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1963-02-27 第43回国会 衆議院 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和三十八年二月一日(金曜日)委 員会において設置することに決した。 二月一日 本小委員委員長指名で次の通り選任された。       伊藤 五郎君    大久保武雄君       岡田 修一君    鴨田 宗一君       田澤 吉郎君    藤井 勝志君       毛利 松平君    古田 重延君       岡  良一君    佐藤觀次郎君       広瀬 秀吉君    藤原豊次郎君       武藤 山治君 同日 伊藤五郎君が委員長指名で小委員長に選任され た。 ————————————————————— 昭和三十八年二月二十七日(水曜日)    午後一時十八分開議  出席小委員    小委員長 伊藤 五郎君       岡田 修一君    鴨田 宗一君       藤井 勝志君    毛利 松平君       佐藤觀次郎君    広瀬 秀吉君       藤原豊次郎君    堀  昌雄君       春日 一幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  原田  憲君         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君  小委員外出席者         大 蔵 委 員 田原 春次君         大 蔵 委 員 横山 利秋君         大蔵事務官         (理財局次長) 高橋 俊英君         大蔵事務官         (理財局証券部         長)      有吉  正君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 二月二十七日  小委員岡良一君同月五日委員辞任につき、その  補欠として春日一幸君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員武藤山治君同月十二日委員辞任につき、  その補欠として堀昌雄君が委員長指名で小委  員に選任された。 同日  小委員藤井勝志君同月十八日委員辞任につき、  その補欠として藤井勝志君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員広瀬秀吉君同月二十三日委員辞任につき、  その補欠として広瀬秀吉君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員春日一幸君同日小委員辞任につき、その  補欠として岡良一君が委員長指名で小委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  金融に関する件  証券取引に関する件      ————◇—————
  2. 伊藤五郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。  まず、当面の金融及び証券行政について、政府より説明を聴取することといたします。大月銀行局長
  3. 大月高

    大月政府委員 それでは最近の金融情勢について、簡単に御説明申し上げます。  まず日本銀行券動きでございますが、毎月の平均発行残高につきましては、三十六年の七月が対前年比二六%という非常に高い数字でございましたが、金融引き締めを実行するにつれまして、おおむね毎月一%程度ずつその比率が下がって参りまして、ことしの三十八年一月では一二・五%、こういう比率になって参っております。そういう意味日本銀行券動きは非常に落ちついた動きを示しておるわけでございまして、一月末におきまして一兆四千五百三十三億円、こういう数字になっております。  それから三十八年、ことしに入りましての財政収支状況でございますが、一月以降第四・四半期揚超期に入っておるわけでございますが、一月の実績といたしましては二千三百三十一億円の揚超でございます。前年の一月は二千三百六十五億円ということでございますので、わずかばかり揚超の幅が小さい、こういう実態でございます。  そういうような状況のもとに日本銀行貸し出しでございますが、昨年の十月以降本格的な財政資金の散超期に入っておりまして、そういう意味日本銀行貸し出しがどんどん減って参っておるわけでございます。三十八年一月末、つまりことしの一月末におきましては、日銀貸し出し残高が一兆二千二百二十三億円、こういうことでございまして、去年の一月末の残高一兆二千五百八十七億円を下回ったわけでございます。初めて最近において下回ったという現象が出ております。  それから日本銀行貸し出し態度でございますが、窓口で査定いたしております態度は、逐次緩和いたして参っておりまして、そういう意味で、市中銀行からの貸し出しにつきましても、比較的楽になっておるというのが実態でございます。御承知のように日銀貸し出し関係では含み貸し出しという現象がございます。一般統計外に大体四千五百億ぐらいあったんじゃないかといわれておりますが、こういうような状況でございますので、逐次含み貸し出し解消をやる。おおむね本年度末までにこれを解消するという方針日本銀行の査定も緩和されておりますので、この含み貸し出し解消も順調に進んでおる状況でございます。  そういうような状況を背景にいたしまして、コールレートがだんだん低下して参っております。基調といたしましては、昨年の十月以降の散超期から逐次低下いたしておりまして、年末繁忙期に一時レートが上がったという現象がございますけれども、一般的に非常に平穏でございます。二月下旬現在におきまして、翌日物二銭一厘、無条件物二銭二厘、月越し物二銭七厘、こういうことでございまして、去年の今ごろが三銭四、五厘というような状況から見まして、格段の低下を示しておるわけでございます。  市中預金貸し出し状況でございますが、財政払い超による環境の好転ということ、それから金融引き締めが緩和されてきて、営業性預金がふえてきておること、あるいは所得水準が上がっておること、こういうようなことから営業性預金貯蓄性預金ともに総じて増勢を続けておるわけでございます。そういう意味で第三・四半期に入りましての実勢預金増加は、銀行で八千七十六億円、こういうことでございますが、前年の第三・四半期増加三千四百八十億円という数字に比べますと、非常な増加でございます。また、ことしに入りましても、例年一月は預貯金の減る月でございますが、ことしの減少額は四百三十億円でございます。去年が一千八百九十五億円というような減少を示しておりましたのに比較いたしまして、非常に幅が小さくなっておるわけでございます。銀行のみならず相互銀行、信用金庫、信用組合、農協、郵便貯金生命保険、そういうものを全部ひっくるめましたいわゆる一般預金は、御存じのように昭和三十七年度といたしまして目標額は二兆八千億でございます。それがこの年末にすでに三兆七百五億円ということで目標を突破いたしたわけでございまして、年度末になりますと三兆五千億円をこえるのではあるまいかというように見通しておるわけでございます。  それからそういうような預金増加とうらはらをなします貸し出しの問題でございますが、昨年末までは依然水準が高かったわけでございまして、第三・四半期預金増加にも対応いたしまして増加額七千二百九十五億円、こういう数字でございまして、前年同期が四千五百十四億円でございましたので、相当上回っておるわけでございますが、この貸し出し増加中心運転資金が主でございまして、特にその規模が前年に比較いたしまして大きくなっておりますのは、引き締め過程で累積いたしました企業間信用が、年度末をめどにいたしましてかなり決済されたということ、それから企業収益率が落ちておりますので、そういう関係決算資金銀行依存度が高くなった、こういうようなことが原因であろうと見られております。一方設備資金需要はきわめて慎重でございまして、一部の業種を除きましては、積極的な動向はあまり見られないという状況でございます。  なお、全国銀行協会におきましては、設備資金動向を三カ月ごとに調査いたしておりますが、この年末の実績によりますと、設備投資計画を修正いたして参りました企業の側におきましては、十二月末におきまして当初計画に比較いたしまして一八・七%の減という計画の修正を行なっております。これは三十六年度実績に比較いたしますと一二・三%の減ということでございます。  次に第四・四半期、この一月から三月までの貸し出し動向を予測いたしてみますと、最近の資金需要繰り延べ決済資金需要中心でございまして、昨年末ごろまで旺盛でございました不況業種減産資金であるとか、滞貨資金需要はおおむね一段落いたしております。それから前向きの資金需要は、自動車であるとか石油精製業等一部にそのはしりが見受けられる程度でございまして、また第四・四半期というものは決算資金所要資金、そういうものの需要のない月でございますので、全体としての資金需要規模は第三・四半期、つまり昨年末に比べまして相当下回るというように見られております。貸し出し規模自体は前年の同期に比べまして若干ふえる程度であろう、そういうふうに考えるわけでございます。含み貸し出しも先ほど申し上げましたように、年度末までにおおむね解消するであろうというように見られておるわけでございます。  大勢は以上申し上げましたようなことでございますが、二月、三月に至りましても、大体においてこういうような情勢で進むのではあるまいかと考えられるわけでございます。コール市況等におきましても、第四・四半期にオペレーションを千億予定いたしております。二月に五百億実行いたしましたほか、三月にまた五百億実行する。こういうことで大体落ちつきぎみに推移しようか、こういうのが最近の金融情勢概況でございます。
  4. 伊藤五郎

  5. 有吉正

    有吉説明員 株式市場概況投資信託状況中心にいたしまして、証券の現状を御説明いたします。お手元にお配りいたしました資料に基づきまして株式市場概況から申し上げます。  東京証券取引市場第一部の株価平均でございますが、旧ダウにつきましては、御承知のように三十六年中におきまして七月後半から低落いたしたのであります。十二月には千二百五十八となったのであります。年平均は、ここにございますように千五百四十八でございます。三十七年に入りまして、一月、二月と若干高くなったのでございますが、この後におきましては、ここの表にございますように、千四百台を終始いたしたのでありますが、九月から千三百四十五、さらに十月に至りまして千二百六十六ということに相なりました。十月の二十九日に千二百十六という最安値をつけたのでございます。その後十一月、十二月と株価はだんだん上昇に向かったのでございます。十一月が千四百二、十二月が千四百三十三という平均値を示しております。一月、本年に入りましてもいわゆる低金利ムード中心といたしまして、中低位株が相当上がったのでございます。一月千四百三十七という月平均を示しております。二月になりまして、二月の十一日には千五百台をつけるということになったのであります。その後は大体千四百八十ないし九十という数字をつけております。これは一昨日までの数字になっておりますが、昨日二十六日は千四百八十八・五八ということになっております。  単純平均は旧ダウと大体同じでございますので省略させていただきます。  予想平均利回りでございます。大体最近におきましては三分ないし四分台、若干株価上昇に転じましたので、本年に入りましては三分台に終始しておるという状況でございます。  一日平均売買高でございますが、三十六年中は一億株を日平均としておったのであります。三十七年に至りまして、一月、二月若干株価が高くなりました当初におきましては一億三、四千万株を数えたのであります。その後八千万株に落ち込んだ月が多いのでございます。七月、八月は若干株価の影響を受けまして一億株を突破いたしました。それが十一月に至りましてにわかに活況を呈したのは、この数字でもごらんになりますように、月平均十一月が一億九千万株というようなことになっている。十二月も一億三千万株を示しておるのでございます。本年一月の平均は一億六千万株でございまして、二月に入りましてもやはり依然としてこの好調は続いておるのでございます。しかしこの一両日におきましては、七千万株ないし八千万株程度ということにとどまっておる次第でございます。  日証金差引融資残高でございますが、大体この数字にございますように、昨年中におきましては三百億円台でございます。本年に入りまして四百億、あるいは最近におきましては五百億台ということになっておるわけでございます。この動向につきましては慎重に考えて参りたい、かように考えております。  さらに、市場第二部でございますが、三十六年の十月に発足いたしまして、三十六年中は二百三十台でございますが、三十七年に入りまして三百台になったのであります。これは先ほど申しましたように、市場第一部の十月、十一月から入りました上昇転機によるものでありまして、市場第二部は、当初におきましてはその上昇度は遅々たるものがあったのであります。本年に入りましても、やはりときには二百九十台に終わっておるのでございます。昨今の状態は大体三百台をすれすれにこえたという程度でございます。  それから予想平均利回りでございます。二部の方は一部以上に低利回りに買われて参ったのでありますが、先ほど申しましたように、一部の株価が二部に比べまして最近その上昇速度が早いというようなことから、最近におきましては三部の平均利回りと一部の平均利回りとがだんだんと近づいて参ったのであります。  平均売買高につきましては、やはり昨年の一月、二月には一千万株を突破したのであります。最近におきまして若干活気を滞びまして、ようやくこの二月に入りまして一千万株を突破したような次第でございます。  次に、証券投資信託状況につきまして資料をもって御説明いたします。  まず株式投資信託でございますが、単位型につきましては、三十五年に二千四百六十九億の設定額があったのであります。三十六年上半期の好況に基づきまして、三千九百億といのようなことに相なったのであります。下半期におきましてそれがだいぶ落ちついて参りましたのが三十七年にも影響しておるようでございます。三十七年は二千二百二十六億というような数字にとどまったのであります。しかし、この際におきましても千三百億の設定額を見たのであります。下半期七月以降にはわずか九百二十三億にとどまっておるのであります。しかしながら本年に入りまして一月には二百十六億と二百億台を突破いたしたのであります。二月はまだ正確に集計されておりませんが、大体百九十二億程度、二百億足らずというような設定願になったのであります。  解約額の方でございますが、三十五年が八百五十八億、三十六年が千三百億、三十七年におきましても大体三十六年と変わらない解約額が出ております。しかしこの間に元本が相当ふえておりますので、元本に対する解約率はむしろ三十七年には減っておるのでございまして、三十五年、三十六年の大体二・一%ないし二%の残存元本に対する解約率でございます。三十七年におきましてはそれが一・六%の解約率にとどまっておるのであります。  償還額はその次に善いてございます通りでございます。結局一番右の欄の「年間又は月間増減」をごらんになっていただきますと、三十五年が千六百十億、三十六年が二千五百十二億、七年になりましてわずか七百三十三億の純増にとどまったということであります。  次に追加型でございますが、設定額は三十五年が千百五十一億、三十六年が千九百七十億、三十七年が千二百四十四億、先ほど単位型で申し述べましたように、単位型におきましては非常に減ったのでありますが、追加型におきましてはその減り方が割に少なかったのでございます。この原因はむしろ三十七年の後半期、下半期にあるのでございます。下半期につきましては九百六十八億円というものが設定されたのに原因するのであります。  解約につきましては三十五年が二十一億、三十六年は二百五十六億ということでございましたが、三十七年におきましては九百四十億という非常に多くの解約が出ております。これは解約は先ほど申しましたものとその現象を異にするのであります。追加型におきましての解約は目立って多いのであります。その結果一番右の「年間又は月間増減」をごらんになっていただきますと、三十七年上半期、一月から六月におきましてはむしろ百四十九億の純減を示したのであります。ただし下半期に至りまして四百五十四億の純増ということで回復いたしたのでございます。  株式投信の合計につきましては、この友に示しておる通りでございますので、御説明申し上げるまでもないのであります。  次に、公社債投信でございますが、三十六年が二千四百四十四億設定されたのであります。御承知のような状況でございます。三十七年に至りましては八百三十八億設定にとどまりました。ただこれは上半期におきまして四百三十四億、下半期におきましても同じような四百三億というような設定でございましたが、解約におきまして三十七年の上半期下半期が態様を非常に異にしておるのであります。三十七年の上半期には六百八十六億解約が出ておりますが、下半期におきましてはそれが半減いたしまして、三百八十五億の解約と相なっております。従いまして、年間又は月間増減過程におきまして、三十七年上半期二百五十一億の純減ということでございます。下半期におきまして十八億、わずかばかりではございますが純増という形に転向したわけでございます。本年に至りまして一月がここにございますように七十八億の設定に対し解約が五十二億、ここにおいて二十五億の純増を示して参りたのであります。二月におきましてはまだ集計した数字はございませんので、ここに書いてございませんが、ニ月におきます設定は八十一億一千万を大体見当づけられると思います。解約が大体五十二億一千万程度予想されますが、差引二十九億の純増ということに相なろうかと思うのであります。ここに至りまして、三十七年の下半期で六ヵ月かかってわずか十八億の純増にとどまったのであります。本年に至りまして一月で二十五億、あるいは三月は二十九億というような純増になって参ったわけでございます。  以上簡単でございますが、説明を終わります。
  6. 伊藤五郎

