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1963-02-19 第43回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月十九日(火曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 小澤 太郎君 理事 高田 富與君    理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君    理事 阪上安太郎君 理事 二宮 武夫君       伊藤  幟君    宇野 宗佑君       大沢 雄一君    大竹 作摩君       久保田円次君    前田 義雄君       山崎  巖君    松井  誠君       門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 篠田 弘作君  出席政府委員         自治事務官         (財政局長)  奧野 誠亮君         消防庁長官   藤井 貞夫君  委員外出席者         文 部 技 官         (管理局教育施         設部指導課長) 小野  弘君         自治事務官         (消防庁教養課         長)      上川  澄君         自治事務官         (消防庁予防課         長)      雨倉正太郎君         専  門  員 曽根  隆君     ————————————— 二月十五日  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇二号) 同月十八日  大衆飲食に対する料理飲食等消費税軽減に関す  る請願大上司紹介)(第一一一八号)  ガス税の撤廃に関する請願津雲國利紹介)  (第一一五七号)  倉敷市の岡山県南広域都市関係市町村合併反対  に関する請願外十六件(藤原節夫紹介)(第  一二六〇号)  同外二十件(黒田寿男紹介)(第一二六一  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  消防法の一部を改正する法律案内閣提出第八  五号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇二号)      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  去る十五日付託になりました内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を求めます。篠田自治大臣
  3. 篠田弘作

    篠田国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  明年度は、道路整備事業農業基盤整備事業等を初めとする各種公共事業社会保障制度の拡充に伴う地方団体所要経費をまかなうための財源並びに地方公務員給与改定及び退職年金制度の平年度化等により増加する給与関係経費に対応する財源関係地方団体に付与する必要があります。  また、明年度は国税三税の増加によって地方交付税総額増加しますので、この際、関係基準財政需要額を増額して地方行政水準の一そうの向上をはかることが適当と考えられるのであります。  このはか、高等学校生徒急増に伴う高等学校施設整備に要する経費につきましては、昭和三十七年度と同様、昭和三十八年度におきましても基準財政需要額への加算の特例措置を講ずる必要があります。  以上が、この法律案提出する理由であります。  次に、この法律案の内容の要旨につきまして御説明申し上げます。  その一は、単位費用引き上げ基準財政需要額を増額することであります。  まず、道府県及び市町村を通じまして、生活保護基準引き上げ失業対策事業にかかる労力費引き上げ等により増加する社会保障関係経費基準財政需要額に算入するため、生活保護費労働費等にかかる単位費用引き上げ給与改定及び地方公務員退職年金制度の平年度化等に伴い増加する給与関係経費並びに老人福祉関係等制度改正に伴い増加する経費基準財政需要額に算入するため、関係費目にかかる単位費用引き上げることであります。  次に、道府県分につきましては、道路整備事業農業基盤整備事業及び治山事業等公共投資充実に必要な財源を付与するため、関係費目にかかる単位費用引き上げるとともに、土木費にかかる単独事業費等を包括的に算入するため、その他の土木費単位費用を増額することとし、農業構造改善事業の促進に要する経費等を算入するため、農業行政費単位費用引き上げるとともに、中小企業近代化に要する経費を増額するため、商工行政費単位費用引き上げることといたしました。  市町村分につきましては、道路及び街路整備事業環境衛生施設整備事業等にかかる投資的経費を増額するため関係費目にかかる単位費用引き上げるとともに、土木費にかかる単独事業費等を包括的に算入するため、その他の土木費単位費用を増額することとし、小学校及び中学校における学校経費充実するため、小学校費及び中学校費単位費用引き上げるとともに、清掃事業関係経費を増額するため、衛生費単位費用引き上げたのであります。  その二は、測定単位数値算定方法等改正に関する事項であります。  道府県分小学校費及び中学校費算定に用います教職員数は、昭和三十八年度から小学校及び中学校学級編制についていわゆる暫定標準がなくなりますので、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律に規定する学級編制標準及び教職員定数標準により算定した教職員数測定単位数値として用いることにいたしました。  なお、このことと関連いたしまして規定の整備をはかっております。  次に、地方公務員退職年金制度の実施に伴いまして退職一時金を支給する必要がなくなりますので、恩給費測定単位数値から退職一時金の受給権者の数を除くことといたしました。  なお、今後、補正係数を定めるに当たりましては、河川費基準財政需要額を増額するとともに、その算定方法実態に即するようにするため、新たに河川延長当たり事業費の額に応じて経費割増しを行なうこととするとともに、港湾費等については、より実態に適合するよう事業費の額に応じて経費割増しを行なっております補正を強化して参りたいと考えております。  また、弱小の市町村に対する財源傾斜的充実をはかるため、昭和三十七年度に引き続き、都市的形態の度合いに応じて定めている態容補正係数改正し、その格差をさらに縮小して参る所存であります。  その三は、高等学校生徒急増対策に関する事項であります。  高等学校生徒急増に伴う高等学校  の施設整備につきましては、最近における高等学校への進学率状況建築単価建物構造比率状況を勘案して政府が当初策定いたしました計画を一部改定いたした次第でありますが、この計画によります明年度高等学校整備事業費総額は、二百十二億円でありまして、このうち三十一億円を国庫支出金で、九十億円を地方債でまかなうこととし、残額の九十一億円は、これを基準財政需要額に算入することといたしたのであります。  高等学校生徒急増対策費は、昨年の地方交付税法の一部を改正する等の法律附則において、昭和三十七年度に限り算定されることとされておりましたので、これを昭和三十八年度についても適用できるよう、同法の附則改正することといたしたのであります。  以上が地方交付税法等の一部を改正  する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  4. 永田亮一

    永田委員長 以上をもちまして提案理由説明は終わりました。  なお、本案についての質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 永田亮一

    永田委員長 次に、消防法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。前田義雄君。
  6. 前田義雄

    前田(義)委員 消防法の一部改正質疑に入る前に、まず、昨今の異常な火災発生状況につきましてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  これまでの最高火災状況が、昨年の二月十八日、また今年の一月十三日の七十件、こういうものが一日の火災発生状況としては最高に上っておりますが、それが昨十八日におきましては八十七件、七十棟でございまして、八千九百十平方メートルが焼失したという状況になっておるのであります。この状態というものは、異常乾燥、さらにまた給水制限、そういうものが非常に大きな原因になっていることは申すまでもないと存じます。国民は豪雪被害におびえておったのでありますが、それが今度はこのような異常火災におびえなければならぬというような状態で、東京都、また東京都のみならず、全国的に最近の火災発生状況というものは非常に多いものがあるのであります。こういう点につきまして、全般的なお尋ねはまたあとにいたしまして、まずもって、最近の東京都を中心にしました異常な火災発生状況に対して、消防庁としてはどのような対処をしておいでになるか、お聞きしたいと思うのでございます。
  7. 藤井貞夫

    藤井政府委員 御指摘のように、累年火災件数増加をして参ってきておりますが、特に本年の火災発生件数は、きわめて異常なものがあるというふうにわれわれも考えておるのであります。全国的な統計は今のところ入手はできませんが、東京を初め、六大都市関係についてこれを見ます場合におきまして、本年の一月の集計をいたしますと、六大都市の全火災件数が二千六十件ということになっておりまして、これは前年の同期の千五百八十二件に対しまして四百七十八件、三割方の増加ということに相なっております。この内訳を見ますると、各都市とも多かれ少なかれ増加をいたしておりますが、なかんずく東京都におきましては、約四割方の増加、横浜が三割六分、京都が五割、名古屋は増加率がこの中では最も低くて六分ということになっておりますけれども、全体として見ました場合においては、実に三割方の増加ということに相なっておるのであります。これは、今お話にもございましたように、本年におきまする東日本あるいは太平洋岸というものの異常乾燥ということも一つの大きな原因になっておりまするし、また東京におきましては、異常渇水のための給水制限ということも大きな要素をなしておることも事実でございます。それともう一つは、いろいろ文化、経済の状況が発展をして参りまするとともに、火を使う機会がますますふえて参っておりますが、そのうちで特に最近の顕著な例といたしましては、石油ストーブの家庭内の使用が非常にふえて参りまして、これに起因する火事が最近かなり目立ってふえてきておるというようなこともございます。こういうことが相重なりまして、本年に入っての火災の激増となって現われておるのではないかと考えられます。むろん消防機関といたしましては、これに対処いたしまするために万般の対策を講じております。そのためには非番の者も、常時勤務体制につけるとか、あるいはその他東京都においては、第一出動というものを普通やりますが、これを直ちに第二出動体制に切りかえるというようなこともやり、また火災と同時に緊急の応急給水措置というものを、水道局に同町に連絡をいたしまして手を打つ、その他随時のいろいろな考えられる限りの手を打ってやっておるのでございますが、しかしながら件数自体あるいは被害額自体が、非常に増加をいたしておりますことは、われわれとしても非常に遺憾に存じておりまして、これらの対策についてはさらに万全の処置を講ずるように指導を強化して参る所存であります。
  8. 前田義雄

