めてやる。——あなたのところは非常に産業がおくれておるから高い税金を取りなさい。あなたのところは人口が少ないから高い税金を取りなさいというような前提のもとに税制が仕組まれたり、条例がきめられたりしておるというのは、これは若干えこひいきだと思うのです。不公平だと思うのです。公平の地方行政に凸凹があるということになろうと思いますが、そういう点、デコボコを矯正するためには交付税という法律による以外にいい方法はなかろうと思うのです。従って、その交付税が二八・九%ということになっておりますけれども、ただにどこかに減税があったから減税穴埋め交付税をやりました、今までの過去の例からいいますと、そういう場合にふやしてきたんですが、それ以外に、地方行政水準標準化高度化、こういう点からも交付税というものを考えていく必要がある。現在の二八・九%ならこうなるというもろもろの資料とか、あるいは数字というものを御説明いただいておるのでありますけれども、こういうふうに地方財政水準はあるべきだ、構成はあるべきだ、地方財政規模はあるべきだという観点からいいますと、二八・九%というものは若干低いじゃないかという感じを持つ。この二八・九%を上げなければ、何か地方財政要望にはこたえられないという気がするのですが、そういうような感じというのですか、お気持というものは、どんなものでしょう、あなたの方にございますでしょうか。
  8. 奧野誠亮

    奧野政府委員 太田さんが今おっしゃいました問題は、確かにあるわけであります。昔は、自治体なんだから、それぞれの団体施設を整えるのに税負担が重くなる、それはやむを得ないことじゃないかというような考え方であったかと思うのであります。しかしながら世の中がだんだん発展して参りまして、それに伴いまして今おっしゃいましたような均衡化理念というものが、非常に強く国民から要望されるようになって参ったわけでございます。しかしながら、そういう問題もやはり漸進的に問題を解決していかなければならないんじゃないだろうかというように考えているわけでございまして、究極の目標はそこに置いておりますことは言うまでもございません。その場合に、私たちの考えておりますのは、財政に比較的恵まれている団体財源を削って貧弱団体に回すということじゃなしに、財源がふえたときに、それを優先的に貧弱団体に振り向けることによって、均衡化を前進さしていきたい、こういう基本的態度をとってきておるわけであります。そこで、地方団体にそういう問題があるのだから、二八・九%というものをふやすべきじゃないかという考え方があるわけでございますけれども、その場合に、やはり非常に国の財政にゆとりがあって、地方財政だけが困っているのだ、こう考えるかどうかということでございます。一応国の財政地方財政も、国民から付託された仕事をやっていく、それについては、これだけの財源がなければならないというようなことで運営をいたして参っておるわけでございますので、やはり率を上げるということになりますと、それだけ一応国民負担がふえるんだという考え方で臨んでいかなければならぬじゃないかと思うのでございます。そういうことになって参りますと、やはり国民負担につきましても、さらに増税というような形につきましては納得が得られがたいような問題でもございますので、やはり経済の発展に伴う自然増収、その増加財源を、優先的に貧弱団体に向けていくというようなことで、逐次御指摘のような問題を解決していかなければならない、こういうような考え方で参っておるわけでございます。
  9. 太田一夫

    太田委員 高い財政能力を持つところから取って低いところに回すということは、これは本意なことでない、——おっしゃる通りだと私も思います。高いといわれる東京、神奈川、愛知、大阪、福岡等においても、なすべき仕事は山ほどあるけれども、それがなされないままに黒字団体とか富裕団体といわれておるのでありますが、これはものの見方であって、もっともっと財政が豊かでなければ、思うだけの仕事はできないという実情にあろうと思うのです。従って、そこから取るわけにはいかない。しかしながら、低いところにたくさんの財源を与えようとすると、住民負担によって与えるという今とられておるという方式は、これはいかなるものであろう。とにかく住民負担という形でなくして、これは住民税の場合もありましょうし、固定資産税の場合もありましょうし、その他の法定外税金を取っておる場合もありますけれどもそれ以外にも税外負担というものによっても相当多額の経費住民負担しておる。従って未開発地域後進地域において、非常な負担が他府県に比べて多いのでありますから、それを何とか解消していかなければならない。だから政府の方から見まして、交付税という立場から見て、地方財政を指導する精神、指導する方向は何だろうかということを明らかにしていただいて、そうしてその中から将来の改正案というものを生み出していく必要があろうと思う。指導する方向というのはやはり財政力均等化だと思うのです。そうすると二八・九%というものは考えなくちゃならないという結論になるわけですが、二八・九%に私はこだわるわけじゃない、これは三〇%にしなければやっていけないから、どうしても今すぐ三〇%にしろなんということを言うわけじゃありませんけれども、何とか、将来の地方財政に対する国としての指導精神指導理念あるいは志向する方向といいますか、そういうものをこの際明らかにしておいてやることは、地方のために非常にプラスになると思うのです。ことしのことは言いませんよ、将来は交付税はこうあってしかるべきだ、財政貧弱団体に対するところの財政調整方針は、こうあっていいのだということについて、もうちょっとあなたの具体的な御方寸というものがあれば、個人の私見でもけっこうです。私見というと少々語弊があるかもしれませんけれども、何かそういう点をお示しいただくことがこの際必要であろうかと考えます。いかがですか。
  10. 奧野誠亮

    奧野政府委員 最近とって参っております地方財政についての考え方を申し上げたいと思います。  一つは、地方財源が全体として豊富にありませんと、均衡化の理想を達成することは困難でございます。地方財政現状からいいますと、国民から減税要望もございますけれども、地方財政に関する限りは財源を持ち出して積極的に減税するような余裕はないのだということを言い続けて参っております。今回の電気ガス税減税にあたりましても、持ち出し減税はできないということで、国からたばこ消費税財源移譲を受けているようなことでございます。これが一つ基本でございます。  もう一つは、御指摘になりました住民税の問題につきまして、昭和二十五年に今の地方税制基礎ができましてから、いわゆるただし書き方式につきまして、一つはやはり準拠税率を設定いたして参りました。その後さらに扶養控除の制度を設ける等いたしまして、本文方式への近づけを制度的に行なって参っておるわけでございます。漸次制度的に一本化への方向をとっていきたい。従いまして、また運営の面におきましても、特別交付税配分にあたりまして、ただし書き方式をとっている団体減税する場合には当該年度においては激変緩和の意味においてこれで補てんをするというような考え方もとって参っておるわけでございます。  他方、基準財政需要額算定におきましては、財源がふえましたつど、貧弱団体に優先的に振り向けるというような計算方式をとって参っておるわけでございます。具体的に申し上げますと、たとえば市町村でありますと、九種地以下の市町村、こういう団体におきましては給与差があるのじゃないか、あるいは学校建築におきましても単価差があるのじゃないかということで、割り落としをしておったわけでございます。昔はやはり貧弱団体であれば貧弱団体であるほど財政運営は貧弱であった。均衡化をはかるにいたしましても、一挙に理想的な姿だけでそういう改革はできません。一応現状に立って、逐次均衡化へ進めていかなければなりませんので、現状の姿において均衡化を考えていくということになりますと、その当時行なわれておった財政運営基礎にして基準財政需要額算定をある程度行なっていかなければなりませんので、割り落としをしておったわけでございます。それを三十六年度から五年計画で全部やめてしまおうという方式をとっておるわけでございます。三十八年度はその第三年目になるわけでございまして、割り落としの率の三分の一を引き上げるという方式をとろうとしているわけでございまして、その関係から四十数億円の財源を九種地以下の市町村にだけ振り向けるということになって参るわけでございます。そうやって、税制の面、基準財政需要額算定の面で均衡化を進めて参るわけでございますけれども、従来と違いましてある程度基準財政需要額も相当に算定できるようになって参ってきております。ある程度行政水準も一応維持できるというような線までだんだん上がって参ったわけでございますので、上がって参った今日においては、今の基準税率算定は、市町村については七割方式をとっておるわけでございます。税のあるところとないところとでは三割の違いがあるわけでございいまして、これは、税金だけで所要経費をまかなっている団体と、税はほとんどなく、地方交付税だけで所要経費をまかなっている団体と比較いたしますと、四割以上の開きが出てくるのでございます。十を七で割ればいいと思うのでございます。それはやはり基準財政需要額算定がある程度になってくれば、その面はもう少し均衡化をはかっていいじゃないか、だから基準税率は将来七側を七割五分に引き上げていきたい、さらに将来は八割に引き上げていきたい、基準財政需要額算定がある程度高い水準においてできるようになってくれば、こういう方式をとっていくことが可能になってくると思うのでございまして、三十九年度からはそういう改正ができるように準備をいたしていきたいということで、内部では検討いたしておるわけでございます。こういう方向で御指摘のような均衡化の問題を解決していきたい、こう存じておるわけであります。
  11. 太田一夫

    太田委員 基準財政需要額算定の仕方を改めて、さらに基準を高めるという目的を実現させるために努力する、こういう方針だということは一つ方法としてけっこうであります。従って、それを高めます場合には、交付税額の全体と調整をとりつつやらなければいけないのですが、交付税税額そのもの伸びが非常に少ないといわれておるときにおいて、来年度以降基準財政需要額を適切に高め、地方要望にこたえつつ、その財源をも必ず確保していくというためには、一つ見通しが必要だと思うのです。奧野局長は、先回か何かのときに、今後不景気になる、いわゆる財政伸びは非常に鈍化するであろうということをおっしゃったのでありますが、そうすると、志は非常に遠大であるけれども、事はその通りに伴わない、そういうことになりそうな気がするのですが、何か具体的に来年度一つ可能性というのは生ずるのでしょうか。この見通しはいかがですか。
  12. 奧野誠亮

    奧野政府委員 おっしゃいましたように、三十七年度に比べまして、三十八年度地方税伸びは鈍化いたして参ってきております。幸いにして地方交付税の方は、三十六年度自然増収繰り入れ済額、これを三十八年度で受けるものでございますので、地方交付税伸びは非常に大きいわけでございます。三十八年度は、国税にいたしましても地方税にいたしましても伸びは鈍化するわけでございますけれども、地方交付税に関しましては、今申し上げましたような事情がございますので、かなり大きな伸びをやはり示すわけでございます。従いまして、三十八年度地方財政は、一応必要な経費をまかなうだけの財源は確保できるのじゃないか、こう思っておるわけでございます。三十九年度以降のことになって参りますと、これはやはり経済政策とも大きく関連して参りますので、私たちは別に今非常に心配だという気持は持っていないわけであります。幸いにしてこの数年の非常な好況時代におきましては、かなり大幅に減税も行なわれたわけでございます。持ち出し減税はできないといいながらも、地方税におきましてもある程度減税は行なって参ってきておるわけでございます。そういうことをあわせ考えながら、地方財政が円滑に推移できますように善処して参りたい、かように考えておる次第であります。
  13. 太田一夫

    太田委員 ぜひ地方財政強化については、財政当局としては極力めんどうを見てやっていただく必要があろうと思うのです。かゆいところに手の届くような交付税法でなければ——ほんというと何だか中央に出したやつを、金を少しもらうのに、めんどう手続計算でもらうのだ、しかもそれははした金だというようなことだけでは困るのでありまして、できる限り地方財政強化地方行政水準引き上げというものに見合うように交付税そのものの体系を考え、あわせてその財源を確保するためには、いろいろな面から御努力いただきたい。たとえばそれが、パーセント引き上げが必要ならば、パーセント引き上げが必要だということに当局自身が強い信念を持っていただかなければ、なかなか大蔵省そのものは、そう簡単にそれじゃ三〇%に上げましょうと言わないと思うのです。従って、財政局長さん初めとして、自治省におきまして、今地方財政の貧困な現状を大いに認識していただいて、引き上げのための努力を必要だとするムードをつくり上げていただきたいと思います。  そこで、具体的なものについてちょっとお尋ねするのですが、たとえば市町村の境界というのは、海岸などにおきましてはさだかでないものがあるような気がするのです。潮が引きますと、非常に広々とした干潟ができる。これは町村面積の中に入るのですか入らないのですか。
  14. 奧野誠亮

    奧野政府委員 湖があったり、池があったりすることもございますが、そういう湖沼も全部市町村面積に入っているわけでございます。波打ちぎわの問題につきましては、どういう計算をするのか、私どもよく承知しないのでございますけれども、今申し上げましたような原則市町村面積算定されるのであります。
  15. 太田一夫

    太田委員 交付税課長さん、あなたにもう少し詳しく答えていただきたいのですが、私の言うのは——湖というのは内陸にあるのでしょう、海のまん中に湖ということは聞いたことがないから。私の言うのは波打ちぎわですね。海水が引いた、潮が引いたら非常に広い陸地が現われてくるわけです。満潮になると非常に土地が狭められる。その場合、町村行政権の及ぶ範囲は一体どの辺か。国際法上のことを尋ねるわけでございません。交付税に関連をしてお尋ねをいたします。
  16. 山本悟

    山本説明員 ただいまの御質問でございますが、交付税計算に使っておりますのは、建設省の国土地理院におきまして公表いたしております数字を、そのまま借用いたしまして使用いたしているわけでございます。従いまして、各市町村ごと面積が幾らになるかという点で、ただいまの御質問のような点につきましては、国土地理院の方でどういう調査をやっているかということになって参るわけでございますが、私も寡聞にいたしましてそのところまでちょっと現在の段階で承知をいたしておりません。調べましてお答えを申し上げたいと思います。
  17. 太田一夫

    太田委員 その他の行政喪について、面積一キロ平方メートルにつき三十三が七千円と今度市町村の場合は単位費用引き上げがあります。こういうふうに引き上げたことに異議はございませんが、これはわずか一%の引き上げであります。ところが、そういう一般に面積というのが確定している場合は大した問題はないのですが、長い海岸線を持っている町村といたしますと、そう簡単に、面積は旧参謀本部に聞いて下さいというような考え方では困ることが出てくると思うのですよ。そこには非常に費用が要るのです。九州などに出てきておりますね。何かそういうところは実情に応ずるプラスアルファを考えるという必要はありませんか。
  18. 奧野誠亮