    伊藤委員長 続いて質疑の通告がありますので、これを許します。藤井勝志君。
  7. 藤井勝志

    藤井委員 どうもいろいろありがとうございました。私は、金融並びに証券に関連する数点の質問を簡単にいたしたいと思います。  第一は低金利政策についてであります。銀行局長にお尋ねいたしたいと思います。政府は、御承知のように八条国移行ということで、貿易為替自由化、こういったことに備えて日本のいわゆる金利水準国際金利水準にまあ近寄せる、こういう準備体制をされて日本企業国際競争力を強めていく、こういったことで先般、あれは二月二十日過ぎの経済新聞でありますか、この四月には公定歩合を一厘引き下げる、こういう報道がされており、そのためには三月の上旬に金融機関証券代表者を集めていろいろ低金利政策推進のための懇談会をされる、そしていわゆるこの業界の協力を得て大蔵省がこれから推進されようとする低金利政策のいわば環境つくりをされるというふうに報道いたしておるのでありますが、その環境つくりの具体的な構想はいかにおありになりますか、その点一つお聞きいたしたいと思います。
  8. 大月高

    大月政府委員 金利の問題は基本的には資金需給関係によってきまるということだと思います。御存じのように、岬町の秋以来、金融引き締め基調方針を解除いたしまして、日本銀行態度も非常に緩和されてきておる。御存じのように公定歩合を二一回にわたって引き下げたわけでございますが、それと同時に金融調節方式として債券の売買方式を重点的に実施するという方針をとっておりますが、これによって最近の金融情勢に即応して、引き締めておりました情勢を逐次緩和の方向へ持っていこう、景気の情勢を見ながら弾力的に操作しようという方針でございます。また一方、需要の面におきましても、設備意欲は最近、根強いことは根強いわけでございますが、具体的には鎮静してきている。こういう意味資金需給のバランスというものは、若干改善方向に向かっておると判断いたしております。そういたしますと、われわれといたしましては、さらに健全な資金供給ができるということが一つポイントであると思います。そういう意味で今度の国会で御審議を願っております。預貯金利子等に対する課税を軽減いたします。それから五十万円までの少額貯金優遇制度を確立するというようなことによって貯蓄をふやす、それから健全な外資を入れて参る、こういうようなことで資金供給をふやして参るという措置をとっております。それに並行いたしまして金融機関側合理化態勢というものもとってもらいますということになりますと、コスト面から金利が下がってもたえられるというようなことになりますので、以上の資金需給関係を整備して参りますとともに、金融機関側にもそれに対する受け入れ態勢をつくってもらう、そういう意味でわれわれはいわば環境つくりをやっておる情勢でございます。
  9. 藤井勝志

    藤井委員 金融機関の合理的な受け入れ態勢をつくる、改善を要望するという、そのこと自体はけっこうでありますけれども、抽象的にはそういったことがよくいわれますが、実際具体的にどういう方法があるのか、金融機関受け入れ側合理化対策根本方針はどのようなお考えでございましょうか。
  10. 大月高

    大月政府委員 これは銀行行政として一貫してとって参っておる政策でございますので、あらゆる面でそれを推進しておると申せばいいかと思います。たとえば人件費物件費等についてもむだがないようにということが基本でございます。基本的にはしかしコストを下げるということは資金量がふえるということがポイントであろうと思います。結局金利と申しますとコスト資金量で割ったものでございますので、分母がふえればふえるほどコストは下がっていく、そういう意味資金蓄積態勢をとっておるわけでございますが、あわせていろいろな人件費物件費面からする経費の増高を押えていくということが基本になる、こういう考え方でございます。
  11. 藤井勝志

    藤井委員 公定歩合引き下げ、それに引き続いて市中銀行金利引き下げ、こういった問題が連鎖的に行なわれなければならぬと思いますが、実際銀行業務実態を考えると、衣向きはそうではないというふうにお話はあろうかと思うのでありますけれども、結局、歩積み、両建、こういったものは依然として現実としては続いておる。こういう実情では、表向き名目金利は下がっても実質金利は下がらない、こういうことを非常に心配するわけでございます。こういうことに対しては、政府は、一応低金利政策金利を下げるという方向に向かうならば、同時に広い意味環境つくりとして、実質的な金利が下がる、そうして企業国際競争力を強めていく、こういうことが真剣に配慮されなければならぬではないかというふうに思うのでありますが、もう何回か当委員会において、繰り返し繰り返し委員の方から意見が出、また銀行局長は、それに対して、そういうことはない、またあらしめるべきではない、こういうふうな話でありますけれども、現実にあるというこの事実に対して、徹底的な対策が必要ではないかと思うのであります。これに対する銀行局長の御見解を一つ伺いたいと思います。
  12. 大月高

    大月政府委員 歩積み、両建の問題は、戦後絶え間なく議論され、われわれといたしましても、これの絶滅に非常に努力いたしておるところでございます。われわれの、過去、昭和三十年ごろからの歴史をずっと振り返ってみましても、歩積み、両建の自粛ないしこれを根絶したいといういろいろな通達あたりは十数本出ておるわけでございますが、われわれとしては、単に文書を出しただけでもって足れりとしておるわけではございませんので、その他各地で金融懇談会を組織いたしまして、そういう具体的な事例があった場合に、お互いにその問題を提起いたしまして自粛を願うとか、あるいはわれわれの銀行検査に際しまして歩積み、両建問題を意識してこれの絶滅に努めるとか、具体的の抑制措置をとっておるわけでございます。しかしこの歩積み、両建問題というものは本来非常に複雑でむずかしい問題だと考えております。それは一般に形の上で両建になっておるということが悪いのではなくして、債務者の都合で置いてある預金というものはたくさんあるわけでございまして、これは一般銀行業務として何ら非難すべきことでもない、正常の業務に属するわけでございますが、それが貸し出しをいたします場合に、債務者の都合によらないで、その意思に反してこれを拘束するというところに問題がございます。そういたしますと、はたして債務者の意思、都合によったものかどうかという判定はなかなか外部からの検査ないし調査では判定しにくい。ちょうど公正取引委員会におきまして、たとえば支払いの促進をする、中小企業者に対して手形を切らないというような問題、これは債務者の側にはいろいろ不平はございましても、直接訴え出ればまた取引に支障があるというような実態もございます。この歩積み、両建もかりにこれを公にすれば、あるいは銀行からのいろいろな報復的なことも起きるかもしれないというような問題もあって、債務者の主観的な問題でもありますし、それを公にする措置というものがなかなかむずかしいというようなことがございまして、率直に申しましてこれを完全になくするということははなはだむずかしいと思っております。しかし国際金利水準にさや寄せしていくというようなことから申しますと、形式的な金利水準ではなしに実質が大切であるということは、日本銀行、われわれ共通した意識を持っておりまして、今後も努力して参りたいと思うわけでございますが、基本的には歩積み、両建と一般金利水準の低下というものはやはり並行してなくしていくということが大切かと思います。一般金利水準が下がって参りますれば、歩積み、両健というような債務者にとって非常に不利なことを強制する金融機関は、顧客から逃げられる、排除される、こういうことにもなるわけでございまして、われわれとしては基本的には歩積み、両建問題に対する検査、行政指導その他によって絶滅の努力はいたしますが、基本的にはやはり金融環境を整備していくことによって、歩積み、両建をする金融機関が逐次世の中から排除されていくというような方向に持っていくべきものだ、かように考えておるわけでございます。
  13. 藤井勝志

    藤井委員 公定歩合は世界各国とも年利計算になっておる。ところが日本は日歩ですね。何銭何厘下げるとかいうことで日歩単位になっておるのでありますが、これは何か日本に特殊事情があって、またその特殊事情を残さなければならない一つの理由があるのか。やはり国際的な一つの貿易自由化とかこういった線で、すべてを国際的スケールで処置するという場合に、国際並みに年利計算で表現すべきではないかというふうに思うのですが、この点どうでしょう。
  14. 大月高

    大月政府委員 一歩か年利かという問題は、結局各国の取引の慣行によるべきものだと思います。最近、今のお話のように、年利計算に切りかえたらどうかという意見も相当強いわけでございますが、なかなか金融界全般としてこれを切りかえるということについてはふん切りがつかない。しかし日本銀行におきましても、一体国際比較においてどのぐらいの高さにあるかということを具体的に承知する必要もございます。それからかりに日歩一厘動かしたことが年利ではどのぐらいになるかということも意識して日歩を使う必要もあるわけでございまして、最近発表いたしております公定歩合の変更の際の表等には、日歩何厘、カッコして年利幾らというふうに表示してございまして、やはり年利の観念を入れてこれを運用するということにいたしておるわけでございます。具体的にはちょうど日歩が〇・三六五%でございますので、ちょうど三厘が一%ぐらいの感じです。イギリスあたりでは公定歩合を動かしますのに大体〇・五%刻みでございますから、一%動かすのに三分の一か二分の一か、こういうような感覚で具体的には頭で整理しながら日歩を使っておるような状況でございます。
  15. 藤井勝志

    藤井委員 デノミネーションのことについてちょっとお尋ねをいたしたいと思いますが、先日山際日銀総裁が記者会見において、デノミネーションをする意思があるやに、またそのことに賛成だというふうな見解が発表されまして、全国に大へん大きな反響を呼び起こしておるようでありまして、ちょうどあの発表のありました晩、夜中に私のところにいなかから二、三電話がかかってきまして、一体どうなるんだろうということで、その真相のお尋ねがあったのでありますが、全く寝耳に水の話でありますので、私も答えようがないということでございますが、このデノミネーションが話題になるということのいきさつは想像はできる。すなわち貿易、為替自由化ということによって、現在日本が米一ドル対三けたの数字になっておる。この三けたはイタリアと日本だけだということで、ちょっと外面上直したらいいじゃないか、あるいはまた計算上数字が少なくて簡単だというふうなこと、こういつたことはしろうとなりに推測がつくわけでございますけれども、一体このデノミネーションの利害得失並びにデノミネーションを行なった諸外国の実情、実例、こういったものを一つ詳しくお話を願いたいと思います。
  16. 高橋俊英

