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1963-02-28 第43回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十八日(木曜日)    正午開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 大上  司君 理事 高田 富與君    理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君    理事 阪上安太郎君 理事 二宮 武夫君       伊藤  幟君    宇野 宗佑君       大沢 雄一君    大竹 作摩君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       久保田円次君    山崎  巖君       中村 重光君    松井  誠君       山口 鶴男君    湯山  勇君       田中幾三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 篠田 弘作君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     後藤田正晴君         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      宮地 直邦君         自治政務次官  藤田 義光君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (税務局長)  柴田  護君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁警務局         人事長)    浜中 英二君         農 林 技 官         (林野庁指導部         造林保護課長) 手束 羔一君         通商産業事務官         (通商局次長) 宮本  惇君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      松島 五郎君         自治事務官         (財政局交付税         課長)     山本  悟君         自治事務官         (税務局府県税         課長)     降矢 敬義君         自治事務官         (税務局市町村         税課長)   佐々木喜久治君         専  門  員 曽根  隆君     ――――――――――――― 二月二十七日  委員久保田円次辞任につき、その補欠として  灘尾弘吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員灘尾弘吉辞任につき、その補欠として久  保田円次君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員松井誠君、八百板正君、和田博雄君及び門  司亮辞任につき、その補欠として稻村隆一君、  湯山勇君、中村重光君及び田中幾三郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員稻村隆一君、中村重光君、湯山勇君及び田  中幾三郎辞任につき、その補欠として松井誠  君、和田博雄君、八百板正君及び門司亮君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度分として交付すべき地方交付税  の総額の特例に関する法律案内閣提出第九五  号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇一号)  地方自治及び地方財政に関する件(町村合併等  に関する問題)  警察に関する件      ――――◇―――――
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。宇野宗佑君。
  3. 宇野宗佑

    宇野委員 地方税に関しまして若干御所見をお伺いいたします。  地方税国税と同様に常に地方住民負担軽減合理化をはかっていかなければならない。これは今さら申し上げるまでもございません。しかしながら合理化の面はいざ知らず、軽減ということに重点を置きますと、やはりその財源をいかに今後補てんするか、あるいは確保していくか、あるいはいかにしてその財源を培養すべきであるかというふうな問題がおのずと起こってくるわけでございます。従いまして、地方税改正云々合理化云々と絶えず問題にされながらも、一つの制約があるということは、私たちもこれをいなむわけに参りません。しかしながら、やはり常に住民負担軽減考えていこうという立場からいたしますのならば、当然今後も一そうその面において御当局の御検討一つ賜わりたいと思うのですが、そうした意味合いから、今回電気ガス税を初め、あるいはまた健康保険税軽減等がはかられたということは、時宜にかなったことだと私は思います。しかしここでは一つ、まず電気ガス税について御質問をしておきたいと思うのであります。  昨年、税務局長も、電気ガス税に関しましては、これほど普遍性があって、あるいはまた伸長度があって、安定した財源はないからというふうな御答弁もございました。しかしながら私個人考えから申し上げますのならば、今日の社会環境あるいは生活環境から申し上げましても、電気ガスというものはすでに生活必需品であります。生活必需品に税をかけることがよいか悪いかという問題も、私たちは真剣に検討していきたいと思うのであります。ちょうど空気に税金をかけたりあるいは米に税金をかけると同様ではないか。極言するのならば、それくらいのことも言えるのじゃないかと思います。しかし一応電気ガス税は一割引き下げられました。そうしてその補てんといたしまして、自治省の御努力によりまして、たばこ消費税引き上げをもって補てんすることができた。一応金額の面におきましては、大体収支相償うというふうな計算に相なっておるらしゅうございますが、しかし今後電気ガス税自体を依然としてやはり続けていくのか、あるいは年々一%ずつでも減らそうとしていらっしゃるのか、最終的には、これは撤廃すべきものであるとお考えなのか、だいぶいろいろと世論があるようでございまするけれども、今年度改正にあたって一%下げられたというゆえんから推しはかりまして、今後の見通しをまず第一番にお聞きいたしておきたいと思います。  第二点としましては、たばこ消費税をもって補てんをするとは申しまするものの、はたして電気ガス税伸長率たばこ消費税伸長率が同様であるのならば、さようなこともできましょうが、現に六大都市を初めとする都市の面においては、やはり補てんよりもむしろマイナスの方が大きいというふうな結論が出ております。いなかにおきましては、電気ガス税軽減によって、たばこ消費税引き上げによってむしろプラスの方が多いということにも相なっております。これを考えてみますると、同じ地方自治体とは申しながらも、第一問の質問の要旨にかんがみまして、今後たばこ消費税電気ガス税との間の調和というもの、また両者の伸長度というもの、それがいかなる方向に転処するか、この点を一つ局長にお伺いいたしたいと思います。
  4. 柴田護

    柴田政府委員 電気ガス税の問題でございまするが、お話のように、電気ガス税につきましては、地方団体側からは、特に六大都市方面でございますが、その伸長度伸長性安定性普遍性というふうな観点からこれを存置すべしという意見が非常に強くございますし、また一方ではお話のような考え方に立って、電気ガス税は撤廃すべし、こういった意見もあるわけでございます。私どもといたしましては、従来から駅代税務局長が述べておりましたような基本的な考えを事務的には持っておりますけれども、しかしながら、御指摘のように現行の電気ガス税自体には、いろいろ問題がございます。たとえば免税点の限度が現状のままでいいか悪いかといたような問題、また貿易自由化と関連して、電気ガス税をこのままの状態でおくのがいいか悪いかという問題、また特定産業につきましては非課税措置を講じておりますが、非課税措置を講ぜられた産業とそうでない産業とのアンバランスが非常に大きい。これをどうするかという問題、あるいは電気ガスとの関係、同じガスでも都市ガスとプロパンガスとの関係、こういった問題が多々ございますので、この問題はこの辺で一つ基本的に根本的な再検討を要する時期にきた、そのように私ども考えておるわけであります。そういう観点から、新たな観点に立って電気ガス税の将来というものを一つ検討して参りたい、こういうつもりでおるわけでございます。  たばこ消費税との引きかえの問題は、ことし起こりました電気ガス税軽減の問題は、低所得者対策の一環として電気ガス税軽減するという問題と、その背後にやはり産業政策という観点から、電気ガス税軽減をあわせてしたらどうかという二つのねらいがあったと思うのであります。表向きは低所得者対策というものが大きく打ち出されてはおりますが、やはり背後には産業政策というものがあるのであります。そういう観点から起こった問題でございますが、地方財政状況が特に三十八年度におきましては苦しい現状から、これを軽減いたします場合にかわり財源措置を講じてもらう、こういうのが税制調査会の答申でもございましたし、また私どもがとってきた態度でございます。その奥には、やはり自主財源でございますので、国家的施策として軽減をはかる以上は自主税源をもって埋める、これが望ましいという考え方があったわけでございまして、現状でこれを探してみますとたばこ消費税しかない。そこで、たばこ消費税が次善の策として取り上げられたわけでございます。しかし現実の姿は、おっしゃるようにたばこ消費税につきましては、大都市あるいは新興都市におきましてはカバーし切れませんし、また逆に町村ではたばこ消費税では余るというふうな事態になっておるわけでございます。従って、将来電気ガス税税率合理化していく場合に、かわり税源措置ということを考えて参ります場合には、町村では、たばこ消費税というものは、やはり一つ考え方であろうと思いますけれども都市方面では、それだけでは足らない。新たな税源を探さなければならぬのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、電気ガス税の持つ今日の機能から見まして、将来どうするかという問題は、基本的に検討するにいたしましても、当面やはり免税点その他についての合理化措置は、地方財政の別状とにらみ合わせながら進めて参らなければならぬだろう、かように考えております。
  5. 宇野宗佑

    宇野委員 今、産業用電気非課税の問題もちょっと出ておりましたが、このことにつきましても、お伺いいたしておきたいと思います。大体もうすでに三十七年度ベースによりますと、約二百億くらいの非課税措置がなされておるということであるのですが、やはりこれも相当財源的には大きな問題でもございますし、また今お話のありました通り貿易自由化等によりまして、外国製品がどんどん入ってくる。これと日本製品も太刀打ちしなければならぬ、そういうことから考えますと、やはりコストに税金をかけるのがいいのか悪いのかということで、こういう措置がとられたことは妥当だとは思いますが、しかし本年度も通産省と自治省の間におきまして、さらに追加品目をきめる際にいろいろと御論議があったらしゅうございます。しかしここで私の言っておきたいことは、言うならば電気ガス税全般に関しましては、私は個人としては廃止という方向に持っていく方がこれからいいのではないかと思いますが、しかしその反面に、ではその財源を、どう補てんするかというと、なるほどたばこ消費税しか今のところ見当たらないわけでございますので、これはいつまで繰り返しましてもあるいは堂々めぐりであるかもしれません。しかしそういう堂々めぐりをしていればこそ、ここに地方税の抜本的な改正も、あるいは軽減合理化もできないということになるわけです。そこで産業用の非保税に関しましては、一応これは電気ガス税等々が、今後も存続されるという想定の上に立ちます場合において、私のところの会社の製品にはこの非課税措置がなされたのだからというふうなことで、おそらくその対象になった方々は、これはもう既得権のようにお考えになっていらしゃるのじゃなかろうというふうなことが言い得ます。しからば一度それを指定した場合において、あくまでそれが既得権であって、永久にそれは非保税対象だというふうなことは、やはり産業の流れによって、また構造によっておのずからその状況が違うと思うのでございまするが、この点はあくまでも既得権でないというのか、あるいは一たんきめた以上はそれはもう既得権なのだ、この税金が存続する以上は既得権なんだ、こういうことに関しましても自治省の御見解のほどを一応お伺いしておきたいと思います。
  6. 柴田護

    柴田政府委員 産業用電力につきまして非課税措置をとって参りましたゆえんは、電気料金というものが原料と同じような価値を持つと申しますか、それほど大きなウエートを占めておるというものについて、産業立場に立って非課税措置考えてきたというのが現状でございますが、今日その品目が非常にふえてきておる。ふえてきておることがどういうことになりますかというと、ふえるにつきましては一応基準を設けておるわけでございますが、その基準の前とうしろで非常にアンバランスになる。つまり基準に合格したものは非保税になりますけれども基準から少しはずれたものはまるまるかかってしまう。その辺の不合理をどうするかという問題がだんだん出て参っておるわけでございます。私ども電気ガス税の将来の問題を基本的に考えます場合には、産業電力非課税の問題も、既得権云々の問題にこだわることなく、基本的に考え直すべきである、かように考えております。
  7. 宇野宗佑

    宇野委員 続いて住民税に関しましてお尋ねいたしておきたいと思いますが、資料を見させていただきますと、今なおただし書き方式を採用しておる団体の方が非常に多いらしゅうございます。その数大体八四%ということが示されております。その中におきましても、また本文方式採用団体におきましても、準拠税率を超過して税金をとっておるというふうな団体も非常に多いらしゅうございます。しかしこれを考えてみますると、これからおいおいとそれらの町村が、今行政の条件も非常に複雑になって参りまして、仕事が多いことは当然なのでございましょうが、仕事が多いから当然税金をたくさんとらなくちゃならないというので、これはいつまでたっても、仕事が減らない限りこの方式は改められないものと思う次第であります。しかしすでに自治省におきましても幾つかの法案を出されておる。たとえば新産業都市法であるとか、あるいはまた低開発工業促進法であるとか、続いて地方開発事業団法であるとか、いろいろなそういった経済面あるいは地域格差是正といったふうな法案を準備され、また施行しておられるわけでございますが、そうなって参りました場合に、これからだんだんと団体が大きくなっていく、その場合に名団体において、昭和三十六年度ですか、きめられた通り二君択一の線で、今なおただし書きを採用せざるを行ないという団体については、今後どういうふうな措置をしてやられるのか、この際はっきり伺っておきたいと思うのであります。  概してそういう町村というものは、非常な貧弱町村であります。貧弱町村であるにもかかわらずたくさんの仕事をかかえておる。だから本文方式になかなか切りかえられない。切りかえようとするならば、その財源補てん考えてやらなければならない。またそれをしないことには、低開発地域促准法の指定を受けましても、工場は、あそこへ行けば住民税が高いから遠慮しようじゃないかということになって、せっかく仏をつくっても魂を入れないということになるのじゃないかと思う次第であります。  従いまして本文方式ただし書き方式という二つ問題点から考えまするならば、大体本文方式統一をしてやろうというふうな気持があるのかないのか、またその場合財源措置としてはどうされるのかという問題も続いて出てくるだろうと思います。あるいはまた本文方式統一をし過ぎてしまいますと、大体三分の一程度の納税義務者が減ってしまうから、これまた町村財政に重大なる影響を及ぼすというふうなことも考えないわけには参りません。従いまして、その点に関しまして自治省としてはどのようなお考えなのか。今後ただし書き方式町村に対しては、どのような指導をされていくのか、またどのような処置によってそれを健全な姿にさせてあげるのか、この点の御見解がありましたら一つお話しいただきたいと思います。
  8. 柴田護

    柴田政府委員 今年住民税、特に府県民税改正を行ないました際に、住民税問題でいろいろ御迷惑をかけたのでございますが、その際、住民税の基本問題というのは、調べてみますれば、やはり市町村民税二つ課税方式という問題にあるということがはっきりわかったわけであります。御承知のように住民税につきましては、従来五つありました課税方式一つに統合してきたわけであります。従いまして方向としては、二つ課税方式というものは、将来は何らかの形で一本にするという方向をとるべきものだろうとわれわれは考えておるわけでございます。ただ御指摘のように、ただし書き方式採用町村につきまして、これを簡単に本文方式にしてしまいますと、非常な減収が生ずる。もう一つは、納税義務者というものが激減をしてしまうということは、住民税の本質が変わるということであり、変える必要があれば変えることにやぶさかではございませんけれども、それがいいか悪いかという基本問題がございます。そこで住民税につきましては、やはり本文ただし書きとありまして、本文方式というものが原則になっておるわけでございますので、本文方式をとれるところは本文方式をとったらいい、財政事情とにらみ合わせつつそういう方向指導はして参っておりますけれどもただし書き方式本文方式との負担の較差を解消するということになって参りますと、少し詳細な調査をしなければならない。それにかてて加えまして、ただし書き方式をとっておりながら、しかも準拠税率を大幅にこえておる団体がたくさんある、こういうことでございます。これをまず準拠税率近くまで持っていくということがまずやるべき一つ仕事じゃないか。その上でこの両方式の統合問題というものを考えていく、こういう順序を踏まざるを行ないのではないかとわれわれは考えておるわけでございます。では、なぜただし書き方式をとっておるのか、なぜ準拠税率をこえて課税しておるのかということであります。実は個々市町村について事情が明らかでございません。これはやはりしさいに調べまして、そして交付税財源措置が悪ければこれを直していって、そこのところは妥当な姿に持っていかなければなりませんし、それからまた、かりに本文方式に時っていくといたしましても、この場合にどういう姿が個々市町村で出てくるか。またごくへんぴな市町村で、大ていのものがあまり納税義務者激減が起こる心配がないということであれば、本文方式に統合していく方式をとってもおかしくない。しかしそれも逆な姿を描きますと、住民税というものの基本問題に触れるわけであります。その辺は十分具体的な調査をしてみなければわからぬのじゃないか。私どもは本年度はさっそく具体的な調査をしてみたい。そうしてその上で統合の基本方法というものを考えていきたい、さように考えておる次第でございます。
  9. 宇野宗佑

    宇野委員 住民は、最近税金というものに非常に敏感になっております。従いまして、国税は下がったが地方税が上がったという去年のような事態が起こったわけであります。現に私どもの県におきましても、あちらこちらで町長選挙あるいは村長選挙があったのですが、やはり新人が出まして税金をまけると言うと、その人が勝ってしまうというほどこの問題が住民には直接の関係があるということは、今さら言うまでもありません。ところがやはりこれは自治省といたしましてもはっきりした見解をとっていかぬと、現職町長さんをかばらわけではありませんが、たとえば現職町長が、今までただし書き方式に基づいて相当事業をやって、事業ができたから、ただし書き方式でしばらくの間ごしんぼう賜わらなくちゃならないというような政策をとっておりますが、今度新町長にかわりまして、ただし書き方式を改めるのだということになってしまいますと、たちまち歳入欠陥を生じてしまう。やっておるところの継続中の事業ができないというふうな事業で、非常に自治体を混乱に陥れておるという例もたくさんあるわけであります。従いまして、この問題は各団体にいろいろ事情がございましょうが、一つ早急に自治省の方で御調査の上よろしく御善導賜わりたいと思います。なおかつ準拠税率それ自体に関しましても、今お話のように準拠税率に近いところまでまず持っていかして、その後本文方式統一するかいなかということを考え順序としたい、こういうふうに言われましたけれども準拠税率そのもの自体が、今日のままほっておきますならば、どうしてもそれを超過して税金を徴収するという町村が多いのではないかと思いますから、これに関しましては、一定税率であるとかあるいは標準税率であるとか、そういうものについて、それを超過したものには何か制限を加えるというような方法はできないものですか。
  10. 柴田護

    柴田政府委員 その問題は、一つの御意見だとわれわれは考えておるのでございますが、ただ住民税というものが、市町村財政の中でどういう位置づけをされておるかという問題と関連をするわけでございますので、そう簡単に割り切るわけには実は参らぬと思います。と申しますのは、今日住民税、特に市町村民税というものは、市町村財政の中の基幹的な税目でございまして、つまり財政弾力というものを、税制上は住民税に求めておるというのが今日の税制の仕組みでございます。そうしますと、準拠税率標準税率に変えるという問題は、一つ考え方であろうと思いますけれども制限税率を設けることのよしあしというものは、将来の市町村財政運営考えていきます場合には、一体市町村財政弾力の、最後のよりどころをどこに置くかということになろうかと思うのであります。現在の税制では、それを市町村民税に置いておる。従ってまた固定資産税においては標準税率を置き、制限税率を置いておる。これは事柄の性質上、これに弾力を置くわけには参らぬということから出ておるのであろうと思いますが、そこで、もし住民税についてそういう処置をとりますと、それでは将来の市町村財政運営最後弾力というものをどこに置くか、こういうむずかしい問題が起きて参ります。従って、簡単にはそこのところを割り切るわけにはいかぬのだろうというようにわれわれは考えておるわけでございます。ただ、準拠税率というものに対する市町村の近づけといいますか、なるべく特別の事情がなければ、準拠税率によって課税をするという方法によらしめることが、適当なことはもちろんでございます。私どももそういう立場指導して参りましたし、今後も機会あるごとに、特別の事情がなければ準拠税率によるようにということも言い、また特別交付税配分等についても、そういうことを考慮に入れて配分をしているわけでございます。
  11. 宇野宗佑