    奧野政府委員 面積が広い団体においては、やはり総体的には財政需要が多いだろうと思います。そういうこともございまして、御指摘のように面積測定単位として、投資的経費を包括的に算入するという方式をとっているわけでございます。今回の改正にあたりましては、町村部につきましては、その他の土木費という項目の中にある程度包括的に投資的経費を算入するという方式をとりまして、面積分はあまり出さなかったわけでありますが、三十七年度は、面積分にかなり投資的経費を効果的に算入するという方式をとったわけであります。今後も両方よく検討しながら、必要な、適正な財源配分になるように改正を工夫していきたいと思います。
  19. 太田一夫

    太田委員 交付税課長、具体的な例ですから、検討をしていただきたいのです。熊本県長洲町というところが、その海岸線いわゆる面積という問題で非常に困っているのです。あれは何海ですか、潮が引くと遠くまで陸地になってしまう、潮が来たらこちらの方まで来る。そこで引いてしまったあとというのは、これは単に海だといってほうっておくわけにいかない。非常に金がかかるそうです。これは実際に実情長洲町についてお調べいただいて、面相などについて特段の措置をする必要があるならば、特段のめんどうを見ていただきたい。これは特殊な例ですから、普通の場合に、面積にそう大きな苦情があるわけじゃないでしょう。太閤秀吉の検地にさかのぼって、誤差がどれくらいあるというようなことを問題にしているわけではございませんから、一つ長洲町について具体的にお調べいただいて、実情に合うように御配慮をいただきたい。  それからその次に、こまかい話で恐縮ですが幼稚園の話です。幼稚園単位費用ですが、今幼稚園というのは標準団体で十万人の人口にたしか四つ幼稚園ということになっていたと思うのですが、現在どうなっていますか。
  20. 奧野誠亮

    奧野政府委員 幼稚園所要経費につきましては、特別に測定単位を引き出してはいないわけでございます。人口分で一括して算入するという方式をとっておるわけでございます。幼稚園につきましては、現状におきましては、私立が非常に多いわけでございまして、全体的に公立化してしまうという考え方をとるわけにも参りませんし、また同時に保育所との関係もあったりいたしまして、両方とも人口測定単位として包折的に算入するというやり方をいたしておるわけでございます。
  21. 太田一夫

    太田委員 包括的だということになれば、つかみ金ということになるような気がするのですが、一つの、今まで言われたことは、十万人の人口規模において四つ幼稚園であり、四クラスに対して百六十人の園児というように大体見ていらっしゃる。ところが十万人の人口の都市におきまして四つ幼稚園というのは、少々実情にかけ離れておるのでありまして、十か十五くらい見ていただく必要があるのではないかというのが長年の声であったし、同時に四クラス四名の教員ということだけでは、これは大へん実情に合わないのでありますし、特に園長というものが全部初めから兼任という建前をとっておる。ところが園長は兼任ではなくて専任であるべきではないだろうか。あるいは教諭も、四クラスに対して四名ということはいかがなものか。少なくとももう一名ふやして五名くらいは見るべきではないだろうか。それから事務員だとか、養護婦なども、一応一名くらいずつは見ておくべきではないだろうかという幼稚園に対する父兄の要望というものが、最近非常に強くなってきておる。自治省にこの要望は届いているのでしょうか、どうでしょうか。
  22. 山本悟

    山本説明員 幼稚園につきまして、いろいろな方面から、現在の所要経費を大幅に増額するという御要集があることは存じているわけでありますが、先ほど局長がお答え申し上げましたように、幼稚園につきましては、全部が公立という延前をとっていないことは御承知の通りであります。また保育所その他の関連もございまして、ただいま局長がお答え申し上げましたように、包括的に人口で測定をしていくということにいたしておるわけでございます。ただいま御指摘がございましたように、包括的ではございますが、一応の基礎といたしましては、十万の団体で四園、一園につき百六十人の保育児ということで計算をしているわけでございます。園長の問題につきましては、四園のうち、公立の幼稚園の実態を調べてみますと、小学校等に併置をされておるものが非常に多いわけでございまして、それらのことも勘案をいたしまして、三園につきましては専任の園長がいる、二園につきましては兼務である、かような計算をいたしているわけでございます。なお、十万の団体にただいま申し上げましたような計算基礎で算入をいたしましても、全団体について考えますと、決算規模に比べましても、やはり基準財政需要額が全体としては相当にオーバーをするという状況になっているわけでございまして、基準財政需要額が全団体について同一のレベルで算定をする以上は、ただいまの程度算定で相当によく見ているのではないかというようにも存じておるわけであります。
  23. 太田一夫

    太田委員 少々世論が達しておらないような感じがいたしますが、幼稚園の先生、教諭の給料というのはどのくらいに見ていらっしゃるのですか。今現実にどれくらいのものが払われているとお考えでございますか。
  24. 山本悟

    山本説明員 単位費用の積算に使っております給与費といたしましては、本俸におきまして、園長のある場合が、月額三万一千二百円が一人、二万七千四百円が二人、一万六千四百円が一人、かような積算基礎を使用いたしております。
  25. 太田一夫

    太田委員 二万七千円とか二万六千円というのは教諭の給料ということになるわけですね。一万七千円、一万六千円というのですが、教諭というのは、教諭として見ずに、何かほかの標準で見ていらっしゃるようですね。たとえば地方公務員並みという見方ですか。
  26. 山本悟

    山本説明員 ただいま申し上げました数字は本俸のみでございまして、その他の付加給はもちろん入っていない数字でございますとともに、これは現在の教職員の俸給表に当てはめまして、ただいま申し上げました三万一千二百円というのが一等級の二号、次の一万七千四百円というのが三等級の九号、次の二万六千四百円が三等級の八号、こういうような数字でございます。
  27. 太田一夫

    太田委員 これは当てはまるではありましょうけれども、一万五千円、六千円、七千円というような給料では、安過ぎることは事実です。しかも三十才くらいの年齢の方が二万五千円程度の給料しかもらっておらないなんというのは、どう考えても幼稚園軽視です。しかも私が一番大切に思いますのは、一体人間というものの教育は幾つから始めたら一番いいかという点ですね。これは自治省の方ではない。自治省はお金を出したり税金をとったりというので、あまりいいことをおやりになっていらっしゃらないので、人間教育のことではどうもお答えいただくのはいかがかと思いますが、文部省の財務課長さんいらっしゃいますが、文部省から見まして、子供の教育というのは何才から始めるのが一番よろしいか。岩間さんおいでになるようですが、岩間さん、お答えできたらちょっとその点をお答えいただきたいのです。
  28. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 ただいま義務教育は満六才からになっておりますけれども、それ以前に早期教育をやるということにつきましては、早い教育を行なう方がいいという説もございますが、ただいまのところ、まだ私どもの方で固まった定説というわけには参らないのでございますが、なるべく早く教育をした方がよろしいんじゃないかという考え方が割合強いと考えております。
  29. 太田一夫

    太田委員 奧野さん、今文部省の岩間さんのおっしゃったことは、なるべく早くということですが、私の方で調べたところによりますと、四才十カ月が一番いいという。四才十カ月というと、幼稚園ということですね。従って、幼稚園というのが大きな比重を占めてくるのだろうと思うのです。保育所、保育園というのは保育が中心になって、教育の力ではない、託児所から発展しておりますから。従って、幼稚園というのは一その点から見ますと、日本人のりっぱな精神をつくるということならば、幼稚園教育に重点を置かなければならない。ところが、先生が三十才で一万五千円、どうやって食っていきますか。やりようがないですよ。従って、教諭の給料の引き上げという点やら、あるいは地方団体に対する財政援幼の、基準財政需要額に盛る単位費用のかさ上げとか増額という点をまず考えていただきながら、幼稚園教育を逐次充実するという点に踏み切っていただきたいと思うのですが、局長さん、どうですか。
  30. 奧野誠亮

    奧野政府委員 幼稚園経費につきましては、交付税課長が御説明申し上げたような算定基礎に立っておるわけでございます。御指摘のような要望もいろいろございますので、公立幼稚園の給与の実態なども調査をいたしまして、交付税の算入額が十分であるかどうかということを、常に検討はして参っておるわけでございます。ただ別状に合わせるだけでいいのか、むしろ幼稚園の教育に従事している人たちの待遇を改善するという気持で算入額を考えていくのがいいのか、ここに若干問題があるのじゃないかということを、お説を拝聴しながら考えておったわけでございます。三十八年度中にさらに実態の調査をしながら待遇を引き上げるという気持で、算入額をどう改めるかということは宿題にさしていただきたいと思います。
  31. 太田一夫

    太田委員 もう少し幼稚園の研究をして下さいね。幼稚園の生徒は小さいからといって、小さく見ないで、大事な大きな将来の日本の面木ですから、十分これをつちかう方向を考えていただきたいと思うのです。そのためには、定数の件につきましても、四十人一クラス、四教室で百六十人なんということは四十人を見るということはちょっと一人の教諭では無理です。少なくともこれは三十人くらいの程度まで下げなければならぬだろうと思いますし、給料が一万五、六千円というのでは安過ぎる。こう点なども十分御勘案をしていただきまして、一つ御研究をいただきたい。  それで、次の問題に入りますけれども、文部省の岩間さん、きょうは局長さんがいらっしゃらないのですが、先回、二月二十日の予算第二分科会におきまして、あなた方の初等中等局長の福田さんが、教職員の学級の問題ですね、学級編制に関する標準法の問題についてお答えになった件でありますが、教員の数とかあるいは基準財政需要額という点についてお答えがあったのです。私の方の山口君の質問に対する答弁ですが、教員は実学級を基礎にして定数をを計算しておる、基準財政需要額についても、実学級によって出る数字を自治省と相談の基礎にしております。こういうお答えがあったのでありますが、この考え方は変わらないのでございましょうね。何か変更があるのですか。間違いがあるでしょうか。
  32. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 三十七年度まではその通りでございます。三十八年度につきましては、ただいま国会に、自治省の方から地方交付税法の一部改正法を提出いたしまして、御審議を願っておるところでございます。
  33. 太田一夫

    太田委員 そうすると、二月二十日の分科会における局長の御答弁というものは違っておった……。
  34. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 その後地方行政委員会におきまして、局長からお話しいたしました点につきましては、三十七年度分のことについて申し上げたので、三十八年度の点につきましてはあるいは誤解のあるような発言をしたかもしれませんけれども、その点につきましては間違いだったということを訂正いたしたはずでございます。
  35. 太田一夫

    太田委員 三十七年度においては、教職員数は実学級を基礎にして計算したのに、三十八年度には実学級を基礎にして計算しないという方針の大変更をしたという理由は何ですか。
  36. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 三十八年度までも理論学級をとっておったわけでございますが、そのとり方といたしまして、便宜上五月一日の実学級数をとりまして、それによって密度補正をいたしまして、理論学級数を出しておったわけでございます。しかしながら各方面の御要望もございまして、三十八年度には標準法の完全実施が行なわれるわけでございますので、この完全実施をした姿におきまして、法律通りに理論学級数をとるというふうなことに方針を変えたわけでございます。
  37. 太田一夫

    太田委員 奥町局長、あなた、今の件について、この交付税法改正の提案理由の説明の中に表現されておる言葉と、今文部省がおっしゃったこととは同じですか。
  38. 奧野誠亮

    奧野政府委員 変わりございません。
  39. 太田一夫

    太田委員 では、念のために聞きますけれども、今まででも交付税の中には、その法律の規定に基づいてと書いてあったはずだ。この学級編制及び教職員定数の標準の規定の数字としてとっているというような言葉を入れることによって、実学級からいわゆる理論学級に移っていくなんということは、少々言葉の上でインチキじゃありませんか。同じことじゃありませんか。標準に対して、今まで文部省の制定した標準法というのは、変わっておるわけじゃない。しかも政令一条も変わっておらないというなら、何が変わったのですか、変わるはずはありませんよ。
  40. 奧野誠亮

    奧野政府委員 ちょっと詳しく御説明さしていただきたいと思います。  御承知のように標準法ができたわけでございますけれども、しかし一挙にそこまで行きがたいというようなことで、一学級当たりの生徒定数を、標準法では五十人にとっておるわけでございますけれども、毎年五十六人であるとか五十五人であるかと、逐次減らして参りまして、標準法に近づける努力をいたして参ったのでございます。従いまして、そういうような暫定定数が定められております間におきましては、団体によりましては、標準法があるわけでございますから、それに近づけたい、積極的に努力する団体もあったわけでございます。積極的に努力する団体があるにかかわらず、暫定定数で理論的にはじいていくんだということでは、交付税計算が、せっかく進歩的な教育をやろうとしている段階の動きをとめることになってしまいますので、暫定定数を基礎とするようなものの、標準法に近づける団体がある場合には、それもけっこうだ、しかしマキシマムは標準法で計算をした学級数をとっていくんだという態度をずっととってきたわけでございます。従いまして一応単級数は、それぞれの府県が構成している学級数を使っておったのでございます。従いまして、暫定定数よりも悪い団体もございましたでしょうし、いい団体もあっただろうと思うのでございます。実績を使っておるわけでございますから。幸いにして三十八年度から標準法を完全に実施することになるわけでございます。従いまして、標準法よりも悪い構成をとる団体であろうと、よい構成をとる団体であろうとも、みんな標準法に基づいて学級編制も考えていきたいし、その学級に基づく教員定数も考えていきたい。それに要する経費基準財政需要額に算入する方式をとることが最も公平である、こういう考え方に立っておるわけでございます。基本的には、標準法に基づいて算定するという態度は従来も変わりはないわけでございますけれども、標準法に基づくと言いましても、一応暫定定数しかきまっていないわけでございますので、暫定定数でしか見ないのだということに一律に押し切ってしまいますのも、今申し上げますように弊害でございますので、一応学級編制は実紙を使っていく。従いまして、暫定定数よりも悪いところもあればいいところもある。しかし、いい団体であっても、標準法というものがあるから、それ以上多くは計算しませんぞというような計算方法をとっておるわけでございます。三十八年度からは完全に標準法が実施されるわけでございますので、標準法通りに学級編制も行なわれ、その学級編制に基づく教職員定数も算定をして、それに基づいて基準財政需要額に算入をいたしますことが、どの団体につきましても最も公平に算定することになろうかと思うのでありますが、ただ団体によりまして、標準法よりも悪かったり、あるいはそれよりももっとよかったりするような構成をとったりするようなこともあろうかと思います。従いまして、実績を比べますと、多く算定されたり少なく算定されたりというようなことになろうかと思われます。ただ公に算定しますためには、今申し上げましたような方法をとるべきだろうと思うのであります。従来と考え方基本は何も変わりはないわけでございます。ただ標準法によりまして暫定定数という定めがあったので、その間の折束を今申し上げたような方法を講じて参ってきたということでございます。
  41. 太田一夫