    ○高橋説明員 ただいまおっしゃいましたように、デノミネーションのことにつきましては、非常に何といいますか、疑心暗鬼というふうな不安が常に伴います。これは二、三年前にやはり日本銀行の山際総裁がデノミネーションについて言及した場合に、株式に影響があるとかいろいろおもしろくない現象が現われましたので、政府としては当分やらないのだというふうなことをきめておるわけでございます。現在におきましてもこういう状態ではまだやるべきではないというふうな考えであるわけであります。しかしながら、本質的にデノミネーションがそのように非常に危険なものであるかという点になりますと、これはほんとうはそうでないのであります。今おっしゃいました中でも幾つも当たっておるわけですが、国際的な資本移動の場合を考えましても、今後貿易自由化の次にはやがて資本の自由化ということになる。そういう場合に、IMFに加盟しておる国の中で、イタリアが残っておりますが、それがもしデノミネーションをやってしまいますと、残るのは日本だけだというふうな——ほかにも実はあるのでありますが、しかし大した国ではない。先進国——日本は先進国とは言えないかもしれませんが、中進国として残ってしまう。三けたのレートが残るというふうなことはちょっと日本人として、そう言ってはなんですけれども、若干コンプレックスを感ずるようなことになりゃせぬか、そういうこともあります。と同時に、今われわれが日常予算及び国民所得などに何兆というふうな言葉を平気で使っておりますけれども、そもそもこういう天文学的な数字を通常の計算に用いるのはいかがであろうかというふうなこともございます。それともう一つ基本的に、今日本は銭という単位は、公定歩合などのときに何銭ということはありますけれども、日常取引上は使わないことになっておる。円で打ちどまりなわけであります。その円というものがつまり日本の国の貨幣の基本的な呼称ということになっておる。それが一円がいかにも価値が小さ過ぎまして、一円は今アルミ貨を使っておりますが、皆さんもついうっかりその辺に捨てておくというふうなこともありますし、一円自体では購買力がほとんどないような状態にある。そういう購買力の極度に小さくなったものを貨幣の単位として使っておること、長い間使うということはいかがであろうという問題がございます。価値がきわめて小さいものを基本にしてよいかどうかという点。それからやはり計算上は、たとえばそろばんその他計算——簿記をいたします場合の数字の数は同じでございます。一円がかりに百分の一切り下げられまして一銭になりましても、数字の数において変わるわけではございません。ただこれを頭に入れるといいますか、日常読んで使う場合に相違が出てくる。何兆という数字を使わないで、もっと小さな数字を使うことになるわけであります。大体銭以下をかりに切り捨てて呼ぶといたしますれば——通常端数を切り捨てて呼ぶ場合には円まで呼ぶ、そういう場合に、今ならば何百円ということでとめる場合に、今度は何円ということでとめる。そういったことで若干の計算上の差異がある、計算機その他を使う場合の差異はあまりないということでございます。ですから、これは利点ではございますけれども、大きな利点であるということはいえません。今のままでも支障はないではないかという御意見もあろうかと思います。  また弊害という点から申しますと、何といっても一番大きな弊害は、デノミネーションというものが戦後今日まで主要国でありますが十数カ国において行なわれましたが、そのうちの大部分が遺憾ながらデバリュエーションを一緒にやっておるわけです。当時平価の切り下げをやっておるという点から、日本でやる場合においてもデバリュエーションを二緒にやるのではないかという懸念が一般の間にある。実際にはその必要は全くないのでありまして、日本の今の為替相場の上における三百六十円、一ドルの相場は何ら円にとって不都合なものではない、きわめて適切なものでございまして、今後とも通貨価値の安定に努める限り、日本の円が極度にそれより弱くなるようなことはない。従って、デバリュエーションということは全く必要はありません。今後数年後にかりにやるといたしましても、デバリュエーションという問題は絶対に考えなくていい、純粋のデノミネーションだけでいい。ごく最近におきまして、ことしになりまして純粋のデノミネーションをやった国はフィンランドでございますが、その実例がございます。デバリュエーションは全く伴っておりません。ところが今お話しのように、さっそく地方から夜中にでも電話がかかりますように、非常に不安がある。というのは一部の者が——デノミネーションという外国語を使っておるせいもありましょうが、わからぬものですから、株が上がるのだ、五十円の株が五十銭になって、いかにも割安が目立ってくるから、おそらく相当に値上がりするに相違ないというふうなことを故意にやる向きがある。私は実際はそういうことは承知であろうと思います。相互の価値関係には何も関係ない。貨幣上の呼び名が変わるだけでございまして、相互の価値関係がどうこうということはないわけでございますけれども、何か割安が目立つとかいうふうなことで故意にあふろうとするような気配がある。あるいは金の退蔵という問題もございますが、デバリュエーションをやれば金価格は確かに動くわけでありますけれども、その金を退蔵する風潮がどことなしに現われたりする。こういう現象が伴います間は絶対にデノミネーションをやるべきではない。  しからばこの問題は自然にほっておいていいのかと申しますと、私どもとしては、いろいろな意見がございますからこれは政府の意向と申すわけにいきませんが、何年後か、あるいは十年後か知りませんが、どこかでそういうことをやる必要が生ずることは考えておかなければならない。そのときのためには、デバリュエーションを伴わないデノミネーションというものがあるのだ、デノミネーションは、ほんとうに純粋のものであれば相互の価値関係には何らの変更はない。たとえて申しますれば今の株価の問題にいたしましても、おそらくデノミネーションをやると、今の場合にはあらかじめあるいは同時でもけっこうでございますが、百株をもって一株として、五千円に上げておいてまた五十円に戻せばそれでいいわけでございまして、三十銭という額面を残しておかなければならぬ理由はない。事実今取引は、普通の取引においては千株単位をもって取引単位といたしておりますので、一株五十円というものはたばこ代にすぎませんで、そういうものを残しておかなければならぬ必然性はないわけでございます。ですから五十円がまた五十円になるだけでございまして、別段その価値においてデノミネーションをやったから割安になるとかなんとかいうことは絶対にあり得ないことでございます。  そういうことでございまして、弊害の中であとは経費がかかりやせぬかという問題も若干ございます。通貨を切りかえていくのに伴う経費その他いろいろこまかなものがありますけれども、しかし最近フランスにおいて一九六一年の一月から完全なデノミネーションになった。その前一年間はいわばその順応期間というものを置きましてやりましたが、この場合におきましては、通貨につきましても決定した当時は九フランの差しか出ていなかった。途中から新しいものを出し、また一たん中央銀行に還流いたしました古い札には、円フランに対して十フランという赤い字で訂正いたしましてそれを流す。ですから旧の千と新しい十とは全く同じ価値であるということがよくわかって併合していく。札の印刷の方も順次やっていけばいいということで少しも無理がないというふうな実例もございます。ですから切りかえに伴う混乱はとんどなしで済んでおる。フランスの場合には実はデバリュエーションを伴っておるのでございます。一七・五%の切り下げをやっておりますが、そのデバリュエーションとデノミネーションをやった後の状態、あるいはその経過的な時点におきます経済の混乱は全くなく、しかもたまたまほかの経済政策関係でございましょうが、その後のフランス経済は非常に順調にいっておる、こういうふうな実情でございます。
  17. 藤井勝志

    藤井委員 いろいろ利害得失についてお話を承ったのでありますけれども、これを実際やるとして日本銀行へ還流する紙幣は今のようなお話である程度やれますけれども、日本も株が大衆化して相当多数の大衆に手持ちされている株券の額面の切りかえ、こういったことはやるとすれば一体どういうふうな方策でやるか。フランスではどういうふうにやりましたか。日本の場合とまた事情が違うかもしれませんがそういう点はどうですか。僕はそういったことが大へんなことではないかとちょっと感ずるのです。今のフランスでは切りかえがスムーズにいったというお話ですけれども、大混乱を起こすのではないか、そのような犠牲と混乱を起こしてなおやる必要があるかどかうということについて非常に私は疑うのですが、そういう点はどうですか。
  18. 高橋俊英

    ○高橋説明員 株券をどういうふうにしますか、あるいはそのままで流通させているのかどうか残念ながらちょっと存じないのでございます。よく研究いたします。これは戦後株券が五十円のままで日本では据え置かれておりますために、株式会社でいいます株式課の仕事の分量が多くなりまして、株主総会の通知その他につきましても、一株券からあるわけですから大へんなひまをかけておる。つまり経常的に非常な金がかかっているということがいえるのではないかと思います。それで実はずっと以前でございますが、五千円に面を引き上げるという案を私ども打ち出したことがございます。これはいろいろな事情がありまして取りやめになりましたけれども、つまり今でいうと五千円に額面が上がるということが何というか、大衆に親しみをなくすというふうなこともございましてやめたのでございますが、そのときいろいろ研究したところでは、一時的には確かに金がかかるわけでございます。ただ株主に実質的な非常な損失を与えるというようなことはない。株式の併合自体にはさしたる弊害はないわけです。ほんとうの端株になってしまうものにつきましては、特価、これも非常に急いでやると影響がございますが、なるべく取りまとめて売却して、金で引きかえるというふうな方法をとれば、そう大きな弊害があるわけではございません。ただ引きかえに伴う会社の経費の負担はかなりの額に上ります。ただこれをやりますと、株式課の経常的な費用が非常に節約されまして、これを何年間かで償却するという考え方をとりますと、十分に経費としては引き合う。大衆に及ぼす影響としては、今は新しく投資をするという態度からいいますと、五十株とかなんとかいうことはあり得ないわけでございまして、たまたま増資割当が端数がついておる。この端数の株につきましては、今はそれぞれの発行会社ができるだけ端数をなくするように努力いたしまして、端数割当が生じたような場合については、証券会社と特約いたしまして、会社の方で余分な経費を負担して、なるべく売りと買いでそれを整理するということを行なっておるわけです。このことはむしろ今後の増資についても非常に問題になるわけであります。端数を全部整理してくれればいいのでありますけれども、応じない株主がございます。そうするとそのまた端数がついていくというようなことから、今の額面のままにしておくことがむしろ経常的には大へんなマイナス、負担になるというふうに感じます。株主に対する影響もむしろ併合した方がいいと思いますが、しかし今それをやるとおっしゃられますと、私ども今やるということは考えておりません。そういうことをして妙な刺激を与えなくてもいいのではないか、そういう問題は遠い将来でございましょうが、デノミネーションというふうなものが起こった場合に一緒に考えればいい問題であって、今これだけを取り立ててやるという気持は毛頭ございません。それだけお答えしておきます。
  19. 藤井勝志

    藤井委員 このデノミネーションをやるかやらないかということは、これは重大な金融政策でありまして、大げさに言えば日本の経済政策の大もとになる大問題だと思うのですが、これに対して日銀の総裁が、前回も一回そういうことがあったやに聞くのでありますが、御本人自身がこれに対して賛成論者であるかどうかは別として、あの立場において、いきさつを漏れ承るところによると、誘導難問にかかったというような話も聞くのでありますけれども、ああいったことが、ともかく簡単に向こうさんにそういう印象で受け取られるような発言をされるということはまことに遺憾なことでありまして、この問題について、政府はデノミネーションをやるかやらないかということについて、大体今のお答えで見当はつきましたけれども、もう一ぺん確認する意味において一つはっきりしたお答えを承りたい。これはまあ大蔵大臣から聞かなければならぬ問題だと思いますけれども、とりあえず一つ露払いとしてお尋ねをし、露払いとしてお答えを願いたいと思うのであります。その答えと同時に、この問題について、これを機会に、デノミネーションに対しデバリュエーションとの違いなりその実態を国民によくPRするということが、この際投げられた波紋に対しての収拾策であり、将来にかまえる方策ではないかと思いまして、この点について見解を承りたいと思うのであります。
  20. 高橋俊英

    ○高橋説明員 私の口からこのような答弁をするのは大へん申しわけないのですけれども、御質問がありましたから、露払いとしてお答え申し上げます。  今おっしゃいました非常に重大な問題であるという、確かに重大でございますが、それに伴って昨今見られますような一部の不安あるいは一つの何といいますか思惑というものがあります間は、こういうものはやらないのが適当であると考えます。またそういう不安を完全に一掃するために、できれば政府、われわれ、すべての良識ある方々の協力によって、デノミネーションは何ら現在の価値関係に変更をもたらすものではないということをすみずみまで徹底するようにしておいた方が、将来のためにいいのであろうと思います。また将来必ずやるということを前提に申し上げているものではございませんが、そういうものであるということを認識させることはよいことであると考えます。
  21. 藤井勝志

    藤井委員 では最後にもう一点、銀行行政のあり方について局長にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、特に昨今中小企業対策というものが非常に大きな政治の課題になっておる。従って、この銀行の融資も、大企業の融資対策ということも、これは当然高度経済成長のにない手として大切な問題でありますけれども、えてしてあまり片寄り過ぎるということは、これは国全体の経済政策として不適当だと思うのであります。従って銀行は大企業に対する融資の一定のワク、こういったいわゆる大口貸し出しに対する制限であるとか、あるいはまたその企業の借り入れ限度、こういうことに対しては、ある程度私はワクをつくってもいいのではないか、こういうように思うのです。そういったことは私の見るところ、全然とは言いませんけれども、相当ゆるふんでやっておる。しかるに今度は内部的に銀行が大いにこの銀行業務を伸ばしていこうという場合に、店舗の設置であるとか窓口をつくる、こういうことにはえらいきゅうくつな制約をされておる。店舗をつくることは、むしろ預金を吸収するためにもあるいは貸し出しのためにも、どちらにも利便を与えるものであるにかかわらず、店舗設置については非常に制約されておる。あるいはまた銀行の株の配当、職員の給与、こういったところに至るまで、相当きめこまかい一つの制約をなされておる。どうも主客転倒であって、むしろ前段で申し述べたようなところには少し配慮してもらい、後段においてはもう少しゆるめる、こういうことが金融行政のあり方として妥当な方策ではないかというふうに思いますけれども、局長の見解はいかがでありますか。
  22. 大月高

    大月政府委員 今お話のございました大口融資の規制の問題と、店舗行政あるいは職員の給与その他の行政の問題のウエートの置き方につきましては全く同感でございまして、最近そういうような方向で行政をやっておるわけでございます。ただお話がございましたように、従来のいきさつを申し上げますと、戦後新円の切りかえ等を中心といたしまして再建整備をいたしました。その結果、銀行の資本金は大体十分の一に減ってしまったわけでございます。その後インフレも進行いたしますし、銀行の資力が非常に弱くなった。銀行といたしましては、預金者の大切な金を預かっておるわけでございますので、この根っこがゆらぐということでは非常に困る、金融の機構自体に動揺を来たさないようにということで、われわれといたしましては、極力内部留保をふやすという方法で物事を考えて参ったわけでございます。そういう意味では、たとえば人件費におきましても物件費におきましても、その他先ほどお話がございましたように、極力それを詰めまして、配当というようなものあるいは役員賞与というようなものを、とにかく社外に流出するものはほとんど極端に切り詰めて、内部に詰めておる。そういう意味から、戦後新しく貸し倒れ準備金の制度も設けましたし、いろいろ行政指導によって内部留保、蓄積についての相当強力な指導をやって参ったというのが実態でございます。  また他面、御存じのように、どちらかといえば、戦後資金需給関係は貸し手市場金融機関が、産業に対して相当強い立場を持っております。そういう意味から申しますと、われわれ督監官庁が相当銀行に対してやかましいことを言わなければ、社会的な感覚に合わない逆の面もあったわけでございます。そういう意味で、われわれといたしまして、行政指導の方針として、今の二点を中心として相当強い規制をして参ったというのが事実でございます。ただ最近、金融情勢、それから戦後十八年目でございまして、銀行の資力等も相当充実して参り、いろいろ客観情勢の変化もあります。それから経済は非常に新しい変化を遂げて参りまして、店舗の配置等につきましても、新しい観点において、新しい経済事情に応じた配置を考えるという問題もございます。いろいろ問題が変わって参りましたので、ここ一、二年来はお話しのような方針で、できるだけ銀行側の自主的な責任を重んじまして、その自主性を尊重していくという方向に切りかえておりまして、それが今の時期に適当であり、かつそう弊害もないものだと考えております。  それから大口規制の問題につきましては、これはオーバー・ローンの問題の一環で非常に重要な問題でございまして、現在金融制度調査会において御審議を願っております一つの問題でございます。われわれ行政当局といたしましても、この点につきまして、抽象論ではなしに、具体的な基準をもちまして大口規制の問題に取り組みたい、新しい年度の行政の中心として推進いたしたいと考えております。
  23. 伊藤五郎