    前田(義)委員 ただいま発生原因並びにその対策等についてお話をいただいたのでありますが、今朝の新聞を見ますると、非常勤務体制をおとりになっている、こういうことが新聞に報道せられておるわけであります。異常乾燥につきましては、これはもちろん一つの天災のようなものでございまして、これを防止するということは困難かと存じまするが、その給水制限という問題につきましては、いろいろ事情のあることは私もよく承知しておるのでありまするが、しかしこの異常な火災発生状況におきまして、給水制限というものが、消防の持つ意味からして非常に重大な問題があると存じておるのでありまして、この給水制限ということと、消防庁がこの給水制限に対して一体どのような対策なり処置をとっておいでになるのか、一応お聞きしたいと思います。
  9. 藤井貞夫

    藤井政府委員 消防活動の上におきまして、水というものが最も大事な要素であることは申すまでもないわけであります。いかにポンプ自動車が多く整備され、また人員が整備されましても、肝心の水が出なければ、消防活動というものは全くゼロにひとしいということになるわけであります。そういう点で水利整備充実ということにつきましては、われわれも全国市町村消防を強力に指導をして、だんだんと整備をして参ってきておるのでありますが、いかんせん東京都の場合は、飲み水自体においても、最近の異常渇水というような影響を受けまして、ままならないというような状況になってきておるようであります。貯水池等の水も、またぞろ六千万トンを割るという状況も出てきておるようであります。そういう点から、やむを得ず水道局当局といたしましては、夜間等給水制限処置に踏み切らざるを得ないというようなことであるようでありまして、この点につきましては、東京都の消防庁水道局当局とよく十分の連絡をとりながら、やむを得ざる処置として了承しておるようでございます。そのために都といたしましては、特にこのためにする措置として、消防水利のための特別対策協議会というものを随時活用いたしまして、できるだけ被害最小限度にとどめるような措置を講じておるのであります。最近の現象というものは、もとより異常渇水という非常にまれな現象ということによって引き起こされておりまする異常な事態ということでありますけれども、やはり根本的には、もう少し水を多くしていく、消火せん設備をよくしていく、あるいは工業用水等に対して消火せんを敷設する、あるいはさらにぜいたくなことを言えば、消防用専用水道等をつくるというところにまでいかなければ、ほんとうに安心した消防対策とは言えないのではないかと思われますが、そこまではなかなか急には参りません。しかしそれにいたしましても今のような状態をそのまま放置しておきますれば、いざという場合に非常な大火に進展をするというおそれもございますので、東京消防庁当局といたしましては、あらゆる水利施設を活用いたすとともに、現地査察等をさらに徹底をして、被害最小限度に食いとめるということに努力をいたしておるような次第であります。
  10. 前田義雄

    前田(義)委員 大体わかったのでありますが、今の異常火災に対していろいろな対策が講ぜられておるようでありますが、とにかく消防ポンプが行っても水が出ないということが、火災を拡大する一番大きな原因になるのですから、特別な消防用水道を敷設するというようなことは、今直ちにできるわけではないのでありまして、火災発生と同時に水が出ないというようなことのないように、何かその地域には緊急送水ができるような特別な配意があってしかるべきではないかと考えるのであります。そういう点については、特別に一つ今後も留意せられまして、そのような異常火災発生を防止する対策を立てていただくように要望する次第でございます。  次にお尋ねいたしたいのでありまするが、統計によりますると、最近の火災損害額というものが、三十五年には二百四十五億、それから三十六年には四百三十一億というように、非常に増加を示しておるのであります。そのうち建物火災というものが三十五年には九五%、三十六年には八三・九%という数字になっておるようであります。その次には林野火災が三十五年には二・二%、三十六年には一三・六%、これも非常な増加を来たしておるわけであります。この二百四十五億とか四百三十一億とかいうものは、これは災害中においても非常に大きな分野を占める問題でございますが、これらの損害額は実際に、具体的にいいますと、全部がこれに現われているものではなかろうと思うのであります。建築物建物火災については、これは今申し上げました通り最高率を示しておるのでありまするが、これに対してはいろいろな対策が講ぜられ、建築物関係についても、建設省等でもいろいろな対策が講ぜられておるのでございまするが、特に学校火災などにつきましても、最近ひんぴんと学校火災が生じまして、非常に問題になっておるわけであります。学校の、特に学童を収容している学校火災などにおきまして、最近までは建物が、永久建築というものが非常に軽視されておったような格好になっておりますが、最近、三十八年度においては相当建築様式が変わって、耐火構造のものが計画されておるようでありますけれども、今日までの火災状況を見ますると、やはり木造建築がほとんどであるようであります。この木造建築学校などの火災に対するいろいろな対策が、学校側としても立てられ、また消防庁としてもいろいろ配慮されているものだと思うのですが、この木造学校建物などに対して、消防庁なり、あるいは学校側文部省側として、どのような対策を持っておられるか、また現在学校火災というものはどんな状況になっているのか、一つ御答弁願います。
  11. 藤井貞夫

    藤井政府委員 学校は、ふだん多くの生徒児童というものを収容をいたしております。また教育の場でもあるということから、その防火対策というものにつきましては格段配意をいたしておる次第でございます。われわれの方といたしましても、随時文部省とは連絡をとりながら、その対策を強化いたしますために、消防庁当局あるいは地方教育委員会当局等にも随時通達も出し、また予防査察等を通じて具体的な施策というものの実現に努めておる次第でございます。このためには、第一には今お話にもございましたように、このような建物というものは、これは何といっても堅牢な耐火建築物でやっていかなければならぬ。この点が国の施策としても従来はやや等閑視されておった。もちろん他にも優先的にやらなければならない財政支出等もございましたために、なかなかそこまでいかなかったという点もございますけれども、やはり日本建物構造自体が、全部これを耐火防火建物にしていかなければならないのでございますからして、なかんずく公共建築物等はこれこそ耐火というものに優先的に踏み切っていかなければならないと思うのであります。この点は漸次最近の施策が変わって参りまして、学校建物等は、どういういなかでも、鉄筋耐火ということを主体として考えていくようになって参っておりますことは、われわれの立場からいたしましても非常に慶賀すべきことであると思っております。それにいたしましても、まだまだ日本の場合においては、木造学校が多いわけであります。そのために火災件数につきましても全国的にかなり多いのであります。従いまして、われわれといたしましては、恒久的な堅牢建築物にするという要望を、国家施策あるいは地方施薬の上に反映いたしていくということをいたしすまると同時に、現在ある建物の防護ということについては、むろん全力を尽くして参らなければなりません。そのために毎年指沸いたしておりますが、特に昨年十一月には六大都市において一斉に学校査察というものをやらせて、どこに危険があり、どこに問題点があるかということを学校当局ともよく懇談をしながら、その対策に遺漏のない措置を講じておるのであります。  現行の制度といたしましては、一つ防火管理者制度がございます。学校についても防火管理者というものを置きまして、これを中心にして消防計画なり、あるいは資材の整備なり、避難訓練なり、全般的な消防対策というものの中心的な役割を演じさせておるということが一つでございます。それからもう一つは、地元の消防庁とよく連絡をとりまして、消防施設というものをできるだけ整備していく。これによりまして、初期の消火というものについての活動を十分行なえるようにしていくという点。それからもう一つは、何といっても児童生徒をたくさん収容するところでございますからして、日ごろ、避難訓練というものを徹底をいたしまして、有事の際には、円滑に混乱なく児童化徒避難ができるような措置を講ずることが必要であるというふうに考えておるのであります。  昨日もございました中目黒の学校火災でございますが、これにつきましても焼けたこと自体はきわめて残念でございます。特にこの建物はきわめて古くて、すでに改築中であるという建物であったようでございます。しかしながら、授業中にもかかわりませず、生徒児童にけが人がなかったということは、まずまず不幸中の幸いではなかったかと考えておるのであります。特に今日のような異常乾燥状況におきましては、私どもといたしましてはさらに文部省ともよく緊密な連絡をとりまして、学校消防体制整備ということについて、さらに格段配意を重ねて参る所存でございます。
  12. 前田義雄