    太田委員 いわゆるえこひいきのないようにするために、すべて標準法によっていわゆる基本学級を割り出して、そしてそこから教職員定数をはじき出して交付税算定基礎にする、こういうわけですね。そういうようなことになりますと、私がうわさに聞いたことによりますと、すでに十七府県において五十人をもって、標準法に近づけるべく破断の努力をした条例を作っておる。十七府県がすでにこれを実施しているということですね。そうすると、五十人というのは——さきに五十六人というお話だったと思うのですが、五十六人というのはいささか政令とは違うのですが、四学級以下に編成する場合ですね、これは標準法の中ですね。政令の一条というのは、一学級に編成する場合は十八名から五十五名まで、二学級に編成する場合は二十八名から五十三人まで、こうなっているのです。これは少なくとも五十名というところに、標準法の精神そのままに五十名という制度に、こういう改善に一歩踏み出した十七府県というのは、実はあなた方から言いますと、少々交付税その他費用計算においては削られてくる。かりに百人削られれば、一人三十万円として三千万円違うでしょう。これは大へんな影響があると思うのですが、影響はないのですか。
  42. 奧野誠亮

    奧野政府委員 従来もやはり標準法で計算をするところをマキシマムにするという考え方をとっておったわけでございます。従いまして、従来よりも悪い算定をするという考え方はないわけでございます。ただ、従来標準法に基づ計算をマキシマムにするということにはしておったわけでございますけれども、かなり荒い補正方法をとつておったわけでございますので、ことさら複雑な計算を求めてはいなかったわけでございます。暫定定数の間でございますから、一応野放しにして早く標準法までいけばよろしいだろう、こういうような考え方でございましたので、標準法による計算をマキシマムにすると言いながらも、密度補正のやり方は、かなり荒いやり方をしておったわけでございます。今回は標準法が完全実施になったわけでございますの  で、かなり複雑かもしれないけれども、どの府県もこの標準法通りにはじいてもらいたい、こういうような考え方をとっておるわけでございます。私たちといたしましては、標準法通りに今まではやっておった、こういうことは考えないわけでございます。今後小学校の児童教が減って参りますので、先生数を維持していくためには、むしろ学級編制をもっとこまかくしていかなければならないというような問題が、若干の府県において起こってきているということは承知しているわけでございます。一般的には、どの団体につきましても、あるべき財政需要額を基準財政需要額算定をするんだという態度はとっていくべきだと思うのでございますので、交付税計算としては、あくまでも標準法に基づく理論的な計算をとっていきたい、こう考えておるわけでございます。しかし団体によりましては、いろいろな事情があろうかと思います。あろうかと思いますが、その事情を特にその団体について考えても不公平にならない問題でありますならば、それは特別交付税の問題として拾っていけばよろしいのじゃないか、こういうような考え方をとっております。
  43. 阪上安太郎

    ○阪上委員 関連して自治省に問いますが、標準のままで計算されて参りますと、結局ある県によっては二百名くらい超過するというような場所が随所に出てくるだろうと思います。その場合の財政は非常に激変することは事実であります。そこでこれがもらえないということになれば、どうしても先生の教を現実に減らしていかなければならぬという問題が出てきたということになったときには、今おっしゃったように特別交付税等で措置される、そういうことは確かなんですか。
  44. 奧野誠亮

    奧野政府委員 教職員の定数につきましては、小中学校の場合は配置転換もございましょうし、ことに高等学校の教職員はかなり増加しなければなりませんので、これとの配置転換もあろうかと思います。従いまして、そういう問題をぜひ解決していただきたい、こう考えておるわけでございます。ただ府県によりましては、校舎の構成が兵舎を譲り受けたというようなところが非常に多くて、どうしても一学級の編制が五十人以下でないとできないのだというような団体もあるようでございまして、そういうような物理的に不可能なような団体につきましては、当然特別交付税めんどうを見るべきではなろろうか、こう思うのでございます。ただ人数が超過するから自然学級編制を少なくしていくのだ、それを全部特別交付税で見ていくのだということを言い切りますのは、少し公平を欠くようなことになってくるのではなかろうか、こう心配するわけでございます。
  45. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そういう局長のお考えはわかりますが、そうすればやはり何か暫定措置をしがなければならぬような現実にあるということだけはいえるのじゃないですか。
  46. 奧野誠亮

    奧野政府委員 文部省の方では、今の標準法の一学級当たりの定数をさらに下げていきたい、そうすることによって教育を充実していきたい、かたがた教員の今のような問題の解決もはかっていきたいというようなことを、熱心に考えておられるようでございます。自治省といたしましても、そういう問題については、将来問題として十分扱っていきたいという考えを持っているわけでございます。
  47. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そういうことになりますと、財政措置として、やはり暫定措置があってしかるべきではないかと思いますが、その点どうですか。
  48. 奧野誠亮

    奧野政府委員 自治省が基準財政需要額算定いたします場合には、あくまでも現在の法律実態を基礎にしてものを考えていきたいと思うのでございまして、個人的にあああるべきだ、こうあるべきだというようなことで、適当に基準財政需要額算定し直しをするということは避けたいと思います。法律が改まりましたならば、当然それに応じて基準財政需要額も改めていくべきだと考えます。改まらない限りは、やはり現行法で算定すべきだと思うのであります。
  49. 阪上安太郎

    ○阪上委員 文部省ですが、あなた方はどういう行政指導をなさるのですか。三十八年度からはこういう方式に切りかえていくということで、事前に突如としてこれが出てきたのではないと思うのでありますか、どんな行政指導をしていらっしゃいますか。
  50. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 三十八年度は、標準法を完全に実施するということで行政指導をして参ったのであります。従いまして、完全に実施するという範囲内で、各県の方ではできるだけその方法に努力をするし、またこれ以後の問題もございますので、そういうことも考えながら、来年の定数は標準法の完全実施という線を越えないようにするということも、同時に指導いたします。越えないようにということは、この法律では一応五カ年計画ですし詰め学級の解消をするという方向で進んでおりますけれども、一学級の学級編制を六十人から五十人まで下げてきたわけでございますが、その最終の一学級編制は五十人ということでございますけれども、同時に、この法律におきましては、特別な場合、たとえば先ほど御指摘のございましたように、一年生が一学級しかない、あるいは一年生が二学級しかないという場合には、学級編制の最筒限度を多少高めまして、五十五人あるいは五十三人までにいたします。この方針は、この法律を制定いたしまして、三十八年度に完成するということを目標にいたしました場合の一応の最終目標の本則になっております。これを来年度変えるわけにはいかない。やはりこの基準は守ってもらいたい。しかし、今後におきましては、ただいま財政局長からもお話しいただきましたように、生徒数の減少とにらみ合わせてこういう問題については再検討するということを、行政指導して参ったようなわけでございます。
  51. 阪上安太郎

    ○阪上委員 あなたの方でも、三十八年度に、これがこの通りでぴったり実現できるとは考えていないでしょう。だからそれならば、たとい経過措置としてでも、何らかの経過的な財政措置というものを自治省に対して要望すべきじゃなかったでしょうか。いきなりこれはできるのですか。
  52. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 標準法の完全実施ということは、これはプラスもマイナスも含めまして、そういう面におきまして、私どもの力では昨年来指導して参ったのでございますが、そういう方針で大部分の県は支障がないだろうということでございます。しかしながら、数県におきましては、定員を上回るような場合も生じてきております。そういう点につきましては、今後の生徒数の減少とそれから私どもの考えております標準法の改正、そういうものとにらみ合わせまして、漸次増加がしておる部分を法律あるいは今後の計画と合わせるように指導して参りまして、しかし無理な定数の減はやらないというふうなことを各県と御相談をいたしまして、漸進的にこれを本来の計画に合わせていくという方向で話をして参ったわけでございますが、大体そういうような方向にいくというふうな見きわめがつきましたので、私ども来年度につきましては、別に支障がないということはたびたび申し上げておるわけでございますけれども、その場合に財源措置といたしまして、私どもの方では、負担金としては、これは実績として半分見るわけでございますけれども、しかし越えておる部分については、これには必ずしも交付税の方ではめんどうを見ることができない。そこで県の方でそれだけのものを自分でまかなう自信があるかどうか、そういう点もあわせまして相談いたしまして、大体過員をかかえても、来年度につきましては大して支障がないということを県の方からお答えいただきまして、そういう方向で進んで参っておるわけでございます。
  53. 阪上安太郎

    ○阪上委員 あなたは漸准的に漸進的にと言われるが、漸進的にやらなければならぬことでしょう。そうしたら、その間におけるところの財政措置というものは、、やはり暫定的なあるいは経過的な措置というものが必要じゃないですか。大して支障がないということでございますけれども、僕の聞いた県なんか、二、三の県を聞いたって支障だらけですよ。それをあなたは支障がないというのは、どこから言っておられるのですか。どういう話し合いなんですか、具体的にその話し合いをしたところの県の名前その他を言って下さい。
  54. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 私どもの方でお話し合いいたしましたのは、長野、福岡、京都、滋賀、兵庫、そういうところでございます。
  55. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そういうところから非常に困るといってきておる。大体文部省はぼんやりしておったということになる。こんな重大な問題を、ほんとうに真剣に取り上げて考えていなかったということになる。非常に支障を来たすといって、われわれの方にやかましく言ってきておる。第一あなたの口から聞いてみても、暫定的な、かなりな時間経過を置いて、そして逐次そういった標準に持っていくのだ、こういうことになれば、当然その間における経過的な財政措置というものは要求されてしかるべきじゃありませんか。それをあなたの方でぼんやりしておるから、こういうことになってきた、私はそういうように思うのですが、どうでしょうか。
  56. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 県によりましては、従来のいろんな事情によりまし過員をかかえておるという県が大部分でございまして、必ずしも財源措置をしなければやっていけないということもないというふうなお話を承っておりましたので、私どもの方では、そういう県につきましては、それでは私どもの方も負担金の方は半分見る、また県の力でも一つできるだけ問題が起こらないように処理してほしいということで、話し合いを続けて参っておるような次第でございます。
  57. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこで聞きたいのですが、それじゃできるだけ問題が起こらないように措置するという財源措置の方法は、どういうことなんですか。文部省で何か金を持ってやるのですか。
  58. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 もちろん負担金以外の経費につきましては、これは県の方でお考えいただきまして、支障があるかどうかを検討していただくわけでございます。そういう点につきまして支障があるかを検討してくれということを、教育委員会を通じてお願いしたような次第でございます。
  59. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そうすると、検討しているといごとになりますと、先ほどあなたも言われたが、場合によっては標準を変えていくということが考えられる、こういうことなんですか。
  60. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 法律の標準を三十八年度において変えるということではなくて、先ほど財政局長からもお話がございましたように、高等学校の定数の増加の問題、あるいは新採用の数の問題、そういうものを勘案いたしまして、県の方で独自の計画を立てられて、それによって財政上支障があるかを御検討願いたいということをお願いしたわけでございます。その結果、県の方では何とかやっていけるというようなお話がございましたので、私どもの方では、その線でいってもらいたいということを申してきたわけでございます。
  61. 阪上安太郎

    ○阪上委員 子供を生みっぱなしにしておいて、そして育てたのは地方団体なり、めんどうを見るのは自治省で見る。こういうことなんですか。
  62. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 先ほど申し上げましたように、たとえば長野県でございますと、今週員の生ずる一つの原因になっておりますのは、早くから一学級の学級編制を五十人にしたということでございます。そのこと自体決して悪いとは申しておりませんけれども、その間に教員の増加というものを、途中で二百名程度やったような場合もございます。三十八年度の状態がどうなるかということは、県の教育委員会の方でも大体予想がついておるわけでございまして、そういう点について、県の方では、最終的な見通しをつけて、ある程度やってほしいということは、私どもかねてから申し上げておる通りでございます。そういう点で、地方の県の方の計画も、若干甘かったところがあるのじゃないかというふうに考えておるような次第でございます。
  63. 太田一夫

    太田委員 岩間さん、今の点にもう少し続けてお尋ねをしますが、例のあなたのおっしゃる長い名前の法律がございますね。正確に一ペン読んでみましょうか。公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、これですね、これを実は、自治省では、その法律の規定により算定した小学校の教職員にかかわる当該道府県の定数、その定数に対して、幾ら、何人に対して一人二十何万というふうに単位費用がきまっておるのですが、ことしその「規定により算定した」というところを、同じく同法律に「規定する学級編制の標準及び教職員定数の標準により算定した」その定数によって、交付税計算する。同じことが丁寧に書いてあるだけなんです。丁寧に書かれると交付税が減るのですが、妙な話です。丁寧に書いていただいても、私はそんなものは大した——同じことを言い回しを変えたら交付税が減る。これが一番問題です。私はあなたのおっしゃるように、この標準法による定数計算ならば五千名ですね。五十名で計算するというならば、今のあなたのおっしゃる長野ほか福岡、京都あるいは兵庫等と御相談なさったが、それは別に大して困らないとおっしゃたという御報告ですが、私はおそらくそうだろうと思う。ところが自治省の方では、あなたの方の政令一条によるところの一学級の場合五十五人まで認めるという、この政令一条をも加味して計算なさるから、いわゆる理論学級で計算なさるから、そこで交付税計算の定数が減ってしまう。定数が減ってしまうと、具体的には岡山県ですが、岡山児では二百何十人減るらしいから、大体六千万円交付税が減る。六千万円岡山県の交付税が減ってよろしゅうございます。何とかやっていきますといって、胸をぽんとたたいたという話は聞いていませんが、岡山県は御相談なさったのでしょうか。そういうことですか。
  64. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 私どもの方は、来年度過員をかかえるであろう県と話をしたわけでございまして、岡山県の場合は話をいたしておりません。
  65. 太田一夫