  24. 堀昌雄

    ○堀小委員 銀行局長にお伺いをいたします。時間があれですから簡単にお答えいただいてけっこうです。  昨日、日銀といろいろお話し合いをされた中で、相互銀行、信用金庫に日銀の準備預金制度をつくる、これは将来日銀貸し出しを認めるということになるという前提があるのかないのか、その点をちょっと……。
  25. 大月高

    大月政府委員 準備預金制度を認めることと、日銀貸し出しを認めることとは直接の関係はございません。われわれといたしましては、準備預金制度をかけるにつきましては、相互銀行と信用金庫が約四兆に近い資金最を持っておりまして、全体の貯蓄二十兆のうちで二割に近いわけでございますから、日本銀行金融統制の網の中に入れたいというのが目的でございます。日本銀行貸し出しにつきましては、それぞれの銀行の信用度を見まして、それに応じてどの程度の取引を開いていくか、個別に判定すべきものだというふうに考えております。
  26. 堀昌雄

    ○堀小委員 そうすると、方向としては個別はわかるのですが、現在はまだ相互銀行、信用金庫は日本銀行との間にそういう貸し出しについての道が開けてないと思うのですが、今後は開けるという方向にあるというように考えてよろしいのですか。
  27. 大月高

    大月政府委員 現在の相互銀行、信用金庫につきましては、相当規模の大きなものにつきましては預金取引の方をようやく認め出した段階でございますから、貸し出しの契約を結ぶには、相当まだ時間がかかると考えております。
  28. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこで、実は私これから少し勉強してみないと、きょう伺えない点もあるのですが、相互銀行と信用金庫というのは発生の経過というか、沿革が普通の地方銀行、都市銀行と異なって、信用金庫におきましては、組合員というか、出資者というか、一種の員内利用的な発想を土台として発展をして今日に至っておる。そうすると、今の信用金庫というような潮流の中に、二つの流れが出てきて、一つはやはり協同組合金融のような考え方の土台を守ろうというような考え方が一つ、もう一つは地方銀行的な方向へ大きくなっていきたいという考え方が一つある。ところが、現在の銀行局の信用金庫に対する行政指導というのは、やはり抽象的に信用金庫を一般的な感じに理解をしておるのですが、そういう現実過程の中での信用金庫の発展の段階に応じて、質的な変化をもたらしつつある問題、これに対する銀行行政としてのあり方、それからあなた方の今後に対する考え方、信用金庫はいかにあるべきか、相互銀行もそういう点は似た問題があると思いますが、そういう問題については一体局長はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  29. 大月高

    大月政府委員 信用金庫の将来の性格をどう見るかという問題につきましては、これは信用金庫と信用組合をどういうように考えていくかという問題に集約されると思います。御存じのように、信用金庫の現在の特色は、出資者の相互の金融でございまして、貸し出しは出資者以外に、会員以外に貸し出してはいけない。預金は主として会員からとりますけれども、これはいわゆる員外預金をとってもよろしいというのが特色でございますが、ポイントとしては、お互いにやはり組合組織として金融をやっていく組織であるというのが性格的に強いわけでございます。ただ、信用組合におきましても、その点はほぼ同様でございますが、信用組合には員外の預金をとらしてない。さらに組合的性格が強いということがポイントでございます。それで、組合金融であるという点は同様でございますが、その信用金庫が資金源におきまして若干幅が広い面からいって、金融機関的な性格が信用金庫においてはさらに強いという点が特色でございます。そういう意味で、監督官庁といたしましても、信用金庫はわれわれが監督いたしますし、信用組合は都道府県知事に直接まかしてある。われわれは直接の行政にはタッチしないで、大綱を示すということだけになっております。そういうことから信用金庫といたしましては、やはり組合金融機関であり、かつ近代的な形態を持った金融機関であるという二点を特色として今後行政を進めていきたい。それが一方におきましては、相互銀行、信用金庫のような組合組織でない金融機関となるし、一方においては信用組合とその点において質的な相違を持っておる、こういうふうに考えております。
  30. 堀昌雄

    ○堀小委員 今おっしゃる本質的な問題はその通りですが、だんだん乖離をしていく傾向にあるのじゃないかと私は思うのです。信用金庫は私もまだこまかく分析しておりませんが、相当多数のものがある。そうすると、小さい方は性格としては信用組合に近い性格が多い、大きくなってくる部分はだんだん地方銀行的な性格が強い。預金量がふえるということは間口が広がることで、員外預金がふえることになるのですから、当然そこには貸し出しについても範囲が狭いことは不利になってくるという問題が出てくるのじゃないか、非常に乖離をしてくる傾向がある。そうすると、乖離をしてくる場合に、依然として信用金庫法という一つの法律だけで律するのがいいのかどうか、あるいは信用金庫の中で分かれてくるもので、信用組合に近い信用金庫は現状は依然として発想当時と同じ条件にあるけれども、上に出てきたものは一体これはどういう形で処理するのかという問題がやはりあなた方の頭の中にないと困るのじゃないか。問題は上に出てきたものが今の日銀との関係を必要とするということになってくるのじゃないかと私は思うものですから、信用金庫についての今後の指導方針というものは、あまり大きくならないで一つここらのワクの中でやってもらいたいというあなた方の考えなのか、信用金庫本来の姿をとどめるようにやってもらいたいということなのか、自然の発展経過で乖離してくるならば、乖離してきた上の方については新たな何かの発想に基づく指導なりそういうものをやるということになるのかどうか、その点をちょっと……。
  31. 大月高

    大月政府委員 この信用金庫の制度は御存じのように戦後の制度でございまして、ちょうど相互銀行が無尽会社から脱皮いたしましたと同様に、信用金庫は昔の産業組合から脱皮いたしてきたものでございまして、その際規模の比較的小さいものは信用組合に残り、規模の大きなものが信用金庫に残ったということで、これも制度としては比較的新しいものでございます。そういう意味で現在相互銀行、信用金庫ともに非常にいい意味の発展をいたしておるわけでございますが、これはやはり将来金融機関として発展する態様に応じまして制度の変更というものは大きな意味ではあり得るのではあるまいかと思っております。ただ現在の段階で考えますと、信用金庫は十億以下の信用金庫が過半数というふうに、非常に小さいものが多いのでございます。今おっしゃいました大きな信用金庫は数百億の資金量を持っておるものが数行ございます。大体においてあまりに小さい金融機関が残っておることは経営の基礎が薄弱でございまして、預金者のために必ずしもよくないという感じを持っております。そういう意味でむしろ信用金庫をもう少し規模を大きくしていく方がいいのではあるまいか、その規模が大きくなることによってまだまだ質が変わるということではなしにもう少し信用金庫本来の機能が発揮できるであろうと考えております。もう一つ信用金庫は大きくなりましても、一つの営業地域というものを持っておりまして、これは一つの狭い意味の経済閥の中で発展してもらうという理念を持っておりますから、信用金庫の資金量が相当ふえましても、その性格から飛び出てしまうということにはなかなかなるまい、かように考えております。
  32. 堀昌雄

    ○堀小委員 今の規模が小さいのが多いと言うが、今皆さんの方で金融機関の店舗拡張の問題については、財務局で信用金面も相互銀行も地方銀行も都市銀行も、一貫してその財務局の何年度における新店舗は幾つだということが少なくとも二年くらい前にはあったと思うのです。そうしてみると、結局内容のいいところ、いろいろな条件を入れてみれば、都市銀行なんかの方がいいにきまっているし、その次は地方銀行がいいでしょう。今の小さいところを資金量をふやして、経営をもっとちゃんとしてやるためには、ある程度店舗や何かもふやしてやらなければ資金量も拡大できないにもかかわらず、現状があまりよくないから、よくないところにはやらないのだといって、上だけやっているというところが、どうも私は今の店舗行政としてのあり方じゃないかと思うのです。そうすると今の大月さんの話のように、下の方をもう少しきちんとしていくためには、それなりのやはりもう少しきめのこまかい銀行行政というのが必要ではないか。だから今の店舗問題なんというのは、それを一括してランクをつけるというようなやり方はやめて、やはり都市銀行としては、大阪財務局なら大阪財務局はことしは幾ら店舗を出す、地方銀行としては幾ら出す、相互銀行は幾ら出す、信用金庫は幾ら出す。それもただ成績のいい方だけを伸ばすということになっているから、大きいのはどんどん大きくなって、小さいのは大きくならない、こういうふうに私は思うのです。だから今のあなたのお話も、資金量がある程度大きくなることが信用機関として必要だと思いますが、そういうことについて今後の方針一つ伺いたいと思います。
  33. 大月高

    大月政府委員 今お話しのございました銀行相互銀行、信用金庫の店舗行政の差異の問題でございますが、お話の趣旨と違いまして、従来の店舗行政の方針は逆でございます。それは銀行におきましては相当何十年の歴史を持ちまして、店舗網が発達いたしておりますので、どちらかというと、抑制的に行政をいたしておりますが、相互銀行、信用金庫はまだ発足以来十年でございます。しかも信用金庫あたりでは大体支店のなかったものが多いわけでございますので、むしろ中小企業関係金融機関育成という趣旨をもちまして、相当大幅な店舗の増加を示しておるわけでございます。これは統計をもって見ましても、相互銀行と信用金庫の店舗の増加銀行の店舗の増加を比較してみますと、格段の違いでございます。むしろ最近に至りましては資金量が相当ふえてきて、中小企業金融機関としての社会的な地歩を確立して参りましたので、むしろ店舗行政としては、銀行と並べて同じようなベースでやっていったらどうかというように、今方向を転換しつつあるわけでございます。ただ信用金庫、相互銀行の中で小さいものと大きいものにつきましては、それぞれの状況に応じまして、たとえば合併、統合を勧奨いたすことによって基礎を固めるというやり方もありますし、あるいは非常に経理内容がよくて、従来小さいというようなものについては積極的に認めていくとか、いろいろ相当ニュアンスを持って行政をやっておる状況でございます。
  34. 堀昌雄

    ○堀小委員 あまりこまかく調べておりませんから、そういうことで実態に応じてやっていただけばいいと思います。  その次に、やはり昨日のお話で、買いオペレーションの金利の弾力化の問題でお話しになったというふうに新聞が伝えておりますが、これは私非常に大きな問題になってくると思うのです。今後検討するということですから、まだあなた方にも具体的にはっきりしたお考えはないかもしれませんが、まさに金融正常化というものは、私はかねてから大蔵委員会で申し上げておるように、やはり金利が少し自由に動かないことには金融正常化はあり得ないと思います。ここで金利が弾力的に動くということなら非常にけっこうなんですが、ただちょっと私の感じでは、金利が弾力的に動くということは、需要供給関係で動くというのなら話はわかるのですが、買いオペレーションのときに金利を弾力的に動かすということは、やはり統制的な金利弾力問題といいますか、日銀が恣意的に金利をどうしようというときに、安く買うとか、高く買うとか、そこをスタートとして金利が動いていくというのは、どうも発想としては、私どもが考えておる金融正常化、需要供給によってきまる金利の機能というものとはかけ離れたような感じがいたしますので、私がオーソドックスに考えておる金利弾力性の問題と、ここで日銀の買いオペレーションの中で取り上げようという金利弾力性の問題とはどういう関係にあるのかをちょっと伺いたいと思います。
  35. 大月高

    大月政府委員 現在の日本銀行の買いオペレーションのやり方は、御存じのように、一つはオペレーションの対象の機関を限っておるわけでございまして、銀行と信託銀行、これだけでございます。それから金利につきましては、理財局で指導しておられます発行価格によってやっておるということで、いずれもきわめて限定された範囲でやっておる。しかもその対象は二月からやりましたけれども、政府保証債と金融債、電力債、こういうふうに限定されて、いずれの面からも非常にビビッドなものになっておるわけでございます。また買い戻しの条件をつけておりますので、その点からも本来のオペレーションということからほど遠い、四点ばかりそういう意味で本来のオペレーションからほど遠い面があると思います。日本銀行が理想といたしておりますところは、いずれもそれらの制約をほどきたいということでございまして、一つは対象の金融機関につきましても、四月以降相互銀行、信用金庫にもこの対象機関を広げようと言っております。なおできますれば証券会社あるいは一般のマーケットにも指導いたしたい、これが本来のオペレーションであろうと思います。そういたしますと当然売買いたします金利は、その市場における金利でなくちゃいかぬということでございまして、日本銀行の発意によって恣意的にきめた金利で、これを動かしながら買ったり売ったりということではなくして、市場金利を前提といたしましてその金利による、こういうことでございます。ただ経過的な問題といたしましては、そういう段階は、すなわち証券市場がすでに健全に発達いたしまして、一段の売り買いも自由にできる時期でございますので、なかなか一挙にそこまではいかないだろう。そういたしますと、一定の幅でもつけまして、ちょうど為替レートについての上限下限は非常に狭い限界でございますが、限界をつけて、その範囲で対米レートを運用いたしておりますように、まずウォーミング・アップと申しますか準備段階として、とにかく固定ではなしに動かすという姿勢でもってやりたいというのが日本銀行の真意でございます。そういう意味で、動かすことは、即日本銀行できめた金利でよそに押しつけるという意味ではございませんので、できるだけ受けて立ちたい。ただ今の情勢ではコール金利の方がまだ高うございまして、そういう点で踏み切る段階ではございません。ただ先ほど御説明申し上げましたように、金融情勢もだんだんゆるんでくる、かりに公定歩合でも下がる、そうなりますとコールもまた下がって参りまして、ようやく社債の金利に比較いたしましてコールレートの方が下回るようなことになると思います。そういたしますと、今までの公定レートで債券売買をしなくても、ある程度弾力的にやっても非常に金利がはね上がるということでもない。従ってまた証券市場を育成していく雰囲気もできる、こういうことをねらっておるわけでございまして、タイミングを見、それからその手段、方法等について今のように弾力的にいろいろなものを考えていこうという前向きの課題だ、こういう意味でございます。
  36. 堀昌雄

