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高木参考人 非
免許の
外国保険会社、
外国保険事業者が
わが国内で
営業をやるということは、
昭和二十四年の
外国保険事業者に関する
法律というもので、実は出先、
日本内地における非
免許、
わが国内において
免許手続をとっていない機関の
保険募集あるいは紹介というようなことは禁止してあるのでございますが、肝心の
本体法については直接には
規制がされてなかったわけであります。そこで、これはその当時におきましては、おそらくそれで
一般国際間の
交通、
通信その他の
事情からいって十分であると考えられた結果であろうと思うのでございます。この
情勢はその後非常に
変化をいたしまして、現在のところ
免許を得て
国内で
営業をやっております
——国内と申しまするのはもちろん
日本国内でございますが、
国内で
営業をやっておる
外国保険会社は三十六社に及んでおるわけでございます。これは
わが国の
法律に基づいて、いわばわれわれと同じ土俵で
営業をやっていくということなんで、これは問題はないのでございますけれ
ども、
交通、
通信の
状況が
昭和二十四年当時とは非常に
変化を来たしまして、現在におきましては、
わが国内でもって
免許を得て専業を営んでおる以外のものでも、本国から短時間、かつ、簡単に手を伸ばして
わが国内の
契約者に接触することができるようになったわけであります。やろうと思えばできるわけであります。現にそういう実例もあるやに
承知しております。そこで、御
承知のとおりの今度の
法律改正ということになって、その御審議をお願いしているのだそうでございます。
私
どものみならず、現在
国内において正式に
免許を得て
営業を営んでおる
外国会社にとりましても、これは公正の観念からいってどうしてもやっていただかなければならぬ点だと考えております。それでございますから、私
どもはこういう
法案が審議されているということについては感謝の念を抱いておるわけでございます。かりにこの
法案が成立いたしましても、今後は
為替の
自由化、そういうものと関連いたしまして、
外国損害保険会社とわれわれ
日本の
損害保険会社が
日本の
市場においていわゆる
競争をする、しかもいままで三十六社がすでに
営業を営んでおるのですが、さらにわれわれ
日本国内会社との
競争が激化する
可能性が非常に多いのみならず、今後新たに
免許を受けて
日本国内において
営業を営もうという
外国会社も出てまいりましょう。そうしますと、
国内においてはわれわれがその
競争の矢面に立つということになるわけであります。そこで、私
ども損害保険会社といたしましては、そういう
事態が新たに起こってこなくても、戦後非常にさんたんたる資産、
営業の
状況から再出発したものばかりでございますが
——再出発または新たに
会社の設立されたものもあるわけでありますが、いずれにしろ、われわれの
事業の
使命を達成するためには、
損害保険会社として、
社会全般に対して、
産業界あるいは
個人の家計の面におきましても、われわれとして
サービスを
改善強化し続けなければならぬということは、もうわれわれの前から心がけてきている点でございます。ことに、いま申しますように、新たに
国際競争の激化という
事態が起こりますれば、われわれの
事業の
サービス面に対する
改善とかあるいはその他
保険会社としてあるべき姿、つまり
体質改善とか、あるいは
体質増強と申しますか、そういうことをできるだけ急いでやらなければならぬ
事態に直面しているわけであります。現在
日本の
内地会社といたしましては、十九社の、
保険契約者に直接接触いたします、いわゆるわれわれのいう元請
会社と、
保険会社が再
保険という面において接触いたします再
保険専門会社が一社、合計二十社あるわけでございますが、これだけの
会社がそれぞれ自主的にさっき申し上げたような
体質改善、
増強、そういうことに
努力をしているのでございますが、なかなかいろいろな
事情から、ある場合、ある面におきましては、テンポが急激にいかないうらみがあったわけでございます。そこでそういうことでは、現在われわれが直面し、あるいはこれから当面する
事態に対しては、はなはだ不満なわけでございます。そこでできるだけ急いでその
目的を達成しなければいかぬというのが、われわれの現在直面しておる
事態でございます。このためには
大蔵当局の御支持、御協力を得まして、現に主として
外国会社に対する
競争、つまり
国際競争力の
増強という面、これをクローズアップいたしまして、いろいろな方面にわたって、いまわれわれの
協会、あるいは御
承知と思いますが、
料率算定会、そういうところが団体的に非常な
努力をしている最中であります。
その目標といたしますところは、まず第一には、
保険会社といたしまして、いかなる
事態が起こりましても、
使命を達成し得るだけの
保険会社の
担保力と申しますか、
資力、この
増強ということが、いま
外国の
保険会社に比べまして、
日本が非常に弱体であるということは否定できないのでございます。その弱体なものをできるだけ
強化する、これが第一でございます。その
強化するためには、これはいろいろな面において、つまり
国内における
保険の普及と申しますか、できるだけ
損害保険を利用される
分野を拡大しなければいけない。
そのためには、まず第一に、被