    太田委員 奥町局長、岡山県の例はどうでしょうか。
  66. 奧野誠亮

    奧野政府委員 岡山県のことを具体的には承知いたしませんけれども、来年度小学校の児童数などの相当減る団体が出て参っておる次第でございます。児童数が減って参りますれば、自然学級も減り、教職員定数も減って参りますので、相当減額になる団体があろうかと思いますが、それはやむを得ないことではないかと思うのでございます。問題になりますのは、従来からかなり学級編制というものを、暫定定数によらないで標準法に近づけておった。ところが来年度児童数が減るものだから、どうしても先生数を維持しようと思えば、もう一つ標準法以上に学級編制をよくしなければならない、こういう団体ができてきているのじゃないかと思うのでございます。そういう団体の問題ではなかろうかと私は判断いたしておるわけでございます。先ほど申しげたのでございますけれども、従来は暫定定数を使っておったものでございますので、せっかく暫定定数よりも標準法に近づけようとして学級編制を小さくした。そうした場合には、それだけの所要経費を見てもらえないということは、いかにも気の毒じゃないか。だから学級編制だけは、各府県の実紋をそのまま使ったわけであります。しかしながら、あくまでも五十人がマキシマムだという密度補正をやっておったわけでございます。たまたま、すでに標準法に近づけた学級編制をとっておったところに問題があるわけでございますけれども、そういう団体は教育については特に力を入れておった団体だ、こう私たちは判断をいたしたいのであります。教育に特に力を入れておったのだから、三十八年度以降においてもさらに教育については力を入れたい。これはそうあっても何も不思議はないと思うのでありまして、特に力を入れるのだから、特にその財源は自分で捻出するのだ。こういう姿になっても、これもやむを得ないじゃないか、こうわれわれは考えておるのでありまして、自治団体なんでございますから、総体的に所要財源をどの団体にも不公平なしに確保していきたい、こういう米準財政需要算定の仕方をする。しかし、自治体によっては、道路行政に力を入れる、あるいは教育行政に力を入れる、いろいろな変化があって、それはそれでいいではないか、こうわれわれは考えておるわけであります。
  67. 太田一夫

    太田委員 相手の善意に信頼をして財政上の危機を突破するという方法もありますから、別にその手が悪いというわけではありませんが、今の五十名、標準法の五十名を何とかかたく守りたい、そういう精神というのは別に悪いわけじゃない。五十五名にしなければならないというのは、五十五名にするというのは、これは政令の方にある一条ですが、政令が本則より少々オーバーするというようなことは私はいいことではないと思うのです。法律の建前として本法では認めておらないのに、政令でそれを非常に悪い方に修正しておるのですが、政令一条の五十五名というのを五十名に全部ならして、そうしてその県が学級編制をしてきたという場合に、何か交付税法で差別されても気の毒だと思う。昨年度と格段に変わっていっては困るのですが、先ほどの局長のお話では、そういう今までの実績から見て格段に不利な扱いということはしない所存であるというようなお話があって、何か含みがあるように聞きましたが、あれは何か見ていただけるのでしょう。岡山が六千万円減る。あるいは十七府県、京都あるいは福岡、兵庫ですか、そういうところの十七府県が、すでにその条例によって、例の附則の適用からのがれ出てしまった学級編制をするならば、その十七府県についても一応交付税ではあまり格段の格落ちがないように配慮することがこの際必要だと思うのです。今の話から見ても、局長さん、どうですか、そういう十七府県では何かめんどうを見る方法があるでしょう。六千万円損すれば損のしっぱなしかということは、そうじゃないのじゃないのですか。何かあるはずだと思うのですが、どうですか。
  68. 奧野誠亮

    奧野政府委員 交付税計算で、個々の団体財政運営の比重に応じてやり方を変えていくということは慎むべきだ、こう思っておるわけでございます。従いまして、それぞれの団体が教育行政にいろいろ力を入れていかれる。それを交付税計算においては、奨励もしなければ、阻止もしない。全体について公平な態度をとっていかなければならないと思うのでございます。たまたまこのような地方交付税法の改正案を考えております過程におきまして、日教組の方々とも何回か議論をいたしました。その際に、群馬の人ではなかったかと思うのでございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたような、校合が物理的に五十人を収容できないのが非常に多いのだという話がございました。そういうようなものが非常に多くて、そのために一千万円も金が違ってくるような場合には、それは特別交付税で見なければならないということをお答えしたことを記憶しております。そういうような性格のものが、あちこちにいろいろあるのではなかろうかと私は思うのでございまして、今それを全部つまびらかにしておるわけでもございませんけれども、いずれそういうような算定をしなければならぬ時期におきましては十分調査をしたい、こう考えておるわけでございます。
  69. 太田一夫

    太田委員 よくわかりました。そうだと思うのです。実際は、実学級という方向にだんだんと進歩発達ならばいかなければならぬと思いますが、実学級主義というのに一挙に踏み切るわけにはいかないでしょうから、ことしそういう理論学級という考え方を交えた交付税計算方式になっても、ことしのことはやむを得ないでしょうけれども、できるだけ今の激変を避けることはお考えいただきたい。そこで岩間さんにもう一度だけ承っておきたい。とにかく標準法の精神を極力守るという意味から、政令一条というのはすみやかに改正をして、こういう二学級五十三人、一学級五十五人までは認めるというところは改正すべきだと思うのですが、先ほどからのお話では、御用意が進んでいるように承りましたが、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  70. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 結論といたしましては、先生の御指摘になった通りでございます。ただ若干説明をいたしますと、学級編制をだんだんと落として参ります場合に、かりに五十人が最高といたします場合に、これを二つに割ると二十五人ということになるわけでございます。これをさらに下げました場合には、さらにその一半級の生徒数が少なくなるわけでございます。その場合に五十人という付近になりますと、たとえば一学級五十五人で教育をいたします場合と、非常に数の少ないクラスで教育をいたします場合とでは、教育効果あるいは団体訓練、そういう意味から申しまして、あまり小さな学級というものは、教育上かえってよくないのではないかというような考え方でございます。そこで五十五人という数字は、確かに御指摘通り多いのでございますが、これをどんどん引き下げて、五十人という学級編制に引き下げて参りました場合に、一学級を二つに割った場合に、かえって教育上マイナスになるというような場合には、一学級の学級編制をある程度ふやしても、その方が教育上はよろしいのではないかというような考え方を持っておるわけでございます。その点も御了承をいただきます。初めに御指摘になりましたことは、これは原則内にはもちろんおっしゃる通りだと思います。
  71. 太田一夫

    太田委員 一学級二十五人では少な過ぎるというのはいかがかと思います。教育というのは、昔は塾というような、非常に人間的な精神感応まで含めた教育がなされておったのですが、今では単にオートメーション的な生産方式をとろうとする。ここら辺のところに、金をかけないでいい人間をつくろうなんて、虫のいいことは通りませんよ。だんだん数をふやすのは、国鉄や山手線の電車や地下鉄ぐらいでいい。学校の教室の生徒の数はふやしてはいかぬ。減らさなければならぬ。減らすのが近代的だと思いますが、この三十五人では少な過ぎるというような考え方はいかがなものですか。これはだれの精神か知りませんが、課長さん、一度文部省にお帰りになって、定数も五十名定数を限界とする、そういう本来の姿に早く戻ってもらうように極力御努力願いたいと思います。これは悪いことではないですよ。二十五人が少な過ぎるから、さみしいからなんて、どうですかね。そういう思想がどこにあるか存じませんが、それは考え直していただく必要があると思います。五十名編制、定数法による編制人員は五十名を限度とする、この本来の姿に戻っていただくようにお考えいただくと同時に、とりあえずの交付税法改正にあたって、交付税計算の単位としてこの計算をされておりますけれども、激変は避ける、地方財政に対して大きな影響を与えるような意図はないとおっしゃったこの局長の意見を私は了承しておきたいと思います。これは局長さん、そういう点について文部省の定数法、いわゆる標準法が変わらない限り、あなた方のやり方もにわかに勝手なことをやるわけにいかぬとおっしゃる気持もわかるから、文部省の方が十分考えていただいて、財政的に地方の教育費に大きな打撃を与えないように一つ監督していただきたいと思います。その点については局長さん、よろしゅうございますね。
  72. 奧野誠亮

    奧野政府委員 文部省におかれましては、やはり教育財政についていろいろ御意見があろうかと思います。常に文部省の御意見は十分尊重しているつもりでございますけれども、今後におきましても、いろいろ御意見があります場合には、十分相談をして参りたいと思います。
  73. 松井誠

    ○松井(誠)委員 関連して一、二お伺いをいたしたいと思います。  この交付税法の一部改正法律案提出理由の説明の中に、農業構造改善について農業行政費をふやすという形でめんどうを見るということが書いてありますけれども、こういう形式でいわゆるめんどうを見るということのぜひについては、この閘門司委員からいろいろお話がございましたけれども、その問題は別といたしまして、この構造改善の事業は、農業だけでなくて、御承知のように漁業の構造改善というものも今進んでおるわけであります。これはこの提案理由の説明には直接には書いてございませんが、念のためにお伺いをいたしておきたいと思いますけれども、その漁業の構造改善については、交付税という形でめんどうを見るおつもりなのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  74. 奧野誠亮

    奧野政府委員 農業構造改善事業につきましては、府県の農業行政費にかかります単位費用引き上げておるわけであります。それは構造改善事業だからめんどうを見ておるというよりも、その中に農道でありますとか、用排水の事業でありますとか、むしろ公共負担をかなり増額していくべきではなかろうかというように思われる性格の仕事をたくさん含んでおるものですから、そういうものについてはこういう負担を増した方がいいだろう。市町村について、一々財源措置することは非常に困難だ。むしろ府県に財源措置をして、府県から市町村に補助をしてもらうというような方がやりやすいし、同町に府県もめんどうを見やすいだろう、こういうような考え方をとったわけであります。
  75. 松井誠

    ○松井(誠)委員 今府県が漁業の構造改善事業をやっておる、これについて、このいただいた資料では、いわゆる府県の水産行政費というのが、単位費用が大幅に増加をしておるようでありますので、こういう形で県の行なう漁業構造改善事業についてもそういう配慮をしておるのだと思いますけれども、その点について説明がないのですね。農業の構造改善についてはありますけれども。漁業についてはないので、念のために最初にお伺いしたわけであります。
  76. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御質問を取り違えておりまして恐縮いたしました。  漁業構造改善事業で府県の負担に属するものがございます。こういうものにつきましては、やはり漁業関係単位費用をそれだけ引き上げるという方法をとっているわけであります。
  77. 松井誠

    ○松井(誠)委員 これは総額どのくらいになるのかわかりませんけれども、農業の構造改善については、今局長から御説明がございましたが事実上総額で二割くらいの額が一応のめどであるというように伺っておりますが、この漁業の構造改善については、大体これが漁業の構造改善費のおよそどれくらいというめどでおやりになったのか、いかがですか。
  78. 奧野誠亮

    奧野政府委員 沿岸漁業構造改善事業にかかる経営近代化促進事業及び漁場改良増殖事業に要する府県の負担額がございます。それにつきまして二億四千四百万円を水産業者数を測定単位といたします水産行政費の基準財政需要額に算入する措置をとっております。
  79. 松井誠

    ○松井(誠)委員 漁業の構造改善事業は総額幾らでありましたか、私ちょっと記憶しておりませんのでよくわかりませんが、先ほどもちょっと言いましたが、農業の場合、大体二割というめどがあったと思うのです。漁業の場合には、そういう意味のめどというものはどういうふうにされたかということをお聞きしたいのです。
  80. 山本悟

    山本説明員 この漁業関係の構造改善の場合には、府県自体が事業団体、事業の実施主体になっておりますので、国庫補助がございます。漁業構造改善事業関係の府県の地方負担に対しましては、ちょっと正確には記憶いたしておりませんが、八割ないし九割程度の給付率になっておると思います。  それから農業構造改善の場合には、府県以外の団体が実施をいたしますものに対しまして、その二割程度くらいを府県が補助をする経費を、今回は単位費用に算入いたしたわけであります。漁業構造改善の場合には、原則といたしまして府県が実施主体になっておりますから、その地方質掛額に対しまして八割程度のものは基準財政需要額に算入いたしておる、こういうことになっておるわけであります。
  81. 松井誠

    ○松井(誠)委員 地方負担額の八割ないし九割ですか。そうしますと、漁業構造改善の性格と農業構造改善の性格は多少違いますし、従って事業の規模なども多少違いますので、一律に論ずるわけにいきませんと思いますけれども、府県が漁業の構造改善をやる場合、地元負担というものかある。その地元負担は、残念ながら漁民の負担という形になってくる場合が多いと思う。今の漁民は、御承知でしょうけれども、漁民一戸当りの負債の額というものは、農民の場合よりもはるかに大きい。従って、負担能力というものが非常に少ない。それだけにまた構造改善という形でこの沿岸漁業の振興をやるという必要度が非常に強いのですけれども、これは現実に漁民が、それだけの負担の能力が非常に乏しいというときに、農業の構造改善と比べて漁業の構造改善——今いわれた経営の主体のいろいろな違いはありますけれども、農業の構造改善に比べてそういう漁民の負担能力の違いというものを、こういう算定をされるときに考慮されたのかどうか、その点を一つお伺いしたい。
  82. 奧野誠亮

    奧野政府委員 国庫補助を受けまして府県が漁業構造事業をやっているわけでありますけれども、事業の性質によりまして国の補助率も違いますし、地方負担額も違っておるわけであります。農業省が考えております府県の質掛額を基礎にいたしまして、基準財政需要額への算入方法を考えているわけでございます。従いまして農林省におきまして、ものによりましては漁家の負担が少なかったり多かったりしているわけでございます。要するに農林省が計画を立てました場合の、想定された府県の負担分を基準財政需要額に算入するという方式をとっているわけでございます。
  83. 松井誠