    ○堀小委員 大体発想はわかりました。だから経過的な措置として当面考えられておると思いますが、今もお話が出た低金利問題なんですけれども、今はいいんです。確かに生産も横ばいで、少なくとも上半期は大体経済企画庁でも横ばいだということ、私どももそんなことだろうと思います。しかし経済見通しによる六%の経済成長というものを見込むということになると、鉱工業生産についても大体上半期横ばいで見ているとすると、これも六%くらい上がるという見通しですから、後半の伸び率は年率で一五、六%くらいに上がってこないと、今の見通し通りであるとしてもバランスがとれないわけですね。そうすると一五、六%で鉱工業生産が伸びる場合に、それが単に消費需要だけではなく、個人消費等によって伸びるかというと、そうではなくて、やはりこれは加速的に設備投資が少しついてくる。あるいは在庫保留もかなりついてくるというような格好でなければなかなか伸びてこないのじゃないかということになりますと、資金需要は前半はゆるんだままでいくと思うのですが、後半はややまた締まってくるのではないかという感じがするわけです。そこで結局低金利政策今まではいいんです。これからの第二クオーターまでの期間は六ヵ月あるわけだからいいんですが、またもや下げたけれども、今度は資金需要がぐっとふえてきて、また戻さなければならぬということに当面なる可能性があるのじゃないかという判断をしているわけです。だから今のオペレーションの問題、あるいはいろいろな問題はまさに非常に緩んだ形がずっと続くという前提でプログラムが少し組まれ過ぎているんじゃないか。日本金融は常に山あり谷ありで動いておりますから、だからその山あり谷ありにたえられるような問題を考えておかないと、一ぺん下がってきて平坦なところにきて、平坦でいくんだからというので低金利政策だ、いや、オペレーション、金利自由化、私は自由化は賛成だけれども、あなた方は金融情勢をつくるんだつくるんだといいながら、実際は金融情勢の方に問題があるのではなくて、企業のビヘービアに、そういうところに問題があるにもかかわらず、そっちの問題が整理されなくて、何か平坦なところにいく感じが持たれるのは私は問題があるんじゃないか。低金利政策なるものは私は今の問題と同じように、政府は恣意的にきめてやるからこの前のような誤りになるんだ。やはりある程度そういう経済の需給関係、いろんな生産なり全体の動きというものの中で、やはり落ちつくところに落ちつく形をとっていくという発想のかまえでないと、また混乱を生じるんじゃないか、こういうふうに思うのですが、少しそういう長期的な見通しを含めて、今そういう問題というのは、はたして可能性があるという前提でやっておられるのかどうかをちょっとお聞きしたい。
  37. 大月高

    大月政府委員 金融の問題はやはりそのときの情勢に応じて考えるべきものでございまして、一定のプログラムを組んでやるべきものではないと思います。そういう意味で御説明申し上げましたような金融情勢を背景にして、近い将来の問題としては議論できると思いますが、それでは半年あるいは一年先に、たとえば公定歩合を下げるのか上げるのかというようなことを議論する段階ではないと思います。ただ四年に一回ということで非常な波動を起こすということはわれわれとして極力避けなければならぬ。引き締め自体のいろんなテクニックもございますが、要はむしろそういう強烈な引き締めを必要としないように経済を持っていくということがポイントでございます。そういう意味金融制度調査会にお諮りいたしまして、金融を正常化するためにはどうしたらよかろうかということを御研究願っておるわけでございますが、それはつまり金融の正常化が行なわれなければやはり経済の波動が大きくなるだろう、金融の調節がうまくいかないのだ、こういう認識が一つあるわけでございまして、われわれとしてはまた数年後に非常な経済の変動を生ぜしめないようにあらかじめ今からいろいろな正常化の方策を講じておく、それによって幾らかでもそういう変動の幅を小さくいたしたい、こういうことでございます。そういう意味で当面の問題としては今まで申し上げましたように、金融を弾力化し、また金利水準も下げるように努力いたしたいし、今の環境からいえば、それはある程度可能であろうということを見ておりますが、その次の段階につきましては、またそのときの情勢に応じて、もし公定歩合でも引き上げなくちゃいかぬという情勢と判断いたしますれば、またそのときには引き上げる。しかし大局的にはそうやりながら逐次金利水準国際金利水準に下げていくということが本旨であろうかと思います。現に戦後十八年の金利水準をずっと統計をとってみますといろいろ波がございましたが、コンスタントに下がってきておりまして、相当大幅の低下を見ておるということでございます。われわれの意図しております金利水準国際金利にさや寄せするのは、ある程度長い目で考えていきたいというふうに考えております。
  38. 堀昌雄

    ○堀小委員 今の戦後の金利動き方を一つ資料として次会、また委員会の方もいいですが、お出し願いたいと思います。  それからまた藤井さんも触れられました大口規制の問題ですが、私はこれは非常にむずかしい問題だと思うのでです。皆さんの方も自主的にやってもらいたいということですが、歩積み、両建のようなものでも、さっきのお話で、ずいぶん何回も通達を出しておるけれども、なかなかうまくいかない。ところが、これは歩積み、両建は性格は全然違いますけれども、これまた私は非常にむずかしい問題ではないか。過去の資本系列というもの、財閥は解体はされましたけれども、新たなる系列が今できつつある現状において、これは私は非常にむずかしい問題たろうと思うのですが、そういう問題は、しかしそれまでも自主規制でなければならないのかどうか。銀行が、統制をするということは、どこへ貸していいとか悪いとかいうことについては私は問題があると思うのですが、少なくとも一つ銀行一つ企業会社に融資をする限度額は大体幾らくらいまでに押えるべきだということは、私は銀行行政として何ら統制の範囲には入らないのではないか。要するに大口を規制する仕方として、銀行局なり日銀銀行検査を通じて例えに指導するというようなことは、何かちょと官僚統制のように金融機関は感ずると思いますが、一つの限度をきめて、その限度をこえたらこれはおかしいじゃないかということはあたりまえのことですが、そういう程度までにやらなければ、私は大口規制はできないというふうに判断するのですが、あなた方の判断はどうですか。
  39. 大月高

    大月政府委員 この大口規制の問題は、実は新しい問題ではなくて、歴史的に非常にむずかしい問題であるということになっております。現在の銀行法ができましたのが昭和二年でございまして、もう三十数年前でございますが、そのときに現在の条文の中に大口規制の条文を入れるかどうかということを、銀行法改正のやはり調査会がございまして、最後まで議論されたのでございます。ただ残念ながらわが国の資本蓄積の段階におきましては、アメリカがやっておりますように、銀行の自己資本の十分の一というようなことを法定しても、これは経済が動かないだろうという判断のもとに、これを施行規則に落としまして、しかも十分の一という規制は置きましたけれども、これは銀行の監査書に十分の一をこえた貸し出しをのっけることにいたしまして、大蔵省へ報告する。それによって銀行検査においてできるだけ縮めていくという行政の指導にゆだねたという歴史がございます。その当時の速記録を読んでみますと、法定すべしという議論、それは無理だという議論が非常にやかましく議論されて現行法になったわけでございます。その後も各方面においてこの問題が議論され、われわれとしても今の金融制度調査会の前身でございます金融懇談会にお諮りしたことがございます。十分の一というのは非常にきつうございますので、十分の四くらいの数字だったかと思います。しかもそれには社債を含むとか、いろいろ割合こまかい基準を立てまして懇談会にお諮りいたしましたが、やはりそれでも無理だ、昭和二十四年か五年ごろでございます。無理だということで、もう少し実態を見る必要があるということになって現在に至っておりますが、ただ、われわれといたしましては、それじゃむずかしいからほって置いていいかということになりますと、根本的に処理をすべきだという判断をいたしております。現に金融制度調査会でも、その問題について規制をしろという結論が多分出るであろう。われわれも単に抽象的に大口規制をしてほしいというだけではおさまらない問題だと思って、はたしてどういう基準でやったらいいのかという勉強をいたしております。現に、現在鉄鋼会社につきましては、世銀がきておりまして、財務比率が悪いではないかというようなことを言っておる。ああいうように企業の財務構成の方から一つのめどを置くという方法が一つ。それから銀行の資本金の何分の一というような言い方がございます。あるいは私は両方ぶっかけてもいいのじゃないか。しかもその基準をはずれた場合に、オール・ストップというわけにいかなければ、その基準をこえた貸し出しに対しては、たとえば金利を上げるとか、いろいろな規則の仕方があるのじゃなかろうか。そういう意味で最も実情に合った一つのプリンシプルを立てまして、これは金融界ともよく相談いたしますし、産業界の了承も得て、みんなの気持として一つの方程式にのってやったらどうか。ただそれにつきましては、うらはらの問題として証券市場の問題がございまして、社債市場証券市場がある程度動き、増資もできるということでなければ、結局金の調達の方式を全部ふさいでしまうということになって参るまい。そこらがわれわれとして最も苦心の存するところでございまして、真剣に新年度銀行行政の課題として取り組んで参りたいというふうに考えております。
  40. 堀昌雄

    ○堀小委員 今の問題は非常に過去の経過もありますが、やはり私は景気過熱の原因の中に、今の銀行融資のあり方が非常に関係があると思うのです。さっきの大月さんのなだらかにやりたいというためには、これを少しきちんとしなければなだらかにならないというふうに思いますので、今後検討をしていただいて、またそれについての経過の報告を受けたいと思います。銀行局は以上で終わります。  次に、証券の問題についてお伺いをいたします。  先般来、大新聞紙上で、四大証券を含む十四社ほどの証券会社が、場立ちの際に、いろいろな需要供給の条件が早くわかるので、それを見越してバイカイを振って価格をつり上げておったというような事実があって、それについて大蔵省としては警告を発するんだとか発したとかなんとかいう新聞の報道がありました。これの事実関係ですね。それとその後の経過をちょっとお伺いしたいと思います。
  41. 有吉正

    有吉説明員 ただいま御質問の点につきましては、まず最初に、いわゆる注文控えと申しますか、そういうものを盗み見して、それによって、新聞紙上の伝えるところによりますと、価格操作をする余地があるというようなことについて、大蔵省が警告を発するというような記事が出ておったのでございます。この注文控えと申しますのは、御承知のように、市場におきまして正会員間の売買の仲立ちを業としております才取り会員がつくっておるものでございます。これは別に特に非公開を原則としておるような種類ではございません。場内におきまして、これは場立ちのだれでも見ることができるわけでございます。現在のところ、場におきまして、いわゆる気配というものが刻々に現われてくるというようなことが、なかなか物理的にむずかしい状態になっておりますので、業者としましては、注文控えを見まして、そのときどきの気配を知る、あるいは注文を受けました際におきまして、これを見まして十分それが消化できるかできないかを判断して参るというようなこともやっておるのであります。ただ、反面におきましてこういったものが見られるということによりまして、買いあふりや売りくずしをやろうと思えばできる余地もあろうか、かように思うのでございます。しかし今のところ注文控えというものが、別に非公開ということにもなっておりませんので、もし全体を見よして、私どもとしましては市場の管理というものをいかに厳正にしてやっていくかということを今後検討してやって参りたい、かように思っておりますが、その意見としましてこの注文控えを公開にすべきかあるいは非公開の原則を貫いていたすかということも検討いたして参りたい、かように考えておるわけでございます。ただ、その後におきましても、また市場にいろいろ報道されておるのは、いわゆるバイカイの規制のことであろうかと思うのであります。この点につきましては、私ども再々当委員会で申し述べましたのでございますが、バイカイは委託取引に基づきます多量の注文を市場に出しますと、価格の継続性が損なわれる、あるいは委託注文が手元にありますのを円滑に執行するためには、やはりバイカイという一つの委託売買執行の方法がよいのではなかろうか、かようなことで現在行なわれておるのであります。  ここで一番重要なことは、バイカイにおきまして、価格がそのときの市場の価格であるということが非常に大事なことであろうと思います。そこで現在のところは、バイカイは直近の価格によらなければならぬということになっておりまして、それを厳重に守っておるのであります。ただその際に直近の価格と申しましたときに、たまたま直近の価格にバイカイをする業者が関与するということになりますと、ここにまた問題が生じないとも限らないということもございますので、この点直近の価格にバイカイする業者が直接、間接に関与するということはまれな例ではございますけれども、しかしそういう場合に関与してはならぬということから、最近におきまして特にその点直近の価格にはバイカイする業者が原則として関与しないという一つの建前をつくりまして、これを東京証券取引所におきまして、昨日理事会の決定にいたしたのであります。  それからさらにあわせて申し上げますと、やはりバイカイは委託売買の執行の一つの特殊な方法でございますので、その管理を一そう厳正ならしめるために、一定以上のバイカイにつきましては、特に報告を聴取するというようなことにあわせていたしたわけでございます。こういったような点を中心にしまして、二、三の点を昨日の理事会において決定した次第でございます。今後私どもといたしましては、バイカイを、できることなら市場の売買の管理を適正ならしめるために、さらに一そう配慮して参りたい、かように考えております。
  42. 堀昌雄

    ○堀小委員 今の問題の、やはり一番の問題点は、直近の価格が公正な価格であるかどうかというところに実は問題点があるわけでございますね。そうすると、今あなたの方ではその直近価格、公正に、バイカイを振る当該証券業者が関与していなければいいというように指導をしているのだろうと思うのですが、私はそれだけではちょっと不十分じゃないかと思うのです。といいますのは、今の証券業界は、四大証券が何らかの形で中ぐらいの証券会社に系列を持っていますから、そうすると、たとえばAという証券会社がこれから大きなバイカイを振る、そして今の注文控えを見ていまして、大体今少ない。そうすると系列のどこかの証券会社からぽんと買いなら買いを入れて、値段をつり上げておいて、そうしてそれはもうわずかな操作でつり上がりますからね、さあっとつり上がったところで直近の価格でばあっとバイカイをすれば、一挙にその価格で処理ができる、こういうことになるのだから、私はやはり、その直近価格なるものがはたして公正な価格かどうかということを一体どこで判断するかということが、非常に私は問題になってくる点じゃないかと思います。そうすると、今のあなた方のチェックは、おそらくバイカイを振る当該の証券会社がその前に操作をすることは締め出したいということにしているのだろうと思うが、どこまでそれを広げたか。要するに系列のものもやっていれば、そんなのはわけはないですよ。自分のところで買い指導をする必要はないですからね。そのところはどうなっていますか。
  43. 有吉正