    宇野委員 その点を私は、もう少しく税務局長もはっきりしたお考えを持っていただきたいと思います。先ほどもちょっと出ましたけれども昭和二十九年、三十年あたりには、町村合併に引き続いて、時の自治庁長官は、府県合同あるいは道州制にしなければならないということを強く叫ばれました。それが、いろいろな事情から流れてしまいましたけれども、今日それを叫ばなくても、現実行政境界等統一しなくても、今日はすでに広域経済性というものを各地方が持ちつつある時代であります。また、それを持たしていかなくてはならない時代です。そこに所得格差是正だとか、地域格差是正だとかいうようなことを、私たち政策として推進しておるわけです。ところが、今のようなお話を承っておりますと、私は一つ自治省に小言を言っておきたいと思うのですが、どうも自治省は、各省から何かいじめられて防御の立場に立って、少しも攻撃をするという立場にない。昨日も建設大臣が、河川法の改正の問題について一言言われると、自治省の方は守る立場に立っておる。あるいは新産業都市それ自体につきましても、あの法律の中を調べてみますると、はたして自治省が、そうした都市に対して完全なる主導性を握って、今後それらの町村をどういうふうに導いていくかということが、少しも書かれていない。合併した方がよろしいとか、合併した方が妥当でしょうというふうな程度で、合併をした方が断固としていいんだとか、絶対的な自信がどこにも出ていない。あるいはトロント方式をとるとか、協議体方式をとるとか、そうした方が、広域経済都市ではますます住民負担軽減して、合理化されて、そうしてその福祉は向上いたしますよというふうな、前向きの姿勢がどこにも出ておらない。だから私はこうした面においても、もちろんこれは直接税務局長関係ではございますまいけれども、これからは、そうした広域経済性を持たすことにおいて住民の意欲を高めて、そこに経済が一つであるのならば、やはり行政区画も一つになった方が便利じゃないかというふうな形になっていった方が、日本はいいと思うのです。その方が、ほんとうの地方自治の姿を整えるんだと思うのです。すでにそのような態勢が、全国においても芽ばえております。北九州においては、大きな都市が誕生いたしました。あるいはその他百万都市をつくろうというふうなこともいわれております。また来年度になりますと、新産業都市が誕生いたしますでしょう。そうした場合を考えてみますと、その行政財政を、車の車輪のごとくにそれを運ばしめんが上においては、税の問題におきましても、もう少しはっきりした見解をお持ちになって、税制調査会がこういうたからどうのこうのというのじゃなくて、自治省自体がもっと前向きの税制改革を考えなければならぬ事態がきておるのじゃないかと私は考える。現に新産業都市一つをとりましても、私の県は八十六万しか県民がおりませんが、今予定しております新産業都市の地域には、住民が四十万おります。しからば、一つ都市が人口四十万で、あとの四十六万が五、六十カ町村に分れておる。それが同格の市町村でございます。というような地方自治というものは、今後円満に運営されるかどうか。あるいはその間におきまして、当然税金等において、あの町村本文方式だろうか、ただし書き方式だろうかというような問題も出て参ります。あるいは固定資産税の問題に関しましても、そういうような問題が出て参ります。そうしたことを考えた場合に、やはり五年先、十年先のことを考えて、今からこうするのだというくらいの、前向きの姿勢を私はとっていただきたいと思うのであります。従いまして、住民税のことに関しましては、なるほど住民税は、税制の建前上最も弾力性を持たしておかなくちゃならない問題であるから、そう厳しい制限をつけるとか、つけぬとかいうようなことも慎重に考えております。というふうな御答弁は、一応御答弁としてはそれ以上言えないかもしれませんけれども、もう少しはっきりしたお考えを、私は税制の上においても持っていただきたい、かように考えておる次第であります。  そこで、事業税のことに関してちょっとお尋ねいたしておきたいと思いますが、これも府県税の中で、最もウエートの高い税金であります。ところが従来から、事業税というのはまことに不合理だ、中小企業をいじめるものだと、いろいろ論議もございましょうけれども、しかしその論議が、どちらが正しいかどうか、これは一概に片づけるわけには参りません。しかし、今後とも事業税に関しまして、その軽減合理化をはかっていかなくちゃならないことは論を持ちません。しかし、この合理化という点から今日の事態をながめてみますと、現に農村の工業化等々によりまして、大会社あるいは大工場等が、相当いなかに進出して参りました。ところがそれが法人であるがために、いわゆる決算において赤字を出しますと、事業税というものは一文も払わなくても済んでおるというふうなあんばいであります。従業員を相当抱え、また相当派手な事業活動をやっており、はた目から見ましても、あのような会社が税金を払わなくておかしいじゃないかというような会社が、税金を納めておらないところがたくさんございます。にもかかわらず、小さな商店街におきましては、おばあさん一人があめを売っておりましても、事業税はかかっております。こういうことを考えてみますと、やはりここに合理化という問題を真剣に論ぜざるを得ません。従いまして、こうした事態がなぜ起こるかということを考えてみますと、言うならば、今日の事業税というものが、所得税というものに乗っかって生まれてきているというところに、最も重大な原因があるのじゃないかと私は考える次第であります。従いまして、こういう方式は当然、今後農村の工業化、あるいはまた地域格差是正、今日のあらゆるそうした法律の上からながめてみましても、非常に問題になるところではないか、私はこう考えますが、今日のままのあの税金の徴収、計算でいいのかどうか。むしろそれは、売上高に応じてかけてみようということを検討されたのかどうか。もちろん売上高と申しましても、その中のマージンの密度によって多分に変わって参りましょうが、あるいは付加価値的なかけ方はどうだろう、言うならば、外形標準というものを標準として一つ事業税を改めよう、そういうふうなお気持はないのか、今日のあの姿が一番合理的なんだと思われるのか、その点を一つお伺いいたしておきたいと思います。
  12. 柴田護

    柴田政府委員 広域行政税制関係についてお話がございました。私どもも今日の行政の進展に関連をして、現行地方税制そのものが、曲り角にきておるとおっしゃることにつきましては異論はございません。もとより地方税制を将来どう持っていくかということにつきまして、この辺で根本的に考え方を変更せざるを得ないだろう、またすべきであると考えておる次第であります。ただ先ほど来、住民税お話に関連して、そういう問題もあればこそ、標準税率制限税率論というものは、簡単に割り切れぬということをお話をしたわけであります。  なお、事業税につきましてお話がございましたが、事業税につきましては、私どもとしましては、実は前から今日の所得一本の課税標準のとり方が不必要な混乱を起こさしめておるのであって、できればその性格からいって外形標準的なものを加味すべきじゃないかという見解をずっととって参っております。現に、法案の日の目は見ませんでしたが、私が係長をしておりましたころに、そういう案を立案したこともございます。ただこの問題は、企業課税というものの一環として、広く国税地方税を通ずる税制の中で議論をすべしということに政府部内ではなっておりまして、税制調査会検討をいたしておりますので、政府としての措置をきめますのはこの答申が出てからだと思いますけれども、私どもといたしましては御意見に全く同感でございます。
  13. 永田亮一

  14. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 あるいは宇野議員と重複の点があるかもしれませんが、私がお伺いしたいのは、第一点としましては地方税に対しましての基本的な問題から少し入っていきたいと思います。  新しい憲法ができまして、主権在民の原則が打ち立てられたわけですが、その中で、いわゆる地方自治体の強化、これによりまして、地方自治体のもとでそれぞれ秩序ある自治体の運営がされておるわけですが、何といっても行政の裏づけにつきましては財政が最も大切でありますけれども、その財政力に対しまして、一体自主財源というものが地方団体においてどういうふうな比重を占めなければならないか、これは大きな問題でありますが、ここらの点を一つ局長の方からちょっと御説明願いたい、こう思います。
  15. 柴田護

    柴田政府委員 地方財政計画上では税収入の総歳入中に占める割合は四〇%ということになっておりますが、これは団体によりましていろいろ違います。府県では大体税収入が二〇%以上を占めるものは数えるほどしかございません。ほとんどの府県は二〇%以下でございます。市に参りましても、五大市は別といたしましても、まあ府県よりは多少ましでございますけれども、まだ税収の占める地位は低うございます。従って、これを増強していくということになるわけでございますが、増強していくにつきましても、今日の国民租税負担現状から考えていきますならば、どうしても国と地方との間で税源のやりとりをするということ以外にないだろう、そして国の税源というものを地方に移していくという方向をとっていかざるを得ない。そのためには当然事務の再配分というような問題もからまってくるわけでございますが、そういう問題も検討しながら、国の税源を逐次地方に移していくという方向をとっていかざるを得ないのだろうと思います。しかしながらそういう方法をとりましてもどうしても税源のふえないところもあるわけでございます。そもそも税源のないところに税源の与えようがございませんので、こういうところにつきましては、やはり地域開発と申しますか、積極的に開発して税源を養なっていくという方法をとらざるを得ない。この二本立で地方自治の基盤を増強していくという方向を進めていくべきではないか。結論的に申し上げますと、国と地方との間の税源の再配分という手段、同時に後進地域の開発を通ずる税源の涵養、この二つを並行して自治の基盤であります税源を養っていく、こういう方法以外にはないのじゃなかろうかと考えております。
  16. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 今局長が言われておるのは、地方団体税源を与えるといっても、やはり地方住民に対しましての財政力をつけてやるということが最も大切だということでありますが、私のお伺いしたいのは、要するにこの地方財政計画の中で地方税の比重というものがいかに大切であるかというところを聞きたかったわけです。ここらの点はどうですか。
  17. 柴田護

    柴田政府委員 先ほど申し上げましたように、比重といたしましては四割でございますけれども、この比重は理想とは考えておりません。低いと考えております。
  18. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 確かに低いということは局長も今言われましたが、この三十八年度地方財政計画の説明の中で歳入構成費を一つ見ていきたい、こう思います。地方税が四〇%、地方交付税が二一%、国庫支出金が二八%、雑収入が四%でありまして、三十七年度に比べまして地方税及び雑収入がおのおの一%減っておるわけです、いわゆる税源というものが減っておるが、地方交付税及び国庫支出金があべこべに一%ずつふえているわけです。これを見ても国への依存度というものが何か非常に多くなってきたと思う。先ほど私が申し上げましたいわゆる地方自治の強化という点から今度の財政計画を見ると、どうも私らは納得ができないわけですが、こういうふうな問題につきまして、一体局長としてどんなふうな考えを持っておりますか。
  19. 柴田護

    柴田政府委員 比率が下がっておりますのは御指摘通りであります。これは税の立場から申し上げますと、経済の見通しがあまりよくないということから、税の自然増収が従来に比べて伸び悩んでおるということ、一方国の方は前年度の剰余金が相当ある、この剰余金を使って公共投資をやっておる、そういう関係で国庫支出金がふえているわけであります。この財源は税の伸びそのものからいいますと国もやはり伸び悩んでおるので、地方税だけではございませんが、剰余金を使って国庫支出金を出しておる、こういうことだろうと思います。交付税につきましては、伸長度から言いますと、これは国税の中では一番伸長度の強い税金でもございますので、一般の税金の伸び悩んでいる中でもなお三税が伸びているので、勢い交付税も伸びている。交付税が伸びるよりも地方税そのものが伸びることが望ましいことは申し上げるまでもございませんが、経済の全体の状況からこういう姿にならざるを得なかった、これはやむを得ないことだと考えております。
  20. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 重ねて私が申し上げるのは、今の地方自治の強化という点に対しては、どうしても独立税源というものを付与しなければ、これはどうしても国の方へ陳情するとかいうことになって、私どもも非常に困るわけなんです。交付税をふやしてくれとか、特交をどうするこうするというような問題、ここらの点は憲法の原則にのっとってどうしても自主税源というものを付与してやらなければならない、こういうように私は考えるわけです、そこで、三十八年度地方税の収入見込みは一兆五百八十二億、前年度に比しまして一三・七%、こういうふうな増になっておるわけです。ところが三十七年度基準にしましたときに、三十六年度からの伸びというものは二二・二%あった。今度は非常に落ちているわけです。こういうふうに鈍化しているその原因というものは一体どんなところから来ておりますか。
  21. 柴田護

    柴田政府委員 主として法人関係の租税でございます。法人関係の租税が非常に伸び悩んでおります。三十八年度の経済見通し等から見ましても、御承知のように前半はむしろ若干下がるのではないか。下半期には景気は持ち直すという見通しはありますけれども、その関係から法人税関係の租税の伸びが期待できない、その関係で増加比率が下がっておるわけでございます。
  22. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 景気の動向によって非常に左右されている、こういうふうな結論になるわけでありますが、この財政計画の中で第十表の地方税収入見込み額、この中でいわゆる道府県税の収入の半分を大体におきまして事業税が占めておるわけです。しかもその事業税の伸び率というものが、この中で一〇・六%という数字が出ておるわけですが、三十七年度に比べますと、二百三十八億五千五百万――三十七年度の伸び率は一八・七%あったわけです。特にこれは法人事業税において非常に著しいわけでありますが、この中で法人事業税の増収が百九十八億四千万円、伸び率が九・四%、これを前年度に比較をしてみますと、三百六十三億の増が計上されておるわけであります。こういうふうな面を見たときに、法人事業税が非常に変わってきているというようなところの問題ですけれども、この変わっておる点の原因はどこから来ておりますか。
  23. 降矢敬義

    ○降矢説明員 お答え申し上げます。  法人事業税は、先ほど御質問がございましたように、国の法人税と同じ課税所得をとっておるわけでございます。税収見込みといたしましては、三十八年度の経済見通しにつきまして局長が申し述べましたような、上半期は伸び悩みで下半期は少し上向くであろう、こういう見通しになっておりますので、法人税の課税所得の計算それ自体が、先ほど先生の御指摘のありましたように、三十七年から三十八年に対して一〇九%程度でございます。従いまして、課税標準が同じでございますので、そういう経済の全般の見通しからして法人事業税についても同じような見通しといたしまして三十七年当初から三十八年当初に対しては一〇九、こういう数字になっておるわけでございます。
  24. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 法人事業税の伸びというものは、不景気になってくるとずっと縮んでくるというような線が呪われておるわけです。ことしについて考えてみますと、特に私ども心配するのは、選挙がある。そういうときには、いわゆる政治的な予算ということから、各地方団体において、議会の方からの相当の要望があるために、いろいろの単独事業などが相当見込まれてくると思うのです。そういう中で、今年度は景気が悪ければ、事業税というものがずっと縮んでくる。一方では選挙があるために、財政規模は相当大きくしなければならぬ。ここに私は悩みが出てくるのではないかと思いますが、こういう点については局長としてどのようにお考えですか。
  25. 柴田護

    柴田政府委員 御質問の趣旨は、おそらく、伸長度の激しい税金だけにたよることは、税制としてどんなものであろうかというお尋ねかと存じます。私どもは、おっしゃるように伸長度一本だけの税制というものにつきましては、やはり私どもも多少疑問は持っておるわけでございまして、従って安定性のある税金と組み合わせて税制というものをつくるべきだと考えておりますけれども、今日の状態では、やはり地方税制の中心というものは、安定度というものを中心に考えるのではなくして、むしろ伸長度というものを中心に置くべきではなかろうか。つまりこんなに世の中が変転して参ります場合におきましては、地方団体事業というものは幾らでもある。幾らでもある仕事に対して応じていくためには、伸長度を持つ税収入をもって税制考えていくことが望ましい。ただ伸長度の激しいものに対しましては、年度間に激変をいたしますものにつきましては、財政そのものの運営として別に調整制度が設けられておりますし、現にそれぞれの地方団体で、税収入がうんとあります場合に、財政の変動に対する年度間調整として積立金を持っておるような団体もあるわけであります。従って、そういう制度の運用によって、その間の変動には対処すべきである。税制の基本として、地方団体といえどもこういう時代におきましては、安定性よりかむしろ伸長度というものに中心を置くべきではないか、かように考えております。
  26. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 市町村民税につきましてちょっとお伺いします。これは市町村を異にしておることによって、甲の地区においては税が軽く、乙の町村においては税が重いというようなことをたまたま聞くわけでありますけれども、この問題は委員会におきましてもたまたま指摘されておるわけであります。いまだにそれが解決できずに今日に至っておるわけです。こういうふうな点に対する局長の見解を伺いたい。
  27. 柴田護

    柴田政府委員 だんだん世の中が発展して参りまして、地方団体間の地理的、時間的な距離が縮まって参りますと、どうしても地方団体の提供するサービスについて、逐次水準の近寄りという現象が起こります。同時にまた負担の極端な格差というものを是正せよという要求が起こる。これは自然の姿ではないかと考えております。従って住民税につきまして、今日のような町村間におきますところの負担の格差が決して望ましい状態とは考えておりません。これは直すべきだと考えておるのでありまして、先ほど来御答弁申し上げておる通りでありますが、ただ直すについてはそうせっかちに結論を出すにはあまりに大きな問題であるから、扱いについては慎重を期したい、こういうことを申し上げておるわけであります。
  28. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 こういうふうな点もあるんじゃないかと思いますが、要するに課税方式において、本文方式ただし書き方式と、こういうところの採用点が大きな比重を占めております。これは税制調査会においてももちろん検討はしておりますけれども、これを統一をしてやる方法というような問題も一点は考えられるわけです。こういうようなときにおける弊害というものがどんな工合になっているのか、現在ただし書き方式を大体において採用しておる町村が非常に多いわけですが、要するに準拠税率以上にさらにかけてやっておるというところもある。やはりこんなところから問題を解決しないと、甲の町村と乙の町村というものの、いろいろの住民からの批判を聞いてくると、――ここらの点はとうです。
  29. 柴田護

    柴田政府委員 私どももこの課税方式、現在の二つ課税方式を一本にせよという御意見には異論はございません。その方向に進んでいくべきものだと考えております。ただ御指摘のように、現在町村の半分くらいが準拠税率をこえて課税しておるのでございますし、また八〇%以上の団体本文によらずただし書きをとっておる。そこでその状態を、かりに一本化の方向をたどるにいたしましても、その実態を明らかにしていかなければならぬ。財源措置のあり方がまずいのか、あるいはそうでない、全く市町村独自の財政需要があってやっておるのか、その辺のところを詳細に調べてみませんと、一本化の方向の問題も見出せませんし、またどういう方向で解消していくかという問題も単には結論は出ない。そこで私どもは早くその実態を明らかにした上で方向を見出したい、かように考えておるわけであります。準拠税率の超過課税をいたしますこと自身につきまして、私どもは異論を、それはけしからぬというような考えを持っておるわけではございませんが、それでは財政需要があり、住民が賛同するものでございますれば、超過課税をしてもそれは自治の建前から考えれば許されることだと思うのでございますけれども、ただ超過課税をしなければ財政が持たぬということでありますれば、その中身を明らかにして、財源措置が足りなければ財源措置を増すべきものだと考えておるわけでございます。従って方向としては、本文方式に移行できるものは移行することを積極的に指導いたして参りますし、準拠税率の超過課税をとらざるを得ないものについては、この実態を明らかにして、財源措置が不足しておりますれば財源措置を講じて準拠税率に近づけていく、そして、かたがたその実態を明らかにしながら両課税方式統一化の方向を見出していきたい、かような方向考えていきたいと思っておる次第でございます。
  30. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 各町村財政が十分であれば、何も好んでただし書き方式をかける必要はないと思います。それより以上に、またさらにこえてやってくる、そこに問題点が非常にある。町村財政の苦しいというところ、これを究明することが非常に私は大切だと思います。そこらの点がまだ、今の局長の点もそれに触れておりましたけれども、しかし何かうまい方法があるか、ここらの点はどうですか。
  31. 柴田護

    柴田政府委員 これは全体がそうだというわけでございませんが、私個人の感覚と申しますか体験からいたしますれば、この超過課税を行なって財政運営をいたしております中身というものはきわめて複雑だと思います。その中には行政秩序の乱れているもののしわが寄っているところもございますし、財政秩序の乱れておりますしわが寄っているものもございますし、真に町村が自発的に、ごく臨時的な経費をまかなう財源として、準拠税率の超過課税によっているものもございましょう。いろいろあるわけでございますので、それを振り分けて、行政秩序でもってただすべきものは、行政秩序をただすことによって措置をするし、財政秩序の是正によって措置できるものはそれによって措置するし、財源措置によって措置すべきものは財源措置によって措置する、こういう方向をやっぱりとっていかなければ、ただ漫然と超過課税のものはすべて財源措置の不足だといってきめつけるには、現実はもっと複雑であります。そこをよく調べてみたい。御意見通りよく調べた上で的確な措置をとりたい、こう考えているわけでございます。
  32. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 この本文方式といわゆるただし書き方式というところに問題点があるのですけれども、これを合理性を持ってやるという、これが私は非常に大切だと思うのです。この点は一ついろいろ今後の問題点として大いにやっていただきたい、こういうふうに考えるわけです。  それから、いよいよ今年度から貿易の自由化という問題が国内を広くあおってくるわけでありますけれども、こういうふうな中に立って、各地方にありますところのそれぞれの中小企業、あるいはそのほかの事業関係におきましても、そのしわ寄せというものは相当出てくると思うのです。一方においてはこの貿易自由化に対しまして、いろいろ課税に対しましても減免措置を一体どうするかというようなことが、重要産業においても取りざたされております。たとえば、聞くところによりますと、新聞にもちょっとありましたが、いわゆる電気ガス税、これにつきまして特定の産業、これはどうしても競争に打ち勝つためには何とか減税措置をしてやらなくちゃならぬ、こういうふうな問題があったように聞きます。また政府としましてもこの問題につきましてはいろいろ自治省、通産省というような間柄において検討されたということも聞いておりまするが、こういう貿易自由化の中に立って、地方団体においてのいわゆる税源というものが、だんだん侵食されるというような傾向も考えてやらなくちゃならぬ。ここらの点について今まで考えておったことがあったらお知らせ願いたい、こう思います。
  33. 柴田護

    柴田政府委員 御指摘の問題はまことに大きな、そしてむずかしい問題だと考えておりますが、われわれといたしましてもそれに対して明確な方針を持たなければならぬということも、重重承知しておるわけでございます。私ども一般的には、経済政策というものについて税制が協力していきます場合には、政策問題というものと税の本質であります負担の公平というものを、どう調和するかという、むずかしい問題に突き当たるわけでありますが、まあ経済一般に対して、一体地方税がどういう形でどのような協力をすべきかという限界、原則と申しますか、こういうものが現在ない。一般的に言いますならば、むしろやはりその持ちます効果から言いまして、国税というものがそういう場合の立役者になるべきだ。地方税といたしましては、その措置地方団体の利害を越えて、ほんとうに国家的見地から、万般の手段を尽くしてなおかつ地方税制に協力を求めるべしという場合には、地方税といたしましては欣然と協力していく、こういう態度をとるべきじゃなかろうか。一般的にはそう考えておるわけでございます。具体的に、じゃどうすればいいかということは、税目と企業の実態に応じて判断をしていかなければならぬ思います。問題が問題で、非常に大きゅうございますが、現に政府の税制調査会では、この問題を第一の問題として審議をしておるのでございます。私どもも明確な結論を出していただきたいとこいねがっておるわけでございます。一般論としては、私どもはただいま申し上げましたような形で考えておる次第でございます。
  34. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 今電気ガス税の一%引き下げに対しまして、見返りとしてたばこ消費税を上げてやるという考え方、来年もそんな方法でやったらいいじゃないか、再来年もというような声も聞いておるわけです。だんだん引き下げていって、電気ガス税というものは、俗にいえば、米とか水とかいうようなところまでも考えられるような態勢にわれわれは考えられるわけですけれども、そういう中に立ちまして、いわゆるかわり財源というものを今度与えて、それでプラス・マイナス・ゼロにしていこうというふうな考え方でありますけれども電気ガス税を下げても、地方団体によっては非常に差ができてくる地方団体があると思います。たとえば大都市とそうでない地域で、たばこ消費税の方はそういうふうな関係が平均してマッチされるかどうかという問題が考えられるわけでありますけれども、そういう考え方自治省として事実将来考えておるわけですか。だんだん引き下げていって、しまいにはなくしてやろう、こういうふうな考え方ですね。  同時に、いま一つ聞きたいのは、一番重要な産業について電力を多く使っておる、これはある一定度の基準があるわけでありますけれども、そういうふうなところにつきましては、いわゆる減免措置が講じられておるわけです。こういう一般家健と重要産業部門につきましての電気料の課税に対する減免問題、こういうふうな差を考えたときに、将来の電気ガス税としての考え方を一体どんな工合にしたらいいのか。あったら、それを聞かせていただきたいと思います。
  35. 柴田護