    前田(義)委員 中学校などでは生徒が自衛の消防クラブのようなものをつくって、そういうクラブによって常に消防精神といいますか、学校を守るという精神を、訓練をしておるところがたくさんあるようであります。こういうことに対して、文部省は何かそういう点についての指導をしておいでになるのか、ただ自発的にそういうことが生まれてきたのか、文部省としてそういう点について、教育の場を守るという点について、何かそういうような指導方針を持っておられるか、またもう一つは、ただ避難訓練をするというような消極的な問題ではなくて、やはり積極的にこれを防災するということが一番大切な問題でありますから、その積極的な意味においての施設として、消火器その他についても、学校の全体の坪数に対してどうするというような基準を設けて施設すべきであると思う。また消火器操作等についても、学童に対しては非常に気の毒でありますけれども、やはりこれも団体訓練一つとして重要なことじゃないかと考えられますし、そういうような指導体制について文部省のお考えを承りたい。
  13. 小野弘

    小野説明員 学校火災が頻繁いたしてなかなかこの根絶ができませんので、防火上の指導方針といたしまして、概括的な問題につきましては文部省でいろいろなその方面学者等の意見を参的いたしまして、ある一つの法則と申しますか、方式をきめて、それによって私たちは一般を指導しておる次第でございます。その具体的なものは、私ども学校防火上非常に重要な事柄として、二十の原則的なことをあげまして、これをパンフレットにいたしまして、各学校並びに学校防火に当たっておられる諸君、教育委員会その他に配付いたしまして、それが実施されるようにお願いをしておるわけでございます。そこに詳しくこまかい点に至るまでのことを書いておるわけではございませんので、概括的な問題といたしまして載せてございます。これは学校防火の要領二十則というものでございます。これが設備方面につきましては、その他の防火体制というようなことから見ましてもこれによってやっていく、またその校のどういう部分が防火的に非常に希薄であるかということの診断も、これによって点検をして実行していくというような考え方をして指導しております。
  14. 藤井貞夫

    藤井政府委員 今お話にも出ておりましたが、学校の場合におきましては先刻も申し上げた事情で、防火体制整備いたしますことは非常に重要なことでございます。その中で一つの点は、生徒児童に、一種の団体訓練的なことでもあるし、防火思想というものを普及徹底せしめるにもあずかって力があることでもあるから、一つ団体的にこれらの訓練をやることはどうか、地方でもやっておるところがあるというお話でございましたが、この点はお話しの通りでございまして、最近、われわれのところにございます統計によりますと、少年消防クラブといっておりますが、これの組織が全国で五千九百三十八クラブ、約六千のクラブがございまして、これに参加をいたしております生徒児童数は約六十四万人ということになっておるのであります。これらの少年消防クラブが結成されておりますところでは、相当顕著な成績を上げておるところも多いようであります。われわれといたしましては、このクラブの結成ということは、押しつけでなくて、もっと全国的に普及されることが適当なのではあるまいかというふうに考えております。この点については、ただ単に学校自体の防護ということに役立つのみならず、一般的に火災予防思想が普及徹底せられる機運にもなりますし、それらの生徒児童が大きくなってから公人として活躍をする際に、火事のおそろしさとその予防の重要性ということを頭に十分たたき込まれて社会人として伸びていくということになりますと、この点が非常に大きな将来の威力となって返ってくるということもございますので、この点はもう少し周知徹底をはかって参らなければならないと思います。特にこの点については、文部省当局とも十分に協力をいたしまして、この方面施策徹底していきたいと思います。ただ相手はやっぱり少年消防クラブ小学校中学校生徒児童でございますので、訓練といたしましてある程度の消火器等の操作とかいうようなものに習熟をしてもらう、あるいは機械の構造を知ってもらうということはけっこうでございます。しかしながら、あくまでクラブ活動の本体は、火災予防運動ということと、それからやはり学校内における避難訓練ということが主体になるべきではないか、これに消火活動自体を強制的に期待することはいかがであろうか、少なくともそれを強制的にやって参りますことはいかがであろうかというふうに考えておるのであります。  それからもう一つは、学校等につきましても、むろんこれは大きな施設でございますので、消防法に基づきまして一定の規模に基づいてどの坪数にはどのくらいの消火施設を備えなければならぬという規定がございまして、それは動いております。ただ法定されたその通りに十分あらゆる学校が完全になされておるかといいますと、その点は法定通りにはっきりなされておるとは言い切れないところもあると思います。そういう点は随時学校当局の御協力も得、消防活動といたしましては査察等を強化いたすことによって、あまり強制的にならない、押しつけがましくならない程度で、御理解の上に消防施設整備充実をはかっていく。こういう点につきましては従来もやっておりますし、今後ともさらに一そうの努力を傾けていきたいと思っております。この点つけ加えて申し上げておきます。
  15. 前田義雄

    前田(義)委員 ただいまのお話で大体わかりましたが、とにかく年々建物の構造が変わってくるのでありまして、木造建築物はだんだん少なくなってくるわけであります。しかし、少ない木造建築物にいたしましても、学校の場として確保していくということは、教育上において非常に重大な問題でございますから、やはり消火器具あるいは防火訓練というものについては、経費の面その他についていろいろな問題がありましょうけれども、十分に一つ配慮していただいて、そういう問題の起こらないように最大の御留意を願いたいことを希堕する次第であります。  次に消防組織の問題でありますが、消防の組織というものはだんだん消防本部、消防署というものが増加して常設化していっておるのであります。従って消防吏員というものがだんだん多くなって、最近は四万以上にも上っておるということでございますが、その反面また常設消防以外の一般消防というものが、だんだん減少の傾向を示しておる。これも否定することのできない事実であります。そこで私どもよく聞くのでありますが、消防本部、消防署というものがある。あの消防署などに勤めている吏員はやはり一定の待遇を受けておるわけであります。ところが一般の消防団員というものは、非常時におきましては消防のみならず、あるいはその他の災害に対しても、あるいは治安等に対しても協力をしていただくわけでありますけれども、その待遇というものがほとんど顧みられないというような関係から、消防署に勤めておる吏員に対して、一般消防団員というものが非常に反感を持って、そして消防その他に協力をしないというような面があるやによくうわさを聞くのであります。こういう点は、やはり非常に消防の上において重大な問題だと思うのであります。あとの法案の中にもあるわけでありますが、とにかく消防の常設制度というものはだんだん多くなってはきておりますけれども、小さい町などにおいては、常設化するということはなかなか困難であります。しかし消防団員がだんだん減少の傾向を示していることも、これは事実である。しかもまた、今申し上げるように、常設消防のあるところに対しての一般消防団員の感情というものは、決しておもしろくない、そういうような状況になっておるのでありますが、やはり消防の常設化というものは、漸次拡大をしていく必要があるのじゃないか。またもちろんこれは機械化をするとか、あるいは一般消防団員に対する待遇の是正をするとか、いろいろなことは当然でありますが、常設消防というものを強化していくということについて、消防庁のお考えを一つお聞きしたい。
  16. 藤井貞夫