    有吉説明員 昨日の理事会におきます先ほど申しましたところの申し合わせの中におきまして、先生の御心配の点も十分に検討いたしました結果、まずもちまして自己計算の場合これは当然いけませんし、また委託注文にいたしましてもこれまたいかぬということは自明の理でございますが、そのほかに他の会員に関与せしめるということも、これも一つの申し合わせにおきまして、直近の価格でそういうものはいかんということをきめて参ったのでございます。ただ先生のおっしゃいますように、それをどういうように判断してどういうように運営して参るかということは、非常にむずかしい問題であろうかと思います。しかし今後報告等を聴取いたしまして、また市場の管理を一そう厳正にいたしまして、そういうことのないように取り組んで参りたいと思います。
  44. 堀昌雄

    ○堀小委員 私も少しこれは検討したいと思いますが、時間が十分ありませんから一応ここらでやめますが、この株価の公正な価格の問題というのは、もうこの証券問題の一番中心だと私は思うのです。しかしそれがなかなかどうも公正でない場合もかなりある。それが依然として、私この前この委員会か本委員会で、例の推奨株問題を取り上げたことがあります。推奨株と称して出しておいてこの操作をして、上がったからみな飛びついてくると、ぽんとこれる売るというような、まことにフェアでない感じがするのですが、どうも最近の新聞を見ると、名前は変わったがなんだかんだと、依然として何々株というものが出ているのですね。こういうものが出るということは、それは非常に大きな株の操作ということにはならないにしても、何らかのそういう問題とつながりがあるのではないか。だから見ていると、それは非常に長期的に一つのものだけが出ているというなら話はわかると思うのですが、見ているとその会社が推薦しているのは、しょっちゅう目先を変えてあれを出したり、これを出したりして動かしておるということになると、ああいうものを新聞等に出してやるやり方の中に、株価の公正な価格ができるかどうかの問題が一つあるんじゃないか。やはりこれをずっと突き詰めてくると、今の証券業のあり方は、私がかねて言うようなディーラーとブローカーの分離の問題、あるいはアンダーライター分離の問題をもう少し真剣に推進していかない限りは、なんだかんだと言いながら、今のどんぶり勘定のような格好でやられたのでは、そこにわれわれ第三者から見ますと、ややどうも疑いを持って見ざるを得ない機会が多くなるのじゃないかという感じがしますので、時間がありませんからこれでやめますが、そういう点を含めてできるだけ大衆が迷惑をしないような、不当な操作による株価の取り扱いが行なわれないように、一つ今後も気をつけていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
  45. 伊藤五郎

    伊藤委員長 滞日一幸君。
  46. 春日一幸

    春日委員 私は冒頭にちょっと御注意申し上げておきますが、小委員会なるものの性格、使命というものは小さくこっそりやるというのではなくして、分化して専門的にこれを論ずるというその使命、性格において、本会議と何ら変わらざる重要な委員会ですね。だからこういう委員会には大臣支障ある場合は副大臣、必ず終始出席されてその論議の矢表に立たるべき性格のものである。注意するにあらざれば出席しないというのは不謹慎きわまるものです。なぜきょう出席しないのか、その理由を……。
  47. 原田憲

    ○原田政府委員 本日私は出席すべきかどうかということを尋ねたのでございますけれども、本日は出席をしなくてもよかろうということでございまして、私、今勉強しておりましたので、お呼び出しがありましたので参りました。
  48. 春日一幸

    春日委員 それは委員長を含めて自民党、社会党並びに理事会が適切な措置を誤ったのでございまして、委員長を通じて理事会に重大なる注意を喚起いたしておきます。  そこで私は、まず銀行局長にお伺いをいたしたいのでありますが、これは私は政府委員たる大月君にお尋ねをするのではなく、日本同民の行政機関たる日本政府のその中において、この銀行行政に直接責任をになう銀行局長として私はお伺いをいたします。ということは、今藤井さんが質問をされた歩積み、両建預金に関する問題、あなたの御答弁を伺いますと、すでに十数回にわたってしかじかの通達を出した、要請を行なった、しかしながら効果は何ら上がってはいない、はなはだ遺憾であるという、こういう御答弁でございました。一体それはどういうことかということです。すなわち、国権の最高の機関たる国会があなた方行政府の責任者に対して歩積み、再建の弊害を列挙して、かるがゆえにかかることのなからしめるよう、適正な措置を講じるよう強く再々ここに要請して、そうして十数回にわたる通達を発して、そのような弊害がなおあらたまらざる理由は一体何でありますか。彼らが鉄面皮であって、あなたの言うことを全然聞かないのか、それともあなたのその措置なるものが適切ではなくして、聞きたい者は聞け、聞きたくない者は聞かなくてもいいというならば、ひやかし的にそのような通達を発したにとどまっておったものであるのか、少なくとも数年間これは強く論じてあなたも何らか適切な措置をとりたい、十数回にまたがって事実上の通達が発せられた、そうすると、弊害が何らあらたまらざるその理由は何か、この際御答弁を願いたい。
  49. 大月高

    大月政府委員 歩積み、両建問題は論じられておるほど簡単なものではないわけでございまして、事柄自体が先ほど御説明申し上げましたように、務者の主観というものが非常に重要な関係を持っておるわけでございます。ただ形式的に貸し出し預金とが両建になっておる。これは全部いけないというふうに一掃できるものでございましたならば簡単でございますけれども、そういう形ではなしに、実質に問題があるということでございますれば、われわれ検査に参りまして調べるにいたしましても、客観的な情勢のほか、本来ならば債務者の意向も調べる、こういうことでございます。そうすれば結局どうすれば根絶できるかということになりますと、やはりそれぞれの金融機関において自粛をしてもらうということが最高の、また最善の道であろうと考えるわけでございます。そういう意味でわれわれは強くその善処を促しておるわけでございますけれども、客観情勢から申しましてなかなか簡単にできない。ただわれわれといたしましてそれはただ一片の通達を出して、そのまま放任しておるかということでございますが、機会あることに検査の際に見て、それの実態のわかりました一分については是正せしめておる、またそれぞれ責任者に対してもあるいは厳重な警告を発する、あるいは政府機関の代理店がそういうことをやっておるということでありますならば、ワクを削減いたしましたり、資金の配分を停止したり留保したりということをやっておりますが、最近の方針といたしましては、もしこれが悪質でございましたならば、代理店の取り消しもやろうかというような、いろいろな行政手段をもって善処いたしたい。ただわれわれの力の及ばざるところでございまして、まだ根絶するには至らないということでございます。
  50. 春日一幸

    春日委員 ただいまの大月局長の答弁というものは私にはわからない。こういうことがいいのか悪いのかということ自体銀行局長自体にわかってはいないと思う。十分なる認識なくしてそのような通達を発せられたがゆえに、受け取った諸君もどの程度協力すべきであるか、私はそのめどがなかなか立ちがたいと思う。よってもって、十数年同じようなことを繰り返し論議せられても、その実績が上がらない、私はそうだと思う。  そこで私は政務次官にお伺いをいたしたいのでありますが、この問題は言うならば金融政策基本に関する問題と、それから銀行の業務の技術面に関する問題と、この二つあると思うのですね。まず私は、その金融政策基本に関する問題に触れて、政府に十分検討願いたいと思うのだが、これは、このほど田中大蔵大臣がこういうことを述べられておる。すなわち、為替貿易自由化に伴って、金利水準国際水準にさや寄せしていかなければならない、よってもって近く公定歩合の再々引き下げを行なわなければならない、こういう意見の発表を行ないました。これに相前後いたしまして山際日銀総裁がこの問題に触れて何と述べているかと申しますと、山際日銀総裁は大体国際水準にさや寄せする、あるいはわが国の金利水準を低めるために公定歩合を云々と言っておるけれども、そんなことは全然意味のないことである、端的に言うならばナンセンスである、現在日本貸し出し歩積みが行なわれておる、両建が行なわれておる、それで歩積み、両建をなくするにあらざれば、公定歩合引き下げたところで、それは企業の実質負担を軽減する形にならぬから、その目的とする国際競争力に立ち向かうことのための云々という効果をあげることはできないのだ、だからこの歩積み、両建、これをなくするようにしなければだめだ、こう言っておるのですね。これは少なくとも日銀総裁が言っておるのでありますから、そこらの一金融評論家が言っておる意見とは違う。われわれ野党の代議士がここで一個の意見を述べているのとは違うのですね。わが国の円価値を保持する最高の責任を持つところの、とにかく金融総本山の日銀総裁が言っておるのです。だからこの歩積み、両建預金というものはなくさなければならないと政府は考えるか、それとも今銀行局長が述べられておるように、そういうものも事実上金融政策の、金融業務の実態の中において、すなわち債務者の心理作用と相待って、そういうことを実際にすることが必要なりと考えられておるのか、まずこの問題を明確にして、そうして対策を立てていくのでなければ、効果ある対策が立ち得るものでないと思うが、この点に対する原田政務次官の見解はいかがでございますか。
  51. 原田憲

    ○原田政府委員 ただいま日銀の総裁が歩積み、両建というものをなくさなければ公定歩合の切り下げをやってみても役に立たないというような発言をしておるがというようなことから、歩積み、両建というものがよいと思うか悪いと思うかという端的な御質問だろうと思います。私は、日銀総裁がそういう発言をしておるということを完全に把握しておらないのでありますが、歩積み、両建制度というものが、金を借りる方からいいまして非常に工合が悪いといいますか、私も実は中小企業問題等に関連しまして、この問題を従来から議論をしてきたものでございますけれども、根本は、いわゆる資本の蓄積という問題にからんでおるんじゃなかろうかと私は思います。制度として歩積み、両建というものは決して許されておらないと私は解釈いたしております。ゆえに今一までの日本の経済の発展段階において金融制度というものがはっきり確立しておらない、銀行自体もまだ力が足りない、地方銀行あるいは信用金庫、相互銀行、あらゆる機関がほんとうの金融機関としての力を持っておらないというところにも私は原因があろうかと思っております。なお歩積み、両建というものをなくさなければならないという観点から、先般来大蔵省におきましてもいろいろな方法を講じまして、今御指摘のありましたような、今まで何回やっても実現しておらないじゃないかというようなおしかりをこうむらないように、よく各方面と相談もいたしまして、今度は適正な手が打たれるように考えておる次第であります。
  52. 春日一幸

    春日委員 私は純真な原田君に特に進言したいのでありますが、この大蔵委員会というところは、お互い政府政策、姿勢を糾弾したり、あげ足をとったりする場所であってはならぬ、またそういうことはして参ってはいない。あなた方と議員側とがよく意見をまじえて、そうして今述べられた通り、さまざまな諸制度の中において、いまだその秩序が確立をしていない、いわば未成熟なものもあり、ひどいものでは星雲状態のものもある。だからよくしていこうという観点に立って物事を論じ合っているのでありますから、そのようなお気持になって、言うならば胸襟を開いて、いい意見はいい意見として取り入れて、そうしてあなた方が大蔵省部内の幹部間で策を固め、もって政府政策にしていくのでなければ、私は何ら意味をなさぬと思う。予算委員会だとか他の委員会のように、政策を論じ合ってけんかをやる場所とは違うのです。私は今あなたがおっしゃった中で、金融制度はまだ固まってはいない、なるほどこれはその通りだと思うけれども、歩積み、両建が制度として許されていないと言われておりますけれども、制度として禁止はしていないのですね。許されていないかもしれないが、禁止もされていない。だから銀行がこういうことをやることはやりほうだい、こういうことで弊害が現われてきておる。日本銀行の総裁をしてみずから話らしめるほど、さように弊害ありとするならば、対策は何かないだろうか、かくのごとくに大蔵委員会が取り組むのでなければ問題の前進にならぬと思う。だから私は、今あなたが資本の蓄積と言われましたけれども、資本の蓄積を行なうためには手段は他にはないかということですね。たとえば歩積み、両建を強要するにあらざれば資本蓄積を勧奨する手だてというものは他に絶無であるかどうか、そうして歩積み、両建によるところの資本蓄積のプラス要因とマイナス要因とをかれこれ対照判断して、いずれがプラスか、いずれがマイナスか、この点をよく判断をして、そうしていずれもプラス要因があり、いずれもマイナス要因があるだろうが、総合的に判断して二者択一いずれをとるか、こういうことになったときには、断をもって踏み切らなければいけない。いいところもあるし、悪いところも拠るから、ほうっておけということであったら、いつまでたってもめちゃくちゃです。法秩序の国家といえない。いわんや産業の原動力である金融がこんな状態であっていいはずはない。ないからこそ当事者の日銀総裁の山際君がそういうことを論じられておるのですね。天、人をもってこれを言わしめるで、他人の言った言葉、わけてその権威者——山際ならば相当の権威者であろうし、春日一幸といえばこれ以上のものはない。こういう権威者が言うたら、これはやはりつべこべ言わないで、なるほどそうだ、手落ちであった、大月君とゆっくり相談して一つかちっとした対策を立てようというふうに、やはりわれわれの仲間としてあなたを大蔵省に送り込んでいる意味は、——あなたが大蔵省の官僚諸君のとりこになってしまって、ミイラ取りがミイラになってしまっては全然意味をなさぬ。官僚の諸君がああだこうだと言えば、ばか者と言って、むずかしいことを言ったら九州なり北海道へ左遷してしまって、君が国家のために、国民のために、かくあるべしという施策を打ち立てていくのでなければ、これは、国会と行政機関との間の地下水——でもないが、脈絡ですね、大きなパイプとして貴殿に期待されている役割が何ら果たせぬ形になる。だから、そういう意味で、極端な例を言うならば、裏から言うならば、私が大月君に質問するならば、あなたはしかじかの通達をしたというけれども、一体何の権限があってそういうことをしたのかということになる。少なくとも行政府は、法律に基づくのにあらざれば、国民に対して拘束をしいることはできないわけであります。歩積み、両建を禁止する銀行法の条項がないものを、行政上おもしろくないからといってあなたの独断でやめよなどということは、越権行為であると銀行家は受け取るだろうと思う。文句があったら法律をつくりなさいと彼らは言うにきまっている。つくり得ていないところにこの問題の実態があると思うんだ。だから私は、この問題は金融懇談会で取り扱われると言われるけれども、あるいは金融制度調査会で云々と言われるけれども、言うならば、そのメンバーは、金融機関の、あるいはまたそこから思恵を受けておる経済人ですね。言うならば、同じ穴のムジナだ。それらの同じ穴のムジナが、みずから不利になるような結論を出すはずはない。公正なる論議を行ない、公正なる結論を出すものは、実に大蔵委員会をおいて他にはない。われわれの責任は重いし、われわれの見識はそこにある。どうです。そういう意味で、私は金融懇談会金融制度調査会というものも、やはり一つの行政機関でありまするか、諮問機関でありまするか、一個の権威はお持ちではございましょうけれども、やはりこの大蔵委員会というものは、わが国金融について論ずるの場所なんだから、われわれがこれをしばしば論じ、自民党の藤井君もそれを論じ、しかもそれに対して異論がない。だとすれば、これはある段階においてもはや踏み切らなければならぬと思うが、政務次官お考えはいかがですか。
  53. 原田憲