    柴田政府委員 電気ガス税課税いたしております根拠は、御承知のように生活必需品課税をするという考え方ではなくして、むしろ電気ガスの消費というものに担税力を見出して、所得税の補完税的な役割で課税していく、これが今日までの電気ガス税課税の仕方でありますが、しかしながらおっしゃるように、非常に低額所得者に対しましては、御意見のような節もないことはない。そこで去年でしたか、おととしでしたか、免税点制度を設けて、低額の者につきましては非課税措置をとったのであります。この免税点制度がいいか悪いか、つまり三百円という免税点が高いか低いかという問題があるわけであります。この合理化の問題はもちろん考えていかなければならぬ。ただ地方財政立場から考えますと、電気ガス税そのものについては、そういった免税点の問題あるいは税率の問題につきまして検討を重ねていかなければならぬ。税そのものとしましては、事務的に考えましたときには、世間でいわれるほどそう悪税の悪税たるものとは思えないのであります。ただそういったむずかしい問題もございますし、また産業電力に対する課税の問題もいろいろな意味合いで多々問題になる点がございますので、電気ガス税という問題につきましては、今日もう一ぺん根本的にこれを検討しなければいかぬだろう、そうして今お話になった方向をとるのか、あるいはそうでない方向をとるのか、地方財政状況ともにらみ合わせて基本方針を立てなければいかぬ。現在何か考えがあるかというお話でありますが、ただいまのところでは従来とって参りました考え方ではもはやいかぬのじゃないか、新たな考え方に立って考えれさなければいかぬのじゃないか、こういうような現状でありまして、特にわれわれとしてはこうするという結論は持っておりません。
  36. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 特に最近プロパンガスというのが家庭に非常に普及されてきた。また各地方団体も、今までガスの入っておらないところは、いわゆるLPG、液化性ガスが企業化されてきているわけです。最近においては何とかいうガス、これを自動車につけて、そうして燃料に使う、そういうところまで文化の水準というものがずっと上がってきた。そうなると今までのガス考え方というものも、やはりここらの点からも考え直していかなければならないという時期にきている。将来考えるということでまだその結論を見出せないという局長の考え方だけれども、今プロパンガスという問題が取り上げられている。これを一体どういうふうに処置したらいいだろうか、必ず問題が出てくると思います。業者間においてもおそらくその問題は出てくると思います。こういう点を考えたとき、これからどうするということではなくて、今度はこういうふうにするのだということがあるかどうか、その点を……。
  37. 柴田護

    柴田政府委員 御指摘のように、プロパンガスに対してどういう取り扱いをするかという問題については、実は昨年からもわれわれ内部では問題になっておりました。今度の改正にあたりましてもその問題は検討いたしました。しかしこれにはただ保税技術上の問題もございますし、また低所得者対策という観点から、どの辺に線を引くかという問題もございます。先ほど電気ガス税を根本的に再検討しなければならぬ段階だということを申し上げましたのは、おっしゃったような、そういう問題も含めてでございます。しかしこの問題は、のんびりと基本的に考え直すという意味合いではございません。早急に根本的な考え方検討して結論を出したい、かように考えております。
  38. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 昭和三十九年から改正評価基準によって固定資産税課税が行われるわけでありますけれども、現在その作業はどんな工合にやっておりましょうか。
  39. 柴田護

    柴田政府委員 固定資産税の評価基準の改定作業は、現在固定資産評価制度審議会の答申に基づいて、試案をつくりまして、これを地方団体に示して意見を聞いております。かたがた基準地の調査を始めております。
  40. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 それでは狩猟法の改正でちょっとお伺いしたいと思いますが、今までの狩猟法を今度改正したその目的というものを、簡単でいいからお話願いたいと思います。
  41. 手束羔一

    手束説明員 現行の狩猟法は大正七年に制定になりまして、その後数次の貝瀬を経ておりますが、大体骨格はそのまま踏襲されておったわけでございます。その間わが国におきます鳥獣事情、狩猟事情は相当な変化をいたしてきておるわけでございます。以前は、事前に生息する鳥獣の数は、相当多数に上っておりました。特に希望する者に免許を与えて、これを自由にとらすというような思想でもって、これを一貫して参ったわけでございますが、特に我後国土の開発その他の事情、またハンターの激増等の事情もございまして、非常に鳥獣の数が減って参ったわけでございます。ただその定量的把握につきましては、遺憾ながら十分な調査がまだ行なわれておらないわけでございますが、国際的に活動いたしております専門家の言等によりますれば、欧米におきます鳥獣保護の行き届いた国に比べまして、わが国の鳥獣の密度は、約十分の一程度にしか達しないというふうなことを言われておるわけでございます。またわが国におきまして、相当長くから狩猟その他鳥獣に関する調査等に従事しておりました専門家の言によりましても、昭和初期と現在と比べまして、非常に減っておるということも一致した意見でございます。そのものずばりの資料ではございませんが、林野庁におきまして、昭和初期から現在までの狩猟者一人当たりの捕獲数を平均的に調べてみますと、約半減をいたしておるわけであります。その後におきます交通の発達、猟具の発進、猟犬の普及等の事情を勘案いたしますれば、一人当たり非常に減っておるということが、その鳥獣の減り方以上に減っておるというデータ等もあろうかと思います。また昭和初期と現在と、狩猟の時期におきます狩猟家の出合い数を、いろいろアンケート等によりまして調査したところによりますと、約三分の一程度に減っておるというようなことでございます。そこで、国土の開発は、今後の経済発展に伴いましてなことにやむを行ない事情である。また健全なるスポーツとして狩猟がだんだん発達して参るということも、これまたけっこうなことであるといたしますならば、これは何といたしましても、公共施策によりまして鳥獣を増殖して参ることをいたさねば、これは国民生活の環境の美化あるいは農林水産業の保護等の観点からいたしましても、まことにゆゆしき事態になるというような観点から、今回、旧来の狩猟法に、鳥獣保証という性格を強く加味したところの改正を行ないたいということになった次第でございます。  従いまして、その内容といたしましては、今まで必ずしも明確でございませんでした鳥獣保護事業計画というようなものを、都道府県知事につくってもらいまして、それを実行する義務を負うてもらう、あるいは鳥獣保護区、休猟区等に関します制度の改正を行なう、あるいは末端におきまして、広い山野で行なう狩猟の取り締まりその他の指導が、必ずしも行き届いておらないというようなことからいたしまして、新たに鳥獣保護員というものを全国に約三千五百名程度設置をいたしまして、警察官あるいは県の事務職員等の手足となり耳目となってこの適正化に協力をさせる、かような改正を行なおうといたしておる次第でございます。県の鳥獣保護事業計画の中には、ただ自然繁殖をはかるのみでなく、これを人工的に増殖して参るというような事業についても、相当財政措置をして参るというような計画を組んで参るように指導いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  42. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 課長が今説明をされましたが、確かに今までの狩猟法はとりっぱなし、今度の法律は鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律、こういうふうに法律の名称まで変わってきたわけでありますが、その中で、第一条ノ二として、「都道府県知事ハ鳥獣ノ保護蕃殖ヲ目的トスル事業(之ニ係ル狩猟ニ関スル収締ヲ含ム以下鳥獣保護事業ト称ス)ヲ実施スル為農林大臣が中央鳥獣審議会ノ意見ヲ聞キ定ムル基準ニ従ヒ鳥獣保穫事業計画ヲ樹ツルモノトス」として「鳥獣保穫事業計画ニ於テハ左ニ掲グル事項ヲ定ムルモノトス」ということで「一 計画ノ期間 二 鳥獣保護区ノ設定及特別保護地区ノ指定並ニ休猟区ノ設定並ニ此等ノ整備ニ関スル事項 三 鳥獣ノ人工増殖及放鳥獣ニ関スル事項 四 有害鳥獣の駆除ニ関スル事項 五 鳥獣ノ棲息状況調査ニ関スル事項 六 鳥獣保護事業ニ関スル啓蒙ニ関スル事項 七 鳥獣保護事業ノ実施ノ体制ノ整備其ノ他鳥獣保護事業ノ実施ノ為必要ナル事項」、こういうふうなことを定めなければならないけれども、一体これを定めて、今度あとの実施の段階に入るわけだけれども、この実施の段階に入るのに、県がどんなような方向で実施をやらせる考えですか。
  43. 手束羔一

    手束説明員 知事はこの第一条ノ二によりまして、ただいま御指摘の鳥獣保護事業計画を立てる義務を持つわけでございますが、これにつきましては、次の第二条ノ三によりまして、国はこれに所要の勧告、指導、援助等を行なう、知事はこの事業計画の達成をはかるため所要の措置を講ずる、かようこ規定されておるわけでございます。いずれにいたしましても、これを実行いたしますにつきましては、相当な財源を要することは論を待たないところでございます。今回地方税法改正案として自治省の方から御提案になっておられます中で、狩猟者を狩猟免許税に改め、目的税たる入猟税を創設をするということがございます。この目的税となりました入猟税の方が主としてこの鳥獣保護事業計画の実施のための財源になる、かように考えておる次第でございます。
  44. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 これは、その計画を立てて実施するときに、委託ということがありますね。たとえば、こういうふうな計画を立て実際に実施するというようなものは、たとえば猟友会とかなんとかいうような団体がありますけれども、そういうふうなものに委託をして、そして実施をさしていくという、こんなようないき方はどうなんですか。ここらの点は……。
  45. 手束羔一

    手束説明員 鳥獣所護事業計画の基幹となります事業は、あくまでも県営で、直営で実施すべきものと考えておりますが、中でたとえば鳥獣の人工増殖、放鳥獣等、特に技術を要するというようなものもございますので、適切なものにつきましては、ある程度委託措置をとるということも適当であろうかと考えております。
  46. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 そこで今度は局長に一つお尋ねしたいのですが、関連がありますけれども、この現行法では、昭和三十六年度においては都道府県税の狩猟者税が五億三千九百万円、手数料が七千四百万円、計六億一千三百万円の収入があったわけであります。支出面では鳥獣保護費が千七百万、狩猟費が三千五百万、有害鳥獣駆除費が一千九百万、職員費が四千三百万、計一億一千四百万、鳥獣関係財源といたしましては六億以上あったわけですね。その六億の中でいわゆる狩猟行政、こういう保護のために使われたものが約一億円、あとは一般財源として都道府県に入っておったわけでありますけれども、こういうふうな問題につきましてはもちろん農林省と自治省関係がいろいろ分かれておったろうと思うのです。今度の改正によると、狩猟者税を廃して、狩猟免許税と目的税であるところの入猟税を創設をしたわけでありますが、両方が都道府県知事の免許を受けてやる。現行の狩猟者税が三千六百円ですが、改正案は狩猟免許税が千五百円、入猟税が千円、計二千五百円、今度は千百円安くなっております。今まで千八百円の狩猟者税、これが狩猟免許税が七百円になり、入猟税が千円になって千七百円、これは今度は百円安くなった。丙種、これは空気銃でありますけれども、これが九百円が八百円となったように改正をされておりますけれども、この狩猟免許税、入猟税の収入を大体どのくらい見ておるか。今までは大体六億という線が出ておりますけれども、ここらの見積りをお聞かせ願いたいと思います。
  47. 柴田護

    柴田政府委員 現行制度によります、つまり改正を行ないません場合に、三十八年度のベースで計算いたしますと、狩猟者税は六億一千八百万円、それから改正をやりました場合には狩猟免許税が三億八千万円、入猟税が三億一千七百万円、合計六億九千七百万円でございます。
  48. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 私が聞きたいのは、この前と今度改正をしたときの増減が聞きたいのです。増収になるかあるいは減収になってしまうか。
  49. 柴田護

    柴田政府委員 単純に、狩猟者税と改正によります狩猟免許税、入猟税との比較だけで申し上げますと、約八千万円くらいの増収になります。ただ先ほど狩猟者税を狩猟財源一つとしてお考えになっておるようなお話がございましたが、従来狩猟者税は一般財源でございますので、それをすぐ狩猟の財源考えることにはいささか問題があろうかと思います。従いまして、改正によりまして入猟税の三億一千七百万円は狩猟行政財源として確保された、こういうことが言えるかと思います。
  50. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 そこの点を明らかにしておきたいと思うのですが、今までは確かに六億から入ったものが、一億余しか使わないで一般財源に入った。今度は増殖計画を立てまして、一応入猟税というようなものを目的税として一つ創設をして、それが大体三億幾らになるわけでありますが、これがやはり一般会計へもちろん入るわけでありますけれども、せっかくこの法律ができて、その入猟税というものがまたどうも今までのように鳥獣保護の方に向かわずして使われてしまうものじゃないかというような心配がわれわれあるわけでありますけれども、そこらの点に対しまして、やはり何かきめ手でもありましょうか。これはどうしても使わなくちゃならない目的税というような一つのあれを持っておるのか、ここの点はどうです。
  51. 柴田護

    柴田政府委員 入猟税は目的税として創設するわけであります。従いまして入猟税の収入の使途というものは、狩猟行政にしか使えない、そのほかのものに使いますれば、違法支出になります。
  52. 久保田円次

    ○久保田(円)委員 それでは一般の行政費としては使わない、使わせない、こういうことですね。了解しました。
  53. 永田亮一

    永田委員長 午後二時半より再開することとし、それまで休憩いたします。    午後一時二十八分休憩      ――――◇―――――    午後二時四十八分開議
  54. 永田亮一

    永田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案を議題といたします。  前回において本案についての質疑は終了いたしております。  これより本案を討論に付する順序でありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  これより採決いたします。  昭和三十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  55. 永田亮一

    永田委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  56. 永田亮一

    永田委員長 この際、高田富與君、阪上安太郎君及び田中幾三郎君より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、本動議を議題とし、その趣旨の説明を求めます。阪上安太郎君。
  57. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私は、自由民主、社会、民社の三党を代表いたしまして、昭和三十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案に対する附帯決議案の趣旨説明を行ないたいと思います。  まず、決議の案文を朗読いたします。    昭和三十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案に対する附帯決議   地方交付税制度の運営の状況をみるに、ここ三年間、毎年度百億円程度を翌年度に繰越す措置を講じているが、現下の地方財政の動向と地方行政水準の現況にかんがみ、政府は、今後次の点について検討すべきである。  一、本制度が、地方交付税の交付の基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障することにかんがみ、基準財政需要額の算定にあたっては、進展する地方財政の実態に即した合理的かつ妥当な単位費用の積算等を行ない、交付税の全額をその年度内に交付できるようにして、地方財源の確保に万全を期すること。   右決議する。  以上が案文でございます。  御承知のように、昭和三十五年度以降、この三カ年間は国の補正予算の編成に伴いまして、地方交付税の増額分の相当大きな額を翌年度に毎年繰り越していくという事態が引き続いております。ほとんど慣行となっているかの感があるのであります。年度末で、その処分が時期的あるいは技術的に困難であるという事情もわからないわけではないのでありますが、本来地方団体の固有の財源としてその年度内に生じた交付税の全部は、当然その年度内に交付されるべきものを、国の意思で一方的に翌年度にこれを繰り越し使用するということは、地方財政の自主性を著しくそこなうばかりでなく、法の趣旨にも反するものと言わなければなりません。  今日の地方財政は、社会経済の急激な進展に即応して増高する財政需要に悩み、かつ住民からは行政水準の向上が強く要請されているのでありまして、この際、交付税の一部を繰り越すよりは、むしろ補正予算に伴う交付税の増に直ちに対処し、交付税の全額を年度内に交付できるよう、単位費用を合理的かつ妥当な額に改め、基準財政需要額の増額をはかることが至当であり、これが国の地方公共団体に対する責任と考えるのであります。  以上が本決議案を提出する理由であります。  何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。
  58. 永田亮一

    永田委員長 本動議について採決いたします。本動議の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は高田富與君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付するに決しました。  この際、篠田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。篠田自治大臣。
  60. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 御決議の趣旨を体しまして、慎重に検討いたしたいと存じます。
  61. 永田亮一

    永田委員長 次に、お諮りいたします。すなわち、ただいま議決いたしました法律案に僕する委員会報告書の行成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  63. 永田亮一