    藤井政府委員 今もお話がございましたように、社会経済がだんだん伸展をして参りますに従いまして、火災件数というものがふえ、その様相というものがだんだん複雑化して参ります一方、最近のいろいろな情勢の変化から、農村人口というものがだんだんと都市人口の方へ転移をしていくという様相が恒久的に出てくるということになって参りますと、これらに対応する対策といたしましては、どうしても常設消防というものを重視していかなければならぬという面が出て参ると思います。これは一種の必然的な傾向でございまして、これを反映をいたしまして毎年々々常設消防というものの数が着実にふえてきておるという状況になって参っておるのであります。私は率直に申し上げまして、常設消防というものは、やはり一つの必然的な傾向ではないかと思っております。その常設消防の設置の仕方というものは、いろいろございましょう。単独でやり得る権力のあるところはやらなければなりませんし、単独でやれないところは組合消防をつくるなり、あるいは東京都でやっておりますような委託の制度を講ずるというような方法、あるいは常設の消防署というのでなくて、消防団の常備軍というようなものを活用していくというような方途も考えていかなければなりませんが、いずれにいたしましても常設化ということは、やはり一つの必然的な傾向ではないかというふうに思っております。ただ一面そのことと、消防自体が不要化するかということとなりますと、これは全然別問題でありまして、やはり程度問題としては、消防の常設化というものはだんだん進んでいく、それが必然的な傾向ではあるけれども、また他面消防団、自衛消防というものも、これはやはり将来も長きにわたって続いていくものである。また続いていっていいものではないかというふうに考えております。すなわち将来の姿といたしましては、常設の消防のあるところにおいても、自衛消防団がやはり並列をしていく、並列形態というものが普通になっていくのではないか。大都市等においては、常設消防が主体となっていく、それからその他のところでは、常設と消防団というものが並列をする形ということが、一つの恒常的な格好になっていくのではあるまいかというふうに考えております。急にそこまでは、財政その他の事情もありまして、持って参ることはなかなか困難でございましょうけれども、大きく申してそういう傾向になるのではないかというふうに考えます。従いまして今の御質問に対して、最終的なお答えとしては、われわれとしてはある一定の規模の人口と、それから市街地形態というものを持ったところでは、常設消防というものを必置にして、これを強制にしていくというような方向に行くべきが至当ではないかというふうに考えております。その点につきましては、消防組織法の改正案といたしまして目下検討中であり、各省とも折衡中でございまして、成案を得ました場合においては、それらの点も含めて消防組織法の一部改正案として御審議をいただくつもりにいたしておるわけであります。
  17. 前田義雄

    前田(義)委員 大体、最近の異常火災並びに消防に対するいろいろなお考え方をお尋ねいたしたのでありますが、今度の消防法の一部改正について、何点かお尋ねいたしたいと思います。  ただいまいろいろお話を承り、また御質問いたしましたように、一部改正に対する提案の説明にもありますように、非常に最近火災が増発いたしまして、人命の損傷、財産の被害ということが非常に大きくなってきておるのであります。これを防止する必要があることは当然でございまするが、そのためにはやはり消防機関への早期通報、火災の初期の段階における消火、人命の保護についての避難場所の指定、そういうことについては十分に配慮をしなければならぬのであります。そういうことが理由になりまして、今度の法改正にもなっておるのであります。その法改正になりましたうちの二、三の点について、私はお尋ねをしたいと存ずるのであります。  まず第一には、今度の改正によりまして、映画上映に関する規制の緩和、合理化というものがあるのであります。消防法の第十五条前段には、「政令で定める映写室は、」ということになっておるのであります。それを今度は「常時映画を上映する建築物その他の工作物に設けられた映写室で緩燃性でない映画を映写するもの」と改正をされておるのであります。これはどういうことでこういうような改正が必要であったのかということでございます。それからさらに二項では、一項後段の「政令で定める技術上の基準に従い、構造及び設備を具備しなければならない。」との義務規定を受けて、これが設置または廃止の市町村長に対する届出規定を削除してあるのでありますが、これも別に削除する必要がないようにも思うのであります。その辺について一つ御見解を承りたい。
  18. 藤井貞夫

    藤井政府委員 御承知のように、従来は映画というのはいわゆるセルロイド製の、速燃性と言っておりますが、燃えやすい映画というものがむしろ普通の形態であったわけであります。こういう燃えやすいあぶない映画を使っておりますのでありますから、どうしても映写ということについては、相当きびしい態度をもって臨んでいかなければならない。また常時映画を上映するというようなところになりますると、人が集まっておる、また暗い中で映すというようなこともございますので、危険性はなおさらに多い、いざ火事が起きたという場合に避難が円滑にいかなくて、死傷者がたくさん出るというようなこともございますので、これについての規制というものは、相当従来きびしいものがあったのであります。ところがその後、だんだん技術の進歩がなされて参りまして、映画自体もいわゆる速燃性の映画というものがきわめて少なくなって参りました。われわれの調べてみましたところでは、大体上映をせられる映画の中で、速燃性というものは全体の五%足らずではないかと思っております。それもだんだん減っていく傾向にあるわけであります。そういうことになりますると、むろんその五%というものについては、放置はできないという問題はございますけれども、五%以外の、危険性のないものでありますれば、それほど規制を強化するということをしないで、技術的にもその点もう心配はないということになりますれば、これを緩和していくことがむしろ行政事務の簡素化をはかりまするためにも、あるいはまた消防機関自体の負担というものを怪からしめる意味におきましても、むしろ妥当な措置ではないかというふうに考えられるのであります。この点につきましては、行政管理庁の監察結果等も出まして、もう少しこの点の緩和をはかった方がいいのではないか。特に労働省あたりにおいても、その規制の緩和をやってきておるという状況でございます。むろん労働省の規制の目的と消防の規制の目的とは、これは違うのでありまして、労働省はあくまで映写技術者等の人身保護ということ、労働安全というものを主体に考えるわけでございますけれども消防の見地は、それもさりながら、全体としての公共の安全保持ということがねらいになるわけでございます。目的は違うわけでありますけれども、科学の進歩がそこまできておりますならば、まずもう安心であると思われる規制については、これははずしていってもいいのではないかというふうに考えられるわけであります。  そこで今度改正に踏み切ろうといたしておりまするのは、一つは現在映画の興行主、その他常時映画を上映いたしておるものは、映写技術者というものを定めまして、これを市町村長等に届け出なければならないことになっておりますが、これはいかにも形式的なので、これを廃止をしてはどうかということと、それから第二点といたしましては、映写室の構造規制の対象を、今もお話がありましたように、緩燃性でない、いわゆる速燃性の映画を上映するものに限定をして、そのかわり、やはり速燃性の映画を上映するものについては、映写室の構造規制等は従前のままこれを存置していくことが適当であろうと思っております。それと、第三点といたしましては、そのかわりに、従来は公衆の観覧に供する目的をもって映画を上映する場合において、映写室の中でやる場合と、そうでない場合とに違いがあったわけであります。ところが、あくまでやはり速燃性というあぶない映画というものの規制を強化するということになりますると、かたがた一般の映写室等の届出義務等の廃止をやろうといたしておることでもございますので、およそ緩燃性でない映画を上映する場合においては、その上映が映写室であるといなとを問わず、すべてこれを所管の消防機関に届け出なければならないということにいたしたいと思っておるのであります。これによって、われわれの見通しといたしましては、非常に危険が増加するというふうには考えておりません。今申したように、速燃性のフィルム自体が非常に少なくなってきておりますのと、その速燃性を上映する場合においては、映写室自体についても特別の構造規制をやり、またいざ映写をするという場合には届出義務を課しまして、その場合に、映写技術者はちゃんと免状を持っておるかどうかというような点もあわせて調べまするので、その点、全体として心配はないとともに、行政の簡素化ということに資し得るのではないか、かように考えまして本改正案を提案いたした次第でございます。
  19. 前田義雄

    前田(義)委員 私ははっきり知識がないのですが、緩燃性というのと速燃性というのとの燃焼度は、緩燃性というのは全然燃えないのですか、あるいはいささか燃えるが、類焼するというのか、そういうようなものはないということになるのですか、その辺ちょっと……。
  20. 藤井貞夫