    ○松井(誠)委員 今の御説明ですと、農林省が各県の漁業構造事業の計画、これは県が計画を立てられるわけですね。それの規模そのものはもちろん県によってまちまちで、漁家の数が、そういう水産業者の数というものによっていわばそれに比例するような形で事業量はきまるわけではないわけですね。そうしますと、今のお話では、現実に県が計画を立てるその事業量を基準財政需要額と見るというような、そういう趣旨なんですね。
  84. 奧野誠亮

    奧野政府委員 そういう農林省の考えております事業分量、それに基づきます府県負担分、その八割相当のものが、総体で先ほど申し上げました二億数千万円でございますけれども、それを水産行政費にその分として算入するという方式をとったわけでございます。
  85. 松井誠

    ○松井(誠)委員 その府県の負担の八、九割を交付税で見るという形である。そうしますと、実際私は、農民の場合よりも漁民の場合の方が、つまり農業の構造改善の場合より、漁民が事業量の全体の中で、実際に負担する割合というものが多くなると思う。漁業の構造改善事業というのは、特別な大型の魚礁とかというような特別なものを除いては、大体五割、それ以下です。従って、農業構造改善の場合よりも、平均して補助率というものが低いのじゃないか。その低い補助率の八、九割を見るということですと、農業構造改善の場合に比べて、漁民の負担の比率——一戸あたりの数字ではありません、事業量全体に対する漁家の負担の比率というものは、多くなりはしないか。それが、負債が、農民よりもむしろ漁民の方が多いという現状では、どうも逆な考え方だと思うのですけれども、その辺の配慮をしたのかどうかということです。
  86. 奧野誠亮

    奧野政府委員 基準財政需要額に算入します場合には、公費の負担に属すると考えられる性格のものを算入いたしておるわけでございます。現実に農家の負担しているもの、あるいは漁家の負抗しているもの、もっと高位の負担に移すべきではないかというような問題も、いろいろあろうかと思うのでありますけれども、そういう問題につきましては、農林省の意見を求めまして、それに従いまして今回の算入を行なったわけでございます。特段・漁業構造改善事業につきましては、漁家の負担を、市町村なり府県なりの負担に肩がわりしてもらいたいというような性格の話は伺いませんでした。ただ農林省が計画されております府県の負担に属するとされております総額をとらえまして、基準財政需要額の算入額をきめたということでございます。
  87. 松井誠

    ○松井(誠)委員 私は次に補正のことにつきまして二点ばかりお伺いいたしたいのですけれども、一つは寒冷補正といいますか、それに寒冷と積雪、両方並べてあるわけです。これは実際には寒冷による補正、積雪による補正、そういう区別をされておるのでしょうか。この補正現実の内容というものがよくわらかないのですが、寒冷補正という名前で、寒冷及び積雪というものが一緒になってその補正の係数になっておるのですか、どうですか。
  88. 奧野誠亮

    奧野政府委員 寒冷事由によって経費が割高になるのと、積雪によって経費が割高になるのと、これは事情が違うと思うのです。寒冷によりまして、寒冷地であれば寒冷地手当が支給される。あるいは建物償却費がよけいかかるというような問題がございます。積雪の場合には、屋根から雪おろしをしなければならなかったり、あるいは雪囲いをしなければならなかったりするわけでございます。従いまして、寒冷度による級地区分をきめ、積雪度による級地区分をきめております。それによって所要経費が割高になりますものを合算しまして、そうして寒冷補正という一つの補正係数を定めるということにいたしておるわけでございます。補正は一つでございますけれども、その率を算定する場合には、それぞれの事由別に率を算定する、そしてそれを合算して一本の補正係数として適用する、こういうやり方をいたしております。
  89. 松井誠

    ○松井(誠)委員 前から、いわゆる積雪地帯からの要望があるわけですけれども、いわゆる寒冷による補正よりも、積雪による補正というものがどうも少ないといいますか、そういう不平が今まである。ところが今度はあのような豪雪ということで、雪による被害というものがこの際見直された。しかし、これはもちろん根本的に、今度の雪がたぐいまれな豪雪だということが一番大きい原因ですけれども、もう一つは、今までは実はだまっておったけれども、雪による被害というものはほんとうはもっと大きかった。一般の認識よりは大きかったのは、なだれによる被害が大きなものだということの認識を新たにされたものと思う。こういう機会にいわゆる横雪地帯でいわれておりました、寒冷による補正と比べて横雪による補正というものが冷遇されておったという主張に対する配慮、そういうものを今お考えになっておられるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  90. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話のような傾向があろうかと存じます。やはり冬でも、道路について十分自動車輸送のできるようにしなければならないというようなことになってきている結果が、相当あるのではないかと思います。三十六年度、横雪によって補正をいたしておりました増加財政需要額、それを三十七年度は十一億程度増額いたしまして、県市町村合わせて二十四億五千四百万円のかさ上げを行なっておりまして、積雪補正の割増額をかなりふやしたわけでございます。三十八年度におきましても、その内容につきましてはさらに十分検討を加えて参りたい、かように考えております。
  91. 松井誠

    ○松井(誠)委員 もう一点お伺いいたしたいと思いますけれども、いわゆる補正の問題です。実はこれも自治省のところまで届いておると思いますけれども、離島という立場からの要求なんです。離島というのはいわば僻地ではございますけれども、僻地一般と違っていろいろな費用がかさむという点がある。そういう関係者が、技術的なことはどうかわかりませんけれども、たとえば離島による補正というようなものの要求をされておると思いますけれども、今までそういう要望があるということを御承知でしょうか。
  92. 奧野誠亮

    奧野政府委員 離島を補正事由の中に入れてもらいたいという御要望が現実にございます。またその可否につきましても、内部でたびたび議論をいたしました。たびたび議論をしておったのでございますけれども、なかなかいい方法が見出せないというようなことで、現在もなお特別交付税で、離島の多い団体につきましては若干所要経費を加算していくというようなことをいたしておるわけでございます。将来とも離島補正の問題につきましては十分研究をしていきたい、こう考えております。
  93. 松井誠

    ○松井(誠)委員 これでやめますけれども、これはやはり僻地一般と違って、離島ということから来る特殊な費用の増加ということは、お認めいただけると思いますね。——だとすれば、技術的には非常に困難かもしれませんけれども、しょっちゅういわれるように、地方団体財政均衡化といいますか、そういう点からいって、やはり何かそこで技術的な工夫をされて、離島の補正というものをやっていただきたいと思うのです。離島というのは、御承知のように離島振興法という法律がありまして、今までよりは多少事態は改善はされて参りましたけれども、しかし離島なるがゆえに、たとえば——私も驚いたのですけれども、電話を架設する。これも、特別区域だということで、工事費はかさむ、維持費も特別高い維持費をとられるということで、言ってみれば離島振興法の精神に反するような組織機構というものが、まだいろいろなところにあるわけです。ですから、離島振興ということでプラスになった面が、実はまたいろいろな形で差し引かれて、プラス・マイナス元々だという形になっている。こういうことで、なかなかこういうところに対する本土への接近ということはむずかしい。ですから、いわゆる僻地一般という問題とはまた違う。そういういろいろな事情があるということを考慮されて、今まで何度も検討されたということは私も聞いておるのですけれども、もう一度前向きの結論を出していただいていい時期だと思います。念のために要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  94. 門司亮

    ○門司委員 関連して。文部省の人は帰ったそうですから、自治省だけに聞きますが、さっき文部省との関係の議論を聞いておりますと、いろいろ議論されておりますが、この際聞いておきたいと思いますことは、交付税法と教育費の関係ですが、文部省の諸君が言っているように、またあなた方がお考えになっているように、学級が減ったから交付金が少なくなるのだという、その分の交付金というものは減らすのだというようなことになっておると思いますけれども、そういうことと、もう一つほかの問題は、教育に関する税外負担が非常に大きいのです。要するに学級に関係がなければ、生徒の数にも関係がない。関係があるといえば、教育費の中の人口割をどうするかというところに多少の関係があるかもしれない。だから生徒の数は減ってくる、学級数は減ってくる、従って教員の数も減ってくる、だから教育費は少なくてもよろしいのだという議論が一応議論としては成り立つかもしれない。しかし問題は、経費関係で、決してそれでPTAの費用がなくなるわけでもなければ、税外負担がなくなるわけでもないと思う。むしろ教育の問題にこういうものが織り入れられて、ある程度考えられて、そうして税外負担の一番大きな問題である学校に対する父兄の特別の負担というものをなくす方向にかげんはできないかということなんですが、その辺はどうですか。
  95. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話、ごもっともでございまして、私たち、府県の場合には小中学校の教員の給与費を負損している。市町村の場合には小中学校の維持管理費等を負担しております。それに応じて所要経費を考えていかなければならないけれども、教員数が減ってくれば需要は減ってくる、これはそのままに受け取って計算をしていいのじゃないだろうか、こう思っております。市町村の場合には、御指摘のように児童が減ったから需要が減ってくる、すぐにそうは参らない。たとえば学校を建てた場合におきましても、その元利償還がかえってふえてくるという場合もあるわけでございます。従いまして、市町村につきましては特に需要費を増額して単位費用引き上げるという方向をとりましたほかに、現在小中学校の経費計算いたします場合に、測定単位が学校数と学級数と生徒児童数の三本立てになっておるわけでございます。この場合に、どちらかといいますと、生徒児童数にかけておりますウェートを、学級数に振りかえていく、学級数にかけているウェートを、学校数に振りかえていくというような考え方をとっておるわけでございまして、標準学校について算定されました額を、その六割は児童数で算定し、四割は学級数で算定するように三十七年度はしておりましたのを、三十八年度からは両方とも半分ずつ児童数と学級数とで算定するという方向に切りかえたわけでございます。これも今御心配になりましたような方向を考えて行なっていることでございまして、将来ともそういう方向で工夫して参りたい、こう思っております。
  96. 門司亮

    ○門司委員 こう解釈しておけばいいのですか。交付税算定基礎というか、数字の割合の中には、税外負担をできるだけ少なくしていくという方向でこれは組まれているのだというふうに解釈してよろしゅうございますか。あとのことはまたあとで聞きますが……。
  97. 奧野誠亮

    奧野政府委員 その通りでございます。そういうために、特に小中学校の市町村単位費用引き上げておるわけであります。
  98. 永田亮一

    永田委員長 他に質疑はございませんか——。なければ本案についての質疑はこれにて終了いたしました。      ————◇—————
  99. 永田亮一

    永田委員長 次に昨十一日、参議院より送付されました道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
  100. 永田亮一

    永田委員長 まず、趣旨の説明を聴取いたします。篠田国務大臣。
  101. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明いたします。  この法律案は、高速自動車国道の供用の開始に伴い、高速自動車国道における自動車の交通方法等の特例について定めること、最近の道路交通事情の変化にかんがみ、歩行者の保護の徹底をはかるための規定を整備すること、並びに、消防用車両の優先通行、装置不良車問の運転の禁止等に関する規定を整備すること等をその内容としております。  まず、高速自動車国道における自動車の交通方法等の特例を定めることについて御説明いたします。  高速自動車国道法に基づく高速自動車国道として、いわゆる名神高速道路の一部が近く供用を開始されることになっております。高速自動車国道においては、自動車以外の車両及び人の通行は禁止されているのでありますが、構造の面においても、他の道路等との交差はすべて立体交差方式によること、一般の道路との連絡はインターチェンジによること、並びに、中央分離帯を設けて往復の交通を完全に分離すること等一般の道路とは相当異なったものとなっているのであります。従って、交通方法等についても一般の規定では律せられない面が多いのであります。  この法律案は、このような特殊な構造を有する高速自動車国道における自動車の交通方法の特例として、警察官の危険防止等の措置、通行の区分、最低速度、横断、転回等の禁止、高速通行路に入る場合の優先関係、停車及び駐車の禁止、制限、並びに緊急自動車等の特例に関する規定を設けるとともに、自動車の運転者の義務として、最低速度の順守及び自動車が故障した場合等における措置に関する規定を設けることにより、高速自動車国道における危険を防止し、その他交通の安全と円滑をはかることといたします。  なお、道路法の規定による自動車専用道路においても、その交通の実態は高速自動車国道のそれに近いものとなっておりまますから、警察官の危険防止等の措置、横断、転回等の禁止、停車及び駐車の禁止、制限等に関しては、この際、同様の特例として規定することといたしております。  次に、歩行者の保護の徹底をはかるための規定について御説明いたします。  道路交通法においては、歩行車の保護についても相当な配慮をいたしているのでありますが、最近の道路交通事情の著しい変化にかんがみますと、さらに、その保護の徹底をはかる必要のあることが痛感されるのであります。このため、未舗装道路においても、必要な個所には横断歩道を設けることができることとし、また、横断歩道における歩行者の通行の安全のために車両等の運転者に対して、横断歩道の直前で一時停止し、歩行者の通行を妨げてはならないことを義務づけ、さらに、政令で定める程度の身体の障害のある者にも白色に塗ったつえを携えて通行することを認めることにより、歩行者保護の徹底をはかることといたしております。  次に、消防用車両の優先通行及び装置不良車両の逆転禁止等に関する規定の整備について御説明いたします。  消防用車両の優先通行に関しては、現在道路交通法と消防法とに同趣旨の規定が設けられておりますが、通行の優先等に関する規定は、他の車両等に対する義務規定でありますので、車両等の運転者等に周知しやすいようにする必要があること及び双方の規定の関係について若干の整備が必要であること等の理由から、この際、道路交通法において消防用車両の通行の優先等に関する規定を設けることとし、これに伴う関係規定の整備をいたしております。また、騒音を発し、または多量のばい煙寺を発散させて他人に著しい迷惑を及ぼすような車両の取り締まりについては、現在その取り締まりの完璧を期することができない実情でありますので、装置不良車両の運転禁止に関する規定を設けることにより、装置不良車両の運転による騒音また多量のばい煙の発散の防止をはかって参りたいと存ずるのであります。  以上が、この法律案の提案理由及びおもな内容であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。
  102. 永田亮一