    永田委員長 次に、地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。金子岩三君。
  64. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 大臣にお尋ねいたしますが、前回の四十二国会におきまして、篠田自治大臣は、知事の選挙の三選以上はおもしろくないというような御発言をされまして、その後、いろいろ物議をかもし、総理からは、人物さえよければ四回でも五回でもいいじゃないかというような議論が出たりいたしたのでございます。公選による地方首長が、戦後新しい憲法によって制定されておるのでございますが、今日の地方自治体の選挙によるそのあとのしこりと申しますか、そういった点から、地方自治体が、今後憲法に基づいて自治の確立を果たすためには、絶対地方住民の公選でなければならないといったようなことも、議論は当然成り立つと存じますけれども、今のわが国の地方自治体の住民の現況から見まして、あながち私は公選必ずしも地方自治体の発展に寄与すること万全であるということは言えないのじゃないか。というのは、現況を大臣もよく御承知と思いますが、四年間、特に知事は程度の差こそあれ、選挙から切り離された県政の執行はやってないということを申し上げても私は過言じゃい、かように存ずるのでございます。従ってこういった全国的の一つの姿は、程度の差こそあれ、四十余都道府県に及ぼしておることは、どなたも御承知のことと存じますが、問題は、最近、わが党で必ず公認をして、いわゆる自治体の首長の選挙に臨むという態度が現われておるのでございます。この党の態度は私は反対でございまして、地方自治の確立をやるために、住民の正直な意思によってその首長をきめることが正しいのであって、いわゆる一党一派に偏した知事あるいは市町村長をここにつくり出すということは、今日のわが国の段階では私は百害あって一利がない、かように存じておるのでございます。  こういった関係からしまして、来たる四月に行なわれます地方統一選挙は、四神に一回しかない住民の生活に直結したいわゆる地方自治の構成を行なわんとする重大な選挙であるのでございます。そのときにあたりまして、この党の考え方については、大臣も、これは自民党の、いわゆる政党内閣の閣僚の一員でございますので、現在政権を担当する閣僚の、しかも政党の幹部である大臣は、一体私が申し上げておることに対してどういうような御所見をお持ちであるかということと、先ほど来申し上げました、この四月に行なわれます重大な地方住民の生活を左右する四年に一回の選挙でございますが、この選挙に臨みまして、もう当然知事と六大市長ですか、あるいは北九州を入れて七つの市長は、党の本部で公認をして、あくまで政党知事あるいは政党市長をつくらんとしておるようでありますが、その下の市町村長に至りましても、やはり政党市町村長をつくった方が、わが国の自治の確立をはかるためには万全な策であるというようにお考えになっていらっしゃるかどうかを、まずお尋ねしたいと思います。
  65. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 まず、一番最初におっしゃいました、知事の三選以上はおもしろくないということを私が言ったということは、違っております。それは、この委員会におきまして、社会党の阪上安太郎君から、知事で四選も五選もする者がある、これは何らかの弊害はないだろうか、あるいは行政に非常に水がたまるとかあるいはボウフラがわく、そういったことはないかという御質問がありました。それに対しまして私答えたのは、三選までは常識上わかる、これはいいじゃないか、しかし四選、五選ということになってくると、やはりあなたのおっしゃるような何らかの弊害というものがそこに起こるということは否定できないのじゃないか、しかし、その弊害はものさしをもってはることができない弊害である、弊害の面もあるだろうし、プラスの面もあるだろう、だから多少の弊害があっても、プラスの面が多い場合は、野球でも完投投手というものがあるのだから、完投させることもこれまた地方民の自由であろう。しかしボールばかり出して、ちっともストライクの出せないような者まで完投させる必要はないのだから、それは地方民の判断においてやるべきことであって、あえて自治大臣の私がかれこれやるべきではない、こういう返事をしたわけです。それが各自各様に、自分の都合のいいように解釈をしまして、そして、いや自治大臣は三選以上はいけないと言った、三選まではいいけれども四選、五選はいけないと言ったというようなことで、選挙運動に逆用された、そういうきらいがあるわけです。私が申し上げましたのは、今申した通りであります。  その次に、県知事であるとか市長であるというような人を党が公認をするということが、いいことか悪いことか、こういうような御質問でございます。いい悪いということは、直ちに判断はできません。しかし、現在は政党政治でございまして、自民党だけが公認しているわけではございません。社会党も公認し、時によって勝てると思えば、その他の政党も公認をするし、本人の希望によってまたそれがされるわけであります。ここに自治大臣といたしまして、私がそういう地方自治体の長に対して公認をするということがいいか悪いか、これは政治上も実際上も非常に大きな問題でありまして、各党において、また各識者において研究を積まれなければならない問題であろう、こう思います。しかし今政党政治である以上は、党が公認をする、本人が希望をして、また公認してもらいたい、そういう事実問題に対して、それが公認されているということまで私が自治大臣として批判をするということは行き過ぎである、こういうふうに考えております。  その次は、統一選挙にどういう態度で臨むか、もちろんこれは自治省といたしましては公明選挙運動を現在推進しております。選挙はあくまで公明でなければならぬ、そういう態度をもって臨んでおります。また選挙違反であるとか、事前運度うであるとか、悪質なものに対しては、私は国家公安委員長も兼ねておりますので、警察の立場におきましては、そういうものに対しては厳重なる取り締りもするし、また非常に悪質なものに対しては事前にこれに対して警察が処置する、あるいは検察庁に送る、あるいは検挙して調べる、そういうようなこともやるように、私は公明選挙をやるために、また民主主義を確立するために、厳重なる方針を示し、全国都道府県の本部長会議におきましても、その方針は再三繰り返して述べているところであります。  最後に、町村長まで公認することはどうかというお話でありますが、私はまだ寡聞にして、町村長を公認しているというところまでは聞いておりませんが、そういうところがあるかどうか、まだ存じません。
  66. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 大事なことですから、大臣が自治大臣の立場で御言明なさることをお差し控えになることはよく承知いたしますが、最後町村の問題でございますが、これはいわゆる北九州を含めた七つの市と都道府県以外の、市町村長の選挙に公認をもって臨むというような態度が濃厚である。その事例は、私の郷里に平戸市という町村合併による新しい市がございまして、有権者二万一千、人口四万三千の小さな、七つの町村が集まった市でございますが、先般二月の十日に施行されました選挙におきましては、自民党の県連が新しい候補を立てました。長崎県は県連が二つに分裂しておりまして、現職の市長を第一県連というのが推薦いたしまして、激しい泥試合が行なわれたのでございます。近く御承知の通り統一選挙が始まるのでございますが、党の方針が、政党の立場から、政党政治だからむろん党勢拡張もせなければなりませんから、いわゆる議会人を公認してやるということは、末端の町村まであるいはけっこうかもしれません。しかし私が申し上げておることは、六大市以下の、人口二、三十万のものから、二百数十のいわゆる町村合併によって生まれた新しい市、こういったものまで含めて、党の公認によるその自治体の首長を選ぶことがはたして妥当であるかどうかということを、自治大臣を離れて、政党の幹部として、大臣に御所見を御披露していただけば、大へん好都合と思うのでございます。
  67. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 金子さんも御承知の通り、ここは衆議院の地方行政委員会でございまして、私が出席していろいろの御質問に答えておるのも、自治大臣という公式な立場においてお答えをしているのであります。従いまして、党の方針をお聞きになりたいというなら、私以上の幹部がたくさんおるわけでありまして、総裁なり副総裁なり、幹事長なり総務会長なり、そういうところへ行ってお聞き願いたいと思います。
  68. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 先ほどからお尋ねしまして、大臣からお話がありましたが、来たる統一選挙には五大な決意をもってお臨みになるという。従って、去る二十五日に、現職の地位利用制限自治省地方選挙運動で通達、こういう記事が各新聞に出まして、その通達の内容はこれにちゃんとお示しになっておるようでございますが、この内容を検討いたしますと、主として各県の選挙管理委員会から市町村長の選挙に刻しての問い合わせがあったのでというような趣旨のもとに、この通牒を発しておるようでございますが、昨年五月新しく通過制定されました法律を適用するのは、これを見ますと、いかにも市町村長の選挙にだけ適用が受けられるかのような印象を受ける内容になっておるのでございますが、この点これはどういう意味の通達であるか、一つ御説明願います。
  69. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 実は地位利用の問題につきましては、金子さんも御承知の通り、新しい法律でありまして、前国会に成立した関係上、さきの参議院議員におきましても、一番大きく出てきたのは公務員の地位利用の違反でございました。ということは、やる本人も、やられる者も、あまり地位利用ということの内容がわからないということにも基因しておったようであります。そこで、その後に行なわれましたいろいろな地方選挙につきましても、ある知事さんは、知事何々とは言わないで、ただ自分の名前だけで応援した。知事という名前をつけることは、地位利用になるのではないかということを心配しまして、終始一貫応援演説には個人の名前で応援演説した。代議士の中にも私のところへ見えまして、どういうことが地位利用だと言われた。私はその場合も、ある同僚の代議士に対して、特定な知事なら知事、市長なら市長というものと利害関係を持つ特定な人間あるいは団体に対して選挙運動をするということは、地位利用であるけれども、不特定多数の者に向かって、何々県知事何のだれがしで街頭演説なり政策発表なりをするということは、これは決して、その中には共産党も社会党も自民党もおるという場合であれば、地位利用にはならないのだという話をしましたが、なかなか私のところへ見えました代議士も承知しません。それで議論を非常にしました。そういうことがありまして、代議士とか知事さんのような人でも、なかなか地位の利用という問題をこまかくわかっておらない、把握しておらない。そこで今度統一選挙が行なわれるにあたりまして、その末端の町市村長というような人に至ってはなおさらわからないのじゃないか。また選挙運動をやる側においても、どこまでが地位利用であるかわからない。この際いろいろの質問があることに答えまして、地位利用というのはこういう場合、こういう場合を言うのだということを示したのがこの通達でございます。従いまして、これは何も市町村長だけに限って通達したものではありません。
  70. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 それでは、ただいまの地位利用についてもう少し具体的に一つ例をあげてお尋ねしたいと思います。  先般行なわれました、先ほど申し上げました長崎県平戸市の市長選挙におきまして、告示五日前に長崎県企画室長の采川というのが課員七名を連れて平戸市に乗り込み、二日間にわたりまして漁業協同組合あるいは農協を回りまして、今の市長は現知事と仲が悪いから、平戸のために大へんな損がいくんだ。新しい青崎候補を支持して初めて今後平戸が発展するのだということを言って回っております。これは平戸の警察署の調査した問題でございます。その他佐世保市におきます長崎県度目出張所長福島君は、土建業者に連絡をとり、佐世保地区からはるばる平戸まで、この土木出張所長の指示に従って県の指名業者が平戸市に乗り込んで、大へんなおもしろからざる選挙運動が行なわれておる。これも警察署で調査を進めておるようでございます。その他長崎県の多いし監査事務局長が選挙前に平戸市内を回って、先ほどの采川企画室長のとった態度のような態度をとり続けておるのでございます。それからこの平戸市出身の県庁職員に休暇を与えて、出張の形で平戸に帰省をさせて、この出身市の市長選挙に動員をしておる。あるいは長崎県の道路工夫を選挙運動にかり立てている。こういったことは、すべて一応平戸署において十分調査を進めておりますが、今日まで裏づけ固めができないのか、努力はいたしておるそうでございますけれども、一件も検挙はされていないようでございます。その他いわゆる保健所のだれがし、こういった事例は枚挙にいとまがないほどこの選挙には行なわれておる。これは国家公務員、地方公務員のいわゆる選挙に関する規定、規制がいろいろございますが、このたびのこの公務員の地位利用による選挙運動等の規制、これにわれわれがわれわれなりに当てはめますと、これは最も証拠歴然としてこの規定に違反をしておるということを私は私なりに確認いたしておるのでございますが、警察関係では、この法律をどういうふうに御解釈なさって、どの程度裏づけがなくては検挙ができないのか、これは四、五日前から内容を申し上げておりますから、十分長崎とも御連絡をとって、御調査済みのことと思いますから、一つ御報告を願います。
  71. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 ただいま金子委員お話の長崎県平戸市の選挙の実情につきましては、よく御承知の通りであります。二月十日に投票は終わりましたけれども、各種の風評というものが行なわれておることもまた事実であります。そのために警察におきましては、風評について、一々風評そのままに信ずるわけにも参りませんので、その風評を入り口にいたしまして証拠を固め、これはせっかく目下捜査中でございます。捜査中でございますから、直ちに今こうこうなっておると申しますことは不適当なことだと思いますので、御了承を得たいと思います。
  72. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 それでは、平戸市の選挙のことはこの程度にしまして、大臣にお伺いいたしたいと思いますが、地方住民の意思によって、町村合併を受け入れる方と入る方とのいわゆる手続上一切の手続を終わって、そうして県にその申請をいたして、それが今日いろいろな事情のために、大へん現地で混乱を起こしているというような事例が長崎県にございます。この問題について行政局長は十分御承知のことと思いますから、自治省がこの問題について指事なされたその内容を一つお示し願いたいと思うのです。
  73. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 この内容につきまして、自治省が格別の指導はいたしたことはございません。ただ、官庁速報等で事件がもめていることを承知いたしましたので、どういう状況になっておるのかという報告を求めまして、その報告を聴取いたしたわけでございます。  なお、その際担当の者から法律上の解釈上の問題について、係の方に問い合わせがありましたので、法律の解釈の問題につきましては、係の者からお答えいたしたことはございます。県から参りました報告によりますと、昭和三十八年二月一日から東長崎町を長崎市に編入したい旨の長崎市と東長崎町からの申請が、昭和三十七年十二月十三日に知事あてに提出されております。知事はこれを処分するにあたりまして、なおこの合併について慎重な検討を行なう必要がある、こういう判断をされまして、その検討の余裕をほしいということで、十二月の県議会には提案をいたしておりません。なお、その後の本件の取り扱いにつきましては、申請に基づく処分を前提として検討中であるが、なお若干の問題点があるので、関係の市町との調整をはかって参りたい、大要、今申し上げましたような趣旨の報告が参っております。
  74. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 私は、政治的な立場から一つ大臣の御所見を承りたいのでございます。  手続上の問題もあると申しますと、これは事務的にいろいろ合法的に進められておることと私たちは承知いたしております。問題は長崎市に東長崎町が一つ編入してもらいたいという問題は、昭和三十五年の七月から始まっておるのでございます。昭和三十五年の七月十九日から、議会の全員協議会で初めて取り上げられておるのでございまして、これは今から日にちを繰りますと、この問題が出ましてから、足かけ五、六、七と三年余りになっておるのでございます。ただ、昨年になりましてから急速にこの問題が進展いたしまして、東長崎町の町議会では十五名出席いたしまして、そのうち一名だけが反対をして十四名の大多数で議決をいたしております。それから長崎市は、四十名の市会議員の中に五名の欠席がおりまして、一名の共産党の方が反対しましたが、出席議員の満場一致で受け入れることの決議をいたしておるのであります。自治庁に県から報告される内容は、たぶん一部の反対者がおるということを理由にされたり、あるいは選挙のまぎわになってどさくさ云々ということを申し入れておるに相違はないということを私は承知をいたしておるのでございます。  少し時間が長くなりますが、東長崎町と長崎市が今の知事とどういう関係にあるかと申しますと、昨年二月に行なわれました知事選挙で、介の知事に対立候補として立候補いたしましたのが東長崎町出身でございます。東長崎町から出ております県会議員が、今の知事選挙におけるその負けた方の選挙長でございます。そしてここは九〇%地元の立候補者に投票しておるわけです。長崎市はどうかと申しますと、六〇%が負けた方に投票しておって今の知事には四〇%しか票は入ってないのでございます。従って東長崎町と長崎市に対しては、長崎県知事は感情が高ぶっておるということは、これはすべてのいろいろな条件を皆さんにお示しすれば御承知いただけると思うのでございます。そこで、昨年の十二月県会でぜひこれを議決していただきたいという考え方から、東長崎町及び長崎市が十二月十一日に同時に議決をいたしまして、十三日に県に正式の申請の手続をとっておる。ところが県の方は、事務的に自分の方に事前に連絡がなかったからという理由のもとに、十二月県会にとうとうかけずじまいであった。そこで十二月の二十二日の総務委員会に――一人町会議員の中に反対者がおる。これは知事選挙のときの、介の知事の東長崎町担当の責任者でございます。従ってこの人が一人、地元の立候補者に反対して、今の知事に四百票か五百票の票をやった。この方が反対の急先鋒で、いわゆる反対派の署名をとって歩いておる井出という人でございます。昨年の十二月二十一日と二十二日に議会の総務委員会がありまして、そこでこういうことが議事録に載っております。この東長崎町における井出という反対者が、町民にいわゆる反対陳情の署名をとって歩きますときに、どういうことをして回ったかと申しますと、県に一ノ瀬という出納長がおります。この出納長の公職の名刺に各種団体長殿という不特定多数の人あてに、井出さんがお願いにくるからよろしく御賛同願いますということを書いて、県の出納長がその井出という人を使って反対の署名運動をしておるのでございます。これが昨年の十二月の二十一日と二十二日の総務委員会でずいぶん問題になりまして、二十一日の日には、この出納長は、自分はそういうことをやった事実はないということを言い張っておりましたけれども、翌二十二日の総務委員会におきましては、その名刺を持って訪問された方々がたくさん傍聴席に来ておりまして、出納長にお前はこういうことをして、この名刺をやったじゃないかという証拠物件を突きつけられまして、それからその名刺は私が措きましたということを総務委員会で申しておる。一体この地方住民の意思に基づく町村合併に対して、特別職にある三役の一人の名刺をもって、反対運動の署名をさすというようなことを県がやっていいものでしょうか、どうでしょう。私は政治的な立場から、一つ自治大臣の御判断を承りたい。
  75. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 事情は金子さん自身の方がよく御存じであろうと思います。私の方は照会をいたしまして、県からの回答を見ておるだけであります。自治省といたしましては、きまったものを告示するだけでありまして、こういうふうにやれとか、ああいうふうにやれとかいう命令権は持っておりません。しかもこの問題は、地方の合併でありまして、問題はあくまでも地方問題である。それでありますから、結局地方の知事が、たとい一人か二人でありましても、その反対の強弱あるいはまたその影響というようなものを考えまして、これはやはり一人でも反対者があってはまずいから、納得させた上でやろうという判断の上に立って、知事が多少冷却期間を置くとかあるいは交渉の期間を置くということに対して、これがいいとか悪いとかいうことは言えません。あなたの今おっしゃったような事情というものも、それは地元におけるあなたの解釈であって、自治省としては、そういう知事の意を受けて、特定の知事派の反対者が反対に回っておる。言いかえれば、知事が合併に反対であるから告示しないのだというような事実はまだ聞いておりません。
  76. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 それで、私が申し上げておるのは、特別職にある出納長の立場で、そういう公職の名刺に、反対署名に回る人に各種団体長殿という名刺を渡して、反対署名にいわゆる協力をしておるような、こういったあり方がいいことだろうか、悪いことでしょうかということを私はお伺いいたしておるのでございます。
  77. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 今お答え申し上げた通り、出納長が公職の名刺を持って反対をしろといって歩いたという事実は、われわれの県に対する照会の報告の中にはなかった、きていない事実でございます。これはただいまあなたから初めて伺った事実であります。決してあなたがうそをつかれるというふうには私は考えません。しかし、今初めて聞く事実をもとにして、自治大臣の見解を述べるということは、これはちょっと軽率のそしりを免れないと思いますので、そういう事実があるかないかということをよく調べて、またそのときに必要とあれば私の見解を述べてもいい、こういうふうに考えます。
  78. 永田亮一

    永田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  79. 永田亮一

    永田委員長 それでは続けて下さい。
  80. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 行政局長、大臣はああいうことを言って、政治家ですから逃げて歩いておりますが、あなたの方が役人だから正直かもしれぬので、お伺いします。そういった報告がない、こういった報告がない、こう言われておるのでございますが、私は、こういった事実があるから、これが事実とした場合に、これはいいことだろうか悪いことだろうかということを聞いているのです。どうですか。
  81. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 これも先生のおっしゃいました事実が、おそらくその通りかと存じますが、特定の政治的な意図を持って、出納長が名刺を書いていろいろ反対の扇動をして歩くというようなことでございますれば、それは適当なことではなかろうと思いますが、いずれにいたしましても、私も事実をよく承知いたしておりませんので、ごく一般的な考え方として申し上げたわけでございます。
  82. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 これは十二月二十二日の総務委員会の速記録でございます。これではっきり本人が自分が書いてやったということを言うておるのですから、あなた方政治家でないのですからそう御心配なさらぬでいい。そこで、この問題については、そういった一部反対がある云々ということを言って、県においては検討中かのような報告を受けておるとさっきおっしゃっておりましたね。この十二月二十二日の総務委員会におきまして、編入を促進すべきであるということを議決して、そして知事に意見書を提出しておる。総研委員会の議決は、議会の議決と同じです。ただ悲しいかな、住民の意思を無視されて、県議会に提案されてない。従って、総務委員会は、重大な問題だからということで、促進方の陳情書をもって総務委員会を開いている。この総務委員会において促進すべしという議決をして、知事に促進方の意見書を出しておる。しからば、議会としては、これは促進すべきであるということが、もう公然と議決されておる。ただ正式の本会議にかけてないというだけのことでございます。こういった経過をすでに昨年の十二月にとっておるのでございます。  そこで、その後のことでございますが、その後知事もこの問題で総務委員公等に出席して、いろいろ意見を述べておるようでございますが、こういうことが速記の中にございます。私の方ではできるだけ早くそういう結論を出したいと思いますが、とにかく矢をついだように本議会に出さないのは不都合だということが私にはわからぬ、と言っているのであります。豊島議員のおっしゃるように私どもの方が悪ければ直してもいいですが、二月一日でなければ天下がひっくり返るかということは、私はそんな何も起こらないと思いますと、ずいぶんこのころは感情が高ぶって脱線をしておるのでございます。そして皆さんに最も関係のあることは、自治省でも、選挙のどさくさの合併はいけないという見解をとっております。なるべく避けるべきだという見解をとっております。こういうことを知事が総務委員会で答弁しておる。この答弁を知事がなさる以上は、何か自治省に伺いがあっているはずだと思う。そのお伺いか何かあったかどうかをお伺いします。
  83. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 私どもの方にはそういう照会はございません。
  84. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 それでは長崎県知事佐藤勝也君が議会を欺瞞してこの問題の遷延をはかっておる、私はかように再確認いたします。  そこで、その後本年に入りましてから、長崎市と東長崎町はやっきとなってこの合併の、いわゆる編入の促進のために、連日いろいろな会議をやっておるのでございますが、去る二十三日に荒巻という長崎県の地方課長が現地の東長崎町に出向きまして、各種団体の長を一五十人ほど集めて、その周辺には傍聴人が数百名集まっておったということが新聞で伝えられておりますが、この席上で荒巻君は、知事の感情によるこの合併問題の今日までの遷延に、もう刀尽き矢折れた態度で、一切の皆さん方の事情はよくわかりました、これからは一つ編入の促進方を私が責任を持っていたしますということを申されて、その会を閉じておるのでございます。その後いろいろな報道関係で伝えられることを聞いておりますと、ますます時日が切迫してきますと露骨になりまして、この合併は、いわゆる地方選挙、県会議員の選挙が御承知の通り四月二日に告示がありますので、その告示後の四日か五日かに合併をしようとして動いておるという県の態度です。なぜかと申しますと、その前に合併をいたしますと、東長崎町から今まで出ておりました県会議員が、長崎市と東長崎町と合併された選挙区から四たび県会に立候補すると、これは最高点当選確実でございます。そこで告示があった後に合併を決定いたしますと、この東長崎町から出ておりました県会議員は苦戦をしまして落選をする、こういうような大体の現況になっておるのでございます。これをとらえて、政治的な配慮によってこの編入の問題を遷延しておるということは、すべての報道関係がさように伝え、けさの新聞なんか、西日本新聞ですが、露骨に名前をあげて書いておる。林田を落とさんがためにこういうことをやっておるのだと解説の中で書いておる。しかも、知事の御用新聞といわれるような小さな新聞が長崎県にございますが、この社説でさえも、耐えかねて、県のとっておる今日の態度はよろしくないということを批判されておる。法律的に、これは自治法に基づく合併編入でございますから、何も自治省に権限がないことは私もよく承知いたしております。しかし、あなた方はやはり指導立場にある。従って、自治省は選挙前のどさくさ云々はよろしくないとか好ましからずということを言っていると、しきりに自治省をかさに着て知事は公式の場で答弁を続けておる。これは自治省こそはなはだ迷惑千万だと私は考えますが、こういった県のとっておる態度、私が申し上げておることが事実だとすれば、行政局長、一体これはいいことでしょうか、悪いことでしょうか。
  85. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 市町村合併は、関係町村が議決をいたしました上で、御説のように知事に申請をいたし、知平がさらに県議会の議決を経まして処分をいたし、その後自治省で告示をする、こういうことになっておるわけでございますが、関係市町村の議決がございましても、知事といたしまして、いつ県議会にかけますか、あるいはまた県議会が関係市町村と違った議決をいたしますことも、これは可能なわけでございまして、合併につきまして慎重な手続を法律が定めておりますのも、関係市町村だけの立場でなくて、さらにその上で、県全体の立場からも合併が適当であるという判断をいたしました上で処分をさせるというような趣旨であろうかと思っておるわけでございます。従いまして、関係市町村から申請がございましても、知事がいつ県議会に提案をするか、また知事の立場におきまして、いろいろ検討すべきことがあれば検討をいたすということも、これは当然のことではなかろうか、むしろその慎重を欠きましたために、合併いたしましてからあとで、いろいろまたトラブルを起こしているような事例もあるようなわけでございますので、私どもといたしましても、合併につきましてはむしろ慎重に地方において運ばれまして、あといろいろな紛争の種を残さないでやっていただくということは、これは望ましいことではなかろうか、かように考えておるわけでございます。御指摘のように選挙云々というようなことも、おそらく地方選挙が非常に近い時期でございますから、そうした配慮もあるいは地方におきましてはあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、町村合併につきましては地方問題でございますので、いろいろ推移をいたしております段階におきまして、私から批判的なことを申し上げることもいかがかと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  86. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 この長崎市は、昨年の一月一日付でやはり周辺の町村、茂木町と式見村というところを合併編入をいたしておるのであります。このときは、この町村長は県にあいさつにも行かなければ何もせぬ。正式の手続をとって、町村の議決、市の議決をつけて提案をしましたところ、ちょうど県会中でございますが、電光石火のごとく決定してしまった。こういう事例が一年前にある。ところが今度の東長崎町というのは、長崎の東玄関でございます。三十五号ですか、国道の沿線でございまして、水源地の大半もここに持っておる。あるいは長崎市の施設としての水族館もそこにある、あるいは海水浴場もそこにあるといったような、経済、文化、こういった面からいって、昨年一月に合併された茂木とか式見とかいった町村と違った特殊な立場にある町でございます。従って二月八日、九日と、二日間にわたりまして市長、あるいは編入したいという町長、あるいは議会の方、あるいは市の総務委員、それから児の総務委員が集まりまして、いろいろ促進方の懇談をした席におきましても、だれ一人反対する者はいない。県だけが反対しておる。この図面をもってごらんになればよくおわかりになるのでございますが、長崎市にこういうふうに囲まれた、湾曲になったところに東長崎というところは入っておるのでございます。昨年一月に合併された二つ町村と比較しますと、これはとてもいわゆる編入合併には適切な町でございまして、地方住民の中に、長崎市で共産党の方が一人反対をし、あるいは東長崎の方で特殊な、現知事と、そういった知事の選挙のときからのつながりで、その人のグループだけが作為的な署名運動をして、これに反対陳情を出してたてついたといったようなこの現実を見まして、これはやはり何かのために、いわゆる選挙の前のどさくさだといった発言をさっきの速記で知事がしておるようでありますが、選挙の前のどさくさというのはむしろ県の方がそれを考えている。県の方が選挙の前のどさくさに一つ何とかしようとしている。それはいわゆる四月二日以後に合併を決定したならば、一人の県会議員に一あわ吹かせてやるということを、長崎でけさの新聞が全部書いている。こういう感情問題にとらわれて、大事な地方住民の、いわゆる町会の議決、市の議決、この自治権を知事が侵していることになる。この姿が事実だとすれば、自治省としてはいいことであろうか、悪いことであろうかという、どんな御見解をなさるでしょうかということを私はお尋ねしておる。事実だとした場合――事実でなかった場合は別にあなたの言質をとってどうだこうだと言う必要はない。私が申し上げていることが事実だとするならば、これはいいことでしょうか、悪いことでしょうかということを私はお尋ねしている。
  87. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先刻も申し上げましたように、合併につきましては、関係市町村住民の意思を重視しなければならぬことはもちろんでございまするが、同時に、知事あるいは県議会の立場からの検討もあるべき制度になっておりまするので、そういう県の立場からの検討をされます場合に、若干そこに時日がたちますこともあろうかと思うわけでございまして、いずれにいたしましても、大へん恐縮でございますが、合併が現に進行中の問題につきまして、自治省といたしまして批判がましいことを申し上げますことは、いろいろな点で、過去の経験からいたしましても問題があるわけでございまするので、一つごかんべんを願いたいと思います。
  88. 中村重光