    藤井政府委員 私もそこまでいくとあまり詳しくはないのですが、教えてもらったところによりますと、いわゆる難燃性というのは酢酸繊維素を使用したもの、これが燃えにくい緩燃性の映画、それから速燃性というのは硝酸繊維素、先刻も申しましたいわゆるセルロイドでありますが、これを使用したものが速燃性の映画といわれております。速燃性の映画、セルロイドは自燃性を持っておりまするし、また発火性、燃焼性が強いので、上映中に発火しやすい、ときには貯蔵保管中でも自然に発火するというようなこともままあったのでありまして、特に発火した場合の危険がきわめて顕著である。ところがこれに対して、最近大部分のものになっておりまする緩燃性のフィルムは、発火性なり燃焼性が安全でありまして、自然発火というものもむろんない、取扱い上の危険性が少ないということになっておるのであります。私も目の前でマッチ等すってやっておるのを見ましたけれども、セルロイドのやつはむろんぱっとすぐに燃えていきます。緩燃性の方は、まずなかなかつきにくいし、一生懸命に火を当てて、ついたといたしましても、それが燃える速度というものはきわめて徐々でございます。その程度のことしか私としては存じませんけれども、技術的に見て、それで十分心配ないということに承っておるのであります。
  21. 前田義雄

    前田(義)委員 次にお尋ねしたいのは、消防機械器具の検査についてであります。消防の用に供する機械器具等は、国民の生命、財産を保護する上において、大へん大事なものであることは申し上げるまでもないのであります。これらが適正なといいますか適格品であることが必要であるということは、これまた申し上げるまでもないのでございまして、これが適格品であることが消防目的を達する上に大事なことであると思うのであります。  そこで、まず第一にお尋ねいたしたいのは、消防用のは、消防用の機械器具等について行なう検査は、一体どういう機械器具を対象にしておいでになるのか。消防法の施行令の第七条には幾つかの機械器具が列挙せられております。これらが全部この器具の検定の対象になるのか、こまかくお話をいただこうとは思いませんけれども、大体施行令第七条に規定するもの等が対象になるのかどうかということについてちょと伺いたい。
  22. 藤井貞夫

    藤井政府委員 消防用の機械器具等は、できるだけ広く検定の対象にして参りますことが理想としてはいいことだと思っております。ただ能力の点もございますし、また対象をあまり広げ過ぎて、それが非常識にわたるというようなことになってもいかがかと思われるのであります。そういう両方の観点から、適切なる対象にこれを限定していく、また必要があれば、だんだんこれを政令で広げていくということを同時に考えて参りたいと思っておりますが、現在消防用器具としてその対象に考えられますものは、一つ消火器でございます。これは最も一般的なものでございますが、消火器その他の室内消火せんとか消火施設でございます。ただこの場合に、私たちは一般家庭に相当入っておりまする小型消火弾とかいうもの、ああいうものはここでは対象にいたしておりません。そこまでいくことは、今のところいかがであろうかというふうに考えておるのでありまして、能力単位が一というように一つ基準がございますけれども、われわれも劇場その他事務所、工場等に参れば見れます、あのような消火器以上の単位を持った消火器、その他の消火設備、これが一つのグループでございます。その第二は、消防の各種のポンプ、消防活動の主体になるものでございますが、消防ポンプがございます。第三が、消防のホース、あれも途中で破れたり、ちぎれたり、漏れたりすることがあっては大へんでございますので、ホースをはっきりとした規格に適合したものにしなければならない。それから第四は、各種の火災報知設備がございますが、これについても当然対象にしていきたい。また各種の消火薬剤、また将来はいろいろな防火薬品等が出て参ると思います。現在も相当ございますけれども、こういったものにつきましても、その対象にしていきたい。それから最後には避難器具、これは避難はしごとか救助袋といったものであります。この点はまだ現在はっきりとした規格というものができておりませんが、目下慎重に検討中で、近く規格ができると思うのでございますが、こういうものも最も人命救助に重大な関係のあるものであり、またもしも間違いが起きたという場合においては、避難はしご自体に故障が生ずると、そのこと自体が人命に直接損傷を与えるということにもなりますので、特にこれは慎重な配慮をめぐらしてやらなければならぬ問題ではなかろうかと思っております。現在のところは、大体今申し上げました六つのグループを一応消防用機械器具等といたしまして、検定の対象として参りたいと考えておるのであります。
  23. 前田義雄

    前田(義)委員 次に、今回の法の改正で——今まで消防研究所でこれらの機械器具の検定が行なわれておったのです。これは任意検定制度であったわけでありますが、今回の改正でこれが強制検定の制度に改められておるのであります。今まで任意検定制度であったものを、特に今度強制検定制度に改めなければならないのは、何が欠陥があってそういうふうにしなくちゃならぬとか、あるいは粗悪品が非常に出回っておるというようなことからしてそういうことになってきたのか。なぜ強制検定に切りかえたのか、そのことについて……。
  24. 藤井貞夫

    藤井政府委員 今回、従来の任意検定制を強制検定にするということで、検定制度に改革を加えたいというふうに考えておりますのには、いろいろな理由があるわけであります。  根本的には、申すまでもないことでございますが、今あげましたような消防用機械器具等は、いずれも人命、財産に重大な関係を持っておりまする特殊ないわゆる保安用具といわれるものでございまして、本来これは任意の検定というものでなくて、強制検定にむしろなずむものではないかといわれるものでございます。と申しますのは、これらの消火器自体を例にとってみますと、これは火事が起きた、火事が起きそうだというときにおいてのみ使用されるものであって、普通の場合、常時使用されるというものではないのであります。その消火器の品質なり、機能なり、または安全性というもののいかんは、直ちに人命、財産の安全に重大な影響を及ぼすものでございます。一たん火事が発生をし、そのために備付の消火器というものを使おうとしたけれども、それが動かなかった、そのために大事に至らしめたというようなことになっては大へんであります。また事実今までも、消火器自体が作動の最中に破裂をしたということによって、直接けが人を出したということも例がございます。特に避難器具なんかについて見ますと、これは先刻申し上げましたように、もし粗悪品というものがあったといたしますれば、それを使用したためにかえって直接人命を損傷するということにもなりまするので、これはあくまでやはり国の責任のもとにおいて、これらの製品については検定を実施いたしまして、その合格品を使用させるということによって粗悪品の排除をはかる必要があるということでございます。  それからもう一つは、先般の改正で、一定の建物——大規模の建物、公衆の出入りするものとか、多数の勤務する建物等におきまして、消防機械等について設置の義務制というものが創設されたわけであります。少なくとも新しく建物を建てるという場合には、一定の基準に従って消火設備というものを設けていかなければならぬ、またそうでないところでも、従来の建物でも簡単に建物設備、構造を改めないで設置ができる消防用施設、いわゆる消火器等につきましては、これを義務制にするということになっておりまして、これが本年の四月から動き出すわけであります。そういう場合に設置の義務というものは課するけれども、需要君側の立場に立ってみますと、何がはたして基準に合致したものやらわからない、使ってみてそれでわかる。また人に聞いてみて、あれはどうかといったようなことが、なかなかこれは期待できないことであります、これは設置者自身にその義務を抽象的に負わしていくというようなことでも、本人に判断上酷にわたることをしいる結果になりますので、どうしてもこれは国において検定をして、検定をしてあるものであるからこれはいいのだ、それに信憑性を置いて設置するということにしないとうまくないということに相なると思います。  それからもう一つは、最近火災予防思想がだんだんと普及して参り、また今申した消防用機械設備の設置の義務制等によりまして、これらに対する需要というものが大へん多くなってきたわけでございます。飛躍的に増加してきております。そういうことで、消防研究所自体の業務というものも、どうしても強制的にやっていかなければならぬ段階にきておるわけでございますけれども、しかし研究所自体体制というものだけを見ますと、なかなかそこには達しておらないという現状でございます。けれども消防研究所の体制がそこまでいかないからといって、保安用具の性質上任意検定のままでいってよいのかといいますと、今申し上げたようなことで放置ができない状況になってきております。そのうち需要がだんだんふえて参りますと、粗悪品も、今もある程度出回っておりますが、これがどんどんふえてくる可能性もある。しかも粗悪品といわれるものは、規格の検定を受ける自信のないものが中にはあるわけであります。そういうものが魅力のあるのは、やはり検定品よりもどうしても安くつく。安いのが一種の魅力になりまして、需要者がそれに飛びつくということになって、それがいざという場合にうまく働かないということになりましては大へんでございます。そういう点もございまして、今回消防用機械器具等の検定については、これを強制検定に切りかえることが、これらの器具の保安用具たる特質上最も適切な措置ではないか、かように考えるに至った経緯でございます。
  25. 前田義雄