    ○原田政府委員 歩積み、両建を踏み切らなければならぬということは、歩積み、両建を許さないとはっきりしろ、こういうお話であろうと思います。私中途で出てきましたので、この問題について先ほどから御質問がほかからあったかないのかわかりませんが、ここでお答えを申し上げますが、先ほどから春日さんは、一つ私らみたいな者が悪いということであったら、役人に命令をして、言うことを聞かぬやつは左遷しろというようなお話がありましたが、幸い私どもの大蔵省の役人はみな優秀な役人でありまして、先般大蔵大臣も予算分科会で、歩積み、両建の問題を取り上げまして、これはできるだけ早くなくすようにするという表現を使って、それらの現在相談しておる内容についてもお話し申し上げたかと思います。あらためて今私どもが考えておる、いわゆる当局側にこの問題について手を打てということについて、銀行局長からもお話をさせたいと思います。
  54. 春日一幸

    春日委員 私は結局この問題は、困難な問題でありましょう。しかし自己資本を蓄積せしめるためのいろな手段としてこれが有効な、有益な手段であるというふうに思い込んでしまうということは、これは私は一個の錯覚だと思うのです。実際にその機能というものは、銀行資金集めなんですね。彼らも金利のさやを余分にかせごうとか、そなんけちな気持はないんですね。銀行貸し出し資金ですよ。こんなものは実際問題として、たとえば借りる方にしてみれば、百万円なら百万円借りるでしょう。そのときに銀行にそれだけの金を、また五十万なり三十万なりの金を両建で預金させられたり、あるいは三分なら三分という歩積みをとられる、これは一体どういうことです。それよりも、銀行というものがほんとうの金融機関であるならば、そんなものはなしに、その七十万なら七十万という差額だけ借りれば、それが二銭六厘なり二銭七厘なりの純粋な金利で借り得て、金利負担というものは軽くなる。それを百万円の金利を払わなければならぬ。片一方には自分の金は銀行に拘束されておる、こういうことなんだから、銀行というものが実際の貸し出し資金源というものが、そういう拘束預金がなくても、実際そういう必要な事業資金というものは調弁できるのです。ただ私は、そういう意味でこの際制度的に直すとすれば、私は定期性預金解約条件というものをもう少し簡素化しておいて、たとえばこの金を事業資金に使うというような場合は、いつ何どきでもこれを解約して、現金で払い戻しすることができるとか何とかいうことにしていけば、これは業務方法書か何でございまするか、そういう改善、改革をすれば、私は容易に事業家たちが、自分の遊んでおるときには定期預金に、そうして必要なときには自己資金を自己事業のために使うことができるという形になっていく。末梢的には、技術的には、そういう方法をやりながら、大本的にはそういうような歩積み預金はいかぬならいかぬ、一定の限界、限度を越えたものはいかぬならいかぬという法律の明文を私はつくるべきだと思う。この点はいかがでありますか。
  55. 大月高

    大月政府委員 定期預金のお話でございますが、現在も解約は認めておるわけでございますけれども、実際に解約いたしましたときには、金利は普通預金並みの金利をつけるということでございます。銀行資金繰りから申しましても、一体どの程度この金が置かれておるかということを承知しなければ、また運用ができないということでございますので、そういう点はやはり制度としてきちっとなっておる方がいいのではないか。ただ歩積み、両建というような、債務者が百万円ほしいといっておるにかかわらず、そのうちの三十万円は定期預金にしなければ、貸さぬのだ、こういうことはわれわれとして絶対にこれは禁圧すべきものだと思います。そういう意味で、検査をし、行政指導をいたしておるわけでございますが、それでは法律で……。
  56. 春日一幸

    春日委員 その点について一言ちょっと。私はその問題を一つきれいに問題点を明らかにしていきたいと思うのですけれども、銀行の使命というものは遊んでおる金を預かってそれを要る人に貸すということだと思うのです。要る人の金を拘束しておいてあるいはそれを両建なり歩積みなりにしておいて、そうしてその中の二部を貸して、そうして貸した金は金利高く、預かった金は金利安く、そんなばかなことが許される性質のものではないと思う。銀行の本来の使命、性格というものは、金の要らぬ人で金持ちの人の金を預かって、金の要る人に金を貸すという本来の使命性格というものに立ち戻ってこの歩積み、両建を判断するならば、金融機関の使命というものは資本の蓄積に協力するとか誘導するとか干渉するとか、そんなことは使命、性格に何もなっていない、銀行の業務には。だからそんなこといらぬことです。銀行がそんなことをやってもらうのは、資本蓄積をしようとしまいといらぬことだ。そんなことは銀行法の中にもおそらくないと思う。だからそんな資本蓄積のために銀行にいろいろな世話をしてもらう必要はない。そういう必要があれば他の機関をつくって貯蓄奨励の国民運動でありますとか、幾らでも策は他にも百も千もある。だから余分なことをやらせようということ自体がこれはオーバーだ、その点から一つ
  57. 大月高

    大月政府委員 歩積み、両建の問題につきまして、両建の形になるのがおかしいということでございましたならば、それは言い過ぎであろうと思います。具体的な金融取引から考えましても、一般にかりに余裕を持っておる会社といたしましては、平生定期預金を持つなり、当座の預金を持つなり、必ず預金を持っておるわけでございまして、それに基づいて手形を切ってその場の運転をやっておる。で、ある時期に至りまして手形の割引がほしい、あるいは臨時の金を借りたい、こういうときになりますれば、はたしてその金をおろして使うのがいいのか、あるいは形では預金もあり、借り入れもあるという格好で借り入れをやるのがいいのか、これはそれぞれ企業実態に応じて脅えられることでございまして、必ずしも借り入れをした人は一銭も預金があってはならないということではないというように考えるわけでございます。そういう意味で、われわれといたしましては、はたしてその両建の形になっておる預金が債務者の都合でそういうことになっておるのか、あるいは債務者は百万円全部借りて使いたいんだけれども、どうしてもそのうちの三十万円は定期としておけと銀行サイドがいう、そのために全部使えないのかというところに判断の非常にむずかしいところがございまして、われわれは好ましくない、そういうものを禁絶いたしたい、こういうように考えるわけであります。
  58. 春日一幸

    春日委員 今あなたがおっしゃったが、定期を置いて、それを見返りとして手形を切ると言われるけれども、定期見返りで手形は切れませんよ。定期は拘束預金だから手形を落とす原資に活用できない。ただそれは会社の信用とか、本人のそういう好みによって事業資金の流動性のない金をそこに預金としておるだけのことであって、それがその定期の見返りになったりするものではない。ただ本来の銀行の使命というものは何か。それは遊んでおる金、要らない金を持っておる人のお金を預かって要る人にお貸しする。それが全的な使命だと思うが、その点どうですか。
  59. 大月高

    大月政府委員 仰せの通りでございます。
  60. 春日一幸

    春日委員 それでは資本蓄積だとかなんとかいうような使命を政府銀行に負わしておりますか。
  61. 大月高

    大月政府委員 これは現在の金融機構といたしましては、金を貸すという使命と、やはり資本蓄積のために全力を尽くして金を集めてほしいということをわれわれは要請いたしておるわけでございます。
  62. 春日一幸

    春日委員 その要請は銀行法の第何条にその資本蓄積の任務を課しておりますか。
  63. 大月高

    大月政府委員 これは貯蓄政策といたしまして政府が期待いたしておるわけでございます。
  64. 春日一幸

    春日委員 政府の期待というものは、一体それは何のために期待するのですか。期待するならば、必要があるならば法律でしなければいけないのです。法律によらざれば国民は何ら政府に対して義務を負うこともない。に対しても責任を負うことはないのですよ。勝手に期待してもらっちゃ困るのですよ。政府といったところで、一体何か政府がかくあるべしと言ったら法律によって国民のために、賛成者と反対者とあって、そうしてその論理を尽くして多数決によって決定する、こういう手続をとるにあらざれば、有権的な施策とか行政というものになり得ない。国会の審議も、議決も経ていないことを勝手に期待しては——池田勇人君であろうと、原田憲君であろうと、大月君であろうと勝手に期待して勝手なことをやってもらっちゃ困る。そのことのために通達なんか出してもらったら国損もはなはだしきことだ。そんな通達を出してもらっちゃ困る。勝手に期待してもらっちゃ困る。
  65. 大月高

    大月政府委員 私は国民及び金融機関に対しまして貯蓄を大いにやってほしいと期待することは全国民の要望であろうと思います。わが国の経済が安定を保っていくというためには、決して法律で貯金をしろというようなことを言うべき性質のものではなくして、国民の自発的な意思によりまして日本経済がよりよくなるように努力していただくことを期待することは、政府としては間違っておらない。それは法律でもって強制すべき性質のものではないと思います。
  66. 春日一幸

    春日委員 そういう観念論は何人も輿論がない。私だって輿論はございません。けれども、立憲法治国における行政というものは、これはすべて法律によらざれば行政機関を動かすことができない。また行政官吏は法律に準拠するにあらざれば何人に対しても義務を課することができないのです。越権行為である。国民が要望するならば、すべからくそれは法律として体をなさなければならない。オーソライズされなければならない。だからそこに問題の混迷があるのですよ。貯蓄を奨励しなければならぬとか、あるいは自己資本を蓄積しなければならぬとか、そういうことならば、必要な施策というものがある。税法上において可能ならしめるとか、あるいは貯蓄組合法というものを設定して云々とか、やり方は幾らでもあるのです。現に法律に基づいてやっておる。期待するという形になりますと、これは専制君主制になってしまう。上御一人かくのごとく御期待あそばされておるから、陛下の御意思はこうたということになってしまう。主権在民ということはわれわれが主権者なんだ。国民にわれわれの召使である大月君などが期待するなんて、そんなことを言うことは僣越しごくなんです。ほんとうの話が。むやみに期待してもらっては困る。この問題は行政の根本に触れる問題だから、大蔵次官僚の諸君は、そういう経済行政の機微に触れる問題は立法がなかなかむずかしいから、そういうような行政指導でやっていこうという気持はわかるけれども、そのこと自体が大蔵官僚独善のそしりを、これは高橋君にも申し上げたのだが、それはみんなそういう形になってきておる。必要なことは法律によって明示、明文化するにあらざれば、あなたがそんなふうに期待すると言っても、あなたのあとの銀行局長がまた別の期待をしたら一体どうなるのか。あなたと同じ考え方を持つ人が銀行局長になるとはさまったものではない。やがて民社党が天下を取れば、そのときには私が大蔵大臣くらいにはすぐなるに相違ないが、そんなときに、勝手な期待をして法律によらず執行する者があったら一ぺんに僕は懲罰に付する。立憲法治国の行政秩序というものは法に基盤が置かれなければならない。厳に戒めておく。  そこで、今大きな問題を一ぺんに処理することができぬといたしましても、この問題は、ぜひとも大蔵大臣、政務次官たちがよく一つ国民の声を聞いてもらって、また中小企業を含めて産業家、事業家の意見を聞いて、そしてここに山際日銀総裁が言っておるがごとく、国際水準にさや寄せするといったところで、公定歩合を一厘や二厘下げてみたところで、二重の金利を払うみたいな形、二重ではありませんけれども両建て預金によってそういう実質金利の負担が非常に付加されてくるということは、これはナンセンスだといっておる。極言といわなければならない。そういうものに対してはやはり取り組んで施策を立てていくという態度がなければ、伝統的に大蔵省はこれでやっているのだから、これでやっていくというのでは、問題の解決にならぬ。現に今あなたが言っておる大口貸し出しの問題でも、アメリカの連邦準備法では、自己資本の一割をこえて同一企業体に貸し付けてはならぬといっておる。あなたの方でもずっと前から監査しておる、ようやくにして何らかの結論を出さなければならぬ段階にきておると言っておる。ところがこのことなんか、みんな御承知通り、僕らが十年前から十分論じたところなんです。十年たってようやくにして、そういうことに対する国民の理解が高まってきたからぼつぼつこの段階で結論を出そうなんというようなことなんですね。アメリカの連邦準備法はきちんときめておる。イギリスは、この間大蔵委員として伊藤さんも一緒に行ったが、イギリスの銀行協会は、銀行の金は公共的な金である、そして預金者の金である。その金を一ところに貸せば他の者が迷惑をする、あるいはその貸し込んだ先がつぶれれば預金者に対して非常な被害を与える、そんなばかな銀行家があれば次の株主総会において罷免する、そういう善良なる慣習の上に立って、そういう大口貸付というものは絶無だと言っておる。これは憲法すら文章化していない。イギリスの善良なる金融秩序がそういうことを守っておるのです。アメリカは新興国家だから連邦準備法できちんとそういう法律をきめておる。資本主義のいずれの国でもやっておるのに日本でやらないとはけしからぬじゃないか、なぜやらないのかと言って十年間やっておって、十年たって本日ようやく結論を出そうと言っておる。だから出していただければ本日でもおそくはない。だから原田君に私が申し上げたいのは、この両建、歩積みのこともほんとうは同じことですよ。私は違ったことは言わないし、片寄っはことも言わないのだけれども、これも一つぼつぼつ時を同じくして踏み切っていただきたいということを強く要望いたしておきます。  次は、この間非公式ではありますが大蔵の理事会で、ようやくにして復興生産部門については、大企業については設備過剰といわれるほどそういう体制が整ってきた、これからいよいよ流通機構についても国の施策で何らかのフェーバーを与えていくべき段階であろう、こういうことであった。しかしながら今金融は、これは一つ金融準則になりましょうが、特に国民金融公庫、その他中小企業金融公庫、商工中金等サービス部門については一定の制限ワクがある。国民金融公庫については、サービス業はマキシマム五十万円ですかになっておるようでありますが、パチンコ屋さんとかナイトクラブとかバーとかいうものは何らか他の方法によって資金の捻出ができるとしても、たとえばクリーニング屋さんとかパーマネント屋さん、散髪屋さん、こういうような環衛法によるいろいろな団体というものは、やはりサービス時代であるとすれば、私はマキシマム五十万円のワクは、これは生産と同じように撤去されてしかるべきだと思います。この問の理事会では、大体そういう意見で原田次官も御同席だったと思いますので、これを大月局長に適当にお伝えいただいたと思いますが、この後この審議の取り扱いはどういうふうに進められておりますか、ちょっとお答え願いたいと思います。
  67. 原田憲