    中村(重)委員 あとで大臣が参りましてから大臣にはあらためて質問いたしますが、ただいま金子委員質問に対する御答弁に関連してお尋ねをしたいことがあります。  先ほど局長は、あとでごたごたが起こらないように慎重にすることが大切である、こういうことであります。また当該団体で決定をしたことを県において異なった議決をすることもあり得る、こういうことです。確かにそういうこともあると思うのです。しかし要は形式の問題ではありません。住民の意向がどうだということを根本として考えていかなければなりません。その考え方の上に立ってあなた方が地方自治体を指導しないということになってくると、あとのごたごたはそういうところから起こってくるのであります。私は東長崎町の例はまさしくその例である、こう考えているのであります。あとでごたごたが起こるんだ、起こらないようにすることが望ましい、それはその通りであります。ところが、知事が感情的な態度で臨む、従って住民の意思をじゅうりんをする、こういうことになって参りますと、知事に対する不信感、県といういわゆる上級団体――県は言うわけでありますが、その県自体に対する市町村の不信感というものが非常に高まって、根深く浸透して参ります。そのことが非常なごたごたを巻き起こしてくるのであります。そのことをあなた方が忘れられて形式的な態度で指導される、今の金子委員に対する答弁も、一貫して金子委員は感情的なものがあるのだということを言っておるならば、ここに何かあるはずだということはおわかりのはずだと思う。それと離れた形式的な答弁をされることは、私は問題だと思う。あなた方の態度としてはこれは間違っておると私は考える。一つ何を質問しているか、どこに質問の根拠があるかということをお考えになるならば、やはりそれにマッチするような答弁をされることが私は適当だと思う。まずその点に対するあなたのお答えを願いたい。
  89. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 市町村が議決をされましたものにつきまして、さらに県議会で別な議決をすることもあり得るということを申し上げましたのは、これは法律上の建前からでありますが、もちろん県議会といたしましても、関係市町村住民の意向というものを尊重してやるのが、これは筋だと私ども考えております。
  90. 中村重光

    中村(重)委員 あなたたちは専門家ですから、これは釈迦に説法ですが、やはり合併の際の町村の規模の問題、人口がどうであるとか、あるいは経済的な問題がどうであろうか、合併した結果が、将来においてほんとうに地方住民の福祉に役立つであろうか、もろもろの点を考え指導してでも、なおかつ当該の市町村がそれを受け入れない、こういったような判断の上に立ったときに、今あなたが言われたようなことが起こり得る。しかしこの事態は、一万六千の東長崎町を四十万に近い長崎市が――しかも隣同士、勤労者はほとんど長崎市に勤務しており、学校も、長崎市に通学をしておるのですよ。経済はほとんどそこに依存をしておるのです。金子委員にいたしましても、実は形式論で質問しておるのではないのであります。そういった実情、束長崎町は長崎市に編入をしてもらうことが住民の福祉に役立つ、また長崎市はあらゆる立場から検討して、いわゆる編入の大義名分というものを明らにしておるわけです。そういうことも申請書の中には出ておる。何も長崎市が一万六千の町民を有する小さい町を編入する利害打算ではないのです。東長崎町の住民の利益になる、それが長崎市民の利益になる、こういうことから実は起こっておる。今あなたが言われた異なった決定もあり得るというようなことは、よほど間違った指導を県がしない限り、実際論としては起こり得ません。一般論としては、形式論としては、あなたが今答弁されたことは、条文をずっと読んでいくと出るかもしれません。またそういうことを起こさせるような指導をすることは大へんなんです。そんなばかげたことが起こらないようにすることが、指事機関としての自治省の当然の任務である。決してあなたは、法文を読んでいって間違った答弁ではないわけですが、私たちは実はその根本を質問しておるわけです。あるいは意見を述べておるわけです。貴重な時間ですから、それにマッチするような答弁をお願いいたしたい、こう思うのです。  そこでお尋ねをしますが、この束長崎町の長崎市編入の問題は、いろいろ金子委員指摘されましたような問題が伏在しておるわけですけれども、表面に出たのは例の交付税の問題から実は起こっておるわけです。町村合併促進法、新市町村建設促進法、この二つの法律はすべて廃案になっておるということでございます。その新市町村建設促進法による合併の特例の廃止という通知を各自治体になさったかどうか、いつごろされたのか、その周知徹底をしていなかったというように実はなっておるわけです。それが問題になっておるわけですが、そのことをお聞かせ願いたい。
  91. 松島五郎

    ○松島説明員 ただいまお尋ねの点でございますが、新市町村建設促進法の関係は、法律の問題でございますので、すでに各団体とも十分承知しておるものと考えております。問題になりましたのは、新市町村建設促進法の適用を受けない合併につきまして段階補正の特例という、多少技術的な表現でございますが、そういう制度があったのでございます。昨年市の合併の特例に関する法律が新たに制定せられました際に、この段階補正の特例というものが廃止になったのでございます。この廃止は省令をもって規定いたしてあります事項でありますので、各団体とも十分承知せられておることと考えております。事情はそういうことでございます。
  92. 中村重光

    中村(重)委員 省令によってこれは明らかになっているのだから、各団体とも知っておるはずだと言われるのですが、建でいえば地方課が担当ですから、十分それを知らなければなりません。またそれを知ることが務めですから……。役所に勤めておられる方の取り組みと私たち考えることと、その点は事務的な問題で変わってくるかと思いますが、一般的に考えると、省令できまったのだからということでそれを知っておるはずだ、当然これは見ておるだろう、こういうふうなことなのか、あるいは特にこれは廃止になったのだということを、自治体に何らかの方法で周知徹底させるようにお努めになったのか。そうだとすれば、いつごろそれをされたのか、それをお聞かせ願いたい。
  93. 松島五郎

    ○松島説明員 この規定は、今日のような事態でありますと、すべての団体について合併という具体的な問題は、市の特例に関する法律以外のやり方でもってできます場合、それ以外にはないわけでございます。従いまして、一般的に道路の分がどうなるとか、河川の経費がどうなるとかいうようなものとは性質が異なります。従いまして、私どもとしましては、県の関係者を集めまして、その年度の新しい交付税を算定いたしますときには、十分注意をいたしておりますけれども個々団体については、自分のところが合併するとかしないとか、具体的な問題がない限りは関係のない規定でございますので、全部の団体についてそういう通知はいたしておりません。
  94. 中村重光

    中村(重)委員 その点わかります。ところが問題は、それが一応出ているわけです。一応表面的な理由として浮かび上がってきたのは、申請書の中に、その特例が廃止されていない、こういう考え方のもとに、実は合併になると交付税がこれだけ初年度においてふえるのだ、二年度においてはこうだ、こういう計算をし、それが県の方に出された。ところが県の方では自治省に照会してみたところが、特例は廃止になっている。具体的な金額でいうと二千万円程度増額されるだろうと考えておったのが、特例廃止になると千六百万で、むしろ減額になる、こういうことで問題になったということです。県は今金子委員指摘されたようなもろもろの問題は表面に出せない。それが根強く大きなネックになっていることは間違いないのですが、表面に出たのはそういうことです。ところが、その後知事がこの問題に対して公文書を出している。ここに日にちがちゃんと書いてありますから、あなた方の方でもおそらく御承知だろうと思う。二月八日に知事から長崎市長と議長あてに公文書が出ている。その内容は、編入について新市町村建設促進法の第三十条の二を適用すると別の優遇措置考えられる、それによって申請をやり直したらどうか、実はこういう公文書が出ております。この公文君の書き方も非常に問題がありまして、長崎市議会では大へんな混乱が起こったという厄介なものです。その後市と県との間、あるいは東長崎町との間に、いろいろやりとりがありまして、その後上京して自治省にもずいぶん折衝もしていると思います。それでこの問題については、一応解決したのではないかというように判断しておりますが、財政上の問題は、何か特別な措置という形で解決の方法が見出されたのではありませんか。申請の手続は、この廃止になったときからおくれてはおりますが、先ほど金子委員も申されましたように、表面に出てからも一年八カ月になります。そうしてこの町が編入しなければならぬということは、御承知の通り東長崎町は三つの小さい村が一緒になって合併した町村ですが、その町村の合併したときから長崎市に編入するということが前提条件であったわけです。一拳にできなくて、実は三つの村の合併にとどまっておったわけです。それからずっと表面に出まして、先ほど金子委員も申されましたように、じきに協議会等が開催されて、そうして一年八カ月後に県に対する申請、こうなってきたわけです。形式的にはいろいろ問題もあろうかと思うのですが、実際にはそうしたいろいろな点を勘案されて、何か解決の道が見出されたのではないかと思いますが、その点いかがでございますか。
  95. 松島五郎

    ○松島説明員 先ほど申し上げましたように、段階補正の特例という制度は、新市町村建設促進法なり、あるいは町村合併促進法の適用を受けない合併町村について、それとの均衡上そういう措置が講ぜられてきたものでございます。ところが新たに市の合併の特例に関する法律ができましたので、その機会にそういう特例措置は廃止することにしたわけでございます。ただいまお尋ねの長崎市と東長崎町の合併の問題に関して、それではどうなるかという問題でございますが、東長崎町は新市町村建設促進法によってできました新町村でございます。現在の新市町村建設促進法の第三十条の二によりますと、新町村がその他の町村と合併をいたしまして新町村建設計画をつくった場合においては、それ全体を新町村とみなすという規定がございます。従いまして、合併した後におきまして新町村建設計画が策定されますならば、これは新町村としての取り扱いを受けることになりますので、交付税上の新町村についての特例措置が適用になる、こういうことになろうかと思います。
  96. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、今の長崎市に編入するという、十二月の十三日付をもって申請しておるのは、ただいまの御答弁の様式によって申請されておるわけですか。
  97. 松島五郎

    ○松島説明員 手続上の方は、私ども直接取り扱っていませんので、行政局長からお答えがあると思いますが、私どもの方の交付税関係は、新町村建設計画がつくられまするならば、それに乗っていくわけでございますので、申請のときにどうであったかということは、必ずしも関係がないのではないかというふうに考えております。
  98. 中村重光

    中村(重)委員 その点非常に微妙でございますし、大体そのことに対しては、ただいまの御答弁の程度で私は了解をいたしておきます。  それから長崎県から自治省に対して特例廃止についての問い合わせが来たのはいつごろでございましょうか。
  99. 山本悟

    ○山本説明員 長崎県の地方課からこの問題につきまして交付税課の方に連絡があり、かつ人も参りましたのは、明確には記憶いたしませんが、たしか今月になりましてから、官庁速報等でああいった事情が出てからとわれわれは承知をいたしております。また見解も聞いて参った、かように存じております。
  100. 中村重光

    中村(重)委員 これは別にむずかしく言う意味で申し上げておるのではありません。検察官の尋問みたいに変な格好でございますけれども、決してそういう意図ではございません。私たちも自分の地元のことでございますので、ごたごたがないことが非常に好ましいわけであります。ですから、将来できるだけ円満にいくように努力をしたい、こういう気持から実は申し上げておるわけであります。今月、電話か文書か、あるいはだれかが上京してその内容についてつまびらかにされたのか、その点どうでしょう。
  101. 山本悟

    ○山本説明員 電話照会もあったかと存じますが、私の聞いた範囲では、地方課の係員が上京もされたと思います。上京をされて、先ほど参事官から申し上げましたような取り扱いになるということをはっきりと申し上げておるわけです。
  102. 中村重光

    中村(重)委員 先日長崎市長並びに長崎市の財務部長が上京され、いろいろ自治省と折衝されたと私は承知いたしております。その際に、先ほど参事官が御答弁になられたそれらの税の問題は、この申請の方法によりまして解決をしておる、こういうことで確認してよろしゅうございますか。
  103. 山本悟

    ○山本説明員 長崎市の方々にも、たしか上京されました際にお寄りになりまして、その関係の御説明をいたしたと思います。
  104. 中村重光

    中村(重)委員 あとは大体大臣にお尋ねしたいことでございますが、先ほどの大臣の答弁について、事務的にちょっと伺っておきたいと思います。大臣は、きまったことをこちらは承認するだけである、こういうことでございました、これは結局、総理大臣の処分権というような問題は、一応県の処分が申請団体と異なった場合に発動し得るという考え方からの答弁であったのかどうか。まあ大臣は局長に聞かれて答弁をされたと思うのでありますが、聞いておりますと、いかにも自治省としては、地方できまる、それをわれわれは承認するだけだ、一切それは自治体がやるのだ、こういうことで、自治省の役割というか、権限ももちろんあります、義務もあるわけですね、金子委員質問はいろいろそのごたごたから自治省見解を尋ねられたと思いますが、その質問に対して、ぴったりするような答弁でなければどうも納得できない。私ども聞いておって、どういう考え方で答弁をしておるのであろうかということを了解に苦しんだわけです。局長として、事務当局の立場から、法律解釈をやらなければならぬわけですが、そういう面からどのように判断をしておられるか伺いたい。
  105. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先ほど大臣がお答え申し上げましたのは、先生も御承知の通りに、市町村合併の手続につきましては地方自治法の第七条に規定がなされておりますが、関係市町村の申請に基づきまして、都道府県知事が都道府県の議会の議決を経てこれを定めるということで、処分といたしましては知事の処分ということになっております。その上で自治大臣に届け出がございまして、届け出がございましたならば、自治大臣が官報に告示をいたしまして、告示をいたしましてから効力を生ずる、こういう現在の建前になっております。従いまして、自治省といたしましては知事が県議会の議決を経て処分をして届け出て参りましたものを、そのまま官報に告示をするだけの権限だ、こういうことを申し上げたかと思います。  なお、市の設置につきましては、いわゆる市制施行につきましては、知事が処分をいたします前に自治大臣にも協議をしなければならぬということになっておりますので、新しく市をつくります場合には、その協議の際に、自治省といたしまして、適当か適当でないかということを、積極的に意見を申すようにいたしておるわけでございます。それ以外の通常の合併の場合におきましては、法律的にはそういうことでございますが、なお現地でいろいろ紛争等がございまして、自治省に間に入ってもらいだいとかいうようなことがありました場合には、もちろん自治省といたしまして助言なり、いわゆる指導ということもいたしますが、そういうことのございません場合には、むしろこれは地方で自主的に円満にいろいろお話し合いをいたしていただくことがいいので、あまりその途中の段階で、自治省が実情もよく承知いたしませんで批判的なことを申すことも、かえっていかがであろうかというようなことで、慎重な態度をとっておるわけでございます。
  106. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、総理大臣の処分権というのは、やはりそこに異議が出たという場合に、そうした処分権の、調査をやって処分するということが起こるわけですね。そうすると県が処分をする場合、具体的には今度の東長崎町の一万六千生三十八年、市に編入するといったような場合、異議申し立てが別に住民から出ていないわけですね。長崎市の方も、委員会では共産労一人が反対いたしましたが、本会議におきましては満場一致であります。それから東長崎町の方でも最終的には満場一致になっております。従って異議申し立てというのは、知事の方には出ておりません。そういう場合に、知事の処分権というより、ことさら知事が現地に出向いて、住民を集めて、いろいろと意見を聞いて決定をしなければならないというような指導を、自治省はやっていらっしゃいますか。
  107. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 知事といたしましては、関係市町村が、全会一致あるいは絶対多数で議決をいたしましたものが出て参りました場合には、ごく特別な新しい事情でも発見されますとか、あるいは現地で非常に紛争でもございますれば格別でございますが、通常の場合には、さらに現地に臨みまして、一々住民に会って調査をするというようなことはいたしませんで、関係市町村の議会の意思を尊重して、県議会にはかってきめるというのが通常のやり方であろうと思います。
  108. 中村重光