    前田(義)委員 ただいまの強制検定に切りかえたということについての御説明は、大体わかりましたが、それならばなぜ国がみずから業務を行なって検定をしないのか。法によりますと、今回は日本消防検定協会がこの強制検定を実施するわけであります。日本消防検定協会には、今度の予算で一定の予算を計上いたしてもおるわけでありますが、先ほどお話がありました消防研究所などを拡充して、人員等をふやすとか、そういうことをして、国みずからの業務としてなぜ行なわないのか。消防検定協会の方にも予算で相当の金を出す以上は、そういう配慮があって、国みずからがやるのが正当ではないかという疑問が起こるわけであります。どうして因みずからが業務を行なわないのかということについて、一つ説明を願います。
  26. 藤井貞夫

    藤井政府委員 今の御指摘の点は、ごもっともの点が多いと思います。事柄の性質上から参りますと、これらの検定というものは、国がやはりあくまで全責任を持ってやっていく、現在そのための体制が整っておらなければ、そういう体制を整えるようにしたらいいじゃないか、それが本筋じゃないかという御意見は、一応ごもっともであろうかと思います。私といたしましても、そういうやり方というものはなるほどあり得る、のみならず、一つ制度のやり方ではないかと考えた時期もあります。任意検定をやっておりました従来の場合においても、だんだん検定件数がふえてきておって、現在、消防研究所の陣容ではとうてい裁き切れないというような段階になって参りました際に、過去二、三年間にわたって、これではとうてい検定業務を円滑にやれないから、検定業務が十分にやれるように一つ体制整備してもらいたいということで、毎年大蔵省関係等とも折衡してきた経緯がございます。ただ予算関係その他の点もございましてそれがなかなかうまく参らなかったというようなこともあったわけであります。考え方によりますと、むろん消防研究所自体がその検定をやっていくということも一つでございますが、一面において、今度は消防研究所自体はそのようなルーティン・ワークといっては、少し語弊がございますが、個別検定等に至ってはきわめて技術形式的な業務でございます。そのために技術者が非常に多くこの方面にさかれてしまって、本来の研究業務というものがないがしろになっていくということになっても、これはまたいかがであろうかというような考え方もあるわけでありまして、私もだんだんそういう考え方に傾いてきたのであります。国の責任体制は十分に全うしなければならぬ、その体制を全うすることを前提として、検定業務を円滑に進めるとともに研究所自体は本来の研究業務に立ち向かえるような方向に持っていくという行き方が、一番いいのではないかというふうに実は考えをまとめるに至った次第でございます。現在も、実は検定業務が非常にふえて参りますとともに、研究所の技術者の諸君が非常にそちらにとられて、研究業務が非常におろそかになるのみならず、十分にその方に人も回せないために、研究業務も渋滞しがちになるという現象が起きて参りました。特に来年度あたりは、ますますその検定件数というものもふえて参るということになりますので、この際やはり思い切って、検定業務については特殊法人の検定協会というものを設立して、これに行なわせる、そのかわりその検定がおざなりなことになってはむろん困りますので、これはあくまで特殊法人として特殊な監督をやる、国の意思というものが十分浸透するような組織と機構を持ったそういう機関をつくって、それに検定をやらせて、検定の円滑を期していく、ということは、検定料が入って参りまして、その検定料が検定協会の収入として計上されますので、検定協会としては検定業務の遂行のために、収入と見合った相当の予算も計上ができる、そういう有利な点もあるわけであります。反面、それに従いまして、研究所自体を、本来の研究業務に精進させるということに相なるのではないかと考えまして今おっしゃいましたような国自体がやるのもむろん一つの案でございますが、かれこれ勘案いたしました結果、総合的判断として、検定業務自体については日本消防検定協会というものをつくり、これを主体にして運営していくということがいいのではないか、かように結論を下すに至った次第でございます。
  27. 前田義雄

    前田(義)委員 検定協会をおつくりになる趣旨については大体わかりました。  次にお尋ねしたいのは、救急業務についてでございます。救急業務については、特に今回法制化されたわけでございますが、法制化された趣旨、また一体救急業務というものは、今日まで行なわれていなかったのかどうか、また行なわれておったといたしますれば、どういうような方法で救急業務というものが行なわれておったか、こういう点についてお尋ねします。
  28. 藤井貞夫

    藤井政府委員 救急業務につきましては、従来消防機関中心といたしまして、実際上行なってきておった市町村もあるわけであります。これは御承知の通りであろうかと思います。ただ、救急業務、なかんずく災害あるいは事故等による傷病者を、医療機関その他の場所に救急隊によって自動車で運び込む、こういう救急業務というのは、本来の消防活動かというと、これはそうとも言い切れないのであります。従来はその点どうであったかといいますと、地方自治法上の地方自治体の権限、すなわち羅災者の救護とか、あるいは滞在者、住民の安全とか、そういうような一般的な規定が地方自治法上の地方団体の一般的権限の中にありますが、それらの事項に該当するものといたしまして、それぞれの市町村でもって、任意の事務として実はやってきておったのであります。そのために、やり方等についても、それぞれのところでまちまちであります。条例に基礎を置いてやっておるところもあるし、条例すらもつくらないで、何か規則、規程というような格好でその運用をやっておったところもあるわけであります。もともと救急活動というのは、従来の沿革が、消防というものが機械力その他を持っておったこともございまして、消防に直接関係の深い業務として、従来消防機関活動の分野に入っておったのであります。東京消防庁等においても、かなり昔からそういう救急業務を消防業務と並行して行なってきておったのであります。ところが最近御承知のような情勢で、特に交通事故その他の事故が大へん多くなって参りました。それでこれに対する措置を、やはり制度的にもはっきりと根拠づけるということが必要ではないか、消防機関といたしましても、そういった根拠がないと、何も基礎もないのに消防がやるのはむしろ行き過ぎではないか、根拠のないのに救急自動車を買うこともならぬというようなこともありまして、予算措置等についてもなかなか思うにまかせない、やはり少なくとも救急業務というものは、消防活動の一環としてやるのだということを、制度的に確立をする必要があるのではないかということが、一般からも指摘されるに至ったのであります。ちょうど行政管理庁からも同様趣旨の勧告がございましたし、また私の方の審議機関でございます消防審議会の答申もございまして、救急業務というものを法制化していかなければならないというような趣旨の開陳もございましたので、私たちといたしましても、従来から考えておりましたところでもあり、適当であると考えまして、救急業務というものを最小限度法制化する措置を講じたいというのが今回のねらいであるわけでございます。  従来もやっておるところがあるかということでございますが、やっておるところはかなりございます。われわれの手元にございます資料によりますと、十万以上の市が七十二市、それから十万以下の市町が、市が四十九市、町が四町、五十三市町ございます。合わせて百二十五の市と町で、ただいま救急業務を事実上実施をいたしておるのであります。出動回数は毎年どんどん上がって参っておりまして、最近の調べでも一年間に十六万回の出動回数を記録しておる、こういう状態になってきております。  ただ、誤解のないようにお願いを申し上げたいと思いますのは、今回提案をいたしておりますのは、あくまで消防機関の行なう救急業務についてその根拠づけをいたそうというものございまして、他の医療機関、あるいは日赤その他、あるいは警察、それらがやっております救急活動を禁止をする趣旨ではございません。別に救急事務自体消防の専管事項にするというのではなくて、消防が従来の経過なり経歴なり実態等から見て、救急活動について相当重要な役割を演じてきておる、その実態を法的に認めることによりまして現在の情勢に対処していきたいというのが、今回の救急業務を法制化しようとするねらいでございます。
  29. 前田義雄