保険者あるいは
契約者にとりまして一番切実な問題は、
保険料と申しますか、
保険料率の問題であります。これが
外国会社が
わが国に
進出してまいりまして、公正なる
競争をいどむというようなときにでも、その
外国の
保険会社に劣る、
理由なくしてあるいは薄弱なる
理由のもとに、その
外国保険会社の提供する
料率よりも高い、つまり不利益を被
保険者、
契約者に与えるということでは、これはまず第一段においてわれわれの
目的達成の障害になるわけでございます。これは現在並びにこれから将来にわたっても時々刻々に
変化していく
保険料率というもの、
外国の
保険料率というものをいままで以上に関心を持って検討いたしまして、われわれ自身のやっておるものとの比較ということをいたします。そうしてこの
保険料率というものは、
保険会社が負担する
責任の
範囲、これと関連がある。われわれが負担する
責任の
範囲が、
外国の
保険会社が負担する
責任の
範囲よりも狭いというようなことがあっては、かりに
料率は負けないようにいたしましても、そういう面において今度は不便を与える。
保険をつけて、万一の場合にその
保険によって損失をカバーするという面において
外国保険会社に
日本の
保険会社が負けるということがあっては、これは実際面において、われわれは
競争に立ちおくれるわけであります。したがってそういう
保険会社の
責任の
範囲、これに伴う
保険料率というものを十分
改善すべきものは
改善し、そうして立ち向かってくる
外国の
保険業者に劣らないだけの
仕組みをわれわれとしては、どうしてもでっち上げなければいかぬということです。それから次には、われわれが
日本国内において
保険契約者に
契約を提供する、
保険証券を提供する
手段といたしましては、
保険代理店というものの力が非常に大きいのでありまして、
保険会社の
契約いたします量の八割ないし九割
——これは
会社によっていろいろあるのでございますが、その程度は
代理店を経由してやっているわけでございます。この
代理店の
営業もその
代理店の
保険契約者、被
保険者らに接触する場合の
やり方、これが非常に大事なことで、これの優劣によってわれわれの
保険会社の
保険契約の量というものは左右される。で、量が多ければ多いほど
保険率は安くできまするし、またわれわれの
体質改善をはかるいろんな手だても収入の面ということが基礎になるわけであります。つまり
資力の
増強とか、
積み立て金の増加とかいうようなこともこれが土台になるわけであります。これを
外国保険会社との
競争において、そういう
契約分野が荒らされるということになってまいりますと、これはわれわれの目ざすところが達成できないことになる。このいわゆる
代理店を中心とする
募集ということ、これをできるだけ
改善していく、そして被
保険者、
契約者に十分なる
保険サービスを提供するということ、これが
一つには
外国保険会社に対する
競争に立ち向かう非常に大きな
手段なのであって、これもいままでのような
やり方——これは全国で
代理店の数は九万五千くらいあるのでございますが、これを
組織の面から、
代理店個々の面からと、両面からこれを
改善し進歩するようにこれも
努力しております。
それからいろいろ
経済情勢あるいは
産業の
進歩発達によりまして、新しい
保険の事故というものが変わりもいたしますし、だんだんとふえもいたします。これに対処するために新しい
保険の
極数というものも、われわれの創意くふうを発揮することによって、いわば
保険の
潜在需要というふうなものにできるだけ応じていくということ、これがやはり
国際競争ということを抜きにいたしましても、どうしてもやらなければならぬことなんでございまして、これも現在すでに実施の段階に入るばかりになっておるものもございますし、近く実施できるもの、そういうものも数
種類あるわけでございます。そういうことでさっきちょっと申し落としましたが、
保険料率というものが、
外国保険会社に劣らないように、つまり根拠なくして
外国保険会社よりも高い
保険料率を、むしろわれわれが提供するということでは、これはまことにいかなる面から見ましてもいけないことなんで、これをいまどういう面において合理的に下げ得るかということ、並びにこれは技術的にいままで
保険料率というものを作成いたしますと、これは非常に複雑です。したがってその結果
地域別、
物件別その他非常に
種類が多いのでございます。これでは実際の
需要を満たす場合に非常に不便がある。その中でこれを
簡素化し得るものが相当あるはずだというので、その
簡素化ということをやっております。ことに住宅の
火災保険、あるいは
店舗の
火災保険というものについて、そういう
簡素化ということを近くこれは完成するはずでございます。それから
工場なんかにおきましても、できるだけその
工場の側々の実態に即した
保険料を提供するようにというので、これも検討を続けておるわけでございます。
ただいままで申し上げましたことが、大体
貿易為
為替の
自由化並びに
外国保険事業者に関する
法律の
改正というものを
対象といたしまして、われわれ
損守保険業界としてやりつつある大体の
実情でございます。一応それだけのことを申し上げて、あと御質問がございましたらば申し上げることにいたします。
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