    中村(重)委員 ごもっとものことです。そうなければならないですね。ところが今度の場合は現地に出向いていって、わざわさ地方課長が――金子委員がさっきここで触れられたように、住民を集めていろいろと聞いておる。これは大臣がお見えになってから言うことがいいのでしょうが、そこへ集まった人は、編入は最初は時期で延ばされた、次には交付税のことで延ばされた、三番目には固定資産税の問題でストップをかけられた。一つ一つ理屈をつけて、そうして編入の議決をおくらせるのである。このような不純なやり方をされては全く迷惑千万だといって、実は憤慨をして、地方課長はつるし上げられて、ほうほうの体で――説明でなくて、ただ御意見拝聴に終わったということが新聞にも報道されておりますが、私も直接電話でそういったことを聞いた。一つも異議が出てないんですよ。特別の意識でもってそういうことをやっているんですね。住民の意思をじゅうりんするもはなはだしい。自治省はこれに対してどういう指導をなさいますか。これは具体的な問題を調べなければわからぬといったようなことでは――金子委員は御承知の通り与党であります。私は社会党、野党であります。くしくも、呉越同舟という言葉がありますが、きょうは同じような町村問題でもって質問しなければならぬようなわけなんですね。自治省として、こういったやり方はどうでしょうか。われわれもだてや酔狂で質問しておりません。根拠のない質問はいたしておりません。ましてや金子委員は、先ほど議事録を読んでの質問でした。議事録は、おそらく知事が上ってこられても、市長が上ってこられても、県会議員が上ってこられて言うことよりももっと正確でしょう。自治省が議事録を信用せぬということでは何をか言わんやです。こういう県のやり方に対してはどういう態度でお臨みになりますか。
  109. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 いろいろ先生のお話を伺っておりますと、 スムーズにいっております場合と違いまして、そこにいろいろ複雑な事情も伏在しておるように私ども推測をいたすわけでございます。しかし先刻も申し上げましたように、町村合併の場合におきましては、現地の府県と市町村の方から、現地で紛争があって解決ができないから、自治省から何か助言をしてくれとかアドヴァイスをしてくれというようなお申し出があれば格別、しからざる限りにおきましては、現地で自主的に、円満に解決をしていただくことを、私どもとしては期待をいたしておるわけであります。本件につきましても、冒頭に金子委員の御質問に対してお答えいたしましたように、府県の方に照会いたしましたところが、申請に基づく処分はやるということを前提として検討中であるが、なお若干の問題が――今おっしゃったような問題かと思いますが、問題点があるので、今後この点について、関係町長とできるだけ早く調整をはかりたいという趣旨のことを申してきておりますので、私どもといたしましては、そうした方向で、なるべく早く現地で解決をしていただくことを期待をいたしておるわけであります。
  110. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 大臣にお尋ねいたします。ただいま中村委員から局長にお尋ねしておったのでございますが、私は結論を申し上げますけれども、とにかく私は真相を暴露して申し上げるし、中村委員は手続上の問題で、手落ちはどこにもないではないか、受け入れる方も入っていく方も満場一致で議決して県に申請をしておる、それを県の方では、一切の手続は一応終わっておるけれども、いま少し検討する余地があるということで、そういった理由でこれを引き延ばしておる。その引き延ばした理由は、私が先ほどから申し上げた通りの、明らかに政治的な配慮による引き延ばしである。こういった事実を事実として自治省がごらんになった場合、今局長さんは申請がなければ勧告も助言もできないのだ、こういうことを申されておるようでありますが、これは長崎市または東長崎町の方から申請があれば助言をするのでございますが、申請があればというのは、あくまで県からの申請でございますか。まず、その点を局長から伺いたい。
  111. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 合併につきましては、やはり関係団体、この場合でございますと、県も、市も、町も、全部が自分たちでは解決が行き詰まっておるから、何か自治省でアドヴァイスしてくれというような一致したお申し出でもあれば格別でございますが、今、そうじゃない現状におきましては、やはり現地でできるだけ円満にお話し合いをいただきたい、こういうふうな考えでおるわけであります。
  112. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 一致した申請と申しますと、県、市、町、その三者ですか。
  113. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 三者から、個別的でもかまいませんが、三者がみな何かアドヴァイスをしてもらおうということでございませんければ困るというようなことだと思います。
  114. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 それは県と市と町、三つの団体から申請がなければ、調査も助言もされないということですか。
  115. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 市の立場は市の立場として自治省は尊重はいたしますけれども、しかしこれは地方問題でございますから、県の立場もまたあることでございます。従いまして、自治省が何らかのアドヴァイスをするということになりますれば、やはり地方としてまとまらないときでなければアドヴァイスはできない、こう考えております。
  116. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 私がお尋ねをしておるのは、申請がなければ云々ということを局長が先ほどから申されておりますから、長崎と東長崎町から申請があれば助言でもなさるのか、こういうことをお尋ねしておるのです。
  117. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 県も一緒でございませんければ……。
  118. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 それは局長、どこにどういうふうにその取り扱いをうたっておるのですか。そういう三者の申請がなければ調査も助言もできないということは、どの法律のどの条項にうたっておるのですか。それはいわゆる自治省としての行政指導の常識ですか。
  119. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 法律の規定によるアドヴァイスではおざいませんので、自治省の常識による、おっしゃいます通り行政指導のやり方で、関係団体が一致して自治省に何かアドヴァイスを求めるということ以外は、片一方だけ申し出たときには、片一方だけ自治省がアドヴァイスをするというようなことでは、せっかく地元で話し合いが進んでいるものをぶちこわすような形になりますので、そのようなことはいたさない、こういう考え方をいたしております。
  120. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 問題は、手続はもう一切終わっている。これは合法的に、市も町も、満場一致で議決している。先ほど財政問題で、途中でいろいろ議論が起こったけれども、それは先ほど松島参事官の答弁の通り財政問題は財政問題で一応解決している。その歳入欠陥は、新しく取り扱いによって見られるということで、マイナスもプラスもないといったようなことで、市も町も何にも実害はないということで、満場一致でこれは編入の手続をとっておる。これを県は、先ほどから申し上げましたいろいろな選挙前の感情によって、これを引き延ばしておるという理由が、歴然としておるのでございますが、こういう場合でも、同じ自治体でありながら、市と町村の場合は、自由に自治省意見を述べたりあるいは申請をしたりすることがいかぬ、県がそれに同調しなければ、市と町村だけでその陳情とか申請することはいかぬということは、私は、今の自治省行政局長の常識による行政指導としてはよろしくないと思います。考え方を変えてもらいたい。
  121. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 市の方から、まだ何も言ってきていないわけです。県庁が手続きをとってくれないことはけしからね、早くとってくれとかいうことは、市からは何も言ってきておりません。たまたま、あなたからそういうお話があったので、それでまあ自治省としては、こういうお話だそうだが、どういうわけで県は措置しなかったのかということを照会したわけです。これが間接なアドヴァイスになりまして、県からは、できるだけ早くその方向に向かって処置したい、こういう返答がきたわけです。何か、どちらかがアドヴァイスをしてもらいたいというような場合には、慣例上、ただ一方的に訴えのあった場合には、一方に対しては調査をする。一方の言い分を取り上げて、直ちに片方が悪い――アドウァイスということは忠告ということでありますから、どこか欠陥がなければやれないわけでありますから、そうすると、直ちに片一方の言い分が通って片一方に忠告をするということは、それは個人の間でも行き過ぎでありますから、それはどういうわけであるかといって調査をする、こういうことで、あなたのおっしゃったような事態が全く歴然として、あるいは感情問題であるとか、あるいはまた選挙の都合であるとか何かのようなことで、故意に引き延ばしているというときには、それはそういう引き延ばしをしないで、早く認めたらどうだという意味のアドヴァイスをすることはあるかもしれませんが、慣例上、やはり一方の話を聞いて一方にアドヴァイスをするということはまずないわけであります。
  122. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 私が申し上げていますのは、ただ市と町村意見だけをお聞きになって、そして結論を出し、あるいは助言をしていただきたいということを申し上げてはないのですよ。ただ、申請がある、三者が同時に申請をしなければ調査も助言もできないのだということを局長がおっしゃっている。私は、もし市と町村側からそういった申請が出た場合は、まず市と町村調査をすべきだと思う。しかる後に県は、調査の申請は出なくても、それは自治省としては指導立場から県の実態を御調査になって、そして初めて三者の立場、言い分を御調査なさって結論は出していいのですよ。必ずしも、私は、片一方だけ聞いて、片一方の言い分によって結論を出していただきたいとか、それによって助言うをすべきどが、それが常識だとか私は言っていない。申請は、いわゆる町村と市の場合があっても、この二つの申請があれば取り上げて、そして実態を調査し、県はみずから出向いて、申請がなくても自治省がこれを調査して、結論を出す場合には、三者の言い分をよく調査の上、結論を出していただきたいと思う。そういうような方向で、結論を出す場合は、市と町から申請があれば、市と町をまず調査して、そして県も調査する。結論は、三者の言い分の調査を完璧にいたしまして結論を出せばいいのでございますから、どうでございましょうか。こういった問題は、私の言ったことがどうも筋が通らぬでしょうか、どうでしょうか。
  123. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 行政局長の申しましたのは、従来の慣例を申したわけであります。あなたのおっしゃっているのは、将来に向かってどうするかという問題をおっしゃっておるわけであります。従いまして、自治省としてはあなたのおっしゃることに非常にウエートを置きまして、今後そういう方向に持って参りたい、こう考えております。
  124. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 それでは直ちに市と町村の方の申請があるでしょう。そうしたならば必ず実情を御調査になり、しかる後に県の言い分なり事情もよくお聞き取りになって、早急に一つ御善処を願いたい。これはただいま県会が開会されております。むしろ旗を立てて、東長崎町民が一戸一人ずつ、ここには二千三百戸あるのですから、二千三百人が県庁を取り巻くということをけさの新聞にも書いておる。これほど自治体が混乱しておる。これをただこの自治法によって、町村合併地方県議会の議決があって、そして自治大臣に申請のあったものを、いわゆる届けのあったものを大臣はこれを公示する。これのみで何ら権限も指導権もないのだといったような印象を受けるようなことを、先ほど局長は申されておりましたけれども、そういった問題ではない。私が大臣に御意見、御所見を承りたいというのは、役所ではそういうことを言うのですから、自治大臣として、いわゆる政党政治の中の政治家である大臣が、こういった問題にどう対処なさるのかということをお聞きしたいので、大臣のお越しをお待ちしておったのでございます。先ほど御答弁いただきましたから、篠田大臣はやはり政治家だなと私はつくづく感銘いたしましたが、この問題について私が申し上げておる事情はよくおわかりと思いますから、大臣の一つ再確認をお願  いしたいと思います。
  125. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 実は、自治省といたしましては、前に金子さんのそういうお話を聞きまして、むしろ金子さんの御質問に答えるための意味で地元に照会をしたわけでありまして、そういう急迫したような、社会秩序の乱れるような状態にまでいっているということは、知らなかった。従いまして、そういう状態であれば、実情をよく調査して、そして円満に解決できるように努力をいたしたい、こう思います。
  126. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 それでは局長にもう一言、もしこれが円満に自治省の助言なり指導によって事態が進展いたしまして、今度の県会が二月二十六日に招集されまして、三月四日から本会議では一般質問が始まります。最終日は十八日でございます。そこでもし最終日の十八日にこれが議決された場合、直ちに自治省にこの申請が出た場合、いつごろ自治省はこれを公示なさるのでしょうか。
  127. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 これは知事の助言の内容が何月何日から合併するということが書いてございますから、その日にちに間に合いますように、できるだけ早く公示をするようにいたしたいと思います。
  128. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 かりに三月の十八日の最終日に議決したとして、そして知事が三月の二十五日に一つ合併を実施したいというような、約一週間の日程をもって申請があった場合は、それまでにできますか。
  129. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 飛行機でもすぐ係の者が持ってきて下さいますれば、すぐ間に合うようにいたしたいと思います。
  130. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 それでは私の方から、今の東長崎町の編入の問題に対する質問は、これで終わりといたします。  この機会に地方財政の問題について、財政局長が見えてないようでございますから、松島参事官でけっこうでございます。自治省は県立高校に対しまして、市町村の地元に負担させる一つのルールが県にはあると思う。そのルールは、市町村負担する比率は一体何十%くらいであるか、それを一つお示し願いたいと思います。
  131. 松島五郎

    ○松島説明員 県が行ないます事業について、地元市町村負担させるということにつきましては、昭和三十五年に地方財政法の一部改正が行なわれまして、大規模な建設事業で政令で定めるもの、具体的には国道あるいは直轄河川、適用河川それから直轄砂防というようなものについては、地元に負担を転嫁してはならないという規定が設けられたわけでございます。そういったものにつきましてはそれぞれの県におきましても、この法律の趣旨に従って運用されておると考えます。従いまして、負担は実はございません。その他の事業についても、自治省としてはなるべく府県が市町村負担を転嫁することのないように、再三、再四お願いをしてきているわけでございまして、漸次この方法が少なくなってきているように私ども考えております。ただ、それで全部なくなっているかと申しますと、残念ながら今日の段階においては、まだ残っておるわけでございます。特に最近では、高等学校関係について相当多くあるのではないかというふうに見ております。その場合に、どの程度負担させているかということで、何か原則があるかということでございますが、先ほども申し上げましたように、私どもといたしましてはできるだけそういうことをしないように指導いたしております。そこで県といたしましても、だんだんと率を下げていくというような、一挙に廃止できないまでも、下げていくような方向をとっております。現に一、二の県においては、急増の対策分については、負担金を取らないというような決定をしてきているところもございます。なお率は二分の一から四分の一まで、取っておりますところであるいは十分の四とか、いろいろでございまして、一定の基準がございません。
  132. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 ただいまの御意見聞いておりますと各県まちまちである、そのまちまちの状態に置くことは原則として許されないけれども、まちまちであるというような御意見のようでございますが、私の県の例を申し上げます。これは松島さんは御承知のはずと思いますが、まず土地を地元が提供し、それから木造単価の分は地元が負担し、鉄筋の単価の差額の分だけが県が負担しておる。従って比率を言うならば約八〇%市町村負担をかけておる。こういったケースが全国にあるでしょうか。
  133. 松島五郎

    ○松島説明員 ただいま御指摘のような事例はないと思いますが、ただ私どもが伺っております長崎県の資料によりますと、先生のおっしゃったのとは若干違っておるように考えられます。
  134. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 若干は、どの程度違っておるのですか。
  135. 松島五郎

    ○松島説明員 都道府県立高等学校経費にかかる地元の負担割合に関する調というのが今手元にございますが、長崎県では、校舎については新築の場合三分の一ないし四分の一、改築についてはなしとなっております。増築についてもなし、それから屋内体育館については七百万円、敷地については定額というようなことに報告されております。
  136. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 これは事実に全く反した報告でございます。これはでたらめな報告でございます。そういった報告を資料として、自治省は高校急増対策の起債なんかを分配しておるのですか。
  137. 松島五郎

    ○松島説明員 先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、何分の一であろうとも、児が行ないます高等学校の建設費については、地元から負担金を取るべきでないという見解を持っておりますので、その負担金の取り方いかんによって起債を変えるというような考えは持っておりません。
  138. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 長崎県には産炭地がたくさんございます。炭鉱ばかりの町村が一昨年から昨年にかけまして四つ合併しまして新しい市ができておる。これは再建団体でございますが、ここに高校をつくっておる。この高校をつくるときにはずいぶん論議が起こりまして、お前のところは、知事選でおれには三分の一しかなかったからやらないと言われたので、婦人会が連れ立って、バス借り切りで陳情に行きまして、いかなる条件ものみますということで、土地も提供して、お金も六千万円出して高校をつくってもらった。このとき、再建団体にこういう市の負担をさせていいかどうかという大きな問題があった。自治省ではこれは厳重に規制しておるはずだ。こういった市から膨大な地元負担を取って、名前は県立高校でありますよ。落成式には県の教育長と知事が行って大きく宣伝をするのですから。昨年鹿町というところに、産炭地に工業高校ができました。隣接の町村に六千八百万円の割当をして、私は島でありますが、離島にまで六百五十万の割当がきておる。そこで、高校を新しく建てるときには、自治省は県には起債を与えておりますね。その起債を県は町村に転貸しておるのです。一体こういう財政のやりくりが他県にあるでしょうか。県が起債を行なって、それを町村にお前たち負担しろ、転貸してやるからということで転貸をしている。この事実を私は松島参事官が知らないはずはないと思いますが、ここで知っておったということはなかなかおっしゃりにくいと思いますが、もし事実をお知りにならなかったとするならば、これは大へんな問題じゃないかと思う。この実情を知らずしてどうして起債を流されるか。誤った資料によって、名県市町村財政措置自治省はしておる、こうなってくる。長崎町は特殊な県で、こういう事態が事実あるということをお認めになりますか。
  139. 松島五郎

    ○松島説明員 ただいま御指摘になりました県分の起債を、市町村に転貸しておるというお話でございますが、高等学校の起債につきましては、市町村立の高等学校の中にはあるわけでございますので、県と当該市町村立の高等学校との間における起債の分配につきましては、両名協議の上で定めるようにいたしてあるのでございます。ただ、県立高等学校の起債を市町村に転貸をするというのは、ちょっと考えられないことでもございますし、私ども承知しておりませんが、なお実情はよく調べたいと思います。
  140. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 一つ事実を御調査になっていただきたいと思います。長崎県には県立高校以外に町村立高校はございません。  それからこのたび長崎県の知事が十八日の記者会見でこういう談話を発表しております。長崎市と佐世保市から、いわゆる高校生の急増のためにぜひ一つ高校を新設してもらいたいというつ宵要望が出ておる。それに対して、このたびの三十八年度の予算に高校一校の予算を編成する。そこでまず敷地を提供して、三分の一の地元負担を確定したところからつくる、こういうことを書いている。新聞談話でございます。今松島参事官が答弁しておることと、県がとっておる態度は、全くちぐはぐではございませんか。これは自分の地区に高校をつくりたいので、市町村は泣きの涙で地元負担をおっかぶっておる。その負担に応じないといえばよそに持っていかれる。この負担に少し顔色をよくしないと、おれのところには時ってこないのだ。一つの大きな圧力によって町村負担をかけている。県は三十六年度決算でも、三億数千万の剰余金をつくっておる。町村は、長崎県は、島の数が数百ありまして、海岸が六百五十里もあるという、さいはての一番貧乏県でございます。従って、町村は疲弊こんぱいしておる。県は自分で出すものを出さないで、町村負担させて、三億数千万円の剰余金をつくって、ぬくぬくとして左うちわでおる。こういう姿を見て、あなた方は一体どういう財政措置を堅持しておりますか。
  141. 松島五郎

    ○松島説明員 先ほど来申し上げておりますように、県の行ないます事業について市町村から負担金をとるという長い間続いて参りました習慣を、ここ数年来漸次廃止をしていくように指導をいたしてきておるわけでございます。いまだその効果十分でない面もあろうかと思いますが、高等学校等の問題につきましては、さらにこの措置が確実に行なわれますように、立法措置というようなものもただいま検討しておる段階でございます。
  142. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 先般参議院の文教委員会でもこの問題が問題になりまして、近く立法措置をとろうとして進めておるということも承知いたしております。しかし単に法律をつくりましても、その法律は常識によって運営されなければ――いろんな理屈をつけて、その行政の衡に当たる知事は政治家であるか、あるいは行政官であるか、私の県なんか全くわからないのでございますけれども行政官としても、政治家としても限度がある。その常識を逸脱した自治行政をやっておる。こういった県は――特に財政をあずかってそして地方の自治団体のめんどうを見る自治省は、重大なる関心を時っていただきたいと思う。どうですか。
  143. 松島五郎

    ○松島説明員 府県も市町村も、同じく自治団体といたしましてともに栄えていくことが、言うまでもなく望ましいことでございます。県だけ営めば市町村が貧しくてもいい、市町村が営めば県は貧しくてもいいというようなことは、国と地方団体の間においても同様でございますけれども、そういうことは適当でないわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、先ほど来何度も申し上げますように、県が負担すべきものを市町村に転嫁させることによって、財政負担を免れるというようなことのないよう努力をいたしてきておるわけでございます。ただいまの御指摘もございますので、さらに今後とも努力を続けて参りたいと考えております。
  144. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 末端の市町村が裕福になって初めて県が裕福になるのであって、それを逆コースを行っておる。県さえ裕福であれば市町村は干しになってもいい、こういう考え方でやっておりますので、私は財政面からこういった県には特に御注意を促したいのでございます。  それから一例を申し上げます。ある県で六百五十万円の外車を買った。これが県議会で問題になって、質問に立って、一体六百五十万円の外車を買って何に使うのだという質問をしたところが、そこの県の知事の答弁にいわく、私は先般福岡の旅館に泊った、そしておふろに入っておったところが、女中がひそひそ話をしておる、たくさん知事さんがお泊りになるけれども、長崎県の知事の車が一番悪い。そのひそひそ話を聞いて、自動車は長崎県の体面にかかわるから六百五十万円の外車を買った、という答弁を議会でやっておる。速記録を読んだ。それから同時にこの県は一昨年再建団体の解除がされた。長崎県には明治時代から古い由緒ある公舎がございますが、坪二十五万で二百坪、五千万の公舎の予算を通してただいま建設中であります。一体貧村、寒村の長崎県が、どうしてこういう五千万円の公舎をつくらなければならないかと、その議員が質問をした。その答弁にいわく、この公舎はアメリカのホワイトハウスと同じでございます。という答弁をしておる。一体長崎県の知事は大統領になったつもりであるのか。公舎はホワイトハウス、自動車は旅館の女中のひそひそ話で買った、こういう迷答弁をなさっておる。こういった金の使い方をやっておる県を、先ほどから申し上げました通り、松島参事官が全然知らないはずはない。これは議会でずいぶん問題になっておる。私は長崎県のことばかり申し上げたようでございますけれども、全般的に自治省が、とにかく自治体の財政をいかにして裕福にさせようかとして努力しておることはよくわかります。ところが見てごらんなさい。県会議員の出席手当は二千円です。僕らは最近三千円になったばかりで、その前は二千円であった。それが国会議員だ。ところが海外旅行を自治省は年に八名、十名、十二名というように指等しておる。五十人の県会議員に海外旅行を十人、十二人と指導するならば、国会議員は毎年何百人海外旅行をすればよいか。こういうような放漫なる財政の取り扱い方をしておる。私は、自治省地方自治団体財政を、いかにして裕福にしてやろうかと努力されておることは、よくわかりますよ。しかしそれには限度がある。金をお流しになるならば、その金の使途はやはり検討しなければならぬ。どんどん金を流して、何に使うかそれから先は知らないというような政治のやり方、行政のあり方はあり得ないと思う。私は事実を申し上げておるのでございます。こういう県もあるじゃないかという一例を長崎県に持ってきただけでありますから、私は全般的な問題を言うのです。ただこういう県があったが、一体こういう県には自治省はどういう取り扱いを財政上しておるかということを聞いておるのです。
  145. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 事実そういうことがあるとすれば、これは多少行き過ぎの面もあるかと考えます。おっしゃるように、県といいましても、すべて県内の自治団体が集まって県をなしておるのであります。また地方の自治体が集まって国をなしておるわけであります。でありますから、国民の場合におきましても、地域住民が集まって国民をなしておるのであって、地域住民の幸福なくして全国民の幸福はないわけであります。そういう理論的な、また根本的な面につきましては、金子さんと私は全く同感でございます。地方の自治体を貧困に陥れて、県だけが剰余金を残すとか、あるいは知事の公舎だけを大きくして地方民をないがしろにするということは、常識上、行政の上においても、政治の上においても、考えられないことであるし、また事実であるとすれば非常な行き過ぎである。従いまして自治省といたしましては、そういうことを十分に注意いたしまして、ほんとうにそういうことがあれば反省も促し、また血の通ったほんとうに国民一人々々の、県民一人々々の市町村の発展、あるいは幸福というものを十分に考えた県政であり国政であるというふうに持っていきたい。十分に調査いたしまして、注意すべきことがあれば今後注意していきたい、こう考えております。
  146. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 先ほど自動車の問題に触れましたが、これは一例をあげたのでありますが、とにかく、いわゆる国際貿易の帳じりの赤字が一昨年の秋から叫ばれて、大へん国産愛用というので、上は総理大臣から百十五万の国産車を使って、お互いに大いに安ものの国産車でやっておるのであります。県に行きますと、六百五十万円の車を使っておる県は一つしかないかもしれませんが、二百万、三百万の外車を使って、身分から一言と総理大臣よりもはでな政治と申しますか行政をやっておる長がたくさん全国にある。こういうことについては、どこが一番関心を持ち、どこが一番これを勧告し、あるいは反省を求める強い立場にあるかというと、それは自治省であります。長崎県のごときも、三百億の予算を組むならば、二百十億か二十億は国から金がくるのでありますから、国から流した金を勝手に使っておるわけでありますから、私は自治省でなければこの地方自治体の監督はできないと思います。極端に申すと、金を流すばかりで、行ってから先は何ぼでも使いほうだいというような姿は、私はよくないと思います。この点自治大臣は、どうか一つ任期中に何か目耳がつくように、ぴしゃっとしたものをやっていただきたいと思います。  それから公営企業ですが、公営企業は御承知の通り、企業の範囲というものに工業用水道あるいはその他自動者運送、地方鉄道、電気ガス、水道と明記されている。ところが長崎県では六億数千万をかけて交通会館というものを今建設しておる。一階はバスの発着所、二階は交通部の事務室、坪十八万円もかかるビルでございます。そうして六、七階を商工会議所に貸して、四階、五階は旅館かホテルにしようとしておったのが、議会でいろいろ抵抗が激しくなりまして、いまだに四階、五階の用途はきまっていない。ただいま建設中でございます。これに自治省が相当な起債を出している。一体どういう建前でこの起債をお認めになって出したのでございますか。この交通会館というのは公営企業ですか。
  147. 松島五郎