    前田(義)委員 今、緊急業務を行なう理由等については大体御説明があったのでありますが、この緊急業務を行なうためには、それに対する施設が必要であることは当然でございます。救急車というようなものが施設されることは当然でありますし、またそれを動かす人も必要であることも当然であります。これらに対して、救急業務を円滑にするための機械あるいは人員というものに対しては、消防庁として、そういうことを法制化されるわけでありますから、それに対して何らかの処置があってしかるべきだと存じますが、それに対してはどのようなお考えを持っておられますか。
  30. 藤井貞夫

    藤井政府委員 ごもっともの御指摘でございます。現在消防費全体についての財政措置は、あくまで市町村消防というものを本来的な建前にいたしております関係もありまして、その骨子は交付税あるいは財政計画によってこれを措置をいたしておるのであります。それに対して、一部ではございますけれども消防ポンプその他について国庫補助の制度がありますことは、御承知の通りであります。来年度の予算においても、総額七億というものを計上をいたしておるのであります。従いまして、救急業務に関しましても、消防費の一環として将来措置をされて参ると思います。現実にも現在群実上救急業務を行なっております市等につきましては、すでにこれまでも交付税上消防費の中である程度の措置を講じております。具体的に言えば、交付税法におけるいわゆる十四種地以上の市町村については、その消防費の中に段階的に救急業務に要する経費を含めて交付をすることにいたしております。ただ、私は、しかしこれだけでは十分であると思っておりません。十四種地というとり方自体に問題があると思っております。もう少しその種地を下げていかなければ、これは現実に合わないというふうに考えております。また単位費用自身につきましても、もう少し十分に見ることにしていかなければいかぬということで、この点は財政当局とも打ち合わせをいたしております。  実はこの救急業務については、これを義務化いたしますことになりますと、ある程度の準備期間も要りますので、幸いにこの法律案が成立をいたしました暁におきましては、救急業務に関する規定は、公布になりました日から一年以内に政令で定める日ということになっております。それまでに十分に財政的にも打ち合わせをし、成案を得た上で、これらの規定を動かすようにいたして参りたい、かように考えております。それと臨時費といたしましてやはり自動車等がどうしても要るわけでありますが、これらの自動車の購入等については、御承知のいわゆる損保債、損保の特別起債がございますが、これらについても優先的に割当をするというような措置も同時に講じますることによって、救急業務を実施するについての円滑な措置くが講ぜられますように努力をいたしたい所存でございます。
  31. 前田義雄

    前田(義)委員 大体私のお尋ねしたいことは尽きるわけでありますが、今の救急業務に対する器材あるいは人件費等については、第七章の二の救急業務の中には、先ほどもお話しがありましたが、十万以下の市町村、準ずる市町村といいますか、そういうところもいわゆる努力義務が課せられるような形になっておるわけであります。この救急業務というものが今日のいろいろな面において大事であるということは、これはもう論ずるまでもないことであります。従って、そういう施設をするためには、どうしても機械を購入しあるいは人を配置することが必要であることは当然でございますから、これに対しては財政的な援助を一つ十分にしてやっていただいて、そうして救急業務が円滑にできるように、特別な措置を考究していただくことを要望する次第でございます。  なおもう一つ、これは別なことですけれども、先ほど一般的な問題、火災の問題についてお尋ねをするときに忘れたわけなんですが、出火原因は主としてたばこが一番高率になっておるようであります。出火原因というものはたばこが一番多いようであります。私はたばこをのみませんから、従って吸いがらをほうるというようなこともありませんけれども、これはたばこをのむ人に大いに一つ考えてもらわなければいかぬと思うのです。これを警察取り締まりの対象にするということも困難なことだと思いますが、とにかく四百億も五百億も出火による損害を受けているのです。しかもそのうちには建物が一番多い。しかも出火原因にはたばこが第一位になっているということを考えますと、これも何か取り締まりの対象にすべき問題ではないかというふうに考えるわけであります。この点についての御意見を最後にちょっと拝聴して、私の質問を終わりたいと思います。
  32. 藤井貞夫

    藤井政府委員 御指摘の点は重々ごもっともでございます。たばこによる出火原因というものが、最近はまたずっと王座を占めてきておるような状況であります。そのためには、罰則その他ということを考えますのは行き過ぎの非難を受けることもございまするし、そこまで行く前に、私たち自身の一つの生活規範、行動規範というところにまで火災予防というものが徹底することが必要ではないか。むろん人々の注意力というものにも限界があるわけですから、むぞうさにたばこの吸いがらを捨てたり何かしないように、方々に吸いがら入れ、灰皿というものをできるだけ多く備えつけるとか、そういったことも並行して考えていく必要もございましょう。それとともに、やはり火災予防について、たばこが出火原因の最大なるものであるということについてのPR活動というものを、もっともっと徹底的にやっていく必要があるのではないかという感じはごもっともなことであり、私も全く同感でございます。諸外国でもいろいろこれについて頭を悩ましておるようでありまして、ところによっては、たばこ自体もそうでありますが、マッチ自体も捨てる場合は折り曲げて捨てろというようなことを一種の運動としておって、それが非常に徹底をして効果が上がったところもあるように聞いております。折り曲げて捨てろというのは、結局消さなければ折り曲げられないわけでございますから、そういうようなことも考えてやっておるようなところもあるようであります。この点、先生方からも一ついろいろお知恵を拝借いたしまして、これらの点については、さらに一歩進んだ徹底した対策を講ずるように、今後ともわれわれといたしましては努力を傾けて参りたいと考えておる次第であります。
  33. 永田亮一

    永田委員長 大沢雄一君。
  34. 大沢雄一

    ○大沢委員 異常災害の発生火災増加、あるいは交通事故の激発というような災害が、非常に頻発しておるから、これに対処いたしまして、従来任意検定の消防機械器具を強制検定にする、あるいはまた救急業務に法的な根拠を与えるというような、非常に前向きの今回の消防法改正であります。一面、必要の薄れました映写関係について規制を緩和する、私は非常に筋の通った改正であると存ずるわけであります。この消防というものが、災害から住民を守って、その福祉をなお一そう保全するという、この自治体消防の本来の精神にかんがみまして、一、二お伺いしたい点がございます。検定につきましてのお尋ねは、これは事務的なものでありますが、救急業務につきましては、少し事務的な範囲を離れて考えたい、こう思うわけであります。  まず、検定についてでございますが、三段がまえで、消防用の器材器具の不良なものがなく、消防の目的が達成できるようにしようということのようであります。型式承認をまず初めにして、それから個別検定をしていく、それから表示をする、こういうことで、三段がまえでやっておるわけでありますが、型式承認というものは、法律的に言うと承認というのは何に当たるわけですか。行政行為ですから許可なんですか、それとも何なんでしょうか。それと型式承認の仕方はどういうふうにするのか。時間がありませんから簡単に答えていただきたい。  第二点は、個別検定のやり方はどういうふうにするのか。一切の器具を一々見るのか、それとも抜き取りでやるのか。検定協会が各府県あるいは都市、そういうところに支部でもつくってやらなければ、実際問題として、一々の消防機械器具を検定するということは、なかなか大へんなことでありまするし、またそうしてもらわなければどうもいけないようにも思うわけです。  それから検定に合格したものは表示をするということになっておりますが、これは検査の証票かなんかを検定協会が一々そこに張るのか、どういうふうなやり方をやるのか。そのやり方のいかんでは、これは仏つくって魂入れずの結果になることも考えられますので、この点を時間もありませんので、ごく簡単でいいですから、御答弁願いたい。けっこうな説とは思うのでありますが、その効果を確保しなければならぬと思いますが、どうですか。
  35. 藤井貞夫