    永田委員長 次に、補足説明を聴取いたします。柏村警察庁長官
  103. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいま提案理由の説明がありました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、さらに補足して御説明いたします。  第一に、高速自動車国道等における自動車の交通方法等の特例に関する規定から御説明いたします。  まず、第七十五条の三の警察官による危険防止の措置についてであります。  この規定は、高速自動車専用道路において、道路の損壊、交通事故の発生その他の事情により交通の危険が生じ、または交通の混雑が生ずるおそれがある場合における警察官の危険防止等の措置について規定しようとするものであります。現行法においても、その第六条及び第七条第三項によって警察官が混雑緩和の措置または通行の禁止もしくは制限をする措置をとることができることとされておりますが、高速自動車国道や、自動車専用道路につきましては、その道路構造が通常の道路と著しく異なり、自動車が相当な高速度で通行するという状況が予想されますので、これらの規定によっては、交通の危険防止や混雑緩和の措置として十分ではありませんので、新しい特殊な道路に即応して、通行の禁止または制限をし、路肩通行を下命し、または正規の通行方法と異なる通行方法の下命をする等の措置をとらしめようとするものであります。  次に、第七十五条の四の通行区分に関する規定でありますが、この規定は、高速自動車国道における交通の円滑と危険防止をはかるため、高速自動車国道においては、その左側部分に二の車両通行区分帯を設け、自動車は、原則として、左側の車両通行区分帯を通行すべきこととし、追い越しの場合または道路の状況等によりやむを得ない場合に限り右側の車両通行区分帯を通行することとしようとするものであります。  次に、第七十五条の五の最低速度に関する規定でありますが、高速自動車国道の高速通行路における一般的な最低速度は政令で定めることにいたしております。  なお、公安委員会は、高速通行路の状況に応じ、道路管理者の意見を聞いて、これより低い最低速度を道路標識等を設置して定めることができることともいたしております。  次に、第七十五条の六の横断等の禁止に関する規定でありますが、高速自動車国道または自動車専用道路において自動車が横断、転回または後退をすることは、他の自動車の通行を妨害するのみならず、直ちに交通の危険を生ずるおそれがありますので、これらの行為を全面的に禁止しようとするものであります。  次に、第七十五条の七の高速通行路に入る場合における優先関係に関する規定でありますが、自動車が高速通行路に入ろうとする場合に、高速通行路を通行する自動車があるときは、その自動車の進行を妨げてはならないこと、すなわち、高速通行路にある自動車を優先させようとするものであります。  なお、第二項において緊急自動車の優先についての特例を定めております。  次は、第七十五条の八の停車及び駐車の禁止に関する規定でありますが、高速自動車国道または自動車専用道路においては、自動車の停車または駐車は、通常の道路におけるよりも一そう、他の自動車の通行を妨害し、または交通の危険を生じさせるおそれがありますので、特定の場合のほかは、全面的に停車及び駐車を禁止しようとするものであります。  次は、第七十五条の九の緊急自動車等の特例に関する規定でありますが、緊急自動車及び交通取り締まり用自動車については、高速通行路における通行区分に関する規定を適用することは、その用務の性質上適当でありませんので、その適用を排除し、また、道路維持作業用自動車について、通行区分及び最低速度の順守に関する規定の適用を排除しようとするものであります。  次は、第七十五条の十の最低速度の順守に関する規定でありますが、高速自動車国道を通行する自動車の運転者は、政令で定められた最低速度または公安委員会か定めた最低速度を順守しなければならないこととしようとするものであります。  次は、第七十五条の十一の自動車の故障等の場合の措置に関する規定でありますが、自動車が高速自動車国道において故障等のため運転不能になりますと、他の自動車の通行を妨害し、また、交通の危険が生じますので、このような状態になったときは、故障車である旨を表示するとともに、その自動車を高速通行路以外の場所に移動するため必要な措置を講じなければならないこととしようとするものであります。  なお、この義務規定の違反につきましては、事柄の性質上罰則を設けないこととしております。  第二に、歩行者の保護の徹底をはかるための規定について御説明いたします。  まず、第二条第四号の改正規定でございますが、現行規定においては、横断歩道は、道路標識と道路標示の双方によって示されていることが必要とされており、このため、未舖装道路の区間においては、横断歩道を設けることが困難であります。このような点を改め、未舗装道路の区間であっても必要な個所には、道路標識のみによって横断歩道を設けることができることとし、これによって歩行者の保護をはかろうとするものであります。  なお、舗装された道路で、信号機がある交差点においては、必ずしも、道路標識と道路標示の双方を必要とするわけではありませんので、そのいずれか一方で足りることとしようとするものであります。  次に、第十四条第二項の改正規定でありますが、この改正は、身体障害者の保護をはかるため、白色に塗ったつえを携えて通行してはならない者の除外例に政令で定める程度の身体の障害のある者を加え、あわせて、車両等の逆転者の順守事項を改正して、これらの身体障害者が白色に塗ったつえを携えて道路を通行しているときは、その通行を妨げてはならないこととしようとするものであります。  次に、第七十一条第三号の改正規定についてであります。  現行規定においては画両等の運転者は、横断歩道を通行する歩行者の通行を妨げてはならないと規定されておりますので、歩行者の通行の保護は一応はかられているのでありますが、その方法として、一時停止または徐行のいずれの方法であってもよいこととされており、また停止すべき位置も不明確でありますため、歩行者保護を期する点においてはなお不十分であります。  最近における交通量の著しい増加にかんがみまして、さらに歩行者の保護の徹底をはかる必要が痛感されますので、この規定を改め、歩行者が道路の左側の横断歩道を通行し、または通行しようとしているときは、車両等の運転者は、横断歩道の直前で一時停止し、歩行者の通行を妨げてはならないこととしようとするものであります。  第三に、消防用車両の優先通行に関する規定について御説明いたします。  現行法では、消防車の優先通行に関する規定が道路交通法弟三章第七節のほか消防法第二十六条にも設けられております。  特定の車両の優先通行を認めることは、同時に他の車両の運転者の義務となりますので、これらの規定は、道路交通に関する一般法である本法に規定するのが適当と考えられます。また、両者の規定は、その制定の時期の相違からその内容に多少の差異がありますので、この際、この二つの法律の規定を整理しようとするものであります。  第四に、装置不良車町の運転の禁止等に関する規定について御説明いたします。  現行の道路交通法第六十二条及び第六十三条には、整備不良車両の運転の禁止に関する規定が設けられておりますが、この規定においては、道路運送車両法に基づく保安基準により定められている装置の不備な車両等であっても、交通の危険を生じさせるおそれがないものは、その規定の対象となっておりません。  しかしながら、最近における自動車または原動機付自動車の運転の実情を見ますと、交通の危険に至らない場合でも他人に著しく迷惑を及ぼすような騒音を発し、または多量のばい煙を発散させて運転しているものが多くなってきており、しかも、その原因が騒音防止装置やばい煙発散防止装置を取りはずしたり、またはその調整を怠っているものが多い実精であります。  このような実情にかんがみまして、これらの装置の不備な自動車または原動機付自転車の運転を禁止し、違反車両に対しては迷惑防止の措置をとることができることとしようとするものであります。  以上、申し上げましたおもな改正親定に伴いまして、関係規定につき必要な整備を行なうとともに、罰則につきましても所要改正をいたしております。また、この法律は、公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。  以上が、道路交通法の一部を改正する法律案のおもな内容であります。何とぞよろしくご審議をお願いいたします。
  104. 永田亮一

    永田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  なお、本案についての質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  105. 永田亮一

    永田委員長 次に地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  この際、地方税法の一部を改正する法律案審査小委員長より、小委員会の経過について報告いたしたいとの申し出がありますので、これを許します。小委員長小澤太郎君。
  106. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員 ただいま報告を求められました地方税法の一部を改正する法律案審査小委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。  本小委員会は、地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その住民負担及び地方財政に及ぼす影響の重大なるにかんがみ、去る三月一日設置せられ、小委員十名が選任せられたのでありますが、三月五日第一回の小委員会を開き、その後八日まで三回にわたって開会し、委員各位の御精進により熱心に審査を進めて参ったのであります。  審査は主として懇談的に進めましたが、まず、政府当局より改正案について逐条にわたって説明を聴取した後、税目別に政府当局に対し、質疑を行なうとともに、地方税制運営現状住民負担の実態、税制調査会における論議の要旨、改正案の経緯及びこの改正案を施行した場合における影響等、広範多岐にわたり論議を行なったのであります。  審査におけるおもなる論点を申し上げます。  まず住民税について申し上げます。  住民税については、なお多くの市町村において準拠税率をこえて課税が行なわれているために、それらの市町村における負担が相当に重くなっているほか、さらに課税方式本文方式ただし書き方式があるために、地域によりその負担に相当の格差があるが、かような現在する負担の不均衡を是正するためにいかなる指導を行なっているか、市町村民税としては将来いかにあるべきか、ただし書き方式を廃止して本文方式に統合する意思はないか、また現行の準拠税率を標準税率として法定し、超過税率について制限をしたらよいではないかという意見があり、いずれにしても準拠税率を超過して課税せざるを得ないというその原因を徹底的に究明し、必要な財源措置とともに、かような不均衡状態を早急に解消すべきであるという意見が圧倒的でありました。  また、給与所得者の負担が過重である現状にかんがみ、ことにただし書き方式採用市町村における給与所得者の負担の軽減をはかるために・給与所得の勤労割増控除を大幅に増額する必要があるという意見がありました。  次に、娯楽施設利用税に関しましては、ゴルフ場の問題がありました。ゴルフ場の利用の実態は、ゴルフの普及に伴って漸次大衆化しつつあるというものの、その入会金及び利用料金の額からいっても、高所得者階級の娯楽であることは争えない。すなわち、ゴルフは奢侈的行為であって、しかも見るものにも楽しみを分かつ一般娯楽とは性質を異にすることにかんがみ、ゴルフ場の利用に対する課税は、娯楽施設利用税でなく、別途の課税本系によって課税すべきではないか、またゴルフ場の芝に対しては、固定資産税の評価を引き上げるべきではないかという意見がありました。  次に、狩猟者税につきましては、今回の改正によって狩猟地における知事の免許を受ける者に対し課税されることにより、課税対象の捕捉が困難となる結果、特に県境における狩猟について脱税行為を助長せしめるてととならないかという意見がありました。  次に、固定資産税について申し上げます。昭和三十九年度より改正評価制度による秤価額に基づいて課税が行なわれることになるが、この改正評価制度の実施に伴い、資産によってその評価額が引き上げられることにならないか、評価制度の改正はいかに進められているか、評価がえに際し、従来負担の過重となっている資産について、その不均衡を是正しているか、たとえば現行の評価基準によれば、寒冷地における単作地帯の農地の評価は、二毛作地帯の評価の評点を基礎として定められているため、その評価額は過重となっているようであるが、これをどのように是正しているか、また、建物も積雪寒冷地帯では広い建坪を必要とし、構造も強靱にする必要があるため、坪当たり評価額が高く、しかも実際の耐用年数は短い。これらを是正するために減価補正をやっているが、この点、改正評価制度ではどのようになっているか、また、猛火の家屋で現在利用価値のないものについては、その負担能力を考慮に入れて負担の緩和をはかるべきではないか、土地及び家屋の評価に際して、いまだに賃貸価格を基礎として評価しているところがあるが、こららの評価方法は再検証すべきではないか、また国や地方団体等の公共事業の施行によって生ずる土地の増価による利益に対しては、不労所得的性格を有することにかんがみ、税制上特別な課税を行なうべきではないかという意見がありました。  次に電気ガス税について申し上げます。  電気ガス税税率の引き下げは、電気料金の値上げを前提としたものではないか、産業用電気について非課税品目の追加を要望している向きもあり、また本税の地方税収に占める地位の重要性や地方財政の事情により、本税のあるべき姿をいかように考えているか、また今回の税率引き下げは大いにけっこうであるが、反面免税点の引き上げが忘れられているのではないか、最近の電気ガスの使用の実態等から見て免税点もいま一段と引き上げる必要があるのではないか等の意見がありました。  次に国民健康保険税について申し上げます。  国民健康保険税については、保険料なのか税なのか、問題があるが、今日税負担として見た場合、この税ぐらい負担が重くしかも逆進的なものはない。加入者の生活実態にかんがみ、保険の観念から一歩出て、むしろ社会保障の観念を導入し、国の責任において負担の軽減をはかるべき時期にきているのではないか、また今回の改正によって低所得者に対する負担の軽減をはかっているが、たとえば十五万円をこえる所得のものについては保険税自体は若干引き上げられる結果となるので、負担の軽減が適用される階層の範囲を広げるべきではないかという意見がありました。  次に、法定外普通税に関連いたしまして、現在京都府において法定外普通税として自動車取得税を課しているが、これは自動車が道路損傷の負担的性格を有することにかんがみ、道路整備の必要性から、その財源捻出の一方法として設けられている趣旨にほかならないと思うが、今日の自動車の著しい増加に対処して、これを法定として自動車取得税を設ける考えはないかという意見がありました。  以上のほかにも各税目にわたった有意議な論議がかわされたのでありますが、時間の関係もありますので以上にとどめます。  これらのすべての論議に対して、政府当局は、政府原案の趣旨とするところを税制調査会の答申等をも援用して説明し今日の場合住民負担の均衡と地方財政現状に照らし、もとより遺憾の点はこれなしとしないけれども、この程度改正にとどめざるを得ない実情と将来の見通し等につき、詳細なる説明を行なったのでありますが、本小委員会の論議の存するところについてはこれを尊重して若干のものについては将来の検討を約したのであります。  たとえば電気ガス税の軽減については、その方向で検討するということであり、また市町村民税の課税方式の一本化については、その実現を可能ならしめることを目途として検討する趣旨において、目下市町村財政構造を中心とした調査を行なっているという答弁があり・小委員会としてもこれを了としたのであります。  なお、三月八日の小委員会には、日本社会党所属委員より地方税改革要綱が示されたのであります。  太田委員の説明によりますと、今回の政府提案の地方税法改正案につきましては、これが国民負担の軽減という建前からして、本質的に反対すべき筋はないけれども、これがきわめて不十分であって、なおこの際考慮すべき点が多々あるという意味において、日本社会党としては、これらの点について地方税改革要綱を提示して、今後の検討を要望したいということでございましたので、付言をいたします。  しこうして、本小委員会としましては、本案について結論づけることは適当でないということに意見の一致を見、小委員会の審査を終了することとした次第であります。  以上御報告申し上げます。
  107. 永田亮一

