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藤井政府委員 今回、従来の任意検定制を強制検定にするということで、検定
制度に改革を加えたいというふうに考えておりますのには、いろいろな
理由があるわけであります。
根本的には、申すまでもないことでございますが、今あげましたような
消防用機械器具等は、いずれも人命、財産に重大な
関係を持っておりまする特殊ないわゆる保安用具といわれるものでございまして、本来これは任意の検定というものでなくて、強制検定にむしろなずむものではないかといわれるものでございます。と申しますのは、これらの
消火器自体を例にとってみますと、これは火事が起きた、火事が起きそうだというときにおいてのみ使用されるものであって、普通の場合、常時使用されるというものではないのであります。その
消火器の品質なり、機能なり、または安全性というもののいかんは、直ちに人命、財産の安全に重大な影響を及ぼすものでございます。一たん火事が
発生をし、そのために備付の
消火器というものを使おうとしたけれ
ども、それが動かなかった、そのために大事に至らしめたというようなことになっては大へんであります。また事実今までも、
消火器自体が作動の最中に破裂をしたということによって、直接けが人を出したということも例がございます。特に
避難器具なんかについて見ますと、これは先刻申し上げましたように、もし粗悪品というものがあったといたしますれば、それを使用したためにかえって直接人命を損傷するということにもなりまするので、これはあくまでやはり国の責任のもとにおいて、これらの製品については検定を実施いたしまして、その合格品を使用させるということによって粗悪品の排除をはかる必要があるということでございます。
それからもう
一つは、先般の
改正で、一定の
建物——大規模の
建物、公衆の出入りするものとか、多数の勤務する
建物等におきまして、
消防機械等について設置の義務制というものが創設されたわけであります。少なくとも新しく
建物を建てるという場合には、一定の
基準に従って
消火設備というものを設けていかなければならぬ、またそうでないところでも、従来の
建物でも簡単に
建物の
設備、構造を改めないで設置ができる
消防用の
施設、いわゆる
消火器等につきましては、これを義務制にするということになっておりまして、これが本年の四月から動き出すわけであります。そういう場合に設置の義務というものは課するけれ
ども、需要君側の立場に立ってみますと、何がはたして
基準に合致したものやらわからない、使ってみてそれでわかる。また人に聞いてみて、あれはどうかといったようなことが、なかなかこれは期待できないことであります、これは設置者自身にその義務を抽象的に負わしていくというようなことでも、本人に判断上酷にわたることをしいる結果になりますので、どうしてもこれは国において検定をして、検定をしてあるものであるからこれはいいのだ、それに信憑性を置いて設置するということにしないとうまくないということに相なると思います。
それからもう
一つは、最近
火災予防思想がだんだんと普及して参り、また今申した
消防用機械
設備の設置の義務制等によりまして、これらに対する需要というものが大へん多くなってきたわけでございます。飛躍的に
増加してきております。そういうことで、
消防研究所
自体の業務というものも、どうしても強制的にやっていかなければならぬ段階にきておるわけでございますけれ
ども、しかし研究所
自体の
体制というものだけを見ますと、なかなかそこには達しておらないという現状でございます。けれ
ども、
消防研究所の
体制がそこまでいかないからといって、保安用具の性質上任意検定のままでいってよいのかといいますと、今申し上げたようなことで放置ができない
状況になってきております。そのうち需要がだんだんふえて参りますと、粗悪品も、今もある程度出回っておりますが、これがどんどんふえてくる可能性もある。しかも粗悪品といわれるものは、規格の検定を受ける自信のないものが中にはあるわけであります。そういうものが魅力のあるのは、やはり検定品よりもどうしても安くつく。安いのが一種の魅力になりまして、需要者がそれに飛びつくということになって、それがいざという場合にうまく働かないということになりましては大へんでございます。そういう点もございまして、今回
消防用機械器具等の検定については、これを強制検定に切りかえることが、これらの器具の保安用具たる特質上最も適切な
措置ではないか、かように考えるに至った経緯でございます。