    ○松島説明員 申しわけございませんが、詳しい事情をただいま承知いたしませんが、一般的に申しまして、いわゆる地方公営企業法の適用を受けます公営企業のほかに、地方財政法第六条第二項の規定によりまして、特別会計を設けて行なって参ります収益的な事業、たとえば財政法の施行令によりますと、病院でありますとか市場、屠畜場、観光施設というようなものが別途にあるわけでございます。ただいまお尋ねの問題は、おそらくそういった形の、広い意味でいわれている公営企業ではなかろうかと考えております。
  148. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 こういった建物に国が起債を許しておる。これは起債を受ける該当の公営企業、あるいは公営企業でなくして何か別途会計をつくって……。何ですか、どういう意味ですか。
  149. 松島五郎

    ○松島説明員 今申し上げましたように、その事件の内容を詳しく承知しておりませんが、たとえば会館を建設いたしますための起債でございますとか、あるいは観光施設をつくりますための起債でありますとか、その他単独事業に属します公会党あるいはそれに類するようなものの起債でありますとか、そういったものは事業によってそれぞれ起債の許可の道もあるわけでございます。ただいまお尋ねになりましたのがどういう形で起債の申請がされ、どういう事業として許可になっているか、ただいま承知しておりませんので、調査をいたしました上でお答させていただきたいと思います。
  150. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 それでは行政局長にお尋ねいたします。  長崎県がこの二月に予算を編成して議会に提出しておりますが、東南アジア貿易のためのいわゆる県貿易公社というものを設立しようとしておる。御承知の通り長崎県は沖繩あるいは香港、シンガポールといったような貿易ルートがございまして、現在でも、ほそぼそとではございますが、年間五千トンくらいの貿易が行なわれている。この中には三井物産もあれば三菱商事もある、住友商事もあるというように、明治以来の貿易業者が長崎県におりまして、一生懸命貿易で生計を営んでおる。そこに県がこのたび貿易公社をつくって、県で二千万、民間が一千万出して窓口を一本化しておる。この業界への呼びかけに際して、かねて知事に協力するものには呼びかけて、選挙のときに向こうを向いておった人には呼びかけていない。こういうような態度でこの公社をつくろうとしておる。自治省としては、国に公社、公団がたくさんできるというので、ただいま検討中でございますが、そのまねをしておるのかもしれませんが、この知事は大へん外遊が好きでございまして、東南アジアにしょっちゅう行っている。一体回って何をするんだということをときどき言われるものだから、今度は東南アジア貿易公社をつくるということでありましょう。そして民業を圧迫しておる。今日まで父祖伝来の貿易業者がふうふう言ってうめいておる。どうでしょう。われわれは営業の自由を憲法で認められておる。それを県が公社をつくって、貿易は一本に窓口をまとめるんだと言って圧力をかけておる。こういったことを、指導立場にある行政局長は、どういうふうな見方をしておりますか。
  151. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 公社の実態について、金子先生からお話がございましたが、なおよくもう少し承知をいたしたいと思いますが、ただ一般的に申しますと、いわゆる公社というものをあまり乱設いたしますことは望ましいことではない。公社と申しますのは、形は財団法人になっておりましたり株式会社になっておりましたりいたしますが、事実上相当多額の公費を注ぎ込んでおるわけでございますし、それらに対する監督も必ずしも十分でございませんので、そうした形におきまして公費を使用していくということは、必要な最少限度にとどめるべきではなかろうか、このようなことでございます。
  152. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 ただ、自治省立場として、相当な公表を食うから好ましくないということでございます。  通産省の通商局の次長さんにお尋ねしますが、自治省立場からは公費を相当組んだ公社、公団の設立はおもしろくないというような見解指導をなさっておる、こうおっしゃっておるのですが、今度民間の在来の、いわゆる既存業者からいった場合、県がこういうものをつくった場合、一体通産省は今後どういう指導をおやりになるか。
  153. 宮本惇

    ○宮本説明員 公社の構想自体がまだはっきりいたしておりませんが、承るところによりますと、PRとか宣伝をやるということ、もう一つは輸出入を直接主やりになるという御構想があるようであります。御承知のように貿易は全部自由、だれでもできるという建前でございまして、かりに県がそういうことをおやりになるということになりますと、既存の貿易業者に対する民業圧迫という問題はたしかに出てくるかと思います。ただむしろ地方財政法、地方自治法の建前から、そういうことができるかどうかという御判断は、これは自治省の御見解でございますが、ただ三千万円でどの程度の商売がおできになるか、あるいは一手買い取りをなさるのか、そういうことが現実の問題として相当出てきて問題があると思いますし、実は他の県にもそういう例がございませんので、もう少し実態を検討させていただきたいと思います。
  154. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 どうでしょうか、大臣、この知事は最近東南アジアと香港に行って、何かあちゃさんからずいぶん歓迎を受けたわけですね。僕ら、あちゃさんと言いますが中共人ですね、いわゆる華僑ですね。おれが帰ったら一つ県にこんなものをつくってやる、おそらくそういう約束をして帰ったんだろうと思う。思いつきでこういうことをやられて、全国に例もないような貿易公社を県につくる。一千万か二千万の金で何ができましょうか。あまりにも常識を逸脱したことじゃないか、これについて大臣の政治家としての御見解をお述べ願います。
  155. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 私は、長崎県の知事さんは見たこともありません。おつき合いをいたしたこともありませんが、もしお話が事実であるとすれば非常なアイデアマンである、私はそういうふうに考えております。そのアイデアというものが、非常に常識的である場合、あるいは非常に先覚者的なものである場合はけっこうでありますけれども、独走的なものになってくると、いろいろな波紋が起きるのではないか。ただいまの公社の問題は、県自身が営利事業を行なうということは、もちろんこれはできないと思います。しかし長崎県の貿易を伸長させるためにPRの仕事をする、あるいは従来民間で足りなかった部分を新しく公社に出資いたしまして、別な人格において長崎県の貿易というものを伸ばすということになれば、これは法律上違法でないのでありまして、とめるわけにはいかない。知事さんのおやりになっていることが行き過ぎであるか、あるいはまた非常にいい意味のアイデアマンであるかということは、むしろ自治省よりは県民が判断をいたしまして、そうしてそれに対する批判のチャンスというものは県民に与えられておるのでありますから、そういうときに十分判断をしてもらわなければなりません。多くの県民が、多少の行き過ぎはあるけれども、この考え方は非常に貴重であって、将来長崎県の発展のためには、ぜひこういうアイデアを出してもらいたいというような場合には、県民が支持いたすでありましょうし、その実態が、その考え方が知事さん自身にとって非常にりっぱな考え方であると信じておられましても、社会の通念あるいは長崎の実際の実情から見て不適当ということであれば、これはもう聰明なる長崎県の県民諸君に御判断を願う、また自治省として監督すべきものがあれば監督し、アドヴァイスを与えるべきものがあれはアドヴァイスを与えることに決してやぶさかではございません。おっしゃるようなそういう問題につきまして、まだ自治省として調査しておらないわけであります。行き過ぎがありますればいつでも、法令になくても、自治大臣としては好意的なアドヴァイスを与えることにも私はやぶさかではありません。
  156. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 貿易が自由化されまして、かりに県に公社ができても、自由に既存の業者はやってもいいことになっておりますけれども、長崎県は先ほどから申し上げております通り、さいはてでございまして、今でも知事を閣下という人がおるのでございますから、知事さんがやることに一言でもお気に召さぬようなことを言ったならば、あとがひどいということで、泣く泣くついていかざるを得ないようなのが長崎県の実情でございます。従って、こういうさいはての県のようなところにこういったことをやっておる場合は、大いに関心を持って、一つ自治省の方でも行き過ぎではないかといったような注意をお与えになっていただくことが、私は地方住民をほんとうに救う意味から――私のところにたくさん陳情がきておる。これを長崎で騒ぐとにらまれて何かやられるから騒がれない、何か自治省一つ何とかこういうものは行き過ぎだという見解のもとにやめさしたらどうだという陳情が、どんどんやってくるわけで、私はやはり住民の意思を尊重して皆さんの御意向を伺っておるのでございますから、どうか一つ大臣、そういう政治的御配慮を多分に時って、行き過ぎなものは行き過ぎとして、アイデアマンか何か知りませんけれども、正しい御指導を願いたいと思います。
  157. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 地方自治団体に行き過ぎがあっていけないごとく、自治大臣にもまた行き過ぎがあってはまずいわけであります。そういう意味におきまして、地方の自主性というものをあくまでも尊重しつつ、なおかつ目に余るものがあるということがありますれば、これはやはり指導官庁でありますから、適当なる助言をするにはやぶさかでない、こういうふうに申し上げたのであります。
  158. 金子岩三

    ○金子(岩)委員 終わります。
  159. 永田亮一

  160. 中村重光

    中村(重)委員 時間があまりないようでありますので簡潔に要点をお尋ねしますが、一つ大臣も、率直に御意見を伺いたいと思いますので、お答えを願います。  いろいろ今金子委員から御指摘もございました。私もまた関連をいたしまして先ほど局長にお尋ねをしたわけでありますが、今金子委員と大臣との間にいろいろと質疑が行なわれたことは、やはり私は地方自治体の健全な姿というものがないところにそうした幾多の問題点が起こってくるのではないか。知事のアイデアといったような問題は、これは知事一人の問題ではないのであって、そのことはやはり地方住民の福祉に大きな影響がある。財政的にもその他経済的、社会的ないろいろな面において私は現われてくると思う。その点からいたしまして、自治省といたしましては重大な関心を持って対処される必要がある、このように考えます。そこで、大臣は公安委員長もしておられるわけでありますが、特に地方自治体のあり方ということに外しまして関心を持っておられるという点からお尋ねしますが、今よく地方で選挙が行なわれる際に、中央に直結する県政あるいは市町村政、そういうことがよくアイデアとして取り上げられている。率直にいって、これは自民党が選挙の際にそれを一番使うのであります。中央に直結する都道府県政というものがアイデアとして出て参りますと、今度は市町村長の選挙では、県に直結する市町村政というようなことまで最近は出て参りまして、もう全くこのことは私は地方自治の健全な発展の上に大きな禍根を残す結果になるのではなかろうか、こう考えます。結局は時の権力者、いわゆる自民党が政権を担当しておる現在において、知事も市町村長も、自民党の公認の知事を、市町村長を当選せしめるのでなければ当該自治体の財政の安定もあり得ないし、地方住民の福祉もあり得ないのだ、こういう考え方が出てくるわけであります。そのことは私は政治を大きくゆがめる結果になるのだ、地方自治の健全な発展を阻害することになるのだ、このように考えるわけであります。自治大臣としてこれらの点に対してどうお考えになられるか、まずその点を端的にお聞かせ願いたいと思います。
  161. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 地方選挙にあたりまして、中央に直結したる市町村長あるいは知事という、そういうスローガンが行なわれておるかどうか、そういうことになりますと、私はあまりそういうことを聞いたことがありません。しかし、そういうことを言っている人もあるようであります。まあこれは選挙でありますから、一つの何と申しますか、キャッチフレーズといいますか、として、片一方が言えばまた一方の方では、何も悪いことをしてなくても、反対党は悪いものだというようなまた宣伝も、お互いにそういう勝手なことを申しますか、自分たちに都合のいいようなことを言って選挙に勝とうとしておるということが、現在の実情ではないか。実際の国の政治といたしましても、行政といたしましても、そういうどっちか一方につかなければ損をするとか、どっちか一方についたならば、得をするとかいうような不公平な政治あるいはまた行政はいたしておらないわけであります。たまたまそういうことを言われる、勝つために言われる候補者があるかもしれません。それは私は選挙民の判断に待つべきものである、こう考えております。
  162. 中村重光

    中村(重)委員 そうした中央に直結する県政、こういうことで時の政権を構成している政党、その政党に所属する知事を選び、市町村長を選ぶというのでなければ、地方住民の発展ははかり得ないのだ、地方自治体の財政の確立はあり行ないのだという、そのことは、自治大臣としてはそういうことではない、地方自治というものは憲法に一章を加えられており、また地方自治法によって画然としておる。従って財政的な問題あるいは地方住民の福祉というものは、その法律にのっとって誤らざる行政を行なっていくならば、どの政党に所属しようとも、それがいわゆる政党知事であろうと無所属の知事であろうとも、あるいは市町村長であろうともその点は全然変わるものではない。こういう考え方、確信を自治大臣は持っておられるかどうか、その点を伺っておきたい。
  163. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 少なくも自治省が行なっております起債であるとか、あるいは交付税であるとか、あるいはまた地方特別交付税配分であるとかというようなことは、そこの自治団体の長が、社会党であろうか自民党であろうかというようなことによって、区別はしておりません。ちゃんとした一つ方式がありまして、その方式に従って、その方式に当てはまるものについては、交付税もあるいは特別交付税も起債も配分し許しもするという方式をとっております。
  164. 中村重光

    中村(重)委員 時間が三十分程度ということなのでやめたいと思いますが、この点に対しては自治大臣の強い監視と誤りない指導を強く要請をいたしまして、また別の機会にさらに突っ込んで御質問いたしたいと思います。  先ほど金子委員から、長崎県長崎市の東長崎町編入の問題に対しましていろいろと質疑が行なわれたわけであります。私も局長に事務的な問題を中心といたしまして質問いたしましたので、あとは簡単にお尋ねをいたしますが、今私が質問いたしましたようなそのことが、やはり中央に直結する県政といったようなことで、知事が県内の市町村に対処する場合に、そういう最も悪い面を利用するというような点が起こってきておる。その弊害の一つがこの東長崎町の場合にも現われたということを私は否定できないと思う。かつて私は、峠議会に席を持っておりました。そのときの知事は今の知事ではありません。副知事でありました。自民党の支部を県下につくらせる際に市町村長に、支部長になれ、そして支部をつくれ、それでなければ便宜をはかってやらないのだ、こういうことで圧力をかけて支部をつくらせるというようなことを実はやっているのです。それから御承知の通り国民は請願の権利を持っているわけでありますが、その際に、自民党の県会議員の署名でなければ、紹介でなければ受け付けない。社会党の議員が紹介人になっておったならば、それを受け付けない、こういった圧力をかけるというようなやり方が行なわれた例が実はあるわけです。県の恥になりますからこれ以上私は申しません。束長崎町の場合も、この新聞に見られるように、「知事のハラ次第」「裏に感情のもつれ」、これは二月一日というめどをつけて実は申請をしておりましたので、それがだめだということで「寝耳に水の地元」と書いてある。これは決して赤新聞ではなく地元の有力な新聞であります。いかにこの東長崎町の編入問題が、県民の大きな関心となっておるかということは、これを見ても明らかであるわけであります。  そこで具体的な問題としてお尋ねをいたしますが、編入の時期に二月一日というめどをつけて決議をし申請をしておるわけでありますが、さらにまたそのめどに合うように知事が議会に提案をし議決をしてもらうように要請をすることは、当該の団体としては行き過ぎであるのかどうか、越権行為であるかどうか、その点を伺っておきたい。
  165. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 当該市町村が合併の希望の日にちを申しまして、その日にちまでに間に合うように知事の処分を求めますことは、常識から言うてあたりまえのことだろうと思います。
  166. 中村重光

    中村(重)委員 実は権議会におきまして、めどをつけて申請をする、二月一日に編入の議決を承認しろなんということは越権行為だ、こういったような態度で臨んでおるというような事実がございます。それから合併とかあるいは編入をする場合に、選挙というものが非常に影響してくるわけでございます。自治省としましては、これら合併、編入にあたって、それらに前後して行なわれる選挙の場合には、どういったことが好ましいというような一つ指導方針というものがあろうかと思うのでありますが、どういった指導方針をとっておられるか、その点を伺っておきたいと思います。
  167. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 特に選挙の時期とからみ合いまして、どうした方がいいとか悪いとかというようなことは、自治省といたしましては指導もいたしておりません。長崎の場合だけでございませんで、今ほかの県におきましてもいろいろ合併がございますが、格別の意見は持っておりません。
  168. 中村重光

    中村(重)委員 市を、ある町村を編入するということがありますね、そうして編入の時期によっては、かりに選挙直後に編入されたということになりますと、その地域の住民の意志を代表する議員が議会に出てこないということになって参ります。県議会の場合になって参りますと、地域が広くなって参りますから、必ずしもその町の地元の代表を当選させなくても意思は反映できるということになりましょう。市町村長とかあるいは市町村会議員という場合は、確かに私が申し上げたような例になろうかと思います。そういったようなことから、やはり合併編入と前後して行なわれるような選挙の場合には、できるだけ住民の意思が議会に反映されるような形において行なわれることが望ましいといったような一つ指導方針があるのではないか、こう思ってお尋ねしたのでございますが、そうしたような指算方針は別にありませんか。
  169. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 その辺のことは、それぞれの当該団体の具体的実情に即して判断されて決定されるべきでございますので、私どもとしては干渉がましいことは避けるようにいたしておるわけでございます。
  170. 中村重光

    中村(重)委員 大臣にお尋ねいたします。これはわかり切ったようなことでございますが、非常にゆがめられておる点がございますので伺ってみたいと思います。  都道府県知事が市町村に対処する場合、あたかも上級機関であるといった考え方をもって、市町村に対して君臨するような態度、指令――これは長崎県の場合だけを私は言うのではありません。非常に誤った認識のもとにそういう低度をもって臨む、さらにまた住民に対してもそういった高圧的な態度でもって臨むといったような傾向が非常に多いのでございます。この東長崎町の編入の問題等はその典型的なものであると私は考えております。先ほど私が申し上げましたように、当該の議会が満場一致これを議決し、申請をしているのに対して、県がいろいろな理由をもってこれを引き延ばし、さらには当該の議会に対し、あるいは当該の長に対して、県の方針を説明するのではなくして、みずから現地に臨んで、現地の住民を集めて、これに対して説明をするというようなやり方というものが行なわれておる。この点は先ほど局長に質問をし、自治省としての見解を伺いましたので、このことに対しての答弁は私は求めません。ともかくそういったようなことで、住民の意思というものを特定の感情によってじゅうりんをしている。こういう態度は厳に戒めなければならないと私は考えます。  そこで自治大臣は、児は市町村に対してどういう態度で臨むべきであるか、また住民に対してはどのような態度で臨むべきであるか、そのことに対して、いわゆる地方自治の基本にのっとって大臣の見解一つ伺いたい。
  171. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 知事がすべての問題について、市町村に対して監督権を持っているわけではありません。しかし問題によっては、知事の監督に属するものもあるわけであります。しかし監督権を持っておるか、持っておらないかということは別といたしまして、また知事であるか、大臣であるかは別問題といたしまして、すべて高圧的な態度で人に臨むということは、これはそういう役職の関係というよりは、人間として最もよくないことだ、そういうふうに考えます。御承知の通り、今日の社会は、民主主義の社会であります。憲法によってお互いの人格というものが尊重されている。それを一個の人間が他の人間に向かって、あたかも優位にあるかのごとき態度で臨むということは、これは許されない。憲法の建前からも、民主主義の建前からも、許されないということは当然であります。ただ、いろいろなケースによりまして、たとえば町村から申請した場合でありましても、何らかの行政上の理由によって、それを直ちに県議会にかけないとか、あるいは調査の期間を置くということは、私はあり得ると思う。しかしその場合でも、気に食わないからとか、感情的な立場においてやるということは、これは行政官としても絶対に許されないことである、こういうふうに考えます。長崎の場合がはたしてそれに当てはまるかどうかという問題は、これは率直に言いまして、そういうことがあると思いますが、やはり反対の方からの一力的なお話だけでは、私たちすべてを丸のみにしてこれは悪いのだと言うことはちょっと私たち立場から言いにくいのです。しかし実情を調べまして、ほんとうにあなた方のおっしゃる通りであれば、先ほど申しましたように、忠告するにやぶさかではありません。
  172. 中村重光