    ○原田政府委員 お話があったことは、さっそく連絡をして検討いたしました。今お話の中で、パチンコ屋さんとかバーとかそういうところはなんだけれども、そのほかのクリーニング屋さんとかそういうところには五十万円貸してもいいじゃないか、こういうお話だと思いますが……。
  68. 春日一幸

    春日委員 いや、工業と同じようにワクをとったらどうかという話です。個人百万円、法人二百万円という一般ワクと同じように、流通部門もサービス部門もやったらどうか、こういうことだったのです。
  69. 原田憲

    ○原田政府委員 パチンコ屋さんとかカフェーとか、そういうものも含んで今日すべてのものが、何といいますか、それも国民のレジャーに相当貢献しておるのだから、そういうものは全部撤去してしまって、そうして貸し出しは実際上その窓口で規制できるのだから、そういうふうにしたらどうか、こういうお話と伺いました。そのことについて御相隣を申し上げました。今お話の出ましたパチンコ屋さんとかカフェー、キャバレーというものを、この際全部撤去してしまうということがいいかどうかということで、今検討いたしておる最中であります。
  70. 春日一幸

    春日委員 今サービス部門については、最高限度額五十万円、昔は二十万円だったものが五十万円に引き上げられて現行はそうなっておるのですが、別途中小企業金融公庫等については、商業部門、サービス部門については別のマキシマム・ラインがあると思いますが、私が今申し上げておりますのは、かつはこの前の理事会でも諸君の話し合いの材料といたしまして、おおむねみんなの同意を得ておりますことは、設備過剰といわれるほど、なるほど為替貿易の自由化によって、なお中小企業の近代化のために必要な資金は多々ますますではありましょうが、全体として判断するときには、そういうようなサービス部門、流通部門についてもやはり生産部門と同じような機会均等の施策を尽くしていくべきではないか、こういうところにあったと思うわけです。これの詮議は今どうなっておるかということを伺ったのですが、そういうふうにお取り次ぎいただいたが、銀行局の方では公庫との話はどういうことになっておりますか。
  71. 大月高

    大月政府委員 ただいまのお話は、いわゆる国民公庫法の原則といたしましては五十万が限度です。ただ別表に申します特別業種につきましては百万、二百万までできる。それの中にクリーニング屋さんを入れるか入れないか……。
  72. 春日一幸

    春日委員 クリーニングばかりじゃないです。環境衛生法にある散髪屋さん、パーマネント屋さん、喫茶店とか九団体がありますね、そういうものについてです。
  73. 大月高

    大月政府委員 現在クリーニングは入っておるわけでございます。洗たく業として入っておるわけでございます。  今仰せのものにつきましては、国民公庫の方に検討さしておりますけれども、やはり業種によってこれをきめていく方がいいだろうということで、もう少し考えさしてほしいと言っておりますので、しばらく時間をおかし願いたいと思います。
  74. 春日一幸

    春日委員 事実上中小企業政策といたしまして、国民金融公庫の場合は特にサービス業務ですが、これが昔は二十万円——昔といったってここ二、三年前まで二十万円だったが、今は全部五十万円に引き上げられたのでございますか。
  75. 大月高

    大月政府委員 個人が二十万、法人は五十万というのが原則でございまして、別表の業種につきましては個人が百万、法人が二百万、こういうことでございます。
  76. 春日一幸

    春日委員 だから、それらの団体の要請は、国民のそういうレジャー生活に貢献をしておるのだ、そうして、今二十万とかなんとかというような金額では、ちょっと壁の塗りかえ、店舗の改装といったってなかなかできはしない、だから、一般と同じように原則五十万、特別百万、法人二百万という、そういう同じ取り扱いをしてもらいたい、喫茶店でも同様なんですね。今では冷暖房一つ入れるといったって相当かかるでしょう。また冷暖房を入れなければ商売もなかなかうまくいかない。だから、商売をやればやれるように、成り立つように国は協力してやるべきだと思う。彼らだって同じ国民なんだし、別に弊害をもたらすものではないし、おいしいコーヒーを出し、冷たいアイスクリームを食わして、なかなか貢献するところが大きい。だから、そういうものも同じ扱いにしてくれと言っておるのですから、そういうふうにしてやるように、一つ行政的な措置をとってもらうべきだと思うのですが、原田政務次官いかがです。
  77. 原田憲

    ○原田政府委員 私個人の考えはあなたのおっしゃる通りだと思っております。どの産業が重要で、どの産業は重要でないのだということはないと私は思っております。しかしながら、今国民金融公庫の資金量というものからいいましても、やはり提示されておるような、たとえばパチンコ屋さん、これがやはりそれだけの需要があるということは、国民に楽しみたいということがあるからだと思います。またパチンコ屋さんはそれだけ強いものでありますから、相当大きな企業になってきております。実際国民金融公庫の貸し出しの対象になるような方は少ないんじゃないか、こう思いす。そこで、こういうものは不適格である、こういうものはよろしいのだ、こういうような例示がしてあるようでございますが、これをどれがいいか悪いかということについては、十分一ぺん検討してみたいと思います。
  78. 春日一幸

    春日委員 今や再検討、改善、修正のときだと思うので、ぜひともこの機会に、本国会中に結論を出していただいて、関係業者の要望に一つこたえていただきたい。  次は、昨年来問題になっております東京昼夜信用組合の問題ですが、陳情によりますると二万五千名の零細預金者がある。それが全然つぶれてしまったものでありますから困っておる、こういうことなんです。これは大蔵大臣が都道府県知事に大綱を示して、その監督なり行政を移管しておる条件付の委任事項でありますから最終責任は政府にあると思うのです。そこで、この預金者がどうしてそんな迷惑を受けたかということを、さらに被害者について聞いてみますと、三年間くらいめちゃめちゃをやっておったらしいのです。表勘定と裏勘定とあって、裏勘定の方が多い。めちゃくちゃにコールを導入して、理事長がどこやら自分の私企業のところに貸し込んだり何かして三年間くらい全然監査がなされていなかった。こういうようなことも非難事項として言っております。事実関係は一体どうなんですか。そしてこれは一体どうするのですか。つぶれたもんだからしょうがないといって、預金者のみをそのまま黙殺してしまうのですか。それとも監督を怠った政府機関の責任が重いから、何らかの形でこれを救済していくというのでありますか。方向一つお示しいただきたい。
  79. 大月高

    大月政府委員 東京昼夜信用組合は、直接の監督関係は東京都でありまして、現在そういう不正な業務のあり方が判明いたしましたので、業務の停止を命じております。ただこの信用組合は、今お話のありましたように、裏帳簿がございまして、それが数億に上っておる。検査をいたしましてもそこらの金の受け払いが明瞭でないということでございます。そういう意味で現在都庁におきまして直接内容を調査いたしております。整理の方向といたしましては、善良なる預金者に対してできるだけ迷惑をかけないで払い戻しができるように何らかの措置をとりたいということで、都庁の方でいろいろと考えておる段階でございます。
  80. 春日一幸

    春日委員 私正確ではありませんが、表勘定が七億、裏勘定が九億とかなんとか、こういうことで、しかも都庁の監査みたいなものは昭和三十五年の何月かに一回、昭和三十七年の事件発端の直前に一回とかいうようなことで、三年間にわたってめちゃめちゃ、百鬼夜行の金融業務が黙認されておった、放任されておった。政府の監督があるから金融機関は大丈夫だと預金者は信頼をして預金をした。それがつぶれた、金がもらえない。大へん困っておるのです。こういう金融機関というものはほんとうに信用が生命でありますし、またその信用を保持するためには、絶えず監督官庁が国民の名において監査を厳重に行なって、いささかなりともその非なからしめるための措置をとらなければならなかったのに、その責任を怠られていたと思います。監査がないためにずぼらになり、ずぼらになるとめちゃめちゃになって破綻をした。そこに国の責任が存する。だから、被害者に対する最終責任は、すべからず国家において善処なさるべき問題だと思う。全信連なりあるいは何らかの機関をもって一そういう動産も不動産もある。だから早急にこれについて解決のめどを立てて、二万人とかいう膨大な預金者に対して救済をやっていただかなければこれは残酷だと思うのです。善処あらんことを強く要望いたします。  それから幸いに理財局次長がお見えになっておりますから、資料の御提出を願いたい。公共企業体の料金は許可、認可を受けなければならぬ公的性格の事業だと思うのです。従って、その事業の経営はやはり公正に行なわれなければならぬ、適正に行なわれなければならぬと思うのです。たとえば一電力会社の例をとってみますと、電力料金の算出の基礎はいろいろな経営の方法によって出てくるわけです。コストがぺイできるかどうかということですね。私の見受けるところでは、それらは膨大な固定資産を持ち過ぎていると思うのです。あなたの方は電力債やその他理財行政を通じてつながりがあると思うので、あなたを通じて資料の提出を願いたいと思うのです。とりあえず私は九電力の固定資産、それは会社の社屋から寮からすべてその事業を経営するに必要なる設備というものが一体どのくらいあるのか。ある会社のごときは同一市内において十幾つの営業所を持っておったり、同じようなビルディングを七つも八つも持っておる。ちょっと見たところ二百億くらい価値があると思うのです。そういう膨大なものを固定させておいて、そうして電力料金をどんどん上げていくなんということは、私は許されぬと思うのです。そういうものを換価処分して必要にあらざるものは流動資本の中に繰り入れてそれを活用すべきだと思うのです。だから九電力会社のそれぞれの固定資産とか設備ですね、営繕関係を一ぺん全部リストにして国会に提出願いたいと思うのです。そうしてそういうものの中からわれわれは理財行政が適切であるかどうか、どういうふうな指導を与えていかなければならないか、判断したいと思います。早急にはできないでしょうが、通産省と相待ってこの資料の御提出を願いたい。
  81. 高橋俊英

    ○高橋説明員 ただいまの中で、おそらく電力そのものの設備、それと分けてビルディング等と、こういうことを御希望であろうかと思いますが、それがすぐできるかどうか確めた上でまた御連絡いたします。
  82. 春日一幸

    春日委員 そういう生産的設備というよりも、むしろ営業的設備というもの、直接その発電の経費になっていくもの以外に、町のまん中に幾つも幾つも大ビルディングを建てている。そんなものは私は電力料金を上げる前に売り払って、そうして公益事業であるならば必要な資金をそれぞれ弁ずるとか、あるいはそういうものを流動化してコストダウンをはかるとかなすべきだと思うのですね。だから九電力会社のそういう営業部門を中心として全体的なそういう固定資産関係のものを、事情精通者によって時価評価額を加えて御提出を願いたい。  それから私は銀行局長にもう一つお願いをいたしておきたいのでありますが、最近巨大企業金融資本とが結託をいたしまして、企業乗っ取りを策する傾向が絶無ではございません。たとえばある会社が手を上げそうになる。そうするといずれかの会社と提携をさせるという形になって、そこの会社が重役を送ってくる。株を肩がわりする。あすこが経営するならばあなたの方に融資をしよう、こういうことで会社がよみがえって参ります。会社を殺してはならぬというので経営者がそれを応諾する。自分の名前で融資が受けられない。破綻をすれば人に迷惑をかける。だから、株を譲り相手から経営者を迎えて再起、再建をするのならばということで社長を引退する。引退するならばいいけれども、平になって株をとれらてしまっているものが幾つかある。私はその銀行の名前、その企業主の名前をここで申し上げることは適当ではないと考えられますから、これは委員長を通じてそのような二、三の事例について、私は調査の報告を求めたいと思います。公正に行なわれておれば、これは論ずるまでもありませんし非難すべきは当たらないと思うのですけれども、それが銀行と結託をして企業がすっぽり取られてしまうということは、残酷な仕打ちと思わなければなりません。私はそういうようなむちゃなことがわが国において行なわれておることは見のがすべきではないと思います。従いまして、そういう金融資本と巨大企業との結託によって企業乗っ取りの疑いある事実関係の調査の報告を求めます。氏名については委員長を通じてお願いいたしますから、よろしくお願いいたしたいと思います。  私の質問は以上で終わります。
  83. 伊藤五郎

    伊藤委員長 次会は追って御通知することとして、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十七分散会