    永田委員長 以上で小委員長よりの報告は終わりました。     —————————————
  108. 永田亮一

    永田委員長 次に、本案についての質疑を行ないます。太田一夫君。
  109. 太田一夫

    太田委員 今の小委員長の法案審議の報告には載っておりませんが、私どもが非常に重視をしております住民税のあり方に関連をいたしまして、この際しかと承っておきたいことがあるのです。  それは、住民税といえば今日では市町村民税を意味するかのごとくに議論をされております。いわゆる本文方式ただし書き方式の二方式統合というような機運が動きつつあることは、今の小委員長の報告の中にも明らかであり、これに対して私どももかねがね申しておったことでありますから異議はありませんが、ただ大事な点が、新聞の論調ないしは世の批判の中に落ちておる。それは昨年改正になりました道府県民税であります。道府県民税の問題がなぜ落ちておるのだろうかという点を私は非常に不思議に思うのです。特に本年度地方税制改正基礎になりました、昭和三十七年の十二月に御答申になった、これは税制改正に関する臨時答申、税制調査会会長中山さんの答申に基づきましても、特に地方税に対する見解を説き起こしておるのでありますが、このように言うております。「住民税については、従来数次にわたり、その負担の軽減合理化が図られたのであるが、なお多くの市町村において準拠税率をこえて課税が行なわれているために、それらの市町村における負担が相当に重くなっているほか、さらに、その課税方式本文方式とただし書方式の二つがあるために、地域によりその食掛に相当の較差があることに問題がある。したがって、その合理的解決を図ることが急務であることはもとよりであるが、一方、この問題は、住民税そのもののあり方のほか、地方財政制度のあり方等、広汎な問題とも関連しているので、基本問題の一つとして今後引き続き慎重に検討することを適当と考えた。」こうなっておるのであります。ここに「住民税については、従来数次にわたり、その負担の軽減合理化が図られたのでるが」、とありますけれども、この住民税というのは市町村民税、県民税を入れたならば、負担の軽減合理化がはかられたということは言えないのでありますから、府県民税が除外されておる。なぜ県民税の問題がこの臨時答申にも漏れておるのであろうか、こういう点を私どもは非常に不思議に思う。柴田局長はその道の専門家でありますから、その間の経緯がおわかりになると思いますが、どうして県民税の問題が三十七年末の答申から漏れたのであろうか、いささかの意見も加えられなかったのであろうかという点について、一つ御所見をお願いしたいと思うのです。
  110. 柴田護

    ○柴田政府委員 今回の税制調査会の審議におきましては、当面緊急に措置しなければならぬ問題を主として議論の対象とされたのでありますが、府県民税の改正につきましては、太田先生御承知の通り、一昨年の税制調査会の答申に基づいて措置されたものもございますし、先般の税制調査会におきまして、三十八年度において措置すべき問題としては、あまり問題にならなかったのであります。  それからまた一方、負担の不均衡是正という立場、負担の均衡という立場からの問題としては、問題の焦点はやはり市町村民税だ、それも二方式があり、しかも超過課税を非常に恒久的にやっておる、その辺に問題の本質があるだろうということで、その合理化についていろいろ御議論があった。問題の順序といたしましては、住民負担の軽減、合理化というものを考えます場合に、所得税を中心にやれという御意見もその際非常に強かったのでありますが、また負担の軽減、合理化ということであれば、非常に乏しい財源しかない現状においては、一番重いところからやるべきではないか、その際に最も重いとされるのはまず国民健康保険税だ、その次に重いとされるのは住民税ではないか。だから国民健康保険税、住民税、所得税、こういう順序でやるべきではないか、こういう強い御意見があった。結局、結論としては、住民税につきましては、非常にむずかしい問題があるということがわかって、国民健康保険税と所得税、この二つに限られて答申がなされた、こういう経緯でございます。
  111. 太田一夫

    太田委員 そういう経緯であるにしても今お使いになった住民税という言葉の概念の中に、中山さんと同じように、当面する住民税の問題は市町村民税だ。しかし、当面する住民税の問題は、都道府県民税を含めて市町村民税というこの問題も論議されておるのである。これが現実なんです。ところが、県民税の問題を横目で見ながら、何も研究せずに済ませた中山さんの答申というものは、一昨年の答申というものに影響されて、言いたいことが言えなかったのではなかろうかと思うのです。言いたいことを言わなければ、この際、私は住民税軽減というような問題にはなってこない。ほんとうに言いたいことは、県民税が高過ぎるということだ。しかも、昭和三十七年度の二%、四%の区切りの比例率というのは、これは特例を設けたのであって、特に本年度の百分の二、百分の四というこの税率は、一定税率であります。ところが三十八年度から三十五条第三項によりまして、道府県は、第一項の標準税率と異なる税率で所得割を課する場合においては、あらかじめ、自治大臣に対してその旨を届け出すればできることに相なるわけであります。二%、四%の二つの比例税率でさえも過重だというところに、さらにこれを上回る形勢さえことしは出てきた。にもかかわらず二%、四%と一定税率を課しておこうという動きもなかった。これは非常に危険なことだと思いますが、局長いかがでございますか。
  112. 柴田護

    ○柴田政府委員 お話の点は、府県民税をどう考えるかということであると思うのでありますが、地方税制の建前からいいますと、たって一定税率にしておかなければならぬ——たとえば広く流通関係に大きな影響のありますものは、一定税率の定めをいたしており、あるいは制限税率の定めを設けたりしておるのであります。府県民税の場合には、地方税制全般の本則と申しますか、原則によって標準税率制度というものをとっておるのであります。ただ、三十七年度だけ一定税率にいたしましたのは、所得税との関連の調整がございますので、その関係から特に施行の円滑を期する意味におきまして一定税率に据え置いた、これがそういう改正をとった理由でございます。  お話の点は伺っておりますと、県民税が問題外になっておるではないかというお話でございますが、市町村民税、県民税、所得税とあわせまして、所得課税をどうするかという問題について根本的に問題がないということは私は申し上げません。根本的に問題があることは、われわれといたしましても承知はいたしております。ただ当面する問題点というものを、住民負担地方財政両面から考えて参りますと、当面する緊急課題というものは、市町村民税負担の較差ではないか、こういう意味から税制調査会はもっぱらその方に主眼を置いて審議をした、こういうことだと思います。
  113. 太田一夫

    太田委員 私は、この際、天下の地方自治体住民の声を聞いて、この二%、四%の比例税率に対しまして、再検討して、あわせてそれを上回るような措置が地方団体においてとられないような措置をつけ加える。そうしてまた将来は、地方住民負担の最も合理的、科学的なあり方としては、累進課税方式が正しいという、この精神に戻ることを考慮すべきだと思うのです。この問題を除外をしておいて、ただし書き方式本文方式とが将来一本になる可能性が出てきたことによって、何か住民税負担が軽くなるという幻想をわれわれが持っておったとしたら、大きな危険だと思うのです。昨年変えたからことしは変えられないのだというようなことでなくて、あやまちあらばすみやかにこれを直すように、というふうに私は思うのですが、これはことし議論しても、今の局長さんのお話では何ともならないでしょう。少なくとも基本的に考えていただいて、この二段階課税方式というものの根本的なあり方の是非の問題、あるいはそれを上回る地方団体の申請をいかに扱うべきかの問題についても十分お考えをいただきたいと思うのですが、自治省の考え方はどうですか。
  114. 柴田護

    ○柴田政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、御満足をいただけるような御答弁ができますか危惧するのでございますが、外国におきましても、所得課税の課税の仕方というのは、国、つまり住民から離れるに従って非常に強い累進をとっておる、住民に近づくに従って比例税率か、あるいはごく軽度の累進税率をとる。外国の所得課税の実例をいろいろひもときましても、大体そういう傾向が見受けられるのであります。住民税改正をいたします場合に、従来は所得税額というものに準拠いたしておりましたので、むしろ所得税と同じような形の累進度をとっておったということになるわけでございますが、これがいかがなものかということで反省されて、ああいうような改正になったわけでございます。私どもは、府県民税というものの持つ性格を、やはり府県民、府県の住民に対する福祉増進のために府県民が支払う税金だという立場から言うならば、やはり累進税率から比例税率なり、あるいは経度の累進を加味した比例税率という方向に近づいた先般の改正の方が、理に合っているのじゃないかというような感じがしておるのであります。ただ、府県というものの性格が変わってしまって、府県民税なんというものは要らぬのだということになりますれば、また話は別でありますが、府県を完全自治体として考え、これに対する基本的な一つ税制というものの中に府県民税の地位を置きますならば、お言葉を返しますけれども、やはり先般の改正の方が理屈に合っているのじゃないかという感じを持っております。
  115. 太田一夫

    太田委員 いわゆる地方住民に対する思いやりというような問題に帰着するかと思うのでありますが、所得税においては課税最低限度が引き上げられた、住民税においてはその引き上げがない、こういう点などについては、物価の値上がりに関連をして、いわゆる思いやりというものが不足しておるように思うのです。もちろん、税務当局に愛情や思いやりを期待するのは間違いだというようなことが言われるとするならば、それは私はいい。しかし、日本国民に対して、いかに地方自治に財政的に参与し、いかに住民としての福祉を受けるべきかという基本問題を地方税制というのは解かなければならないわけでありますから、やはり物価の値上がりに伴い、生活の引き上げもあわせて考えて差し上げるということになるならば、基礎控除とか、扶養控除などについても、引き上げをことしやるべきでなかったかと思うのです。こういう点は来年度実現するのでしょうか。
  116. 柴田護

    ○柴田政府委員 おっしゃるように、零細所得者に対して負担をどのように軽減していくかという問題は、地方税制にとりましては大問題だと私は承知いたしております。ただ、言いわけめきますけれども、地方財政の現況では、それより先になすべき行政水準の向上という大使命があります。それとの比較権衡か、言いますならば、今回は、昨年のことを借用して申しわけございませんが、昨年お認めいただきました市町村民税税率引き下げ、この程度住民税につきましてはがまんせざるを得なかった、こういう事情でございます。  なお、おっしゃいました諸控除の問題、これは国税が引き上げたから地方税も当然引き上げるという形の問題では実はないかと思いますけれども、地方税自体のプロパーで今の諸控除の状態がいいかどうかと言いますれば、問題は確かにございます。これにつきましては、将来もその合理化につきまして検討して参りたい、かように考えます。
  117. 太田一夫

    太田委員 地方税課税の最低限、度のいわゆる科学的、合理的引き上げということがなされるならば、相当地方住民の心証というのは変わってくるわけでありますが、これは極力引き上げていただく。もちろん負担分任という言葉もあるでしょう。負担分任という精神も必要かもしれませんけれども、その問題については均一課税という問題で解決しておるのですから、所得割については大いに軽減されるように、低所得者層を中心にして軽減をされますように、これを一つ研究するというようにお考えになっておるものと今のお話を受け取らしていただきます。  その次にお尋ねしたいのは事業税の関係でありますが、事業税も確かに少しずつ軽減されてきましたけれども、一体どれくらいの程度までを非課税とすべきかという、この問題がどうも研究不足のような気がするわけです。事業税というのは、特に個人の事業税というのは、どの程度までをもって非課税点とすべきか。今二十万円でありますが、この二十万円というのは動かさない御方針であるのが。現在考えられておることは、これ以上引き上げ方法が考えられておるかどうか。この点をお尋ねいたします。
  118. 柴田護

    ○柴田政府委員 事業税でございますが、個人の事業税につきましては、も数年来税率引き下げ、事業主控除の引き上げ等で、実は軽減に軽減を重ねてきておる。税額にいたしますと、大体二百億前後でありまして、所得税の補完税としての事業税というものの立場から申し上げますならば、現状程度の金額では、軽減の極限に近づいたとわれわれは考えております。ただ、事業主控除が今のままではいいか悪いかという問題は、事業者の所得税水準の状況等、それからまた所得税の各種の控除との関連、こういうものから考えまして検討して参らねばならないのでありますが、私どもは専従者控除が実際行なわれておりますような関連等から考えまして、まあまあ今日の限度でまずいいんじゃなかろうかというように考えております。将来全然問題がないとは申し上げませんけれども、今日の段階では、この程度でいいんじゃないかというように考えております。
  119. 太田一夫

    太田委員 昭和三十六年の暮れの税制調査会の答申によりましても、事業税については、この負担のあり方について相当検討を要するということを強調いたしておりますね。経済全般に及ぼす影響もあろうし、企業の負担力の問題もありましょうし、慎重に吟味をすべき点が多いと認めるから、とりあえずは見送るということを言っておりますけれども、事業税そのものについて大きな疑問点を提供しておるのでありますから、あなたがこの程度でよろしいとおっしゃることは、少々世の常識と違うのです。青色控除の引き上げ、諸控除の引き上げ、もう少し政策的にもお考えになる必要があろうと思いますけれども、これはやはり今をもってよろしいという意見にはならないんじゃないかと思うのですが……。
  120. 柴田護

    ○柴田政府委員 事業税にございます本質的な問題と申しますのは、現在の所得を課税標準といたしております事業税のあり方に問題がある。つまり、所得以外のものをとってあわせて併用するか、あるいは所得以外のものによるか、そういう課税の仕方をすることが事業税の本質にそぐわぬじゃないか、こういう意味の問題でございます。この問題につきまして大問題があることは、私どもも十分承知いたしております。ただ、所得課税を行なっております現状において、二十万円の事業主控除という問題は、専従者の控除をあわせて行なっております現状から申しますならば、まずまずというところじゃないだろうか、その意味を申し上げたのであります。
  121. 太田一夫

