○二宮
委員 私は一昨日自分の宿舎でじっとラジオを聞いておったのですが、底辺に生きる野郎どもとかいう現地録音でございます。これはやくざの社会といいますか、非常に暗い生活、過去を持っておる人々の録音を、男が行ったのではかどが立ちますから、現地へ女性が行って録音したものの放送をやっておる。その中で、こういうようなことを聞いたのですが、彼らが言っておるのは、うそかほんとうか、信用の度合いというものは一応別といたしましても、私だって
警察官からいすでなぐられたことがございますよという話をやっておる。これは、私の感覚では、あまり偽りのあるような声とは聞こえない。正直な聞き方かもしれませんが、そういう感じがしたわけなんです。従って、特にこの
麻薬などのように、手薄でしかも捜査が困難である、しかも目の前で
麻薬中毒症状を現わしてくる、そういうような状況になって参りますと、それをいい材料にして、次のルートをたどっていくというような場合に、
警察の取り調べの態度の中には、やや行き過ぎの問題が起こってくる可能性が多分にある。これは
警察が、ほんとうに民主的に
警察法の第二条、第三条で示されたような民主的な
警察として親しまれ信頼し得る
警察として、全くそこまで民主化されて、少しイギリスの交通
警察官のようにヌーボーであるというぐらいに、ばからしく思われるぐらいに民主化されると別でありますけれども、どうかすると、やはり
日本の
警察というのは、
警察の過去の歴史というものは残念ながらあまりよろしくない。従って、こういう問題にぶつかって、あるいは非常に困離な検挙をやらなければならぬというような、しかも相手が凶悪であるというような状況になって参りますと、凶悪でない場合を含めまして、非常に私は、取り調べなりあるいは捜査なりというものが昔の姿に返ってくるような格好になりはしないかという心配をするわけなんです。宮地さんの方では、まだ全然そういう報告がないということでございますけれども、これは管区
警察あるいは都道府県
警察としても、あまり名誉の話ではございませんから、実はそういうものがありましたという報告はないと思いますけれども、
警察行政指導の
立場に立つ皆さん方としては、そういう点については十分に
一つ考慮しないと、これは
あとから私が事例をあげてきて、ああそういうことがありましたかということにならないように、
一つ十分に今後留意をしてやっていただきたいというように
考えるわけですが、それに関連いたしまして、今度東京都あるいは大阪府で制定をされました公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例というのが出ておるわけなんです。これは
内容としては、私はずっと見て参りましたけれども、非常にかよわい婦女子や一般人に対しましては、従来のぐれん隊あるいはダフヤ、ショバヤというようなものを見たら、直ちに取り押えることができるという条例になっておるわけなんですけれども、これについて、私は柏村長官に
一つお伺いしておきたいのですが、これは今のところ東京都と大阪府でございます。ところが私は、ここでこういう条例ができますこと自体についての賛否は別としまして、これが東京都で締め出されますと、やがて近県に及ぶであろう。いなかの方に行った方がいいのだということになりはしないか。大阪で締め出されるとやはり兵庫県のいなかに行った方が条例がないからいいじゃないか、こういうことになりますと、やがてそういう人々はあるいは姿を変えて、生活の情勢をよい方ではなくて、むしろ潜在的な方向に悪質化するのではないかという姿が
一つ考えられる。同時に、地方に向かって疎開をしていくのではないかという心配がされるわけなんです。そういたしますと、これがやがて東京都、大阪府だけでなくて、そのほかの都道府県にも同じような条例を置くことがいいのだという
行政指導がやはり行なわれるのじゃないか。そうしますと、その結果として、おそらく全国的にこういう条例というものができるのじゃないか。そうすると、その条例というものがやがて都道府県だけの問題でなくて、もうすでに各都道府県に出てきたのだから、
一つこの際
法律としてこれは制定しようじゃないか、こういう格好にいくおそれが方向として心配されるのです。そうなりますと、せっかく民主
警察として示されましたこの
警察法の精神からいって、この精神と相反する具体的な事実をつくっておいて、そしてその上に立って
法律改正を行なうという、そういうことが私は心配をされるのでございますが、そういう点は長官はどういうふうにお
考えになりますか。