    藤井政府委員 型式承認と申しますのは、これは一定の技術上の観点から、消火器なら消火器というものをつくります場合には、消火器の構造あるいはそれをつくる材質、どういうふうにやらなければならぬかということの技術上の基準というものを、まずわれわれの方でつくるわけであります。これを一般に告示をいたしております。そういたしますると、その告示された技術上の基準に従いまして、それぞれの製造業者等において、その基準に適合した一つのサンプルをつくって参ります。そのサンプルについて、技術上の基準に適合しておるかどうかということをしさいに検討いたします。再検査等も並行して行ないます。これをいたしました結果、この製造業者が持ってきた型式の見本というものは、技術上の基準に適合しておるから、これに基づいて個別検定を受けてもよい。個別検定を受けさせるということの確認行為がいわゆる型式承認といわれるものでございます。  それから個別の検定でございますが、これは全数の検定をやることが突は建前であり、理想でございます。ただ現在のところでは、私もその点はよくは存じませんが、数学上、科学上の対数計算から、抜き取り検査についてもほぼ一定の比率がございます。何か方式がございます。その方式を採用いたしまする際には、ほとんど全数計算とまずまず結果的には相違のない結論が出るということになってきておるわけであります。むろんものによりましてポンプだとか消防用の自動車とか、こういったようなものについては、個別検定を実施をいたしておりますけれども、数の多い消火薬剤でありますとか、小型のポンプでありますとかいうものについては、抜き取り検査を実施をいたしておるのであり、将来もまたそういうふうにやらざるを得ぬと思いますけれども、間違いのない抜き取り率というものについては、さらに徹底して、正確なものを出すように、今後とも注意をいたして参りたいと思っております。  それから検定済みのそれぞれの機械器具等については、証票を張ります。これはこういったブリキかなんかの金属性の板でございまして、それを張りつけるわけでございます。張りつけるのはむろん検定協会、研究所の技術者が直接やる場合もありまするし、そうでなくて、はっきり自分の目の前においてそれをそこの職員に手伝って張らせるということも事実上はやっており、またそれは将来もやっていかざるを得ぬのじゃないか、かように考えております。
  36. 大沢雄一

    ○大沢委員 今の点わかりました。  この救急業務でございまするが、今承っておりますると、また私どもが考えましても、従来自警でやっておりましたものを、今度はそれに法的根拠を与えて、政令で定める基準に該当する町村では救急業務を行なわなければならないというふうにいたしましたことは、非常に進歩だと思いまするが、ところで私どもが一番救急業務に関連して考えますことは、交通事故、これにひき逃げその他が非常に多い。ところが被害を受けた気の毒な方には、一刻も早く医療の手当をしなければならぬ。ところがどこのだれで、どういう人かわからぬ。医療機関に行った場合に、医療機関で医療費の関係その他から、ある場合においては手当が、親切に、十二分に行なわれないということが、実際問題として非常に起こるわけであります。こういう場合に対処して、たとえばその人がどこのだれだかわからなくとも、またポケットにお金を持っておらないというような場合でも、十二分に必要な医療を、必要な期間にわたって受けられるということにしなければ、救急業務の真の目的は達成しないのではないか、こう思うわけでありまするが、こういう点について、これは消防の範囲外だと言いますが、そういう点はどうなっておるんでしょうか。
  37. 藤井貞夫

    藤井政府委員 御指摘の点はごもっともな御疑問でございます。私もそのように考えておりまして、この点は実は救急医療体制、総合的な救急医療体制の、全体的な構想のもとに考えていくべき性質のものであるまいかというふうに思っておるのであります。厚生省も最近の救急事故の激増に対応いたしまして、これの体制整備しなければならぬということで、よりより審議会等に諮って、現在具体案の作成にとりかかっているというふうに聞いているのであります。来年度からというわけには参らぬようであります。まあ、一年かかって慎重に検討の結果、結論を出して、これを実施に移すという運びになるようでありますが、今お話しになりましたような点を含めまして究極的には考えていかなければならぬものであろうと思っております。  われわれ消防の立場といたしましても、むろん、こちらの方としては、べばいいんだ、あとは知らぬというようなことは、非常に無責任なことでございます。運ぶこと自体も大事でございますけれども、運んだ医療機関において、運ばれた人が十分な看護を受けられるという態勢をつくり上げなければ、これは仏つくって魂入れずということに相なるわけであります。ただし、その点についてはわれわれ消防活動分野だけで事柄を全部処理して参るわけには参りません。国のやはり大きな医療行政との関連において、適切なる結論を見出さなければならぬ問題であろうと思っておりますが、私たちも、今お話になりましたことは、重要な問題点一つとして厚生省あたりにも申し入れをして、具体的な妥当な結論が得られますように、今後とも努力して参る所存でございますが、今回の場合は、とりあえず現実に今消防機関活動として行なっておりまする搬送業務ということに対して、法的な措置を講じていく、裏づけを講じて参りますることが、現下の情勢上緊切なる要請であるまいかとの観点から、本改正の御審議をお願いいたした次第でございます。
  38. 大沢雄一

    ○大沢委員 救急業務に関してとりあえず搬送業務だけということで、まことにさびしく思うのですが、前向きに検討いたしまして——ただ、今の医療関係だけでなく、欧米の都市に行きますと、どこに行っても大きな都市にはエマージェンシー・ホスピタルがあることは御承知の通りであります。エマージェンシー・ホスピタルが、業務の範囲から言うてどこに属するかというふうなことは別といたしまして、やはりどこかでそういうことを推進しなければ、交通事故なんかに関連することでありますから、人もその必要を強調するし、また消防も今の搬送業務だけというようなことでなく、それからあとのことをこの関係から推進していただくし、もとより医療そのものをやっておりまする厚生省等におきましては、これを取り上げるということにするということが、私は自治体としてきわめて必要なことでなかろうか、こういうことこそ自治体のやるべきことじゃなかろうか、むろんそれに対する国の補助がなければなりませんが、こういう前向きの考え方をされたことは非常にけっこうでありますので、その医療関係とともに医療を施すホスピタル、これをもう十二、三年前に私は視察したのでありますが、当時、地方自治体の知事あたりの選挙の公約に、市長あたりの選挙の公約に、エマージェンシー・ホスピタルを設置するということが非常に取り上げられておったのでありますが、私はそこまでぜひ一つ——これは消防でエマージェンシー・ホスピタルを経営しろというのじゃないですが、関連することでありますから、一つ前向きに考えて、そこまで一つ推進していただくことが現在の社会生活の情勢にかんがみまして、とにかく交通の状態からかんがみて、きわめて必要じゃないかということを申し上げて、ぜひ推進していただきたいと思うのです。  なお、これに関連して、これはいつも新聞紙上をにぎわすのでありますが、僻地におきまして急病人などが発生すると、いつもアメリカ軍が運んでやった、助けたとか、ときには自衛隊のもありますが、私どもは、ありがたいのでありますが、情けないことじゃないかという気がしてならない、こういうことも医療関係だといって逃げれば逃げられますが、やはりこれは住民の救急の場合における、急病といいますか、そういうことでありまして、私どもはこれの搬送などということは、消防で扱ってけっこうなんじゃないか、そういうこともぜひ一つこの際同様に推進していただきたい。ここは、大蔵委員会があるということで御注意がありますので、私は強い要望にとどめてこれでおきます。関連する業務として、そういうことの所見だけでも一つ聞いておきたい。
  39. 藤井貞夫

    藤井政府委員 御指摘の点はごもっともでございます。われわれといたしましては前向きの姿勢で、全体の救急態勢の確立という方向に沿って、それが完成いたしますように今後も努力をして参りたいと思います。ただ厚生省等においても、今年度等からそういう救急の中央病院等の構想を持ち出したようであります。おそらくそういうような線で、積極的に今後施策が打ち出されていくことを期待をいたしておりますし、われわれ自身も、人ごとでなく、そういうことが同時に協力して実現するような方向で今後努力をいたします。  また僻地等においても、私たちもその点は同感でございまして、地方によっては実は小型の消防自動車、ジープ等を改造した小型の自動車に、救急の搬送施設等を簡易に取りつけて、これを救急車として活用しておるというようなやり方をやっておるところもあるわけです。そういうような工夫と努力によってやれる面はまだまだたくさんあると思いますので、そういう点もあわせて一つ努力をして参ることをお誓いをいたしたいと思います。
  40. 永田亮一

    永田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会