    太田委員 まずまずというお考えでしょうから改正案が御提案にならなかったのだと思いますけれども、なにしおう自治省の税務当局は、常に斬新な税制を出されて、好悪両批評はございますけれども、場合によっては非常にヒットもあったのです。ですから、事業税、個人事業税などというのは二重課税というそしりをしばしば受け取ったのでありますから、ずばりっとそういう個人事業者にも説明のできる体系にお改めになることが必要ではなかろうか。税収が減るから、減るからという点だけにこだわっておりますと、うしろ向きになりますので、この際これは引き就いて御研究をいただくことを求めたいと思うのです。  次は料理飲食等の消費税の関係でありますが、料理飲食等の消費税は三千円という一つの線を引きまして、以上の場合一割ということに相なっておりますけれども、これはどうも高級料小の圧力に政府が屈したのじゃなかろうかという世の批判が多かった。私どもは食べるものにはあまり税金をかけることは好みませんけれども、ぜいたくな飲食に対してかけることには国民だれも賛成はすると思うし、ぜいたくな飲食のできる人は負担力がありますから、これはある程度財源として考えてもいいじゃないか。従って、これは百分の十でなくても、十五でもいいじゃないかと思うのでありますが、あなたの方としてはこれもリバイバルはもう絶対いやだ、こういうことでございますか。
  122. 柴田護

    ○柴田政府委員 観念的な御趣旨はわからぬことはございません。ただ税務の執行の立場から申し上げますと、場所をもって区分するというやり方は税務行政上よけいな紛擾を伴いますしまたいろいろトラブルが起こる。そこでそういうような問題を勘案いたしまして、多年問題になっておりましたところの一人一回三千円ということでおのずから解決をつけたのでございます。従いまして、今のお話の趣旨の点は、税務執行上の立場から申しますと、なかなかむずかしい問題をはらんでおるのじゃなかろうかというように考えますし、また遊興飲食税そのものは通常の税の常識と逆でありまして、歴史的に見ますと、最初非常に均一的な税制から出発をして、逐次合理化の線を進んで参った。従って、これは国民全体の生活水準の向上と合わせて、むしろそういうような問題は方向としてはいかがなものだろうかというように私は思うのであります。
  123. 太田一夫

    太田委員 関連をして飲食税のことで、方向が違うのですが、例の外人観光客に対する料理飲食等消費税の問題をいかにするかということは、両三年来の問題でありますけれども、最近外人観光客の来日が非常に減ってきておる、こういう意見があるのであります。だんだん減ってききたということは、何か国内において外人客に冷たい仕打ちをしておるような印象が観光旅客を扱う方々に非常に大きく流れておる。何かしら冷たい扱いをしておる。料理等飲食税におきましても非課税にしてくれと言っているのに、そんなことはできないから宿賃の方で引けなんという意見になっておる。何か地方税制の建前から観光客に足して無理解だというような印象があるのでありますが、これはいかがですか。特に最近では、必ずしも非課税にせよと言わない。五%くらいにしてくれ、半分にしてほしいというような意見に変わっているようでありますが、これに対して自治省はどういうふうにお考えになっておりますか。
  124. 柴田護

    ○柴田政府委員 外人観光客に対しまして税制というものがどうあるべきかという問題は広範な問題でもありますし、ひとり地方税制だけじゃございません。国の税制もあわせて考慮すべき問題かと思います。地方税制だけの問題につきましては、従来から非常に激しい議論があって、やっとこれを世界の水準並みに変えた。従来の妙な規定を廃止して、むしろ世界の水準——と言うと口幅ったいようでございますが、どこの国でも、外国人だからということでこういう消費課税について区別しているところはございません。それをあたりまえの姿に返したのでございまして、これを何か恒久的に別の制度に変えるということは現在のところは考えておりません。ただ観光政策として、国全体が総合的な施策として何か考えるというときには、ものによっては検討の余地がないとは申し上げません。
  125. 太田一夫

    太田委員 大衆的飲食の免税点を八百円くらいにしてほしいという意見はずっとあるのでありますが、これにも今回は手がついておらないのであります。八百円くらいまでは非課税とするということは、今日の物価から見てしごく当然のことと思うのでありますが、それが見送られておるのは私も残念だと思う。ぜひ一つ一日も早くこの非課税の引き上げと同時に、必ずしもとれるところからとらないで、いわゆる場所課税がむずかしいから金額課税にするということも、何だかことさらなる理論づけのような気がするのでありまして、とろうと思えばとれないはずはないのでありますが、その方面からはことさら逃避していらっしゃるのは受け取りがたいと思うのです。  外人客に対する料理飲食税を半額に引き上げる件については。観光協会あたりの方々の切なる願いのようでありますが、世界から見て日本だけが特段の扱いをすることがいけなければ、これまた一つ考える余地がありますけれども、外人客に対して冷たい仕打ちをするというような意味からわれわれが外人客に対する非課税とかあるいは特段の措置に対して反対するのは少々正しくないと思いますので、この点は引き続いて御研究いただく必要があるのじゃないか。今おっしゃることは、今の段階ではやむを得ないことでしょうけれども、ことしはいいことばかり出ておるのですが、来年悪いことばかり出てくるような気がするので、来年のことも考えて、一つよくなるように御注文、御要望を申し上げておきます。  それから消防施設税の関係でございますが、長年言われている消防施設税がなぜことしも具体化しなかったか。それは先回、消防法の改正の際には、消防施設税というものを新設することは非常に意義があるし賛成だという旨の御答弁が、大臣によってなされていると思うのです。消防施設税が一向日の目を見ない理由はどういうわけでございましょうか。
  126. 柴田護

    ○柴田政府委員 消防施設税の問題につきましては、従来から当委員会でも積極的な御発言があり、われわれといたしましても基本的には決して反対じゃございません。その方向でいろいろ検討して参ったのでありますが、従来からやっておりましたように火災保険料収入を課税標準として課するということは、それだけでは保険料にむしろ転嫁されやしないかといったような問題、それから現在損保がいろいろ消防施設関係地方債を引き受けておりますが、その引き受けとの関連において差し引きどのような姿になるか、こういった問題等がございまして、いろいろむずかしい障害があるわけでございます。従って今日まで遺憾ながら実現の日の目を見ないような状況でございます。しかしながら、何も保険料収入を課税標準として課するということだけが消防施設税のあり方ではない。まだほかにやり方があると思いますので、慎重に検討していきたい、そのような意味のことを申し上げたのであります。
  127. 太田一夫

    太田委員 慎重に御検討なさって、いい方法があるということならば、別にとやかくのことを申すわけではありませんが、当然損害保険料の三%程度のものを消防施設税として課することは、消防施設強化されればされるほど損保会社の支出は減っていくわけでありますから、その相関関係をとらえて妥当、公正な課税をお考えになることは、双方にとって有利だ。片方だけじゃない、双方なんですから、これは急いで御研究いただく必要があろうかと思うのです。  もう一つ、今度の税制に出てこなかったことで私どもふに落ちないのは、地方道路の譲与税の関係でございますが、地方道路譲与税は、ガソリン、一リットルについて今四円でありますが、これを引き上げるということは不可能なんでしょうか。
  128. 柴田護

    ○柴田政府委員 道路目的財源そのものにつきましては、お話のように地方道路譲与税だけではございません。軽油の問題もあるわけでございます。いずれにいたしましても、これらの税負担というものが外国の道路を使用する車両あるいは揮発油等に対しまする税負担と比べまして、日本の方がまだ安いということは言えるわけでございます。今日の道路の混雑状況、整備状況からいきますならば、こういった種目の税金につきましてなおこれを増強して、そうして目的に使うという必要は十分認めるものでございます。ただ、今日の経済界の実情から言いまして、こういうものの引き上げが運賃にどのような形ではね返ってくるかというところに、今日の物価問題とからみまして非常にむずかしい問題があろうかと思います。今回も、実は検討はいたしましたが、さような観点からネックがありまして、見送らざるを得なかったのでございます。もっぱら価格政策との関連において問題あるということでございます。
  129. 太田一夫

    太田委員 私はそういう意味でお尋ねしているわけではありません。価格に上積みするのではなくて、ガソリン税というものの中において、二十二円十銭がガソリン税として国庫収入になっておりますけれども、これを少なくともその中からさらに四円を地方道路譲与税として回せということです。価格に変化はないでしょう。価格引き上げをやれなんて、そんな大それたことは言いません。どうなんですか、どうして二十二円十銭国税にやらなければならないか。しかも、それは原則として市町村には配分がいかないわけですからね。ガソリンをたいている自動車が町村道を走らぬなんということはちょっと私も考えられないけれども、四円じゃ足らない。これを倍額にして、国税に二十二円十銭納める中から四円を地方に回し、それを町村に回したらどうだ、こういうことだ、非常に大衆によくわかる議論なんですが、その点についてあなたはどうお考えなんですか。
  130. 柴田護

    ○柴田政府委員 御質問を取り違えまして失礼いたしました。お話の御趣旨は私ども全く同感でございますが、ただ国、地方を通じまして、必要とされる道路の目的財源として、現在の税制によります目的財源では足らない。そういう状況におきまして、その中から割愛をして市町村道に回すということに非常なネックがある、こういうのが現状でございます。私どもはかねてから道路目的財源の国、府県、市町村間の配分のアンバランスというものを常々主張しておりますし、いろいろその是正につきまして検討いたして参っておるのでありますけれども、何分にも、今日国が直轄して行ないます道路、あるいは一部は国庫補助でございますが、そういった国が必要とする道路財源が足らない。こういう状況でございますので、道路財源配分そのものにつきましても問題がございますけれども、緊急性等から考えまして、私どもの念顔がなかなか実現できない、こうこう状況でございます。
  131. 太田一夫

    太田委員 国の大きな公共土木施設拡充五カ年計画とかどうかという点がら見れば、財源として二十二円十銭のガソリン税はなるべく中央に納めたいのです。ところが地方自治の立場から見ますと、ちょっと観点が違う。それはなるほど軽油引取税はありますけれども、軽油引取税は地方税として別個のものでありまして、中央に納めるものじゃありません。それだけで十分市町村道が補正されておるかというと、そうでないので、道路の改修のテンポ並びに改修の現況にかんがみて、市町村道の整備とか強化ということは非常に焦層の急だと思います。そこで財源をもう少しガソリン消費税の中から四円くらい出させていいじゃないか。今までも都道府県に出ておるけれども、今度は市町村にも同額くらいを按分して支給して、地方道の改良をはかる必要があるんじゃなかろうかと思うのです。こういう点はわれわれが主張しなければだれが主張してくれるか。道路整備五カ年計画はたくさん税金が要るから、それはだめだだめだと言っているうちに十年、二十年たってしまって、市町村道はいつまでたっても舗装されないということになる。先ほどの道路交通法改正案では、あたかもそのことを前提にして、横断歩道というのは道路標示と道路標識がなければならないけれども、道路標識だけでよろしい、土の道や砂利の道が永久に続くだろうということで、とうとう道路交通法の方がしびれを切らせて悪路に妥協してきた。これは非文明的な政策でありまして、文明を求めるという意欲があってしかるべきではないか。そうすると、町村道などについてガソリン消費税の四円分を回すということは、私は善政だと思うのですが、どうですか。
  132. 柴田護

    ○柴田政府委員 市町村道の改修について目的財源が必要だ、これは全く私どもは御趣旨の通りだと思います。ただ、先ほど来申し上げましたような事情によりまして、なかなか念願が実現してないような実情でございます。なお、目的財源の合理的再配分と申しますか、そういう問題につきましては、財源配分問題の一つとして、今後ともその方向で努力して参りたい、かように考えます。
  133. 太田一夫

    太田委員 前任の後藤田局長は、心を鬼にして県民税の二段階比例税率をしいて、地方財政強化のために殉じられた。地方財政強化して地方行政水準を上げるということについてなされた功績というものは大したものです。ただ、その方法が少々住民の気に入らなかったということでございますけれども、柴田局長が、単にちょこっと電気ガス税を一%下げたとか、狩猟税を二つに分けたとかいって、要領よくこの場を逃げようということは、あなたのためにも惜しむ。あなたの偉大なる才能を大蔵省に向けて、道路譲与税の四円くらいガソリン税の中からこっちによこせと大きな声で言って、大蔵省の役人に悪く言われても、九千万国民からえらい人だと言われたら、あなたは大人物です。それくらい勇断をふるわれることを希望しておきます。  最後に、国庫支出補助金等の計算単位の適正化の問題です。これも税制改正に非常な影響があるのです。あまり大きな声となって国会の中に沸き上がっておりませんが、どうもこの計算単位というのが不十分でございますね。三分の一の補助だと言いながら、実は四分の一であるということが、あに教育施設だけでなくして、各方面にたくさんあるのです。自治省としても、その点については十分改革をしていただく意欲を燃やしていただきたいと思うのです。これが地方税外負担の解消の近道だと思うが、これに対する心がまえはどうなっておりますか。
  134. 柴田護

    ○柴田政府委員 それは所管が違いますが、私どもといたしましては、これも年来国庫補助負掛金の合理化問題の一環として、むしろ、そのうちの中心問題として主張してき、また、その合理化に努力して参ったのであります。その進度は非常におそうございます。御指摘のようにおしかりをこうむるような状態かもしれませんけれども、しかし克明にごらんいただけは、逐年一歩また一歩と改善されてきておるのでございます。今後とも御趣旨の方向で大いにやって参りたい、かように考えます。
  135. 太田一夫

    太田委員 国会開会当初の空気では、地方財政法の改正案、いわゆる県が負担すべきものは県だ、市町村負担をさせてはならない、あるいは国の負担すべきものは国だ、県に負担させてはならないというこの基本原則をさらに明確化される改正案が準備されていたやに伺ったのですが、その後その動きがとまって、地方住民税外負担の解消はことしもあきらめなくちゃならないというような空気でございますが、どうですか、そういう財政法の改正というようなものは本国会に期待できるのでしょうか。
  136. 柴田護

    ○柴田政府委員 地方財政法の改正は、お話しのような方向で準備いたしております。ただ、関係各省との折衝に手間取っておりまして提出がおくれておりますけれども、そういう方向改正案を提案いたすつもりで準備を進めております。
  137. 永田亮一

    永田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十九分散会