    中村(重)委員 自治大臣、私はあなたの言葉じりをとるわけではありません。反対の側から、反対の側の言うことを取り上げてという言葉は、あなたの答弁としてはどうですか。私は知事に反対であるといったような態度で臨んでおるのではありません。地方自治のあり方はどうなんだ、県はどういう態度をもって市町村に対処すべきであるか、市町村長は、市町村の議会の議員は、地方住民に対してどういったような態度で対処し、また地方自治の運営をやるべきであるか、これに対して自治担当大臣としての考え方はどうなのか、こういうことを私は質問しておる。そして私は、赤新聞ではありません、地元の有力な新聞にも、こういうことが書いてあります、こういうことで、さきにあなたにこれを見せて申し上げている。根拠のないことで申し上げたのではありません。さらに私は地元の長崎県の恥はなるべく言いたくはない。こういうことで、私はできるだけ一般的な問題として申し上げております。しかし現実に起こっておるこの市の偏人の問題、新聞に書いてある通り、知事の腹一つ、腹次第によってこの編入の問題が左右されるなんということが、民主主義の時代においてあり得ることであるかどうか。しかも、先ほど金子議員は、県議会の議事録をあなたに朗読をして申し上げた。しかも内容的には、これをさらに具体的に書いたような知事との質疑応答である。私もここに議事録からの抜粋を持っている。佐藤知事は県議会の答弁で、二月一日に合併をしなくても天下がひっくり返るわけではない、選挙のどさくさに合併はできない、長崎バイパス建設促進のための編入など、ナンセンスだ、今議会に出せというのは議会の越権行為だ、こういうことを言っている。私はこれを議事録から写している。なるほど知事は自民党の公認の知事であります。しかし、私は少なくとも国会議員という立場の上に立って――私の地元にこういった非民主的な、高圧的な、でたらめな権政が行なわれている。しかも町村合併というのは、知事は単に経由する機関である。実際は、内閣総理大臣がこれを決定するというような形のものである。この内答等からいたしまして、自治大臣は――単なる自治体の自治の姿ではない。ほんとうはあなたが担当大臣として、最も重大な職責を持っているものである。こういう考え方から、特にこの委員会において私は発言をいたしておるのであります。反対であるから、反対の意見を聞いて、これに対してどうこうというようなあなたの答弁は、私は不都合だと思う。あなたの御見解を伺いたい。
  173. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 知事が自民党の公認であるからとかないからとかいうことによりまして、私は知事の言動を擁護したりあるいは非難をしたりしようという考えは毛頭ありません。先ほど私がまあアイデアマンと申し上げましたが、いろいろなアイデアをお出しになる方であるというふうには受け取ります。それからまた、今の速記録というものが、速記録、なまで見していただいたわけではありませんけれども、それが事実であるとすれば、その答弁には非常に行き過ぎがあるということを私は認めます。ただ私が申し上げましたのは、国会の委員会における答弁としてはちょっと行き過ぎだったかもしれませんが、知事の業績、言動に対して、今いろいろな御質問、あるいは中には非難もあるわけであります。それを述べておられるあなた方は、もちろん非常に公正な立場においてお述べになっていらっしゃるわけであります。新聞も、お見せになったように、公平に書いている。ところが、私が、それに対してどういう考えを持っておるかということを――国務大臣としてこれに対して判断をする、言いかえれば判決をする、国会においてやるということは、これは非常に重要な責任だ。またその波紋も非常に大きいわけです。そこで私は、もし判断をするならば、知事の側に立つものも反対の側に立つものも、両方の意見を開き、またその事情を調べてでなければ何とも言われないということを言おうとして、言葉が足りなくて、反対の方の御意見だけでは何とも申し上げられない、こう言ったのであって、いろいろ聞いておりまして、われわれの方にもそれほどの監督権限はあるわけではありません。しかしこれを自治省だけのいろいろな処置等に期待されることは、私は少しこれまた行き過ぎではないか。それほどの横暴があり、それほどの行き過ぎがあり、またあなた方がそれほど憤慨されるに足るほどの高圧的態度があるとするならば、やはり県民に訴えて、県民の責任においていろいろお考えになるということが当然であって、自治省だけの指導によってその改善を期待されるということは間違っているんじゃないか、こういうふうに、少し言い過ぎかもしれませんが、率直に申し上げます。
  174. 中村重光

    中村(重)委員 あなたは私の質問を非常にゆがめておとりになっている。私は佐藤知事の名前は――今ここで佐藤知事ということは、議事録の写しとして読んだときに初めて使いました。あなたは金子委員質問と私の質問と混同しておられる。私は、あとで速記録をお読みになったらおわかりでしょう。一口も非難をしておりません。県議会のこういうあり方が適当であるのかどうか、県議会の行政のあり方について事実をあなたに申し上げておる。しかもその事実は、新聞を見せもし、あるいは譲与録も示し等々して申し上げている。しかも私は、長崎県ということじゃなしに、できるだけ一般的な問題という形で、自治体の中において非民主的な政治が行なわれておるのではなかろうか、私はそういうことを憂応ずるあまり、正しい地方自治の確立を、そして地方住民の福祉をはかるような地方自治の政治が行なわれることを期待したいために、実は延段的な発言として申し上げておるつもりであります。それをあなたが誤られて、いかにも私が体藤知事を非難、誹謗をして、個人的に何かの感情があって私が指摘するかのごとくあなたが受け取られて、そういう答弁をされることは、大へんな間違いを犯していると私は思う。少なくとも神聖な国会の委員会の席上において論議される議論においては、あなたは自治大臣として、今あなたの答弁に対して取り消しができなければ、十分あとで速記録をお読みになって反省をしてもらいたい、そして誤りない指導をしてもらいたい、このことをあなたには強く申し上げたいと思います。
  175. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 あまり時間が長くなりまして、質問もずっと継続してされておりますので、あなたがどこからどこまでおっしゃって、まただれがどこからどこまでおっしゃったか、それほど明確なる区分を私は頭の中でしているわけじゃありません。しかし先ほど申しましたように、いろいろな面において私も知ったわけであります。知ったわけでありますけれども、しかしまたあなたがたの御質問も、ほんとうに長崎県を憂え、そうしてまた県を民主化するための愛情と誠意から出たものであるということを疑っておりません。僕自身があなた方と論争をするとか、一方的に公認候補の知事であるからかばうとか、そういうしみったれた考えも私は持っていない。ただ速記録を調べて取り消すまでもなく、私の受け取り方にも何か行き過ぎがあったか、あるいはしゃべったことにもあったかと思います。反対の立場からではと言ったことは確かに質問の意に沿わなかったことと思います。速記録を取り調べるまでもなく、そういう点は行き過ぎであったと認めます。
  176. 中村重光

    中村(重)委員 わかりました。実は私は先日、長崎県佐藤知事と佐賀県知事を石炭委員会に参考人として出てもらいました。ある委員からものすごく佐藤知事は攻撃されて、私はむしろこれをかばう側に回った。やはり長崎県地元の知事であり、いかにそれが反対党の公認の知事であろうとも、長崎県民として、長崎県の県政の上に誤りないことを私は願うのであります。現に私の地元中の地元に起こっているこの編入の問題、しかも何も住民の間には問題はない。編入される側も編入する側も満場一致、しかも四十万近い長崎市は隣の一万六千の東長崎町の希望をいれて、そして一緒になって発展をはかっていこうという純真な気持の表われであります。全くけちな考え方はありません。そういうことから起こってきている純真な住民の希望が、特定の感情によってゆがめられるということになってくるならば、これは地方自治の破壊に通じる、そういうことから私は先ほど来質問をし指摘をしたのであります。そこで時間もございませんから、あえて答弁は求めません。どうぞ一つ実際の実情を調査されて、地方住民の福祉と地方住民の意思が十分満たされるように、特段の自治大臣の配慮をお願いいたしたいと思います。いろいろ最後に論争しまして、私の申し上げたことに行き過ぎがありましたならば、私もその点は取消しますが、ともかく自治大臣として重要な職員を誤りなくすみやかに果たしていただきますことを重ねて要請をいたしまして、私の質問を終わります。      ――――◇―――――
  177. 永田亮一

    永田委員長 次に、警察に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。湯山勇君。
  178. 湯山勇

    湯山委員 私は、以前に衆議院において請願が採択されまして、なおこの委員会でも問題になりました古川寮という警察寮の問題について、若干お尋ねを申し上げたいと思います。あるいは大臣は詳しいことをお開きになっていらっしゃらないかと思いますから、ごく簡単に経緯を申し上げますと、古川シンヨさんというお婆さんが、子供さんが溺れてなくなったときに大へん警察の世話になった。それが昭和十八年であったかと思います。その後昭和三十一年に、それらに報いるために、当時住宅がありませんでしたから、警察に寮をつくって寄付をいたしました。これが昭和三十一年の一月の二十日で、そこで一月の二十日に財団法人古川家後援会というものをつくって、そして二月二日に設立の登記をして、三月の二十一日に落成式をした、こういうことでございます。そして、その功労によりまして、三十一年の十二月の五日に紺綬褒章を受けました。ところがその後、寮に入っている警官との間に多少感情的なものがあったり、いざこざがありまして、警察の方で始末書を書かした。その始末書も、本人の了解のない始末書が出たり、いろいろしまして、問題になりました。さらに昭和三十二年の九月には、これに伴って暴行傷害事件もございましたし、警察の方の行き過ぎも相当ございましたし、その寮を記念するための記念碑を、三十三年の七月には、これも警察の人が勝手にはずしていって、川の中へ捨てた、そういったようなこともございました。これは、今申し上げておるのは、そういう警察の非難をしているわけじゃないのです。ですから経過としてお聞きおき願ったらいいと思います。そこでこの古川シンヨさんは、いろいろ警察と懇意なものですから、そういったものについて抗議もしたりいろいろしたわけですけれども、それは非常に繁雑だということで、三十三年九月の二日に維持財団の解放登記をしたわけです。その解散の趣旨は、この財産は寄付者である古川シンヨさんに贈与する、つまり返すという内容の解散登記でございました。そうしてその翌年の三十四年二月には、その清算が結了した、こういう登記をしております。  問題はここから起こってくるわけでございます。その清算結了の登記というのは、設立者である古川シンヨさんに寮を返したことによって当然清算は結了すべきであるにもかかわらず、その古川シンヨさんというのはこれを受け取っておりません。受領していないのです。つまり受領していないままで三十四年の二月十二日に清算結了登記がなされております。そしてその後、法務委員会でも問題になり、当委員会でも問題になり、請願の採択が行なわれまして、結局この浩算結了登記及び解放盗電は錯誤であった、間違いであったというので、これが抹消されたのが昭和三十七年の三一十日でございます。つまりその清算結了登記がなされてから、今のその登記は誤った登記であったというので抹消されるまでの間に、約三カ年の日時が経過しております。この間が問題なのですが、その間に、当人の言によりますと、あるいは特定の個人あるいは地元の自治体がこの古川寮を入手する、あるいは入手したというような登記がなされたとか、あるいはそういう決議がなされたとか、ずいぶんそういうことは人々の口の端に上ったようでございます。つまり、実質的には清算が終わってないものを終わったという登記をして、そのまま三年以上経過した。受取人はいない。そこでこれは町がもらうのだとか、だれそれがもらうのだ、買うのだとか、そういうようなことがずいぶん言われて参りました。  そこでお尋ねいたしたいことは、この三十四年の二月の清算結了登記から三十七年の三月十日までのこの間、どういう形で清算結了しておったのか、その間の所有権はどこにあったのか、これは一体どういうことになっておったのか、一つ御答弁を願いたいと思います。
  179. 浜中英二

    ○浜中説明員 ただいま御町質問の、古川後援会を解放いたしまする際に、その財産を古川シンヨさんに差し上げるということで解散の手続をいたした次第でございますが、そのときに古川氏が、これをお受け取りになりませんでしたために、結局清算の登記だけはいたしましたものの、実際の財産はいわゆる宙ぶらりんのような形になってしまったわけでございます。そういう意味におきまして、その登記が非常に瑕疵のある登記であるということで、再び復活をいたしたわけでございますが、その間の所有権がどこにありましたかということにつきましては、登記面では依然として財団法人の古川後援会の所属として残っておるわけでございます。従って、これは手続的には非常に中途半端な存在であったわけでございます。従いまして、その間にその財産をめぐりましていろいろな動きがあるいはあったかもわからないのでございますが、われわれといたしまして承知いたしておりまする範囲では、そのようなことはございませんで、形式上はあくまでも法人のものとして登記面に残っておるというように承知いたしております。
  180. 湯山勇

    湯山委員 清算結了登記というのは、具体的に財産が清算されなければできないはずでございますね。ですから、何らかの形で清算をしなければ、実際にはその発記ができないはずなんですから、宙ぶらりんのままで清算結了の登記をするということは、常識があれば考えられないことなんです。そこで、何かそこにあったのじゃないですか、何かあったということは考えられないですか。
  181. 浜中英二

    ○浜中説明員 清算いたします場合、財団法人の側といたしましては、当然に古川氏に御受領いただけるものというふうに考えておりましたし、またほかの人にそれを売り渡すとかいうようなことは、毛頭考えておらなかったのでございます。従って、古川氏がこれをお受け取りになれば、当然に清算が結了するものという前提に立って手続を進めましたために、このような結果になったのでございまして、ほかに何らの他意はございません。
  182. 湯山勇

    湯山委員 お尋ねしておるのは、実際には清算結了にならないわけです。これが全くのしろうととかそういう人ならば別ですけれども、よく法律もわきまえている人たちがそういうことをするということは、ちょっと考えられないと思います。それは非常に問題になる点だと思いますけれども、その間に今の空白であった、宙ぶらりんであったという三年ばかりの間に、いろいろな動きがあったということはこれはお聞きになっておると思うのですが、どういう動きがあっただろうというようなこと、あるいはあったというようなことをお聞きになっておれば、それを一つお述べ願いたいと思います。
  183. 浜中英二

    ○浜中説明員 私どもの承知いたしておりまする範囲では、そういうような動きというものは全く聞いておりません。従ってまた、そういう事実も突きとめておりません。そういうような動きはなかったように承知いたしておりますけれども、あるいはわれわれの知らないところにおきまして、そういうようなことが若干起こり得たであろうということは推測にかたくないとは思っております。
  184. 湯山勇

    湯山委員 つまり土地は町から払い下げになったもの、それから建物は今のように古川さんが寄付した。ところがそれが宙ぶらりんになっておるのですから、これはだれでもそれには日をつけるはずです。そういうことでこのまま置けば町のものになる、あるいはこれが特定の個人のものになるというようなことで、三年間もそういうものが荒れたままで人が住まないであれば、そういう動きが出てくるのは当然ではないかと思いますが、その辺の御判断はどうなんでしょうか。
  185. 浜中英二

    ○浜中説明員 先ほど来何度も申し上げますように、そういう動きにつきましては全く承知をいたしておりません。
  186. 湯山勇

    湯山委員 出てくる可能性は。
  187. 浜中英二

    ○浜中説明員 可能性は、御指摘通りあり得たことと存じます。
  188. 湯山勇

    湯山委員 私もその点についてはいろいろ調べてみましたが、今のところそういう事実をつかむに至っておりません。そこで御本人としては、その間他人の所有になっておった、そういう登記があるということを確信しておられるようですが、それはいかがなものですが。
  189. 浜中英二

    ○浜中説明員 この点につきまして、御本人がその財産が第三者の方に移ったのではないかという御心配をされておるというようなお話も聞きまして、現地に連絡をとりまして、県本部の監察係が、松山の地方法務局の伊予出張所に出かけまして、登記簿を閲覧したのであります。その結果、発記簿上は古川寮の土地処物は財団法人の古川寮建設後援会の所有であることに間違いはございません。原簿につきまして所有者として登記されておることを確認しておるのであります。即日警察庁にもその謄本を添付して送付して参ったのであります。その謄本は私がここに持っております通りであります。これをごらんいただければ……。   〔発言する者あり〕
  190. 永田亮一

    永田委員長 静粛に願います。
  191. 湯山勇

    湯山委員 今の点は、その間の動きから非常い納得しがたい点があると思います。そこでこの点については最高の責任者であり、公安委員長でありまする篠田自治大臣から、一つ明確にしていただきたいと思います。
  192. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 私は実はこの問題は、何も前からよく知っておるわけではありません。はっきり申しますと、この問題が地方行政委員会で質問されるということで、事務当局の説明を聞いたわけであります。それによりますと、ここに登記謄本がありますが、これは人事課長の言っておることと何ら違いはありません。   〔発言する者あり〕
  193. 永田亮一

    永田委員長 静粛に願います。
  194. 湯山勇

    湯山委員 それでは重ねてお尋ねいたします。そこで経緯は以上の通りです。官房長にお尋ねいたしたいと思いますが、こういう事態ですから、この所有権について、今の財団法人以外から所有権を主張する、あるいは所有権を行使する、そういうものがあった場合には、当然法に照らして、それは処置されなけれ、ばならないというように思いますが、これはいかがでしょうか。
  195. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 この問題は、古川さんが非常に厚意のあまりにできた寮でございます。従って、当初のその目的に沿って、円満に話し合いができるということを私は一番希望いたしておりますし、また私どもは、できる限度の協力をして内面指導をいたしたいと思います。従いまして、この財産は、円満に解決の上は、現存後援会の所有になっておりますので、やはりそのまま後援会のものとして、所川の目的に沿うように運営せられることが望ましい、こう考えております。またかりにこれが途中の解放決議等にありますように、もとに復するということであれば、ただいま御質問がございましたが、第三者にこれが渡るということは考えられない。当然これは古川さんに帰るべきものである、こういうふうに私は考えます。
  196. 湯山勇

    湯山委員 お尋ねしておるのはこういうことなんです。今のような大臣の御見解があったわけで、そうするとこれについて第三者が所有権を行使する、ないしは所有権を主張するということは間違いだ、もしそれによって所有権を行使して、いろいろ損害を与えるというようなことがあれば、これは当然法に照らして処置されなければならない、こういうことではないかということをお尋ねしております。
  197. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 おっしゃる通りでございます。現在の所有権ははっきりいたしております。
  198. 湯山勇

    湯山委員 今度人事課長にお尋ねします。そこで万一今言っているようにその三年間のブランクの間に、あるいは登記されたかされないかは別として、されておった。そういう登記があったということになれば、それは当然取り消されなければならない、そういうものであると思いますが、その点いかがでしょうか。
  199. 浜中英二

    ○浜中説明員 お説の通りでございます。
  200. 湯山勇

    湯山委員 官房長にはいかがですか。
  201. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 人事課長の答弁の通りでございます。
  202. 湯山勇

    湯山委員 それでは委員長、もしそういう事態があれば、これは取り消すということで、次の質問に移ります。  この古河寮をつくったときに、へいをつくる予定地がありました。そこへ隣家の方が何か家の拡張をされまして、五寸ばかり侵入している。そのためにへいができないというようなことがあるのですけれども、これはもしほんとうに侵入しておるのであれば何かしなければならないのですが、どうなんでしょうか。
  203. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 御質問通りに、事実所有権を侵しておるということであるならば、当然措置をしなければならないと思います。問題は実際の調査が先だと思います。
  204. 浜中英二

    ○浜中説明員 官房長の御答弁申し上げた通りでございます。
  205. 湯山勇

    湯山委員 それから寮が長く荒廃しておりましたために、ずいぶんガラスも破れておるし、記念碑を投げ込む前後に電灯設備みな壊しております。それから人が住めるような状態になっていない。せっかくコンクリートのりっぱな建物ですけれども、こういうものは維持財団等で当然修理をしてもとの通りにすべきものだ。警察庁の方でも、これについては責任もある程度あるわけですから、前の長官もそうだし、官房長も警察側にも遺憾の点があったということを認められておるわけです。そういった面については当然警察庁としても努力されなければならないと思いますが、その点いかがですか。
  206. 浜中英二

    ○浜中説明員 法人の所有権の問題につきましてお互いの誤解が解けまして、円満に話し合いがつきまして寮がめでたく再建されるという段階になりますれば、法人といたしまして当然そのような修理をいたすことと考えておりますので、その点につきましては御懸念がないことと存じております。
  207. 湯山勇

    湯山委員 今御答弁いただいたように、たとえば三年間の空白の時代に万一他の人に登記になっていたような場合は、当然取り消さなければなりません。今の寮の修理等の問題、そういうものが片づけば、設立当時の状態に帰ると思います。外部は別として質的には……。  そこで大へん大事なのは、川へほうり込まれた記念碑を取り戻さなくてはなりません。そのときに当人の希望では、ぜひ最初紺綬褒賞を申請してもらった、現在千葉の本部長をしておられる上川さんに来てもらいたいという希望があるのですが、これはせっかくの希望だから、そういう段階がくればぜひかなえてもらいたいのですが、これはどうでしょうか。
  208. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 本人の意思を確かめて善処いたしたいと思います。
  209. 湯山勇

    湯山委員 善処でなくて、本人はそういう命令権はないのですが、本人にそういう意思があれば、ぜひ行ってほしいというくらいのことは言えるわけでしょう。
  210. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 本人の意思がそういう考えであれば、その通りしなければならないと思います。
  211. 湯山勇

    湯山委員 それではきょうは大へん時間的にもおそくなって、委員長もまた御用もおありのようですから、これで一応終わりたいと思いますけれども委員長、今大臣からも御言明のあった登記の件でございますが、私も確認しておいたわけですが、そのことが明確になれば、議事進行上、私質疑を終わりたいと思いますので、先ほどの大臣の御答弁をもう一度、一つ政府委員の方から言っていただいて、委員長、それを御確認願えれば、それでけっこうだと思います。
  212. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 土地、建物の所有権につきましては、これは登記謄本にございますように、古川寮後援会所有のもので、絶対に町なり、あるいは他の個人なり、第三者に移っている事実はございません。
  213. 永田亮一

    永田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二分散会